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1959-03-17 第31回国会 参議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十七日(火曜日)    午前十一時十二分開会   ―――――――――――――   委員異動 三月十三日委員下條康麿君、前田佳都 男君、小沢久太郎君及び松野孝一君辞 任につき、その補欠として佐藤清一郎 君、大谷藤之助君、苫米地義三君及び 増原恵吉君を議長において指名した。 本日委員苫米地義三君辞任につき、そ の補欠として前田佳都男君を議長にお いて指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    理事            松岡 平市君            山本 利壽君            千葉  信君            田村 文吉君    委員            大谷藤之助君            佐藤清一郎君            堀木 鎌三君            前田佳都男君            伊藤 顕道君            横川 正市君            八木 幸吉君   国務大臣    法 務 大 臣 愛知 揆一君    大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君    国 務 大 臣 青木  正君   政府委員    経済企画政務次    官       河本 敏夫君    経済企画庁長官    官房長     宮川新一郎君    経済企画庁総合    開発局長    淺村  廉君    法務政務次官  木島 虎藏君    法務大臣官房司   法法制調査部長  津田  實君    法務省矯正局長 渡部 善信君    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君    郵政政務次官  廣瀬 正雄君    郵政大臣官房文    書課長     上原 一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○自治庁設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○国家公務員共済組合法等の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送  付) ○法務省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○経済企画庁設置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○郵政省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 千葉信

    理事千葉信君) それではこれより内閣委員会を開会いたします。  委員異動がございました。去る三月十三日前田佳都男君、小沢久太郎君、下條康麿君及び松町孝一君が辞任され、その後任として大谷藤之介君、苫米地義一君、佐藤清一郎君及び増原恵吉君がそれぞれ委員に選任されました。  ついで本日苫米地義三君が辞任され、後任として前田佳都男君が委員に選任されました。  以上、御報告いたします。   ―――――――――――――
  3. 千葉信

    理事千葉信君) それではこれより議事に入ります。  まず、衆議院送付にかかる内閣提出法律案二作につきまして順次提案理由説明を聴取いたします。  自治庁設置法の一部を改正する法律案について説明を求めます。
  4. 青木正

    国務大臣青木正君) ただいま議題となりました自治庁設置法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  今回の改正は、地方公共団体財務会計制度に関する重要事項調査審議するため、自治庁に、附属機関として、臨時に、地方財務会計制度調百会を設置しようとするものであります。  地方自治法が制定されまして以来、地方制度は漸次整備されて参っておりますが、地方自治運営合理化及び能率化につきましては、なお、努力し、改善しなければならない点が少くないのであります。なかんずく、現在の地方公共団体財務会計制度は、ほとんど、市制、町村制府県制当時のままでありまして、今日の実情に沿わない個所も出てきており、合理的、能率的な財務会計運営という見地から、根本的に検討、改善すべき点が少くないのであります。  国の財務会計制度につきましては、戦後、財政法会計法国有財産法物品管理法、国の債権の管理等に関する法律等が相ついで整備されておるのでありまして、地方公共団体につきましても、これらの国の制度のほか、民間企業における会計制度等も十分に参配して、合理的、能率的な財務会計制度を整備いたしますことは、地方自治の適正かつ能率的な運営を確保するために、必要欠くべからざるところと存ずる次第であります。  しかしながら、地方公共団体会計制度は、都道府県、大都市その他の市町村等規模の異なる各種の団体に適用されるべきものでありますから、国の場合と異なり、きわめて複雑多岐にわたる上に、きわめて専門的、技術的知識経験を必要とする性格の問題でありますので、特に財務会計制度に関する専門方々の御意見を十分に伺い、改正に遺憾なきを期したいと存じまして、今回、新たに地方財務会計制度調査会を設け、おおむね、二年間の予定をもちまして調査審議をお願いすることといたした次第でございます。  以上が、自治庁設置法の一部を改正する法律案提案理由であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。   ―――――――――――――
  5. 千葉信

    理事千葉信君) 次に、国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案について提案理由説明を求めます。
  6. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま議題となりました国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  御承知通り、従来、国家公務員年金制度は、官吏恩給雇傭人共済組合長期給付と二本建の制度となっておりましたが、官吏雇傭人の区分を認めない現行国家公務員法のもとでは、つとに、年金制度の統一が要望されていたのであります。  このため、第二十八回国会で成立いたしました国家公務員共済組合法により、まず、いわゆる五現業特別会計公務員につきましては、官吏雇傭人の区別なく共済組合長期給付制度が適用される運びとなったのでありますが、今回、残されましたいわゆる非現業官吏に対しましても、共済組合長期給付制度を適用するため、必要な措置を講じますとともに、あわせて現行共済制度に若干の調整を加えることとして、この法律案を提出した次第であります。  次に、その内容について御説明申し上げます。  まず、第一に、新たに共済組合長期給付規定適用対象として、いわゆる非現業官吏を加えることといたしておりますが、永年勤続者年金を支給しようとするこの制度の本来の趣旨にかんがみ、特別職職員の一部はその適用対象から除外することとしております。なお、非現業官吏に対し長期給付規定を適用するに当りましては、過去の恩給法上の公務員期間の通算その他所要経過措置を講ずることとしております。  第二に、新たに長期給付適用対象となる職員のうち、警察官自衛官等の、従来恩給法上、一般職員とは異なる取扱を受けていたものにつきましては、従来の取扱をも考慮いたしまして、当分の間、長期給付特例措置を講ずることといたしました。  第三に、この際、現行共済制度所要調整を加えることとし、公務しの事由による廃疾年金遺族年金に対する国庫負担の割合を引き上げることその他所要改正を行うこととしております。  最後に、いわゆる非現業官吏長期給付を適用する措置は本年十月一日から施行することとし、その他の改正措置は、それぞれその所要の期日から実施することとしております。  以上がこの法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成下さいますよう御願い申し上げます。   ━━━━━━━━━━━━━
  7. 千葉信

    理事千葉信君) 次に、法務省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。前回に引き続き質疑を続行いたします。ただいま御出席方々は、政府委員として大局法務政務次官、沖田町法法制調査部長渡部矯正局長説明員として近藤入国管理局次長長戸法務研修所第一部長出席されております。御質疑のある方は、順次御質問を願います。
  8. 横川正市

    横川正市君 設置法提案理由の第三の法務総合研究所設置提案されておるわけでありますが、この文面からいきますと、まず第一に、職員法務に関する専門的な研究を行い、職務上必要な研修を行なって、それぞれの機関職務を通じて不便なからしかめるためのそれぞれの研究を行わしめるということに相なっておりますし、同時に、この犯罪捜査については、科学的な犯罪調査への踏み切りを、さらにこの研究所設置によって裏づけをしようといたしておるのであります。これと関連をいたしまして二、三お伺いいたしたいと思うのでありますが、昭和二十年の八月十五日を経験して、たとえば日本の場合には、歴史家歴史の編さんに当っていろいろとまどいを感じたとか、あるいは教育者日本歴史を教えるのに相当まあ困難をいたしまして、その方法が一時非常にこんとんといたしておりまして、手の施しようがなかったと、こういう経験をいたしておるはずであります。法務関係もおそらくこの戦後十三年の間に、少くとも日本のこの司法制度制定以来一番混乱期に入ったのは、終戦前、終戦後のこの転機であったのではないかと思うのでありますが、そういう司法部内の転機に当って一番この転換期として問題にし、それを克服するために努力をした項目は一体何なのか、この点がお聞きしたい第一なんであります。それはまあ、人事的な構成の問題とか、内部機関の問題とか、人事配陣の問題とか、思想的百八十度の転換の問題とか、まあいろいろあろうかと思うのでありますけれども、単にこの学業を終え、司法試験を終えた者が、戦前から戦後一貫してこの司法制度の中で仕事をされてきたということになりますと、ちょっと私はこの一大転換を契機にして非常に大きなこの変り方をしなければならなかった。そういう要請をされている点から見ますと、いささかまあ手落ちが起きるのではないかという心配を実は持っておるわけなんでありまして、そういう観点からこの点について一点お伺いをいたしたいと思う次第であります。
  9. 津田實

    政府委員津田實君) ただいまの御質問の点でございますが、終戦後新憲法が施行になりまして、法務省の面で大きく変りましたことは、要するに司法制度として裁判所独立をいたしまして、用法行政裁判所が行うということになつたという点で、大いに従来の司法制度と変って参ったわけであります。  それから第一線の機関の面におきましては、新憲法のもとにおきまして、刑事手続の面におきまして、人権擁護の面が非常に尊重されるということになりまして、刑事手続の面におきましても、人権擁護を中心にした訴訟法ができ上るということがございますと同時に、一面法務省におきまして、人権擁護局が設けられまして、人権擁護の点の万全を期するということになったような次第でございます。  そういう面におきまして大きく転換をいたしましたわけでございまして、現在法務省管下にありますところの検察庁におきましては、その全職員を通じまして、新憲法要請に従った人権擁護の面を重く取り上げているところの検察を行うというふうに、指導態勢を変えると申しますか、そういう指導態勢のもとに、職員研修をずっと続けて参っているというようなことが、旧憲法時代と大いに変ったところだというふうに考えている次第であります。
  10. 横川正市

    横川正市君 まあ、そういう変ってきた機構の問題とか、それから配置の問題とかというのは、これは私どももある程度知っているのです。ただ、たまたま裁判の結果誤判事件というようなものが起って、その誤判事件の問題で裁判長適否委員会にかかってその適否を云々される、それから検察官がその取扱いを誤まって検察官適否委員会にかけられるという、そういうのどの詰った機関があるから、そこへかければ、現在の運用その他についてはある程度間違いなく行なっていけるんだという査証になるかのごとく説明される向きがあるわけです。そうでなしに、まあ最近の例を見ますと、一つ事件が出て参りまして、そうしてその事件が、その端緒において、たとえば警察官吏なら警察官吏が非常に人権無視を行う、その人権無視を行なった根拠はどこにあるかというと、まあちょうど町のタクシー運転手さんによく聞いてみますと、終戦教育を受けたおまわりさんと、それから戦前教育を受けて、相当長年月司法事務担当をしているおまわりさんとは、そのタクシー運転手取扱いにおいてさえ違うという意見を聞くわけなんであります。それが終戦教育を受けたおまわりさんというのは、ある程度民主的な、あるいは基本的人権を尊重し、時代の変りに適合した教育を受けて司法事務担当をする。ところが、戦前のそういう検察官ないしは警察官取扱いその他が、非常に不当に、まあ戦前おまわりさんと同じような態度が見受けられるというところに、私は問題があるのじゃないかと思います。ですから戦後教育をする機関が、これは検察官警察官その他を通じて一様に、法の建前からはどうか、あるいは社会の変革からはどうか、それから任務からいうとどこまでのものか、そういった点を私は司法当局それ自体が相当積極的な、いわゆる再教育機関というものが必要なんじゃないか。そうでないと、ここでは犯罪捜査のための科学的な一つ機関というものが生まれて、なるほどこれはいろいろ困難、複雑する世上こんとんとした犯罪を捜査するためには非常に大きな力にはなるし、これは絶対完備していかなければいかぬと思いますが、ただ、人聞的な変るべくして変らない一つのからにはまった人たちを、どう民主化された司法行政担当者にしていくかということは非常に大切なことだと思うのです。その点を戦後どのようにやられておったのかということをお聞きしているわけなんです。
  11. 津田實

    政府委員津田實君) 法務省発足以来法務研修所はもちろん設立されておりますから、その前に検察研修所というものもございまして、現在は法務研修所に統合されたわけであります。その二つの研修所を通じまして、ただいま御指摘のような全検察官に従来から任務についております全検察官につきまして数回にわたって研修が行われまして、全員、全部何年かの間にその研修を終ったわけであります。そういう研修方法自体につきましてもいろいろ工夫をいたしまして、ただいま御指摘のような趣旨に沿うように十分いたしておるわけでございまして、今日は一通りその修研は全部終っておるわけでございます。これも数年前にすでに終っておるのでございます。ただいまのところはそういう者に対する研修も、同時に、新しく新憲法のもとに検察官に任命されました者につきましても、同じく随時毎年研修を行なっておる次第でございます。
  12. 横川正市

    横川正市君 これは国会できめられた一つ機構上の問題ですから、当然その不備な点があれば、国会はこれをきめて運営に支障ないようにすればいいわけでありますが、今現在、これはまあ法務大臣が来られておれば一番いいと思うのですが、戦後の裁判民主化のために最高裁判所という制度が切りかわって、事実上これは独立機関として裁判関係を全部担当いたしておるわけですね。ところが機構上からいくと、たまたま、予算上の提案の問題について、これは法務省担当している。それから法律提案する場合も、これは法務省担当する。これは当然最高裁判所裁判関係一般的費用や、それから施策に対して予算に盛り込んであなたの方に持ち込んできて、そうしてあなたの方はそれを受けて国会審査にのせる。国会審査は、当然審査の過程では最高裁判所方々出席を得て意見を聞く。まあスムースな審議からいきますと、結果的に何の矛盾も感じないということになるわけですが、たまたま私どものところでは、今度あなたの方が提案をいたしました裁判官検察官の報酬をめぐって、これはまあ衆議院段階話し合いがついたということでありますが、話し合いがつくつかないにかかわらず、提案についてやはり法務省とそれから最高裁との考え方が違っておったという点は、私はこれは重視しなければならぬと思う。ひいては、これは誇大に表現することになるかもわかりませんが、裁判自主性独立性というものも……。これはあなたの方では検挙し、これを起訴し、相手がこれを正当か正当でないかというすべての総合的判断の上に立って事件の公正を期する。こういう性格的にいうと全く相いれない独自の立場を両者がとっておられるわけなんです。そうすると、予算の問題とか、法律提案の問題とかいうことは、ひいては、私が前に言ったような機械的な一つ審議のコースだけで構成をさせるのだというような説明にはちょっとならないのじゃないかというように思うのでありますが、そういう機構上から、現在まで最高裁とあなたの方で連絡をとり、あるいはまた、将来もこういう問題が起るのじゃないかと思いますが、その点について、いわばこれは他から指摘されるもしくは他に疑問を持たれる、こういうようなことなしにこれらの問題を処理していく、こういうことは確信を持っておられるのかどうか、この点お伺いしたいと思うのです。
  13. 津田實

    政府委員津田實君) ただいまの御質問の点でございますが、最高裁判所すなわち裁判所関係予算の面につきましては、ただいま財政法関係から最高裁判所が直接大蔵省に折衝いたすことになっております。従いまして裁判所につきましては、その独自の意見をもって大蔵省予算折衝を行い、また提案についても独自の意見を付し得るような制度財政法上なっております。予算の面につきましては、法務省は全然関係をいたしておりません。ただ法務大臣が閣僚といたしましてはむろん関係をいたしておるわけでございます。事務当局といたしましては、予算には関係をいたしておりません次第でございます。  それから法案の点につきましては、これは司法制度に関する諸法案につきましては、法務省設置法によりまして法務省の所管になっておりますから、当然法務省が扱うことになっているわけでございます。司法権独立、その自主性を一そう確保するために司法制度に関する立法について、最高裁判所国会に対して法律案を提出できることにすべきではないかというような意見の方もあるわけでありますが、司法の本質、司法立法との関係から見まして、このようなことはいかがかと思うのであります。申すまでもなく司法立法及び行政から独立いたしておりまして、具体的事件について法解釈を適用すること、あるいは国家刑罰権を実現すること、あるいは紛争を解決するということを使命としておるのでありますから、司法法律を制定する立法とはっきり分離されていてこそ、三権分立の本旨にかなったものであるということが言えると思うのであります。ことに、日本国憲法のもとにおきましては、最高裁判所法律等憲法に適合するかしないかを決定する権限、すなわち違憲審査権が与えられておるわけでありますので、さような最高裁判所が何らかの形において積極的に国会立法活動に参与する、すなわち法律案提案をするというような法制は適当でないのでないかというふうに考えておる次第であります。ただ、司法制度に関する立法につきましては、裁判所立場が十分考慮されるべきであることは当然でありまして、従来も法務省といたしましては、その立案の段階におきまして十分最高裁判所当局意見を聞き、密接な連絡交渉をいたして、そういたしまして国会提案いたしておるという経緯になっております。  なお、国会法七十二条の二項によりまして、最高裁判所長官国会に出て説明ができることを規定されておりますので、もし裁判所立法に対して意見を述べるとすれば、この規定を活用して最高裁判所長官が、あるいはその代理者出席して立法上の意見を述べるのが相当である。裁判所として国会提案権を持つというようなことは相当でないのではないかというふうに現在考えておりますし、立法例におきましても、さような立法例は見当らない次第であります。
  14. 横川正市

    横川正市君 今の御説明はその通りども納得をするわけです。ところが、前回法務委員会で、最高裁の方が提案について大川委員から説明を受けた。ところが、それに対しては満足でございますと、ことに特号を設けられたことについては満足でございますと、こういうまあ答えを正式の国会の席上では行なっておるわけです。翌日東京、大阪等判事連名で、国会議員に対して今度の給与法についてはきわめて不満足である、だからこれは直してもらいたい、こういうちぐはぐなことが前日とあとの日に出てくるわけですよ。私はまあ法律できまった現在の法律運用することについて説明をされれば、今あなたの言ったようなことにはなるだろうが、現実の問題としてこの点を経験をして、それで将来実際上、運用上こういうことが起らないで、あなたの方でやっていけますか。この点をお聞きしているわけなんですが、これをいやそうやっていきますといえば、形式的な答えになりますし、さらに最高裁の一部の中には、実は法務省へいろいろ意見を具申するような格好で、どうもこれはまずいのだという人もおるわけです。その関係は、やはり私はちょっと重視しなきゃいかぬ問題だろうと思う。ことに三権分立立場からいって問題になるんじゃないか、そう心配されるわけですが、その点でお聞きいたしておるわけであります。
  15. 津田實

    政府委員津田實君) ただいま御質問の、今回の裁判官並びに検察官給与法の問題につきましては、参議院の法務委員会において、ただいま御指摘のような事情にあったことは、その通りでございます。この裁判官及び検察官給与法提案いたしまする経緯につきましては、法務委員会においても御説明申し上げましたかと存じますが、この提案前に最高裁判所事務当局十分連絡をして、最高裁判所事務当局は、最高裁判所裁判官会議の議を経て同等をされたわけで、その回答の内容は、今回提案して御審議をいただいておりますあの法案内容賛成であるということでありましたので、法務省といたしましては閣議に提出し、政府といたしまして提案をいたした次第でございまして、御承知のように最高裁判所行政は、最高裁判所裁判官会議が行うわけでありまして、最高裁判所裁判官会議は全国の裁判所行政を行い得る権限を持っておるわけであります。従いまして法務省といたしましては、最高裁判所裁判官会議連絡対象とする以外には方法がないという次第でございます。ただ今回の問題は、下級裁判所裁判官の一同ということになって、要望書が出ておるようでありますけれども、要するにあれは法的の意味の裁判官会議意思表示と見るべきではなくて、裁判官が期せずして集まってああいう結論を出したということ、というふうに表示をされておりますので、いわば個人的なものであるというふうにわれわれは理解するわけであります。でありまするから、あくまでも最高裁判所行政として、司法行政としての意見は、あの法案賛成であるというふうに私どもは聞いておりますし、現にその態度であろうというふうに考える次第でありまして、それを取り消すというようなことは、私どもとしてはただいま聞いておりませんし、また取り消し得べき性質のものであるかどうかということは、大いに問題があると思うのであります。
  16. 横川正市

    横川正市君 この問題であまり意見をやりとりしたくはないんですが、今あなたの言っているように、最高裁判所では裁判官会議を開いて一切のことがきめられて、その意見を聞いたのだから、まあおれの方じゃ知らねえぞ、こういうことがこれは正当なことなんですね、事実上は。しかし一方これは裁判所のいわゆる事大主義か、あるいは裁判所機構上の不備か、いずれにしても裁判官会議できめたのだから、お前の方は文句を言うなと、下のしめしがつかなかったということになるのか、結果的にはああいう問題が出てきたわけですよ、出てきたことはりそれはいわゆる最高裁判所内部の問題として取り扱うのか、それとも法務省との連絡その他を行うときの不備としてこれを見るのかという点を、実は私は重視しているわけですよ。だからあなたの方は、連絡上何の不備もなかったと言うのだが、現行でその不備がなかったので、実際上何とか方法を講じれば、今度のときのように、外部からのああいう問題は出てこないのじゃないかということも、私どもの方は考えられるものですから、そういう点で今あなたの意見をお伺いしたわけなんです。その点については、全然あなたの方では、今のところ、現行ですね、現行を実施していく以外に、全然方策は考えておりませんと、こういうことなのか、それとも実は問題がありそうだから検討すると、こういうことなのか、その点を一つ明らかにしてもらいたい。
  17. 津田實

    政府委員津田實君) ただいま御質問の問題は、要するに最高裁判所内部における司法行政権限の問題に、問題があるのじゃないかということを考えられるわけです。裁判所行政は、御承知のように、最高裁判所裁判官会議による司法行政、それから各下級裁判所にそれぞれ裁判官会議がありまして、その裁判官会議行政を行うわけでありまして、いわば合議体で行政を行なっているわけで、単独で行政を行う場合はないわけでございます。それらの点に非常に問題があるということは、私どもは従来から考えているわけでありますが、要するに今回の問題も、いわば最高裁判所司法行政権の範囲内において、裁判所意見をまとめ得なかったということが原因だというふうに、まあ考えられるわけです。そうかと申しまして、一々法務省が、下級裁判所裁判官会議意見を聞いて、法案等の準備をするということは、これはとうてい不可能でありますのみならず、そういうことは最高裁判所がある以上は、すべきものではないというふうに考えられる次第でありまして、私どもとして、やはり最高裁判所内部司法行政に問題があるというふうに考えている次第であります。
  18. 横川正市

    横川正市君 これは結果的には、あなたの方は検察官立場というものを、十分親身になって理解し、それから裁判所の判事さんの方は、どうもこれは遠い親戚ぐらいに思って取り扱ったのじゃないかという、こういうことを私はまあ疑われた結果として、その外部からああいういろいろな陳情が出てきたのじゃないか。ですから、これは今あなたのお答えになった点で、これ以上私の方では、これはあとは国会の事項になりますから質問いたしませんが、ただ、その司法行政、それから最高裁判所ともに私は国のいわば良心のよりどころとして、あそこをすべての国民が見ているところなんですね。ですからそういうところで、片や最高裁判所の中に労働問題が起って、首切りが起る、いろいろ会ってみると、どうも切った方に問題があり、審査事務に問題があり、組合の方にもいろいろ不都合があったと、三者それぞれ不都合があった、こういうふうに見受けられる。それから片一方司法関係にいきますと、この前の三号俸事件以来、あなたの方は職員の組合、職員団体も作られない。一部にはありますけれども、全国的に作られていない。この機構から来るいろいろな一つの事大といいますか、こういったものに、私はもう少しやはり積極的な解決策というものを、あなたの方自体が待たなければいけないのじゃないか。これは良心として、全部が見ているのに、国民の大半が、何だ、あれはというふうに見られるような問題が、両者にこもごも起っていることは、これは私はやはり自戒しなければならぬと思うのですよ。そこでやはり、さっきの問題に触れるわけなんですが、あなたの方では、たとえば職員団体構成する団体での組合活動については、どうも歓迎すべからざることなんだと、こういうふうに思われておるのじゃないかと思うのでありますが、その点はどういうふうに、職員のいわば総体の意思といいますか、そういったものが管理者ないしは面接の担当者との間でスムーズにこれを話し合うとか、あるいは協議とか、そういったことで解決をしていくのじゃないかと思いますが、その点はどのようにして処置されていらっしゃいますか。
  19. 津田實

    政府委員津田實君) 法務省部内におきましては、もちろん全法務という職員組合がございまして、随時幹部に連絡し、あるいは幹部と協議いたして、いろいろの問題について組合の意向も承知し、それでそれによって善処し得るものは善処しておるというのが、従来の経緯でございまして、特別にどういうふうに扱っておるというようなことはございません。
  20. 横川正市

    横川正市君 まあ全法務というのは、中央だけの組織になっておりますか、それとも司法全体の全国的な組織に現在なっていらっしゃいますか。それとも組織の中で何割程度組織されて、何割程度全然組織をされておらない未組織の状態なんですか。
  21. 津田實

    政府委員津田實君) 御承知のように、法務省部内の大部分の職員といいますか、職員の数の大きなものは刑務所関係でございますが、刑務所関係においては結成でできないわけでございますので、その他の関係でございますが、ただいまのところ全国的の組織にもちろんなっております。組合員の数は、正確に私どもには組合のことはわかっておりませんのですが、数千であろうと考えております。
  22. 横川正市

    横川正市君 大体その認識の程度が知れるぐらいの報告なんです、今のやつはですね。何千名かということがわからないのですから、あなたの力では。三十一年のたしか問題として、最高裁とあなたの方で、三号俸昇給させたか、あるいは超勤を付加したか、そういう方法職員団体を作らせないという問題が起って、司法関係では三号俸をけって職員組合を守り、あなたの方では三号俸プラスして職員団体が全国的にくずれてしまった、こういう事態が起っているわけです。ですからそういう事態が起ったそのこと自体に、実は私どもはいろいろと関連して問題を持つのは、これは司法行政行政・事務を行うのに職員団体が要らないのだ、全然、まあわれわれは職員のことについてはかゆいところまで手の届くようにめんどうを見てやるから、だから職員団体を作らなくてもいいのだと、こういう考え方が一方あなたの方の中にあるのではないか、それがひいては左右の大体事件の取締りの形の中に、どうもあなたの方の幹部のお考え方が末端まで浸透しておって、その考え方がものの判断をするのに、少し桃色なら赤に見え、それから色がないのに桃色に見えるというような判断を、一般司法行政の中で行なつているのではないか。ですから一番最初私が聞いたように、検察官その他の大きく変った昭和二十一年八月十五日以降の司法行政の変り方というものについて、これはあなたの方では自覚をして、一大転機であるからそういう転機を利して、ここに法務総合研究所のようなものを設けて、適正化、公平化、そして能率化をはかろうとしていると同時に、もう一つは、検察官に対する再教育というものについては、徹底的に一つお骨折りを願わないといけないのじゃないか。そうでないと、一般的にある者が公平な立場で見ても、とうも少し色をつけ過ぎるとか、あるいは甘過ぎるとか、こういうことが出てき、ひいては良心が少しこれは曇り始める、こう国民から見られるということは、これは非常に不幸なことなんでありますね。そういう点を十分気をつけていくと、こういうことになりますというと、法務総合研究所というようなものも必要でありましょうし、それから法務総合研究所でありますか、こういうところで再教育はしましたといってみても、まだまだ足らない、もっと徹底して教育をしなければならない、こういう点が出てくるのじゃないかと、私はこう思うのでありますが、あなたはその点どうお考えですか。
  23. 津田實

    政府委員津田實君) 検察その他の法務立場が中正であるべきであることは、御指摘通り当然でございます。法務省といたしましては、その点につきまして、最も重要な問題として従来もかような研修はもとよりでありますが、各種の会同、会議等におきまして、その点を十分強調いたし、全国の職員を指導して参っておるのが現状でございますので、今後も、もちろんその立場を十分御指摘のように堅持いたしまして、それらの研修に努めたいというふうに考えておりますし、司法全体としてもさような考え方で進むことは、十分ここで申し上げることができると思います。
  24. 横川正市

    横川正市君 その研修内容は、課目とか、あるいは課目別といいますか、研修内容はどういうふうに行われておるのですか。
  25. 津田實

    政府委員津田實君) この研修につきましては、検事の研究と検事の研修、副検事の研修検察事務官の研修、それから入国審査官等の研修、保護観察官の研修、それから法務職員研修、こういうふうに分けてやっております。そのほかに、法務研究といたしまして、法務における重要な問題につきまして専門研究を行わせ、それを研修所が指導しておる。こういう大きく分けますと、専門研究の指導と、それから具体的な研修と、この二つに分けてやっております。で、お手元に差し上げました「三十一回国会法務総合研究所関係資料(追加)」という分の中に、その内容を掲げてございますが、現在までに行いました研究につきましては、各個の題目をそこに昭和二十四年度以来掲げております。それから研修内容につきましては、昭和三十年以後の「研究研修実施人員表」というのを出してございまして、年間におきまして、大体千四百名ないし千百名くらいのところを毎年研修研究させておる、こういうことになっております。なお、昭和三十四年の研究研修の実施予定につきましては、別表に一年間の予定表を組んでおります。なお、このほかに、今回の改正法律案が成立いたしました場合には、研究部が新たに設けられることになります。それによりまして、研修というものにおける総合的研究を行う、こういう仕組みになっております。
  26. 横川正市

    横川正市君 まあ、内容を今ずらっとあれしただけでは、私の言わんとする研修内容と合致するかしないか、もっといろいろ意見を聞かなきゃいかぬ問題だと思うのであります。そこで、この件については、実は私たちだけが重視をしているのではなしに、相当この点は一般国民世論の中でも私は監視をされる問題だと思うのです。これはまあ事務関係の責任者であるあなたの方もそうでしょうが、一つ国会側からこの意見のあったことについて、大臣、政務次官ともよく連携していただいて、万全を期していただくようにしていただきたいと思います。ことに、職員団体構成しないという、しておらないということ、できるものがしていないということは、これはあなたの方では、あまり重要視しておらないようですが、将来相当これは私の方も注視していきたい問題だと思っておるわけで、その点ぜひ一つ研究をしていただきたいと思います。  それからもう一点は、法務省内の定員関係をずっと調べてみますと、今度の場合には、予算要求の人員が、四万五千九百三十人予算要求をいたしまして、現在定員が四万四千五百六十六人、九十一名の増になっておるようでありますが、これとあわせて、常勤労務者というのと、それから常勤的非常勤というのと、それから非常勤というのと、この中で非常勤というのが非常に数が多いのですね。四万四千九百八十七名という数字になっておるようでありますが、常勤労務者と、それから常勤的非常勤と、それから非常勤と、この三段階に分けて、常労関係は千二百十六名、これは三十三年と三十四年は同数のようでありますが、この常労の定数内組み入れといいますか、四万四千五百六十六名にプラスする千二百十六名と、こういうふうになっていかなければならないんじゃないかと思うのでありますが、それがどうも前年度から全然変りなしに、九十一名の増というのは、これは別な何かでふえているようでありますが、この点の定員化の問題については、今回は全然手を触れないで済まされた、ことに三十三年が千二百十六名、三十四年が千二百十六名、こういうふうになっておるわけですが、これはいろいろ折衝の結果もあるのでありましょうが、結果としてこうなったのでありますか、その経緯一つお知らせ願いたいと思います。
  27. 津田實

    政府委員津田實君) ただいまの点につきましては、いろいろ折衝いたしました結果、そういう結論になったわけでございますが、詳しい内容につきましては、ただいま私つまびらかにいたしておりませんので、担当者からお答え申し上げることにいたします。
  28. 横川正市

    横川正市君 ことに、私の方の調べの間違いかどうかわかりませんが、非常勤が四万四千九百八十七名いるという、これは職務内容、それから雇用継続期間その他おわかりでしょうか。
  29. 津田實

    政府委員津田實君) 四万四千という御指摘の数字は、少し違っておるのじゃないかというふうに思いますのですが、これはちょっと今つまびらかにできませんので、取り調べました上お答え申し上げます。
  30. 横川正市

    横川正市君 定員関係の問題は、後刻この問題をこの委員会で審議する結果になると思いますから、そのときに譲りたいと思いますが、ただ、法務省関係の身分上の取扱いといいますか、検察官とそれから検察事務官との関係は、これはいわば試験の一つ段階だけの問題ですか、それとも試験を経ないで、ある程度経験か何かで引き上げを行なって、逐次検察事務官と検察官との人的構成というものは変えられるようになっておるのですか、その点はどうでしょう。
  31. 津田實

    政府委員津田實君) 検察事務官から副検事選考委員会の選考を経まして副検事になり得るわけであります。副検事は特別講習を受けますと検事になり得ると、こういう形になっております。現在検察事務官から副検事になっております者は、相当数おるわけであります。また、副検事から特別講習により検事になりました者も十数名あるいは二十名くらいはいるかと思っております。そういうふうな制度になっておりますが、いずれにいたしましても、検察庁法所定の試験を受けませんと、副検事あるいは検事になれないということになっておる次第であります。なお、部内には、そのほかに法務局の職員でございますとか、保護観察所の職員というふうに、検察関係以外の職員、あるいは刑務所関係職員、これはたくさんいるわけであります。
  32. 横川正市

    横川正市君 この公安調査庁の千六百四十、一人というのは、定数的にはずっと変っておらないのでありますが、これは事案の内容といいますか、調査事項の増減というものが最近は全然なくて、定員は毎年千六百四十三人できっちりよいと、こういうことになっているのでしょうか。事案その他調査案件等は増減はあっても定員だけは確保していると、こういうことなんでしょうか、どちらでしょうか。
  33. 津田實

    政府委員津田實君) 公安調査庁の職員につきましては、定員増を計画して、予算折衝段階においては折衝いたしておったようでございますが、御指摘のように、多分数年間は変更がないというふうになっていると思いますが、公安調査庁としては増員を希望しているわけでございます。
  34. 横川正市

    横川正市君 この公安調査庁の定員の問題と関連して、たとえば日ソ関係の国交が回復する、あるいは中国との国交が回復するというようなことになりますと、あなたの方ではこれの定員をふやすとかふやさないとかいう、そういう関係で定員関係を算定しているのですか。それとも、そうではなしに、大体国内における思想上の左傾ないしは、これは右傾も入るだろうと思うのですが、そういう関係で、思想の侵食と言えば言い回しは悪いのでありますが、個人がどういう思想を持とうと関係はないと思いますが、ただそういう左傾の思想を持つ者が逐次増強される傾向にあるということになると、この公安調査庁の定員というものは増減しなければならぬと、こういうふうにあなたの方ではお考えになって定員を算定されているのですか、その点はどうですか。
  35. 津田實

    政府委員津田實君) 公安調査庁の事項につきましては、公安調査庁の係官が参っておりませんので明確には申し上げかねる次第でありますけれども、従来まで私どもの聞いております範囲内におきましては、調査事項のうちで、いまだ調査し得ないもの、つまり手をつけられないものが相当あるので、その分に充てるための増員をしたいということが、従来からの公安調査庁の意見であったようであります。
  36. 横川正市

    横川正市君 その内容についてはおわかりになりませんか。
  37. 津田實

    政府委員津田實君) 内容については、私どもはつまびらかにいたしておりません。
  38. 横川正市

    横川正市君 まあ、いろいろ質問する事項がたくさんあるわけですが、後刻の機会もありますから、定員関係その他の問題については、あとに譲りたいと思いますが、先ほどもちょっとお聞きいたしましたように、副資料に出されております計画書だけで、実は私どもはしろうとですから、実際の内容を知る由もありませんし、どれだけ進捗しているかということ、あるいはどれだけ内容が充実されたかということについても、ちょっとはかり知れないわけでありますが、ただ国民一般は、直観的にあなたの方の仕事のやり方について、新聞や何かの記事を通じてよしあしを決定していくわけです。ですから、十分その点は注意をされることだろうと思うのでありますが、ただ、最近の問題でも、大きな殺人関係の事案は、これは裁判所の決定がそうだからあなたの方に責任はないと、こう言ってしまえば、これは裁判所に全責任があるのかもわかりませんが、人間のことですから。しかし取調べの段階人権無視が相当大きく宣伝される場合があるわけです。これはまあ普通は人間性を持ち過ぎておったんじゃ、どうも仕事がやりにくいという立場もあろうかと存じまするが、しかし、やはりどうも幾らかそういう点が、強い言葉で言えば非常にむちゃな取調べが行われておるんじゃないかという疑いを持たれるようなことが一般目前に公表される、こういうことは絶無にしなければいかぬと思う。同時に、再教育の問題は、私はこれは現在四十以上あるいは五十以上という人たちのものの考え方というものは、なかなか直すのは大へんだと思う。だから一通りの講習あるいは研修が済んだらこれは適格なんだと、こういうことで野放しにしている。私はある検事正に会ったら、おれは逮捕権を持っておるから逮捕するんだということを、こう然と大衆の前で言うという人にもぶつかるわけです。そういったことも、全部が全部あなたの方のいろいろ指導のよろしきを得て直すことはむずかしいんだと言われればそれまでのことかもしれませんが、十分その点は研修その他の内容を充実して、そうして地方行政の万全を期すようにしていただきたい。この点はこの場限りの問題でなしに、一つ十分やった成果が全体的に目の前に、国民の前にわかるように、顕著な一つ実績を上げられるように努力をしていただきたい、そのことをお願いして私の質問を終りたいと思います。
  39. 千葉信

    理事千葉信君) 暫次休憩いたします。    午後零時十三分休憩    ―――――・―――――    午後一時三十五分開会
  40. 千葉信

    理事千葉信君) 委員会を再開いた  します。  まず、法務省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  休憩前に引き続き、質疑を続行いたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  41. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 前回に引き続いて、二、三お伺いしたいと思いますが、青少年の不良化とか、あるいは犯罪防止の対策の一環として、今回法務研修所を廃して、新たに法務総合研究所を設けようとしておるわけですが、そのための予算を見ますと、来年度の予算に約七千百万円が組まれておるわけなんですが、この程度の予算で、法務省が言うておる抜本的な対策が講ぜられるとは、私どもは考えられないのですが、この点は大臣としてはどのようにお考えですか。
  42. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) この点は、率直に申しまして、非常に少いと私も考えておるのでありまして、実はこの研究所は、本来独立した形でやりたいというのが当初のわれわれの考え方でございましたが、いろいろ財政上の要請もございましたので、従来の研修月と合せて法務総合研究所ということにいたしたわけでございます。従って、ただいま七千百万円というお話がございましたが、実は従来の研究所の系統で五千九百万円でございますから、研究所に充て得る金というものは、わずか千万円あまりでございまして、これではまことに足りないのでございますが、しかし、前回にも若干御説明申し上げましたが、この今回の取り上げ方は、むしろ金の問題よりも、取り上げる研究の題目や方法なり、あるいはそこに従事してもらう人の問題であるというふうに考えましたので、予算の点においてはまことに不十分で、私も不満足でございますが、いろいろ折衝の結果ここに落ちついたわけでございまして、一つここで芽が出ますると、前回申し上げましたように、私は非常な成果を上げて、識者の関心も必ず呼び得るようなことになると思いますので、末広がりに来年度以降におきまして拡充するということについては、おそらく各方面の協力もさらに受け得るであろうとにかくこの際芽を出していい仕事をスタートさせたい、こういう考え方で、不満足ではありまするが、これで発足をいたしたいと、こういうふうに考えたわけでございます。
  43. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 犯罪防止とか不良化防止、このことについては、私どもその必要性は十分認めておるわけです。ただ、総合研究所を設ける理由として、犯罪ないしは不良化防止の抜本的な対策を打ち立てたい、こういうことをはっきりと打ち出しているのですね。ふたをあけてみると、スズメの涙ほどの予算しか組まれていない。こういうことでは、何が何だかさっぱり了解しがたいと思うのですが、抜本的な対策ならば、それに見合う予算が組まれなければ、言うべくしてなかなか実施できないと思うのですが、ただいまの御答弁では、その点どうも納得いきかねるわけです。そこで、今後どのようになさろうとするのか、そういう点を伺いたいと思うのです。
  44. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) まことにごもっともと存ずるのでございまして、実は、たとえばこの研究所職員として専担をすることになっております人員も、専任は十名ということになっておりますが、工夫をいたしまして、この予算の範囲内におきましても、それよりは相当多い専門家を実際上この研究に協力をさせるということで発足したいと思っているのであります。  それから、将来の問題でございますが、実は当初の私どもの考え方は、独立にいたしました場合、少くとも一億七千万円でございましたか、そのくらいで発足したいと思ったのでありますが、少くとも来年度におきましては、予算的に申しましても、まあその程度の、少くとも第二年度には規模にいたしたい。ただ事柄の性質上、私はこれは非常に控え目に法務省としては考えておるのでございますが、いたずらに予算の金額だけ大きを誇らない、ほんとうにまじめな研究をし、そうしてそれが前回申しましたように、犯罪の予測から、アフター・ケアに至るまでの一貫した新しい考え方を打ち出して、これを既存の各つかさつかさに考え方、あるいはやり方の筋金を入れていきたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、明年度以後におきましては、ただいま申し上げましたように相当拡充して参りたい。しかし事柄の性質上、必ずしも何億というようなものは必要はないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  45. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この総合研究所を当ってみますと、刑事政策的な面が中心になって、科学技術的な面が軽視されるのではないか、そういう点が察知されるわけであります。かくてはいろいろと問題があろうと思いますが、そういうことがあるのかないのか、またあるとすれば、どうしようとするのか、その点明確にお聞かせ願いたいと思います。
  46. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) この点は実は私も非常に専門的な点になりますと、お答えができかねるのでありますけれども前回もちょっと触れましたが、これは刑事政策と言えばその中に含まれるかと思いますが、刑事学的な、科学的なやり方をやりたいというのが実は考え方の根本でございまして、たとえばカウンセリングであるとか、グループ・セラピーであるとかというような犯罪心理学的とでも申しますか、そういうような点に重点を置くというようなことを中心にしているのでありまして、従来言われるような刑事政策というものとは、多少私は学問的に言いましても範囲が違ってくると考えておるわけでございます。たとえば、これは余談になりますけれども、われわれはこういうことを取り上げましたのは、実は日本の現状においては、たとえば刑事学というような学問が、これだけたくさんの大学ができておるにかかわらず、全国的に一つも講座がないというような点が、近代国家として非常に私は遺憾なことだと思うのであります。せめて行政部門においてそういった面を補っていきたいというふうな考え方でございますから、そういうふうな科学性ということをあくまで中心に考えて参りたい。それから同時に青少年問題全体ということになりますと、法務省だけでは、これはカバーしきれない問題でございますことは申すまでもないのでありまして、これらの点はそれぞれ文部省なり厚生省なり、あるいは内閣なりにおける施策に、同時並行的に期待するところが多いわけでございます。
  47. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 刑事政策的な面ももちろん必要なんですが、ただ、犯罪予防という立場から見まして科学技術的な面がより重視されなければならない、そういうふうに考えられるわけです。そこでお尋ねしたわけなんですが、その点について……。
  48. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) その点も全くごもっともでございますが、ただ、法務省研究所ということでございますると、実はこれも率直な何でございますが、今ここでやりたいと思って掲げておりますことは、相当大きな項目にわたるわけでございまして、法務省研究所としては、これらの点がほんとうに御説明申し上げるような点までカバーできて、相当の成果が必ず上がると思いますが、なかなかこれは大へんな仕事であると考えるわけでございます。さらに範囲を広くいたしまして、刑事政策というか、さっき申しました刑事政策というと多少狭いかと思いますけれども、やはり法務省としてはそういう点が中心になるわけでございますから、これで相当な成果を上げ得るというふうに考えます。なお他の方面と協力していかなければならぬということがその前提になることは、先ほど申しました通りでございます。
  49. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、方向を変えて、少年院とか、少年鑑別所がございますが、こういう面についてお伺いしたいと思うのですが、日本の保護体系を見ますと、まず警察で容疑者を逮捕、取り調べる、これを家庭裁判所、次に少年鑑別所、少年院、さらに保護観察と、こういう保護体系が打ち立てられておるわけですが、この系列については、聞くところによると世界でも非常に優秀な系列であるんだそうですが、せっかくのそういうりっぱな系列であったとしても、その内容について見ますと、たとえば予算とか施設、あるいは職員の定員等で非常に不十分である。特に保護観察所以後の面は法務省の管轄になるわけですが、特に法務省関係の面について特に予算とか定員が窮屈で、しかも施設も悪い、そういうふうに聞いておるわけであります。この点はせっかくのりっぱな系列があっても、これを活用する面において遺憾の点が多いと思う。この点はどうなっておりますか伺いたいと思う。
  50. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 全くこれも仰せの通りでございまして、この系列ということから言えば、終戦後の占領当時からいろいろのことが工夫せられまして、一応の体系としては相者世界的にも誇り得るような体系にはなっておるかとも思うのでございますけれども、それ自体にも実は問題がないわけではないのでございますが、それを別といたしまして、一がいには言えないのでありますけれども、保護観察所にいたしましても、少年院にいたしましても、あるいは鑑別所にいたしましても、これは実際ごらんいただくとわかりますが、ところによりましては、全く気の毒な状況にありますことは、物的の施設の面におきましても、人員の点においても、あるいはまた具体的に申しますと、職員の超勤手当の問題とかいう具体的な面にわたるまで、十分まだ足らざる点が多いわけでございます。営繕等につきましても、実はもっと画期的な予算がこの面には実際ほしいのでございますが、三十四年度におきましては従来に比べては相当の程度増額を認めてもらったように思っておりますけれども、非常にこれはまだまだ足りぬわけでございます。しかし、全部にわたってこういった施設を一挙に拡充しようといたしますると、数百億の最小限度といいますか、概算を考えてもなるわけでありまして、財政状況等からこの点は必ずしもわれわれの思うように参りませんので、ただいまの考え方としては、まずアン・バランスを是正して、一つのたとえば鑑別所が非常に設備に恵まれていないというような場合、これを最小限度に要求するということで三十四年度はやって参りたいというふうに考えるわけであります。  それからなお、系列の問題についても実は少年法の改正の問題、あるいはその他組織以外の問題についても考えなければならぬ点が私はあるように思うのでありますが、これらの点については、いろいろとさらに研究を要する問題が相当あるようでございますので、並行して改善を考えて参りたいと思っております。
  51. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 先ほど申し上げましたようにりっぱな保護系列がきめてあるわけですが、なかなかこれが活用されないで不要論まで起きたことがあると思うのですが、これは結局形式倒れに終ってしまうので、やはりせっかくのこの施設を十分活用するためには、まず一段と施設の整備強化をはかって成果を上げることによってますますこれが認められると思うのですが、また青少年の犯罪がますます激増の一途をたどっておる。こういう事態においては、こういう点が何よりも優先的にとり急がなければならない施設であろうと思うのですが、このままでは大臣が前から言われておるように、なかなか抜本的な対策は打ち立てられない、犯罪数もますますふえる一方ではないか、そういうふうにも考えるわけです。ここで踏み切っていただいて、十分犯罪少年の保護の立場から、そういうものを拡充強化しなければならぬと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  52. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 拡充強化につきましては、私も全く御同感でございます。それで、先ほど来問題になっておりますたとえば研究所にいたしましても、現在あります系列のもとにおいて、現有の施設なり、あるいは人員なりを、マンネリズムに陥らないように、新しい考え方、取り上げ方を研究所において十分に研究し、かたがたこれを現有の施設あるいは職員人たちに何と申しますか、考え方の筋金を入れていくということが、私は青少年問題に対して相当大きな成果が上り得るものと考えるわけであります。ただいま乏しい施設と予算の制約下において働いておりまする矯正職員等の努力は、まことに涙ぐましいものがあるのでありまして、同時に今申し上げましたようなこれらの人たちがマンネリズムに陥らないで常に青少年の育成と申しますか、犯罪の予防、さらに社会の要員としてりっぱに立ち上り得るようにするのには、矯正の職に当る人たちの頭の切りかえということも、私は非常に必要な面があるのではないかと考えております。これらは一つ予算的な措置とあわせてフレッシュな感覚を入れていきたい、これは相当私は期待をしていることでございます。
  53. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 私の県に少年院で赤城少年院というのがある。女子の方で榛名女子学院、こういうのがあるわけですが、    〔理事千葉信君退席、理事松岡平市君着席〕 ときどき少年、少女が逃亡しておるわけです。近いのでいろいろ事情を伺ってみますと、施設の貧弱、あるいは予算が少な過ぎるとか、職員の定員が少い、こういうことが原因でしばしば過去にはあったわけです。このごろはどうか知りませんが、こういうことではせっかくの施設が施設倒れになってしまうということは、はなはだ遺憾だと思う。せっかく施設を建てた以上は、所期の目的が達成し得るような手が打たれなければならないと思うのですが、この点については大臣としていかようにお考えですか。
  54. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) ただいま赤城少年院等の問題について具体的な御意見を伺いましたが、実はどうもこの少年院のあり方等については、相当考えさせられることが多いのでありまして、これも非常に率直な言い方なんでありますが、多少これは現在の非行少年の扱い方についての問題もあると思います。たとえば私どもから常識的に申し上げますと、本来ならば刑務所でなければとても矯正ができないというような種類の少年が、実は少年院の収容者の大部分になっております。それから本来少年院において十分に訓育しなければならぬというような程度のものが、保護観察の程度で済まされておる、そこに私はズレがあるような感じがするわけでございまして、これらの点は、少年犯罪を扱う裁判所との関係その他において、相当検討を要することがあるのではないかと考えざるを得ないような感じも実はいたすわけでございまして、その点は先ほど申し上げましたように関係の方面も多いのでありますが、また、少年法の改正というような非常に重大な問題とこれは相関連する問題でございますから、これは一つ並行的にとくと真剣に取り組んでいかなければならないと思っております。同時にしかし、そういうことはより根本的な問題であって、現在の少年院のあり方がこれでいいかということについては、先ほど申しましたように、物的、予算的あるいは人民の面において、やはり改善の必要性は非常にあるわけでございまして、まことに不満足な程度ではありますが、三十四年度の予算につきましても、これらの点については相当の程度財政当局からも承認を受けまして、かなり私は改善されていくのじゃないかと思っておるわけであります。
  55. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 いろいろ事情を伺ってみますと、逃亡対策に追われておって、肝心かなめな教育に専心できない、こういう傾向があるやにもうかがわれたわけですけれども、これでは今御説明もありましたが、なかなか成果は期しがたいと思います。こういう点については、たとえばですが、具体的に職員の定員増、そういうことをお考えであるかどうか。
  56. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 少年院関係の矯正職員等につきましては、若干程度の増員も三十四年度においては行うことにいたしております。また、その他の面におきましても、人員、予算の面においても若干の増加を三十四年度には実現することができると思っております。
  57. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この施設には、大体十四歳から二十才ぐらいまで、それ以上のものがあるようですが、大体その見当で収容いたしておるようですが、特に十八才以上の年長少年については法務省内部に、こういうものは刑事扱いにした方がよろしいのだと、そういうような、決定ではないですが、そういう傾向があるやに聞いておるのですが、果してそういうような動きがあるのかないのか。またそれに対して法務大臣としてはどういうふうにお考えかということをお伺いしたいと思います。
  58. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) これは根本的には御承知のように少年法の問題になるわけでございまして、ただいまも御指摘のように、現行の二十才という限界を十八才に引き下げるべきではないかというのは、十八才から二十才ぐらいのところは犯罪の数も多いし、また成年と同じような刑事責任を追及すべきではないかということをはじめ、いろいろの論拠から、十八才にしてはどうかという意見が、御指摘通り法務省内でも、あるいは検察当局の中にもかなり有力になっておりますことは事実なのであります。しかし同時に何と申しましても、十八才から二十才というところは、何としてもまだ心身ともに成人に比べて未熟であるということ等からいたしまして、ただいま考え方はどうかというお尋ねでありますが、私としてはまだ踏み切りが実はつかぬわけでございまして、この年令の問題とあわせて、たとえば少年犯罪の場合、先ほどもお尋ねがございましたが、今のやり方で家庭裁判所で決定がございますと、それに従っても2方的にというと言葉が少し行き過ぎるかもしれませんが、少年院なり、あるいは保護観察なりで法務省が今度はお預かりする。実際その事件に対して検察官意見というようなものがあまり聴容されないといいますか、関与できないような制度になっておる。これらの点も一つあわせて考えました場合に、果して年令を下げた方がいいかどうかということを総合的に私は考えるべきじゃないかと思うのであります。ただいまのところ、まだこの少年法の改正について、特に年令の引き下げについて、私としては、結論を実はまだ持ち得ないような状態でございますが、これは先ほども申しましたように、非常に真剣に取り組まなければならぬ問題でございますので、なるべくすみやかに、関係の方面とも慎重に協議をいたしまして結論を出したいというふうに考えておるわけであります。
  59. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これは十八才以上の年長少年については、先ほどから申し上げておるように、現行法では、施設で教育し得るということになっておるわけですが、このことについては、最高裁判所でも、十八才以上の年長少年については刑事扱いすべきでない、あくまでも教育すべきである、そういうような御主張のようでございますが、この点と、また繰り返し申し上げますが、やはり現行法によってせっかくできたこの制度であるので、その法立法の精神に沿うよう、十八才以上の年長少年についても、今後引き続き施設によって教育するのが至当であろう。特に、犯罪予防の立場からそういうことは強調されなければならないと思うんですが、そこで、恐縮ですが、いま一度、この点について明確に御所見をお伺いしたいと思います。
  60. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) これはただいまもお話しのように、裁判所方面でもいろいろの意見がございます。またそれと、従来の法務省研究とは必ずしも一致しておりません。それから、私に、結論的に明確にというお話しでありますが、先ほど申しましたように、年令の問題については、私、まだ自分としての結論も意見も出得ないのでございますが、従って、さしむきのところは、現行法令のもとに、先ほど来御指摘、御忠言のございますように、現行法制のもとにおける少年院あるいはその他の保護矯正施設というものを十分活用し、かつ、これを拡充していくようにしなければならないと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  61. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 警察で少年の犯罪容疑者をあげて、これを家庭裁判所に回すわけですが、その際、家庭裁判所措置が手ぬるいので、大がいの者は家庭へ帰してしまう。家庭によっては問題がないと思うんですが、その少年犯罪をはぐくむ家庭は、得て恵まれない家庭が多いと思うんで、せっかく警察があげても、家庭裁判所を素通りして少年鑑別所にも行かない。家庭でまた犯罪を繰り返す。そういうことが繰り返されておるんではないか、そういうふうに思う。そこで、せっかく警察が骨を折ってあげても、家庭裁判所措置が手ぬるいと、そういうことがいつも繰り返されることになって、意味がないと思うんですが、そういう点については、やはり十分慎重な態度で、やはり施設の教育によってこれを改善するという方向がきわめて必要だと思うんですが、現行では、そういう点にはなはだ遺憾の点が多いので、この点について御所見を伺いたい。
  62. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) この点については、実は、私もそういう感じがしないではないのでありまして、先ほど申しましたように、警察で第一次的に取調べをする、それから検察庁で十分取調べをするわけでございますが、それから検察官としては、意見を付して家庭裁判所に回すわけであります。それで家庭裁判所として、中にはいわゆる検察庁へ逆送してくれることを検察官としては期待しておる事犯が相当多いのであります。ところが、先ほど申しましたように、家庭裁判所できめられてしまいますと、逆送されずに、これは少年院送りとか、これは保護観察に付すべしということが、家庭裁判所で一ぺんきまつてしまいますと、あとは、警察はもちろんでございますが、検察庁としても意見を言うすべもないというのが、現在の法制制度でございまするが、この点は、先ほど申しましたように、法務省としては、もう少しその責任が持てるようにやりたいものだと、私は常識的にこう考えまして、それらの点については、専門方々にもお願いをいたしまして、ただいまいろいろと研究を進めていただいておるわけでございます。ただ、これは何分にも相当大きな問題であり、また、裁判所その他とも十二分に理解と協力を得なければならぬ問題でございますから、ある程度時間がかかると思うのであります。その間においては、現行の制度のもとにおいて、できるだけ十分に少年の非行について、再犯防止とか、あるいは教育の実が上るようにしていかなければならない、こういうふうに考え、かつ、やっておるような次第であります。
  63. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 少年院とか少年鑑別所の施設で教育を受けてだいぶよくなった、もう大丈夫だということで施設を出される、それで、本人も今度こそ一つまじめにやろう、そういう意気込みで出ていく者が多いと思います。ところが、残念なことに、今、受け入れ態勢の面で非常に不十分で、一般社会でも、少年院、少年鑑別所を出ても、前科者扱いのような目で扱っておるわけであります。そこで、やけ気味になって、また逆戻りするというような、そういうことが繰り返されておる、そういう現状だろうと思う。これは法務省だけでできることじゃ、むろんありませんけれども関係方面と緊密な連絡をとって、少くとも施設を出た少年であるというようなことではまずいと思うので、そこのところは、また技術の面があろうと思うのですが、過去において少年院、鑑別所におったというようなことが明確になると、どうしても色目で見られると思うのですか、そういう点でまた逆戻り、これでは、せっかくの施設で教育しても意味がないと思うのですが、そういう点については、何か対策をお考えですか、この点について伺いたい。
  64. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) この点は、まず少年院等を出ました者は、これは法律上、形式上の問題でございますが、御案内のように前科者ではないのでありますから、そのことを前提にいたしまして、これは実は民間の非常な御協力もあり、うまくいっておる所も相当あるのでありますが、就職、補導その他のあっせんを民間の篤志家の方々等の御協力を求めて、いわゆる形式上前科者ではないということで、それを前提にして、よく少年の身上に注意しながら適当な就職の場ができるというようなふうなことについては、だんだんと成果を上げておるように思うのであります。また、女の子の場合におきましても、就職等のあっせんはもちろんでありますが、さらに適当な結婚に導いていくというようなことについても、数においては必ずしも多くございませんが、きわめてうまくいっておるようなことも常に見聞きしておるような状態でありまして、こういう面については、今後なお一そう継続的な努力、それから、これはむしろ科学的な問題よりは愛情の問題ということになるのでありましょうが、そういうことを中心にいたしまして、民間の篤志家の方々の御協力を得て、役所側としても、そういう気持で、少年院の矯正職員等が大いにがんばってくれることを期待し、また、これを積極的に指導推進して参りたいと思っております。
  65. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 現在、少年院は全国で五十八、分院が三つと聞いておりますが、そういう数でよろしいかどうかということと、教育期間については別段法律で定めがないように聞いておりますが、そういうものがあるのかないのか、私はないと聞いておりますが、結局、現在ではそういう取りきめがないので、歴史的な経過で一年ないし一年三カ月、こういうことで教育しておるようですが、よく考えてみると、少年によっては六カ月でも十分と思われるものもおりましょうし、またごく悪質の場合は三年、五年でも不十分というのもあろうと思うのです。それを現在歴史的な経過で画一的に一年とか一年三カ月で、成果が上っても上らんでも、とにかくそういう期間が来ると押し出してしまう。これではせっかくの施設で教育したこともむだになってしまうと思うのですが、果して私が今お尋ねしたようなことがあるのかないのか、こういう点を明確にお伺いしたいと思うのです。
  66. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) それではただいまのこと、私からお答え申し上げます。全国の少年院は、ただいま仰せのごとく、本院が五十八で分院が三カ所で、六十一カ所でございます。個々の少年たちの矯正教育を受けまする期間は、ただいま仰せのごとく、平均いたしまして一年と二、三カ月になっておるわけでございます。しかしながら、これは平均でございまして、長いものも短いものもございます。仰せのごとく、これは矯正効果が上るまでは、一年かかろうが、二年かかろうが、三年かかろうが、法の許す限りにおきまして教育すべきでありますし、またその方向に向いつつあるわけでございまするが、実は多人数を入れておりまする関係から、なかなか現実の問題として参りますると、そうもいきかねる面もあるのでございます。同じように入って参りまして、やはり片方の少年が早く出ますると、本人たちもやはり出たいという気持が動いて参りまして、その間本人たちをもう少し置いておこうと思いましても、かえって置くことによりまして、本人の反抗心をそそるようなことにもなりまして、その間の調整が非常にむずかしい面もあるのでございます。かような面で現実の問題として取り扱いまするときには、いろいろと困難をかもしておるのでございますが、われわれの方ではその面もいろいろと工夫をいたしまして、やはり必要なものは残すようにはいたしております。しかしながら、これもただいま申すような現実の姿でいろいろに制約を受けますので、ただいまも申しますような平均収容期間ということになっております。われわれといたしましては、むしろ収容所別に分類をいたしまして、長いものは収容所別に長目の教育をしていこう、ことにこれらの少年たちは、今後実社会に立っていかなければならないものでございますので、職業教育を中心として少くとも今後なりわいとして立っていくだけの基礎的な教育だけは身につけて出したいということで、目下努力中でございます。
  67. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 御説明ではございますけれども、期間に特別取りきめがないとすれば、これは法があればこれはまた法に従わなければなりませんが、今のところないでしょう。ないとすれば、結局いろいろむずかしい事情があってまだ出したくないけれども出す場合もあると、そういうことですと、これは本人のためにもかんばしくないと思うのです。まだすっかり前非を悔いて善に戻っていない、そういう段階のものを出すということは、本人もまた悪化してしまうということ、それからそれを取り巻く少年たちにどのような悪影響を及ぼすかということもおよそ考えられると思うのです。こういう意味でやはり必要にして十分な教育期間は設くべきである。もし法規によってそういう取りきめがあるとすれば、そういうものについて画検討を要するのではないか、そういうことが考えられると思うのです。結局目的は、少年を善化させることが目的でこういう施設ができておるのであります。いかような困難な事情があろうとも、この施設の趣旨に沿うて、十分そういう点が遺憾なく実施されて、初めて少年の犯罪手助も実現し得ることと思うのですが、そういう点はいかがでしょう。
  68. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 多少説明申し上げましたことが足らなかったかと思いますが、実は短期の者を収容する施設も持っておるのでありまして、これは大阪の方に和泉少年院という施設を持っておりますが、ここでは割合短期間に矯正効果を上げ得るものを特別に選別して入れまして、ここでは割合短期に、六カ月程度の収容期間で目的を達するような教育をいたしておるのでございます。また、特別少年院あるいは医療少年院等におきましては、二年以上も収容しておる施設もあるのでございます。しかしながら、この少年院もほんとうは個別指導に徹底しなければならないわけでございますけれども、何しろ集団処遇をいたしております関係から、やはり個別処遇に徹底し得ないうらみがあるのでございます。さような関係から、本人を特別にとどめておくことによりまして、かえって矯正効果を上げ得ない場合が起ってくるわけでございます。かような場合には、やはり両者を彼此勘案いたしまして、よりよき方をとつていかざるを得ないわけであります。かような関係から、ただいま申しますように、もうちょっと置きたい者も、出さなければならないような面が出てくるわけでございますが、それはそれをとどめておくことによって、かえって本人の将来を誤らせるような結果を見得る場合にこれは出すわけでございまして、かような結果が予測されないようなものはさらに引き続き教育をいたすわけでございます。両者をよく見比べまして、院長の方でその在院期間を決定いたすのでございまして、われわれといたしましては、いずれにいたしましても矯正の効果をなるべく上げるべく努めて参っておる次第でございます。
  69. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 大阪には短期六カ月くらいの少年院があるそうですが、これは全国でも数えるほどしかないでしょう。そういうことであっては、なかなか目的を貫徹できないと思うのですが、やはり聞くところによると、大体六カ月未満の程度必要とするようなものについては家庭に帰されて、二年を必要とする者については大体一年くらいと、そういうような現状のように聞いております。そうなると短期を必要とする者については、あまりそういう施設の教育に恵まれないことになろうと思う。しかし、ただいまお話のあった大阪の和泉少年院のようなものが、全国にあつちこちにあればこれはまた別ですが、全国で一つくらいの施設で、なかなか多い少年を引き受けて教育ということには実際にはならんと思うのですわ。従ってそういうことを考えられたならば、短期教育を必要とする者についても、十分施設の教育に恵まれるように、そういう短期少年院とでもいいますか、そういうものを各所に設けてそういう点に遺憾のないようにすることが非常に必要かと思うのです。こういう点については考えておりませんか。
  70. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 大阪の方の和泉少年院のような施設を各管区にも持ちたいものだとは思いますけれども、なかなかこれも予算その他の関係もございまして、実現し得ない面もあるのでございますが、現在和泉少年院の方ではさような方式を取り入れまして、目下検討を加え、この成績いかんによりまして、さらに全国に普及さしていきたいというふうに考えておるのでございます。このやり方がうまく参りますれば、さらに全国的にも及ぼしていきたいというふうにも考えておる次第でございます。
  71. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 少年鑑別所に関係した法規については、少年院法の中に若干条項があるわけですけれども、そのほかには処遇規則があるだけで、単独立法というのはないんですか、この少年鑑別所については。その点をお伺いしたいと思います。
  72. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 仰せのごとく、鑑別所につきましては、少年院法の中に規定がございまして、単独立法にはまだ至っていないのでございます。
  73. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 関係者からいろいろ伺いますと、ぜひ、この少年鑑別所にも、独自の立場からの主体性を持った単独立法がほしいということを要望して、その要望を私伺ったこともあるんですが、法務省としては、現在、単独立法については、お考えがあるかないか、その点をお伺いしたい。
  74. 渡部善信

    政府委員渡部善信君) 仰せのごとく、鑑別所の方面からは、単独立法を望む声も出ておるのでございます。われわれといたしましては、少年院の機構その他少年関係機構全般につきまして、目下検討を加えておるのでございまして、ただいま大臣の仰せになりました少年法のいろいろな問題点等も引っくるめまして、この鑑別所の単独立法ということも引っくるめまして、目下検討いたしておる次第でございます。
  75. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 少年鑑別所処遇規則を見ますと、第二条に、「少年鑑別所においては、少年を明るく静かな環境に置いて」云々と、そういうことは当然だと思うんですが、さて実際に鑑別所をのぞいてみますと、どなたが見てもそうであろうと思いますが、明るいというような感じは毛頭、どこを探しても出てこないんです。これはせっかくそういう処遇規則には明文があるわけですが、実際は、私は、狭い視野で見た関係かもしれませんけれども、現実に見ると、なかなか第二条にはそぐわない施設になっていますが、こういう点ははなはだ遺憾だと思うんですが、この法に忠実であるならば、施設も明るく静かな環境でなければならぬ。当然その方向が正しいと思うんですが、現実にはそうでないんですね。この点はどうなんですか。
  76. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) ただいま御指摘通りでございまして、実は鑑別所につきましては、私ももちろん全部を自分で見たわけではございませんが、たとえば一例をあげますと、大阪のごときは、これは、明るく静かにということとは、およそほど遠いような状態であったわけでございますが、これは早急に建て直しをすることに決定をいたしたようなわけでございまして、先ほど申しましたように営繕とか予算の面においても、そういう点については、一つ一つ具体的に処理をいたしまして、規則に規定しておるようにやって参りたい、またそうしなければならぬということで、具体的な措置を進めておる次第でございます。
  77. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、婦人補導院についてお伺いしたいと思うんですが、これは私ども関係したので覚えていますが、第二十八国会で、同じく法務省設置法一部改正案が当委員会に出されまして、そこで婦人補導院につきましては、東京の、あれは府中市に決定されたわけです。これが決定されて実現を見ないうちに、六カ月もたたないうちに、今度は八王子というふうに変っておるんですが、これは法務省としては、まことに軽率な選定であったと思うんです。現実にいろいろおっしゃるかもしれませんが、何といっても、一たん法できめたものを実施しないうちに、六カ月未満でさらにまた次に移す。いわゆる選定がきわめて軽率であったというそしりは免れぬと思うわけです。この点についてははなはだ遺憾だと思うんですが、どういうふうに考えておられますか。
  78. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) この点は、お叱りを受けましても、全くどうも、私どもとしては申しわけないことでございまして、実際その通り、前に設置法でお願いいたしました府中に施設をすることが、いろいろとこまかいことは申し上げませんですが、要するに実現ができないことになりまして、あらためて近接の所の適地をようやく見つけましたので、あらためてこの点おわびをすると同時に、設置の予定箇所の変更をお願いすることになったわけであります。この点はまことに遺憾に存じます。
  79. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 時間の関係もありますから、あと一点だけお伺いしてやめたいと思いますが、今の婦人補導院については、一応府中市にきめられたということで、その施設の婦人の方々も、府中市に行くであろう、そういうふうに予期しておったと思うのです。    〔理事松岡平中君退席、理事千葉信君着席〕 ところが、今、申しあげたように、短期間にまた変更、おそらく婦人の方々は、府中市の皆さんから私どもはきらわれているのだ、非常にきらわれておるのでこういう結果になったと、そういう心理的な悪影響は、これは相当大きかったと思うのですけれども、こういう点についても、法務省としては考えたのかどうか。また、一たんきまったものを何とか一つ、その取りきめられなかったという理由については、事情はわかりましたけれども、こういうことを二度、三度繰り返すと、法務省の権威にもかかわると思うし、また、影響するところまことに大きいと思うのですが、ただ位置の変更という簡単なものではないと思うのです。ことに、ほかの省ならいざ知らず、厳正なる、公正なる法を守ろうとする法務省自体が、法に反してこういう取りきめをしたということ、しかも、それが、施設の婦人たちに非常に悪影響を与えておるということを考えた場合に、なかなかどうも調査が不十分で申しわけなかった、それだけでは済まされる問題ではなかろうと思うのです。この点について御見解を伺いたい。
  80. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) ともかくも予定したところにできなかった、そうして、ほかのところへお願いをあらためてしなければならなくなったこと、この点については、何と申しましても、私どもの努力が足りなかったわけでございまして、この点は重ねて遺憾の意を表する次第でございます。
  81. 横川正市

    横川正市君 法務研究題目一覧表の中に、各項目が年度ごとに載っておるわけでありますが、これは口述ノートになるのですか。それとも資料の提出で合同研究になるのですか。どういう格好でございましょう。
  82. 津田實

    政府委員津田實君) これは単独の専門研究でございます。それで、東京に数カ月研究期間を置きまして、そこで研究をさせまして、そうして、それによって研究した結果の報告を出させて、それを研修所で取りまとめて、部内の参考資料にする、こういうことであります。
  83. 横川正市

    横川正市君 この一部を参考資料として提出を求められた場合は、提出することができますか。
  84. 津田實

    政府委員津田實君) 大部分提出することができます。ただいままだ印刷に付してあるものもございますが、大部分は現存しております。
  85. 横川正市

    横川正市君 それじゃ資料として提出願いたいのですが、昭和二十七年度第四一集の七ですか、労働関係改正の方向とその問題点。それから、三十一年度第四五集の四、国勢調査権と検察権の限界議院における検察官の証言並びに記録の提出等について――。三十二年度第四六集の二、わが国における労働検察の回顧と展望。以上三つをできるだけ早い機会に提出をお願いしたいと思います。
  86. 津田實

    政府委員津田實君) 取り調べまして、できる限り早く当委員会に提出いたします。ただし差し上げる部数はないと思います。これは部内限りの印刷物でありますので限定しておりますので、御回覧願う向きには差しつかえないと思います。
  87. 千葉信

    理事千葉信君) 次に、経済企画庁設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより本案の質疑に入ります。ただいま出席方々は、洲本経済企画政務次官、宮川官房長、淺利総合開発局長、以上でございます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  88. 横川正市

    横川正市君 この提案理由を見ますと、原因の究明については科学技術庁がその所掌に当って実際には調査をされておるようでありますが、同時にこの審議会の構成を見ますと、関係省の次官、学界、財界、こういうような人によって審議会の構成が行われておるわけであります。これは政府としてはこの地盤沈下の対策審議会というのは、相当出てくる原因等についてはある程度究明がされておりまして、ことに新潟、東京、大阪、尼崎、四日市というような地点は、それぞれ事情を異にして地盤沈下の現象が起ってきておるのだということと同時に、それによる被害が非常に喫緊の対策を必要とするものだ、こういう建前に立って、現在それに対する対策を立てられようといたしておるのだろうと思うのでありますが、この審議会の形からいきますと、提案理由にありますように、原因の究明については科学技術庁、それから喫緊の問題だから各省次官、学界、財界の学識経験者でもって構成をする審議会、こういうふうになっておるのでありますが、実際上の問題はもう少し、系列を明らかにして、それでこの各省庁分掌事項になっているようなものは、すみやかにこれは一つの目的に一本化をしていって、そして喫緊な問題であればそれに対処をする、こういう行き方をするのが必要なんではないか、こう思うのでありますが、その点については今度の審議会とそれから科学技術庁との関係、それから政府自体として地盤沈下の現状把握、それからそれの対策をどう立てておるかというようなこと、この点を御説明願いたいと思います。
  89. 淺村廉

    政府委員(淺村廉君) この地盤沈下の問題は、御承知のように最近特に大きくなって参ったのでありまして、ただいまお話しのありました新潟の地盤沈下ももちろんでございますけれども、国全体として見ますると東京、大阪、尼崎、あるいはまた四日市といったように相当広範な地域にこの地盤沈下という問題が発生いたしておるわけであります。従いまして現在まではそれぞれその地帯における地盤沈下の原因は何であるかということを検討いたしまして、それに従いまして各省において種々対策を講じて参っておるわけでございます。最初にお話がございました新潟は別でございますが、その他の地域におきましては、ほぼこの実態もつかまれておるのであります。これに対する対策もまず予算の制約はございますけれども、順調に進んでおると考えております。新潟の問題は御承知のようにいろいろとまだ検討もされているわけでございまして、私どもといたしましては、ただいまお話がございました科学技術庁における、さらに詳しく申しますればその中の地盤沈下の調査のための特別委員会の結論が早く出ることを期待しているわけでありますが、この地盤沈下対策審議会というものをここに企画庁に設けたいというのは、何さまこの問題が各省に関係がございまして、これをどこか一本でやるということに持ってくるまでには、なかなかまだ検討も必要でございます。原因の究明につきましても、まだまだ問題もございましょうし、またその対策につきましても、あるいは立法が要るのじゃないか、特別立法が必要であるとかないとかいろいろなことが言われておりますが、いろいろな面にわたりまして今後の検討に待つものが多いのであります。従いまして企画庁にこの審議会を設置いたしまして、そして企画庁長官あるいは関係各大臣の諮問に応じていろいろと答申をしてもらうという形で、いろいろな問題について広く学識経験者、あるいは関係各省の意見を徴しまして、そうして砕いて申すならば、まあ私どもが幹事役のような形でだんだんとこの問題を掘り下げていき、また一つの形にまとめ上げていきたい、こういう考え方でおるわけでございます。
  90. 横川正市

    横川正市君 実はここに審議会の設置法律案を出されて、そうしてその新潟等は新聞でもちょっと地盤沈下の状況なんかについてこれは知ることができますが、その他の地区は、これはほとんど報道もそう回数の多いところではないわけですから、私たち自体もあまりこの地盤沈下についてどういう現象が起って、その結果被害がどの程度で、しかもそれに対してどう対策を立てられているのか、その対策が地元民その他からどう要望されているのか、こういった点を把握することは、ちょっとここの場じゃ困難なわけですね。ですから私の方ではおそらくこういうふうな設置法を出すからには、相当喫緊な事態というものが出ておって、しかも原因もある程度わかり、それに対する対案が必要なので、総合的に政府機関の中にこれらの対策をする機関を設けて、それぞれの地域に対する要望にも答えていこう、こういう考え方があってこういう審議会が作られてくるのだろうと実は思っているわけですよ。ところが、この予算内容、定員の内容、それから審議会の審議内容、これは諮問されるのでありますから諮問に応じて会議が開かれるのでありましょうが、まあいずれにしても、どうもあまり喫緊の要務に役立たないような構想のように思えるわけです。特にこれは回数なんかからいきますと一年のうちに六回、幹事会は一カ月に一回開くのですが、こういう審議制度で、少くともこの重要問題が精力的に審議されて、果して成果を上げることができるのかどうか、これは私は少くともその関係省の中に専門部門が設けられて、そこが常時対策に当って、そして解決のために審議もする、その間に専門家なら専門家に実地調査もしてもらう、結論が出ればすぐ対策を立てていく、こういうことを実は現場では望んでいるのじゃないかと思うのですね。今説明されたように、各省に所掌が分散されておる、原因もまだはっきりしておらない、対策も従って立てるとしても、なかなかうまいようにいかない。だから総合的に審議会を作って諮問に答えるような審議会の中でいろいろ検討してみたいのだ。こういうことだと、喫緊の要務として要望されておる問題と、少しずれておるのではないかと思うのですよ。今度の内閣委員会に出ております審議会の大体の内容を見ますと、一年に六回ぐらいしか会議か開かれておらない、そうして二年の時限立法になっておるのですよ。どの審議会を見てみても、年六回、二年の時限立法というものを見ると、これはどうも問題を解決するよりか、問題がどうもあまり多過ぎるので、どういうふうに解決していいかわからないが、まあ審議会ぐらい作っておいたら何とか口実がつくのではないかという格好に見えて仕方がない。仕方がないのですが、私たちのしろうととしてのこれを見たときの疑問に対して、あなたたちは専門家なのでありますが、この審議会を作って、実際上どういうふうに地盤沈下の、現地の人たちの強い要望にこたえて即効的にこれに対処しようとされておるのか。その点を一つ少し具体的に明らかにしていただかないと、これはもうどの審議会のやつを見ても、審議のその内容自体が私どもはわからないうちに、結論を出して審議会を作ってしまうとこういうことになってしまう。ことに、きょうちょっと私は衆議院の状態を見ますと、私の方も少し疎漏だったと思うのですが、衆議院ではこの法律案は満場一致で可決しながら、実は他の委員に聞きますと、これにはもう反対で、もっと別な方法を立ててくれという非常に強い要望が来ておる状態です。これはやはり審議それ自体が疎漏であったのではないかという気持がするわけです。ですから、もう少しわれわれは皆さんの要望に従って対策を立てるための法律案を作ることには、労を惜しまないわけですから、作られたものが眠ってしまうようなものでしたら、実際上審議しても効果が上らないわけですから、その点一つ具体的に説明していただきたい。
  91. 淺村廉

    政府委員(淺村廉君) ただいまお話がございましたように、問題が相当に差し迫っておるものに対しては、何かもう具体的に措置すべきであって、審議会を設けて何をやるのかというお話しであったようでございますが、私どもといたしましては、決してそうは考えていないのであります。地盤沈下の問題は、最近特に一つのまとまった問題として、大きく論議されるようになって参った問題でありまして、もちろんこれに対しましては、先ほども申し上げましたように、運輸省なり建設省なり、あるいはまた関係の各省におかれまして、種々その要請の範囲内において対策を講じておられるのでありますが、地盤沈下という一つのまとまった事態に対する措置として、総合的にこれに検討を加えることにしたということは、これはきわめて最近のことであります。それほどこの問題は大きく取り上げられて参ったのでありまして、特に油津の鉱工業地帯にこういう問題が、こういう現象が非常に起ってきておりますので、これに対して総合的に検討を加えるということの必要性が非常に大きく浮び上って参ったのであります。もちろん、新潟におきまする地盤沈下の問題、しばしば国会でお話が出ておりますが、地盤沈下、新潟の地盤沈下問題、これなども最もその対策を急がれておる問題でありまして、これなども大きな一つの対策を要する問題として、この地盤沈下対策審議会において審議をしていただかなければならぬというように考えておりますが、審議内容といたしましては、まあ大体その原因というものは、新潟県以外は把握はされたと言っておりますけれども、なかなか突きつめますといろいろの説もございまして、今後各地にこのような事態が起ってくる場合に、その原因究明についてどうしたらいいのか、どういうふうな考え方でこの問題を取り上げていったらいいのか、きわめて地方々々特色のある問題であるのか、あるいは本土、日本全体として何か共通した現象があるのかどうかといったような点、あるいはまた、これに対する対策といたしましても、単に地方的な問題として処理するべきであるか、あるいはもう少し大きく国の施策として何か共通的なものを打ち出すべきであるかどうか、あるいはまたさらにちょっと具体的になりますが、現在におきましては土木工事を主としてやっておりますが、それに対してとても一カ所に工事がまとまるまで地元が負担し切れないという苦情も出ております。従って国の負担率を上げてくれというような問題も出ておる点はございますが、そういう点は簡単に、また財政の面から割り切れない問題もございますので、そういう問題を今後どういうふうにこの問題とからみ合せて考えていったらいいのかと申し上げれば、いろいろと切りがないほど問題は広範にわたっております。行政の分野がまた広く分れておるということでありますれば、どうしても現段階といたしましては、このような審議会を企画庁に設置させていただきまして、そうして各省役人ばかりでも何ですから、学識経験者を予算の許されます範囲内で入っていただきまして、その方々の御意見も十分織りませて、何かここでこなしていただくということが必要だということを私どもは考えておるわけでございます。
  92. 横川正市

    横川正市君 どうもこれは少しばく然としていて、なるほど問題があまり大き過ぎてとらまえどころがないから、審議会を一つ作って筋道を立ててやろう、こういう概括的なことしか、実は今の答弁からはつかめないわけなんですよ。この法律案提案に伴っての予算と定員等を見ますと、定員関係は全然ふえておりません。それから本法の関係費を見ますと七億円、五億は国で見、一億は地方団体で負担をしておる。来年度の予算の中には十三億円、十億円は国、三億円は地方団体の負担になっておる。ある程度訓育その他必要に応じてこれだけ予算も細まれたことなんでしょうが、実際問題としてもう少し具体的な動きを私は示していいのではないかと思うのですが、この点はどうなんですか。審議会が作られてそうしてこれの結論が出る、ないしは行政上の結論が出ると、こういうことにならない限り、具体的には動き出すことができないと、こういう状態で地盤沈下その他はそれぞれの各省で手がけてそして調査する、研究する、それから実際に私設の工場あたりでは、自分の工場の近辺からそういう状態が出てくると、それに対して対策をひねる、あるいは国の補助助成を願う、こういうような非常に各個ばらばらな状態でしかまだ動いておらない、こういうことなんですか。
  93. 淺村廉

    政府委員(淺村廉君) どうも新潟の地盤沈下問題といろいろからむようでありますが、新潟の問題につきましては、現在科学技術庁の系統におきましてどんどん調査が進められておりまして、やがて何か結論があるいは出るのかと私は伺っておりますが、それに従いまして種々必要な行政措置が運ばれて参るかと考えております。私どもでこの審議会を設置いたしまして御審議を願いたいというのは、もちろんそれも大きな問題でございますが、その審議会が何か結論を出さない限りは片っ方の問題、その問題は全然進まないというようなことは全然考えておりません。新潟の問題のほかに、まだ各地におきまして、現在まだ地盤沈下とまでいっていなくても、次第々々に沈みつつあるというところは、日本にたくさんございます。ここで新潟のようにばたばたと何か急いで対策を講じなければならないようなところに追い込まれないうちに、あらかじめ広くながめまして、そして現在各省に分れておる行政行政として一木にするわけには参りませんが、行政の相互連絡を、もう少しこういう審議機関を利用いたしまして十分にすることによりまして、あらかじめ必要な措置を講じていきたい。まあ、いろいろ先ほども触れましたように、いろいろな問題が出てくると思います。やってみなければわかりませんけれども、私どもといたしましては、まず現在どうやっておる、どういうところに地盤沈下問題がある、どんなふうな対策が講じられておるかということを一ぺんここでもってはっきり復習をしてみまして、そうして皆さんとよく意見を交換いたしまして、しからばどういう対策を考えるべきであるかというようなことを、われわれ単独でもちろん考えるわけには参りません。従いまして、こういう審議機関に諮りまして、そしてだんだんと、しかも急いで何かまとめ上げていきたいと、こういう考え方でございます。
  94. 横川正市

    横川正市君 どうもちょっと私どもが考えて申し上げているのと、それからあなたの方のやっていることが少し遠回りをしているようですね。遠回りをすることが得かどうか、これはやってみなければわからんということになるわけですが、もっと現地の、これは新潟は特殊事情だと言う。それから東京、大阪、尼ヶ崎、四日市では、それぞれ工業地帯では、あるいは地下水の汲み上げによるんだと、この状態があって、そしてそこへ行かなければ具体的にその状態というのは見られないわけですね。この地帯、それぞれ地方へ行ってみないと、そして行く人はこれは専門家でなければならぬわけですね、実際上の状態を、対策をどうするかという……。それからこれに対して地方公共団体が負担すべきか、国が補助をすべきか、その率はいかにすべきか、それから実際にこの会社等の場合はそれはどうするか、個人の場合はどうするか、まあいろいろ地盤沈下という天然自然の現象から起ってくる被害に対する対策というものは、これはまた一つ行政事項で、民生安定のためのいろいろ対策というやつは立てられていくんだと思うんです。そういうはっきりとした現象があって、しかも専門家が行かなければわからないというんだったら、これはやはりどこかはっきりした省が担当して、日本の国のすべての地域における地盤沈下という現象は調べてみる、そしてこれはこういう原因で、こうしなければならない、これには幾らぐらい予算が要る、結果的にはどうなるということも結論が出てくる。それに対して今度はさまざまな補償だとか、それから予算だとか何とか、いろんなものをどう組むかということは、これはどこか関係の各省が一つ担当して、これはもう当然その必要に応じて政府がこれを行う。こういうふうに、もう少し傷のところには、すぐその傷をなおす薬があてがわれるような行政機構というものが考えられていいんじゃないかというのが、私たちの率直な意見です。ところが今、言われたようにいろいろの問題があるから、審議会作って、そこで一回全部を入れて、あれはこう、これはこうと置いてしまわないとならないんだというようなことは、これは幾らか少し、問題解決のためには遠回りをしているような気がするのです。しかも、その遠回りの原因は、審議会の日程や何か、審議会の持たれ方、人員の構成なんというのを見ますとはっきりしてくるわけです。その点どうもちょっとこれはふにおちかねるわけですが、私が先に言ったような方法ではできないのですか。審議会を持たないで、具体的に傷に対する薬をあてがうような方法で地盤沈下に対していく、こういうような方法はとれないのですか。
  95. 淺村廉

    政府委員(淺村廉君) ただいまのお話し、そういう考え方もあるかと思いますが、私どもといたしましては、何度も申し上げますように、この地盤沈下の問題は、相当に最近重要な問題になって参っております。特にまた、地盤沈下対策として浮び上ってくるほど重要になってきているわけでありまして、建設省においては、今までのところは河川の堤防のかさ上げ工事をやり、あるいは運輸省においては防波堤のかさ上げ工事、海岸の堤防のかさ上げ工事をやっていきたい、あるいはまた、その他の関係の省でそれぞれ必要に応じておやりになっているわけでありますが、非常に行政といたしましても、動きを加えてきておりますので、各省とも非常にこの問題についてはそれぞれ関心が深いわけであります。しかもその対象の地域が、鉱工業地帯といったようなところが多く、これに対してはまあ通産省などにおきましても、また別な方面から非常に関心が深いわけでございまして、これをどこか一つの省で取り上げて、対策を推進するというわけには、これは絶対に現在の建前では参らないだろうと思います。そこで私どもといたしましては、なまぬるいという御意見がございますかもしれませんが、審議会を設置さしていただきまして、その協議によりまして、しばしば問題を取り上げて、それを掘り下げまして、そうしてまとめ上げて参りたいという考え方であります。私どもは今まで現在そのようなことで各省間の総合調整をはかって参っている例がございますけれども、やはりこのようなやり方でやると、非常にまあ話し合いもよく行われまするし、相互の連絡においてとれないというようなことが、あまりないようになっているのであります。まあいろいろな実例から、実際やっている点から考えましても、このような審議会によってやらしていただくことが、一番当面といたしましてはいいのじゃないかというふうに私は考えております。   ━━━━━━━━━━━━━
  96. 千葉信

    理事千葉信君) 次に、郵政省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより本案の質疑に入ります。御出席の方は、廣瀬郵政省政務次官、上原文書課長でございます。
  97. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 郵政御当局に、先般改名に関連いたしまして資料を要求いたしました。ちょうだいいたしたのであります。その資料について若干お尋ねをいたしたいと思います。資料の三枚目をあけていただきたいのであります。三枚自に「封皮および罫紙在庫数調(本省分)」とあります。その中に常用罫紙と、回議用紙、これは省名が印刷されているのだが、九つの種類があって、一カ月の常備定数は両方で四万六千枚でありますから、一年にいたしますと、ざっと五十五、六万枚になるわけであります。それがもし省名がかわりますと、これはゴム印が要らんようなことが最初のところに誓いてありますけれども、インキで直すか、ゴム印で直すか、どちらかで直さなければよくないのじゃないかと、こういうように考えます。その次に「地方郵便局および郵便局用式紙在庫数等調」この中には、郵便貯金関係のもの、振替用紙、いろんなものがあるわけでありまするが、この中には、年金の返還金受領証だとか、年金貸付証書、掛金領収帳、保険金の受領証、保険還付金の支払請求書同通知書などという、金銭に関係があり、これはゴム印だけ押して果してそれで法律的に有効かどうか、争いが起ったときに問題があるものが相当たくさんあるように考えられます。その次のページの資料の「地方貯金局用式紙在庫数等調」これには、たとえば貯金の通帳は六百二十万在庫数がある。これなども、やはり正式に言いますと、相当そのまま使うのは問題で、かりにゴム印で押しても、法律的にそれで有効であるか、争いが起きたときにどうだというようなことも私問題になるのじゃないかと思います。その次のページには、保管の証書が十八万一千枚ある。さらにその次には「地方簡易保険局用式紙在庫数等調」があるわけなんですが、この中には、保険関係の、たとえば保険料の領収帳というのは百九十一万九千枚、年金証書が十万というふうに出ております。そこで、私今いろいろ申し上げましたが、つまり、かようなものは、ゴム印を押さないで、そのままで一体法律上有効であるかどうかということが一つ。かりにゴム印を押すのならば、その費用はどのくらいかかるかどうか。つまり、今度いただきました資料では、金銭関係一つも書いてありません。そこで、私の質問しようとするところは、かような改名にどのくらい国費が要るのか、手数がどのくらいかかるかということは別といたしましても、一体金がどのくらいかかって、どれだけの値打があるのかということで、金銭関係の裏づけがある資料をいただきたいということと、もう一つは、地方の方では非常に郵便局が多いので調べがつかぬというのですが、各地の調べがつかぬということはおかしいので、これはかなりに民間の会社でありますと、月に一ぺんずつたなおろしをいたしますから、本社から電話をかけれは、先月末は……電話をかけなくても、ちゃんと中央には来ているわけです。でありますから、先月末の財産が幾らということはぴちっと出てくるわけですが、官庁はそういうことをやっているかどうか私は知りませんが、各地方はこれによって幾ら金が要るか、あるいは在庫のものはどのくらいあるかということは、一週間もかかれば、私は電話でわかると思う。一万四千もある郵便局に本省から聞くというのは大へんだと思いますが、地方の郵政局の方から順々に下っていけば、一つのところはそう大した数ではないので、全体から集計してくれば私はわかると思う。問題は、本省だけに関係があるのではなくて、この改名によって全体に一体幾ら金がかかるか。帝国銀行が三井銀行に変りましたときには、何でも名前が変っただけで一億何千万円かかったということを、新聞か何かで拝見したことがあります。ああいう銀行は、計算関係がきわめて明確で、金のことはすぐわかるが、私は、実にそのときはずいぶん金が要るものだと思ってびっくりしたのでありますが、官庁はそんなことには神経をお使いにならんと思いますが、看板一つかえても相当金がかかる。木の札一つとってみても、私はやはり相当金がかかると思うのです。つまり、何億何千万円かかるけれども、これだけの利益があるから一つやっていきたい、それだけのことがなければ、ちょっと私は議題にはならぬと思うので、それで大へんお手数でありますが、これだけの金がかかるということを、数字の裏づけによって納得さしていただきたいということで、金額に関する資料の追加要求をお願いしたい。まだ質問段階にいきませんが、そういうわけで私は質問したのです。
  98. 廣瀬正雄

    政府委員(廣瀬正雄君) 資料の御要求につきましては拝承いたしましたが、実は前回の御要求に対しまして、御期待に沿うような資料の提出ができなかったことは、まことに申しわけないと思いますが、一応、文書課長が参っておりまするので、事務的に御説明さしていただきたいと思います。
  99. 上原一郎

    政府委員(上原一郎君) 八木先生の御質問の要旨は、こういうふうにいろいろ在庫数が出ているけれども、このうち省名政正を必要とするのがずいぶんあるけれども、それについてどうも答えがないということだろうと思いますが、その点につきましては、一番最初に書いてございます通り、伝票、便せん等につき、改名等に伴なってゴム印等を使用して訂正をすることは、従来からも行なっていないし、今回も行いません。それは一体どういうわけなんだと申しますならば、省令、告示等で従前作成された証書用紙は、今後も使用できるということを規定しまして処理いたしておるからでございます。実は省名を改正したらそういうようなものを一々ゴム印で訂正し、直すなり、新しいものを作るというのが本来ではないかというのは、一応ごもっともでございますけれども、今までそういうようにやっておりません。というのは、新しく作るということになりますと、先ほど御指摘通り、かなり在庫がございますので、それだけむだじゃないかというようなことになりまして、会計検査院から指摘されるということがございます。こういうことでございまして、今度は一々ゴム印を押して参るかということになって参りますと、これは今まで規定上は押さなくてもいいということになっておりましたけれども、実際問題として、対公衆に影響のあるものは押す、がしかしながら、それは郵政省で現在使っておりますゴム印はいろいろなものに使われますので、そのために、特別ということでなしに、今までの経費でやっていけるということで、とりあえずその点はあげておりませんです。一番の問題点は、そういうことであろうと存じます。それからあとは三枚目とおっしゃいましたが、別紙1は、これは封皮及び罫紙の在庫は二カ月分づつとっておりますので、二カ月たちますと使い果しますから、だから省名改正をいたしますと、その次からは逓信省という名前を印刷していくということを建前にしております。別紙2―1は「地方郵政局および郵便局用式紙在庫数等調」これは全部当って参りますと、これも最初に書いてございます通り、2のところでございますけれども、伝票は、伝票というのをわれわれの言葉で式紙というふうに解釈して、一応そういう前提をおかしていただきましたが、各種式紙類の意味に解しますが、「その種類は本省調達品のみで六百七十八品目にわたっており、本省及び地方機関において保管し、供用しているので、そのすべてについて在庫数を調べるには相当の日数を要するので」という点が御指摘を受けましたが、この点は先生がおっしゃったように、開いてみればわかるのではないかという点もございますが、さしあたり省名改正に必要でないということで調べておりません。そこで本省でわかり得るところのものを調べたのでございますが、ここに書いてございます通り、省名または大臣名に関係あるものについて見ると六百七十八品目のうち六十三品目で、在庫がございますがしかし、大体これは三十四年度の初頭、五月ごろまでには使い切ってしまうという計算が出ております。
  100. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今の御説明で私は納得がいかない点がありますから、もう一ぺん伺いますが、ゴム印で今まで使っておったやつで使えるやつがある。だから経費が要らんというふうなことを、ちょっと今お話があったのですが、今まで郵政省として使っておったやつが使えるなら、そんなものはやはり郵政省で逓信省にならんと思うのですが、その点が一つ。おそらくゴム印の台が使えて、ゴムだけ削ってという、そういうこまかい、こまかくもありませんが、言葉じりをつかまえるようすけれども、そういう意味じゃないかと私は思うのです。それからもう一つは、これも言葉じりのようですけれども、別紙1の、これは二カ月分ということをおっしゃいましたけれども、これに書いてありますのは、一月分常備定数と書いてある。それをただ申し上げたわけで、もしそうならば一カ月分常備定数というのが間違っておるのか、あるいは二カ月分しょっちゅう置いてあって、使うのは一カ月分使うのだということで、書き力がちょっと誤解を招くおそれがあるという点が一つ。それからもう一つは、三十三年の十二月末布陣数は大部分三十四年で使ってしまうことになる。これは原則としておそらく、そうでありましょう。しかし、私がなぜこの問題に再び触れたかと申しますと、前に私が決算委員会におりましたときに、郵政省がたくさん買い過ぎて、こんなに買った、こんなばかなことはない、一体幾ら買ったのかということを聞いたら、返事にちょっと困られたということが四、五年前にあったわけです。これは私は何と申しますか、大へん批評するようですけれども、郵政省のこういったような物品の管理は、必ずしも非常にやかましくない、民間よりはルーズである、こう実は考えますので、一応在庫表を私に見せて下さい。こういう意味での、失礼な申し上げ方でありますけれども、そういった意味でちょっと伺っておるわけであります。  それからもう一つは、これは省名改正とは直接関係がなくても、独立採算制の郵政省としては、すみずみまでのやはり在庫というものは、これは数字が出るのですから、これがちょっと当分わかりませんということでは、答弁にならんのです。やはりこれは少くとも民間なら一カ月、きょうの利益計算が幾らということがわかるくらいやかましく言われますけれども、官庁ですから、そこは年に一回とか、二回とかという、あり得る姿というものは、これは当然わからなければ決算ができないわけです。でありますから、私は特に二月末現在といったような、そういう窮屈なことを言わずに、三十三年末、できれば三十四年末と、この二つくらいはわかっておると思う。三月末、年度末ということはおわかりになっておるだろうから。  それから、抽出して名前を変えるものは一体どのくらいあるのだ、金はどのくらいかかるのだという、こういうことはこまかいことですから、そういう、まあ官庁としては大へんかもしれないけれども質問としてはそう無理なことを申しておるというふうには思わないので、そこのところを適当に一つお調べを願えんだろうか、こういうわけであります。
  101. 上原一郎

    政府委員(上原一郎君) 八木先生の御指摘四つばかりあったと思いますが、最初のゴム印の点については、ちょっと私の言葉が至りませんでしたけれども、ゴム印というのは現在のは郵政省でございます。ところが、省名改正になりますと、ゴム印を使うほかのケースがございますから、それで逓信省というものを作る。それを押すから特別の経費に算入しなかった。こういう意味でございます。ですから、ゴム印を削って、ゴムの台があるのじゃないかということとも多少違います。それから第二番目の点は、別紙1のことでございますけれども、これは先生御指摘通りでございます。  それから第三番目の在庫昂の問題、あるいは官庁だから多少はおくれるかもわからないけれども、普通の民間ならばそういったものは早くできるのじゃないかということは、お示しの通りでございます。従って、本省の調達品はできておりますが、ほかの郵政局調達品といったような、これはできますが、しかし、郵便局に現在ありますほんとうに使う封筒とかいったものはちょっと捕捉困難でございます。
  102. 廣瀬正雄

    政府委員(廣瀬正雄君) ゴム印のことがちょっとおわかりにくかったと思いますけれども、私の解釈では、ゴム印というのは一種の消耗品でございましてすり減ってかえなくちゃならぬというので、特別に郵政省を逓信省にかえる経費が必要でないので、郵政省がずっと続いても、ゴム印というのは適当な期間使えばかえなくちゃならぬから、そういう意味のことでございます。特別の、消耗品でございますから。
  103. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それから証書類ですね。かりにゴム印を押しても、法律的に有効かどうか。一体こういうことは、法律なら知りませんけれども、省令ぐらいで、困難なケースが起って対応ができるかどうか。そこに私問題があると思うのですが、保険だとか、年金だとか、貯金だとか、一字違ってもやかましい、なかなか金をくれない郵便局が、そういう省令くらいでいいのかどうか問題じゃないかと思うのですが、争いが起った場合、起らなければ問題がありませんけれども……。
  104. 上原一郎

    政府委員(上原一郎君) お答えいたします。郵政省設置法の一部改正で、法律にある逓信省あるいは逓信大臣といったものはこれは改めておりまして、それから救済規定として読みかえ規定も置いてあります。先生御指摘のこの省令は、省令でやることはできるかということでございますけれども、証書類は、ほとんど省令で規定しております。この省令で一般的に読みかえるということで、法律的には可能であるし、今までそういうふうにやってをております。
  105. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 たとえば、簡易保険やいろいろの通帳に郵政省と書いてあるかどうか、私ちょっと不幸にして知りませんけれども、かりに書いてあれば、その法律一本で、それが全部読みかえになりますか。
  106. 上原一郎

    政府委員(上原一郎君) その法律に基いたところのと政令、それから省令の読みかえ規定を必要といたします。従ってこの法律が通過いたしますと、すぐ省令で読みかえる、あるいは改めるという省令を郵政大臣が出すと、こういうことになります。
  107. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 つまりそうすると、貯金の通帳とか、保険の証書に、郵政省何とかいういろいろなやつが書いてありましても、郵政省で当然だと、それによってトラブルは一つも起らない、そういうふうに法律でお読みになればいかがですか。
  108. 上原一郎

    政府委員(上原一郎君) 法律的にはトラブルは起きないということになっております。
  109. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そうすると、何十万という、あるいは何百万という証書が方々にある。それらがみな郵政省と書いてあるけれども、逓信省と書いた方が気持はいいから、民間では郵政省は何十万、何百万とあるが、本省では逓信省であるという、これは賛否両論のことになっておりますけれども、実益はどこにあるのですか。たとえばここにありますね、今の貯金通帳が六百万全国にある。おそらくこの在庫数がもっとあるのじゃないかと思って申し上げているのですけれども、全国で幾ら郵便通帳がありますか。
  110. 上原一郎

    政府委員(上原一郎君) 現在、別紙2―2の式紙布庫数等調でございますけれども、貯金通帳の在庫数といたしましては、三十三年の三月末が先生御指摘の六百二十二万で、三十三年十二月末に二百三十一万になっております。
  111. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 この表と離れて、つまり貯金通帳、それから簡易保険の証書、それから年金類の証書、そういったつまり民間に配付と申しますか、民間にある郵政省という名前のついたかような金銭に関係のあるのは何百万くらいあるのですか。
  112. 上原一郎

    政府委員(上原一郎君) 非常に即答いたしかねますが、貯金だけで例をとりますと、現存貯金の原簿の口座数が約二億近くございますが、しかし、そのうち活動しているのが一億と、大ざっぱにきめております。が、これは逓信省のもございますれば、郵政省のもございますれば、逓信院のもございます。こういう状況じゃなかろうかと思います。
  113. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そこで、新しい資料としてお願いしたいと思いますが、つまり郵政省名義で民間に現在出ている保険関係、それから貯金関係年金関係、これのいわゆる通帳的な、金銭に関係のある帳面類は幾らあるか、現在数をこの次に御提出を願いたい。
  114. 上原一郎

    政府委員(上原一郎君) ちょっとお言葉を返すようですが、お聞きいたしますが、金銭に関係のあるという意味で通帳類とこういうことでございますか。
  115. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そうです。ちょっと私の伺う意味を補足して申し上げておきますが、つまり名前を変えないで法令一本で郵政省が逓信省に変る。だから本省ではすでに逓信省になっておるけれども、山間僻地には相変らず郵政省の通帳が流布されておる。そういう実際と違うことがあるが、それでもなお名前を変えなきゃならぬかというそれの参考資料に、一体全体、日本全体でどれくらい郵政省というものがばらまかれておるかということを伺いたい、こういう意味です。
  116. 松岡平市

    ○松岡平市君 八木君の質問の一番主たるものは、やはり郵政省を逓信省に名を変えた場合に、いろいろな印刷物初めその他看板等からやはり金がかかる、幾らかかるか、こういうことが一番主たるものです。そのほかにも、今の御質問趣旨から、御発言の趣旨からいたしますれば、ほかにも考え方はあるけれども、一番主たるものは、一体金が幾らかかるか、こういうことだと思う。この点については、おそらく郵政省当局としては、ある程度の先ほど既定経費でまかなえるというお話があったが、既定経費でまかなえるというそのまかなえる限度は、一千万であるか、一百万であるか、だいぶ違うわけです。大体これをこういう程度に金がかかるのだということ、これを一応計算されて、そしてむしろ金を先に出されて、その内容はこういうものである、そのほかには金はかからんというふうな資料を、これは私の方から要求します。今、八木先生のされたのは、そうじゃなしに、印刷物その他で、私の方はそうじゃなくて、変えなくてもいいものは除いて、変えなければならぬもの、どうしても金のかかるもの、ゴム印を作るにしても、ゴム印は、今おっしゃるように、なるほど消耗品であるけれども、新しく作らなければならない、そういうものに幾らかかるか、ゴム印等はあとにずっと引き続いて、郵政省であろうが逓信省であろうが、大体同じことだとおっしゃるけれども、やはりそうはいかない。新しく作って、またあと耐用年数が半年あるもの、一年あるものもあろうと思う。そういうものは全部廃棄して別なものを作るわけです。一応経費がかかってくるわけです。それが既定経費でまかなえるのは、幾らの見込みであるかということを明らかにしたものを計算して、やはりなるべく早くお出しを願いたい。委員長からお諮り願って資料として御提出になるようにお取り計らい願いたい。
  117. 千葉信

    理事千葉信君) ただいま松岡委員の要求された資料、できるだけ早く御提出を願いたいと思います。
  118. 廣瀬正雄

    政府委員(廣瀬正雄君) 承知いたしました。
  119. 前田佳都男

    前田佳都男君 省名変更によって金のかかる面も相当あると思うのですが、先ほど文書課長からお話しのように、法律の読みかえの規定を置くことによって解決できる面も相当あると私は思うのです。だから必ずしも全部が全部正直にきちっと書きかえなくてもいい面もあるし、それからこれは私、前の国会か何かで、田中大臣のときにちょっと聞いたのですが、かつて逓信省といったときに使った判ことかそういうふうなものが相当倉庫にある。それはどの程度にあるか知らんけれども、これはまた景気のいい話で、それは相当使えるのだという面、そういう面でもプラス、マイナスというか、そういう面でも寄与する面もある。そういうことも一つ合せて、もしそれがあれば資料としてついでにお願いいたしたいと思います。
  120. 廣瀬正雄

    政府委員(廣瀬正雄君) 承知いたしました。
  121. 千葉信

    理事千葉信君) 本案に対する本日の質疑は、以上にとどめ、これをもって散会いたします。    午後三時二十六分散会