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政府委員(岩武照彦君) ただいま
委員長から
お話がありました
小売商業特別措置法案と
農業協同組合等の
経済事業の
関係の問題でございますが、お示しの法律案は、目下参議院の商工
委員会に付託されておるわけでございます。この法律案は、実は去る
昭和三十一年に設けられました中小企業振興
審議会、これは
内閣に設けられましたが、その答申に基きまして、去る二十六
国会に
政府提案で提出したものでございます。それが継続
審議となりまして、二十八
国会の解散で
審議未了になり、去る三十
国会に若干内容を変えまして
政府提案で出したものでございますが、これが
審議未了となりまして、本
国会に三たび提案した次第でございます。衆議院で御
審議の結果、内容がかなり修正されておりますが、今お示しの問題点につきましては、この法案の第十五条以下が
関係しているかと思いますので、その点について御
説明したいと思います。
初めにちょっと申し上げておきまするが、この法律案は、第一条の目的にございまするように、
小売商の事業活動の機会を確保する、それから
小売商業の正常な秩序を阻害する要因を除去するという点を目的としておりまして、従いまして、
小売商業の振興といった面につきましては、この法律案では直接触れておらないわけであります。従いまして、内容にありまする
事項もそういうふうな
関係の
事項のみに限られたわけであります。第十五条におきましては、この中小の
小売商業者とその他の者との間に小売行為に関しまして起りました紛争につきまして、当事者の申請に基きまして都道府県知事があっせんまたは調停を行うという
趣旨の規定を置いております。これは
政府原案が若干修正されております。法案について申し上げまするならば、十五条の第一号の「製造業者がその製造に係る物品」というのが、
政府原案では「生
産業者がその生産に係る物品」とあったわけでありまして、その修正になりました理由は、私から申し上げるのもちょっとどうかと思いまするが、大体の御
議論は、原始生産にかかる物品はこれから除くというふうな
趣旨かというふうに聞いております。それから第二号は、いわゆる卸売業者の小売行為でありますけれ
ども、これは修正がありません。第三号でありますが、これは製造業者または卸売業者以外の者の行う一般消費者に対する物品の販売事業とその中小
小売商との間に起った紛争とありまして、これがその他の者の小売行為に関する紛争であります。この点で
農業協同組合等の行います小売行為との紛争が起り得るのではないかというふうな
観点からの御
調査かと思っております。第四号、これは直接御指名の
調査点に触れておりませんので省略いたします。
それで、このあっせんまたは調停のやり方でございまするが、第十六条以下にありまするように、都道府県知事は、調停につきましては、一事件ごとに担任の調停員を委嘱いたしまして解決をはかるということになっております。それからあっせんにつきましては、これはまあ事実上のことでありまするから特別な規定はありません。
なお、あっせんまたは調停にかからない場合には、必要な勧告を行なってこの解決をはかるというのが第十七条でございます。
大体、あとはまあ手続規定でありまするから省略いたします。
そこで問題は、第三号のことかと思いますが、これはやはりその条文の
趣旨からいたしますれば、
農業協同組合等が行いまする小売行為につきまして紛争が起れば、都道府県知事にあっせんまたは調停の申請があり得るということは考えるわけであります。ただこの十五条の本文につきまして衆議院におきまして若干の修正がございました。当初の
政府案は「あっせん又は調停の申請があった場合において、中小
小売商の事業活動の機会を確保するため必要があると認めるとき」と書いてありまして、いかにも
小売商だけを保護するというふうに解釈できる懸念がございますので、衆議院の修正によりまして、「物品の
流通秩序の適正を期するため必要がある」というふうに狭められまして、中小
小売商の事業活動の機会を確保するためということよりもむしろ、商品の適正な
流通という見地から必要なときに調停を行う。だから
小売商側の言い分も、これが物品の
流通秩序を適正にするためには、その言い分が通るか、通らぬかということで、この調停、あっせんの機会は与えられるということで、ややあっせん、調停に乗り出すチャンスが狭められているんじゃないか、こういうように思っております。
大体法文の御
説明はこの
程度にいたします。