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政府委員(渡部善信君) 最初の御
質問の仮釈放の審査の問題でございますが、これは御
承知のごとく、犯罪者予防更生法によりまして、八地区に更生保護
委員会がございまして、この
委員会が審査をいたしているのでございます。これは刑務所からの仮釈放と同時に、少年院からの仮退院の審査もすべてこの
機関がいたしております。これにつきましてはもちろん各施設、刑務所、あるいは少年院での本人の矯正教育をあげた段階、成績というものを十分考慮いたしまして、各施設から上申いたすのでございますが、その成績と同時に釈放後あるいは仮退院後、本人たちが居住いたしまするその社会環境の調査を保護司の手によりまして十二分に調査いたしまして、その保護環境と、本人の矯正の成績とを両方勘案いたしまして、この審査
機関が決定をいたすことに相なっておるのでございます。従いまして、まあこの少年院あるいは刑務所内におけるばかりの成績じゃなくして、本人が社会に帰ってからの予後もよく勘案した結果審査されることに相なっておるのでございます。従いまして、この審査を決定されました後は、さらにこの
委員会のもとにありまする観察所が、引き続きその対象者を補導していくごとに相なりますので、この施設から帰って後の保護がずっと一貫性をもって
指導されるような仕組みに相なっておるのでございます。で、仰せのごとく、こういうふうな人たちが悪循環を重ねるような事態が起って参っております。これは事実として私たちの矯正教育が至らなかった結果ということに相なりますので、この点、はなはだわれわれといたしましても責任を痛感しておる次第でございますけれ
ども、これは
一つの言いのがれかもわかりませんが、社会へ帰りましてからの全般的ないろいろな原因がさらに加わりまして、再び犯罪に陥るようなことが往々にして起るのでございます。あるいは就職をいたそうと思いましても、何か就職が思うようにいかない、あるいは交友
関係、すべての面でいろいろな支障が起って参りまして、かようなものが集まって再び犯罪に陥るというような結果に相なるのでございますが、われわれといたしましては、さような原因を除去いたしまして、再び犯罪に陥らないように、今後とも相互の連繋を強め、社会の協力を得まして、本人たちの更生を期したいというふうに考えておる次第でございます。
次に、婦人補導院の問題でございますが、
予算が全体的に後退しておるというおしかりでございますが、これは来年度の
予算は、実は本年度の
予算に比べますと非常に少くなっておりますが、その大部分は施設の
建設の費用が約七千万あったのでございますが、これが来年度は計上されておりませんので、さような面で全体の
予算が非常に減って参っております。なお御
承知のごとく、補導院の
建設につきましてまだ本院が実はできていないのでございます。これは
現地でのいろいろな地元の
関係等から
建設が思うように参らなかったのでございまして、さような
関係から、現在本院ではなくして、仮の暫定的な分院で今仕事をいたしておるのでございます。かようなところから、分院に収容されておりまする対象者が非常に少いのでございます。現在東京、大阪、福岡各分院で収容しておりますものは、全体で六十数名になっております。さような
関係から、来年度の収容予定
人員といたしまして、収容定員は二百九十名でございますけれ
ども、まだ本院が完成していないために収容
人員を多少減らして
予算が計上されておるのでございます。一日平均が二百人ということで
計算されております。かような
関係から、全体的に
予算も減ってきたようなことに相なっております。なおこの設備に関連いたしまして、それと設備費、被服費、あるいは机とか、いすとか、そういうふうな諸設備の費用も本年度は多少補充的に計上されたにすぎないので、さような面からも
予算が減って参っております。しかしながら、その他の面におきましては、婦人補導院の方でも割合考慮がされて
予算は組まれたことに相なっております。それからこの婦人補導院でいかようにしてこれを補導していくかということでございますが、これは現在では、ただいま申し上げました
通り、三施設で六十数名でございまして、一番多いのが和歌山で三十名、それから東京が二十名、それから福岡の方がたしか十四名だったと思います。さようなことで割合収院者が少いのであります。従いまして、これらを類別いたしまして
指導するというのもなかなか困難なような
状況でございまして、現在では大体最初に入って参りましたときに、新入教育と申しましょうか、それとそれから中間の
指導、それから最後に、退院まぎわになりました者を、退院後の社会教育というか、大体三段階に分けておるのでございます。なおそのほか、中に入って参ります者の身体的な障害、あるいは性病とか、その他そういうふうないろいろな疾病を持って入ってくる者が
相当あるのであります。こういうふうな者は、医療を中心として、これをまず身体的な欠陥をなおしてやるということに主眼点を置いております。それから中に入って参ります者は、
相当知能の低い者が入って参ります。従いまして、いわゆる義務教育をも履修していないような者も入って参るのでございます。従いまして、かような者には、少くとも読み書きの
程度のものはできるような、手紙くらいは書ける
程度の教育、不就学の教育をいたしております。それからただいま申しました職業
指導の教育、これは婦人としてのとりあえずの何と申しましょうか、縫いものでございましたならば、ひとえものくらいは縫えるような
程度の縫いものの教育もいたしております。そのほか炊事の方の
指導、そのほか一応の婦人としての家庭生活をいたすにつきましての必要な限度の生活
指導をやりますると同時に、基本的な職業的なものをあわせいたしておるような次第でございます。