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1959-02-27 第31回国会 参議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月二十七日(金曜日)    午後一時四十八分開会   —————————————   出席者は左の通り。    委員長     秋山俊一郎君    理事            雨森 常夫君            堀本 宜実君            東   隆君            清澤 俊英君            北 勝太郎君    委員            青山 正一君            関根 久藏君            田中 茂穂君            仲原 善一君            藤野 繁雄君            河合 義一君            棚橋 小虎君            戸叶  武君            千田  正君            北條 雋八君   政府委員    農林政務次官  高橋  衛君    農林省畜産局長 安田善一郎君    林野庁長官   山崎  齊君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農地局管    理部長     庄野一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○開拓融資保証法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○森林開発公団法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○日本てん菜振興会法案内閣送付、  予備審査) ○臨時てん菜糖製造業者納付金法案  (内閣送付予備審査) ○酪農振興法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  まず、開拓融資保証法の一部を改正する法律案を議題にいたします。  この法案は、昨二月二十六日衆議院会議におきまして、全会一致をもって原案通り可決され、当院に送付、当委員会に付託されました。この件について御質疑ありますか。
  3. 千田正

    千田正君 昨日、各委員からの質問に対して農林省当局の御答弁の中に、農家所得三十五万円を目標として、五カ年計画でこれを達成する方法で大いに開拓農家振興計画しておる、こういう御答弁でありましたが、実際にそれができるかどうか、大体、所得三十五万円の農家の総収入は、諸経費が大体五〇%から逆算していくというと、七十万円ぐらいになる。それを五〇%の諸経費を引きますというと、とうてい三十五万円というあなた方が御答弁なさったような計画の線まで達するのは容易なことでないのではないか、この点において確信があるかという点を一つお答え願いたい。  もう一点は、現在政府行政措置としてやっておりますのは、いわゆる振興農家対象としておりますけれども、非振興農家に対しては補助融資等対象にはしておらない、いわゆる卒業生扱いにしておるのだが、このような人たちもこの計画にのっとって果してその線までいけるかどうか、これも非常に疑問なのでありまして、これらの人たちに対して、この線までこぎつけるだけの自信は果して持っておるか。  第三点は、中金がこのごろ、先般から皆さんが御答弁になっておるように、災害資金に対しては、十分処置さしつつあるという御答弁でしたが、中金金融対象になっておるのはきわあて少くて、実際においては対象からはずれておるというのが現在の実態ではないか、いわゆる貸付がなかなか順調にいっておらない。それにはきのう以来、いろいろの御答弁がありました通り中金対象とするのは、少くとも従来の償還その他の状況あるいは一戸一戸の検診の結果、それに対する今までの借款に対する検討の結果は対象にならない、こういう意味ではずされている点が非常に大きい、こういう陳情がわれわれのところにしばしば参っております。  この三点について、明確な御答弁を  いただきたい。
  4. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 振興計画を立てた農家振興目標は、農業所得三十五万円を大体目標にいたしております。その点につきまして、これは内的におきましては、大体平均いたしますと、既農家の分が三町二反程度が平均の地域になっておりますが、それにつきまして再々申し上げましたように、この経営形態につきまして、従来主穀中心であった点等については十分検計を加えて、適地適産と申しますか、そういうものを加味し、酪農形態に切りかえるものは酪農形態、それから西の方の果樹園芸地帯果樹、そういった基本営農類型に類します振興方針ということで追加投資が、先ほども申しましたように政府資金では大体十二万八千円、それからそれに対しまする公庫の施設資金、そういったのを追加投資いたしまして、そうしてさらに振興計画にあります建設工事のおくれといったようなものを、昨日も御説明申し上げましたように、残工事をできるだけ促進する、あるいはすでに工事完了の所はその原因工事不足等にありますれば、追加工事あるいは開拓地改良工事、そういったものを集中して工事を促進する、そういうことと、それから債務条件等は十分これを緩和する、特に自作農資金において十分なめんどうを見る、そういうことによりまして、大体債務条件においても緩和して、さらに経営転換なり経営合理化と、そういった面の追加投資と両々相待って、五年目ごろからそういう債務を返しながら黒字転換の転機が大体つく。こういう方針のもとに実施しておるわけでございまして、五年目から黒字転換して、七、八年ごろに経営が安定してくる、そういう方針で策定いたしておりまして、この点についてはただいま鋭意実施中でございまして、われわれとしてはその確信を持ってこの達成十分指導なりあるいは推進なりしたいと、こういう考えでございます。  それから、この振興計画が、振興計画を立てないものにつきましては、これは先日も御説明いたしましたように、経営が安定しているかあるいは振興組合に指定されなかった中に、ある一、二の経営の悪い分と、こういった面につきましては、開拓組合が十分にその機能を果している面があるわけでございますので、そういった面からお互いに助け合うというような面も十分できるだろうと思いますし、なお政府資金も、これは振興計画を立てている農家に非常に重点的に配分する予定でございまして、もちろん振興計画を立てないでもいい農家にも、当然政府資金は貸すことになっております。そういう面からの家畜導入なりあるいは経営転換施設と、そういうものも貸し出し得るわけでございます。そういう面から推進して十分これもやれると、こういう考えでございます。  それから中金資金でございますが、御指摘のように、ただいま三十三年度災害の分につきまして、融資がなかなか滞っておる状態でございます。これについては中金といたしましては、やはり金融という面からその償還個々農家償還能力というものを十分審査する、こういう方針でやっておられるわけでございますし、また、その農家の属している開拓農協経理状況という点も審査しておるわけでございまして、そういう面からいろいろ問題が派生しておるわけでございまして、そういう問題につきましては、われわれとしては中金に対しまして振興計画を立てて、政府として自作農資金を割り当てる、それから政府資金にいたしましても、今まで重圧になっている償還の延滞している分は、債権管理法によってこれを延期していく、そういう措置を講ずれば、当然償還能力は片一方において出てくるわけでございますし、また、振興計画によって追加投資政府として政府資金をやるわけでございますから、そういう面からも経営は上向いていく。そういう面から当然振興計画を立てて、それについて農林省で、あるいは政府で指導していく、そういう農家償還能力が今後特段に出ていくわけで、そういう振興計画に書いてあります償還余裕等をすぐそのまま受け入れて貸さないというのは不合理じゃないか、むしろ振興計画は最低を農家は書いて出しているわけでございますから、経営状況に応じて上向いていく傾向にあるわけでございます。当然これは貸し出すべきだと、こういう話で折衝を進めて、個々に当るということになっておりまするが、一方災害資金については、三十三年度に発生して貸し出したものも三十四年度にはこれを十年の改善資金に切りかえるという方針をとって、償還能力も、十分長期にいたしますれば出るわけでございますから、そういう面からも解決をはかって、三十三年の災害資金は出るように交渉いたしております。昨日も御説明申し上げましたように、宮城あるいは岩手とかあるいは山形とか、そういうところにも、問題のあるところには営農課長を派遣して、中金と一緒に現場で折衝させる、そういうことで隘路を打開して、ただいま約一億七千万程度やっておる。今後大いにこれは個々に折衝して十分御期待に沿うように努力したい、こう考えております。
  5. 千田正

    千田正君 一点だけ。今の第一点の私の質問に対する答えにつきましては、五カ年計画三十五万円という点はあなた方のまことにけっこうな計画であり、実施しようという熱意についてはわれわれも大いに敬意を表しますが、現実の問題としては、昨日もしばしば各委員から論じられた通り、今までの負債整理が、ある段階に速急に手を延べてやらない限りにおいては、この計画というものは計画倒れに終るおそれがある。それで、おそらくはあとからこの法案の最後に採決されるに際して、当委員会としてのいろいろ皆さんの総意があると思いますが、この計画を実行するためには、今までの負債整理という問題が最大にして最も緊急を要する処理でなければならないと、私どもはそういうふうに考えるのですが、あなたの方の考えはどうなんですか。これをやらない限りは、これは絵にかいたもちみたいなものだ。やはり現段階においてはそういう問題を最初にはっきりきめて、そうしてあなた方の計画遂行に協力しなければ、計画倒れになるおそれがあると思いますが、あなた方はどう考えますか。この問題については、私どもはそう思っておる。今までの通りだったら、五カ年であなた方の目標通り行こうとは思われない。ということは、経営農家経費あるいは借款に対するところのいわゆる支払い、こういうものをずっとやっていきますというと、きのう申し上げました通り、今一戸当り約一万になるところの赤字ですよ。そのほかに三十六万というような、あるいは三十五万というような借金をしょっている。それを抜本的な政策をはっきりここで立てない限りは、計画計画倒れになるおそれがあるので、これは特段実施方法において研究していただきたい。この点を、質問より私は要望いたします。  それから第三点の、さっき申し上げました中金貸付ですね、この問題につきましては、あなたが今、債権管理法によってこれを十分やれると、こうおっしゃったが、債権管理法というものでやれるからというて振興法からはずしている。はずしたでしょう。その結果は、しからばうまくいっているかというと、わずかに北海道において半額くらい出ているという程度であって、実際まだそれが手についておらない。こういう面も、せっかく振興法からはずして、債権管理法によってやるというあなた方のお見込みとはだいぶ違ってきておる。だから、この債権管理法でやれるという点は、とことんまで、最大限までやっていただきたい。これについてはどういうふうなお考えを持っておりますか。
  6. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 御指摘のように、ただいま開拓者の大部分多額政府資金その他の負債処理に非常に困難を来たしておる、こういう点はまことにごもっともでございます。われわれといたしましても、この債務処理ということと、一方、経営の拡大ということと両方の面から振興をはからなくちゃならぬということも御指摘通りでございます。で、先ほど来御説明申しておりますように、積極的な面は再三申し上げた通りでございますが、債務の点の処理につきましては、やはりこれまで説明いたしましたように、高利のものを自作農で一挙に、これは来年一ぱいに返還してしまう。それから政府資金が大部分農家債務になっておるわけですが、その政府資金につきましては、債権管理法最大限にこれは発動していきたい。この実績は非常に悪いという御指摘でございますが、北海道とそれから今東京が出ておりますが、われわれとしてもこれは東北その他各地区対象者に十分呼びかけて、ほんとうに困っている者は、早くこの申請を出していただくようにしていただきたい、今までは債権管理法ではやれないのじゃないかという議論が開拓者の間には非常にあったわけでございまして、われわれといたしましては、やれる面は一日も早く、こういう法律でやれる面があるのだから、できるだけ早くこういう面にのっとって、それからやれないところが出て来たら、さらにその上で措置を講じたらいいのじゃないか。初めからやれるかやれないかわからないようなものには申請は出せない、そういう態度ではいけないのじゃないか。こういう道も開かれているから、ほんとうに困っているならこの方法によってやれるところまでやって、その上で初めてまたいろいろ将来の対策を講ずべきではないか、そういう私は信念でやっておるわけでありまして、今後もそういう方向で、この債権管理法でやれるところまでは最大限やってみて、それでどうにもならないという面があれば十分先生の御趣旨にのっとって考究いたしたい、こういう考えでございます。
  7. 千田正

    千田正君 今のような中金段階では、今までとってきているような厳重な取扱い方法ではとても所期の資金は借りられそうもないのですが、中金に対しては何かあなたの方で手を打っておられるか、その点はどうなるのですか。
  8. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 中金に対しましては再々協議を進めておりますし、それから衆議院委員会における審査の際も中金の楠見理事長が御出席になりまして、開拓については中金としては最大限の協力をやっておるわけであります、ということを御説明になりましたが、われわれとしてはさらにさらにこの開拓実情をよく把握されまして振興計画を立てておる、その振興計画達成ということと、それから一面においては先ほど申しましたように、政府資金において十分な、できるだけの償還延期をやりますので、そういう面からも中金資金の返済ということはできるだろうし、それから一面においては、十年の改善資金に借りかえる道も開かれておるから、償還能力は十分出る、こういうことで中金に折衝して、中金としても現地まで行って個々に解決する、そういうところまでの道を示して、今後問題のあるところはやはり農林省中金責任者現地の支所なりあるいは県開連まで出向いてその隘路を打開する、そういうことにして個々に進めていく、そういう対策でやっております。
  9. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  10. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記をつけて。  本案について、別に御質疑もないようでございますから、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  12. 雨森常夫

    雨森常夫君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま提案になっておりまするこの法案賛成であります。しかしながら、ただいままで質疑の中に現われておりますところを見まするというと、現在の開拓営農につきましては、非常に政府施策にもかかわらず不振のものが多いのでありまして、現在開拓農家十五万戸のうち大多数といっていいくらいの程度のものまでが営農不振であります。この営農不振は何からくるかと申しますると、まず第一にわれわれが指摘しなければならぬのは、今まで開拓者がしょい込んでおりますところの負債重圧によって営農が成り立っていかないということが最大原因であると考えるのであります。今回提案になっておりますところのこの一部改正法案におきましては、その一部を救うための目的は達することができましょうが、われわれといたしましては、政府におかれてすみやかに抜本的な方策を講じて法案改正を出していかれることを希望するものでありまして、これがために私はこの法案をもし可決される場合には、次の付帯決議を付して賛成をするものであります。付帯決議案の案文を朗読をいたします。     「開拓融資保証法の一部を改正する法律案附帯決議(案)  開拓営農実情にかんがみ、これが振興安定を期し、政府は、開拓営農振興臨時措置法による諸措置を強力に推進するとともに、更に根本的な対策を検討すべきであるが、差当つては次の措置に遺憾なからしめるべきである。   一、開拓者負債実態を充分に把握しこれに即応してその整理に関し必要な諸措置を強力に実施すること。   二、開拓者に対する天災融資の現況にかんがみこれが疎通をはかるため更に適切な方途を講ずること。   右決議する。       参議院農林水産委員会  以上であります。何とぞ皆さんの御賛同をお願い申し上げる次第であります。
  13. 清澤俊英

    清澤俊英君 私はただいま提案になっております開拓融資保証法の一部を改正する法律案社会党を代表して賛成意見を述べたいと思います。  なお、ただいま御提案になりました付帯決議に対しましても賛成して参りたいと思います。  理由の一端を申し述べまするならば、先日来の審議の過程で明らかになりましたように、終戦後急に開かれました開墾入植に対しましては、当時の日本の国情もありましたし、いろいろの関係上、開墾者ほんとう営農につかしむるという実情ばかりではなく、多分に私は当時の失業対策的なものがあったのであると考えるのであります。従いまして完璧なる開拓営農入植が企てられないで長い間放置されておりました。それらの欠点が今現われて、多額負債を擁してほとんど、ただいま雨森さんもおっしゃる通り約十万の開拓農民がその営農が成り立たぬというような窮状に立ち至りまして、政府がいろいろな施策を講じて、これに対して一日も早く完全な農家に立ち返されるべく御努力いただいておることは感謝いたしておるのでありますが、私はこの実情中心にして申し上げますならば、とうてい今まで負いましたところの多くの負債は、これはひとり開拓者のまあ努力の足らなかったというようなことではなくして、国の政策として多分に行われました失業救済的ないわゆる島流し入植に基因するのでありますから、従ってわれわれはこの融資保証法等改正し、あるいは振興法等を強力に推し進められて、そうして一日も早くこの窮状を打開していただきますにつきましては、なお不十分のものを感ずるのであります。従いまして、ただいま提案せられました「開拓者負債実態を充分に把握しこれに即応してその整理に関し必要な諸措置を強力に実施すること。」この意味は非常に深長なるものをわれわれは包蔵しておると思うのであります。ただいまも千田さんが御質問せられました通り多額負債を負うておりまする開拓農民に、この負債をどうしても彼らの努力によって償還していくということは私は非常に無理じゃないかと思う。結局しますならば、十年の間血と汗を流してもなおかつ営農成り立たずとして、特別ないろいろな措置を講じて救わんとしているのでありまして、してみましたならば、私は国の施策中心にしてできた負債に苦しむ国民があるとしましたならば、これに対して当然国の債権モラトリアムしてやることは私は当りまえであると思う。モラトリアムの例はないわけじゃございません。徳川時代からも徳政というようなものでモラトリアムをやったという。昭和の初年におきましては、経済恐慌に対しまして一般にモラトリアムがしかれたと思う。また昭和七、八年ごろだったと思いますが、農家負債整理法を作りまして、そうして当時の小作制度等によります貧農の負債を完全に整理せられたこともあるのであります。これはいずれも民間人との債務でありました。いわんや、大体におきまして開拓農民が負っておりまする債務は、これは国に対しての債務であります。従いまして、負債整理をして、モラトリアムをしきましても、至って私は簡単であると思いますし、同時にこれを衆参両院、自民党でも、社会党でも緑風会でも、この問題に対してはおそらく反対しておられる人はなく、全部が要望しておられる私は実情であると考えるのであります。  従いまして、われわれただいまつけましたこの付帯決議の内容につきましては、一つ、ただいま私どもの申し上げましたことを端的に書き表わしまして、そうして政府に不当な責任を負わせますることは、政府としてもお困りでありましょうし、決議案の形式としても無理であろうと、こう考えまして、非常にその点をぼやかしてありますが、われわれの真意はその辺にあることを十分御了承していただきたいと同時に、昨日も農林政務次官並びに部長の言明といたしまして、開拓営農振興法を施行する過程において、個々負債等もよく調べて、そうして、そういう点に触れるものがあり、無理なものがあるとするならば、そういう措置考えてみたい、こういう御趣旨説明もありますのですから、どうか一つ、それらの措置を一日も早く進めて、そうして長い間苦労している農民が、これが一日も早く完全なる営農農民として立ち上れるように御努力をお願いしたいと思います。  なお、昨日、振興法をもって、これらの農民営農を完結するためには、三十四年度をもって大体十万農家を完結したい、こういうような御趣旨でありまして、その一部を県営代行並びに国営等をもってする、こう言われましたが、まだたくさんの県営代行国営をもってすることのできない小地区開拓地も私は存在すると思います。従いましてそれらに対しましては、ひとり農地局だけではなく、振興局あるいは経済局等とも十分連絡をとっていただいて、そうして基盤整備強化ため施設として、県を中心にしたこういう土地基盤を整備強化するため機械等をいろいろ備えて、いわゆるサービスステーション的な設備を完結するため努力していただきたい。結局いたしまするならば、これは最近におきまして、政府が一昨年あたり発表いたしました新農村建設総合計画等によりまして開拓地だけでなく、山間農村等で増反の関係上みずから土地を拡大していく、それがためにいろいろ施策をやっていこうとする空気ができているのであります。また本国会に出されまする畑地振興法であるとか、あるいは北海道を初めとしまする寒冷地畑地振興法、傾斜地の振興法、これらを通じまする商品化作物振興等を総合的に考えまするならば、私はこれらのものにも、やはり県が、先ほど申しましたような経済基盤強化、いわゆる土地を整備し、強化し、改良していくところの諸機械を十分集めて、できるならば無償でこれを貸し付けるというぐらいな、ごく安い金で貸し付けて、これらの作業を完全にやらせるためのことをも加味していただきたい、こういう点も一つ考え願いたい、こう思うのであります。  なお、ただいま金利のことが問題になっておりましたが、われわれが記憶しまするところでは、農業協同組合金利の問題に対しまして、かつて農林中金等といろいろ打ち合せました。その際は、開拓農民に対する融資には非常に安い金利を御契約して一時実施したのじゃないか、こう思われる。こういう過程が一ぺんあります。更級君等に二へん、三べん委員会にきていただきまして、白熱の論戦をして二銭か、二銭二厘に引き下げたという記憶を持っているのでありますが、それがいつの間にかあと戻りしたというのは、私はどうも納得できないことであります。ただいまの資料の中から見ますると、肥料資金等は二銭三厘になっております。これは大したことない。だがしかし、家畜導入費が九分以内というのは、これは高いと思います。その他は、今、千田さんから、そういう金利に対してのお話がありましたから、これは一つ二銭二厘見当ぐらいのところまで最大限に引き下げる、こういう十分な御努力一つ願いたいと思います。これは中金の金で、一応そういうことで予算を当分実行したと思います。  以上申し述べまして、私は付帯決議案並びに本改正案に対しまして、社会党を代表いたしまして賛成意見を申し述べました。
  14. 千田正

    千田正君 ただいま議題となっておりますところの開拓融資保証法の一部を改正する法律案、この法律案は御承知の通り開拓者と申しますけれども、この対象になる大部分というものは戦後におけるところの開拓者でありまして、いわゆる既存農家とさらに新規開拓入植者との間にはさまれて、その谷間の中に暗い生活をしている。しかも、営々として戦後の生産に従事しようとする意欲をもって毎日健闘しておる人たちに対して一片の光明を与えようという政府の親心に対しては、私も大いに賛成をいたしまするが、ただこの法律の内容を見ますると、従来の不備な点をある程度改めたという程度にすぎないのでありまして、先般から各委員からもいろいろ御質問がありました通り、現在のこうした、いわゆる戦前の既存農家と新しく今後入る入植者との間の谷間に存在するこうした戦争の犠牲者を中心にした、こうした人たち開拓に対しましては、もっとやはり強い政府措置が必要ではないか、こういう意味で、ただいまさらに付帯決議を出されておりますが、このうちの第一条でありますところの、「開拓者負債実態を充分に把握」されまして、そして万遺漏のない解決方法を講じてもらいたい。特に私がお願いしますのは、この付帯決議は非常に含蓄のある、ある面からいえば抽象論のように見えますけれども、しさいにこれを検討しますというと、この実態を把握して、「整理に関し必要な諸措置を強力に」実行してもらいたい。この要望は、言いかえれば、法律ということはここには出しませんけれども、法的措置その他ができるならば一日もすみやかに法的措置でも講じて、そうして重点的に抜本政策を講じてもらいたいというのがこの委員会としましての総意であろうと私は思うのでありすす。講じてもらいたいというのではなく、そうせよというのが当委員会の要望でありますので、この点を政府におきましても十分に御了解の上、当委員会付帯決議を尊重して実行していただきたい、かように要望いたしまして、法律案並びに付帯決議案、両案とも賛成の意を表する次第であります。
  15. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ほかに御意見もないようですが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  開拓融資保証法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  17. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 全会一致でございます。よって、本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、ただいま討論中に述べられました雨森君提出の付帯決議案を議題といたします。雨森君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  18. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 全会一致でございます。よって、雨森君提出の付帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。   ━━━━━━━━━━━━━
  19. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 次に、森林開発公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。—別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  森林開発公団法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  22. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 全会一致でございます。よって、本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、ただいま可決されました二法案の、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。ちょっと休憩いたします。    午後二時二十九分休憩    —————・—————    午後二時三十分開会
  24. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 委員会を再開いたします。  ただいまの付帯決議について、農林政務次官から政府の御所見を伺います。
  25. 高橋衛

    政府委員(高橋衛君) ただいま、開拓融資保証法の一部を改正する法律案の御決議に当りまして、付帯決議を本委員会の全員一致の御意見としていただきました次第でございますが、開拓者が長年の間不自然な自然条件のもとにおきまして国土の開発に、または営農の基礎の確立に営々として努力してこられたにもかかわらず、今日なおその三分の二に及ぶ数の者が基礎が不安定であるという状況につきましては、政府といたしましても、これが対策に邁進することの必要を痛感いたしまして、三十二年に、御承知のように、開拓営農振興臨時措置法を制定いたしました。この臨時措置法に基きまして、振興計画を立てていただき、それを承認されたものにつきましては総合的な観点からそれぞれ施策を進めて参っておるのでございます。この承認の最後の期限が今年の三月末日ということになっておりまするので、その後になりますれば、大体振興計画の内容等からいたしまして、営農の基礎の不安定な方々の実態がいかがであるかということについては、相当詳細な実情が把握できるであろうかと考えられるのでございます。ただいま御決議の御趣旨に関しましては、それらの実態とにらみ合しまして、御誠心のあるところについては、政府としても全く同感でございますので、十分に検討し、御趣旨に沿うよういたしたいと考えます。
  26. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 次に、日本てん菜振興会法案(閣法第一六四号)、臨時てん菜糖製造業者納付金法案(閣法第一六五号)及び酪農振興法の一部を改正する法律案(閣法第一六九号)、いずれも内閣提出予備審査、以上三法案を一括して議題にいたします。  順次、提案理由の説明を求めます。
  27. 高橋衛

    政府委員(高橋衛君) 日本てん菜振興会法案につきまして、その提案理由の御説明を申し上げます。  わが国における畑作農業の振興農家経済の安定をはかるとともに、海外からの輸入に対する依存度の高い砂糖の需給事情を改善することによって外貨を節約し、国際収支の改善をはかり、ひいては国民経済の安定に寄与するためには、この際、国内甘味資源の自給度の向上、特に最近において急速な発展を見せておりますテンサイ生産及びテンサイ糖工業につき、その健全な発展を確保することが緊要でありまして、このため政府としては、今回テンサイの振興に関する一連の措置を講ずることといたしたのであります。  今、このてん菜振興措置の主要な内容を申し上げますと、まず第一には、原料テンサイ栽培の長期計画の樹立、原料テンサイ価格の安定集荷区域の調整並びに新設工場設置の調整等を行うことによってテンサイ栽培の基礎を固めることであります。  第二には、関税税率及び砂糖消費税率の適正化によって、テンサイ糖工業の自立を促進する条件を作り、さらに、原料価格の安定及びテンサイ糖工業の自立の促進のため、てん菜生産振興臨時措置法に基く今後の政府買い入れの具体的方針を明示いたすとともに、糖価の安定をはかるため砂糖の輸入の調整等の措置を講ずることであります。  第三には、新たに日本てん菜振興会を設置し、テンサイの試験研究等を強力に推進いたすことであります。  第四には、関税及び消費税の改訂措置によって特別な利益を生ずるてん菜糖製造業者から法律に基いて納付金を徴収することであります。  第五には、北海道以外の地域についてもテンサイ振興措置を講ずることであります。  以上のテンサイ振興ための具体的措置方針に基き、今回日本てん菜振興会法案を国会に提案し、その御審議を願うことといたしたのでありますが、以下この法案について御説明申し上げます。  テンサイの生産の振興ためには、試験研究及び生産奨励体制を急速に整備し、その強力な推進をはかることの必要なことは言うを待たないところでありますが、テンサイの生産とその試験研究の特殊性を考慮して、特別法人を設立し、農民及びテンサイ糖製造業者等の意見を十分に反映させ、試験研究と生産奨励事業とを一体的に運用することが最も適切と考える次第であります。この法案は、このような目的を達成するために設立する特別法人日本てん菜振興会の組織、業務、管理等に関する事項を定めたものでありまして、そのおもな内容としては、おおむね次の通りであります。  まず第一に、この振興会の資本金は、当初一千万円とし、政府がその全額を出資することとし、その後必要に応じて政府より追加出資ができることといたしております。  第二、この振興会のおもな業務は、テンサイの試験研究、テンサイの原原種及び原種の生産及び配布、受託して行う優良なテンサイの種子の生産及び配布、委託して行うテンサイ糖の製造に関する技術の企業化の試験研究並びに国内産のテンサイ糖の消費の増進をはかるための普及等であり、さらに以上の事業のほか、振興会は、テンサイの生産の振興及びテンサイ糖工業の健全な発展に寄与するための事業を農林大臣の認可を受けて行うことができることといたしております。  第三に、この振興会の組織といたしましては、役員の定数、任免等についての規定を設けるとともに、広く関係者の意見を聞き、業務の円滑適正な運営を期するため、学識経験者十人以内で組織する運営審議会を設け、業務の運営に関する重要事項を調査審議させることといたしております。  第四に、振興会の財務及び会計につきましては、収支予算、事業計画等につき、あらかじめ農林大臣の認可を受けることとし、その他借入金をすること及び余裕金の運用等についても所要の監督規定を設けることといたしております。  第五に、振興会を設立するため必要な手続規定を設けております。  以上、テンサイの振興につきましての今後の政府の具体的措置について申し上げますとともに、その一環としての法律措置であります日本てん菜振興会法案のおもな内容について御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げる次第であります。  次に、臨時てん菜糖製造業者納付金法案につきまして、その提案理由の御説明を申し上げます。  畑作農業の振興農家経済の安定をはかるとともに、国内の甘味資源の自給力を強化するため政府は、今回テンサイの振興ための一連の具体的措置を講ずることといたしたのでありますが、その具体的措置の一環として、国内産テンサイ糖の保護に資するため大幅に砂糖の関税率を引き上げ、砂糖の消費税率を引き下げるごととしたのであります。  この措置によって今後国内テンサイ糖製造業者は自立が可能となると考えられるのでありますが、この振替措置は、大部分のテンサイ糖製造業者が自立できるよう、適正な利潤を見込んだ新設の工場の標準生産費を基礎としております関係から、その固定資産の償却が著しく進んでいる特定のテンサイ糖製造業者につきましては、この振替措置の結果、反射的に特別な利益が生ずることとなるのであります。すなわち、固定資産の償却の著しく進んでいる特定のテンサイ糖製造業者も従来の関税及び消費税の体系のもとにおいては、一般市場に販売することができなかったので、勢いてん菜生産振興臨時措置法による政府の買い入れに依存する以外に方法はなかったのであります。この場合、政府の買い入れ価格は、その生産費を基準として定められることになっておりますので、他のテンサイ糖製造業者に比較して特別な利益を生ずる余地がなかったのでありますが、今回の振替措置の結果、適正な利潤を確保し得て自立できるのみならず、その固定資産の償却が進んでいることからする低額の生産費に応じ、今後におけるテンサイの生産により特別な利益が生ずることとなるのであります。この特別の利益は、関税の引き上げ、消費税の引き下げという制度の切りかえによって生ずるものであって、これをそのまま放置いたしますならば、テンサイの生産の現状とテンサイ糖工業の特殊性から、テンサイ糖製造業者間における公正な競争の基礎が失われることになるものと考えられます。  また、このような特別テンサイ糖製造業者が今回の振替措置によって他のテイサイ糖製造業者に比し著しく有利な立場に立つに至った事由の一つは、てん菜生産振興臨時措置法に基く政府の買い入れ措置によるものであることも事実であります。従って今回法律措置によってこのような特別利益を国庫に納付させることによって利益の調整をはかり、もってテンサイの生産の振興とテンサイ糖工業の健全な発展に寄与しようとするものであります。  以下、この法案の概要について御説明申し上げたいと存じます。  まず第一に、この法律によって政府に対し納付金を納付すべき著すなわち納付義務者は、第二条に規定するところでありますが、てん菜生産振興臨時措置法施行以来、すなわち昭和二十九年から昭和三十三年まで、毎年引き続いてその製造したテンサイ糖の全部または大部分政府に売り渡していたテンサイ糖製造業者が本年一月一日現在テンサイ糖の製造の用に供していた製造場についてこの法律施行以来テンサイ糖の製造を業とする者であります。具体的にこの規定を適用いたしますれば、納付義務者の範囲は、日本甜菜製糖株式会社が現に所有する帯広、磯分内、士別の三工場について今後テンサイ糖の製造を行う者となるのであります。  第二に、納付金の額でありますが、このような特別テンサイ糖製造業者が前記の製造場において製造したテンサイ糖を昭和三十四年十月一日から昭和三十九年九月三十日までの五年の製糖期間において、その製造場から移出したときは、その移出した重量に応じ一キログラム当り六円の割合で計算した金額を毎年一カ年分をまとめて十月三十一日までに政府に納付させることにいたしております。  第三に、その製造場が災害によって著しい損害を受けた場合または長期にわたり砂糖の価格が異常に低落した等の場合には、納付金を軽減または免除することができることとするとともに、砂糖の価格が政令で定める価格水準より低落した場合等には、政令で定めるところによって五年を限り、その納付金の徴収を猶予することができることとしております。  第四に、その他の納付金の徴収及び督促等についての手続規定を設けるとともに、納付期限までに納付せず、さらに督促状に指定する期限までに納付金を納めないときは、国税滞納処分の例によりこれを処分することとしております。  以上、臨時てん菜糖製造業者納付金法案のおもな内容について御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。  次に、酪農振興法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  戦後わが国の酪農は、農業経営の近代的改善等をはかるとともに、また国民食生活の改善に資するために最も緊要なものとして、目ざましい発達を遂げてきたことは御承知の通りであります。牛乳及び乳製品に対する需要もまた著しく伸長し、時にはその増産にもかかわらず品不足という現象が生ずることすらあったのであります。このような酪農事情のもとに昭和二十九年酪農を急速に発達させることを目的として酪農振興法が制定され今日に至っております。  同法は、酪農の合理的な発展の条件を整備するため、農林大臣による集約酪農地域の指定及びその地域についての都道府県知事による酪農振興計画の制度並びに生乳等の取引の公正をはかるための契約文書化等に関する措置その他を定め、酪農の急速な普及発達を期することを内容といたしております。  法律施行後、現在までにおいて二十六道県において、七十五の集約酪農地域が指定され、この地域における乳牛の頭数は約三十万頭、牛乳生産量は年間約五十万トン(約二百七十万石)と飛躍的に増大し、その他の地域におけるものを加えますと、全体では乳牛約七十四万頭、年間生乳生産量約百五十五万トン(約八百四十万石)に達するに至ったのであります。  この間、牛乳及び乳製品の消費もまた若干の波こそあれ生産の伸びと並行して急速に伸長して参りました。  しかしながら、最近に至ってこの消費の伸長率もようやく鈍化し、一般経済情勢の影響もあって牛乳乳製品の過剰化の傾向が逐次現われるに至り、特に昨年度におきましては、乳業者から夏乳価の引き下げが生乳生産者に通告されるような事態が生じ、これを契機といたしまして、乳価、牛乳乳製品の需給、牛乳の取引、牛乳乳製品の消費等の各般にわたって酪農に関する困難な問題が顕在化して参ったのであります。  政府といたしましては、このような事態に対し、関係業界の自主的な努力を期待するほか特に牛乳乳製品を学校給食に振り向けること等の緊急対策実施いたしたのであります。また第二十八国会において成立した法律に基く酪農振興基金の業務も開始せられております。この緊急対策等の効果を維持し、さらに酪農を健全に発展させるためには、酪農経営の改善合理化計画的に進めるとともに、生乳取引の公正化をはかる措置を一段と強化し、また牛乳乳製品の消費を増進し、過剰乳製品について適切な計画保管を行う道を開く等実情に即した措置の制度化を進めることが緊要と認められる次第であります。  以下、この法律案の主要な内容を御説明申し上げます。  第一に以上申し述べた基本的理由に基きまして、牛乳及び乳製品の生産から消費に至るまでの各段階を均衡させつつ酪農を健全に発展させるようにこの法律の目的を改めることといたしました。  第二は、市町村長による酪農経営改善計画の作成と、その実施に関することであります。すなわち集約酪農地域内はもとより、地域外の適当な酪農地域について当該市町村長は、その区域内の酪農経営農業者や農業協同組合等の意見を聞いて酪農経営改善計画を作成することとしたのであります。この計画の作成に当りましては、都道府県が助言、勧告その他の援助を行うこととし、またその実施につきましては、国が必要と認める経費の補助を行い、必要な資金の融通のあっせん等を行うことといたしました。また計画に含められるべき事業中特に重要な草地改良事業につきましては、市町村、農業協同組合または同連合会がこれを実施する場合にも、都道府県が酪農振興計画に基いて実施する草地改良事業に関する規定を準用することといたしております。  第三は、集約酪農地域にかかる酪農事業施設についての都道府県知事に対する届出制度を設け、その配置を適当なものとするために都道府県知事が勧告を行う制度を設けたことであります。  第四は、生乳等の取引をより一そう公正化し、または、その安定に資する等のために次の三点について規定を追加いたしたことであります。  従来の生乳等の取引契約の文書化等に関し規定してあることのほか、契約内容中の価格数量等の重要事項につき、期間開始前に十分協議して約定することを努めさせることといたしました。  生乳等取引に関し、生乳等の販売事業を行う農業協同組合等の乳業者に対する生乳等取引に関する契約または団体協約の交渉申込について応諾させるために農林大臣または都道府県知事が必要があると認められる場合、勧告することができる制度を設けることといたしました。  さらにまた生乳等の取引に関する紛争のあっせん等について、現行制度を改め、地方及び中央においても紛争のあっせんまたは調停ができることといたしました。地方において、知事はみずからあっせん及び調停を行うこととし、さらに一定の場合には、農林大臣が中央生乳取引調停審議会の委員の中から調停員を選び、調停を行わせることといたし、これらに関する規定を設けました。  第五は、酪農の健全な発達に資するため国内産の牛乳及び乳製品を学校給食用に使用することを促進して消費の増進をはかるため措置を講ずることを法定するとともに、その他の消費増進に関する措置についても、あわせて規定することといたしましたことでございます。なお、国は学校給食にかかる措置実施に要する経費を補助することができることといたしました。  第六は、緊急の場合における乳製品の計画的保管に関する規定を新設いたしたことであります。この場合には、農林大臣は文部大臣に協議し、かつ酪農振興基金の意見を聞いて学校給食に供し得られる乳製品を乳業者が保管する場合の計画を定めることといたしました。この場合におきまして国に保管に要する経費を補助することができることといたしております。  第七は、以上の各改正に伴い、農林大臣または都道府県知事の報告徴収及び立入検査の権限につきましてその適用の場合及び対象を広げることといたしたことであります。  以上がこの法律案のおもな内容でございます。何とぞ慎重なる御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  28. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) これらの法案審査は、日を改めて行うことにいたします。  ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  29. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記をつけて。  それじゃ本日は、この程度にいたしまして散会いたします。    午後二時五十四分散会