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政府委員(緒方
信一君) 今、
大臣が
お答えになりましたところを補足することもございませんけれ
ども、今度の中教審の育英奨学事業に対しまする答申は、御
承知でございましょうが、この事業の目標として三つのものがある、
一つのは、教育の機会均等の実現ということ、二つは、英才の育成、もう
一つは、これに関連しますけれ
ども、人材の確保、こういう三つの観点がある、現在の育英事業にもこの三つの目標があるわけでございますけれ
ども、しかし今後の実施については、この三つの目標にそれぞれ明確に合うような実施
態勢を
考えたらどうかということが答申の
中心になっております。そこで答申で言っておりますことは、教育の機会均等のためには学校教育、つまりこれは高学等校以上でありますけれ
ども、高等学校教育、大学教育を受ける能力のあるというふうに認定された石を対象として、これに対しては学資貸与金を貸しつける、これは従来の育英会でやっております事業もこれは貸付でございますけれ
ども、教育の機会均等のためには学資金の貸与ということを徹底してやる必要があるということが第一点になっております。その場合に貸し付けます金額の問題がございますけれ
ども、学資の足りないところを、その家庭の
経済状況に応じて段階をつけまして、足りない部分だけを貸し付けて行くという
考え方をされております。次に英才の育成でありますけれ
ども、これについては貸付金だけでは十分でないじゃないか、従来不十分であったということは、従来の育英金は全部貸付金でありますから、当然返還をさせなければならぬ、返還能力を
考えなければならぬ、こういうことにはりますと、貸付金の限度がどうしてもあるということでありまして、十分に必要なだけ学資あるいは生活費を保障して、英才に心配なく勉強させるという
態勢になかなかいきにくい、こういうことがありますから、このたびは英才の育成という目標のためには、今の第一の機会均等のための学資貸与の貸与金の上に給費を
考える、これは広く学資あるいはその学業に専念するだけの金額に足りない部分を最高額としては
考えまして、そして学資貸与金で足りない部分は給費として
考えてゆく、こういうことになっております。つまり従来なかった給費の
考え方を英才の育成の場合には
考えていくことが
一つ出ております。それからもう
一つは、人材の確保、これは英才の育成と関連しますけれ
ども、特に大学院段階における研究者の養成ということについては、これも後顧の憂いなく研究が続けられるように、研究奨励金をこれは給費で出す、これも従来は、大学奨学生に対しましても貸費でありましたけれ
ども、今度は給費で出すという
考え方が答申として明確に出ておるわけです。そのほかに教員の確保等につきましても
意見が出ておりますけれ
ども、人材確保の一環としまして、この三つの目標をきめて、それぞれに適切なやり方を
考えていって、これをうまく組み立てて実施すべきだ、そうしてこの実施の際に高等学校と大学と大学院と段階がございますけれ
ども、高等学校の場合にはむしろ何と申しますか、教育の機会均等の方がむしろ
重点である、大学、大学院と進むに従いまして育英の色を出していくというような
考え方になっております。なお、このほかに育英奨学の貸付金あるいは給費のほかに、就学環境の整備と申しますか、大子で学寮を整備するとか、あるいは学生、生徒の生活をまあ金のかからぬように、その面で食堂の整備とか、あるいは医療施設の整備とか、そういうふうな就学環境の整備を同時にはかっていかなければならぬというようなことを、あわせて言われております。そういうふうな答申になっておりますので、
大臣が答えられましたように、これから私
どもこれをやりますにつきましては、いわず法律的な整備も必要でありますし、
予算の財政的な
措置も必要でありますから、十分検討いたしまして具体案を
考えたい、かように思います。