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1959-03-23 第31回国会 参議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十三日(月曜日)    午前十時五十四分開会   —————————————   委員の異動 本日委員土田國太郎君、後藤義隆戸叶武君及び占部秀男辞任につき、 その補欠として古池信三君、小山邦太 郎君、田中一君及び羽生三七君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     木暮武太夫君    理事            小柳 牧衞君            近藤 鶴代君            塩見 俊二君            西田 信一君            堀木 鎌三君            鈴木  強君            松浦 清一君            矢嶋 三義君            森 八三一君    委員            石坂 豊一君            大沢 雄一君            古池 信三君            紅露 みつ君            小山邦太郎君            下條 康麿君            館  哲二君            苫米地英俊君            仲原 善一君            横山 フク君            吉江 勝保君            片岡 文重君            北村  暢君            栗山 良夫君            坂本  昭君            高田なほ子君            中村 正雄君            羽生 三七君            山田 節男君            田村 文吉君            千田  正君            市川 房枝君   国務大臣    大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君    労 働 大 臣 倉石 忠雄君    国 務 大 臣 世耕 弘一君   政府委員    経済企画庁長官    官房長     宮川新一郎君    経済企画庁調整    局長      大堀  弘君    経済企画庁総合    計画局長    大來佐武郎君    大蔵省主計局長 石原 周夫君    大蔵省主計局次    長       村上  一君    運輸政務次官  中馬 辰猪君    運輸省船員局長 土井 智喜君    運輸省鉄道監督    局長      山内 公猷君    運輸自動車局    長       國友 弘康君    労働大臣官房長 澁谷 直藏君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    日本国有鉄道常    務理事     石井 昭正君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選昭和三十四年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十四年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十四年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件   —————————————
  2. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) ただいまから委員会開会いたします。  まず委員の変更について御報告いたします。戸叶武君、占部秀男君が辞任し、その補欠として田中一君、羽生三七君が選任せられました。
  3. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) 理事辞任についてお諮りいたします。中村正雄君より理事辞任いたしたい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) 御異議ないものと認めて、これを許可いたします。次に理事補欠互選についてお諮りいたします。理事辞任に伴い、理事が一名欠員となっておりますが、この互選成規手続を省略して、前例により委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) 御異議ないと認めます。よってそれでは委員長より松浦清一君を理事に指名いたします。   —————————————
  6. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) 昭和三十四年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算を一括して議題といたします。  前回に引き続いて一般質疑を行います。中村正雄君。
  7. 中村正雄

    中村正雄君 二十日に引き続きまして、大蔵大臣運輸大臣並びに国鉄総裁にそれぞれ御質問いたしますから、御答弁願いたいと思います。  今国鉄並びに政府計画いたしておりまする東海道の新幹線建設関係についてでありますが、これについては、政府出資でやるのが妥当だと考えているわけですが、どうお考えですか。
  8. 中馬辰猪

    政府委員中馬辰猪君) 東海道新幹線につきましては、政府出資でやるべきであるという御質問でございますけれども政府といたしましては、東海道新幹線経営上もきわめて有利でございまして、当然独立採算がとれまするし、経営上の黒字が見込まれておりまするので、特別に政府出資をする ○ということは考えておりません。
  9. 中村正雄

    中村正雄君 政府並びに国鉄の一部については、外債等計画もあると聞いておりますが、もし外債によるとすれば、その構想はどういう構想であるか、御説明願いたいと思います。
  10. 中馬辰猪

    政府委員中馬辰猪君) 東海道新幹線につきましては多大の経費が要りまするので、国内における資金調達のみでは不十分と考えられまするから、当然その一部を外債に仰ぎたいと考えております。
  11. 中村正雄

    中村正雄君 その外債構想を聞いているのです。
  12. 十河信二

    説明員十河信二君) ただいま政務次官からお話のありましたように、私ども外債によってなるべく早く計画通り工事を進めていきたいと思います。その外債は、外国金融市場情勢に応じまして、あるいは世銀から一部借り入れることもありましょうし、あるいは市場ボンド発行というような方法もあるかと思います。ただいまいろいろな方法を、いろいろな市場状況等研究中であります。今どうという決定した方針はありません。
  13. 中村正雄

    中村正雄君 大蔵大臣から特にお聞きしたいと思う。
  14. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま十河総裁からお話がありましたので尽きておるように思います。東海道新幹線は、政府といたしましても、国鉄公社ももちろんでございますが、どうしてもやりたい線なのでございます。そこで政府もすでにこれを取り上げて、これか建設を進めよう、まあその決意をいたしておるわけであります。そこで、この前もお話を申し上げましたように、国鉄自身は、今日輸送力整備五カ年計画推進中であります。この推進中の五ヵ年計画とあわせて東海道新幹線建設工事計画いたしておるのであります。ただいまのところ、資金的には二つをまかなうだけの十分のものはございません。そこでこの五ヵ年計画をまず第一に進めることが先決の問題であり、これと並行しての新幹線計画でありますので、新幹線計画は今後の問題として資金調達方法考えなければならない。もしも時期的にややおくれることが可能であるならば、五ヵ年計画に必要としておる資金、その方ができ上った後でありますれば、相当資金的な余裕が考えられるのであります。しかし、五ヵ年計画もやり、同時に新幹線計画も早急にこれを実施するということになりますと、どうしても資金的にはよほど工夫しなければならない。そこで、先ほど御意見として出ておりますように、政府出資でやったらどうか、こういうような御意見もあると思います。しかし、今日、政府自身もこの線に多分に多額のものを出資するだけの能力がございません。そういうことを考えて参りますと、新幹線計画計画としての資金計画を立てなければならない。本年三十四年度計画には、わずか三十億を計上しておりますが、これはとりあえずの設計調査というか、あるいは土地買収、それらのものに充てるための費用でございます。そこで新幹線計画実施計画を立てていく。この実施計画ができ上りますと、その資金調達の問題があわせて考究されるわけであります。そこで、一部は外国資本によらざるを得ないだろうということで、まあ昨年来、政府国鉄一緒になりまして世銀方面にも働きかけている。従いまして、ニューデリーのIMFに、世銀の総会の後に関係者も立ち寄っておりますので、その機会に十分話もし、その後引き続いて国鉄資料等をアメリカにも送付し、これが援助を受けるようになっております。しかしまだ具体的には進んではおりません。ただいまそういうような下相談をしておるという段階でございます。私どもも、この国鉄新幹線実施計画が立ちますれば、当然それにあわせて資金計画を一そう具体的に掘り下げて、皆様方の納得のいくようなものにしたいと思いますので、ただいままだその段階まで立ち至っておりません。
  15. 中村正雄

    中村正雄君 国鉄も五ヵ年計画で相当の経費が要り、あわせて新幹線の問題も起きているわけですが、来年度予算には一部調査費が計上されているわけですが、一応新幹線工事に着工するという見通し並びにどの程度の年月を要するか、そういう見通しについて現在どういうふうな計画を立てておられるか、構想があれば御説明願いたいと思います。
  16. 十河信二

    説明員十河信二君) 大体五ヵ年間で完成する予定に相なっております。一番厄介なのは用地買収じゃないかと思います。用地買収は、所要用地の約三割足らずを以前に着手いたしましたときに買収したのがあります。そういうところの工事だとか、あるいはやりかけておりますトンネル工事だとかいうものを先に着手いたしまして、五ヵ年間に完成して輸送の要請に応じたいと努力いたしております。
  17. 中村正雄

    中村正雄君 国鉄総裁にお伺いしたいわけですが、来年度予算を審議するに当って、三十三年度国鉄運輸収入実績見込みが現在どうなっておるか、予算に対してこれはどの程度達成できておるか、御説明願いたいと思います。
  18. 十河信二

    説明員十河信二君) 国会で御承認を得ました予算収入は、ぜひとも上げたいと努力いたしましたが、財界不況折柄、ただいまのところでは約百八、九十億程度減収になるかと思っております。
  19. 中村正雄

    中村正雄君 本年度実績がそのように二百億近い減収ということになっておりますが、三十四年度予算を見てみますと、前年対比、旅客で百十三億増、貨物では反対に百七億の減といたしておりますが、差引六億の増、もうけになっているわけで、来年度収入予算がこの程度確保できるという根拠はどこにあるか御説明願いたいと思います。
  20. 十河信二

    説明員十河信二君) 大体本年度実収見込みまして、その実収に対して経済企画庁長期経済計画の来年度はどの程度経済が発展するかというその状態をとりまして、経済企画庁の計算に従って来年度収入見込みを立てた次第であります。
  21. 中村正雄

    中村正雄君 本年度予算も、今総裁が御説明になった根拠によって立てられた予算だろうと思うのですが、その根拠に立って作られました予算が二百億近く達成できておらない、こういう状態で、来年度も同じ根拠に立っておやりになって、そうして予算に計上されておりまする収入だけ確保できるという自信がおありかどうか。特に私ちょっと不思議に思います点は、旅客の面において百十三億の増を見込んでおりますけれども、大体旅客収入は年々増加いたしておりますけれども、百億以上増加するということは過去の例から見て非常に危険じゃないかと思うのですが、来年度収入予算についての自信のほどを、本年度実績とにらみ合してもう一度御答弁願いたいと思います。
  22. 十河信二

    説明員十河信二君) 本年度はもう極端な不況でありまして、前年度実収よりか減収をしそうだという年は今日までなかったのであります。三十三年度は、不幸にしてそういう例外的な状態に陥ったのであります。しかしながら、最近の情勢は、何といいますか、なべ底景気の少し上向いてきているときでありますから、まあ来年度はその程度収入はあるものと、今日の状態ではそういうふうにわれわれは信じております。人知のはかなさ、どうなるかということはわかりませんですけれども、われわれは今のところそう確信しておる次第であります。
  23. 中村正雄

    中村正雄君 収入予算に関連いたしましてですね、まあ貨物収入が特にトラック送輸に転嫁いたしておる状態の現在において、国鉄輸送量とトラックの輸送量との比率は、例年どういうふうに伸びておるか、これを数字で御説明願いたいと思います。それと関連いたしまして、国鉄貨物輸送の今後の方針について御説明願いたいと思います。
  24. 十河信二

    説明員十河信二君) 今日まで旅客につきましては、相当サービス向上の点において努力いたしまして、成績も上ってきておるのであります。どうもわれわれ自身反省して、貨物に対するサービス向上ということが少し足りなかった、おくれていると、こう考えまして、これから貨物サービス向上ということに大いに努力をいたしたい、こう考えまして、今せっかく計画をいたしております。  自動車鉄道の割合は、どういうふうに伸びておりますか、これは私、今その数字を持っておりませんから、当局者から説明させたいと存じます。
  25. 石井昭正

    説明員石井昭正君) お答え申し上げます。国鉄貨物輸送は、昭和三十二年から三十四年まで、年率にいたしまして約二%ないし三%増というような見込みでございますが、一方、自動車の方につきましては、大体年率約八%ないし九%ふえているかと思っております。しかしながら、この自動車輸送国鉄輸送とは、必ずしも対立するものではございませんので、鉄道輸送にかかりましたものも、第二次的には自動車輸送に相当かかっておりますし、一面、自動車の方は相当道路の整備、車両の増加等と相待って、伸びておることは事実でございまするし、その内容も必ずしも鉄道自動車との分野が全く対立しているというようなものでなくて、ただいま申し上げましたような状態で、競合している点も相当ございますので、一がいにこの数字だけでもって、自動車鉄道との輸送量の相違が出てくるとは思いませんが、ただ、申し上げられますことは、やはり小品の近距離輸送につきましては、自動車輸送鉄道輸送から転化していくという事実は察知できると思います。
  26. 中村正雄

    中村正雄君 今回国会に出されております日鉄法改正を見ますると、一部外部企業への投資を認めるような改正がなされておりますが、国鉄自体外部企業投資するということについて、大蔵大臣運輸大臣総裁は、どういうふうなお考えを持っているか、また国鉄総裁として、外部企業への投資についての意欲を一つ承わりたいと思います。
  27. 十河信二

    説明員十河信二君) 国鉄は、自分の固有の仕事に対する投資も非常に不足しておるような状態でありますから、なるべくそういうことは延ばした方がいい、やりたくないと思っておりますが、やむを得ないものが出てくるのであります。たとえば今考えておりますのは、自動車のターミナル・センターを作る、こういうような問題は、国鉄プロパー仕事に直接関係のありますことで、これはどうしても一枚加わってやらないと、うまくいかないというふうなものが出て参りますので、そういうものに投資のできるような道を開いていただきたい、こういうことが、今回の改正の趣旨であります。
  28. 中馬辰猪

    政府委員中馬辰猪君) 今回の日鉄法改正につきましては、ただちに国鉄が部外に投資するというための法律の改正ではなくて、国鉄輸送の本来の業務に関連し得るもののみに限定するわけでございまして、今後ともこの方針は堅持して参りたいと考えております。
  29. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど総裁並びに政務次官から説明した通り考えております。
  30. 中村正雄

    中村正雄君 国鉄関係質問を一応終りまして、労働問題について、特に労働大臣大蔵大臣並びに運輸大臣質問したいわけです。  先般の総括質問の際に、田村君から質問されましたが、それに労働大臣はお答えになりまして、労働関係法改正の時期にもきておると思うので、その研究をやりたい、こういう答弁をされておりました。具体的な構想があれば、この際、お聞かせ願いたい。
  31. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ILO条約についての諮問をいたしましたその答申の中に、こういう時期に、戦後十三年経験して参りました労働関係法も再検討すべき時期である、こういうことを言っております。それのみではありませんで、大きな労働組合の連合体なども労働関係法について再検討すべき時期であるということを言っておりますので、われわれも再検討したい、こういうことを考えたわけであります。しかし、これからどういう方法でやって参るかということについて、まだまとまった構想を持っておりません。
  32. 中村正雄

    中村正雄君 現在三公社従業員の賃金問題に関して、仲裁委員会大臣の職権において付託されておりますが、今、仲裁委員会におきまする審議の状態、並びにいつごろ結論が出るかという見通しについて、労働大臣はどうお考えになっているか、見通しをお聞かせ願いたい。
  33. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 調停が不調になりましたことは、まことに残念でありますから、仲裁にかけるようにいたしまして、仲裁委員会は目下鋭意検討中のようでありまして、新聞などの報道によりますと、二十四日、二十五日というようなことが伝えられておりますが、私どもからとやかく指図がましいことをすべきではありませんので、できるだけすみやかに仲裁裁定が出ますことを期待しておるわけでございます。
  34. 中村正雄

    中村正雄君 裁定につきましては、公労法ができまして第一回の裁定は、たしか吉田内閣大屋運輸大臣のときに、国鉄に関して出たと思うのです。従来政府態度は、裁定は尊重するという態度でやってきたわけでありますが、尊重ということは、大体一部実施ということでやって参りました。これが石田労政になりましてから、裁定は完全実施すると、こういう態度に変ってきたと思って、その傾向は喜ばしい傾向だと思っているわけでありますが、今、仲裁委員会で審議いたしておりまして、近日出まする裁定につきましては、労働大臣としては、出まする裁定については、これは実施するという意思をはっきり明言できるかどうか、おそらく実施されると思うのですが、一応お答え願いたいと思います。
  35. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 仲裁裁定が出ましてから、これをどういうふうにするかということは、公共企業体等労働関係法の命ずるところによって、政府は処置するわけでありますが、三年ほど前に、ただいま施行中の公労法改正されまして、三十五条で、仲裁裁定が出ましたならば、政府はあとう限りこれを実施するように努めなければならない、こういう努力義務を加えたわけであります。しかしながら、御承知のようにその後段にありまするのは、予算上、資金上支出不可能なる仲裁が出ました場合には、これはまた仲裁そのもの政府を拘束するものではない。そこで、そういう仲裁裁定につきましては、十六条にはね返りまして、国会議決によってそれが決定する、こういうことであります。従って、政府としては、できるだけ政府の権能の範囲内においてできますことは、もちろんこれは完全に実施するように努力をいたす、このことは当然でありますが、予算上、賃金上支出不可能なる裁定が出ました場合には、もちろん国会議決を待ってこれが実施をされる、こういうことであります。
  36. 中村正雄

    中村正雄君 私の質問いたしておりますのは、そういう取扱いを聞いているわけじゃなくして、石田労政以来、自民党の内閣といえども裁定が出た場合はこれを尊重するという態度から一歩進めて、実施するという態度に変ってきていると思うのです。従って、私のお尋ねしているのは、手続の問題ではなくして、政府労政方針として、出た裁定については、これは実施する用意があると、こういうふうに考えていいかどうか、これをお尋ねしているわけなんです。
  37. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 中村さんは専門家でいらっしゃいますから、私の申し上げておることがよく理解していただけると思うのでありますが、仲裁裁定が出ましたならば、国会開会中は十日以内に国会承認を求めなければならない、かりに予算上、資金上支出不可能なる裁定が出たとして、やっぱり国会において何分の議決があれば、政府はそれに従わなければなりませんから、従って、政府として完全に実施すると言い切ることは、その点において不安があることは御理解を願えると思います。従って、仲裁裁定が出ましたならば、それを拝見いたしまして、そして公労法三十五条に命令されておるような政府としての努力義務を行いますが、これはまあ常識的に考えてみまして、やはり三公社のうちでも比較的簡単に移流用の許せるものもあるでありましょうし、それがむずかしいものもあるいはあり得るかもしれません。しかしながら、政府はその努力義務範囲内においては、できるだけ実施をするように努力をする、それの不可能な場合には、やはり国会議決を待つか、しからざれば補正予算というふうなことも考えざるを得ない、こういうことでありますが、政府誠心誠意仲裁裁定を尊重して、これがあとう限り実施のできるように努力をいたしたいと思います。
  38. 中村正雄

    中村正雄君 大体労働大臣の御答弁は、石田労政からとってきたところの裁定実施するという意味の御答弁だろうと思うのです。ただ、出されまする裁定は、現在の予算流用その他でできる場合であれば、これは問題もありませんが、いつも問題になりますのは、現在の予算では実施できない、国会承認を求めなければならないというところにいつも問題が起きているわけなんです。そのときに、政府方針としてやっぱり予算措置をやってでも実施するという考えか、あるいは予算措置をしなければできないものであれば、これは実施はできないという方針か、これがいつも問題になっているわけなんです。これはいずれ近い将来に出ますので、そのときに論議すべき問題で、深くは追及いたしませんが、一応労働大臣のお考えは、出ました裁定実施するという意思で進んでおられると、かように了解いたしたいと思うわけです。  次に、裁定実施する場合の予算措置が、今まで各公社にほとんどまかされておって、大蔵大臣としてあまりめんどうを見ておられない、これは各公社の問題であるから、それぞれ処理すべきであるという態度でやってこられたように思えるわけです。一番公社間で問題の多い労働問題の処理については、大蔵大臣としても政府自体がやはり裁定実施するように努力をするという方向でありまするならば、予算上のめんどうについても、大蔵大臣として十分めんどうを見てもらいたいと思うのですが、それに対して大蔵大臣はどうお考えになっているのか。
  39. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 政府裁定に対する態度は、先ほど詳細に倉石労働大臣説明した通りであります。大蔵大臣も別に、別な意見を持ってはおりません。  そこで問題は、予算との問題についてのお尋ねでございますが、ただいま裁定も出ておらないのに、どういう影響があるのか、それを考えないで、予算上に支障があれば必ずそれを変えるとか言うことは、大へん出過ぎた言い方のように思います。ただいまの段階においては、どういう裁定が出て参りますか、それを一つ伺い1過去の例等から見ますと、こういう時期に裁定が出ました際は、流用で十分まかなえるという場合もあったのでございますので、そこで、ちゃんと予算にもそういう意味のことが総則に書かれておりまして、その場合の救済措置があるわけです。今日の段階では、どういう裁定が出て参りますか、それを一つ伺った上で十分検討して参りたい、かように考えております。
  40. 中村正雄

    中村正雄君 最後に、今公社従業一員公社経営社との間に問題になっておりますのが、年度末の手当の問題があると思うのです。例年公共企業体につきましては、年度末に手当を出しておる慣例になっておるわけですが、いまだ本年度の問題につきましては、組合経営者側との間に解決されておらない、すなわち、金額は別といたしまして、例年通りこういう一つの慣行になっております制度ですが、これについて労働大臣は支給する意思があるかないか、この点を最後にお尋ねしたいと思います。
  41. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御承知のように公社関係は業績手当という形で出ております。それが今まで暦年の年末に業績手当という形で各公社がそれぞれやっておったことは御承知の通りでありますが、年度末にそういうものを支給するかどうかということについては、これは各公社経営者当局の考え方もそれぞれ別でありましょうし、労働大臣としてそういう点まで申し上げるただいま確信を持っておりません。
  42. 中村正雄

    中村正雄君 じゃ大蔵大臣にお伺いしたいわけですが、業績手当でありますので、各公社それぞれの業績を見、また経理の内容等を見て決定することだと思いますが、たとえば各公社がこういう点について業績手当を出したいと、こういう意向があるとすれば、大蔵大臣としてそれに対して各公社にまかしておいて、各公社でやれるものであれば、大蔵大臣としても承認を与えるという例年方針を、本年度も堅持される腹であるかどうか、大蔵大臣にお伺いしたい。
  43. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 各公社の内部の問題のように思いますので、大蔵大臣は内部の問題であります限り、干渉などする考えはございません。
  44. 中村正雄

    中村正雄君 業績手当は各公社の内部問題であると、従って、これに対しては干渉する意思はないと、こういうように大蔵大臣答弁なさっておるわけでありますので、いわゆる組合経営者との話し合いによって、交渉によって、各公社が出そうということになり、それぞれ計画を立てた場合は、大蔵大臣は干渉しないと、ただこの問題は、やはり予算流用その他で大蔵大臣なり運輸大臣承認が要ると思うわけです。従ってその場合は、内部事項であるので、承認を与えるにはやぶさかでない、こういうふうに理解していいわけですか。
  45. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は予算上可能なことなら別に大蔵大臣承認を必要としない。大蔵大臣承認しないような事項は公社で御自由になさることだ、かように申しておるのでありまして、大蔵大臣承認を要する問題ならば特別な措置だろうと思います。そういう場合はまたそういう場合で考えなきゃならないと思います。
  46. 中村正雄

    中村正雄君 じゃ大蔵大臣でなくて運大輸臣の権限で流用できるものもあります。従って運輸大臣とすれば国鉄なら国鉄自体で何らかの処置を、でき得る操作をやった場合は運輸大臣の権限内の承認でよいものであれば承認する意思があるかないか、運輸大臣にお尋ねしたいと思います。
  47. 中馬辰猪

    政府委員中馬辰猪君) ただいま大蔵大臣がお答えになったと同様の立場でございます。(「どういうことですか」と呼ぶ者あり)
  48. 中村正雄

    中村正雄君 運輸大臣答弁はちょっと私わからないわけですが、まあ大蔵大臣とすれば予算流用その他大蔵大臣の権限に属するものは、いわゆる大幅の予算の変更になると思うのですが、私は運輸大臣承認を得てやる分はそう大して大きな問題じゃない小で、単に国鉄内部の費目の流用で足るものだと思うのです。従って、その一について運輸大臣にお尋ねしているわけなんです。(「運輸大臣の権限内でやれることをやるかやらぬかといっている。だから大蔵大臣の意向じゃいかぬのだ」と呼ぶ者あり)
  49. 中馬辰猪

    政府委員中馬辰猪君) 国鉄当局からこれだけの金は余裕があるから出してもよろしい、こういう申請があればもちろん認めなきゃならぬと思います。
  50. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますと確認したいわけですが、大蔵大臣としては大蔵大臣手当をしなければならないような事項であればそのときに考えたい。しかし国鉄自体で費目の流用その他運輸大臣の権限で、なし得るものであれば、国鉄から申請があれば運輸大臣はこれを承認する、こういうふうにお二人の答弁を理解して私の質問を打ち切りたいと思います。
  51. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) 大蔵大臣何か御発言ありますか。
  52. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 給与総額の範囲内でしたらこれは自由にできることでございます。しこうして、それから後は運輸大臣の認可をしたその内容によりましては運輸大臣は当然大蔵省に相談にくる。そういう場合に大蔵省は十分事態について検討をする、こういうことだけは御了承を願いたいと思います。
  53. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 関連。ただいまの最後中村委員の確認に若干ニュアンスの違う面が大蔵大臣が発言されたですが、先ほどからの質疑を横から聞いておって、運輸大臣の権限でやれる範囲があるわけですね。それに対しては大蔵大臣としてはあまり容嫁しない。その自主性を認めるということをさっき答弁しているわけですからね。その点は、はっきり確認しておいてもらわなきゃ困る。国鉄総裁運輸大臣との関係、それから運輸大臣大蔵大臣との関係ですが、あくまでも国鉄総裁か日国鉄側から要請があり、それを運輸大臣が認める、それが運輸大臣の権限内のことであれば、大蔵大臣はあまり差し出がましいことはやらないことは、先ほどの答弁を総括してそういうふうに確認すべきだと思うのです。その点とそれからもう一つ関連して、倉石労働大臣に伺いますがね。先ほど中村委員仲裁裁定に対する答弁をされておりますが、どうしても私は十分納得しかねる点がある。で、念のために伺いますが、歴史的に見れば石田労政というのは組織的に計画的に労働組合へのくさび戦術、組織破壊工作と弾圧政策をやった。その反面仲裁裁定に対する政府態度を若干前進固定さしたというところにまた石田労政の特徴が歴史的に見てあると思う。ところが最近この仲裁裁定に対する倉石労働大臣の衆参における答弁を聞いてみますと、非常に議事手続的な事務手続的な立場から答弁されておって、何かあなたは御利口な方だからかもしれませんが、逃口を作っておこうというような感じを受けます。それに関する限り石田労働大臣が当時政府を代表して仲裁裁定に対する見解を表明したのに比べると、若干後退しているのじゃないかというような印象を受けるのですが、私はそうじゃないと思う。石田労働大臣が当時仲裁裁定に関して政府を代表して国会答弁して、国会を通じて国民に表明しておったその見解といささかも私は変っていないと了解するわけなんですが、表現がちょっと事務的なものですからそういう不安があるわけですが、その点明確にお答えおき願いたいと思います。
  54. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 業績規定に関する限り大蔵大臣運輸大臣は協議することになっております。それ以外の問題で運輸大臣限りでやれることはこれはもちろん御指摘の通りであります。その点誤解のないように願っておかないとあとで問題が起りやしないか、かように考えておるのであります。
  55. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 石田労働大臣は一方において組合を分裂するようなことを考え、そして一方においては仲裁裁定は完全実施する、こういうふうなことであった。あとの方は私も了解しておりますが、先の方は内閣が続いておるのでありますので、前労働大臣はさような考え方ではないのでありまして、やはり一貫した流れは堅実なる労働組合運動が発達する、こういうことを期待いたしておるのでありまして、そこで仲裁裁定のことでありますが、皆さん専門家の方々でありますから言葉が足りなくて誤解を生じてはいけないというので、私はわかりやすく申し上げておるのでありまして、公労法は最終的に仲裁裁定を決定するものは国会である、このことを間違いないようにしていただきたいと思います。(「あなたは多数党の与党じゃないですか」と呼ぶ者あり)そこで政府が完全実施すると申しましても、仲裁裁定が出ました場合には法の命ずるところによって国会開会中は十日以内に国会承認を求めなければならないと書いてあります。従って仲裁裁定が出ましたならば十日以内に十分研究して政府国会の御承認を求める手続をいたします。そのときに国会に出された仲裁裁定と違った議決があっても政府は当然それに従わなければなりません。従ってその仲裁裁定政府が完全に実施すると申しましても違った議決が行われますれば、やはり政府意思と違った議決を尊重して手続をとらなければなりません。従って石田君の申しておりましたのは言葉が少し足りなかったのでありまして、政府としては政治的にはこれは三十五条の努力義務を発動して、できるだけ実施ができるように努力をする。しかしながらそれが不可能のときは議決があれば議決、さもなければ政府としては補正予算を組まなければやむを得なかろう。先ほど来お話がありました給与総額以上はみ出すものが裁定に出た場合には、やはり補正予算か何かやらなくちゃならぬ、こういうことでありますから、石田君の申し上げておりますことも私の申し上げておりますことも、政府はできるだけ完全に実施するように努力をいたしますが、やはり最終的に権威を持って御決定を願うのは国会である、こういうことを私は強調しておるのでありまして、気持においてはちっとも変りません。従いまして今の多数を持っているではないかというお話でありますが、やはり政府は行政府でありまして、国会というものは国権の最高機関でありますから、この最高機関で御決定になりましたものには、これは政府はその意思には従わなければなりません。でありますから、政府が完全に実施するということは、その意味においてはやはり言い過ぎであると、私はかように考えております。
  56. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) 以上をもちまして中村委員の質疑は終了いたしました。   —————————————
  57. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) 委員の変更がございましたので、この際御報告いたします。土田國太郎君、後藤義隆君が辞任し、その補欠として古池信三君、小山邦太郎君が選任せられました。   —————————————
  58. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) 次に、片岡文重君の質疑に入ります。片岡文重君御登壇願います。
  59. 片岡文重

    ○片岡文重君 私は、この際、雇用問題につきまして、労働大臣並びに経済企画庁長官にお尋ねをしたいのであります。  お尋ねの趣旨を先に申し上げますと、第一点は、今日激増しておりまする離職者の救済並びに就職をどうするかという、いわば臨床的な問題の対策いかんということです。いま一つは、年々同じようなことを繰り返しておりながら一向に具体的に一貫した長期にわたる離職者対策というものがなされておらない、いな離職者というよりも、雇用対策というものがなされておらない、このいわば抜本的な計画、この二点に結論はなると思うわけであります。  たまたまこの御質問申し上げることについて私が考えておりましたときに、たしか十九日の夜であったと思いますが、NHKの「時の動き」という放送の中で、北九州の炭鉱労務者の悲惨な生活状態が放送されておりました。この現地ルポの内容は、いわゆる炭鉱合理化による買い上げ炭坑の労務者諸君が、政府の買上げと同時に職を失って、塗炭の生活苦にあえいでおる状況をつぶさに伝えておったのであります。娘を身売りする、最愛の妻を売春宿に身売りする家庭もあると伝えておりました。今日売春法はかたく守られているはずであるのに、自分の最愛の妻をそういう売春宿に身売りさしたり、子供を身売りしたりする悲惨な状況がある。ある家庭では、わずか二畳の畳に八人の家族が寝起きしている。どうして寝るのですかという記者諸君の質問に対して、頭の方にも足の方にも寝るのです。私は考えてみましたが、それでも二畳の畳では八人は並びきれないのではないかと思うのですが、そういう実情が伝えられておる。さらに、食事はどうしているのかという質問に対して、塩をかけて食べているという答えでした。はなはだ、三十四年度予算の御説明を伺っても、労働対策を今まで伺いましても、きわめて宣伝はお上手でありますが、現実にこういう問題が存在しているわけです。しかも、ほかの問題と違って、失業の場合には、特に零細な労働者諸君の生活は、朝食べて昼のものを心配しなければならない状態です。二カ月、三カ月という生活にたえられないのはもちろんのこと、きょう首になればあしたからどうしてやるかという問題である。こういう問題の解決に当って、便々と日を延ばしておられたのでは、私どもとしてたえられないと思う。こういう観点から、私は、臨床的な対策について、どういう覚悟をお持ちになっているのか、まず伺いたいのであります。政府からお出しになりましたこの経済運営の基本的態度等の参考書も、私は拝見いたしました。いたしましたが、少くともここに述べられているようなこの主要経済指標、これらを拝見をしても、これは明らかにアメリカのコルム方式によって出されたものだと私は思うのですが、こういうコルム方式による指標の作成の誤りであるということは、もはや定説であると言っても私は差しつかえないと思う。これを政府は今ごろなお改めることなしに使って、しかもこれをもって雇用対策、経済対策が円滑にいくのである、またいっているなどというようなことであるならば、もはや私もこれ以上の質問をする勇気もなくなるわけですが、そういうことではなしに、今日のこの現実に存する離職者の生活窮状を打開するために、一体政府はどういう態度を持ってどういう具体的な策をとらんとするのか、この点をまず伺っておきたいと思うのです。この問題については、労働大臣から一つ具体的に御説明をいただきたい。
  60. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私は、しばしば申し上げておりますように、雇用、失業の問題はなかなか困離であり、しかも大切な問題であることは第一でありまして、今お話しの経済全般の政策に伴う雇用政策、あるいは後に企画庁長官からお話があるかもしれませんが、片岡さんの御承知のように、ずっと継続して一つのデータができて、その上に基いて昭和三十四年度の雇用、失業の計画についてどうすべきか、そのデータについて、今ここで時間がございませんからそれは省略するとして、その上に立ってわれわれが来年度の、つまり昭和三十四年度における経済規模、これを実質五・五と見ていることは、御指摘の経済運営の基本方針にも示してある通りで、私は現在の鉱工業の稼働率を基礎にして考えますならば、本年の下半期において政府が当初五・五と見ましたことはむしろ低きに過ぎるのではないかと思っておりますけれども、一応そういうデータを基礎にして計画を立てまして、それに基いて大体去年と同じ程度の完全失業を見ればまず大体いけるのではないかと、こういう計画のもとに、完全失業は六十万と、こう見ました。その上に増加してくる要就業人口、これを七十四万と見ました。そのデータにつきましは、先日来このここでもしばしば論議されまして、七十四万と見ておることは必ずしも無理ではないということについては、大体御了解がいけると思います。ただ片岡さんの御指摘になり、一番御懸念しておられますのは、基本的に今の労働力人口、この労働力人口の中から現在一体どういう産業、たとえば大別して第一次産業、第二次産業、第三次産業にどの程度の動き方を真実に把握しているかということだろうと思います。これは実に私どもも頭を悩ますところでございますが、三十四年度の雇用者を産業別に見ますというと、私どもは第一次産業では、経済規模のただいま申しましたような拡大によって、林業の生産というものがある程度伸びる、こういうことを政府部内では見当をつけまして、ここで三十三年度に対比して約二万人の増というものを見込んでおります。それから第二次産業におきましては、三十四年度の公共事業費が御承知の通り二千二百十億円と三十三年度に比べて四百七十一億円ほどの増額をいたしております。この増加もございますし、これに伴って雇用者の増加が約十八万、これもしばしばここでお話になりましたが、このことも政府部内で各担当者が集まりまして、この十八万という、公共事業に昨年度よりもよけい吸収し得るということについては、まず大丈夫である。それにまた財政投融資の増大によりまして約三万人の雇用増を計算をいたしまして、合計約二十一万人というものの増を見ておるわけであります。一方製造業におきましては、三十三年度の四月から十二月の実績を見まするというと、前年同期を二十五万人上回る。これもしばしばここでお話のありました通り、私どもはさような計算は大体大丈夫だ。三十四年度には鉱工業生産が、先ほど申し上げましたような上昇を見るものと予想されますので、約二十万人の増をここで見て、期待いたしておるところであります。従って、第二次産業としては、運輸、通信、公益事業を含めまして約四十五万人の増加、合計四十五万人を見ております。それからまた、いわゆる第三次産業におきましては、景気停滞のもとにありました三十三年度の四月ないし十二月平均で約三十五万人、つまり前年同期を上回っております。そこで三十四年度には引き続いて大体二十七万人程度の増加を見得るものである、こういうふうに見込みまして七十四万という雇用増を見ておるわけであります。私が冒頭に申し上げましたように、これは一応の私ども計画でございますが、計画と申しましても、私どもはそれぞれの担当者を集めまして、大体今申し上げましたように、実質的に本年度は七十四万人の増を見込み得る、こういうことで臨床的雇用増大の政策はとったわけであります。
  61. 片岡文重

    ○片岡文重君 お示しになりました数字を伺っておりますと、従来繰り仮しておられた数字の内容とあまり違わんと思うのですが、そういう見方をされることも御自由ではありますけれども、その見方をされる数字の、よってきたる根拠に私は問題があると思うのです。なるほど五・五%という経済成長率の見方については議論の余地はあると思います。私も必ずしもこれが高過ぎるとは考えません。もっと伸びることもあろうと私も考えないわけではない。ただしかし、現在の経済状況を見ると、大体生産設備というものは、よく見ても七〇%程度しか稼働しておらんはずです。そればかりでなしに、最近はまたこの設備投資の熱が次第に高まっておるようです。この設備投資の熱が高まったことについては、今日経済界でも相当憂慮しておる向きもあるようですが、憂慮されておるか、あるいは期待されておるかは別として、とにかくそういう傾向にあることだけは否定できません事実です。そのほかに三十二年度の生産設備は一兆三千七百五十億円、三十三年度が一兆六千七百四十億、三十四年度見込みが一兆四千百三十億、合計三カ年間をみても四兆四千六百二十億円という設備増加になっておるわけです。これに対して国民所得の増加を私は見てみたのですが、三十二年度は六千五百五十四億、三十三年度は七百十一億、ぐっと減っております。あるいは数字が違っておるかもしりませんが、三十四年度は五千百六十億、合せて三カ年間に一兆一千四百二十五億、この差を見ると、一兆二千百九十五億、三倍近い設備増品になっておる。この大きな開きが、の較差から今ほとんどあらゆる産業にわたって操業短縮あるいは事業の閉鎖等が行われておる。当然労働時間の短縮やら実質賃金の減収というものが目立ってきておるわけです。従って政府としてどういう数字をあげ、どういう見方をされる、どういう楽観的な構想を発表されようと、それは御自由だけれども、現実に政府のとっておられる統計によって、私ども検討してみましても、この結論からみれば、今現実に存在している状態を見れば、少しも明るい見通しにはならないで、たとえこの設備投資が今後ますます実情に即して過剰になっていくということであれば、これから行われる設備投資というものは、申し上げるまでもなくオートメーション化されていくでしょうし、近代化されていくことは間違いない事実ですから、そうなってくると、ますますそういう近代化されていく大企業、これはおそらく大企業が主となるでしょう。この大企業によって雇用されるところの、現に雇用されておる労働者でも離職の危険が伴っておる。いわんや新規にこれを採用しようなどという率はきわめて僅少であります。残された中小、特に零細企業にそれらの労働者は低賃金をもって吸収されていくでしょうが、これは中小企業の実体からいって、そうそう多量に吸収するわけには参らぬはずです。従って明るい見通しは持っておられても、現実にはそういう暗い面の方がどうしても事由に近い。将来もそういう見通しにならざるを得ないと私は思うのですにそこでここでお尋ねしたいのは、労働大臣経済企画庁長官のお二人にお尋ねをしたいのですが、これからの、また現在のこの生産構造の中で当面の雇用問題を一体どのように解決されるおつもりでしょうか。不完全就労者あるいけ離職者等の吸収をさしあたってどうされるのかという問題について、見ているとか、見通しとかということでなしに、具体的に一つ事例をあげて、こういうものにするのだということをお示しをいただきたい。  それから経済企画庁長官には、この経済構造の中で一体経済企画庁としては、この臨床的な対策をどのようにお考えになっておられるか、労働省との間にどういう具体的な策を持っておられるのか、この点について一つ大臣から御説明をお願いしたいと思います。
  62. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 大体政府考えております雇用拡大の方針というものは先ほど申し上げました通りでありますが、私は失業というものはやはり有効需要の不足ということが失業の大きな原因であると思います。学者が、たとえばケインズが一般理論で有効需要の不足ということを強調し、第二には、労働の供給と労働の需要とが不結合の場合に失業というものは起る。そういうことを考えてみますと、わが国においてもまことに適切な言葉であると思うのでありますが、第一の有効需要の問題につきましてはただいまのお話の中にもありましたように、わが国ではやはりどうしても国内の有効需要がある程度保持されることが第一に必要でありますが、さらに日本の置かれたる経済状態というものを見ますというと、やはり輸出ということに大きな重点を置かなくちゃならない。そういう二つが両々相待って雇用の拡大が行われることは片岡さんのよくおわかりの通りであります。そこで問題になりますのは今御指摘の中にありましたように、たとえば一つの企業がオートメーション・システムを取り入れると、過渡的にはそういうところで労力が余剰労力として余ってくる場合があります。しかしながら、日本が国際経済競争の立場に立って、やはりオートメーションというものを取り入れていかなければ国際競争力を維持していくことはできないという立場で、いろんな産業の方面で新しい近代的な機械を導入をいたします。しかしそのことの結果、その場所で大きな失業問題が発生したという事例を私どもは報告を受けておりません。そのことは片岡さんも御承知の通り、それはどのように救済されておるかと申しますというと、オートメーション・システムを取り入れてコスト・ダウンすることによって生産が伸びた。従ってそこで余った余剰労働力というものを国際経済力の伸びたそれを拡大いたしていく方面に配置転換が行われておるという実情を多くわれわれは発見するのであります。  それからもう一つは労働の需要と供給が不結合の場合、これは今申し上げましたような場合に起きると思うのでありますが、いわゆる摩擦失業と申しますか、その摩擦失業というのは大味労働力の三%ぐらいというものが普通であるというふうにベバアリッジなどが言っておられますが、アメリカでは五%ぐらいということを言っております。しかし摩擦失業と、もう一つは今申し上げました有効需要の不足によって生ずる失業、この二つは大体計算づけて、それに対しては一応の措置を考えられます。摩擦失業は失業保険で暫定的にこれを救済していく。しかしその後に出てそのほかのワクにはみ出すと考えられる失業問題をどのように処理するかということは、日本においては大きな問題だと思います。これがいわゆる不完全就業とか潜在失業とか言っておられる問題でございますが、このことにつきましては、私どもは今申し上げましたようなことを総合して政府部内でも相談をいたしますと、やはり新長期経済計画に申しておりますような雇用を増大して参る場合には、第一にまず輸出を振興しなくちゃならぬ。第二には国内の有効需要を振起しなければならぬ。私は日本のような国柄ではやはりどうしても輸出を重点的に見て、同時にまた国際競争力から得た日本の実力で日本の一般労働者の購買力を増強していくということ等によって国内の有効需要を向上さしていく。しかも日本は御承知のように産業構造は二重構造とか三重構造とか言われておりますが、日本で言われる賃金はやはりその三重構造と言われるような中小企業、なかんずく零細企業と大産業の労働者との賃金較差に問題があるのでございますから、私ども政府としましては、やはり最低賃金制度を初めとして、この零細企業のもとにおける労働者、しかも零細企業の従業員全労働者の六六・七%を占めているでありますから、それが有効需要を振起さすことによって購買力が増強するということは、相当日本の経済に対して大きな力を持ち得るのでございますから、これはどうしても賃金較差を縮めていくということに努力しなければならぬ、そういうようなことと相待って、やはり国内の有効需要の振起と同時に輸出産業に重点を置く、これがやはりわれわれは雇用増大の本筋のではないか、こういうことを政府部内下も話し合っているし、そういう計画のもとに雇用、失業の問題をやっております。そこで具体的に先ほど申し上げましたように、三十四年度予算で七十四万人増ということは、昨年度六十七万人増というものの実績から見まして私どもは不安はない。しかしながら問題はさっき申しましたような潜在失業といわれるような不完全就労、先ほど最初に御指摘がありましたようなお気の毒な人たち、たとえば今度石炭合理化法の発動によって百万トンの買い上げの結果、北九州に離職者が出てくる、こういう方面につきましては政府部内においても地元の県庁等とも打ち合せまして、ここで出てくるべき失業者をどのようにして公共事業あるいは一般失業対策等に吸収するかという計画を十分に立てまして、そしてこれならばよかろうということで、百万トンよけい買い上げの法律案の一部改正を提案いたしたようなわけでありますが、そのほかに私ども労働省として特に力を入れておりますのは、御承知のように昨年に比べて本年度の学校卒業者は大体十五万人増であります。これは上級学校にいく者を除きまして、就職を希望する者が約十五万人、そこ一現実に人を使ってくれる人たちと、もう少し役所の仕事を有機的に結合させようということで、私ども労働省味は、たとえば電気産業あるいは石炭鉱業、綿紡、その他大きな業界のおもな々を集めまして雇用問題の懇談会というようなものを設けまして、今度は実際的にやってくれる人事部長クラスの幹事役を設けまして、そして、たとえば三十四年の三月卒業についてはどのような技術者を業界においてどのくらい必要とするか、こういうような具体的な計画を立って、新規学卒者をどういう方向にどの程度振り向けるかという計画的の仕事に着手いたしたわけでございますが、私どもは現実に行われております、政府のやっております諸施策について、それは抜けたところもあるかも存じませんが、私どもとして今申し上げましたようなことで全力をあげて、この新規労働力需要七十四万人というものは、ぜひこれを満たすようにということで努力をいたしているわけであります。
  63. 世耕弘一

    国務大臣世耕弘一君) お答えいたします。  大体ただいま労働大臣から概要御説明を申し上げましたので、私はそれ以外の点についてお答えいたしたいと思うのであります。  第一に、企画庁は大体経済の短期計画より長期計画というのを主眼として担当しているのでありますが、そういう建前から申しますると、日本の産業経済がいかにして安定成長するかということを重点に置いて対処しているような次第であります。今、労働大臣からも御説明がございましたが、結局、日本の産業経済を健全な発達をせしめるのには、どうしても輸出に中心を置なくちゃならぬということが結論として出てくるのであります。しかしながら、輸出にばかり重点を置くとい一と、おのずからそこに不都合が生じてくる。ここに国内産業とのいろいろなつり合いを検討しなくちゃならぬということになるわけであります。で、静かに考えてみまするのに、結局内需と外需、こういうふうに二つに分けて考えてみた場合に、企業形態から見て、国内消費は、むしろ中小企業者、そうして国外の貿易関係は大企業者にと、こういうふうに二つに分けた場合に、貿易関係というものは強く打ち出されてくるのでありますが、先ほど来、設備投資についていろいろ御意見がござましたが、設備投資の点について一言触れて申し上げてみますると、たとえばコスト高では輸出ができぬ、コストを下げなくちゃならぬということになると、日本の生産費を下げなくちゃならぬ。下げるのにはどうしても設備の改善をやらなくちゃならぬ、合理化をはからなくちゃならぬということとなりますと、たとえば外国から従来輸入してきたところのいろいろな特許権とか、あるいは特殊な技術などのようなことも、国内において研究完成していけば、それだけの特許料あるいは権利料というものは支払わないで済む。それだけ国内のコストが安くなるというような考えも起ってきますので、自然あらゆる面において、まず最初に日本の産業経済の体質を改善するのには、設備の改善、同時に経営の合理花というところに重点を置かなくちゃならぬということになってくるわけです。そこに長期化と結ばれる一つ経済計画というものが出てくるわけであります。先ほど来、パーセンテージの問題が御議論があったようでありますが、アメリカでも、たとえば来年の見通しを四%ないし五%というのについて議論があるようであります。そこで、ここに問題になっておりまするソビエトのフルシチョフ首相の発表を見ますると、来年度見通しを六%としておるのであります。こういうような発表があるのであります。で、アメリカの経済界の見通しを四%とするのと、ソビエトのパーセンテージを六%にしますと、そこに二%の差がある。この二%の差を見て、すぐアメリカとソビエトの産業界の、経済界の比較を即断することは私はむずかしい問題じゃないかと思いますが、これは経済伸張の度合いについて時期的なズレ、並びに経過をたどるということは、終戦直後破壊された日本の産業が急に立ち上って、勤勉な日本の国民が産業を復興さした当時のパーセンテージを見ますると、一四%くらい上昇した部分があるわけであります。こういうような例から見ましても、ただ。パーセンテージが上ったから、すぐそれで産業経済が立ち直ったというようなふうに、数字だけでは断定できないということが一つと、もう一つは自由主義経済の社会におけるところの産業のあり方と、いわゆる独裁政治の支配下にある産業のあり方とはおのずからその産業界の健康状態が違う、組織が違うということも考えられるのであります。(「どちらがいい」と呼ぶ者あり)  最後に、私はここで申し上げてみたいと思いますことを省略させていただくために数字をあげて二、三触れてみますが、日本の経済が戦後力強い動きをしておるということ、これは一九五六年の国連の発表でありますから、まず間違いない数字と見ていただいていいと思いますが、それによりますと、一人当りの所得、各国のドルが、アメリカが二千四十三ドル、それからカナダが一千四百七十二ドル、それからイギリスが一千百四十七ドル、そうしてフランスが七百六十三ドル、西ドイツが六百九十五ドル、そうして日本が二百二十六ドルで、世界の二十八番目に当っておるわけであります。不幸にしてソビエトと中共のここに表を持ってくるのを落しましたが、最近の中共の資料を突き合せてみますると、中共の個人所得の三倍が日本の国民の個人所得に当るということが、(「スエーデンは幾ら」と呼ぶ者あり)スエーデンはこれには出ておりませんが、(「都合のいいところだけ持ってきたのではないか」と呼ぶ者あり)かような……、あとでまた分科会等で御説明いたしますが、(「スエーデンは高いはずだ」と呼ぶ者あり)以上のようなわけで、大体において日本の産業経済界の動きは順調な足取りで進んでおると、こう申し上げていいと思います。
  64. 片岡文重

    ○片岡文重君 大へん御都合のいい御説明で、相変らずお口上手なのには、やはり総理のもとにおるだけあって感心させられますが、たとえば学卒者もだいぶ就職率がいいようなことを言っておられますけれども、学卒者の就職率というものはどこからお調べになつたかわかりませんけれども、学校の、やはり将来の募集の条件にもなりますから、就職率というものはきわめてよくとるのが常識なんですね。こういう問題について触れていると、私は時間がきょうは非常に少いので、はなはだ残念ですが、あまりこまかい点に触れられません。  そこで、端的にお尋ねするのですが、合理化による大量の首切りはないようなお話をさっきおっしゃったけれども、現にたとえば帝国人絹、あるいは鐘紡等も、これは合理化によって今非常な困難に逢着をしておるはずです。そのほかに、たとえば日本水素等もそうでしょう。現に三井等は六千人からの首切りを発表して紛争に入ろうとしている。これらは全部が全部合理化だけの理由とはいえないでしょうが、少くともこの合理化等の問題が大きな原因になっておることは事実です。そこで、お伺いしたいのは、いわゆる最近の言葉で言うと、経済の体質改善、この体質改善のための合理化が促進されることはさらに促進されるでしょう。そこで、この今後の一体、体質改善の内容というものはどういうものが予想されるのか、どういうふうにやっていこうとされるのか、そしてそれの影響が全然労務者諸君に影響を及ぼさない、しわ寄せばしないということが言い切れるのかどうか、もし言い切れるとするならば、どういう理由でそれがしわ寄せされないということが言い切れるのか、この点一つ経済企画庁長官にお尋ねしたい。
  65. 世耕弘一

    国務大臣世耕弘一君) 体質の問題に関しましては、広範囲にわたるので一々具体的に申し上げることは不可能だと思います。たとえば、まず第一に労働力の増大ということが日本の産業を盛んにする一つの根本だと思います。そういう面におきましては、まず最初に福祉施設の完備ということが非常に肝心である。福利施設の改善ということが非常に大切であるということはあげられるのであります。それともう一つは、日本の産業で特に大切なことは、動力源の充実ということであります。ところが、残念なことにはこれは世界的現象にもなっておりをすが、石炭というものは大体生産限度というものがきまってきているのであります。石油に移行しようとしておる。そういうような関係からさらに火力・水力電力を活用する、そのエネルギーもおのずから限度がきておる。さらに今問題になっている、いわゆる原子力をいかに活用するかというのが問題になってきております。これは長期計画としては当然考えなくてはならない問題です。エネルギー源の豊富ということが産業の骨子をなすものであります。だから、労働力といわゆる動力源、この二つがまず体質改善の上に重点を置かなければならぬ。あとは新しい科学を取り入れて、科学知識を取り入れての技術の向上であります。さらに続いて申し上げたいのは、今度はいかにして経済的に合理的に産業が経営されるかということが重点になってくるわけであります。で、なお具体的に申しますれば、技術教育の観点はどうするか、あるいは産業設備の分はどうするかということを申し上げなければならないのですが、たとえば科学の面から申しまして、ただいま繊維科学に対しての設備等においても十分改善の余地はここにあると思うのであります。また、過般来私は申し上げましたが、道路、港湾等の設備並びに船舶等の関係も今後日本の産業発達の上に重要な役割をいたすわけであります。これらを考えてみまするならば、同時にまた、金融関係、為替関係等にも大きな影響を及ぼす。これがまた産業の基本をゆすぶる一つの動機ともなるのでありますから、単純にただ経済成長率を増大し、いわゆる安定成長という言葉は単純でありますけれども、各般にわたっての施策を試みなければならないということを申し上げたいと思うのであります。  もう一つ最後につけ加えて申し上げたいことは、残念ながら日本のわれわれの議論の中心であり、計画の中心であるところのいわゆる統計というものがまだ満足な研究の域に達しておりません。完全ということは言い切ることができないのであります。この点もこの際、新しい産業計画のためには数字を正確にキャッチするということが重大なことであります。そういう点に関しても十分な計画を持ち、施策を施さなければならないということを申し上げておきます。
  66. 片岡文重

    ○片岡文重君 経済企画庁長官に申し上げますが、私はこっちから問題を提起してお尋ねしておるのであって、長官の答弁を伺っておると、長官の方からいろいろ問題点がございますということで、あべこべに問題点を提起されておって、私の質問に対する答弁にはならない。あなたが指摘されるごとくにいろいろ問題があるわけなのです。だから、そういう問題をどうして解決されるのか、その具体策を私はお伺いしておるわけなのです。
  67. 世耕弘一

    国務大臣世耕弘一君) 今申し上げましたような問題点が各般にありますから、簡単に言い切れませんということをお答え申し上げておるわけであります。(笑声)
  68. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) 私語を禁じます。
  69. 片岡文重

    ○片岡文重君 全く名答弁でございます。しかし、簡単にできない問題であるならば質問をしても無意味だということに、そうなるとなるわけです。しかしながら、今私がお尋ねしておる問題は、全日本の労働者の死活を制せられる重大な問題なのです。数百万という労働者があすをも知れない糊口に今苦慮いたしておる。こういう時期に、問題が複雑であり、回答ができぬということは、はなはだ私は奇怪だと思う。御答弁の時間がきょう一日で足りなかったら、あした一日かかったっていいじゃないですか。もし、それでもまだ研究不十分ならば、明確な答弁ができないというなら、あなたの答弁ができるまで、私はきょうでなくてもいいから待ちましょう。もっと誠意のある答弁をして下さい。
  70. 世耕弘一

    国務大臣世耕弘一君) 経済企画庁の使命は、短期と長期とあるということを申し上げた。それで短期の方はもうすでにるる労働大臣から御答弁申し上げた。私は、長い方の分を御説明申し上げた。それで、その長い方の分ということは、実際をいうと、今問題になっておる、二十年後の日本の産業はどうなるか、労働状況はどうなるかというところが今問題になっているんです。ところが、二十年後の日本の経済、世界の経済、あるいは世界の状況ということは、あらゆる観点から割り出してもなかなか簡単に結論が出てきません。同時に、無責任な結論を出して発表するわけにいかないのです。そこにむずかしさがあるということを、お尋ねがなかったが、実は私の心境を御説明申し上げて、あなたの時間を省略さしていただくために、私は親切に説明したのがかえって災いをなしたということは申しわけございません。どうぞ御了承を願います。(笑声)
  71. 片岡文重

    ○片岡文重君 御質問を申し上げる当初に、私は、雇用の問題については、臨床的な対策と長期にわたる抜本的な計画とが立てられなければならないはずである、従ってこの二つに分けて大体御質問を申し上げ、とりあえず臨床的な対策について御質問を申し上げるということで、今質問を申し上げておるわけであります。  そこで、労働大臣並びに企画庁長官両大臣に、今、臨床的な対策について御質問を申し上げておる。ただおっしゃるように、経済企画庁の存在理由が、長期にわたる経済計画をお立てになる。ごもっともです。しかし、その長期にわたるところの誤まりのない計画をお立てになるには、現在における計画、対策、そうしてその上に立った将来の見通しがなければならぬはずです。現に、先ほどの労働大臣お話では、合理化によるしわ寄せがあまりないようなことを言っておられた。それで、しかも見通しとしては就職率もいいようなお話であった。けれども、私の見るところでは必ずしもそうではない。現に日々の新聞やラジオに伝えられるところを見ても、きわめて悲惨な状態、私どもは、聞いたり見たりすることにはもう耐えられないような状態が幾つもあるわけです。失業問題というものは、御承知のように、ほかの問題とは違って、たとえば失業者が一人おっても、一家族あっても、この一家族のために全精力を傾けてやつてやらなければならない問題なんです。生きるか死ぬかの問題なんです。そういう問題ですから、私はわずかな時間をもいとわずに、少くとも私の質問申し上げている気持をくんでいただいて、御答弁をいただきたいということで、御質問を申し上げておるのです。  さらにしからば、お尋ねいたしますけれども、この労働力配置の問題について、一体、企画庁長官は今の労働力配置が適正に行われておるとお考えになっておるかどうか。この点は当然将来にわたる雇用問題の基本政策、基盤となるべき問題でありましょうから、当然企画庁においても御研究になっておられると思う。従って、現在の労働力配置が果して適正なものと考えておられるかどうか。これは労働大臣とお二人で御答弁をいただきたいと思う。
  72. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) いわゆる長期的な問題につきましては、私も先ほど政府考えを申し上げましたし、企画庁長官から申し上げましたが、一つ臨床的な問題について、私の方に関係のありますことを簡単に申し上げたいと思いますが、私が先ほど申し上げましたのはオートメーション的なシステムを取り入れたことによって、その場で大量の失業問題というものが起きておらないということを申し上げました。今、お話のございましたように、たとえば三井鉱山が六千人の解雇について組合と話を始めた。鐘紡の事例等もございまして、三井のことは組合と当事者が目下話し合っておるわけでありますから、私ども触れることを遠出いたしますが、たとえば鐘紡では昨年来人員整理の話が組合との間に起っておりまして、経営当局の話を聞いてみますというと、綿紡の不況の結果操業短縮を相当考えておった。しかしながら、失業者が出るということをおそれまして経営者も相当な、いわゆる余った労働力というものをかかえ込んで相当しんぼうしておったようであります。しかし、そういうことを長くいたしますというと、経営にも差しつかえるからということで、組合側ともよく話をして、そして今これも折衝中のようであります。そこで、長期的に計画を立てますことにつきましては御了解を願えると思いますが、その間にはみ出して参ります今のような問題は、駐留軍労務者の離職者が一カ所で大量に出るというのと同じようにわれわれは考えなければなりません。そこで、そ二れぞれの労働省の出先機関は、そういう問題のありますところには十分経営側とも労働者諸君との間にも実情を調査把握いたしまして、そうして新たに他に就職希望いたすというふうなものにつきましては、そこで職業訓練を指導いたしたり、配置転換等にも全力をあげて御協力を申し上げるというようなことをいたしておるわけであります。しかしながら、やはりある程度の年令に達したものの離職者につきましては、これは私どもも非常に頭を悩ましておるところでございますが、それも今申し上げましたように、職業訓練を全力をあげてやって、そして相当な退職金をもらった方でも、やはり労働の意欲と力を持っておる者につきましてはお手伝いをする、こういうふうにいたしております。ただ、片岡さんも御承知のように、全国各地にあります総合職業訓練所を卒業いたしたような者は半年も、ある者は一年も前から就職先が決定いたしておりまして、飛ぶように売れているわけであります。従って、手に職を持っております者というものは非常に売れ行きがいい。そういうことをわれわれは計算に入れまして、職業補導というものにうんと力を入れておるわけでありまして、臨床的な失業対策については、今申し上げましたような職業訓練、配置転換等に労働省はあらゆる機構を、全力をあげてお手伝いをいたしたい。そういうことについて遺漏のないように努めておるわけであります。
  73. 世耕弘一

    国務大臣世耕弘一君) お答えいたします。臨床という言葉が出ましたくら、それについてお答えいたしますが、臨床と申しますれば、現に病人になっておるわけです。その病人の方のお手当労働大臣がやる。こういう、とになって、私の方は保健衛生の方の長期の方の健康をいかにするか、こういうことであると思います。(「病気にならぬようにするわけだよ」と呼ぶ者あり)だから、保健衛生であります。そこで申し上げたいのは、(「各般で述べろ」と呼ぶ者あり)保健衛生の面でございますから各般にわたるわけでございます。第一次産業部門で農業、林業、水産業、これが大体七十四万人の中の二万人がここに吸収されている。第二次産業の面では公共事業費の増加に伴う分が約十八万、財政投融資の増大によって約三万、鉱工業、鉱業、製造業、工業、すなわち、食品、繊維、化学ゴム、金属機械、印刷等で二十四万、これらの合計で約四十五万人、それから第三次産業、卸小売業、金融業、不動産サービス業で二十七万、こういうふうな大体大ざっぱな分け方をいたしましても、これだけの分野を全部保健衛生を完備して、将来の日本の経済産業に寄与させなければならぬというところに企画庁のむずかしい仕事があるわけであります。こういう建前で、これをいかに保健衛生を完備して御期待に沿えるせっかく努力しておるということを御了承願いたいと思います。
  74. 片岡文重

    ○片岡文重君 最近の就労の状態というものは数字の上からばかりながめられない状態になっております。たとえば。ハート・タイマー、あるいは長時間労働、あるいは臨時就労、こういうものが全部一応就労者の中に統計の上で入っておるわけです。ですから、就労者がふえて、離職者が減ったとお考えになっておったら、これは大へんな間違いです。どんどん労働者の労働条件が実質的に低下しておる、こういう状態もやはりあわせて考えられて、そうしてこの雇用の配置が適正であるかどうかということを御答弁いただきたかったんですが、その点にはあまり触れておらない、御都合のいいようなところだけ御答弁なさったようですが、私はやはり政府としては、なるほど政策的にというか、お立場からすれば、なるべく耳ざわりのよい、都合のよいところだけを御発表したいというお気持はわからぬではございませんけれども、こういう問題はやはり、私はむしろ党派を離れて、立場を離れて真剣に問題の究明と解決に当りたいと思うのです。従って、今申し上げましたような就労者の実質的な労働条件、こういう問題については時間がありませんから御答弁はけっこうですが、ぜひもう少し深く研究をしていただいて、私は少なくとも今後の労働対策の重要な点として一つ考えいただきたいと思うのです。企画庁長官はなかなかユーモラスな御答弁をしていただくので、私大へん気分はなごやかになりましたけれども、しかし臨床的な問題を、将来にわたって健康を回復させるためにはなぜ病気になったのか、この点をやはり究明してくれなければ、これは名医といえないと思うのです。そのなぜ病気になったのかという診断をなさるのが経済企画庁じゃないか。経済構造の上からいって、特に二重構造、三重構造という問題がどう災いしておるのか、なぜこういったようになったのかという事態を、やはり経済企画庁はやってもらわなければならぬと思うのです。そういう点でお尋ねしておったのですが、どうしても私の満足するような御答弁には近づいていかない。そこで最後一つ、これまた御迷惑でも両大臣からお答えをいただきたいのです。  これこそ長期的な抜本的な対策として私はお尋ねするわけですが、一九四六年にアメリカで成立いたしましたアメリカの完全雇用法、これはもちろん御承知になっておられると思いますが、私の調べたところによりますと、その要点としては、政府がすべての働く意志とその能力ある人々に就業の機会を保障する義務を持つということを明確にすること。大統領が定期的にその経済分析の結果を知らせる責任を持つ、議会は大統領が経済の動向に対していかなる対策を持つかにつき報告を受ける。もしバロメーターが荒れ模様を示した場合、連邦政府経済の破局に先立って完全雇用を最終的に保証するような政府支出の計画を含む一連の施策をとるべきこと、そして結局においては完全雇用政策の遂行のために必要な立法や行動を促進する、それに確定した責任を持つ議会の機構を作り上げる。大体要約すると、このアメリカの完全雇用法というものはそういうことになると思うのですが、さらに、言いかえれば、経済的な権利と連邦政府の責任の表明をしておるということ、私はこれははなはだ政府としてりっぱな態度だと思うのです。経済施策の計画、これらの諸計画を効率的に実施する政府機構の確立、この三つから私はなっておると思うのです。不幸にして日本には、こういう大局的な見地から良心的に問題の究明をしていこう、長期にわたる計画を樹立していこうというようなお考えがないのではないかと考えるわけです。もしこれについて、政府としてはこの完全雇用法に匹敵するようなお考えをお持ちになっておるならば、どういうことをお考えになっておるのか、その構想を二、三点に集約をされて御回答をいただいてけっこうです。もし、ないということであるならば、将来にわたってそういう点についてまで御考慮なさる御意思はないかどうか、最後の御質問として申し上げるわけです。
  75. 世耕弘一

    国務大臣世耕弘一君) 簡単にお答えいたします。結局、資本主義経済における完全雇用は、完全なる経済活動を確立すればおのずから完全雇用の宙はあがる、こういう目標でいっております。でありますから、共産主義的な、社会主義的な完全雇用とおのずから法が違うという結論が一つであります。かように申し上げておきます。  なお、もう一つ申し上げておきたいことは、お前の方で健康診断はするかもしらぬけれども、もっと緻密な健康診断をやっていないではないか、この点についての考えはどうかという意味お話でございますが、ごもっともなお説だと思います。できれば、患者の尿の検査も、(笑声)あるいは便の検査でするような気持で産業経済の部門に私は手を尽せば、それが理想的だと。また、そうなくちゃならぬ。そこで初めて名医の実があがってくるのではないかと思うのであります。もちろん、体温をはかるにしても、朝だけはかるということにしないで、一日に何回かはかるというだけの組織と研究が私は当然なくちゃならぬ。健康保持の意味から、そこまで細心の注意を払わなければならぬ。もちろん、生産の根本をなす労働力の増大に対しては、特にこの点は福利施設に重きを置かなければならぬということはごもっともなことだと思います。ただ、日本の経済、いわゆる財源がどこまでそれを許すかということが今悩みの一つでありますが、これも次第に国民の協力とあらゆる面の科学的な合理的な政策によって実現したい。幸いに岸内閣はこれに順応すべく全力を傾注しておるということを申し上げておきます。
  76. 片岡文重

    ○片岡文重君 どうも、長官は私の質問を御理解なさっておるかどうかわからない。私は、別にソビエトや中共のことをお尋ねしたわけじゃないのです。アメリカでは、あなた方が崇拝しておるそのアメリカでは、こういう法律がありますよということを申し上げているのです。しかも、こういう法律は、私ども考えても、日本の今日の資本主義経済のもとにおいては当然考えられてしかるべき問題ではないか。で、経済企画庁というものはきのうきょうできたお役所ではないはず下す。しかも、長官がかわるたびにその方針がぐらついておるようなこと下は、企画庁などというお役所は私はない方がいいと思うのです。これは一貫をして、少くとも保守党内閣が続く限りは、そのときどきの経済状態を可能に取り入れて善処していく程度の違いはあっても、一貫した長期計画がなければならぬ。そういう点になると、残念ながら経済企画庁にないのじゃないか。あなたが主になってお調べになっても、こういうものがありますよ、いって誇らかにお話し下さるようなものはないのじゃないか。あるならお示し下さい。  特に、この雇用関係についてふろしきを広げられないで、私は、問題が問題ですから、全産業にわたってお話を述べられるのはけっこうだと思う。これはそうでなくてはならぬはずです。ならぬはずですが、要約すればこういうことになるのですと、具体的にはこうするのですと、見通しはこうなるのですと、こういう具体的に一つ一つをお答えいただきたいということであったわけです。特にたくさんな回答をしなければならぬから、時間がないからとおっしゃったから、そこで、しからばアメリカではこういう法律がありますが、お宅ではいかがですか、こういう質問をしておるのですから、私が申し上げた質問に対して、明確な、あるかないか、あるならこうだ、ないならこれからやる意思がないかどうか、そういう点にしぼって御答弁いただければけっこうです。
  77. 世耕弘一

    国務大臣世耕弘一君) 立法の問題は重要な問題ですから、私の一人の考えだけでやるやらぬということを申し上げることは、差し控えたいと思います。ただ、日本の経済の安定性という方針のもとに、これに沿うべき対策を講ぜよというお話でしたら、全面的に私は同感であります。
  78. 片岡文重

    ○片岡文重君 答弁が満足できませんが、時間がありませんので、質問を終ります。
  79. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 関連質問……。
  80. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) 関連質問ですね。矢嶋君。
  81. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 よくこの委員会で、名医かやぶ医者かわからぬが、お医者問答が行われたのでありますが、経済企画庁長官一つだけあなたの把握のされ方が間違っているのじゃないかと思う点がありますので、念のためにもう一ぺん伺いますが、日本の経済の伸張の要素として、動力源と労働力を要素として取り上げられる、これは私は正しいと思う。ところが、あなたの労働力とわが国の人口問題との結合の仕方、その把握については、私は誤まりがあるのじゃないかと思うのですが、それで先般も私は日本の人口問題と労働力の関係をどう考えるかという、具体的な家族計画等についてどう考えるかということを、厚生大臣との答弁の食い違いをただしたところが、あなたは人道問題と経済上の問題と両面から考えるというだけで、答弁を濁したのです。私は、関連だから追及しなかったのですが、今の科学の時代における労働力というのは、活字は同じでも、私は昔と違って、内容と質の面で変化を来たしていると思うのですよ。だから、経済張伸に労働力が必要だからといって、だから人口の増加をはからなければならない、従って家族計画等は推進すべきでない、反対だ、こういうあなたの見解、とらえ方は、若干私は間違っているのじゃないかと、かように思うのですが、これに対して明快にお答え願いたい。  それから、あなた、経済企画庁長官として、統計がうまくいっていないのは日本の経済伸張に支障を来たしているということをさっき述べましたが、これは大蔵大臣に警告を発するとともに、大蔵大臣の見解を承わるのですが、戦後日本の政治、行政の面の統計というものは、これが非常に多く取り上げられてきたということは、政治の科学化という立場から、私は進歩だと思うのです。しかし、何といっても、統計を見る目、これを使用する素養、こういう点に欠けている点がたくさんあると思うのです。特に私は警告を発し、あなたの見解を承わりたい点は、予算書を見ても、各省の統計機械の購入という予算を新たに計上した各省庁がずいぶんあるわけですが、ところが、計算機は電子計算機までできて、ずいぶん高いもので、操作がむずかしいのですが、行政管理庁の最近の勧告を見ますと、各省庁ははやりごとのように統計機械ですね、これは相当高価なものですが、相当買い入れているが、遊んでいるのが多いという勧告がなされているのですね、行政管理庁から。そこで私は、相当高価なものでもあるし、いよいよ行政能率の向上という立場から、精密度の高い優秀な統計機械というものを買い入れていかなくちゃならぬと思うのですが、今のように各省庁でばらばらに買って、これを遊ばしているというような、そういう形でなくて、官界も民間も共通で利用できるような統計サービス・センターというようなものを主要都市にこしらえて、民間も官界もこれを使う、そこに優秀な技術者を置いておくというような形をとれば、私は非常に能率が上るとともに、民間でも利用ができますし、むだがないと思う。行政管理庁の勧告を見ますと、非常にそういう点、私はむだがあると思うのですが、先ほど経済企画庁長官が、日本の経済伸張に当って、統計がうまくいっていない云々ということを答弁されましたが、ただ、平面的にとるわけにはいかない、そういう立場から、大蔵大臣はいかにこれを把握されて対処されようとしているか、あとで承わりたいと思います。
  82. 世耕弘一

    国務大臣世耕弘一君) お答えいたします。人口問題と産児制限の問題について御指摘があったように思いますが、私はけさも外国通信を読んで感じたのでありますが、外国にもこれに似たような議論が多く取り上げられて、論議されていることを実は見てきたばかりであります。結局、労働力、生産力、生産性という言葉をいろいろな観点から見ました場合に、まず第一に考えなくちゃならぬことは、人間の労働力、人間が出す労働力と機械が生み出す労働力と、こう私は大別してみた六と思います。そこで、機械が生み出すいわゆる生産力というのは、私はこの機会に申し上げることは、長くなりますから省略さしていただきたい。ただ、人間の生み出す生産力ということをわれわれが一つ取り上げてみますると、むぞうさに産児制限をかりにやったらどういう結果になるかということは、すでに現われてきております。市京都内において、もう何十個所か幼稚園が閉鎖しなくちゃならぬ状態、それからまた大阪において、すでに数十佃所の幼稚園を閉鎖しなくちゃならぬように人員が減少しております。こういうようなことを、かりに何らかの名目で産児制限をおやりになったときには、今度は若い人がいなくて年寄りばかり残ってきたような時代が来る、その場合に労働力をどうするか、労働力ばかりでない、これは民族の発展に大きな影響を来たすのじゃないか。だから、あさはかな人間の頭脳によって、私は人口の調節なんということはしばらくおいて、もう少し積極的な面を考えたらどうかというのが、私の結論でございます。しかしながら、必ずしも今日の状態において、それではどうしたらいいかということになりますと、長い間の時間をいただかないと、私の結論を御納得いただくことができないわけであります。ただ、そういう観点から私は申し上げているということがけは、御理解いただきたい。むぞうさに私は申し上げているのではない。いわゆる優生学的な立場から産児制限をなさるというのなら、これは私は文句なく了承いたします。けれども、人口が多いからという問題になるとすれば、これは大いに議論もありますし、私は実証する幾多の材料を持っているということだけを申し上げて、簡単ですが、お答えといたします。
  83. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 大へんじみな統計についてのお尋ねでございます。統計は、申すまでもなく、御指摘の通りあらゆる施策の基本をなすものでございまして、最も大事なものであります。この統計がうまくいっているかいっていないかで、最近の科学的な水準とでもいいますか……そういうことで非常に大事なものとして、関係者国とも非常にこれの意義を高く評価いたしておるのであります。そこで、企画庁長官から、わが国の統計がまことにまちまちで困る、技術的にも非常におそいということでございます。たとえば経済なら経済見通しにいたしましても、企画庁でとっておる統計と日銀の統計、これは同じであるべきようなものが、やはり時期的にも違っているし、対象として取り上げているものも違っているということで、なかなか統計がうまくいかない。そこでやはり統計は、お話の中にもありましたように、見る、これを十分活用するということでないと、せっかく金をかけまして、また多数の人をかけて数字だけまとめましても、なかなかこれが有効に使われておらない、こういう事柄があると思います。政府自身としての中央の統計としては、統計局、これを中心にしてやるわけでございます。そこで、統計局の統計数字がりっぱに活用されますならば、大体まかないがつくと思いますが、やはり統計局でまとめますのが、時期的に見て相当ズレがあります。また、各省は各省でそれぞれの問題として、自分の方で必要な統計だけをピック・アップするということでございますから、中央の統計局の事務を非常に拡大整備いたしましても、やはり各局の統計というものをそのまま残さざるを得ないのじゃないか、こういう感じがいたしております。政府自身考えとしては、なるべく統計局を中心にして、機械でも何でも整備するようにしたいのでございますが、先ほど来申しますように、統計局の仕事としては年計、あるいは翌年の計であるとかいうようなことで、非常に時期を失する。だから、たとえば非常に急を要します経済見通しの統計であるとか、あるいは労働省の雇用の実情に即した統計であるとかいうものになると、やはり各省である程度持ちたいということでございます。問題は非常に金がかかり、人もかかり、しかも非常にじみなものである。この資料を十分使う、これを活用すると、これは今後とも、御指摘がございましたが、私どもも十分注意して参るつもりでございます。
  84. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) 以上をもちまして、片岡委員の質疑は終了いたしました。  これにて一般質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。一般質疑は終了したものと認めます。  本日午後から分科会に入りますが、各分科会は、本日午後正二時より、それぞれ開会することにお取り計らい願いたいと存じまするが、御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  86. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) 次に、分科会の開会に関連いたしまして、参考人出席要求に関する件についてお諮りを申し上げます。  各分科会において、参考人の出席を求める必要が生じましたときは、この出席要求については、あらかじめ委員長及び理事に御一任願うこととして御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 木暮武太夫

    委員長木暮武太夫君) 御異議なきものと認めます。よって、さように決定いたします。  本日の本委員会は、これにて散会いたします。    午後零時五十九分散会