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1959-03-24 第31回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十四日(火曜日)    午前十時五十七分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    主査      矢嶋 三義君    副主査            塩見 俊二君    委員            紅露 みつ君            横山 フク君            吉江 勝保君            坂本  昭君            田村 文吉君            市川 房枝君   国務大臣    大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君    文 部 大 臣 橋本 龍伍君   政府委員    内閣総理大臣    官    房公務員制度調    査室長     増子 正宏君    行政管理政務次    官       濱野 清吾君    自治庁財政局長 奧野 誠亮君    大蔵政務次官  佐野  廣君    大蔵大臣官房長 石野 信一君    大蔵大臣官房会    計課長     牧野 誠一君    大蔵省主計局次    長       村上  一君    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君    大蔵省主税局長 原  純夫君    大蔵省理財局長 正示啓次郎君    大蔵省管財局長 賀屋 正雄君    大蔵省為替局長 酒井 俊彦君    国税庁長官   北島 武雄君    文部大臣官房総    務参事官    齋藤  正君    文部大臣官房会    計参事官    天城  勲君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    文部省大学学術    局長      緒方 信一君    文部省社会教育    局長      福田  繁君    文部省体育局長 清水 康平君    文部省調査局長 北岡 健二君    文部省管理局長 小林 行雄君   説明員    大蔵大臣官房財    務調査官    大月  高君    大蔵省主計局総    務課長     中尾 博之君    大蔵省主計局主    計官      相沢 英之君    日本専売公社副    総裁      石田 吉男君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和三十四年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十四年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十四年度政府関係機関予管  (内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) ただいまから第四分科会開会いたします。  両大臣並びに大蔵文部両省政府委員の方はよく聞いて、次の主査質問に対してお答えを願います。昨日、本分科会所管の四省の所管事項についての説明を聴取いたしました。子の直後に、主査審議日程を明確に官言しているはずであります。本日は大蔵文部両省関係審査することになっています。午前、午後の区分をいたしておりません。ただしかし、主査としては、審議の都合上主として午前中に大蔵をやり、午後に文部をやる晦を持っております。しかし、午前中といえども文部はいつでも出席できるところの態勢でなければならないし、牛後においても大蔵はいつでも出席で勇るところの態勢でなければならない。従って、昨日宣言するとき速記に明確に文部大蔵審議予定日を宣言をしているはずであります。本日は、午前十時から開会すべく主査は午前十時五分前にこの席に着きました。行政管理庁の政務次官は非常に早く着かれた。そうして質問者もおいでになって、分科会であるからできるだけ早く始めて充実した審議をしたい。閣議が行われているから大臣の欠席はやむを得ない。従って、局長出席があれば局長を相手に質疑を展開しようという話し合いができて、出席を要請すること数十分にして関係者出席されない。その間に閣議は終って大臣がお見えになったわけですが、非常に遺憾であります。皆さんは何と心得ておるのですか。しかも文部省関係はただいままで政府委員のただ一人もこの室に入っていない、連絡員も入っていない、それで直ちに本委員室にどなたでもいいから出席するようにと要請してから十五分以上経過しております。国会内には文部省政府委員相当駐在しているはずです。また、政府委員として各局長も院内におられるはずです。で、委員部諸君は総動員して連絡するにかかわらず、十五分以上にわたってどなたもお見えにならなかった。そのために、午前十時開会のこの分科会審査開始は一時間以上経過したということは、今後の審議計画にも影響力及ぼすことであって遺憾に思います。一体行政府諸君は、立法府の審査というものを何と考えているのですか。分科会になったからといって、これを軽視するような傾向があるということは、許すことができないと思う。主本としては、副主査と相談して、綿密なるこの審査計画を立てて、昨日、冒頭、各委員諸君の御了承をいただいて、計画的に本分科会を運営しているつもりです。行政府がそういう状況では、非常にこの審査に支障を来たすと思う。これが主査として皆さん方に聞いていただきたい点であります。関係者から何分の釈明を本分科会に対してなしていただきたいと思います。
  3. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 大へん主査並びに皆様に御迷惑をかけて私遺憾に思っております。御了承いただきたいと思います。
  4. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 実は出席割合につきまして手違いがございまして、大へん御迷惑をかけましてまことに申しわけございませんでした。十分主査お話を留意して、審議の実をあげるようにしたいと思います。
  5. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) では大蔵省主管を議題といたします。御質疑のおありの方は御発言をお願いいたします。
  6. 塩見俊二

    塩見俊二君 私は、若干の時間をちょうだいいたしまして、昭和三十四年度税制改革の問題、減税の問題を中心お尋ねをいたしたいと思います。  大蔵省からちょうだいをいたしました「租税及び印紙収入予算説明」この説明書の順を追ってお尋ねを申し上げたいと思います。まず、三ページを開きますと、昭和三十四年度租税収入総額が一兆一千二百十二億になっております。そして同時に、歳入歳出予算は御承知通り、一兆四千百九十二億、従いまして、総収入のうちで八〇%は租税及び印紙収入が占めておるわけであります。この八〇%の租税及び印紙収入は、これは全く国民の血と汗の結晶である租税収入であるわけであります。この租税収入を基盤として歳出予算が組まれておるわけでありまするが、私は、本委員会審議を通じまして、与野党を通じ、歳出の増額的な論議相当に行われておるのでありまするが、しかしながら、遺憾ながらこの国民の苦悶の結晶である一兆一千二百十二億、総収入の八〇%を占める租税問題につきまして、非常に論議が少かったことを私は予算委員の一人としても残念に思っておる次第であります。そういう関係もありまして、ここで順次この問題につきまして、若干の時間をちょうだいして御答弁をいただきたいと思うのであります。  そこで次に第六ページをお開きをいただきたいと思います。私はまず、大蔵大臣も御出席になっておりまするが、大へんな苦心の結果、わが自由民主党公約をいたしました七百億円、これを上回る七百十七億円の減税を断行せられたということにつきましては、国民とともに深く敬意を表する次第であります。  そこで、次にお尋ねをいたしたいのでありますが、まず、この減税の結果の租税収入総額、すなわち一兆一千二百十二億円というのは、国民所得に対しましては――これに加えまして地方税合計いたしまして、国民所得に対しては、租税負担割合は一体どの程度になることになりましょうか。
  7. 原純夫

    政府委員原純夫君) 地方税を含めまして二〇・三%となります。なお、その印刷物の四十五ページに連年のもの、戦前との比較まで加えて一覧表に出ておりますので、ごらんいただければ仕合せと思います。
  8. 塩見俊二

    塩見俊二君 それでは、ただいまお話しのありました四十五ページの「国民所得に対する租税負担率調」これに関連をしてお尋ねをいたします。昭和十二十八年度以降の国税地方税を通ずるまず各年ごと減税総額をお示しをいただきたいと思います。
  9. 原純夫

    政府委員原純夫君) お尋ねは、昭和二十八年度以降ということでございますから申し上げます。毎年度のように減税が行われておりますが、今回のでもごらん通り初年度平年度で違いがございます。大きさを示すため平年度額を申し上げます。二十八年度当時の平年度額は、経済の膨張拡大いたしました現在では、価はもっと大きくなるわけですが、その当時の平年度額しか数字がございませんので御了解願います。  まず、国税の面から申し上げて参ります。
  10. 塩見俊二

    塩見俊二君 合計額でいいです。
  11. 原純夫

    政府委員原純夫君) 合計ですか、合計をいたしておりませんので、読んで合せて参ります。国税の面で昭和二十八年度千二百四十四億、それから地方税の面におきまして百七十五億、従いまして合計が千四百十九億となります。昭和二十九年度、国、百六十九億、地方が二百六十三億、合計四百三十二億であります。三十年度、国、六百六十一億、地方、六十六億、七百二十七億。三十一年度、国が十五億、地方が一この年は地方は増になっております、九十一億増、従いまして、ネットは七十六億の増である。それから三十二年度は国、六百十七億、地方が百十八億、合計七百三十五億であります。三十三年度は、国におきまして三百七十三億、それから地方で五十億、合計四百二十三億。三十四年度ごらん通りでございます。
  12. 塩見俊二

    塩見俊二君 それではお尋ねを申し上げたいと思います。どうもこの巷間伝えられるところによりますると、あるいはまた、まじめな納税者からも常にその言葉を聞くわけでありますが、どうも政府は毎年減税をやっておられる、やっておられるが、一向にその分を吸い取るような意味地方税強化が行われる、従って、どうも国民負担全体としては下らないのだと、こういう言葉を、これは主税局長もよく聞かれる問題だと思うのですが、そういう話が非常に強く巷間に流れておることは御承知通りであります。そこで、この巷間のこういう説が私は若干は正しいところがあると思う、その場合に一つお尋ねしたいのは、かように連年相当巨額国税地方税を通ずる減税が行われておるにもかかわらず、この表でごらんになればわかります通り国民所得に対する粗税の負担率というものが減少していない。私はこれだけの大幅な減税連年行われれば、国民所得に対する負担というものは当然下ってこなきゃならぬ。これが一向に下らないというその理由について、まずお伺いをいたしたいと思います。
  13. 原純夫

    政府委員原純夫君) ただいま申し上げました二十八年度以降の減税連年ずっと見て参りますと、一つ相当大きな趨向があるわけであります。と申しますのは、二十八年度、九年度あたりにおきましては、なお戦後の経済が不安定であり、変調を帯びておったというようなことから、いわゆる特別措置なるものがむしろこの時分にどんどん伸びておったということはございます。従いまして、ただいま申し上げました減税額のうちに、そういう特別措置によるものが相当多いのであります。しかるに、近年、特に三十二年度以降におきましては、この特別措置的なものを経済正常化に伴って整理する一方、その財源も合して一般的な減税に充てるということになりますので、近年は一般的な減税においては、決して旧法に変らない特別措置が、旧法においては申請されて減税額に加わっておったのに対して、最近はそれがだんだん大体としては整理されつつあるという点が違っておりまして、その結果、まあそれだけではございません、揮発油税の増徴というような目的税的なものもでございますが、それらを総合計いたしました結果が、お話し通り国民所得に対する負担率としては近ごろ横ばいになっている。二十四年度の二八五%というのを最高といたしまして、このところ四、五年度間は二〇%前後に低迷いたしているということになっております。私どもとしては、なお国民税負担が重いということを考えますにつけて、今後とも減税には努力して参りたい気持でやつておりますが、一方でいろいろな財政需要があるというようなことから、任期五ヵ年計画でも、御案内の通りかなり減税前提とした計画になっておりますが、なかなかそれが実行できにくいというような財政需要が非常に大きいということであります。  なおその際、徴税強化があるのじゃないかというお話でありますが、国税庁長官見えておりませんので、私かわってお答え申し上げますれば、徴税強化的な考え方でやるということはもう絶対にいかぬことだというのがここ何年来の確立した税務行政の柱でございまして、そういうことは万に一つないようにしなきゃならぬというつもりでやっておりますので、御了承いただきたいと思います。もちろん日本の、特に申告所得税法人税におきましては、納税者申告成績納税成績というものはまだまだ満点にはほど遠いということがよく言われます。所得税の中でも営業あたりには特にそういうことが言われるわけで、われわれ、税法を合理化し、軽減いたしますにつれて、そういう成績が上昇するということは期待いたしておりまするし、また、税収見込みでもはっきりそういうことを前提として見込みを立てておりますが、これは決して徴税強化という意味じゃなくて、まっとうな税務執行の大道を歩んで、税法が合理化されるに従って税収がふえるということを考えてのことでございます。
  14. 塩見俊二

    塩見俊二君 私は、前段の主税局長の御説明に満足をいたしません。これは非常に重要な問題でございますので、また時間もございませんので、別の機会によく一つ論戦を展開いたしてみたいと思います。  後段の問題でありますが、国税庁どなたも見えておりませんか、直税部長は……。まあ徴収部長でも、どこかで直税部長をやられた経験があるようですから、徴収部長でよろしゅらございます。お尋ねいたします。先ほど後段の問題として、私としては昨日も質問を申し上げたのであります。すなわち現在の申告所得税、特に個人の申告所得税におきましては、まだまだ私は申告のパーセンテージといいますか、申告そのものがまだ満足すべき状況ではない。従って、税務署のこれに対する更正決定あるいは指導等を通じまして、連年税務署所得把握率向上しておる。これは先ほど主税局長からお話がありました通り、これは私は認めなくちゃならぬと思う。相当向上しておる。税務官吏というものは、これは御承知通り、昨年の所得よりも低い所得を決定するのはきらいな本能を持っている。少しでも上に上げないと上の方が喜ばない、これは一つの本能的な実際の問題だと思う。それからもう一つは、やはりだんだんだんだんと経済が安定をして、徴税能力も増してくるということで、私はこの把握率連年向上しておる、それが相当にこの一面においては減税の効果を消した結果になる、この事実だけは、私は主税局長お認め願えると思うが、いかがございましょうか。
  15. 原純夫

    政府委員原純夫君) 総体の数字として、そういうことになることはおっしゃる通りだと思います。しかしながら、私の考えといたしましては、これはすべての納税者減税によって減税されるが、まあ今把握向上とおっしゃいましたが、私どもはこれは納税成績向上と申しております。税務署側が取り立てるということでなくして、納税者申告納税の本旨にあった納税をされるということでありますが、その場合、この全部について軽減があり、全部についてそういう増があるということでなくて、やはりいわゆる課税が漏れておるというのは決して一様ではなくて、漏れる人は非常に漏れておる、全然漏れておるというのもありますし、一方で非常にまじめに申告し、納税されている方があるわけです。で、私どもとしては、やはり漏れている人から出していただくというところにこそ課税の公平を期するという角度があるのじゃないかというふうに思っておりますので、ただいまの成績向上は、そういう非常に傾斜のついた向上である。従って、まじめに納めておる人は減税の恩恵を百パーセント受けるという人が相当にあるわけであります。そういう意味トータル数字はおっしゃる通りでありますが、税に関するその国と納税者との関係は、内容的にこれによって相当改善されるのじゃないかというつもりでおります。
  16. 塩見俊二

    塩見俊二君 ただいま主査から時間の制約を受けましたので、一つ私も簡単に質問申し上げますので、簡単に一つお答えをいただきたいと思います。  次に、明年度税制改正をながめてみますると、やはり減税が極端な直接税中心減税になっている。すなわち七百十七億の減税の中で、間接税減税はわずかに六十三億ということで、極端に直接税中心減税になっており、それからまた、税制懇談会等意見を聞きましても、やはり日本のそういう制度としては間接税をだんだん比重を多くして、直接税をだんだん減らしていくという方針のように実は承わっておるわけでありますが、この点を私は非常に重大な問題と思いますので、要するに、重点を今後間接税に移行していくのかどうか、この点だけを簡単にお答え願いたいと思います。
  17. 原純夫

    政府委員原純夫君) 非常にむずかしい問題で、私簡単にそうだと申し切れないというのが率直な私の考えであります。これについては、調査会等ではかなり間接税にウエートを置けという意見が強いのですが、長年直接税の軽減に主力を置いてきた、もう間接税考えるべきじゃないかという声もあります。それから税制本来の建前からして直接税を重視すべきだという御議論もあります。すべてそれらを相当総合的に考えて慎重に結論を出すべきで、今ぐらいのところで、そう今から角度をよけいつけてやるというのは私はあまり強くございません。非常に慎重に考えなければならぬ問題だと思います。
  18. 塩見俊二

    塩見俊二君 私は今の主税局長の御答弁に満足するわけでありまするが、まあ明年の税制改正はあまりにも極端な直接税中心減税である。私は現在の間接税の態様から見ましても、二級酒に二百円の税金をとる、平均いたしまして。たばこ十本入り一箱に十円の税金をとっている。ミーちゃんハーちゃんが行く――ミーちゃんハーちゃんというと失礼でありまするが、五十円の、あの映画館に一割の税金をとっている。これは日本間接税現状なんです。この現状を見ないで、いたずらに間接税中心に移行しなくちゃならぬという議論が非常に強い。私はこれは税法の邪道だと思うのです。なるほどフランスイタリア間接税比重が多い。しかし、私は税務行政なんかはフランスイタリアよりも日本の方がしっかりしておる。幾らむずかしくとも、私は税というものは負担の公平というものを考えなくちゃならぬ。私は将来こういった間接税中心税法に移行しようという考え方につきましては、十分御検討いただくように希望してこの問題を終ります。  次に、時間がございませんので、地方税関係を伺おうと思いましたが、国税だけに限定いたしまして所得税の問題についてお答えを願いたいと思います。まず、所得税の問題でありまするが、私ども自由民主党といたしましては、標準家庭三十万円までを非課税にする。すなわち夫婦二人に子供三人の給与所得のものは三十万円までは減税をするという公約をした。今回のこういう標準家庭の、今標準家庭非課税限度額幾らになっているか、一つお教えをいただきたい。
  19. 原純夫

    政府委員原純夫君) 夫婦子供三人というのが標準家庭になっておりますが、その場合現行法では、給与所得者の場合を申し上げますと、現行法では年額で二十六万九千八百七十九円というのが課税最低限でございますが、改正によりまして、平年度においては三十二万七千九百十二円というふうに約六万円近くふえる。事業所得者におきましては、現在二十万五千円というのが二十五万円、四万五千円ふえるということに相なっております。
  20. 塩見俊二

    塩見俊二君 非常に勇断をもっての改正でございまするので、敬意を表しておきます。  その次に、この各種扶養控除あるいは低所得者税率の減少をはかったわけでありまするが、しかしながら、この基礎控除について触れていない。そういうことは、たとえば独身者のごときは一切この減税恩典に浴しない。あるいはまた、扶養控除重点を置いているために、扶養家族の一般的に多い農村地帯、農家というものが給与所得者やらあるいは普通の事業所得者よりも大きな恩典を私は受けたと思うので、その点が相当バランスを欠いていやしないか。今言った独身の者の場合と農業所得者事業所得者の場合との権衡に対する御見解を伺いたいと思います。
  21. 原純夫

    政府委員原純夫君) この問題は私ども常々一つ理念と申しますか、理想というようなものを持って考えなければならない問題だと思っております。つまり基礎控除扶養控除あるいはまた税率、どういう関係で将来持っていくかということは一つ理念を持って考えなければならないと思っております。そのために、控除の面におきましては、一人である場合の生計費と、家族が何人かできて参ります場合の限界的な生計費の増加というようなものをいろいろな方法で調べております。年来そういう調べでは、どうも基礎控除に比べて扶養控除が総体的に低い。扶養控除の中でも一人目、二人目、三人目というところに比べて四人目あたりが低い、四人目以下が相当低いというようなことがかなり感ぜられたわけであります。なかなか減税財源が回らないというのであと回しになったような関係もありますが、今回そういう理念、と言うと大へん浮いたようでありますが、そういう見当をバックといたしまして、いい形に持っていこうということに考えたわけであります。端的に言いますると、基礎控除よりも扶養控除が少いということであります。基礎控除を一万円でも上げますと、また扶養控除が追っかけなければならぬというようなことになるので、今回は基礎控除は足踏みしていただく、ただし、控除だけでなくて、税率もやれということが年来、近年特に言われておりますので、一番下の税率適用段階を五万円から十万円まで上げまして、この分は独身者でも均霑するということ、独身者相当数がこれに均霑するというふうに考えます。しかし、それでも独身者には所得税減税が均霑しない分が相当あるのは、大へん心苦しいのでありますが、以上のような考え方で今回の案を作ったわけであります。
  22. 塩見俊二

    塩見俊二君 農業所得者は……。
  23. 原純夫

    政府委員原純夫君) 農業関係につきましては、おっしゃる通り、平均の扶養親族が都市の営業者の場合は三・二、三人でありますが、農業は五・五、六人ということで、扶養親族が多いということから、特に減税の度合いが多くなっております。さしむき、昭和三十四年分の課税につきましても、減税の結果、二十億円が減る。三十三年のは予算で三十五億円の課税になっておる。実質的には豊作の関係で四十四、五億になると見込まれますが、これが大体半分ぐらいは減税で減ってしまう。今度の減税は、トータル初年度四百億足らず、三百八十億でございまして、所得税全体に比べますると一割五分程度しかないのが、農業では五割見当減税になるということになっております。もちろん一方で米穀課税特例廃止ということを考えておりますので、そっちの増収がございますが、減税自体では相当大きくなるということであります。
  24. 塩見俊二

    塩見俊二君 昭和二十四、五年ごろにおきましては、たしか農業に対する課税税金総額事業所得に対する課税税金総額が大体同じ程度であったわけでありまするが、それが急速度に農業に対する課税の金額が減少してきた。それでこの十一ページの表にもあります通り昭和三十二年の課税実績では、営業が二百九十八億、農業がわずか五十七億になっておる。ところが、昭和三十四年度におきましては、営業が二百三十一億円、農業が今の米穀に関する特別の措置を行なった上でしかもわずか三十九億しかないというようなことで、私は、農業に対する課税中小企業に対する課税との間に現実に相当の不均衡があり、税法上も考慮すべき問題があると思う。時間がありませんから一例だけあげますと、たとえば課税標準率、この課税標準率はとにかく最低の線を押えなければ仕方がない。副収入は捕捉しないというような税務行政上の面におきましても、ただいまの税法におきましても、この中小企業課税農業に対する課税の均衡の問題、私は、日本の現在の税金問題では非常に重大な問題だと思います。時間がありませんので、これはここでこれ以上答弁を求めませんが、この問題につきましては、税法上におきましても、また、実際の扱いにおきましても、十分に御検討を願いたいとい思ます。  次の問題に移ります。    〔主査退席、副主査着席〕
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大蔵省関係質疑をするので、行政管理庁の政務次官と、それから専売公社の副総裁に御出席を願っておりますので、それを先に一つ質問させていただきたいと思います。  まず、日本専売公社ですが、三十四年度予算書を見ますと、専売公社の収入予定額が約二千七百十六億円、支出予定額が約千五百八十一億円、かように相なっております。なお、昭和三十三年度の補正第二号、先般成立いたしました補正でありますが、これを拝見しますと、製造たばこ売払代は、三十三年度予算より実績見込みが約六十三億円増だ、それに基いて補正第二号では、歳入追加として専売納付金三十億円が計上され、いることは、御承知通りであります。そこで私は、具体的な一つの問題について伺いたいのであります。それは、このたばこ売上げは、相当の成果を上げておられます。これについて、長い間、小売たばこ業者から、報償金、手数料の引上げというものが、長きにわたって皆さん方に要望がなされているはずです。これは御承知のごとく、二十八年の四月から八%になっている。戦前は一〇%の手数料が支給されておったわけです。で、このたばこ小売業者を内容的に調べてみると、未亡人等わずかな資金で販売をやられている方が非常に多いわけです。比較的に気の毒な方があります。もちろん大きな商店等でやられている方もありますけれども、大部分というものは、全く小商業者にすぎません。しかも、これは、公社の方から配給があった場合に、現金で支払わなければならぬので、金のやりくりにも非常に苦労をしているわけです。それで、当然、これだけの成果が上れば、補正予算に納付金三十億円をさらに追加する、それから、本年度予算を見ても、相当増になっておるわけですが、これは、耕作者はもちろんでありますが、末端の小売業者の努力というものも、多く買われなければならぬ。そういう立場から、これは、国会でも与野党を通じて長くこの主張はされているわけなのですが、一〇%程度に引き上げるべきだ、かように私は考えるわけです。これに対して、皆さん方としては、たばこの単価が高くなって、高級たばこになったからいいじゃないかというような意見も、一部にあるようですが、しかし、たとえば、銀座みたいな所にあるたばこ店というのは、高級たばこは売れましょう。また、売上げ高も多いでしょう。そういうところは、八%程度の手数料であるいはいいかとも思うけれども、しかし、全国の小都市等のたばこ小売商というものは、そんな高いたばこを出したって売れるわけじゃない、それで、売上げ高も、きわめて少いわけです。従って、東京の大都市にある小売商を対象にお考えになっては、私は大きなあやまちを来たすと思うのです。若干あなた方もお考えになったのか、この予算書を見ますと、販売報償費を本年度二億円ふやして、二億九千四百九十万円と予算を計上されております。私が承わりたい点は、八%を一〇%にすべきだということ。それから、二億円の報償費をどうしているか、これはどういうふうに使われるか。私は、八%を一〇%とすれば、大体五十億程度要するということを概算しているわけなんですが、それが全部できないとすれば、この一日の売上高が非常に高い小売業者で、たとえば一日一万円以上売り上げのあるというようなところと、それから、それ以下というような小さな業者、こういうものが、当然その率において差をつけてやらるべきだ、かように思うのですが、そういう点について皆さん方は、どういう御見解を持っておられ、また、どういう対策を持っておられるのか、承わりたいと思います。
  26. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) お話のように、戦前たばこ小売人の手数料は、一割でありましたものを、戦後大体安定してからは八%ということになっておりますので、戦前に戻してくれという声は、小売屋さんの方から年来ずっとございました。しかし、ただいまお話にもございましたように、これを一%上げますと、大体年に二十五億円ぐらい支出がふえるといいますか、専売納付金が減るわけでございますが、たばこ専売制度と申しますものは、いわゆる財政専売ということでございまして、これによって国家の歳入を上げるということを一番大きな目的にしておりますので、たとえば最近の、来年度予算ごらんいただきますと、これは専売納付金と、それからたばこ消費税というものを地方の公共団体に差し上げているのでございますが、私の方ではその両方合せまして、大体納付金に似たような性質のものということで見ております。三十四年度予算では、三十三年度に比べまして五十五億その総額でふえております。かようなことでございますので、一%または二%上げるということになりますと、こういう増収がみんな飛んでしまうということでございまして、なかなか、思い切ってすぐ小売屋さんたちの御要望に応ずるということが、できがたい情勢にあるという面がございます。  それからお話のように、たばこの小売人一人々々の状況はいろいろございますが、全体的に申し上げますと、よくいろいろな経済の指標でとられております基準年次、その当時の一人当りの小売人の利益額というのは、大体百七十六円ぐらいでございます。昭和三十三年度では、これが十三万円ぐらいになっておりまして、倍率にしますと、約七百四十倍ぐらいになっております。日銀の卸売物価指数を見ますと、三百四十倍ぐらいということでございまして、一般的なそういう経済の伸び方、そういうものと比較しますと、戦前と比べると、たばこ小売店の利益は相当上っている、こういうように見られます。かたがた御案内のように、たばこの小売店というものは専業でやっておられる方はきわめてわずかでございまして、大ていほかの商売と兼業をしております。従って、たばこの小売店だけでもって生計を営むという人は非常に少いのでございますが、大体これもいろいろな指標をとってみますと、普通の小売業の平均とそれからたばこ店の平均、たとえば純利益でありますとか、あるいは商品の回転率でありますとか、資本の回転率、こういうものを見ますと、非常に高い率になっておりますので、そういう点から見ましても、どうしてもこれを上げなければならないという根拠がなかなか出て参らないのでございます。私どもの方では、ずっと小売店のそういういろいろな状況を引き続き調査をしておりますが、ただ何らの数字的な根拠なしにそういうものを上げるということもできかねますので、そういういろいろな計数ないし状態を調査いたしまして、その資料に基いて判断をしているというふうなことでございます。しかし、三十四年度予算におきましては、ただいまお話のような御要望もありまして、二億円販売報償費の中に計上したわけでございますが、これは普通の九千四百万円ほかにございますけれども、この分は主として小売店の個々の人に参るのではございませんで、小売人の組織しております単位組合とか、あるいは連合会とか、そういうものがいろいろな販売活動をやるというふうなことをおもな目的にして報償金を出しておりますが、この二億円は小売人の一人々々の方に渡るようにという意味で計上してございます。なお、その分配の仕方につきましては、当初私どもは、大体お話のような売り上げの少い店の方に回したいというふうに考えておりましたが、最近小売店の組織しております組合の方から要望がございまして、これを均分にして分けてくれ、こういう申し入れがございます。ただいまその点につきましていろいろ検討中でございまして、どういうふうな分け方をするかということにつきましては、まだ未決定の状態でございます。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたの御説明も一応傾聴すべき御意見もあるかと思うのですが、しかし、専業でないというのなんかちょっと僕は冷たいと思うのですよ。未亡人なんかで専業しているかもおりますよ。それから国民の生活水準が上って、勤労者のベース・アップというものもやっているのですからね、だから若干僕は考慮をすべきだ、国家の歳入を上げるのが目的だからといって、そういうことだけでなくて、もうちょっとあたたかい私は措置をしてやってしかるべきじゃないかと思うのですがね。二億円の取扱いについても、それは業者の団体がどう言っているか知りませんがね。それはピンからキリまであるわけですからね。当然この売上金の少い方に厚くいくように私は扱うべきものだと思うのです。場所によっては相当の売り上げがあり、しかも高いたばこの売れるようなところもあるわけですからね。そういう点は当事者としてのあなた方は合理的に十分配慮さるべきものだと思うのですが、重ねてその点を伺っておきます。
  28. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 私どもも、まあたとえば二億円の金額といいますと、全国で約十六万人の小売店がございます。この一人々々に均分してしまいますと非常にわずかな金額になります。それがたとえば一カ月に五十万円売るとか、百万円売るとかというふうな大きな店にとっては大した金額ではございませんし、せっかくこういう予算が計上されておりますので、やはり個々の小売店の方々が販売の意欲に燃えるような出し方をしたい。こういうふうに考えております。御趣旨は、ただいまお話のありましたようなふうに私ども考えておりますが、かたがた業者側の要望もございますので、そういう点をかみ合せまして適当な配分の方法を考えたい。かように考えております。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一回伺っておきますが、先ほどあなたから御答弁がございましてように、たばこ消費税、昭和三十四年度約五百四億円予算書で出ておりますね。昨年度に比べて約二十五億円の増にはなっております。こういう点は確かに配慮されていると思うのですが、末端で消費者にサービスをし、あなた方の方針に基いて働いている小売業者にはあまり配慮がないという点はどうも私は少し冷たい感じがしますのでね。昭和三十四年度において八%を一〇%にすることは、すでに予算書も出ていることですから容易でないと思うのです。しかし、将来においてはさらに検討を加えられて、少くとも戦前の一〇%程度にはもっていけるように御努力いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  30. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 先ほど申し上げましたように、財政上の都合もございますし、それから私どもといたしますと、やはり小売店の方々に喜んでいただいて、その販売意欲を大いに燃やしていただくというふうな考え方からすれば、ある程度やはり小売店の方々の満足するような利益ということも必要かとも思いますので、毎年そういうことで頭を痛めているのでございますが、御趣旨を十分くみまして、今後とも研究をいたしたいと思います。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 専売公者関係質疑を終って、今度は大蔵大臣並びに行政管理庁政務次官の方に伺いたいと思うのです。
  32. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今の専売局の関係、私からも答えておきます。  専売公社関係の益金でございますが、たばこではなるほど相当利益が上っておりますが、塩業では今赤字が出ております。そこで、塩業整備の法案も御審議をいただいておる。そこで、大体専売益金として三十三年度は千百七十億得たと思います。それを補正で三十億入れましたので千二百億になっている。この三十四年度の専売益金は千二百一億なんです。大体これと見合う程度なんです。相当売り上げが伸びていて、そういうような益金がふえないと申しますのは、塩業の赤が出ているというような関係です。そこで今言われるように、戦前の一割、一〇%のものを八%ではいかにも低いじゃないか。こういうことで、これを上げるとなれば国の財政の面で、収支の面で、相当どもも腹をきめなければならないというか、非常に困難に当面するということがございますので、今直ちに八%を一割にというわけになかなかいかない。そこで、それならば小売者の実情は一体どうか、こういうことで見ますと、ただいま矢嶋さんの御指摘になりますように、非常に成績のいいものもあるし、また、非常に成績の悪いものもある。で、この売り上げの少いところのものについて、やはり何かめんどうを見なければいかぬのじゃないか。これが今回のわずかではございますが、二億円の報償金制度を実は考えた趣旨でございます。専売公社におきましても、いろいろ小売業者の関係があるから慎重な発言をしておられると思いますが、これは当然少額売り上げの人を中心にして金額を配分したい。そういうことでいろいろ検討いたしておる最中でございます。その金額もどのくらいのところを見当にするかですが、大蔵当局として考えるのは、やはり月に十五万程度を主体に考えて、それ以下のところに主としてこういうものが配分されるように、こういうような考え方をしている。この点をあわせてつけ加えまして大体の形としては、その御要望通りに、手数料を一割に引き上げるというわけにはなかなか参りませんが、報償金の使い方については御趣旨を十分尊重してその方向で配分させたい、かように考えております。
  33. 田村文吉

    ○田村文吉君 関連して……。専売副総裁にお伺いいたしたいのですが、こまかい数字をお願いするわけではありませんが、各たばこごとにおける原価というものが累年どういうふうな傾向に動きつつありますか。少くもこの三年間ぐらいはどういうふうになっているだろうか。たとえば製造量はふえておりますね。製造量はふえておるが、原価というものは上っているのか、下っているのか。こまかい数字は要りませんから、その傾向だけをお示しいただきたい。同じく、その問題については塩業、ショウノウはどういうふうの傾向をたどりつつあるのか、その傾向だけをお示しいただきたい。
  34. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 大体のことを申し上げますと、製造たばこの原価は多少ながら年々上っております。製造たばこの原価の六割五分ぐらいを占めるのが葉タバコでございまして、葉タバコの収納価格が大体値上りを続けているような状態でございますので、それが一番大きなファクターでございますが、そのほかには労務費でございます。作業員の給与が累年少しずつ上っております。多少ではございますが、大体の傾向を申しますと、少しずつ上っております。  それから塩の方は、これは御承知かと思いますが、国内塩の生産費は非常に高い。そこで何とか塩業を合理化してこの生産費を下げていきたい。こういう努力を続けておりまして、これにつきましては、近年これをできるだけ下げるというふうにいたしておりますが、これから後も塩の生産費については下げるように努力して参りたいと、かように考えております。  それからショウノウにつきましては、これはもっぱらそのショウノウ関係のいろいろな製品の輸出、あるいはショウノウそのものの輸出、こういう消費が伸びないと需給のバランスがくずれてしまうということでございますが、やはりこれは天然ショウノウでなくて、合成ショウノウが世界的に出て参りまして、合成ショウノウは天然ショウノウに比べて安いものですから、そこで競争力が弱くなって負けてしまうということで、これはむしろショウノウの収納価格はある程度下げて参らなければ競争力がないということで、これも製造業者にとっては非常に苦痛でございますが、競争できる程度にまで売り値を下げますので、それで収納価格を下げないと、公社の収納関係の事業会計が赤になる、かようなことでございますので、ある程度のごしんぼうを願って、これも競争できる売り値がつけられる程度にまでは、何とかしてがまんして下げていただきたい、かような状況でございます。
  35. 田村文吉

    ○田村文吉君 大体の趨向は伺ったのでありますけれども、最近の三年ぐらい大体、たばこの各あれについてどのくらいのパーセントに値上りをしておりますか。これをお伺いするわけは、いわゆる大量生産にだんだんなりつつあればあるほど、ある一方の原価を上げている原因、それをある程度殺して原価を切り下げるというのは、今一般の産業界における趨向だと思うのです。しかるに、一番国民の消費生活に関係の多い専売益金がだんだん減るということになれば、結局たばこの値上げをするということにならざるを得なくなるのじゃないか、こう思うのでありますので、それで、原価の趨向がどういうふうにあるかということは非常に大きな問題なので、古いことは比較になりませんが、最近のこの三年間ぐらいに、たとえば昭和三十年から三十三年までの原価上りはどの程度のパーセントに上っているのか、それを大体おわかりでないでしょか。
  36. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) ただいまちょっと原価の数字が手元に見つからないのでございますが、たばこの値上げの関係から申し上げますと、大体たばこの定価のうち、いわゆる益金に相当する部分がほとんど六割から六割五分ぐらいを占めております。従いまして、ただいま申し上げましたような、原価の値上りが直ちに定価に影響するということはございませんので、むしろたばこの定価をどういうふうにきめるかということは、物価政策なり、あるいは国家の財政収入の都合なり、そういう面からのファクターが大きいのでございます。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 行政管理庁の政務次官がお見えになっておりますから……。先ほど塩見委員から減税質問があったわけでありますけれども、私はそれと関連ある給与定員の点について伺いたいと思います。時間がございませんから具体的に伺って参りますが、ただいま大蔵省所管として国会に、国家公務員共済組合法案、それから国家公務員等退職手当法案が上程されております。それに基いて、ここに予算が裏づけとして出されているわけですが、具体的な問題としてまず承わりたい点は、第二十八回国会で国家公務員共済組合法案と、国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案が審議され、成立する場合、付帯決議がなされておったわけですね。その付帯決議の一つには、戦時中外地に在勤された方が国内に帰ってこられた場合、三カ月以内に再就職しなければ、退職金を計算する場合に、その期間が通算されないという取扱いを受けた。それで具体的に、たとえば教員のような場合をとりますと、外地で働いておって、それが終戦になったから国内に引き揚げてきた、ところが学年の途中に帰っても三カ月以内なんかに縛られましても、三月末の人事異動のときでなければ就職の機会もないわけですから、それでそういう人々は退職金を計算するに当って期間が通算されていないわけです。今やそういう方々はすでに退職時期にきているわけですが、三カ月というようなワクがなくて通算されるならば、この際退職しようという希望者が相当あるわけであります。それによって公務員の、ごとに教職員の新陳代謝もできるわけなんですが、ところが三カ月――九十日というワクがあって、外地において長く、当時の日本の国策に沿って働いた公務員諸君が通算されないというので不満もあるとともに、退職もしなくて新陳代謝もできなくておるわけです。それで第二十八回国会の内閣委員会において、全文ははぶきますが、次のような付帯決議がなされている。「一年以内に現公務員となった者の引き揚げ前の勤務期間は、特別の事情ある場合は、その者の職員としての在職期間に引き続いたものとみなすべきである。」、こういう付帯決議があり、あなた方の方に預けられているわけなんですが、ちょうど国家公務員共済組合法案並びに退職手当法案が国会に出ているわけですけれども、私はこの際、たとえば教職員のように三月末の人事異動期にならなければ再就職できないような、こういう職種の人は三カ月なんかというワクは無理なのだから、引き揚げ後一カ年以内に再就職した者はその期間に通算する、こういう措置をとられるのが私は適当だと思うのです。大した予算を要することでもない、それによって外地から引き揚げた人々に報いることもできるし、また人事の更新ということもでき、一挙三得になるのじゃないかと思うのですが、この点について大蔵大臣一つお答えをお願いしたいと思います。
  38. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今の付帯決議の「特別の事情ある場合は、」ということを、どういうふうに読むかということのように思います。教員は三月でなければ人事異動がないから、その就職ができないというお話でございますが、外地の引揚者については、そういうことにかかわりなしに、これは就職の希望があれば、再就職といいますか、これを引き取る、こういう建前できているのでございまして、ここに言っている「特別の事情」というのは、たとえば審査の期間が非常に延びるとか、あるいはまた、病気その他の関係で、就職の希望を持っていてもそれがでなかったとか、こういうものを言っているようでございます。今おっしゃるような事例は、私にはちょっと理解しかねるので、これは文部省だろうが、どこの役所だろうが、すでに定員は持っているのですから、定員外として定員をオーバーしてみな採用しているというような建前なんです。あまりきつい考え方では申しわけないからということで、ただいま言う「特別の事情」、こういうことで、審査の期間に手間取ったとか、あるいはまた、病気でそれができなかったとか、こういうような人を救済するというのが趣旨のように実は思っているんです。実情は、それで大部分救済されるのじゃないかと思いますが、今言われますように、この教員関係について、その三月の人事異動というだけで就職がおくれたということは、ちょっと解しかねるのですが、どんなものでしょう。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大蔵大臣、若干こまかい技術的な面だから、十分御存じないのは御無理ないと思うんです。今ちゃんとワクがありまして、勝手に入れるのでないわけです。この点については主計局に長いこと御研究いただいて、文部省ともいろいろ打ち合わされているようですから、村上次長の方から一つお答えいただきたいと思います。
  40. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) わかりましたから。今お話しのように、ただいま申し上げるような事由で救済可能だということで、大体処置がつくやに話がついているそうです。この際、法律を訂正することは、私どもあまり感心しませんから、文部当局と主計局との間で、十分話し合いがついている。それで、ただいま言われるような人たちを救済するという方向で処理する、こういうことでございます。御了承願います。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 村上次長からお答えいただきたいと思うのですが、処置するという具体的な内容というものは、どういうことなんでしょうか。
  42. 村上一

    政府委員(村上一君) お答え申し上げます。よく御存じの問題なんで、結論だけ申し上げますが、今、法律の運用の政令で例外を開いております。それは御承知と思いますが、伝染病にかかったとか、公職審査、教職員の資格審査のために就職ができなかった場合は、通算を運用上認めておりますが、今おっしゃいました引き揚げの教職員につきましては、さきの付帯決議にございましたので、実態をよく文部省とも打ち合せいたしました結果、おっしゃいましたように、新学期なら新学期のときに、新しい卒業生もございますし、そこでまとめて採用が行われているようでございますから、従って、年度途中に帰られた方は、やはり次の学年までお待ちになったというような実情も相当ございます。そこで、本校に帰られました日の次の学年の五月三十一日までに就職された方は通算するというような、運用上の基準で、文部省と打ち合せをして、それでいきたいというふうに考えておる。従いまして、四月にかりにこちらにお帰りになった方は、翌年の五月末までに就職された場合は通算するということにしたいと思います。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それはいつから実施される見通しでございますか。
  44. 村上一

    政府委員(村上一君) これはなるべく早く、話がきまりましたことでございますから、なるべく早く実施したいと考えております。
  45. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もちろん終戦直後から、引き揚げられた日にさかのぼって適用するわけですね。
  46. 村上一

    政府委員(村上一君) さようでございます。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは時間がありませんから、話を変えまして、大蔵大臣に伺いますが、あなたのところの予算書を見ましても、常勤職員給与というのが約二千八百万円計上されておるわけですよ。昨年度に比べて約四百二十万円ふくれておる、あなたのところで。それ以外に非常勤手当というのが約千二百万円計上されておるわけですが、第二十八国会で国家公務員共済組合法が、五現業の諸君を対象として提案されたときに、公務員の定員の件が問題になったときに、一般公務員に対する国家公務員共済組合法は、国家公務員法の定員とのかね合いで出されるというようなことを答弁されておるんですね。速記に残っておるわけですね。ところが、このたび、定員関係については、若干特殊な面が出ておりますけれども、国家公務員の常勤職員、非常勤職員の定員繰り入れの法案は、国家公務員法との関連があるのですか、ついに本日まで上程されていない。ところが、国家公務員共済組合法だけは出てきておるということになっておるわけでありますが、まず行政管理庁の政務次官に伺いますが、これは前からの約束なんですか。一体、常勤職員と非常勤職員の定員繰り入れについては、どういう御見解を持っておられるのか。これは昨年の国会でずいぶん論じたことであり、分科会で各省庁の責任者に承わりますというと、仕事の内容が同じである、ぜひともそういう員数は必要だということを、各省庁の責任者、国務大臣分科会答弁しておるわけですが、本年度、私は相当、定員繰り入れの法案が国会に提案され、常勤職員給与というものは削減されるかと思っていましたところが、先ほど申し上げましたように、大蔵省で約四百二十万円、各省軒並みに常勤職員給与というものがふえている。それで定員法というものが出ていないから、聞かざるを得ないのですが、おたくの方では、どういう考えでおられ、また、どういう法案を今後出されようとしておるか、承わりたい。
  48. 濱野清吾

    政府委員(濱野清吾君) 実は、その問題につきまして私の方は非常に苦しんでおるわけなんでありますが、私どもの役所の考え方といたしましては、国家公務員法の全面的な改正を怠っているわけではございませんで、実は、適正な定員法というようなものを作ることに非常に困難を来たしております。ことに、国家公務員制度改革に関する、公務員制度調査会というようなものが、御承知通り昭和三十年十一月十五日の日付をもって答申をされておるわけなんであります。そこで、政府では国家公務員制度改正について、ただいま作業をいたしておるわけでありますが、ついに今国会にこの改正案が出ずじまいになったものでありますから、私の方といたしましても、国家公務員法の改正を待って定員法を一つ改めてもらいたい。そうして、機構とともに定員というものをはっきりとマッチさせて行政効率を上げていきたいものだ、こういう考え方からいたしまして、国家公務員法の改正を実は至急にやってもらいたいということを関係省にお願いしておるわでございます。結論から申しますと、行政管理庁といたしましては、この国家公務員法を改正された後にすみやかに定員法を改正していきたい、こういう考えを持っているわけでございます。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大蔵大臣に伺いますが、おたくは、常勤職員給与というのは、さっき申し上げましたように、約二千七百七十万円計上しておるんですが、この職員は、大蔵行政をやるのに必要なのでしょう、いかがですか。
  50. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今の非常勤あるいは常勤職員の定員化の問題ですが、これは御承知のように、予算編成の際に各省から強い要望が出ている、大蔵省はその実際の仕事に即しまして定員化すべきものは定員化したということで、今日経過いたしておるのであります。各省大臣が非常に定員化を希望しておるということを言われますが、これはもう予算編成の際と同様な気持だと思います。そこで、大蔵省はなぜしからば定員化しないかということですが、この前国会で非常にやかましくなりまして、非常勤あるいは常勤職員の定員化を相当大幅にいたしまして、相当責任の地位にある者は、定員化すべきが適当だと考えられるような職種について、それぞれ十分の検討をして、一段落実はついておるのでございます。それで今、首をひねっておられますように、なおもっと残っておるじゃないか、こういうことで、今日それは強い要望が出ている、これはちょうど私ども予算編成に当りまして各省と折衝した際の経過そのものが、今の国会の御審議をいただいておる実は状況でございます。私ども考え方といたしましては、必要な程度の定員化は今回の予算編成に当ってももちろんいたした。各職種についての十分の説明はもちろんできるような資料を持っておるわけでございまして、本来定員化すべきものを、特に大蔵省が押えておるとか、こういうような筋のものではないこと、それを一つ御了承いただきたい。詳細は事務当局から各職種について説明さしてけっこうでございます。
  51. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それはこの際了承できんのです。あなたの言うことは大がい了承できるのですが、これは了承できませんよ。時間がないから申しませんが、運転手でも看護婦でも同じ仕事をしておって、定員外になっておる人があるのです。タイピストなんかそうですが、同じ仕事をしておって、一方は定員内、一方は定員外というのがあるのです。どうも僕らが見ても理解ができない、御当人だったらなおだろうと思うのです。同じ仕事をさせておったら当然定員内に入れるべきですよ。責任のある人は、定員内に入れた云々と言っていますが、職階制になっておるわけですから、それは次官から下級公務員に至るまで責任の度合いは違うでしょう。しかし、それぞれ職階制になって、分に応じた責任を負っているわけですから、これは定員のワクに入れようと思ったら入れられないことはないし、入れるべきなのですよ。どらも各省大臣に聞いてみると、佐藤さんが一人でがんばってやらないので、結局常勤職員給与がふくれるのだ、これがなくてあなたの方はやっていけるのですかというと、いや、絶対必要な職員だというのです。だから、私は当然定員に入れるべきだ、今、次官は国家公務員法云々と言われますけれども、石井さんが行政管理庁長官のときに、国家公務員との関係があるけれども、だからといっていつまでも放置しておくわけにはいかぬから、とりあえず提案するのだといって提案されたことは御記憶あると思うのです。だから行政管理庁としては、こういう点についてはやはり大蔵省に勧告ぐらい出して、国家公務員法が云々でなければ不合理な行政機関職員定員法をそのまま放置しておくというようなことがあってはならぬと思うのです。私はむやみやたらに納税者負担を多くして公務員をふやせとは言いません。これは、不能率なところはこれを合理化し能率が上るようにして、税負担軽減をはからなければならぬことはもちろんだと思いますが、しかし必要であり、同じ業務の内容を持っている方を、一方は定員内として扱い、一方は定員外として扱うということは、私はこれは許されないことだと思うのです。その点については行政管理庁としてはもう少し私はがんばっていただきたいと思うのです。あなたと山口さん二人で組んでおって、佐藤さんに納得させることができぬということはないと思うのですが、熱意がないと思いますが、いかがですか。
  52. 濱野清吾

    政府委員(濱野清吾君) 熱意は十分持っているのですが、私どもよりもっと圧力が強いものですから、ついに屈している形になっておりますが、しかし、ただいま矢嶋さんの仰せの通り、運転手が、片方は公務員であって、片方は公務員でない、看護婦が公務員の定員の中に入っておって、しかも片方は非常勤だ、こういうようなことは御承知通りでありまして、実はそのため三十年の調査会におきましては、公務員の性格、範囲というものをはっきりさして、そうして公務員の法律を作って、その後にはっきりした定員法というものを作ることがよかろう、こういうような実は答申がありましたものですから、私どもの役所といたしましては、この理論と実際は全く同感でありまして、すみやかに総理府の方で公務員法の改正をしてもらって、私きのうあたりも役所でこの問題をいろいろ係と話をしておったのでありますが、実は総理府などでは床屋の親方が定員化された、公務員になっているということであります。床屋の親方がなるほど定員の中に入っているとすれば、それは都合によれば床屋の弟子も現在のままでは定員化されなければならぬという理屈もできると思うのであります。しかしながら、国の大局から見れば、お互いに責任は同じであっても、その性格も違いますし、その範囲もどこかではっきりさしておかなければ、これは将来定員法というようなものが意味のないことになるのではないか、そういうことで、私の方としましては、大蔵大臣佐藤さんの圧力に屈するばかりではなしに、正当な理由もあるし、また答申の内容もわれわれは賛意を表しているものですから、できるだけ早く公務員法の改正をしていただいて、その上に乗って定員法の案を国会に提案したい、こういうことで今日待っておったわけであります。しかるに、この公務員法の改正も実は作業が非常におくれまして、私の方の作業も従っておくれてしまった、こういう事情でございます。私の方といたしましては、このままの姿で公務員法改正なしに定員法を作るというようなことはなかなか実際の事務として困難な点もあるものですから、かたがたおしかりを受けるようなわけですが、事情はあなたがよく御承知のことと思います。それで御了承願いたいと思います。
  53. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 一身上の弁明をします。今いろいろお話ございましたが、これはおそらく矢嶋さんよく御承知でございますので、あるいは私が議論を巻き起すかもわかりませんが、一応事情を申し上げておきたいと思います。別に大蔵省が乱暴に何でも無理押ししているというわけのものではないことを一つ御了承いただきたいと思うのであります。御承知のように、三十二年度におきまして常勤労務者の定員化の基準をきめたのでございます。その基準をきめまして、いろいろ御審議をいただき、その基準に合うものが大体二万人いた、この二万人かけでは不十分だというので、さらに上千人ばかり、二万七千人を国会の修正で定員化されたのであります。そのときの常勤労務者の定員化の基準として、ただいま問題になりました看護婦などについて申すと、病院看護婦はこれは百パーセント定員化しているのです。ただ、病院の准看護婦という、看護婦に準ずるというものがあるわけかんです。この准看護婦は三割を定員化するということになりました。これはおそらく看護婦の見習いという程底じゃないかと思いますが、准看護婦と言われる者が三割、従いまして外からごらんになると、同じ看護婦に見られますが、資格の面ではそれは違っておる、こういう点がただいまの公務員法の改正にやはり触れてくるのじゃないかと思いますが、あるいはまた少年院、少年鑑別所の教官補助者というものがある。教官はもちろん定員化しておりますが、この補助者についてはその五割を定員化するということで、五割まではできておる。あるいは各省試験研究所の技術補助員、こういう補助員は、これまた三分の一だとか、ころいうように、今問題になっておりますのは、いわゆる公務員として取り上げられる筋のものではなくて、準ずるという、補佐、補助というような分で、実際に働いておるが、それが定員化されておらない、こういうことになっておるのであります。また、先ほど運転手のお話が出ておりましたが、現場監督員、車両機械運転手のうち、六級以上の者は百パーセント定員化しておる、こういうことでございますし、北海道開発庁や、農地事務局等にずいぶんこの種の常勤労務者がいるのでございますが、それらのうちでも、人夫のうちでも、棒がしら以上とい言ものはこれは定員化しておる。人夫として見ておられますが、五人か六人のいわゆる棒がしらというようなものは、これを定員化しておるということで、三十二年の際に、常勤労務者の守員化の基準を一応作っておる。この基準に合うところで今の定員化ができておるのであります。問題は、ただいま申し上げましたような准看護婦とか、いわゆる補助員というようなものあるいは農林水産では統計の集計員というものがいますが、そういうものをいわゆる公務員法で言う公務員として取り上げていいかどうか、そういう検討の問題が実はあるのであります。私どもめちゃくちゃなことは申しておるわけではないし、一定の基準を設け、各省が了承した基準により、しかもこの基準は、国会においても三十二年度に一応御審議をいただき、その基準を一応御了承いただいておる、かように考えております。それに基いての定員化をいたしておるのでございますから、この点はどうか誤解のないように御了承いただきたいと思います。問題は、今後公務員法が改正されまして、いわゆる私どもは定員化する、公務員として取り扱うのに適当か不適当かという、そういう点を十分御審議願わないと、ただ常勤労務者の数が多いから、その何割を定員化しろ、これだけでは実は私ども納得しかねるのであります。私は筋の立つことは心から進んで賛成をいたしますし、強力に推進するつもりでございますから、その点、御了承をいただきたいと思います。
  54. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その最後の、筋の通ることには協力するということは了としますが、しかし、この点に関する限りは、私の方がくわしいので、あなたはだれかから教わってそういうことを述べておるかわかりませんが、(笑声)そういうことではごまかされませんよ。これは大臣、同じ仕事をやっておって、定員の内と外とあることは間違いありません。これは遠方まで行かぬでもよろしい。あなたが衆議院会館に行って、働いておる者に、君は定員か、何か、と聞いてごらんなさいませ、あるいは参議院会館において、僕のいる宿舎なんかでも、働きぶりに区別がないのが別々にいるのだから。あなたが大蔵省の中をお回りになって、娘さんでもつかまえて、君は定員か、外か内かということを聞いてごらんなさいませ。それは補佐する人が変なことを大臣に述べさしておるので、(笑声)笑いごとじゃありませんよ。これは遠方に行く必要はありませんよ。この院内の者と、大蔵省の者と、会館の者を見ればはっきりしていますよ。私はそういうことを言っておるので、これは北海道開発庁関係にしろ、あるいは地方の国の出先機関にしろ、みな同じなんですよ。それでこの点は、一つ理解を私は深めていただきたいと思うのです。ほんとうに公務員として働らく人は、それなりに遇して、むだな人を置いちゃいかぬですが、優秀な人を採用して、ほんとうにサーバントとして奉仕してもらう場合、国もそれを遇する、そうして気持よく働いていただくようにしなければ、ただときどき予算関係で、中には物件費で給与を出しているのもあるのですよ。そういうことなんか僕はいけないと思います。行政管理庁の政務次官にもう一ぺん伺いますが、国家公務員法ができなければ云云と言ってしまっているのじゃ、どうも僕は感心しないのですね。かつての石井長官は、国家公務員法はなかなかできないから、そんなものは持てない、行政機関職員の定員は定員として、出されたのは御記憶であると思います。今日は、山口さん御旅行で、おいでになっておりませんので、いずれ山口さんにお目にかかりたいと思いますが、次善の策として、早急に国家公務員法が出ないとするならば、その次善に立って行政管理庁は私は検討し、そうして大蔵大臣とも交渉を持たれるべきだと思うのです。筋の通ることには従うということは、大蔵大臣お話しになっておりますが、重ねて政務次官答弁を求めます。
  55. 濱野清吾

    政府委員(濱野清吾君) ずさんなもの、筋の通らない場合もあり、筋の通っておる場合もあるのでありますが、しかし、ほんとうに定員法というものをまじめに考えて作ろうとするならば、やはり公務員法というものを適正に作っていただいて、しかる後、私は定員法というものを策定すべきだ、こういうふうに理論的には考えておりますし、実際的にもまたそう考えておるわけであります。しかし、現実に三万も七万もいろいろな人がいる、これをそのまま甲の人は定員化され、乙の人は定員化されていない、この点については私どもお気の毒に考えておるわけであります。そこで、今わが党の方でもいろいろ考えておりますし、それから矢嶋さんの方の党でもいろいろ考えておるようであります。党と党との話し合いで、そうしてどうするかということを実は協議しておるようでありますから、十分党の意見もよくお聞きいたします。山口長官が帰りましたら、相談の上でわれわれも考えるつもりであります。しかし、何にしても大蔵大臣が動きませんければどうにもならぬことでありまして、その方は一つ党の方でも、あるいは当分科会においても十分論議されることをお勧めいたします。
  56. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点について大蔵大臣に伺っておきますが、与野党の間で話し合った点については、大蔵大臣としてはおそらく尊重されることと存じますが、念のために承わっておきます。
  57. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いろいろ話し合ったからというだけでは私はなかなか納得しないのです。そこにいつも問題があるわけです。問題はどうか筋の立つ、万人の納得するとまではいかなくとも、私もそう窮屈なことを申すわけじゃございませんから、筋の通った話を一つきめていただきたい。今、常勤労務者の問題は、私も建設省にもいましたし、運輸省にもいたし、また大蔵省でも郵政省でもずいぶん常勤労務者というものがいる。それは事実私どもも了承しており、いわゆる定員化ある前の状況のもとにおいて、こういうものが、季節的な繁忙の差もございますし、いろいろの点からあるのですね。そういうものが、それじゃいわゆる定員化として乗せるべきか、こら考えて参りますと、これはまだもう少し研究の余地があるように思う。また、ことに季節的な要員として一応取りましても、今日の労務関係等から考えまして、簡単に、お前はひまになったからやめていけ、こういうわけのものでもない、こういうものがございます。そういう意味で、これはむしろ常勤労務者というものが、そういう意味ではある程度救済にもなっておる、こういうことも考えていただきたい。私は資格等についても、そういう意味では割に軽い意味のものでまかなわれておるものもあるのでございます。こういう点は、今日の状況から見まして、各省である程度常勤労務者、定員化しないもののあることは、これは当然だと思います。最近の使い方が非常に多くなっている。これは本来ならば、定員化するのか、あるいはそれをやめてしまうのか、あるいはほんとうに季節労務者としての雇用関係にするのか、いろいろなことを考うべきですが、今日そこまでなかなかめんどうが見られておらない。そこで、この三十二年にやかましい問題になった。先ほど申すような一つの基準を設けて、それで処置したのであります。ただいまこの国会で日本社会党とそれから自由民主党との間でも、いろいろな話のあることも伺っております。おりますが、私ども、ただ感覚の面から、幾ら要るからその何割くらいはいいだろうとか、まるっきりつかみ的な定員の数の話が今耳に入っているのですが、それでは私どもどうも納得がいかない。こういうことでございまして、私は、十分理屈が合うというか、筋が立った話ならば、常勤労務者が定員化されないでいつまでも下積みでおる、これは常勤労務者でおる限り、いわゆる各種の給与の面でも非常にまずいのですから、そういうことはほうっておくべきでないことはよくわかりますが、もう少し勤務の実情を把握し、いただきたい、こういうことを私は申し上げたいのでございます。  基本的な問題とすれば、先ほど行政管理庁の政務次官が答えられているような基本的な問題がございます。まあこの国会でも、そういう基本的な問題もあるが、さしあたりの問題で何とか片づけろという話が出ておりますが、その何とかということに一番今困っておりまして、私、窮屈なことを申すようですが、もう少し研究さしていただきたいと思います。
  58. 横山フク

    ○横山フク君 小さな問題なんですし、また基本的な問題でないのですけれども、今の大臣お話は、おそらく助言者の言葉だったと思うのですけれども、准看の問題なんですけれども、准看は補助者ではないのです、准看は准看として独立した職業であって、看護婦と同等な立場にあるわけなんですね。同時に、医療法で四ベッドに一人の割合、四十ベッドだった十人。その十人の内容は、かつては十人全部が看護婦だったのですが、その後において五、五の割合になり、五、三、二の割合になって、医療法ではもうすでに当然ベッド数に応じて準看は入っているし、またその必要がなかったら完全看護の保険の点数も支給されない形になっていて、これは当然の資格者なんですね。決して助手じゃない。でございますだけに、これは定員法には、看護婦の助手だから定員の方からはずれた、定員化するのに半分しかできないとか、あるいははずれているという形のが出た場合に、あるいはそれを読んだ准看、あるいは看護婦その他の影響ということもございますので、その点だけは何かこう、何というのですか、言い方、表現の仕方が少し違っているのじゃないかと思うのですが、御訂正願いたいと思うわけでございます。
  59. 中尾博之

    説明員(中尾博之君) 大臣の補佐よろしきを得ませんで、まことに申しわけございません。(笑声)准看護婦が正規の規格に合った職員である、その医療の面で、ということはよく承知しておりますが、今、大蔵大臣にそれを申し上げる実はひまがなかったので申し上げなかったのです。  ただ、定員の問題といたしますと、やはり定員の管理、査定というような問題になります。もちろん、患者さんがおりますれば規格に合った診療をしなければならぬわけでございますが、一方で行政管理の面から見ますと、患者さんが果して何人来るかということで計算、配置をいたしております。法律を作りますと、それからずっと末端まで配付をいたすわけでございます。そういう際に、正規の資格を持たれた方の――正規といっては、両方正規なんですが、正看護婦の方だと比較的その異動は少いのでございますが、こちらの方は事業量に応じましてほとんどいろいろな異動がございます。定数として法律化するのに非常にむずかしい問題であるという点でもって、定員法の問題が出てくるわけです。同じような問題が、先ほど大臣が申し上げました棒がしらの問題にもあるわけでございますし、幾らこまかく審査いたしましても、人夫の、公共事業の方の直轄もあり請負もある。法律で御審議を願うというところまで、案の査定まで私どもにはできないのでございます。しかし、そこまで、だんだん実員の方が固定するものですから、来かかっておる。そこで、制度の切りかえの問題の検討の時期に来ているわけでございます。身分の問題と定員管理の問題面が違いますので、その点を御了承、御理解をいただきたいと思います。
  60. 横山フク

    ○横山フク君 関連の問題になりますが、今のお話である程度は会議録を見た人たちは了承すると思うのですが、異動が激しいというのは、私はこれは違うと思うのですね。これは私の方で統計がとってありますが、准看が異動が激しいから定員化されないということを言われると、准看の人たちは――准看そのものが異動が激しいか激しくないかということは、根拠ある問題であると、この点は思います。と同時に、今、産休問題がやかましい問題になっていますけれども、こういうのも定員化しない、実際に出た、医療法で必要なだけのものが満たされていない。そこからきて、せめて産休という問題も出るのですので、関連しての問題から少しワクを出るかもしれませんけれども、少し御考究になって、看護体制を完備するには、定員の方に対してもそういう問題に対して格段の御配慮を願いたいと思うわけでございます。
  61. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいまの横山委員の発言は非常に傾聴に値すべき点でありますので、大臣もよく含んでおいていただきたいと思うのです。
  62. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) はい。
  63. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間がありませんから、もうちょっとだけ伺いたいと思うのですが、それは、国家公務員共済組合法案が提案されているわけですね。これは一般職公務員を対象とする長期給付に短期給付をなにするもので、わが国の恩給制度を抜本的に改正する大きな内容を持っているものだと思う。これの補助金として約四千四百七十万円が予算書に計上されております。伺いたい点は、このたびの改正によって恩給法よりは給付金が若干ふえる。しかし、十七年の期間が二十年と伸びるし、重大なのはその掛金が約倍になるということですね。人事院勧告では、国の負担は百分の七十五程度が妥当であろうという勧告だったのですが、あなた方の案によると、組合員が四十五で国が五十五という割合負担になっていますね。非常に国の負担が軽くなって組合員の負担が重くなる。そうなりますと、ことに若い諸君なんかはベースダウンに私はなると思うのです。  いずれ、国家公務員共済組合法がこの国会で通過しますと、続いては次の国会で、これに準じて地方公務員共済組合法が出てくるのですね。地方公務員の場合は、御承知のごとく、十一年、十三年で年金のつく自治体もあるわけです。全国で約二百六十都市、別個の条例を持っているわけですね、種々さまさまな。それを国家公務員共済組合に準じて、組合員が四五%も負担をする、掛金が約二倍になる、そうして二十年たたなければ年金がつかない、こういう共済組合法が成立すれば、私は既得権を侵害されることになると思うのですね。  従って、これらについてはどういうお考えを持っているかということと、国の負担の今の五十五というのを、人事院勧告は七十五だったんですが、これはもう少し上げるべきじゃないか。よほど国の補助金が多いのかと私は思って予算書を見たところが、この法案が成立したとしてもわずかに四千四百七十万円なんですね。四千四百七十万円ですよ、この補助金は、予算書を見ると。従って、国の負担率というのはもう少し私は引き上げることができると思うのです。また、そうすべきだと思う。それと、これに準じて地方公務員の場合が起ってくるわけですが、その既得権の関係地方公務員に行われた場合、やはり国からも若干の地方財政計画に補助というものが盛られていくわけですからね。国家公務員、地方公務員というのは、一体的に考えなくちゃならぬと思うのですね。  この点、一つあなたの御見解と今後の方針を承わりたい。
  64. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いずれ中身の詳細については事務当局から説明をいたさせますが、基本的な考え方を申し上げておきたいと思います。今回のこの考え方は、非常に画期的な考え方をいたしたつもりでございます。今までは、官吏恩給制度、これが民間の共済組合制度等と比べてみまして、非常な特権を持っておるかのような印象を持つ。しかし、こういうような考え方は新しい時代には合わないのだというので、ここで大幅な大転回をして、共済組合制度全般に一つ適用するということに実は踏み切ったのであります。もちろん、これを決定いたしますについては、各界、各方面の審議会にもかけて、十分案を、御意見を拝聴いたした上で、この案を採用いたしたのであります。従いまして、一部におきましては、やはり在来の官吏制度を立てるというか、官吏制度のもとの恩給制度に対する郷愁を持っておる向きも多分にあると思います。しかし、私は、公務員制度としてはこういう新しい考え方の方が本筋じゃないか。ただ、在来の権利者については、もちろん既得権は既得権としてその権利は尊重されるのでありますから、既得権侵害にはならないと思います。  また、地方公務員ということでございますが、地方公務員の方は、今御指摘にもありますように、各地方団体で非常にまちまちに作っております。しかし、私どもが一番気になるのは、地方公務員が国家公務員と同様の待遇を受けておる者がある、そういう分についてはぜひとも同じような構想で進めるべきじゃないか。ただ、それが年度的に見まして、一年おくれるような関係になっておりますから、その方を実は非常に心配いたしております。各地方団体の特殊事情によって、この条例によるものについては、私はそれを尊重していってちっとも差しつかえないことだと思いますが、地方公務員ではあるが国家公務員と同様の待遇を受けておる、ことに教員諸君にはそういう者が多いと思います。そういうような方々については、やはりこの制度を適用すべきじゃないか、かように思っております。  なお、詳細は事務当局から説明いたさせます。
  65. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この負担率を引き上げることは不可能だと思います。国家の立場からいっても、既得権を守るといっても、その点に一つしぼって……。
  66. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) この共済年金に対します負担でありますか、国の場合は負担率が五五%と相なっておることは御指摘の通りでございます。この負担率をとりましたそもそもの考え方は、今度の公務員の退職金制度というものを考えます際に、一応民間との負担のバランスを考えたわけであります。在職中の給与が、民間とバランスをとって人事院勧告によって定められておりますのと同じように、公務員の年金制度についても、やはり民間とのバランスの点におけるものを考えたのであります。その場合に、一般の民間におきましては、厚生年金保険法という一つの社会保険がございます。これは国の負担と使用者負担を含めたものが五五%、一般の被保険者負担が四五用であります。その厚生年金保険と、もう一つには、別途使用者の全額負担の退職金制度がございます。そういう二つの制度に着目いたしまして、公務員の年金につきまして、その保険料に対する国庫負担割合率というのは、民間の場合と同様、五五%といたしますとともに、退職手当の方では従来民間に比べて低かったのであります、これを民間並みに引き上げる、こういう考えをとったのであります。退職手当に対する負担、それから年金制度に対する負担、これを一体として考えたわけでございます。そういう意味で、五五%というのは一つの根拠を持って考えたのであります。  それから、第二の問題は、国庫負担が下ったということによって掛金が上る、従って、既得権が侵害されるじゃないかという御指摘でございますが、過去の恩給制度のもとにおきまして、勤めた期間に対する金額という、つまり既得権でございますが、これは完全に今度の年金制度の切りかえの経過措置でも保証いたしております。この点は御心配ないと思います。
  67. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 課長はなかなか優秀な人だから、いつ聞いても同じことを答えられて、私はそれが納得できないのですが、時間がかかるから、いずれまたこれは内閣委員会で、質問することにして、きょうはあまり深入りしませんが、これと関連して、この掛金が約倍になるというと、初任給等について承わりたいのですが、大蔵大臣、この日本の公務員並びに民間労働者の初任給が安い、若い人の給与が安いというのは、ゆゆしい問題だと私は思う。今度の給与の考え方で若干初任給を上げておりますが、高等学校、短大、大学卒は上げております。しかし、焼け石に水だと思う。そうして国家公務員共済組合法が通過すると、掛金が倍になる。私は昭和八年に学校を卒業したのですが、教員になったそのときの私の初任給は八十五円でした。下宿料は十五円だった。二十円出すと三つぞろいの洋服が買えた。下宿料は十五円、三つぞろいの洋服が二十円ですよ。そうして僕が初めて教員になったときの初任給が、旧制中学校で八士五円。今の大学を出た人の初任給は御承知通り。洋服は幾らかかるか、下宿料は幾らかかるかということをお考えになってごらんなさいませ。今の若い諸君の生活苦というのは思いやられると思う。ここに私は、若い諸君が公金に関して間違いを起したり、希望を失ういろいろな根本的な原因があると思うのです。だから、今度若干の初任給を上げたことは了としますが、もっと根本的に考えなければいかぬと思う。  最近の厚生白書を見ても、国民の貧富の差が激しくなった、格差が強くなったということがいわれるのでありますが、これは政策上から反省しなければならぬ、根本的に。公務員の場合でも非常に差があって、若い人の初任給は安い。私の若い時代に比べると、貨幣価値等から比べて格段の差ですよ。こういうところに、また共済組合で掛金が倍になる、こういうところが私は問題だと思うのですがね。これは国の物価政策、いろいろと関連してくると思うのですが、大臣一つ、どういうお考えを持っておられるか、根本的に私は検討すべきではないかと思うのです。あなたの若い時代を想起しながらお答えいただきたいと思います。
  68. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今のは、初任給なり給与は人事院が取り扱っておりますので、昔とはよほど違っており、その意味では人事院が公正な扱い方をしていてくれる、こういうふうに一応考えます。そこで、今矢嶋さんのお話ですが、矢嶋先生の給与、初任給の話が出ておりますが、私の初任給は、大正十三年に、大学を出て高文を通っていて七十五円で入った、私自身。そうして……。
  69. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 下宿は。十円……。
  70. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 下宿料はもっと高い。当時、私は洋服を作ったのが、やはり七十円だったように思います。それは相当いい洋服だったです。
  71. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは舶来品を買ったのだから。普通の人のことを言わなければ。
  72. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 二十円の洋服はちょっとなにのように思いますが、それから今の七十五円の月給から月給百円になるまで、だいぶかかって、おります。三年くらいかかっております。ようやく百円取って、妻帯して家を持ったという状況ですが、そこから見ると、今の矢嶋さんの昭和八年に八十五円とおっしゃるが、これは大へん成績優秀です、だいぶそのころとしては、という感がします。われわれのときは、今の七十五円。事務の官吏になったやつは、在学中高文試験に通っていて、それがみな七十五円です。それですから、最近は人事院勧告が一万二百円、それに地域給が二千円ついており、一万二千二百円ということになりますと、ちょうどこれが七十円から比べて百七十倍になります。そういうことを考えてみると、倍の程度、これから見るといかにも低いようだ。そこで、最近の民間の給与ベース等を見ても、一万二千円とか一万三千円とかというようなところでしょうから、これは人事院で十分各方面の初任給を精査して、そうして官吏に対しても適正なものを考えるべきではないかと思います。  最近の形から見まして、私は、経済が発展し、また生産性が向上され、お互いの生活が豊かになる、それは当然給与を上げていくべきなんで、昔七十円だったとかあるいは八十円だったとか、それにくぎづけにする筋のものではない。この経済の発展に見合う生活の向上は当然のことだと、こういうように思いますから、そういう点を主計して、人事院が初任給決定の場合に、特に意を注ぐ必要があるだろうと思います。給与が適正であるかどうかは、人事院の勧告を待って、それで私ども政府が十分意を用いて決定すべだと思います。ただ、問題は、給与が適正であるかどうかということと、課税の問題、それからただいま御指摘になりまする社会保険制度の問題、そういうもの全部を考えて、将来希望の持てる働きができるように、これはやはり絶えず努力し、研究して努めるべきだろうと思います。  で、今回改正いたします共済組合制度、これ自身を考えました場合に、掛金が非常にふえるということを言われますが、同時に、これは給付もふえて参りますので、私は相当魅力のあるものになるのではないかと思います。また、在来のような、一方的な恩給制度のような、国の官吏というよりも、天皇、旧憲法のもとの官吏とはよほど変ったものでございますから、その意味では組合員相互の共助ということが第一の建前になりましょうし、私は、まあ共済制度としては新しいものだ、そしてこの方向で在来の制度一つ一新すべきであろう、こういうふうに思います。まあ問題は、お互いの生活向上、そういう意味からいろいろなことを考えていかなければならない。国自身が考えるいわゆる社会保障制度、年金制度等もありましょうし、あるいは生活扶助の方法もございますが、やはり組合員相互の共済制度、これの発達ということにも期待をかけるべきだろうと思います。  なお、お話には出ておりませんが、税の問題等も、こういう意味では十分、低所得層に対しての税の軽減、あるいは一般負担軽減というようなことも工夫すべきだろう、かように思います。
  73. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後にちょっと。大臣言葉の中にはごもっともな点もありますが、少しカモフラージュしょうと思っていろいろお述べになったと思うのですが、私も、実質賃金の立場から、いろいろそろばんをはじいているのです。当時の社会保障政策とは違いますからね。それもはじいているのですが、それは何といったって、若い新鋭の諸君の実質賃金というものは、われわれの若いときに比べますと、これは比較にならぬほど低いですよ。これは真剣に考えなければならぬ問題だというので伺ったわけなんで、大臣も御理解あるわけですから、今後の御検討を願うことにして……。  最後に伺いたい点は、具体的になりますが、非常に大蔵省はみみっちいですよ。それは、今度給与法の改正を出したのは、暫定手当の繰り入れ、予算井を見ると、約三億二千万円が暫定手当俸給繰り入れ措置として出ている。これは、給与課長がそこにおるから、御存じでしょう。これは前の国会で、付則二十三項で四月以降繰り入れるということが、ちゃんと与野党の意見で、立法府の意見としてきまっておった。ところが、みみっちいことにも、この四月以降繰り入れと付則二十三項できまっておったのを、十月以降にしている。そうして法案を出している。こういう点はまことに私は穏やかでないと思う。この点。  それから、当時からも立法府で付帯決議をされておりました、市町村合併を奨励した同一行政区域内の暫定手当は同額でなければ人事行政等に困るというので、同一行政区域のは同じように扱うようにということは、これは与野党一致して意見を昨年から出している問題である。それがいまだに解決していない。今度の予算書を見ても、これは出ていない。この点は、大蔵省とともに、公務員室長がお見えになっているはずだから、公務員室長からもお答えを願いたいと思う。  それと、銀行局長が来ておると思うのですが、簡単にお答え願いたいと思うのは、あなた方は、金融機関の検査官がおられるし、また検査旅費等も予算書に出ておるわけですが、具体的に承わりたい点は、熊本県の前知事が預託金をされた問題ですね。おそらく耳に入っておると思うのですが、選挙中に検察権が発動されて――私、新聞で、わからないから結論だけ伺うのですが、当時南九州財務局の、直接聞いたのじゃないのですが、新聞に報ぜられたところによると、南九州財務局の見解と検察庁の見解は若干違っておったようにある、新聞で見ますと。だから、あなた方はそういう金融機関に関する検査をする監督権もあるわけですがね。ああいう自治体の首長の預託状況というものは、あなた方の立場から見たならばどういう目でこれを批判されるのか、要点だけでいいから、最後に承わっておきたいと思うのです。
  74. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 暫定手当の問題、事務的な問題でございますので、かわってお答えいたします。十月から本俸に繰り入れを実施いたしましたのは、この所管省であります総理府ともいろいろ相談申し上げまして、私どもとして御相談の結果こうきまったわけでありますが、法律で四月一日以降とあることは確かでございますが、必ずしも三十四年四月一日からやるべきものであるということを、はっきり強い御意思であるとも……。大体私どもとしましては、退職年金でございますが、退職制度、こういうものは十月から改正の予定をいたしておりますので、こうした諸制度と合せて、十月ごろからがいいのじゃないかという考えでおったわけであります。この点は総理府の方でもお考えがあってのことで、十月からときめたわけでございます。  同一地域内の不均衡の問題でございますが、これは暫定手当の本俸繰り入れを実施いたすことによりまして、大体七、八割は解消いたすわけでございます。残り二、三割の地域をどうするかという問題が残っておりますが、これはなお、暫定手当制度というもの自体を根本的に将来どうするかという方針がきまりませんと、なかなか局部的に一部の地域だけ手直しをやるということはむずかしい。いろいろ他に波及する問題が多うございます。その暫定的な手当の根本的な取扱いをきめるときに、同時に解決したい、こういう御希望のように承わっております。
  75. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) 御質問の暫定手当の俸給繰り入れの時期の問題でございますが、これはただいま大蔵省の給与課長から御説明がありましたように、政府部内におきましてこの取扱いにつきましていろいろ検討いたしました結果、今給与課長から申し上げましたようなことで、十月一日から実施をするということになったわけでございます。  それからなお、市町村合併に伴う級地の不均衡の問題につきましても、ただいま給与課長から御説明がありました通りでございます。本年の四月一日から従来の無級地とされておった地域が一級地と同額の暫定手当が支給されることになりますので、無級地と一級地とのアンバランスというものは、本年の四月一日から解消することになっておるわけでございます。それが大体関係地域のうちのかなりの部分、大体六割五分くらいかと思いますが、そのかなりの部分につきましては、従いましてこのアンバランスがなくなるというわけでございます。もちろん、それをやりましても、なお残っておる地域の問題があるわけでございますが、この問題につきましては、暫定手当制度を今後どのように取り扱っていくかという問題と関連いたしまして、なお検討いたしたいと考えておるわけでございます。
  76. 大月高

    説明員(大月高君) 熊本県の事件につきましては、私、詳細には承知いたしておりませんが、問題の要点だけ申し上げます。  まず、銀行検査と検察当局の立場は全然別個でございまして、検察当局は、法律違反、しかもそれの刑法違反、刑事関係の法規の違反に対しまして取締りをやっておるわけでございます。銀行監督の主たる目的は、指導検査という立場をとっておるわけでございまして、銀行が不当なる経営をやりまして、その結果、預金者に害を与えないようにということを、むしろ指導し取り締っていくというのが目的でございます。  熊本県の事件につきましては、検察当局がどの点をもって起訴されたのか、つまびらかにいたしませんが、多分それは県庁の側におきまして公金の取扱いについて不正があったかどうかというような点に問題があったんではなかろうか。それから、金融機関に公金を預託いたしまして、それを第三者に貸したという事件でございますので、その関係が――預金等に係る不当契約の取締に関する法律という法律がございまして、これはある金融機関に預金をいたしまして、たとえばかりに一億といたしますと、その一億を預金する、しかし、その一億は、第三者だれだれに貸してやってくれといういわゆるひもつき預金をいたすわけであります。そのときに、裏にいわゆる特利的なものを取っておるというようなことがありました場合に、これは刑罰に触れるということでございますので、そういう感覚で検察庁ではあるいは取り上げられたのかとも思います。われわれの立場でこの問題を見ますと、今の預金等に係る不当契約の取締に関する法律に違反しておるかどうかということは、銀行検査のときに当然金融機関の立場で見るべきものだと思います。それから、第二に、公金を受け入れること自体につきましては、これは一般に、市町村、府県その他から預金を受けておりますので、特に問題はない。それから第三の問題は、その預託されました公金に見合いといたしましてどっかへ貸した、その場合に、その貸し金というものが貸し倒れの危険性があるのかどうか、いわゆる健全な融資であるかどうかという点は、われわれとして厳重に検査いたしておるわけでございまして、そういう立場の相違から、見解の相違と申しますよりも、見る目が違っておる、こういうように御了承願っていいんではなかろうかと思います。
  77. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 だから、熊本のケースの場合、あなた方からはこれをどう見るか、結論的な見解は。
  78. 大月高

    説明員(大月高君) 検察当局の問題になっております問題は、大体において、証拠書類その他が検察当局の手に入りますので、しかも銀行検査は強制検査権というものはございませんで、法律上本人の許諾を得て検査をする立場になっておりますから、そういう証拠の問題と、強制検査権と、こういう二つの点から制約がございますので、検察当局の問題になった限りにおきましては、そちらの御判断によって事態を見ておる。その結果、銀行行政上不当なことがはっきりいたしましたならば、それ相応の措置をとる、こういう方針をとっておるわけでございます。    〔副主査退席、主査着席〕
  79. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) 主査、交代いたしました。  朝、政府委員出席がおそかった関係上、時間が延びておりますが、一応大蔵省関係を終りたいと思いますので、もうしばらく御協力を願います。  なお、大蔵大臣は一時半から参議院の地方行政委員会出席を要請されているそうでありますから、でき得れば大蔵大臣に対する質疑を早く終っていただきたいと思います。
  80. 塩見俊二

    塩見俊二君 先ほどのに引き続きまして、二十分ばかり質問を継続いたしたいと思いますので、もし大蔵大臣がお差しつかえなければ、一つできるだけお残りをいただきたいと思います。  今回の改正におきまして、ただいま所得税につきましては終了いたしましたので、次に移りたいと思いますが、法人税あるいは相続税、再評価税等につきましては、大した問題もないようでありますので、質問をいたしません。  次に、一つ飛ばしまして、砂糖消費税と関税の問題、これは一緒に、関連いたしておりますので、お尋ねをいたしたいと思います。今回、砂糖消費税におきまして相当減税をし、関税におきましては相当の増税をした。これは承わるところによりますると、テンサイ糖初め国内の甘味に対する一つの保護政策であるというふうに承わっておるのでありまするが、そのように理解してよろしゅうございますか。
  81. 原純夫

    政府委員原純夫君) テンサイ糖奨励のためにやむを得ないことと思っておるわけでございます。
  82. 塩見俊二

    塩見俊二君 それでは、次にお尋ねをいたします。この関税額の引き上げと砂糖消費税の引き下げと合計をいたしまして、一体、この砂糖の消費に対する税金は全然異動しないのか、増加するのか、減少するのか、お尋ねいたします。
  83. 原純夫

    政府委員原純夫君) 関税を増徴します額と、砂糖消費税を減税いたします額とは、同額でございますから、その意味では動かない。しかし、税率は、関税のかかります数量よりも、砂糖消費税のかかる数量の方が一割がた多いものですから、税率としては、関税の増徴額よりも砂糖消費税の引き下げ額が少い。その差が斤当りで一円九十七銭ということになっておりますから、価格に対する影響としては、全部転嫁されるとすれば、それだけ上る。税額は増減とんとんということでございます。
  84. 塩見俊二

    塩見俊二君 非常に率直な御答弁で、私はまことにありがたく思っております。一円九十七銭、これは私は、確かに砂糖の消費者の負担として考えなくちゃならぬじゃないか、かように考えるわけであります。もしそういたしますと、テンサイ糖に対する保護政策というものが、砂糖を消費する者だけ、すなわち砂糖の消費者がテンサイ糖の保護政策を実行する、結果においてそういうふうになるように考えるのですが、いかがですか。
  85. 原純夫

    政府委員原純夫君) おっしゃる通りになると思います。ただし、それはただいま申しましたように、この引き下げ額と引き上げ額との差が、それがそのまま末端価格に反映いたしますと、そういうことになる。もちろん、御案内の通り、その間、製糖業者あるいは中間の卸小売の段階で、ある程度吸収されるということもあり得るわけです。砂糖は、御案内の通り、需給の関係、特に為替割当というものが大きく響きますので、そういう点もありますので、全部転嫁されるとすれば、そういったようなことになる。  われわれもその点を相当考えたのでございますが、やはりテンサイ糖を大きく伸ばさなければならぬ。あわせて申しますれば、沖縄のカンショ糖というような問題もございますが、これについてどうしても実質上補助が要るという段階に来た。補助を出しても、大いに奨励したい、これを一般財源から、砂糖消費税その他砂糖関係の税以外から出すという議論もあるわけでありますが、財政苦しい折柄、砂糖を消費する面でこれを負担していただきたいというふうな考えで、これをお願いするわけでございます。
  86. 塩見俊二

    塩見俊二君 大体今の御説明通りと思うわけでありまするが、しかしながら、やはり私は、国内のテンサイ糖を保護したり、あるいは沖縄のカンショ糖を優遇する、あるいは同時に、日本の澱粉精製業者、あるいはその他の関連業者、そういうものが、この結果相当恩典を受けるわけでありまするが、しかしながら、二のような国内政策、まあ農業政策の重要な一つといっていいわけでございますが、これを砂糖をなめる消費者だけがこの政策に要する経費を負担するということは、これは本筋でないわけでありまして、こういった問題は、やはり国の産業政策全般、あるいは租税負担全般を通じて、別個の政策でもってこのテンサイ糖の生産者その他に対する対策をきめるべきものだと、私はかように考えまするが、これは見解の相違があるかもしれませんけれども、そういうふうに私は考えておるということを、一つ十分に御記憶にとどめておいていただきたいと思います。  その次に、揮発油税の問題は、これはキロリットル当り五千五百円の引き上げということで、税法はきわめて簡単であるわけでありまするが、まことにこれは影響するところも多いし、また税の負担というよりも、政治的にあとから出てきている向きもあるようでありますので、私はこの問題につきましては、きょうは質問を遠慮さしていただきます。  次に、物品税の問題につきましてお尋ねをいたしたいと思います。明年度物品税の減税を、公約通り実行せられることになりましたことにつきましては、私重ねて敬意を表する次第であります。そこで、この物品税の減税の方法といたしまして、法律の規定でもって減税をするというのと、大蔵省の権限にまかされて、政令の範囲内において減税をするというのと、両様の方法がとられておると思うわけでありますが、今回の減税額で法律によって減税をする分、政令によって減税をする分、その分を区分してお答えを願いたいと思います。
  87. 原純夫

    政府委員原純夫君) 物品税の減税額は、御案内の通り平年度ちょうど四十億をちょっと出るという額でございますが、一方で新規課税があるというので、平年度九億四千万という増収を見込んでおります。正味いしますると、三十億七千五百万円というものが減税になるわけであります。そこで、その四十億ばかりのらち、法律による分と政令による分は、大体半々、二十億、二十億というくらいの見当になる次第でございます。これは御案内の課税最低限、あるいは品目自体を相当こまかく別表でやっておりますので、その一部をはずすというようなことがありますので、そういうことになるわけであります。
  88. 塩見俊二

    塩見俊二君 かように、税負担を法律できめずに政令にまかされておる、他の税法はございますか。
  89. 原純夫

    政府委員原純夫君) ちょっとほかには、その例は私は今思い当りません。
  90. 塩見俊二

    塩見俊二君 御承知通り、イギリスの国会が非常に民主的に運営されておるといわれておるわけでありまするが、このイギリスの国会がそもそも成立をし、発展をした一番の根本の問題は、税の負担の問題である。税を国会できめるということが中心になっておるわけであります。私は、やはり税というものは、法律できめるということが原則でなければならぬと思います。この税の負担を政令にまかせるということは、これは非常に異例のことであると思うんです。  そこで、もう一点伺いたいわけでありまするが、今度の高級織物に対する課税は、法律でやりますか、政令でございますか。これの課税最低限はどっちでいきますか。
  91. 原純夫

    政府委員原純夫君) これは法律でございます。御提案申し上げております第一条の改正案の第一種乙類第十一というのに、「高級織物(和装生地又ハ帯地二在リテハ一反又ハ一本ニ付価格一万五千円以上ノモノ洋装生地中幅百三十糎以上ノモノニ在リテハ一米ニ付五千五百円以上其ノ他ノモノニ布リテハ命令ヲ以テ定ムル価格以上ノモノヲ謂フ)」ということにいたしております。
  92. 塩見俊二

    塩見俊二君 従来課税最低限の規定は、私の記憶では、大部分政令に譲られておったように思うんですが、いかがですか。
  93. 原純夫

    政府委員原純夫君) 法律に規格できめる場合、たとえば小型自動車とか高級自動車とかいうような場合に、規格を、これを法律ではっきり書いておるというのがございますが、課税最低限はもうほとんど全部政令でいっております。先ほどのお話は、私ども理屈としてまことにごもっともなお話だと思っております。また、先ほどちょっと申し落しましたが、免税というような面においては、ある程度政令に譲られておるものがございます。たとえば、例の重要物産免税の物産品目であるとか、あるいは法人の寄付金を損金に算入いたしますものの公益目的のものを指定でできるというようなのが、若干例がございます。まあ物品税の課税最低限は、これで幾らかそれだけ免税の幅が広くなるということでございますが、どうもそういう理屈でカバーし得るものかどうか……。おっしゃるお話は私どもよくわかる気持でおります。何分非常に大きな例外ではございますが、沿革的な関係があって、なかなかすぱっとしないということでございます。
  94. 塩見俊二

    塩見俊二君 これは、来年度から根本的なことは税制調査会が設けられるそうでありますが、私は、やはりこれが政令にまかされていることのために、毎年々々物品税の問題が必ずしも明朗な形でなくて論議せられる。これは私は、税の問題を解決する上におきまして、非常に私は遺憾なことと思うんです。やはり税の負担は法律に明確に規定すべきである、これは私は厳然たる原則だと思う。従って、物品税の将来の扱いにつきましては、ぜひとも一つ法律に書くという、そういう方針でこの問題を御討究願いたいと思います。その点だけ一つお答え願いたいと思います。
  95. 原純夫

    政府委員原純夫君) ただいまの点は、私の感じを率直に申し上げるとなれば、全然同感であります。先ほど少しもたもたしく申しましたように、こ、れには非常に、沿革的な事柄からいいますれば、裏を返していえば、今お話し通り、明朗でないような感覚というか、これをめぐっての事柄があるわけです。で、私まあ主税局長として、そういたしますということは、そういう関係もこなさなければなりませんので、ようここで申し切れませんが、お気持はよくわかりますので、それをくんで、今後の検討の際に、十分そういう腰がまえで検討して参りたいと思います。
  96. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  97. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) ちょっと、速記起して下さい。  午前の会議はこれで終ります。    午後一時二十二分休憩    ―――――・―――――    午後二時四十一分開会
  98. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) ただいまから第四分科会を再開いたします。  午後は主として文部省所管について御審議を願うことといたします。  これより直ちに質疑に入ります。順次御発言を願います。    〔主査退席、副主査席〕
  99. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 実はスポーツ関係のことでお伺いをしたいのですが、文部大臣も出ておりませんので、いずれ文部省並びに大蔵省関係者がおいでになってさらにお伺いをいたしたいと思いますが、自治庁の財政局長はお忙しいようですから、自治庁の見解をまず承わっておきたいと思うのです。しぼって伺いますが、岸内閣はスポーツ振興ということを相当大きな政策として打ち立てておりますが、私は国策としてのスポーツ振興策はまだ不十分だと思っております。これは所管大臣に伺いますが、一つ自治庁にお伺いをいたしたい点は、国民体育大会を自治庁におかれましても相当私は高く評価されておることと思うのでございますが、終戦後、逐次地方持ち回りで開催して参りました。その間に赤字再建団体に対しては開催を遠慮してもらうというような一応の閣議申し合せがなされた過去の経緯もある次第でございますが、まずお伺いいたしたい点は、自治庁当局は国民体育大会をどの程度に評価されておるか、それをまずお伺いをいたしたいと思います。
  100. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 国民体育大会が毎年持ち回りで開催されておるわけでありますが、そのつど、かなり多額な金を必要とするというような運営状態でありますために、開催のつど莫大な赤字を残していくというような状態があったように見受けられるわけでございます。そういうようなことから地方財政の再建問題が大きく、取り上げられました際に、現在、御承知のように閣議決定をもちまして、財政再建団体においては開催をしない、あるいはまた二年に一ぺんは施設の整った所で開催をして、それがために新たに多額は経費を必要とするようなことはやらないというような措置がとられますと同時に、運営につきましても、かなり自粛的な措置がとられたように記憶しておるわけでございます。そういうように改善されて参りましたので、今日の段階におきましては、国民体育大会がそのような形において開催されます限り、特段の弊害をもたらしているとは考えていないわけでございます。
  101. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 確かに局長が御指摘になられた点はごもっともだと思います。しかし、あなた方の御指摘されるところに従って、あなたも御発言されておりますように、施設、設備をする場合も、その地方に即応するように将来の効率的な利用、運用の角度からも確かに合理的に自粛された運営がされて参っていると思うのです。また赤字再建団体は、あなた方の適切なる助言と指導のもとに着々と再建団体が赤字解消に成果を上げていることもあなたの十分御承知通りでして、従って、閣議決定がなされた当時と今とは相当情勢が変ってきている。その赤字団体が赤字解消に誠意をもって努力をし、また国体開催について施設、設備の面においてむだのないように合理的に配慮するにおいては、国民体育大会は意義ある行事であるから、自治庁もその開催には私は協力していただきたいし、また協力されるものと、かように考えるのですが、この基本的な考え方は自治庁当局としていかがでございますか。
  102. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 財政再建団体ならいかなる団体であっても、その団体には国民体育大会を開催することは今日においてもなお不可だというようなつもりは持っておりません。
  103. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは局長に具体的に承わりたいのですが、昭和三十四年には国民体育大会は東京都に予定されているわけですね。体育関係者、また、それぞれの地元関係では、具体的に申し上げますが、昭和三十五年は熊本、昭和三十六年には秋田、こういうスケジュールが立っている。そこで、具体的に熊本なんかは、これは赤字団体ですが、その解消に誠意をもって努力しているわけです。この熊本、秋田の国体開催のその規模等については、それぞれの自治体の経済状況を十分にらみ合せて皆さんの指導をいただいてやらなければならぬことはもとよりであります。そういう前提がありますが、国体そのものを熊木、秋田というような所で開催することについては、自治庁としてはこれを阻止するようなことはなくて、御協力していただけるものと推察するのですが、いかがでしょうか。
  104. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 御指摘のように三十五年は熊本に国民体育大会を開催したいということで文部省当局から御相談を受けております。熊本は財政再建団体でございますけれども、比較的順調に再建が達成されつつあるわけでございまして、特に三十五年に国民体育大会を開催する結果、再び赤字が多くなるというようにも見受けられませんので、再建計画の変更に当りまして、特段の赤字を生ずるというような計画でありません限り、私の方には異存はないところでございます。
  105. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 財政局長はけっこうです。  それでは文部大臣に伺いますが、ただいまスポーツ関係を伺ったわけですが、そのうちでただいま国民体育大会に対しての自治庁当局の御見解を承わった段階なのです。橋本文部大臣には基本的なことを私はお伺いをするまでもないと思うのですが、国民体育大会の意義というものは大きいし、または成果というものは非常に上っているという認識に立っているのですが、おそらく橋本文部大臣もそうだろうと推察をするわけですが、この補助金の問題ですがね、これは予算書を見ますと、昭和三十三年度は六百六十五万円でしたね。昭和三十四年度は東京都で行われるというので、一千万円が補助金として計上されているわけです。これは予算編成の段階に、これだけのこの国家的な行事で非常に大衆性もあるし、成果を上げておるし、岸内閣としてはスポーツ振興を叫んでいるのだがら、少くとも二千万程度の補助金を出すべきだというのを、体育関係者も、まあ私個人としても、予算編成、復活折衝の段階に大蔵当局にやはりちょっとの意見を申し述べたのであります。で、この点、千万程度の補助金というのは、どうも納得できないんですが、岸さんは一昨年の静岡大会に天皇陛下がおいでになった開会式においでになって、非常に岸さんは感激しておったんですよ。そしてそれだけの成果があるなら、六百、七百万円程度の補助金では少な過ぎる、もう少し国家的な行事として盛大にできるように、補助を出しても、これは死に金ではない、生き金だというようなことを言っておられたんです。ところが、予算書を見ると、それが出てこないんですね。これは私は予算編成にはいろいろと御事情もありましょうし、まあ大局的な立場から考えんならぬですけれども、まあわが国に行われている年間行事の中で、この国民体育大会というのは、国民のあらゆる階層がタッチしていて、それからそれらの成果からいっても、私は最右翼のものではないかと思うんですね。従って、まあ最小限、これから半永久的にこの行事を私は続けるものである、続くと思うんですが、一千万円程度の補助金というものは、大臣の私は政治力によって計上すべきものだと思うんですが、この千万円に落ちついた経緯と、大臣は今どういう御見解におられるのか、それをお答えいただき、後刻大臣答弁の後に、具体的に予算の編成作業をやった大蔵主計当局の御見解も承わりたいと思います。
  106. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 実は、はなはだ恐縮でありますが、私も国体の補助金というものはもう少し多いのかと実は思っておったのであります。自分で所管をいたしましてから、意外に少いのに私は驚いているのでありますが、経緯を伺ってみましたら、発足の当時にまあ割合低く発足をして、例の通り、なるべく補助金は押え押え、少しずつ上げてくるというような形でありまするので、もとは低くて、今でも低いというのが理屈になったような、ならぬような予算計上の経緯のようであります。お話のありましたように、国体というのは日本の国内を、平均的に文化水準の向上をはかるために非常にいい制度だと私は思っております。今も問題にせられておられましたが、地方赤字に関連する閣議決定の問題も、ここまで来たらもう一へん考え直す必要があると私は考えているのであります。地方赤字の問題に関連した閣議決定をもう一度見直して、なるべくあちこちの地方で広く国体の開催が行われるように、もう一度考えを立て直すと同時に、国体に関しまするやはり国家的な力の入れ方というのも、もう一段力を入れるように私はしてみたいと考えております。
  107. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 国体の補助金がはなはだ少いという御意見でございますが、実は、これも今、文部大臣から答弁がございましたように、前からの経緯がございまして、当初はたしか千万近かったと思いますが、毎年度節約をかぶって参りまして、三十三年では六百六十五万程度に小さくなっております。三十四年度の要求、最終的な文部省の要求といたしましては、たし  か二千万程度であったかと思いますが、ほかに体育局の設置も関連いたしまして、体育振興費でかなりの御要求がございました。それらの関係もありまして、体育振興費全体といたしましては、かなりの増額をいたしたわけでありますが、この国民体育大会の補助金につきましては、三百万程度の増額で一千万というところでお話をつけたということになっております。  なお、これに関連して申し上げますと、従来国民体育大会の補助金は、その開催県に対する補助金だけでございまして、別途この主催者の一つである体育協会が、国民体育大会の開催等に伴う経費を地元からある程度分担さしておったというような事情がございまして、そういうことを是正する意味におきまして、三十三年度から別途一千万円体育協会に補助金を計上し、実質的に国民体育大会の開催県の負担軽減するという措置をあわせて実施しているわけであります。
  108. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 確かに相沢主計官が言われるように、若干増額されておりますけれども、減額になった面もあるわけですよ。日本体育協会の補助金とか、あるいは地方スポーツ振興費の補助金等は、いずれも減額になっております、トータルとしてはふえておりますけれども。ところが、岸さんが一九六四年の東京オリンピックの招致準備委員長になっているわけです。総理大臣は表面では答弁はなかなかいい答弁をしている。しかしながら、口だけでは招致できないので、受け入れ態勢が整備しておらぬと思う。底辺というものが長く、奥深いものにならなければ、頂点だけ、国際オリンピックを持ってこようと言ってもできるものではないので、また、かりに来たときに恥をかくので、そういう点から本気でやるなら、やはり数カ年前から計画的に底辺からじりじり固めていかなければならぬ。そういう立場から考えますと私は不十分だと思う。私は大体スポーツは好きで、やりもし、見もするのですが、一昨日、私は全日本チームとカナダチームのラグビー試合を秩父宮ラグビー場に見に行きましたが、国民外交として大したものだと思います。ああいう行事は、猛烈なスポーツマン・シップで激突をやる。しかし、済んだとたんに全く友人となって、「螢の光」とともにスクラム組んで歌っている。ああいう姿というものは、私は外交官にも匹敵すべき成果を上げると思う。だから、国内スポーツにしろ、国際スポーツにしろ、私は予算編成上相当多額の予算を組んでも、これは無意味なものではないと、非常に私は有効な予算計上だと考えるわけです。そういう立場からいって、それは確かに大臣のお骨折りによって若干伸びています。伸びていますけれども、高い見地から将来の見通し等に立って見るならば不十分である。まあとりあえず私は本日、国民体育大会を焦点にしたわけですが、地方持ち回りも国務大臣として閣議で主張して実行すること、それからこの補助金等、最小限私は二千万旧くらいは、大臣にしていただきたいと思う。私はなぜそういうことを言うかというと、たとえば小、中学校の校長さんを外国に旅行させることは決して悪いことではない、私は賛成です。しかし、これはあなたの所属する政党並びに政府の人の方針として、第一次査定ではこれは大蔵事務当局の査定は消えておったはずですよ。ところが、第一次復活のときにはどういう事情か知らぬけれども、とにかく一千万円復活してきた。これが悪いというのではない、小、中学校の校長さんを若干見聞を広めるために海外出張させることはいいことだと思う。そういう点で誠意がぽろっと出るわけですね。それと国民体育大会は補助金二千万円要求して一千万円程度にとどまるということを比較した場合に、一体国家的な立場から見た場合に、ちょっと理解しかねる点があるのですが、そういうところに教育、学術、文化の政党支配云々とか、あなたが聞きたくないことも聞かなければならないようなことになるわけで、こういう点については、格段の一つ今後の努力をしていただきたいことを強く私は主張するものですが、いかがでしょうか。
  109. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 御説の通りでございます。ついでにお話を申し上げておきたいと思いますが、地方持ち回りの件につきましては、来年度、再来年度の開催地の関係と関連をいたしまして、あの閣議決定の検討を事務的に連絡を始めております。それと関連いたしまして、ただいまお話もございましたが、国際オリンピックのローマの次の誘致運動も考えて、いろいろなできるだけの手段を講じておりますが、正直に申しまして東京にオリンピックを招致したけれども、国内の要するにスポーツ関係が非常に低調であって、一向どうも成果が上らぬというのではならぬのでありまして、国民的規模におけるスポーツ振興、つまりそういう面におきまする東京オリンピックの対策というものをからめて、やはり国体を通じまして、国体のなるべく平均的な地方持ち回りを通じまして、スポーツ水準の向上というのは非常に大切だと思いますので、閣議決定の面、予算の面その他十分に考慮して参りたいと思います。なお、そのほかの体育関係につきましても、いろいろな点についてバランスをとつて考えて参りたいと思っております。
  110. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで、次に承わりたい点は、このスポーツの行政機構というものは、文部省に体育局を先国会において設けるようにしたことによって、一応形は整ったと思うのです、ところが、法的措置としては、一つの国策としてまあいわれておりますが、たとえばスポーツ振興法というようなあのまとまった法的な体系が国策として整えられてしかるべきじゃないかと思う。これはいろいろ声は聞くのですけれども、なかなか具体性を持ってこない。それはどういうところに理由があるのか、文部大臣としてはどういう抱負経論を持っておられるのか承わりたいと思います。私は法的な整備と機構、行政機構ですね、それに人を配備することによって国策として推進をはかり得ると思うのですが、そういう点で法の整備というものが当面緊急な事柄じゃないかと思うのですけれども大臣の御所見を承わりたい。
  111. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) スポーツ振興のためにやはり基本的な組織なりなんなりということを考えた方がよろしいかどうかという点につきましては、私はぜひ考える必要があると思いまして、スポーツ振興法をぜひ決定をいたしたいと思っておる次第であります。できれば今国会にも出したいと思いましたが、現実の状態は、スポーツ振興法の一案を具しまして政府部内、関係の当局、主として大蔵とか、あるいは自治庁とかというところが主でありますが、事務的な折衝を始めておりまするが、今国会はとうてい間に合いませんので、ある程度折衝を始めたまま議会等忙しいので、仕事が今足踏みしながら国会関係の仕事が手のすき次第、引き続いて政府部内での固めをいたしたいと考えておる段階であります。
  112. 塩見俊二

    ○副主査塩見俊二君) 速記をとめて    〔速記中止〕
  113. 塩見俊二

    ○副主査塩見俊二君) 速記をつけて。  主査にちょっと事故ができましたので、吉江委員主査の職務をお願いします。    〔副主査退席、吉江勝保君着席〕
  114. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで文部大臣にお伺いしますが、国会開会中ですから、事務当局御多忙のことはごもっともだと思います。そこで、参議院議員選挙後の特別国会に上程されるものと私は期待しているのですが、よろしゅうございますかね。
  115. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) なるべくそれまでに構想を進めたいと実は思っておるのですが、なかなかこの間じゅうからやってみた結果むずかしい点がございまするのと、それから当面は今年度予算の幅の中でやりくりをするつもりなんでありますが、その点で話がつけば、できるだけ早い機会に提案をいたしたいと考えております。話のまとめ方と、それから予算関係がどの程度になるかという点で今多少見通しを危ぶんでおりますが、なるべく早い機会に提案をしたいと思います。
  116. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点は大臣は厚生大臣もやられ、特に御理解があるし、今度の内閣改造でも文部大臣に留任されることを信じておりますので、ぜひ一つ特別国会に提案をされるよう準備を進めていただきたいと思います。  先ほど海外の問題が出ましたから、ちょっと関連して承わるのですが、私は今のように科学の進歩で世界が小さくなって、交流が盛んになってくると、こうなればなるほど日本の大学の教授、学者は数多く海外に出張をして、そうして見聞を広げるということは私は大切だと思うのですね。若干この予算で前進した面がありますが、これを拾ってみますと、文部本省関係在外研究員旅費、国立学校大学附置研究所、これらを一切がっさい含めて、あなたが所管する関係で海外への出張旅費というのは合計一億九千二百八十万二千円です。二億円に足りないのです。ところが、防衛庁のそれを見ますと、防衛庁だけで一億二千二百九十二万一千円、一億二千万余を防衛庁の外国旅費として確保しているのですね。これはどうも私は納得ができないのですね。もう少し大学並びに研究所の諸君に海外へ出張できる機会を与えるべきだと思う。これと関連して科学時代といわれますが、科学研究関係でも私の記憶では、文部省の科学振興費は、民間私学関係等一切がっさい人件費まで含めて約二十四億円くらいです。ところが、防衛庁の研究開発費は、約二十三億円となっているのであります。そうして、例年の状況を見ますと、委託研究費その他まかない切れないでいるのですね。ところが、文部省はわずかな金で、まかない切れないどころでなくて、不足して、学者が自分の著書まで売って研究をやったり、場合によると研究をストップしているというようなのは、高い見地から日本の政治というものをながめた場合、どらも納得、できないわけです。私は、これと今の外国旅費とをあわせて例示して大臣に伺うわけですが、大臣はどういう御所見を持っていらっしゃるでしょうか。
  117. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これは、実は私、終戦の直後から内閣調査局におり、内閣審議室におりましたのですが、その際に内閣調査局として官房長官のもとにおいて考えました大きな問題の一つは、陸軍が滅び、海軍が滅び、同時に、満鉄その他の国策会社がなくなり、三井、三菱の財閥、なくなって、学術研究というもは、文部省関係だけになってしまった、で、過去においても、日本の学術研究というのは、非常に大きな金を使ってきたわけでありますが、これは文部省所管というよりは、やはり満鉄その他の国策機関、財閥、陸海軍というところがむしろ多かったぐらいでありまして、従いまして、その当時から本気で文部省の科学研究費をふやさなければならぬと考えて参ったわけであります。ところが、事態はまことに非観的でございまして、その後のいろいろな努力にもかかわらず、今日まだその一通りにいっておらない。どうもこういう点は、よほど考えなければならぬ点でありますが、政府予算の組み方には、なかなか断層的な飛躍ができないのであります。スタートを誤まりますと、去年に比べて幾らというふうな形が、ずうっと尾を引くわけであります。私は、この点はどうしても、なるべく早い機会に考え直しまして、少くとも過去の日本が、戦前まで来るのに使ってきた程度のものを、文部省所管にほんとうに織り込まなくちゃならぬと思っております。ただ、それは金額的に計算しますと、今でも相当大きなものになりまするので、なかなか思うように予算が、取れないかと思いまするが、この科学研究費、それからまた、それに関連しての海外渡航の費用等もそうであります。これは過去というよりは、むしろ将来の発展のためにも、世界がこれだけ動いているんですから、新しいことを考えるのが筋ですが、せめて戦前に翻って、科学の基礎研究費の増額をはかるという点に、当面の目標を置きながら、文部省所管の科学研究費を三倍ぐらいまでは、なるべく早い機会に持っていきたいと考えております。
  118. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点については、相沢主計官に御所感を承わりたいのですが、あなたは、やはり文教担当だけあって、大蔵省の主計官では最も文化的なセンスを持っている方と私は敬意を表しておるのですが、やはり一主計官ではなかなか骨の折れるところがあると思うのですが、やはり高い見地から国の予算をながめた場合、おかしいですよ。あなたは、どういう見解を持たれ、上司に対してはどういうような対処のされ方をされているのか、御所見を承わりたいと思います。
  119. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 防衛庁その他の科学技術研究費につきましては、はなはだ残念でございますが、私もよく承知しておりませんので、文部関係の科学研究費に関しまして、査定の考え方というものを若干申し上げたいと思います。おっしゃる通り現状におきましても、科学振興費として計上せられております額は、たとえば三十四年度では二十四億三千八百万円、決して私といたしましても十分であるとは思っておりません。ただ先ほどお話がごさいました戦前との対比というような点について申し上げますと、これは昭和二十七、八年ごろの調査であったと思いますが、戦前、文部省関係の科学研究費として、支出されておりました金額は、当時の物価に直しまして、たしか約十五億程度であったかと思います。それは、文部省予算に計上されておりました科学研究費のほかに、当時は服部奉公会とか、あるいは三井もございましたか、そういう財閥関係の研究費の補助金というようなものもかなりございまして、それらを合せまして、たしか四百万くらいでございます。それで物価換算しまして十五億程度になったわけであります。そこで、そのころ文部省の科学研究費は、たしか六、七億でありまして、これを十五億まで持っていくというのが、当時の一つの目標になっておったわけであります。現在三十四年度予算について申しますと、これに対応します金額が、この科学振興費の二十四億のうち、いわゆる科学研究費と称せられる科学研究費交付金とか、科学試験研究費補助金等でございまして、これが二十億を若干越しておりますか、そのくらいになっております。そういった点から見ますと、一応戦前対比の姿では、まあまあその当時の姿に戻っているのじゃないかと思うわけでございます。
  120. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 世界の情勢は動いている。情勢が違いますよ、条件が。
  121. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) そこで、おっしゃる通り、新しい科学技術の進歩に伴いまして、これに対応する基礎研究を――主として対象は基礎研究でございますが、基礎研究に必要な経費を伸ばすということは、もちろん必要なことでございまして、その意味におきまして、毎年度、その伸びは、なかなか所期する通りに参りませんが、二億とか三億とか、三十年度では四億で、大体二割くらい伸びております。また、科学振興費との関連で、国立学校の教官研究費をどういう姿に持っていくかということが、検討をされなければならないわけでありますが、どの方に重点を置いて考えていくかということになりますと、これは、たとえば東大の茅先生あたりの御意見を聞きましても、やはり両方同じようなテンポで伸ばしてほしいというような御意見でございます。そこで、その間におきまして、バランスをとる必要もありますものですから、科学振興費のみに重点を置いて考えるというわけにもいかず、まあ現在のような形になっておるわけでございます。
  122. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本年度の文教予算は、つっつけばいろいろと問題点はありますけれども、総合的に見れば、相沢主計官のやはり御理解と努力も影響していると思うのですが、近年では、僕はまあできのいい予算案じゃないかとも思っているわけです。しかし、これに安んじてはならないので、全般的に見ると非常におかしい点があるからただしているわけです。ことに今、科学関係にしぼって伺っているわけですが、この予算案なんか査定する人が外国の大学とか研究所の実情なんか知っていなくて査定するということは僕はおかしいと思うのですよ、文部大臣。だから相沢主計官あたり一応科学の先進国、そういう国の大学とか研究所を、そういうところはどういう実情かということを視察していただく必要があると思うのですね。そうしなければ、日本の学者諸君が出したのを査定するといっても、査定する能力が果して十分かどうかということが問題になってくると思うのですね。それでこの点は文部大臣から大蔵大臣にも話して、そういう実現を一つはかってもらいたい。これは相沢さん個人の問題じゃなくて、やはり日本の教育、文化、学術の進展に大事な私は要素だと思うのです。所見を承わります。
  123. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 大蔵省諸君はこのごろ海外協力や何かの関係かなり出ておるので、いい傾向だと思っておるのですが、相沢主計官は今まで戦後行かれたかどうか知りませんが、いずれにしましても、専門の文部行政の分野において新しいところを見てもらうのは非常にけっこうなことでありまして、私としてもそういう方法をできたらとってもらいたいものだと思っております。
  124. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では一応切って、次に進みますが、次は国立文教施設整備費の問題ですが、公立文教施設は不十分ながらもだんだんと整備されて参りつつあります。これは市町村の場合、わが学校だという感じから自治体の山林等の財産を売却して、そうして、建築するというようなことも手伝ってだんだん整備されつつある。これはあなた方の方で五ヵ年計画も今度立てられましたから、いよいよ急ピッチでおそまきながら達せられると思うのですが、この都道府県立の高等学校になるとがた落ちなんですね。さらに国立大学になるとPTAもないですからもうそれはひどい施設なんですね。それでこのたび私は注目して見ておったところが、三十五億二千九百万円、前年度に比べて約四億二千万程度の増加に相なっております。で、私はここで伺いたい点は、橋本さんが文部大臣になってから最初の答弁に立たされた場合、大学を重点的にというお言葉を二度三度述べられたのですね。そのとき私が感じたことは、全国で国立大学は七十二あるのですが、稲田次官が大学学術局長時代からいわゆる稲田方式という傾斜配分方式というのが非常に表面に出てきたのですよ。昔の帝国大学、総合大学を重点的にして、他の地方大学を非常に、非常にと言っては語弊がありますけれども、若干軽視して予算の配分を傾斜させる、それから施設、設備についても非常な凹凸が出る傾向になってきたのですが、それを橋本大臣になってさらにこの角度を強くするのじゃないかという懸念を持っているのですが、承わりたい点は、あなたはこの七十二の国立大学の運営に当ってまあ大体平等といってはおかしいですけれども、七十二の国立大学をまあ大体同様に見ていくのか、この七十二の国立大学をいわゆる傾斜を持たせて、予算の配分その他についてこれを処置されていこうとするのが、大学行政に対しての基本的な方針を一つ聞かしてもらいたいと思う。
  125. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 実は私、正直に申しますが、文教関係予算なり組織なりには、私、実はかねがね相当な関心を持っておりまして、研究費の配分等につきまして、研究費の増加等を骨を折りながら、配分その他について実は傾斜方式をとれということを文部当局に対して相当強く要望をして参った一人であります。これは私、率直に認めておきます。それは戦後急速に新制大学ができました。そうして先ほども申し上げましたように、学術研究といったようなものが、もうほとんど文部省だけにたよられるという状態において、なけなしの予算がただ平板に配分をされるということはよくないと思ったからであります。大体、今日まで参りまして、実はこの間も新しい教科研究費の配分について、いろいろ学界等からも意見がありまして、私も承わったのでありますが、大体私はまだ今日程度予算では、研究費についても、あるいはそのほかの費用についても、国立大学の全部を全く平等に扱うというのは私は早過ぎるように思っておりますが、傾斜を今日以上につける考えは持っておりません。大体やはり現状程度予算の充実をもう少しはかってみたい、そうしてその上で、これは入学難の緩和その他考えてみましても、地方の文化センターの充実が必要でありまするから、もう一わたりいきましたところで傾斜を解いて全国平等にいくという方向にいきたいと考えておるのだが、私のただいまの心境でございます。
  126. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大きくいって教育、文化、学術のセンターというものは東京だけ、あるいは東京と関西では京都を中心にというような考え方でなくて、私は大きな方針としては、各ブロック一つずつはあらゆる角度から見て――もう意見は言いませんが、あらゆる角度から見て、ブロックに一つずつセンターがあるというような方針で僕は進めていくべきだと、かように思うのですがいかがですか。
  127. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) その通り考えております。
  128. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで、国立文教施設整備費が約三十五億円計上されているわけですが、七十二の国立大学のうち、通称駅弁大学という大学は、それは財政力豊かな市町村立中学校のそれにも劣るものがずいぶんあります。それらの整備については格段と一つ御努力願わなければならぬと思いますが、私は大学の附属病院にしぼって、時間がありますから、若干具体的なものを承わりたいと思うのです。この三十三年度の補正2号を見ますと、補正2号の歳入補正に病院収入として四億円が計上されているわけです。それから三十四年度の本予算を見ますと、文部省主管歳入見積りに、この大学の附属病院関係として六十六億一千二百万円が歳入見積りとして予算に計上されている。相当なものです。ところが、この大学の病院にはずいぶんひどいのがある。私見ました公共企業体の共済組合等で運営している病院なんていうのは、ずいぶんそれはりっぱなものがあるのです。日赤等もあります。ところが、研究と医療とあわせ行う国立大学ですよ、国立大学の病院で、それは見るに忍びないものがある。あなたの部下である小林管理局長を、これは私はほんとうにおせじでなくて、人間的にも、能力的にもきわめてりっぱな人だと敬服しているのですが、だから、ここで大臣を前にこういう具体的な問題でただすことは忍びない点があるのだけれども、しかし、予算審議権を持っている以上は言わざるを得ない。私は、具体的にあげたい点は、熊本大学の附属病院ですよ。これはいろいろな事情があって、私はここで申し上げることは忍びないのですが、予算審議権を持っている議員が見た以上は黙っていることができないわけなんです。実はこれは経緯がありまして、予算編成の復活段階において、私は文部省にお百度を踏んだのです。ところが、管理局長からいろいろ説明があって、事情があって三十四年度には予算は計上できぬと、それで私は三十三年の年末に郷里へ帰って、もう御用納めでだれもいなかったのですが、こっそり私は念のために、もう一ぺん行ってみました。かつて私は参議院文教委員会で視察をしてきた。それで私は写真をとってきたものがありますから、大臣に見せますが、少くとも予算審議権を持っているものとして、黙っているわけにいかない。それで私は電報を打ったわけですが、依然としてできないということですね。一体、あそこで結核の手術をするというのですが、大臣でも監理局長でも、あそこであなたあるいはあなたの奥さんでも子供さんでも結核手術をさせる勇気があったら、相当、私の持っている富を全部投げ出してもいい、あなた方あそこで結核手術をする勇気があるかどうか、野戦病院よりもひどいですよ。あの程度の国立病院というのは一体全国で幾つあるのか、まず、管理局長からお答え願いたいと思う。
  129. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 熊本大学の附属病院の藤崎台分室のお話でございますが、ただいまお話にございましたように、確かに現状、非常にひどい状況だと私思います。御承知のように、これは戦争中の一種のまあ軍病院、しかも、かりにできた軍病院をそのまま使わしてもらっておる状況でございまして、私どもといたしましても、これはなるべく戦災復旧で、焼けました附属病院を早く建築して、この藤崎台分室を解消したいというふうに考えておるわけでございますが、ただ御承知のように熊本大学は医学部も附属病院もともども戦災で全焼いたしました。二十一年から病院のまず復旧をいたしまして、外来病棟並びに一般病棟をある程度整備したわけでございますが、同時に、医学部、基礎医学の方も、これは熊本城内にありましたものを、やはり教育研究所また大学院設置等の必要から、これは新しい病棟のわきに持ってこなければならぬという状況がございまして、大学の方の非常に強い要望で、ただいま基礎医学の教室及び研究室を建築中でございます。明年度一年、この教室を建築すれば、ややこの基礎医学の方が完備いたしますので、三十五年以降、私どもといたしましては、三十五年度から、ただいまお話のございましたような藤崎台の分室を解消するために、病棟の建築を行いたいと思っております。私も二度ほど拝見いたしまして、非常に気の毒な状況だとは十分御察しいたしておりますが、ただいま申し上げましたような事情でございますので、まことに残念でございますけれども、三十五年度からこの藤崎台の分室にかわって病棟を建てるということで、御了承いただきたいと思います。
  130. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、この程度の病院は、私はみな見ていないからわからないのですが、全国幾つくらいあるのですか。
  131. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 国立大学の附属病院にも、昔からの相当古い老朽した病棟もかなりございます。私の知っております範囲内でも、たとえば米子の病棟などは、現在でもまだ障子が入っておるというような状況でございます。また弘前大学の病棟なども、これはかなりひどい状況でございますが、現在の状況から判断いたしますとおそらく藤崎台は最もひどいものの一つに入るものと思っております。
  132. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 とてもそれはひどいとかなんとかいう程度のものじゃないですよ。これは人権問題ですね。小林さん、僕は何も九州出身だからと言っているのじゃないですよ。予算審議権を持っている者があの事態を見て黙っていられぬですよ。あそこで結核の手術をするというわけですよ。それは橋本文部大臣は厚生大臣をやったお方なんだから、見たらおそらくぎょうてんするでしょうね。これは予算審議権を持っている以上は、絶対に僕は見のがすことはできないと思うのですよ。人権問題ですよ。あなたはあそこで手術をし切れますか。あなたは一生懸命大学のことをやっておられるから、私はこういうことを言うことは忍びないわけだ。だから大臣も小林局長のやり方を悪く思ったらいかぬですよ。私はその点忍びないと思っているのですが、私は何億もらってもあんなところで手術をし切れぬですよ。しかも、これは国立病院ですからね。ところが、あそこには全逓関係の逓信病院なんかありますが、ごらんになったことはないでしょうか、大した近代施設、設備ですよ。あの熊本大学というのは戦後できた医学部じゃないですよ、旧大学令による大学病院ですよ、医学部ですよ。あの藤崎台病棟のような、あの中に患者を百人近くももう一年入っておれということは、これは許せないと思うのです。私は約一億円くらいでできると思うのですが、これは文部大臣昭和三十四年度中に予算の傾斜配分をしなければ可能なことと考えます。何らかの検討配慮をわずらわしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  133. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) この熊本の病院の問題につきましては、検討いたしました結果今年度手をつけるのは相当困難な事情のようでございます。一応三十五年度ということで御了承を願いたいのでございますが、なお、一日でも早く手をかける方策がありまするならば、予算の中でできるだけの検討はいたしてみたいと思います。
  134. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は、大臣並びに局長が、御自身あるいは家族の方があの病院に入院でもされれば、一切私は今後主張することはやめます。しかし、あなた方自身並びにあなた方の三等親以内の方をあそこに入院させる勇気がなかったならば、私は行政府を追及する点をこれは保留しておきますよ。それで大臣も機会があったらごらんいただきたいと思います。それで、先ほど米子病棟あるいは弘前病棟も不十分だと言うが、私もいつか見たいと思いますが、その結果によってあらためてこれは議論することにいたしまして、大学附属病院に関連してですが、この予算書を見ると、生徒手当が千二百四十六万円減じていますね、それから生徒の食糧費が六百八十八万二千円減じているが、これはどういうことなんですか。予算を組むときに平均五%減云々といっても、大学の生徒手当とか、ことに生徒の食糧費、これは手術とかなにかをした場合の食糧費だと思うのですが、飯を二はい食べるところを一ぱいというのではひどいと思うのですが、これはどういうわけで減額されたのか、御説明願いたいと思うのです。
  135. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 今、矢嶋委員の御指摘の点は、附属病院の看護学校の経費のことだと思うのでございます。これにつきまして、協力手当の減額は、本年度から看護学校それから助産婦学校関係の一年生の協力手当というのを廃止いたしましたことに伴う減額でございます。それからその他の一般の減額は、従来の実績から見ましては生徒が定員まで入っておらなかったことに伴います積算人員の是正から出た減額でございます。
  136. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それで生徒さん一人当りの実質というものは減額には何ら変りないと了承してよろしいのですか。
  137. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 食糧費等に積算は加わっておりません。ただ、あとで生徒用光熱費のところで、むしろ生徒一人当りの単価はこれは増額いたしております。
  138. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間の関係もありますから、次は公立文教施設に入りますが、ここに五ヵ年計画を立てられた点は、総括質問でも申し上げましたように、非常にいいことで一応敬意を表します。しかし、要求によって出された、二月十七日付の助成課から出された資料、この点について納得いたしかねるものがある。先般、総括質問のときに伺ったところが、大蔵大臣はこれは積極的に推し進める、そうして補助金を四百十九億円を見込んでおる、こういう答弁が速記録に残っておる。それに基いて初年度七十七億二千九百万何がしというものが計上されておる。ところが、予算編成並びに復活段階においては、百十五億なければ五ヵ年で済まないという資料をいただいた、これは文部省から出た資料ですよ。私はそれを持って大蔵省の主計局に陳情に及んだわけだ。百十五億なければ五ヵ年で済まぬというのは、これは文部省から出た資料が、おそらく民間の団体に渡ったのだと思う。私は村上さんや相沢さんのところに陳情に行ったところが、予算案では七十七億円となり、逆算の結果かしりませんが、こんな表を提出してこられた。こんなでたらめな資料というものはないと思う。果して大蔵大臣答弁してここに書いてある五ヵ年計画四百十九億、三十四年度が七十七億二千九百万円、このペースで五ヵ年でほんとうに解決できるのですか、この表の説明をしていただきたい。
  139. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 三十四年度の公立文教施設の国庫負担金並びに補助金の総額は、ただいまお話のございましたように、七十七億でございます。ただ、この予算額の積算の基礎でございますが、これは必要の坪数のすべてを五分の一にしておるわけではございませんので、ものによっては五ヵ年計画でいけば五分の一でいいわけでございますが、ものによっては約四割程度初年度に組んでおるものもございますし、また、ものによっては十分の一程度しか組んでいないというものもございます。それはたとえば中学校の整備にいたしましても、実は三十四年度には生徒がふえない、むしろ三十三年度より減るというような状況でございますが、三十五年度以降は急激にふえる、従って、三十四年度にはそれほど設置者である地方公共団体が校舎を建築する意欲を見せないであろうということもございまして、前年度とほぼ同額程度に押えておるのでございますが、たとえば小学校の不正常につきましては、今後これは小学校の児童数は年々減少して参りますために、三十四年度が五ヵ年間のうちでは一番困難度が高いという状況がございまして、四割組んでおるというようなことでございます。従って、私どもといたしましては、この数字そのものには、七十七億という数字は年々同じであるというふうには考えないわけでございまして、必要に応じて組まれていくわけでございますが、積算の基礎にとりましたところの必要坪数あるいは要整備坪数というものは、これは私どもの方から提供したものがほぼ大蔵省に認められたものでございまして、この積算の基礎で推し進めていくならば、完全五ヵ年間のうちには正常授業なり、あるいは危険校舎の改築等が行われるというふうに私ども考えておるわけでございます。政府全体といたしましても、御承知のように予算編成の基本方針にもはっきり五ヵ年間にすし詰め教室や危険校舎を整備するというふうにうたってありますので、文部省としては、これで五ヵ年間のうちには文教施設が整備されるというふうに考えておるわけであります。
  140. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 承わりたい点は、現在小中学校における生徒児童合わせて何人か。それからこれは、小中学校の生徒を合せて数字が最も多くなる。ピークは何年で何名になる予定か、大体どの程度の数が恒常的な生徒児童数になると踏まれておるか、これは先般通告してありましたから資料を持たれておると思いますので、お答え願います。    〔主査代理吉江勝保君退席、副主査着席〕
  141. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 小学校の児童数の推定数を申し上げますと、三十四年度が千三百二十六万人、それから三十五年度、これは御承知のようにずっと減って参りますのですが、三十五年度が千二百四十六万、それから三十六年度が千百六十四万、三十七年度は一千八十五万というふうに漸減して参りますけれども、その五年間のうちに大体二百万近く減る一応の推定でございます。  それから中学校の生徒数でございますが、三十四年度は四百九十八万、三十五年度が五百七十一万、三十六年度は六百七十三万、三十七年度が七百十三万というふうに急増して参ります。たとえば三十四年度から三十五年度にかけて約七十三万くらいふえる、それから三十五年度から三十六年度にかけては百二万くらいふえる、三十七年度は四十万くらいふえる、これが大体ピークになるわけでございます。
  142. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 生まれないものを言うわけにはいかぬと思うが、生まれているものを対象とした場合は何年にピークになって、何名くらいになるのですか。この前これは通告しておいたから、計算しているはずだと思うのです
  143. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 三十九年度まで推計いたしておりますが、今三十七年まで申しましたが……。
  144. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一番ピークのところと、それから恒常的に小中学校の生徒は何名くらいで動いていくだろうかという予想を言ってもらえばいいわけです。
  145. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 三十九年まで推計いたしましたが、そこを合計していきますと、三十六年がピークでございまして、七、八といって三十九年で一千六百万でございます。あと一千六百万台あるいはそれを割ってくる傾向じゃないかと思います。
  146. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その時の小中学校の教員数というものは、現在よりも何名くらいふえる予定ですか。
  147. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この問題はすし詰め学級解消の問題と関連ございますので、正確に数字を申し上げることは困難でございますが、今私どもの予定では、五十人以上のものが現在のところ十三万程度の学級がございます。これを全部五十人にするという前提で、将来の児童数の増減を見込みますと大体二万五千人程度の増員で済むのではなかろうかと考えております。
  148. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 当然その教員養成計画は頭の中に入れているのですね。
  149. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この程度の増減、しかも、これは五ヵ年間でございますので、現在の養成計画で間に合うという考えでございます。
  150. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと話を前に戻しまして公立文教施設の問題ですが、老朽校舎の補助金ですね、この件についてですが、私ども地方を視察してみますと、都道府県立高等学校の老朽度が非常にひどいのです。これを文部省としてはどういうふうに認識しておられるのか、また、この予算の配分についてはどういう方針のもとに考慮を払われているのか承わりたい。
  151. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) この高等学校関係につきましても、義務制の五ヵ年計画と同様に、私ども実はこの予算上、危険校舎の改築計画を立てて予算を要求しているわけでございます。小中学校の場合と同様でございまして、耐力度四千五百点以下のものは約五ヵ年の間に整備いたしますが、この五ヵ年のうちに現在は危険校舎でなくても、五ヵ年のうちには危険校舎になるであろうと予想されるものもある程度解消するということになっております。高等学校につきましても、ただいま申しました小中学校と同じ計算方式で予算を組んでおりまして、従って、明年度予算におきましても、従来二億四千万円程度の補助金を明年度はその倍額四億八千万円程度に増加しているわけでございます。ただいまお話のございましたように、小中学校はこの危険校舎改築の制度が始まりましたのが早かったせいで、現在までにある程度改築が進捗しておりますが、高等学校の方はおくれたために、また府県立で高等学校を非常に多数かかえておる府県におきましては、この改築の事業がおくれておりますが、私どもといたしましては、できるだけこの面にも力を入れて危険校舎の改築を促進して参りたいと思っております。
  152. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これらの問題は、学級編成基準とそれから教員定数基準に関連があると思うのですが、文部大臣に承わりますが、あなたは高等学校の学級編成基準並びに教員定数基準に関する請願書をあなたの御紹介で国会に手続されておったのを、大臣になってからこれを撤回されましたね、あれはどういうお考えなんですか。議員のときには賛成だったが大臣になってから反対になったというわけじゃないだろと思うのですが、念のために承わります。
  153. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私はこうしております。請願書は内容の賛成、反対にかかわらず、全部取り次ぐことにしておるのでありますが、党の役員をしておったり閣僚をしておる間は、いろいろな問題等がございますので、その方の取次も遠慮するような従来方針でやって参りました。大体今度もそういうふうにいたしております。で、請願書自身についての取次は何のことはないと思いますけれども、ただいまの高等学校の問題について特に私が取り下げたということはないと思います。
  154. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは公報に出ておりましたよ、私の見ておる。ごらんなさいませ。今国会になって衆議院公報に取り下げになったのが出ておりました。
  155. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) わかりました。これはこういうことだと思います。私、実は請願もたくさん参りますので、ことにもう請願という事柄は内容の賛成、反対にかかわらず、国民の声を院内に反映させる仕事だから、全部取り次げということで、秘書にもそういう扱いをさせておるのであります。やはり閣僚をやったり、それからまあ党の責任者であったりいたしまする場合、特に自分の所管に関しまするような問題などにつきましては、とかく何か別の目で見られるおそれもありますので、従来の方針からいって、そういうふうなものは御遠慮申し上げるようにして参ったのであります。あるいはそういう趣旨で、私は実は特別に引っ込めろということも取り次げということも言ったつもりはないわけでありまするが、あるいは一度、文部大臣になりまする前に秘書の方で取り次ぎましたものを、所管の関係のものですから、従来の私の方針に従って下げたのかもしれません。事実は、内容を存じておりませんが、大体そういう方針で処理をいたしております。
  156. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その手続上の問題は話はわかりましたから深追いをしないで内容に入りますが、あの年輩の諸君を一クラスに五十人、それ以上詰め込んで、そうして一週間に二十時間も授業を持っているようなことでは、今の高等学校の教科内容というものは子供に徹底させることはむずかしいと思うのですね。この義務制のは、先般文部省のお骨折りで学級編成と教員定数の基準というものは一応不十分ながらも法定されたわけですね。高等学校も早急にこれは学級編成と教員定数の基準というものは検討して、やはり法律で私は最低の線をきめるべきだと思うのですが、大臣はどういうふうにお考えになっておられるか、承わっておきたいと思います。
  157. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私は当然、将来の問題としては基準を定めらるべきものだと思っております。ただ、小中学校についても、そうした場合に五十人というよりは、将来の理想としては四十人にするのが筋だと思いますが、予算的の面から見て、当面非常に長い時間をかけないと実況のできないようなものを、将来の目標はこうでございますといって掲げておくのはどうかということで、小中学校にも当面五年計画で五十人の基準が掲げられており、達成後、その基準をどうするかを新たに考  えなければならぬのでありますが、高等学校の問題につきましても当然基準を定めるべきものだと思いまして、そういう方向で検討いたしたいと思います。ただ予算関係の問題がございまして、それがかなり当面、年度計画で着手をするには少し時期が離れ過ぎているときに看板だけでやるのもどうかと思いまするので、私、この高等学校の編成基準の問題には、それを法定するという方針のもとに具体的事情を検討いたしたいと思っております。
  158. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点については、所管である内藤初中教育局長の御答弁をわずらわしたいと思います。
  159. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 御承知通り高等学校の基準につきましては、現在のところ省令で出ているわけであります。この中に御承知通り甲号基準、乙号基準がありまして、現在は乙号基準を実施すべく努力いたしておるわけであります。この点、一面は地方財政計画の問題でもございますので、自治庁と交渉をいたしまして、本年も一人増員をいたしまして、できるだけ乙号基準に近づけるように地方財政計画及び交付税の単位費用の策定に当っては考慮していただいているわけであります。そこで、今お尋ねの高等学校の編成基準の法制化の問題でございますが、これは前々から専務当局も検討いたしておりまして、特に地方財政の問題がございますから、自治庁とも十分緊密な連絡をとって検討を進めておるわけであります。なるべく早く結論を出したいと考えております。
  160. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣、ちょっと要件があるので、すぐおいでになるそうですから、その前に内藤さんに伺いますが、内藤さん、去年の三月の上旬の予算委員会で、当時は松永文部大臣ですが、あなたは政府委員として補佐されておったわけです。すし詰め学級の解消で再三再四私と質疑応答を繰り返しているが、約束通り実現したかどうか一つ確認して参りたいと思うのですが、単級だったら、中学校は単級は最小限三人は教員は必要だということを確認したわけです。文部大臣は、私の承知しているところでは、中学校一年から三年までおって一学級一人しか教員がいない学校があるわけですが、それで教育ができるかと言ったところが、岸さんも一萬田さんも松永さんも、それじゃできぬ、松永文部大臣は、最小限、体育関係と文科関係と理科と三人要りますということを答弁した。その通りやるかと言ったら、やりますということを速記に残したわけです。それで今指導してその通りになっておりますかどうか、お答え願いたいと思います。
  161. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私その単級学校の場合、最小限三人ぐらいは必要であろうかということでしたけれども、三人まで定数基準で見るということはお答えしなかったと思うのです。
  162. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、した。そういうふうに配慮して政令をこしらえるという答弁をした。間違いない。
  163. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) いや、そういうお話が……。
  164. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういうふうに政令をこしらえると言った。
  165. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) そういうお話があったようにも思いますけれども、そういうふうに政令をこしらえるということを私ども記憶にございませんもので、もう一ぺん速記録をそれじゃ拝見さしていただきたいと思います。
  166. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 実情はどうなっていますか。
  167. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 実情につきましては、今ちょっと調べて御返事いたしますから、ちょっとお待ち下さい。
  168. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それじゃ内藤さんにお伺いいたしますが、あなたが今、中学校の教員になったとして、中学一年と二年、三年が一クラスにいる、それをあなたが教育される場合、一人でやれると思いますか、どうですか。
  169. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 一人では私も困難だと思っております。
  170. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 何人くらい要るでしょうか。
  171. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 大体、単級学校というのは実は変則でございますので、中学校ではできるだけ学校統合の線を推し進めていきたい。最小限六学級くらいが望ましいと思うので、私どもとしてはできるだけそれに必要な、できればスクール・バスとか、あるいはスクール・ボートとか、そういうものを整備いたしまして、できるだけ適正な規模に持っていきたい。そこで、しかしながら、万やむを得ず残るのが、若干僻地等の関係で残ると思うのです。この場合、私どもとしては十分にはもちろん見ることは困難でございますけれども、最小限ある程度の数は配慮していきたい。定数基準の場合に考えましたのは、これは全県的な規模において総数を決定したわけでございまして、各学校の配当基準は、それぞれ県の教育委員会が適当と考えた基準で配分すべきものだと考えております。そこで、具体的にこの政令の問題になると思うのですが、あのとき問題になったのは、たしか分校の問題だと思うのです。で、私ども考えでは、独立校の場合には校長が一人、それからそうでない分校の場合には中学校の場合は本校並みに見た。小学校の場合には、たしか三分校に一人という基準だと思っております。ですから、この分校の場合に最小限二人はおるわけです。クラスの先生一人と、それからそのほかに本校並みに一人、ですから二人はおる。それに、これはしかも定数の算定基準でございますから、各県で生徒数を勘案いたしまして、二人じゃ無理であり、三人にしなければならぬというような場合には、全体の中に級外教員もございますので、そういう点を考慮していただいて、あまり僻地の教育が支障のないように御配慮いただきたいと考えておるのでございます。
  172. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 局長さん、学校統合なんかというのは、これは東京で言うことで、これは僻地へ行きますと、スクール・バスなんか、車どころか、馬や牛が通らぬところがあるのですよ。だから、ハスとか、自転車どころじゃない。馬、牛さえも通れないのだから、それを統合なんかもちろんできぬわけですね。だから一年から三年まで置かざるを得ない。数は少いけれども教育は機会均等という線はあるわけだ。そういうところに限って政治力というのはないんですね。だから県教委で教員の配当を受けて持ってくるということもできないわけですね。だから最低幾ら要るという基準を設けて、そういう点を指導してやらなければ、そういう地域の人はほんとうにかわいそうなんですよ。失礼ながら適当な先生が行って、一人ぐらい行ってお茶を濁しておるという格好です。これでは私はほんとうにそういう地域の人は気の毒だと思うのですよ。最小限、僕は三人程度なければ、どんな優秀な人でも教え切らないと思うのです。ところが単級、中学校一年から三年まで一人しかいかいというのが幾らでも全国にありますよ。だから僕は松永さんに追及した。松永さんは三人は最小限要ると思う、政令をこしらえるときに、そういう政令をこしらえるかと言ったら、そういう線に沿って政令をこしらえましょうという答弁をした。ところが私の知る限りにおいてはその通りについていかい。だからここで私はただしておるわけです。そういう答弁に沿って、ことし進んでもらいたいし、地方教育委員会は、そういう点について助言と指導をしてもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  173. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この法律及びこれに伴う政令によりますと、中学校は学級当り教員配当は四分の三、それに本校、分校とも単級でも分校並みの扱いをいたしますので、これにプラス一が加えられますので、どういう単級でも平均二・三三にはなっておるわけです。そこで必要によって三人置くような場合には、指導として、全体の県の中で三人配当していただくと、こういうことはもちろん可能でございます。ですから御趣旨に沿って、できるだけ僻地教育に支障のないように指導して参りたいと考えております。
  174. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 実際その通りいっていないのですよ。そういうところはやはり発言力が弱いものですから、そういう点を、やはり国の義務教育という立場で文部省が調整、指導と助言をしなければならぬ。そういう点は文部省の僕はやるべき仕事だと思うのですね。あなたは何せ勤務評定ばかり熱心にやっておるのですから、そういう大事なところが落ちるのです。だから勤務評定もいいが、そればかりやらぬことですね。そういう点を千分徹底するようにしてもらわなければならぬ。  それからもう一点言質でいきますが、これは速記録を持ってきておりすが、繰り返し繰り返し聞いたら、松永文部大臣はこういうことを答弁した。中学校は昭和三十三年度は一学級五十三人以下、それ以上のはないようにしますということを何べんも繰り返し答弁したのです。だから私は地方へ帰って、今度、中学校五十四人以上のクラスがあったら言いなさいと言ったら、どこにもあるわけなんですよ。僕は恥を九いたわけなんです。さらにここに速記録があるが、繰り返して言ったところは、松永さんは、昭和三十三年は五十三人以下だ、それから御指摘になりました中学校は、来年度、来年度というのは昭和三十四年度、来年度で五十人になりますとはっきり言い切ったのです。これはあなたはそばにおって訂正されなかった。僕はどうなるかと思って注目して見ておった。ところが本年は小学校五十八人、中学校五十四人と言っておったでしょう。五十人と五十四人で四人違うじゃないですか。どういうわけでこういうことになったか。あなたはそばにおってこれをお聞きになって訂正もされなかった。一ぺんじゃない。繰り返し繰り返し言ったわけですからね。あなたはすし詰め解消と言って一枚看板ばかり言うから、これは大きな公約違反だと思うのです。どういう事情でこういうことになったのか、お答え願いたいと思います。
  175. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) すし詰め学級は、御承知のように五ヵ年計画ということにいたしておるわけでございます。
  176. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それはことしになってからでしょう。
  177. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 昭和三十三年、三十四年は生徒数が相当減少いたしますので、この機会にかりに五十ということに引き下げましても、やがて、先ほど管理局長から御答弁申し上げましたように、約二百万の増員を考えたわけでございまして、追っかけて、また政令で直すというようなことになりかねないので、本年は五十四に押えたわけであります。私どもとしては、一面において建物の整備計画考えなければならぬし、一面におきましては生徒数の二百数十万の増員を今後に控えておりますので、控え目に出したわけでございます。    〔副主査退席、吉江勝保君着席〕
  178. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それはあなたの気持はわかりますが、この答弁に当らないですよ。来年度で五十人になりますと、繰り返して聞いたら答弁しておるのだからね。これは明らかにこれと間違ってきたでしょう。どうですか。文部大臣言葉が足らなかったという、足らなかったじゃないですよ。言葉ははっきりしているのだ。
  179. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 大臣、そういうふうに答弁いたしまして、私どももそういうふうに努力いたしましたけれども、実は建物の整備の関係及び来年度以降の生徒数の増加要因というものもございましたので、ついに五十人にできなかったことは大へん残念に思っております。
  180. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これはあなた方の力の及ばなかったせいですか、それとも自治庁とか、大蔵省の横やりのために、あなた方の初志が貫ぬけなかったのですか、いずれですか。
  181. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは実は私どもも五十人にいたす考えで努力もいたし、また、いろいろ検討もいたしましたけれども、今言ったような事情で、むしろ私どもの実は誤算もございましたもので、一度に本年に五十人にできなかった、こういう事情でございます。大蔵省、自治庁の関係ばかりではございませんです。
  182. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは相沢主計官はどういう態度をとられたのですか。
  183. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) すし詰め学級の解消につきましては、教員の数の問題と、それから施設の問題と両方あるわけでありますから、教員の数の点につきましては、教員の配置定数の適正化の問題と、あわせまして三十三年度に例の法律を提出して御審議願って成立したわけであります。そのときでも、当初から大体五ヵ年計画で、小中学校の一学級当りの児童生徒数は五十人に持っていくということが目途になっておったのでありまして、これは一挙に五十人にしたいというのを、五分の一にちょん切ったというような記憶は私としては持っていないのであります。
  184. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではここで明確にお答え願いますよ。昭和三十四年度においては、単級においては教員は最小限三人、それから全国小学校一クラス五十八人がマキシマムで、五十九人以上を収容しているクラスはない。中学校においては、昭和三十四年度においては一学級マキシマム五十四人、五十五人以上のクラスというものは存在しない。もしあったならば、適切なる指導と助言によって改めさせる、こういうことだと思うのです、この予算書を見ても。御確認願います。
  185. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この定数の配当につきましては、小学校は五十八人、中学校はマキシマム五十四、こういう線で定数の計算をしているわけでございます。従って、これに必要なもちろん財源措置はいたしておるわけでございます。そこで、今度は具体的に参りまして、各学校がやむを得ざる事情で五十八人をこえる場合も私はあり得るものと思うのです。定数と文部省がいたしますのは定数基準でございまして、ですから、実際の学級もそれに即応するのが建前でございまして、また私どももそう指導いたして参りたいと思いますけれども、この法律の体系から申しますと、これはあくまでも定数基準の方式でございますので、やむを得ざる事情で、万一、五十八人以上のがないという私は保証はいたしかねると思うのでございます。
  186. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは局長は非常に僕は無定見で弱腰だと思う。そういうことであなたは地方に臨んで事が運べますか。これは勤務評定のときにあなたおとりになったぐらい強硬な態度でなければだめですよ。(笑声)笑いごとではないですよ。大体、学校教育というものが五十だったのですから、五十四、五十八と下っているのですから、予算措置もしてあるのですから、あなたは助言と指導権を発動して、都道府県教育委員会に、その線でやるように指導と助言をして、それが国の義務教育なんですからね。そこに文部省の使命があるわけなんだから、これは私はそういうふうにやらしてもらわなくちゃ困ると思うのですね。この点、大臣いかがでしょうか。
  187. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これはもう法律も予算も、それを具体的に実現するためにやっているわけでありますから、その通りになっていないものはすみやかに実現させるように、十分な、文部省のあらん限りの力を発揮してやるつもりでございます。
  188. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣答弁を了とします。  そこで、大臣、ちょっと下りまして、幼児教育について聞きたいのですが、これは自由国家群であろうが、共産国家群であろうが、幼児教育というものは非常に盛んになってきております。ことに共産国家群においてはしかり。日本の幼児教育というものは依然として進みませんが、この予算書を見ますと、施設関係で一千万円だけ出ています。幼児関係というのは一千万出ているだけですがね。この具体的の問題を一つ承わりたいのです。私はすぐに義務教育にしろとは言いません。しかし幼児教育を盛んにするために、よりよき指導者を確保するという立場から、給与負担法を改正して、この公立幼稚園の先生方の給与費を、小学校並みに半額国で負担するように給与負担法を改正すべきだという声は、多年にわたって国内にほうはいとして起っているのですが、いまだに行われないのですが、これをやる意思はございませんかどうか。岸さんは子供が好きだといって、至るところで頭をなでるわけですが、青年対策等をやっているが、どうも選挙のときに票になる年配層を非常にかわいがるようだが、その卵である幼稚園の生徒には非常に冷淡なようなんですがね。これは給与負担法を改正して、幼児教育に携わっている諸君の給与を半額負担ですね、国が負担するように改正することによって、私は非常に前進すると思うのですが、文部大臣の御所見を承わりたいと思う。
  189. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) まあ幼稚園の教育の問題、これは別途、厚生省の所管で目的は違っておりますが、保育所関係で三十億円の経費を使っておるわけであります。純粋に幼児の教育という観点から見た幼稚園の教育というものも、社会の要求もだんだんにふえておりますし、これにたえて、できるだけのことをして参りたいと思っておりますが、現在のところ、この発育、いろいろな状態等から見て、義務教育にするということもまだ考えておりませんし、普及の現状等から見て、これに要する経費の国庫負担を考慮するにはまだ少し早いように思っております。ただ、できるだけやはり幼稚園の教育の問題につきましても、社会の欲求が非常に強くなって参りましたので、だんだんに、今まではほとんど手を触れないでおりましたのを、文部省としても考えていかなければならぬとは考えております。
  190. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点は十分に一つ検討してもらいたいと思うのです。幼児教育というものはなかなか軽視されない点があると思いますので、その振興の一つの具体策として、先ほどのような問題は、基本的な大事な問題だと思いますので、御検討いただきたいと思うのです。  総括して承わりますが、文部省では、この教育費の父兄負担を年々精密に統計をとられている。これは私は非常にけっこうなことだと思うのですが、過去五ヵ年間のを見ますと、年々歳々、父兄の負担がふえて参っておりますね、小学校で年間一人当り約一万二千円程度まで遂に上ってきておる。このことを文部大臣はどういうふうにお考えになっておられますか。このたび比較的貧困な階層の子弟の修学旅行費に約八千万程度の補助金を出すようにされたことは、金額はわずかですが、私は非常に明るい、いい措置だと感謝するものの一人ですが、しかし、この父兄の負担が年々歳々、相当急なカーブで上っているということです。これは何か対策を講じなくちゃならぬと思うのですが、どういうふうに大臣はこの統計を見ていらっしゃるでしょうか、お伺いしたいと思うのです。
  191. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これは、も  のは違いますけれども、基本的には、私は実は厚生大臣として医療費の負担状況を見ていました場合に、受診率の伸びというものを見ながら感じたのと同じような感じを持つものであります。教育費の負担というものが父兄にとってなかなか重い負担である、これはできるだけ軽くしなくちゃならぬと思いますが、最近、文部省の統計を見一まして、従って父兄負担が重くなるということについて一面非常に心配しながら、一面やはりそれだけ教育に父兄が支出をするようになって参ったことは、したいという気持と、それからある程度無理してやるようになった、できるようになったという点と相待って、私は基本的には子供に対する教育施設が多くなるということを歓迎しつつ、それに対する対策を考えなくちゃならぬというのが、基本的なそれに対しまする感じであります。で、当面の問題として私は非常に大事なことは、何と申しましても、要保護世帯の児童に対しまする教育費を国で持つということをもっと積極的にいたしますことが一つ。それからもう一つは、当然校費で負担すべきものを父兄負担になっておりますることを、これは急速に、今日ただいまにでも、予算さえ許せば絶滅するための努力をいたしますることが一つと、それからもう一つは、最後にさらに残って参りますのは、これはよい教材を使い、よいいろいろな教育環境の中に子供を置くということを考えながらでも、できるだけやはりその間の無駄をはぶいて、経費は安くて、教材その他が得られるように、いろいろな一般的な工夫をすることでありますが、私は大体そういう考え方で、この教育費の父兄負担の問題を見ながら対処いたして参りたいと考えております。
  192. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点は特に御努力願いたいと思うのです。それは義務教育無償、教育の機会均等という立場から、急にできなくても、ねばり強く、私は一歩々々前進させなくちゃならぬ問題だと思うのです。それと関連して、予算を伴わない問題として、教育の機会均等という立場からやり得ることを、教師並びに行政官のふがいなさからやれなくて、私は非常に憤慨していることが一つある。それを具体的にあげて伺いましょう。例のやみ入学ですね、具体的にいえば麹町地域の中学校、小学校ですね。これは約四割から五割が区域外から来ている、ひどいのになると他県から来ておる。それで、この区域に住みながらその区域の中学校に行けないで、よそに行かざるを得ない人々が中には出てきている。それから千代田区で入学金なんかを取って、よその区から入れている、親は子供がかわいいから入れたいのは万万でしょう。しかし四割も、五割もよそから来て、その区域に住んでいる人が、この区域の中学校に行けない、そういう事態が起っているのに、文部省は何らかの指導と助言はしているだろうが、文部省文部省、それから都の教育委員会も区の教育委員会もだらしないと思う。第一、学校長以下教員もだらしないと思う。そんな架空の住居を置いて入学しているかどうかはすぐわかることです。実際そこでほんとうに住まって、そこから通学しているかどうか、教師みずから子供を扱っていてわかるはずです。これは教師もだらしないです。それから各区の教育委員会もだらしない。指導と助言をやる文部省も不十分ですよ。こういう事態が起っているのは、これは国の教育予算が不十分だとか、教師が十分確保されないとかいう、教育政策の貧困ということにも一つの理由はありますけれども、だからといって放置することはできないと思うのです。私はこれはしぼったところ、やはり日本の国の文教の最高責任者である文部大臣の責任だと思う。こんなものは何ら予算を伴わないのです。教育の機会均等の原則から、やる気になったらやれない問題ではないですよ。勤評闘争を出して大へんおそれ入りますけれども、あれだけ全国的な大きな渦を巻き起して、相当の犠牲者を出しながらも、今日まであなた方のお考え通りいっているわけです。僕は熱意だと思うのです。本気でやる気があるのかどうか、これはこの麹町の地域だけでなくして、全国に及んでいる問題です。各県の県庁所在地なんか、大がいこの事態が起っているのです。断じて私は放任することはできないと思うのです。少し悪者になっても、文部大臣は断固としてやってもらいたいと思う。僕らがこういう質問をすると投書がくるです、御婦人から。そんなことを言うなら選挙が済んでからやりなさいよというような、半ば脅迫的な投書が来る。断じて私はそんな投書なんかには負けません。これは初中局長、若干人から恨まれても、私はそういう点の筋は、日本の義務教育という立場から通すべきだと思う。予算は円も要る問題ではないじゃないですか。文部大臣並びに初中局長の固い決意をここで表明していただきたいと思う。
  193. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 学校差を消すための努力も大切でありますが、これはもう全部、教員の質ということ、施設という点からいって、完全に学校差を消すということはなかなかむずかしい問題でありまするし、それからまた、学校差を消すためにも、やはり今言った越境入学の取締りということは必要だと思いまするので、ただいま御指摘のございました点は、いささかだらしがないかと思いますので、私、実情を調査いたしまして、あらためてその方向に向っての努力をいたしたいと思います。
  194. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 御指摘のようなやみ入学がございますことは、これは事実でございますし、私どもも教育上、はなはだ憂慮にたえないのでございますから、しばしばこれにつきましては通達も出して、厳重にやみ入学のないように指導いたしております。最近だんだん減って参りました。まだしかし根絶する状態になっておりません。ただ、都会地は、いろいろ行政区画の変更等で、いろいろとまた生徒数の増減等もございまして、必ずしも理想通りには参らないと思うのでございます。特に学区の改正というものがある程度必要ではなかろうか。特に戦災地におきましては、そういう事情があるのでございます。それからいま一つは、根本的に、私どもはできるだけ学校差をなくするように、施設、設備の改善、充実はもとよりのこと、結局のところ、質のいい教員の集まるところがいい学校ということになりますので、父兄の御要望にもこたえるように、適正な教員配置をいたしまして、できるだけ各学校の学校差をなくしながら、一方においては、強力にやみ入学の是正をして参りたい、今後とも努力いたしたいと思っております。
  195. 吉江勝保

    主査代理(吉江勝保君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  196. 吉江勝保

    主査代理(吉江勝保君) 速記を起して。
  197. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次は、幾養育の機会均等に関してですが、私は文部大臣の御所見を承わりたいのですがそれは高等学校の定時制教育及び通信教育の振興に必要な経費として約一億円が予算計上  されているわけですが、これは大臣、御承知と思いますが、長きにわたって青年教育の振興のために人件費四割負担をしてほしい。これは戦前もあった制度だから、やりたいというので、文部省議でもきめられたのですが、ところが、どうしても大蔵省の査定をとれずに今日にきて、今や定時制教育は風前のともしびみたいな感なきにしもあらずです。この定時制高等学校、通信教育を現状のまま推し進めていくつもりか、それとも再検討するというような考えで足踏みされているのか。例のかつては省議決定された四割負担というものは、今後も政府部内で協力に主張して参ることによって、岸総理の主張される青年教育の充実をはかりたいというお考えなのか、承わりたい。
  198. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 定時制の問題は非常に困難なだけに、困難だからというのでもう捨てたらどうにもなりませんので、これはもう力強く推し進めて参るつもりであります。で、四割負担の問題につきましては、具体的に私、実は就任いたしてからその点を検討いたしておりませんので、事情を聞いて検討いたすつもりでございます。
  199. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 内藤さん、気の毒だけれども、内藤さんは定時制教育と通信教育というのには非常に消極的だという声を聞くのですが、あなたはどういうお考えを持たれているのか、その点ここではっきり述べておいていただきたい。
  200. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私は非常に積極的に熱心にやりたいと思っているので、何かそれは誤解だと思っております。と申しますのは、教育制度の中で、諸外国を見てみますと、大体、初等教育と大学教育というものはどこの国も大同小異であります。結局、教育がいいか悪いかということは、中等レベルの教育にかかってくると思う。こういう点で特に復線型をとっておる欧州、単線型のアメリカと、この二つの制度が世界にあるわけであります。アメリカの場合は六三三まで、高等学校までが義務教育ないし準義務教育になっております。ですから、その間に大学へ進学する者は、進学のような教育を受け、そうでない者は職業教育ないし技術教育を受けておるのが実情であります。欧州ではこれに反しまして、初等教育を終ったところから、イギリスのグラマースクールとか、あるいはドイツのギムナジウム、フランスのリセイというような大学準備教育というようなところで、六年ないし七年の教育をみっちりしておる。その反面、そうでない者にはできるだけ職業教育、技術教育の機会を与えているわけです。現にドイツでは満十八才まで三年間、パート・タイムの、一週に一時間の義務制をしいておる。これが今日ドイツの私は復興の大きな要因になっておると思います。イギリスでは一週間に一日、雇用主が俸給をくれて、カウンティカレッシで職業技術教育を施しているわけです。これが今日英国の非常に大きな国力の原動力になっておると思います。こういう点を考えまして、現在、高等学校、日本の場合は約四害が全日制の高等学校に行っております。四割と申しますのは、中学校卒業後の四割でございます。一割が定時制に行っておる。残りの五割は大した教育も受けてないというのが今日の私は日本の教育の欠陥ではなかろうかと思う。この残りの五割にできるだけ就学の機会を与えていきたい、こういう点で、実は学校教育法の一部改正が今国会に提案されておりますが、この場合でも、高等学校に準ずるような技能者養成施設をやっておるところのものは、ここにできるだけ、そこである程度高等学校の単位を履修さして、定時制、通信教育ともタイアップして就学の機会を広めていく、同時に高等学校のいわゆる別科を産業科と申しまして、産業科によって一年ないし二年の補習教育をして技術教育に専念さしていく。さらに残ったものを何らかの形で就学の機会を広めていきたいというので、むしろ私は日本の教育の欠陥がここにあるのではなかろうかと、今後の重点として最善の努力をして参りたいと考えておるのであります。
  201. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大体の把握の仕方は僕と通じていると思うのですがね。まあ一口にいえば、あなた、今の定時制高等学校というものを質的に変えるということはお考えになっているわけだな、どうですか、その点は。
  202. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 今の定時制高等学校、あるいは通信教育について、いろいろ現地からの御不満の声もございます。ですから、何らかの形においてイギリスのようなカウンティ・カレッジのような補習教育をしていく必要があるか、あるいは人間教育をもちろんしっかりしていくと、こういうような点で、今の定時制、通信教育が十分であるとは私は考えていないのであります。今のような形のものも必要であろうし、同時に、青年たちが将来夢と希望と喜びを持つように、自分の生活に対する確信が持てるような教育を施していく必要があるのではなかろうかと考えておるのでございます。
  203. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間が長くなると気の毒ですから急ぎますが、管理局長に承わりたいのですが、この予算書に防火施設の整備費として、本年度は二千六百万円ほど前年度に比べて、ふえております。公立の学校もよく燃えますが、国立大学はよく焼けますね。どういうわけなんかね。稲田次官に伺うと、稲田次官の説明はまたふるっているのですよ。これは大学自治の関係だ、大学は大学の自治々々といって人を入れないからだと言って、何ともおもしろい説明だと思うのだけれども、そういうことでは僕は了承できないわけだね。どういうわけであんなによく燃えるのか。幾らあなた予算組んで建築しても、あのぺースで焼けたんではどうにもならぬと思うのだね。それで今度二千六百万円ほど防火施設整備費を組まれたのかと思うのですが、この原因をどういうふうにっかまれておるのか。それから今度かなりふえた防火施設整備費はいかように使われようとしているのか、簡単でいいから、御説明願っておきたいと思う。
  204. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) お話の国立学校の火災でございますが、確かにお尋ねのございましたように、かなりひんぱんに建物が焼けております。この火災の原因でございますが、私ども火災になりますごとに、現地を係官が見たりして調べておりますが、現在までこの数年間の原因を調べてみますと、漏電によるもの、あるいは生徒及び教官の失火によるもの、また放火によるもの等、原因のはっきりいたしましたものと、また、いろいろ調べましてもどうしても、たとえば警察なり、あるいは消防庁等が精密に調査をいたしましても原因のつかめないものもございます。いずれにいたしましても、私どもといたしましては、やはり国立学校のまあ一つの火災の原因といたしましては、防火の責任者というものがはっきりしなかったということが原因であろうということから、先年この防火責任者を、各職場ごとに実際に火気を取扱う者に責任を背負せるという防火の組織を考えたわけでございまして、これはすでに昨年ごろから実際に徹底して行われておると思っておるわけでございます。しかし、なおこの防火上の心がまえと申しますか、一面には人的組織も不十分でございますので、そういう点にも、できるだけまあ文部省としては、各大学に対して繰り返し繰り返し注意を与えていきたいというふうに考えております。なお国立学校の防火施設費でございますが、お尋ねのございましたように、三十三年度が三十七百万、三十四年度は六千三百万、約二千六百万ばかりふやしておりますが、これはお話のございました国立学校の最近の火災の状況にかんがみまして、一面そういう人的な、あるいは精神的な面の強化をはかりますと同町に、物的な、たとえば防火の貯水池を作るとか、あるいは防火の扉を作ると修を行うというようなことを、できるだけ急速に整備していきたいというふうに考えておるわけでございます。なお根本的に考えますれば、何と申しましても、木造の教室なり、あるいは研究室よりは、とにかく耐火構造のものをできるだけ多くしなければならぬということは当然でございますので、この方面にも、できるだけそういった鉄筋あるいは鉄骨の校舎を今後建てていくように努力をいたしたいと思っております。なお昨年来、国立学校のいろいろ事務当局者その他の者を集めまして、全国的に防火の講習会等も逐次行なっておる状況でございます。    〔主査代理吉江勝保君退席、副主査着席〕
  205. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点は特に御注意していただきたいと思うのです。大学関係者の集会のとき等は、国会でこういう議論もあったということをお伝え願いたいと思うのです。特にこれはお願いしておきます。  次は大学学術局長ですが、大学学術局長、この原子力時代に対する備えはよろしいかどうかということ。もちろん今度の予算書を見ると、若干の学科も増設して配慮しているようですが、世界の趨勢から言って、備えはいいかどうかということ。少くともあなたの所管関係は、千里眼と言えば無理だけれども、少くとも人よりも何年か先を見てやっていかなければならぬと思うのです。それに対するあなたの御見解を承わりたい。そして、あわせてこの予算書に出ている研究用原子炉の昨年の一億円ですね、これは一体どうなっているのか。長い問題だが、あのちっぽけな研究用原子炉がまだ動けないようなことで一体どうするのか、局長答弁を求めます。
  206. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 大学におきます原子力関係の研究態勢でありますが、実は三十二年度以来、整備をはかって参りました。その大まかな御説明をいたしますと、大体五大学を中心にしております。すなわち北から申しまして、東北、東京、東京工業大学、それから京都、大阪と、この五つを中心にして進めておりますが、この五大学に研究教育のための講座を整備するということが一つ。それからこの五大学の付置研究所に、原子力関係の研究部門を作るということで今日までやって参りました。そこで三十四年度予算を含めますと、大体今の講座数が二十九、それから研究所の部門の数が十九になります。なお今、五大学と申し上げましたけれども、三十四年度では、これは北海道、名古屋、九州の三大学には、五大学とはちょっと意味が違いますけれども、何と申しますか、共通講座といったような意味で二講座、三大学で六講座、二講座ずつできております。これを含めましての数を今申し上げたわけであります。これに付随いたします設備等もはかっておりまして、三十四年度の原子力関係の設備費だけ申し上げましても三億円余を計上いたしております。原子力の研究というのは新しい研究でありますので、どういうふうに進めていっていいか、あるいは教育研究の面におきまして、どういうふうな体系でいったらいいかというようなことにつきましては、学者の間にもいろいろ意見があります。具体的に申しまして、今申し上げましたように――それから学生の教育の方でございますが、そのことについて今申し上げようとしたのでありますが、従来、学生の教育ということは、今申しましたように、大きな大学に講座を整備して、そうして大学院でその専攻の研究科を作るということを原則にしてやって参りましたが、一部、京都の大学では学部の一年から原子力工学科という学科を作っております、このいずれの形態によってやっていくかということにつきましては、学者の間でもいろいろ意見がございますけれども、なお今後、学者の意見を十分徴しまして、これらのことは整備をはかっていきたいと思っております。なお、これは大学の中におきます研究態勢のことを申し上げましたけれども、先ほどお話の出ておりました科学研究費等の運用によりまして、新しい、従来核分裂反応が主でございましたけれども、核融合反応の面につきましても科学研究費の運用等によりましてやっていきたい。それから、これは科学研究費のみならず、大学の中にも核融合反応の研究施設等につきましても、予算をあげております次第であります。大ざっぱな説明でございますけれども、何か具体的に御質問がありますならば御説明いたします。  それからなお研究用原子炉のことについて申し上げますと、京都大学に大学の共同利用のための原子炉ということで設置を計画しておりますけれども、今日まだまだ実現をみておりませんのは、土地の選定の問題であります。これは新しい問題でございますから、候補地にあげられた土地の人たちの相当不安を呼び起した点がございまして、これは専門家によるいろいろな説明は十分手を尽しているわけでございますけれども、そのことがございまして、まだ今日まで土地が決定しないということで。実は延び延びになっております。しかし研究を進めます上に、これは急がなければならぬことは申し上げるまでもないのでございまして、そのことを今専心やっているような次第でございます。
  207. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 こういう問題は、僕は専門でないから詳しく知らないけれども、読んだり、僕の直感からですがね、他国よりは一歩先きに行かなければいけないんだね。苦しみながら先きに行かなければいけない。そこに国費を投ずる場合に無駄ができるかもしれないけれども、決して無駄ではない。暗中模索しながら一歩先きに行かなければならない、苦しみながら。そういう予算を計上する必要があると思う、大きい筋としては、最近、核融合反応なんかずいぶんやかましく言われ、各国で相当の研究をしているようですが、これは核融合反応に対する対策というものなんか私は微温だと思うのです。こんな他国の既成事実に追随していく程度ではだめですよ、これは。ことに日本の置かれているいろいろな条件から絶対だめですね。第一、学者諸君が外国から研究して帰っているのだが、学者諸君の言うことを、あなたはそしゃくする力がないと思うのですね。それから主計官がそれを査定する力がないと思うのだ。だから僕はあなたとか、大蔵省の主計官で担当している人は、たとえばソビエトとか、それから最近フランスが非常に積極的にやっている。フランス、それから英国、アメリカ、こういう先進国の実情というものをつぶさに視察して、そして学者の諸君の言うことがよく理解でき、通ずるように、そして査定する大蔵省の査定官が、それの査定能力を持つということが私は大事だと思う。大体条件が整っていないのですよ。確かに、ことしあなたが申されたように学科も増設し、予算も計上されているのだが、これでは世界の進運についていけないと思うのです。だめですよ、これでは。文部大臣いかがでしょうか。
  208. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 世界に広く目を向けることはぜひ必要だと考えております。私自身ははなはだ口幅ったい言い方でありますが、ごく専門的な点を除いて、あえてやはりこの研究問題等の裁量について、学者の意見がわからぬとか何とかということはないつもりでありますが、しかしやはり学者に専門的に深く掘り下げてもらいながら、その方向をほんとうにつかんで伸ばしていく行政的な措置ということは非常に大事な問題でございまするので、十分、自分自身も勉強し、また関係の当局も勉強し、かつまた学術機関との連絡をとっていくということは、これは矢嶋委員仰せの通り、もう今日至らない点がたくさんあると思いまするので、努力をして参りたいと思います。
  209. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今の方針は、これは単に文部省だけでなくて、今の世界の情勢から、日本の国の政治の一つの政策として、その最先端に僕はいくべきものだと思うのですね。今の大臣の御所信は、この分科委員会だけでなくて、そういう御主張で一つ閣議をリードするほどの熱意を示していただきたいことを特に要望しておきます。それからあと二点です。  次は、文化財保護委員会関係ですが、これは私、先般関連質問で、親委員会で国立劇場の件について大蔵大臣に伺ったのですが、大蔵大臣は、準備費を組んだから大丈夫だということで二千万円計上されているわけですね。パレス・ハイツの土地だけはさまったわけですが、これは整地その他、設計もありましょうし、果して僕は二千万円が妥当かどうか、本年はかなり事業費なんか組むべきだということを主張したのですが、復活折衝ならず、こういうことになったわけですが、計画というものを持たれていると思うのですが、文部大臣は何カ年計画で、一体どの程度の規模のものをやられるのか、これは文化人、芸能人がいろいろと案を述べておりまして、文化財保護委員会も御承知通り計画を持っているわけです。世界に恥かしくないようなりっぱなものを作りたいということを関係者がみんな言っております。大臣、御承知だと思いますが、外国へ行ってみると、ちっぽけな国でもりっぱなものを持っているわけですね。ましてや文化国家を指向している日本、それから特殊な芸術、芸能を保有している日本国としては、将来、子孫に大きな遺産を残すというような気持で、これに対処しなければならぬと私は思うのですが、本年度予算を見ると二千万円計上されているだけです。一体どの程度の規模のものを何カ年計画でやろうとしているのか、大蔵大臣とはどういう了承のもとに、この予算案を文部大臣として、所管大臣として了承されたのか、それを承わりたいと思います。
  210. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私は予算がきまりましてから引き継いでいるわけでありますが、率直な私の印象から申しますと、割合に進んで参ったような感じがしながら、大事なところが進んでおらぬような感じがいたします。つまり国立劇場につきましては、どういう構想で、どれくらいのものを作るかということを頭におきながら、そういうふうな構想、そういうふうな規模のものならば予算がどれくらい要るし、設計その他の準備費もどれだけ要るというふうに、常にもとから先に、はね返り、はね返りしながら検討していく必要があると思うのでありますが、私引き継ぎを受けましたところによりますと、はっきりした政府部内で意思決定ができているわけではありませんが、大よそ三十四億ぐらいの総額の中で、大体三つに分けた劇場を作るといったような式で動いておって、一応は文化財保護委員会委員長を責任者にした機関で一案がまとまっておるようでございます。ただ、これにつきましては非常に大きな異論もございますので、これは一応いろいろな方々が参加をされて出された結論でありますから、それはそれで今日における一応の原案として尊重はいたして参らなければなりませんけれども、こうしたような問題については、事柄が熟さないうちに運んだ過程で非常に根強く押してきめていくというのもいかがかと思いますので、私は文化財保護委員会委員長が責任者となりまして、一応やはり芸能界の専門家等と懇談をし、その間にわれわれの、ただいまお話のありました子孫万年に残すという意図をもって、どうやるということを本式に決定する必要があると考えておるのでございます。現在の段階では、総規模三十四億で、内容は矢嶋委員も御承知通りでありますが、一応、審議会の決定というのはございますけれども、私はどうもこれはさまったような、きまらないような問題で、私としては今一応進んで参った過程を白紙に戻すとか何とかいうことを申すのではない、今まできたものは今まできた原案として尊重はいたしますが、これを無理に押し切るというよりも、懇談的にやはり国立劇場のあり方、それからそのあり方からきた総体的な規模といったようなものを、もう一度考えて見て、決定的な財務当局との交渉をしたいと思っております。
  211. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この問題は長い問題でもあるし、拙速でもいけないと思うのですが、文化財保護委員会は、まあ政治的に見れば弱い存在ですからね、大臣に力こぶを入れていただかなければならぬ。今三月ですけれども、八月ごろからもう昭和三十五年度予算編成作業が始まるわけですから、文部省並びに文化財保護委員会、それから関係者の意思統一というものは、もう今ごろからやっていかなければ、八月から作業が始まるわけですから、また間に合わぬことになると思うのです。だからこの点は特に私はお願い申し上げておきたいと思うのです。  時間が延びましたから、最後の質問事項として育英事業について承わっておきます。先般、総括質問の段階において、私は橋本文部大臣にお伺いしましたところが、速記録を見ますと、「中央教育審議会からつい最近答申のありましたことを参酌をいたしまして、これについては早い機会に改善の具体案を作成したいと考えております。」、こういう抽象的な答弁をされておるわけですがね、この予算書を見ますると、育英資金の貸付金は約四十四億となっております。この育英資金が今日まで果した功績というものは相当大きいものがあると思う。しかしこの運用においては、御承知通り、昨年、行政管理庁から勧告も出ておる次第です。また、育英資金そのものが英才重点でいくべきか、総花でいくべきかということは、文部当局でも悩まれた問題であり、灘尾さんの時代に中央教育審議会に諮問をされた経緯があるわけです。そして最近答申がなされたわけです。それで、あなたはその答申を参酌して云々と答えられているわけですが、あの答申のどういう部分をあなたは取り上げて強力に押し進めようとされているのか、また、あの答申の中で、これは受け入れがたいと思っている点はどういう点があるのか、このわずか四十四億円程度の育英及び学徒援護事業費ですが、これは全国の青少年諸君にとっては影響力の大きい予算ですから、その運用というものは最も適正であり、効率的でなければならぬと考えますので、文部大臣の見解並びに所管局長の御方針を承わりたいと思います。
  212. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 今日の育英資金の制度は、戦後の混乱期にほんとうに学生の諸君が学資に困って、全部を救うことはできぬけれども、その間の英才に学資の補給をやりたいというのから発足をしたのであります。御承知のように年々ふやして参りまして、今四十四億を、それから返した金を運用しますのがありますので、約五十億でありますが、今のところでは、まあある程度英才教育のような、ある程度一般的な学資の立てかえといったような、中途半端な状態になっておるわけであります。それだけに、またある意味で、しみついた需要性もできたわけでありますが、ただいまどうするつもりかというお話しにつきましては、これは中教審の答申案を受けまして、予算編成期までの間に、これは腹をきめておかなければなりませんが、まあどの項目もきわめて具体的に決断を下して、制度の改革をはかって参らなければならぬ問題でございますので、今のところでは、どれをどうするというはっきりしたことを申し上げかねる次第でありまして、もう少し検討をさせていただきたいと思っております。
  213. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 所管局長の見解を承わりたいと思います。
  214. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 今、大臣お答えになりましたところを補足することもございませんけれども、今度の中教審の育英奨学事業に対しまする答申は、御承知でございましょうが、この事業の目標として三つのものがある、一つのは、教育の機会均等の実現ということ、二つは、英才の育成、もう一つは、これに関連しますけれども、人材の確保、こういう三つの観点がある、現在の育英事業にもこの三つの目標があるわけでございますけれども、しかし今後の実施については、この三つの目標にそれぞれ明確に合うような実施態勢考えたらどうかということが答申の中心になっております。そこで答申で言っておりますことは、教育の機会均等のためには学校教育、つまりこれは高学等校以上でありますけれども、高等学校教育、大学教育を受ける能力のあるというふうに認定された石を対象として、これに対しては学資貸与金を貸しつける、これは従来の育英会でやっております事業もこれは貸付でございますけれども、教育の機会均等のためには学資金の貸与ということを徹底してやる必要があるということが第一点になっております。その場合に貸し付けます金額の問題がございますけれども、学資の足りないところを、その家庭の経済状況に応じて段階をつけまして、足りない部分だけを貸し付けて行くという考え方をされております。次に英才の育成でありますけれども、これについては貸付金だけでは十分でないじゃないか、従来不十分であったということは、従来の育英金は全部貸付金でありますから、当然返還をさせなければならぬ、返還能力を考えなければならぬ、こういうことにはりますと、貸付金の限度がどうしてもあるということでありまして、十分に必要なだけ学資あるいは生活費を保障して、英才に心配なく勉強させるという態勢になかなかいきにくい、こういうことがありますから、このたびは英才の育成という目標のためには、今の第一の機会均等のための学資貸与の貸与金の上に給費を考える、これは広く学資あるいはその学業に専念するだけの金額に足りない部分を最高額としては考えまして、そして学資貸与金で足りない部分は給費として考えてゆく、こういうことになっております。つまり従来なかった給費の考え方を英才の育成の場合には考えていくことが一つ出ております。それからもう一つは、人材の確保、これは英才の育成と関連しますけれども、特に大学院段階における研究者の養成ということについては、これも後顧の憂いなく研究が続けられるように、研究奨励金をこれは給費で出す、これも従来は、大学奨学生に対しましても貸費でありましたけれども、今度は給費で出すという考え方が答申として明確に出ておるわけです。そのほかに教員の確保等につきましても意見が出ておりますけれども、人材確保の一環としまして、この三つの目標をきめて、それぞれに適切なやり方を考えていって、これをうまく組み立てて実施すべきだ、そうしてこの実施の際に高等学校と大学と大学院と段階がございますけれども、高等学校の場合にはむしろ何と申しますか、教育の機会均等の方がむしろ重点である、大学、大学院と進むに従いまして育英の色を出していくというような考え方になっております。なお、このほかに育英奨学の貸付金あるいは給費のほかに、就学環境の整備と申しますか、大子で学寮を整備するとか、あるいは学生、生徒の生活をまあ金のかからぬように、その面で食堂の整備とか、あるいは医療施設の整備とか、そういうふうな就学環境の整備を同時にはかっていかなければならぬというようなことを、あわせて言われております。そういうふうな答申になっておりますので、大臣が答えられましたように、これから私どもこれをやりますにつきましては、いわず法律的な整備も必要でありますし、予算の財政的な措置も必要でありますから、十分検討いたしまして具体案を考えたい、かように思います。
  215. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後ですが、大体今の局長説明はおおむね了承できると思うんですよ。で、そういうのが、一日も早く実施されるように、文部大臣格別のお骨折りをいただきたいと思う。午前中も私は給与のところで大蔵大臣に話したんですがね、私は昭和八年に学校を卒業して旧制中学校の教員になったときに、初任給は八十五円であったわけです。で、下宿料が十五円程度で、大体洋服は三つ揃いで二十円、上等で大体二十七、八円で買えたんですよ、それと現在の新制卒の諸君と比べたら実質がずいぶん違うと思うんです。大蔵大臣は大正十三年に大学を卒業して、自分は初任給は七十五円であった、洋服が七十円だと、これはまっかなうそですよ。大正十三年ごろ七十円ぐらいの服なんてあるものですか、これは大蔵大臣が言っておったけれども、記憶違いです。僕のは正しい記憶ですがね。そうすると、大学時代に貸付金を受けて、そうして新卒であのサラリーで返還するとなったら、これは容易でないと思うのだ。そこにこの前の行政管理庁の勧告が出てきたと思うのですね。私、そういう点、今度検討する場合は、十分一つ検討してもらいたい。大蔵大臣に給与政策として申し上げたのだが、購買力を強めるとか民政の安定等からいって、日本の若い人の給与をもう少し飛躍的に上げるということは、大きな政策として推し進めなければならぬのではないかという私は考えを持っておるわけです。育英資金の問題ですが、行政管理庁からもああいうふうに、返還率が悪い、このままでは五年ぐらいで機能がとまるだろうということを勧告していますが、初任給等の関係、卒業して五、六年もたてば妻帯もせねばならぬということをあわせ考えると、その後妻帯して一年か二年して赤ちゃんができるということになると、容易じゃないですよ。だから、そういう点を今度検討していただきたい。  それと、これは話は違うのですが、お願いが主になって所見を伺うわけですが、大臣文部大臣になって日が浅いわけですが、ともかく、文教関係者、現場の教育に携わっている先生方、その団体では日本教職員組合ですね、それと、教育行政府である文部省、その頂点である文部大臣、この間がしょっちゅういざこざして、平たい言葉で言えばいがみ合っているということは、僕は悲劇だと思うのですがね。日本の教育のためにも僕はあまり好ましくないなにだと思うのですよ。これはいろいろ深い理由があろうかと思うのですが、あなたの前任者の灘尾さんも非常に優秀な人で、信念に基いてやられたようですが、非常に対立を起した灘尾さんの時代、大達さんの時代でも、何となく金属的な響きがしなかったとは断定できないのじゃないか。そういう点も若干私は原因としてあるのじゃないかと思うのですが、今後橋本国務大臣はずっと大部大臣としてお勤めになるのでしょうが、相手のあることではあると申しながら、やっぱり日本の文教の府である文部大臣以下文部省の公務員の方々と、第一線で教育を担当されている先生方とが、きわめて親密に意見の交換等ができるような雰囲気になるということが、私は日本の文教の進展のためにも望ましい姿じゃないかと思うので、そういう点について文部大臣に私は格別に配慮していただきたいと思うのですが、それに対する御所見を承わって私の質問をきょうのところは終りたいと思います。
  216. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 前段の育英資金の問題につきましては、これは私申すに及ばぬと思って言わなかったのでありますが、中央教育審議会の答申の趣旨をできるだけ生かすつもりで具体化をはかる、その検討中だというつもりでございます。ただ、問題がなかなか私も拝見しましてなまなましい問題でありまして、どの一つをとってみても相当の決心の要ることでございまするので、今のところ、どうするという結論をちょっとお待ち願いたいと申した次第でございます。  それから、後段の教育界の問題につきましては、もうお説全く同感でございまして、私も円滑に処理をいたして参りたいと考えております。ただ、私は、その際に、どうもやはり戦後みんなが新しい制度に習熟しないままに非常にごたごたしてきたと思うのですが、何といっても、やはり待遇問題を主体とした組合運動と、それからほんとうに国家国民の将来、子供の仕合せ、社会の仕合せというもののために考えるべき純粋な教育の内容の問題というのとが、いろいろな意味における戦術的なからみ合いみたいなものがあるのは、私は率直に言って非常に不幸だと思うんです。私は、概括的な方針から申しますと待遇問題を主体にした組合運動というものは、これはまあ好きな人もきらいな人もいるかもしれませんけれども、これは当然な話なんで、やはりそれはそれで当然な相手に対して主張もするし耳を傾けていく。それからもう一つ、教育方針の問題、つまり、文部大臣が指導助言を行い、教育委員会が実施をするという問題につきましては、私はやはりそうした制度を運用するに当って、文部大臣も教育委員会も、憲法、教育基本法の精神を十分くんで参らなければなりませんけれども、その精神をくんで学者等にも相談をしながら出てきた問題については、これはやはり一応教職員の諸君はその面については順法をしてそれを実施に移しながら、つまり、実施の過程でもう反対しちまうというような、とでなしに、実施には移しながら同時に、一番関心も深く、それからまた知識もある先生の方で平素やはり研究をされて意見を述べられる。で、その述べられた意見というものが集約をされて、やはり文部大臣の指導助言援助の内容の向上になり、教育委員会における教育の実施の内容になるという、何といいますか、何もかも一緒になっているような状態から、おのずから節度をもって、あの話とこの話というのを落ちついて分けて話し合うような雰囲気なり、しきたりなりというものが私は大事だと思っておる次第でございまして、憲法や教育基本法の精神を体しながら、そうしたつもりでせいぜい良心的に努力もし、また、現場との接触もすべてはかって参りたいと考えておりまするし、文部省の役人にもそういう方向で指針を授けて参りたいと考えております。
  217. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう質問しませんが、文部大臣の今の発言についてはディスカッスしたい点がたくさんあるんですが、時間がないからやめますが、やっぱり認識に僕の立場から見るならば不十分な点、足らない点があると思います。そういう認識ではやっぱり解決できないものがあると思うんですが、ディスカッスしたいんですが、時間がないから他日に譲りますけれども、せいぜい御研究配慮をしていただきたいことを要望しておきます。    〔副主席退席、主査着席〕
  218. 市川房枝

    ○市川房枝君 文部大臣、それから緒方大学学術局長、福田社会教育局長にお伺いしたいと思います。おそくなりまして皆さんへんお疲れでしょうけれども、私はどうせしろうとでございますし、きわめて常識的なことしかお伺いしませんから、どうぞお楽な気持で一つ……。
  219. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) 市川委員に申し上げますが、御遠慮要りません。けさ政府委員出席がおそかったために開会がおくれてこうなっているんですから、御遠慮なくただしたい点はおただし願います。
  220. 市川房枝

    ○市川房枝君 大体六時ちょっと過ぎくらいで終るようにしたいと思っております。  大臣にお伺いしたいのでございますが、行政庁の中で特に婦人や子供を対象とした部署、あるいは婦人の職員が適当だと思われますような部署には、きわめて少数でございますけれども婦人の局長または課長が任命されております。ところが文部行政では、社会教育その他で非常に婦人に関係が深いのでありますけれども、婦人の課長が一人もいないのでございます。前にいたことがありますけれども、おやめになって実はそのままになっておるんです。大臣は、文部省に婦人課長を任命しようというようなおつもりがございませんかどうか、その文部省には社会教育局その他の局でも、相当優秀な婦人の方が、相当長い間勤めておられることを、私よく承知しておるのでございますが、そういう方たちの地位がまあ向上しないといいますか、お気の毒と、いうような気もするのでございます。労働省、厚生省、それから農林省なんかには御承知通りに婦人の局長なり課長がおりますが、文部省だけが婦人関係のことを扱いながら、婦人のそういう人がいないということは、何だか文部省がほかの省と比べて、少し封建的だというような、その感じもしないでもないのですが、大臣のそういったことについての御意見を伺いたいと思います。
  221. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) まあ、ごく一般的な問題としては、それはほんとうに婦人のお偉い方々が、ますます出られまして、課長と言わず大臣でも次官でもやっていただくのは非常にいいことでありますが、それよりもむしろ今のお話の問題は、そういうことよりも、無理してでも婦人を登用したらどうだという御意見だと思います。私も実はそう思います。で、ただ私は、これには文部省のやり方というよりは、文部省を取り巻く雰囲気というのが、これは厚生行政なんかやっておったときと違うんじゃないかと最近感じるのでありますが、実は私、まあ秩父宮様の妃殿下と一緒に、この秩父宮殿下の記念の体育協会関係の会合に出たことがあるのでございます。あれだけ婦人のスポーツというものが盛んで、水泳でも陸上競技でも半分は女だというのに、何と驚いたことには二百人ばかり集まって、スポーツ界の代表者というのが集まっている中で、女は秩父宮様の妃殿下がただ一人で、あとから二人ばかり入ってきたというので、私は実は文部大臣になって初めての会合だったんですが、スポーツの関係からいって、半分くらい女がいるかと思ったら、だれもいないところへ妃殿下だけいらっしゃって、心強いという皮肉かたがた言ったのでありますが、割合に何と申しますか、その文部省関係いたしまする団体、それ自体の中でも非常に不思議だと思うことでありますが、割合に婦人を押し立てる雰囲気が、どうもほかで私が婦人関係に触れたところより少いように思うのであります。それだけに、多少意識的に考えませんと、つまりスポーツの代表者の会議をやってみると、二百人も集まりながら女の代表者が入っておらなかった、入れてくれとも言わないそうで、しごく円満だそうです。そういう点から言ってみても、学校教育面なんかでも婦人の校長先生なんかおられるのでありますが、何かやはり代表的な会合等にその婦人の先生方が出ているか。お出ましになっておられないような状態であります。比較的どうも文部省をめぐる諸般の雰囲気においては、関係の御婦人の方が表へあまり出ようとはなさらない、また出さないでももんちゃくが起らぬような雰囲気にあるのじゃないかと私は思いまして、厚生省の所管の団体などではなかなかどうも、山高先生、市川先生を初めとして、なかなかそれではおさまらないので、ちょっとそぐわない感じを持っているのでありますが、それだけに私はもう少し文部省の中で、あるいは文部省関係する団体の中でも、役員的な地位に婦人を出したらどうか、ということを最近感じておりますので、具体的にどうなるか、いろいろ事情もあると思いますけれども、ただいまお話のございました点は、ほっておくというより、むしろ意識的に考えてみたいと思います。
  222. 市川房枝

    ○市川房枝君 大臣がそういうふうにお気づきになっていらっしゃって下されば大へんありがたいと思うのですが、ほかの役所もずいぶん私伺うのですけれども、どうもお話のように、文部省というお役所といいますか、そこを取り巻く雰囲気というのがどうも封建的というか、婦人に対して理解が少いみたいな感じがします。そう申し上げると少し惑いですけれども、しかし、そういう空気の中で女子教育をやってもらうというか、あるいは婦人に対する社会教育というような重要なことを扱って下さるのじゃ、その教育はやはりうしろ向きにいくことになるのじゃないかと非常に心配なんでございますが、これは一つ大臣がそういう点にお気づきいただければまことにありがたいので、何とか一つ女の人たちがもう少し気持よくというか、足の向くようにといいますか、婦人に対してもう少し理解を持っていただくようにしていただきたい。それには今お話しのように、婦人のだれかそういうふうな課長なり何なりという人がもう少しできますと、私は空気がよほど変ってくると思いますから、何とか一つ大臣おいでになる間に実現をしていただきたいとお願い申し上げます。まあ、そういうためには、ほんとうは文部省の職員の中に婦人を少し採用していただかないといけないわけなんですが、予算書拝見しますと、行政職俸給表一の適用を受けている者というので、そこにずっと書いてありますが、それを勘定しますと約千十五人おいでになりますが、ここの中に一体女の人が何人おりますか。いわゆる官庁への上級職の試験をこのごろ女の人だいぶ受けておりまして、相当毎年合格者が多くなってきております。そういう人たちが中央の官庁に就職するわけですが、どうも女の人で試験が受かりながら採用されないというのも少しあるわけでございます。ですから、そういう男の人たちと同じ試験を受けて、そうして官吏としてやろうという人がとにかく相当おりますから、そういうのを採用していただきますと、だんだんそういうのが育っていくわけでありますから、人数どのくらいおりますかおわかりになっておりますか、女がその千十五人の中で。これ、あとの方でもいいのですが、大体でよろしゅうございます。
  223. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) ただいま概数もわかりませんので、後ほど調べましてお答え申し上げます。
  224. 市川房枝

    ○市川房枝君 先ほどちょっと大臣が女の校長のことにお触れになりましたが、現在婦人の、公立小学校長は、これは男子が二万一千六百八十名おありになる。女子の校長は九十七名でございます。それから公立中学校の校長で、男の方は一万六百五十九名、女の校長は四名でございます。小中学校合せて百一名という数字になっておりまして、私はこの数字は多分少し減ってきているのじゃないかと思います。それで、小中学校の先生の総数の中で女子教員の占める割合というのは、御承知通り約半数は婦人なんです。それでいながら、校長には非常にこんなに数が少いということは、一体どういう理由になりますか、ついこの間、中小学校の校長の女の先生たちの大会が東京でございまして、私ちょっと傍聴に参りました。大臣はお差しつかえで、国会の方で、おいでになりませんでしたけれども、緒方局長さんがおいでになりましたから、よく御存じだろうと思いますが、アメリカなんかでは小学校の校長というのはほとんど婦人でございます。いわゆるハイスクールでは女の校長が半数ぐらいじゃないかと思うのですが、一番、校長の職なんかは私は男と女とそう違いない。婦人の人でも十分校長ができると思うのであります。しかし、できるためにはいきなり校長になれないでしょうから、まあ教頭といいますか、首席といいますかに婦人がまずなって、それから校長へいくという段階になるのですが、最近の状況で見ますと、女の先生、少し長く勤めますと、もう四十とか三十幾つかで、停年でもないでしようけれども、退職を勧告されますので、やめなくちゃならない。そうすると、いわゆる校長の候補者というのも実はなくなってしまうというような事情もあるかと思うのですが、婦人の校長というものについて、将来それをふやそうとして下さるかどうか、その校長についての、一つ大臣から御意見を伺いまして、あとちょうどそのときに御出席になりました局長から、そしてその会ではいろいろ校長先生たちが悩みをおっしゃっているはずでございます。実はそれも聞きに行きたかったのですが、何かそれは傍聴禁止というので、私は秘書をやりましたら追い出されちゃいまして、実は聞けなかったのですが、局長はお聞きになっているかもしれませんから、そのときの模様といいますか、局長の、これは直接の御関係でございますわね。局長御自身はこの問題についてどう考えていて下さるか。  まず、大臣に伺いたいと思います。
  225. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) ただいまお話のあった問題でございますが、これは私は少し、先ほどのお話のありました文部省の中に、課長あたりに婦人をおいたらどうだという話と、ちょっと考えを変えておりますが、私は文部省の中などはやはりお説のございました女子の教育という点からいっても、女子の体育といった点からいっても、あるいは一般社会教育という面からいきましても、むしろ並べると男の適任者が多いところでも、ある程度やはり婦人の校長というようなものを登用するように骨を折っていく必要があると私は思うのであります。ただ、学校の校長先生というような場合には、やはり婦人だから校長にしないというようなのもいけませんし、それから何か婦人の校長をもう少しとらなければいかんからふやそうというようなのもやはり少しおかしいので、これは校長先生というふうなことになれば、婦人であろうが男子であろうが、適任の方方を選ぶ。むしろ旧来の慣習からいってりっぱな方が多いにもかかわらず婦人だからばかにしてしないといったような風潮はなるべくなくすように骨を折って参りたいと思いますが、やはり特に婦人を意識してふやすといったようなのも筋ではございませんので、男でも女でも適任の方を選ぶという方針でいく方が筋であろうかと考えております。
  226. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 市川先生からいろいろお話を伺いまして、実はこの間、小学校、中学校の校長先生たちの研修会がございました。先生も御出席になって、よくお聞きになっていらっしゃると思います。その二日目の日に仲間同士だけでお話し合いしたいというので、実は私どもも――私は遠慮したのですけれども、あるいは入っておった方もあるかもしれませんが、二日目の午前中の会議だけを仲間同士でされたようでございます。私、昼から参りましたので昼以後のことは存じておりますけれども、仲間だけの話は私もよく聞いておりませんでした。しかし、午前中あるいは午後を通じて先生方の悩みについては十分伺いまして、どういうふうにしてあげたらいいのか、私どもいろいろと考えさせられたのでございます。率直に申しまして、今お話のように、欧米では大体初等教育は婦人がやっているのが現状でございます。従って校長さんもその率に比例して婦人校長が圧倒的に多いというのが状現でございまして、大体七、八割ないし半分ぐらいが婦人校長のようでございます。しかし、中等教育になりますと、ちょっと事情が変ります。初等教育は今申しましたように大体婦人がやる。ただ日本の場合には、現在まで婦人の教員の社会的進出というものがそれほど目ざましくなかったし、むしろ婦人が結婚までの場つなぎに先生をしているという方も相当多かったと思います。結婚されればおやめになるというような点、生涯婦人の方で教育に身をささげるということはむしろ少かったのではなかろうか、そういうような観点もあったせいか、婦人の校長というものは戦前はほとんどなかったのであります。もちろん私立学校や幼稚園ま例外でございます。小中学校の場合に非常に少かった。今日小中合せて百数人というものが出て参りましたことは、私非常にけっこうだと思います。特に女子教師が小中合せて十八万、四割が婦人の先生方でございますので、婦人の先生方でも行政官としての手腕、力量のある方はこれはぜひなっていただきたいと思います。ただ、今までの訓練が、そういう行政官的な訓練が婦人教師に比較的少かったと思う。また、そういう機会に恵まれなかったと思う。経過的にはいろいろと欠陥があったと思いますが、今後はなかなかりっぱな校長先生もいらっしゃいますので、この間の校長会に私も二日出席さしていただきまして、いろいろお話も承わり、また私ども考え方も率直に申し上げました。いろいろと伺ってみますと、ほんとうにりっぱな婦人校長さんが多いので驚きました。そういうりっぱな方が今後たくさん出ていただいて、日本の教育界のために御尽力いただくことはありがたいと思っております。
  227. 市川房枝

    ○市川房枝君 今、橋本大臣から女男の区別なしに適任者をするのだというお話がございました。これはごもっともでございます。ただ、そういうことになりますと、女が落ちてしまう場合が現状ではありますし、やはりまだまだ何といっても封建的な考え方がありますから、女の校長はいやだというような地域の声もあったりして、やはり女の人がなりにくいという場合が相当あります。あるいはまあ、男の校長さんとの一種の競争もありまして、これはある私の知っておるところでございますが、日教組といいますか、組合の方でもあまり女の校長を出すことを賛成をなさらないということなんかもありまして、女の校長の進出しにくい事情があるのでございます。今お話のように、私も傍聴していて感心しました。やはり校長という一つの学校行政というものの責任を分担しておられますと、やはり普通の先生とは違って、少し視野も広いし、なかなかしっかりしておられます。だから、やはり女は、今までそういう場にいなかったものですから、訓練を受けていませんから、それはまあ課長のような行政官にしても学校の校長にしても、なかなか初めはすぐそうなれないのですけれども、しかし、その責任の地位において少しはたから指導していただけばちゃんとできるのだ。やはりチャンスを与えなければ伸びないのでございますから、女の校長になることは、私は子供たちのためというか、日本の教育のためにも必要だと思いますので、さっき大臣が男女平等で適任者を出すのだとおっしゃると、これは出られないのですよ。ですから、そういうのも引き出して、押し出してというか、というふうなお気持で一つ育てていただきたい、こう思うわけです。
  228. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私、実は初めに体育協会の例を引いたのも、そういう趣旨で申し上げたのであります。文部省自身としても考えなければならぬ点もありますけれども、文教行政の関与する面で、女がみずから割合に主張をしないようでありまして、そうすると、やはり出る機会自身が少くなるわけであります。私はその後スポーツ以外のほかの面でも始終感じておるのでありますが、スポーツなんかでも半分を水泳は女がやりながら、水泳連盟の幹部あたりに女を推そうともしないし、推されても女が出て役員をやろうともしない。そうすると、結局役員はみんな男で、女はよろしくお願いしますと男にぶら下るばかりで、ぶら下っていながら、立てろというようなお話は、そのままではやはり受け取りかねる部分が出てくるわけでございます。どうか一つ文部省もせいぜい婦人を尊重するつもりでありますが、婦人の方も男にぶら下ってばかりいないで、自分の責任というものを感じてやっていただきたい。学校教育の面でもそういう面が多分にあると思うのです。婦人教員というものは四割もいながら、婦人の校長がこれだけしかいないというのは、平素、たとえば、何か学校でいろいろやらなければ――たとえば、研究材料を整備する問題でありまするとか、あるいは部落の人と折衝をしてその何かの費用を求める問題でありまするとか、皆女の先生は逃げてしまって、男の先生よろしくお願いするというようなことは、結局上に立つのは男ばかりというふうになると思いますので、せいぜい婦人の芽を伸ばすように努力はいたしまするけれども、しかし、校長というような大事な責任の地位にありますると、お情の人事はこれはいたしかねますので、これはやはり婦人みずからがだんだんに伸びていかれながら、またこれはもう社会で女をばかにしたり、むやみに毛ぎらいをする空気のあることはよく存じておりますから、そういうふうな不当な妨害は排除するように十分心がけますけれども、最終的にはやはり校長のような責任の地位は、これはお情ではいたしかねる。これはあくまでも、男であろうと女であろうと、衆望をになって力量のある人になっていただくというふうに御了解を願いたいと思います。
  229. 市川房枝

    ○市川房枝君 お情でしていただかなくてもいいのですけれども、ただ、今大臣お話の中で、やはり私たち女の立場からいいますと、やはり女にまかしていただけないのだという気がするのです。というのは、女は要求をしない、逃げてしまう、だからだめなんだと、そのだめな分もありますけれども、女が要求しないということを、ほんとうに女が要求しないかどうかということは……。しているのです。しているのですけれども、それを見せないのです。それが日本の女としての、今までそういう教育を受けてきたのですから。ですから、やっぱり要求しなくてもそこは、女は要求しているんだということを見て下さらなければ、やはりほんとうの女はわかつていただけないと思いますが、これはしかし、申し上げる方が無理かもしれませんけれども……。そうして女の中に、そういうふうにみんな相当に伸びておりますから、やれるんですけれども、押し分けていきますと憎まれますから、それだからみんな遠慮していると思うんです。
  230. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) 文部大臣答弁、ちょっと冒頭の答弁と、具体的問題になった答弁と承わっていると、変ってきているように思いますが、本心のあるところを一つお答え願いたいと思います。
  231. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私は婦人をできるだけ伸ばしていきたいと思っております。ただ、私の方で婦人を伸ばしていきたいと思っておりまするだけに、どうか一つ婦人の方でもぜひ伸びる努力をしながら受け、取りやすいような態勢を作っていっていただきたいということでございます。  それから、校長先生の問題につきましては、これはもう婦人が四割もおるのですから、そのバランスのとれるだけに婦人が出るのも私は当然だと思いまするけれども、非常に大事な問題でありまするだけに、婦人のそういうような立場も考えながら、伸ばしていくような誘導的な立場は腹に入れながら、これはもうえこひいきせずに、ほんとうに公正な人事が行われると、その間に婦人を伸ばすのは十分腹には心がけております。まあ、そういうところでございます。
  232. 市川房枝

    ○市川房枝君 せんだって新聞で、文部省は終戦後の女子教育の再検討をするということが新聞に出ておりまして、それでそれに対する反響といいますか、新聞なんかの投書欄にもその他でも、すぐまた昔の女子教育に戻すんじゃないか、だから男女共学でずっときておりますけれども、あるいは教科の内容も同等のものを教育されてきたのですけれども、また戦争前のように男女別に、そうして婦人はもう少し程度の低いものをする、あるいは家庭的な科目を主にして、あまり女が利口にならならような教育を行うんじゃないかというふうな心配を実はしておるのです。そんな心配しなくてもいいとおっしゃっても、実はそういう心配をするところに問題があると思うのです、これはどういう方針でなさいますか。あるいはその調査の予算というのはどこに入っておりますか。ちょっと私見たのですが、見つからないのですが。
  233. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 再検討をするというようなつもりはございません。まあ、基本的な方針から申しますれば、これはもう男と女とでいろいろな役割の違う点もございまするから、気質も違ってはおりまするけれども、これはもう総体的に申しまして女がばかで男が仕合せなはずはないので、男女の賢さというものは、同じようにやはり賢さを持つということが女にとっても男にとっても仕合せなわけでありますから、教育の基本の方針は一つも変っておりません。先般何かそういうような疑いを起させるような新聞記事が出たそうでありますが、これは女子教育もいろいろな機関が、団体がたくさんでさましたり、あるいは高等学校、中学校ができましたりしておりまするので、一体この辺まで来ましたところで、女子教育の実態がどの程度に行われているのか、教育の内容でありまするとか方向でありまするとか学校の方針でありまするとか、やっぱり父兄の要求でありまするとか、そういう面を実態的に調査をしてみようということだけでありまして、女子教育を再検討するとかあるいは女はなるべく教育をしないようにするということじゃございません。むしろ、女子教育というものは形の上では非常に伸びて参りましたので、このままほうったらかしておくか、何とかさらに整備でもするか、教育方針についてのアドヴァイスをするかというような面についても、特別の今考えは持ちませんけれども、しかし、少くともやはりどんなことになっているのか、内容及びそれに対する一般の要求といったようなものを調べたいというふうな考え方でおりまするのが、何か間違って記事に出たのだそうであります。  予算等につきましては、局長の方から答弁いたさせます。
  234. 北岡健二

    政府委員(北岡健二君) 女子教育の問題について調査いたそうという趣旨は、だいま大臣から申し上げました通りでございます。調査局の方の一般調査の計画の中に入れてございまして、大体の考え方は女子中学校、高等学校、それから短期大学、大学等につきまして、女子教育をやっておられる場合の学校側のお考え、見解でございます。それから父兄等の見解、それから一般社会の女子教育に対していろいろ要請があるわけでございます。就職者を採用する側の要請とかそういうようなものの要請、それから受けている学生生徒たちの考え方というふうなものについて、実はほとんど調査がないのでございます。外国にもそういう調査がございませんし、また日本でも特殊に婦人教育あるいは女子教育だけについて研究された研究成果というものもございません。そういう、非常に広い意味で、現状把握するというふうなつもりで、規模としては非常に小さな調査でございますけれども、一わたり全部にわたって、ただいま申しましたような女子教育の現状把握し、これに対する要請がどの程度満たされており、あるいはどのような御注文があるか、それぞれ違うのじゃないかと思いまして、たとえば、洋裁をやっている学校について言うと、ある人たちはもっと高いものをほしいと、こうおっしゃる人もあるだろうし、現在の程度でいいのだというお考えの人もいるだろう、そういうものを知っておきたいというのが考えでございまして、したがいまして、調査局の調査でございますから、特別の意図というよりも、一般的なそういうプラス、マイナス全部ひっくるめた材料を整理するというのがねらいでございます。
  235. 市川房枝

    ○市川房枝君 調査をして下さることはけっこうです。ただ、その調査の意図が新聞に伝えられるようなことであっては困るし、また調査の結果がそういう方向に導かれるのだと困ると思いますが、これはさっき大臣もおっしゃいましたように、終戦後とにかく女は教育のおかげで相当伸びて参りましたので、それをまた芽をつんで、もとへということは、これは実はなさろうとして不可能だと思いますけれども、しかし、そうなっては困ると思いまして、幾らか心配をしていたわけでございます。  次には、文部省の方では今度良書認定制度といいますか、青少年のために良書の認定をなさる、委員会をこしらえてなさるということが新聞に出ておりましたが、それでこれに対しては「子供を守る会」その他いろいろな団体から、一種の思想統制になる、図書の検閲制度につながるものであるということで、だいぶ反対がありましたようですが、また出版社側は推薦されたい、そうすれば、本が売れるわけでありますから、そのために審査委員の方へ働きかけ、そこで汚職なんかも起りかねないといいますか、そういうようなことで出版社側も皆反対しているそうです。これはつい二、三日前の新聞に出ておりました。そういう反対がありますのに、文部省としてはそういうものをお作りになる法的根拠はどこにあるのか、どういうお考えですか。
  236. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私はどうも本が好きでして、ことに子供の本が好きで自分で読んだりしますので、本屋によく参りますが、今日の本を何ぼ自由人でもほったらかしにして何もしないというのが一番いい文部行政だとは心から思っておりません。そういう意見を聞くと心中怒りを感じますが、あんなひどい本をほうっておく気かということでございます。あまりひどいものは刑事罰として刑法の手段があるわけです。御承知のように、刑法でわいせつとかなんとかいうのは、よほどのわいせつな話であって、これはむやみやたらと刑法の取締りで出版取締りをやられちゃならぬのでありますが、しかし、およそ刑法できめます最小限度の社会倫理の維持という限度でおとなの世界はよろしいと思いますけれども子供の世界までいいとは思っておらないのであります。で、これは私が思っていないだけでなくて、社会も実は思っておらないわけでありまして、そういう御要望が非常にあるわけであります。ただ今日、出版法とか新聞紙法というものがあるわけでもございませんので、どんなにひどいものでも、こんなものは子供の目に触れさせたくないというものがほんとうに書店の表にはんらんしておりますけれども、これの排除ができない、そこでせめてもの形といたしましては、文部省として、ちょうど映画についていろいろな方々にお集まりを願って推薦というのをやっておりまするように、本につきましても、少くともこういう本は読んで間違いのないいい本だということを、文部省の方で識者に読んでいただいて推奨をするというふうなことが、これは積極的に読ませたくない本を排除する権力は持ちませんけれども、やはりそれが今日の何といいますか、出版倫理の乱れている中におけるせめてものやはり青少年対策としてまじめに考えなくちゃならぬことじゃないかということで、これも役人がやっちゃならぬことでありますので、世の識者の方々にお願いしてお読み願って、これはいい本だというふうなものについて御意見の御発表を願う、それを文部省推薦というような形で、文部省が中に立って発表すると、こういう方法をとっているわけでありまして、私は、もちろんこれで出版統制ができるものでもありませんし、するつもりもございませんししますけれども、私はやはり映画についてやっておりまする優良映画の推薦制度と同じように、児童の読みものについて、私はこの程度のことはやった方がいいと思っておるのでございますが、実際の運用に当っては、これは十分立ち入ることがないように、またお読みを願う先生方の選び方についても十分心して参るつもりでございます。
  237. 福田繁

    政府委員(福田繁君) ただいま大臣から御答弁になりました通りでございますが、この問題につきましては、私どもも十分慎重に扱いたいと思って、現在、委員会を構成しまして、やり方等については研究いたしておりす。ただ、ただいま大臣からお述べになりましたように、最近青少年の不良化傾向、あるいは特に青少年犯罪の激増というような観点からいたしますと、いろいろな影響があると思いますが、やはり図書などのいろいろな、そういった小さな子供に対する影響というものもかなり強いものがございますので、そういった観点からいたしまして、映画に対して選定をいたしておりますと同様な趣旨で図書についても、ある程度父兄あるいは社会教育関係の指導者が、子供に対しまして読書指導の一環として一つの材料を得たい、こういうような趣旨から読書指導の材料を地方の社会教育関係者に提供する、こういうような趣旨で選定をいたしたいと考えております。従って、もちろんそういう思想統制というような問題に私どもはならないように気をつけなければならぬと思っておりますが、もちろんそういう程度のものでありますので、そういう思想統制の関係はないと私は考えておりますが、また先ほどお述べになりましたような中で、書籍出版協会の関係でございますか、そういった関係にもいろいろ私どもは話をいたしておりますけれども、私の承知いたしております範囲では、大部分の方がこれについては賛意を表しておるものと私は考えております。一部の「子供を守る会」等におきましては、お話のように反対の声をあげているやに聞いておりますが、必ずしもそういった出版関係の方々がこれに反対しているというふうに私は受け取っていないのでございます。従って、私どもは慎重に配慮いたしまして、これを実施したいと考えておりますが、先ほど、根拠のお尋ねがございましたのでお答え申し上げますが、文部省組織令の中に「社会教育としての読書指導に関し、援助と助言を与えること。」ができるというような規定が従来からございまして、こういう読書指導の一環として、そういうことをやることは差しつかえないというふうに解釈いたしておるわけでございます。
  238. 市川房枝

    ○市川房枝君 青少年の不良化といいますか、それの原因として読みものが相当影響しているということは私も認めますし、実は心配しております。心配しておりますが、文部省が、といいますか、役所がそういうことを取り上げないで、すでに民間で、方々でそういう良書推薦のようなことをばやっているようでございます。私は、むしろ民間が推進するような方向に持っていただく方がいいのではないか。映画のお話が出ていましたが、映画でそういう似たような方法が行われていることは私も承知しております。承知しておりますが、その映画で実は問題がしばしばあるようでございまして、やはりその委員会はいいといっても、支部省がそれをいけない、こういうことでパスしなかったというような例が幾つかあって、それが問題となっているようであります。それは、子供の読みものは、そう思想問題に関係がないといえば言えるかもしれませんが、しかし、やはり役所がおやりになるということになりますと、そういうふうに思われるという心配がありますので、実はあまりそういう行き方は私は望ましくない。そういう方法でなくて、読書指導といいますか、青少年にいい書物を読ませるような方法を考えていただいて、やっていただきたいと、こう私は思うのでありますが、それからまあ出版業者はみんなほとんど賛成だというお話ですが、これは私、出版協会の幾人かからこの問題についての陳情とでも申しますか、受けましたので、そう申し上げましたので、これはなお私も調べてみたいと思っております。  次は、この社会教育に関する予算でありますが、まあここに社会教育助成費と、それから社会教育特別助成費と、二つありますが、この助成費の方は目並びにその目の細分までだいぶ出ております。しかし、その社会教育特別助成費は何にも目が出ておりませんが、この五千七百六十一万円ですか、それは一体内容はどういうものになっておりましょうか。伺いたいと思います。
  239. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これは、社会教育特別助成費の方は、従来からこういう形で特にこの社会教育の振興のために青少年の特別助成に対して、いろいろ必要な事業にそのつど大蔵省と協議して使うというような建前になっておりますので、予算書の中には具体的に上っておりませんが、大体従来の例によって見ますと、社会教育関係の指導者の養成だとか、あるいは社会通信教育の振興の経費だとか、あるいはまた、地方に対する巡回文庫に必要な経費だとか、あるいは地方に演劇、音楽等を普及する経費だとか、そういうものを含んでおります。なおまた、そのほかに、青少年指導者を海外に派遣するような場合におきましては、あらかじめ予定できないようなものもございますので、そういった場合に、こういった特別助成費の中から助成をいたしております。そのほかには、また、教育映画、あるいは録音教材といったようなものを地方の府県教育委員会、あるいは公民館等に無償で配付するというような経費もこの中に含んでおります。なお、そういった経費だけでなく、従来から婦人学級の開設に要する経費というものもこの中に含んでおります。従って、三十四年度におきましても、大体そういった従来からの経費を踏襲しながら事業を進めて参りたいと考えております。
  240. 市川房枝

    ○市川房枝君 この社会教育費は、まあ社会教育については、私、昨年の今ごろの予算委員会で、実は当時の松永文部大臣と福田局長と、いろいろ伺ったのでありますが、あのとき松永文部大臣に対して、社会教育についてどうお考えになっておりますかと伺いましたところが、その社会教育は学校教育よりもより以上重大だと思っていると、文部省としてはできるだけ社会教育の振興に努力をしたいと、まあこういうような御意見がありましたが、まあ予算の上で、最近社会教育はあまり金がふえていないみたい、まあこまかい数字はあれですけれども、社会教育にはほんとうはもっと金を使っていただきたいと思うのでありますが、どうも少いように思われるんですけれども、いかがですか、局長のこの社会教育関係予算についての御意見は。
  241. 福田繁

    政府委員(福田繁君) おっしゃるように、たしか昨年の予算分科会におきましても、松永文部大臣から社会教育について大いに力を入れたいという意味の御発言があったように私も記憶いたしておりますが、私どもといたしましては、学校教育と相並んで、非常に重要な社会教育の面でございますので、従来からいろいろ必要な経費を要求いたしまして、できるだけこの経費の充実にも努めたいと、こういうように考えております。今、社会教育費が少いとおっしゃいましたが、三十三年度予算額は、私の方の局に関しまする関係は二億五千万円強でございますので、二億五千八百万円くらいになっておりましたが、三十四年度におきましては、青年の家等の建設もございますが、四億五千九百万円というようにふえております。従って、私はまだこれで必ずしも十分とは申し上げられませんけれども、まずまず昨年よりも相当大幅にふえているものだと考えております。
  242. 市川房枝

    ○市川房枝君 大臣は社会教育についてどういうふうにお考えになっておりますか。ことに社会教育については、御承知通りに、いわゆる政党的な偏向の排除といいますか、あるいは官僚統制の排除、言いかえれば自主性と申しますか、それが社会教育法の中の二本の柱として、はっきり法律の中に出ておりますが、そういうような点についての大臣の御意見を伺いたい。
  243. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 学校教育の面についても同じことでありますが、憲法、教育基本法の、あるいは社会教育法の精神に従ってやっていかなければならないことは申すまでもないところであります。ただそういうふうに書いてあるから、何にもしないのが一番安全だというふうなのはいけないのでありまして、私はそうした基本法の精神を保ちながら、これはもう組織もできるだけ強化するがよく、費用も充実するがよく、予算もとるがよくというつもりでおります。戦後、社会教育方面は、やはりいろんな事情でおくれておりまするので、今回の国会にも法律や予算をお願いしているわけでありますが、今後ますます心をいたして参りまして、憲法、教育基本法の精神に従いまして、学校教育と同じく、これらはもうあくまで政治的にも、左右両方からの偏向を避け、ほんとうにいい社会教育というものが行われて参らなければなりませんけれども、そういう節度の上に、やはり社会教育主事その他の人的な充実をはかったり、あるいはまた、指導力の知識の充実向上をはかりましたり、あるいはまた、いろいろな予算等についての充実をはかって参りたいと私は考えておりまして、十分法の精神に従って、節度を守りながら、組織も人も、予算も、できるだけ充実をはかりたいと思っております。
  244. 市川房枝

    ○市川房枝君 社会教育費は、地方交付金の中に入っておりませんか地方の社会教育費の中に。
  245. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これは入っております。たとえば公民館、図書館、博物館、あるいはそういった経費のほか、教育委員会関係の必要経費として地方地方財政計画の中に盛り込まれて、国の予算と同様に重要な部門をなしております。
  246. 市川房枝

    ○市川房枝君 それはほかの土木や何かに使われるようなことはなくて、ちゃんとひもつきで使われておりますか
  247. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これはおっしゃるまでもなく、交付税の建前でありますので、全く他の経費に流用されていないということはこれは保証できませんが、市町村におきまして、そういったことに重要な事業があれは、積算された経費の中でまかなっていくというのが地方のやり方であります。従って、全く流用されていないかと言われると、流用されている場合もあり得るというように言わざるを得ないのであります。
  248. 市川房枝

    ○市川房枝君 今度社会教育法の改正によってと言いますか、参議院で修正されて今衆議院で審議中でございますが、あの法律によって補助金を支給できる、十三条を削除して補助金を出すのだということを参議院の文教委員会あたりでおっしゃっておりましたが、その補助金を出す補助金の予算は、どこに幾らぐらい入っておりますか。
  249. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これは体育関係のものもあると思いますが、私の方の関係といたしましては、先ほど申し上げました特別助成金の中で考えますと、青年指導者の海外派遣のような経費、あるいはまた、青少年活動の助成として、たとえば同和地区等に経費を助成するというような場合、そういう場合と、それからこの四月から大阪の国際芸術祭が実施されるわけでありますが、それに対する助成金として約一千万円、そういうものを含めますと、全体として社会教育関係では約千六百万円ぐらいの経費を計上いたしております。
  250. 市川房枝

    ○市川房枝君 それは今までの補助といいますか、今まで社会教育にお使いになっているものではなくて、新しい社会教育法の十三条削除によって補助金という名目で与えるということですか。今のお話では何かあまり違わないような印象を受けますが。
  251. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 今申し上げましたのは、補助金として出したいという経費でございます。
  252. 市川房枝

    ○市川房枝君 それは今度の法律が成立するということをあらかじめ予定してお考えになって入っておるわけですか。あるいはあれが成立すれば振りかえるのだというお考え方ですか。
  253. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 私どもとしましては、法律が成立するという考え方でこういう予算を要求いたしたわけでございます。
  254. 市川房枝

    ○市川房枝君 つい三、四日前のラジオのニュースで日本PTA全国協議会でありますか、何か道徳教育についての協議会を全国でブロックで何カ所かにやる。それについて文部省が百万円の補助を出す、こういうことが放送されておりましたが、もうそういうお話が始まっておるのですか。
  255. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 私もそういうことをNHKの方に聞かれたのでありますが、私の方の関係するところではありません。従って、何かの誤伝であろうと思いますが、道徳教育を各ブロックでやりたいというような考え方のありますのは、PTAの幹部の一部にそういうことがあったように聞いておりますけれども文部省はそれに対して補助金を出すというようなことも、あるいは補助金を要求されたこともまだございません。従って、私の方の所管の問題ではございませんけれども、おそらく何かの誤伝であろうと考えております。
  256. 市川房枝

    ○市川房枝君 まだ実は法律が成立していないのに、もう補助金云々のことがそういうような形で出るというのは少し早まり過ぎているといいますか、そういうふうな感じを持ったのですが、もう一つ、これは実は私が直接関係があるのですが、禁酒同盟という団体があります。その団体が社会局へ何か補助金をもらいに行ったのだそうであります。ところが、ここに行った名前の中に私の名前が実は入っていたので、それであなたの方に、その事務当局者が、社会教育局へ呼ばれて、一体市川は補助金反対の方の旗頭の一人なんだろうに、こういうところに書いてあるのは一体どういうわけなんだというような御質問があり、これは法律が通ったらまっ先にその補助金をやる、だから一体これはどういう理由だかそれを言え、こういう話があったと私のところに言ってきたのです。それは私の承諾を得ないで書いたらしいのです。私は禁酒同盟の目的そのものには実は賛成していないというのですか、少しぐらいお酒は飲んでもいいという側なのでございます。ですから、禁酒同盟に私は入っていないし、それから禁酒同盟の運動を賛成する立場にはないのですが、ただ酒を飲み過ぎて、そして他人に迷惑をかける、社会に害悪を流す、たとえば犯罪を犯すというようなことに対しては、これは規制すべきだ、そのための法律を作って罰していいのだというような考え方で、禁酒同盟の中で、酒害何とか矯正委員会というのを国会議員の方で作っているといいますか、それに何人か名前を並べておりますが、私もそれは賛成なので、それに名前を出して会合にも実は行ったことがあるのです。そうしたら、その名前を補助金のに書いたのでありまして、私はそれに対して実は怒ったのですが、まあその問題はどうでもいいのですが、ただそういう団体の幾つかが、補助金を文部当局へ、まだ法律が成立していないのにもらいにいく、そしてそれに対して、文部省がまっ先にやるとかやらぬとかいろいろ――これはどこまでがほんとうかもわかりませんが、そういうことがすでにあるということは私は心外だと思うのですが、これはもし法律が通ったら、文部省がだいぶお困りになるほどわんさわんさと押しかけると思うのですが、それだけのお金が一体おありになるのかどうか。今伺ったらあまりお金もなさそうで、これは補助金がもらえるつもりでいたら、何だお金がないじゃないかということでちょっとだまかしたようなことになるのじゃないかと思いますが、これは法律ができるまでは、そういうことはやはり幾らか慎しんでいただくべきものじゃないかと思うのです。補助金をもらいますれば、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律というのがありますが、これは当然適用されるわけですね。
  257. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 当然適用されます。
  258. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) ちょっと市川委員に申し上げますが、質疑は十分尽したいと思います。あなたの御質問も非常に佳境に入ったようですが、今後の所要時間の模様次第では、ここで夕食にしようかと思うのですが、所要時間はどのぐらいでございますか、御遠慮は要りませんが。
  259. 市川房枝

    ○市川房枝君 どうも皆さんに悪いですから……そうですね、あと割合に簡単にしますから、もう十五分ぐらい一つ御勘弁していただきたいと思います。
  260. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) それなら夕食にしませんから。
  261. 市川房枝

    ○市川房枝君 その法律がどういうことで、どういうふうに適用される、手続がどうだというようなことなんかは、一体補助金をもらいたがっております団体なんかにはお話になっておりますか、別にそのことはおっしゃっていないのですか。
  262. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これは話を知らない向きに対しては当然周知徹底させる必要があると思いますが、大体補助金を申請してこられるようなところは、そういった手続等は十分調べておいでになるようでございます。  それからいろいろな団体から、法律が通らないうちに補助金の申請があるようなお言葉でございましたけれども、現在のところ、そういった団体は一つもございません。先ほどお述べになりました市川委員の名前を連ねたのは禁酒同盟だけでございます。
  263. 市川房枝

    ○市川房枝君 補助金がもらえることになりますと、補助金は結局社会教育関係団体がもらうわけですね。
  264. 福田繁

    政府委員(福田繁君) そういうことになります。
  265. 市川房枝

    ○市川房枝君 その社会教育関係団体というのは一体どういう団体か、これは社会教育法に出ておりますけれども、きわめてばく然としておりまして、公けの支配に属せざる団体で主として社会教育を目的としている団体をいう、でしたか、それで、団体の名前を昨年私実はいただくように申し上げて、いただいております。ところが、その社会教育関係団体というのも、これは文部省では、一つの資格といいますか、基準といいますか、そのようなものがあって、はっきりした名簿がおありになるわけではないのですね。年によって違うのですね。それはいかがでしょう。
  266. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 別に全国の社会教育関係団体を残らず網羅したような名簿はございませんけれども、大体私どもは、社会教育法の趣旨なり、あるいは社会教育関係団体でございますれば、税法等の適用の際にいろいろ社会教育関係団体であるかどうかというような判定の問題が起きますので、そういった際に、抽象的ではございますが、団体の判別の基準というものが一応できております。従って、個々の名簿はなくても、全国の団体について、必要があれば、これを社会教育関係団体であるかどうかということは、これは十分研究いたしましてきめるということはできるわけでございます。
  267. 市川房枝

    ○市川房枝君 そうしますと、時によって、文部省のお考え方で、ある団体が時には社会教育団体に入り、ある時には入らない、こういうことがありますね。私がちょっと知り得たのでは、新日本文学会という会がある。これは、現在は中島健蔵さんが会長で、中野重治さんが書記長のようですが、多少進歩的なといいますか、団体のようなんですが、一九五三年に文部省でお出しになりました「社会教育の現状」という本では、その中に、社会教育関係団体としてちゃんと入っている。ところが、このごろは抜けちゃって、入っていない。それから最近は、例の勤評で一般的に知られました教育父母の会というのがあります。この会がどうも社会教育関係団体に入っているらしいというような話もあるのですが、その基準をお持ちになっているなら、その基準を実は伺いたいのですが、何かお刷りになったものでもございましょうか。
  268. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 別に刷ったものはございません。
  269. 市川房枝

    ○市川房枝君 こういうこと、言いますね。私大へん疑り深いかもしれませんけれども文部省が、好きな団体といいますか、作らせるといいますか、そうしてそういうのを社会教育関係団体として、そういうものに補助金をやるというようなこともあり得るのじゃないかということを考えますけれども、かりにも国民税金を渡す場合に、そういう団体としてどの団体がどうということがはっきりしていない、文部省の裁量にまかされているということは、少し不安なんでございますけれども、どうお考えになりますか。
  270. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 時々よって社会教育団体の範囲が違うかのようなお言葉でございますけれども、私どもはそういうふうに考えておりませんので、御指摘になりましたような団体が、たまたまある年の本には入っておって、ある年の本には入っていないということですが、これは調べてみなければわかりませんが、ことさら落したわけでもないかもしれません。やはりその会の目的、性格、あるいは公正なる事業というものによって、社会教育関係団体であるかどうかということがきまってくると思います。これはある程度客観的にきまってきますので、私なら私の個人の主観できめるというわけには参らないものだと私は考えております。従って、そういうものがなくても、これはまた必要があれば、文部省だけで認定するものではありませんし、そう御心配になる必要はなかろうと思っております。
  271. 市川房枝

    ○市川房枝君 今、社会教育局長から社会教育関係団体の基準があるとおっしゃいましたので、その基準とか、あるいは団体の名簿をまた今年の新しいのをいただきたいのですが、これは主査から一つ御要求いただきたいと思います。
  272. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) 局長、これは資料として御提出願うことができますね。
  273. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これは全般のものでなく、大体常識的に社会教育関係団体として考えられます全国的な団体であれば、これは調製いたしまして提出したいと思います。
  274. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) 可能な範囲で、提出して下さい。
  275. 市川房枝

    ○市川房枝君 参議院の今度の社会教育法の修正案では、国または地方公共団体が補助金を社会教育関係団体に与えようと思う場合には、国にあっては社会教育審議会、地方公共団体にあっては社会教育委員の会議の意見を聞いて行わなければならないとなっておりますが、これはどういうように文部省考えておられますか。どういう形でこれは意見をお聞きになるおつもりですか。そういう成案が今おできになっておりますか、どうでしょうか。
  276. 福田繁

    政府委員(福田繁君) その点につきましては、私どもは、法律の条文の通りに補助金の交付に関して、国にありましては社会教育審議会、地方にありましては社会教育委員の会議にあらかじめ意見を聞くと、こういうようになっておりますので、今おっしゃったような、こういう団体に対して補助金を出すことが適当であるかどうか、あるいはその事業が適当であるかどうかということも、補助金の交付に関する問題でありますので、単に補助金問題だけでなく、そういったまあいわば方針というようなものは、これは社会教育審議会にも、あるいは地方にありましては社会教育委員に諮って、公平に適正にまた実施した方がいいではないか、こういうように考えております、  なお、先ほどの御質問に補足いたしますが、私が基準と申しましたのは、文部省で特に基準を持っておるということではなくて、入場税等の減免の場合におきまして、社会教育関係団体の判定基準というものは、これは国税局当局で持っております。従って、その入場税の基本通達というものが大蔵省関係にはあるのであります。それによりますと、社会教育関係団体とはどういうものかという一つの判定基準がありまして、法人であるといなとは問わない、あるいはまた、国または地方公共団体の支配に属しない団体であるというようなこと、それからまた、社会教育法の第二条の規定する社会教育の事業を行うことを主とした目的を有する団体であるというようなこと、あるいはまた、営利を目的としないで、特定の政党その他の政治団体もしくは営利事業を行う者の利害に関する事業を行い、もしくは当該事業に関係し、または公けの選挙に関し特定の候補者を支持しもしくはこれに反対する等の政治活動をしないような団体、あるいはまた、法人でない社団または財団等にありましても、正式な規約等を設けて代表者または管理人がきめられており、かつ事業内容が明らかである等、その性格が判然としていること、なおまた、臨時的に組織された団体でなく、ある程度継続的に社会教育の事業を行う団体である、こういうように、入場税でございますけれども、一応社会教育関係団体であるかどうかという判定の基準には、こういったものを大体考えておるわけであります。従って、従来文部省関係におきましても、こういったことは税法の基準でありますけれども、いわば法律の社会教育関係団体の一つの判定の資料として、こういうものを考えておるわけであります。
  277. 市川房枝

    ○市川房枝君 今お読みになりましたものは、それはどこで作ったものですか。それは法的な何かのものですか。
  278. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これは国税庁で作ったものです。
  279. 市川房枝

    ○市川房枝君 次は、社会教育主事の養成の問題でございますが、これも今度の修正で新しく「社会教育主事の講習は、文部大臣又は文部大臣の委嘱を受けた大学その他の教育機関」が行う、こうなっておりますが、「その他の教育機関」というのはどういうものをおさしになっておりますか。
  280. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これは、たとえば国立のものでありますと、国立教育研究所、それから都道府県等におきましては、地方に教育研究所がありますので、そういった研究所等をさしております。
  281. 市川房枝

    ○市川房枝君 そのほかの法人なんかの設立したものも含めるのでしょうか。
  282. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 法人立のものがあるかどうか、私は承知いたしておりませんが、そういうものは対象に一応考えておりません。
  283. 市川房枝

    ○市川房枝君 前に、文部省はあれですね、国立社会教育学院というか研修所といったものをお建てになる御計画を一応なさって、それに図書館、それから社会教育、それから博物館の、こういったような御計画が一ぺんあったことがあるのですが、そういう機関をお考えになっておりますか。
  284. 福田繁

    政府委員(福田繁君) ただいまのところ、そういう計画を持っておりません。
  285. 市川房枝

    ○市川房枝君 もう一つですが、社会教育主事の転任といいますか、勤務期間の問題といいますか、これも去年私どもやっぱり伺ったわけですが、その社会教育主事として中立を守ってよくやって下さっていた社会教育主事がたくさんおられたのですが、それがどんどんやめさせられ、ほかに転任させられておるというのは、どのくらいの数字になるかということを実は伺ったのですが、別に大してそんなにしょっちゅうかわっていない、こういうお話であったのですが、これも文部省のお出しになりました社会教育の現状というものの一九五七年版を拝見いたしますと、社会教育主事の講習会を終了した者が千九百四十三名いる。その中で現在その職にあるものが四百六十名、こういう数字が出ていたと思いますが、そうすると、これは社会教育主事というものは専門職ではない、しょっちゅうだいぶかわっておいでになるということが、これで出ているような気がしますけれども、いかがですか。
  286. 福田繁

    政府委員(福田繁君) それはその数字をお引きになって、社会教育主事が後退しておるというふうには、私ども考えない次第であります。これは地方におきましては、大学あるいはその他の所で、社会教育主事の講習なりあるいは研修というものをやりました場合に、一応文部省としてはその結果を知っておく必要がありますので、全体の数字をつかんでおりますけれども、現在、御承知のように、都道府県なりあるいは市町村の教育委員会におきましては、そういった職員を新規にふやすということがなかなか困難な事情でございます。従って、特に市町村教育委員会におきましては、任意設置のために、財源措置はありながらなかなか社会教育主事を置かないというのが現状でございます。従って、講習を毎年実施いたします関係上、何人かずつの主事はふえて参ります。しかし、それが必ずしも社会教育主事の仕事をしておるかといいますと、そうではなくて、主事の資格を持っておるが、あるいは公民館の職員であったり、あるいはその他の社会教育関係機関の職員であったり、あるいはまた学校の先生であったり、こういう事情でありますので、今おっしゃったような千何人の講習を受けた者がおりましても、現状は四百人――四百六十人ぐらいの社会教育主事の数でございますので、従って、その他の者は転任というのじゃなくて、他の職業に従事しているということだと私は思っております。
  287. 市川房枝

    ○市川房枝君 さっきちょっと伺いましたことで、ちょっとつけ加えて伺いたいのですが、補助金を社会教育関係団体にお出しになりますときに、社会教育審議会なり、あるいは地方でかけますことについてのさっきいろいろお話がありましたが、そういう手続といいますか、あるいはそれに関する発表といいますか、それをかけて、あれは必ずしも賛成を得なくてもいいんですわね、かけさえすずればいいわけなんですが、しかし、どういう団体をかけたかというふうなことなんかを、そういう規則を文部省でお作りになりますかどうか、その点。
  288. 福田繁

    政府委員(福田繁君) そういう、どういう団体をかけたか、かけるのかというような規則は、作る予定はございません。
  289. 市川房枝

    ○市川房枝君 そうすると、それは秘密になりますか。
  290. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 秘密じゃございません。補助金を出すのでありますから、これはもう決定すれば、世間に周知のことでございます。決して秘密じゃありません。ただ、そういった社会教育関係団体に補助金を出すというような場合にはそういった基本的な方針について審議会にかけるということでありますから、何も秘密のものじゃございません。
  291. 市川房枝

    ○市川房枝君 基本的な方針だけでなくて、個々のをおかけになるのでございましょう。基本的な方針及びその個個のどの団体に幾ら、この団体はこういう団体でというふうなことがかかるわけですね。
  292. 福田繁

    政府委員(福田繁君) そういうものもかかる場合もあると思います。
  293. 市川房枝

    ○市川房枝君 ちょっとはっきりしないのですが、そういうものもかかる場合もあるというのじゃ、それは法律の趣旨とちょっと違うみたいですが。
  294. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私からちょっと。社会教育の団体、たくさんあるわけでございます。それから御承知のように、青年団とか婦人会あたりが、何かの催しものでほしいとか何とかいうものもあるわけで、たくさんの小口、大口いろいろあるわけであります。それから小口のものを考えてみました場合に、そういうようなものを一々かけるというっもりはございません。ですから、たとえば青年団のリクリエーションに必要な経費とか何とか、こういうものは言ってきたら出すという範疇に入れて、もう方針できめてしまうと思いますが、何かよほど特別な場合に、たとえば非常に大きな金額でありますとか何とか、よほど特別な問題であって、あるいは憲法上疑義でも生じやしないかというような問題のあるものもあるかもしれませんし、今はっきりしたことをきめてはおりませんけれども、ただいま局長の申しましたように、なるべく行政手続が繁雑にならないように、一々地方の青年団の体育大会の開催の費用まで審議会にかけて、一々個別にきめるなんということはしないように、出し方の基準というものをなるべくきめておいて、そうして行政官庁が間違いのないように処理をする。しかし、なかなかそういうことであっちゃいけないので、審議会のおきめ下すった趣旨からいっても、個別にこういうものはかけなければならぬという面もあろうかと思います。それははっきりまだ、それじゃ、そういうふうなものかということをきめてはおりませんけれども、そういうふうなものも掲げていきたいと、こういう考え方であります。
  295. 市川房枝

    ○市川房枝君 今、大臣は、地方の青年団のリクリエーション一の金とおっしゃったのですが、それを中央の、審議会とおっしゃいましたけれども、それは地方の教育委員会が社会教育委員の会合にかければいいわけであって、中央の場合は国の補助の場合だけだと思うのですが、しかし、今のお話のようだと、これは私が了解している法律の趣旨と少し違うので、あれはもう金額を書いてないのであって、国及び地方公共団体が補助金を与えようとする場合にはというわけなんですが、一定額以上というふうなあれは書いてないと思うのですが、大きい金とか何か特定の場合しかかけない、あとはもうどんどんやってしまうのだというのでは、これは少し違うように思いますが、そうですが。
  296. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 御修正いただきました法律の趣旨は、必ずしも個別に一々みんなかける。中央審議会と、ちょっとさっき言い違えましたので……。地方で社会教育委員に相談するということなんですが、こういうようなものについて一々個別にみんなかけるという趣旨ではなしに、要するに、今までは予算を出してはいかぬということを書いてあるわけですが、それが変って、本来からいえば、書き方とすれば、「国及び地方公共団体は、社会教育関係団体に対し、補助金を与えることができる」という呼び出しがあって、そうして「右の場合には」ということを書くのでありましょうと思いますが、これはまあ出すということに切りかえになりましたので、両方あわせて出す場合には審議会の意向を聞かなければならない、こういうふうに書いてあるわけです。  意向の聞き方については、もう一々個別的にやらなければならないということもございませんので、私は、中央の審議会の出す分につきましても、定期的に出てくるとか、何かきまりきった内容のものであるとかというふうなものは、なるべく締めくくって、一々委員さんにお集まり願う――補助金をもらう方は、ぐずぐずされちゃあ困るので、審議会を一々役所のように毎日開くわけにもいきませんので、なるべくならば、やはり概括的な方針で御審議を願って、そのワクの中で裁量する。ただし、ものによっては、個別にかけなければ法の趣旨に合わぬというものもあろうかと思っております。これは個々にかけなければいかぬというふうな規定ではございません。
  297. 市川房枝

    ○市川房枝君 まだ納得できないのですが、時間が参りましたので、質問はこれで終ります。
  298. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) 御苦労様でした。  それでは、文部省所管に関する質疑は、本日はこの程度で終了し、残余の質疑は明後二十六日に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  299. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) 御異議がないようですから、さよう決定いたします。  明日は、午前十時開会し、厚生省、労働省所管に関する事項を審議いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十三分散会