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1959-03-26 第31回国会 参議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十六日(木曜日)    午後四時六分開会   —————————————   委員の異動 三月二十三日委員仲原善一君、安井謙 君、勝俣稔君及び柴田栄辞任につ き、その補欠として小幡治和君、鶴見 祐輔君、笹森順造君及び川村松助君を 議長において指名した。 三月二十四日委員岩沢忠恭君、小幡治 和君、松浦清一君及び田中一辞任に つき、その補欠として関根久藏君、仲 原善一君、阿具根登君及び吉田法晴君 を議長において指名した。 三月二十五日委員仲原善一君及び吉田 法晴辞任につき、その補欠として小 幡治和君及び田中一君を議長において 指名した。 本日委員小幡治和君、古池信三君及び 荒木正三郎辞任につき、その補欠と して井上清一君、安井謙君及び吉田法 晴君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     木暮武太夫君    理事            小柳 牧衞君            近藤 鶴代君            塩見 俊二君            西田 信一君            堀木 鎌三君            鈴木  強君            矢嶋 三義君            森 八三一君    委員            石坂 豊一君            泉山 三六君            井上 清一君            植竹 春彦君            紅露 みつ君            小山邦太郎君            迫水 久常君            下條 康麿君            苫米地英俊君            安井  謙君            吉江 勝保君            片岡 文重君            北村  暢君            中村 正雄君            山田 節男君            千田  正君   国務大臣    国 務 大 臣 世耕 弘一君   政府委員    大蔵政務次官  佐野  廣君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した案件昭和三十四年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十四年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十四年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付) ○分科会主査報告   —————————————
  2. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) これより委員会を開会いたします。  委員変更について御報告いたします。  三月二十三日から本日までの間の委員変更は多数に及びましたので、便宜刷りものにしてお手元に配付いたしましてありますから、それをごらん願いたいと存じます。   —————————————
  3. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) 次に、本日の委員長及び理事打合会において協議決定いたしました事項を御報告いたします。  一、三十日、三十一日の両日、三十四年度総予算に対する締めくくりの総括質疑を行い、討論採決を終了する。  二、質疑各派持ち時間の割当は次の通りとする。自民党九十五分。社会党百五十分。緑風会四十分。無所属クラブ十分。第十七控室五分の合計三百分とする。  以上の通りでございますが、委員長といたしましては、右の決定に基いて委員会運営をはかりたいと存じますが、御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) 御異議ないものと認めます。さよう決定いたします。  なお質疑通告者の氏名、順序、持ち時間及びその要求大臣及び政府委員の名を明二十八日午前十時までに委員部へ御通知されるように特にお願いを申し上げておきます。   —————————————
  5. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) 昭和三十四年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算、以上の三案を一括して議題といたします。  分科会主査より、それぞれ分科会における審査報告を求めることにいたします。第一分科会主査小柳牧衞君。
  6. 小柳牧衞

    小柳牧衞君 第一分科会に付託されました案件皇室費国会裁判所会計検査院内閣総理府のうち、防衛庁調達庁経済企画庁科学技術庁を除いた部分及び法務省所管並びに他分科会所管外事項であります。  本分科会は三月二十三日より本日までの四日間にわたり、これらの各所管予算につきまして精密な審査を行いました。以下その質疑のうち、おもなるものについて簡単に御報告申し上げたいと存じます。  まず、皇室費についてでございますが、皇太子殿下の御婚儀に際し、正田家の準備の費用が大へんな額になるのではないかとのうわさがあり、国民が心配申し上げているが、宮内庁がアドバイスしているのではないか、との質疑に対しましては、東宮御婚儀費一千九百万円は、御披露の宴等公的なもので、妃殿下の分としても百五十万円を計上している。その後必要とされるものも簡素を旨とし、公的なものは宮廷費から、私的なものは内廷費からお作り申し上げることとしているので、それほど正田家には負担はおかけしないと思う旨の答弁がありました。その他、皇居の御造営、東宮御所の御新営等につきましても熱心な質疑が行われました。  次に、国会所管につきましては、国会図書館の新築工事は、毎年足場を作ったり取りはずしたりしており、不経済である。総合的な計画はないのか、との質疑に対しましては、大蔵省との間に総工事費二十億円程度の了解は得ているが、継続費制度が認められないため、毎年度改めて予算がきまり遺憾である。第一期工事は三十五年度に終る予定で、三十五年夏には一部は使用できる見込である、との答弁がありました。その他、国会内の諸施設、設備の近代化機械化職員待遇改善、警備の民主化等についても活発な質疑要望が行われました。  次に、裁判所所管につきましては、裁判所の新改築工事が他官庁に比し立ちおくれているが、年度計画はないのか。管理職手当増額よりも一般的な給与引き上げをすべきである、との質疑に対しましては、裁判所建物中には、木造老朽庁舎百三十六カ所、応急庁舎二十一カ所、借入庁舎七十一カ所があり、その新改築に百五十億円を要するが、特に急ぐものから要求することとし、三十四年度としては大蔵省に四十億円を要求、十億円に査定せられたものである。管理職手当は、一般職との均衡上、三十二年度より最低率の一二%によることとし、毎年対象人員増加が認められてきたものである。しかし、一人々々が管理職とも言うべき裁判官の特殊性から、新憲法発足当時に帰って、一般職より高い給与体系改善するのが適当と考える旨の答弁がありました。その他、裁判所予算に対する国会への意見具申権裁判迅速適正化等についても熱心な質疑が行われました。  次に、会計検査院所管につきましては、賠償または海外で支払われる国費についても検査院検査すべきである、との質疑に対しましては、賠償は、直接契約方式をとっているため、金の支払いの段階では検査対象になるが、直接に契約内容金額の適否までは立ち入れない建前であり、研究中である。海外検査については、第三回国際最高会計検査機関会議出席とあわせ、新たに三十四年度に外国旅費が認められたので、今後とも強く大蔵省要求する考えである旨の答弁がありました。その他、会計検査院の今後のあり方等につきましても、真剣な質疑が行われました。  次に、内閣及び総理府所管につきましても、その所管内の各庁予算について詳細な質疑が行われましたが、そのうち若干のものについて申し上げます。  まず、最近火災が激増しているが、対策はあるのか、との質疑に対しましては、三十二年には失火件数三万四千件、焼失建物面積二百九万平方メートル、損害見積額二百六十二億円であったが、三十三年では三万五千件、二百五万平方メートル、二百十五億円となり、件数増加に反し面積損害額は漸減している。消防については、市町村自治消防建前としているが、市町村施設充足率は四三%にすぎないため、三十四年度にも補助金を一億円増額計上したほか、各都道府県消防の学校を設け、その一部に補助することとしている。また、国家消防本部組織を改めるとともに、付置機関として審議会を設け、関係方面との連絡をはかることとしており、都市計画審議会等にも参加し、防火建築上水道施設等について消防見地から積極的に意見を具申し、活動の十全を期することとしている、との答弁がありました。  次に、北海道開発については、特に僻地教育の開設がおくれているが、文部省のみにまかせず、総合開発計画に組み入れるべきである、との質疑に対しましては、僻地教育振興については三十三年以降の第二次五ヵ年計画で十二億九千万円を見込み、自家発電職員住宅、校舎のブロック建設等に重点を置いて実施中である旨の答弁がありました。  次に、地方財政につきましては、地方税制改正に伴う事業税固定資産税に対する自治庁考え方について質疑が行われましたが、事業税地方税収入中大〇%を占めるにかかわらず六都道府県財源が偏在しているが、これでよいと思うのか。農業課税対象から除かれているが、国、地方団体より種々の施策、恩典を受けている農家にも等しく公平に負担さすべきではないか。個人に比し法人に重課せられているではないか。固定資産税はその評価が著しく低いため、実質上の減税となっている。評価基準国会審議を経て決定上、国の統一的機構評価すべきではないか、との質疑に対しましては、事業税は、その性格、地方財源の配分上からも問題の多い税であるので、企業課税あり方、国税、地方税の合理的な体系等について、新設される税制調査会で検討していただく考えである。農業については、零細農家も多く、米価も抑制せられているほか、種々税外負担もあるため、非課税としておるが、住民税等で応分の負担を仰いでいる。法人個人との間では引き続く個人減税法人成りの激増のため、総額では法人事業税が多くなっているが、実質的には、法人に軽くなっている。今回の改正でも、その均衡に特に留意して税率等の改訂を行なったが、今後これらの点も含め調査会の検討に待ちたい。固定資産税についても、評価制度調査会を設け、二カ年年間の調査の後、法律による評価基準の設定、評価組織の確立をはかる考えである旨の答弁がありました。  最後に、法務省所管につきましては、その歳入のうち罰金科料が激増しているが、その理由いかん自動車事故に対する事前防止、取締りの対策はあるのか。婦人補導院予算が大幅に削減せられているが、売春対策の後退ではないかとの質疑に対しましては、罰金等増加は、道路交通違反件数が三十年度以降百七十八万件、二百一万件、二百四十九万件と、年々激増している実績から推定したものである。公判促進のため、検事三十四名、事務官十七名を増員し、簡易裁判実施等により効率的な運用をはかることとしているが、今後は刑罰で臨むか行政罰にするか真剣に考慮したい。婦人補導院予算は、施設費が前年度に比し約七千万円不要となったためで、実質的には増額となっている。現在全国四個所で六十名を収容しているが、三十四年度には収容能力二百九十名、一日平均実際収容人員二百名の予定予算に計上されている旨の答弁がありました。その他刑務所の施設改善、移転問題、青少年犯罪対策、公安調査庁の調査活動等についても熱心な質疑が行われました。  その他、本分科会所管各省庁の全体を通じまして、きわめて広範多岐にわたる質疑が行われたのでありますが、その詳細につきましては会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて本日をもちまして質疑を終り、第一分科会審査を終了いたした次第であります。  以上御報告申し上げます。   —————————————
  7. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) ただいま委員変更がございましたので御報告いたします。小幡治和君が辞任し、その補欠として井上清一君が選任せられました。   —————————————
  8. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) 次に、第二分科会主査西田信一君。
  9. 西田信一

    西田信一君 第二分科会に付託されました案件は、総理府のうち防衛庁調達庁経済企画庁科学技術庁外務省及び通商産業省所管昭和三十四年度一般会計特別会計及び政府関係機関歳入歳出予算であります。  当分科会は、三月二十三伊能防衛庁長官並びに丸山調達庁長官からおのおのの所管予算案につき説明を聴取し、質疑を行いました。質疑のうち若干のものにつき御報告いたしますと、年々防衛関係予算増加の傾向にあるが、国民所得の何。パーセント程度をもって妥当と考えるか。また国民税負担軽減見地からも、防衛予算頭打ち考えるべきではないかとの質疑がございましたが、伊能防衛庁長官より、明年度国民所得推計八兆九千二百八十億円の約一・七%に当る一千五百三十六億円であるが、防衛庁としては、国民所得の一・七%ないし二%くらいを防衛予算に充てていきたい。また防衛予算頭打ちということに関しては、将来国際情勢の変化があれば別であるが、現在は日本の置かれた地理的条件並びに現有陸、海、空の自衛隊では自国防衛に不十分なので、現在のところ第一次防衛整備計画目標達成に努力し、その後の第二次防衛計画では質的向上を主眼に立案し、常に国力に応じた防衛予算方針を堅持していく考えであるが、同計画でも防衛予算頭打ちができるとは断言できないとの答弁がございました。  さらに防衛庁明年度予算前提として考えている米国からの対日軍事援助供与期待額を四百六十五億円と見込んでいるが、ドレーパー使節団の帰国後の報告では軍事援助効果が疑問視され、これを反映して米国下院が一九六〇会計年度予算軍事援助予算を四〇%と大幅に削減したと伝えられるが果してどうか、これが事実とすると明年度予算前提は根本的にくずれるので、結局防衛力漸増計画を縮小するか、供与期待額分補正予算を組むか、いずれかの方法によらなければならぬと思うがどうか、防衛庁の見解をただしたのに対し、伊能防衛庁長官より、いまだ正式な情報は受け取っていないが、四百六十五億円の供与期待額は一応の見込みであり、一九五八、五九、六〇三の米国会計年度にまたがるものである。一九六〇会計年度分の削減がどの程度であるか明らかでない上、援助期待額防衛計画には入れているが、それが直ちに日本明年度予算内容となっているものではない。もし防衛計画に重大な支障を生じた場合には、予算補正一般原則により措置を講じて参りたいとの答弁がございました。  また、防衛庁が行なっている通信電子関係研究のうちで波長が十センチというように非常に短かく、出力十メガワットというような磁電管が用いられているようであるが、これは発射地点より二百メートルくらいの範囲内は人体に傷害を起す危険があると思うが、それらの予防措置が十分行われているかとの質疑がございましたが、政府委員より、現在使用中のものは、米軍供与によるレーダー・サイトに取りつけられているもので、技術的には身体に害を及ぼすことも考えられるが、その装置されている場所は、飛行場等ではなく、人里離れた場所であり、一般大衆に危険を及ぼすことのないよう考慮を払っておるとの答弁がございました。  三月二十四日、通商産業省所管及び科学技術庁所管予算につき、高碕通商産業大臣科学技術庁長官出席を求め、予算案説明を聴取した後質疑を行いました。  政府が策定した新長期経済計画に見合う数字として、三十三年度の出炭計画は五千六百万トンであるが、実際の出炭量は四千九百万トンと計画を七百万トン下回ったにもかかわらず、今日一千二百万トンの貯炭をかかえている状態は、エネルギー政策基本方針を誤まり重油の過剰な輸入の結果で、そのしわ寄せを石炭業界炭鉱労務者に押しつけていることは不当である。炭主油従政策は変ったのかとの質疑に対し、高碕通商産業大臣並びに政府委員より、今年度は長期経済計画鉱工業生産伸び率六・五%を相当下回り、特にセメント、窯業、鉄鋼等石炭を多く使用する産業の停滞が目立ち、また石炭大口需要電力出水率が高く、電力用石炭予定より四百万トン余も余ったこと等が大きな原因である。新長期経済計画におけるエネルギー需給計画国産エネルギー源開発促進として国内炭積極的増産と、外貨節約のため重油輸入抑制政策は何ら変っていないとの答弁がございました。  中小企業対策の一環として、汚水処理共同施設補助として新規五千万円を計上した点は了とするが、金額があまりに少額であり、また工場排水規制に関する法律汚水防止を命じている主旨に照らしても、中小企業者長期、低利の融資措置を行うことが汚水汚濁防止効果をあげる上に必要と思うがどうかとの質疑に対し、政府委員から中小企業が単独で汚水処理の装置を作ることは、資金的困難も伴うし、また施設の無駄も出やすいので、共同施設を行うことが適当な方法考え、額はわずかであるが予算措置を講じたこと、また融資の点はその対象となるためには、利益が生じるものであることが条件であり、汚水処理施設融資ベースにどの程度乗るかの問題を今後十分検討してみたいとの答弁がございました。  科学技術庁関係予算につきましては、原子力行政を強力に推進するために、現在の原子力行政機構は十分であると思うか。わが国原子力委員会は、国務大臣委員長とする内閣総理大臣諮問機関であるが、委員会の権威を高め、時々の政治から独立して安定性を強めるためにも、独立した行政委員会に改組する考えはないか、原子力開発応用段階に入るに従って、各省行政との交錯面が多くなり、原子力行政一元化が困難となり、また産業界の利潤追求的な策動に巻き込まれる危険があるのではないかとの質疑がありましたが、高碕長官及び政府委員より、純然たる行政委員会とすることは、行政責任一元化という見地から困難な点が多く、さしあたり原子力委員会を改組する意思はないが、原子力開発本格化に伴い事務局機構の拡充が必要であると考え、参与の数を増員し、専門委員も五十名より百五十名に大幅増員をはかった。原子力開発応用段階に入れば、各省所管行政との交渉は多くなり、原子力船運輸省中心開発研究が進められることは当然である。原子力行政の今後も一貫した基本線は、原子力技術者計画的養成をはかるほか、原子力開発に伴う安全確保と、原子燃料物質開発促進管理にあると考える。産業界に幾つかの原子力産業グループのできてきたのは、技術上の理由に基くもので、産業界の動きにあおられて原子力行政が影響されたような事実もなく、今後も専門委員会機構の充実によって民間と協力するとともに、原子力行政の誤まりなき運営をはかりたい旨の答弁がありました。  また、発明実施化試験助成費一千万円余、科学技術試験研究助成費四千六百万円余の計上予算は僅少に過ぎ、優秀な発明考案が、経済的理由から外国に売られ、企業化された後、莫大なパテントを支払っているというような過去の実例にかんがみて、国家的に大きな損失であるから、今回特許法関係四法の改正が行われ、五億円近い出願料増額が見込まれるので、これらを財源に確保し、特許事務の迅速な処理とあわせ、真の科学技術振興にふさわしい予算措置を講ずべきものと思うかどうかとの質疑がございましたが、政府委員から、特許法関係四法の改正は、予算編成後のことでもあり、明年度予算には間に合わなかったが、三十五年度予算編成に当っては、十分な考慮を払い、予算措置を行いたいとの答弁がございました。  三月二十五日外務省及び経済企画庁所管予算審査を行い、まず、藤山外務大臣説明を求め、質疑を行いましたところ、米国からのガリオアイロア処理問題はどうなっているのか、政府は一方的に債務と認めているが、国会では承認を求められたことはない。最近米国政府より催促されている事実があるかという質疑があり、これに対しまして、藤山外務大臣より、ガリオアイロアわが国復興援助のための物資の供給ではあるが、米国日本にくれたという意思表示も行われてはいないので、一積の債務であり、ただ処理を要する債務である。米国わが国が戦後の復興賠償に多額の費用を必要としておる事情を認めて猶予しているというのが今日の状況である。返還は具体的に問題となってはいないが、国民負担を重くしないよう十分考慮して参りたいとの答弁がございました。  また、安保条約行政協定改定の問題につきましては、政府はいよいよ最終折衝段階に入るようであるから、この際もう少し具体的にその態度を示されたいとして種々質疑が重ねられましたが、これに対する藤山外務大臣答弁は、おおむね従来本予算委員会で示されましたものを出ておりませんので、省略させていただきます。  日中関係打開につきましては、政府は一年間静観と称し、何もしなかったが、日本社会党訪中使節団も帰国し、中共政府態度は明らかになったのだから、今度は日本側が進んで打開機会をつかむよう、積極的な努力をなすべきではないか。中共政府台湾関係なども即時解決せよと迫っておるわけではなく、岸政府がその方向を明らかにせよと言っておるのだから、その腹をきめて大使級会談などはどうかとの質疑に対し、藤山外務大臣より、静観は何も日中貿易の必要を否定しているわけではなく、機会があればこれをとらえて善処したい。先方にもわが真意を誤解していると思われる節もあるので、これが解ければ大使級会談打開方法の一つと考えるとの答弁がありました。  経済企画庁所管予算審議は、世耕長官出席を求め、説明を聞いたのち、質疑を行いました。  初めに、明年度予算編成前提となっている経済運営基本的態度に示されたわが国経済成長率は、明年度対前年度比六・五%の伸びと見込まれている。通商産業省発表の三十三年度鉱工業生産実績を、昭和三十年基準指数で見ると、一月一六一・七、二月一六四・七と、その伸びはおおむね予想を上回っており、三十三年度鉱工業生産伸び対前年度比四・五%の計画を上回ることは、実績上明らかと考えられる。その結果三十四年度経済成長見通し六・五%は、ほぼ半分ないしはそれ以下に落ちることとなる。計画修正を行うべきではないかとただしたのに対し、政府委員より、御指摘の通り鉱工業生産指数は本年度予定成長率を上回ると思われるが、他の第一次、第三次産業分野統計数字の集計がおくれがちであり、経済需要要因、在庫、投資等の係数を整え、分析したのちでないと、鉱工業生産指数実績からのみ、今直ちに明年度経済成長率を改訂する考えはないとの答弁がございました。  また、長期経済計画に関連して、企画庁は国民所得や、各産業計画を立てるほか、財政についても、大蔵省とは別個に経済安定成長を確保できる長期財政計画を立てるべきではないか。その中において、防衛費に向け得るものは幾らとするのが妥当か。今後のわが国人口老齢化現象に応じて、年金等社会保障費の増大にどう備えるか。戦前に比較して租税負担が著しく高いが、国民所得伸びるにつれてどこまで租税、特に勤労所得税軽減をはかることができるか。要するに政府経済計画には、国民勤労をしいるが、その結果国民の生活がどのように楽になるかという夢を与えていないとの質疑がございました。これに対し、世耕長官及び政府委員より、長期経済計画では具体的な予算規模は示していないが、三十七年度における国、地方を通じた財政消費と、財政投資のワクを示しており、これでは防衛費も含めた財政消費比率を押え、社会保障費等振替支出と、財政投資比率が増大するように計画されている。老齢化現象は重要問題であるが、五年というごとき短期計画では十分に取り扱うことができないので、十年、二十年にわたる計画も必要に追られており、その際慎重に処置いたしたい。戦前基準時と比較して軍事費負担が軽くなっている部分は、財政を通じる公共投資の拡大に向けられている。経済の成長に必要な蓄積を財政投資方法に多く重点を置くか、減税その他による民間の貯蓄を通ずる間接投資によるかは、経済実勢に応じて変化していくべきものと思う。租税の対国民所得比率は、三十七年度には現在より二%下回る一八%になるものと予想しており、国民消費水準は一二八としている等の答弁がありました。  その他、本分科会所管各省予算について、広範多岐にわたる質疑が行われたのでありますが、詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。  以上により、本分科会に付託された案件全部の審査を終了した次第であります。以上御報告いたします。   —————————————
  10. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) ただいま委員変更がございましたので。御報告いたします。古池信三君が辞任し、その補欠として安井謙君が選任せられました。   —————————————
  11. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) それでは次に第三分科会主査森八三一君。
  12. 森八三一

    ○森八三一君 第三分科会におきまする担当予算審議の経過を御報告申し上げます。  第三分科会の担当は、昭和三十四年度予算三案中、農林、運輸、郵政及び建設の各省所管に属するものでございます。分科会におきましては、二十三日の午後に郵政省、二十四日及び二十五日の午前に農林省、二十五日午後に建設省、本二十六日に運輸省の各所管予算について関係当局から説明を聴取し、質疑を行い、詳細にわたりまして審査を行なって参りました。以下質疑応答のおもなるものにつきまして、その要旨を御報告いたします。  まず、郵政省所管におきましては、昨年四月ILO総会で行われた、無電による医療助言の勧告について、郵政大臣及び電電公社総裁はどう考えるか、電報料を惜しんで医療の助言をしないため、船員を不幸な事態に陥らしめている例は少くない。政府の責任で電報料を無料にすることが必要であるから、営業規則の改正でできないものならば、法律改正を行なって早急に実現するようにしてもらいたい。また、三十四年度の簡易保険積立金の運用計画の総ワク千百六億円のうち千億円が財政融資に回されているのは、国民から集めた零細な金の趣旨に反する、主たる貸付対象は何か。電信の赤字は年々増加するばかりであるが、この際、勇断をもって赤字解消に踏み切るべきではないか等の質疑がございました。これに対しまして、郵政大臣から、医療助言の勧告を実施するには、公衆電気通信法の改正が必要と思う。本年ジュネーブで開催される無線通信所管会議にも提案したいし、電報料も公社の経理に大きく影響することもないようだから、期待に沿うよう努力したい。簡保資金は契約者貸付が九十四億円、公共団体貸付が四百億円、その他農林漁業金融公庫、国民金融公庫等を通じ、結果的には庶民に融資されたことになっているが、私の要望がいれられなかったことは遺憾であった旨、また電電公社総裁からは、医療助言は法律改正されれば喜んで実施したい、電信の赤字は世界各国共通の悩みで、電話と共通で何とかまかなっているのが現状であるが、値上げでカバーもできず、農村方面へも恩沢を及ぼさねぱならず、常に心配しているが名案はない、今後も解消に努力したい旨のそれぞれ答弁がございました。このほか常勤労務者の定員化、郵政省の機構改革、電電の第二次五ヵ年計画の資金手当の問題等、細部にわたる質疑がございましたが、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  次に、農林省所管におきましては、三十四年度の農林関係予算は、全体で五十五億円の増加であるが、数年来の農林関係予算の総額と国家予算中に占める比率はどうなっているか、農林関係予算比率が毎年減少しているのは、政府全体として農政に対する熱意の足りない現われではないか、各局を通じ人夫賃の単価が二百円前後で、いわゆるニコヨンにも及ばない。また林野庁の常勤職員のごときも単価が低いために定員の半分近くしか置いていない、このような状況をどう思うか等の質疑がございました。これに対しましては、農林大臣及び関係政府委員から、農林関係予算の総額と国家予算中の比率は三十二年度は八百九十五億円で七・八%、三十三年度は千八億円で七・七%、三十四年度は千六十三億円で七・五%と減っているが、実質的な面も見落さないでもらいたい、過去の予算の中には二十八年災害及びその継続が大きな部分を占めていたこと、土地改良が特別会計に移されたこと等のほか、社会保障関係費の増加減税との関連もある。しかし今後も期待に沿うよう努力する。人夫賃の単価の引き上げには毎年努力している、常勤職員の給与の単価は一般職員のように本俸と家族手当等の区別なく一括して計上されるので、不足するため、各省会計課長連名で大蔵省と折衝している旨の答弁がございました。このほか農林金融政策、蚕糸対策、抑留漁夫の援護対策農業法人の課税上の取扱いの問題等細部にわたり熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  次に、建設省所管におきましては、公共事業の賃金の単価が占領時代のPWが基準になっており、民間賃金の実体と離れ過ぎている、これを改める考えはないか、また入札制度を合理化しなければ正しい工事は行われない、どう対処するつもりか、過年災害は三十四年度末でどの程度の進捗率となるか等の質疑がございましたが、これに対しましては建設大臣及び関係政府委員から、PWについては労働大臣と協議して実情に沿うよう努力したい、また入札制度についても現行制度が完全とは思っていないので、利害得失をよく考え検討する。過年災の進捗率は三十四年度末で二十八、九年災は一〇〇%、三十年災は本年度末で完了済み、三十一年度災は一〇〇%、三十二年災は八五%、三十三年災は六五%となる旨の答弁がございました。このほか常勤職員の定員化問題、住宅問題等細部にわたって熱心な質疑がございましたが、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  最後に、運輸省所管におきましては、青函隧道についてその必要な意義、これまでの調査技術的に可能かどうか、調査費及び工費はどのくらいかかるのか、何年間で作るつもりか、政府としての決意はどうか等の質疑がございましたが、これに対しましては、運輸大臣及び関係政府委員から、青函隧道の必要性については、北海道と内地と経済的に一貫させるためであり、そろばん勘定から考えているのではない、今までの調査技術的に可能であることに間違いない、調査費は今後どのくらい要るかということは言えないが、諸外国の例では工費の一割程度であり、工費はトンネルを掘るだけの経費で約五百五十億円と思う、何年かかるか、経費はどのくらいか等正確なことは技術当局と十分相談してからでないと言えないが、一日も早く完成しなければならない点は同感であるから、今後とも努力する旨、また国鉄総裁から私もできる限りの努力をしたいと覚悟をしている旨それぞれ答弁がございました。このほか総合交通対策、船員、国鉄等の労働条件改善、国鉄の新線建設の問題等細部にわたり熱心な質疑がございましたが、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  以上をもちまして、第三分科会の担当いたしました予算案全部の審査を終了した次第でございます。  右御報告申し上げます。
  13. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) 次に、第四分科会主査矢嶋三義君にお願いいたします。(拍手)
  14. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 第四分科会審査の経過を御報告申し上げます。  本分科会に付託されました案件は、昭和三十四年度予算三案中、大蔵省、文部省、厚生省及び労働省所属に関するものであります。  分科会におきましては、去る二十三日より本二十六日まで四日間にわたり、それぞれ所管予算説明を聴取し、慎重に審査をいたしました。審査の順序は、まず二十三日に橋本文部、坂田厚生、倉石労働の各大臣並びに佐野大蔵政務次官より各所管予算説明を聴取したあと、引き続き大蔵省予算に対する質疑に入り、二十四日は大蔵省並びに文部省関係、二十五日は厚生省並びに労働省関係と質疑を続行、二十六日はさらに以上四省に対する残余の質疑を行なったのであります。以下それらの質疑応答のうち主なるもの若干につきまして、その概要を御報告申し上げます。  まず、大蔵省所管予算につきましては、今次の税制改正に伴う諸税のあり方を中心に活発な質疑がございました。  すなわち政府が今回、昭和三十四年度予算において国税、地方税を通じ、初年度五百三十三億円、平年度七百十七億円に及ぶ減税を断行したことには一応敬意を払うが、減税の結果、国民所得に対する租税負担率が一向に下らぬところにまだまだ問題がある。ことに政府機関である国民金融公庫並びに中小企業金融公庫の一般貸出金利がそれぞれ年九分六厘から九分三厘に引き下げられるという時代に、法人税法四十二条の利子税を、相変らず日歩三銭、年利一割九厘五毛のままに放置しておるのは、遅延利子の観念からいっても高率に過ぎるし、また法人税の申告書提出期限を一年としていることも、利子負担をなるだけ軽くする意味において、この際六カ月ころに短縮すべきではないか。さらに重加算税の五〇%という点も、別に刑事罰が設けられている以上過酷に過ぎると評するのほかはない。重加算税はもとより、過少申告加算税にしろ、無申告加算税にしろ、行政罰を伴う税の取扱いについては、全国統一に、よほど税務官吏の指導をうまくやらないと、税負担の公平を欠くことになると思うが、その対策が十分なされているのかという質疑がありました。これに対し、佐藤大蔵大臣並びに大蔵省、国税庁の政府委員から、租税負担率が下らないのは、昭和三十二年以降政府において租税特別措置の整理合理化を行なったことに加えて、各般の財政需要が多々ますます多くなったことによるものと思う。政府としては新たに国税徴収法案を今国会に提案するとともに、一連の利子税及び各種加算税等の実体について検討しているが、今回は間に合わなかった。なお法人税の申告期限を一年としているのは、申告納税制度を建前とする限り、更生決定までにおおむねその程度の期間を見ておく必要があろうというわけだが、最近は税務行政も安定してきたので、あらためて検討してみたい。また五〇%の重加算税は、これは正直な納税者を擁護する意味から、現状やむを得ない措置考えているが、なおこれも再検討したいとの答弁がありました。  大蔵省関係としては、このほか専売予算に関連して、近年タバコの売り上げが相当成果をあげておる半面、タバコ小売業者の販売手数料が、昭和二十八年四月以来八%のまま据え置かれている事実について、三十四年度の予算では、タバコ販売報償費二億九千四百九十万円として、対前年度比二億円の増を見込んでいるが、この際手数料の八%を戦前並みの一〇%に引き上げる気はないか。また二億円の配分は売り上げの少い業者に厚くすべきだと思うがどうかとの質疑がありました。これに対して佐藤大蔵大臣並びに専売当局から、専売財政は元来国家の歳入をあげることを第一の目的とするもので、タバコ事業においては三十三年度に比べ五十五億円の増収を見込んでいるが、塩事業においては逆に赤字になっており、三十四年度の専売納付金は、前年度に比べ三十億円の増にとどまっている。この際タバコ販売手数料の八%を一〇%に上げることは、年間五十億円の支出増になり、現在の国の収入面から見て困難であるので、とりあえず報償費に二億円を増額計上した次第であるが、その使い方については、御趣旨のような方式で小売業者に配分したいと考えておるとの答弁がありました。  このほか大蔵省関係では、予算総則の第九条、第十七条及び第二十六条に出ている「特別の給与」というものの財政法上の解釈及びその実体をめぐって、大蔵省政府委員との間に質疑応答が繰り返されたのでありますが、詳細は会議録によって御承知願うことにいたしたいと存じます。  次に、文部省予算につきましては、まずスポーツ振興の問題に関連して、三十四年度予算国民体育大会補助金として一千万円が計上されているが、少くとも二千万円を見込むべきではないか。また赤字地方団体には大会の主催をやらせないという閣議決定は、ただいまでもその通り守る方針かどうか、またこの際政府においてスポーツ振興法を提案する考えはないかとの質疑がありました。これに対し橋本文部大臣は、国民体育大会は、一般国民の文化水準を高める意味からもきわめて適切なものと考えるが、これに対する補助金が、発足当初から低く押えられて、その後少しずつ増額されてきたように聞いている。自分としては、もう少し予算をつけてもいいものと思う。なお大会の開催については、順次各地でやれるように、先年の閣議決定考えなおすつもりであり。またスポーツ振興法については、なるたけ早い機会国会に提案する考えで目下研究中であるとの答弁があり、さらに大蔵省主計官からは、国民体育大会の補助金について、三十三年度は六百六十五万円で、三十四年度分については、当初文部省から二千万円の要求があったが、別に国民体育施設費補助金として、新たに三千万円を計上したので、国体の補助金の方は一千万円にとどまった次第だとの答弁があり、佐藤大蔵大臣からは、今後補助金増額考慮するとの答弁がありました。また、自治庁当局からは、赤字再建に支障のない限り、そういう国体の各地持ち回りに異存はないとの答弁がございました。  また、政府の公立文教施設整備五ヵ年計画について、先般の予算委員会における総括質問の際に、大蔵大臣から、総額四百十九億円の予算を見込んでいるとの言明があったが、初年度である三十四年度の公立文教施設費は約七十七億円を計上されているにすぎない。そこで五ヵ年計画と七十七億の関係はどうか。また義務教育におけるいわゆるすし詰学級の解消と並行して、高等学校についても、この際学級編成と教員定数の基準を定め、必要教員数を確保し、高等学校教育の向上をはかる考えはないかどうか。さらに、昨年の国会で、当時の松永文相は、一クラスしかない単級の中学校でも教員は最小限五名が必要だと答弁したが、現実には教員が一人しかいない学校がたくさんある、この点文部当局はどう考えているかとの質問がありました。これに対し文部省の政府委員からは、初年度七十七億円の積算基礎は、五ヵ年計画考えている施設の整備等を全部五分の一ずつ実施するというのではなく、中には四割程度あるいは十分の一程度実施するものもあるわけで、七十七億円そのものも毎年同じ金額でいいとは考えていない、あくまで初年度分として必要な坪数等を見込んで計上したもので、今後五ヵ年間に、すし詰教室の解消その他所定計画の全部を実現する予定でいるとの答弁があり、高等学校の学級編成と教員定数の基準の法定化については、橋本文部大臣から、将来の問題としてぜひそれはきめたいとの答弁があり、政府委員からは、単級学校については本来変則と思うから、学校統合によって、最小限六学級程度にしたい考えである、もちろん統合できないところには教員数を考慮するわけで、その際の定数基準は、分校の場合、中学校については本校並みとし、小学校については三分校一名の割で定員をふやす考えで、これによって僻地教育の弊害をなくしたいとの答弁がなされたのでありますが、これに対し、重ねて、それなら、三十四年度中には単級学校の教員数は最小限三名となる、なお生徒数については、小学校一クラス五十九人以上のクラスは存在しない。また中学校の場合は、五十五人以上のクラスは存在しない。もしそれ以上の生徒が一クラスにおるような学校が存在する場合、文部省はよろしく指導助言することによってこれを改めさせる、そう考えて差しつかえないかどうかとの質疑がありました。これに対し、政府委員は、ただいまは定数基準方式を申し上げたわけで、具体的にはやむを得ない事情で、それ以上のものがないとは言い切れないと答弁したのでありますが、橋本文部大臣からは、法律予算もその通りになっている以上、ぜひそうなるように努力したいとの答弁がございました。さらに戦後外地から引き揚げた教職員で、引き揚げ後、その翌年五月三十一日まで就職した教育公務員につきましては、退職金の給与に際し、外地における在職期間を通算する措置を至急にとる旨の答弁がありました。  なお文部省予算につきましては、このほか科学振興費、国立文教施設整備費、育英資金貸付金、社会教育助成費並びに社会教育特別助成費等について質疑が行われたほか、幼児教育及び女子教育の問題や、国立劇場その他闇入学等の問題についても活発な質疑応答がなされたのでありますが、省略いたしたいと存じます。  次に、厚生省関係でありますが、ここでは主として環境衛生対策と、結核対策の問題について熱心な質疑がかわされました。特に放射能の公衆衛生に及ぼす影響について、厚生省当局の対策予算的にも研究的にもきわめて不十分である。ビキニ問題の発生当時、あれほど騒がれた放射能障害について、今日その危険はいよいよ加重されているのに、これに対する治療上、診断上の研究成果に何ら見るべきものがないのみか、公衆衛生行政をつかさどる厚生省にしかるべき予算措置も講ぜられていない。この際放射能の障害から国民を守るために、厚生省で思い切った予算を組むべきではないかとの質疑がありました。これに対して坂田厚生大臣並びに政府委員は、ビキニ以後原爆被害対策委員会を設けて、関係各界、各方面の協力を得て、放射能障害の調査を進めているが、もちろん十分とは言えない、厚生省としては全く新しい公衆衛生行政の段階にきたものとして今後大いに対策を進めるつもりであるが、三十四年度予算において十分な予算措置ができなかったことは遺憾に思うとの答弁がございました。  結核対策の問題については、保健所並びに国立病院、療養所における医師の定員をいかにして充足するか、またその対策としていかなることが考えられるかという点が質疑の中心でありました。すなわち現在保健所並びに国立病院、療養所に働く医師の数は、保健婦、看護婦の場合もほぼ同様であるが、大体定員の六〇%を割る状況にある、これは国の医師の給与その他の待遇が公務員たるのゆえをもって、一般民間医師のそれに比し三、四割方低く押えられているからである。このことは単に医師個人待遇改善の問題ではなく、厚生行政上の一大問題であってこの点の是正がなされない限り、結核撲滅の理想はもとより、幾ら国民皆保険ができ、国民年金制度がしかれても、その効果が削減されることにかるが、大臣並びに関係当局者の見解けどうかとの質疑がありました。これに対し坂田厚生大臣は、せっかく定員確保の予算措置ができていながら、定日の五割程度の医師しか充足できないという現状は、福祉国家を目ざすわが国にとってゆゆしき問題であること、全く同感である。結局給与等が低いということがおそらく原因であると思うが、その点が改善されるだけで解決しない面もあろうかと思う。要は一般職公務員との関連性もさることながら、医師自体の基本給を引き上げることに努力したいとの答弁があり、なお人事院当局者からは、民間医師の給与とのアンバランス是正に努めている旨の、また大蔵省の担当主計官からは結核対策の確立を期する上からも、現在三本建になっている結核医療費の管理運営を統一する必要があり、そのためにも結核療養の特別会計制度を設けたい旨の答弁がありました。厚生省関係予算が、予算書によれば実に三百十六費目にわたって対前年度に比し減額されている事実が指摘され、この問題をめぐる質疑応答が行われたのを初め、エックス線技師の健康保持の問題、国立病院、療養所におけるいわゆる完全看護の実体について、また家族計画、国立公園の問題等々、厚生行政の各般にわたり質疑が行われたのでありますが、詳しいことは会議録に譲りたいと存じます。  最後に、労働省予算についてでありますが、歳出予算の総額三百九十一億五千余万円という、その予算規模の他省に比べて少なすぎるということが、まず質疑対象となりました。これに対しては倉石労働大臣から、勤労者のサービス省としての使命と、現に行なっている重点施策について抱負と希望が述べられたほか、質疑に対する直接の答弁はなかったのでありますが、この大臣の発言をめぐって、労働省所管の重要事項について率直な質疑応答が行われたのであります。すなわち駐留軍労務者離職対策の現況及び今後の見通しいかんという、質疑の中では、米軍といえども国内労働法規を順守すべきことがあらためて確認され、中小事業場、商店における週休制並びに女子深夜業廃止の状況、婦人並びに年少労働者の保護育成の問題、一般並びに特別失対事業の実体、職業訓練の実情とその成果等、労政、基準、職安、婦人少年各局にわたる問題点について、予算の立場からの審査が行われ、その間婦人少年室が貧弱な予算と、ごく少数の人員をもって随時有効適切な活動を展開している事実に対し、労働大臣もこれを認めて今後婦人少年室の拡充につき、しかるべき予算措置をとる旨、労働大臣から言明がなされるなど、各面からの審査が終始熱心に行われたのでありますが、その詳細については、すべて会議録によってごらん願うことにいたしたいと存じます。  以上をもちまして、第四分科会に付託されました案件全部の審査を終了いたした次第であります。右御報告申し上げます。(拍手)
  15. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) 以上をもちまして、分科会主査報告は終了いたしました。  次回は三十日午前十時より委員会を開くことにし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十五分散会