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1959-03-25 第31回国会 参議院 逓信委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十五日(水曜日)    午後一時三十二分開会   —————————————   委員の異動 本日委員苫米地義三君辞任につき、そ の補欠として前田佳都男君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     手島  栄君    理事            新谷寅三郎君            松平 勇雄君            森中 守義君            長谷部ひろ君    委員            石坂 豊一君            前田佳都男君            鈴木  強君            三木 治朗君   国務大臣    郵 政 大 臣 寺尾  豊君   政府委員    郵政政務次官  廣瀬 正雄君    郵政省電波監理    局長      濱田 成徳君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   参考人    日本放送協会会    長       野村 秀雄君    日本放送協会副    会長      溝上 けい君    日本放送協会理    事       前田 義徳君    日本放送協会企    画局長     春日 由三君    日本放送協会経    理局長     首藤憲太郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基  き、国会承認を求めるの件(内閣  提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 手島栄

    委員長手島栄君) ただいまより開会いたします。  委員変更についてお知らせいたします。  本日、苫米地義三君が委員を辞任せられまして、その補欠前田佳都男君が委員に選任せられました。   —————————————
  3. 手島栄

    委員長手島栄君) 放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題といたします。  前回に引き続いて御質疑のある方はどうぞ御発言願います。
  4. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 NHKの方にお尋ねしたいのですが、これは大したむずかしい問題じゃないのですがね。経理局長から私が要求した資料について一応御説明がありましたが、意味もわからないところがありますが、御説明によってこういうことを言われたと思うのですが、テレビ計画で三十七年度の末の見通しですけれども、そのときには総合局において百六局ですか、で、カバレージが八〇%と言われましたね。それから教育テレビの方が八十九局、これも大体カバレージが八〇%という御説明がありましたね。そうですか。そうしますと、まあ数字の問題はあとで申し上げますが、どうもこのカバレージの点で、総合局の方が百六局でも八〇%、それから教育テレビの方でも八十九局で八〇%、これはなんですか、教育局の方は特別に何か強い電力でも使うのですか、何かやり方が違うのですか。
  5. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 私、八〇%と申し上げましたが、教育局の方は七九%でございまして、それを約八〇%と申し上げたのでございます。で、一%違いますが、これは五カ年後にはキーステーションは第一——総合局教育局、おのおの四十九局完成と、それから残りますところをブースター局あるいはサテライト局という中継局でカバーしていこうと。そうしまして、総合放送では、総合テレビでは百六局、教育テレビでは八十九局、こうなるわけでございます。そこで、一応キーステーションの四十九局についてはカバレージが同じになるわけでございます。残りの小さい局、豆局につきまして多少の差があるわけでございます。それがカバレージとして八〇%並びに七九%、一%の差となって表われる、こういう計画でございます。
  6. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 まあ、そうだとおっしゃれば、一応そうですかと言う以外にないのですけれども。しかし、一方は百六局ということでしょう。どんな小さな局にしましてもね、一方は八十九局ですね。十七も違う。それで一%ぐらいの違いにしかならないのですか。どうも常識から考えると、十七局もこしらえるとなると、一%ぐらいの違いでなくなるように思うのですよ。だから、何かそれは計算の違いでないかと思うのですがね。あとでけっこうですが、どなたか係の方がおられればもう一ぺん調べてもらって下さい。そんなはずはないと思うのです。かりに、どちらがほんとうか知れませんが、教育テレビの方で八十九局で八〇%のカバレージがあるとすれば、百六局も総合局ステーションができれば、これはまあ八五%とか、そういう数字になってこなければならないのじゃないかと思うのですよ。これはまあ一応あなたの御説明を確かめたわけですから、どなたかに調べてもらって下さい。  それから、数字的な問題に少し入ってみたいと思うのですが、三十七年度で、たしかあなたの御説明にもあったし、鈴木委員質問に対しましてお答えがあったように思うのですが、これでテレビの一応の計画一段落するのだということでしたね。そういう御説明であったと思うのですけれども、むしろそうではなくて、ここまでは第一段階で、これはもう当然一年でも早くやらなければならぬ。非常に人口密度の高い、普及率の多いところですから当然だと思いますが。で、きのうでしたか、私は電波監理局長に、放送法の七条と九条とをどういうふうに考えるかというので御質問をしましてね。テレビについても、ラジオ標準放送と同じように、やはり総合番組教育番組も、つまり二つチャンネルとも全国普及させなければならぬという義務をNHKは負っているのだし、それが目的なんだ。こういうことを前提として考えますと、これからが大へんなんです。この八〇%から先へいくのが非常に大へんだと私は思うのです。ちょうど今から六年前、昭和二十九年に、NHKのやはり受信料変更予算案が出まして、そのときに、速記録をお読みになればわかるのですが、私は非常にやかましく言ったのです。それで八〇何%かのカバレージですね。そして、それから先の難聴地域の解消につきまして、NHKが非常に、これは表面しかもしれません、建前しかもしれませんが、とにかく、熱意がなかったのです。私はもう一ぺん放送法をよく読んできてもらいたいということで、非常にやかましい議論をしたことがあるのです。しかしそれから今日まで六年たっておるのです。非常にそれからNHK経費も投ずるし、非常に苦労をして、ラジオについてもちゃんと今日のような線まで上げられたのですね、普及率を。これからが大へんだと思うのですよ。経費はかかるし、収入は入ってこないし、そこでこれで一段落だと、これでいいんだというので、三十七年度の一応の計画、五カ年計画ですから、それは数字が出ましても、私は、むしろ経営上はテレビについてはこれから先が大へんだと思っているのです。その場合に建設費が要るのでしょう。収入はそれに応じて増加しないでしょう。  そこで、今の御計画によりますと、いかにも事業収入日業支出とを比べますと、楽なような経営になるのだというようにここでは見えるのですけれどもね。その先のことについては何ら御説明がないのです。で、もしこういう状態がずっと続いていくとすれば、これは聴取料を下げなさいということになると思うのですよ。こんなに余裕のある財政状態であれば、聴取料を下げたらどうだということになりますがね。私はむしろ、御説明もないし、資料もありませんが、三十七年度で一応の人口密度の高いところですね、都市を中心にしてですね、そういうところには大体テレビ普及するが、それから先の、難聴地域とまでいきませんけれども、これから先の普及のさせ方が大へんだ、ここに非常な経費がかかるという御説明がないと、ただこんなに楽ならば、こんなに上げなくてもいいとか、あるいはこのとき、三十七年度になったら聴取料を下げるのですかというようなことになってくるわけですね。それをもう少し明確に、数字があれば数字を出して御説明になる必要があると思うのですよ。私はむしろこれから先がなお大へんだと思っているのですが、その点はどうですか。
  7. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 仰せの通り、私、一段落と申し上げましたのは、これで終ったという意味じゃございませんで、現在のチャンネルプランで定められておりますキーステーション、それの建設が一応終る。それからそこで基本的なところがきまってくるのだという意味で申し上げたのであります。それからあと、お説の通り、まだカバレージもむろん残る中継局というようなものの建設建設面ではそれからあとまだ続くのだと考えております。従いまして、運営費につきましても、これからあと、またそういうふうな中継局運営費というものが、これから負担がかかってくるということでございます。それで、従って、この五年間のものを、一応三十七年度末までのものを一応お手元に差し出したのでございますが、この三十七年度においてはこういう形になりますが、昨日も申し上げました通りに、そのときに、現在においてもこの膨大な建設費がまだここに未償還になっているのです。それが約百五十六億あるわけでございます。で、この建設費は、まだこの五年間ではとうてい返済できない。それから以後に返済期がぼつぼつくる。しかしながら、一方、そういう経費負担も、このあとからまたかかってくる。従って、この約百五十六億という予定で参りますと、その債務が三十七年度末で残りますが、これはそういうふうなことを考えますというと、その償還がどうしても十年か先になるんじゃないか。と申しますのは、三十八年度以降というものは決して楽ではない。一方経費がかかっていく、かかっていくがゆえにこの償還が十分できない。それを多少ずつ余裕を作って返していくという工夫をしましても、やはり十年ないし十五年というものは、その後にこの大きな債務償還が必要になってくるんだという意味で申し上げたのでございます。従って、三十七年度まではまずもって基礎を築く建設段階である。それからあとがそういうような意味で、ただ申し上げましたような意味仕事がかかってくるのではないか、それをやりながら、なおかつ、建設費を、債務償還していくというには長い間時間がかかってくる、こういう立場で申し上げたのです。  それで長年にわたりますそのあと状況でございますが、これは、五カ年先については、受信者状況その他は的確にはなかなか判断できかねるのでございますが、一応いろんなデータから作りましたものはございます。ずいぶん先でございますけれども、二十年間くらい先までを実は見たものがございます。それを算定いたしましても、やはりこのあとに三十七年以降にこれで債務償還が終るわけではございません。ここで百五十六億の建設資金債務が残りますが、それからあとまた、中継局その他を作っていくについて新たな債務もふえて参ります。それらを合せますというと、たとえば、昭和四十年におきましては約九億、四十一年が九億というふうに、大体九億ないし十億という返還をずうっとやっていかなければならぬ。そして昭和五十年ごろに至って大体そのスピードが落ちてくる。五十一年ごろから六億、五億というふうに下ってくるのではないか。これは先のことでございますので、一応予想でございますけれども、いずれにいたしましても、債務がずっと先まで、二十年くらい先まで残っていくという事情でございます。従いまして、十年ないし十五年以降において一応債務償還が普通の通常状況に戻っていく、そして通常運営に、戻っていくのではないか、こんなふうに考えているわけでございます。  私ども、三十七年で一応一段落というのは、これで仕事が終ると、あるいはテレビ建設運営仕事が終るというわけではございませんで、ここで基礎をまずここまでやって、それからあと、それに応じた仕事の量というものがふえていって、そして仕事が、従って経費もそれに応じてふえていくんだと、こういうふうに先生のお説の通り考えておるのでございます。
  8. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大体お気持はわかりましたが、お出しになった表の中で、これはどんなものが入っているのですか。返還金はわかります。それから金利その他と書いてありますね、金利はいいですが、その他というものの中にどんなのが入りますか。それを御説明いただけませんか。
  9. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) おもなものはやはり金利でございますが、そのほか入っておりますものは、現在の率を一応基礎としまして、受信料欠損償却金とか、あるいは放送債券積立金、そういうものでございます。大体おもなものは金利でございます。
  10. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 これは、この本筋質問からそれるのですが、今お話しになった、どういうのですか、放送債券返還償還のための積立金が入るとおっしゃることは、その他の中に。そうすると、分類の仕方が悪いとかいいとかいうのはいいです。内容さえ言っていただければいいのですが、あなた方の考えでは、たとえば放送債券なりそういういろんな債務がありますね。それをやはり毎年計画的に年次を追って償還をしていくという計画があるわけでしょうね。そこで、やはり返還金ではまかなえないから、その他の中で放送債券の何か償還のための積立金みたいなものを別に置いているというふうにしているのですか。
  11. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 放送法規定で、放送債券発行残高の一割は積み立てておくという規定になっておるわけでございます。そこでこういうふうな債務になって参ります。従ってこれを債務計画考えまして、その残高の一割というものを一応ここで支出にしましてするわけでございます。今度はそれが償還金になりますと、それが一部引き出されまして償還に充てられる。これはずって参るわけでございます。毎年積立てて参りますが、期日になるとそれが返還金の一部に繰り入れられていく。従ってこの表でもその時期がずれまして、そして収入の方にそれが出て参ります。こういうことになっておるわけであります。従いまして、この支出はいずれは資本収入の方に出て参りまして、返還金に充てられる。ただ時期的の差がここに出てくる、こういうわけでございます。
  12. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 そうすると、今お話しになったのは、法律できめられた範囲でということでございますね。
  13. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) さようでございます。
  14. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それ以上のことはやっておられない。そうしますと、金利とその他とありますが、返還金そのものよりも、金利その他の方が非常に多いのですね。毎年。これでどうなんですか。数字ですけれども金利とその他と分けまして、たとえばある年度だけとって、三十三年度でも、四年度でもいいのでけれども、どのくらいになっていますか。
  15. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 三十三年度について申し上げますと、大体六億弱、正確な今計算は持っておりませんけれども、大体六億弱というものが金利でございます。
  16. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 他の年度も大体その程度と見ていいですか。一割くらいがその他、それから金利が九割くらい占めておるのだというふうに考えていいのですか。
  17. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 大体さようでございます。放送債券がふえますと、金利もふえますが、積立金もそこにふえて参りますので、大体そんなことかと思います。
  18. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それではけっこうです。  質問本筋に戻して、先ほどの問題について続けて質問いたしますが、三十八年度以降の詳しい数字を今要求することは無理だと思うのです。ただ、きのうも郵政当局の方といろいろ議論をいたしましたように、テレビ全国普及して電波を届くようにしようというのには、少くとも三十七年度末現在ではなお二〇%くらいカバレージが残っておるわけですね。それを百パーセント、なかなかむずかしと思いますけれども、一応計画の上で百パーセントというものが出てくるのだろうと思いますけれども、百パーセントまでカバレージを上げるのには、標準総合放送の方では、あなた方として、NHKとしては、どのくらいの建設資金が要るか。それから教育放送の方ではどのくらいの建設資金がいるか。これはまあいろいろな仮定の上ですね、チャンネルの問題もあるでしょうし、またこれからいろいろ御研究になって、たとえば無人中継局でも作ろうということにでもなれば、経費が違ってくると思いますが、一応の見通しでもいいのですが、そういったものをお持ちになっておりますか。大体百パーセントまでいくのには、今の予定ではどのくらいの速度でいかれるのか。    〔委員長退席理事松平勇雄君着席〕
  19. 溝上けい

    参考人溝上けい君) 先ほど来経理局長から、三十七年度末までにおきます大体の状況を御説明いたしましたが、実はここへいくまでにも、特に小さい電力の局を年間十局ずつ置くと一応仮定しておりますが、ここへいくこの年度までにしても、技術的に考えますと、どこへどういうふうに置いていくかということは非常にむずかしい問題になるわけでございます。従いまして、私どもといたしましては、三十八年度以降、あとの二〇%を一体何局でもってカバーできるかということは、実は非常にむずかしいものですから、まだ数字的に出しておりませんが、大体の考えといたしましては、三十七年以前におきましても、そのつど残されたカバレージに対してどういう対策を講じていくかということを常に検討しながらいきたいと思いますが、特に三十七年度までの置局計画が一応済みましたならば、あとは、現在でもカバレージに入らないところでも、若干電波が弱いけれども十分写る、そこへわざわざもう一局作るということも考えものでございますから、そういう点は、実情と合せながら研究したいという意味で、三十八年度以降につきましては具体的には考えていないのであります。
  20. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 副会長からそういう御答弁がありましたが、その前に経理局長が、相当先を見越しての、四十何年度くらいまでに一応何か、これは確定した計画ではもちちろんないでしょうね。しかし、財政を預かっておるのだから、財務当局としては、大体これくらいの速度でこれくらいの規模の建設計画を持っているのだというようなものを、いかにも一応のものを、案を持っておるようなお話であったのですね。だから私はお聞きしたのです。なければないでいいのですが、何かあれば、これは別にここで三十四年度予算に当ってこうおっしゃったがということをどうこう言うのではありません。ありませんが、私が認識してもらいたいと思いますのは、これから電波局の方も骨を折られて、いろいろ技術の進歩があると思いますから、だから、あなたの方の送信の機器につきましても、非常な改善されるだろうと思いますし、従って、スペース等関係等も違ってくる、建設費も関係してくるでしょうし、それから自動的に操縦し得るような無人中継局というものがどんどん出てこなければならないし、やがてそういったものは実現されるだろうと私は期待しておる。そういうことで非常に経費は動くけれども、今の状況でいって、大体あと百パーセントまで持っていくのに大体百億くらいかかるだろうと思います。あるいは七十億で済むだろうとか、それくらいの大ざっぱな計画はお持ちになっていなければならないと思うのですが、それもないのですか。
  21. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 先のことで非常にむずかしいことでございますけれども、つまり五カ年計画終了からあとの方ですね、これはもう私どもとしまして、別にその決定的なポイントをつかんで計算しにくいのでございますけれども、何と申しますか、感じから、一つデータをやってみたのでございます。試みにやってみたという程度のものでございます。それでやりました一つのものでございますが、これも一応の仮定なんでございますけれども、大体カバレージ一%上げるために微電力局十局と、こんなところではないかと一応考えたのでございます。そうしますと、二〇%上げるためには二百局必要だと、一応こう考えます。今度は二百局作るためには幾ら金が、建設費がかかるか。大体、現在からいきますと、土地の状況によっていろいろ違うのでありますが、一番軽便で済むところで六、七百万円、ちょっと手のかかりますところで千万円から千二、三百万円、こういうところがただいまの状況であります。かりに千万円とおきますと、そうしますと二十億、一応こう出てくる。それで今度は一方、テレビ設備改善もまた毎年しなくちゃならぬだろうと思います。従って、それの設備改善と合わせまして、一応、これも根拠はないのでございますけれども、五カ年計画終了後に、年間やはり十七、八億は要るのじゃないか、こう考えまして、それを一応建設費に入れる。そうして今度はそれに対する利息を計算するというようなことを、一応いつでも仮定でございますけれども、そうして計算してみたのが、長い間のものだというわけでございます。これは別に決定的な資料に基くものでもございませんし、一応私の心組みとして、試案程度に作ってみたものと御了承いただきたいと思います。
  22. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 いずれも仮定の上の談論ですから、数字が正しいとか正しくないとかという議論はできませんと思いますが、今のお話で、これから先の徴電力局中心にして百局とか二百局とかいうようなことが考えられると、これに対する建設費を平均千万円としても二十億で済む、私は二十億で済まないと思います。思いますけれども、それも仮定ですから、二十億にしておいてもいいですが、かりにそうすると、非常に建設費が、私の思っていたよりも少くて済むわけです。ですから、それであれば、これから先は普及率が、カバレージが多くなっても普及率が低いということは、結局収入が少いということですね。これからどんどん地方へ伸びましても、予算の方面では、非常に収入が、あなた方の方に聴取料を払う人が少くなっていくわけですから、建設費と比較すると、投下資本が多くて収入は少いということになるので、これから苦しくなってくるわけです。ちょうどラジオと同じようなことになってくるわけです。しかし、今のような建設費であれば、このくらいの収支計算が、もしほんとうにこれで、三十七年度末でこの程度で済むという前提でいけば、あるいは二つチャンネルを作って教育放送全国的におやりになっても、今の聴取料でやっていけるだろうという見込みは一応立つだろうと思いますから、その点は今のあなた方の見通しを一応信頼してこの程度にしておきます。
  23. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) ちょっと補足さして……。今これも仮定でございますので何でございますが、今、大体二十局と申し上げましたが、これは八〇%から一〇〇%まで、二十億でございます。それで波が一つとしますと、これも仮定でございますが、そうしますと二十億、二百局、ちょっとその点訂正さしていただきますが、いずれにしましても仮定でございますので。
  24. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それから、これは放送法改正案のときにお聞きしたことにも関連するのでございますけれどもね、番組NHK自主性を持ってお作りになるわけですから、これも念のために伺っておくわけなんですが、郵政当局は、教育放送につきまして、これは非常に重要性を持たしており、これに関心を持って番組内容をどうごうしろということは、これは言っておられませんけれどもNHK公共放送として全国的に教育放送ネットワークを持って、これを一日も早く実現できるように骨を折るのだと、こういう熱意も持っておられる。お聞きになった通りでございますけれどもね。そこで、今私が、郵政省当局でもお考えになっておるチャンネルプランが、これは予定通りいけばいいんですが、なかなかいかないだろうと思うのですね。昨日か出された資料によりましても、今のVHF帯チャンネルプランだけでいくと、あと教育放送に割り当てられるチャンネルは、おそらく全国で十数カ所と書いてありましたね。十数カ所しかないだろうと、こういうのですね。とうてい全国ネットワークを持つというわけにはいかない、八〇%までいかない。そうしますと、結果はどうなるかというと、あなた方の今やっておられる総合番組の局が、NHKは一局、民間の方が一局という格好になるのじゃないかと思うのですよ。私はその点も郵政当局にはいろいろ意見を申し入れてありまして、御検討下さるということなんですが、しかし、おそらく、そういうことになるのじゃないか。そういった場合に、その総合放送かもしれぬけれども番組内容をどうするかということですね。で、その中継の手段さえできれば、これは教育放送内容も中継もできるわけですからね。東京、大阪から中継できるでしょう。だから、その次善の方法として、もしもUHF帯の研究がそれまでに十分実を結ばなくて、VHFだけでこのテレビの放送をやらなければならぬということになった場合に、あなた方としては、両方併存していけるところは別ですよ、そうでない、一つしか波がないところを、そこには番組内容について今までとよほど違った考え方でおやりにならないといけないのじゃないかという気がするのですよ。つまり、いろんな要望が一部にはありましょう。それを全部受け入れることは困難ですが、公共放送として、特にないチャンネル全国的に教育放送ネットワークをやるのだという大前提郵政当局が持っておられるという点から見ましても、これは私はそれをあなた方も軽視されてはいけないと思うのです。そこで、両方が並び行くことができないある期間ですね、そういう地方の局に対しては、教育放送番組教育番組、教養番組というようなものをどの程度、取り入れられていくおつもりですか。会長から伺いたい。
  25. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) 教育放送が放送できない地域に対しては、総合テレビにおいて教養をある程度まで取り入れて、その教育放送の届かぬ地域の要望を満たし得るように、今のところ具体的にどうということをはっきり私申し上げかねますが、心組みとしてはそれをいたしたい、さように考えております。それで、この番組審議会が新しく出発いたしますれば、その方針のもとに総合品テレビ番組も組んでいきたい、かように考えております。
  26. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 会長のお言葉でございますがね、会長、この間お聞きになったでしょうか。ラジオでどこか、島根県か鳥取県の山村で、教育番組を学校も、それから町村もね、非常に重視しまして、それを学校の教育内容に取り入れたり、あるいはその村の公民館等で修養といいますか、修養講座のようなものに充てたりしましてね、非常に活用している例を、私たまたまラジオで、あなたの方の放送ですよ、NHK放送ですよ、それで聞きましてね、感銘を受けたんですよ。あなたがそういうことをもしほんとうに知っておられるとしますとね、今のように何パーセントということを聞いておるのではないのです。私は今ここで、五〇%とか六〇%ということをあなたに言って下さいというのじゃないのです。しかし番組審議会もあるんだから六々ということをおっしゃったり、できるだけやりますということをおっしゃったのでは、私は教育放送に対する御熱意が一体どの辺まであるか非常に疑わしいと思うのです。今日の一般の娯楽に供するような番組というものは、これは私は正しい議論かどうか疑問だと思いますけれども、一般の民放がたくさんありますから、何もNHKが率先しておやりにならなくても、ほかの方でも事足りると思うのです。ほかにないものは教育放送なのです、テレビでは。ことに、いなかの方に参りますと、都会は別として、いなかの方ほどそういったものを実際に活用しておられるのです。学校も、それから、社会も相当活用しているのです。ですから、今のようにただ手をたたいておもしろがるだけが、これが国民のためになるのじゃなくて、私はそういうふうに実際上社会の文化水準を高めたり、教育水準を高めたりということで、活用はできるだけはしてもらうようにお考えにならないといけないのじゃないかと思うのです。その意味では今の御答弁では、私は個人としましては非常に不満足なんですよ。
  27. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) 今でも総合テレビにおいて学校放送はやっております。私、いつでしたか、学校放送に関する研究会があったときに、永田町の小学校へ参りまして、親しくテレビによる教育を、教授を見て参りました。その感銘の深いことを私もよく痛感いたしました。どうしてもこれは学校にもテレビを利用してもらうことにより多く努めていかなければならぬと思いまして、昨年秋、地方を回って、地方の番組審議会の人々にもお会いして、テレビの学校教育に及ぼす影響はどうかということを聞きましたところ、いずれも、このテレビによる学校教育というものが非常に地方においても重視してきておる。だから総合テレビにおいても、たとい教育テレビというものでなくても、総合テレビにおいても学校放送を中心とした教育、教養放送をやってもらいたいという非常な熱望があることを聞きまして、私は教育放送をなし得ない、教育テレビ局のない地域においても、できるだけ多くこの教育、教養の放送をやっていきたい、かように考えております。できれば教育テレビ放送によってこの教育、教養の放送をやっていきたい。それができなければ、今申しましたように、受信者の多数には相済まぬけれども、多少でもその満足を買っていただくように、総合放送において、教育教養の度を強め、高めていきたい、かように考えておるわけであります。
  28. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 私の申し上げておるのは、多少ピントがはずれるかもしれませんが、要するに、総合放送とか何とかいうのは、あなた方がおつけになった名前です。国民大衆から見ますと、その内容なんです、問題は。だから、総合番組か何か、これはそんなことは形式にとらわれる必要はないので、その中に今仰せられたような教育番組、教養番組というものを多分に取り入れて地方に流してもらいたい。その方が公共機関としては、これは使命の達成に忠実なゆえんではないかということを申し上げておるわけですから、その点は今の御答弁でも、熱意を持ってやるということですから、ぜひお願いします。  私の私見を申しますと、これはできるだろうと思うのですよ。つまりテレビは、これは目も耳も両方とられますから、昨日でしたか、どなたかの御答弁がありましたが、やはり昼日中からみんなが手をとられてそこにみんながすわってしまうような番組をたくさんお組みになっても困るのですね。だから私は、昼の時間といいますか、たとえば学校では授業をやっているとか、そういう時間には、なるべく社会で働いている人たちは夜の方の番組にして、昼間は、あるいは夜もあまりおそくない時間というものは学校向けとか、あるいは若い人たちとか婦人たちとか、そういう人たちに対する教育教養の番組を送られた方が、いわゆる調和のとれた放送内容になると私は思うのですよ。これは一がいにそう言うことはできないでしょうが、これは工夫しましたらやはりできると思うのですよ。これは週によっていろいろ変えていくこともできますし、大体そういう方向でおやりになっても、一つチャンネルでも、私は目的はある程度達成できると思う。これはぜひ教育、教養番組につきまして、あなた方の方は公共放送なんだから、他の民放と違うという点を十分お考え下さって、重点をそこに置いていただきたいということを申し上げておきます。  それから、郵政大臣は、またほかの委員会にお出になるかもしれませんから、ちょっと一言だけあなたにお聞きしたいのは、あなたがおられなかったときに、二度ともあなたがおられなかったときになりまして恐縮なんですが、私はNHKの今度機構が変るというよりも、理事がふえたり、多少仕事内容が変ったりして、今度は理事会というものが相当大きなものになる格好になってきた。そこで、必ずしも現在局長をしていたり部長をしていたりする人たちが理事に昇格されることがいけないという意味では毛頭ないのです。有能な人は理事になっておやりになってけっこうだと思いますけれども、ただ五人から十人以内ですか、今度は……。倍にもふえてくるわけです。この理事会というものの構成とか動かし方というものについては、また新しい観点から、立案当時からもお考えになっているし、実行に当っても、そういう点を十分大臣としてはお考えになっておられることと思うのです。私は何べんも申し上げておるのですが、決してこれは私の私見を押しつけるつもりは毛頭ないのですが、ただお考えになる一つ資料として、きのう野村さんにお聞きし、あなたのおられないときに政務次官にそういう質問をしたことがあるのですが、新しい理事会を構成されるに当りまして、いわば悪い言葉で言いますと、今までの局長会議が理事会になったという格好ではいかぬのではないか。つまり仕事の幅も非常に広く大きくなった。仕事の何といいますか、国民との関連におきましても、NHK仕事というものはますます重要なものになってきておりますから、それでいろいろな仕事テレビラジオを通じまして、いろいろこれから仕事計画し、実行される上において、やはり各部局を担当しておられる専門家の方に、まあ会社でいうと社外重役のような人が、これはもうどこにも関係ない、非常に大所高所から全体をながめて会長にアドバイスができるというような力が、もし人を得れば一人でも二人でもおられると、NHKが非常にこれだけの大きな国民的な仕事を背負って、国民に満足を与えながらこの使命を達成していくという上には、非常にプラスになるのじゃないかと私は思っているものですから、かねて私はそういうふうなことを考えておりましたものですから、そういう御意見はないでしょうかということを伺ったのですが、結局、まあ一言で申しますと、承わりおくというような意味の御答弁しかないのですよ。で、あまり御賛成がないようにも思えるのです。  で、しかしこれは主管大臣としては、NHKもそうでありましょうが、また、別に国全体の立場から非常に広い視野からNHKの将来というものに対して期待もし、また、いろいろお考えも持っておられるはずですから、そういう一端として今申し上げたようなことはお考え願えるかどうかということを大臣からお聞きしたいと思うのです。
  29. 寺尾豊

    ○国務大臣(寺尾豊君) 理事が七名以上、十名というように相当数増員をされたということは、もう全く御指摘のように、これが機構、構成あるいはその運営というものが、国民によりよき番組を示して、その期待に大きくこたえようと、公共放送といたしましての高い使命もこれは完遂をしようということは、これは全く御指摘の通りだ。従いまして、私はこの理事の選定は、もちろん会長その他に、日本放送協会自体が選ぶべきだと思いますけれども、今日までの功労者の理事への、あるいはまた実力ある内部からの任命ということも考えられましょうし、また大所高所から、この法律案で、いわゆる修正案で増員をしたという趣旨は、やはり新谷委員の御指摘のように、大所高所から非常な識見と、また豊富な経験等を有する人をも迎えてやるということが、先ほど申し上げましたNHKの大きな使命を達成する上に、また今回の放送法改正案の趣旨にも合うところではないか。また、要するにバラエティーに富んだと申しましょうか、内容の豊富な、いわゆる経営陣をお作りになるということは、野村会長に大きく御期待申し上げることができる、まあさように考えております。
  30. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 まあ大臣が私の申し上げたことと大体今同じような気持を持っているということでございますから、これも野村会長には、そういう点を十分に御考慮の上で、将来とも大NHKとして、国民のために大いに発展の期待のできる陣容をそろえて、新しい理事会を構成されるように十分慎重に配慮せられるように希望しておくだけにとどめておきます。よくお考えいただきたいと思います。  それから 次の問題ですが、これは野村会長は、まあ専門家といえば専門家でしょうね。宿題があったはずですから、野村さんとこの点についてもう一ぺん意見を交換しておきたいと思うのは、海外派遣員の問題、特派員の問題です。前の去年の予算のときにも、何かそういうことであなたと話し合いをしたことがございます。で、だいぶ御注意を願っておるようでありますから、私はこのごろの特派員からの報告を聞いておりますが、今までのように、ただその全部が全部むだだとは思いませんが、中には非常に有益なりっぱな報告があるということを率直に申し上げているわけです。ただ、私は昨日、きょう前田理事がいないので残念ですが、前田さんが言っておられましたが、NHKは単なる報道機関じゃないのですね、新聞と違うところですね。これはNHK仕事というのは、もっとほかに、ニュースということももちろんあります。しかし、そのほかにもっと幅の広い文化活動をせられるわけですね。法律に書いてあります。でありますから、ただ単に海外に人を出すという場合に、ニュースを取りにただ出すのだということで、私はそれは足りないだろうと思うのですよ。もっと端的に申し上げると、いつも私が主張しておりますように、海外に人を出す場合には、日本の放送内容なり放送の仕方なり、あるいは技術方面については特にそうだと思いますけれども、非常におくれている部分がまだたくさんあると思うのです。そういった問題も考慮して、そういったことについても十分に日本の放送事業に貢献し得るような人を送らなきゃならぬだろうと思うのです。端的に言いますと、たとえば千万ドルならば千万ドル割り当てられたとするのですね。それは、その正確な二ュースを迅速に提供するということは、一つのあなた方の任務ですから、それに力を入れられることについては異存はない。しかし、技術の方面の研究とか、そういったものの調査とか、そういったものを全部ゼロにしてニュースだけ提供してもらったらば、それでいいのかということになりますね。私はやはりNHKはもっと幅の広い仕事をやっているのだから、正確なニュースを迅速に得るということも、これは必要でしょうね。それは否定しません。否定ませんが、同じように、やはり放送事業それ自体の、たとえば番組の編成の仕方とか、あるいは同じ番組にしても、それをどういうふうに声に現わし、どういうふうに、何といいますか絵に見せるかというような、そういうことにつきましても、あらゆる方面からの研究をしてもらわなければいかぬわけです。  それで、浜田君もおられますから、この間からいろいろ議論しているように、電波技術の方面でもなお劣っているのでしょう。日本はそういったことにつきましても、同じ人を出しているなら、そういう任務を帯びた人もなきゃならないだろうと思うのですよ。ところが、一向そうした者をお出しにならない。私はそこに不満があるのです。ニュースだけでいいのか。それは何千万ドル使ってもいいというのならば別ですが、しかし、限られているわけです。その同じ千万ドルならば千万ドルという金を使っていく場合に、どれもこれも、どこを見ても同じような人が出ておって、そうして、その外国電報と同じようなことを、あるいはそれ以上のことを言っているのかもしれませんが、それだけで終始するのが、NHKの使命からいっていいのかということを反省せざるを得ないのですよ。で、私はもう少しNHKがあなた方の方の経理と、それから外貨の割当、そういったものとを組み合せて、事情の許す範囲で人をお出しになるということは、これはけっこうでしょう。これは国民のためになりますからけっこうだと思います。しかし、その使い方ですよ、問題は。私の言ったような意味で、もう少し考え方を、もう一段高いところからお考え直しになる必要はないかと思うのですが、その点はどうですか。
  31. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) 私もある程度といっていいか、大部分は新谷委員のお説に賛成でありますが、ただやはり報道というものをゆるがせにすることはできません。ことに新聞とは違って、立体的に報道する必要があると思いますから、この報道陣はNHKとして強化する必要があろうと思います。しかし同時に幅の広い人をできるだけ重要な地点に置いて、そうして各方面からNHKの使命達成に役立つ人を送りたい、かように考えております。また技術については、今お仰せのように日本はおくれておるかもしれませんが、また日進月歩であるから、常におくれぬように、これを見張って研究していく必要があろうと思います。これについては、私はできるだけ随時に人を送っていくようにしたらどうだろうかというような考えを持っておるわけであります。いわゆる常駐の特派員としては、幅の広い人を置き、そうしてまた活動力のある有機的に動き得る人も常駐さしておく必要があるんじゃないか、かように考えておるわけであります。
  32. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 お言葉でございますけれども、現実あなたのおっしゃっているようになってないですね。私も各地を一応回りまして、一部の方にはお会いもしまして、どういう活動をしておられるかということは一応見てきたわけです。ああいう活動を私も決してこれは否定しないのです。必要だと思うのですよ。経費さえ許せば、多々ますます弁ずだと思うのです、NHKとしては。しかし不幸にして経費が許さないでしょう、第一。それから第二は、外貨が許さないだろうと思う。経費がありましても外資はそれだけ許さぬと思うのです。しかもNHKのやり力を見ておりますと、大体二年とか三年とかでもって交代しておられるでしょう。若い方が行きましても、ある国へ行って、たとえば大統領に会ったり、あるいは総理に会ったりということは容易なことじゃないのです。ですから私はやはり報道の活動といいましても、今のNHKのやり方からいきますと限度があるのです、現実の問題としては。期待されるのはけっこうです。また訓練されるのはけっこうですよ。それがいけないという意味じゃない。しかし今の程度であれば、私はもっと幅の広い角度からごらんになって、あなたは技術陣なんかは随時やった方がいいとおっしゃいますけれども電波関係の技術なんかは、たとえばアメリカにいたしましても、これはもう日進月歩でどんどん変っておりましょう。常時そういうデータを送って寄こしてくれるようなものでないと、またあな方が今一番何に困っているか、どういう点に研究の主題目を置いているということについて、理解のある人が行ってないと、そういう材料もくれないでしょう。集めないでしょうね。ただどこかに書いてあった雑誌が出たとか、新聞が出たとか本が出たからといって送ってくるだけではしようがないじゃないですか。だから私は、技術だけを問題にしてきたわけじゃないですが、技術だけを見ましても、今の同じ外貨をお使いになるならば、もう少しその使い方を考え直した方がいいのじゃないか。報道を私は決して軽視はしません。しませんけれども、限られた外貨でもってやろうということであれば、その中でもっと技術関係についても重点を置かれまして、そうして常時駐在するくらいの人は重要なところには置かなければいかぬじゃないか、それだからおくれるんだということを言いたいくらいなんですがね。これは御意見とは多少違います。確かに違います。だから私は質問段階であまり意見を述べることは差し控えますが、これは十分お考え下さい。あなたも特派員をあっちこっちに出したいとか、あるいは経費をふやしたい、もっと報道の正確、迅速を期したいとか、これはやられるのは当然のことですが、しかし、ほかの方もごらん下さいということを言いたい、NHKの使命はもっと広いのですから。
  33. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) 実は三十四年度予算の編成のときにも、各局から出した案を見ますと、特派員の問題なんかについても、ゴマ塩的に所々方々にたくさん人を出したいという要請があったのでありますが、私はそれはいけない重点的に、今申したような幅の広い、いい人、視野の広い、そうして十分にNHKの各分野を見張り得る人を出すようにするがいいから、そのゴマ塩的なのはやめたらどうかというので、その原案をやめさして、ここに出ておるような案にしたような次第でありまして、私も新谷委員の今おっしゃったような意味において、今後の特派員の配置をいたしたい、かように考えておるわけであります。
  34. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 一つ野村さん、これは実行上よく考えていただきたいのです。これはこれ以上申し上げませんが、限られた金で、あるいは限られた経費で出すことですから、そう何もかもできないことはわかりますが、しかし限られた経費だけに、ただ報道陣さえ出せばいいという格好では、NHKから見ると、私は足りないところが出てくると思うのですね。だから私はもっと幅の広い視野の高いところから、十分慎重に検討していただきたいと思います。  それから大臣お忘れかもしれませんが、関連しまして、これはNHKだけでできないことですから、お尋ねかたがた希望になるかもしれませんが、申し上げたいのです。私は前にも申し上げたのですが、NHKのそういう海外特派員というものも、これは必要だと思いますし、今の野村さんとの話し合いのように、強化されるのも、金があり、外貨が許される限り、おやりになることはけっこうだと思いますけれども、ぜひやってもらいたいと思いますのは、これはむしろ外務省の仕事かもわかりませんがね、日本と文化協定をやっている国との間の文化交流の問題につきましては、せっかくNHKのような文化機関の駐在員というか特派員というのが、外国に行っているわけです。だから外務省の仕事に対して悪いというわけじゃありませんが、文化協定をしまして、われわれも文化協定けっこうだというので、国会でもいずれも無条件に、承認を与えてきているのですが、各国と具体的にどういう文化交流をやっているかということになりますと、どうも協定しただけで眠っているのが多いのじゃないかと思うのです。決してこれは外務省を非難する意味で申し上げているのじゃないのです。私はやっぱりこういう文化協定というものは、政府と政府との間で四角ばってやったところで実効が上らないので、もっと卑近なところから、具体的にお互いに入っていかないと、ほんとうに実を結んでこないだろうと思うのですよ。そういう意味では、最近NHKなんかは多少お考えになって、自主的にいろいろな方面で交換をされたりしてやっておられますが、そういうことからでも入っていって、お互いに相手の国の認識を、政府だけでなく、国民全体が相手の国の文化とか、政治とか、経済とかというものについての認識を深めて、そうして親善の度を増していく。お互いに文化の向上をはかっていくというようなことが、これはもっと卑近な問題として取り上げられて前進していかないといけないのじゃないかという気がします。それには私はNHKの今のような特派員、ただ報道機関だけでなしに、そういう使命も負わさして、外務省とも御相談の上でやっていただきますと、非常に私は各国との文化協定も生きてくるだろうと思います。場合によりましては、多少政府が特に経費をお出しになってもいいんじゃありませんか。そのくらいにしてでも、私はNHKのそういう海外の出先の人たちを活用されて、日本との文化交流を進めていくというようなことが、非常に私は当面大事なことであり、またそれが可能であり、またある程度成果を期待し得る事柄じゃないかと思います。一つこれは大臣の所管外のことかもしれませんが、ぜひそういう意味で、会長とも十分にお打ち合せ下さって、骨を折っていただきたいと思います。これはまあ一つ大臣に希望として申し上げておきたいと思います。
  35. 寺尾豊

    ○国務大臣(寺尾豊君) 御所見と私の考え方とこれは全く一致するところでありまして、こういうところにいわゆる国民外交とでも申しまするか、ほんとうに卑近な面から、実際に両国がその国柄なり、文化、経済あるいはその特質を知り合う、こういうことがやがてはお示しのように、NHKの持つ国際放送の番組内容というものが充実もされ、そして両国民の文化の交流という上に非常な効果をもたらされるということでありまするから、もうこれは最高度にNHKが特派員を活用するというんでしょうか、その使命を全うするということになりましょうか。なお、外務大臣あるいはNHKの野村会長とも、そういう方面に今後できるだけそういう一つの成果を得るような方向に、一つ進めて参るようにいたしたいと思います。
  36. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 どうぞよろしく御配慮をお願いいたします。  それから次の問題でございますが、これは電波監理局長にもお聞きしたほうがいいかもしれませんが、NHK全国普及させるという手段ですが、これは経費をあまりかけないような方法でいかないと、これからのテレビなんかは大へんだと思います。そこでさっきからお話が出ておりましたが、いわゆる微電力局を置いておこうという御計画はもちろんけっこうだと思いますが、これを無人局にして、どこかに装置しておくというようなことが、技術的にはすでに私は可能だと思いますけれども、それがどうしてもやれないというのは、何か原因があるのでしょうか。
  37. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 御指摘の無人局は可能であろうと思います。まだ日本ではやったことがあまりありませんが、今後なるべく実施するように皆さんに御協力を得たいと考えております。
  38. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 副会長、あなたは技術屋さんですから伺いたいのですが、これはNHKとしては、電々公社もある程度こういう問題が起ってくるのですが、しかし、それ以上にあなたの方は切実な問題でしょう。だから無人局を置きたい置きたいというお話も、そういう希望もかなり持っていながら今日まで実現できないのはどういう理由ですか。
  39. 溝上けい

    参考人溝上けい君) 無人局の問題につきましては、これは在来のラジオの場合とテレビの場合と両方ございます。一般問題としましては、現在の研究所でも重点的に機器の自動化という問題を取り上げておりますが、特にラジオなどにおきましては、ほとんど技術が安定いたしましたので、実行上機械はもうほとんど自動化と申しますか、故障がほとんど絶無であるという段階になっております。一つはまあ在来の放送局を全然無視してしまって、留守番も置かないということもちょっと問題点がございますので、最小限に一名置くというような方法、実行上、機械そのものは、ほとんど自動的に動いておる。スタート、ストップも時計でやっておくということになっております。  それからテレビジョンにつきましては、これは現在まだ非常に機械が複雑でございまするために、現在完全に自動化して、もう確信をもっておるという局はまだございませんが、先般作りました長野の局なんかは、将来は自動化するという前提のもとに、一応実験の形で運用しておりまするが、ただ小電力ラジオの場合と違いまして、機械が非常に複雑でございますので、なお、将来かなり研究を要するというふうに考えております。
  40. 松平勇雄

    理事松平勇雄君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  41. 松平勇雄

    理事松平勇雄君) 速記を始めて下さい。
  42. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 今の無人局ですね。それは日本の社会状況で、あるいは機器類の盗難というようなことも考えておられるかもしれませんけれども、機器類が盗難にあったりなんかするというふうな、そういうことも考えておられるのかもしれませんが、やはり、そういう管理人のようなもの、これは私はある程度必要だと思いますよ。しかし、機械類を操作するについて、ただそれを保守していなければならないというような要員は、もう今日のテレビの機器類の発達からいきますと、相当思い切って踏み切られた方がいいのじゃないかと思うのですよ。これは今お話のように、これからそういった問題について実行に移すべく大いにやるのだということであれば、それでもいいですが、この点は電波局の方も十分考慮してもらって、ほんとうに不必要な保守要員を置かなくてもやっていけるようにされて、あなたの方でそれが成功しますと、ほかの方の一般の民放なんかのほんとうに小さなエリアに対して、それをカバーするための中継所みたいなのがありますね、こういったものは全部無人局でいいということでいいのじゃないかと思うのですがね。早くそういうふうな道を開いてもらいたい。テレビについてもですよ。お願いします。
  43. 溝上けい

    参考人溝上けい君) 先ほど御説明申し上げましたように、テレビジョンにつきましては、これから相当また、相当と言いますか、ある程度研究を要すると思いますが、ラジオにつきましては、先ほど簡単に申し上げましたけれども、現在まず機械としてはほとんど故障が絶無という段階になっておりますが、一応小さいながらも一局を置きますというと、やはりそれが放送局という名前になっておりますから、かなりいろいろな問い合せがあったり、まわりのお世話をしたりする、こういうことをするわけです。といって、あまりほんとうの留守番というのもちょっとそういう意味から困りますものですから、同時に一応現在、電波なんといっても、いざというときには技術の多少わかる者がいいものですから、技術者の定年退職者をそこに嘱託として住み込まして、そういう形で、しかしながら、その運用は一切上位の局でやるという前提で、全然機械にはタッチしない、しかしながら、いざというときには、一応そこの局長として働くというような形で実行いたしております。ただし今後、今のところあまりいたしませんが、さらにテレビジョンのブースター・サーチライトに相当するような、さらに微電力、小さい電力のときは、これは全く初めから完全に無人という形で、倉庫のようなものを建ててやるというような方向に向けたい、こういうふうに思っております。
  44. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 今は質問を避けますけれども、おやりになる意思は、ただ人を置かないのは趣味でやるわけじゃないから、経費節減のためにやるわけですから、非常に精密ないい機器ができてくると、無人でもこれをコントロールできるはずですから、退職者を置かれるのもいいかもしれませんが、私は経費節減の意味ですから、ない方がなおいい。そういう意味では、さらにあなた方のお考え方ももう一ぺん検討し直す必要が私はあると思います。しかし、これ以上の聞きようはいたしません。しかし、無人局をもっとこれから置いていくような方向にいかないと、さっきお話のように、テレビだけでも四百局、私はこれは相当な、大へん経費だと思います。それに対して今から大体五年先のことですから、あと無人局でいくのだという態勢をとって研究を進められて、それを三十七年度以降に置かれるものについては、少くともこれを実行に移していくというだけの熱意をもってやっていただくようにお願いいたします。  それから先般、これは郵政省の方には御質問申し上げて、大体そういうことについては、趣旨は賛成だから自分たちも協力をしていこうということだったのです。私は簡単に繰り返しますと、各農山村なんかでこのごろはだんだんラジオが聞えてきますが、たとえば映画なんかにつきましては、非常に機会に恵まれていないというところが多いわけですね。そういうところは、県とか、あるいは社会事業団体なんかが、古いフイルムを持っていきまして、巡回映画というようなのをやっている。そういう形でまかなわれているところが相当多い。私はこの前、郵政省の方にここでお聞きをしたのは、だからNHKでは今度は教育番組なんか非常にたくさん組んで、また教養番組なんかも同様に非常に苦心をして作られるわけですから、こういうものを、何かの形でもって、公共のためにももっと役立たせるようなことはできないだろうか。あなた方は一般の放送事業がそういったものについて、それを再放送したいという場合には、これを拒みませんということを言われましたわけですけれども、もっと社会に役に立てるようにそれを利用、活用されたらどうかということを申し上げたいのです。NHK自体がそういうことをやるのはあるいは不適当であれば、外郭の機関、あなた方のNHKにはさらに外郭機関がありますから、そういう機関にやらせられることも一つの方法だろうと思うのです。たとえば各府県、文部省がこれは社会教育の方に活用しようということであれば、要するに録音とフィルムがあればいいんですから、それを複製して、そして希望のある府県にそれを原価で提供してやる、それを各府県が活用して、それで一般の社会の教養に役立たせるというようなことは、やればできないことはないですね。あなた方は非常にいい教育番組とか、あるいは教養番組をお組みになりましても、一回放送されたら、おそらくそれは倉の中に入れておかれるか、たとえば一月か二月たてばおそらくテープも消してしまったり、みななくしてしまわれるわけでしょう。一方では農山村ではそんなものというと実は語弊がありますけれども、半月や一月おくれても、そういったものはぜひなまで見たいとか、あるいは聞きたいとかいうのがたくさんあるわけですよ。現に巡回映画なんかで回っているのは、もっとおくれているでしょう。半年、一年おくれているかもしれませんね。ですから、私は、公共機関なんだから、そういう点をもっと積極的にお考えにならなければいかぬだろうと思うのです。それで郵政省には、そういうことをNHKが言った場合には、それは多少法律上疑義があります。ありますけれども、それはいいですかと言ったところが、大体それはいけそうだと、最も実行可能なように考慮しますという従来の答弁がありまして、私はこれなら、あなた方が決意をされればやれると思うのですよ。だから、郵政大臣にもよく御相談なすって、それから文部大臣にもお話になって、文部大臣の方は喜ぶだろうと思いますよ。社会教育にあなた方はほんとうにどこにも片寄らない中正的な立場を持っておられるのですね。ほかの民放では持っておらないような、作れないような教養番組と、教育番組を毎日作っておられるでしょう。それを仕事してしまったら、一ぺんでやめてしまうというのは、私はもったいないと思う。それをほしがっているところに、何かの方法を講じて、希望者にはそれを流していく、公けのために利用してもらうという積極的な態度がほしい、そういうことをお考えになっておると思いますけれども、自分でやれなければ外郭機関でおやりになったらどうかと思う。
  45. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) ただいま仰せになったことは、積極的という言葉がどうか知りませんけれども、やってはおります。具体的のことは前田理事から御説明申し上げますが、将来ともやっていくつもりでおります。
  46. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 御趣旨はNHKとしても全く同感でございまして、NHK自体がそれに積極性を出さなければいけないという考え方を持っております。本年度におきましても、文部省関係で十数本差し上げております。それからもう一つは、明年度以降、外務省が在外公館用としてNHKの力を借りたいというお話でございまして、明年度以降は積極的に協力するという方向で参りたいと思います。  それから従来のものは大体のものは取ってありまして、これは将来局内的にはやはり資料一つとして残していく必要を感じておりますし、それからまた今申し上げたような、すでに小規模でやっている仕事を拡大強化してやるためには、NHK自体がどの程度やってよろしいか、あるいはまた外郭団体を通じてどのようにやるかという問題を早急に解決しまして、御趣旨の方向に一そう前進したいと、こう考えております。
  47. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 非常に積極性を持った御答弁でございますから、それに全幅の信頼をおきまして、三十四年度の実績を私は期待して見ておりますから、ぜひやって下さい。もし必要があれば、私どもも関係の委員会の委員としてまして、関係の各省に話すこともできますし、また郵政大臣に特に御依頼しまして、関係の大臣と話し合ってもらうことも、これは可能だと思います。これはほんとうに社会公共のためになることですからね。ぜひ熱意をもって実績を上げて下さい、それをお願いしておきます。  それから、あと二、三点ですから簡単にお聞きします。この五カ年計画NHKが、昨日もどなたからか御質問があったのに対して、混信を防ぐためにも大電力をやらなければならぬということをお答えになっておりましたが、その通りだと思います。ところで御計画を見ますと、東京や大阪の方は大電力だと思いますけれども、私、しろうとですから間違いがあれば教えていただきたいのですが、東北方面ですね。たとえば秋田、山形、新潟とかあるいは青森、それから北海道の西岸とか、あの方面にかけまして、もう少し大電力でやるような、あの方面についてもう少し計画考えないといけないのじゃないかという気がするのですが、東京や大阪あるいは福岡ですね、これについて非常に大きな計画をお持ちでございますが、日本海に面したあの東北海岸から北海道方面の一帯については、そういうことをお考えにならなくとも、今の御計画でよろしいのでしょうか。    〔理事松平勇男君退席、理事長谷部ひろ君着席〕
  48. 溝上けい

    参考人溝上けい君) ただいまの御質問は、超大電力計画の場合は、東北方面にも考えたらどうかというお話のように伺いましたが、それがはっきりわかりませんが、一応考えとしては、東北の方面にも一局考えておりまして、大体東京、大阪それから九州、東北全体の総合的な電波状態を考慮して、夜間混信を防止するに足るもの、そういうものを総合的に考えております。それで具体的には秋田の局は、来年若干ながら増力して、漸次増強していきたいと考えております。東北地方において、どの局をいつ何キロにするかということまでは、はっきりまだきまっておりませんですが、考え方としては、きまっております。
  49. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 しろうとですから、もうこれ以上御質問しませんが、私の感じでは、福岡なんかをお考えになるのと同じようなウエートをもって、やはり東北方面をお考えにならないと、混信の防止ということは、その実をあげ得ないだろうという、これはしろうと考えですから間違いなら間違いでけっこうですが、私はそういう気がしておるのですよ。だからどこの局かわからないのですけれども、あるいは今のたとえば五キロを十キロにするとかいう程度では済まないのじゃないですかね。大陸からの電波のとらえ方なりその強さなんというものを考えますと、私はやはりもっと日本海に面した東北から北海道にかけましてお考えにならないと、混信の防止はなかなかできないのじゃないかという気がするのですよ。しかしこれ以上、私はしろうとですから、それでいいんだとおっしゃればそれで引き下りますがね。
  50. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) ちょっと追加して御説明いたします。ただいま資料として表に出してありますのは、東京、大阪、福岡でございますが、引き続きまして、北海道は札幌、それから東北地方はこれはちょっとどちらかまだ確定しておりませんが、秋田または盛岡という方面に、東京、大阪、福岡と同程度の超大電力を置きたい、こういうふうに考えております。    〔理事長谷部ひろ君退席、理事松平勇雄君着席〕
  51. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それでは最後に、これは締めくくりになりますから、本論に入りまして、経理局長でもけっこうですが、今度聴取料の値上げの案が出ておりますから、これに伴いましていろいろな資料もいただいておるので、大体は了承できるのでありますが、しかし私国民大衆に負担をかけるような料金の値上げにつきましては、まず第一に考えるべきことは、内部の機構におきましていかなる合理化をやったか、いかなる節約をやったかということだと思うのでございます。それでどうしてもまかなえないものという場合に、初めて料金の値上げということが問題になってくるわけです。NHKとしましては、もとよりそういったことについては十分の考慮もされ、その措置を講ぜられて結論をお出しになっていると思いますけれども、大きなアイテムだけでもけっこうですから、どういう合理化をやり、どういう節約を実行されまして、その結果、やはり収支がどうしてもバランスがとれないということで、この聴取料の値上げ案をお出しになったか、その合理化、節約のあり方の案なり、とられる措置なりというものにつきまして、取りまとめて御説明をいただきたいと思うのです。
  52. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 合理化、節約は、実は例年工夫いたしましてやっておりますのでございます。特に明年度予算におきましては、値上げを伴うということもございますし、さらに徹底的にこれを洗いまして、節約、合理化ということを極力工夫したのでございます。それで実は何と申しますか、今までそういうふうなことをやっておりますので、画期的な合理化、節約というものにつきましては、なかなかむずかしいわけなんでございますが、なお、工夫しまして、明年度におきましてさらにいたしたいと考えておりますのを若干申し上げますと、真空管がございますが、真空管の消費が非常に多いのでございます。局がふえておりますがゆえに、非常に真空管の消費が多い。で、これはわわれれの方の技術研究所におきまして、この寿命延長ということはいつも研究しているわけでございますが、さらにこれを来年度におきましても、研究所を動員しましてこの延長をしよう、そうしますと、真空管の消費量が減ると同時に、万一の場合を考えまして、やはりある一定の真空管を各放送所でストックして用意しているわけでございます。それがまた、実は少なからぬ金額になっておるのでございます。同時に、そこにも節約が及びまして、そのストックがもっともち得るのじゃないかというふうなことを考えておるわけでございます。  それからいろいろこまごましたようなことになりますけれども、案外この工夫によりまして節約ができる面がございますので、お聞き取り願いたいと思います。録音盤でございますけれども、録音盤もテープの方にむしろ重点を移して参る、そうしますと、ここで、これはものによりまして可能なものと不可能なものとございましょうけれども、大体の重点をそっちに移していく、そうしますと、ここでやはりかなりな節約ができるのじゃないか。それから事務関係も、管理関係の経費は、この際もう一そう徹底して節約しよう、それはたとえば事務関係でございますけれども、結局第二線級の管理関係の人手をやはり減らすということを眼目にしたいものと、そのためにやはり一時的に金は要りますけれども、機械を導入いたしましてスピード化というふうなものをさらに徹底的にやろう、たとえば一万人もおりますがゆえに、給与計算なんかでも非常に手がかかります。数十人の人間がかかる現状でございまして、これを一両年前に計算機、その方面の専門の機械を導入いたしましてやりましたけれどもほんとうに五分の一ぐらいで済むようになりましたので、さらにあらゆる面にこれを持っていこうというようなことを考えておる次第でございます。  それからこの専属芸能団体でございますが、いろいろございます。いろいろございますけれども、地方にあります専属芸能団体のうちで、合唱団でございます。これは主要な地域においてはこれを存続いたしますけれども、まあ地方局で申しますと、松山とか、そういうところにつきましては、これを廃止いたしまして、これにかわる方法を考えよう、措置を、もちろんこれは業務に、放送に影響ないというかわりの方法を考えるわけでございますけれども、これも少なからぬ節約になるんじゃないかと思います。  それからその他、たとえば通信施設の専用料を、借り方を少しわれわれとしましてもきつい線を出しまして、方方にお願いしまして、合理的なやり方をする、まあこまごましたものでございますけれども、これを集めましておよそまあ二億ぐらいの節約はしたいと、このようなことを考えておる次第でございます。
  53. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大体これで私お尋ねしたいことは、あらましお答えいただきましたから終りますので、最後に、野村会長にまとめて申し上げておきますが、いろいろ申し上げましたが、要するに、だんだんNHK仕事の幅も大きくなり、国民との関係も従ってますます密接になりまして、影響力も大きいということになって参りますので、今度できた新しい放送法に基きまして、あなた方の方の機構にしても、運営にしましても、もう十分に慎重な考慮の上に立って、特に従来よりもなおさらに高い視野から、ものごとを思い切って判断をされて、新しい方向に進まれるように、発展の方向に進まれるようにされないと、世間でいうようにマンネリズムだとか、事務的だとかいうようなそしりがあっちゃいけないと私は思っております。それでまあいろいろなことを申し上げたのであります。  それからこまかいことでありますけれども、これは電波監理局も責任があると思うんですが、技術の方の研究がまだまだ足らないと思います。これはあなたの方の研究所を悪いと言うのじゃありませんが、たとえば一例を上げますと、研究所長なんかは、これはいわば学者みたいな人ですから、これを局長にしたり、理事にしたりされれるのはけっこうかもしれませんが、一般の事務なんかはやらせるべきじゃないと思うんです。これはもうほんとうに研究に邁進してもらうように、あすこの研究所は学者の集まりだというような格好で誇りを持たして、あすこで喜んで研究に一生をささげてもらうというような養成のし方をされないと、古くなってきたら、どこかの部長にしたり局長にしたりするようじゃ、研究所の私は値打ちはないと思うんですよ。しかし今のところは、電波に関する研究としてはおそらく日本でも有数の研究所だと思いますから、これは大半にしなきゃいかぬと思います。それでできるだけ新しい分野の開拓を技術によって行い得るように、やはり研究所というものを活用される必要があると思います。  それから、これも質問しようと思ったんですけれども、もうやめますけれども、あなた方の方の劇団の中で、特に、私しろうとではなはだ失礼ですが、N響といっておりますね、交響楽団。これは私方々で聞きますと、非常にレベルの高いものだそうですが、これについてはいろいろの議論NHKの中にもあるということも聞いておりますが、私はまああなた方の方が三十何年間もかかってやっとここまで育て上げられた、日本でも唯一と言ってもいいんじゃないでしょうか、レベルの非常に高い楽団だそうですが、私はこういったものは普通の民放なんかでは維持できないだろうと思うんですね。だから公共機関であるあなた方の方が何も専嘱させる必要はないので、こういったものをほかに利用さしてもいいんです。その水準を上げていく努力はあなた方の方がよほど経費をかけられても、公共的な見地からおやりになってしかるべきだと思うんですよ。これは私質問の中でいろいろ意見を申し上げたりしようと思いましたが、もう時間がありませんからやめますけれども、この点もこまかい具体的な問題ですが、十分御配慮をいただきたいと思います。  以上で質問を終ります。
  54. 野村秀雄

    参考人(野村秀雄君) ただいま新谷委員の御懇切な御注意を、ありがたく拝承いたします。私もこのNHK運営については、いわゆるマンネリズムに陥らないように、新しい生命を開いて、活発に連帯していきたい、かように考えております。  技術研究所、放送文化研究所については、私はこれをしっかり生かしていきたい、従って三十四年度予算にも、この技術研究所の拡充、放送文化研究所の拡充について計画を立て、予算を編成しているようなわけでありますから。私もこの技研は、日本において最もすぐれたものであるということを聞かされて喜んでおります。あすこにはまあ学位をとった人が偉いか、偉くないかは別といたししまて、とにか学位をとった人が十二名か、いるようなわけであります。私は文研にもそういう人が出てきて、そうしてこれをただ象牙の塔に閉じこもっているだけでなしに、しっかり、世間へ研究を貢献するようにせねばならぬと、あすこでもうやはり学位をとるような人が、技研に劣らぬようになってもらいたいと、かように考えて、文研の拡充ということにも力を入れていきたいと思っております。  またN響についても、私この芸能関係のことは全然知識はありませんが、世間の評判を聞いて、非常に高いものであると、この間もイタリア・オペラの劇団が日本にこられても、N響によって、非常に自分らの技を十分に発揮し得たということで、喜んでもらったような状態でありまして、N響というものを、さらに高く、日本の楽壇、日本の芸能会において大きな貢献をするようにいたしたいと思います。これを世間へ解放せいと言われるので、世間の求めに応じてもおりますが、何と言っても芸をみがくことが必要なために、そうそう、むやみに世間の要求に応ずることもできないと思います。それだけNHKとして、またできるだけの補助をして、その技をみがいて、世界的に高い水準にもっていきたいと、かように考えおります。
  55. 松平勇雄

    理事松平勇雄君) 他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時十九分散会