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戸叶武君 この
桑園の転換ということは、ほかの作物の転換よりは私は深刻だと思うのです。今、私の国では、麻と桑の問題が見通しがつかなくなったので、心ならずも
減反しなければならない。それに、転換する場合においては、千田さんが言われたような換金作物としての安定作物を求めておるのです。そういうことに対して、
政府は今言っているような
考え方では、
農民に対して直接満足を与えられないのじゃないかと思うのです。農林大臣の
説明においても、三十四年度は
桑園転換に伴う営農改善に資することを考慮して綿羊の導入の強化をはかるということのみを強調しておったようでありますが、今言われたように綿羊その他に対しても四千五百万円
程度でどれだけのことができるか。これは、山間部等においては、中農以下の人たちが乳牛に飛びつくことよりも、今のように乳価がたたかれているような場合ですから、この小家畜としての綿羊に対する意欲は非常に強いのでありますが、山間部以外においては、綿羊というものの普及というものには私は限界があるのではないかと思うのでありまして、そういう画一的な
方針によってではこの
桑園転換というものに対する回答にはならないのじゃないかと思うのであります。それで換金作物として今浮かび上っているたとえばビート糖のような問題でも、暖地栽培が成功しておるのです。イギリスでも成功して自給が成り立っているし、イタリーじゃ一昨年から
輸出に回っておりますし、
日本でも岡山県等においては、四、五県でもって過去三、四年の実験というものは成果を
上げているのです。今、タバコも作付制限する、桑も抜け、麻も見通しがつかないというようなとぎに、もっと
政府自身がこの斜陽産業に従事しているところの農家の転換に対して、もっと不安感を与えないような私は指導というものがされなくちゃならないのじゃないかと思うのです。茶の木を植えるなんぞということは、簡単に
考えておりますが、茶からの収入を得るまでには相当の期間というものも必要なのです。その趣旨は
一つも悪くないけれ
ども、当面の転換を余儀なく迫られている農家に対するところの即効薬としては役に立たないのじゃないかと思うのです。たとえば、ビート糖のようなものでもそうかもしれませんが、しかし、果樹栽培から見ればもっと早くこれはできるのです。また、試作
段階においては、どこでも、フランスにおいてもイギリスにおいてもイタリーにおいても、国家が保護政策を行なっているのです。タバコなんか以上に砂糖の専売というものは急務なのであって、これらの国々においても、国家が惜しみなき保護政策をもって砂糖自給の態勢としてビート糖のためにテンサイの栽培ということをやっているのですが、
日本では製糖会社の圧力に抗しかねて、
政府というものが何らこういうことに対して、食糧自給の線からの砂糖問題とも取り組まないし、こういう換金作物の安定作物を求めている
農民に対しても、それにこたえることをしていないのですが、蚕糸局なりなんなりは、そういうことには直接
関係がないと思うかもしれませんが、蚕糸問題に伴うところの大きな
桑園転換というものは、
日本農業にとってはきわめて重要なので、一蚕糸局あたりのセクショナルな
考え方でもって対処すべき問題ではないのです。もっと
農林省全体がこういう問題と直剣に取り組まなければならないのですが、私はきょうは農林大臣にお聞きしたいと思ったのですが、農林大臣の施策の中において非常に簡単に取り扱われているが、これに対してはどういう
考え方を持っているか、政務次官並びに
蚕糸局長から承わりたい。