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国務大臣(佐藤榮作君) 財政投融資の資金ワクについて、これは皆様方から御審議をいただいておりますので、その資金ワクが予算成立でまあ最終的な決定を見ることかと思います。先ほど来運用の点について、運用審
議会ではこれは不十分だと、国会でさらに可決するというか、議決するような方法はどうかという御提案だったと思いますが、それは私
結論として反対をいたしたのであります。それは
一つには、いわゆる運用というその
言葉自身でも
意味しておりますように、これは時期的の問題も多分にあるのでございますから、ただその投資の対象の項目ばかりにあらずして、ときに運用の面からも必要な場合がございますし、従いまして、国会というような、時期を限られたものに限定されることは、その性格から見ましても不適当だと実は
考えておるわけであります。
そこで、今回のように多額の財政投融資資金を擁していながら、どうして各種の社会保険についての給付内容などを引き上げないのか、こういう御意見でございますが、財政投融資の計画そのものは先ほど申しますように、特に国として資金を確保したいと思います産業部面、あるいは農林であるとか漁業であるとか中小企業であるとか、あるいは重要産業であるとか、そういうものについての資金の確保を特に強く要望いたしたその
観点に立って、その資金計画は立てておるのであります。鉄道にしても電信電話にいたしましても、こういう点では御理解がいただけて、なるほど民間には資金はだぶついているから、民間にまかせればいいという御
議論もあろうかと思いますが、これは金利その他の運用の面から申しまして、必要な事業面に対しては、国自身が積極的にその資金を確保するという
考え方が望ましいと思います。もちろんこれだけで十分だとは申しませんが、やはり基幹をなすものとしては、財政投融資計画はそういう
意味を持つものでございます。そこで一面社会保障の制度をもっと推進しろ、さらに給付内容を進めていけ、充実しろと、こういう御意見を伺ったのでございます。社会保険について、まあ今回御審議をいただいておりますのは、給付内容にまで触れておらない。この
意味においていかにも不満足だ、こういうことのように伺うのでございますが、この給付内容を拡大いたします場合においては、これはもう当然その保険の何といいますか、まあ経理の実態に触れて、十分正確なデータに基いてその保険の給付をどこまで拡大し得るか、あるいはまた料率はこれで十分かということを
考えていかなければならぬと思うのであります。そういう基本的な問題は、もちろん厚生省においても種々研究され、労働省においてもいろいろ研究は続けておることだと思います。今回は、今日までの給付そのものの内容で見まして、各社会保険間においていかにも不均衡がある。ある保険については国の補助が非常に高くて、そのため——まあそのためとは申しませんが、積立金も順次ふえてきておる。ある保険においては国の給付もあるが、なおかつ経理内容から見て不十分のように思う。だから、そういうものをまあさしあたっては各種保険間の国の負担の均衡を得せしめ、しかも現在の給付を維持していくのに適当な積立金というような
観点から整理するというような実は処置をとったのであります。財政投融資の計画の際において、社会保険のあり方等についての
考慮ももちろんいたさなければならないことでございますが、その方は、いわゆる社会保障制度の全般的な推進としての予算
関係において、主としてその方についての目を光らしております。ただ私
どもは、財政投融資の面で、予算の面だけで片づかない、たとえば中小企業に対する金融であるとか、あるいは住宅であるとか、こういうようなものについては、財政投融資においても見ておりますが、その骨子はどこまでも予算を骨子にして、これを計上しておるということでございます。御指摘になりましたような点について、今後の研究問題は、もちろん御意見によりましても提起をされておることだと思いますが、今回の財政投融資なり、またおそらく今後の財政投融資のあり方といたしましては、直ちに国内金融
状況から財政投融資を減らして民間にこれをゆだねる、こういうような
考え方には私は必ずしも賛成することができないのでございます。