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1959-03-23 第31回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十三日(月曜日)    午後二時十分開会   ————————————— 昭和三十四年三月二十日予算委員長に おいて本分科担当委員を左の通り指名 した。            紅露 みつ君            迫水 久常君            塩見 俊二君            館  哲二君            横山 フク君            吉江 勝保君            坂本  昭君            矢嶋 三義君            平林  剛君            松永 忠二君            田村 文吉君            市川 房枝君   —————————————  出席者は左の通り。    主査      矢嶋 三義君    副主査     塩見 俊二君    委員            紅露 みつ君            館  哲二君            横山 フク君            吉江 勝保君            坂本  昭君            田村 文吉君  政府委員    大蔵政務次官  佐野  廣君    大蔵大臣官房会    計課長     牧野 誠一君    大蔵省主税局長 原  純夫君    国税庁長官   北島 武雄君   説明員    大蔵大臣官房財    務調査官    大月  高君    国税庁税部長 金子 一平君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○正副主査互選昭和三十四年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十四年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十四年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————    〔年長者田村文吉君仮主査となる〕
  2. 田村文吉

    ○仮主査田村文吉君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条によりまして、年長のゆえをもちまして、正副主査選挙を管理させていただきます。  これより正副主査互選を行いますが、互選は、投票によらず、便宜選挙管理者にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田村文吉

    ○仮主査田村文吉君) 御異議ないと認めます。  それでは、主査には矢嶋三義君、副主査には塩見俊二君を指名いたします。    〔矢嶋三義主査席に着く〕
  4. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) ちょっとごあいさつを申し上げます。皆様方の御推薦によりまして、私が主査の職務を行うことになりました。まことにふなれでございますが、皆様方の御協力によりまして第四分科会運営を行なっていきたいと思います。  審査に入る前に、この議事の進め方についてお諮りを申し上げます。当分科会は、昭和三十四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算のうち、大蔵省文部省厚生省及び労働省所管について審査をいたすわけでありますが、本日は、まず各省より大臣によりその説明を聴取し、引き続いて大蔵省から逐次審査を進めて参りたいと思います。その案につきましては、プリントが御配付になっていると存じますが、塩見主査と協議の結果、一応次の案を皆様方にお諮り申し上げる次第であります。  本日は、各大臣からその提案趣旨説明を承わり、後刻大蔵省関係について補足説明を承わって、若干の質疑をなし、第二日目の明日は、大蔵省所管文部省所管審査し、第三日目が厚生省所管労働省所管審査する。この二日間は、午前は大蔵、午後は文部というように便宜上審査いたしますが、当日はいつ本委員会出席を要求されても、政府委員におかれましては出席ができるように責任を持っていただく。そういう形で第二日と第三日を二省ずつやる。で、第四日の最終日に午前中審査漏れ等があった場合に、これらを徹底させる意味において大蔵文部、厚生、労働の各省から御出席をいただいて残余の分を審査し、そうして同日中に親委員会において主査報告をなす、こういう順序、要領で審査を進めて参りたいと思いますが、御了承願いたいと思います。  ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  5. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) それでは速記を起して下さい。  それでは先ほどお諮り申し上げました審議日程に御異議がないようでございますから、さように取り進めて参りたいと存じます。  では、これより審査に入ります。まず、昭和三十四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算大蔵省文部省厚生省労働省関係の順次説明を願います。説明は本委員会出席された順序にお願い申し上げたいと思います。  まず、橋本文部大臣からお願いいたします。
  6. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 昭和三十四年度文部省所管予算大要につきまして御説明申し上げます。  昭和三十四年度文部省所管予算額は、千七百九億千二百三十六万三千円でありまして、これを前年度予算額千五百四十一億五千三百二十七万五千円に比較いたしますと、百六十七億五千九百八万八千円を増加いたしております。  この文部省予算額一般会計予算額に比較いたしますと、その比率は一二%となっております。  次に、昭和三十四年度予算のうち重要な事項について申し述べたいと存じます。  第一は義務教育費国庫負担制度実施に必要な経費であります。義務教育機会均等と、その水準の維持向上をはかるため、公立義務教育学校教職員給与費の実支出額及び教材費の二分の一を国で負担するため必要な経費でありまして、給与費としては、本年度小中学校児童生徒減少に伴う教員三千七百七十人の減少が見込まれますが、他方「公立義務教育学校学級編成及び教職員定数の標準に関する法律」の実施、すなわち、すし詰め学級解消教員定数整備の五ヵ年計画による教員増を七千八百三十八人と見、差引四千六十八人の増員に必要な経費と、さらに初任給基準引き上げ昇給原資期末手当引き上げ等を含めて、所要経費九百七十三億五千七百万円を、また教材費としては、父兄負担軽減をはかるため、児童生徒一人当りの単価を約二割程度引き上げ是正して所要経費十七億二千九百万円を計上したのであります。  なお「公立養護学校整備特別措置法」に基き、公立養護学校教職員給与費及び教材費の二分の一を国庫において負担するに必要な経費七千四百万円を計上したのであります。  第二は、文教施設整備に必要な経費であります。国立文教施設につきましては、学術及び科学技術教育振興に即応する施設重点的に企画するとともに、戦災を受けた施設復旧老朽校舎改築、新たに学生会館等施設整備するため、その所要経費三十五億二千九百四十八万千円を計上したのであります。  公立文教施設につきましては、これが整備に必要な経費七十七億二千九百五万二千円を計上したのであります。  特に本年度においては、政府重点施策として、公立文教施設整備五ヵ年計画を立てまして、前述の教職員定数の面とあわせ施設の面から、いわゆるすし詰め教室解消その他公立文教施設整備をいたす所存でありまして、初年度分として四十七万七千坪分を見込んでおります。同時に鉄筋鉄骨造比率を前年の三〇%から五〇%に引き上げるなど文教施設の量と質の両面につきその充実を期した次第であります。  以上の方針により一般校舎の不足すなわちすし詰め教室解消屋内運動場整備学校統合促進危険校舎改築等計画的に実施することとしたのであります。  なお、このほか昭和三十三年度に発生した災害復旧費及び鉱害復旧事業費として一億二千七十五万四千円を計上したのであります。  第三は科学技術教育振興に必要な経費であります。初等中等教育については、理科教育及び産業教育振興に留意し、それぞれの振興法に基く補助金を五億円及び八億円に増額計上し、特に産業教育については前年度に引き続き、高等学校に電気、機械それぞれ十五課程工業化学課程及び産業科十五校を新設して産業界中堅技術者養成の要望にこたえて、約五千人の生徒増募を予定し、また中学校産業教育設備充実をも期しております。  国立大学においては、理工系の十八学科増設工学部第二部の新設短期大学の新増設等により、約千人の学生増募を行なって科学技術者養成に備え、また前年度に引き続き、五大学、三研究所において原子力に関する講座または部門増設を行い、物性研究所たん白質研究所等拡充をはかるなど、科学技術の進歩に即応した学術振興に特段の措置を講ずることといたし、また在外研究員派遣に必要な経費を増額して一億六千万円を計上したのであります。  さらに科学研究重要性にかんがみ、研究促進をはかり、その振興に資するため科学研究費交付金等に必要な経費十五億四千六百四万四千円、また私立大学についても、同じ趣旨に基き理科特別助成費として三億九千百四万五千円、研究基礎設備補助として二億四千百九万円をそれぞれ増額計上したのであります。  なおこのほか民間学術研究団体補助九千百八十一万五千円、さらに前年度に引き続き第四次南極地域観測事業費二億千二百万円を計上したのであります。  第四は国立学校運営に必要な経費であります。国立大学七十三、国立高等学校八、大学付置研究所五十八、大学附属病院二十三を維持運営するために必要な経費でありまして、本年度におきましては、さきに申し述べましたように、科学技術振興の線に沿いまして、北海道大学外十六大学に十八の理工学系学科新設し、広島大学、鹿児島大学にそれぞれ医学研究科を、京都大学工学研究科航空学専攻を、東北大学、東京大学、東京工業大学、京都大学、大阪大学原子力研究に関する講座または部門増設し、名古屋工業大学及び九州工業大学にそれぞれ工学部第二部を、岐阜大学外大学短期大学部新設山形短期大学部外五学部に学科を、さらに講座研究費並びに教官研究費及び学生経費についてかなりの増額を行なって基準経費充実をはかる等の措置を講ずるため必要な経費を含めまして四百四十六億七千四百三十七万八千円を計上したのでありますが、このうち国立学校の項に三百二十三億二千七十六万三千円を、大学附属病院の項に八十五億二千七十四万円を、大学付置研究所の項に三十八億三千二百八十七万五千円をそれぞれ計上したのであります。  第五は育英事業拡充に必要な経費であります。優秀な学生生徒で、経済的理由により修学困難な者に学資を貸与する事業を行なっている日本育英会に対し、奨学資金貸付と、その事務費補助に必要な経費四十五億六千七百三十四万八千円を計上したのであります。  本年度特別奨学生制度拡充強化し、前年度に引き続きまして、さらに千人を増加し、六千人の新規採用者を予定いたしたのであります。  第六は教育機会均等の確保に必要な経費であります。義務教育の円滑な実施をはかるためには、経済的理由により就学困難な状態にあるものに対して特別の措置を講ずる必要がありますが、これがため、いわゆる準要保護児童生徒に対し、教科書費については一億九千三百四十二万千円、給食費については二億三千五百二十一万五千円、医療費については七千九百六十万円、さらに本年度より新たに修学旅行費についても、同様の趣旨によりまして、八千七百六十四万七千円の補助をそれぞれ計上したのであります。  次に盲、ろう学校及び養護学校の小、中学部児童生徒に対し従来、教科書費交通費学校給食費等に対する補助が行われており、また高等部生徒に対しては、教科書費給食費について補助がなされていましたが、本年度より新たに交通費補助する等のため必要な経費を加えて、一億四千八百大十九万四千円、さらに特殊学級設備として新たに特殊学校用スクールバス購入費を合せまして千八百五十二万円、また僻地教育充実をはかるため従来の施策を続けるとともに、僻地勤務教員宿舎建築費補助については、建設戸数増加をはかるほか本年度新たに補助率を二分の一に引き上げ、さらにバス、ボート購入費僻地学校保健管理費補助金を含め六千三百七十九万千…口を計上いたしました。  なお、勤労青少年教育振興社会教育の推進と相まって行わなければなりませんが、特に定時制高等学校設備費及び通信教育運営費補助として一億百九十二万八千円、夜間高等学校給食施設及び設備費補助として千二百二十二万二千円をそれぞれ計上したのであります。  第七は社会教育振興に必要な経費であります。従来に引き続き青年学級改善充実をはかるため七千七百八十二万六千円、公民館等設備整備に二千五百万円、本年度より新たに、団体宿泊訓練を通じて健全な青年育成をはかるため、静岡県御殿場市に国立中央青年の家を設置するため一億千九百万円、さらに前年度に引き続き地方青年家施設整備に六千万円、また新たに地域青年活動を推進するため二千万円をそれぞれ計上するほか、青少年教育婦人教育音楽演劇の普及、教育映画録音教材等社会教育として特別に助成を必要とする事項を一括、社会教育特別助成費として、これに五千七百六十一万八千円をそれぞれ計上したのであります。  第八は体育振興に必要な経費であります。体育スポーツ振興をはかるため、前年度に引き続き地方スポーツ充実するため、千三百七十一万七千円、第八回冬季オリンピック大会の参加をはじめ国際スポーツの交歓に寄与するため八百九十五万四千円、スポーツ団体助成として日本体育協会等に対する補助金千三万千円、本年度新たにプールを付設した体育館を全国五カ所にスポーツセンターとして新設するため三千万円、また前年度発足した国立競技場施設設備充実するとともに、維持管理運営に必要な経費として三千二百五十七万九千円をそれぞれ計上したのであります。  なお青少年スポーツレクリェーション活動助成するため、野外活動スポーツ青少年団指導者養成等につきまして、特別に助成するため、体育振興特別助成費として、六千八百三万二千円を計上したのであります。  第九は学校給食助成に必要な経費であります。学校における給食を通じまして、児童生徒の心身の健全な発達に資し、かつ食生活の改善に寄与するため、さきに申し述べました、夜間定時制高等学校給食施設及び設備費補助金、準要保護児童生徒に対する給食費補助金のほか、公立小中学校給食施設及び設備費補助金として一億八千四百九十三万七千円、学校給食会に対して、その取扱い数量増加すること等を勘案し、その運営費に必要な経費として千九百八十七万九千円を、さらに学校給食用。パンの原料代の一部を国庫において負担することに伴う所要額食糧管理特別会計へ繰り入れるため必要な経費十五億七千万円を計上したのであります。  第十は国際文化の交流及び文化財保存事業に必要な経費であります。  東南アジア及び欧米等から来日する留学生並びに沖繩内地派遣研究教員及び学生手当給与するのと、本年度新たに東南アジア、中近東よりの学生招致旅費、さらに沖繩教育に対する協力援助を推進するため指導主事等派遣する等に必要な経費を含めて八千百三十四万六千円を、外国人留学生受入等事業を行なっている日本国際教育協会に対し、その事業費補助に必要な経費千百七十七万円を、また第三十三回国際学士院連合会総会その他の国際会議出席するための外国旅費七百二十三万七千円を、国際文化事業団体補助として、特に前年度に引き続き日仏会館の改築費補助を含めて二千三百二十五万円をそれぞれ計上したのであります。  次に文化財保存事業は逐年その成果をあげてきておりますが本年度も前年度に引き続き国宝、重要文化財のうち特に防災施設整備重点をおきまして、保存事業充実をはかるため必要な経費四億六千六百三十八万円を計上し、また国立劇場の敷地も決定されまして、その設立準備のため必要な経費二千万円を前年度に引き続き計上し、その事業促進を期することとなったのであります。  このほか昨年改訂をみた教育課程全面実施のため教員現職教育を徹底いたし、さらに校長等につき研修の機会を拡大する目的で海外派遣の道を開き、また市町村教育長給与につき一部国庫補助を行なって市町村教育委員会育成をはかり、さらに学校管理下における児童生徒の負傷その他の災害に関して必要な給付を行わせるため、日本学校安全会を設ける等のため新たに予算計上をはかった次第であります。  以上文部省所管に属する昭和三十四年度予算大要につきまして御説明申し上げた次第であります。  何とぞ御審議の上御賛同あらんことを希望いたします。
  7. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) ただいまの説明に対する質疑は、先刻御了承いただきましたように、三月二十四日並びに三月二十六日の午前中に行うことにいたします。  ただいま各省国務大臣から到着順によって説明を聴取いたしている段階でございます。  続いて、佐野大蔵政務次官から、大蔵省所管について説明を聴取いたします。
  8. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) ただいまから、昭和三十四年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について、去る一月二十三日政府提出いたしました予算書に基いて御説明いたします。  まず、一般会計歳入予算額は一兆四千百九十二億四千八百十六万三千円でありまして、これを前年度予算額一兆三千二百十二億二千九百五十万二千円に比較いたしますと、九百八十億一千八百六十六万一千円の増加となっております。  以下、各部について簡単に申し上げますと、第一に、租税及印紙収入の総額は、一兆一千二百十二億四千百万円でありまして、これを前年度予算額一兆二百五十九億一千三百万円に比較いたしますと、九百五十三億二千八百万円の増加となっております。これは、現行税法によって見積った場合の収入見込額一兆一千三百四十五億七千三百万円から、中央地方を通ずる今次の税制改正に基いて減税による減収見込額五百三十三億円、(平年度七百十七億円)これのうち、一般会計分減税による減収見込額四百十三億一千三百万円を差し引き、これに税制改正に伴う増収見込額二百七十九億八千百万円を加えたものでありまして、現行税法によって見積った場合の収入見込額に対して百三十三億三千二百万円の減収となっております。  次に、各税目別内訳を申し上げます。  まず、所得税につきましては、現行税法による収入見込額は、三千二十八億百万円でありますが、今回の税法改正による扶養控除引き上げ及び税率緩和等による減収見込額三百七十八億五千五百万円を差し引き、これに特別措置整理合理化等に伴う増収見込額六十九億三千五百万円を加え、差引合計二千七百十八億八千百万円の計上をいたしました。  その内訳は、源泉所得税二千七十億五千九百万円、申告所得税六百四十八億二千二百万円となっております。  法人税につきましては、現行税法による収入見込額三千三百九十三億二千八百万円に今次の税法改正による特別措置整理合理化等に伴う増収見込額十四億八千五百万円を加え、三千四百八億一千三百万円を計上いたしました。  砂糖消費税につきましては、現行税法による収入見込額五百八十九億一千万円から国内産テンサイ糖保護育成のために税率引き下げによる減収見込額二百七十三億三千八百万円を差し引いた三百十五億七千二百万円を計上いたしました。  揮発油税につきましては、現行法による収入見込額六百二十七億八千二百万円に今次の道路整備財源充実のための揮発油税率引き上げによる増収見込額百九十三億二千二百万円を加えた八百二十一億四百万円を計上いたしました。  物品税につきましては、現行税法による収入見込額五百一億九千二百万円から今次の税法改正による税率引き下げ等により減収見込となる三十四億五千八百万円を差し引き、これに新規に課税となるものの増収見込額七億四千四百万円を加え、差し引き合計四百七十四億七千八百万円を計上いたしました。  関税につきましては、現行法による収入見込額五百十九億九千四百万円に砂糖消費税減税に伴う砂糖関税に対する関税率引き上げによる増収見込額二百七十三億三千三百万円を加えた七百九十三億二千七百万円を計上いたしました。  印紙収入につきましては、現行法による収入見込額三百九十二億二千百万円から今次の税法改正による増資登録税軽減による減収見込額五億円を差し引いた三百八十七億二千百万円を計上いたしました。  以上申し述べました税目以外におきまして三十四年度計上いたしました収入見込額は、相続税八十三億六千三百万円、再評価税四十億四千七百万円、酒税二千九十億八千八百万円、トランプ類税二億五千八百万円、取引所税五億六千九百万円、有価証券取引税二十九億七千百万円、通行税三十四億四千八百万円、とん税六億百万円であります。  以上租税及印紙収入合計額は、一兆一千二百十二億四千百万円となっております。  第二に、専売納付金は千二百一億二千四百七十七万六千円でありまして、これを前年度予算額千百七十億一千六百九十九万六千円に比較いたしますと、三十一億七百七十八万円の増加となっております。その内訳を申し上げますと、日本専売公社納付金千百九十七億五千二百二十八万九千円、アルコール専売事業特別会計納付金三億七千二百四十八万七千円となっております。  第三に、官業益金及官業収入は百六十億七千六百四万六千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、七億六千九百六十五万九千円の増加となっております。内訳を申しますと、印刷局特別会計受入金五億八千二百八万五千円、病院収入百五十四億九千三百九十六万一千円となっております。  第四に、政府資産整理収入は百四十九億九千百三十八万二千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、四十億一千九百四万六千円の増加となっております。  そのおもなる内訳について申し上げますと、国有財産売払収入六十五億二千二百四十万六千円、地方債証券償還収入五十二億九千八百八十四万円等となっております。  第五に雑収入は、四百四十二億八百十一万二千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、七十六億三千六百二十五万九千円の減少となっております。  そのおもなる内訳について申し上げますと、国有財産貸付収入二十一億三千七百一万九千円、日本銀行納付金百十七億四千四百万円、恩給法納金及文官恩給費特別会計等負担金六十八億四千三十三万一千円、特別会計受入金四十一億六千四百七十六万九千円、授業料及び入学検定料二十億四千四百五十九万一千円、懲罰及び没収金三十五億四千八百八万八千円、矯正官署作業収入二十四億四千六百三十万円、物品売払収入二十五億六千五百三万二千円、等となっております。  第六に、経済基盤強化資金受入は二百二十一億三千万円であります。  最後に、前年度剰余金受入におきましては、昭和三十二年度の決算によって同年度に新たに生じた純剰余金八百四億七千六百八十四万七千円を計上いたした次第であります。  次に、昭和三十四年度大蔵省所管一般会計歳出予算額は、千五百四十四億七千八百九十万七千円でありまして、これを前年度予算額二千五十八億三千九百九十一万五千円に比較いたしますと、五百十三億六千百万八千円の減少となっております。  この歳出予算額を、まず組織に大別いたしますと、大蔵本省千二百五十三億九千四百二十五万九千円、財務局二十七億六千三百九十七万四千円、税関二十三億八千五十二万三千円、国税庁二百三十九億四千十五万一千円となっておりますが、これを、更に組織別に、おもなる事項に分けて御説明いたしますと、次の通りであります。  大蔵本省におきましては、大蔵省設置法に定める、本省内部部局所掌一般事務を処理する等のため必要な経費として、大蔵本省の項に十四億六千百十五万七千円、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法に基く年金の支払いと、これに伴う事務費国家公務員共済組合連合会等に交付するため必要な経費として、国家公務員共済組合連合会等補助及交付金の項に十七億八千九百二十一万八千円、日本国有鉄道、日本電信電話公社及び資金運用部特別会計へ、その国庫預託金についての利子を支払うため必要な経費として、国庫受入預託金利子の項に四億二千九百九十五万四千円、国債償還、国債利子及び大蔵省証券発行割引差額の支払いに充てる財源並びにそれらの事務取扱費を、国債整理基金特別会計へ繰り入れるため必要な経費として、国債費の項に五百五十三億七千三百四十六万四千円、国家公務員のための国設宿舎を設置するため必要な経費として、公務員宿舎施設費の項に十六億七百七十七万三千円、理化学研究所法に基いて、科学技術振興に寄与する事業を行う理化学研究所に対して出資するため必要な経費として、政府出資金の項に五億円、造林事業に対して農林漁業金融公庫が長期低利の融資を行うに必要な資金を同公庫に出資するため必要な経費として、政府出資金の項に七億円、産業投資支出の財源に充てるため必要な経費として、産業投資特別会計へ繰入の項に五十億円、日米安全保障条約に基く合衆国軍の駐留、及び日米相互防衛援助協定の実施に関連し、わが方で支出を必要とする経費として、防衛支出金の項に百七十六億二千五百万円、賠償等特殊債務処理特別会計法に基く賠償等特殊債務の処理に充てるための財源を同会計へ繰り入れるに必要な経費として、賠償等特殊債務処理特別会計へ繰り入れの項に三百二十三億四千万円、なお、予見し難い予算の不足に充てるための経費として、予備費の項に八十億円を計上いたしております。  次に、財務局におきましては、大蔵省設置法に定める財務局所掌の一般事務を処理する等のため必要な経費として、財務局の項に二十七億六千三百九十七万四千円を計上いたしております。  次に、税関におきましては、大蔵省設置法に定める税関所掌の一般事務を処理する等のため必要な経費として、税関の項に十九億二千二十四万三千円、保税地域その他関税法規上特殊の取扱いをなす場所等において、税関事務の一部を処理するために派出する税関官吏に必要な経費として、税関派出諸費の項に四億六千二十八万円を計上いたしております。  次に、国税庁におきましては、税務官署の項に大蔵省設置法に定める国税庁所掌の一般事務を処理するため必要な経費として、百九十六億三千六百三十一万円、直接税及び間接税調査事務等に必要な経費として、十七億四千百五十六万七千円、その他調査査察及び徴収管理事務等に必要な経費として八億九百六十万六千円、計二百二十一億八千七百四十八万三千円を計上いたしております。  租税収入を確保するため、滞納の整理及び差押物件の処分等の措置実施するに必要な経費として、滞納整理費の項に五億八百九十八万二千円、内国税の過誤納金の払い戻し及び青色申告制度に基く還付金に対する加算金に必要な経費として、租税還付加算金の項に十億円を計上いたしております。  次に、昭和三十四年度大蔵省所管の各特別会計歳入歳出予算につきまして、その概要を申し上げますと、造幣局特別会計におきましては、歳入歳出とも六十二億三千五百二十六万二千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも三十億六千二百五十三万円の増加となっております。  増加いたしました主なる理由は、歳入におきましては、製造経費増加に伴う補助貨幣回収準備資金より受入の増加によるものであり、歳出におきましては原材料地金購入に必要な経費等の増加によるものであります。  印刷局特別会計におきましては、歳入六十億九千七十二万三千円歳出五十五億八百六十三万八千円差引五億八千二百八万五千円の歳入超過となっておりまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入において三億五千五百一万円、歳出において二億九千五百四十五万四千円をそれぞれ増加いたしております。  増加いたしました主なる理由は、歳入におきましては日本銀行券、切手類及び各種証券等の製品売払収入の増加によるものであり、歳出におきましてはこれに伴う製造経費増加によるものであります。資金運用部特別会計におきましては、歳入歳出とも九百七十二億六百九十二万四千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと歳入歳出とも百八億二百三十二万七千円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては資金運用部資金の運用による利子収入の増加によるものであり、歳出におきましては郵便貯金その他の預託金に対する利子の支払い及び郵便貯金特別会計の歳入不足額に相当する金額を同会計へ繰り入れるため必要な経費増加によるものであります。国債整理基金特別会計におきましては、歳入歳出とも四千百四億四百三十四万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも百九十七億五千五百六十五万二千円の減少となっておりますが、その内訳は債務償還費において二百八十五億九千七百五十七万七千円国債事務取扱諸費において四億二百九十六万七千円の減少となっており、国債利子、借入金利子及び短期証券割引差額において九十二億四千四百八十九万二千円の増加となっております。貴金属特別会計におきましては、歳入歳出とも二十六億四千九百五十二万一千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも十一億九千七百二十四万七千円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては貴金属地金売払代の増加によるものであり、歳出におきましては「貴金属特別会計法」附則第九項の規定により、一般会計へ繰り入れるため必要な経費増加によるものであります。外国為替資金特別会計におきましては、歳入歳出とも百二十二億四千百九十一万七千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも四十二億八千百三十三万円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては外貨証券の運用益の増加によるものであり、歳出におきましては融通証券発行割引差額に必要な経費増加によるものであります。産業投資特別会計におきましては、歳入歳出とも三百九十億九千六百一万二千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも五十億九千七百六十八万八千円の減少となっております。減少いたしました主なる理由は、歳入におきましてはこの会計に置かれている資金からの受入等において百六十億五千六百四十八万九千円を増加いたしておりますが、外貨債発行等収入、運用収入及び前年度剰余金受入において二百十一億五千四百十七万七千円が減少したことによるものであり、歳出におきましては産業投資支出及び国債整理基金特別会計へ繰り入れるために必要な経費減少によるものであります。経済援助資金特別会計におきましては、歳入歳出とも七億三百二十一万三千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと歳入歳出とも八千四十万八千円の減少となっております。減少いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては前年度剰余金受け入れ及び援助資金受け入れの減少によるものであり、歳出におきましては援助資金支出に必要な経費減少によるものであります。余剰農産物資金融通特別会計におきましては、歳入六十二億一千百九十三万七千円歳出二十四億八千百五十四万九千円差引三十七億三千三十八万八千円の歳入超過となっておりまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入において二十一億三千三百三十万四千円の増加となっており、歳出において十五億九千七百八万匹千円の減少となっております。歳入において増加いたしましたおもなる理由は、運用収入及び前年度剰余金受け入れの増加によるものであり、歳出において減少いたしましたおもなる理由は貸付金の減少によるものであります。賠償等特殊債務処理特別会計におきましては、歳入歳出とも三百三十三億五千七百五十一万四千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも三十九億五百四十一万四千円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては一般会計より受け入れの増加によるものであり、歳出におきましては賠償等特殊債務処理費の増加によるものであります。国有財産特殊整理資金特別会計におきましては、歳入歳出とも二億五千百五十六万八千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入において三千二百六十万九千円、歳出において二億五千百五十六万八千円をそれぞれ増加いたしております。増加いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては「国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法」に基く特定庁舎の処分による収入が増加したためであり、歳出におきましては同法による特定庁舎等の取得に要する経費の財源の一部を、本年度において新たに一般会計へ繰り入れることにしたものであります。  最後に、昭和三十四年度大蔵省関係の各政府関係機関収入支出予算につきまして、その概要を御説明いたします。  日本専売公社におきましては、収入二千七百十五億八千四百七十四万九千円、支出千五百八十億九千四百五十一万八千円、差引収入超過額千百三十四億九千二十三万一千円となり、これに昭和三十四年度における資産増加額六十四億九千八百六十二万八千円を加算した千百九十九億八千八百八十五万九千円が事業益金となるのでありますが、これより固定資産増加額二億三千六百五十七万円を控除いたしまして、専売納付金は千百九十七億五千二百二十八万九千円となるのであります。これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において九十四億七千九百九十三万四千円、支出において四十五億九百八十九万一千円、差引収入超過額において四十九億七千四万三千円、専売納付金として三十億二百二十八万六千円をそれぞれ増加いたしております。  以下、たばこ、塩及びショウノウの各事業予算についてその概略を申し上げますと、たばこ事業におきましては、三十四年度における製造数量は千百三十四億本、販売数量は千百二十七億本でありまして、これを前年度に比べますと、製造において三十六億本、販売において三十一億本をそれぞれ増加いたしております。たばこ事業予算額は収入二千四百七十一億七千二百九十四万一千円、支出千二百六十四億三千百十万九千円、差引収入超過額千二百七億四千百八十三万二千円となっておりまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において百十四億六千五百九十一万九千円、支出において四十四億九千六百四十万五千円をそれぞれ増加いたしております。  塩事業予算額は、収入二百三十六億二千六百十五万円、支出二百八十六億四千九百三十八万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において十七億六千八百六万六千円、支出において九千百四十八万二千円をそれぞれ減少いたしております。  次に、しょう脳事業予算額におきましては、収入七億八千五百六十五万八千円、支出七億七千三百八万七千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において二億一千七百九十一万九千円、支出において、一億八千九百七十二万五千円をそれぞれ減少いたしております。  国民金融公庫におきましては、収入七十八億八千八百四十五万二千円、支出七十四億五千四百六十七万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において十一億二十五万一千円、支出において十一億七千百二十九万一千円の増加となっております。  住宅金融公庫におきましては、収入九十五億一千三百九十一万九千円、支出九十三億五千五百十七万五千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において十三億九千二百五十一万三千円、支出において十四億二百十六万二千円の増加となっております。  中小企業金融公庫におきましては、収入百十億七千三百九十三万八千円、支出九十八億六千三百八十五万六千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において十九億九千五百五十五万四千円、支出において二十億二十二万九千円の増加となっております。  北海道東北開発公庫におきましては、収入三十一億四千四百七十四万円、支出二十四億八千六百六十七万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において十二億一千七百六十一万七千円、支出において八億四千六百四十万九千円の増加となっております。  公営企業金融公庫におきましては、収入十五億四千五百三十二万四千円、支出十五億二千百三十五万九千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において六億九千三百二十八万六千円、支出において六億五千百六十六万一千円の増加となっております。  以上申し述べました五公庫につきまして、それぞれ増加いたしました主なる理由は、収入におきましては貸付金利息収入の増加によるものであり、支出におきましては借入金利息及び業務増量に伴う事務費増加によるものであります。  農林漁業金融公庫におきましては、収入八十六億九千百七十万八千円、支出八十一億九千五百九十四万八千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において十二億八千百十八万三千円、支出において十億六千二百九十六万七千円の増加となっております。増加いたしました主なる理由は、収入におきましては、貸付金利息及び一般会計から受け入れた基金を資金運用部に預託することによって生ずる利息収入の増加によるものであり、支出におきましては業務増量に伴う事務費及び借入金利息の増加によるものであります。  中小企業信用保険公庫におきましては、収入十四億四千四百八十七万二千円、支出十七億二千百八十六万一千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において一億九千百四十六万四千円、支出において五億九百六十二万円の増加となっております。増加いたしました主なる理由は、収入におきましては、回収金及び預託保険準備基金利息収入の増加によるものであり、支出におきましては支払保険金及び業務増量に伴う事務費増加によるものであります。  日本開発銀行におきましては、収入三百二十六億五千八百九十五万九千円、支出百八十七億五千八百二十八万六千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において二億八千七百七十一万七千円、支出において四十五億二千七百十七万八千円の増加となっております。  増加いたしました主なる理由は、収入におきましては貸付金利息収入の増加によるものであり、支出におきましては借入金利息の増加によるものであります。  日本輸出入銀行におきましては、一般勘定の予算額は収入四十二億三千五百九十六万円、支出三十五億六千七百十四万五千円、東南アジア開発協力基金勘定の予算額は、収入一億七千七百二十九万三千円、支出千百万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、一般勘定において収入七億一千四百二十八万四千円、支出四億六千二百十二万四千円、基金勘定において収入千六百八十七万七千円、支出千百万円をそれぞれ増加いたしております。  一般勘定において増加いたしました主なる理由は、収入におきましては貸付金利息収入の増加によるものであり、支出におきましては借入金利息及び業務増量に伴う事務費増加によるものであります。  以上、昭和三十四年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について、その概要を御説明申し上げました。
  9. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) ただいまの説明に対する質疑は、冒頭に御了承をいただきましたように、本日各大臣説明終了後並びに明日二十四日並びに二十六日に質疑を行うことにいたします。  ちょっと速記とめて下さい。    〔速記中止
  10. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) 速記起して下さい。  次に、厚生省所管事項について坂田厚生大臣説明を求めます。
  11. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 昭和三十四年度厚生省所管一般会計及び特別会計予算案の概要について、御説明申し上げます。  昭和三十四年度厚生省所管一般会計予算における総額は、一千三百五億四千三百五万五千円でありまして、これを昭和三十三年度予算一千七十二億五千七百五十四万五千円に比較いたしますと、二百三十二億八千五百五十一万円の増加と相なり、前年度予算に対し、一二・七%の上昇を示しております。また、国家予算総額に対する厚生省予算比率を見てみましても、前年度八・一七%であったのが、九・二%と相なっております。  昭和三十四年度予算編成に当りましては、社会保障の確立強化に特に意を用い、医療保障については、新国民健康保険法の実施を通じて、既定の計画通り昭和三十五年度末に完了することを目途として、国民皆保険の推進に一段の努力をいたしますとともに、今回、国民の要望にこたえ、新たに国民年金制度を実施することとし、昭和三十四年度中にこれが第一歩を踏み出すことといたしたのであります。これによってわが国の社会保障制度の体系的整備は画期的な進展を見ることとなるわけでありますが、これと並行して、結核対策の強化、生活環境の改善、低所得者層の福祉の向上、児童福祉の充実等厚生行政の中核となる諸施策を強力に推進することといたしております。  次に、特に重要な事項について、その概要を御説明申し上げます。  まず第一は、国民年金制度の創設に必要な経費であります。所得保障の本格的形式としての国民年金制度を創設する方針のもとに、昭和三十四年度においては、まず、経過措置として、無拠出年金を取り上げ、老齢、障害、母子と三つの援護年金の給付を、十一月分から実施することとし、その四カ月分の所要経費百億七千八百万円余を計上いたしております。援護年金の具体的内容を申し述べますと、老齢年金につきましては、七十才以上の老人に一人月額一千円を支給することとし、その受給対象人員を百九十八万六千人と予定して、これが必要経費七十一億五千五百万円余を計上いたしております。  障害年金につきましては、一人月額一千五百円とし、その受給対象人員を十八万二千人と予定して、これが必要経費十億九千二百万円余を計上いたしております。  母子年金につきましては、一世帯月額一千円を基本とし、その受給対象を四十万七千世帯と予定し、これが必要経費十八億二千九百万円余を計上いたしております。  また、援護年金の適正な運営を期するため、事務機構としては年金局を新たに設け、中央地方を通じ千八百人の職員を置くこととし、これに必要な経費九億七千四百万円余を計上いたしております。  第二は、国民皆保険の推進と、その基礎的条件の整備に必要な経費であります。医療皆保険四カ年計画の第三年目として、新たに被保険者六百十万人の増加をはかることとし、三十四年度末の被保険者数を、四千二百五十二万人と見込み、年間平均三千九百万人として所要経費を算定いたしております。  すなわち、対象人員の増加医療費の伸びを勘案して、療養給付費補助金及び財政調整交付金として百七十三億六千二百万円を計上いたしておりまして、これを前年度に比較いたしますと、五十四億二千六百万円の増額となっております。また、事務費補助については、一人当り単価を前年度の九十円から九十五円に引き上げることとして三十七億五百万円を計上いたしております。  次に、国民皆保険の基礎的条件の整備でありますが、まず、公的医療機関の整備につきましては、前年度に引き続き、僻遠の地で経済的に民間診療所の開設を期待できない地区に対して、公的病院の出張診療所を開設せしめるとともに、公的病院の整備を行うこととしこれらに対する補助九千四百万円余を計上いたしております。また、国立病院の整備改善のため、十一億七千六百万円余を国立病院特別会計に繰り入れるとともに、国立療養所の整備改善についても所要の配慮をいたしております。  第三は、結核対策に必要な経費であります。結核対策につきましては、健康診断、予防接種の徹底と化学療法の普及により、おおむね所期の成果をあげておりますが、従来結核患者の管理と、いわゆる濃厚感染源患者隔離対策については、なお十分でないうらみがありました。今回、結核対策としては、特にこの面に重点をおき、新たに保健所単位に二百カ所の特別地区を設け、一定率以上に入院措置を行なった場合には、そのこえた部分に対する患者の入院治療費の公費負担につき、国庫補助率を二分の一から三分の二に引き上げ地方費負担の軽減をはかることによって、濃厚感染源患者の入院措置重点的に実施するとともに、特別地区における結核患者管理の徹底をはかることといたしております。この濃厚感染源対策に要する経費は三億五千九百万円余でありまして、前年度の九千七百万円余に比し二億六千百万円余と大幅に増額いたしております。  なお、この特別地区の保健所活動を強化するため、二百保健所については医師の給与単価を引き上げることといたしております。  右のほか、国立結核療養所の経費を加えまして、結核対策費は百六十四億八千四百万円余と相なり、前年度に比し六億六千万円余の増額となっております。  第四は、生活環境の改善向上に必要な経費であります。明るい生活環境を実現するため、特に環境衛生施設整備をさらに強力に推進することとし、簡易水道については十一億円を計上し、また、都市における屎尿処理の抜本的解決策として、下水道終末処理施設整備するため五億四千五百万円、屎尿の衛生的処理を行うための屎尿消化槽等の整備に四億五千万円をそれぞれ計上し、いずれも前年度に比し相当大幅に増額いたしております。  第五は、生活保護及び社会福祉の増進に必要な経費であります。まず、生活保護費でありますが、生活扶助対象人員については、景気変動等の影響及び人口増加に伴う自然増を勘案いたしまして、最近の実績人員に対し四%程度の増加を見込め、月平均百四十八万人余と予定し、また、最近著しい増加をしめております医療扶助の入院人員につきましては、三十二年度実績人員の一〇%増を見込んで所要経費を算定するとともに、消費物価の変動を勘案いたしまして、生活扶助の基準を引き上げることとして五億一千七百万円余を計上いたしております。  また、社会福祉施設整備並びに運営等につきましては、特に養老施設重点を置いて一層の推進をはかるとともに、施設職員の期末、勤勉手当等を増額し、この結果、生活保護費として四百十六億三千八百万円余を計上いたしておりまして、前年度に比し、三十四億一千五百万円余の増額となっております。なお精神薄弱者の保護と更生援護をはかるため、新たに収容施設の設置に助成の道を講じ、二千五百万円余を計上いたしております。  さらに、低所得者層対策として、前年度通り世帯更生資金の貸付補助金として三億円、医療費貸付補助金として二億円をそれぞれ計上いたしております。  第六は、児童保護に必要な経費であります。まず、児童福祉施設に収容している児童の生活を保障する児童措置費につきましては、特に保育所における保育料の負担軽減をはかるため一部徴収基準を緩和し、保育料四百五十円の階層を所得に応じ四百五十円と三百五十円の二階層に分けることといたしまして、この徴収緩和に伴う所要経費一億九千九百万円余を増額計上いたしました。  なお、保育所の保母その他児童福祉施設の職員の待遇改善をはかるため期末、勤勉手当を倍額に増額するとともに、石炭手当を新たに計上いたしました。  このほか、児童福祉対策としては、前年度に引き続き、母子健康センター、児童遊園、保育所等の整備をはかることとし、また、結核療養所に入所して医療を受けながら学校教育を修めている骨関節結核児童につき、新たに公費負担の制度を実施することとし、所要経費一千四百万円余を計上いたしました。この結果、児童保護費として八十二億二百万円余を計上し、前年度に比し、五億六千六百万円余の増額となっております。なお、新たに国立女子教護院を設置して、非行性の高い児童を収容することとし、初年度所要経費として、四千八百万円余を計上いたしております。  第七は、医療制度の調査に必要な経費であります。国民皆保険の進展に伴う医療事情の推移にかんがみ、医療に関する制度及びこれに関連する基本的事項を調査審議するため、新たに医療制度調査会を設けることとし、所要経費二百六十万円余を計上いたしております。  このほか、国立公園、国定公園の施設整備のため一億五千九百万円余を計上し、また、地方改善事業費としては前年度の約倍額の四千九百万円余を計上して同和対策の推進をはかることといたしております。  以上、昭和三十四年度厚生省所管一般会計予算についてその概要を御説明申し上げたのであります。  次に、昭和三十四年度厚生省所管特別会計予算大要について御説明申し上げます。  まず、第一は、厚生保険特別会計についてであります。厚生保険特別会計につきましては、一般会計より健康保険給付費財源の繰り入れ十億円、日雇健康保険給付費財源の繰り入れ十七億五千二百万円余を見込みまして、健康勘定におきまして、歳入、歳出とも八百二十億六千五百三十二万七千円、日雇健康勘定におきましては、歳入、歳出とも六十一億五千五万三千円、年金勘定におきましては、歳入八百十五億三千七十七万五千円、歳出百五十九億六千百十八万七千円、業務勘定におきましては、歳入、歳出とも五十億三百五十二万一千円をそれぞれ計上いたしております。  これは、日雇健康勘定については、その医療費の上昇傾向に伴う財政の現状に照らし、給付費に対する国庫負担を十分の三として計上し、年金勘定については、標準報酬の最高額と保険料率を引き上げることとし、健康勘定については、保険料率の引き下げを見込むこと等を内容とするものであります。  第二は、船員保険特別会計についてであります。船員保険特別会計につきましては、疾病部門その他について、三億四千四百二十万円余の一般会計よりの繰り入れを行い、これに要する経費といたしまして、歳入七十三億六千二百九十一万四千円、歳出五十五億一千一百七十七万三千円を計上いたしております。  これは、年金部門の保険料率を引き上げ、疾病部門及び失業部門の保険料率を引き下げること等を内容とするものであります。  第三は、国立病院特別会計についてであります。さきに述べましたように、国立病院の施設改善のため、所要財源を一般会計より繰り入れするのほか、六億六千八百八十一万五千円の国庫債務負担行為を計上し、国立病院特別会計といたしましては、歳入、歳出とも九十五億六千五百三十九万六千円を計上いたしております。  最後に、あへん特別会計についてでありますが、本年度のあへん買い入れ予定量は、輸入六十一トン、国内産三トンでありまして、一方製薬原料としての売り渡しは五十五トンを予定いたしておりまして、あへん特別会計といたしましては、歳入、歳出とも三億八千四百五十五万七千円を計上いたしております。  以上、昭和三十四年度厚生省所管一般会計及び各特別会計の予算案につきまして、その概要を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ本予算案の成立につきましては、格別の御協力をお願いいたす次第であります。
  12. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) 以上の説明に対する質疑は、冒頭に御了承いただきましたように、明後二十五日と翌二十六日の二日間にわたって質疑を行うことにいたします。  続いて、労働省所管事項について、倉石労働大臣説明を求めます。
  13. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 今回提案されました昭和三十四年度一般会計及び特別会計の予算中、労働省所管分につきましてその概要を御説明いたします。  まづ第一に、一般会計におきましては、歳入において、総額十億四千七百三十万二千円でありまして、前年度の七億八千八百二十一万四千円に比較いたしますと、二億五千九百八万八千円の増加となっております。  この歳入のおもなるものは、「国家公務員等退職手当暫定措置法」に基き、退職した政府職員並びに政府関係機関の職員に対し、失業中の退職手当を支給するために必要な財源を、特別会計等から一般会計へ繰り入れまたは納付するための負担金であります。  一方歳出におきましては、総額三百九十一億五千四十六万二千円でありまして、前年度の三百八十八億五千五百二十万五千円に比較いたしますと、二億九千五百二十五万七千円の増加となっております。  次に、この歳出の内容について概略御説明を申し上げたいと存じます。  その一は、失業対策に必要な経費でありまして、本年度のわが国の経済は、調整過程を脱して逐次上昇が予想されており、失業情勢も先行き次第に改善される見通しでありますが、なお過渡的な情勢の推移に対処して、失業対策事業について、一日平均二十五万八千人の規模を確保するとともに、事業の内容においても所要の改善措置を講ずる等、失業対策の整備充実をはかるため、これに必要な経費として、一般失業対策事業費百八十四億二千三百万円特別失業対策事業費三十七億円、失業保険費負担金八十八億三千二百万円、政府職員等失業者退職手当七億二千四百万円、合計三百十六億七千九百万円を計上いたしております。  なお、このほか建設省所管に臨時就労対策事業費七十七億円を計上いたしておるのであります。  その二は、中小企業退職金共済制度の実施に必要な経費であります。  中小企業の労働者の福祉条件が、大企業のそれに比べて著しく低位にあり、かつ、このために、雇用が不安定であることにかんがみまして、中小企業にも退職金制度を確立して、労働者の福祉の増進と中小企業の安定に寄与するため、中小企業退職金共済制度を創設することといたし、これの実施に必要な経費として、五千七十九万二千円を計上いたしております。  なお、「中小企業退職金共済法案」は、本国会に提出いたしております。  その三は、職業訓練に必要な経費であります。  産業に必要な技能労働力を培養し、雇用問題の解決と産業基盤の育成に資するため、さきに職業訓練法を制定し、総合的な職業訓練制度の確立をはかり、その充実を期した次第でありますが、さらに本年度におきましては、この制度の重要な柱として、国家技能検定を実施し、労働者の技能修得意欲を増進し、わが国産業界における技能水準の向上をはかるとともに技能労働者の社会的地位の向上に資することといたし、これの実施に必要な経費として、五億七千四百四十九万八千円を計上いたしております。  このほか、失業保険特別会計において、十四億三千二百七十五万六千円を計上いたしておりますので、これを加えますと、総合的職業訓練制度運営に要する経費の総額は、二十億七百二十五万四千円となります。  その四は、労使関係安定促進に必要な経費であります。労使相互が、国民経済のにない手としての責任を自覚し、さらに、信頼と納得による円滑なる労使関係の確立をはかることが、経済発展の基盤であることにかんがみまして、常時的確に労働運動並びに労使関係の動向を把握するとともに、中小企業における労使関係の近代化促進並びに労働教育充実をはかる等の施策を講ずることといたし、これに必要な経費として、八千七百八十四万八千円を計上し、また労使関係の合理的、かつ、円滑なる調整をはかるため、中央労働委員会並びに公共企業体等労働委員会に必要な経費として、一億三千八百七十三万円を計上いたしております。  その五は、労働保護行政に必要な経費であります。  労働者の保護と福祉の万全を期するため、「労働基準法」及びけい肺及び外傷性脊髄障害に関する「特別保護法」並びに「臨時措置法」の適正かつ円滑なる運営をはかるとともに、特に本年度におきましては、現下の産業災害の現況にかんがみまして、五年後における産業災害を半減させることを目途に、災害防止対策を強力に推進することといたし、さらに最低賃金制度につきましては、労働者の労働条件の改善に資するのみならず、ひいては企業の公正競争の確保、国際信用の維持向上等国民経済の健全な発展を促進する上にも必要でありますので、わが国経済並びに中小企業の実態に即した最低賃金制度を実施することといたし、その他産業安全研究所、労働衛生研究所整備充実等、労働保護行政に要する経費として、二十億三千七百十六万円を計上いたしております。なお、最低賃金法案は、本国会に提出いたしております。  その六は、婦人及び年少労働者保護に必要な経費であります。婦人及び年少労働者保護の問題の重要性にかんがみ、各種の調査啓蒙活動を進めるとともに、特に中小企業の密集地に働く青少年労働者の保護福祉をはかるため青少年ホームを増設し、また未亡人等婦人の職業対策を推進するため、内職相談施設、家事サービス職業補導施設充実をはかるのほか、婦人の地位と生活の向上並びに売春問題対策等に関する施策を講ずることといたし、これに必要な経費として、一億一千七百十二万九千円を計上いたしております。  その七は、職業安定行政に必要な経費であります。現下の雇用情勢にかんがみまして、総合的な雇用失業対策を円滑かつ強力に実施する必要がありますので、これが推進の第一線機関である公共職業安定所の職業紹介機能を強化して、これが効率的運営を期するとともに、駐留軍離職者並びに身体障害者等の雇用促進に関する施策を講ずるため、これに必要な経費として、三十七億五百八十四万二千円を計上いたしております。  その八は、労働統計調査に必要な経費であります。労働関係における賃金給与問題の重要性にかんがみ、合理的賃金体系の確立に資するため、賃金構造調査を実施するとともに、毎月勤労統計調査を整備するのほか、前年に引き続き、労働生産性統計調査及びその他労働事情に関する各種統計調査を実施し、あわせて、これら諸統計から得られた結果を総合的に分析し、労働行政施策に必要な基礎資料を整備し、もって労働問題の合理的解決に資するため、これに必要な経費として、二億四千四百六十四万八千円を計上いたしております。  その九は、国際協力に必要な経費であります。国際労働憲章に規定されている義務を履行し、積極的にこれに協力するために必要な分担金及びILO関係の諸会議への出席旅費等の経費として、七千五百四十四万六千円を計上いたしております。  その十は、その他一般行政に必要な経費であります。大臣官房等における行政事務費として、四億三千九百三十六万九千円を計上いたしております。  その十一は、庁舎新営に必要な経費についてであります。労働行政の施策推進の第一線機関である公共職業安定所並びに労働基準監督署の庁舎は、老朽、狭隘のもの多く、業務遂行上多大の支障を来たしている現状にかんがみ、抜本的にこれが整備をはかることといたしましたほか、前年に引き続き、労働本省庁舎の新営を促進するため、これに必要な経費として、建設省所管官庁営繕費三億四千三百四十九万一千円、失業保険特別会計一億二千七百六十五万六千円、労災保険特別会計五千五十三万六千円、合計五億二千百六十八万三千円を計上いたしております。  第二に、労働者災害補償保険特別会計につきまして申し上げます。この会計の歳入歳出は、いずれも三百六十一億六千四百七十五万一千円でありまして、前年度の三百十六億四千四百六十九万六千円に比較いたしますと、四十五億二千五万五千円の増加となっております。歳入のおもなるものは、保険料収入の二百九十九億二千百七十二万六千円と、支払備金受け入れの四十四億九千五百三十六万七千円であります。また、歳出のおもなるものは、労働者災害補償保険給付費の二百六十六億二千九百二十万八千円でありますが、このほか、業務上の災害疾病をこうむった労働者の療養を目的とする労災病院等の施設を設置、運営せしむるため、労働福祉事業団に対して行う出資並びに交付に必要な経費として十四億八千七十九万二千円を、また、けい肺及び外傷性せき髄障害に関する「特別保護法」並びに「臨時措置法」に基き、けい肺患者及び外傷性せき髄障害患者に対する療養、休業の給付等のため、六億五千七百二十九万二千円を計上いたしております。  第三に、失業保険特別会計につきまして申し上げます。この会計の歳入歳出は、いずれも四百八十八億三千六百四十五万三千円でありまして、前年度の四百九十五億九千二百六十一万四千円に比較いたしますと、七億五千六百十六万一千円の減少となっております。歳入のおもなるものは、保険料収入の三百五十一億九千二百万円と、一般会計より受け入れの八十八億三千二百万円であります。また、歳出のおもなるものは、失業保険給付費の三百五十一億六千百万円でありますが、このほか、本会計の積立金より生ずる利子収入の二分の一額を充当することにより、労働者の福祉増進をはかることといたし、総合職業訓練所、中央職業訓練所、簡易宿泊施設、労働福祉館並びに被保険者住宅等を設置運営せしめるため、労働福祉事業団に対して行う出資並びに交付に必要な経費として十四億一千八百四万七千円と、その他の保険施設費並びに公共職業安定所の庁舎新営費として二億六千百九十五万三千円、合計十六億八千万円を計上いたしておるのであります。なお、この予算は、保険料率においては、従来の千分の十六を、昭和三十四年六月より千分の十四に、また、国庫負担率においては、従来の三分の一を四分の一に引き下げて算定されておりますが、これが関係法案は本国会に提出いたしております。  以上、昭和三十四年度労働省所管一般会計及び特別会計の予算につきまして、概略御説明申し上げたのでありますが、何とぞ本予算の成立につきましては、格段の御力添えをお願い申し上げる次第であります。
  14. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) ただいまの説明に対する質疑は、冒頭に御了解いただきましたように、三月二十五日並びに二十六日の二日間にわたっていたすことにいたします。  以上をもって、本分科会所管四省の説明聴取を終りました。  ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  15. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) 速記を起して下さい。   —————————————
  16. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) 引き続き、大蔵省所管を議題といたします。本日は、五時十分までには分科会審査を終了いたすことにいたします。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) では、さように運営をいたします。どうぞ御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  18. 塩見俊二

    塩見俊二君 まだ主税局側がお見えになっておりませんので、お見えになってからお伺いしたいと思います。  私は、きょうの問題は非常に重大な問題であると思うわけですが、しかしながら、問題自身はやや技術的な感じがしますので、主として国税庁の長官、それから主税局長からお答えをいただきたいと思います。  御承知の通り、税金の問題も若干緩和されてきたようでありますが、それにいたしましても、まだまだ日本の国民生活の水準からいたしましても、相当に税の負担は国民の重大な苦悶の的になり、また、いろいろ批判の的になっておる重大問題であるだけに、政府におきましても、毎年相当の減税を行いまして、負担の軽減をはかって参ってきたのでありますが、特に明年度においては、御承知のように、自民党の公約通り七百億を越える減税を断行していただくということで、私どもも、政府側の御苦心には敬意を払っておる次第であります。ところが、私がただいまからお尋ねをいたしたい各種の問題、これは、実は日本の納税者にとりましても、また日本の経済あるいは税制その他の問題につきましても、非常に重大な問題だと考えるわけでありますが、しかしながら、これがどうも等閑に付されておる。どうもこういった問題につきましては、税法の改正並びに負担の問題だけが非常に大きく取り上げられて、私が今から御質問申し上げる問題につきましては、どうも一般の世論も、あるいは国会でも、あるいは大蔵省自身におきましても、閉却をされておるように思うのであります。しかしながら、私は非常にこれは重大な問題だと思いますので、一つ率直にお答えをいただきたいと思います。先ほど主査のお話では、五時十分までということでございますので、時間がございません。お許しをいただければ、またあした続行します。もしあした時間がないということになりますと、また別の機会に引き続いてお尋ねをいたしたいと思います。  本日お尋ねいたしたいと思いますのは、まず、世にいういわゆる遅滞税の問題、それから引き続いて行政罰の問題、あるいは刑事罰の問題等につきましてもお尋ねいたしたいのでありますが、おそらく時間がないと思いますので、この遅滞税の問題につきまして、逐次お尋ねをいたしいたと思います。これは、法人税法と所得税法に規定があるわけでありますが、便宜私は、法人税法の順序に従ってお尋ねをいたしたいと思うのであります。  まず第一に、法人税法第四十二条に規定がしてありますこの利子税の問題についてお尋ねをいたします。利子税は、御承知の通り、納付遅延の期間に応じて日歩三銭の割合でもって取られておるわけでありますが、この利子税というものは、一体これはどういう性質のものでございますか。これは端的にいえば、罰金であるのか、あるいは利子であるのか、この性格からお尋ねいたしたいと思います。
  19. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 御質問のございました利子税の性格でございますが、これはいわゆる行政罰でなくて、遅延利子に属するものと考えております。
  20. 塩見俊二

    塩見俊二君 そういたしますと、法人税の四十二条の第一項のカッコの中に、「徴収を猶予された期間に応じ、当該徴収を猶予された税額百円について一日二銭の割合を乗じて計算した金額」、こうなっているわけでありますが、この二銭と三銭の違いは、どういうことでございますか。
  21. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 実は、これらの性質につきましては、税法に関する問題でございますから、主税局長からお答えしていただくのが筋道かと存じますが、私の理解しているところを申し上げますれば、一応利子税は行政罰でなく、遅延利子、遅延利息に類するものと考えられます。ただ、四十二条一項でいっております徴収猶予期間中二銭にするのは、これはどういうわけかということですが、私は、これがあるからといって、遅延利息の性質をそこなうものでない、本条の規定は、多分にいわば納期の延長的の感覚があるでございましょう。そういうような意味合いで、通常の日歩三銭に比べて遅延利息を軽減した、こういうふうに考えております。
  22. 塩見俊二

    塩見俊二君 どうも、適切なお話をしていただかなければ、非常に困りますから、主査から、主税局長の出席を至急要求していただけませんか。  それでは、これは国税庁長官から御答弁いただけると思いますので、お願い申し上げたいと思いますが、この利子税につきましては、創設以来日歩十銭からあるいは四銭あるいは三銭というふうに、だんだんこの負担が軽減されて参っているわけであります。昭和三十年六月に、日歩四銭から三銭に軽減された。これは一体どういう理由で軽減されたのでしょうか。
  23. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ただいま御指摘がございましたように、利子税は、かつて日歩十銭という、非常に高率でございました。これは、当時のインフレ下におきまして、租税の納付をおくらすことによってインフレの利得を得ようとして、すなわち、早く税金を納めた者はばかを見るという傾向がございましたので、そういうことのないように、思い切って高い利子税を課したというのが実際であるかと考えます。
  24. 塩見俊二

    塩見俊二君 ちょっと、今の御答弁で、私は腑に落ちない点がありますのは、先ほどのお答えでは、利子税は利子であるというふうな御答弁であったわけでありますが、この日歩十銭も、やはりこれは利子でございますか。
  25. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 大へんおくれて失礼いたしました。今の御質問を伺ったのでありますが、利子税は、かつて十銭というような高い時期から、その利子ないし遅延利息的な考え方については、現在と変らないかというお尋ねのようでありますが、これは、概して言うて、そうであると言うてよろしいと思いますけれども、しかしながら、沿革的に、利子税についての性格論は、何と申しますか、御案内の通り、戦後申告納税制度が導入されて、そうしてこういう利子税、加算税というものが新たになった。そうしてかつ、終戦後の経済界の非常な動揺の問にあって、こういうものがかなり大きく制度の改正を経てきております。その各段階において、必ず現在と同様の考え方であったかどうかと言われますと、私の記憶では、必ずしもそうとは限らない面もなきにしもあらずだと思う。一面、ある意味では、終戦後課税関係が非常に混乱しまして、一方で経済がインフレだというようなことで、利子税はぐんぐん上って、十銭までなったというような時期におきましては、目の前の課税に追われて、こういう制度についても、落ちついたベースで、これを性格的に割り切るということは十分できていなかったように私の記憶では思います。従いまして、過去の十銭のベースと現在の三銭のベース、中間の四銭のベースというようなものを、同一的なものでぴちっと説明しろと言われても、やってみなければわかりませんけれども、やってみた場合にどうなるかということは、にわかに一つの理論で必ずしも説明しきれるかどうか、ちょっと今のところでは、私ども自信がございません。
  26. 塩見俊二

    塩見俊二君 その問題はそれでおきまして、それでは、先ほどお答えしていただけなかった四銭から三銭に引き下げた理由、立法的な理由をお聞きいたします。
  27. 原純夫

    政府委員(原純夫君) やはりこれは、概して言うて、一般の金利水準が下ってきたというのと関係があると思います。しかしながら、利子税には、申し上げたかと思いますが、単に経営上の貸付金利子というものの性格でない、若干遅延利息、延滞利息的なものが入っておりますから、ぴったりそれとは言えませんけれども、やはりそういうような趨勢が大きく響いておるのではないかと、私はこう思います。
  28. 塩見俊二

    塩見俊二君 それでは、ちょっと銀行局にお伺いいたしますが、政府は、国際的な水準にだんだんさや寄せしょうということで、金利の引き下げについては、大へん御苦心努力を払われておるようであります。それで、その成果もだんだん出て参っておるようで、私ども喜んでおるのでありますが、たしか、この間聞きますと、政府機関関係で若干の金利の引き下げを行われるということですが、いつごろ何ぼ下げるかということを一つお聞かせ願いたいと思います。
  29. 大月高

    説明員(大月高君) 政府機関関係の金利につきましては、来年度早々より、中小企業関係の金利につきまして引き下げを行う。一つは中小企業金融公庫と国民金融公庫で、ございまして、現在年利九分六厘でございますが、これを大体において九分三厘に下げる予定でございます。それから商工中金の金利でございますが、現在平均におきまして大体九分九厘ちょっとという金利でございますが、それを九分六厘台に下げるということになっております。
  30. 塩見俊二

    塩見俊二君 もう一つ大月さんに、市中銀行の金利につきまして、何か最近お考えになっておるようでありますが、それをごく簡単に伺いたい。
  31. 大月高

    説明員(大月高君) 先般日本銀行の公定歩合の引き下げを行いまして、日歩一厘方下げたわけでございます。それまでに、金融引締め時代の金利に比較いたしまして、公定歩合日歩三厘方下っておりましたので、今回の分を合せまして四厘下る、こういうような状況でございます。それに伴いまして、市中の金利も逐次低下いたしてきておるわけでございますが、ただいまの市中金利の状況は、金融の引締めを実行いたしました当時の水準とほぼ同様、つまり昭和三十二年の二月程度の水準になっております。三十二年の二月から次第に金融が逼迫いたしまして、大体日歩一厘方上っておったのでございますが、公定歩合の引き上げ等もありまして、逐次また低下いたしまして、それが三十二年の二月のところまで下っております。現在の水準は、日歩二銭二厘六毛という数字でございます。
  32. 塩見俊二

    塩見俊二君 もう一点だけ、あなたは専門家だからお願いします。日歩三銭は、年利に換算すると幾らになりますか。
  33. 大月高

    説明員(大月高君) 日歩三銭は一割九厘五毛でございます。一割一分にちょっと足らずという……。
  34. 塩見俊二

    塩見俊二君 そこで私、主税局長にお尋ねをいたしたいと思います。先ほどからいろいろ、主税局長は、この利子税というものは延滞利子的な性格を持っている、若干利子と割り切ることはできないというようなニュアンスがあるお答えのように思うわけであります。しかしながら、それにいたしましても、終戦後の金利の趨勢等に従いましてだんだんとこれの引き下げが行われてきておる。私はおそらく昭和三十年の利子税の引き下げも、そういった趨勢に応じて四銭から三銭に下ったものと思うのです。そうすれば、ただいま大月さんからお話がありました通り政府関係金融機関の貸出金利も九分三厘に下げようとしておる。そういう際に、この税金の負担がこれだけ重い現状において、一割何ぼというような、高利貸的とは私は言いませんが、こういう現在の三銭という利子ですね、これをさらに検討をして、お引き下になる御意思はないのかどうか。一つお伺いしたい。
  35. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 検討いたそうと思っております。それは、特に利子税の方というだけでなく、御案内の通り、今般お願いいたしました国税徴収法の全文改正、この一連の仕事といたしまして、こういう利子税、各種加算税その他各税法共通の事項について措置をしたいということを当初考えたのですが、手が回らず、こういうものだけ検討いたしたいと思っております。なおその際、たずいまお話の一般の利子率と利子税率との関係というものについては、なお十分調べてみたいと思います。倉卒にお尋ねございましたので、先ほどのようなことを申しましたが、ここで当時の金利の水準を見ますと、三十年度あたりは金利水準が特に下っているということはなくて、横ばいないし若干上り気味だったということがある。それが、もっと古い時期に比しますれば、相当下ってきておりますが、その辺のところは、性格論とあわせて十分分析的に、また総合的に検討いたしたいと思います。
  36. 塩見俊二

    塩見俊二君 御検討いただくことにして、この問題はこれで、次の問題に移ります。  やはり法人税法の四十二条の第七項を見てみますと、申告期限から一年を経過した後に政府側が更正決定をした。こういう場合には、一年間につきましてはもちろん利子税を取る。しかしながら、この一年を経過した翌日から更正決定の日までは、利子税は免税するという規定になっております。これは一体どういう立法の根拠でしょうか。一つお答えを承わりたい。
  37. 原純夫

    政府委員(原純夫君) これは、ただいまの所得税法人税が申告納税制度になっております。非常に純粋にこの申告納税制度の理想的な状態を考えますれば、すべて税額というものは、納税者の申告によって決定するというのがもう本則である。税務官庁がこれを更正決定するというのはきわめて例外的な場合であるし、また、税務官庁の側にそれを正しくするという責任が、一理想的な状態になればなるほど少くなると思うのです。そういう状態になれば、一年でも二年でも、すべて納税者の責任であるということから、利子税はもう初めから全部取るというようなことになるだろうと思います。逆に、なかなか納税者の申告がうまくいかない。税務署が相当立ち入って、あとから見ないとうまくいかない。ですから、しっちゅう見ていなさいよという状態のもとでは、あまり長く置いておくと、税務署怠慢だということになるというふうに思います。この一年というのは、ただいま申しましたような両面の角度から、一年というところを境目として判断したのだというのが論理的なお答えになると思います。従いまして、税務行政がだんだん、税務行政といいますか、申告納税制度がだんだん進んで、更正決定を受ける人が少くなればなるほど、これについては、何と言いますか、納税者の責任が大きくなるというような角度ではなかろうかと私は思っております。
  38. 塩見俊二

    塩見俊二君 私は、今の御説明は、どうもあまり納得がいかないのです。まあ日本の現在の納税義務者の状況あるいは納税知識の状況というものを、主税局長はどういうふうに判断しておるか知りませんが、私は相当低いものだと思っておる。あなたのおっしゃるように、なかなか申告納税制度……これからあとでなお申し上げまするが、まだまだ日本の納税者は、いわゆる申告納税制というものをそう完全にはこなしていない。こなしていないのみならず、非常に私は程度の低いものだと思っている。そこで、そういう状況なもんですから、今お話がありましたように、またこれは一年もほうっておくということは、税務官庁の責任でもあり、納税者の責任でもあると、こういうお話がありました。これは、私はその通りだと思います。ただ問題は、だんだんだんだんと、国税庁長官のお話なんかを刷り物なんかで見てみますと、日本の税務行政も漸次安定してきた。納税者の納税観念はそれほど進んでいないが、税務行政の方は非常に安定してきたのだ。これは、いささか私どもにとって非常に心強い話でありまするが、どうもそういう言い方が多い。税務行政は安定した。納税者はなかなかようわからない。これは私は、どうも今の日本の状況だと思うのです。そういう観点から見ますと、税務行政がこういうふうに安定をしてくれば、私は、逆に、税務官庁側の責任がふえてくると思うのです。早く更正決定してやれば、この利子税を取らなくてもいい。取る期間が非常に少くてすむ。従って、これはやはり、こういうふうに税務行政が安定してくれば、この一年という期間もあるいは六カ月にし、あるいは三カ月に短縮する、そうして本税のほかに、こういった余分な利子の負担をできるだけ納税者にかけないようにする。これは私は筋道だと思う。これについての御意見を承わりたい。
  39. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 私は、その点は、相当申告納税制度対付加課税制度というような角度から検討を要する問題だと思います。安定してくれば、税務官署がよけい手を加える余裕が出るだろう。従って、早く見なさいというような御議論も出ると思いますが、一方に、戦後ああいう混乱した時代の税務行政、そのための費用と申しますか、手数と申しますか、これは当然の手数であると見るかどうか、その辺にも問題があると思います。一定の人員と行政費を前提として、安定してくれば手はよけい加えられるという角度からは、おっしゃるようなことになりますけれども、私は、そこにやはり一定の行政を行う場合の人員の所要量なり費用なりというものも入れて考えなければならぬし、また、この安定してきたということは、納税者の側から更生決定を受けるものが少いような状態になってきた。そうすると、ごく少数の人間が更正決定を受ける。その人たちのためにいわば今まで使っていた費用を集約的に使うというようなことになってくるわけですね。それは私は、お話の考え方も一つだと思いますが、相当この税制の根本にからまる問題で、にわかにおっしゃるようには言い切れないと私は思います。
  40. 塩見俊二

    塩見俊二君 今の問題は、また論議を将来に残すことにいたしまして、次の問題に移りたいと思います。  次に、各種の加算税についてお尋ねを申し上げたいと思います。これは、利子税もその中に入ると思いまするが、先ほどの利子税の説明では、大体これは、延滞期間に相当する利子の性質を帯びている、若干行政罰的な感覚もないわけじゃないが、大体は利子だと、こういうお話のように承わったわけであります。そういたしますと、過少申告加算税あるいは無申告加算税、重加算税、これはやはりもう利子だけでなくて、行政罰でございましょうね。
  41. 原純夫

    政府委員(原純夫君) その通りに思っております。
  42. 塩見俊二

    塩見俊二君 今お話がありました通り、これは行政罰だということなんですが、これは、利子税も含めまして、各種の加算税というものは、税の名前がついているのは、一体これはどういうわけですか。租税というものは、われわれの観念からすれば、やはりいろいろな原則があり、公平な立場からこれを体系的に考えていかなければならぬ。先ほどのお話のように、行政罰というものであると割り切っておいて、これを加算税という名前、税の名前をつけるのは一体どういうわけですか。これは、できた当時は、アメリカからもらったものかもしらぬが、どういう形で税という名前をつけるのか。あるいは、もっと実態に即したように、この税という名前をはずすお考えがないかどうか。それを承わりたい。
  43. 原純夫

    政府委員(原純夫君) お話のような考え方もあると思います。おそらく利子税が片方の端に並んで、重加算税がもう片方の端に並んで、だんだん加罰性が少くなるだろう。利子税あたりであれば、ある時期にある額を納めなければならぬ、それと公平な関係を保つためには、半年おくれたら幾らよけい取るというようなことは、もう実態的には何も異質なものではないのじゃないかというような考え方が相当多いと思います。利子税に加罰性を入れれば、その部分は違うという意見が出るかもしれませんが、相当そういう何がある。私も、今即座にうまい御答弁がちょっとできません。先ほど申した共通法一般の場合に、ただいま御質問になりました点も覚えておりまして、十分検討いたしたいと思いますが、一方にはやはりこれは別にする、何と申しますか、徴収関係ですね。どういう体系になるのか、税でなくて、どういう形で取るのかというようなことも検討せんければなりませんし、少し検討させていただきたいと思います。
  44. 塩見俊二

    塩見俊二君 じゃ、今の問題は検討していただきたいと思いまするが、こういったような、全く事実に合わない不正確な表現で、税の名前をつけるということは、ぜひとも変えるという方向でお考え願うことを希望しておきます。  次に、法人税法第四十三条の過少申告加算税についてお尋ねをいたしたいのであります。  これは、まず国税庁長官にお尋ねいたします。これは、ちょっとお答えにくいかもしれませんが、しんぼうして一つお答えをいただきたいと思います。日本の現在の一般の納税者の納税知識なりあるいは現在の納税観念、あるいはまた、日本の税金の高いこと、あるいはまた、日本の納税者が貧乏であること、こういうふうないろんなことがある。こういうことが日本の現状だと思うのです。また、この現状のもとにおいて、非常に苦心をして国税庁の皆さん方が税金を取っておられることは、私はよく承知いたしております。しかし、その苦心にもかかわらず、日本の納税者というものは、一体どの程度に正確な申告をしておるのかどうか。農業所得者でも事業所得者でも、給与所得者の場合でもよろしゅうございますが、一体長官は、日本の納税者のうち、全然過少申告せずに、法律通り正確に申告している納税者は何パーセントぐらいあるだろうか。一人でもあるだろうか。その点を一つお答え願いたい。
  45. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 現在の日本の納税者で、正しい税法通りの申告者が何パーセントぐらいあるかという、こういうつらいお尋ねでございますが、私は、現在の申告納税制度ができましてからすでに十数年になりますが、当時は、御承知の通りのインフレのさなかでありまして、しかも、税率といっても相当きびしいものでありました。従いまして、あの当時におきまして、おそらくたとえば事業所得者の方々につきましては相当程度脱税があったのじゃないかと、こういうふうに思うのであります。しかし、その後インフレも終息いたしまして、経済が安定し、税率も適正化して参りまして、私は、やはり申告納税制度というものは、着々その本来の趣旨にのっとって発展しつつあるのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。もちろん、むずかしい税法でございますから、納税者の全部の方が現在の税法通りに申告しているということは、これはもちろん申せません。現に税務官庁で事情を調査をいたしまして、更正決定を若干いたしており、あるいは修正申告の処置もいたしておる次第でございまして、しかし、お前は一人でもあると思うかというあとの方のお尋ねでございましたが、これは、日本国民への侮辱じゃないかと思うのです。私は、税法に従って正直に申告しておる納税者が相当数あると思います。
  46. 塩見俊二

    塩見俊二君 非常に心強いお答えをいただきまして、了承いたします。ただ私は、考え方が少し古いかもしれませんので、もう一点だけお尋ねをいたしたいのであります。それは、よく私どもが前々聞いておりましたのは、まあせいぜい農業所得者では所得の六、七〇%、事業者の方も七、八〇%、俸給取りは大体九五%以上というようなことが捕捉されていることを、世間のうわさやら何かに私はたびたび聞いておるわけでありますが、長官のこのことに対する御感想というか、勘といいますか、お漏らしいただければ非常に幸いだと思います。
  47. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 各所得別に一体何割ぐらい申告されているだろうというお尋ねでございますが、これは実は、私ども勘がつきません。それから、たとえば農業所得者のお話がございましたが、農業所得につきましては、御承知の通りに、今の農業の現状から申しまして、標準率の課税をいたしております。これにつきましては、課税農家の大体平均よりも多少低目のところで、無理のないような課税をいたしておりますから、それに従って御申告願うことにいたしておりますので、全体として、必ずしもそれが全部が全部でないという感じもいたします。それから、事業者の所得につきましても、やはり税法の不知その他の関係から、営業者の方々が全部が全部百パーセントの申告をしているという感じはいたしません。しかし、お話のような、農業所得が六〇%ですか、事業所得が七〇%というような感じでは私はございません。相当程度ありのままの所得に従って御申告になっている方方が多いと、こういうふうに考えております。
  48. 塩見俊二

    塩見俊二君 最近非常に税務行政もよくなり、納税思想も進んでおりますから、ただいまの御答弁の通りと了承いたしました。ただ、私がこういう質問をなぜいたすかと申しますと、この過少申告加算税の五%というパーセンテージは、そうこれはきついものではないと思いますから、そういうふうに、一般的に必ずしも正確な申告が行われていないと思うので、この程度の罰則的なものがあってもよいということは、私も了承いたします。ただ、この規定の中に、この申告をしなかったことについて、要するに過少申告をしたことについて正当な事由があった場合は、この五%を許してやるという規定がある。一体この正当な事由の判断というものは、これはどなたがなさるのか。税務職員がやるのか、税務署長がやるのか、国税局長がやるのか、国税庁長官がやるのか、これをお尋ねいたしたい。
  49. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 正当な事由はだれが判断するかとというお尋ねでございますが、具体的に申せば、第一線で徴税に従事している担当者、それが係長、課長等を通じて、結局において税務署長の行為としていたしております。終局においては税務署長、たとえば、審査請求の場合におきましては国税局長、こういうことに相なろうと思います。ただし、税務署長がまちまちにいたしておるのではございませんで、われわれとしましては、全国にできるだけそれが統一、調整のとれるような方向で指示いたし、監督いたしている次第でございます。
  50. 塩見俊二

    塩見俊二君 これは、無申告加算税の共通の問題でございますので、もう一ぺんここでお尋ねを申し上げしたいと思います。  実際の問題として、この正当なる事由ということだけを法律に書いて、これを第一線の、この間、二年間くらいで税務官吏になった千差万別の税務官吏が強い権限を執行している。そういう税務官吏が、一体全国共通に、公平で正確な権衡のとれた判断がとれるのかどうか。これは、よっぽど指導よろしきを得なければ、全部共通の公平な判断はできないと私は思う。一体長官は、こういった税務官吏の何を正当と認めるかというようなことについて、何か具体的な標準になる指示を与えておりますか。
  51. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) この点につきましては、国税庁といたしまして、まず基本的な通達によりまして統制いたしております。その内容は、たとえば所得税につきましては、たとえば次のような事例をいうということにいたしております。まず税法の解釈に関して、申告当時に公表されていた見解が、その後改正されたため修正申告をなし、また更正を受けるに至った場合。これは当然だと思います。第二は、災害または盗難を受けたことによりまして、申告当時には損失とするのを相当としておりましたものが、その後予期しなかった保険金、損害賠償金等の支払いを受け、または盗難品の返還を受けた等によって修正申告をなし、または更正を受けるように至った場合。それから次には、申告の当時、たとえば収入すべき金額とか経費の額が具体的に確定されていないために、その当時の現況において適正と認められる見積額を申告しておりましたものについて、その後予想に反した額が確定するに至ったために修正申告をなし、または更正を受けるに至ったような場合。それから、以上のような場合のほか、真にやむを得ない事由があると認められる場合、ここにアローアンスがあるのでありますが、法人税につきましても大体それと同様、また若干詳細にわたって規定いたしております。
  52. 塩見俊二

    塩見俊二君 私は、ただいま長官がお述べになりましたそういう基準は承知いたしております。実は、ここでお尋ねしたいのは、そういう抽象的な基準では、実際税務官吏を統一ある行動に持っていく基準にはならない。これはもう少し、基本的なことでございますから、一つお伺いをしたいと思いまするのは、正当な事由として認めた実際問題としてのその事由、これを具体的に一つ、これは全国といってもできないでしょうから、具体的にこういう理由で正当な事由と認めたというその事由を、別の機会でけっこうですが、一つ御用意を願っておきたいと思います。  それから、先ほど、公表せられた通達が後に変更せられた場合には、これは正当な事由に認めると、こういうことを言われたように承知したんですが、その通りですか。
  53. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) さようでございます。申告当時の解釈が、その後変ってきたというような場合。
  54. 塩見俊二

    塩見俊二君 この通達は、たしか私どもは昔は役所の秘密であって、納税者に見せなくて、役所の中へしまい込んでおったものです。最近は非常に民主的な税務行政の運営ということで、これを公表する、私は非常にこれは進歩だと思います。思いますけれども、納税者は法律は見なくちゃならぬでしょう、法の不知が犯意を阻却しないならば。しかし、一体納税者は通牒を見る義務がありますか。
  55. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 義務と申しますか、ただ通達は、これは法律の解釈でございます。現在のような所得税法、法人税法は、相当これは解釈にゆだねられておることがあるのでございます。その法律に許された範囲におきまして国税庁で解釈を定めて通達をし、これを公表いたしておるというわけでありますので、現在申告納税の建前のもとにおきましては、たとえば青色申告者につきましては、これはおそらく大部分が、税理士等が関与しているだろうと思いますが、それらの税理士は納税者の代理人として納税法その他の通達を十二分に研究しておりますというような現状から、現在納税者も、もちろん全部とは申しませんけれども、税法の解釈における妥当な、この通達に沿った線において、私は税法の施行が行われておる、また申告もそういうふうにされておると、一応考えております。
  56. 塩見俊二

    塩見俊二君 私はまだその点がちょっと納得がいかないわけでありまして、通牒というのは、政府の法律に対する解釈なんです。その解釈がまあ違ったんだと、問題は違った解釈に従って、今度はなおったんだから正当な事由と認めると、何か法律のほかにもう一つ法律があって、私あたりどうも納得がいきませんが、時間がありませんから、これも御研究を願うことにして、次に進みたいと思います。  それからやはり法人税法の四十三条の第三項です。この納税者が、どうも政府が更正決定をやるかわからぬ、どうも調査しているようだと、こういうような場合を予知をしないで、そうして申告した場合には、五%免除してやるという規定がある。一体納税者が更正決定を予知するというのは、どういうことですか。例をあげて申し上げますと、たとえばどうもうちのところへ調査に来るらしい、どうも調べてみたところが、税理士なんかに聞いてみたところが、うちの申告はちっと間違っているようだと、それで急いで申告しょうといった場合には、これは一体予知したことになるのか、ならぬのか。
  57. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) うちへ近く税務署から調査に来るらしいということだけで修正申告なさった場合には、私は更正が予知されたというふうに考えておりません。実際の取扱いも、そのようにいたしております。
  58. 塩見俊二

    塩見俊二君 しからば予知というのはどの程度のことか、もう少し具体的に一つ……。
  59. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) この点は一応理論的に申しますれば、税務官吏が調査に参りまして、その人の帳簿書類などの調査によって、脱漏所得が発見されて、それを指摘された後に修正申告したというふうな場合は、もちろんこれは予知あったものとして考えるわけでありますが、それまでに至らない場合におきましても、まあたとえば他の税目につきまして調査、それからまた、取引先の調査などにおきまして、そうしてその調査によって直接関連ある取引についての脱漏がわかった。それでそのままいったならば税務署から更正を受けるだろう、こういったような場合には、理論的には私は入るかと思いますが、ただ実際の取扱いにおきましては、通達でこういうふうにしぼっております。「その者に対する所得税法人税、その他直接税に関する実地または呼び出し等の具体的調査により、当該所得金額などに脱漏があることを発見されたのちになされた申告、または修正申告」が、今、言ったような更正を予知してなされた申告または修正申告である、こういうふうに扱っておりまして、相当範囲をしぼっております。
  60. 塩見俊二

    塩見俊二君 今のことも大体私は承知しておったのであります。ただ、私がなぜこの問題を取り上げてお尋ねするかと申しますと、今言ったような予知するという、この限界ですね、これが非常にあいまいなんです。非常にあいまいで、一体どの程度までが予知であり、どの程度までが予知でないかということは、これは神様でなければわからない。全国の税務官吏が、これの、どの程度が予知であり、予知でないというふうには必ずしも明確に判断できない。たとえば、具体的に一つそれじゃあ申し上げますが、ある親切な税務官吏がおる。まだその程度の調査までいかんが、とにかくその隣りのうちと比べたら、お前のところは少いぞ、早く申告を出さなければ加算税がかかるぞ、こういうふうな忠告をしてくれて修正申告を出す場合もありましょうし、まあある程度、ちょっと一日行って見たが、だいぶん税額が申告と違う、早くお前も一つ研究して申告書を出せと、これを親切に忠告してやっても、これを予知でないという判断をする税務官吏もあると思う、税務署長もあると思う。この限界というのは、非常にこれは私はむずかしいと思う。おそらく四百の税務署が、それぞれその税務署の法人税及び所得税の税額、過少申告加算税の徴収額について、例として、あるいは仙台の国税局と大阪の国税局、あるいは熊本の国税局と東京の国税局、これらで、本税に対する過少申告の加算税、いわゆる予知の問題が発生する。これの取扱い方、これはなかなか公正であることが困難であると思う、実際問題として。ところが今の予知の問題につきましても、ただいま御説明承わりました程度のこの基準では、なかなかむずかしい。これはよほどよくやっていただかないと、私は具体的に数字は実は要求しませんが、また最近のことは知りませんから、非常によくなっているかもしれませんが、相当にこの取扱いは局別によって、あるいは税務署別によって、あるいはその担当者なり、税務署長の心がけ一つで、相当に違った取扱いが現実になされているということを私は知っておるのです。これは答弁は求めません。こういった問題につきましては、できるだけ全国平均にいくように、格段の努力をお願い申し上げます。  それから次に、無申告加算税についてお尋ねをいたします。この法人税法第四十三条のこの無申告加算税。これも「正当な事由がないと認める場合」といろいろ規定がありますが、これは先ほどお尋ねしましたので省略をいたします。ただ御承知の通り、無申告加算税には、その申告期限の一カ月以内に申告したら一〇%の加算税、ニカ月以内に申告したら一五%の加算税、三カ月以内は二〇%、の加算税、三カ月以上は二五%の加算税の税率になっておる。私はこの点でお尋ねしたいのは、一体このわずか一カ月刻みに、これほどの負担の差をつける。本税に対して一〇%から一五%、二〇%、二五%と、わずか一カ月から三カ月半の間に、この無申告加算税は非常に重い罰である。このわずか三カ月半くらいの間に一〇%から二五%までという、これほどにひどい罰の差を置く必要があるのかどうか。あるいはまた、置いた理由いかんということを一つお伺いしたい。これは主税局長から……。
  61. 原純夫

    政府委員(原純夫君) これは納税者に対して期待いたします程度に応じてこの割合が盛ってあるというのが御説明でありますが、お話しのように、果して申告期限を一カ月の期間と三カ月あたりの期間とがこれほどに数値が違うものであっていいかどうかということは、確かに問題があると思います。先ほど申し上げましたように、共通規定を検討整備する際の一つの大きな問題として検討いたしたいと思っております。
  62. 塩見俊二

    塩見俊二君 これは、無申告加算税がこういうふうに一〇%から二五%に区分されておるということを知っておる日本の税務官吏というものは、非常に少い。また知っておる納税者もほとんどいない。無申告加算税とはすなわち二五なりというのが税務官吏及び日本の納税者の常識なんです。これは実際の例を出してもらったらいい。二五%適用したもの、二〇%適用したもの、一五%適用したもの、一〇%適用したもの、これの全国の表を出してもらったらはっきりします。全部二五%と言っていい。要するに、大部分、とにかく無申告加算税というものは二五%なりというのが現状だと思う。一つ国税庁長官、頭をかいておるようだから……。
  63. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) どうもただいまのお話は、私は頭をかかざるを得ないのでありますが、実はこれは一カ月、二カ月、三カ月刻みというのでとったのではございません。実はサンプル調査したものがございますので、ちょっと御紹介申し上げます。これはごく小範囲の東京都内の三つの税務署につきまして取り急ぎ調べたものでございますが、それによりますと、昭和三十年分におきましては、とにかく無申告加算税のかかるべき状態にありましたもの、すなわち申告期限外のものが七百八十四件ございまして、そのうち一カ月以内のものは百三十三件、一カ月をこして二月以内のものが三百四十四件、二カ月をこして三カ月以内のものが百一件、残りの二百六件が三カ月をこえるもの。三十一年分も大体そんな傾向になっております。まあこれで見ますと、無申告加算税とは二五%なりというほどのことはございません。もちろん、三カ月をこえるものも相当あるわけでありまして、ただいま申し上げましたように、三十年度においては二百六件の二五%適用さるべきもの。それから三十一年度は八百のうち二百九十五というふうになっておりまして、全部が全部二五%ということはございません。特に法人の方になりますと、法人につきましては大体におきまして申告期限をそう長く経過するものはないわけでありまして、無申告加算税につきましては、法人においては一カ月、二カ月程度のものが多いのではないか、こう考えております。
  64. 塩見俊二

    塩見俊二君 ただいまの御答弁で、私どもが昔扱っておった時分よりも、税務行政自身は非常に進歩しておるようなことで、非常にこれは敬意を表します。しかし、実際問題として、今言ったのは件数ですか、金額でございますか。
  65. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ただいま申し上げましたのは件数でございます。
  66. 塩見俊二

    塩見俊二君 おそらく金額にすれば相当に違ったものが出てくると思いますが、これは御検討を願ってきおます。  それから次に、重加算税の問題についてお尋ねいたします。この重加算税は、御承知の通り、本税に対しまして五〇%。これはまことに何と申しまするか、過酷きわまると言っては語弊があるかもしれませんが、非常に重い負担であります。それで、税が高い高いと言いましても、本税はとにかくその収入分のうちから払われる。ところが、この付帯税に至っては、これは罰則だから、収入のうちから払うというよりも収入がなくても払わなくてはならないというので、私はこの重加算税五〇%というのは非常に高い罰則であって、これが今日まで放置されておることは、一方に刑事罰がありながらかような五〇%という非常に高率なものが今日まで放置されておるということは、むしろこれは不思議に思うくらいでありまして、端的に実際この問題、重加算税を扱っておられるまず国税庁長官から、これは高過ぎるのだという、自分の経験からそういうお考えがないのかどうか、一つお伺いいたしたい。
  67. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 五〇%という重加算税の率はお前高いと思わんか、こういうお話しでありますが、私も決して安い率とは思っておりません。
  68. 塩見俊二

    塩見俊二君 もう一ぺんお答え願います。どうもはっきりしなかったから。
  69. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 私も五〇%という率は、決して低い率とは思っておりません。
  70. 塩見俊二

    塩見俊二君 高いと思っておりますか。
  71. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 決して低いとは思っていないので、その反面から申しますと、どのくらい高いか、この程度の高さが適当であるかどうかという問題であろうかと思います。これは正直に申告する者から申しますれば隠蔽、仮装してそれによって所得を脱漏しておったという者に対して隠蔽、仮装分に五〇%の税率がかかるということは、これはやはり正しい正直な納税者を守るという意味からいってもやむを得ないのじゃなかろうか、こういう感じがする。低いとは思いませんけれども、やむを得ないのじゃないか。こういった感じが感想であります。
  72. 塩見俊二

    塩見俊二君 私が国税庁長官のところにこの前参りましたところでは、国税庁長官は、いつでもどなたでもお入り下さい、まことに民主的な応待をなされておる。また、最近税務行政も非常によくなり、何でも不平、不満を言うてほしい、苦情相談所は設ける、きわめて民主的な運営をやっておられることで、敬意は払っておるのでありますが、しかし今の御答弁では、この重加算税の五〇%がこの裏にさらに刑事罰を控えて、このだんびらをあなた掲げておって、この五〇%がどうもこれは高くないのだ、ほんとうにそうお考えでありますか、もう一ぺんそれを伺います。
  73. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) 北島長官、はっきり答えて下さい。
  74. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) はっきり申します。決して低い率とは思っておりません。さてそれが五〇%がいいか、それよりも低い四〇%がいいか、三〇%がいいか、こういうことは私個人の感想でなく、やはり税制調査会その他によって有識者の御意見を承わってきめるべきことで、執行の任にある私が軽々に、これは高いから下げた方がよかろう、こういうことは申し上げない方がいいのじゃないか、現状においてはやむを得ないのじゃなかろうか。
  75. 塩見俊二

    塩見俊二君 だから私は長官にお尋ねしているのであって、高いかどうかというそれをお尋ねしておるだけであって、どう改善していくかというお尋ねはしていない。しかし、この問題はこれでやめましょう。  それから今のお話しに、仮装または隠蔽という言葉があったわけであります。この仮装または隠蔽につきましても、これは先ほど正当なる事由とか、あるいはまた修正申告と予知というような問題と似た点があるわけでありまするが、しかしながらこの場合五〇%という非常に高い負担があとに控えておる。しかもまた、仮装、隠蔽といういわば犯意と申しまするか、そうした悪質的なものがここへ判断の基準になっておる。従ってこれはなかなかこの判断は非常に重要な問題だと思います。それで要するに五〇%全部かからないか、あるいはまた五〇%全部かかるか。これはおそるべき税務官吏に対する判断の権限です。これは官吏の判断によってきめられるのだ、五〇%かゼロかを。要するにオール・オア・ナッシング、そういう問題でありますので、この仮装または隠蔽というこの判断の基準は、これはさらに前の場合よりも厳重な統制下に全国の税務官吏は全く同一の歩調でもってこの問題を扱わなくちゃならんのです。過去の経験からいたしますと、必ずしも私はその点が十分であったとは思わない。一体この仮装または隠蔽の判断が、現在では少くとも各地区別なり、各税務署別なりで公平に行われておるというお感じで国税庁長官おいででしょうか。
  76. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 隠蔽または仮装の取扱いにつきましては、通達によりまして全国の税務署、国税局を統制しておるわけでございますが、ただいま所得税につきまして隠蔽または仮装の意味は、このようなものであるということを指摘しておりますが、ちょっとそれを御紹介いたしますとこれは例示でございますが、「一、いわゆる二重帳簿を作成して所得を隠ぺいしていた場合における当該隠ぺいされていた部分の所得、二、売上除外、架空仕入若しくは架空経費計上その他故意に虚偽の帳簿を作成して所得を隠ペいし、又は仮装していた場合における当該隠ぺいし、又は仮装されていた部分の所得、三、たな卸資産の一部を故意に除外して所得を隠ぺいしていた場合における当該隠ぺいされていた部分の所得、四、他人名義による等により所得を隠ぺいし、又は仮装していた場合における当該隠ぺいし、又は仮装されていた部分の所得、五、虚偽答弁、取引先との通謀、帳簿又は財産の秘匿その他の不正手段により故意に所得を隠ぺいし、又は仮装していた場合における当該隠ぺいし、又は仮装していた部分の所得、六、その他明らかに故意に収入の相当部分を除外して確定申告書を提出し、又は給与所得その他についての源泉徴収を行っていた場合における当該除外されていた部分の所得」一応こういうような基準で通達はいたしておりまして、全国的にできるだけ統一を保つように苦慮いたしております。
  77. 塩見俊二

    塩見俊二君 この問題は、査察の結果告発をする、あの告発とこの重加算税とは、もちろん併課ができるわけですね。
  78. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) さようでございます。
  79. 塩見俊二

    塩見俊二君 そういうことで、これはまあ最悪の場合は告発されて体刑なり罰金なりさらに重加算税を課せられる。こういうものが累積すればこれは驚くべき苛酷というか、大へんな結果になるわけなんでして、特にそういう点もお含みの上でこの重加算税の扱い、あるいは五〇%というこの率の問題、これについてはぜひとも御検討をいただきたいと思います。今のこの五〇%について御検討をいただけるかどうか、主税局長に一つお答えいただきたい。
  80. 原純夫

    政府委員(原純夫君) もちろん検討いたさねばならぬと思います。これは今のお話しだけでなく、先ほど申しました一連の作業を私ども引き続いてやろうと思っておりますので、特にこの点も含めて検討いたしたいと思っております。
  81. 塩見俊二

    塩見俊二君 私は勘で、まあ勘ではちょっといかんかもしれませんが、どうも私の今までの経験なり国税庁の統計書なんかを拝見いたしておりますと、先ほどから申し上げました加算税あるいは申告加算税、それから重加算税等の一連の行政罰ですね。これは昭和三十年あたりの経験ではございますが、こういったような行政罰がこれが調査課所管分におきましては、こういうものの累計が、今の加算税の累計が調査課所管分ではたしか一〇%以下になっている、六、七%。ところが、税務署所管分では、こういったような加算税の累計額はたしか三〇%程度になっている。これは間違ったら訂正を願いたいと思います。というようなことで、どうもこの一連の加算税というものが実際の適用におきましては、どうもいわゆる中小企業なり零細所得者に対して要するにこの比重がかかり過ぎている。大企業では今申し上げました通り付帯税総額で六、七%、中小企業では三〇%というようなことで、付帯税全体が中小企業課税的な性格を多分に結果として持っている。この点についての御見解を承わりたい。
  82. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ただいま手元にある資料によりまして税務署所管と調査課所管に分けまして、過少申告加算税等の決定割合を申し上げますと、過少申告加算税の件数は、更正決定件数に対しまして税務署所管においては二九%、調査課所管が六九%、そういうふうに調査課所管が非常に大きな割合となっております。それから期限後の無申告の分につきましては、全体の件数に対しまして決定及び期限後申告件数に対する無申告加算税の件数は、税務署所管分が三八%、調査課所管分が二二%、これは税務署所管の方が割合が多い。それから更正決定件数に対する重加算税件数の割合は、調査課所管が八%、税務署所管が一〇%、これで見ますと、必ずしも税務署所管の方が割合が多いということはございません。それからただ中小企業に対してどうかとおっしゃいますと、これは法人税、法人五十五万ございますが、そのうち一億円以上の資本金の法人は千四、五百しかございません。というような状況でございますので、全体がどうかということになりますれば、圧倒的にはやはり大資本の法人の数が少いということが言えると思います。
  83. 塩見俊二

    塩見俊二君 ただいまの私の質問と長官の御答弁とは、少し基礎が食い違いがございます。私は件数ではなくて、総税額に対する今の各種加算税の付帯税の合計割合を申し上げているわけであります。それではその問題はあとでまた別の機会に材料をちょうだいをしてお尋ねをいたしたいと思います。  そこで最後に、利子税及び各種加算税の重複の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。時間がだんだんございませんので、あまり詳しくはお尋ねできないと思いまするが、具体的にお伺いすると非常によかったのでありますが、すぐ計算ができれば一つここで計算をしていただきたいのであります。例をあげてお尋ねいたします。一カ月十万円の所得のある法人、すなわち年百二十万円の所得のある小法人ですが、これが期限内に五十万円の申告をした。ところが、その後、仮装または隠蔽の所得として七十万円を一年六カ月目に更正決定された。この場合の本税、利子税、過少申告加算税、重加算税の合計額。さらに、それに地方税の負担を加えた金額。それからもう一つ、今の場合に、五十万円の申告が期限後であった場合、要するに全額が期限後であった場合ですね、無申告加算税を課せられた場合、そういった場合の合計額、これを一つお出し願いたいと思います。これは時間がかかりましょうから、きょうはよろしゅうございます。ただ、私がこう申し上げますのは、この合計額がおそらく所得金額をはるかにこえた金額ではないかと思うからですが、長官は頭を振っていたから、御計算になったかもしれませんね。じゃあ一つお答え願います。
  84. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ちょうどおあつらえの数字がここにございまするるので、お答え申し上げます。まず前者の、五十万円だけ期限内に申告されて、あとで期限後に隠蔽、仮装七十万円を一年六カ月目に更正をされた場合の税額を申し上げますと、一切がっさい申し上げますが、法人税が五十四万九千七百五十円、事業税が十二万六千二百五十円、住民税が六万一千五百九十円で、合計いたしまして七十三万七千五百九十円になりまして、所得に対する税額の割合が六一でございます。ただし、実行税率、すなわち事業税、利子税及び延滞金は損金になりまするので、これを損金として計算いたしますると、実際の実行税率は五二%でございます。それから期限内に全然申告しなかった、そうして今のような条件のもとにおいて更正決定を受けたといたしますると、法人税事業税、住民税一切合せまして八十七万四千六百七十円でございまして、所得に対する税額の割合は七三%、これも事業税、利子税及び延滞金を損金といたしまして計算いたしますので、実行税率といたしましては六〇%、こういうことに相なります。
  85. 塩見俊二

    塩見俊二君 今の計算は、専門家の御計算だからその通りだと私思うわけでありまするが、若干額が違いますので、もう一ぺん御検討願いたいと思います。最後に、いろいろとお尋ね申し上げたわけでございまするが、これは、御承知の通りいわゆる付帯税だけの問題であるわけであります。このほかに、いろいろの行政罰なりあるいは徴収法上の罰則なり、あるいは間接国税におきましてもそれぞれいろいろな罰則的な規定があるわけでありまして、かような問題は、皆一連の問題として私はもはや再検討のときに来ておるのではないかと思うわけであります。租税の負担の問題が非常にやかましいので、結局この方の問題を先に解決しなければならない。従って、付帯税なり行政罰の問題は、少しあと回しになっているというのが実情ではないかと思うわけであります。特に、こういった各種の制度は、おおむねアメリカの占領治下にアメリカのアドバイスによって作った制度であります。従って私は全面的に、日本の国情に合うかどうか、また、日本人の道義観に適合するかどうか、あるいは日本の現在の経済状態なり、あるいは国民生活の現状に妥当しているかどうかということを十分御検討いただきたいと思います。御承知の通り憲法におきましても、これは憲法調査会というものが設けられておりますが、おそらく最も国民に関係の深いことでありながら、占領軍の残した制度の中で一番そのままの形態を保っているのは税法である。税法もだんだん直りましたが、特にこういった付帯税なり、あるいは刑事罰の問題、これが一番取り残された問題のような感じがするわけであります。そしてまた、これは現実に一人々々の納税者の問題でありますので、どうも国会の問題なり、世論にはなかなかならぬが、実際の国民生活、納税者の立場から思うと、非常に大きな問題だと思います。もう占領が終りましてから七、八年たっておりますが、どうか最後にこの問題につきまして、せっかく明年はまた大きな規模の調査会を作っていただくというお話を承わっておりますので、こういった問題につきまして一つ真剣に再検討願いたい、これをお願いいたしまして私の質問を終りたいと思います。    〔主査退席、副主査着席〕
  86. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと関連して。大蔵省にいろいろ伺いたいのですが、塩見委員質疑に関連して一事項だけについてお伺いいたしたいと思います。  問題を的確に把握するために前提条件について伺いたいことがあるのですが、それは三月十五日付で総合所得の確定申告を該当者は提出することになっておりますが、全国で大体何人程度が申告書を提出すると予想をされておりますか。
  87. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) おそらく昭和三十三年度分で約二百万人ぐらいではなかろうかと考えております。
  88. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その提出状況は良好ですか、それともやや不十分というような認識に立っておられますかどうか。
  89. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ただいまのところ、まだ全国からの統計は取れておりませんが、断片的な報告によりますれば、昨年よりもさらに平静でかつ円滑であるという報告を受けております。
  90. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで、具体的に伺いますが、学者とかあるいは政治家が後援会を持って、その後援会から毎月若干の御支援をいただいている、こういう後援会から得た金は、申告の中に入れるべきですか、入れなくてもいいのですか。
  91. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これは後援会の性質いかんでございますが、もしそれが特定の会社ということになりますと、法人からの贈与はこれは贈与税がかかりませんで、所得税の一時所得ということになります。それから個人からの贈与でございますれば、これは贈与税の対象になる、それぞれ税法所定の規定によりまして課税さるべきものは申告していかなければならぬと考えております。ただし、政治家の方でございますと、公職選挙法によりまして届け出られたものは、これは税法でもはっきり非課税ということになっております。
  92. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 具体的に伺いますが、私が矢嶋後援会というのを持っているとします。で、若干の物質的御支援を仰いでいる場合、私はそれを申告すべきですか、すべきでないですか。
  93. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) その後援会が人格なき社団ということになりますと、所得税法の一時所得ということに相なります。一時所得でございますと、十五万円控除いたしまして、残りを二分の一いたしましたのが総所得金額に加えられるわけでございます。
  94. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では確定解釈を下していただきましょう。定期的にいただくのはこれは給与所得に申告すべきで、臨時的にいただくものは雑所得に申告すべきだ、こういう税務署の末端行政官は言明しているのですが、そうじゃありませんね。
  95. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ちょっと直税部長から……。
  96. 金子一平

    説明員(金子一平君) ただいまのお話しでございますが、長官からお話のございましたように、一時所得の場合が多かろうと思いますが、ただ、定期的におもらいになるような場合でございますと雑所得……
  97. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは給与所得だ、定期的なら。
  98. 金子一平

    説明員(金子一平君) いや給与じゃございませんで、別に雑所得というような格好になるかと思います。
  99. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では顧問料はどうでございますか。
  100. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 顧問料は、たとえば会社の顧問料ということになりますと、これは給与所得です。
  101. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 申告しますか。
  102. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) それぞれの条件がございますので、確定申告すべき額以上になりますれば、それは申告をいたします。
  103. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 研究委託料というのは、そういう委託料はどうですか。
  104. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ただいま個別的にいろいろ具体的な事情もあろうかと思いますので、一つの例をとりましてお答えいたした場合に、あるいは全体の統一的な解釈に矛盾を来たすおそれもあるかと思います。特定の具体的な例によって判断いたさなければなりませんので、具体的な事案につきましては、一つおまとめいただきまして、それにつきまして協議いたしましてお答えいたしたいと思います。
  105. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先刻塩見委員質疑に対して、正式に申告する人が非常に多いので、申告を十分しない人がいるんじゃないかというような質問は、国民を侮辱しているように思うという答弁がありましたので、私、若干堀り下げて伺っているわけで、その前提としてこういうことを聞いているわけですがね。重ねて伺いたい点は、三月十五日で総合所得を申告しますね、これを公示する機関はどういう機関で、その公示の内容はどの程度かお答えいただきたいと思います。
  106. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 所得税法五十三条と所得税法施行規則五十一条に規定してございまして、これによりますれば、申告された総所得金額、山林所得及び退職所得の合計額が二百万円をこえる者の住所、氏名及び当該申告にかかる総所得金額、退職所得の金額及び山林所得の金額の合計額を、毎年五月一日から同月十五日までの間、納税者の所轄税務署長が、当該税務署の掲示場その他当該税務署の公衆の見やすい場所に掲示する方法により公示しなければならないと、こういうことになっております。
  107. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 国税庁長官はいつでも自由に見ることができますか。
  108. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 職務上必要でございますれば、職務の監督権の発動といたしまして、私は税務署に対して照会することができます。
  109. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 現在昭和三十四年三月ですが、三十三年、三十二年、三十一年というような申告書を今修正することはできますか、できませんか。
  110. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 修正申告はいつでもできるわけでございます。
  111. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 二、三年前のを今になって修正するというようなことはどういう場合に起るのですか。好ましいことですか、好ましくないことですか。
  112. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 所得税法の規定によりますれば、一ぺん確定申告いたしまして、その後やはり脱漏があるという場合におきましては、修正申告をすることができるわけです。またそれが必要なわけでございます。ただ、その修正というのは勝手にするわけにはいきませんので、御自分で一へん計算されて申告をされたが、これが税法上誤りがある、これが正しいのだという場合に、その正しいと思われる所得につきまして修正申告をすることができるわけでございます。
  113. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 自分に所得があり、当然申告すべきであったのを申告していなかったというのを、あとで修正することができますか。これは好ましいことですか、好ましくないことですか。
  114. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 好ましいのは、やはり期限内に正しい申告がなされることでありまして、それ以後におきましては修正申告をされることは、当初期限内に正しい申告をされたのに比べますれば好ましいことではないと思います。しかし、正しい申告をされないのに比べますれば、私は好ましいと思います。
  115. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたの直属上官である大蔵大臣は正確に申告しておると思いますか、思いませんか。
  116. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 私は直属上官の大蔵大臣の所得がどのくらいか存じませんが、私は税法に従って正しい申告をしていただいておるものと考えます。
  117. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 岸首相、内閣総理大臣はどうですか。
  118. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 私はそれぞれやはり国会議員の方々は、正しい申告をしていただいておるものと信じております。
  119. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 なぜ私がこういうことを申し上げるかというと、源泉徴収を受けておる勤労者は百パーセント税法通り納税をしておるわけですからね。それでそういうことを念のために伺っておるわけです。それで続けてお伺いしますがね。あなたはあなたの直属上官の大蔵大臣内閣総理大臣の申告が正確に申告されているかどうか調べることができますね。私はそれを調べて次の委員会で、ここで報告していただきたいと思うのですが、できますか、できませんか。
  120. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これは予算委員会、たしか本委員会の方で総理大臣の所得の申告はどうなっておるか、それを出せないかという御質問が、矢嶋先生からおありになったでしょうか、あるいはほかの委員からおありになったかと思います。私はこれにつきましては、こう考えております。個人所得というものは、やはり私は秘密であると考えております。ただし、その秘密にはやはり限界がある。それは所得税法及び法人税法に規定するところでありまして、ただいま申し述べましたように、総所得金額の申告額が二百万をこえる方につきましては、五月一日から十五日までの間、税務署においてその人の所得金額を掲示することになっております。こういう意味におきましてはやはり秘密性においては限度があると考えておりますが、しかし同時にまた、その公開性も限度があると考えております。税法の所定の機関において公示さるべきものであると、こういうふうに考えておるのでありまして、ただ国会におきまして御審議の過程において委員会から御決定ありますれば、これは国政審議の御必要ということで、国会法に基いて御要求ございますれば、私どもの方におきましては、個人の申告の所得金額につきましても、資料提出にやぶさかではございません。しかしながら、ただいま問題になっておるような性質のものにつきましては、私も実は昨年参議院の大蔵委員会でもってある委員の方から御質問を受けたのでありますが、私個人の考え方から申しますと、どうもこれは委員会としての御決定による御報告がございますれば、これは私はやむを得ないと存じますが、委員の御要求によりまして個人の所得、ことに政治家の諸先生の方々の所得を一々申し上げることが、どうも私にとって税務の執行において悪い影響、悪い前例を残すのではないか、こういうふうに考えますので、何とかその辺は一つごかんべん願いたいということを去年申し述べまして、実はごかんべんいただいた次第であります。現在におきましても、そのような気持は持っております。ただし、もちろんこれは国会法に基きまして御要求ございますれば、ただいま申しましたように所得の秘密性につきましても、やはり限界があるのでございますから、国会の御審議の必要上ということならば、私どもはやはり提出する義務があると考えます。
  121. 塩見俊二

    ○副主査塩見俊二君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止
  122. 塩見俊二

    ○副主査塩見俊二君) 速記つけて。
  123. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 勤労者は、ことにサラリーの安い人は、源泉微収百パーセント納税しているわけですからね。国民の指導層に立つ者、私がもし指導層に立つ一人であるならば、私を含めるところの人は税法通りに正確に申告し、百パーセント納税するようになくちやならぬと思う。まず大蔵大臣内閣総理大臣というところから率先範をたれなければならぬと思う。試みにあなたは職権でできるんだから、私にそれを教えなくても、その申告書を見て、どうもこれは正確に申告してないなと思ったら、総理大臣とか大蔵大臣に、国税庁長官として何らかの助言をされる意思がありますか、ありませんか。
  124. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 私は国民の師表たる国会議員の諸先生は、どなたもやはり正しい申告をしていただいておると思っております。従って私はそのような失礼なことを毛頭考えておりません。どの先生も今の税法に従って御申告いただいておるものと私はこう信じております。
  125. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたは三月上旬、内閣総理大臣の納税状況等に関してどなたからか直接話を受けるか、電話を受けたことがありますか、ありませんか。
  126. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) そのようなことはございません。
  127. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 麹町税務署で本庁といったらどこのことですか、麹町の職員が本庁と言ったらどこをさすのですか。
  128. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 普通本庁という言葉をいえば、国税庁をさすのでありますが、場合によりますと、税務署員は局をさすこともあると思います。
  129. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたはそういう点について話がなかった、あるいは電話を受けていないとすると、国税庁長官のあなたとして、東京国税局長あるいはある税務署長に、そういう問題に対して何らか口頭あるいは電話をもって指示を与えたことがありますか、ありませんか。
  130. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 御趣旨がよくわかりませんが、特定のただいま問題になった方々について、私が直接税務署長に電話いたしたことはございません。
  131. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたは渋谷税務署に三月上旬参りましたか参りませんか。
  132. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 参りません。
  133. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと速記をとめて下さい。
  134. 塩見俊二

    ○副主査塩見俊二君) 速記をとめて。    〔速記中止
  135. 塩見俊二

    ○副主査塩見俊二君) 速記をつけて。
  136. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 国税庁長官は、どなたからも電話の指示も受けない、電話で指示をしたこともないということですが、私としては、国税庁長官が次の調査をして、できれば早い機会に報告されることを要請いたします。それは、三月五日から三月七日の午前十一時の間に、本庁すなわち国税庁、あるいは東京国税局のいずれかでありますが、その役所の公務員のどなたかが、渋谷税務署に岸総理大臣の申告書関係について電話をかけた人物がいるはずでありますから、どなたがどういう内容の電話をかけたか調査をされて、できるだけ早い機会に報告されることを要望いたします。    〔副主査退席、主査着席〕
  137. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) 時間が参りましたので、本日はこの程度で質疑を終了し、残余の質疑は、明日午前十時より続行したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 矢嶋三義

    主査矢嶋三義君) 御異議がなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十三分散会