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説明員(
森本修君) それでは横書きの「
家畜死廃病傷共済の
概要と
実績」という
刷り物の第一ページは
現行の
死廃病傷共済制度の
概要を書いてございますが、先ほど申し上げましたように、
制度の
概要でございます。で、一番左の方に書いておりますのは、
共済目的と
共済事故ということでございまして、
共済目的というのは、
家畜共済に何が
共済としてかけ得るかというものでございます。
種類としましては、牛、馬、
ヤギ、
綿羊、
種豚と、こういう五
種類になってございます。右の方に書いておりますのは、
保険にかけ得るところの
家畜の年令を書いておるわけでございます。牛、
ヤギ、
綿羊、
種豚は、いずれも出生後五カ月を経過したもの、馬は明け二才ということで、一才をまるまる経過して二才目に入ったもの以上ということでございます。
それからその下の
共済事故と申しますと、
事故が起りまして
共済金の
支払いとなるその
事故の
種類を書いているわけでございます。
種類としましては、ここにありますように
死亡、これは普通の
屠殺では
共済金がもらえませんで、
病廃、いわゆる
伝染病等にかかりまして、
家畜伝染病予防法の
規定によりまして
屠殺する法令殺ということを
死亡の中に含みますが、
一般の人為的に
屠殺をしたものは
共済事故の
対象とならないわけでございます。それからその次は
廃用ということでございまして、たとえば骨折があったとか、あるいは失明があったとかいったような場合その他
乳牛等に特に多いわけでございますが、
生殖器の
疾病または
傷害によって
繁殖能力を失った、あるいは泌尿器の
疾病または
傷害によって
泌尿能力を失ったといったような事例が多いわけでございます。それからその次が
疾病、これがいわゆる
家畜が病気にかかった場合、それから
傷害、これは傷ついた場合、こういう四つの
事故について
共済金の
支払いをするということになっているわけでございます。
それからその次は
組会員の
資格でございますが、これは
共済組合の区域内に住所を有しまして、それぞれ
共済目的の所有または管理するものが
組合員の
資格を有するわけでございます。
それからその次は
共済に
加入をする
手続でございますが、いろいろ
手続が書いてございますが、大体は年数回、日をきめまして
引き受けの時期を定めて、
引き受けを行っているのでございます。それから
加入につきまして特に特色になっておりますのは、
任意加入ではございませんで、
共済組合の方で議決をいたしますというと、
一定の
資格を持つた
牛馬については当然に
——当然にと言いますか、
組合の方に
加入をする
義務が出て参ります。いわゆる
義務加入といわれておりますのはこのことでございます。
加入のところはそういうことで、その次に
引き受けの
検査と
評価というのがございますが、
加入の申し込みがありますと、
引き受けの
検査をいたしまして、大体健康な
家畜であるという判定をいたしますと
引き受けをするわけでございます。それから
評価は、大体この
家畜はどの
程度の
値段をもっているかということを
評価委員が
評価をいたしまして、
制度としては、その
評価されました
家畜の
価格の約八割まで
保険に付し得るということになっているわけでございます。
それから
共済金額の
選択、
引き受けの
承諾ということでございますが、先ほど申し上げましたように、
共済価額の八割までの
範囲内で、
農家が
共済金額を
選択できるということになっているわけでございます。
引き受けの
承諾は、
組合から
加入者に対して、
申込者に対して
引き受けの
承諾をすることになっております。
引き受けの
承諾がありますと、定款で定める
期間内に
共済掛金を納入するということになっております。
通常の場合は一週間以内に
掛金の納入をしていただくということになっております。
それから
掛金に対する
国庫負担は2のところに書いてございますが、
現行制度によりますと、
死廃部分につきまして
最低共済掛金の二分の一の
国庫負担をいたしております。
それからその次は
共済責任の
発生でございますが、
共済掛金を納入いたしました翌日から、
事故が起りましたならば
共済金の
支払いをする
責任が
組合に
発生するわけでございます。
通常はそれから一年間がいわゆる
共済責任の
期間ということになっております。
事故が起った場合がその次に二段に分けて書いてございますが、一番上の方は
死亡廃用の
事故、下の方は
疾病傷害の
事故でございます。上の方はいわゆる
死亡とか、あるいは
廃用の
事故が生じた場合でございまして、その場合には、
事故の
発生の
直前の
価額、その
価額を決定いたしまして、これはやはり
組合に
評価委員というものがございまして、大体
事故が
発生した
直前の
市場価額等を参考にいたしまして、
家畜の
価額を決定し、さらに
残存物——皮であるとか、骨であるとか、そういった
残存物の
価額を
評価することになっております。それから
死亡あるいは
廃用につきましては、当然
獣医師のいろいろの
診断を経て、そういうことが確定するわけでございますので、2に書いてございますように、
治療の
経過書あるいは
診断書、検案書を添えて、
共済金の
請求を
組合に
組合員がするということになっておるわけであります。
それから
共済金の
支払いでございますが、
共済金の
支払いは、先ほど
価額の決定をいたしました
事故の
発生直前の
価額から肉であるとか、皮であるとか、そういったものの
残存物価額を控除いたしまして、なお
補償金等がありますれば、それも控除して、
共済金の額を決定して
組合員に支払うということになっておるわけであります。
それから
病傷の
事故でございますが、それが下の方にありまして、
病傷の
事故が
発生をいたしますと、
組合員が
組合に通知いたしまして、
組合の係員が
事故の確認をする、それから当然
獣医師の
診療を受けるわけでございますので、
獣医師の
診断書、それから治癒後のいろいろの
書類を添えまして、
共済金の
請求を
組合にするということに
手続上はなるわけでございます。
それから
共済金の
支払いは、この
獣医師の
証拠書類によりまして、
損害額を
組合で認定して
共済金を
組合員に支払うということになっております。なお、
共済団体に直営の
診療施設がございます場合には、そこで
診療を受けた場合には、その
診療の給付をもって
共済金の
支払いにかえる、直接金が渡りませんで
診療を受けたならば、その
診療が
共済金の
支払いにかわる、こういうことに、
制度上はなっております。
以上が大体
制度の
概要でございまして、三ページ以下に
実績を図表でお示ししてございます。
三ページは
死廃病傷共済の
加入の
状況でございますが、一番上は
乳牛でございまして、三十年以降の
実績を書いてございます。これは
死廃病傷共済の
一元化が発足をいたしましたのは三十年でございますので、それ以前のはちょっと
制度が違うのでございますから、同一
制度の比較ということで、三十年以降をとってございます。
乳牛は三十年、三十一年、三十二年、いずれも二十万頭、二十四万頭、二十九万頭ということで、
相当の
増加を示しております。それから
一般牛の方は、三十年、三十一年、三十二年、大体
一般牛の
飼養頭数の変遷につれまして
加入頭数が
減少をいたしております。馬の方も同様でございまして、三十年、三十一年、三十二年、いずれも
飼養頭数の
減少に伴いまして
加入頭数が
減少をいたしております。
それから四ページでございますが、四ページの方は
共済金額の
総額と一頭
当り共済金額ということでございまして、
加入をいたしましたそれぞれの
家畜につきまして全額で一体幾らの
保険にかけておるかというのが左の欄でございます。これはほぼ
加入頭数とパラレルに動いておりまして、
乳牛につきましては三十年、三十一年、三十二年、いずれも百億、百十九億、百四十億ということで
増加をいたしております。
一般牛はやはり
加入頭数の
推移と並行いたしまして、
共済金額の
総額は
減少いたしております。馬の方も同様でございます。それから右の方の欄は一頭
当りの
共済価額ということでございまして、
保険にかけましたところの
乳牛なり
一般牛なりが一頭
当りどのくらいの
値段のものであるかというのが上の方でございます。
乳牛は大体九万円ちょっと、それから
一般牛の方が約四万円、馬の方が五万円ちょっと、五万二、三千円になろうかと思いますが、そのくらいの
金額になっております。下の方は、そういう
値段の
家畜に対して
農家が
現実にどれだけの
保険に入っておるかというのが一頭
当りの
平均の
共済金額でございます。
乳牛が四万八千円、
一般牛が二万二千円、馬が二万八千円
程度になっております。それが大体
共済金額の
状況でございます。
五ページの方は、
支払い共済金の
総額とそれから一頭
当りの
支払い共済金でございます。左の方は
共済金の
総額でございまして、
乳牛の方は三十年が八億七千万円、三十一年が約十億、三十二年が十一億ということでそれぞれ
加入の
状況に応じて
増加をしておる。それから
一般牛の方は三十年、三十一年、三十二年、ごらんのような数字でございます。馬の方も約八億前後でございます。それから一頭
当りの
共済金でございますが、これは上の欄が
死廃、要するに
死亡あるいは
廃用になった場合に一頭
当り共済金が幾ら支払われておるかということでございまして、これはほぼ一頭
当りの
共済金額に似通った数字になっております。
乳牛の方が約四万七、八千円、それから
一般牛が約二万円、馬の方が約二万四千円
程度ということで一頭
当りの
共済金額とほぼ似通った数字に相なっております。それから
病傷の方は一
事故当りの
支払い共済金でございまして、一回病気にかかりました場合に、
平均的に一頭
当り幾ら
共済金が支払われておるかということでございまして、
乳牛は約一千六百円、
一般牛は約八百円、馬が約一千百円
程度ということに相なっております。
それから六ページは
掛金の
総額と一頭
当りの
金額でございます。これもほぼ
加入の
状況と並行して動いておりまして、
乳牛の方は三十年、三十一年、三十二年、いずれも六億、八億、十億ということで
増加をいたしております。
一般牛は約七億前後でございます。馬が七億ないし九億ということでそれぞれ
推移いたしております。一頭
当り平均的に
共済掛金を幾ら払ったかというのが右の小さい表でございますが、
乳牛は約四千円、
一般牛が約五百円、馬が約二千円という
状況でございます。
それから七ページは
死廃の危険率の
推移を示しております。実数は右の肩にずっと年次別に書いてございまして、下の図表はその数字を図で表わしたものでございますが、
乳牛の方は三十年が八%、三十一年が六%、三十二年が五%ということで、
平均いたしますと約五・八%ということに
金額危険率が相なっております。それから
一般牛は一・四%、一%、〇・九%、
平均いたしますと一%。馬の方は三・六%、三・五%、二・八%、三年
平均では三・二%というふうな数字になっております。漸次
死廃事故の
金額危険率が低減の
傾向を示しているわけであります。
それから八ページは同じく
金額危険率の
病傷部分を示しております。同様に右肩に実数をお示しいたしておりますが、
乳牛の方は、三十年が四・四%、三十一年が五・三%、三十二年が同じく五・三%、
平均をいたしますと約五・二%
程度に相なっております。
一般牛は〇・九、一・〇、一・〇ということで、
平均が一・〇ということでございます。それから馬が三・六、三・五、三・三、
平均いたしますと三・四%ということで、下の図表をごらん願えればおわかりになると思いますが、
乳牛、
一般牛等につきましては、若干の
増加ということでございます。馬の方は、三十一年から三十二年にかけて幾らか
減少をいたしております。
それから九ページの表は、それぞれ
事故を起しました場合にどういうふうな病気が多いかということを図表で書いておるわけでございます。これは
死廃事故でございますが、全般的に申しますと消化器病というのが多いわけでございます。ところが、
乳牛は、ちょっと特殊な例でございまして、泌尿
生殖器病というのが四三・四%で、百分率といたしまして四割以上を占めておりまして、その点が
乳牛の
事故の特徴と相なっているわけでございます。
一般牛、馬等はいずれも消化器病が四〇%という
状況でございまして、馬、
一般牛ともに消化器病が病気のうちの大宗をなしております。それから二番目は、
一般牛、馬ともに外傷不慮というのは、放牧中の
事故であるとか、あるいは農作業に伴う外傷といったものが二番目の地位を占めております。そのほかいろいろございますが、伝染病、寄生虫病といったものも
相当大きなウエートを占めておりまして、まあ
乳牛の泌尿
生殖器病が例外ということになっております。
それから十ページは、同じく
病傷の
事故を起しました病気の
種類でございまして、先ほどの
死廃事故とほぼ似たような
傾向でございまして、馬、
一般牛等は消化器病が大宗でございます。四二%、三九%、ただ
乳牛につきましては、泌尿
生殖器病が五三・九%ということで圧倒的多数を占めているわけでございます。そのほか馬の全身病あるいは運動器病、そのほかそれぞれのほぼ
死廃事故と、畜種別に見て参りますと同様の
傾向を示しております。
それから十一ページの方は、新旧
国庫負担方式の変化を図でもって示しているわけでございます。
現行のところで御
説明を申し上げますと、
死廃部分、
病傷部分というのが横軸に書いてございまして、
死廃部分、
病傷部分、いずれもここに
掛金の率が出てくるわけでございます。それから縦軸には
平均共済金額、最低
共済金額ということで、
共済にかけましたところの
金額が出て参ります。従って、それぞれこの箱になっておりますのは、
掛金の全体の量というふうに、額というふうに見ていただければけっこうだろうと思います。一番この外にありますのが
乳牛の例でございまして、
平均共済金額が四万八千円ということで、
金額は書いておりませんけれども、先ほど申し上げましたような四万八千円ということに相なっておりまして、それに横軸の
死廃の率、
病傷の率を掛けました全体の短形が
乳牛の全国
平均一頭
当りの
共済掛金ということになるわけでございます。
現行の
国庫負担方式によりますと、この
平均の
共済金額に対する
掛金の
部分が
国庫負担の
対象というわけではございませんで、最低の
共済金額に対応するところの
掛金、しかも、それは
死廃部分についての
掛金の二分の一を
国庫負担をしているわけでございまして、斜線で囲んでおりますところの
部分、これが
国庫負担部分ということになるわけでございます。
改訂によりますと、最低
共済金額に対する
掛金に
国庫負担にするという
制度を改めまして、原則としましては、
農家の
選択しますところの
共済金額に対応する
掛金に対して
国庫負担をすることに改めたわけでございますが、先ほど御
説明申し上げましたように、
農林大臣が定める
金額までを
国庫負担の
対象といたしておりますので、全国的に見ますと、
平均の
共済金額よりは
平均としては
国庫負担の
対象金額が若干下って参ります。従って、上の方に点線ですれすれのところに書いてございますが、その辺が全国的に見ましたならば、
国庫負担の
対象になる
共済金額の線だろうと思いますので、それの二分の一を
国庫負担をすることに改めようとするわけでございまして、それを図表に表わしますと、
国庫負担としては、同じく斜線で囲みました
部分が、
改訂の
国庫負担分ということになります。この濃くしましたところが
国庫負担の増額
部分、図で書きますとこういうふうな姿に相なろうかと思います。
それからなお
乳牛につきまして、
病傷部分の率の
増加割合に応じまして、
加入奨励金を
交付することになっておりますので、
加入奨励金部分も念のためにこの
程度になろうかということでお示ししているわけでございます。以上でございます。