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1958-12-18 第31回国会 参議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十二月十八日(木曜日)    午前十時二十六分開会   —————————————   委員の異動 十二月十八日委員佐野廣君辞任につ き、その補欠として前田佳都男君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     三木與吉郎君    理事            手島  栄君            宮田 重文君            森中 守義君            長谷部ひろ君    委員            石坂 豊一君            新谷寅三郎君            前田佳都男君            松平 勇雄君            最上 英子君            光村 甚助君            山田 節男君            奥 むめお君   国務大臣    郵 政 大 臣 寺尾  豊君   政府委員    郵便省電波監理    局長      濱田 成徳君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   参考人    日本放送協会技    術局長     三熊 文雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○放送法の一部を改正する法律案(内  閣送付、予備審査) ○電気通信並びに電波に関する調査の  件  (FM放送カラーテレビジョン放  送等に関する件)   —————————————
  2. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ただいまから開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  電気通信並びに電波に関する調査として、FM放送カラーテレビジョン放送に関する意見を徴するため、日本放送協会技術局長熊文雄君を参考人として出席要求をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
  4. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、放送法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府より提案理由説明を聴取いたします。
  5. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) ただいま議題となりました放送法の一部を改正する法律案提案理由説明申し上げます。  現行放送法が施行されましたのは、昭和二十五年六月でありますが、その後今日に至る八年間における放送関係の科学及び技術発達並びに放送関係業務発展はきわめて著しいものがございます。特に、新しい事業形態としての商業放送の出現及び新しい放送形式としてのテレビジョン放送の発足並びに放送局数及び受信者数の顕著な増加によって、放送界の事情は当時とは一変しているのでございますが、今後さらに新しい放送形式としてFM放送カラーテレビジョン放送が登場することをも当然予測しなければならないという情勢でございます。  このような放送文化発展とその技術進歩に伴いまして、放送わが国の政治、経済、産業、文化のあらゆる面に重要な役割を演じており、これが今日、国民生活の中で持っている意義及び国民生活に与えている影響はまことに大きいものがありますが、このとは今後ますます増大するであろうと考えられます。  このような実情から考えまして、現行放送法は、進歩発達する放送界実情に即応したものではないとの理由によって、国会方面初め各界からその改正が問題とされるに至ったことは御承知通りであります。  ここにおきまして、政府といたしましては、放送法改正につきまして分検討するとともに、日本放送協会民間放送連盟及び実際放送事業に携わっておられる方面意向を徴するほか、臨時放送法審議会に諮問する等各方面意見を聞きまして、鋭意努力の結果、ようやく成案を得ましたので、第二十八回国会及び第三十回国会に提出いたしましたが、いずれも審議未了となった次第であります。  今回提案いたしました改正案は、第三十回国会において審議未了となりました改正案内容は全く同じものでございますが、その概要について御説明申し上げます。  第一に、放送番組向上適正化のため、今回の改正案で特に意を用いました点は、まず、放送番組編集上の準則を整備したことでございます。すなわち、日本放送協会一般放送事業者放送番組を通じまして、放送番組編集及び放送に当っては、積極的に国民に必要なニュースを提供し、教育、教養に資し、健全な慰安娯楽を提供するようにするほか、教育番組編集及び放送については、特にその指標を明確に規定し、放送による教育効果を高からしめるように措置をしているほか、現行法規定する準則に新たに「善良な風俗を害してはならない」旨を追加規定することにしております。  次に、以上申し述べました放送番淵編集及び放送についての準則の実行を確保する方法といたしまして、放送言論機関たる特性にかんがみ、行政権による規制を避け、放送事業者自律性を尊重する考えのもとに、次のような方法を採用いたしております。ななわち、放送事業者放送番組審議機関の設置を義務づけ、放送事業者は、の番組審議機関に諮問して、その番組編集基準を作成し、その番組基準に従って放送番組編集をしなければらないものとし、かつ、放送事業者は、その番組基準を定めた場合、またはこれを変更した場合には、これを公表しなければならないこととし、その順守を公衆批判にまかせようとするものであります。また、その番組審議機関には、放送された放送番組批判機関たる任務を持たせ、彼此相待って放送番組向上適正をはかろうとするものであります。  特に、日本放送協会国内番組審議機関といたしましては、中央番組審議会及び地方番組審議会を設けることとし、地方番組審議会政令で定める地域ごとに設けなければならないことといたしております。  また、日本放送協会放送番組編集につきましては、協会公共的使命にかんがみまして、このほか、特に「豊かで、かつ、よい放送番組放送することによって公衆要望を満たすとともに文化水準向上に寄与するように、最大の努力を払うこと」等の規定を設けまして、その放送番組編集及び放送につきまして、一般放送事業者より高い責任を負わせ、もってその放送番組向上適正をはかっております。  次に、日本放送協会国際放送向上適正をはかる措置といたしまして、放送番組編集について積極的にその準則規定するとともに、国内放送に関する審議会とは別個に国際番組審議会を設けることといたしております。  第二に、日本放送協会に関する事項について申し上げます。まず、日本放送協会の公共的な性格をより明確にし、協会の行う業務範囲を広げ、単に、協会放送のみにとどまらず、わが国放送全体の進歩発達を目的として、放送及びその受信進歩発達に寄与する調査研究を行うことのほか、放送番組提供等一般放送事業者に対し便宜を供与することができる等の規定を設けました。  次に、協会経営機構において、意思決定機関業務執行機関責任と権限をはっきりさせるため、経営委員会は、協会経営方針その他業務の運営に関する重要事項決定する機関、すなわち、協会意思決定機関たる性格を明確にするとともに、その機能を十分に達成することができるようにするため、委員の数は、現行の八地区から選出される者八人のほか、全国を通じて選出される者四人を加えて計十二人とし、さらにその欠格条項を若干緩和して、適材の選任を容易ならしめることといたしました。また、委員現行法による旅費その他業務の遂行に伴う実費を受けるほか、その勤務の日数に応じて相当の報酬を受けることができることといたしております。  会長は、もっぱら業務執行を行うものとして意思決定機関たる経営委員会に出席して意見を述べることができるが、その議決には加わらないこととしております。  また、その他の役員につきましては、業務範囲及び規模増大に伴う措置といたしまして、理事を五人以上十人以内、監事を三人以内を置くこととしております。  次に、財務の整備をはかる措置一つといたしまして、放送債券発行限度額を純財産額の三倍以内に引き上げ、もって業務範囲規模の拡大に対処するほか、毎事業年度収支予算等が、国会閉会等やむを得ない理由によって、当該事業年度の開始の日までにその承認を受けることができない場合の臨時的措置を講ずることといたしております。  第三に、一般放送事業者につきましては、現行法は、きわめてわずかな規定があるのみでありますが、冒頭に述べました通り放送事業の急激な発達と、その放送国民生活に及ぼす役割影響力増大にかんがみ、特に放送番組向上適正をはかる措置を講じたことは前述の通りでありますが、なお、一般放送事業者自主性及び主体性を確保する措置といたしまして、特定の者からのみ放送番組供給を受けることとなる条項を含む放送番組供給に関する協定を締結してはならないこととするほか、放送による学校向け放送番組には学校教育の妨げになると認められる広告を含めてはならないことといたしております。  以上申し述べましたほか、日本放送協会及び一般放送事業者を通じまして、放送番組放送後一カ月以内に限って政令の定めるところによって放送内容について保存等事後措置を講じなければならないことといたしておりますが、これはその放送内容番組審議機関批判に供する便を講ずるとともに、訂正または取り消し放送関係者の確認の資料に供するための措置であります。  なお、郵政大臣は、放送法の施行に必要な限度において、放送事業者に対してその業務に関する報告をさせることができることとしておりますが、この場合におきましては、その報告事項等は、政令で具体的に規定し、監督官庁姿意または逸脱を防止するように留意いたしております。  そのほか、以上の改正に伴う罰則その他の条文の整理を行い、及び所要の経過規定を設けようとするものであります。  以上述べましたところでおわかりのように、今回の改正は、今日の放送界実情を直視しつつ、放送法第一条の精神を確保するために必要と認められる措置を行おうとするものであり、特に表現の自由を確保するため細心の注意を払ったものでありまして、きわめて現実に即した必要不可欠の改正のみであり、国会の御賛同をいただけることを確信いたしているものでございます。何とぞ御審議のうえ、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。   —————————————
  6. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 本日は、本案に対する提案理由説明聴取のみにとどめておきます。
  7. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 委員変更についてお知らせいたします。  委員佐野廣君が辞任せられまして、その補欠前田佳都男君が委員に選任せられました。   —————————————
  8. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 電気通信並びに電波に関する調査議題といたします。  御質疑のおありの方は、どうぞ御質疑を願います。
  9. 山田節男

    山田節男君 まず第一に、カラーテレビジョンの問題ですが、本件に関しましては、郵政大臣並びに電波監理局長から、しばしば政府意向を表明されている。すなわち、カラーテレビジョン技術的に、あるいは標準方式決定等から見ても時期尚早である、この政府態度は、まことに私たちもその妥当なことと信頼しているわけでありますが、御承知のように、政府カラーテレビジョン実験放送公共放送であるNHKと、民間放送のNTVに許しておる。そうしておる現状において、片一方、民間放送に許されたカラーテレビジョン実験放送というものは、しばしば新聞あるいはわれわれ国会議員に頒布されたパンフレット等を見ましても、一日もすみやかにカラーテレビジョン実験放送を済まして、本放送に移るべきだというかなり強い宣伝、要求等があるわけです。そこで、ここに政府が、カラーテレビジョンの本放送は時期尚早であるという態度、これは表明してあるのでありますが、日本の将来、これはいつかはカラーテレビジョンが実現するのでありますが、そういうようなときに、一体カラーテレビジョン日本の将来を考え公共放送一本でやるか、あるいは今日実験放送民放公共放送に許しておる建前から、両方にこれをやらせるという政府態度なのか、この点が従来政府態度ははっきりしていないわけです。この点は、私は今のように民間放送実験放送が非常にいきり立っておるということの原因は、政府にその点に対するはっきりした態度の表明がないからそういうことになっておるのじゃないか。また、すでに他の民間放送からもカラーテレビジョン放送申請放送局開設申請があるやに私は聞いておるのでありますが、そういう点について寺尾郵政大臣としてはどういうようにお考えになっておるのか、この際、明らかにしていただきたいと思います。
  10. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 本問題は、政府といたしましては、しばしば御答弁にも申し上げましたように、カラーテレビジョンを、国民がこれを待望しておる、できれば早くカラーテレビ放送が行われるということを待望しておる。このことは、私は国民のそうした期待に対して、目下実験放送をなし、またこれに対するカラーテレビジョン受像機等国産あるいはマス・プロによる大量生産等が行われることを大きく期待をいたしております。しかしながら、御承知のように、いまだ標準方式も国際的に決定を見ておりません。なお諸般条件カラーテレビジョン放送をする段階にいっていない、こういうことは現実であるわけであります。従いまして、衆議院の逓信委員会、あるいは去る本委員会におきましても、カラーテレビジョンに対する早急の放送を実施できないか、こういったような御質疑等もありましたが、今日の段階においては、直ちにカラーテレビ放送をするという段階には立ち至っていない、こういうことを考えておるわけであります。  同時に将来、NHK及び民間放送いずれもにカラーテレビジョン放送を許すか、こういう御質問でありますが、これは私は、すでに実験NHK及び民間放送会社にそれを許しております関係において、NHKにも、また民間放送会社にも許すべきものである、かようには考えておるわけであります。ただ、その時期をいつにするか、また、特に国民大衆カラーテレビを楽しみ得られるように、この恩恵に浴し得られるような客観情勢を作る、すなわち、国産カラーテレビ受像機をできるだけ安価に製作し、また国民の手に入るようにまず努力をするというようなことも、大きな放送許可に対するファクターになるのではないか、かように考えておりますし、来年四月に予定されているロスアンゼルスにおける世界の標準方式決定についての会議、これらも大いに注目して、その結果等も検討をする必要はないか、そういったようなことを期待をし、また、大きなカラーテレビ放送いたしますについての問題点であろうかと、かように考えております。  要するに国民が待望していることについては、できるだけすみやかに放送をしたいが、諸般条件が今日においてはまだその域に達していない。実験放送も十分行なって、いろいろの技術的な問題、あるいは受像機製造の実際的な大量生産形態、こういうようなものに加えて標準方式等も十分これを検討した結果、放送が一日も早く行われるように努力をしたい、さように考えております。
  11. 山田節男

    山田節男君 今、寺尾郵政大臣から、カラーテレビジョンの将来の構想は、民間放送公共放送の二本建でいく、これは重大な発言だと思うのですが、そもそも、カラーテレビジョン実験放送許可を与えたということは、これは前任大臣のやられたことであって、おそらく、そういう自民党の政府として二本建でやるという根本方針でおやりになったから、そういうふうにおっしゃるのじゃないかと思うのですが、御承知のように、今日も民放は四十社ありまして、ラジオ現状を見ましても、ほとんどこの四十社とNHK公共放送ラジオ番組内容等を見ましても、ほんとうに何と申しますか、区別のない、同じようなものを同時に放送されておる。これが果して国民文化向上に役立っているかどうか。むしろ民放商業主義に徹するという傾向から、全般的に言えば、この番組内容の低下ということがすでに現われつつあるのではないか。いわゆる一億国民白痴化というような、こういう批判が生まれるのは、やはりラジオ民放四十社が互いに競争し合うというところに弊害の一端が現われている。社会的な弊害というものは、教育的に見てもあるいは経済的に見ても、これが果していいのかどうか、疑問を抱かざるを得ない。今の大臣のおっしょるようなことになりますと、時期がくればカラーテレビジョン民間放送も、結局この現在の四十社の民放にもこれを放送せしむる、せしめなくちゃならないことになる。このカラーテレビジョンの場合に、もし、そういうふうに将来、五年か十年のうちか、わかりませんが、そうなった場合に、これは国民消費経済から見てもまことにこれは重大な問題だと思う。今おっしゃったようなことからいえば、五大都市なら五大都市は許すけれども、他の小都市には許さない、そういう何ら規制を行わないで、野放しにやるということは、これは重大な問題だと思うのです。前任大臣が二本建でやるということにきめられても、いよいよこうして痛烈な申請が続々ときているわけですから、政府としては、それに対する態度を早く表明しておかないと、僻遠のきわめて零細な放送局まで、それは実現はともかくとしても、一応権利を保留しておこうということで、カラーテレビジョン放送免許申請を出してくるということになるのではないか。これに対して政府としては早く手を打たなければならないと思うのですが、どうも今の大臣の御答弁ではそういうふうに取れないのですが、その点はどうなんですか。
  12. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 基本的な考え方について申し上げたのでありますが、これは、これを実施の面においてどういうふうに扱っていくかということは、山田委員のおっしゃるような、いろいろの点に野放しでこれを許可していくという方針では、そういう考え方では私はないのであります。ただ、将来カラーテレビジョンというものの受像機相当安価にマスプロできる。しかも、それがだんだん白黒テレビからカラーテレビジョンに移行していくという事態を、われわれは一応これは想像できるわけであります。そういったような際における点においては、NHKだけ、あるいはまたきわめて局限したものだけというようなことに規制はできないのではないか。こういうような観点から、NHKにも民放にも許すべきだという基本方針を申し上げたのであります。もちろん、このカラーテレビジョンでやる、またはこれが普遍化するということになりますためには、相当の年月を要することは想像にかたくないことだと思いますし現段階におきましてはすでに百九局といったようなことを予定をして、すでに八十数局というものには許可を与えて、鋭意その開局に推進を進めておるわけでありますが、白黒テレビというものが一応きわめて重大な発展の時期において、これを混乱をさせるとか、これに非常な大きな影響を与えるというようなことは厳に慎しむべきものだと、かように考えるわけでありまして、これを、たとえばある程度条件も整ったから、これをカラーテレビジョン放送を許すといいましても、それは徐々に優秀な、あるいは必要な場所といいましょうか、そういう内容地域等を十分検討して、徐々にこれは進めていくべきものだと、かように考えるところでありまして、山田委員がおっしゃるような、今申請が出てきたから何でも許す、こういう方針では絶対にないと、これは十分検討して、そういう諸般条件が整ったところで順を追うて必要な、またその信頼のできる方面から徐々にそういった白黒テレビジョン普及、この普及とにらみ合わせて、そうして適切な処置をしていきたい、放送にいたしましても、十分注意して行なっていくべきだと、かように考えております。
  13. 山田節男

    山田節男君 るる御説明がありましたが、私のたださんとしておるのは、要するに集中主義でいくのか、二本建でいくにしても、現在の四十社の民放に、これは理論的にいえば、全部申請があればこれを与えなくちゃならぬのですから、今おっしゃるメーカーの問題、標準方式決定の問題、もちろんこれは解決したという前提のもとに考えますと、だから、こういう点を早く政府として何かの基準をそこに置いて鮮度を示さないと、現在まだ来春、白黒テレビジョン電波発射を建設中において、もうすでにカラーテレビジョン申請をしなくちゃならぬ、こういうことをするということは非常にむだなことであり、また、先ほど申しました、白黒がなお百五十万をようやく突破するかしないかというときになって、カラーテレビジョン申請もあわせて行うというような、こういう無統制なことは、これは政府として断固として許すべきものじゃないと思うのです。  なるほど、それはヨーロッパ諸国におきましては、日本みたいに民放公共放送二本建のようなことはやっておりません。従って、カラーテレビジョンにおきましては、今、日本におけるようなこういう形態の世論というものは起きてこないわけです。ですから将来、日本経済というものの点から、底の浅い日本がこういうむだなテレビジョンの上に、さらにカラーテレビジョンにまで、国の資力をそういう方面に偏向せしめるということは、これは高い見地から見ると、非常に国家経済から見て不経済だと思います。ですから、やはり政府の一理として郵政大臣は、このカラーテレビジョンというものを、民間放送に対してはどういう基準をもって、どういう規格をもってやるんだということは、いち早く一つこれは決定されて、正式に表明されないと、業者を迷わしているんですね。今の御答弁では、そういうことに対するはっきりしたものは御表明ありませんけれども、しかし、これは重大な問題だと思います。政府としては何かの機会において、時期尚早ということもありましょうが、同時に根本的に政府公共放送民放とのカラーテレビジョンの対策をどういうふうにするんだということをお示しになりませんと、業者を迷わすことになって、その危険は、今日の民間ラジオ放送経過を見ましても、これは私は当然そういう問題が起きてくると思うんです。これは要望ですから申し上げておきます。  それから次には、今実験放送を許しておられる民間放送が、最近になってなま放送をやっている。従来はフィルムですべて実験放送をやっておった。なま放送でやるのもこれは実験放送だということは、これはもちろん言えますけれども、従来のやり口を見ると、もうなしくずしに、実質的にこれを実験放送を逸脱して本放送に持っていこうという一つ方法じゃないか。これはあるいは人の悪い、意地の悪い考え方かもしれませんけれども、しかし、私はそういうように考えられる。で、これがさらに伸びてくれば、まあ受信機を百台ぐらいも買って、東京なら東京の各地にそれを置いて、そうしてまあ実験放送を見せるということもこれは実験放送になる。さらにまた、そういうようなある集団的に見せ得るものを、たとえば百のセットを方々に据えて実験放送を見せるということになれば、これはスポンサーがつくかもしれない。スポンサーがついても、これは実験放送だということになるのか、この点の政府実験放送というものの定義がはっきりしない。なま放送をやるということは、これは実験放送定義からいえば、それはなま放送でも実験だということをいうかもしれないけれども、そういうことを政府がこれはもう黙認してそういうことをやらしているのかどうか、そこに私は、どうも実験放送定義に対する政府のはっきりした明快な規定がないからこういうことになってくるのである。この点は郵政大臣としてどういうふうにお考えになっているか、また一応、業者から政府に対して了解を求めてきて、これを黙認しておられるかどうか、この点を一つお聞きしたい。
  14. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) この点は一つ定義ということになると、局長答弁させたいと思います。
  15. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 現在実施いたしておりまする実験放送と申しますのは、科学技術の振興を目的とするためにのみ行う実験でありまして、スポンサーをつけるというようなことは考えておりません。  もう少し詳しく申しますというと、この実験局と、最近に問題にされております実用化試験局というものがあります。実用化試験局といいますのは、実用局にする目的でもってその試験的に放送を行う放送局という意味でありますから、このスポンサーをつけて、実際の営業の形態にして試験的に、テンタティヴにやる放送という意味でございまして、そういう実用化試験局を免許してもらいたいという希望があるわけであります。で、これは実験局を初めやりまして、ほんとうの試験、ほんとうの実験、単なる実験であります。それが済みましたならば実用化試験局にしてもらいたいという考えは、実はそのまま実用局にすべり込むような——さらに詳しく申しますならば、今回のカラーテレビの場合には、標準方式等政府として決定しなければ、そのような実用化試験局の免許は与えられないというような性質のものと考えております。でありまするから、実験局と実用化試験局との間にはきわめて明確なる区別がありまして、実用化試験局は実用ないし営業と紙一重のものであるということを御承知願いたいと思います。
  16. 山田節男

    山田節男君 多少技術的になりますけれども、実験局と実用化の放送といいますけれども、まだ政府として正式にカラーテレビ標準方式決定してないわけですね。だから、今の実験放送をやっておるのは、これはアメリカのモデルでやっておる。ただ名においてNHKはUHF、NTVはVHF、それだけの違いである。ですから、実験放送と実用化放送という区別をつける前にまだ日本としては、日本カラーテレビ標準方式はどうするかという大前提が決定しないのですから、それを決定するための前提としての実験放送というならば、これはわかるわけですね。ところが、今申し上げたように、現在実験放送をしているものの民間放送なんかでは、もうあくまでこれしか方法がないのだ、アメリカ式がコンパティブルなやつで、これが一番いいのだ、なるほどそうかもしれないけれども、正式に、政府の、日本標準方式としてきまっていない、それを今度実用化に持っていくということで、先ほどから申し上げているように、なしくずしに現在のアメリカ式そのものを持ち込んでいこうということになる。そこに私は問題があると思うのですね。それに対する政府態度というものがはっきりしてないから、そういう事実を作って、なしくずしに既成事実を作ろうという、きわめてずるいやり方をしていると言わざるを得ない。それに対して、政府としては何ら手を打っていない。ですから、たとえば百台なら百台のカラーテレビ受信機を方々に据え付けて、実験放送を見せる。これが実験放送かどうかということは、今のあなたの御言明でははっきりしていない。これは、そこまできた場合、やはりこれは実用化の試験だからほうっておくんだというような政府態度かどうか、この点はどうです
  17. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 実験局のやり方としまして、先ほど山田先生が言われますような、なま放送をやろうとも、あるいは受像機の数を現在よりもふやしましても、それが今日、カラーテレビ調査会、あるいはその他の調査機関が、日本カラーテレビ標準方式をきめるための資料を得るために、得る目的で行う限り、すなわち、その一会社または一事業者の営業に関係するものでない以上、これは実験放送であろうと思います。けれども、どのような規模でやるのがいいかということにつきましては、これは慎重に考慮を要する必要があると思うのでありまして、無制限に大規模実験をやる必要はないと私どもは考えている次第であります。  先ほど申し上げますように、実用化試験というのは、営業、実用を目的とする、その一歩手前のものでありまして、これを免許するためには、標準方式決定しておらなければできません。今日では、まだ標準方式決定しておりませんから、さような実用化試験局を免許する準則がないわけです。従って、免許し得ないということは明瞭であろうと思うのであります。
  18. 山田節男

    山田節男君 そうすると私はおかしいと思うのですよ。たとえば、カラーテレビジョンのセットを、日本として正式決定しない、アメリカ式の標準方式カラーテレビジョン受像機を、百台なら百台東京都内に据え付けて、これを一台平均百人なら百人見たとしても、一万人なら一万人という者がそれを見たり聞いたりするということになる。これは一種のマス・メディアでありますので、そういう時代まで来ている。これを一つの実用化試験あるいは実験放送をやるということを政府が黙って見ておるということは、そこに私は、この放送事業に対する政府態度、郵政省の態度というものが、歴代の郵政大臣がきぜんたる態度をよう示さない、踏み切った態度を、ほんとうに国策というものを立てて、きぜんたる態度をとらぬからこういうことになる。なしくずしに政府が足をすくわれてしまう。そのうちに、政治的な圧迫でもって、郵政大臣ではどうにもならぬ、こういう事態を今日まで何回も繰り返してきておる。これではいけない、国民経済から見まして。ですから、どうも御答弁を聞いておりますると、政府のこの点に関するきぜんたる態度がうかがえない、どうですか。たとえば、百台のカラーテレビのセットを据え付けて、そうして実験放送を見せてやるといっても、政府が黙認するのかどうか、黙認するのですか。
  19. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) これは、私は、実験放送として許可をした、しかもこれがNHKなりNTVで適当な場所に公衆に見せるために、実験放送を見せるために施設をしておる、こういうことでありまするから、しかもこれは、NTVにしても、あるいは日本放送協会にいたしましても、こうした実験をするためには相当な費用がかかると思う。しかも、それに対してはスポンサーをつけるわけではないという、いわゆる実験段階でありまするから、山田委員のおっしゃるように、大量に受像機を各所にたくさんのものを据え付けてやるということについては、実際上私はそういうことはあり得ないと思います。これは別に絶対的なものではなく、私の推測かもしれませんけれども、そういったようなことによって実験を繰り返すことによって、技術基準とかあるいはその他、たとえば今行なっておりますNTSCといったようなものをカラーテレビジョン一つの形として研究をしていく。それが必ずしも世界の標準方式になり得るかどうかということについては、これは全然不明であります。日本が今やっておる形において実験をしていくそれをNHKなりNTVなり、大体実験放送をやっておる放送事業者が、いろいろの点で大衆にもこれを見せる、カラーテレビ実験の状態を見せて、それに対する批判も請うということは、実験放送許可しておるという現段階においては、ある点そういうことは認めていかなければならぬじゃないか。ただ、そういったような行き過ぎた、何かを意図して大量のものをやって、それがたとえば実用化試験をするための準備行為だと、こういうような、非常に実験放送として常識で考えて逸脱しておる、あるいはそういう方向に非常に危険性があるということであれば、政府といたしましては、これを注意をする、こういうことは、これは私は必要なことじゃないか、そう考えますけれども、一応今の程度の実験放送による形というものは、これを認めざるを得ないのじゃないか。そういうふうに考えておりますが、今お話のような、これを何かの意図をもって、行き過ぎた、実験放送の域を逸脱するような方法、やり方をする、まあこういことうになれば、十分注意をすべきものじゃないか、さように考えております。
  20. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  21. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけて。
  22. 山田節男

    山田節男君 今の郵政大臣の御答弁では、どうも実験放送に対する政府定義というものが決定してないようですが、実用化標準方式というものは決定して存在しておるべきで、これは法律的にも技術的にも、政策としても当然そうあるべきなのです。ですから、すでに現在でも行き過ぎておるのじゃないか。それが先ほど来何べんも申し上げているように、とにかくなしくずしで、事実上基礎を作ってしまおう、こういうやり方、これは政府の権威も何もないわけです。そこを私は憂えているのです。ですから、従来でも私どもの手元に配られたパンフレットを見ましても、郵政大臣電波監理局長に対して罵詈雑言をはいている。全く政府を侮べつしたようなことを、パンフレットなり新聞に書いておるわけです。これに対して政府は弁駁も何もしてない、こういう態度ではいけないのです。ですから、やはりきぜんたる態度で、責任をもって将来これに対する対策をどうするのだということをはっきりさせられないからそういうことになる。ですから今あなたのような、やはりそういうお気持だと、事実上において政府が負けてしまうということになるから私は申し上げておるわけです。これは決して老婆心ではない。過去の実績を見ましても、大体予備免許以来の歴史を私はこの目をもって見ているわけです。どうも歴代の郵政大臣は、何を遠慮してきぜんたる態度を示さないのか。さらに岸首相までカラーテレビジョンを賛美して、一日もすみやかに実施すべきものだというようなことを言ったということを、商業新聞を通じてそういうことを発表しておる。こういうようなことを政府が黙って見ているということは、少くとも放送政策に対する政府態度というものが、まことに私から見れば、謙虚だ謙遜だというよりも、むしろ萎縮しているというように思われるのですが、どうですか。今の大臣の御答弁も、私はそれを知ってるのでこういう質問をするのですが、今の大臣の御答弁ではどうも安心ができないのです。
  23. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 私並びに局の者等が、いろいろ週刊雑誌とか、あるいはまたいろいろの点で批判を受けておるということも知らないではないのであります。しかし、そうしたことは、私は歯牙にかくべきものではない。そういうような正式にこれが公表されたものとか、あるいは私に対してそういったようなことがはっきり申し入れをされたということであれば、私自身、また省といたしましては、これに対して反駁を加えるとか、あるいは見解を明らかにするとかということはすべきだと考えますけれども、政府方針というものは両院の、特に逓信委員会ではしばしばその方針を明らかにいたしておると思います。これに対していろいろの非常識な批判、行き過ぎたことということは、そういったようなことをすること自体が私は、はなはだ遺憾ではありますけれども、こういうものに一々反駁をしたり、あるいはこれに取り合っておるということは、私は政府態度としてはとるべきではない。むしろ歯牙にかけないで、政府政府方針一つ堅持して進んでいくべきで、微動もしない確固たる政府方針を貫くべきだ、かように考えております。
  24. 山田節男

    山田節男君 この点どうも私了解しない点もありますが、大臣が時間がないそうですから、一応これで打ち切ります。
  25. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 資料要求があります。国際会議にいろいろの電波に関する問題が取り上げられて、国際的な取りきめがあるわけですが、今、日本電波行政の上で困っておる——おそらく世界的じゃないかと思いますが、問題の一つに、各国に対する周波数の割当の問題があると思うのです。周波数の割当については何回も会議があったわけですが、最近の国際会議におきまして、日本政府が周波数の割当についてどういうふうな要求を出したか、それに対してどういう結論を得たか。最近の国際会議における日本政府のとった措置、それの結果等、それ以後今日まで、日本政府が国際会議の事務局なりあるいは関係理事国とかその他の主要国に対しまして、その問題についてどういうふうな交渉あるいは折衝をしたか。それは公式であっても非公式であってもけっこうですが、その結果はどうなっておるか。来年の国際会議に臨まれるわけですが、今日までの経過を明らかにするような資料を提出していただきたい。もし各国に対する国際会議における発言等がありますれば、それを要約したものを出していただきたい。つまり日本政府の国際的なこの問題に対する態度を明瞭に知りたいために要求するわけですから、次の委員会までにそろえて御提出願いたい。
  26. 森中守義

    ○森中守義君 今の国際会議関係したことですが、来年は電波関係の国際会議は幾つぐらいありますか。
  27. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 明年は四月一日から約一カ月間、米国ロスアンゼルスにおきまして国際電気通信連合の諮問機関でありますところの国際無線通信諮問委員会の総会が開かれます。それが第一、第二には国際電気通信連合の一機関ともいうべき無線主管庁会議というのが八月の半ばから年末まで約四カ月間、ジュネーヴで開かれるわけであります。この無線主管庁会議で、ただいま新谷先生が言われましたように、電波の周波数が再割当でありますとか、技術的な問題とか、いろいろなことがここで討議されるわけであります。この会議は、日本が出席いたしましたのは、今から二十年くらい前にエジプトのカイロで開かれた無線主管庁会議が最後でありまして、その後は出席しておりません。で、その後に開かれましたのが、アメリカのアトランティック・シティというところで開かれたのがありますが、これはたしか一九四七年——終戦直後でありまして、日本は出席の資格がなかったために出ておりません。従いまして、来年の主管庁会議は、二十年間のブランクの後に、周波数の再割当とか、いろいろな規則の改正だとかという問題につきまして、日本が発言し得る二十年後初めての機会でありまして、非常に重要な会議であろうと考えております。それが無線主管庁会議であります。  その次に、かような無線諮問委員会だとか無線主管庁会議だとかでいろいろ相談をいたしました結果を、条約にして調印する全権委員会というものが来年の十一月の半ばから約二カ月——年末まで開かれます。これで今後五年間は、この条約によって、日本が国際的に正常な電波管理を行なっていこうという約束がここで取り行われるわけでありまして、きわめて重要な会議でございます。  で、先ほど新谷委員が要求されました資料は、なるべく早く整備してお出しするつもりでありますけれども、この次の委員会が来週ですと、ちょっと間に合いかねると思いますが、しばらく御猶予願いたい、なるべく早く出すことにいたしますから御了承願いたいと思います。  ちょっと今申し上げるのを残しましたので補足させていただきます。今申し上げました会議以外に、NHKが主催して例年行なっておりますところのアジア放送会議というのが、多分五月の初めに行われるはずであります。  それから国際電気通信連合の一部門でありますが、プラン委員会——プランというのは計画ですね、これは国際的な電気通信網について、その整備等に関する相談を行います国際的な委員会でありますが、これが東京で開かれることになっております。  そのほか、電気通信に関しましては、エカフエも、今のプラン委員会と同時に東京で五月に開かれる予定になっております。  大体以上であろうと思います。
  28. 森中守義

    ○森中守義君 伺いますと、大体義務づけられた会議のようですが、予算は大体どのくらい要るのですか。
  29. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 今申し上げましたいろいろな国際会議に対処し、その準備を整えると同時に、それに必要な代表者を送りまして、万遺漏なきを期するために必要な費用総額、これを九千五百万円と予定しまして、そうして来年度予算に提出しております。その九千五百万円の中には、実は東南アジアのいわゆる後進国の技術者の援助をするためのエカフエの活動に参画する費用も含まれております。総額大体九千五百万円でございます。ただし、これは郵政省の職員が出席し、あるいはその準備等に使います費用だけを計上するということでございます。
  30. 森中守義

    ○森中守義君 大蔵省は、近々予算の内示をするようですが、国際的に義務づけられた会議の経費は、大蔵省との一間にほとんど話はついておりますか。
  31. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 目下事務折衝を進めておる段階でございます。
  32. 森中守義

    ○森中守義君 もしもこういうものが削減をされるということになると、会議の出席も不可能になるということが生じますね。従ってこういうような問題については、どうしてもこれは必要だということで、郵政省では今までも一生懸命におやりですか。
  33. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 来年の国際会議は、ただいま局長から申し上げたように非常にたくさん行われますし、特に電波の割当といったようなきわめて重要な会議が行われるということの経費として、九千五百万を要望しておるわけです。過日の大蔵大臣と私との三十四年度の予算編成についての基本的な相談をいたしました際にも、これは特に重要な予算としてぜひ認めてほしいということを要望いたしておるわけでございますが、しかし由来、こういったような国際会議等に対する費用というものは、大蔵省としてはあまり気持よく出しておりません。非常に不自由をしてきたわけであります。従って今回のこのことは、特に来年度こうした国際会議が相次いでたくさん行われるのでありまして、これだけは認めてもらって、たとえば電波の割当等についても、日本が国際的にできるだけ有利に、できるだけ解決すべきものは解決できるようにしたいということをるる説明して要望してあります。事務局折衝の過程におきましては、この九千五百万円というものが、こちらの要望通り実現するということには相当困難が今あるようでありますけれども、従いまして、本日はまた党の幹部、私はもちろんでありますが、その他関係者、省の責任者等もきょう午後二時に会合いたしまして、このことにつきましても強く所者の方に出資を折衝をする、さような努力はいたしておりますが、この九千五百万円まるまるこれを認めてもらうということに対しましては、かなりの困難があるのではないかということを憂えておる次第でございます。が、極力この点は私どもは要望し続ける、さような決意でおるわけでございます。
  34. 森中守義

    ○森中守義君 これは今努力の途中ですから、決定的なことは大臣ももちろん言明できないでしょう。およそ国際会議といえば、大へん大事な会議でして、こういう予算が減ったために会議に出席できなかったとか、あるいは重要な国際的な通信の協力態勢に欠けるところがないというように、特段の御配慮をお願いしておきたいと思います。
  35. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 この資料について、私が申し上げた資料はこういう資料なんですが、まだ足りないところがあるのですよ。それは放送局開設状況一覧表の方ですが、テレビ局が主でしょうがこのほかにもまだ試験段階実験段階にあるのも多少あると思いますから、FMのようなそういったもので、これは正式に免許を与えたものだけで今度はいいと思いますが、郵政当局がいわゆる条件をつけたですね、条件内容を書いてほしいのですよ、どういう条件で許したかということです。たとえばここにちょっと妙なことを書いておる。準教育局と書いてあるでしょう。準教育局というのは教育局の内容を持ったテレビジョン放送局ということになるのだろうと思いますが、それについては郵政省としては、こういうことをしてくれないと困るのだ、番組の何パーセント以上は教育番組だとか何とかという、教養番組だとかということがあるのでしょう。そういうことを免許のときにあなた方が申請者に対して言う渡したわけです。それを書いてほしいということを言ったのですが、全然書いてないのです。それをあらためて表にしてつけ加えて出してくれませんか、いいですか。
  36. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 追加ですね。
  37. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 追加というよりこれの補正をしてもらいたい、訂正をしてもらいたい、よろしゅうございますか。
  38. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 承知しました。
  39. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 今の資料をなるべく早く出していただきたいと思うのです。いろいろ法律論は別にしまして、この局ではこうだ、この局ではこうという条件がついておりまして、それがやはり今度の放送法改正案相当関係のある問題が多いですから、今まで免許したものについて、これを知った上で質問をしたいと思いますので、なるべく早く出してもらうようにお取り計らい願いたいと思います。
  40. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 承知しました。
  41. 山田節男

    山田節男君 NHKの技術局長お見えですが、きょうはもっぱら技術的な面だけを一つ参考のためにお聞きしたいと思うのですが、NHKラジオテレビジョン放送について無事故、良質の放送を確実に、しかも統制を持たしてすみやかに実施しょう、その努力相当私たちも認めるわけです。大体ラジオとテレビと両方に分けてお聞きするのですが、ラジオにおきましていわゆる難聴地域の解消が、第一放送では九九%以上になっておる。第二放送でも九〇%をこえておる。その残りの難聴地域を解消するということは、技術的にもあるいは経済的にも相当大きな問題だろうと思うのです。しかし、依然として放送局の、今日の中波のラジオ放送の最善を尽されても、やはり難聴地域といいますか、混信地域というものが相当あるわけです、御承知のように。これは二面においては技術的の問題で、ことに施設の問題もあるかもしらぬけれども、また他面からいえば、これはそのステーションのパワーが、電力が弱いために、たとえば日本海岸等においては北鮮ソビエト等の放送の力に負けちやって混信状態を起している。これは現実日本方面ばかりでなく、たとえば中国、北九州等におきましても現にきわめて難聴な地域があるわけですね。それがためにNHKも年々、ラジオについては施設が非常に老朽化しているからして、この施設を改善するために相当の予算を計上しているわけです。しかし、今日依然としてそういう意味の混信の難聴というものがかなり広範囲において行われておる。  そこであなたは技術方面の最高責任者としていろいろ努力をされておるということは、もちろん私たちも認めるのですが、一体こういうラジオの良質の放送をする上において、あなたが見られて、どこが一番隘路になっているか、その点一つまずお伺いしたいと思います。
  42. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) 参考人日本放送協会技術局長の三熊でございます。  ただいまの御質問に対しましてお答えいたします。ただいま御質問の通り、いまだに全国的に混信、それからもう一つは雑音、それらによりまして実際聴取が非常にむずかしいという個所が相当あります。従ってそれにつきましては、今お話の通り、電力を増すとか、場所によりましては微電力といいまして小さなパワーの局を置きまして、そうしてある地域をカバーするとか、いろいろな方法で五カ年計画を立てまして、着々と進めておるわけであります。しかしながら、御質問の通り、周波数の問題その他に隘路がありまして、同時に電力を超大電力という方法をとって、外国の混信以上のパワーでもってこちらの電力を増すという考え方もあるわけでありますが、これらにつきましても周波数及びその超大電力にするための国際的な規約の問題、そういうような点がありますので、それらにつきましては、先ほどからお話の出ております来年度の主管庁会議に大いに日本の立場を政府当局から言っていただいて、そういう点を解消していただきたいと、こう思っております。従ってNHKとしましては五カ年計画にのっとりまして、百パーセント聴取できる方法にパワーを増すなり、微電力の局を置くなり、そういう方法で進めていきたい、こういうふうに考えております。
  43. 山田節男

    山田節男君 混信の対策として、一つは国際会議政府を通じての周波数の調整といいますかね、日本とすれば周波数の獲得という問題があるが、その国際的な手段による以外の、すなわち国際的にいわゆる技術的に、あるいは施設として、今日のそういうような混信に基く難聴地域を解消するということを私は一応問題にしておるわけですが、たとえば、これはたしか従来五十キロワットのステーションでのった四大都市東京、大阪、福岡、札幌ですか、このパワーを百キロにふやしておる。その施設はすでに完了しているかどうか知りませんが、しかし戸キロワットの放送でいいのか、これはやはり対外的な、たとえば沖縄とかその他の方面に聞かしめるためには百キロワットで十分かもしれないけれども、しかし、よそから来るより強大な放送に基く混信を防御するためには、百キロワットでいいのかどうかという問題もあるわけであります。ですから、そういうむしろ外から来る混信を避けるために、パワーをふやさないからこういう状態があるのだということが言い得るかどうか、この点どうですか。
  44. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) 電力を増すということにつきましては、われわれとしましても五カ年計画の線に——大体今考えておりますのは、三百ないし五百キロワットというような超大電力のものを、ただいま百キロワットでやっております四カ所に置きたいという希望を持っております。ただ電力を増すというだけでは、やはりまだ混信を十分退治するわけにはいかないわけですがその電力を増すことによって退治できないポイントには、やはり小さな局でも置いて、その場所で電波を出さないと混信は退治できない、こう考えており、従って、先ほどお話しましたように、局数としては相当量の数のものを今後設置していきたい。しかしながらそれは微電力のものでいいのでありますから、小さな電力のものを合間々々に入れていくというような考え方で混信を防いでいきたいと、こう思っています。
  45. 山田節男

    山田節男君 あなたが実際の責任者として無事故、良質の放送を実施する上において、現在のNHKの設置している中波放送局の中で、老朽施設であって、それがために無事故、良質の放送がきわめて不確定であるというのが、一体どのくらいあるかですね。これは小さい、いわゆるサテライト・ステーションを含んでもいいのですけれども、全体の何%くらいがそれなんですか。
  46. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) お答えします。ただいま確実な資料を持っていないのですが、現在まで、老朽しまして、少しずつは改善していって参っておるんですが、しかしながら、十分の改善ができなくて、部分的な、いわゆる総括的な改善なしに、一部分、一部分というような部分的な改善しか今までのところやってないものですから、全面的に改善する、いわゆる新しい技術のものに変えていくという点を考えますと、ほとんど現施設の——これはラジオ関係なんですが、現施設の八〇%以上あるんではないかと私は思っています。
  47. 山田節男

    山田節男君 この前の田中郵政大臣は、やはり混信を避けるために、将来少くともNHK電波放送を行く行くはFM放送にしたいということを言明されておるわけですが、これはまだわれわれしろうとが見ても、非常に野心的ではあるけれども、実際問題として不可能に近いし、また国家経済がそれほど不経済なことはないので、これは私は賛成しませんが、混信、難聴地域の解消のために、これは区域によりますけれども、たとえば第一放送の九九%五と、あとの〇・五%というものは、これだけはいつも金を使わなくちゃできない、施設的に不便なところだろうと思うのですが、やはり放送法の趣旨から、あまねくこの放送普及させるということになれば、部分的にはやはり現在ラジオが使えない、新しくセットを使えば使えるということであれば、これは地理的に条件が整えば、むしろ部分的なそういう方面FM放送を使うということも考えられる。これは従来のFMからいえば、これは今やっているのは国際的に見てもきわめて短時間に、せいぜい音楽かニュースくらいしかできないわけです。しかし難聴地区の解消で、不経済なそういう金の要素というものはむしろFM放送でカバーするというような余地があるんじゃないか、こういう点どうですか。
  48. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) ただいまの御質問なんですが、一応NHKのFMに対する考え方は、ただいまのところ、そういう難聴地区救済という考え方でなしに、いわゆる第三放送的な性格のものにFMを使いたいという一つ考え方を現在持っています。御承知通り、あるポイント、ポイントにFMを使うということも、もちろん考えなければならぬ点でありますので、技術的にいいますと、まあそういうふうにFMを使うということは非常に有効に思われるのですが、あとあとFMに対します周波数割当に、いろいろわれわれの方の希望を申し出まして、今お話ししましたような第三放送的な性格のFM、それから地域、ポイントに対するFMと、そういうような点につきまして郵政御当局にお願いしたいと、こう考えております。
  49. 山田節男

    山田節男君 次に、テレビジョンですが、テレビジョンは、やはり何と申しましても、画質の問題についての、映像のクオリティの問題になってくるわけですが、これはどうも従来政府も、NHKも、民間放送もそうですが、まだテレビジョン放送の歴史が短かいために、一般に問題化してないと思うのです。テレビを十年以上もやっているところで社会問題として起きているところは、やはり画質が——放送技術、あるいは雑音のために画質がきわめて貧弱であるためにいろいろ、何と申しますか、目の、光学的なオプティカルな点から視聴者に対して、長い間それを見ていると、目あるいは神経、ひいては心理的な方面に非常な重大な影響があるという意味で大きな社会問題になってくるわけです。私、毎日テレビジョンを見ておるわけではありませんが、私ときどき、NHKにしても、ことに民間放送の場合は特にその例がひどいと思うのですが、一定のクオリティにおいて、きわめてそういう方面から見ると憂うべきものがあろう。たとえばフリッカーの問題あるいは中断する問題であるとか、ことに絵が中断したりすれば、スポンサーは値段を値切るという、商業放送の方においてこれはたちまち経済的に響くのです。NHKではそういうことはない。受信者が所定の金を払ってNHK実施の放送を受けて見ているわけですから、だから画質の改善ということにつきましては、十分注意し努力されていると思うのですが、しかし、われわれは、たまたま見る面においても、画質の改善については相当余地があるのではないか。それは単なる業務というのではなくて、それが一つなれてくるというと、身体、生理的ないろいろ障害を起すということは、今日の医学でもすでに証明してくれるわけです。こういうことを未然に防いで、いわゆるアメリカ等が今困っておる問題を十分われわれとして研究、ことに業者は上質なものを放送する、こういう点に細心の注意をしなければならぬ。画質の改善についてNHKとしては、どういう点に一番重点を置いておられるのか。これには雑音の排除という問題もありましょう。パワーの問題もあるかもしれない。マイクロウエーブの技術的な面においても改善を要するということもあるのではないか、こういうことを総合して、画質の改善において今最も隘路となっているのはどういう点であるか、この点一つお伺いしたい。
  50. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) 画質の問題なんですが、まず最初に生理また心理的な面に加えましての問題は、現在NHKの中にも研究所におきまして、特別なそういうお医者さんとか、心理学者等を呼びまして、いろいろと目の疲労とか感じ方、それらにつきましての研究をいたしております。それで、できるだけ何らかの方法で目の疲労度がないように、明るさの問題、先ほどのお話にもありましたフリッカーが出ないようにという方向に努力しつつあるのであります。全般的にいって、現在のテレビジョンの画質が最も悪いと思われますのは、御承知通り、なま番組におきましては、そうひどく困るほどのことはないのですが、フィルム番組につきましては、なま番組に比べまして相当画質が低下しております。これにはやはり現像処理という科学的な操作が中に加わっていくというような問題がありまして、このフィルムのものをできるだけ画質をよくしたいというように今努力しつつありまして、これはいわゆる技術者だけの研さんと研究によって解決できるという見込みがあるものですから、そういう点で今一番大きな隘路はフィルム送信という問題ではないかというふうに考えております。
  51. 山田節男

    山田節男君 これに関して電波監理局長にちょっとお尋ねするのですが、テレビが相当普及し、ことに、たとえば東京の例をとりますというと、視聴者がふえたという半面において、画質の改善に対する要望相当あるわけですが、東京相当自動車なんかもふえておるし、雑音防止ということになれば、出動車に対して法律あるいは条例を承ってそういう雑音の防止の、アメリカには何かありますね。そういうことが日本では法的にも規制されていないのですけれども、これほど混雑する東京の都内における自動車の数から見ても、やはり直接間接テレビの画質の改善ということについては、相当妨害しているのじゃないか、これに対する何かの法的の手段を必要とするのじゃないかと思うのですが、これについてまだ郵政省としては何ら打つ手を考えておられないのか、この点を一つお尋ねしたい。
  52. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) これにつきましては、受信対策中央協議会というふうな各方面関係者が加入しました団体がございまして、これがいろいろな方法によって、雑音障害とか、あるいは悪質な電波をやめることとか、いろいろな方策を講じております。中央にそういうのがあるのみならず、各地方ごとにもこれを作りまして、宣伝、啓蒙等をやっておりますから、だんだんかような障害は除去されていくものだろうと考えております。
  53. 山田節男

    山田節男君 やはりこれほどテレビジョンラジオもしかりですけれども、テレビジョン普及すれば、先ほど申し上げたように、これは視聴者の生理的な、非常に長い間これが蓄積されて障害が起きてくることが学術的に証明されておるわけです。従って、そういうテレビジョンラジオ放送になれば、良質な放送をさせるような環境を整備しなければならないということは当然なことなんです。ですから、これは民間放送とか、あるいはNHK自体がどうのこうのと言わずに、今、局長のおっしゃるような団体がある。これは京都にも相当研究した方がおられて、その方にお会いしたのですが、これはやはり日本は自発的な、自律的な自制を加えてやればよろしゅうございますけれども、なかなかそういうことにはいかないので、やはりそこに法律か政令か、規則か、自治体に条例をもってやらせるか、そういったことの一つの環境整備をするための規制を行わないと、なかなか日本においてはすみやかにそういう環境を整備することはむずかしいのじゃないか。せっかくそういう団体があるならば、政府がこれを取り上げて、何かの形においてこれを法制化するか、あるいは自治体においてそういうものを制約するような手段をとるか、これはもう今日すでに時機を失しているというくらいに私には思われる。そういう点に対して、これは見込みじゃなくて、政府はそういうことをやる意思があるのかどうか、この点一つお聞きしたいと思います。
  54. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 先刻申し上げました団体には、非常に政府は力を入れまして、いろいろな雑音を出す製品ですね、電気製品、家庭器具とか洗濯機とか、自動車のフラグとか、いろいろあります。そういうものを標準化するように、雑音を出さないような規格にするような努力はやっておりますが、私はこの運動をもう少し徹底させますならば、やがて良質な電波が享受できるものと考えております。これはいわゆるPR運動等も必要なわけでありまして、雑音源となるような電気器具を買う人も注意しなければいけませんし、それを売る人は、特にメーカーは注意して、かような雑音防止器具みたいなものをつけて売るようにしてもらいたい。そういうような運動をしておりますから、私はこの運動が徹底しますならば、非常に効果が上るものと考えております。
  55. 山田節男

    山田節男君 これは決して甘いとはいいませんけれども、やはり自動車のマグネットに対する、これが妨害しないような装置、これはきわめて簡単なものでいいわけです。それから医者、レントゲンその他、そういったものに対しては、これはやはり法律なんかで、すべての新しく購入する自動車、既成のものについては全部それをつけてしまうということにしないと、メーカーが最初からそういうことをちゃんと知っておればいいけれども、そういうことに対する郵政当局の自動車のメーカーに対する注意も何もないわけです。これは私はそのままにしておいて、PRでもっていけるというようなことは少し甘いのじゃないか。これは公共の利害ということから考えれば、当然自動車とか自動車のメーカーあるいは医者というようなものに対して助言をするということは、多大の経費を要するわけではないのですから、そういう装置は、私はテレビジョンをやれば、当然そういうことも並行してやるべきだと思うが、何ら政府は今日まで、きわめて小さい問題にして、これをほうってあるということは物足りないと思う。今申し上げたように、やはり国民の整理的な健康の問題にかかる問題であるから、ぜひそれを最小限化する、政府は当然そういう措置をとらなければいかぬと思う。ですから、これは単なるPRで啓蒙していくというだけのものでは、一般の視聴者の健康の損害ということは救われないのじゃないか。これは強硬な措置をおとりになるようにお願いしておきます。
  56. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) ちょっと補足して申し上げたいのでありますが、自動車の問題につきましては、運輸省と協議しまして、これを工業標準化するように、いわゆるJIS、その中に取り入れるように目下検討中であります。同様に他の電気製品は通産省と協議して、なるべくそういうものが法制化されるように、安心してそれが購入でき、使用せられるようにしたい、そういう念願で目下努力いたしております。
  57. 山田節男

    山田節男君 これはNHKテレビジョン放送から考えても、大体電電公社が三十五年度においては、日本の領土の大体の銀座通り、国道と県道くらいの程度まではマイクロウェーブの施設が完備するわけですね。しかしこれだけではいわゆる放送法の、NHKの使命であるテレビジョンをあまねく普及するということは技術的に不可能なんですよ。一応三十五年度以降において電電公社がマイクロウェーブの施設をして、それを利用する範囲をのけた難聴といいますか、テレビジョン受信の困難な地域が、これは当然存在するのです。そういうことを予期して、NHKとしては、いわゆるテレビジョンの難聴地区、難聴地区というのはおかしいけれども、そういう受信の到達しない、あるいは妨害されておる点に対する計画はお持ちだろうと思う。お持ちでなければいけないと思う。そこで、従来放送されておる地域はきわめて弱電な中継局をあっちこっち設置されておる。しかも、これも日本のような非常に山岳地帯の多いところでは、地形からいって限度があると思うのです。そうすると、こういう狭い国で、しかも山岳地帯が多いのでありますから、ただ中継所をふやせばいいというのでは、これはNHK一つ経済的な基礎に立ってやるのでありますから、幾らでも金を使えるわけじゃない。経済的の制約を受けるということになれば、テレビジョン受信の困難な地域を解消するということについて一体どうするか。これは私見でありますけれども、従来のきわめて弱電のブースター・ステーションでやっていく、これも確かに解決の方法に違いない。しかし、これも方法限度がある。経済的にも地理的にも限度がある。そうすれば私、これは新谷君もおられますが、ラジオでも難聴地区の解消、たとえば無灯地帯、電気のないところ、電灯線のないところはどうするか、それがいわゆる共同聴取の一つ発展の動機になって、いわゆる必要が発明の母となってああいうものが今日できたわけであります。テレビジョンにおきましても、これは私の知っておる範囲では、二カ所ばかり現に有線でこれを受信しております。で、こういうようなことは、将来やはり必要がそういうふうにせしめるのであって、で、ラジオの場合においてはNHKはほったらかしておって、農業協同組合あるいはラジオ共同聴取の特別な組合を作って、そうして相当な金を使って有線で受信をやっておる。テレビの場合は、これは当然NHKが初めから計画しておるならば、そういうことはむしろ自発的に、必要やむを得ないので、そういう方面でやらせる。これはNHKからいえば金がかからぬからいいというかもしれぬけれども、やはりしかし、今日までラジオの共同聴取者には、きわめて制限せられて、第一、第二も聞けない、どっちも選んで聞くという選択の自由のない窮屈な受信をしているのであるから、三カ月二百円は少し高いのじゃないか、多少の割り戻しをしても、NHKは共同聴取に対しては正規の三カ月二百円をとることは少し過酷であると、こう思う。テレビジョンの場合は料金も非常に高いので、月三百円ということになれば、そういう場合に、やはり受信の異常に困難な地域に対して、一体NHKはどうするかという態度を、方針を早くきめて、NHKがイニシアチブをとって、NHKが世話をしてやる、こう思うのです。今日もすでに百五十万、これはやがて三百万になるという時期を控えて、共同地区、そういうような受信の困難な地区に対しては有線放送でいくのか、あるいはそれはブースターで解決できるのだというように考えておるのか、こういう点とそれから今のようなむしろNHKがイニシアチブをとって、受信困難地帯に対するテレビの視聴者の数をふやすということについて、技術的にどういうことをお考えになっておるか、この点をお伺いしたい。
  58. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) ただいまのところ、先ほどお話の通り、マイクロ回線については今場所はそうたくさんないので、本年を入れまして三カ年計画で一応四十九局というテレビジョンを作るわけなんですが、お話しの通りそれを作りましても、まだまだ難聴のポイントが相当ありまして、それにつきましては、聴取者の数を対象にして、サテライトの局とかまたブースターの局とかいうものを相当量つけていかなければならぬ。これらにつきましては、現在、郵政省の方で第二次チャンネルプランなどをお考のようなんでそういうことがきまり次第、われわれとしましては、そういうサテライト局、ブースター局というものを相当量置いていかないと穴埋めができないという考え方をしております。  それにしても今のお話のように、まだ十分あまねく百パーセント受信ができないということもありまして、共同聴取ということにつきましては、今まででも業者を十分指導し、しかも、その中の一つの方式につきましては、NHKがパテントを持っていまして、特許を持っていまして、それを公開して使ってもらっておるというような施設が一方式あるわけですが、そういうような方法によって、現在のところは業者を指導しながら、共同聴取というものを進めていっておる状態なんでして、ただいまの御意見を伺いますと、自分の方で施設ということも考えたらどうかという御意見なので、この点十分そういう非常に難聴なポイントに対する問題を考えていきたい、こう思っております。従って今までのところは、その受信までは、技術方面としましては、受信共同聴取によって聴取者をふやすということを、協会でみずからやるというところまでいっていませんので、ただいまのところでは、ブースター、サテライトをもって、できるだけカバーしていくという考え方だけだったわけなんです。従って、今度のそういう共同聴取の点も十分考慮しながら進んでいきたいと思います。
  59. 山田節男

    山田節男君 今の点について濱田電波監理局長にお聞きしたいのですけれども、これは公共放送——このテレビの周波数の経済的な視聴という意味から見まして、やはり難聴地区を解消することは、これはやはり公共放送を中心にしなくちゃいかぬと思うのです。これも来春、民間放送テレビジョンの主なものはみな開設するわけです。これはまた民間放送のテレビのブースター、サテライトの周波数というものは相当問題があると思う。そういった場合に、やはり政府として、テレビジョン放送において、公兼放送をまず第一にやって、そうしてあまねく国民に見せるという、放送法の建前からいっても、政府は当然そうしなくちゃならないと思う。しかし、先ほど言ったように、民間の放送業者というものは、力が強くなってくると、政府をなめて、なかなか政治的な圧迫をして、合理的な周波数の配置というものができない、むずかしいのですね。ですから、こういう点は一つ、今のテレビジョンの将来の受信の困難な地域が相当出てくるのは当然のことなんです。こういう点についても、郵政省としては、いわゆる周波数のバンドの割当というものについては、そういう態度一つかっきりやって、きぜんたる態度をとってもらわねばいかぬと思うのです。これについては、何らきわめて粗野なものにしても、プランはまだお立てになっておらぬですか。
  60. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) NHKテレビジョン普及につきましては、仰せのごとく、放送法の精神が必ず実現するように最善の努力をしたいと考えております。これにつきまして、先ほどから御論議のテレビが見えないところですね、いわゆる難視区域の解消には、なるべく早く第二次のチャンネル・プランを策定しまして、これを実施したいという考えでございますし、同時に第二次のチャンネル・プランができませんでも、非常に必要を迫られていると判定せられるところには、順次これを免許する。そうしてこの精神で、全国あまねくテレビジョンが見えるようにするという精神に沿うようにしたいという考えでございます。ただ問題は、御指摘の通り民間放送がたくさんございますために、電波が足りませんで、その上にNHK教育放送を総合番組の局と併立して実行したいという希望を持っておるのに対して、これを満たすためには、とてもVHFだけでは波が足りませんので、どうしてもUHFを使う必要が出て参りまして、たとえばUHFを使うとしますならば、VHFとどういう組み合せによってやるのが最も適当であるか、日本放送として、テレビジョン放送政策上どうするのが一番いいかということにつきまして、目下検討中なのでございまして、それがある程度でさましたらば、第二次チャンネル・プランというものも発表できるものと考えております。それまでは必要欠くべからざると判定せられるところに順次置局計画を実施するようにしていきたい、かように考えております。
  61. 山田節男

    山田節男君 時間がたちましたので、端折ってやりますが、次に、NHK国際放送のことについて聞きたいのですが、三十三年度の予算では、従来よりも国際放送に対する国家の補助金が減っているわけですね。この点はNHKの財政においてカバーされていると思うのですが、現在の国際放送は、たしか私の知る限りでは、百キロとそれか五十キロで国際放送が実施されていると思うのです。これはヨーロッパ、北米、南米というような遠隔地域に対するものは百キロでおやりになっていると思うのですが、どうも今日のいわゆる国際放送の国際的なレベルからいうと、パワーは少し貧弱なのではないか。特にソビエト、北鮮、南鮮等の放送が、日本放送の混信の大きな源になっている。だから、もちろんこれは短波放送でおやりになっているんでしょうけれども、こういう出力の問題をもう少し大きくして、やはり適格な地域から明瞭な放送が外地へ到達するということが、これが一番重要なんじゃなかろうか、こういう点についてどうですか。国際放送技術面において、あなたが見られて、現在の百キロ、それから予備として近い方には五十キロ、短波放送これで目的を達しておるというようなことで満足してか。
  62. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) お説の通り、現在の百キロ・ワットの送信機自体だけでは、とうてい特にヨーロッパ関係には非常に困難でありまして、これはもちろん、電力が大きいだけで解決できる問題ではないので、やはり周波数自体を相当持たなければ、いろいろな周波数で出す必要もありますし、そういう点も考えますと、現在の百キロ・ワットという機械だけでは、これはもちろん工合が悪いと思います。よそではもっともっと大きなパワーのものを出しておるので、少くと三百キロ・ワットとか、そういうような大きなものの方向に進めていきたいと、こう考えております。同時に今お話しました通り、周波数の割当を相当もらって、自由に使うという方向でないと、なかなかもって世界各国に電波を十分行き渡らすということはできないと、とう考えております。
  63. 山田節男

    山田節男君 たしか三十三年度の予算で、国のNHKに対する国際放送の助成金が減額されたために、海外放送に対しては、従来やっておりた二周波の放送というものを、これを一つにしてしまって、そういう面で経費を節約するということ、このようなことを責任者が言っているんですね。それは非常に無責任だと思うんです。パワーが小さいということに、さらに国から助成金を減らされたために、同時に二周波、念のために確実を期するために二周波の放送、念には念を入れ、二周波は同時にやるのが、当然なんです。それを一周波でやりますというような、NHK責任者がここに来て明言されておるということは、国際放送という本質からいって、一文惜しみで、これは非常に損をしているのですね、こういう点どうですか。現実にあなたが責任者として、全部欧米、南米——欧米諸国の百キロ・ワット短波放送は一周波でやっているのか、あるいは従来のように同時に二周波の放送をやっておるのか、との現状、内情を一つお聞きしたいと思います。
  64. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) まだ現在のところは御承知通り二周波でやっておるわけですが、今のお話の通り、金の問題でどうにもしようがないということになりますと、まあ技術的な面だけでお話しますと、いわば非常に不安な点があるわけでございます。しかしながら、現在の周波数でもって、最もその地域に一番届きやすい周波数を選定することも容易なのですから、そういう周波数によって、たとえばヨーロッパの周波数にはこの周波数であれば大体届き得るだろうというその周波数を一つずつ使うという方法によってやるしか手がない、こう考えております。従って技術者として考えますと、もっともっと周波数並びに電力の大きいもので周波数をもっともっとたくさんもらってやりたいという希望があるわけなので、これは御承知通り、諸外国の海外放送をごらんになりますと、一国でもって一方向にたくさんの周波数で出しておるというような現状があるのですから、日本の海外放送もそういう点からいってもっと多くの金を出してもらってやるべきではないかと私は考えております。
  65. 山田節男

    山田節男君 もう一つ海外放送に関連して。海外放送のためにNHKとしては国際電信電話公社に送信料として億をこえる金を払って使用料を払っている。これをNHKで、国際放送に関する限り送信はNHKで直営にしたらどうか。これはアメリカではVOAはこれはやはり現在でもやっておりますが、ヨーロッパにもそういう傾向はあるわけです。BBCのごときはこれは直覚でやっている。これを純経済的に考える面と技術的に考える面と二つ私はあると思います。主として私は、あなたは技術局長だから、技術的な見解からの御意見を聞きたいのですが、今やっているNHK国際放送の送信というものが直営にした場合、もちろん、従来の送信施設を譲り受けて、改善してやるという方法もあるが、新規にやる場合、これは非常に今日電波の発信については技術的には現在の経理事務は私はおくれているのじゃないかと思いますが、そういう意味で新規にやるとすれば、NHKとしてはどのくらいの金が要るか、これは知りませんけれども、問題は、従来のように一つの経理部を通じてやった方がいいか、あるいは直営の方が結局においてはいいのかどうか、これはあなたの技術的な部門から考えて、放送技術の面から考えて、どういうふうにお考えになっておりますか。
  66. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) 今お話の通り、たとえてみますと、BBC、英国の放送協会なるものは、これは自分で自営してやっています。現在、国際電電の方へ送信機を置いていただいて、いわゆる保守から全部めんどうを見ていただくわけなんですが、いわゆる国内放送と同じように、いろいろなる点でコントロールしにくいという点があるわけなんです。たとえば保守の面、それから整備の面というような点で、自分のところの機械であれば、自分たちの命令系統のもとに十分保守、整備できるわけですが、そうはいかないというような点もありますし、まだ二、三そういうような機械自体を、技術的に機械を改善するということにつきましても、われわれの思うようにいかない場合もありますので、でき得れば自覚にしたいというのは、多年、前からのわれわれの希望なわけなんです。従って、まあ早い機会にそういう方向にわれわれとしては向いてほしいというように希望しております。
  67. 山田節男

    山田節男君 時間がありませんから、これで最後ですが、一つこれは郵政省に関連しておりますので、私時間を取りますが、御質問するのですが、過日、これはNHKばかりじゃありません。民間の放送に出演しているかなりポピュラーな芸人ですがね、どうもまあNHKでいえば、NHKのテレビあるいはラジオ放送、ドラマの放送の場合、どうしてもNHKでまあリハーサルをやるとか実際のフィルムをとる、録音をとるというのを終えると三時、四時になってしまう。ちょっと芸人としては、これはからだの限度にきているのですという、こういう実は言葉を聞いたわけです。これはきわめて評判のいい芸人でありますが、それはスターばかりではないのであります。ドラマをやれば、やはり十人とか二十人の人が要るのであります。その中には子供を使う場合がある。いわゆる従来やっておる深夜の十二時以降における番組製作というものは、大きな社会問題だと思います。これは芸人としてはいろいろなところに出てきたあとでやるということから、私はこういう慣例ができたのだろうと思います。これは外国におきましては、いわゆる労働基準法という——日本にもある。こういう芸人に対しても、これはやはり労働時間であります。演出者の側においても、十二時をこえてやるということは、法律じゃないのです、常識としてそういうようなことはしないのです。ところが、どうもNHK並びに民間放送実情を見ますと、よく調べてみるというと、そういう芸人がほとんどそれに悩んでおる。この深夜放送というものを、少くとも十二時以降にそういう録画をとる、あるいは練習をやる、リハーサルをやるというようなことも、早くこれは打ち切るべきものであると思います。そういう点、どうですかね。現在私、調べてみるというと、たとえばNHKラジオテレビジョンの、ことにドラマに関する録画あるいはリハーサルは、深夜十二時移行にわたるものがほとんど八〇%、もっと出るのではないかというように私は見ておるのですが、これは郵政省、ことに電波監理局長は、こういう社会的な面を今日まで非常におろそかにしておったのではないか。これは政府として当然これに対する対策を持たなければいかぬと思うのです。どうですか、技術局長、果してそういう事実があるのかどうか。これに対して、何か十二時にすべてのものを打ち切り、これに要する経費、それに携わる人間の健康あるいはこれに対する報酬、これは合理化としてはまっ先に着手すべきのでないかと思う。今日なおそういう状態があるということを見て私はびっくりしたのですが、この深夜の製作について、そうせざるを得ない事情があるのかどうか、この点を一つお聞きしたい。
  68. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) ただいまの御質問なんですが、一つは、いわゆる出演者の都合によりまして、深夜でないと、どうにも録音並びに録画ができないという問題と、もう一つは、いわゆる機械設備の不足といいますか、スタジオの不足というような問題によるものと、二つあると思います。結局、実際問題として、お話の通り、十二時過ぎてからの録音、録画というものは相当量ありまして、出演者はもちろんのこと、それに携わりますプロデューサー並びに技術者、それの健康問題ということは、非常にわれわれとしても憂えておるわけでありますが、その二つの問題で、あとの方のいわゆる機械設備並びにスタジオの整備という問題につきましては、われわれも鋭意努力し、次々にスタジオも作り、機械も作るという方法で、これはまあいわゆる財政面さえ解決すればある程度のことができるのではないかと、こう考えております。  ただ、前の方の出演者の都合による問題につきましては、いわゆる出演者自体の希望でもあり、また非常にいわゆるスターとなって売れっ子の人ほどそういう問題が起きてくるので、これらにつきましては、一種の社会問題として、何らかの方法でやっていただきたいと、こう考えるわけであります。しかし、技術面からいいますと、そういう後者の方の問題につきましては、大いに努力をして、早い機会にそういう十分な施設を備えるという方向に進んでいきたいと、こう考えております。
  69. 山田節男

    山田節男君 政府としては、こういったような問題に何ら関心を持たれておらないと思うのですが、これは今日の常識として、そういう一つの部面があるということを、もちろんこれは知っておられるのではないかと思うのです。これはやはり何らかの規制を加えるということが、社会福祉から言えば——売れっ子の役者、これは金もうけになるし、名前が売れるからいいかもしれぬが、しかし今日の通念から見て、そういうような部面にかような暗黒面があるということは、いかに特殊な放送事業であるといえども、これは私は黙視すべきではないと思う。歴史は夜作られるというけれども、放送番組の八〇%以上が深夜に作られるということ、これは一つの社会問題として、政府はよく調査されて、役者の都合であるとか、スタジオの都合であるとか、これは私は幾らでも合理化の方法はあると思うのです。今日共通し得るスタジオもあるのですから、そこらあたりは、政府が干渉するのではなくて、やはりそういったような合理化を奨励するという、これは放送技術上の非常に重要な社会問題だと思うのですね。だから、これは私は今日答弁を要求しませんけれども、こういう状態は、政府として何か下を打つ必要があるので、これに対して政府も力を貸してやるというだけの気持を持っていただきたいと思う。これは私は非常に悲しむべき放送事業の暗黒面だと思いますので、要望しておきます。これで終ります。
  70. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ほかに御発言がなければ、本日は、これにて散会いたします。    午後零時二十七分散会