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1959-02-12 第31回国会 参議院 文教委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月十二日(木曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————   委員の異動 二月十一日委員近藤鶴代辞任につ き、その補欠として小沢久太郎君を議 長において指名した。 本日委員小沢久太郎辞任につき、そ の補欠として近藤鶴代君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     相馬 助治君    理事            後藤 義隆君            中野 文門君            松永 忠二君            竹下 豐次君    委員            大谷 贇雄君           大野木秀次郎君            川村 松助君            近藤 鶴代君            下條 康麿君            林屋亀次郎君            吉江 勝保君            松澤 靖介君            湯山  勇君   国務大臣    文 部 大 臣 橋本 龍伍君   政府委員    文部政務次官  高見 三郎君    文部大臣官房総    務参事官    齋藤  正君    文部大臣官房会    計参事官    天城  勲君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    文部省大学学術    局長      緒方 信一君    文部省社会教育    局長      福田  繁君    文部省体育局長 清水 康平君    文部省調査局長 北岡 健二君    文部省管理局長 小林 行雄君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (昭和三十四年度文教関係予算に関  する件) ○社会教育法等の一部を改正する法律  案(内閣提出)   —————————————
  2. 相馬助治

    委員長相馬助治君) これより委員会を開会いたします。  まず、昭和三十四年度文教関係予算を議題といたします。  これは、この前の委員会において大臣より御説明のあった分に関しまして、質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
  3. 松永忠二

    松永忠二君 私、質問は他の方が先におやりになるでしょうが、資料についてですが、この前、予算要求した原案数字というものを出していただきたいというふうにお願いをしたわけです。それからまた、すし詰学級解消の五カ年計画積算基礎、それから積算方法等については、これは非常に資料が不備だったように私思うのです。なお、公立文教施設についても、これはその内訳面で、やはり五カ年計画という計画表というものがあると思うのですが、こういうものについては資料が出せないのですか。私は科学技術庁あたり資料では、大蔵省要求した予算原案と、そうして査定になったものと比較されたもののこまかくなったものが冊子になって出てきて、非常に考えている今度の計画、そうしてまた所管の省として必要な経費というものが非常に明確になってきておるわけですが、そういう点は資料として何か出せない理由があるなら、ちょっとお話をお聞きしたいし、また、この前申し上げた資料で非常に不備な点があるわけですが、こういう点はやはりすっかり完成した資料を出していただきたいと思うのです。
  4. 相馬助治

    委員長相馬助治君) ちょっと速記をやめて。    〔速記中止
  5. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を起して。  ただいま松永理事から要求された資料についての御発言がございましたが、この際、会計課長から何か申すことがございますか。
  6. 天城勲

    政府委員天城勲君) ただいまのお話でございましたけれども、あるいはこの前のお話を聞き違えておる点があるかもしれませんけれども、大体御趣旨の点は、この資料について御説明申し上げられる、そういうつもりで作った資料でございますし、全体的な事項別表の当初要求というものは、行政内部交渉段階のもので、数字的にもいろいろな時限によって動いておりますので、資料としてはこの形でお願いしたいと思って出したのでございます。
  7. 松永忠二

    松永忠二君 それじゃこの資料に基いて説明を聞いて、この資料の不備な点については、私は後刻追加して出していただきたいと思うのです。
  8. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 資料については、今、松永理事から要望されたように、質疑その他の段階で必要と認めた場合には、追って再提出を求めることがございまするから、あらかじめ御了解を願っておきます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 湯山勇

    湯山勇君 三十四年度予算につきましてお尋ねいたすのですけれども、その中で特に私は重要な問題が一つあると思いますから、大臣にまずお尋ねいたしたいと思います。  大臣は、前回委員会におきまして、御抱負をお述べになった中で、義務教育の充実ということについては、最も重点的にやって参りたいという御所信を御表明になりましたが、この今回の予算につきましても、そういう点につきましては最大努力がなされているはずだと思いますけれども、念のためにお尋ねいたしたいと思います。
  10. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 前大臣あとを引継ぎまして、その点に最大努力を払っておるつもりでございます。
  11. 湯山勇

    湯山勇君 そこでお尋ねいたしたいのは、すし詰教室解消すし詰め学級解消というのは、昨年、法律ができまして、その法律審議段階におきましては、三十三年度から五カ年ですし詰め教室解消するという御説明が前大臣からありまして、これを私ども了承してあの法律を通したわけでございます。ところが今回お出しになっておる資料を見ますと、そのすし詰め解消の五カ年計画、これが一年ずれまして、三十四年度が第一年度になって、完成年次は、第五年次は昭和三十八年度、一年ずれておりますが、これは昨年のお約束とは一年違っておると私ども思いますけれども、これはどうしてこうなったのか、大臣から伺いたいと思います。
  12. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 昨年は三十三年度からというお話であったようであります。それで今回このすし詰め学級解消につきまして、教員定数の充足の問題と、それから校舎の整備ということをからみ合せまして、私は実はこの三十四年度、ここにもありまするように、四年度を第一年度として五カ年間に解消するというふうに、実はその引き継ぎを受けたのでありますが、その間の私移り変りについて、あまり詳細に存じておりませんので、政府委員の方から答弁をいたさせたいと思います。
  13. 天城勲

    政府委員天城勲君) 今度五カ年計画という、ただいま提出いたしました資料で、三十四年度から三十八年度と、五年度に分れているという点でございますけれども、特に公立文教施設建物の面のすし詰め学級という問題も片方ございまして、両方合せて最終的に五カ年でこれを完成したいということを考えて、それを合せた五カ年という割り振りを一応ここに考えたわけでございまして、三十三年度から五カ年ですし詰め学級を全部解消する、三十三年度を第一年度として五カ年に全部解消するという考え方を、何と申しますか、最初からすべてそういう前提でこの数字考えたわけではないのでございまして、建物と人間、両方合せて五カ年でやろうというのを、三十四年度から正式に案としてきめたと、こういういきさつでございます。
  14. 湯山勇

    湯山勇君 ちっともわけがわからないのは、あの昨年の標準法をきめるときには、建物関係は大丈夫かということは、ずいぶん各委員から念を押されたところです。そういうときに、ぜひそういうふうにして参りたいという大臣の御言明もあって、施設に関する法律も別途できまして、これはしかし、いろいろな関係もございまして、必ずしもその通りいくかどうかは疑問がありましたけどれも、少くとも定数に関する限りは五カ年計画でやっていく、また、中には中学校の方はあと三カ年でやるというようなお話もあったと思います。それがその最重点である義務教育の、しかも教員定数に関する重要な事項が、一年間いつの間にかずれているというのは、今のような事務的な御答弁では私は納得できないので、大臣から一つ責任のある御答弁を伺いたいと思います。
  15. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 実はこの公立文教施設校舎の分についての五年計画は、三十四年度から五カ年間に解消するというので、予算の実は引き継ぎを受けましたのですが、前回定数法時代からのいきさつに関しましては、私も実はその間の経緯をあまり詳細に存じておりませんので、恐縮でございますが、局長をすぐ呼びますから、お待ちを願いたいと思います。
  16. 湯山勇

    湯山勇君 その問題はあとのことも関連をして参りますけれども、大臣のお考え方を伺いたいと思います。実は昨年定数法が成立いたしまして、五月一日にこれが施行になりました。しかし、政府がこれに対する政令の制定をおくらしておりましたために、政令ができないで、五月一日に施行になった法律がそのまま寝かされておりましたが、これは大臣御存じのように、本会議等でも総理にも質問いたしまして、政府の怠慢でまことに申しわけない、早急に政令を出すというお約束をいただいて、六月の二十七日でしたか、政令が出たわけでございます。そこで法律施行になり、関係政令が出ましたので、それ以後において、各府県においては、法律の精神を体して、それぞれすし詰め教室解消の第一年次としての定員増をやって参りました。これについては、文部省もある程度責任を持って御指導になったはずです。ところがその政令実施以後において、どれだけふえたかわかりませんけれども、とにかくふえた人数というものを、一応、今回三十四年度定員をきめる基礎の中に入れなければ、せっかく法律ができ、政令が出たあと増員というものが御破算になって、また下から積み上げる、こういうことになる心配がございます。当然私は三十四年度定員をきめる場合には、三十三年度法律政令実施に伴って増員されたものは計算の中に入れなければならない、こう思いますが、これは行政建前として、大臣のお考えを承わりたいと思います。
  17. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私もそうあるべきものと考えております。
  18. 湯山勇

    湯山勇君 大臣がそれを御肯定になりましたが、実は今回の文部省のと申しますか、予算では、それが全部無視されております。昨年五月一日以降、政令実施以降において、各府県努力においてなされた増員というものは、全部今回は無視して計算されている。これは行政の筋からいって非常に間違っておると思いますが、大臣、今の御言明と合わせてどうお考えでございましょうか。
  19. 相馬助治

    委員長相馬助治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  20. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記つけて。
  21. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 年度がずっと経過している間に、漸次いろいろ充実して参りまするから、私はやはり三十四年度予算計算いたします際におきまして、どこかを押えて、三十四年度予算計算する基礎になりまする三十三年度数字というものをきめる必要があると思いますが、私はやはり三十四年度予算計算いたしまするについては、この七、八月ごろに予算を組んで、大蔵省と相談をいたしまするについて、なるべく早い時点で最近の資料を押えて、現状に近いところの数字土台にするのが当然の建前だと考えております。実際上どの辺の数字を押えてやっておりますか、私存じませんので、政府委員の方からその実情答弁させたいと思います。
  22. 湯山勇

    湯山勇君 大臣のお考えは私も全く同感です。昨年の特殊な事情といたしましては、定数法標準法と申しますか、すし詰め解消法律施行されたのが五月一日になっております。ところがその五月一日には、政令がなかったために、実際はそれまでに腰だめでふやしていた県もありますけれども、実際に法律に基いて定員増が行われたのは六月二十七日以降になっております。そうすると、六月二十七日以降に各府県においてなされた定員増というものは、法律によって政令によってなされたものであって、その定員増になったものを無視するということは私は許されないことだ。これは政府の方針であるし、国会意思であってそういうふうになったものですから、それを無視して、文部省なり政府が三十四年度定員をきめていくということは許されないことだと思いますが、もう一度この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  23. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私は先ほど申し上げましたように、大体概算要求をいたしますものに当っては、各省としては、むしろ前年度当初から骨を折りながら、七月ごろには相当程度に固めて参らなければならないと思います。そういう観点からいきまして、実際、予算積算基礎数字としてどの辺の数字がとれるか。具体的にはいろいろ事情があると思いますが、私はなるべく近いところの数字をとるように努力をすべきものだと考えております。
  24. 湯山勇

    湯山勇君 ところが今回出されておる四千七百六十八人増という教員増の中には・三十三年度において法律に基いて増員されたものは無視されておる。こういうことが政令によって明瞭になって参りました。そうすると、これは政府自身法律をじゅうりんしておるし、それからその法律に忠実にやった各府県実態を無視したものである、こういうことになって、私はきわめて重大な問題である、こう思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
  25. 天城勲

    政府委員天城勲君) 今、湯山委員の御指摘の、前年度実数の上に明年度積み上げるという考え方は、原則としてその考え方でおりますが、前年度実数をどこで押えるかという問題になりますと、われわれ公式の数字というものの根拠をとらなければならないわけでございまして、これは毎年五月  一日に指定統計をやっておりますので、この指定統計数字を、いろいろな場合に基礎的な数字といたす考え方積算をいたしておるわけでございます。あるいは年度末の人員が五月一日の人員と違うという実態を御指摘になっておるのじゃないかと思いますけれども、しかし年度末の人員と申しましても、これは全国的にそれを政府積算根拠とするには、指定統計のような形でこれを確認することができませんから、五月一日の指定統計数字積算根拠とした、こういう考え方でおります。
  26. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 今、内藤初等中等教育局長が見えられました。
  27. 湯山勇

    湯山勇君 大臣、ただいまの参事官答弁でおわかりのように、五月一日というのは指定統計の確かに基礎になっておる日ですから、私もそれはそうだと思います。しかし昨年の場合は、五月一日に法律施行になって、そのときはまだ法律が働いていない。実際に法律が働いたのは六月二十七日の政令が出てからあとになっております。これは動かすべからざる事実です。それによって各県において定員増が行われた。これももうよくおわかりの通りです。ところが、そういう事実があることを政府自身よく知っておりながら、その事実を無視して、機械的に、ただ事務的に五月一日の指定統計による、五月一日というのは、今のように重要なこの画期的な法律のないときから、それをもとにして、その上に積み上げて三十四年度定員を出したということになると、三十三年度においてなされた増員というものは全部無視されておる。五月一日以降、つまり政令法律によって増員されたものが全部無視されておる、こういうことが許されるかどうか。私はこれは事務的にどうこういう問題じゃなくて、政府政治責任の問題だと思いますから、大臣から御答弁願いたい。今のことで実情はおわかりになったと思いますから。
  28. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これはいろいろお考えになり方があると思いますが、予算組み方といたしましては、ふえたのに応じて必要な予算は出す、原則に従って予算は配当いたしまするし、予算組み方の問題としましては多少いろいろ考え方はあるかもしれませんけれども、毎年、指定統計日付で積み上げをやっていくということであれば、私はそういう組み方をいたしましたのは、無視したといったようなことにはならないのじゃないかと実は思っておるのです。
  29. 湯山勇

    湯山勇君 大臣はよくおわかりになっていないから、そういう御答弁になると思います。もう一ぺん詳しく申し上げますから、一つよくお聞き取り願いたい。  五月一日の指定統計によって次年度のをきめるというのは普通の年の場合です。これは私は肯定いたします。その点については問題はありません。しかし三十三年度は特別な場合で、法律によって今のように定員をふやすということが決定されて、そうして五月一日以降に文部省指導、あるいは政令、あるいは法律によって各府県において増員がなされておる。そういう事実を無視して、単に機械的に事務的に指定統計によってやるのだということは、これは国会意思を無視しているし、文部省の今までの公約も無視したやり方だし、そういうことが許されるかどうか、こういうことをお尋ねしているわけです。大臣も言われたように、三十三年度に、そういうふうに各府県が勝手にてんでんばらばらにやったなら、これはまた別ですけれども、そうではなくて、法律が五月一日に施行されて、政令が六月の終りに出て、それによってなされた増員を無視してやるということは、計算に入れないでやるということは、これは許されないではないか、こういうことをお尋ねしているわけですから、これは大臣が当初お答えになったように、当然入れるべきだということであれば、私は指定統計が五月一日であっても、正確な資料を得る方法政府には幾らでもあると思います。あるいはまた予算編成の折衝においても、そういうことが当然なされるべきだと思います。これは考え方はいろいろあるのじゃなくて、考え方一つしかないと思います。大臣とされてはですね。それをお聞きしているわけですから、お尋ねしている点にお答え願いたい。
  30. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私は昨年の実情をよく存じませんが、五月一日というのに対して、まあ割合近い期日でございましたならば、六月二十七日以降実施に移されて、実態を把握して、それの基礎数字をつかむというのは、これはやはりそれから以後相当時日がかかりましょうし、予算の取りまとめの問題としては、まあ五月一日の指定統計基礎としてやったのは、去年の場合はやむを得なかったのではないかと私は存じます。
  31. 湯山勇

    湯山勇君 大臣、それでは大臣最初の御答弁と大へん違って参ります。大臣は、最初考え方としては当然そういう格好で増員されたものは見ていかなくてはならない、これが行政の本筋だという御答弁になって、今またそういうふうに事務当局の、何と申しますか、意見を聞いて御答弁を変えられるというのは私には納得できません。しかも、これが平年度なら私は申さないことです。特に昨年は、そういうふうに何回も私は委員会においても、本会議においてさえも、政令がおくれておるということを申し上げて、総理大臣もまことに済まぬというお詑びをされてあの政令を出したのです。大臣が今もしそういう御答弁で終始されるならば、私は本会議でそういう言明をされた総理の御出席を求めて、政府責任としてこの問題をお聞きしたいと思います。何も五月一日の指定統計によらなくても、各県の定数がどうこれによってふえたかというようなことは、文部省が調べようと思えば幾らでも調べる方法があるはずです。大臣いかがですか。
  32. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私は先ほど原則論として申し上げましたのは、予算積算いたします場合に、どこかでけりをつけて積算をいたして参らなければなりませんけれども、なるべく事態の推移しております間における、やはりとり得る最近のところまで骨を折るのが、原則的には私は至当であろうと考えております。ただ、大体もう各省とも七月になりますると、予算を組んで、省内での会議も相当進んでおるような状態でございままして、私は実は昨年の政令の公布された実態を存じませんでしたが、六月の二十三日から実際的に地方増員が始まったというようなことでありますと、その後、結果についての確認し得る資料というものを取る日付は、さらにおそくなるであろうと思いますし、私はそうおそくまでの数字を改めて取って予算を組むというのは、なかなか大へんであって、私はそれほどまでおくれて参りまするならば、やはり五月一日の統計で組むというのが、私は割合に妥当ではないかと考えております。私が先ほど申し上げましたのは、あくまでも原則的に、予算編成の順序はあまり乱さざる範囲内において、なるべく近い数字をとっていくということは、予算の正確さという意味においては、いいことだと原則としては考えております。
  33. 湯山勇

    湯山勇君 大臣の御答弁がどうも私には納得できないのは、大臣はまだ実態をよく御存じないと思うのです。それは昨年千名ふえましたか、二千名ふえましたか、とにかく政令実施以後において、文部省も各府県において直接当って、指導もいたして、定員増加がなされております。ところが今回のような三十四年度計算では、それらが全部、せっかく積み上げたものがこわされて、また平地から、三十四年度新たな計算ということになっておりますから、そうすると、その間ふえた千名か、二千名か、これはわかりませんけれども、とにかくふえた教員というものが、今回はそれだけ減っておる勘定になるわけです。これが現場子供たちに与える影響教育に与える影響というものは決して小さくありません。ただ、統計をとる時期がどうこうという問題だけではなくて、教員が千名なり二千名なりふえる、減るということに関係を持っておるのでございますから、それが無視されたということになるというと、これは現場教育に重大な影響を与える、こういうことから私は今のようなことをお聞きしておるわけなんですから、ただ事務的な問題で片づけられては困ると思います。これについて大臣にお尋ねをしたい。
  34. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 実は現実にふえました分については、三十四年どの予算上必要な措置はできるわけでありまするし、それからまた、三十四年度はそれを土台にしてさらに先が積み上げて行けるわけであります。私は予算組み方の問題といたしまして、何と申しまするか、三十四年度の当初予算を組む形だけに関係がある問題であって実際上は現実にふえたものを無視するというようなことなしに、十分にそれを尊重して予算措置が行われておると思うのであります。ただ、三十四年度予算を組む形の問題といたしましても、確かに三十三年度中にふえたもので、そうしてわかる限りは三十三年度からふえていたという形になっており、三十四年度には、新たにふえるものというふうな仕分けができるのは望ましいと思いますけれども、しかし、どこかでやはり予算を組む上での整理上のけじめをつけなければならぬということを考えましたならば、私はもう七月以降になりまして、予算が相当進行しております間に、やはり基礎数字を動かすというよりは、それはやはり五月一日が例年の統計でありますれば、それに従って三十四年の予算を組んで行くという方が、私はやはりやむを得ぬのじゃないかを考えておるのでありますが、それによって実体的に増員が無視されたり、あるいは児童に与える影響というようなことは、私はないように思うのでありますが、いかがでありましようかしら。
  35. 湯山勇

    湯山勇君 大臣、それは大へんな間違いです。三十三年度五月一日というのは政令もできていないし、法律施行になったばかりで、実際にはそれによる増員というのが行われていなかったわけです。それ以後において増員が行われた。だからそれ以後行われた増員について国が負担もするし、地方財政で見てくれるような措置がとられたことは、これは確かです。三十三年度に関する限りはそうです。ところが今回の計算は三十三年五月一日にまた逆戻りしております。そうすると、それ以後において、三十三年五月一日以後において、各府県において増加されたものは全然無視されて、また三十三年五月一日の、つまり基礎をあげてないところまで返ったわけですから、それを基準にして、ここに四千七百六十八人増という、こういう数値が出ておるわけです。おわかりでしょうか。そうすると、三十三年の政令によってふやされたものというのが無視されておる。ですから昨年かりに二百名ふやして、それをもとにして行けば、今年二百名ふえれば四百名五月一日以降においてふえるはずのものが、この計算では大体二百強しかふえないということになるわけですから、これが現場に与える影響というのは大きい、こう申し上げておるので、おわかりいただけると思います。この説明で。
  36. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私は三十四年度予算につきましては、これは財政全体の状況を見きわめながらも、五カ年計画実施するつもりで、可能なる限り定員増校舎の増加も見たわけであります。従いまして、ただいま湯山委員からお話のございましたように、統計のとり方の時期によって予算が左右されるというよりは、予算としては精一ぱい、三十四年度予算をほんとうに児童のためを考えて組みまして、ただ何と申しますか、統計数字の面で三十三年度から三十四年度にかけてふえたというものの、何といいますか、説明といったようなものに関係がある問題だと私は思うのでございまして、予算の問題といたしましては、これは三十三年度当初予算と三十四年度当初予算とを比較して、両方とも五月  一日の指定統計基礎にしました場合、三十四年度にふえたことになっているのが、実態的にはよほど年度経過中にふえておる部分があるわけであります。ただ、そのために三十四年度に盛るべき予算が盛られないで済んだということはございませんので、それは配慮をさせながら予算としてはできるだけ組んだと、私はまあそう考えております。
  37. 湯山勇

    湯山勇君 大臣はまだよくわかっていただけていないので、私は別な角度からお尋ねいたします。  大臣、お手元の資料をごらんいただいて、昭和三十四年度において、教職員の増が四千六十八人増となっております。この四千六十八人増というのは、昭和三十三年の五月一日に比較しての増になっております、この資料によればですね。ところが、五月一日以降において何千名か法律によって増になったことは、これは大臣もお認めになると思います。そうすると、実際は四千六十八人増というけれども、法律政令によって、五月一日以降にふやされた千名か二千名というものは、これにまた含まれているわけですから、実際に三十四年度になってふえる数というのは、これから千か二千か引いた数しかふえない、こういうことになることはおわかりだと思います。そうすると、これは実際三十四年度にふえるのじゃなくて、三十四年度にはこれだけふえない、実態はふえないのだということになって参ります。もしあの法律政令を忠実に守ってきたところに対しても、三十四年度これだけふやすということならば、その分がプラスされなければ、実際はこれだけふえない。だから、この予算というものは明らかに法律を無視した予算である、こういうことになるわけです。少くとも三十三年度の五月一日以降にふえたものは、この中に含まれておるわけですから、その分だけはこの中から差し引かれる、こういうことになるので、これは大へんな問題だ、こういうことになるから、結局、一年分足踏みしますから、そこに五カ年計画が一年ズレてくる、こういうことも考えられる、これは私は重大な問題だと思います。おわかりいただいたでしょうか。
  38. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) お話を承わりましたが、私、考えておりますのは、やはりここに書いてございまするのは、両方、毎年度予算積算を五月一日の指定統計に基いて計算したとして、その増の比較はこうなるということは備考に書いてあるわけでございまして、従いまして、正確に申しまするならば、年度末までにふえたものは、前年度予算の中で、清算負担で済んでおりますので、実際三十四年度で新たにふえるものは、これより少くなるということは仰せの通りだと思います。ただ、私はこれは予算組み方の上で、そういう約束予算を組んで、ここで増減を書いたというだけのことでございまして、予算としては精一ぱい取ったわけでありますから、ここの備考の説明の仕方を、実に合ったように書けば、もう少し予算をとるべきであったということには結果は必ずしもならないのでありまして、私はその点は、予算組み方、その組み方に従っての説明の仕方ということでございまして、予算としては国家財政の許す限りにおいて、五カ年計画の趣旨を達成するために、精一ぱいの努力をして組んだ結果がこうなっておるわけであります。
  39. 湯山勇

    湯山勇君 そういう答弁では私は了承できないのです。そこで、これは政府の最も重要施策の一つなんですし、それから昨年、本会議等でも総理言明もあったことですから、一つ大筋としては大蔵大臣総理大臣を呼んでもらって、そこで一ぺん聞きたいと思います。そうでなければ、どうしても私は了承できない、これは明らかに法律無視です。指定統計がどうあるかということは、これは行政上の事務にしかすぎません。しかし法律できめられたことを、法律によって増員されたものを、それを無視してこういう予算を組んで、それで今のような大臣の御答弁だと、それは大臣はおかわりになったすぐですから、おわかりにならないのもごもっともだと思いますけれども、それがあたかも正当だ、そうしてその与える影響なり、それによってどういう支障が起るかということについては全く御理解いただいていないので、これは一つ委員長において、そういう計らいを願いたいと思います。そうでなければ、ちょっとこれ以上質問をしても、大臣から的確な御答弁をいただけないのじゃないかと思う。というのは、大臣ははっきり、最初はそういうふうになってそうなったことならば、当然考えなくちゃならないということを直感的に御判断になって言っておられる、これは本筋です。ところが、こういう数字が出てくるし、事務当局からとかく言われると、今度はその方を弁護する立場に立って、いかにもやむを得ないのだとか、説明の仕方がどうだからどうだとか、そういう小手先の議論になってしまうのですが、そうじゃないのです、これは。そんな技術の問題や説明の問題じゃなくて本質の問題なので、法律をどう忠実に守っていくか、それに忠実にやろうとすれば、方法幾らもあるはずです。それから折衝段階においても、そういうことは大蔵省といえども無視できない、法律できまったことですから。にもかかわらず、それをただ単に指定統計ということだけに縛られて、これでいいのだ、こうしか仕方がないのだということでは、これは政府は、一体すし詰め解消というものはお題目でちっとも実が入っていない、だから五カ年計画がずれたり、こんないいかげんなことが出てくる、こう思います。委員長において一つお計らい願いたいと思います。
  40. 松永忠二

    松永忠二君 今の湯山委員から要求されたことは、私は当然だと思うのです。ただ聞いていても、大臣はこまかい数字のことはよくおわかりでないとしても、話の筋を聞いてみれば、指定統計以後に実は政令によって実施されて増員されたものが、翌年のいわゆるその積算の中に入っていないということを言われているわけなんです。そういう点で私たちの聞いているところでは、実はすし詰め解消で七千名を要求していたというようなことも聞いていたわけです。当初、小学校には五千八百人、中学校には二千、七千人の増を要求していたのが、いつか知らぬ間に四千六十八人になったというようなことも伝えられているわけです。そういうことから、私たちも最初大蔵省に出した予算要求は一体どういうものなのかということをお尋ねしたわけですが、私はやはり今、湯山委員の言われたことは当然であり、湯山委員は本会議で特にこの問題を取り上げて追及をし、しかも岸総理が、これについても早急に実施をすることを約束され、大臣約束されて、その後政令が出されてこれを実施をされたわけです。そういうふうなことから考えてみて、当然これはそういう経過を踏まない限りは、やはりこの問題を明確にしていく責任があるというふうに私たちは考えています。
  41. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 今、湯山委員から、この段階で文部大臣答弁だけでは明瞭でないから、内閣総理大臣そのほかの出席要求したいというお話がございましたが、委員長としてはその手続をとる前に、やはり事態をどこまでも明瞭ならしめるために、出席がちょっとおくれていた初中局長も来ておりますから、一応そういう説明を聞いて、その上で、あらためてお諮りいたしたいと思いまして、この際特に内藤初中局長発言を許します。
  42. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 御承知の通り、国庫負担につきましては、従来から五月一日の指定統計基礎としておったわけであります。ですから、その年度に十月ごろになりますと、五月一日の指定統計の増減は当然あるわけでございます。ただ、御指摘のように、三十四年度の場合には、先ほど湯山委員からお話のように、五月一日以後に政令が出たために、私どもの調査でも千名以上のものがふえたようになっております。この場合に、従来でも五十何万でございますので、毎年千名とか、その程度の増減はあるわけでございます。昨年はすし詰め学級解消に関する法律案はすでに国会に上程になりましたので、私どもは年度当初におきまして、私どもの考え方は十分地方当局にもお話しまして、予算につきまして、大体こういう方向で五カ年計画すし詰め学級解消するし、定数においては、こういう基準で参りたいという点で、実は政令の形は持ちませんでしたけれども、われわれ事務当局の見解は地方には示しておったわけであります。こういう案で三十三年度におきましては、五月一日前におきましても相当の増員がされたわけであります。その後、正式に政令が出ましたのが、先ほどお話通り六月二十三日でございます。それ以後にふえた点もございます。そこで、この場合に基準をどこにとるかという点でございますが、お話のように、できればなるべくおそい方がいいと思うのです。しかしながら、文部省が出した数字大蔵省が認める数字というのは、双方に意見の相違がございます。双方が納得し、確認し合える数字といいますものは、従来から指定統計を使って、指定統計以外の数字については大蔵省としては承認いたしかねる。と申しますのは、大蔵省実態調査をすればよろしいのですけれども、なかなか従来から実態調査をしても明確にならぬもんで、指定統計を基準にするというのが従来の建前で、そこで今お尋ねの四千人の問題が出てきたわけですが、この考え方というのは、私どもは当初からの五カ年計画で進んでおりまして、前年度において五分の一、本年度は四分の一をみると、こういうことでございまして、積算基礎としてこれをきめた、しかし実際は増減がございます。増減が出た場合には、これは翌年度で清算負担をする建前になっておりますから、地方がこれ以上の定数を組んでおりますれば、それは当然に国庫負担の対象にもなりますし、また自治庁の交付税の基準の中にも、暫定定数までにはもちろん自治庁交付税の基準にすると、こういうように言っておりますし、なるべくならば一ぺんに暫定定数まで持っていきたい、しかしながら、地方財政の現状から考えて、一ぺんに持っていくのはなかなか困難な事情もあるだろうから、五分の一ずつ充足していこう、大体一万人程度の定数不足があるわけです。それを毎年五カ年で解消するようにしようというので、この点は自治庁とも大蔵省とも話し合っているわけです。自治庁は少くとも暫定定数までは、もっとも地方が組めば暫定定数までは交付税基準までみると、こう言っておるわけです。ですから、具体的に一つは国の方の清算負担で地方が組まれれば、それだけ必ずみるということが一点。交付税の基準についても、交付税としては地方がみたものは暫定定数までですから、実はこれは一万人を含んだものでございます。そこまでは自治庁は交付水準で交付税の単位費用としてみると、こう言っているのです。当然にみていただける、これが二点。あとは国の方の積算が妥当かどうかというお話しだと思うのです。私どもはできれば湯山委員お話しのように、できるだけおそい時期の時をとる方がいいわけなんです。ただこの点については大蔵省で確認できないもので、やむを得ず五月一日の指定統計をとった、この点は従来から一貫しておりますので、今年の事情というものがあったにしても、それは従来の例と比べて非常に大きな相違ではなかったわけであります。ただ多少の府県においては、数県においては従来よりも増員をいたしました。しかし、すでにある程度は五月一日までに、私どもの趣旨徹底の関係で、五月一日には従来指定統計で十四万、約三分の一あった学級が十二万何がしかに、相当すし詰め学級の方も減っているので、やはり五月一日の指定統計を見ましても、すし詰め学級解消されております。こういう点考えてみましても、この点については非常に無理があるとは私どもは考えていないのでありまして、いわんや法律違反と言われるのですけれども、どういう意味の違反なのか、私どもはその点はちょっと理解いたしかねるのであります。
  43. 湯山勇

    湯山勇君 私は法律違反とは……。法律無視です。無視したということを言っているので、違反という言葉は使ってないつもりです。で今、内藤局長言われたように、大蔵省との間に話しがつかないということがどうも一番大きい原因のようです。だから大蔵大臣を呼んでもらいたい。ことに政令は、これは何も文部省が勝手にやった政令じゃなくて、あくまで政府政令です。内藤さんも言われたように、確かにそれまでに増員した県もあると思います。しかし、あなたの言葉を借りて言えば、正式にふえたのはそれ以後です。つまり政令に基いてふやしたというのはそれ以後で、これは大蔵省といえども無視するということは、私はないと思う。大蔵大臣も本会議で、これはやはりますと、はっきり言っているのですから、それを大蔵省が認める、認めないという議論を事務的にするというのは大蔵省けしからぬ。そこで委員長に、大蔵大臣を呼んでいただきたいというのはそこです。それから幾つかの県で、まあ困る点もできているということもお認めになっているし、あなたのおっしゃることは半分認めたような、半分何か認めないような、まことにこうあいまいな御発言で、あなたのおっしゃることはおっしゃることで、確かに清算負担ですから、それは府県がふやせば国が負担するということについては、これは当然です。しかしその交付税の暫定定数というもののきめ方が問題なので、いいですか、そこまでも、それ以上にならなければ昨年ふやした分が無視される、かなり大きく影響するという県についてどうするかということは、私は文部大臣も真剣に取り組んでもらわなければならない問題だと思う。そこで、もう一つ思いついたのは、総理も呼んでいただくし、大蔵大臣も呼んでいただくし、自治庁長官も呼んでもらって、ここで、そういう県についてはこうするんだという明確な御決定を願わないと、これは私はどこまでも追及しなければならない、こう思います。  委員長、そういうことで一つおはからい願いたい。
  44. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 委員長から政府側に申し上げたいのですが、着任早々の文部大臣としては、やはり突然こういうふうな問題が出て、これに対して妥当な答弁をすることは、やはりなかなか困難だと思うのです。私はそう思うのです。しかし一般原則論としては、湯山委員の質問に答えて、今年度予算要求額というものは、前年度の実績に応じて、それになるべくマッチさせて作るべきことが至当であるという意味の発言が前段にあったわけです。その後、初中局長である内藤君はここへ出席されているわけです。そこで今、湯山君から内閣総理大臣並びに大蔵大臣地方自治庁長官をここに呼べという要求ですが、これは私としても、必要と認めれば委員長理事会に諮って取りきめたいと思っておりますが、この問題は他に予算委員会もあることなので、若干やはり問題もあろうと思うので、でき得るならば湯山委員としても、ここで明瞭に事務当局並びに文部大臣の回答が得られれば、そういう要求は取り消されると思うのです。しかし、今の段階では、湯山君のそういうふうな要求が、当然生まれてくると思うのです。  私から内藤局長に尋ねておきたいのですが、湯山君が指摘されておるのは、五月一日の指定統計によって、それを積算基礎として、本年度のこの予算要求をし、それを本国会提出したということは、平年度ならわかるけれども、本年度は間違いではないか。間違いであるという意味は、法律無視ではないか。その内容は、新しい法律施行によって、昨年度は五月一日号降において重大なる定員の変革があったはずである。その趣旨に沿って、地方自治団体である各府県定員増をしているはずである。言葉を差しはさみますが、私の出身県である栃木県でも、その法律に基いて定員増をしております。県会が条例の改正までやっております。湯山君が指摘していることはそこなのです。こういう意味で、ここに文書として出す場合には、前年度予算額がこれだけであって、昭和三十四年度要求がこれだけであるから、四千六十八人の増ということが、形式的にはこれは出てくるだろうけれども、実体は違うんじゃないが、四千人なんか増していないんじゃないか。むしろその四千人の実体はこれしか増していないんだ、こういうふうな、うちくだいた内容を正直に答弁されれば、こういうふうに問題が輻湊してこないと思う。しかるに、やはり依然として、五月一日の指定統計によってやったことは正しいし、そうするはかなかったという内藤局長答弁なものだから、それを助けて、また逆に大臣としては、そうするほかはなかったと、こうおっしゃっているのではないかというふうに私は思われるのです。委員長がこんなことを発言することはいかがかと思うのですけれども、一つこの点について明瞭になれば、湯山委員要求も、あるいは取り消しになるかと思うので、再度そのことについて、初中局長から責任ある、しかも実態に即した答弁をこの際わずらわしたいと思うのです。
  45. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この五月一日の指定統計の問題でございますけれども、従来から、五月一日をとるか、それ以外の月をとるかについては、これはいろいろ違うと思う。そこで、五十数万ある教員の実績というものは毎年違うのです。私どもは各府県定員によってこの積算基礎にしているのではございません。ですから、現員を基礎にして教員数の算定をいたしておるわけであります。現員になりますと、各府県、毎年毎月異動がございます。ですから、どの月をそれではとるかという問題が一つあるのです。で、年度末になりますと、これがまた減るのです。そうして四月になるとふえる。こういうふうになりますから、月々によっても相当の変化がございます。御指摘のように、この法律施行の以後に千名程度ふえたというのは、おそらく十月一日の何か負担金の調査だと私は思います。ですから、その月によって違う。そして、この千人程度の異動が非常に国庫負担金の運営上問題になる、と申しますのは、これは従来までも大体その程度の増減は常にあったわけなんです。お話しのように、あるいは何万というような増員がある場合には、とてもこれはその年度ではまかない切れないかもしれませんけれども、千名程度の増員ですと、大体従来までもあったわけです。その意味でも五月一日の指定統計をとったわけなんです。そこで、今二つの問題があろうと思う。これによって地方定員が削減されるようなことがあっては、これは非常に大へんだと思う。この場合には、国の方は先ほど申しましたように半額の負担をいたします、政府で。地方交付税の単位費用は、これは暫定定員と申しまして、この政令よりは上の定員です。いわゆる標準の定員のところまでいくわけです。そこまでは定員負担で見ると、こう言っておりますから、便宜五カ年で分けたわけですから、湯山委員お話しのように、府県がこれによって定数が下るというようなことは私はないと思うのです。国の方も暫定定数までフルに見るということになっておりますから、それは私問題なかろうと思う。あとは先ほど申しましたように積算の問題になると思う。積算については三十三年度は、何か法律無視というお話がありましたけれども、三十三年度は早く政令を出して、なるべく教員定数をふやすようにという趣旨は貫れたわけです。それについての財政の裏打ちは、国庫負担金については当然清算負担いたしますし、また、地方交付税の方は八月でございますので、八月の終りにそれを基礎にして交付税の算定をいたしたわけであります。ですから財政の裏打ちは十分してあるので、こういう点で法律無視ということは私どもは理解しがたい。三十四年度積算につきましては、先ほど申しましたように、約一千億の負担金の中の運営として非常に支障があるとは私ども考えていないし、かりに不足が出ますれば、これは過不足については清算負担をする建前になっておるわけであります。
  46. 相馬助治

    委員長相馬助治君) この際私から内藤局長にもう一ぺん尋ねます。先ほどの質疑中、松永君からちょっと含みのある発言があったのです。いわゆる大蔵省との事務折衝段階の問題として。そこで内藤君にお尋ねしますが、義務教育費国庫負担金の給与費負担金の問題に関しては、大蔵省に対して文部当局が当初要求した金額、それを大蔵省がどのように受け取って消化してこのような結論になったか。それらの過程において重大な意見の食い違いはなかったのですか。もっと端的に聞けば、この問題に関しては文部当局の要求通り通った案件ですか、それとも若干問題があった案件ですか。
  47. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この点は、私ども予算要求といたしましては若干の食い違いがございましたけれども、双方折衝の結果、五月一日の指定統計をとることは、これは当初からの要望通りでございます。その他学級数の見積り等については若干の食い違いがありましたけれども、双方折衝いたしました結果、学級数については当初予定した五カ年計画が遂行できるという判定がつきましたので、この点については事務当局の間にいざこざを招いたことはございません。
  48. 湯山勇

    湯山勇君 やはり納得できないのは、文部省だけの場合の負担金のことなら私別に何にも言う気はありません。かりに今出ておる四千が一万になったって喜ぶに当らないことで、零になったからといって別に悲しむ必要はありません。問題はこういう数値が出た過程が問題なので、それが今のように、自治庁なり、あるいは文部省なりから各府県にいく、各府県にいって三十四年度の各府県定数をきめるときに引っかかっておる。現実に引っかかっておる県があります。そういうことを無視して、それを何だ、かだというような今のような局長お話で片づく問題ではないのです。それは、なぜそうなったかというと、事柄は千名くらいのことかもしれませんけれども、とにかく法律によってきめられたことを忠実に実施した県が窮地に立っておる。これが事実なんです。こういうのに対して、こうするのだということを、かりに大臣責任を持って、そういうのについては、大蔵、自治、文部三省で通牒を出して、そういうのについては必ず責任を持って解決するとおっしゃれば私は一応了承します。しかしそうでなくて、今のようにこれで仕方ないのだ、これでいいのだということだと私はどうしても了解できない。そこで大臣から、そういう府県については、大蔵省、自治庁、文部省三省で責任を持って、そういう事態のないように、つまり三十三年度政令実施以後において増員したものが、三十四年度定員をきめるときに無視されて、それによって予定通り増員ができないというような県については、必ず責任を持って政府でやるという御言明が願えれば、私はこれはお互い政治の場ですから、質問は打ち切ってもようございますけれども、そういう御言明がなくて、ただこれがやむを得ないんだ、事務的に仕方ないんだという御答弁が繰り返される限りにおいては、やはり私は政府責任追及をしたいと思うんです。大臣どうでしょうか、そういうお計い願えますか。
  49. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) ただいまお話のことでございますが、繰り返して申しますが、三十三年度に御実施下さったことについての予算措置は、これはもう十分いたすつもりでございます。それからただ、三十三年度増員実施をいたしたいということによって三十四年度増員を重ねて実施したいというのが支障にならぬようにということにつきましては、これは文部省といたしましては、御趣旨に沿うように、これはもうぜひ努力をいたしたいと考えております。で、この法律の趣旨に従って、三十三年度からせっかく地方でお骨折下すったのが、むだにならないような方向には、文部省としてぜひやって参りたいと思います。
  50. 湯山勇

    湯山勇君 ちょっと気になる点がありますから。それは大臣が言われたように、三十三年度増員したのが、こういう計算で無視された、それによって定員減になるということだけ私申し上げているのではなくて、三十四年度に当然定員がこれだけにならなければならないのが、それを無視されたために、これだけにしかならなかったというような場合を含めて申し上げているわけです。それについて、そういうことにならないように文部大臣として責任を持って対処されると言われるのであれば、私は一応その大臣の御措置を待つ意味において、この点に対する質問だけは、きょうは打ち切りにしたいと思うんですが、いかがでしょう。
  51. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これは何分にも地方自治体の関係のことでございまして、自治庁の関係もありますし、自治体自身の財政の問題もございますが、文部省といたしましては、ただいま湯山委員お話にございました方向に努力をいたしたいと思います。
  52. 湯山勇

    湯山勇君 大臣、今のように地方自治体の関係もあることだからというような言い方をするのであれば、こんな法律も要らないし、政令も要りません。地方自治体にまかしておいたのでは教育水準がでこぼこになる、で、おっしゃったように、義務教育の充実は国の責任においてやっていきたい、これがこの法律の趣旨なので、その水準までは、最低水準まではぜひ確保する、これが大臣責任です。政府責任です。ところが、その水準が今のようにちょっと変な格好になっている、それを大臣責任において直していく、責任を持ってこれに対処する、こういうことでなければ、これこそ法律軽視になるわけで、そういう御言明をいただきたいので、今の大臣の御答弁だと、この法律を作った意味がなくなります。こういうことで、もうちょっとはっきり大臣から。
  53. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 文部大臣として、あとう限りそういう方向の努力をいたします。
  54. 湯山勇

    湯山勇君 一応それでは……。
  55. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記をやめて。    〔速記中止
  56. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を始めて。ほかに御質問ございませんか。
  57. 湯山勇

    湯山勇君 その項目については留保いたしまして、次に、僻地手当の定率改訂による増ですけれども、これの積算基礎はどういうところにおかれたのでしょうか。実は僻地の指定の基準については、省令でもってきめるということになっておりまして、省令がまだ出ていないと思います。省令が出ていないで、大体これは腰だめかもしれませんが、大体どういうところを大ざっぱに基準にしてやられたのか、これはせっかく昨年本院において法律を作って、落ちる僻地があるのじゃないかというようなことで相当心配している向きもありますので、その点についてもう少し詳しく御説明願いたいと思います。
  58. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは二十九年度の実績を基準にいたしまして、従来四%のものを八%に引き上げ、最高二五%に引き上げたために、所要経費として一億一千五百万の増をいたしたわけでございます。
  59. 湯山勇

    湯山勇君 この省令はいつごろ出る予定でございますか、そして各省間の話し合いは大体ついておりますか。それからなおもしお示し願えるようであれば、その省令の案のようなものを資料として御配付願えるかどうか、その三点。
  60. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この僻地の省令は非常にむずかしい省令なんでございます。特に私どもも従来の国の国家公務員の基準をそのまま適用いたしますと、約半分の学校が落ちてしまうという実情でございます。そこで、できるだけ僻地教育振興という線に沿ってその基準を引き上げなければなりませんので、たびたび出しては実態を見ておるわけで、それで何べんか試験をして、今している最中でございまして、私どもの方でも検討し、また関係各省とも十分相談をいたさなければならぬと思っておりますが、できるだけ四月一日には出したいと思って、今せっかく検討をしております。大体の方向は、少くとも現在の教職員が大部分が救われるという線でなければ、私どもも納得いかぬと思いますので、そういう線で検討しておりますが、ただ、まだ当委員会提出するような段階にはなっておりません。
  61. 湯山勇

    湯山勇君 これは一つお願いですけれども、できるだけ早く、しかも教育の僻地というのは、いわゆる一般の公務員の僻地とは性格が違うことは十分御存じ通りですから、できれば、私は四月から各府県において予算化できるくらいのおつもりで進めていただいた方がいいと思います。そうでないと、やはり五月一日の指定統計に引っかかるようなことになると思いますので、一つなるべく急いでいただきたいと思います。  それからもう一つ、教材費です。これは私は何べんも何べんも教材費については要求もするし、大臣もまたお約束いただいたことがあるのですが、この新単価というのは、これは一人平均でしょうか、または三百人の基準学校についての価格でしょうか。
  62. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは基準単価でございまして、平均単価ではございませんです。
  63. 湯山勇

    湯山勇君 平均単価はどれだけになりますか。
  64. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) ことしの実情は、小学校では百円のところが六十六円四十五銭、中学校行五十円のところが百十七円六十銭と、こういうことになっております。
  65. 湯山勇

    湯山勇君 こういうふうにこの実際は、この予算要求で見ると小学校の教材費が、三十四年度では二百三十円のように見えておりますけれども、実際はその六割程度、百五、六十円程度にしかならないと思います。今の実績から見まして、六割程度と見て。こういうふうな非常にわかりにくい使い方をしないで、もうこれを見ればぱっと計算できるように、児童、生徒の増減によって、全体がですね、国の予算としてはお願いをして、できるだけ一つその平均単位でいくようにしようということを、これは松永文部大臣も言われたし、灘尾文部大臣もそういうふうなことを言っておられたので、もうぼつぼつそういうふうに変えていただいていいのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか、どうして変えられないのですか。
  66. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この建前は標準規模のところに合わしておりますので、大規模学校が多いところ、特に都会地におきましては少くなるわけであります。逆に僻地においては、この単価より上っていくわけであります。それから盲学校やろう学校にいたしましても、千円のところが千二百十六円、そういう高い場合もあるわけであります。そこで、積算基礎としてお話のように平均単価をとるか、あるいは標準単価をとるか、これは技術的な問題だと私は思う。どちらでなければならないというほどのことじゃないのでしょうか。
  67. 湯山勇

    湯山勇君 局長がそういうことを言われるのははなはだ心外で、国としてはそういうふうなことじゃなくて、一目瞭然と平均単価で出しておく方が、生徒の増減などとぱっと合せてわかりやすいし、それからこれだと、たとえば今年度の場合百円といいながら、実際は平均六十六円にしかなっていないというようなことがあって、何か不明朗なような感じを与えることもあるから、平均単価にしてもらいたいという要求をして、大臣もそれはそうだ、できるだけそうしようと約束したのはもう二年も前の話です。それがちっともいれられていないというのはどうもおかしいので、どっちでもいいなら、平均単価にしてもらいたいと申し上げておるわけです。大臣どうでしょうか、これはわかりにくいですから、今のように、実際こうなっておっても、平均はこの六割くらいにしかなっていないのですから。
  68. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これはお説を伺っておりますと、ごもっともなようであります。私、実は組み方をよく存じませんので、十分御趣旨を尊重して検討してみたいと思います。
  69. 湯山勇

    湯山勇君 もうお昼も近いようですから、午前中もう一つお尋ねいたします。それは今度お始めになった修学旅行の補助ですけれども、これは趣旨としては非常にけっこうだと思います。で、この中に準要保護と要保護と両方が含まれておるようですが、この準要保護と要保護と両方含まれているのは、これと医療費の補助、この二つになっておると思います。この要保護児童の医療費の補助というのは、これは生活保護でできるのじゃありませんか。
  70. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 内藤局長答弁の前にちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  71. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を起して。
  72. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 医療費は一般の医療費は生活保護で見られますけれども、いわゆる学校病と言われておるような虫歯とか、トラホームとか、こういうものが入りがたいのであります。それで別にしたのであります。実際に回らないので、もう結核その他の病気で予算が回りかねるので、今一番困っておりますのは虫歯、トラホーム、そういう性質の病気でございますので、特別に見ることにいたしたわけでございます。
  73. 湯山勇

    湯山勇君 今の点ですね、まあ回りにくいという表現は、ちょっと私どういう意味なのか、わかりにくいのですけれども、見られないことはないはずです。
  74. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) お説のように現在見ておることになっておるのです。ところが、現実には学校では虫歯、トラホーム等がたくさんあって、そのために学童が欠席しておるのが非常に多いのです。これを改善するためには、特別にそういう措置を講じませんと、趣旨が徹底しないということになるのです。
  75. 湯山勇

    湯山勇君 準要保護については、おっしゃることはよくわかるのです。それはもう当然やってやらなければいかぬと思います。しかし要保護まで、こういうふうにはっきり別な法律で救済できるものを——これは法律によらないと思いますけれども、この場合は。法律によらないで、こっちに取り上げて、果してこれで両者の適正な運営ができるのかどうか。
  76. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは学校保健法に基いてやっておるわけなんでございます。特別法でやっているわけです。
  77. 湯山勇

    湯山勇君 その方はわかりますけれども、それは違うのです。要保護児童に対するものは別です。だから、その辺ですね、もう少し研究願わないと、かえってこういうことにしたために困る事態が起ると思います。いろいろな点で。そういう点は厚生省とよく打ち合せされておるのでしょうか。
  78. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 厚生省とも十分打ち合せしておるわけですが、厚生省のは、やはり生活保護という点に重点が置かれておりますので、特殊な場合の就学、私どもはあくまでも就学奨励の立場から、厚生省の方で見ておる分で不十分な点、そういうものがあれば、それは拾っていかなければならぬと、こういう趣旨から実は医療費も見たわけでございます。
  79. 湯山勇

    湯山勇君 その分が要保護で、要保護というのは、いわゆる生活保護の分を指しておるわけじゃないのですか。私はこの文章から見て、要保護というのは、厚生省の生活保護対象になっている子供という解釈をしたわけです。準要保護はそれに入らないではみ出しておるもので、それに準ずるもの、これは当然ですけれども、生活保護の対象になっているものをあらためてここで取り上げるというのだと、今言ったような問題があると、こういうことを申し上げておるので、厚生省できめておる生活保護対象と別だとおっしゃるなら、これはまた問題は別です。
  80. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは対象は大体同じでございます。生活保護の対象は厚生省が見ておる分と、こちらが見ておる分と同じで、ただ範囲をどの程度に見るかということが問題になると思います。ですから、厚生省の方で当然この医療費まで見ているはずなんです。ところが現実には学校病が多くて、虫歯、トラホーム、あるいは十二指腸、かいせん、こういうような学校病には治療が回っていない。そこで、学校保健法という特別の法律によって特別の補助をして、学校病の一掃をはかっていく、こういう趣旨でございますので、この生活保護に規定する教育扶助と私どもは何ら抵触するものではないと思っております。
  81. 湯山勇

    湯山勇君 思っているだけでなく、実際運営は町村、末端ですから、そこで混乱が起らないようなことと、これによって生活保護のワクが小さくなるというようなことのないような配慮がなされなければならぬと思います。これはなお御研究願いたいと思います。問題があると思いますから。それから修学旅行の補助は、これは非常にけっこうだと思うのですが、これはどうしてこういう金額が出てきたのでしょうか。これで十分できる、要保護児童なり、準要保護児童が、これだけもらえば修学旅行に参加できると、こういう御判断でしょうか。かえって、もらっても行けないというようなものができるのじゃないかと思うので、お尋ねしたいと思うのです。
  82. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは実績を基礎にいたしましたので、小学校の場合は四百四十円です。それから中学校の場合が千六百二十円。その計算は、小づかい等は入っておりません。ですから宿泊と旅費が対象になっております。過去の実績によって、私どもはこれが標準である、そこで平均をとったわけでございます。いま一つは、小学校は最高学年の六年、中学校の最高学年の三年、これに範囲をしぼったわけであります。そこで二分の一補助にいたしまして八千七百万円という補助を計上したわけであります。
  83. 湯山勇

    湯山勇君 ちょっと積算基礎を伺いたいのですが、宿泊料が幾ら、車馬賃が幾ら、これじゃちょっと足らぬと思うのですが、どうなのですか。将来ふやす見込みはございませんか。
  84. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは財政負担の実態調査からとりましたので、つっ込みで報告が来ております。その内訳はございませんですが、これで本年実施いたしまして、不足額が出るということがございますれば、今後増額に努力いたしたいと考えます。
  85. 相馬助治

    委員長相馬助治君) ただいま昭和三十四年度文教関係予算を議題としてその質疑中でございますが、各位も御了解の通りに、まだその緒についただけで終っておりません。従ってこの質疑は、適当な次の委員会に継続することにして、本日の午前は終りとし、この間の話によれば、午後は社会教育法等の一部を改正する法律案を一応議題に供することになっておるのですが、午後の議題はどういうふうにいたしましょうか、すなわち文教関係予算をこのまま議題にして質疑を続行するか、それともまた社会教育法等の一部を改正する法律案を議題に供するか、いかがいたしたらよろしゅうございますか、  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  86. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を始めて。  それでは午後一時十五分より再開いたします。再開劈頭、社会教育法等の一部を改正する法律案を議題に供します。  休憩いたします。    午後零時十五分休憩    —————・—————    午後一時三十三分開会
  87. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 午前に引き続き委員会を再開いたします。  社会教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
  88. 松永忠二

    松永忠二君 社会教育法の一部改正について再度、昨年の末に提案をされてからその後各方面の団体からさまざまな意見が寄せられてきておるわけでありまして、私たちにもいろいろ働きかけもあったわけでありますが、この社会教育法を提案するに当って、これらの社会教育関係団体の意向というもの、あるいは意見というものをどういう方向でこれを尋ねられて、そうしてこの法案の改正をお考えになられたのか、そういう努力あるいは経過を、これは局長の方からでけっこうですからお話をいただきたいと思うのです。
  89. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 御承知のように、この社会教育法等の一部改正法律案につきましては、臨時国会に提案いたしてお願いを申し上げたわけでございますが、私どもとしましては、この社会教育法の関係の改正のこの法律の内容に盛り込まれておりますものは、従来社会教育関係者のいろいろ現場の声がかなり強かった問題がすべて入っております。従って私どもとしましては、そういったかねてからの要望に従ってこの改正案を作成したというようなつもりでございます。従って、この案を提案いたします際には、各一々の団体について事こまかく御意見を伺ったわけでありませんけれども、社会教育審議会にもこの案について意見を求め、その結果これについて社会教育審議会でも内容は適当なものであるというような御答申をいただいておるのであります。従って、そういった意味で私どもは御提案を申し上げて御審議をお願いしているわけでございます。
  90. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、実はむしろ私たちから言うと、社会教育の仕事を実践せられているようないろいろな団体があるわけでありますが、そういう方々がこの社会教育法の改正という問題について、社会教育の諸団体の自主性をそこなうような内容を含んでいるというような意味で、相当強い反対の声もあるわけでありますけれども、そういう方々の反対の声というようなものに対しては、一体どういうふうに考えておられるか、この点をあわせて一つ大臣の方からもお聞きをしたいと思うわけであります。
  91. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 賛否の問題は非常に大事でありますので、私も実は先般来どういう事情かをできるだけ考慮して調べておる次第でございますが、ただいま局長の申しましたような経過でありまして、その後も文部省といたしまして賛否の御意見はできるだけ気をつけて耳を傾けておる次第でございます。今日まで、ただいま私の手元で調べましたところでは、一々私申しませんが、知事会でありますとか、公民館連絡協議会でありますとか、あるいはそのほかいろいろな諸団体で賛成の意見書や、むしろ絶対やってくれという要望書を出しておりまするし、また別な御反対の御意見のある団体も出ておるわけでございます。こういったようなところから出ました御意見につきましては、賛否両論ともわれわれ内容を拝見しておるつもりでございますが、まあ総じて見まして、私の感じましたところでは、何と申しますか内容がいけないということよりも、むしろやはり運営の面で悪いところでもありはせぬかという御心配が御反対の意見の基礎であるようでございまして、この点につきましては、これはもうこうして社会教育として真のあるべき姿の方へわれわれはやるつもりでございますし、終始運営の面についても御意見を承わって参るつもりでございまして、法案自体については、大体こういう方向でよろしいのじゃないかと考えておる次第でございます。  なお、このほかあるいは御反対の団体等への応対等につきましては、政府委員で補足して報告を申し上げることがあれば申し上げさせることにいたします。
  92. 福田繁

    政府委員(福田繁君) ただいまの御質問につきまして補足いたしますと、私どもこの法案を提案いたしましてから、一部の方々の御反対のあることを十分承知いたしております。また、そういう御反対の方々の御意見も十分拝聴したいと思っておるのであります。従来からそういう方々の御反対のある方にいろいろの場でお会いしたことがございます。しかしながら、この御反対なさっていらっしゃる方々の一部の方あるいは学者の一部の方の御意見は、御承知のように大体一致して同じような点をさしておられるようでありまして、その反対に関しましては、私どもいろいろ申し上げたのでありますけれども、これはどうも何と申しますか、見解の相違と申しますか、どうも一致点が見出せないようでございます。従って、遺憾ながらそういう方々の御反対は現に続いておるわけでありまして、私どもしかしながら、そういった御反対の趣旨は十分よくわかっておりますので、将来そういったことのないように十分戒心をして行政運営していきたい、こういうような考え方で進んでおるわけでございます。
  93. 松永忠二

    松永忠二君 私たちもこれに意見を持ち、特にいろいろ心配されておる方たちの御意見をよく聞いておるわけですが、これはやはり、ためにする反対というようなことを私たちは考えることはできません。で、やはりそういう反対の方々も、今までやってきた社会教育の団体の自主性を守っていきたいという意味で反対をされているというふうに私たちは考えているわけです。その中でも特にその方々が反対され、そしてなおかつ私たちが十分聞くべき非常に価値のある考えというものが、一体、社会教育というものを振興させるのに、この今考えているような改正の方向で第十三条の補助金のワクを取っ払うというようなやり方をするということが果して妥当なのかどうか。それよりも現実に社会教育を充実したいということについては、もうその人たちの熱望されるところであるので、長い社会教育の仕事に従事されてきているそれらの方々は、その社会教育を振興させる意味から、自分たちの長い経験から考えて、やはりそのためにはむしろ今ある社会教育のいろいろな機関というものあるいはその施設というものに対して十分な助成をし、また国としての果すべき責任を果していくべきではないか。特に公民館等の問題等については、現実にいろいろ幾多の欠陥があるので、こういうふうな問題についてもう少しむしろ積極的な立法を考え、その方面の充実をはかっていくべきではないか。しかも現状は、非常にそういう方面の予算の乏しい中で、一体、補助金のワクを取り払うということが果して社会教育の充実のために役立つかどうかという点について強い批判を持たれているようにわれわれは聞いておるわけであります。この点については、私たちごもっともなことだというふうに考えるのでありますが、大臣はそういう点についてどういうふうに基本的にお考えになるのですか。
  94. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私は今日までの社会教育法にいたしましても、なお元の法律のままでこれ以上の運用の仕方がないというふうに、百二十パーセント活用されてきたというふうにも考えませんけれども、しかし、現在のところの法律でなお不十分であると考えられた点が今度の改正の点でございまして、これはやはり組織の強化、人の充実、また予算の確立といったような面でございまして、これはそれぞれにやはり現在の社会教育法よりはこの改正措置をやりまして、組織と人とあるいは予算の面において充実をいたしまする点が、これは社会教育としては一そう望ましいと考えておる次第でございます。なお、重ねて申し上げまするが、御反対の面の中で出ておりまする、そのこと自体はいいのだけれども、運営で悪くなるといかんのだということについては、これはかまえてそういうことのないように御叱正も受けたいと思いますし、心して運営いたして参りたいと考えておる次第でございます。
  95. 松永忠二

    松永忠二君 これは今後討議を進めておる間に具体的に明らかになると思うわけでありますが、ただその運営というものが、運営というものが非常に心配になるというだけのことで私はないと思うのであります。現実に、先に申しましたように、金を使うならば使うべき場所があるではないか。たとえば公民館の予算の充実をはかるべきではないか。しかも公民館には公民館審議会というような機関があって、公正にその予算が使われていくということも保証されているのであって、現実に公民館の予算も非常に薄弱であり、また充実されていない現状では、そこに重点を置いていくべきではないかということで、考え方としては私は大きなそこに開きがあると思うわけであります。それからまた法律の内容の問題にいたしましても、文部大臣が社会教育主事を養成するというようなことについては、これはやはり従前通り大学において文部大臣の委嘱を受けてこれを養成するということが社会教育主事の教育専門職という形からいって当然とらるべき措置ではないかということであって、これは別に運用ということでは私はないと思うわけであります。やはり相当考え方の上に基本的に違いがある点があるので、しかもなおかつ共通している問題は、私は今の社会教育では不満だ、社会教育関係予算的の面でも不満であるし、なお充実をすべきであるという点についてはこれは共通しているわけなんです。そういう点は、つまり私たちとしてはやはり反対の人の意見に十分耳を傾くべき価値があるというのは、そういう意味から非常に慎重な配意のもとに反対の運動も行われている事実を考えてみたときに、これをためにするいわゆる反対の運動であるとか、単に杞憂を心配されるだけだというような考え方では、私はやはりこの反対の方々の意思というものが十分に正しく理解をされていないというふうに思うわけであります。非常に今の社会教育そのものの充実をこいねがっている人たちであるのにという点において、全く共通の場を持ちながら、なおかつそのやり方として方向が違う、考え方は違っていくべきではないか、こういう意見なのであって、今後一つそういう点については審議を通してやはり大臣にもお考えをいただき、また局長にもお考えをいただいて、とるべきものがあり、また直すべきものがあり、また考慮すべきものがあるということであれば、十分に一つそれらの人たちの意見を取り入れていくという大きな配意を私は考えていくべきではないかというふうに考えるわけでありますが、この点については大臣はどうでありますか。
  96. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) いろいろな御意見はこれまでもできるだけ心して、気をつけて伺いもし、書類も見たつもりでありますが、今後も十分承わって考えて参りたいと思います。
  97. 松永忠二

    松永忠二君 そこで、私は具体的にお伺いをするのでありますが、この法律が通れば当然通った場合を予想して予算化された内容というものをお持ちであるし、現にまた予算案として出ておると思うわけでありますが、この点について、この法律が通ったためにこれらの新しい予算要求がされ、そうしてまた、こういうふうな予算化がなされているという具体的なものを局長の方からお示し願いたいと思うわけです。
  98. 福田繁

    政府委員(福田繁君) この前の臨時国会の際に、そういう御質問につきましては、年度の途中でもあるし、具体的団体等について特に処置を考えてないというように申し上げたことを記憶いたしております。しかしながら、この十三条を削ったから直ちに全面的にいろいろな団体に補助金が出されるということではないことは、これはもう一貫して申し上げたつもりでございます。ただ、来年度いろいろな団体の事業がございまして、ある程度これは国の助成ののっぴきならないような必要性を持っている事業でございますので、一応考えられるものとして予算上組んでおりますので、社会教育関係のものとしては、たとえばボーイ・スカウトの日本大会に——これはことし滋賀県でございますが、ボーイ・スカウトの日本大会に開催費の補助として経費を見るとか、あるいはまた青少年の指導者の海外派遣の場合、これは従来から継続した経費でございますが、海外派遣の場合に、そういった海外渡航費を援助すると、そういった経費、あるいはまた、この四月から大阪におきまして、大阪の国際芸術祭というものが昨年と同じような形で行われます。その国際芸術祭の補助、こういったものが考えられております。このほかに私の直接所管いたしておりません補助といたしましては、第八回オリンピック冬季大会に備えましてその参加費の補助、あるいはまた国際庭球試合の参加費の補助、あるいはまた国際学生スポーツ週間の参加費の補助、あるいはまた東京オリンピック準備委員会の補助、それから全国のレクリエーション大会に備えまして、その大会の事業費の補助、それから日独スポーツ青少年交歓行事の補助、あるいはまたスポーツ・レクリエーション国際行事の補助、あるいはまた従来から継続しておりますところの第八回全国青年大会の開催の場合の援助、こういう体育、レクリエーション関係の補助金的なものが相当含まれております。額にいたしまして、体育関係において約二千四百万ばかりになりますが、私の所管いたしております社会教育関係で千六百万ぐらいの金額になるかと思いますが、そういうものが一応予定されておるのでありまして、このいずれもがそれぞれ団体の事業を遂行する上に国の助成を、あるいは自主的な援助を必要とするものである。こういうふうに考えておるわけであります。
  99. 松永忠二

    松永忠二君 今御説明の中にありました補助については、私はこの法律関係なく、従前出ている金額だというふうに思うのです。昭和三十一年の決算あるいは昭和三十二年の決算書を見ても、それらの補助については、今までも、いわゆる法律が通過しないでも、現実にこれは予算化されて、予算が執行されているというものが全部だと私は思う。新たに、これが通らなければどうしてもこれは出せないというものがあるのかないのか、それはどれなのか、それを私はお尋ねしたいのです。
  100. 福田繁

    政府委員(福田繁君) ただいま私が申し上げました各項目の中で、御質問のように従来から継続されて自主的な援助の経費として使われているものもございます。たとえばレクリエーション大会の開催費の援助とかあるいはまたオリンピック冬季大会の参加費の援助というようなものもございますし、また青少年の指導者の海外派遣の場合の援助というものも、これは従来から、先ほども御説明いたしましたように、継続いたしております。しかしながら、こういった経費も、この法律が成立いたしました暁においては、これはやはり団体的な補助金としてこれを経理するのが適当であるというように私どもは考えております。従って、今お尋ねのように純粋に、純粋と申しますか、この法律の十三条と関係して、この補助金としてでなければ出せないというようなものがあるかというようなお尋ねでございますが、これは一つは経理上の問題にもなってくると思いますが、今申し上げました体育関係のようないろいろな援助の資金は、補助金として出すことが適当でありますけれども、従来出しておったような、たとえば個人に援助するというような形でも経費を出せないことはないというように考えております。それから、海外の派遣費等につきましても同様でございます。
  101. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、あなたの御答弁によると、要するに、今出している今度新たな予算の中にも、実はこの法律が通過しなければ出せないというものがないということだと私は思う。もしそうでないとすれば、従前はこういう解釈だから出せなかったが、これが通ればこういう解釈だから出せるということがありましたら一つお伺いをしたい。そういう点にしぼって一つ御返事をいただきたいと思います。
  102. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これは多少疑問がございますけれども、先ほど申しました国際芸術祭の運営費の補助等につきましては、これは補助金として一応計上いたしておりますので、この十三条の削除ができなければこれはむずかしいのではないかと考えております。
  103. 松永忠二

    松永忠二君 そういうことになりますと、従前芸術祭等の援助をやっていると私は思うのです。これは、特にこれが通らなければその芸術祭には全然出せないというものでは私はないと思う。ただ、出し方が法的に妥当であるか妥当でないかというような議論にはなると思うわけでありますが、結局、法制局からいろいろ出てきている解釈に基いて、これはどうしても出せないというようなものは、結局私は現実にはないというように解釈していいのじゃないかと思うのですが、従前出していた項目を今考えておられるのであって、特にこの条項に、こういう解釈から、芸術祭なら芸術祭の補助金は出せなかったが、これはこういうふうにして出せるということであるならば、御説明をいただきたいと思うのです。
  104. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 誤解のないように申し上げておきたいと思いますが、従来芸術祭の運営費の補助というような補助金を芸術祭で出したことはございません。大阪国際芸術祭の運営費の補助を出そうというのは、今回が初めてでございます。従って、これは補助金として組んでおりますので、これは私は困難だと考えております。
  105. 松永忠二

    松永忠二君 これは、各地で現在の法律なんかでやられているように、たとえば青年大会について補助金を出していたこととどこが違うのですか。やはり共催というか、自分の主催としてそれを行い、それを補助の形で出していくということとは、従前青年大会等にも行われたことであるので、特に芸術祭へ出すということが全然今の法律で不可能だというふうには私は考えておりませんが、どういう御説明でしょうか。
  106. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 従来の芸術祭は、これは文部省自体の仕事でございまして、その経費は文部省の経費に計上しております。従って、その事業は、文部省自体が進めていくというような予算組み方にいたしておりますので、これは補助金ではございません。また、青年大会の経費でございますが、これは年々青年大会を開催いたします際に、文部省と日本青年団協議会と東京都と、この三者共催という形をとりまして、文部省文部省の共催するその共催分を負担するということで共催費を出している。従って、これは補助金ではございませんが、しかしながら、これはやはり何と申しますか、十三条で団体補助ができないのでこういう形を当初からとってきたものだと考えております。
  107. 松永忠二

    松永忠二君 私が申し上げているのは、決算の明細書には、全国青年大会補助金という、決算で明確に出ていると思う、明細にですね。やはり三者共催の形で補助金として出しておられるし、芸術祭にしてもやはり私は現行の法律の中では、これを共催にするなり、あるいは補助にするなりということは、従前と変らずに実行できるものだというふうに私たちは考えるわけです。今問題になっている芸術祭へ補助金を出すというのは、幾らを計上されておられますか。
  108. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 大阪国際芸術祭の補助は一千万円を計上しております。
  109. 松永忠二

    松永忠二君 それはあれですか、予算の項目でいうと、社会教育特別助成の中へ盛られておるのでありますか、それはどこに入っておるのでありますか。
  110. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これは特別助成の中でなくて、特別の項目になっております。
  111. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、今話の出てきた芸術祭補助というのが一千万円そこに計上されておるわけでありますが、これもさっき話が出たように、私たちは現在の法律下においてもこれを計上することができないということはなかろうと思うわけです。ただ、その出し方が非常に楽になるとかいうことにはなると思うわけです。そこで、ここに予算化しているものの中で、地域青年活動の補助金千九百五十一万という金、これは一体どういうふうな内容をもって、どういうふうに使っていかれるというようなお考えでおられるのでありますか。
  112. 福田繁

    政府委員(福田繁君) ただいまの地域青年活動の振興に関する経費でございますが、これは二千万となっておりませんでしたか……、失礼いたしました、節約分をかけておりますので、節約分をかけて千九百五十一万五千円という金額になっておりますが、これは趣旨といたしましては、その地域の青年団の活動をいろいろ助成するという意味合いにおきまして、特に最近地方では青年活動の一つの目標として、いわゆる他県に出向きましていろいろ見学をしたりあるいは調査をしたり、そうして郷里に帰っていろいろまた青年が勉強する、こういうようなことが行われております。そういった意味で、国内研修と申しますか、他県、他地域に参りまして見学をするような場合にこれを援助しようというような経費として地域青年活動の振興費として予算に初めて計上されたものでございます。これは私どもの一応の計画といたしましては、都道府県あるいは市にこれを補助金として流しまして、そうして大体その地域内の青年活動のそういった趣旨の事業にこれを使ってもらう、こういうような考え方計画を進めておるわけでございます。
  113. 松永忠二

    松永忠二君 これは予算書を見ても、これは新しい項として新規の予算要求をされておるわけです。そうすると、今お話のように、地域の青年団活動を助成するという意味で都道府県にこれを分けて、そうしてそれをどういうふうに一体助成をしていくのでありますか、もう少しそこの辺を具体的にお話を願いたい。
  114. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これは青年が他県に出かけていっていろいろ見学実習等を、いわゆる研修をやる場合も含まれますが、自分の県内におきましてやはりそういったことをやる場合も含まれるように計画いたしておりますが、そういった具体的な事業の計画については、各市町村なりそういった地域の青年あるいはその関係者が具体的に計画をやりまして、それを市町村当局といろいろ相談をしてきめるというような格好になろうかと思いますが、そういった際に、この都道府県あるいは市町村等がこれに要する旅費あるいは滞在費等の経費を一部負担をできるようにする、こういうのが趣旨でございます。
  115. 松永忠二

    松永忠二君 大へんけっこうなことでしようが、この千九百五十一万という金は、これはその十三条と関係なしに支出をされるものだと思うわけです。それはいかがですか。
  116. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これは十三条とは、この予算組み方としては関係なく組んでおります。従って、十三条のあるなしにかかわらず、今申し上げたような方針で実施できるようにいたしております。
  117. 松永忠二

    松永忠二君 大臣に少しお考えをお聞きしたいのでありますが、今お話をお聞きのように、地域青年活動補助金というのが千九百五十一万、まあ額で言うと約二千万と言われた費用が計上されておるわけです。これについては今お話のありましたように十三条の社会教育法の補助金の項目を削る削らないにかかわらずこれは実施できるわけです。で、新たにこれだけの金額を盛られて十分に活用できるわけなんであります。それから、先ほど質問申し上げました芸術祭の補助金のものに対しましては、これは局長からお話のありましたように、特にこれを出すことについて非常に合理性を特たせるという意味ではそれはできる、そういう意味では十三条を取るということはいいでありましようけれども、決して出さないという状態のものではない、ほかの費目のように。そうなって参りますと、私たちが考えているところは、同じたとえば青少年の青年活動を補助していくということにおいても、こういうふうに具体的にできるんじゃないか。何も十三条を取って、取らなければ一体こういうものが全部できていかないという言い方ではないと思うわけなんであって、非常に危惧を抱き、また問題になるその項目をいじらなくても、現実に社会教育の費用として二千万円に上るものが新たに計上されて、企画をされ、運営をされていくということを考えてみたときに、やはりこういうことをやっていくと、どうしてもやはり十三条は削っていかなきゃできないもので、それでなきゃ社会教育というものは進んでいかぬではないかというような考え方については、やはり一考を要するのではないかというふうに私たちは考えるのですが、いかがですか。
  118. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) お説でございますが、私ども考えて参りますのに、今日まで十三条がありまするので、この法律についていろいろ解釈をつけながら、やはり出せるだけは出すという意味で出しておったと思いまするので、やはり憲法上の制限以外に特に制限をしなければならない特別な理由というものは私はあまりないように思いますので、むしろ逆に考えますと、今仰せられる通り、この十三条の解釈をできるだけ広くしてやれば相当のところまでやれるのじゃないかという御意見はあると思います。まあ特に憲法上の制限以外にまた制限しなくちゃならぬという理由も乏しいように思いますので、これを除いて、もっと憲法上の制限以外の点については楽に出せるようにしようという方がよりいいものと考えておるのでございます。
  119. 松永忠二

    松永忠二君 それは、大臣がその十三条ができたことについて、なぜ十三条を特に社会教育法の中に設けたのか。十二条に不当に干渉すべきでないということが入れられているにかかわらず、十三条を起して補助金問題を拘束をしているという点は、単に憲法違反——憲法の問題もあるけれども、社会教育そのものの推進の上に必要だから、私は、そういうように出てきているわけなんです。これはそういうような意味も持っておって、重要な十三条を実は入れたということは、ただ軽い意味で十三条が書かれてあったわけじゃない。十三条は、つまり社会教育関係団体に対する不当な支配というものが直接的にこれを通して行われるということが最も考えられるので、十三条を起してそこに規定をされているわけなんです。そこで、現状ではそういうことを十分に考えて、その法の中で解釈できる範囲で法の精神を生かして、つまり具体的に仕事を進めておるわけなんです。従って、今話の出てきたように、そういう項目に触れないで、しかもなおかつ正規に社会教育を振興するために、新たに地域青年活動の補助金を出される、あるいは今後婦人団体等に対するそういうような意味の補助金の計上を考えていくことはできると思うわけなんです。これは十三条があるなしにかかわらずできる事柄であり、そういうふうな形で推進をしていくということが非常に望ましいことであり、十三条を取っ払えば、今度は団体に勝手に補助金を出していくことができるので、しかもいろいろな活殺自由の補助金の出し方も実はできるということで問題を起しているわけでありますから、私たちは現在の十三条があってなおかつ社会教育活動が推進できるということであれば、やはり法のこれのできた経過を考えてみても、また後ほどいろいろ雑誌等に出ている、従前文部省の役人の方々が見解を発表されている十三条の考え方等について考えてみても、やはりこれを残しておくということが最もそのおそれがないということになると思うのです。私が今お聞きをしたのは、十三条というのはそういう意味で重要なものであったわけで、十三条を削らなければ実はこれもこれも事業ができない、しかもこういうふうに予算も出されているにもかかわらず、これがためにできないということであれば、われわれとしてもまたその方法についていろいろ考えるべき余地が私はあると思う。ところが、今いろいろ予算を聞いて参りましたところが、芸術祭補助というのは一千万円新たに出ておるけれども、これも青年大会を従前共催の形で、補助という形で出しておるので、これを出したからといってすぐ法律違反だなどという説明は私はできないと思う。そうなってくると、特にそれだからといってこの十三条が取れて、金額的にことしの予算でこれはこのためにできるということはないし、しかも最も新しい項目として出てきているこの二千万円に上るこれらの金がそういう関係なしに計上され、運営されていくということであれば、こういう形で金を使っていく一つの行き方が発見できるのではないか。そのほか別に公民館予算等について考えても、これにも金を使っているのじゃないか。こういうふうに考えていくと、私はやはり弊害を伴う十三条削除については非常に慎重に取り扱っていくべき問題と特に考えるわけであります。こういう建前で御質問を申し上げたわけであります。いかがでしょうか。
  120. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) ただいまお話の過程にも出ておりますし、われわれも申し上げておるわけでありますが、実際の問題といたしまして、社会教育関係の団体に対して、実質的に、ないし事業に対して補助金を与える必要もございますし、要望も非常にあるわけなんです。そしてそれに関しましては、この法第十三条が、この社会教育法の現行法の十三条ができましたときの空気は、これは非常に限定的に縛っていく考え方であったと思います。つまり明治憲法下において、ことに文部省というものが単に官制及び官吏の任免事項が大権事項であったというだけでなしに、教育に関しては基本法規を法律に求めないで、勅令でやっておったという、教育全体が大権事項であったという関係から考えまして、そういった何か国、地方公共団体というものが国民、社会というものの声と離れて、特別な何か従来の明治憲法下の残滓を負ったような指導をしはしないかといったような考え方で、憲法の規定以外にさらに強く縛って参ったと思うのであります。  本来、先にも申し上げましたけれども、今日の憲法の体制はすつかり変って、われわれは実際衆参両院の選挙の際に、真にやはり民衆の批判を受けて参らなければならないのでありまして、その民衆の批判の基礎に立って国及び地方公共団体も常に民衆のためによかれという仕事は一体何であるかということを考えながらやっておるわけであります。これに関しましては、いろいろな意見の相違はございますと思いますけれども、やはり国も地方公共団体もみんなその機関にある者はよりよく社会教育の面でもやるつもりでやっておるという点を考えて参りますと、この現在でございます十三条というのは、現在から考えますると、行き過ぎの規定であって、むしろこれを置いておって、実際はどうもこの法規をくぐり抜けるような算段をしながらやっておりまするよりは、削った方が筋じゃないかと考えておる次第でございます。  実はきようもヒマラヤ登山隊が出ましたけれども、それにもこういうやはりある程度学術的な、ないしまたいろいろな意味における意義のありますことについては、前にも補助をいたしましたので、今度も補助いたしましたのですが、まあ隊長に対してその壮挙を、仕事を補助するというような格好でやっておるわけであります。私はむしろ新憲法下におきまする民主主義的体制というものをお互いに伸ばして参りながら、社会教育法の問題につきましても、今日はこの十三条というものは削除をいたしまして、非常にこの法律をくぐるような格好を考えながら出すというようなことでやればやれるのじゃないかというよりは、むしろ直ちに出せるという形で実質団体の補助がいけるというふうにいたしました方がよろしいのじゃないかと考えておる次第でございます。
  121. 松永忠二

    松永忠二君 私は補助金の問題についてからんでいるいろいろな心配される問題、弊害というようなものについては、この前少しここでもいろいろと討議をしたわけでありますが、今は、やはり大臣お聞きになっておらなかった、違った方であるので、そういう点についてもまだ十分私たちの意見を申し上げる機会もないわけでありますけれども、私今のお話のように、弊害がない、取って弊害がないということであり、心配がないということがあれば、それはけつこうなことであります。しかしそれには、たとえばそれを取ることに賛成の人たちであっても、これが無条件に放任されて補助金を出されることについては、やはり考うべき問題である、公正にこれが補助されるという何かの条件がやはりそこに必要だということを参考人の方々も、賛成される方々の中からもそういう御意見が開陳されておるわけなんであります。そういうふうなことを考えてみたときに、これを取るということが直ちにいいということに私はならない、取ることに賛成の人でも一つの条件を持っている、しかもこれを取ることにからんでいろいろな心配もある。現実には憲法にきめられた事柄を、その精神を尊重して社会教育法に具体的に現われておる条文である、そういう現憲法下においてその精神を一貫した十三条を尊重さるべきであるということが、これは建前だと思います。そうしてその尊重されることが、またそれをそのままに守ることが社会教育を運営するすべての面に支障があるということなら、またそこにも考慮の余地はあるわけでありますが、現実法律の中に付則を設けて、そういうことをでき得るようなことも国会では実際に行われておるので、むしろ現在における憲法が現存する限り、憲法下における一つの反映としての条章というものは尊重されていくべきである、それをもしかりに取るということになれば、これは何らかの保障というものが当然必要になってくるということも考えられるわけであります。これらのことについては、また後ほどいろいろと資料をいただいて意見を申し上げたいと思うのでありますが、昭和二十七年の十二月、文部省社会教育局から社会教育の手引きというのを出しておられると思います。これを一つ資料として出してもらいたいと思うわけなんです。また当時、文部視学官の社会教育の前途を憂うというような座談会でも、明らかに文部省の視学官自身が、十三条については若干問題があるけれども、民主的な団体を育てるという意味で堅持されなければならないということを明確に言われておるわけなんであります。こういうことが急速に変化をしてくるということは、どういうふうな事情に基くものなのか、こういう点について後ほどその資料をいただいて十分に一つその考え方をお聞きをしたいと思うわけであります。  そこで、私はその次の問題に移って、今文部省が社会教育法の一部改正について、何とかしてこの法律を通していきたいというようなお気持があられることはもっともでありますけれども、社会教育関係団体に対して、この法律の通過をすることについて協力をすべきだというような、そういうふうな、つまり積極的なことがなされるとすると、私は非常にこれは問題があると思うのであります。やはりあくまでも自由な立場で社会教育関係の団体はこの問題を判断すべきであると私は思うわけでありますけれども、こういう点について基本的に大臣はどういうお考えをお持ちでありますか。
  122. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) お話のございます通りに、社会教育関係の団体といわず、これに関心を持っておりまする一般社会といわず、ぜひこういったような、問題になっておりまする法案につきましては、賛否の御意見を一つ自由に活発に述べていただきたいと、こう考えております。特別な形で特に賛成が強調されたり、あるいはまた反対が強調されたりするようなことのないようにしたいと思うのでありまして、ただできるだけ一つこういうふうないろいろな大事な問題につきましては、一般の向きでも関心を持ってお考えをいただいて、そうしてぜひ一つ御自分方の考え方に従った自由な意見か活発に述べていただきたいと考えておるのであります。
  123. 松永忠二

    松永忠二君 大臣のおっしゃったような立場で一つやっていただきたいと思うわけでありますが、それについて日青協に対して……、こういうふうなことを私たちは聞いておるのでありますが、十一月の七日、八日に第四回の日青協の理事会が行われた。文部省の役人がこれを傍聴されておった。その理事会の席では各県の態度がいろいろと表明をされ、論議をされたそうでありますが、当時これに反対をしたものが十八県、それから強硬に、強力にこれを反対したのが八県、賛成した県片一つもなくて、まあ保留をされたというような話も聞いておるわけでありますが、ところが十一月、同じ月に開九れた社会教育課長の全国社会教育課長会議でこの理事会の状況を文部省の方から報告をされて、そうして特に反対をしておるというところからこの十八県は、勤務評定の問題についても文献省の考え方と違ったような方向を打ち出している、社会教育法についても反対をしているというようなことで、まことにおもしろくないじゃないかというような、そういうまあいろいろお話があったのか、十八各県が、おのおの形は違っているけれども、各県の青年団の連合会の役員を呼ばれて課長からいろいろと訓戒を受けたということを私たちは聞いておるわけであります。一体こういうふうな事実があったの九どうか。そして二月の四日、五日にやはり日青協の理事会が開かれた。ところが、その文部省の役人が——具体的に名前もわかっているのでありますが、傍聴されておられた。そこで理事の方から、前回のいろいろな討議の経過から考えてみて、ここで傍聴されて、再びまたこういうことを言われてはまことにまずいというようなところから、そこに傍聴されることを拒否をされた。そうして退席をされた。その後文部省に対して、こういうことがあっては困るというので、抗議をするということの態度を理事会で決定をした、こういうふうに私たちは聞いておるわけであります。こういうことは今大臣が言われた、いわゆるその社会教育団体の自由な考えのもとにこの問題をいろいろと批判検討して意見を審議の上に反映をしていくというようなことについての違ったやり方だと私たちは考えるわけです。こういう点について大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  124. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 事実の関係につきましては、私詳細知りませんから、あとでまた局長の方から申しますが、ごく一般的に申しまして実は私も昔、日本青年館の評議員をやっておりましたころなど、日青協の方から時に御案内をいただいて会合などにも私も出ておることもございまして呼んでくれさえすれば私も実は出たいと従来から考えておった次第でございます。で、文部省の社会教育関係の人などもむしろ私は日青協の大会とか、理事会とかいうようなところへ努めて接触ができればする方がいいと私は考えております。  ただ、何か干渉のような格好で行ったり、またそういうふうにばかりとられるような活動というのはこれはおもしろくないのでありまして、そういうふうな面があるとすれば、そんな目でいくよりは、むしろお互いに親しみ合い、そうして助け合い、いろいろな面において裨益し合う機会を深くするという意味においては、私はせいぜい日青協その他の団体でも呼んでいただきたいし、文部省の方でも行かすようにしたいと考えておる次第でございます。それに対する態度といたしましては、今私ども申し上げましたように、相互に裨益し合う態度でいきたいと思っております。具体的な事実につきましては、私そういうことをよく存じておりません次第でございます。
  125. 福田繁

    政府委員(福田繁君) ただいまお述べになりましたような、大体それに似たような話を私聞いておりますけれども、かなり事実に相違している点がありますので、一応申し上げておきたいと思います。  全国の課長会議の際に、この法案のいろいろの問題も当然に協議事項として出たわけでございます。従って、この法案に対する各団体の賛否両論の態度というものについては、各地方の課長におきましてもそれに関心を持つことはこれは当然であろうと考えるのであります。従って、その際に日青協あるいは婦人団体がいかなる態度をとっておられるかということは、これは十分地方の方々にも知らせる必要があるし、また当然にそういう問題が、質問が出たのであります。従って、私どもといたしましては、日青協の各県団の動向というものを十分つまびらかにしておりませんけれども、日青協の幹部の方で出されました日青協自体の資料によりますと、これは勤評と全然関係がございませんが、この法案についていろいろと日青協においても学習と申しますか、研究されたように開いております。その結果今お述べになりましたような幾つかの県がこれに反対的な態度をとっておるということは、これはその資料によって明らかであります。従って、そういったものを紹介したことはございます。しかしながら、それに基いて、今おっしゃったような各府県において、県団に対して社会教育課が訓戒を与えたというようなことは私は聞いておりませんし、そういう事実はあり得べからざることだと考えております。また、それについて私どものところに言って参りました青年に対しましても、そういう事実があれば一つ具体的に出していただきたいということを私は議長を通じて申したのであります。具体的な事実は一つもないのであります。従って、おそらく、私どもといたしましては、そういう何か脅迫的なような、あるいはまた訓戒を与えたというような事実があるかないかはよく調べてみなければわかりませんけれども、そういった事柄はないものと考えております。  それからまた、今の傍聴の問題でございますが、これは青年団の自体の会議でありますから、私ども招かれない限りは、なるべく行かないようにいたしております。しかしながら、従来から日青協の会合というものは、これは公開主義によってなされておるのでありまして、ここに報道関係の方がお入りになってもちっとも差しつかえがない。そういう会の運営になっておりますので、従来そういった会合のときには、必要があればいろいろ係官が参っていることはございました。今度の今お述べになりました、何かこの一月の理事会かなんかの席上で、たまたま文部省の係官がいたというので問題にしたそうでありますが、私の方の係官といたしましては、事前にある幹部に対してこの会合には出ていいかどうかということはちゃんと確かめて出ております。従って、もしそういう何かひそかに来て傍聴しておったというような、そういう表現は私は当らないのではないかというふうに考えております。従って、もしそういう公開でなかったならば、逆に当日は、特にこれから秘密会とするということを多数でもって決議をいたしております。それは当日だけの秘密会にいたしたわけでございまして、従って、係官は帰って参りましたけれども、一般的にはこれは公開された会議でございます。従って、何と申されたかわかりませんけれども、おそらく何かそこらの誤解があったのではないかというように考えるのであります。私どもといたしましては、今後日青協といろいろ関係がありますので、そういう事態の誤解の起きないように注意いたしたいと考えますけれども、今お述べになりました事柄は、多少事実に相違いたしておるように考えますので、この機会に申し上げておきたいと思います。
  126. 松永忠二

    松永忠二君 あなたは事実に相違するというお話でありますけれども、これは私は、当日、四日、五日出席をいたし、また反対をしている青年団の出席された理事、そうしてまた現実に注意を受けたその人から話を実は聞いている。また、今話が出て、あなたが認められたように、公開の席であるので文部省の役人も入ったと、そして傍聴しているのを出て行ってもらいたいということを言われたということは、そういう事実があったからでありましょう。そういう事実があったので、こういうふうに、自由に聞かれてはたまらないから出ていただきたいと言ったのでありまして、現実にそれがあったという私は逆な証明だと思う。従前そういうことは何らなされていないとすれば、従前通りそれは公開されて討議を進めていくべきだと思う。私たちが直接理事からいろいろ話を聞きましたのは、二月の六日の日であります。現実にその会に出ていたその人たちからその話を伺っておるのであります。そうしてある県のごときは、こういうものに反対をされたのでは今後補助にも影響するからとかいうことを現実に言われていると、すでに社会教育法のいわゆる改悪の弊害は具体的に出ているのだということまで言われておったわけであります。だから、あなたのおっしゃるような、これはそういう事実はないというよりは、むしろ事実があるということを、私はあなたが証明をなさったのだというように思うわけであります。私もまたうかつにそういう話を、ただうわさを申し上げたわけではありませんので、現実に出られている個人の役員の方々の名前も存じ上げ、そうしてまた事実その県の人から話を聞いたわけであります。ただ、私の申し上げていることは、こういうふうな具体的な事実を通して実は青年団の中に、やはりその日青協の中にも反対の声が実はそういうところから出ているというふうに私は考えるわけです。で、そこにもお分けをしておきましたが、現実に相当勇気を持って千葉県の香取郡の青年団の協議会の人は、法改正に対する反対の態度を決議をされ、理由を付して衆参両院の文教委員会へも出てきておるわけであります。日青協全体として、この法案についてある態度を明確にしておることは、すでにわれわれ前回参考人を呼び、その際、陳情要請を受けてはっきりしておるわけでありますが、私は、やはりそういうところに問題の発生してくる原因が非常にあると思います。現実に具体的にこういうことが行われるということの中から、実は先ほどから話の出てきておる、いろいろな、この法案が改正をされた場合には、むしろ自主性を害してより以上拘束されるような格好になりはせんかというような点が考えられるわけであります。たとえば高知県の具体的な例、ここに一、二出ておりますけれども、高知県の昭和三十二年度の県の教育委員会が三十名に上る官製の講師団の名簿を作成して、県教委の講師登録の名簿に登載されたものを用いて、そうして青年団、婦人会などの研修会や、研究集会や、講演会などを行えというような、そういう要請があったことに対して非常な各方面からの反発を受けて、ついに県教委は直接にはこの計画を途中であきらめざるを得なかったというような事態も、私たちの調査によって明確になっておるところでありますが、同時に県の連合青年団の役員改選に対して、ここには具体的に名前も出ておりますけれども、昭和三十二年度の県団長の立候補について、どうもこの人は急進的な思想の持ち主であるから県団長になるのは好ましくないということを現地の連合青年団の幹部の一部に伝えて、暗に選挙工作を進めるという態度を県教委の事務局がとったという、そういう問題も出されてきておるわけであります。  また、ここに、その他の県では、愛媛県において青年集会を開く場合における集会のスローガンに、原水爆の実験反対とあるのは不穏当だ、そういうようなことで、この開催についていろいろな問題の提起があったので、そこで愛媛の青年団は県教委との共催をはねつけて、一人十円のカンパで集会を実施をしていったというような事実もある。これは新聞にも報道されておる。やはり同じような事例が愛媛県の周桑郡とか、あるいは越智郡とか、あるいは今治市等において行われておる事実があります。その他、主として集会の講師の問題あるいは人事の問題等について相当いろいろな面の工作が行われておるという事態の中から、この反対の運動等の起っておる事実があると私たちは思うわけですが、こういうような点について、具体的に各地の青年団の連絡協議会等がどういう意味から反対しておるのかということ、それからまた、事実そうした問題が、今申し上げたような問題が相当提起されておるという事実を、すでに局長はご存じだと思います。この点についてどんな御調査や、そういう具体的な事実等をどの程度につかんでおられるのか、そういう点について一応お考えを伺いたい。
  127. 福田繁

    政府委員(福田繁君) ただいまお述べになりました、高知県その他の具体的な事例につきましては、あまりくわしい話を知りませんが、しかしながら、こうした地方でのいろいろなトラブルが最近あるということで、これは当委員会でもいつかお取り上げになったと思いますが、そういった団体と県教委との関係、そういった問題につきましては、私どもは常々県教委の指導としてはできるだけ十分反対側と話し合って円満な話し合いを持って事を進めるように常々申しておるわけでありまして、従ってそうした個々の具体的な事実を一々当ってみなければわかりませんけれども、私どもが一、二経験いたしたところによりますと、やはりそういった何か事業をやる場合、たとえば教研集会を実施する場合とか、あるいは他の講習会を実施するような場合というようなときに、とかくその青年団の考え方と県の教育委員会なりそういった当事者との考え方に多少の開きがあるような場合が見受けられるのであります。しかしながら、その開きがありましても、具体的にそれをいろいろ調べて参りますと、何と申しますか、これはどちらもこちらもというような感じがするのでありまして、たとえば青年団にいたしましても非常に県教委が納得できないようなことを無理やりにそれを通そうというような場合も見受けられます。また、若い人たちですから、いろいろなこともあると思います。そういった点を十分青年団側としても、これは日青協を通じて大いに啓蒙していただく必要もあると思いますが、県の教育委員会等の当事者においても、そういう場合はできるだけやはり、青年は無理を言う場合も多いので、そういったときにはできるだけまあ一つ青年の意向も十分くみながら、教育委員会としていろいろ事業を実施するに当って、まあ、どうしてもできないというようなことでは仕方ありませんが、やはり県教委とそういった青年団の幹部なり関係者が十分話し合って、そうして納得のいくような話し合いをして事業を実施することがいいのじゃないか、こういうように考えておるのでありまして、私どもは常にそういった趣旨で申し上げておるわけでありますが、しかしながら、往々にして、まあ、そういった今の講師の問題、あるいはまた事業の実施上について時に支障の起っておりますことを非常に遺憾に思っております。しかしながら、それも多くは、私ども聞いておりますのは、いろいろ話し合った結果、十分納得して事業が実施できたということが多いのであります。ただいまのお話しになりました高知県の場合その他はあまり具体的には私は存じておりません。
  128. 松永忠二

    松永忠二君 ここに私の持っておるのは岐阜県それから高知県それから静岡県、愛媛県、こういうふうな地域の問題であります。静岡、愛媛それから高知、岐阜県、こういうふうな各県において具体的にどういうふうな一体事例がこういうふうな問題を通してあるのかというようなことについて、やはり御調査をいただきたいと思うわけです。ただ、そういうこともあるそうだけれども……。そのほかに三重県にも一つの事例を実は持っております。やはり、この法律をいろいろ論議をするに当っては、やはりただ青年団の中央の幹部の人たちの考え方というか、そういうふうな考えで問題を処理するというよりも、これは婦人団体にしてもそうでありますが、日常活動しているのは実はその地域の青年団や婦人会その他の民主的な団体であるわけであります。やはりそういう団体にどういう事例が起っているのか、そういうようなことと、一体この法律の改正とはどういう関連があるかというようなことについて、やはり御検討いただいて法案を私は出されていると思う。こういうふうな具体的な事実もあるので、こういう点についてはこういう改正の向でいけばこの問題の処理ができる、こういう方向でいけば処理ができるという考えのもとに、私は法改正というものはなされていると思う。私は、今あげたような事態というものは、この法律改正によって解消する問題では実はなくて、むしろそういう法律改正に伴って、そういう問題がなお一そう起るというようなことを、つまり心配をされて地域の青年団の人たちも反対をされていると思う。だから、やはりそういう心配はない、こういうような方向において考えられているのだから、こういう点について心配はないという、やはりそういう明快なお考えを聞かせていただく機会をほしいと思う。いずれもそれらの県についてはそう遠い事実ではないのでありますから、いろいろに情報の機関を持たれている社会教育局としてはこれらの事実が、今の申し述べられたように、一体青年団の人たちのわがままな、そしてまた大へんに行き過ぎた一体行動であったのか、それとも、やはり結果はその人たちの主張が正しかったのかどうかということについて、やはりそういう点を、考え方をただしていかなければいけない問題だと私たちは思っておるわけです。  そこで、なおここでもう一つお尋ねいたしたいと思うのですが、近畿の公民館主事連合会の連絡協議会がこの法案に反対をされているということを私たちは聞いておるわけです。この人たちは、パンを与えられると思ったらば、石を与えられたというようなことであるのでありますが、これらの公民館の人たちの反対をする考え方というのは、どういうふうなところに問題があるというふうにお考えでしょうか。やはりこれも実際公民館活動を自分でやっている人たちであるので、特にこの人たちの意見等についても、十分やはり聞いていく必要があると思うのでありますが、こういう点について、局長はどういうふうな御見解をお持ちでありましようか。
  129. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記をちょっとやめて。    〔速記中止
  130. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記をつけて。
  131. 福田繁

    政府委員(福田繁君) ただいまのお尋ねでございますが、実は私、その近畿の公民館主事の人たちが反対をされているということを具体的に聞いてないのでありまして、そういう書面も、あるいは具体的内容も聞いたことはございません。しかしながら察するに、これは私の推察でございますので、あるいは内容が異なるかもしれません、その点御了承いただきたいと思いますが、公民館の職員の中には、従来から公民館を充実させるために、公民館職員を一つ必置にしてもらいたいと、こういうような希望がかなり前からありました。これは一部でございます。それからまた、それに伴って国庫補助をしてもらいたいというような希望も出ております。おそらく公民館主事の方方が何か集まってこの法案を研究されたというような場合には、そういう問題がおそらく出たのではないかと私推察いたしておるわけであります。しかしながらこの問題は、公民館全体の立場といたしましては、もちろんその主事の必置なり、主事の充実をはかることは、これは非常に将来の公民館の発展のために重要な事柄でありますけれども、しかしながら、なかなか一挙にそういうことが言うべくして行われがたい事情がありますので、従って公民館全体としては、この今回の改正案の内容につきまして、これを従来のいろいろ要望の線に沿った第一着手という意味においてこれを支持されております。従って、公民館関係者はほとんどがこの法案の成立を希望いたしておるというような事情でございます。
  132. 松永忠二

    松永忠二君 ちょっと速記とめて下さい。
  133. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記とめて。    〔速記中止
  134. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記始めて。
  135. 後藤義隆

    ○後藤義隆君 社会教育法の改正について反対する人もあろうし、また賛成する人もあろうし、また賛成の団体もあろうし、反対の団体もあると思いますが、そしてその数も日日やはり違ってくると思うのであります。大ざっぱでよいが、現在反対されておる団体の数は幾つくらいというふうに文部省の方では考えておられるか。
  136. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 反対されておる団体の数を私今正確にわかりませんが、新聞等に出ております団体の数等を見ますと、大体小さい団体で三十くらいあるんじゃないかと考えております。
  137. 後藤義隆

    ○後藤義隆君 逆に、今度は賛成されている。団体ですね、どういう種類の団体が幾つくらい賛成されておると見ますか。
  138. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 賛成団体の中には、先ほども大臣も申されましたように、全国的な組織の団体もたくさんございます。また、この法案に賛成の地方的な組織の団体も地方でかなりございますが、そういった全国的な組織では約三十くらいの団体、それから地方的な組織では約百に近い団体だと考えております。
  139. 相馬助治

    委員長相馬助治君) ちょっと委員長から確かめたいと思いますが、今後藤君の質問に対する福田局長のお答えは、この今議題になっている法案についての反対の団体は小さなものまで含めて大体三十と心得ている。それから賛成の団体、中央的な大きなもので三十、地方の小さなものを加えると大体百である。こういうふうな御答弁であって、これに対してどなたからも反論もないし、確かめるあれもないのですが、委員長として確かめておきたいと思うんだが、それは社会教育局長として何か具体的な実証的な資料によっての責任ある御答弁でございますか、それとも後藤君から今の質問で大体腰だめでさようにおっしゃったのですか。一つ明瞭にしておいてほしいと思います。
  140. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 私はどちらも数は正確にはわかりませんが、申し上げたのは賛成の方はもちろん、全国的な団体でも、あるいは地方的な団体でも私どものところに何らかの形において賛成という意思を表明されたものばかりでございます。ただ単に、あそこは賛成じゃないかというような当て推量ではないということを申し上げたいと思います。
  141. 後藤義隆

    ○後藤義隆君 それから、青少年活動の補助の関係ですが、二千万円くらい来年度予算に組んでありますが、これについて社会教育法の十三条を改正しなくても出して差しつかえないんだというようなふうに先ほど答弁されましたが、これはしかし団体には補助は出せないんじゃないんですか、個人でなければ。十三条を廃止しない限りは団体には出せないんじゃないか、その点はどうなんですか。
  142. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これは先ほど松永先生の御質問のときに、私はちょっとその点が私のお答えが欠けたのではないかと思ったのですが、これは日青協等におきましては、地方の団体に対して補助を望んでおるんではないかと私は考えておりますが、本来ならばこういった地域青年活動の助成というような費目は、団体に対して補助するのが適切であり、筋であろうと考えるのであります。しかしながら、今十三条が削除されてないので、従って団体に補助金としては出せない。従ってやむを得ず都道府県、市町村に事業を実施してもらう、こういう形で予算を組んでいるということを申し上げた、その点を御了承いただきたいと思います。
  143. 後藤義隆

    ○後藤義隆君 そこで、都道府県あるいは市町村ですね、そういう地方公共団体が今度は青年団などに、団体に出せますか、それとも団体には出せなくて、個人でなければ出せないですか。
  144. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 地方の都道府県あるいは市町村等の公共団体はもちろん十三条がある限りにおいては補助金としては出せません。従ってこれは事業を実施する場合には、市町村の事業なり、あるいは都道府県の事業として実施するわけです。
  145. 後藤義隆

    ○後藤義隆君 そこで、市町村ないしは都道府県の事業として実施しますが、実際に他県あるいは県内をいろいろ視察などに出かけるのは人である、個人であるから個人には出してもいいけれども、そういうような場合に青年団とか、少年団とかいう団体には出すことができないんじゃないですか。
  146. 福田繁

    政府委員(福田繁君) それはおっしゃる通りです。
  147. 後藤義隆

    ○後藤義隆君 それから、先ほど文部大臣は何かヒマラヤ登山隊に幾らか補助を出したというようなことを言われましたが、それは何かヒマラヤ登山隊という団体にはやはり出せないんじゃないですか、やはりだれか行く人の個人に国から補助したという形じゃないですか。
  148. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 大臣の申し上げましたのもこの団体に出したというんではなくて、今回のヒマルチュリの登山についてやはり国で援助しなければならないというような事情になりましたので、約二百万円くらいを隊長個人に援助したという格好をとった、そういう補助をしたのであります。従ってヒマラヤ登山隊にこの前にも出したことがございますが、これも同様な措置をとったわけであります。
  149. 湯山勇

    湯山勇君 今賛成の団体、それから反対の団体、これは私やはり知りたいと思っておったんですが、地方のというのは、中央団体があって、その支部とかその単位になっておる団体を含めてですか、その辺どういうふうになっておるのか、もし資料があれば出していただく方がいいんじゃないかと思いますので、お出し願えますでしょうか。
  150. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これはお目にかけても差しつかえございません。
  151. 松永忠二

    松永忠二君 やはりさっきの御答弁で、何かさっき私質問した地方青少年活動の補助金の使い方ですね、これについては後藤さんがいろいろおっしゃっておられて御答弁があったわけですが、今のようなお話ですと、もう少しやはりこまかい使い道というようなことを聞いておかないと、私たちの考え方ではやはりそれと同じような形で地方公共団体ができるんじゃないかと……今問題は地方公共団体ができるのにかかわらず社会教育に金を出さないというところに問題があるのであって、何もこの十三条を削らなくちゃ出せないということではないと私は思うんですよ。こういうことについてはやはりあらためて大臣にも聞いてもらいたいと思うんですがね。私は十三条があるもんだから、地方の公共団体が社会教育に非常に金を出せなくて困っているんじゃなくて、社会教育団体に対して理解の度合いが非常に少いので、社会教育事業に対する仕事の方面において出せる方面が幾らでも地方にはあるんだけれども、それを現実としては出していないので、局長としては端的に十三条も必要かもしれぬけれども、そういうことも実はあって、そういう点について地方公共団体に要望する点も非常に多いということは、あなたは率直に申し上げていいんじゃないかと私は思うんですが、どうなんでありましようか。
  152. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これは両方あると思いますが、おっしゃいましたように現実にいろいろ地方公共団体が自主的な援助の金を出しております。従って一般的に申しますと、そういった補助金も含めまして、おっしゃるように社会教育現場にいろいろ公共から援助をされている、そういった金がふえることは非常に望ましいことだと私どもは考えております。しかしながら、その一部分であるところの団体に対しては、現在補助金としては出せない。これは形としては、先ほどから申し上げましたように、たとえば公共団体とその事業を実施します団体と共催するというような名義、あるいは事業を委託するというような名義でもって自主的な援助をいたしております。それはむしろ事業本来の形から申しますと、必ずしも合理的な出し方ではないと私は考えておりますので、そういった方面でやはり十三条を削っていただきますと、そういった実際上の助成金というものも相当ふえるのではないかというふうに考えるのであります。
  153. 松永忠二

    松永忠二君 質問を保留します。
  154. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 簡単な事項についてお伺いいたします。  御配付いただきましたこの資料ですね、これを拝見しますというと、第二ページ目に、「市町村の全部に社会教育主事を直ちに設置することは実情に適しないので、若干の猶予期間を設けることとし、すなわち市にあっては昭和三十七年三月三十一日までの間、町村にあっては政令で定めるところにより、町村の規模に応じて猶予期間を規定し、逐次設置することになっています。」これは市と町村を区別してあるわけですね。市の方では三十七年の三月三十一日まで、町村にあっては別に政令で定めるということになっておりますが、社会教育主事の設置を特に市の方を急いで、町村をあと回しにされた理由ですね。これは考えようによっては、必要なことはどっちでも同じじゃないか。これは見ようによっていろいろ違いがあるかもしれないが——市の方を先にしなければ、いろいろな複雑な事情もあるから先にするのだということも考えられます。しかし、市には、一方、社会教育機関などもいろいろ備わっておる。いなかの方はこれができないから、むしろそっちを先にした方がいいんじゃないか。あるいは一緒にすべきじゃないかというように、いろいろ意見が分れるだろうと思っておりますが、文部省の方でこれをあとさきにして、町村をあと回しにされるのは何ゆえであるかということと、それから町村にあっては政令で定めるということになっておりますが、どのくらいの猶予期間を置いて町村のこの主事に関する政令をお定めになるのか、その点をお伺いいたします。
  155. 相馬助治

    委員長相馬助治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  156. 相馬助治

    委員長相馬助治君) 速記を始めて。
  157. 松永忠二

    松永忠二君 局長に念を押しておくわけですがね。今私が例にあげて申し上げた県ですね、この県で、まあ高知あたりは具体的に申したのですが、今申しました県の具体例についてやはりお調べをいただいて出していただきたいと思うのです、資料を……。一々申し上げないでもご存じじゃないかと思うのですが……。
  158. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 先ほど竹下委員の御質問に対してお答え申し上げますが、この社会教育主事の必置の問題でございますが、この法律案におきましては、社会教育主事を従来都道府県までしか置いていなかったのを、市町村にも必置にしようという考え方でございます。従って、市町村全体を合せますと、大体必置に要する主事の人員は三千七百五十七人と計算されます。従って、現在約四百人くらい——四百人以上に上っておりますが、約四百人くらいの主事さんの数に比較しますと、相当数これを増員しなきゃならぬというような関係になります。従って、この養成もやらなきゃなりませんし、またこれを置くにつきましては、十分な財源措置というものを考えなければならぬというような関係からいたしまして、一ぺんにこれを置くということは困難でありますので、従って、年次別にある程度計画的にこれを実施していこう、こういうような考え方でおるのでございます。従って、市につきましては昭和三十七年の三月三十一日まで、それから町村につきましても、これは財政上いろいろ余裕のある町村あるいはそうでない町村、いろいろございますし、また規模におきましても、人口別にいろいろな規模がございます。従って、全部一律に町村に置くということは非常に実情に即しませんので、町村につきましては政令でもって大体昭和三十七年三月三十一日までの間に人口一万五千以上の町村に置く。それから一万五千未満の町村にありましては昭和三十七年の三月三十一日以降、それ以降の年度においてこれを逐次充実していこう、こういうような考え方で、政令といたしましては、人口一万五千でもってこれを区切って、実情に合うような設置の仕方をしていこう、こういうような考えをいたしておるわけであります。従って、先ほどお尋ねのような、市を先にいたしまして、町村をあとにするのはどういうような理由かというようなお尋ねでございましたが、これにつきましては特にこの財源措置をいたします関係上、地方交付税の措置として三十四年度に大体人口三万までの市町村にこれを置くような財源措置をするというようなことを講じておりますので、従ってまずそこまで置きまして、従ってまあ市に三十四年度一応財源措置をしたから町村は置かなくてもいいというのではございませんが、一応猶予期間としては町村をあとに見まして順次置いていきたい、こういうことで、町村が積極的に自発的に置かれる分については、これは別にちっとも差しつかえないというように考えております。ただ、これは財源措置関係から、大体市の方から置いていくというような建前をとっておるわけでございます。
  159. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 町村について政令で定められるのは、何年間のうちに全部必置されるという見込みは立っていらっしゃらないのですか。
  160. 福田繁

    政府委員(福田繁君) その点につきましては、人口一万五千以上の町村は昭和三十七年の三月三十一日まで、すなわち三十六年度まで猶予期間を置く。それから人口一万五千未満の町村にありましては、これは年限をかつきり区切らなくて、当分の間猶予する、こういう建前で参りたいと考えております。
  161. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 それだけ承わって、松永さんに……。
  162. 福田繁

    政府委員(福田繁君) それから、松永委員の御質問でございますが、先ほどおあげになりました幾つかの県の問題でありますが、あまり詳しい内容を私ども存じておりません。しかしながら、これを調査することは一向に私どもかまわないと思います。また、そういう事実が具体的にあるとすれば、これは調査いたしたいと思います。しかしながら、これは今お述べになりました範囲で、何か高知の問題だとかそういった点につきましては、この法案と私どもは別個の問題ではないかというように考えておりますので、その点は御了承いただきたいと考えております。
  163. 松永忠二

    松永忠二君 私は法案に関係があるから御調査いただきたいと思っている。それから今申し上げたような、簡単にただ県を申し上げても実際お調べの上に困ると私は思う。私たちの一応の、ある資料もありますので、それを  一つ参考に上げますので、こういう事実があったかないかということを調べていただくと同時に、私たちはまあ関係がないという御説明ですけれども、別に補助金が無条件で出されているということについて条件をつけて反対をされているのは、やはりそういうところから、つまりなお一そうひどい干渉が行われるのではないかということを心配して言っていることでありますので、関係がない、こんなことはこの法案とは別だということではないと私たちは思います。そういう点やはりもう少し資料をつけて、そしてこういう問題について具体的にどうなのか、こういう点を聞いているかどうかという点で具体的に調べていただきたいと思う。
  164. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 十分調査いたしたいと思います。
  165. 相馬助治

    委員長相馬助治君) ただいま議題になっておりまする社会教育法等の一部を改正する法律案についての質疑もまだ尽きておりませんが、これを次回に保留いたしまして、本日は、これをもって散会いたします。    午後三時二十九分散会