○
説明員(大沢一郎君) 御指名によりまして、
法務省所管の
昭和三十四
年度概算要求の概要を御
説明いたします。
法務省の
昭和三十四
年度概算要求の総額は三百九十七億九千九百八十八万二千円であります。このほかに、在外公館駐在官四名分の
要求が外務省所管に計上される予定でございます。これを前
年度、三十三
年度の
予算と比較いたしますと、
昭和三十三
年度予算額は二百四十四億五千二百五十五万五千円でございまして、これに比較いたしますと、
要求額におきまして百五十三億四千七百三十二万円余りの
増額要求となっておるのでございます。なお、右の
要求額中の百六十二億九千五百九十二万七千円は標準
予算でございます。新規
要求額は二百三十五億三百九十五万五千円に相なる次第でございます。
法務省予算の以上の
内訳のおもな経費を申し上げます前に、一応
法務省所管
予算の特色と問題点ということについて、時間を少し拝借しまして申し上げてみたいと思うのでございます。お
手元にも概略を個条書きにして提出してございますが、要するに、
法務省の
予算のうち人件費の占める割合が全体の約六〇%以上となっておるのでございます。国の歳出総
予算額中の人件費の占めます割合はおおむね二%でございます。また、地方の歳出
予算中の人件費の占めます割合はおおむね三六%なんでございます。これに比較いたしまして、
法務省の人件費が全体の約六〇%を占めておる。特に
検察官署の
予算では、人件費が八〇%以上を占めておるのでございまして、
法務省予算のほとんど全部が人件費であるということが
一つ大きな特色となっておるのでございます。
また、旅費とか庁費、いわゆる事務経費でございますが、この占めます割合が全体の二七ないし二八%ということになっております。これを合せますれば、
法務省予算の約九〇%がいわゆる標準
予算系統に入るべき事務費ということに相なるわけでございまして、いわゆる他省に見られます
ような事業費というものはほとんどないのでございます。このことは、
法務省の所管事務がすべて人によって行われておるという特殊の性格に基くものでございまして、これは、
法務省という省の性格上当然の帰結であろうかと存ずるのでございます。しかしながら、さ
ような人件費でありますとか、いわゆる事務費でありますとかいうものは、
予算要求上非常に困難な事項でございまして、毎年皆様、先生方の御協力を得ながらも、
法務省予算が窮屈で不十分であるというそしりを免れないのでございまして、特に
昭和三十三
年度、本
年度におきましては、旅費及び庁費というものに対しまして、一律に五%あるいはまた三%という節約を課せられまして、執行上非常な困窮状態に立ち至っておるのでございます。そこで、われわれといたしましては、
法務省予算のただいま申しました
ような性格、
予算の特色というものにかんがみまして、数年来
法務省所管の各組織の所管事務を逐一分析検討いたしまして、
機械化の可能なものは極力
機械化をはかつて、能率の増進と簡素化、そうして
人員の節約ということに努力してきたのでございますが、先ほ
ども申し上げました
ように、
法務省の所管事務は、
検察でございますとか、あるいはまた保護、矯正、さ
ような所管事務のすべてのものが、それぞれ一人の人がこつこつ当っていかなければ処理できないという事務でございますので、
機械化というものがやはり限度がございまして、大半は人にたよらざるを得ないという
ような実情なんでございます。従いまして、本
年度におきましても、
予算の
要求の概要をごらん下さいますと、人件費の
要求というものは依然として相当額を占めておるのであります。これは、以上の
ような
法務省所管事務の特殊性また
予算の特色ということに起因するのでございます。この点十分なあたたかい御理解をお願いいたしたいと存ずるのでございます。
なおまた、
検察庁等の事務が年々ふえてきておりますので、ここに事例をあげて記載しておきましたのですが、
検察庁、法務局
関係の
人員では、事務が非常にふえております。
検察庁の
関係で、
検察官は
昭和二十六年以降増員をしておらないのでございますが、受理
人員は、年々三十万人ずつ
増加しておるのでございます。
昭和二十六年の二百万人に対しまして、
昭和三十二年におきましては三百四十万人というふうに、一五〇%近く
増加しておるのであります。従いまして、
検察官一人当りの事務の負担量も、
昭和二十六
年度の
年間一千二百人に対しまして、三十二
年度は実に二千百七十人という
ような負担増と相なっておる次第でございます。何とかしかし
検察庁もやつておるじゃないかという
ような見方もあるんでございますが、
検察庁は、終戦後新しい憲法のもとの新
刑事訴訟法のもとにおきまして、戦前から比べまして、公判活動という
ような、いわゆる立証責任が
検察官に付加されまして、非常に手間がかかっておるのであります。さ
ような
関係から、公判に非常に手を取られます結果、いわゆる
検察官の
事件の処理という点にやはり不十分なものがあるんじゃないかと疑われるのでございまして、戦前におきましては、ほとんど無罪というものはなかったんですが、最近非常に無罪がふえておるということは、やはりその点で、
検察官が捜査の際に十二分に捜査を遂げられなかった結果ではないかとも
考えられるのでございまして、これは、ほかにも原因があるかとも存じますが、これも
一つの原因になっておるんじゃないか、か
ように
考えるのでございます。そこで、本
年度も
最小限度の
要求をいたしておるわけでございます。また、法務局の職員の問題でございますが、これは先生方が、実際において登記、登録等のために、登記所の実情をよく御
承知下さつておることと存じ上げる次第でございますが、登記事務でございますとか、台帳事務も逐年激増の一途をたどっておりまして、戦前の
昭和十五年当時の事務量に比較いたしますと、六・五倍という事務量になっておるのでございます。登記受理件数だけを取り上げましても、
昭和二十五年の九百四十一万件に対しまして、三十二年では三・七倍、三千四百三十七万件の
増加をいたしておるという
ような
状況でございまして、事務量が非常に
増加しておるのでございますが、それに配置いたします
人員というものがこれに伴つておらない。そのために、法務局の職員一人当りの事務の負担量は年々
増加されまして、その過重の度合いは、もはや極限に達しておると言っても過言ではないと思うのでございます。さ
ような結果、登記等は部外者、司法書士の方々のお手伝いを願つておるという
ような
状況でございますので、この点の事務の適正をはかりますため、また職員の過重な負担の軽減をはかつて、それがまた健康管理上にも決していい結果を及ぼしておりませんので、か
ような意味から、これを是正するために
人員の
要求をいたしておる
ような
状況でございます。
次に、
法務省予算の特色といたしまして、全体におきましていわゆる
営繕関係について相当の
要求をいたしておるわけであります。これは、
法務省所管の各機関の所管の数は実に三千四百三十九庁、日本におきましても一、二を争う所管の官署を持っておるわけであります。その延坪数は八十七万五千余坪に及んでおるのでございます。この中には、各市町村ごとにございますいわゆる法務局の出張所、登記所のほかに、刑務所という
ような大きなものは大小様々でございますし、また、その庁の中には、人権擁護
関係あるいは入国管理
関係、また公安
調査庁という
ような、戦後独立して新しく新設された役所もございますし、また
検察庁、法務局の
ように古い歴史を持っておりましても、終戦後
裁判所から離れて新設されるという
ような庁もございます。いまだ固有の施設を持っていない庁が相当数あるのでございます。か
ような特殊な
状況でございますので、年々今のところ約十億の
予算が入っておるのでございます。とうていこれでは、二十年、三十年待ちましても整備できないという
状況でございますので、この点につきましても、特に
法務省予算の重点として取り上げて、後刻御
説明申し上げたいと思う
ような次第でございます。なおまた、この
営繕費につきましては、最近刑務所が、その立地条件と申しますか、各市町村の都市計画等のために、かつては郊外にありましたのが、その付近が非常に開けまして、計画道路の障害になりましたり、あるいはまた、その付近の発展を阻害するという
ような
状況になりまして、各地で郊外地に移転してもらいたいという
ような要請が強く出てきております。社会問題あるいは政治問題として発展する
ような傾向にございます。この点についても、われわれとしては順次、住民の便宜のため、情勢の許す範囲におきましてこれを実現していきたいという
ような
考えを持っております。この点につきましても、十分御理解を賜わりたいと思うのでございます。
そこで、もとの三十四
年度概算要求の概要に戻りまして、おもな
要求事項を申し上げたいと思います。
まず第一点は、総合的
刑事政策の樹立並びに基本法典その他法令の整備に要する経費、事務官、技官等五十五名の増員を含んでいる経費でございます。総額は九千六百四十九万五千円、そのうち前
年度予算に入っておりますものが千六百六十万円、これは、最近におきまする犯罪現象の複雑巧妙化、たとえば強盗にいたしましても、いわゆる自動車強盗、人の自動車を盗んで、自動車で乗りつけて強盗を働いてそのまま逃げるという
ような、いわゆる暴力事犯も非常に知能犯化して参りました。また青少年犯罪の激増、またその凶悪化という
ような傾向がますます強くなりました。か
ような犯罪傾向というものが国民生活に大きな脅威となっておることは、われわれ申し上げるまでもないことと存じます。か
ような現状に対しまして、従来われわれといたしましても、
裁判、
検察、矯正、保護それぞれの立場からいろいろな施策を講じてきておつたのでございますが、占領時代に、占領軍の指導によりまして、
検察とかあるいは行刑保護というものがそれぞれ別個の指導者によって指導せられましたために、総合性を欠くうらみが現われてきておるのでございます。それぞれにおいてその場当りの対策、いわゆる犯罪対策を立てて、それに対処してきておるという
ような
状況で、処罰してもまたまた再犯がある。また、いかに処罰しても依然として犯罪が減らないという
ような悪循環を繰り返しておるのであります。そこで、少しおそいうらみがあるのでございますが、われわれといたしましては、か
ように
検察あるいは矯正保護等を通じました科学的な
刑事政策をこの際強力に打ち立てまして、これを施策に総合的に具現しまして、そうしてほんとうの意味の
刑事政策を実施に移して、犯罪の防止、犯罪の防遇ということに努力したいという
ような
考えから、総合
刑事政策研究所を本
年度において設置いたしたい、か
ように
考えておるわけでございます。あわせまして、数年来検討を続けております刑法、
刑事訴訟法その他基本法典の立案及び諸法令の整備を前
年度同様引き続いてこれを行いたいという経費でございます。その
内訳は、総合
刑事政策研究所の経費といたしまして三千五百万円、基本法令改正等法令の立案事務処理経費といたしまして三千五百万円、国際会議出席等海外渡航旅費二千六百二十四万ということに相なるわけでございます。
第二点は、青少年犯罪の防止に必要な経費でございまして、これは、教官、技官等八百六十六名の
予算要求を含めまして、十二億五千二百万の
要求をいたしてございます。少年犯罪の
増加並びに悪質化ということは、ただいま申し上げた
通りでございますが、少年犯罪というものは、必ずしも処罰だけ、検挙だけではその完全な防遏、あるいはまた少年の更生ということははかれないのでございまして、あくまでも少年は保護、補導ということを中心といたしまして、更生保護の分野の活動を活発ならしめる必要があるのでございます。また、少年院におきます教化というものの現状は、必ずしも皆様方の御期待に沿い得る
ような状態ではないのでございまして、少年院の教官が今のところ数が非常に少いのでございますので、少年院の教官が現在三日に一ぺんの宿直勤務をいたしまして、そうしてその宿直勤務をいたしました翌日そのまま夕方まで勤務をせざるを得ない
ような
状況にあるのでございます。普通の刑務官と違いまして、夕方、日が暮れて食事を済まして就寝させればそれでいいというものではございませんで、夕方食事が済んで、六時、七時ごろから晩の九時あるいは十時ごろ寝るまでその房内に入りまして、少年と起居をともにする、いわゆる家庭的雰囲気のもとに少年を補導する必要がございますので、その点、普通の公務員としてのいわゆる八時間勤務ではとうてい間に合わない
状況なんでございます。この
ような点で、今までのところ、少年院の内部におきます補導が少年院の職員の手不足のために十分行われておりません。こういう意味で、少年院における補導能力を強化させること、そうして更生保護会あるいは保護司の活動を援助いたしまして、少年の補導の全きを期したいというのがわれわれの
考えでございます。このための経費といたしまして、
内訳は、青少年の収容者に対する教化の
充実で、少年院の教化活動及び職業補導
充実費、教官の三百六十八名の増員を含めまして二億七千三百六十六万円、少年鑑別所におきまする鑑別機能の
充実、技官二十四名の増員を含めまして四百六十二万円、少年院及び少年鑑別所収容者の処遇の適正化、精神医医療技官等百二十七名の増員を含めまして、七億六千二百五十二万の
予算要求をしておるわけでございます。
また、更生保護
関係におきましては、青少年の更生保護会の整備、
充実をいたしたい。
補助金で二千三百七十二万の
要求。保護観察所におきまする保護観察並びに補導強化、これが観察官二百二十二名の増員を含めまして、
要求九千三百八十三万円、青少年更生保護対象者の職業補導
充実三千三百六十万。それから、各保護観察所にございます青少年補導相談所の担当をしていただきます保護司の方に対する実費弁償金の
増額も含めまして五千二百九十五万四千円の
増額要求をいたしております。
それと、各地方
検察庁に青少年風紀
調査室、
刑事局に少年課を設置して、少年犯罪対策を確立いたしますため、事務官百二十五名の増員を含めまして、六千四万円の
要求をいたしておるわけでございます。
次に、暴力事犯等の一掃に必要な経費でございます。これに検事七十七名、事務官等六百四十四名の増員を
要求いたしております。その総額が十三億八千六百八十万円。最近におきまする暴力事犯のし
ようけつ、これによりまする法秩序の破壊ということを
考えまして、これには
裁判所とも統一歩調をとりまして、公判審理が迅速にかつ適確に行われなければ、結局は法秩序は守られないということはもう申すまでもないことでございます。か
ような意味合いにおきまして、われわれも
裁判所と歩調を合せまして、公判審理の迅速
充実をはかりたいというので、検事五十八名の増員を
要求いたしております。これは昨
年度も
要求いたしたのであります。
裁判所では一部手当が得られたのでございますが、
検察庁におきまして手当がおくれまして、今
年度五十八名の検事の増員を
要求しておるわけでございます。それにあわせまして、
検察事務の科学化、効率化、これは事務の科学化をはかりまして、簡素化、
充実化をはかりたいというので、事務官百二十名とその他の経費とで、九千七百三十二万円の
要求をいたしておる次第でございます。
次に、治安対策の強化、すなわち法秩序を維持するということが法治国における最大な目的でございますので、最近の国内外の公安情勢、あるいはまた、国内の犯罪情勢等にかんがみまして、
法務省関係の治安
関係機関の機能並びに活動力を整備
充実して、能率的な運用をはかりたいという経費でございます。これは公安
検察の強化、検事十九名、事務官百五名の増員を含めまして一億一千五百五十七万円。破壊活動
調査の
充実及び
調査の科学化、これは、公安
調査庁におきまする公安
調査官の増員及び破壊活動
調査費等
要求十億四千七百四十七万円。それから、刑務所におきまする保安対策の強化、最近におきまして、刑務所の囚人の暴力ということがむしろ強くなりまして、看守等が非常に危険にさらされるという
ような状態でございますので、刑務所におきまする保安対策強化賞として、八千七百九十七万円の
要求をいたしておるわけでございます。
第四が外国人の処遇の適正化に必要な経費でございまして、これは、入国審査官あるいは事務官等百六十五名の増員を含めまして、八億九千百十七万円の
増額をいたしておるのでございます。最近わが国と諸外国との交通が非常に頻繁になりまして、あるいは観光、あるいは経済交流の活発化という
ようなことから、外国人が正常な業務で日本に入国する、あるいは日本を通過して出ていくという
ような、平和的な活動か非常に多くなりまして、そのために、われわれの港におきまする入国審査ということが非常に件数もふえました。またこの
最初に観光あるいは経済取引等で外国から来る正常な入国者に対する港におきまするあるいは空港におきまする審査官の第一印象ということか非常に大きな影響を及ぼすことも
考えまして、われわれといたしましては、この入国審査業務を円滑に行いたいというので、この点の入国管
理事務の強化をはかりたいと
考えておる次第でございます。あわせまして、在留外国人に関する記録を整備し、外国人の実態を把握して、出入国管理業務の適正なる執行を期したいということを
考えておるのでございます。なおまた、その半面、依然として不法出入国者が跡を絶たないのであります。また不法な残留者も相当潜在しておりますので、これらの取締りも徹底して行いたいという
考えでございます。これに要する経費といたしまして、出入国審査等事務の強化
充実、審査官百六名、事務官二十二名、
要求額一億三千九百七十三万円。
それから、外国人登録事務の
充実、事務官等三十七名の増員、これは、来
年度が外国人の登録証明書の一斉切りかえに当りますので、これに対しまして相当一時に多額の経費を要します。これの
要求が五億七千七百八十五万六千円で、これは、本
年度限りの経費を相当含んでおるわけでございます。第三が不法入国者の違反
調査の強化及び収容業務の適正化、
要求願が前
年度とほぼ同額でございまして、一億六千九百五十万円を
要求しております。次が在日韓国人の更生補導、
要求額四百九万三千円。これにつきまして一言申し上げたいのでございますが、日韓交渉の進展等によりましてこれは常に問題になることでございますが、かつてから日本に在留しておりました韓国人が日本で刑を受けまして、刑を受け終つた者が強制送還に相なるわけでございます。それを一時大村収容所に収容しておるわけでございます。ところが、昨年来日本の漁夫等を国内に帰してもらうことの引きかえに、大村収容所にいるいわゆる前科のある韓国人を国内釈放するということでございまして、これらの者をこのまま国内に放免いたしますときは、日本の国内における治安を乱すことにも相なります。これらにつきましては、入国管理局がその収容者を所管いたしておりまする
関係上、引き続きましてそれらの者が再び犯罪を犯さない
ように、ある
程度の生活的な指導保護を行いたいという経費でございます。
第五が、国民の権利擁護伸張に必要な経費、これは非常に大きな
ように書いてございますが、要するに、これは国民の権利義務に一番大きな
関係のございまする登記登録事務の
改善をはかつていきたいという経費でございます。それと同時に、いわゆる国を相手とする
訴訟事件が非常にふえて参りまして、これに対処するために、訟務局
関係の検事十三名を
要求いたしたいという経費でございまして、総額が十二億六千六百八十三万七千円ということになっております。その
内訳は、登記、供託、戸籍事務処理の
充実、事務官七百九十名の増員を含めまして四億四千二百七十三万一千円を
要求しております。登記登録の事務が非常にふえておりますことは、先ほど申し上げました
通りでございます。それから第二が登記事務の能率化、いわゆる登記簿冊の
改善、モデル登記所の設置でございます。これも、登記事務が旧式な古い形でやつておりますために、ますます事務がおくれて参ります。登記の謄本をもらうのに、朝申し込んで晩にしかもらえないという
状況では、決して登記所としましてその職務を果しておるとは申し得ないのであります。最近では、いわゆるコピーの整備、そういう
ようないわゆる
機械化ということに力を入れておりますので、これらの経費を
要求いたさなければならぬというのがこの経費でございまして、二億四千九百六十四万一千円を
要求しております。次は、不動産登記
制度改正及び計量法施行の問題でございます。これは、現在登記所で扱つておりますいわゆる土地、家屋の台帳と登記簿の二本立になっておりますものを一本化いたしまして、あわせて、
昭和四十一年から実施せられますメートル法に登記簿を書き直すというための経費でございます。元来土地台帳、実屋台帳は税務署にあったものでございます。これを
法務省が引き継ぎまして、それと権利、義務の経過を表わした登記簿というものが今は二つになっておる。従いまして、商取引をなします場合に、一、応家屋台帳を調べ、それによってまた登記簿を調べる。二重に閲覧をして、また、両方に登記登録
手続をしなければならないという
ような煩瑣な
手続になっております。これを
一つにいたしまして、土地、家屋の表示をして、そのものの権利の移動ということを一目
一つの帳簿でわかる
ように書いていきた、というのがこの登記台帳一一元化という問題であります。幸い、さ
ような事務をやつていきます場合に、ち
ようど計量法がメートル法に変るいい機会でございますので、同時にこれをやつていきたいというので、三十四
年度におきまして四億十四万円の
要求をしておるわけでございます。大体五カ年計画三十億の予定で事務を完了いたしたい。その第一
年度としてこれを
要求しておるわけでございます。それから、次は訟務事務処理の
充実。検事十三名、事務官四十三名の増員を含めまして、総額一億百七十五万円の
要求をいたしておるわけでございます。
その次は、人権擁護活動の強化であります。基本的人権を擁護しなければならないということは、憲法上の至上命令で、われわれ法務局といたしまして、人権侵犯
事件の
調査をますます
充実徹底いたしまして、一人として人権侵犯を受ける者のない
ように、十分な人権擁護活動をやつていきたいというための経費でございまして、人権侵犯
事件調査処理の
充実のための
要求三千九百六十四万円、人権擁護
委員制度運営の
充実のため三千二百九十二万円を
要求しておるわけでございます。
次は、第六が官庁
営繕費でございます。本
年度は七十八億円を
要求いたしております。その詳細は、お
手元に配付いたしました「
法務省営繕費概算要求資料」に細かく出ております。要するに、さきほ
ども申し上げました
ように、非常に数が多く、また
要求も激しいので、事務処理並びに事務環境
改善という面から強力に推し進めていきたい、か
ように
考える次第でございます。
その他は、
検察庁、刑務所その他所管各機関におきまする経常的な、たとえば、刑務所にいたしますれば、作業費、収容費という
ような経常的な標準
予算的な経費でございます。
以上、概略でございますが、
昭和三十四
年度の
法務省予算概算要求の
内容でございます。