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1959-02-26 第31回国会 参議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月二十六日(木曜日)    午後一時四十七分開会   ―――――――――――――   委員の異動 二月十七日委員石坂豊一辞任につ き、その補欠として林田正治君を議長 において指名した。 二月十八日委員林田正治君及び前田佳 都男辞任につき、その補欠として石 坂豊一君及び西郷吉之助君を議長にお いて指名した。 二月十九日委員西郷吉之助君及び中村 正雄辞任につき、その補欠として前 田佳都男君及び松浦清一君を議長にお いて指名した。 二月二十日委員松浦清一辞任につ き、その補欠として中村正雄君を議長 において指名した。 二月二十四日委員石坂豊一君及び光村 甚助辞任につき、その補欠として榊 原亨君及び阿具根登君を議長において 指名した。 二月二十五日委員具根登辞任につ き、その補欠として藤原道子君を議長 において指名した。 本日委員榊原亨君及び藤原道子辞任 につき、その補欠として石坂豊一君及 び光村甚助君を議長において指名し た。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     手島  栄君    理事            新谷寅三郎君            松平 勇雄君            森中 守義君            長谷部ひろ君    委員            石坂 豊一君            黒川 武雄君            前田佳都男君            三木與吉郎君            鈴木  強君            三木 治朗君            光村 甚助君            山田 節男君   国務大臣    郵 政 大 臣 寺尾  豊君   政府委員    郵政省電波監理    局長      濱田 成徳君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   説明員    郵政省電波監理    局次長     荘   宏君   参考人    日本放送協会副    会長      溝上  銈君    日本放送協会理    事       前田 義徳君    日本放送協会理    事       田辺 義敏君    日本放送協会企    画局長     春日 由三君    日本放送協会経    理局長     首藤憲太郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選参考人出席要求に関する件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基  き、国会承認を求めるの件(内閣  送付予備審査) ○放送法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 手島栄

    委員長手島栄君) ただいまから開会いたします。  委員の変更についてお知らせいたします。  二月二十四日、石坂豊一君、光村甚助君が辞任せられまして、その補欠榊原亨君、阿具根登君が選任せられ、二月二十五日、阿具根登君が辞任せられまして、藤原道子君がその補欠に選任せられました。  二月二十六日、榊原亨君、藤原道子君が辞任せられまして、その補欠石坂豊一君、光村甚助君が選任せられました。   ―――――――――――――
  3. 手島栄

    委員長手島栄君) 理事辞任の件を議題といたします。  宮田理事から理事辞任願が提出されておりますが、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 手島栄

    委員長手島栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  つきましては、理事補欠選挙を行いたいと存じますが、互選の方法は、成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 手島栄

    委員長手島栄君) 御異議ないと認めます。  それでは、私から理事新谷寅三郎君を指名いたします。   ―――――――――――――
  6. 手島栄

    委員長手島栄君) 次に参考人出席要求についてお諮りいたします。  放送法の一部を改正する法律案並び放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件の審査中、日本放送協会会長野村秀雄君、副会長溝上銈君理事前田義徳君、同じく田辺義敏君、企画局長春日由三君、経理局長首藤憲太郎君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 手島栄

    委員長手島栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   ―――――――――――――
  8. 手島栄

    委員長手島栄君) 放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府より説明を願います。
  9. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) ただいま議題となりました日本放送協会昭和三十四年度収支予算事業計画及び資金計画提案理由とこれらに対する郵政大臣意見書の提出につきまして御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条の規定によりまして、国会承認を受けるため協会から提出され、郵政大臣は、これに意見を付することになっているのであります。  郵政大臣といたしましては、この収支予算事業計画等につきまして、放送法趣旨日本放送協会使命及び放送事業現状等から勘案しまして、お手元にお配りいたしました通り意見書を付して、国会の御審議をお願いすることになったのであります。  これら収支予算等につきまして大略御説明いたしますと、昭和三十四年度における事業計画につきましては、その重点を、ラジオにおいて老朽施設改善放送番組充実研究活動強化及び国際放送等充実に、また、テレビジョンにおいては総合及び教育テレビジョン放送局全国的置局推進並びに放送時間の増加番組内容向上等放送充実及び研究活動強化等に置いております。  次に、収支予算におきましては、ラジオ関係については収入支出とも総額百六十九億六千三百余万円と予定しております。これを昭和三十三年度に比べますと、それぞれ二十九億七千四百余方円増加となっております。収入支出資本収支事業収支等に区分しますと、資本収入二十億六千七百余万円、資本支出二十三億二千四百余万円、事業収入百四十八億九千五百余万円、事業支出百四十四億三千九百余万円、予備金二億円となっており、事業収入から資本支出、すなわち借入金返還等に二億五千六百余万円を充当し、収支均衡をはかっております。なお、ラジオに関しては、協会使命達成する上に必要な諸計画実施のため、受信料月額を八十五円に予定しております。  また、テレビジョン関係については収入支出とも総額百二十億七千百万円と予定しております。これを昭和三十三年度に比べますと、それぞれ四十四億九千六百余万一の増加となっております。収入支出資本収支事業収支等に区分しますと、資本収入四十四億二千五百余方円資本支出四十九億二千百余万円、事業収入七十六億四千五百余万円、事業支出六十九億九千九百余万円、予備金一億五千万円となっており、事業収入から資本支出、すなわち借入金返還等に四億九千六百余が円を充当し、収支均衡をはかっております。なお、テレビジョン受信料は、昭和三十三年度と同額の月額三百円を予定しております。  次に、資金計画につきましては、本事業計画に基きまして、年度中における資金の出入に関する計画を記載したものでございます。  以上、これら計画のうち、ラジオ受信料改定につきましては、ラジオ受信契約者増加による収入増加が今後ほとんど期待し得ない現状において、ラジオに関する諸計画緊急性にかんがみ、この程度改定はやむを得ないものと認められ、そのほかの計画については、協会使命に照らし、おおむね適当なものと認められます。  これをもちまして私の説明を終りたいと存じます。何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  10. 手島栄

    委員長手島栄君) 次に日本放送協会の補足的な説明を願います。
  11. 溝上銈

    参考人溝上銈君) 本日、野村会長病気発熱のため出席できませんので、私から御説明申し上げることをお許し願いたいと存じます。  ただいま議題となっております日本放送協会昭和三十四年度収支予算事業計画及び資金計画につきましてその大綱を御説明いたしたいと存じますが、それに先だちまして、本委員会におきまして、協会現状と当面している諸問題につきまして申し述べる機会をお与え下さいました御配慮に対し、協会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  昭和三十四年度予算につきましてまず申し上げなければならないことは、ラジオ受信料改定の問題についてであります。現在協会わが国放送界に占めております使命の重大なのに引き比べて、その財政状態は極度に逼迫しております。この行き詰りの状態を打開して、公共放送としての任務を十分に達成し、国民の期待にこたえる放送を行なっていくためには、どうしてもラジオ受信料を現在の六十七円から八十五円に改定いたさなければならない状態に立ち至っております。このことにつきまして、ぜひとも委員各位の御了承を得たいと存ずるのであります。以下、協会といたしまして受信料改定を決意するに至りました理由と、昭和三十四年度において実施予定しております諸計画につきまして申し述べて参りたいと存じます。  まず、公共放送としてのNHK任務というものにつきまして考えてみたいと思います。日本放送協会はすでに御承知の通り放送法に基く特殊法人でありまして、その設立の目的として次のような使命を負わされております。  (一) 国内全地域すなわち商業採算には乗らない僻地に至るまで良質な放送電波が到達し得るように全国放送網を設置すること。  (二) 自由かつ公正な立場において豊かで、かつ、よい放送番組編成し、公衆の要望を満たすとともに国民文化向上に寄与すること。  (三) 海外に向け国際放送を行い、わが国文化、産業、その他の国情を紹介して、わが国に対する正しい認識をつちかい、国際親善増進及び外国との経済的交流発展に資すること。  (四) 放送進歩発達に必要な番組並びに技術研究を行い、その成果を公開して、わが国放送界向上に寄与すること。  このような諸目的は、NHKがその創設の当時から全国民の御援助のもとに達成努力して参ったところでありますが、最近飛躍的に発展した放送界事情に対応し、将来における発展基礎を樹立するために、協会におきましては、昭和三十三年度を起点とする事業五カ年計画を策定いたし、協会に課せられた使命達成と現在当面している諸問題を遂行していく目標を設定いたしました。  すなわち、その内容といたしまするところは、  (一) ラジオにおきましては、国際的な混信あるいは地形その他の理由によって、現在なお放送電波聴取がむずかしい地域を救済し、全国百パーセント・カバーの放送網を完成すること。  (二) 総合番組教育番組の二つのテレビジョン放送をすみやかに全国に行き渡らせるよう置局計画推進すること。  (三) 現在の放送設備のうら機能的に陳腐化し、著しく性能の劣る老朽施設を取りかえ、設備近代化をはかること。  (四) ラジオテレビジョンとも教育教養番組充実拡充をはかり、わが国放送文化水準向上に努めること。  (五) 国民に対し公正かつ迅速なニュースの提供を行い得るよう報道取材綱拡充整備を行うこと。  (六) わが国国際的地位向上にかんがみ、国際放送拡充とその内容充実をはかり、文化交流国際親善に寄与するとともに、貿易の振興に資すること。  (七) 技術番組両面にわたって研究諸機関を一そう強化し、その成果を広く一般に公開して、放送技術放送文化両面発達に資すること。  (八) 超短波FM放送についてすみやかに本格的な放送を火施し得るよう実験研究を重ねるとともに、高度の教養芸術帯紙編成し、現在の放送にあきたりない聴取者要望を満たすよう努力すること。  一方、これに対して、協会財政状態を顧りみますと、従来は毎年受信契約者が順調な伸びを示し、昭和三十一年度までは年々約七十万件の増加がありましたので、その増収によって事業規模拡大に対応することができたのでありますが、受信者普及率が年々向上して八〇%をこえた昭和三十三年ごろからは、新しい受信者の獲得は次第に困難となり、増加数も三十二年度は五十四万、三十三年度は現在の見込みでは約三十万程度と逓減し、昭和三十四年度におきましては、普及率は八三%をこえ、十万六千件程度増加しか望み得ない状態であります。申し上げるまでもなく、受信料協会収入面の九九%を占めるほとんど唯一の収入でございまして、このように新規加入者増加が頭打ちの傾向にありますことは、ラジオの面の財政がこのままでは行き詰まりの状態にあり、新しい発展に対処し得ないことを示しております。このため、協会といたしましては、昭和三十三年度においてラジオ受信料改定し、計画を遂行することを考えたのでありますが、これは当時の社会経済情勢のため、見送らざるを得ないことになり、借入金の増額、減価償却費の削減、あるいは返還期にある債務の繰り延べ等財政上の非常手段により予算編成いたしました。その後、財政状態はさらに悪化し、現状のままでは昭和三十四年度におきましては、現在の規模のままで事業を運営して参りますことも不可能な状態となっております。さらに、先ほど来申し上げましたように、協会がその使命達成するために、各面における事業整備を要求されており、これを果すためには、どうしても受信料改定して、事業の健全な維持と発展をはからなければならないと決意するに至ったのであります。協会といたしましては、受信料全国のあらゆる地域、あらゆる階層国民皆様の御負担になるものであることを銘記し、従来、極力受信料値上げを抑制してきたのでありますが、三十四年度におきまして、八十五円に値上げを決意するにつきましても、受信者負担増加を最小限にとどめるために、経営合理化技術改善により、経費の節減をはかること  を趣旨として予算編成いたしました。受信料改定により、少額とはいえ、国民皆様に御迷惑をかけることになりますことはまことに遺憾には存じますが、その分は必ずやよりよき番組、より安定した放送によってお報いできるものと信じております。  以上、協会ラジオ受信料改定したいと考える事情を申し述べて参りましたが、次に、昭和三十四年度予算及び事業計画内容につき御説明いたします。  昭和三十四年度におきましては、先ほど御説明いたしました五カ年計画の第二年度として、前年度に引き続き、長期計画の線に沿って事業を運営して参る所存でございます。まず、三十四年度受信契約者見込み収支の大要につき御説明申し上げます。ラジオ受信者増加普及率向上とともに年々むずかしくなってきていることは、先ほど御説明申し上げましたが、三十四年度につきましては、最近における増加率実績等を検討し、さらに、後ほど申し上げます免除範囲拡大による減少等を勘案して十万六千件の増加予定いたしました。テレビジョン受信者増加につきましては、メーカー、その他関係方面の御努力によりまして、良質な受像機が、しかもずっと低廉な価額で出回るようになり、また、国民所得向上も反映して、三十三年度も当初の予想以上に伸びております。三十四年度予算としましては、置局計画の進展や受像機生産見込みともにらみ合せまして、三十三年度を大きく上回る八十万の純増を予定いたしました。受信者見込みに関連しまして申し上げたいことは、三十四年度から受信料免除範囲拡大し、生活保護法による被保護者と、図書館法による図書館とを新たに免除範囲に加えることであります。前者につきましては、ラジオ普及率向上するに従い、今後契約していただく世帯には経済的に恵まれぬ階層が多くなって参りますので、受信料改定いたしますことでもあり、これら生活の苦しい方々受信料免除の措置を講じて、貧富を問わず、全国民ラジオを聞いていただけるようにしたいという趣旨によるものであります。後者につきましては、図書館公共性に照らし、その受信料免除することは、国民文化向上に寄与するという協会目的にも合致いたすものと考えております。これらにつきましては当局の御認可のあり次第、実施に移す予定でございます。  三十四年度におけるラジオ事業収入は、受信者増加受信料改定によりまして、前年度に比し三十三億四千万円の収入増加となりますが、これにより三十三年度以来の赤字を補てんいたしますとともに、公共放送としての使命達成のために必要な諸計画実施いたします。テレビジョンにおきましては、受信契約者増加によりまして、従前通り受信料により、前年度に比し三十六億三千万円の増収となります。これにより増加していく諸施設の総持と放送時間の延長等計画実施いたします。このほか、建設関係資金といたしまして、放送局置局、諸施設増設等のために、ラジオで六億五千万円、テレビジョンで三十六億二千四百万円、合計四十二億七千四百万円を長期借入金、もしくは放送債券により調達いたす予定でございます。建設資金の調達につきましては、三十三年度におきましても、政府並びに各方面の御配慮により、簡易保険積立金から御融通をいただき、おかげで建設工事を円滑に取り進めることができまして感謝いたしております。今後も全国放送網計画推進のために、この面での御援助を切にお願い申し上げる次第でございます。  次に、昭和三十四年度計画について具体的に御説明いたします。すなわち、まずラジオ建設計画といたしましては、長期計画の第一である中波放送網の完成のため、秋田放送局の三キロワット増力鳥取外六局の一キロワット増力等放送局増力十二局、中継放送局新設三局、第二放送増設五局等の工事予定しております。これが完成いたしますと、第一放送につきましては、電波カバレージは百パーセントとなり、待望の全国放送網が完成するわけでございます。また、第二放送につきましては、九七・八がカバーされることになります。  FM放送網につきましては、現在、出力一キロワットをもって実験放送を行なっている東京大阪の両局を十キロワットに増力し、また周波数割当のきまり次第、名古屋、福岡、札幌の三局の新設の工賃に着手する予定でございます。  次に、ラジオ老朽設備改善の問題でございますが、現在の放送設備の中には、戦前、あるいは戦時中の製作にかかるため老朽して故障の多いもの、また、最近の進歩した施設に比較すると非常に能率の劣るものが相当にございます。これらは、これまで綿密な保守と応急的な補修とによって放送を継続して参りましたが、番組の様式も非常に複雑になって参りますし、良質の電波により、常に安定した放送を行うためには、これら老朽設備を全面的に取りかえなければならないのでございます。このため三十四年度から四年間、現有資産のうち老朽陳腐化したものの特別償却実施し、これら施設の一掃、機器の近代化をはかる予定でございます。  次に、テレビジョン放送網現状と来年度計画について申し上げますと、総合番結局は、三十三年度中に開局いたします局が十三局で、年度末には既設局と合せ二十八局が放送を行うことになり、電波カバレージは七一%となる予定でございます。三十四年度には釧路外十三局を建設し、カバレージは七七%となる見込みでございます。教育番組としましては、去る一月十一日、東京教育テレビジョン局芝電波塔から放送を開始いたしましたが、四月には大阪教育局も開局いたす予定でございます。三十四年度におきましては、周波数の割当計画が未定ではございますが、協会としては、札幌外五局の工事を完成したいと思っております。  次に、ラジオテレビジョン放送番組について御説明いたします。番組編成幕下方針としては、放送が今日の生活にとって不可欠なものであることに深く思いをいたし、全国民の基盤に立つ公共放送として不偏不党の立場を守り、公共の福祉の増進と、国民文化向上に寄与する番組提供につとめる考えであります。これを各放送について申し上げますと、ラジオの第一放送においては、国民一般生活対象とした普遍性のある番組編成し、第二放送においては、教育教養番組重点を置き、特に学校放送をより一そう学校における教育課程に適応するよう改善充実をはかる計画であります。このほか、各地域社会生活に密着したローカル放送充実し、また不当に低位にある放送料等を適正なる水準まで増額して、より充実した番組編成をはかるとともに、番組編成基礎をなす資料や資材を整備いたします。テレビジョンにつきましては、総合放送においては、三十三年度放送時間を二時間増加して十二時間とし、広く国民一般要望を満たすよう迅速正確な報道番組を初め、国民生活に密接な関係にある社会教養番組あるいは健全明朗な芸能、娯楽番組スポーツ番組編成いたします。教育放送においては、放送時間を二時間半増加して九時間の放送を行い、学校放送を初め、青少年並びに社会人対象とする体系的な教育番組及び教養番組編成し、放送を通じて教育機会壇等の実現と国民全般教育発展に貢献することに努力いたします。国際放送につきましては、現在十五方向に対し、一日合計十五時間の放送を行なっておりますが、三十四年度においては、新たに中米向け放送を開設し、また、主要地域に対する放送時間を増加して十六方向、一日二十五時間放送規模拡充する予定でございます。  次に、研究活動につきましては、ラジオテレビジョンの両分野とも、三十四年度におきましては、番組及び技術に関する調査研究を一段と活発化し、協会放送改善向上に直接役立てるだけでなく、広くわが国放送界全般進歩発展に寄与したい所存でございます。おもなる研究事項といたしましては、放送文化面では、ラジオテレビジョン相互影響についての研究ラジオテレビジョン視聴率及び受信者意向調査等技術面では、半導体に関する研究、UHFに関する研究磁気記録方式に関する研究FM放送に関する研究等予定しております。また、このほか、カラーテレビジョン実験放送強化して、その標準方式の検討並びに送受信面の改良に努力するとともに、カラー放送に必要な色彩や演出について研究する計画であります。  次に、受信者普及開発とそのサービス、及び受信料集金対策について申し上げます。ラジオ受信者増加は、先ほどから申し上げております通り困難になっておりますが、公共放送としてのNHKのあり方をよく御了解いただき、新規契約者開発を積極的に行うと同時に、雑音障害の防止、受信機改善対策等、一受信者に対するサービス向上に努め、従来の契約者の中から廃止される方を極力少くして参りたいと考えております。テレビジョンにおいては飛躍的に受信者増加しておりますので、これに対応して受像機保守面強化し、ラジオ業者に対する技術指導等強化し、また、教育テレビジョン番組を広く周知し、テキスト等によってその利用の指導を行い、テレビジョン教育的効果増進するようにしたいと考えております。受信料集金につきましては、現在まで受信者皆様の御理解により非常に高い収納率を上げてきておりますが、今後とも受信者方々との結びつきを密接にすると同時に、この面の管理を確実にして参りたいと思います。  最後に、従業員の待遇の問題につきましては、さきの国会におきましても、その改善について努力するよう御決議をいただきましたところであり、協会といたしましても、経営の許す範囲内でその向上に最大の努力を払って参りましたが、職員の素質、学歴、社会的地位等を考慮いたしますと、いまだ必ずしも十分とはいえない状況であります。現在の職員の給与を一般企業水準と比較いたしましても、なお相当の遜色のあるのをいなめません。昭和三十四年度におきましては、これをできるだけ社会水準に近づけるため、基準賃金を平均一千二百円増額することとし、また、退職後の生活に不安なからしめるよう退職手当の改善をはかることにいたしました。職員の素質の向上生活の安定が将来における協会発展のもとであることを考えますと、今後とも経営合理化、能率の向上に一そうの努力を払って、職員生活の不安なからしめるよう待遇の改善努力したい所存でございます。  以上、NHKが当面しております諸問題と、昭和三十四年度事業計画等につきまして申し述べて参りましたが、顧みますれば、三十三年度におきましては、やむを得ざる理由により赤字の予算編成しなければなりませんでしたが、その際、協会財政を一日も早く健全な姿に立ち帰らすべきであるとの御激励をいただきましたことを銘記いたしているのでございます。今後再びNHKをその危うきに陥れることのないことを誓ってこの予算編成いたしました。  公共放送としての重大な使命をになっておりますNHK事業運営について、委員各位の格別の御理解をいただきまして、御審議の上、何とぞすみやかに御承認下さいますよう切にお願い申し上げて、私の説明を終らせていただきます。
  12. 手島栄

    委員長手島栄君) 本日は、本件に対する説明聴取のみにとどめておきます。
  13. 手島栄

    委員長手島栄君) 放送法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引き続いて、御質疑のおありの方はどうぞ御発言をお願いいたします。
  14. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 前回、委員会におきまして、新谷委員からの御質疑に対しまする問題について、私から、研究をいたしまして次回委員会でお答えを申し上げたいということに御答弁を申し上げて了承を得ておる質疑がございます。そのお答えをさしていただきたいと思います。  十七日の当委員会における新谷委員の御意見は、現在電波法中に規定をいたしておりまする放送局に関する免許等の規定放送法の中に収容をして、放送行政法規を充実整備をする必要はないかという御質疑であったと思います。御指摘の点につきましては、私の考え方といたしましては、新谷委員のお説の通り、現在の法体系におきましては、電波法中に、放送局を含む一切の無線局の免許、監督に関する規定を設け、放送法では、放送のやり方、ことに番組に関する事項及び協会の組織、機能、運用等に関する事項だけを規定をいたしておるのであります。一般無線局と放送局とは、その局の設置の目的及び社会的意義が非常に異なっており、従って、そのような両極のものを無線局という概念で包括することについては、御指摘のように、かなり問題があると存じます。電波法中におきましても、この点を考えまして、一般無線局と放送局については、ことにその免許関係において、申請事項に、放送局の場合は事業計画放送事項、放送区域を別に記載せしめ、無線局の免許の申請の審査をするときには、無線局の各種の種別に最も適合した開設の根本的基準を定めることを予定しております。これに基いて、現実に放送局の開設の根本的基準及び放送局を除く一般無線局の開設の根本的基準を定めております。  御意見のごとく、放送法中にその免許に関する規定等を収容し、かつ充実整備することは確かに研究に値する問題であると存じますので、今後この問題につきましては、早急に検討をいたしたいと考えております。郵政省といたしましては、現行の法体系におきましても、電波法令中で放送局一般無線局とは異なった取り扱いとなっておりますので、この際は、放送局の管理、電波全体の監理の現行体制については現行制度を尊重、維持するということにいたしまして、放送番組の適正をはかるための措置及び日本放送協会に関する規定整備を中心とした放送法を改正するにとどめるという考え方を持ったわけでございます。この点御了承を願います。
  15. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 郵政大臣から、先般の委員会で留保されました、電波法と放送法との免許に関する規定についての御答弁が今ございましたので、拝聴いたしました。大体、郵政省は今後至急に法体系を検討するということでありますから、その結果を待ちたいと思います。  御検討の際に、ぜひ熱心に御研究をいただきたいことは、従来の法体系にただとらわれることなく、電波法というものは、制定当時には、今日のようなラジオ事業あるいはテレビジョン事業というようなものをおそらく想像もしなくて、技術的な標準をきめて、電波法の規定を置いたものと考えられるのであります。今日、予備免許、あるいは実際上事業の免許等を与えられるに当ってつけておられるという郵政省のいろいろな条件ですね。これは、大部分はそういう技術的な標準ではなくて、事業に対するいろいろの拘束、あるいは公けの期待というようなものが大部分でありますから、これは電波法の中に含ませることは、私は法体系としても適当ではないし、また電波法に規定しようと思えば非常に無理な規定を置かなきゃならぬということになると思うのです。従って、そういう点を、つまり事業に対するいろいろの免許条件、あるいはそれに対する希望――公けの希望ですね。そういったものを書こうとするならば、やはり放送法において規律すべきものである。放送法に規律して初めて適正な規定ができるということを考えまするので、御検討の際には、郵政大臣のお話のように、これはぜひそういった点を十分に考えて検討をしていただいて、なるべく早く成案を得ていただくように希望しておきます。
  16. 光村甚助

    光村甚助君 放送法の以外の点で一、二質問をさせていただきたいことがあるのですが、よろしうございますか……。  大臣にお伺いいたしますが、けさ社会党の国会対策委員会に対して、機関車労組からの申し入れがありました。その内容は、去年警職法案が出ましたときに国会審議が一時ストップしました。そのときの解決の条件に、警職法では処分しないということが四者会談できめられて、当時の川島幹事長と私の方の国会対策委員長、書記長同士で、処分しないとして、これはそれぞれの大臣に当時の川島幹事長がよく話をしておくと、こういうことであったと、私たちも国会対策委員で聞いているのです。それにもかかわらず、国鉄では二千人以上の処分者を出した、こういうことはけしからぬじゃないかという要請書がきて問題になった。そこで、機労だけでなく、郵政省にもそういう問題があるんだと、こういうことを私は国会対策で話をしたのです。ところが当時の、今も国会対策委員長である河野さんは、それはけしからぬ、確かに四者会談のときに処分しないという約束ができているのだからと、こういうお話なんですが、郵政省でも相当処分をされているのですが、このいきさつはどういうふうになっているのですか。
  17. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 私の聞いておりますところでは、警職法が原因して、今御指摘のようなそれによる問題についての処分というようなものについては十分考慮すべきだと、こういうふうには――一切それを処分してはいかぬのだということには聞いていないのであります。しかし、郵政省の過日処分をいたしましたものは、その警職法に関連する問題について処分をしたということは、私はほとんどないと思っております。そのずっと前の問題、それからまた警職法に関連のないこういうものを選び、なおその中から特に年末首に対する組合の非常な協力、こういうものをさらに勘案いたしまして、警職法に関連のない問題につきましても大きくこれを情状酌量いたしまして、大量に処分をしないと、こういうような取り計らいをいたしましたので、これの詳細なことについては一々御説明をする資料を持っておりませんが、大体私といたしましては、警職法に関連する処分者というものは、おそらくそのときにはなかったという記憶でありますし、それ以外のものも、大量のものを情状酌量によって処分を行わなかったという、郵政省といたしましては両面で、年末首の協力ということに対しましての非常な努力も加味いたしまして、そうしてこの警職法に関連するそうしたものについての処分はほとんどないという記憶でございますが、そのときには、警職法に関するものは一切処分をしてはならない、処分はしないことになったのだという私への連絡はございません。ただ、これは大いに一つこれに対しては考慮する必要がある、こういうような連絡はあったと記憶いたしております。
  18. 光村甚助

    光村甚助君 私もきょう突然のことで、資料を詳しく持ち合せておりませんが、しかし、この前の処分の内容を聞いてみますと、警職法で処分されたということを処分された人たちは言っております。それともう一つは、特に河野国会対策委員長寺尾郵政大臣に会って話をしたところが、運輸大臣の方は苦い顔をしていたけれども、寺尾君だけは心よく聞いてくれた、こういうお話なんですが、全然食い違っているのです。私の方も詳しい資料はあとで調査してやりますが、大臣は、警職法では処分していないとおっしゃるのですね。
  19. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) これは、そのことについて、そういう私は記憶でありますけれども、何分にも詳細の資料というものによって、これがこうだということははっきりここで言明するのには私も内容がございませんから、このことにつきましては十分調査をしてお答えをさせていただきますのと、河野国会対策委員長その他がおいでになりましたときには、私といたしましては十分考慮をいたしたいと思います。一切お話のようにやりませんというお答えはいたしません。私は十分考慮をいたして参りたい、かように存じておりますということでお答えをいたしたのでございました。
  20. 光村甚助

    光村甚助君 しかし、去年の十一月十五日の警職法の問題であなたの方は処分されているのですよ、これは。あなたの方では、じゃ警職法の問題では大きな処分は全然していないということをあなた初め言われたが、今度幾らか考慮したと言っておられるのですが、警職法の問題で処分はしていないと、あなたの御発言はそう解していいのですか。それとも幾らかやったということですか。
  21. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) この点は一つはっきりしたことをあらためて一つお答えさせていただきたいと思うのですが……。それともう一つ申し上げるのは、警職法に関する処罰というものは一切行われないようにせよという指令はございません。これは十分考慮をするようにということはございましたけれども、それを一切やらないのだという幹事長その他からの連絡はないということははっきりいたしておりますが、ただ、それにどう関連をいたしておりますかにつきましては、一つ資料をもってお答えいたしたいので、それまでちょっとお待ち願いたいと思います。
  22. 手島栄

    委員長手島栄君) ちょっと速記をとめて。    午後二時四十五分速記中止    ―――――・―――――    午後三時七分速記開始
  23. 手島栄

    委員長手島栄君) 速記を始めて下さい。
  24. 前田佳都男

    前田佳都男君 数点にわたりまして、政府並びにNHKの方からお答えを願いたいと思いますが、今回の放送法の改正は、番組向上を企図しておる点は非常に進歩だと思うのです。相当これに関連いたしまして詳細な規定を設けておることは、これはけっこうだと思うのです。ただこれに関連しまして、NHK国民的なる機関といたしまして、あくまでも中庸の道を歩む、中正、公平な報道をするということが必要であろうというのであります。右に偏してもいけません。また左に偏してもいけません。ほんとうにまん中の道を行ってもらいたい。この中庸の道、中正を守るために、日本放送協会はどういうふうに配慮しておられるか、その心がまえの点においてのそれをまず最初に承わりたいと思います。
  25. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 御承知のように日本放送協会の根本的な番組編成基礎放送法にあるわけでございますが、今前田先生のおっしゃったと関連いたしまして、NHKは現行放送法ができる前年の昭和二十四年から自律的にその点ははっきりさせなければいけないということで、御承知のように日本放送協会放送準則というものを作っておりまして、それがテレビができましてから、さらにテレビにもこれを適合させるために、昭和二十八年には一部改正をいたしまして今日に至っております。放送法との関連で、放送法番組の自主編成、不偏不労、それからまた、公共的な問題について議論の分れている場合には、できるだけ多角的にその議論を伝えなければいけないということ、あるいはまた、政治的には公平でなければいけないということがあるわけでございまして、私どもの放送準則もこれに基きまして、たとえば政治の面では、政治上の諸問題は公平かつ正確に取り扱うということを一つの基礎といたしまして、それからまた、放送NHKの場合は公共放送という特別の使命を持っておりますので、すべて公共性立場から、国家の施策を徹底させることに努力するという考え方をはっきりさせております。  それからまた同時に、政治的な問題でなくても、公共性の強い問題でなくても、公共性の強い問題につきましては、大衆の生活に実際的な影響を与えるという点を重視いたしまして、対立的な意見がある場合は、双方を公平に取り扱う、そしてこういう問題の取り扱い方につきましては、すべての娯楽番組その他とは画然と区別した編集を行うということを建前として、今日まで努力しておるわけでございます。この問題につきましては、客観的に外部にいろいろな問題があったときに、いろいろな立場方々からいろいろな御忠告も受け、あるいは私ども自身も常に問題のあるごとに反省をいたしまして、放送協会の内部でも、総合的に私どもが自律的に作っている準則、それからまた放送法の精神からは、いかなる場合にも逸脱することのないように努力して参ってきておるのでございます。この点に関連いたしまして、特に去年の六月、従来編成局の一課であった考査課を発展的に解消いたしまして、去年の六月以降それを考査室という、局内的に申し上げますと、会長の直属の機関にいたしまして、そこにあらゆる種類の番組を、事前と事後にわたって考査するという制度もとっております。現在のところ、この制度はまだ完璧とは申されませんが、これは明年以降さらにこれを強化いたしまして、そういう自律的な規制組織を強めていって、放送法の精神を、自分たちみずからが自律的に作っている放送準則の精神を、いかなる場合にも逸脱しないという決意と覚悟を持って今後も努力いたしたい、こう考えております。
  26. 前田佳都男

    前田佳都男君 現在放送法で第四十四条に、放送番組の編集ということが規定してございまして、この四十四条が今度改正をされて「善良な風俗」ということを「公安」の下に入れる、これも非常にけっこうなことだと思います。ただこの四十四条に違反した場合、たとえば「公安を害しないこと」、「政治的に公平であること」、「報道は事実をまげないですること」というこれに違反した場合がもちろんあると思う。前田理事の御説明によって、NHKが十二分にその点を御配意になっているということはよくわかるのでありまするけれども、やはり何かの間違いということがある。そういう場合に、政治的に必ずしも公平でなかったというような報道をした場合、これは決して自民党の都合のいい報道をしてくれというのじゃありません。右に偏しても左に偏してもいかぬ。それがちょっと偏した場合、あるいは事実のちょっと曲った報道をした場合、そういうような場合に、それに対する罰則というものがこの四十四条の規定にはないということです。これは必ずしも私は罰則をもって報道の自由を弾圧するとか、そういう考え方ではないのでありまするけれども、それだけにこの条項は慎重に非常によく守ってもらわなければいかぬ。大体法規を守るためには、何かやはり守らない場合の規定というものがあるのが普通でございまするけれども、この四十四条の規定は非常に大事な規定である。NHKについても大切であると同時に、民間放送放送する場合にも、こんなに民間放送がたくさんできた現在、この四十四条を守るか、守らぬかということは非常に大問題なんです。もちろん、これを守らぬ場合には、何か電波法の規定で免許を取り消すとか、何かそういう規定もたしかあったように思うのでありますけれども、それではどうも、三年先か何年か、ある一定の年限の先でありまして手ぬるい。またNHKの場合にはそういうこともできないわけでありまして、この四十四条を守ってもらう、政治的に公平であるような報道を確保してもらうようにするために、この法規というか、放送法の改正に関連しまして、何か考える必要がなかったかどうか。その点につきまして政府の御見解を伺いたい。  それが一つと、もう一つ固めてお尋ねをいたしますけれども、「政治的に公平であること」あるいは「報道は事実をまげないですること」、これの判定ですがね。判定は一体これはどこがおやりになるのですか、その点も一つあわせて政府からお伺いをしたいと思います。
  27. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 今回の放送法の改正というようなものは、憲法二十一条に規定をせられております「表現の自由、」このことを絶対確保するという、いわゆる目的に示してありまする原則というものの上に立って、しかもその放送に対しましても、番組審議会、あるいは放送事業者自身が、すべて自主的に行うということでありますので、これに対するこの罰則を適用するということをきわめてこれは避くべきである。まあこういう方針を実はとっているわけであります。従いまして、今御指摘のような第四十四条等の放送番組関係において事実上違反があったということに対しましては、まあ一次的にはやはり放送事業者の判断にまかせる、そしてその反省を求める。政府はなるべくこれに対する干渉がましいことをしない。まあそういう方針でありますけれども、極端なことが生まれたときはどうするか。客観的に著しく違反をする、あるいはたとえばわいせつなものを堂々と放送したというようなことになれば、やはり電波法第百八条でありますか、これを適用することによって罰せられることとなっている。まあこういうことでありますが、こういうことはもうあくまでも避けたい。これはやはり今回の改正案にも示してありまする、番組向上適正化に対する番組編成の基準を、これを自主的によりりつぱな向上適正をはかるということで、各放送事業者がそういう責任を持つならば、前回の委員会においても新谷委員から御指摘のありましたように、たとえばモニターというものの制度によって、そういうものを逐一検討していく、こういうことによって、こういうことのないようにいたしたい。実はそういうふうに考えておりまして、衆議院の審議等におきましても、全然罰則でどうするというような政府の態度は、極力避けて参ったのでありますが、ただ極端なものが起った場合には、たとえば電波法の百八条において罰せられるというようなことも、これは当然ないとはいえないということになるかと思うのであります。  第二点の……。
  28. 前田佳都男

    前田佳都男君 政治的に公平であるかどうか、報道は事実を曲げていないか、その判断の問題。
  29. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) これが、今申し上げましたように、たとえば今前田委員にお答えいたしましたように、いわゆる考査制度の活用とか、あるいはその他、番組審議会がこれに対する検討を加えるとか、要するに責任体制を確立をいたしまして、おのおのの責任者というものがあくまでもその責任を果す、そうして適正な措置を講じていくというようなことになろうかと思うのでありますが、この判断とかというようなことは、いわゆる聴取者を代表しておるとも考えられる番組審議機関等が、特にその点についての中立公正、いわゆるあくまでも不偏不党、真実な事実を保障するということに責任をもってこれを判断をしていき、またこれを常に検討していかなきゃならぬ、こういうように考えておるわけでございます。
  30. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいまの郵政大臣の御説明で、憲法に保障されました表現の自由を重視する、重んずるという御意思、御意図は非常によくわかるのでありまして、いやしくも言論統制というような疑いのないように、罰則は作らないという自由主義的なお考え方もよくわかるのでありまするけれども、問題が問題だけに、放送というものが一般大衆に与える影響は非常に大きい。表現の自由というものを重んずるのあまりに行き過ぎるということが、また私非常に心配になるのでありまして、ことに鶴間放送の場合と違いまして、NHKの場合は、全く国民的な機関である。一般国民大衆から聴取料というものを徴収して公共放送をやらなくちゃならぬという、いわば一つの特権的なる立場にあるわけでありまして、その座に安易にすわっておるというわけでは私はないと思いますが、非常に前田理事の御説明でも、いろいろ心を砕いておる。機構的に放送準則を設けて注意をしておるという点はよくわかるのでありますけれども、この点は、ややもすれば、右の面からでも左の面からでもどうも問題になるところである。私は、神ならぬNHKが何かやはり間違いがある、長い歴史の上において、過去においてもいろいろいわれた場合もあるし、将来においてもいわれる場合があると思うのでありまして、その場合に、NHK自体の中の責任体制といいまするか、その場合は、たとえばどういうふうな処置、処分をするとか何か、そういうふうな事実的な、非常に重要な国民的な機関であるだけに、みずから身をおさめるというか、そういうふうな責任体制を、はっきりとした内規とか、そんなものがないでしょうか、どうでしょうかということが一つ。  それから、過去においていろいろ両方の面からいわれたと思うのです。右の方からも左の方からもいわれた例があると思うのです。あるいはまた、事実に間違って報道した場合もあるかどうか、これは知りませんけれども、そういう場合に、実際に具体的に自粛的なことを、たとえば月給を下げるとか――別に月給なんか下げてほしくありません。しかし、どうもみずから非常に事の重大性を感得して、そうして十分戒心しているのだというふうなことが、具体的にやはり現われることが必要だと思うのですが、そういうふうなことが、過去において実例としてあったかどうか。そういうふうな点もあわせて一つお伺いをしたいと思います。
  31. 前田義徳

    参考人前田義徳君) お答えいたします。  事実を間違えた、あるいは間違えるということにつきましては、放送法の中でもはっきりと訂正の放送をすべきであるということになっております。従って、真実を伝えなかった場合には、従来も直ちに訂正放送をいたしております。この訂正放送は、単に、外から訂正を要求されて、調査に基いて間違いであったということで訂正するばかりでなく、NHK自体が自律的にそのことについても注意をいたしておりまして、NHK自体が発見して放送を訂正することも従来たびたびございました。  それから公平を欠くという問題につきましては、これは放送法の第一条におきましても、放送事業者はNHKを含めてすべて自律的な立場に立って言論の自由を守るということが前提条件になっておりますので、先ほど申し上げましたように、いろいろな組織、また内部の職員指導あるいはまた番組製作に対してのいろいろな基礎方針の決定というものは、それぞれその地位において、それぞれの分担で責任を持たされておりますし、また、最終的には私どもが責任を負いまして、放送協会の内部の仕方といたしましては、単に外部から批判されて、そのような傾きがあるという問題ばかりでなしに、放送協会の内部組織あるいは内部の機関、あるいは内部の者の意見をも尊重いたしまして、そういう傾きがある場合には、それぞれの規定に従ってこれを検討し、そして実際にそうであったかどうか、これを詳細に調べまして、もしそのような事実が起った場合には、それをはっきりさせるという方向を従来からもずっととっております。  ただ、ここに申し上げたいことは、いろいろ御批判の的になっておりますが、実際大きな問題としてそういう処分をするに至ったような事件は割合にないのでございまして、ただ、私どもがみずから作っている、先ほど御説明申し上げました放送準則、これは私どもの準則では第二章になっておるのですが、この中に幾つかの項目がありまして、この項目に触れるおそれのあるような番組、これはいかに注意を払っても番組の性格上どうしてもそのおそれがあるというような場合には、定期的な番組改訂の時期、もしくはその問題が非常にやはりNHK公共性と照らし合せて緊急の問題だというような場合には、従来も番組審議会、理事会、その他の機関の御審議を願って、そしてその番組を改廃するということもございます。しかし、私どもといたしましては、根本的には放送法の精神と、それからまた、われわれ自体がきめている放送準則の原則に基いて、いわゆる放送法の自律の条件を非常に私ども自身といたしましては厳粛にかつ厳重に実行しておる次第でございます。
  32. 前田佳都男

    前田佳都男君 先ほどからいろいろ御答弁をいただいて、法規につきまして、法規の守り方あるいは解釈の仕方につきましても、多少私もまだいろいろ腑に落ちない点も相当あるのでございまするけれども、この際はこの程度にいたしまするが、NHK全国にあまねく放送され、国民的な非常に重要な機関でございまするから、その放送に当りましては、右に偏せず、左に偏せず、中正の道を行くように十二分に一つ御注意いただきたいということを特に私はお願いをしておきます。  それからこの四十四条に関連してでありまするけれども、民間放送で社説というものを持ってもよいというふうなことをちょいと私、何かの放送の雑誌か何かで聞いたのですが、社説となりますると、相当やはりはっきりとしたものの言い方をしなければいけない。必ずしも、政治的に公平である、あるいは意見が対立するというような場合には、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする。論点を明らかにするばかりでなく、学説を列挙するだけでなく、結論的なものをある程度社説では計わなければいけない場合がある。それは社説とは覆えないと思うのですけれども、雑誌かなんかに響いてあった記事自体があるいはいいかげんなことかもしれませんけれども、その点ちょっと明らかにしていただきたい。
  33. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) この社説ということについては、放送のことをよく私は社説なき新聞だと、こう表現をときどき言っておるのでありますが、しかし放送法といたしましては、社説を持ってはいけないということの規定はないのでありますけれども、ただ、いわゆる政治的に公平であるということ、それからまた一方の意見があれば、それに対立する意見をも放送していかなきゃならぬ、こういうようなことから参りますというと、社説というものの、今の新聞で書いておるような独自の社説というものについては、放送というのは事実上これはやりにくいんではないか、こういうふうに考えるのでありますが、また、これに対する社説はしてよろしいということになれば、今申し上げましたようなことについての支障が起るんではないか。新聞が書いております。いわゆる社説といったような点においては、事実上これが行われにくいんではないか、かように考えております。
  34. 前田佳都男

    前田佳都男君 要するところ社説という、いわゆる現在の新聞程度の社説、ああいうふうな考え方の社説は無理かもわからないけれども、社説と名をつければつけぬこともない、この四十四条に違反しない範囲において多少意見を言ってもよろしい、そういうことだと私は思います。  それでは、あとごくありふれた質問ですが、放送法の第七条にNHK目的が書いてございます。「日本放送協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」、NHK目的NHKのあるべき姿というものが書いてあるわけでありますが、この第七条と、第九条の一項の二号に国際放送規定がございますが、「国際放送を行うため、放送局を設置し、維持し、及び運用し、又は政府施設を使用すること。」、この国際放送は、第七条のNHKとしてのあるべき姿の中には入っていないわけなんですね。とにもかくにも、国際放送をやらしておるわけですから、このNHKの仕事の目的の中に当然やはり入れるべきではないか。もちろん今度の改正では第九条の二項に法条を追加いたしまして、その点は現在の規定よりも、もちろんその説明をつけやすい。NHKの権能規定というか、それだけの仕事ができるという根拠規定がありますから、従来の放送法よりも、第九条の一項の二号との関連は説明はつくと思うのですが、この際思い切ってその目的のところを当然直すべきじゃないか、どうしてお直しにならなかったのか、その点一つお伺いしたい。どなたからでもけっこうです。
  35. 荘宏

    説明員(荘宏君) 第七条は、全国あまねく受信することができるようにということを書いておりまして、ただいまお話の国際放送というようなことはここから出てこないのではなかろうか、その点どういうふうに考えているのだ、かような御質問と存じますが、確かに第七条の文言といささか無理があるような気がいたしましたので、今回は、ただいまお話のございますように、特に条文を起したような次第でございます。  それで、第七条をなぜ変えなかったのかということでございますが、第七条の規定の改正につきましても、検討はいたした次第でございますけれども、第七条は協会の基本的性格を規定する根本的な条文でございますので、現行法におきましてもある程度の問題のあるところを、今回は国際放送につきまして改善をしたという程度にとどめて、基本的条文につきましては、今のままに捨え置かしていただきたい、かように考えた次第でございます。
  36. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいまの荘君の御説明で、第七条はNHKの基本的性格を書いてあるのだ、国際放送は必ずしも、その半面、基本的性格に入らないだろうというふうにも、まあ意地悪く解釈すればとれると思うのですが、まあそういうものをお考えで、とにかく現存、もう少しすっきりしないけれども、それでいこうというお考えであれば、それ以上私は追及いたそうとは思いません。  次に第九条のNHKの業務に関連いたしまして、現在NHKの外郭団体はどんなふうなものがあるかということをNHKに聞かしていただきたい。そしてそのNHKが、それらの外郭団体にどういうふうなコネクションといいますか、多少援助的なものを出しておるのかどうかというふうなことを、一つNHKからお伺いしたい。それと時間の関係で、できるだけ固めて御質問いたしますけれども、NHKに直接関連する事業で、NHKが自分でやるよりもNHKが出資してやらした方がよい場合があるじゃないか、もしそういう場合があるとすれば、その直接関連する事業に出資の道を開くことができるというふうな規定ですね、その規定もこのNHKの第九条に入れるべきではなかったか、そういうなことにも思われる。これは一つ政府の方から御答弁願いたい。最初の問題はNHKからお願いいたします。
  37. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 前の問題について、お答えいたします。  現在外郭団体とも申すべき性格のものは四つございます。それは共済会と、NHKそれから交響楽団と、それからNHKサービス・センター、それから日本放送出版協会、この四つでございます。そのうち前の二つ、すなわち共済会とNHK交響楽団は、これは何と申しますか、純然たる外郭団体の形式になっております。性格並びに内容を申し上げますと、共済会は主として職員の福利厚生という事業を扱うために設立されまして、その事業を委託しております。具体的には厚生的医療等の維持、管理、運用、それから食堂その他のいわゆる厚生的な事業の運営、その他厚生的な仕事、いろいろございますが、それらのものを協会において一々実行するについては非常に手数のかかるようなものにつきまして、これを共済会に委託して運営さしておるわけでございます。そのために、協会といたしまして、毎年それに見合う経費の交付をいたしてございます。ただいま御説明さしていただきました三十四年度予算案の中にも、この共済会に対するそれらの事業の運営委託費として六千五百万円計上してございます。  それから次のNHK交響楽団でございますが、これはNHK放送に出すために結成されておる交響楽団でございます。楽員は大体百十名でございます。これも前の共済会と同じように財団法人になっております。これに対しましても、NHKラジオテレビジョンに出演するための経費といたしまして、交付金を来年度予算におきまして六千万円計上しておるわけでございます。  それからあとの二つでございますが、NHKサービス・センター、これは直接NHKが交付金等を出しておりませんが、NHKサービス・センターの事業目的は、これはやはり財団法人でございますが、テキスト、それからNHK新聞、そういうふうなものの放送に関連のある出版物の発行、それから講演等の場合にそれらの事務を扱うために、NHKとともにこれを共催させる、あるいはNHK受信者の契約の委託をするとか、そういうふうなことの事業をやっておるのでございます。従いまして、この機関に対しましては、NHKとして直接交付金を出すとかいうようなことはいたしてございません。そういう面の仕事を委託してやっておる。で、その仕事をやりますのは、NHKサービス・センターの独自の勘定においてこれを実行しておるわけでございます。  それから日本放送出版協会でございますが、これだけは株式会社になっております。資本金は二百五十万円でございます。これは、この株主はNHK関係者、それから出身者あるいは現在職員等でございます。これはいずれも個人としての資格で株主になっておるわけでございます。従ってNHKとしましては直接この資本関係にはもちろん参加しておりません。で、この出版協会のやっております仕事は、やはりテキスト、その他放送に関連のある出版物の出版をしておるという次第でございます。  で、外郭団体と申すべきものはその四つでございますが、ただいま申し上げましたような次第でございますので、共済会とそれから交響楽団、それから別にNHKサービス・センター並びに出版協会というのは、多少おのおの形式は異なっておるわけでございますが、外郭団体という範疇に入れればこの四つではないか、かように考えておるわけでございます。
  38. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 協会関係事業に出資することができないかということに対しての御質疑でございますが、協会がその業務を行うに当って、みずから行うよりも他の事業団体等に委託してこれを利用する、あるいはまたこれに対して出資するということによって、より成果を上げるということも当然私は考えられるところであり、御質疑のような問題もあるかと思います。ただ、やはり公共事業体といったような関係におきまして、NHKのこの資産というものはやはり国民につながるものである。そういうことによって、出資することによって非常に大きな一つ損害をこうむるというようなことも絶無ではないではないか、そういうことからいたしまして、出資するということをとらなかったことと、そういったようなことをとらなくとも一応NHK使命が果せるのではないか、こういうような事情もあって、実はそういうような方針を定めておるわけでございます。
  39. 前田佳都男

    前田佳都男君 今回のこの改正案で、この経営委員会の開会、議決は、委員長と六人以上の出席がなければ開会することができない、議決することもできない。これも私けっこうだと思います。ところが、この経営委員はいずれもほかに職業を持って、非常にお忙しい、相当社会的にも地位の高いような人が多いと思うのでありますが、これは名誉職として考えられれば名誉職的な考え方もあるかと思いまするけれども、こういうふうに出席ということが相当強くいわれておるわけであります。今度の改正も、経営委員会がただ単にお飾りの議決機関、意思決定機関ではない、ほんとうに仕事をやってもらうのだという建前からいきますと、現実に相当その待遇の裏打ちも必要だと思うのであります。ところが、この二十二条に、経営委員の待遇に関連しまして、勤務日数に応じ相当の報酬を払うということを書いてあるわけであります。日割り計算といいますか、いかに日当をよけい出しましても日割り計算では大した額は出ない。この点はどういうふうになさるのか。日割り計算程度の日当程度を出しておって、この仕事を熱心にやってもらいたいといったって、これは事実上相当りっぱないろいろな職業をお持ちの方も多いのでありますから、そんなことができるものかどうか。依然として何を聞いても経営委員にはわからぬというような従前の姿が続くのではないか、その点を心配しておるのでございますが、どんなものでございましょうか、その点は。
  40. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) これは非常に御指摘のようにむずかしい問題でございますが、現在では無報酬と、こういうようなことになっておりますから、それでは非常に持ち出しをして、経営委員、これは社会的あるいは経済的にもたといそれが不自由のない立場でありましても、また、りっぱな人で非常に経済的に恵まれないという方もあるわけでありますから、まあこの際は無報酬というようなことはこれは改めて、要するに旅費であるとか日当であるとかいうようなものは、これは差し上げなければならぬ、こういうことでこういう規定をいたしておりますが、そういったような点から、その一つの旅費のいわゆる等級のやり方、あるいは日当に対する適正な、まあ合理的な金額をきめるとか、こういうことによって、そこには若干の取扱いの伸縮というものはあるかと思いすまけれども、しかし御指摘のように日当である、しかも旅費、日当しか与えないということに対しては、確かに十分とは申せませんけれども、まあ公共放送いたしましての事業に対する経営委員としての、まあ名誉あるということは当らないかもしれませんけれども、非常に高い使命をお持ちになったそういう方々でありまするから、特に過分に差し上げるということもどうかと思います。やはり根拠を持った旅費とか日当、こういう程度にすることの方が一応確かではないか、こういう考え方でございます。
  41. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいまの大臣の御説明で、とにかく従来は無報酬であった。今度は相当の報酬を出す、十分ではないがそういうふうにしたんだという御説明で、半歩前進というか一歩前進というか、前進だと思うのでありますが、とにもかくにも、経済的な裏打ちがあまり十分じゃないということによって、ただ単に経営委員会なるものが、ほんとうに名誉ばかりを重んずる人の集まりで、あまり仕事の方はそれほどタッチしない、ただほんとうの形式的な、よくありまするところのいろいろな委員会式のものに堕し去らないように、その点は十二分に一つ御配慮いただきたいということを特にお願いをいたしておきます。  それから次に、もう一つ、二つですが、今回の案で、NHK会長経営委員長ではございません。ところが、その経営委員会というのは意思決定機関である。民間の会社で申しますと、重役会、取締役会に該当するものだ、経営委員長は取締役会長といいまするか、そういう立場にあると思うのであります。ところが一般の民間会社の場合は、執行機関でありまするところの社長は、取締役の一員といたしまして、意思決定機関であるところの取締役会の正式のメンバーになっておる。その点で意思決定機関であるところの取締役会で執行機関であるところの社長との事務遂行の関係が非常に円満にいっておると思うのであります。現在の、改正案前の放送法ではやはり経営委員のうちに入っておった。ところが今回のこの改正案に限りまして、NHK会長経営委員会からはずれて、純然たる執行機関の一つになってしまった。なるほどその機構論といいますか、行政論というか、そういう学問的にむずかしいことを理屈を述べますると、こういう考え方もあると思うのです。執行機関と意思決定機関というものは俄然と分離すべきである。なるほど学理的にはそういうことがいえるかもしれない。しかし実際論として、私はこの点はどうももう一つ腑に落ちない。たびたびこれに関連した御説明もあらゆる場合に聞いておるのですが、この条文に関する限りは私はあまりいい改正とは実を言うと思えない。悪くいえば、NHK会長が知らない間に経営委員会の問で意思決定をされる。左のごとく決定した、一つNHK会長、こういうふうにやれというふうなこともいえぬことはない。それを救済するために、NHK会長経営委員会に出まして意見を述べることができるようにはなっております。しかし、必ずしもNHK会長が来なくても、経営委員会を開いても差しつかえないわけで、その点は、もし、経営委員長NHK会長の意思の疎通ということが、長い間には、ある場合には欠く場合があるかもしれない。その場合には、非常に意思の決定と執行との間に疎隔が生じて円満なる運営ができないのではないか、そういう点を、私は一般の民間株式会社の例に徹しまして心配をしておるわけです。この点について政府並びに実際従来、現行法のもとにおいて経営委員会と執行機関との間を運営していたNHKの御意見と両方一つお聞かせを願いたいと思います。
  42. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 会社の機構等については御指摘の通りであり、またそうした機構の方がより会社としての成果を上げ得られるというように私も考えるのでありますが、この公共放送といったような特別の使命を持っておる、こういうことから考えますると、現行法の経営委員会は、いわゆる協会経営方針を決定する議決機関であるというばかりでなく、また業務の運営の指導、助成をする、こういうような執行機関までもかね備えているのではないか、こういう感がいたすわけでありまして、こういう点は、やはり経営委員会協会の方針を決定をする、いわゆる議決機関とする、そうして会長以下のいわゆる理事その他はこれを執行機関というようにすることの方が、むしろNHK使命からいってもよくはないかと、こういう考え方をいたしたわけであります。しかし議決機関と執行機関との間の連絡、調和というようなことにおいて事を欠くということであれば、会長経営委員会出席をして発言ができるというようなことを加えることによって、この連絡調和というものはまず保持できはしないか。なおまた会長を選ぶ問題にいたしましても、経営委員会がこれをやる、こういうようなことからいたしますると、やはり会長というものは、一応経営委員会からはずれて、いわゆる執行機関としての責任を担当する、こういうことの方がよくはないか、こういう観点に立ってさような改正をいたしたわけでございます。
  43. 溝上銈

    参考人溝上銈君) この問題につきましては、先ほどお話のございましたように、確かに二つの考え方あるいは二つの学者の意見といいますか、そういう二様の考え方があるのでございまして、在来私どもの方では、経営委員会の中に会長が入るという制度で円滑に運営を進めて参ったのであります。ただ考え方の一つによりましては、たとえば地方の公共団体の場合ですと、これが意思決定機関と執行機関が別になっておるこういう例もありまして、これまた一つの行き方であるということもいえると思うのであります。そこで実際問題といたしましては、ただいま大臣のお話にもありましたように、会長経営委員会出席できる一これは私どもの解釈としましては、経営委員会の要求に応じてというより、むしろ会長が必要と思ったときには出られるという考え方も持っておるのでございまして、同時に経営委員会会長を任命するということから、在来とも、経営委員会会長との間に格別の意思の疎隔はないということもございますので、多分これはこの規則通り放送法にのっとって十分にやっていけるのではないかと考えます。
  44. 前田佳都男

    前田佳都男君 もう一つお伺いいたしたいと思いますが、今度の改正案に協会の役員が増員されております。理事が七人以上十人以内ですか、監事が三人以内というように増員をされておるわけであります。これはNHKの仕事が非常にふえてきておる。日進月歩のこの電波界の情勢下において、NHKとして当然その仕事もふえ、それに対応いしたまして執行機関の役員がふえるということは当然だ、私はこの点はけつこうだと思うのでありますが、こまかいことをお伺いするようですが、この理事は、国務大臣のように何でもかんでも担当するのか、それとも、ある程度担務制といいまするか、それぞれ所管というか、そういうふうなものを、この七人から十人まで、どれだけ何人お置きになるか知りませんけれども、その辺が一体どういうふうにお考えになっておるのか、それを一つお伺いしたいと思います。
  45. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 御指摘のように協会は、この放送法改正等によりまして業務が非常にふえる。従ってこの理事を七名ないし十名及び監事三名以内置くということに改正をしたのでありますが、この理事は、御指摘のように、おのおの担当をきめまして、その担当によりまする一つの重責を果たしていく、かようにしておるわけでございます。
  46. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいまの郵政大臣のお話で、担当をきめてそれぞれの仕事をさせるのだというお考え、これは非常にけっこうでありまするが、ただただ、単なる機構拡大ということにならないように、十二分にその実を上げていただきたいということを特にお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  47. 山田節男

    ○山田節男君 この法律の根本問題に対する幾らかの問題がありますが、これはまた機会を得て、後日また質問をいたしたいと思います。  ただ、もう一つの根本問題として、御承知のように、この放送法電波法に関する行政官庁として、昭和二十五年に電波監理委員会を作って、そうして一応総理府の外局というような立場において、そうして電波監理行政をやらせると、こういう建前になっておったのでありますが、その後、組織法の改正によって、電波監理行政が郵政大臣の一内局になった。で、このいきさつは、どうもその電波監理行政は、日本においては、こういう立法、行政、司法というきわめて広範な、しかも重要なことを扱うものとして、日本には向かないのじゃないか、こういうことで郵政省の内局になったのです。しかし、自来、放送事業が、公共放送並びに民間の事業として非常に膨大なものになってきた。しかも複雑なものになってきた。しかも、周波数の割当というものは、これは国民の共有財産ともいうべきいわゆるスペクトラムの一部を免許するという、これは国民にとっても重大なことを扱うわけです。その他、立法、司法にもわたる非常に複雑な業務を扱うものである以上は、どうも私は現在の一省の内局として扱うのにはあまりにこれは複雑多岐、かつまた重要であると思うのですが、今回の放送法の改正案が出されるいきさつから見ましても、現在の、郵政大臣あるいは電波理局長として、一体現在のような電波監理行政の機構でいいかどうか、こういう点についての御意見を承わりたい。
  48. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) このことにつきましては、全く御指摘の通りであろうと思います。現在のこの放送関係の諸事業というものが昔日と全くその趣きを異にして非常にこれが進歩発達もいたしましたが、非常に複雑多岐にわたってきた。しかも、これは日進月歩で、その技術等はぐんぐん進んでいっておる。こういうことでありまするから、これに対しまする所管といたしましては、電波監理局、現在の電波監理局ということにおいては、決してこれが将来ことさらに発展するということに対して、これでよろしいかということには、私は、むしろこれは私は相当強化、また機構その他についても十分検討する必要がありはしないか、かように考えておりまして、こういう問題についても、省並びに局長等におきましても、これをどういう機構、どういう一つの勤務において、それに適切な管理体制あるいは指導体制というようなものを打ち立てるかということについては、検討をいたさせておるわけでありますが、御説のように、また私の考え方といたしましても、十分検討をして、これらの発展に対応し得られるようにしたい、そういう考え方を持っております。
  49. 山田節男

    ○山田節男君 先ほど前田委員に対しての御答弁もあったわけですが、従来の放送法の第九条の業務内容の中で国際放送の問題ですが、従来の法律によると、国際放送を行うために放送局を設置し、またそれを維持、運用し、また政府施設を使用すると、こういうようにかなり具体的に明記してあったのでありますが、今度の改正案によると、単に「国際放送を行うものとする。」という、きわめて抽象的に今度修正されておるわけでありますが、この真意は一体どこにあるのか、この点一つお伺いしたい。
  50. 荘宏

    説明員(荘宏君) 御指摘の現行法第九条第一項第二号には、「放送局を設置し、維持し、及び運用し、又は政府施設を使用すること。」と、こまかく書いてございますが、放送局を設置したり、維持したり、運用したりすることは、これはあくまで放送を行うための手段を書いてあるものと、かように考えますので、終末の目的でありますところの、国際放送を行うということを明らかにすれば足りるものと考えまして、そのような改正案を考えた次第でございます。  また、最後についております「政府施設を使用すること。」というくだりは、これはかつて電気通信省がみずから国際放送設備を持ち、運用していた時代がございまして、その当時の条文の残りがここにあるわけでございますので、今回はこれを削りましても差しつかえないと、かように考えた次第であります。
  51. 山田節男

    ○山田節男君 この条文がまあ非常に簡略にされたということの理由はわかったわけですが、これはもう本委員会でも従来しばしば問題になったように、国際放送に関する国庫の負担という問題、すなわち、三十三条あるいは三十五条に関連しての問題ですが、先ほど前田委員の御質問に対して、この国際放送を行うということはNHKの性格を規定するものである、こういう御答弁であったように記憶するのでありますが、この国際放送を行うということの条文の規定ですけれどもね。そうすると国際放送を行うということは、やはりラジオ受信料、今日はテレビの受信料も入っておるわけですけれども、この現在の三十二条のいわゆる受信の契約の問題です。これに関連して考えますと、やはりこの三十三条並びに三十五条、いわゆる国庫負担、郵政省の三十三条にありまする命令規定、それに関しては国庫が補助する、こういうように従来大蔵省も解釈しておるわけです。私は、今、従来の九条の業務内容国際放送に関する面と、今回の国際放送を行うというのは、これは国際放送を行うのはNHKである。しかし、その業務として放送局を設置したり、維持、管理し、またあるいは政府施設も使用する。これは今日は民間になっておりますが、国際電信電話の施設を利用するというようなこと、これは私は従来もしばしば質問しておるわけでありますが、この国際放送を行うということは、国際放送を行うのはNHKだということを三十三条、三十五条というものは、これは別個といいますか、違った、国際放送を行うというのはNHKがやるべきで、民間放送がやるべきものじゃない、こういう意味にもとれるのですが、この点の立法の要綱を作られるときの意思はどういうことであったかということを一つお伺いしたい。
  52. 荘宏

    説明員(荘宏君) 改正案の九条の二は、先ほど前田委員の御質問がありましたように、現行法の九条の一項の二号に掲げておりますものが、条文の位置としてふさわしくないように考えられましたので、別の条文として立てたわけでございますが、この考えておりますところは、協会がみずからの業務として、みずから国際放送をやるということを明らかにしたつもりでございます。なお、別の御指摘の、政府が命令をすることができるという条文は、これは政府側にも命令をする力があるということを明らかにした条文である、二つ並べておいて差しつかえなしと、かように考えた次第でございます。
  53. 山田節男

    ○山田節男君 そうしますと、私の論旨としては、いわゆる国際放送の現在の状況は、もっと国策としてもこれを拡充していかなければいかぬ、しかるに来年度予算におきましても九千万足らずの国庫負担しかない、こういうようなことになりますことは、やはりNHKとしましては、一般受信料の中から政府の補助金に対する数倍の金を使っておる。こういう、一体国際放送は自腹でやるべきものだという意味で、この九条の二において国際放送を行うこと、こういう意味で立法されたと理解してよろしいのでございますか。
  54. 荘宏

    説明員(荘宏君) 政府の命令に関する三十三条は、郵政大臣に一定の力をこの条文によって付与したものでございます。従いまして、政策の問題といたしましては、郵政大臣ができるだけこの条文を使って協会に命令をするようにすべきである、あるいはそんな必要はない、いろいろな政策の問題としては判断があり得るわけでございますが、その条文のあるなしにかかわらず、九条の二は、協会として独自にやることがあり得ると、やることができるのだと、こういう趣旨を明らかにしたつもりでございます。従いまして、九条の二があることによって三十三条は今後死んでしまうのじゃないか、こういうような御懸念はないように考えます。
  55. 山田節男

    ○山田節男君 それから次に、この経営委員の選出の問題でありますが、今度の修正案によると、従来の地区別選出八名、さらに全国区からの選出四名、こういう制度に変えられるわけでありますが、従来地域別の選出ということについて本委員会でもしばしば論議されたのでありますが、これはもう、たとえば英国におきましては、こういう制度をとっている。しかしそれには必要があって、たとえばイングランド、スコットランド、アイルランド、ウエールス、これはおのおの民族も違う、言語、習慣、宗教も違うというような状況です。こういう場合の地区の選出ということは非常に意味があると思うのです。日本のように今日非常に小さい領土であり、しかも地方と都市の文化が近接をしている現在において、こういう地区別の選出をする必要があるかどうかということは前に問題になったわけです。ところが今回は全国区の選出を四名にする、地区とそれから全国区と両方合わせてこの経営委員を任命されるわけでありますが、一体、その従来地区別代表による経営委員の運営というものはどういう点においてよかったか、その辺の一つ御説明を願いたいと思います。
  56. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 地区別がいいということは、放送協会の仕事のような全国的な目的放送法によってうたわれておるものにつきましては、これは当然各地、各地方のそれぞれのその希望、要求等を代表しているところの経営委員があった方がすべての意味において望ましい、そういう意味で地区制というものはこれは保存すべきである、そういう考えでありますが、しかし同時に、この経営委員の選出に制限がございますために、その他区制のみでは十分に適当な代表者を経営委員の中に加え得ないという今までの過去の経験にかんがみまして、両方合せて、地区制とそれから非地区制と両方を採用した方がよかろう、そういう結論になった次第でありまして、やはり、私どもは地区制を廃止してしまうということについては、そうでない方がよかろう、そういう結論に達した次第であります。  申し添えますけれども、放送につきましては、各地方によっていろいろ地理的に、経済的に、あるいは社会的にいろいろな事情が違いまして、どうしても各地方ごとに希望あるいは条件等を十分に吟味して、それで地方放送局置局計画であるとか、あるいは番組等につきましてもいろいろ定める必要がある、そう考えましたためでございます。
  57. 山田節男

    ○山田節男君 これは現在の経営委員に直接質問すれば、これは一番具体的にわかると思いますけれども、どうも地区別選出ということは、先ほどから、番組とかローカルの利害をこの放送事業に代表するという意味があるということを言われますが、実際問題として、熊本、大阪、北海道、関東と、現在方言は別問題として、大体の国民生活基準、あるいは標準語、風俗、習慣にしましても、非常に均一化してきているわけです。たとえば、一地区においてそこである望ましい人をピック・アップするよりも、東京の方にやっぱりたくさん集まっております。だから地区別にしたということによって、今あなたがおっしゃるような非常に利益があるということを言われますが、これまでのいろいろ私たちが実際見ておりますと、どうもわれわれが期待したほどの地域選出の経営委員というものが、地方色を織り込むためにどういう具体的の利益があったかということは、私は寡聞にして聞いておりません。そういう点からいきまして、私は地方区と全国区と分けるという必要が果してあるかどうか疑わしい。この全国区の四人というものをそれではどういう基準でお選びになるのか、選出の基準はどういう工合になっているのか。
  58. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 全国から八人の代表を選ぶということを主体といたしましたことは、従来の過去の実績をそのまま踏襲したわけであります。さて、地区によらないものを四人としたのはどういうわけかということは、なかなかむずかしい質問だと思うのであります。大体において経営委員の数はそう多数では困る。十二、三名くらいが適当だろうという、その上の数のリミットから、十二人マイナス八人イコール四、そういうような意味で四人ぐらいがいいだろう、そういうわけでございまして、非常に明確な、四人でなければならないという、そういう強い根拠はないと考えております。十二名くらい、総数十二名くらいが最も適当な数であろうというところで割り出した数でございます。
  59. 山田節男

    ○山田節男君 今の質問の要点は、全国区として選ばれる経営委員という者は、どういう基準でやられるのですか。たとえば教育者あるいは労働組合、あるいは社会事業家というような何か基準があってお選びになるのか、あるいは全国区といわれますけれども、東京なら東京で、随時、全国的ないい人だというのでお選びになるのか、何かそこに基準があるのか。国民の世論を代表するとか、放送事業の世論を代表するとかいう基準がなくちゃならぬと思います。  その点はどうですか。
  60. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) これは、各地方区の経営委員の選出の基準と同じであります。産業、科学、教育その他各界の代表者から選ぶべきであるという考え方でありまして、男女の性別であるとか、あるいはまんべんなく各界からというよりも、各方面意見放送という面から判断して、公共の福祉に適合するために放送を使うのだというこの面から、公正な意見を出し得る人、利益代表でないという意味で、そういう意味の方を選ぶべきであろうと考えております。
  61. 山田節男

    ○山田節男君 いわゆる各界の代表という意味での全国的な人をお選びになるという意味ですね。  そうしますと、これは経営委員の選出は、この立法当時から今日まで千数百万の組織労働者があるわけです。これも、いわゆる放送事業については、重要な意味を受信者として占めているわけです。そうしますと、いわゆる労働組合あたりからも、組織労働者の代表あたりからも、経営委員を出すべきじゃないかという議論もあったわけです。今回全国区の経営委員の選出ということについて、各界の代表ということになれば、組織労働の代表ということも、そのカテゴリーに入る、そういう心がまえがあるかどうか、その点を一つ、明らかにしていただきたいと思います。
  62. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 先刻申し上げましたように、この各界の代表と申しましても、たとえば科学界の人口が何百万であるから、それに対応してということでなくて、科学者でもよろしいし、あるいは婦人でもむろんよろしい。労働者でもむろんけっこうである。要するにその各界の利益代表でなくして、放送に関して公平な中正な意見を述べ、判断を下し得る、そういう人物を選ぶべきである、そういう考えが正しいのではないかと考えております。
  63. 山田節男

    ○山田節男君 そうすると、今回も労働組合の代表というものを入れるということは、全然考慮していないと、こういう意味ですか。
  64. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 労働組合出身の人を委員にしないというふうな、そういう意味では毛頭ございません。  それで、どの界の方でありましても、この放送について、先ほど申しましたような判断力を持っておられる方がありましたならば、経営委員となる資格があると、そう判断してしかるべきだと考えております。
  65. 光村甚助

    光村甚助君 関連して。  この問題は、前のもう永田会長の時代にも、私は質問したことがあるのですが、最近NHK放送をだいぶ聞く人が少くなったということを言われている。これは経営委員にも責任があるのです。それで、いつもこのNHK経営委員に限らず、あらゆるものの経営委員というものに、政府が任命するのには、何々大学を出て、どこの社長をしておるとか、こういうような人ばかり選ぶから、非常につながりというものが離れてくる。こういうことじゃいけないから、私は、この前の永田会長に質問したのは、いわゆる俗に言う熊さんとか八さんとかいうような人も、経営委員会あたりに入れて、ほんとうに民間あたりの声を聞く必要があるのじゃないかということを私は質問したことがあるのです。  そうしないというと、今の山田さんの言われるように、ただ地域別とか、あるいはあなたの言われるように、科学、産業とか、そういうりっぱな人ばかりを選んでも、ラジオを聞く人は、大衆なんです、大体。だから、そういう人の意見を取り入れずに、ただ何々大学を出たどこの社長だとか、そういう人ばかりを選んで経営されるから、最近NHKの悪口が出る。だから、そういう際には、私は、私を選んでくれとは言いませんが、ほんとうにそういう大衆からも人を選んで、NHK経営を立て直さない限りは民放に押しまくられると思う。  だから、大臣は今度はこの点を、この法案が通ったならば、少くとも、その方面には留意していただきたいということを、私は強く要望しておきます。
  66. 山田節男

    ○山田節男君 これは、先ほど前田委員からも質問のあった点ですが、今回の改正法案で、経営委員に対しては、いわゆる日割り計算で報酬を出す、こういう規定になっておる。これはたとえばイギリスの例をとりますと、経営委員の中でフル・タイムに来る人が一人ないし二人ある。少くとも委員長と、そういうフル・タイムで出る委員は、もうこれは先ほど前田委員からも御指摘があったように、相当の報酬を与える。これが、私は実際必要だと思う。  と申しますのは、従来どうもNHK経営委員会というものが、従来の法律だと、重要政策を決定する、それには会長も特別委員として入っておる。こういう重大なものを持っておっても、日当報酬しかない。今度改正になりましても、これはNHKの意思決定でありますから、やはり重要な政策を決定するわけですから、従来のNHK経営委員会の状況を、かつて私は議事録を出してもらったことがありますが、一カ月に一回しか開かない。なるほどその人は、見識のある人かもしれぬけれども、一カ月に一回ぐらいで、NHKから出した資料で、いろいろ判断するかもしれませんけれども、どうも議事録の内容なんかを見ましても、全く有名無実のような結果になっておる。これは、私は非常にいかんと思う。せっかくこう経営委員会という制度を設けて、しかも重要なNHKの最高意思を決定するということになるについては、ただ一カ月に一回ぐらい呼んで、一つの議決機関のようにしてしまうというようなことは、私が、どうも従来の経営委員会というものは、全く有名無実だと言うのは、実際そこにある。  ですから、先ほど前田委員も言われましたが、少くとも、その中の一名ないし二名ぐらいは常時出ておって、そうしてNHKのやっておること、あるいは経営委員会の意思、こういうものを織りまぜて、しょっちゅう、指導統制という言葉はなくなりますが、しかし内容については、やはり執行機関の最高責任者として、経営委員会の監督のもとにあるわけです。そうなりますと、今回は、日割り計算で報酬を与えるということは、一つの進歩には違いない。従来の例から見ると、ただ、日割り計算をやるということでは、特別の事情があれば一カ月に二十日出勤すれば二十日分やろうということでは、私はやはり従来のような非常に無気力な、経営委員会としての実体が、ますます空漠たるものになってしまうと恐れるものですが、今度の日割り計算で報酬を与えるというようなことが、これだけでもって、経営委員会というものがほんとうに責任を持つか。常時真剣に取って組んで、経営委員としての任務を果せるというようには、私は少くとも思えないのですが、この点について一体どういうお考えなんですか。  これで十分できるという、そういう確信のもとに出されておるのかどうか。その点一つお答え願いたい。
  67. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) NHKの業務量が非常に多くなり、また多岐にわたる各種の放送、こういうものが非常に量も質も多くなり、あるいはよくしなければならぬ、こういうことになって参りますので、御意見のように、ただ月に一回――ただ、要する、かなり経営委員が現在までのところでは、非常によく勉強しておるということは、私は報告を受けておりますけれど、しかし月に一回とかいうようなことで、そうした非常に重大であり、かつ煩瑣な問題をよく処理が、成果を上げているということについては、これはよほど検討を要する問題ではないかと、そういうことでありますならば、今の御意見のように、その経営委員の中には、あるいはその方法は別といたしまして、相当期間あるいは相当日数、そういったような成果を上げるために勤務に出て、一つ大いに責任を果してもらうということも必要になろうかと思います。  従いまして、そういう場合においては、日数が多くなれば多いような計算にもなるわけでありますけれども、そういったように相当日数勤務をするということになれば、この日当あるいは旅費ということでは、決して十分ではない、こういうことも考えられるわけであります。  まず今日の無報酬でやっておるという形を、一応先ほど申し上げましたように、旅費、日当等についてこれを支払うということを、まあはっきりさしたわけでありますが、この点は十分とはいえないわけでありますが、まず一応この程度で一つ、手当並びに旅費を支給しようということを規定した、こういう次第でございます。
  68. 山田節男

    ○山田節男君 これは従来、この経営委員会の選出、先ほども質問しましたが、どうも経営委員の選出の基準というものが、たとえば地位も相当高い、しかも名望家であり、しかも経済的に、相当余裕がある人が選ばれてきておるわけです。  一体この経営委員の本質から申しますと、単に経済的に恵まれ、地位があるというだけではいけないので、それほどこの放送事業内容というものは、複雑になってきておるのでありますから、経済的には、それは非常に不自由な人であっても、こういう方面には専門的な人がいるかもしれない、そういう者が出し得る基準としては、現在の法律は、非常に何と申しますか、選出の範囲を、やはり経済的に裕福な人ということじゃなければいけないということになる。そこに私は、経営委員としての非常に停滞しておる一つの理由もあり、そしてフル・タイムに出かけていって真剣に取り組む人があれば、経営委員会も、もっと真剣になる、こういうふうに考えますので、今の御質問を申し上げたのであります。  NHKにお伺いしますが、今回のこの日割りで、経営委員会の出勤日数に応じて報酬を与える、こういう制度ですが、先ほど大臣に質問したような、もうフル・タイムの勤務あるいは常任経営委員を二名置く、こういう意見です。従来の経験から、この私の質問に対して、どういうふうにお考えか、この点を承わりたい。
  69. 溝上銈

    参考人溝上銈君) 在来から経営委員会は、大体月一回、大体の基準でございますけれども、いろいろ問題が山積いたしました場合、あるいは重要な問題があります場合には、それ以上、当然お集り願っていろいろ御審議を願っております。  今回、議決機関と執行機関という形が分れましたので、今のお話の、常勤的な方が、わずかおられるということは、ちょっと議決機関としては形が整いませんので、この点は、あるいはそうなることがいいかどうか疑問があると思います。  なお、経営委員会の具体的な運営方法につきましては、この法案が成立いたしましたあとで、いずれ経営委員会で、早急にこれは、いろいろ運営方法について御相談があると思います。なお、その他の報酬の基準等につきましても、それは現行法でいえば第十四条九号に経営委員会の議決事項としてきまっております。そういうことは、経営委員会自体として、いろいろ御研究になると思っております。
  70. 山田節男

    ○山田節男君 この改正案によりまして、「放送番組の供給に関する協定の制限」、これは精神として、独占禁止法の精神、これは、よくわかるのでありますが、こうして民間放送が非常にたくさんできて、しかも不幸にして、ほとんど各県に一つづつ、一つ以上というような状態になっているわけですね。これは将来、ネットワークということに関連して、系列をどうするかということは、これは、ことに民間のテレビ放送を始めるについて、非常に苦慮している。私二、三実情を見ますというと、こういう法律が出るからというようなことで、地方のこのテレビ放送会社が、東京における二つないし三つのいろいろ番組を、二割はここ、三割はここ、あとの五割はここ、こういう工合に協定しているわけです。これほど過剰にさえ思われるような民間の、ことにテレビジョン放送が、今度この春からふえるわけです。そういたしますと、ネットワークについての系列という問題が、非常に私は重要な問題になってくると思うんです。これは、番組編成という点からもありましょうが、一つには、スポンサーを通じての非常に経済的な理由から、非常に私は重要な問題になってくると思う。もしこの系列を誤れば、民間の、ことに経済的に貧困な地区におきます小さいテレビジョン放送会社は、経済的に行き詰まるのじゃないか。  そういう点から、これは国際的に見まして、ことにアメリカの民間放送事業を見ますというと、現在アメリカにおきましては、かつては六つかあったものが、現在は四つという大きな民間放送のネットワークを全国的に統一されてしまっている。これは独占禁止法のある、あのアメリカにおきましても、実際の営業上からみまして、私は、主としてスポンサーをつけるという問題から、ネットワークというものは、非常に密接になってくるのが必然的な趨勢だと思うんです。  実際に、今回のこの放送法の改正によりますと、放送番組の供給に関しては、独占禁止法の精神からして、非常に何と申しますか、制限規定を設けておられるわけですけれども、実態として、これが果してうまくいくかどうかという問題です。これがために破産する地方の群小テレビ放送会社等は非常に困る結果になるのじゃないかと思うんですが、本法案の草案を作るに当って、そういう点にまで、意を用いられておられるのかどうか、この点、まずお伺いいたしたい。
  71. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) わが国が当面いたしまするこのテレビジョンの異常な発達、しかも各府県に、このテレビジョン放送会社というものが林立している、こういう実情からいたしまして、御指摘のような、今後のやはり経営合理化、あるいは果してその経営というものが成り立つやいなやというようなことについては、かなり心配をする向きも見えて参ったということは、私は事実であろうかと思います。  従いまして、自然にこの系列化するネットワークが組まれるということは、これは経営合理化というようなことにおいては、やはり認めていかなければならぬのじゃないか、ただ、その際に一社のみとこれが、そういう系列化する、あるいは契約をするというようなことになることは、これは避けるべきである。他の放送会社、親会社等においても、おのおの特徴のある放送番組等が放送されるわけでありまするから、そういったような会社の経営上からいっても、たとえば教育番組は、どこからどう、報道番組については、どこからどこの系列に入ると、こういうような非常に聴取者に満足を与え得られるような方法を考えると、必ずしも一社にのみ、そういう契約をするということが、自然に避け得られるのではないかと、こういうように考えておりますが、御指摘のように、今後の、特に地方の放送会社、テレビジョン会社等の経営の今後というものを考えますときには、経営合理化といったような点から、できるだけ冗費を省き、あるいはこの放送にいたしましても、ローカルなものは別といたしまして、この自然に系列化されるということは、むしろ好ましいのではないかと、かように考えております。
  72. 山田節男

    ○山田節男君 今の大臣の御答弁から判断しますと、要するに、地方のテレビ業者が、中央の大資本家のバックを持ち、また、従って大きなタレントも備えて番組を作成しておるものに、独占といいますか、実質上合同ということになることはいけないので、番組のバラエティからいっても、甲、乙、丙というものから、教育放送はどこ、娯楽放送はどこというふうに、バラエティに富ませる特徴を生かして、その番組放送さしていくと、こういうお気持だろうと思う。これは非常に理想としてはいいわけです。  しかし、先ほど申し上げましたように、実際問題としまして、たとえばスポンサーをつける――地方の人口十万ぐらいの小さな県にある放送会社が、そこでローカルな放送をやっておって、スポンサーが一体どのくらいつくか、これは中央と地方によって、相当違うわけです。  もう一つ、最近の傾向としましては、大体、大都市の大資本をバックとした大組織の民間の商業放送業者、特にテレビジョン放送業者は、これはスポンサーというものにつきましては、大体特定のものをきめてきておるわけです。そういうことになってきますというと、地方の業者というものは、そういう国家的なネット・ワークによって、多額な時間を買うというのは、これは、中央にみなやられてしまう。そして、地方でそれを流して、その歩合を取る、これが将来の姿としては、アメリカの民間放送によっても、そうなってくるわけです。  そういたしますと、こういったような番組の供給に対する協定の制限というものをされておりましても、実際経済的の部面、あるいは運営の部面、ことに経営の根本であるスポンサー収入、こういう点から、これはこういう番組の協定に関する制限をしておりましても、実際上、親子会社ということになってしまって、形式上だけは、そうなっていくが、実体は、そうじゃないということになる。これがために、いろいろまた弊害が起きるのじゃないかということを私は危惧するわけです。  ですから、むしろ独占禁止法とか何とかいうようなことでなしに、この放送事業という特性からみれば、また今後の見通しからみましても、こういう制限規定を設けておくことが、かえって、ことにローカルな商業放送でも、困窮な状態を増すのじゃないかということを私は考えておるのですが、この点につきまして、今、大臣の御答弁にありますが、現在の実態と、それからこの放送事業、ことにスポンサーの収入を唯一の財源として経営されるこの民間放送業界において、私は、この制限規定は非常にりっぱに見えますけれども、実態は、逆である、かように私にはみえる。  これにつきましては、これは見解の相違になりますから、これ以上、追及しませんけれども、もう一度、私はこの際、大臣に、この協定によって番組のバラエティーというものが、円滑に実施される――こういう御確信のもとに、この法案をお出しになったのかどうか、もう一ペン、これを確かめておきたいと思います。
  73. 荘宏

    説明員(荘宏君) 条文の書き方が、非常にわかりにくい書き方をしておりますので、ちょっと、書きました趣旨を御説明さしていただきたいと思います。たしかに、山田先生のお話のように、番組の供給というものについて、ネットワークができるということは、放送発展のためにも必要なことだと存じます。  そこで、ここに書きましたのは、実は、非常に小さなことだけを書いております。そのことだけがいけない、こういう趣旨でございます。言っております趣旨は、ある会社が、よその会社と番組のやりとりの契約をいたします場合に、ほかのものと番組のやりとりは一切禁ずる、こういう条項を、その当面の番組のやりとりの契約の上で書いていくというのは困る、それだけのことでございます。  実際、ある会社が、よそから番組を持って参りましたときに、ある社のものだけしか持ってきていない、それ以外の番組は、全部自社で作っているというのは、それだけのことならば、かまわないという趣旨でございまして、要するに、その場合、他のものを、今契約している当事者じゃなくて、他のものをとってきたくなっても、その契約の上でもって縛られてしまって、他のものは一切とってはならぬ、契約上拘束されるということがあってはならない、そういう一カ条だけを契約書の上に残しておかなければよろしい、結果的に、ある社との番組のやりとりが行われるということはかまわない。  そういう趣旨でございます。
  74. 山田節男

    ○山田節男君 これは、また私、法律案の作成の作業の技術として、今、荘次長の御説明はとりますけれども、しかし、このまま読みますと、今のあなたの注釈があれば、そういうふうに読めますけれども、今申し上げましたような番組の供給ということは、要するに、これがスポンサーということになる、すなわち彼らの経済的基礎というものに直接は関係するわけでありますので、御質問申し上げたのですが、今の荘次長の説明通りならば……。私は、どうもこの法文を正直に見まして、そういうふうにとれないので、御質問申し上げたのであります。  それでは、はなはだ何ですが、もう一つ、この五十二条に、学校義務教育放送については、その番組の中に、学校教育の妨げにならないもの、こういうことが書いてあるのですけれども、ことに民間の商業放送、これは統計的なここにデーターを持っているわけではありませんけれども、たとえば酒とか、あるいは化粧品であるとか、あるいは薬であるとか、まあ大体、商業放送に使う大きなスポンサーというものは、もう今日、すでに六年間もたてば、大体のその何はつくわけなんです。ところが、何が学校教育の妨げになるかというこの解釈ですが、この条文では、抽象的に学校教育の妨げになると認められるものとしてあるのですが、一つのカテゴリーといいますか、そういう一つの品種別の、広告の品種別の規定というものは、別に政令以下、あるいは規則等において明示されるのか、あるいはこの法律によって、郵政当局が判断する基準がなくちゃいかぬと思うのですが、この点についての一つ、明快なる注釈を行なっていただきたい。
  75. 荘宏

    説明員(荘宏君) 御指摘のように、ここに書いております「学校教育の妨げになると認められる広告を含めてはならない。」というものの幅は、非常にわかりにくいわけでございます。  しかしながら、この点につきましては、要するに、今回の放送法改正は、放送事業者の自主的判断というものを非常に尊重しておりまして、このように書くことによって、放送事業者が、みずから良識を働かして、決して法律の期待にそむかないようにやってくれるであろう、こういうことを考えておるわけでございます。  そうして放送事業者といたしましては、放送番組の種別対象に従いまして、それぞれの番組の基準を作るということを、この改正案では要求しておりますので、各事業者におきましては、番組基準を定める際に、学校向け番組には、どういう広告までしかやらない、こういうものは絶対にやらないというようなことを定めまして、しかも業者が勝手に定めるのではなくて、番組審議機関に諮って、そして定める。そうしてその番組審議機関のメンバーというのは、世の良識ある方々が出て、これに当られる、こういうふうな定めにしておるわけでございますから、この法律の運用としましては、心配なく動くのではなかろうか、まあそのように考えておるわけでございます。  そして、この学校教育の妨げになると認められる広告なるものも、学校の種別でありますとか、その生徒の年令層でありますとか、いろいろなことによりまして、いろいろバラエティがあるもの、かように考えております。従いまして、これを法律の上等において、明確に表示するということも、具体的には、なかなかむずかしい問題ではなかろうか、要するに、業者の判断にまかし、そうして各番組基準にゆだねていく方が適当ではないか、かように思っております。
  76. 山田節男

    ○山田節男君 その、今の御答弁ですがね、これは私、この商業放送の名前は言いませんけれども、ある放送会社が、教育放送を専門として免許を受けておるのですよ。実際やってみたところが、なかなかうまくいかぬ、とても郵政省から指示された、またそれを承諾してやった教育放送としての教養教育のパーセンテージでは、商売にならぬというので、極端な言葉を使えば、とても、そんなことはやっていられぬというので、純然たる娯楽放送もうんと入れて、そうしてやらなければいかぬということで、尻をまくってくるような状態のものもあるということを私は仄聞するわけです。  今、申し上げましたように教育放送については、ことに学校教育放送番組として、教育の妨げになるというようなことは、これは非常にばく然としておる。今の番組審議機関で基準を定めると言われますが、それでは、酒はいけない、薬でも、ものによったらいけない、こういうこまかい規定を、こういう法律で、もちろん定めることはできませんが、ただ単に、プレスコードとか、あるいは番組審議機関で、各地区において基準を設けて、品種もちゃんと分けて、これ以外はスポンサーをとらぬとか、これについてはスポンサーをとらぬとか、こういう申し合せが、果して今申し上げました一民間テレビ放送会社のような事例が、今後ふえてきた場合、非常に、この文章はりっぱだけれども、実際に行われぬのじゃないかという私は危惧を持つわけです。これは私の意見として申し上げておきます。  では私、これで打ち切ります。
  77. 手島栄

    委員長手島栄君) 本日の質疑は、この程度にとどめておきます。
  78. 手島栄

    委員長手島栄君) お諮りいたします。前回の理事会におきましてもお話し合い願ったのでありますが、放送法の一部を改正する法律案審査のため、参考人からの意見聴取してはいかがかと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 手島栄

    委員長手島栄君) 御異議ないと認めます。  参考人の人選及びその他の手続につきましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 手島栄

    委員長手島栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後四時五十五分散会