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山田節男君 これはまあ新谷君のおそらく
質問があったろうと思うのですがね、私の見解としてはもう今の、
ヨーロッパに総局支局を置き、あるいは
アメリカにも総局を置くということは、これはいわゆる戦争前より交通
通信網の非常に発達した今日、無線電話でも用は足りる。テレックスでも用は足りる。こういうところに、私後ほど言いますけれども、
NHKのこういう事務的なオートメーション化というか、オートメーション・リサーチというものを、電電公社にやかましく数年来私は言って、ようやく昨今オートメーション・リサーチということを経営調査室あたりで取り上げてくれたのですが、海外の情報網というようなことも、今、前田
理事の言われたこともわかるが、もう支局というものは、全然距離というものを時間的には失っているのですから、ただスタッフが
NHKにおりさえすればもう電話一本なりテレックスで用が足りるのです。実際モスクワあるいはロンドン。ハリ等に特派員が行って一生懸命やっていますよ、やっているが、また、前軍
理事の占われるようなニュースの取材以外のいろいろな用があるということはわかっているけれども、しかし今は経営のやり方はちょっと
考えなくちゃならぬ。ことにこういうせっぱ詰まった、
値上げをしなくちゃならぬというような場合に、そういうことを根本的にやっているのかどうか。このニュースだけじゃない。他の方面においても総局、支局を置く必要があるということを言われますが、たとえば
BBCとかあるいは
フランスの中央
放送局、それから
アメリカの
放送もこれは
日本にもよこしていますよ。しかし
一体そういったような海外のニュース取材について、それほど真剣にならなくてもいいのじゃないか。これは少し古い数字ですけれども
BBCの一九五五年の決算報告を見ると、国内ニュースに限ってはニュース・ギャランティ、これは、
通信社から定期にニュースの
割当を受けるための金額、ロイアルティが約十二万ポンドですから一億一千万円くらい、ニュース・ギャランティが考課状に載っているものはそれしかかかっていないのです。こういうきわめて
BBCが堅実なやり方、
日本とは違って地理的な有利な点もありましょう、ありますが、私は大体、
一体今新聞社と比較されるけれども、新聞社の三分の一だろうが十分の一だろうが百分の一だろうが、それで私はいいと言うのです。いわゆる
放送のニュースというものがそこまで乗り出したら際限がないと思う。
テレビが普及しちゃってニュースを聞かすことによって
ラジオの寿命をつなぐというのならば、それなら私はいいと思う。しかし少くとも今日の
ラジオ番組においてニュースというものはわれわれはもう、その
番組の編成のパーセンテージからいって、ニュースというものは、これは今、なま
放送、海外
放送もありますが、これは非常に金がかかっている、ありがたいことだと思うが、これについても、この前この
委員会で新谷君がいろいろ批判をされておられたが、新聞社の十分の一であろうが五十分の一であろうが、これは当然だと思う。もし
NHKが、将来
テレビが普及しちゃって
ラジオはニュースくらいしか聞かないのだということになれば、そこで初めて切りかえ。ですからこれはもっと
外国に総局、支局を増置してやることも
一つの手だろうと思うが、今の
ラジオの
番組という性格からいって、そこまでやる必要があるのかどうか。それは金がふんだんにあるならいいけれども、非常に窮屈な経済で、あれもこれもやろうという中において、海外の情報も国内の
放送も、もう新聞社の半分くらいにならなければいかぬというような、そういう気がまえが果していいかどうか。これはわれわれ
国会議員として、こういう案を見た場合に、やはり
考えざるを得ないのですね。ですからこれはやはり身分に応じた、ことに
ラジオに関する点は何べんも申し上げますけれども、これは行き詰まりつつあると思うのです。ですから切りかえない限りは行き詰まる。そういうときに、どんどんそういう報道綱を広げておいては、これを縮小する場合には困難だろうと思うのです。これは前の古垣君が会長をしていたときにも私はこれは申し上げておいたのだが、これは整理するのに非常に困るというわけだったのです。ですからそういう
見通しに立ちますと、確かに報道網を拡充されて正確、迅速にニュースを送る、その心がまえは非常にけっこうですけれども、何も寸秒を争ってやる必要はないと思うのです。そういうわけで、今の
予算上における報道取材網の拡充ということにつきましては、私はこの
経費を削れとか何とか申しませんけれども、やはり
NHKとして必要な分であるけれども、しかしそれは限度があり、やり方があるのじゃないか。かように
考えるわけですね。
それから次に国際
放送の問題ですが、来年度からは十九方向、二十五時間ですか、かなり増強されて
NHKの方が
政府の交付金よりも三倍に相当する額を支出される。これはけっこうだと思うのですが、この
番組編成につきまして、今回の
予算に初めて、これは
イギリスの
BBCをまねたのだろうと思うのですが、いわゆる全世界向けのゼネラル・サービスを始められるということは非常にいいことだと思うのです。ただ問題は、わずか限られた
経費で今回十九方向二十五時間ということをお出しになった。これはきわめて有効に使わなければならぬことはもちろんですが、そこでこの
BBCのやっておる
外国放送、ヨーロッパ向け、それからその他の諸国の
番組みの何を見ますと、重点的になっておる。それで私実情をよく知りませんが、現在の十五方向十五時間ですか、というものは一日に対して一時間パーでやってる。これは二十四時間で一時間しかその
地域に
日本の
放送がいかないということですね。
番組みの編成の仕方がいいかどうかという問題があると思う。と申しますのは、
BBCはヨーロッパその他の国に海外
放送する場合に重点的に置いておるのです。たとえば
フランスについては一週間に三十五時間、それから西ドイツに対しては三十三時間、それから
アメリカ向けはカナダを含めて五十時間、それからラテン・
アメリカ、南米に対しては、スペイン語で四十時間、ポルトガル語で二十四時間、こういう工合に、たとえば
日本に対しましては一週間に三時間半、そういう工合に重点的に海外
放送をやっておる。これは非常に賢明だと思うのです。たとえば
日本におきましては、アジア向けならアジア向けに対する
放送を何倍にするか、北米、ハワイ、あるいは南米のブラジルについては一時間パーでなくて、三時間なり三時間半やるようにして、むしろ方向の多いことを競わずに、統一して
NHKの国際
放送として実質のある、これは一週間、たとえばかつてのように四十時間も六十時間もできればよろしゅうございますけれども、そうでない、今日は、むしろアジアあるいは北米、南米のブラジル
地域、こういうものに重点を置かれて、そしてヨーロッパあるいは共産圏、こういうように時間を分配される方が、きわめて切り詰められた
財政下における国際
放送としては実績が上るのではないかと思うのです。そういうことに対するお
考えを
一つ承わっておきたい。