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1958-12-18 第31回国会 参議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十二月十八日(木曜日)    午前十時五十二分開会   ―――――――――――――   委員の異動 本日委員仲原善一辞任につき、その 補欠として本多市郎君を議長において 指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     関根 久藏君    理事            秋山俊一郎君            堀本 宜実君            東   隆君            清澤 俊英君            北 勝太郎君    委員            青山 正一君            雨森 常夫君            伊能 芳雄君            河野 謙三君            田中 茂穂君            本多 市郎君            大河原一次君            棚橋 小虎君            千田  正君            北條 雋八君   政府委員    農林政務次官  高橋  衛君    農林省農地局長 伊東 正義君    水産庁長官   奧原日出男君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    経済企画庁調整    局参事官    花園 一郎君    国税庁直税部長 金子 一平君    食糧庁業務第一    部長      諫山 忠幸君    林野庁指導部長 茅野 一男君    通商産業省企業    局次長     磯野 太郎君    運輸省海運局海    務課長     井上  弘君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (農林漁業水質汚濁防止に関する  件)  (イルカ漁業整理転換に関する  件)  (漁業権及び土地等買収補償と課  税に関する件) ○連合審査会開会の件 ○理事辞任及び補欠互選昭和三十三年七月、八月及び九月の  豪雨及び暴風雨による被害農家に対  する米穀の売渡の特例に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○農林水産業施設災害復旧事業費国庫  補助の暫定措置に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付) ○参考人出席要求に関する件   ―――――――――――――
  2. 関根久藏

    委員長関根久藏君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  農林漁業水質汚濁防止に関する件を議題とし、一昨日の委員会において、経済企画庁及び通商産業省当局から一応説明を聞きました公共用水域水質保全に関する法律案及び工場排水等規制に関する法律案について、この際、御質疑の向きは御質疑を願います。
  3. 青山正一

    青山正一君 ここに、運輸省の方、それから企画庁の方、それから水産庁の方がお見えになっておりますから、一つ席に着いていただきたいと思いますが、私の質問は、皆さんの御質問もあろうかと思いますので、ただ一点だけお聞きいたしたいと思います。といいますのは、衆議院から回付されましたこの法律案によりますると、いわゆる船舶からの廃油の問題が全然掲げられていないということであるわけであります。この指定水域は別に指定することになりますが、この水域についての規制だけでは、水質保全は絶対にはかり得ない、こういうふうに私考えておるのであります。というのは、そのほかに、船舶のビルジがあり、水系以外の沿岸工場があるから、これに対する規制考えなければ、水質保全について、ものの半面を押えるだけであってはこれは不徹底であろうと、こういうふうに考えております。それで、第二条の「これらに類する事業」の解釈一つお聞きいたしたいと存じますが、これに船舶も含むと拡大解釈をしたいが、これでよろしいかどうか、その問題であります。その問題について、具体的に申し上げますと、沿岸水域における船舶廃油等による水質汚濁防止及びその被害に対する措置を一体どういうふうにお考えになるか、そうして、船舶工場または事業場とみなして、その排出された水を規制する意思があるかどうか、その点について、運輸省なり、あるいは企画庁なり、あるいは水産庁、こういった方方の御意見を求めたいと存じます。
  4. 磯野太郎

    説明員磯野太郎君) ただいまの御質問にお答えいたします。ただいまお聞きになりました第二条は、工場排水等規制に関する法律の第二条でございますが、ここに書いてございます「これらに類する事業」というのは、製造業に類する事業というふうな解釈でございます。従って、船舶は入りません。たとえば油槽所であるとか、大規模なクリーニング業などについては、必要がある場合にはここに入ると思いますけれども、船舶は入らないというように考えております。
  5. 青山正一

    青山正一君 船舶は入らないという理由は、一体どうなるのですか。
  6. 磯野太郎

    説明員磯野太郎君) これは、法律解釈といたしましては、「「製造業等」とは、製造業及びガス供給業」という文字がございまして、これらに類する事業でございます。これらに類する事業でございますから、船舶はここに入らないのであります。
  7. 青山正一

    青山正一君 委員会皆さんも御存じのように、当委員会ではこれは、年年歳々東京湾内あるいは大阪湾内において、いろいろな船舶から廃油が流される、その結果、国家的に補償の道も講じられており、当委員会でも相当の問題になっておる。これはただことしだけじゃなしに、去年もあるいはおととしもあるというようなことになっておるわけでございますが、この法律を立案する際におきまして、そういったことが問題になったのかどうか、その点あわせて一つ詳しくお聞きいたしたいと存じます。
  8. 花園一郎

    説明員花園一郎君) この法案目的といたしますところは、あくまでもただいま御質問の、特に重点のあります漁業関係被害というものが大きなものでございます。従いまして、企画庁関係各省十ばかりございます、そういった関係各省と種々協議を重ねて参った場合に、やはり船舶からの放流というものが一つの重要な問題であったわけです。従って、これらの要綱作成過程におきましては、船舶というものの放流物についての規制を何とか加えたいという意向をもって進んで参ったのでありますが、これを法制的に法制局におきまして審議いたして参ります過程におきまして、この法律目的とするところは、実は一方に工場事業場等、継続的に汚物があり、また一方にその汚物によって何らかの被害の生ずる個所において継続的に事業を営んでいるものといったふうな、経済的に、産業相互間が継続的に一つ関係を持っているというようなものについて水質基準を定めて、これの調整をとっていくということが目的になっております。従いまして、たとえば、これと非常に類似しておりますが、一方において軽犯罪法等において処理されております通行人投棄物禁止、これと公共用水面航行いたします船舶、これは一種通行人でございますが、そういった通行人と類似する船舶投棄物というものは、これは一種取締り法規的な措置が必要なのじゃないか。そうなりますと、警察的と言ってははなはだ悪いのでありますが、今申します通り通行人関係軽犯罪法で警察的に取り締っているそれと同じように、船からの投棄物というものは行為禁止行為禁止するという意味における取締り法規がむしろ妥当である、その意味においては、これまで運輸省系統におきまして港則法港湾法、こういった法規がございまして、港内の安全のための条文を設けておるわけであります。その条文を御参考までにちょっと申し上げますならば、港則法におきましては、まず二十四条において「港内又は港の境界外  一万メートル以内の水面においては、みだりに、バラスト、廃油、石炭から、ごみその他これに類する廃物を捨ててはならない。」という規定がございます。それからまた港湾法におきましても三十七条におきまして、これが許可行為になっております。その施行令の十四条におきましては、港湾法三十七条の行為として「廃油その他港湾管理者の長が指定する廃物投棄」というものが、要するに許可がなくては捨てられないという建前で、要するに水質基準の適用の有無よりも前に、その行為自体を押えるという一つ法体系になっておるわけでございます。従いまして、法規的には、ただいま御審議願っております法案法律とはいささか取扱いを異にせざるを得ないのではないか、その趣旨において、この法案は一応そこをはずした格好になっているわけでございます。
  9. 千田正

    千田正君 そうしますというと、法案表題公共用水域水質保全に関する法律ということになるということ、これは全部含めなければこういう表題はできないはずじゃありませんか。継続的にといわず、管轄的にといわず、公共用水域水質保全ということをうたっている以上は、そういう問題を除去するわけにいかないじゃないですか。
  10. 花園一郎

    説明員花園一郎君) この水の清潔保持法律といたしましては、御承知の通り明治時代にできました河川法、これの十九条におきましては、すでに河川の流水の方向清潔云々に影響を及ぼすのおそれある工事、営業その他の行為は命令をもってこれを禁止もしくは制限し、または地方行政庁許可を受けしむることになっております。これが実はこういった公共用水域水質清潔保持のための基本法的な性格が実はここでもうたわれておるわけでございますが、これに対して、それではこのたびお願いいたします法律はどういうことになるかと申しますと、その中で特にその意味においてのこれは一つ特別法格好になりまして、そしてこれがしばります法律水洗炭業法、それら鉱業法、それから下水道法、こういった一連の産業公害的な面をむしろ整理していくという趣旨において、実はこの法案考えておるということでございます。
  11. 千田正

    千田正君 どうもあなたの御説明を伺いますというと、近代産業原始産業の問題の調節というところに重点を置いておられるようです。少くとも水質保全という問題から考えますというと、単に産業面の摩擦を一調整するのみならず、一般国民衛生その他の環境等に対する面も考慮してこういう法律を出さなければいかぬと思います。そしてこの内容の地区を沿岸海域沿岸海域というものの範囲はどういうふうに、あなた方の方では、これを立案する上において、規定しておるか伺いたい。
  12. 花園一郎

    説明員花園一郎君) 沿岸海域といいますのは、実は日本法律の中で沿岸海域というものを正面から定義づけた法律がないわけでございまして、これは一般国際法規等の慣例におきまして、ここに取り上げておりますのは、やはり領海という日本の法域があるわけでございますが、そういったものに比較的類似して参るものだと、かように存じております。
  13. 千田正

    千田正君 そうしますと、これはあなたのおっしゃるのは、一般産業の発展の上において相剋摩擦する面を調整しようというのが法のねらいである。私の考えからいえば、こういう広範的な表題をつけている以上は、それのみならず、一般国民衛生その他の保持のための水質もまた保全しなければならないという観点に立って私は質問しているわけでございます。領海はこれは国際法としては……日本としては規定しておらない。それから従来の慣習法からいって、三海里を主張しているのだから、それとみなすのですか。再三農林水産委員会に提訴される問題としましては、東京湾において汚水処理によって、いわゆる汚物処理領海外に持っていって放棄する、それが潮流その他によって千葉の沿岸あるいは神奈川県の沿岸に乗ってきて、ノリとか魚介類にそれが付着する、そのために起きるいろいろ大腸菌の問題もあれば、あるいは水が濁ったために、いろいろな魚介が死んでしまう、いろいろな損害が起きてくる、こういう予防的な、防止方法はこれではとれない、こういうわけですね。
  14. 花園一郎

    説明員花園一郎君) ただいま御指摘の通り、この法律におきまして、領海外において投棄した油が潮流関係で流れて参るというふうなものについては、非常にこれは適用困難ではないか、かように存じて、おります。
  15. 千田正

    千田正君 もう一つ。それからさっきこれは許可の問題だというが、日本のいわゆる防衛庁関係船舶領海内に演習その他で停泊あるいは仮泊する場合がある。そうした場合に、廃油を流し、あるいは汚物投棄する、こういう問題によって生ずる損害あるいは汚水というような問題に対しても、この法律においては、何ら制肘も防御もできない、こういうふうに考えられるが、そういうふうでよろしいのですか。しばしばこれは問題になっておりますので、一応伺っておきます。
  16. 花園一郎

    説明員花園一郎君) 要するに、その船籍の所属がどこにあるを問わず、領海内にたとえば仮泊しております船舶、これにつきましては、ただいまの場合、港則法港湾法を除きまして、これを押える関係法規はないかと存じます。
  17. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連。今の問題ですがね、事業場工場等設備を直して、公共用水域水質保全していく、こういうことになっておるかと思うのです。それで今問題が起きておる。そこで、何か船舶から出しますディーゼル機関等重油等を使っておる船舶には、廃油水分とを分けて、そして浄水したものを流す、こういう施設があるのじゃないですか。そういう施設はあるのですか、まずそれをお伺いします。
  18. 井上弘

    説明員井上弘君) ただいまの御質問は、いわゆる油水分離機という機械だと思いますが、これは水質汚濁に関する国際条約がロンドンでだいぶ前に開かれまして、今、その条約は十カ国ほど加盟いたしまして発効しているのでございますが、まずその条約内容を申し上げますと、沿岸五十海里以内に油を捨ててはいけないという思想に立ちまして作っておるわけでございます。そしてその内容といたしまして、まず今申しましたように、投棄禁止させる、そうしてまたその実効を上げるために、港の中に廃油受入れ施設を作れということ、船舶の中に、油水分離機というものを設けたらいいだろうという三つの観点から検討したわけでございますが、油水分離機の採用、つまり強制ということは、条約では認められなかったわけでございます。ということは、その会議の中で、これはアメリカでございましたけれども、湖水分離機の性能に対してまだ疑義がある、もう少し技術的に検討した上で考えるべきではないかということで、国際的には強制されてないということでございます。しかしながら、まあ日本の主としてこれは国際航海に従事する船でございますが、大型船湖水分離機を持って走っております。これを中型船あるいは小型船設備させることが可能であるかという問題になりますと、これは非常に技術的にむずかしい点がある、また経済的にも考えなければならぬ点があるということで、今のところ、これを強制するというわけにいかないと思います。なお検討を要するのではないかと、こういうふうに考えます。
  19. 清澤俊英

    清澤俊英君 日本はそれに入っていますか。
  20. 井上弘

    説明員井上弘君) その条約には入っておりません。
  21. 清澤俊英

    清澤俊英君 おかしいじゃないか。私はおかしいと思うのだな。むずかしいというのはどういうわけなのか。六型船とは何トン以上なんですか。
  22. 井上弘

    説明員井上弘君) これは国際航海に従事する船でございますから……。
  23. 清澤俊英

    清澤俊英君 何トン以上、大型というのは。
  24. 井上弘

    説明員井上弘君) まあこれはトン数のあれはありませんけれども、大体六千トン以上でございます。
  25. 清澤俊英

    清澤俊英君 六千トン。中型船は。
  26. 井上弘

    説明員井上弘君) これは船舶安全法という法規がございまして、航行区域というものが示されておるわけでございます。その航行区域に従事する船によっていろいろ構造上あるいは設備上に条件が加えられているわけでございまして、その条件に適格する船がいわゆる外航船で、大型船中型船ということはまあ一般的な名称でございまして、トン数で制限できるというものではないわけであります。
  27. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうするとおかしいことになるね、その区別ができないということになると。私が聞いているのは、あなたが大型船中型船小型船と言われるから、それは何をさして言われるのか、こう聞いている。言われるからには何か基準があって言うのでしょう。その基準を言うていただけばいいのです。外航路なら外航路に対して、大型船はこういう機構でこう、これぐらい以上のものをさしていうのだ、中型船とは何トンくらいでどういう機能を有するものをいうのだ、あるいは小型船とはそれ以下のものをいうのだという…、何が何だかさっぱりわからない。それなら大型船とか中型船とか小型船ということを言わなければいいのです。言うておって、それが説明できないでは、私ら納得できない、こういうことです。
  28. 井上弘

    説明員井上弘君) 説明ができませんで申しわけございませんでした。私の言いました大型船というのは北米航路、それからヨーロッパ航路豪州航路、そういった方面に従事する船でございまして、先ほど申しましたように、そういった船は大体八千トンが最低だと考えております。
  29. 清澤俊英

    清澤俊英君 八千トン以下を小型船というんですか。
  30. 井上弘

    説明員井上弘君) いいえ、小型船とは申しません。私が先ほど申しました外航大型船というのは、八千トンくらいから上だというふうに申したのであります。
  31. 清澤俊英

    清澤俊英君 中型船は……。
  32. 井上弘

    説明員井上弘君) 先ほど申しましたように、大型船中型船小型船一般的な名称でございまして、トン数で区分けするということはちょっと無理なのでございますが……。
  33. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと私ら常識がないからそういう質問になるかも知れぬが、言われる限りは、やっぱりわかるようにしてもらわぬとまことに困るのです。何か資料一つ出していただきたい。  その次に、私が考えますところ、そこに一つの特定の工場があって、その工場からいろいろな廃液が出て、それが公共水域ですか、これを汚濁するから、それにはこれこれこれの施設をして直さなければならぬ、こういう問題が出てくる。そうしてみますと、船舶それ自身に対しましても、今お伺いしておりますと、技術的になかなかめんどうだ、あるいは経済的にめんどうだ。どっちがめんどうか私にはわからない。そういうことをつけることが経済的にめんどうだというのか、技術的にできないというのか、それをはっきりして下さい。
  34. 井上弘

    説明員井上弘君) 大へん広範な質問でございますが、船舶から廃油を流しまして、これが汚濁になるという過程を一応概括的にお話し申し上げますと、かりにまあ廃油が流れるという場合に、それを防止するためにどういう措置が必要であるかといいますと、まず船舶は非常に移動性を持っておるものでございますから、廃油投棄させないということが根本的に必要な問題になってきます。そういう意味で、たとえば港則法という現行の法規は、港内あるいは港内から一万メートル以内――一万メートルは領海を越えている範囲でございますが、その中に捨てさせないという大きな制約を設けたわけでございます。その次に、その一万メートル外に捨てられない船もあるわけでございまして、これは何といいますか、沖合いに持っていけないような、堪航性少い船がございます。そういうものはどうするかという問題が起ってくるわけでございますが、こういったものは船内廃油をためておきまして、これを迷惑のかからない地域に捨てざるを得ない、航行中にですね。あるいは港に持っていきまして、港の中で陸上に捨てるという二つの方法があるわけでございます。で、大型船については、船内にためておく油が非常に多くなりますもので、これを陸上に捨てるということが最も好ましいわけでございますが、一方、大型船は相当遠くの方を走ることができますので、沖合いはるかの方で捨てるということができるわけでございます。先ほど申しました油水分離機というのは、そういう廃油を水で割ってこしまして、その水分だけは、これは何といいますか、被害を起しませんから、港内でもどこでも流すと、その場合に残りましたかすというものは小さく固められる、これを陸上施設に捨てられるようにというための設備でございます。そういう意味で、大きい船であれは油水分離機を持った方がよろしいということになるわけでございます。それで、まあ船からの被害を防ぐ方法としては、まず第一に、繰り返しますが、投棄をさせないという方向に持っていくこと。それから第二には、設備を設けさせる。油水分離機の持てる船に対しては油水分離機。それから陸上り受け入れ施設をするという三段がまえであることが最も効果的である。それで、油水分離機がまあ技術上あるいは経済上、どうして不可能かという御質問でございますけれども、これはまず技術上は、大型船にはそういうスぺースもございますし、それから大型船を持つ船主というものは、経済的にも確立しておりますから、そういったものは持てるのですが、小さい船になりますと、船のスペース自体がこういった大きな施設をつけるということが非常に無理になってくるわけです。そのために重心が移動を起しましたり、あるいは貨物を入れるスペースがなくなるとか、そういった技術上の困難がある。それから油水分離機一個の価格が、大体百何十万かするそうでございますが、そういったことも経済上の非常な大きな負担になるということがあるわけです。
  35. 清澤俊英

    清澤俊英君 私の質問以外のことを非常にいろいろお教えいただいてありがとうございました。私がお伺いしたのは、経済的につけられないというのか、技術的につけられないというのかと、いろいろあなたがおっしゃるから、それがどっちが先かということを聞いたのです。ところが、技術的にはつけられる、だが経済的につけられない、だから、油水分離機をつければ、それは、あなたが言われる大型船中型船小型船によりまして分離機価格はまた違うかもしれませんが、たかだか百五十万円くらいだと、こういう話になると――結論はそうです。そうしてみますと、大型船になりますれば何億とかかるのじゃないかと思う。そのうちの百五十万や一千万は、私は問題じゃないのじゃないかと思う。いろいろ御説明を聞いてみますと、何かそれをつけさせることが、航行船舶に対する重大な致命傷を与えるがために、まあ一生懸命逃げておられるように私には聞えるのであります。だが、現実において、あなたともしばしばここで憎まれ口の言い合いをした覚えもありますが、東京湾におけるノリ問題等で非常な……年々歳々同じことが繰り返される。しかも、沿岸漁業というものが見えざる汚濁水によって侵害せられ、それから港湾のごときはもうほとんどそれは船舶から出るそれだけじゃないですけれども、総合的に見て、もう大阪湾のごときは漁業が八割も減ってしまったというような状態にさえなっているのです。してみれば、これは当然できるだけの範囲において、今日の文化の進んだ社会において、それくらいのことを直していくくらいの努力が私は必要なのじゃないか思うのです。何かしらそれはこういう法律がありまして、港則法もあれば、港湾取締法もあればというような御説明で、その施設をのがれようとしておられる、私は大きな間違いじゃないかと思うのです。しかも聞きますれば、経済的な重要な関係があると言われるが、その百五十万円というのは、大体どれくらいの船につけられるのを言われますか、それからお伺いしたいと思います。
  36. 井上弘

    説明員井上弘君) お話が油水分離機に集中されたようでありますが、日本船舶、先ほども申しました通念的な大型船は……
  37. 清澤俊英

    清澤俊英君 余分のことは要りません。だから、百五十万円と今おっしゃったから、百五十万円くらいのものででき上る油水分離機は、どれくらいの船につけられるのか、それなんだ。できれば価格で表わしていただければ一番いいのです。何千万円でできる船、それくらいのものにこれがつくのだと、これくらいの大きさ、こう教えていただけばいい、私はわからないのだから。
  38. 井上弘

    説明員井上弘君) 国際航海に従事する商船は、油水分離機を現在つけている船が圧倒的に多い、ほとんど全部つけておると思います。これらの船の油水分離機価格は、ちょっと資料を持ちませんから正確には申し上げられませんが、百何十万円かというふうに聞いております。それから油水分離機の性能でございますが、これは先ほど申し上げましたように、国際条約でも目下検討中であるという段階でございまして、日本でもなお性能というものに対してもう少し研究をしなければならないというふうな意見になっております。
  39. 清澤俊英

    清澤俊英君 人の言うことじゃないのです。私は今の科学が発達した時代に、油水分離機をこれから研究しなければならぬというのはおかしな話じゃないのですか。そんなものでしょうか。やる気がないから研究できないのじゃないか。原子爆弾時代ですよ。私はとても納得できませんよ。そんな話は、それほど日本の工業はだめでしょうか。機械工業というものはそれほどおくれておるのでしょうか。われわれしろうとで考えても、油水分離機くらいなものは、ごく簡単なものじゃないかと思うのです。あなたのおっしゃることは、私は納得が参りませんよ。そんなにめんどうなものでしょうか。しかも、外国航路線につくものが大体において百五十万円、経済的にもそれが持てないという、これもおかしいじゃないですか。また現にこれだけの港湾内外を汚染するということになりまするならば、外国がどうあろうと、あるいは国際的なこういう問題に対してアメリカがどういうておろうと、十カ国すでに参加しておるのだから、進んで参加して世界の海をよくするだけのことをやったらいいのじゃないか。しかも、自分の国で一番困っておると思うのです。私はそういう観点に立ちたいのです。その点どうですか。これはまあ大臣に聞かなければだめでしょう。
  40. 河野謙三

    ○河野謙三君 清澤委員の御質問に関連しますが、今、その分離機の話が出ておりますが、聞くところによりますと、何千万、何億とかかる船につける分離機が百万程度か、もしくは二百万を下るものであるということであるならば、これはもう経済的に私は問題じゃないと思うのです。それをなおかつ完全に実施しないということは、先ほどこの廃油もしくは通行人が投ずる毒物に対する取締りは、港則法もしくは湾湾法の対象になっておる。この二つの法律があって取締りをしておるにかかわらず、この種の事件が続々として発生する、跡を断たないということは、この法律自体に欠陥があるか、さもなければこの法律の運用に当っている行政官庁の怠慢であるか、私はどちらかだと思うのです。この法律の対象になっている事件を完全に取り締るということに効力があり、これを効力あらしめるように運用しておるならば、自然にその程度の分離機ならば業者は設備をすると私は思うのですがね。そこで伺いたいのは、運輸省と思いますが、船舶の流す廃油被害もしくはこの港則法の対象になっているこれらの事件の発生件数はどういうふうになっておりますか。減っておりますか、ふえておりますか。また、それは年間を通じて、最近の年度でけっこうです、どれくらいの件数がございますか。私は相当数多いものだと思うのです。それを完全に明年から一件もなくするということはできないでしょうが、漸次法律の効力をあらしめて、この種の事件の発生件数を少くするということでなければいかぬと思うのです。同時に、つけ加えてお尋ねしたいのは、こういう港則法港湾法によるところのこの種の事件取締りについて、罰則はどういうふうになっておりますか。私は罰則があまいのじゃないかとも思うのですが、それもよく説明して下さい。
  41. 井上弘

    説明員井上弘君) 船舶が原因となる被害につきましては、実は資料を持って参りませんので御説明できませんことは申しわけございません。この法律は海上保安庁が港長という機関を持っておりまして、そこで執行しております。海上保安庁の方で精細なる件数を記録しております。  なお、罰則の件でございますが、港則法第四十一条におきまして罰則を規定しております。これを読み上げてみますと「左の各号の一に該当する者は、これを三箇月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。」その第二号で、第二十四条第一項をこれに適用すると書いてあります。
  42. 河野謙三

    ○河野謙三君 いずれこの資料を私は御提示願いたいと思いますが、あなたがこの所管でなくとも、運輸省で海務関係をやっておられる以上は、常識的にこの種の事件の発生件数が何百何件ということは聞きませんけれども、ふえておるか減っておるか。それで、今までこの種の事件が起きて、それをこの法律の適用によって、一体懲役または三万円以下の罰金といいますが、この懲役なんてくった人でございますか。そういうのは御存じだと思うのですが。
  43. 井上弘

    説明員井上弘君) 事故の発見件数につきましては、不確かなことは申し上げられませんので、時間をかしていただきたいと思います。
  44. 河野謙三

    ○河野謙三君 傾向はどうです。ふえているか減っているか。
  45. 青山正一

    青山正一君 どうも海務課長あたりの返答はから回りしておるわけなんですが、先ほどから私は一つの問題点を出しておるのは、当農林水産委員会としては最も重要視しなきゃならぬ問題だろうということで千田君なりあるいは清澤委員から私の質問に関連していろいろお聞きしておるわけなんですが、それほどこれは一つの問題としましても非常に重要な問題なんですが、この問題を運輸省あたり、この法律案を作る際に織り込まなかったのですか、どうなんですか。その点を先ほどから私はお伺いしておるわけなんです。そういう点は全然皆さんお触れでないわけですがな、はっきりしていただきたい。
  46. 花園一郎

    説明員花園一郎君) ただいま運輸省関係の問題についてはどうであったかということでございますが、先ほど御説明申し上げました通り、この問題が特にいわゆる江戸川事件が発生しまして以後、内閣を中心に審議せられましたときは、当然運輸省代表者も入りまして、それで経済企画庁が九月中旬にこの法案の作成提出を命ぜられまして、お引き受けいたしまして以来、運輸省関係としての船舶の取扱いにつきましては、この法制の中でどういうふうに取り扱うかということについて、われわれ企画庁当局としては、やはりこの法律に何とか入れたいという趣旨船舶からの廃棄物という趣旨を一応採用しておったわけでございます。いろいろ法制局でいわゆる法制的な見地からこれを法体系として整備するならば、やはりこれは行為取締り法規であって、水質基準というようなものを作っての、産業規制的な意味での産業排水規制という論点からするといささか不十分なのではないか。特に問題になりますのは、これは行為禁止法でございまして、捨ててはならぬという線で基準以前の問題になっているわけでございまして、その点、この法律につきましては一応適用をしなかったわけでございます。
  47. 千田正

    千田正君 関連して。今の参事官の御答弁は、要するに産業面だけを重点考えたというのですが、受ける被害ということになれば、たとえば農林水産という意味の今の問題などは、被害が起きる点においては、産業面としての被害は非常に甚大なわけです。あなた方の考えは、加害者に立っての立場を考慮しての判断にしかすぎないのであります。被害を受けるという点からいえば非常に大きい。しかも、東京都は毎日何千トンという糞尿を東京湾の沖合いに捨てておる。これは継続しておるのでありまして、間断なく毎日捨てておるのだから、こういう問題を取り扱わないで、あなた方は表面の表題には公共水域水質保全とかいうことは、おこがましくてつけられないはずです。あなた方の考え工場を、いわゆる今の近代産業を守るという点からしか考えられていないように思われる。われわれは原始産業を守るという立場からいえば、そういう反論をあえてしなければならないと思うのですが、こういう表題を掲げる以上は、やはり産業に及ぼす影響を守るという点からは、この問題は重要視して考えなければならないと思うのです。その点はどうですか。
  48. 青山正一

    青山正一君 関連して。私はその結論が聞きたいのですよ。法制局ではこれをどういじっても、法律を作る上で不可能ならば、自分たちはどういうふうに考えておるかということをはっきり示さんことには、何かこうつんぼさじきにでもいるように、先ほどから水産庁からみんな頭を並べておりながら、一向そういう点は触れておりませんから、もう少しやはりこういう空気を見て、はっきりお示し願いたいと思うのです。何かから回りしておるように見えてならないのです。
  49. 花園一郎

    説明員花園一郎君) ただいまの法制的な面でこの法系としては無理であるという趣旨について、青山先生からそれでは処置としてどうすればいいのかという御質問であったのであります。これはやはりただいまの港則法の運営をきびしくやるということが、やはり一つのとりあえずすぐできることである、こう考えております。
  50. 千田正

    千田正君 この問題は、まあ今の問題に付属すると思いますが、船舶の問題は一つもっと研究していただきたい。この法案目的はさっき伺いましたけれども、一つ調整という問題、それから事前に防止するという問題、そういう問題で根本的な考え方をもって法案を作られたようでありますが、これは取締り以前の法案ですね。これは何らこれによって制肘を受けるということはないわけですね。勧告以外に何もないじゃないですか。
  51. 花園一郎

    説明員花園一郎君) この水の利用に関連しての各種の社会的な、特に経済的な問題についての法律といたしましては、当然明治以来河川法があり、また明治以来鉱業法があるわけであります。たとえば足尾銅山事件などを考えてみましても、当然あれは現在の鉱山保安法なりなんなり、そういう鉱害関係取締法規がすでにございまして、端的に申しますならば、はなはだこれは言いづらいわけでございますが、それではそれらの法規だけでいけなかったかといいますと、やはりその法規を励行しておればできたのではないかという趣旨の規定はあるのでございます。それでは、それが今までなぜ十分に運営ができなかったかということになりますと、そこで初めてこの法律をお願いしております法案の意義が出て参る、実はそういった産業公害については、今までたとえば通産大臣が足尾銅山からの水についてこれを規制しょうとしましても、それに対して基準となるべきものが何もなかった。従って、鉱山関係産業官庁としては、この程度でよかろうということを頭に置きながら取り締る。しかし、それは被害者の面から見ると非常に不足である。しかし、それを調整するものが何もない。今度これができますと、渡良瀬川については、当然一つ水質基準がきまる、そうするとその水質基準に従って通産大臣は足尾銅山の方を取り締るという建前になるわけであります。従いまして、今までも水は国民生活上非常に密接な関連を持っているものでございますから、法規的にはいろいろとできておったが、それをさらに推進させるための基準を作り、さらに、この基準を他の所管官庁に勧告して実施させるという趣旨においてこの法律をお願いするわけであります。従いまして、これは基本法であって、それぞれの直接的の実施法規は過去において立法されており、今度もまた工場排水の規制に関する法律が、今まで穴であった部分について一つお願いしておるわけであります。
  52. 千田正

    千田正君 それじゃ、この法案には勧告することかできるということになっておるのですが、勧告することが大体の目標ですね。審議会において事態が生じた場合においては、またこれをさらに実地調査して、いろいろな面において勧告する。しかし、勧告があったにもかかわらず、その勧告に従わなかった者に対しての、あるいは官庁に対しての、あるいは運営者、工場に対しての罰則というものの基準一つもできていない。だから、僕はこれはむしろ鉱業法なら鉱業法を順守せよということを勧告しても、従来と同じような何らの設備もしなかったり、あるいはそれを等閑に付したりするというと、相変らずその問題が起きてくる。そこで、二つの面があると思うのですよ。これを勧告、たとえば法律によって勧告を受けた業者その他のものは、これを実施しなければならない。そのためには国としては、ある程度経済計画の上においては、いろいろな面の国庫の支出をして助成あるいは補助もして、それを完全にやらせる方法もあるでしょう。また法律も改正しなければならぬと思う。鉱業法なら鉱業法において、公共用水域水質保全に関する法律によって勧告を受けた場合においては、これこれをしなければならない。絶対に守らなければならない、守らなかったならば、これだけの罰則を受けなければならない、そういうことを明記しなかったならば、これは今までと大した差がないという効力しかないと思う。この実行力に対してはっきりしていただきたい。
  53. 花園一郎

    説明員花園一郎君) ただいまの勧告についての私の申し上げた点が多少足りなかったと思いますので、もう一ぺんあらためて勧告についてお答えいたします。これはお手元の第十条、衆議院修正において第十条になっておりますが、第十条の二項に「経済企画庁長官は、この法律目的を達成するため特に必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、勧告することができる。」、御承知のように水産庁は、たとえば水産資源保護法を持っておるわけです。それから通産省は鉱山法、鉱業法を持っておるわけです。さらに建設大臣、それから厚生大臣が下水道法を持っておるわけです。そういう法律に基きまして、それぞれ禁止規定または制限規定、そういった規定がございまして、それについて鉱業法なら鉱業法において、水洗炭業法なら水洗炭業法において、それぞれその行政官庁の命令に違反したものについては罰則を設けておるわけで、従いまして、この法律基準を作って、その基準を各大臣が守る、各大臣はそれを守りながら実施上の運営をそれぞれの所管法規に基いてやる、それでその法規に基いてやる場合、やったその法規に対する違反があった場合は、各主務大臣において罰則の適用をやる、企画庁長官は、各主務大臣がそういった法規運営について怠りがあると見るときに、勧告を発して、たとえば足尾銅山に対する鉱害防止措置は不十分である、水質基準が守られておらぬということを通産大臣の方へ勧告するというふうにして、いわゆる行政の運営の怠りを絶滅することがねらいでございます。従いまして、これは基本法規でございますから、これ自身が罰則を持ち、これ自身がそれぞれの違反者に対する措置を講ずるという趣旨のものではございませんで、やはり実施官庁がそれぞれの法規に基いて罰則を適用するということになります。
  54. 千田正

    千田正君 だから、私はさっきから言っておるのは、今までそういう罰則は各法律にあったのでしょう。鉱業法にしましても、水洗炭業法にしましても、あるいは水産業の方の問題にしましても、おのおのその法律には罰則があるわけだ、それがちっとも守られなかった、守られなかったから紛争はあとを絶たない、それをどうかして除去したいというのがこの法のねらいであって、それを除去するためには、一応勧告する。勧告だけで一体守られると思いますか。私は勧告を受けたならば、その勧告に準拠して被害をなくするということが一方の受け入れ態勢においてなければならない、それが従来のようであったならばおそらく同じことであると思う。だから、受け入れる方の鉱業法なり水洗炭業法なり、いろいろの法律において、この法によって勧告を受けた場合には、絶対に再びそういう行動をやらないという、あるいは施設を増強しなければならないという、はっきりした法的な明文を改正して作らなかったら守れないのじゃないか。あるいは経済的問題においてはこの法を順守するためには、国においては、その設備に対して半額とかあるいは三分の一を補助する、そういう実際的な問題がなかったなら、これは幾ら勧告されても、経済企画庁長官が幾ら勧告しても、ああそうかと、カエルの顔に水をひっかけたくらいにしか考えられないというような現在の状況から見ても私はそう思う。ですから、これではどうしても拘束されないと思うのですが、大丈夫拘束されるという自信がありますか。
  55. 花園一郎

    説明員花園一郎君) ただいまの御指摘の点につきましては、衆議院におかれても、やはり関係各大臣と経済企画庁長官の関係という関係については、やはりさらに一つの規定を設けて修正をされたわけであります。それは関係行政機関の長の義務としまして、指定水域水質保全に関する事務を履行するに当っては、当該水質基準を尊重しなければいかぬということであって、各主務大臣に、これはもちろん一つの道義規定の格好になりますけれども、各主務大臣が企画庁長官がきめた水質基準を尊重して自分の行政事務をやるのだという規定をつけ加えられておる。従って、それ以上はそれぞれの主務大臣の運営上の責任の問題であると思います。
  56. 清澤俊英

    清澤俊英君 いろいろお伺いしておりましたが、さっきの油水分離機の問題で、大体船舶工場もしくは事業場の中に入りますか。
  57. 磯野太郎

    説明員磯野太郎君) 入りません。
  58. 清澤俊英

    清澤俊英君 入りませんというと、これはのけられることになりますね、廃液に対するものは。
  59. 磯野太郎

    説明員磯野太郎君) ここに「これらに類する事業」とございますのは、船舶そのものは事業でございませんので、この工場排水等には入っておりません。
  60. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、私は研究が足りませんからいま一度あとで質問しますが、今一応くどいようですがお伺いいたしますが、船舶から出る廃油によって汚染せられる場合、この場合は標準的な水質というものがどういう形で出るか知りませんですけれども、大体沿岸地帯に出るのであって、しかも、今現に被害を受けておるノリ被害等に対しましては、むしろ水質自身が変ったということより、特殊のものが特殊の形で流れるためにという、特定形態をとるのです。それでわしら問題にしておるのです。問題にしておりますが、そういう場合に、あなた方としては港則法港湾法その他の規定でこれが取り締られると言うが、先ほど河野さんが言われた通り、これは現在あっても不可能だ。やっておられるとおっしゃるけれども、効力がない結果が出ておる。そうすると何らかのものが要るが、それに対してはどうお考えになるか、それを一つ承わりたい。
  61. 磯野太郎

    説明員磯野太郎君) 水質保全法の制定までの経過におきまして私の記憶しておりますところでは、今いろいろ御指摘のございました、船舶からの排水等の問題についていろいろ議論があったと記憶いたしております。ただでき上りました法律、たとえば工場排水法につきましては、ただいま申し上げた通りでございまして、私の考えといたしましては、この法律には入りませんので、船舶から出る廃油汚水の問題については、港湾法あるいは港則法の問題でございまして、運輸省の方でどういうふうにお考えになるかというような、行政の問題だと考えます。
  62. 清澤俊英

    清澤俊英君 運輸省はどう考えておられるか、企画庁はどう考えておられるか、これだけ聞けば、あとはまた別に……。
  63. 花園一郎

    説明員花園一郎君) ただいま磯野企画局次長からお答えのありました通り公共用水域法律、これが一応の基本法といたしまして、それがその配下に抱き込む親子関係法律といたしましては、このたび一緒に御審議願っております工場もしくは事業場に関する工場排水等規制に関する法律、鉱山に関しましては鉱山保安法及び水洗炭業法それから下水道法というような一連の法律があげられるわけでございまして船舶については一応この法系からは……。
  64. 井上弘

    説明員井上弘君) 船舶からの汚濁防止するために、その禁止法規として港則法を、これの執行を今後厳格にやっていくというふうに持っていきたいと考えております。なお、完全に船舶汚濁防止の実効を上げるためには、陸上の受け入れ施設なりあるいは船内のいろいろな油水分離機設備等を研究していかなければなりませんが、これは非常に時間がかかりますので、そういったものを取りまとめました船舶の特殊な法規というものは、将来考えていきたいというふうに考えております。
  65. 千田正

    千田正君 これは参事官にお聞きしたいのですが、これは産業の方の官庁にだけ勧告をして、一応勧告はできるのですが、今の運輸省関係船舶に対しては、これは勧告する必要がないような格好になっておりますね。しかし問題は、こういう問題が起きたときにどういうふうに処理するか。たとえば江戸川なら江戸川において、江戸川から汚水が流れておるという場合において、江戸川と東京港の合流点において船舶汚物を流した、あるいは廃水を流した、そういうことによって、たとえばこの東京湾における漁業者が被害をこうむったという場合において、しばしば起る問題でありまするが、魚介が変死した、この問題は、船舶が放棄したところの油によって起きたのか、あるいは江戸川から流れてくる汚水によって死んだのか、はなはだ分明じゃない。そうしてどれが一体被害を与えた加害者であるということがわからないために、零細漁民が泣き寝入りする問題がたびたび起きておる。こういう問題を除去するためには、これはこの法律は何ら役に立たないじゃないですか。一体どうするのですか、これは。
  66. 花園一郎

    説明員花園一郎君) ただいま御指摘の通り、この法律の法意といたしまして、水質基準を置きました場合には、第六条の規定で、経済企画庁長官が通知いたします。関係行政機関の長といたしましては、当然運輸大臣は入っております。これはもちろん港則法並びに港湾法の運営者という趣旨を必ずしも考えておるわけではございません。その点でただいま御指摘の通り、その関係の運営についてはどうかという問題が残るわけでございまして、その点はただいま運輸省の方からの御答弁の通りに、港湾関係法規の励行を期待するわけであります。
  67. 青山正一

    青山正一君 この問題は、一つの点でさえこうしてぐるぐる回っておるわけなんですからして、本日はいろいろな案件がありますからして、これははっきりと連合審査を申し入れまして、あちらの運輸関係とか、あるいは建設関係委員とか、あるいは商工関係委員は、こういう事情は何にも知らないだろうと思いますからして、そういった人を教育する意味合いにおきましても、連合審査をもう一度こちらから申し入れた方がいいのじゃなかろうかと、こういうふうに考えておりますので、一つ委員長の方で各委員と諮っていただきたいと思います。
  68. 関根久藏

    委員長関根久藏君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  69. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 速記をつけて。  次に、連合審査に関する件についてお諮りいたします。  公共水域水質保全に関する法律案及び工場排水等規制に関する法律一案について、商工委員会との連合審査会を開会することに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 御異議がないと認めて、さよう決定いたしました。  ただいまの決議に基き、委員長は商工委員会に申し入れを行います。   ―――――――――――――
  71. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 次に、議題に追加して、イルカ漁業整理転換に関する件を議題にいたします。  この件については、千田委員から発言を求められておりますから、この際、発言を願います。  なお、ただいま政府からの出席者は、水産庁長官奧原日出男君。
  72. 千田正

    千田正君 ただいま委員長からお話のありました通りイルカ漁業の転換の問題でありますが、これは当委員会としては、昭和三十三年以来の問題でありまして、先般長官から解決の具体的方針が説明あって、われわれも安心して、あの通りいくならば、国際信義を保持しながら何とかできるものだと、こういうふうに考えておりましたところ、最近に至って非常に陳情がしきりに出てきたわけであります。それは長官のおっしゃったようなイルカ漁業の転換――今までラッコ、オットセイを銃砲によって捕獲しておった諸君が、この際、国際法に基いて、国内において良識のある態度で密猟その他を防いでいこう、こういう方針の、水産庁の方針に協力するという態勢であったのでありますが、実際においては、この水産庁の方針によって救われた人たちというのは、その対象になっておる人たちは、ある程度資産を持っておる人たち、たとえば銀行の窓口に行きましても、中金あるいは漁業公庫等の資金の融通が十分に受け得られるという対象の人たちが、船も買い上げてもらう、漁具も買い上げて補償される、こういう対象になっておる。全然資力のない、しかも従来、実際からだを張ってラッコ、オットセイをとっておった、こういう連中は、その範疇外に置かれてしまった。これに対して非常に不平である、こういう陳情がたびたびなされてきたのであります。それで私としましては、従来、この問題に対して、政府並びに業者に対しましても、国際信義を守っていかなければならない。一たび、一人といえども国際信義を守らないような問題が出てくるというと、日本の国際的な威信が失われるばかりでなく、国内におけるところの水産行政体制においても、ひびが入る、こういう立場から、私は長官に質問するのでありますが、そうした対象から除外されたところの零細な漁民、中には、あるいは器具だけ持っておるものもおったでしょう。しかし実際、鉄砲を持って、イルカと同時にラッコ、オットセイを密猟しておったこれらの者が、救われないために、再び密猟を行うようなところに押し詰められておるということをわれわれは今日知った以上は、これに対して、また何らかの手を打たなかったならば、やがて年が明けるというと、ラッコ、オットセイが回遊してくる。そうしてまた、それをどうしても生活の上から食うに困ったから、やむを得ず密猟する、一カ月やニカ月監獄につながれたって、われわれは食っていかなければならないのだ、こういうような思想を持ってきつつあるということを知ったときに、これは何とか今のうちに手を打たなければならない。そこで水産庁としても、こうした対象からはずれたところの業者に対して何か救済の手、あるいは転換に対しまして政府が国際的な信用を保持しようという考え方から、国内的な対処方針として考えるべきものがないかどうか、この点を特に私はお尋ねしたいと思うのであります。
  73. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) イルカ漁業の転換に関しましては、今年度に入りましてから、かねて御説明いたしましたような方針に基きまして、県から書類を提出させ、早いもので九月中、おそきものにつきましても十一月の半ばまでに、全部これに対する補助の指令を出し、一方において廃船するものに関しましては、これに関する評価をもうほとんど完了いたしておる。また船舶を建造いたしまするものにつきましても、大体今年じゅうに七〇%くらいは一応建造を終るのではないか、まあこんなふうな考えをいたしておるのでございます。そこで、ただいま御指摘のありました現在の転換措置について不満を抱いていろいろ取りざたのありまする方々に関しましては、現在これが対象として取り上げました廃船いたしまするものが大体百十六隻で、その中で船を建造いたしまするものが八十七隻、あるいは改造するものが四隻、従って、ほとんど大部分の方々は建造なり改造なりをするということについて、その選に上り、従って、これについての融資についても金融機関において相当理解をもって手配をいたしてくれておるのでございます。従って、これが対象として取り上げた方々については、たとえば資産を持った人だけが船が作れていいじゃないかというふうな御不満は私は割合に少いのじゃないかと、かように考えておるのでございます。ただ問題は、イルカ漁業の転換の対象として取り上げましたものが、昭和三十、三十一年の両期におきまして、銃砲によってイルカの漁業をしておった者ということにしぼったのでございます。従って、あの条約が締結されるその前、三年前にもうイルカ漁業をやめて二カ年間全然やらなかったという方に対して、実はこれが対象とはし得ないのでございます。  それから次の問題はイルカの漁業をしておったということを何によって立証するか、こういうことでございます。実は本人がイルカの漁業をしておるということだけではこれは非常に不十分であるのでありまして、われわれといたしましては、銃砲につきましては銃砲刀剣類等取締令、これによりまして漁業用銃砲の許可をもらっておるということが一つの要件であります。また火薬の授受につきましても、これを台帳によって今日立証する、こういう形のものであって初めてこれが対象として取り上げ得るのではないか、かように考えておる次第でございます。しかし、具体的なケースにつきましては、それぞれの事情に即して、ただ本人が言っておるから、あるいは本人が言っておることを証明するからというふうなことだけでは、これはあの施策ができましてからわっと起ってきました全然今まで話のなかった新しい申請に対して、厳正なる仕分けをするということが困難でございまするので、ただいま申し上げましたような適法にイルカの漁業をしておった方々を対象とすると、こういうふうな方針をとったのでございますが、中には自分はやみで火薬を買っていたんだ、あるいは一般狩猟用の鉄砲でやっておったんだ、そんなふうなお話も実は出るのでございますが、これは御当人のお話以外には、いかなる立証方法もございませんので、そういう方々には選に上し得なかった、こういうことでございます。しかし、その過程におきましては、とにかく何らか公的な立証方法がつく限りにおきましては、ただいまのような基準の上に最大限度採用をいたしたのございます。そういうことで、とにかくイルカ漁業の転換につきましては、若干自分たちはああいう恩典に浴しそこなったという御不満はあるようでございます。しかし、私たちも公的に立証し得るものであれば、それは今においてもいつでもお話は十分具体的に伺うことになっておりますが、しかし、とにかくそういうことでまあ目下着々と進んでおりますのでございますが、若干まだ選に漏れたことを不平をおっしゃるお方がありますことは、これは非常に残念に思うのでございますが、まあそういう次第でございますので、われわれとしましても、弾力性のある態度は常にとっておりますけれども、今の方針でイルカ漁業の転換措置を取り進めて参りたいと、かように考えております。
  74. 千田正

    千田正君 長官の御苦労は察しますけれども、私はあなたとは観点は非常に違うのであって、方法としては、三十年、三十一年度に火薬を使ってイルカ漁業をして、それによってラッコ、オットセイを密猟した者に対してという一つのラインを引かれたことは、一つの整理の方法としてはいいでありましょう。しかしながら、このラッコ、オットセイの密猟ということ、その密猟そのものがどうかという問題であって、もう日本はかつては三国同盟から脱退しており、とることは自由であった。ところが、終戦直後において、マッカーサー司令部によってやむなくこれはしかれたところの国内法であって、これは密猟であるかどうかということは疑問なんですが、これは法的な理論になりますからここであえて申しませんが、やるとするならば、その当時、日本の国内法としてラッコ、オットセイの捕獲の禁止法案が出る、あるいは出た境のころ、すでにこれは危ないからやめようといって、むしろ政府の施策に対して協力した連中は今度の三十年、三十一年度の火薬云々には入っておらない、そういう欠点もあるわけであります。私はそういう点からいうというと、もう一つ、これは国内におけるところの例の以西底びきを転換したとか、何を転換したというような国内的な処置にだけよるような簡単な問題でないということをはっきり認識していただきたい。一人でもこれはラッコをとったり、オットセイをとったりすることが国際的な監視のもとに発見されたならば、日本の真意というものは疑われる、水産庁の行政措置の手腕というものは疑われる、そういう重大な問題をはらんでいるところの処置方針であるだけに、貧しくて食えなくてかつてはラッコ、オットセイを密猟した人間なんだ、こういう者がいることははっきりしておって、そういうものを救い得なかったならば、だれがやったという問題が起きたときに、だれが責任をとるのかということを私は言いたい。これは日本政府は当然責任をとらなくっちゃならないと同時に、行政官庁の主管であるところのあなたがその責任をとらなくっちゃならない、こういう問題が起きてくるのでありますから、十分に意を尽して、あらゆる角度から研究して、一人といえども法を犯してとるような人間がないような施策をやらなかったならば、今後においてこれは非常な問題になってくる。第一の段階としては、三十年、三十一年度において火薬の使用の許可をとったかどうかということで調べて、それに対しての方針をとられたならけっこうであります。第二段としては、なお、これによって網からのがれておる者、そしてどうしても食えないからやらなくっちやならないなどというような、そういう不逞な考えを起しておる者に対しては、どういうふうにこういうものを防止していくかという考えを出さなければならない。そんなものは打ち捨ててもいいのだというようなことは、かつての国内漁業における整理方法であって、国際漁業関係する重大な問題を考えるところの処置の方法としてあまいと私は思う。それに対しては何か方法があるか。何もこの第一陣の三十年、三十一年度の火薬を使用してとったかとらないかということを調べる方法にしろというのじゃありません。それから何段階か差し引いてもいいから、鉄砲を買い上げるとか……この連中は鉄砲を所持しているから、火薬なんというものは、あなた方から見れば……地方の官吏からのがれて買える連中はたくさんいる。ウサギを撃つといって買ってきてもそれは手に入れようによっては鉄砲を撃ってとれるのですから、そんなものは当てにならないのですよ、形式的な問題であって。そういう問題をいろいろ考えるというと、今、百七十何隻のうち、救われるのは八十何隻で、あとの七十隻ほどは残っている。そのうちで実際鉄砲を使ってやったかどうかということを調べることは決して困難ではない。そういうものを尽していって初めてどうやらあなた方が考えているように、国際信義を守って国内の処置ができたというところまでいけるのであって、今の段階では中途半端ですよ。私は、このやり方によってあなた方が完全にやったと思ったらとんでもない間違いだと思う。もし起きた場合に誰が責任を負うかという問題ですよ。岸総理大臣がもちろん負わなくちゃならない。水産庁長官のあなたはもちろん負わなくちゃならない。農林大臣の三浦君が、なお、負わなくちゃならない。こういう重大な問題をそのままにして、単に火薬を使用したとか、使用しないとかいっただけの処置だけではとうてい私は守れぬのじゃないかと思う、国際信義は。私はどちらにどうというわけじゃありません。日本の国威を守っていく意味において完全な処置を講じたかというと、そうじゃないということを言っている。そうじゃないならば、どうしたら救われるかということを一つ第二、第三の段階において考えるべきである。その方針があるかないかということを私は伺いたい。
  75. 奧原日出男

    政府委員奧原日出男君) 私は、先ほど申し上げましたように、この年度の間におきまして銃砲によってイルカ漁業をやっていたかということが本人の、本人ばかりでなしに、立証し得るものについては、常にこれを検討し、これを取り上げることにやぶさかでないというような実は態度をとっていたのでございます。ただ、この対策は実質的には、いろいろ御議論はございましょうけれども、われわれは過去においてオットセイ漁業をやめたことに対する補償とは実は考えておらないのでありまして、イルカの漁業をやっておられる方々に対して、それぞれ正業を得させるということによって、同時にオットセイの誤殺を防止しようと、こういう観点に出たのでございます。従って、その時点において、やはりイルカ漁業をほんとうにやっておったかどうかということが私は問題として確認さるべきことではないかと、かように考えておるのでございます。そこで、実はあの対策を講じまして、私は大勢的には、政府に対して協力をして、オットセイの誤殺をやめようということについての空気がそれぞれの地帯において支配的になっておると、かように実は考えておるのでございます。これらの選から漏れた方々につきましても、救える限りは、私としては救って参りたい。しかしながら、イルカ漁業の転換措置という問題で、これをあの方式で解決していくということは私は非常に困難ではないかと、かように考えておる次第でございます。具体的にそれらの方々から要請があれば、それは十分御相談に応じたい、かように考えております。
  76. 千田正

    千田正君 だから、先ほどから御苦心のほどは考えておりますが、イルカ漁業という名前によってだけ転換しようというのじゃありません。たとえば、あなたがいらっしゃったときかどうかわからぬけれども、水産庁がかつて以西底びきの整理において、みんな違反者であっても、これに対しては全部助成金をやっておる。そういう、われわれからいえば、違法だと思うようなことでも国家処置としての財政支出をやって、そうして以西底びきの転換をやらしておる。ましてやこの問題などは国際的な関係から、向う側から金が来て、問題を起さないように国内で処置してくれという、日本国民の税金からやって払うのじゃなくて、向う側から、アメリカ、イギリス、カナダから来た金によって国内の処置を、日本が信義を守ってくれといってよこされた金だから万全を期さなければならない。以西底びきの処置であるとか、あるいはどうのとかいうような簡単な国内処置のような考え方じゃなくて、十五億という膨大な金が来るならば、その全額を払ってもそういう問題が起らないような、国際信義を守るような方策を立てるのが私は当然だと思う。わずか五億と限る必要はないと思う。ですから、問題が起らぬように、必ずしもイルカ漁業の転換ばかりではなく、あるいは施設において何らかにおいて、そういう連中が食っていけるような方策を立てて、再び密猟その他によって国際信義を守らないような人間ができないような方途を考えるのが当然だと思う。そういう方針を考えていただきたいと思います。いろいろな点があるのでありましょう。場合によっては、その対象になる人たちがこの際大きな金をもらうというので船を建造していく、そういうとこへ雇われる方法もあるでしょう。いろいろ方策はあるでしょう。そのためにまたある程度の金をふやして渡してもいいでしょう。いろいろな方策があるでしょうけれども、十五億のうち五億というのを、転換しようとして予算に組んでいる以上は、もっと大きく組んでやってもいいから国際信義を破るような者がないような処置を考えていただきたい。これはもう時間もありませんから、特にお願いしまして、そしてあとは長官の手腕に待つよりほかないのでありますが、問題は、国内的な問題が国際的な問題にまで波及して、日本の国威を疑わせるような処置をやらないように、十分なる方策を立てていただきたい。特に私は要望いたしまして私の質問はきょうは終ります。   ―――――――――――――
  77. 関根久藏

    委員長関根久藏君) この際、理事辞任についてお諮りいたします。藤野君、河野君から、都合により理事辞任したい旨の申し出がありましたが、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 御異議はないと認めます。さよう決定いたしました。  つきましては、直ちにその補欠互選を行いたいと存じます。  この互選の方法は、成規の手続を省略して、便宜、その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 御異議はないと認めます。それでは私より秋山君、北君を理事に指名いたします。  ここでしばらく休憩して午後一時半から再開いたします。    午後零時二十八分休憩    ―――――・―――――    午後二時十七分開会
  80. 関根久藏

    委員長関根久藏君) これより委員会を再開いたします。
  81. 清澤俊英

    清澤俊英君 国税庁の課長さんにお伺いしたいことは、ダム建設あるいは干拓等による農地、それから最近東京湾その他におきまして海面敷の埋め立て等が盛んに行われまして、従いまして、この場合にかまわぬでおきますれば、最後には土地収用法に類する法律によって取り上げられる、こういうような場合がしばしばあるのでありまして、これはひとりこればかりでなく、公共道路その他の場合にもそういうことが考えられる。この際に私どもお伺いしておきたいことは、当人としましては、工場等ができる際に話し合いをつけて、一応土地を離す、こういう場合と全然性格が違っている。絶対話し合いに応じたくない、この土地、この海区からは離れたくない、こういう考え方でありますが、それが一つの非常な公共的な事業にからまって、最後には土地収用法等による強制権も発動せられ、あるいは港湾の法によってそれが強行せられるという運命にあるものが、最後までがんばらないで、ある時期を見てこれと話し合いをして、泣く泣く土地を離しておられる、そういう場合にいろいろな基準を設けまして、そしてそこに補償という建前で一応代金が支払われる、こうなりました場合に、今までの国税庁の考え方でありますと、これにはやはり所得対象として税金がかかる。大体これらに対しましては、相当高額な支払額の所得税が支払われるということになりますと、場合によりますと、半額くらいのものが税額として差し引かれる、その結果としまして、予期せざる打撃を当事者が受けるわけなんでありますが、この点について私どもとしては、公共事業で、最後には何らかの法律によって強制的に取り上げられる運命のものが、これが妥協して一つの解決を見つけて、転業の資金として受け取りました補償に対しては、私は免税すべきが当然の措置ではないか、こういうふうに考えておりますが、その点はどうなりますか、一つお伺いしておきたいと思います。
  82. 金子一平

    説明員(金子一平君) ただいま清澤委員からのお尋ねの件でありますが、電源開発でダムができるので、一定の地域が水没するということで、かりに土地を収用いたしますような場合におきましては、租税特別措置法という法律がございまして、収用の対象になる土地の譲渡所得には課税しないで、再評価税の、六%の再評価税だけ課税する、こういうような規定ができております。従いまして、土地の対価自体の取得税の課税の問題は起りませんが、再評価税は実際問題として起る。大体その土地の対価であるか、そうでないものがあるかの点につきまして、やはりいろいろ問題がございます。もう少し詳しく申し上げますと、かりに家屋を移転する、あるいは墓所を移転するというような場合に、移転料式のものが出るわけでありますが、これはやはり移転の実費弁償でありますから、課税の対象になりますまい。また何百年住みなれた土地を離れなければいかぬということの精神的損害に対する賠償金として支払われるのも補償金の中にはございましょう。そういった精神的損害に対する賠償金の中に入っておるという場合に、これは所得税としては課税の対象にいたしませんが、大体土地の対価といいましても、本来の土地の対価以外にはやはり相当最近は大きく見積られまして支払われる部分があります。そういった部分はやはり課税の対象として取り上げざるを得ない。その場合に、それは一体何所得なのかというような問題がやはりございまして、それからどの部分までが一体精神的損害に対する部分なのか、それをどの程度からは一体課税の対象にしてもいい部分なのかというような点につきまして、相当やはり個々のケースによって事情が違います。税務署は個々のケースを見て、これは課税の対象としてはずさざるを得ない、これは雑所得的なものである、あるいは事業所得として課税せざるを得ないというような、非常に個々の具体的ケース、特にその場合の契約の内容ですとか、当時者のものの考え方ですとか、そういう点を一々お伺いいたしまして、実情に即するような、無理のない課税をいたしておるわけであります。
  83. 清澤俊英

    清澤俊英君 わしの一番重要視しておりますのは、かりに工場ができる、工場ができるが、おれはいやだと言っておりましても、こう言うことはできるのですが、工場ができるから全部土地を取り上げるという場合には、いやだということは言い切れる。ところが、今現在私のお伺いしたい主眼は、現実の問題として、横浜市の港湾の一部を埋め立てて、その港湾地区に新たなる鉄道路線ができる、従って、その路線を利用して新しい港を作って、新しい地域を横浜市で作りたい、こういうことで港湾法と鉄道敷設の法律によりまして、全地域百何十万坪を埋め立てよう、こういうので問題が生じているのであります。ここ三年間は……、いかなることがありましても土地は放さない、われわれは先祖伝来当っているノリ業、それから貝の養殖並びにわずかな沿岸の手繰りとか一本釣りとか、その他のめくら網、そういったようなものの、ほんのわずかでありまするが、沿岸漁業を営んでいる、そういうものが全部失われる、同時にノリの繋柵、ノリ場の施設、貝を養殖しておりますが、全部を取り上げるわけにいきませんから、残留分、そういったような一切のものを全部含んだものが取り上げられる、これは取り上げられるのです。結局、そうがんばってみていても、最後には何らかの形で鉄道の敷設が審議会できまり、横浜市も港湾施設するというので、市が持ちます権限によって、港湾を最後には決行せられるという危険性がある。ここらで話し合おうじゃないか、結局、収用法に従うという形になり、これは全然前の工場で取り上げられるというのとは違うのです。あるいはダムの建設等によりまして、最後にそういうことになるのだ。従って、ここらで何とかして話し合いしようじゃないかというのと違うと思うのであります。従いまして、そういう場合に出て参りますのは、非常な用意も何もない、心がまえもないのでありますから、従って、慰謝料といえば慰謝料でありますけれども、実際は転業に対する準備期間で二、三年ぐらいは遊んでしまう。われわれ、今までそうした場合、補償をもらいまして、一千万円か二千万円もらったというのが、岡山県の何とかダムというのですか、その地方に行きますと、ほとんど七割がどこへ使っているかわからないというのです。大体もらいましたのは二千万円近いというのです、一軒が。みな何かくだらないことに使われてしまう。だから、そういうことを知っている漁民並びに農民としましては、金は要らないのだ、土地は放したくないのだ、ここにいたいのだ、それをどうしても出ていかなければならない、そういうものに対しては、私は当然特別措置法というものがある限りにおいては、それを強化して無税にしていただくことが私は至当なんじゃないか、こういうことを考えるのでありまして、そういう考え方ができないのでありましょうか。私は工場等がそこにできる、そこでこの十万坪なり十五万坪のものが、その地方の人のあっせんによって、自由意思による妥協ができて、そこででき上ったのとは違うと思うのです。実際に立場が違うと思うのです。そのけじめはどうつけられていただけるのか、こういうここをお伺いしたい。
  84. 青山正一

    青山正一君 関連して。清澤さんのおっしゃったことをもう少し具体的に申し上げますと、横浜市の港湾の一部に、根岸、本牧、屏風ヶ浦、こういった漁業基地があるわけでございます。その漁業基地が国家の要請によって横浜の桜木町と大船の間を線路を引くということに国家できめまして、あそこを何十万坪ですか、埋め立てた。そこで、その漁業者はそこに家も持ち、土地も持ち、しかも、漁業を先祖代々営んでおった。ところが、家も土地も失うような結果になった。しかも、自分らの今後やはり子供なり孫なり、これによって生活を営んでいこうという部面が、この問題があったために全部失われた。そうなるとすると、そういったものも全部課税の対象にするかどうか、しかも、この三組合のうち一つはまっ先にこの動議に賛成した。あとの二つはなかなかがえんじなかった。ところが、まあ最終段階において、その二つ目も三つ目もやむを得ず、その国家の意思通りに従わざるを得ないような結果になった。そういうふうな関係のものまでも全部そのもらった補償金に対する祖税の対象にするのは少しむごいのじゃないかというのが清澤さんの意見なんです。その点を一つ説明願いたいと、こういうわけなんです。
  85. 金子一平

    説明員(金子一平君) ただいまお話の横浜の問題は、おそらく港湾法の規定等によって行われるものだろうと思うのでありますが、具体的な内容を私まだこまかく国税局から聞いてないのでございますが、お話の点で、土地等をかりに買収されるというような場合におきましては、当然これは措置法の規定の適用がございまして、譲渡所得の課税の問題は起らない、再評価税だけでいいということになろうかと思います。再評価税は六%で非常に安いのでありますが、ただこの沿岸漁業の分でございますね、かりにまあ船だとか船具だとか、その分の補償を幾らにしようというような分は、やはり譲渡所得、これは収用される部分じゃございませんので、やはり譲渡所得の課税の対象というようなことになろうかと思います。それから何カ年分かのまあ補償金を漁業補償としてもらうというような部分につきして、やはりその漁区をまあ永久に失うということになりますと、その分につきましてはこれは漁業権はおそらく法人に属していると思います。個人じゃないと思いますので、個人の持っている分は、結局、反射的な権利ということになりましょうが、そこら辺はもう少し具体的事実を突き詰めてみぬと確定的には申し上げかねるのでありますが、まあ大体組合がもらって、個人がそれを分けるという格好になるのか、あるいはどうなるのでありましょうか。もう少し私も突き詰めてこれ調べてみたいと思いますが、すっきりと考えたところでは、その中の相当部分が損害賠償的なものがあって、それ以外は課税の対象になる。そこで、その損害賠償的なものの算定をどういうふうに見たらいいのか、横浜市なら横浜市の方で一体それをどういうふうに御計算になっているか、また組合の方ではどんなふうにそれをお考えになっているか、そこら辺の計算も伺ってみて、まあこの分は課税の外にする、この分だけは所得税の課税の対象にするというようなことでいくんじゃないかというふうに考えています。
  86. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは今の場合ですがね、今の場合、その船あるいはノリの製造の道具、それからまあ沖合いに持ちます施設、残留貝類というようなものがかりにあったとしましても、これは持っておっても何にもならない。従って、当然地籍とともに買い上げられるのがこれは当りまえのものであって、だから、これは当りまえのものを、これは特別の所得と見るというのはどうもおかしいと思うのですがね。買い上げてもらいたくはないけれども、それは取られればいらなくなるから、これは地籍についたものとして――だから、そういうものを区別して取るということが、私は今お伺いしているのは、おかしいじゃないかと、こういう総括論です。まだ各論までは入っておらない。そういう考え方に対して、将来何か考えていただけるのかどうか、こういうことです、私の今お伺いしている範囲は。
  87. 金子一平

    説明員(金子一平君) 今の船具、漁具に対する補償でございますが、これを買い上げないで本人が、理屈を申しましたならば、ほかへ転売すれば、やはりそれは譲渡所得になるんじゃないか、こういうような考え方から、従来土地収用の対象にならない物件はこれは譲渡所得になって、譲渡所得の対象は十五万引いて半額課税でございますから、非常に安くなるわけでございます。課税の額としては大したことがないのが普通でございますが、建前はそういうことでありますということをちょっと申し上げておきます。
  88. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、その点こまかく聞きますと、これは今、買い上げの場合には普通の価格として、それで幾らかの補償的な意味合いをつけて買ってくれる。で、これは要らぬものになって、百隻なら百隻、五十隻なら五十隻の船を総くるめでバッタで売る、こうしますると、そのバッタの値段が、かりに前の場合が百としますと、バッタに売った場合では二十になる、こういう差が出る。そうしてその八十に対象としてかけるというのですか、その二十のバッタの価格が課税対象になるんですか、対象はどこのところが対象になるのか。
  89. 金子一平

    説明員(金子一平君) ちょっと何でございますが、今の個々の船具等は、これは個人別に大体あなたのところは、甲の人は幾ら、乙の人は幾ら、こういうわけじゃないんでございましょうか、そこのきめ方の問題でございますが。
  90. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは漁具一切を幾らと協定してある、何隻々々あるから平均幾らと、こうなっておるんです。それはもうだめですから、どこかヘバッタで売るよりしようがない。バッタで売るということになりましたら損だ、ほとんど満足に売れないと思う。ですけれども、協定の限りでは、一応の常識価格では買い上げてもらっていると思う。その場合かけられる税対象というものは、バッタの値段を言われるのか、この差額のものにかかるのか、どういうことを言われるのか。価格は余分に取れるんじゃないか、バッタに売ればこれだけのものだ、協定によってかりに八十なるものかよけい取れるんだからこれにかけるというのか。バッタに売るとこれだけに売れるんだから、これだけのものを取るんだ、二十で勘定せられるべきだ。かける方が違うとだいぶ違って参ります、あなたのおっしゃるあれからしまして。
  91. 青山正一

    青山正一君 清澤さん、バッタというのは何ですか。
  92. 清澤俊英

    清澤俊英君 バッタというのは投げるということだ、投げ売りです。
  93. 金子一平

    説明員(金子一平君) 今のお話でございますが、結局、各漁業者から組合の方に、市の方なら市の方へ、平均幾らなら幾ら、十万円なら十万円、二十万なら二十万で売り渡しますね、その金額が基準になってくる。それで結局、原価がございましょうから、その分について原価を引きますから。そうしてその原価とその市なら市へ売り渡した値段との差額の中かち十五万円引いた半分、こういうことになります。非常に低くなるわけです。
  94. 大河原一次

    大河原一次君 ちょっと今の問題に関連するんですけれども、土地収用によって失うべき土地に対する対価として支払うべきものに対して、それが課税の対象になるということを考えますときに、これは税の本質論に入らなければならぬと思うが、これは非常に問題があると思いますが、こういう場合には臨時収入というような見解に立たれるのですか、その点一つお伺いしたい。
  95. 金子一平

    説明員(金子一平君) この土地なら土地の収用というような場合におきましては、当然これは落しますけれども、あるいは船が、現実にどういうふうな船なら船、家屋なら家屋がどういうふうな格好の収用の仕方になりますかによって、個々の場合によって事情が違うと思いますが、場合によりますと別に譲渡所得を見なければならぬ場合も出てくると思うのでありますが、契約の内容その他もう少しチェックしてみないと確定的なことは申し上げかねると思いますので、場合によりますと、入れる場合もございましょうし、あるいははずさなければならぬ場合もあろうかと思います。結局それは収用の対象がないのだという点をもう少しチェックする点が必要であろうかと思います。
  96. 青山正一

    青山正一君 この問題はいろいろ問題点が多いと思うのでありますが、例の横浜の問題を具体的な例として申し上げたわけでございますが、最近日本の国情から考えてみまして、たとえばソビエトと日本との漁業の問題にからんで北洋へ相当の母船なり独航船が行く、その場合において、ソビエトとの折衝の過程において、どうしてもその母船を減船しなければいかぬ、あるいは独航船を減船しなければいかぬ、そうなった場合に、これはもう自分の意思において減船するのじゃなしに、国家と国家との話し合いで減船しなければならぬというふうな格好になるわけなんですよ。そういう面もただ法律というような名のもとに、非常に冷厳な、何というか冷やかな気持でやるということになれば、これはやられたお方が非常にお気の毒だ。おそらく韓国のあの李承晩ラインの問題にからんで、漁業協定がなかなかむずかしい、その場合において、これは国と国との関係からして、以西底びきも、あるいはまき網も、あるいは運搬船も、いやおうなしにこれは減船しなければならぬ。これは国家の交渉が悪いためにそういうふうな結果になるのであるというときに、減船された漁業者は非常な犠牲を払わなければならぬ、その場合においてどうなんです。大蔵省の考え方とすれば、そういうふうな非常な冷やかな気持でやはり解決していくよりほかに道がないとおっしゃられるのですか。そうなると政府はやはり税の問題につきましては、相当これは何か直さなければいけないというようなところまでいかなければいけないと、こういうふうに私どもは考えるわけですが、その点についても一つ御意見を承わりたいと存じます。
  97. 金子一平

    説明員(金子一平君) ただいまの北洋漁業関係で、まあ権利を放棄した方々に対する課税等の問題、御意見全くごもっともに承わったわけでございます。まあ現行法の課税の建前といたしますと、法人の場合、これはフルに課税できるものだ。結局、問題は個人の場合だろうと思います。現行法のまあ損害賠償に類するものが何%その中に入っているかというようなことをある程度見て、あとは課税というようなのが建前じゃないかというふうに考えております。
  98. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこがどうもおかしいと思うんですね。この程度はこれは見舞もしくは何か慰めるという建前を除いたものがかかるというのが、私はどうもおかしいと思うんですがね。そういう、かりにこれは不確定な一つの転業資金としての基礎計算としてはある数字が出てくると思うのですよ。しかし、転業してほかに行く場合、それでまかなえるかまかなえないか、これは転業の資金であって、まだほんとうの自分の所得だというわけにはいかないものじゃないかと思う。それにこれは売った形が残っているのだから税金をかけるのじゃどうもおかしいのじゃないか。と申しますことは、これをよほどはっきりさせておきませんと、将来のそういう場合の解決というものに対しては非常に困難性があると思う。何か基準を置いて、収穫がどうとか、あるいはこうとかというようなことを中心にして基準を置いて、合理的な一つの線が出てくると思う。そういうものを出してきて、それにぽんと税額が四割近くもかかった、五割近くもかかったということになりましたら、これは全く根本からくずしてしまう。そうすれば、その分をしからばあとでどうするかという話が出てくる。話がまとまればそれにかかる、こういうことになりましたら、将来こういう問題は片づけ切れない重要問題が出てくると思いますので、これは税務署としても理論的に一つ考えいただいて、何らかの特別処置をお考え願いたい、こう思うのです。  ついで、農地局の方が見えておりますか――ダム等の建設によって一地区が全部水没する場合がある。そういう場合についての補償に対する税金などは今までどうなっているかおわかりの方ありませんか。半分くらい取られてしまったというようなことで問題を起しているところございませんですか。ちょうど農地局長が見えましたからお聞きしますが、今、公共事業等によりまして土地の収用、あるいは海面積の埋め立て等により土地が取り上げられるという場合における課税の問題、何か聞きますと四割五分くらい取られるという話でちょっと面くらった問題が出ましたので、大蔵省の関係の方で、今、直税部長さんから御意見を伺っているのですが、ダム等の建設によりまして補償料を払ったその場合において、税金はどう今までなっているのですか。
  99. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 直税部長からお答えがあったと思うのでありますが、われわれ税の問題につきましては、一つは、電源開発で水没する場合の閣議了解がございます。それによりまして土地等価格につきましては、当時は富裕税と言っておりましたが、現在は相続税で土地を評価している。補償はたくさんもらっても、土地の価格は相続税でみるという比較的低い価格でそれを対象にして課税をする。それから作離れ料に該当するものにつきましては、これは損失補償的なものだということで非課税の扱いでございます。それから土地の価格の中に精神的な損失とか、そういったものが入っておりますれば、それも非課税というような形で課税が閣議了解に基いて行われているというふうに私どもは聞いております。
  100. 金子一平

    説明員(金子一平君) 清澤先生の先ほどのお話に関連してちょっと申し上げておきたいと思いますが、今の所得税なら所得税法の建前が入ったものは全部これは所得なんだ、それではずすのは損害賠償とか、あるいは精神的慰謝料とか、その部分だけ落しますような書き方をしているのです。それで今お話のような補償金の中で、農地局長からもお話がございましたような離作料なら離作料、結局損害賠償的のもの、そういうものは一応落しますが、あとは一応全額所得税の課税の対象に見るということはやむを得ぬと思うのです。その損害賠償的のもの、精神的の慰謝料部分をどう見るかというやつが、やはり個々の場合に一番問題なんです。これは税務当局といたしましても非常に慎重にやっております。  それから補償金をうんとたくさんもらって、土地の対価をこえてぐっともらった、これは課税の対象にならざるを得ないと思います。その課税の仕方につきましては、やはり全額をフルに課税することはいかがであろうか、やはり立法論としては、半額課税くらいにしたらいいんじゃないかという議論もあるわけです。そういった点はずっと主税局で検討を今重ねております。扱いにつきましては、一つ今後研究をさせていただくことにいたしますが、現在のところは、今申しましたようなことでございます。
  101. 清澤俊英

    清澤俊英君 今お伺いしたいと思っているのは、屏風カ浦の問題で具体的のことをお伺いしたいと思いますが、あんたの方の御調査もついていないし、私も資料を忘れてきましたので、これは具体的の問題で一つ御相談したいと思います。  それで最後の問題で私の意見を申し上げておきたいと思うことは、これは実例でありますが、一区画を、電源開発のために十町歩ばかり土地を放さなければならぬ。そこで、われわれは中へ入ってどういうことをやったかといいますと、その離れる農民個々の姿をまず中心に考えると、全部放してしまう場合、それからそのうちの三分の一くらい放す場合、一部分を放す場合、これは全部そういうものを区別しまして、そうして一部分、かりに一町歩のうち一反放す場合のものは、かりに三十万円なら三十万円、それが一町歩のうち五反放すという場合は、五十万円なら五十万円、全部放す場合においては八十万円なら八十万円、こういうふうな建前をとって、実際解決しておるのであります。非常にめんどうなそれまでのことをやって解決して、そうして開発に協力しておるのでありますが、その場合、三十万もらったものと八十万もらったものじゃだいぶさやがある。これはたくさんどうも精神的慰謝料以外のものを取っているのじゃないか、こういうふうな解釈ができ上りますと、非常なめんどうの問題です。こう思うのでありまして、だから、どうもある常識の線よりたくさん取っているという線はどういうところにお引きになっておるか、それだけ一つちょっとお伺いして、きょうはこれでやめます。
  102. 金子一平

    説明員(金子一平君) 今の精神的慰謝料等に類する非課税のものをどの程度にきめているかということですが、これは地方々々によって、あるいは個個の人の主観的の事情によりましてやはり相当に違うと思うのでありますが、まあ農地等の場合でございますと、過去の農業所得の五年分なり、六年分という見方もいたしております。あるいは漁業者につきまして四、五年分という見方もする場合もございます。大体年間所得の何年分というところが通常第一線で見ている限界じゃないかというふうに考えております。
  103. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこなんです。ただそれだけじゃ問題にならない。取り上げられたあとの経営が主体なんです。従って、価格を違わしているのだ、かりに一町歩あったものが三反百姓になれば、あとの七反分を補って他のものに転業しなければならない。それが五反の場合はまたやはりそれもしなければならない。こういう問題が出るから、そこでは八十万円のものができたり、五十万円のものができたり、三十万円のものができたり、その三十万円はその付近一帯の大体売買価格というようなものを中心にして話がつけられる。それが一反ならよろしいが五反になりますと、それだけのものでは通常のものではない、特殊の立場に立つのであるから、一つ、それには転業資金もなければならない。従って、耕作機械というものが要らなくなる場合も出てくるし、また遠い所に耕地を求めますためには、そのために近ごろでは自分のダットサンを買うというふうなことも必要になってくる。それが二反ぐらいに成ってしまうと、これはほとんど農耕をやめる形になりますので、そういうものの補償料というものを加えてやるとき、三カ年分なら三カ年分で八十万円で、これだけのさやがあるからと、ぽかんとかけられては八十万円の価値がなくなる。そういうものに対しては、そういう個々の事情を中心にすると言われますので、幾らか安心しておりますが、最後の言葉でどうもおかしくなってくる。所得の三カ年分なら三カ年分、五カ年分なら五カ年分、これで大体いくのだ、これだけでは納得できかねる。こういう私の言い方なのです。
  104. 金子一平

    説明員(金子一平君) 多少言葉が足りなかったかもしれませんが、原則は五年分なり、六年分なりというようなことで、そのほかに先ほども申し上げたのでありますが、まあ個々の人の主観的な事情がございますので、多数の場合におきましては、そういった個々の事情も若干しんしゃくして見ていると私は思っております。かえって一律に見た方がいいと言われる場合もございますが、地方々々において、これはやはり個々の事情によって差をつけて見てくれという御要求があって見ているような場合があるのではないかと考えております。
  105. 千田正

    千田正君 ただいまの問題は、おそらく漁業権利に対する損害補償ということですから、法人に対しての補償ということになってくると思います。そうした場合に、組合なら組合に対して何億というものを出した場合に、それを組合員に分割して分けるということになるわけです。その場合、法人に対して税金をかけるのか、個人々々が、それを分配して所得になった場合、それを目標にするという場合、やはりかけ方によって相当弾力性が生じてくると思う。もう一つは、その受ける個人によっては、将来埋め立てた土地を金のかわりにほしい、将来埋め立てた後において土地を賠償としてくれ、こういう要請があった場合、これを出そうという空気のようであります。そうした場合、土地の取得に対して税金を課すのかどうか、問題が出てくると思う。さらに資産のある漁業家であれば、総合所得に対する所得の課税という問題が出てくると思う。そういうものを引っくるめてかかってくると思います。この段階でどういうふうに考えているわけですか。
  106. 金子一平

    説明員(金子一平君) 最初の法人がもらった場合は、全額課税ということになるのでありますが、一体そういった場合に、法人がもらったものと見るのか、個人が直接分けてもらったものと見るのか、そこら辺のやはり考え方の問題が一つあろうと思われます。そういった問題につきましては、私の方はいつも水産庁の方ともよく連絡してやっておりますが、今お話のように法人がもらいましたということになりますと、それは当然法人課税というようなことになります。それからそれを個人に分けたときには、慰謝料相当分は課税しないということになるのであります。それでもお困りになる場合が相当あるのではないかと思います。実際がどうなっているか、現実の問題にぶつかっておりませんので、これは一つ研究させていただきます。あとは何でしたか。
  107. 千田正

    千田正君 第二点は、賠償のかわりに埋め立てした土地を配分してもらいたいという要求に対して……。
  108. 清澤俊英

    清澤俊英君 買う権利を保留したいというのだ。
  109. 金子一平

    説明員(金子一平君) 交換ということに観念した方がいいのですか、あるいはやはりもらった金で買ったという格好が多いのでしょうから、そこら辺ももう少し収用の対価としてものをもらったというふうになるのか、ここら辺も少し実際の場合について、やり方につきまして、一応は金をもらってそれで買うというのが普通の場合でございまするけれども……。
  110. 千田正

    千田正君 たとえば百万円なら百万円を賠償としてやる、そのうちの半額の五十万円というものは金額じゃなく、坪一万円なら一万円に見て五十万円分の土地を埋め立てた後に差し上げますという約束の場合はどうなのかということです。
  111. 金子一平

    説明員(金子一平君) 現在税法の建前で申しますと、個人の場合におきましては、一応収用なら収用によって金をもらって、そうして課税を受けた後の金で土地を買うというのが建前であります。で、具体的にまあ今お話のようなケースがどういうふうな形になっておるか、また研究してみたいと思っておりますが、建前としてはそういうことになっております。それから第三点は……。
  112. 千田正

    千田正君 かりに資産が多少あるところの漁業家の場合、総合所得税が当然かかって……。
  113. 金子一平

    説明員(金子一平君) 総合所得税が当然かかってくると思います。これは所得税と合算いたしまして、再評価税は別でございますけれども、かりに一時所得なら一時所得、雑所得なら雑所得というので課税を受けておりますと、その分は合算して合せてやるというようなことになります。それから一時所得でございますと、十五万円引いた残りの半分をほかの所得に合わせて課税する、こういう格好になります。
  114. 千田正

    千田正君 もう一点だけです。それで、これは要望なんですが、さっきから清澤委員が漁民の立場に立っていろいろあなたに聞いて、考えてほしいということを要望しておるのですが、私もその点は原則は原則として、われわれも常識の範囲ではわかっております。しかしながら、先祖伝来のいわゆる漁業であったものは土地を持たない人たちが大部分ですが、それを失う、そうして生涯そこで自分らの生業であった漁業はやっていけないというような、ちょうど湖底に沈むところのダムの人たちと同じような立場にあるのでありますので、課税といった問題に対しては国家の立場から十分に考えて、弾力性のある、しかも、そうした人たちのために、ある程度国として考えるべき方針を十分に生かしてやっていただきたいということを特に要望しておきますので、慎重に研究していただきたいと思います。
  115. 金子一平

    説明員(金子一平君) ただいまのお話十分に一つ慎重に検討さしていただきまして、円満な、しかも、まあ公平な課税にいくように極力努力して参りたいと思います。
  116. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 本件は、本日はこの程度にいたします。   ―――――――――――――
  117. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 昭和三十三年七月、八月及び九月の豪雨及び暴風雨による被害農家に対する米穀の売渡の特例に関する法立案を議題にいたします。この法律案については、一昨日の委員会において提案理由の説明を聞きましたので、本日は、まず法律案内容その他について補足説明を求めます。説明は簡潔に願います。
  118. 諫山忠幸

    説明員(諫山忠幸君) 補足的に申し上げておきたいことは、これは従来議員提出で出ておりました法案でございますけれども、今度は私どもで出したわけでございますが、ことしは特に問題になる点は、従来は全体の県の収量というものが相当下っておる県だけを中心に取り上げて参ったわけでございますけれども、今度の考え方でいきますというと、県を単位としました減収といいますか、そういうものはそうひどいものはございません。ある程度全体のレベルといたしましては、増産になっている面におきまして、災害で相当へっ込んだ、そういう点が非常に変っている点でございます。県全体の作況指数というもので申し上げますというと、従来実収一割以上の減収になったような所、作況指数というものがほぼ八割程度の所があるというような県だけをピックアップいたしましたのですが、今年はそういうラインを引きますと、あまり伸びて参りませんので、とにかく災害の数字、災害によるところの減収の数字というものが県単位で一割以上に達する県、そういうようなことで、実際上の県単位の収量というものは、従来に比べますと相当あまくなっているという点が第一点でございます。それから第二点の問題は、そういう意味で局地的に相当やられている所を救っていきたいというふうな趣旨になっておりますので、この県の中で郡単位である程度のひどい所だけをピックアップして安売りをやって参りたい、こういう二点が従来に比べますとやや趣きが変っているという点じゃないか、こういうふうに考えております。現在静岡の災害なんかを中心の要望が出ておりますけれども、特にひどい地帯を、県全体としてはある程度増収の場合もございます。増収の場合がありましても、局地的にやられている所だけを出して安売りをやっていきたい、こういうのが従来のところと変っている点でございますので、特に私からそういう大きい変り方だけを御説明申し上げます。
  119. 関根久藏

    委員長関根久藏君) ただいまから審査に入ります。  まず質疑を行います。御質疑の向きは御質疑を願います。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  120. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 速記を始めて。   ―――――――――――――
  121. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題にいたします。  この法律案については、一昨日の委員会において提案の理由の説明を聞きましたので、本日は、まず法律案の補足説明を求めます。なお、説明は簡潔に願います。
  122. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) この法律は、実は農地関係と林野関係の両方にまたがっておりましたので、実は林野の方、見えておりますので、農地の関係だけ簡単に御説明申し上げます。今度の二十二号の台風、その前二十一号、その前とかなり頻繁に今年災害がございまして、特に二十二号を契機といたしまして過去におきましする二十七年災害当時の措置をとるべきじゃないかということがだいぶ問題になったのでございますが、政府といたしましては、当寺はこの法律にはいわゆる高率補助もございませんでしたので、二十八年には一律に九割補助をするというようなことをやりましたが、二十七年の災害にかんがみまして、この暫定措置法はその後三十一年に改正をみました。農地の関係だけ申し上げますと、補助率は農地については五割、農業用施設は六割五分という補助率のさらに上に、災害復旧費が一戸当り八万円をこえます場合には、農地については、その分の八割の補助をする、農業用施設は九割の補助をする、さらに一戸当り十五万円をこえますれば、農業用施設には十分の十、全額補助をするというような体系になっております。それで今度は農業用施設は十割までの補助もできますので、農地につきまして、今の法律で参りますと八割の補助ということで頭打ちになっておりますので、これにつきまして、農家経済とか、その他の調査からいたしまして、農業用施設の十五万円をこえるものは十割になっておりますが、農業用施設と若干性格も違いまして、まあ個人の私有財産という色彩が非常に強くなっておりますので、そこでは若干の差をつけて考えまして、農地につきましては八割のものを九割まで十五万円というものは上げるというふうな点を御審議いただきたいということで提出いたしに次第でございます。これで参りますと、まあこれは昨年の諫早の例をとっての災害の例でございますが、九割まで上げますと、おそらく激甚地域は農地については八割六、七分ぐらいまでは、いくのじゃないかという予想を実はいたしております。  簡単でございますが、その点だけの改正でございます。
  123. 茅野一男

    説明員(茅野一男君) 続きまして林道に関します御説明を申し上げます。  林道の中には奥地林道というのと、その他一般林道と二つに分けておりまして、奥地林道と申しますのは、林道の中で国道だとか府県道に相当するような非常に幹線となっている主要な林道をいいまして、大体において全体の林道の一割に相当する延長を持っておりますが、従来法令によりますと、その林道の奥地の場合におきましては、激甚な場合において、補助率を上げまして九割あるいは十割というふうな特例が設けられておったのでございますが、その他の林道は最高十分の七・五というふうに定められております。ところが、今回の災害を考えますというと、約九割近いその他林道の災害が相当多いものでございますので、町村の負担も非常にかかって参りまして、ただいま農地のお話のようなふうに七・五では非常に負担が重いということにおきまして、一割を上げまして、特に激甚なものに対しては八割五分というふうに改正をみたわけでございます。その標準といたしますものは、林道の被害の状況を見まして、一メーター当りの平均の被害額が千円をこえるものが一段階、それから千二百円をこえるものが一段階というふうに二段階を設けて、最高が八割というふうに定められた次第でございます。  簡単でございますが、御説明申し上げます。
  124. 関根久藏

    委員長関根久藏君) ただいまから審査に入ります。  まず、質疑を行います。御質疑の向きは御質疑を願います。
  125. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 一回災害を六、七月ごろに受けて、それからまた十月ごろに同じ場所を不幸にして災害を受けた場合、農地の例で申しまして、それは加算されて、この補助率が適用になりますか。
  126. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) それは被害の場合には、合算して計算しまして、それを復旧、要するに復旧するに一戸当り幾らかかるかということが算定の基礎になっておりますので、それは両方考えまして復旧額というときには合算しまして考えて、こういうことになるかならぬかということを判断いたします。
  127. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 具体的に申しますと、今の災害で一戸当り八万円の災害を受けた、それからその年にまた二回目に八万円の災害を受けた、十六万円になるから、八万円をこした分についてののと、それから十五万円をこした一万円というものと、この法律は適用になるわけですね。
  128. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) この法律の建前は、その年の十二月までの災害を合計いたしまして、それに対する復旧費が八万をこえるか、今度の法律改正で九割は十五万ということを考えていますが、それをこえるかということは合算して計算いたします。
  129. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 そうすると、くどいようですけれども、今年一回災害を受けて、来年また同じ所を災害を受けた場合には適用されないということになるのですが、そうするというと、あとの場合には恩典が非常に薄くなっていくのですが、その点はお考えになっておりますか。
  130. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) この法律の建前からいきますと、復旧に要する費用というものは毎年十二月で締め切りまして、それで計算をしていく、毎年毎年計算するというやり方でやっておりますので、来年被害を受けてそれを復旧する額が八万円以下でありますれば、これは農地代が五割、それをこえますれば、また高率というふうに毎年毎年でその点は考えていくことになっております。
  131. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 五年も六年もたってからですと、その農家は負担力がついてくるだろうと思うのですよ。翌年受けたというのと、その年に二回受けたというのと、農家の負担能力が違っているとは思われない。あとの場合は気の毒のような気がするのですが、そういうことをお考えになる余地はないのですか。
  132. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) この法律の建前でいきますと、先ほど御答弁した通りなんでございますが、実情は先生の言われるようなこともこれはあり得ると思います。まあ、この法律をどうするかということのこれは立法論の問題になって参りますが、今後の問題として、これはどういうふうにするのだということを、この法律全体の問題として検討する際には考えたいというふうに思います。
  133. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 ぜひ一つ考え願いたいと思うのです。  それからもう一つお伺いしたいのですが、先ほど林道の場合、一メーター当りが一千円というのはわかったのですが、その一メーターというのが、一メーターずつによって復旧の額が違うだろうと思うのですが、極端にいえば。だから、どれくらいの長さをとって一メーターに平均すると千円になるというような、そういう基準が何かおありなんですか。
  134. 茅野一男

    説明員(茅野一男君) 私の言葉が非常に不足でございましたので補足をして御説明申し上げますが、法文の趣旨、記載されておりますものは、たとえば五キロの林道が非常に被害を受けたとしますと、その五キロに対しまして千円を掛けたもの、それとほんとうの復旧費と比較しまして、そうしてそれをこえた額について高率の補助を適用するということでございます。
  135. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  136. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 速記をつけて下さい。  それでは暫時休憩いたします。    午後三時二十一分休憩    ―――――・―――――    午後四時四十二分開会
  137. 関根久藏

    委員長関根久藏君) これより委員会を再開いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人として全養連の幹部から意見を聴取してはいかがかと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 御異議ないと認めます。  参考人の人選、日時及びその他の手続につきましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。   ―――――――――――――
  140. 関根久藏

    委員長関根久藏君) この際お知らせいたします。本日仲原善一君が辞任され、補欠として本多市郎君が選任されました。   ―――――――――――――
  141. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 次に、先刻御審議を願いました災害二法案を議題といたします。  別に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 御異議ないと認めます。それではこれより両法律案の討論に入ります。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)  別に御意見もないようですが、討論は終局したものと認めて御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 御異議がないと認め、これより採決に入ります。  まず、昭和三十三年七月、八月及び九月の豪雨及び暴風雨による被害農家に対する米穀の売渡の特例に関する法律を問題に供します。本案を原案の通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  144. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。   ―――――――――――――
  145. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 次に、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  146. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時四十六分散会