○横川正市君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっておりました
国家公務員共済組合法等の一部を改正する
法律案及び
国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する
法律案に対して、ただいま
委員長から報告されました附帯決議を付して賛成をするものであります。
附帯決議案を朗読いたします。
国家公務員共済組合法等の一部を改正する
法律案に対する附帯決議(案)
当
委員会は、
政府が今後、共済組合の運営に当り、左記の諸点につき特に配慮せられんことを
要望する。
一、本共済組合の管理
機構の運営並に積立金の進出を適正にし、福祉醜業への積立金の還元利用について配属すること。
二、公務災害給付の
制度的取扱及びその全額国庫負担についてなお
検討すること。
三、地方
公務員の退職年金
制度については、地方自治体における
制度の沿革及びその特殊性を考慮し別途の
措置によりその自主性を可及的尊重すること。
四、将来長期給付の改訂等の場合においては、退職
公務員恩給受給者についても之が実質的均衡を失しないよう配慮すること。
五、長期給付の決定を恩給局の審理を経て行うことは、
事務の二重化となる虞れがあるので、速かに、この決定
事務を連合会へ一元化するよう
検討すること。
六、懲戒処分を受けた者に対する長期給付の制限は、その保険
制度としての性格に反しないよう、
措置するとともに、これに関する政令を定めるに当っては国家
公務員共済組合審議会の議を経るものとすること。
七、長期給付の計算基礎を退職前三年平均俸給とすることは、
公務員の勤労意慾にも反するので、将来、保険
制度としての性格、保険財政の枠等も考慮して、なお、
検討を加えるものとすること。
八、ベースアップにより赤字の生じた場合、
公務員の負担が過重とならぬよう配慮する。
九、国家
公務員共済組合審議会、国家
公務員共済組合運営審議会、国家
公務員共済組合連合会評議員会の運営については、共済組合
制度が相互扶助の組織であることをも考慮して、必要な配意を加えること。
一〇、資金運用部資金運用審議会の運営を適正にし、積立金の運営については加入者の福祉に寄与するよう十分配意すること。
私は、現在までの国で雇用をする
職員の老後の安定をはかるための
制度として、恩給及び年金の二本立の
制度をもって今日までに至っておりましたが、しかし
昭和二十四年に国家
公務員法が施行されまして、その法の上では、すべての国の
仕事に従事するものの身分上の差別が撤廃され、いわば天皇の官吏から国民の公僕と、きわめて大きく変革がなされたのでありますが、今日、なお旧
制度は、一部を除いては存続され、身分差は依然としてこれは放任されているといっても過言ではないと思います。歴代の
政府は、国家
公務員法施行十年を出ようとしている現在まで、これらの不法な状態を是正しようとはいたしておりません。しかし、このことは、恩給を受くべく強い
要望を持っております
職員のこの期待を無視し、それから雇用者としての国の
責任を完全にこれは果しておったということにはならないと思うのであります。恩給の基礎を決定するのには、これは任官という身分上の差別が、今まで存続をいたしておりまして、国家
公務員法施行後も、具体的には、定めはいまだ持っておりません。任命権者の一方的権限行使にゆだねられて、身分上も、諸
給与の上からも、また、将来の生活設計及び老後の安定の上からも、決して完全なものができておったということには言われないと思う。一筋に
業務の遂行のために一身を犠牲にせしめるというような立場に置かれて、あらゆる保護法の不完全な中で、労働法規、あるいはそれに類似する独自の意思表示をすることなくして服務に従事している者にとっては、まことに遺憾なことであったと思うのであります。今回、
政府が提案いたしましたこの共済法の一部改正は、従来の
あり方からいたしますと、一歩これは前進した
制度であることは、私たちもこれを認め賛意を表するところでありますが、しかし本法に至っても、
政府に国家
公務員法の
制度に対して
結論的な
見解はまだ出されておらないようであります。多く事情を持っておるようでありますけれ
ども、これはやはり統一的に抜本的に改正案を作っていかなければならないというふうに
考えております。在来の経過からいきますと、こそく的であり、消極的であり、そういう改正内容にとどまっていることは、これはまことにわれわれとしては遺憾であると思うのであります。
このたびの改正案は、
政府の内部の
窓口争いからくるいろいろなやりとりが非常にたくさんあったようでありまして、その点の不備は私は、これは本
委員会の審議の過程で十分
指摘をした
通りであります。ことに国家
公務員法の第八節に、退職者に対しては、恩給の定めをすることとあります。百七条に「
職員であって、相当年限、忠実に勤務して退職した者に対しては、恩給が与えられなければならない。もちろん、この恩給を読みかえて、共済
制度の
あり方を当てはめて
考えらるべきものであるとは思うのでありますが、「必要な事項は、
法律によってこれを定める。」ということになっているのであります。しかしさらに百八条では、恩給
制度の目的がうたわれておる。恩給
制度は、健全な保険数理を基礎として
計画され、人事院によって運用されるものでなければならない。」こういうふうな法の定めになっております。これらの点が実際上のこのたびの
法律案の迷宮に当っては、非常に便宜的な改正が加えられておりまして、その点では内容その他に不十分である。
法律の建前からいきましても異議をはさまなければならぬというように思います。共済組合による退職年金の支出額である
組合員一人々々の負担率等についても、これは大体使用者が支払われる賃金の一部であるという
考え方がありまして、負担金の大部分をこの賃金の一部とみなして、
政府の国庫負担を多くする、こういうことは私はあり得べきだと思うのであります。しかも、厚生年金あるいは船員年金では、これらをすでに実現をいたしておりまして、掛金の
組合員及び国庫の負担率は、この
法律案にきめられたものよりか、大幅に国が大きく負担をすべきものである、こういうように
考えるのでありますが、この点については、将来十分
一つ政府で御
検討いただきたいと思うのであります。
次に、今問題になりました自衛隊及び警察官の問題でありますが、これはやはり社会保険、あるいは保険数理に暴いて経営というものがある程度
確立し、その基礎を作っていかなければならない、こういう建前に立っておるのでありますから、そういう点からいきますと、特殊な処遇とか、あるいは特権的な待遇をこの中に存置するということは、これは建前上からも私は間違いである。この点は社会保障
制度審議会も答申の中で明らかにいたしておるところでありまして、一般に改正案は、恩給法上の一般
公務員より有利な
処置が行われたことを理由にして、退職年限を十五年四〇%から、三五%と定められておりますが、全くこの点については経過的な
処置で、将来これは
検討する、こういう提案にはなっておりますけれ
ども、この点については、すみやかに私はその
検討の結果を、この法の精神に基いて、早期に改正をすべきである、こういうふうに
考える次第であります。ことに、自衛官の勤務にたえられる体力からくる年数の計算等、新たな問題としてこれは
考えるべき点でありますが、自衛官等の
給与、それからこの種の年金については、私はやはりまた別途抜本的な改正を
政府はみずから提案すべきである。この点については、
防衛庁の幹部の中にも、現在の俸給が非常に便宜的で、場当り的にきめられたという点は認めておるようでありますから、これとあわせてこの点については改正をすべきであると思うのであります。
また、ただいまいろいろ大蔵大臣から、運営についての自粛自戒といいますか、十分注意をするという点がありましたが、この点では、
大蔵省の監督
官庁としての権限の問題は、数項目にわたってこれは完備充実をしているといって過言ではないと思うのであります。その完備充実は、健全運営ということにかかる反面、組合の自主運営、民主運営という問題になりますと、相当程度私はこれは逆な欠陥が現われてくるのではないかと思われますので、この点については、運営について十分
一つ監督
官庁であります
大蔵省において注意をされて、各省のそれぞれの運営の
意見に対して、独自の
見解と、それから経営健全のための注意は必要でありましょうけれ
ども、そのことをもって民主的自主運営を阻害するようなことは、これは大いに自戒すべきものであると思うのであります。
さらに、社会保障
制度審議会は、
制度としてのこのたびの運営
機構において、積立金の運営問題は、
公務員の福祉などに運用されるよう十分に配意すべきである、こういうふうに答申がされております。この点についても、たびたび
委員会で取り上げた問題でありますけれ
ども、当然これは
組合員に還元するという
趣旨を十分生かして運営するように、これは
大蔵省としても配意をする必要があるのではないか、かように思うのであります。そのほか、いろいろ会議中で御
質問申し上げ、それに対して回答がなされておりますけれ
ども、運営それ
自体は、相当多額な金になる。しかも、多くの
組合員の諸権利を、これをまとめて運営されるということになりますので、これらの点については、十分な
一つ配慮をいただきたいと思います。
さらに、地方
公務員に対する退職年金については、次期
国会等に提案をされるということになっておりますから、これについても、十分
一つ既得権については、これを確保し、なお地方
公務員の老後の安定のための、完備した
法律案を出していただくように
お願いいたしたいと思います。
さらにつけ加えて、こういうふうにそれぞれ単位組合、あるいは同一内容を持っております
法律案でありながら、実際上は個々に部分的に相違をした
法律案があり、身分的には、これまたそれぞれ立場を異にしておりますので、国民年金の施行されております現在でもありますしこれらの年金の総合的な運営が、ひいては社会保障
制度全般の運営として、完全にその機能を持つようにするような配意が私は必要なんではないかと思うのであります。
以上申し上げました諸点について、法の整備をはかると同時に、
処置をしていただくように
お願いをいたしまして、この
法律案に対して賛成をいたします。