○平林剛君 大蔵大臣ともあろう方が数字と取り組んで具体的な経済
政策の方向をきめないというばかなことはない。感じだとかなんとかいうことを言ってこれはごまかすことですよ、国民を。特に今、国民の消費についてあけられてそれはいいじゃないかと、こう言うけれども、これももっと具体的に内容に入らなければならぬはずです。この国民消費として現われている数字というものは、どういうものの全般的評価であるかという分析がなくてはならない。ところが、
政府の経済白書によってわかりますように、最近数年の平均で、
個人所得の増加は三二%、法人所得の増加率はこれも三倍に近い八九尾、
個人よりも法人の方がいかに所得の増加率が高いか、また
個人所得でも、財産を持っておる人の所得は賃貸料の所得は六六%も増加している。利子所得を持っている人は八三%もふえておるんですよ。ところが、勤労者はわずか一七%ふえておるだけ、農家は一五%しかふえていない、こういう所得の率の増加、こういうものの総体が今日の国民消費に現われておるわけです。これではっきりするように、いわゆるある程度豊かになったものがあるかもしれない。しかし、貧乏になっておる人もどんどんふえているということも言えるんですよ。私はこういうことをよく
政府が検討して行き届いた整理を行なってもらわなければ国民はかわいそうだ、こう考えるのであります。そこで今日、
日本の資本蓄積が相当程度積まれたことは、これは
政府と民間資本家の結びつきが非常に強く、同時にまた、
日本の資本家が非常に
政府の資金をたよりにする、こういうところから今日のような状態になったと私は思うのであります。戦後資本の蓄積と経済復興が世界で目ざましいのは西ドイツと
日本であります。これがよく比較されますけれども、同じ敗戦国でも、
日本と西ドイツの蓄積の方法は著しく違っておるのです。
日本はインフレ型で高い蓄積率を示し、西ドイツは非インフレでもって蓄積をしてきている。
日本は借入金の依存で蓄積をし、西ドイツは自己蓄積型で育ってきている。
日本は企業が国家資金に依存する割合が多いということと、大企業が配当をさいて利益の社内留保に努めることも消極的だ。こういう点もはなはだ違っておるのであります。特に、私、最近遺憾にたえませんのは、資本家の交際費の乱費が目に余ることであります。参考のために、交際費と配当金の比較を調べてみましたら、
昭和三十年に配当金を九百二十九億円やっている、ところが、交際費の方は七百二十億円出しているのですよ。
昭和三十一年度に配当金は千百八十九億円である、ところが、交際費として使った金は七百五十億円。
昭和三十二年に至りますと、配当金は千九十四億円に対し、交際費が八百億円。これは
日本の企業資本家というのは
政府に頼ったり、政党に結びついて、何かすることばっかりはよく覚えているけれども、自分で資本の蓄積をはかり、自己資本を充実する能力というか、努力が欠けているところが戦後の企業資本家の最大の欠点だ。これは今日の交際費の実情にも現われている。私は民間における交際費の乱脈なことが今日料亭やキャバレーを繁昌させ、いわゆる社用族を増加し、官庁との結びつきで汚職の競争になっている。いわゆる低所得層に対しては、こういうことが一方にあるものだから、相対的に貧困を感じさせているのであります。こういうことを解決することがあなたの方の
政策でなきゃならぬ。私は、交際費に対する現行課税をもっと徹底的にする必要がある。このために法律案の再検討が必要だ。こういうことを要求いたしますが、あなたのお考えはいかがでしょうか。