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政府委員(
西村健次郎君) 問題の
水域に関しまする
水産庁としての
関係事項を御
説明申し上げます。すでに御
承知と思いますけれ
ども、問題の
水域につきましてなされておる
漁業は、
トロール漁業、これは現在四十九隻でございます。それからいわゆる
以西底びき
網漁業、これが
東海黄海に出る、これが七百六十七隻でございます。これは二そうでやり、あるは運搬三そうでやったりしますので、たしか
許可トン数は三百八十三ぐらいだと思います。そのほかにいわゆる
中型底びきという底びき網が大体百隻
程度、これは
東寄りの方でございます。それからなお
長崎あるいは山口、
福岡あたりを主体とします
サバ、アジの
まき網漁業、これが現在まあ
出漁関係水域に
出漁しておりますのは、大体百五十ないし百八十、こういうふうに踏んでおります。そのほかに、先般も二月四日に
拿捕されましたように、非常に小さい
漁船、たとえば、
対馬とか、あるいは壱岐、あるいは佐賀県、
長崎県
あたりから出ます五トンあるいは十トン未満の
小型漁船、この数は全部で千五百隻
程度あるというふうに踏んでおりますが、まあ常時大体千五百
程度。そのうちに、これは後ほど申し上げますけれ
ども、全然
無線も装備してないものが大体五百
程度ではないか、こういうふうに踏んでおります。これらの小
漁船は、
サバ釣とか
イカ釣、あるいはブリを釣ったり、そういったチキンボ、そういう漁法をしております。
日韓問題につきまして、ただいま
外務省の
アジア局長からいろいろ御
説明がありました。私
どもとしましては、これは、
漁業の
立場からこれに対して重大なる
関心を持っております。昨年来の
日韓全面会談におきます
漁業委員会におきまして、私としても累次、いわゆる
政府代表の一員としまして、この
交渉にずっと参画して参ったわけでございます。不幸にして、これが何ら発展の方向に向かないうちに
現状に至っている、こういうことでございまして、この
交渉の
内容等は、過去におきましても御
説明したと思いますけれ
ども、もし必要であれば、後ほどまた御
説明してもよろしいかと思います。
ところで、現在、抑留
拿捕されております
乗組員なり、
漁船の数というようなものをこの際申し上げますと、
漁船は全体で、まだ帰ってこない船が百五十二はいございます。それから
乗組員は、
昭和二十二年から
拿捕が始まりまして、自来今日まで総計で、
拿捕されました人数は三千二百四十八名でございます。現在までに三千八十七人帰っており、そのほかに
死亡者八名おりますので、残りの百五十三名がまだ帰還しておらない。そのうちには、去る二月四日につかまりました
浜久丸の
乗組員も入っております。この百五十三名のうちには、古い人には
昭和三十年に
拿捕された人も一人おるというような
状況でございます。御
承知のように、一昨年の暮れの
日韓の覚書によりまして、
相互釈放――
相互送還と申しますか、ということで、当時九百何名おりました
漁夫が大部分帰ったのでございます。大体におきまして、その後におきます
拿捕によりまして、これらの百五十三名という人が現在残っておるわけでございます。私
どもとしまして、これらの
抑留漁夫につきましては、従来から、
昭和二十八年の暮れですか、
見舞金を
留守家族の方に差し上げる。それから
差し入れ品、これを、
収容所の方に送る金を補助いたす。あるいは現地においてなくなられた方、あるいは帰って一月以内になくなられた方に対しましても、これは
弔慰金を差し上げる。さらに帰られて病気でおられる方に対しましても、
入院料あるいは
通院料というようなものを差し上げております。もちろん、この額はいろいろ、
留守家族の方は少いというような御
不満もあろうかと思いますが、私
どもとしては、諸般の
事情を勘案して、
財政当局にできるだけの無理をお願いして、現在の
程度に至っておりますが、これについては、また、あるいはなお全般的に考慮する必要があるかとよ思っております。
なお、
先ほどからここで当面の
議題となっておりまする
北鮮帰還に関連しまして、
一体、現在の
漁業はどうなっておるかという点でございますが、これは、あるいは違った面からの、
海上保安庁あたりの
情報というものがさらに的確かもしれませんが、私
どもとしましては、特別に今のところ、変った
情勢はこの二、三日来は受け取っておりません。
福岡の事務所から、変ったことがあればすぐ連絡するように言ってありまするけれ
ども、特別にはないようでございます。ただし、昨年の暮れ
あたりから、向うの
監視艇の
動きが活発になったというようなことを聞いております。しかし、いずれにしましても、
韓国側が従前にも増して
拿捕というようなものに対して積極的な意図を見せるということは
考えられまするので、私
どもとしては、これに対して急速に対処していかなければならない。その
一つとしましては、
先ほど申し上げました
小型漁船、これにつきまして、
無線電話を装備するということも何とかして至急に実現して参りたい、こういうことで目下、その
事務的折衝を進めております。大型の船につきましては、これは従来から
無線がありまして、
情報のキャッチができますので、これにつきましては、なお今後とも、より慎重にやっていくということではないかと思います。ただ
先ほど陳情の方もありましたように、これについて
海上自衛隊というようなものをあるいは出す、そしていわゆる
保護出漁というようなことも
一つの
考えとしては
考えられましょうが、私
どもとしましては、
漁業の面からいいますと、これは
漁業者も同じ気持と思いますけれ
ども、要するに、やはり
漁業生産を上げたいということが
一つ考えられます。その辺との
関係において、その
情勢の
判断というものはきわめて慎重にすることが必要ではないか、こういうふうに
考えております。
それから
監視船、私の方で申しますと
監視船でございますが、これは現在私
どもは常時六隻配備しております。これはおおむね、あちらの天候の
関係等もございますので、
小型の
監視船では用を足しませんので、三百トン級の
捕鯨船をチャーターいたしまして、現在六隻配備いたしまして、常時、そのうち四隻が絶えず問題の
水域――これは
朝鮮海峡のみならず、
黄海、
東海の方にまでわたって保安庁と協力しつつ
保護に任じておるのです。
とりあえず、私
どもとして御
説明するのは以上の点でございます。その他はまた後ほど。