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1958-12-16 第31回国会 参議院 文教委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十二月十六日(火曜日)    午前十一時十二分開会   —————————————   委員異動 十二月十二日委員高田なほ子君、吉田 法晴君及び秋山長造辞任につき、そ の補欠として荒木正三郎君、坂本昭君 及び松澤靖介君を議長において指名し た。 十二月十五日委員大谷贇雄君辞任につ き、その補欠として苫米地義三君を議 長において指名した。 本日委員苫米地義三辞任につき、そ の補欠として大谷贇雄君議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹中 勝男君    理事            後藤 義隆君            中野 文門君            松永 忠二君            常岡 一郎君    委員            大谷 贇雄君            剱木 亨弘君            下條 康麿君            吉江 勝保君            坂本  昭君            松澤 靖介君            湯山  勇君   国務大臣    文 部 大 臣 灘尾 弘吉君   政府委員    警察庁警備局長 江口 俊男君    文部政務次官  高見 三郎君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    文部省社会教育    局長      福田  繁君    文部省管理局長 小林 行雄君   事務局側    常任委員会専門    員       工樂 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会教育法等の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○昭和三十三年九月の水害による公立  の小学校及び中学校施設災害復  旧に要する経費についての国の負担  に関する特別措置法案内閣送付、  予備審査) ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (教職員勤務評定に関する件)   —————————————
  2. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) それでは、これから文教委員会を開会いたします。  委員異動がありますから報告いたします。  十二月十二日、高田なほ子君、吉田法晴君、秋山長造君が、また十五日には大谷贇雄君がそれぞれ辞任され、補欠として、荒木正三郎君、坂本昭君、松澤靖介君及び苫米地義三君が選任されました。   —————————————
  3. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 次に、先刻開きました委員長及び理事打合会経過について報告いたします。本日の日程につきまして協議を行なった結果、まず、社会教育法等の一部を改正する法律案及び昭和三十三年九月の水害による公立小学校及び中学校施設災害復旧に要する経費についての国の負担に関する特別措置法案について提案理由説明を聞き、そのあと教職員勤務評定に関する件について質疑を行うことといたしました。  以上報告の通り運ぶことに御異議ございませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 御異議ないと認めます。  社会教育法等の一部を改正する法律案及び昭和三十三年九月の水害による公立小学校及び中学校施設災害復旧に要する経費についての国の負担に関する特別措置法案を一括して議題といたします。提案理由説明を求めます。
  5. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) ただいま議題となりました社会教育法等の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  今回の改正の要点は、およそ次の三点であります。  その第一は、社会教育推進をはかるため、社会教育主事に関する規定を整備することであります。社会教育主事は、教育委員会における社会教育に関する専門職員として地方社会教育を担当し重要な役割を果すものであります。従って、地方における社会教育推進をはかるには、その充実を期することがきわめて肝要であり、これにかんがみまして、従来市町村においては任意設置となっている社会教育主事必置制とするとともに、その資格及び養成講習に関する規定を整備して、適材を求めることができるようにし、社会教育振興をはかろうとするものであります。  第二は、社会教育関係団体に対する補助金支出禁止規定削除することであります。すなわち、国及び地方公共団体社会教育関係団体に対して助成し得る道を開き、これらの団体の健全な育成をはかり、もって社会教育振興に資したいと存ずるのであります。  第三は、公民館活動振興をはかるため、公民館基準設定等に関し、規定を整備したことであります。公民館は、戦後いち早く社会教育施設として発足してから今日まで、全国市町村に広く普及を見たのであります。しかし、これにつきましては、文部大臣基準を定めるべき明確な規定もなく、公民館の健全な発達をはかる上においても不十分な点が少くないので、これを明確にするとともに、公民館分館及び主事に関する規定を設け、その活動振興をはかる所存であります。  その他、若干の必要な改正を行い、今後一そう社会教育充実振興をはかって参ろうとするのであります。  以上が、この法律案提案理由であります。  次に、昭和三十三年九月の水害による公立小学校及び中学校施設災害復旧に要する経費についての国の負担に関する特別措置法案について、提案理由内容概要を御説明いたします。  本年九月来襲しました台風二十一号及び二十二号は、まれに見る豪雨を伴なったもので、各地に相当の被害を与えましたが、静岡県狩野川のはんらんにおいて見られるように、局地的にはきわめて大きな被害を与えたのであります。このことは、公立学校施設にかかる被害を見ても同様でありました。  現在、公立学校災害復旧に対しては、公立学校施設災害復旧費国庫負担法の定めがあり、一般的には、この法律適用により、災害復旧の促進がはかられているのでありますが、今回の災害の特色からいたしまして、一般法適用だけではなかなか早期の復旧は望み得ない地域が存するのであります。従って、これらの地域災害復旧については国の負担割合を特に高める等の特別措置を講じ、義務教育施設の早急な復旧をはかりたいと考える次第でございます。これがこの法律案を提出する理由でございます。  次に、この法律案内容の概略を申し上げます。  第一に、この法律は、昭和三十三年九月の水害による公立小学校及び中子校施設災害復旧について、特に水害地域政令で指定し、この地域については、国の負担割合を四分の三とすることとしております。  第二に、経費算定方法について、原形復旧基準としながら、これが不可能または不適当な場合には、効用復旧または代替復旧ができることを定めております。  なお、このほか用語意義経費種目適用除外都道府県への事務費交付等所要規定を設けております。  以上が、この法律案提案理由内容概要であります。  何とぞ十分に御審議の上、両案ともすみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。
  6. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいまの大臣説明に補足して、法案内容について御説明申し上げます。  第一に、社会教育主事及び社会教育主事補でありますが、現在これらの職員教育委員会に置かれる社会教育に関する専門職員として都道府県及び市町村社会教育推進に重要な役割を果していることは、申し上げるまでもありません。  しかし、社会教育主事及び社会教育主事補設置に関しては、社会教育法第九条の二の規定により、都道府県必置となっていますが、市町村任意設置となっておりますので、市町村ではむしろこれらの職員が置かれていない所が多いのであります。こうした現状にかんがみ、これを市町村にも必置とし、社会教育推進をはかろうとするものであります。  しかし、一律に市町村社会教育主事を直ちに設置することは実情に適しないので、若干の猶予期間を設けることとしているのであります。すなわち市にあっては昭和三十七年三月三十一日までの間、町村にあっては政令で定めるところにより、町村の規模に応じた猶予期間規定し、逐次設置するようにしたいと存ずるのであります。  次に、従来社会教育主事資格要件については、これまで大学卒業者教員免許状を所有する者等範囲の者を原則としている一方、かなり緩和された暫定資格経過的に設けられていましたが、今回この経過規定を廃止するとともに、第九条の四の資格規定に新たに一号を加え、従来の本則該当者に劣らぬ適任者を採用し得るよう改正することにしたのであります。また、これが養成のための講習実施者範囲を広げて、文部大臣大学以外の教育機関及び都道府県教育委員会においても行い得ることとしたのであります。さらに現職社会教育主事等についても専門職員としての研修を行う必要がありますので、これに関する規定を設けたのであります。  第二は、社会教育関係団体に対する補助金支出禁止規定削除についてであります。社会教育関係団体の種類はきわめて多く、また、その事業範囲も広範にわたるのでありますが、社会教育法第十三条では、社会教育関係団体について、国及び地方公共団体補助金支出が全面的に禁止されているのであります。このことはかえって社会教育振興を阻害するおそれがあり、社会教育関係者からかねがねこれの改正が強く要請されていたところであります。  このような事情にかんがみ、社会教育関係団体活動の助長に資するため、第十三条の補助禁止規定削除する改正を行おうとするのであります。  第三は、公民館に関してでありますが、公民館は現在その設置が義務づけられていないにもかかわらず、全国市町村の約八六%にまで設置せられ、まさに社会教育中心的機関ともいうべき役割を果しているのであります。  しかしながらその内容につきましては、いまだ、貧弱な施設設備しか持たないものが多く、適正な公民館活動を営むには困難な現状であります。従って公民館活動振興するためには、文部大臣公民館設置運営上必要な基準を設け、これに従って文部大臣及び都道府県教育委員会がその施設設備その他の運営上必要な事項について指導助言、援助を与えることが必要でありますので、これに関する規定を設けたのであります。  また、従来分館に関する規定がなかったため、今回分館に関する規定を設けるとともに、さらに公民館職員につきましても、もっぱら公民館事業実施に当る職員主事として法に規定し、その現職教育に力を注ぎ、公民館充実をはかりたいと考えているのであります。  第四に、社会教育委員の職務は、社会教育法第十七条に規定するように教育委員会に対し助言することでありますが、市町村社会教育委員は、これに加えて青少年教育に関する特定の事項について助言指導を行うことができるようにし、健全な青少年育成に資することとしたのであります。  また社会教育委員公民館運営審議会委員等には、社会教育法第十九条、第三十二条等によって報酬を支給することができないこととなっていますが、これらの規定を改め、地方公共団体の他の委員と同様に報酬を支給することができるようにしたのであります。さらに公民館運営審議会については、同一市町村内に公民館が二以上ある場合には、これで共同で設置することができるようにし、その運営の円滑をはかったのであります。  第五には、公民館図書館及び博物館に関する国庫補助規定改正したのであります。公民館に関する国庫補助規定は、社会教育法第三十五条及び第三十六条の規定にかかわらず現在は、補助金等臨時特例等に関する法律に基いて公民館施設及び設備について、補助ができることになっており、この法律昭和三十四年三月三十一日失効するので、今回これとほぼ同様の規定社会教育法の中に設けることとしたのであります。  また、図書館及び博物館に関する国庫補助も、同様に図書館法第二十条及び第二十二条、並びに博物館法第二十四条及び第二十五条の規定にかかわらず、現行は、補助金等に関する臨時特例等に関する法律に基いて行われているのでありますが、公民館と同様に今回それぞれの法律の中にこれに関する規定を設けることとしたのであります。  最後に、この法律施行期日についてでありますが、社会教育委員等報酬に関する規定公民館等補助に関する規定及び社会教育主事暫定資格削除に関する規定昭和三十四年四月一日から施行することとし、他の規定公布の日から施行することとしたのであります。  なお、従前の附則第六項により社会教育主事の職にあった者については、改正規定により不利益とならないよう必要な規定を設けているのであります。  以上がこの法律案内容概要であります。
  7. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) ただいま文部大臣から御説明申し上げました昭和三十三年九月の水害による公立小学校及び中学校施設災害復旧に要する経費についての国の負担に関する特別措置法案について補足説明をいたします。  この法律案は、本則八条及び附則二項からなっております。  まず、第一条には、この法律目的として、この法律は、昭和三十三年九月の水害によって特に著しい災害を受けた地域における公立の小・中学校施設災害のすみやかな復旧をはかるため、その災害復旧に要する経費についての国の負担に関して必要な事項を定め、もって学校教育の円滑な実施を確保することを目的とするものであることを明らかにしております。  第二条は用語意義規定し、この法律で特に明確にしておく必要のある「公立学校施設」及び「災害」の語の意義を定めております。  第三条は、国は政令で指定する災害地域においては、公立小学校及び中学校災害復旧費についてその四分の三を負担することを規定しております。  第四条は、国が負担する経費種目は、本工事費付帯工事費設備費及び事務費であることを規定しております。  第五条は、工事費算定方法は、原則として原形復旧を建前とするが、これが不可能または不適当な場合には効用復旧または代替復旧もできることとしております。  なお、本条の第二項は、事務費工事費に対する割合は、政令で定められることを規定しております。  第六条は、この法律適用除外の場合を列挙しております。すなわち、建物建物以外の工作物、土地または設備被害額が一学校ごとにそれぞれ政令で定める額に達しないもの、及び、設計の不備、工事施行の疎漏または維持管理義務の怠慢に基因するものはこの法律適用範囲から除外することとしております。  第七条は、都道府県教育委員会国庫負担金交付返還等国から委任された事務を行うに必要な経費について、これを国が都道府県交付することを定めたものであります。  第八条は、この法律と他の法律関係について規定したものでありまして、この法律適用を受けたものは、一般法である公立学校施設災害復旧費国庫負担法による国の費用負担は行わないこととしております。  附則では、この法律公布の日から施行すること、及び、この法律施行前に行われた災害地域における九月災害復旧についても適用することを定めております。  以上、この法律案概要について御説明申し上げました。   —————————————
  8. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) この際、委員異動について報告いたします。  本日、苫米地義三君が辞任され、補欠として大谷贇雄君が選任されました。  以上であります。   —————————————
  9. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 次に、教職員勤務評定に関する件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 湯山勇

    湯山勇君 私は、神奈川県の決定いたしました勤務評定につきまして、文部大臣に若干お伺いいたしたいと思います。  勤務評定の問題が各県あるいは各地教委間でいろいろ問題になっておりまして、これに対してそれぞれの教育委員会がそれぞれの立場において努力をし、工夫をしておる、そういう中で、そういう苦心の結果、ここに神奈川県の教育委員会が独自の立場において教育基本法の精神にのっとったと称する勤務評定を決定したわけでございますが、これについて、新聞等世論も非常に好意を持ってこれを取り上げておりますし、勤務評定問題解決一つの糸口になるのではないか、あるいは明るい勤務評定、まあ、こういう表現でこれを支持いたしております。ところが、これに対して文部大臣の御所見は、けさ新聞で見ますと、神奈川県の勤務評定の案が違法だとか、間違っているとか、そういうことは文部省としては言ってはいないんだ、ただ、もう少しあの点については研究をしていきたい、というようなことを言っておられることを、けさ新聞で見たわけでございますけれども、しかし、文部省の中には、この神奈川県の決定した勤務評定について、これはどうも法に言う勤務評定ではないとか、あるいは、これは人事管理基礎資料にはならない、こういうようなことを文部省の中に言っておる向きもあるようでございます。  で、この神奈川県の決定した勤務評定について、文部大臣はどういうふうに御判断になり、これについてどうお取り扱いになろうとしておるのか、お伺いいたしたいと思います。
  11. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 神奈川県の教育委員会におきまして今回、「神奈川県の教育効果向上を期待し、教師自発的意欲を高めることに関する人事行政措置」というものを決定したのであります。これが新聞に出ましたので、私もこれを見たのでございますが、私の見るところでは、少くとも私の頭の中に描いております勤務評定というものとはだいぶ趣きが違うのでございます。従って、一体どういうふうな内容のもので、どういうふうな考え方のもとにこれが決定せられておるのか、そういう点についてよく調査をしたいと考えまして、事務当局に対しましても、詳細これを調査するようにということを命じてあるのが今日の段階でございます。  事務当局としましては、一両日前に神奈川県の教育長に来てもらいまして、いろいろ説明も承わったようであります。まだ十分に事務当局としても納得しかねる点もあるようでございますが、さらによく関係者の意見も聞き、内容等についても検討を加えました上で、私は自分考えをきめて参りたいと、かように考えておる次第でございます。  新聞で見ましたところ、また事務当局が今日まで聞きましたところによりますと、一体神奈川県はこれを果して勤務評定と思ってやっておられるのかどうであるのかというような1点につきましても、私たちも疑問に思っておるのでございます。また、勤務評定としてこれが扱えるものであるかどうかということについては疑問なきを得ないのであります。しかし、長い間かかって慎重に検討した結果このようなものが生まれたものと思いますので、これが取扱いにつきましては、私どもといたしましても十分慎重にいたしたいと思っております。  なお、すみやかに検討を遂げまして、その上で文部省態度というものを決定して参りたいと思っております。
  12. 湯山勇

    湯山勇君 私はそういうこまかい——と申しますか、法のどこにどう食い違っているとか、そういうことをお聞きする前に、文部大臣として勤務評定の問題がなかなか各地で膠着しておる、あるいはそれが別な方向に発展して別のいろいろな問題を起している、そういう中にあって教師教育委員会、あるいは世論、そういうものが支持するような、しかも神奈川県の教育委員会の明記しておるところによりますと、これは教育基本法趣旨にのっとったものであるし、それから地公法及び俗に言う教育委員会法勤務成績評定という趣旨は、これは教育向上をはかっていくものだ、そういう点からいえばこういう行き方がいいという立場でやっておるのであって、こういう神奈川県のとっている基本的な態度について、文部大臣はどうお考えになられますか。法的にどこがどうとかいうこまかい問題でなくて大局的な大臣としての御判断から伺いたいと思います。
  13. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 私としましては、神奈川県の当事者がどういう考えで、どういうつもりでやったものと認定すべきか、ということについてのまだ結論を持っておりません。この間のいきさつは一体どういうことであったか、またどういう信念のもとにやったのかというようなことについても、少くともまだ私のところには十分の調査の結果が入っておりませんので申し上げかねるのでありますが、ただ問題としましては、もちろん勤務評定実施ということは、人事の公正な管理をはかって勤務成績向上をはかっていくということにあることは間違いないのであります。そういう点に主眼を置いていろいろ検討せられたということは、もちろん文章の上で認めることができるだろうと思います。ただその結果、果してこれを勤務評定と言っていいのかどうかということについて、まだ検討を要すると私は思っているわけであります。
  14. 湯山勇

    湯山勇君 私はこの際、なお文部大臣が御検討になったあとでもお伺いいたしたいと思いますけれども、御要望申し上げ、さらにもう一回お伺いいたしたいことは、大臣はかねがね勤務評定実施したあとでそのよしあしは検討すると、そういう態度をおとりになるし、そういうことをしばしば委員会でもお述べになったわけでございますが、実際問題として、勤務評定ポイントというものは、この教員をどう評定したか、これがポイントとなると思います。そうすると、その教員をどう評定したかというその中身に立ち入っての検討というものは、今文部省の方でこれが適当と思っておられる教育長協議会の試案では、そういうことまでできないことになっておることは、大臣お気づきだと思いますが、極端にいえば、今の制度は、今やろうとしておるものは、神奈川県以外のは切り捨てごめんでございまして、やられた方がどう評定されたかわからない、校長ももちろん自分自身どう評定されたかわからない、従ってこれが間違っておってもこれを直すという機会も与えられていない。そこで人事院規則におきましてはなるべく複数評定、つまりたくさんの人が見るということを奨励しております。さらにそのためにあらかじめ実験あるいは予備段階予備テストをやってみるというようなことがあげてございます。こういうことを抜きにしてやってしまうということは、極端な言い方をすれば切り捨てごめんということになるので、あと評定するというのはただ平均点がどうなっているとかという形式的な面だけしか検討できない、果してこの人をどう評定したかということについてはできないことになっております。のど自慢ですか何ですか、歌を歌うのを合格、不合格をきめるのでも五人ぐらいの審査員がやると、赤が三つ出て白が二つといったようなこともしばしばありますが、今やられているのは、その赤の人が一人だけであるか、白の人が一人だけであるか、その評定中身検討ということはなされないで、やったあと検討するということも、これは本質的な検討にはならない、こういうことなどを考えて参りますと、必ずしも人事院規則で定められたような勤務評定になっていないことは、これは指摘できると思います。そこで、そういったたとえば公開されるのがけしからぬだとか、あるいは評定者がどうなっているとかどうとかいうこまかい問題ではなくて、文部大臣としてはこれが果して教育基本法に合っているものかどうか、こういう観点と、それから勤務評定の本旨はあくまでも人事管理基礎という説明が若干ありますけれども、本来これは能率向上のために行うものでございますから、能率向上のために役立たない勤務評定であれば、それはたとえ名前がどうなっておろうと、本来の勤務評定の意味はなさない、こういうことは勤務評定の大きな柱になると思います。そこで、事務的にどの点がどうだこうだというのでなくて、そういう大局から、私は大臣としては、神奈川県の教育委員会のきめた勤務評定に対してそういう態度一つ検討願いたいということと、それから今日こういう段階でこういう方法によって行き詰まりを打開していこうという神奈川県の教育委員会の努力に対しては、これはその努力を買った態度文部大臣としてはこれに対処していただきたい、こういうことをお願い申し上げたいと思うのですが、大臣の御所見を最後に伺いたいと思います。
  15. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 現行法の勤務評定の制度がいいか悪いか、こういうふうなことなら、これはまあいろいろ御意見もあることだと思うのであります。私の申しますところは現行法の上に立っての話としてお聞き取りを願いたいと思うのであります。現行法の上で勤務評定というものが行われます場合に、今回の神奈川県の……果して神奈川県はこれは勤務評定と言っておられるのかどうかは私ははっきりしないのでありますが、勤務評定というお考えのもとにやっておられるとすれば、現行法上の勤務評定というものと果してこれはマッチするものかどうか、こういうふうな点にいささか疑問を持っておりますのでいろいろ調査をしたい、こう申し上げておるわけでございます。神奈川県の教育委員会の問題を形勢が平和のうちに進めていこう、混乱を防止してやっていこうというような心持は私は全く同感であります。さような点はかれこれ申し上げているわけでもなんでもないのであります。要は、神奈川県の今回きめられたもの、そのもの自体がいいか悪いかということを実は私は今申し上げているのじゃないのであります。問題は、これを勤務評定として扱えるか扱えないか、実は私疑問に思っておりますので調査を命じておるような次第でございますので御了承願いたいと思います。
  16. 松永忠二

    ○松永忠二君 関連して少しお伺いをしたいのですが、神奈川県の出しているその基本方針とか実施要綱等についてはごらんだと思うわけでありますが、その基本方針の中で、本県教師の自発的、自主的教育活動意欲を高め、教育効果向上を期待するという言葉に尽きるというような、そういう基本的な方針、それからまた反省記録の項目、特に県の教育委員会は記録を活用して、記録の結果に対する措置を講ずるために努力する。そのために教育効果向上対策協議会というものを設けて定期的に会合するというような、こういう実施要綱及び基本方針というものは、私はこの勤務評定は、内容あるいは方法等として非常に尊重するに足るような方針であり、方法だと思うのでありますが、こういう点については、やはり大臣としても御異議はないし、賛成だと思うのでありますが、どういう御見解でありましょうか。
  17. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 先ほど来申しておりますように、これに対する結論的なことを申し上げることは差し控えさしていただきたいと思うのであります。ただ、神奈川県の教育委員会の発表いたしましたものが、教員の自発的な意欲を高めていくという心持のもとにこの案を考えておるということはよくわかるのでありまして、教師の自発的な意欲を高め、ますます働いてもらうということはだれしも希望することでありますが、私はここに書いております神奈川教育委員会の決定しておりますこと自体について、今かれこれ、いいとか悪いとかいうふうなことを申し上げておるわけじゃないのであります。その点は御了承願いたいと思います。心持としては、お互いに教師が進んで喜んで働くようにしたいという気持があるということについては何にも違いはないわけでございます。
  18. 松永忠二

    ○松永忠二君 この勤務評定人事院規則にも、勤務評定は試験的な実施その他の調査を行なって、評定の結果に識別力とか信頼性とか妥当性があり、かつ容易に実施できるものであることを確かめたものでなければならないというふうな、そういう人事院規則から考えてみると、こういうふうな一つのやり方というようなものについても、やはり一つのこういう試みとしてその効果をまず判定をしてみるということは私は大切だと思うわけであります。実施をする事前にこれがどうこう、とやかくというようなことを言うべき性質のものでなく、やはり実施した結果とか、そういうものを見てからこのやり方についていろいろな批判をすべきであるし、またそういうことが人事院規則規定された趣旨だと私たちは思うわけであります。そういう意味から、やはり文部省はいろいろな御意見を持たれることについても、意見としては非常にまあけっこうでありましょうけれども、やはりこういうものは規則に基いて試験的に実施をして、その効果を見てからやはりこれの問題についていろいろな批判をすべきだと私たちは思うのでありますが、これも人事院規則に基く一つの試みとして、しかもこの効果の判定を実施した後にいろいろ問題にすべきだというふうに考えるのでありますが、そういう考え方については大臣はどういうふうにお考えになりましょうか。
  19. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) この神奈川県の今回の措置そのものにつきましても、そのもの自体として十分私どもは研究をさしてもらいたいと思うのであります。今私が疑問といたしておりますのは、この措置が法律上いわゆる勤務評定のワクの中に入るものか、入らないものか、そういう点に多少の疑問を持っておるわけであります。その点を一つ十分検討さしていただきたいと思うわけであります。今これを否定するとか何とかいうような考えでものを申し上げておるわけじゃございません。しかし、この勤務評定が、かりに勤務評定のワクに入らないということになれば、勤務評定勤務評定という問題が残るわけであります。そこらの点を十分一つ検討さしていただきたい、かように申し上げておるわけであります。
  20. 松永忠二

    ○松永忠二君 私の申しておるのは、そういうふうな勤務評定のワクに入るか入らないかというようなこと、あるいはそういうことについてはやはり実施をして、勤務評定考えている効果を十分に発揮するかどうかというような、そういう問題をやはり見てからの上ではないかというふうに私たちは思うわけです。そういうことをただ机上で見て、それを一方的な見解を表明するというようなことになると、今言った通りな勤務評定内容そのものについても各種各様のものが考えられてしかるべき規則も人事院規則として制定をされているのであるから、従って実施の結果というようなものの上に立ってこれが評定に入るとか入らないとか、効果があるとかないとかいうことを、見解というか、考え方をまとめていくべきだと私たちは思うわけです。こういうふうなことについて文部省としてはある種の研究の結果見解を発表するというようなお考えを持っておられるのか、あるいはこういうことについては実施の状況等もよく見た上で見解を発表していくという考え方を持たれておるのか、その辺は大臣いかがですか。
  21. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 今のところ、別に世間に向って文部省の見解を発表するとかいうようなことも考えておりませんが、すべては検討した結果、あるいはそのときの状態ということでものを考えて参りたいと思っておる次第でございまして、決してこの措置というものを頭から否定して、こんなけしからんものはないというふうなつもりでものを申し上げておるわけじゃないのであります。この措置そのものについても、やはりわれわれとしましては苦心の作であると思いますので、十分研究さしていただきたい。と同時に、それはそれといたしまして、これが勤務評定というもののワクにはまるかはまらないか、こういうふうな点について検討してみたいと思うのであります。このこと自体が無価値なものであるとかなんとか、そういう考え方で申したわけではございません。その点は御了承願いたいと思います。
  22. 松永忠二

    ○松永忠二君 この問題について最後に一つ御要望申し上げたいと思うわけでありますが、今申し上げましたように、人事院規則の中にもいろいろに効果を確かめるということもあるので、いわゆる教育長試案というものに基くものだけが勤務評定内容ではなかろうと思うわけであります。従ってこういうふうな一つの試みとして案を作られてやるということは、規則に基いて十分に成り立ち得る性質のものだと思うわけです。そういうことについて実施の結果に基いてあるいはその効果を判定した上で一つの見解を発表するというのなら、そこにもあるけれども、まだそれを実施し、効果を判定しないうちに文部省が見解を発表するということは、これは慎しんでいかなければいけない性質のものだと思う。もしそういう見解を表明するということになれば、今問題になっている教育長協議会の試案についても見解を表明すべきだと思う。やはりあるものだけをとらえて見解を発表し、あるものについては地方にまかしていくというやり方では、非常に一方的な処置の仕方だというふうに思うわけでありますので、今大臣が非常に慎重な配慮を持っておられるようでありますが、十分に一つそういうふうな意味で、この神奈川県の勤評問題の解決としての一つの方策について慎重な態度をとって、今後善処していただきたいということを要望申し上げておくわけであります。
  23. 坂本昭

    坂本昭君 大臣にお伺いいたしたいと思います。近来勤評紛争が各地におきまして次第に悪質化、暴力化あるいは政治化しつつある。そしてそのために次第に教育の本義を逸脱してきている傾向がかなり見受けられるのであります。で、このことは、文部当局が都道府県教委あるいは地教委に対して適切な指導をしないで、その指導の中に大きな誤まりと欠陥があるのではないか。私はそういうことで非常に、文教委員の一人として、また、国民の一人としても深い憂慮の念をいだいているものでございます。ときたまたまけさ新聞の報ずるところによりますと、いまだかつてない新聞がトップ記事で流血の教育問題を取り上げております。これはすでに大臣も御承知であろうと思いますし、また、この高知県で行われました事件については、もうすでに十月の終りからの事件でありまして、このことについては当然文部当局としても十分な調査をしてこられたと思うのであります。私はその間における適切な指導を欠いたためにこのような流血騒ぎを起したと考えまして、非常に遺憾にたえない次第でございます。特に報ずるところによりますというと、重傷八名、軽傷二十名、しかもこの重傷八名の中には教員組合の委員長並びに問題の起っておる学校の教員七名が入っている。しかも重傷を負った状況を見ますと、教育父母会議の会長初め全員約三十人が酒を飲んだ上、トウガラシの目つぶしや火ばち、消火器を投げつけて一時間にわたって集団暴行を加えた。大臣としても、当然この教育父母会議というものがどういう成り立ちで起ってきたかということはよく存じているはずであります。私もよもやこの教育父母会議が暴力団体であろうとは実は知らなかった。そうしてそういうものの存在を今まで大臣が黙認といいますか、認めてきたということはこれはまことにゆゆしき事態であると考えざるを得ません。  まずお伺いしたいのは、こうした父兄の暴力行為を大臣は勤評紛争に関連してどのようにお考えになっておられるか、まずその点を承わりたい。
  24. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 勤評問題その他の問題に関連いたしまして、地方でいろいろ紛争を生じておりますことはまことに遺憾に存じております。ことにその紛争の間に暴力ざたが行われるというようなこともきわめて残念なことと思うのであります。かりに争いがあるならあるでお互いに穏やかに物事を進めていってもらいたいもの、こういうことが私の心から念願とするところでございます。最近そういうふうな報道を耳にいたしまして、非常に遺憾なことと私は思っております。ことにけさ新聞によりますれば、日教組の小林委員長も負傷せられたというような報道に接しまして驚いたわけであります。同時にまた大へんお気の毒にも存じた次第であります。かような暴力ざたというものは、いかなる場合におきましてもこれは避けなければならぬことであります。そのこと自体を是認する理由は少しも私はないと思います。願わくば各関係者が冷静な状態に立ち返って、問題を平和のうちに解決していくように努力してもらいたいと思うのであります。高知県の問題につきましても、しばしば私も話は伺っております。もちろん文部省からも人を出しまして実情調査をさせたこともございます。県の教育委員会も督励いたしまして事態の平静化をはかって参りたい、かように考えている次第であります。これは教員組合側といわず、父兄側といわず、お互いに冷静な態度でもって物事を処理していってもらいたいということが私の心からなる念願でございます。
  25. 坂本昭

    坂本昭君 大臣は、はなはだ遺憾であるということの御意見は申し述べられましたが、冷静になっていただきたい——当事者が冷静になることを要求しておられるようでありますが、つまりその冷静になれないところにやはりこの問題があるのです。そうしてそれは何も高知県のこの山の中の人たちが——高岡郡仁淀村の森といいますと相当の山の中でありますが、ここの人たちがきわめて野ばんな乱暴な人たちだとは私は考えないのであります。私も現地の人たちと話し合ったこともありますし、いわば純真素朴な人たちであります。ただこの人たちが冷静になり得ない、そうしてこういう乱暴な行為をすることについて、私はまぎれもない裏があると思うのであります。こういう山の中の純朴な人たちのみならば決してこういうことはいたしません。しかし、父母会議を結成させたところの裏、さらにまた高知県におきましては自由文教人連盟という組織があります。これは大臣としては民主的な教育を促進するための有力な協力団体とお考えになっているかどうかは私は存じませんが、こういう裏があるがゆえにこうした流血の惨事を頻々として続発してくる。私はそう認定せざるを得ないのであります。でありますから、その原因について、ただ冷静になってくれということじゃなくして、原因についてどういうふうにお考えになられるか。そうしてまた私はその裏がある、その裏を断ち切らなければ教育の中立性というものは守られないと思う。そういう点で、こういう自由文教人連盟という教育に対する協力団体、こういうものをどう考えておられるか御説明いただきたいと思います。
  26. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 自由文教人連盟が教育のことをいろいろ心配いたしまして活動しておられるということは私は承知いたしております。別にこれが不都合な団体とも考えてはおらないのであります。何か不都合な事例でもあれば別でありますが、私としては今格別不都合な団体である、あるいは暴力的な団体である、さようには承知いたしておりません。また、父母会議についても同様であります。今お話のように、確かに冷静になれといっても原因があるじゃないかというふうなこともこれは原因があろうかと思うのであります。私はお話になりました高知県の森小学校と申しましたかの事件のごときも非常に遺憾な事態であると、かように考えるのでありますが、何がゆえに善良なる森の住民諸君がそういうふうな状態になったかというふうなことも、これは一つ考えなければならぬ問題だと思うのであります。お互いに勢いのつのるところ、ついいさかいの激しいということになりがちなものでありますけれども、私は森小学校の事態は私の承知いたしておりますところによれば、学校の教職員諸君がその要求を貫くために、いわゆる職場放棄と申しますか、教壇放棄というふうなことをあえてする。それをしてくれるなというふうなことの話がだんだんこじれてきて、こういうふうな状態になってきたのじゃないかと、教員諸君がいろいろな要求を持つということをかれこれ申すのじゃございませんけれども、やはり職場を大事にしてもらいたい、教壇の放棄というふうなことは避けてもらいたいということは、前々から私の申し上げておるところでございます。地元の教育を愛する住民諸君がさような点において憤激をしてこういうふうな事態になったのではないかと、こういうふうに私は承知するのであります。従いまして双方がやはり冷静に立ち返りますためにも教員側の諸君がすみやかに正常な状態に返って父兄の信頼を回復する、こういうふうなことの努力も必要なんじゃないかと思うのであります。そういう形で双方がわかり合ってくれば問題はおのずから解決するのじゃないか、かような考え方に立って先ほど来申し上げておるのであります。
  27. 坂本昭

    坂本昭君 今大臣の言われたこと私も十分理解ができるのであります。そうしてこの森小学校の問題というのは、十月の二十九日からずっと続いているところの父母の同盟休校の問題でありまして、このことについては自由民主党の方からも調査団が行かれたはずであります。それからまた社会党からも調査団が行っております。そうして今大臣の言われた通りに、なるべく冷静にして話し合いによって解決しようということで事態は十一月の終りから十二月の初めにかけて次第に平静になってきておったのであります。ところが、その平静になってきて話し合いのできるふうになってきているにかかわらず、なおかっこうした流血の惨事を起す。むしろ私は、これは文部当局あるいは県の教育委員会当局のきわめて事務的な怠慢もかなりあると思うのであります。といいますのは、単に感情的にどうこうと、今大臣説明に対して、若干委員各位からいろいろと応援の言葉もあったようでございますが、私は一番大事な点は、文教行政の筋を通して、いろいろと事務的に間違っておる、その間違っておる原因は、いろいろと感情の興奮によるものもあるでありましょうが、そういう点を明らかにすることが平静にさせる第一歩だと思うのであります。従いまして、そういう点で私の考えるところではこの十月二十九日からの同盟休校そのものには、この純真な父兄側の人たちからすればやむにやまれない点も私はあったと、その点は私は推察できるのであります。従いまして、えんえん一ヵ月以上も越して、なおかつ事態の解決されない点には、私は二つの問題点があると思うのです。それは未解決になった二つの点がそのまま放置されたためにいよいよいつまでたっても解決されない。そうしてさらにこういういわゆる流血騒ぎになったのであって、その第一点は、十月二十九日から約三百四十名くらいの子供たちが同盟休校、休んでおるのであります。それに対して、二十三名が非同盟休校で正規の授業を受けているのであります。ところが、いわゆる盟休組が校舎を二つに分けまして、そのうちの東校舎をずっと使用している。その盟休組の校舎管理が、一体これが正当であるかどうかということに対して、事務的なはっきりした指示が行われていない、これが第一点。もう一つは、こうした盟休組の子供たちに対して、父兄は六人ないし七人の教師を、教師と名づけていいかどうか、これは県教育委員会が任命したものでありませんから、教師といえないと思いますが、臨時に雇った人によって教育をやっている、いわば補習教育をさせている。この補習教育を正規な教育と認めるか認めないか、そういうことに対する正しい指示を行なっていない。この二つの点に問題の解決が結局延引せられる。また、そのためにこうした流血騒ぎも起ってくると私は考えざるを得ないのであります。この二点についての大臣の意見をお聞きいたしたいのであります。特にこの盟休が長くなりますと、進学あるいは卒業の問題という非常に深刻な問題が起ってくるのであります。私たちはこれについて深く憂慮するものであります。その二点についての大臣の御説明をいただきたいのであります。
  28. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 私は、この今お話しになりましたような点も確かに考えなければならぬ問題と思います。さような問題については、地元の教育委員会においてそれぞれ指示もいたしておることと思うのでございますが、ただあの事態を想像いたしてみますというと、そういうふうな一体ことで片づくのかどうかという点に憂慮いたしておるわけであります。問題は、学校の教職員諸君が、地元からすっかり信頼を失ってきたというところにあるのじゃなかろうか、こういう点がやっぱり合せて考えて参りませんというと、事態は容易に解決つかないのじゃなかろうかというふうに心配をいたしておるわけでございます。願わくはすみやかにさような点において、つまり基本的なところで問題が解決するなごやかな状態になってくるということをやりませんというと、法律的にあるいは事務的にこうだ、ああだと申しましても、ああつのっておるところではなかなか解決が困難じゃなかろうか。その村の教育委員会につきましても、また、県の教育委員会につきましても、いろいろ努力し、あっせんをしましても、なかなか解決がつかないというふうな状態に今日あるようでございますが、そこらの点について、さらに勉強いたしまして検討を要するところがあるのじゃないか。いずれにいたしましてもお互いの感情が非常にもつれておる。これを解決しなければ、なかなか事実問題として問題は解決しにくい、理屈はどうありましょうとも、あるいはまた法律上はどうありましょうとも、そこらの点が非常にむずかしいところになってきているのじゃないかということを心配をいたしているのであります。
  29. 坂本昭

    坂本昭君 二つの質問に対する返事をして下さい。
  30. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 今のでお答え申し上げました。
  31. 坂本昭

    坂本昭君 私は二点申し上げたのですが、つまり校舎の管理を行なっているが、これは不当ではないか、合法的ではないじゃないか、その点が一点と、それからもう一つは、補習教育これは正規でない、つまり合法的でない教育ではないか、この点を明らかにしていただきたい。それについての御所見をお伺いしたのです。
  32. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 校舎の管理の問題でございますが、この点につきましては、局長からお答えいたさせます。それから同盟休校側の、今の学校教育というもの、これは正規の教育でないことは間違いございません。もちろん正規な教育であるとは私は考えません。きわめて異常な状態で事実上教育が行われているということとして見る以外はないのじゃないかと思いますが、そういうふうな問題が解決、その点が明らかになれば問題が解決するという仰せでございますけれども、私はやはりその根本に、先ほど申しましたような、現在の学校職員と、それから地元側との間に信頼感が回復するということがないと、なかなか解決は困難じゃなかろうかというので心配をいたしておるわけでございます。
  33. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) ただいまお尋ねの校舎の管理権の問題でございますが、学校の校舎の管理権は教育委員会にあることは御承知の通りでございます。で、教育委員会が学校長に事実上の管理をおまかせしておるところもございますが、本件の場合につきましては、村の教育委員会が事実上黙認しておるという形になっておるわけでございまして、この辺も先ほど来大臣からいろいろお話がございましたが、その裏にいろいろ問題がございますので、私ども大へん遺憾に思っておるのでございます。
  34. 坂本昭

    坂本昭君 文部当局は遺憾に思うばかりであって、どうも大事な教育の中立性、そしてこの大事な子供たちの教育を守るということについては、あまり積極的でない点ははなはだ遺憾に思います。第一に、大臣は地元の教員が信頼されていないという事実を指摘せられまして、私もその点についてこういうことになった点ははなはだ残念だと思うのです。従って教育の本来の目的からいえば教育者が信頼されるような関係をお互いに作っていかなければならない、それには文部省も何か信頼されない教師の存在を助長するような言論を吐かれてははなはだ困ると思うのです。私はそのためにはまず当面するきわめて事務的な問題、この点を解決することを通して私は教育者というものの信頼が回復されていくと思う。あなたたちは日本の教育者が全部全国民に信頼されないようにどんどん推し進めていく、そういうことを私は願っているんじゃないと思うのです。私はもちろん労働組合の関係とかいろいろな点を別個にして、今の教育者が国民からだんだん離れていくような教育のあり方というものはきわめて残念だと思う。だからそれを食いとめるには、あらゆる努力をすべきだと思う。そのうちには今の二つの点、地教委が黙認しておる、黙認をせざるを得ないような状態ははなはだ遺憾である、それを文部省が放置しておるのでは私ははなはだ残念だと思うのです。もっと積極的にこれを解決するためにこれはいけない、黙認してはいけない、すべからく一緒になりなさい、そういう明確な指示を与えないというと、私は山の中の素朴な人たちは自分のやっておること、それから子供たちは十分卒業もでき、進学もでき、そうしてさらにこういう意見もあるのです、自分たちの子供を教えておる六人か七人の雇ってきた先生たちはそのうちには正式の教師として任命されるだろう、そういうような期待を持っておるのです。これは私は基本的に間違った、誤まった期待であって、そういうことは間違いだということをさとしてやるべきです。そうして信頼されていない教師があるならば、なぜ信頼されていないか、そういう点もあなたたちは教師に対しても説得し、また素朴な村の人たちに対してもこういう乱暴な行動をやっちゃいけない、あるいは暴力はやっちゃいけない、そう言うべきであります。今の文部当局の話を聞いておれば、あたかもやむを得ないことであって、この教育父母会議の暴力団的行動をあたかも是認しているかのごとく私には感じられる。これは一体そういうことで日本の教育というものは正しく、そうして中正に行われ得ると、そういうふうに文部大臣はお考えになりますか。
  35. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 父母会議の暴力行動を是認するかというふうなお尋ねでございますが、私はいかなる場合においても暴力は是認いたしません。まことに残念なことだと思っております。ただ問題は、坂本さんが仰せになるように、いろいろ教育委員会としても努力はしておることと思うのでございます。なかなか容易に解決がつかないということでやきもきいたしておるのが今日の状況であると思うのであります。決して文部大臣はこの状態がいいと考えて放任しておるというものではございません。やはり地方教育委員会のそれぞれの責任者において事態収拾のためには努力してもらいたいと思っているわけでございます。ところが、それがなかなか思うようにいかないというのが今日の深刻な小学校の状態ではないかと思うのでございます。何とかそれを解決するためにはやはり根本的には教職員と地元の住民諸君との問に従来ありましたような信頼関係が回復せられ、お互いに平静な心持になるということが先決の問題ではないか、こういうふうに私は考えておるのでございます。
  36. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 関連して。けさ新聞を私も見まして、非常に日本の教育界のために悲しむべき事態だと実は非常に心配をいたしておるのであります。今いろいろお話がありまして、こういう流血の惨事を引き起すようなことになったのは、何か一方的に教育父母会議なり自由文教人連盟なり、そういう力があの騒動をさせたんだというようなふうな御発言がありましたが、私どもは純真な村の人たちにまでこういうような惨事を引き起させるような事態を起しておることは容易ならぬことだと実は思うのであります。教壇を放棄して勤評反対闘争に終始しておるというような事態は、私ども一体日本の教育者の師道が確立をされておるかという点につきまして非常な憂慮を実はいたすのであります。先般来すでに二ヵ年にわたって各地教育問題をめぐっての反対闘争騒ぎが起っておりまするが、私どもは先生というものは七尺去ってその影を踏まないというような尊敬の念を持って常におるのであります。この年になっても私どもは先生の恩はそれこそ山よりも高いと実は考えておる。そういうふうに国民から尊敬さるべき先生がねじりはち巻をしてすわり込みをやったり、あるいは腕を組んで貧乏ゆすりか何か知りませんが、スクラムを組んでやってなさるというふうな事態が一般の世人、ましてや教育を受けておる学童たちに与える印象というものは、私は一生拭い去ることのできんようなおそるべき印象を与えておると思う。そういうようなことをあえてしてまで反対闘争に終始をしておられる一体そういう先生方の反省がなされぬということがこの高知県のまことに悲惨な状況を生み出したものだと思う。従いまして、私どもは先般の群馬県の問題にいたしましても、今日のこの事態にいたしましても、この機会におきまして私どもは文部大臣がより一そう強く円教組の反省をこの際求めていただきたい。そうして日本の教育というものが健全に第二の国民が養成できるように、一つ全国の各教育委員会に対して、強力な動きができるような要請をしていただきたいと思う。私は今日の事態というものはまことに悲しむべきことであって、今承わりまするというと、一方的に文教人連盟とか父母会議とか申しますけれども、純真なる父兄がああいう暴力ざたまでせざるを得ぬという、その根本原因を顧みまするときに、教育者の諸君はこの機会において十分な反省をして、大事な第二国民をあずかっておるのだ、日本の将来をになう子どもたちをあずかっておるのだ、こういう教育者としての認識の上に立った行動をとってもらわなければならぬと思う。それに対して、私は文部大臣としては実情を調査の上に、強くこの際日本の師道の確立についての御意見の御発表をいただくことがきわめて妥当だと思うので、それについて文部大臣の御所見を承わりたいと思います。
  37. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 勤務評定の問題を中心にいたしまして、激烈な反対闘争が各地に巻き起りまして、その勢いのおもむくところ、あるいは教壇の放棄というふうな悲しむべき事態が生じておるわけでございます。これにつきましては、もうすでに長い間、実は口がすっぱくなるほど私は申したつもりでございます。何とか早く考え直してもらえないものか、反省してもらえないものかという心持で今日までやって参った次第でございますが、地方地方によりまして依然としてそういうふうな事態があるということは、心から悲しんでおるものでございます。今お話の点につきましても、考えないわけではございません。十分頭に置きまして今後善処して参りたいと思います。
  38. 坂本昭

    坂本昭君 先ほど大谷委員が関連質問をされましたが、高知県の実情をお知りになっておられないように思いますので、その点はなはだ遺憾に思います。高知県の実情は、教師の方もいろいろと深く反省しております。それからまた、十二月の初めにはいろいろと父母たちとも連絡を緊密にとっていくというような態勢も積極的に組んでおるのであります。私はこうしたときにおいて、なおかっこういう流血の惨事を起したというところに、先ほど指摘しました二つの事務的な問題があまりに長く延引しておる。私はこれを解決していけば、今のこういう痛ましい事件を引き起さないで防ぎ得た……。ともちろんこの十二月の初めにやるということは困難だったと思います。しかし、十二月になったらもうできると思うのです。この点について、私はもう一ぺん確認しておきたいと思うのですが、この校舎の不法な占拠について、先ほど内藤局長は、地教委が黙認せざるを得なかったやむを得ない点があるであろうというようなことを言っておりましたが、そのやむを得ない点が大体一ヵ月ぐらいすればやはり私は去っていくと思うのです。もう去りつつある現に段階なんです。だから、この点をどうしても明らかにしておく必要がある。先ほど来の大臣並びに局長の御答弁によると、これはやはり校舎の占拠は不法なものである、正しいものではない、そういう点は明らかにされたと私は確信します。それからもう一つ、その補習教育も、これは不正規のものである、これがよいものであるとはとうてい認められないということは大臣も言っておられましたが、この二点をはっきりするということは、現在次第に先鋭化しつつある人たちに対して、ああそうかという点で、そこに私は平静な心を持つ機会を与えると思う。この二点を私はこの際確認をしておいてさらに次に申し上げたいことは、先ほど大谷委員は父母会議の暴力をあたかも是認するような若干の御発言がございましたし、どうも文部当局もそういう考えがかなり強いように思う。私は自由文教人連盟は、必要な点があれば大臣も認めて、そうして教育上の協力を仰ぐこともいいでしょう。しかし、少くともこうした二十八名という重傷、軽傷を作り、さらに二人の教師が行方不明であると、こういうことをだれがやったか、これは父母会議でやったということははっきりしておるのだから、この点をはっきり認識して、悪いことをしたときには悪いことをしたということをやはり認めなければ、法律というものはなくなるのです。だから、この点は皆さんとしても、また大臣としても、この高知県の森小学校にあるところの父母会議の行動ははなはだ常軌を逸したものである、かかることをするならば、これは当然解散しなければならぬ、そうした明確な態度を私はとっていただきたいのです。そうしてさらに、教壇を放棄してまでも勤評反対をしているその真意は一体どこにあるか、なぜそれまでもして反対せざるを得ないか、それほどまでいやなものを要するに強制していこうというところに私は問題があると思うのです。そこで、高知県の実情は、十二月の十日に締め切りになったのですが、提出されたところのものは二・八%にすぎない。さらに三十数ヵ所の地教委は勤務評定の提出の延期あるいは見送りというふうな態度に出ておるのであります。このことについて文部大臣は、各都道府県教育委員会、あるいは地教委で、それぞれの自主的な立場教育の問題を考えて、こういう結果——高知県の場合はわずか二・八%しか出されていない、それに対して文部大臣はどういうふうに御判断なされますか。
  39. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 森小学校の状態はまさしく異常な状態でございまして、決して正常な状態ではございません。学校の校舎を使っているということは不法占拠であるということでございますけれども、一がいに不法占拠ときめつけるわけにもいかないような点もあると思うのであります。いずれにいたしましても、正常ならざる状態であるということは、これは間違いございません。すみやかに正常な状態に帰ることを私どもは希望いたしておるわけでございます。  また、暴力の問題でございますが、私は先ほども申しましたように、いかなる場合においても暴力は是認できないのであります。これはだれがやっても同じことであります。父母会議が一体父母会議として暴力を働いたのか働かなかったのか、その辺の事情はつまびらかにいたしませんけれども、私は、自由文教人連盟にいたしましても、父母会議にいたしましても、何ら直接の関係を持っているものではございません。しかしながら、これが暴力団体であるということには私は全然考えない。正しく教育のことを憂えて働いている団体のように思うのでありますが、地方の一部にさようなことがあるといたしまするならば、おそらくそれぞれの団体においても善処せられることだろうと思うのであります。決して是認するものではございません。  それから、今の高知県における勤務評定の問題でございますけれども、私がこの勤務評定の問題について教職員諸君にどういうあり方を望んでいるかということについては、もうすでによく御承知のことであると思うのであります。勤務評定問題について個々の教職員諸君がいろいろ意見を持つ、あるいは反対意見を持つということは、それはあるでありましょう。あるでありましょうが、正当な手続によってこの勤務評定のことを進めようとする場合に、その手段方法を選ばず、是も非もなく実力をもって反対するというような態度は、私といたしましては容認するわけには参らないのであります。同時にまた、その反対闘争をやるために暴力でやるというようなことは、これはもってのほかのことであります。こういうことも、是認するわけには参らないのであります。さような意味におきまして、教職員組合の諸君のこの勤務評定実施についてのあの反対闘争の姿は、どう考えましても私は適当でないと思う。すみやかに一つ考え直してもらいたいというのが、最初から今日まで引き続いて持っている私の考え方でございます。  なお、高知県の勤務評定の提出の状況がまだ不十分である、十分でないということは、いかに評判が悪いかということを物語るものであるというふうな御趣旨のお話であったと思うのであります。あるいはそうかもしれません。あるいはそうかもしれませんが、しかし、私は高知県の状態を見ました場合において、あの勤務評定の提出状況が悪いとか、あるいはこれが実施を延期したとかいうことは、必ずしも正常な姿のもとにおいてさようなことにはならなかったのではなかろうかと思うのであります。実施の延期につきましても、果してそれが正常な、平静な状態のもとに延期せられたものであるかどうかというふうなことについては、問題があるのではなかろうかと思うのであります。もう少し、かような、いわば行政事務でございます、こういうふうなものがすらすら行われるようにぜひありたいと思うのであります。これが進行を阻止するためにはどんな手段でもとっていこう、こういうやり方だけは一つ改めてもらいたいと心から念願をいたしております。
  40. 坂本昭

    坂本昭君 ただいまの大臣の御説明ですと、はなはだ高知県全体が異常のような御説明だったようでありますが、この森の場合は、これは別としまして、三十以上の地教委がそういう態度をとっているということは、やはりこれは文部当局として深甚なる考慮を払うべき点であると私はそう思います。だから、そういうことを、もっと行政事務がすらすらといくようにということは、何でも文部当局の命ずるものは是であって、それを全部そのまますらすらと受け入れろというふうなことでは、私は日本の民主的な政治というものは行われないと思うのです。そういう点では、私は文部当局の反省を強く要求するものであります。  さらに、自由文教人連盟のことについて若干話がありましたが、まだどうもいろいろな点で御認識が足りないのじゃないかと思いますので、一つ実例をお話いたしたいと思います。それは、いろいろと問題を起しておりますが、安芸の高等学校で二人の教員が停職十ヵ月という処分を受けております。ところが、この停職の理由が実は一つも明らかにされていない。しかも、そのための調査も十分されていない。調査が十分されていないことは、教育委員会自身も認め、また安芸の高等学校の校長自身も認めているんです。そうした中で停職十ヵ月という非常な強い処分がなされている。ところが、これの内幕を見ますというと、安芸の高等学校の前PTAの会長が、これが高知県の教育委員会教育委員の一人に任命されたんです。そして、この人は自由文教人連盟の幹部であります。そして、この自由文教人連盟と県の教育委員とはかなり密接な結びつきを持っているのであります。いい意味での教育効果向上のためならいいんですが、こうした理由のない停職処分をやる、こうした点にこの自由文教人連盟というものが活躍をしている。またいろんな、森小学校の場合でも私は相当な金額を使っていると思われる節があるんです。たとえば、六人も七人も先生を雇う。そしてこの先生たちは、まことにお恥しい話でございますけれども、「朕惟フニ我カ皇祖皇宗」のあの昔の古い教育勅語を教えておったのであります。これは、さすがに父兄たちが腹を据えかねて、おれたちにわからないようなことを小学校の生徒に「朕惟フニ」を教えることは困る、こういう教師はやめてくれというので、自由文教人連盟差し回しの教師を、この父母会議の人たちが首を切ったという事件も実はあるんであります。私は、こうした動きを実際に自由文教人連盟がやっている、このことを当然文部当局としては十分その実態を知り、そのよいところはとってけっこうですが、悪いところは悪いとしてはっきりした判断を下されて、そしてこの処置をとる必要があると思うのです。私は重ねて自由文教人連盟の政治的な活動についての文部大臣の御意見を承わりたいと思います。
  41. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 自由文教人連盟というものにつきまして、それほど私もつまびらかにしているわけじゃございません。個々の政治的活動についても詳細承知いたしているわけじゃございません。別に関係のないところでございます。ただ、自由文教人連盟と仰せになりましたが、果してそれがいわゆる全国的な意味における自由文教人連盟というふうにとるべきものであるかどうかということも、これは問題であろうかと思うのであります。詳細の事情を承知いたしておりませんので、何とも申し上げかねるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、これは自由文教人連盟といわず、父母会議といわず、すなわち勤務評定に賛成する側といわず、反対する側といわず、お互いに正々堂々とやってもらいたいと思うのです。ことに暴力をふるうがごときことは、双方ともに考えてもらわなくちゃならぬことであります。その点についてははっきり申し上げてよろしいと思うのであります。坂本さんのお話は、賛成側に対する御批判が非常に多いようでありますが、反対側に対する関係におきましても同じようなことが私は言えると思うのであります。そういうふうな点について、私はまことに残念に思う。こういうふうな行政事務を遂行するに当りまして、実力をもって、あるいは暴力をもってこれを阻止するとか、あるいはこれを阻止する者に対しましてはさらにまた実力をもって臨むというふうなことは、民主政治の国としてはまことに遺憾なことであります。さようなことのないようにいたしたいという心持を持っておるわけであります。
  42. 坂本昭

    坂本昭君 暴力出現の事態に対する責任は、私は文部当局にあると思うのであります。(「質問々々」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  43. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 私語を禁じます。(「それでは委員長も公平にやりなさい」と呼ぶ者あり)
  44. 坂本昭

    坂本昭君 さらに文部大臣に申し上げたい点は、この自由文教人連盟というものは、これは政治的な動きをしているのです。ことに、来年また各種の選挙がたくさん行われます。そのために、この自由文教人連盟が非常な動きをして、その結果がこの森小学校のように未解決のまま残っている。私は、当然この政治問題と教育問題を切断するような措置を積極的にとるべきことを要求しているのであります。  さらに、ちょうど警察庁からおいでになっておられますから、これらの勤評紛争の際に現われたところのいろいろな流血騒ぎの中で、警察当局がかなり積極的に動いている面もありますが、同時にきわめて傍観的な立場をとっている事情も多いのであります。たとえば、この森小学校のような場合あたり、私はこれはかなり未然に防ぐことができたのではないかと思う。それらに対して警察庁の態度を御説明いただきたい。特に高知県の場合は、高知県の県警察本部に勤評闘争対策本部といいますか、勤評紛争に関連して起るところのいろいろな事件を特に警備するための本部というものが作られたのでありますが、一本これは警察庁としてそういうような指示をしておられるのか、またその取締りに対してどういうふうな方針を持って臨んでおられるか、それを一つ承わりたい。
  45. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) お答えをいたします。高知県におきまする昨日の事件につきましては、ただいま刻々連絡を受けている最中でございまして、詳しいこと、あるいは正確なことにつきましては、また別の機会に申し上げるということになろうと考えまするが、われわれがただいままで知り得ておりまする限りにおきましては、昨日の問題はきわめて偶発的であったと言わざるを得ないのであります。もちろん森におきましては、従来からとかくの紛争もございましたので、注意はいたしておりまして、駐在所一名のところを、先般から特にこれを二名にして用心をさせるというような措置はとっておったようでございます。現に、昨晩もその二名の警察官が、この学校の校庭にまでは出向いておって、外からそれを監視しておった。ところが、事件の起りましたときに、急に起りましたために、二人は自分たちでできるだけのことはやっております。たとえば、なだれ込んだ人たちのうちの十名近くの者をとにかくその場で引きずり出すというようなことや、あるいは本署に対する連絡というようなことをやっておりまするが、私は高知県の地理を存じませんけれども、聞くところによりますというと、仁淀村と本署のあります所は三十キロくらい離れておるというようなことで、連絡はすぐ受けましたけれども、それをおさめに参りましたのは一時間数分を要しております。そういうことで、まことに残念ながら、現場に十分な警察力がなかったということで、ああいう事件を未然にといいますか、その現場において取り静めるということができなかったことは残念でございますけれども、小林氏が森の方に行かれるということも、今までの報告では知っていなかったようでございまして、その点、知らなかったということに手落ちがあるかどうかということは、なお検討の要がございますけれども、実情としては、できるだけのことをやったようでございます。  なお、御参考まででございまするが、校長さんと宿直の先生ですか、二人のありかがわからなかったということでございますが、今私の出がけの連絡では、校長さんは、自分でその場をのがれてと申しますか、立ちのいて、郵便局長の自宅で休んでおられる。それから中内という教師は、高知市の平田病院に入院中のようでございますから、拉致されたという者はないようでございます。  なお、ただいまのお話で、県警の中に何とか対策本部というのができているというお話でございまするが、これは、係としてはあるいは存じておったかもしれませんが、私としましては初耳であって、これは、何も作ること自身決して悪いことでもないんで、ああいう問題のある所では当然作るものでございましょうけれども、これはわれわれの指示によるものではございません。  以上お答えいたします。
  46. 坂本昭

    坂本昭君 そういう本部を県警の中に作れば、当然警備上の目的を持って作ったと思う。しかも、それを作っておいて、こういう大きな流血騒ぎを未然に防ぐこともできないということは、(「だから警職法が必要なんだ」と呼ぶ者あり)それは、警職法を改正しなくても十分でき得る。(発言する者多し)
  47. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 御静粛に願います。
  48. 坂本昭

    坂本昭君 特に、高知県の実情について、先ほど大谷委員ははなはだ認識を欠いておられる点を私は遺憾と思ったのでありますが、全体的な動きはずっと平静になっているのです。そして、まあ、いわば勤評反対闘争というのは、十二月の十日の締め切りによって一応一段落をしている。そういう格好で、そういう点で非常に平静になっているのですよ。平静になっているところに、ことさらに県警の中にそういう特別な本部を作ったり、そうすることは、私はやはり一つの刺激を作っているのじゃないかと思う。だから、そういう点は、警察庁としては、この趣旨を高知県の県警に対して明らかにすることを命じて、せっかく作ったなら、警備上の使命を果すように、(「だから警職法が必要だ」と呼ぶ者あり)そしてそのために、問題をさらに紛糾させるような警備のやり方は、私ははなはだ不都合であると思うのであります。
  49. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) 御質問でございますか、御意見でございますかわかりませんけれども、平静になっているということでございますけれども、かつてより平静になったという状態はありましょうが、最近におきましても、いろいろ事案がございまするので、そういう本部を作っておりますることは私適当であると、こう考えております。しかし、作りましても、これは、勤評賛成、反対の両方を通じまして、いかなる事件をも未然にこれを防止できるというものじゃございません。そのことには一生懸命になってはおりまするが、今申し上げたような事情もございまして、手が届かなかったという点を御了承願いたいと思います。ただ、昨日の会議におきましても、あるいは県教組の方々から、日教組の委員長が見えて問題の仁淀村の方に行かれるから、問題があっては困るから連絡するというようなことも、これは実際にあったかもしれませんが、かりにございますれば、非常に警備的にも事前にまあできるだけのことができたろう、連絡があったかどうかをつまびらかにしないで申し上げることはどうかと思いまするけれども、私はおそらくなかったのじゃないかというふうに考えますので、将来は、そういう際には本部に御連絡をいただいて、(笑声)われわれとしてもできるだけのことをいたしたいと思います。
  50. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 湯山君。(「ほかに回せ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)坂本委員の質問があって、それに対しての関連質問を先に取り上げておる。(「ほかの方も聞きなさい」と呼ぶ者あり)発言するときに、発言しているときに、質問者は「関連」と言って下さい。だれも言わないから。「関連」と言って下さい。(「きょうは勤評をやるんだから、みな関連ですよ」と呼ぶ者あり)はっきり、関連なら「関連」と言ってもらわないと、一人が質問しているのだから。(「みな関連だよ」と呼ぶ者あり)いやいや、その質問している人に対する関連だ。(「何時間やっているんだ、ほかに回せ」と呼ぶ者あり)よしよし。(「ほかの党には少しもしゃべらさぬということはいかぬ」と呼ぶ者あり)よしよし。(笑声)
  51. 湯山勇

    湯山勇君 大臣にお尋ねいたしますが、先ほど来坂本委員に対する御答弁を承わっておりますと、非常に遺憾だという意思表示はありましたけれども、どうするということについては一向お触れになっていないので、私はその点をお伺いしたいと思います。それは、文部省から現地に調査に人を派遣されたということを言っておられましたが、一体現地に行った人は何をやってきたか。それから、今こういう状態を放置できないということも、これもはっきり言われたところであって、そうだとすれば、一体どういうふうにしていこうとしておられるのか。自然におさまるのを待つということでは、文教行政の責任者として私は不適当、という言葉は悪いかもしれませんけれども、それじゃ二合が悪い、こう思いますから、一体、大臣としてこの問題を解決するために、どういう手段、どういう方法をおとりになるか、これはもう研究にならなくてもおわかりになっていることだと思いますので、お伺いいたしたいと思います。
  52. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 文部省として何か措置をとって、それですぐに解決するというふうなうまい処置ができれば言うことはないが、なかなかそう簡単には参らない事態ではないかと思うのであります。また、いたずらに東京からかれこれ指図がましいことを言うということも、これはよほど考えなければならぬ問題でございます。どこまでも、地元の教育委員会なり県の教育委員会、その辺で事態の収拾について努力していただきたいと思っておるわけであります。文部省は、その意味におきましては督励をいたしておるわけであります。格別、こうすればこうなるというふうなうまい処置を私は持ち合わしておらない。もしあれば、むろんそれをやるわけでありますけれども、ございません。また、そう簡単に文部省の行政措置で解決するような問題とも思わないのであります。要は、やはり先ほど申しましたような心持で十分地方の方が善処していただきたいということを念願しているわけであります。
  53. 湯山勇

    湯山勇君 文部省調査に行った人の調査の結論が、今大臣の言われたような点にあったのかどうか、これを一つお伺いいたしたいと思います。それからそれと同時に、文部省としては、県の教育委員会なり、それから地元の教育委員会なりに対して、やはりこのままほうっておくということではなくて、たとえば、正規の教育が行われていない、つまり、公務員でない教師によって教育されている、その教育の責任はだれが持つか、こう考えて参りますと、その責任はやはり教育委員会、ひいては文部大臣にあると思います。そういうみずからの責任も、これは大臣としてはお考えにならなければならないので、自然におさまるのを待つというのではなくして、私はこれにはもう少し、今、じゃあ積極的な調査をするとか、あるいは教育委員会に対していろいろ相談をするような方法は、それは今直ちに名案はないにしても、名案を生む努力は重ねなくちゃならないと思います。これは調査に行った人の意見と、その点に対する大臣の御所見、この二点をお伺いいたしたいと思います。
  54. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 文部省から調査に参りました調査の状況につきましては、局長から申し上げていただきたいと思いますが、結論といたしましては、私、ただいまのところでは、先ほどお答え申し上げましたようなこと  に尽きるのであります。決してこの県の教育委員会、市あるいは町村教育委員会が遊んでいるわけではない。やはりこの問題につきましてはそれぞれ努力はいたしておるところであります。幾ら手を尽しましてもなかなか思うように解決できないという、深い根のある争いになってきておるのじゃなかろうか、かようにまあ考えておる次第でありまするので、やきもきはいたしておるので……。責任のことでございますが、もちろん教育に関する問題でございますので文部大臣に責任ありということであれば、私甘んじてその責任を受けるつもりでありますが、ただ私はその責任を果す身としては、もちろん問題の解決の方向に向って努力する、それが私の責任である、こう考えておる次第であります。
  55. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 文部省から調査に行きましたのは、一つは高知県の全体の教育行政の問題もございますし、また今お尋ねの森小学校、あるいはこの前の安芸高等学校の学生問題、こういう問題が実はございまして、実は森小学校の問題につきましては、その原因がどこにあるのかという点がます第一の問題でございまして、これは先ほど来お話も出ましたけれども、当時二つ私どもは重点的に考えておったのですが、一つは、六月二十六日の教職員の一斉休暇をしたのに対して、今後は闘争のために子供を犠牲にしないという誓約書を教員と父兄が結んだわけです。このことに関して十月の二十八日の闘争については、事前に父兄との話し合いをしたけれども、了解に達しないままに教職員多数が全日休暇に参加した。これがために父兄が怒って、今日のように二十九日から父兄は学校の教育を拒否した。これは一方的に教職員が誓約を破棄したというところに原因があるのじゃなかろうか。ですから、この不信感というものを除かなければならん。  それからもう一つは、お互いの間で、先ほど来大体平静にもどった、これは確かに平静にもどったのですが、その当時、十一月の初めにオルグ団は入れないようにしようということをお互いに結んだ、ということは、双方が平静にこの問題は解決しようということにした。お互いにオルグ団を入れますと、どうも感情が激高してくる。この点についても組合側が三十名のオルグを入れたということがその後あったので父兄が怒った、こういうように報告しておる。ですから、一つ教職員と父兄の間の信頼感が根本的にうまくいっていないのではないか。それから一つは、オルグ団が入り込んでよけいにこの事態の紛糾をしているのではなかろうか。で、当事者だけの事態の円満な解決を私どもは念願をしておるし、県の教育委員会にもそういう指示をしている。ところが、県の教育委員会は、実は御承知の通り安芸高校の事件で教育長も倒れ、次長も倒れ、教職員課長も入院しておるというふうな非常な異常な状態でありまして、実はすみやかに森の小学校につきましても解決するように、たびたび私どもの方では要望をいたしておるのです。ですから、この問題については、できるだけ外部の者が入らない、そして、教育委員会教師と父兄と、この直接の関係者だけで私はすみやかに解決していただきたいと、こういうことを強く要望しておる「わけでございます。
  56. 坂本昭

    坂本昭君 ちょっと今の……そうすると、文部当局としては地域の、高知県の自主的な措置に一切をまかせると、そういう態度でやっておられるわけですね。
  57. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 自主的に解決せられることが最も望ましいと思っておるのであります。また当局の方で、遠い所でかれこれ指図がましいことをするよりも、まじめにその地方地方の責任者が事態の収拾に当っていくことが一番望ましい姿ではないか。その意味で何とか早く解決してほしいということを始終申しておるのでありまして、今局長のお答え申し上げましたような状況でございます。
  58. 常岡一郎

    ○常岡一郎君 一波万波を呼ぶといいますが、きょうの新聞を見て実に驚いたものであります。これが波及するところ非常な、精神的の波及はもちろんでありますが、形の上においても、また各地にそういう点が起るのではないかという心配がするのですが、これに対して実は私は十二月の四日でありましたが、群馬県の境町の公民館へお話に参りました。講演が済んだあとで深谷の講演に行く間に時間をさいて座談をすることにしましたら、聴衆の一人がただいまこの町は群馬県の勤評問題のあらしの焦点に立っております。校長先生を寒いのに火もやらず軟禁して、食も与えぬ。教員側の方はたき出しまでしております。その姿を見て、涙なきあたわざるものがある。私はきょう決意をして、一人死ねば天下に波紋を描くのではないかと考えて、相当強い決意をしておりますが、そういうことはやってもいいものでしょうか、という質問を受けたのであります。非常にまじめな父兄であります。これは、その父兄の姿を見るときに、あまりに理不尽なるその組合といいますか、その先生方の態度に対しまして、法の命ずるままに勤めをしようとする弱い校長の一人の立場を見るに見かねた父兄の怒りというものは、天下に満ちあふれておるものではないかと私は感ずるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)その一つが今度の高知県の事件であり、それを見た瞬間に私は群馬県の境のことを思い出したのであります。限度がすでに来ておるとすれば、各地にこういう波紋が描き出されるのではないか。父兄の怒りは相当なものがある。たとえば道徳教育の講習会にいたしましても、あの講習会の妨害の姿がテレビなどで国民に見せられますというと、その見た者からいいますと、実に悲しい姿になっております。相当の怒りを持っておりますために全国に波紋が起るのではないかと思いますが、文部大臣はそれに対してどういう見通しをしておられるか。そういう危険はないとお考えになるか。この点をまずお尋ね申し上げたい。
  59. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 高知県における事態あるいはまた群馬県における事態は今日勤評反対の何と申しますか、新聞では拠点闘争という言葉を使っておるようでありますが、特にこの両県に主力を注いで反対をすると、こういうような反対闘争をするというふうな姿になってきておると思うのであります。それだけにまた教育の実情を心から憂えている地方の住民の諸君がこれに対して憤激をしているということもいなむべからざる事実ではないかと私は思うのであります。先刻来繰り返して申し上げておりますけれども、かようなことは最も不幸なことであります。学校の職員と地元の住民の諸君とが心から互いに信頼し、敬愛し、そうして子供の教育が平和のうちに進んでいくという姿に一日も早く立ち返ってもらわなければならぬ。そういう意味におきまして私は今のような、あくまでもあらゆる手段に訴えて、いわゆる人権じゅうりん的なことまでして反対闘争を続けていくというふうなことが依然として今後継続するということになりますというと、あるいはお話のように他府県にもかような不測の事態が起らぬとも限らないということを憂慮いたしまするがゆえに、何とかこの辺で一つ考え直してもらいたいという気持で精一ぱいなのでございます。そういうことはもちろん望ましいことではございませんし、あってはならぬことでありますけれども、執拗にかような理不尽な反対闘争を繰り返しておりますというと、ついそういうふうな不幸な事態が起ってくるという心配は私は持っております。できるだけそういうことの起ってこないようにということで、先ほど大谷委員の私に対するお尋ねもさような御心配から出ておるのじゃないかと思うのでございまして、私といたしましても全国教職員の諸君あるいはまた父兄の諸君、いずれも学校教育は一番大事なところでございますがゆえに、教育を愛するという立場からお互いに平和な関係にすみやかに戻ってもらいたい。そのためには父兄の憤激を買うような措置はやってほしくないということを心から念願をいたしております。さような頭で今後に処して参りたいと思っております。
  60. 常岡一郎

    ○常岡一郎君 勤務評定の問題について、相当にひどい混乱の中に、文部大臣が強く立って所信のままに進まれたという点については私は非常に喜びを感じておったものであります。そこで、その点につきまして、まだ言いたいことはありますけれども、時間がありませんので、ただ私は大木というものはやはりゆすってみてもゆれなければゆするばかはなくなる。やはりきぜんとして所信に向っていくときに九・一五ストのあの総評指令、日教組の指令が、存外声のみ高くして実質に応ぜられなかった姿を見ますというと、声なき声の大きい力に制約されたものであると私は感じておったのであります。従って、今日またやや下火になりかけたころ、警職法問題を通して盛り上ってきた一つの力にまた刺激されたかのごとく、今日の勤評問題が各地にくすぶり始めました場合に、文部大臣があくまで強き信念を持っておられるかどうか。私は大木たる、ゆする必要のないようなきぜんたるものを望むがゆえに、果してどうかということについて、よろめかざるようにという考え方を持つのでありますが、その点について所信をお伺い申し上げたい。
  61. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 私は物事をいたします場合に、無理はあまり好まない方でございまして、なるべく無理をしないで目的を達するようにいたしていこうと考えておる次第でございます。従って勤務評定の問題につきましても、相当しんぼう強く今日までやって参ったつもりでございます。まだ勤務評定そのものに関しまして全国的に完了しておらないのであります。大多数の府県においては比較的順調に進んで参っておりますが、なお今後に待たなければならぬ府県も数府県あるわけであります。それにつきまして、たとえいかなる反対がありましょうとも、いかなる抵抗がございましょうとも、私の初一念は貫きたいと考えております。これは私個人の初一念を貫くという意味ではございません。日本の政治、行政の上から申しまして、そうすることが私の責任であると考えております。あくまでもこの責任は果して参らなければならぬ、こういうつもりでおります。
  62. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 だいぶ長いこと社会党の諸兄の御所論を聞いておりまして、ようやく順番が回って参りましたので、関連をいたしまして少しく質問をいたしたいと思います。  私も坂本議員の御発言にありましたように、いかなる理由があろうとも、暴力行為に及びまするようなことは絶対これは避けなければいけない、こういう立場に立っておりまするので、高知県におきまする、小林委員長被害を受けられたということに対しましては、深甚な、何と申しますか、遺憾の意を表し、また御同情申し上げるのでありますが、しかし、そのことに関しまして、先ほど、その原因がどこにあったか、父母の会というものがあたかも暴力団であるかのごとくに御発言がありましたので、少しく私の見ておりまするこの高知県の実情というものにつきまして、意見を申し上げまして、文部当局の御答弁をわずらわしたいと存じます。  この自由文教人連盟、あるいは父母の会というものが、森地区の学校の問題に関しまして、こういう事件を引き起しているのでありますが、事件を引き起しました者もやはり限度がありまして、暴力行為に及びますることは、私は絶対に反対でございます。しかし、その暴力行為に、どうして、純真なこういう高知県の、ことに山村とか、純真な地帯における校下の人たちが、こういう挙に出たかということについて、そういう面の説明が少しく足りないのではないか。あたかも、やりました者が、全くこれは悪いのでありまするが、突然に暴力行為をやったような、天下に誤解を生みますと、やはり真相というものを誤まりますので、その点につきまして私の承知しておりますることを少しく申し上げまして、文部当局の御所見をお伺いいたしたいと思います。  先ほどちょっと話がありましたが、高知県におきましては、ことしの六月の二十六日に高知県教組の指令によりまして、県下の小中学校教員が終日の教壇放棄をやったのであります。これは高知県の教育界にとりまして初めてのことで、全県民が、全村民が、町民が、驚愕、混乱のどん底に陥ったのであります。この驚愕の結果が、いろいろなところに波紋を巻き起しておるのでありまして、これは坂本議員も調査に行かれましたが、檮原村西ノ川小学校におきましても、あの愛媛県境における博原村の学校が、僻村でありまするが、先生方を神様のように尊敬をいたしておったのであります。ところが、この先生方が六月二十六日の一斉教壇放棄ということを行おうといたしますときに、この村民が泣いてすがって、この先生方に、授業放棄だけはやらないでくれということを頼んだのでございます。ところが、当日、六月二十六日が参りますというと、先生方は、高知県から回されました、教組の本部から回されましたパスに乗りまして、村人たちがすがりまするその手を振り切って、教員がバスに乗って、一斉に教壇放棄をやったのであります。  そこで村の人たちは、今まで信頼をしておっただけに、先生方に対する、今度はふんまんが爆発をしてきたのであります。これは、先ほども文部大臣が信頼の問題を御発言になっておりましたが、今まで絶対信頼をしておりました先生に対しまして、村の人たちが信頼を失うどころか、逆にふんまんの念に燃えてしまう。ついにこの前の臨時国会におきまして、坂本議員が、教員住宅のくぎづけ事件というようなものを取り上げられましたが、ああいうふうに村民がついにかかって教員の住宅をくぎづけにしてしまった。教員にもう住宅を使ってくれるなというような挙にさえ出たのであります。しかもそれは決して、他の団体でありまするとか、他の指導者がこれを扇動したのでもなければ、全く純真な村民が裏切られた、しかも、そういう先生は、自分の村にもう帰ってもらわなくてもいいというような気持から、ああいう挙に出たのでありまして、これは坂本議員も御調査になりましたが、私参りまして調査をしましたときには、学校の十二名の先生方にも全部会いましたし、あるいは地教委の人たち、関係の人たちにも会いましたが、特に村の百数十名の人全員に会いまして、その気持を聞いたのであります。その人たちの気持というものは、全く先生方の信頼を裏切ったことに対する不満というものが強いのであります。それの解決までは、自分らの子供を学校に上げることは拒否するということを申したのでありますが、私はいかなることがありましても、同盟休校というような挙に出ることは避けるべきだと言ってなだめたのでありまするが、なかなか聞かずに、ついに半月ほどの同盟休校になったのでありまするが、そういうような事態が高知県におきまして起って参りまして、それがまず六月の二十六日の事件でありまするが、この森地区におきましても、同じことが六月の二十六日に起りましたので、そこで村の人たちが、西ノ川の問題を申しましたが、これも同じように村民が大会を開きまして、教員に対しまして、以後教壇放棄をしないでくれ、こういう強い要望書を出しましたのです。これに対しまして、森地区の学校の先生方が、再びこういうような行動をとらないということを確約をいたしておるのであります。父母の会もこれで納得を得まして、問題がおさまっておるのであります。ところが、その後七月の十八日、九月の十五日、あるいは十月の十四日、こういう際には半日以下の休暇闘争をやっております。しかし、この休暇闘争におきましては、実際上教育にあまり支障がなかったものとして黙過しておったのでありまするが、しかし、校下の人たち、父兄の人たちは、非常に不満の感情を持っておったのであります。ところが、いよいよ今度は十月の二十八日になりまして、また前述の休暇を実施する、教壇放棄をやるというような情勢が迫って来ましたので、そこで二十七日に再び六月の二十六日のあとにおきましてかわしましたこの誓約の確認を求めまして、授業放棄をしないようにしてくれ、こういうことを全住民と申しますか、今おっしゃっておりまする父母の会というものによって要望をしたのであります。ところが、先ほども言いましたように、ようやく校下民の納得を得ましたこの確約に対しまして、今後は教員がこの懇請を退けたのであります。(「質問々々」と呼ぶ者あり)事実を述べてから質問をします。そこで二十八日に今度は校長、教頭を除きまして十名の教員が高知市におけるこのストに参加をしてしまった。こういうことをやりましたのが、その父母の会と申しまするか、全住民、全父兄の人たちの怒りがそこに現われておるのであります。そういうことの認識を持たずに、この父母の会を暴力団であるがごとくにおっしゃることに対しまして、私は所見を申しまして、文部省がこれに対してどういう見解をおとりになっておるかということをまず最初にお伺いいたします。
  63. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 父母会議のことにつきましては、先ほどお答えを申し上げたつもりでございます。一口に父母会議と申しましても、これは全国的なものであります。父母会議それ自体の性格が暴力的なものであるとは私は考えておりません。たまたま地方におきまして、そういうふうなことが起ったといたしましても、それをもって直ちに、父母会議が暴力的な団体であるというふうに結論をつけるわけにはいかぬのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。今回の事件はまことに遺憾なことでありますが、これをもって直ちに父母会議そのものの性格を云々するわけには参らぬだろうと思うのであります。
  64. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 質問はなるべく簡単に願います。
  65. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 初めて伺っておるのですから、少しは質問があるのです。  ただいま、父母会議というものに対しまして、坂本議員は、暴力団であるというようなことをおっしゃいました。私は、多分このことが新聞紙上に伝えられましたならば、坂本議員は、高知県に戻りまして、非常に県民からごうごうたる非難をお受けになるのではないかと思うのであります。(笑声「)多分西ノ川の校下民、村民に対しましても、くぎづけ事件をしたから西ノ川村、檮原村の人はみな暴力団だとこういうようによもやおっしゃるまいと私は思うのでありまして、先ほどお話しになりました暴力団のお言葉はお取り消しになっておいた方がよかろうかと思うのであります。  そこで次の質問に入っていきます。こういうような状況で同盟休校が行われたのでありまするが、この同盟休校をやりまするときに、村の人たちがどういう気持でやっておるかということ、それは、方針としてここに発表いたしております。それは三つあるのでありまするが、第一は、学校を使用してこの学校の校舎を使用して村民が自分たちの塾を開設する、こういうことを言っております。  第二には、教員に対して、今後絶対に、日教組に入っておるこういう先生方に対しては、今後絶対に交渉をしないということをきめております。  第三には、同盟休校の解除、盟休の解除のその目標というものは、教員が、自分たち村民の意思を代表してくれる教員が、自分の学校に赴任したときに同盟休校を解く、こういうように三つの方針をきめておるのであります。  そこで、私は、この方針につきまして、民主教育ということをよく先生方はおっしゃるのであります。日教組におきましては、民主教育と真理を貫く教育というのが、これが殺し文句のようにどこでもうたっておるのでありますが、一体民主教育というものは、これほどの全村民の要望を退けることが民主教育かどうかということに、非常に私は疑いを持つのでありまして、(「いいところだ」と呼ぶ者あり)今までの闘争におきましては、私は、反省する点が両方にあると思ったのでありまするが、全村民を相手にするような、こういう挙に出るということに対しましては、まことに私は遺憾にたえないのでありまして、ぜひとも、文部省におきましてもそうでありまするが、また政治的に指導されまする地元の議員の各位におかれましても、民主教育の何たるかということを十分に御指導をいただきたい、これが、村民投票に問いまして、村民の大多数が同盟休校賛成だというような世論でありまするならばいざ知らず、全部の村民が反対しておりますることをやりまして、教壇放棄をやって、どこに民主教育があるかと私は申し上げたいのであります。こういう点につきまして、民主教育に対する文部大臣の御所見をお伺いいたします。
  66. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 学校の教育に当りまして、その基本とするところが民主的な教育であるということは、これは申すまでもないところであります。またこの教育を行います場合に、地方住民の中に、学校教育というものが健全に取り運ばれ、また育っていくということが一番望ましいことであるということは、申すまでもないことであります。今回のように、学校の職員と、それを取り巻く地元の村民とが対立する、そして闘争する、はなはだしきに至っては暴力ざたまで起ってくるというふうなことは、教育の上から申しますると一番不幸なことであります。私は先刻来るる申し上げておりますように、教師と住民との間にほんとうに信頼関係がつちかわれ、お互いに協力して教育を進めていくという姿が、民主教育の正しいあり方であろうと思うのであります。そういう意味におきまして、一日もすみやかにこういう状態に立ち返ってもらわなけりゃなりませんし、そのために、関係者といたしましては、これまた力を合せて努力していかなければならないと思っている次第であります。
  67. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  68. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 速記をつけて。  吉江委員に発言をお願いしますが、質問の要点を簡単に、できるだけ能率を上げてやって下さい。
  69. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 明確にあげて、そして御答弁をお願いいたします。  ただいま、今朝の新聞で書かれておりました日教組の小林委員長被害事件、こういうものが父母の会の暴力団で行われたのだというようなことがもし伝わりましたならば、私は、高知県民がほんとうに憤慨するだろうと思います。で、その実情はそうではないのだ、こういう実情だということを、私は、ここで高知県民にかわりまして申し上げまして、その実情の上に立って今度は文部大臣の御答弁をいただきたい。  そこで、先ほど申しましたのは、父母の会の方針を申したのでありまするが、父母の会は、そこで宣言を発しております。二十八日、宣言文を発しまして、村内の各所にこれを告示いたしております。その宣言文というのは、「我等は、現在の教育界の混乱は国民の総意を代表せざる組織の圧力が父兄と教師の間に介入しているがためであることを、十月二十八日一斉ストにより改めて確認した。我等は日教組の反省を強く要求するため涙をふるってスト参加教師の授業を拒否することに決定した。子供のしあわせは守らねばならない。しかし子供のしあわせは授業放棄をする教師によって守られない。我等は父母の責任と愛情によって子供のしあわせと民主教育を守る。右宣言する。昭和三十三年十月二十八日森地区教育父母会」と、こういう宣言を発しておるのであります。この父母の会が、一部の人のようにお話しになるのでありまするが、この方針の要領に基きまして、村の教育委員会や、今度は村議会と折衝が開始されました。教育委員会、村議会ともに連日会議を開いて善後策を討議いたしました。そして全面的に父母の会に協力する基本線を明らかにいたしているのであります。私は自治体におきまして、議員が全員でかように決議をいたしておりますことに対しましても、この点明らかにいたしておきたいのであります。
  70. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 質問を願います。
  71. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 こういうような事態におきまして、私はこの父母の会というものを暴力団であり、それが単に感情に激して暴力を加えたものであるかのごとくにお話しになりますことに対して、私は高知県下の状況というものを明らかにいたしたかったのであります。一応私は事情を明らかにいたしまして、さらに群馬県の問題につきましても申したいのでありますが、時間を急いでおられますので、私は実情についての報告を一応この程度にして、文部省におきましては、こういうような、先ほども質問をいたしたのでありまするが、地方の議会、あるいは全村民というものが教育を守ろうとしてこういうような行動をいたしておりますことに対しての認識、あるいはこういう行動に対しまして文部省はどういうように、社会党の議員の方が言われましたように、暴力団であるかのごとくに言われているのでありまするが、こういう住民の動きに対しまして、文部省はどういうような見方をされているか、最後にそれをお聞きいたしまして私はきょうの発言を終ります。
  72. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 地方の住民が、今回の勤評闘争における地方教職員の行動に対しまして、ほんとうに教育を心配して、そうしていろいろ行動を起しておるという事態を認め、私はそういう意味におきましては、森地区における教育父母会なり、あるいは町村会議員の諸君が教育を守るというような立場から、あるいは子供の教育をしっかりやってもらいたいという立場から立ち上ったという心持はわかるのであります。願わくはただそういうふうに幾ら動機はよろしくても、しかし、暴力ざたに訴えるということは慎しんでもらわなければならない、勢いのおもむくところ、感情の激するところ、あるいはそういうことは人間としてありがちなことでありますけれども、それを是認するわけにいかない。やはり今後は気をつけてもらいたいと思うのでありますが、しかし、かようにその小学校を取り巻く住民全体の諸君が学校の職員を相手として戦うというような事態はいかにしても不幸なことであります。学校の先生方におきましてもなぜそういうような状態になったかということにつきまして十分一つ反省をし考え直していただきまして、すみやかにその信頼関係を回復するように御努力願いたいものと思います。
  73. 松永忠二

    ○松永忠二君 警備局長にお尋ねいたします。今の大臣の言われたように、教職員の暴力的行為というものも厳に取り締らなければいけないし、同時に父兄側の暴力行為というものも厳に取り締るべきだと思うのです。特に教師の暴力行為とか、あるいは法的な違反問題については相当警察当局も厳格にこれを取り上げて処理をされているわけなんです。ところが、一方の問題については現実に処理が非常におくれているではないか、不徹底ではないかということを私自身現実の問題として一、二指摘をして質問をしたいわけなんです。  私は過日群馬県の沼田市の川田小中学校の先生が川田の地区支所に閉じ込められて地域の住民の人との間に話し合いを持ち、なおその間のいろいろ問題を起した所に参ったのでありますが、この群馬の地区において、特に川田の支所等において教職員が早朝九時ころから四時ころまで食事もとられないで一つの部屋に入れられて、そして代表の人と話し合いをする。一面、川田の支所の門の所には父兄が酒気を帯びてがんばっているという状態があるわけなんです。これは人権的な問題だというふうに私たちは考えるわけです。なお、利根村の学校においては勤評の闘争の際に教師の家族たちが地元の人の圧迫を受けて、ついに地元にいられなくて教師とともに一ヵ所に集まったというような事実があるわけです。こういうふうな行為が現実に行われているということを承知されているのかどうか。  それからまた私は、その川田の支所へ話し合いをし、実情を見るために国会議員三名と参ったのでありますが、道路へ父兄の方々が酒気を帯びて百人に余る人たちがいて、われわれを道路から中へ入れないわけです。代表の方々にお話をしたいということを言ってもそれを取り次がない。それからまたそれだけではなくて、われわれを暴力で押し切って、そうしてそばの川等へ突きのめすというような状態まで実は現実に起っているわけです。こういうような行為が行われている。しかも、先ほどお話によると、高知では距離が非常にあったというお話だけれども、川田の支所のすぐ横には駐在所がある。そしてその駐在所には駐在員がいただけでなくて、当日署長に会ったところが、警備の関係で二人の私服が派遣されておった。現実に私たちが大ぜいの人に突きのめされているときに写真をとっておった方があったので新聞記者だろうというふうに考えておりましたら、それが実は私服の警官であったという話であります。こういうような事態が現実にあって、これは川田の支所だけではなくて、そういうふうに外部から話し合いに行った者に対して道路を占拠して全くそれを通さない、話し合いをさせないという現実の状態が起っているという、そういう事態を御承知であるかどうか。  それからまた教職員が教壇に復帰したいというところから、学校へ入りたいと思って行ったところが、それを教壇に立たせない。学校の中に入れない。これらは明らかに公務執行妨害というようなことをやかましく言わぬでも、これは現実の事態であると思うのですが、そういうようないわゆる事例が行われておるということについて、あなたは御承知にならないのか、あるいはそういう事実を御承知になっておられるのか、その点をお聞きしたいのであります。
  74. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) お答えいたします。川田の事件というのに当りますかどうか、地名の点で多少私も詳しくございませんけれども、現に群馬県で捜査をいたしておりまする教員と父兄とのトラブルの問題が四つほどございます。このうちのどれに当りますか、お聞き取りを願いますが、片品小学校の事案が一つございます。これは土工の星野という男が子供から、学校の先生が授業を行わぬというのはどういうわけだろうということを聞かれて、その夜学校におもむいたら、先生がストーブにあたっていた。この人と  の間に多少口論をいたしまして火ばしで背中を数回たたいたという事件がございます。これは暴行罪として捜査をいたしております。  次に、片品小学校の事案が一つございます。これは酔っぱらった男がそこにすわり込み中の教員の炊事をしておる女の先生を追いかけたという事件がございますが、これは脅迫罪で捜査をいたしております。  また沼田市におきまする事件として、子供の先生をどこにやったというようなことを言って、ある碁会所で教頭の会議のオルグと思われる十数名が現われまして——これは内容が少し何でありますからはっきり申し上げませんが、沼田市内における事件で住居侵入あるいは器物毀棄ということで捜査しておる事件がございます。  それから利根の記念館におきまする教組と家族との間で多少のトラブルがあって双方にけが人を出したという事件について捜査をいたしております。  現在刑事事件として捜査中のものは群馬県におきましてはこの四つでありますが、ただいま御指摘のような事案、たとえば帰り等を学校の先生を途中に擁してこれを入れなかったという問題やあるいはオルグの入門を阻止したというような事案は報告をいたしております。しかしながら御承知のように、公務執行妨害罪というものは単にこれを阻止するということだけではなしに、その阻止の方法が暴行または脅迫にわたらないと犯罪にはならないのであります。しかしながら、やはり度を過ごせばそれになるのであるから、そのつど警告をして、学校の先生なんか帰った事例もございます。どの程度でこれに警察が介入した方がいいかどうかというのは、その土地の状況及びこちらの警備上の人員等の関連におきましてきめることでございます。ただ松永委員の御懸念になるように、教師が乱暴をしたときには非常に手っとり早く警察が行動できるのに、教師の方がやられる場合はどうも手ぬるいという事柄につきましては、私たちはさような事実はないというふうに確信をいたしておりまして、場合によりましては両方とも手ぬるいというような、あるいは懸念があろうか、こう思いまするが、せいぜい実際上の場合を検討いたしまして、手早くやれる分につきましては御趣旨に沿いたい、こう考えております。
  75. 松永忠二

    ○松永忠二君 これは、あなたはそういうふうな御報告を受けておられるでしょうが、私は現実にその場にぶつかったわけです。しかも、そういう事実があった後に、警察の向田という署長に会って話をしたわけです。で、その沼田の署と川田の地区の署というのはそんなに距離のあるところではないわけです。現実に、しかも警備の人も派遣されているというような状態の中である。で、あなたの、今出てきている群馬について、いわゆる捜査をしている事態もあるということから考えてみて、そういう報告を受けないような事件が相当やはり各地において行われているであろうというようなことについて、あなたはお考えにならないのですか。やはり正常な状態というか……。そういう事例が相当あって、この問題について相当に慎重に処理をしていくべき状況にあるというふうに、群馬の件について、勤評の問題についてお考えになっておられるかどうか、その点はいかがですか。
  76. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) 抽象的におっしゃいましても、これ以外にあると思うかないと思うかということでございますれば、この種の事件は、やはりこういうものを報告を受けておりままする以上、こういうものはこれだけ、しかしながら群馬の現状からしますというと、こういう事柄が、あるいはわれわれの知らないところ、あるいは将来にわたって続発というか、連発といいまするか、今のような状況であれば、まことに憂慮すべき状態だと、こういうふうに考えております。
  77. 松永忠二

    ○松永忠二君 私は現実にこういう事態を見たのでありますが、こういう点についてはどういうようにお考えになりますか。現実に、一つは署長が沼田署の駐在の人あるいはその刑事の人と連絡をして、帰るときに問題の起らないようにという指示を与えておきながら、現実には、帰るときにその父兄たちに暴行を、つまり教師が受けているという事実もあるわけです。それからまたたくさんな沼田の人の集まりに当って半鐘を鳴らして動員をしている。それからまた現実に制服を着た消防の人たちがそこに動員をされているわけです。これはもう御承知でしょうが、半鐘を鳴らすということになれば、消防法によって半鐘をみだりに鳴らした場合には処罰の規定というものがあるわけです。こういうふうなことについては、あなたはこういう記事が新聞にも出ておったことも御承知だと思うわけです。私は現実に制服を着た消防の人がそこにおられてわれわれをはばんだので、話をしたいということを申し出たけれども、何も取り上げられなかった、こういうふうな事態も実は起ってるわけです。こういうことについては、やはり違法的な措置であるし、十分取締りをしていくべき性質のものだと私は思うのですが、これについてはどうなんですか。
  78. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) 半鐘を鳴らしたということは新聞にもございまするし、またわれわれに対する連絡にもございます。これはおそらくただいまおっしゃったような何らかの規則に違反するものだと思うのですが、これについては第一義的に消防法の建前から、そこの管理者なり何なりが第一義的にこれを違法であるというふうに認定する人がおるわけでございます。その捜査が及ばないということであればこれを協力するのにやぶさかでございませんけれども、ちょっと私から、どういう罰則であって、どういうふうになっておるということをここで申し上げる材料を持ち合せておりませんので御宥恕願いたいと思います。  それからまた、たとえばオルグの方々が父兄に阻止されるという事態がございましても、その阻止の態様によってそれが犯罪になる場合もあるし、ならぬ場合もあるということは先ほど申し上げたわけでございます。それから犯罪になる場合におきましても、そこで、現場で検挙するということもありましょうし、また都合によりましては、たとえば非常に相手が多い、あるいはそこで検挙することが混乱を巻き起すということが予想された、しかもこちらが少いという場合はよく証拠をとっておいて、写真なんかはおそらくその意味のためと思いますけれども、事後の検挙ということもございまするし、どうもどういう場合にどうというようなことは、ここで抽象的に私が申し上げるわけにいかぬと、こう思いますから、群馬県における個々の事例、この場合はどうだったああだったというのは、やはりそのときの都合で、現実の責任者である本部長なり署長なりについて私聞きませんというと、これはやらぬのが当然であった、あるいはやるべきであったというようなことを申し上げかねると思います。
  79. 松永忠二

    ○松永忠二君 私が今申し上げた、たとえば道路を占拠して、そして支所に出入りをする人を食いとめる、それだけではなくて、現実にその通る人を押し込んでやるということ、そこのところに、警察の管内でそれを見ていたという事実は、これは職務に忠実な、警職法の執行に当って正しく執行しておらないというふうに私たちは思っているのです。  それからまた、今先ほど話があった、教壇に復帰しようとして教師が学校に行くときに、登校しようとするときに、これを大ぜいで阻止して、そしてこれを教壇に立たせないという事実、こういうような事実は、私たちは公務執行妨害である、現実に半鐘を鳴らして、そして消防の人たちが制服を着てその人たちと一緒にまじってそういうことをやっておったということについては、もちろん管理の責任者である市町村長の問題も、指導の命令の問題もあると思うわけですが、現実にそういうことを市町村長の出動の命令を仰がずに、そういう事態をやったということは、これは明らかに法的な違反であると思うのです。こういうような点について、やはりそういう事態が的確にあったかないかということを調べるべきものであろうと思う。その上でそういう事態が的確にあったという場合においては、やはりこういう事例が起らないような措置というか、そういうことについてやはり善処をしていくべき性質のものだと思うのですが、そういう点について今後的確に調べて、そしてそういう事態の起らないように防止をする措置をするということについてはお約束はできるのでございますか。
  80. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) まず第一点として教師自分の学校に入ろうとするやつを、父兄がこれを阻止したという事案につきましては、端的にいえば、教師の意に反してあくまでもそれにつきまとうというか、前の方に立ちふさがるという状態であれば、少くとも軽犯罪法違反にはなります。しかしながら、その阻止の仕方が暴行、脅迫にわたらなければ公務執行妨害にはなりません。従いまして公務執行妨害になりそうだという場合におきましては、警職法の——御存じの警職法の第五条の一番初めに書いてありますように、「警告」をするということに相なっておりますので、大部分のところにおいて、警察官がそこにおった限りにおいては、そういうことのないように警告はしているはずでございます。しかしながら、残念ながらそういう場合におきましても、現在の警職法をお読みになればわかります通り、教師の生命身体に危害が急迫しておるということが認められぬ限り、やはり見ておらざるを得ないというのが現在の警職法の建前でございます。だから、これは、そのことが非常に非常識であるというふうにお考えになる向きが多いのでございますけれども、やはりそれは建前でございますので、さよう御了承を願いたいと思います。  それから、半鐘云々の問題は、これはおっしゃる通りでございますので、おそらく県本部なり警察署なりでは、一応それが合法的なものであったかどうかということについては検討をしていると思いまするけれども、それが違法であったかどうであったかということの連絡はございませんので、私どもの方からも、重ねてそういうことについては気をつけ、いやしくも違法であるということであれば、それは措置もしなければならぬであろうし、また将来についても戒めなければならぬ、こういうふうに考えております。
  81. 松永忠二

    ○松永忠二君 私は、現在の警職法で制止をすべきあるいは警告をすべき状態にあるから、申し上げておるわけであります。私たちが道路で大ぜいの者に突きのめされているという状態は、これはやはり今の警職法で明らかにこれは警告をすべきであり、制止をすべき状態であると思う。そこに現実に警官がいて、それをしないから、私がそれを取り上げて言うているのであって、何も法律を改めなければどうのこうのということを私が申し上げているわけじゃない。だからそういう点については、私たちの言うことが誤まりであるのかないのか、それをお調べになってもらいたいということを申し上げているわけです。  その点は一点でありますが、時間がありませんから、そのことをお答えいただくと一緒に、大臣一つだけお答えをいただきたいことは、非常に先ほどからお話のように、思うようにいかない。なかなか感情のもつれがあって、思うようにいかないというお話もあるわけでありますが、感情のもつれを解き、思うようにいかない事態を正常に返していくためには、まず私たちは、教師が正常な状態で授業を行うという事態をやはり作ってやらなければできないと思う。現実に川田の地方でも、子供たちが、教師が帰ってくれば喜んで、しばらくぶりに先生が来たというので、喜んで先生を迎えているという事態があるわけです。それを父兄の人たちが、今までのことから、いろいろとそれを取り上げているわけですけれども、とにかく教壇で授業をやらせ、正常な形で授業の実施をさせるという形を作ることが、教師がまた信頼感を取り戻すということにもなるし、父兄との間のいざこざもなくしていく重要な一つのきっかけを作る問題だと思う。だから、私は先ほどから申し上げているように、正常な状態で授業ができるというようなことをやりたいといって教師が出かけていっているのに対して、それを阻止をしていくという、そういう事態は、私はやはりこのもつれやあるいはどうにもならない事態をそのままにしておく結果になりはしないか、従ってやはりこういうことについては、父兄の人たちの行き過ぎをも是正をしながら、教師が正常な状態で授業できるような状態に復帰させていくような努力をやはり文部省としても教育委員会としてもしていくべきじゃないか。それからあとに話し合いという事態を作って、またそのもつれを取り除いていかなければいけないじゃないか。そのために、先ほど坂本委員から言われるような、事務的に正しくない事態というものだけは整理をして、とにかく教壇において普通の授業を行える正常な状態に戻す、そのことについてだけは、努力を文部省教育委員会もすべきではないかと私たちは思うので、警察の関係の方にも私はそういう事態を作ることが正常に復帰させる重要な原因であるので、それを妨げるような行為に対しては、厳にやはり取締りをしていくというような現場の署長の態度というものがあってしかるべきだと思う。そういう事態に現実に私たちがあるにもかかわらず、向田という署長が署長室にいて、非常に、私がこういうところで申し上げてはならないような暴言まで署長は吐いておるわけでありますが、そういうふうなことになってはまずいではないかというふうに私は思っておるわけであります。こういう点についてどうにもならないということについて、私はやはり正常な状態に教師を戻らせる、そのことについて妨げる状態について、それを暴力的にやっている事態については、これはやはり戒めてやっていただく、教師の措置については文部省も相当厳格にやられているのですから、外部の事態についてもやはり正常な状態に行われるような努力をすべきだと私は思うのですけれども、大臣のお考えをお聞きしたいし、なお警備局長からも御答弁願いたいと思う。
  82. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 正常な状態に戻すということについて何も異存があるわけではございません。なるべくすみやかにさような状態になってほしいと思うのであります。今お話しになりましたようなことで問題の解決ができるという場合もございましょう。しかしまた、それだけではなかなか済まないという場合もあるかと思うのであります。現在問題となっております事件等につきましては、なかなかそう簡単には片づかないというふうな根の深いものがあるのじゃないかと思いますので、先ほど来、私はまず一つ信頼感を回復してもらいたいということを申しているわけでございます。いずれにしましても、いろいろな方法を講じ、いろいろな工夫をしまして、ある町村なら町村における学校というものが住民と先生とお互いに協力して、子供の教育が行われるという状態にしなければならぬ、私はそういうような考え方でやって参りたいと思うのであります。
  83. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) 私の方の立場としても、ただいま大臣からおっしゃったことと同様でございますが、ただ念のために、松永議員のおっしゃいました先ほどの状況について、警告も制止もできるはずだと、こうおつしゃいまするが、どうも私の受けておりまする報告及び今のお話の模様でありますというと、警告は当然できる、またやらなければならぬ問題でありまするけれども、制止はどうもできかねるというのが現行法の建前でございます。念のために申し上げておきます。
  84. 松永忠二

    ○松永忠二君 今のお話ですが、制止ができないという理由は私はないと思う。それどころではなくて、現実に駐在所が横にあり、駐在の人がおり、警備の人が、私服の人が二人来ているという状態の中で、しかも相当長い時間そういう事態が起っている中で、道路で大きなわめき声が起り、大ぜいの人が騒いでいれば、何が起ったであろうかというようなことで、出てくることは当然のことだと思う。そういう出てくることもやらない、そうしてまたさつま話をされたように、突きのめされたり何かしているときに写真を写していた者が私服の警察官だと、こういうことをはっきり言っているわけです。そうなってくると、そういうことが行われているときに警告ができると思うわけです。それだけではなくて、突きのめしていく状態の中でそれを制止するという、デモのときなんかには盛んにそういう制止の行動をおとりになるじゃないですか、そういうことを、制止ができないなどというような状態ではない。ただし、あなたがおいでになっていないのを私がこういう状態だと申し上げているので、あなたはその話を全面的に信用はできないとしても、そういう事態ならば制止はできるということは当りまえのことだと私は思うのです。今の法律でなぜ制止ができないのか。
  85. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) ただいま突き飛ばした状態があるというお話でございまするから、そうなりますとその人の生命身体に——しかしちょっと押したらよろめいて入ったというようなことでございますればまた別問題でございますが、ほんとうにその人の生命身体に危害が迫っている、こういうふうに認定ができれば五条でできるのです。だから、松永先生はそうおっしゃったが、警察官として見ている限りにおいては、そこまで、それはよろけて脳震盪起すこともあるかもしれぬけれども、普通のあれからいって、ここでからだが傷つくとか生命が危いというふうに見るか見ないかでそれが分れるということを私が申し上げているので、ただ立ちふさがって通さない、通さないといっている限りにおいては制止、制止というのは実力でそれを排除するということなんです。
  86. 松永忠二

    ○松永忠二君 そうではないから私が申し上げているのです。
  87. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) だから、それはできない、ただ立ちふさがっているだけではできない。
  88. 松永忠二

    ○松永忠二君 突きのめしているからできる。
  89. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) 突きのめす突きのめし方にもよりますし、そのことは全体の中の一部であれば検挙をすべき事件であると……。
  90. 松永忠二

    ○松永忠二君 川へ落ちていて、それはできないわけです。
  91. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) だからそれは大要を具体的に……。
  92. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) もう二時になりますから、簡単に。
  93. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 それじゃ最後に。警察がなまぬるいというので、だいぶ松永委員から質問を兼ねましての難詰がありましたが、私も同感する点がありますので、警備局長にお伺いいたします。具体的に言わないと、抽象論ではいけないというお話ですから、これは日は十二月の一日、場所は群馬県の吾妻郡の小中学校長と教組の吾妻支部との集団交渉でありまして、中之条の小学校の講堂で行われました問題であります。事態を長く申しますのは省略いたしまして、結論を言いますと、この集団交渉、つまり勤務評定阻止闘争なんでありますが、この交渉を、三十五名を取り囲みまして、四百人の教員とまあ言うておる人たち——いろいろな人たちが入っておるでありましょうが、四百人の人たちが三十五名の校長を寒い講堂で、十二月一日の午後の一時から翌日の午前五時まで監禁をしておるのであります。そうしてこの集団交渉というのはこの日に始まっているのではないのでありまして、連日やっておりまするので、すでにかぜを引いておる校長や連日の交渉責めにあって身心ともに疲労しておるこの三十五名の校長を講堂に閉じ込めまして、そして午前五時まで帰さないのであります。ついに——結論を申しますと、身心ともに疲労しました数人の病人が出ております。ことに中之条の講堂を使っておりまする、その中学校の校長渡辺千代丸五十四才は——先ほども突き飛ばしまして脳震盪でも起したらという話があったんでありますが、これはついに卒倒してしまって、疲労著しく意識不明になって、医師の診断を受けておるのであります。こういうように帰さないで監禁をして、ついに数人が過労して帰りたいと、帰してくれと言っても帰さないでおって、意識不明で卒倒するまで集団暴力交渉をやっておる。こういうようなことが医師の診断で明らかになっておるのであります。なお、ほかにも数人の病人が出ております。また、学校に教員が戻りまして、正常な授業をやるように文部省も協力し努力すべきじゃないか。教員が学校に戻るように、正常な授業が開始されるように努力すべきじゃないかという松永君の発言に私も全く同感でありまするが、こういう集団交渉のために午前五時までやっておりましたので、この全部五十四の学校というものは、その日の午後の授業は全部実施を見ていないのであります。こういうような教壇放棄をやりまして、しかも校長を意識不明の卒倒をさしておる。こういう事態が起っておるのであります。私は具体的に申しまして、こういう事件につきまして警察当局は、どういうようなお調べをされておるかお伺いをいたします。
  94. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) 吉江議員のただいまのお話は、もちろん地元では知っていると思いまするけれども、私の方では初耳でございます。ただ申し上げ得ることは、どうも集団交渉という点が一番デリケートでございまして、何時間を過ぎればそれが不法な監禁になるか、あるいは不法監禁でございましても、これはまあ検挙の対象になるだけでございまするけれども、それがさらに進んで、その人の生命なり身体なりを脅かすという状態がどこで現われるかということは非常にむずかしいのであります。非常に寒い所で交渉をするということが、そのまま生命あるいは身体に危害があるというふうに、これは年令によって言えることだとは思いまするが、同時にまあ職員の側といいますか、教員の側も同じ部屋でやっているということになりますというと、まあ暑い、寒いという問題は一応一つの標準にならんというようなことで、群馬のみならず各地で私たちが手ぬるいといわれるということの一番代表的なことが、非常に長く一人を取り巻いて、あるいは数人を多数で取り巻いて、これに威圧をかけたという事件が方々にございます。それについては皆さんから御指摘を受けまするたびにその事情はどうだったかということを聞くのでございまするが、残念ながらこれはやむを得なかったので当然そういう報告をするのかもしれませんが、やはり犯罪としては成り立ちかねた、あるいは警職法五条による実力行使に入るのには今言ったような条件が備わらなかったということを申すのであります。しかしながら、ただいまのお話はもちろん事実でございましょうし、倒れた方があったということはまことに遺憾ですけれども、そういう状態が刻々警察にわかるというしかけに現在なっていないもので、そういう結果が出るものと思います。当然外部から見て、想像してそうなるものと、こういうふうに認定ができますれば、ただいまのような事例におきましては警察が割って入るということが当然の義務だと、こう考えます。
  95. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 もう一つ簡単に……。
  96. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) これで最後に……。一つお願いしたいと思います。時間がさらに過ぎておりますから。
  97. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 今の警察の御答弁は私もさもあろうと実は思っておるのでありまするが、しかし、こういう事態が全国に行われておるということを私ははっきり実は申し上げたいのであります。群馬県のいろいろな事態が起っておりまするのも、高崎におきましては三十時間も監禁をやっております。伊勢崎におきましてもやはりこれに近い校長会議の監禁をやっておるのであります。こういうことにつきましては、私は警察当局が犯罪というような意味でなしに、他日私は人権じゅうりんの問題で御質問を申し上げることを保留してやめます。
  98. 湯山勇

    湯山勇君 議事進行について……。この委員会の初めに、私は神奈川県の勤務評定の問題でお尋ねをしたわけですが、これについては文部省の方もいろいろ神奈川県の教育委員会に当って調査をすると、こういうことでございます。で、われわれ文教委員会といたしましても、前に教育長協議会の案につきましては、責任者である本島教育長、木下委員長に来ていただいて御意見を聞いたわけです。これはまた別なケースとして、委員会としても神奈川県の教育長を当委員会においで願って参考意見を聞きたいと思いますから、これは委員長の方で一つお含み願って理事会で御決定願いたいと思います。
  99. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) わかりました。それにもう一つ調査のことを私は委員長として文部当局にお願いいたしておきたいのですが、今朝の新聞で知りましたわけですが、都内の某小学校で、何といいますか、ストリップ・ショーをやって、その日に著名な、何か意味を持つ人が出てあいさつをしたという、文教上これは非常な重大な関心を呼び起す問題が出ておりますが、その点について、一つ次回に委員長に報告を願います。  それでは、本日の委員会は、この程度で散会いたします。    午後二時九分散会