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1958-12-23 第31回国会 参議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十二月二十三日(火曜 日)    午前十一時十三分開会   —————————————   委員の異動 十二月十九日委員西田隆男辞任につ き、その補欠として堀木鎌三君を議長 において指名した。 十二月二十日 委員宗雄三君及び竹下豐次君辞任に つき、その補欠として重政庸徳君及び 加賀山之雄君を議長において指名し た。 十二月二十二日委員重政庸徳君及び加 賀山之雄君辞任につき、その補欠とし て重宗雄三君及び竹下豐次君議長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     永岡 光治君    理事            大谷藤之助君            松岡 平市君            千葉  信君            竹下 豐次君    委員            佐藤清一郎君            柴野和喜夫君            堀木 鎌三君            松村 秀逸君            伊藤 顕道君            矢嶋 三義君            横川 正市君            八木 幸吉君    国務大臣    運 輸 大 臣 永野  護君    建 設 大 臣 遠藤 三郎君    国 務 大 臣 佐藤 義詮君   政府委員    総理府総務長官 松野 頼三君    総理府総務副長    官       佐藤 朝生君    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室長     増子 正宏君    宮内庁次長   瓜生 順良君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁経理局長 山下 武利君    調達庁長官   丸山  佶君    大蔵政務次官  佐野  廣君    運輸省鉄道    監督局長    山内 公猷君    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    大蔵省主計    局給与課長   岸本  晋君    運輸省鉄道監    督局国有鉄道  深草 克己君    部財政課長    建設省営繕局長 桜井 良雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選恩給法第十一条第一項等の金融機関  を定める法律案田畑金光君外五名  発議) ○公共企業体職員等共済組合法の一部  を改正する法律案内閣提出) ○国家行政組織に関する調査の件(東  宮御所建設の入札に関する件) ○国の防衛に関する調査の件(駐留軍  による被害の補償等に関する件) ○委員派遣承認要求の件   —————————————
  2. 永岡光治

    委員長永岡光治君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、理事補欠互選の件についてお諮りいたします。去る十二月二十日竹下豐次君が一たん委員辞任され、昨二十二日委員に復帰されたのでありますが、この際竹下豐次君を再び理事に選任することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  4. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 次に、昨日本委員会に付託されました本院議員発議にかかる恩給法第十一条第一項等の金融機関を定める法律案につきまして、発議者から提案理由説明を聴取いたします。説明を求めます。発議者千葉信君。
  5. 千葉信

    千葉信君 ただいま議題となりました恩給法第十一条第一項等の金融機関を定める法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  恩給法による恩給戦傷病者戦歿者遺族等援護法による遺族年金等につきましては、これが受給権者生活の保障を目的とするものであることにかんがみまして、その権利を譲渡しまたは担保に供することが原則として認められず、ただ、国民金融公庫に対してのみ、これを担保に供することが法律上認められていることは、すでに御承知通りでございます。  労働金庫は、労働者福利共済活動を促進し、その経済的地位向上をはかるため、昭和二十五年岡山県に勤労者信用協同組合として初めて発足したのでありますが、その後昭和二十八年に労働金庫法が制定されるに至りまして、ますます健全なる発展をとげ、現在、その数全国で四十六金庫を数え、その総預金高は二百五十数億円に達する状況であります。しこうして、労働金庫は、他の金融機関と異なり、労働者等消費生活に直接結びついた金融を行う営利を目的としない自主的組織でありまして、過去における貸付内容を見ましても、生活費福利共済費、賃金遅欠配対策費医療費高利貸肩がわり資金等貸付の大部分を占めております。  かような金融機関としての性格から申しますと、労働金庫生活資金の供給を目的とする恩給担保金融を行うのに最もふさわしい性格を具備していると考えられるのでありますが、現行法のもとでは、国民金融公庫を除いては、これを行うことは許されていないことは、ただいま申し上げた通りであります。  さて、国民金融公庫における恩給担保金融の現況を見ますと、昭和三十三年度における資金需要額は約百二十億円になっており、これに対応する国民金融公庫恩給担保金融関係貸出予定高は、わずかに七十八億円にすぎず、恩給遺族年金等受給者の大部分を占める戦歿名遺家族等は、その生活資金高利貸金融に依存せざるを得ない実情であります。かくては、国家恩給遺族年金等を支給し、かつその権利を保護して受給権者生活の安定をはからうとする趣旨は全く没却せられることとなるのでありまして、はなはだ憂うべきことであると考えざるを得ないのであります。  以上述べましたような状況にかんがみまして、今回、この法案を提出し、労働金庫もまた国民金融公庫と並んで恩給等担保金融を行い得ることとし、その公正な融資を通じて遺家族等の福祉の増進と、その経済地位向上をはかり、あわせて労働金庫の健全な発展をはからんとしたのであります。これが本法律案提案したおもな理由であります。  以下、法律案概要を御説明申し上げます。  まず第一に、恩給遺族年金等は、労働金庫に対しても、これを担保に供することかできることといたしております。しかして、ここに恩給遺族年金等には、恩給法その他の法令による恩給戦傷病者戦歿者遺族等援護法による遺族年金その他の給付公共企業体職員等共済組合法による給付国家公務員共済組合法市町村職員共済組合法農林漁業団体職員共済組合法及び旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法による年金である給付を包含することといたしております。  第二に、国民金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律改正することといたしております。同法律は、国民金融公庫の行う恩給担保金融円滑化をはかるため、国民金融公庫恩給等担保として貸付をする場合におけるその担保の効力に関する規定を設けているのでありますが、労働金庫につきましても、その行う恩給担保金融円滑化をはかるため、同様の法的措置を認めようとするものであります。  第三に、これに伴う関係法律の整備を行うことといたしております。  以上がこの法律案概要であります。何とぞ、御審議の上すみやかに御賛成下さるようお願いいたします。
  6. 永岡光治

    委員長永岡光治君) それでは、本案審議は後日に譲ります。   —————————————
  7. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 次に、公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案議題といたします。本案につきましては、前回提案理由説明を聴取いたしましたので、これより本案質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  8. 千葉信

    千葉信君 担当永野国務大臣お尋ねをいたしますが、この法律案審議に当って、担当国務大臣のお考え、それから大臣にかわって答弁する場合における政府委員資格問題等について、まだかなり疑義が残っておりますが、法案審議日程等関係で、その問題の究明等につきましては、次の適当な機会にこの際譲ることにいたしてもよろしいと存じますが、その次の機会に譲ってもよろしいと考えます一つ理由として、この法律案審議前提となる第二十八国会において成立しました五現業等職員に対する共済組合法審議に当りまして、御承知のように衆議院の方で付帯決議が行われました。その付帯決議趣旨が十分に生かされているかどうかということが、この法律案審議の大きな前提となっているわけでございます。何か私の承わるところによりますと、政府部内においてこの付帯決議に関する問題等について、かなり話し合いが進み、具体的な方針等も御決定があったというようなお話もございました。そこでもしその点が明確になっておるということになりますと、私はこの法律案審議については、かなり大きな障害が除かれたという認識でございます。従ってその付帯決議の中心となりました問題が大体二つあるようでございます。その一つは、この法律がこのまま成案となります場合に五現業等職員に対する退職手当の支給の金額公社職員に対する退職手当等金額かなり均衡が起るわけでございます。従ってその不均衡については、できるだけすみやかな機会に、これは次の国会という表現になっております。次の国会政府がその改正に関する法律案提案すべきだということになっておる、この点が一つ。それからもう一つは、政府部内における種々の折衝を通じて、ただいま申し上げた退職金についての法律提案に当っては、その前提条件として共済組合積立金一定額大蔵省資金運用部預託をするということが条件として主張されたということでありまして、この点につきましても、行政部内における折衝によりまして、かなりその話し合いが進んだという連絡でございますが、これは主として衆議院大蔵委員関係の方からの正式な連絡でございましたが、この際この点について、永野担当大臣の御明確な御答弁を承わっておきたいと思います。
  9. 永野護

    国務大臣永野護君) まずもって千葉委員が一番冒頭の、私が当委員会に出る資格の問題、及び政府委員資格の問題に関する疑義を次の機会に延ばそうという御発言は、この本法律案審議を進捗していきます上にまことにありがたいと思っております。これは実は千葉委員のお説と私の法制上の見解には残念ながら非常にまだ懸隔があるのでありまして、これをやっておりますと、相当の時間がかかると思います。従いましていつの機会か、これは実は非常に大きな問題でありまして、単にこの委員会だけの問題ではなくて、一般国会における審議の共通の問題であります。従いまして、決して私は打ち捨ておいていい問題とは思いません。ということは、私が千葉委員のお説に賛成するという意味ではないのでありますから、そこは御了承願いたいのでありますが、そういうふうに一つ御了解を願いたいと思います。  退職手当暫定措置法改正問題の御質問でございましたが、ほぼ成案を得ましたので、近く国会に上程することになっております。これは実は詳細は担当大蔵省関係になっておりますから、大蔵省政府委員から説明をすることにいたします。
  10. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) ただいま千葉委員お話しの前回改正によりましての、五現業公社との退職手当金の不均衡の問題でございますが、御承知のように五現業の方は共済年金が低くて公社が高い、退職手当の方はそれと反対という現実に照らしまして、いろいろ御議論がございまして、これを前国会においてこの共済年金改正が行われました際にも、こういう付帯決議の次第もございまして、私どもの方といたしましては、話し合いのつき次第できるだけすみやかに退職手当の引き上げを行いたいという熱意を持っておる次第でございます。ただその幅等につきましては、ただいま確定したものはございませんけれども、適正に諸般の情勢を総合いたしまして、できるだけすみやかに、今国会には提出する準備を持っております。  それからこの積立金の一部を資金運用部預託することの問題でございますが、この問題も大蔵省といたしましては、理屈がつきますれば、できるだけ資金運用部の方へいただきたいという気持は十分にございますけれども、しかしながらこれも単に私どもが希望するだけで、それをことごとくこちらの方に吸収するというふうな大それた考えを持っておるわけではございませんので、話し合いがつきましたらそうしていただきたいと思いますけれども、しかしこれも情勢によりまして、またお話し合いによりまして処理していきたいと、かように考えておる次第でございます。
  11. 千葉信

    千葉信君 そうしますと、退転手当の増額の問題については、ほとんども決定という段階だと了承いたしますが、もう一つ大蔵省資金運用部の方へ預託をするという関係については、残念ながらまだはっきり政府部内における話し合いが固まっていないという段階でございますが、ただいまの大蔵政務次官お話を聞いておりますと、まあ私どもの希望がまだ完全に打ち砕かれたとは考えられない段階で、十分大蔵省としても好意的に問題のスムーズな解決のためにいろいろ肝胆を砕いておられる御様子がありますので、私はこの際問題の紛糾を避けるために、大蔵省当局に対して、資金運用部資金預託問題等についてはもちろん、大蔵省の主張している地方公務員関係と、もしくはまた国家公務員等関係も出て参ると思いますけれども、現在の実際の状態を見ますと、たとえば今回問題になりましたところの公社関係共済組合等におきましても、従来の積立金運用状況からいいますと、大体六分七厘程度に回っていて、かなりその福利厚生施設等に十分なとは言えないまでも、かなりな貢献をしておるようでありますが、この点がその資金運用部預託をするということになりますと、六分程度という格好になり、実際上の共済組合活動の上に甚大な影響を及ぼす問題ですので、この点は当該利害関係者等立場を十分考慮して、大蔵省としてはあまり強い態度で自説を固執して、利害関係者の不利を免かないように適切な考慮をしてもらうということを私は条件として、この際大蔵省に強く希栗申し上げて、この問題についての私の質問は一応ここで終りたいと思います。
  12. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) 千葉委員のお説、よく拝聴いたしました。それでこれは金利の点等から申しますと、お説のように六分七厘で、資金運用部の方が六分というふうな格好もございますので、この点も十分考慮いたしたいと思いますが、ただ、私の方ではこの資金を効率的に運用するという建前から、そういう意見を持っておるわけでございまして、御趣旨に沿いまして各種関係者と協議いたしまして、できるだけ御趣旨に沿うように検討の上努力いたしたいと、かように考えます。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大臣に二、三お伺いしますが、公共企業体付加給付について、前国会で一部質問しかけたわけですが、引き続きそのことでお伺いしたいと思います。  これは第二十八国会での国家公務員共済組合法改正に際して、衆議院においての修正がなされて付加給付をすることができるようになったわけですが、三十一条の二に、結局「組合は、運営規則の定めるところにより、前条各号に掲げる給付にあわせて、これに準ずる短期給付を行うことができる。」と、ここで国家公務員共済組合法改正に伴って、これも公企体共済組合付加給付をすることができるというふうになったわけですね。ここではっきりしたわけですか、そこでその後公企体共済付加給付はどのように扱われてきたか、この点をお伺いしたい。
  14. 永野護

    国務大臣永野護君) 非常にこまかい、事務的にこういうことをやったということになりますから、政府委員から説明させます。
  15. 深草克己

    説明員深草克己君) ただいまお尋ね付加給付につきましては、実はどういつたものに……、要望は相当組合員の間から出ております。ただ現在の法定給付のものにプラスしてやる方法が主でございますが、運営審議会できめまして実施をするのでございまして、それと財源の長期的な見通しがありませんと、一度付加給付をやりまして、本年限りでその付加給付をやめるというわけにも参りませんので、その点運営審議会組合員並びに当局者、こういったもので目下どういったものにすべきか、どの程度にすべきかということを検討中で、まだ実施に入ったものはございません。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは「行うことができる」という委任立法になっておって、まことに実現性が疑われるわけですがね。そういうことで、ただ「行うことができる。」というだけで、実際に実現しなければ立法意味がないと思うのです。そういう意味で、これを近く実現させようとする努力を払っておられるのかどうか、そういうことを考えておられるのかどうか、そういうこ  とをお聞きしたい。
  17. 深草克己

    説明員深草克己君) 法律に入る前からこういった要望が非常にございまして、まず国家公務員共済組合法付加給付規定が入りまして、それと同時に、それの付則でこちらの改正になったわけでございます。もちろん「できる」と書いてございますが、できるだけ組合員要望に沿いたいという気持は持っております。ただ先ほども申しましたように、長期的な財源見通し、それから付加給付をやたらにやりますと、掛金がやはりふえることになりますので、その辺のかね合いもございますし、まあ、法律ができたからすぐやるというわけにもいきませんし、いろいろな角度から検討しておりまして、決して「できる」と書いてあるからやらなくてもよろしいというような考えは毛頭持っておりません。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは少々古い資料に基く調査ですが、昭和三十一年四月一日現在で、健康保険組合の数は九百十ばかりあって、その中で実態調査で回答したのが八百七十六、そうして付加給付実施組合が八百八と、そういう多数に上っておるわけですね。ほとんどが健康保険では付加給付は実現されておるわけです。そういう点から、こういう現実をどのように見られておるのか、その点をまずお伺いしたい。
  19. 深草克己

    説明員深草克己君) 健康保険法関係は、相当付加給付規定が入りましたのかこの法律よりも早いのでございまして、従って実施も早くはかれたということではないかと思います。これは本年の夏に入りました規定でございまして、ただいまも繰り返し申しますように、やる意思はございますけれども、どういうものをやるかということは、現在検討中であるということでございます。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これはこの前大臣にお伺いしたわけですが、健康保険法第十二条は、共済組合健康保険の代行であるという点と、その二項に「給付種類及程度ハ本法給付種類及程度以上ナルコトヲ要ス」、こういうことについて、この「以上」というこの「以上」の意味大臣は、以下ではない、同等も含む、そういう御回答であったわけです。
  21. 永野護

    国務大臣永野護君) そうなのです。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、私が譲ってそうだとしても、この法案改正に当って、健康保険十二条の趣旨をどのように実現するのかということは、非常に重要な問題だと思う。そういうことでこの点は特に大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  23. 永野護

    国務大臣永野護君) ごもっともでございます。以上か以下か、同じかどっちを含むかという問題があったわけでありますが、少くも同程度のことはしなきゃならぬというふうに了承しておりますから、できるだけ御趣意に沿うように努力いたしますが、今説明員が申しましたように、予算、つまり具体的の計数の問題になりますと、いろいろ考えなければならぬ点もあるのであります。しかし、御趣意はごもっともと思いますから、なるたけ早く具体化するように努力いたします。まあ、こういう答弁は大体きまり文句のようですけれども、決してそうでなくて、気をつけます。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この改正案を見ますと、共済組合員から熱望されておる給付内容改善という点があまり考慮されていないようですね。この点ははなはだ遺憾だと思うのですが、何か具体的には考えておられるのですか。今すぐということでなくても、近い将来あの点はこういうふうに改善したい、そういうようなお考えはあるのかないのか。
  25. 深草克己

    説明員深草克己君) 今回の改正に、実質的な組合員の希望するものがあまり盛られてないということは、まあわれわれも同感でございますが、ただいろいろ改正するに当りまして、全般的に考慮しなければならない問題が残っておりますので、近くまた第二次の改正を出すつもりでございますけれども、それには相当部分給付内容改善といいますか、是正といいますか、ほかの共済組合法との関連もございます。例をとって申しますと、軍人恩給の期間を、現在この法律では別個に取り扱っておりまして、通算はしておりませんですけれども、これを選択権を認めて、通算をしてもらいたい、軍人恩給を放棄するから通算をしてもらいたいという者には通算をするようにいたしたい。それから遺族の範囲が、これまた国家公務員共済組合法と違っておりまして、たとえば組合員がなくなったときに、本人の父が五五才になっておらないと五十五才が過ぎても永久にもらえないというような関係になっております。こういった点は、国家公務員共済組合法に準じて改めたい、そういうふうに考えております。近く成案を得ますれば、第二次の改正としてさっそく国会に出したいと思っております。
  26. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私の今お伺いしたのは、短期給付内容改善についてお伺いをしているのです。短期給付内容改善考えられていない、そのことを申し上げたのです。その他のことではないのです。それと健康保険改正に伴う一部負担増がそのままこの法案にも導入されておるわけだが、そういう点は遠慮なく導入されて、一方今の給付内容改善、これは組合員にとって一番大事な点なのだ、そういう点が具体的に考慮が払われていないのだという意味なのです。この点についてはどうですか。
  27. 深草克己

    説明員深草克己君) 短期給付につきましては、この前も大臣からお答え申しましたように、やはり健康保険法規定を軸としまして、各公的共済組合法がある程度歩調をそろえなければいけないというふうに考えておりますので、今回短期給付関係改正歩調をそろえるという改正でありまして、その点は御了承いただきたいと思うのですが、その他短期給付関係法定給付で、ほかの共済組合よりもよくするということはいかがかと思いまして、先ほど申しました付加給付の点で、組合財政によりまして、だんだん内容向上していきたいと、こういうふうに考えております。
  28. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それじゃ具体的に二、三お伺いしたいと思うのですが、たとえば家族療養費、これは御承知のように半額給付になっておるわけですね。これを七割給付程度に引き上げられないものか、こういう声が強いわけですが、この点についてはどうですか。
  29. 深草克己

    説明員深草克己君) それも短期給付短期経理の中のやりくりでございまして、組合がどれほど家族療養のために費用を持つかということにかかって参りまして、やはり付加給付という問題で解決できる問題だと思います。ただ、家族に非常にやりますと、全体として短期掛金がふえるということになりますから、共済制度としましてどの程度までその罹災をした、あるいは病気をした人の救済のために、健康な組合員が犠牲になるかという目安の問題だと思うのです。その点は組合財源ともにらみ合せまして、これは監督官庁がどうこうということでなくて、ある程度組合自主性にまかしたいと思っておりますか、要は掛金のように、ある程度長期的な見通しの問題もございますので、今ここで監督官庁家族療養費を五割から七割くらいに上げるかどうかということに対して、直ちに上げますという答えは今はできないと思います。
  30. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 たとえばまた分べん費ですね。これは組合員については本俸の一カ月分、扶養家族については二分の一と、こうなっておるわけですが、分べん費についても、これは療養費と同様、実際にかかった実費を支給することが、社会保険立場から当然だと思うのですね。本人が病気をした場合には、全治するまでの全額を給付で支給されるわけですね。ところが、分べん費組合員本人が分べんした場合本俸の一ヵ月だけでは、実際にはなかなか足りないわけです。療養費と同様、これは実際にかかった実費を支給するのがどう考えても至当だと思うのですが、その点どのように考えておられるか。
  31. 深草克己

    説明員深草克己君) 分べん費組合員、つまり女の組合員が分べんした場合は一カ月分、組合員の妻が分べんした場合は半額ということは、実情を考えますと不合理だということはよくわかりますが、ただ先ほど申しましたように、家族療養費の問題と同じように考えますと、組合員が分べんした場合と、被扶養者が分べんした場合と、ある程度やはり組合共済制度という関係から言いますと、差別があってもいいのじゃないかと、法律上はそういうふうに考えます。ただ、これはこの前の御質問にもございましたように、法律改正の問題で、付加給付とは若干性質の異なるものだと思います。各共済組合法との関連もございますし、全体として政府として考えていかなければならぬ問題と考えております。前に大臣からお答えいたしましたように検討いたしたいと思っております。
  32. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 たとえば、日赤中央病院の実態調査によりますと、これはちょっと古い数字なんで恐縮なんですが、それを一応見ますと、三等で一週間入院の費用が八千六百五十円、その他の実費として二万三千四百十一円、計三万二千ばかしの費用が実際にかかるわけですね。この程度給付が、今の公企体の共済の経済状況でできないことはないと思うんですがね、この点どうですか。
  33. 深草克己

    説明員深草克己君) これはまあ、各公社の負担、経理、この前資料をお出ししましたように、現在は程度の差はありますが、黒字になっております。ただ、あのときに御説明申し上げましたように、医療単価が一%値上りしますし、その他そのほかの付加絵付をどういうふうに持っていくかというような問題もございます。長い目で見まして、今の黒字がいつまで続くかという問題になりますと、そういった分べん費の引き上げ問題なんかがはっきり出て参りますと、やはり財政的に考えましてできるかどうかということを検討した上でないと踏み切れない問題だと思います。
  34. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この分べん費に対して、最低保障額を設定するお考えはないのかどうか。これは本俸の高い人はいいですがね、一カ月あるいは家族でも二分の一ということで、不十分ながら俸給が高ければ相当額になるわけですけれども、本俸の低い人については最低保障額というものを設定しないと、非常に気の毒な実情になるわけですね。この点については、どうしても最低保障額というものを設定する必要があろうと、まあ最低二万円くらいの保障額は必要だと思うんですね。こういった点についてどのようにお考えですか。
  35. 深草克己

    説明員深草克己君) 最低保障の問題は、これは短期給付全体について言える問題ではないかと思います。ただ、共済組合の建前といたしまして、給料の安い人は掛金が少い、高い人は掛金が多いということでございまして、その間にただあまり安いから安くていいんだということにはならないと思いますが、最低保障をつけるという問題は、やはりこの共済組合法一つの大きな問題点だと思っております。今そういう改正をする意思があるか、ということでございますが、直ちにはそういう意思があるということも申しかねますし、検討いたしたいと思っております。
  36. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この短期給付の実際の例として、いま一つ結婚資金についてもお伺いしたいと思う。これは現在は設定がないわけですか、低賃金政策下にある日本の勤労者としては、結婚資金というものは非常に重大問題なんですね。結婚を早くしたいの、だけれども資金関係でなかなか準備ができない、こういうお気の毒な方々が多いと思う。ところが、民間産業労働者は、こういう面では非常に恵まれておるわけです。結婚資金とか、結婚祝金あるいは貸付金、こういうような制度を設けて、相当結婚資金の面については優遇しておるわけです。こういう点、当然考えられなければいかぬと思うのですか、こういう点についてお考えになったことかあるのか。
  37. 深草克己

    説明員深草克己君) 結婚資金につきましてはこの前もお尋ねがございまして、現在の法定給付の中には入っておりません、大臣から検討したいというお返事を申し上げましたので、つけ加えることもないと思いますが、ただ、現在の共済組合の建前は、やはり相互救済といいますか、まあ、短期給付のいろいろな給付内容を見てみますと、人がなくなったとか、あるいは病気にかかったとか、そういう非常に悲しいことに対する救済が多いようでございまして、おめでたいことに対する場合はあまりないようでございますので、これまた一つの制度としては大転換になる問題だと思うので、大臣がおっしゃったように、そういったものまで入れるかどうかということは検討いたしたいと思っております。
  38. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 最後に大臣にお伺いしたいのですが、国家公務員共済組合法では、軍人恩給期間を通算しているわけですが、この法案ではそういうことか見られないわけです。これはまことに不公平だと思うが、この点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  39. 永野護

    国務大臣永野護君) 軍人恩給につきましては、公共企業体職員等共済組合法施行の際に、いろいろな事情で共済組合では救済しないで別建としたわけであります。さきに行われました恩給法の一部改正との関連及び国家公務員共済組合法本人の選択によって軍人恩給期間を吸収されることにいたしましたのと、先ほど申しましたようなつり合いをとっていくという形から、これは再検討しなければならぬものと存じております。ただ、軍人恩給共済組合に引き継ぐ場合の負担、これの増加という問題がありますのと、それからすでに退職した人について、その取扱いをどうするかという問題がありますので、事務的にもう少し検討を加えたいと存じております。しかし、ただいま申しましたように、つり合いの上から言いましても、軍人恩給期間を含めた方がよいという考えは持っておりまするので、その事務的な成案ができましたら、改正いたしたいとこう考えております。いましばらく御猶予を願います。
  40. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 恩給法改正されて昭和三十五年七月からだったと思います。が、七年未満の軍人期も文官恩給期間に通算される、こういうことになったわけですね。こういう点からも、公社共済組合についても、通算することは当然至当であろうと思っている。こういう点でいかがですか。
  41. 永野護

    国務大臣永野護君) 御説ごもっともだと思うのであります。だから大体の方向は、御趣意に沿うように進めておるのでありますけれども、先ほど申しましたような、まだ事務的にもう少し検討する余地が残っておりますので、成案を得次第に改正いたしたいとこう考えております。
  42. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私はこの法案審議するに当って、岸内閣の大きな方針を国務大臣あるいは国務大臣相当官の総理府総務長官からお答え願いたい。まず第一番に伺いたい点は、国民皆年金ということを指向している、かように了承してよろしゅうございますね。
  43. 永野護

    国務大臣永野護君) さようであります。
  44. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 では伺いますが、第二十九国会において、五現業並びに雇用員を対象とする国家公務員共済組合法が上程されました。そうしてそれと健康保険法の一部改正が行われまして、それらとの関連でここに三公社、すなわち公共企業体職員を対象とする法律案が、そのバランスをとるという立場から出てきたわけですね。そうなりますと、今、年金というものを考えられているわけですが、国民皆年金という方向を指向するとすれば、とりあえずこの国家公務員共済組合法並びに公共企業体職員等共済組合法の適用外の国家公務員、さらに地方公務員の問題が当面の問題として起ると思うのですね。従ってこの法律案を調整する意味において出した以上は、国家公務員並びに地方公務員に対するものに方針というものかはっきりしていると思うのです。その方針を承わりたい。
  45. 松野頼三

    政府委員(松野頼三君) お答えいたします。あと残りますのが国民の中でも大きな問題として、一般の公務員の今日恩給制度というのが実施されております。今回現業及び三公社というものが、ある程度前進して退職年金というものが実施される。そうなりますと、当然これに合わせるという意味で、今回の公務員の問題は、公務員法の改正の中に大きな柱として立たなければならないと思います。しかし、それはすべて同様にやるかというと、おのずからその立場と、その職務とあるいは経歴というものが変っておりますから、全部平等にやれという方針は、その方向に沿いますけれども、おのずから恩給というものの今日までの歴史、及びその中に包含されているいろいろな諸問題がご承知のごとくございますから、一ぺんにそれが平均にならされるかどうかということは、ある程度年月をかしていただかなければ、ことに年金制度というのは相当長期にわたるものでありますから、急に変えるということも、なかなかこれはできない現状でございます。また、それに加入されておる加入者の保護の立場から考えても、急激に変化をするというと、既得権なりあるいはすでに今日までその契約のもとに実施されております自己の権利というものを、急激に変えるわけにもなかなか参りませんので、その辺で今回の公務員の問題も、いずれこの国会中には成案を得たいと今日努力いたしております。ことに、これは大きな恩給というものになりますので、内容も非常に多岐複雑でありますので、一がいに恩給にならって右へならえと機械的に私は参らないと思います。また、国民年金にいたしましても、御承知のごとく本年から発足をいたしましたけれども、これもまず発足の当初でありますので、全部できるかどうかということも、まだ内閣としては完全に一致しているところまでいっておりません。方向は矢嶋委員のおっしゃるように、国民に対する年金制度というものを理想に掲けて、各部々々で今日やっておるのが現状でございます。
  46. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これが複雑多岐であるということは、十分了とします。しかし、この方向がきまれば、その方向に向って、すべてがこう同じ方向を指向していくように、個々別々の問題を取り上げていかなければならないと思うわけです。行き当りばったりをやらず方向を定めて、それに沿っていかなければいかんと思うのですよ。従ってこれらの問題を扱うときに、そういう配慮がなければならん。従ってこういう法律案を扱うに当って、当然焦眉の問題として国家公務員、地方公務員の問題もその構想に描きながら、この調整法というものを立法していかなければ、あとでどうにもならないと思うわけです。従って私あなたに伺いたい点は、その複雑多岐ということはわかるんだが、もう少し具体的なものがなくちゃならない。その一つとしては、あなたの言葉から出ましたけれども、確かに国家公務員も地方公務員にしても、それぞれ立場が、経過等は違います。しかし、基本線としては、まずできるだけシンプルなものにする。それから既得権というものは侵さない方向へ行く、こういう方向で私は進められるべきものだと思うが、いかがでしょう。
  47. 松野頼三

    政府委員(松野頼三君) 今の矢嶋委員の御指摘の二点は、私もその方向で、今日自分の思想として進んでおります。私が今申しましたことは、恩給が退職年金に全部移行するというわけにも参りませんし、その中には移行し得る階層の方、移行し得る身分の方もございましょうし、移行し得ない身分の方もおられますし、恩給が直ちに退職年金に移行されるかどうかということは、まだ今日検討の余地がある、こういう意味でありまして、それに移行されるものは、この方向に行けばいいじゃないかという、おそらくそういう御思想だろうと思います。移行されるものは大体この方向でいきたいと思います。しかし、大体国家公務員とすべて地方公務員とは非常に今日いろいろ問題は似ておりますけれども国家公務員と三公社現業というものは、おのずから身分と職責というものが、またある程度身分そのものに差異があるということも勘案をしなければ、ただ金額が同じだから同じにいけばいいじゃないかということに私は参らないのじゃないかと思いますので、同様な意床において、その方向には沿いますけれども、じゃ一字一句同様でいいじゃないかという議論には、私はまだ今日それまでは踏み切っておりません。しかし、方向としては退職年金は、恩給から一部はずして、退職年金にするということは私も今日考えております。
  48. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 今までかつてここで伺った答弁より一歩も出ていませんので、もうちょっと掘り下げて伺いたいと思います。そのために、まず、さっき千葉委員質疑に対して、大蔵当局で退職金云々の答弁をされましたね。念のために私は伺いますが、これは国家公務員共済組合法を前国会審議した場合に、付帯決議がついた。その付帯決議は、あの国家公務員共済組合法を適用される者とそれから公共企業体職員共済組合方を適応する者との間に、退職手当にアンバランスかあるから、これを是正すべきである。こういう意味付帯決議がついたと思う。だからあなたがさっき述べられたのは三公社という関係、すなわち公共企業体に勤務される職責のアンバランスの退職手当を研究して、この国会法案を出されるという意味で言われたのかどうかですね。私はそうだと思うのですが、もちろん同額にするということですがね。それともさらに範囲を広げて、国家公務員の退職年金法を対象として、さっきああいうふうにお答えになったのか、その点次の質問をする関係上明確に承わりたい。
  49. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) 今矢嶋委員のおっしゃったことの前段は、私の答弁申し上げた通りでありまして、今、後段の方にお話しの点は、この五現業と非現業との問題でないかと思いますが、これは御承知の、前国会共済年金の制度ができました際に、この官吏、雇用人とも五現業の方は共済年金に相なっておるわけでありますが、残された非現業の方に官吏の身分のある人と雇用人の身分のある人とに差異がありまして、これが恩給が官吏の方にありまして、そうして雇用人の方は共済の方に移った、こういうふうな経過に承知をいたしておりますが、それで今の総務長官のおっしゃった点等の問題でありますが、これは総理府の方では、この官吏の方の、非現業の官吏につきましては、退職年金の方をただいまとるような傾向に承知をいたしております。従いまして、私ども大蔵省といたしましては、大体の思想統一といたしましては、この非現業の方も共済の方にいったらという考えを持っておりますが、この点につきましては、完全なる調整がついていないやに承知をいたしております。が、これは調整のつく見込みが私どもあると思いますけれども、なお詳細にわたりまして、また確実な点から申しますならば、いま少し意見の調整をしなくちゃいけない点が残っておると、かように存じておる次第であります。
  50. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは言葉を変えてお伺いしますから、お答えいただきます。  岸内閣としては、国家公務員の仮称としては退職年金法案、それから地方公務員の仮称としては退職年金法案、そういうものをこの前の国会審議した国家公務員共済組合法、それから今われわれが審議している公共企業体職員等共済組合法、これらとのバランスを考えてこの国会提案する考えで、今事務当局で研究作業をしているのか。それともそれはずっと将来の問題で、この国会に出すというような、そういう目途では研究していないのか、その点はどちらなんですか。
  51. 松野頼三

    政府委員(松野頼三君) この国会提案いたすつもりで、その方向で努力いたしております。ただ簡単にこう申し上げれば、あとでいろいろ疑問が出ますので、つけ加えて申し上げますれば、この問題はある程度一般の、他の三公社現業と同じように取り扱えるか、これは多少私は違いが出てきはしないか、と申しますのは、御承知のごとく、公務員制度というものの管理、監督及び給与、身分というもの、総合的な意味で私の方は今回国家公務員法の改正提案いたすわけであります。ことに人事管理というようなものが主になって参ります。その中に当然この退職年金制度というものが身分の中に入ってくるわけであります。そこに多少まだ各省間における調整がつかない、という意味は、私の方から言えば、人事監督権はあくまで一本化すべきものだ、こういうのがこの答申案の趣旨でございます。しかし、そうなって参りますと、それなら大蔵省共済年金制度はどこの所管に置くのかという問題が次に出て参ります。そういう技術的と申しますか、付帯的な問題の解決がまだついておりませんので、私は方向としては、退職年金制度に持って参りたいと思いますけれども、その退職年金制度が三公社現業と同様なものであるかどうかということがまだ疑義がありまするし、答申案にも問題があります。人事管理あるいは給与をやりたいというような方向は示されておりますけれども、技術的にこれをどうするとか、所管はどこへ持っていくとか、あるいはこれはどうしなければいけないとかいうことは、答申案にも明確になっておりませんので、そこで政府としては、各省間の意見を調整しなから最善の道を選ぶということで、方向はその方向に考えております。それでは法案内容はどうするかということは、まだ疑問が残っておりますので、これ以上私は本日御答弁できないのであります。おそらく矢嶋委員は今までのいきさつと、あるいは昨年以来いろいろな問題がございましたが、それでいきさつを御勘案の上私の答弁でがまんしていただきたいと思います。
  52. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたの答弁を承わっていると、相当あなたは広く大きな構想を持っていると思うのです。それで伺いますか、支障なくこれらの問題を合理的に解決していくためには、あなたの答弁から私推察することは、国家公務員法、地方公務員法、それから当然定員法もよく研究していかなければならない。それから給与法、恩給法年金法ですね、こうなってくると、ひいては総理府の設置法までいかなければならぬ。こういうものに手をつけなければ、今言ったあの公務員の身分から何から、給与から、それから年金との関連をつけて、しかも国民皆年金を施行する方向に合理的に進めていくとなると、それだけの店を広げなければならぬと思います。そこでそういう考えかどうかということが一つと、それから五月総選挙後、岸内閣は長期政権を自他とも認めた時代なら、私はそういう構想がゆくと思うのですが、最近のようにガタの来た岸内閣で、それだけのものがやれるという見通しを持っておられるのかどうか。それともやれぬとなれば、その中の一部、あるところにしぼってやろうとしておるのか。内容はあとでちょっとポイントだけ聞きますが、その前に、一体この通常国会に岸内閣としてはいかに臨まんとするのか、それを承わってないと、これに対するわれわれの態度表明がいたしかねますので、率直にお答え願いたいと思います。
  53. 松野頼三

    政府委員(松野頼三君) 内閣の批評は、いろいろ世評でありますので、何ともお答えできませんが、かりに百歩譲って、いろいろ非難があるとしましても、私は岸内閣の今日の態勢というものは、本体は健全だと、まあある程度手直しをしなければならぬ、自動車で言うならば、一つの車がパンクして空気が抜けてきたということはありましょう。しかし漸次空気を入れ直せば私はいいと思います。エンジン、母体は健全だと信じて、この車の上において私はこの意想を発表し、矢嶋委員の言われたように大幅な考えを持っておりますが、それを今ここで現わしましたならば、必ずまたそれでは次の構想はどうだとおっしゃるように、行政機構まである程度触れなければ私はできない。また、今回の公務員制度調査会の答申を見ましても、大幅な行政機構の改革はいたしませんけれども、人事管理についての行政機構の改革は、重要なポイントとして実は答申を受けております。これも二年半前のことでございますが、相当大幅であったために、あるいは内閣の生命、あるいは選挙というものがあったために今日まで出せなかった。幸いこの機会にこの健全な自動車の強いエンジンのときにでもこれはやらなければ、私は永遠にできないのじゃなかろうか、こういう考えで私の思想は、ただいま答弁しましたように、公務員制度全般にわたっての改革をまず考える、そしてそれを一ぺんに実は出してこの国会提案して通過させていただきたい。しかし時間的にあるいはまとまったものからこまぎれに出すということになるかもしれません、拙速の道を選ぶかもしれませんが、構想としては矢嶋委員のおっしゃったように、相当大幅な構想の上に立って今回はこれを提案いたしますという形におそらく私は進みたい、こう考えておるわけです。非常に大きな構想でそんなものはできやせんと言われるかもしれませんが、しかし、公務員制度全般を、もしもいじくりますならば、そういう構想に立って進めなければ非常なあやまちを犯すのではあるまいか、従って全部が一ぺんにこの通常国会に出すのなら問題ありませんけれども、一部のものでもこの国会会のうちに私は提案しながら進みたい。ことに退職年金制度というのは、すでに三公社、五現業というのが相当進んでおりますから、大きな構想があるから、これを曲げていくのならいけませんが、ある場合には退職年金の問題だけをあるいは構想の一部として提案いたすかもしれませんが、今日のところは、依然として構想を練った上でと旧いう意味で、慎重に今日やっているわけです。相当私は大幅な構想を今日私自身が持っております。
  54. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私はここでほんとうに真剣な気持で伺いたいと思うのですが、この法案審議するに当って、なぜ私がこういうことを伺うかといいますと、おそらくあすから自然休会に入ると思うのです。そして今度再びお目にかかったときには、相当ある部分は問題が固まってくるのじゃないかということを推察するわけです。そこで、ある程度あなたの御意見も承わり、われわれの考えている点も聞いておいていただきたい、作業段階に顧慮していただきたいという願望も含めて伺っているわけなんですが、あなたは非常に私は優秀な方と尊敬しているのですが、若い割にはお年寄りの人に通ずるところがあって、まあ若年寄りみたいな方だと思いますが、最近岸内閣のやっている、ことに公務員に対する考え方、行政措置とか、それから労働政策等を見ていると、非常に私たちと相当考えの違う面があって心配されるわけです。先ほどからのあなたの御発言を承わっていると、人事管理、人事管理という言葉が出てくるだけに、相当警職法案にも匹敵すべき対決をせなければならぬような案が、要望を申し上げておかないというと、あなたによって出てくるおそれなしとはしないという気持で私はおるわけです。そこであえて伺っているわけですが、それでその点、まあ短時間あとで伺いますが、その前にこの退職年金について今まであなた方が出されて参るのを見ますと、勤続年数ですね。これは二十年、それから五十五才未満には支給しないという線にそろえてあるようなんですね。だからこれはこういう方針で今後もずっといくのか。これはわが国の国民の寿命とか、あるいは産業構造、さらに雇用の問題とも関連してくるわけで、また停年制というものも考えられてきます。大体私は今あなた方の答弁など最近出てきているのをみると、勤続年数は二十年、それから五十五才未満は働く能力を失った特殊の人以外には支給しないで、五十五才以後において支給の形態を取ろう。従って、それから推察されることは、定員法を施行するとすれば、五十五という数字を採用していこう、こういうお考えでおられると思う。これ一つの要素なんですがね、その点いかがですか。
  55. 松野頼三

    政府委員(松野頼三君) 今回の公務員制度の改正の中で停年制をある程度私は置きたいと思っています。その年令も御想像のごとく、何才がいいかこれはなかなか決定できませんが、今日実は国家公務員の場合は、次官級で五十五才という年限を持っておる次官はおそらく本省一人もおりません。従って、大てい五十三、四くらいで退職になってしまう。どちらかといえば、私は必ずしも長い年限じゃない、大事な人生の一番いい時期に、ある意味においては人間の一番成長したときに退職してしまうという惜しいような感じも実はするわけです。従って、これは一つの例として、五十五というならばかえって私は安定しやせぬかとさえ考えています。しかしこれは般職であって、一般職もこれは行政官であって、技術者の場合はまた違いましょうし、大学の先生はまた違いましょうし、そういうことを勘案していろいろやりますと、何才ということは明確には言えませんが、今日一つの停年制を置こうというならば、事務系統で五十五才ということは私は必ずしも不当なものではない。首切りどころではなくて、ある程度安定した身分を与えるのではないかという逆作用さえ、今日の状態ではあるのではないかと考えているわけであります。しかし、この年令が職責によって違うといえば確かに逢います。従って、一がいに五十五を堅持するのだ、五十五年の年限にするのだということは明言はいたしませんけれども、ある程度そういう意味においては停年制というものを置いたらどうかという構想は、実は私もあるわけであります。そのほかにも、人事管理という言葉が非常に強く響きますけれども、私が申し上げているのは、今日の場合は、給与の場合は大蔵省でやり、勧告は人事院でやり、総理府は法律事項だけやると、ばらばらになっているのが必ずしも妥当ではないのではないかというのが、今日の答申の大きな趣旨であったものですから、この答申の精神を汲んで、あるいは言葉が人事管理ということは妥当かどうかそれはわかりません。私はやはり公務員というものに対して、一括的な、総合的な役所があるべきではなかろうか。また、そういう意味に私は人事管理という意味を言ったわけで、個々の勤務状況とか、個々の労働問題とかということを焦点に人事管理を言ったわけではございません。もう一つは、公務員というものが、今日どこまでが公務員だというワクがなかなか不明確で、ここにも実は公務員というものを対象にして人事問題を議論するときにうまくいかないのではなかろうか。そこで、公務員のワクをまずきめる。これも私の先ほど言う人事管理の中に入っています。言葉が妥当かどうかこれはわかりません。そう矢嶋委員がおっしゃるような対決をしてどうだというようなそんなけんのんな思想で私は臨んでいませんので、言葉があるいはそういうふうに響いたかもしれませんけれども、私の思想は、不明確のところを明確にして、規律を正して、そして不合理なところを合理化したい、そういう意味で今日でもあるわけで、そんな突拍子もない、私が若僧で出過ぎたとか、やり過ぎたというそんな思想で、今日公務員制度をあずかっておりません。どうぞこの次お会いするまでに御心配なくごゆつくり御静養願いたいと思います。(笑声)
  56. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 時間がありませんから二、三点私も簡単に伺いますから、長官もお考えのことを一つ簡単にお答え願いたい。今盛んに予防線張っておられますがね。たとえば公務員の性格及び範囲については、非常勤職員、それから単純な労務に従事する者は公務員からはずすという考えを持たれている。そうして残った公務員に対しては、憲法二十八条に、ともかく大もとの憲法二十八条に、労働者の、勤労者の団体交渉をする権限というものはあるわけです。その憲法から出たいろいろの労働立法はともかくとして、国家の基本法である大もとの憲法の二十八条には、はっきりと勤労者は団体して交渉をする権限は確と認めてあるわけですね。ところが、この公務員の性格及び範囲を非常に狭くして、非常勤職員とか、単純な労務に従事する者は除いてしまって、そうして残った公務員に対しては、団体交渉を非常に制約していく。それからまた、たとえば政治活動等については、今人事院規則でなっているのですが、これを人事院規則ではなくて、法律の条文の中にはっきり明文を法定して残していこう、こういう具体的な考えを持っているやに私は仄聞しているのですが、この点はどうですか。それでは困ると思う。
  57. 松野頼三

    政府委員(松野頼三君) 公務員のワクの問題は、私が今日考えておりますのは、そういう意味ではなかったのです。かりに申しますならば、日雇いというものは、今日公務員か公務員にあらざるかというと、どちらかといえば、国家から給与をもらっている者は、公務員だというワクではめますと、いわゆるこの方もみな公務員という概念に入る。これでは公務員というものがどこまでいくのかわからないじゃないかという、その辺を明確にしたいというので、今の非常勤、常動の問題はこれはまあどちらかといえば先の話で、私が今日ただいま答弁の中で申しましたのは、いわゆる日雇いとか、あるいは官邸の草取りとか、そういう臨時的なものでも、国家から給与を受ける者は、公務員だというふうな考えで今日あるのは、これは不明確じゃないか。これは明確にしたいというところを実は申し上げたわけで、常勤、非常勤の問題ではなかったのです、私の実は念頭にあるのは。もちろん常勤、非常勤の問題は次の段階で当然どこまでを公務員とするのか、国家から給与をもらうというのをどの程度にするか、一年のうち半分以上が国家から支給されるならば、これは国家公務員に近いのじゃないかという議論も出てくると思います。一年のうち二分の一以下ならば公務員に入れぬでもいいのではないかという議論も出てくる。一日給与をもらうとか、一年もらうとか、年続けてその職にあるとか、これはおのずから次の段階で議論になる話だと思いますが、私が申し上げましたのは、一年のうち何日か給与をもらう方でも、国家から給与をもらうのだから公務員だという議論は、少し不明確じゃないか、こういう意味でございます。それから労働問題は、これは労働大臣の所管で、私があえて答弁するのはおかしいのでございますが、公務員制度という意味からお答えいたしますならば、公務員はあくまでも憲法に規定されているいわゆる勤労者の大きなワクに入るかもしれません。しかし、特にこの問題だけはあくまでも公務員の身分、あるいは公務員法によって、これはだれに奉仕するのかは、何も政府に奉仕するのではなくして、国民に奉仕するのでありますから、おのずから身分と目的が違いますから、一般的な一般概論だけではうまくいかないのではなかろうか。その意味で特別法があり、特別身分法があり、特別な恩給制度というのかあるのですから、私は憲法の二十八条の言葉だけですべてを律するわけにはいきませんと、こういう考えでおりますが、私は別にけんのんな考えを振りかざしておりませんので、どうぞ御了承いただきたいと思います。
  58. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 政治活動の方は。
  59. 松野頼三

    政府委員(松野頼三君) 政治活動も今日公務員法あるいは人事院規則で規定されておりますので、私は特にこれを改正するのだ、もっと強化するのだ、これを緩和するのだとかいう考えはありません。おのずから公務員の、及び今日の労働情勢に応じてこの問題は議論すべきものである。労働情勢が非常に悪くないというならば、これは特に改正する必要もなかろう。あるいは非常に悪いというならば、あるいはこれは変えなければならぬだろう。これは社会情勢と一般の国民の世論の空気の動向を見なからきめるべきものだと私は思います。これは特に国家公務員が非常に危険けんのんだとも考えておりません、労働問題について。しかし全然もう野放しでいいのだとも考えておりません。その辺でこの問題は扱って参りたい、こう考えております。
  60. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は先ほど長官にあえて申し上げたのですが、確かに長官は、私は若くて優秀だと思う。ちょっと近代的なセンスを持ってやられると、これは与野党から認められて、あなたは大成すると思うのです、冗談でなくて。(笑声)ところが、一歩誤まったら、若いだけにそれはとんでもないことをやるおそれがあると思う。もう一点この点について伺いますが、それは任用及び給与についても、これは私は新聞で拝見したのですが、昇任は選考にする。これと裏表に出るのか上級公務員の管理職化、管理職の強化、最近典型的に出たのが学校長、教頭の管理職化と管理職手当ですよ。これはだれが考えても、きょうは、場が違うから私は深くは言いませんが、だれが考えても、あの校長とか教頭の管理職手当の制度というのはおかしいですよ。政治的以外の何ものでもないのですよ。これは純粋の立場からの給与制度から出たものではない。これは自民党の方々もお認めになると思う。これは岸内閣の一つの政策として象徴的に現われてきたもので、これはごく極端な例ですがね。しかし任用及び給与を、昇任は採用試験よりも選考を中心にして、それから上級公務員の方の管理職化を強めていく。こういうような方向が報じられるようにあるとすれば、法案が出てきた場合に、あなた方と相当摩擦が起ってくると思う。また、先ほどちょっとふれましたが、人事院の問題にしても、私ら今の人事院が完璧とは思いませんけれども、しかし、終戦後日本の公務員制度の民主化にこれはかくかくたる私は業績を残したと思う。あの大筋というものは、生かしていかなければならぬと思う。しかし歴代の保守党内閣は、これをつぶそうとしている。今度あなたは賢明か何か、ともかく事務総長を副長官に迎えているわけですね。だからこのコンビは場合によればいい薬になるが、場合によるとそれはすごい劇薬になるおそれがあるのですね。だから私はあえてこういうことを承わっているわけですが、その任用及び給与、さらに職階制の強化、それから人事院の骨抜きですね。そういう点については今の作業段階では、私ども野党並びに国民勤労大衆が考えているような方向を相当しんしゃくしてやられているのか、それとも政治だから、男性を女性にし、女性を男性にすることはできない、それ以外は何でもできるという、そういう過剰なる自信を持って作業を進められようとしているのか。そういう点の基本的な考え方、御抱負というものを願望を含めて承わりたい。
  61. 松野頼三

    政府委員(松野頼三君) ちょうど、これはあの答申の案の中に書いてありますような思想をもって私はやりたい。と申しますのは、これは試験ばかりではなかなかうまくいかないし、今日試験ばかりで必ずしも実施されておらない。また、年がら年じゅう試験ばかりでは、行政能率が、試験能率は上りましても、行政能率が非常に阻害されるという精神でこういう文句が書かれたのだろうと存じます。しかし、あくまでこれは推薦だけという意味ではありませんで、推薦に合せて適当なる選考もやれという精神がこの中に出ておりますので、試験ばかりにこだわるわけにも参りません。推薦ばかりにこだわるわけにも参りませんので、推薦と選考と、ある場合には試験というものを三つかみ合せてやれという答申の精神だろうと私は考えますが、ある場合には、試験制度によって任用され、ある段階に来れば選考の段階になる、ある場合には推薦の段階になる。それは職場々々、地位々々によって変ってくるものではなかろうか、かつて人事院でも各省の局長の試験をした例もございますが、必ずしも世論から好評だったとは言えません。あれを毎年実施するわけにも参りませんので、その意味である階級においては、これは試験制度で登川することがよかろう、採用試験というのかございますし、任用試験もございましょうし、資格試験もございましょうから、ある場合は、試験制度というものが、ある関門を通るときには、私は必要だと思います。しかし年がら年じゅう、局長も課長もすべてやるというわけに参らないのじゃなかろうかというような考えで私はやっておりますので、まだ実は案を作っておりません。そういう思想の上に私はこの成案を得たいと思います。そう極端に私の方は公務員制度そのもので人事院を弱体化するという考えは、公務員制度の中からは出て参りません。人事院をいじくるときには、これは行政機構改革の方でどういうことになるか、これはもう別であります。私が担当しております人事管理及び公務員制度の中から人事院を廃止するという思想は実は出てこないわけであります。これは国家行政組織法の中から人事院問題というのは、常に議論されておることは承知しておりますけれども、私はその衝にありませんし、またその問題もまだ具体的に出ておりません。私が関与しておりますその公務員制度の中においては、人事院というのは、この答申案の中にもはっきり明記されておるように考えております。従って、人事院を絶対廃止するのかしないのか、今日私は明確に答弁できませんが、公務員制度の法案を出すその中には、人事院というものは、私は存置さるべきものだと、しかし、国家行政組織法の中からどういう法律が出てくるか、これは私はまだ関与しておりませんし、今日結論を申し上げるわけには参りません。それが今日人事院の私は立場だろうと考えております。
  62. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 最後に伺いますが、それは、最近提出される法律案を見ますと、大体組合員の負担は四五%という線にそろえつつあると思うのです。残りは国庫なりあるいは公社の方で負担する、こういう形になってきていると思うのですか、この組合員四五%という線でそろえていくつもりかどうか。それからこれと表裏の関係になるでしょうが、年金給与の基本額は年所得の四〇%と、大体そろえてきていると思うのです。この数字もそろえようとしているのか。そこで、公社なり国がある程度負担するからというので、さっきも質問に出ておりましたが、資金運用部の方に繰り入れるとかいうふうなことで、大蔵大臣の監督権が強化されて、そしてこの福利施設である場合の組合員の意向も無視される傾向が、最近出てくる法律案を見ると、どれもそういうように見えるわけなんですが、これらの点は、大蔵大臣の権限が強化され過ぎて組合員の意向が運営面に反映しない傾向になりつつあるという点なんかは、反省してもらわなければならぬと思うのです。だから私は最後に承わりたい点は、さっき出た四五とかあるいは四〇とかという数字は、今後そういう方向でいくのか。それから運営面については、最近組合員からいろいろと批判がありますが、それらを耳にはさんでいただけるのかどうか。私は願くば次の議会に法律案が出てきた場合に、あなたとここで対決しなくて済むような案が出てくることを期待するわけです。そういう方向で作業をしていただけるか最後に伺って、私の質問を終ります。
  63. 松野頼三

    政府委員(松野頼三君) 大蔵大臣の監督強化と組合の運営という問題は、結局その会計から言いますると、運用益をいかに見るかということで、負担金と給付金が変ってまいります。また国の負担すべき金額も変って参ります。その運用をどうするかによって、おのずから変ってくるのじゃなかろうか。どうしても大蔵大臣の監督を強化して、財政金融面から国庫にこれを預託しろというならば、当然国庫に預託すべき運用益というのは、差し当りり分というのが、今日の最高かと存じます。その程度しか見られない。それに合して会計をやりますから、それならばその差額をそれじゃ国が負担するかというような考えになるわけで、これを国から負担してもらわなくてもよろしい。運用益で証券あるいは国債を買ってそれ以上の利回りを自分たちがやれるのだという運用の問題の運用益の計算によってこの会計は変ってくる。また、それのみならず果してそういう運用ができるかという問題が第二に出て参りましょうし、また、そうすることが日本の財政金融に支障を来たさないかということが第三番目に議論がそこまで煮詰まっておりませんか、そこが当然議論になる焦点だと思います。四五かどうかは、ちょっと私もあれですから、政府委員答弁させます。どうかそういう事情で矢島委員と思想はそんなにかけ離れたものじゃない、ただ最後に大蔵大臣が監督するのがいいのか、あるいは組合員全部にまかせるのがいいのか、ある程度国が関与するのがいいのかという問題が多少残りますが、そう大きなかけ離れはありませんから、私もそういう方向で努力して、今後提案をいたすつもりでおりますので、出ました際にはどうか一つ御協力をいただきたいと思います。
  64. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) ただいま御指摘の職員の負担分を、いわゆる総財源の四五%にするかいなかという問題でありますが、現在までの共済制度におきましては、大体そういう率全体の四五%が職員、いわゆる国の負担は五五%というような形に御承知のようになっていると思います。これは結局国の負担と職員の負担をどういうふうにするかという問題と、それから全体の財源がどのくらい必要とされるかということとの関係から出て参ります。それから大体四五%対五五%ということは、御承知のように原則的には、いわば使用者側とそれから組合員側との折半負担というような考え方を基礎にしまして、それに国庫としてどの程度負担するかという率の勘案が五五対四五ということで今日まできていると思います。この点につきましては、いわゆる長期収支計画上国の負担の限度、あるいは職員の個人の負担の限度というようなもの、それから民間との均衡、そういった点で総合的に勘案される問題じゃないかと思っております。
  65. 横川正市

    ○横川正市君 最初に公共企業体職員等共済組合法改正の第二点になっておる問題で、ちょっと基礎的な問題でお聞きしたいのですが、現在結核等の療養期間等で、運輸大臣と運輸省所管の人しかおらないようでございますから、運輸省でいいのでありますが、実際上療養期間は、最近新しい薬その他で短縮されているとは思いますけれども、この健康管理とそれから療養期間とを大体三年というふうにきめられております。その期間をはみ出してどの程度の患者がおられるのか、その点数字でお示し願いたいと思います。
  66. 深草克己

    説明員深草克己君) 三年間をはみ出しておる人……。
  67. 横川正市

    ○横川正市君 三年間実際療養して治癒しない……。
  68. 深草克己

    説明員深草克己君) ちょっと今わかりかねます。
  69. 横川正市

    ○横川正市君 これは各省相当数の人か治癒しないうちに療養を中断される、給付から中断される実情にある。個人の資金でなお療養し、あるいは不完全療養のうちに職場に復帰するというのか相当出てきているのじゃないかと思う。今度の法律改正趣旨によれば、自動的に罰則条項というのが入ったわけでありますが、この不正受給者の費用徴収の二つの新条項に伴って要望申し上げておきたいと思うのですが、それは実際の附則によるところの療養期間の延長をある程度はかっておかないと、今言ったように、事実上療養未完成で現場に戻る場合、それから非常に生活保護法やその他に切りかえられて療養する場合とあるわけです。もしそれを便法上とっておりますると、罰則規定が今度は強化されておりますから、相当運用上問題が起るんじゃないかと思いますので、この点はぜひ三公社等の場合でも実際に適用して、これは経費の支出の問題はあるけれども、相当修正する必要があると思いますので、その点一つ要望申し上げておきたいと思いますが、あとでそれについてお答えをいただきたいと思います。  それからもう一点は、先ほど大蔵政務次官から答弁あったのでありますが、前回衆議院の大蔵委員会付帯決議事項に伴って、三公社公社全額負担の退職一時金の増額を次期休会明けに提出をしたいという趣旨でありまして、その内容は現在検討中、だということであったわけです。これと私は関連をいたしまして五現業共済組合法の成立過程において問題になりましたのは、私はこれは大蔵省当局で比較はしなかったんだといえばそれまでの問題だと思いますが、ある程度比較をされて、そうして立案に当って考慮された問題としては、二十年の年金受給の権限付与に対しての期間が、四〇%、いわゆる二十年勤続で四〇%という、こういうふうになっておるわけです。それに対して計算方式はその二十年で最終本俸の三年平均という計算方式になっておるわけですが、これでゆきますと、四〇%ではなくして、実際上は三八%ということになるわけです。四〇%支給しようという趣旨は、一応は計算の基礎かそういうふうになっておりますが、三八%というふうに実際上は低く支給される結果になっておるわけです。まだ法律が一月一日からで実施の前でありますから、ここで私はどうこう言う言質はあなたの方でも出せないかと思いますが、均衡をとって五現業の一時金がきめられ、その均衡上から三年平均本俸というものが計算上出てきたということになりますと、今度次に三公社の一時金が五現業と比較して増額されるということになりますというと、一体これは均衡論からゆきますと、少し手直しを必要とするのじゃないかと思のでありますが、その点どうでしょうか。
  70. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) 仰せのように公社と五現業との共済年金の差があったのを調整して、今度退職手当の方で調整する、こういうふうなことに相なったわけで、前国会で二五%五現業の方を……今度改正いたします際に退職手当の方で少し表を作ってみますと、仰せのようになお調整を要する面が少し残ると思います。この点につきましては、私ちょっと前国会の経過をあまりよく承知いたしませんけれども、これは各関係者と相談いたしまして、適正なところをとらなくちゃならないと考えております。従いまして先ほど答弁いたしましたように、その幅と申しますか、これがまだ結論に達しておらないのでございますけれども、これはよく一つ検討を加えまして、適正なところに落ちつきたいと、かように考えております。
  71. 千葉信

    千葉信君 私は深追いするつもりはありませんが、永野さんに一つ注意を喚起しておきたいと思います。政府委員の問題についていろいろ論議がありましたが、この法律案の進行のために一応問題の究明はあとに譲りましたけれども、今横川委員質問に対して三年以上の結核羅病者の状態を質問したのに対して、政府委員答弁できなかった。横川君の質問は、一歩譲って、運輸省関係だけの点でもよろしゅうございますからという妥協まで行われた。それに対して答弁がなかった。こういう事態は、さきに注意申し上げたように、政府として全体のこの公共企業体共済組合法関係の責任を持っておる人が出席しておれば、この点については答弁できないということでは了承できぬし、また答弁すべき立場だし、その点はこの委員会で究明されたはずなんです。実際問題として、運輸省の政府委員が運輸省関係の所管事項については答弁できるはずなんですが、さっきはたまたまその数字を知らなかったから答弁できなかったのだと思います。そういう点から言いますと、やはりこの法律案審議する場合には、この法律案全体に対して責任を持てる政府委員が必要であったということは、この事実をもってしても、実際問題が証明してくれたわけです。これは一つあとに問題の究明は残すけれども、ちょうどいい実際問題が起ったわけですから、永野さんの注意を喚起するにとどめておきます。
  72. 永野護

    国務大臣永野護君) 御注意はよく拝聴いたしました。先ほども申しましたように、法律論としてもなかなか議論の余地のある問題でありますから、他日機会を得ましてくわしく御答弁いたしたいと思いますが、しかし言わずもがなのことかもしれませんけれども、かりに、千葉委員のおっしゃる通り、たとえば各省にわたることは総理府の人が出てくべきではないかというようなお説もあったのでありますけれども、そういうふうに多岐にわたればわたるほど、今申しましたような具体的な問題を聞かれますと、各省間のすべてのことを即座に答弁できるような政府委員を求めることは、千葉委員のお説をいれましても、それはおそらく不可能だと思いますから、その点は御了承願いたいと思います。  それから、横川委員にお答えいたしますが、まことに御親切な御注意であって、一番現実考えなければならぬ問題で、気の毒な人を何とかして直してあげたいということは、全く御同感であります。ただ、それがどの程度財政負担にたえ得るかという現実の問題がございまするので、今人数の答弁ができなくて、まことにおしかりを受けて恐縮しておるのでありますが、人数もありますし、それからその予算もありますので、そこらを十分に検討いたしまして、できるだけ横川委員の御親切なる御配慮に沿い得るように努力いたします。
  73. 横川正市

    ○横川正市君 実は、佐野政務次官の答弁で、ちょっと私、前回きめられた率にあと手を加えられるようなことがありますと、これはまあ大へん問題になると思うのでありますが、先ほど大臣答弁されて、なおかつ、これは大蔵省との話し合いがまだ完全にできておらないから、率その他について明言できなかったのだと、こういうことで、私は少くとも、現行五現業実施をされております政府全額負担の一時金の率は、三公社もこれを適用したいと、こういうことだったとさきに了解をいたしまして、その了解の上に立って、それならば均衡上問題になっている五現の最終本俸計算方式三年平均というのは、一体これは大蔵省としてはどうお考えになっていますかと、こうお尋ねをしたので、ただ三年平均本俸と一時金の計算方式のうちに、まあ若干の差があったということは私も記憶いたしますが、その若干の差を今度三公社にプラスするのだというような答弁では、ちょっと私は納得いかないわけですが、その点もう一回御答弁願いたいと思います。
  74. 岸本晋

    説明員(岸本晋君) ただいま政務次官の申し上げましたのは、五現業公社につきまして、退職年金、それから退職手当、現在それぞれちぐはぐに相なっております。しかしこれを、ちぐはぐじゃ困るのでありまして、実質的に両者が均衡のとれる、御不満のないようにいたしたい、そういう意味退職手当の支給率を、今度公社についてはある程度上げるわけでありまして、この実質的均衡のとれるような率を今検討中であるということを申し上げたわけであります。
  75. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、それは退職年金のそれぞれ支給される額とは別個に、一時金の方を切り離して比較されるというふうに私の方で了承してよろしゅうございますか。
  76. 岸本晋

    説明員(岸本晋君) 公社退職手当の引き上げ率が、若干この前五現業について上げましたのよりは少し低めに相なるということでございます。
  77. 横川正市

    ○横川正市君 低めになるということは、これはどういう計算になるのかちょっと私わかりませんが、低めにしなければならないというふうに考えられる理由は何でしょうか。
  78. 岸本晋

    説明員(岸本晋君) 低めと申し上げますことは、ちょっと強い響きがあったためお尋ねになったかと思いますが、退職年金の方で給付額の計算の基礎が違いますので、やはり公社職員の方は余分に退職共済年金が参っておるわけであります。その余分に参っております分を、一時金で換算するとどれくらいになるかということを計算いたしまして、それを退職手当の方で調整を加えて参りたいということでございます。
  79. 横川正市

    ○横川正市君 実はここではっきりと大蔵省の皆さんから返事をもらいたいということではないのであります。ですから、今出されております共済法の一部改正法律案に伴って、前回決議されました衆議院の大蔵委員会の決議の趣旨に従って、一時金の増額に対しての法案を休会明けに出したいというのでありますが、その線に沿うて実は私は御答弁をいただければいいわけなんですが、ただその場合に、計算上の基礎がそれぞれ違っておって、その計算上の違いを、実質的には三年平均の本俸による計算方式と、それから一時金の割合の増額と、いういうふうに実は私は均衡がとられておったと思うのです。そうすると、一時金の問題を、今その均衡をとったものにいささか差があるから、その差を計算の違いだというふうに言われると、これは増額される一時金の方は、全く微々たるものになってしまって、休会開けに提案をされる趣旨というのは、私はこれは全くなくなってしまうと思う。そうではなしに、退職年金とそれから一時金とは全く切り離されたもので、五現の一時金と同率くらいなものを三公社にも支給したいという趣旨で休会開けに法律案が出されると、こういうふうに私は了解をして質問をいたしておるのでありますが、その点は大蔵省としてはどう考えでしょうか。
  80. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) 仰せのように、前国会における審議の経過もあることでございますし、ただいま少し素直に申し上げ過ぎたかと思いますが、私も計算の基礎を一々ここで中し述べる何を持っておりませんけれども、ちょうどシーソーのように相なっておるように思いますので、この点は、前国会において御審議になりました経過を十分鶴町更し、また付帯決議等の御趣旨も体しまして、これは私どもの方で案を作りました際にまた御審議を願うことと思いますが、この点は十分、横川委員のお説ごもっともでございますので、そんな一時を糊塗するような方向に向って改正するという考えは毛頭ございませんし、皆様方に適正なところと御了承願える線を出す覚悟でございますから、御安心願いたいと存じます。
  81. 横川正市

    ○横川正市君 根本的には私は先ほど総務長官が言われているような格好での法案提案に対しては、あまり歓迎しない立場に今立っているわけです。ことにきょうは運輸大臣とそれから総務長官と大蔵省と三人並ばれて退職年金の問題を討論されていると、非常に質問のしづらい状態だということを私は率直に言えると思うのであります。そこで出される案が、その職種がきめられれば、職種に従っていささかの差があってもいいんだという考え方は、私はこれはとるべきではない。できればやはり相当その内容については検討され、それから検討された内容で、いろいろ条件のいささか異なった点があっても、この点については大体考え方を統一して、そして率にあまり不均衡の来さない全体的な法律案が作られることを実は期待するわけであります。そういう期待の上からいきますと、ただ単に三公社現業と、こういったところだけでもいろいろ違った格好のものが出てくるということになりますと、非常に私はこれは問題だと思うのです。ですから前国会での審議の過程を見ましても、私どもはやはり三公社の計算の基礎、それから事実上きめられた一時金というものと、それから五現業の計算の基礎に立ったものと、実際上の一時金できめられたものとを比較検討した上で、全くこれは内容的に違わないのだというふうな確認の上に立って、実はあれはきめられたものだと、私ども賛成したわけであります。そういうことで今政務次宜の言われた点でぜひ一つ、私はこれはこれ以上質問いたしませんが、内容検討を行われるようにお願いをいたしまして、質問を終りたいと思います。
  82. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 他に御発言もなければ、これにて本案質疑を終局することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明かにしてお述べを願います。
  84. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私は日本社会党を代表して、本法案に反対するものであります。  反対理由の大要を申し上げますと、まず第一に、健保改正に伴う一部負担増を、不当にも公企体共済に導入したそのことであります。  第二には、本改正案には、組合員が従来から懇望し続けて参りました短期給付内容改善についての考慮がいささかも払われていない、この点であります。  第三には、健保法の十二条の精神を取り入れて、本法案にも付加給付が確実に実現されるよう考慮が払われなければなりませんが、第二十八国会における国家公務員共済組合法改正に際しまして、衆議院において修正がなされ付加給付をすることができる、このようになりました。けれども、何分委任立法でございますので、その実現の可能性の少いことを心から憂慮するわけであります。  第四には、国家公務員共済組合法は軍人期間を通算しておりますが、にもかかわらず本法案にこれが通算されておりません。軍人の普通恩給を受ける権利は希望によって消滅するものとし、その者の軍人期間を組合期間に通算するように改むべきだと思います。  第五には、第二十八国会衆議院大蔵委員会において付帯決議がなされました退職手当の引き上げについては、休会明け国会提案するとの配慮がなされているようでありますが、本法案にその配慮のなかったことは、まことに遺憾とするところであります。  最後に、資金大蔵省資金運用部預託するというこのことは、大きな改悪だと言わなければなりません。  大要、以上のような観点から、社会党としては本法案に反対するわけであります。  政府当局におかれましては、可及的すみやかにこれらの点、特に軍人期間の通算退職金の引き上げ、大蔵省資金運用部への預託の取りやめ、このような点が実現せられるよう、最大限の努力を払われることを要望申し上げて私の討論を終ります。
  85. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認め御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認め、それではこれより採決に入ります。  公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案内閣提出)全部を問題に供します。  本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  87. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 多数と認めます。  よって、本案は多数をもって内閣提出の原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出する審査報告書の作成につきましては、慣例により、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  89. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記を始めて下さい。  午後は二時から再開することにいたしまして、これにて暫時休憩いたします。    午後一時九分休憩    —————・—————    午後三時二十分開会
  90. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 委員会を再開いたします。  国家行政組織に関する調査並びに国の防衛に関する調査議題として調査を進めます。  東宮御所入札の件、駐留軍関係の損害補償に関する件等について委員から発言を求められておりますので、順次これを許します。
  91. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 本日は、皇太子殿下の御誕生日で特にお忙しいところを、宮内庁当局の御出席をわずらわしたことを非常に感謝いたしております。  問題が非常に急を要するものでありますから、特に出席をお願いしたわけでありまするが、問題は、昨日の各新聞また放送関係等にも取り上げられておりました、新しい東宮御所の建築に関する落札の問題でございます。新しい東宮御所の建設につきましては、中に東宮職等の事務所も含めまして皇太子殿下の新しいお住居になるわけでありまするが、昨日の新聞によりますと、この造営の本年度の予算八千七百万円のうちで、すでに設計あるいはボーリングあるいは事務費等については三千万円内外使われており、大体五千万円ぐらいの予定で、鉄筋、鉄骨等の工事を入札に付せられた。で、入札をしました建築業者は七社であって、最高は七千二百万円、最低の次が四千七百五十万円、一番低いのは間組が一万円でこれを落札したというので、宮内庁当局においても、非常に事態の意外なことに驚かれておるし、あるいは建設省の当局においては、逆に、予算がぎりぎりであるので、金が少くて済むので大助かりだという、私どもにとりましては、大へん意外な当局談が各新聞に出ております。私、まず第一に伺いたいのは、宮内庁御当局に、この事態についてどういうふうにお考えになっておるかということを承わっておきたいと思います。
  92. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この東宮御所の入札の問題につきましては、わずか一万円で落札というようなことにつきまして、どういうふうに思うかというようなことかと思いまするが、皇室のお世話をいたしておりまするわれわれといたしましては、皇室の施設は、特定の人の恩恵によってできるということでなくて、国民の皆様の力でできるということがほんとうだと思っておるわけであります。現在、憲法の八十八条にも、皇室の費用は国会の議決を経た予算でというふうになっておりますが、国民の皆様の御負担に基く予算で皇室のいろいろな費用をまかなうというようなことになっておるのでありまして、特定の人の特別の何か恩恵で皇室がやっていかれるという姿は、現在の民主国家においては特に好ましくないというふうに思っております。今度のことにつきましては、一部の方から、皇室経済法に、皇室の贈与を受けられる制限額が百二十万円となっておって、それをこす場合には国会の議決が要るが、それの規定に抵触せぬかと聞かれたことがございまするが、今度のことは、直接には抵触いたしません。しかしまあ、この皇室へのそういうような贈与の制限もあって、それをこす場合に国会の議決が要るというような規定のありまするのも、その精神は先ほど申しましたようなことであろうと思うので、そういうような精神から考えまして、あまり好ましくはないと思うのであります。皇太子殿下がお住みになる場合には、やはり国民の皆さんの力でできたところにお住みになるということの方が、現在の日本においてはふさわしいと思うので、そういう点からあまり好ましく思わないので、まあ苦々しいというようなことを、私は記者諸君が感想を聞かれた際には申し上げた次第であります。しかしながら、現在の何か法律によりますると、これもやむを得ないというような点もあるやにも聞いております。そういう点はいろいろ建設省の方で御研究になっておりますことでありまするし、建設省の方に特別いろいろこの工事の実施については、御苦労をわずらわしておりまする点については、心から感謝をしておりまするが、こうした問題で建設省の方にいろいろ御迷惑をかけたのじゃないかとも思いまして、そういう点は、われわれも建設省の方に相済まないと思っておりますが、宮内庁の方の立場としては、まあ好ましくないという気持でいるということを申し上げます。
  93. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 この前の大宮御所の取りこわしの工事、大体予算は七十万円くらいであったというふうに承わっておるのでありますが、それも間組が一万円でこれを落札したということについて、何か、宮内庁の方では間組の重役を呼んでこの問題について警告を与えたというふうな記事が新聞に出ておるのでありまするが、そういう事実はございますか。
  94. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 取りこわしの予定価格約七十万円のところを一万円で入札がありました。その際に、これは普通の入札価格としては非常識であるしというので、その入札の発表をやめまして、そしてこの間組の重役が宮内庁に来ましたので、こういうことは非常識だ、これは寄付を受けるのではないのだ。要するに取りこわしの工事の取引をするので、普通の取引の概念でできるだけ勉強せられることはいいんだけれども、これはあまりに非常識だと申し、その際、社に帰りましてよく申しますと言って帰られました。そうして翌日もう一ぺん再入札をいたしましたところが、再入札の結果、あけてみますとやはり依然として一万円で入っておりまして、その際にわれわれといたしまして、法規上も疑問があるので、この予算執行関係大蔵省の法規課、それから会計検査院、そういうようなところの意見も聞きましたのですが、現在の会計法規では、最低価格に落札するとあるのだからやむを得ないというような解釈。それで法規上そういうことであればやむを得ないというので、そういう手続で一万円で取り壊しをしてもらったのでありますが、あのときも苦々しく思ったのでございます。経過はそういうふうでございます。
  95. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 その再入札をされた法律的の根拠は、どこにあるのですか。
  96. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) それは前の日の入札であまり非常識な一万円のが入っておった。そこで現場において請負をする人にいろいろ説明をして、その説明が不十分であったのではなかろうか、だからもう一ぺん誤解のないように説明した上で入札をする、説明が不十分であったのじゃないかということで、もう一ぺん説明をし直して入札をしたということでございます。
  97. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 そこで、建設大臣にお伺いいたしますが、今お聞きの通りの実情で、五千万円見当の入札が一万円で落札をした事実、ほとんど金額が寄付の実体をもっておる。取引の形態をなしておらぬ。ことに前の七十万円を一万円で落札したときには、何か説明が不十分であったのじゃないかという意味で再入札に付した。また同時に、そのときには宮内庁からは落札者に相当警告を与えたという事実があるのでありますが、その警告を聞かない間組をなぜこの指名の中に加えたか、これが一点。  それからもう一点は、これは取引の概念に相当しないで、今の会計法規から申しましても御承知通り会計法規の予算決算及び会計令の第八十八条には予定した価格の制限ということが、これが御承知通り売るのにはなるたけ一番高く、買う、もしくは入札した場合には、最低という意味でありますけれども、この法律の解釈にはやはり法律の裏には、背後には常識があることはもう申すまでもないことでありまして、まず普通からいえば予定価格の上下二割くらいの見当のアローアンスと申しますか、幅はあると思うのでありますが、それ以外の非常に低いとかというようなときには、われわれ民間へ請負に出しますけれども、あまり低ければ、その工事に何かの錯誤があるのじゃないかというので除くというような実情があることは、大臣もすでに御承知であろうと思います。そこで私は善後策として申し上げたいのは、一点は説明がなお不十分という意味、もしくは指名に入れたことに対して最善の注意が払われなかったというような意味合いをもって、この入札をもう一ぺんやり直すということは決してこの会計法規の法の解釈をゆがめたものではない、こう私は良識的に固く信ずるのであります。のみならず、先ほども宮内庁の次長からお話しになりました通り、これから新しく生活をお営みになる皇太子の新居に、国民全般の赤誠のこもった金でこれが建つということは非常に望ましいことでありますけれども、一部の人がそのうちの相当巨額の五千万円の金を出したということは、国民感情の上からいっても、私は割り切れない点を残すであろうというので、私は非常にこれは政治的に考えましても慎重再検討を要するものである、こう考えますので、区々たる今までの法律の解釈にとらわれることなく、政治的に、大局的に見て大臣がこれに善処されることが最も望ましいことでないか、こう私は実は考えますので、この点についての大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
  98. 遠藤三郎

    国務大臣(遠藤三郎君) ただいまの皇太子の御殿の建設問題について、入札の点についていろいろお尋ねがありましたか、実は私も一万円で落札したということを伺いましてびっくりしたのであります。私初めとれは一〇〇〇〇とありましたから、一千万円じゃないかと思ったのですが、やはり一万円である。これは今御指摘のように、説明が足りなかった点でもあったのじゃないかというようなこともよく聞いてみたのですけれども担当者はそういうことはよく説明いたしまして、そこに何らの誤解、錯誤もないということでありました。そこでそういうことであるとすれば、法規上はこれを承認せざるを得ないだろう、むしろこれを取り消すことによって、かえって問題が複雑になる。これは能力もりっぱな能力も持っておるし、私らが設計いたしました設計通りにやるというはっきりした意思を持っておりますから、これはこれとしていくべきだろう、こういう考えを私は持っておるのであります。  なお、法規の方の問題については、いろいろ研究されまして、大体そういかざるを得ないような法規のようであります。これは事、法律の問題でありますから、法制局等となお慎重に検討してみたいと思います。  それから最初の方のお尋ねの問題でありますが、取りこわしのときに一万円であったので、今度はその入札に入れない方かよかったのじゃないかというような疑問の問題であります。この問題については、実は事柄が皇太子殿下の御殿の問題でありますので、できるだけ慎重に考えまして、いわば一流の業者、建設省で年々いわばランキングのようなものを作っておるのでありますが、その上位の方から一流の業者を選ぶということにいたしまして、しかも、一流の業者の中の特に建築についての一流の業者、同時に宮内省昔の宮内省、今の宮内庁関係の工事の前歴等もいろいろ考えまして、そうしてこの七社を選ぶことにしたのであります。ただ、取りこわし工事の問題は、事柄が非常に小さな問題でありますし、性質上大きな問題かもしれませんが、これは業者を選ぶ場合に、だからといってこれを拒否するという理由等は考えないような次第であります。
  99. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  100. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記を始めて。
  101. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今の大臣の御答弁でありますが、今の御答弁は一応技術的の御答弁でございまして、失礼ながら大局から見た答弁ではないと思います。これはたとえば一つの逃げ道といいますか、善後策を考えて何か説明に錯誤があったのじゃないかという言葉を使われたのでありますけれども、大宮御所の取りこわしのときでも、宮内庁当局と申しますか、あるいは説明をされた方に錯誤があったり、説明が足りなかったとは、私は実は考えないのであります。ただ七十万円の工事を一万円で落札したということは、いかにも非常識であるので、説明が不十分であったというところに理由を求めて、さらに入札された間組に対しては、こういう非常識なことのないようにということを警告して、そこに一つの何と申しますか、善後措置の道を、方便をお考えになったというだけに私はすぎぬと思います。にもかかわらず、宮内庁当局の警告を無視して、やはり前の初志通り一万円で入札したというのが前例であります。でありますから、もしも前のそういう便法をおとりになるならば、法律の、ただ区々たると申しますか、ごく技術的な説明にとらわれて、これをこのまま押し通そうということは、私はこれはよくないことであると実は考えるのであります。で、今前の工事は金額が少なかったから、今度の中に入れたと言われますけれども、前の問題の実体をお考えになりましたならば、当然何もここに一軒や二軒でなく、相当多くの一流の建築業者があるわけでありますから、前の警告を聞かなかったというだけで、これは指名の方からはずしてもよかろうし、また同じようなことをやったということについては、私は、何もこれは、入札を取り消したからといって、一向差しつかえないものだ。ちょっと今宮内庁から承わってみますと、百二十万円以上の寄付をもらうのには、別に国会の同意を要するというふうな規定があると言われるのでありますから、まして五千万円の金をこういったような警告を聞かずにもぐって寄付をしようというようなことは、これはただ法律の制限に今までなかったというだけで、大臣が一向お考えにならぬということは、私は非常に遺憾に実は思うわけでありまして、当然これは、早いところでお取り消しになりませんと、国民感情の上からいって、非常に問題がますます錯綜するのではないか。私は、非常に実は昨日の新聞を拝見しまして憤慨をしている一人でございます。ほかに自分のこういったような赤誠を披瀝するならば、やはり国が寄付をもらうときの閣議申し合せというものは、二十三年の一月の閣議決定というものがあるわけでありますから、堂々とやはり国に寄付を申し出て、そうして閣議でこれをとるかとらぬかということをおきめになるということが、これは正々堂々の道でありまして、かようなことで、いやしくも少しでも国民の感情の上に割り切れぬものを残すということは、将来のために私はよくないと、こう考えますので、大臣の重ねて御考慮をわずらわしたい、かように存ずるのであります。
  102. 遠藤三郎

    国務大臣(遠藤三郎君) おっしゃることはよくわかるのでありますが、今度のこの皇太子の御殿は、特別な意味がありまして、業界としては、ほとんど損得を計算に入れないで奉仕したいという空気が一ぱいにあったように見えます。かりに今二番札を見ましても、四千万円台になっておるのでありまして、予定の価格は大体七千万円ぐらいでありますから、これはまさに赤字になるということで、これは計算外であります。そういうところに問題がありまして、今の二番札、三番札も、やはりそういうふうな形が出ておるのであります。これは、皇太子の御殿の造営に対して、ほんとうに真心から奉仕しようという土建関係の方の気持の表われであろうと、こういうことを考えまして、これはこのまますんなり受けていくことがいいのではないかという、私はそういう考えを持っておるわけであります。
  103. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 もう一点、今七千万円とおっしゃられましたが、私の新聞で拝見しておるところでは、予定価格は五千万円で、上が七千万円、下が四一千七百万円、これはあまり奉仕という……、これくらいの開きは至当である。と申しますのは、そういうふうにおっしゃられますと、私は建設省の局長の方が、予算がぎりぎりで、これで大助かりだと、非常にこれは不穏当な言葉であると思います。これは一つの新聞じゃありません。どの新聞にも出ております。かような非常識な入札で国の予算は大助かりだと、これは床屋あたりが言うならば知りませんが、いやしくも責任のある建設省の局長が、こういうことを一体新聞社に言って、それでいいとお考えになりますか。私は、これは釈明し、十分あやまるだけの値打がある、けしからんと思っていますが、いかがですか。
  104. 遠藤三郎

    国務大臣(遠藤三郎君) 今の御質問は、私はおっしゃる通りだと思います。これは金が少くて済んで大助かりだといったようなことは、まことに不謹慎な言葉で、私もあれを見まして、どうしたんだということを尋ねたのであります。しかし事実はそうでなくして、そういうことを申したのではないと、これは法規上はやむを得ないという趣旨のことを申し上げたのだと、こういうふうに私は聞いているわけなんであります。実は私も非常に弱ったことになったと思っております。ざっくばらんに申し上げますけれども、もっとフェアにいけば、非常によかったのでありますけれども、非常に御殿の造営に奉仕しようというそういうような気分が横溢しておったというところから出てきた結果であろうというふうに、実はすんなり私は見ているようなわけであります。
  105. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 入札の金額はいかがですか。あなたの言ったのがいいのか、私の言ったのがいいのか。
  106. 遠藤三郎

    国務大臣(遠藤三郎君) 七千二百七十万円のうち予定価格としては七千万円にしている、これは真実の数字でございます。
  107. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 関連して二、三伺います。皇太子殿下御成婚に伴う東密御所建築総予算額は、たしか二億三千万円だったと思うのですが、今度東宮仮御所の改修をするわけですが、それを含めて、何回あと入札がある予定ですか。
  108. 桜井良雄

    説明員(桜井良雄君) 仮御所の改修ということは、建設省ではまだ承わっておりませんので、その点につきましてはお返事をいたしかねますけれども、新築工事につきましては、今回出しましたのが、基礎のくい打ち工事並びに主体の鉄筋コンクリート打ち工事であります。来年度の予算をもちまして、残りの仕上げの工事並びに設備工事を発注する予定でございます。設備工事はいろいろ暖房、電気等ございますので、あるいはこれは数件に分けるかと存じますが、仕上げ工事は普通で参りますれば、一本で出すわけでございますので、今のところの予定といたしましては、来年度の残りの予算をもちまして、数件発注する予定でございます。  なお、先ほど私の新聞談として、大助かりということが報ぜられておりますけれども、私自身絶対にそのようなことを申したことはございませんので、釈明をさせていただきます。
  109. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 入札を何回するかということを聞いている。
  110. 桜井良雄

    説明員(桜井良雄君) はい。でございますから、来年度の予算をもちまして、今のところ数回でございます。どのように工事を分けるかということを、これから研究をいたしましていたしますが、設備工事が三、四回、それから仕上げ工事がまず一回かと思っておりますけれども、いろいろ研究しました結果、あるいは仕上げ工事を、またむね別に分けるということも考えられますし、研究の上どのような入札方法を喜やるかということを決定いたしたいと思いますけれども、数件は来年度発注いたすつもりでございます。
  111. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 質問を続けるに当って、申しておきます。それは東宮仮御所の建設については、建設省がまだ承知してないということですが、次長に伺いますが、これは私は内廷費で改修するものじゃなくて、おそらく宮廷費で改修するものだと思います。しかし、けさのラジオを承わりましても、皇太子殿下は、美智子さんと協議して、しかるべく改修するというような記者会見の放送がなされておりましたが、宮内庁としては、改修計画を持っているのか持っていないのか、お伺いいたします。
  112. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 常磐松の仮御所をごく必要最小範囲で改修いたしますが、それはちょっと間仕切りを変えたり、あるいは事務所を応接間に変える。それから事務所が外の方の今宿舎のあるところに……。
  113. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いやするかしないか、入札があるのか、やるのかやらないか、そこだけ私は聞けばいいのです。
  114. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 入札はやりますが、金額は二百万円前後、小さなものでございます。
  115. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 二百万円前後で改修される、それは承わっておりますが、この場合も入札があるとすれば、先ほど建設省関係の係の人の御答弁では数回、まだ五、六ぺんか六、七へんはあるのですね。今度そこのところを建設大臣に伺うのですがね、過去二度あったこれらを見ますと、業者をして不当に、過当に競争させるというような事態が起って参ると思うのですね。それで今度も数回入札がなされるわけですが、今まで通りの形で入札をされるのか。私はあまり専門家でないから詳しく知りませんけれども、常識で考えても方法があるのじゃないかと思うのですが、ね。ミニマムの設定をしておくとか何とか、適当な方法があるのではないかと思うのですが、今まで通りやりますか、新たに何か考慮いたしますか。
  116. 遠藤三郎

    国務大臣(遠藤三郎君) この問題を契機にして、最高の価格と最低の価格、ロワーリミットを作るような入札方式にしたらどうかというふうな意見がございます。それはこの問題だけでなく、前から議論があったのであります。ところが、その問題についてはいろいろ弊害も出て参るのでありまして、ある県などの実例を見ますと、最低価格というものをこっそりだれかから聞いて、その線でもって入れたものが必ず取ってしまう。ボスが取ってしまって、それを下請に出してくる例が少くないのであります。非常に大きな弊害が出てきている。今の国の建前は安い人に落札をさせるのだ、こういう建前になっております。従ってこの問題はなお十分検討しないと結論が出ないと思いますので、今度の問題を契機にいたしまして、諸般の情勢考えて、十分検討した上で善処したいと思います。
  117. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それは検討していただくことにして、私はこの問題は合理主義、科学精神という立場から考えた場合、全く常識はずれの問題だと思う。従ってこれをどういうふうに受けるかということが大事だと思う。間さんの方としては、私が申し上げるようなことは期待はされておられないと思うけれども、ただ扱い方だけれども、天皇家に寄附されるのじゃなくて、これは国有財産ですから、国に寄附されることになるのですから、だから国がこれをどう受けるかということです。具体的に申しますと、よく建築された場合には感謝状というものを贈るわけですね。こういうような場合に、落成式かあるような場合に、国は間組に対して感謝状を出すのか出さんのか。問題はそういうところに出てくると思う。また、拝謁とか、その他について、あのとき一万円で入札してやったからというので特別扱いをされるのかどうか。また、今後建設省はあらゆる工事を持たれているわけですが、新聞には大助りだというような記事が出ているわけですけれども、間組を何か特別扱いをされるようなことがあるのではないかどうか。それらの点ですね。間組というと、私は佐久間ダムを思い出すのです。あの佐久間ダムをやった組だと思う。そしてこれには有力な保守党の政治家が入りまして、相当予想したものと違う地盤も出てきた関係もあると思いますけれども、次々に御記憶あると思いますが、金額を上げていった。それが政治的である、いや妥当だといって、国会でも大論争をやったことを私は想起するわけであります。だから建設省と間組、これは有力な組でもありますが、相当縁は深い方なのであります。私はここで具体的に伺いたい点は、こういう寄付行為に対して、国として感謝状を与えたり、あるいは建設省はこれを特別扱いにしたり、また宮内庁次長にこれはお答え願いたいのですが、拝謁、その他宮中参列その他について、あのとき一万円で入札したからというので特別扱いをされることがないのか。それらの点についてどうお考えになっておるのか。間組としてはそういうことをもちろん期待してないと思うのでありますが、この結果はどうなるか。その後における扱い方というものか関連してくるので、大事なことだと思いますので、御両人からお答え願いたい。
  118. 遠藤三郎

    国務大臣(遠藤三郎君) 工事の結果、いろいろな表彰なり何なりの問題か出てくるのでありますが、そういう問題については、工事の結果を見まして、そして今の世論の動向をながめて慎重に考えていきたいと思います。それ以上お答えすることは、今の段階としてはできないわけであります。
  119. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この工事の関係の功労とか、そういう理由で特別の拝謁とかの扱いは多分ないと思います。
  120. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 こういう点、建設大臣もっとはっきりした答弁できるはずです。これは扱い方一つでは、業者の不当過当競争をそそのかすことになってくると思う。これはさっき私が言ったように、合理主義、科学精神から考えると、常識的なものではない。かるがゆえに八木委員も指摘されていると思う。少くともさっきの建設大臣答弁ははっきりしていませんよ。最後に伺いたい点は、次長に伺いますが、いい機会だから伺っておきますが、東宮仮御所を改修されて一応あそこでお幕らしになる。東宮御所ができれば東宮御所にお引越しになる。そうすると東宮仮御所はどういうことになるのですか。それから将来皇太子が天皇の位を継がれた後には、今の御文庫にお入りになるのか。そうなった場合には二億三千万円かけて作った東宮御所はどうなるのか。それらの使用計画はどういうようにお考えになっているのか、お答え願いたい。
  121. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 常盤松の東宮仮御所があきました場合、そのあとの使用方法はきまっておりませんけれども、義宮さんが独立されたような場合そこへお住みになるとか、あるいは他の皇族さんの用に供するというようなふうに考えているわけであります。それから将来今の皇太子殿下が天皇になられた場合に、大宮御所のあそこのところららお通いになるか、それとも皇居の方にお住みになるか、皇居と定まったところへお住みになると思います。そういう場合においては、また皇太子もあるのが普通でございますからその皇太子の方がそこにおられる、大宮御所におられるというふうになろうと思います。
  122. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今度の間組の入札を、国家に対する実質的寄付と建設大臣はお考えになりますか。
  123. 遠藤三郎

    国務大臣(遠藤三郎君) これは純然たる寄付ではないと私は思います。といいますのは、工事をやる費用がその中に入っているのです。ですから、しいていえば寄付的なものも入ってくると思いますけれども、純然たる寄付ではない。こういうふうに思います。
  124. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 七千万円の工事を一万円で引き受けて、六千九百九十九万円は寄付とはお考えになりませんか。
  125. 遠藤三郎

    国務大臣(遠藤三郎君) これは法律論をやるようではなはだ恐縮なんですが、法規に基いて落札したのでありますから、落札の請負金になるわけでありますから、純然たる寄付だということは言えない。これは法律論でありますけれども。実際は寄付というようなものか多分に人っている、こういうことになると思います。
  126. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 実際は寄付なら、二十三年一月の閣議決定の官公庁における寄付金等の抑制に関する件、こういう閣議決定があるわけです。だから閣議でこれを受けるか受けんかということをきめる必要がある。七千万円で、六千九百九十九万円を実際に受け取って、そうしてこれはどうも法律的にどうだから寄付とは言えない、閣議決定は必要ない、これは私は常識的に許せないと思う。
  127. 遠藤三郎

    国務大臣(遠藤三郎君) 私は当初申し上げたのでありますけれども、多少そういう点についての法律的な疑問がありますので、法制局とも今打ち合せまして、そこらの点をはっきりさせていきたい、こう思っている次第であります。
  128. 横川正市

    ○横川正市君 私は防衛庁長官に、時間がないようですから、ずっと項目を並べて、一ぺんにお答え願います。最近新聞紙上で報道された問題に関連をいたしまして二、三御質問を申し上げたいと思います。第一は、自衛隊の隊内に書籍その他の購読物を販売する商人等の出入りの場合には、これはそれぞれ許可とか任意とか、いろいろ方法があると思うのでありますが、そういうような書籍購読物等の隊内の出入りについては、自衛隊としてはどのように取り扱われておるか、それが第一点であります。第二は、隊員の持っております隊内の、何というのですか、昔の軍隊でいえば内務班でありますが、そういうところでの私物の、書籍の所有その他については、どういう取り扱いをされておるのか。それから第三点は、この自衛隊に対する誹謗という問題があるわけでありますが、これは思想的なものと、あるいは憲法論議の中からと、あるいは単にやゆったものと、こういうふうにいろいろ自衛隊に対する誹議的なものかあると思うのでありますが、こういった誹謗ということをどのように自衛隊ではとっておられるのか。それから第四番目は、自衛隊の隊員の教育上の問題で、自信を持たるためにいろいろ教育をされておられると思いますが、自衛隊員の自信というような問題と関連して、これは非常に広範囲な問題かと思いますが、その自信を持たせるために、どういうふうな教育をされておられるのか、以上大体四つ御質問申し上げるのが一つであります。それからもう一つは、設置法の改正によりまして、これは少し私はおかしいと思うのでありますが、総理府の下部に委員会とかあるいは庁等が設一置されることになっております。そのあれからいきますと、防衛庁とそれから調達庁との関係というのは、これは、並列になっておるわけです。しか旧し設置法が改正されまして、四十一条の二では防衛庁に置かれる機関として一調達庁というのが改正されました。しかしその2で、「調達庁の組織、所掌事務及び権限に関しては、」調達庁が独自これは行うということになっておりますから、外局みたいな内局ということに私はなるのじゃないかと思われるのであります。そういう関係から一つ問題が出ておりますのは、調達庁の現在まで持っておりましたそれ自体の所掌の内容からいきますと、逐次占領軍の撤退等によりまして縮小されている。そうすると機構が縮小され、人員か整理されるという運命に調達庁はあるわけであります。しかし、これは外局だということになりますと、防衛庁の大体置かれている立場から調達庁との関係で、この問題は単に機構の縮小、それから人員整理をもってしないで、調達庁の任務というものは当然これは防衛庁と関連させて機構はそのままに置き、人員はそのままに置いて、業務を運行するということが可能なのじゃないか、こういうふうに思われておるのでありますが、その中で一つは特別職とそれから一般職との関係で、あなたはこれをどういうふうに考えられておるのかということと、もう一つは調達庁の実際上の業務の内容を充実して、現状の調達庁の機構を維持していく、こういうことについて、どう考えているのか、非常に時間がないようでありますから、全般を通してお答え願います。
  129. 佐藤義詮

    国務大臣佐藤義詮君) 第一の隊内へ商人が出入りすることでございますが、隊内のPXにおきましては、売店等管理委員会というものを部内で作りまして、そこで審査をいたしまして一定の期間契約をいたしております。内務班における、まあ今は内務班とは言いませんで、これは普の時分のものですが、これは一切干渉をいたしておりません。外でいろいろな書物を買って参りましてそれを置きましたからといって、それがたまたま自衛隊の精神に反するといっても、そういうことは一切干渉しないで、自由に読書をさせるのであります。第三に、いろいろ自衛隊の非難と申しますか、こういうものに対してどういうふうに考えるかということでございますが、非常な悪意の非難でございますとか、自衛隊というものの存在を根本的に否定するようなことは、私どもも非常に困るのでございまするが、いずれにいたしましてもいろいろな御批判を受けますることがわれわれの反省する材料でございまして、私先般ある事件で部内を戒めるときにも、逆境の恩寵というような雷葉を使ったのですが、やはり非常に昔の陸海軍のように裏はとにかく表面おだてられてうちょうてんになっているときにかえって堕落するのであって、やはりいろいろな御批判を受けることによって、われわれ自粛して真に国民に愛される自衛隊となるように努力していきたいというふうに受け取っておる次第でございます。第四に、そういう中に教育上どうして自信を持たせるか、われわれは自衛隊を否定する方も、願わぬことですけれども、一朝事あるときには、そういう方もわれわれも一緒にこの国土と民族を守るのであって、そういう点において高い信念を持って職務に精励をしていけというふうに指導をいたしておるつもりでございます。  調達庁が従来は総理府の一局であり、防衛庁長官が国務大臣としてはこれを担当いたしておったのでございますが、八月から御承知のように防衛庁の外局になりまして、一般職、特別職のことにつきましては、今後十分検討しなければならぬと存じますが、もしだんだん仕事の量が少くなり、調達庁の機構が縮小され、人員が整理縮小されるというような場合には、できるだけ一つ防衛庁でもし人員等のふえるところがございますれば融通をするようにしていきたい。いろいろ任地の関係とか、待遇の関係とか困難はございます。無理な私は強制的な人員の異動をしようとは考えておりませんけれども、十分納得の上であたたかい気持一つ今後のそういう方面も考えていきたい、かように考えております。
  130. 横川正市

    ○横川正市君 今の答弁でいけば、大した問題は起らないわけなんですが、最近埼玉県の大宮の陸上自衛隊の駐屯部隊の中で起りました「人間の条件」をめくっての隊内での書籍の取り扱い、それから教育内容というような関連で、実はお聞きをいたしたのです。これは長官内容を御案内でしょうか。
  131. 佐藤義詮

    国務大臣佐藤義詮君) 新聞等で存じております。
  132. 横川正市

    ○横川正市君 いや、実際上の問題は……。
  133. 佐藤義詮

    国務大臣佐藤義詮君) はあ、お尋ねがあれば申し上げたいと思います。
  134. 横川正市

    ○横川正市君 この内容を見てみますと、まず検閲はやっておらないということでありますし、それからあなたの言っておられるように、私物その他の問題については、全然干渉しておらないというのでありますから、実際上はこれは起るべきことでないことが起ったということに、私はなるのじゃないかと思います。その中で説明されているのでは、警備班の中で遠慮してもらいたい本があれば、それを遠慮してもらう方法と関連いたしまして、事前に本の提示を受けてよしあしを決定するということが一つあるのです。そういういろいろここに出ておる問題をとってみると、今、長官のお答えになったこととは、およそ実際の隊で実施していることとは違う内容が見受けられる。それから、ことに私は問題なのは、隊員の中で、今のような時代に、自分の読みたい本が読めないような非常に不自由なことでは、自分たち自身か批判力を持つこともできなくなるし、非常に困るのだという意見、それから高校生くらいでも読んでいるじゃないか、こういう本を、それを私たちか読めないということは非常にさびしい気がするというような隊員の気持と、それから、なぜこれを禁止したかという、いわゆる上司の人たちの考え方を見ますと、十八才くらいで入ってきて、感受性が強いから、ことに批判力が固まっておらないのに、こういうものを与えることはいかぬという考え方、この隊員とそれから上司とのギャップというのは、あなたは一体、単なるこれはギャップ、年令的なものからくるギャップなのか、あるいは自衛隊の持っております教育上の問題からくる隊員の不満なのか、その点についてどのようにお考えですか。
  135. 佐藤義詮

    国務大臣佐藤義詮君) 先ほど申し上げましたように、隊員がどうしても読みたいというものは、町で自由に買って差しつかえないのでございまするが、ただ外出の機会も土曜、日曜以外、非常に少いのでございますので、隊内にPXを設けております。そこの書店で販売しまするものにつきましては、やはり若い人々を指導する立場から、各隊で自主的にいろいろ親心で心配をしておる。その親心がいろいろ行き過ぎて、「人間の条件」につきましては、私、これは行き過ぎもあると思いまするが、自衛隊の営内生活といたしましては、規律ある中にも、できるだけ情愛のこもったものにしたい。これは一度各隊をごらんいただきますと、私どもの念願しておるところはごらんいただけると思うのでありますが、何分にも若い純真な隊員の集まりでありまするので、自衛隊を頭から否定してしまう、はなはだしく士気を阻喪せしめる、あるいは少し風俗壊乱といいますか、そういうようなことが隊員を極端に刺激をして、隊内の規律を危うくするというような書物につきましては、少くとも隊内で販売を奨励したくないと、こういうことで、隊内に陳列販売いたしますものにつきましては、幹部において一応目を通しておくということは、私はやむを得ないと存じております。
  136. 横川正市

    ○横川正市君 時間がないので。私は隊内で禁止しているものを外で買ってきて、私物の中に入れておったということはこれは一体上司が見て、その隊員が、あなたの言ういわゆる士気その他旺盛なる隊員だと見れるのですか、見れないのですか。それとも私は、根本問題としていろいろ問題があるので、時間がないから申し上げないで、次回に譲りたいと思うのですけれども、もう一つは、この設置法に伴うところの防衛庁と調達庁との関係なんですが、単に人事の交流とか、それから相談をしてどういうことになりますか、幾分、人を引き受けるとかという、そういう消極的な問題ではなしに、自衛隊の仕事を積極的に調達庁にやらせるというふうにして、仕事そのものを充実して、現在の調達庁の機構、人員等をかかえていく、こういう積極的な意思があるかどうかということを先ほどお聞きしましたが、その二つだけお伺いしたいと思います。あとは次回に譲りたいと思います。
  137. 佐藤義詮

    国務大臣佐藤義詮君) 機構をどうするかということにつきましては、これは政府全体の問題でございまして、いろいろ行政機構の問題について、今、検討をいたしておるのでありまして、中には、防衛庁だけでなしに、いろいろな建設関係、調達関係の仕事が多いので、そういうものを一つに役所をまとめて、調達庁を発展的にそういうものにしたらというような意見もあるのでございますし、あるいは私どもの方に建設あるいは調達の本部を置き、そういうものとこれを総合的にしたらどうだというような意見もあるのです。現在研究中の段階でございまして、結論を申し上げることは困難でございます。そういうことがかりにできませんでも、とりあえず私どもといたしましては、御承知のように、だんだん駐留軍が撤退して参りまするにつれて、いろいろ変って参りますことについては、私ども同じ防衛庁と一つ屋根の下に住むことになりましたので、とりあえずのことにつきましても、できるだけ善処したいというふうに考えております。
  138. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 お急ぎのようですから、二点だけ伺います。  その一つは、調達庁の所管大臣としての左藤国務大臣に伺います。その内容は、かつて本委員会でも取り上げられたのでありますが、終戦後、占領軍が進駐した。その進駐軍によって損害を与えられた、特に人命を奪われ、あるいは負傷した方々に対するところの補償が、御承知のごとく、過去六回にわたって手直しをされたけれども、その時代によって非常にアンバランスがある。それからいまだに支給をしていない未措置の方もある。よって、それらを十分調査をして、そして追給すべきものは追給し、さらにアンバランスは是正する、こういうことを基本方針として、あなたも、官房長官も、本委員会でお答えになりました。  ところが、今までの行きがかり上、調達庁かこれをやっておりますから、実際、調査をしようにも、主管官庁というものが明確でない。そして調査をするのに公務員の定員のワクがない。だから調査をして、そういうことをやりたいといっても、やる課もなければ、職員もない、こういう状況であります。承わりますと、来年度の予算編成に当って、定員百五十人、それから千二百万円の予算を大蔵省に要求して本日まで参ったということを承わっているのでありますが、これはすでに認められたのか。また、認められていなかったならば、所管大臣として最終的に必ずこれを正式に予算化する決意を持っておられるのかどうか。と同時に、かつて長官は、行政措置で遺家族に対する補償ができないときは立法措置をするという答弁国会でなされております。従って、議員の間にもそういう声があるのですが、立法措置の作業をとりつつあるのか。詳細については、後刻、調達庁長官に伺いますが、そういう大きな方針について答弁を求めます。  そしてもう一つは、具体的に、これと同一の問題ですが、ジョンソン基地で武蔵野音楽大学の学生宮村君が非業の死を遂げた。これに対して調達庁で、この補償について米軍当局といろいろ交渉された点は認めます。ところが、ある計算方式によると、約四百二十七万円になります。しかし、遺族としては、せめて二百九十三万円程度の補償はほしいというのを積算いたしております。ところが、調達庁の出先機関としては、現行法ではマキシマム百五十万円だ、従って、百二十万円程度ではどうか、相当に圧力と言っては語弊がありますが、そういう角度で遺族を指導されたようです。この問題については、かつて本委員会で取り上げられ、私のみならず、竹下委員、さらに自民党の松岡委員からも強く要望されて、そして防衛庁長官並びに官房長官は、請求書に国民感情の現われるような意見書をつけて米軍に出し、十分交渉するということを答弁されておるわけですが、いかようになったのか、これが一つ。  それからもう一つは、かつて防衛庁長官は就任されたときに、防衛庁長官の職務は重大であり転々と長官が交代することは好しくない、自分は滅私奉公したい、かように速記録を残しております。過去において防衛庁長官は平均六カ月で交代いたしております。特に日本の防衛問題は米軍と密接な関係があることは皆さん御承知通りであるし、また、私は先般十一月一日自衛隊の記念式の際に参加さしていただいたのですが、外国武官との折衝等を見たときに、防衛庁長官は大へんだなとかように私は思った次第です。おそらく左藤長官としては、党の利益よりも国の利益というものを優先するようにお考えになっておられると思うんです。ところが、うわさに聞くと、左藤長官は大阪府知事選に立候補される、それについては大阪の左藤会としては、十二月二十一日決定として報ぜられた点は、左藤さんの決断にまかせる。自分らとしては府知事選に出ることは反対で、防衛庁長官を勤めてもらいたい。しかし、最終的なものは防衛庁長官の決断にまかせるという決定をしたということを報ぜられております。私は従来の長官の言動から私のために、あるいは党のために国の利益ということをお忘れになるようなお方でないと思っております。従って私は、総理から罷免権を発動されればこれは別でございましょうけれども、それがない限りは、今までの言動からして、左藤長官がみずから自分は府知事選に出たいといって辞表を書くことは万々ないと推察いたしておるわけでありますが、長官の御決意を承わっておきます。明快にこの点はお答え願いたい。
  139. 佐藤義詮

    国務大臣佐藤義詮君) 第一の占領期間中の被害の問題でございますが、これは非常に皆様方に御心配をおかけいたし、私もできるだけ善処することを申し上げたのでございますが、御承知のように事故発生当時から相当な年月を経過しておりますので、立証資料の再整備をはかり、実施段階において不必要な紛争が起らないように、また、将来再び支給漏れ等の事態が起らないように完全に調査しなければならぬ。この調査につきましても、すでに見舞金の支給を受けている者につきましては、各都府県から提出された被害者調査に基いて特に請求権者の変更、現住所の変更及び各種証拠書類等の再確認調査を行なってもらいたい。また、支給漏れの者につきましては新聞、ラジオ等の報道機関とか都道府県及び市町村、警察本部の御協力を求めて、証拠確認調査をしなければならぬ、こういうことで今までも調達庁で努力して参りましたが、これをできるだけ早くまとめまするために、ただいまお示しのように明年度相当の人員と予算の要求をいたしておりまして、御承知のようにきょう四時から閣議で予算の報告がございまして、第一次査定を示されるわけでございますが、万万これか落ちていることはないと存じておりますが、万一そういうことがありますれば、大蔵省に対しまして私は十分折衝いたしまして、ぜひこの程度調査ができますように進めたいと思います。なお、これを行政措置でできるか、あるいは立法化するかということにつきましては、この調査の結果を見まして考慮いたしたいと存じております。どうしても調査の結果立法措置が必要でございますれば、さようなことにいたしたいと存じます。  その次に、宮村君のことにつきましては、当時非常に国民にセンセーションを与えたことであり、私どももまことにお気の毒なことだと思いますし、私個人としてもお悔みに御霊前に参ったのでございまするが、そういう気持から、一つできるだけ、許します限りにおいて、御遺族を少しでもお慰めするような額にいたしたいと努力しておるのでございますが、ただいま具体的な数字と、現在の段階につきましては調達庁長官からお答えいたしたいと思います。  私自身の身辺のことについて、大へん私親しく願っております矢嶋さんから、切々たる御意見をいただきまして、私も阿衛庁長官の仕事の重大なることを痛感いたしまして、よく新聞等に伝えられまするようなことで軽率に動かないように努力しております。これは私個人でございますが、私の応援団体は、国会議員としてお前を出したのだからして、国会議員として最後まで努めろという二回まで強い決議をいたしておりましたが、それではわれわれが左藤を縛り過ぎることになるから、その決議を白紙に返す、しかし、どこまでも自分の良心に従って一つ決定をするようにということでございました。私といたしましては、なお慎重に考慮いたしまして、現在は防衛庁の長官として予算の問題に取り組んで、  一日々々最善を尽しておるつもりでございます。
  140. 永岡光治

    委員長永岡光治君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  141. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記を始めて。
  142. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 残念ですが、大臣は渉外事務ということですから調達庁長官に伺います。  長官に具体的に伺って参りますが、前の委員会でやはり問題になりましたジョンソン基地事件の宮村君の遺族から、書類はすぐにあなた方のところへ届いていることと思いますが、いかがですか。    〔委員長退席、理事松岡平市君者席〕
  143. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 御遺族の方からの正式の申請書は実はまだ受理しておりません。本件に関しましては前委員会において私も詳しく事情を申し上寿たと思いますし、また、矢嶋先生を初め各委員のお方からもいろいろ御意見御要望を承わっております。正式の書類は出て参りませんか、非公式には軍側の担当者とこの件に対する交渉、協議はいたしておりました。その現在の大体のところは、単なる学生ということではなしに、宮村さん御自身の当時の状況、御遺族状況等をいろいろ勘案して、今までのこの種の例に基く線に沿いつつ、できる限り手厚い処置をいたしたいということで、金額にしますとほぽ百万円程度という見当の話は上っております。しかしながら、これはあくまで非公式の話し合いでございまして、申請書を正式にお出し願えれ、は、それに基いて具体的の折衝等を軍側といたすつもりであります。
  144. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これは非常にかわいそうで、早急な問題、だから私は伺っているのですが、書類が出ていないというのには、推察される事情があるのです。それはお母さん一人の方でしたか、調達庁で百万か百二十万くらいの数字を書けと、こういうふうにあなた方の方で出先機関が指導される。そうするとお母さんは百万円か百二十万円の金額で署名捺印して出すと、もうそれで自分はいいのだということになる。祥之をああいうふうに取られて百万円でいいとは、どうしても自分は意思表示しかねると涙を流して泣くというのですね。それでなくなった祥之君のおじさんである、遺族の兄弟になる人ですか、その人は姉の姿を見るとどうしても書けないというわけですね。そういう事情で本日まで出てこないのですね。とにかく遺族の方は年寄りにもなっているし、もうあの事件で全く望みを失って仕事にも身が入らないし、一日も早く補償金を解決してほしいという他面の念願もあるわけです。宮村君は学生といいますけれども、皆さん御承知通りに、ちゃんと米軍から証明書が出ておるが、アルバイトとして音楽学生なものですから、月に二万五千円のアルバイト料をもらっておったわけです。これはあなた方も確認しておるわけです。そして現にお母さんに——これも、郵便局の証明書があるのですが、八千円から六十円の金を毎月お母さんに送っておったわけですね。だから、単なる学生じゃないわけです。しかも、なくなったときの事情というものは、私がここで繰り返す必要はありません。異例中の異例ですね。従って官房長官並びに調達庁長官は、十分国民感情も米軍側に話して、そうして特別の意見書を書いて、最大限補慣金が出るように努力しようということであった。そういう答弁をここでされたわけです。宮村君が六十才まで生きるとして、ある方式で計算しますと、先ほど申しました四百二十七万というのか出るのですよ。しかし遺族としては、そうもいくまいというので、ちょっと私も書類を瞥見したのですが、二百九十三万程度の数字をはじいております。ところが、あなたの方の事務官が指導して作った書類には、驚くなかれ、東京に遺族を迎えに行ったときに三人で百円のどんぶりを食べたという、そういうことまで書いた。氷代まで書いてあるのですよ。そうして、百万そこそこの数字が出ているのです。これでは僕はあまりに事務的だと思うのですよ。あなた方が防衛庁の事務官として占領以来いろいろ米軍と折衝を持っておりますが、いろいろつらい点があるでしょう、敗戦国の役人ですからね。しかし、もうある程度敗戦国から立ち上ってもらわなくちゃならぬと思うのです。あなた方事務当局の話し合いで前例とか内規とかあってできぬとすれば、調達庁の所管大臣である左藤長官を動かすとか、あるいは内閣のしかるべき代表者、官房長官あたりに動いていただいて、そうしてまあ少くとも二百万という声のかかるくらいの数字が出なければ、私はお母さんが署名捺印して出さないというのはごもっともだと思うのです。    〔理事松岡平市君退席、委員長着席]  一体そういう努力を国務大臣並びに官房長官として強くお願いしたのかどうか。あなた方事務当局の人間が何べん米軍に会ったってだめですよ。そういう努力をされたのかどうか。されてないとすると、今後する用意かあるのかどうか。それから見通しとして、私はそうあとで言質云々なんということは言いません。しかし、大体遺族が納得し得るような、われわれが常識で考えて了解できる数字が出れば、私はそう言質を取って追及することはしませんが、もう少しどうにか数字が出なければ、あまりにもひどいと思う。かわいそうだと思う。だから、見通しもあわせてお答え願いたいと思います。
  145. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) これまでのいきさつは、先生もよく御存じの通りでございまして、単なる学生としての取扱いの三十万円あるいは四十万円ということではなしに、今もお話がありましたように、宮村君が働いておられたその事情、あるいはお母さんにも送金しておった事情、これらの私どもがわか範囲の点につきまして調べまして、そういうことから一応の推定数字というものが今の百万円というような数字になっておりまして、これらの話は非公式に軍側担当者と話し合いにも出ておるわけでございます。しかしながら、そうであるからといって、お出しになる申請書にそのように書かなければいけないとか、あるいはどうとかということの権限なりあるいは何なりは、調達庁としても毛頭持っておるものではございませんし、御要望の数字によっての申請書をお出し下されば、それに基いてなお実情を調査し、そして軍側から余分に弔慰金を出させる処置その他は、それに基いて十分公式の話し合いでいたしたいと考えておるわけであります。従いまして、その申請書につきまして、私調達庁長官としての力不十分であって、軍側に十分な処置を同意せしむることができない等々の事情がありますれば、もちろん私は大臣にもお願いし、また、それぞれの筋も通しまして十分なる努力をいたしたいと、このように考えております。
  146. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  147. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記を起して。
  148. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 具体的にお伺いしますが、貴族の方は、調達庁の出先機関が指導して下さる数字を書かないと、あとお世話をしてくれないようになると困るというような気まで使っているわけなんですね。そこで、私は今のあなたの答弁からはっきり伺いますか、遺族はこの程度の補償金をお願いしたいという、その気持の表われるような申請書を出した場合、それはできるかできぬかは別として、とにかく調達庁はそういう申請書を受けつけるかどうか、この点と、それからもう一つは、早急にこれは解決してあげていただきたいと思うのですか、いつごろまでに解決していただけるか、それが第二それから第三は、さっき防衛庁長官に伺ったことからちょっと掘り下げて伺うわけですが、それは進駐軍による事故によって被害を受けた方の補償の問題については、今後調達庁が主管官庁となって、百五十人程度の定員が確保されると、それによって詳細にして具体的な実態調査をして対策を講ずる、そういうふうに了承してよろしいか、その補償の業務の開始はいつごろに目途を置くか。それからその調査を終るのは、私は六カ月程度あればできるのではないかと思うのですが、どの程度の期間を予想して百五十口という数字を要求したのか、あわせてお答え願います。
  149. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 第一に宮村さんの補償の件でございますが、申新書名お出しになる金額が、私どもの現地り者が従来の例から考えた数字そのもりではなくて、御要望の点を十分に書かれたものでありましても、調達庁としてはもちろん、であるからそのお世話その他をしないなんということは毛頭でざいませんで、お気持に対しまして十分に努力をいたすつもりでございます。しかも、できる限り早急に解決することが望ましいことはもちろんでのりますので、その努力をいたすつもりでございます。  なお、第二の占領時代の人身被害の調査でございますが、ただいまの段階におきまして、従来の書類等の整理をいたしておりますか、これの実態把握りために、個々のケースにつきまして現実について調べ上げる、そのために相当の所要員数、経費も必要なので、財政当局に要求をいたしておるわけでございますが、この事の重要性にかんがみまして、財政当局も十分に認めてくれるものと、私は強く期待いたして知ります。大臣も先ほどこの問題はぜひ実現するとおっしゃった通りに、私も考えております。これに基きまして、約六ヵ月から十カ月程度の期間があれば、その実態調査の完成もできるだろうと考えております。その結論に基きまして、支給漏れのもの、あるいはバランスを失するものに、いかなる適正の措置を講ずるがいいか、これらの検討を加えまして、その上具体的の対策を立てまして、実施に移したい、このように考えております。
  150. 横川正市

    ○横川正市君 ちょっと調達庁の新年度予算の予算定員について二、三お伺いしたいと思うのでありますが、機構上の問題としては、本年と、それから来年度の場合、これは将来の見通しもある程度立てなければならぬと思いますが、どういうふうに変ってくるのか、また変らない現状のままいくのか、その点が一つと、定員が、三千百三十七名現在定員として持っておられるようですが、この定員は、一体来年はどうなるのか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  151. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 調達庁の業務は、先ほどからいろいろお話もございましたが、駐留する米軍が漸次減少していく、特に昨年の六月のいわゆる岸、アイク声明以来、陸軍が大幅に撤退いたしておりまして、それに基きまして、いわゆる基地というものも逐次日本側に返されておる。また、従いましてそこに働く労務者の数も減少してきておる。これらの実情は、いずれも調達庁業務に関係するものでございます。しかしながら、来年度におきまして、そういう結果、直ちに急激な業務減少を来たして、職員を大いに減らさなくちゃならないとは、私は考えておりません。基地か返還になりましても、その返還の跡始末と申しますか、それに伴ういろいろの補償業務その他の問題もございますし、またなお、一従前政府としての処置が済んだと考えられております、先ほどの矢嶋先生の御質問の、占領時代の人身被害に対する実態調査等の問題もございますので、なお来年度におきましては、現在の定員を維持するに足る十分な業務量はあると考えておるわけであります。従いまして、機構の問題でございますか、原則として、現在の各地方の機構あるいは本庁の部局長、そのまま維持する必要があると、このように考えております。    〔委員長退席、理事大谷藤之助君着席〕
  152. 横川正市

    ○横川正市君 それじゃ、時間がないようですが、今、長官の説明によりますと、大体調達庁の機構、それから定員等を来年維持される、こういうところに立って考えた場合に、現在調達庁職員の防衛庁との関係なんですが、単にこれは外局で、機構上は全然別個な所掌事務を取り扱っているというふうに考えていいんですか、それとも、逐次この業務の縮小その他によって、調達庁そのものは将来全く影がなくなってしまって、防衛庁の各業務へ分散して入っていく、こういうふうに考えていいんですか、今の現状はいいとして、将来の問題ですが。
  153. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 現状におきましては、御承知通り行政組織法第三条第三項ただし書きに基く機関として、防衛庁のいわば外局という形で、従来の業務機構そのままでこの八月から入っておるわけでございます。しかしながら将来のことを考えますならば、もちろん駐留軍に関する業務というものは非常というものは非常に変化を来たしております。一面また調達庁が防衛庁に統合になりましたゆえんといたしましては、直接、間接の差がありましても、国の防衛に関する関連事項を取り扱う。特に、いわゆる米軍の基地と申しますものも、返還になったものについては、相当部分を自衛隊においてこれを使用するというような実質的な面もございます。これらの業務の調整、つまり、今まで調達庁が持っておりまする業務と、なお従来の防衛庁自体にあります業務との調整が今後の問題だろうと考えております。従いましてその点、調達庁のわれわれのみならず、防衛庁全体といたしましても、今後の研究、検討課題として、今それらの問題を考えておるわけでございます。そういうことによりまして、将来あるいは現在の調達庁というものをどういうような形に改変するか、これはまだ直ちにそういう結論には達しない問題であります。まあ私といたしましては、それらの基地に関連する一つの事項を整備して、国全体として、あるいは政府全体として、有効適切に措置できるような機構を、われわれ従来それらのことに多年携わってきましたところの職員の知識経験を生かして、そのような措置ができないものであろうかどうか、そういうものの提案もいたして、現在それを中心に検討を加えておる次第であります。
  154. 横川正市

    ○横川正市君 長官の趣旨に従って、実は私も機構上の問題としては、現在の調達庁の持っております機能を、これ以上縮小するような方向にいかないで問題の解決をすべきだというふうに考えておるわけであります。  そこで、もう一度関連して質問いたしますが、確関するところによりますと、調達庁の職員は一般職であり、防衛庁の職員は特別職であるという、こういう関係から、調達庁と防衛庁との間で問題があるんだと、その問題の中心は、調達庁は組合を作って相手側と交渉することができるが、防衛庁はそういうようなものは受け入れたくないというように、大体問題がありそうだというふうに確聞いたしておりますが、一般職と特別職との関係で、調達庁としては、防衛庁との話し合いの中で、どういうような話し合いをされておるか、お伺いをしたいのであります。
  155. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) お話通り、調達庁の職員は一般職でありまして、防衛庁は特別職の職員になっておりまして、それらの問題につきましては、実は八月に機構の統合の法案が出る——それまでにも種々論議が重ねてこられたのでありますが、現在のところ、調達庁が防衛庁のいわゆる外局になりましても、その業務の性質、その遂行上のものから、何ら従来の職員の身分に変更を加える必要はないという結論になりまして、ただいまも調達庁に勤務する職員は一般職であるわけであります。従いまして、今職員組合等もあるわけであります。これが今後、私先ほど申し上げましたように、防衛庁との仕事の調整その他におきまして、どのような新機構に移りかわるか、今後の研究問題でございますが、そのときには、なお職員の身分関係につきましてもあるいは変更、変動を生ずる必要があるのかどうか、それらもあわせまして機構の新しい問題の中に入れまして検討を加えておる次第でございます。
  156. 横川正市

    ○横川正市君 私は、時間がないようですから、ちょっと御要望申し上げておきますが、先ほど言われたように、定員でいえば、現在定員がずいぶん減少いたしまして、三千百三十七名、局で言えば八局、それから出張所で三十、こういうようなきわめて在来の調達庁からいたしますと、できる範囲内での縮小をされておるわけでありますから、その縮小された実情を、これはまあやむなしといたしましても、これ以上これを縮小するということについては、相当問題があろうかと思うのであります。そこで、現在まで調達庁の機能が持っておりましたその有効な業務内容というものを、占領軍との渉外事項等についても、これはおそらく何らの補償なしにそのまま放置されてるような事件が、私の知ってる範囲内でも一、二件あるくらいですから、相当全国に多数のそういう事故があるのではないだろうかと思います。そういったものを全部調査線上に乗せて、完全な補償が行われるような業務というものは、これは非常に大切な内容だと思いますし、さらには自衛隊とそれから一般の社会の生活をしておられる方との関係の中で仕事が起つてくる場合、こんな場合の操作としては、学校の防音装置とか、あるいは農家とかその他の生産に影響ある問題だとか、自衛隊の業務を遂行する上から、一般住民に影響を与える問題等、これらを調達庁それ自体の業務にもっていきますならば、現在の調達庁の機構を維持して十分なものがあるのではないだろうか、こういうふうに思われますので、長官の説明趣旨は、おそらくまだ話し合いの途上で、あなたの考え方として持っておられる問題だろうと思いますから、それらの考え方を実現するように、一つ努力していただくように、かりにも来年度の予算の中で、さらに調達庁の人員削減が起ってくるというような事態を招かないように、ぜひ一つ御努力していただきたい。これは要望として申し上げて、質問を終りたいと思います。
  157. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 最後にまとめて聞きますが、これは通告しておきました板付基地の問題でありますが、これを二、三お聞きしますからメモして落さないようにお答え願いたい。  今、板付基地で大がかりな土地買い上げが行われておりますが、これは基地拡張の計画に基くものか、どういう規模構想で買い上げをやっているのかということであります。それからともかく飛行機がマッハ級になってくるわけですが、あの大都市のまん中にああいう軍用飛行場があるということは、危険千万だと思うのです。最近外国でも原爆を積んだ飛行機が墜落しておるわけですが、まことに危険なことだと思うのですが、今のところ、米軍から返還されるような情勢というものは全然見込みがないのかどうか。さらにあの土地は借り上げるときは田畑として借り上げたのですか、最近相当高い価格で買い上げております。おそらく宅地相当額で買い上げていると思うのですが、売ることを希望してない人はどうなるのか、強制的に買い上げということをするのかしないのか。さらに自分は売るのを希望しない、しかし貸すのは貸しましょうという人に対しては、あれだけ高い値段で買い上げる以上は、土地の借り料は当然私は上げるべきだと思うのですが、その用意があるのかどうか。それから最後は、かつて本委員会であの板付基地周辺の騒音対策について、具体的に計画案を本委員会に提示下さいましたあの計画は、その後順調に進んでいるのかどうか、その進捗状況を合せてお聞きしたい。
  158. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) お話通り、今、板付基地において約十万坪の土地の買収の手続を進めております。これは決して基地拡充等の問題ではございません。すでに滑走路その他飛行場の敷地になっておるものでございまして、それらを従来賃貸借をいたしておりましたが、所有者の御要望に基きまして今回買収する、こういうことで話を進めておるのでございます。なお、あの基地が町に非常に近い所にあるというお話の点、重々それに基いていろいろな問題かありますが、現実問題といたしまして、あそこの基地を近い将来において米軍が返還するあるいは飛行場をよそに移転するという問題は、今のところ、とうてい望み得ないものと私は考えております。それらの事情も勘案しまして、すでに滑走路の敷地になっておるとか、すでに飛行場の敷地になっておる所を、その方々からの買収要望がありまするならば、当然政府としてはこれに応ずるのが至難と考えて措置しておるわけであります。なお、その値段に関しましては、いろいろ御意見もありまして、非常に高過ぎるという今お話もありましたが、また所有者の方から、あれでは安過ぎるのだというお話もございます。それらについては、土地買収に関するその付近の事情、それらをいろいろ勘案いたしまして、適切なものと考えた次第でございます。なお、これはあくまで希望による買収でございますので、希望されないものを強制的に買い上げるという考えは持っておりません。  それからあの飛行場があるために、    〔理事大谷藤之助君退席、委員長着席〕 周辺の学校その他で、騒音のために非常に授業に支障がある、これは私もつぶさに知っておりますので、鋭意これに対する防止措置をやって参りまして、先生も御承知のような騒音防止に対する計画は順調に進んでおる、かように考えております。
  159. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 一つ答弁が落ちました。買い上げますのに、あの値段で買い上げるのに、土地は売るのはいやだが、貸すのは貸しましょうという人がおるわけです。その人の借り上げ料というものは、当然私はスライドして上げなければおかしいと思うのです。売るなら高く買うが、貸すだけで売らなければ、借り上げ料はよけい出さないというのは、意地が悪いと思う。借り上げ料は私は当然その土地の価格に相当するように上げるべきだと思うのですが、その考えはないのですか。
  160. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) ごもっともお話でございまして、それについても目下技術的な検討を加えておりますので、その結果をもって措置いたしたいと思います。
  161. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 建設省の営繕局長おいでになっておりますか。簡単に伺いますが、先ほど新聞記事を御否定になりましたけれども、日経と産経に同じような記事が出ております。瓜生宮内庁次長は、まことに苦々しいことだと新聞に言ったとおっしゃいましたが、そのことは、新聞紙に書いてあります。これはくどくどしく申しませんけれども、たとえば日経に出ておるのには、落札が聖徳太子一枚の値段できまった云々という言葉が冒頭にありまして、非常に新聞記者との質疑応答がふまじめな感じを受けるのです。日経でも産経でも、非常に予算が窮屈なので、大助かりだとか、あるいはぎりぎりで困っておるので大助りだとか、非常にいやな感じを与えるのでありまして、そういう聖徳太子の問題でずいぶんこれは不謹慎な……もしおっしゃったとすれば……。私は全然おっしゃらないとはどうも考えられないのですけれども、また、間組の方でも東宮御所は自分のところの近くだから、隣組のような気持でやったとか、どうもこれは常識では考えられないような言葉かあるわけです。これは水かけ論になりますから、私申し上げませんが、善後策として私提案したいのは、とにかく動機は、間組の動機は、これは別に疑うものではありません。おそらく純粋なものでありましょう。しかし、その方法なりまたこれの結果の国民の上に及ぼす影響というものは、残念ながら非常に悪い。しかし、今の法律でどうしてもこれは有効なんだというふうなお答えであれば、それほど皇室に対してあるいは金を献上したいという気持であれば、別に正々堂々としたやり方で五千万円でも一億円でもお出しになったらいいと思うのですか、それには一応入札を辞退する。これは辞退するという方法は、規則は私別に調べたわけではございませんが、辞退するという手はあることと思う。そこで、建設省としては、辞退を勧告をして、そして、もう一ぺんこれは白紙に戻すのがいいか、その辺は技術上の問題がありましょうが、とにかく、辞退を勧告されるということが、だれにも傷がつかずに一番すっきりした方法ではないか、こう私はひそかに考えるわけでありますか、それについて、ぜひ一つ、上司にこの話をもっていっていただきたい。今、イエスかノーかを求めるのは無理だと思いますが、上司に、その方向に向けることに努力するように了解してもらいたいということだけ、私はぜひやっていただきたいと、こう思うのでありますが、これに対する御意見を伺って、私質問を終ります。
  162. 桜井良雄

    説明員(桜井良雄君) また新聞のことを申し上げて恐縮でございますが、産経、日経に私は会った記憶はございません。毎日ですか、会いましたけれども、私は事の重大さを痛感いたしまして、非常に慎重に答弁をことさら考えて、一字一句考えてきのうは応対したつもりでございます。  間組に対しましては、入札価格を見まして、まず入札書に錯誤がございますれば、これは無効を宣言できますので、錯誤があるかどうか調べましたところが、錯誤がございません。それから私も、非常に安いものですから、出席しておりました社長代理の重役に対しまして、辞退する意思はないかということをそこで尋ねました。断じてこれはございませんと言いましたので、間組におきましては、辞退する意思はないかと存じます。
  163. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私質問を終ろうと思ったんですけれども、その現場で、一万円でやろうという気持で代理で来ている重役に、お前辞退する意思はあるかと言ったって、それは、辞退する意志はございませんと言うのが当りまえです。事態はこうなって、相当やかましい問題になったこの段階において、間組の社長に直接大臣なら大臣から——相当佐久間ダムやいろいろな問題で、建設省ともいろいろな深い関係があるのですから、その場の技術的な立場じゃなくて、もうちょっと高い立場で、辞退をもう一ぺん勧告されたらどうか。これは私はあなたの意見を求めませんが、そのことを大臣なり総理なり、もっと上の方へ進言してもらいたい。進言する約束だけは、私はここで答弁を求めます。
  164. 桜井良雄

    説明員(桜井良雄君) 大臣にその旨をお伝えすることといたします。
  165. 永岡光治

    委員長永岡光治君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  166. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記を始めて下さい。  以上の案件につきまして、本日は、この程度にとどめまして、この際、お諮りいたしますが、自然休会中における委員の派遣については、その班の編成、日程等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時八分散会