○
政府委員(
安田善一郎君)
酪農振興法の一部を
改正する
法律案の
提案理由につきましては、過般高橋
農林政務次官から御
説明を申し上げたところでございまして、その主要な
内容は七点ございまして、すでに御聴取願いました
通りでございます。それに即しまして、重要な逐条の
改正関係のその趣旨をきわめて簡明に補足御
説明を申し上げたいと思います。
昭和二十九年にこの
法律が初めて制定をせられましたときの趣旨は、やはり
改正法案の
提案理由の中にも述べてございましたが、現行法に即しまするというと、第一条においてその
目的が書かれておるのであります。今回は、この第一条の
目的の
改正をその第一のねらいといたしております。
改正をする点は、従来の
法律におきましては、酪農の集約的な経営を今後行い得るような、適地とでも申しますと適当かと思いますが、集約酪農地域を
指定いたしまして、その中に牛乳の処理加工をいたしまする乳業
施設あるいは牛乳を集荷いたしまする集荷
施設につきまして——この両者をもちまして酪農事業
施設といっておりますが、この
施設につきまして、都道
府県知事の承認制度があるのでございます。
指定されました集約酪農地域には、
指定に当りまして県知事が作成いたしまするところの酪農
振興計画がございまして、その
計画の中で家畜の導入に関する事項、飼料の自給化その他の事項、牛乳の集乳
施設に関しまする事項及び乳業の合理化に関しまする事項等を
計画立てることになっておりまして、その中に酪農事業
施設に関することもあるわけでございます。今般は、従来の
法律が
指定集約酪農地域についてだけの、酪農農業経営につきましては、
指定集約酪農地域だけの制度でございましたものを、従来の
指定集約酪農地域制度を維持いたしまするとともに、その地域の内外にわたりまして、おおむね市町村単位の範囲内におきまして、集約的な酪農地域につきまして、酪農の経営改善
計画を立てまする制度を新たに設けたいとしているところでございます。また従来は、集約酪農地域の地域制度の中におきまする乳牛の生産いたしまする生乳等につきまして、
指定集約酪農地域内の乳業
施設とともに、さらに
全国的でございまするけれ
ども、その取引の公正化をはかりますために所要の規定がございましたが、その所要の規定をさらに同種の
目的のために追加をしようとしているのであります。すなわち、現行法におきましては、生乳等の取引につきまして、契約を売買の当事者がいたしましたならば、その契約を文書化すべきことを規定いたしまして、その都道
府県知事に対しまする報告制度がございます。そしてもし、その文書化に関しまして、これを適正化するために知事が勧告をする要があります場合には、知事の勧告制度を建前といたしておりますが、昨年以来の牛乳の
価格の不安定または酪農の不安定等を中心にいたしまして、生乳等の取引の公正化にさらに一歩を進める必要があるというつもりでございまして、これに関しまする
改正としましては、単に文書化をいたしまする義務と、これに対する勧告制度ばかりではなしに、あとで申し述べますように生乳を販売する業務を行いまする農協または同連合会によりまする共販及び団体協約の締結または変更につきまして、これに関する規定を設けまして、さらにその生乳等の取引の売買契約につきまして、売買
価格あるいは受け渡し場所、代金決済の方法等につきまして、
最低限度に契約をしてもらう条件をつけ加えたのでございまして、あとで御
説明を申し上げる
通りでございます。また、日本の酪農の現
段階では、終戦後異常なといってもいいほどの旺盛な発展を示しましたが、ようやくにしまして生産と消費との結合が必ずしも十分でない点が出て参つたのでございますので、
政府が牛乳または乳製品の消費あるいは
計画的な保管について
補助を与え、助成をいたしまして、牛乳及び乳製品の消費と生産とを実態に即しまして制度化を一部すると同時に、
政府のなすべき措置を規定してみたらどうであろうというので、牛乳及び乳製品の消費の増進に関しますること、特に牛乳の生産との均衡を保つがごとくその消費の増進をはかりまする措置を新たにとろうといたしておるのでございます。それらの点をもちまして酪農の
振興の基盤を確立しまして、従来の現行法がもつぱら集約酪農地域制度のもとにおいて、急速なる酪農の普及発達をはか
つて農業経営の安定に資することを
目的といたしておりましたものを、酪農の健全な発達をはかって農業経営の安定に資することを
目的とするように改めたいと存じておるところでございます。
それが第一条
関係でありますが、次の点は御配付申し上げました
法律案関係の分厚のとじものの中で一番終りに旧
法律及び新
改正案の新旧対照表が載
つておりますが、これについてごらん願いますとありがたいのでありますが、第九条でございますが、現行法におきましては、酪農適地を集約酪農地域として
指定いたしまして、この地域におきまして都道
府県知事が酪農
振興計画を立てることになっておるのでありますが、自給飼料の増産
計画につきまして、さらにこれを毎年度省令の定むるところによりまして市町村別の
計画を定めて公表することの規定がございます。これを今般は、酪農の経営安定の一大重要保護事項は、草地改良、自給飼料の増産にあるという
見地に立ちまして、特に自給飼料増産についての法文をさらに
整備をいたしたい。もちろんこの問題につきましては、
予算、資金等の措置とか、制度そのものに関しまする事業
計画上の制度また実施上の制度、維持管埋をいたしまする場合の制度等について必要なものがございましょうけれ
ども、従来、都道
府県知事が市町村別の
計画を定め得ることをやめまして、市町村及び農業協同組合、その連合会とがいわゆる草地改良事業を行いまする場合も、従来の都道
府県知事が行な
つておりました酪農
振興計画に基きました草地改良事業に準じて追加補足の規定を置きたいと思って御
提案申し上げているわけでございます。従いまして、新旧の点を草地改良事業その他の飼料自給増産の
計画及び事業に関しまして申し上げますというと、従来は、
指定集約酪農地域と、この地域における酪農
振興計画に都道
府県知事と市町村長が草地改良事業を行う規定がございます。
計画としましては、先ほど御
説明申し上げましたように、自給飼料増産
計画は、都道
府県知事が酪振
計画に基いて、
指定集約酪農地域に
計画を立てますと同時に、市町村別の
計画も知事が立てることになっておりますが、実行は都道
府県知事及び市町村長がこれを実行することについての規定がございますけれ
ども、先ほ
ども申し上げましたように、従来の
指定集約酪農地域の制度を維持しますと同時に、その地域の内外にわたりまして、酪農経営の改善
計画を立てて経営改善の合理化推進をはか
つて参りたいと思っておりますので、今般は
指定集約地域及び酪農
振興計画に即したる草地改良事業は都道
府県知事において行うことにいたしまして、酪農経営改善
計画に基きまして草地改良事業を行いまするのは、
計画はその酪農経営改善
計画において立てると同時に、実施は市町村長及び農協、同連合会が行いまするように補足追加をいたすと同時に、それを法文として分離して規定をいたしたのでございます。
次に、
改正案の第十条、現行法では第十二条でございますが、その十二条以降でございますが、見出しは「酪農事業
施設の設置」とございます。その見出しのある章は第三節になっているわけでございますが、第三節の「集約酪農地域における集乳
施設及乳業
施設」、この酪農事業
施設につきましては、先ほど申し上げましたように、生乳等を原料といたしましてバター、チーズ、粉乳、練乳等の乳製品の加工をいたしまする事業及び生乳等を飲用牛乳に処理加工いたしまする事業を双方含めているのでございます。あわせまして生乳を集荷をいたします集乳所を作る、そういう集乳
施設をも含んでいるのでございますが、この酪農事業
施設は、先ほど申し上げましたように、法文で規定をいたしました要件に従いまして、都道
府県知事の承認制になっておるのでございます。今般、これを改めまして、改めるという
意味は、追加をいたしまして、
指定集約酪農地域にかかる集約酪農事業
施設についてでございますが、すなわち、その
意味は、
指定されました集約酪農地域の中におきまする乳牛から生産されましたなまの牛乳等、これが地域の中で処理、加工、製造をいたされまする場合は、現行法
通りを維持いたしますと同時に、さらにこの
指定集約酪農地域の周辺の地域につきまして、
農林大臣が地域
指定を行いまして、集配地域として
指定されました地域内の酪農経営から生産されまする生乳等が販売をされる、すなわち消費の方へ向いまして販売され、流通して参る、そういうある範囲の一定の地域につきましては、地域を
指定いたしまして、この地域内の、すなわち
指定集約酪農地域周辺の一定の地域内の酪農事業
施設につきましては、その配置の適正化をはかるために、都道
府県知事が
農林大臣の承認をあらかじめ受けまして、必要な勧告をなすことができる旨を追加したのでございます。この
指定集約酪農地域にかかる酪農事業
施設というのは、繰り返して申し上げますと、すでに
指定をしてある、あるいは今後
指定されまする
指定集約酪農地域において生産をされた生乳、牛乳が処理、加工せられる酪農事業
施設でございまして、それが地域内にあるのは、現行制度
通り。地域外におきまして、
指定地域の周辺において、
農林大臣が新たに
指定をいたしました地域についての
施設でございまして、勧告をする、勧告制度をとりますと同時に、その前提といたしまして、その地域については、同
施設は都道
府県知事に届出をしてもらいたいという規定を置いておるのでございます。
次に、おもな点を
提案理由の御
説明に即しまして申し上げますと、先ほ
どもちょっと触れました酪農経営改善
計画でございますが、これは第二章の二の「酪農経営改善
計画」という分に規定をしまして、これは全然新しい
関係事項でございます。これはどのようなことを考えているかと申しますと、
指定集約酪農地域内と地域外との双方にわたりまして相当
程度乳牛の飼育頭数があり、飼養密度がありまして、合せまして農用地の利用を今後なお相当
程度できまする条件のような場所に、生乳の販売条件等も考えまして、経営改善
計画を立てる地区を
指定したいと思っておるのでございます。従いまして、そういう地区は集約酪農地域の中にもございます。外にもあるのでございます。地域の広さをどんなものだと申し上げますと、一応市町村の
行政区域の範囲内と思っておるわけでございます。市町村全部に、市町村内の全農家に行き渡りまするほどまだ酪農は普遍的ではございませんけれ
ども、おのずから酪農の性質、牛乳の生産、販売、処理等の
関係からいたしまして、酪農が行われ出しますと、相当集約的な密度を持っておるのが普通でございまするが、この地域の中で、今後十カ年あるいはそれ以上もたたないと酪農が普遍的にある地域とは言えないような非常に遠い将来の開発地域、酪農としての開発地域、そういうものを一応除きました。また同時に、大消費地等の周辺あるいは中にありまするような、農業経営とも言いがたいような、一種の農業経営かもしれませんが、耕地または草地あるいは山林等をも利用することをほとんどいたしませんで、濃厚飼料に依存しました専業的な搾乳酪農といいますか、そういうものが行われている地域をまたもう
一つ除きまして、その範囲内におきまして、今後農業経営の中で乳牛飼育を取り入れて酪農の農業経営として発展させ、また経営を改善させる価値のある地域につきまして、市町村単位に
計画を立ててもらって、その経営改善を進めていくことを法定したいと思うわけでございます。この市町村の中の相当の密度を持ちました区域、地区は必ずしも一カ所ではないと思われるのであります。町村数地区でもいいと思います。市町村内をその地区の特徴をもちました数地区に分けながら一
計画を立ててもらうのもけつこうと思っておるわけでございます。
計画を立てる地域の要件は以上でございますが、
計画を立てる人はそれではどういう人かと申し上げますと、これは一応市町村長に立ててもらいたいと思っておるのでございます。ただし、市町村長は、酪農経営をいたしまする農業者の
意見を聞きまして、また農業協同組合連合会の行いまする事業もその地区に当然ございまするので、先ほど申し上げましたように、飼料自給に関しまする事業を農協や農協連合会に一そうの力を尽してもらうことも意図しておりまするので、その他の牛乳の共販事業、共同処理事業のことも考えまして、農業者の
意見を聞くほか、
計画で取り上げまする事業の
内容が、農協または同連合会が行うべき事業につきましては、その当該農協及び同連合会に協議をしなければならぬようにいたしました。
さらに、農業
委員会等につきましては、当然に農業
振興計画に参画し、それの実施連絡に努力する使命が別途ございまするから、市町村長は、市町村の農業
委員会等にまた
意見を聞きまして、そうしてその改善
計画を作成してもらうようにいたしております。この
計画を作成しました場合、市町村は遅滞なくこれを公示して周知せしめる、そういうことを考えておりますし、その
計画の変更に当りましては、また同様に区域内の酪農農業経営者の
意見を聞いて、変更を要する場合には変更
計画を作らなければならぬという規定を第十八条の二に置いております。また市町村にはおのずから
計画作成の能力もございましょうから、本来、
地方自治としても市町村が行うべきことでございますが、今回は特別、日本の酪農経営の改善安定に具体的に歩を進めるという
意味をもちまして国の援助のもとに都道
府県知事は、市町村から申し出のあったときには、経営改善
計画の作成に関しまして必要な助言、監督、指導その他の援助を行うものといたしまして、この費用は県に向いまして三十四年度の
予算といたしまして
予算を計上いたしておるのでございます。
十八条の三以降は、先ほど申し上げました草地改良事業についての都道
府県知事が行う以外の、すなわち市町村、農協、農協連合会が行います場合の規定を設けたのでありますが、これは従前からあります先ほど申し上げました九条の
指定集約酪農地域に関しまする酪農
振興計画に基いて都道
府県知事の行います草地改良事業の規定をさきに従前
通り置きまして、従前、都道
府県と市町村とがともに行い得ることが書いてあります
計画の実施の草地改良事業についての市町村の部分は、農協などと合併いたしまして、都道
府県知事の行う場合と切り離しまして十八条の三以降にこれを規定したのでございます。おのずから市町村、農協、農協連合会は集約酪農地域の
指定地域内ばかりでなしに、その内外にわたりますと同時に、酪農経営改善
計画に基いて草地改良事業を行うようになるのでございます。知事は酪農
振興計画に基いて行うようになるのでございます。さらにまた、その改良草地につきまして災害が起りました場合の災害復旧事業につきましても同様に事業実施態勢を明示いたしますように準用規定を置いております。知事が酪振
計画に基いて行います草地改良事業と市町村が経営改善
計画に基いて行いまする草地改良事業とは、その
施設の
維持管理につきまして、すなわち改良された草地の
維持管理につきましては、条例でこれを定めるのでありますが、農協と農協連合会は条例というわけにもいきませんので、組合の同意を得て組合員に対しましてその規約を適用するようにして、規約の効果は、条例とは若干違いますが、
関係法文は条例と読みかえまして適用したいと思っております。
次は、十九条以下でございますが、これは先ほど申し上げました生乳の取引の公正化をさらに一歩進める部門の追加規定でございます。従前は一応生乳等の取引は生産者と生乳を買い上げる乳業者との間の自由取引を
予定しまして契約をしましたならば、所定事項について文書化を行う、文書にして明らかにしておく、それを都道
府県知事に報告しまして、都道
府県知事はその適切でない場合には、適正化に関しまして勧告権を持っておるのでございますが、従来の実施
状況と商慣習とにかんがみまして、さらに取引契約の規制事項を増加いたしたいと思っているのでございますが、その追加の第一は十九条の二でございます。十九条の二は、一項二項とございますが、売買
価格などの約定に関しますることでございまして、現在の取引
状況の大半を占める慣行の実情を申し上げますると、生乳等の生産者が生乳の処理業者、加工業者、乳製品の製造業者に向いまして生乳の売買を行なっておりまする場合には、大体売ろう買おうという
意味の
内容を持つ分につきましては、一カ年ぐらいの契約期間にいたしているのが普通でございます。あわせまして、この場合数量に——売買数量あるいは取引数量でございますが、数量に関しましては三カ月ぐらいの継続期間を持つように取引いたしているのが普通でございます。そういたしましてその場合の販売
価格につきましては、おおむね一月だけを規定しているのが実情でございます。引取をしようという部分につきましては一カ年、数量につきましては三カ月、
価格につきましては一カ月ぐらいを規定いたしているのであります。そこで、この酪振法に基きまする酪農
審議会というのもございまするが、昨年の夏以来の乳価に対しまする緊急対策あるいはその前の大かん練乳の砂糖消費税の免税の撤廃後の処置であります。また昨年の六、七月以降におきまする場合のいろいろな
状況等を考えますると、酪農
審議会からも答申をいただいているのでございますが、もう少し取引契約を長く、安定して取引ができるように、また取引を指導するようにするのが最も望ましいということになっておるのであります。そこで、今般三十日、契約の存続期間が三十日以上でありますものは、売買の当事者は、少くともその最初の三十日について
価格関係の事項、すなわち売買
価格及び数量並びにその代金の受け渡しの方法を約束しておかねばならぬという制度にいたしたいと思っておるのであります。これは三十日未満というものは、ほとんど現在もありませんし、大半が三十日をこえる、すなわち、先ほど申し上げましたように、契約そのものの存続期間は一年ぐらいが普通でございまするので、大半がそのように行われておる場合には、生産者と買受人との交渉をもちまして、おのずから三十日以上になるものと
予定をいたしているのでございますが、三十日以上、大半一年をこえている取引契約が結ばれておるときには、少くとも一月は
価格あるいは
価格関係の
内容をきちんときめておいてもらいたいということでございます。
また第二項につきまして締結されました生乳等の取引契約で
価格あるいは
価格に直接
関係をしまする数量や代金の受け渡し方法が約定されておらない部門もあるのでございまするので、これにつきましては、約定をされていない期間の開始する日から省令で定める一定の期間の前まで、これは大体三十日を
予定しておるのでございますが、その三十日を約定予告期間とでも申しますか、三十日前までに、どういうふうに取りきめようというのを明らかにして相手方に申し出まして、そして契約を締結してもらいたい、そういう規定を挿入いたしたいと考えておるのでございます。これは牛乳の需給事情等によりまして、また立地等によりまして、売手買手の強弱の差はいろいろありましようけれ
ども、概しまして、生産者の方がとかく、生乳の腐敗しやすい品質の点とか、あるいは集団的に小生産者が集ま
つて、まとめて買う処理業者、加工業者に販売をして初めてこの商品化農業である酪農が成り立つという、こういう自然の性質もございますので、買手独占になりやすい傾向もございます。また強弱の差がおのずから出てくるところも、自然的に出てくる性格がございますので、そこで、売買の話し合いがなるべく穏当につくように、売買契約を結ぼうとする一月ぐらい前には、契約をしようとする
内容がお互いにわか
つて、そして取引が公正化をせられる——不満なときには他の方へ売るとか、委託加工をして製品にするとかいうような余地をとり得る期間があ
つてもよかろう。あわせまして、第二項は、第一項の
現状が、
価格等が約三十日できま
つておるのが商慣習としても大体の大半であるということと、さらに一年ぐらい結ばれておる取引の契約の存続期間が
現状でございまするが、間々売買
価格、数量、代金の受け渡し方法等については、あまり短期間のものはよろしくないので、「存続期間が三十日をこえるもの」というふうに規定をしたのと照応さしたつもりでございます。
十九条の三では、組合で生乳等の共同販売の取引契約とかまた団体協約の締結をいたしたいという場合に、農業協同組合がその
関係法規に基きまして行いまする場合に、相手方が断わるといけませんので、都道
府県知事に、その団体協約や共同販売契約を申し入れたいとしました場合には、乳業者はその交渉に応ずるように、交渉に応じた後は、自由の売買契約の交渉でございますが、その規定を置いたのであります。
さらに二十条以下におきましては、紛争のあっせん調停の規定を従前より強化いたしまして、これは前臨時国会等でも、いろいろ国会からも御
意見が出ました趣旨を尊重いたしまして、あっせんに関しまする分は従来
通りでございますが、調停案を具しまして売手買手の取引の紛争を取りまとめる努力をする場合には、これを調停といたしまして協定とするのが最近の
法律の例であるようでございますが、あっせん及び調停の両事項につきまして、まず第一段には、都道
府県知事にそのあっせん、調停を行わしめる。第二段には、
農林大臣が都道
府県知事の努力の後に、都道
府県知事の申し出をもちまして、自分で取り扱おうと決定をいたしました際には、
農林大臣が責任を持ちまして紛争のあっせん、調停に当る規定を設けたのでございます。
農林大臣の紛争のあっせん、調停に関しまする規定は、現行法ではございません。
改正案は都道
府県知事がまず第一に行うのでありますが、その際に、
地方の生乳取引調停
審議会というものを置きまして、その
意見を聞きましてこれに当りますし、あわせまして、知事の行いまする紛争のあっせん、調停でも、
農林大臣が知事を助言しましたり、資料の提示をいたしまして、必要な協力を与えることができるように制度化したいと思っております。また
農林大臣は、中央に生乳の取引調停
審議会を置きまして、その
委員の中から適当な者三名を命じまして、それをして調停、あっせんに当らしめるという案でございます。
次には、第三章の二でございますが、国産の牛乳及び乳製品の消費につきまして、国も相当の責任をもちまして、生産に見合う消費を開拓しながら、酪農の健全な発達をはかりまするように、学校給食用の用途が相当現在及び将来において大きいのでございますので、それを
促進するために、
一つ法的規定を置きたい。あわせまして、その場合には、別の二十四条の五にございますが、「国は、毎年度、
予算の範囲内において、」これを助成をする。また「集団飲用」とか「流通の合理化を
促進する」援助も国がいたしますような規定を設けておるのでございます。
二十四条の四は、牛乳、乳製品の学校向けの消費について国が措置することで、飲用のなまの牛乳と乳製品双方でございますが、さらに乳製品の過剰
状態が生じまして、それが生乳の取引
価格を低落せしめるおそれがあったり、また酪農農業を行う者——乳業を行う者の経営が著しく困難になってくる、そういうふうな場合につきまして、牛乳、乳製品の需給が均衡を著しく失しておることがその
理由でありまする場合には、
計画的な保管
計画を
農林大臣が定めるごとにいたしまして、その際には、過般から出発しておりまする酪農
振興基金の
意見を聞きましたり、学校給食用のことも考えまして、文部大臣に協議をいたしましたりして、乳業を行う者が
農林大臣の定める保管
計画に応じたように乳製品のたな上げ保管をいたしまする場合には、その金利、倉敷を国において保証をする、また酪農
振興基金は、その必要な債務保証
計画を
農林大臣の定めまする保管
計画に応じまして立てまして、そうして必要な債務保証をして、
計画的に保管ができるようにいたしたいと思っておるのでございます。それに関する規定が第二十四条の四でございまして、国内産の乳製品の保管、この場合は乳製品でございます。
実体的な規定は以上のようで、牛乳の生産、すなわち酪農経営の基盤造成であります部分から、酪農経営の改善
計画実施に関しますることから、また自給飼料の増産、草地改良事業に関しまする
計画と実施に関しまする規定、また生乳取引の公正化をさらに進める
関係の諸規定、牛乳、乳製品の生産と消費との均衡がはかり得るように、消費の増進について国が相当責任を持つということ、また牛乳、乳製品がだぶつくときは、
計画保管をする制度を設けて国が酪農
振興基金の援助をする、こういうことの規定でございますが、そのうちで、特にこの保護的制度のもとにおきまして、いわば事務的といいますか、事務的に近い経費を
補助する規定及び資金の融通あっせん、その他必要な奨励の措置を講じますることを二十四条の五、見出しは(助成)と書いてありますが、農業経営の分から、牛乳、乳製品の消費に関しますることから、乳製品の
計画保管に関しますることから、それにわたりまする
補助とその他の奨励措置に関しまする規定を設けておるのでございます。
さらに(報告及び
検査)のことでございますが、これは昨年夏以降非常な論議があったことに関することでありまして、すなわち、
農林大臣または都道
府県知事の牛乳、乳製品に関します調査権の拡大でございますが、拡大の要点を簡単に御
説明申し上げますと、従来は生乳の生産者と集乳事業と乳業を行う者から報告を求めることができるようになっておりましたものを、今回は牛乳及び乳製品の生産、集荷、保管及び販売を事業とする者を加えたことが第一点でございますし、現行規定は、報告を徴するときは、
法律の各規定を施行するために必要があるときはできるとありますけれ
ども、事務所、事業所に職員をして立ち入り
検査をする、業務の
状況、帳簿、書類その他必要な物件を臨検
検査できる、こういうことに関しましては「生乳等の取引の公正を確保するため必要があるときは、」と限定をしてございましたのを、今般は
改正案各規定すべてにわたりまして調査対象を拡充するとともに、ひとしくこの
法律を施行するために必要があるときには、できるというふうに範囲を拡大したのが第二点であります。そういう結果といたしまして、報告を求め得る事項と、臨検
検査ができる事項ということにつきまして範囲が広がることになるのでございます。
最後に、酪農
審議会は、現行制度におきましては
委員十二名以内でございますが、今般の
改正案によりましても
委員の数は十二名以内で組織することにいたしておりますが、現行が生乳の生産者団体代表、乳業を行うものの代表、学識経験者、それが二人、二人、八人という範囲内において
委員が出ておりましたものを、今般は牛乳、乳製品の生産、集荷、保管、販売または消費に関しまして学識経験を有するものの中から
農林大臣が任命するということにいたしたいと思っております。すなわち販売や消費
関係のお方々もお入り願いたい、こういうように思っておるのでございます。
逐条、簡単に御
説明を申し上げますと、以上のようでございます。