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1959-03-24 第31回国会 参議院 文教委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十四日(火曜日)    午前十一時三分開会   —————————————   委員の異動 三月十九日委員川村松助君、下條康麿 君及び近藤鶴代辞任につき、その補 欠として林田正治君、井上知治君及び 西田隆男君を議長において指名した。 三月二十日委員後藤義隆辞任につ き、その補欠として岡崎真一君を議長 において指名した。 三月二十三日委員林田正治君、井上知 治君、西田隆男君及び岡崎真一辞任 につき、その補欠として川村松助君、 下條康麿君、近藤鶴代君及び後藤義隆 君を議長において指名した。 本日委員剱木亨弘君及び坂本昭辞任 につき、その補欠として梶原茂嘉君及 び山下義信君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     相馬 助治君    理事            後藤 義隆君            中野 文門君            竹下 豐次君    委員           大野木秀次郎君            川口爲之助君            川村 松助君            剱木 亨弘君            近藤 鶴代君            下條 康麿君            林屋亀次郎君            荒木正三郎君            岡  三郎君            湯山  勇君   国務大臣    文 部 大 臣 橋本 龍伍君   政府委員    文部大臣官房総    務参事官    齋藤  正君    文部省初等中等    教育局長    内藤譽三郎君    文部省大学学術    局長      緒方 信一君    文部省管理局長 小林 行雄君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選教育、文化及び学術に関する調査の  件(当面の文教政策に関する件) ○学校教育法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○学校教育法等の一部を改正する法律  の施行に伴う関係法律整理等に関  する法律案内閣提出、衆議院送  付)   —————————————
  2. 相馬助治

    委員長相馬助治君) これより、文教委員会を開会いたします。  現在、当委員会理事一名が欠員となっておりますので、まず理事補欠互選を行いたいと存じます。慣例により、委員長の指名によりたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 異議ないと認めます。  それでは、委員長理事後藤義隆君を指名いたします。   —————————————
  4. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 次に、本日は、当面の文教政策について質疑を行いたいと存じます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  5. 岡三郎

    岡三郎君 私はちょっと二点だけ質問しますが、その一番前の問題は、全国に各教員養成機関としてそれぞれに教育学部があり、その他まあ教育大学等もあるのですが、率直に言って、この教員養成する場合に、一県について一校というふうな方針が当初とられてきたと思う。ところが最近において、これについて一県について二校というふうな、こういう考え方もあるやに聞いておるが、これについての文部省考え方一つ私はただしておきたいと思います。
  6. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 新しい大学制度発足いたしましたときに、御承知のように、高等学校専門学校、あるいは教員養成の諸学校一つにしまして、各県一大学原則として発足をいたしたわけであります。教員養成大学といたしましては、これは御承知のように、ただいまもお話ございましたが、例外的に単科大学としての学芸大学が七つございます。そのほかは、今申しました一県一大学の中の教育学部、または教員養成として運営されております。そこで、今の御質問は、この一県一大学原則教員養成大学として二校以上設けるということに、そういう機運があるのじゃないかというお話でございますが、(岡三郎君「そういうような傾向だな」と述ぶ)文部省といたしましては、一県一大学という原則を今くずすという考え方は持っておりません。ただし、問題といたしまして、分校が残っております。これは発足の当時、教員を急速に養成しなければならない要務がありましてそれに応ずるために二年課程というものを一応置いたわけです。これが現在も若干残っておりまして、二年課程養成分校で主としてやりました。ところが、だんだん教員需給も、むしろ就職難を見ているというような工合で、むしろ供給が多いというような工合になって参りました。そこで、また養成内容の面を充実する観点からいたしましても、文部省側は本来の四年課程に二年課程を全部切りかえていきたい。今後の需給見通しから申しますと、特別のところは別でありますけれども、二年課程はもうだんだんやめていいじゃないかという状況になっております。そこで、四年課程に転換をするとすれば、主として二年課程養成をやった分校をどうするか、こういう問題が起ってくるわけであります。で、分校の問題につきましては、またいろんな観点がありましてこれをやめてしまっていいかどうか、むしろ二年課程養成を今までやっておった分校で四年課程養成をそのまま続けてやった方がいいのではないかというような議論があるのであります。これはいろいろな地域性、その場所の特殊な地域状態状況からもそういう議論が出るわけでありまして、たとえば非常に広い府県、それからあるいは人口が非常に多いとか、養成する子弟が多い、多くしなければならぬというような所におきましては一カ所で養成するよりも二カ所で養成した方がいいのじゃないかというようなことになりますと、分校に四年課程を立てたい、こういう意見が今起っておるわけであります。そこで今、分校はだんだん統合はして参りましたが、そういったような特殊な事情を持っている分校が残っておりまして、それをどうするかという問題が今あるわけであります。今の御質問はそれに関連してくるかと思います。場所によっては四年課程を立てるかどうかという問題がございまして、これは今文部省としましても慎重に検討をいたしております。御承知のように、これは御承知のようにと申しますか、この三十四年度の予算におきましては北海道函館分校に四年課程を設置する予算を計上いたしております。北海道は御承知のように非常に地域も広いし、地域性もいろいろございますから、函館で四年課程養成をやるということにつきましては、文部省も踏み切りまして、函館分校に四年間の課程を立てるという方針をきめたわけであります。そのほかの場所につきましては、なお具体的には今検討いたしておる段階でございます。
  7. 岡三郎

    岡三郎君 函館分校に四年制のものを作る、こういうことですが、それは函館自体で独立するのですか。
  8. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) いいえ、これは分校として、そこに四年課程ができるという形であります。
  9. 岡三郎

    岡三郎君 名称はどうなるのですか、その学校名称は。
  10. 緒方信一

  11. 岡三郎

    岡三郎君 そうすると、そこに踏み切って、函館分校としての四年コースということになったわけですが、たとえば広い地域というと、どういうふうな角度で広い地域というものを考えるのですか。これは地域々々によって広くても交通の便な所があるわけです。狭い所でも比較的交通不便養成上非常に工合の悪い所もあるかもわからない。その広いという所で、今検討している所はどこですか。
  12. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 地域の広い、あるいは人口の多いという、いろいろ条件があるのでありますが、現在これは分校でも相当いけるのではないか、問題になっている所を申し上げますと、新潟、これは新潟には高田長岡分校があります。新潟市に本校があります。長岡高田分校がございます。それから愛知学芸、これは岡崎本校が、名古屋分校があります。それから大阪の天王寺と池田分校という問題もあります。それから福岡学芸大学が、これは今福岡本校がありまして、そして分校としてこの福岡を含めまして四つあります。これらの分校をどうするか、最初に私が申し上げましたような観点から論議が行われております。
  13. 岡三郎

    岡三郎君 そこで、当初発足したときには一県一校の建前をもってやってきた。それで、教員養成をする場合において、各地にそういうふうな形でこれを作るということになると、それがどういう影響をもたらすかということやいろいろなことを検討されたと思うのですが、それで大学というものを、やはり施設を充実してしっかりした教員養成をするということになれば、あまりばらばらな状態でやるということについては、工合が悪いのじゃないかという意見も相当あるわけです。文部省考え方がいろいろとその地域教育状態なり、いろいろな考え方によって検討されていると思うのですが、原則というものを今どう考えておるのですか。
  14. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 原則的には最初に申しましたように、分校が独立するという考え方はとっておりません。分校として今までに二年課程、あるいは四年課程前期をやっておったというのを、そこで四年課程教員養成ができるような体制をとることについての検討をいたしております。ですから、ばらばらになるというふうな考え方はしておらない。たとえば北海道の例で申し上げますと、非常に広いわけであります。優秀な子弟を、優秀な学生を教員養成学芸大学に吸引いたしまして、優秀な先生を作るというためにはやはりああいう広い場所では、その地域に適当した養成体制が作られた方がいいんじゃないか、わざわざ札幌まで行かなければ教員養成ができないというのでなしに、函館のあの地域子弟はそこで学ぶ、そこで養成をする、そうしてあるいはまた教員の適正な配置もそのことによって円滑にいくのじゃないか、こういうことがありますので、広い地域場所におきましては、北海道のような非常に広い地域におきましては、四年課程を置きまして、また教育観点から申しましても前期二年は函館でやる、あとの二年は札幌でやるというよりも、函館のその同じ校舎で一年次から四年次まで一貫して教育した方がその内容としてもいいのじゃないか、こういう観点もあるかと思いますが、しかし、それからだけは徹底できないと思いますけれども、いろいろな地域特殊性とか、養成数の問題とか、あるいは現在ある施設をどう活用していくかという、こういういろいろな観点からいたしまして、これを検討していくべきじゃないか、かように考えております。
  15. 岡三郎

    岡三郎君 これは、これ以上あまり深くきょうはやりませんが、原則という問題と今言った地域の実情の問題、これは相当文部省としても熟慮、慎重にやっておられると思うのですが、結局今言ったような県、あるいはその他の県にもあるかわからぬが、この問題については、地域によって反対と賛成といろいろあるものですから、ですから総合的にやっぱり文教政策として大きな角度から、これをどうするかという問題は今後とも非常に関心が持たれていくと思うのです。たとえば今、新潟の例をとりましたが、新潟から今度長岡なら長岡に四年制のコースを作る、高田なら高田に四年制のコースを作るということになると、その学校が今度それぞれ自立していく形になって、いわゆる同じ県の中で三つの卒業生が出てきた、それが古いような……教育上の与える学閥といいますか、そういうふうな形ができるということは工合が悪いという一つの識者の意見もあるわけです。そういうふうな点で、これはしかし、さればといって、絶対にそれがそれ以外にはいけないのだとも言えない今の理屈もあるわけであります。それは地域によって片寄ってしまえば、ある所で勉強したいというような者がわざわざ遠くへ入学していかなければならぬという問題もあるかもしれぬけれども、しかし、これはなしくずしの形ではなくて、やっぱり総体的に一体どうなるんだというふうな角度については、今後私は具体的に質問をしていく問題も持っておるわけですが、たとえば、比較的交通が便利なような所で幾つも作るというふうなことになれば、これは逆に、それでなくても金が足りない、いわゆる現在の大学施設、こういうものが分散してしまって、充実という面にそぐわない点が出てくることも心配されるわけなんです。つまり、今でもタコの足大学といわれているわけでしょう、駅弁大学といわれているわけでしょう。それがますますそういう形で多く分散していくということはどうかと、こういう意見もあるわけです、だから、それに伴って、全体的に施設を充実し、教授内容を充実して、そうして全部がそれに値するような方向でいくならばいいけれども、現状の形を改善しないで、さらに分散した形になっていくということについて、これはやはり反対だという、こういう意見も相当強く、陳情等もあるわけです。だから、そういうふうな点で一つ、やっていくならば、どういうふうにやっていくのか。今検討されているところの県は、今、大学局長が言った程度の県なのか。いいですか。地域性によればもっとあるわけです。兵庫等にもあるわけだし、それから鹿児島等にもあるわけだ。その他の県においても、検討するということになれば、検討するというふうなものが相当多いわけです。ということになれば、これはいろいろと、施設が不十分なところに加えてそういうふうな形が出てくるということは、一面に利点もあるが、反面においては大きなまた悩みといいますか、悪い影響もある。こういうふうな点で、学閥というものが昔からずいぶんあったわけだが、これがようやく戦後なくなってきたわけです。そういうふうな形で、日本教育を大きく明朗に前進させるという意味においては、あまり複雑多岐にしない方がいいんじゃないかという意見も私は聞いているが、私もそういう点は賛同しなきゃならぬと思っている。だから、そういうふうな点で、検討している県、こういう点を一つ次回に答えられるようにしてもらいたいが、広い地域ということだけで分散するということについても、私は必ずしも合理的じゃないと思う。だから、それについては具体的に、分校を将来四年制にすれば、これはまた別の名前をくっつけろという運動にも私はなると思う。いいですか。だから、そういうふうな点で、大学の方は、分校の二年制を四年制にするという程度で、これはその原則というものは大きく変えてはいかないと、こういうことでいいですか、今のところは。
  16. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 大学局長答弁願う前に、関連して、私、一点、具体的なことを、岡委員質疑と同時にして答弁をわずらわしたいと思うんですが、具体的な問題として、岡崎市にある学芸大学を廃止して、名古屋にある分校を独立させて、これを大学にするという運動があるということで、岡崎市が、非常に大きな問題として当委員会にも、そのようなことのないようにという陳情をいたしておりますが、これはどのような経過をたどって、どんな見通しなのか、ただいま岡委員が指摘したケースと全く別な一つの姿なので、具体的に一つ御説明を、つけ加えて御答弁を願いたいと思います。
  17. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 岡委員お話しになりましたように、私が先ほど四県について申しましたそのほかにも、分校が残っておるわけであります。この問題につきましては、今ちょうどお話しになりましたように、いろいろな意見がありまして、文部省といたしましても慎重に検討をしております。まあ、いろんな観点から検討しなきゃならぬと思っておるわけであります。その一つの方法といたしまして、実は調査委員会を作りまして、専門家をもって組織しまして、具体的に本年度にすでに調査もいたしまして、これは続けてやりたいと思っております。で、調査をいたしました学校は、先ほど私が申し上げました四つのほかに、青森の野辺地分校の問題がありました。それからもう一つ、広島の三原分校の問題がありました。それだけを調査いたしました。で、野辺地分校につきましては、すでに結論が出ましてこれは大学も、あるいはその地域におきましても、これを廃止するということで結論が出まして、そして本校にこれを統合することに決定いたしました。そのあとの問題は、まだ、先ほど申しましたようにそのままでございまして、先ほど申しました函館は、これは別でございますが、引き続いて検討いたしております。  それから、今、委員長のお尋ねになりました件でありますが、これは今お話しになった内容、少し違うのでありまして、岡崎をやめて名古屋本校に、名古屋一本にするということではないように私ども聞いております。先ほど岡委員お話と同じ関連の意見のように思います。名古屋分校を、意見としましてはいろいろあると思いますが、名古屋分校に四年課程を立てるかどうかということでございましてその点につきましては、全体を含めましてただいま文部省としては検討中でございます。
  18. 岡三郎

    岡三郎君 この点は検討しておるというわけですから、この問題については、一つ、絶対に原則だけを守れということは、私はそりいりかたくななことは言いませんが、ただ、地域状況とか広さ、こういう点だけで、政治力の問題だけでこれをやっていくということになると、将来の文教政策立場からいって、私は大きな間違いを起すのじゃないかという気がする。とにかく、日本におけるあらゆる階層の中で、学閥というものくらい、日本を害しておるものはないんですよ。学閥意識というものが、日本を、優秀な民族でありながら、狭いワクに閉じ込めて、そうして、つまらぬかきねの中でけんかさしておるということが、日本をどれだけ退歩さしておるかということを私は指摘したい。だから、学閥意識というものを助長するなんということは、日本民族立場からいってこれは非常にマイナスになる、これは絶対に。そういうふうな観点で、できるだけオープンに、そうして一つ学校施設を充実してやってもらいたい。そうして、もしも他の校が、そこにある場所工合が悪いならば、文部省は将来、地を新たにして文教の、その県のいわゆる中心地といいますか、そういうふうな適当な場所を選んで全部をそこに一括するくらいの規模によって施設を充実するというような構想が、私はさらにほしいというくらいに考えておるわけであります。たとえば、今言ったように、新潟の場合におきまして地域的に新潟が片寄るならば、新たなる規模で設けて、そこに一つ堂々たるものを作って、従来の学閥意識を一掃して、そこにみなが寄り集まるような所を選定する、こういうふうな形でいかなければ、ほんとうの明朗なる人事行政というものも、明朗なる教育行政というものも私はできぬと思う。そういうような角度一つ、いろいろ政治的な問題があるが、これはやはり日本文教という大きな視野に立ってこれは一つ前進さしてもらいたいと思う。そういう意味で、私は、どれがこれがということよりも、たとえば東京に例をとってみると、青山とか、あるいは豊島、大泉、そのほかの師範あるいは女子師範、いろいろなものがあるわけです。それに高師とかお茶の水とか、いろいろな形があって、さまざまな形の中であるわけですが、しかし、これは東京という大きな世帯だからまだいいとしても、狭い地方の県へもっていって幾つかそういう形をとってしまえば、これはどうのこうのというよりも、日本教育全体から見て、これは工合が悪いと思う、私の意見としては。ですから、一つこういう点は大所高所から、学閥というような関係日本に強くしこりとなって残っている現状を復活させることなく、前進的に新たなる構想のもとにまとめるならば、一つみんなが納得するような所へ将来規模を大きくして作っていこうというふうな形で私は前進してもらいたいと思うのです。これは一つ意見ですが、大きな問題としてここに一つ提起しておきますから、これはあとで十分文部省にでもこの問題については御回答願いたいと思うのですが、きょうは一応この程度にこの問題はとどめておきます。  次に、私の関心を持っておる問題は、オリンピック問題についてですね。ずいぶんローマオリンピックから東京へと、こういう問題が非常に国民的な要請として行われておりまするが、この点について文部大臣は、この見通しを一体どういうふうに見ておるのか、あるいはこの関係者がいろいろと努力しておるが、この見通しは一体どうなっているか、この点について一つ文部大臣にお答え願いたい。
  19. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) オリンピックの問題についてお答えを申し上げます前に、地方学芸大学の問題について一言申し上げておきます。ただいまお話のございましたことは、きわめて重大な問題でございまして、私も問題の所在をよく存じておりますが、お話のありましたことも含めまして十分検討いたしたいと思います。いずれこれは、何よりもやはり法律の形で出てくるものでございまするし、実は率直に申しまして、ほんとうに苦労しておる問題でございますので、どうか一つ問題進展の過程におきましては皆さん方のお知恵も十分拝借をいたしたいと思います。当面の問題としては、局長から申しました通り、これは予算もとって調査をしたのでありますが、調査委員会結論をとにかく一応尊重したいということで待っておるところであります。  それから、オリンピックの問題に関しましては、ローマの次はぜひ日本に引き受けたいということで、せっかくいろいろな面で努力中でございます。ただこれは、御承知のように、当面誘致責任者と申しまするか、主体になりまするのは、開催地の市長ということになっておりますので、政府はこれに対して十分協力をするかということについては、オリンピック国際委員会からも尋ねられて、十分協力をする、つまり政府協力度合い政府協力に関する熱意度合い、これはあくまでも表に立った開催地市当局熱意度合いということで運動いたして参らなければならぬので、その点を十分心得ながらやっておるところであります。昨年中にオリンピック国際委員会の方には、東京都の方からぜひローマの次をこちらへほしいということをいいまして、それから国際委員会の方で費用その他いろいろな問題に対する質問書が都の方へ参りまして、その質問書に対しまして都の方は十分こうする用意があるということを書いたのに対して、都の返事については政府も万全の責任を負うということを岸内閣総理大臣裏書きをいたしまして、予算等につきましても、運動場自体設備費以外に運営関係で約六十億くらいの金がかかるが、それについても政府裏書きをして十分まかなうということをいってあるわけです。その後いろいろな筋を通じて働きかけをいたしております。  見通しはどうかというお話でございましたが、これは今日のところでは相当見込みがございますが、楽観を許さない、五分五分の状態にあるように思います。最も強力な競争相手といたしましては、オーストリアのウイーンでありますが、次いではアメリカのデトロイトであります。これに関しましては日本としては、前に一度紀元二千六百年のころに日本にきまりましたのが、戦争の関係でだめになった。今度はそういう関係からいっても、日本でぜひやってもらいたいといって強く働きかけてかなり聞いてもらってはおりまするが、当面やはり一番大きな支障になりますのは、ヨーロッパでやれば、大体参加国が欧米が多い、特にヨーロッパが多いものですから、費用が少くて済むという点で、参加国にとっては一番の魅力でありまするので、その点が機構等関係というよりも、参加費用という点が非常に大きなファクターのように思うのであります。従いまして政府といたしましては、オリンピック誘致に対していろいろな熱意のある働きかけをその筋々を通じていたしまするとともに、ある程度やはり将来問題が起ってきました場合に、できるだけやはり参加される団体に対して、そういう面でも許されるならばサービスをしたいといったような腹がまえについても研究をしておく必要があるように思うのであります。ただ、オリンピック関係は民間中心ということが看板でありますので、働きかけもなかなかデリケートで、あまり政府が出過ぎてもいけませんけれども、大体そういうふうな一般状況であります。相当の望みはあるけれども、五分五分よりは幾らか日本側に見込みがあるのじゃないかと思うのでありますが、経費関係等もからんで、なかなかむずかしい問題がある。五月二十三日からミュンヘンで開かれますオリンピック国際委員会には体育協会の方からも、東京都からも人が出ますが、国会側からも御意見がありますので、何かさらにまた別に人手を出して効果があり得るならば、そういう面も考慮をしてみたいと思っております。
  20. 岡三郎

    岡三郎君 これは国民的な大きな要望といいますか、期待というものがかけられていると思うので、今文部大臣が言ったように、ずっと前に一ぺんくる予定が戦争で飛んでしまった、ようやく文化国家といいますか、民主国家に生まれかわった日本が、一つ国民的な希望の中でオリンピックを招致したい、こういうふうな熱意は非常に強くあるわけですが、これに伴っていろいろと活動を展開していると思うのです。そこで一番この骨格になっているところのオリンピック誘致のための各種の団体があるわけですが、一番その主軸になっているのが体育協会ではないかと思うのですが、この体育協会がいろいろとこれに伴って行動しているわけですが、昨年あたりいろいろと費用が要るということで、学童から相当資金を徴収したが、非常にお粗末な話がずいぶん飛び出して、そうして何とかこれについて明確にしておかなければ、オリンピック誘致上一大汚点を残すということで、関係当局も非常に苦労されたことをわれわれも知っておりまするが、最近において体育協会の寄付行為の変更に伴う改組といいますか、こういうことが考えられていると聞いておりますが、それは一体どうなっているのですか。
  21. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) ローマの次に誘致しようとしておりまするあのオリンピックの問題とは違うわけでありますが、極東のオリンピックその他あるいはその以前のオリンピックヘの参加、こういったような面で経費が相当要りまするので、体育協会の要請もあり、財界等が呼びかけに応じまして、オリンピック参加のための後援団体ができたわけであります。で、これが任意団体として結成をされまして、そして体育協会——体育協会は文部大臣の監督下にありまして、補助金等も出して、体育に関する大事な仕事をやってもらっておるわけでありまして、ただいまのオリンピックヘのいろいろな援助という点は、これはもうそういう仕事とは別の問題でありまするから、経理も別にして、任意団体ができたわけであります。で、その団体の決算に関しまして、昨年御承知のように内容にルーズの点がありまして、これはもうまことに遺憾なことでございます。ただ、御指摘のございました学童の募金に関しましては、これはまあ非常に大事な募金でございますので、地方から送金します際に、特別口座で特別な銀行預金にしておきまして、この方は幸いにして全額むだなく使われたわけでありますが、全体の経理の面で相当不始末ができたわけであります。不始末の金額は、これはまあむやみに用もないのに料理屋あたりに行って、接待費に使ったというようなものであります。約千万円ばかりにつきましては、これは関係者数人で払うということになりまして、第一回目をたしか一月か二月か一ぱいに払い始めるというので払い込みが済みました。大体一年くらいの間にこの一千万円ばかりの弁償は済ますわけであります。ところが、今後の問題といたしまして、やはりオリンピック参加等につきましては、年々恒常的に要しまする体育協会の費用とは別に相当大きな費用が必要でございまして、それの経理は別にする必要があるわけでありますが、どうも監督しようにも監督のできないような任意団体では困りまするので、体育協会の中に別勘定を設けまして、で、体育協会の中の特別会計のような形で勘定を設け、そしてそれを管理する仕組みを設けまして、今後は政府の監督下にこうした金を扱わせるというふうに改組をさせることにいたしまして、もうすでにその仕組みがたしか十二月か一月にきまりまして、今日はそれで動いておるようであります。
  22. 岡三郎

    岡三郎君 そこで私は、最近において体協の関係者が都知事の選挙にからんでいろいろと動いておるということを聞いております。それで、これは純粋に体育協会というものが、社会教育団体としてやはりこれが行為を行わなければならぬのに、この体協と東龍太郎後援会というものが非常に幅湊しておるということをわれわれは心配している一人なんです。この関係は一体どういうふうになっているのか、文部大臣はこれをどうつかんでおるのか、その点をちょっとお聞きしたい。
  23. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 昨年以来の問題がございましたので、十分気をつけなければならぬと思っておりました。お話のございましたオリンピック関係の経理を別の会計、別の仕組みにして、しかもそれを体協の中にはっきり入れ込んだというのもその趣旨でありますが、従いまして、この東龍太郎氏が立候補されましてから、東氏の後援会の方とは、これはいささかも混淆のないように十分気をつけておりまするので、間違いはないものと信じております。
  24. 岡三郎

    岡三郎君 調査によりますると、東龍太郎後援会の勧誘が体協の組織を通して行われておる、こういうふうなことが指摘されておるのです。これが事実ならば、体協が社会教育団体としてこれは非常な問題点を残すし、これは非常な政治問題になると思うのです。事実上、後援会の勧誘というものが体協の組織を利用しておるとすれば、これは重要な問題と思うが、こういう点については、事実上そういうふうな行為が繰り返されて行われておるということになれば、文部省としてもこれは警告を発しなければいかぬと思うのだが、そういう点について文部大臣はどうお考えですか。
  25. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 東さんの従来からの御経歴の関係で、東龍太郎氏に対しまして体育協会の相当顔の売れた人が後援に乗り出しておるのは事実でありますが、これは現に個人関係でもうとどまるべきものでありまして、体協の組織を通じて運動をするというふうなことは万々もうないように、今までも、去年の問題もあったし、注意をして参っておりますが、今後は十分留意をいたして参りたいと思います。個人的な関係で、東さんのもうほとんど全部非常に親しい御友人なものですから、体協の関係者がずいぶん顔を出しておられるようでありますが、体協の組織を通じての活動というようなことは、もう万々ないように今後も十分に注意をして参ります。
  26. 岡三郎

    岡三郎君 万々注意をすると言うのですが、事実上いわゆる親友関係、その他やはりいろいろと問題があると思うのですが、しかしあくまでも体協は体協として厳然としておらなければ私はならぬと思う。そこにいささかの混淆もあってはならぬし、その中に疑惑を持たれていくということは、今後体協の活動、ひいては国民的な世論の上に立ったオリンピック招致という大きな問題をかかえているところが非常な疑惑を持たれているという、こういう事実上の疑惑だけではなくして、具体的に体協の人々が組織を利用して東後援会の会員の勧誘をして歩いておる、こういうことは事実上あるわけです。こういうふうな点について、これを万々大臣はあるまいというふうに考えられておるようだが、私はあると思う。そういうふうなわけで、特に体協及び加入団体には政治活動を禁止されているところの役員が大ぜいいて、それがしかも体協の組織を利用して、そして東龍太郎後援会の勧誘をして歩いておる、こういうふうに私たちは見ておるのだが、もしもそういう事実があり、しかも政治活動が禁止されておる役員がそういう行動を行なっておるということになれば、これは私は簡単にほっとけない問題と思うのです。そういうふうな点について文部省はどういうふうにこれを見ているのか、もう少し具体的に、あるならばある、ないならばないというふうにはっきりしてもらいたいと思う、そうしなければ、これは今後とも事々に問題として私は起ってくると思う。これは、特に東京都のように、選挙戦が熾烈であれば熾烈であるほど、これはやがては文部省自体の監督、あるいはそういうふうな監督のみならず、社会教育団体としての体協というものを、そういうふうな事実があったのをほっとくのかということにも発展してくると思う。だから、そういうふうな点で、事実どういう程度になっているか、これは文部大臣の方としてもそういうふうに、ないことが望ましいという程度ではいかぬと思います。そういう点について政治活動を禁止されている役員が動いている、こういうことになれば、これは重要問題ですが、その点どう考えますか。
  27. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これは各方面から御注意も受けましたので、私もその点に関しましては従来も注意をいたして参ったのでございますが、ただいままでのところ、特別御指摘のございましたような報告も受けておらないのでございますが、これは今お話のございました筋に従いましてさらに私、部内を通じて調べてみることにいたします。で、お話のありましたように、政治活動すべからざる役員が政治活動をやっておるような場合には、これはよほど体協自身に対しましても、その方に対しても考えなければならぬことでございまして、ただ現在のところでは、私そういう面の注意を喚起して参りながらさような間違いの報告を受けておりませんけれども、十分に調査をいたしてみます。
  28. 岡三郎

    岡三郎君 非常に私は橋本文相に言っていることは内輪に言っているわけです。現在は、ということはやはり一応こういう点についてずいぶん前からいろいろと指摘されておるし、いわゆるオリンピック関係の資金の問題についても疑惑が持たれている。そうしてまた、今後ともこういうふうな団体がオリンピック招致について中核としてやはり仕事を行なっていく、これが一点と、今、まあ政治団体みたいに動いている事実——この体協の役員の名前を使って東龍太郎後援会の組織で勧誘をやっているというようなことが実際問題としてあるわけです。こういう点については、話として過ごされない問題だろうと私は考える。こういうふうな点が具体的にあった場合については、文部大臣の方はこれについて処置を行いますか。
  29. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 個人的な関係ではいろいろな面で動いている方がありましていろいろな注意をしなければならぬ面があると思いますが、役員として組織を利用しながらそういうふうなことをするということは、もうこれはいけないことでありますので、問題がございますれば、それに対しまして十分な措置をしなければならぬと考えております。
  30. 岡三郎

    岡三郎君 私は、文部大臣の方で一応そういうふうな点を留意してやっていただくということになったわけですが、実際問題として東さん自体は、こういう問題についてどう考えておるか、事実上行為としてこれがすでに現われておる。しかも、その体協の役員が東後援会の勧誘を組織を通してやっていて、しかもその名前がそこに使われておる、こういうような事実の中に立って非常に問題が起ってからではおそいというふうに考えておったわけです。私はこの問題については、オリンピックとの関係上も考えて一つ文部省の方で調査してもらうという点も、それはそれとして、私はこの体協関係者一つ委員長の方で適当に、私の方であとで申し上げてもけっこうと思いますが、もしもそういう事実があったとするならば、こういうことを何とかやはり文部省なりを通してやってもらわないと困ると思うのですが、そういう点について、一つ明確にオリンピック招致との関連上、私は体育協会の人たちに聞きたいと思う。明確にもう一ぺんそういうような点で、体育協会の人々やその他の関係者が一体オリンピックの招致をどう考えているのか、それに伴うところのいわゆる資金の問題についての跡始末その他を一体どう考えているのか、しかもその人々が現状において政治活動について行動を起しているが、そういう問題についてどう考えているのか、こういう総体的な関連において、私はオリンピックの問題とあわせて一つ体協の関係者のだれかを次回でもその次でも呼んでもらいたいと思うのですが、それはどうですか。
  31. 相馬助治

    委員長相馬助治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  32. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を復活して。  今、質問に関連して、岡委員より体育協会の関係者を当委員会にお呼びして、オリンピック招致の問題に関連する諸問題について伺いたい、そうしてこれを呼ぶことを委員長において取り計らってもらいたいとのことでございますが、この問題は先例によりまして、委員長理事において慎重に審議の結果善処したいと存じます。各委員そのように御了解願えるでしょうか。
  33. 湯山勇

    ○湯山勇君 従来そういう場合ですね、今の岡委員質問からいえば、呼ぶ建前でお話願うというのでないと、もう頭からそのこと自体をどうこうするということになれば、これは委員の審議権の問題もあるわけですから、その辺は委員長、白紙で理事会にまかすのでなくて、今の趣旨をよく含んでやってもらいたい。(「反対」と呼ぶ者あり)そうでなければ困ると思います。
  34. 中野文門

    ○中野文門君 ただいまの岡氏の発言に引き続きまして、湯山氏の御発言がありましたが、湯山氏の発言をそのまま受けての理事会の取扱いについては私は賛成いたしかねます。
  35. 岡三郎

    岡三郎君 ということは、結局これだけ私が質問しておきながら、委員長理事会は白紙のもとでやるのだと、それでは私は納得できないと思うのです。要するに、体育協会の人々が、私は何にも言われなくてもこの文教委員会なら文教委員会に出て来ていろいろ世情疑惑を投げて申しわけない、実は経理がこういうふうになっておりまして、また実際オリンピックの招致状況はこうなっております。国民の期待にこたえて、明快に疑惑のあった今日でありますから、具体的にやつてもらわねば私は困る。そういう点で、私はやはり今言ったような問題について、当然団体が社会教育団体として行動していく部面を逸脱しているやに聞いておりまするが、それはそれとして、とにかくオリンピック招致に関連した重大な問題ですから、これは一つ当事者が来て、ここで文部大臣に私がどうこう言ったって、それは直接の問題でないですから、監督者であっても……。だから一番簡単なのは、当事者が来て、そうしてこの委員会において委員質疑等に答えてもらって、そうしてその間における事情というものを権威のあるこの文教委員会でやって参るということが私は一番重要な問題だと考えます。それでなかったならば、オリンピックという名前に藉口していろんなことが行われている、不明朗なことが……。こういうことでは国民的問題にならぬですよ。だから、私は少くともオリンピック招致を明確に国民的な背景で前進させるためにも、一応この段階で文教委員会としては、何もむずかしい問題ではないわけですから、こういうふうな点について率直な意見の交換、あるいはそういう経過の説明等を聴取する責任があると私は思う。それでなかったならば、何か知らぬうやむやのうちに、オリンピックの問題が利用されただけにすぎない。一体どうなっておるのか、ということについても危惧の念を持たざるを得ない。だから、そういうような点で、文部大臣の方は一つそういう面についても一応調査して善処したいということになっているわけですから、文教委員会自体としては一つ、体協関係者についてそういう問題についての聴取をするということを、むずかしく考えないで、そういう前提に立って一つお話をしていただきたいと思う。それでなかったら、これは文部大臣に対して会計がどうなっているか、こうなっています——時間がかかって、他の法案にも私は影響があると思う。だから、それを一歩進めて、具体的なそういうふうな取扱いをぜひとも私はお願いしたいと思う。
  36. 中野文門

    ○中野文門君 岡委員からいろいろなこの席において質疑があり、最終の段階において体育協会関係者をこの委員会に適当な方法によって招致と申しますか、出席を求めて意見を聞く。(岡三郎君「参考人としてね」と述ぶ)それに対して私は、せっかくの岡発言でございましたので、今直ちにこの席で賛否を明らかにせよといえば、そのつもりで遺憾ながら賛否を明らかにいたしますけれども、せっかくの有力なる岡発言でございましたので、従来の私の知る限りにおいての慣例から申しましても、公聴会をやるかやらぬか、あるいは参考人を呼ぶか呼ばぬかというようなことが即席できまった場合もありましようし、きまらない場合もこれはあり得るのでございますので、そこで理事会において十分にあなたのいろいろな御発言を土台として、御期待に沿えるか沿えないかを検討しようという積極的な協力意見を吐いた。それに対して湯山発言で、呼ぶことを前提として理事会で云々ということがあったので、それには賛成いたしかねる、こういうわけでございますので、ずいぶん岡発言に対しましては敬意を表して、理事会で御相談に乗りましょう、こういう意向でございましたので、その点でよければさようにお取り計らいを願いたい。直ちにこの席で右か左かを決着せよと仰せられるならば、これはまたそれに従います。
  37. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 中野委員の御発言もしごくごもっともだと思います。委員長はこういうふうに聞いて次のように内容を捕捉して、委員長理事打合会におまかせを願いたいということをさっき申したのです。岡君の、体育協会関係者を当委員会に何らかの方法でお呼びしたいという要請は、質問に関連してきわめて強いものであると私は認識をいたしております。それに対して、湯山君から、委員長理事打合会においては呼ぶことを前提としてやれということでありまして、これは岡委員質問を受けて当然そういう議論は出てくる余地はあるとは存じますが、しかしこれに対しては、明らかに委員長理事打合会の意思を拘束しておりまする関係上、中野理事から、そういう前提に立って委員長理事打合会が持たれることに反対であるという意思の表明だと私は理解いたします。すなわち体育協会の関係者を呼ぶことに反対だというふうな意味にはとっておりません。従いまして、前例によってこれは委員長理事打合会において慎重に審議の結果善処いたしたいと思いますので、おまかせを願いたいと思います。  速記とめて。    〔速記中止〕
  38. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記回復。
  39. 岡三郎

    岡三郎君 私は、やはりこのオリンピック東京に招致するということは非常な国民の願いだと思う。ところが、それに昨年来非常な暗影が投げかけられて、そうして現在までぐずぐずしてきておる。その中で、今文部大臣が言ったように、ウイーンだとかデトロイトだとか有力なる候補地がここに台頭してきておる。こういうふうになれば、やはり国民的な疑惑を一掃して、それこそ強力なる支援のもとに国民的な背景の中でこの運動というものが展開されなければ、必ず日本東京に開催されるということはこれは困難になってくるかもわからない。そういうことを考えた場合に、この際すっきりして、そうしてこの関係者自体のつまらない政治活動とかそういうことでやっていないで、本然の姿に返ってやるのだというふうになってもらわなければ、私はやりようないと思う。そういうふうな国民的な問題を、特に文教委員会として明確にして、協力を求めるということの趣旨が重要であると思って私は発言したわけですが、そういうふうな点も十分一つ御認識の上に立って委員長理事打合会で——今、中野委員の言った言葉も首肯できる点もありますので、これ以上私は強く申しませんが、しかし、私の意のあるところは非常に強いものであるということをお考え願って御善処をお願いしたいと思います。
  40. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 先ほど申しましたように、委員長理事打合会によってこのことは審議をいたしまして、この問題は決定をいたします。  ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  41. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を復活して。  ただいま岡君の文教一般政策に対する質疑の中途でございまするし、かつ他にも御発言の向きもあると存じまするが、時間の都合上、残余の質疑を次の適当な機会に保留したいと存じます。なお、午後は一時十五分より再開をいたします。劈頭に学校教育法等の一部を改正する法律案を議題に供します。御協力を賜わりたいと存じます。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  42. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を始めて、それではこれをもって休憩に入ります。    午後零時二十二分休憩    —————・—————    午後一時五十一分開会
  43. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 午前に引き続き、委員会を開会いたします。  委員の異動がございましたので、まず報告をいたします。  坂本昭君が辞任、その補欠として山下義信君が選任されました。   —————————————
  44. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 学校教育法等の一部を改正する法律案及び同法の施行に伴う関係法律整理等に関する法律案を議題に供します。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  45. 中野文門

    ○中野文門君 提案理由の御説明は大臣その他から承わったのでありますが、この原案に盛られている内容から申しまして、既設の短期大学との関係をなお一そう一つ十分な御説明をいただきたいと思うのであります。既設の短期大学、短期大学制度の沿革もごく簡単に一つ、大体わかっておりますが、と、それから短期大学が私の了承する限りにおいては新しくできた専科大学というものに全部吸収されるようなお考えのように了承ができるのですが、専科大学と既設の短期大学との関係、短期大学は当分の間新設を認めないということになっているのでございますし、そうした関係を御説明願いたいと思います。
  46. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) ただいまお尋ねの部分が今度の法案の一番重要な部分でございます。従来の沿革等もございまするので、政府委員から十分答弁をいたさせます。
  47. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 提案理由の趣旨を少し敷衍いたしまして、ただいまの御質問にお答え申し上げたいと思います。  この学校教育法等の一部を改正する法律案の中で一番重要な部分を占めますのは、専科大学制度を新設するということでございますけれども、この問題の出発点は、現在の短期大学についてこれをいかに改善するかという観点から出発をいたしております。そこで、この短期大学でございますが、御承知のように、学校教育法第百九条によってその制度ができております。御承知のように、新しい新学制のもとで新制大学発足いたしましたときに、旧制の高等学校専門学校、あるいはそのほか教員養成の諸学校等が大学として昇格をいたしたのでございますが、そのときに施設、設備、あるいは教員組織等が必ずしも十分でなく、直ちに四年制大学に移行をすることが困難であったものが相当あったわけであります。これをどう処置をしていくかということに一つの問題がございまして、それからもう一つ、やはり女子教育の面でございますけれども、その四年制大学、高等教育、いわゆる四年制大学一本でいいかどうか。もっと短期の女子教育高等学校があれば——これはあるいは男子についてもそういうことがあったかもしれませんが、主として女子教育につきまして短期の高等教育を施します学校制度があってもいいのじゃないか、こういうことが議論がございましたのでございますが、当時占領下でございまして、新しい大学制度を作ります際に、高等教育制度を作ります際に、占領軍当局としましては、高等教育としては四年制大学一本でよろしい。これに例外を設けて短期の高等教育機関を作るということにつきましては承認しなかったという経緯があったわけでございます。しかし、いろいろ折衝の結果、まあ当分の間ということで暫定的な制度として二年または三年の修業年限を認める。しかし、これは大学のワクの中でそういうことをとりあえずやろう。こういうことで、今の百九条ができました。これに基いて現在の短期大学の制度が発足いたしたわけでございます。そこで、まあしいていえば、その当時からこの修業年限の二年または三年の高等教育の機関としてのはっきりした性格は持っていなかったのでありまして四年制大学のほんの特例だという形でこれができたわけでございます。本来ならば、そのときに二年または三年の学校制度として教育目標もはっきり掲げた制度で出発すれば問題はあるいはなかったかもしれませんけれども、非常に不明確なままで出発をしたというところに一つの問題があると思います。その後、暫定制度ではございましたけれども、今日まで二百六十九の短期大学ができております。そのうち大部分、八割は私立の短期大学であります。ところが、この短期大学の実績に対しまして、これは女子教育の面は別でございますけれども、特に工業関係とかあるいは法律、経済、いろいろ内容はございますけれども、やはりそれに対しまして批判が起って参りました。制度が不明確な点もございますけれども、教育内容としても中途半端に、四年制大学の修業年限の半分の形でありますから、しかもその目的としましては学校教育法第五十二条をかぶっておりまして、つまり「学術の中心として、広く知識を授ける」というその五十二条のワクの中にありますので、修業年限が半分であっても四年制大学と同じような目的を追求していくという建前になっておりまして、短期の高等教育として必ずしも十分な効果が上っていないという批判が出てきたわけであります。と申しますのは、専門的に大へん学力が中途半端だというようなことで批判が出て参りまして、これを何とかもう少しはっきりした学校制度にしたらいいじゃないかということが言われて参りました。また一面、短期大学当事者の方面からは、最初申しましたように、非常に暫定的な特例として出発したこの制度を、もうそろそろこの辺で恒久的な制度にしたらいいじゃないか。暫定的制度だということでありますと、卒業者の就職の面等にも不利であるというようなお話が出て参りました。これらの意見をあれこれ勘案いたしまして、文部省としましては短期大学の改善、この制度をどういうふうに持っていくかということにつきまして問題を取り上げまして、中教審に諮問をいたしましたり、あるいは各方面の意見を徴しましたりいたしまして、この法律案をまとめた。こういう提案までの経緯でございます。中教審の答申等につきましてはお手元に、この前の委員会でございましたか資料を差し上げてあります。その中教審の答申を中心にいたしましてこの法律案をまとめたわけであります。  そこで今お尋ねの、それでは専科大学という制度を作って、短期大学はこれにいわば制度として切りかえていくということになる。といいますことは、専科大学は修業年限二年または三年、短期大学をそのまま受けております。原則として二年とする、必要がある場合には六年まで延期することができる、こういうことになっております。そうしてその専科大学教育目的としましては、職業または実際生活に必要な能力を育成する。これをはっきりと掲げておるわけであります。従来の短期大学の目的とされました、現在学校教育法の中に規定されております五十二条と別に、この専科大学の制度の教育目的をはっきりと掲げております。そうして短期大学というものは、これからは新設を認めないということにいたしたいということでございます。しからば既存の短期大学、先ほど申し上げましたように二百六十九もございますが、この扱いをどうするかということにつきましては、これは当分の間存続することができる、このようにいたしております。でございますから、制度としましては専科大学ができました場合に、これからあとは短期大学の新設を認めません。しかし、現在までありますものは、経過的な取扱いといたしまして、当分の間存続できる、かようなことにいたしておるわけでございまして、既存のものが、そのまま当然専科大学に吸収されるということにはならないわけでありまして、その短期大学当事者の意向に従いまして、専科大学に転換するものは転換する、そのまま存続したいという希望のものはそのまま存続することができる、かような組み立てになっておるわけであります。
  48. 中野文門

    ○中野文門君 手元にちょうだいをいたしております資料によりますと、「短期大学は、昭和三十四年三月三十一日までに認可されたものに限り、当分の間、存続できることとし、それ以後は、短期大学の新設は認めないことにいたしました。」と、ただいまの御説明もさようであったと思いますが、お見通しとしては、三十四年三月三十一日までに認可されたものに限って、当分の間存続できる、と、この当分の間存続できる、ということはどういうお見通しに相なるわけですか。もし、この原案がこのまま可決されました場合に、短期大学は当分の間存続できる、新設はできない……お見通しはどういう御見当ですか。事実上どういうふうに推移されると思いますか、御回答願いたい。
  49. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 当分の間存続できる、ということにいたしておりますので、これは期限を限っていないわけであります。その短期大学の当事者の意向に従いまして、ずっと短期大学のままでいきたい、こういう意向のものにつきましては、そのまま存続できる、かようなことに相なります。しかし、短期大学の実体的な改善ということを出発点としてのこの制度の改正でございますし、専科大学がそのために新設いたしたいということでございますので、そのできました専科大学が漸次実績を積みまして、それが非常によい結果をもたらすことになりました上は、おそらくは現在ございます短期大学も漸次これに転換をしていくのじゃないか、また転換していくことを私の方は期待をいたしておるわけであります。しかし、法律的にこれを期限を限っておるわけじゃございませんので、最初申しましたように、そのまま短期大学のままで存続したいという希望のものは存続できると、かようなことでございます。
  50. 中野文門

    ○中野文門君 そこで重ねてお尋ねを申し上げますが、現在開校している短期大学がこの法律の改正に従って専科大学に切りかえ得る実力を備えた学校が、大体二百六十九短大が、これは公私合せてですね、この二百六十九の短大の中で専科大学に切りかえ得る実力を持っておる学校というものの御見当があれば、どのくらい見当をつけておりますか、お尋ねしたい。
  51. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは今お話し通り、二百六十九は国立、公立、私立、合せたものでございます。念のため申し上げますと、国立が二十一校、公立が三十七校、私立が二百十一校でございます。これはお手元に資料を差し上げてあります。  そこで今のお尋ねでありますが、専科大学の設置基準というものを、この法律が成立いたしましたならば、法律に基きましてこれからきめるわけでございます。そこで、その設置基準に照らしまして、既存のものにつきましても一応形式的には新しい新設という形で専科大学に切りかわることになると思います。そのためには、専科大学の新設につきましては、この法律にも規定をいたしておりますが、文部大臣の認可を必要とする。その際に、文部大臣大学設置審議会に諮問をして、その意見によって認可をきめるということにいたしております。これは現在の大学設置の場合と同様の手続によるということにしたわけでございます。  そこで、この法律ができましたあとで本格的には設置基準をきめるわけでございますけれども、現在から、今日から予測することは非常に困難でございます。しかし、一応私どもが考えておりますことを申し上げますと、短期大学の中でいろいろと内容的に高めていかなければならないという批判がございますのは、先ほども申し上げましたように、特に男子の教育の中で、あるいは工業技術とか、あるいはそのほかの実務者を養成するとかという部面についての批判が多いのであります。これらの批判も十分聞き、そのほかの意見も十分聞きまして、新しい専科大学としての基準というものを適正にきめていくということになると思います。そこで、そういうふうな、高めなければならないという批判がある点につきましては、これは設置基準、あるいは教育内容等の基準につきましても高めていかなければならぬと思いますけれども、あるいは女子教育の面におきまして、家政とかそのほかいろいろございます。これらにつきましては、社会的な要求というものも大体現在の短期大学の実績というものを相当評価しているのではないかということになりますと、そういうようなものにつきましては、設置基準を高めるということも必要じゃないかと、かように考えております。これらは短期大学ないしそれを受けて発足いたしまする専科大学内容というものは、これはこういう学校の性質からいたしまして、非常に多種多様になると思います。学科も相当多様な学科ができてくると思います。そういう多様な学科を十分予想いたしまして、これを幾つかに類別しまして、それぞれの基準をきめていくということが実際的であろうと存ずるわけでございますけれども、そういう観点から新しい設置基準等をこれからきめるということになります。それに従って、果してこの二百六十九現在ありますこの短期大学がどれほど転換できるか、この見通しはちょっと今日的確には申し上げられない。ただいま申し上げたようなことで、一応の御推測をお願いいたすわけであります。
  52. 中野文門

    ○中野文門君 転換したくてもできない現行短大は、この法律が行われるようになりますと、どういう形に置かれることになりますか。専科大学に移行したくてもできないものが相当たくさん残ると思いますが、しかもこれらの学校も長い、終戦後ではありますが、相当長い年月を経て、今日短期大学として現存しているわけですが、あなた方の御期待に沿って専科大学に移行したくてもできないものが相当残ると申しますか、あると思いますが、それらは一体どういうふうに御指導なさる御予定なんですか。
  53. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) この法律の規定に基きますと、繰り返して申し上げることになりますけれども、そのまま存続ができるわけでございます。短期大学のままで存続ができるわけであります。転換できないものは、転換しようと思って転換のできないものは、基準に及ばないで転換できないものは、短期大学のままやむを得ずとどまるということに相なるかと存じます。ただ、転換を希望しないものはこれは論外でありまして、これはそのままの希望に従って短期大学として残る。従いまして実態としましては、幾つかのものが、数を予想することは困難でありますけれども、幾つかのものが残りまして、専科大学のほかに、同じ修業年限三年の短期大学が実態として残る。これはそういうことになると思います。
  54. 中野文門

    ○中野文門君 そこで、先ほどのあなたのお話に返るのでありますが、専科大学に移行したくない人もありましょう。移行したくてもできない学校もできょうかと思いますが、そこで法律が可決された場合に、そうしたものは短期大学としてなお当分の間残れるじゃないか、こういうお話でございますが、なるほどそれはその通りと思いますが、そこで「当分の間」という一つの運命を持った短期大学、しかも一方年限を切って新設を許されないという運命を背負った短期大学というものに学ぶ学生たちの心持を考えた場合に、短大としては残るのだとおっしゃっても、そういうような状態のもとで、一つの名誉ある歴史と申しましょうか、それぞれ皆沿革と歴史を持って、卒業生を持ち、現在学生をかかえておる短期大学というものは、そのような不安定な状況がいつまで続くかということを私心配をするのでありますが、それは自然の成り行きにまかすとでもおっしゃるのですか。少くとも指導方針というものはどこにお立てになるのでございますか。そういう点を一つ答弁願いたいと思います。
  55. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 制度の切りかえの際でありますので、そういう実態から言いますと、若干不都合な点が残るということはあるいは避けがたいかもしれません。これは、希望して短期大学のまま残るという向きはこれは論外でございますけれども、専科大学に転換を希望しておられる向きにつきましては、私どもは極力いろいろな面で援助をいたしまして、転換が容易にいくように指導をいたしたい、かように考えます。
  56. 中野文門

    ○中野文門君 そこで重ねてこの「当分」という不安定な言葉が問題になってくるのでありますが、大体の見当は、「当分」はどのくらいの期限を見ておるのでございますか。三十年、五十年先も「当分」の範疇に入るのですか。私は常識上入らないと思う。何かその点の御答弁ございませんか。
  57. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは期限は切っていないわけでございまして、極端に言えば、今お話しになったような何十年先ということも、この規定のままで見ますと、それも含むということにならざるを得ないと思います。「当分の間」ということはあくまで期限を切らないということでございまして、これは一定の期限を切って転換ができればこれは制度としましては非常にすっきりいたしますけれども、しかし現存いたしまするそれらの短期大学の実情ということもこれは十分尊重しなければいけませんので、あるいは今日まで果してきた短期大学の実績というものを尊重しなければなりませんし、それはその当事者の選択にまかせる、期限は切らない、こういう趣旨でございます。
  58. 中野文門

    ○中野文門君 二百六十九の短大、国立二十一、公立三十七、私立二百十一、この二百六十九の総短大の内訳でございますが、男女共学の短大の数、あるいは女子なら女子のみの数、あるいは男子の短大の数、お調べがございましたらば、もういただいておると思いますが、見るいとまがございませんので、御説明願いたいと思います。
  59. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) きょう差し上げました資料がございますが、それをごらんいただきたいと思います。この第一の表に、設置者別・男女別学校数というのがございます。国立、公立、私立、男女別。今の男子の学校が百三十八、女子のみを対象とするものが百三十一、合計二百六十九、かようなことになっております。
  60. 中野文門

    ○中野文門君 今度の改正法律案内容についていろいろと研究が内外で行われておるのでございますが、御当局は女子教育だけを考えた場合に、まあ人間は男と女と二つあるのでありますので、女子教育だけについて何かお考えになったことがあるかないか。さらにまた、この一部改正法律案の原案作成に当って、日本現状に照らして女子教育というものをどういうふうにお考えになってこられたか、そういう点について一つ御抱負を承わりたいと思います。
  61. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 女子教育につきまして、まずこの専科大学設置の関連について申し上げますと、この案の前提になりました、先ほど申し上げました中教審の答申でございますが、この答申を作ります途中におきましても、特に女子教育につきましては非常に慎重な検討が行われたわけでございます。短期大学のうちで、今申し上げましたように、およそ半数の学校が女子教育のための学校であるということになっております。この内容を見てみますと、家政あるいは保育、看護といったようなものが相当多いわけであります。これらはあるいは職業のための教育と申してもよろしゅうございますし、あるいはまた将来家庭の婦人となって、実際生活を営みます上の教養を身につける、こういう役割も果しておると思います。これが学校の数としても約半数でありますし、学生の数から見ますともっと比率が高いということでございまして、このことはどういうことかと申しますと、女子教育には四年制大学に進み、そこで学問を深くやる、これももちろんけっこうであり、必要であると思いますけれども、四年の修業年限では少し長過ぎるというので二年、短期の高等教育機関というものが要求されておる、女子の短期大学が多く発達してきたということはそのことを物語るのではないか、かように考えております。そこで、中教審の答申の話に戻りますけれども、中教審の答申を作られます段階でも、何とか女子教育として短期の高等教育制度をはっきりしたものにしたらいいじゃないかという考え方があったわけであります。いろいろ検討の結果、私どもこれを専科大学と名をつけたわけでございますけれども、その専科大学の規定に書きましたように、その目的は、「職業又は実際生活に必要な能力を育成することを目的とする。」、かような結論になったわけでございまして、二年または三年の修業年限を持つ高等教育機関をここで学校制度として確立するについては、従来短期大学の実績を受け継いでその土台の上にこれを立てるわけでありますので、今の女子教育の面も同様にこの専科大学内容として取り入れる、その表現としましてはいろいろ工夫がされたのでございますけれども、「実際生活に必要な能力を育成する」、それを「目的とする。」ということで表現がされておるわけでありまして、この専科大学はいろいろな職業教育を目的とするものと、それから実際生活に必要な能力を育成する、これは女子教育を含めましてそういうものを目的とする、いずれにしましても、四年の大学のほかに二年または三年という短期の修業年限を持つ学校制度を考えておる次第で、そこに女子としての教育も受け入れていくというのが専科大学制度の趣旨でございます。
  62. 中野文門

    ○中野文門君 原案によりますと、四年制の大学とそれから専科大学との二本立の案になっておりますが、これを短期大学を当分新設を認めぬと言わず、大学、専科大学、短期大学というふうに三本立でお考えになったことがありますか、また考えられませんか。一説、いろいろ説をなす人は、私自身もまだそういう点には決着の意見には到達いたしておりませんが、四年制の大学と同じような内容の二年間の大学というふうに考えた場合に、四年制の大学とそれから専科大学と、特に女子教育を中心にした、あるいは花嫁教育を中心にして考えた場合の短期大学を考えました場合に、何かそこに大学の二本立というのを、短期大学を入れて三本立でこの体系の制度はできませんですか、考えたことございませんか、一つ意見を承わりたいと思います。大臣でなく、あなたに伺いたい。
  63. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 私はこの原案を立案をした立場でございますから、その立場で申します。最初にこの立案をいたしました今日までの経緯につきまして概括的に申し上げたわけでありますが、短期大学の制度をどうするか、もともと暫定制度として新学制の発足のときに発足しましたこの短期大学制度をどうするかということに出発点があるわけであります。で、問題になりますのは修業年限は二年または三年間、しかしこの短期大学の性格というものは四年制大学と同じ性格を持つものである。四年制大学のワクの中に短期大学という暫定制度がこうくっついておりまして、そしてその修業年限は、四年の修業年限に対する特例として二年または三年、こういうことで発足したわけでございます。で、短期大学の目的を言えということであれば、学校教育法五十二条でございまして、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする、こうなっております。この四年制の大学と同じ、四年制大学の目的を規定いたしました同じ規定が短期大学の目的として適用されたわけであります。しかし、一面修業年限がその半分でありますから、もともと四年と二年の修業年限と、この区別があるのに、同じ教育の目的に向って、そのもとにこの制度があるということはどうしてもやはり実際上無理が出る。でございますから、実態としてはむしろ二年または三年の修業年限にふさわしいような実態が現われているんじゃないかということも言えるわけでありまして、そこで二年または三年の修業年限にふさわしい目的を掲げたはっきりした学校制度を立てるというのが今度の立案の眼目になっております。そういう関係でありますので、私といたしましては、短期大学をそのまま残すということで、さらにまた専科大学を別に作るという趣旨——もしそういうことになりました場合にはどういうことになるか、これはもっと検討しなければはっきり申し上げられませんけれども、そのもともとの本法案を立案いたしました趣旨からいたしますと、少し変ってくるんじゃないか、かように考えております。大学と専科大学、そうすると短期大学というものをもう一本作る、その短期大学の目的は何だ、その大学の目的と同じもののその範疇の中に入るのか入らぬのか、別に短期大学というものを作って、その目的を明確にいたしますならば、果して現在ここで提案いたしております専科大学の目的とどういうふうに変っていくものであるかというような点につきましては、はなはだ私ども立案者といたしましては非常に困難じゃないかと考えております。
  64. 中野文門

    ○中野文門君 あなたの方からいただいた資料によりますと、専科大学学術の研究よりはむしろ専門職業教育云々ということが書かれているわけですね。そこで、その場合はりっぱに一本成り立つとは思いますが、今言う現行短大が四年制大学の半分の修業年限であるということになるのでありますが、しからば四年制の大学は四年で十分かといえば、むしろあるいは五年あるいは六年の方が、かりにあるとすれば、その方が充実すると思うのです、私は。だから短大の二年なら二年にふさわしいところに、やはり職業教育のみにとらわれない大学があっても不思議はないと思うのですがね。そこで今言う現行の短大をはっきり制度化して、二本立を三本立にしても一向私は差しつかえないように思うのですが、しろうとの議論でしょうかどうでしょうか、重ねてお答えを願いたい。
  65. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 意見としてはいろいろの御意見があるかと存じます。ただこれは、私どもこの原案を立案いたしました立場から申しますと、先ほど申し上げましたように、現在の短期大学が暫定的な制度でありますから、これを恒久的な学校制度として現在の学校制度の中に位置づけをします場合には、やはりその独自の目的というものを四年制大学とは別に規定すべきじゃないか、それをはっきりして学校制度を立つべきじゃないか、そうすることによって、そこに学校を経営する人も、あるいはこれに従事する教員も、あるいはこの学校に入る学生も、自分の目ざすところの教育目標、自分が到達せんとする、修得せんとする目標がはっきりいたしますので、短期の恒久教育機関を制度化するならば、そういうような教育目的をはっきりすべきじゃないか。そういたしましたならば四年制大学とは別な目的を持つべきじゃないか、かような観点に立ったわけでありますので、御意見としてはいろいろあると思いますけれども、この原案の立場はさようなことになっておるわけであります。
  66. 下條康麿

    下條康麿君 非常にわからない点があるのでお尋ねしたいのですが、今度の専科大学の規定は改正案第七十条の二とありまして、大学の規定は第五十二条です。よく読んでみてもほとんど区別が私どもつかないのです。というのは、第五十二条には「深く専門の学芸を教授研究し、」とあります。専科大学は深く専門の学芸を教授研究していく、それから第七十条の二、専科大学は、職業または実際生活に必要な能力を育成するのを目的とするということは五十二条の「知的、道徳的及び応用的能力を展開させる」ということと同じじゃないかと思うのです。大学を出たら学問の研究に従事する人もありますけれども、しかしやはり職業または実際生活に関係があることになるのです。これは言葉が違っておるけれども、内容はほぼ同じじゃないかと思う。この点、一体どういうふうに区別されるのですか、まずそれを伺いたい。
  67. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは五十二条は、現在の四年制大学の目的をうたっておりますし、七十条の二は新しい専科大学の目的をうたった規定でございます。これは目的でありますから、そのこまかいところまで全部書き分けてしまうというわけにはなかなか参りませんけれども、両者お比べいただきまして、前者の五十二条の方は、学術の中心として広く知識を授ける、それとともに深く専門の学芸を教授研究する、そしてその目的を達すると、こう書いてあります。それから七十条の二の方は、学術の中心として広く知識を授けるとともに、という字句は出てこないわけでありまして、深く専門の学芸を教授研究する、そして中は飛ばしまして、「職業又は実際生活に必要な能力を育成することを目的とする。」比べてみまして、四年制大学の方は、これは今お話のございましたように、もちろん職業的な訓練ということは、教育ということはもちろん中に含みましょうけれども、しかし、両方比べてみまして、前の方はやはり学問をやる学術の研究の機関であるというニュアンスが現われておりますし、新しい専科大学の方は職業教育あるいは実際教育、こういうことに重きを持った学校制度であります。いわば研究というよりも教育の方に重きを置く学校であります。この点は書き分けてあるつもりでございます。冒頭に申し上げましたように、これは目的の規定でございますから、内容を非常にこまかく書く、委曲を尽すわけにはもちろん参りませんが、その気持は今申し上げましたような気持で書き分けておるつもりでございます。
  68. 下條康麿

    下條康麿君 書き分けた御趣旨はわかりますが、しかし、現われた文字からいえば、方法は、「専門の学芸を教授研究し」、目的は、「職業又は実際生活に必要な能力を育成する」ことと思いますから、そういった面では変らないと考えます。そこでお尋ねしたいのは、この五十二条の規定は短期大学にも適用があるのですか、現実の教授科目ですね、今度の専科大学、それと短期大学の教授科目の相違を指摘していただきたい。
  69. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 短期大学の学科の内容等につきましては、これもお手元に資料を差し上げてございますが、短期大学設置基準というのがありまして、これが基準になってできています。そこで、この内容をちょっと御説明申し上げますと……。
  70. 下條康麿

    下條康麿君 短期大学はわかっています、専科大学と比較の点、どう違うか。
  71. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 専科大学内容につきましては、この制度ができました上で、本格的には専門家の御参加をいただいて、そうして実際にこまかくきめたいと思っております。
  72. 下條康麿

    下條康麿君 腹案か何か。
  73. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 思っておりますけれども、専科大学、短期大学も同様でございますけれども、専科大学内容としましてもいろいろな学科が予想されます。非常に多岐多様にわたると思います。そこで、この基準を作ります場合には、先ほどもちょっと中野委員の御質問に答えた際に申し上げましたが、その専門の学科の類別によりまして、これを一つでおさめるということはなかなか困難だと思います。類別によりまして幾つかの基準を作ることが必要じゃなかろうかと思っております。その際に、特に社会的な要請の強い内容を強化すべし、社会的要請の強い科目に対しましては、現在の短期大学の基準よりももう少し引き上げなければならぬのじゃないかと思います。大体現在の短期大学について社会的要請にも適合していると思われるものにつきましては、もう少し詳細に十分検討いたしますけれども、大ざっぱに申し上げますと、現在の短期大学の実情を土台にして、大体その程度に押えて基準を作ってもいいのじゃないか、かように考えているようなわけでございます。  なお、つけ加えて申し上げますと、この短期大学設置基準というのは、これをごらんになるとわかりますように、必ずしも五十二条の目的を受けて、それとすぐぴったり当てはまるような形になっておりません。これは法律的には非常におかしいことでございますけれども、しかし、就業年限が二年、三年でございますので、四年の大学の設置基準と同じ方向に持っていくということは実際に沿いませんので、実際には短期大学の設置基準というものは、職業教育あるいは実際教育という方向にすでに進んでいるということがこれをごらんになってもおわかりになると思います。
  74. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記をとめ  て。    〔速記中止〕
  75. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を始めて。
  76. 下條康麿

    下條康麿君 私、実は短期大学にも普通の大学にも関係しているのです。それで実情をよく知っているのですが、現在の大学制度に対しては相当何といいますか、批判をしなければならぬ部分があると思います。たとえば、四年制大学におきまして教養科目が二年、専門科目二年になっておりますが、実際専門科目二年ではできないのです。しょうがないから現実の問題としては、教養科目の方へ半年くらいみんなどんな大学でも繰り入れて二年半ぐらいやっているのです。のみならず、一番因ったことは、四年の第一学期は授業できますけれども、二学期以降は就職関係でほとんど授業ができないのです。三学期は大体試験その他のことで追われて正規の授業はないのです。そうしますというと、短期大学の二年と、短期大学教育科目が非常に少いですから、二年と、それから正規の四年制の大学との差が非常に少いのです。そういうふうにして短期大学は、正規の大学に非常に近いものになりますけれども、今申し上げたように、短期大学だけを取り上げてここに改正しようという趣旨が私によくわからないのです。学制全般を通じて非常に問題があるのです。そういう問題の一環として短期大学を御研究になるのはけっこうだけれども、これだけ取り上げてあるのはどうも全体の学制が批判される今日、その当を得てないじゃないかというような感じがするのです。その点について大臣のお考えを伺いたいと思います。
  77. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 学制総体についてはいろいろな御意見はあると思いますが、六三三四の制度を基本として守って参るつもりであります。ただその間に、いかにもいろいろな点で問題がございまして、中教審あたりからも御答申があるわけでありますが、その中でも特に短大のあり方というものに問題があり、一面逆に四年制度の大学までいかないでもよろしいが、もう少し短かい期間にもう少し専門的な高い教育を受けたものを出したいという要求がありまして、そこで専科大学制度の創設と、それに関連をして短期大学というものはそういう方向に移していこうというふうなことが出て参ったわけでございます。総体的にいろいろな問題はあると思いますが、六三三四の制度というものを、やはり問題はあっても基本的に守りながら、漸次その中でのやはり改善をはかっていきみいという考え方であります。
  78. 下條康麿

    下條康麿君 文部省で学制全般に(いて御研究になっているのですか、研究するつもりなんですか、そこのところを。
  79. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 学制全般について問題はございますが、というのは、ただいま下條さんからの御意見のありますように、六三三四の制度全欧についてのいろいろな御意見はあるわけであります。ただし、申しましたように、文部省といたしましては、六三三四の制度というものを基本として守って参るつもりでございますので、これを根本的に見直すような考え方を持っておりません。
  80. 下條康麿

    下條康麿君 今の学制の問題は御意見よくわかりましたが、先ほど中野君の質問に対して大学局長からのお答えによりますというと、短期大学も当今その設置を認める、そのほかに専科大学を設けると非常に複雑になると思うのです。ことに内容が私の想像ではほぼ同じだと思うのです。あまり違わないと思います。違わない大学が、あるいは大学のワクの中にできる、あるいはそのワク外にあって、そうして何といいますか、学制が複雑になるということは、好ましいことではないと思います。短期大学なら短期大学、専科大学なら専科大学、おそらく文部当局の最初のお考えは、専科大学一本にするつもりではなかったかと思うのです。そういうふうに一本にされるならわかるけれども、また複雑な三本立、大学、短期大学、専科大学、複雑な組織体制にすることは好ましくないと思うのですが、その点は大臣のお考えはいかがですか。
  81. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これはまあいろいろ御意見はあると思いますが、先ほど私が申し上げました通り、六三三四の発足いたしました制度の中で、一つにはもう少し短かい期間で昔の専門学校のよさというものをとりながら、なるべく高い教育を得たものを出したい。それで専科大学制度というものをぜひ作りたいということ。それからもう一つは、短期大学の制度というものもどうも中途半端なものだから、そうすれば、現在あるものは当分の間存続いたしますけれども、将来は専大一本に移っていくというつもりで、この専科大学の制度というものを今回提案をいたしておる次第でございます。
  82. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  83. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記をつけて。
  84. 湯山勇

    ○湯山勇君 今、下條委員の御質問に関連するわけですけれども、これは日本教育制度の大きな変革になると思います。ところが、専科大学内容というものは今の御答弁でもはっきりしていないので、一体高等学校課程から通してやる場合に、どういう教育内容でどういうふうにするか。これは監督官庁で定めることになっておりますから、成案はできていなくても腹案はあると思います。ここまでくるのには。そこで、その腹案を資料として出していただかないと、一体どういうものかという内容がわかりませんから、これを至急一つ御提出願いたいと思います。
  85. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 当局は、ただいま要求の資料を早急に出せますか。
  86. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 今の湯山委員の御要求は、五年制の専科大学内容をどうするかということでございましたと思いますが、これは正式には、やはりこの法律ができたあと専門の審議会を作って、そこで確定したいと思っております。しかし、現在私どもの手元でも研究はいたしております。そういう前提で御了解の上でならば、一案をお目にかけるということにお願いしたいと思います。
  87. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでけっこうなんですが、二年、三年の場合にも、今の短大とどう違うかということを比較してみる必要があると思いますから、その方も同じような意味合いにおいてお出し願いたいと思うのですが……。
  88. 相馬助治

    委員長相馬助治君) ただいま湯山委員要求の資料は、文部省においてなるべく早く当委員会に提出を願います。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  89. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記をつけて。  本日は、これをもって散会いたします。    午後二時四十八分散会