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1959-03-31 第31回国会 参議院 内閣委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月三十一日(火曜日)    午前十一時四分開会   —————————————   委員異動 三月二十七日委員佐藤清一郎君及び野 村吉三郎辞任につき、その補欠とし て大谷贇雄君及び前田佳都男君を議長 において指名した。 三月二十八日委員前田佳都男君及び田 村文吉辞任につき、その補欠として 苫米地義三君及び高瀬荘太郎君を議長 において指名した。 本日委員苫米地義三辞任につき、そ の補欠として前田佳都男君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     永岡 光治君    理事            松岡 平市君            山本 利壽君            千葉  信君    委員            大谷藤之助君            大谷 贇雄君            木村篤太郎君            中山 福藏君            野本 品吉君            堀木 鎌三君            前田佳都男君            松村 秀逸君            伊藤 顕道君            横川 正市君            八木 幸吉君   国務大臣    通商産業大臣  高碕達之助君    国 務 大 臣 青木  正君    国 務 大 臣 伊能繁次郎君    内閣官房内閣審    議室長内閣総    理大臣官房審議    室長      吉田 信邦君    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠夫君    総理府総務副長    官       佐藤 朝生君    内閣総理大臣    官房公務員制度    調査室長    増子 正宏君    行政管理政務次    官       濱野 清吾君    自治政務次官  黒金 泰美君    自治庁行政局長 藤井 貞夫君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁経理局長 山下 武利君    外務政務次官  竹内 俊吉君    外務大臣官房長 内田 藤雄君    大蔵政務次官  佐野  廣君    大蔵大臣官房長 石野 信一君    大蔵省主計局次    長       村上  一君    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君    通商産業政務次    管       中川 俊思君    通商産業大臣官    房長      齋藤 正年君    通商産業省鉱山    局長      福井 政男君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    外務大臣官房審    議官      小田部謙一君    大蔵省管財局国   有財産第二課長  市瀬 泰蔵君    大蔵省銀行局総    務課長     有吉  正君    国税庁長官官房    総務課長    亀徳 正之君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家公務員に対する除雪作業手当の  支給に関する法律案千葉信君他六  名発議) ○防衛庁設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○自衛隊法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○大蔵省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○通商産業省設置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○自治庁設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○外務省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○国家公務員共済組合法等の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送  付) ○国家公務員等退職手当暫定措置法の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)   —————————————
  2. 永岡光治

    委員長永岡光治君) これより内閣委員会を開会いたします。  委員異動がございました。  三月二十七日、佐藤清一郎君及び野村吉三郎君が辞任され、その後任として大谷贇雄君及び前田佳都男君がそれぞれ委員に選任されました。  三月二十八日、田村文吉君が辞任され、後任高瀬荘太郎君が選任されました。  以上、御報告いたします。   —————————————
  3. 永岡光治

    委員長永岡光治君) それではこれより議事に入ります。  まず、本院議員発議にかかる国家公務員に対する除雪作業手当支給に関する法律案につきまして、発議者代表から提案理由説明を聴収いたします。
  4. 千葉信

    千葉信君 ただいま議題となりました国家公務員に対する除雪作業手当支給に関する法律案につき、その立案の趣旨並びに内容概略について御説明申し上げます。  積雪寒冷の度が特にはなはだしい地域における道路交通確保するために、さき積雪寒冷特別地域における道路交通確保に関する特別措置法が制定せられまして、除雪防雪、凍雪害の防止について特別の措置が講ぜられ、これらの地域産業の振興、民生の安定に大きく貢献しておりますことは御承知通りであります。  しかしながら、この法律に基いて実施されている防雪作業、すなわち新雪排除拡巾排雪路面整正運搬排雪圧雪等、各般の作業に日夜従事している国家公務員給与上の処遇については、この法律が要求するところの条件に比して、あまりにも薄いものがあると思います。  すなわち、これらの公務員は法に基く防雪実施要領規定せられた目標による作業を義務づけられ、いかなる気象条件下においても作業を行うべき責務を課せられておるのでありまして、特に暴風雪下や夜間、早朝の作業困難性は、往々にして生命の危険をも伴うのみならず、連日十数時間の勤務をも余儀なくされるがごとく、全く困難なる勤務条件下に置かれているのであります。また、これらの作業を円滑且つ、完全に実施するためには、常に改善、新鋭化される防雪車等の機械を駆使し得る卓越した技術や、周囲の地形、地域気象条件等に熟知したすぐれた能力を必要とするものであります。  かくのごとく、これらの公務員勤務は全く特殊なものでありまして、これらの勤務に服する者に対しては、給与上当然特別措置を講ずる必要があると考えられるのであります。すでに日本国有鉄道公社日本電信電話公社国有林野職員に対しましては、これに類するごとき措置が講じられている実情よりいたしましても、この際これらの公務員除雪作業手当支給する必要があると思いまして、今回この法律案を提出した次第でございます。  次に本法律案概略を御説明申し上げます。  まず除雪作業手当支給する者の範囲は、一般職に属する職員で、積雪寒冷特別地域における道路交通確保に関する特別措置法第四条に規定する道路交通確保五カ年計画等に基いて建設大臣が実施する事業にかかる作業のうち、内閣総理大臣が定める除雪作業に従事する者といたしており、その手当支給額は、作業に従事した全時間に対して、その従事した午前八時三十分から午後五時までは一時間にっき二十四円、午後五時から午前八時三十分までは一時間につき三十円のそれぞれの範囲内で内閣総理大臣が定める金額を支給することといたしております。  また、その支給方法、その他支給に関し必要な事項については、内閣総理大臣が定めることといたしておりますほか、支給する者の範囲支給額支給方法等については、人事院の勧告に基いて内閣総理大臣が定めることといたしております。  なお、この法律は公布の日から施行することといたしておりますが、この法律施行に伴い、必要となる費用は平年度約二千百万円であります。  以上、はなはだ簡単でございますが、この法律案提案理由内容説明を申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成賜わらんことをお願い申し上げます。   —————————————
  5. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 次に、衆議院から送付されました防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案につきまして、政府から提案理由説明を聴取いたします。  説明を求めます。
  6. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) ただいま議題となりました防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案提案理由及び内容概要について御説明申し上げます。  最初に、防衛庁設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府は、現下の情勢に対処し、国力に応じて防衛力整備する必要があることを認め、防衛庁職員定員を一万二千八十二人増加し、現在の定員二十四万二千七百十七人を二十五万四千七百九十九人に改めることといたしました。この一万二千八十二人の増加分のうち、八千八百三十三人が自衛官で、残りの三千二百四十九人が自衛官以外の職員であります。自衛官増加分は、海上自衛官については二千二百二十六人でありまして、艦艇の増加に伴い必要とされる要員並びに航空部門の増強及び後方関係充実等のために充てるものであります。また、航空自衛官の増員は六千六百人でありまして、航空団の増設並びに航空管制教育補給整備等部門の拡充のために充てるものであります。  次に、自衛隊法の一部を改正する法律案について申し上げます。  第一に陸上自衛隊における指揮隷属関係を整理し、隊務遂行効率化をはかるため、新たに東北、東部、中部の三方面隊を増置して全国に五百面隊を配置することとし、管区隊及び混成団はすべてこれらの方面隊隷属部隊とするとともに、従来これらの部隊の長に認められていた補給処等機関に対する指揮監督権方面総監に認めることといたしました。また、航空自衛隊における操縦教育一体的運営をはかり、その能率を増進するため、新たに飛行教育集団を置くこととし、航空団飛行教育団とをもってこれを編成することとするほか、航空防衛力整備をはかるため、中部航空方面隊隷下部隊として新たに航空団一を増置することといたしました。なお、第十混成団本部、第三航空団司令部及び管制教育団司令部所在地等を今回変更することといたしました。  第二に、自衛隊における診療に従事する隊員当該専門技術に関する訓練または看護に従事する隊員養成は、自衛隊病院において行うこととするのが適当であるので、これらの訓練または養成自衛隊病院において行うことといたしました。  以上、両法案提案理由及びその内容概要を申し上げた次第であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願いいたす次第であります。
  7. 八木幸吉

    八木幸吉君 資料の要求をお願いいたします。  昨日、砂川事件に関連して、駐留米軍憲法違反であるという判決がございました。従って、今後、この防衛法案審議の過程において、自衛隊憲法との関係について、相当の論議がやはりかわされることが予想されるわけであります。そこで私、資料としてお願いしたいのは、従来、行政協定等に関連して、具体的の事象について、憲法違反しているか、していないかといったような判例が七十何回もあるということが、昨日法務大臣によって、予算委員会説明があったそうであります。そこで、私のお伺いしたいのは、さような判例事件内容と、判例の要旨、きわめて簡単でけっこうでありますけれども、お書きをいただいて資料としてちょうだいいたしたい、こういうことをお願いいたします。
  8. 伊能繁次郎

    国務大臣伊能繁次郎君) できるだけすみやかに、政府部内、関係当局と連絡いたしまして、資料を整えて提出いたしたいと思います。   —————————————
  9. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 次に、大蔵省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。これより本案の質疑に入ります。政府側より出席の方々は、佐野大蔵政務次官石野官房長その他説明員数名出席されております。なお、佐藤大蔵大臣は、ただいま予算委員会答弁に当たっておりますが、間もなく当委員会出席する予定であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  10. 千葉信

    千葉信君 佐野大蔵政務次官に、大蔵省設置法に関連して御質疑申し上げますが、今度の設置法の大要とするところは、金融機関資金審議会保険審議会並びに専売制度調査会の三つの機関を新たに大蔵省付属機関として設けることが、その骨子になっております。  この問題に関連してお尋ねしたいことは、今回の三十四年度予算に関連してとられました減税の方針に関して、さき大蔵省は、税制審議会答申を基礎とされたようであります。ところで、その税制審議会というのは、昨年四月十八日の閣議了解で設けられて、そうして、同年十二月五日までの総会において、それぞれの減税に関する答申を行われたようでございます。この答申内容が、全面的に採託するところとならなかった点については、私もきわめて遺憾に存じますけれども、それはそれとして、一体、今度の総理府設置法を見ますと、税制調査会なるものが内閣総理大臣諮問機関として総理府に設置されることになっておるようでございますが、今度内閣に設けられる税制調査会なるものと、昨年大蔵省閣議了解と称して設けられました税制審議会なるものとは、その趣旨において、どういうふうに違うのか。まずその点からお答え願いたいと思います。
  11. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) ただいまのお尋ねの昨年設けました税制審議会は、これは今仰せのような今回設けようといたしております税制調査会とはその性格において異なっておることは申すまでもございません。そこで、この税制審議会は、大蔵大臣といたしまして、いろいろ税制の基本的な諸問題、また当面の問題につきまして、税制あり方を、個人的なそれぞれの権威者をお願いをいたしまして、どういうふうにあるべきか、どうした方がよいかということをお諮りいたしまして、その適正なところを求めようとした、こういう趣旨のものでございます。しかしながら、長い間この税制の問題につきましては、各方面からの意見もございますし、今回大臣といたしましても、根本的に正規法律に基きました、そうして権威のある基本的、根本的な態度においてこの税制あり方、これを検討して、新しい行き方をしよう、こういうことに踏み切ったわけでございます。と申しますのは、昭和三十四年度の予算の編成の際におきまして、私ども、たとえて申しますれば、地方税国税とのあり方、これにつきましても、どれだけのウエートをそれぞれに持った方がよいかというふうなことにつきまして、非常に根本的に意見が分れたこともございます。あるいは直接税と間接税との問題につきましても、根本的に改正すべきであるという御意見も各方面にございます。そのほかいろいろこの税の基本的な問題につきまして根本的に一つ検討を加えて、そうして新しいあり方をすべき時期に到達しておるではないかということに意見が一致いたしまして、法律に基いた税制調査会を今回設けることにいたしたのでございます。従いまして、この税制調査会はさいぜん申し上げましたように、非常に権威を持たせ、そうして各方面のりっぱな御意見を織り込んで根本的な日本税制あり方、ことに終戦後十数年も経ておりますので、この点につきましての根本的な対策を打ち立てようという趣旨において考えておる次第でございまして、両方の相違も、そういうふうな点につきまして別に税制審議会権威のないものであったというわけではございませんけれども、やはりそれには法律に基いた方がいいんじゃないかということにおいて出発いたした、かような次第でございます。
  12. 千葉信

    千葉信君 そういたしますと、昨年大蔵省内に設けられました税制審議会なるものと、今回総理府に設けられますものの主たる相違というのは、昨年は法律によらずに、閣議了解で設けられた、今回はこれが法律上はっきりした根拠を持って設けられたということ、それから特にその釈明がございましたが、その権威においては、決して昨年の税制審議会は、今回設けられるものと違ってはおらない、その点については相違はないけれども、まあ主として昨年の場合には、当面する国税地方税との関係等を十分検討して、当座の用に供するということ、今回設けられるものは、もっと恒久的な終戦後における相当長期間を経過した段階における税体系をどうするかという、そういう根本に向って検討を加えるために設けられるものだ、その差異はこういう程度だというふうに了解していいわけですね。
  13. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) 基本的な考え方といたしましては、大体そういうふうでございます。
  14. 石野信一

    政府委員石野信一君) なお、補足的に御説明をさせていただきますが、法律によらないで臨時税制委員というものを懇談会ということでやっておりましたのですが、その点について若干補足させていただきますと、非常に臨時約であるという点がさっきもお話しございました今回の分と違うという点と、それから懇談会という形式で、考え方といたしましては個人々々の臨時税制委員の御意見を聞くということで、それが一堂に会して個人々々の御意見を伺う一つの方式として、一堂に会されるという考え方をいたしまして個人々々の御意見も伺い、また一堂に会するときには一堂に会されて御意見を伺うというような関係で、懇談会自体として組織体として意見を聞くという考え方でなくて、基本は個人の御意見を伺うと、そういう考え方を主にいたした点が違うと思います。
  15. 千葉信

    千葉信君 私は基本的な立場としては閣議決定閣議了解事項のやり方で、昨年設けられたような税制審議会、たとえそれが懇談会という名前もしくは個人的な意見を徴するのだなんという釈明をされても、閣議決定でああいう機関を設けることは、これは国家行政組織法違反するという見解に立つのです。特に問題になります点は、個人的に意見を聞かれるとはいいましても、昨年のその税制審議会費用等も六十五万円の費用が使用されている。しかも、その委員個人に対しては、委員には一回について七百円の手当が支払われ、委員長には一回について九百円の手当が支払われている。閣議決定等個人意見を聞き、個人の集まりの懇談会ということであっても、そういう会合の委員に対してこういう手当支給するということは、国ま公務員法違反するという事実があります。国家公務員法では、法律に基いて採用された職員もしくは常勤労務者常勤的非常勤、これらの職員に対しては、これはもちろん貸金は当然支払われる。しかし、法律に基かない閣議了解等で設けられた懇談会もしくは税制審議会等委員に対してそういう令を支払うということは、これは国家公務員法違反です。この点は大蔵省はどういう見解で、目当かないしはまた手当か知りませんけれども、それを支払われることの根拠を伺いたい。
  16. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) これは法律に基いたものでないわけでありますが、謝金という形において差し上げておるという見解でございます。なお、これは少し私の常識的正解になりましていかがと思いますが、目当とか、こういりふうな意味においていろいろ御厄介をかけますので、謝金という形において支出いたす、こういう工合でございます。
  17. 千葉信

    千葉信君 謝金という名前謝金手当もしくは賃金とどういうふうに違うのですか。
  18. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) これは私、あるいはあとでおしかりを受けるかもしれませんが、一応責任をもってお答えいたすといたしますならば、賃金ということになりますと、一定の労働対価としての報酬的な性格であり、謝金と申しますれば一応幾ら出すとか、そういうふうなことを別に当事者との間に定めなりで、ほんとうのお弁当代と申しますか、お礼と申しますか、そういう同苦しくない、そうしてもちろん法律その他に基かないで、謝金と申しましたが、これは寸志といってもよろしいでございましょうし、お礼と申してもよろしいのではないか、いろいろ御厄介をおかけいたしますし、お知恵を拝借いたしますので、そういう軽い意味のもの御承知を願いたいと思います。
  19. 千葉信

    千葉信君 労働に対する対価として賃金給料が支払われる。税制審議会のその税制に関するいろいろな意見答申研究等については、これは労働に対する対価という考えではなくて、お弁当代もしくは寸志という御答弁ですが、一体そういう審議会委員に対しては正当な、これはやはり労働一つだと思うのですが、それに対する賃金ということにどうしてならないの上か。その区別が今の御答弁では私は納得できないのですが、もう少しわかりやすく御答弁願いいたと思います。
  20. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) 会当局者に聞いてみますと、これは一つの幾ら差し上げるということの規定に基いておるのではなくて、今申し上げましたような社会通念的な意味謝金ということでございます。
  21. 千葉信

    千葉信君 謝金という言葉を使われましたけれども、やはりその謝金もしくは寸志、あるいは薄謝なるものは税制審議会という閣議決定で設けられたその機関の中で税制に関する諸研究を行い、もしくは意見の発表を行い、もしくは合議を行うその行為に対する私は謝礼寸志弁当代だと思うのです。ということになれば、国家公務員法に基いて公務員支給される、それが常勤職であろうと臨時職であろうと、国家公務員法に基いても、ちょうどこの税制審議会と同じように非常勤のものがたくさんあります。法律に基いて設立された審議会もしくは懇談会もしくは調査会委員等に対しては、はっきり一日千円以上を支払ってはならないという法律規定がある。ですからその場合の一般職であるところの常勤労務者等に対する手当賃金あるいは寸志薄謝支給というものと実際は何も変らないと思うのです。そうすると、大蔵省ではその税制審議会委員会諸君に対して一日七百円もしくは九百円の賃金を支払ったということ、公務員法の第二条によりますと「政府は、一般職又は特別職以外の勤務者を置いてその勤務に対し俸給、給料その他の給与を支払ってはならない。」とはっきり規定されております、つまりその国家公務員法に基いてはっきりと限定されている職種もしくはこの法律以外の法律に基いて設けられた機関に属する職員等に対して貸金を支払う場合には、国家公務員法はこれを保障している。それ以外に設けられたものに対して勝手に幾ら財政当局であろうと、そういう金を薄謝だとか、寸志だとか、お礼だとかいう名前をつけて払っても、これは公務員法第二条の違反になる……。
  22. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) その第二条、これは国家公務員法の第二条であるわけてありますが、今申されました委員はもちろん国家公務員法に基く国家公務員ではないわけであります。従って今賃金の議論になりますと、私も法律的に正確な御答弁を申し上げかねますけれども、内容におきましては仰せのようにきわめて重大であり、あるいは労務の提供でありましようし、あるいは知識の提供でございましょうが、内容におきましてはきわめて重大なものでありますが、その差し上げている形が今申し上げましたように謝金というふうな形であるわけでございます。従って今の公務員法違反するかどうかということにつきましては、しないという解釈でございます。
  23. 千葉信

    千葉信君 どうも今の答弁いただけないと思うのですが、私はいただけない。佐野政務次官に申し上げますが、正式にその法律に基いて設けられた審議会、これは現在政府機関の中に二百三十七、ちょうど第三十国家まで正規法律に基く調査会もしくは審議会等の数は二百三十七であります。そうしてここにこの審議会に網羅される委員もしくは調査員等は、この人たちには成規に正当が支払われる、これは差しつかえない。ところがこれ以外の閣議決定に基いて審議会等を設けるということ自体が違法だし、違法行為に基いて設けられたその懇談会調査会等職員に対してはいかなる形の給与も支払ってはならぬというのがこの第二条の精神なんです。
  24. 石野信一

    政府委員石野信一君) 政務次官もお答えになりました通り、先ほど申しました臨時税制委員につきましては、個人として委嘱をいたしまして、公務員ということでなくて、従って公務員法違反ではなくて、その御意見を伺うということに対する謝礼として、予算に基いて行政上支出をいたしておる、こういうことと考えております。
  25. 千葉信

    千葉信君 賃金の問題はそれくらいでやめますが、今の政府答弁は間違っている。どうして間違っているかというと、公務員でないものに、一体政府は何のために、謝礼だとか、賃金だとか、給料だとか、手当を支払うか。支払う根拠一体どこにあるか。どこに間違いがあるかというと、ああいう税制審議会などというものは本来閣議決定なんかで設けるべきものじゃないんです。大蔵省が去年設けられた税制審議会等の設置は、国家行政組織法第八条に基く法律によって設置されなければならない。法律によって設置された場合の税制審議会委員というのは、これは臨時職の一般公務員である。りっぱに公務員法でいう一般職です。ですから、日当幾ら払ってもかまわない、制限はあるが……。その根拠なしに閣議了解なんかで設けて、それにあなた方が薄謝だとか、賃金だという格好で金を出すから、公務員法第二条に違反するということになる。  ところで、質問を発展させますけれども、国家行政組織法の第八条によりますと、「第三条の各行政機関には」、この「第三条」というのは行政委員会もしくは庁等を指しているわけですが、「第三条の各行政機関には、前条の内部部局の外、法律の定める所掌事務の範囲内で、特に必要がある場合においては、法律の定めるところにより、審議会又は協議会を(諮問的又は調査的なもの等第三条に規定する委員会以外のものを云う。)及び試験所、研究所、文教施設、医療施設その他の機関を置くことができる。」、この条項によって昨年度の税制審議会なるものは、はっきり法律規定に基いて置かなければならない。それをあなた方は脱法行為をやっている。脱法行為をやったから、賃金薄謝寸志の支払いについて疑義が生じて国会で問題になる。しかし、去年の税制審議会は一応解放したことであるし、私はこの点お蔵省当局としても十分な反省を促しつつ、これ以上この問題については深追いしませんけれども、ただもう一つ問題になってきますことは、今回大蔵省の方では、さっき佐野政務次官から答弁があったように、根本的な税制検討に備えて内閣総理大臣諮問機関として税制調査会などを総理府に設置される。ところが、この問題は総理府設置法が通れば解消しますけれども、大蔵省の中にはもう一つ脱法行為がある。佐野君の顔を見ていると言いづらいけれども、みつまた需給協議会というのがあります。大蔵省のみつまた需給協議会、設置されたのは昭和三十二年三月二十二日です。そして委員の総数は十七人、これに従事している大蔵省内の、大蔵省とは限らないけれども、公務員の数はそのうち六人、学識経験者等を見ると、これは十一人の委員が並んでおります。全部で十七人、このみつまた需給協議会の委員諸君に対しては日勤が千円ずつ支払われております。この点も去年の税制審議会と同じような問題をはらんでおります。そしてこれは国家行政組織法第八条の違法行為だということにならざるを行ない。これはあなたの方からの答弁いかんによっては、ここに行政管理庁の方からもおいで願っておりますから、この第八条の見解については、あなたの答弁いかんによっては、行政管理庁の方からも答弁してもらわなければならぬと思うけれども、この点について政務次官いかかですか。
  26. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) いろいろの御注意を受けまして恐縮でございましたが、このみつまた需給協議会の問題でございますが、これはミツマタの性格が、局納というものが非常に多いという関係等で、業者の生産に対する安定という意味からいたしまして、ことしは幾ら納める、来年は幾らになるかというふうなことが常に不安定でございますと、マツマタ業者、ほかの方へいっておるものはいいのでありますが、局を相手にしております業者等にきわめて不安定な感じを与えますので、このみつまた需給協議会というものが設けられたのでございますが、仰せのように、この問題をいろいろ検討をいたしたのでございますが、これは諮問とか、そういうふうな性格のものでなくて、ミツマタの生産者と印刷局、それから学識経験者、この三者によりましての数量をきめます協議会という形で、協議をするという性格のものでございましたので、これは千葉委員よりきわめて私の顔を見ると同情するような言葉をいただきまして恐縮でございましたが、私どももミツマタ生産県の人口の意見もありましたが、今のような三者の協議という意味において需給の安定をはかり、生産者の安定ということにおいてこれを残したのでございましてさらに将来におきまして、今いろいろ御意見を伺っておりますと、検討の余地があるかと思いますが、こういう意味において多少性格を異にするのではないかというふうに考えまして、これだけを残したとしう実情でございますので、御了承願いたいと存じます。
  27. 千葉信

    千葉信君 それだけでは了承できない。なるほどミツマタの生産量、需要との関係、その調整なり、あるいは固定化等は、ミツマタ生産県なり生産者の立場、大蔵省所轄の印局刷の仕事の関係等からいうと、その点は絶えず密接な連絡を必要とすることは私もよくわかります。ですからそういうものを言っていない。いかんとは一言も言っておりませんけれども、たとえどういう程度の協議機関であろうと、どういう内容の話をする会合であろうと、少くともその行政機関の中に、この種の調査会もしくは審議会懇談会を設ける場合には、法律規定によって、ちゃんと法律によれと書いてある。法律による以外にはそういうものは設けちゃいかんということに規定されておる。それをやれ需給がどうの、調整がどうの、その内容は話し合いだとか懇談だとかいうようなことだけでは、この法律をのがれることはできない。それでは了解できない。さっきも第八条を読み上げましたが、そういうたぐいのものを設ける場合には、勝手に各省が設けてはいかん、行政各部でいいかげんなものを持ってはいかん、一切そういう、調査的なものであろうと、懇談的なものであろうと、あるいは審議会であろうと、法律に基いてそれを設置しろとはっきり書いてある。ということになりますと、少くとも三十二年から大蔵省に設けへれているみつまた需給協議会なるものは、これは脱法行為で設けられた、しかも脱法行為で設けられておる。今もあなたは懇談的なものだというけれども、その懇談的な会合のたびに、あなた方はみつまた協読会の委員に対して一回ごとに千円ずつ払っておる。何の根拠に基いてそういう金を出すのです、なぜそういうふうに法律違反行為をやるのですか。
  28. 石野信一

    政府委員石野信一君) ただいまお尋ねの点、協議会、審議会とあるいは懇談会というような名前で、同じようなものでございますが、同じような名前なんでございますが、このみつまた協議会につきましては、先ほどお話がございましたように、百円硬貨の発行に伴いまして、ミツマタ業者が印刷局に対して局納ミツマタが非常に減るのじゃないかというような不安を起しましたのに対しまして、大蔵、農林関係職員とそれから生産者、学識経験者もまじえる需給協業会を設けて、毎年度の帰納ミツマタの数量、価格の決定に関して協議する、こういう目的のものでございます。従いまして大蔵省の政策というような問題でなくて、印刷局が帰納として、買い上げますミツマタの敷革及び価格について相談をする場所ということでございまして、従いましてまあ大蔵省の附属機関としてこれを法律できめるという性格のものではない。従いましてこの点につきましては、行政管理庁とも御相談をいたしたのでございますが、今申しましたようにその性格が、まあ印刷局で興います場合の価格を相談する場所である、まあ、印刷局自体大蔵省の附属機関でございますが、附属機関がそういう買い上げをする場合に、買います相談をする場所を作るという趣旨なのでございますので、この国家行政組織法第八条の各省庁、委員の附属機関というものではないというふうに解釈いたしまして、この際これを残さしていただきたい、そういうふうに考えております。
  29. 千葉信

    千葉信君 そうしますと、まあ私はミツマタ需給に関して印刷局とそれから業者の関係、学識経験者を網羅していろいろ需給の関係等についてあらかじめ相談する、価格等についても協議をするというそういうやり方を私はいかんと言っているのじゃない。それはそれとして私は当然そういう機関があっていいと思う。いいと思うけれども、少くともその法律に明定してある事項をじゅうりんして勝手に設けることは許さんというのが、私の主張なんす。今あなたは、これは大蔵省関係ではない、印刷局の方で設けているのだ、だから差しつかえないという御意見ですが、印刷局って一体何ですか、行政機関の中にあれは入ってないのですか、行政機関の一部じゃないのですか。国家行政組織法範囲をそれた存在ですか、あれは。
  30. 石野信一

    政府委員石野信一君) 仰せ通り行政機関でございます。第三条に申します行政機関の附属機関になるというふうに了解いたします。
  31. 千葉信

    千葉信君 もら二回読んでみますがね、どうもその第八条をはっきりお読みになっておらないようですから。第八条にはですね、「第三条の各行政機関」とありますね。第三条の行政機関とは、「国の行政機関の組織は、この法律でこれを定めるものとする。」で「行政組織のため置かれる国の行政機関は、府、省、委員会及び庁とし、その設置及び廃止は、別に法律の定めるところによる。」それから第三項には「委員会及び庁は、府又は省に、その外局として置かれるものとする。」第四項には「第二項の行政機関として置かれるものは、別表第一にこれを掲げる。」つまり第二条と第三条で、省とそれから国の行政を担当する委員会との関係は、ここで明確に規制されておる。そうして第八条には、それ以外の場合の各行政機関に置かれる審議会委員会と、つまり行政を直接に担当しない審議会もしくは、調査と、行政機関付属機関として置かれるものも法律によるとこう書いてある。その中にはたとえば地方の試験所、研究所、もしくは文教施設等々まで全部含まれて、その設置については法律によれとこう規制されておる。で、あなたの答弁を聞いておりますと、印刷局というのは、これは行政機関ではなくて、何か民間の施設か民間の機関であるかのような答弁になってしまうのでずが、印刷局は一体行政機関の一部じゃないですか。
  32. 石野信一

    政府委員石野信一君) 行政機関でありますことは御指摘の通りでございます。ただ第八条においては、第三条の各行政機関には法律の定めるところによって審議会または協議会を置くことができるということになっておりまして、その第三条の各行政機関というのは、第三条に規定されておりますように「府、省、委員会及び庁」というものが掲げてございます。従って大蔵省付属機関として、先ほど御指摘のように税制審議会総理府付属機関として置く。そういうように大蔵省研究機関審議会を置くということになれば、大蔵省審議機関としてまさに第三条の行政機関審議会、協議会ということになります。ただいまのように印刷局の易くにおきましては、価格等の相談をする場所でございまするので、そういう意味で印刷局に属するものでございます。またその性格上、買い上げの値段を相談する場所でもございますので、まあ審議会とか協議会という名前はついておりますけれども、そういう意味ではこの行政組織法第八条の定規によって、法律によらないでも存続はできるというふうに解釈をいたします。
  33. 千葉信

    千葉信君 どうも私は答弁を聞いておると、これ以上どうも質問する男気がなくなるような、まあ失敬な言い方かもしれないけれども、法律を知らない答弁を繰り返されるんで、私はここらでこの第八条に関連してみつまた需給協議会なるものが、一体第八条に基いて法律で既定されるべきものかどうかということについての行政管理庁側の答弁をこれから伺いたい。
  34. 濱野清吾

    政府委員(濱野清吾君) だんだんと御意見を拝聴しているのでありますが私の方といたしましては、組織法第八条によって、少くとも法理上疑いのあるものについては、これを廃止するか、またどうしても置かなくちゃならぬという実質的な理由があるならば立法措置をとるべきである、こういうことを強く希望しておるわけであります。ひとりみつまた問題ばかりではなしに、その他の閣議了解事項並びに決定につきましても、本委員会の松岡委員からも常々強い御注意をいただいておりますので、私どもの方といたしましても、十分この問題については関心を持ち、調査をしているわけであります。率直に申し上げますが、このみつまた審議会というようなものは、生産者と需要者、すなわち政府機関とが商議をする一つの場であるというのが大蔵省説明のようであります。しかし、それはそれでいいのでありますけれども、その中に学識経験者という第三者が入ってくることも、考えようによってはおかしいじゃないかというような議論もありますし、かたがた商議上の場所としても、少くとも組織法の精神には疑いのある問題ではないか、こういうことで、寄り寄り今協議しているわけであります。もっとも、なかなか各省の首脳部の方々、要するに次官、局長の方々は強い方々が多うございまして、賠償実施懇談会とか、労働問題懇談会というような問題につきましては、千葉さんのお話しのように、組織法第八条について見向きもしないというような、そういう従来の風習があったわけであります。しかしこの問題につきましては、総理も過般ああいう答弁をしておりますし、松岡さんにも十分強い意見もありますし、私の方としては、やむを得ざる措置とし、相手方の役所に対して、公文書をもって、もし必要ならば立法化すべしというような文書を出しているような始末でございます。だんだんと行政運営に一つの便宜上、むろんいい意味の便宜上であろうと思いますが、そのためにできた協議会であり、審議会でありましょうから、私の方としましても、十分野いのある問題ではあるが、慎重にただいま協議いたしまして、そうして行政審議会答申もありますし、国会の意見もありますので、着々とこの閣議了解事項あるいは決定事項についての委員会の廃止のために努力をしているわけであります。そういうようなことでだんだんとその成果が実は上って参りまして、法文に示す通り、正当な機関として、そうして置かれるようになることだと考えておるわけであります。
  35. 千葉信

    千葉信君 今、政府部内の行政管理庁側の見解がはっきり示されたわけですが、私はこの意見は全く同感で、私はその意見で今までこの委員会で主張してきたのであります。ですから、ここで少くともこの行政組織法を主宰している行政管理庁当局の立場なり、それから昨年の四月二日の参議院内閣委員会における岸首相の答弁からいいましても、こういう審議会等については、明らかに政府としては善処をするという約束があるわけです。私は大蔵省が、今回の大蔵省設置法について、みつまた需給協議会の問題をどう処置すべきかということについて、明確な御意見をこの際一緒に承って問題の解決に資したいと思いますが、いかがですか。
  36. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) いろいろ大蔵省側の説明について、十分に御理解をいただき得なかったようでありますが、私は浜野政務次官から御発言があったあとにした方がいいと思って、どうせ行政管理庁の御意見もお聞きされると考えておったのでありますが、この点につきましては、何だか私どもの方がやみをやっておるのではないかというふうな疑いを持たれがちでありますが、この問題につきましても、今申し上げましたような次第で、行政管理庁の御意見は十分に尊重する意思を持っております。なお、濱野政務次官の御発言のように、なおこの点はすれすれといったことにも相なるかと思います。十分尊重する意思を持ちながら、また実情を考えながら、今これだけを残すという大蔵省の方では態度をきめておりますので、これはあくまでも行政管理庁の御意見は十分尊重するという建前に立っておることは申すまでもございません。私どもといたしましても、行政管理庁の今の御意見、これは今後も十分尊重いたして参りますが、ただいまのところ、千葉先生の峻厳なる御意見からいうと、どうも一ぺんこにだめのようでありますが、多少私どもの意思もくんでいただける余地もあるじゃないかという点もございましたので、今回残すという一応の態度を決定いたしております。かような次第でございます。
  37. 松岡平市

    ○松岡平市君 関連して。私は詳しくわからんが、千葉君の話によると、みつまた需給審議会ですか、それに一回千円ずつ金を払っている、これはどこから払っているのか。
  38. 石野信一

    政府委員石野信一君) 印刷局からであります。
  39. 松岡平市

    ○松岡平市君 今の濱野政務次官の話によると、大蔵省は、別に審議機関とか何とかというようなものでなくて、みつまた需給のための、まあ取引機関だ、こういうふうなことで、大蔵政務次官の言うすれすれという線は、そういうことでいわゆる組織法の八条に並べているそういうものに該当しない機関だ、こういうことであれば、印刷局であろうが何であろうが、これに集まったときに、一回たとえ千円でも日当を払うという根拠は、どこにありますか。商議機関である、取引機関であるならば取引機関で、取引機関に印刷局が日当を払うなんという理屈は出てこない。これは一つどういうわけか、そのすれすれであるという線と、日当を払うという点の交わるところを話して下さい。
  40. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) この点も、今すれすれという、まことに俗語を申し上げましたが、千葉先生のおっしゃったのは、私もその点気がつかなかったのではございませんでしたが、謝金の問題が本質的なものでないとおっしゃっておる趣旨が本質的なものであると考えましたので、私この点は申し上げませんでしたか、今、松岡先生の仰せられますように、この問題も十分あわせて考えなくてはいけない問題でございます。私のすれすれと申し上げましたのは、これは濱野先生おっしゃいまして、これと対決みたいなことになっても恐縮でありますが、一応は御意見を伺いながら進んでもおります。決して私ども独断ではやっておりません。しかし今、濱野先生おっしゃるように、なお御研究いただいておるようでありますが、決して私ども独断、行政管理庁がいかがおっしゃっても、これだけは大丈夫ですということで進んでおるわけでありません。一応お話し今日いをしながら進んでおるわけでございまして、今、松岡委員のおっしゃいました謝金の問題は、私まことに寡聞で存じませんでしたけれども、こういう点も非常に性格を不明確にする一点でございますので、十分この点もあわせて考慮いたしたいと存じます。
  41. 千葉信

    千葉信君 今の商議機関という言葉は、たとえば印刷局と業者との間にろいろな問題についてミツマタの関係のいろいろな問題について協議をし、商議をする。そういう限られた場合とは違って、十七人の委員のうち学識経験者と称するものが十一人あるということになると、これは商議機関などといって逃げることはできない。そういう点からいっても、私はこのミツマタ需給審議会ははっきり国家行政組織法の命ずるところによって法律化するとか、さもなければ今直ちにやめるとか、もしくはどうしても必要があって今後やはり存続しなければならぬというのなら、大蔵省としては、これを国会に法作業を出すということ程度は、ここではっきりと約束をしないと、さもなければ委員会で、この法案の修正を余歳なくされるという条件が出てくると思うのですが、その四つのうちいずれを大蔵省一体希望されますか、参考のために聞いておきたいと思う。
  42. 永岡光治

    委員長永岡光治君) なお関連して、委員長から今の問題についてお尋ねいたしますが、非常に疑義のある問題であることは事実でありますが、立法事項にしていかなる支障があるか、立法をして何か支障があるのか、もしそういう支障があるとすれば、その点についてもあわせてお考えいただきたいと思います。
  43. 石野信一

    政府委員石野信一君) 行政組織法の八条で、大蔵省の附属機関としてこういう性格の協議会、まあ商取引の商議機関というのは少し言い過ぎかもしれませんが、まあそういうような、価格等の決定について相談が行なわれ、それから第三者の意見も聞くような性格のものを、大蔵省の附属機関をして法律できめるということになりますと、いろいろそういう意味で、政府の買い上げている品物もございまして、まあやはり大蔵省の附属機関としてきめられるものは、政策的な問題、そういうものの意見を徴するというようなものに考えていくべきではないかというふうに考えられるわけでございます。従いまして今のミツマタの値段、数量を協議するというようなものを、大蔵省の附属機関として法定するということは穏当でないというふうに考えます。
  44. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) ちょっとこの問題につきましては、今の学識経験者等の問題もございますし、人数等も、いろいろこれを今回引き続きましてやりますのに、人数等の問題もまだそういうふうではっきりきめないで、実情に応じてやるようにした方がいいのではないかというふうなことも、今私ども考えております。で、あくまでも行政管理庁の方の御意見を尊重してやりたいと思っておりますから、御承知願いたいと思います。
  45. 永岡光治

    委員長永岡光治君) ちょっと速記をとめて。    午後零時十四分速記中止    —————・—————    午後零時三十四分速記開始
  46. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記を起して暫時休憩いたします。    午後零時三十五分休憩    —————・—————     午後二時八分開会
  47. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、大蔵省設置法の一部を改正する法立案を議題として、質疑を続行いたします。御質疑のおありの方は、順次発言を願います。
  48. 千葉信

    千葉信君 大蔵省設置法関係で先ほど問題になりましたみつまた需給協議会の現状について、どうこれに対して大蔵省は対処するつもりか、この際政務次官の御答弁をはっきり承わりたいと思います。
  49. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) 午前中大へん失礼いたしましたが、るる千葉委員、松岡委員等から御意見も、承りましたし、また、行政管理、庁の政務次官からも御意見を拝聴いたしました。そうして、私もきわめて率直に見解を申し述べまして、いろいろこれにつきまして、御注意も受けたりいたしましたが、午前中申し上げましたような趣旨に従いまして、大蔵省としては、失業者のお立場等も考慮して、協議会を今残しておるわけでございますが、よく行政管理庁の御趣旨なり皆様方の御趣旨を休しまして、また、私どもの実情をも勘案いたしまして、できるだけ不合理のないように善処するように努力いたしたいと、かように考えております。今これをどうするということは、行政管理庁等の御意見も十分尊重いたしたいと存じますので、今後さらに御協議申し上げまして御趣旨に沿うように善処したいと、かように考えております。よろしくお願いいたします。
  50. 千葉信

    千葉信君 いろいろお話がございましたが、結論としては大蔵省側としては、みつまた需給協議会の廃止は実際上困難であるという立場で善処をするという意味は、はっきりこれを適当な機会に立法化する意志があると、こう判断して差しつかえありませんか。
  51. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) これは午前中るる申し上げましたような趣旨でござまして、立法化するという方向に必ずしも持っていくかどうか、あるいはこの形を変えまして、各方面の御注意のような線に形をして、実質は今のあくまでも生産者の立場を保護して、また意見を徴して需給を調整するという趣旨でございますから、形をどういうふうにしていくかということにつきましては、研究いたしたいと思います。なおまた、御指摘を受けまして気がつくようなことも恐縮でございますが、今の謝金と申しますか、日当と申しますか、こういうふうなものも出しておるというふうなことは、きわめてこれをあいまいにするゆえんでございますのでこういうふうな点もあわせて考慮いたしまして、今ここで消滅せしめてしまうということは、私どもとしてはどうかと考えますから、今直ちに立法化するということに向っていくということをここで明言する段階には立ち至っておりませんが、御趣旨に沿うようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  52. 千葉信

    千葉信君 どうも今の答弁だと大蔵省の意向というのが、はっきりしないのですが、謝金の問題、寸志の問題、これはいろいろ議論もありましたけれども、私の午前中御質問申し上げた趣旨もよく聞いてもらえばわかりますように、私は謝礼を出したことがいいとか悪いとかそういう点に重点を置いているのじゃなくて、少くともその立法府ともあろうものが、法律ではっきり定まっている事項に関して、やれ内容がいかぬの、やれ業者との話し合いがどうの、需給事情がどうのということに藉口して、再び同じような格好の法律違反の協会じみたものを存置させるような方向にもし行くとしたら、そしてまた、そういう意味を今の御答弁が含んでいるとしたら、私は断じて容赦できない。あくまでそういう協議会、調査会、もしくはそれに類似するいかなる機関といえども、行政部内にこれを設置する場合には、行政管理庁当局がはっきり言っているように、法律によるべきだ、法律によらないそういう機関がもしあるとしたら、これは直ちに廃止をしなければならない。ただしかし、会私はここであまり深追いすることも、武士の情けを知らぬといって非難をなされるおそれがありますから、私は現在大蔵省がみつまた需給協議会の関係でいろいろ苦慮しておられる事情等も了解して、適当な機会にはっきり立法法措置を講ずるという方法をとって、この問題に善処するか、さもなければ廃止をするか、いずれかの方法をとる以外に道がないと思うのです。ただ、私はその解決に対して今直ちにやれということをここで申し上げたい。その点については大蔵省の結論を十分了解しつつ政務次官答弁も、今私が言っているような趣旨答弁されているのかと了解してよければ、ここで私は質問を打ち切ってもいいと思います。
  53. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) 大へん御親切な御意見を拝聴いたしまして感謝いたします。十分御趣旨に沿うように努力をいたします。
  54. 八木幸吉

    八木幸吉君 大蔵当局にお伺いしておきますが、公共企業体の審議会から答申が出たでありますが、この答申に従って具体的に何か公共企業体のあり方について採用されたおもなものはどういうものがございますか。
  55. 石野信一

    政府委員石野信一君) この大蔵省設置法の一部にも出ておりますけれども、大蔵省関係の公共企業体につきましては、日本専売公社の経営のあり方につきまして、三十二年の十二月に答申が出ております。この審議会答申におきましては、これを民営にした方がいいという御意見もありました反面、タバコの耕作者の利益をどうするかというようないろいろ複雑な問題もある。従って今直ちにこれを民営にするのは問題であるという御意見もありまして、その答申において、「よって、政府は、これらの諸点を考慮し、別途調査機関を設けて、慎重に対策を樹てるべきである。」こういうふうに答申されておるのでございます。従いまして、その別途調査機関を設けて慎重に対策をたてるために、このたび専売制度調査会というものを、設置法によって付属機関として没置いたしまして、これによって専売事業の経営方式その他専売制度の改善に関する重要事項について、大蔵大臣の諮問に応じ、意見を述べるというふうに考えまして、この設置法の改正を提案いたしたわけであります。
  56. 八木幸吉

    八木幸吉君 今の公共企業体審議会答申は、その専売事業の経営方式を検討するための調査機関設置の問題以外に河か答申がございますか。
  57. 石野信一

    政府委員石野信一君) 公共企業体につきまして、国鉄、電車については別にございますが、大蔵省関係では専売公社の点につきまして、ただいまの答申がございました。
  58. 八木幸吉

    八木幸吉君 大蔵省の方に伺うのは、少し筋違かもしれませんが、ほかの国鉄、電車等の答申事項が何か具体化されたかどうかお聞きになっておりますか。
  59. 石野信一

    政府委員石野信一君) これは行政管理庁の方でお答えいただいた方がいいかと思いますが……。
  60. 八木幸吉

    八木幸吉君 行政管理庁いかがですか。つまり私の伺いたいのは、公共企業体審議会答申があるわけですね。その答申事項一体どれだけ行政面に実現されたかどうか。私の伺っておるのは、答申がつまり実現されなければ、審議会を作ったって一向むいだじゃないかという見地に立って伺っておるのです。今大蔵省関係では、専売事業の方式について、さらに調査会を設けるというだけが結論だと、こういうわけですけれども、ほかに国鉄や電車の経営についても、相当の意見が出ておったように私記憶いたしておるのですが、何か実際的にそれが運営なり、経常の面で取り入れられた点があるかないか。その大ざっぱなところでけっこうですけれども伺いたい。
  61. 濱野清吾

    政府委員(濱野清吾君) 寡聞にしてあまり聞いておりません。従いましてそういう審議会等のあります場合、そしてそれらの審議会等の実際の効果のないものは、この場合廃止したらいいじゃないか。こういうことも過般の行政審議会答申中にもあると思いますが、その廃止方の交渉をしているわけでございます。
  62. 八木幸吉

    八木幸吉君 ほかのはあまり行政管理庁ではおわかりにならぬようですから、専売事業の問題に移りますが、専売事業の中には、少数意見と多数意見があったわけですが、その内容をもう少し詳しく伺いましょう。
  63. 石野信一

    政府委員石野信一君) 日本専売公社につきまして、まず、「日本専売公社の事業は、他の二公社と異り、次の諸点から見て、一そう民営に適する性質を有するものである。  1 地域的独占性の色彩が薄いこと。  2 とり扱う品目(たばこ)がし好品であって必ずしも必需品とはいえないこと。  3 全国的統一経営を必ずしも必要としないこと。  4 労働問題処理の観点から見て、必ずしも公共企業体によることを必要としないこと。  5 事業内容が、物の生産及び販売であって、比較的企業採算にのせ易いこと。   従って、たばこ専売事業は、財政収入の確保と拡大をはかりつつ、事業能率を向上させ、かつ、将来輸出産業に成長させるためには、これを数個の経営体に分割して民営に移すことを適当と認める。それから(二)といたしまして、「しかし、たばこ専売事業の民営化にあたっては、その前提として次のような諸問題の解決をはからなければならない。  1 四十五万に上る葉たばこ耕作者の利益をいかにして保護するか。  2 たばこの密耕作、密売が増加し、その取締が困難となるおそればあるが、その対策をどうするか。  3 たばこ専売収入は、一般会計歳入の一割前後を占めているが、民営化すれば競争の結果もっとも売れ易い大衆銘柄品の売上が増加し、財政収入、が減少する場合も予想されるので、その対策をどうするか。」  それで(三)として、「よって、政府は、これらの諸点を考慮し、別途調査機関を設けて、慎重に対策を樹てるべきである。」なお「塩及びしよう脳専売事業については、たばこ専売事業の民営化と切り離し、政府において、別途検討されたい。」(五)として、「専売の民営化が実現するまでは、他の二公社とならんで、その企業性を発揮し、経営の能率を向上するために必要な措置を講ずる要があることを付言する。」ということでございます。
  64. 永岡光治

    委員長永岡光治君) ちょっと八木君に申し上げますが、今、政務次官は向うの大蔵委員会の採決の関係でちょっと中座いたしますから御了承願います。
  65. 八木幸吉

    八木幸吉君 そこで、今の答申の前段を伺いますと、大方針としては民営にしようと、こういうことですか。
  66. 石野信一

    政府委員石野信一君) ここに現われておる文章の流れと申しますか、これからくみ取られるところが民営にしろという空気が強いように思われます。しかし、ここに第二に掲げられております問題点と申しますのは、財政収入の点も耕作者の利益の問題もいろいろ重要な問題であります。そういう意味でこの答申ではっきり民営化の方がいいと結論が出たとは言えません。従いまして、専売調査会制度を設けてそこで十分に審議を正する、そういうふうにいたしたいと考えております。
  67. 八木幸吉

    八木幸吉君 私が今答申を伺ったところの印象では、大前提として民営の方向をとれ、ただしこれを実施する上においては、これこれの問題について慎重にやはり考えなければならない。民常が大きな方針であって、あとは実施上の注意事項と、こういうふうに読め石のですが、その読み方は少し違っておりますか。
  68. 石野信一

    政府委員石野信一君) 払どもの考え方といたしましては、ただ民営を実施するという方針をきめておいて、これは注意事項としてうたうということではなく、やはりこれも非常に大きな問題でございますので、従いましてこういう問題についても十分に検討をする、今、専売事業をやって、おりまして、これを民営にするについては、こういう問題があるということを言っておるわけでございますから、やはりこの問題についての解決と申しますか、対策と申しますか、そういうものがはっきりできません場合には、やはり基本的に民営がいいというふうにも申せないという点で、必ずしも民営にする付随的なこういうことについて措置をするという趣旨ではないと了解いたしております。
  69. 八木幸吉

    八木幸吉君 先ほど千葉委員の御要求もございましたが、大蔵大臣はこの問題でお見えになりますか。
  70. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 委員長から申し上げますが、今のところ予算委員会にずっとおられておりまして、きょうの出席は、まずかなり困難な状況にあるようでございます。
  71. 八木幸吉

    八木幸吉君 そこで大蔵大臣が一度見えなければ、ここで採決はやれないと思うのですが、その点はいかがですか。
  72. 永岡光治

    委員長永岡光治君) それは今すぐどうするということは言えませんが、これは役所の方にもかなり問題があるように思いますので、一応委員正としては相談してもらおうかと思っております。
  73. 八木幸吉

    八木幸吉君 次に、現在専売事業審議会というのがありますが、これのメンバーはどういう人たちで、何名おりますか。
  74. 石野信一

    政府委員石野信一君) 渋沢敬三さんが会長でございまして、それから荒井誠一郎さん、それから石川一郎さん、原安三郎さん、河合沖さん、平町亮平さん、それから水野成夫さん等です。
  75. 八木幸吉

    八木幸吉君 そこで、専売事業の経営方針を検討するために調査機関を新しくお設けになる。今の顔ぶれを伺っておれば、専売事業審議会でも同時に付託して研究できる顔ぶれのように私伺うのですが、特に新しくこういうものを作る必要がありますか。あるいはまたこういう新しいものを作って、その委員にどういう顔ぶれを考えておられるのですか。
  76. 石野信一

    政府委員石野信一君) 御指摘の専売事業審議会の方は、これは公共の業務の運営に関して御審議を願っておるものでございます。このたびのは基本的に経常方式の問題、制度の問題というものを御審議願うものでございまして、そういう点で基本的に建前が違うと思うのです。顔ぶれにつきましては、まだ実は具体的に人選いたしておりませんので申し上げかねますが、私ども考えておりますのに民営問題、専売事業どちらがいいかというようなことにつきまして、非常に人生観を中しますのはおかしいのですが、そういう考え方が非常に人によってはっきり建っていまして、人の選び方によって結論は違うというような関係もありますので、よほど慎重に、できるだけ公正な方に入っていただきたいと思います。
  77. 八木幸吉

    八木幸吉君 つまり公正というお話ですが、専売を民営に移すという気持の人が多いのか、あるいは専売事業をそのまま置いておこうというのが多いのか、そういう人をのけまして、第三者が全然おやりになるのか、あるいは昔専売公社の総裁をしておったという人をお選びになるのか、同じ総裁でも秋山さんのような民間出の人もいるし、大蔵省の方をやめられた人もあるように思いますが必ずしも違うと思うのですが、その辺の御用意はどういうふうに考えておりますか。
  78. 石野信一

    政府委員石野信一君) 先ほど申しましたように、まだ人選をしておりませんので、今の段階ではっきりしたことは申し上げかねるのでございますが、いずれにいたしましても、問題は非常に重要な問題で、将来にわたって非常に大きな影響を持つ問題でございますので、数で、多数決でいくというようなことではなくても、もちろん民営論者、あるいは官営論者といいますか、専売論者とかといわれておるような人、こういうふうに見られる方も入るかもしれませんが、いずれにいたしましてもよく話し合っていただいて、十分に審議をしていただいて、そうして結論を出していこう、そういう考え方でございますので、抽象的に申しまして恐縮でございますが、できるだけ良識のある方というような考え方で、もちろん特に業界の関係者も入るようになるかと思いますけれども、できるだけ、そういう意味で、公正な、第三者的な方を多く入れて作ったらいかがかと考えております。
  79. 八木幸吉

    八木幸吉君 たとえば、公共企業体の審議会の顔ぶれ、ちょうどここにありますが、名前をあげて恐縮ですけれども、たとえば石山賢吉君なんか、これは民営論者の急先鋒だと思うんですが、こういう人もお入れになりますか。
  80. 石野信一

    政府委員石野信一君) 実は、まだ具体的な人選をいたしておりませんで、どちらともきめておりませんで、恐縮でございます。
  81. 八木幸吉

    八木幸吉君 逆に、今、専売事業審議会の方で、たとえば原さんだとか渋沢さんだとかいうスタッフを持っておられれば、こんなことぐらい研究するの何でもないと思うんですが、一緒に合併して、小委員会というようなものを作ってやるというようなことで、何か差しさわりございますか。
  82. 石野信一

    政府委員石野信一君) 先ほども申しましたように、審議会そのものは、やはり公社の業務の運営に関する審議会でございますから、根本的な経常方式の問題、制度の問題ということになりますと、やはり別の審議会でやった方が適当であるというふうに考えております。その場合に、審議会の方の委員の方が、いろいろ知識を持っておられるので、新しい調査会委員になられる方があるという点につきましては、あり得るかと思いますけれども、まだ具体的に人選いたしておりませんので、今のところ、どちらとも申し上げかねます。
  83. 八木幸吉

    八木幸吉君 この公共企業体の審議会の議事は、速記によってございますか。あるいは、それを発表しておられますか。
  84. 石野信一

    政府委員石野信一君) 行政管理庁の方で所管しておられたものですが、私の記憶では速記はなかったと思いますが。
  85. 八木幸吉

    八木幸吉君 いかがですか、行政管理庁の方、速記はあるんですか。
  86. 濱野清吾

    政府委員(濱野清吾君) 速記の要旨はあるそうでございますが、今までのところ、発表はしておりません。
  87. 八木幸吉

    八木幸吉君 行政管理庁の方へ御意見を伺いたいんですが、こういったような、国が作る審議会等のことは、国費でやることでありますから、特別な秘密事項を除いて、私は、やはり速記をとって、民間に御発表になるということが、審議の公正なり、フェアなことであろうと前々から実は思っておりますが、これに対する御意見はいかがですか。
  88. 濱野清吾

    政府委員(濱野清吾君) 経費もかかることでございますが、私の方の役所の行政審議会におきましては、実際速記をとりまして、そして委員諸公の必要があればこれを御配付する、こういうことになっておりますが、各省の審議会等における速記の問題につきましては、要領速記があるわけでございます。それは今日では、まだ外部には出ていないかと考えております。従いまして、この点につきましては、十分研究いたしまして、将来御意見に沿うようにいたしたいと考えております。
  89. 八木幸吉

    八木幸吉君 次に、金融機関資金審議会閣議決定のものが、今度法制化されるというのでありますが、現在、金利調整審議会、金融制度調査会、国民金融審議会、いろいろな金融に関する調査会がございますが、それぞれ多少の目的は違っておるようでありますが、こういうものを必要に応じて整理統合する、あるいは、要らないものはやめるというふうなことを何かお考えになったことがありますか。これは大蔵省の方に伺います。
  90. 石野信一

    政府委員石野信一君) 御質問の御趣旨のような考え方は、行政管理庁の方でも示されまして、いろいろ審議会の統合とか整理という問題も、行政管理庁と御相談していることはございますので、御指摘のような、ここに残っております審議会、また新しく設置法に入れようといたしておりまする金融機関資金審議会、これらは目的がおのおの違います。やはり別個の審議会でいたしました方が、その運営上適当であるという結論で、こういうふうに、このままにいたすことになったわけでございます。
  91. 八木幸吉

    八木幸吉君 これら金融に関する審議会委員を三つも兼ねておるという人が何人ぐらいおりますか。
  92. 石野信一

    政府委員石野信一君) 銀行局の総務課長からお答え申し上げます。
  93. 有吉正

    説明員(有吉正君) 金融機関資金審議会につきましては、ただいま御審議中のものでございますので、まだ人選をいたしておりませんけれども、現在ございますのは、金利調整審議会なり、あるいは国民金融界旋会、それから金融制度調査会等がございます。これらの審議会につきましては、それぞれ委員の人選につきまして、できるだけ重複をいたさないように配慮をしてきておる次第でございますが、何分にも金融機関のことを審議する場合が多いものでございますので、金融機関関係におきましては、それぞれの銀行の業界等の代表者にお願いいたしておるという関係もございますので、多少の重複も免れないのでございます。たとえて申しますと、金利調整審議会におきましては、金融界の代表者がおりますが、これは銀行協会の会長なり、あるいは地方銀行協会の会長、信託協会の会長、生命保険協会の会長等を委嘱いたしております。金融制度調査会におきましても、同様に金融界の代表につきまして、その方面のそれぞれの会長を委嘱して、おります関係上、これが重複いたしましておる次第であります。三つと申しますのは、そのほかに、国民金融審議会におきまして、地方銀行協会の会長であります平町繁太郎氏が選任されております。これが国民金融審成会の委員と、それから金利調整審議会委員と、金融制度調査会委員、これをあわせております。そのほか、産業界につきましては、できるだけ重複を避けておりますが、国民金融審議会におきまして、大阪商工会議所の杉道助氏が金融制度調査会におきましてやはり委員を兼ねておるというようなことがございます。もちろん、学識経験者等につきましても、できるだけ重複しないように、それぞれ配慮をいたしておるところでございます。ただいまのところ、この三つの審議会につきまして、学識経験者につきましては重複はいたしておりません。
  94. 横川正市

    ○横川正市君 専売制度の今度の審議会の中に現行専売制度としてあるたばことか、あるいはアルコール等の問題とは別個に、新たに、例を言いますと砂糖等の専売を実施しようというような、そういう品目を加えて審議すると、こういうことなんですか。現行のものだけにとどめて行おうとするのですか、その点をお伺いいたします。
  95. 石野信一

    政府委員石野信一君) 一応、今の専売事業を民営にするかどうかということを審議いたしますのが目的になっておりますので、一応はそういう意味で新しく専売事業に追加するものを審議するということは、今のところ考えておりません。ただまあ、そういう意味で民営化でなくて専売事業の方がいいということになりました場合には、審議の過程において、いろいろ話が出るかもしれません。その場合には、また、そういうふうに処置していきたいと思います。
  96. 横川正市

    ○横川正市君 これは大体、砂糖の現在の輸入状況、製造、それから消費状態、これを輸入と、それから国内生産のやっとあわせて資料を見てみますと、大体、現在のところは、輸入量に相当大きく依存して砂糖消費もやっておるわけですが、ところが、これを生産の面から見ると、生産は、政府の補助制度あるいは助成倒産が相当進捗すれば、国民の消費する砂糖について、ある程度の量を確保することができる。ところが、その助成策そのものが実は輸入量に相当いわば制限を加えられて、国内生産の方がきわめてどうもうまくいっておらないという状況です。砂糖その他の生産者の声を聞きますと、それらの改善のためには専売制度をとることが一番いいんではないか、砂糖の専売制度をとって、同時にまた国内の消費イクオール生産を上げていく、こういうことが望ましいという意見を持っているわけであります。そのことは具体的にはまだ国会に問題として上っておりませんが、社会党の、国内生産をするビートその他の助成策としては、専売制度がどうかということで、政策審議会検討し始めているわけであります。ですからそういうことになれば、もちろん民営とそれから専売制度の問題ではいろいろ根本的な問題はあろうかと思いますが、私はこれは一応できる調査会の中で検討する重要問題ではないだろうかと、こういうふうに思うわけなんですが、あなたの方では全然そういったことはまだ関知をしておらない、今の答弁ではそういうことを情報としても受けておらないようでありますけれども、この点もし、今の政府日本が相当助成補助を行なっているビートの生産を急激に高めて、そうして国内消費に見合うように、輸入に依存しないようにというふうな、板本政策からいけば、どういう方法をとったらいいかという問題等含めてこれは検討してもらいたい。こういうふうに思うわけです。それからこのことは、まだ設置法の問題は、政務次官大臣もおられませんから、私は質問をあとに残していただいて、そうして審議を次回にまた一つやっていただくようにお願いしたいと思います。  それで次の問題は、貨幣の、何といいますか、系列といいますか、高額紙幣から小額紙幣の大体のデザイン、型というのは一貫して出てきておるようですが、硬貨の場合はどうもまちまちに作られて、だいぶ百円と五十円の場合なんかはそのデザインを変えなければならないような状態にもなったという、こういう政策上の不備が私はあったと思うのです。この貨幣その他の問題については、全然、大蔵省としては新たに手をかけて、系列その他の、いわば不評判を何とかいいものに変えていこうとする、そういう考え方があるかないか、その点をお伺いしたい。
  97. 石野信一

    政府委員石野信一君) 御指摘のように、硬貨のデザイン等につきましては、十円を作りますときには、十円が最高の硬貨ということでぎざざざを入れましたり、できるだけりっばなものを作りたいというふうに考えて作りましたあと、また五十円が必要になってくる、さらにまた百円が必要になってくるということで、百円ができました場合には、五十円、十円はそれほどりっぱなものではないようにとか、かえって系列の関係から不適当であるというようなことに相なりまして、御迷惑をおかけして、たびたび変更したりしましたことは申しわけないと思います。御指摘のように、できる限り今後そういう意味で系列化を正していくように、研究検討をいたして参りたいと思っております。
  98. 横川正市

    ○横川正市君 ちょっと私のところに貨幣の見本みたいなものがあるわけなんですが、今言ったように、日本の場合には、作られた貨幣そのものがそのときの必要に迫られて作られたという関係で、高額貨幣とそれから小額貨幣の系列が全然形その他ばらばらになっているわけですね。スイスの貨幣をずっと見ると、五フランから二フラン、一フラン、一フランの二分の一フランそれからセント銅貨と、こういうふうに全部型が上から下まで一様に作られているわけなんです。ですからこういうことであれば、実際には使用される方も非常に便利なわけなんで、硬貨を作られる場合にはぜひ一つこれはもう少し積極的な対策を立ててもらうように、この際お願いしておきたいと思います。  それから次の問題は、これは今度の関税関係審議会ですか、これが出ておりますが、管区の改正が行われるようでありますが、今度の場合、長崎それから福岡等の管区の中に追加をされている二、三の場所があるのでありますけれども、実際に現地の人とそれから業務に携わっている人たち意見を聞きますと、沖縄の隣接地域の小さな島を経由して長崎それから福岡に流れてくるアメリカの物資ですね。これの密輸品の取締りその他の対策については、ほとんど取締りらしい収締りはできないような状態だ、ことに、沖縄周辺の小島から小舟で人ってくるとか、あるいはその小舟で入ってきたものが次には郵便だとかその他の方法でもって国内に流れてくる、こういうことなんでありますが、こういうその事実について、関係の方では知っていらしてそうして適宜処置をされているのかどうか。また、処置をしようとしても、処置することが非常に困難で、まあ放任しておかなければならないような状態なのか、その点を一つ明らかにしていただきたいと思うんです。
  99. 石野信一

    政府委員石野信一君) ここに法律案として出ております分は、これは市制施行に伴いまする行政区画の変更に伴った形式的な規定整備でございまして、これは実質的な関係はございません。ただいま御指摘の沖縄からの長崎方面への密輸人の問題につきましては、そういう点を防止いたしますために、長崎のその方面の税関の人員を強化するというようなことで、できるだけそれを防止していくように努力をいたしたいと考えております。不十分でございますが、今後ますます厳重にやるようにいたしております。
  100. 横川正市

    ○横川正市君 実際に入ってくる品物は、沖縄で使われておりますアメリカの品物で、日本の場合にもこれは国内で駐留軍が多かったときにはもうずいぶん苦い経験をしたわけです。ことに入ってくる物はたばこ、その他日用品ということでありますから、実際上の対策としては厳重にこれからやりますということよりも、問題は、流通経路でどういうふうに現在までそれに対処して、具体的にはこれらの密輸品がやみで入ってこないようにそういう措置がとられているのか、このことがまあ問題だと思うのであります。しかし、現状それがとられておらないとすれば、それらに対してどう対処していくというのが当面の問題として非常に大切だと思うわけであります。ですからそのを現状をどのように状況を把握されてどう対処されたか、その点をお聞きしてしるわけです
  101. 石野信一

    政府委員石野信一君) 実は、私の所管外で、税関部の部長がおりまして御説明いたすべきでございますが、確かにそれを取り締りますのは、やはり密輸入のところで取り締らなければならないと存じます。それで長崎の税関長からもそういう意味で強化をしてくれということを言っておりますので、確かに密輸入の取締りが不十分である点があると思います。従いまして、やはりそういうものが密輸入されるところを取り締るために、管理系統の人間を回すというようなことを考えるべきでないか、かように思います。
  102. 横川正市

    ○横川正市君 直接の担当者がいないから答弁がそういうふうな格好になると店うのでありますか。この点はまた次回でももう少し詳しくお聞きしたいと思うのです。同時に経団連その他の方々の集まりの中で、実はこの入国管理、それから税関、税関の中では動物と植物と分けて、それぞれ管理をされいるようですが、人と貨物の関係で海運局との問題があって、それらに対しては港湾の一元化をはかりたいという考え方があるようでありますが、その点については、現在どのように進捗しているかお伺いしたいと思います。
  103. 石野信一

    政府委員石野信一君) 貿易に関連いたしまして、港湾行政が各省にまたがっているので、これを一元化して貿易関係の便宜をはかれという声が一部にございまして、過日行政管理庁の毎議会の答申にもこれに触れた答申がございました。ただ、これは関係各省にまたがる問題でございますので、各省の間で御相談をされている、こういう段階でございます。
  104. 横川正市

    ○横川正市君 次に、醸造試験所の問題ですが、これは研究機関として酒その他の品質を向上させるということが建前で作られていると思うのですが、この酒類の分析鑑定、それから醸造試験講習指導、こういったものが一貫して行われて、結果的に作られた品物がこれが民間の醸造家の指導その他育成等に相当貢献をするのだろうと思うのですが、このことと、それから酒の品質が向上された場合に酒の単価と思いますか、これがたとえば一級酒から特級酒というような著しい変革を来たさないまでも、ある程度これは酒の値段にまで影響するのではないだろうか、こういうふうに考えられるのでありますが、これは単にそういうふうなことではなしに、醸造試験所で行われた試験の結果というものは、それはそれぞれの醸造家に指導として与えられて、そして品質の改善を行う、こういうことだけにとどまるのか。その点をお伺いしたいと思います。
  105. 石野信一

    政府委員石野信一君) 醸造試験所におきましていろいろ研究いたしましてやります内容、例を申しまして御説明いたしますと、最近における顕著な例といたしましては、酒類に関しましてアルコールもろみ添加法の改善、それからいわゆる三倍増醸法の完成及びその普及、それから酒かすの黒く変る、黒変の防止法完成、それから酒類の混濁現象の除去及びその防止法の完成、こういう技術的な問題について成果を上げております。これらによって一般的に酒類の醸造技術が進んで参ると思いますが、それと価格の関係が直ちには関連はないと思うのであります。
  106. 横川正市

    ○横川正市君 大体これはこの試験所を法律によって設置するように変えたわけでありますが、それには大体人件費を除きまして、金額にして一千二百万程度の費用を投じようとされておりますが、この金額については間違いありませんか。
  107. 石野信一

    政府委員石野信一君) この醸造試験所につきましては、これも実は明治三十七年に設置されたものでございまして、その後戦争中に直接戦力に関係ないということで官制が廃止になっております。ただいま国税庁の関税部の酒税課の係という形でこれが存在しておったわけでございます。これはこういうものは国税庁の附属機関として、法律にした方がいいという意味で、法律にいたしましたのでございまして、新たに今申し上げました千二百万円の金を投ずるというものではございません。お尋ねはその内訳を示せということでございましたかしら、ちょっと最後……。
  108. 横川正市

    ○横川正市君 人件費を除いたほか、一千二百万程度の経費を投ずるのではないだろうかという予測なんですが、それとその経費を投じようとされているのかどうか。
  109. 石野信一

    政府委員石野信一君) 国税庁の総務課長からお答えいたします。
  110. 亀徳正之

    説明員(亀徳正之君) こまかい点でございますので、私からお答えいたします。非常にこの酒の研究につきましては、現実に今醸造試験場でいろいろな角度から酒を現実に作ったいいたしますので、やはり原料として米を買い入れましたり、そうして一応酒を作ってみるとか、いろいろな角度から研究をいたしますので、非常にこのまた新しい外国製の分析の用具その他もいろいろ使って、研究をしていくということで、まあ人件費以外に、今御指摘になりました約千万近くの予算を要して、研究しているような次第でございます。なお、これは先ほど官房長もおっしゃられましたように、新たに今後こういう経費を投じて、研究したいということではございませんで、年年国税庁にこの予算がつきまして、このような研究を継続しているのでございます。この設置法関係では、新たに機構的にこれを国税庁の附属機関にしていただくというだけのことでございまして、内容的には、すでに明治三十七年以来、営々として研究は続けられているわけであります。
  111. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、これは簡単な例からいきますと、酒の品質をよくするために、こういう研究所を国で作って、そうして民間の醸造家に便宜を与える、そのかわり税金の方はできるだけスムーズに取りたい、こういうこの簡単ないわば例になるわけでありますか。そういうことですか。
  112. 亀徳正之

    説明員(亀徳正之君) 平易に申せば、率直に申せばそういうことでございまして、御承知のように、酒税というものは、非常に価格の中で持っております税のウエートが大きゅうございますし、私も実は昔、地方で関税部長をしたことがございまして、米が非常にやわらかくて、急に腐り出すというような事態にもぶつかったことがございます。もしもこれが腐ったままでございますと、そのまま酒廃がつぶれるばかりじゃございませんで、酒税そのものの確保もできない、こういった場合には、直ちにこの醸造試験所の幹部からいろいろ知恵を出していただくし、またすぐアルコールを添加して、腐った酒を出さないようにする、当時は統制もございましたので、すぐそれの配給の措置も講ずるというようなことで、急場をしのいだ経験もございますが、一般の商品と通いまして、大部分が価格の中で税の占めておりますウエートが大きいものでございます。まあ国家といたしましても、その品質改善、それからまた、これは先ほど官房長がおっしゃいましたように、非常に原因がわからない、なかなかつかめないのでありますが、酒かすが急に黒くなるとか、酒に濁りが生ずるとか、いろいろな事態が出てくるのでございます。それらの予防の対策、こういったものはやはり一人々々の酒屋さんでは非常に規模が小さい。なかなか独立してその研究ができない。またこれはもう一つ酒の特色でございますが、ビールといったようなものにつきましては、大きな会社がやっております。また一方日本酒につきましては、小さな酒造家がやっておる。しかし酒としてはやはり共通のものを持っておる。こういった共通の分野についての研究機関はやはり酒としての共通の分野があるわけでございます。これらを根本的に研究するというのは、たとえばビールの会社でもそういった研究機関を持っておりませんし、結局国の醸造試験所というものがそれらの要望にこたえて研究する。それがひいては酒造家の皆さん方にも喜ばれる、こういうような関係に相なっております。
  113. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 私は、大蔵省防衛庁に対しまして、群馬の大泉キャンプ並びに飛行場に関連した問題で二、三お伺いをしたいと思います。従って、それぞれの立場で責任ある御答弁をお願いしたいと思います。  現在御承知のように群馬県では県をあげて、また太田市をあげて、さらにまた周辺の町村特に地元の大泉では、大泉地区の例のキャンプ並びに附属飛行場のの返還に関して、例の首都整備法ですか、首都圏整備法に基いて、ぜひその施設を民間産業に転用してもらいたい。間違っても防衛庁の施設として使うようなことは断じてないようにというそういう強い意向をこめて、今各関係省庁にお願いしておると思いますが、この問題について大蔵省並びに防衛庁としては、それぞれの立場でこの州民の声を県民の心としてこれを尊重しようとするのかどうか、この点をまずお伺いをしたいと思います。
  114. 石野信一

    政府委員石野信一君) 具体的な問題でございますから、私から御説明申し上げますよりも、国有財産の二課長の市瀬君から説明をさせます。
  115. 市瀬泰蔵

    説明員(市瀬泰蔵君) 群馬県の大泉町にあります米軍の基地、キャンプ・ドルウと言っておりますが、それと、それに附属しました飛行場地区は、近い将来米軍から変換されるであろうという情報は来ておりますが、現在まだ返還されておりません。この地区につきまして地元群馬県あるいは地元の大泉町から民間企業に転用したいという御要望もされておりますし、一方防衛庁におきましても、陸上自衛隊及び海上自衛隊の施設として使いたいという要望は出ておりますので、現段階におきましては両者のお話をよく承わって、慎重に検討しておる段階でございます。
  116. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 御承知のように防衛庁は建設の途上でありますので、施段につきましてもまだ相当不足をいたしておるという現況でございます。ところが、この施設を新しく作るということになりますと、膨大な国費を要するわけでありますので、防衛庁といたしましては、従来から米軍のかつて使用いたしておりました所、または米軍の使用いたしております所で将来これが解除になるという見込みのあるところにつきましては、それが防衛庁の施設として適当でありますものについては、できるだけ各方面の御了解を打てこれを防衛庁に転用さしていただきたいという方針をとっておるわけでございます。ただいまお話しの大泉キャンプにつきましては、まだ米軍から解除の通知を受け取っておりませんので、はっきりしたことを申し上げる段階ではありませんけれども、施設の現況から見まして、ぜひ陸上自衛隊または海上自衛隊においてこれを使用さしていただきたいということを、昨年米大蔵省の方にも希望として申し出ておりまして、また現地の方にもいろいろと御了解願う算段をいたしておるところでございます。もちろん、自衛隊がこれを現地の施設を使用さしていただきますにつきましては、十分に地元の方々の御了解も得ていきたい、かように考えております。
  117. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、駐留軍の接収解除に際して、民有地については当然これは民間に返還されておる、これは問題ないと思います。国有地についても地元の声を十分に聞いて善処する、そういうのが大蔵省の従来からの基本的な態度であったと思うのですが、この点について、は変りはないと思いますが、念のために伺っておきたいと思います。
  118. 市瀬泰蔵

    説明員(市瀬泰蔵君) 米軍に提供しております財産が返還されて参りました場合の国有地の取扱いでございますが、これは国有財産の処理の一般的な方針で進んで参ったのでございます。特に一昨年の七月以来米軍に提供しております財産が急送に膨大な量で返還されて参りましたので、各地におきましていろいろのこれが転活用をもくろみまして、いろいろの問題が生じたのでございますが、大蔵省としましての基本的な態度としましては、一方におきましては国の財産でありますので、防衛あるいは文教その他の国の用途にあてる、一方、地元の御要望及び産業誘致による雇用の増大とか、その他の方面にもこれを活用する。この二本の柱を慎重に考えまして処理を進めてきたところでございます。で、その場合、防衛庁その他国の需要にこれをあてる場合でも、十分地元の御意向を尊重いたしまして処理して参ったという方針には、一向に変化はありません。
  119. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この民有地については問題なく民間に返還される、これは問題ないと思うのですが、ただ基本的にお伺いをしておきたい今は、この問題の土地の七七%以上は、中島旧飛行場の傍系会社である冨士商工ですか、富士商工が所有しておるわけです。この七七%の土地については、これはそのままに富士商工に返還されると思うのですが、その点を確認しておきたいと思うのです。
  120. 市瀬泰蔵

    説明員(市瀬泰蔵君) 御質問の土地はキャンプ・ドルウと先ほど申し上げましたところだと思いますが、ここは土地が約二十八万坪でございますが、ほとんど全部民有地でございます。ここに国有の建物が六万坪ほどございまして、この財産の処理につきましては、もし国が使います場合は、土地は一たんは民有地主でございます富士商工にお返しいたしますけれども、これが借り上けないし買収のお話を進めるわけでございます。また、それを産業等に転換する場合は、国有建物の払い下げを受ける方が、当該民有地主と折衝して土地関係の調整をつけるということが期待されておる次第でございます。
  121. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 確認して、おきたい点は、民有地については一たん民間の所有者に返す、そういう点はそういうふうに解釈してよろしゅうございましょうか。
  122. 市瀬泰蔵

    説明員(市瀬泰蔵君) 形式的には、たん返還するということになると思します。
  123. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 それとキャンプ並びに飛行場については、先ほどもちょっと御指摘があったようですが、いつごろ日本側に返還されるものか、大蔵省とし、また防衛庁としても関係が深いので、もう事実がわかっておると思います。率直にお聞かせいただきたい。
  124. 市瀬泰蔵

    説明員(市瀬泰蔵君) 私どもが日米行政協定による合同委員会の施設特別委員会を通じて存じておる限りでは、近い将来という程度の情報しか得ておりません。ただ、ほんの一部の土地がすでにことしの二月十八日に返還になりました。ほんの一部と申し上げましたのは、一万五千六百坪の民有地と、その上にあります国有建物四千六十坪でございます。
  125. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 情報によっては、六月ころ退避されるらしいというような情報もあるのですが、これは何か根拠があると思うのです。その点をお伺いしたい。
  126. 市瀬泰蔵

    説明員(市瀬泰蔵君) その情報につきましては、私どもはよくわからないのでございまして、調達庁あるいは防衛庁当局におかれまして、あるいは非公式に情報を把握しておるかも存じませんが、大蔵省としては、先ほど申し上げました以上のことは存じ上げておりません。
  127. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 防衛庁といたしましては、公式にも非公式にも何らの情報を打ていません。
  128. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 ここで防衛庁大蔵省に確認しておきたい点があるのですが、先ほど民有地については一たん返還するということを重ねて伺ったわけですが、完全に民間の所有者に返還される前に、特に防衛庁関係があるのですが、退避される前に、防衛庁がひそかに手を伸ばして既成事実を築いてしまう、そういうようなことは、よもや断じてなかろうと私どもは確信しておりますけれども、愚問であろうと思いますけれども、そういう間違いがもしあるとゆゆしい問題になりますので、ここで特に防衛庁の方に関係が深いと思いますが、完全に返還される前に、何か工作をして既成事実を築く、そういうことは断じてやらないと、そういう確信ある御答弁がいただけるかどうか、その点をお伺いしたい。責任をもって御答弁をいただきたい。
  129. 山下武利

    政府委員(山下武利君) もちろん返還になりました場合には、民有地はそのまま現在の所有主であります富士商工に戻るわけでございます。防衛庁がもしその土地ないし国有の建物を継続して使用したいという場合には、土地につきましては、もちろん富士商工さんに交渉するということになるわけでございます。ただ交渉します時期は解除後にいたしますか、あるいは解除を見込して先に交渉いたしますか、その点はここでまだはっきり申し上げる段階ではございませんけれども、防衛庁といたしましては、先ほど申し上げましたように、防衛庁の施設として適当と認めて、これを継続使用していきたいという意向を持っておることは確かでございます。
  130. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 その問題について、跡術庁はよもやそういうことはないと思いますが、不当にもそういう既成事実を作る、いわゆる不当にですよ。そういう場合大蔵省としてはどうなさるのか、大蔵省としての態度もこの際明確にお伺いしておきたいと思うのです。
  131. 市瀬泰蔵

    説明員(市瀬泰蔵君) ただいまの御質問でございますが、防衛庁が不当に使用にするということは考えられないのでございまして、ただいまの米軍に提供しておりますので、もし何らかの事情で提供中に防衛庁がこの財産を使託する必要がありますれば、先ほど申し上げました日米合同委員会にかけまして、共同使用という形をとって、正式に一時使用をするわけでございます。しかし、これも返還と同時に、使用権限が終了してしまいますので、米軍が当該財産を返還してくるときにおいては、その使用の権限はすべて消滅してしまいます。そこで大蔵省としましては、返還される場合は、返還後の処理方針を決定しまして、先ほど申し上げましたように、国が使うか、一般民間に転用されるか、どちらか決定された線に沿いまして、建物の売り払いをするということを考えておるわけでございます。
  132. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 重ねてお伺いをいたしますが、民有地については民間に一応お返しする、その後民間の所有者との間に話し行いができれば、それによって国が使用する場合もある、そういうふうに解釈してよろしいわけですね。
  133. 市瀬泰蔵

    説明員(市瀬泰蔵君) むしろ、この財産の処理方針といたしまして、どちらと申しますか、国が使うか、民間が使うかという方針が決定されまして、そのどちらか決定されましたところによりまして、国有建物の払い下げ、あるいは所管がえを受ける力の方で地主と折衝されることになろう、こう考えておる次第でございます。
  134. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この問題は、特に防衛庁にお伺いしたいわけですが、防衛庁としては、陸上、海上の自衛隊六千七百人の新設計画は、目下大蔵省と折衡中である。そういうふうに、承っておるわけですが、これは具体的にお伺いしたいのですが、どういう構想を持っておられるのか、どういう構想で計画を進めておられるのか。
  135. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 防衛庁といたしましてドルウ・キャンプに配置する予定にいたしております部隊は、陸上自衛隊につきましては、建設大隊を中心といたします約四千名、海上自衛隊につきましては、航空術科学校並びに教育航空隊を中心にいたします約二千七百名、合計いたしましてただいま伊藤委員の述べられましたような六千七百名というものを計画いたしておる次第でございます。
  136. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 重ねてお伺いいたします。陸上自衛隊のロケット実験隊の有力な候補としても考えておる、そういうふうに承わっておるわけですが、この点についてはどういうふうに考えておられますか。
  137. 山下武利

    政府委員(山下武利君) ロケット実験隊の配置場所につきましては、まだ現在決定に至っておりません。
  138. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そうしますと、このロケット実験隊をどこにやるかということは、全然もちろんきまってはいないでしょうが、大泉にしようかという話は全然ございませんか、現在の段階では。
  139. 山下武利

    政府委員(山下武利君) ロケット実験訓練隊は御承知のように百四十五名のごく小部隊でございますので、これをどこに配属するかという、ごとについては、いろいろ候補地を物色いたしておりますが、まだ現在きまったところはございません。
  140. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 先ほど来繰り返し申し上げおるように、群馬県としても、それから大田市民としても、地元の大泉としても、あげて民間企業誘致の熱望を持っておるわけですね。もし防衛庁なり、また大蔵省が共同戦線でこれをいわゆる自衛隊を強行誘致をしようなどというような、そういう事態がもしあるとすれば、ゆゆしい不祥事を起す要因となろう、そういう点を私どもは深く憂慮しておるわけですが、先ほども大蔵省としての従来からの見解で地元の声も十分尊重する、そういう御確認があったわけでございますので、民意に反して強行突破しようというようなことはよもやなかろうと思いますけれども、この機会に念のためにお伺いをしておきます。
  141. 山下武利

    政府委員(山下武利君) これは一般の原則でございますが、自衛隊が基地を設けます場合には、地元の御納得を十分いただいてから入るということを、従来から、固く守っておるつもりであります。もし地元の御協力を得られなければ、基地を設けるところの意味が失われて参るわけでございます。自衛隊としては十分戒心しておるところでございます。もとより絶対に一人残らず御賛成をいただくということはなかなか困難でございます。従来からの例を見ましても、相当御反対のあったところを、いろいろこちらの意のあるところをお話しいたしまして、御納得をいただいたことも数多くあるわけであります。本件につきましては、まだ解除前のことでもありますし、いつからどうという、具体的な計画を持合わさないわけでございますが、もし解除になりましたらば、自衛隊としてはこういう計画でいきたいということを、地元にも十分に御了承を得てから事に処したいと思います。
  142. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 それと先ほどお伺いした点ですが、まだ不安な点があるので重ねてお伺いしますが、返還前に共用計画、こういうことを今のところ考えておられるのか、そういう返還前に共用計画などは考えていないのか、その点ですね、その点はっきりお伺いしておきたいと思います。
  143. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 自衛隊といたしましては、返還されてから使用いたしたいと考えております。
  144. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これは私が申し上げるまでもなく、国防の基本方針には、民生の、安定の上に立って防衛計画を立てる、そういう意味の大方針があるわけです。これは私が言うまでもないのですが、そこで現在群馬県では、県民があげて、特に地元の町民を中心にして、県があげて強力に自衛隊の誘致に反対しておるわけです。そうして民間の産業の誘致を熱望しておられるわけですね。そういうことをお考えになれば、よもやその意に反して強行されようということは考えられない、国防の基本方針から見ても、民生の安定ということを非常に重視しておられるわけです。岸総理もしばしばその点は確言しておられる、そういう点から考えて地元民が何とかして首都圏の中の有力な工業地帯にしたい、そういう熱望を踏みにじるようなことはなかろうと思うのですが、この際このことを一つ確認をしておきたいと思います。
  145. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 重ねて申しますように、地元の十分な御納得を得た上で基地として使用いたしたいと考えておるわけでございます。ただ、まだ米軍から解除の予告もありませんような時期でありますので、実は自衛隊の、こまかい計画につきまして地元にお話をするような機会も今まではなかったわけでございます。地元にいろいろ御意見があるといたしますれば、自衛隊としてもまた意のあるところを十分にお聞き取り願うようにこれから十分御懇談をいたしたいと考えておるところでございます。
  146. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 具体的には、三洋電機という会社が非常に熱意をもってこのキャンプ跡への進出を熱望しておるわけですね、さらに具体的なことを申し上げますと、三力十九日には民間企業への転用を優先するようにという意味の文書を各関係官庁にも送っておりますし、また、群馬県議会でも去る二十五日の日に、民間企業の誘致促進の意見書を全会一致でもって決定しておるわけですね。これがいかに県民の声であるかということは、もう防衛庁大蔵省としてもよく御承知だろうと思うのです。絶対反対をしておるのに、これの計画を進めるということであれば、まさしく正面衝突は免れぬ、必ずそこに不祥事が起るということは、先ほども申しあげたわけです。また、民生の安定という立場からも、民間産業の優先ということが、当然考えられるわけです。そういうような幾つかの点を考えるとき、この際県民の意に反して、強行に自衛隊を進出させるというようなことはなかろうと思いますが、大事な点でございますので、最後にこの点を確認して私の質問を終りたいと思います。責任ある御答弁をお願いしたい。
  147. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 重ねて申し上げますように、地元の十分な御納得を得た上で、自衛隊としては使用していきたいと考えております。
  148. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そうしますと、地元民と話のつかない場合には十分話し合いを進めて、了解なしには強行はしないと、そういうふうに解釈してよろしいのか、どうか、この点いま一回確認をしておきたい。
  149. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 仰せ通りでございます。
  150. 野本品吉

    ○野本品吉君 私はこの問題につきましては、実は数年来深い関係をもってやって参ったので、たまたま伊藤委員の質問で防衛庁の意図がやや明らかになりましたので、黙っておるわけにも参りませんので申し上げたい。なお委員長において、至急首都圏整備委員会の計画の当局を呼んでいただきたい。  それで大体申しますが、事の経過を私は申し上げて、皆さんがこの問題を処理する参考に資していただきたい。それは三十一年に御承知通り首都圏整備法というものができまして、私は実は太田の出身なんです。大泉の地区の者なんです。そこであの土地の将来のことを考えました場合に、これを首都圏整備法による衛星都市の市街地開発地域として生きる以外に、あの地域の生き万はない、こういう信念に基きまして、その後いろいろと地方の当路者と話し合って今日に至っておるわけであります。なお、首都圏整備委員会におきましては、着々あらゆる角度から総合的な研究を積み重ねて、そうして接収解除になれば、これは衛星都市の市街地開発地域として指定する立地条作は最も備わっておる、こういう意向も明らかになっておりますので、土地といたしましても、県といたしましても、その線に沿って何とかこれを生かしていきたいということで、ここ三、四年来この方一貫した運動をしておる。なおこのことにつきまして私は木村長官、それからして船田長官、それから小滝長官、左藤長官、歴代の長官に対しまして、あの地方の人の希望はこういう希望であるのだから、その希望に沿っていただくようにぜひ御考慮を願いたいということを再三私はお願いしてあるわけです。そこで、今になってそういうことになりまするというと、これはもう今初めて思いつきで起った問題でない、相当長期にわたってそのつもりで市も、町も、村もいろいろな計画を立て、いろいろな施策を講じようとして講じつつあるわけなのであります。もし、そういうあなた方の希望されるようなことになりますというと、長年にわたりますそれらがついに瓦解してくるわけであります。そのことが県会一致の議決にも現われ、先般関係市町村であります大泉、それから太田市、それから隣接の宝泉村、それから尾島町、この四カ町村の市町村長、議長、それからして議員代表、工場誘致委員の代表の者が参りまして、そうして防衛庁、あるいは大蔵省等に陳情をしておるというのが実情でありまして、そのことにつきましてはすでに御存じのことと思います。従って今の防衛庁の方針が、それらの人たちの意思を無視して計画を進めつつあるということがわかりますというと、これは確かに私は地方の者といたしましては、黙っておるわけにいかぬという事態が発生するであろうということを非常におそれておる。なお、あなたは国有地であるということをおっしゃったのですが、しかし、あすこの飛行場の数十万坪はまさに現在は相当部分国有地でしょう。しかし実を申しますというと、あの数十万坪というものはあの飛行場のできます前は、あの地方で有数なたんぼですよ、そのたんぼを中島飛行機製作所の飛行機生産がだんだん高められるに至って、どうしても飛行機の離着陸その他からいって必要だというので、農民が全く反対しておったのを接収した、普通の野原なんかとわけが違う。従ってあのあいておる土地を見まして農民は農地委員会を通しまして、そしてあの土地を、われわれのたんぼを返してほしいという声まで起ってきておるようなわけなんです。そういうようなことから総合いたしまして私どもは防衛庁の今のお考え、そのお考えはこの際経過その他から見ましても、地方の住民の感情から見ましても、関係市町村のいろいろな計画が進められつつある経過から見ましても、この際は十分お考えを願いたい、こう思うのです。伊藤委員からの質問によってあなた方の腹は大体わかりましたけれども、一応事の経過を申し上げて、私どもの考え方をお伝えしたわけですが、どうですか、あの土地は国有財産だから国が使うのだというような考え方につきましては、私は非常に遺憾に感ずるわけであります。そういう経過から見たならば、それからそういう実情から見たならば、この問題は考え直すべきであるというお気持になれないかどうか、私はその点をお伺いしたいと思います。
  151. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 先ほどからたびたびお答えいたしておりますように、自衛隊が基地を設けます場合には、防衛庁側の需要と地元の民生安定との調和ということを十分にはかっていく所存でございます。国有の土地並びに国有の建物の処分につきましては、これは大蔵省の国有財産審議会の議を経なければならないわけでございます。この審議会にも十分意向を反映されるものと考えております。
  152. 永岡光治

    委員長永岡光治君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  153. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記を起して。
  154. 市瀬泰蔵

    説明員(市瀬泰蔵君) 小泉飛行場の沿革につきまして、ただいま御指摘のありましたことは、私ども承知しております。   —————————————
  155. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 次に、通商産業省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。前回に引き続き質疑を続行いたします。なお、政府側出席の方々は、高碕通商産業大臣、齋藤官房長、福井鉱山局長、以上であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  156. 横川正市

    ○横川正市君 この件につきましては、前回の委員会で十分審議をいたしたのでありますが、ただ一、二点大臣が御出席でありますから、確認の意味で御質問申し上げたいと思います。それはこの法律案の作成までには、衆参両院での商工委員会が相当政府に要望申し上げまして、そうして法案の進捗をはかったのでありますが、この中でやはり問題になりますのは、審議会の運営の問題になるのではないだろうかと思います。ことに、鉱業法が明治初年の法律でありまして、その後幾多の不備をがまんをしながら運用をされて参つたという関係もありまして、できるだけすみやかに結論を御要望に従って出していただきたいというのが、これは私はそれぞれ審議されました両院の意思であったというふうに思うのであります。そういうことからこれの運用を見ますと、審議会の運営はやはり一年の間に六回の会合を持って、それから総会は二回持たれて、昭和三十六年三月三十一日までの二年間の時限立法である、こういう審議会の構成、組織を見ますと、どうも要望にこたえて相当スピード・アップされた結論が出るというふうには、この審議会の構成、それから日にちの取り方からしてちょっと受け取りかねるわけです。その点からぜひこれはこういったものにとらわれずに、要望に従って早期に結論を出していただくように。もう一つは、例によって例のごとく学術経験者あるいは民法関係権威者、こういった人たちが入ってくるのだろうと思いますが、それにもまして、現場で直接技術に携わっておる人たちの意向もこれもくみ取れるように配慮して、委員の構成というものを作り上げていただきたい。この二点について大臣一つ確認の意味でお答えをいただきたい。
  157. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 今回本案を提出いたしました理由は、御承知の、最近の石炭の鉱区の災害等がはなはだしいものがありまして、それをいろいろ掘り下げて考えてみますと、明治三十八年にできた鉱業法というものが非常な欠陥があると、こういうことが順次わかってきたわけであります。できるだけ早い機会にこの審議会を作っていただいて、そうしてできるだけ早い機会にこの結論を出したい、こういうことで、まずもってニカ年間の時限立法であるのでありますが、これをニカ年を待たずに時期が許されればもっと早い機会に早く結論を出すように十分努力したいと、こういう所存であります。なお、審議会のメンバーにつきましては、あまり人数が多くてもどうか、二十五人ということを最初予定しておりましたが、これはできるだけ少数精鋭でやりたい、こういう考え方で、もちろん学術経験者というのでありますが、現地で仕事をやっておる現場の人たちも、この委員に入れなくてもその人たち意見も十分参酌し得るように、組織を作って運営をしたい、こういう所存でございます。
  158. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 大臣に二、三お伺いしたいと思ういますが、この行政審議会答申を見ますと、「廃止を適当とするもの」とあり、その中に石油鉱業権評価審査会というのがある、これは任務は終了したので、またほぼ終了したと思われるので廃止を適当と認めると、そういう意味行政審議会答申ですか、それはもちろん同じ政府機関が出した答申でありますので、同じ政府の通産省としても当然これを尊重して善処されたと思うのですが、この精神に沿うてどういうふうに具体的になされたか、それを伺います。
  159. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 石油鉱業権評価審査会の方は、石油資源開発株式会社法の中に、附則に設置されておる審査会でございます。この審査会は石油資源開発株式会社法が設立されました当時、帝国石油開発株式会社から多数の鉱業権を譲り受けをいたしたわけであります。この譲り受けの評価を適正にする必要があるということで、この審査会を附則に臨時に置くことになりまして、附則に置かれたわけでございます。石油資源開発株式会社の業務はすでに三年あまり続けられておりますが、帝国石油開発株式会社の鉱業権といいますのは、設立されました当時に移されまして、その審査会で十分に検討されて任務を終了したわけであります。従いまして、今回石油資源開発株式会社法を改正いたしますにつきまして、この附則の規定の任務終了ということで廃止をすることにいたしたわけでございます。
  160. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、会議とする必要がないから廃止を適当と認める、こういうものの中に顧問会議というのがあります。これについては行政審議会としては廃止するのが至当だという結論を出しておるわけですね。すでに廃止になったのか、今直ちに廃止なさろうとするのか、その辺のところをはっきり承わりたい。
  161. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 審議会毎の整理につきましては、行政管理庁の方から各省を通じてお話がありまして、その検討の項目として今お話しの顧川会議の問題が指摘されまして、われわれの検討いたしました結果、顧問というものの性質上、必ずしも会議形態で運営する必要はなかろうじゃないかということで、顧問会議としては廃止してもよろしいという決定にいたしました。ただ顧問制度としては続行したい、それから顧問会議という制度の廃止、あるいは先ほど御指摘がありました石油鉱業権評審査会の廃止、これらは行政管理庁の力で一括して廃止をするということでありますので、今回の改正からははずしたわけであります。
  162. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、なるべくすみやかに任務を終了して、その上で廃止するのが適当である、廃止せよ、そういう意味答申があるわけです。この法案で二つ上っておりますが、重油ボイラー規制審議会、それと電気関係法令改正審議会、この二つがあるわけですが、これは、なるべくすみやかに任務を終えて、廃止せよ、こういう意味で、今すぐということではないようですが、これについても答申趣旨を尊重されるならば、もう何らか具体的にお考えがあると思いますが、その点を伺いたい。
  163. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 重油ボイラー規制審議会は、現在重油ボイラー規制法に基きまして、重油ボイラーの設置の制限の基準を定めるために置かれているものでございます。従いまして法律は三十五年の十月に期限が切れますので、そのときに法律を廃止いたしますならば断然廃止されるものであります。それから、電気関係法令改正審議会は、御存じのように現在電気関係の監督に関する法律は、公共事業令という占領時代の政令をそのまま効力を延長さして存続してきております。これは、いずれ電気事業法というはっきりした法律に切りかえるということで研究をいたしておりますが、その研究が完了いたしまして、改正法案が国会に提出できますときには、当然これは廃止する、今われわれの考え方では、次の通常国会までにはぜひ研究を完了さして法案を提出するようにいたしたい、そういう段取りになりますれば廃止する予定でございます。
  164. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 時間の関係で最後に一つお伺いしますが、このような審議会は統合を必要とする、そういう意味答申があると思いますが、これは、工業生産技術審議会は化学工業部門を除いてこれを機械工業審議会に統合することが至当である、そういう趣旨答申がなされておるわけです。通産省としてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  165. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これも答申趣旨を尊重いたしまして、その通りに処置いたしたいと思っております。
  166. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 次に、自治庁設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより、本案の質疑に入ります。政府側出席は、黒金自治庁政務次官、藤井行政局長であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  167. 横川正市

    ○横川正市君 今度のこの設置法のおもなる理由が、国の財務会計制度、それから財政法、会計法、国有財産法、それから物品管理法、国の債権管理等の法律が大体整備をされているのだけれども、地方公共団体の場合には、これらの財政制度がまだ確立をしておらない、こういうところに今回のこの提案理由があるのだろうと思うのでありまするが、そこで設置法の四条十一号の「地方自治及び民主政治の普及徹底その他所掌事務の周知宣伝を行うこと。」、第十二号の「地方公共団体の財務に関係のある事務について報告を徴収し、調査し、及び助言すること。」、この二つの項目に関係して、地方公共団体の財務制度が今回新たに審議会を設けて検討されていくのだろうと思いますが、その点について自治庁の所見をお伺いしたい。
  168. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) ただいまお話ございましたようないろいろな権限がございますけれども、私どもは今回この調査会を作りまして審議したいという目標は、いわば国の財政法、あるいは国の会計法、あるいは国の国有財産法があり、債権管理法があり、いろいろそういう財務に関する制度が割合きちんとしております。地方の団体につきましては、地方の財政法が多少ありまして準拠的な規定がありますが、こまかい点につきましては、どうも昔からのしきたりといいましょうか、いわば大福帳的なものでやつておりますので、基準になります立法まで持って参りまして、そうして、まあこれも国と違って団体の規模にいろいろ違いがありまするし、全部一律というわけにはなかなか参らないかもしれませんが、多少の幅は持たせましても、きちんとした基準となるものを作ってこれに準拠して地方の公共団体の財務関係整備といいますか、整備をして参りたい、こういう関係で考えておるわけであります。
  169. 横川正市

    ○横川正市君 問題の主になるのは、現在地方財政再建促進特別措置法によって、自治庁はそれらに該当する県の財政上の問題等については相当程度これは監督し、改善を加えるところの処置をすることができるわけなんです。ところが、実際には促進法の適用を受けておらない団体に対しては、自治庁としての考え方をそのまま反映さすということが非常にむずかしい。こういうことから、今回中央と地方一貫した一つの事務所掌を統一して、結果的にはそこに非常に能率を上げるという反面、地方百治のあり方に対して自治庁としての考え方を直接注入できるようなこういう考え方に立っておるのではないだろうか、こういうふうに考えられる節が非常に多いわけであります。そこで、今政務次官の言われた財政法、会計法、国右財産法、それから物品管理法、国の債権の管理について、云々という、こういう各項目については、あらためてここに新しい調査会を発足せしめてその中にでき上ったものを、統一的に下部に下していく必要はないのではないか。ことに今の自治団体で大福帳的な会計制度をもって運営されているということは、これはきわめてまれなところでありましようから、適切な助品をすることによって、私はこれらの地方団体の財務、財政、会計制度についてある程度正しい運営の仕方、それから会計のあり方、間違いのない使用ということができるのではないだろうかというふうに考えるのでありますが、この点についてはどのようにお考えですか。
  170. 黒金泰美

    政府一蚕員(黒金泰美君) 今のお話し、まあわれわれの説明が悪いのかもしれませんが、かなり誤解が多いように思うのです。今回の調査の目的になりますものは、実態をどうしようかというような問題ではございませんで、ワクを一体どうやったらいいのか、たとえて申しますならば、帳薄書式を一体どうやったらいいのか、御承知通りに公企業については発生主義で帳簿の整備をいたしております。国では租税債権について発生主義でやつている。地方につきましては、元の市制、町村制、それから合併以来はっきりしたものはございませんでした。現在の地方財政法につきましても根本的な、ごく準拠して規定があるだけで、基本としたものがございません。一方国の方は終戦後に会計法ができ、債権管理法までできておる、こういう事態になりますると、やはり地方の団体におきましても帳簿書式なり経理の関係なり、これをもっといわば能率的、科学的にしていく必要がある、少くとも国の程度まで整備していきたい、そこでもって今度の場合におきましても、内容を、一体どういう財政の立て方をしていいのか、あるいはまたどういうような経理をしたらいいのかという、結局帳簿書式を一体どうしたらいいか、どういう主義でもって収支をつけいたらいいのか、こういったような会計学的な、会計的な面で調査をいたしまして、そうしてこれによって公共団体に準拠して仕事をさせるようにして参りたい、こういうことにいたしまして、われわれが中央におきまして地方の団体に対する財政の指導権をもっと強くしようとか、中央集権にしようとかいうような内容的、実体的な意味は全然ございません。
  171. 横川正市

    ○横川正市君 会計制度は、三人か五人使っております小さな会社でも大体それなりの収支に従って整備して、実際は会社の会計経理についてその収支を明らかにしていっているというふうなわけで、私は会計制度そのものについて今新たにどういう方法がいいかということよりか、現行いろいろある書式についてどれが最も規模その他からいって適合した方式かというようなことになりますと、あえて、この調査会を設置して、そしてこれを検討するまでもなく、実際上はもう幾つかの当てはまるべきそういう書式というものは一般社会に非常にたくさんあるのじゃないか、いわゆる財政規模に従ってどの程度の帳簿を備え、どの程度の人員を配置し、どの程度の内容を備えるか、その程度のものは私は具備しているものと、こういうふうに理解するのですが、その点はどうでしょうか、自治庁は……。
  172. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) そういうふうな見解も成り立つかもしれませんが、実際のところ、まだそこまで実はいっていないのであります。国の会計制度を作ります際にも、各方面の知識を集めて昭和二十二、三年でございましたか、作ったこともございまするが、国ともやはり多少事情を違えなければならん点もあるかと思いまするし、御承知の知りに公営的な企業もありますし、それから租税その他の一般の会計の問題もございまするし、今御指摘がありましたように、県なりあるいは市町村、あるいは町村の中でも合併によってかなり規模は類似してきたかと思いまするが、いろいろな段階がございますので、その実情をも十分に聞きながら、しかも今、国の会計をも睨み合せて、同時にできる限り能率的な、科学的な帳薄書式にして参りたい、こういう関係で、まあそんなことは自治庁で十分に研究すればいいじゃないか、こういうおしかりを受けるかもしれませんが、役人だけでは力が足らんものでありますから、各方面の専門的な知識を拝借して、そしてこの調査会の結論を待った上で仕事をして参りたい、こういう考えであります。
  173. 横川正市

    ○横川正市君 小さな事業団体とか組織でも最終的には年に一度ないしは二度の会計士による会計上の指導を受けて、それからこれについて協力をしていくわけです。そういう書式をとっておるんですから、私は、自治庁の場合には、今これから調査会を設けて、学識経験者によってそれを構成する、近代会計とか官庁簿記の専門家とか、行政法の法律の専門家、公営企業団体の専門家等を入れて云々という、こういう書式によらずとも、今言われているようなことならば、目的を達することができるのではないかというふうに考えます。しかも、今言われているようなことを具現しようとする調査会の運営はどうかといいますと、総会は二年間に六円しか開かないんですね、この法律によりますと。そうして、その日にちその他からいきますと、三十六年の三月三十一日まで、二年間の時限立法、まあ何回も同じことを言わなけりゃいけないのは、当内閣委員会にかかってくる調査会審議会は、ほとんどが三年間の時限立法で、一年に六回ないしは総会を何回という形であるわけです。今度のこの自治庁の設置法は、総会が二年間に六回ぐらいですから、いわば一番回数の少いひまな委員会を持とうとしているわけです。こういうことではなしに、私は、もっとてきぱきと、あなたの方でサンプルを作るならサンプルを作って、これをやったら、自治団体における会計書式は非常に簡単で、しかも明瞭で便利になりますよと、こういったことは指導できるのではないか。なぜこんな調査会を作らなきゃならないのかという非常に疑問を持つわけなんですが、これは私たちが疑問なんで、あなたの方では出したんだから、こっちの方がいいんだということでなしに、具体的にその内容について御説明願いたい。
  174. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) 先刻来、政務次官からも御説明を申し上げておるのでございますが、現在、地方団体の財務会計の制度につきましては、一つは、自治法が根幹の規定に相なっておりまして、第九章「財務一以下に、それぞれ相当詳細にわたって規定をいたしておりますと同町に、自治法の施行令並びに施行規則に基きまして、様式その他について一応のことは規定をいたしておるのであります。ただ本問題は、事柄の性質上、きわめて技術的な事項でございますることもございまして、戦後における地方制度の改正がございました際にも、実は、この点についてのわれわれの研究も間に合わなかったというような点もございまして、実は、明治の市制、町村制あるいは府県制が踏襲をいたしておりました建前を、大体においてそのまま踏襲をしてきておるというのが現状でございます。もちろん、その後の制度改変に伴いまして、ある程度即応しなければならない面については、部分的な改正は加えてきておるのでありますが、骨子におきましては大体まあ変らずに今日まできておるわけでございます。問題は、事業団体とは異なりまして、地方公共団体につきましても、これは住民の租税負担ということをもって経理をなされていきまする公金の財務経理でございまするので、いやしくも、やっぱり誤まりのなきょうに期して参らなければならぬという根本的な建前がございます。現在、それでは、いろいろ言うけれども一応ちゃんと動いておるではないかという点でございます。なるほど、戦後におきましても、現在の建前でもってまずまずそう大過なく動いてきておることは事実でございますが、他面、やはり時代の変遷、あるいは制度改正に伴いまして、いろいろ具体的に問題点が起ってきておるのでございます。若干その点について具体的に触れていきたいと思いますが、まず一つの例といたしましては、現在、地方の公営企業がございます。これは電車とかバス、あるいは水道、ガス事業等について適用されておるものでございまして、その根本には、地方公営企業法がございますが、これらにつきましては、御承知のように、民間企業におきまする発生主義の経理方式、いわゆる複式簿記の制度が採用をせられておるのでありますが、地方公共団体の会計一般につきましては、そのような方法は認められておらないのであります。一般の制度について全部複式簿記を採用するということは、私もこれは行き過ぎではないか、また、その必要もないのではないかと思いますが、たとえば、具体的に申しますれば、市町村が農業災害補償法に基く共済事業というものを実施をいたしまする場合に、農業共済組合がとっておりますると同様に、市町村におきましても、複式簿記の制度を採用いたしますることが、事業の性質上、それぞれ災害が発生したそのつどに、いろいろ給付原因その他が発生いたして参りまするので、事業の性質上必要ではないか。しかし、現行法上、そのような建前がございません。制度上認めておりませんので、事務処理上につきましても支障を来たしているというような面がございます。複式簿記の制度をどの程度取り入れるかという点については、いろいろ検討範囲が多いかと思うのでありまして、一般的にこれを採用すべきものだとはわれわれも考えておりませんが、どの程度のものにこれらの点を採用していくがいいかというような点につきましては、さらに専門的に掘り下げた検討が必要ではないかというふうに思われるわけでございます。  次に、たとえば公共事業の補助事業がございますが、これらの経理は、これらも御承知でございますように、工事費、付帯工事費、あるいは機械器具費、工事雑費等の設定科目によって精算をしなければならないということになっておりまするが、一面、公共団体におきまする歳出予算の経理、これはこれとは全然別個の自治法施行規則の定めておりまする節がございまして、四十三現在ございますが、この節によって行われておりまするために、設定科目をさらにこの節に組みかえをいたしまして、予算決算上の経理をしなければなりませんために、事務処理上きわめて能率が悪いという批判があるわけでありまして、これらの点につきましては、現在の地方団体の予算の様式についても再検討を要するのではないかと思われるのであります。  さらに、先刻政務次官からもお話がございましたように、公共団体の契約なり、あるいは財産なり物品管理なり、あるいは債権管理に関しまする事務処理の方法につきましては、自治法上も若干の規制は現在ございます。しかしながら、その内容につきましては、あげて公共団体の条例、あるいはまた規則に譲られておると申してもよいのでありまして、国の会計法なり、あるいは国有財産法、物品管理法、国の債権の管理等に関する法律等を参考にしながら、何らかの形におきまして、公共団体のよるべき最低限度の基準というものを明らかにいたしますることが、事務処理の公正、効率を確保するゆえんではないか。その他に、いろいろ公営住宅の家賃、病院の入院料等の問題その他がございます。いろいろこまかい点はございますが、総じて申しまして、旧来の財務会計の方式というものが新しい情勢に適応し得ない、あるいは、きわめて不適当であるという部面がたくさん出てきておるのではないかということが指摘をせられておるのでありまして、この点は地方の財務関係の担当者、あるいは出納、収入の担当者等からも面々から強く要望が出されておる点でもございまして、われわれといたしましては、これらの点も考慮いたしまして、一つ、この際、専門家に委嘱をいたしまして、細部にわたって、会計財務制度の根本的な建て方の問題についていろいろ御検討を願い、これをもとといたしまして、財務会計制度の一つ改善を行いたい、かように考えて本法案提案をいたしたような次第でございます。
  175. 横川正市

    ○横川正市君 まあ、内容は今説明されたようですが、調査会の運営との関係はどうなるんですか。政務次官にお伺いしたい。
  176. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) ただいまこの調査会は六回しか総会を開かぬというお話があったように拝聴したのでありますが、本年度の予算要求のときに、大体その総会六回くらいの経費でこの運営の予算は組んでおりますと、こう申し上げているのでありまして、この調査会は三十六年の三月三十一日までありますので、まあ来年度のことは来年度の予算できめて参るので、まだきまっておりません。同時に総会は六回、二カ月に一ぺんくらいずつ開いて、ある程度の中間報告を得てまとまりをつけたいと思いますが、今行政局長から御説明申したように、非常に技術的なものでありますから、その間に小委員会その他を絶えず開きまして、そうして具体的に話を進め、二カ月に一ぺんくらいの中間報告を総会にしながら問題を処理して参りたいと、このように考えております。
  177. 横川正市

    ○横川正市君 私は今聞いたのでは、大体各地方の公共団体から要望もあるようですから、その要望をどういう意味で自治庁へ訴えてきたかというのを考えてみますと、大体二つあるんじゃないかと思うのです。一つは、どうやったらいいかわからないからという、そういう考え方の人に対しては、私はやはり会計制度に対してのいろいろな勉強をしてもらうということになると思う。そういうことになれは、実際上ここでいいブランができましても、いい方法ができましても、それを実際上地方公共団体が生かして運用するということにはなかなかむずかしい問題があるから、第一の要望は、やはり自治庁にいい案があれば、下部の地方公共団体が生かして使えるように、直接そういう手をとって教えてもらいたいのだと、これは私は中央、地方との関係でなくして、指導、助言を行うという立場の自治庁として当然要望されることだと思うのであります。そういうことになれば、一つ地域に対して専門家を配して講習会を開いてどうかする、あるいは会計の専門屋を養成する機関を、短期間であってもこれを作っていくというようなものが作られてこなければならぬ。それからもう一つは、今ここで寄り寄り専門家が集まって方法を考える。この二つが相待ってできてくる、こういうことになるんじゃないかと思うのであります。その点で、まず専門家が集まって云々するということは、私はこれは自治庁のどこかの課が専門に検討すれば、このくらいなことについての結論が出ないかどうかということなんです。その点が一つです。それからもう一つは、かりにどこで専門的なそういう結論が出たにいたしましても、これを下部におろしていくとすれば、これをどうするのか。ただ一枚の文章だけの通達では、これはどうにもならないという問題が残るわけであります。そういう三つの相関関係が生かされてこそ、初めて今あなたたちが対処しなければならない事態に対処できる内容になってくるわけですが、このままでいきますと実際上私はどうも困ったものだと、少し日にちをかけて検討してみようかと言って、やおら腰を上げた程度にしかこの設置法の中から受け取れない、こういうふうに思うのですが、今の点についてはどうでしょう。
  178. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) 御承知と存じますが、私の方では各地にいろいろ講師を派遣いたしましたりして、天際の指導を今までもやっております。同時にこれまたとくと御承知通りに、自治大学に短期の講習なりいろいろいたしまして、こういう関係方面職員の指導に努めているのであります。ただせっかくそうやって努めているくらいならば、もっと近代的な、能率的なものにいたしまして、そうしてこれを指導した方がいいのじゃないか。それをやるにつきましては、どういう方式が一番いいのか。今、自治庁の役人がやればいいじゃないかというお話がありまして、これはまことに恐縮な次第でありますが、なかなかこういう専門的、技術的な点になると、普通のお役人ではなかなかこれはうまく参りません。これは率直に申し上げますが、経理、会計なんてものは、やはり公認会計士とか、税理士とか、計理士とか、そういうなかなか専門技術的な、一種の技師的な技術もありますので、普通一般の役人の知識だけではなかなか完全を期し行ないわけでありますから、各方面の知識を集めますために、今回の委員会を設置した、こういう考えでおるわけであります。もとよりこれができました際に、今までよりももっと力を尽して、関係方面の吏員の指導に努めるということはもとよりいたさなきやなりませんが、その教えるテキストをまず作りたい。今までやっておりますよりももっと改善をして参りたいというのが、この委員会であります。
  179. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 政務次官に二、三お伺いしますが、自治庁の大切な使命は、何といっても健全な地方自治体の育成、そういうことにあろうと思いますが、御承知のように、最近地方自治体の首長が、汚職とか、詐欺、横領、背任容疑、こういうような罪名で、次々に現職の市長が逮捕されておる。これはもうまことに遺憾のきわみだと自治庁自体としてもいろいろと責任を感じておると思いますが、この問題についてどういうふうにお考えになっていますか。
  180. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) ただいま御指摘にありましたように、各方面でもっていろいろな問題が起っていますが、不祥事が起っていますことはまことに残念なことでございます。当然私どもといたしましても、まあ率直に申しますると、指導助言でありまして、監督権と申しましょうか、きびしい監督権を持っていないのが現状でございますけれども、指事、助言の許します範囲で、でき得る限りそういうことのないように努めて参りたい。このほども通牒を出しましたりして、いろいろ戒めておりまするが、まあもっと一皮はいで見ますると、中にはとんでもないでたらめもあるかもしれませんが、中にはまた地方の財政が非常に苦しいということのために、いろいろな不祥事件も起っている点もあるかと思いますので、地方の財政をもっと確立するために全力尽しております。なかなか力至りませんで、ことしの予算等におきましても、十分満足な結果は行られませんでしたけれども、そういう方面への力を尽しまして、今お話のような不祥な事件をなくすように努めて参るつもりでございます。
  181. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 ただいまの御指摘にもありましたが、たしか二月の二十七日ごろだったかと思いますが、次官名で通達を出しておりますけれども、まあ通達を出したから安心なさっておるとは思いませんが、通達一本でなかなかこれだけの根強い問題は解決しないと思うのですね。従って通達は出した、あとは、そのままにほうっておいたのでは意味ないことだと思うのですが、何か通達を出したについて、またこれを裏づけるような、何か措置をとっておられますか。
  182. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) これは率直に申しまして、昔の内務省のような強い監督権もないものですから、十分にその意を尽せるかどうかわかりません。しかし、あらゆる会合を通じまして、あらゆる機会を通じまして、そういうことのないように、またでき得る限り市民なり、県民なりの方々の御協力も得まして、事前に、そういうことのないように防止に努める、まあはなはだ、不徹底な話かもしれませんけれども、今仰せになりましたように、地方公共団体の指導、育成といいますか、そういったような点に重点がありますので、権限としてはなかなか徹底できませんで、まことに恐縮でありますが、あらゆる機会をつかまえまして、通牒の趣旨を生かして参りたいと思って努めておる次第であります。
  183. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これは私が申し上げるまでもないことですが、国会において賠償問題とか、あるいはまた次期主力戦闘機、こういう問題等々で岸内閣自体がいろいろ綱紀粛正について追及をされた、こういう事実があったわけです。この綱紀粛正について追及をされておる政府自体が、地方自治体に対してやはり綱紀粛正せよ、そういう通牒を出されて面はゆい気はいたしませんか。
  184. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) これはまあ非常に困る御質問でありまして、われわれ政府側といたしましては面はゆいといわれますか、まあ答弁に苦しいところでございますが、非常に口の悪い人、これは冗談みたいにお聞き願いたいのでありますが、自治庁は総理府の外局だと、大臣は総理大臣だ、総理大臣名で出さないで、次官名で出してきたといってひやかした人もおったんでございますけれども、まあわれわれそういうところまでは気をつかって出したわけではございません。ございませんが、われわれ政府の中におります者としましても、政府自体が身を清ういたしまして、そうして今御指摘になりましたようなことを言われないように、ぜひ努めて上の方もいただきたいし、われわれも努めて参らなきゃならぬ、こう考えております。
  185. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 繰り返し申し上げておるように、現状をもってしては、なかなか綱紀の粛正は中央、地方とも期しがたいと思いますが、特に今自治庁のことですから、地方の問題についてお伺いしておるわけですが、何かこう抜本的な対策でも講じない限り、通達一本ではなかなか先ほども申し上げたように、まあいろいろ事情は県によって違いましょうけれども、相次いでこれは現実に起きておるわけです。一々の場合は申し上げませんが、何かこう抜本的に考えておるようなことはないのですか。
  186. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) 抜本的と申しても、なかなかむずかしいのでございますが、一方からいえば公明選挙といいましょうか、首長を選び、議員を選ばれる選挙の際にでき得る限りりっぱな人を選んでもらいたい、われわれ公明選挙運動と申しておりますが、話し合いその他を通じまして、各地で選挙における選択眼と申しましょうか、選択する能力の向上に努めて参っております。と同時に、中には財政上非常に苦しいために、まあつい不祥な事件が起ることもございますために、一方におきましては、地方財政をでき得る限り確立いたしまして、これだけまあある程度ゆとりがついたのに、その上で悪いことをしちや何ともけしからぬじゃないかと言えるような状態にして参りたい、なかなか困難なことでございますが、おっしゃいます通りに紙一枚、お説法一回でもって直ることとは思いません。多少時間もかかるかもしれませんが、そういったいろいろな問題を機会を通じまして改菩に努めていく所存でございます。
  187. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これも新聞等で出ておる問題で、国民がひとしく承知しておる問題ですが、警察に逮捕された市長が留置場の中から市会の解放を通達した。もちろんこれは例外であろうと思うわけですけれども、ただ例外の問題として簡単には片づけられぬと思うのですね。そこでたとえば監察制度とか、リコール制の活用とか、あるいはまた地方自治体と議会との関係ですね、そういうような問題で再検討を要する問題が相当残されておると思うのですが、そういう問題を一つ一つ片づけていくことこそが、地方自治体の確立ということにつながってくると思うのですが、こういう点については何も考えられておりませんか。
  188. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) 御指摘がございましたように、これらの問題を根絶をいたしていく、少くともその方向に向けて参りまするために、いろいろ法律の精神やら、あるいは運用上の指導方針やらというようなものを徹底をしていくという努力も、もちろん根強く継続をして参らなければなりませんが、それと並行いたしまして、制度的にも全然考慮の余地がないかという点につきましては、われわれ自身としてもそうは考えておらないのであります。いろいろ汚職その他の発生をいたしまする原因について考えてみますると、これはいろいろございます。非常に個人的にいっても不届きしごくだと思われるようなものもあり、あるいは財政上の逼迫の原因からやむを得ざる、悪いことではございますけれども、若干情状において忍びざるものというようなものも、中にはできんでもございせん。しかし、いずれにいたしましても、やはり公費を運用して参るのでございますので、いやしくもそこに非違があってはならない。それを是正するための手段といたしましては、現行法しもいろいろな制度的措置は実は講じられてはおるわけでございます。議会の監視権というものもございまするし、また、政府自体の機構といたしましても、各省の会計のいろいろ事務監査、会計検査院の監査、あるいは行政監察局の監祭等がございまするし、自治団体といたしましても、そのほかにいわゆる監査委員の監査というような制度も認められております。それからさらには、リコール制度というようなものも、これは一種の、監査制度と運用上よろしきを得ますれば、監査機能を発揮するということにもなるわけでございまして、そういう監査制度自体というものをもう少し強化、拡充をしていく、あるいはリコール制度等につきましても、その署名の手続その他投票執行の方法等につきまして、もう少し住民の意向というものが、乱用にわたらない程度において簡明に、あるいは容易に反映し得るような措置を講じていくと、これが間接的には汚職、腐敗というものの根源をできるだけ少くすることに役立つのではないかということも考えられるのでありまして、それらの点をひっくるめまして、われわれ事務的にはいろいろ検討をいたしておるのであります。成案を符ますれば、それらの点につき得ましても、法案の改正その他の方法によって御審議をいただく機会もあろうかと、かように存じておる次第であります。
  189. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これから県会議品貝の選挙を皮切りに地方選挙が全国的に展開されるわけですが、こういう選挙のときになると、一そう行政が巻き込まれて綱紀は乱れやすい、乱れがちになるものだと今までの事態で見ておるのですけれども、これについては自治庁としてもいろいろ対策も講じておられると思うのですが、具体的にはどういうことを考えておられるかどうか。
  190. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) ただいま御指摘のありましたように、とかく選挙の際にはまあ無理な予算を組みましたり、から手形を出しましたり、綱紀の点についていろいろな問題が起りがちでありますので、つい最近、近ごろでありますが、来年の、予算の編成について、とくとそういったような選挙目当ての乱費のないようにということ、また何時に不祥な一件が起らないようにという忠告は発して、絶えず注意はいたしておるような次第でございます。
  191. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 今、国庫から補助金とか交付金をいろいろな名目で地方に渡しているわけですが、今度地方側からすると、なかなかこの交付金とか、あるいは補助金をもらうための苦労がいつも絶えないわけで、特にそのために陳情とかいろいろ供応などが行われがちなんです。特にまあ供応の点はよく知りませんが、陳情等については、自治庁に対するものも相当率において多いと思うのです。そういうことでついそこに不当な面が出ると、これが地方にはね返って無理が出ると、結局地方にはね返ってこういう綱紀が乱れがちだと、そういうことが考えられるわけですが、こういう点については、やはりまず中央官庁から自粛は当然望まれなければならぬ、そういうふうに思うのですが、この点についてどういうふうにお考えですか。
  192. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) ただいまの点、ごもっともでありまして、今後ともに十分に戒めて、参りたいと思います。
  193. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この交付金とか、あるいは補助金等については、地方にとっては非常に有力な財源なわけです。ところがこの補助金とか交付金というものについては、地方の自治体によって、あるいはまたその首長によって差別をつけるものか、そういうことは一切なく、平等にやるものか、この点をまず明確にして、おいていただきたいと思います。
  194. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) 地方交付税でありますが、普通交付税の方は算出方式がございまして、そのままはじかれます。それから特別交付税の方の、たとえば災害が特にありまして、そういう場合に配分いたすのでありますが、これも災害なんかにつきましては、災害額全体について何パーセントというようなことで、大体はある程度の基準をもちまして、あまりひどい恣意的な自由裁量の余地は認められておりません。多少特別な事情によって、多少のかげんをすることはございます。実際ございますが、そう大してひどい効きをするような余地はありません。ことに昨年の国会で、御審議に当りまして、特別交付税の方のワクは減しておりますし、一般的なものさしだけでいける方をずっとふやしております。そういうことで今御指摘のありましたような、あまりに陳情によって左右されるということがなく、ものさしによってそのものさしさえ見れば幾らこちらへくるかということがわかるように、完全とは申しませんけれども、努めておるような次第であります。
  195. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そうだとすると、非常におかしいと思うのですがね。選挙にもなると、自民党の方々は、えて中央政府とのつながりがない県知事とか市長を選ぶと、県民なり市民が非常に損をする、平衡交付金の面で、非常にまた補助金の点で非常に不公平な扱いを受ける、そういうことを大部分の方は、言わない方もあるでしょうけれども、多くの力がそういうことを盛んに官伝されておるわけですね。先ほど政務次官の、言われたことと思いあわせると、そういう不公平はあってはならないわけで、当然に大体の比率はきまっておるし、公平妥当にやるのが当然考えられる。ところが、選挙ともなると、そういうことを盛んにやって国民をまどわせるというようなおそれがあるわけです。この点ははなはだ遺憾だと思うのです。その点を明確にしていただきたいと思います。
  196. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) 実は衆議院内閣委員会でも何じ御質問があって、おしかりを受けたのでありますが、ほかの省は私ども存じません、存じませんが少くとも自治庁に関しましては、そういう差異はつけておらないと思います。また、今後ともつける意志はございません。むしろ私ども参りましてまだ一年足らずの乏しい経験でございますが、むしろ理屈に走って、かたくななくらいにがんこな事務官僚の方が多いのでありまして、そういった情実と申しましょうか、ということは、まず私は今までもなかったし、今後ともなしにやって参りたいという決意でございます。
  197. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 時間の関係がありますので、最後に一点だけお伺いしたいと思いますが、先ほどの選挙について、必ずつきものと言っていいくらい買収とか供応が必ず起きて、いろいろ問題を起しておる、これは御承知通りです。これは毎回々々そういうことが繰り返されておって、なかなか公明選挙は言うべくしてしがたいそういう実情ですが、だからと言ってほうっておけばますますひどくなるわけですが、これに対して本年などは特に先ほど申し上げたように、非常に数多くの選挙が全国的に行われることになるのであります。よほど決意を固めて自治庁で公明選挙を推進するという点を考えて、これを強行されないと、こういうことが繰り返されると思います。この点についてお考えをはっきり一つ伺っておきたいと思います。
  198. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) 公明選挙の問題につきましては、かねがね相当多くの予算をちょうだいしまして、全国的にいろいろな運動をいたしております。なかんずくこのごろ考えておりますことは、いかにして政治的な判断、選択をする力を養っていったらいいか、末端におきまして、話し合い運動と申しております、通称いたしておりますが、そういったいろいろな講演会、話し合い、懇談の機会を通じまして、指導員その他を派遣して、政治判断の能力、人を見る目、こういったようなことの向上と申しますか、それからあるいはお話のありました買収、供応等によらないで、一票を投ずるようにという指導をいたして参ったのであります。昨年は総選挙がございまして、またことしも、参議院その他の選挙の多い年でありますから、例年よりもより多くの予算をちょうだいして仕事をやっている、お説の通りに、なかなか効果の上りにくいじみな仕事でございまして、いかにも百年河清きを待つようなふうに見えますけれども、根気よく仕事を続けて参る考えであります。
  199. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 次に、外務省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。これより本案の質疑に入ります。政府側出席は竹内政務次宵、内田同房長、小田部説明員、須之部説明員、以上であります。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  200. 横川正市

    ○横川正市君 まず、この設置法によりますと、新たに経済局に二項を設けて、地域はアジア、中近東、中南米諸地域の経済協力発展に資するためにということで、運営をされることになっているようでありますが、先般岸総理が東南アジアを回られてその帰路ですね、新しい構想として示されました東南アジア開発基金の構想と、今度この設置法の改正によりまして、経済協力部が設置されたということと、どういう関係があるのか、その点を明らかにしていただきたい。
  201. 竹内俊吉

    政府委員(竹内俊吉君) 岸総理が東南アジアを歴訪した際に提言いたしました基金の問題と、直接に今度の改正と関係があるというわけではありませんが、それらの構想がいずれ実現化するような場合に際しましても、十分事務処理ができるように用意していくという考えも含まれていることを申し上げたいと思います。
  202. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、この四号と、五号にある「経済協力に関する協定に関すること。」とそれから「本邦からの海外投資に関する利益を保護し、及び増進すること。」この二つの分掌業務が規定されておりますが、この内容は現行のものをそのまま分離して運用する、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  203. 小田部謙一

    説明員小田部謙一君) 「経済協力に関する協定に関すること。」と「本邦から海外投資に関する利益を保護し、及び増進すること。」でありますが、従来経済局の官制の中に「国際経済機関との協力及び通商航海条約その他の通商経済上の協定に関すること。」ということがございました。「その他の通商経済上の協定に関すること。」があまりたくさんないうちはこれでよかったので、ござしいますが、今度は経済上の仕事が非常に多くなりますので、それで経済協力部は「その他の通商経済上の協定に関する。」ことのそのうちの一部をとりまして、「経済協力に関する協定に関すること。」というのをきめたのでございます。それから「本邦から海外投資に関する利益を保護し、及び増進すること。」というのは、おもに企業の進出でございますが、ブラジルとかその他東南アジアのあるいは合弁事業によるもの、あるいは、技術提携によるもの、種類がふえまして、従来は経済局の官制の一の「通商航海に関する利益を保護し、及び増進すること。」とございましたのは、その部分が非常にふえましたので、これをとりまして、「本邦からの海外投資に関する利益を保護し、及び増進すること。」、こういうふうにいたしたのでございます。
  204. 横川正市

    ○横川正市君 この予算を見ますと百四十五万九千円が予算として計上されております。定員は四名増になっておるわけでありますが、まず一点は、この定員が全体で大体二十六名の要員をかかえるということで百四十五万九千円なのか、それとも定員四名で百四十五万九千円なのか。この点は、法律によりますと、定員四名で、機構は、課が二つふえる、その人件費云々ということで書かれておりますので、その点が一点。それからもう一つ、大体一、二年の統計上の資料で、業務量がどういうふうにふえていっているのか。それから、今、政務次官意見では、新しい基金制度ができれば、それにマッチする機構を作りたいという意向のようでありますが、その分をどの程度に見ているのか、その点を明らかにしていただきたい。
  205. 内田藤雄

    政府委員(内田藤雄君) 御説のように予算といたしましては、四名の増員分だけでございます。その意味は、二十六名のうち二十二名分は、現在アジア局、経済局が主でございますが、そのはかアメリカ局の中南米裸あるいは欧亜局の中近東課等におきまして、実際上経済協力に関係しております人員を引き抜きまして、ここに統合いたす、こういう考え方から、そうなっておるわけでございます。  それから、その事務量の増加という問題でございますが、現在まで外務省におきまして、経済協力の問題は実際ありたわけでございますが、たとえばアジア地区におきましては、アジア局の中に経済協力というのを持ちまして、そこが主としてやります。それから中近東、中南米の方につきましては、その事務を一般にやつております課におきまして、片手間と申しますか、そういう形でやり、あるいは経済局におきまして、先ほど説明のございましたように、この部門の相当な仕事もやっておったわけでございますが、漸次、昨年あるいは一昨年ごろからでございましょう、ことに岸総理の東南アジア訪門を機会に、この経済協力の話が漸次盛んになって参りました次第でございまして、こういった状況を見ますと、やはり相互間の関連あるいは重点の置き方その他におきまして、総合的に処理して参るのがいいやり方でもございますし、また、能率的にもいいのではしないかということで、この経済協力部を置くことにいたしたわけでございます。しかし、同時に先ほど政務次官のおっしゃいましたように将来、東南ア開発基金のその仕事もここで、やりますが、実際非常に大きなものが行われるようになりますれば、果してこの程度の機構で足りるかどうか。これは私どもとしましても、多少懸念なきを得ないのでございますが、現在、少くとも新しい予算の程度あるいは現状におきましては、とりあえずこの程度でスタートしてよろしいのではなかろうか。その後、事務量あるいは金の量などが多くなるにつれまして、場合によってこの機構をさらに発展して参らなければならぬか、こういうふうに考えております。
  206. 横川正市

    ○横川正市君 大体、東南アジア等への基金による経済協力そのものに対しては、政治的な意味は相当強く含まれておるわけでございます。ですから私は、これは、歓迎すべき地域と、それから歓迎せざる地域とがあって、相当程度この問題については、まだ紆余曲折を経なければならない問題だと思うのでございます。ですから先ほど質問いたしましたときにも、その点については、機構上受け入れをある程度できるよいな体勢をということに御答弁になりましたから、そういうことでこの機構は、それじゃどの程度受け入れ準備をしているのかと質問をしたわけなんです。そう言うと、答えは四名程度のものを配置をしておいて、あとは事務量の増加に従って、増減するのだ、こういう答弁なのでありますが、その点をもう少し政務次官から、はっきり伺いたい。
  207. 竹内俊吉

    政府委員(竹内俊吉君) 先ほど東南アジア開発基金の問題と今のこんどの問題、直接関係はないが、将来そういう構想が実現される場今のことにも処して考えていきたいということをお答えいたしました点を、もう少し詳しく申し上げますと、これは、法案にも明らかになっておりますように、現在外務省で行なっております経済協力の事務は、主として経済局でありますけれども、地域局にも多少分散いたしておるのあります。たとえば、国際協定からきますところのコロンボ計画等の経済協力は、地域局であるアジア局で担当いたしておるわけであります。そういうものをこの際統合いたしまして、経済協力の全体を掌握できるような一つ機関にまとめておきたい、こういう構想がこの法案趣旨であります。そういう意味で、将来、日本の経済協力の一つの方法として、東南アジア開発基金等ができた場合にも、そういう統合機関、まとまった機関であることが願わしいのではないか、こういう考えも含まれておる、こういう意味でありまして、東南アジア基金の直接の構想を考えて、この機構を拡大したという意味ではないということを申し上げたいのであります。
  208. 横川正市

    ○横川正市君 この部の中に、東南アジアその他への賠償関係による現物、役務賠償等を含めて、当然起ってくる品物の相互間のやりとりに対して、この部は何らかの役割を果そうとしているのですか。
  209. 内田藤雄

    政府委員(内田藤雄君) ただいま御質問のような事項は、現在ございます。賠償部において、引き続いて行うつもりでございます。
  210. 横川正市

    ○横川正市君 分掌ごとに、その内容地域ごとに一貫して行われる場合には、私は、これは、一つの部、一つの局で、できるだけこの意思の疏通のできる状態に置いておいて、部が運営されることが望ましいと思うのでありますが、そういたしますと、大体、経済協力の関係で部が新設されるけれども、この部に属さない仕事として、他の部に属しておるものが、それをあげていただきたい。
  211. 小田部謙一

    説明員小田部謙一君) ほかの部に属するものは、賠償に関するものでございますが、賠償に関するところに、賠償に関連する経済協力という問題が残っております。これが、賠償部がやる仕事でございまして、あとは、経済協力の問題は、それともう一つ、実は国際連合の経済社会理事会で、ある意味における経済開発を行う、経済協力ということをやっておりますが、これは国連の方にそのまま残っております。むしろ、経済協力部といたしましては、それと非常に密接に関係を持っておるということになりますが、賠償に関する役務のようなものは、これは、賠償契約というものに基きます一環の形式がございまして、支払いとか認証とかいうあれがございますから、そういうような役務によるものは、依然として賠慣部でやる、こういうことになっております。
  212. 横川正市

    ○横川正市君 作られた理由については、いろいろ説明があったようでありますが、私は、できれはやはり運営は一本化する方向で、部局と、それから課の建前というものは作られてきて、あまりこの仕事の内容が、同じ地域に向って分散をしないということは必要であろうと思います。    〔委員長退席、理事千葉信君着席〕  それからもう一つは、機構上の問題からいけばなるたけ複雑化させないで機構縮小の方が望ましいということでありますから、そういう二つの観点から私は将来この設置法によって設置されましても、十分一つ注意をしていただきたい。その点を御要望申し上げまして質問を終ります。
  213. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 外務省に二、三お伺いをいたしますが、経済外交を推進するという、そういう使命下に立って、ここに経済協力部を新たに設けられる、そういう御要旨のようでありますが、その前に考えなければならないことは、日本の貿易を見ると、どなたが見ても、とにもかくにもアメリカに片寄り過ぎている。中国とか、東南アジア、中近東、こういう方面の貿易も相当推進していかなければならないのじゃないか、そういう考え方の上に立って、経済協力部を設けられるということであるならば、非常に意味があろうと思いますが、やはり貿易自体についても、広い視野から、今後新たなる検討の上に立って進めていく必要があろう、こういうふうに思うわけですが、いかがですか。
  214. 竹内俊吉

    政府委員(竹内俊吉君) 外務省としても、今お話しになったようなその通り考え方日本の貿易拡大をはかりたいという方針で進んでおります。
  215. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そうだとすれば、今非常に問題になっておる中国との貿易再開についても、外務省としては特に意を用いなければならぬ立場にあろうと思います。もちろん、いろいろ複雑な、また微妙な問題もありましょうけれども、とにもかくにもそういう考え方に立つならば、熱意をこういう方面に傾倒しなければならぬと思いますが、そういうお考えはどうですか。
  216. 竹内俊吉

    政府委員(竹内俊吉君) 方針としては先はど申し上げた通りでありますが、個々の具体策を進めていく場合には、もちろん相手のあることでありますから、個々のやり方その他はまた別個の問題として考えなければならぬ場合が多い。実際そうなるということでありますから、それらに対しても打開への努力はいたしております。
  217. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この間、社会党の使節団があちらに行ってそういうことによってはっきりしたように、中国としては政治と経済ということを一結に考えており、切り離しては考えられない。そういう考え方が明確になったと思いますが、そういう考えを持つのが当然だと思いますが、そうだとすると、やはり国交正常に復してその上に立って貿易を再開するのがこれは筋だと思いますけれども、そういうことになると、当面やはり国交回復も、昔から最もあらゆる面で関係が深かった中国と今のままの状態はどう考えても不自然だと思いますが、そういう点を考えた場合、まず国交の回復という点から手をつけなければならない。そういうもちろん先ほど申し上げたようにいろいろ困難な問題はありましょうけれども、それらを乗り越えて早急にそういう問題から解決する必要があろうとこういうふうに思います。その点についての意見を伺いたい。
  218. 竹内俊吉

    政府委員(竹内俊吉君) 中共との国交の正常化及びこれに関連した貿易上のことにつきましては、総理大臣、外務大臣から国会のいろいろの場面においてお答えいたしております通りであります。政府として、は現在飛躍的にこの問題が国交正常化にまでいくことは困難だという態度をとりておるわけであります。従ってこれに関連しておる貿易上の問題も、中共側が従来主張しておりますようなことでは、打開が困難である。事態を静観して、しかるべき糸目を見つけて、そこで貿易の問題は解決しておきたい、こういう考え方において一貫しております。
  219. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 中国との貿易再開という段取りになれば、中国からの物資は原料物資ですね、比較的品質もいいし、値段も安いしかも距離が近いですから船賃も安い、これは言うまでもない。一方アメリカの場合については、万里波濤を越えて行くわけですから、輸送貸は相当高い、単価も高いということで、相当高いものを無理して買っているわけです。戦前のようなこちらからの輸出はあまり伸びてない、そういうようなことからも、この際何といっても隣国中国との貿易を再開する必要があろう、こういうふうに強調せざるを行ないのです、こういうについてのお考えを承わりたい。
  220. 竹内俊吉

    政府委員輿(竹内俊吉君) 単独に貿易の個々の場合を考えますと、そういう地域的に右利な条件はあるということは、われわれもよく認識いたしております。しかしながら、国と国との貿易にはその他のいろいろな条件がございますので、先ほど申し述べたように総理、外務大臣からたびたび答弁いたしておりますように、中共との置場はわれわれ望むところではありますが、中共の態度が従来のような態度であれば、その場で打開しがたい状態にある、従って、静観していくという行き方であります。    〔理事千葉信君退席、委員長着席〕
  221. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 東南アジアとの貿易を強力に推めなければならぬ、こういうことは言われておるのですが、そのいずれもが、みな独立後日も浅いし資力もない、こういうことで購買力も少い、英米との関係もある、そういうことで思うように貿易は伸びていないわけですが、そのために特別に何かの配慮が必要だと思うのですが、そういうことについては何か対策というものはございますか。
  222. 竹内俊吉

    政府委員(竹内俊吉君) ただいまお述べになったようなことから経済協力も考えておるわけでありまして、貿易を拡大していくためには、特に東南アジアにおいては経済協力等によってその国々の経済的条件を高めていくということが、またもって日本の貿易拡大の二つの条件でもあるという認識のもとに立って経済協力をしていきたい、こう考えております。
  223. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 時間の関係で最後に一点だけお伺いしますが、現在の東南アジア諸国の経済開発については、いろいろ外務省としてもお考えになっておると思いますが、ただ単に貿易ということでなく、大きく経済開発の面でそのお考えをお伺いして質問を終りたいと思います。
  224. 竹内俊吉

    政府委員(竹内俊吉君) 構想の具体的なことは小田部審議官から申し上げます。
  225. 小田部謙一

    説明員小田部謙一君) もちろん、東南アジアの経済開発ということに関しては、資金の面とそれから技術の面と二つが必要でございます。技術の面に関しましては、たとえば今度の予算でコロノボ・フランが前よりふえておる、それから民間の技術提携も進んでいく、それからまた、技術センターというようなものを作るというようなことでますます進めていきたいと思って考えておるのでございますが、資金の面に関しましてはこれは先ほどから話が出ました東南アジアの経済開発資金という問題もございまするし、それからもう一つの問題は、輸銀の資金のワクでございます。要するに延べ払いをよくする、できるだけ輸銀を弾力的に利用していくというふうな考え方でございます。しかし輸銀のワクも今年は昨年度に比しまして相当程度ふえましたことは事実でございますけれども、とにかく向うの経済状態というものは、まだ非常に未開発な状態でございますから、日本の現在の輸銀のワクだけでは十分ではないと思っておるのでございます。そこで、やはり重点的に国々に考えまして、この国にはどういうふうにする、ということをやはり個個的に考えて、日本の持っている経済力のある限度において、できるだけのことをしていきたい、国時に国際機関、アメリカにございまする、いわゆる国際世界銀行とか、それからアメリカの経済開発基金とか、そういうようなものとも十分に提携してやっていきたい、こう考えておるわけであります。
  226. 千葉信

    千葉信君 経済局に経済協力部を置くというのが今回の法律案の骨子ですが、経済協力を全一面的に推進するための条件としては、大体各国に対する賠償の問題は非常に推進しておりますが、ただ、問題のありますことは、昭和二十九年の十二月三十四日に閣議によって決定されました賠償実施懇談会が外務省にあるわけでございます。この閣議決定の賠償実施懇談会というのは、国の行政機関をきめる基本の立場からいうと、これは当然法律規定しなきゃならぬことになっておりますが、今日までまだその手続がとられないで、しかも今回の外務省設置法によりましても、それに対する何らの方策がとられておらない、こういう状態なんですが、外務省はこの問題をどう将来処理されるおつもりであるか、これを一つ伺っておきたい。
  227. 竹内俊吉

    政府委員(竹内俊吉君) ただいま御指摘の賠償実施懇談会は、お説の通り二十九年の十二月に閣議決定によって設けられた機関であります。この機関につきましては、賠償実施の最初の段階と申しますか、三十九年当時と最近とはだいぶん事情も違って参りましたし、外務省に賠償部が設置される等のこともありますから、この懇談会が今日もなお存置の必要があるかどうかという問題につきましては、今検討をいたしておるところであります。そして、もし存置するとすれば、これは先般行政管理庁から今お述べになったような国家行政組織法に基く勧告もございましたので、存置するとすれば、立法化することが必要であろうという考えも含めて、今検討して、近く結論を出す手はずになっております。
  228. 千葉信

    千葉信君 近く結論を出す手はずになっておるということは、適当な機会にこれを立法化する措置を国会の方に提案するということに了解していいでしょうか。
  229. 竹内俊吉

    政府委員(竹内俊吉君) 存置するかもしれないかということを含めて今検討しているわけでありますが、存置するとすればその通りの処置をとるという意味でございます。
  230. 千葉信

    千葉信君 まあ、これは現在もうすでに存在する機関ですから、やはりこういう法律に反したものは政府の方として一日もすみやかにその問題を解決しなければいかん、その点について政府はまだ今後相当な時日をかして存置をするかどうか、存置という意味はおそらく残すかどうかという意味だろうと思いますが、それをこれから考えるということでは、少し私は誠意を認められないやり方だと考えなければいかんと思いますが、いかがですか。
  231. 竹内俊吉

    政府委員(竹内俊吉君) 内輪のことを申し上げますと、この懇談会は必要がないのじゃないかという議論も省内に相当あるわけであります。それらのものを含んでごく最近に結論を出したいと思っております。
  232. 千葉信

    千葉信君 従来賠償実施懇談会そのものが国会で問題になったことはありませんけれども、しかし、この種の審議会懇談会等については、しばしは委員会、本会議で同種の問題が取り上げられております。従って政府としてはそういう各省に設けられておる審議会調査会もしくは懇談会等をどう処理しなければならぬかということは、これは当然御存じのはずだと思う。今日まで何らそれに対する措置がとられておらない。しかも、外務省にある賠償実施懇談会のごときは、学識経験者を十九人も網羅しておる。名前を一々読み上げる煩は避けますけれども、しかもその会合のあるたびに、大体これらの学識経験者に対しては、十三百円ずつの賃金が支払われておる。これはまあ賃金だということに私は考えておるわけですが、しかもその支払った手当なり賃金というものは、国家公務員法からいいますと、これは第二条の違反事項になるのです。今後もし再びこういう会合が一回でも三回でも開かれるということになると、政府は国会における論議を無視して依然として法律違反するやり方を繰り返すことになるのです。早急にこれは解決しなければならぬという条件を含んでおる。そういう意味からいうと、私は今回の外務省設置法の一部改正法律案の修正の方法が考えられる。それによってこれをはっきり修正する、さもなければ、外務省としては今日直ちにこの賠償実施懇談会を解消するという手続をとる必要があると思いますが、外務省はどっちの方をお選びになりますか、見解を伺いたいと思います。
  233. 竹内俊吉

    政府委員(竹内俊吉君) まだ確定いたしてないので確答ではありませんが、大体やめた方がいいのではないかという議論の方が強いのでありますから、多分その方にいくのではないかということだけ申し上げておきたいと思います。
  234. 永岡光治

    委員長永岡光治君) ちょっと速記をとめて    〔速記中止〕
  235. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記を起して下さい。  次に、通商産業省設置法の一部を改正する法律案自治庁設置法の一部を改正する法律案外務省設置法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  三案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  236. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認めます。  それではこれより三案を一括して討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明かにしてお述べを願います。  別に御発言もなければ、これより直ちに採決に入ります。  まず、通商産業省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)全部を問題に供します。  本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  237. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 全会一致と認めます。よって通商産業省設置法の一部を改正する法律案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に自治庁設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)全部を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  238. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 全会一致と認めます。よって自治庁設置法の一部を改正する法律案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)全部を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願いますし    〔賛成者挙手〕
  239. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 全会一致と認めますよって、外務省設置法の一部を改正する法律案は全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出する審査報告書の作成につきましては、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  240. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認め、さよう取りはからいます。  速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  241. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記を起して。  次に、国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。前回に引き続き質疑を行います。政府側出席は、大蔵省主計局給課長岸本政府委員、それから総理府側は佐藤総務副長官、増子公務員制度調査室長人事院からは滝本給与局長、間もなく大蔵省佐野政務次官も見えられると思います。以上であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  242. 横川正市

    ○横川正市君 前回に引き続いて質問申し上げますが、恩給局の審査事務を担当する事務量とそれから人員についての調書をいただいたわけでございます。これによりますと、定員が四百四十四名、それから常勤労務者が五百二十名、こういう人員構成で現在年金、恩給においては六千件、一時恩給については一万九千件程々が審査処理されておる。それに当る人員としては大体十二名程々というふうに出ているわけであります。これでいきますと、大体この機構上からしても連合会が当然審査事務を行うべきだ。こういう考え方を、総理府恩給局の人員その他の関係から、一時的にこれを恩給局に移管をするという理由は、実は私はないのではないだろうか。従来通りこれはやはり連合会でこの事務を担当するのが妥当ではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、それぞれ一つお答えを願いたいと思います。
  243. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 最近の恩給局の年令、一時金の査定に当ります人間の数は十二名程度ということに相なっておりますが、問題は人員数と申しますより、実際仕事のむずかしさという点の方に私どもは、重点を置きまして、ああいう改正法案をしておるわけでございます。やはり恩給方は過去明治以来のいろいろな複雑な沿革を持って、おりまして、技術的にもこれを運用するのは非常にむずかしい問題がございますが、私どもできるだけ万全を期したいということで、ああいう改正をやるようにいたしておるわけでございます。
  244. 横川正市

    ○横川正市君 仕事の内容のむずかしさということからくると、いささかこれは、やはり反論があるわけです。ことに郵政、印刷局、造幣局、林野庁、建設省、警察、公立学校、現業及び地方公務員関係、こういうようなそれぞれの関係は、これまた長期給付については、それぞれの各省が担当してその事務を所掌するようになっておるわけであります。ですから、証書の作成、発送それから統計、原簿整理、それから本簿の登録、その他の共通事務、こういうふうに分けてみましても、業務上の複雑さないしは困難、それからくる事務所掌の分担を恩給局に持っていくというのは、少しこれは理由が成り立たないというふうに考えますが、この点で一つお答えを願いたいと思います。
  245. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 同じことを申し上げようで失礼でございますが、現業の場合と非現業の場合とは、若干恩給の問題の持つ意味が違っておるわけでございまして、もちろん一般文官の経歴を持って、おる方については、現業でも非現業でも同じであります。ただ非現業の場合には、いろいろ複雑な過去の経歴の人が多い。同時に今回は警察職員というものを、取り込んでおります。この警察職員の恩給と一般文官との恩給のつながりというような問題が非常に大きいのであります。こうした問題は内容的に相当技術的に複雑な問題でございますので、やはりそうした面を考えまして、ああいうことにいたしたわけであります。
  246. 横川正市

    ○横川正市君 その複雑さと困難さという問題が、ほかの官庁とその内容をいささか異にしておっても、それを克服しながら、事務上の問題では二重化あるいは非能率化、こういう関係が私は一面においては克服できる、こういうふうに考えるのです。片方で困難さが伴い、こういうように両者それぞれ一利一害のある場合は、私は現行でこれを実施し、ことに思結局の場合は、定員、人員構成その他から、この事務を連合会に移しましても、さほどおおきな支障にはならない。現在持っております事務量で見ても、最低三十年、三十五年は継続することができる、こういう事務内容のようでありますので、この二者いずれをとるかということであれば、やはり事務の二重化を防ぎ、能率化をはかっていく、こういうことの方が妥当な方法じゃないか、かように思うのですが、その点の御意見を伺いたいと思います。
  247. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 恩給局に審査を委許いたしますと、御指摘のように事務が多少おくれるということは、私どもも確かに絶無ではないと思います。そういうことのないようにできるだけ努力はいたしたいと思います。一カ所に集中してやる場合は、比較的やはりおくれるということはあろうかと存じます。そうした御指摘の面もございます。恩給局に真理を委託するのは、政令の定めるところにより、当分の間、これを委託する、こういうことになっておりますので、どのくらいの期間行うか、あるいは手続をできるだけ簡素化して受給者の迷惑をかけないようにする、そうしたものについては、政府内部で運用上の問題としまして検討を加えて支障の生じないようにいたしたいと思います。
  248. 横川正市

    ○横川正市君 これは分掌が一度きめられると、ここで当分の間、政令の定めるところにより行うことになっております。そしてこれを元に戻すということは困難であります。ことに恩給局は実際土、自分の事務内容が共済制度化によりまして総体的に減少するということが、予想されるので、こういう肝務の一部を分掌しようという、こういう意思に出たと思うのです。ですから妥協の所産としての分掌なら、当分の間ということで一応両者は納付されたかと思いますが、私は国会の場所では、もっと的確に合理的にきめていただかないと、あとに非常に大きな禍根を残すことになる。だからこれはそういう意味合いから、私はやはり現在法律審議の過程で、これを連合会に行わしめる、こういうふうにしていくのは、私は当然なことと思うのでありますが、その点は当分の間、たとえば一年とか、一年半とか、二年とか、そのあとは必ずこれを連合会に渡すべきものであるかどうか、その点、大蔵省当局として確信をもってお答えできるかどうか、その点を伺いたいと思います。
  249. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 当分の間というのは、何年というように時限で切れるかどうかという問題でございますが、この法律案を作りましたときの大体の感じといたしましては、恩給の知識をかりる必要のある人、そういう人が大多数残っている間、こういう感じで作ったわけでございます。ただいまの御指摘のような事務が二重になるとか、理念上の問題いろいろございますが、そうした問題を含めまして、この政令段階でなお十分検討して必要な措置をきめたい、かように考えます。
  250. 横川正市

    ○横川正市君 ただいまの問題は、なお一つ十分審議機関検討していただきたいと思う。そこで、先般資料をお願いいたしまして、その資料に基いて二、一御質問いたしたいと思うのでありますが、第一に、非現業公務員の長用給付の所要財源率計算基礎資料が出されております。これによりますと、総括的に国が二分の一負担する分と、それから組合員がその半分を負担して、その負担率によって総額が私はきめられてくると思うのでありますが、その総額がいかほどなのか、あるいはこの組合に加入すべき人員がいかほどなのか、その総体的な頭が実はこの中に入っておりませんので、それをちょっとつけてお答えいただきたいと思うのであります、  それから第三の問題は、廃疾率の問題でありますが、これは四割五分をかけておりますけれども、現在までは民期給付の場合は三割であったわけであります。それから障害年金の場合も、これは五割をかけておりますが、これもまた現在までは三割であったわけであります。それから退職年金の消滅率については、これは四分の三にいたしておりますが、これは私は国鉄の資料を基礎にして計算されておるという点について、非常に矛盾を感ずるわけであります。なぜかといいますと、国鉄の場合には、この損耗率は各官庁の中で一番高いわけでありますから、高い損耗率をもって基準にするということは、これは現行の基礎経営の問題に、私はいささか政府側の言い分が有利になり、組合側の立場が悪くなるような気がするわけで、その点を御説明願いたいと思います。  それから全体の運用関係とありますが、これには国家公務員共済組合の長期給付積立令の資金運用部への預託に関する項があるわけでありますが、この件については細部についてお伺いいたしたいと思います。まず第一は、資金運用出の資金内容を見てみますと、郵便貯金、それから郵便振替貯金、預託金、これが七千百九十億円、簡易保険及び郵便年金の預託金が一千三百三十六億円、厚生年金預正が二千七百十七億円、その他の預託金失業保険を入れまして千五百四十億円、その他が九十六億円、こういうことになっております。これの資金運用部の運用の内容を見てみますと、農林漁業資金、郵政事業、電気通信事業、特定道路事業、鉱害復旧、開拓者資金、特定土地改良工事、特定多目的ダム建設工事、それから政府関係では国有鉄道、電電公社、住宅公庫、国民公庫、農林公庫、開発銀行、輸出入銀行、北海道東北公庫、中小公庫、商工中金、住宅公団、国債引き受けまたは買入れ、地方債、電源開発、金融債、帝都高速道路、勤労者厚生、道路公団、愛知用水公団、森林開発公団、こういったところにこの資金の運用がされておるのであります。これ運用率と、それから一般の組合員の場合には、生活資金と住宅貸付等が主になっておるのでありますが、その利事が五分五厘になっておりますが、この一般組合員の運用率と、それからこれら資金運用部資金のそれぞれ特別会計貸付、政府関係貸付、その他貸付の運用率等をこれを一つお知らせ願いたいと思う。その中で三分の一を今度は資金運用部へ入れるわけであります。がその総体の金額について明らかにしていただきたいと思います。  それから次はこの計算書によりますと、上下の差については法律で最高を制限をいたしておるわけであります。これはやはり共済制度によるところの年金なのでありますから、その意味合いでは配慮された点はうかがわれるのでありますが、大体この上下差は、最初人事院給与の上昇率を見てみますと、七倍程度から逐次上昇いたしまして現在はたしか十一倍か十二倍になっておるわけであります。そういたしますと低額所得者と高額所行者の年金率というのは、今高額所得者に対する配意を行なっても、なおかつこれはやはり高給者に対して優遇策というふうにとれるのではないだろうか、こういうふうに思われますので、その点についての当局の御見解を明らかにしていただきたいと思います。以上大体資料に基いて御質問をしておきます。
  251. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 第一の御質問の全体の姿がどうなっているか、保険計算上どうなっているかという御質問でございますが、対象となる公務員の数は、非現業の今回の措置の対象になります数は約六十万でございます。それに対します保険料が概算いたしまして約百億くらい、かように推算いたしております。それが組合員が四十五億、国が五十五億で負担する、こういう形に相なるわけでございます。  次に、御質問の第三の廃疾年金の廃疾率について国鉄共済の場合の廃疾率の四割五分をとっている、現在三割じゃないかというお話しでございますが、御指摘のように現在は国鉄の過去の廃疾率の三割の線で実施いたしておりますが、これは大体非現業関係公務員の七、八年の実績から見て一割程度が妥当であるということでそれをとつております。ただ今回これを四割五分にいたしたということは、こういうことでございます。現在の共済制度は一純、二級という廃疾がございますが三級はないのでございます。今度の新しい制度で三級が入って参りますと、今までの廃疾一時金で済んでいた人が、今度年金に転換するというケースがだいぶ出て参ります。その分を大体五割増とみますと、三割の五割増でございますから四割五分とかように相なるわけでございます。これが第二点のお答えであります。  それから第二点、退職年金の消滅率で国鉄共済の数年を使うのはおかしいじゃないかという御指摘でございます。筋から申しますと確かにおっしゃる通りでございますが、何分にもこの公務員につきましては、共済制度は非現業の雇用人だけにやっておりますので、非常に退職年金の支給者の数が少い。従って非常に確たるデータがないわけでございます。過去十年くらいしかまだないわけでございます。なかなか明確なデータはないと同時に、今回の年令制度改正の対象となって参ります恩給公務員につきましては、恩給局にいろいろなデータがございますが、この保険計算に使い得る資料がまだ整備されていない段階でございまして、これは将来新年金制度が発足しましたら、恩給局の手を借りてこのデータを整備したいと思っておりますが、そういう条件にございますので、共済制度として過去に非常に、明治時代長い間の資料を持っております国鉄のデータを使わしていただく、かようにいたしておるわけであります。これは現に国鉄以外の電電専売もさようでございます。また郵政省でも同じデータを使っております。まあ私ども、さしあたりほかによるべき資料がないということで、これを使っておるわけでございます。将来このデータが公務員特有のものができ次第、それによって補整して参りたいと、かように考えておるわけでございます。   次に、資金運用部の資金運用のそれぞれの対象によって運用利回りがどうなっているかという問題でございますが、これは資金の対象は、貸付の場合、あるいは貸付けによっても相手方が違う、あるいは債券を買うとか、いろいろな資金運用の形態によって、内容によりましていろいろ利率は異なっております。これただいま、この前の資料の御要求のときの趣旨を取り違いまして、提出できませんでしたが、これは至急資料を取りそろえまして、その際にまた説明を申し述べさしていただきたいと思います。  それから最後の俸給の上下差でございますが、俸給の上下差が給与法上は非常に広くなっている。最近では十二倍くらいになっているから、年金の面でもそうした差が出てくるのじゃないかということでございますが、確かにこれは過去三年平均俸給というようなものを基礎に年金を計算いたすことにしておりますが、しかし、それによってもなおかつ俸給の上下差というものが、給与の上下差というものがそのまま現われて参るということは、これは御指摘の通りでございます。年金の姿として、一律の定額的のものがいいか、あるいは最終俸給といいますか、最終の職場の姿を生かした力がいいかということには、これはいろいろ議論があるところでございますが、公務員の内部におきましては、やはり最終俸給でやってほしいという希望が強い。また公社におきましても最終俸給ということでこれを実施いたしておりますので、公務員の場合に特にその上下差を詰め、フラット的なものにしていくということもむずかしい事情にあるわけでございます。まあ他面、今の社会保険の面でも現在フラット制でありますが、それにしても報酬比例部分を加えてくれという議論も、最近ではだんだん出て参っておるようであります、そうした面を考え合せまして一応最終平均三年俸給というようなことで、今のは作らしていただいたわけでございます。
  252. 横川正市

    ○横川正市君 私は理屈としては、今言ったように、その俸給差がそのまま年令決定の際のアンバランスになるということで、事実上反対しながら、反面ではその三公社の場合と、五現の場合と、一般職の場合と、それぞれその最終年金額を決定する基礎俸給が、三公社の場合には最終本俸、五現の場合には三年平均、こういうふうにきめられて、一般職がなおかつ三年平均でこれを支給を受ける、こういうことになる点について、実はこれは修正をしてもらいたいという、いささか矛盾めいた理論になるかと思うのですが、ただ三公社と五現の場合のいろいろな行きがかりからいきましても、前回、公共企業体等関係の保険関係に対する法律案を通過させる際に、政務次官も列席した席上で、まあ大体均衡論からこの問題については善処方が一応出ておったように思うわけであります。そういう点からくると、私は今回の場合には何らかの配慮があってしかるべきだったと思うのでありますが、この点については、検討されたかどうか。あまりはっきりした答弁をもらうと、あとで困るような答弁は困りますが、できるだけ一つ行きがかり上当然考慮しなければならぬという意味合いから一つ御質閲するのですから、御回答願いたいと思います。
  253. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 共済年金の面で、国鉄と現業あるいは非現業がその計算基礎を異にして、片一方は最終で、片一方は三年平均俸給でやっているという問題でございますが、この差の問題は前回の共済組合の改正のときにも御説明申し上げたところでございます、私どもといたしましては、この年令と、もう一つの退職手当という制度、これは一体に考えて処理いたしておるわけでございます。まあ年金の面におきましては、国家公務員の年金制度は一応保険制度というものの筋を通しまして、これは必ずしも完全に通っておるかどうかは疑問でございますが、とにかく三年平均俸給という一つの筋に乗せたわけでございます。そうなった場合に、確かに公社よりは年金の面で不利であるということに相なろうかと思いますが、同時にこれと相裏表いたします退職手当の面におきまして、公務員は最終俸給ではじく、しかし公社につきましては公務員のはじいたものよりは、ちょうど年金でプラスになっている分だけは差し引く、こういう形の退職手当の改正を公社についてはいたすことにいたしまして、今会に同時に御審議願っておるわけでございまして、両方を含めまして、総体としてはバランスがとれている、かように考えておる次第でございます。
  254. 横川正市

    ○横川正市君 それから今の問題は、退職年金と別個に暫定措置法によって考慮されるべきものなのかどうか。これは一つ均衡論からきて、そういうふうに理解していいのかどうかですね。簡単に一つ答弁いただいておきたいと思います。
  255. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 年金は年金、退職手当は退職手当別々に考えるという考え方はもちろん成立いたすと私存じます。しかし、今度の政府のとりました措置は、これを一体として考える。少くとも使用者負担の立場に統一していくという感じでいたしております。まあそういう意味で今回はこれで均衡がとれておるという感じで考えるのでございます。
  256. 横川正市

    ○横川正市君 今の問題は、承服をいたしておりませんので、次回にまた具体的に御質問いたしたいと思うのですが、そこで前回も御質問いたしましたように、これに対する監督権の問題が相当強く出てきておりまして、そのことが自主経営に対して、私は形態は共済であるにかかわらず、いささか国家管掌の形態にならざるを得ないような状態があるというふうに判断をいたしております。ただ、運営審議会を議決機関にすることによりまして、大蔵大臣の拒否権等が入ってくるというややこしい問題等もありますので、その点については運用上いろいろ考慮さるべきものと思うのでありますが、各条項ですね、これを見てみますと、二条から始まりまして全体の百三十条までの間に数十項目に対して、政令事項、それから大臣の認可事項大臣に対する届出事項、それから大蔵省、こういったものがずらりと並んでおるわけであります。こういうように非常に強い大蔵省の権限監督下に共済が運営されなければならない。これは理屈でいえば安全経営の問題になると思うのでありますが、私はこれほどこれを極めなくてもいいのではないか。ことに第六条第二項、策十一条第一項及び第二項、第十五条第一項、第二項、十七条、十九条、三十条、二十九条第一項、第二項、五十二条第二項及び第三項、それと五十二条、こういうような点について、もっと私は緩和されていいのではないかと思いますが、この点について一つ意見を付して資料をいただきたいというふうに思います。  本日はあまり長くやっておりますので、支障を来たすと困りますので、以上で私の質問は次回に譲りたいと思います。
  257. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 御質問の点、次回に資料を付してお答えをいたしたいと思います。
  258. 千葉信

    千葉信君 私はこの共済組合法の審議に当っては、まあ御列席の政府委員に対しては少し失礼な言い方ですが、もう少し責任のある方々が出席されて、答弁に当られる必要があると思うのです。どういう意味かというと、今回の共済組合法を見ますと、国家公務員法が一部改正をされております。本来国家公務員法というのは、第一条にもありますように、日本憲法第七十三条にいう官吏に関する事務を掌理する準準を定めるものだ、そうしてその国家公務員に対する一切の基準をこの法律規定し、しかもその第一条の最後の条章としましては、「この法律規定が、従前の法律又はこれに基く法令と矛盾し又はてい触する場合には、この法律規定が優先する。」こういう厳格な条章がこの国家公務員法には規定されております。しかも、この国家公務員法の制定によって、当然国民として憲法上享有すべき権限まで抑制されておる、その権限を抑制する代慣として、この公務員法が制定され人事院が設けられた。そういう重要な法律の一部を今回改正しようとしている。そのことについてはやはり私は総理大臣なりもしくは他の適当な責任者が出席してこの委員会で私は答弁する必要があろうと思います。どうも私どもの方から要求がなかったせいか、従来どうもこの法律案審議については、かなり政府の方ではおざなりな格好で答弁に当ろうとしている気配が濃厚なことを私は遺憾にたえない。まあしかしきょうはお見えになりませんから仕方がありませんが、どなたでもけっこうですからお等えを願いたいのです。この国家公務員法の、ただいま申し上げたその法律の第百七条もしくは百八条で「退職者に対する恩給の根本基準」もしくは「恩給制度の目的」、これがはっきりこういう法律に明定されて恩給を支給するという条件法律規定されておる。しかもこの法律がただの一回でも実施をされた場合なら私は了承します。全然実施もしないでそうして他の法律に切りかえ改正されるということについては、私は極端に言えばこれは国民を愚弄するものだ、法律を制定してこういう制度下におくということを約来しながら、いつの間にかそれを一ぺんも実行しないでその法律を改正する、これはいわば国民に対して、特に公務員に対して詐欺行為だと私は言わざるを行ない、そういう法律を実行しないでどんどん変えていっていいと政府は考えるのか。私は御列席の方々に答弁を要求するのは少し無理かと任じますけれども、御答弁の勇気のある方は、この際一つ答弁を願いたいと思います。
  259. 佐藤朝生

    政府委員佐藤朝生君) ただいま千葉先生から国家公務員法百七条、百八条につきまして、また国家公務員法そのものにつきましていろいろと御意見を承わらせていただきました。人事院におきまして昭和三十八年にこの条項に従いまして退職年金につきまして勧告があり、その後政府におきまして公務員制度調査会を作りいろいろ検討いたしまして、このたび大蔵省の方からこの共済組合に関して法案が出た次第でございまして、この法文に基きましてこの条文の通りの制度が実施されなかったのは遺憾でございまするが、いろいろ政府部内で意見をたたかわしまして、今回のような案になった次第でございまして、その点御了承願いたいと思います。
  260. 千葉信

    千葉信君 今佐藤さんの御答弁を承わっていますと、政府はこの法律に基いて成規の経路を踏んで今日に至ったというお話しでございますが、けさからいろいろ問題になっておりますが、たとえば今佐藤さんが言われた公務員制度調査会というのは一体合法的な存在ですか、非合法な存在じゃありませんか、政府がやみでしつらえた調査会じやありませんか。そんなところで出した答申なんかを理由にして、しかも今日まで実施を政府は遅延さしておる、そこに問題があると思う。公務員制度調査会なんかの答申理由にすること自体が、私恥かしいと思う。その公務員制度調査会一体何を基準にして設けた調査会ですか。
  261. 佐藤朝生

    政府委員佐藤朝生君) 公務員制度調査会閣議決定によって設けられました調査会でございまして、当時いろいろと公務員員個々全般にわたりまして改弄することがあるかどうかということを政府から諮問いたしまして、それによって答申が出てきたものでございまして、この退職年金の問題もそのうちの一つの問題として、そこで答申されたものと承知しております。
  262. 千葉信

    千葉信君 その公務員制度調査会そのものが一体閣議決定というのは、法律上違法の存在じゃありませんか。そんな違法の存在で答申したことを理由にして、公務員法に明定されているこの恩給の制定を今日まで政府はサボってきたじゃありませんか、そこにも私は問題があると思う。まあそういうことであなたとここで議論しても始まりませんから、端的に伺いたいけれども、一体こういう法律にはっきり規定した事項を実施しないで他の法律に移行する、改正するということが一体許されるとあなたはお考えですか。
  263. 佐藤朝生

    政府委員佐藤朝生君) 先ほども申し上げました通り、この法律の条文通りこれが実施されなかったのは遺憾でございますが、法律上はこの通り実施されなくても、またこの法律が改正されてもやむを得ないんじゃないかと私は存じております。
  264. 千葉信

    千葉信君 私は別に人事院の肩を持つつもりはありませんけれども、この公務員の、たとえば争議権、たとえば労働権等に対して制約を加える、しかしそのかわりに人事院がその公務員の制約された権限に代行するいろいろな施策を行う。だからそういう権利の制限もこの際はがまんしろというために設けられた人事院、その人事院でこの恩給の制度も管掌するのだということがここに明確に規定されている。その点も今回の法律の改正では、人事院ではなくて大蔵省に移管される。一体大蔵省公務員の権限を抑圧し、もしくはその権限を代行するためのどういう行為大蔵省では腹がまえとして  一体持つことができるのか、大蔵省の権限の中にそういう公務員の立場というものを擁護するどういう方策を一体大蔵省は持っているのかということも私は相当疑問だと思う。しかも今回の恩給法にかわる、たとえばまた退職年金法にかわる共済制度がほんとうに有利なものならば別です、私の計算するところによると、決して有利じゃない。特にこの前の人事院が勧告しました退職年金法の内容から見ても、私は一歩後退している、随所にその条件を発見している。それでは私は問題がますます混乱するだろうと思う。私はしかしここでこれ以上佐藤副長官を相手にして、佐藤さんに食い下ってもしようがありませんから、私はきょうはこれくらいにして、この次に政府から責任ある立場の人の出席を求めて、この問題については質疑を続行したいと思いますから、委員長一つさよう取り計らっていただきたいと思います。
  265. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 本件についての質疑は、なお後日続行することにいたしまして、本日はこの程度にとどめたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時一分散会