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1959-03-24 第31回国会 参議院 地方行政委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十四日(火曜日)    午前十時五十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事            大沢 雄一君            占部 秀男君            鈴木  壽君    委員            郡  祐一君            西郷吉之助君            田中 啓一君            成田 一郎君            加瀬  完君            近藤 信一君   国務大臣    大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君    国 務 大 臣 青木  正君   政府委員    自治政務次官  黒金 泰美君    自治庁財政局長 奧野 誠亮君    自治庁税務局長 金丸 三郎君    大蔵省主計局長 石原 周夫君    大蔵省主税局長 原  純夫君    大蔵省理財局長 正示啓次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方交付税法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○地方税法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方行政の改革に関する調査の件  (昭和三十四年度地方財政計画に関  する件)   —————————————
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) これから委員会を開きます。  地方交付税法の一部を改正する法律案地方税法等の一部を改正する法律案地方税法の一部を改正する法律案昭和三十四年度地方財政計画に関する件、以上四件を一括して議題といたします。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 占部秀男

    占部秀男君 地方税法の問題で、一点だけお伺いをしたいと思うのですが、実は大臣には、この前も予算委員会のときにちょっとお伺いをしたんですけれども、三十五年度の市町村住民税の穴の問題ですが、たしか百十億余りの問題があったと思うのですが、この点については、同僚の鈴木議員も、この前質問をしたんですけれども自治庁のこれに対する措置についての考え方がどうもはっきりしないように思われてならないのですが、再三、しつこいようですけれども、この点についてお尋ねをしたいと思います。これは、見方は、いろいろな立場はあると思うんですけれども、いずれにしても、国の施策に基いて、地方がしたくないというように考えても、必然的に起ってくる税の改正、その改正影響を受けての地方税収減収ということになるので、根本的な立場からいって、やはり政府が、この減収分について、いずれかの形で、地方に対しては影響のないように、何らかの措置をしなければならないということは、これは当然であると思うんですが、この点について、大臣のお考えはいかがですか。
  4. 青木正

    国務大臣青木正君) 基本的な考え方は、全く同感であります。そこで、御承知のように、この補てん財源として、たばこ消費税をやるべきじゃないかということが自治体等から出ておりますばかりでなく、私どももそういう考え方に立ちまして、できることならば、今回の改正に当りまして、それを織り込みたいという強い熱意を持っておったわけであります。しかし、大蔵省側との折衝の段階におきまして、その結論まで行かなかったので、今回譲ったわけであります。しかし、われわれは、現在も、なおその方針は変えておりません。ただしかし、この問題を取り上げるということになりますと、同時に、御承知のように、例の富裕団体財源もいろいろ問題になりますし、それから、東京都の税財源問題等も出て参りますので、そういう問題とからませられてくると、かえって問題が非常にこんがらかりますので、一応、今回の法律改正に入れることは、私ども譲ったのであります。しかし、基本的には一つも変えていないのであります。御指摘のように、私どもは、国の方針によって減税国税に行われ、その影響として住民税減収が及ぶということは、当然国として考えなければならぬ問題である。しこうしてそれに見合う財源としては、最もたばこ消費税がいいんじゃないかという考え方に立って、終始一貫大蔵省側とも折衝いたしておるわけであります。三十五年度の財政計画を立てるに当りましては、どうしてもそういう方向で行きたい、こういう基本的な考え方を持っておるわけであります。
  5. 占部秀男

    占部秀男君 ただいま大臣から、まあ私の知り得る限りでは、ある程度具体的な考え方委員会では聞いたわけでありまして、やや具体的に一歩前進したという形になるので、その限りでは非常にけっこうだと思うのですが、ただ、今大臣も触れましたように、問題は、財源ワクの問題が大事になってくると思うのであります。まあ富裕団体というようなことをよく大蔵省等で言っておりますけれども、現在の地方財政現状から見て、そう富裕で、金のあり余ったというようなところはほとんどないのじゃないかと私たち考えておるわけです。そこで、この問題を処理する場合にも、何か、同じ都道府県あるいは市町村、こういうような同じ地方団体ワクの中で財源配分というようなことが行われるような形では、これはとうてい納得できないことであって、この点は、大臣も言われた通りだと思うのですが、やはり穴埋めには穴埋めらしいはっきりした方向でこの点をやっていただかないと、問題がまたあとあと起ると思うのです。特に私たち心配しておることは、あとでまた御質問したいと思うのですが、今度の地方財政計画自体が、県や市の場合、それぞれの地方の場合には、相当無理が来るというふうに私たちは見ておるのです。そこへもってきて、三十五年度に、さらにその財源措置の仕方が何か共食い的な形になってしまったのでは、これはもうどうにもならぬ形に再び——せっかく再建法で立ち直りかかったと言われておるところが、また逆の方向に向っていくのじゃないか、こういうこともわれわれとしては考えられるのです。そういう点についてのあり方といいますか、内容的な、大綱的な方向について、さらに一つ確言していただきたいと思うわけであります。しつこいようですが、一つお願いしたいと思います。
  6. 青木正

    国務大臣青木正君) 各団体財源の付与をする場合に、お話のように、各団体間の不均衡の是正の問題も出てくるわけであります。財源が一方に偏在する、その結果一方だけに非常に有利になって、せっかく新しい財源を与えても、後進地域と申しますか、貧弱団体の方にその恩典が行かぬということになりましては、これは何の意味もなさぬわけであります。なおまた、私は、こういう考えを持っておるのでありますが、まあ財源富裕団体の方に片寄らぬようにするということも必要でありますが、不均衡を是正する場合に、富裕団体の方を下へ下げる、下げて均衡を保つという考え方は、私は、方向としては間違いじゃないか。そうでなくて、富裕団体の方を下げるという考え方じゃなくて、貧弱団体の方へ新しく付与して、そうして下を上げていく。上を下げるのじゃなくして、下を上げるという基本的な考え方に当然立つべきではないか。お話のように、なるほど東京なりその他、いわゆる富裕団体といわれる団体は、他の団体に比べて確かに豊かであるかもしれません。しかし、だからといって、これがもう余分な財源であるというわけではないのでありまして、むしろ富裕団体並み貧弱団体を上げていくという方向に行くべきじゃないか。こういう考え方を私どもは持っておるのであります。従いまして、明年度財政計画を立てるに当りまして、大蔵省その他の一部におきまして、たばこ税人口配分にするというようなことが問題になったことは御承知通りであります。あの考え方は、言うまでもなく、上の方を低くして下へ持っていく、こういう考え方であったわけですが、私は、少くとも今の税収というものを減らすというあり方は一体どうかと、新しく付与する場合に、むしろ貧弱団体の方に付与するという考え方をとって、そうして下を上げるというような方向へ行くべきではないか、そういう基本的な考え方に立っておるわけであります。しこうして三十五年度の場合にどうするかという問題になりますと、まだ大蔵省側と具体的に詰めて折衝いたしておるわけではないのであります。ただしかし、私ども考え方だけは、いろいろな機会に大蔵省側に強く主張もし、要望もしておるのであります。しかし、大蔵省側とすれば、明年度自然増収や何かのこともはっきりせぬ現在、これは無理じゃないかというような御意向もあるようでありますし、また、国と地方との財源配分問題等もありますので、この段階ではきめかねるという大蔵省側の気持もわかるわけであります。そこで、今回は決定を持ち越したのでありますが、私どもは、先ほど申し上げましたように、基本的な考え方としては、国税減税に伴うはね返りは当然財源を付与すべきだ。しこうしてその付与する場合に当りましては、私どもは、富裕団体の方を下げて潤すという考えでなくして、貧弱団体の方を上げるという方向で解決したい、こう考えております。
  7. 加瀬完

    加瀬完君 昨年の委員会でも道路関係法案の折に問題になったのでありますが、道路整備五ヵ年計画が一応はっきりしてきたわけであります。そうすると、その事業費と、それに伴う地方負担というものが当然生じてくるわけでありますが、その地方負担分あるいは道路整備五ヵ年計画に伴う地方そのもの計画というものが進んで参りますと、一体これに裏付けられるところの財政計画というものが確立されておるかどうかという点で、私ども非常に疑問に思うわけであります。たとえば、交付公債で一部まかなったり、あるいは全部地方持ち出し分というような形で出てくる面もあると思う。今、来年度の住民税のことが問題として出されておるようであります。あるいはまた、来年度以降の財政計画と見合う財源というものがあるかどうかということも問題になってきたようでありますが、そういう点から見通しまして、この道路五ヵ年計画に伴う交付公債あるいはこの持ち出し分というものが、また新しい赤字原因を作るのじゃないか、こういう心配地方の一部にあると思うのです。この点は、自治庁としてはどういうお考えに立っておられるのですか。
  8. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 総額を一兆円といたします道路整備五ヵ年計画による地方負担が、三千三百七十四億円と概計いたしておるわけであります。その内容は、国庫補助公共事業に伴います地方負担額が一千九十億円、単独事業が千九百億円、直轄事業地方団体分担額が三百八十四億円でございます。この三百八十四億円は、現在の制度でありますと、さしあたり借金証文を渡しておくだけでございますので、直ちに財源措置をするという必要はないかもしれません。しかし、今も御指摘のございましたように、将来返さなければならない金でございますので、一応必要な金ということで、これの総額計算に入れますと、三千三百七十四億円になるわけであります。これに対しまして、特定財源として予定されておりますのが、地方道路譲与税で八百三十九億円、軽油引取税で七百四十三億円、都市計画税の一部、三割程度のものを見込んでおるものがありますが、百九十億円、三つ合せますと千七百七十二億円で、先ほど申し上げました地方負担額から差っ引きますと、千六百二億円だけ別途に財源措置をしなければならないということになるわけでございます。現在の交付税計算道路関係いたします基準財政需要額をそのまま据え置いていくと仮定いたしますと、千五百七十三億円になるのでございます。そうしますと、千六百二億円の不足額に対しまして、基準財政需要額などの関係で千五百七十三億円見ておるわけでございますので、差額が二十九億円と、こういうことになるわけで、御承知のように、基準財政収入額計算方式標準税収入の七割ないし八割でございますので、この程度不足が出ることは、これは当然他の一般財源で充足される、こう考えてよろしいのではないかと、かように考えております。ただ、軽油引取税につきましては修正問題が起っておりますので、もし修正ということになりますと、将来においてそういう問題をどう補てんするか、一緒に考えていかなければならないということになろうかと思います。
  9. 加瀬完

    加瀬完君 私の調査によりますと、若干その後修正されておるので、食い違いがあるかも存じませんが、一級国道と二級国道改良並びに舗装の総キロ数は八千四百十キロ。主要地方道改良並びに舗装は三千二百キロ、主要地方道以外の都道府県道改築は二千五百十キロ、こういう数字になっておるわけでございますが、これで舗装関係だけを取り上げてみましても、一級国道は五ヵ年計画で五〇%舗装が完了するわけです。二級国道が一四%、都道府県道舗装というものは、この計算でいくと、総キロ数の二%しか舗装されない。都道府県道が二%しか舗装されないで、一級国道、二級国道がほとんど舗装されるような形になっておるわけです。しかし、その負担額というものは三千三百七十四億円ですか、これは、負担のパーセントというものは非常に高い。これだけ地方負担をしておいて、地方自体道路というものは二%ぐらいしか舗装できない。こういうことでは、まるで一級国道、二級国道の完成のために地方負担分が非常に大きな幅を持つ。一級国道、二級国道のために、大部分地方道路費用というものの負担が向けられてくるということになると、二%舗装されるけれどもあとの残ったところの主要地方道あるいは主要地方道に準ずるような地方にとっての主要道路というものは、ほとんど今度は経費がかけられない。こういう現象が当然起ってくるのじゃないか。今までのたとえば千五百七十三億という道路費用に見合うところの交付税分というものは、これによって少くも、一級国道や二級国道の分じゃなくて、地方主要道路というものに千五百七十三億、それから地方持ち出し分である程度改築をしておった。ところが、その大部分というものを全部この道路五ヵ年計画につぎ込むということになれば、道路五カ年計画対象になる道路地方にとっては非常に少い。大部分あとの残された道路というものは、どこから金を出して改築していくのか。五ヵ年計画というものは、地方道路を主にして行わない限り、五ヵ年計画を進められることによって、かえって地方負担が大きくなるけれども地方道路そのものは取り残されてくる。そうすると、住民は当然不平が出てくる。自分の目の前の道路がよくならない。こういう結果になった場合に、この財政計画そのものでは、住民が主として使うところの地方道路というものの財源をどこから捻出するのか。この計画というものが、どうも私たちには明確になっておらない。結論を言うならば、五ヵ年計画に全部地方交付税の分までもつぎ足してしまったら、一体地方でやる道路費用というものはどういう計画から生み出すのか。そういう財政計画が行われておらないじゃないか。こういう心配がある。この点について……。
  10. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今お話になりました道路整備計画は、総額一兆円のうちの八千百億円に当る分だと、こう思います。そのほかに、単独事業千九百億円があるわけでありまして、これは、先ほどのお話のほかでございます。従来も、単独でいろいろな仕事をやって参ったわけでありまして、それをなお若干増額して地方団体がいろいろな仕事を進めていくということを期待したのが一兆円の数字でございます。それをさらに緊急に整備するということになって参りますと、どうしても一級国道等に重点を置いていくのが筋合いじゃなかろうかと、こう思っておるわけであります。地方単独でやらなければならない点について御心配をいただくことはありがたいわけでありますが、その点については、従来以上に財源を確保していくということでございまして、先ほどの数字は、今申し上げましたように、これとは別に、国が直轄でやりましたり、補助金を出してやりましたりする仕事数字と思っております。
  11. 加瀬完

    加瀬完君 これは、道路整備五ヵ年計画ですか、この中には、一級国道、二級国道あるいは主要都道府県道あるいは主要地方道以外の市町村道といったようなものが対象になって、全部織り込んでいるわけでしょう。そのほか今まで従来通り単独でやるのがあるとしたところで、財源そのものは……今までは、単独でやる事業にある程度財源というものを集中しても、実際は進まなかった。特に再建団体などは、道路が非常にこわれていても、目の前にこわれている道路を修理する費用すら事欠いておった。こういう状態にあるときに、今度新しくまた地方負担を持ち出して、そこに五ヵ年計画対象を推進していかなければならないとしたならば、どうしても財源バランスが合わなくなるのではないか。現状においてすらできないものを、それが新しい五ヵ年計画というものを主体にして進めたときには、どうしてもこの五ヵ年計画に取り残される地方道路単独事業で進めることは不可能じゃないか、こういう心配がある。この点はどうですか。
  12. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 単独分を千九百億確保いたしまして、先ほど申し上げましたような財源状況になっておるわけであります。道路費に対しまする財源は、特定財源基準財政収入額とで大体充足できるのだということになりますと、かなり道路には重点的な財源措置をしていくことができるということになろうかと思うのであります。  先ほども申し上げましたように、交付税計算基準財政収入額については標準税収入の七割ないし八割という計算方式をとっております以上、特定財源基準財政収入額でおおむねまかなえるということは、かなりこの道路財源措置がその県市についてなされていると言って差しつかえないと思っております。
  13. 加瀬完

    加瀬完君 それでは、あらためて伺い直しますが、現状では、特に再建団体等道路整備計画というものはほとんどストップの形になっている。ストップの形になっていると言うのが言い過ぎであれば、進捗は遅々たるものであるということは、私は、自治庁ですらも認めざるを得ないと思う。  そこで、今度、それじゃ地方財政計画立場から内容を御説明いただくとすれば、政府考え道路整備五ヵ年計画とは別に、都道府県市町村単独事業道路計画が進められるような財源が、三十三年度の財政計画に比べて幾ら一体新しく盛られているのか。その点を御説明いただきます。
  14. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 三十三年度と三十四年度の比較について申し上げますと、単独分地方負担額は、三十三年度の三百二十八億、三十四年度の三百五十二億、差額二十四億円、これだけの増加を予定しているわけでございます。地方負担全額では、百二億円の増加を予定いたしております。そのうち単独分が、今申し上げたように、二十四億円ということになります。
  15. 加瀬完

    加瀬完君 それでは、道路五ヵ年計画のために新しく三十三年度よりも三十四年度で地方で持ち出す分は幾らになりますか。
  16. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今申し上げましたように、三十三年度と四年度とを比較いたしました場合に、地方負担額が百二億円でございますが、その内容を申し上げますと、国庫補助を伴います公共事業の分で五十五億円、単独分で二十四億円、直轄事業に伴います地方負担分で二十三億円ということになります。
  17. 加瀬完

    加瀬完君 もう一度伺いますが、三十三年度分に対して三十四年度分の道路五ヵ年計画が進むために地方負担しなければならない額の増加は、一体幾らか。
  18. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) それは、今申し上げました、百二億円という数字でございます。
  19. 加瀬完

    加瀬完君 結局、単独事業分は三十四年度は二十四億しかふえない。持ち出し分は百二億ふえる。これで、単独事業も五ヵ年計画に続いて、同じような速度で単独事業が進捗するということには私はならないと思う。  それから、今御説明の中にも触れましたように、公共事業というのは非常に増加される。この公共事業に伴う負担額というのは、また地方にかぶさってくる。そうなってくると、地方は、昭和二十九年以前に、やはり公共事業拡大一つ赤字原因になっている府県もあるように、また、この公共事業計画道路五ヵ年計画というものが一つ原因になって、もう一回赤字が漸増するというふうな方向をたどらざるを得ないということになるのか。そういうことが私どもとしては、非常に心配一つなんです。公共事業費拡大を含めて、一体地方負担の増大というのがまた赤字原因にならないかどうか。この点いかがですか。
  20. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 前段の問題は、公共のために単独が圧迫されているというふうに伺ったのでございます。一兆円の計画のうちで単独事業の占めておりますのは千九百億円でございますから、大体二割程度でございます。三十四年度と三十三年度と比較いたしました場合に、地方負担の分が百二億円でございますが、そのうちの単独分の増が二十四億円でございますから、二割強に当っているわけであります。従いまして、特に単独が圧迫されているというふうには見ないでよろしいんじゃないか、こう思っております。  なお、将来の赤字原因になりはしないかという御心配をいただいておるわけでございますが、特定財源増加状況を申し上げますと、三十三年度、三十四年度の比較でありますが、道路譲与税で十四億円、軽油引取税で六十六億円、都市計画で九億円、合計いたしまして八十九億円と、こういう数字になっているわけでございます。直轄事業地方負担額二十三億円の増加分は、さしあたりは交付公債になりますので、今直ちに財源措置をする必要はないということになろうかと思いますので、まず八十九億円の特定財源増加が得られますならば、このことが赤字原因になるとは言えないんじゃないかと、こういうふうに私ども思っておるわけであります。
  21. 加瀬完

    加瀬完君 道路五ヵ年計画が九千億のワクで最初考えられましたときにも、地方負担分というものがついて回る限りにおいては、これは、地方にとりましては、一つ財政負担を重ねることになるんじゃないかということがやはりこの委員会でも非常に問題になったと私は記憶をいたしております。それが一兆円にふえてきたわけでありますから、当然その心配は増大されたと私は考えなければならない。特に地方制度調査会なんかでも、交付公債処理と跡始末というものが答申の中にも出ていると思う。交付公債というのも、現状交付公債においてすら非常に問題があると言われておりますときに、またその問題の交付公債というもので財源補てんをしていくということは、これは、赤字負担心配があるんじゃないかといわれる交付公債にまた心配を重ねるようなものだ。むしろ交付公債一体処理をどうするかということを先に打ち出さなければならない現状じゃないかと思う。それには触れないでおいて、財源補てんをまた交付公債考えていくというのは、私は、どうも国の計画そのもの地方負担バランスを合せていくという、ちょっと国としては、無計画といいますか、無責任なやり方じゃないかと考えられる。自治庁は、この前も次官もおいでになりまして、道路五ヵ年計画というものが地方負担寄せされるということを非常に心配されて、いろいろ大蔵省関係あるいは建設省関係も来ていただきまして、問題を審議したわけであります。そのとき自治庁の御主張というものは、やっぱり地方負担にかけられてくる心配というものが非常にあったというふうに私どもは判断をいたしているわけでございますが、どうも交付公債というもので一部まかなっていくということには、非常に私は心配が残るのであります。交付公債は将来どうしようというお考えか。それを伺いませんというと、交付公債の分だけまた背負っていくというのでは大へんでございますから。これは一つ長官伺います。
  22. 青木正

    国務大臣青木正君) 道路五ヵ年計画に伴う地方負担の問題でありますが、これは、奥野局長から御説明申し上げましたように、一応軽油引取税なりあるいはまた揮発油税に伴う地方道路譲与税でありますか、こういうことで計画を立てておるのであります。ただしかし、お話のように、交付公債の問題をどうするか、これは、そもそも事の起りがああいう変則的なあり方で出て参ったのでありまして、もう今日になりましては、当然交付公債制度というものは再検討を加え、本来あるべき姿に直さなければならないことは、これは言うまでもないのであります。私ども自治庁といたしましては、三十四年度の予算編成に当りまして、この機会に交付公債制度というものを根本的に改めたいという考え方で、大蔵省とも強く折衝いたしたのであります。しかし、まあ私たちの微力の結果と申しますか、われわれの力足らずして今回解決できなかったのでありますが、なぜ一体解決できなかったかと申しますと、御承知のように、減税問題に関連いたしまして、交付公債問題まで一挙に解決することは今回困難だったわけでありますし、私どもは、交付公債というものはお話のように変則的なあり方であり、しかも、これが将来の地方の非常に大きな負担になってくる問題であります。そういうことから考えまして、交付公債制度というものは、どうしてもできるだけ早い機会に根本的にこれを直したい、こういう考え方に立っておるんでありまして自治庁は力が弱いじゃないかというおしかりを受けると思うのでありますが、少くとも明三十五年度の予算編成に当りましては、交付公債問題をぜひとも解決したい、こういう方針で進んでいるのであります。大蔵省側に対しましても、その私たち考え方は再三再四強く申し入れいたしております。交付公債制度をぜひとも一つ根本的に解決いたしたいと、かように考えておるわけであります。
  23. 加瀬完

    加瀬完君 道路五ヵ年計画財源でありますが、ガソリン税なり軽油引取税なりというものを一応対象考えているわけでありますけれども、衆議院の段階におきましては、すでに、ガソリン税にしても軽油引取税にいたしましても、政府考えたような税額を確保するというわけにはいかないのじゃないかという現実が出ていると思うのであります。こうなって参りますと、財源そのものが狂ってくる。そうすると、今言ったような財源そのものが豊富になってくれば、交付公債の問題なんかも、少くも道路関係する交付公債の問題は、財源が確保されたからというので、あとで始末がつくとしても、むしろ交付公債でまかなう部面は、このままでいくと、ふえてくるという心配があるから、こういう点、一体自治庁としてどう考えているか、伺いたいと思います。  もう一つは、道路五ヵ年計画で、地方負担分というのはどれくらいの率になっていますか。額はわかります。三千三百七十四億円。一体国の出した分に対しまして、あるいは総額に対しまして、負担率は幾らになりますか。
  24. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) お話のように、衆議院の段階において、軽油引取税の税率引き上げについての修正を受けているわけであります。その限りにおきまして、政府が予定しておりました道路に対しまする特定財源に穴があいてくるということになってしまうのであります。しかし、別途一兆円の道路整備計画というものが閣議決定されておることでもございますので、どうしてもこの計画は遂行しなければならない、かように考えておるわけであります。そうしますと、五ヵ年間にわたりましてその計画ができますように、もし軽油引取税なり道路譲与税なりについて相当の伸びが期待できないというようなことになりました場合は、全体の財源の中でそれが確保できますように、必要な措置をとって参らなければならないのではないか、こう思っておるわけであります。また、一兆円の年次計画が定められておりませんので、年次計画の定められるに当りましては、今後の特定財源の点をも頭に置いて定められてこなければならない、かように考えておるわけであります。  なお、地方負担額が国の支出に対してどれくらいになっているかということでごさいましたが、先ほど申しました数字から御了解いただきますように、大体四分の一程度のものを地方負担する。再建団体におきますかさ上げ補助の問題がございます。その問題も国の負担分によりますと、一八%くらいに地方負担はなります。
  25. 加瀬完

    加瀬完君 それは、国の事業に対しまして負担分は二〇%なり一八%でありましょうけれども、それに伴い当然純粋に持ち出さなければならない分が、五ヵ年計画に伴う持ち出さなければならない分がありますね。一級国道とか二級国道といったようなものは、二〇%の負担額ということになりましょうけれども、あるいは一八%の負担顧になりましょうけれども都道府県道直轄してやる場合には、五ヵ年計画に伴い都道府県道をやる場合には、持ち出し分はもっと多くなる。合計しますと、これは一八%や二〇%にはとどまらないと思いますが、その点はどうですか。
  26. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) もし国庫負担の基本額に違いがあって、基本額以外の負担をしているのだという御質問の御趣旨であるといたしますなら、道路については、そういう問題はそれほどないのじゃないかという感じを持っておるわけであります。特に直轄事業につきましては、これは精算的に地方負担がきまってくるわけでありますので、まずないと、かように存じておるわけであります。また、御趣旨が単独事業を含めて五ヵ年計画全体の地方負担が何割になるかということになりますと、一兆円に対しまして、地方負担単独分を含めて三千三百七十四億円でございますから、三三%ということになるわけでございます。先ほど申しましたのは、直轄事業並びに補助事業に伴います地方負担率を申し上げたのであります。
  27. 加瀬完

    加瀬完君 これは、五ヵ年計画というのが一応でき上っているわけでありますから、こういう質問をするのは当を得ないかもしれませんけれども自治庁としては、むしろ一級国道、二級国道国道を主体とする道路計画よりは、地方道の道路計画というものを主体に考えなければ、私は、現状道路政策としては、はなはだ地方住民にとりましては妥当な方法とは言われないと思う。むしろひどいのは都道府県道なり市町村道なりの方で、特に都道府県道なんか非常にひどい。自動車なんか、無制限に重量のあるいは容積の大きいものができてくる。それに耐久力のあるような府県道というものは数少いわけでありますから、こわれるままに放置されているというような形で、これを修理するのは容易な金ではない。ところが、都道府県道に対するところの特別な何ヵ年計画なり、あるいはまた改修計画なんというものは、具体的には財政的には今まで措置されてきておらなかった。しかも、戦争の十年間の期間というものは、ほとんど道路の整備というものは、特殊な軍用道路は別として、放置されておった状態である。それと、新しい自動車なんかの規模の拡大で、道路が非常に負担過重にあえいでいる。これを解決するような財政計画というものが、むしろ地方にとりましては、私は必要じゃないかと思う。しかし、今度の五ヵ年計画を見ましても、そういう地方道というものを主体とする道路計画というものはさっぱり進められておらない。こういう点を大臣はどのようにお考えになっておられますか。
  28. 青木正

    国務大臣青木正君) 地方公共団体立場に立って考えれば、確かにその通りと存じます。お話のように、府県道なり市町村道なりの現在の状況は、非常に劣悪な状態になっているのでありまして、たとえば、舗装のパーセンテージも、府県道が五%でありますか、六%でありますか、市町村道はわずかに二%程度ということでありますので、当然府県道、市町村道、こういうものに重点を置いて直していかなければならぬということは、地方公共団体立場からすれば、まつ先に考えるべきものだと思うのであります。しかし、国全体の立場からいたしますと、やはり国道、あるいはまた主要地方道というものの改修を必要とする程度も、まことに外国等に比べまして劣っておりますので、やはり国全体として考える場合は、国道、それから主要地方道、そうしてさらに府県道、市町村道、こういうふうにやらざるを得ないのじゃないかと、こう考えるのであります。公共団体立場からすれば確かにそうなんでありますが、国全体として考える場合は、まず一つ国道からというふうな政策をとらざるを得ないのじゃないか、かように考えているのであります。だからといって、市町村道を等閑に付すべきではないのでありますが、しかし、国の政策としては、一応そう考えざるを得ないのではないかと思うのであります。
  29. 加瀬完

    加瀬完君 それはわかるのです。繰り返すようで恐縮ですけれども、それはわかるのですけれども都道府県といえばいろいろ団体があるにしても、一般的に国の財政というものと地方の財政というものを比べれば、都道府県の財政というものの方がはるかに貧困の度が強い。貧困にあえいでいるという状態の団体が多い。財源的には国の方がはるかに豊富なんです。国が当然やるべき道路計画に対して交付公債というふうな方法までとらせて、地方負担をさせるということが一体当を得ているかどうか。交付公債というものを許すなら、むしろ単独事業都道府県が直接にやらなければならない道路整備に対して交付公債を許すというなら、まだ話はわかる。国の負担分まで合せて、それを交付公債で背負わせるというようなやり方が果して一体当を得ているかどうか。交付公債を将来解決するといったって、現状においては解決されておらない。どうしてもこれは結局地方団体負担分として残ります。これでは、せっかく昭和二十九年以来再建整備のああいう強力な法律まで作って、赤字解消をやってきても、国の方の法律でまた赤字原因を作るようなものを新しく地方に下してしまっては、首尾一貫しないじゃないか。そういう疑問を私は持たないわけにはいかないのであります。この点、もう一度明確にお答えいただきたい。
  30. 青木正

    国務大臣青木正君) 交付公債制度につきましては、全く私どもも同じ考えであります。はっきりと地方債を認めてやるということなら、これも一つの方法でありましょうが、交付公債というようなあり方で、そうして将来に地方負担を残すという考え方は、私どもも、地方自治の立場から、公共団体立場から見まして、これはまことに変則として一時はやむを得なかったといたしましても、長くそういう制度を存続すべきものではないと、かように考えておるのであります。ただしかし、そういう考え方だけで、明年度その実現を見なかったことは何にもならぬじゃないかという御指摘でありますが、私どももさように考えておるのであります。できることならば、明年度から解決いたしたい、こういう考え方であったのでありますが、なかなかそこまで参らなかったのであります。しかし、基本的には、お話のように、交付公債によってまかなうべきものでないと、こういう考えでおりますので、できるだけ早い機会にこの制度を根本的に改正して、本来あるべき姿に持っていきたい、かように考えております。
  31. 加瀬完

    加瀬完君 それから、公共事業費が、先ほど質問申しましたところで、非常に拡大された。この公共事業費地方財政にいろいろの影響を与えてくると思うのです。公共事業費拡大がまた地方事業量の増大を伴って、それがまた地方赤字原因となるというふうなことはないのか。公共事業費をこんなに拡大して、この拡大された公共事業費を全部地方で消化できるような地方に対する財源措置というのが行われておるのかどうか、この点。
  32. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 三十四年度の地方財政計画の中では、公共事業費拡大に伴いまする地方負担額も全部織り込んでおるわけでございます。一応全体としては消化ができるという見通しに立っておるわけでございます。ただ、個々の団体にとりましては、単独事業について相当大きな規模のものも予定しておるから、公共事業費でそう吸収できないというふうな所も出てくるのではないかという心配を持っておるわけであります。そういう場合におきましては、国といたしましても、公共事業費の割り振りについて考え直しをしなければならないというような事情は起ってくるかもしれません。現在としては危惧でございますけれども、そういうような点もあわせて考慮いたしますと、国の計画いたしております分量は吸収できる、こういうように私たちは推定をいたしておるわけであります。
  33. 加瀬完

    加瀬完君 これは三十四年度の財政計画に盛られておることはわかりましたよ。しかし、これだけの大きな公共事業費地方に放出されるとするならば、三十四年度で、単年度で完成するということには私はならないと思うのです。三十五年度以降引き続いて工事が続行されるというような事業が出てくる。そのときに、三十五年、三十六年と、地方負担が重なってこないという一体裏づけが立つか。大体二十八年の災害に伴う公共事業拡大に伴って二十九年以降赤字が出たのも、これは、単年度としては、財政計画上は処理できたような形になっておりましても、あとで、その公共事業がもとになりまして、持ち出し分が多くなってきて、赤字が出てきた。こういうような事例もあるわけでありますので、ことしのこれだけの公共事業費の放出というものが地方の放漫な投資計画というものになって、それが締めくくりのつかないようなまたもとを作らないか、こういう心配をするわけですが、どうですか。来年以降も、公共事業費をこんな大きな幅で続けて政府計画するということは考えられません。そういうときに、今年の計画そのものを全部また地方が来年以降に背負うということに私はなりかねないと思う。
  34. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今度の公共事業の増大の中で一番大きいのは道路分でございます。これは、御指摘のように、今年だけの問題でございませんで、来年以降にわたって、しかし計画的に進められて参るわけでございますので、これがためにどうこうという心配はないのじゃないかと、こう思っております。  なお、災害の関係の経費も相当増加しておるわけでございます。これは災害の分でございますので、来年以降どういうふうになるかということは、今予測できないわけでございますが、とにかく昨年の災害の影響を受けておる。従ってだんだんこの分は縮小されていく、こういうふうに思っておるわけでございます。なおまた、今度は、すし詰め難生いうふうな関係から、かなり文教施設の整備に努めているわけであります。これは、地方といたしましてもやはりやりたいことでございますので、国が取り上げてくれた方が地方財政の今後の推移にとっては仕合せだということも相当あるのじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。  一たん広げました事業分量を簡単に狭められないという御意見、全く私も同じように思うのでございますが、道路で特に多くなっているという問題、あるいは災害の影響を受けているという問題、あるいは公立文教施設を国が多く取り上げた、そういうことを考えてみますと、あながち将来の地方財政が特にそれほど心配にならないのじゃないか、こう思っておるわけでございます。
  35. 加瀬完

    加瀬完君 それは、地方団体がこの公共事業費全部を使い切るわけにはいくまいというので、ブレーキをかけていくなら、赤字心配はないと思うのです。また、ブレーキをかけざるを得ないような状態に置かれておると思う。たとえば、今御指摘のありました文教施設の費用にいたしましても、いわゆる危険校舎と目せられるものは、文部省の算定ですと、百四十六万坪ですね。それで、昭和三十四年は二十八万坪を解消していこうという計画ですね。ところが、二十八万坪をもろに今年解消をしたとしても、昨年度までに当然救済しなければならないはずの危険校舎が据え置かれているものがございます。昨年の計画でも、文部省が大蔵省に要求したものと大蔵省が査定したものと、二十万坪の差がある。そういうことになってきますと、二十八万坪という計画があっても、二十八万坪そのままやれません。だんだんとこれは残らざるを得ないような形になっておる。去年の二十万坪と今年の八万坪を合せただけで、やはり今年の二十八万坪というものを来年に持ち越さなければならない計画ということに今までの関係ではなってくる。そうすると、公共事業費そのものをフルに使えない。それだけの補助対象というものは考えていない。使ってきたら、これは純然たる持ち出し分というものはふえてくる。こういう形にならざるを得ないと思う。災害の分は、これは十分消化できるからいいが、災害分以外の事業費の膨張を消化していったら、公共事業費など、特にそれに対する補助というものがあるわけですから、補助されなくても公共事業費だけでやってくれ、こういう形になったら、地方負担というものは、これは計画より増大することもある。公共事業費をフルに使って、私は、地方が持ち出す分がふえて、赤字原因とまでいかなくても、非常に財政計画そのものが狂ってくる、そういう危険性が多分にあると思うのですが、大丈夫でしょうか。
  36. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 文部省の責任においてすし詰め教室の五ヵ年計画を立てておられまして、その五ヵ年計画が完全に遂行できますように、国庫予算、地方財政計画、両面でやっております。従いまして私たちは、文部省の計画には偽わりはないものと、こういうふうに現在考えておるわけでございます。国庫予算を伴います補助事業分と、御承知のように、補助金を伴いません単独事業分と、両方あるわけでございまして、全体の計画の中で七割を補助事業、三割を単独事業、こういうことで措置いたして参ってきたわけでございます。従いまして、両方合せて考えていただきますならば、従来から考えますと、金額的にも相当な増額になっているわけでございますので、御指摘のように、あとからあとからこの問題が起ってくるのじゃないかということより一歩前進したことになるのじゃないか。解消計画にやはり踏み切ったことになるのじゃなかろうか。こういうふうに私たち考えております。
  37. 加瀬完

    加瀬完君 これは、自治庁にお伺いするのは筋違いかもしれませんが、一体危険校舎の対象になったとして単価は去年と比べて上りましたか。
  38. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 補助金の問題といたしますならば、木造建築と、それから鉄筋鉄骨の建築のものとの割合を、鉄筋鉄骨のものにふやしておるわけでありますから、総平均においては上っておるわけです。ただ、木造の単価なり鉄筋鉄骨の単価なりは動いていないわけであります。
  39. 加瀬完

    加瀬完君 木造の単価は二万六千円だと思うのです。これが平均三万円かかるとして、これは二万六千円と押えている。単価のところで四千円なり五千円なりの不足分というものが出るわけです。坪数にしても、今まで対象になるところは幸いなんで、対象になったところでも、三百坪の不足数に対しまして、これも二百坪に押えるなり二百三十坪に押えるとか、三割なり四割のものを切って一応対象の中に入れておいた、こういうことを言われて、取扱いの方針というものは今まで通りで、改めていかないならば、これは、公共事業費が増大したということは、それだけ持ち出し分がよけいふえる。持ち出し分というのは、一体三万円から二万六千円引くところの四千円というものはだれが出すか、地方負担しなければならない。それから、面積の三百坪を二百二十坪と減らされたあとの七十坪というものは、地方負担しなければならない。危険校舎そのものは、二十八万坪全部これを計画通り公共事業でやるというなら、それに伴うところの持ち出し分がうんとふえてくる。こういうものを一体財政計画で見ているのかどうか。そうでないならば、また公共事業赤字が出る。当然そういうことを繰り返さざるを得ない。問題は、危険校舎の実面積をそのまま正確に対象にしてくれるかどうか。それから、単価を実単価近いものに押えてくれるかどうか。これをきめてくれなければ、今までの通りでありますと、公共事業拡大は、そのまま負担増という形にならざるを得ないと思う。
  40. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 坪当りの工費の単価は、総平均では、鉄筋が五万四千円、鉄骨が四万三千円、木造が二万六千円と押えておるわけでございますが、地域別にこの金額を変えておることも御承知だと思います。単価問題が起きましたので、私の方でも関係各省になお当ってみたわけであります。また、地方債を査定いたします場合の事情も調べてみたわけでございます。そういたしますと、やはり木造である場合には二万六千円でやれるのじゃないか。こういう結論になってきたわけでございますが、ただ、御承知のように、できる限り大きな学校でありたいという希望がございます。そういうふうになって参りますと、査定の基礎というものがだんだんゆるめられてきてはおりますけれども、かなりきびしいものでございますので、もう少し広い建物にしたい、そういたしますと、どうしても、補助基本額が変って参りませんので、そこに継ぎ足し財源が必要である。こういう事情は現にございます。しかし、補助基本額に合致した総事業額だけでいくといたしますならば、それほど無理があるということじゃないのじゃないか。もとより校地の取得その他の問題はございますけれども、建築関係だけでいいますと、必ずしもそれだけで地方財政にひどいしわ寄せされているのだということにはならないのじゃないかと思っておるわけであります。もとより今後の情勢もにらみ合せながら、順次適正な補助金配分されますよう、文部省や大蔵省に対しましても要望しなければならないと思いますが、先般起りました状況から調査いたしました状態では、今申し上げたような事情になっておるわけであります。
  41. 加瀬完

    加瀬完君 それはそういうわけにいきません。いかないから地方債がふえちゃって、地方債の処理にいつでも問題がからんできて、堂々めぐりのようですけれども地方債をどうするかという議論が繰り返されている。今度の何も学校だけにこだわる必要はない。公共事業全体を推進していく上に、今おっしゃった継ぎ足し財源というものは、これは全部税収やその他から出すわけにいきませんから、継ぎ足し財源として地方債というものがまた考えられてくると思う。公共事業費拡大すれば地方債がふえてくる。そうでなくても、先ほど申しましたように、地方債が問題になっているときに、公共事業費拡大地方債をさらに拡大することになって、この処理がまたあとに残る。こういうことについて、一体どうお考えになっておられますか。これは大臣一つ伺いましょう。こんな放漫な公共事業費というものの放出は、地方にとりましては一つのまた地方債の加算になってくる。その跡始末をどうしてくれるか。
  42. 青木正

    国務大臣青木正君) 一般的に考えまして、公共事業費が伸びれば、当然地方負担がふえてくるわけです。しかも、公共事業費の多くのものは、やはり一度手をつければ、後年度にも事業が尾を引くことが考えられる。そういうことからいたしますと、一般的には、ことし公共事業費が伸びると、将来だんだん圧迫を地方公共団体が受けてくるのではないかということは、一応考えられると思うのであります。私どもは、その点を念頭に置きまして、今回の財政計画に当りましても、地方債というもの、これを後年度に悪影響を与えることのないように、できるだけしぼってはおるのであります。それからまた、今年度、明年度だけの財政計画ができても、三十五年度、三十六年度の財政計画を立てるに当って、将来に悪影響を及ぼすようなことになるのではないかという御心配、ごもっともだと思うのでありますが、これは、三十五年度の財政計画を立てるに当りまして、今年度いろいろ配慮したと同じような考え方に立ちまして、できるだけ将来におきましても地方赤字原因を残すことのないように、最善の配慮を加えていきたいと、かように考えておるわけであります。抽象的なお答えで、まことに恐縮でありますが、そういう気持でやるよりほかないので肝ないか。三十五年度に当りましても、三十四年度と同じような気持で、赤字を作らないように十分配慮を加えてやっていく、こうするよりほかないと思います。
  43. 加瀬完

    加瀬完君 大臣の気持はよくわかいますが、公共事業をフルにやっていくためには、地方債に頼らざるを得ないというのが現状です。地方債をしぼれば公共事業はできない。公共事業をやるという限りは、地方債に頼らざるを得ない現状地方債をしぼったら公共事業はできない。このバランスを一体どう考えているか。結論を言えば、未字を出すまいとすれば、公共事業をしぼるよりほかない、地方にとって。公共事業をやる限りには、地方債の負担に頼らざるを得ない。そうなってくると、赤字のまたもとになるか、財政角担で四苦八苦しなければならない原因を作る。だから、公共事業をフルにやらせるならば、少くともことしは、交付公債の問題だけは処理しておかなければならない政府に責任があると思う。一人で長く質問するのもいかんと思いますので、一体交付公債をどうするのか、来年はきまりをつけるのかどうか、それを一つ端的に伺います。
  44. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 数字の問題を申し上げたいと思いますが、公共事業費地方負担額増加は二百十八億円でございます。これは、対前年の地方負担額に対して二六%の増加に当っておるわけでございます。直轄事業地方負担額の増も入れますと、この数字はもう少し多くなります。地方債の方は、一般会計の全体でのお話でございますが、六十五億円の増額を行なっております。別途交付公債が七十八億円ふえてくるわけであります。この交付公債増加額を入れましても、対前年は二五%の増加にとどまっているわけでございます。従いまして、公共事業がふえた割りに、その財源をただ地方債で間に合せにしたというようなことはないという事情は、おわかりいただけると思うのでございます。従いまして、交付公債は相当ふえておるので、将来の地方債に影響しておるのじゃないかという点は、今申し上げましたようなところから、それほど非難すべきことにはならない、かように考えられるわけでございます。しかし、交付公債ということは、地方団体か予算を編成いたしますときにも、資金の移動を伴いませんので、予算には計上されない。従って十分な審議か行われない。知らぬうちに負担がたまってくるという危険が多分にございますので、私たちは、かりに公債でまかなう場合にも、資金の移動を伴うような地方債に切りかえるべきだと、そういう考えを持っておるわけであります。先ほど大臣が繰り返しお述べになりましたような方向で努力をして参りたい、かように考えておるわけでございます。
  45. 加瀬完

    加瀬完君 公共事業費地方負担分ですか、二百十八億円、二六%の昨年に比べての増だと、交付公債を含めれば二五%の増だから、バランスが合っている。しかしこれは、ある程度財源の持ち出しが可能だという前提のもとてバランスを合せている。そしてどうしても公共事業そのものをやっていくと、他の事業もしなければならないわけでありますから、財源を全部公共事業だけに計画した通りに振り向けるわけにいきませんから、これは地方債の方に負担をかけざるを得ない。それが地方債でシャット・アウトされれば、事業量を減らしていくという形にならざるを得ない。これはいいです。ただ、ここでも交付公債が出てくる。交付公債は、一体来年度からどうしようとするのですか。ことし一ぱいで、交付公債の問題は、地方制度調査会の答申のような線で処理し得る御自信がおありなのかどうか。その点、一つ最後に、大臣に明確にお答えいただきたい。
  46. 青木正

    国務大臣青木正君) 先ほど来たびたび申し上げましたように、私ども交付公債制度というものはどうしても解決したいと、こういう強い考え方を持っておるわけであります。しかし、大蔵省側にもいろいろな考えもあることでありますから、私たちだけの考え方で、直ちにここで明年度から解決するということを断言することはいたしかねるわけでありますが、しかし私どもは、大蔵省のどういう態度がありましても、われわれはわれわれとして、どこまでもこの問題は解決したいと、こういうことで強く対処していきたいと考えております。しかし、相手のあることでありますから、私がここで明年度から解決しますということを無責任に申し上げるわけには参りません。私たち考えとしては、どうしても三十五年度はぜひとも一つ解決したいと、こういう強い考え方を持っておるわけであります。
  47. 加瀬完

    加瀬完君 最後が長くなって恐縮ですが、少くも公共事業費の場合は交付公債の問題が出てきた。それから、活路五ヵ年計画についても交付公債の問題が出てきた。こうなって参りますると、今でも交付公債をもてあましている上に、その上にまた交付公債を重ねるわけでありますから、道路五ヵ年計画なり、ことし三十四年度の公共事業費を含めるところのいろいろな予算の閣議において交付公債の問題で、当然これは自治庁の方から担当大臣は御雅言があったと思う。どういう御発言かなさって、それに対して総理なり大蔵大臣なりはどういう御答弁をなさったのか、それらについて一つこの際、その間の事情をお話しいただきたい。
  48. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 三十四年度の予算をめぐりまして、この交付公債をどうするかということを、地方制度調査会での論議のみならず、自治庁大蔵省の間で議論がございました。自治庁といたしましては、まず第一に歩付公債制度を廃止したい、しかし、直ちにそれだけのものを一般財源補てんをすることは困難でありますので、政府資金による地方債を発行したい、これが第一点でありまして、もう一つは、既往の交付公債、これは地方団体に対しまする財源措置にかえて、さしあたり資金繰りを緩和するために発行を認めたものであるので、利子を取ることは穏当ではないじゃないか、無利子にしてもらいたいということでございました。  前段の方の問題は、大蔵省内においても、立場々々によっていろいろな意見があったようでございます。かりに国が従来立てかえておりましたものを資金運用部の資金に肩がわりということになりますと、国の方で一般財源がそれだけ浮いてくるわけでございます。交付公債制度を廃止することによって、国の方でも一般財源は浮いてくることでございますので、かなり妙味のある意見だということになって参るのでございます。しかしながら、反面、それをやめますと、国が好きなところに直轄事業を持っていくというようなことが若干しにくくなるといったような難点がございますのです。事業の都合だけで考えてみましたならば、地方負担分までもさしあたりは国の方で都合をつけておくという方が、直轄仕事をします場合は円滑にいきはせぬか、そういうまあ長所が失われるのじゃないかという心配はあったのでございます。  それから、私たちの言います既往の交付公債に対する無利子論については、一種の延滞みたいなものじゃないか、現にまた交付公債という何にしているのじゃないか、それなら利子を払うのが当然じゃないか、これが大蔵省側の見解でございます。私たちは、国がいろいろな事業分量をもくろんでくる、事業分量をもくろんできます場合に、国の負担分と地方負担分とがあるわけでございます。地方財政の状況は、とてもそんな地方負担分を払うことはできない。それなら事業分量を縮小するか、あるいは地方団体に立てかえをしなければならないのじゃないか。それを、事業分量が縮小できない。だから地方負担はふえてくる。地方負担はふえてくるが、地方の方に財源を国から与えるわけにはいかない。しかし、地方の方でやるわけにはいかない。そこで、国の余裕に応じてそれだけのものを立てかえておいたらいいのじゃないか、そういう状況にあるわけですから、正規の財政運営に戻す場合には、それまで一般会計で利子を取るということは不穏当じゃないか。税金の金で利子かせぎをするということは不穏当じゃないか。こう考えておったのであります。両者の見解がそこに食い違いがあったわけでございまして、結局、いろいろな今申し上げましたような話し合いの結果、三十四年度では、問題のあることは認めるけれども自治庁のいうように、一挙に解決するというわけにはいかないというような話し合いもあって、見送られて参ったのでございます。
  49. 鈴木壽

    鈴木壽君 先ほど加瀬さんとの間の質疑が行われたが、あの道路整備五ヵ年計画ですね。それに伴う地方負担分についての数字をいろいろあげられておりましたのですが、それですね。特にその中には、国の財政需要でこういうふうに見ているんだというようなものもありましたが、そういうものを含めた一つわかりやすい資料をいただけないものですか。
  50. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 提出いたします。
  51. 鈴木壽

    鈴木壽君 時間がありませんから簡単に。  今のたとえば道路整備五ヵ年計画は、全体としては、たとえば国公共事業の分の八千百億ですか、地方の純然たる単独事業として一千九百億であったと思いますが、八千百億に対して、私はそんなに消化の上で困難だという見通しはされないと思うんですが、ただ、これは全体としての場合であって、地方団体個々に当った場合には、非常に大きな問題があることは、先ほど来指摘のあったことだと思うので、そこで、中には、最近知事会等で公共事業の返上論とか何とかいうことまで出ているのです。個々の団体になってきますと、そういう事態が私は当然起ってくるのじゃないだろうか。もし返上しないままにやはりこれはどうしても計画に沿ってやらなければいかぬということになれば、それに対する地方負担というものは、そのこと限りではあるいはできるかもしれないけれども、いろいろな他の単独事業等にやはりしわ寄せをさせていくんじゃないか、こういう心配を強く持っておるわけなんです。それから、私は、全体としてあまり今から心配しなくてもいいのじゃないかと言ったのは、かりに返上があったにしても、これは国全体としての計画ですから、どこか返上されておる以外の団体仕事をくっつけるというようなこともできる。当然いわゆる富裕団体、そういう面での可能な団体が大きな仕事をやっていくというようなことが起ってくるんじゃないかと思うのです。おそらくA県から返上されたものをそのまま計画から落してしまうということは、全体計画の遂行の上からしてはあり得ないことだと思いますが、当然これは、B県なりC県なりの方へ何かの形で分けてやる、ここでやはり問題になるのは、富裕団体貧弱団体との間のいろいろそういう施設の格差というものはますます広がってくる一つの傾向が、この計画全体を通して私心配される問題じゃないだろうかということなんですが、この点について、一つどういうふうにお考えになっておられるか、まとめて二点について……。
  52. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 前段の問題は、公共事業が非常に返上があった結果、単独事業にしわ寄せされるのではないかということであったと思います。地方財政計画全体の上では、従来考えておりました単独事業分は、そのまま維持しておることは、これは御承知通りであります。従来程度単独事業もやり、拡大された公共事業も吸収できる、こういう見通しに私たちは立っているわけであります。ただ、単独事業ももっとふやしたい、公共事業を積極的にやるようにすることは理想でありますけれども、やはり国全体として考えました場合には、ある程度公共事業をふくらましますめどというものも考えなければなりませんので、一挙にそこまでは行き得ない。これはその通り考えておるわけであります。なお、団体によりまして、返上するところが出てくるということも、私は事実あるだろうと思います。治山治水に力を入れるとか、あるいは学校整備に力を入れるとか、それぞれの考えから、公共事業地方負担分一般財源を回し切れない。従って、国はワクを与えようとしても、地方の方は拒むこともあり得ると思うのであります。また、それが絶対にいけないというふうにも私たち思っていないわけであります。その場合に、御指摘になりましたのは、貧弱な団体から富裕な団体公共事業費が片寄っていくのではないかという御指摘であります。これは、私たちは、今回基準財政需要額計算方式におきまして増加した財源を傾斜的に貧弱団体に増額するという措置を思い切ってとっておるわけであります。従いまして、三十四年度だけの府県財政の運用を考えていきました場合、従来いわれておる比較的富裕な団体の財政の方がかえって苦しいだろうと私たち思っております。苦しいけれども、やりようがあるじゃないかと、こう私たちは言いたいのでありますが、とにかく三十四年度だけを考えて参りました場合には、基準財政需要額はほんの二、三%ふえるかふえないか、いわゆる貧弱団体と目されておったような団体では、一〇%内外基準財政需要額がふえていく。こういうような、非常に傾斜をつけた基準財政需要額の評価の仕方を行なっておりますので、私たちは、単純に公共事業が貧弱な団体から富裕団体に回っていくのだということはとても予想できない、こういうような考え方でおるわけであります。将来必要な地域に公共事業が必要な程度行えますように、私たち財源配分考えていかなければならないと考えておりますが、一般的な傾向といたしましては、今申し上げましたような事情になっておるわけでございます。
  53. 鈴木壽

    鈴木壽君 先ほども申しましたように、きょうはあまり時間もないようですから、あとでまたお尋ねしたいと思うのですが、富裕団体貧弱団体の問題、単に今回三十四年度において基準財政需要額というものを大幅に貧弱団体に与えるような措置をしたと、一〇%程度ふくれ上るのではないかと、こういう、私はそれだけではこの問題は解決できないのではないかと思うのですが、これはまあ一つあとの機会に……。たとえば、私、現在持っておるいわゆる自由財源というような問題もからんでくると思うし、そういう問題も、それだけの計算ではいけないと思うが、これはあとにします。そこで、単独事業の方についてあまり心配がないという点ですが、そこでお聞きしますが、単独事業をもちろん去年よりも少し多く見て、このうちに道路のための事業費がどの程度見込まれておるか、ちょっと今まではわかりませんが、三十二年度、三十三年度あるいは三十四年度と比べてみますと、三十三年と三十四年とは、ここの計画に示されておるように、多少ふえておるのですが、少くとも三十三年度、三十四年度、特に三十四年度になりますと、さっき申しました地方単独でやる道路事業費の一千九百億の問題ですね。これは私は、平均すれば四百億近い額になるはずです、一千九百億を五年間で割ると三百八十億ですか、大体。もちろんこれは、きちっと五等分した額でやられるということじゃないと思いますが、少くとも大体そういうものは予想しなければならぬ、当然この中に。そうしますと、そういうものもあなた方は見込んである、こういうことなんですか、どうなんですか。
  54. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) それは頭に置いて、今の計画額を算定いたしておるわけであります。
  55. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、三十二年度の地方財政計画におきますところの単独事業の金額、三十三年度におきます金額、三十四年度におきます金額を比べてみます場合に、これはちょっと問題だと思う、あなたがそういうふうにおっしゃるならば。そうでしょう。少くとも三十三年度から道路五ヵ年計画が始まって、当時も一千九百億の地方単独事業分を見込んでおった。総計としては九千億でございましたけれども地方のいわゆる単独事業分については、昨年度も同じであった。当初の、一番初めの年度ですから三十二年度、三十三年度と比べました場合に、さっき申しましたような、五等分したような三百数十億円がぽかっと出てくるとは思いませんけれども、しかし、百五十億でも二百億でも、私は、当然その計画の中には見込まれるべきである、それと、今度三十四年度におきますところのこれは、一千九百億のうちどのくらい評価する計画なのかわかりませんが、これは、詳細に聞いてみなければわかりませんが、大まかな今言ったようなことからしますと、これは、四百億近くの金が含まれておらないのじゃないか、こういうふうに思うのです。決算の面から見ますと、いろいろ大きくふくれ上っておりますがね。しかし、今言った計画の上から言って、地方単独の一千九百億のいわゆる一年分、さっき言いますように、平均して三百八十億という意味じゃありませんが、少くともそれに近い額は当然その中に盛られておらなければならないと思うのですが、そこをはっきり一つおっしゃっていただきたいと思います。
  56. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 五ヵ年計画は、三十三年度から始まったわけでございますので、三十三年度を申し上げますと、単独事業分は三百二十八億円でございます。三十四年度は三百五十二億円といたしておるわけであります。二十四億円の増でございます。三十四年度以降は、一応建設省は建設省としての案を持っておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、年度割につきましては、まだ閣議決定になっておりません。この数字は、建設省が考えておりました数字をそのままとったのでございまして、別段特に少くしたというようなことはございません。だんだんと、揮発油税にしても、軽油引取税にしても、年々増加いたして参りますので、事業分量も年を追って増加していくというような計画を予想いたしておるわけであります。
  57. 鈴木壽

    鈴木壽君 そこで、ちょっと私が不思議と思うのは、三十二年度の計画では、単独事業分が八百四億でございますね。これは、災害も含めたものですけれども、とにかくいわゆる国庫補助を伴わないというものは単独事業の分でございましょう。八百四億ですよ。三十三年度は一千二億になってきた。この増加というものは二百億足らずです。道路計画の中で当然三十三年度において新しく出てきたのは、これは新しい一つ事業として入ってこなければ、計画としては私はおかしいのじゃないか。従って、三十四年度においても、さらにそういう意味での積み重ねがなければならぬのじゃないか、こういうことなんです。ところが、数字から見ますと、そういうことの積み上げられた形には現われて来ておらないじゃないか、こういうことなんです。
  58. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 私たち地方財政計画を作ります場合にも、建設的なこういう道路整備計画と、それから維持補修の計画と、これは別個にいたしております。従いまして、計算に現われて参ります場合には、維持補修の数字も入ってきているのではないか、こう思っているわけであります。先ほど、三十四年度三百五十二億円と申し上げましたが、地方財政計画には、そのほかに維持補修費二百四十九億円というものが入っているわけであります。
  59. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは、どうも私は疑問があるから、時間もありませんから……ほかのものをぐっと縮めた意味でぶちこんでやるしかないわけです。だから、単独事業全般の問題として問題が残る、こういうことなんです。
  60. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 五ヵ年計画は、従来の道路整備計画を基礎に考えておるわけでございまして、一挙にこれだけのものをプラスするという性格のものではない、こう私たちは存じているわけでございます。
  61. 鈴木壽

    鈴木壽君 いやいや、私も、きょうにやるというのではない。しかし、新しい千九百億を使って仕事をするということは、少くとも金の上ではそうじゃないのですか。そうすると、どういうことなんですか。
  62. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 単独事業にいたしましても、公共事業にいたしましても、従来の単独事業分なり公共事業分なりにそのままそれを追加するわけではなくて、従来の基礎を修正して、そして五ヵ年計画というものを作っておるわけでございまして、従って、従来の実績を含めたものが千九百億であり、一兆円であると考えております。
  63. 鈴木壽

    鈴木壽君 だから私は、百パーセント作るという意味ではありません。しかし、従来の仕事の上にやっぱり積み重ねがあるだろうと思うのです。それは、積み重ね分について見ておるかということだ。そこで、ちょっと長くなりますから、資料として、三十二年度までの道路の県単関係のそれの数字一つ出してもらわないと、これは、いわゆる千九百億という積み重ねでなくて、新しい計画だが、それと重複するところはどうなるのか、差額はどうなるかということまで聞かなければならぬが、なお、これはあと一つ御説明願いましょう。
  64. 加瀬完

    加瀬完君 資料要求。今、鈴木さんから出た三十二年度というけれども、三十二年度では、相当の県単の事業量というものは減っている時期ですね。ですから、二十八年以降の今鈴木さんの指摘した項目で数字を出して下さい。二十八、二十九、三十、三十一、三十二、三十三、三十四年計画と、これまでの県の単独事業道路計画その他の事業費
  65. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) おっしゃっているのは、地方財政計画のことだろうと思うのでございます。地方財政計画といたしますと、従来は、総括的な経費を一括して一応見ておったわけでございまして、道路だ、河川だ、学校だというような、こまかなことは計画していなかったわけでございます。道路整備五ヵ年計画のような問題ができ上りまして、三十三年以来そういう区分をつけて参り、同時に、特定財源の増強というような問題もあわせて考慮するような方法をとって参ったのでございます。決算と財政計画と違っておりますことも御承知通りでございます。それに積み上げられた計画の方はお出しできないと思います。従って財政計画上どういうような推移をたどってきたか、また一千九百億円が定められた場合の建設省の基礎的な考え方がどこにあったかというようなことを、数字的に資料としてお出しをするということはいたしたいと思います。
  66. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 ちょっと資料をお願いいたしたいのですが、先ほど鈴木委員の質疑の、地方交付税富裕団体貧弱団体配分関係で、ちょっと御説明があったのですが、交付税の算定方式が態答補正あるいは段階補正、いろいろございます。局長からお話のあったように、富裕団体から貧弱団体の方に傾斜的に財源の調整のためにいろいろ改正されました三点ほどの改正は、ほかのこともいろいろ含めておりますので、今問題になったような、そういう富裕団体貧弱団体との調整のために主として取り上げられました項目によります大体の移動する金額ですね、これをちょっと、各府県別を出せというと、これは大へんですけれども、六月ごろでなければわからないかもしれませんが、そういう意味でなく、今のような貧弱団体富裕団体の調整のための移動がどれくらいあるのか、これを大体ほかのものと分けて示されませんか。すでにいただいておった資料では、ちょっとごちゃごちゃしておって、判定しにくいのです。
  67. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 了承いたしましたし
  68. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは、午前はこの程度で休憩いたします。    午後零時二十六分休憩    —————・—————    午後一時四十六分開会
  69. 館哲二

    委員長館哲二君) では、午前に引き続き委員会を開きます。  地方交付税法の一部を改正する法律案外三件を議題にいたします。質疑を行います。きょうは、大蔵大臣が出席されましたので、御質疑をお願いしたいと思います。
  70. 占部秀男

    占部秀男君 大蔵大臣にお伺いをして、一言地方財政計画に関連して、大蔵省側考えを明らかにしておかなければならないことがございますので、その点について簡単に御質問申し上げたいと思います。  第一には、大臣も御存じのように、今度の税制改正に伴って、三十五年度に、地方税で、例の国税減税に伴う市町村民税の問題で、約百十八億減収になる予定になっておるわけであります。そこで、この問題は、地方としては非常に大きな問題であり、午前中も、青木国務大臣にこの点についての方針をただしたわけでありますが、自治庁としても、もちろんこの問題に対する財源措置を具体的に考えなければならないという御答弁があったわけでありますが、これは、単に自治庁だけでなく、大蔵省としても同様のお考えを持っておられると思うのでありますけれども、この点について一つ明らかにしていただきたい。
  71. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 今回の減税に伴いまして、三十五年度、住民税で百十八億ですか、相当多額の減税が見込まれるということでございます。もちろん、今回の減税に当りまして、そういう結果になるだろうということは、今日から予想できるのでございますから、これが補てん方法というか、かような減税になれば、地方財政に大きな負担を来たすだろう、こういって、関係の方が非常に御心配のようでございます。私ども、もちろん、金額的には非常に大きな金額でございますので、地方財源に大きな影響を持つ問題である、かように考えております。しかし、今日しからばこれに対して補てん方策があるかといいますと、まだ少し時期が早いと申しますか、三十五年度の予算の際に、三十五年度の歳入歳出を十分検討した上で考慮すべきではないかと思っているのであります。  それだけお答えすればいいかと思いますが、地方財政は、御承知のように、数年来格段の成績といいますか、回復を来たしている際でございますから、いわゆる地方財源も再建の方向に効果をあげておる際でございます。そういう際でございますから、今日、三十五年度に百十八億の減が出るということは、大変な問題であるに違いないと思います。しかし、一面私どもも特に気をつけて見なければならない事柄は、地方財政の面においても、年々ある程度の増収があるわけであります。この増収が三十四年あるいは三十五年、どういうように見込まれるかということで、この歳入歳出全般を十分検討して参りたい、実はかように考えておるのでございます。御承知のように、減税をいたしますことは、これはもう国民全般の要望でありますから減税をいたすのでありますが、その減税財源は、いつも自然増収財源にして、国でも地方でも計画が進められるのでございますから、自然増収、その伸びというものは、今後私どもも、この百十八億の処理をいたします場合には特に十分精査し、検討を尽すべきもののように考えておる次第であります。
  72. 占部秀男

    占部秀男君 今、大臣のお答えで、三十四年、五年、これの歳入歳出の見通しも、三十五年の分について主として、主としてでありますが、特にその点をある程度つけるような形、そうした形の中でこの問題は具体的には考えられなければならぬ、そういう一つの仮定的な作業の部面については、われわれももちろん機械的に、そうではないという考え方はしないわけであります。ただ問題は、今地方減税の問題について、特に大臣の言われた中で、私は非常に大きな問題だと考えるのは、自然増収というものを見合って、国の場合も地方の場合も減税をするのだ、こういうような仰せでありますけれども、この今の百十八億の穴、この穴というものは、これは地方が、三十五年度の自然増収がそれだけあるから、それだけ減収になるのだという問題ではなくて、国のいわば施策に伴って必然的に、地方の方は減税をしたくなくとも、それだけの減収になってくるという穴の問題であると思うのです。かりに、三十五年度の見通しの上に立って、もしも今回のことがされたとしたならば、三十五年度の自然増収はどのくらいあるかということを一応見込まれる上に、こういうことが、国の減税の問題が地方税の自然増というものを見込んだ上でなされておるというように計算しなければ、つじつまが合っていかないように私は感じるのでありますが、その点はいかがでございますか。
  73. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、今回の減税は、地方、国、両方を通じての減税計画を立てたのでございます。なるほど歳入というか、受ける方は、国あるいは地方団体でございますが、納める方の国民から見ますれば、地方税だろうが国税だろうが、国民、納税者の負担であることには間違いはないわけであります。そこで、国において減税をいたします場合でも、国の歳入歳出に見合う、同時に国としての仕事の量も非常に多い、しかし、私どもがやはり考えるのは、国民全般の負担軽減、これが大きな実は政治だと思うので、そういう意味で、国の面では、仕事の量を減らすことがあっても、やはり自然増収があれば、その自然増収減税に振り向けてみる、それが一つのねらいであったように思うのであります。同時に、その点は地方においても同様のことが言えるのではないか。ただ、国から地方にそういうような命令もなかなかできない。御承知のように、地方は今完全自治をやっておると申しますか、地方地方としての自治体の仕事をやる建前である。こういうことで、当初の減税計画を少し修正をいたしまして、結局国税減税の分が非常にふえてきておる。私ども詳細に見ると、おそらく地方はようやく再建できたばかりだ、そういう際に、この歳入を減らすような減税には賛成しかねるという御議論も確かにあると思いますが、国民の支払う方から見れば、それは国であろうが地方であろうが同じであるし、減税はぜひやってくれという、これは強い要請でございますし、そういう意味で、今回国において減税を引き受けることにして、地方減税、当初に予定いたしましたものを相当後退いたしたつもりであります。そういう結果が、ただいま言われるような、今度は住民税になってはね返ってくる。しかし、それは三十四年の問題じゃなくて、三十五年の問題だと、こういうことでございますから、三十五年度においてもう一度歳入歳出を十分検討して一つ考えてみた。ここで問題になりますのは、納税者側に立った場合の考え方と、同時に管理者側の立場に立った場合、しかも国と地方とり関係において、それぞれの言い分があるだろうと思うのでございますが、そこをよく勘案して、そうしていずれにもあまり無理のいかないような方法、こういうことを考えますものですから、ただいま申し上げるように、一つ三十五年で十分考えてみたいと、実はかように申している次第でございます。
  74. 占部秀男

    占部秀男君 負担の軽減については、これは大臣の方も賛成でやっておられるし、われわれの方もこれは大賛成なんであります。問題は、大臣が言われたあとの問題で、負担の軽減に伴って、事業面は結局見合うわけでありますが、地方財政がどうなるかという問題になるわけです。そこで、先ほど大臣は、自然増の問題とにらみ合せというお話でありますが、これは機械的に、われわれの方も、国の施策に伴うところのあれだから、従って、地方税がそれだけ百十八億穴があいたのだから、百十八億即何か別な形で云々というような、そういう無理なことを言っているわけではないのであります。ただ問題は、自然増といいましても、やはり地方の自然増があれば、既定経費もやはり増す振り合いもありまして、自然増即減税という形には、これは私は言うまでもなくならぬわけでありますし、特にここでわれわれ考えなければならぬことは、今言った国の施策に伴うところの地方税の減収であることは、これはまぎれもない事実なんで、従って、こうした問題に対しては、建前として、やはりそれに伴う地方財源難、こういうような問題の場合には、財源措置というものをやはりすることが建前である。こういう原則的な問題だけははっきりとしていただかんと、これはどうも、何か、自然増収が三十五年度には百十八億以上あるのだから、それでもっておしまいだというようなことになられたのでは、そういうことはないとは思うのですけれども、非常に地方では迷惑するので、どうも大蔵大臣の言われることは自然増収自然増収と、そこにどうもウエートを置き過ぎると思うので、私どもは、その前のいわゆる国の施策に伴う減税の問題であるから、やはりそっちにウエートを置いて自然増収とにらみ合してと、こういうことにならんと、ほんとうの建前にならぬのじゃないかというのが私の質問の内容なんでありますけれども、しつこいようですが、一つその点を……。
  75. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 占部さんの御指摘になる点がわからなくて申しているわけではございませんし、実は、私は私のような考え方占部委員にもぜひ御理解をいただきたいと、こういうことを実は申し上げたいので、あまり露骨なことを申すのもいかがかと思ったのであります。と申しますのは、やはり地方自治の場合におきましても、なるほど自然増収があり、それによりまして自治体の行政水準を高めていく、これは一つのねらいであるに違いございませんが、国が国の政治をいたします場合でも、行政水準を高めると同時に国民負担の軽減をはかっていく、地方自治体においても、行政水準を高められるが、同時に県民なり地方民の負担を軽減するような御工夫が願いたい、こういう意味では、同じ行政の主体として共通するものがあるのだ、ここを実は特に御理解をいただきたい。国がやることは勝手だ、地方は行政水準だけ高めるのだ、そこで不足があれば国から補てんをするのだ、こういう考え方は、少し飛躍がありはしないか。私どもは、地方財源について十分国もめんどうを見なければならないと思いますから、全然見ないということを申し上げるわけではない。問題は、結局地方財源地方行政水準を引き上げていく上において果して適当かどうか、こういうこともよく勘案して、三十五年度においてこの百十八億の処置をつけたいと、かように実は申しておるのでございまして、頭から、おれの方も減税するから地方減税なさいと、従ってそういうことは知りませんと、こういうふうな言い方ではないのでございます。やはりどこまでも地方自治という建前をこわさないでやるといたしますれば、また、国は国としての財政を進めていくといたしまするならば、一面自治体の完全自治も、できるだけそれを立てていくようにするが、また国は国として、各地方の間に非常に幸不幸のないようにと、めんどうを見ていかなければならぬ、そういう意味で、お互い理解し合うことが実は必要じゃないかと、こういうことを特に実は申し上げておるのでございます。どうか誤解のないように願いたいと思います。
  76. 占部秀男

    占部秀男君 今、大臣のおっしゃったことは、まあ根本的に言って、大ワク的な形としては、われわれも決してそれに反対して、地方と国を機械的に切り離しているわけではないのです。ただ、なぜそのような質問をしたかといいますと、自治庁青木大臣が、われわれとこの問題で質問応答をいたしましたときに、やはり百十八億のこの穴というものについての財源措置は、これはもう考えなくちゃならぬだろうと、そこで、その穴の問題については、これから大蔵省と具体的に話し合うんだけれども、建前としては、これは、この前の十一月、十二月の例の予算編成期のときのように、何かこのたばこの消費税の問題でも、不均衡是正のような形だけで、それで結局現在の地方の水準や、いわゆる富裕県と貧乏県という形もありますけれども、そうした富裕県の方を取ってきて、そして貧乏県の方へやると、こういうような形、まあわれわれは富裕県なんていうものはあまりないと思っておりますが、そういうふうな形というものはやはり間違いであって、下を底上げするという形でこの百十八億の穴埋めを行わなくてはならぬのだと、こういう点をはっきりと青木大臣としては考え方を言っておるわけであります。私は、百十八億のワクそのものを、大蔵省ですぐ機械的にこっちへ移せという、そういうことは申しておらぬのでありますけれども、しかし、重点は、やはり青木大臣の言われたような形の中で、この地方減税というものの及ぼす地方への影響というものを、やはり最大限に悪い影響のないようにしてもらうということが私は大事じゃないかと思う。そこで、そういうような方針といいますか、態度で、大臣の方も進んでもらいたいということをお願いしたい意味合いから質問をしたわけであります。その点、一つお願いします。
  77. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) よく事情はわかっております。それで、私どもも、別にそう厳格な意味で、全部自然増収でまかなえと、こういうことを申すわけではございません。ございませんが、もちろん、国としても余裕が十分あるわけじゃございませんから、この今回の減税の時期で、この百十八億の地方に穴があいたんだから、それを何かの処置をとれと、それが国の施策によっての当然の犠牲だから、国が負担するんだという、まあ一応筋が立ったようなお話だけど、これを一つ政治的に十分御理解をいただきたいということを実は申し上げておるのでございまして、今日これの処置をどうするかというと、これはまあ結局、来年まで一つ預からしていただきたいということが主体でございます。そこで、幸いにして、今地方財政お話が出ておりますので、もう一つ触れてみたいと思いますのは、とにかく底上げしろというお話、これはもう当然のことだと思います。行政水準を向上さすということが、これはもう政治の大きな目標であり、私ども、そう努力するにやぶさかではございません。そこで、問題になりますのは、同じ地方団体と申しましても、やはり富裕なところと後進のところとあるし、産業別に見ましても、非常に税の入りやすいところと入りにくいところとある。こういうような意味で、まあ特別態容補正その他交付税で見るとか、いろいろなめんどうを見て、お互いに均衡をとることとしておりますが、なかなか均衡がとりにくい状況だと、国の立場から見ますと、別に上級官庁というわけじゃございませんが、各県がみんな均衡がとれて、そうして行政水準が高まることが実は望ましいのでございまして、ここにやはり相互の間の均衡もある程度とっていただきたい。これがたばこの問題等につきまして私ども地方に要望しているところでありますし、まあ自治庁においても、そういう意味で一つ御工夫願わないと、なるほど一番いいところを基準にして、不足分に対しては国が一つ補てんをすればいいじゃないか、こういう御議論もあろうかと思います。しかし、それこそは、今の地方自治の制度についてこれは根本的な悪影響も及ぼすことだろうと思いますし、そういうことは望ましいことではない。ただ、国から見ました場合に、今の税制やあるいは譲与税のあり方等から見て、非常に幸不幸の生ずることは、お互いでもやはり避けていただくのが当然じゃないか、こういう意味では、きわめて少数の比較的富裕だと考えられる県が、やはり地方の貧弱な県に対しては、国が考えると同様にある程度の思いやりを一ついただけないのか。そうすることも一つの望ましい方法じゃないか。しかし、さようなことをする結果、全体の行政水準が下るとおっしゃるなら、これはもう私どもその議論は引き下げます。引き下げますが、今までの譲与税その他のあり方等から見ると、いかにも不均衡があるということ、最近は態容補正等から、非常に土地が広い、人口は少いとか、あるいは海岸線は非常に長い、こういうような場合には、特別態容補正をやはり見るようにいたしておる。しかし、これだって、自治庁が全体としてもらっている一つ財源の中から自治庁が配られるのだから、もうすでに幸不幸というか、厚薄はあるわけです、地方の実情について。従いまして、財源の分配においても、これを今後もう一度分配するという場合に、やはり厚薄をつけておやりになることが地方自治全体の水準を高めるゆえんではないか、こういうことを実は考えるのであります。しかし、この点ではいろんな事情がございますから、大蔵省的な理屈だけではすまない。しかしこれは、今後の問題として、自治庁においてもよく一つ御検討を願いだいし、私どももそう無理を押すつもりはもちろんございません。十分理解のいくところで結論を出して参りたい、かように考えておるのでございます。今、ちょっと富裕県だとかいう話が出ましたので、一言私ども考えの一端を御披露いたした次第でございます。
  78. 占部秀男

    占部秀男君 時間の関係がありますから、これでとめますが、今、大臣の言われたことで、均衡論の問題は、これは、われわれはまたわれわれの考え方があって、これに入ってしまうと相当長くなってしまうので、これは保留しておきたいと思うのですが、いずれにしても、大臣としては、今度の百十八億の問題については、財源措置の問題も考えながら一つやっていこう、こういうその建前については、われわれも了解するのでありますが、ただ一つ、自然増とか、そういうような方面にあまり籍口と言いますか、言い方は悪いのですが、ウエートを置かれて、こういうものの穴あきが、そのまま地方の方へ大きな影響を及ぼすことのないような建前で、一つ自治庁の間ともまあ具体的に、あと来年度の予算のときに、問題を一つはっきりさしていただきたいと思います。  なお、その点については、またわれわれの方の意見もございますので、お伺いしたいと思いますが、時間の関係がありますから、このくらいで一つやめておきたいと思います。
  79. 加瀬完

    加瀬完君 大臣のただいまの御説明の中で、国民全般の負担を軽減させるという立場から、国税あるいは地方税というふうに片寄らないで、国税減税方針をとるならば、地方でも同様、同じような方針でいかなければならない、こういうお言葉がございましたが、これは非常にありがたく拝聴いたしたわけでございます。ところが、この前の政府の一千億減税という大きな減税政策の中でも、地方税はどうなったかといいますと、必ずしも国税減税されたと同じような方針地方には均霑されるという形をとらなかった。むしろ逆に、国税減税になった分を地方税の増徴で埋める、こういう形をとらされているのが実情でございます。たとえば、町村合併した町村なんかを調査をいたしましても、一番低い第一方式という住民税の課税方式から、高い方式の方に移っているものが大部分でございます。これは、どうしても国税減税による減収分というものを住民税にかぶせてきた、こういうふうな傾向が顕著でございまして、今後も、午前中もいろいろ質疑が行われたのでありますが、道路の整備五ヵ年計画というものあるいは拡大された公共事業というものが実施になって参りますと、どうしても地方持ち出し分というものがふえてくると思う。それだけ国の財政の裏づけというものが十分になって参りませんと、国は減税になりますけれども地方はどうしても住民税のような形のものに不足分をかぶせてくるという傾向をとらざるを得ないと思うのです。こういう傾向はお認めにならないと了解してよろしゅうございますか。
  80. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの御指摘のことは、まあこれは、過去の減税の場合において、地方財源に非常なる、何と申しますか、負担を加重さすと申しますか、当然、国が減税をした、地方は、地方の財政上それだけの能力がないにかかわらず、減税をしいられておる。そこで、地方は、財源確保上まあ別な処置をとったということで、これはおそらく減税の機が熟してないと考えるべきであろうと思います。今回なども、私ども、当初の計画では、国、地方を通じて減税をすると言い、地方税の分についても相当具体的な問題を検討いたしたわけでございます。しかしながら、これを検討いたしましたのは、一つは、税の建前から見ましても、地方財源にして置くことが不適当だろう、また各県相互間の財政収入確保の面から見ても、事業税のような、景気不景気に左右される税なり、あるいはまた、人口なり事業分布の面から見て非常に厚薄のある税を地方財源の主軸にすることはまずいじゃないかというような考え方が相当働いて、この減税計画したわけでございます。今回などは、地方におきましてもある程度の余力がありましたから、ある程度の御賛成をいただいた。しかしながら、なおかつ、その地方財源としては非常に不足しがちだという意味で、あと財源確保についての御要望が非常に強い、こういう実情であります。ちょうどそれと同じように、おそらく過去においては、国の減税、それに対応するだけの地方財源が十分成長しておらないとでも申しますか、非常に弱いので、地方財源としての非常な苦しみがあったのではないかと思います。しかし私は、ただいま御指摘になりましたふうな事態になることはいいことではないと思う。これはやはり、納める納税者が総体としてやはり負担軽減という方向でなければ真の減税の意味はない、こういうふうに思いますし、政治のあり方から申しますならば、やはり負担を軽減していくということ、これは大きな政治の目標でございますから、そういう意味で、これはなるほど完全自治をやっておられるというか、いわゆる自治体といわれる地方団体でございますが、これはぜひとも一つ御協力を願いたい。これは、命令する機関ではございませんから、そういう気持を実は率直に御披露した次第でございます。  過去における批判は、やはりそのときの財政状態を十分勘案しないと、その処置がいいとか悪いとか、なかなか言いかねることでございます。
  81. 加瀬完

    加瀬完君 結局、事業税などは、税制調査会の答申もありまして、非常に減税になってきて、これは、それだけ見れば、非常にいいことと思うわけであります。しかし、一番アンバランスになっているのは、むしろ住民税です。事業税とその他国税の変化によりまして、減収になる分がどうも住民税に肩がわりをされるような傾向というものが顕著でございます。こういう方向はお認めにならないとしても、しかしながら、地方財源不足でありますから、どこからかこれを持ってこなければならない。そうなって参りますと、大蔵省の御主張のように、現在の交付税というものを、態容補正だけでどのように配分を変えてみたところで、態容補正でもある程度修正の面も出てきますが、態容補正の面だけではどうもバランスがとれませんで、結局、交付税法の示す交付税率を変えるというところまでいくか、あるいは、交付税率を変えないならば、さっき占部委員指摘するように、何かかわり財源地方に与えるというお考えを持っていただきませんと、どうしても減税の政策方針というのが地方にはそのまま伝わってこない。流れてこない。こういう傾向というものを否定することはできないと思う。そこで、態容補正というのはけっこうでございますが、態容補正ではどうにもならないような結論がそこに生まれましたときには、交付税率なりあるいはかわり財源というものをこれはあらためてお考えになられる、こういうように了解してよろしゅうございますか。
  82. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) もちろん最終的には、国が地方の問題につきましても責任を持たざるを得ない状況にあると思います。そこで、国自身の責任をのがれるわけではございませんが、地方の財政のあり方についても、自治体ではございますが、ある程度国で干渉することがある。それを御了承いただかなければならぬと思います。非常に端的な表現で、どうしても地方財源が足らなければ国がめんどう見る、こう言われる。総額として不足なんだ、だったら、国からそれをまかなってやるか、こういうようなお話でございますが、そう簡単な問題でなしに、十分、国、地方を通じて、よくそこらはひざ突き合せて、実情をとくと相談することが望ましい、こういうように実は考えておるのでございます。過去におきましても、自治庁大蔵省の間におきましてなかなか意見の一致を見ない、そごしておる立場があって、皆様方からいろいろ御批判をいただいたように思いますが、本来の仕事の建前から申しますと、もっと緊密な関係になり、事情を双方において十分把握して、そうして結局国民全般の問題なんだというところに思いをいたせば、必ず一致する点が出てくるように思うのでございます。
  83. 加瀬完

    加瀬完君 そこで、本委員会大蔵省がお出ましになっておる御言明も大体そうでございますが、地方制度調査会における大蔵省の公式的な見解も、どうも態容補正というものにとらわれ過ぎておりまして、交付税率というものをもっと尊重するならば、態容補正にとらわれない財源の出し方というものも、法律的に当然考えなければならぬのですけれども、そういう交付税率そのものの尊重というものは、あまり自治庁としても重きを置いておらないという印象しか私どもは受けない。それは、やはり交付税法という法律があるのですから、その交付税法の精神というものを尊重していただかなければならぬと思うわけです。時間がございませんから、その点は別の機会にいたします。  そこで、次の二点だけ、地方財源を確保するという意味から、簡単にお答えをいただきたいのでありますが、一つは、交付公債をどう御処理いただけるかという問題が一つ。もう一つは、租税特別措置法なりあるいはまた租税特別措置法に準ずる地方税法の減免規定がたくさんございますが、大蔵省関係のあります租税特別措置法をある程度修正されれば、地方財源の確保というものがある程度できるわけでございます。地方財源の確保という意味から、租税特別措置法を大幅に改正なさるお考えがあるかどうか。端的にこの二点をお答えをいただきたいと思うのです。
  84. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 交付公債の問題がいろいろ御議論があるわけでございますが、本来申せば、これは現金支払いの実は問題だと思います。なかなか財政上現金支払いにいかないものですから、交付公債の特例を設けておるのでございます。これは、むしろ今の地方財政には益する方法ではございましょう。しかしながら、同時に、交付公債負担である、これも事実であります。そこで、金利を安くしろというようなお話もございますけれども、ただいま申し上げるような性格のものでございますから、今のままで、金利なども負けるような考え方は実はございません。非常に便利な方法ではございますが、地方財政の面では、これは一つ十分気をつけていただきたい問題だと思います。  それから税の問題ですが、この特別措置の問題について、これは、もう少し事務当局をして率直に、この実情をよくわかっている者に説明させたいと思いますが、地方財政のためにどうこうという筋のものとは筋が違うように実は私自身は考えるのですが、あるいは私が実情を知らないために、さような御返事をするのかもわかりませんから、これは一つ主税局長から答弁させたいと思います。
  85. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 補足して申し上げますが、特別措置の整理は、最近数年間心がけてやっております。もちろんこれは、この特別の政策目的のために税の公平を害する、国税で害するとともに、その影響を受ける地方の税負担でも害するから、一体としてやるわけで、まあそういう意味において、地方のためということもあるわけです。ただ、地方財源が苦しいから特別措置をさらにどうしろという段になりますと、かなりそのウエートといいますか、その辺が問題になるだろう。全般的に整理していきたいという気持でおります。なお、別途地方税制独自で、国とは別の特別措置をいうものがいろいろおありになる、この面に相当問題があって、この面でいろいろ合理化をはかりたいということは、自治庁の方もお考えのようでありまするし、私どもも、そういう線は十分研究をして進めていかれるのがよいであろうというふうに考えております。
  86. 加瀬完

    加瀬完君 地方税法の減免規定というのは、そう大したことはございません。地方財政に大きく響くものは、むしろ国の租税特別措置法による影響の方が現実としては大きい。これは、地方税のために租税特別措置法をどうこうしろという議論は成り立ちませんけれども、租税特別措置法というものをもう少し整理してくれれば、地方財政がある程度潤う、こういう点から質問をいたしたわけであります。それから、交付公債現状通りだとすると、これは、大蔵省自身が、三十四年度以降の地方財政計画あるいは国の道路計画公共事業計画というものを、地方赤字をかぶせて、地方赤字が出ることを初めから承知の上で、また、赤字財政に地方がなるということが事前にわかっておりながら、強引な方法で国の一部の事業というものを地方に押しかぶせるという極端な議論をせざるを得ない。交付公債というのは、初めから、今のような制度であるならば、これはもう借金になるわけです。その借金を初めからして、国の事業の一部をやる、あるいは国のきめた事業の一部をやるということでは、これは、やむを得ないからと言って、地方から、公共事業を返せ、道路計画ストップさせる、こういう事態が生ずる。これはやはり、交付公債というのは、自治庁もいろいろ大蔵省と御折衝のようでございますから、これは大臣の今おっしゃったようなつれない御返事ではございませんで、慎重に自治庁のお考えにも乗っていただきたい。地方制度調査会の答申も十分に御参酌いただきたいと思うわけでございます。
  87. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 今日の段階考え方をお答えいたしたのでございますが、もちろん、自治庁からいろいろ相談を持ちかけられますれば、よく相談をいたします。ただいまの加瀬さんのお話のうちに、少し気になることがございますので、もう一つお答えをしておきたいと思いますのは、公共事業などの返上というお話がございました。交付公債を出す、それは赤字になる、それは負担になる、そうまでして事業を押しつける、こういうことは少し筋が違う、こういうお話でございます。この点についてのあるいは私どもの見方が事実に反しておるかどうかわかりませんが、一応の見方をいろいろいたしまして、御理解をいただきたいと思うのであります。今回非常に公共事業拡大いたしております。その意味では、地方においても、これに協力するとなると、非常にむずかしい問題が起るのじゃないか、御指摘のようでございますが、今回の公共事業道路費その他をふやして参りましたものの、総体の公共事業費全般を見ますと、いわゆる地方においては、単独事業の全額が減って、そして補助事業が非常にふえておるという、あるいは直轄事業がふえている、こういうような形になっておると思うのであります。そういう意味で、財政的な負担ということももちろんございますが、もっと自治体そのものとしてみずからが行いたい仕事が、逆に国の仕事で大部分の予算を使われる。自治体としての自主性がそこなわれるという議論が一つあります。しかし、最近の道路などの整備状況を見ますと、本来国の道路といわれるものも、地方道を二級国道に編入するとか、いろいろ事情は変って参っておりますし、事業の性格も、国、地方、そう歴然と分けることができないようにダブってきておりますから、私は、この地方の自主性をそこなうという議論には、これはどうも賛成しかねる。ことに、地方におきましても、非常に国の直轄事業を強く要望しておられる向きもございますが、そういう点なども考えて参りますと、やはり今は、国と地方との連係は非常に緊密になってきている。だから、その予算面に出ている県単独事業公共事業費が減っているということは、別に自主性をそこなっているものではないというような感じが強く実はいたしているのであります。同時にまた、今のその返上論がございますが、この工事の実際のあり方等を見まして、地方から要望されますものは、やはり国の直轄事業に取り上げろという御要望が非常に強い。この点は、国の直轄事業の方が、補助事業より以上に便利といいますか、有利であったりする点もあるようでございますし、処置も楽だというふうに実は思うのでございます。そういうことなど考えて参りますと、今回公共事業費を大幅に増額はいたしましたが、地方によって、非常な特殊の県があるかもわかりませんが、総体といたしましては、ただいまの状況では、この地方の御協力は得られるような実は感じがいたしているわけでございまして、実情から申しまして、特に実施に当りまして不都合がもし生ずるといたしますれば、その際に、実施計画において、私どももう一度考え直していい、かように思いますが、どうかその一部の点を非常に誇張されないで、総体のあり方についての御理解をいただきたいと思います。よけいなことでございまするが、それだけつけ加えさしていただきたいと思います。
  88. 鈴木壽

    鈴木壽君 今の交付公債の問題でございますが、これは、はっきり大臣は、たとえば利子の問題にしましても、現在のままだというふうなことで、この点になりますと、私は、実は午前中に、自治庁の長官との質疑にからんでのそれとはだいぶ違う考え方が、私ははっきりこれは対立していると思うのですね。そこで、交付公債の問題は、これは私ども、このままで進むと、いわゆる第二の公債費問題になってくるのじゃないかと心配される問題なんです。そこで、その地方負担分を交付公債という形で国の方へ納めるわけなんだが、もともとこの問題は、はっきりした借金だと——これは借金にはあるいは違いありませんが、公共事業なり直轄事業なりがどんどんやられていって、地方負担でとうていまかない切れないのだと、納められないのだという形で、仕方なしにとられた一つの分割納付という形がそもそもであったと思うのです。そうしてその形において、交付公債というような、こういう形で一応始末されたと、私はそういうふうに了解いたしたいと思っているのです。ですから、これに必ず六分五厘の利子をつけなければならぬと、これは当然だし、変える考え方はないということは、私は、やはりこの問題のそもそもからしますと、ちょっと、何と言いますか、考え直していただかなければならないそれだと私は思うのです。なるほど大臣お話のように、地方では直轄工事を望む声もあります。あるいは、直轄でなくても、何かの形でいわゆる公共事業等をやってくれという要望、これは熾烈なものがあるのです。しかし、そのことと、いわゆる地方負担分についてどうするかということとは、やはりそれは実は多少違う要望があるわけなんですよ。地方負担がこういう形においても、何でもかんでもけっこうだから、どんどんやってくれということではないと思う。今申しますように、そろそろこの問題について地方では頭を痛めておるという段階に来ておるのじゃないか。ことしの大体の予想では、四十五億のこれに対する過去の元利の償還をする。三十四年度では大体六十二億というような、このままで、三十四年のような形で進めば、予想としては、そういう推定が成り立つ。こういうところで、だんだんこれは大きな額になってくる。特に公共事業がことしのような形で、今後も重点的にやられるとすれば、私はやっぱりこの推定というのは正しいものになってくるだろうと思うのですが、そうした場合に、今申しますように、利子の問題なり、あるいは、全体としていわゆる交付公債そのものがこういう形でいいかということは、当然考え直さなければならない時期だと思うのですが、私ども率直にいうと、そういういわゆる分割納付という形においてできたこういう直轄工事の地方分担あるいは地方負担のそれというものは、これは利子を取らないようにしてもらいたい。そうすべきであると、私ははっきりそういうふうに考えるのですが、先ほどの大臣のお言葉からすると、どうもそうではない、またしても三十五年度の予算編成で、すったもんだが始まるのじゃないかと思うのですが、その点特に、将来のことにもなりますが、一つの将来の交付公債の正しいあり力という上から、どのようにお考えになるのか。
  89. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 理屈を申しますと少しかどが立ちますが、今御指摘になりますように分割納付、そこですなわち利子が要るということになるのでございます。これは、分割納付であるという点が、いわゆる他の国有財産を処分いたします場合に、地方公共団体などがこの財産を買いますと、なかなか一時金で支払いができない。そういたしますと、やはり分割支払いをする。そうすると、残りについては利子がかかってくる。いわゆる延滞利息的な性格を持つのであります。これは、分割納付だから利子を免除しろというお話ではなくて、分割納付であるがゆえに利子がつくのです。こういうことが理論では言えるのであります。そこで、問題になりますのは、こういう交付公債そのものが赤字とは実は申しますものの、毎年の地方財政計画の一部になっておるのであります。元利償還計画は、毎年の財政計画の一部になるということであります。この財政計画のうちでありますから、交付公債を出しましても、その償還計画というものを地方で実は考えるべきものだ。そこで、それが非常な地方負担になって、交付公債はもう支払い能力がないということになれば、これは別の問題になってくるのです。だから、今の御議論として、交付公債は分割納付であるということを御承認願えれば、それにはやはり、他の支払いの場合と同じような延滞利息的なものを払わざるを得ない。同時にまた、交付公債の元利償還は毎年の財政計画の一部をなすものだ、そこに地方財政としての考え方が当然生れてくるのだ、かようにどうか御了承いただきたいと思うので、重ねて申し上げておきます。
  90. 鈴木壽

    鈴木壽君 いや、分割納付だから当然利子をつける、ほかにも例がある、それはその通りです。ただ、納める場合に、その年度で納めなくても、たまっておった一つの始末をつける上でそういう格好をとられてきておるのですが、そういう性質なんです。しかも一方には、いわば国の計画に両方があるとはいいながら、国の計画によって進められて、分担の内容等についてはっきりしないままにやられて来た格好の金について、私は、こういう大きな利息をつけるのはおかしいじゃないか、こういうことなんです。それから、私が、もう一つの問題として、赤字になっているのだ、こういうことでなしに、将来のいわゆる地方財政負担として相当のウエートを持つそれになって来つつあるのだ、こういうことで、今のうちにこういう問題についても考えておく必要があるのだ、こういう意味で、赤字の問題即交付公債という意味で申し上げたんじゃないのです。  そこで、私はちょっと関連して申しますと、交付公債にからむ問題ですが、たとえば、今、理屈に合わないと思うのは、前からもあり、今後新たに道路整備のための特別会計もでき、あるいは港湾等の特別会計もできる。そこで借り入れをする。これも将来交付公債という形で処理されていくだろうと思うのです。こういういわば一つの公団の資金繰りといいますか、資金操作の一つの方法としてとられた借入金の問題についても、初年度から利子が取られるような形に将来負担されていく、こういう理屈に合わない問題があるのではないかと思うのです。しかも、預金部から借りるのが六分で、地方団体負担では六分五厘というような問題、こういう問題も実はあるのですが、きょうの大臣との約束の時間は二時半でございますから、そういうこまかいところまで入っていっておられないと思いますが、一つ委員長にお願いしますが、いずれ後日また大臣に御出席を願って、大蔵省考えておる、大臣考えておるところについて、私ども考えておるところを申し上げ、見解を承わる機会を作っていただきたい。
  91. 占部秀男

    占部秀男君 ちょっと一つだけ、考え方の問題で……。今、大臣お話で、確かに地方財政計画上の問題として上っていることは事実です。なぜ今、交付公債の問題が、特に去年からことしにかけて私ども委員会でやっておるかというと、地方財政計画上あがっておることは事実であるけれども、去年からことしにかけてのこの問題は、それ以前の三年間の問題とは、地方の方で考え立場からいうと、性格が非常に違ってきておるのではないか。というのは、今まで三年間というものは、利子だけ払っていけばいいのだということだったわけです。ところが、去年からことし、ずっと今後そうですが、元利払いの問題に今度入ってきた。そうなって、実際上は、そういう形がいいか悪いかは別にして、あわてているのは地方ではないか、また自治庁ではないかと私は思うのです。というのは、先ほども言いましたように、これは、ずっと長いことあれすれば、大臣おわかりのことですから、数字的な問題には触れませんけれども地方財政の上に大きなウエートを持ってくる問題です。そこで、私は大臣にお聞きしたいのですが、もうここら辺で、まあ利子の問題はとにかくとして、交付公債制度そのものはやめるべきじゃないか。交付公債制度そのものをやめるべきじゃないか。なぜならば、このまま続けていくならば、この利子の問題もそうであるし、同時に、国の直轄事業を受けるか受けないかという問題で、地方地方の独自の、自分の財政の幅でほんとうに論議して、この問題を地方が受けるか受けないかをきめるというような、そういうことがなおざりに置かれがちのまま今後もずっと続いていって、結局問題は赤字だけの問題、赤字というか、負担だけの問題としてどうも論議されるような形になってこざるを得ない。そのこと自体が、地方財政地方行政の根本的な問題に私は関連してくるのではないかというふうに考えるわけです。そこでこの際、この問題も清算すべきではないかと思うのですが、その点について大臣の御意見はいかがですか。これだけでおしまいにします。
  92. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) もちろん、地方財政を強固にするという観点に立ちまして、いろいろの御意見が出てくるだろうと思います。ただいまの占部さんの御意見も、そういう観点に立ってのお話だろうと思いますが、私は、これは一つの方法として考えられることですが、交付公債の予算ももちろんあるのですし、一がいに交付公債を全部やめろ、こういう議論にはなかなかならぬだろうと思います。しかし、交付公債というものが非常に便利だといって、この方法に頼り過ぎると、あとで支払いにみんな困ってくる。食べるときは非常においしくもちはいただいたけれどもあとで代金を払うときに困るというようなことになるのですから、ここにおのずから一つの問題がある。だからこそ、毎年の財政計画のうちにこれをとり入れて、その財政的な負担をやはり検討していくということではないかと思うのでございます。私は、この制度を今すぐやめるということまでは決しかねますが、制度が非常に便利だからといって、あまり利用なさらない方がいいのじゃないかという感じがいたします、率直に申し上げまして。
  93. 館哲二

    委員長館哲二君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  94. 館哲二

    委員長館哲二君) 速記を始めて。  では、どうぞ御質疑のある方は、続けてお願いいたします。
  95. 鈴木壽

    鈴木壽君 今の問題にからんで、自治庁の方に、いわゆる特別会計内にある借入金の地方負担、これの問題についてですが、果してこのままでいいものかどうか、どういうふうにお考えなのか、ちょっとお聞きしたいと思うのですがね。次官、どうでございましょうか。
  96. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) ただいまの交付公債の問題でございますが、われわれから見ますれば、今の交付公債のやり方は、運用の問題もあるかもしれませんが、直轄工事があり、その中の地元負担が今年度決算で一体幾らになったのか、これだけのお前負担があるから、一つ借金証文をよこせ。それから今度は、元利の支払いが始まっていくという行き方をやって参りますると、ともしますれば、県の議会その他地元負担をしますところにおきまして十分な審議もできないのじゃないか。御承知通りに、債務の負担行為だけでありますから、まあ十分に予算面にも載らずに議決が済んでしまう。むしろ、負担額が予算上幾らであるか、その見合いの歳入として正規の公債を幾ら起債しなければいかんというようなふうにして表に出して、歳入歳出を通して、府県の方は地元負担をすると同時に、国の方におきましても、その起債によって得ました金を地元の負担金として国に納付する。国もそれを歳入に入れていく。それと自己財源と合せまして事業の歳出に充てていくといった方が、経理を明確にし、同時に国なり地方の財政を明確にする意味におきましてよろしいのじゃないか。われわれといたしましては、そういったような意味から申しましても、交付公債というものはやめて、通常の公債に切りかえていくべきときじゃないかと、こんなふうに考えているわけであります。同時に、利子の問題につきましては、先ほど大蔵大臣が言われましたように、とにかくそれは地方の地元負担なのだから、負担を延べ払いにしている以上は、利子がつくのは当りまえじゃないか、これも一つの議論だと思います。ただしかし、一面から考えてみますれば、結局ある事業をいたしますについての国と地方との負担区分の問題でありまして、その負担区分をきめます際に、地方にどれだけ負担の能力があるかというような問題から考えて参りますると、できますことならば、あの当時の沿革を考えてみて、当時非常に苦しいために、納付の能力もないために、ああいう便法を講じたのでありまするから、そういう無理なところに負担をさせないという意味において、せめて既発行のものについては利子を免除していただく。そうして今後は、先ほど申し上げたような普通の公債に切りかえていく、そうして地方におきましても、歳入歳出面を通して、いわゆる国にも納付金が歳入に入るというやり方の方が妥当ではないかと、われわれはそんなふうに考えている次第でございます。
  97. 鈴木壽

    鈴木壽君 交付公債の全般的な問題としましては、お話のように、私どももそういうふうに考えておりますが、もっと中身の問題になって、先ほどお尋ねしたように、いわゆる特別会計の中における処理として、今のような形で、たとえば、お話にもありましたが、いわば勝手な借り入れといわれてもやむを得ないような、これはまあちょっと言葉が過ぎるかもしれませんが、そういうような借入金をやって、それに対して今度、それは預金部等から、他から金を六分で持ってきて、六分五厘で利子を払っていかなければならない。しかも、それをまるまる地方がかぶっている、こういう問題ですね。ですから、筋としてはいわゆる交付公債の問題ですが、もっと中身で、具体的に言うと、こういう問題があるわけなんですが、こういうものをこのままの形で、どんどん特別会計ができる、ことし二つふえるわけですね、港湾関係の特別会計と道路整備の特別会計と、二つできるのですが、従来のものの、土地改良なり、あるいは多目的ダムなりの特別会計もそうでありましたが、またことし新たにできる二つの特別会計についても、同様な、依然として改善されないような形でそういうことが行われているのですから、そういうことについて、もっとこれは、地方団体負担等の問題から、自治庁として強く一つ意見を述べ、是正の方向に進むべき問題じゃないだろうが、こう思うのでございますが、この点についてどうですか。
  98. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) ただいま申し上げましたように、今御指摘のような欠陥がありまするから、かりに県の方で預金部から六分で金を借りまして、その起債を引き当てに、県の方としては地元負担金の歳出を立てる。県の予算を通した上でそういう歳出を立てまして、これを国に納付する。国の特別会計が借りて、それを立てかえてあげるからと言って、地方借金証文を押しつけるといいますか、出させるのじゃなしに、預金部からどうせ貸すのでありますから、実際に地元負担をする県が借りて、それを引き当てに歳出を立てて、その歳出を立てた金を国に特別会計納付金として納める。そうしますれば、結局特別会計としては、ぐるっと回りまして同じ金が入るのであります。そうやっていくのが、今申し上げたように、予算の面から申しましても、県民の負担がはっきりいたします点から申しましても、また、今の金利負担の相違の点からいきましても、合理的じゃあるまいかということで、われわれはこれを主張して参っておったのでありますが、これも、今お話がございましたように、だんだんにそういうような経理方法が、初めはほんとうの特殊の、窮して行いましたことが、便利なものでありますので、ついだんだんに拡張になって、まことに恐縮に考えております。ことしの予算の編成に当りましては、われわれ強くこれを主張して参ったのでありますが、楽屋裏みたいな話で、まことに恐縮でございますけれども、税金の軽限問題その他いろいろな各方面に火の手が上りましたもので、この火の手を消すために、大蔵省との折衝に非常に八方手を尽しますために、ここまでの根本問題の解決ができなかったことは、まことに残念に考えております。今後ともに、この解決には全力を尽して参る決心でございます。
  99. 鈴木壽

    鈴木壽君 お考えのほどは承わりました。これはまあ、今後全力を尽して、そういう考えが実現されるようにしていただきたいということを申し上げれば終りになるわけですが、昨年も実はこの問題、こういう関連の問題につきまして、あれは何でしたか、建設との合同審査のときでしたか、私お尋ねしたことがありますけれども大蔵省としては、依然としてやはりこれでいいのだというようなことを言っておるわけなんです。それから、六分で借りているものを六分五厘で地方負担させることも、これはほかの会計でも皆やっていることなんだから、ほかの方の金利とも均衡がこれでとれているのだということをぬけぬけ言うわけでしょうね。これはやはりおかしい話で、たとえば、今申し上げた多目的ダム、それから土地改良の特別会計、それから道路整備特別会計、港湾の特別会計、この四つで六分五厘と六分、五厘の違いだけで、三十四年度で七千二百万円ばかり違いますね。これはそういうふうになっている。勘定してみますと、土地改良の方は二十九億五千万円の借り入れ、多目的ダムは二十一億六千万円、港湾の特別会計では十九億四千万円、道路整備費では七十五億、百四十五億五千万円の五厘ですから七千二百七十五万円、五厘だけでこれだけ違うのです。何か悪口みたようですけれども政府がさやをとっているのじゃないかというようなことまで言いたくなるわけですね。もしこの五厘差がどうしても必要だというなら——だれが負担するかしないか、とにかく五厘を、たとえば事業全体の事務費的なものに使うとか、全体のコストとして使わなければならぬということがあるいはあり得るかもしれません。しからば、それならそれなりに、私は、国費なり、地方の経費の負担の割合において、五厘なら五厘というものを消化すべきだと思うのです。そういうものもやらないで、全部おっかぶせてしまう。しかもその差が、三十四年度一年で、七千二百七十五万円も地方が余分に借り上げている格好になってくる。これは、機械的に一つの借入金に五厘というものをかけた計算でございますが、こういう不合理というものはやはり一日も早くなくして、さっき次官がおっしゃったように、必要な金で、納めなければいけなかったら、預金部等から地方団体が借りて納める。それは、地方団体と預金部との間の償還計画によっていずれ処理される、こういう形にする方が言うまでもなく合理的なものだと私は思うのですがね。一つ二十五年度ではぜひこの問題等を、交付税交付公債の問題でございますけれども、解決してもらわないと、まことに変な格好で地方が必要以上の、それは当然だという限度以上の負担をしておるということについては、私は非常に遺憾だと思いますので、重ねて一つ御決意のほどを承わりたいと思うのです。
  100. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) ただいま御指摘通りでありまして、先ほど来お答えしておりますように、この改善に全力を尽す決心でございます。ただ、御承知通りに、地方財政の問題につきましては、大蔵省自治庁との意見の食い違います点はかなり多いのでございまして、問題が非常に山積いたしておりますので、全部一気に解決することは困難だと思いますが、でき得る限り一つ一つを早く解決をする、できますれば、来年度予算編成のときに解決をして参る決心でございますから、この上ともに一つよろしく御鞭撻をお願いしたいと思います。
  101. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはこまかいことになりますので、特別会計の担当の方に来ていただいて、一体その金を何に使うのか、もう少し実は聞きたいと思うのですが、まあしかし、そのことはそのこととして、次官の今のお答え、全力を尽してこの問題を正しい姿に乗せるための努力をなさるということでありますから、一つこの上とも一生懸命やっていただきたいと思います。  交付公債の問題につきましては以上で一応切りますが、臨特法の問題ですね。これは、けさほど来から、いろいろ公共事業の額が多くなってきて、それに対応できるだけの地方団体の財政的な裏づけがないじゃないかという心配がある、いろいろそういう意味での質問があったのですが、これは私、臨特法の問題、今回の三十四年度の地方団体におきましての問題で、非常に痛い問題だと思うのです。あなた方の計算による示された表を見ましても、八十何億ですか、直轄なり一般の分を入れますと、そういう額が、この廃止によって、地方にそれだけ減額になって現われてくるというようなことが非常に心配されることなんですが、この問題は、大蔵省と今のお話のようにいろいろな重要な問題があり、しかも、その中に意見が食い違うそれの一つにも私該当するだろうと思うのですが、一体大蔵省あたりは、地方の財政というものを、現状というものをどのように見ておるか。私どもからすれば、あまり実情を知らない見方をしているのじゃないだろうかというふうに思います。しかしこれは、あなた方にお聞きすることではございませんけれども、従って、こういうものを三年間の時限立法でやったのだから、もうやらないのだ、地方財政というものは、こういうものがなくてもやっていけるのだというような考えに立っておるだろうと思うのです。ついては、この問題、あなた方としてはおそらく、想像するところ、やむを得ずしてのまざるを得なかったことだと思うのですが、これに対して地方団体影響というものは、これは数字的に今申し上げましたような額になるわけですが、どういう影響を持ってくるということをお考えなのか。一つ、総体では八十何億あるいは幾らというようなことではなしに、具体的に、これは私相当のやはり深刻な問題になってくるのじゃないだろうかと思うのです。局長さんあたり、こういう問題についてどういうふうに考えておられますか。
  102. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) いわゆる公共事業費の国庫負担率の特例につきましては、道路関係とその他とがあるわけでございまして、国が現在一番力を入れております問題は、道路問題だと思います。幸いにして道路につきましては、やはり国庫負担率が維持されるということになりましたので、その点についてはけっこうなことだと思っております。その他の公共事業につきましては、御指摘のように、来年度から国庫負担率が従来の率に下ってしまいますために、地方負担がかなり多くなって参ります。ただ、地方財政全体としては、一応事業が吸収できますので、それでよろしいようなものでございますけれども、できますならば、公共事業ごとに国庫負担あり方を私たちとしてはもう一ぺん検討し直すべき時期に来ているのじゃないだろうかという考え方を持っているわけでございます。たとえて申し上げますと、適用河川の工事を直轄で行う、直轄で行うような適用河川の工事でありましても、三分の一を負担する、地元に負わせるということは、いかにも酷な感じがするのでありまして、それだけの負担を地元がするということは、納得のいきかねることがあるのではないだろうか、こういう心配を持っているわけでありまして、こういうような点につきましては、今後なお関係各省と相談を続けていきたい。いずれ道路の問題から、治山治水の問題が大きく取り上げられて参るだろうと思うのでありますけれども、ぜひ私たちとしては、河川や砂防に関しますような事業につきましての国庫負担率は再検討されるべきものだ、また、そういうような方向へ努力していくべきものだというように思うのであります。
  103. 鈴木壽

    鈴木壽君 自治庁としては、私がさっきも想像を申し上げましたが、やむを得ず廃止に同意せざるを得なかったんだろうと思うんですが、いわばこの廃止というものを、地方財政がこういうものがなくなっても何とか負担していけるんだ、そういう認識に立っているものじゃないだろうと私は思うんです。今おっしゃるように、根本的な問題として、時限法だったからやむを得ずそういうふうにせざるを得なかったし、従って、こういうものがもしなくなるとすれば、国と地方負担区分について、さらに根本的に検討をすべきものである、こういうふうな考え方であると、こういうふうに了承してよろしゅうございますか。
  104. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今申しましたように、公共事業につきましての国と地方負担につきましては、私たち、やはり全面的に検討を必要とする段階に来ているというふうに考えております。
  105. 鈴木壽

    鈴木壽君 今、そういうような具体的な問題について、政府部内で、たとえば大蔵省との間に話し合いを進めておりますか。ただ今後こういうような問題があるというような、提示というような程度に終っているのか、そこら辺のところを一つ
  106. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 三十四年度の予算編成の際には、私たちは、道路につきましても、あるいはその他の公共事業につきましても、三十三年度においてとられた措置をそのまま継続していきたい、こういう線で話し合いをいたしたわけでございます。しかしながら、一方は主張が通ったけれども、一方は通らないというようなことになってしまいました。かりに一方の主張が通らない場合におきましても、今申しましたように、再検討を要する点があるのではないかというようなことは、その後も言っておるわけでありまして、また、いろいろな調査会におきましても、若干その点が問題になっておるわけでございます。ただそれだけにとどまりませず、特定地域の開発事業に伴います経費をどう負担し合うかとか、あるいは、財政再建団体に対する問題をどうするかとか、いろいろな問題があるわけでありまして、そういう問題を全面的に検討を必要とする時期に来ている、こうお答え申し上げるわけであります。
  107. 鈴木壽

    鈴木壽君 あなた方でそういう検討をし、そしてあなた方の考えておりますようなそういう形における実現というもののめどをたとえば三十五年度に置いているとか、あるいは三十五年度ではまだ無理だというようなことについてはどうでしょう。私は、三十五年度あたりにそういうことが当然なされなければならぬじゃないか、こういうふうにも考えますが、その点はいかがですか。
  108. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) お話のように、私たちとしては、ぜひ三十五年度から新しい負担あり方で進めてもらいたいという希望を持っているわけであります。
  109. 鈴木壽

    鈴木壽君 財政計画の方でございますが、先ほど、午前中に私お尋ねをし、あるいはまた、資料をお願いした点につきましては、後日資料を見せていただいてからお聞きすることもあると思いますが、これはまあ、今の財政計画そのものをどう考えるかというようなことにも触れるような問題ですが、これは、今の財政計画というものは一体どういうものであり、どういうふうな形において立てられるべきかというようなことのいろいろ論議もあると思いますが、そういうことを一応かりに離れまして端的に、ここにたとえば歳入なり歳出の金額がいろいろな事項ごとに載せられておるわけですが、たとえば、給与費なら給与費という問題、これはあれですか。そのうちの義教費関係のものであれば、たとえば、全体としては三十四年度中には不足を生ずるであろうと思っても、国の予算が一応義教費関係については幾らということで押えられている。従って、ここにいわゆる財政計画に載せられる数字というものは、国の予算の額を事業費関係なり義教費関係にそのまま載せていく、この中に、これは、今言ったように、将来多少の不足額が生じてもやむを得ないんだというような建前でやっているのか。これは一つの例ですが、そういうような建前に財政計画というものが組まれているのかどうか、はなはだ変な素朴的なような質問になるんですけれども、その点を一つ……。
  110. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 国の予算が地方財政計画に直接関係しておるものがずいぶんございます。その場合に、国の予算に盛られておるものは、その予算計上額の建前が正しいものだとして、その数字地方財政計画のところへそのまま使って参っております。
  111. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、義教費なんかの場合、たとえば、この計画の三十四年度の数字を見ますと、千九百八十六億二千七百万円と、こうなっております。これは、先ほど私がお尋ねしましたように、この額というものは、国の負担分と地方負担分との合計だろうと思うんですが、それが正しいものだというふうにお考えになって、三十四年度においてはこれで十分まかない切れる、こういうことなんですか。
  112. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) たとえば、二分の一の国庫負担ということで、国の予算にその負担額が計上されております場合には、地方財政計画の歳出にはその二倍の額を掲げるというように、国の計算の基礎が正しいものとして、地方財政計画にその数字を持って参っております。
  113. 鈴木壽

    鈴木壽君 だから、国の予算に載っている国の負担分については、計算の基礎になるいろいろな算出の数字があると思いますが、それは正しいものとして載っけてある、そういう意味での正しいものということなんですね。いかがですか。
  114. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) そういうことでございます。
  115. 鈴木壽

    鈴木壽君 ただ、具体的に、そうしてみますと、これではまかない切れないんだ、三十四年度中には千九百八十六億ではまかない切れないんだということもあり得る予想なんですね。
  116. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) ものによっては、地方の方で追加して負担をしておるものがございます。従いまして、そういうものも仕事の種類によってはあり得るだろうと、こう存じております。
  117. 鈴木壽

    鈴木壽君 地方において追加負担をしたり、継ぎ足しをしたりするという、いわば法律なりその他によってきめられている負担をこえたような負担をするというような意味でなしに、もっと端的に申し上げますと、義務教育関係職員費、地方が義務教育関係の職員に支払う給与ですね、その額でこれがまかなえるかどうかという問題なんです、私は端的にいうと。だから、そういう問題、従ってそれから起る問題は、さっきも申し上げたように、まことに子供みたようなお尋ねの仕方でございますけれども地方財政計画を立てる場合の態度を一つお聞きすれば、それで問題はなくなるわけですがね。一つこれでまかなえるかどうかという見通しの問題について……。
  118. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 私は、若干不足を生ずるんじゃないかという心配を持っております。
  119. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、若干どころでない、相当な不足を生ずるんじゃないかと思うんです。そこで私は、根本的な問題としては、財政計画というものは、たとえば、国の予算に載っかっている、それとまた対応する地方負担と、そういうきまった額によってだけ計上をせられて、従って、実際の支出なりあるいは決算等に現われてくるのは幾ら違ってもいいのだ、こういうような立て方であるのかどうかということです。
  120. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 国の予算が当然不足を予想して計上されているという場合には、私たち、それをそのまま正しいものとして地方財政計画に移すことは避けた方がいいと思います。しかし、国の予算が、多少誤差は生ずるかもしれないけれども、大体これでやっていけるはずだという建前で計上されております場合には、多少私たち異論がございましても、それを正しいものとして地方財政計画に移し変えざるを得ないのじゃないか、こういう考え方をとっておるわけでございます。義務教育費国庫負担金につきましては、御承知のように、毎年三十億円内外の補正予算が組まれて参ってきておるわけでございます。ところが、三十四年度の国庫負担金の国庫予算の計上額を決定するに当りましては、従来と若干計算方式を変えまして三十三年度の予算単価に一%プラスして、従来でありますと、二%の昇給財源しか見ませんでしたのを、三%の昇給財源を見る。また、退職手当につきましては、従来でありますと、千分の二十しか見ておりませんでしたのを、千分の二十五見るというような、かなり改善のあとの顕著なものもございましたので、やはり国の予算計上額の二倍を地方財政関係に持ってくるべきだ、こう思ったわけであります。多少誤差が生じましようし、どう見ましても、国の予算がゆとりをもって計上されているとは言えないわけでございますので、私は、今の鈴木さんの御質問に対しまして、率直に不足がちだというようにお答え申し上げたわけでございます。
  121. 鈴木壽

    鈴木壽君 先ほど申し上げましたように、私は、この計画と決算の食い違いが出るからそれが問題だという意味でなしに、計上する際に、まあ当然これでは足りないのだというような場合があり得るのじゃないかと思います。そういう場合に、一体どう考え計画を組まれるのかということを根本的にお聞きしたがったんですが、そこで、今のお話ですが、教育費関係について申し上げますと、国の予算が、今年は昨年より一%も多く単価において引き上げられて見込まれるのだから、今年はそれの方が正しいのだ、こういう前提のもとに、多少の過不足は、誤差は出るかもしれないけれども、まあ大体この算定方式から言っても、単価の押え方から言っても、適正であるという御判断のもとにお載せになったというふうに聞いてよろしゅうございますか、あなたの今のお答えを。
  122. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 国の予算はそういうつもりで組まれたのだ、こういうように私たちは受け取って、地方財政計画を作っておるわけであります。私たちがどういう判断をしておるかということとは別に、国の予算は、そういうつもりで、文部省と大蔵省との間で話し合いが行われて決定された、こう理解をいたしておるわけであります。
  123. 鈴木壽

    鈴木壽君 ですから、何べんもお聞きしますように、くどくなりますが、そういうことによってあなた方の御判断なり財政計画を立てられる場合に、やはり何かお考えがあるだろうと思います。そのお考えをどういうふうに財政計画の中に表わすか表わさぬかということは、これはまた別の問題になります。ですから、私がお聞きするのは、それに対する国の予算措置というものが、あなた方から見て一体これでいいと思っておったのか。あるいは、当然不足が出るというお見込みなのか。こういうことなんです。
  124. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 先ほど申しましたように、私たちは、不足額が出る、こういうように見ておるわけであります。
  125. 鈴木壽

    鈴木壽君 私も実は、この財政計画がでたらめとか、そういうことではなしに、この財政計画によっても、なおかっこれより以上に出る。いろいろの金を当然地方では使わなければならない。そういう金が出るのじゃないか、こういう意味で、計画そのものがずさんとか何とかということでなしに見ていったわけです。その場合に、私は、今の問題、まあ話題の一つとして申し上げるのですが、いろいろ教育費関係の職員では、大体これは多少というよりも、今年の新学期の補正予算に組まれたくらいの額は、いわゆる不足額として、これが精算分として、一年後に払われるような形になってくるのじゃないだろうかというふうに思いますが、そういう心配はございまんか。もっと申しますと、今年は大体三十億を国から出してやらなければいけない。給与費だけじゃございませんけれども、基本給やその他のあれです。恩給等の関係も含めまして、二十九億なにがしという金が精算されるわけなんです。ですから、その程度の金は、私は、三十四年度の地方財政に載せられたこの数字からしますと、やはり出してくるのじゃないだろうか、こう思うのですが、その点についてはどうか、こういうことです。
  126. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 率直に申し上げまして、一、二%差の出ることは免れないだろうと思っております。
  127. 鈴木壽

    鈴木壽君 その場合に、よく地方財政計画と実際とは食い違うとか、やれこれだけでは足りないのだという問題がありますが、いわゆる足りないというものの中には、あなた方としては、教育費関係におきますところの二%程度不足額というものは当然やはり出てくるだろう、こういうふうに考えておるわけなんですね。
  128. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 金額を具体的に申し上げることははばかるわけでありますけれども、差が出てくると思っております。
  129. 鈴木壽

    鈴木壽君 ただ私は、さっきあなたがおっしゃったのですが、三十四年度の単価の押え方というものは、昇給分は一%も多く見ていたのだということからの計算では、そのまま正しいのだという意味のことをおっしゃったように聞いておったから、それではどうも少し楽観的じゃないだろうか、こういう実は心配を持つわけなんです。いろいろこの単価の押え方なんかについて調べてみますと、三十四年度の小中学校の給与の算定の際に用いる単価というものは、なるほど昇給分については、三十三年度よりも一%多く見ておりますけれども、それにしても単価がなお低いのです。これは、三十二年度の決算のときの単価から割り出してみましても、三十四年度の単価はずいぶん低い。三十二年度の決算ですよ。三十二年度の決算では、小学校が一万九千九百五円という基本給です。そういう単価になっております、決算の単価は。中学校は二万一千六十二円という単価になっておる。今度は、三十四年度の小学校の単価は一万九千五百四円、大体四百円低くなっておる。中学は二万四百二円ですから、これでも六百何十円か低くなる、三十二年度の決算の単価からしても。そういうのですから、その後に給与の面で、基本給の大きく低下したという事実があるならば、私はこれは承服できると思いますが、むしろそれから上っておる。今年は、初任給改訂の分なんかも見込まなければなりませんし、単価というものは上っているのじゃないか。それをそういうものも、もちろん今度の三十四年度の計算では見込んだ単価のはずなんですけれども、実際には下っている。ここで私は、三十二年度の精算分として上げられましたような、まず三十億程度の国の持ち出しは補正として当然組まなければならないのじゃないだろうか。従って、地方もそれの額は持たなければならぬ、こういうことになるような概算なんですが、その点は、あなた数字にわたるのは避けたい、こうおっしゃっておりますが、お見通しはどうなんですか。
  130. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 三十四年度の地方財政計画を立てます場合に、私たちが当初主張いたしておりましたのは、御存じの三十二年度決算額を基礎にして三十四年度の給与額を設定すべきだ、こういう主張でございました。しかし、結果的には、先ほど御説明申し上げたようなことできまったわけであります。同時に、前年の単価に従来は二%程度の昇給率しか見ていなかったものを、三%見たということも事実でございます。しかし、鈴木先生の話をだんだん伺っておりますと、推計しておられます金額にも一つの根拠がある、そういう見方も成り立つというように私たちも思っております。
  131. 鈴木壽

    鈴木壽君 そこで、この食い違いについては、あなたもさっきお話になりましたように、国の予算にきまったのでございますから、これが誤まりだとか何とか言っても、それはそれだけの話なんですけれども、そこで、問題になるのは、これに対する地方負担の仕方だと思うのですが、これは、むしろあなた方よりも、実は文部省なりあるいは大蔵省にお尋ねすべき問題かもしれませんが、かりに三十二年度の精算分が、ついせんだって、いわば今の国会でようやく補正ができる。予算が成立する。事実上完全に一年、地方にすれば、国からの分については負担を自分たちでしばらくの間背負っておる。こういう格好なわけなんですね。こういうことを何とか改善できるようなことをあなた方としては考えなければならぬ問題だと思うのですが、その点、どうでございますか。
  132. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) おっしゃる通りであります。補正予算を組むチャンスはあるわけでございますので、できる限り早くそういう措置はとってもらいたいものだということを常々申して参っておるわけでございます。基本的には、当該年度の需要額に見合うだけの予算計上をしてもらう。それができない場合には、予備費でやってもらう。それができない場合には、補正予算の時期を早めてもらう。こういうことだろうと思っております。三十三年度分につきましては、税法改正に伴うものでございましたけれども、先般の補正予算の際に、二十億前後の金額が追加されたわけでございまして、私たちの年来の主張が若干いれられてきておるというようには存じておるわけでございます。今後なお御趣旨の線に沿って努力していきたい、こう考えておるわけでございます。
  133. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは、三十三年度分についての中途の補正、一・〇二が一・〇三になった補正のことは、これはまあ、これでも十分じゃないだろうとは思いますけれども、そういう措置なり、あるいは、あなたのお話になったことは、根本的には初めからの算定の数字なり、単価の押え方なり、あるいは昇給率なり、その他給与改訂分の率というものを十分まかなえるだけ見なければならぬということになると思うのですが、かりにそういうことが多少うまくなくいったにしても、何かもっと、やはり私は、地方団体にとっては、早く精算されることが望ましいことだと思うのです。完全に一年、考え方によっては、部分的には二年くらい、地方が国の分まで負担をして払ってしまっているのだというような形の、こういう精算の仕方というものは、地方団体の財政が苦しい状態にあればあるほど、これは早く改善されなければならぬと思うのですが、何か予備費的な支出というようなことで、あるいは概算払いみたいな格好にできないものでしょうか。
  134. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 私は、改善しようという気持さえあれば改善できるものだ、こう思っておるわけでございまして、そういう意味では、国庫財政の運営当局の人たちに、もう少し考え直してもらいたい、こういう気持を、率直に言って、持っております。交付公債制度の問題にいたしましても、義務教育費国庫負担の精算の時期にいたしましても、いろいろ改善する意思さえあればできるものだと、そう思っておるわけであります。そういうことで、なお私たち努力はしなければならぬと思います。
  135. 鈴木壽

    鈴木壽君 この問題について、自治庁に対しては、今お話を承わりましたが、文部省あたりで、どういうふうな態度でやっておられるのか。これは直接今度来ていただいたときお聞きしたいと思っておりますが、何かあなた方との連絡等があって、この問題のためにとっておる手があったら一つお聞きしたいと思うのですが、どうですか。
  136. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 文部省としましても、かなり気にしておられるようでありまして、予算折衝に当りましては、実支出額の二分の一に相当するようなものを計上さしたいということで、努力を重ねておられるようであります。しかし、今回きまりました結果につきましては、かりに二千億の見積り方において、二十億、三十億の違いが出ても、これは一種の誤差みたようなことであるから、誤差もなくしようと言われても困るという気持を、端的に申し上げますと、漏らしておったことがあります。私たちほど切実に感じておられないかもしれませんが、相当熱心に努力をされておることは事実でございます。
  137. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、今ここでこの問題をどうのこうのと言う必要はないと思うが、誤差とか何とかという問題では片づけられないで、当然やはり実態を把握して、従って、単価なんかの押え方なども的確にやる手があると私は思う。それで、誤差だと言うが、それは一つの予算編成の上の、何と言いますか、大蔵省に押されたりなんかした、そういうことから来るゆがみであって、私は、当然生ずる、あるいは不可抗力と言いますか、そういうものによってできる誤差ではないのです。初めからいいかげんな基礎の上に立っての計算です。いつまでたってもそれを直さないというところから来る誤差なんであって、だから、それくらいの誤差は当然出るし、がまんすべきだというような、もし文部当局がそんな考え方を持っておるならば、非常におかしな話だと私は思うのですが、しかしこれは、あなたに申し上げることではございませんから……。で、私のそういう推定から申して、三十三年度で約四十五億から五十億くらいの一度補正予算で直しても、その程度のものは出るのじゃないか。これはあくまで推計でございますが、確たるそれをお示しすることができませんが、大体そういうものはできるのじゃないか。三十四年度においても、やはりその程度不足額というものは当然生じることになるだろうと思うのです。こういう点で、地方財政計画を組むという場合に、今後どう考えていったらいいものか。たとえば、備考欄に、この程度の誤差は生ずるかもしれないというようなことを備考書きにしてみたらどうかと思うが、それはそういうことでいいと、そういうものが当然出るのは、地方財政計画は、これで標準的なものを出すのであるから、それでいいと、こういうことになるものか。もっと地方財政計画は決算と同じくせよという意味では毛頭ないのですが、実情に合うような、収支ともそういうもので立てられるべきだというような考え方がもしあるとすれば、もっとそこに何とか的確に立てられる方法はないかと思う一入ですが、そういう意味から言うと、将来何かこういうような問題については、あなた方の御説明の中にもあっていいような気がするのですが、その点はどうですか。
  138. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 率直に申し上げまして、間違いが起っておるというのを、ことさらに金のつじつまを合せて国会に提出するような、そんな態度はとるべきものではない、かように考えております。しかし、国の予算も、義務教育費国庫負担法で、実支出額の二分の一を負担するようになっておりますので、そういう考えで予算は組まれるべきものだと思います。また、そういう努力をしているものだ、こう私たちは存じておるわけでございますので、基本的には、やはり合ってこないと穏当でないんじゃないか、こういうふうに私たち考えておるわけでございます。  なお、決算額と地方財政計画との食い違いが相当ございます。これはやはり合せられるものなら合せた方がいいと私たちは思っております。三十五年度の地方財政計画につきましては、ある程度合せる方法でこの計画を作った方がよろしいのではないか、かように考えておるわけでございまして、三十四年度の地方財政計画を作る場合にも、そういう考え方を持たないわけではなかったわけでございますが、いろいろな事情から、これをあきらめたわけでございます。もとより本質的には決算は地方財政計画とは違うわけですから、百パーセント合わなければならないものではございません。今御指摘のような食い違いがはっきりわかっておると、むしろ合せた方が、わかりやすい姿に置いておくことが適当でないかと考えておるわけであります。
  139. 鈴木壽

    鈴木壽君 私も、前に申し上げたように、今あなたのおっしゃるように、決算ときちっと合わなければいけないというふうに考えておりませんが、ただしかし、できるだけ出るものは出るように、入るものは入るように、一つのやはり確実さといいますか、だれが見てもそうなんだということで、そういうものをやはり何らかの努力によってやった方がいいのじゃないだろうか。たとえば、ちょっと今言ったように、備考書きにしてみたらどうかということをちょっと思いつきに申してみましたが、実は、昨年の地方財政計画の中で、歳入の部で、このほかに約四十億程度の税の増収額が見込まれるのだということを書いたことがありますね。たしか昨年度の地方財政計画の中にそういうことがあるのです。一体この四十億は何か。財政計画ワクの中からはみ出る四十億は何かというようなことを論議した記憶がありますが、これは一つの私は立てる上の技術的な問題としてそういうことがあってもいいのではないかというような気がするのですが、これは一つの例でございますが、ですから、これは本筋から少し離れましたけれども、そういうことも、今後財政計画そのものを立てる場合に一つ御検討願えればいいのです。なお、地方では、義教費の精算のおくれることについて、先ほども申しましたように、非常に困っておるのです。府県で大体平均とってみますれば、東北あたりの普通の県では、四千何百万円あるいは五千何百万円、これは、地方にとっては非常に大きな金で、しかも、それが一年も完全におくれるというふうなことでありますので、今後、くどいようでございますが、こういう問題について、文部省と大蔵省との間に十分話し合いをつけて、地方にそういういたずらな、何といいますか、財政的な圧迫と申しますか、あるいはまた不満を持たせないような措置一つ講じてもらいたいのです。  今、義教費の問題について申し上げましたが、その他の一般の給与費ですが、これも何か少く見ているのじゃないか、実際はもっと出るのではないか、こういうふうに思うのですが、これは、各団体のいろいろ職員の給与のそれですから、一々、今の義教畳みたいに、ぴしゃっと単価を押えてやるというようなことは不可能な問題ですが、それだけ、計算するのに大まかなそれしか見ていないのですが、これは性質上やむを得ないと思うのですけれども、実際上しかし毎年の決算を見ますと、私は何べんも申し上げますように、決算と計画が必ずしも一致しなければいかぬということではないけれども、あまりに額がかけ離れておるような気がするのです。何とかこれは、計画上においても大きな誤差というものがないような形で押えて計上すべきじゃないかと思うのですが、この点、どうでしょうか。
  140. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 給与費につきましては、長い間かなり激しい論争のあった点でございますが、その結果、地方公務員の給与実態調査まで行なったのでございます。行なった結果とられました財政措置は、やはり地方公務員の学歴なり勤続年数なりに応じて国家公務員であるならば支給されるべき給与額、これを基礎にして地方財政措置をしていくということでございまして、実績との間にはかなり開きがございます。開きがございますが、今申し上げましたような、あるべき給与額を基準にして地方財源措置をするというやり方を繰り返してやって参っておるわけであります。
  141. 鈴木壽

    鈴木壽君 ところで、そのいわゆるあるべき姿を捕捉しておやりになったというようなことですが、一方それなら現実のある姿ですね。これというものは、あるべき姿よりも今言ったようにかけ離れておると思うのです。これはどうですか。もっと端的に言うと、一般職員のそれの額は、相当計画で見ている額よりも上回っておる、実際の支出は。これは、あるべきもの以上に給与を支給しておるためであるのか。あるいは、あるべきというあり方のとらえ方が実情に即しないとり方をしておるのではないか。こういうことなのか。どっちでございましょうね。
  142. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) この給与問題については、かなり論争のあるところでございます。しかし、先ほど私が申し上げましたような計算方式地方財政計画の計数は作っております。また、現実の給与というものは、退職者の状況でありますとか、新規採用の者の状況でありますとか、いろいろな事情で、刻々変っていくものでございます。変っていくものでございますが、調査いたしましたのは昭和二十九年の調査でございます。従いまして二十九年当時の開きをそのまま継続してきておるというような過程で考えますと、実績と計画との間には二百億円程度の開きがあるというように私たち予想いたしておるわけであります。
  143. 鈴木壽

    鈴木壽君 そこで、二十九年当時のその時で押えた、そうして実績と計画との間に二百億程度の開きがあるのだ、二十九年度のときに押えた押え方が、現在の三十四年度の地方財政計画の中に持ってきて適当なものかどうかということなんです。実はそこなんです、問題は。
  144. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) その後もたびたび給与改訂等が行われておりますので、給与改訂のあるたびに、ある程度国家公務員の水準にさや寄せをしていく。低いところは上げるし、高いところは昇給を極力押えていくというようなやり方を繰り返して参っておるわけであります。実情はまだ全体的にわかっていないのでございますけれども、昨年行いました調査から見まして、相当な変化を来たしておることは事実でございます。やはり財政計画としては、地方団体に、こういう姿でやってほしいというところで数字を固めていくのが正しいやり方ではないか。また、そういう考え方で従来運営をいたして参っておるわけでございます。また、これが基礎になって基準財政需要額の算定に当って参るわけでございますので、決算の場合に若干食い違いがあることはやむを得ないと思います。しかし、給与問題そのものについていろいろ議論のあることは事実でございますし、同時にまた、現在とっております態度が、先ほど来私が申し上げる通りであることもその通りでございます。
  145. 鈴木壽

    鈴木壽君 私、端的にお聞きしたいのは、それでは、あるべき給与の水準というものですね、二十九年ですか。多少その後の給与改訂等の修正を加えて現在も用いておる。それによって、一つのレベルと申しますか、こういう水準でやってもらいたい、こういう数字だというお話ですが、そうすると、実際今の地方団体負担をしておる額はそれより相当多い額だ。それがあなた方が指示あるいは考えておる水準よりも高くて、いわば地方団体で勝手に高い給与をやっておるためにこういうことになるのだ、こういう結論になるわけですか。その点はどうですか。
  146. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 財政計画の立て方としては、従来の方式を踏襲しておるわけでございますから、地方は、実際に給与費としてはもっと余計要る。しかし、この財政計画の中の給与費にはそれが入っていない。しかし、現実に払っておるわけですから、どこかの金を食っているわけでございます。言いかえれば、単独事業費か何かを食っているわけでございまして、三十四年度の財政計画に当って、実給与額との差額を取り上げたということじゃないんで、従来の線に沿って計画は作っておるわけでございます。
  147. 鈴木壽

    鈴木壽君 いや、だから、誤解のないようにもう一度申し上げますと、決算と食い違っているからけしからんという、そういうことじゃなくて、ただ、あなた方がこういう水準、一つ地方団体の標準的な職員の給与の水準として考えられた、それを一つ押えて、国家公務員に準じたものをとってあるわけでしょう。二十九年度のときにとって、その後給与改訂あるいは何かいろいろな適当な所要の修正をして、現在の単価にしてあると思うのです。しかし、実際はその給与がそれ以上はうんと、何百億か食っている。これはだから、あなた方が示しているこうあるべきだという給与水準よりも実際は高いということになる、全体としては。そういうことにならぬですか。だから、もし高いとすれば、その高いのは、地方団体が勝手に、あなた方がこうあるべきだという一つの想定を上回った給与をしておるということになるのかならぬのか、こういうことです。
  148. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 二十九年の実績の総平均では、あるべき国家公務員の給与水準よりも高かったのでございます。おそらく相当変化があると思いますけれども、今日なお高い給与ベースについては変りないのじゃなかろうか、こう思っておるのであります。
  149. 鈴木壽

    鈴木壽君 全般的に、そうしますと、国家公務員の給与の水準よりは高いのだ、こういうふうに見て差しつかえないわ、けですね。
  150. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 総平均でそういうことでございます。個々の団体によっては、かなり増減がございます。
  151. 鈴木壽

    鈴木壽君 私も、総平均ではそういうふうに見ざるを得ないと思うのですがね。もちろん、個々の団体によっては、高いところもあるし、しかしまた、低いところもずいぶんあると思う。特に町村段階等になりますと、まあ軒並みと言っては悪いけれども、特定の団体を除いては大体低いのじゃないだろうか、こう思うのです。将来低いところの団体のそれに対して、どういうふうな指導といいますか、あるいは給与の引き上げ等についての措置が、あなた方として考えられておるかどうか、その点一つ伺いたい。
  152. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 御承知のように、交付税制度をもってあるべき財政運営が行えますように、財源保障をして参りたいと思うわけでございます。同時にまた、その中身を、公務員の給与についてはどういうふうな計算の基礎をとっていくかということも示しておるわけでございまして、原則的には、大体交付税計算の基礎を参考にして予算運営がなされておると思っておる次第であります。また、そういうつもりで基礎を示しておるのでありまして、それ以上に強く自治運営の内容に拘束を加えるということは、適当ではないのじゃないだろうか、かように考えております。今御指摘のありました点につきまして、先ごろ昭和三十四年度地方財政の運営についての通達を出しておりますので、読み上げてみたいと思いまする  「給与費については、給与その他に関する地方公務員制度上の趣旨に則り、各地方団体特に他の地方団体との間に著しく均衡を欠いている市町村等においては、給与に関する諸制度の整備を図り、その職員構成、職員配置、給与の実態等につき検討を加え、その財源ともにらみ合せて、一層の適正合理化に努めること。」というようなことを申したわけでございます。
  153. 鈴木壽

    鈴木壽君 この一般職員の給与費の問題につきまして、最近の実情調査はございますか。ございますかといったって、いずれこの調査が最近のだといわれればそうですが、最近やったので一番新しいのはいつですか。
  154. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 昨年の七月一日現在で、公務員課が中心となりまして、かなり大がかりな調査をやったわけでございますけれども、まだ統計局でその集計中でございまして、ごく一部しかわかっておりませんので、私たち財政計画の参考にはなし得なかったわけでございます。
  155. 鈴木壽

    鈴木壽君 そういうような場合に、もしかりに実態がわかってきた、そこで、財政計画を立てる場合の建前としては、国家公務員に準じた地方公務員の給与というものを当然に考えていくということになると思いますが、しかし、地方の実情は必ずしもそれを一律に律せられない。高いところあるいは低いところが相当あると思うのです。高いところについても、いろいろ問題がないわけじゃないと思いますが、特に低いようなところに対しては、何かやはり今の通達ですか、お読みいただいた、そういうこともございますけれども、しかし、何といいますか、一片の通達なり指示なりということでも、なかなか町村等の段階におきましては、簡単でない問題も私はあると思う。これは一つ財政計画においてというよりも、むしろ行政局の方のことで、いずれあとからそちらにお聞きしたと思いますが、そういう問題も一つ、これはあなた方の立場としてもやはり、私、財政計画上の問題だと思いますので、お考えおき願えたらありがたいと思うのですが……。
  156. 占部秀男

    占部秀男君 今の鈴木委員の一般職員の給与問題に関連して、二、三お尋ねをしたいと思うのですが、この職員の数の問題ですね。この数は、今度の財政計画によると、六十一万四千八百七十九人とたしかなっているように思ったのですが、いかがですか。
  157. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今のお話は、義務教育職員だけのことでございましょうか。もし職員全体でしたら、百五、六十万人になっております。
  158. 占部秀男

    占部秀男君 いえ、一般職員数……。今鈴木さんのは、義務教育関係のですか。
  159. 鈴木壽

    鈴木壽君 いや、そうじゃない。一般のですよ。
  160. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 六十一万三千百四十八人というのが三十三年度の数字でございまして、これに今提出しております増加員数を加えたものが、三十四年度の計画ということになるわけでございます。
  161. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、この数の立て方の問題ですが、これは実員主義というか、そういう形ではないわけですか。どういうことですか。
  162. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 二十九年の実態調査のときの員数を基礎にいたしまして、その後、たとえば高等学校の先生などにつきましては、高等学校の定員増加等とにらみ合せまして、それにプラスをするというようなことで、推計を加えながら現在の員数を推定いたしておるわけでございます。
  163. 占部秀男

    占部秀男君 そこで私は、この点については、ちょっと矛盾があるのじゃないかと思うのですが、それは、機械的な言い方になるかもしれませんが、大勢として、人口がふえるということは、やはりそれに伴う仕事がふえるということであるし、それから、ここのところ四、五年の状態を見ていても、国のいろいろな仕事だけでなく、事務量というものは決して減っていないと思うのですが、特に毎年日本では人口が百万人もふえておるというような中で、この三、四年の間というものは、やはり一般職員の数というもの、この財政計画による数というものは、毎年減っているわけですね、これは、一つには首切り問題もあるでしょうけれども、どうも実員主義をとっていないということから、実際問題としては、減った人数を臨時職員でまかなわなければならぬと、こういうふうな形を地方ではとっておるのであって、実際は、その人口増に見合う、いや、その他の事務量のふえることに見合う実員というものは、地方では、やはり臨時職員という形でこれは実員をふやしておるんだと、かように、ちょっと概念的ですが、考えられるんですけれども、そういうような点については、どういうように把握されておりますか。
  164. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 御指摘のように、人員の整理ということで、減少だけを財政計画に立てた時期もございます。三十四年度の計画に当りましては、減少は全然考えませんで、プラスの要員だけをそこに取り上げておるわけでございます。財政計画の策定に当りましては、大体減員がこうだという推定をしているつもりでございますが、しかし、実績はあるいは若干そこに食い違いが生じるかもしれません。昨年調査いたしましたところがはっきり出て参りましたならば、その辺の不つり合いも的確に知ることができると思っております。
  165. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、関連してお伺いしたいんですが、この臨時職員の方の問題なんですが、今度の財政計画では、例の七%増という形に、切りかえのあれがなっておるわけですね。去年の二〇%と、今度ことしはたしか七%、国に見合う形として、七%分だけふやして財源措置が行われていると思うんですが、そうでございましたな。
  166. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) その通りでございます。
  167. 占部秀男

    占部秀男君 去年から、去年というよりも、四、五年前から、この問題は、参議院でも決議が行われたりいろいろした問題でありますが、そうすると、ことしは全然臨時職員の方を本職員へ定数化ということはしないということになりますか。
  168. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 現在のところ、国家公務員につきましては、定員法の改正は提案されていないというように承知いたしておるわけであります。
  169. 占部秀男

    占部秀男君 私も、国家公務員の関係においてはそうなっておると思うんですが、地方の実態を見ますと、たとえば、山口県なら山口県で、一〇〇%臨時職員の方を本職員へ切りかえる。そのためには、三ヵ年計画で三・三・四とか、あるいは、地方によっては、四ヵ年計画で二五%ずつ入れるとか、そういうようなことが、実際問題として職員団体側と知事との間に、何といいますか、交渉の結果きまっておると、こういうような形になっておるわけですが、そこで、今まあ三・三・四なら三・三・四として、この定数化をする場合に、本年は国家公務員の方が一つ措置されていないんで、地方財政計画も二七%で、昨年の国家公務員の分と同じである。そこで、そういうような繰り入れ方については困るというような、それは行政指導というようなことを行うというような意思はあるのですか。
  170. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 国家公務員についてとられました措置と並行して、地方公務員の措置財政計画に掲げてあるわけでございます。しかし、これはあくまでも財政計画上の目途でございまして、地方団体でこれ以上に定数化する、あるいはこれ以下にしか定数化しない、これは、特段私ども拘束しておるわけではない。地方団体の臨時職員の実態に応じて定数化を考えられればよろしいのではないか、こう思っておるわけであります。財政計画上は、定数に入れるか入れないかということにつきましては、状況によって大きく動いてくるわけでございます。この七%の振りかえだけで、ここにあげてありますのは、三ヵ月分であります。年間にしますると、約十一億になる。そういうことでございますので、計画としては、国家公務員に準じたもので個々の団体に、それぞれの実態に応じて運営していけばいいと思っております。
  171. 占部秀男

    占部秀男君 これは、局長も御存じの通り、地公の関係もあって、地方の組合と知事との文書協定なりその他の問題は、やはりできる範囲というか、その県、自治体自体の財政的な幅というものを勘案してやっておるようなわけですけれども、いずれにしても、それを実行するということは、これはもう法の上からいっても、当然お互いに尊重し合って実行していかなければならぬ。それで、今年の財政計画からして、いろいろな面が私は出てくると思うんですが、そういう場合に、そうした問題について、これを自治庁の方で無理に、無理にという言い方はおかしいのですけれども、制約するというような考え方は一切ないわけでありますな。
  172. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 毛頭持っておりません。
  173. 館哲二

    委員長館哲二君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十七分散会