○森中守義君 大へん
官房長官若しい答弁のようですが、もう一つ聞かして下さい。私は、今
官房長官の答弁を承わっていると、何かしら社会の趨勢、あるいは国内の経済情勢の変化、こういったように、諸情勢の変化に伴って農林漁業の問題が今ここに基本的な新しい観点からの練り直しが必要になってきたといったような答弁であったかと思うのです。たまたま問題をここに一つ拾い出しましたので、これについてお尋ねをするわけですが、しかし、戦後におけるわが国の農林漁業の問題が、今にわかに経済情勢、あるいは国家情勢、社会情勢によって、あらためて基本構想を練り直さなければならぬという、こういう時期に到達したとは思いません。これはおのおのの情勢の見方にもよりましょうが、少くとも戦後におけるわが国の農林漁業というもののある固有化された、固定化された情勢の中に置かれていることだけは事実です。こういう見方をする限りにおいて、今あらためて農林漁業基本問題の
調査をしなければならないとするならば、明らかにこれは今まで
政府与党が取り行なって参りました農林漁業政策に根本的な誤誤があったのか、さらにはまた、場当り主義の政策の実行であったのか、こういうように見ざるを得ない。私は、にわかに農林漁業の問題が、急速に、今日において政策の一大転換を必要とする時期に到達をしたとは思えない。こういうような見方をしていけば、先刻私が、今日
総理府の中に二十五種類の
審議会、
調査会がある、今度また五つふえれば大へんなものになる。そこで、その
内容のすべてを見ていけば、今出血している社会問題、当面する時事問題、あるいはすぐにでも選挙に役に立つような、そういう問題をチェックして
審議会、
調査会を作ろうとしているのが
政府のお
考えのようです。しかもそのまとまった寺中をどういうように扱うかということになれば、先刻
松野総務
長官がお答えになりましたように、極力尊重したい、百パーセント意思をくみとる、しかしながら、国家財政あるいは時の政治情勢等によって、そのことが必ずしも完全ではないという御答弁が
松野総務
長官から行われた。であるならば、一体
審議会あるいは
調査会というのは何をやるのか、全く
意味がない。しかも、出た答申案というものが、
政府の手によって具体的に行政行為として現われてくるのはそれから数年後だ。しかも、先刻来
公務員
制度の問題を申し上げておるように、その間に
公務員の
恩給制度を年金
制度に切りかえた方がよろしいという、こういう答申の
内容になっておる、これすらも一向に手をつけようとしないじゃありませんか。のみならず、それらの問題に対する
衆議院あるいは参議院における
政府当局に対する質問あるいは要望、警告というものは、近時
国会においてたびごとに行われております。ところが、
制度調査室においていまだ答申に対する
政府の態度がきまっていないという
理由のもとに、一向に具体的に前進をしておらないじゃありませんか。その他、現存する二十五のいかなる
審議会あるいは
調査会の答申の
内容を見ても、これをより具体的に実行に移された
内容を、私はまだ寡聞にして聞いておりません。こういったようにものを見てくれば、明らかに時事問題、あるいは社会問題のようなだれしもがすぐに食っつきやすいような問題は、すぐ
調査会、
審議会に振り込んでおいて、それで表面には、
政府としては
調査会、
審議会にかけて鋭意検討いたしております、こういうことで一般国民にはお答えになり、
国会においては、その答申を慎重に考慮検討中である、こういったようなことが今日までの悪い私は循環であろうと思うのです。ここまで論及してくれば、果して、先刻来
官房長官及び
松野総務
長官が言われるように、
審議会、
調査会に対してわれわれは何ほどの期待をかくべきか。もちろん、国家全体の向上と繁栄を期待するという、きわめてばく然とした論理のもとには、これを否定する
理由はない。ないけれども、問題は具体的でなければなりません。だからして私は、本来は
政府、
行政機関がやるべき行政能力を欠いたためにこういうのを作っておるのではないか、こういうものの見方と、さもなければ、すぐさま手をつけられないから、しばらく時間をかせぐために
調査会、
審議会を作って、そこに問題をこうり詰めにしておく、こういったように、
政府の責任転嫁ではないのか、こういったような疑問が次から次にわいてくるのであります。一体、閣議の中で、こういう基本的な
制度調査会あるいは
審議会等の設定をどういったような扱いをすべきか。私はむしろ閣議の
内容を承わりたい。ただ話が出れば、じゃあまた一つ
審議会あるいは
調査会を作ろう、それでやっていこう、しかも、その結果については何ら期待し得る答が出てこない、行政行為が具体的に現われてこない。そういうことを
考えていけば、
法律違反ではないにしても、
政府の行政行為の延長としては、何としても納得しがたい点が多々あります。大へんくどいようですが、これは、次の
国会にもまたぞろ幾つかの
審議会、
調査会が出てこないとも限らない。それと、せっかく
学識経験者、あるいはまた公益代表など、いろいろな人が参画をされて一生懸命に検討した結果が、
政府の手によって行われないとするならばその価値はない。こういうことを
考えますので、あらためて総務
長官及び
官房長官のこの
審議会及び
調査会等に対する基本的なお
考えをもう一度承わりたいと思います。同時に、閣議の中でこの種
委員会をどのようにすべきかという論議がかわされておるのか、そのようなことをあわせて御答弁をいただきたいと思います。