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1959-03-24 第31回国会 参議院 農林水産委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十四日(火曜日)    午前十時五十六分開会   —————————————   委員の異動 三月二十日委員田中茂穂辞任につ き、その補欠として西川甚五郎君を議 長において指名した。 三月二十三日委員西川甚五郎辞任に つき、その補欠として田中茂穂君を議 長において指名した。 本日委員安部キミ子辞任につき、そ の補欠として小笠原二三男君を議長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     秋山俊一郎君    理事            雨森 常夫君            堀本 宜実君            東   隆君            清澤 俊英君            北 勝太郎君    委員            青山 正一君            重政 庸徳君            関根 久藏君            仲原 善一君            堀  末治君           小笠原二三男君            河合 義一君            小林 孝平君            棚橋 小虎君            千田  正君            北條 雋八君    衆議院議員            田口長治郎君            高田 富之君   政府委員    農林政務次官  高橋  衛君    農林省畜産局長 安田善一郎君    水産庁長官   奧原日出男君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    水産庁生産部漁    港課長     林  眞治君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○漁港法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○繭糸価格安定法の一部を改正する法  律案衆議院送付予備審査) ○漁船法の一部を改正する法律案(衆  議院送付予備審査) ○酪農振興法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ただいまから、農林水産委員会を開きます。  漁港法の一部を改正する法律案(衆第五四号)(衆議院提出)、繭糸価格安定法の一部を改正する法律案(衆第五五号)(予備審査)、漁船法の一部を改正する法律案(衆第五六号)(予備審査)を一括して議題にいたします。  まず、順次提案理由説明を求めます。
  3. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) ただいま議題となりました漁港法の一部を改正する法律案について提案理由を御説明申し上げます。  漁港法は、水産業の基本的な生産基盤である漁港整備し、その維持管理を適正にすることを目的として昭和二十五年に制定され、自来同法第五条に基き全国にわたり二千六百八十港の漁港指定し、さらに同法第十七条に従って、このうち六百四十七港を整備計画の中に取り入れ、国はこれに対し年々相当額修築事業負担金あるいは補助金を計上し、漁港整備事業促進に努めており、その結果三十四年度完成見込みのものを加えますると、今日までに百三十六港の漁港整備され、水産業振興に貢献をいたしておりますことは、ここに多言を要しないところであります。  漁港の種類には、第一種から第四種まであつて、その位置、規模利用度等の別に応じ、格づけが行われ、その費用についての国の負担及び補助についてある程度の格差をつけているのでありますが、その中にあつて利用範囲全国にわたる七十八港を第三種漁港としてその整備には相当の努力がなされておるのであります。  しかしながら、このような第三種漁港中にありましても、水揚高の多寡、国民経済に対する寄与の度合いから見ておのずからそこには漁港としての機能、役割において頭角をぬきんでており今後の漁港対策上、一般の漁港と全く同一に律するわけには参らないと思われるもののありますことも否定しがたいところであろうかと存ずるのであります。  このことにかんがみまして、この際、第三種漁港のうち、水産業振興上特に重要なものを特定第三種漁港となし、この種の漁港については漁港整備の国の基本方針である整備計画に基き、施行者意見を尊重しつつ、農林大臣みずからが総合的判断のもとに、さらに高度の技術的要因に考慮を払つて、その修築計画を定めることが、適当であると思量し、ここに本改正案を提出することといたした次第でありすす。  その他この改正伴つてそれぞれ関係条文を整理いたした次第でありすす。  以上がこの改正案提案理由並びにその内容であります。   —————————————
  4. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 次に、繭糸価格安定法の一部を改正する法律案に対する提案理由説明を求めます。
  5. 高田富之

    衆議院議員高田富之君) ただいま議題となりました繭糸価格安定法の一部を改正する法律案につきまして提案理由説明を申し述べたいと存じすます。  昨年の暮に、政府におきましては、今期生糸年度を通じて繭糸価格安定法による繭につきましては、一貫目最低価格千四百円ということにもかかわらず、これを千円というところまで大幅に引き下げを行いまして、これにつきましては繭糸価格安定法施行令臨時特例に関する政令というものを出しまして、従来繭糸価格安定法施行令におきましては、繭の最低価格生産費の八割五分というものを下つてはならぬということになっておりましたのを、この特例によりまして六割を下つてはならないというふうに改めたわけでございます。千四百円が千円になつたわけでございますが、思うに、繭糸価格安定法の中でも、特に最低繭価の算定につきましてきめられております精神というものは、あくまでも農民生産物である繭に対しまして生産費の一定の程度を保証することによって繭の価格安定をはかろうということでありまして、農産物の価格支持制度の一環でありますことは申し上げるまでもたいと思うのであります。しかるに、たまたまこれが政令にゆだねられております関係上、政府におきまして、こういうふうに国会に諮らずにいかようにでも動かすことができるということに相なっておるわけでありまして、この点は法の精神繭糸価格安定法精神から申しまして、そう悪意的に、生産費の八割五分程度であったものが一拳に六割程度にもなることが可能であるということは、この精神をくずすおそれが多分にあるものと思うのであります。従いまして、私どもはそういうことを政令にゆだねないて、この重大な最低繭価につきまして、少くとも八割五分というので全然ゆとりがないということであるならば、若干ここに幅を持たせまして、少くとも七割五分程度以上のところでなければならぬということに、七割五分を下つてはならぬということに、これを正式に繭糸価格安定法の中に挿人いたしまして、政令に一切をゆだねるという従来の行き方を改めなければならぬと思うのであります。現在の千円に下げたということも、結局千円に下げれば政府が買い出動をする必要のない価格であるから下げたとしか考えられないのでありまして、実際的には最低繭価支持制度の放棄にひとしい。確かにこれは実質的に最低繭価を放棄したと見ざるを得ないのであります。形式上は放棄してないと申しましても、実際的にまた最低繭価が千円の線までになりました場合には、理論上これを、今までの状態で言いますれば、さらにこれを八百円に下げるということも可能となり、繭が八百円に下れば、さらに六百円に下げるということも可能であるというような法律になっておりますので、これははなはだ法の精神に反することは申すまでもないと思うのであります。同時にまた、常識論からいきましても、昨年度の繭価暴落状況を見まして、与野党とも当時の状況においておおむね最低千二百円くらいのところでこれを押えなければなるまいと、どうしても千四百円というものか必要と考えるならば、差額の二百円程度は別途の方法でこれを助成すべきではないかという考え方がほぼ一致を見るような空気もありまして、農林当局においても、大体これを是認せられた状況であるのであります。それを一挙に千円に下げたというのは、実に意外なことでありまして、全くこれでは最低価格支持制度を事実上放棄したというふうにしか見られないのでございます。こういうふうなことが恣意的に簡単に行われるものであつてはならないと思いますので、私どもはあくまでも繭糸価格安定法精神を生かしますために、法の中で政令にゆだねる場合に、明確に繭の生産費の額の七割五分を下るものであつてはならないというふうに最低繭価について明記いたしたい、かように考えるわけでございます。八割五分をなぜ七割五分にしたか、六割でなく、七割五分にしたかということ、その辺の理論的根拠は何ぞやということになるかと思いますが、これはただいま申し上げましたように、大体昨年度における経験から申しまして、ほぼ妥当な線であろうということが言えると思うわけであります。  なお、今回審議しておりますところの蚕繭事業団というふうなものもありまして、これによって若干のこれの操作は可能であろうと思いますので、一応七割五分を最低にいたしまして、そうして従来農民が強く叫んで要望して参りました生産費の八割五分というところの近くまで事実上の操作においては持っていくことも可能ではないかと思うのであります。というようなことでありますので、この際妥当な線として私どもは七割五分というものを法律上これを明確に定めていただきたい。こうすることによって、養蚕農民にいたずらに不安動揺を与えることなく、真に養蚕経営に精進するような状態を作り上げたいと考える次第であります。  どうぞ皆様の慎重なる御審議をいただきまして、そのような改正ができますようにお願いを申し上げる次第であります。  以上をもちまして簡単ですが、提案理由を申し上げます。   —————————————
  6. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 次に、漁船法の一部を改正する法律案について提案理由説明を求めます。
  7. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) ただいま議題となりました漁船法の一部を改正する法律案について提案理由を御説明いたします。  漁船法は、漁業調整その他公益上の見地から動力漁船の隻数または合計総トン数最高限度を設定するとともに、長さ十五メートル以上の動力漁船建造等については許可制として、漁船建造等を調整し、また、漁船はすべて登録及び検査を受けることを義務づけ、その他船主の依頼に応じて漁船性能検査あるいは試験を行うこと等によって漁船性能の向上をはかり、漁業生産力合理的発展に資することを目的として制定されておることは御承知の通りであります。  このように、漁船漁船法により、すべて登録を受けなければならないのでありますが、そもそもこの法律に基く漁船登録制度は、連合軍司令部の指令に基いて制定された漁船登録規則内容をほとんどそのまま継承したものであつて、当時の事情から、すべての漁船につき厳重な登録制がとられ、登録を受けなければ漁船として使用できないこととなっているのであります。  現在登録を受けている漁船は、約四十万隻あり、これら漁船の中には、科学的な装備を有する数千トンの大型漁船がある反面、無動力漁船が約二十五万隻もあり、このうちには、櫓、かいのみをもって操業する一トンに満たないきわめて小型のものが約十九万隻も含まれている現状であります。  これらの小型漁船を使用する漁業者は、すべて沿岸の零細漁業者でありますので、法の命ずるところにより登録または三年ごとの検認を強制しますことは、それらの者の漁業に支障を与えますのみならず、今後なお登録制度を存続せしめておく実益もほとんどないと存ずる次第であります。従いまして、この際、無動力漁船のうち、総トン数一トン未満の漁船に限っては登録義務を課さないこととし、ここに本改正案を提出致したのであります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。   —————————————
  8. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) では、漁港法の一部を改正する法律案について、これから審議を行うこととし、その他の法律案審査は日を改めて行うことにいたします。  先ほど提案理由説明を聞きました漁港法の一部を改正する法律案(衆第五四号)(衆議院提出)を重ねて議題といたします。この法律案は、去る十八日、衆議院会議全会一致をもって可決され、当院送付、当委員会に付託されました。  次に、この法律案について、政府から付言されることがありますれば、この際発言を願います。——別発言はないようであります。それではただいまから法律案審査を行います。質疑に入ります。御質疑のある方は御質疑を願います。
  9. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この第三種七十八港ですか、このうちの特定第三種漁港というのは、具体的には何港になるのですか、この法律が生かされれば。
  10. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) まだはっきりきまらないのでございますが、一応決定をするものさしといたしまして、過去三カ年間の水揚高及び過去三カ年間の水揚高のうちで、県外に移出をした数量が五〇%以上、それから過去三カ年間の入港漁船数が二十五万トン以上、それから主として遠洋漁業関係がございますから、接岸岸壁が百五十メートル以上、その程度ものさしにして指定政令に譲ったらどうかと、こういうような考えでおるのであります。  以上、お答え申し上げます。
  11. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この提案理由を聞きますと、どうしても特定第三種漁港指定の必要があると現実にそういうことをお認めになって、こういう法律案を御提案なさるのですから、従ってそのものさしは何々等ということでなく、政令内容になるものであつても、この法律案を通すときに確定しておいてもらわなければ不都合だというふうに私は感ずるのです。そして具体的に、どこの漁港がこの特定第三種漁港と、この法律が通る段階においては指定されるのだということは、明確になっていなければ、これは議員立法でありますから特に工合が悪いと私は思う。現実にその必要を認めてこういう法律案を出したのだから、必要な漁港はこれこれだということをわれわれにも明示していただきたいと思うのです。そうでなくて、法律にはこうしました、政令にゆだねます、その結果、また議員がそこに殺到して政令のいろいろなものさしを変更することによって、特定第三種漁港というものへ指定を受けるという運動が起つてくる、そうしてかれこれと取捨選択されるというような、そんな政治的な幅があるようなやり方であつては、私はこの種の客観的な行政をやっていくことに不都合だと思う。そういう意味では私は、今、提案者お話しになりましたそのものさしは、衆議院法案を通過させる際における最終的な結論であるのかどうか、この点もお伺いしたいし、それはその通りまたこの法律案が通った暁には、水産行政当局において政令としてそのまま出していこうとされるのであるかどうかお伺いしたいし、そうだとすると、予想される第三種漁港は、どれどれがこの特定第三種漁港になるのかということもここに明らかにしておいていただきたい。重ねて御質問いたします。
  12. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) ただいま私申し上げました四項目につきましては、衆議院でもさよう決定いたしまして法案を通過させた次第でございます。以上の四つの条件で全区の第三種漁港を策定いたしますと、長崎博多下関焼津三崎銚子塩釜八戸、以上が大体このものさしにはまる第三種漁港になっておるのでございます。
  13. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 政府として特定第三種漁港指定基準として考慮いたしておりますものは、ただいま田口先生からお述べになりました四つ基準をそのまま取り上げたい、かように考えておる次第でございます。もう一度繰り返して申し上げますれば、年間の漁獲物水揚高が五万トン以上及びその中で県外に対しまする出荷率水揚高の五〇%以上、さらに第三には入港登録漁船のトン数の平均が二十五万トン以上、第四といたしまして大型漁船接岸施設水深四メートル以上のものの延長が百五十メートル以上のもの、これを基準として取り上げることにいたしたい、かように考えておるのでございます。これを今の漁港に当てはめまして考慮いたしますれば、ただいまお話が出ましたように八戸塩釜銚子三崎焼津下関博多長崎、これがこれに該当いたす、かように考えておる次第でございます。
  14. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今おあげになつ接岸施設水深四メートルの百五十メートル以上ということを言いましたが、これは現在そういうふうに完備しておる所ということですか、こういうふうにする所ということですか。
  15. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 言葉が足りませんのでお尋ねを重ねていただくのでございますが、現在のところ、接岸施設及び漁港整備計画にあげておりまする工事予定、これを合せまして百五十メートル以上、かように考えております。
  16. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、今おあげになりました八戸以下の漁港のうち、この施設完成していない所はどこどこですか、第三種漁港として。
  17. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 現在まだ完成いたしておりませんために、漁港整備計画で取り上げて工事をいたしておりまするのは八戸及び塩釜の二港でございます。その他の港に関しましては完成をいたしております次第であります。
  18. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、八戸塩釜がかり特定第三種漁港指定になりますと、今までの第三種漁港計画等はまたついでのことに総合的に計画変更になって予算がつけられると、こういう可能性も出てくるわけですか。今までの計画計画で進め、その上にプラスされて特定三種となるのですか。
  19. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) さしあたりは特定第三種漁港指定をいたしま出して、現在の漁港整備計画の可及的早期完成に努めると、こういうことでございます。漁港整備計画全般につきましては、過般漁港部設置に関します水産庁設置法改正を御審議いただきました次第でございますが、われわれといたしましては、第三種のみならず、その他の漁港に関しまするものも含めまして、全般的な現在の漁業状況推移に応じまする再検討をいたしまする目的をもちまして、明年度からこれに関する調査に取りかかりたいと、かように考えておる次第でございます。
  20. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは、この特定第二種漁港となる特典というものは具体的に何ですか。
  21. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 今まで漁港法といたしましては、漁港修築は国も自治体も漁業協同組合もできると、こういう建前になっておるのでございますが、府県計画を立てましてやるもの及び漁業組合計画を立ててやるものばかりでございまして、国が修築計画を立てる漁港一つも今日までなかったのでございます。今、特定第三種漁港として選びます漁港は、ことに遠洋漁業なんかが、全国漁船が集まつてくる漁港のおもなるものでございまして、この全国的な漁船が集まる所では、一県——地元の県だけの計画では漁業の趨勢とかあるいは漁業現状だとか、漁場の変遷だとか、そういう点がどうしてもその県に偏して、全国的の漁船が利用するのには不都合がある次第でございますから、そういう漁港だけは一つ農林大臣修築計画を、非常に全国的の漁業推移も考え、広い視野から計画を立てる必要がある、この点が一つと、もう一つ規模が非常に大きいし、また水深が深いと、こういうような点から、地方的の技術よりも高度の技術を必要とする点におきまして、やっぱり農林大臣修築計画を立てて進むことが適当であり、府県だけの計画ではどうもその点がちぐはぐになるのじゃないか。こういうような観点から、第三種特定漁港農林大臣修築計画を立てると、こういうことにいたした次第でございます。
  22. 重政庸徳

    重政庸徳君 これはどうもはっきりせぬのだが、簡単にいえばこの特種、種漁港指定ということは国営でやるということですか、農林大臣計画々立てるにしても、県が立てても、やはりそれを農林大臣審査して、農林大臣が納得いかなければそれを認可しておらぬのが今までの行政じゃないか、だからこのねらいは、はっきりそういう特定のものは国営計画を立て、国営で施行すると、こういうことなんですか、そこまでいかぬのですか。
  23. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 私どものねらいといたしましては、この種漁港国直営でやつた方が一番いいと考えているのでございますが、すでに予算も編成され、現状においてはまず第一歩を踏み出すということで、今年は修築計画を立てる、こういうことにいたしまして、来年以降一つ直営ということに努力しなければならぬのじゃないか、こう考えた次第でございますが、今年の法の改正直営まではどうしてもいきませんでしたから、その一歩前進という意味におきまして、修築計画農林大臣が立てる、こういうことにした次第であります。
  24. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私もその点お尋ねしたいと思っておつたのですが、まあ直営であれ、国営であれ、言葉はどうでもようござんすが、この法の精神全国的に利用度の高い所を指定してりつぱな漁港に作り上げるのだ、従ってその金は国が投ずるのである。地方には負担させない。そこがねらいですか。
  25. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) できるだけ国の経費でやらせることがまあ理想的でございますけれども、いろいろ法案との関係もあって、補助率の改訂ということはなかなか容易ではないのでございますが、私どもも今の御意見等でできるだけ国に負担させることに、全国的の漁船が非常に利用するのでございますから、一県だけの地元負担ということはそこに非常に無理がある、そういうことも考えるのでございますが、将来はそういう方向に努力しなければならぬと考えております。
  26. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この法律を実際運用する段階なつたら、政府はどうするのか。
  27. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) さしあたりは現在の漁港法及び北海道及び離島に関する特例がございますわけでございますが、現在の漁港法負担の国及び地方団体との比率によりまして実行をしていくべきであると、かように考えておる次第でございます。ただ、将来の方角といたしましては、こういうふうに単なる地方的な漁港でなしに、全国的観点に立ちましての魚類の集散のかなめになっておりまする港につきましては、一方におきましてただいまお話が出ましたように、工事促進ということを急速にやりますとともに、負担の問題について、単なる地方的な港湾との間におのずから取扱いが異なるべき方角があるのじゃないか、かように存ずるのでございますが、この点に関しましては、今後の予算の問題に関連いたすのでございます。明年度の問題といたしましては、なお解決を見ていない次第でございます。
  28. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと、従来の漁港整備計画に基いてとつた予算の中から特定に、またこの種のものに金が分配されるというだけのことであつて、特にプラス・アルフアで増額して、国家的見地でここに相当額の投資をする、そういうようなことにはちよいといかないということなんですね。結局、従来の漁港整備計画でまだまだやらなくちやならぬところが、あるいは政治力の弱いところはおくれてくるというような、整備促進されないというような結果が起きるのか、起きないのか、その点が心配なんですよ。このほかは大へんいい。しかし、そのために片方どつかにしわが寄つていくというようなことはあるのか、ないのか。
  29. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) ただいま特定第三種漁港として予定をいたしておりまするものにつきましての漁港整備計画によります全体の事業量は、これは四十二億ばかりでございまするが、その中で三十三年度までにでき上っておりますものは十億ばかりでございます。三十四年度以降に残つておりますものが、事業費といたしまして三十二億ばかりの見当に相なります。これは国費といたしまして十六億に相なるのでございます。ただこれは、現在の漁港整備計画の中におきまして、これが達成をはかつていかなければならない、その額であるのでございますが、将来かりにこの負担率が国の負担が増額いたすといたしましても、それによります毎年の負担増というものは、これはごく一部分ではないか、今年の予算の伸びが実質的には前年度に比べまして約九億伸びたのでございますが、その中でかりに特定第三種漁港につきましての負担率を、一般には五割でありますものを、七割五分というふうなことにかりに引き上げるといたしましても、それによります負担の増というものは、これは約一億弱、こういうふうな数字にとどまるのではないか、かように考えておるのでございまして、十分そういう方角にかりに参りましても、今の漁港費の伸びをもってすればこれをこなし得るのではないか、かように考えておる次第でございます。
  30. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、特定三種の、今あげられた八戸以下の漁港の、特定三種修築計画をかりに立ててやるにしても、負担増は一億弱であるということであるなら、大体修築計画全体に要する費用をどの程度に見ておるのか。
  31. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 特定三種についての数字は今申し上げましたのでございますが、もう一度繰り返して申し上げますれば、特定三種の全体の整備計画は四十二億でございます。そうして、その中で国費負担分は二十二億でございます。それで三十三年度までにやつておりますのが、事業費といたしまして十億、国費負担分として六億二千万、三十四年度以降に残つておりますものが、事業費といたしまして三十二億、国費といたしまして十六億、こういう見当でございます。  それから漁港整備計画全体について申し上げますれば、漁港整備計画全体につきまして、総事業費は五百十五億でございます。この国費負担分が三百四十五億でございます。三十三年度までに完成をいたしておりまするものは、その中で事業費といたしまして百四十四億、国費といたしまして百億でございます。なお残つておりまするものは、事業費といたしまして三百七十億、国費といたしまして二百四十五残、これだけのものが残つておりまする次第でございます。この残つておるものの中に、この全体の数字の中に、ただいま申し上げました特定三種の数字が包含されております次第でございます。
  32. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 繰り返してお尋ねしますが、それは特定三種指定された第三種漁港整備計画予算なので、従来の計画に基く予算なので、私の聞いているのはそれが完成されて、あるいは完成されないにしても、並行付随して特定三種修築計画に基く事業費というものが出てくるだろうが、大体それはどの程度に見定めているのかということを聞いている。三百七十億の総体の金以外に、特定三種に新しい修築計画に基いてどの程度予算を必要とするとお考えになっているか、お尋ねしたい。
  33. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) ただいまお尋ねのございました点は、昨年度から現在の漁港整備計画の再検討をいたしたいと、こういう点から調査を始める次第でございます。おそらくその調査に二年ないし三年ぐらいの歳月を要すると、かように考えるのでございますが、その上におきまして、漁港整備計画の新しい改訂をいたしました暁でございませんと、これらの港についての今後の拡充費がどういうことになるかというような結論はまだ持ち合せていない次第でございます。
  34. 清澤俊英

    清澤俊英君 大体さっきから「特定三種」といわれるが、これは新しくできた熟字ですか。ちょっとこれを審議するにその点があらかじめわからぬと、かなわないのですよ。特定三種漁港というものは、この提案説明や法文を見ますと、新たにできた一つの区分じゃないですか、こう思うのですが、その点はどうなるのですか。漁港法施行令によりますと、第三条第一項にこの基準が、それから第四条を見ますと、こういうふうな基準は左表のりとするとして、区分が一、二、三、四と出ている。今度新たに特定三種港というものを、そういう区分を一つ作り上げるのですか、その点はっきりしておいていただきたい。
  35. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 第三種漁港のうちに、特定第三種漁港を作つたわけでございます。
  36. 清澤俊英

    清澤俊英君 だから第三種の中に、ただいまあなたがおっしゃったような基準の中に該当するものを特定三種として取り扱われる、こういうことになるのですね。
  37. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) そうでございます。
  38. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで来年度以降調査をする、二、三年かかるであろう、その後に修築計画が立てられるという形になるのですね。そうすると、提案者は、本年は農林大臣修築計画を立てる段階であつて、来年から予算をとるのだ、こう言っておることとはまるで開きがあるわけですが、これはどつちの方がどつちなんです。
  39. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) ただいま私が今後明年度から行政機構を拡充いたしまして、調査に取りかかりたいと申し上げておりますのは、漁港整備計画でございます。で、ただいまここに提案されております農林大臣修築計画を定めると申し上げますのは、漁港整備計画を実行いたすに当りましての現実修築計画、この意味でございます。その間に食い違いはございません。
  40. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その根本的に漁港整備計画をお立てになる基準等もいろいろ変る、来年度以降そういう変るという予想があるのに、新しい漁港整備計画に基く修築計画が今年中にできるというのはどういうことですか、あらためてお尋ねしたい。どうもあなたの言うことはわからん。私の方が聞き取り方が悪いのかもしれぬが……。
  41. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 漁港整備計画を改訂いたすと申し上げまするのは、漁業の実態が昭和三十年に漁港整備計画ができましてからだいぶ推移をいたしておるのでございます。また、あの際にも漁業上の必要から満度に修築をするというところまで整備計画に織り込みかねておったわけでございます。そういうふうな実態に合いまするように適地を選定いたしまして、またその選定いたしました港についての事業計画を取りきめる、こういうことをいたしたいと、こういう意味でございます。で、第一種から第四種に現在相なっておりまする漁港の分類自身の問題につきましては、われわれといたしましては、現在これを改訂しようというようなことは実は取り上げて考えておらないのでございます。ただ、ここで第三種の中の特に重要なるものについては修築計画を国が定めるというふうな取扱い上の的確を期して参りたいということだけの改正を今度いたそうという、こういうふうな御提案の趣旨と了解いたしております。
  42. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、提案者が言うごとく本年度は、三十四年度、農林大臣修築計画を定める、三十五年度からそれに対して特定な財源を付与する、これはそれでいいですね。
  43. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 三十四年度から農林大臣修築計画を定めると申し上げまするのは、三十四年度に国の財政から見ましてどの程度の事業を特定の港についてするかという見通しが立つわけでございます。それに応じまして当該年度の事業につきましての修築計画農林大臣が定める、こういうことであるのでございます。もちろんそれは当該年度のみならず、そのあとの模様も、見通しを立てた上での修築計画ではございますけれども、財政的にはあくまでも三十四年度分についての修築計画農林大臣が定める、こういうようなことに相なるのでございます。従って、三十五年度以降どういうふうにするかということは、これはさらに三十五年度以降の予算等の関連が固まつて参りませんと、取りきめにくい次第でございます。
  44. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは最後にお尋ねいたしますが、第三種七十八港の漁港のうち、先ほどあげられた、予想される特定三種になりかねるボーダー・ラインにある漁港をお示し願いたい。
  45. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) ボーダー・ラインにある港といたしますれば、石巻、気仙沼等が問題になって参ろうかと存ずるのであります。また、ボーダー・ラインというよりも、さらにやや落ちる港といたしましては、たとえば釜石あるいは那珂湊、香住、堺、八幡浜、奈良尾あたりの間であろうかと、かように考えるのであります。
  46. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、今お示しになつた石巻、気仙沼、この二港については四条件のどこが欠けるのですか。こういうことをしつこいように聞くのは、あとで政治的に入れたり、出したりということを避けるために速記をつけて聞いておこうと思ってやつておるのです。蠢動の余地をなからしめるためです。あなたの方を助けておるのです。
  47. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 石巻、気仙沼に関しましては、大型漁船接岸施設を百五十メートルを必要としないのではないか、こんなふうな観点からこの特定三種指定から漏れて参ります次第でございます。
  48. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 接岸施設百五十メートルを必要としない、まあ水揚げは五万トン以上であり、他県出荷は五〇%以上であり、入港トン数は二十五万トン以上である。こういうことで接岸施設を必要としないというのは、十分だという意味ですか。
  49. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 現在の漁港整備計画につきましては、その整備計画完成までの間の一応の見通しを立てまして、計画を策定したわけでございますが、それによりますれば、百五十メートルの大型漁船水深四メートルを必要とする接岸施設は、これらの港については必要がないのではないか。かような計画に相なっておる次第でございます。
  50. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、内容としては、その後漁港の重要度、全国的な重要度という点においては特定三種である、しかし、修築計画を立てるというのはその必要はない、だからこれは第三種そのままでいいのだ、あと他に何ら加えるべき施設は必要がないのだ、こういうことなんですか。
  51. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 石巻、気仙沼に関しましては、大型の遠洋漁船があそこを本拠とし、あるいはあそこに水揚げをするというような実態が現在はないのでございまして、従ってそういう大型漁船接岸施設を必要としないと、こういうことに漁港整備計画においても決定をいたしたのでございます。今後の漁業の実態の推移によりましては、あるいは今後こういう港についても研究をしなければならないのではないか、かように考えておるのでございます。
  52. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それから次に釜石、那珂湊以下の、もっと一段と落ちるというところはどんな諸条件が落ちるわけですか。
  53. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) これらの港に関しましては、たとえば釜石について申し上げますれば一万六千トン、那珂湊について申し上げれば三万六千トン、この程度の水揚げでございまして、従ってそういう意味におきましても一つの要件を欠いておるのでございます。
  54. 千田正

    ○千田正君 この特定という名を課せられた以上は、従来の第三種とは別個に考えるということになると、さっきから小笠原委員も質問しておる通り、何かそこに区別しなければならない。従来これらの先ほど提示されました港というのは、港湾設備と相関連する問題だろうと思うので、特定という名前を課す以上は、運輸省のやつておるやり方の補助率とかなんとかで調整しなければ特定意味をなさないのじゃないか、こういうことですね。それから、先ほど事業量とそれから予算の面において比較的話されておりましたが、こういう特定のものが同じ中に含まれておった場合では、次の第三種以下の漁港に、予算に響いてこないか、こういうことをわれわれは考えるのですね。今でさえも六百何港のうち、わずかに今日までは百三十六港しか出ておらない、予算は足りないのみならず、特定漁港というものが出たためにそこに重点的に……当然小さい方に響いてくる、こう考えられるのですが、何か特定というものができたために今までの予算と違ってプラス・アルフアの問題がそこにくつついてこなければ特定意味をなさないと、こう思うのですが、それはどうですか。
  55. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 第一の問題、運輸省の港湾関係でございますが、まさにその通りでございます。港湾法による特定重要港湾では、実は国の負担が百パーセントまでの港湾も三つあるのでございます。その反面におきまして、特定重要港湾でありながら五〇%の国の負担率と、こういう二種類があるのでございます。前の三つの横浜だとか神戸だとか、あるいは関門だとかいうようなところは大蔵省がずっと前から直営でやつておりまして、この直営の過程におきまして港湾法ができてそのまま継承したという形でございます。特定重要港湾でありながら、なお国の負担が五割というものは、これは関門と横浜と神戸を除いた重要港湾でございまして、この重要港湾の部分は、港湾におきましても補助率を上げるということができないとして、漁港と同じ率の五〇%、こういうことにとまつておるのでありますから、この補助率の改訂の問題は将来といたしましては、やはり港湾漁港が歩調を一緒にして、そうして適当な時期に同時に解決する、こういうような方向でなければなかなかむずかしいのではないか、こういうふうに考えておるのでございます。  それから、第二の問題といたしまして、小さい漁港修築費をこれまた食うのじゃないか、こういう御心配はもっともでございますが、私どもとしてはさようなことがあつてはこれは一大事であるから、これを設定するために第二種と第一種等の漁港修築費はしわ寄せがないように細心の注意をいたしますとともに、将来はこの特定第三種漁港予算は何かはかのものと別にした予算にしたらどうか、そういうことも考えておるのでございますが、これはいかなる方面から考えましても、この特定第三種漁港ができましたために、第一種、第二種の漁港修築費を食う、こういうようなことはこれは絶対に避けなければならぬ、避くべきものである、こういうふうに考えておりまして、その点につきましては特に常に注意をしておる次第でございます。
  56. 千田正

    ○千田正君 水産庁にお伺いしますが、従来第三種漁港と第三種以外の漁港との予算の割り振りの比率はどういう程度なのですか。
  57. 林眞治

    説明員(林眞治君) お答え申し上げます。現在の予算の組み方といたしましては、漁港施設費は項になっておりまして、漁港修築費は目になっております。従いまして漁港種別ごとの予算は、予算面としては計上されておりません。全体一括して計上されておるわけでありまして、従来におきましても第三種漁港は、これはいろいろ考え方があると思いますが、先ほどからお話のありましたようなことで、日本の全体の漁業にとりましては重要性がございますし、内容といたしましては事業量も非常に比較的多い関係もございますから、事業実施の面に当りましては、事業量という面におきましては、従来も重視して事業を実施いたしてきたわけでございまして、たとえば整備計画の進捗率から申しますれば、昭和三十四年度はまだ予定でございますので、内容がはっきりいたしておりませんが、現在の三十四年度の予算をかりに考慮に入れまして考えました場合に、第十一種漁港は大体二五、六%の進捗率、それから第二種漁港は大体四〇%ないし四一%くらいの進捗率、第三種漁港につきましては五六%の進捗率、第四種漁港については四四%の進捗率くらいになるのではないかというふうに考えておるわけであります。もちろんこれは、まだ三十四年度の事業につきましては、ただいまいろいろ研究中でございますので、正確なことではございませんが、大体の傾向といたしましてはそういうことになろうかと考えております。
  58. 千田正

    ○千田正君 先般あげられました特定魚港とみなされる港について、従来も仕事をやっているでしょうが、かりにこの法律が通過した場合には、一斉に、三十五年度あるいは三十六年度には、あげられた漁港に対しては修築予算をつけようという御意図なんですか、どうなんですか。その点はどうなんですか、田口さん。特定三種に対しては、一応重点的に最初もうこれは予算の裏づけをやると、こういうお考えなんですか。
  59. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) その点をそうは考えていないのでございますが、これは将来皆さん方と一緒に研究しなければならぬと思うのでございますけれども、この遠洋漁業が非常に急激に発達したためにこの種の漁港が相当進捗度は上っておりますけれども、間に合わないというような、こういう事情にあるようでございますし、また一面から申しますと、場合によつたら借入金でもして急いで工事完成しようというような、そういうところもこの種の漁港にはあるようでございます。何か修築費の国の負担という問題ばかりでなしに、低利長期の資金でも設定ができますれば急速に修築を進めるというような、そういう道もあると思うのでございますが、これは第一種、第二種あるいは第三種の大部分ということになりますと、金まで借りてというような漁港が大部分でございますけれども、この第三種特定漁港では相当水揚げその他もありますし、そうして非常に漁業の進展に比べて困っているところがありますから、金を借りてでも一つ長期低利の資金であればと、こういうような気持のところも相当ございますし、そういう方面からでも工事を進めるような道を一つ将来一緒に皆さんと研究してみたいと、こう考えておるのでございます。
  60. 千田正

    ○千田正君 今、田口さんのおつしやられたそのお考え非常にいいと思うのですがね。予算の場合において、いつでも漁港修築に対する予算は、ここ二、三年というものは特別に飛躍してつけられているわけでもないと私は考えるのです。先ほどのパーセンテージを見ましても大体第三種以下の二種、一種等今後とも何とか見てやらなくちやならないというのが相当あるわけですから、ここへもってきて今の特定というようなものが出てくるというと、食い込まないと言っても実際は重点的にそこへ寄っていくという、われわれはそういうふうな危惧を持つのです。ですから、予算の原資というものはやはりどつかで別な面において考えて特定という問題につけてやらないというと、どうしても従来から見た漁港修築予算というものは毎年大した差がない姿をしておる。特定という名前がついたために、そこへ重点的に置かれるというと、しわ寄せが一種、二種という面へくるというと、予定修築事業量というものは減つていくんじゃないか。こういうことをわれわれは心配するのであつて特定という名前がついている以上は、プラス・アルフアというものの予算の原資というもののどっかから別個に見つけて加えていかなければ、どうも考えておられるような理想的なところに進んでいかないんじゃないか。こういう考えがいたしますので、その点をもう一度一つはっきり、水産庁あたりとしても考えておられると思うのですが、この点はどうなんですか。
  61. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 私は漁港事業拡充の将来の方角といたしましな、やはり二つの要素にバランスを合わした拡充をしていかなければならないと思うのであります。その第一は、漁民経済というものの作興のためにほんとうに零細な漁民の操業の根拠地である漁港整備していくと、こういう問題でございます。  それからもう一つの問題は、全国的な魚の円滑な流れに寄与いたしまするとともに、漁船が大型化し遠洋に出ていくということに対応いたしました、ここに掲げられておりますように、特定三種及びこれに準ずる港の整備を進めていくと、こういう問題でございます。  この二つの要素の間には、われわれといたしましては、その間にバランスをとった仕事をしていかなければならない、そのためにはぜひとも毎年の予算も伸びてほしいし、その伸びの中でもこの二つの重点をそれぞれつり合いをとって進めて参る、こういうことにいたしたいと思うのでございます。しかしながら、国の予算は御承知のごとく財政事情に制約をされるのでございます。従って、これによって伸びる幅というものはおのずから限界がある次第でございます。そこで、特定三種等の大型の漁港に関しましては、これは低利長期の資金を利用しての施設の拡充ということが当然織り込んで考えられるべきではないか。かつて余剰豊産物資金を導入いたしまして三崎及び下関漁港施設の一部の拡充をいたしたのでございますが、しかしながら、これも一年限りでその継続実施は困難な情勢に相なつたのでございます。しかし、われわれとしましては常にそういうふうな意味における低利長期の資金の導入活用ということをあわせて考慮し、そういうことの実現いたしまする機会を将来ともつかむことに努力をいたしたい、かように考えております。
  62. 東隆

    ○東隆君 各委員が心配をされていることについて、まだはっきりした御答弁を得ておりませんが、しかし、それ以上は一つなかなか容易でないと思いまするから御努力を願いたいと思うので、そこで私は港湾法との関係、今回の法律改正によってできてくる対象になる港湾は港湾法との関係が非常に密接になってくると思う。また、密接な連係をとらんければ私は所期の効果を発揮することができないと、こう考える。というのは、技術の面においても、それから港湾そのものの、今度はどちらかというと非常に大規模なものを前提においているわけでありますから、従って普通の港湾との関係が非常にできてくるのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、この辺はどういうふうにお考えになっておりますか。
  63. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 港湾との関係に関しまして、まず第一に考慮いたさなければならないことは、一般港湾と漁港との立地の選定でございます。これに関しましては運輸省との間にも取りかわしておりまする覚書があるのでございまして、両者の間に食い違いのないような連絡を不断にとつておる次第でございます。すなわち漁業の基地であり水揚地である港に関しましては、これは漁港としての指定をしていく、またあわせて商工的な性格を持っておるものにつきましても漁業にウエートのかかっているものにつきましては、これは漁港としての指定をする。しかし、一つの港が両方の用途に共用されておりまして、その間に種々の区別を区分することが実情に合わない、そういうふうなものに関しましては一般港湾と並びまして一つの港の中に漁港区域を指定して、その部分は漁港予算で担任をして実行している、こういうふうな状況にあるのでございまして、その間におきましての両者の間の食い違いはできる限りこれを回避するような努力をいたしておるのでございます。漁港修築自体につきましては、私は両者の間に、食い違いによって国民に迷惑を及ぼすというような実態は、全然ないと思うのでございますが、ただ、海岸保全につきましては、若干まだ漁港費の中の海岸保全部分の伸びが不十分なために、若干両者の間のバランスがとりかねておるというふうな部分があつては申しわけない、こういうつもりで、海岸保全の予算の増額を非常に努力をいたしておる次第でございます。  第二の問題といたしましては、港湾につきましては、御承知のごとく、特別会計が設置され、全体の予算の非常な伸びを見たのでございます。ただ、これは港湾の中におきましても、貿易関係、あるいは重油、石油その他の物資の輸入の関係等から、特に整備を必要とする港について、御承知のごとく、特に予算が伸びたのでございます。一般の港湾に関しましては、漁港予算と対比いたしますれば、その間の仕事の伸びについては、私はあるいは漁港予算が、実質的には二割七分明年度伸びていった方が、おそらく伸びが強いのじゃないか、かように考える次第でございますけれども、両者の間の食い違いのないように、今後とも予算の上におきましても、また事業費全体の上におきましても注意をいたしたい、かように考えております。
  64. 東隆

    ○東隆君 一般の港との非常にむずかしい関係は、たとえば県外に出荷をするもの五〇%以上、こういうふうになってきますと、すでにそのものは商品として取り扱うべきものであつて、漁撈を中心にした遠洋漁業にいくとか、そういうような関係じやなくて、すでにそこの港から出ていくときには、商品として出ていくんじゃないかと、こう考えますが、そういうふうに考えてくると、港との関係が大へんむずかしくなるし、もしそれが製品になって加工されたりなんかしてくると、もう全然違つたものになってきますし、いろいろな問題が出てこようと思います。そこで、私は漁港関係する予算が、あるいは財源が僅少になることをおそれるので、従って、もしそういうような面も、一般港湾の方でもって当然やるべきものならば、そちらの方でやつて、そして漁港そのものについては、今の予算をもう少しふやしてやっていく、こういう考え方は、これは予算の面からですけれども、どうせいろいろな関係でそういうことが考えられるんじゃないか、そういう意味で、港湾法との関連において考えなければならぬ節があるのじゃないか、こういう考え方でお聞きをしたわけです。そこで、港湾関係でもってやり得る仕事があるなら、そつちの方面にどんどん移していって、そしてこっちの方はプロパ一な漁業関係の方面をやる、こういう考え方も出てくるんじゃないかと思う。水産庁の考え方からいって、自分の関係の仕事をふやすという意味ならば、私はおっしゃったようなことでいいと思いますけれども、全体からながめてみて、どうせ金が出るところから考えていくと、港湾そのものを整備して、そうしてやるという面でもって、港湾法によって出し得るものがあるならばそれをもう少し出して、そうして、漁業の方面は、別途に沿岸漁民その他のためになる方面に大きく整備をしていく、そういう方面に金を使つていく、こういうことも考えられるのじゃないか。それは、第一種、第二種、第三種といいますか、そういうような港が、実のところを言って非常に放擲されておるのが事実じゃないか、だから、従って、その面を、これができることによってしわ寄せをされちや困るのですから、そういう点は、私はよほど考えなければならぬ問題じゃないか。で、漁港関係からいえば、そういう必要も出るけれども、しかし、全体からながめてみたときに、そういう面があるのじゃないか、こういうつもりで質問をしておるのです。  そこで、すでに一般港として取り扱えるようなものは、これは、向うの方に当然やらせる、こういうこともできるのじゃないか、こういうことでお聞きをしたわけです。しかし、お考えを願つてもいい節があるのじゃないかと思いますが、その点もう一度お答えを願いたいと思います。
  65. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) ただいま東先生御指摘になりました点に関しましては、われわれといたしましては、漁船が基地として利用し、またその漁獲物を水揚げをする、こういう港に関しましては、これはやはり漁港として、水産行政においてその責任を負うということであるべきではないか、かように考えるのでございます。従いまして、かりに県外出荷五〇%以上というふうな港につきましても、それが水産物及びその加工品である限りにおきましては、これは、あくまでもそういう港こそ、われわれとしていろんな施設を強化して実行していくということでなければならないと思うのであります。で、問題は、先ほども申し上げました漁港指定及び漁港整備計画内容自体に、仕事のために欲ばつて取り込んでおるものがありはしないか、こういう点であろうかと思うのでございますが、その点に関しましては、ただいま申し上げましたように、運輸省ともあるいは十分連絡をとり、一般港湾としてやるべきものは、先方でやつてもらい、漁港として確保しなければならぬものは、こちらの方で確保する、こういうことで努力をいたしておるのでございます。しかし、ただいま御指摘のありました御注意につきましては、われわれも現在そういう態勢でやつておることにつきまして、具体的な個々の地点につきましては、よく注意をいたすようにいたしたいと存じます。
  66. 清澤俊英

    清澤俊英君 さっきあげられた八つの特殊第三種漁港、このうちで、二十条の、国が修築事業をやつているというところはありますか。
  67. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 現在は、国が直轄工事をもちまして修築をやつておりますものは、北海道の第三種及び第四種の漁港のみでございます。
  68. 清澤俊英

    清澤俊英君 私の聞いているのは、さっき言われた長崎以下八港です。
  69. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 従って、これらの港については、国の直轄工事は現在全然いたしておりません。
  70. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは、今、施設者は国以外のだれということはいわぬですが、国以外の人で着工しておるのですか、この八つは。県なり農業協同組合なり……。
  71. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) これらの港に関しましては、地方公共団体と申しましても、みな県、博多についてだけ福岡市がやつておりますが、それが実施主体に相なっておるのであります。これは、漁港整備計画に従いまして、その実施にそれぞれ努めておる次第であります。
  72. 清澤俊英

    清澤俊英君 将来、これは二十条に振りかえるることはできるのですか。二十条の、国の直轄事業に振りかえることはできますか。
  73. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 今日の漁港法の制度の建前におきましては、これらの港について国が直轄工事を実行することを妨げる何らの規定もないのでございます。漁港法によりますれば、事業主体は国、地方公共団体及び漁業協同組合、こういうようなことに相なっておるのでございます。ただ問題は、予算の問題及びこれらの地方公共団体の受け入れ態勢の問題、そういう問題にかかるのでございまして、これらに関しましては今後とも研究をいたして参りたいと、かように考えております。
  74. 清澤俊英

    清澤俊英君 私のお伺いしておりますのは、これらのものが将来当然国に振りかえられるとするならば——今の御答弁でもちょっと触れておられるようですが、振りかえることもあり得ると同時に、振りかえるような考え方も潜在的にある、こう考えてよろしいのですか。
  75. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) われわれ明年度予算を編成いたしまする過程におきましては、そういうふうな問題もいろいろ検討いたしましたが、しかし、明年度の問題としてはまだそこまでいろいろな条件が熟しておりませんので、予算は御承知のごとき形において編成をいたしたのでございます。将来の問題としては、ただいま申し上げましたような点が熟して参りますれば、これは国で直轄工事を当然やるというふうなことも考慮すべきではないか、かように考えております。
  76. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ちょっと委員長、速記をとめて下さい。
  77. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記をとめて。    午後零時二十三分速記中止    —————・—————    午後一時一分速記開始
  78. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記をつけて下さい。  午後は二時から再開いたします。これで休憩いたします。    午後一時二分休憩    —————・—————    午後二時四十四分開会
  79. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ただいまから委員会を再開いたします。  酪農振興法の一部を改正する法律案(内閣提出、予備審査)を議題にいたします。  この法律案は、去る二十日衆議院農林水産委員会で修正議決され、本日衆議院を通過する予定であります。この法律案につきましては、去る二月二十七日に提案理由説明を聞いたのでありまして、ただいまから審査を行います。  まず補足説明を求めます。
  80. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 酪農振興法の一部を改正する法律案提案理由につきましては、過般高橋農林政務次官から御説明を申し上げたところでございまして、その主要な内容は七点ございまして、すでに御聴取願いました通りでございます。それに即しまして、重要な逐条の改正関係のその趣旨をきわめて簡明に補足御説明を申し上げたいと思います。  昭和二十九年にこの法律が初めて制定をせられましたときの趣旨は、やはり改正法案提案理由の中にも述べてございましたが、現行法に即しまするというと、第一条においてその目的が書かれておるのであります。今回は、この第一条の目的改正をその第一のねらいといたしております。改正をする点は、従来の法律におきましては、酪農の集約的な経営を今後行い得るような、適地とでも申しますと適当かと思いますが、集約酪農地域を指定いたしまして、その中に牛乳の処理加工をいたしまする乳業施設あるいは牛乳を集荷いたしまする集荷施設につきまして——この両者をもちまして酪農事業施設といっておりますが、この施設につきまして、都道府県知事の承認制度があるのでございます。指定されました集約酪農地域には、指定に当りまして県知事が作成いたしまするところの酪農振興計画がございまして、その計画の中で家畜の導入に関する事項、飼料の自給化その他の事項、牛乳の集乳施設に関しまする事項及び乳業の合理化に関しまする事項等を計画立てることになっておりまして、その中に酪農事業施設に関することもあるわけでございます。今般は、従来の法律指定集約酪農地域についてだけの、酪農農業経営につきましては、指定集約酪農地域だけの制度でございましたものを、従来の指定集約酪農地域制度を維持いたしまするとともに、その地域の内外にわたりまして、おおむね市町村単位の範囲内におきまして、集約的な酪農地域につきまして、酪農の経営改善計画を立てまする制度を新たに設けたいとしているところでございます。また従来は、集約酪農地域の地域制度の中におきまする乳牛の生産いたしまする生乳等につきまして、指定集約酪農地域内の乳業施設とともに、さらに全国的でございまするけれども、その取引の公正化をはかりますために所要の規定がございましたが、その所要の規定をさらに同種の目的のために追加をしようとしているのであります。すなわち、現行法におきましては、生乳等の取引につきまして、契約を売買の当事者がいたしましたならば、その契約を文書化すべきことを規定いたしまして、その都道府県知事に対しまする報告制度がございます。そしてもし、その文書化に関しまして、これを適正化するために知事が勧告をする要があります場合には、知事の勧告制度を建前といたしておりますが、昨年以来の牛乳の価格の不安定または酪農の不安定等を中心にいたしまして、生乳等の取引の公正化にさらに一歩を進める必要があるというつもりでございまして、これに関しまする改正としましては、単に文書化をいたしまする義務と、これに対する勧告制度ばかりではなしに、あとで申し述べますように生乳を販売する業務を行いまする農協または同連合会によりまする共販及び団体協約の締結または変更につきまして、これに関する規定を設けまして、さらにその生乳等の取引の売買契約につきまして、売買価格あるいは受け渡し場所、代金決済の方法等につきまして、最低限度に契約をしてもらう条件をつけ加えたのでございまして、あとで御説明を申し上げる通りでございます。また、日本の酪農の現段階では、終戦後異常なといってもいいほどの旺盛な発展を示しましたが、ようやくにしまして生産と消費との結合が必ずしも十分でない点が出て参つたのでございますので、政府が牛乳または乳製品の消費あるいは計画的な保管について補助を与え、助成をいたしまして、牛乳及び乳製品の消費と生産とを実態に即しまして制度化を一部すると同時に、政府のなすべき措置を規定してみたらどうであろうというので、牛乳及び乳製品の消費の増進に関しますること、特に牛乳の生産との均衡を保つがごとくその消費の増進をはかりまする措置を新たにとろうといたしておるのでございます。それらの点をもちまして酪農の振興の基盤を確立しまして、従来の現行法がもつぱら集約酪農地域制度のもとにおいて、急速なる酪農の普及発達をはかつて農業経営の安定に資することを目的といたしておりましたものを、酪農の健全な発達をはかって農業経営の安定に資することを目的とするように改めたいと存じておるところでございます。  それが第一条関係でありますが、次の点は御配付申し上げました法律案関係の分厚のとじものの中で一番終りに旧法律及び新改正案の新旧対照表が載つておりますが、これについてごらん願いますとありがたいのでありますが、第九条でございますが、現行法におきましては、酪農適地を集約酪農地域として指定いたしまして、この地域におきまして都道府県知事が酪農振興計画を立てることになっておるのでありますが、自給飼料の増産計画につきまして、さらにこれを毎年度省令の定むるところによりまして市町村別の計画を定めて公表することの規定がございます。これを今般は、酪農の経営安定の一大重要保護事項は、草地改良、自給飼料の増産にあるという見地に立ちまして、特に自給飼料増産についての法文をさらに整備をいたしたい。もちろんこの問題につきましては、予算、資金等の措置とか、制度そのものに関しまする事業計画上の制度また実施上の制度、維持管埋をいたしまする場合の制度等について必要なものがございましょうけれども、従来、都道府県知事が市町村別の計画を定め得ることをやめまして、市町村及び農業協同組合、その連合会とがいわゆる草地改良事業を行いまする場合も、従来の都道府県知事が行なつておりました酪農振興計画に基きました草地改良事業に準じて追加補足の規定を置きたいと思って御提案申し上げているわけでございます。従いまして、新旧の点を草地改良事業その他の飼料自給増産の計画及び事業に関しまして申し上げますというと、従来は、指定集約酪農地域と、この地域における酪農振興計画に都道府県知事と市町村長が草地改良事業を行う規定がございます。計画としましては、先ほど御説明申し上げましたように、自給飼料増産計画は、都道府県知事が酪振計画に基いて、指定集約酪農地域に計画を立てますと同時に、市町村別の計画も知事が立てることになっておりますが、実行は都道府県知事及び市町村長がこれを実行することについての規定がございますけれども、先ほども申し上げましたように、従来の指定集約酪農地域の制度を維持しますと同時に、その地域の内外にわたりまして、酪農経営の改善計画を立てて経営改善の合理化推進をはかつて参りたいと思っておりますので、今般は指定集約地域及び酪農振興計画に即したる草地改良事業は都道府県知事において行うことにいたしまして、酪農経営改善計画に基きまして草地改良事業を行いまするのは、計画はその酪農経営改善計画において立てると同時に、実施は市町村長及び農協、同連合会が行いまするように補足追加をいたすと同時に、それを法文として分離して規定をいたしたのでございます。  次に、改正案の第十条、現行法では第十二条でございますが、その十二条以降でございますが、見出しは「酪農事業施設の設置」とございます。その見出しのある章は第三節になっているわけでございますが、第三節の「集約酪農地域における集乳施設及乳業施設」、この酪農事業施設につきましては、先ほど申し上げましたように、生乳等を原料といたしましてバター、チーズ、粉乳、練乳等の乳製品の加工をいたしまする事業及び生乳等を飲用牛乳に処理加工いたしまする事業を双方含めているのでございます。あわせまして生乳を集荷をいたします集乳所を作る、そういう集乳施設をも含んでいるのでございますが、この酪農事業施設は、先ほど申し上げましたように、法文で規定をいたしました要件に従いまして、都道府県知事の承認制になっておるのでございます。今般、これを改めまして、改めるという意味は、追加をいたしまして、指定集約酪農地域にかかる集約酪農事業施設についてでございますが、すなわち、その意味は、指定されました集約酪農地域の中におきまする乳牛から生産されましたなまの牛乳等、これが地域の中で処理、加工、製造をいたされまする場合は、現行法通りを維持いたしますと同時に、さらにこの指定集約酪農地域の周辺の地域につきまして、農林大臣が地域指定を行いまして、集配地域として指定されました地域内の酪農経営から生産されまする生乳等が販売をされる、すなわち消費の方へ向いまして販売され、流通して参る、そういうある範囲の一定の地域につきましては、地域を指定いたしまして、この地域内の、すなわち指定集約酪農地域周辺の一定の地域内の酪農事業施設につきましては、その配置の適正化をはかるために、都道府県知事が農林大臣の承認をあらかじめ受けまして、必要な勧告をなすことができる旨を追加したのでございます。この指定集約酪農地域にかかる酪農事業施設というのは、繰り返して申し上げますと、すでに指定をしてある、あるいは今後指定されまする指定集約酪農地域において生産をされた生乳、牛乳が処理、加工せられる酪農事業施設でございまして、それが地域内にあるのは、現行制度通り。地域外におきまして、指定地域の周辺において、農林大臣が新たに指定をいたしました地域についての施設でございまして、勧告をする、勧告制度をとりますと同時に、その前提といたしまして、その地域については、同施設は都道府県知事に届出をしてもらいたいという規定を置いておるのでございます。  次に、おもな点を提案理由の御説明に即しまして申し上げますと、先ほどもちょっと触れました酪農経営改善計画でございますが、これは第二章の二の「酪農経営改善計画」という分に規定をしまして、これは全然新しい関係事項でございます。これはどのようなことを考えているかと申しますと、指定集約酪農地域内と地域外との双方にわたりまして相当程度乳牛の飼育頭数があり、飼養密度がありまして、合せまして農用地の利用を今後なお相当程度できまする条件のような場所に、生乳の販売条件等も考えまして、経営改善計画を立てる地区を指定したいと思っておるのでございます。従いまして、そういう地区は集約酪農地域の中にもございます。外にもあるのでございます。地域の広さをどんなものだと申し上げますと、一応市町村の行政区域の範囲内と思っておるわけでございます。市町村全部に、市町村内の全農家に行き渡りまするほどまだ酪農は普遍的ではございませんけれども、おのずから酪農の性質、牛乳の生産、販売、処理等の関係からいたしまして、酪農が行われ出しますと、相当集約的な密度を持っておるのが普通でございまするが、この地域の中で、今後十カ年あるいはそれ以上もたたないと酪農が普遍的にある地域とは言えないような非常に遠い将来の開発地域、酪農としての開発地域、そういうものを一応除きました。また同時に、大消費地等の周辺あるいは中にありまするような、農業経営とも言いがたいような、一種の農業経営かもしれませんが、耕地または草地あるいは山林等をも利用することをほとんどいたしませんで、濃厚飼料に依存しました専業的な搾乳酪農といいますか、そういうものが行われている地域をまたもう一つ除きまして、その範囲内におきまして、今後農業経営の中で乳牛飼育を取り入れて酪農の農業経営として発展させ、また経営を改善させる価値のある地域につきまして、市町村単位に計画を立ててもらって、その経営改善を進めていくことを法定したいと思うわけでございます。この市町村の中の相当の密度を持ちました区域、地区は必ずしも一カ所ではないと思われるのであります。町村数地区でもいいと思います。市町村内をその地区の特徴をもちました数地区に分けながら一計画を立ててもらうのもけつこうと思っておるわけでございます。  計画を立てる地域の要件は以上でございますが、計画を立てる人はそれではどういう人かと申し上げますと、これは一応市町村長に立ててもらいたいと思っておるのでございます。ただし、市町村長は、酪農経営をいたしまする農業者の意見を聞きまして、また農業協同組合連合会の行いまする事業もその地区に当然ございまするので、先ほど申し上げましたように、飼料自給に関しまする事業を農協や農協連合会に一そうの力を尽してもらうことも意図しておりまするので、その他の牛乳の共販事業、共同処理事業のことも考えまして、農業者の意見を聞くほか、計画で取り上げまする事業の内容が、農協または同連合会が行うべき事業につきましては、その当該農協及び同連合会に協議をしなければならぬようにいたしました。  さらに、農業委員会等につきましては、当然に農業振興計画に参画し、それの実施連絡に努力する使命が別途ございまするから、市町村長は、市町村の農業委員会等にまた意見を聞きまして、そうしてその改善計画を作成してもらうようにいたしております。この計画を作成しました場合、市町村は遅滞なくこれを公示して周知せしめる、そういうことを考えておりますし、その計画の変更に当りましては、また同様に区域内の酪農農業経営者の意見を聞いて、変更を要する場合には変更計画を作らなければならぬという規定を第十八条の二に置いております。また市町村にはおのずから計画作成の能力もございましょうから、本来、地方自治としても市町村が行うべきことでございますが、今回は特別、日本の酪農経営の改善安定に具体的に歩を進めるという意味をもちまして国の援助のもとに都道府県知事は、市町村から申し出のあったときには、経営改善計画の作成に関しまして必要な助言、監督、指導その他の援助を行うものといたしまして、この費用は県に向いまして三十四年度の予算といたしまして予算を計上いたしておるのでございます。  十八条の三以降は、先ほど申し上げました草地改良事業についての都道府県知事が行う以外の、すなわち市町村、農協、農協連合会が行います場合の規定を設けたのでありますが、これは従前からあります先ほど申し上げました九条の指定集約酪農地域に関しまする酪農振興計画に基いて都道府県知事の行います草地改良事業の規定をさきに従前通り置きまして、従前、都道府県と市町村とがともに行い得ることが書いてあります計画の実施の草地改良事業についての市町村の部分は、農協などと合併いたしまして、都道府県知事の行う場合と切り離しまして十八条の三以降にこれを規定したのでございます。おのずから市町村、農協、農協連合会は集約酪農地域の指定地域内ばかりでなしに、その内外にわたりますと同時に、酪農経営改善計画に基いて草地改良事業を行うようになるのでございます。知事は酪農振興計画に基いて行うようになるのでございます。さらにまた、その改良草地につきまして災害が起りました場合の災害復旧事業につきましても同様に事業実施態勢を明示いたしますように準用規定を置いております。知事が酪振計画に基いて行います草地改良事業と市町村が経営改善計画に基いて行いまする草地改良事業とは、その施設維持管理につきまして、すなわち改良された草地の維持管理につきましては、条例でこれを定めるのでありますが、農協と農協連合会は条例というわけにもいきませんので、組合の同意を得て組合員に対しましてその規約を適用するようにして、規約の効果は、条例とは若干違いますが、関係法文は条例と読みかえまして適用したいと思っております。  次は、十九条以下でございますが、これは先ほど申し上げました生乳の取引の公正化をさらに一歩進める部門の追加規定でございます。従前は一応生乳等の取引は生産者と生乳を買い上げる乳業者との間の自由取引を予定しまして契約をしましたならば、所定事項について文書化を行う、文書にして明らかにしておく、それを都道府県知事に報告しまして、都道府県知事はその適切でない場合には、適正化に関しまして勧告権を持っておるのでございますが、従来の実施状況と商慣習とにかんがみまして、さらに取引契約の規制事項を増加いたしたいと思っているのでございますが、その追加の第一は十九条の二でございます。十九条の二は、一項二項とございますが、売買価格などの約定に関しますることでございまして、現在の取引状況の大半を占める慣行の実情を申し上げますると、生乳等の生産者が生乳の処理業者、加工業者、乳製品の製造業者に向いまして生乳の売買を行なっておりまする場合には、大体売ろう買おうという意味内容を持つ分につきましては、一カ年ぐらいの契約期間にいたしているのが普通でございます。あわせまして、この場合数量に——売買数量あるいは取引数量でございますが、数量に関しましては三カ月ぐらいの継続期間を持つように取引いたしているのが普通でございます。そういたしましてその場合の販売価格につきましては、おおむね一月だけを規定しているのが実情でございます。引取をしようという部分につきましては一カ年、数量につきましては三カ月、価格につきましては一カ月ぐらいを規定いたしているのであります。そこで、この酪振法に基きまする酪農審議会というのもございまするが、昨年の夏以来の乳価に対しまする緊急対策あるいはその前の大かん練乳の砂糖消費税の免税の撤廃後の処置であります。また昨年の六、七月以降におきまする場合のいろいろな状況等を考えますると、酪農審議会からも答申をいただいているのでございますが、もう少し取引契約を長く、安定して取引ができるように、また取引を指導するようにするのが最も望ましいということになっておるのであります。そこで、今般三十日、契約の存続期間が三十日以上でありますものは、売買の当事者は、少くともその最初の三十日について価格関係の事項、すなわち売買価格及び数量並びにその代金の受け渡しの方法を約束しておかねばならぬという制度にいたしたいと思っておるのであります。これは三十日未満というものは、ほとんど現在もありませんし、大半が三十日をこえる、すなわち、先ほど申し上げましたように、契約そのものの存続期間は一年ぐらいが普通でございまするので、大半がそのように行われておる場合には、生産者と買受人との交渉をもちまして、おのずから三十日以上になるものと予定をいたしているのでございますが、三十日以上、大半一年をこえている取引契約が結ばれておるときには、少くとも一月は価格あるいは価格関係内容をきちんときめておいてもらいたいということでございます。  また第二項につきまして締結されました生乳等の取引契約で価格あるいは価格に直接関係をしまする数量や代金の受け渡し方法が約定されておらない部門もあるのでございまするので、これにつきましては、約定をされていない期間の開始する日から省令で定める一定の期間の前まで、これは大体三十日を予定しておるのでございますが、その三十日を約定予告期間とでも申しますか、三十日前までに、どういうふうに取りきめようというのを明らかにして相手方に申し出まして、そして契約を締結してもらいたい、そういう規定を挿入いたしたいと考えておるのでございます。これは牛乳の需給事情等によりまして、また立地等によりまして、売手買手の強弱の差はいろいろありましようけれども、概しまして、生産者の方がとかく、生乳の腐敗しやすい品質の点とか、あるいは集団的に小生産者が集まつて、まとめて買う処理業者、加工業者に販売をして初めてこの商品化農業である酪農が成り立つという、こういう自然の性質もございますので、買手独占になりやすい傾向もございます。また強弱の差がおのずから出てくるところも、自然的に出てくる性格がございますので、そこで、売買の話し合いがなるべく穏当につくように、売買契約を結ぼうとする一月ぐらい前には、契約をしようとする内容がお互いにわかつて、そして取引が公正化をせられる——不満なときには他の方へ売るとか、委託加工をして製品にするとかいうような余地をとり得る期間があつてもよかろう。あわせまして、第二項は、第一項の現状が、価格等が約三十日できまつておるのが商慣習としても大体の大半であるということと、さらに一年ぐらい結ばれておる取引の契約の存続期間が現状でございまするが、間々売買価格、数量、代金の受け渡し方法等については、あまり短期間のものはよろしくないので、「存続期間が三十日をこえるもの」というふうに規定をしたのと照応さしたつもりでございます。  十九条の三では、組合で生乳等の共同販売の取引契約とかまた団体協約の締結をいたしたいという場合に、農業協同組合がその関係法規に基きまして行いまする場合に、相手方が断わるといけませんので、都道府県知事に、その団体協約や共同販売契約を申し入れたいとしました場合には、乳業者はその交渉に応ずるように、交渉に応じた後は、自由の売買契約の交渉でございますが、その規定を置いたのであります。  さらに二十条以下におきましては、紛争のあっせん調停の規定を従前より強化いたしまして、これは前臨時国会等でも、いろいろ国会からも御意見が出ました趣旨を尊重いたしまして、あっせんに関しまする分は従来通りでございますが、調停案を具しまして売手買手の取引の紛争を取りまとめる努力をする場合には、これを調停といたしまして協定とするのが最近の法律の例であるようでございますが、あっせん及び調停の両事項につきまして、まず第一段には、都道府県知事にそのあっせん、調停を行わしめる。第二段には、農林大臣が都道府県知事の努力の後に、都道府県知事の申し出をもちまして、自分で取り扱おうと決定をいたしました際には、農林大臣が責任を持ちまして紛争のあっせん、調停に当る規定を設けたのでございます。農林大臣の紛争のあっせん、調停に関しまする規定は、現行法ではございません。改正案は都道府県知事がまず第一に行うのでありますが、その際に、地方の生乳取引調停審議会というものを置きまして、その意見を聞きましてこれに当りますし、あわせまして、知事の行いまする紛争のあっせん、調停でも、農林大臣が知事を助言しましたり、資料の提示をいたしまして、必要な協力を与えることができるように制度化したいと思っております。また農林大臣は、中央に生乳の取引調停審議会を置きまして、その委員の中から適当な者三名を命じまして、それをして調停、あっせんに当らしめるという案でございます。  次には、第三章の二でございますが、国産の牛乳及び乳製品の消費につきまして、国も相当の責任をもちまして、生産に見合う消費を開拓しながら、酪農の健全な発達をはかりまするように、学校給食用の用途が相当現在及び将来において大きいのでございますので、それを促進するために、一つ法的規定を置きたい。あわせまして、その場合には、別の二十四条の五にございますが、「国は、毎年度、予算の範囲内において、」これを助成をする。また「集団飲用」とか「流通の合理化を促進する」援助も国がいたしますような規定を設けておるのでございます。  二十四条の四は、牛乳、乳製品の学校向けの消費について国が措置することで、飲用のなまの牛乳と乳製品双方でございますが、さらに乳製品の過剰状態が生じまして、それが生乳の取引価格を低落せしめるおそれがあったり、また酪農農業を行う者——乳業を行う者の経営が著しく困難になってくる、そういうふうな場合につきまして、牛乳、乳製品の需給が均衡を著しく失しておることがその理由でありまする場合には、計画的な保管計画農林大臣が定めるごとにいたしまして、その際には、過般から出発しておりまする酪農振興基金の意見を聞きましたり、学校給食用のことも考えまして、文部大臣に協議をいたしましたりして、乳業を行う者が農林大臣の定める保管計画に応じたように乳製品のたな上げ保管をいたしまする場合には、その金利、倉敷を国において保証をする、また酪農振興基金は、その必要な債務保証計画農林大臣の定めまする保管計画に応じまして立てまして、そうして必要な債務保証をして、計画的に保管ができるようにいたしたいと思っておるのでございます。それに関する規定が第二十四条の四でございまして、国内産の乳製品の保管、この場合は乳製品でございます。  実体的な規定は以上のようで、牛乳の生産、すなわち酪農経営の基盤造成であります部分から、酪農経営の改善計画実施に関しますることから、また自給飼料の増産、草地改良事業に関しまする計画と実施に関しまする規定、また生乳取引の公正化をさらに進める関係の諸規定、牛乳、乳製品の生産と消費との均衡がはかり得るように、消費の増進について国が相当責任を持つということ、また牛乳、乳製品がだぶつくときは、計画保管をする制度を設けて国が酪農振興基金の援助をする、こういうことの規定でございますが、そのうちで、特にこの保護的制度のもとにおきまして、いわば事務的といいますか、事務的に近い経費を補助する規定及び資金の融通あっせん、その他必要な奨励の措置を講じますることを二十四条の五、見出しは(助成)と書いてありますが、農業経営の分から、牛乳、乳製品の消費に関しますることから、乳製品の計画保管に関しますることから、それにわたりまする補助とその他の奨励措置に関しまする規定を設けておるのでございます。  さらに(報告及び検査)のことでございますが、これは昨年夏以降非常な論議があったことに関することでありまして、すなわち、農林大臣または都道府県知事の牛乳、乳製品に関します調査権の拡大でございますが、拡大の要点を簡単に御説明申し上げますと、従来は生乳の生産者と集乳事業と乳業を行う者から報告を求めることができるようになっておりましたものを、今回は牛乳及び乳製品の生産、集荷、保管及び販売を事業とする者を加えたことが第一点でございますし、現行規定は、報告を徴するときは、法律の各規定を施行するために必要があるときはできるとありますけれども、事務所、事業所に職員をして立ち入り検査をする、業務の状況、帳簿、書類その他必要な物件を臨検検査できる、こういうことに関しましては「生乳等の取引の公正を確保するため必要があるときは、」と限定をしてございましたのを、今般は改正案各規定すべてにわたりまして調査対象を拡充するとともに、ひとしくこの法律を施行するために必要があるときには、できるというふうに範囲を拡大したのが第二点であります。そういう結果といたしまして、報告を求め得る事項と、臨検検査ができる事項ということにつきまして範囲が広がることになるのでございます。  最後に、酪農審議会は、現行制度におきましては委員十二名以内でございますが、今般の改正案によりましても委員の数は十二名以内で組織することにいたしておりますが、現行が生乳の生産者団体代表、乳業を行うものの代表、学識経験者、それが二人、二人、八人という範囲内において委員が出ておりましたものを、今般は牛乳、乳製品の生産、集荷、保管、販売または消費に関しまして学識経験を有するものの中から農林大臣が任命するということにいたしたいと思っております。すなわち販売や消費関係のお方々もお入り願いたい、こういうように思っておるのでございます。  逐条、簡単に御説明を申し上げますと、以上のようでございます。
  81. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ただいまから質疑に入ります。御質疑のおありの方は御発言を願います。
  82. 東隆

    ○東隆君 十三条の指定地域ですね、この条文は非常に何かむずかしい。ちょっと解釈がなかなかできないのですが、何か図表みたいな、絵みたいなもので説明できませんか。
  83. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) ただいま栃木県下には三つの指定集約酪農地域がございますが、その中には、一カ所を除きましては乳製品を製造する業者はございません。農協においてもございませんが、北海道などの遠隔の地において乳製品地帯といわれておる場合と違うのでございます。この酪農開発地域ともいわれ、また、その中にすでに相当に酪農が行われておる場合におきましても、宇都宮等に牛乳を出荷するほかは、東京の方へ搬入されまして飲用牛乳処理をされたり、あるいは一部飲用に向かない部品は東京の中で乳製品になっておるのでございます。その例を栃木県下におきまする集配地域と東京、京浜という消費地域についてみますると、ちようどこれに当てはまるのでございまして、集酪地域は栃木県内の酪農を営むための適地である。そこに乳牛の飼育がせられておって、だんだん増加をしていっておるわけでありますが、その集酪地域内におきまして生産されました牛乳を地域内で集荷するわけでございますが、その集荷場は指定集約酪農地域の酪農事業施設でございますが、宇都宮でありますとか、東京の板橋、葛飾でありますとか、横浜地区でありますと、これは指定の集約酪農地域でありませんで、その周辺の地域で、これを指定いたしますれば農林大臣指定地域になるわけでございます。その地域に向いまして栃木県の集酪地域の牛乳を相当部分を継続して販売をする、そういう継続供給の可能地域をおおむね想定いたしまして、いわばその両者をもちまして牛乳の融通経済圏といいますか、原料牛乳の経済圏とでもいうべきものを設けたいと思うのでありますが、これが従来は周辺の消費地域の中においての飲用牛乳の処理とか、乳製品の製造加工とか、それについて適正化をはかる努力もされませんでしたと同時に、業界の自由にまかされておりましたのと同時に、適正化でおすすめしたいような場合でも、農林省といたしまして、市銀のあっせんとか、その他のことにつきまして、手薄だったと思われるのであります。根本は、やはりその周辺の地域におきまして、どんな酪農事業施設  牛乳の処理や集荷の施設があるかどうかがわかるようにも必ずしもなっていないのであります。そこで今般は、周辺の指定集約酪農地域から生産される牛乳が継続的に売られるような地域について、地域指定制、その中における酪農事業施設の届出制、その酪農事業施設の適正配置のための勧告制度を設けたのでありまして、そこまでもっていきませんと、例を栃木県下に申し上げました指定集約酪農地域の酪農農業の経営者の、あるいは牛乳の販売処理の関係についての安定的な堅実な発展のまず基礎要件に欠けるからそういう制度を設けたいと思っておる次第でございます。
  84. 東隆

    ○東隆君 集酪地帯の集約酪農地域内に基幹工場ができて、しかも、その基幹工場は将来を予測してある一定の大きさの工場をこしらえているわけですね、大ていの場合。従って、その範囲内における問題については、ある程度計画のもとにやつておると思うのです。従って、その範囲内においては私は問題はないと思うけれども、その地域から外のものについては問題が起きてくると思うのです。そこで、その地域外に工場ができるとき、こういうことを予想しますと、それはどういうのかというと、私はやはり酪単協のようなものをこしらえて、それがメーカーとつながってやる場合に、これが起きてくると思うのです。従って、そういうようなものを規制する場合に、何を中心にしていかなければならぬかといえば、やはり橋頭堡を作るために酪単協をこしらえる、おそらく出てくると思うのですが、そういうような意味で、私は酪単協に対するある程度の制限を加えた方が考えようによってはいいんじゃないかと思うのですが、地域を決定することによってやつたとしても、地域内におけるところの農家が、かりによそのメーカーと話し合いをして、そこに酪単協をこしらえて、そしてそこへ出すと、こういうようなことになりますると、これは法律でもって制限を加えてみても、協同組合の販売の形態というものがこわれてくると思うのです。だから、地域でもってそういうようなものをするよりも、かえつて総合農協と酪単協の問題にしていって、総合農協の中の地域内に酪単協を作らない、こういうような形を考えた方がいいんじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  85. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 東先生の御意見は、十三条そのものでない部分と、そのものに触れた部分との御意見だと思うのであります。そのものに触れた分とすれば、集酪地域内に生産されたなま牛乳を販売する場合の相手先が地域外にある、しかし、集酪地域として指定してある場合に、乳業施設が将来を見越して、施設の承認があるのだから、それがあれば内部は安定するだろうと、こういうことが第一点、それに関連しまして、地域内外を通じてだと了承いたしましたが、総合農協と専門農協との間の事業の調整をはかったらどうかということだと思いますが、十三条に掲げました制度そのものについては、先ほど御説明しました通りでございますが、例を栃木県下の集約酪農地域と、宇都宮または京浜地区を申しましたので、違つた例の方がわかりやすいこともあるかと思いますが、同じ県内の集酪地域とその近くの、あるいは都道府県内であるが、かなり遠い地域の消費地域の場合と、こうありますが、その場合につきまして、集酪地域内に乳業施設の承認制度がありましても、ちようど指定地域の周辺に経済的な立地条件と申しますか、立地条件等の範囲内において別の施設ができますと、指定集酪地域内の乳業施設の調整、酪農家と乳業家との調整も無意味になるわけでございます。かたがた生産者から申しますと、御承知の通りになまの牛乳は、なるべく飲用牛乳で消費者に一方的に渡りますと、農家の手取りがいいわけであります。乳製品の原料用に回しますれば、付近の乳製品工場でありましても、いわんや遠い乳製品工場でありましても、飲用牛乳用に売るよりも、必ずといっていいほど、不利であります。乳製品の方が不利であります。そこで、そういう販売の仕方の改善も、今後生産者団体の共同販売事業あるいは共同の委託加工、共同の処理等をあわせ考えまして考えておく必要もありますのと、指定地域の周辺に乱立した施設がありますことは、乳業資本と申しますか、企業において行われます場合でも、農協で行われまする場合においても、本来、酪振法で集約酪農地域指定と家畜導入と、酪農経営と乳業施設あるいはそれを動かすところの乳業者、こういうものの調整を酪農、牛乳の性質において考えておいてあるのが乱れるのでございますので、将来のことを考えて、生産者の販売努力、販売の仕方それから市乳、原料乳の消費されるされ方、こういうことを考えると同時に、周辺はせめて酪農事業施設の適正配置ができるのが望ましい、しかし、強制力でやるわけではございませんので、おのずから適正化のための勧告を出しましたら、市銀その他で援助をすることを道義的に考えているのでございます。総合農協と専門農協のことにつきましては、これは農業協同組合の中で、自主的に農民本位で考えていただくことだと私どもは考えているわけでございますが、おのずから農家の中の酪農をしている人の割合と申しますか、酪農の普及率、分布状態、立地の条件とか共同化の方法とかによりまして一長一短があろうかと思うのであります。御指摘の点は農協内部においてよく調整をしていただきたいと、まあこういうふうに思っております。
  86. 東隆

    ○東隆君 農協内部で調節をする問題ですが、私はやはり、この農協法の十九条の第二項ですけれども、「前項の契約の締結は、組合員の任意とし、組合は、その締結を拒んだことを理由として、その組合員が組合の施設を利用することを拒んではならない。」、この規定のために問題はどういうことになるのかというと、せつかく計画的にこういうふうに指定地域を定められても、これから牛を飼っていく者、こういうような者を中心にして、そうして利益誘導でもって牛乳を集める、こういうようなものができた場合に、その指定された地域からちょっとでも離れた所に悪意でこしらえたと、こういうようなことになれば、これはもう効果のない形になってくると思う。そういうような問題も出てくるので、私どもは酪振法の改正の前提として、やはり農業協同組合法のあそこの十九条を直さんければ——これは第二十八国会ごろから私は主張してきたのですけれども、その問題がやつぱりここでもってひつかかってくるのです。せつかく指定地域をこしらえられて、そうしてある程度の監督をされても、市乳でもって販売する方が非常に利益だ、こういうことになれば、今、市乳業者が集めておるところの範囲というのはこれは非常に広大な範囲から集めておる。東京を中心に考えてみても、これはものすごい広範囲から集めている、そういうようなことを考えてくると、指定の地域というものを相当な範囲に広げてこなければならぬという問題も起きますし、現にああいう錯綜しているような地帯も、先ほどお話しになつた所なんか錯綜しておるのですから、そういうふうにやつて参りまするというと、指定地域の効果というものはなかなか出てこないのじゃないか。問題が起きてくるとか、そういう点が考えられませんか。私は非常にそういう点心配になって仕方がないのです。
  87. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 東先生のおっしゃること、全くそういう場合がないとは考えないのでありますが、すでに集約酪農地域制度が出発して、その他の地域においては、日本の歴史では、市乳を中心に民間企業等を相当努力もして作つて酪農まで発展させ、乳業ばかりでなしに酪農もそれで発達してきた沿革もございますが、特に政府補助あるいは政府資金の融資等をもちまして家畜の導入もはかったり、初めから計画立てて酪農振興計画の成果、集約酪農地域を指定しまして酪農の急速な振興をはかろうとして参りました。ブームもあるわけでありまして、今後これがどつちの方へ行くかと申しますれば、農業経営上に、酪農経営として、あるいは酪農地域として発展していくのは指定集約酪農地域か、あるいはそれに準ずる所だと思うわけでありますが、今は現行法に従いまして集酪地域内のことをほとんど考えておるのか、集酪地域内の酪農の安定につきましても、生乳の取引上から見ましても、消費上から見ましても、生乳の処理、加工の点から見ましても、だいぶん情勢が変つておりますから、全国一律に全面的にこの案を具しましたような制度にする場合もありますが、その沿革と必要性を考えまして、指定集酪地域の周辺地帯で生乳の継続供給が集酪地域から行われる、こういう所を一応押えまして、従来より範囲を拡大しよう、そうして将来酪農が発達をしてくる可能性の多い所、政府もそれを期待しておる所、援助をする所、そういう所を中心に考えたいと思うのです。あとは全国的でない範囲は、この地域指定の範囲を適切にいたしまして、十三条の第三項に現に地域を指定しました場合に、すでにその場に酪農事業施設がある場合でも、これに準じて考える、こういう趣旨でございます。
  88. 東隆

    ○東隆君 そうすると、こういうふうに理解してもいいのですか。現に乳を集めている地帯、錯綜して集めておるような地帯については、政府はどういうような態度をとるのですか。たとえば東京を中心として考えてきたときに、千葉から持ってくるのもあるし、いろいろな所から持ってくるのもありますね、神奈川から持ってくるのもあり、いろいろな方法でもってやつている。そういうふうな場合には地域を指定する、指定地域を決定するというような場合は、現に受け入れをしておるのですから、そういうようなものについてどういうような……。
  89. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) ちょっと御説明言葉が足りませんでしたが、十三条の三項は、十一条を準用する意味で御説明申し上げましたので、届出とはっきり申しますればわかったのでありますが、届出を受けたあとの今後の場合の施設の配置の適正の勧告はありませんのでございますが、この場合は、ある程度の競争はあった方がいいので、第二点は、生産者の共販態勢あるいは自己処理の態勢を援助の形でだんだん進めていくことが望ましい。取引の規制を必ずしも直接的にはいたしませんで、本改正案を具しました程度において行うのが目下の実情に照らして適切だと思いますが、生乳との取引契約につき文書化を行わしめ、また、契約中価格関係の契約事項は、少くとも三十日以上についてきめてもらいたい。また、これが契約中できまつていない場合は、三十日の予告期間を設けて公正な取引のための交渉をしてもらいたい。生乳等の共同販売やその取引契約に関する団体契約の締結変更については、農協法に基く団体については、これが牛乳の販売事業を行う団体である場合は、その交渉は乳業者に交渉応諾をするように知事が農林大臣の承認を受けて勧告をする、なお、そうして自主的に取引をしても紛争がある場合は、紛争あっせん、調停を知事と大臣において行う、そういう順序で解決していきたいのですけれども、それでもなかなかおさまりがたい場合におきましては、また別の見地の措置が要るかと思いますが、何しろ発展途上の酪農と乳業あるいは牛乳の生産、消費の現状でございますから、行政権があまり直接的に統制的に動く点等は、また、その補償問題も生じましようし、かえつて不適切に生ずる場合もありましようから、現在の段階におきましては、特に発達途上でございますから、これがいいのじゃないか、こう思っております。弊害が生じて、この改正法案では足りない分は、よく慎重考慮の結果、また規定の改正をはかる、そういう実情にある段階である、こういう認識でおるわけであります。
  90. 東隆

    ○東隆君 そうすると、指定地域の決定、指定ですか、それは政令によってやるようですけれども、もし、それをやらないような地帯は、これは自由に、今、商魂たくましくやるとすれば、そういうような地点にささり込むような心配があろうと思うのですが、そういう点はどうなんですか。
  91. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 現在の集酪地域内におきましては、生乳を処理し、あるいは乳製品を製造する工場は、かりにこれを工場施設を中心としますと、二時間ぐらいの輸送距離で来る所を現行法の基準としまして、政令できめておるのでございますが、集荷場を設ける場合は、さらにそれを一時間ぐらいの輸送の所に集荷場を設ける、そういう基準になっておるのですが、その基準の若干の検討部門も現在あるかと思いますが、おおむねこれに準じまして、二時間ぐらいの輸送距離、これは十五石か二十石ぐらいを輸送するトラツクを考えまして、その範囲内でありますと経済的な立地条件がある、すなわち生産者の方に牛乳代金を非常に食い込むような地域ではない、あわせまして消費者に向いまして、加工業者を通じてでありますが、最終価格に影響を及ぼす地域ではない、まあそんな考えをもちまして、その範囲で指定したい。二時間と申しましたのは、現行制度に準じました制度でございますので、従って、工場を中心に円を描きますと、二時間と二時間、四時間、そこへ集荷場を入れますと一時間ぐらいかかりますから、四、五時間のこともございますが、要は、その生乳の生産者と生乳の処理加工業を通じて、消費者に渡ります間に、輸送距離というか、経済的に合わないということがないような範囲内のうち、経済地域の範囲内、そういうことで考えていきたいと思います。
  92. 東隆

    ○東隆君 今の問題、なかなか問題があろうと思うのですが、一つそういうふうに願いたいと思います。  それで今度、第十九条の二ですね、十九条の二は、ここに出てくる何といいますか、数量それから販売価格、おおむねこれは契約が一カ年、それから数量は三カ月、販売価格は一カ月ぐらいでもって大よそやつている、そういうふうなもので、十九条の二でもって多少変えてきているわけですね。はっきりここでするようになっているのですが、「存続期間の最初の三十日につき、」というような、こうすると、これは結局、何十日前になるのですか、この期間は。これは二カ月ぐらいになるのじゃないですか。そういうことになりますか。
  93. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 第二項から先に御説明申し上げますと、価格をきめないか、ある価格を変更しようとする場合は、三十日前に申し込んでもらいたいということでございます。すでに契約がある場合は、翌月の十日か十五日ぐらいの払いが全国的であります、今は。だから十五日払いですが、それは前月の一月分の牛乳をやつておりますので、さらに、すでにもう価格がきまつておりまして、取引が始まつたものについて申し上げますと、それを翌月から変更しようとすれば、約二カ月前ぐらいになる。しかし、これを一カ月単位に価格がきまっている場合のことを申し上げて、途中から一たとえば今月二十一日から一升二円上げようと、こういうようなふうになりますと、これはそう二カ月にならないわけであります。一カ月のわけであります。このすでにきまつている値段を変えようとする場合と、きまっていない、こういう取引にしましょうと、数量はどれだけにしましょう、最初の一カ月は値段をきめましたが、次の二カ月は話し合いがつかずに、価格を未定のまま進んでいる、紛争のままに進んでいる、あるいは買手側から一方的に払つている場合があると思いますが、約定はついておらぬ、そういうような場合がこれに適用されるのでありますが、それと照応するようにいたしまして、商慣習は大部分がすでに、取引契約は一年ぐらいになっており、数量は三カ月であるのが原則でありますけれども、この変更、特に価格的条件の変更を一方から急に申し出ることがよくないから、そこで、存続期間も、少くとも最初の三十日ぐらいについては、三十日をこえるものしか、三十日以上をきめるといけませんので、契約が三十日以上続くことを予定している契約でありませんと、値段は三十日少くともきめて下さいと言えませんから、三十日をこえる契約につきましてはと、こう入れたわけであります。従って、期間が三十日未満のものがあると、理屈上出てくる疑問がおありかと思いますが、これはもう取引の大半が以上申しましたようでありますから、生産者の努力また買受人の良識から考えて、およそ異例な場合以外は、三十日以上の取引契約になることを期待しているわけであります。
  94. 東隆

    ○東隆君 私は乳価は年に二回くらいやればいいと、こういう考え方でおつたのですが、夏乳と冬乳ですね。ところが、三十日くらいの契約でもってやったのでは、私は非常に生産者は不安定だと思うのです。こういうものはやはり年に二回くらいでもってやると、こういうふうにやるべきじゃないのですか。生乳を三十日くらいの契約によって工場に出すなんて、そんな契約をやつたのじや、生産者はもう実に不安定きわまる。だから、この際冬乳と夏乳くらいに、年に二回くらいやる。しかも、それについては、あらかじめ三十日というが、私は二カ月くらいの期間があった方がいいのじゃないかと思いますが、相当な論議をして将来の予想をして、そうして価格をきめる、こういうことがあつてしかるべきじゃないかと思いますが、これでいくと、はなはだ短い期間を奨励するようになるのです。そんなふうに思いますが、これは私、よくわからぬですけれども、北さんがよく覚えていると思うのですけれども、ここのところはあまりに短期間の契約を認めておるために、こんな書き方をしなければならなかったのじゃないかと思います。その点、私どもはかえって冬乳と夏乳ぐらい、年二期ぐらいにして、そうしてあらかじめ値段を決定しておく、そのことによって市場もある程度それでもってやつていけるのじゃないかと思いますが、その場合に短かくすれば短かくするほど、価格の変動その他が直ちに生産者に響いてくるし、それからメーカーはできるだけ損失を未然に防ぐことができるという利点はあるかもしれません、短かければ。しかし、そういうような意味じやなくて、生産者の安定という方面を考えてくると、年二期ぐらいにきめるというのを奨励すべきであると思う。そうだとすると、この際、あらかじめ期間を短かい期間でなくて、もう少し長い期間にするとか、そういうようなことをやるべきであつて、何だか知らぬけれども、この十九条の二の規定は親切のような規定だけれども、生産者にはかえつて都合の悪い規定になるように思いますが、その点はどういうふうにお考えですか。
  95. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 正確な申し上げ方ではございませんが、この規定では乳業者関係は長過ぎて困ると、もっと短かくしてくれという運動も、実はたくさん立案中に来たのでございます。先ほど申し上げましたように、契約の存続期間約一年と申しましたのは、現行法で契約の文書化規定に従いまして届け出られた契約内容を分析してみますと、契約の存続期間では一〇〇のうち八二%が一年、十二月であります。乳量の契約期間は五〇%が三カ月でございまして、乳価の契約期間は一カ月が四六%であります。六カ月をこえるものは一二%で、一年は四%になっております。本案は特に生産者の立場を、農家の立場を考えて規定しておるのでありますが、規定内容は、存続期間は、少くとも価格条件については、価格のことは今申しましたように、一月が四六%文書化契約されておりますが、少くとも三十日以上きめておいてもらいたい、一ぺんきまつて出発したら、その初日に申し出がない限りは、一月ごとに契約は続いておるのが一般慣習といたしますと、先ほど御指摘の通り二月続くわけであります。そこで、交渉期間が、交渉をし出すと、紛争調停がない場合としまして、なお一月続く。実際上は三カ月確保し得るものだと思います。あわせまして、少くとも価格条件をきめない場合は一月前に申し出よ、また変更する場合も予告期間をそれだけ置けという意味にいたしてあるのが本案でございまして、さらに生産者と乳業関係の方の交渉に待ちまして、適切に、なるべく長期安定した取引をしてもらいたい数量においてもそうだが、特に価格においてもそうしてもらいたい、こう期待をいたしておるのであります。また、すでに現行法にある契約の文書化に関する適正化の勧告権につきましても、その運用よろしきを得て追加規定とともに行えば適切になって、最小限度に生産者を守り得る、こう考えておるのであります。  また夏乳価、冬乳価ということがございますが、年二回ぐらい乳価はきめればいいという御意見でございますが、かなりそれが当てはまる分が多いと、私どもも同感でございます。しかし、生産者側からもっと早く改訂してくれということも、実例としてもありますし、今までの経験と商慣習と今後のことも考えまして、まあ一年二回、六カ月ごとと、こういうのも、自主的な交渉がもとであることには間違いございませんから、最低限度を書いたのであります。
  96. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 それじや、お伺いしたいと思いますが、この酪農経営の改善の合理化ということが今度の改正で中心にうたわれておると私は思うのですが、そこで、法文を読んでみますと、集約酪農地域内及び地域外というふうに、今度は地域外ということが入れてあるのですが、これはまことにけつこうだと思うが、地域外という概念は、隣接した所をいうのか、外というのは飛び離れた、かりに指定まではいかないけれども指定に準ずるような所があれば、相当指定区域から離れた距離であつても、外という概念の中に入るのか。もし隣接した所という指定したものであるならば、指定区域の中に包含すれば、それで事が足りるようなふうに思うが、その点はどうなんですか。
  97. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) お尋ねでございますが、地域内外の点は、内は、指定集約酪農地域の内でございまして、外は、指定集約酪農地域外の広範囲な点でございます。酪農事業施設につき届出制をとりまして、適正配置によって勧告を出す周辺の指定地域ではございません。それも含みますが、まらに広いのです。ただ十八条にありますように、酪農経営改善計画をこの法的制度によりまして手続も内容も取り上げまして、国の援助もすることを予定いたしまして立てる場合には、やはり日本の将来の酪農のあり方も方向も現状とともに考えなければいけませんので、第十八条第一項の「次の各号」という二条件はいいのじゃないだろうか。と申しますのは、先ほど御説明申し上げましたように、専業的な畑や草地をほとんど利用しない、濃厚飼料による都市酪農業者、こういうような地帯は除いてもいいのじゃないか。またお話にありましたように、集酪地域の指定かなにかでやればいいからという意味で、将来の開拓地、あるいは酪農の適地として、十年も先において期待するような所は一応あと回しにしまして、現在、乳牛は六十六万頭ぐらいおりますが、その六割が集酪地域の外にありまして、約四割、正確に申しますと三割七分ぐらいが指定集約酪農地域内におるのでございますので、何といっても現在、酪農あるいは牛乳の生産、牛乳の販売ということに目を広くしてこれをとらえまして、日本の酪農の大半の経営改善をはかり、生産の合理化をはかる、牛乳の販売等の合理化をはかるという点につきましては、特殊の未開発地と特殊の土地、専業地は除いてもいいのじゃないか、それ以外は大体全体を対象にしていいじゃないか、こう考えておるわけであります。
  98. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 ただいまお話にもありましたように、指定地域が七十五地域ありまして、その指定地域内においてはおよそ三十万頭の牛がおる。しかも、そこで生産される石数は二百七十万石といわれるのであります。ところが、指定地域外というものの方が、お説にありましたように八百四十万石の乳を出しておる。ですから、指定というものは全く一部だと考えて差しつかえないような数字の上からあるのであります。それのみがこの経営改善に関しまする合理化を進めるということは、これは集団的に経営をせしめるということからいきますと、これは当然なことなのでありますが、集約地域外ということを含めてくると、そこで指定をしたといい、それからその概念というか、意義が非常に私はぼやけてくると思う。指定外という考え方というものがよほどはっきりしていないと、今後、行政上、指導上の問題で混乱が起るような気がいたします。これについては、特に私は注意をしなければならぬ問題が起ってくるのではなかろうか。むしろ、接続しておりまする地域外であるような所で、それらの市町村長が経営改善についての計画を提出して、補助の対象とでもなり得るような所がありまするならば、指定地域内に包含するようにその区域の変更をして、指定地域としてあくまで取扱いをする方が行政上は正しいのではなかろうか、こういうふうなことを考えるわけですが、しかし、それは一応こういうふうになっておるのですから、それはけっこうだと思います。  そこで、その改善計画を作るということになるわけですが、その改善計画を作るというときには県が助言をし、勧告をし、そして援助を払い、補助をするということのようであります。結局、そうなりました場合に、従来、指定をしておりまするところの受ける国典といいますか、そういうものと、その区域外というもののさような計画を出して参りました所の取扱いというものとが違いますか。つまり、もう一度別な方面から伺いますと、指定地域内における助成というものはどういうような、つまり指導、助成といいますか、むしろ平易な言葉で申し上げますと、恩典といいますか、指導の中心がどういうところにありますか。
  99. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) これは、改正案にも書いてあるのでございますが、地区は集約酪農地域内外にわたって立て得る制度にいたしているのでございますが、地区についてその条件の例を申しますと、わが国の現状では平均して市町村ごとについて乳牛百頭ぐらいがおおむね集約的に飼育が行われておるのが、酪農市町村の経営の実情でありますから、それを中心にして本来の農業的な酪農生産費の低減も可能である、こういうような指定集約酪農地域に少し重みのかかったところで行うべきものと思うのであります。そういうところに現行法の建前もありまして、従来の沿革もありまして、指定集酪地域についての酪振計画はすでに立っておるのでありますから、この点については、その集酪地域内の市町村はそれに基いて市町村内の経営改善計画を、牛の飼養から牛乳の共同販売等についてまで立てていただきたいというのでございまして、その他の地域は、おのずから生産基盤整備というようなことがすでにない既耕地の、古い乳牛飼育の地帯でございますが、大規模な草地改良事業とか改良牧野の事業とか、また乳牛の新たな導入であるとか、特に一戸当りに対して乳牛を多く導入するのに政府が利子補給や損失補償をしたり、あるいは補助を出したり、国有貸付牛の導入をするというのは、おのずから地域内の方に重みがかる、こういうふうに考えております。
  100. 東隆

    ○東隆君 二十五条のこの調査権の拡大の問題ですが、旧条文と新条文の違いですね、これ、どうもあまり違つていないのじゃないかと思うのですが、これで相当強くなっておるのですか。
  101. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) これで相当強くなっております。現行法は第一項で「生乳等の取引の公正を確保するため必要があるときは、」というのは、罰則等もあることを考えて、生乳等の取引について紛争あっせんが現にあることの解釈で参りまして、そういう場合だけ事務所、事業所等に立ち入り検査、臨検ができるというふうな解釈でございまして、これは法制局等が師国会におきまして——前々国会でありましたか、衆議院農林水産委員会等において、解釈を申し上げておるところによっておるのであります。しかるに、報告を求めるだけの場合は、報告を出す方が自主的に出す場合のほか、「求めることができる。」と書いてあるわけですが、この場合は、より範囲を広く書いてある、それが現行法の第一項である。従いまして、第一項の方にそろえますというと「この法律を施行するため必要があるとき」の方が、「生乳等の取引の公正を確保するため必要があるとき」より範囲が広い、なお、事業を行うものの対象の範囲が広い、こういう意味でございます。
  102. 東隆

    ○東隆君 二十六条の酪農審議会の委員の割り振りですが、新条文の方では、これは原料乳と市乳とを分けて、その面から各方面から委員を出すと、こういうふうに理解してよろしいですか。
  103. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) まあ、そういう意味でございます。——生産者の二人ということですか。
  104. 東隆

    ○東隆君 これは実は前の地域指定の問題にも関連をするのですが、実のところを申すと、原乳ですね、それから市乳というのは、これはもう全然方向が違つておると思うのです。価格の面においても、その他の面においてもみんな違つてくるわけです。従って、酪農審議会におけるものの考え方は、原料乳と市乳と截然と分けて委員の構成を考えなければならぬのじゃないか、こういう気がするのですが、ここの条文を見ますと、そういうふうに解釈がつくのですが、前の場合ですと、そんなふうにはとれない面があるのです。そこで、確かめたいと思ったわけです。
  105. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 改正案は、牛乳、乳製品の生産から消費までに関して、学識経験を有する者の中から大臣がお願いするということにしました。現行法は、大臣が任命するのでございますが、委員は、生乳の生産者の代表者、乳業の団体の代表者、あと学識経験者、こう分けてあるのであります。生産地帯、市乳地帯をも反映し、あわせまして原料乳地帯も反映するお方々、これは一人の人が両方を知り得る学識経験者というものがむずかしい実態があると思いますので、おのずからそういう任命の仕方をせざるを得ない、こう考えておりますが、審議会の委員の構成に関しましては、最近政府で、業種別といいますか、御専門の側を代表される意味をもちまして出ていただきますが、やはりその意味においても、お立場はそれに関する学識経験者として出ていただこうと、こういう建前で行政管理庁と統一しておることになっておりますので、今回、趣旨は東先生のおっしゃるようでございますが、法文をかえたのであります。
  106. 東隆

    ○東隆君 くどいようですけれども、前の場合における構成ですと、「生別の生産者の団体を代表する者」、この中には、市乳と原料乳がこれはごつちやになっておるようですが、それから二番目の「乳業を行う者の団体を片表する者」、こうなってくると、これも乳製品を作るものと、それから市乳と、これもごつちやになるし、これをどういうふうに分けられるか、これはちょっと見当がつかないのですが、新条文ですと、一貫してずっとぶっ続けてきておるのです。従って、牛乳または乳製品の生産、集荷、保管、販売または消費の面にわたって全部包括しますね、ここの書き方では。従って、原料と市乳とを分けるとすると、六、六くらいに分けて、そうしてその面の学識経験者をそこから選びましよう、こういうふうなことも考えられるのじゃないか、こう思うのですが、ここのところどんなふうになりますか。その辺。
  107. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) これはやはり牛乳の生産者が乳牛の飼育者になるわけでございますが、飲用牛乳の生産者はプラント業者になる。乳製品の生産販売業者というのは、北海道のような地帯もありますれば、大都会付近にもありますが、明治、森永、雪乳、協乳とかいうようなわけでございますが、それをだらだら書いてあるからということで、おわかりにくいかと思いますが、あわせまして御好意的に解釈して下さつておりますように、この予定は生産者二名、乳製品製造業者、牛乳プラント——飲用牛乳の処理業者というものはプラント業者と言っておりますが、そのおのおので二名、販売業者で二名、消費者で二名、学識経験者で四名、計十二名くらいと思っておりますが、そうしますと、現行の学識経験者八名を半分減らして、販売と消費の方を入れたことになるわけであります。ここは御存じのように乳製品の方の、あるいは市乳の飲用牛乳の販売の方の代表の二は、必ずしも必要ではないので、原料乳地帯と市乳地帯の方へ、これを生産者、プラント業者、乳製品業者の方に入れるのが一案かと思っておるわけでございます。いずれにしろ学識経験者の、これは今申し上げました学識経験者は現行法に即したような意味で申し上げたのですが、今回はすべてのいろいろな業態に応じた学識経験者と書いてあるわけですから、第三者的な方が、そういう御意見があまり弱くならないように、こういうつもりでおります。
  108. 東隆

    ○東隆君 第三者的な者を消費の部分にぶつつけたらどうなんですか。これはその段階が非常に違うのですね。ここの書き方はそうでしよう。牛乳の場合の生産と、それから乳製品の生産は、これはこの書き方ですと、「又は乳製品の生産、」と、こう書いてある。それから牛乳の生産と、ここの書き方が「牛乳の生産、集荷、保管」、これは加工くらいが入るといいが、加工がここで生産という言葉でもって両方の方にぶつかつてきておる。だから、これはここの表現の仕方はいい悪いは別として、農林省の方はどんな考え方をされておるか。それをはっきりしておれば、私は原料乳とそれから市乳とこれをはっきり截然と分けて、そうしてその系列から代表者を出すのだ、こう考えてそうして消費者の面においてはこれはいいと私は思うのですが、たとえば消費者の代表を入れるのにどんな人を入れるか、ここのところが何かぴんとこないものですから、そこで考え方をはっきり……。
  109. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) この改正案の文章は、書いてある範囲から最も適切な学識経験者を任命したいということでございますが、一口にいえば。国会の御審議、御意見で尊重すべき点は尊重してその運営をすべきでございますが、お話の点は前から予定しておるところでございますが、生乳の生産者としては原料乳地帯、飲用乳地帯と申しますか、市乳地帯、そういう所で一と一で二でございますが、生乳を加工し、または処理する業者としては、飲用業者のブラント業者と乳製品の製造業者、これは市乳と原料乳になるのでございますけれども、その次には、消費者はあまり具体的に申し上げることはちょっとどうかと思いますが、たとえば主婦連のようなお方とか、労働組合のようなお方、集団消費をなさるお方、そういうところでありますが、販売の方は卸、小売が入るか、入らないか、実はもっとよく御意見を各方面から伺いましてと思っておるわけです。関係者側ではいろいろな意見が三通りずつくらいは出ておるわけです。卸、小売とばかりしないで、販売関係は一応他の牛乳または乳製品の加工製造業態を地域的に表わす方へ持っていくことにしますか、販売は卸売、小売を入れて学識経験者の一を、飲用牛乳と乳製品、市乳、原料乳というのですが、なお、その中には地域もございますから、北海道、東北の寒冷地と、その他とだいぶ違うわけです。そういう地帯に分けることも考えておるのでございます。多少未定といえば販売の一と、狭い意味の第三者、学識経験者一とを余裕をとつて考えておるのでございますが、それにいたしましても、第三者的な学識経験者のあまり声が小さくならぬのがいいのではないか、そういうことを先ほど申し上げたのであります。
  110. 東隆

    ○東隆君 私は、生産者が二人というのですが、六と十二のところに二人の生産者代表では、私は少し力が弱いと思うのですが、やはり三ぐらいに分けて四人ぐらいもってこないと問題にならぬのじゃないかと思う。そうすると、生産者四人、それは原料乳とそれから市乳の関係で四人、それから中間の面ですね、中間の面四人、それが二つに分れましょうが、四人。それから消費者四人、そうすると十二人ぐらいになりますが、これが私ども考えておるのは、酪農審議会で中心的になるのは、やはり農家の生産の面に対する意見を尊重してもらわなければならぬ。今のお話ですと、一人ずつというようなお話ですけれども、私はもう少し地域も考えなければいかぬし、いろいろの点を考えると、やはり二人ぐらいずつ四人、最小限四人は一つ中に入るべきじゃないかとこう思うわけです。それからもう一つは、中間の関係ですね、製造過程が四人、消費者代表四人、こういうふうにするとうまくいくように思いますがね、バランスが。それを酪農振興審議会という面を考えるときに、生産者の面をあまり弱くすると、これは酪農振興法意味をなさぬように考えますが、その点一つお考え願いたい。
  111. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 生産者は総合農協的な方と特殊専門的な方をと思っておりますが、現在の酪農審議会の委員を御存じと思いますが、おのずからよろしきを得て、実は人もいらつしやるのであります。しかし、制度と方針とは別でございますが、第三者的な狭い意味の学識経験者は必ずしも必要でありません。公正な意見を吐いて下さればいいんで、あとは各業態の学識経験者ばかりでございますので、学識経験者四名はおのずから地域を代表せしめて、生産者重点に……。なぜかといえば、今回の改正に関しましては、販売業者についてはまだ研究が足りませんので法文化しておらないといってもいいくらいでございますが、本案の運営といたしましては、その酪農振興に関する重要事項について、この酪振法に基いての農林大臣の諮問機関の委員でございますから、東先生のおっしゃることを尊重いたしまして手続をとりたいと思います。
  112. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) それでは本日は、これをもって散会いたします。    午後四時四十五分散会