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1959-02-05 第31回国会 参議院 農林水産委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十四年二月五日(木曜日) 午前十時三十二分開会
—————————————
委員
の
異動
十二月二十二日
委員
重
宗雄三
君及び黒
川武雄
君
辞任
につき、その
補欠
として
重政庸徳
君及び
横川信夫
君を
議長
にお いて指名した。 十二月二十三日
委員伊能芳雄
君
辞任
に つき、その
補欠
として
西郷吉之助
君を
議長
において指名した。 十二月二十五日
委員横川信夫
君
辞任
に つき、その
補欠
として
柴野和喜夫
君を
議長
において指名した。 十二月二十六日
委員西郷吉之助
君
辞任
につき、その
補欠
として
伊能芳雄
君を
議長
において指名した。 一月二十六日
委員島村軍次
君
辞任
につ き、その
補欠
として
後藤文夫
君を
議長
において指名した。 一月三十日
委員田中茂穂
君
辞任
につ き、その
補欠
として
植竹春彦
君を
議長
において指名した。 一月三十一日
委員植竹春彦
君
辞任
につ き、その
補欠
として
田中茂穂
君を
議長
において指名した。 本日
委員柴野和喜夫
君及び
堀末治
君辞 任につき、その
補欠
として
塩見俊二
君 及び
大谷瑩潤君
を
議長
において指名し た。
委員長
の
異動
一月二十八日
関根久藏
君
辞任
につき、 その
補欠
として
秋山俊一郎
君を議院に おいて
委員長
に選任した。
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
秋山俊一郎
君
理事
雨森
常夫
君 堀本 宜実君 東 隆君 北 勝太郎君
委員
伊能
芳雄
君
大谷
瑩潤君
塩見
俊二
君
関根
久藏
君
田中
茂穂
君 仲原 善一君 河合 義一君
戸叶
武君 千田 正君
国務大臣
農 林 大 臣
三浦
一雄
君
政府委員
農林政務次官
石坂 繁君
農林大臣官房長
齋藤 誠君
農林省農林経済
局長
須賀 賢二君
農林省農地局長
伊東 正義君
農林省振興局長
増田 盛君
農林省畜産局長
安田善一郎
君
農林省蚕糸局長
大澤 融君
食糧庁長官
渡部
伍良
君
林野庁長官
山崎 齊君
水産庁長官
奧原日出男
君
事務局側
常任委員会専門
員
安楽城敏男
君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
理事
の
補欠互選
○
農林水産政策
に関する
調査
の件 (
農林水産基本政策
に関する件) ○
農林漁業金融公庫法
の一部を改正す る
法律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
開拓融資保証法
の一部を改正する法
律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
北海道寒冷地畑作営農改善資金融通
臨時措置法案
(
内閣送付
、
予備審
査) ○
農業災害補償法
の一部を改正する法
律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
繭糸価格
の安定に関する
臨時措置法
の一部を改正する
法律案
(内閣送 付、
予備審査
) ○
森林開発公団法
の一部を改正する法
律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
日本蚕繭事業団法案
(
内閣送付
、予 備審査) ○
臨時肥料需給安定法
の一部を改正す る
法律案
(
内閣送付
、
予備審査
)
—————————————
秋山俊一郎
1
○
委員長
(
秋山俊一郎
君) それでは、ただいまから
農林水産委員会
を開会いたします。 この際、
委員
の変更についてお知らせいたします。 本日、
柴野和喜夫
君、
堀末治
君が
辞任
され、その
補欠
として
塩見俊二
君、
大谷瑩潤君
が選任されました。 以上であります。
—————————————
秋山俊一郎
2
○
委員長
(
秋山俊一郎
君) 最初、
理事
の
補欠互選
についてお諮りいたします。 私の
委員長就任
に伴いまして
理事
が一名欠員になっておりますので、その
補欠互選
を行います。その方法は
成規
の手続を省略して便宜その指名を
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
秋山俊一郎
3
○
委員長
(
秋山俊一郎
君) 御
異議
ないと認めます。 それでは、私より
雨森常夫
君を
理事
に指名いたします。
—————————————
秋山俊一郎
4
○
委員長
(
秋山俊一郎
君) 一昨日、
農林省事務当局
から、
昭和
三十四年度
農林省関係予算案
及び再開後の
国会
に
提出予定
の
農林水産関係法律案
について
説明
を聞いたのでありますが、本日は
農林水産基本政策
の件を議題にし、
三浦農林大臣
の
説明
を求めることにいたします。
三浦一雄
5
○国務大臣(三浦一雄君) 今国会に提出いたします
農林関係予算案
及び法律案につき、皆様の御協力を得て御審議をいただくに当りまして、これらの予算案の編成及び法律案の立案の基本となりました
農林水産行政
の重点につきまして、その概要を申し上げたいと存じます。 最近における
農林水産業
の生産は、技術の
改良発達
と投資の増大等により、
長期経済計画
の想定する
生産目標
に照らし、米を初めとして順調な伸長が見られ、その結果、
食糧輸入量
は引き続き減小し、外貨の節約に寄与するとともに、国内購買市場安定の有力な要因ともなり、
国民経済
の
安定的成長
に
農林漁業
の果している役割はまことに重要なものがあるのであります。 しかしその反面、
農林漁業
の生産の伸長と相待ってその生産性と所得は増加しつつあるものの、なお、他産業との間に相当の較差がある現状にかんがみ、今後におきまして、
国民経済
の成長する中にあって、経済の均衡ある発展をはかり、
農山漁家
の福祉の増進を期することは、
ひとり農林漁業政策
の究極の目標であるのみならず、
国民経済
の質的改善に資するゆえんと考えるのでありまして、これがためには、従来にまさる努力を積み重ねなければならないことを痛感する次第であります。 従いまして、政府といたしましては、これまでの各般にわたる施策の充実強化をはかり、
農林漁業
のよって立つ基盤を培うとともに、
商品生産
の進展にも即応して生産、流通にわたり、経営の健全化と近代化を推進して、
農山漁家
の生活の
安定向上
に努めることはもとより、さらに、この際、
農林漁業政策
の基本について再検討を加え、新しい施策の展開をはかる方針のもとに、三十四年度の予算の編成及び所要の法律案の立案をいたすこととした次第でございます。 その施策の重点につきまして、その概要を申し上げます。 重点の第一は、
長期的観点
に立って、食糧の
総合的自給度
の向上と、資源の維持培養をはかることを目標とし、
生産基盤
の
整備強化
を推進することであります。 まず農業につきましては、
土地改良事業
、
開拓事業
の推進をはかり、農業のよって立つ
生産基盤
を強化するため、三十四年度は
食糧増産対策事業
の経費を大幅に増加するとともに、さらに
特定土地改良工事特別会計
、
愛知用水公団
及び
農林漁業金融公庫等
に対する
政府資金
の投入を増額いたしまして、
経済計画
第二年度として、
土地改良事業
、
開拓事業
の
計画的実施
を推進して参る所存であります。
土地改良事業
につきましては、事業量の拡大による事業の
早期完成
をはかることに留意するとともに、特に同一水系における
国営事業
と
関連都府県営事業
の進捗度の不均衡を是正いたしまして、事業の
効率的促進
をはかることを
基本方針
といたして参りたいと考えております。 すなわち、
国営事業
につきましては
特定土地改良工事特別会計
において、
計画年次
内の完成を期するとともに、他の
一般国営土地改良事業
におきましても、ダム、頭首工等の施設を有する地区及び早期効果の発生の期待できる地区に重点を置きまして事業の
効果的実施
をはかって参る所存であります。 また、
都道府県営土地改良事業
につきましては、事業量の拡大をはかり、
国営事業
と関連のある事業の進捗をはかる等、さきに述べました
基本方針
に即して進めて参りたいと考えております
団体営灌漑排水事業
につきましては、補助、非補助のそれぞれの事業を通じまして、その重点を、基幹工事の末端工事の
早期完成
と、積寒、湿田、急
傾斜等特殊立法地帯農業振興計画
の実施の促進に置きまして、適切な運用をはかることにいたしました。特に、前年創設いたしました小団地等非
補助土地改良事業助成基金制度
に基く
低利融資事業
につきましては、
資金ワク
を大幅に増大して事業の伸長を期しております。 なお、
干拓事業
につきましては、
特定土地改良特別会計
におきまして事業量の拡大をはかりますとともに、特に、
八郎潟干拓事業
につきましては、
重要工事
である
中央干拓工事
の
本格的着工
にかかる所存であります。 また、
農地集団化事業
の促進をはかるため、従来の交換分合、
換地計画
を推進いたしますこととあわせて、
集団化事業
と関連する農道につき特にその助成を行い、事業の促進をはかることといたしております。
愛知用水公団事業
につきましては、本格的な
工事体制
が整いました事情に即応いたしまして必要な国費及び
政府資金
を計上し、工事の進捗に支障のないことを期しております。 次に、
開拓事業
につきましては、重点を既入植者の
営農安定対策
に置き、
開拓営農
の振興を強力に推進することといたしております。すなわち、営農不振の開拓地におきまして、
開墾建設工事
の促進と、
必要追加工事
の実施をいたしますとともに、これらの
建設工事
と並行いたしまして、
振興計画達成
上必要な
追加営農資金
の大幅増額、旧債の整理促進、
開拓融資保証ワク
の増大、
営農指導体制
の強化等を実施することとし、
振興計画
の目標達成を促進することといたしました。 新規入植につきましては、営農安定が確実と見込まれる地区に限定することとし、前年度改訂いたしました
基本営農類型
の適用の拡大をはかり、営農の早期確立を期することといたしております。
防災事業
につきましては、最近における災害発生の状況にもかんがみ、特段の留意を払い、
防災ため池
、
老朽ため池
、
農地保全等
それぞれの計画に基いて事業の増強をはかることといたしております。 これら
土地改良事業
及び
開拓事業
につきまして、
長期的観点
から事業の
計画的推進
を確保するため、
調査計画
の拡充をはかることといたしております。
土地改良計画
につきましては、
農業技術
の進歩、営農の動向等に即応して水資源の高度利用をはかるため、
早期栽培地域水利調査
、
水資源開発基礎調査
、
地下水調査
、田畑輪換の指導等をさらに積極的に行うこととし、
開拓計画
につきましては、
開拓事業実施要綱
に基き、
基礎調査
、
基本計画
及び
実施計画
を実施することといたしております。 さらに、以上のような施策の円滑な実施をはかりますために、三十四年度より、名古屋にあります
名古屋建設事務所
を
農地事務局
に昇格いたしまして機構の整備をはかりたいと考えております。 次に、治山、造林、
林道事業
につきましては、今後増大する木材需要に応じて森林資源の育成とその開発を促進するとともに、治山、
治水事業
の
重点的施行
に努めて国土の保全をはかり、特に保安林につきましては、それがきわめて公共性の強い性格を有しますので、この整備と維持管理をはかるため、
水源林造成事業
を拡充し、かつ、
損失補償事務
も整備いたしたいと考え、それらの事業費の拡充を期することといたしております。さらに、三十四年度におきましては、
国有林野事業特別会計
の
民有林協力
を強化することといたしております。 すなわち、その第一は、
国有林野事業特別会計
の資金を活用し、国有林と民有林が併存する特定地域における
奥地幹線林道
の開設、改良等を国が
森林開発公団
に委託して実施させるよう所要の
法律改正案
を提出いたしたいと考えております。第二は、
造林事業
の拡大を目途として、
一般会計
より、
造林資金
として
農林漁業金融公庫
に出資し、融資造林の促進をはかるため特別に長期低利の資金の貸付をすることといたしております。 これらのほか、
国有林野事業特別会計
の
民有林協力
の事業といたしましては、
林木育種事業
の
拡充強化
及び国有林に隣接する
地元農山漁村
のために、
放牧採草共用林野
や、
薪炭林共用林野
の
改良事業等
を拡充して参りたいと考えております。 次に水産業につきましては、その
生産基盤
である漁港の整備につきまして、
漁港整備計画
に基く
修築事業
の
早期完成
を期し、全国六〇四港の
整備事業
を計画的に実施するとともに、
局部改良事業
及び区域内の
保全施設
の拡充をはかることといたしております。 なお、
漁港関係事業量
の増大にかんがみまして、行政機構を拡充し、水産庁に新たに漁港部を設置することといたす考えであります。 また、漁港の整備と相待って新漁場の開発のため、
東西カムチャッカ等漁場
の
開発調査
を引き続き行うことといたしております。 重点の第二といたしましては、
農山漁家
の経営の健全化と近代化を推進し、あわせて、立地に応じ畑地帯その他についての地域的な振興策を強化することであります。 まず、農業につきましては、従来に引き続き、
水稲生産力
の
安定向上
をはかりますとともに、昨年度に引き続き畑作の
振興対策事業
を強力に実施する所存であります。このため、
畑作機械化
の促進のほか、三十四年度より新たに畑地力の保全培養をはかる
地力保全事業
と、
畑地生産力向上
の障害となっている
土壌病害虫
の防除を積極的に開始するとともに、商品性の高い畑作物の導入、生産及び
流通改善
に努力する一方、
畑地灌漑事業
につきましても、
都道府県営
、
団体営事業
を通じまして、補助率の引き上げを行う等その推進をはかることといたしておりますが、これらの措置と相待って
農業改良資金制度
及び
畑作関係試験研究体制
を拡充するとともに園芸、畜産等、
畑作関係特技普及員
の増員、
畑作総合指導施設
の新設等、
農業改良普及組織
の
強化拡充
を行うことといたしております。 また、
寒冷地農業振興対策
といたしましては、引き続き国有の家畜及びトラクターの
貸付事業
を実施いたしますほか、特に、北海道における
畑作営農改善対策
といたしまして、
立法措置
を講じて
営農改善
に必要な
農林漁業資金
を融通することといたしております。 特に、
重要畑作物
である
テンサイ
につきましては、甘味資源の
自給力強化
を目途として、東北地方にその導入をはかるため、現地における試作と導入の可能性についての
経済調査
を実施するとともに、
暖地テンサイ生産改良試験
を実施することとしてその生産の振興をはかるほか、
テンサイ糖業
の自立体制を確立するため、三十四年度から
砂糖消費税
の引き下げと、関税の引き上げの振替措置を行うことにより、
テンサイ糖業
の
自立振興
が可能となるよう措置したのであります。なお、
テンサイ
の生産及び
テンサイ糖
の製造の
改良発達
をはかるための
試験研究等
の業務を行う
特殊法人日本テンサイ糖振興会
(仮称)を設立することとし、これに対して、
政府出資
を行うことといたしております。 次に畜産につきましては、
わが国食糧消費構成
の高度化の趨勢に対応し、かつ、今後の
わが国農業経営
の合理化と発展のための根幹であることにかんがみまして、
長期的観点
に立って、総合的な
振興施策
を講じて参る所存であります。 第一に、
酪農対策
につきましては、生産から流通、消費にわたり一貫して改善をはかって参るため、今国会に
酪農振興法
の一部改正案を提案いたすこととしておりますが、これにより、まず生産面につきましては、
主要酪農地帯
に
酪農経営改善安定地区
を設け、
酪農経営改善計画
の樹立実行をはかることとし、これがため、
自給飼料増産
の推進、搾乳期間の適正化及び
乳牛経済能力検定事業
の
新規実施
、
生乳品質改善事業
の
継続実施等
の措置を講ずるほか、畜舎、
サイロ等
の付帯施設の整備のため
農林漁業資金
、
農業改良資金等
の
必要資金
を確保して、計画的な
酪農経営
の改善安定をはかるとともに、
都道府県畜産会
が行う
畜産技術経営診断指導事業
につきましては、
酪農経営改善安定地区
に対する濃密指導の強化を実施することといたしております。生乳取引につきましては、その契約の適正化、生産者による共販の促進等をはかるほか、取引について生じた紛争をあっせん調停するための組織を中央、地方を通じて確立する考えであります。次に
牛乳乳製品
の生産と消費との均衡に格段の意を注ぐこととし、
牛乳乳製品
による学校給食の
拡充恒久化
を期するほか、
余剰乳製品
の調整保管、
牛乳乳製品
の
消費宣伝事業
の推進等を行うことといたしております。 第二に、家畜の導入につきましては、既存の各種施設を活用して、引き続きその導入の促進をはかって参りますほか、特に三十四年度は桑園転換に伴う
営農改善
に資することを考慮し、綿羊の導入の強化をはかることといたしております。 第三に、
飼料対策
につきましては、
草地改良
及び
自給飼料増産事業
を計画的に拡大強化して、畜産農家の
飼料自給度
の向上を期することとし、このためとくに
高度集約牧野造成改良事業
を拡大実施して参るほか、新たに大
規模草地改良
を行うために必要な調査設計の直轄実施、
農業改良資金制度
による飼料畑の造成、または、更新のための資金の貸付、
乾草調製施設
の
設置助成等
を取り上げることといたしております。なお、
流通飼料
につきましても
輸入飼料
に対する政府の
需給操作力
の強化等により需給及び価格の安定をはかって参りたいと考えております。 第四に、
種畜対策
につきましては、引き続き種畜の確保に努めるとともに、
養鶏振興
に資するため
優良系統雛
の導入を目的とした種鶏場、孵化場の
登録事業
を助成するほか、
国立種畜牧場
の
整備計画
の一環として、新冠、鳥取両種畜牧場の整備の促進に着手するほか、優良系統の
選抜普及
をはかるための豚産
肉能力検定施設
の新設及び肉牛資源の開発の根拠地となるべき
寒冬地和牛指導施設
の新設等をはかることといたしました。 なお、これらのほか、
家畜衛生対策
の強化につきましては、都道府県の
家畜保健衛生所
に対する
家畜衛生車
の配置等より、
防疫事業
の
強化拡充
をはかることといたしております。 また、
畜産振興
の一環といたしまして、
家畜共済制度
の
整備強化
をはかることとし、家畜の病傷事故の増加に伴い、
共済掛金率
の増大を来たすことにかんがみ、農家の掛金負担の軽減をはかるため、所要の
予算措置
を講じ、これに伴う所要の
法律改正
を行うことといたしております。 次に蚕糸業につきましては、昨年末の繭及び生糸の異常は
需給事情
の変動に対処し、最低糸価及び最低繭価の改訂と桑園整理の助成を行い、当面の価格の安定をはかるための措置を講じたのでありますが、今後、蚕糸業が安定した産業としての基盤を持つための
恒久対策
について
蚕糸業振興審議会
に諮って、引き続き検討をいたしますとともに、次のような点に重点を置いて施策を進める所存であります。 まず、生産の合理化を推進するため、年間条桑育の普及をはかるとともに、
蚕業技術普及体制
を強化することといたしまして、
技術普及員
の
待遇改善
及び現地活動の機動力の強化をはかることといたした次第でございます。さらに繭及び生糸の
需給事情
の安定のため、養蚕農家が行う桑園の整理に対しまして、引き続き助成を行いますとともに、その後作の指導につきましても万全を期する所存であります。また、需要の増進をはかることの緊要性にかんがみ、今回、
養蚕団体
を含め広く関係業界の協力を得て、
市場開拓
のための
宣伝活動
の拡充をはかりますとともに、生糸の新規用途の開拓のため特段の考慮を払うことといたしております。 なお、
繭糸価格
の
安定対策
につきましては、前に申し上げましたように、現行の
価格安定制度
の再検討を要すると考えますが、三十四年度におきましては、とりあえず現在とっております
繭糸価格
安定に関する
臨時措置法
の延長をいたしますと同時に、
養蚕団体
が自主的に繭価を適正水準に維持するための販売努力をするよりどころとなる機関として、新たに
政府出資
による
日本蚕繭事業団
(仮称)を設立することとし、このための
立法措置
を考えておる次第であります。また、現行の
糸価安定特別会計
は、大量に保管いたします生糸の管理費用の増大と糸価の下落による損失を見込んで、三十四年度におきまして、
一般会計
から二十億円を同
特別会計
に繰り入れることといたしまして、業務の運営に支障のないよう措置いたしております。 林業につきましては、
森林経営
の集約化及び合理化につきまして、従前の諸施策の強化をいたしますとともに、三十四年度より新たに、木炭の流通の合理化と
生産者所得
の安定に寄与するため、
系統機関等
による木炭の保管を推進し、流通の円滑化を期するほか、
普及事業
の運営強化、
林木育種事業
の拡充及び
放牧採草共用林野
や、
薪炭林共用林野
の
改良事業等
の拡充をはかることといたしております。 水産業につきましては、その
基本的制度
につきまして、引き続き
漁業制度調査会
において検討を進めておりますが、三十四年度における
振興措置
といたしましては、特に
沿岸漁業
に重点を置きまして
水産増殖事業
を引き続き実施して参りますほか、
沿岸漁業依存度
の高い窮乏漁村の多い海域につきまして、総合的な
振興措置
を講ずることといたしております。さらに、
水産業改良普及事業
につきましては、その
質的拡充強化
をはかるため、従来の
専門技術員
のほか、新たに
沿岸漁業改良普及員
を設置すると同時に、
都道府県水産試験場
の強化、
漁村青壮年活動
の促進を行うことといたしております。また、
漁業経営
の安定をはかるため、
漁業共済制度
の
試験実施
を引き続きまして
全国的規模
において行なうほか、水産物の
流通改善
につきましても、流通事情の調査を継続いたしますとともに、新たに多獲性の
大衆水産物
の系統機関による共同保管の促進により、その自主的な
流通調整
をはかることといたしております。 次に、
農地対策
の強化と相待って、自作農家の維持安定とその転落防止をはかるため、
自作農維持創設資金ワク
を増大して百億円といたし、
資金需要
にこたえることといたしましたほか、
農山漁村
の振興をはかるため、引き続き
農山漁村建設総合対策
を計画的に実施いたしますとともに、離島及び開拓地のほか、新たに僻地農山村に対しましても、
電気導入事業
について新たに助成の道を開くことといたしております。また、新しい
農山漁村
の建設と、
日本農業
の一そうの発展のためには、次代の農業をになう人物の養成をはかることの重要性にかんがみ、
農山漁村青年活動
の一そうの助長をはかることとし、新たに中央地方を通じ研修施設の
整備強化
を行いたいと考えております。 また、農村人口の圧力を緩和し、あわせて二
三男対策
に資するため、農民の
海外送出事業
の態勢を強化するほか、
農業移住振興基金
の新設、青壮年の海外派遣、
農業労務者
の
派米等移住事業
の一そう強力な推進を行うことといたしております。 重点の第三といたしましては、
農林畜水産物
の商品化の進展に伴いまして、市場の拡大、需給及び価格の安定並びに流通機構の整備等につきまして積極的な措置を講ずることといたしております。 まず、食糧の管理につきましては、米麦とも従来通りの管理方式を継続して参る考えのもとに、米の
予約売渡制
による集荷の推進によりまして
政府買入量
の増加とさらに、需給上必要限度の輸入と相待って食糧の配給に万全を期して参りたい所存であります。 また、米麦以外の
重要農産物
につきましては、必要に応じて
政府買い上げ
の措置を講じ、その価格の低落の防止をはかって参る考えであります。 また、繭糸、畜産物の需給及び価格の安定と消費拡大のための措置や、水産物及び木炭についての
流通調整
のための施設につきましては、すでに申し上げました通りでありますが、さらに、
生鮮食料品
につきましては、
臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会
を設置いたしまして、
中央卸売市場
を初め、
一般卸売市場
及び
産地市場対策
につき検討を加えることといたしております。 特に、青果物につきましては、市況速報の整備、産地事情の調査及び出荷調整の指導を行い共販体制の強化と適正な取引の推進をはかりたいと考えております。
農林水産物
の一輸出につきましては、
海外市場
の調査及び
宣伝活動
を強化するほか、米国、英国、北ア、
欧州市場等
につきまして、生糸、マグロ類、茶、
みかん缶詰等
の
需要増進事業
を行いまして、
農林水産物
の輸出の増進に努める所存であります。
農業生産資材
の大宗をなす肥料につきましては、引き続き内需を確保し、輸出との調整を行うとともに、輸出赤字の国内転嫁を防止するための価格統制措置の継続をはかるため、本年七月末に失効する肥料二法を延長するため、所要の
法律改正
を行うことといたしております。 次に、
農林水産業
諸団体につきましては、機能と組織に応じて、その活動促進をはかることとし、農業委員会につきましては、新たに全国農業会議所及び都道府県農業会議の指導のもとに、農業委員会の事業としての農家台帳を整備して、農村振興に資する措置を講じ、また、
農林漁業
組合につきましては、職員の資質向上のための研修及び養成に関する施設を拡充するほか、特に、農業協同組合につきましては、自治監督制度の強化をはかるために、特段の措置を講ずることといたしました。農業共済組合につきましても、職員の給与の引き上げ等の措置を講じまして、その事業活動の促進をはかることといたしております。さらに、さきに発足を見ました
農林漁業
団体職員共済組合につきましても、本年一月よりその事務を開始いたしましたので、その健全な発達をはかるため、所要の
予算措置
を講ずることといたしました。 以上の施策に即応し、かつ、最近における技術の進展に即し、農林水産試験研究の重点化を期するため、前年度に引き続き畑作試験研究の体制の整備確立をいたしますほか、放射線育種、草地造成、乳牛飼養標準の設定、土地利用調査、澱粉等の
農林水産物
加工利用等の試験研究を推進いたしたいと考えております。一方、これに応じまして、研究管理の体制の刷新と、研究者の資質の向上に努め、研究の効率的な推進をはかる所存であります。 また、統計調査につきましては、農林施策に必要な基礎的資料の整備に一そう力をいたすとともに、一九六〇年世界農業センサスの実施に万全を期したいと考えております。 最後に、
農林漁業
基本問題調査会の設置について申し上げます。 すでに申し上げました通り、
農林漁業
の生産力は近年著しく増大しておりまして、
国民経済
の成長に寄与するところ大であったのでありますが、
農山漁家
の所得と、
農林漁業
の生産性につきましては、他産業のそれらと比較いたしますとき、なお相当の開きがあるのであります。これらの問題は、ひとり、
農林漁業
内部の問題として根本的に解決を要するばかりでなく、
国民経済
の体質改善とその
安定的成長
を期する上におきまして総合的に解決を必要とする問題であると言えるのであります。従いまして、この際、総理府に、
農林漁業
に関する基本問題を調査審議するための調査会を設置いたしまして、各界の学識経験者の意見を聞き、
農山漁家
の生活の
安定向上
と
農林漁業
の生産性の向上を目途とする基本的施策の確立に資することといたしております。 なお、この調査会の設置に即応いたしまして、農林省におきましても、調査会の調査審議活動を円滑にいたすため、所要の態勢の整備を行うことといたしております。 以上、
農林水産業
施策の概要を申し上げたのでありますが、各位の一そうの御協力を得て、
農林関係予算案
及び法律案のすみやかな御審議をお願いいたす次第であります。
秋山俊一郎
6
○
委員長
(
秋山俊一郎
君) ただいまの
説明
に対する質疑は、日を改めて行うことにいたします。 ━━━━━━━━━━━━━
秋山俊一郎
7
○
委員長
(
秋山俊一郎
君) 次に、
農林漁業金融公庫法
の一部を改正する
法律案
(閣法第五八号)、
開拓融資保証法
の一部を改正する
法律案
(閣法第五九号)、
北海道寒冷地畑作営農改善資金融通
臨時措置法案
(閣法第八三号)、
農業災害補償法
の一部を改正する
法律案
(閣法第九七号)、
繭糸価格
の安定に関する
臨時措置法
の一部を改正する
法律案
(閣法第九八号)、
森林開発公団法
の一部を改正する
法律案
(閣法第九九号)、
日本蚕繭事業団法案
(閣法第一〇〇号)、
臨時肥料需給安定法
の一部を改正する
法律案
(閣法第一一四号)、いずれも内閣提出、
予備審査
を一括して議題といたします。 まず、提案理由の
説明
を求めます。
石坂繁
8
○
政府委員
(石坂繁君) ただいま一括上程されました八法案の提案の理由を順次御
説明
申し上げます。 まず、
農林漁業金融公庫法
の一部を改正する
法律案
の提案理由から御
説明
申し上げます。
農林漁業金融公庫
は、その設立以来六年、その前身である
農林漁業資金
融通
特別会計
時代をも通算いたしますとすでに八年間にわたり、
農林漁業
の
生産
力を維持
増進
するために必要な長期かつ低利の
資金
を融通して参りましたことは、各位のよく御承知のところであります。この間公庫の貸し付けて参りました
資金
の総額は、
昭和
三十三年度末において約二千二百億円、その融資残高は、約千五百億円に達する見込みでありますが、
昭和
三十四年度におきましては、前年度に引き続き、重要
農林漁業
施策
に即応して、
農林漁業
の
生産基盤
の
強化
と
経営
の安定に必要な
資金
の融通を行うこととし、資本金の増額、融資条件の一部の変更等の
措置
を講ずるため、本
法律案
を提案した次第であります。 以下
農林漁業金融公庫法
の改正の内容について御
説明
申し上げます。 第一点は、資本金の増額であります。
昭和
三十四年度における公庫の
貸付
予定
計画
額は四百三十二億円でありまして、前年度に比較して五十七億円の
増加
となっておりますが、この四百三十二億円の
貸付
を行うための原資は、年度内の
資金
交付
所要
額等を勘案いたしまして、
一般会計
からの出
資金
七億円、
産業
投資
特別会計
からの出
資金
七十億円、借入金といたしまして
資金
運用部から八十五億円と簡易生命保険及び郵便年金
特別会計
から百三十億円並びに回収金等百二十億円合計四百十二億円となっております。以上の
通り
、
政府
が
一般会計
及び
産業
投資
特別会計
から七十七億円を出資することとなっておりますので、
現行
の資本金に関する規定を改正することといたしましたのであります。 第二点は、
造林
に必要な
資金
の
貸付
にかかる
貸付
条件の変更であります。御承知の
通り
、
造林事業
は他の
事業
と異なり、その収益を得るに至りますまでにはかなりの長期間を要するものであり、そのため公庫は従来も他の
事業
に比較してかなり長期間の融資を行なって参りましたが、さらに長期の据置期間を設けることによりまして、融資による
造林
のより一層の
拡大
を期待することとし、
造林
に必要な
資金
の
貸付
条件中償還期限及び据置期間を改めるものであります。 以上が、この
法律案
を提案いたす理由であります。 次に、
開拓融資保証法
の一部を改正する
法律案
の提案の理由を御
説明
いたします。 戦後の
開拓事業
もすでに十余年を経過し、その間、約十五万戸の
開拓
者は、不利な立地条件やたび重なる天災等にも屈せず、日夜営々と
農業
経営
に精進し、一部には、既存
農家
の水準を越え、新しい
畑作
営農
方式の先駆者となっているものも少くありませんが、他面、大部分の
開拓
者は、重なる悪条件のため、その
努力
にもかかわらず、いまだに
営農
の基礎も確立せず、
経営
不振に悩んでいる実情であります。 この現状に対処いたしまして、
政府
は、一昨年制定を見ました
開拓営農
振興
臨時措置法
を中心といたしまして、
開墾建設工事
の
促進
、
営農
資金
の融資額の大幅な増額、
経営
の重圧となっている負債の条件緩和等、これら
開拓
者の
経営
の安定に必要な各般の総合
施策
を逐次
実施
いたし、その成果を上げつつある次第であります。
昭和
三十四年度は、前年に引き続き、一段とこれらの
施策
の
拡充強化
をはかることとし、その
一環
として、
中央
開拓
融資保証協会に対する
政府出資
の増額を行うこととしたのであります。 すなわち、
開拓
者の必要とする
営農
資金
のうち、大
家畜
、農用
施設
、農機具等の
基本
的
生産
手段を調達するための長期
資金
につきましては、
昭和
二十二年設置いたしました
開拓
者
資金
融通
特別会計
から
政府資金
を低利で融資する
措置
をとって参りましたが、
肥料
、飼料、種苗あるいは中小
家畜
等を購入するための短期
営農
資金
につきましては、
開拓
者の実情からその調達がはなはだ困難でありましたので、
昭和
二十五年、農林
中央
金庫の
協力
を得て、
開拓
信用基金制度を創設し、その後、
昭和
二十八年に至り、
開拓融資保証法
を制定いたしまして、
開拓
融資の
円滑化
をはかる制度を確立したのであります。 この制度は、
中央
及び各
都道府県
に
開拓
融資保証協会を設立し、
開拓
者が金融
機関
から短期
営農
資金
を借り入れる場合にその債務をこの協会が保証することによって、
資金
の調達を容易ならしめるものでありまして、自来、
政府
は、毎年
中央
開拓
融資保証協会に対し出資を行い、本年度までに、すでに、同協会の基金四億一千五百六十二万円のうち三億一千万円を出資して、
開拓
者の
営農
の
進展
に資して参ったのであります。 しかしながら、
肥料
の必要量を適期に投入することは、
営農
振興
の根幹でありますが、
開拓
者の現状は、なおその
資金
の調達に事欠く状態であり、また、乳牛等
家畜
の
増加
に伴う飼料購入量の
増大
、中小
家畜
の
導入
促進
の必要等から、
資金需要
が
増加
いたしていることにも対処いたしまして、
政府
は、
昭和
三十四年度において、
一般会計
からさらに八千万円を追加出資いたしまして、融資ワクの
拡大
をはかり、
営農
資金
の融通を一段と
拡充
し、もって
開拓
者の
農業
生産
力の
発展
と
農業
経営
の安定に資しようとするものであります。 以上が、
開拓融資保証法
の一部を改正する
法律案
の提案の理由であります。 次に、
北海道寒冷地畑作営農改善資金融通
臨時措置法
の提案理由を御
説明
いたします。
北海道
の
農業
、特に
畑作
経営
の現状は、一般に劣悪な自然条件にあるため
営農
上各種の制約を受けるとともに、
地方
は一般に低下の傾向が見られ、いまだその自然的条件を克服し得るに至らず、冷害のつど
農家
経済
は動揺し、
農業
経営
は安定の域に達しておりません。
政府
におきましは、このような実情と
現地
の寒冷地
農業
経営
確立についての要請をも考慮して
北海道
寒冷地
農業
について、その
営農
のあり方を再
検討
することとし、
昭和
三十二年度において、
基本
的な
調査
を行なったのであります。 この
調査
の結果によりましても、
北海道
の
畑作
農業
の現状を
改善
して参りますためには、土地
改良等
の
生産
の基礎条件の
整備
を進めることはもちろんでありますが、それと同時に
地方
の維持
増進
を基調としてそれぞれの地域の自然的
経済
的条件に適合する
農業
経営
の確立をはかることが緊要であると
考え
られます。 以上の見地から
北海道
の寒冷地
畑作
農業
振興
の
一環
として
昭和
三十三年度から
北海道
畑作営農改善対策
要綱を策定して、
北海道
の寒冷地
畑作
地域の
農業
者で、
営農改善
計画
を立てその
営農
の
改善
をはかろうとするものに対して、
農林漁業金融公庫
より、これに必要な
長期低利
資金
を総合的に融通するとともに、これらの
農業
者に対する
営農
技術
指導
を
強化
して、これらの地域の自然的
経済
的条件に適合する
農業
経営
の確立をはかる
措置
を講じてきたのでありますが、今回この
措置
を法律制度として確立し一そうその
推進
をはかることといたした次第であります。 以上が、この
法律案
を提出するに至りました経緯と趣旨の大要でありますが、次に本
法律案
の骨子についてその概略を御
説明
いたしたいと存じます。 まず第一に、寒冷地
畑作
振興
地域の指定につきましては、農林大臣が、
北海道
知事からの申請に基き、
北海道
の区域内の寒冷がはなはだしい
畑作
地域を、気象条件その他の自然的
経済
的条件の類似する地域ごとに、指定することとしております。 第二に、
営農改善
資金
の
貸付
につきましては、
農林漁業金融公庫
は、寒冷地
畑作
振興
地域の区域内の
農業
者で、
北海道
知事の認定を受けたものに対し、
営農改善
計画
に記載された
改善
措置
を
実施
するために必要な
営農改善
資金
を総合的に貸し付けるものとし、この
貸付
金の
貸付
条件等を規定しております。 第三に、
営農改善
計画
の作成及び
貸付
適格者の認定につきましては、
営農改善
資金
の
貸付
を受けようとする者は、
営農改善
計画
を作成して、
北海道
知事の認定を受けることとし、その
営農改善
計画
の内容及び
北海道
知事の適格者の認定の要件を規定しております。 なお、
営農改善
資金
の
貸付
適格の認定の申請の期間は、
農業
者の
経営
の安定をすみやかに達成させるため、
昭和
三十九年三月三十一日までの五カ年間としてあります。 第四に、
営農改善
資金
の
貸付
については、
指導
がこれに伴う必要がありますので、
北海道
知事の
指導
につき必要な規定を設けております。 以上が、この法律の主要点でありますが、農地または牧野の改良、その他
農業
生産
の
基盤
の
整備
、新
農山漁村
建設
事業
、集約酪農地域酪農
振興
事業
、その他
現行
の他の諸
施策
と密接な
関連
のもとに、この法律による
事業
を
実施
することにより、これら地域における
農業
者の
営農
をすみやかに
改善
し、その
経営
の安定をはかって参りたいと存ずるのであります。 次は、
農業災害補償法
の一部を改正する
法律案
の提案理由でございますが、
農業
災害補償制度の重要な
一環
である
家畜共済制度
につきましては、
昭和
三十年死亡廃用共済と疾病傷害共済の一元化が行われ、自来この制度によりましてその
運営
をいたして参ったのでありますが、法律上本年四月に料率の改訂を
実施
しなければならないこととなっておりますので、この機会に国庫負担の方式を
改善
し、料率改訂に伴う
農家
の負担を軽減することを目的として、この
法律案
を提案した次第であります。 その第一は、
家畜
共済
事業
の国庫負担方式を改正しようとするものであります。
現行
の掛金国庫負担の方法は、牛及び馬につきまして、最低の共済金額に対応する掛金のうち死廃部分に相当する額の半分を国が負担することとなっているのでありますが、これを原則として
農家
が選ぶ共済金額に対応する掛金のうち死廃部分に相当する額の半分を国が負担することに改め、
農家
負担の軽減をはかることとした次第であります。なお、他の制度における国庫負担との
均衡
も考慮いたしまして、国庫負担の対象となる共済掛金の限度を農林大臣が定めることといたしております。 第二は、
家畜
共済の対象である乳牛につきまして、特別の
助成
措置
を講じようとするものであります。乳牛につきましては、最近における被害率の異常な上昇によりまして、
農家
の支払う共済掛金の額が
増加
し、さきに述べました国庫負担方式の
改善
によりましてもなお
農家
負担の
増加
が見込まれる状況にありますので、料率改訂によって病傷の率が上昇する地域の
農家
に対し、その新旧料率の差に応じて掛金
増加
分の一定割合を
補助
することといたしまして、この
補助
金の交付に関する事項を定めた次第でございます。 このほか、国庫負担方式の改正に伴う経過
措置
及び関係法令の
整備
に関する事項を規定いたしております。 以上が、この
法律案
の趣旨でございます。 次に、
繭糸価格
の安定に関する
臨時措置法
の一部を改正する
法律案
の提案理由でございます。
政府
は、
昭和
三十三
生糸
年度における
繭糸価格
の安定をはかるため、第二十九特別
国会
において成立いたしました
繭糸価格
の安定に関する
臨時措置法
により大量の
生糸
及び繭の買い支えを行なったのでありますが、結果においては内外
市場
の先行き不安と実
需要
の減退を
防止
することができず、根底にある
需給
の趨勢的な不
均衡
を解決する必要に迫られたのであります。
政府
は、ここにおきまして
蚕糸業
が
産業
として安定した
基盤
を持ち得るため、
基本
的な対策を講ずる必要があると認め、
最低糸価
及び
最低繭価
を
需給
の
均衡
をはかり得る水準に改訂し、また、
桑園
の
整理
を行う
養蚕農家
に対する
助成
措置
をとることによって、新しい事態に対応し
価格
の安定をはかるとともに、長期にわたる
蚕糸業
の安定をはかるための総合的
基本
対策の策定につき、過日の
蚕糸業振興審議会
に諮って、逐次その
検討
に取りかかっておる次第であります。 そこで、
昭和
三十四
生糸
年度の
繭糸価格
の
安定対策
についてでありますが、
繭糸価格
安定法は、さきの総合的な
基本
対策の
一環
として、現制度
運営
の経験及び他の農産物
価格安定制度
との
関連
等も考慮して十分
検討
を加え、恒久的制度として
整備
する必要がありますので、三十四
生糸
年度の
繭糸価格
の安定
措置
は、
現行
臨時
措置
の一年延長によって対処する
方針
をとることといたしたのであります。 以下
法律案
の内容について概略を申し上げます。 第一は、
繭糸価格
の安定に関する
臨時措置法
による臨時
措置
を
昭和
三十四年産の繭及びこれを原料とする
生糸
に適用することであります。 第二は、これに伴いまして日本
輸出
生糸
保管
株式会社が
昭和
三十四
生糸
年度において買い入れ等を行なって取得した
生糸
または乾繭を
政府
が買い入れる場合における買い入れ金額の限度額を五十億円とすることであります。 以上が、
繭糸価格
の安定に関する
臨時措置法
の一部を改正する
法律案
の提案の理由であります。 次に、
森林開発公団法
の一部を改正する
法律案
の提案理由でございます。
国民経済
の
発展
に伴い年々飛躍的に
増大
する
木材需要
に対処してその供給を確保するためには、豊富な
資源
を抱きながら未利用のまま放置されている奥地未
開発
林の
開発
を
促進
する必要があることは申すまでもないことであります。このため、
民有林
につきましては、国庫
補助
等の
措置
により、そのうち特に熊野川流域及び剣山周辺地域につきましては、
森林開発公団
により、また、
国有林
につきましては、
国有林
野
事業
によりまして、幹線林道の開設
事業
を
実施
し、鋭意奥地未
開発
林の
開発
を推し進めて参ったのであります。 しかしながら、これら奥地未
開発
林の
開発
を進めて参ります場合におきまして、
国有林
と
民有林
とが相接して存在する地域にありましては、
国有林
及び
民有林
相互の伐採時期のずれとか、
民有林
の受益者としての負担能力の問題等からして、その開設が必ずしも円滑に
実施
されないような場合が多く、それらの早急な
開発
が待たれている実情であります。 このような現状に対処いたしまして、かかる
国有林
と
民有林
とに
関連
する幹線林道の開設改良
事業
を、
国有林
野
事業
として
実施
するようにいたしたいのであります。 しかしながら、
国有林
におきましては明年度から
生産
力増強
計画
が
全国
的に
実施
される段階にあり、これらの大規模な
奥地幹線林道
の開設
事業
を急速かつ
計画
的に実行することは困難でありますので、
森林開発公団
の
組織
、能力及びその豊富な経験を活用することとし、同公団に、かかる
奥地幹線林道
の開設
事業
を委託して
実施
させることが適当と
考え
るのであります。 このような理由によりまして、
森林開発公団法
の一部を改正いたしたいのであります。 以下
法律案
の内容につきましてその
概要
を御
説明
申し上げます。まず、同公団の
業務
に、
森林開発公団
が、豊富な
森林資源
を有する
国有林
と
民有林
とが相接して所在しており、かつ、これらの森林の
開発
が十分に行われていない地域のうち、政令で定める区域内の当該森林を
開発
するために必要な
奥地幹線林道
の開設、または改良の
事業
、及びその開設、または改良にかかる林道で、政令で定めるものの災害復旧の
事業
であって、
国有林
野
事業
として行われるものを国の委託により施行することを加えることとしたのであります。 次にこれに伴い、同公団の目的に、同公団が以上に述べました
事業
を行なって、林業
生産
の
増大
に資することをあわせてその目的とする旨を加え、これに
関連
して必要な規定の
整理
をしたのであります。 以上が、この
法律案
の提案の理由及び内容のおもな点であります。 次に、
日本蚕繭事業団法案
の提案の理由を御
説明
申し上げます。
現行
繭糸
価格安定制度
のもとにおきましては、繭の
価格
の安定
措置
といたしまして、
農業
協同組合連合会が、
最低繭価
を維持するために乾繭を共同して
保管
する制度がありますが、繭の
価格
が
最低繭価
以上にある場合に、
繭価
を
適正水準
に維持するための
措置
はとられておりません。この
繭糸
価格安定制度
の空白を補完して、
農業
協同組合連合会が繭の
価格
を、繭及び
生糸
の
需給事情
から見て適正な水準に実現する
努力
を行う場合のよりどころとなる
機関
として、
日本蚕繭事業団
を設立することといたしたのであります。 次に、この法案の内容について概略を申し上げます。 第一に、この
事業
団の資本金は、十億円とし、
政府
がその全額を出資することといたしました。 第二に、この
事業
団の
業務
としては、
農業
協同組合連合会からの委託を受けて、乾繭を売り渡し、加工し、もしくは
生糸
と交換し、またはその
生糸
を売り渡す等の操作を行うことといたしたことであります。なお、この
事業
団の
事業
活動は、
関連
業界に及ぼす影響が大きいので、
事業
の規模を適正にするため、
事業
団が販売の委託を受けることができる限度について、そのつど農林大臣の承認を受けなければならないことといたしております。 第三に、この
事業
団の
組織
といたしましては、役員の定数、任免等についての規定を設けるとともに、
業務
の円滑適正な
運営
を期するため、
事業
団の
業務
に関し学識経験を有する者十人以内で
組織
する
運営
審議
会を設けることといたしました。 第四に、
事業
団の財務及び会計については、
事業
計画
等につき、あらかじめ農林大臣の認可を受けせしめることとし、その他借入金をすること及び余裕金の運用等につきまして
所要
の監督規定を設けることといたしました。 第五に、
事業
団を設立するため必要な手続規定を設けております。 以上が、
日本蚕繭事業団法案
の提案理由の
説明
でございます。 最後に、
臨時肥料需給安定法
の一部を改正する
法律案
について、その提案の趣旨を御
説明
を申し上げます。
臨時肥料需給安定法
は、去る
昭和
二十九年以来、硫安工業
合理化
及び硫安
輸出
調整
臨時措置法
とともに、いわゆる
肥料
二法として、重要
肥料
の
需給
の調整、硫安工業の
合理化
の
促進
、硫安
価格
の安定等について、おおむね所期の効果を上げて参ったのであります。特に
需給
安定法に基く硫安
価格
の安定については、硫安工業の
合理化
の進行と、供給量の
増加
に伴う
需給
関係の
改善
と相待って、年々、相当額の国内
価格
の引き下げを見たのでありまして、その効果は見るべきものがあったと思われるのであります。
需給
安定法は、
合理化
法とともに、本年七月末で、当初定められました五カ年の有効期間が、切れることとなるのでありますが、最近の
肥料
の
需給事情
から
考え
ますと、内需の
所要
量を確保すると同時に、その
輸出
を積極的に
推進
することが必要であります。一方最近の国際競争の激化から、国内
価格
と
輸出
価格
に相当の較差が存する現状であります。 以上の状況にかんがみまして、本年八月以降においても、
合理化
法に基く硫安工業の
合理化
並びに
輸出
の
振興
のための
措置
を強力に
推進
するとともに、
需給
安定法による重要
肥料
の
需給
の調整と国内
価格
の適正な水準による安定をはかるための
価格
の統制を今後とも継続する必要がありますので、
需給
安定法の有効期間を五年間延長することといたした次第であります。なお、別に提案いたしております硫安工業
合理化
及び硫安
輸出
調整
臨時措置法
の一部を改正する
法律案
によりまして、同法も同じく五年間その有効期間を延長することといたしております。 次に、この
法律案
の内容を御
説明
いたします。 第一は、この法律の有効期間を五カ年間延長し、
昭和
三十九年七月三十一日まで効力を有するものとするため、
所要
の改正を行うものであります。 第二は、従来
需給
計画
を定め、または変更いたしました場合、
需給
計画
の内容を公表することとなっておりましたが、これを公表することが
輸出
取引
上適当でないと
考え
られるような場合には、関係者に通知することによって公表にかえることができるように改めることといたしたのであります。 以上が、
臨時肥料需給安定法
の一部を改正する
法律案
の趣旨でございます。 以上、
農林漁業金融公庫法
の一部を改正する
法律案
外七件につきまして、提案理由並びに内容の概略を御
説明
申し上げました。何とぞ慎重御
審議
の上にすみやかに御可決下さいますようにお願い申し上げます。
秋山俊一郎
9
○
委員長
(
秋山俊一郎
君) これらの
法律案
の審査は、日を改めて行うことにいたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午前十一時三十六分散会 —————・—————