○森八三一君 今
総理もお聞きのように、
政府に米を売らん全農民諸君にも還元してやるのだということで、いかにもこれは親切な御処置というように聞えるのです。だとすれば、そういう今まで所得税に
関係のなかった諸君もこれは歓迎しなければならぬはずなんです。ところが、そういう諸君も相含めておる。しかも
政府の仕事を担当いたしておると思われまするような農業
委員会、農業会議、農業会議所等の系統におきましては、やはり反対をしておる。これは全農民を網羅しておる組織なんです。だからそういう諸君や機関が反対をしておるということは、これは全農民の意思であると見なきゃならぬと思うのであります。そういうことを、今大蔵大臣の御説明私よくわかります。わかりますが、かりに大蔵大臣の御説明の
通りであったといたしましても、全農民が喜ばんことをあえてやる必要はないじゃないか、私も租税特別措置法等の特例は、これは努めて整理をし、廃止するということが好ましいと思います。思いまするが、
日本の食糧問題ということは、非常にこれは重要な問題なんです。特にここでこれにひびが入るということになれば、これはほんとうに重大な問題が私は巻き起ると思うのです。そういうようなことをやっちゃいかぬ、今安定をしてきて、ことしはさらに
日本経済というものを安定の形で伸ばしていこうという
努力を払っておる矢先に、こんな問題からいろいろ混乱が起きちゃいかぬ、こう思いまするので、せっかく四カ年間の苦労によって漸次
理解をされて参りました予約制度というものが、さらに前進をいたしまして、ほんとうに余剰米というものは、やみ売りがなくて全部
政府の手に集まるという時代を一刻も早く完成しなきゃならぬと思うのです。そのために大きな
一つの支えになっておる、しかも売る人、売らん人も農民という
立場における生産者諸君全体が現行制度を維持すべしという主張をしておることを、財政上何ら
関係のないということがございますれば、これは
一つ現行制度を維持するということに
考えていただきたい。それこそがほんとうの私は民主
政治の本道をいくものであると
理解をいたすのであります。今
最後に大蔵大臣は、いずれこのことは米価審議会等の論議を聞いて
最後の結論を出したいということでございまするので、予算米価にはそういうことで構想はされておりまするが、これを固執しないということであると私は了解をいたします。そこで米価審議会がどういう結論をつけるか私は今わかりません。わかりませんが、やはり全農民の意思を受けてそういうような結論が加えられたとか、あるいは多数をもってそういう意見が述べられたという場合には、これは謙虚な気持でお聞きを願い、そうして
日本の食糧
政策というものについてひびが入らんように、それはやはり全農民諸君の協力がなくてはいかぬことでございますので、よく
一つ頭にとどめておいていただきたいと思うのであります。きょうここでこれ以上この問題を論議いたしませんが、私は民主
政治の本道というものは、あくまでも
国民の声を聞かなければならぬと思います。少くともこれに関する限りにおきましては、生産者の声を聞くということでなければならぬと思いますので、よく
一つお
考えをいただきたいということを申し上げておきます。
その次にもう
一つ、農業問題でお伺いしたいのですが、最近農業法人の問題が非常に論議の
中心になっております。
衆議院の農林水産
委員会では、農業法人を育成強化していくことがよろしいというような
委員会の決定があったやに、
新聞紙を通じて
承知をいたしております。それをよく分析してみますると、問題が私はあると思うのです。私は必ずしも農業法人に変えることに賛成をするものではございません。これは非常に、農地法その他
日本の農業経営の上にも重大な基本的な問題がはらまれておりますので、これこそ真剣に
考えなければならぬと思うのです。がそこで、なぜ一体そういうような重要な内容を包蔵している農業法人問題というのが、ここ一両年にわかに台頭をして国会の論議の対象になっているかと申しますると、これは
昭和二十五年に
日本の税制が根本的に改正せられたシャゥプ勧告によってこれは行われた。そのときに農業に専従する専従者の控除をすべしということがシャゥプ勧告にあったのです。あの
昭和二十五年の通常国会は重大な税制の改正でございますので、通常国会では結論が出ませんで、とうとう持ち越しちまって、参議院の通常選挙、改選後の臨時国会にこれが持ち越された。そこで結論が出されたが、その当時もこれは非常に論議されたのです。論議されたのてすが、いかにせん占領中でございまして、どうしても
向う様の言うことを聞かなければならんということで、
日本の国会としてはしぶしぶ了承いたしましたのが、当時のシャゥプ勧告による税制であったことを私は記憶いたしております。その後
日本も独立いたしましたので、漸次国情に合うように修正をされてはきております。おりますが、その出発のシャゥプ税制というものを全的に実行するというならまだよかったと思いますが、そのシャゥプ勧告の中から専従者控除というものだけひょっと横べはずして実施したところに、私は問題が
一つあると思うのです。そのことは済んだことでございますから、今そのことを論議する必要はございませんが、農業法人が問題になっておりまするのは、結局その専従者控除というものが認めておられないところに問題があると思うのです。そこで法人にいたしますると、これは当然給料その他で支払うから、専従者の所得というものは、報酬というものは税制の対象にならぬということになる、シャゥプ勧告のもとべ戻るのです。そういうことの実態が阻害されるということから起きてきている。もちろん、法人問題はそういう税制の問題だけではございません。農業の経営の近代化とか機械化という問題も含まれております。おりますが、現行の法制のもとにおきましては、農業経営の機械化、合理化、近代化ということにつきましては、あるいは農業協同組合法等によって十分
解決される道はあるのでございます。ございますが、そういうような
日本の農業生産を飛躍的に発展せしめていく方途であるといたしますれば、あえて好ましからぬような農業法人を作る必要はない、他の法律によって十分それは阻止されるのであります。そういうことを知っておりながら、あえて農業法人を作ろうというところに、やはり税制の問題に私はポイントがあると思うのでございます。でございますから、これは私は、やはり
政府は根本的な中央、地方の税制を改正するために、本年度は新たに調査会を作って御研究なさるということでございまするから、私は今ここでこれをとやかく申すのではございませんが、少くともこの重大な問題をはらんでいる農業法人の問題につきましては、農業に従事する専従者に対する控除はすべきである。これを確定しないと、将来やはり問題が残ってくると、そうして新たに、これはただ単に税金の問題だけではありません。農業経営そのものの根本に非常な変革を来たす重大な私は問題になると思います。それがあるいは
政治的にもつながって参りまして、さらに大きな問題に私は発展をする素地を作ると思いますので、この点は真剣に
考えていただきたい。私の要望いたしますのは、
総理にお答え願いたいのは、シャゥプ勧告に認められておった専従者控除を認められておらぬというところに問題があるのですから、これは青色申告、白色申告というようなことではなくて、青色申告したものは今でも認められますが、私は青色申告の報酬としてこの税を扱うなんていうのは実に邪道きわまるものであって、そんなことは私は税の体系として納得はできません。今はそういうような報償的な扱いを受けているのです。青色申告をしたものは、専従者控除を認められておる、こういう措置か認められております。だからそういうことであるならば、法人を作らんでも青色申告したらいいじゃないか、こういうことを税務当局はおっしゃいますが、私はこの措置を青色申告の報償的な措置として扱うということは、税の建前から言って私は感服いたしません。そういうものではないと思います。だから白色申告であろうと、青色申告であろうと、基本的に私はやはり体系上専従者控除を認めるべきであると思います。そのために税収が減って困るということであれば、それは他の
方法によって
解決すべきであって、どうしてもこのことは納得ができませんので、専従者控除を認めるべきであると思うのでありまするが、お
考えいかがでございましょうか。今ここで結論を出せというのは無理かもしれませんけれ
ども、お気持だけでも
一つ伺っておきたいのであります。