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1959-04-08 第31回国会 参議院 内閣委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年四月八日(水曜日)    午前十一時四十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     永岡 光治君    理事            松岡 平市君            山本 利壽君            千葉  信君    委員            大谷藤之介君            大谷 贇雄君            木村篤太郎君            中山 福藏君            野本 品吉君            堀木 鎌三君            前田佳都男君            増原 恵吉君            松村 秀逸君            伊藤 顕道君            森中 守義君            矢嶋 三義君            横川 正市君            石黒 忠篤君            八木 幸吉君   衆議院議員            岡崎 英城君   政府委員    内閣官房長官  赤城 宗徳君    内閣官房長官 鈴木 俊一君    内閣官房内閣審    議室長内閣総    理大臣官房審議    室長      吉田 信邦君    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君    総理府総務長官 松野 頼三君    総理府総務副長    官       佐藤 朝生君    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室長     増子 正宏君    総理府恩給局長 八巻淳之輔君    宮内庁次長   瓜生 順良君    行政管理政務次    官       濱野 清吾君    行政管理庁行政    管理局長    山口  酉君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁人事局長 山本 幸雄君    大蔵政務次官  佐野  廣君    大蔵大臣官房長 石野 信一君    大蔵省主計局次    長       村上  一君    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○一般職職員給与に関する法律等  の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○防衛庁職員給与法等の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○恩給法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○農地買収者問題調査会設置法案  (内閣提出衆議院送付) ○特別職職員給与に関する法律等  の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○行政機関職員定員法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○総理府設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○大蔵省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 永岡光治

    委員長永岡光治君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、昨日衆議院から送付されました内閣提出法律案につきまして、これより順次提案理由説明を聴取いたします。  まず、一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案について説明を求めます。松野総理府総務長官
  3. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) ただいま議題となりました一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由並びに内容概略を御説明申し上げます。  この改正案は、昨年七月十六日付の人事院勧告に基き、一般職国家公務員期末手当を増額し、俸給表改正を行い、あわせて一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律昭和三十二年法律第百五十四号)附則第二十三項の規定趣旨にかんがみ、現行暫定手当の一部を俸給繰り入れるとともに、これに伴う暫定手当の整理を行おうとするものであります。すなわち、  第一に、六月十五日に支給する期末手当の額を〇・一五月分増額して〇・六五月分とすることにいたしました。  第二に、現行の各俸給表について、初任給相当額の引き上げ及びこれに伴う俸給月額改訂を行い、若干の号俸について昇給期間をそれぞれ三月短縮し、一部の俸給表一等級について二号俸の新設を行うほか、あわせて、現行暫定手当のうち一級地に在勤する職員に支給される額に相当する額を俸給月額繰り入れ措置を行うことといたしました。  第三に、暫定手当について、その一定額俸給月額への繰り入れに伴い、その支給対象を原則として二級地以上の地域に在勤する職員とし、支給額算定基準をそれぞれ五%引き下げる等の改正を行うことといたしました。  この法律案は、以上の趣旨に基きまして、一般職職員給与に関する法律及び関係法律改正を行おうとするものでありますが、暫定手当一定額繰り入れによる俸給月額改訂部分は、実質的に本年十月一日から実施するよう措置するとともに、これに伴う暫定手当改正部分も同日から施行することといたしました。なお、その他の部分については、本年四月一日から施行することといたしておりましたが、衆議院におきまして、公布の日から施行し、本年四月一日から適用することと修正されております。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。   ━━━━━━━━━━━━━
  4. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 次に、防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案について説明を求めます。伊能防衛庁長官が事故がありまして見えられないということでありますので、特に前例としないということにいたしまして、特に会期の関係もありまして、代理として門叶官房長説明を許したいと思います。
  5. 門叶宗雄

    政府委員門叶宗雄君) ただいま議題となりました防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由並びに内容概略を御説明申し上げます。  この改正案は、今般提出されました一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案の例に準じまして防衛庁職員俸給額等改正し、また国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案が同じく提出されることに伴いまして任期制自衛官退職手当所要改正を行い、あわせて自衛官俸給等月額に改める等必要な措置を講じようとするものであります。すなわち  第一に、参事官等俸給表につきましては、一般職の例に準じて改訂を行うこととし、事務官等俸給表につきましては従前通り一般職適用される俸給表によることといたしました。  第二に、自衛官給与につきましても、一般職の例に準ずる改訂を行うこととし、俸給表並びに営外手当改訂を行いましたほか、現行日額表示月額表示に改めることとし、あわせて現行俸給額上あらかじめ控除されている恩給納金相当額俸給繰り入れ俸給からあらためて恩給納金を行う建前といたしました。なお、自衛官の諸手当につきましても籍と同様月額に改めることといたしました。  第三に、防衛大学校の学生に対する学生手当につきましても、初任給の引上げに対応して増額を行うことといたしました。  第四に、任期制自衛官に対する退職手当につきまして、公務災害により退職しまたは死亡した場合の最低保障額を引き上げることとし、また継続任用の回数がすでに三回以上に及ぶ場合の支給割合を改めることといたしました。  この法律案は、以上の趣旨に基き防衛庁職員給与法及び関係法律改正を行おうとするものでありまして、本年四月一日から施行することとし、国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律等に関連する改正規定は、その関連する法律施行の日から施行することといたしておりましたが、衆議院におきまして、公布の日から施行し、本年四月一日から適用することに修正されております。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。   ━━━━━━━━━━━━━
  6. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 次に、恩給法の一部を改正する法律案について説明を求めます。
  7. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) ただいま議題となりました恩給法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  戦没軍人遺族ならびに戦傷病者処遇の改善と老齢退職公務員処遇の向上につきましては、一昨年六月設置されました臨時恩給等調査会の答申に基づき昨年法律第百二十四号をもって公布されました恩給法等の一部を改正する法律により所要措置を講じた次第であります。  ところで、戦傷病苦恩給上の処遇につきましては、現在の傷病恩給は外形の症状に重点が置かれ、内部疾患については軽視の傾きがあるとの同調査会からの御指摘がありましたのにかんがみ、昨年三月以来傷病恩給症状等差調査のため、専門家の会同をわずらわし検討をお願いしておりましたが、その結果が同年九月三十日政府報告されましたので、政府は今回、この報告をもととして傷病恩給に関し必要な法的措置をとろうとするものであります。  その第一点は、内部疾患査定基準を定めようとするものであります。肺結核、精神障害等のいわゆる内部疾患につきましては、従来、恩給法別表第一号表ノ二または同別表第一号表ノ三に掲げる精神的または身体的作業能力の制限という抽象的な規定を類推解釈して妥当と認められる増加恩給または傷病年金給与して参ったのでありますが、これら従来の内規あるいは裁定例を再検討し、ここに近代医学の観点から合理的な基準を明白にすることによって、症状実態に即する適切なる給与を行うことができるようにしようとするものであります。  その第二点は、有期増加恩給または傷病年金期間「五年」を「三年以上五年以内の期間」に改めようとするものであります。現行法におきましては、増加恩給又は傷病年金裁定をするにあたり、内部疾患のように、長期的にみて症状に動きのあるものにつきましては、五年の期間を定めた恩給給与し、五年目ごとに再調査をするという措置がとられておりますが、今日のように医学の進歩に伴い、内部疾患の療法が変化し、疾病の経過が長いもの、短いもの等、多極多様の形をとっているときに、すべての疾患について五年を単位として恩給を給することは、実情にそぐわないものがあります。そこで、恩給査定が常に疾病の消長に対応するようにするため、不具廃疾程度に変動のあるべきことの認められるようなものについては、三年以上五年以内の期間を定めて合理的な恩給を給することができるように改めようとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及び概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。  なお、この法律案につきましては、衆議院において自由民主党提案により修正が加えられ、有期傷病恩給期間については現行通りとするとともに、生殖機能を廃した者については退職後の養子についても家族加給対象とされましたので、申し添えます。   ━━━━━━━━━━━━━
  8. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 次に、農地買収者問題調査会設置法案について説明を求めます。
  9. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) ただいま議題となりました農地買収者問題調査会設置法案についてその提案理由を御説明申し上げます。  戦後のわが国の農業生産力の発展に対して、農地改革の寄与しておりますところは、まことに大きいのでありますが、反面、これが非常に大きな社会的変革でありましたために、従来の社会的経済的基盤が大嶋に変更され、その際農地買収された者に関してもいろいろな社会的な問題が起っていると思われます。  言うまでもなく、農地改革は、正当な法律に基いて正当に行われたことであって、これを是正する意味における補償考えられないのでありますが、現行農加法の問題とは別に、この農地改革の副次的結果ともいうべき被買収着に関する社会的な問題について、その実情を明らかにするとともに、要すれば所要措置を講じて参りたいと存ずる次第であります。  以上申し上げましたような見地から、この際、総理府に、その附属機関として、農地買収者問題調査会設置し、広く各界の学識経験者の意見を聞き、農地改革により農地買収された者に関する社会的な問題を調査、何らかの措置を講ずる要があるかいなかを審議することといたしたいのであります。  次に、本法律案概要を御説明申し上げます。農地買収問題詞益会の任務は、内閣総理大臣の諮問に応じ、農地改革により農地買収された者についての社会的な問題を調査審議することであります。  調査会は、二十人以内の委員で組織することとし、さらに十人以内の専門調査員及び十人以内の幹事の設置考えております。  調査会調査審議は、おおむね二年を目途にその結論を得たい考えのもとに、この法律有効期限を、昭和三十六年三月三十一日といたしております。  以上が、この法律案提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の十、すみやかに御可決下さいますようお願いする次第であります。
  10. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 次に、特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案について説明を求めます。佐藤大蔵大臣予算委員会出席をいたしておりまして、本委員会出席困難の旨報告がありましたので、特に、佐野大蔵政務次官代理としての説明者として認めたいと思います。
  11. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) ただいま議題となりました特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、提案理由とその概要を御説明申し上げます。  政府は、今回、一般職職員につきまして、昭和三十四年十月一日以降暫定手当の一部を俸給繰り入れ措置を講ずることとし、別津所要法律案を提出して御審議を願うことといたしているのでありますが、この法律案は、これに伴い、従来より一般職職員との権衡を考慮してその俸給が定められております秘書官につきまして、同様に暫定手当の一部を俸給繰り入れるとともに、その他の特別職職員につきましても、恩給もしくは退職手当または国家公務員共済組合に関する法令の規定適用に当って、その受ける暫定手当の一部を俸給とみなすこととするほか、特別職職員給与に関する法律適用範囲を定める規定につき若干の改正を行おうとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成下さいますようお願いいたします。   ━━━━━━━━━━━━━
  12. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 次に、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案について説明を求めます。山口行政管理庁長官が出張中でありまして、当委員会出席不可能でありますので、特に許しまして、濱野行政管理政務次官代理を認めます。
  13. 濱野清吾

    政府委員濱野清吾君) ただいま議題となりました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案提案理由について御説明いたします。  今回提案いたしました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案は、昭和三十四年度における各行政機関事業予定計画に即応して、必要やむを得ない事務増加に伴う所要増員を行いますとともに、業務縮小等に伴う余剰定員の縮減を行いまして、行政機関全般定員適正化をはかろうとするものであります。  次に、法律案内容について申し上げますれば、今回の改正によりまして、第二条第一項の表における各行政機関職員定員合計六十七万四千百四十四人に対しまして、結局五千五百十七人を増加いたしまして、合計六十七万九千六百六十一人といたしました。  増員及び減員内容につきましては、別に詳しく御説明いたしますが、増員のおもなものといたしましては、科学技術庁附属の研究所の整備拡充等に伴うもの二百三十七人、国立大学学年進行、学部の増設等に伴うもの六百二十六人、郵便取扱業務量増加に伴うもの二千五十五人、電気通信施設拡張に伴うもの千九百十七人、道路事業増加に伴う増三百八十人等がありますが、いずれも業務増加拡張に伴う必要やむを得ないものであります。  なお、事業計画に伴い減員となるおもなものといたしましては、郵政省の電信電話業務日本電信電話公社の直轄に移管することに伴うもの五百八十七人、調達庁の行なっております駐留軍施設等提供業務の減少によるもの三百二十人等があります。  次に、この改正法律は四月一日から施行することといたしております。  以上がこの改正法律案のおもな内容であります。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  14. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記をとめて。    〔速記中止
  15. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記を起して下さい。  次にただいま説明を聴取いたしました法律案のうち、恩給法の一部を改正する法律案及び行政機関職員定員法の一部を改正する法律案につきましては、衆議院におきましていずれもその内容相当修正が加えられておりますので、衆議院内閣委員会代表者から、修正趣旨説明を聴取いたしたいと存じます。衆議院議員岡崎英城君。
  16. 岡崎英城

    衆議院議員岡崎英城君) 恩給法の一部を改正する法律案に対する衆議院修正部分について、御説明を申し上げます。  その要旨は第一に、改正案が、恩給法第五十条に規定する有期増加恩給及び傷病年金について、その期間五年を、三年以上五年以内に改めようとするものでありますが、これを従来の通り五年とするため、その改正部分を削除しようとするものであります。傷病関係恩給におきまして、いわゆる内部疾患に対する従来の裁定基準が、症状実態に即して適切でなかった点を改めようとするならば、その裁定基準を明らかにすれば足りるのであって、有期増加恩給及び傷病年金期間五年を、三年以上五年以内に改めることは意味をなさないと信ずる次第であります。ことに、現在、五年の期間中に傷病程度が重くなれば、さらに裁定を受けなおすことができるのでありますから、第五十条の改正部分は全く必要がないと考えまして、これを削除いたした次第であります。  第二は、増加恩給受給者扶養家族加給に関する点であります。第二十八回国会における恩給法の一部改正によりまして、増加恩給受給者については、退職後出生した未成年の子でありましても、四人までは、その受給者によって生計を維持するか、またはこれと生計をともにしていれば、扶養家族として加給が認められるようになったのでありますが増加恩給受給者の中には、公務による傷痍、疾病によって生殖機能を廃し、やむを得ず養子縁組を結ぶ例が少くありませんのでこれらの者については他に未成年の子がない場合、退職養子縁組した未成年の子も、これを一人に限り、扶養家族として、本年四月分よりその加給が受けられるよう、恩給法第六十五条を改正しようとするものであります。  第三は、施行期日につきまして、改正案昭和三十四年四月一日となっておりますのを、すでに四月一日を過ぎておりますので、これを公布の日とし、四月一日から適用するとするものであります。  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に対する衆議院修正部分について御説明申し上げます。  御承知のように、現在行政機関職員定員法ワク外にある常勤労務者中、その職務の性質及び勤務の実態において、定員法上の職員とほとんど異ならないものが多数に上っておりますが、これらの定員外職員定員化問題は、去る第二十二国会以来の懸案事項でありますので、昨年に引き続き本年も可能な範囲定員化をはかろうとするものであります。  その要旨は、第一に、今回定員化することになる五千四百名の増員は、行政機関職員定員法に基くものでありますが、その総数の中には、農林省統計調査部職員百名の優先配分及び地方自治法附則第八条に基く職員をこれに含むこととしております。ただし、各行政機関別配分については、これを政令にゆだねることにしてあります。  第二に、四月一日の施行期日公布の日に改め、適用を本年四月一日とするものであります。
  17. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 次に、総理府設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。政府側出席は、松野総理府総務長官佐藤総理府総務剛長官吉田総理府審議室長瓜生宮内庁次長山口行政監理局長説明員として、萩原自治庁固定資産税管理官村上労働省労災補償部長、なお、八木委員からは官房長官出席を要求されておりますが、官房長官はただいま参議院の本会議出席中でありまして、午後一時半以後ならば出られるとのことでありますが、なお委員長において至急出席方を催促いたしている実情でありますので、お含みおきをいただきたいと思います。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて下さい。   [速記中止
  18. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記を起して下さい。
  19. 八木幸吉

    八木幸君 今度の総理府設置法の一部を改正する法律案の中で、訴願制度調査会設置のことでありますが、現在の訴願制度実態訴願法運用状況等を、どなたか政府の方に一応御説明をいただきたいと思います。
  20. 山口酉

    政府委員山口酉君) 現在の訴願法は、明治二十三年に施行されましたものでございまして、非常に古い立法でございます。戦後行政訴訟につきましては、法制が変りました関係で、訴願行政訴訟先願主義をとっております関係上、いろいろと問題が起っているのでございます。それで、今回は、最近の行政訴訟制度改正に関する法制審議会審議状況にかんがみまして、これが相当結論近くなっている模様でございますので、それらと調整をとった訴願制度を作る必要があるというような考えから、今回専門的に知識を持っている学識経験者の方々にお集まりいただきまして、問題点を検討して基的本な方針を打ち立てたいという理由で、今回提案をし、御審議を願った次第でございます。  現在実際に行われております訴願制度実態でございますが、これはただいままだ十分に調査ができ上っておりませんけれども、件数といたしましては、二十五年一月から三十年の十月までの調査資料によりますと、四十一万九千件余でございます。一番多いのは、税法関係訴願でございまして、これが三十七万九千ございます。次は、旧自作農創設特別措置法関係で約二万、それから社会保険法関係が一万一千、その次は戦傷病者遺族等の援護に関するものが二千五百、公職選挙法関係が二千五百というようなものが主たるものでございます。
  21. 八木幸吉

    八木幸吉君 そこで、今伺っておりますと、税務関係等大蔵省関係のものが四十一万九千のうち三十七万九千で、ほとんど大部分を占めているわけでありますが、現在大蔵省にあります関税訴願審査会、これでこのうちどれくらい処理しておりますか。
  22. 山口酉

    政府委員山口酉君) ただいま手元にございます資料では、その内訳は不明でございます。
  23. 八木幸吉

    八木幸吉君 今度できます訴願制度調査会と、現在あります関税訴願審査会との、何と申しますか、片一方は根本的なものを調査するということなんでしょうが、仕事の分担はどういうふうになりますか。
  24. 山口酉

    政府委員山口酉君) 関税訴願審査会訴願制度の一つでございますが、今度の訴願制度調査会におきましては、全部を含めた全体の問題につきまして、今までいろいろ問題点が出ております。従来の訴願法では、不明確な点が列挙主義をとっておりますけれども、その解釈にいろいろ疑問な点がございます。さらに訴願裁決書につきましても不明確な点がございます。そういうふうな問題とか、さらに教示制度をとるかどうか、教示制度と申しますのは、訴願することができるということを行政処分の際に通告をする、教える制度でございます。そういうふうな制度をとるかどうかというようなことにつきまして、いろいろと論議がございます。そういう根本的な問題につきましては、すべて関税関係も含めまして訴願制度調査会でやりたいという考えでおります。
  25. 八木幸吉

    八木幸吉君 現在の四十一万九千の中で、約十九万八千が訴願が認められた、訴訟に持っていったのがその中で約二千五百件、残りの二十一万は却下もしくは取り下げた、こういうふうに私が調べてもらったのではなっておるのですが、この訴願を認めるとか、訴訟に持っていくとかといったのが、一体税関係ではどこでそれをやるか、あるいは自作農の関係ではどこでそれを決定するか、簡単でけっこうですからお教えを願いたいと思います。
  26. 山口酉

    政府委員山口酉君) 現在の行政事件訴訟特例法によりますと、訴願前置主義をとっておりますので、まず訴願を起してから、その裁決を得たのちに訴訟を起すということになっております。
  27. 八木幸吉

    八木幸吉君 たとえば税金の問題だったらどこがそういうことを却下するとか、取り上げるとかはどこがそういうことをするのですか。
  28. 山口酉

    政府委員山口酉君) 税金の問題は国税庁でございます。
  29. 八木幸吉

    八木幸吉君 自作農は……。
  30. 山口酉

    政府委員山口酉君) 農林省です。
  31. 八木幸吉

    八木幸吉君 農林省のどこがやるのですか。    〔委員長退席、理事松岡平市君着席〕
  32. 山口酉

    政府委員山口酉君) 本省は農地局でございます。
  33. 八木幸吉

    八木幸吉君 大臣の名前でやりますか。
  34. 山口酉

    政府委員山口酉君) 農林大臣です。
  35. 松岡平市

    ○理事(松岡平市君) 発言を求めて発言して下さい。
  36. 八木幸吉

    八木幸吉君 私の質問はこれで終ります。
  37. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 総理府に二、三お伺いしたいと思いますが、昨年の十二月十五日に行政審議会が答申をされておりますが、その内容を見ますと、いろいろ総理府に対して該当する面があるわけですが、その一つに、なるべくすみやかに任務々完了して廃止することを適当とする、こういうものの中に、特殊上じょう地帯対策審議会、それと離島振興対策審議会、さらに台風常襲地帯対策審議会、これらのものはいずれもすみやかに、なるべくすみやかに任務を終了して廃止することを適当とする、こういう同じ政府の機関である行政審議会からそういう答申がなされておるわけです。これを受けて総理府としていかような措置をお考えか、ここに明確な態度をお聞きしたいと思います。
  38. 佐藤朝生

    政府委員佐藤朝生君) ただいまお話しの特殊土じょう地帯対策審議会、離島振興対策審議会並びに台風常襲地帯対策審議会、この三つの審議会につきましては、法律におきまして期限がついておりますものもございますし、また期限のついていないのもございますが、この審議会の答申を検討いたしまして、期限のついておりますものは別といたしまして、なるべくすみやかに廃止することにしたいと思っております。
  39. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 なるべくすみやかは、けっこうでございますが、この答申は昨年十二月十五日の答申であって、それからもうだいぶたっておるわけですね。その間手をこまねいて何も検討しなかったのか。そういうことはないと思うのですが、これはやはり同じ政府の機関である行政審議会が、同じ政府の機関である総理府に対しての、こういう関係面だけ総理府がこれを受けとめて忠実に検討したいと思うのですが、で、お言葉によると、中には期限のついたものもあるし、ないものもある、ただそういうことだけではどれがどれかさっぱり見当つかぬのですが、もう少し具体的に明確に責任ある態度を伺いたいと思います。一つ一つについて。
  40. 佐藤朝生

    政府委員佐藤朝生君) 特殊土じょう地帯対策審議会は法律によりまして、三十七年七月三十一日までの期限付になっております。離島振興対策審議会は三十八年三月三十一日までの期限がついております。それから台風常襲地帯対策審議会は三十七年度限りということになっております。
  41. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そうしますと、行政審議会としてはなるべくすみやかに任務を完了してということで、そのなるべくすみやかがどのくらいの期間ということは具体的にはないわけですけれども、結局その意を受けてなるべくすみやかに任務を終了してそして廃止する、そういうことで具体的にいつまでということは言わないのですが、結局重ねてお伺いしますが、総理府としてはこの行政審議会の答申を尊重されて、この意に沿って極力努力して早く廃止する、そういう方向に努力すると、そういう明確な態度がきまっておるのかないのか、これから検討するのか。先ほどのお言葉では、そういう態度がまだきまっていないはずですね、先ほどの御答弁ではこれから検討してきめる、従ってここではまだ態度がきまっていないと思うのですが、そこがまことにあいまいなんですが、そこを明確にお伺いしたいと思うのです。
  42. 佐藤朝生

    政府委員佐藤朝生君) 行政審議会から答申が出ましたので、これを検討いたしまして、この答申を尊重いたしまして、なるべく早く措置をいたしたいと思います。
  43. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 同じく行政審議会の答申の中で総理府関係の面を拾ってみますと、以下申し上げます三つの審議会は一つの審議会に統合するを適当とする、こういう意味の答申がなされておるわけです。国土総合開発審議会、それと東北開発審議会、これは同じく総理府関係だと思いますが、それから北海道開発審議会、これは言うまでもなく北海道開発庁の関係ですね、他省庁と関係があるのですが、この三つは行政審議会としてはとにかく一つの審議会に統合するを適当とする、そういう答申がなされておる。これは言うまでもなく行政の簡素化、こういう精神から出ておると思うのですが、そこでこれは北海道開発庁が関係してきますから、相当緊密な連係をとって、この精神に沿うべく統合されるのが適当と思うのですが、行政審議会の答申を尊重されるならば、当然これは統合されなければならぬと思う。そこで、総理府の態度はこれをいつごろ統合されようとするのか。これはもうすでに相当日時もたっておるし、北海道開発庁とも緊密な連係がとれておると思うのですが、現段階でどのようなところまで進んでおるのか、その点を明確にお伺いしたいと思います。
  44. 佐藤朝生

    政府委員佐藤朝生君) ただいまお話しの国土総合開発審議会、東北開発審議会、北海道開発審議会、前の二者はお話しの通り総理府設置されております。最後のものは、北海道開発庁に設置されておりますが、これらの審議会は、御承知の通り、いずれも議員提出の法律案でできておりまして、その統合につきましても、種々また検討すべき点もあると思いますので、目下検討中でございます。
  45. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この三つの審議会を統合するのが適当だという答申を出したのは行政審議会、昨年の十二月十五日ですね。ところが、その後今次国会において九州開発審議会、これができたわけですね。これもその当時できておれば、おそらく行政審議会としては四つの審議会を統合するを適当と認めると、そういう意味の答申があったろうと思うのです。昨年答申の際は、まだ九州開発審議会は最近の成立ですから、当然それには触れてないわけですが、総理府としてはどういうふうにお考えなのか。また、このことについては行政管理庁としての態度も、それに対する所見もはっきりしておると思いますので、あわせてお答えいただきたいと思います。
  46. 佐藤朝生

    政府委員佐藤朝生君) ただいまお話しの九州開発審議会は、このたびの国会政府提出で経済企画庁に設けようといたしまして、衆議院におきまして修正されて総理府設置されるように変ったものでございますが、これらにつきましても、この行政審議会の答申のあります三つのものと性質は同じようなものでございますが、これはまたこの三つの統合ということと関連しまして将来検討してみたいと思います。
  47. 濱野清吾

    政府委員濱野清吾君) 同じような性質でございますので、私の方としては早く統合していただきたいのでありますけれども、しかし地区の事情によりまして北海道を許し、東北を許し、九州を承認しないというわけにはい幸ませんので、ただいま総理府からお答えのようにある機会をとらえて検討してみたい、こういう考え方から一応私の方といたしましては承認したような次第でございます。
  48. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 時間の関係もございますので、最後に一点お伺いしますが、同じく行政審議会の答申の中で、総理府関係の面を見ますと、委員公務員が多過ぎるから、次のような二つのうちどれかの措置をとるのが適当だとして、その一つの措置というのは、行政部内で処理するのが適当であろう、よしそういう措置をとらないならば、委員の構成を再検討すべきである、こういうことについての恩給審査会があるわけですね。総理府としては、この恩給審査会をもう十分御検討になったと思いますが、どういう態度をとっておられるか、これを明確にお伺いしたいと思います。
  49. 佐藤朝生

    政府委員佐藤朝生君) 恩給審査会につきましては、行政審議会の答申にあります通り公務員が半分くらいを占めておるわけでございますが、これにつきましては検討いたしまして、公務員外の方から委員を任命するように目下委員の選考中でございます。
  50. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 今の点重ねてお伺いしますが、そうすると行政部内で処理されるのではなくて、委員の構成を再検討して、今大体公務員が二分の一ほど占めておる、それを減らして他の適当な者を入れる、そういう意味に解釈していいわけですね。
  51. 佐藤朝生

    政府委員佐藤朝生君) 今お話しの通りでございまして、これは恩給に関するいろいろの訴願をここで審査するところでございますので、やはりこういう委員会が必要だと思いますが、行政部内で処理することは不適当と思いますので、やはり恩給審査会を存続しまして、委員の構成を再検討いたしたいと存じております。
  52. 横川正市

    ○横川正市君 先ほどの伊藤委員の問題と関連をするわけなんですが、国土開発総合審議会と各地方ごとにできている審議会との関係を、行政上はどういうふうに措置するわけですか。国土開発でやる分と、それから各地方ごとに作られている審議会との業務内容、それから予算の内容、それから実際上の仕事の内容等について、どうなっておるのかお教え願いたいのです。
  53. 佐藤朝生

    政府委員佐藤朝生君) 国土総合開発審議会の方は国土全般を見まして、また地域的にやっておるところでございますが、東北開発審議会等地区別のものは、その地区に関する開発をやつておりますので、少し見地が変ったことで審議会を作っております。
  54. 横川正市

    ○横川正市君 これは最近本会議で、四国地方の特別開発審議会の決議案が上程されて、これは満場一致になっておるわけですが、そうなってくると、その次には今までない地方の開発計画が出てくる、こういうことになると、全部これは許可する方針ですか。それともこれ以上は困りますということですか、どういう方針なんですか。
  55. 濱野清吾

    政府委員濱野清吾君) やはり、地方には地方の特殊事柄もございましょうし、わが国の南と北は相当いろいろな意味において異なる点があろうかと思いまするけれども、私は東北開発とか、あるいは九州とかいうようなものは、やはり国土総合開発の審議会の中に含むことが、私どもの役所の建前から見れば適当ではなかろうか。その中で各地区々々の特殊性を生かして十分御検討を願う、こういうことが私の方の役所の立場としては望ましい、こういうことを考えておるわけであります。
  56. 横川正市

    ○横川正市君 将来どうするのですか。
  57. 濱野清吾

    政府委員濱野清吾君) ですから将来は総理府のおっしゃいますように、国土開発の中に一つにまとめ、そうして十分その中で御研究を願う、こういうふうにしていただきたいものだと考えております。
  58. 横川正市

    ○横川正市君 この総理府設置法にそれぞれ出しております六つを検討いたしますと、皇居の問題と訴願制度の問題については、それぞれ一年、それから固定資産制度が二年、税制調度会が三年、産業災害防止対策審議会が五年と、こういうふうに期間を置いて審議会が設置されておるようでございますが、そのうち固定資産制度、税制というようなことになりますと、おのずとその内容は、私は学識経験者の分野からいきましても、大体同種系統の経験者を必要とすることになるのではないかと思われるわけですが、まあこの必要の度合いに従い、また困難の度合いに従いきめられたと思うのですけれども、その点についてもう少し期間を短縮するとか、あるいはこの委員の構成について、少くとも重複にならないいわば一本化されて能率が上るように、こういうような方法でこの委員会を持つことがいいのではないかと思うのでありますが、それぞれその特殊事情について御説明願いたいと思います。
  59. 佐藤朝生

    政府委員佐藤朝生君) ただいま、今度設置いたします審議会の存続期間委員構成等につきまして、御質問がございましたが、ただいまお話がございました固定資産評価制度調査会と税制調査会関係等につきましても、御質問がございましたが、固定資産評価制度調査会は固定資産の評価の問題を、土地の評価の問題をやる非常に専門的な委員会でございまして、税制調査会はこれは税制全一般のことをやりますので、大きな重要問題をやりますこの二つは、重複いたさないと思っております。片方は、固定資産評価制度調査会は、もちろん専門的な調査会でございますので、税制調査会と重複することはありませんし、またこの問題、税制調査の問題も、また固定資産評価の問題も、相当困難な問題を含んでおりますので、二年、三年という期間は必要であると考えておる次第でございます。また委員の人選につきましてもお話がございましたが、ただいま申し上げました通り、固定資産評価制度調査会の方は専門的な調査会でございますし、税制調査会とは委員の人選につきましても重複しないと思いますし、また重複しないように人選いたしたいと思っております。
  60. 横川正市

    ○横川正市君 固定資産の評価ということになれば、経済的なその地方の状況、それから産業の状況あるいは人口の稠密度合い、消費の問題、いろいろなことが重なって、同じ家を持っておっても、その評価額というのは変ってくるわけですから、そうなると、この地方でこの固定資産はどれだけの税を取り立てるのが正しいのだ、こういうことを判断をするとすれば、これはそれぞれの地方ごとにおのずと異なった判断が必要になってくると思うのでありますが、どういう尺度を作ろうとするわけですか。
  61. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) かわってお答え申し上げます。土地の評価、家屋の評価につきましては、税法では大体時価によるということになっておりますが、時価の観点をいかなるものをもって計るのが適当であるかということに関しましては、いろいろな議論も、従来も議論の多かったところでございます。それらにつきまして、戦前は結局時価主義というものから賃貸価格主義に、しばらくの間移っておったというような経緯もございます。従ってこの時価の評価について、賃貸価格等を基準とした評価がいいのか、あるいは現行通りの売買価格というものを基準とした評価がいいのかという問題がございます。と同時に、またこの地方の固定資産の評価につきましては、終戦前後を通じまして、いわば停止価格と申しますか、公定価格的なものができておりました関係上、政府関係の評価は、かなり、そういう意味で低目なものが多いわけでございます。それが現実の売買取引の実例等とはかなり隔離しております。それからしかも、現在のところこの評価に関係いたしますことが、固定資産税については、自治庁関係の各地方団体がやっておるわけでございます。国税の相続税の評価というような点に関しましては、国税庁がやっておる、それから登録税の評価につきましては、法務関係のお役所でおやりになるという形で実は三本が、三つの評価が、ある場合にはかなり相違うものになってきておるというような実情から申しまして、できればこれらの評価、固定資産税、相続税また登録税、こういったものの評価を同じ政府なり地方団体がやるものでございますから、できればそれを統一ある思想のもとに統一して評価が行われるようにいたしたい、そういう意味で従来の、現在の評価額というものが現実には非常に大きく左右するわけでございますが、あるべき姿としてどういう評価をしたらいいかということを検討して参りたいというのが、この固定資産の審議会を設置いたそうというゆえんでございます。
  62. 横川正市

    ○横川正市君 これはもう一般制度上、固定資産の評価ということについては、非常に、全くまちまちと言えばいい言い方であってもうきわめてでたらめと言えばでたらめとも言える現行制度をとっているのじゃないかと思うのですよ。ことに私は、これはたとえばバス一本通れば地価がとたんに値上りいたします。それはそういう経済状態の影響ですから、それがその売買契約なり所得に従ってこれは私は税がかけられるだろうというふうに思うのです。しかし、今たとえばこれを担保に入れて物を借りる場合の評価ということになれば、そのときはその周囲の状況によって評価されて、担保の物件としての効果を上げるわけですが、それが税を徴収するということになりますと、どうもやはりぴたりとこれは幾らだ、だからこれについてはこれだけの税だというふうなきめ方を、私はされておらないと思うのです。そういう点では、やはりあまり人為的にあるいは人間の考え方だけで判断をするのではなしに、何かこう決定のできるいろいろな条件というものが一様にきまっておらないと、北海道から九州までのそれぞれの地方における固定資産の価格の決定というのはむずかしいのじゃないだろうか、こういうふうに思っておるわけなんで、それをどういうふうにやろうとしているのか、どういう尺度でやろうとしているのか。その点を一応審議の目標にしておるから、今は結論を待たなければわからんということになればそれまでですが、当局としてはその点どう考えられて、委員会にいろいろ諮問されるわけですから、その諮問の態度はどうなのかということをお聞きしたいわけです。    〔理事松岡平市君退席、委員長着席〕
  63. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) 土地の評価制度につきましては、戦前におきましては国税関係で統一してやっておりまして、大体十年に一ぺん全国的に調査をいたしまして、農地なら農地あるいは宅地なら宅地というそれぞれの性質によりまして、全国的に均衡のある評価方法を定め、そうしてそれに基いて実地に応じた評価をやっておりました。それが台帳、土地台帳というものに乗っかって、そうして特殊な変革のない限り一応税の標準としてはそれをとる、しかしそれは長い間に、ただいまのお話しのように、道路一本作っても土地の値段が違って参りますので、大体十年に一ぺん全国的な調査をやるというようなことできておりました。現在固定資産の課税標準といたしましては、一応地方団体が評価するということになっておりますだけに、中央でまたいろいろと通達を出して評価方法をきめたりいたしておりますが、なかなかこれも統一のある評価制度ということに、評価というものに現実にはなってきていないというような実情もありますので、現在の地方団体が課税する固定資産というようなものの立場も考慮しながら、どういう制度調査をし、そうして均衡のある固定資産の評価ができるかという道を見出そうというところでございまして、過去の例あるいは外国の例等もさらに検討いたしまして、今考えられる最善の方法を見出したいという意味では、結論はまだ出ておりませんが、そういう希望をもってこの審議会にお諮りいたしたいと考えておる次第であります。
  64. 横川正市

    ○横川正市君 この六の産業災害防止対策審議会なんですが、おもにこの災害の直接の被害者というのは勤労層、労働者の方々に非常に多いわけですね。これは労働省関係の労働災害の担当の行政機関と、それからこの総理府の対策審議会との関係はどういうふうに保っていこうとされておりますか。
  65. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) これにつきましては、主たるものは労働省の関係でございますが、鉱山関係につきましては通産省の所管にもなっておりますし、また、消防等の管轄している問題もいろいろございます。そういう意味におきまして、総理府設置して、関係各省が協力して御意見を伺い、いろいろ資料も作成し、この審議会において品薄の方策を御審議いただくようにいたしたいという考え方でございまして、一応これは、前にも問題になりました庶務は、これは一応労働省でやることになりますが、実際問題の調整的な事務審議室において取り運んで、当審議会の目的に合致するように考えておる次第でございます。
  66. 永岡光治

    委員長永岡光治君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  67. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記を始めて下さい。
  68. 横川正市

    ○横川正市君 これは災害の度合いから見ると、死傷者数七十一万、損害にいたしますと、一千五百億というような非常に国の損失の度合いというものは高いわけです。それを、なるほどこれはむずかしい問題ですから、相当対策委員会としては時間もかけてその本質をきわめたいというその意向はわかるわけなんですが、ところが、これは予算は三十五万円です。それから期間は五年間、学識経験者三十人を動員する、これは災害の度合いと見合って考えてみますと、いかにもおざなりの対策になりそうな気がするのですが、これで十分だとお考えになっておりますか。
  69. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) 詳細は労働省の方からお答えさせていただきますが、災害防止に関する具体的な経費は、労働省と各省にそれぞれの所管に応じてせられております。この三十数万円のあれは、委員会の運営に直接必要な経費、委員手当とか、会議費とか、そういうような程度のものを計上してございます。
  70. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 次に、一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  これより三案を一括して質疑に入ります。政府側の御出席は、松野総理府総務長官佐藤総理府総務副長官、増子公務制度調査室長、防衛庁からは、山本防衛庁人事局長、あと間もなく佐藤大蔵大臣佐野大蔵政務次官村上主計局次長、洋本給与課長、伊能防衛庁長官門叶官房長、淺井人事院総裁、瀧本給与局長が見えられることになっております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  71. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 総理府と人事院にお伺いしたいと思いますが、まだ人事院は見えていないようですから、総理府の一方からまずお伺いしたいと思います。昨年の七月十六日に、人事院から内閣と国会に対して勧告が行われたわけですが、それ以来、政府といたしましては公務制度調査会を中心にしてこれを検討された、そうして一月二十二日の次官会議結論を出された、これが本法であろうと思いますが、その内容を見ますと、大体初任給の引き上げとか、あるいはまた一部昇給期間の短縮、また夏期手当を〇・一五増額する、暫定手当五%の本俸繰り入れ、こういう四つの柱から大体成り立っていると思うのですが、これをしさいに検討いたしますと、この改正案は国家公務員法ともからんでいるし、共済法、定員法とともに、政府がいわゆる公務員に対するいろいろな意味の攻撃がある、こういうふうに私どもは解釈せざるを得ないわけです、この内容から推して。これに対して公務員といたしましては、前々から現行の職階制の賃金体系に対して強く反対したことは長官もよく御承知だろうと思う。ところが、こういう職階制の賃金体系を強く反対してきたその攻撃を政府がかわすために、部分的に緩和をしてそうして一部を是正しておるというような点。それから、今回は国家公務員としては一律三千円のベース・アップを強く要求しており、今申した職階制賃金体系の打破、この二つを二本の柱として強く要望し、強く要求してきたと思うわけです。これに対してわずか〇・一五の期末手当というところに攻撃をそらして、これをとにかくごまかそうとするような意図が明白に言えるわけです。これが大体政府のねらうところであろう、こういうふうに私どもは一般的に見て言えるわけです。これに対して総理府総務長官としての責任ある御答弁をいただきたい。
  72. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 御承知のごとく給与の問題に対しては、いろいろな議論がございます。政府もいろいろ部内におきましては議論をいたしておりますが、人事院という存在を尊重いたしますならば、人事院の勧告というものを中心に俸給というものを扱うことが一番妥当である、こう考えておりますので、あるいは過去におきまして、人事院の勧告を完全実施しなかったということによって紛争したこともございますし、そういうすべてのことを考えて、人事院というものの存在と権威を強くし、同時に人事院の勧告は双方ともにこれを尊重するということが、一番今後の公務員のすべての問題に対する最前の道だと考えまして、七月十六日の勧告が出ましたので、昨年の期末手当につきましても御承知のごとく予算の範囲内でその勧告を完全に実施し、ことに本年は当然これを予算化することが妥当だと考えまして、給与の一部改正ということでやったわけで、これは昨年の七月十六日の人事院勧告が出まして以来、昨年度三十三年度の期末及び三十四年度と、ともに一貫した政策をこの法案として提出したものであって、人事院の存在を漸く、しかも、公務員と政府というものの間にいさかいがあってはならないという意味からでありまして、いろいろ両方に意見はございましょう。両方の意見をしんしゃくした結果、人事院の勧告を尊重することが今後とも私は一番妥当と考えて、昨年実はすでにその一部をやったわけであります。昨年は予算内でやりましたが、今回は法律案で正式に出す。これは一貫したものでありまして、突然としてこの問題を出したものではありません。
  73. 永岡光治

    委員長永岡光治君) なお防衛庁からは門叶官房長、それから人事院からは瀧本給与局長が見えました。
  74. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 それでは各項目に分けて逐次お尋ねをしたいと思いますが、人事院、総理府それぞれ該当の立場から御答弁をいただきたいと思います。  まず初任給の引き上げの問題ですが、まずお伺いしたい点は、なぜ本格的な賃金引き上げをやらなかったのか、こういうことです。ここ数年来ほとんど人事院は本格的な賃金の引き上げを勧告しておりませんし、また、これを受けとめた政府も本格的な賃金引き上げについては非常に冷淡である。今回初任給の引き上げ、これは表面まことにりっぱなように見えますが、これをしさいに検討いたしますと、その内容が非常にごまかしのものであることが明白になっておるわけです。たとえば初任給の引き上げ等、その内容を見ましても、給与費のわずか二・三%の引き上げにすぎないということ。それから人員の面で見ても、五八・一一九%、これは大体二分の一の程度ですが、こういうわけで結局一部のものの初任給の引き上げということであって、全体には決して潤いがいっていないわけです。なぜ大幅な本格的な賃金引き上げをやらないのか、これは人事院はなぜそういう勧告をしなかったのか、これを受けとめた政府は、なぜそういう当然やらなければならない賃金引き上げをやらないのか、こういう点を明確にしていただきたいと思います。
  75. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 人事院からお答え申し上げます。昨年の人事院の報告におきまして述べておりまするように、人事院は一般行政職につきましては、なるほどこれと対応いたしまする民間の給与というものは八%程度上るということを報告でも述べておるのでありまするけれども、公務員の中には、給与水準の高いものもありまして、それらをあわせ考えますときに、民間との全体的バランスにおいておおむね四%程度公務員の方が低い、このように判断いたしたのであります。公務員法によりますると、五%以上人事院が公務員の給与を引き上げまたは引き下げる必要があるときには勧告をいたすということになっておるのでありまするが、まあ人事院はこれを四%程度というように判断をいたしたのであります。しかしながら現に初任給におきましては、相当公務と民間との間に格差があるこのような事情もございまするので、その点を是正するということは喫緊の要務であるというように考えまして、初任給の引き上げということを勧告をいたしたのでありまするが、これと同時に、初任給だけ引き上げればそれでよろしいというわけには参りません。公務の中のバランスもございまするので、初任給並びにそれに続きます号俸給与を受けております公務員の給与というものは、やはり全体としてバランスをとる必要があるというので、おおむね一万七千円程度までこれを漸次是正するという措置をいたしたのであります。ただいまお述べになりましたように、おおむね初任給並びにこれに続きまする公務員の半数というものは現在公務の中で低い、上下に比べますと低い給与を受けておるグループが給与改善を受けるというようなことになるのでありまして、人事院といたしましては、必ずしも全面的に給与のいわゆるベース・アップということをやる必要はないというふうに認めたのでありまするけれども、なおかつ、この初任給というものが民間に比べまして低いという事情も十分認識いたしまして、その点の改善の勧告をいたした次第であります。
  76. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) ただいま人事院から内容について答弁いたしましたと同様に、人事院規則によりまして毎年一回政府は、給与に対し情勢の変化を織り込んで勧告を受けております。一昨年も同様に受けました。昨年も同様に受けました。それを尊重して政府はやるという立場を堅持しておりますので、内容について事前に人事院と総理府で打ち合せをしたものでもございません。またどういう方向にいくかという事前の協議をしたこともございません。当然人事院は人事院独自でやっておりますので、どういう動機で、どういう趣旨でということは、事後において説明を聞きますけれども、事前において、なぜ初任給だけやったか、こう質問されましても、それは人事院の判断でやったことでありまして、総理府としてはそれに関与をしないということが妥当じゃなかろうか、こう考えておりますので、勧告を受けてから、その対策に関して総理府としてはそれに相当手当てをいたします。
  77. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これを少し掘り下げてみますと、初任給引き上げとして、大学卒は千円、医師及び研究員は千二百円、短大卒、高校卒、これは一緒に四百円、こういうふうな引き上げをやっておるわけですが、この根拠はきわめて薄弱だと思うわけですが、人事院はどうしてこういう根拠薄弱なものを勧告しておられるのか。その点をまず明確にしていただきたいと思います。
  78. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 人事院は給与調査をいたしますときに、たとえば昨年の三月現在で調査をやったのでありまするが、その際に昨年四月以降に採用いたします者の初任給ということを調べることができますれば、これは非常によろしいのであります。しかし、それはまだ現実にそういう人が給与を受けておるわけでございません。従いまして人事院といたしましては、初任給相当いたしまする金額を調べます際には、前年採用者が一年後にどうなっておるかという事情を調査いたすのであります。そういう人々は一年後の調査でございまするので、昇給ということもあるのであります。そういうことを除去いたして考えてみまするならば、一般行政職あたりにつきましては、千円程度上げるのが妥当である、こういうことに人事院の判断としてなった次第であります。なお、お医者と研究者でございますが、お医者の初任給というものは千二百円上げてもまだ足りません。これは事実われわれも認識いたしております。また、研究者の千二百円でございまするが、このお医者と研究者を比べまするならば、お医者の初任給の方がまだ高いのであります。しかしながら、公務には公務の部内のバランスということがございまするので、これは単に低いからというので一つの部門だけを独走するわけにも参らない。従って昨年の現状におきましては、一般行政職よりもそういうふうに民間において給与の高いグループを優遇するという意味におきまして、まず二百円増しの千二百円程度が大体妥当であろうこのように判断をいたした次第であります。なお、この前の給与改訂に当りまして、これは国会修正があったようでございまするが、中学校、高等学校というあたりの、いわゆる人事院の初級試験合格者に該当いたしまするグループ等につきましては、国会で御修正になりまして、その機会にある程度初任給の引き上げということがあったわけでございます。そういうことと両者勘案いたしてみまするならば、人事院が勧告いたしました程度給与の引き上げでおおむねバランスがとれておる、このように判断をいたした次第であります。
  79. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 引き続きお尋ねいたしますが、人事院の調査によっても、公務員は民間に比して大学卒が千七百八十円ぐらい、短大が九百十八円、高校卒が六百八十八円低いという、これは人事院の調査であったと思うわけですが、そういうデータが出ておるにもかかわらず、先ほど申し上げたように大学を千円にして短大、高校一律にして四百円という、これはもう非常に不合理だと思う。どうしてもこれは納得しがたい、この辺を明確にしていただきたい。
  80. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいまも申し上げましたように、人事院の調査いたしましたものは、一年前に入りました者の昨年三月現在における給与というものを調べまして、そうしてこういう人々はその一年間に昇給をいたしておるわけでございまするので、そういう要因を除去いたしまして考えまするならば、千円程度が妥当である、このように判断をいたした次第であります。御指摘のように一年後の給与は必ずしも千円ではない、千円より高いのであります。そういう操作をいたして考えてみますると、おおむね千円程度上げることが妥当である、このように判断をいたした次第であります。
  81. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そういう事実のある反面、次官級の最高号俸、二号俸を新設して、給与の上下の差をますます拡大しておるという、こういう傾向が見えるわけですが、かような意味ないことをなぜ人事院ともあろうものが勧告しておるのか、またこれを受けて立った総理府としても、この点再検討が必要でなかったのか、こういう点をお伺いしたいと思います。
  82. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 御承知のように特別職給与というものは、これは、長い間据え置かれたのであります。で、一般職給与というものは特別職給与関係がございまして、やはり一般職給与特別職をこえてこれを増額するということができない事情にございます。従いまして、従来の給与引き上げの際におきましても、特別職が据え置かれておるという理由のために、一般職給与の最高号俸というものは、そのためにまあ他動的にこれは据え置かざるを得なかった。ほんとうは人事院は引き上げたかったのでありまするけれども、そういう事情がございまするので、引き上げるわけにはいかなかった。従って、そういうところは据え置かれたのであります。今回特別職の方の給与改訂をいたされましたので、これをあるべき姿に直す、こういうことをやっただけであります。
  83. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) ただいま人事院から説明ございましたように、いわゆる一般職特別職との一つの均衡と申しますか、一般職号俸の上昇に従って、特別職の是正をするという説明がございましたので、総理府としても一般職というものがだんだん上昇してくる過程においては、これも妥当であろうと、こう考えました。
  84. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 なおこれを詳細に見ますと、基礎になっている生活費の面が非常にまあ非現実的であると思うのです。大体生活費の基礎というものは一人前の生活ができる、そういうところにめどをおかなければならない。これはまあ当然のことだと思うわけです。ところが、この基礎になっておる生活費を検討いたしますと、結局一人前の生活ができないマーケット・バスケットということになっておって、きわめて不合理だと思うのです。この点納得のいくように一つ御説明いただきたいと思います。
  85. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 人事院が標準生活費というものを算定いたします場合に、これはまあ一番着目して用いまするのは、いわゆる単身男子十八才者の標準生計費でございまするが、この場合にこれは独自に人事院が判断をいたしまして、この程度が適当であろうと思って作るのではないのであります。これは総理府統計局におきまする生計調査の結果というものを基礎にいたしまして、そういうところでどれぐらいのカロリーを一体取っておるのであるか、またその内容はどういうものを取っておるのであるか、また食糧費以外につきましては、一体どの程度の被服費の支出があるのか、これを世帯の、一人世帯、二人世帯、三人世帯、それぞれ別に見まするならば、どのような状況になっておるかというようなことをしさいに調査いたします。これは架空の数字でなく、統計局で実際にやっておられる生計調査の結果からそういうものを導き出すわけであります。その結果食糧費につきましては、いわゆるマーケット・バスケット、これは先ほど申しましたように、そのカロリー、またそのカロリーを取りますために摂取いたしまする食品名、あるいはその食品別の数量というようなものも、現実に生計調査に出て参りまするところを移しましてやっておる。従いまして、われわれはこのマーケット・バスケットに出て参るところ、並びにそのほかの部分も含めまして標準生計費に出てくるところは、総理府統計局の生計費の調査から導いたものである。従って、現実にわが国において消費者が消費しておる実態をそのまま映しておる。従いまして、個別に見て参れば、たとえば一日の食費が、これではお昼御飯を役所で食べて、それから、晩御飯はうちへ帰らずに食べて、そういうことをしたら足らんじゃないかというような議論も出て参るのでありまするけれども、全体的に観察いたしまするならば、それがわが国の現在の酒興の実態である。その平均である。このようになるわけでございまして、そういう観点に従って人事院は標準生計費を計算いたしておる次第でございます。
  86. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、長官に一つお伺いしたいと思いますが、御承知のように、政府は前に公務員からスト権を奪い、団体交渉力を弱めることによって人事院を設けたわけです。その人事院を、この公務員の処遇の面を担当さしておる。ところが、この人事院が本来の使命を忘れて、最近どうも公務員の処遇の面について妥当と思われるような勧告をしていない。これは人事院設立の本来の使命にはなはだ離れているものである。そういうふうに断定せざるを得ないわけです。ただ総理府としては人事院が勧告すれば、これを尊重する。下回ることはあっても上回ることは、いまだかつて知らないわけです。しばしば下回ることはあったわけですが。やはり人事院が独自の立場から勧告する。それを政府としても慎重検討して、事態を十分見きわめて、そうして、不合理であるならば幾ら上回っても差しつかえないわけです。ところが、いつも尊重するとは言っておっても、下回ることはあるけれども、上回ったことはかつてない。この点はきわめて遺憾であると思うのですが、政府としてはどういうようにお考えであるか。
  87. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 人事院の勧告を完全に実施することが一番妥当でありまして、これを下回ることも必ずしもこれはいいことでありますまいし、上回ることも、これも議論のあることであろう、同時に人事院は、今日まで私はある程度妥当な勧告をしてきた。同時に勧告でありますから、人事院は実施機関ではございませんので、おのずから政府はそれについて検討をすることもあり得ることであります。過去においては予算上、資金上不可能だということで、ある程度これを国会報告をして国会の議決に従ったこともございますので、政府としてもこれを完全に、その中正な立場において人事院の勧告を受けるべきであって、これを勝手に、上回る場合には、不可能な場合には不可能として国会の議決を経なければならないようになっておりますので、おのずからこれは政府が作為的に、私、やり得る機構ではない、同時に最近の人事院のいろいろの議論がございましょうが、これは両方から見ていただかなければならないことで、人事院の存在というものも、すでに確立して参りましたので、私は今日の人事院の運営方向というものは妥当であると信じておるわけであります。
  88. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 長官に重ねてお伺いいたしますが、人事院の勧告を尊重するのが一番妥当である。そういう考え方の上に立ってやってきたし、また今後もやる。そういうお考えのようですが、過去においても人事院の勧告を下回っておることはしばしばあったわけです。これはあなたの担当のときではなかったと思いますが、これはどういうふうに解釈するか。尊重するならば、当然これを政府の案として出されなきゃならぬ。こういうふうに思うのですが、ただ上回ることは、また下回ることはよくないと、そういうことになるわけで、人事院の勧告をそのまま尊重するということであるならば。ところが、上回ったことはかつてない、下回ることはあっても、そういう点が了解できない。
  89. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) お説のように人事院の運営というものも、ある時期におきましては、人事院そのものが統計資料及びすべての生計費というものが非常に経済変動が激しいときには人事院そのものにおいてもいろいろ実は勧告において議論があり、的確な勧告というものがある場合には採用しておるものがございます。だんだん物価、経済が安定して参りますと、おのずからその勧告も確固たるものが出てくるようになった。従って当然政府としてもそれを完全実施することに努力しまた今回は、特に昨年以来完全に実施をしておりますので、そういう逆なときもあるかもしれませんけれども、今後私は人事院及び政府はそのよい慣習を踏襲できるものだと考えております。
  90. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 現在のような人事院であるならば、むしろ人事院を廃止してしまって、公務員にスト権を与え、団体交渉力を強化してやる、こういうことの方が、はるかに公務員の処遇改善に役立つと思うのですが、こういうことに対して長官としてはどういうふうにお考えですか。
  91. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 公務員そのものの地位と職能と立場というのは、世界中におきましても同様に、いたずらに労働組合と同じような立場と職能でないことは、先般のILOの勧告を見ましても明確に出ております。同様にこれは国民に奉仕する立場という一つの行政の立場から考えて参りますと、一般労働組合と同様な立場で、いたずらに給与のあるいはみずからの生活水準だけを闘争の具に供するということは、これは公務員の本義からいってとらざるところであろうと存じます。従ってその意味において人事院という存在を特に認められ、今日まで実行しておりますので、政府としては今日この方向をとることが一番妥当であると考えて、議論はございましょうけれども、ただ公務員が給与の引き上げのみに終始するならば、これは国民に対する公共的な奉仕という意味でもある場合には抵触するのじゃなかろうか、いたずらに私は公務員というものが、当然地位も名誉もあるその立場において尊重さるべきものであろう、こう考えております。
  92. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 日本の賃金の状況を見ますと、先ほども一部は触れましたが、政府及び日本の資本家のやり方は、公務員からスト権を奪い、団体交渉力を弱体化すことによって公務員の賃金をまず制約する。その制約した公務員の賃金を基礎にして民間産業労働者の賃金を抑える。この抑えた民間産業労働者の賃金を基準にして、公務員の賃金を決定する。こういうふうに悪循環的な非常にあくどい取りきめが今までなされてきたと、そういうふうに断定せざるを得ないわけなんです。そういうことになりますと、全く人事院の存在価値もないわけであります。これはこの際一つそういう考え方を抜本的に改めない限りは、公務員も、また民間産業労働者の賃金の向上も期しがたい、そういうふうに考えるのですが、その点について長官はどういうふうにお考えですか。
  93. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 公務員は国民に奉仕するのがその本義であります以上、いたずらに民間賃金の先駆者となることは妥当でない。同時に民間賃金とかけ離れて非常に低賃金におることによっては、これは採用及び登用ということが非常にむずかしくなる。その浸出性がおのずから出てくるのが、今回の初任給引き上げの一例でないかと私は考えております。従って、民間賃金の先駆者になることは、断じて公務員の本義に反することであり、同時に民同賃金とかけ離れた低賃金に置くことも、公務員の生活において不安を及ぼすことも、これは公務員そのものの職務に影響するというその妥協点が、人事院という中立機関においておもに研究いたしてもらうというのが、私は一番妥当であって、あながち資本家の奉仕者でもなく、国民の奉仕者であることが公務員であろうと考えております。
  94. 千葉信

    ○千葉信君 議事進行について。時間ですから、暫時休憩して、午後適当な時間に再開されることを希望いたします。
  95. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 暫時休憩いたします。    午後一時二十五分休憩    —————・—————    午後二時三十二分開会
  96. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き、総理府設置法の一部を改正する法律案議題として質疑を続行いたします。ただいま政府側出席は、赤城官房長官、鈴木副長官佐藤総理府総務副長官、吉田議室長山口行政管理庁長官、以上であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  97. 八木幸吉

    八木幸吉君 急ぎの問題でありますが、同時に審議日程が詰まっておりますから、ごく簡単に官房長官にお伺いいたします。先般皇太子殿下の御結婚につきまして、閣僚からお祝い品をお上げになった、と同時に、その中には内閣の費用も一緒に入っておるというふうなことが新聞に出ておったのでありますが、その内容と、それからもう一つは皇太子殿下の御結婚に関する恩赦の対象範囲基準といったようなことの主たるものを、簡単にこの二点を最初に伺います。
  98. 赤城宗徳

    政府委員(赤城宗徳君) 皇太子殿下の御成婚に際しましては、御承知のように年額百二十万円以内ということになっているのでありますが、今度の場合は国民からもその額をこえてお祝いをすることができるという議決をしていただいたわけであります。そこで内閣といたしましては、百万円程度の品を贈呈したい、こういうふうに考えました。それでその財源といたしまして半額程度は各閣僚及び官房長官、総務長官法制長官、すなわち内閣を構成する者から個人的な拠出をしてもらう、半額程度内閣官房の交際費から金を出しまして、その総額百万円としてお祝い品を差し上げたい、こういうことをいたしておったのであります。ところが、新聞その他宮内庁との連絡をしてみましたところ、皇太子のお気持として、せっかくのことではあるが、なるべくこの機会に、恵まれない児童福祉施設のことも考えてもらいたいというような御内意もありましたので、この百万円のうち献上品として五十万五千円の三十五ミリ映写機一式、これを献納いたしまして、残額の四十九万五千円、これは厚生大臣を通じて児童福祉施設に回してもらうようにいたしたのでありますが、これについて厚生大臣としては、これを基金として恵まれない児童のための新しい施設を考えてみよう、こういうことに進めておるわけであります。  第二の恩赦の範囲とか対象ということでありますが、恩赦の中に大赦とか、特赦とか、減刑とか、復権とかいろいろあるようでありますが、その恩赦ということの中の大赦、すなわち刑事事件にかかっておる者の公訴権を消滅していく、こういう大赦は今回行わない、皇室の御慶事で大赦を行なった例がないということもあります。そういうことから大赦は行わない。それで特別恩赦といいますか、特赦という形で恩赦を行なっていくということに大体きまっておるわけであります。それとその中には少年犯罪等のもので改心といいますか、改心の情明らかで、将来もそうしてもらいたいというような人々とか、七十歳以上の犯罪者とかありますが、これはすべて四月十日の基準日前に刑が確定したものであります。そういうことで特赦をする。もう一つは政令によって復権をするということで恩赦を進める方針で、今検討中であります。いずれお尋ねがあると思いますが、その復権の中に、選挙違反が入っております。で、その復権の方の選挙違反を特に除く理由もないということで、選挙違反も入れてありますが、復権の方の選挙違反は大体罰金刑であります。罰金刑ですから、選挙違反の中でも割合に形式犯的なものが多いと思います。これについて四月十日以前に刑が確定したもの、すなわち罰金刑に処せられている。そのままで公民権が停止されているというようなものがあると思いますが、そういうものに対しまして復権をするということに相なっております。なお詳細につきましては、あしたの閣議にかけることになっていますので、詳細は私もよく承知しておりませんが、大体そういう方針で恩赦を行うということに相なっておるわけであります。
  99. 八木幸吉

    八木幸吉君 今のお話しのうちで、恩赦の恩恵に浴する人数の大体の数字と、それからもう一つは、新聞に出ておったのですが、四月十日の基準日から少くとも二、三カ月の間に刑の確定するものも入るというふうな模様に書いてあるのですが、この点はいかがですか。
  100. 赤城宗徳

    政府委員(赤城宗徳君) まことに、私も担当でありませんから全部の数字をはっきり覚えておりません。選挙違反だけのことは覚えておりますが、選挙違反のは一万五百人だそうです、去年の選挙からかかっておるものがです。そのうち罰金刑で四月十日前に確定するような見通しのものを入れますと九千人くらい、こういうことは聞いております。それから四月十日から二、三カ月の期間を置くかどうかという問題でありますが、これは四月十日後の犯罪にはもちろん、該当といいますか、しないわけですが、四月十日前に裁判にかかっておる、しかし判決は四月十日より少しおくれるというようなものに対しまして、これもはっきりニカ月とか三カ月とか聞いておりませんが、二、三カ月のうちに確定するものは入れようというような方針であります。四月十日前に裁判にかかっておって判決が四月十日より二、三カ月おくれて判決のあったものも対象に入れる、こういう方針のように私も聞いております。
  101. 八木幸吉

    八木幸吉君 そこで、最初のお祝い品の問題について私申し上げますが、総理大臣以下閣僚並びに官房長官、総務長官等が皇太子殿下にお祝い品を差上げられる。これは大へんけっこうなことだと思うのであります。ところが、それと内閣の交際費等を合せて百万円にする。これは私は考え方としては、公私混同の考え方である、よろしくない、こういう実は私は考えを持ちます。で、そこで恩赦と関連してくるわけですが、ただいま承わりましたところによっても、選挙違反だけでも一万人以上もの恩赦を行う。いわば国家の非常に大きな喜び事であります。かような、一方においては非常に大がかりな皇太子殿下の御成婚を祝う処置をとられるのであるならば、国民全体の祝意をもっと公けな形式でお祝い品を差し上げるということが、私はほんとうではないかと、つまり内閣の交際費を五十万円余り出して、そうして皇太子殿下の、児童のために使ってくれというようなお話しで、それを厚生省に持っていく。つまり国民の税金のたらい回しのようなことでは、恩赦と比較してみて私は非常な不均衡である。最初私は内閣諸公が個人的に百万円お出しになるのだと、こう実は受け取っておったのでありますが、一昨日でしたか、新聞ではどうもちょっとおかしいと思ったものですから、きょう実は伺ったのでありますが、私が申し上げたいのは、国民全般が恩赦と比較のとれるような祝意を表するのであるならば、金額はそれは三千万円であろうが、五千万円であろうが、あるいは一億円であろうが、特に皇太子殿下の御結婚記念のための社会事業施設費用として補正予算をお組みになる、これは私は一日でもって衆参両院を通過すると思います。そうしてそれを社会事業施設のための記念資金として厚生省に委託されて、民間でのお祝いも、いろいろなお祝いが出ているそうでありますけれども、皇太子殿下のお考えをくみ取りますならば、その基金の中に民間の祝いもあわせて受け取るような措置を講じて、そうしてこの皇太子殿下の御結婚が、大がかりな恩赦と対応するような一つの社会事業的な施設を推進する役に立つということが、国家としても有意義であるし、皇太子殿下のおぼしめしにもかなうだろう。だから内閣の交際費というものは、あれは外国の使臣等が見えたときの費用に使うんだと思うのですが、去年の十一月の二十七日に御結婚のことは決定されておるのでありますから、本来ならばもっと慎重に、恩赦を考えると同じだけの慎重さをもってお考えになれば、もう少しすっきりしたものができるのじゃないか。  そこで私の第一に申し上げたいのは、今申しました皇太子殿下御結婚記念のための社会事業施設のための補正予算をお組みになるお考えはないか、これをお考えになることが正しいのではないか、よいのではないか、こう私は思うのですが、いかがですか。
  102. 赤城宗徳

    政府委員(赤城宗徳君) 今お話しの点も、ごもっともかと思いますが、実は私の方の考え方としては、内閣を構成する者から各個人的にも醵出してもらう、それから政府もやっぱり国民を代表しているという形でありますので、個人的と同時に、国民を代表している内閣としてもまた、交際費の中から公金としてそれを含めて出した方がよかろう、こういうふうに考えたものですから、二つを合して、これは別に隠したりする必要もありませんから、新聞の方にもいういう内容であるということを発表したわけであります。そこで、児童福祉や何かのことの記念事業ということであるならば、政府の方でも補正予算でも組んで、一つ大々的にやったらどうかという御意見であります。実は、この児童福祉施設ということにつきましては、皇太子の御内意もありましたが、公的に政府としてそういう施設を作るということでなくて、やはり盛り上った力としてそういうものを作っていくというふうな形の方がいいのじゃないか、こういうことから考えまして、額の多少にかかわらず、そういう考えを持っているのだということを内閣の方で先に示した方が、一般国民の方から献納などが多い場合に、それに準じて児童福祉の関係の方にも寄付を出されるということになれば、それが基金になって盛り上る力ででき上ってくる。これがやはり皇太子の御意思にも沿うし、われわれもそういうことがいいのではないか、こう考えておりましたので、特に政府が予算を組んで、政府の施設として児童福祉関係をやるということよりも、今考えている方が私は適当ではないかと、こういうふうに考えて進めておるわけであります。
  103. 八木幸吉

    八木幸吉君 そこで、もう一点伺いますが、今の考え方を進めて参りますと、たとえば国会議員でも幾らかの金を出してお祝い品を贈呈するそうでありますが、その金額がはしたになれば、国会の、何と申しますか、予備費と申しますか、何かそれに似たような交際費をつけて献金をすると、そういうことになるんじゃないかと思うが、どうも私はそういう考え方はおもしろくないと、こう思っております。それから第二点としてお伺いしたいのは、恩赦の問題であります。恩赦の本来の性質から申せば、法律は一般的原則的のものでありますから、こういった国家の慶祝のことがあるならば、原則的に適用された法律が、個々の社会情勢の実態に合わない場合をその機会に是正するということが、これが恩赦の本来の性質であろうと思うんですが、何と申しましても、行政権のこれは司法権に対する一つのチェックでありますから、きわめて慎重にやらなければならぬということは、申すまでもないことであります。日本憲法が発布されましたときの速記録を拝見しましても、国家の恩赦を行うための一つの理由として、これを機会に刑罰を受けたと同じような改心の気持をその刑を受けた人が持ち得るだろうという、刑罰と同じ効果をおさめるためだというふうなことが書いてありますが、そこで、私今伺ったことで非常に実は意外に思っておりますことは、御承知の通り、恩赦法の第四条には「特赦は、有罪の言渡を受けた特定の者に対してこれを行う。」こういう規定があるわけであります。ところが、皇太子殿下の結婚は四月の十日に行われる。その十日に裁判係争中の者で、その後に判決を受けた者に対してもなおこの恩赦の恩恵を及ぼすということは、これは恩赦法の違反ではないかと、こう私は実は思うわけです。というのは、今申しました通り、この皇太子殿下の御結婚を祝って罪の言渡しを受けた人が心を清めて、処刑されたと同じだけの改心をするというのは、結婚のその目が一番感激が深いわけであります。ところが、その後一カ月も二カ月も三カ月もして、初めて刑が確定した者にもこの恩恵を及ぼすということは、これは私はむろんこんな悪例の前例はなかろうと思います。これは私は非常な恩赦法の曲解であって、まことにどうも、何と申しますか、ことに選挙違反が一万数千名もあるといったような、非常に世論の非難を受けており、総理も最初は選挙違反は含めないつもりだというようなお言葉もあって、それが問題になっているときに、その結婚から後二、三カ月にまでその効力を及ぼすというようなことは、一体前例があるかないか。かりに前例があるにしても、恩赦法の本来の趣旨に反しておるのではないかと、こう私は思うのですが、いかがでしよう。
  104. 赤城宗徳

    政府委員(赤城宗徳君) 私もよく承知しておりませんけれども、その基準後に確定した者という例はあるということを聞いております。例があるということを聞いております。必ずしもその口だけということに限定されておるというふうには解釈しておりません。たとえば結婚日だけに限ると、そのときだけに限るということに限定されているというふうにも解しておりません。なお恩赦法等につきましては、八木さんの御解釈もあると思いますが、法務省、法制局等におきましても、十分この法律の解釈を検討した上において、そのような措置をとろうということに相なっておるのでありますので、法律違反、恩赦法違反はないと私どもは考えております。
  105. 八木幸吉

    八木幸吉君 これでやめますが、その前例だけ一つ、私非常に意外なお話を承わったのでありますが、副長官からでもけっこうでありますが、伺いたいと思います。
  106. 赤城宗徳

    政府委員(赤城宗徳君) 今、ここで前例を、いつの前例ということをはっきり資料を持っておりませんので、いずれ調べた上でお答えしたいと思います。
  107. 横川正市

    ○横川正市君 恩赦の問題に関連をするわけでありますが、今度の大綱を見ますと、行政処分を受けたものに対してどう取り扱うかということは触れておらないわけであります。前例からいきますと、大体処分を受けた、その行政処分、懲戒処分の内容によってそれぞれ違うようでありますが、大体基準日を定めて、その前後それぞれ処分を受けた者の復権を認めるということが前例にあるようなんであります。今回の場合には、この点については、まだ何ら内閣としてきめておられないようでありますが、この点どう考えておられるか。もう一つは、懲戒免職をされた者は、行政関係の人の考え方にいきますと、これはいわば死刑の判決を受けた軒で、首のない者に命を吹き込むことができないという考え方があるようであります。しかし、それはいささか私はこの分については酷じゃないかと思うのは、たとえば労働問題等で馘首された、これは一般公務員の場合にはその組合の行き過ぎ、その他が該当して公務員法によって処分を、受ける。それからその他の場合には、公労法によって処分を受ける、こういうことなんでありますが、いわば労働組合の場合には、個人の破廉恥非ではなくて、連帯の責任を個人が吉良って馘首されるというような場合があるわけです。他に、まあこういった点から私は恩赦の恩典に浴するいろんな問題が出てくるのじゃないかと思いますが、この懲戒免職の場合には、国家公務員法三十八条に、二カ年間だけ公務員として就職することができないという、この項目だけが除かれているようでありますけれども、この点については、もう少し政府としては考えてしかるべきじゃないかと、ことに公労法なんかの場合にはタフト・ハートレー法を基準として作られまして、あるいは二年とか、あるいは二年半には復権、復職等の処置も講ずるということが審議の過程にはありまして、その前例としては、国鉄の職員の二、三の人たちが復職をもうすでに実施したという例も私はあると思うのです。もちろん、これは個別審議をそれぞれ行いまして、復職の期間というものは一様ではないと思いますけれども、しかし今度の場合には、私はその点の問題から、労働関係については特別の処置があってしかるべきだと、こう思うわけでありますが、政府としてはどう考えておられるか、この二点についてお伺いいたしておきます。
  108. 赤城宗徳

    政府委員(赤城宗徳君) 行政犯といいますか、国家公務員が、あるいは国家公務員法、あるいは公労法によって懲戒等を受けている者に対して一斉に復権といいますか、そういうことをするかどうかというお尋ねでありますが、これにつきましては、私どもも御趣旨のようなことも考え、いろいろ検討いたしたのでありますが、大赦の場合にはそういうことがあったのでありますが、大赦でない特赦といいますか、そういう場合には、一斉にそういう措置をとったという例はないので、まだこれはきめておりませんが、明日の閣議できめることになっておりますが、大体の方針としては一斉にこれを復権するという形はとらないという考え方で進めておるようであります。
  109. 横川正市

    ○横川正市君 今の馘首者の場合についてはどうですか。
  110. 赤城宗徳

    政府委員(赤城宗徳君) 個別的にどういうふうに考えるかということは、まだ検討しておりませんが、一斉には復権という形はとらない方針でまあ進んでおるわけであります。確定したわけではありません。あしたの閣議できまるわけであります。
  111. 横川正市

    ○横川正市君 まあ、これは私は選挙違反等を含めた場合の公民権停止ですね。これはいわば公民権というものを持っております個人に対する重要さというものは、これは非常に高いものだと見るべきだと思うのです。まあ選挙違反そのものが道義的なものであり、あるいは道徳的なものであり、まあおそらくこういったことに関係せずに選挙が行われるべきものだということは一般良識なのでありますが、しかしまあそれでも行われた場合に、罪の軽重というものは、私はその国の一つの政治のモラルの問題と関連して、選挙違反に対する軽重というものはそれぞれきめられていっていると思う。日本の場合にも漸進的には連座制の方針を逐次採用しようとする選挙法の改正がとられていくという、そこに起因するのだろうと思います。今度の場合たまたまこの選挙関係の問題が特赦として採用される、されないというこの論議の過程では別段問題にはならなかった問題が、唐突として特赦としてこの選挙違反が入るということになりましてから、突然こういう事件が起っております。これはきょうの朝日新聞をごらんになればおわかりになると思いますが、しかもこれは自由民主党の高石幸三郎代議士派の運動員をめぐっての選挙違反であります。これに対して六日の日に求刑を行なって、七日の口にスピード判決を行なって、十日の特赦に間に合せようという事例が起ってきているのであります。これはまあ裁判所の問題だとこういうことになれば、もちろんまあ官房長官として等分の限りでないと言われるかもしれませんが、その中で浦和の地検の青山次席検事の話によると、「法務省では選挙違反を含む方針を決めていると聞いており、地検としてはこれに協力しなければならないわけだ。選挙違反で検事控訴している事件も控訴取下げということになろう。」というような談話を発表して、この判決には協力態勢をとつている。この結果というのは、私はまあ第には求刑をされ、それから判決をするまでに通常相当長い期間かかっているわけですね。その間まあ慎重審議をするということが、判事の側としては当然なこととして、その相当長い期間かかることはこれはまあ当然のこととされておるわけです。それをまあこういうふうに即決して、それから翌日に判決を出す、しかもそれは十日の日には無罪になるということの前提なんだということになると、先ほど、私は、八木さんの質問の中にもあるように、特赦というものをこれをもう悪質に利用しているのだとこういうふうに見ていいのではないかと思うのであります。裁判所の結果の批判はとにかくとしても、常識としては私は政府としてこれに対してどういう見解を持つかということは、当然のことだと思うのであります。それからもう一つは、公民権停止とかそういった問題まで、今度の場合には復権するわけですよ。破廉恥罪その他の問題と合せてですね、選挙違反の問題でこれらの者が復権するので、その場合に私はまあ先ほど言いましたように連帯の責任をとって、そして個人の破廉恥罪ではない、その罪を背負って行政処分を受ける、懲戒免職を受けるというような者が除外されていくということは、大体均衡論ではないです、一般に納得されるようなこの恩赦、特赦には私はならないのじゃないかとこう思うのでありますが、重ねてその点について官房長官の所見を何っておきたいと思います。
  112. 赤城宗徳

    政府委員(赤城宗徳君) 今新聞の記事を引用されてお話がありましたが、私はまだ読んでおりませんけれども、実はそういうふうに特赦があるからということで、特に裁判を急ぐとか何とかいうことは、まああってはあまり好ましくないような問題ですから、恩赦、特赦のことにつきましても外へは出さずに、九日の閣議までに、閣議の日にきめようというようなことで進めてきたのでありますが、いろいろ新聞等にもどういうことであろうというような記事が出ますので、あるいはそういう措置をとる例もあったかと思います。しかし、今の高石君の例は、これは昨年の五月の選挙のことだと思います。選挙のことでありますから、裁判としては相当期間にわたって審理をした結果ではないかとこういうふうに考えられますけれども、同時にまた今お話しのように、新聞に出ましたから急いだということはあるかもしれませんが、審理は十二分に尽したのではないかと、こういうふうに考えられます。  第二点の、再々お話しのように、恩赦をする一方、行政犯的な国家公務員法違反、あるいは公労法違反というものをそのまましておくのは、均衡論からいかがなものであろうか、こういう御議論のようにお聞きいたします。でありますので、その点につきましては、私どもも検討を続けてきておったのでありますが、先ほど申し上げましたように、大赦の場合にはそういう例がありましたが、一斉に復権ということは例がありませんので、今のところでは、一斉に復権ということは考えておりません。御趣旨の点は、また明日の閣議もありますので、私の方でもなおさらに検討をするといいますか、論議の話題にしていきたいと思います。
  113. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 関連して質問いたしますが、そういたしますと、そういう行政処分については、個別審議はやるということでありますか。
  114. 赤城宗徳

    政府委員(赤城宗徳君) そこまで私は検討を続けておらないのでありますが、そういうようなことはあり得てもいいんじゃないかと私は考えますけれども、これはまだ決定しているわけでもなんでもありませんから、ここで言い切るというわけにいきませんが、そういう気持が私はいたしております。
  115. 森中守義

    ○森中守義君 私は総理府設置法の問題で一、二お尋ねしておきますが、その前に午前中総務長官が伊藤委員の質問に対する答弁の中に、人事院が政府に勧告をし、こういう答弁がありましたが、これはあやまりです。人事院規則二十八条は国会及び政府に勧告を行う、こういうことになっております。これは訂正をされるのがしかるべきであろうと思います。  それでお尋ねしたい第一点は、現在総理府の中に二十三の各種審議会あるいは調査会等があります。さらに今度五つのものが加わると合計二十八の審議会及び調査会を持つことになる。それで毎日この種の調査会あるいは審議会が開催されるとは思いませんが、現在の総理府の機能からいって、果して二十八に及ぶ審議会及び調査会の運営が、果して可能であるかどうか。そのことを現在の総理府実態に徴してまず第一番にお尋ねをしておきます。
  116. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 第一の御指摘は、本日先ほどの委員会で答弁をいたしましたのは、国家公務員法第二十八条によりまして「国会及び内閣に適当な勧告をしなければならない。」ということで、御指摘の通りであります。もう一点「人事院は、人事行政の改善に関し、関係大臣その他の機関の長に勧告することができる。」この二点を合せて実は申し上げましたので、多少混同はいたしましたが、給与に関しましては、国会及び内閣に勧告すべきであるという条文を適用することが妥当かと存じます。ある程度混同いたして答弁いたしましたから、この際明確に訂正いたします。  第二の問題は、御説のように、総理府にはたくさんの附属機関がございまして、人員から申しましても能力から申しましても、必ずしも満足ではございません。しかし、行政の能率化と申しますか、なるべく定員、人員をふやさずにすべて各省ともにやろうという内閣の方針に沿いまして、相当オーバー・ロードではございますが、万全を期してやっておりまして、これが完全かと言われれば、完全だとは申せませんが、運営できないわけでもございませんので、せいぜい努力してやっております。
  117. 森中守義

    ○森中守義君 この審議会あるいは調査会というようなものが、一面、非常に行政の民主化というようなそういう見方も、成り立つのは成り立つのです。しかし、実際問題としては、やはりこういう行政に必要なことを調査するということは、当然、これは国の行政機関の権能の範囲にあるべきだと私は思う。にもかかわらず、次から次へ、審議会、調査会というものが毎国会ごとに増加、拡大されていくということは、いささか、言葉を詰めて言うならば、今日政府の中に行政能力を欠いておる、こういう極論をも私はできないことはないと思う。従って、行政能力がないから調査会あるいは審議会というものを作ろうというのか、あるいはまた、一面の見方である行政の民主化、より広範な各界の意見を聞いて、行政のあやまちなきを期そうというのか、そのいずれをさしているのか。この点も、こういう問題の基本的な問題でありますから、一応ただしておきたいと思います。
  118. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) お説のごとく、第一に実は民主化でありまして、公務員法の精神も、行政の民主化ということが公務員法の精神でもございますので、当然、政府としましても、民主化という意味で、より以上広い学識経験の方を政府の行政の確定する前に参画をしていただき、また、私どもの方も、高邁な御意見を拝聴してその行政に取り入れたいというのが趣旨でありまして、能力があるかないかということは、これはおのずから判断に関する問題で、能力がないということもございません、能力が絶対にあって非常にいいのだとも言いませんけれども、これはまあ相対的な議論として残りますので、私たちは、やはり行政の民主化ということを前提にして審議会、調査会というものを運用いたしております。
  119. 森中守義

    ○森中守義君 大へん言葉を返すようですが、なるほど、今公務員法を例にとられたのですが、これの基本になるのは、行政組織法の八条によったものだとこう思うのです。しかし、そういう法律の保障条項がある限りにおいては、幾ら作ろうとも、これはあながち法違反ということにはなりません。しかし、問題は、一たび調査会あるいは審議会というものを作って、答申が行われたあとの、答申の扱いがどうなる、あるいはその間における、ある審議会、ある調査会に付託をされている案件が、答申が出るまでの間にどういうように行われているか、こういうのがかなり問題になってくるのです。たとえて申し上げるならば、総務長官の所掌である例の公務制度調査会、これが昨年あるいは一昨年も、この委員会において、すでに一昨々年の十一月に、制度調査会の答申が出たではないか。そこで、社会保障制度の問題、その他、公務員の給与等各種の案件について、なぜ政府は明快な態度をもって国会に臨まないのか、こういう質問を私はしたことがあります。ところが、答申が出たが、その後制度調査室においていろいろ検討を加えていてまだ結論が出ないということで、とうとう本日まで具体的に答申の内容というものを私どもは行政行為として政府が行なった内容を見ておりません。そうなると、その間において調査会にかけた、審議会にかけた期間、答申が行われたあとの問題というのがどうも明確を欠いておる。従ってこういった制度調査会の一例が示すように、やはり当面しておる各種の問題を審議会ないしは調査会等に責任を転嫁して、それで国会における答弁等は、ことに調査会あるいは審議会等を理由にして、政府の的確なる答弁が行われていないというのが、今までの慣例であるように私は記憶をいたします。こういうことになれば、果して総務長官が言われるように、行政の民主化という観点のみからこの問題を了承するわけには参りません。ある意味では擬装された、政府審議会あるいは調査会等に対する責任の転嫁である、こういう見方も私は成り立たないことはないと思う。そうしてもう一つ問題になってきますのは、やはり各審議会なり調査会事務局というものが置かれている。ところが、各省はおのおのの設置法あるいは組織令等によって官制を持っております。ところが、そういう官制を出し抜いてこの調査会あるいは審議会等においては、すべて事務局にいわゆる公務員である行政官を配置されて任務につかせておるということは、やはり組織法等に違反する可能性も十分にある。こういったようなことを私は、こういう審議会なり調査会の一つの根本的な問題として考えざるを得ないのであります。従ってこういうような問題に対して、総務長官はどういうようにお考えであるか。また官房長官は、あるいは行政管理庁の長官、政務次官がおいでにならないようですが、管理庁あたりではおのおのどういう見解であるか。おそらく問題が出てくれば、次から次へと審議会、調査会等を行政組織法八条を理由に幾つもむやみに拡大されていくということは、ある意味では行政能力を欠いておる、あるいは行政上の責任を、審議会、調査会に転嫁させようとするのじゃないか、さらに各省の組織令、官制的なそういうものに違反しはしないだろうかという疑いを持ちますが、おのおのの立場から的確な御答弁と将来の方針についてこの際承知しておきたいと思います。
  120. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 調査会審議会が非常によく運営されて、その答申が出まして、それが直ちに行政及び立法に行えますならば非常に政府としてもやりいいわけであります。作ります以上は、その答申を最大限に尊重するつもりで、公務員法の改正の答申もある程度出ておりますから、その通りに成案を得るならば、これは非常に尊重しやすいのでありますが、その場合にややもいたしますと人事院との関連において、人事院が必ずしも一致した意見を出さない、行政官同士の意見の相違点もございます。なおそれ以外に先般来の栄典法にいたしましても答申は出ておりますが、その通り成案を作りましても、なかなか国会審議において相当に問題がある、あるいは必ずしも順調にその答申案通りには通らないということが明確な場合には、二年前に答申が出ましても、いまだにその機の熟するを待つ以外に実はございません。あくまで審議会、調査会は諮問でありまして、それに答える調査会審議会であって、行政権もなければ、あるいは審議権もないのでありますから、おのずからやはり民主化的な意味において世論の意見を聞く、あるいは学識経験者の意見を聞くという立場以上に出られませんので、あるものはそのまま答申が出っぱなしで、いまだに成案を得ておらないのがたくさんございます。これは当然国会審議という前提がございますし、また時間的な問題、あるいは予算の財政上の問題、両面があるために、ある程度ペンディングになっているのがありますが、これは政府自身がチェックしてとめているにあらずして、それにはそれ相当の実は理由があるためにこうなっております。私は就任以来自分のところに出ております答申を全部一掃しようと思って努力して参りました。しかし、やはり人事院に関係するものとしては国家公務員法の改正等とまだ調整ができないために、実は提案ができておりません。従って政府として作りました以上、最大限に尊重はいたしますが、実行になりますと、何といたしましても予算問題は財政と調整がつかなければできませんし、法律問題は国会と調整がつかなければできないというので、心ならずもまだその全部ができておりませんけれども、方針は、答申は全部私は尊重するつもりでおります。また、それが尊重した通りに完成するならば最高だと思っておりますが、そこまでいかれないのは、そういう他の要素があるためでありまして、政府自身は最大限に尊重するつもりでおります。
  121. 赤城宗徳

    政府委員(赤城宗徳君) お説の通り行政組織法第八条によって調査会審議会は国会の議決を求めればできることになっておりますが、政府といたしましてはなるべく少くしたい、こういう方針で行政管理庁などとも相談して幾分整理は進めておるわけであります。整理されているものもあります。ただ、総務長官からも御答弁申し上げましたように、政府といたしましても、それぞれ勉強いたしておるのでありますが、やはり木を見て森を見ないといいますか、あまり森を見ないような行政運営になっても困る面もありますので、学識者の意見を聞いてみたり、あるいはまた経験者の意見を聞いて、その答申を得て、その答申によって法律化するものは国会にお諮りする、そういう方針で調査会審議会を有効に活用していきたい、こう思っております。そういう意味におきまして、実は国会には学識経験者が非常に多いのですから、それだけでも足りるわけでありますが、政府といたしましては国会へ出す前にいろいろな案をきめておくという意味におきまして、調査会審議会の必要も感じておるわけであります。そのことが国会にいろいろ法案などを出すことの言いわけといいますか、チェックをする作用に使っておるのじゃないか、こういうお気持といいますか、見方もなきにしもあらずだと思いますが、政府といたしましては決してそういうことでありませんで、答申等を尊重して、それをできるだけその答申の趣旨を実現したいということで努力いたしておるのでありますが、その答申の中におきましても、また国会側の意向として果してその通りに実現できるかできないかというような問題もありますので、そういうことを検討して答申を実現するのにおくれているものもあろうかと思います。しかしながら、決して審議会、調査会の決定を持つのだといって、審議をおくらしたり、あるいはまたそれをたてにして、それに籍口して審議を進めないということに使っておるという考えは毛頭持っておらないわけであります。お話しの趣旨にも沿うて調査会審議会はなるべく少くしたいということ、それからまた、国会側の議員の人にも入ってもらうというような筋で調査会審議会がだいぶんできております。橋渡しの形にもなるかと思いますそういう意味におきまして調査会審議会を従来の通り進めていきますが、なるべく数は少くしたい、こういう考えであります。
  122. 山口酉

    政府委員山口酉君) 補足的に申し上げます。ただいま官房長官から御説明がありましたような方針で審議会等の設置はできるだけ抑えていくというような方針をとっておりますが、しかし、お話しにありました通りの要請もございまして、いわゆる民主化あるいは専門化というような面から、やむを得ないものが出て参りました場合に、どういうふうな見方をするかという点につきましては、できるだけお話しの責任逃れと申しますか、委員会に責任を転嫁するというようなことがないように期限を切るということを方針にして参りたい。それからもう一つは、委員の人選でございますが、これも従来の人選には、特に審議会等の機関を設けなくても政府部内で実体を構成し得るような状況のものもございましたので、そういうふうなものをはずしまして、できるだけ実質的に行政に貢献し得るような人選をしていく、かようなことを審議会を実際に設置する事案が起りました場合の審議の一つの方針としております。審議会、訓育会等の事務局と設置法との関係でございますが、これはまあ先ほど御引用になりました公務制度調査会等につきましても、たとえば行政制度一般について行政管理庁が企画立案の仕事を担当することになっております。そういう面で含まれる点がございますので、行政管理庁の方で担当いたします分野は非常に広範でございますので、特にそのうちの一部分についてきわめて重大な問題が出てきた場合に、特例として一般法と特別法のような関係で、そのものについての権限を持った組織を作りますことは妥当であるというふうに考えております。
  123. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御答弁を一つ簡潔にして議事の進行に御協力願いたいと思います。
  124. 森中守義

    ○森中守義君 決して私は法違反だといってきめ込んでいるのじゃない、行政組織法八条にあるわけですから。ただ、問題は今申し上げたように、行政能力が欠けているのじゃないかということ、さらにもう一つは、責任転嫁の点はどうかということ、こういうのが具体的にいろいろ言えると思うのです。しかも、官房長官の今のお答えからいけば、できるだけ少くするような方向に向っている、こういうことですが、一つも整理されていない。むしろ、今国会では三つ四つまたふえている。毎国会いろいろな問題を調査あるいは審議するこういう機関が漸増の傾向にあることだけは、これは事実です。それで、具体的に一つお尋ねいたしますが、昨日この委員会で採決になりました農林漁業基本問題の調査会、これも本来ならばきのうよほど発言をしようと思いましたが、委員長の方から封じられてその機会がなかったのです。しかし、これも今まで政府与党の方では、農林漁業政策については、まさにわがことなれりというようなことを選挙のたびごとに言ってこられた。そうしてまた多くの農村の人たちは、そのことにある信頼をつないできたと思うのです。ところが、今ごろになって農林漁業の基本問題を調査しなければならん。一体これはどういうことですか、戦後十四年もたって、その間保守党による内閣は十数年の長きにわたって組織をされてきております。しかも、その長きにわたりながら、農林漁業問題をそのたびごとにPRを続けてきた政府与党としては、今ごろになって農林漁業問題の基本的な構想を練る必要があるということは、逆から言うならば、農林漁業の問題について、政府与党は何らその基本をなすような構想についてのまとまりがなかった。そういうように認識をせざるを得ない。だからそういう今までの実績を省みて、これから新たに農林漁業の基本問題について構想を練り直す、あるいは調査をする、こういうことに農林漁業の問題一例をとって理解をして差しつかえありませんか。
  125. 赤城宗徳

    政府委員(赤城宗徳君) 先ほどお話しの、今国会においても審議会がふえているのではないかということに対してお答えをいたします。実は臨時的な、ごく短期に答申を得られるような審議会等については、閣議決定、あるいは各省等で任意に設けていた例も実はあるのであります。そういうことでは、今お話しの行政組織法第八条があるのに、成規に国会の議決を経て設けられたものでなければまずいのじゃないか、こういうふうに考えまして、そういう任意的な、あるいは短期なものなど整理して国会に出すことにいたしたものですから、形の上では審議会がふえるということでありますが、そういうことにする前に、任意的なものとか、非常に短期な臨時的な審議会、調査会等は整理いたしまして、実質的には減らしておるのであります。国会に正式に行政組織法第八条によって出したものは、御指摘のようにふえております。  それから第二の、農業問題について、農業の基本問題を調査する調査会等を作るについては、政府あるいは与党として、農業問題の基本というものについてあまり考えておらなかったのじゃないか、あるいは政策が不十分であったのではないかというお尋ねです。実は農業問題につきましては非常に関連も多いし、問題としても非常に深いといいますか、重大な問題と思っております。でありますので、政府といたしましても、戦後におきましても農地改革等を経て、農業政策を推進して参つたのでありますが、その基本の進めということにつきまして、なかなか簡単に解決のできない問題もあります。御承知のように、日本の農業は零細農の実態でありまするので、これを基本として農業をやっていく上におきまして、根本的に考えなければならない問題もあると思います。決して政府が農業問題について基本的な考え方を持っておらないというわけではありませんけれども、より深く、現実に、今、ことし、来年に実現できない問題であるとしても、基本的に日本の農林水産業をどういうふうに持っていくかということにつきましては、やはり学識経験者とか、各界の人々に集まってもらって、徹底的に、根本的に検討する必要があろうかと、こういうふうに私ども考えております。無能力だということ、あるいはやらなかったということではなく、より深くやっていくために監本問題の検討をする調査会を置くということが必要である、こう考え調査会の法案を出した、こういうことに御了承願いたいと思います。
  126. 森中守義

    ○森中守義君 大へん官房長官若しい答弁のようですが、もう一つ聞かして下さい。私は、今官房長官の答弁を承わっていると、何かしら社会の趨勢、あるいは国内の経済情勢の変化、こういったように、諸情勢の変化に伴って農林漁業の問題が今ここに基本的な新しい観点からの練り直しが必要になってきたといったような答弁であったかと思うのです。たまたま問題をここに一つ拾い出しましたので、これについてお尋ねをするわけですが、しかし、戦後におけるわが国の農林漁業の問題が、今にわかに経済情勢、あるいは国家情勢、社会情勢によって、あらためて基本構想を練り直さなければならぬという、こういう時期に到達したとは思いません。これはおのおのの情勢の見方にもよりましょうが、少くとも戦後におけるわが国の農林漁業というもののある固有化された、固定化された情勢の中に置かれていることだけは事実です。こういう見方をする限りにおいて、今あらためて農林漁業基本問題の調査をしなければならないとするならば、明らかにこれは今まで政府与党が取り行なって参りました農林漁業政策に根本的な誤誤があったのか、さらにはまた、場当り主義の政策の実行であったのか、こういうように見ざるを得ない。私は、にわかに農林漁業の問題が、急速に、今日において政策の一大転換を必要とする時期に到達をしたとは思えない。こういうような見方をしていけば、先刻私が、今日総理府の中に二十五種類の審議会、調査会がある、今度また五つふえれば大へんなものになる。そこで、その内容のすべてを見ていけば、今出血している社会問題、当面する時事問題、あるいはすぐにでも選挙に役に立つような、そういう問題をチェックして審議会、調査会を作ろうとしているのが政府のお考えのようです。しかもそのまとまった寺中をどういうように扱うかということになれば、先刻松野総務長官がお答えになりましたように、極力尊重したい、百パーセント意思をくみとる、しかしながら、国家財政あるいは時の政治情勢等によって、そのことが必ずしも完全ではないという御答弁が松野総務長官から行われた。であるならば、一体審議会あるいは調査会というのは何をやるのか、全く意味がない。しかも、出た答申案というものが、政府の手によって具体的に行政行為として現われてくるのはそれから数年後だ。しかも、先刻来公務制度の問題を申し上げておるように、その間に公務員の恩給制度を年金制度に切りかえた方がよろしいという、こういう答申の内容になっておる、これすらも一向に手をつけようとしないじゃありませんか。のみならず、それらの問題に対する衆議院あるいは参議院における政府当局に対する質問あるいは要望、警告というものは、近時国会においてたびごとに行われております。ところが、制度調査室においていまだ答申に対する政府の態度がきまっていないという理由のもとに、一向に具体的に前進をしておらないじゃありませんか。その他、現存する二十五のいかなる審議会あるいは調査会の答申の内容を見ても、これをより具体的に実行に移された内容を、私はまだ寡聞にして聞いておりません。こういったようにものを見てくれば、明らかに時事問題、あるいは社会問題のようなだれしもがすぐに食っつきやすいような問題は、すぐ調査会審議会に振り込んでおいて、それで表面には、政府としては調査会審議会にかけて鋭意検討いたしております、こういうことで一般国民にはお答えになり、国会においては、その答申を慎重に考慮検討中である、こういったようなことが今日までの悪い私は循環であろうと思うのです。ここまで論及してくれば、果して、先刻来官房長官及び松野総務長官が言われるように、審議会、調査会に対してわれわれは何ほどの期待をかくべきか。もちろん、国家全体の向上と繁栄を期待するという、きわめてばく然とした論理のもとには、これを否定する理由はない。ないけれども、問題は具体的でなければなりません。だからして私は、本来は政府行政機関がやるべき行政能力を欠いたためにこういうのを作っておるのではないか、こういうものの見方と、さもなければ、すぐさま手をつけられないから、しばらく時間をかせぐために調査会審議会を作って、そこに問題をこうり詰めにしておく、こういったように、政府の責任転嫁ではないのか、こういったような疑問が次から次にわいてくるのであります。一体、閣議の中で、こういう基本的な制度調査会あるいは審議会等の設定をどういったような扱いをすべきか。私はむしろ閣議の内容を承わりたい。ただ話が出れば、じゃあまた一つ審議会あるいは調査会を作ろう、それでやっていこう、しかも、その結果については何ら期待し得る答が出てこない、行政行為が具体的に現われてこない。そういうことを考えていけば、法律違反ではないにしても、政府の行政行為の延長としては、何としても納得しがたい点が多々あります。大へんくどいようですが、これは、次の国会にもまたぞろ幾つかの審議会、調査会が出てこないとも限らない。それと、せっかく学識経験者、あるいはまた公益代表など、いろいろな人が参画をされて一生懸命に検討した結果が、政府の手によって行われないとするならばその価値はない。こういうことを考えますので、あらためて総務長官及び官房長官のこの審議会及び調査会等に対する基本的なお考えをもう一度承わりたいと思います。同時に、閣議の中でこの種委員会をどのようにすべきかという論議がかわされておるのか、そのようなことをあわせて御答弁をいただきたいと思います。
  127. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 第一の農業基本問題調査会の問題ですが、これはちょうど日本の農業政策がそういう段階にきた、これは党派を越えまして、社会党におきましても、今回農業基本法の要綱というものを御研究になって、つい先般御発表になりました。これと同様に、日本の農業そのものがそういう段階にきたことは、これはいろいろな意味においてある程度高度化された日本の経済の中に日本の農業が取りおくれてはならないという総合、総体的な意味において、この時期にこの問題を取り上げるべき時期が来たというのでありまして、過去のものが全然基本がなかったというよりも、より以上に日本の農業がそこに根を張らなければならない周囲の情勢が来たと私たちは提案考えております。なお、たくさんの委員会がございますが、同時にこの国会につい先日提案いたしました傷病恩給の一部改正の問題は、実は答申が出ましたので、その答申案に沿いましてこの国会に御審議を、願うわけでありまして、これは確かに審議会、調査会の機能を発揮していただいております。そのほかに特殊土じょう、離島振興というものもございますが、これは本年度の予算で相当働いていただきました、今回やめましたものは、宿舎審議会というものをやめました。もう一つ売春対策審議会も一応対策としては、やめたらどうだとある程度考えましたけれども、これは逆に、売春対策は存置した方がいい、こういう御意向が強く、これは廃止せずに今回存置いたしました。かように私の方は何もかもふやしたいというのではなしに、これはやはり一つの、増減は政府だけの考えじゃなしに、議会からの御意向もございましょう、一般国民からの御意向もございましょう、そういう意味で、あるものは残し、あるものはふやすのでありまして、政府がただ行政上必要だからこれをふやすのだ、減らすのだというわけではございませんし、全部が全部機能を停止しておるわけでもございません。あるものは機能を最大限に発揮しておらないものもございますけれども、全部が全部眠っておるわけではございませんで、つい先般、社会保障制度審議会からは国民年金の答申が出まして、これはこの国会に御審議をお願いしました。もう一つは、税制の審議会から答申をいただきまして、今回の減税法案を出しました。同様に、全部が全部眠っておるわけではございませんで、一、二拾って参りますれば、あるいは非常に目立つものもございましょうが、二十数項目のうち半数以上のものは、今日十分この国会関係で働いていただいたものもございますので、どうぞ一つこの審議会の、悪い面もございましょうが、いい面も見ていただいて、御理解いただきたいと存じます。
  128. 赤城宗徳

    政府委員(赤城宗徳君) ただいま総務長官からお答えあったから御了解願いたいと思いますが、審議会の答申でまだ実現しないものだけを見られると、森中さんのような見方もあると思いますが、松野長官が答弁されましたように、審議会の意見で実現したものもたくさんありまするし、また、実現して審議会が不要になってやめたものもあるのであります。残ったものについてのみ見られますと、今のような御意見になるかと思います。残ったものにつきましても、審議会、調査会の意見は、相当理想的な面もありますので、これを現実に実現する面において、なお検討を要するものもあろうかと思います。そこで閣議の中で、こういう審議会、調査会について活発な論議がなされないままに法案として出されはしないか、こういう見方であろうかと思いますが、実は御承知のように、調査会審議会を作るにつきましては、各省においても相当検討した上に、また行政管理庁とも協議をし、全般的な立場から行政管理庁においてもこれを検討し、また財政当局などとも打ち合せた上に、閣議に上ってくるのであります。閣議においても審議会を設けるにつきましては、相当慎重に検討をいたしておるわけであります。大蔵省関係審議会等につきましても、ずいぶん検討をして、一年も二年も検討した上で、置くことにしたことなどもあるような次第でありますので、お粗末に法案を出すというようなことではありませんで、十分検討いたして置くことにしたものもあるのですが、なお御意見の点もよく考慮いたしまして、さらに審議会を作る場合には慎重に検討したい、かように考えております。
  129. 千葉信

    ○千葉信君 私はこの総理府設置法に関連して相当基本的な問題、一般的な問題もずいぶんあるようですが、何しろ目前に自然体会という現実があることを考えて、具体的な問題だけに限って御答弁を一つ促したいと思います。質問は主として総務長官の方に行うことになると存じますけれども、赤城官房長官にもぜひ聞いておいてもらわなければならぬことがあります。特にこれからの質疑応答のいかんによっては、公務員法第二条第六、項に違反するという事実によって、公務員法第百十条の罰金もしくは体刑を課する必要があるという判定が出た場合、総理大臣か官房長官にぜひその責めに任じてもらわなければならぬという問題もありますから、そういう意味でここで一つ最後までお聞きを願いたいと思います。実は、官房長官の御答弁によりますと、審議会、調査会等の設置については、政府としては相当慎重に扱っているという御答弁でございましたが、しかし、選挙等の際には行政機構をできるだけ簡素化するという公約をしている政府が、赤城さんの眉をひそめていた吉田内閣当時よりも審議会、調査会等が膨大にふえてきている。吉田内閣の当時に百六十二であったところの審議会、調査会が、今日現在この国会が終れば大体新設されるものを含めて二百正十七あります。これはもう明らかに行政簡素化なんということは、選挙のための自民党の公約だというふうにしか私どもには考えられない。しかしながらそんなことをやっていると時間がかかりますから、私は具体的な質問に入りますけれども、特に今度の総理府設置法関係で問題になりますことは、今度総理府設置法に基いて新しく五つの調査会審議会が制度化されることになっております。私はこの審議会もしくは調査会等がいい悪いという問題を論議する前に、もっと緊急な問題があるのです。それはどういうことかというと、今度総理府設置法で設けられる調査会の中に税制調査会があります。これは実は昨年の七月に政府部内に税制審議会が設けられて十二月に廃止になりました。これは閣議で決定されて設けられましたこれは明らかに国家行政組織法第八条の違反であることは、昨年四月における内閣委員会での私と岸首相との質疑応答でも明白だと言って過言ではないと私は考えております。当時政府も、岸さんはそういう閣議決定の調査会、一審議会等の問題については善処をするということを、この委員会の席上で公約という格好で答弁をされたはずであります。ところが、今度ここに総理府設置法に基いて五つの審議会、調査会が設けられますけれども、なお総理府設置法の中に包含さるべき筋合いだと考えられるものが、このほかに、たとえば経済懇談会あるいは賠償実施懇談会ないしは原爆被害対策に関する調査研究連絡協議会、一省だけに限定されない、どうしても設置をするとすれば総理府設置することが筋になるような閣議決定に基く調査会、懇談会等が以上の三つございます。まだそのほかに、治山治水対策協議会、みつまた需給協議会、労働問題懇談会、港湾労働問題審議会、七つあります、閣議決定に基く調査会審議会が。これを一体政府はどうするつもりか。もしも岸さんと私との質疑応答で明らかになったように、こういう閣議決定に基く機関が国家行政組織法第八条に違反するという見解ならば、今度の国会等でこの問題は処理されてしかるべき筋合いだ。今回少くともその七つの調査会審議会のうち、経済懇談会、賠償実施懇談会等々総理府設置されてしかるべしと考えられるこれらの機関を、なぜ今度の総理府設置法に包含しなかったか、その理由をまず承わりたい。
  130. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 閣議決定による審議会の整理方針として、近く廃止するものが治山治水対策審議会、経済懇談会、金融機関益金審議会、港湾労働問題審議会、これは三月三十一日期限で廃止になります。この一ほかに賠償実施懇談会、労働問題懇談会も立法措置をもって廃止する予定でございます。従いまして、あとに残りますのが原爆被害対策に関する調査研究連絡協議会というのが残るわけでございますが、なお税問題は今回法案として提出いたしましたので、それは総理の答弁の通り法律によってこれをはっきり明記いたしました。
  131. 千葉信

    ○千葉信君 この席上で廃止をするということを明言された以上、その約束は直ちに実行するようにしてもらわなければならんし、それがまた政府の責任だろうと思うから、その通りこれは私は要請しておきます。しかし今の答弁のほかにもう一つみつまた需給協議会、これもあります。これは総理府という意味ではありませんが、政府部内に残存するわけですから、これに対しては当然政府としては何らかの方法を考えなければならん。そこで私の次にお尋ねしたいことは、政府は、今回たとえば治山治水対策審議会等々これは国家行政組織法に違反するという立場から、存置するものははっきり立法化するか、さもなければこれは必要ないから廃止するという御方針のようですが、そうなりますと結論として、私がかつての委員会においても常に申し上げたように、閣議決定に基いてこういう懇談会、審議会等を設置することは法律上誤まりだということを政府の方ではっきりお認めになったと了解してよろしゅうございますか。
  132. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) これは私の所管ではございませんので、行管の方の大臣の所管かと存じますが、私たちと協議した結果、違反というよりも不明確であるから、この際明確にすべきだという連絡を私はいただいておりまして、違反だという連絡よりも不明確だから明確にしようという話し合いをして、この方針に沿って私の方でやっております。その判断は行管長官のことでございますから、私が違法かどうかということを答えるのはどうかと思いますが、私どもへの連絡では、そういう意味で私は作業を進めて参りました。
  133. 千葉信

    ○千葉信君 今ここに行政管理庁の監理局長がおいでですから、あとからお尋ねすればわかることですが、行政組織法の第八条にこうあるのです。「第三条の各行政機関」これは府省庁もしくは行政委員会等全部を含んでおります。その一切の行政機関では、前条の第七条「内部部局の外、法律の定める所掌事務範囲内で、特に必要がある場合においては、法律の定めるところにより、審議会」または調査会審議会または協議会、これは諮問調査等を含んで、第三条にいう行政を担当する委員会以外のもの全部を指している、それを設置する場合には法律によると、こう書いてある。この法律の条文からいうと、私は不明確だったという御答弁では容赦できない。この法律の条文を、今松野さんごらんになってどう解釈されますか。
  134. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) ちょうど当時の連絡がございましたから、一応もう一度読み直してみます。『組織法第八条にいう審議会は組織体であって、それ自身機関意思を持つものである。「臨時何々委員」は、各省の顧問、参与の類と同じく、お願いした各委員の個人々々の専門的意見を各別に徴することがねらいであって、組織体としてのまとまった意見を要求するものではない。たまたまそれらの委員が一定時に一定場所に集っても、これは全く意見を徴する側の便宜の問題である。従って、これらの「何々委員」は直ちに組織法第八条に違反するものとは考えられない。』もう一つは、『審議会を設置するのは法律によるべきことは、国家行政組織法第八条の規定するところである。しかし民間の権威者の個々の意見を聞いたりするための懇談会または会議ともいうべき性格のものは、必ずしもこれを法律によらなければ設けられないと解する」ことはどうかと思う。「ただ、この種の措置については種々議論も存するので、政府としては現在閣議決定で灘かれている審議会等を廃止する方針のもとに、その具体案を検討」する、』この趣旨で私は先ほど違反が明確だというよりも、多少疑義が多いから、この際その方向でいこうという記憶を、もう一度実は文書をもって御答弁を申し上げます。
  135. 千葉信

    ○千葉信君 私はその点についてはいろいろ議論もありますけれども、先に進んで、今そのお読みになったものの通りだということになりますと、たとえばその閣議決定に基いて設けられた審議会、調査会等における委員、顧問、参与等の場合には、その個人的な立場からの意見等を聞くものであるから、あえてこれは国家行政組織法第八条に違反することにはならない、こういう結論になるわけですね。
  136. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) その内容を私がここで答弁するのはどうかと思いますが、そういう実は連絡をいただいたので、私はその趣旨に沿ってやったのでありまして、この内容は実は私の答弁でございませんので、これ以上答弁いたしまして、かえって混乱を招くこともありますので、その辺は一つ私は本日は御勘弁願いたいと存じます。
  137. 永岡光治

    委員長永岡光治君) ちょっと速記をとめて。   [速記中止
  138. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記を起して。
  139. 千葉信

    ○千葉信君 政務次官、実は今閣議決定の審議会、調査会等の関係で、閣議決定で設けられた場合のこれらの委員、もしくは顧問、参与等は、個人的な立場からの意見等を聞くものだから、第八条にはあえて違反しないという見解だということ、疑義はあるけれども違反ではないと考えるという政府の御答弁がありました。行政管理庁としてはその点どう考えられるか。
  140. 濱野清吾

    政府委員濱野清吾君) この問題は、行政管理庁としてもいろいろ議論をしておったことでございまして、組織法第八条を率直にといいますか、組織法第八条をごまかすために個人の単純な意見だと、こういうようなことで従来閣議決定をやったようではあるけれども、しかし、これにはいろいろな御議論がございまして、そういう議論のある機関はできるだけ是正したらいいじゃないか、こういう考え方で、ただいままで各省と折衝しておったわけであります。すなわち機関意思でない、個人の専門家の意見を聞くということは決してむだではなし、そういう場合があり得るであろう、また有効な場合もあり得るであろう、しかしながら、個人がたまたま一つの席に会し、あるいはまた同時に話し合ったというようなからくりの印象を与える、そういう説明は、従来かりにやっておったとしても、将来は改める必要があるのじゃないか、こういうことで、私の方といたしましては、各省とただいま折衝して、そういう疑いの起るものは立法措置をとるべしということで、実は折衝しておるわけでございます。
  141. 千葉信

    ○千葉信君 そこで、官房長官にお伺いしますが、大体政府のこの国家行政組織法を主管する行政管理庁の方の見解は、今お聞きになった通りですが、どうも政府部内では、必ずしも行政管理庁のそのすっきりした意見を聞こうとしない連中が、ちょいちょいあるようです。たとえば、今そこで御答弁になった松野長官のごときは、やはり行政管理庁の今のすっきりした答弁とは少し食い迷っている。お読みになったものを見ても、何かそのお読みになったものをもし信憑しているとすれば、そう思って答弁しておられるとすれば、個人的な立場の意見だとか、諮問であるからという、そういう見解に立たれている疑いが濃厚でございます。もしそういうことになりますと、非常に大きな問題が起ってきます。どうしてかというと、そういう角度で個人的な立場、個人的なその諮問に応じて答申などをするものに対して、政府は毎日そのたびに日当を払っている、全部払っております。たとえばここでちょっと読み上げてみても、まあこれからすぐ廃止をしようということですから、あまり問題にしたくありませんけれども、経済懇談会等では会長に日当千五百円、委員には千二百円払っている、賠償実施懇談会等は軒並みに千三百円ずつ支払っている、それからみつまた需給協議会では千円、原爆云々の連絡協議会では八百円、労働問題懇談会では委員長に対して二千円、委員に対しては千五百円、港湾労働問題審議会でも千円ずつ日当を支払っております。予算に組んで、ちゃんと支払っております。個人的な立場だとか、成規の機関ではないそういう審議会、調査会委員等に対して、何を根拠にこういう手当を支払っているか、これははっきり法制化されたもの、法律によって規定されたものならば、これは問題がありません。閣議決定でこういうものを設けているから、今申し上げたような問題が起る、ここにその支給した手当の問題についても、問題が起ってくるわけです。そうして国家公務員法の第二条の第六項によりますと、国家公務員法に規定する一般職並びに特別職以外の職員を置いて、給料、賃金を支払ってはならぬと規定されております。いいですか、法律規定された場合の委員、顧問等に対しては、これは一般職職員になり、非常勤の一般職職員になります。法律規定されない閣議決定のそういう場合のは、個人としての資格だとか何とかいう連中にその手当を支払った場合には、これは正規の非常勤の職員ではありません。従ってこれは国家公務員法第二条の違反になります。第二条の違反になるということになると、国家公務員法の第百十条によって、そういう償金給料を支払ったものは、三年以下の懲役十万円以下の罰金になります。だれがその責任を負いますか。官房長官が負いますか、総理が負いますか。
  142. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) ただいまのお尋ねの件でございますが、経済懇談会等は、ここ一両年の間は、実際問題として開いておりません。賠償の方はちょっと実態を外務省の関係でわかっておりませんが、経済懇談会は、今申し上げたように開いておりませんので、予算には御指摘のように計上してございますけれども、実際は使用してないわけであります。もしかりに予算の通り支払ったということがありました場合に、国家公務員法との関係をどういうふうに解釈するかということでございますが、国家公務員法の第二条の第二項におきましては、「一般職特別職に属する職以外の国家公務員の一切の職を包含する。」こういうことになっておりまして、第三項では御承知のように、「特別職は、左に掲げる職員の職とする。」ということで、限定的に列挙いたしてございますから、従って経済懇談会の委員というものは、この三項の特別職の中には入らないということになるわけであります。入らないということになりますというと、特別職以外の国家公務員はすべて一般職と、こういうことになっておりますから、経済懇談会の委員というのは、結局、非常勤ではあるが、一般職の国家公務員、こういうふうに解釈することになるのではないかと、こう思うわけであります。そういう地位において今の給与を支払うこういうことになりまして、二条の第六項の「政府は、一般職又は特別職以外の勤務者を置いてその勤務に対し俸給、給料その他の給与を支払ってはならない。」ということの規定適用を免れるというふうに読むのではないかと考えております。
  143. 千葉信

    ○千葉信君 鈴木さん、正式に法律に基いて設けられたものとか、国家行政組織法に基く機関の委員、顧問等ならいいんですよ。法律に基かない審議会、調査会等の、御答弁によりますと、これは個人的に意見を聞くのだとか、個人的に諮問をしているのだとか、そういういわば脱法行為をやって設けている機関、その機関の委員、顧問等が、どうして一体特別職以外の一般職職員に入るのです。一般職職員に入る根拠は、明確に定員法の第一条にいう二カ月の期間をきめて雇用されるもの、それから国家公務員法第六十条の臨時採用者、これを含めて、常勤職員、もしくは常勤労務者、とはっきり規定があるじゃないですか。その他は全部常勤職員でございます。その常勤職員以外の一般職職員というのは、今申し上げた定員法による二カ月以内の、雇用、毎日採用、毎日雇用、これに該当して、政府は成規の機関の委員、顧問の場合には、賃金、給料、手当を支払うことは可能でございます。その根拠のない審議会、調査会等の委員がどうして一体一般職に入るのですか。
  144. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 今のお話しの点でございますが、要するに行政の組織体あるいは機構の一員としてでなく、経済懇談会の委員として、個々の意見を聞く、こういう形のものならば国家行政組織法の第八条に違反しないのではないか、こういうような考え方で先ほど総務長官がお話をしておられた。そういう解釈に今までの政府としては立ってきたわけでございまして、従って、経済懇談会の委員も閣議決定で置かれているものではあるけれども、違法なものではないのである、こういうふうに考えておるわけであります。従って、しからばその委員は常勤か非常勤か、こういうことに一つ問題があるわけでございますが、私どもといたしましては、これは非常勤の職である、こういう解釈で今予算に計上してありまするものの給与支給の取扱いをいたしていきたいとかように考えておるわけで、ございまして、非常勤職員給与につきましては、御承知のように一般職職員給与に関する法律の第二十二条で、その原則があるわけでございまして、一日につき三千円をこえない範囲内において、人事院の承認を得て各庁の長が手当を支給する、これによることになるわけでございます。
  145. 千葉信

    ○千葉信君 それだから、私はその根拠をお尋ねしているのですが、国家公務員法第二条の第六項に、これこれの特別職それから国家公務員法にいう一般職以外の職員を置いて賃金給料を支払ってはならぬと、こう規定してある。その規定政府は違反した考え方で、これは顧問だ、これは委員だという格好で賃金、給料を支払っているじゃありませんか。それを支払った根拠は、一体何かということを私はお尋ねしている。
  146. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 今の二条の六項は一般職または特別職以外の者に給与を払ってはいかぬ、こういうことでございまして、今の経済懇談会の委員は先ほど申し上げましたように、これは一般職とこういうふうに特別職の、第二条第二項との関係上、一般職と言わざるを得ない。従って、一般職として非常勤でございますから、給与法の第二十二条の適用がある、こういうふうに読んでおるわけでございます。
  147. 千葉信

    ○千葉信君 その給与法の何条云々という問題も、それがりっぱに政府の成規の機関に勤務する職員もしくはそこに随時に雇われる者、あるいは日ごとに採用される者、日を限って採用される者、こういう者は一般職として非常勤職員として手当を払ってよろしい。そうではない脱法行為をやって設けられた機関の職員がどうして一体公務員法に言う一般職に入るのかという、その根拠を私は聞いておる。
  148. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 法的な解釈といたしましては、先ほど来申し上げております通りでございまして、それに特に加える点はないと思うのでございまして、御指摘のように、いろいろの問題を生ずる状況でありますから、今後はそういうことがないようにはっきりとして参りたいというのが政府考え方でございます。
  149. 千葉信

    ○千葉信君 時間の関係もありますから、これ以上深追いは避けますけれども、この問題の結論いかんによっては、さっき申し上げましたように、国家公務員法の百十条に違反する問題なんです。しかもそれは、百十条によりますと、第二条第六項に違反した者に対しては、三年以下の懲役十万円以下の罰金ということになるわけです。これは場合によると、赤城さんか岸さんは監獄に行かなければならない。そういうことの起らないように、少くとも今後この行政組織上の問題としての調査会審議会、特に残っているさっき廃止を約束されたようですが、そのほかにも、みつまた需給協議会というようなものがあります。経済懇談会等については、予算もないし、最近あまり開かれなかったから、実際上は賃金を支払っておらないところ言われますけれども、それなら例として申し上げておきますが、昨年の七月に設けられて十二月まで続いた税制審議会、ここでもはっきり、その委員の数は二十七名ですが、一日一人に対して七百円の賃金を支払っている。これは賃金もしくは手当もしくは顧問料、委員料という言葉が使われるかもしれない。しかも、それが二十三回開かれて、起草のための会議が四回開かれた。そのたんびに今申し上げた金が払われております。こうなりますと、憲法上の問題で今ごたごた騒いでおりますけれども、この問題を裁判所に訴えると、国家公務員法第二条違反で犯人が政府から出ますからね。そうことの起ることを避けるためにも、一つこの際この調査会もしくは審議会等の問題の処理には、総務長官もそうですが、官房長官も一つ明確な態度で、次の国会にまた同じような問題がごたごた起らぬように、私はここで善処を約束してもらいたい。特に行政管理庁の見解等も、行政組織上の問題については明確なその見解なり方針がはっきりしておるのですから、一つ官房長官、総務長官から一人々々個別にその決意と約束をこの際承わって、その答弁がよければ、私はここらで質問をやめてもいいです、いかがですか。
  150. 赤城宗徳

    政府委員(赤城宗徳君) 違法な審議会を設けて、違法な支出をしていたとは考えておりませんけれども、再々千葉さんあたりから議論がありまして、よく検討してみると、疑いもないわけでもない。(笑声)こういうことで、あいまいでは困るということで、これははっきりした方がいいんじゃないか。行政管理庁とも相談して、整理すべきものは整理して疑いを受けないような態度で進む、こういうことで、今国会においては整理すべきものは整理し、法律で設けるものは法律で設ける、こういうことでありますから、次の国会等におきましても、ぜひその方針で千葉さんの御意向に従っていきたい、こう考えております。
  151. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 総理府にはたくさんの審議会がありますので、当然その責任は私が負うべきでありますが、今までの御議論のように、私の方は、実は第二条の第四項の一般職に属する職にこれを適用するかどうかは人事院がきめるというある程度の一つの幅がある。給与関係には、二十二条一で、人事院の承認を得て三千円以下は支払うことができるということで、両方で人事院の承認を得て給与を支払っている。人事院の方は、これこれこれの者は承認を得なくても承認したと同様な意味を持つという人事院規則でありますので、そういうものを実は関連して違法にあらずという方法をとっております。なお、千葉委員のただいまの質疑応答を聞いて参りますと、なお検討する要素はございますから、私どももさらに次期国会までに検討いたして、あらためて明確にいたしたいと存じます。
  152. 千葉信

    ○千葉信君 今の松野さんの答弁によって、人事院の関係も出てきましたから、これはまたあらためて委員会質疑することにして、きょうはこのくらいにしておきます。
  153. 八木幸吉

    八木幸吉君 簡単に松野長官に伺いますが、公共企業体審議会の答申事項の中に、公共企業体制度の改善として、公共企業体管理委員会設置が勧告されておりますが、これはまだないようですが、どういう理由ですか。
  154. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 公共企業体関係は、私の方より行管の関係じゃないかと思いますので、行管の政務次官がおりますから、もう一度質問を行管にお願いします。
  155. 八木幸吉

    八木幸吉君 公共企業体審議会の答申事項として、公共企業体管理委員会設置が勧告されておりますが、まだ設置されておらない理由は、どういうところにあるか。
  156. 濱野清吾

    政府委員濱野清吾君) お説の通り、そういう勧告が私どもの就任以前にいろいろあったそうでございますが、各省の意見の調整ができずに、その設置が行き悩んでいるというのが今日の実情だそうでございます。
  157. 八木幸吉

    八木幸吉君 非常におざなりの答弁で、どうも内容をみなよく知らないようですが、先ほど委員の方と松野長官審議会の設置の必要性について質疑がありました。松野長官は、審議会から答申が出れば、できるだけできるものはそれをやるように尊重しているというお話があったんですけれども、こんな大騒ぎをして公共企業体の審議会ができてそうして答申が出ておるのに、みんな知らんというようなことじゃ、私、審議会というものは、先ほどからどなたかお話があったように、実際無意味のような気がするんですが、これは民間人が一生懸命になって岸総理に勧告をしている。その内容はつまり公共企業体の全体の管理をするための民間人を中心とした管理委員会を作れと、そうして公共企業体の民営的な能率の上るような経営をやれと、非常に強い勧告なんですが、どうもみんな何にも知らないようだが、私は政府審議会に対する熱意を疑わざるを得ないのですが、どうしてやらないのだとかやるとか、もう少しだれかが返事ができなきやなっておらんと思うのですが、どうですか。  それともう一つは、これは別な話ですが、なぜきょうは山口行管長官出席できないのですか。
  158. 永岡光治

    委員長永岡光治君) あとの質問は、委員長が先ほど提案理由説明のときに申し上げました通りに、出張中で出席不可能であります。不謹慎な態度であることを、特に委員長は厳重に注意しておきました。今後そのようなことのないように。
  159. 八木幸吉

    八木幸吉君 前段の問題、政府のもう少し誠意ある答弁を……。
  160. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 公共企業体の事務と庶務は、実は行管で扱っておりまして、その答申の内容総理府委員会を置けと、こういう答申の内容だったと存じます。各部の連絡もまだ実は私の所まで調整がつかなかったかどうか知りませんけれども、事務当局から実はまだ聞いておりませんで、事務局が実は行管でやったというわけで、答申の内容総理府委員会を置けという答申であったと思いますが、事務的にはまだ調整がつかないのでこの国会には見合せたという話だそうでございます。別に等閑に付しておるわけじゃございませんので、なお慎重検討いたします。
  161. 八木幸吉

    八木幸吉君 等閑に付していたと思う。今の長官の答弁で、はっきりそう思いますが、過ぎたことは仕方がありませんから、この答申を一つ至急に検討して、そうして次の国会に間に合うように誠意をもって検討せられんことを希望しておきます。それからもう一つは、原爆被害対策に関する調査研究連絡協議会というのが、閣議決定による審議会としてあるのですが、その委員の顔ぶれを見ますと、ほとんどこれは公務員が大部分でありますが、民間人というのは二、三人くらいと私は見受けるのですが、これはもうやめたらいいと思うんですが、どうですか。
  162. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 厚生省の所管にできておるかと存じますが、ただいま担当所管大臣がおりませんので、便宜上行管から答弁いたします。
  163. 八木幸吉

    八木幸吉君 私がこれを……
  164. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 八木君、ちょっと待って下さい。答弁があります。
  165. 濱野清吾

    政府委員濱野清吾君) この委員会は、普通の審議会あるいは調査会と少々趣きが違っておりまして、原爆の被害の調査方法を研究すると同時に、この被害の結果をも調査しようと、こういう目的をもって審議会ができているのだそうでございます。そうしてしかも、その中には民間人が入っているわけでございまして、こうした問題は、みつまたの委員会と同じように、むしろそのほうの関係公務員だけで一つ調査会をお作りになったらどうだと、こういうような考えを、実は行管の方で持っておりまして、それを実はこれらの機関に御相談をしているような次第でございます。
  166. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記をとめて下さい。  一速記中止
  167. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記をつけて
  168. 八木幸吉

    八木幸吉君 今、行管の方から、民間人も入っていると仰せられたんですけれども、五十人のうちで三人ぐらいしか民間人が入っておりません。ですから、これはもうやめて、政府の方で、政府の懇談会か何かの形、八にされるのがいいと思います。それだけ申し上げて質問を終ります。
  169. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認め、これにて本案の質疑を終局することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  なお、委員長のもとに、松岡平市君から、本案に対する修正案が提出されております。本修正の御意見は、討論中にお述べを願います。
  171. 松岡平市

    ○松岡平市君 総理府設置法の一部を改正する法律案、これには自由民主党は賛成でございます。賛成についての別段の理由をあげて討論はいたしませんが、この機会に、一部修正をする必要がございますから、修正案を提出いたします。  委員長その他委員各位のお手元に刷り物を差し上げておりますが、一応読み上げます。    総理府設置法の一部を改正する    法律案に対する修正案   総理府設置法の一部を改正する法  律案の一部を次のように修正する。   附則中「昭和二十四年四月一日」  を「公布の日」に改める。  これは申すまでもなく、すでに四月一日は経過いたしておりますので、法律施行上変える必要があると思いますので、御了承願いたいと思います。
  172. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、松岡君提出の修正案を問題に供します。本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  174. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 全会一致と認めます。よって、松岡君提出の修正案は、可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を、願います。    〔賛成者挙手〕
  175. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 全会一致と認めます。よって、総理府設置法の一部を改正する法律案は、全会一致をもって、修正すべきものと議決せられました。  なお、議長に提出する審査報告書の作成につきましては、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認め、さよう、取り計らいます。
  177. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 次に、午前に引き続き、一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案、以上三案を議題として、質疑を続行いたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  178. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 私は午前に引き続いて、総理府並びに人事院に対して、本案に対しての質問を続けたいと思います。まず長官にお伺いいたしますが、御承知のように、公務員はかねてから職階制の給与体系には強く反対してきておるわけであります。ところが、政府におかれては、この職階制の強い賃金体系がだいぶお好きと見えて、この点、非常に強調しておられるわけですが、一体、政府としては、この職階制の給与体系を理想としておられるのかどうか、それに対するお考えを明確にしていただきたいと思います。
  179. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 職階制の是非については、いろいろ議論もございましょうが、今日まで、公務員法及びその他につきまして、職階制というものを認めて参っておりますので、急激にこれを廃止するというわけにも参りませんし、なお、当然、この問題が具体化するならば、人事院で検討さるべきものでありますので、政府がその前に是非を議論するには、やや早計かと存じております。
  180. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この改正案をしさいになお検討いたしますと、先ほども一部触れましたが、これは初任給引き上げではなくして、給料表の一部改訂、そういう点が指摘できるわけです。現在、給与表を基礎にして初任給を引き上げるためには、たとえば大学卒を一号ないし二号以上上の等級号俸に格づけして、あとは、それに従って全員号俸是正を行う、そういうことを行うか、あるいはまた、今回のような措置でやるならば、九千二百円以上の俸給月額を、少くとも千円以上それぞれ引き上げなければならない。当然そうなければならないと思うんです。前者であれば、先ほど申し上げた通り、今回のような要領でやるならば、今言ったようなことが、どちらか必ず行われなければ、真の初任給引き上げとはならないわけです。そういう点を明確にしていただきたいと思います。
  181. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 御意見は十分拝聴いたしますが、いずれにいたしましても、今回は人事院の勧告を基礎にいたしましたある程度初任給の問題でありますので、基本的にはいろいろ研究すべきところもあると存じておりますけれども、今回に関しましては、人事院の勧告をそのまま実は織り込んだわけでございます。
  182. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そこで重ねてお伺いいたしますが、政府としては、この内容については非常にりっぱなものだと思ってこれを取り入れられたのか、だいぶ問題があるけれども、ただ、人事院の勧告だからやむを得ずこれを取り入れたのか、そのいずれか、明確にしていただきたいと思います。
  183. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 人事院の勧告でございますから、妥当と考えて取り入れました。
  184. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そうしますと、今後も、これは大事な問題だと思うんですが、人事院も全知全能の神ではないので、いろいろ不十分の点もあるし、遺憾の点もあろうと思う。ところが、事、人事院の勧告であるならば、何でもかんでも無条件にこれをのむという態度で従来も来たし、今後もそういう態度だということであれば、これは非常に問題だと思うんですが、人事院が全知全能の神である、そういう大前提に立つならこれは別問題ですが、人事院でも、いろいろ不十分な点があろうと思う。不合理もあろうと思う。不合理は不合理として、これはやはり是は是、非は非として、やはり政府の態度としては、明確な態度を打ち出すべきであろう、こういうふうに思うんですが、そういう政府では、まことに心もとないと思うんです。
  185. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 人事院の勧告を全知全能で無条件でのむというわけでもございませんが、今回の勧告は特に妥当だ、こう考えたわけで、なお、今後の問題としては、給与にある程度の問題があることは承知しております。しかし、一応この程度の勧告が人事院から出ましたことも、これも妥当と考えて取り入れなければいけない、満場一致というよりも、一応この程度人事院勧告政府としても同感である、この意味で実は政府としても提案いたしたわけでございます。まだ実はいろいろな問題が、かねてから議論になっておる号俸の調整という問題も承知はしておりますが、いずれ人事院で研究していただいておることであろうと考えまして、人事院できめれば無条件で政府がのむというよりも、今回のこの勧告は妥当である、こう考えてのんだわけであります。
  186. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 きわめて不満足ながら、五八・九%の人については、先ほど申し上げたように、一応了承するとしても……、これは仮定ですよ、おそらく了承していないと思う、非常に不十分だから了承していないと思いますが、かりに了承するとしても、残りの四一・一%の方が全然措置がとられないわけですが、これは同じ公務員、同一労働同一賃金という立場から見ても、まことに不合理きわまりない、どなたが見ても明確に指摘されるわけであります。この点は一体どうするんですか。この間の格差については非常に翻り切れないところを持っていると思うのです。
  187. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 特に今回、人事院の勧告が、初任給に中心を置かれておる、特に初任給と民間の初任給との較差が非常に大きく、公務員としての適格者を、ある場合には、給与の較差が非常に大きいために、優秀な人材が得られない、こういう趣旨から、今回の人事院の勧告も、初任給の問題に特に焦点が置かれたように考えまするので、もちろん他の問題もございましょうが、今日緊急な問題として、さしあたり一番必要である初任給の問題に手を触れたという、その趣意もよく了解いたしまして自後の問題も、なお、初任給を手直しするならば、おのずからいろいろな問題があることも承知いたしておりまして、人事院も今回は初任給にとどめたという趣旨は、さしあたり緊急なものに手を触れたという趣旨であろうと、政府としても、この点を了として今回この提案をした次第でございます。
  188. 千葉信

    ○千葉信君 関連した質問ですが、私は、少し伊藤委員の意見とは違ったところがありまして、政府として、この人事院の勧告をのむという、全面的に採用するという態度をとられたことは、非常に賞賛に値する。ただしかし、具体的に政府が一体検討せずにのんだのかどうかということが、私は若干問題になるだろうと思う。というのは、今の御答弁で、初任給関係についてだけというお話でありましたが、実は、その初任給の手直しの関係で、せっかく等比級数制というか、昇給の間差額、それから昇給に要する経過月数等についてもかなり合理的であったものが、今回の法律改正によってこれが混乱を来たすということ。たとえば一例をあげますと、大体従来の状態を見ますと、八等級を例にとりますと、八等級一号の場合に、昇給間差額二百円、その昇給に要する月数十二カ月間、その次が三百円で月数は同じ、その次は四百円、次も四百円、その次、五号から六百円という格好で、これが九号まで続いている。九号から八百円ずつの昇給額となっている。ですから、この状態は、昇給に要する月数、昇給額等においても、かなり私は合理的なものだと判断しております。ところが、今度の法律改正によりますと、これが混乱を来たして、一号において二百円は依然として同じ、次、三百円、四百円等と、第四号までは同じでありますが、五号に至って、六百円の昇給額が八百円になっている。六号も八百円、七号も八百円、そして八号に至って五百円という格好で、十二カ月かかってたった五百円。その次は、六号、七号が八百円であるのに、今度は九号、十号等が七百円。この点を政府の方では不合理と考えなかったか。少しおかしいな程度のことは判断つかなかったか。この点は、私は、まるのみにした態度はいいとしても、さらに非難の対象になる態度だと思う。
  189. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) かねてから議論があります、いわゆる中だるみの是正という点から考えますれば、人事院の今度の初任給引き上げによって、ある程度中だるみが拡大されたという議論もございましょうが、中だるみそのものの是正については、実は内容的に、あるいは民間給与等の比較較差を考えて、相当議論があることは事実であります。しかし、それが直ちにいい悪いは、なお今後において検討すべき問題であって、いきなりそれは中だるみがいけないのだ、こういう端的にきめてしまうにはなお早計であろうと考えまして、これは今後の人事院の研究調査にまかせるべきだと私は考えておりますが、あえてこのことを人事院に申し伝えるとか、私がこう言うという意味ではなく、私個人がこういう俸給表を見てここに議論があるという意味でありまして、直ちにこれのいい悪いを断定するには、なお研究の余地があるということで今回提案をいたしております。
  190. 千葉信

    ○千葉信君 今の問題について私はどうも人事院の初任給手直しの勧告については、内容いささか勉強不足の傾向があったと思います。今松野さんの御答弁によりますと、なお人事院で研究中であるということに期待をいたしておるようだし、私どもはその点同感です。人事院としては将来にわたってこの点どういうように是正されようとしておるか、この点を明らかにしていただきたい。
  191. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 御指摘のように間差額におきまして、前後逆転しているという現象が出ているのであります。人事院におきまして勧告いたしましたときには、このことはよく承知いたしておりましたが、こういう増額をはかりますためになるべくその逆転が起らないようにということで、ずいぶん研究をいたしてみたのでありまするが、もともと問題が初任給改訂、これだけやれば非常に簡単なんでありますが、そのほかのところをほっておくという手はありますけれども、やはりどうもそういうようなことをするのは、給与の均衡という点から適切でない、そうなれば、これはでき得る限り、なめらかな補正をするということがいいのじゃないかということでいろいろやってみたのでありますが、現在人事院で勧告をいたしまして政府提案になっておりますような形が次善の策である、このような観点からこういう勧告をいたす決意をしたのであり直す。御指摘のように俸給表はこの俸給間差におきましても、こういうふうに逆転のないことが望ましいことは申すまでもございません。従いましてこういう問題を将来人事院としても十分研究いたしたいと思っております。
  192. 千葉信

    ○千葉信君 私はただいまの瀧本給与局長の御答弁を了として、人事院としては早急にこの欠陥の是正のためにすみやかに再勧告の措置をとられることを希望して次の質問に入ります。次の質問は、今回暫定手当俸給繰り入れの問題に関連して、俸給繰り入れたために一番有利になったものはだれかというと、これは平職員じゃなく管理職である。なぜ管理職が有利になってきたかというと、今回俸給繰り入れられた分を含めて特別調整額が支給される、こういう点について政府としてはどうお考えになられるか、これは人事院と直接関係のない問題ですから、この点について政府の方から御答弁を伺いたい。
  193. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) ただいま千葉委員の御指摘になった点は、確かにその通りでございます。暫定手当の一部を俸給化するということは、かねてから国会におきましても、その他の方面におきましても、非常に要望されておった点であり、現に給与法にもその規定がございますので、これをどのように実施すべきかということをいろいろ検討いたして参ったのでございます。御指摘のように俸給を一部暫定手当繰り入れによって増額いたしますと、他に俸給を基礎としております諸手当その他の給付等が影響を受けるわけでございます。従いまして御指摘になりました管理職手当、いわゆる俸給の特別調整額その他隔遠地手当等もそうでございます。それから寒冷地手当もそれに応じまして増額されるわけでございます。かようにいたしまして職員手当の分が増加する点は確かにあるのでございますが、逆にまた俸給を基礎といたします恩給納付金あるいは共済組合の組合費等は、これはまたよけい取られるというそういう結果もございます。従いまして職員等におきましては実際手取りになりますものが、ある場合にはプラスになる、ある場合には減少するということもございますけれども、大体暫定手当俸給化ということは、そういったことを前提にして考えられたものではなかろうかというふうにも思われますので、御指摘のような点がありましたけれども、今回俸給繰り入れるという措置をとったわけでございます。一
  194. 千葉信

    ○千葉信君 これは松野さんにも増子君にも申し上げておきますが、賃金給与の問題で一番原則的に考えなければならぬのは、公平にということと、その金額が適正であることが一番大事な条件だと思います。それが崩壊したりすると、それが適正でない場合には、そういう点が守られない場合には、むしろ能率の低下を来たすという現象も避けられない。そう簡単にはそういうことは起らぬと考えるかもしれませんけれども、やはり私はそういう原則的な点を十分に考慮してきめるべき筋合いのものであるという点から、今回の初任給の手直しによって、昇給間差額並びに俸給額、同時に今回の暫定手当の本俸繰り入れに従って生じた管理職者と管理職以外の者の不利益、こういう点は私は今後の課題として、もう少し政府としては適正な措置考えるべきだ。片方は人事院の勧告を丸のみした、片方は、他院のことをいうのは恐縮ですから避けますけれども、これはなるほど国会で議員提案の格好で暫定手当の問題が処理されている、本俸繰り入れもそのときの措置が根拠になっておりますけれども、それをのむ場合にもやはり適正、公平ということを念としなければならないということを考えますと、少し芸がなさ過ぎる提案だと私は言わざるを得ない。この点は一つ将来政府の方では十分考えてもらう必要があるということ、それから最後の質問は、暫定手当の本俸繰り入れの問題、この問題については三十四年の四月一日以降となっております。以降という言葉があったから、以降ならいつでもいいじゃないかということになるかもしれませんけれども、私はそういう言い方は、あまりにものの考え方が機械的で、あまりに便宜的だ。そういう点から私は四月一日以降、大体そういう権利を保障する建前をとるべきだという国会結論を尊重する立場からいけば、今の本俸繰り入れの問題についての不公平についても、その不公平に目をつぶって、本俸繰り入れを敢行したということから言えば、私はやはりこれは国会の決定を尊重したということでしょうから、そういう尊重の態度からいけば私は四月一日以降という、この四月一日という期日を政府としてはもっと順守すべきだったと思うのですが、守らなかった理由は、一体どこに原因があるのか。多分政府としては財政上とか、予算上とかということを言われるかもしれませんが、その点一つ明確にここで政府の御見解を承わっておきたい。
  195. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 財政上の理由ももちろんございます。第二番目には、いわゆる一級地のあとの半分が三月三十一日で、いわゆる無級地と一級地の調整がつくのが四月一日からでございます。なお、御趣旨の四月一日以降という言葉でありまして、以降だから三十四年の四月一日以降ならいつでもいいじゃないかという議論も、あまりにその趣旨をそんたくしないというので、ちょうどまん中の十月一日ということにいたしましたが、以降といっても、三十四年会計年度中ならいつでもいい、これはあまりに幅が大き過ぎる、やはりその趣旨をそんたくするならば、半年分ならそんたくに値するのではなかろうか、こういう意味で、財政上の都合もあったので、まん中の十月一日からにいたしましたので、あえて議論として四月一日からやっても、もちろんあの以降の趣旨に合います。といって四分の一年分も以降かもしれませんが、なるべくその誠意を披瀝して、まん中の半年分にいたしました。
  196. 千葉信

    ○千葉信君 じっくり論議をする機会もあるでしょうから、私はどんどん先に進めますが、政府の方では一体今回無級地等については一級地に引き上げて本俸に繰り入れるという措置を講じたが、残余の三段階等に対しては、政府はどういう考えをお持ちになっているか、どういう場所に解決しようという御方針なのか、その点について承わりたい。
  197. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) もちろん、順次この方針に沿ってこの相当額を本法に繰り入れるべきでございますが、来年、再来年と期限を切るわけでもございませんし、一応物価及び経済状況とも見合って順次その方向に進みたいという気持は持っておりますが、まだ来年の予算編成前に誓約するわけに参りませんが、方針としては順次この方向に進みたいという気持を持っております。
  198. 千葉信

    ○千葉信君 具体的には国会結論に待つつもりなのか、それともこの点についてしかるべき機関、たとえば人事院等で、この問題についての打開方法の御研究を願うことにするのか、それとも政府独自でこの問題の処理を考えるのか、政府としてはどう考えているのか。
  199. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 先ほど御指摘もありましたように、この問題が他に波及することもございますし、やはり給与総体の問題もございますから、もちろん人事院とも相談いたしましょうし、政府部内でも研究いたしましょうし、国会にも御相談いたしながら総合的にやって参りたい。先ほどの御趣旨のようにここばかりいじくりましても、給与の総合性から見てもおかしいという場面もあるやに考えますので、総合的な観点から今後の方針としては、やはり順次参りたいと思いますけれども、すべての他の諸手当相当複雑になっておりますので、そういうものも考えながら、公平で、しかも均衡ある給与という方向に努力して参りたい、こう考えております。
  200. 千葉信

    ○千葉信君 初任給の是正の問題についても、暫定手当の処理の方針についても、私はどうも人材多数網羅している総理府並びに審議室の結論としてはどうもいただきかねる結論を出したので、この点は非常に不満なんですが、国会でこれを十分審議し、どう解決するかということを諮る機会があれば、私はその諮るときに、実は今回はそのいい機会だと考えたのですが、何しろ現実問題として相当時間が切迫しておりますから、遺憾ながら私はここで質問をやめて、解決を今後に待ちたいと思います。
  201. 松岡平市

    ○松岡平市君 ただいま議題になりました三案につきましては、質疑を打ち切って直ちに採決をするように動議を提出いたします。これは大へん無理な、きょう提案理由説明を聞いたばかりでございまして、まだ質疑もたくさんおありだと私は思っております。それで質疑打ち切りの動議を出すことは、まことに残念でございますけれども、御承知のような会期の都合でございまので、一つごかんべんを願って、さよう御取り計らい願いたい。まげて一つ御了承願いたいと思います。
  202. 山本利壽

    山本利壽君 私はただいまの松岡君の動議に賛成いたします。そのようにお計らいを願います。
  203. 千葉信

    ○千葉信君 今の動議成立したようでが、それを委員会に諮ることを暫時延ばして、発言を要求している委員もいるのですから、若干の発言をこの際してもらいたい。委員長さよう取りからい願いたい。
  204. 永岡光治

    委員長永岡光治君) さよう御了承いただきたいと思います。
  205. 松岡平市

    ○松岡平市君 けっこうでございます。
  206. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 それでは、あとに戻してごく要約して二、三質問続けたいと思うのですが、よろしいですか。
  207. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 進めて下さい
  208. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 それでは時間の関係もございますから、ごく重点的にお伺いしたいと思いますが、先ほど触れました五八・九%と四一・一%との間には、長官もまさしく不公平である、こういうふうにお考えになると思いますが、これは私どもから見ますと、どうしても内部分裂を意図しているものだと、そういうふうに解せざるを得ないわけですね。そういうことが、一方では公務制度の改悪ともつながっておると、こういうふうにも解釈するわけです。この点について明確にしていただきたい。
  209. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 公務制度改正は、この給与の問題とは関連はございません。公務員の給与の問題は、人事院独自で今日の実情に合せての御勧告でございますし、公務制度は、公務制度調査会からの答申に基くもので、ともに何ら関係は私たちは持たしておりません。
  210. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、昇給期間を一部短縮しておりますが、これは不当な昇給延伸に対する不満をなだめるための一つの措置であろう、そういうふうに私たちは解釈しております。昇給延伸該当者は、もちろん改善になりますが、不十分でありますが、改善であると思うわけであります。ところが、その措置が全くわずかな人たちにしかすぎないということ、そこで一方、このことによって職階制の給与体系を強化するということになる、そういうことになるのではないか。これは一考を要する点ではないかと思うのです。この点どうですか。
  211. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいまの問題は、人事院が勧告いたしました通り政府提出法律案になっておりますので、人事院からお答え申し上げたいと思います。職階制の強化になるのではなかろうかとおっしゃるのでありますが、職階制の強化でありまするならば、むしろ昇給期間の短縮される号数をふやすということは、かえって変な感じがいたすのであります。むしろ人事院が勧告いたしましたときには、現在公務員が各等級どのように分布しておるか、また多くの人がそういうところに該当いたすということになれば、これはやはり別の意味から問題にもなろうというように考えまして、下の方は幸いにして初任給増額によりまして、これとのバランス上給与の増額をはかるという措置がとられたのでありまするけれども、五等給の大部分、四等給、これ以上になりまするとそういう措置がない。従いまして、そういうことを彼此勘案いたしまして、その辺の若干の給与改善をいたすという意味におきまして、昇給期間の短縮をいたした次第であります。
  212. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 一昨年の改訂で不当に延伸された職員がいるわけですね。それと、今回の改訂で延伸を解決された方、その間に非常に不均衡が出ると思うのです。これも人事院の方でけっこうですからお伺いしたい。
  213. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 一昨年の改訂は、御存じのように俸給表の作り方等は人事院勧告が大体生かされておるわけであります。ただ、金額等につきましては、昇給期間考え方が違ったりいたしまして、多少違っております。あのときの人事院の勧告は、当時おりまする職員の現状におきまする級別また号別分布というようなものを見まして、また一方におきまして、給与実施をやっておりまする給与実施の実際の運営等も考慮いたしまして、決して不利にならないように、号数並びに昇給期間というものを、旧時代の給与表の状況を平均化して移す、あるいはそれより多少よくして移すということであったわけでございます。従いまして、今までのところ、従前に比べましてそういう方々が決して不利になっておるというふうにわれわれは考えていないわけです。ただ、その後の推移を見まして、やはり昇給期間を短縮した号数を延ばす方がよろしいということが検討の結果、そういう判断がつきましたので、今回延ばすということでございますので、制度改正のことでありまするから、これはまあ既往にさかのぼらないで今後の問題として考えていく、このように考えておるわけであります。
  214. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、暫定手当繰り入れについてお伺いしたいと思いますが、先ほど千葉委員からも指摘がございましたので、重複を避けてお伺いしたいと思います。この三十二年の法百五十四の附則二十三項によって先ほど長官お答えになったと思うのですが、時期の問題ですが、「四月一日以降において」と、まさしく明文があるわけです。「三十四年四月一日以降において」、そこで長官としては三月末日まででもいいが、中間をとって十月にした。これは政府措置としては余りにも根拠がなさ過ぎると思うのですよ。結局これは給与改善の措置としてははなはだぼやけておるし、どうも根拠のない措置だと思うのですが、この点はどういうふうにお考えですか。
  215. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 無級地と級地との調整が四月一日で二年目にやっと完了するわけであります。従って、その改訂が全部済んだあとで今度のさらに調整をする、繰り入れるという方向になります。初めて無級地と一級地との調整がつくのが四月一日からでありますので、それが済んだ上でこの方向をとるといいますか、そのあとになる。しかも明文も「四月一日以降」とありますから、やはりある程度幅を持たしてそういう段階を経ることも、この趣旨に反するものでもなかろう。それでは五月からか六月からかという議論がございましょうが、ちょうど年度の途中からやることも一番妥当性もあるだろうというので十月一日からにしたわけで、五月一日からでもいけないという議論はありませんけれども、一応今回予算上でも十月一日ということで予算を組んで十月一日にいたしたわけです。そうまん中で割ったという意味ではございません。無級地、一級地、それの調整が四月一日で初めて、二年目に完了いたしますから、その以後の今後の問題をさらに進めることも妥当であろうということを考えて十月一日ということにしたわけであります。
  216. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 その点いま一度重ねてお伺いしますが、四月一日を十月一日に延ばすことによって財源的には約一億の節約ができると、時期はいつでもいいのだと、いろいろおっしゃいますけれども、岸内閣ともあろうものが、わずか一億を節約するためにやった措置としては、あまりにもおとなげないと考えられるのですが、その財源一億の節約ということも頭にあったと思うのですが、この点どうなんですか。
  217. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) もちろん、財源的な政府の予算に関連することでございますから、全然なかったとは申しません。しかし、この昭和三十二年の附則二十三項によるものの「四月一日以降」とある程度幅を持たしてあります理由は、やはり給与財源というものを念頭に置いて四月一日以降においてという趣旨であろうと解釈いたしまして、ちょうどそのころにおきまして予算においても妥当である、また、この趣旨にも合致するという意味で、十月一日にいたしまして全然予算に関連ないことはございません。当然給与予算に関連のあることでございますので十月一日にいたしました。
  218. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この点については、公務員法では四月一日以降いつでもいいと、こういう規定になっておるから、当然に四月一日を期待しておったわけですね。ところが十月ということになって、その点まことに遺憾だと思うのですが、四月一日でもいつでもいいということなら、四月一日でもいいわけなんです。そういう点にさらに検討を要すると思うのです。わずか一億の節約のために、大岸内閣ともあろうものが、あまりにもおとなげないと思う。  それはそれとして時間がございませんので、最後に夏季手当についてお伺いしたいと思うのですが、夏季手当〇・一五を増額をしておる。これは民間給与実態から見て、これはまあ当然過ぎるくらい当然のことだと思うのですが、公務員の方々が前々から三カ月の期末手当を要求しておる。こういう点に一応こたえたかのごとく見えるわけです。ところが、ほんとうのねらいは、本格的なベース・アップの要求をそらせるための一つの手段として、ここへ重点をしむけた、そういうふうに受け取れるわけです。この点まことに遺憾なのですが、その点明確にしていただきたいと思います。
  219. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 期末手業は、主として昨年の勧告の趣旨にもありますように、民間給与との比率によって、この程度はどうしても引き上げるべきだという最小限度の勧告があったかと存じます。その勧告に従って出したわけであります。暫定手当の方は一億ではありませんで、大体半年分で地方公務員もありますので十億をちょっと上回るかと思います。半年分で国、地方で約十億をちょっと上回るかと思います。財源的にも一億ではなく、十億を上回る財源だと考えております。
  220. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 時間の関係で、残念ながら、最後に一点だけお伺いしてやめたいと思いますが、先ほど千葉委員からも御指摘があった暫定手当の点ですが、同一行政区域内における暫定手当の不均衡については、政府はいまだ何らの手を打っていないわけですが、これはどういうわけですか、これは早急に手を打たなければならぬことになっている。
  221. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) 御指摘の点は、いわゆる同一市町村内における暫定手当の不均衡の問題と存じますが、この点は、確かに主として地方公務員の人事異動等におきまして困難な問題になっておるということは、私どもかねて承知いたしております。その点の対策を検討いたしておるわけでありますが、先ほど総務長官からも申し上げましたように、また、十分御承知の通りに、無級地と一級地が今年の四月一日から同額の暫定手当ということになりますので、同一市町村内に無級地と一級地があることによって不都合になっておりました地域の問題は解消するわけでございます。私どもの調査によりますと、このような地域に該当するものが関係の地域の大体六割五分程度でございます。逆に言いますと、関係の地域のうち六割五分程度のものは、この不均衡の問題がなくなるというわけでございます。もちろん、その他の地域、約三割五分の地域におきましては、依然として問題は残るわけでございます。すなわち、二級地と三級地、あるいは一級地と四級地等が同一市町村内にあるというような場合でございます。これらの問題につきましても、いろいろと検討いたしております。ただ、非常にむずかしいと申しますのは、いわゆる一級地と四級地が町村合併等によりまして、同じ市になり、町になった場合、一級地のところも四級地まで一ぺんに上げてしまうということも考えられるのでありますが、その一級地に接続したところに隣の村が依然として一級地であるということになりますと、そことの較差がまた非常に大きくなって参ります。そこで隣村の一級地をまた四級地に上げなければならないというように、いろいろと波及いたしてくるわけであります。そういう意味におきまして、暫定手当の、あるいは地域給の根本的な問題まで掘り下げないと、この問題は容易に解決しないように思われるわけでございます。今後の暫定手当制度をどのような形で持っていくか、暫定ということは、あくまで暫定なのであるから、これを全部本俸に入れまして、それで事は済むかどうか、各地域の物価その他における地域差というものも一方においては否定できない、その地域差に対応する給与というものを考えなければならないということでございまして、この点につきましては、なおいろいろと資料的にも検討を加えなければならない、こういう意味で、今回はこの点を見合したわけでございます。
  222. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 一点要望申し上げておきたいと思いますが、一昨年の五月、当内閣委員会において、この点については、すみやかに是正すべきとの決議がなされているわけです。そこで、今御指摘もございましたが、今後さらに最大限の努力をして、すみやかにこの決議の精神に沿うべく、決議を尊重するように強く要望申し上げて終りたいと思います。
  223. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 先刻松岡君から質疑終局の動議が提出されましたが、動議提出者の御了解を得て、その後若干の質疑を継続した経緯もございますし、まだ委員長の見るところでは、質疑は尽きないように見受けられますが、あえてこれを差し控えているようなこともございますので、この際は松岡君の動議を採決することなく、これにて質疑を終局することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。(「反対」「異議なし」と呼ぶ者あり)  御異議ないと認めます。  それでは……。(「反対」「採決」と呼ぶ者あり)それでは皆さんの御要望もありまするし、松岡君の動議の採決をいたします。  松岡君提出の動議に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  224. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 多数と認めます。それでは質疑は終局をいたしました。  これより三案を一括して討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、委員長のもとに、松岡平市君から、一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。本修正の御意見は、討論中にお述べを願います。
  225. 松岡平市

    ○松岡平市君 自由民主党は、三案いずれにも賛成でございます。ただし、三案のうち、一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案、これに対しましては修正案を提出いたしたいと存じます。修正案を朗読いたします。    一般職職員給与に関する法    律等の一部を改正する法律案に    対する修正案   一般職職員給与に関する法律  等の一部を改正する法律案の一部を  次のように修正する。   第一条のうち別表第一から別表第  七までの改正規定別表第五イ教育職  俸給表(一)備考(一)中「大学及び専科大  学並びにこれらに」を「大学及びこ  れに」に改め、同表口教育職俸給表  (二)備考中「専科大学及び高等学校並  びにこれらに」を「高等学校及びこ  れに」に改める。  一般職職員給与法の一部改正案は、案のうちでは、専科大学の設置を含む学校教育法等の一部改正案、これが先に成立施行されることを前提として作成されております。ところが、この学校教育法の一部改正案は、いまだ本院文教委員会審議中でございます。予定されておった通り成立を見ておりません。従って、この給与法等の一部改正案を原案通りにいたしますれば、この案の方が先に成立いたすことになります関係上、この修正案を提出いたしたいと思います。何とぞ御同意の上御賛成を願いたいと思います。
  226. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 私は、日本社会党を代表いたしまして、この三法案に反対の意見を申し述べたいと思います。  この大綱を見ますと、先ほども申し上げたように、初任給の引き上げ、一部昇給期間の短縮、そして夏季当の〇・一五、暫定手当五%の繰り入れと、一応こういう四点から来ておると思いますが、そのねらいは、国家公務制度等とからんでおりますし、また共済法、定員法ともからんで、公務員に対する政府当面の攻撃、そういうふうに解せざるを得ない。第一に公務員がはげしく反対しておる現行の職階制給与体系、この矛盾を部分的に一部緩和はしております。また、一率三千円アップ、こういう点と職階制の打破、こういう貸金要求をそらして組合員を分裂をさせる。そしてこの攻撃を期末手当の方に引き寄せようとするねらいが濃厚であるわけであります。  次に、本法案の内容を見ますと、きわめて遺憾に存ずる点が見受けられるわけです。第一に、政府は人事院の勧告に基いて初任給を引き上げたと称しておりますけれども、給与費のわずか二・一二%、人員の五八・九%、こういう改訂を企図しておるのでありますけれども、この点、きわめて遺憾だと思うわけです。何となれば公務給与と民間給与との較差は政治的に見て政治的に作られたとしか考えられない節が多分に見受けられるという点と、人事院調査によっても民間に比して大学卒が千七百八十七円、短大卒が九百十八円、高校卒が六百八十八円低いと言っておるのにもかかわらず大学卒千円、短大、高校卒四百円、こういうふうな引き上げにすぎないわけです。これはまことに遺憾に存ずるところであります。次に、次官級の最高号俸を二号引き上げておりますけれども、これは上下の較差をますます開くことになるわけで、この点もまことに遺憾に考えておるわけです。また、基礎となっております生活費の問題は非常に非現実的であるという点、なかなか生活できないような生活給を基準にしておるという点、これもまた加えて指摘せざるを得ない。次に遺憾に思う点は、一部昇給期間の短縮はやっておりますけれども、これは単に職階制を維持するためのものであって、本格的な引き上げではない。また、昇給期間を一部短縮しておりますけれども、不当な昇給延期に対する不満を一部やわらげるということであって、この処置もしかもわずかの人にしか当てはめていないという点。またさらに遺憾に思う点は、五%の暫定手当については、先ほど申し上げたように四月一日以降いつでもできるという規定にはなっておりますが、当然そうであるならばわずか一億の財源節約という点であるならば、公務員の期待に沿うべく四月一日さっそく実施してしかるべきであろう、そういうふうに考えておるわけです。また、夏季手当の〇・一五、なるほど、これは公務員の三カ月期末手当の要求、それにだいぶ近づいてきたわけで、その点は一応了解されるわけですが、そこで本格的な賃金べース・アップ、そういう攻撃をこの方向へ導入してほこ先を避けよう、そういう意図が明白にうかがわれる。そういうような点からきわめて遺憾の意を表せざるを得ない。そこでこれを一言にして申し上げますと、この法案はあくまでもごまかしの法案であるということが一言に要約できると思うわけです。そこで政府におかれては公務員の強い要求である本格的の貸金引き上げということと、そうして職階制給与体系の打破、こういう点に格段の努力をしていただきたいということを要望いたしまして反対の討論を終りたいと思います。
  227. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  228. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。まず、一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)について採決いたします。  まず、松岡君提出の修正案全部を問題に供します。本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  229. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 多数と認めます。よって、松岡君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  230. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 多数と認めます。よって一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案は多数をもって修正すべきものと議決せられました。  次に、特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)全部を問題に供します。本案を衆議院修正送付の原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  231. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 多数と認めます。よって特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)全部を問題に供します。本案を衆議院修正送付の原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  232. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 多数と認めます。よって防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案は、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出する審査報告書の作成につきましては、慣例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  233. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
  234. 千葉信

    ○千葉信君 野党最後の抵抗をする機会が必要なので、暫時休憩してもらいたい。
  235. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記をとめてください。    午後五時二十八分速記中止    —————・—————    午後五時五十二分速記開始
  236. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記を起して下さい。  次に、大蔵省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。政府側の一席は佐野大蔵政務次官。以上であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  237. 松岡平市

    ○松岡平市君 本案につきましては、打ちに質疑を終局せられ、採決せられんことの動議を提出いたします。理由につきましては、これも今申しましたように、この法案につきましては、もう従前の委員会において相当質疑を重ねております。なお御質疑がおありと考えますけれども、今皆様からおしかりを受けておるような諸般の事情上、まことに残念でございますが、私の動議に御賛成を願いたいと思います。
  238. 山本利壽

    山本利壽君 私はただいまの松岡君の動議に賛成いたします。
  239. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 松岡君提出の動議を採決をいたします。松岡君提出の動議に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  240. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 多数と認めます。よって質疑は終局いたしました。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  なお、委員長のもとに松岡平市君から本案に対する修正案が提出されております。本修正の御意見は討論中にお述べを願います。
  241. 松岡平市

    ○松岡平市君 私は自由民主党を代表いたしまして本案に賛成の意を表します。別段の討論はいたしませんが修正案を提出いたします。お手元に差し上げておりますが、朗読いたします。    大蔵省設置法の一部を改正する    法律案に対する修正案   大蔵省設置法の一部を改正する法  律案の一部を次のように修正する。   附則中「昭和三十四年四月一日」  を「公布の日」に改める。  理由につきましては、すでに四月一日は経過いたしておりますので、かように改める必要があると思うからでございます。御賛成を願います。
  242. 八木幸吉

    八木幸吉君 私は大蔵省設置法の一部を改正する法律案に反対であります。この中で専売制度調査会、これは公共企業体審議会の答申に基いて設置されるものでありますから、その答申の線に沿ってこれが運営されるのであれば賛成でありますけれども、先般の質疑におきましては、大体公共企業体の審議会の答申は民営の方向に進むということが大前提となっての設置の勧告であるように私は見ておるのでありますが、大蔵御当局の御答弁では、必ずしもさようでない、民営の方向を必らずしもとるものでないというふうな御答弁がありまして、その点についての大蔵大臣の御所信をもう一度私は確めたいと思っておったのでありますけれども、今質疑打切りの動議が成立いたしましたために、その点についての大蔵当局の考えを聞く機会を得ませんでした。しかし、この間の質疑では、どうも専売制度を民営に移すという方向ではこれが運営されないような感じを受けました。その他の二つの審議設置には行政簡素化の見地から私は賛成ではございませんので、全体として反対をいたします。
  243. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  244. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。まず、松岡君提出の修正案を問題に供します。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  245. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 多数と認めます。よって松岡君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  246. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 多数と認めます。よって大蔵省設置法の一部を改正する法律案は多数をもって修正すべきものと議決せられました。  なお、議長に提出する審査報告書の作成につきましては、慣例により委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  247. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
  248. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 次に、恩給法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより本案の質疑に入ります。政府側出席松野総理府総務長官、八巻恩給局長、青谷恩給局管理官、以上であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  249. 野本品吉

    ○野本品吉君 法案自体につきましては私は別にどうこうありませんが、ちょうど松野長官がおいででありますので、他の問題につきまして一点質問しておきたいと思います。実は、私どもの自民党の政策審議会で、昨年末いろいろこの種の問題について検討しております途上、退職した公務員で恩給や扶助料を受けておる者から、ぜひ恩給の支給の時期を年末にしてほしい。つまり十二月に恩給の支給ができるようにしてほしいという切実な要望があったわけです。これは退職した者にとりましては、期末手当その他等もございませんので、年末資金的な意味で当然の要求だと思いますので、いろいろ研究しました結果、われわれといたしましては当然かくあるべきだということで、そこで総理府恩給局当局それから事務担当の郵政省の方等も来ていただきまして、事務的に研究をし、直ちに実施すべきであるということの注文をつけたのでありますが、ときたまたま年末が迫っておりますので事務上きわめて困難であるということで、それならば来年からということで話し合っておったわけです。このことは予算的な措置も必要としませんし、法律改正も必要としませんし、ただ支給に関する規則を改めさえすればできることなのです。私どもの話し合いの結果といたしましては二月、四月、六月、八月、十月、十二月と偶数月にすればできる。どうしてもそれができなければ一月分を繰り上げて支給することができるであろう。そうしましても別に過払いというようなことも起ってこないということで話し合って参りました。私はこれは非常に大ぜいの、要望にこたえる親切なあたたかい一つの行政になってくると思うので、温情のある松野長官の手によって、このことをぜひ今年度から実施されるように要望しておるわけです。長官の御意見を承わりたい。
  250. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) ただいま恩給は一、四、七、十月というもので支払っておりますが、これを偶数月にいたしますと多少予算の編成に問題がありまして、十二月までを一応毎年度の年度にしておりますので、ただ一月に支給するものを十二月に支払えというこれだけならば、今日の編成予算で運営上の問題でありますから、できますけれども、ずっとすべてを繰り上げるということになると、予算編成の技術的な問題で、二年間通算すれば同額でありますが、一年度の予算では多少欠陥が出はしないか。趣旨としては一月のものを十二月にもらいたいというお気持はわかりますが、これは郵政省が窓口ですから、郵政省の事務の問題で、一期分といたしましても二百億くらいの資金の散布になりますので、大蔵当局とも打ち合せまして御趣旨に沿うように再検討いたしたいと思います。
  251. 野本品吉

    ○野本品吉君 大へん親切な御答弁をいただきありがとうございます。私どもといたしましては、このことが今年度から実施されますように、長官の最大の御努力をお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  252. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 他に御発言もなければ、これにて本案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  253. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もなければ、これより直ちに採決に入ります。  恩給法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)全部を問題に供します。本案を衆議院修正送付の原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  254. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 全会一致と認めます。よって恩給法の一部を改正する法律案は、全会一致をもって衆議院修正送付の原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出する審査報告書の作成につきましては、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  255. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
  256. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 次に、国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  257. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記を起して。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時五分散会    —————・—————