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1959-03-26 第31回国会 参議院 農林水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十六日(木曜日)    午前十一時十五分開会   —————————————   委員の異動 本日委員柴野和喜夫君及び江田三郎君 辞任につき、その補欠として平島敏夫 君及び棚橋小虎君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     秋山俊一郎君    理事            雨森 常夫君            堀本 宜実君            東   隆君            清澤 俊英君            北 勝太郎君    委員            河野 謙三君            田中 茂穂君            仲原 善一君            平島 敏夫君            堀  末治君            大河原一次君           小笠原二三男君            河合 義一君            棚橋 小虎君            戸叶  武君            千田  正君            北條 雋八君   衆議院議員            田口長治郎君   政府委員    農林政務次官  高橋  衛君    農林大臣官房長 齋藤  誠君    農林省農林経済    局長      須賀 賢二君    農林省畜産局長 安田善一郎君    林野庁長官   山崎  齊君    水産庁長官   奧原日出男君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    日本国有鉄道常    務理事     石井 昭正君    日本国有鉄道営    業局長     磯崎  叡君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○漁船法の一部を改正する法律案(衆  議院提出) ○酪農振興法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○農林水産政策に関する調査の件  (農林水産関係物資国鉄貨物運賃に  関する件)   —————————————
  2. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  この際、お知らせいたします。  本日柴野和喜夫君が辞任され、その補欠として平島敏夫君が本委員会委員に選任されました。   —————————————
  3. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 漁船法の一部を改正する法律案(衆第五六号)(衆議院提出)を議題にいたします。  この法律案は、昨二十五日衆議院会議において全会一致をもって原案通り可決され、即日当院送付、当委員会に付託されました。  速記をとめて。    〔速記中止
  4. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記を始めて。  本案につきましては、昨日質疑を終局いたしておりますので、直ちに討論に入ります。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  5. 千田正

    千田正君 ただいま議題となりました一トン未満漁船に対する登録制度の廃止の問題でありますが、きのう提案者からお話がありました通り、非常に煩瑣に過ぎて、実際の一トン未満漁船を所有しておる漁民は、なかなか前の法律のような工合にはいかない、それでこの際、そういう煩瑣な面を除去して、零細漁民の活動に資するために、この法案を提案したという御説明でありましたが、いろいろ論議をしました結果、この法はけっこうであるということを私も了承できます。賛成はいたしますが、私は、ここに一つ特に行政官庁に注文をつけたいのは、そういうことによって一トン未満漁船が将来たとえば災害の起きた場合に、政府の施策の対象からはずれるということのないように、かつまた、零細漁民がそのことによってマイナスすることなくして、むしろ零細漁民登録がはずされたことによって逆にプラスになる面が多いというような指導方法を十分にとってもらいたい、こういう点を特に要望いたしまして、本法案に対しては賛成の意を表します。
  6. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ほかに御発言もないようですが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。  漁船法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  8. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、委員長に御一体願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  10. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 次に、酪農振興法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題にいたします。  この法律案は、昨二十五日衆議院会議において全会一致をもって修正議決され、当院に送付、当委員会に付託されました。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  11. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記を始めて。  それでは、これから質疑を行います。  政府出席は、高橋政務次官安田畜産局長のお二人であります。
  12. 清澤俊英

    清澤俊英君 二、三点お伺いしておきたいと思います。一番先にお伺いしたいのは夏乳価冬乳価といわれますが、そういう乳価変動を持ちますことは、もちろん需給関係に非常に関係が深いと思いますが、従いまして、夏になりますと、乳の消費が高まる。そこで、お伺いしてみたいのは、その高まります夏の消費量増大がただ市乳として飲用するだけのものなのか、あるいは原料乳として非常にふえるのかという点で、統計がありましたら一つお聞かせ願いたいと思う。何が一体ふえるのか。
  13. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 乳価にからみまして、夏冬年二期大別いたしますと、価格需給関係が多い。夏の消費増飲用牛乳、いわゆる市乳がおもであるが、乳製品はそれではどうかと、こういう御質問だと思いますが、各年を通じまして、日本傾向を示しておりますのは、飲用牛乳が夏が飲料を要求するような点を中心にいたしまして消費増になる、生産は逆に、日本全国がそうではございませんが、九州などは違いますけれども、全国的にこれを通算いたしますと、生産が総体的に少い時期であります。増加しながらも増加率は少いというような関係になっております。乳製品の方は、まあ人造バターバターとの関係等がございまするけれども、若干この季節的な夏と冬との差がございますが、むしろ、ただいままでの日本消費事情からいたしますと、冬分に多いのです。
  14. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっとわかりかねるところがありますが、夏になりますと、今言われたような、のどがかわくから少しは牛乳もよけい飲む、こういう点もあるかもしれませんが、大体においてはキャンデーであるとか、あるいはアイスクリームだとか、こういったものに非常に使われることが増大主要原因になっていると思うのですが、その点はどうなんですか。
  15. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 夏アイスクリーム等消費は年々増加を続けておりますが、年末から用意をいたしまして夏に放出するように、消費者消費そのものは夏季を中心に多いのでありますが、これに対する供給は半年くらい用意をしながら供給するのであります。だから、製造販売業者手元に置きまする業務用需要と申しますか、そういうのは、夏に多くはありますが、一挙に出ませんで、比較的にならされておるわけです。
  16. 清澤俊英

    清澤俊英君 キャンデーがだいぶ減りましたので、夏乳の使用はよほど減ったと思うのです、キャンデーアイスクリームに押されて。そのアイスクリームは、今、局長が言われたように、大メーカーが冬のときから製造している、こういう形をとって最近では、全国的な系統販売を猛烈な競争でやっているということは、御承知通りだと思います。それが、私は最近における——最近と申しましても、今年の夏分乳価変動等に、やはり大きな障害を来たしておるのではないかと思うのです。その点はどうなんですか。
  17. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 最近の一キロ一円七銭見当、一升二円見当生乳価格奨励金の形をとりました生産者価格値上げといいますか、そういうのが三月末から行われつつありますが、これも基本乳価に繰り入れるべし、それでは乳価値上げが足りないということで、確定いたしておりません所も相当ありますが、それらに影響しました需給関係としましては、昨日御説明を申し上げました、昨年の冬、年末まで生産がやや下降しまして、最近は十二月以降一月に、今後も一そうそうだと思いますが、生産がふえつつありますが、ふえつつある生乳生産に比して、消費面におきまする飲用牛乳各種乳製品供給需要との関係で、従前よりは需給の均衡がとれつつあるということにつきましては、御指摘のように、他の乳製品が昨年の十一月以降、相当販売消費をされました以外に、アイスクリームの、夏に向けました予備的な生産相当影響があると思います。あわせまして、脱脂粉乳、全脂粉乳等都市飲用牛乳用関係業者還元牛乳といたしますために、業務用需要相当旺盛になっておる、こういうことが相当反映しておると存じております。
  18. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと私がお伺いしておるのと見当がはずれているところもあるようですが、とにかくに市乳価格の上に原料乳をもって加工したいろいろの乳製品が今御説明通り非常な影響をしているということは、認めてよろしゅうございますか。そういうことを認めてよろしゅうございますか。
  19. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 結論から申しますと、認めていいと思いますが、市乳そのもの生産消費もふえつつあるわけであります。
  20. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、市乳専門で売れますことと、それから、原料乳をもって各種乳製品を作っていくと、こういう二つの場合、価格の上に大くき影響して参りますが、こうした場合、乳価決定に対してはどういう基準で乳価決定基本線を打ち出そうとしておられるか、その点を一つお伺いしておきたい。
  21. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 乳価決定は、もっぱら売手と買手の自主的な交渉による契約の締結を意図しておるのでありますが、そのほかに、本改正案を提案しましたような関係規定をもちまして規制をして参ろう、また、生産者に不利を与えないような交渉のさせ方、きめ方をさせよう、こうしておるわけでありますが、そういう意味決定でございますが、おのずからこの市乳は、一番普及的な一合びんの低温殺菌の場合でいいますと、宇都宮でいえば、十円で普通売られておりますが、多少ホモ牛乳等としまして加工いたしまして十四、五円で売っておる本のもあります。一般的のものは、大消費地域で十円または十三円、その他は十二円、安い所は十円と、こういうふうになっておりますが、その最終消費品である、販売品である飲用牛乳用に向けられるもの、すなわち、それが先生のおっしゃる市乳用に向けられるもの、こういうわけでございますが、その割合と、原料乳となりまして乳製品に向けられる割合考えまして、おのおのに適当な値段が違うわけであります。それを加重平均したようなところが生産者を一本としての生乳価格、おのずからそこに輸送費とか処理費とか加工賃とか適当な範囲の利潤とかいうことは考えられますが、まあ原料乳製品牛乳関係を大ざっぱに申しますと、そういう関係で見て参れば適切な価格が出てくると思っているわけであります。
  22. 清澤俊英

    清澤俊英君 たとえば、昨日の審議の過程に現われましたように、北海道等が三円五十銭、大体は原料乳としてこれは取り扱われる、こういう場合に三円五十銭の牛乳を集めて、そうして一応加工品という形をとりましても、それが回り回って一つの今御説明にたりましたような十二月から始めるアイスクリームとなって、そうしてこれが全国的に系統販売せられると、非常に安い値段販売せられると、しかも、四大メーカーのようですが、強大な施設資本でそういう猛烈売り出しを今国的に今やっていることは、局長もよく御承知通りであります。こうしてみますと、それ自身がいわゆる夏乳価というものを地方的なアイスクリーム製造、あるいはキャンデーを圧倒して、ほとんどキャンデーのごときはたくなったというようなことで、地方的な乳価を、いわゆる夏乳価を押えないとは私はこれは保証できないと思います。そうしてみますと、今、せっかく本法案をもって勧告なりなんなりで正当な乳価を維持していこうとするとき、この原料乳市乳との取扱いをよほど克明にやりませんと、私は大きなそこに問題が出てくるのではないか、こう思いますが、その点はどうお考えになっておりますか。
  23. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) お説の通りと存じまして、大メーカー、それよ明治、森永のように市乳の方が割合多い業者と、クローバー、雪印——今は合併いたしましたが、雪印のような場合、協同乳業のような場合、あるいは中小メーカーの場合を農業協同組合全酪連等市乳及び乳製品を作ることも参考にいたしまして、各メーカー別乳製品の種類の製造量、それに当てる原料乳消費量といいますか、業務用消費量、それと市乳である飲用牛乳消費量等を毎月報告をとりまして、その間の事情調整に当ろうと思って調査を毎月やっておるわけであります。
  24. 清澤俊英

    清澤俊英君 どうも、私もその点の調査が非常に不十分でありますが、最近、こういう傾向が起きておるようでありますが、一つ酪農地区ができ上りまして、これは小都市中心にして、市乳中心販売機構を、加工販売機構を作っております。そうしますと、その地区における、それが農協あるいは農協に類したものの経営に移りますと、小地区において他の者が酪農をやって乳を出すということに対して非常な警戒をする、圧迫をしている事実まではまだ見ませんが、非常に警戒しておる。そうして、まあ、自分の手元に集まるものは大体の市乳範囲でこれを加工しようとする、ところが、集められる乳価というものは、一般的に見ると、総合せられたる原料乳をまぜた乳価で大体農民から買い上げられておる、これが一番安全なその地区としては経営だろうと思う。これを酪農全体の上から見ますと、これは酪農の後退であって、農林省が企図しているような酪農振興にはならない。かえって阻害する形が出てきている。こういう結果であるとすれば、私は市乳原料乳との関係における価格調整もしくは、その矛盾を何らかの方法で克服する価格が定められなかったならば、非常な私は乳業、いわゆる酪農の正常な発達を阻害していくのじゃないか、こういうふうな考え方が非常に強くなっておりますが、そういう点に対してどうお考えになるか、そういう点をあなたこれを認めておられるかどうか、また、そういう点についてはどういう御考慮をお払いになっておるのか。
  25. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 乳価の適正な価格実現について、市乳用途またはその地帯と、乳製品用原料乳用途またはその地帯、まあ、地帯と申しますのは生産地帯でございますが、そういうことももっとはっきりして乳価適正価格実現に本法案を、改正案を使って努力をするかどうかということだと思いますが、北海道から鹿児島まで、また、六大都市等を含めました地域もありまして、なかなかその飲用牛乳専門原料乳専門というのはむずかしいのでございまするので、その間の割合をよく実態を押えまして、市乳最終販売価格と、原料乳による乳製品価格の方から見ました原料としてのなま牛乳価格のいかに妥当であるかを考えるのがいいと申し上げましたのですが、市乳専門消費される地帯で、そこの飲用乳処理業者供給する乳牛飼育者生産牛乳価格は、市乳そのものから見て適当な価格であるべきだと思うのです。北海道のたとえば開拓地、東北においてもそうでございますが、当然に経済性立地条件からしまして、原料乳として生産することが本旨である、そういうような条件の所では、原料乳価格の適正を農業経営としても耐え得るように考えるのが適当だと思いますが、中間の所が多いと思う。しからば、酪農、すなわち乳牛飼育を含めた農業経営がどういうところで適切であるかは、やはり耕作するようなことを入れません、濃厚飼料だけに依存します都市的の専業搾乳業者は、農政の対象には必ずしも考えておりません。食料品を、いい牛乳を都会に供給する意味において、価格が耐え得る範囲に存在すればいいと思っているのであります。あくまでこの酪農農業経営改善と食生活の改善の両面をもちまして、国際農業との関係考え発達すべきもの、また、その方向で相当の勢いで生産牛乳製品消費が進行しつつあるのであります。これを助成しようとするわけでございますので、全体的には、農業経営改善合理化考えるところに、酪農経営を力を入れて発達せしめる、道路の発達とか、輸送機関冷蔵施設等関係も、要りましょうけれども、それらの整備と待ちまして、農業経営の中にりっぱに合理的に溶け込んだ酪農発達考える、その意味で成り立つ乳価市乳原料乳ということを考えなくちゃいけませんけれども、そういう乳価の適切な実現をするのが本旨でございます。
  26. 清澤俊英

    清澤俊英君 いや、私のお伺いしているのは、市乳地区は非常にお説の通りもうかるのです。ということは、大体の乳価決定が、全国的に原料乳市乳とのつき合せになって決定が自然的にできている、こういう形になってきておりますが、大体におきまして、市乳の分は相当の利益をもって販売もしておる、その上、高度な手で、高度といおうか、嗜好的な加工をやって、あるいは一合二十円ぐらいの牛乳さえできている、こういうものも売れている。だから、もし市乳だけを売るということになると、非常にもうけがある。ただし、それに除かれたものは原料乳と、こういうので、原料乳が極度に安くたたかれる結果、市乳に力を持ったものがだんだん力を得てきて、そうしてしまいには、きのうも問題になりましたが、市乳生産加工過程において、非常に高度の設備をやって参りました。生産費も、加工生産費もおそらく半額くらいになる、こういう非常なハンディのついた力を得た大乳業者が、しまいには農協等経営している弱い市乳販売地区等にまで安い原料乳で高度の生産体系等をもって猛烈な販売競争を行なってきている、こういうようなことにしますと、競争範囲にあるうちは、これは私は相当農民の作る乳価というものが合理的に決定せられるかもしれませんが、これが非常な一つ系統的のものにまとまりますと、だんだんと原料乳原料乳という名前のもとに昨年の夏のごとく乳価がたたかれてくる、農民生産意欲がたたかれてくる、こういうことが非常な私は一つ危険性をもって存在しているのではないかと思います。方々における小さい地方的な乳業会社等を見ますと、少し飼育頭数がふえたりして乳量が上りますと、大体地方都市やその付近で売れまする市乳の量というものはさまっているのでありまして、だから、余ったものは大部分、大部分でなく、これを緩和するために大乳業会社に何らかの経済援助を求めるなり、特約をするなりで系統的なものに裏ではなっている、こういうことで乳業会社独占圏内に逐次入っていく、こういうものが存在する限りにおいてですよ、もっと農林省がそれらの点を克明に調べて、そして乳業の上における農民の地位が相当の高いところまで確定して参りませんでしたならば、私は、いろいろなめんどうな御親切な振興法を作っていただいても、最後には、乳価の点で農民がばかを見る、あるいはとうていやり切れないというようなものができてきやせんかと、こう思うのであります。従いまして、一番初めての酪農振興法によりますところの集約酪農地区というものは、私は非常に小範囲酪農地区指定であったかと、こう思っております。ところが、最近の指定が七十五カ所、非常に広範なものにふえている。従って、集約酪農地区の一応の計画等でもってこれは許可せられておるかしれませんが、最初にわれわれが説明を聞きましたときの集約酪農地区計画、その体系とは非常にくずれたものが出ているのじゃないかと、こういうふうに考えております。だから、集約酪農地区において、基本工場も持たなければ、基本販売区域も一まあ総合的な販売機関も持たなければ、広範な地区において小都市等中心にして小さい乳業会社が幾つも存在する、それもいいでしょう。それもいいが、それ自身は統一せられたる集約酪農地区の中の一つ系統内における私は加工販売的な形態をたどっていくことが正当じゃないかと、こう考えるのでありますが、そういう形をとらないで、それがばらばらになっている。従いまして、総体的の計画がそういうばらばらであるならば、なかなかうまくいかないのじゃないかと、こういうようなことを考えますとき、農林省はそういう傾向について、今のところ、どういうふうにお考えになっているのか。そういう傾向もある。従いまして、酪農振興法から見ますれば、そういうものは検討して、ときによれば指定地区をはずす場合もある——こともできると、こういうことになっているのでありまして、そういうことに対しまする一貫したる指導方針並びに調査というようなものをどのような方法で今おとりになっているのか、その人員等一つ説明願いたいと思います。
  27. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 御質問内容が諸点にわたりますので、御質問の形式にとらわれずに、実質内容に触れてお答えすることをお許し願いたい、と思いますが、日本の現在は、酪農農業経営と、乳業といいますか、牛乳処理加工業と、牛乳加工処理品販売業と、この国民消費と、その四者がバランスよく発達していくのが望ましいと思っておりますが、もちろん経済根本生産にありまして、特にこの酪農の問題は、畑作も水田をも含めまして、農業経営改善の非常に大きな根幹になることは当然でございますし、農業生産者は小規模で、多数、しかも、集団的に腐敗しやすいものを売る性質があるこの酪農業でございますから、第一には、最近の傾向があることと、その性質自身があることで、大乳業資本が逐次よけいに跛行的に発達して、中小メーカー隷属下に置くとか、特にまた農業経営や、その団体隷属下に置くとかいう弊も生じがちなものでございますし、大メーカーの間でも私的独占行為が行われる傾向もございますので、これは、それらを通じましてその弊がなくなりますように、よく留意をしたいと思っておるのであります。その根本は、常時大メーカーを監督し、中小メーカー共同組織といいますか、中小企業協同組合適正規模化をはかったり、合理化をはかったり、商品の価値を上げたり、経営合理化をしましたりすることについて、資金援助酪農振興基金による債務保証による援助その他のことをすべきと思っております。特に、集約酪農地域内におきまする乳業施設生乳の集荷の施設も、その周辺にありまする集約酪農地域にかかわる酪農事業施設と今回改正案で出してありますが、それらにつきましては、生産者及びその団体、特に農協及び農協連合会によりまする共同販売はますます促進をしていただきまして、その飲用牛乳への処理、できますれば乳製品加工というものを、健全である限りは発達することを、公庫資金あるいは農林中金の資金その他を合せまして、補助と融資をもちまして育成をいたしていくようにして、いやしくもこの発達を阻害することがないようにいたしたいと、こういうふうに思っておる次第であります。
  28. 清澤俊英

    清澤俊英君 今、農林省ではそういった地方的な農協もしくは農協自身経営しなくとも、農協系統で別な系統における資金計画乳業事業をやっていると、こういったようなものが集まりまして、乳の原料に回す分の始末に困りまして、そこで、大乳業会社との特約的なものをやっている、こういうものがどれくらいあるかということをお調べになった資料がありますですか。
  29. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 全くないわけではございませんので、別途資料を提出したいと思いますが、しかし、この特約関係の問題でございますが、繭等についてもあると思いますけれども、牛乳は、生乳牛乳処理加工業に、それが乳業資本であろうと、農協共同体でありましようと、安定して継続して取引されるのが望ましく、また、本来そういう性質もあります。その間にいかなる契約をして、いかなる契約内容を持った場合に——まあ封建的といいますか、不合理な特約関係にあるのか、あるいは一般的にはみんな特約関係じゃないか、そういう見方もございますので、総合農協の取扱いがどのくらい、専門農協の取扱いがどのくらい、まさに特約的な乳業資本隷属下にあるような任意の酪農組合と申しますか、そういう専門、総合を通じた農協法に基く農協の取扱い以外の農家団体の取扱いがどんなものだということなど調査を持っておりますので、御提示をしてもけっこうだと思います。なるべくあとで提出さして下さればありがたいと思います。
  30. 清澤俊英

    清澤俊英君 一つその資料がありましたらちょうだいしたいと思います。それに、そういう立場において、日本政府乳業発達の方向を、農協等中心にした農業団体経営体に重点を置いて、将来行かれるのか、たまたま私どもが聞きます政府答弁等の中には、往々にして日本乳業の発展も、現在の大乳業会社等が長い間の苦労と指導等によって発達を来たしたのであるから、これらとの関連における因縁はどうもあいまいなんです、その点が。もう無視することはできない、こういうようなことが言われるので、基本的な考え方としては、将来における酪農のあり方は、農業団体等を中心にした乳業を基本的なものとして考えてもらうのか、その点、言いますと、今まで通りどちらつかずのことで大事なところでふらつかしていかれるのか、そういう点のまだお考えが、政府の方針がきまらなければきまらないでよろしいが、根本的な方針を一つお伺いしておきたい。
  31. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 日本牛乳生産消費につきましては、明治三年ごろですか、政府が外国から直接に乳牛を導入しまして株式会社、国策会社的なものをもちまして北海道に、あるいは内地におきまして——東北等でございますが、その産業の育成に努力したことがありますが、その過程は割に順調な成長でして、大体に申しますれば、これが中断されまして、その後当時の市乳中心に、牛乳会社といいますか、そういう面からむしろ発達をしてきた過程もあります。もちろん北海道において乳製品はあの機構と自然経済条件をもちまして、特別に乳製品発達をしたことも御承知通りであります。そういう沿革も今日まで相当続いてあったということが一つ。また、法律を適用する場合に、現状なり、現在ある事実を識別したり、判定をする場合には、現状がどのくらいの勢力があるか、実情にあるかということはありのまま判定をして特に法律等は適用すべきである、こういうことを申し上げたことも衆議院等でございますが、それはそれだけの意味でございまして、ただいま御指摘の今後どんな方策があろうか、どちらに重点を置いたらどういう場合にはどんな扱いをして方向づけをするかという点になりまするというと、生産者がただいま共同販売相当範囲に、各団体を通じてますます広区域に行うことはまだ未発達でございます。生産者団体で扱います場合でも、量において少く、地域において小さいことが多いのでありますし、御指摘のように買手側の特約関係のある場合も相当あるわけでございますので、これは近代的な取引形態に逐次移すと同時に、取引する当事者自身また産業自身といたしまして、生産者農業経営合理化すると同時に、生産物を共同販売共同加工して、その需要が拡大されることは、特に酪農においては望ましいと思っておるわけであります。他方、資本の、資源の発達といたしまして、大牛乳会社等が特殊の機械を備えましたり、技術の開拓をしましたり、あるいは外国の牛乳会社との競争において輸出品を作って参ろう、シンガポール等において今試験的にやっておりますが、こういうものはまたそれを育成する要もあるかと思いますが、それらについては、考え方を以上のような点に重きを置きまして、さらにいろいろな事情が加わりましょうが、生産者が十分に農業経営として成り立つ健全な発達を意図することを目途といたしまして、それも販売処理加工、その加工品販売という段階までは逐次進めていきますように、また、生産者団体の活動も長期にわたり、なるべく広区域で大量のものが扱われて力が強くなっていくことをむしろこれを助成したい、こういう考えでおるわけであります。
  32. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただいまのお話を聞くと、まあ非常に消化するところがたくさんありますが、それだとすれば、集約酪農地区もしくは周辺等をまじえたものの農民的な観点に立った加工施設、こういうものに対して一つ系統的な指導方針が私は必要ではないかと思う。ところが、それらに対してはほとんどまだ確立しておらない。ということは、かりに農協等中心にして、もしくは二、三の農協等が出資をして特別な加工会社の設備を作る、こういうような場合の金は、わしらから見ましても、非常に不合理な場所にそういうものができる場合でも、いろいろ農林省関係資金が回ってきてそういうものが作られる。非常に私は不合理なものだと、こう思いましても、方々にわずかな期間にそういうものがたくさんにでき上る。これが一つ共同的なことをやらないで、むしろ激しい競争に入ろうとしている。その苦しみから、しまいには、うしろで大乳業会社との悪い縁を結んでくる、そういった混乱の中で大乳業会社はまたその地区に特別に加工場を持っておるのでありますから、従いまして、われわれから見たならば、よくもあれだけのことができるなと思うような、乳価についてはそうひどい差は持ちませんけれども、サービス面において非常な便宜をはかっていく、その点で非常な競争力を発揮して、乱立せる農民経営乳業会社ですかを圧迫している、こういうような形が逐次見受けられる。こういうとき、やはり農林省としましては、この法律の趣旨に従って一定方向にそういうものの指導が行われて、そしてひどい危険のところなどは勧告しても合併させるというような処置が相当とられるべきが正当じゃないかと思いますが、現在はやっておられるのか、そういうことについて将来どうお考えになっておりますか。
  33. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 清澤先生御指摘の諸問題にこたえるべくまさにこの改正案を出したのでございまして、内容を申し上げますと、乳業会社同士と、乳業会社生産者団体の行います乳業、この関係においては、生産者の利益が適正に守られます限りにおいては、また、守るように法案を少しでも整備いたしたいと思いますのが今回の法案でありますが、生産者の利益が適正に守られます限りにおいては、資本の効率を高めまして、工場施設等についても、適正配置、適正規模を勧奨しまして、それのお勧めできるものには援助してやる。その後、経営合理化をして消費者に資するように、生産者に裨益するように、その面からもするという手が今まで欠けておりましたので、その点、従来よりは法文を整え、予算、資金を十分ではないが計上いたしまして、逐年、三十七年度を特に一目標、一道標としまして、やって参りたいというのが、この法案の趣旨でございますが、さらにまた、生産者団体間のことでございますが、総合農協と特殊農協とが多少意地っぱりになって競争し合う、また、農協資本雪印でいいますと九割、協同乳業でいいますと六割、出資金の中に出資をされるほどの会社でありましても、その間に農協と会社とにある——これは農協そのものについてだけ申し上げて、あとは類推をしていただきたいと思いますが、これらについては、また両者の調整を適切にはかることはもちろん必要と思うのであります。生産者団体の事業を伸ばす一方、そういう調整は必要だと思いますが、これについても、勧告程度の権限は行政官庁に持たせていただくと同時に、公庫資金、農林中金の資金その他の資金をもちまして、援助できるようにしたいと思っておるわけであります。従来、多少この点が欠けておりました。ただし、農協につきましては、農協中央会というものもあり、各種の系統組織もありますが、畜産がまだ、農家の間において酪農家は普及率が少い。全国平均で見れば六・五%くらいである、多いところでも、一八%くらいであるというような実情も見まして、専門農協には系統資金を貸さないというような態度が見えたときもありますが、中央会の一楽君とか、中金の理事長とか、全販の会長等とも、よく去年の暮れも懇談いたしまして、伸ばすべきものは伸ばし、自主的にまず調整することは自主的にしまして、いたずらに官庁が先に介入することを避けるが、しかし、放置はしないという態度で法案用意して、今後もそれに資しようと思っておるわけでございます。
  34. 清澤俊英

    清澤俊英君 質問を終りました。
  35. 河野謙三

    ○河野謙三君 私、一点だけ伺いたいのでございますが、むしろ厚生大臣に伺った方がいいかと思いますが、政務次官なり、畜産局長は万能の選手だから御答弁願いたい。昨年の厚生白書において、こういうことが出ている。三十年以来米の豊作が三年続いた、その結果として国民の栄養が悪くなった、端的に申しますと、こういう発表をしておりますが、これは要するに、米が出回りがよくなって、安くなって澱粉質から、脂肪、蛋白に順次国民の食生活が変ってきたのであるけれども、この傾向がまた逆転して、脂肪、蛋白からまた澱粉質の消費がふえてきた、その結果、国民栄養が悪くなった、こういうことを意味しておると思いますが、そこで、この厚生白書による国民栄養の低下という問題と、農林省酪農振興酪農振興酪農振興であると同時に、最終的には国民栄養ということを目ざしておると思うのであります。この米の問題と、農林省の食生活の改善と申しますか、酪農振興と申しますか、こういう問題で、どういうバランスのもとに今後酪農振興消費、またそれに伴うところの生産の増強、こういうものを持っていこうとするか、この点について一つ伺いたいと思います。どうでしょう。
  36. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 河野先生が御指摘の厚生白書にはそれが相当現われておりますし、食糧庁の行政業務等を通じましても、米の豊作に伴いまして、また、やみ米の値段とか、国民所得と米及びそれにふさわしい習慣的になれました副食物の食費と申しますか、そういうものとの関係をもちまして、小麦粉の消費が若干減退を示しておる、そういうことは最近三十年以来数カ年続きました米の豊作の裏としまして、国民の食生活の上にある程度現われておるのであります。他方、都市的な生活また農村におきましても、近代的な文化的な食生活が進むに応じまして小麦粉の消費ももちろんございますが、また魚介類によりまする脂肪、蛋白の消費もふえておる一方、特に畜産物——牛乳中心にして肉類蛋白、脂肪——動物質の脂肪と蛋白、それの消費は逐年増加しておるのでございますので、非常にむずかしい農業経営と農家経済ないしは農業収入との問題が、生産として水田の稲作をしますと比較的安定して反収が多く、食糧管理、米価の決定等からいたしまして、安定した農家の収入が多いのでありすす。その方に力が多く入っておる、行政上政策上も入っておるということがございまして、これをどうするかという問題などは、まさに農政の生産面における農業経営及び農家経済の基本問題でございますが、あわせまして都市的な消費者も農家の消費生活を通じましても、小麦粉によりまするようなものを、畜産物、水産物、特に畜産物を加えました食生活の改善は、一体となって推進する要がございますので、農村におきましては、農林省で行なっておりまする生活改善事業の中に、特に昨年の夏以降は強くこれを予算も計上し、予算以外の事実上の活動も強化をしてもらっておるのであります。もちろん食生活のことでございますから、農家の方々、国民の方々が自分で御工夫になって下さることが根本でございますが、そういうようにいたしております。また都市的な生活面におきましては、これは私ども生活改善協会とか、パンの関係の普及会とともに、特別の畜産品の消費普及の関係団体を作りませんで、既存の団体をそのまま活用して、また、分れている場合はこれを合体して、米とその他の貧弱なる食生活より、経済の許す限り小麦粉その他イモ類もありますが、それと畜産物それに水産物、そういうものの消費増加を進めるように消費政策としては考えておるわけであります。
  37. 河野謙三

    ○河野謙三君 これは政務次官にちょっと私は注文をつけたいのですが、どうも畜産の問題を一つとらえましても、厚生省と農林省との間のばらばらな行政が依然として行われている。また、農林省の内部におきましても、食糧庁と畜産局の間に、必ずしも私ども第三者から見ると、意思統一ができていない。具体的に申しますと、学校給食の問題一つをとらえましても、どうも食糧庁と畜産局の間に必ずしも意思の統一ができていないように私は思える。思えるのではなくて、具体的な事例をあげろといえばあげますが、また、今の米の問題にいたしましても、やはり酪農振興をやり、国民栄養の向上をはかろうということであれば、これは一畜産局の問題でもなければ、一食糧庁の問題でもなくて、やはり大臣なり政務次官が農林行政としてトップ・マネージメントをもってやってもらわなければいかぬと思うのです。えさの問題にしても同様であります。こういう点が、行政それ自体がばらばらのために、政府が企図しておるところの効果を必ずしもおさめることができないというのは、私がここで具体的に一々例をあげなくても政務次官お気づきになっている点がたくさんあると思うのです。こういう点をもう少し大所高所から大臣なり次官がおやりになっていただきませんと、これは効果が上らない、こういうことでありまして、話は戻りますけれども、学校給食の問題にいたしましても、たとえば末端に行きますと、学校給食のパンを一つとらえましても、バターなり砂糖の投入率というのはみんな各市町村によって違いますよ。いまだに五—三の所もあると思うと四—三の所もあったり、これはそれぞれの自治体の負担力の問題もあるでしょうけれども、こういう問題も、これは文部省との関係もあるでしょうが、もう少しきめるべきところは一つにきめて、そうしてそれぞれの局なり部に流さなければこれはいけない。その結果が今申しますように、何かわれわれが聞きますと、米が豊作になって喜んでおったところが、これはけっこうなことでありますけれども、米の豊作の結果が国民の栄養が低下した。しかも、それを政府一つであるところの厚生省が堂々と正直に発表したことはけっこうでありますけれども、こんなみっともないことは、これは行政の失敗といわざるを得ないのです。そういう点につきまして、まあ厚生省や農林省は別として、農林行政の中において、もう少し酪農振興の問題一つとらえましても、畜産局だけの問題では解決しない。特に食糧庁の関係において十分のマネイジをしてもらいたいということを特にこの機会に一たまに出て来ましていろいろ注文をつけて申しわけありませんけれども、お願いしたいと思います。なお、御感想がありましたら御答弁願いたいと思います。
  38. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 先ほど河野委員が御指摘になりました通り、私も厚生白書を読んだのでございますが、昭和三十年度以降の豊作の結果として、たとえば農民の中には四割に近いところの米食病患者がおるというふうなことが指摘されておる次第でございます。栄養的に申しますると、米というものが相当欠陥があるということは、はっきりわかっておるわけでございますが、しかし、何分にも米というものが味の点から申しますと、一番安くて一番うまいという関係からいたしまして、豊作になり、やみ米の価格が下りますと、当然にそういうような傾向が出てくるのはこれは自然の勢いであろうかと考えるのであります。しかしながら、政府といたしましては、それに対処してやはり栄養的に見てもっと完全な調和のとれた栄養食を与えて、そうして国民体位の向上をはかる、これはまた当然の責務でございます。かような見地から、農林省の所管におきましては生活改善指導ということに非常に力を入れておりまして、最近の調べによりますると、米食と申しますか、純農の水田地帯におきまして大体米からとる栄養が全体の八割五分に至っている。日本全体としては、最近の統計で大体七割五分が標準のようでございますが、八割五分に至っているという事情もございまして、これを何とか六割五分ぐらいを目標にして努力いたしたいということで累年努力をいたして参っておるのでございます。来年度予算におきましても、生活改善指導員は特に普及員の数を九十二名増員いたしまして、そうしてその方面に非常な力を注いでおる次第でございます。  なお、先ほど来御指摘になりました、つまり栄養とそれから生産の連絡の問題、この問題は、昭和三十三年度の予算を編成いたします際に、長期経済計画政府としては立てた次第でございますが、その際において、畜産の振興を大きく取り上げた趣旨も、特に酪農中心として畜産の振興を大きく取り上げました趣旨もまたその点にあるのでございまして、これは五カ年間の数字をずっとごらんになりますと、酪農の、たとえば牛乳の製品について、倍以上の生産をなし、同時に、消費増大をはかるということにいたしておりまするので、その間なお今後検討すべき点、また今後調整を要する点は多々あるとは存じますが、その方向に、御指摘のような方向に絶えず努力をいたしておるということは一つ申し上げておきたいと考えるのでございます。  なお、ちょっと農林省の内部の問題につきましても御指摘があったのでございますが、その点もまた、絶えず注意を払っておる次第でございますが、なお、至らぬ点が相当あるかと思いますが、今後とも御指導のほどをお願いいたしたいと存じます。
  39. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ちょっと、質問に入る前にお尋ねしておきますが、ずっと続けてやっていいわけですか。
  40. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  41. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記をつけて下さい。  暫時休憩いたしまして、午後一時半から再開いたします。    午後零時二十六分休憩    —————・—————    午後一時五十五分開会
  42. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) これより委員会を再開いたします。  午前に引き続き酪農振興法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題にいたします。  御質問の向きは御質問願います。
  43. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まず最初に、現在の業界の趨勢を伺いたいのですが、昨年の夏以来大騒ぎしてきましたこの乳価問題の点ですが、大体三十三年度と申しますか、本年度のバター生産はどれくらいの見込みに上る予定なんですか、そしてそれは生乳換算幾らですか。
  44. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 三十三年度は、バター生産されますもとの牛乳は、年度で、まさにその年度末に近づいておるのでありますが、生乳換算いたしまして、八百四十二万五千石になるだろうと思っておるのです。そのうちに、いわゆる市乳と申しますものが、農林統計によりますと、三百七十八万六千石処理されまして、乳製品製造に回るだろうと思われますものが、年度末でありますが、三百七十九万二千石、そのうちにバター生産があるわけでありますが、まず、石で上がりやすく申しますと、バターは百分十一万石相当分でございまして、トン数で申しますと一万二千九百二十トンになるかと思っております。
  45. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この百九十一万石から出る脱脂乳のうち、チーズに変っていくのは幾らぐらいですか。
  46. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) チーズは牛乳全体をもって生産するものでありまして、バターを取りますと脱脂乳ができるわけであります。脱脂乳は大体バターの二倍できます。原料のなま牛乳との割合としますと、バターが一、脱脂乳の中の固形分が、脱脂粉乳でありますが、これが二ということになります。チーズは別途に原料乳そのものを全部使わなくてはいけませんが、これは石数に換算しまして十九万五千石、トン数で三千四百三十三トンというものが農林統計の概要でございます。
  47. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで、大体現在の生産者価格と申しますか、業者の買い上げ価格の平均はどれくらいになっておるんですか。
  48. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) なまの牛乳で申しますと、全国平均が最近は一升当り四十四円ぐらいになっておりますが、地区によって違いますが、バターやチーズを大半作ります所、東先生等がおっしゃいました乳製品地帯、こういう地帯ではこれが全国の農家の販売価格の最低の地帯でございまして、一升当り生乳が三十六円、北海道とか東北の草地が多いような所ですね。最近はこれに一升当り二円の生産奨励金を付するようになりつつあります。
  49. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それにしても、この原料乳県の三十六円プラス二円というのは、昨年の夏相場以前の相場よりは落ちているわけですね。まあそれはともかくとして、それではそのコスト計算では、大消費市場を持ち市乳として主として供給している地域ですね、そこで購入飼料を中心にしてやっている酪農経営、こういうものと、主として自給飼料でいっておる原料乳県、これのコスト計算は農林省ではどういうようになっておりますか。
  50. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 実は非常にむずかしい問題なことは御承知で御質問かと思いますが、北海道の今三十六円強の農家基本乳価奨励金二円と、こう申し上げておりますことは、去年の六月以前は四十円——基本乳価だけで奨励金なしで四十円、東北の北三県等はそうでございまして、これの生産費関係でございますが、もう一つは、市乳地帯濃厚飼料ばかりというのでございますが、京浜地区で申しますと、昨日も当委員会で申し上げましたように、岩手県下の集約酪農地域が昨年までで三地域ありましても、東京の市乳に持ってくるほどでございますが、ここは去年の六月以前は五十一円、今は四十六円くらいになっております。これも奨励金が最近は一升当り二円がついております。地方によっては、この奨励金でなしに、基本乳価でプラスせよという紛争がありまして交渉中でございますが、まず、その地帯について飼料との関係を申し上げますと、東北と近畿地方、九州は違いますけれども、北海道と本州とを分けますと、非常に様相の差があるわけでございます。飼養頭数も、自給飼料も、濃厚飼料も、その三者の関係が違いますが、本州全体をならしてみまするというと、本州といいますか、内地の酪農は一頭飼いが中心で、せいぜい二頭程度まで——これが御承知の農家の経営規模によりまして、自給飼料は栄養分としまして二割五分ないし三割五分であります。南関東から中国筋までは大体二割五分、北関東から東北にかけていきまして三割五分、残りは濃厚飼料に依存しておるのであります。北海道は道内全体をならしますと五割くらいから六割五分、大半六割五分くらいまで自給飼料になっております。濃厚飼料が三割五分であります。私どもは四年目標くらいでこれを逆転せしめて、飼料割合を本州北海道を通じて六割五分以上、北海道八割五分程度まではもっていきたいというのが自給飼料の関係でありますが、この飼料の自給度によりまして生産費相当違います。それを最近までの生産費調査によりまするというと、生乳販売価格一升四十四円とか、五十円とか、三十六円とか、そういう場合の大体六割が濃厚飼料であります。いずれも販売は粗収入、濃厚飼料は粗支出——現金の入ってくるそのまま、出ていくそのままで、経費を引かないものでありますが、そういう関係になっておるわけであります。
  51. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 御親切な御答弁で非常によくわかったのですが、大体よく農林省では一升当り生産費五十三円とかなんとかというふうなのを出しておりますが、そういう出し方で今の三十六円に相当する地域においては、どの程度か、四十四円の市乳地域はどの程度か、それを端的に教えて下さい。
  52. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 御承知の費用化主義と申しますか、労賃とか、自給飼料を作る、それから家畜から出る屎尿、糞尿を肥料にするというのを労働時面に見積りまして、労賃に換算するのを費用化主義といっておりますが、そういう生産費調査で、かつまた、自己労賃は類似の付近の雇用労賃で評価いたしますと、原料乳地帯で四十五円から五十円ぐらい、まちまちでありますが、総じてごく都会に近い濃厚飼料のたくさんございます所では六十円から七十円程度が最高のところでございます。その範囲内にぱらぱらとあるのを調査しているわけであります。
  53. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 岩手県の経済連でたしか出した資料によると、一升五十一円か幾らかで出ておったように思いますが、いずれにしましても四十四円、三十六円よりは生産費は高い、こういうことなんです。そこで、農林省当局としては、もしもこれが農産物の支持価格制というような問題の考え方をするとすれば、どういうところが基準価格として、今この程度のところに押えていかなければ、酪農家、いわゆる生産者のそれが保証されないという検討をしておるのか、そこを伺いたいためにここまで聞いたわけなんです。
  54. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 農林省は目下なまの牛乳の農家販売価格の支持価格制度をとるべき段階に至っておらないと思っておるのでありますが、今、申し上げましたように自己労賃も、中間生産物も、費用化主義に見積った場合の雇用労賃並みに評価するような生産費では、日本牛乳がほとんど全部牛乳地帯から市乳地帯にわたってどうも数字が合わないのであります。これは一つ調査方法にもよりますし、畑作その他の耕種農業の経営をして、その上で家畜を飼う。牛乳生産のときは妊娠をさせるのが前提でありますが、子供の値段なんかは相当また関係があるのでございまして、目下支持政策をとる場合には幾らぐらいがいいかということを、生産費との関係からもう少し、私はほんとうはもうそういうふうにこの農業政策を逐次とっていきたいのですが、明快な答えが出ないのでございます。やはりこれは従来からのなま牛乳乳製品価格の趨勢とか、一般物価との関係とか、農家の耕種農業及び乳牛飼育に要しまする農家の購入品とのバランスでありますとかというものを考えながら、なお、これにつけ加えまして清澤先生から昨日御指摘のありましたようななま牛乳を買う側の加工賃調査、こういうものを見まして、さらに、それに生産費調査を参考にしてみる。その場合には生産費調査はもうちょっと地域的にも乳牛の飼育形態、酪農経営の形態なども、各地域とか経営のやり方とかをよく代表するように調査戸数も増しまして、調査方法もよく研究する必要があると思います。この関係は、蛇足でございますが、日本の麦の値段についてもそういうことがありますので、何と考えたらいいかの研究を進めておるところでございます。
  55. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いよいようんちくを傾けてきたのでレクチュアーを受けたわけですが、わかったようなわからないような、そういう話に多分なるだろうと思ったのです。それで、われわれのようなしろうと流にものを考える場合、酪農振興ということで政府法律をきめ、また予算の裏づけもしてこれを計画的に進めるということであるならば、現状の生産者価格、それから生産費、これが客観的にわかっておるなら、このギャップを埋めていくという考えなり、あるいは中間的なところにまで持っていくのだというような考えなりが背景になって酪農振興考えてみなくちゃいかぬのじゃないかという点で価格の面だけにしぼって私はお尋ねしているわけなんです。農林省としては、それは今言うように幾多の農家自身経営の実態が違うところもあり、地域的に非常な違いもあるのですが、この乳製品加工業者の方の加工賃あるいは一般物価、農村に入る購入物資の価格、こういうものはある程度わかるものはわかるわけなんですから、価格支持制を用いようが用いまいが、農家の生産費をこの程度は保証する価格生産者価格にならなければならないのだという一つの方針をお持ちになっていろいろの奨励施策が具体的に講ぜられるというふうなのが望ましいように思われる。そういう意味で農林当局としては、現状においで三十六円、四十四円ということが妥当であるとお考えになっているのか、また、これは農家経営を困難ならしめる、従って、この程度のところまでは努力していきたい、将来何カ年間かでは実質生産費をこの程度は償うところまでは持っていくような流通の関係考えていきたい、何かそういうものがベテランの局長あたりにあっていいものだと思う。今ごろは当然そういうことを言い出していいのだというふうな感じを持つのですがね、ないのですか。ただ、めくらめっぽう乳の生産はどんどん伸ばす、価格、流通はどうなるかわからぬ、こういうものでしょうか。
  56. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 具体的な行政は、法律に基いて適正に最近の相当長期間をとった現状から出発してより改善する目標で進めたいと思いますが、農業政策または経済政策としての酪農振興は、法案でも御説明しましたように、経営改善をはかりましてやはり生産費の低減をはかる、そうして売るものは比較的安いが手取りはむしろふえる、そうして最終製品も消費者があって消費がふえる、国際的な酪農製品と競争もだんだんできる、まあこれは一定の関税は要ると思いますが。その経営改善目標は長期を要しますが、とにかく法案用意し、改善計画を立てて目標を立てていこうと思いますので、各地に地帯別また経営形態別の別はございまするけれども、現状からその地帯経営形態において、いろいろ変えますが、達観しましてお話を簡単に申し上げますと、四年間では生産費が少くとも一割、大体平均で一五%下げられるようにもっていきたい。それは少くとも、つまり自給飼料の基盤造成を濃厚飼料の給与を減らしながら、また品質確保の上において大部分それを行いまして、あとは飼育管理それから共同販売、または売る牛乳は約一割が不良乳として売られまして、その場合は乳価が半分になってしまう、五十円のものは二十五円になってしまう、四十円のものなら二十円になってしまいます。これの品質検査を厳に行わしめましたり、経済能力検定を来年度から県をして行わしめましたりして、これに対して国費を、前者は三十三年度から、後者は三十四年度から始めようとしておることもその一助でございますが、合せまして経営改善地区その他において、酪農については特に畜産会、農業協同組合等の濃密指導部を予算上用意いたしておりますが、そういうことでも指導の徹底と品質改善をしたいと思います。そういたしますと、乳価とはどういうものかというものがおのずから出てくると思いますが、最初のうちは、やはり以上申しましたように、酪農をすることによりまして農家の粗収入を増し、限られた耕地のほかに未利用地も草地改良その他をやりまして、より経営を拡大する、高度化していくということによりまして粗収入を増すところに重点を置いて、かつ、生産費を逐次費用化主義で自己労賃も雇用労賃を確保するようにもっていきたいのが方法論でございます。かりに、畑作で従来の畑作物を、北関東等を例にとって申しますと、一反歩ではその粗収入は一万二千円くらいであります、商品化された作物は。それに一町歩経営で、たとえば二反歩利用しまして、飼料作物ですと年四回使えますから、利用率が増しますから、その四倍の八反歩を作ったようになるわけです。そういうようなことでありますと、かりに乳牛二頭を飼う、それで二頭飼えば、さっき申しました私どもの目標の飼料の自給率になりますが、その場合は農家の粗収入は約二倍になる、一反歩当りにつきまして約二倍になります。そういうことも日本の農業の現状に即しまして現実から出発する意味において、そういうようにもっていきまして、逐次生産費をカバーするのにもっていく、その場合に一万二千円、二万四千円と申しましたのは、現状乳価における粗収入を申し上げたわけです。そう考えまして、あとは問題の最初であって、かつ、最終の問題のお問いでございますので、その内容の個々より全体について御判断を願いたいと思います。
  57. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それじゃ端的に伺いますが、現状において四十四円、三十六円という生産者価格は、これは農家にとっては赤字となる、実際の労賃換算その他加えるならば、これではいけないのだ、今の現状においてはですよ。これではいけないのだということになると思うのですね。これでいいのだということにはならぬと思うのです。端的に御答弁願いたい。
  58. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 各種の観点から見まして、やむを得ない価格で落ちついておる、思うこうのであります。
  59. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では、具体的にお尋ねしますが、北海道、東北、畑作地帯における自給飼料を中心とした酪農経営に切りかえていくというような考え方の中心になるものは、やはり土地だと思う。飼育管理その他というようなものは、そう大して重要性は持たないものです。そうすると、畑作にしまして、一頭当り、農林省は、標準として何反歩が適当で、それでその生産費を見ていくという一つの標準があると思うのですが、お示し願いたい。何かあると思うのですね。
  60. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) ちょっと失礼しましたが、北海道等についてとおっしゃいましたか。そうでありませんでしたか。
  61. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 北海道、東北、この二つについて。
  62. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 北海道よりは東北は小面積でいいと思いますが、東北の一部は寒冷地で、やや似ておると思います。で、三十七年度ぐらいを目標に、合理的な経営生産費を償い得るように、そして酪農業も国際的にも安定して生産収入もかなり立て得るように、こう申しますのは、その地帯では、北海道では、一頭当り四反歩の飼料作物を作付しております。東北はもっと少いと思うのです。しかし、その場合に、先生御指摘の、土地が重要だとおっしゃいますが、まあ乳牛というのは機械のようなものでございまして、非常な精密機械のようなものでございまして、かつ、生きものであり、飼育管理、泌乳、搾乳、また、その前の種村等非常に実は影響が多いのであります。乳量ということに非常に関係あるわけであります。また土地につきましても、既耕地というばかりでなしに、牧畜農業と違うこと、当然御存じの通りでございますので、牧野で草地改良をしましたり、堤塘を使用したり、国有林を使用せしめましたりして、もっと広範囲に、二反歩、四反歩ということを考えていく必要もあるし、その方が実現可能性もあると思っております。
  63. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 三十七年度ころを目ざしていろいろな計画を達成——目標を定めて一つのいろいろな計画をお立てになっておる。非常にけっこうなことですが、それなら、それに関連してお尋ねしますが、この酪農指導関係です、経営改善なり、あるいは飼育管理の指導なり、幾多技術指導を要するわけなんですが、現在県なり、あるいは試験場なり、あるいは畜産組合なり、経済連なり、また改良普及員なり、これらのもので、今日まあ一般的に畜産指導といいましょうか、畜産指導に当っておる指導員、技術者、この方は全国に何人くらいおられますか。
  64. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 最近は、普及員の中にも、従来畜産関係者が少なかったので、増すと同時に、特技普及員の増加に当りましては、畜産に重点を置き、さらに専門技術員の増員についても逐年行なっておりますが、畜産の関係者を一番多く見まして、その増加分の割合は、畜産関係を約七割に置いておるわけです。主として増員は酪農中心に行なっております。その実員につきましては、予算書で配付したかと思いますが、ちょっとお待ち願、えれば、探し出しまして差し上げます。また畜産界の経営診断と事故防止事業については、この改正法案によりまする第一年度の計画地区について、予算は七百八十地区——地区は市町村単位ですが、その地区の濃密指導員は、関係の農業団体の獣医さんから畜産改良の職員、草地改良事業も加えまして特別に拡充する予算措置をしておるのであります。特技普及員の設置は……。
  65. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もうむずかしくなくていい。
  66. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) はい。あとで資料でごらん下さいますとよくわかります。
  67. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私のお尋ねしておるのは、概括的に、日本に、その酪農指導をやる関係者が概算何人くらいおって、何頭当り一人が受け持つような勘定になっておるのか、それが三十七年ごろになったらどの程度になっていくのか、そういうことを聞きたいのです。そうしてまた農林省としては、標準的に何頭当り一人の指導者を持っていかなくちゃいかぬというお考えでいるのか、そういうことが科学的に何の計画もなくておるのでは困るのじゃないかと思うのです。どこの県の畜産課でも、集約酪農指定は受けました、乳牛の導入はどんどんする、ところが、巡回指導もなにも手が回らぬ、定員不足というような実態にあるようですから、従って、どういうふうな計画でこれを埋めていこうとしておるのかということからいって、標準的にはそれはいろいろな地域差があるだろうけれども、一人で何頭くらい、あるいは農家戸数でいえば何軒くらいを担当して指導するというのが適正だと農林省はお考えになっておられるのか、そういう点のうんちくをお伺いしておる。
  68. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 農家の機構、組織によります指導者、言いかえますと、農家の要望を、専門的な経営指導者や家畜衛生の指導者に取り次いだり、また自分ができる程度で指導したりする部門を除きますと、普及員かそれに準ずる者で、二十戸に一人くらいいると思います。さらに、地帯によって違いますが、百戸ないし百五十戸というような、所にもより、高級な、専門的といいますか、そういう技術員がいると思います。その上に酪農指導所、畜産試験場、あわせまして、多角経営酪農ですから、これは家畜の個体につきまする品種改良のような場合、えさの給与の場合、自給飼料はまた耕種農業のようなものですから、その場合、特にまた重要なのは、家畜衛生ということが非常に重要なことですが、その系統ごとにそういうことが言えると思います。ただ衛生のようなことは、おのずから担当範囲が広くてもいいと思います。現在この系統は、主としては振興局に普及関係の事業がありまして、試験研究の方もまた振興局にありますので、昨年来長期的な、総合的な酪農対策の要綱でございますが、構想と名をつけられました一連の総合対策を農林省の省議できめまして、予算にも、法律案にもその主要分を反映されておるわけでございますが、各局一体となってこれを実施して、ひとり畜産局のみでやらないように——中心ではありますが、やらないように、県においても、団体においてもそういうふうにやってもらうように、新年度早々からそういうふうに運営できるように行政実施のやり方をやろうと思います。御指摘の数字のことでございますが、少くとも三十七年までには県の職員は、県庁の本省の職員ですが、五百人、特技技術員を一千人、経営診断の専門的な団体職員を千三百人、保健所を千五百人、四千三百人は最低確保したいと、そういうふうに思っております。
  69. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすれば一人当りそれは何戸、何頭なりを管理するのですか。
  70. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) それは、その限界を延べ人とでもいいますと、一人が先ほど申し上げましたように、戸数でいえば五十と百との間、頭数でいえば百頭と二百頭との間、今は団体指導員の関係は二十戸くらいをねらっております。臨時雇いで必要なときだけ行く延べ人になっておりますので、働く延べ人数と専門職の人数の問題といろいろ運用の仕方がありますが、ざっとお答えを申し上げますとそういうことになっております。
  71. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それではもう時間がありませんから、またあとでこれらの計画についてもお尋ねしたいのですが、さっき清澤委員もお話しになったことに関連があるのですが、何としても、私、もうひっかかりになるのは、この市乳地帯、大消費地を控えておるところの生産者価格が高くて、加工乳の方の地域のそれは生産者価格が低い、こういう点はどうも望ましいことでないという感じをしろうと流で持つのですが、何としても、繭のようなものでも、去年はああいう千四百円の支持価格、それが趨勢価格だということで千円にも下げられましたが、同じ農家の農産物で、あの種の酪農家よりも数少い養蚕農家のためにもああいう価格が形成されて、そして養蚕農家が守られる、こういう施策が国の施策としてある。あるいは最近の例でいいますと、テンサイですが同じその農家の栽培するテンサイでも、大体買入価格というものがコンスタントになっている、そうしてその間の赤字は食糧庁が保証するというような形になっている。今日膨大なもう酪農家が出ているが、この乳の問題だけではそういう点さらに何もない。今後奨励するだけでなくて、この支持価格制ということは、今日の段階で困難であろうということもわかりますが、政治の公平という立場から考えても、この問題は、単にもうそういう実態にあるのだから、やむを得ないのだということだけでなくて、何らか研究も工夫もする必要があるであろうし、ことに、森永、明治、雪印等大きな業者に集中されている乳の問題なんですから、なおやる気があれば、あるいは研究して結論が得られないものでもないようにしろうと流で考える。そこで、大消費地を控えている農家は得するし、そうでない所は損であるというような、地域的な制約を受けるというようなことを排除していく考え方というものを前進させることはできないんですか。それだけきょうは聞いておきます。
  72. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 決しておしろうとの御議論ではないと思いますが、基本的な考え方は、そういうふうに持っていくのが一つの大きな、また、多くの賛成者を得る酪農農業政策だと考えます。ただ現段階におきましては、北海道、東北の集約酪農地域のような所の、先ほども申した現状において、最近一升三十六円プラス生産奨励費の形の二円ついた価格日本乳価の最低価格でございまして、きのうも申し上げましたように、神奈川県とか、近畿地方の消費地帯に近い所、福岡を中心にした北九州地帯が一升六十円くらいにプラス二円の日本の最高地帯でありますが、現状の乳価で申しますとそうですが、これは一般的にまず申しますと、市乳地帯における生産者販売乳価が高いことは必ずしも不当でないことが一般的にはある、それは生産費も高いことが多いのであります。また他の関係から申しますと、三十六円地帯、かりにそう申しますと、これについて施策よろしきを得ますというと、それが三十八円、こうなりますと、ほかの地帯もそれに準じまして乳価が最高の地帯まで、実地において小さい経済圏を作りながら段差がついて自然に上って参る現状であります。今までの現状であります。これを市乳地帯であろうと加工地帯であろうと、複合地帯でありましょうと、生産者販売価格というのはどのくらいになるか。また、そういうことは考えないか、そういうことについての御意見だと思いますが、逐次、不十分ながらできる限りにおいて研究を続けているわけであります。これはやはり一つ酪農生産面、乳製品消費面、両方ともまた今後数カ年でも倍くらいになる、その以前、以後も相当に伸びるべき発達過程でございまして、農家のところから消費者のところへ行きますまでの、この生産から流通消費過程がきわめて合理化をいたしておりません。そこで、それをあるがままに一つ経済制度を統制的に作りましてすると、合理化を妨げて、発達を妨げる弊害もある部分では出てくると思います——いい長所はたくさんあると思いますが、出てくると思いますので、それらの点を総合的にやはり考えて、早く安心して健全な酪農経営が拡充されまして、それがそう経済状況や需給状況で、また外国の乳製品との関係で、非常な打撃を受け、変動を受けないような、そういうものを作るようにしていきたいと思って研究いたしておる次第であります。今日それは成案を十分には持っておりません。また、先生のおっしゃいますように、牛乳の最低支持価格は、あるいはその一つであろうと思いますが、それだけではだめである、そういうふうに思っておる次第であります。
  73. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は、さっきから御答弁になっておるように、自給飼料でいく部分をどんどんふやしていく、これがやはり根幹である、その通り賛成します。それから価格の問題も、単につり上がればいいという状況ではない、やはり国際的な競争という点になれば、飼料の自給度を高めて、そして農家が抵抗できる素地をつちかう、これが基本だと思います。ただ、そのためにも、局長が言うようなことの一部に触れますが、私の推論は乱暴かもしらぬけれども、大消費地付近は、近傍は市乳としてどんどん消費がいくから、従って、高いえさをある程度買ってやっても採算がつくということで、えさが高くなるということは、これは地方の原料県のえさの価格にも影響していくわけです。私はそういうふうに推論が成り立つと思う。特に今日独占的な飼料価格を持っておる限り、やはり大消費地も、それも価格相当下ってそして原料乳県の方も下るということ等が考えられなければ、悪循環といえば言い過ぎかもしらぬが、そういう問題も残るのではないかというふうに思うのです。この点は私、しろうと論で確信がございませんから、またあとでお尋ねしますが、そういう意味では、やはりどこから押しても大都市を控えておる所の乳価が高くて、そうして僻遠の地の生産乳価が低いというようなことは工合が悪いのではないかという感じを持つわけです。この点については、もうあときょうはお尋ねしません。  次に、消費普及の問題ですが、学校給食と集団飲用の問題をはっきりと取り上げられておりますが、学校給食の目標はどこに置いておるのですか。ばく然とした質問で失礼ですが、その規模それからまた、その費用、どこまで伸ばす目標を持っているのですか。というのは、市場に乳がダブつくから、そのときには学校へ便宜的にどっと入れる、そうでないときには、学校の方はもう薄くしてはずしている、そうしてまた学校給食も、その本質的な問題から要求があっても、それは打ち切ってしまう、こういうような便宜措置として学校給食が考えられているのか、もう両者からみ合って本質的な問題としてこれを伸ばしていこうとするなら、たとえば三十七年度推定されるこの乳量、そのうちのどれだけは学校の方へ回す、そうすると全国の学童なら学童の何%まではこれが飲めるようにするんだと、そういう何かやっぱり政府として基本的な態度がほしいと思う。また、そういうことがなくて法律へ堂々と書き並べる必要はないと思う。それが一つの点。それから集団飲用の問題ですが、集団飲用はどのくらいの規模でどういうふうにやらせようというのか、行政指導はどうするのか、設備その他の問題に関しての財源はどうするのか、その奨励費と申しますか、そういう予算はどうなっているのか、これもどこまで伸ばそうとしておるのか。もう時間がありませんから、適宜、並べてお尋ねしましたが、抱負のあるところは全部お聞かせ願いたい。
  74. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) なるべく簡単に申し上げて、あとは類推して御了解を願いたいと思います。三十七年には、畜産増殖計画の乳牛分といたしまして、三十一年を基準にしまして、三十七年は当初において二一五%ぐらいにいたしております。それに対しまする牛乳生産量は、出乳量のある程度の増加、すなわち飼育管理、自給飼料等衛生の普及徹底等を加えまして、牛乳生産量としてみましては、七十五万石を目標にいたしておりまして、三十一年基準で申しますと、指数は二二三になります。先ほど乳牛で指数的に申し上げましたのは間違いでございまして、二一二です。二一五と申しましたが、二一二を目標といたしております。そのうちで学校給食につきましては、三十三年度は、まさに御指摘のように、国内の牛乳及び乳製品の自給対策を加えまして、臨時緊急措置、予備費支出を加えまして三十八万石分をこれに投入いたしまして、その分をアメリカからの輸入の、脱脂粉乳の輸入制限たな上げをもって行なったのでございますが、酪振法の改正案で、第三章の二「国内産の牛乳及び乳製品消費の増進等に関する措置」で、国がこれを学校当局ばかりでなしに、農林省の立場からも法定をしたいと私どもが念じておりますことは、国産の牛乳及び乳製品をもちまして、法的制度をもちまして、計画的に学校給食のミルク、乳製品給与に充てることでございまして、これは三十三年は九百万人分でございます。県によりまして、最高が百八日、あとは輸入脱脂粉乳との関係で多少まちまちでございます。これを三十四年度は県別に見ましても、平均額は、予算の算定でございますから、かりにそのまま実行すれば、各県ともにいずれも百八日、学校給食の対象にしておりますものは全部百八日。そうしまして原料乳計算で約四十万名は確実に消費せしめたい。学校給食は年々八十万人ずつ増加させていきたい。五十万人増加案と八十万人増加案と実はありますが、文部省と打ち合せて、文部省、農林省の側とは財政事情等の点でいろいろ問題が出てくる場合がありますが、学校給食の普及率の増加ということも国民の体位向上に資する効果大ですから、八十万人ずつ増加することを目標はずっと三十七年まで、あるいはまた、将来考えることがありましょうが、続けていきますと、それに応じまして八十万人ずつ年々ふえたものは輸入脱粉を加えてでございますが、一応予算編成時には、二十八年ごろには、学校給食用の牛乳及び乳製品を輸入をしないようにしたいと思いますが、お話のように、発達過程の全般の消費もまだ必ずしも好転しておらぬものでございますから、多少の輸入脱粉による操作はあるいは必要ではないかという考えを入れるのも再検討中でございますが、方針としましては、学校に使います学校給食でありますから、国内の酪農中心にした産業の発達とこれが結びつきますように国内産の牛乳及び乳製品等を使用いたしますことで、ほとんど全部まかなう方向で行きますように逐次輸入を減らし国産を増すようにしていきたい。従って、単に需給調節のために必要なときだけ学校給食に使うということでない制度にいたしたい、こういう考えであります。それがどの程度できますかは、やはり財政事情のみならず、国内の需給事情には確かに関係があります。父兄負担にも関係ございますが、これは生産者酪農家並びに業者、教育委員会、学校、父兄あるいは政治をおあずかりの先生方や行政管理庁のわれわれ、その他関係省の協力なり努力が要ると思いますが、そういうふうにもっていきたい。繰り返して一言で申しますと、学校給食は法的制度化されて、継続計画的に年々国内産の使用割合を増して、最終目標は、一部のランニング・ストック以外は国産品で使用するのを目的とする、教育であるから特にそうだし、国内産業の育成という観点からいきたい、こういうふうに思っておる次第であります。  集団飲用につきましては、これは住宅地域といいますか、家庭がある地帯におきます集団飲用もありますし、工場、事業場その他の職場の集団飲用もございます。また小売店舗におきましても、予約的な加入をあらかじめいたしまして、まとめて小売することも一つの集団飲用と考えておるのでありますが、営業にございまする場合は、やはりこれは自主的に自分の努力を中心にやってもらいたいと思いますし、酪農家の団体、農業団体と主婦連、労働組合あるいは官庁、今、閣議でも、次官会議でも、農林省でも、昼は会議の際でも何か飲料を出すときには牛乳を飲むようにお願いしておりますが、だいぶ普及しておりますが、そういうところと中間経費をなるべく省くようにして、十円牛乳と、十円ががっちりとそれがそうだとは思いませんが、大阪の主婦連なんかは比嘉さん等が中心で二合びんを作りまして、一合当り十二円にしておりますが、私はいいことだと思います。あるいは国鉄なんかの関係の飲用も進み、広い意味の集団飲用であります。そのうち営利団体がほんとうの意味の集団販売、集団消費、こういうふうにされます場合は、わずかでございますが、本年度も若干増加に、次年度は牛乳の合理的の消費普及の費用としまして約六百万円の予算を計上してございますが、まあ各都道府県にも、これを配賦いたしまして各地方とも使いたいと思いますが、それらでその事務費なり経費の一部を実質上に補助、助成いたしますように、また施設につきましては、牛乳業者側の施設に低利融資をいたします。そういうようなことについて、ある程度の用意をいたしておりますから一そうそれを進めたいと思っておる次第でございます。
  75. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 森永や明治なら製品の販売PRにはラジオ、テレビを使ってどんどんやっておるのですが、集団飲用をこういうふうに法律上明記して奨励するのだというなら、これは窓口はやはり畜産局なんだと思うのですが、集団飲用奨励課というような一課でも作って計画的にどんどん進めるというような用意はなくて、六百万円で一つ集団飲用奨励をやろうという看板をかかげるわけですか。
  76. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 財政行政管理の当局がそれを許して、諸先生方が国会で御可決下さる諸情勢が成熟いたしましたら、それくらいもっていきたいと思いますが、ただいまは農林畜産課の係として独立させまして発達段階が現状の程度でございますから、一番能率あるところの注文取りに歩かして、お客さんと結びつける努力をしておるのです。なお、これに関連しましては、全農連とか主婦連とか石川島工業の川崎の工場とかいうものも、例をあげますとそういうことですが、各地においてそういうことでかなりうまくいっておりますので、それをなお奨励したいと思います。
  77. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 意地悪い質問のようですけれども、それで大体集団飲用の伸びをどれくらいに目標を置いてやろうとしておるのですか、三十四年度。
  78. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) その集団飲用を計画立てられるには、また関係の流通機構とそこまで行っておりませんので、若干係にはそういう意味で数字らしきものをつけておりますが、私はここに先生に公的な席で計画的数字として申し上げるものを持っておりません。
  79. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 次に、第二章の二の「酪農経営改善計画」についてですが、この種の改善計画というものを市町村に——この種というのは農業関係ですが、この種の改善計画をやらせているのはどういうものがありますか、農林省として。
  80. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 耕地農業と酪農とをあわせ用いまして、既耕地の作付ばかりでなしに、その他の農用地、草地等も加えたものはありません。ありませんが、市町村またはこれに匹敵するような適当なものをしまして、とにかく農業の計画を立てる、その農業の計画の中で農業経営改善する、経営という要素を取り入れて考えておるというものの例を申し上げますと、まず第一は、開拓者の営農振興法であります。また、それを含めて、もっと広い、いろいろな面での計画を立てて、個々の事業に助成をまとめてやる新農村建設計画といわれておるものがあります。また、この国会に提出されました北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法案、これは融資法でございますが、畜産もそれに照応するようにして、他の農業経営手段も合理的に作る、これは農家の方に市町村が指導例を示しまして、農家が共同して作ったものにセット融資をする、家畜の方はそのセット融資に照応して動員をはかる、こういうものがありますが、この三つなどその例でございます。
  81. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この「経営改善計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。」とありますが、この幾つかある事項のうち、市町村の責任で当然やることになるものはどれとどれですか。実施するということを考えるならば、市町村の責任で実施するというのはどれとどれですか。
  82. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 第二章の二の酪農改善計画を立てることを市町村が行いますことをここに規定しておるのでございまして、計画の中において掲げる事項では、一号の酪農地域酪農経営改善目標でございまして、これは生産費合理化や、その他経営合理化、そういう目標を示す、また、二号の計画期間をみずから関係者と相談してきめる、三号の乳牛の導入計画なんかを中心に、主体性を持って関係者をリードして作ってもらう、その他は公共事業の色彩が強い草地改良事業関係に力を入れる、これは事業主体としてやってもらいたい、こういうように思っておることなどその例でございます。御承知のように、市町村というのは地方自治体でございますので、それが本体でございますので、法律をもちまして、都道府県あるいはそれと並んで一定の役目を果させることもございますが、民生安定、産業復興に関することは、その村々、市町村の財政その他の事情に応じまして、他の団体が行うことをみずからやってもいいわけであります。私の方が期待をいたしておる最小限度のこと等を申し上げますと、以上のようでございますが、各項目にわたりまして、みずからやる場合も悪くないと思っておるわけでございます。
  83. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 なぜ市町村にこういうことをやらせるというふうに改正しようとしたのですか。ということは、農業団体なり、あるいは酪農組合なり、畜産組合なり、牧野組合なり、それぞれあるわけです。それをそれらと相談して、市町村長が主体になってこういうものをやるということにしたのはなぜか。
  84. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 御承知のように、酪農発達しつつあるものでございまして、土地に即しまして、既耕地に作物を作付するものよりは——家畜の移動も相当あります。移動があると同時に、飼養頭数の増加もねらっておりますと同時に、合理的な更新と申しますか、老牛、不妊牛等の淘汰も行う必要もあるわけであります。今のところ、一定の増加趨勢にありますと同時に、また増加以外の変動もあるわけでございます。かたがたもちまして、現行法は、酪振法の重要部門としまして、都道府県知事が農林省指定します集約酪農地域について、酪農振興計画を立てることになっておりまして、一応順調に進んでおります。不十分な点も多々ありますが、進んでおります。特に飼料関係のうち、草地改良事業につきましては、事業執行の態勢としまして、法文をもちまして、現行規定では、都道府県と市町村がこれを行うことになっておるわけであります。そこで、高度な迂回的な生産と申しますか、迂回生産、土地についての第一次作物作付の農業経営では、以上の家畜を飼養するというものであります。今後ますます進展、発達の道程にあること、また現行法との関係、一番重要な自給飼料基盤の造成に関しましては、市町村は強く期待しておるところがある、そういう意味で、市町村にこの計画を立てさせることにいたしまして、弊害を除去するために、その地区内の酪農経営の農業者の意見を必ず聞くこと、そういう経営者がふえれば、また意見を聞いて計画変更をすることもある。また農業協同組合等が行うべき事項について定めようとするときは、当該の農業協同組合等に協議いたしますので、別途の農業委員会法によりまして、農業委員会がこれに参加すること、そういう改正を考えたのであります。
  85. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 われわれも集約酪農の特定地域内における町村が直接何らかの形でこの酪農経営なり、酪農振興に参加するということは、必要であるというふうに、従来、現地の事情を見て感じておったわけですが、しかし一面、これで見ますと、市町村には何ら権限的なものはない。実施の当事者といいましても、従来の草地改良事業をやるとすれば、そういうことだけである。いわゆる農政といわれるようなことはないのです。そして何かきめたことをやるにしても、農協団体、農業団体あるいは農業委員会、これらが参画もし、農協中心で事業が進められるというようなことでしょう。そうすると、ある面からいえば、市町村がこの種の団体の事業をやるものに金を出してやるがための計画、こういう形にもなるのではないか、合理的に金を出してやる、金をもらいたい、ということだけのために、こんなことを始めたのではないかという誤解もしたくなる。今の地方自治法の建前からいって、ほんとうにこの市町村には農政はないのです。そういうところに都合のよいものだけは持ち込んでいって、計画を立てるのだといっても、自主的に計画を立てるわけではない。結局、農業団体との協議でこの計画を立てる、立てれば立てっぱなし、こういう形のものは何かどこか抜けているというか、足りないというか、そういう感じがただ直感的にするのです。どういう効能が具体的にこれによって起ってくるかということについて、私はまだはっきりつかみ得ないのですがね。
  86. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 直感的に誤解をなさらないように願いたいと思いますが、法律の規定をもちまして、酪農経営改善計画を立てることは、市町村をして行わしむるほどはっきりしたことはないと思います。従いまして、国の法律でこれを立てさせますから、酪農経営改善計画計画諸事項についての実行主体は、一応とにかく酪農経営をしておる農家そのものが第一であります。そうして共同的に事業を農業協同組合において行うこともある、これを援助するために受益者の負担はある場合が多いかと思いますが、公共事業的に市町村が事業を行うこともあると思います。農業計画としまして、あるいは農政としまして、わが村の酪農にどう経営改善目標を与えて、これを計画化し、また合理化するかということを市町村の力をもちまして、勧業主任その他の技術員、経済指導者を職員にある程度持っております市町村が、これを契機に一そうこれに熱心になるということは、この法案のねらいであります。しかし、国の法律でこのことをこうしましたことは、特にあとの条文に出て参りますように、都道府県を経由しておるのでございますが、国がこれを援助しよう、こういうところにあるのでありまして、その全体を一つあわせて一本と見て御理解をお願いしたいと思います。
  87. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私も、多分提案者の方ではそういうお考えだろうと思うのです。もしもそういうお考えであるならばですよ、今の町村等における農業課などという役場のあの実態、中小都市における産業課などという中に農業関係係なんというようなスタッフでやっておる、ああいう実態を見るなら、あなたが考えられるくらいのことをやらせよう、援助しようというなら、それは相当のスタッフが必要ですよ。これだけの計画を立てるなら、立てた以上、これが促進に努めるということになれば技術者も要る、職員も要ります。そういうものに対する裏づけが何もない。地方財政との関連は何もない。そしてまた補助するとか、国が援助するとかいいましても、それは融資する、なにするというのは、従来の農業関係団体がそれぞれの系統機関から金を入れるということ、あるいは従来県等から補助金が出ておれば、補助金か入るということだけでしょう。特にこのことをやるがために、これこれのことについて財源的な裏づけをするということは何もないようなんですね、こういう点が私は歯がゆいというふうに思うのです。これはある場合においては、市町村は非常な大きな負担になるんじゃないかと思うのです。職員はふやさなくちゃいけませんが、何としてもこれをまじめに計画を立てるためにも、計画を立てるスタッフがいないのですから、町村にはいないとすれば、農業関係団体なりなにかの立てた計画が市町村計画だという形だけ、ただ表紙を塗りかえるだけだ、そういうようはことでは、やっぱり市町村長としての責任は持てないだろうと思う。指導的な立場を市町村が持たなくちゃならぬとすれば、そのスタッフは必要だと思うのですね。そういう点、私は何か歯がゆいというふうな感じを持つわけであります。けちをつけているわけじゃない。農政を市町村に農林省は渡したがらない、権限的には。それで全部団体に末端はやらせておる、そういう中にやっぱりこの公共団体にそれぞれの農政を担当さしていくという方法は私は大賛成なんです。大賛成ですが、責任は負わせられるけれども、その裏づけがないということは、これは遺憾だというふうに私は思うのです。まあ将来これを伸ばすためには、どうなさろうとするのか、見解をお尋ねしておきたい。
  88. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 歯がゆいという御批判に対しましては、ごもっともと思いますし、私どももそういう部面があると思います。ただ事は農政の立案及び浸透と申しますか、指導と申しますか、及びその実行に関しまする市町村の役割を都道府県との関係においてみたり、国との関係においてみたりする場合に、もっと市町村に働かせる態勢を国自身が作ったらどうだ、その実質的裏づけをしたらどうだということが中心だと思いますが、これもその農政のうちの一つとしまして、これは酪農経営改善に関しますることを意図しているわけでございますが、十八条の六項にありますように、市町村の微力な場合は、都道府県知事が計画の作成についても援助する、この援助費について都道府県に国が援助をしていく予算を来年度は計上してございますが、また市町村ごとに御意見の点は濃淡があると思います。豊橋市というような市の農業課は相当りっぱでございます。赤城宗徳さんがおられました旧上野村は相当りっぱな農業課を持っておるんです。各地において特徴もあり、地方財政の事情もありますが、あわせまして、市町村は地方自治法に基く地方自治体であることが本旨であります。事は産業に関しまして、まさにこれは市町村独自においても行うべきことでありまして、その地方の経済力と申しますか、財政力の関係もありまして、財政上の仕組みについては、国と都道府県、市町村についていろいろお話のように、行かない場合もあることは御承知通りだと思います。しかし、財政法、地方自治法、地方財政法を建前にいたしまして、今般は酪農経営改善計画の樹立、作成指導から各種の能勢を整備し、酪農審議会に至りますまで、昨年度の予算は約十八億、今年度の予算は二十八億でありまして、国でありまする農林省自身で使う経費はほとんどこれには含まれておらないくらいであります。資金につきましても、制度金融をいたします場合には、農林漁業公庫法あるいは農業改良資金法律、いろいろな制度がございますので、公庫資金を市町村に貸すことには制約もございますから、市町村で計画樹立と指導中心にいたしまして、あとは公共事業を行うことを重点に置きますが、それぞれのルートを通じ、それぞれの役目を通じて活動してもらえば、関係者がみんな総力をあげて初めて実行し得る酪農振興でございますから、現段階ではこれでやむを得ないのじゃないか、今後はなお改善することもあるのじゃないかと思います。ちなみに、資金におきましては、昨年度政府資金、制度金融でございますが、十二億酪農には予定をいたしましたのを約十五億に増しておりますが、それらの点で御了承を願いたいと  思います。
  89. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあ御了承願いたいということですけれども、賛成する場合は了承するということになるのでしょうが、じゃ、お尋ねしますが、従来、町村合併による新市町村は建設計画を立てておる、そういう合併市町村は、ほとんどは農村部が地域的には多い所ですね。その建設計画では、やはりこういう酪農の問題なり、あらゆる農業関係の建設計画というものは合併の条件として立てられ、そしてこれは審議会なり、地方議会の決定を経て、都道府県知事が総理大臣にこれを出して、総理大臣は各官庁へこれが実施について援助をせよということで、それぞれ資料が回っておるわけであります。それらについて、じゃ、農林当局、畜産局はそういうものを見て従来援助をやっておったか、新市町村建設計画、それから農林当局自身にある新農村建設計画、これらとこの酪農経営改善計画とはどういうふうにからみ合いになっていくのか、この点もお伺いしたい。しかもその前に、もしも、かりに新市町村建設計画の中で取り上げられておるものは、この計画を立てた際に建設計画として変更をし、変更の届出が国に出てきた場合には、農林当局はその通りやはり国として援助を与えるかどうか、この点だけお尋ねしておきたいと思います。
  90. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 市町村財政との関係でございますが、この法案を立案するに当りましては、地方自治庁とよく打ち合せまして、かつまた、予算に計上しました酪農関係予算と資金につきましては、これも自治庁の財政局と十分な打ち合せをいたしまして、このくらいの期待する範囲において市町村財政でやっていけるだろうという確認を得ておるのであります。従来、どのくらいでやったかといえば、今年よりはそういうことは手薄と申しますか、十分にやっていなかったと思うのです。来年以降は、三十五年度以降は、なお一そうそれをよくやろうと思っております。新農村建設計画のことかと思いますが、建設計画とおっしゃいますのは。(小笠原二三男君「二つあるのだ、建設計画は。」と述ぶ)農林省振興局担当の農山漁村総合建設計画におきまする一般助成、特別助成、両方ありますが、その中の酪農関係部分は、この酪農経営改善地域的なより基本的な集約酪農地域の従来の酪振計画でございます。それは今後も続く場合が、ふえる場合があります。この両者はからみ合いまして、こちらのような、この法律で意図しますような内容で新農村計画の中身ができますけれども、しかし、向うは各種の団体が協議しまして、寄り合ってまとめて農村を総合的に、生産基盤をむしろ除きまして、土地改良その他を除きまして、その他の部門の共同施設やなにかを中心に立てるものでございます。大部分こっちのものを立てていただきますが、新農村の総合計画上必要なことは、また考えようと思います。合せて北海道の農業振興に関しますることも同様でありますし、開拓地の営農振興とか、新営農類型との調節ははかってありますので、実施に当りまして同様に酪農はこちらの精神がこれで生きて他の方へ入るように、こういうふうに考えているわけでございます。
  91. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じゃ、まだ質問したいことがありますけれども、また後に譲ってこれで終りますが、端的にお尋ねしますが、さっきからみな大へんいい御答弁をいただいていますが、この法律案が通れば、三十四年度には何だ、かんだというトラブルは起らぬというふうにわれわれ考えておっていいわけなんでございますか。去年のような乳価にからんでどうこうという問題はもう起きない、うまくいくのだ、それなら私は大賛成で手をあげますが、最終的な御答弁を願いたい。安田さんだから聞くんですよ。
  92. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) そういうことをこの法案の最も効率的な運用によって期待をいたしているんであります。結果においてどういうふうになるかは、先生の御判断によることかと思います。
  93. 戸叶武

    戸叶武君 本案が通過すれば、四、五月ころに酪農指定地域、それから酪農経営改善指定地域、それから集約酪農地域周辺指定地域、この三つの酪農指定地域が生まれることになりますが、指定地域と周辺の基準というものがあまりはっきりしていないようですが、それはどういうふうに考えておりますか。
  94. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) ちょっと御発言が正確に聞えなかったことがあるかもしれませんのでお許しを得たいのでございますが、今回改正案で新たに条項を追加しました、酪農事業施設の届出制度、これの適正配置に関しまする勧告権に対する条文に関しまして、現行法で指定集約酪農地域がある場合と、その周辺にありまする場合の集約酪農地域生産された牛乳相当継続して供給するような地域と、こういう基準の御質問かと思いますが、よしそうでございましたならば、昨日もお答え申し上げましたように、集約酪農地域はせっかく今まで法律及び政府のその他の措置をもちまして、農業者乳業者合せましての努力をもって築き上げてきて今日に至っているんでございますから、そこの酪農が安定しまするようなことを念といたしまして、その地域から経済的な距離にある、すなわち生産者の方から牛乳地域を離れて周辺指定地域に売られましても手取りが悪くならないような輸送距離その他の経済条件に合う地域で、あわせまして消費者の方から見ましても、そのために乳製品価格が、飲用牛乳等の価格が値上りして、消費者の利益を阻害しないような、そういう経済圏を考えているんであります。一般的にいいますと、そういうわけでありますが、これを具体的に申し上げますと、集約酪農地域中心的ななま牛乳の集荷場でありますとか、集約酪農地域生産されます生乳を使って製造いたしまする乳製品工場、中心工場といっておりますが、中心工場以外になお乳業工場がある場合がありますが、そこには、農家から今の運搬手段、すなわちトラックでありますとか、道路の条件等もありますが、そういう輸送機関を使いまして、二時間くらいの距離を一応の一つ経済サークルと考えておりますので、これを地域の外へ持ち出しましても、以上のような条件を満たすような所は、四、五時間で搬出できる範囲集約酪農地域中心工場は円のまん中にあると仮定しますと、半径は二時間ですから、直径にすると四時間になります。消費地に向って周辺地域を大体考えていますから、道路もよく、十五石ないし二十石の専用の牛乳輸送トラックを使いますと、たとえば先生の選挙区の近くからは、東京にまあ大体、経済距離の限度程度のところにあるように思いますが、そういう範囲考えておるわけであります。
  95. 戸叶武

    戸叶武君 たとえば東京に工場がある場合、長野とか群馬とかという場合においては、それにおいて相当擁護される場合、その中間地域の埼玉とか千葉とか、そういう所が、それによってかえって不利を招く、そういうようなおそれはないですか。
  96. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) そういうことはございません。
  97. 戸叶武

    戸叶武君 中心工場の問題ですが、集約酪農地域における乳製品工場、これを擁護して、取引上の独占性を非常に強めるというようなおそれはありませんか。
  98. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) その点は、昨日も問題になりましたが、集約酪農地域内の中心工場あるいは中心的な集荷場、これにつきましても、現行法ですでに法の規定もあり、運用がされておりますが、これとても、乳業資本の独占を従来あるよりは排除したいと思っておるのでありますが、いわんや追加をしたいと思っております第十三条の周辺指定地域における酪農事業施設につきましては、生産者生乳中心考えておりまして、健全な酪農経営の発展を考えておりますので、特に農業団体、農業団体の連合会、農協の連合会等におきまする施設は、別途資金的あるいは補助の援助もする用意をいたしておりますから、そのように運用したいと思っておる次第であります。
  99. 戸叶武

    戸叶武君 集約酪農地域周辺指定地域において原料乳地帯市乳との関係ですが、この関係を、当初地域的には市販に限定してやっていくような案も作られているようですが、後日に変更されたようですが、この辺の消息はいかがですか。
  100. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) ちょっと御質問意味がわかりませんでしたが、酪振法が昭和二十九年に制定された当時は、指定集約酪農地域原料乳地帯中心考えておったのが、その後、市乳帯地としての市乳用牛乳生産をする酪農経営を密集的に行うという意味市乳集約酪農地域指定しておることがあるじゃないか、その案があるじゃないかという御質問かと思いますが、もしそうでございましたならば、一部についてはそういう意味市乳集約酪農地域指定がございます。昨年まで七十五のうち十三ぐらいあります。経済圏の拡大と同時に、農業経営として最も適当な酪農地域でございますが、その生産された牛乳を、農家の生産者の手取りをよくして、また消費者牛乳消費するのに適した飲用牛乳として供給販売するような、そういう酪農を農村で行う、こういう所は発達せしめてもいいじゃないか。従って、そこには中心乳製品工場がないわけでございます。それもあってもいいと思っておるわけであります。
  101. 戸叶武

    戸叶武君 中心工場に付随して、集乳業と農業との単独認可営業との関係、これは食品衛生法施行令第五条の八号によるかどうか。それから政府としては、牛乳共販体制というものをどこまで進めていくか、そういうことについて伺いたい。
  102. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 恐縮ですが、第二点から申しますと、牛乳の共販体制は、まず部落的に第一、さらに越えて市町村ないしはそれに準ずる程度。第二は、必ず共同販売の形でやっていただきたいと思うのです。従来は、取りまとめの交渉をしたり、買手側の意思を伝えるとか、あっせんする程度の酪農、任意酪農組合が相当ありましたが、こういうものは、すべからく農業協同組合等の経済力を持った相当広区域の地域で末端をまとめて、あっせんとかというようなことでなしに、共同販売のような形でやっていただきたいと思いますが、それ以上の区域につきましたり、酪農経営が、普及度合いといいますか、農家戸数と酪農家の割合でございますが、それが疎散な所は、その酪農家だけを郡単位ぐらいに少くとも集めて、専門酪農を作られて共同販売で行われるのも適当と思っておるのであります。しかしさらに、昨年以来の酪農審議会でも御答申いただいておりますように、牛乳の取引はなるべく長期安定して、区域を広区域にして、相なるべくは非採算でない限りは共同処理加工もある程度は加えることも望ましい、そういう御答申をいただいておりますが、私どももそのように思っておるのであります。幸いにして、全酪連と言っております専門農協は、県単位も全国団体も、工場を持って運営するほどになっております。なお改善の余地もありますが、これらは適切に総合農協とよく矛盾なく活動できる場合には、伸びていただきたい。また総合農協におきましても、ようやくにして私どもの意向をも受け入れられまして、全販連で共販をやることを考えていこう、こういうように言い出されておるのであります。まだ実力はそうあるとは思いませんが、香川県の経済連とか、岩手県、宮城県におきます経済連のように、相当県の経済連の単位で、いわゆる共同販売共同加工まで進められておる所もありますので、北海道等はもちろんでございますが、その意味におきまして、なるべく長期広区域で合理的な限りは処理加工製造をも加えた共同販売が進むことを期待いたしておるのであります。それに応じましてお進みする所は団体の要望に応じまして政府資金供給を行う用意をいたしております。  第一点は、食品衛生法第二十一条の営業許可との関係だと思いますが、これは衛生的見地で一番衛生的な処理が必要な牛乳及びその関係品でございますので、食品衛生法の規定の適用があるのはいいと思いますが、これはあくまで衛生施設に関することであります。私どもはそれと矛盾がないように、また矛盾するあれがあれば調整をしまして産業的、経済的立場において、農政の立場におきましてこの法律に基きました運営をしたいと思っておるわけであります。
  103. 戸叶武

    戸叶武君 この消費の拡大と牛乳価格の問題ですが、先ほど局長生産者としての酪農家、それから加工業、それから販売業、それから消費者、この間のバランスがとれるように努めたいと言っておりますが、適正価格の問題をめぐって、今まで生産者から消費者に渡るまでの流通過程における流通機構の矛盾を是正するということが消費拡大においてきわめて重要であるということが言われて、その問題がずいぶんやかましくなったのですが、現在末端における消費者価格を下げればもっと牛乳が伸び、それから農家の手取りがもっと多額になり、農民が苦しまなくとも済むのですが、この問題に関しては非常にこのごろ矛盾を感じているのは、最近はとにかくメーカーの方が、先ほど言ったように一升について二円くらいの奨励金を出そうというところまできているが、はっきりとした価格としてそれを結びつけていない。ところで、この各段階における価格構成ですが、私は予算委員で淡路島に視察に行きましたときに、農家からは四円五十銭で買い取られ、加工業者のところに六円で引き取られるようになり、その間三十銭の組合へのリベートがある、それからメーカーのところから販売業者、小売業者に渡るときには九円五十銭で、そうして末端の市販というのは淡路島で十四円、神戸、大阪で十五円ということを聞き、ほかでもいろいろの数字を聞きましたが、あまり正直でないから正確な数字は得られなかったのですが、これを見ても、それぞれの段階においてずいぶん検討しなければならない問題が含まれておるので、戦前においても農家から買い上げられた大体倍の値段で市販がなされておったのに、いろいろの合理化がなされたと言いながら、現在において三倍もの値で市販がなされておるというところに非常に大きな矛盾があるのです。これは当然農林省あたりは力を入れて、これを是正しなければならないのに、現実には是正されていないが、どうして是正されないか、特に関東方面より関西方面の小売販売業者のボス組織というものが非常に強力で、これが関西における市販の値段を高めておるとまで言われておりますが、この間の消息はどうか。それから、たとえば私の県なんかは十円牛乳が徹底しております。それでやっていけております。関西の高いところでも、京都の未亡人会の有志によっては十円牛乳が断行されております。大阪では主婦連によって大びんではあるが十二円牛乳が断行されておることは先ほど局長が言われたのですが、いろいろ消費拡大ということを目ざして、もっと消費者に渡る値段を安くせよとあれほど言われても、その方はなかなか抵抗が強くて低くされない、そうして農民の方の買い上げる値段だけたたかれてしまって、今ごろになって、たたき過ぎたから一升について二円くらい上げるというようなやり方がされておりますが、こういう面におけるところの、このごろは非常に流通機構におけるところのいろいろの矛盾の合理化というものから説明しているようですが、この問題についてはどういう御見解を持っておりますか。
  104. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) すでに詳しく御承知通り、非常にむずかしい問題ですが、最も重要な根本問題でございますが、酪農振興生産に伴いまする消費の均衡にあるのでありまして、合せまして国際的な酪農業日本酪農業との地位を考えますと、日本の関税はバター、チーズにおいて三割以上関税の率があるほどで、学校給食にアメリカからくる粉乳は日本の粉乳の三分の一強というものでありまして、ダンピング的な性質もありますが、それらを総合勘案いたしまして、酪農振興には生産合理化をはかると同時に、生産費の低減をはかる、合せまして流通の各段階についての合理化をはかって消費者に安く売ることが根本であろうと思いますが、これに対しまして、まだ研究が十分でないところはありまするけれども、逐次研究の進むに従いまして、大乳業いわんや小乳業につきましては、年々増設する設備資金を短期の割合高い金利に負っておりまして、かつ、設備資金でも借入資本が非常に多いのであります。飲用牛乳の小規模の中小企業においても同様でありまして、販売業者はまだ合理的と言いかねる、衛生の点もありますけれども、一合びんを自転車でもって宅扱いをして配達するようなものが大半を占めているようでありますので、それらについては、過般御審議可決していただきました法律に基いて、昨年の十一月から酪農振興基金を利用しまして、中小乳業農協関係に対しましては、設備資金と運転資金の低利な供給を開始いたしておりますし、大乳業につきましても、これは現状に即して必要な点もございますので、開発銀行その他につきまして目下約十二億の設備資金のあっせんを努力中でございます。それらに応じまして、また、適正規模を各段階においてはかったり、共同消費をする、集団飲用をする、こういうようなことも必要なことでございまして、それらが、御指摘になりましたような生産地に近い所は一般的にも生産者がかなりこれに乗り出しますると、これは一般市民でも十円牛乳、京都ではやはり十円、大阪ではこれに加えて二合大びんで一合当り十二円という主婦連のいい活動もございますので、京浜地区でも東京乳業、全酪連、川崎工場地帯、石川島とかいうものは先ほど申し上げました通りになっております。他方、学校給食の飲用牛乳業者が集めますものは一合当りは平均六円六十銭であります。それより安い所と高い所はありますが、それらを勘案いたしますと、四円五十銭ないし五円というのが十三円から十四円、ホモ牛乳でしいて加工いたしますと十八円まである、こういうようなものは栄養のことも考えまして、中間マージンの合理化圧縮をはかる必要があると思いますが、これは申し述べました各種の方策を加えますと同時に、業界においても合理化を進めていただくことが必要でございますので、他方定価で供給する組織をもって牽制しながら、生産者消費者が結びつく、量も増しましたり、学校給食の供給価格の採算をよくにらみ合せまして、そうして債務保証をします場合とか、資金供給をいたします場合とか、補助金を出します場合とか、そういう際に、これらを一歩一歩進めていきたいと思っておる次第でございます。
  105. 戸叶武

    戸叶武君 農民は、東京あたりでは一円値下げも有名無実になっているのだから、農民から買う牛乳をもっと高くしろという要求を今強く出しておりますが、いずれにしても、もう一つ、学校給食の問題で、先ほど局長が小笠原さんの質問に対する答弁として、普及率増加ということに主眼点を置くのだと言っておりましたが、どうも学校給食用の牛乳に対する政府補助金が、一合に対して今まで四円であったのが、それから三十銭引き下げて三円七十銭にしたやり方なんというものは、それと逆な方向をたどったと思います。私は、学校給食の問題はじみな問題だが、日本の食生活の革命を行なっていく上において非常に重要だと思って、そういうふ小さな会合にいなかでもずいぶん出ております。どこでも問題になっているのは、やはり父兄負担の過重を訴えているのです。政府考えているよりは、一般児童の父兄というものは、そういうわずかなと思われるような負担にもたえかねる面がずいぶんあるのです。これを高くするならば、この普及の私は率というものは引き下ってくるということは明らかなんで、それがわかっていながら普及率を下げるというところは、政府考え方が、局長の言っているのと逆な方向をたどっているのじゃないかと思いますが、その間の事情をお知らせ願いたい。
  106. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 今回学校のミルク給食の飲用牛乳の分ですが、昨年は一律に一合当り四円にしましたのを、三円七十銭にいたしましたのは、供給量を、法的に継続して逐年国産を増したい制度であることを考えましたことと、予算編成時におきまして、平均的に見まして、一升当り五円ないし六円値下りしておるところを、一合を三十銭といいますと、三円でございますが、そのまま四円補助いたしますことは、ある意味で、農家の犠牲におきまして、飲用乳を処理加工する業者を、学校へ供給する業者のみを利することでございますので、一律にそうみんなを切らないで、約半分値下げをして、もっと納入価格供給価格が上る場合の余地もとりまして、弾力的に半分ばかりした次第でございます。将来なお需給事情価格事情で、必要な場合には、やはりそれに対処する根本を忘れないで、学校給食や消費増計画供給というようなことを、根本を忘れないで、この問題にも対処する要があると思いますが、一般会計予算におきましては、やはり昨年の八月十五日、各省から、予算の概算要求書を大蔵省に提出しまして、一月に政府案を作成して、現段階で国会の御審議をいただいておる段階で、やはりいいと思われる案を作るのがいいと思いますので、今後の事態に応じましては、やはり事態に応じた措置も、根本を忘れないようにして、必要だと思います。
  107. 戸叶武

    戸叶武君 集団飲用においても、学校給食で四円なり三円七十銭の補助をするということによって消費は伸びたのですから、集団飲用においても、たとえば二円程度の補助をし、とにかく五円なり何なりで飲ませるというようなことになれば、私は工場等において、非常に、想像以上にこの消費が拡大するのでないか。アメリカで牛乳日本の二十倍も消費されているという事実を見ても、一気にそう伸びないにしても、日本で二倍三倍に飲用牛乳を伸ばすということは困難でないのだが、そういうことに対して政府があまり積極的でないように見受けられますが、積極的でない根拠は何によるものですか。
  108. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 一般消費部分につきましては、集団事業の職場を通じまして、特別に、教育の意味も含めまして、将来の中堅国民の食内容改善するように習慣づけましたり、若いときに一番いい体位の基礎を作るという意味のものと多少違う点もございます。あわせまして、二円という引例がございますが、学校給食では三円七十銭といたしますと、供給価格を六円六十銭平均としますと、消費物資の食用について、三分の二補助をまあしておるわけであります。そういうものは、一般消費の場合については、まだ日本の国民経済、財政事情としてはむずかしいから、むしろこの販売方法消費方法に応じまして、すでに御承知通り、あるところは十円、あるところは十二円、こういうのが現実に出ておりますので、それでもちまして、消費の増進は、飲用牛乳で去年乳価の混乱がありまして、生産が上回って消費が減退した、こういう時期に比しましては、飲用牛乳は一二五%の消費を示しております。消費の方と、食用として国民が一般的に消費を増していく場合に、そういう工夫によっていけば相当いくであろうと、まあ思っておるわけであります。いたずらに消費がまたふえまして、生産がこれにつれませんというと、無用のものを——無用でもないかもしれませんが、外国乳を輸入するか、ここにまた消費者に合わない、国民経済、国民生活に合わない高い乳価というものが出まして、将来の混乱を生ずる場合もありますから、酪農牛乳消費、その中間の加工流通は逐次現状に即して着々と行うべきものと、まあこういう考えでおるわけであります。一部母子家庭、あるいは老人ホーム等には、また考えて、努力をしつつあることもありますが、いまだ予算措置として実現することにはなっておらない次第でありまして、販売消費方法と今後の努力によりまして、目標は先生の御指摘のような方向へ進みたいと思っております。
  109. 戸叶武

    戸叶武君 時間がありませんから、この問題は、また論議はあとに回して、最後に、新たにこの周辺地区指定した場合、その地区の既存工場はどう処理するか。解除されたような場合において、どこかでこれは補償するというようなことでもするかどうか。これは今後そういう問題が——岡山等にも起きた事例がありますが——当然起きると思いますが、どう考えておりますか。
  110. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) この集約酪農地域の周辺の酪農事業施設の届出書をとります地域は、酪農という農業経営もすでに相当ありまして、耕地でいえば既耕地のように当るわけでありまして、乳業施設相当程度あります。で、増産になりまして、加工処理施設が不足して、増設される場合もある地帯のことを予定しておるのでございまして、酪農開拓地域というような意味指定いたしまする集約酪農地域と違いますから、中心工場というようなものを指定する気持はございません。また、届出制以後の施設の適正配置などについても、適正配置についての勧告をすることにとどめておりますので、勧告を実現していただける関係方面には資金の融資その他を道義的に援助する。また実行的にも極力援助することをいたす方法で、マイナスでやめさせる、補償を要すると、こういうふうのものは、既存施設については行わないつもりでございます。
  111. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  112. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記をつけて下さい。  他に質疑もないようですから、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  114. 東隆

    ○東隆君 私は日本社会党を代表して、この法律案賛成をいたします。御承知のように、日本における酪農は、戦前においてはある特定の地域その他において発達を見ておったのでありますが、しかし、それも戦争によって酪農の方面の、特に牛乳生産という方面は、カゼインの生産、こういうようなことに、バター生産することはこれは主たる生産ではなくて、カゼインを生産するために非常に新鮮な牛乳を要求しました。そのような関係酪農地帯というものは、都市近郊というような交通の便利な所に制限をされるというような形でもって非常にゆがめられた形になったのであります。戦後酪農は次第に進展をして参りましたけれども、処女地に酪農が入ったために、これもほんとうの意味における酪農という形でもって進展をしておらないのであります。従って、少しばかり政府が力を入れますと、直ちに需要供給との関係において非常な矛盾を来たす、こういうような問題に直面し、また海外からの輸入の乳製品その他によって大きな影響を受ける。そのしわ寄せはことごとく農村の方面に響いてきておったのであります。そういうようなことで、酪農振興法を制定をされて進んで参りましたけれども、しかし、所期の目的を達しないようになっておりましたが、今回それに改正を加えてそうして、だいぶ改善をされたように考えるのでありますが、私はこの際、審議の過程においていろいろ積極的に、あるいは消極的に要請をしたことを政府は十分に一つ考慮の中に入れて、この法律の運用をしていただきたいと思うわけであります。なお、この法律の執行に関して、政府の善処を促すために、各会派の共同をもって次のような附帯決議を提案いたします。附帯決議案を読みます。     酪農振興法の一部を改正する     法律案附帯決議(案)   政府は、この法律の施行に関し次  の事項について特段の考慮を払い遺  憾なく措置すべきである。  一、”酪農事業施設”の設置及び変更   の規制の拡大強化についてその運   用に慎重を期し”中心工場”の独   占性を誘発する等牛乳取引に障害   を来たさないよう充分注意するこ   と  二、市町村が酪農経営改善計画を作   成する場合には農業委員会、農業   協同組合その他関係団体と充分な   協議を遂げ緊密な連絡を保つよう   措置すること  三、酪農経営改善計画がその実効を   収められるよう指導体制の整備、   国の助成の拡充等有効適切な措置   を講ずること  四、牛乳及び乳製品需給調整及   び価格の安定に関し更に有効強力   な制度について検討し、なお乳製   品の”緊急保管”に当っては真に生   産者の乳価の維持が所期されるこ   とを旨として措置すること  五、乳製品の”緊急保管”に関連して   酪農振興基金に対する政府の出資   の増大に努めること  六、牛乳及び乳製品生産、集荷、   処理加工及び保管等の施設の新   増設及び改良等に必要な低利かつ   長期の資金の疎通に努めること  七、酪農審議会の委員の人選を慎重   に行い真に酪農振興に寄与し得る   ものとすること  右決議する  これが案の内容でありますが、逐一説明をする必要はないと思いますので、全会一致で御賛成をお願いいたします。
  115. 千田正

    千田正君 ただいま議題となりました酪農振興法の一部を改正する法律案、これに対しては、御承知通り、終戦後における農業政策の根幹の一つとして、酪農政策を農林省としては立てたのでありますが、それに裏づけするところのいろいろな面において、まだまだ相当の行政的な施策を施さなくちゃならない。これは私が申し上げるまでもなく、質疑過程において、各同僚委員から幾多の要請があったわけであります。それにもかかわらず、一応この段階においては、この程度の改正を要する以外には今日の段階としては意を尽し得ないということでありますので、賛成の意を表しますが、いろいろ論議された中の、ことに今後とも起るであろういろいろな杞憂の面を是正して、完全な将来の酪農対策に進むべき一つの指針として、ただいま東議員から提案されましたところのこの附帯決議案に対しまして賛成の意を表すると同時に、政府としましては、当委員会のこの意向を十分に尊重して万遺憾なきことを期せられんことを特に要望いたしまして賛成する次第であります。
  116. 清澤俊英

    清澤俊英君 意見をちょっと言っていいですか。
  117. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) どうぞ。
  118. 清澤俊英

    清澤俊英君 私全部賛成しますが、ただ一つ、審議はしましたが、重大な問題が抜けておったと思うんです。確かに消費乳価農民から買う生乳、それに加工、こういう形を見ますと、大体消費乳価生乳加工したものとの約半分、二分の一以上が流通並びに販売等の手数料においているのでありまして、場合によりますとそれ以上のものもある。従いまして、この点では徹底的に私は農林省はほんとうに酪農振興をはかるならば、この点は圧縮するように厚生当局と連絡をとられて、特別の機関を設けて研究し合った方がいいのじゃないか。大体今の牛乳びんの中へ一合の乳を入れてありますれば大体百二十匁もある。相当の青年が自転車で運びましても二百本というたら、これは身に余る。ことに一番悪いのは、配達して帰りにはものがからになっているというのが大体の配達の原則ですが、この場合からにならないで、帰りはやはり幾らも減らないから、びんを詰めてくるんです。だから、一日の労働というものは非常に重労働になってくる。そういう状態でありますから、ころんでこわれたの、あるいは非常に高いものを置いておいて、それが紛失したの、一カ月の売掛をしていたのが移転してしまったというようなことで、この間に非常に改善せらるべきものがたくさんあると思うんです。かりにこれを二分の一に減らすことができれば、六円できたものを十二円で売る、この六円のうち半分減らすと八円くらいの牛乳で、こういうものができ上って、消費拡大、あるいは再生産価格の維持等には、それだけの余地を持つことが、私は非常な効力を発揮する一番の穴だと思う。せっかくこれだけの酪農振興法をお作りになって、いろいろ経費も使っておやりになる限りにおいては、一つこの点を、乳業者、厚生省、農林省が一丸となって、相当の私は金を使って、容器あるいは製造の機械、配達、もしくは販売方法等に研究する余地が十分あるんじゃないか、こう思いますので、その点に格段の一つ御留意をお願いして、私のまずい意見を付して賛成したいと思います。
  119. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 他に発言もないようですが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。  酪農振興法の一部を改正する法律案衆議院修正送付の原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  121. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決するものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました東君提出の附帯決議案を議題といたします。  東君提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  122. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 全会一致でございます。よって東君提出の附帯決議案は全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ただいまの附帯決議について、政府の御所見を伺います。
  124. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) ただいま酪農振興法の一部を改正する法律案の御可決に当りまして、全会一致をもって七項目にわたるところの附帯決議を決議ざれた次第でございますが、これらの点は、いずれも酪農振興法を実施する上におきまして重要な点でございますので、御趣旨の点を十分考慮いたしまして、これが運用上万全を期していくようにいたしたいと考えます。   —————————————
  125. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ただいまから農林畜水産関係物資国鉄貨物等級改訂の件を議題にいたします。  わが国の農林畜水産業は、わが国社会経済上、あるいはまた国民生活上きわめて重要な役割を果しておりますが、しかし、非常に零細、脆弱でありまして、ちょっとした社会事情の変化によっても重大な影響をこうむることになり、従って国鉄の貨物運賃等については常に大きな関心が払われておるのでありまして、過般貨物運賃の改訂に当って大きな問題を引き起したことは、まだ記憶に新しいところでございます。ところが、国鉄においては、最近貨物等級の改訂を企図し、その準備を進め、しかも改訂の方向は現在の段階においては、等級数の圧縮と特別等級及び公共政策割引の縮減または廃止に向けられているようであります。果してそうであるとすると、その影響は農林畜水産関係物資の運賃にしわ寄せられて、これら物資の運賃負担が大幅に増高することとなり、農林畜水産業及び国民生活にきわめて重大な影響をもたらすものといたしまして、関係者において非常に憂慮されておるのであります。もちろん国鉄においてもこの点を十分認識し、遺憾のない措置がとられるものと考えられ、また今回の企図が等級の改訂であっても、その影響はきわめて重大でありますから、昭和三十二年十二月発行の「国有鉄道運賃法制定の経緯」で、国鉄自身報告されているように、国会の審議を受けて措置されるものとは考えますが、しかし、この際国鉄の意図を明らかにし、その善処を求めるため、きょう国鉄首脳者の出席を求め、特にこの問題を議題にした次第であります。そこで私どもといたしましては、さしあたり本年六月末をもって適用期限が終了することになっておる公共政策割引を現在のまま存続させること、次に等級改訂が行われるとしても、農林畜水産関係物資——もちろんその生産資材を含めておりますが、これらの貨物運賃の負担の増高を来たすようなことのないこと、運賃改訂についてはあらかじめ国会の審議を求めること等を強く要望しておるものであります。そこで、ここでこれらの問題について、国鉄当局の意図を確かめ、その善処を求めたいと存じます。  まず、国鉄当局の説明を求めます。  ただいま国鉄から出席されております方は、国有鉄道常務理事石井昭正君、同営業局長磯崎叡君のお二方であります。総裁、副総裁においでを願うことにしておりましたが、ただいま予算の分科会に出席されておって手がはずせないそうでございますので、この御両名からお話を聞き、質疑をいたしたいと存じます。  ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  126. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記を始めて下さい。
  127. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいま委員長からお話のございます件につきまして経過並びに結果について御説明申し上げます。  昭和三十二年度から運賃を改訂いたしましたのでございますが、その際には御記憶の通り旅客運賃につきましても、また貨物運賃につきましても一律の値上げをいたしたわけでございます。戦後数回にわたって運賃値上げはいたしましたが、いずれもそのつどいわゆるフラット・インクリースというような形でもって平均的な運賃上昇をやって参ったのでございます。その基礎になっております運賃制度あるいは等級制度というものは実は相当古いものでございまして、御承知通り、最近のいろいろな科学技術の発達に伴いまして種々新しい製品ができる、その新製品のできることによりまして、昔のものの経済観念が変ってくるというようなことも種々ございまして、貨物運賃の制度あるいは旅客運賃におきましても、たとえば定期券の割引の問題、あるいは各種の割引の問題、種々そのつどそのつどの社会情勢によりまして、変更いたしております。これらにつきまして、根本的な運賃制度の不均衡、あるいは不合理を是正するということは大へん必要なことでございまして、その点につきましても、この前の三十二年度の運賃改正のときに、そういった国鉄の運賃体系全般の問題につきましては、別途委員会を設けまして調査検討いたしますということを申し上げたわけであります。それによりまして、昭和三十二年の十月に国有鉄道の運賃制度調査会というものを作りまして、会長は原安三郎氏でございます。会長以下二十五名の委員に、全部部外の委員ですが、御委嘱いたしまして、国鉄運賃の——もちろん貨物運賃だけでなくて、旅客運賃、貨物運賃全般にわたる運賃制度につきまして、運賃制度の根本から御検討を願っておるわけでございます。現在までにその調査会はちょうど昨年の三月一ぱいで総会を十回開きまして、その総会におきましては、もっぱら運賃の決定原則、いかなる原則によって運賃を定めるべきかということにつきまして、各方面から相当深刻な論議が戦わされました。その後、昨年の四月から旅客運賃に関する部会、貨物運賃に関する部会、さらに運賃理論に関する専門委員会、この三つの専門委員会を設置されたわけでございまして、その後、昨年四月以降最近まで約二十回にわたりまして、旅客運賃制度、貨物運賃制度、及び運賃理論につきまして詳細な検討を続けておられるわけでございます。現状におきましては、大体旅客運賃におきましては、おおむね問題点が、どういう問題点があるかというような問題、その問題点をどういうふうに考えていくかということにつきまして、中間的な皆さん方の委員の方々の御意見の取りまとめが徐々に行われつつございます。また貨物運賃につきましてもおおむね同じようなペースで進んで参っておりまして、実は今週の月曜日から、さらにその上に総論部会という部会を設置いたしております。これはたとえば、先ほど申しました運賃の決定の原則の問題、あるいは現在よく言われます旅客でもうけて貨物で損しているといったような、旅客、貨物における鉄道運賃の配分の問題、あるいは運賃の決定機構の問題、あるいは将来この問題をどういうふうに具体化していくかという問題、ことにたとえば、ことしも九十五億という膨大な予算で建設線をやっております。建設線ができますたびに、利子も払えないような経営状態でもって建設線をやっておりますが、その建設線がふえていくに従って、運賃というものは一体いかにあるべきかというような問題、そういう旅客貨物全般にわたります総論部会が今週の月曜日から設置されました。さらにその部会におきましては、今まで旅客部会、貨物部会で論議されましたことにつきまして、総合的な立場から、旅客貨物を通ずる検討を今後なされる段階になっております。さらに貨物につきましては、先ほど申しました通り、貨物等級の問題があるわけでございます。この等級につきましては、昭和二十八年貨物等級の改正をいたしたわけでございます。貨物等級というのは、御承知通り、国鉄で現在運んでおります貨物は、種類から申しますと、大体七千品目くらいの種類がございます。この七千品目くらいの種類のものを約二千品目にこれを圧縮いたしております。その二千品目を十五の分類に分けまして、そして各分類ごとに運賃を定めております。これが貨物の等級制度でございます。この貨物等級につきましては、先ほど申しました通り、新しい製品ができる、主として現在貨物等級のその分類の仕方は、各貨物の価格によって分類をしておるわけでございます。この点はトラック運賃につきましては、御承知通りトラック運賃は全部一本の運賃でございます。現在日本全体の貨物の輸送量の約六割五分を占めますトラック運賃につきましては、あらゆる品目は全部一本運賃でございます。御承知通りでございます。ただ、たとえばかさ高の品物とか、あるいはよごれやすいといったような、貨物の物理的な性格による運賃の差はございますが、貨物の用途別とか価値別の差はないのでございます。それに対して現在の鉄道の貨物運賃と申しますのは、貨物の用途と申しますか、貨物の経済的価値によって運賃が分類されております。端的に申しますと、ものの値段の高いほど運賃が高い、ものの値段の安いほど運賃が安いという分類になっております。ものの値段の高いものの運賃で安いものの運賃の値段をカバーする、こういうようなのが現在の貨物運賃の制度でございます。その運賃制度につきましても、昭和二十八年に現在の等級を作りました。その後、最近いろいろ新しい品物ができる、あるいは新しい品物ができることによりまして、現在あるものの経済的価値が違って参ります。たとえば、ことに化学製品の進出によりまして、ずいぶん今までの、たとえば繊維類等の価値が下っておる。こういった価格変動による等級の分類などの問題が当然出てくる、さらに最近の道路の発達及びトラックの激増によりますところの貨物輸送の分野の変更が相当あるわけでございます。端的に申しますならば、近距離、大体百キロから百五十キロくらいの貨物運賃はトラック運賃が、先ほど申しましたように一本でございます。トラック運賃の万が安いわけであります。遠距離の方は鉄道運賃が安いということになりますので、輸送の分野が非常に変ってきております。と申しますことは、私の方で運んでおります貨物の平均の足がどんどん伸びている、裏から申しますと、近距離貨物はどんどんトラックに転化している、また高級品、低級品と申しますか、先ほど申しましたように、ものの値段の高い貨物は運賃が高うございますので、自然一本運賃である場合には、安いトラックの方に流れている、従って全体の輸送の分野の趨勢といたしましては、距離は、近距離貨物はトラックに移る、また等級の高い貨物はトラックに移る、こういうような情勢になっております。こういった貨物の種類の増減によります変更、輸送分野の変更によります変更、この二つの見地から、大体貨物の等級制度というものは五年ないしおそくとも十年に一回くらい根本的にいじるのが今までの通例でございますし、またこれをいじりませんと、いろいろ荷主の側からのクレームが出てくるわけであります。そういう作業をぜひやらなければいけないということになりまして、現在は貨物等級の専門委員会を作っております。これは先ほど申し上げました運賃制度調査会の専門委員会でございます。その専門委員会委員には、通産省、農林省及び経済企画庁関係官のほかに、私の方で荷物をお預かりしております荷主の中の、非常に大きな荷主といったような方々を約四十名お集まり願いました。現在、貨物等級制度の専門委員会は、去る二月から二回開催いたしておりまして、現在その小委員会を開催中でございます。これは大体、先ほど申しました、全体の調査会の結論と申しますか、答申が出ますのは、大体六月ごろかと思います。これはもちろん調査会の問題でございますので、私どもはいつということは申し上げられませんが、今の進行状況を拝見しておりますと、大体六月ごろには答申が出るのではないか。その際に、貨物等級の問題は、いつ出るかということは、これも小委員会の次第でございまして、いつということは確定的に申し上げられませんが、それより若干日にちがおくれてこの答申が出る。うまくいけばそういうふうになるのじゃないかというふうに考えております。そういう段階でもって、私どもといたしましては、国有鉄道、あるいは鉄道運賃のあるべき姿というものを現在調査研究中でございます。そういう調査研究いたします際に、私どもの知恵だけではとても足りませんので、先ほど申しました調査会を設け、また専門委員会を設けまして、各界の専門家の方々にお集まりを願いまして、種々御意見を承わって検討しているのが現在の段階でございます。従いまして、現在、先ほどからのお話でございますが、今ここですぐ運賃を変えるとかいうようなことは毛頭考えておりませんし、今まで申し上げましたことは、旅客運賃につきましても、貨物運賃につきましても、これがどういうふうに実現されるかということは、まだこれからの問題でございます。もちろんその中には、先ほど委員長のおっしゃった、国有鉄道運賃法を当然改正すべきものもございますれば、そうでないものもございます。ことに貨物運賃につきましては、現在の賃率表が国有鉄道運賃表の別表にあるわけであります。この賃率表をいじる場合には、当然国会の御審議を得ることになっております。私どもといたしましては、種々責任上の立場から、国有鉄道の運賃が現在の輸送分野の変動に応じていかにあるべきか、貨物の変動に対していかにあるべきか、定期旅客がどんどんふえていく、こういった場合に対しまして定期の運賃はいかにあるベきか。こういったいろいろ国有鉄道の運賃問題のおもな点について、真剣な検討を現在続けていきたい。それをいかに実現するかはおのずから別問題であるし、またおのおのそれによって定められたところに従って、その改正を進めて参りたいというふうに考えております。まだその具体的な結論を得るに至っておりませんので、中間的な現状の御報告だけ申し上げます。
  128. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ただいまの説明に対し、御質疑のある方は御質疑を願います。
  129. 千田正

    千田正君 とにかく今、局長の述べた通り、国鉄としては赤字財政とかいう点において、運賃の改訂をしなければならないという建前に立っておるようでありますが、実際これが改訂された場合に及ぼすところの影響というものは、これは相当各方面にわたるだろう、こう思うのであります。生産方面にももちろん及ぶだろうし、販売価格にも及ぶだろうし、従って国民の一切の経済生活に及ぼすというふうにわれわれは考えざるを得ないのでありますが、それだけ、重大な問題であるだけに、特に農林水産委員会としましては、産業の生産の面を慎重に考えなくちゃならぬと思って、今までの研究された部門でもいいですから、何か参考になるような資料はないでしょうか、あるならば一つわれわれも研究したいと思いますから提出していただきたいと思います。
  130. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その委員会調査、あるいは専門委員会に提出いたしました資料はたくさんございます。実は積み上げますと、このくらいになりますので、かなり衆議院農林水産委員会にも一度は、とても余分がございませんので、一年半にわたりました資料でございますので、非常に膨大になりますので、二部だけお持ちしまして、一応ごらん願いました。もしそのうちでも御必要なものがありましたら即刻調製いたして、提出申し上げます。全般の資料を調製することは申し上げにくいのですが、膨大な資料なので、私どもの提出した資料は残してございますが、部数がなかなか足りませんので……、そういうような状況で、一応、過般衆議院でお取り扱いを願ったようなわけでございます。
  131. 千田正

    千田正君 膨大な資料を全部出せというのでなくて、今まで三段階に分けて研究されているのでしょう。今度は総論に一応入って結論を出したいというのが局長さんのお答えのようでありましたから、総論の前に一応の段階、二つの理論とそれから実際という問題についての結論が出ているんじゃないですか、総論に持ち込む場合には。
  132. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいま申しました総論部会と申しますのは、いわゆる厳格の意味の総論部会というのではございませんで、同じ方があっちをやったりこっちをやったりしておられます。従って、今までの御審議の過程におきましていろいろ御議論が出ております。もちろん農林関係の方、通産関係の方、あるいは主婦連の方もございますれば、学校の代表の意味で学校の先生方、各界の方々からいろいろな御意見が出ております。それを、これから総論の部会でもって一ぺん調整してみるというような段階でございますので、われわれといたしましては、調査会としてのまとまった御意見が形として出てくるという段階ではございませんので、それらの資料と申しましても、各委員の今までの御議論の中間的なメモというようなものでございまして、これはまだ今後の討論によりましてどういうように変更されるかということもはっきりわかりません。それらにつきましては、今私の方の資料としては提出しておりません。
  133. 千田正

    千田正君 非常にあいまいもことして、あなた頭がいいものだから、局長は要領のいいことを言っているのだが、しかし今までの、やっぱり改訂しようとするならば、その意図は国鉄としては持っているのだから、大体どういう面を改訂したいということはお考えになっておるでしょう。たとえば運賃の率の改訂等においては、国民経済の全般に及ぼす問題であるから、当然国会において、われわれは審議権があるのだから十分審議するという面があるだろうし、等級という問題になると、これはあなた方の方で、一方的にきめればやれないことのない問題であって、ただ良識的にいえば、そういう問題でも国民経済に及ぼすことであるから、やはり当該の委員会等においては了解する必要があると思うのです。そういう面がありますので、突如としてこういう改正ができたから、これで改訂すると言われても、こっちとしても、それならばそれらしく慎重にわれわれは審議しなければならない。しかし、国鉄の現在のあり方、財政状況等を見て、どうしてもこうしなければならないという、あなた方の方のお考えのベースがあるはずだと思う。そういうものを、こんな膨大な、こんなものを持ってこられても私は見るひまがありませんから、そういうのはむしろわれわれの質問に際して、そういう資料からあなた方お答えを願えればいいのであって、抽出したところのほんとうのエキスだけのやつはきでないですか。
  134. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私の方が現在考えておりますと申しますか、私の方でこういうような格好にしてもらいたい、こういうような結論にしたいということは、実は全然今のところ考えておりませんで、ただ非常にフランクな、問題点はこういうところだということをはっきり申し上げております。たとえば旅客運賃で申しますれば定期の割引率が非常に大きい、外国に例のないくらい大きい、あるいは学生が五割引である、あるいは遠距離逓減がどうだというような問題、貨物につきましては航路の運賃をどうするか、あるいは等級の問題をどうするかというような問題につきましては、私の方から出しました問題点としては整理したものがございます。それならば、それでおよろしければそれは提出いたします。ちょっと部数の関係がわかりませんが、それは私の方で提出いたしました資料でございますから、その限度におきましてはもちろん部数さえあればいつでも持って参ります。
  135. 千田正

    千田正君 私の言うのは、問題点でもいいですよ。というのは、膨大な資料を持ってきて、疲れている頭で勉強しろと言われても無理だから、問題点になった分だけでも出していただけば、われわれはこれはどういうところにネックがあるのか、たとえば赤字財政を立て直さなければならないから、これとこれはどうしてもやらなければならないという問題点をあなた方の方としては抽出をして、一つのテーマになっているでしょうから、それに対してわれわれは協力できることはしなければならないし、またこれだけはある程度考え直さなければならないという点もあるでしょう、そういう点がありますので、何も反対したり何かするという問題でなくて、できれば国民経済にどういうように、妥当的なあれを及ぼすかというようなこともわれわれとしては当然審議しなければならないと思うので、そういう意味において、今おっしゃったような問題点のあれでもよろしいですから、参考資料として出していただけば、われわれとしても非常に勉強になると思います。
  136. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいまの千田さんのお話と全く同感でありますが、先ほど御説明になりました中で、調査会を作って研究中だというお話ですが、その中で貨物部会でございますか、二十回ばかりおやりになって、中間的な取りまとめをやったということのお話がありました。で、何か中間報告というものが多分あるのじゃないかと思います。そういうものを、審議のわれわれの方の参考にしてよく勉強したいと思いますので、中間報告みたいなものが多分出ていると思いますので、それが大体どういうことになっているのか、知っておいた方がよかろうと思いますので、そういうものを資料としていただけないでしょうか。
  137. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 中間報告と申しますのは、実は私の方は、正式に国鉄あての中間報告はまだ一ぺんも出ておりませんのでございます。何かの間違いじゃないかと思いますが……。
  138. 仲原善一

    ○仲原善一君 これは、貨物部会の主査から原安三郎さんあてに中間報告として、結果を報告しますというので出ていると思うのです。そういうものでも非常にどういう動きをしておられるかということが大体想像つきますので、そういうものがあればこれも御報告していただいた方がよかろう、いろいろ研究の論点になるというふうにも考えますので、その点、できれば一つお願いしたいと思うのですが、いかがでしょう。
  139. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 昨年の十二月の中間結論と申しますのは、貨物部会と申します部会から会長あてのものをおっしゃっているのかと思いますが、実はこれはまだ会の、調査会の内部の意見の、討論の段階でございますので、その段階でもってこういう意見があったということを私の方の立場から御説明するのは少しおかしいのでございまして、委員会として論議されている過程の、プロセスの間の問題でございますので、私の方から御提出するのはいかがかと考えます。
  140. 仲原善一

    ○仲原善一君 先ほど委員長のごあいさつの中にもございましたように、何かそういう意味の、たとえば等級の数を減らすとか、それから等級指数の上下の幅を少くするとか、あるいは特別等級を除いて高級割引制度を廃止するというような意味のお話があったのですが、多分そういうことは中間報告の中に出ているのじゃないかと私は考えますので、おそらくそういう線でよく議論になっていると思いますので、やはりそういうものを事前にわれわれがよく承知しておいた方が今後の審議の上に非常に参考になると思いますので、運輸当局で、あるいは国鉄の方で出しにくければ、何か委員会の内部の方にでも委員長の方から要求していただいて、重要なこれは一つ考え方になっていると思いますので、何かそういうものがないと、われわれも審議するといっても何か雲をつかむような形でありますので、何か要求していただけたらと思いますけれども、いかがでしょう。
  141. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 承知しました。
  142. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の運賃制度調査会、従ってそれの中で旅客貨物運賃というようなもの、なお進んでは貨物等級の調査というように、非常に形態から見ますと、だいぶ突き進んだ形態で出てきています。従いまして、この運賃制度調査会というものの性格ですね、これはどういう性格を持っているのですか。まあ、大体こういうものが一つの省庁の要請を中心にして置きまする際には、大体そこの所管大臣等の諮問機関、こういう形で出ていくと思いますが、この調査制度なるものは大体どういう制度なのか、単独で、まあ一つ不合理もあることだからやってみようと、こういうことでお作りになったのか、日本国有鉄道の、運輸大臣もしくは公社等を中心にしてそういうものを調査する必要があって、そこの諮問機関として作られたのか、どっちなんですか。
  143. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 運賃制度調査会の性格についての御質問でございますが、これは国鉄総裁といたしまして——私ども総裁の命を受けて仕事をしておるわけでございまするが、先ほど磯崎局長から申し上げましたように、今までの運賃改正は主として財政上の欠陥を埋めるという目的において行われて参ったのでありまして、そういう意味におきまして、戦後著しく事情の変りました現在、経済状態が変りました現在、あるいは国鉄という輸送機関が往年のように独占機関であるというような時代を過ぎました現在におきまして、相当それにふさわしい合理的な経営の基礎となる運賃制度というものについての検討がどうしてもおろそかになっておったのであります。そこで、私ども三十二年の四月に国会の御審議をいただいて運賃改正をいたしまして、そうしていわゆる赤字を消すというような意味合いの、財政上の観点からの運賃改正というものと離れて、ほんとうに平常な時に立ちまして運賃制度というものがどういうものかということを検討いたして、平素からいろいろ検討しておかなければならないという感じを強くいたしましたし、また運賃改正のいろいろ御審議をわずらわしたり、あるいは部外の識者に意見を伺うような際にもそういう点の検討をすべきだというような御指示もございました。私どもそういうことをやらなければいかぬと思ったわけでございますが、ただいかにも私どもだけでそういうことを検討いたしますと独善に流れ、あるいははからざるところに対するいろいろの考慮というものも失われがちになりますので、広く有識者の御意見を拝聴するということが適切ではないかということで、国鉄総裁の諮問機関としてこれを設置したのでございまして、これは行政機関である運輸省の行政活動の一環ではございません。あくまで国鉄の私どもの検討を広く皆さまの知識を拝借してやるという意味でやっておるわけでありまして、従いまして、この委員会がいろいろ御検討になりましたこと自体が即座に私どもの運賃改正案になったり制度の改正案になるということには直結してはならないと思いまして、そういう御意見を私どもにお聞かせいただきましたならば、その上に立って私どもはさらに今度は現実にどうするかという問題についてはいろいろと検討しなければならぬのではないかと、かように考えておる次第でございます。
  144. 清澤俊英

    清澤俊英君 先ほども局長説明しておられる中に、片寄っておると思うのです。たとえば新線ができる、六十五億の投資をやって。それの利子も払えないような経営状態になっているのだから、そういうものも加味してというようなことをおっしゃっている。そうすると、諮問の要綱は、おそらくそういう点に相当な重点を置いた諮問要綱というものは出ているだろうと思います。それは別としまして、一番お聞きしたいのは、これは法律で定められた調査機関でありますか、簡単でいいです。
  145. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 法律とは何の関係もございません。
  146. 堀末治

    ○堀末治君 お尋ねしますが、先ほどの御説明だと、要するに研究の段階で、実施するという気持はないというようにおっしゃったのは、そうなんですか。
  147. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 研究をいたしまして、そうしてこの委員会から御意見として御答申をいただきますと、それを基礎にいたしまして、私どもは何と申しますか、実現方法あるいは具体的な実現のやり方の点におけるいろいろの諸問題というようなものとにらみ合せて、この実施ということについて考えていかなければならぬ思いますが、直ちに実現に直結するというふうには考えられないと申し上げておるのであります。
  148. 堀末治

    ○堀末治君 そうすると、要するに目下研究の段階で、研究が結論に達しなければ、要するに実施に移すという決心といいますか、方針をとらないと、こういう御意見なんですか。
  149. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) ただいまは委員会としてもまだ御検討中で、結論が出ておるわけではございません。結論を私どもがちょうだいいたしましてから、それによって話し合いをして決心なりなんなりをいたすわけでございます。
  150. 堀末治

    ○堀末治君 そうすると、大体結論はいつごろ出るお見込みなんです。
  151. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 先ほど申し上げましたように、大体六月になるかと……実は原会長が病気で入院されてしまいましたので、そういうこともあり、また等級専門委員会の方は、先ほど申し上げましたように、若干おくれるというふうにも考えます。
  152. 堀末治

    ○堀末治君 何か業界の方では六月末をもって適用期限が終了することになっている云々と、こういうことを言うと言うのです。そういうわけだから、要するに六月までに鉄道の方では改正すべきものは改正しよう、こういう意図でおやりになっておると言うのですが、業界から、いろいろな方面からわれわれの方に陳情が来ておる。それが結論が出ないものならば、結論が出てからゆっくりやる、こういうのならば話は別ですけれども、そうでなく、結論が出さえすればぱっと六月末で適用期限が終了することになっておる。現在こういうことを言ってきておる。この前、昨年もちょっとこの問題があなたのところに私は話があったと思いますが、ある程度は国鉄総裁の権限になっておるというわけですね。そういうようなわけですから、去年はそういうことがありながらも、いろいろわれわれの方から今年は待ったらどうかということで、去年は見送られたことも私は事実を知っておるのだが、今年はそんなことですから、要するに去年一年見送ったのだから、今年は結論が出次第さっさとやってしまえというようなお考えだというと、われわれの方もそういうつもりで真剣に検討しなければならないということになる。あなたの方でもう少し余裕があると言うなら、われわれの方も余裕がある。なぜ私がこういうことを言うかというと、われわれの方は今選挙を控えておる。来月早々になるというと、国会が自然休会になるという情勢になっておる。そこであなたの方でちょうど国会が自然休会になるから、結論が出たらすっとやってしまおうということになると、まさかそんなひどいことはなさるまいと思いますが、しかし、そういうことをやろうと思えばやれるということは、なかなか大きい問題なんですよ。
  153. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 堀先生のお持ちになっておるのは実はどういうものかよく存じませんが、何か問題がこんがらがっておるのじゃないかと思います。私どもが今も申し上げましたのは、運賃制度調査会と申しましても、国鉄運賃の根本的なあるべき姿を検討しておるのでございます。それはいつ実施するかということについては、ただいま石井理事から申し上げました通り、まだ答申をいただいておりません。答申が出た上でそれをさらに十分検討いたしました上で、諸般の情勢を考えた上でどうするかこうするかということをきめるわけであります。従って、それを六月にきめるわけではございません。ただ今お手元にお持ちになっておりますものは、公共政策割引という具体的な問題だと思います。こういう具体的の問題について運賃制度調査会に御諮問しておるわけじゃございません。その問題はその問題として切り離して考えております。
  154. 堀末治

    ○堀末治君 わかりました。私なぜこういうことを聞くかというと、この前ずいぶんここで騒ぎましたが、そのときあなた方のをだいぶ国会の方で修正したりして話がきまった。その翌年になってすぐ国鉄総裁が権限があるからというので、それは去年だと思いますが、それをやりたいという申し出をあなたの方で去年きめたのを、またこっちで国会の方で、一年見送ったらどうだろうということで見送った。これはあなた方も御承知、われわれも知っておるが、見送ったらどうだろう。そこでまた、要するに、こういうふうに出てきたわけですから、また要するに、今年一年見送れと言うたら、それじゃ今年はやったらいいじゃないかというようなあなた方の意図で、本年またこれを持ち出しているのじゃないか、私はこういうふうに少し邪推しておるのです。大体年々年々もう一ぺん、第一回戦をしたときに、ずいぶん国会でも論議があって、あなた方もずいぶん骨を折られたことは私もよく知っておる。どうにか妥協をつけて押えてしまったのが去年巻き返しが来た、今年また巻き返しが来た、こういうことになると、私少し穏やかでないことがある。ことに今申す通り、私なんか一昨年改正のときからいささかあなたの方とやり合った方の立場ですから、今年は選挙を控えておるし、うるさいやつがいないところで、選挙に巻き込まれておるから、この際一つ手早く巻き返してしまうというような、こういうような、邪推だけれども、そういう意図があってやられるのだと、われわれ書類をよこされても、ここ二、三日たってしまうと、また自然休会になるというような情勢ですから、なかなか容易でない。そういうような、ちょっとあき巣ねらいのように、言葉は悪いかもしれぬけれども、やり方をされたらなかなか困るから、少し私はそこをしつこく聞いておるのですけれども、研究をなさるということはなされても、ことに赤字で苦しんでおる鉄道ですから、合理的にあらゆる審議会の研究をおやりになるということはぜひともやらなければならない。われわれの方もまた幾ら農林水産物資だからといったって、だれが見てももっともだということは賛成せざるを得ない、私どもはこう思っておるのですよ。実際同じ改正をするにしてみても、大きい経済の流通の変更を来たすというようなことの改革はやはり賛成できない、理屈はそうだと思っても……。おそらくこれは私ばかりでない、だれも賛成できない。徐々に持っていくというようなやり方をしませんと、直ちに、それでなくても農林水産物資の流通過程というものはこの委員会で大きい問題になっておるのですよ。なかなかやっていますけれども、まだ結論を得ないで、ときどき問題になって、結論を得ないで今日になっておる。それに対しては運賃問題に一番大きい関係があるので、私どもとしても真剣にやらなければならないと思っておる。真剣にやる余裕のないときに、業者がこの間も騒ぎ立てて、業者がたくさん来ておりますよ。あなたの方でそうじゃないといっておるけれども、そういうような情勢ですから、それで私は最初に、今言った通り、ほんとうにやるという意図のもとにやっておる。これはどうせ結論が出れば、あなたの方でおやりになるというのだから、そこのところは私どもとして大きい問題なんです。六月ということで今言われた通り、ちょうど六月、国会の休みの間にずっとやってしまったということになると、それは何というか、はなはだ言葉は悪いけれども、あき巣をねらわれたような感じをどうしても受けざるを得ない。そこをはっきり聞きたいのです。
  155. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) いわゆる昨年、一昨年の運賃改正の際に御議論のありました割引問題、これも昨年また御議論がありまして、これはまあ当時一カ年延ばすということで私ども了承を願ったし、私どももやむを得なかったと申してははなはだ何でございますが、それはつまりこの研究会でなくて、やはり六月には終期が参る。それは先ほど磯崎局長が申し上げましたように別問題ということでございまして、この件につきましては、私どもとしてもいろいろ検討さしていただきたいと、こういうふうに思っております。
  156. 東隆

    ○東隆君 各種公共政策割引が六月十五日で切れることになっておりますが、これは今研究されておる等級その他の問題に関連して廃止をするというお考えですか。それとも一年延ばしただけでそのままもうずっとやめてしまうおつもりなんですか。
  157. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 各種公共政策割引と申しますのは、多分今お話しになった問題だと思います。それは御承知通り、一部は昭和二十五年からでございます。あと一部は昭和三十二年度につけ加えたものでございます。非常に内容の多い約百品目にわたります、二十数億にわたる割引額でございます。これをどうするかということにつきましては、昨年四月からとりあえず三カ月間延長いたしまして、六月に一カ年間延長するというお約束をこの席で申し上げたわけでございます。それを今後今年の六月までにどうするかということにつきましては、実は今年は非常に輸送の情勢が変動を来たしております。年度末にこの割引額が一体どのくらいになるか、二十億をこすか、こさないかということも実はまだ実績がございません。また年度も済んでおりませんし、まずこの実績を見た上で品目別にどういうふうな割引額になっているかということも検討いたしました上でその措置を考えたいと思っております。
  158. 東隆

    ○東隆君 そうすると、今研究をされている等級その他の手直しですか、そういうようなものとは関連なしに、六月十五日に打ち切る、こういう考えですか。
  159. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 六月末でございますが、その六月末で打ち切ると申しますのは、昨年の六月末に一年間この調整を延期いたしますということを申し上げたために、六月末になっているのでございます。先ほど石井理事から申し上げました通り、研究会とは関係ない問題でございます。
  160. 東隆

    ○東隆君 そうすると、今研究をされていることが、結論が出ないまでは、これは延長せられる御意思ですね。そういうふうに理解してようございますか。
  161. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) この公共政策割引の具体的な問題と、今やっております問題とは一応別にして考えております。六月末に切れるものにつきましては、当然六月末を限度として検討を加えなければいけないと思っております。
  162. 仲原善一

    ○仲原善一君 問題をしぼって私はお伺いしますけれども、公共政策割引だけについて承わりたいのですが、国会には了承を得なくても、総裁の権限だけでやろうという御意思ですか、それとも事前に国会の方には、従来の経過もあるし、一応了解を得られるのかどうか、その辺いかがでございましょうか。六月末にいずれそれは結論が出るでしょうけれども……。
  163. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 現在、公共政策割引を適用した品目は、先ほど申しました通り、約百品目でございます。七千数百品目のうちの百品目でございます。この割引をいたしますものにつきましては、農林省、通産省と御相談の上でこの品目を実はきめたわけでございます。従いまして、農林省、通産省とは当然御相談をいたしますし、むしろ逆に私どもといたしましては、農林省、通産省に対しまして、私どものやった割引が具体的にどういうふうな結果を招来しているか、それがどの程度消費者価格に響いているかといったような具体的な資料の提示を求めまして検討いたして参るつもりでございます。
  164. 仲原善一

    ○仲原善一君 国会との関係はどういうふうにお考えになりますか、御相談になるか、ならないか。
  165. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私どもといたしましては、六月末に切れますので、そのとき、七月一日からどうするかという問題はそのときの国会の情勢じゃないかと、私どもつまびらかにわかりませんが、いずれにいたしましても、行政官庁とは十分御相談いたします。
  166. 仲原善一

    ○仲原善一君 運賃全体についての話なんですが、国会との関係なんですが、先ほど御説明の中で、賃率表の改訂については、これは国会にかけるというお話でございます。そのほかの等級の改訂の問題ですね。そういうものについては、国会にはかけられなくてもいいんですか。
  167. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 御承知通り、財政法第三条及びその特例に関する法律によりましては国会の議決をいただいているわけでございますが、これには国有鉄道の基本賃率という言葉で表示されておりますこの基本賃率というのは、それだけでは定義がはっきりいたしませんので、別に国有鉄道運賃法という法律を作って、この限度は国会で具体的な額をおきめ願い、この限度は運輸大臣の認可でやらせていただく、この限度は国鉄総裁限りでやらせていただくという、けじめをはっきりいたしているわけでございます。その中で、等級のことにつきましては法律できめるということにはなっておらないのでございます。ただ、それは要するに等級というものは、性質上非常にやはり多品目、いろいろな新しい品目ができましたり、急激に変ったりすることがございますので、一々そういうことは大へんだということもございますし、またある意味でそういうもの自体が、賃率表というものが国会でおきめ願っておれば、それに見合う品目のバランスというものは、そう大きな変動はないというようなことで、事務的に煩瑣なものでもございますので、これは国鉄総裁限りになっておるわけであります。しかしながら、そうかと申しましても、一品目新しい品目をつけ加えたり、あるいはごく例外的に改正いたす場合は別でございますが、大々的な変更をする場合は、これは私ども勝手にやっては申しわけないということで、二十八年のときも等級審議会というものを設けまして、各界の御利用者の方々も入っていただいて、いろいろ御折衝申し上げ、また関係官庁の方にも加わっていただいて、そうしてきめたというようないきさつもございますし、私どももそういうふうにするのが当然であろうと考えておるわけであります。従いまして法律的に申しますれば、国会というものと関係ございませんが、私ども等級の改正をいたします場合に、それが等級数に響いて、そうして賃率まで響く場合には当然国会の御審議を経なければならない、そうでない場合におきましても、大改正をする場合には、あくまでも民主的に各方面御連絡願って、御納得を得た上で施行したい、こういう考えでございます。
  168. 仲原善一

    ○仲原善一君 これはお願いを申し上げておきたいのですが、非常に問題が重大になりますので、やはり協議される形と申しますか、相談される形というのか、形式はどうでもいいのですけれども、国会の方に事前に何か御相談をいただきたいという、そういう希望を実は申し上げておきたいと思います。特に公共政策の割引については、先ほども二十数億というような御説明のようでありますが、特に林産物については、木材の方で十億四千万円ばかり、薪炭の方で三億九千万円ばかり、その程度の割引を従来受けているわけなんです。それを六月末になったからというので、総裁だけの権限で、さっと国会にも了承なしに削られるということになりますと、特に非常に遠距離からやってきている林産物等については、重大な影響がありますので、やはり何かの形で一つ御相談をいただきたい、理屈の通ることであれば、国会だって了承するわけでありますから、何か抜き打ちでなしに、事前に何か、行政庁だけでなしに、御相談をいただきたい。特にこれはお願いを申し上げておきます。
  169. 東隆

    ○東隆君 私は今の問題で、七千の品種類、それを二千に圧縮して、そうして十五の等級に分けておる、こういうのですが、等級に分けておるのですけれども、私は問題になっておる公共割引ですか、公共政策割引に該当するものは、これはものすごく量が多いと思う。決して普通の七千種類のうちの量の少いものじゃないと思う。ものすごく多いものだ。こういう考え方を持つので、国鉄の方ではきわめて範囲を、まかされた範囲の改訂だ、こういうようにお考えかもしれませんけれども、しかし、私はものすごく量が多くて、影響するところが非常に大きい、こういうふうに考えて参りますると、私は百品種くらいだ、こうおっしゃるけれども、しかし影響は、これは非常に大きいのですから、私は国会の方に、水先して一ついろいろお示しになって、そしていろいろ研究をしてもらいたいと思うのですが、この点どういうようにお考えですか。
  170. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいま割引しております品目は、先ほど申し上げましたように、約百品目です。トン数は千六百万トン。私の方は約年間一億八千万トンばかりやっております。従って約十分の一にちょっと足りない程度でございます。ただ、この千六百万トンのうち、トン数から申しますと木材が圧倒的に多いトン数であります。木材につきましては、いわゆる現在の等級表を作りましたときの木材の価格調査いたしまして、その木材なりほかの品目と、全部バランスをとって、五級、六級、七級というふうに、ものによって等級が違っております。たとえば同じ木材でも、木曾のヒノキは四級だとか、あるいは製材は五級だとか、あるいは坑木は七級だとか、同じ木材でも必ずしも一等級ではございません。そういった木材の中から、木曾のヒノキ等は割引しておりませんが、大体ほとんど全品目について、割引するために木材の運賃とほかの物資の運賃とは——そこでいわゆる私の方の貨物等級の原則でございますところの、いわゆる負担力主義を非常に大きく破っておる、その破る額が大体先ほど先生のおっしゃいましたように、約年間で十億、その分だけはアンバランスになっております。トン数から申しますと、約十分の一でございます。
  171. 東隆

    ○東隆君 私は、問題は公共政策割引に該当するものが、どちらかというと、百品目で、しかも一割を占めておる、こういうことを考えると量が非常に多いと思う。それからどちらかというと、先ほどもお話があったように、長距離で、そうしてかさの大きいもの、安い運賃で運ばなければならないものが、百品種の中に入っているんですから、これが従って私は計算の上から非常に大きな影響になるから、ここへ目をつけられるのは、これは当然な話なんですけれども、しかし、影響するところが非常に大きいんですから、従って十分の一だから少い、あるいは百品目だから少い数だ、こういうようなことでなくて、影響するところが非常に大きいんだ、こういう意味でやはり国会に持ち出された方がいいんじゃないか、こういう考え方を持っているんです。それで、もしそういうことでないとするならば、やはり法律そのものに欠点があったろうと思うんです。等級関係も、それはささいなものを改正するという、そういうようなことは、これは一々国会にかけて審議をすべき内容のものではありませんから、そこで問題にしなくてもいいんですけれども、おまかせしてもいいんだけれども、しかし、もうすでにこんな大きな問題になってきて、そうしてみんな心配しておるようなそういう問題を、何も権限が与えられておるんだから、その範囲でやるんだから文句を言うな、こういう形でもってやられたんではおかしいと思う。だから、私はやはりこの公共政策割引について、昨年も問題になったことでありますし、もうすでにいろいろなことをおやりになっているということで、もう関係方面のものがものすごく騒ぎだしておる。こういうような事態を考えてみますと、私どもの方でも適切な措置をとりますけれども、しかし、それ以前にやはり国鉄の方は相談をすると、こういうことをお考えになった方が、これがかえっていいんじゃないかと思うんですが、私はそういうふうに、法律を解釈する場合においても、それくらいの考え方があってしかるべきじゃないか、こういうような考え方なんですが、その点どうですか。
  172. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 私どもは決して国会の御意向というようなものを無視してどうのこうのというつもりは毛頭ございません。あるいはまた法律をたてにとって、自分たちの権限だからということはございませんで、その証拠には、現在の割引の姿がこうなっているということは、むしろ皆様方のいろいろな御指示なり、お話があったために、こうなっておると思うのでございます。ただ、しかしいろいろな問題もございまするが、一つには私どもお願いしたいのは、やはり国鉄の財政が現在赤字であるとは申しかねますが、非常にほかの運輸機関などといろいろ比較いたしますと、昔の、鉄道が独占しておって、鉄道によらなければどうにもならないという時代に、世界の各国ともこういう負担力主義をとり、あるいは運賃をいろいろやかましくいってやったような政策をとられたのであります。今日各国の鉄道ともそういう点でもって非常に不利で、どうか他の運輸関係とイコール・ベースに立たして、その上で鉄道がやっていけるか、やっていけないかということでやらしてもらいたいというのが、まさに今世界各国を通ずる鉄道の悲鳴でもあり、非常に苦しんでおる点でございます。私ども決していたずらに運賃を上げたり何かするということは、いいとは夢にも考えておらないのであります。しかし一方におきまして、やはり合理的な運賃をきめさしていただいて、その上に立って、鉄道の事業の発展ということに皆様方の御協力をお願いいたしたいと思っておるのでございまして、従いまして、今までこういう問題については、結局だれも利用者の側から見れば、自分の負担が重くなることをお好みになる人は一人もない、これは事実でございまして、そういう点からいたしますならば、利用者の方から見れば運賃は安いにこしたことはないし、上るのは絶対困るというお話になるわけであります。そういうことでございますので、そういう状態を繰り返していたのでは、やはり私は国鉄というものが割の悪い損をする荷物ばかり運ばなければならないということになって、ますます経営の基礎が危うくなるのではないか、こういうふうに考えられますので、こういう点、われわれの立場も一つ御了解願いたいと存じます。
  173. 堀末治

    ○堀末治君 私さっきちょっと質疑を行なったんですけれども、大体お話もわかりましたし、国鉄の当局の人が、国鉄経営のために非常な御努力をなさっておることに、われわれとしても敬意を払うのであります。ただ、ここで特に希望しておきたいことは、先ほどの磯崎さんの答弁の中に、原会長が今病気だから、おそらく結論が出ないだろうというようなことでございましたが、それならばなおさらけっこうですが、六月の末に適用期限が切れることになっているこの公共政策割引、これはしばらくそのまま延ばしておくことを、特に私この機会に希望いたしておきます。私どもの方も、先ほど申しました通り、おそらく選挙が終れば臨時国会等も開かれることでございましょうから、できることならば、その機会によく落ちついて、一つこれらの問題も検討して、そうしてなるべく実情に沿うように、国鉄の経営が成り立つなら成り立つように、また、なおこういう農林水産物資の流通過程に大きな影響を来たさないような方法で、われわれも真剣に考慮いたしますから、そのつもりで、どうぞこれはやらないということに、一つ特にお含みを願っておいていただくことを希望して私の質問を終ります。
  174. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の問題ですがね、先ほどからわきで聞いておりますと、そのものは六月末で切れる、従ってそれを直ちにやるのではなく、その年度末になれば、そこにいろいろのデータがそろう、ここではまだそろっておりません。従いまして、結論が出ておらないという表現なんですね。そうすると、そこには年度末がきて、すベての資料が整って一応の結論が出るまでは、直ちにそれを実行するということはないわけなんですね。こういうことが考えられる。年度末がきたから、その翌日直ちにすべてのものがそろって結論が出たということは、これは神様でなければできないと思う。理論的に申しますと、そこには一カ月なり、二カ月なりの結論を出すためのいろいろの計算も要りますし、統計も要るだろうと思います。そういう立場がとられているが、しかし同僚の東君の、この問題が結末において、六月末においてどうだか、こういう質問に対しては、その点は非常にあいまいなんです。私はさっきの堀さんの質問の要旨と、東君の質問の要旨とを突きまぜて、はっきりと御回答をいただくならば、それは当然一、二カ月くらいの余裕をもって、そして年度末において、すべての検討をした上でやるつもりであるとか、何とかくらいの答弁があっていいだろうと思う。ところが東君の発言に対しましては、それに対して、はなはだ明確を欠いている。直ちにやられるのか、やられないのか、だれも聞いていてはっきりしておりません。すぱっとやるのかもしれない、こういう不安を持っている。だから堀さんも同じようなことを二度懇請をしておられる。私はそういう表現のお答えができるのじゃないかと思うが、その点どうなんです。私の言うように年度末が過ぎましたならば、いろいろのものを検討して、それには少くともこれくらいの時期を要するから、それくらいの時期を見た上で、まあ国会に相談してなら相談して、しないならしないで、こういうような確答くらいは、もうあらかじめきまっていていいと思う。そういう御返答はできないですか、はなはだ不明確で気分が悪いですよ。
  175. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 先ほど申し上げましたように、ことしの実績は三月末でございます。これは大体四月の中旬か、末ごろまでには極力集計いたしたいと思います。その後、先刻も申し上げましたように、まず農林省並びに通産省に対しまして、この公共政策割引が具体的にどういうふうに消費者価格に響いていくか、あるいはいかに生産者影響していくかということの詳細な資料の提示を求めるつもりであります。と申しますことは、私どもといたしましては、二十数億の割引をしている。この割引がどういうふうに、先ほど先生のおっしゃったように、いわゆる公共政策的に使われているかということを検討する義務があると思っております。従いまして、これにつきましては農林、通産両省から詳細な資料を要求いたしまして、その資料を得まして十分検討いたしました上で、今後の問題を検討いたしたいと思っているのでございます。その時期は大体一カ月くらいはかかると思います。従いまして、六月末にはいずれにいたしましても、その再検討の結果を何らかの形で表わさなくちゃいかぬと思っております。
  176. 東隆

    ○東隆君 私どもは法律の審議をするときに、どういうことを審議するかというと、もちろん法律の全文そのものについての審議もしますけれども、省令だの、それからその他にまかさるべき事項の中身、そういうようなものについても審議をして、そうして法律を通すというのが、これが常識的なやり方なんです。従って、当初法律が通過をしたときには、私はやはりそういう考え方のもとに法律を通しているわけです。従って、総裁に委任をされている中身のものについても、これは大きな変化が起きる場合には、これは当然、国会にやはりそれ相当の手続をとらなければならぬ筋合いのものだろうと思う。法律を作った立法府の側の考え方は。ところが、それを法文上の法律の言葉の解釈から、中身に重点を置かないで、法律の解釈だけでもって、字句の解釈だけでもってやられたら、これはいろいろな問題が起きてくると思う。こういうような場合に、先ほど申したように、すでに昨年も問題になったし、それから改訂の場合には、三十二年度においては、ああいうふうに問題になってきておる中身なんですから、従って、これは今までの経過から考えてみても、これは重要な中身で、そうして決して権限がまかされておるからというので、一存できちっときめておやりになって、それならばそれで済むのか、こうなってくると、済む問題でないと思う。そのままで済むべき筋合いのような中身ではない。そうすると、やはりある範囲はいろいろ成績その他を調べられて、そうして十分に案をこしらえられて、完全に固まったところのものでもって、それを報告する程度のものにするのは、これは問題だろうと思う。やはりある程度動かし得るような中身のものを相談してこなければならぬと思う。それを、きちんときめてしまって、「以上のようにきめました。報告終り。」というような形でやられたのでは大へんな問題になる。私はそういうふうに考えますが、法律の審議の過程において問題になった中身だけ、これをきちっとやっては非常に仕事もやりづらいだろうし、それからその他いろいろな問題があるから、こういう前提のもとに総裁に委任されている事項なんです。それにはおのずから中身には限度があるのですから、それをお考えになって、そうしてやはり国会に対してそれ相当の手続をとっていただきたいと思う。私どもそういうような機会も作り、相談をしてやろうと思いますし、それから、どうしてもお聞きにならなければ、いろいろ総裁やその他各方面をお呼びして、そうして国会の意思のあるところをやらなければならぬ、そういう問題になろうと思う。そうじゃないですか。
  177. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) ただいまの法律案の御審議の国会の御態度は、私どもその通りだと思いますが、国鉄運賃につきましては、財政法第三条と、その三条の特例に関する法律で「基本賃率」ということになっておりまして、私ども考えておりますことは、やはりこれは当然いわゆる運賃値上げと申しますか、賃率のベースを全般に変えるということは、これは国会として御審議にならなければならぬことだということのように拝聴し、考えており、また、御立法の趣旨もそうであろうと思います。また、各国の立法例などを見ましても、国会で御審議になるところは、ほとんど例は少いのでありますが、たまにありましても、そういうようなやり方をしておるようでございます。具体的に一つ一つの運賃については、一つの限度をもっておまかせになっておると思っておるのであります。その限度と申しますのが、法律に定めた範囲ではないかと思います。この公共政策割引につきましては、当時、三十二年の改正のときも御意見にございましたように、理屈はそうであっても、急激な変化は困るのだから徐々にやれというような御趣旨でもって、暫定的な、時限的な割引がついておるのでありまして、従いまして、私ども六月末日に、何も一挙にこれを廃止すると今申し上げているわけではございません。営業局長が申し上げましたように、具体的な数字の検討をした上で、関係官庁方面にいろいろ御連絡を申し上げて、その方々の御承認をいただいた上でいろいろ検討いたしたい、こういう態度でございます。
  178. 東隆

    ○東隆君 実は、「国有鉄道運賃法制定の経緯」、三十二年十月に御発表になっておる印刷物があるのですが、その抜粋の中にこういうことが書いてあるのですね。「従ってそういう場合には常に賃率表の改訂を必要とするから、等級表そのものは国会の審議を必要としていなくとも、そういう改訂の内容は国会の審議の対象となる機会が必ずあることとなる。」、こういうようにお書きになっておるのですね。国鉄さんの方でも率直に、国会の審議の対象になるんだと、こういうふうにお書きになっておる。これが私国鉄の本旨だろうと思う。そこで問題は、非常に軽微なものは、これは何も問題ではないですよ。だけれども、問題になっておるものを、そのままほおかぶりして、そうしてやるというのは、これは問題だろうと思う。それから今お話しになったもので、たくさんあるうち、百品目あるうち、そのうち一つか二つくらいずつ消していって、これはきわめて小さいものだから、こんなような考えで上手におやりになる方法もあるかもしれない。しかし私は、これは一括されたところのものとしてやはりお考えを願いたいと思います。それから行政官庁と相談をされてと、こういう場合ですが、しかしその場合でも、落ちるものと落ちないものとでは大した違いが出てくるのです、品物によって。だから、影響するところは非常に大きいですから、従って、十分に一つ御相談を願い、そうして貨物の運賃率、等級その他について基本的に今おやりになっておると、こういうのでありますから、そうしてそういうものも五年ないし十年の間には改訂をすることが必要だ、こういうことも先ほどお話しになっておる。三十二年にああいう改訂をしておるけれども、三十二年、二十八年——ですから六年を経過しているのですが、十年というのにはまだ相当あるわけです。従って、その間に皆さんの方でいいやつをこさえよう、こういうのですから、今進行中なんですから、そういうようなものをかね合せてやっていただきたい。ここに書いてあることが本旨だろうと、こう考えますので、一つそういうふうにお考えになって、フランクにわれわれにお示しを願いたい、こういうふうに思います。
  179. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) そこに今お読みになりましたのは、先ほど私が運賃制度調査会の結論が出た上で処理する場合に申し上げた通り、等級の全面的な改正は、当然、等級数、賃率等に当るということになりますから、そういう場合には当然国会の御審議をいただくだろうという趣旨のことを書いてある。また、そういう点については、私も決して今お読みになりましたことと違ったことを申し上げたつもりはないのであります。ただ、公共割引の問題は、これはまた一つの別の問題でございまして、そういうふうにおきめになりました姿から、さらに特別な意味で割引をする、それは総裁の権限においてやっておるわけでありますが、それはいろいろの御要請、特に二十八年の運賃改正に当りまして、急激な変化は避けて徐々にやるべきだという御意見にのっとってやっておるわけでありまして、しかし私どもも、六月末がきたから一斉に全部廃止するというような、そういうような申し上げ方はしていないので、検討さしていただきたいということを申し上げておるわけであります。
  180. 清澤俊英

    清澤俊英君 簡単に一、二お伺いしますが、大体運賃という概念は、賃率と等級との合致したものを運賃と私は解釈しておりますが、その点どうなんですか。
  181. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 賃率と等級ともう一つ距離でございます。
  182. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは三者が寄ったものを運賃と言うのですね。そうしますと、運賃の改訂に対しては国会の審議が要るようになっておるのですね。要りませんか、運賃改正に対しては。
  183. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 先ほどから申し上げておりますように、基礎的な賃率の変更は、これは国会の御審議を願うというふうに申し上げております。
  184. 清澤俊英

    清澤俊英君 それがどうも私にはわからないのです。賃率だけが運賃じゃなくて、距離、それから等級賃率を加えたものが運賃と言い得ると思います。たとえてみますれば、賃率だけを一応きめましても、等級に格差ができてきたり、距離に格差ができてきたりしましたら、これは非常な国民生活や経済上の影響が大きいものだと思うのです。賃率だけを国会の審議が要ると定められたことは一体どういうところからなんですか。私はその点が要領を得ないのです。三つの要素がまとまって一つの運賃というものが定まる。その中の一つだけを国会にかけなければならない、あとの二つはかけなくていいという理論的根拠はどこにあるのですか。
  185. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) これは先ほど一番先に私が御説明申し上げたかと思うのでありますが、基本的賃率を国会にかけるという御趣旨は、いわゆる運賃全体のレベルを上げるというようなことを意味しておると、こう考えられるので、従いまして、基本的賃率という言葉は、非常にそれ自体としては内容がはっきりいたしませんので、それの法律に基きまして国有鉄道運賃法ができておりまして、国有鉄道運賃法におきまして国会の一つ御審議を願う分野と、運輸大臣の認可の範囲においてやれる分野と、あるいは国鉄総裁の権限におまかせを願う分野と、いろいろ具体的な各種の運賃について分けて書いてあるわけです。
  186. 清澤俊英

    清澤俊英君 この法律の解釈は、非常に私らは法律家じゃないので困難しているのでありますが、この国有鉄道運賃法第八条ですか、これには、「全体として日本国有鉄道の総収入に著しい影響を及ぼすことがない運賃又は料金の軽微な変更は、日本国有鉄道がこれを行うことができる。」としてあるのでありまして、従って、ただいま東君が指摘しました前の何か国有鉄道運賃法を作るところの経緯の中の条文とこれを合わせてみますと、重大な経営上に変更のあるものは、運賃として、国有鉄道だけではない、国会にかけなければならない。そうしまして今御質問しますと、運賃というものは賃率並びに等級、距離、この三つが寄ったものが運賃として定義づけられておる。こうしまするならば、当然私は等級変更等があるとすれば、かけられなければならない、こういうふうに考えるのでありますが、その点どうなんですか。
  187. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 先ほど営業局長から御説明申し上げました運賃というものは、賃率と等級と距離だということでございますが、その距離につきましては、これは賃率を表示する際に、旅客で申しますれば一キロ幾ら、あるいは貨物で申しますれば車扱い賃率は幾らと、ちゃんと各キロ程に応じまして賃率を刻んで御提示申し上げておりますから、これが合わされたものが運賃法の中に出ておるわけでございます。残る問題は等級でございますが、等級につきましては、先ほど申し上げましたような経緯と事情でございますので、これはおまかせを願っておるわけでございますが、それを大幅に根本的な変革をする場合は、先ほど申し上げましたように、国鉄独断でやるというようなことはいたしておりませんし、各方面の御意見を聞いてやる。またそれが同時に、もっと根本的な変革になりますれば、賃率の変更になりますので、国会の審議の際に、あわせて御審議を願うことができるというふうに考えておるわけでございまして、お話しの内容と別に食い違いはないと思います。
  188. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、結論として出て参りますのは、大体、線はどの辺から国会にかける性質のものか、軽微なということは、先ほどの御説明のように、一辺が性格が変ってきた、従って、こういう一辺までを国会にかけることはおかしいから、どうも煩雑であるから、この際一応取り扱っておると、こういうふうに解釈ができると思いますのですが、先ほどからのいろいろの御説明を伺っておると、こういうふうになるのでありますが、大体どの範囲を、今御答弁下さいました国会に御相談するという範囲にお考えになっておるのか、その点を一つお伺いしたいと思います。
  189. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) いろいろ御質問を承わっておりますと、先ほどから問題になっておりました公共割引の廃止の問題と等級変更の問題とを、ちょっと取りまぎれておるような感じがいたします。等級変更の問題につきましては、先ほどから申し上げましたように、根本的な大改正を行うということは、当然賃率の変更も伴うことになりますので、その際は必ず国会の御審議を経るということに相なると思うのでございます。公共割引の方は、すでに国会の御承認をいただいた範囲で、中をさらに総裁の権限に基く措置によりまして割引いたしておりましたものでございますので、それをやめるということは、結局、形式的にはこれは国鉄総裁の権限でやれると、こういうふうに考えております。ただしかし、先ほどから申します通りに、現実の問題として六月末に期限が切ってございますものは、期限が来たならば一律に全部やめるというのではなく、十分検討さしていただきたいということを申し上げておるのであります。
  190. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は各種公共割引の問題はもう一応片づけて、従いまして、今日の議題になった広範な運賃改訂とともに出てくる等級改訂に対して、農林水産の立場として非常な関心を持っておりますので、従いまして、今私のお伺いしておるのは、その等級改訂等に対しましては、聞きまするならば、審議の過程が、先ほども仲原さんから、いろいろ中間の審議要録というのですか、審議の経過というようなものの中間報告でもほしいというが、なかなかそれらの御提出も困難のような状況にある、こういう中でわれわれの心配しておるのは、漏れ聞くならば、三十億くらいの賃上げを考えておられる。これはわれわれ聞く範囲ではそういうことを考えておられる。その農林関係の等級改訂によって二十億なり二十五億なりが行われるというような、いつどこで漏れるとはなしに、そういうようなものも漏れ伝わって、非常な農業団体、農業水産団体の刺激をしているというわけで、今われわれがここでお伺いしているのですから、もし、かりにそういうような大がかりな改訂が行われるとすれば、御答弁によるところでは、当然国会に一応審議をゆだねられる過程をとられることであろうと、私どもは了承してよろしいと思うのでございますが、その点どうなんでしょうか。
  191. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 私がさっき申し上げましたように、現在の公共割引の問題とは別に、現在この運賃制度調査会並びにその下部に設置せられました等級専門委員会、これでもっていろいろ御審議の結果、私どもは御答申をいただきましたならば、その内容がおそらく自然、等級の幅なり賃率なりに関係して参ると思うのであります。それを私どもとして、これを実施に移すということになれば、現在の法制上では当然国会へ提出して、国会の御承認を得なければならないということに相なると思います。
  192. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 私は少しおくれて参りましたので、他の委員からすでに質問されたことであろうと思いますから、簡単に申し上げて、簡単に御説明をいただきたいと思いますが、この問題を二つに分けて質問いたしたいと思います。  第一は、公共割引というものが本年の六月末をもって適用期限が終了する、この問題なのであります。この問題から先に伺いたいと思いますが、この問題は先ほどからお話がございましたが、私はこう考える。国鉄が公共企業体として運営せられて、私企業として認められない、その大きい一つの理由といたしましては、国鉄の運営いかんが国民生活あるいは産業の発達に最も至大な関係を持っておる、これはもう私が申し上げるまでもないのであります。それがゆえに公共性物資というものに対しましては、政策割引というものを今日まで実施してきたのであります。これがもし六月末をもって廃止されるということになりますと、一般大衆の生活または産業助長発達の基礎をなしまする物資でありまするだけに重大な問題が起ってくる、かように考えるのであります。そこで今までの御答弁を聞いておりますと、関係各省と協議をし、調査をして、そうして六月末にそれを検討した結果によって、これを廃止するか、あるいは継続するかをきめたい、こういうような御意思であったと思うのでありますが、以上、申し上げましたように、大衆の生活に至大な関係を持ちますこの公共政策割引というものを、ここで廃止しますることは重大な問題でございますので、私は国会あるいは委員会等の要求をもって、国会において、しかるべく一つ御相談を願いたいというような意見を申し上げたらよいと思うのでありますが、しかし、皆さんが賛成されるかどうかは別としまして、もしそういう要求をいたしましたら、国鉄におきましては、以上のような重大な関係を持つがゆえに、おそらく六月は国会がございますが、その後の国会の開催される最も早い機会に、これらの問題をこうしようとするのだという報告を行われまして、それによって国会の意見を聞くというふうなお考えはございませんか。
  193. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問でございますが、国鉄が公共企業体なるがゆえに公共政策割引をしておるというお話でございますが、実は国鉄が政府直営でございました戦争前、あるいは昭和二十四年前には、こういう割引は一切ございません。国鉄が公共企業体なるがゆえに、生活物資その他について運賃が違っておるということは、等級制度の中にそれが現われているわけであります。この現在の割引が始まりましたのは、一部のものは昭和二十五年から、あと一部のものは昭和三十二年からでございます。戦前にはこの制度はなく、戦前はもっぱら等級一本でもって操作されておったのであります。政府が直接経営いたしておりましたときがそうなのであります。現在私どもといたしましては、この公共政策割引を今後どうするかという問題につきましては、ただいま石井理事から申し上げました通り、大体実績がわかりますのが四月の中旬、早くやっても四月中旬から下旬になると思います。まず私どもといたしましては、一品々々につきまして、先ほどもあるいはお聞きかと思います。重複いたしましたら失礼でございますが、農林省、通産省から、果してその割引が、どういうふうに公共的に、数字的にそれが生きてくるかということ、たとえば消費者に対してどういうふうな影響があった、あるいは生産者に対してどういうふうな影響があったというようなことについて、農林省、通産省としては、当然私の方にその詳細な内容説明されるものと私は考えております。それによりまして、具体的に、個々に折衝いたしまして今後の問題をきめたいと思っております。ただ先ほど申しました通り、これを六月末に全部一斉にやめてしまうというようなことは、これは不可能なことだと思いますし、またそういうことは考えておりません。いずれにいたしましても、関係官庁と協議して、適当に処理いたしたいと考えております。
  194. 千田正

    千田正君 どうもさっきから聞いているというと、国鉄の方は全然こっちへ相談をしないというようなことでもなさそうだし、こちらは相談したらどうだというように言っているんであって、問題は、運賃の中においては賃率という問題もある、賃率は国会にもちろん当然かけてやらなければならない。それが国民生活に重大な支障を来たすものであれば、われわれとしては当然国鉄の諸君に来てもらって、委員長の名前で、これは参考人でもよろしいし、証人でもよろしいし、実際の運営の衝に当る職員に来てもらわなければならない。これは当然やれることだと思う。どうも、くるかこないか、そんなことは問題じゃないじゃありませんか。重大な国民生活に影響を及ぼすことであったら、委員長名で出てもらわなくてはならぬですよ。そこで、私たちに局長がおっしゃったように、その原因が何があるかというと、新しく建設する路線等が非常なウエートになっておるために赤字が非常にある、そのために運賃改正をしなければならないと、こういうお話になれば、これは運輸省の国鉄に対する政策というものを変えなければならない。たとえば新設の鉄道に対しては、国は全部予算を持ってやる、運営は国鉄にまかせるんだ、建設は全部運輸省の予算の中へ組み入れて国が持ってやって、運営は国鉄にやらせるというような問題も出てくる。全般に及ぼすところの問題は、やはり国会において相当審議しなければならないということになってくるわけですから、そう何もこないとか、くるとかいうのではなくて、こっちが呼んだら出てきてもらえばいい、私はそう思う。ただ、それだけのことは当然良心的に、石井理事にしましても、磯崎局長にしましても、それは出てくるだろうと私は思う。ここであまり論議をしていると時間が経過するんで、そういう点もあわせて、私は国鉄の良心のある、最も明敏な諸君であるから、そのくらいのことはできるだろうと思いますから、あわせてお答え願いたい。
  195. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 私、最後に。いろいろ各委員から御質疑がございましたし、また要望もありましたが、いずれお話の状況から考えますと、等級の改訂というものは早晩行われるのではないかという感じが非常に強いんです。そうしますと、どの程度であるか、今言ったように、わずかな新しい品目を二、三追加するくらいのことならば、何も国会の審議を必要としませんが、これが特別等級だとか、あるいは普通等級の入れかえだとかいうようなことになりますと、相当影響するところは大きいので、これはいずれ、先ほどからのお話によりますと、そういうことになれば、国会の審議に持ってくるということは想像できます。従って、この公共政策割引にいたしましても、やはりこれに該当しているものの変化はいかようにもなりますし、影響もあることであります。そういったような、早晩、等級改訂が行われるというのであるならば、六月に満期になりますこの制度も、等級改訂と一緒に審議をするということにして、それまではまず一応延ばす、これが二年も先だということであれば、それはまた別ですが、六月ごろに答申が出て、あるいは七月になるか、八月になるか知りませんが、その期限が切れる一、二カ月間に、そういう問題が持ち上るとするならば、その間くらいは延ばしておいて、そうして等級改訂と同時に見合って審議をしてもらいたい、きめてもらいたい。ということは、この公共政策割引というものも、かつて等級改訂あるいは賃金改訂のときに、どうも納得のいかない、満足をし得ない点が幾らもあったので、まあ一応こういうところで一つ補いをつけておこうといった意味も私はあったのではないかと思う。そうであるとするならば、やはり等級改訂をする場合に、そういうものも織り込んで考えるということが最も適当であり、また、そうすべきじゃないかと私は考えまするので、私は要望として、その点を改訂なさるのが間近であるとするならば、六月の末に切れるものを、一応その線まで延ばしておいて、これは総裁の権限で延ばすこともできるわけですから、延ばしておいて、そのときに一緒に検討するように、一つ国鉄ではぜひ考えていただきたいということを私は要望いたします。
  196. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまのお話ですが、その前に千田先生のおっしゃったことの中で、私の申し方が非常に不十分だったので、あるいは誤解をなすったのかと思うので、ちょっと一言つけ加えさせていただきます。  私どもの経営状態が将来どうなるかという問題の一つの原因として建設線を申し上げましたが、そのほかに、やはり一緒に申し上げたと存ずるのでありますが、結局、貨物におきましては近距離貨物が減っていくということ、それから値段の高い、また運賃の高い貨物が減っていくということ、これが問題になります。私は、よく木材の問題が出ますので申しますが、たとえば栃木県、群馬県、茨城県の貨車積みになるものは、ほとんどございません。私どもにとって一番近間にあります運賃の率のいいところ、その運賃でもって遠距離運賃をカバーいたさなければならない、その近間の荷物は全部トラックにおまかせになってしまって、高い原価割れの分だけ国鉄に持っていらっしゃる。あるいは、等級の高いものはトラックに持っていって、等級の低いものだけが残るということが、国鉄の将来の貨物の輸送並びに貨物から得る収入にとっての一番大きな問題でありまして、もちろんこれはよしあしの問題であるし、現実にトラック運賃の近間が安いということが商業原則でありますして、従って安いものを安いところに持って行くことは当然でございますが、しからば、鉄道といたしましては、遠距離の運賃の安い物資だけを鉄道の責任で運び、しかもその運賃はいじれないというところに宿命的な非常に大きな問題があるということでございまして、先ほど申し上げました建設線は、その一部の問題でございますので、非常に言葉が足りなかったので、恐縮でございます。
  197. 千田正

    千田正君 そこで、その問題があるでしょう。それですから、貨物自動車の問題も、従価率によるべきか、従量率によるべきかという問題が当然出てきますよ。運賃の率から言いましても、価格の高いもの、あるいは量だけは多くても価格の安いもの、こういうものをどういうふうにしたらいいかという問題が、賃率の問題が出てくるわけです。さらにまた、国有鉄道の立場からして、遠隔の地へ、普通だったら採算のとれないところまで自動車を走らせておる。鉄道が自動車をやっておるというのがおかしいくらいなもので、それでも国民の利益のためにというのでやっておるんだから、それに対しては国として、国の予算の面において、国鉄にあまりしわ寄せさせないような、何らか国から支出するような予算面の改革の面も私はあると思う。そういう総合的な運賃政策というものを考えます場合には、やはり国会としては、われわれは相当あなた方にも協力もするし、また改正すべきものは改正する、あるいは据え置くべきものは据え置く、総合的な問題を討議する上からいっても、私は一応われわれに前もってお話し願いたいというのは、先般来、各委員からの要望なんですよ。それですから、何もどうしちゃいけない、こうしちゃいけないというよりも、そういういろいろな問題が総合的な問題としてあるから、十分に了解を得た上で実際の問題に取り組んでもらいたい、こういうようなことを各委員から要望しているのでありまして、誤解のないように、一つその点はお答え願いたいと思います。
  198. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいま委員長の最後のお言葉の中で、等級改正を間近にやるのじゃないかというお話でございましたが、これは先ほど来私どもから申し上げました通り、まあ等級の今後どういう案が出ますかはわかりませんが、等級改正は、少くとも今すぐ、たとえば七月、八月に案が出ましても、それがすぐにその次に一カ月、二カ月たって実施できるというような性格のものではありません。これは、できました等級案につきまして、また慎重審議いたしました結果、実施するわけでございますので、もし等級改正が出ましても、その実施は、とても私どもといたしましては、いつからできるというようなことは考えることのできない問題でございます。ただ、私どもといたしましては、なるべく早く実施いたさなければならないと思っておりますが、非常に大きな改革になりますれば、もし内容がそういうような大きな改革になりますならば、時期といたしましては相当先のことになるのではないかというふうに考えております。また一方、公共割引につきましては、昨年すでに調整の件についていろいろお話が出た次第でございますので、この点につきましては、農林、通産両省と十分御相談の上、検討さしていただきたいというふうに存じております。
  199. 千田正

    千田正君 もう一点だけ。農林省に私は注文しておきたいのですが、ちょうど経済局長がお見えになっているから、さっきからのいろいろな質疑をお聞きになっていると思いますが、この問題は特に農林水産委員会としましては、もし国鉄がいろいろな問題になっておる点が、改訂なり、あるいは相当の国鉄それ自体の運営上どうしても上げなくちゃならない問題が起きてくるというと、当然、生産消費の上からいっても、農林、水産という問題が大きな問題になってくると思います。そこで、国鉄の審議にも、あなた方の方から代表者が行って参加しておると思いますが、審議の過程において重大な結果が生じない前に、農林省とされては、われわれに十分相談してもらいたい、この点だけは特に申し上げておきます。
  200. 須賀賢二

    政府委員(須賀賢二君) 先ほどから議題になっておりまする点につきましては、貨物等級専門委員会には私が農林省の立場で参加をいたしております。従いまして、その状況等も承知をいたしておるわけでございます。問題は、非常に大きな問題でございますので、農林省といたしましても、関係団体等とも緊密な連絡をとって参るようにいたしておるわけでございます。いずれもう少し審議が進んで参りましたならば、適当な方法をもちまして十分御連絡申し上げたいと存ずる次第でございます。
  201. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) それでは、本案は今回はこの程度にいたしまして、問題の進展によりましては改めて議題とすることがあるかと存じます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後六時九分散会