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1959-02-05 第31回国会 参議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月五日(木曜日)    午前十時三十二分開会   —————————————   委員異動 十二月二十二日委員宗雄三君及び黒 川武雄辞任につき、その補欠として 重政庸徳君及び横川信夫君を議長にお いて指名した。 十二月二十三日委員伊能芳雄辞任に つき、その補欠として西郷吉之助君を 議長において指名した。 十二月二十五日委員横川信夫辞任に つき、その補欠として柴野和喜夫君を 議長において指名した。 十二月二十六日委員西郷吉之助辞任 につき、その補欠として伊能芳雄君を 議長において指名した。 一月二十六日委員島村軍次辞任につ き、その補欠として後藤文夫君を議長 において指名した。 一月三十日委員田中茂穂辞任につ き、その補欠として植竹春彦君を議長 において指名した。 一月三十一日委員植竹春彦辞任につ き、その補欠として田中茂穂君を議長 において指名した。 本日委員柴野和喜夫君及び堀末治君辞 任につき、その補欠として塩見俊二君 及び大谷瑩潤君議長において指名し た。   委員長異動 一月二十八日関根久藏辞任につき、 その補欠として秋山俊一郎君を議院に おいて委員長に選任した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     秋山俊一郎君    理事            雨森 常夫君            堀本 宜実君            東   隆君            北 勝太郎君    委員            伊能 芳雄君            大谷 瑩潤君            塩見 俊二君            関根 久藏君            田中 茂穂君            仲原 善一君            河合 義一君            戸叶  武君            千田  正君   国務大臣    農 林 大 臣 三浦 一雄君   政府委員    農林政務次官  石坂  繁君    農林大臣官房長 齋藤  誠君    農林省農林経済    局長      須賀 賢二君    農林省農地局長 伊東 正義君    農林省振興局長 増田  盛君    農林省畜産局長 安田善一郎君    農林省蚕糸局長 大澤  融君    食糧庁長官   渡部 伍良君    林野庁長官   山崎  齊君    水産庁長官   奧原日出男君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選農林水産政策に関する調査の件  (農林水産基本政策に関する件) ○農林漁業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査) ○開拓融資保証法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査) ○北海道寒冷地畑作営農改善資金融通  臨時措置法案内閣送付予備審  査) ○農業災害補償法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査) ○繭糸価格の安定に関する臨時措置法  の一部を改正する法律案(内閣送  付、予備審査) ○森林開発公団法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査) ○日本蚕繭事業団法案内閣送付、予  備審査) ○臨時肥料需給安定法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) それでは、ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  この際、委員の変更についてお知らせいたします。  本日、柴野和喜夫君、堀末治君が辞任され、その補欠として塩見俊二君、大谷瑩潤君が選任されました。  以上であります。   —————————————
  3. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 最初、理事補欠互選についてお諮りいたします。  私の委員長就任に伴いまして理事が一名欠員になっておりますので、その補欠互選を行います。その方法は成規の手続を省略して便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、私より雨森常夫君を理事に指名いたします。   —————————————
  5. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 一昨日、農林省事務当局から、昭和三十四年度農林省関係予算案及び再開後の国会提出予定農林水産関係法律案について説明を聞いたのでありますが、本日は農林水産基本政策の件を議題にし、三浦農林大臣説明を求めることにいたします。
  6. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 今国会に提出いたします農林関係予算案及び法律案につき、皆様の御協力を得て御審議をいただくに当りまして、これらの予算案の編成及び法律案の立案の基本となりました農林水産行政の重点につきまして、その概要を申し上げたいと存じます。  最近における農林水産業の生産は、技術の改良発達と投資の増大等により、長期経済計画の想定する生産目標に照らし、米を初めとして順調な伸長が見られ、その結果、食糧輸入量は引き続き減小し、外貨の節約に寄与するとともに、国内購買市場安定の有力な要因ともなり、国民経済安定的成長農林漁業の果している役割はまことに重要なものがあるのであります。  しかしその反面、農林漁業の生産の伸長と相待ってその生産性と所得は増加しつつあるものの、なお、他産業との間に相当の較差がある現状にかんがみ、今後におきまして、国民経済の成長する中にあって、経済の均衡ある発展をはかり、農山漁家の福祉の増進を期することは、ひとり農林漁業政策の究極の目標であるのみならず、国民経済の質的改善に資するゆえんと考えるのでありまして、これがためには、従来にまさる努力を積み重ねなければならないことを痛感する次第であります。  従いまして、政府といたしましては、これまでの各般にわたる施策の充実強化をはかり、農林漁業のよって立つ基盤を培うとともに、商品生産の進展にも即応して生産、流通にわたり、経営の健全化と近代化を推進して、農山漁家の生活の安定向上に努めることはもとより、さらに、この際、農林漁業政策の基本について再検討を加え、新しい施策の展開をはかる方針のもとに、三十四年度の予算の編成及び所要の法律案の立案をいたすこととした次第でございます。  その施策の重点につきまして、その概要を申し上げます。  重点の第一は、長期的観点に立って、食糧の総合的自給度の向上と、資源の維持培養をはかることを目標とし、生産基盤整備強化を推進することであります。  まず農業につきましては、土地改良事業開拓事業の推進をはかり、農業のよって立つ生産基盤を強化するため、三十四年度は食糧増産対策事業の経費を大幅に増加するとともに、さらに特定土地改良工事特別会計愛知用水公団及び農林漁業金融公庫等に対する政府資金の投入を増額いたしまして、経済計画第二年度として、土地改良事業開拓事業計画的実施を推進して参る所存であります。  土地改良事業につきましては、事業量の拡大による事業の早期完成をはかることに留意するとともに、特に同一水系における国営事業関連都府県営事業の進捗度の不均衡を是正いたしまして、事業の効率的促進をはかることを基本方針といたして参りたいと考えております。  すなわち、国営事業につきましては特定土地改良工事特別会計において、計画年次内の完成を期するとともに、他の一般国営土地改良事業におきましても、ダム、頭首工等の施設を有する地区及び早期効果の発生の期待できる地区に重点を置きまして事業の効果的実施をはかって参る所存であります。  また、都道府県営土地改良事業につきましては、事業量の拡大をはかり、国営事業と関連のある事業の進捗をはかる等、さきに述べました基本方針に即して進めて参りたいと考えております  団体営灌漑排水事業につきましては、補助、非補助のそれぞれの事業を通じまして、その重点を、基幹工事の末端工事の早期完成と、積寒、湿田、急傾斜等特殊立法地帯農業振興計画の実施の促進に置きまして、適切な運用をはかることにいたしました。特に、前年創設いたしました小団地等非補助土地改良事業助成基金制度に基く低利融資事業につきましては、資金ワクを大幅に増大して事業の伸長を期しております。  なお、干拓事業につきましては、特定土地改良特別会計におきまして事業量の拡大をはかりますとともに、特に、八郎潟干拓事業につきましては、重要工事である中央干拓工事本格的着工にかかる所存であります。  また、農地集団化事業の促進をはかるため、従来の交換分合、換地計画を推進いたしますこととあわせて、集団化事業と関連する農道につき特にその助成を行い、事業の促進をはかることといたしております。  愛知用水公団事業につきましては、本格的な工事体制が整いました事情に即応いたしまして必要な国費及び政府資金を計上し、工事の進捗に支障のないことを期しております。  次に、開拓事業につきましては、重点を既入植者の営農安定対策に置き、開拓営農の振興を強力に推進することといたしております。すなわち、営農不振の開拓地におきまして、開墾建設工事の促進と、必要追加工事の実施をいたしますとともに、これらの建設工事と並行いたしまして、振興計画達成上必要な追加営農資金の大幅増額、旧債の整理促進、開拓融資保証ワクの増大、営農指導体制の強化等を実施することとし、振興計画の目標達成を促進することといたしました。  新規入植につきましては、営農安定が確実と見込まれる地区に限定することとし、前年度改訂いたしました基本営農類型の適用の拡大をはかり、営農の早期確立を期することといたしております。  防災事業につきましては、最近における災害発生の状況にもかんがみ、特段の留意を払い、防災ため池老朽ため池農地保全等それぞれの計画に基いて事業の増強をはかることといたしております。  これら土地改良事業及び開拓事業につきまして、長期的観点から事業の計画的推進を確保するため、調査計画の拡充をはかることといたしております。  土地改良計画につきましては、農業技術の進歩、営農の動向等に即応して水資源の高度利用をはかるため、早期栽培地域水利調査水資源開発基礎調査地下水調査、田畑輪換の指導等をさらに積極的に行うこととし、開拓計画につきましては、開拓事業実施要綱に基き、基礎調査基本計画及び実施計画を実施することといたしております。  さらに、以上のような施策の円滑な実施をはかりますために、三十四年度より、名古屋にあります名古屋建設事務所農地事務局に昇格いたしまして機構の整備をはかりたいと考えております。  次に、治山、造林、林道事業につきましては、今後増大する木材需要に応じて森林資源の育成とその開発を促進するとともに、治山、治水事業重点的施行に努めて国土の保全をはかり、特に保安林につきましては、それがきわめて公共性の強い性格を有しますので、この整備と維持管理をはかるため、水源林造成事業を拡充し、かつ、損失補償事務も整備いたしたいと考え、それらの事業費の拡充を期することといたしております。さらに、三十四年度におきましては、国有林野事業特別会計民有林協力を強化することといたしております。  すなわち、その第一は、国有林野事業特別会計の資金を活用し、国有林と民有林が併存する特定地域における奥地幹線林道の開設、改良等を国が森林開発公団に委託して実施させるよう所要の法律改正案を提出いたしたいと考えております。第二は、造林事業の拡大を目途として、一般会計より、造林資金として農林漁業金融公庫に出資し、融資造林の促進をはかるため特別に長期低利の資金の貸付をすることといたしております。  これらのほか、国有林野事業特別会計民有林協力の事業といたしましては、林木育種事業拡充強化及び国有林に隣接する地元農山漁村のために、放牧採草共用林野や、薪炭林共用林野改良事業等を拡充して参りたいと考えております。  次に水産業につきましては、その生産基盤である漁港の整備につきまして、漁港整備計画に基く修築事業早期完成を期し、全国六〇四港の整備事業を計画的に実施するとともに、局部改良事業及び区域内の保全施設の拡充をはかることといたしております。  なお、漁港関係事業量の増大にかんがみまして、行政機構を拡充し、水産庁に新たに漁港部を設置することといたす考えであります。  また、漁港の整備と相待って新漁場の開発のため、東西カムチャッカ等漁場開発調査を引き続き行うことといたしております。  重点の第二といたしましては、農山漁家の経営の健全化と近代化を推進し、あわせて、立地に応じ畑地帯その他についての地域的な振興策を強化することであります。  まず、農業につきましては、従来に引き続き、水稲生産力安定向上をはかりますとともに、昨年度に引き続き畑作の振興対策事業を強力に実施する所存であります。このため、畑作機械化の促進のほか、三十四年度より新たに畑地力の保全培養をはかる地力保全事業と、畑地生産力向上の障害となっている土壌病害虫の防除を積極的に開始するとともに、商品性の高い畑作物の導入、生産及び流通改善に努力する一方、畑地灌漑事業につきましても、都道府県営団体営事業を通じまして、補助率の引き上げを行う等その推進をはかることといたしておりますが、これらの措置と相待って農業改良資金制度及び畑作関係試験研究体制を拡充するとともに園芸、畜産等、畑作関係特技普及員の増員、畑作総合指導施設の新設等、農業改良普及組織強化拡充を行うことといたしております。  また、寒冷地農業振興対策といたしましては、引き続き国有の家畜及びトラクターの貸付事業を実施いたしますほか、特に、北海道における畑作営農改善対策といたしまして、立法措置を講じて営農改善に必要な農林漁業資金を融通することといたしております。  特に、重要畑作物であるテンサイにつきましては、甘味資源の自給力強化を目途として、東北地方にその導入をはかるため、現地における試作と導入の可能性についての経済調査を実施するとともに、暖地テンサイ生産改良試験を実施することとしてその生産の振興をはかるほか、テンサイ糖業の自立体制を確立するため、三十四年度から砂糖消費税の引き下げと、関税の引き上げの振替措置を行うことにより、テンサイ糖業自立振興が可能となるよう措置したのであります。なお、テンサイの生産及びテンサイ糖の製造の改良発達をはかるための試験研究等の業務を行う特殊法人日本テンサイ糖振興会(仮称)を設立することとし、これに対して、政府出資を行うことといたしております。  次に畜産につきましては、わが国食糧消費構成の高度化の趨勢に対応し、かつ、今後のわが国農業経営の合理化と発展のための根幹であることにかんがみまして、長期的観点に立って、総合的な振興施策を講じて参る所存であります。  第一に、酪農対策につきましては、生産から流通、消費にわたり一貫して改善をはかって参るため、今国会に酪農振興法の一部改正案を提案いたすこととしておりますが、これにより、まず生産面につきましては、主要酪農地帯酪農経営改善安定地区を設け、酪農経営改善計画の樹立実行をはかることとし、これがため、自給飼料増産の推進、搾乳期間の適正化及び乳牛経済能力検定事業新規実施生乳品質改善事業継続実施等の措置を講ずるほか、畜舎、サイロ等の付帯施設の整備のため農林漁業資金農業改良資金等必要資金を確保して、計画的な酪農経営の改善安定をはかるとともに、都道府県畜産会が行う畜産技術経営診断指導事業につきましては、酪農経営改善安定地区に対する濃密指導の強化を実施することといたしております。生乳取引につきましては、その契約の適正化、生産者による共販の促進等をはかるほか、取引について生じた紛争をあっせん調停するための組織を中央、地方を通じて確立する考えであります。次に牛乳乳製品の生産と消費との均衡に格段の意を注ぐこととし、牛乳乳製品による学校給食の拡充恒久化を期するほか、余剰乳製品の調整保管、牛乳乳製品消費宣伝事業の推進等を行うことといたしております。  第二に、家畜の導入につきましては、既存の各種施設を活用して、引き続きその導入の促進をはかって参りますほか、特に三十四年度は桑園転換に伴う営農改善に資することを考慮し、綿羊の導入の強化をはかることといたしております。  第三に、飼料対策につきましては、草地改良及び自給飼料増産事業を計画的に拡大強化して、畜産農家の飼料自給度の向上を期することとし、このためとくに高度集約牧野造成改良事業を拡大実施して参るほか、新たに大規模草地改良を行うために必要な調査設計の直轄実施、農業改良資金制度による飼料畑の造成、または、更新のための資金の貸付、乾草調製施設設置助成等を取り上げることといたしております。なお、流通飼料につきましても輸入飼料に対する政府の需給操作力の強化等により需給及び価格の安定をはかって参りたいと考えております。  第四に、種畜対策につきましては、引き続き種畜の確保に努めるとともに、養鶏振興に資するため優良系統雛の導入を目的とした種鶏場、孵化場の登録事業を助成するほか、国立種畜牧場整備計画の一環として、新冠、鳥取両種畜牧場の整備の促進に着手するほか、優良系統の選抜普及をはかるための豚産肉能力検定施設の新設及び肉牛資源の開発の根拠地となるべき寒冬地和牛指導施設の新設等をはかることといたしました。  なお、これらのほか、家畜衛生対策の強化につきましては、都道府県の家畜保健衛生所に対する家畜衛生車の配置等より、防疫事業強化拡充をはかることといたしております。  また、畜産振興の一環といたしまして、家畜共済制度整備強化をはかることとし、家畜の病傷事故の増加に伴い、共済掛金率の増大を来たすことにかんがみ、農家の掛金負担の軽減をはかるため、所要の予算措置を講じ、これに伴う所要の法律改正を行うことといたしております。  次に蚕糸業につきましては、昨年末の繭及び生糸の異常は需給事情の変動に対処し、最低糸価及び最低繭価の改訂と桑園整理の助成を行い、当面の価格の安定をはかるための措置を講じたのでありますが、今後、蚕糸業が安定した産業としての基盤を持つための恒久対策について蚕糸業振興審議会に諮って、引き続き検討をいたしますとともに、次のような点に重点を置いて施策を進める所存であります。  まず、生産の合理化を推進するため、年間条桑育の普及をはかるとともに、蚕業技術普及体制を強化することといたしまして、技術普及員待遇改善及び現地活動の機動力の強化をはかることといたした次第でございます。さらに繭及び生糸の需給事情の安定のため、養蚕農家が行う桑園の整理に対しまして、引き続き助成を行いますとともに、その後作の指導につきましても万全を期する所存であります。また、需要の増進をはかることの緊要性にかんがみ、今回、養蚕団体を含め広く関係業界の協力を得て、市場開拓のための宣伝活動の拡充をはかりますとともに、生糸の新規用途の開拓のため特段の考慮を払うことといたしております。  なお、繭糸価格安定対策につきましては、前に申し上げましたように、現行の価格安定制度の再検討を要すると考えますが、三十四年度におきましては、とりあえず現在とっております繭糸価格安定に関する臨時措置法の延長をいたしますと同時に、養蚕団体が自主的に繭価を適正水準に維持するための販売努力をするよりどころとなる機関として、新たに政府出資による日本蚕繭事業団(仮称)を設立することとし、このための立法措置を考えておる次第であります。また、現行の糸価安定特別会計は、大量に保管いたします生糸の管理費用の増大と糸価の下落による損失を見込んで、三十四年度におきまして、一般会計から二十億円を同特別会計に繰り入れることといたしまして、業務の運営に支障のないよう措置いたしております。  林業につきましては、森林経営の集約化及び合理化につきまして、従前の諸施策の強化をいたしますとともに、三十四年度より新たに、木炭の流通の合理化と生産者所得の安定に寄与するため、系統機関等による木炭の保管を推進し、流通の円滑化を期するほか、普及事業の運営強化、林木育種事業の拡充及び放牧採草共用林野や、薪炭林共用林野改良事業等の拡充をはかることといたしております。  水産業につきましては、その基本的制度につきまして、引き続き漁業制度調査会において検討を進めておりますが、三十四年度における振興措置といたしましては、特に沿岸漁業に重点を置きまして水産増殖事業を引き続き実施して参りますほか、沿岸漁業依存度の高い窮乏漁村の多い海域につきまして、総合的な振興措置を講ずることといたしております。さらに、水産業改良普及事業につきましては、その質的拡充強化をはかるため、従来の専門技術員のほか、新たに沿岸漁業改良普及員を設置すると同時に、都道府県水産試験場の強化、漁村青壮年活動の促進を行うことといたしております。また、漁業経営の安定をはかるため、漁業共済制度試験実施を引き続きまして全国的規模において行なうほか、水産物の流通改善につきましても、流通事情の調査を継続いたしますとともに、新たに多獲性の大衆水産物の系統機関による共同保管の促進により、その自主的な流通調整をはかることといたしております。  次に、農地対策の強化と相待って、自作農家の維持安定とその転落防止をはかるため、自作農維持創設資金ワクを増大して百億円といたし、資金需要にこたえることといたしましたほか、農山漁村の振興をはかるため、引き続き農山漁村建設総合対策を計画的に実施いたしますとともに、離島及び開拓地のほか、新たに僻地農山村に対しましても、電気導入事業について新たに助成の道を開くことといたしております。また、新しい農山漁村の建設と、日本農業の一そうの発展のためには、次代の農業をになう人物の養成をはかることの重要性にかんがみ、農山漁村青年活動の一そうの助長をはかることとし、新たに中央地方を通じ研修施設の整備強化を行いたいと考えております。  また、農村人口の圧力を緩和し、あわせて二三男対策に資するため、農民の海外送出事業の態勢を強化するほか、農業移住振興基金の新設、青壮年の海外派遣、農業労務者派米等移住事業の一そう強力な推進を行うことといたしております。  重点の第三といたしましては、農林畜水産物の商品化の進展に伴いまして、市場の拡大、需給及び価格の安定並びに流通機構の整備等につきまして積極的な措置を講ずることといたしております。  まず、食糧の管理につきましては、米麦とも従来通りの管理方式を継続して参る考えのもとに、米の予約売渡制による集荷の推進によりまして政府買入量の増加とさらに、需給上必要限度の輸入と相待って食糧の配給に万全を期して参りたい所存であります。  また、米麦以外の重要農産物につきましては、必要に応じて政府買い上げの措置を講じ、その価格の低落の防止をはかって参る考えであります。  また、繭糸、畜産物の需給及び価格の安定と消費拡大のための措置や、水産物及び木炭についての流通調整のための施設につきましては、すでに申し上げました通りでありますが、さらに、生鮮食料品につきましては、臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会を設置いたしまして、中央卸売市場を初め、一般卸売市場及び産地市場対策につき検討を加えることといたしております。  特に、青果物につきましては、市況速報の整備、産地事情の調査及び出荷調整の指導を行い共販体制の強化と適正な取引の推進をはかりたいと考えております。  農林水産物の一輸出につきましては、海外市場の調査及び宣伝活動を強化するほか、米国、英国、北ア、欧州市場等につきまして、生糸、マグロ類、茶、みかん缶詰等需要増進事業を行いまして、農林水産物の輸出の増進に努める所存であります。  農業生産資材の大宗をなす肥料につきましては、引き続き内需を確保し、輸出との調整を行うとともに、輸出赤字の国内転嫁を防止するための価格統制措置の継続をはかるため、本年七月末に失効する肥料二法を延長するため、所要の法律改正を行うことといたしております。  次に、農林水産業諸団体につきましては、機能と組織に応じて、その活動促進をはかることとし、農業委員会につきましては、新たに全国農業会議所及び都道府県農業会議の指導のもとに、農業委員会の事業としての農家台帳を整備して、農村振興に資する措置を講じ、また、農林漁業組合につきましては、職員の資質向上のための研修及び養成に関する施設を拡充するほか、特に、農業協同組合につきましては、自治監督制度の強化をはかるために、特段の措置を講ずることといたしました。農業共済組合につきましても、職員の給与の引き上げ等の措置を講じまして、その事業活動の促進をはかることといたしております。さらに、さきに発足を見ました農林漁業団体職員共済組合につきましても、本年一月よりその事務を開始いたしましたので、その健全な発達をはかるため、所要の予算措置を講ずることといたしました。  以上の施策に即応し、かつ、最近における技術の進展に即し、農林水産試験研究の重点化を期するため、前年度に引き続き畑作試験研究の体制の整備確立をいたしますほか、放射線育種、草地造成、乳牛飼養標準の設定、土地利用調査、澱粉等の農林水産物加工利用等の試験研究を推進いたしたいと考えております。一方、これに応じまして、研究管理の体制の刷新と、研究者の資質の向上に努め、研究の効率的な推進をはかる所存であります。  また、統計調査につきましては、農林施策に必要な基礎的資料の整備に一そう力をいたすとともに、一九六〇年世界農業センサスの実施に万全を期したいと考えております。  最後に、農林漁業基本問題調査会の設置について申し上げます。  すでに申し上げました通り、農林漁業の生産力は近年著しく増大しておりまして、国民経済の成長に寄与するところ大であったのでありますが、農山漁家の所得と、農林漁業の生産性につきましては、他産業のそれらと比較いたしますとき、なお相当の開きがあるのであります。これらの問題は、ひとり、農林漁業内部の問題として根本的に解決を要するばかりでなく、国民経済の体質改善とその安定的成長を期する上におきまして総合的に解決を必要とする問題であると言えるのであります。従いまして、この際、総理府に、農林漁業に関する基本問題を調査審議するための調査会を設置いたしまして、各界の学識経験者の意見を聞き、農山漁家の生活の安定向上農林漁業の生産性の向上を目途とする基本的施策の確立に資することといたしております。  なお、この調査会の設置に即応いたしまして、農林省におきましても、調査会の調査審議活動を円滑にいたすため、所要の態勢の整備を行うことといたしております。  以上、農林水産業施策の概要を申し上げたのでありますが、各位の一そうの御協力を得て、農林関係予算案及び法律案のすみやかな御審議をお願いいたす次第であります。
  7. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ただいまの説明に対する質疑は、日を改めて行うことにいたします。   ━━━━━━━━━━━━━
  8. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(閣法第五八号)、開拓融資保証法の一部を改正する法律案(閣法第五九号)、北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法案(閣法第八三号)、農業災害補償法の一部を改正する法律案(閣法第九七号)、繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(閣法第九八号)、森林開発公団法の一部を改正する法律案(閣法第九九号)、日本蚕繭事業団法案(閣法第一〇〇号)、臨時肥料需給安定法の一部を改正する法律案(閣法第一一四号)、いずれも内閣提出、予備審査を一括して議題といたします。  まず、提案理由の説明を求めます。
  9. 石坂繁

    政府委員(石坂繁君) ただいま一括上程されました八法案の提案の理由を順次御説明申し上げます。  まず、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の提案理由から御説明申し上げます。  農林漁業金融公庫は、その設立以来六年、その前身である農林漁業資金融通特別会計時代をも通算いたしますとすでに八年間にわたり、農林漁業生産力を維持増進するために必要な長期かつ低利の資金を融通して参りましたことは、各位のよく御承知のところであります。この間公庫の貸し付けて参りました資金の総額は、昭和三十三年度末において約二千二百億円、その融資残高は、約千五百億円に達する見込みでありますが、昭和三十四年度におきましては、前年度に引き続き、重要農林漁業施策に即応して、農林漁業生産基盤強化経営の安定に必要な資金の融通を行うこととし、資本金の増額、融資条件の一部の変更等の措置を講ずるため、本法律案を提案した次第であります。  以下農林漁業金融公庫法の改正の内容について御説明申し上げます。  第一点は、資本金の増額であります。昭和三十四年度における公庫の貸付予定計画額は四百三十二億円でありまして、前年度に比較して五十七億円の増加となっておりますが、この四百三十二億円の貸付を行うための原資は、年度内の資金交付所要額等を勘案いたしまして、一般会計からの出資金七億円、産業投資特別会計からの出資金七十億円、借入金といたしまして資金運用部から八十五億円と簡易生命保険及び郵便年金特別会計から百三十億円並びに回収金等百二十億円合計四百十二億円となっております。以上の通り政府一般会計及び産業投資特別会計から七十七億円を出資することとなっておりますので、現行の資本金に関する規定を改正することといたしましたのであります。  第二点は、造林に必要な資金貸付にかかる貸付条件の変更であります。御承知の通り造林事業は他の事業と異なり、その収益を得るに至りますまでにはかなりの長期間を要するものであり、そのため公庫は従来も他の事業に比較してかなり長期間の融資を行なって参りましたが、さらに長期の据置期間を設けることによりまして、融資による造林のより一層の拡大を期待することとし、造林に必要な資金貸付条件中償還期限及び据置期間を改めるものであります。  以上が、この法律案を提案いたす理由であります。  次に、開拓融資保証法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明いたします。  戦後の開拓事業もすでに十余年を経過し、その間、約十五万戸の開拓者は、不利な立地条件やたび重なる天災等にも屈せず、日夜営々と農業経営に精進し、一部には、既存農家の水準を越え、新しい畑作営農方式の先駆者となっているものも少くありませんが、他面、大部分の開拓者は、重なる悪条件のため、その努力にもかかわらず、いまだに営農の基礎も確立せず、経営不振に悩んでいる実情であります。  この現状に対処いたしまして、政府は、一昨年制定を見ました開拓営農振興臨時措置法を中心といたしまして、開墾建設工事促進営農資金の融資額の大幅な増額、経営の重圧となっている負債の条件緩和等、これら開拓者の経営の安定に必要な各般の総合施策を逐次実施いたし、その成果を上げつつある次第であります。  昭和三十四年度は、前年に引き続き、一段とこれらの施策拡充強化をはかることとし、その一環として、中央開拓融資保証協会に対する政府出資の増額を行うこととしたのであります。  すなわち、開拓者の必要とする営農資金のうち、大家畜、農用施設、農機具等の基本生産手段を調達するための長期資金につきましては、昭和二十二年設置いたしました開拓資金融通特別会計から政府資金を低利で融資する措置をとって参りましたが、肥料、飼料、種苗あるいは中小家畜等を購入するための短期営農資金につきましては、開拓者の実情からその調達がはなはだ困難でありましたので、昭和二十五年、農林中央金庫の協力を得て、開拓信用基金制度を創設し、その後、昭和二十八年に至り、開拓融資保証法を制定いたしまして、開拓融資の円滑化をはかる制度を確立したのであります。  この制度は、中央及び各都道府県開拓融資保証協会を設立し、開拓者が金融機関から短期営農資金を借り入れる場合にその債務をこの協会が保証することによって、資金の調達を容易ならしめるものでありまして、自来、政府は、毎年中央開拓融資保証協会に対し出資を行い、本年度までに、すでに、同協会の基金四億一千五百六十二万円のうち三億一千万円を出資して、開拓者の営農進展に資して参ったのであります。  しかしながら、肥料の必要量を適期に投入することは、営農振興の根幹でありますが、開拓者の現状は、なおその資金の調達に事欠く状態であり、また、乳牛等家畜増加に伴う飼料購入量の増大、中小家畜導入促進の必要等から、資金需要増加いたしていることにも対処いたしまして、政府は、昭和三十四年度において、一般会計からさらに八千万円を追加出資いたしまして、融資ワクの拡大をはかり、営農資金の融通を一段と拡充し、もって開拓者の農業生産力の発展農業経営の安定に資しようとするものであります。  以上が、開拓融資保証法の一部を改正する法律案の提案の理由であります。  次に、北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の提案理由を御説明いたします。  北海道農業、特に畑作経営の現状は、一般に劣悪な自然条件にあるため営農上各種の制約を受けるとともに、地方は一般に低下の傾向が見られ、いまだその自然的条件を克服し得るに至らず、冷害のつど農家経済は動揺し、農業経営は安定の域に達しておりません。  政府におきましは、このような実情と現地の寒冷地農業経営確立についての要請をも考慮して北海道寒冷地農業について、その営農のあり方を再検討することとし、昭和三十二年度において、基本的な調査を行なったのであります。  この調査の結果によりましても、北海道畑作農業の現状を改善して参りますためには、土地改良等生産の基礎条件の整備を進めることはもちろんでありますが、それと同時に地方の維持増進を基調としてそれぞれの地域の自然的経済的条件に適合する農業経営の確立をはかることが緊要であると考えられます。  以上の見地から北海道の寒冷地畑作農業振興一環として昭和三十三年度から北海道畑作営農改善対策要綱を策定して、北海道の寒冷地畑作地域の農業者で、営農改善計画を立てその営農改善をはかろうとするものに対して、農林漁業金融公庫より、これに必要な長期低利資金を総合的に融通するとともに、これらの農業者に対する営農技術指導強化して、これらの地域の自然的経済的条件に適合する農業経営の確立をはかる措置を講じてきたのでありますが、今回この措置を法律制度として確立し一そうその推進をはかることといたした次第であります。  以上が、この法律案を提出するに至りました経緯と趣旨の大要でありますが、次に本法律案の骨子についてその概略を御説明いたしたいと存じます。  まず第一に、寒冷地畑作振興地域の指定につきましては、農林大臣が、北海道知事からの申請に基き、北海道の区域内の寒冷がはなはだしい畑作地域を、気象条件その他の自然的経済的条件の類似する地域ごとに、指定することとしております。  第二に、営農改善資金貸付につきましては、農林漁業金融公庫は、寒冷地畑作振興地域の区域内の農業者で、北海道知事の認定を受けたものに対し、営農改善計画に記載された改善措置実施するために必要な営農改善資金を総合的に貸し付けるものとし、この貸付金の貸付条件等を規定しております。  第三に、営農改善計画の作成及び貸付適格者の認定につきましては、営農改善資金貸付を受けようとする者は、営農改善計画を作成して、北海道知事の認定を受けることとし、その営農改善計画の内容及び北海道知事の適格者の認定の要件を規定しております。  なお、営農改善資金貸付適格の認定の申請の期間は、農業者の経営の安定をすみやかに達成させるため、昭和三十九年三月三十一日までの五カ年間としてあります。  第四に、営農改善資金貸付については、指導がこれに伴う必要がありますので、北海道知事の指導につき必要な規定を設けております。  以上が、この法律の主要点でありますが、農地または牧野の改良、その他農業生産基盤整備、新農山漁村建設事業、集約酪農地域酪農振興事業、その他現行の他の諸施策と密接な関連のもとに、この法律による事業実施することにより、これら地域における農業者の営農をすみやかに改善し、その経営の安定をはかって参りたいと存ずるのであります。  次は、農業災害補償法の一部を改正する法律案の提案理由でございますが、農業災害補償制度の重要な一環である家畜共済制度につきましては、昭和三十年死亡廃用共済と疾病傷害共済の一元化が行われ、自来この制度によりましてその運営をいたして参ったのでありますが、法律上本年四月に料率の改訂を実施しなければならないこととなっておりますので、この機会に国庫負担の方式を改善し、料率改訂に伴う農家の負担を軽減することを目的として、この法律案を提案した次第であります。  その第一は、家畜共済事業の国庫負担方式を改正しようとするものであります。現行の掛金国庫負担の方法は、牛及び馬につきまして、最低の共済金額に対応する掛金のうち死廃部分に相当する額の半分を国が負担することとなっているのでありますが、これを原則として農家が選ぶ共済金額に対応する掛金のうち死廃部分に相当する額の半分を国が負担することに改め、農家負担の軽減をはかることとした次第であります。なお、他の制度における国庫負担との均衡も考慮いたしまして、国庫負担の対象となる共済掛金の限度を農林大臣が定めることといたしております。  第二は、家畜共済の対象である乳牛につきまして、特別の助成措置を講じようとするものであります。乳牛につきましては、最近における被害率の異常な上昇によりまして、農家の支払う共済掛金の額が増加し、さきに述べました国庫負担方式の改善によりましてもなお農家負担の増加が見込まれる状況にありますので、料率改訂によって病傷の率が上昇する地域の農家に対し、その新旧料率の差に応じて掛金増加分の一定割合を補助することといたしまして、この補助金の交付に関する事項を定めた次第でございます。  このほか、国庫負担方式の改正に伴う経過措置及び関係法令の整備に関する事項を規定いたしております。  以上が、この法律案の趣旨でございます。  次に、繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の提案理由でございます。  政府は、昭和三十三生糸年度における繭糸価格の安定をはかるため、第二十九特別国会において成立いたしました繭糸価格の安定に関する臨時措置法により大量の生糸及び繭の買い支えを行なったのでありますが、結果においては内外市場の先行き不安と実需要の減退を防止することができず、根底にある需給の趨勢的な不均衡を解決する必要に迫られたのであります。政府は、ここにおきまして蚕糸業産業として安定した基盤を持ち得るため、基本的な対策を講ずる必要があると認め、最低糸価及び最低繭価需給均衡をはかり得る水準に改訂し、また、桑園整理を行う養蚕農家に対する助成措置をとることによって、新しい事態に対応し価格の安定をはかるとともに、長期にわたる蚕糸業の安定をはかるための総合的基本対策の策定につき、過日の蚕糸業振興審議会に諮って、逐次その検討に取りかかっておる次第であります。  そこで、昭和三十四生糸年度の繭糸価格安定対策についてでありますが、繭糸価格安定法は、さきの総合的な基本対策の一環として、現制度運営の経験及び他の農産物価格安定制度との関連等も考慮して十分検討を加え、恒久的制度として整備する必要がありますので、三十四生糸年度の繭糸価格の安定措置は、現行臨時措置の一年延長によって対処する方針をとることといたしたのであります。  以下法律案の内容について概略を申し上げます。  第一は、繭糸価格の安定に関する臨時措置法による臨時措置昭和三十四年産の繭及びこれを原料とする生糸に適用することであります。  第二は、これに伴いまして日本輸出生糸保管株式会社が昭和三十四生糸年度において買い入れ等を行なって取得した生糸または乾繭を政府が買い入れる場合における買い入れ金額の限度額を五十億円とすることであります。  以上が、繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の提案の理由であります。  次に、森林開発公団法の一部を改正する法律案の提案理由でございます。  国民経済発展に伴い年々飛躍的に増大する木材需要に対処してその供給を確保するためには、豊富な資源を抱きながら未利用のまま放置されている奥地未開発林の開発促進する必要があることは申すまでもないことであります。このため、民有林につきましては、国庫補助等の措置により、そのうち特に熊野川流域及び剣山周辺地域につきましては、森林開発公団により、また、国有林につきましては、国有林事業によりまして、幹線林道の開設事業実施し、鋭意奥地未開発林の開発を推し進めて参ったのであります。  しかしながら、これら奥地未開発林の開発を進めて参ります場合におきまして、国有林民有林とが相接して存在する地域にありましては、国有林及び民有林相互の伐採時期のずれとか、民有林の受益者としての負担能力の問題等からして、その開設が必ずしも円滑に実施されないような場合が多く、それらの早急な開発が待たれている実情であります。  このような現状に対処いたしまして、かかる国有林民有林とに関連する幹線林道の開設改良事業を、国有林事業として実施するようにいたしたいのであります。  しかしながら、国有林におきましては明年度から生産力増強計画全国的に実施される段階にあり、これらの大規模な奥地幹線林道の開設事業を急速かつ計画的に実行することは困難でありますので、森林開発公団組織、能力及びその豊富な経験を活用することとし、同公団に、かかる奥地幹線林道の開設事業を委託して実施させることが適当と考えるのであります。  このような理由によりまして、森林開発公団法の一部を改正いたしたいのであります。  以下法律案の内容につきましてその概要を御説明申し上げます。まず、同公団の業務に、森林開発公団が、豊富な森林資源を有する国有林民有林とが相接して所在しており、かつ、これらの森林の開発が十分に行われていない地域のうち、政令で定める区域内の当該森林を開発するために必要な奥地幹線林道の開設、または改良の事業、及びその開設、または改良にかかる林道で、政令で定めるものの災害復旧の事業であって、国有林事業として行われるものを国の委託により施行することを加えることとしたのであります。  次にこれに伴い、同公団の目的に、同公団が以上に述べました事業を行なって、林業生産増大に資することをあわせてその目的とする旨を加え、これに関連して必要な規定の整理をしたのであります。  以上が、この法律案の提案の理由及び内容のおもな点であります。  次に、日本蚕繭事業団法案の提案の理由を御説明申し上げます。  現行繭糸価格安定制度のもとにおきましては、繭の価格の安定措置といたしまして、農業協同組合連合会が、最低繭価を維持するために乾繭を共同して保管する制度がありますが、繭の価格最低繭価以上にある場合に、繭価適正水準に維持するための措置はとられておりません。この繭糸価格安定制度の空白を補完して、農業協同組合連合会が繭の価格を、繭及び生糸需給事情から見て適正な水準に実現する努力を行う場合のよりどころとなる機関として、日本蚕繭事業団を設立することといたしたのであります。  次に、この法案の内容について概略を申し上げます。  第一に、この事業団の資本金は、十億円とし、政府がその全額を出資することといたしました。  第二に、この事業団の業務としては、農業協同組合連合会からの委託を受けて、乾繭を売り渡し、加工し、もしくは生糸と交換し、またはその生糸を売り渡す等の操作を行うことといたしたことであります。なお、この事業団の事業活動は、関連業界に及ぼす影響が大きいので、事業の規模を適正にするため、事業団が販売の委託を受けることができる限度について、そのつど農林大臣の承認を受けなければならないことといたしております。  第三に、この事業団の組織といたしましては、役員の定数、任免等についての規定を設けるとともに、業務の円滑適正な運営を期するため、事業団の業務に関し学識経験を有する者十人以内で組織する運営審議会を設けることといたしました。  第四に、事業団の財務及び会計については、事業計画等につき、あらかじめ農林大臣の認可を受けせしめることとし、その他借入金をすること及び余裕金の運用等につきまして所要の監督規定を設けることといたしました。  第五に、事業団を設立するため必要な手続規定を設けております。  以上が、日本蚕繭事業団法案の提案理由の説明でございます。  最後に、臨時肥料需給安定法の一部を改正する法律案について、その提案の趣旨を御説明を申し上げます。  臨時肥料需給安定法は、去る昭和二十九年以来、硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法とともに、いわゆる肥料二法として、重要肥料需給の調整、硫安工業の合理化促進、硫安価格の安定等について、おおむね所期の効果を上げて参ったのであります。特に需給安定法に基く硫安価格の安定については、硫安工業の合理化の進行と、供給量の増加に伴う需給関係の改善と相待って、年々、相当額の国内価格の引き下げを見たのでありまして、その効果は見るべきものがあったと思われるのであります。  需給安定法は、合理化法とともに、本年七月末で、当初定められました五カ年の有効期間が、切れることとなるのでありますが、最近の肥料需給事情から考えますと、内需の所要量を確保すると同時に、その輸出を積極的に推進することが必要であります。一方最近の国際競争の激化から、国内価格輸出価格に相当の較差が存する現状であります。  以上の状況にかんがみまして、本年八月以降においても、合理化法に基く硫安工業の合理化並びに輸出振興のための措置を強力に推進するとともに、需給安定法による重要肥料需給の調整と国内価格の適正な水準による安定をはかるための価格の統制を今後とも継続する必要がありますので、需給安定法の有効期間を五年間延長することといたした次第であります。なお、別に提案いたしております硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法の一部を改正する法律案によりまして、同法も同じく五年間その有効期間を延長することといたしております。  次に、この法律案の内容を御説明いたします。  第一は、この法律の有効期間を五カ年間延長し、昭和三十九年七月三十一日まで効力を有するものとするため、所要の改正を行うものであります。  第二は、従来需給計画を定め、または変更いたしました場合、需給計画の内容を公表することとなっておりましたが、これを公表することが輸出取引上適当でないと考えられるような場合には、関係者に通知することによって公表にかえることができるように改めることといたしたのであります。  以上が、臨時肥料需給安定法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。  以上、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案外七件につきまして、提案理由並びに内容の概略を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上にすみやかに御可決下さいますようにお願い申し上げます。
  10. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) これらの法律案の審査は、日を改めて行うことにいたします。  本日は、これをもって散会いたします。    午前十一時三十六分散会    —————・—————