運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1959-03-20 第31回国会 参議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十日(金曜日)    午前十時二十六分開会   —————————————   委員異動 本日委員廣瀬久忠君辞任につき、その 補欠として吉江勝保君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事            小林 武治君            占部 秀男君            鈴木  壽君    委員            郡  祐一君            小柳 牧衞君            成田 一郎君            吉江 勝保君            松澤 兼人君            森 八三一君   政府委員    自治政務次官  黒金 泰美君    自治庁税務局長 金丸 三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   参考人    千葉習志野市    長       白鳥義三郎君    主婦連合会副会    長       春野 鶴子君    千葉県知事   柴田  等君    地方財政審議会    会長      児玉 政介君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方交付税法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○地方税法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) これから委員会を開きます。  委員異動がありましたから、御報告申し上げます。昨十九日吉江勝保君が辞任されまして、廣瀬久忠君が補欠選任せられました。   —————————————
  3. 館哲二

    委員長館哲二君) 地方交付税法の一部を改正する法律案地方税法等の一部を改正する法律案地方税法の一部を改正する法律案、以上三件を一括して議題といたします。  本日は、これら三件につきまして、四人の参考人の方々から御意見を伺いたいと思います。午前はただいま御出席のお二人にお願いいたすのでありますが、その前にちょっと参考人皆様にごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ、当委員会のために御出席を賜わりまして、まことにありがとうございました。委員一同にかわりまして、ありがたくお礼を申し上げます。これから御意見を拝聴いたします地方交付税並びに地方税関係の三法律案地方公共団体にとりましてはもちろん、各住民の一人々々にとりまして、まことに重大な影響を持っておる法案でありますことは、今さら申し上げるまでもないのでありますが、当委員会におきましては、来年度の地方財政計画とも関連をして、ただいま慎重に審査を続けておるのであります。御出席を願いました皆様方は、それぞれの方面において、これら改正案につきましては、深い関心と御造詣とをお持ちの方ばかりでありますから、どうか御忌憚のない御意見の御開陳を願いまして、今後私ども法案審査のために御協力を願いたいと思います。  なお、議事の進め方でありますが、まず最初にお一人大体二十分程度で御意見をお述べ願いまして、そのあとで委員から質疑を行いたいと存じますので、その点お含みおきを願います。  これより御意見を伺いますが、まず市町村側代表としまして、千葉習志野市長白鳥義三郎君に御発言願います。白鳥参考人は、今次の改正案を中心として、あわせて地方財政全般の当面いたします諸問題について、御意見を伺いたいと存ずるのであります。
  4. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) 常日ごろ、こちらの委員会におきましては、市町村財政について格段の御配慮をいただいておりますことを、ありがたくお礼を申し上げたいと存じます。  ただいま議題になっております三つの法案に関連いたしまして、本年度の地方税法改正が、最初計画をされましたときには、政府の一部におきましては、相当市町村財政に大きな影響のある固定資産税税率引き下げ等も、議に上っておったように聞いておったのでございますが、従ってまた私たちはそれに対して非常に大きな関心を払っておったのでございますが、幸いにいたしまして、皆さん方格段の御配慮によって、市町村財政に大きな影響のある項目が取り除かれることになったのであります。この点厚くお礼を申し上げたいと存ずる次第でございます。  ごく大まかに申し上げまして、今回の地方税法改正によりましては、市町村財政には直接非常に大きな影響のあるということが少いのでございます。ただ今後の地方財政の上に大きな影響があるだろうと思われる個条もございますので、その点について、とくと御配慮をいただきたくお願い申し上げたいと存ずる次第でございます。それには直接税法関係がございませんけれども市町村財政のあらましを、そうしてまた現在大きな問題になっておりますことを参考として申し述べさせていただきまして、そういう大きな問題があるので、とくと今後税制改正については御配慮をいただきたいというようにお願いをいたしたいと、こう考えるわけでございます。  それで今私、市町村を担当しております者にとりましては、特に心配しておりますのは、公共事業が非常に多くなって参ったこと、それに対して政府の方で財政措置を十分に見ていただけない、従って今後地方財政がますます逼迫するのじゃないかという心配をいたしておるわけであります。その一番いい例と申しましょうか、端的に大きな問題になっておりますのは、例の屎尿処理の問題でございます。今まで市町村が始まって以来ほとんどこの方面についての仕事が進んでおりません。これが他の欧米諸国の例をとってみますというと、すでに前世紀の末葉においてそれぞれの立法措置が講ぜられ、下水道のないところには住宅を建ててはならないというような、そういう法律を作っておったところもあったくらいでございますが、そういうふうなことが日本ではなくて、しかもその屎尿農家の方で肥料として使っておった、こういうような実情のために長く屎尿処理の問題が解決がつかなかったわけでございます。ところが最近になりまして、終戦後御案内の通りに、化学肥料が急速に普及しつつある。そこで全国至るところの市で屎尿をせっかく集めましても、それを処理するのに困難を来たしております。これが水田の回りの都市、これは言うまでもない。あるいはまた大都市等においては言うまでもないのでありますが、早い話でありますが、私どものような習志野の漠たる原っぱの中で細々と市街地を作っておるようなところでさえ、集めた屎尿農家にはもう還元ができないのでございまして、従って、まことに遺憾なことでございますけれども、これを不法投棄せざるを得ない、こういうような実情にあるわけでございまして、これが一年々々とその度が激しくなってきております。これを何とか今のうちに処理をいたしませんと、今後十年を待たずして、全国至るところの市がそれこそふん詰まりになってしまうのじゃないかと非常に心配をいたしておるわけでございます。それならば、さっさとそっちの方の施設をしたらいいじゃないかというおしかりを受けるかもしれませんが、これがまた莫大な経費が要ることでございまして、先般も私の方で下水計画を立ててみたのでありますが、ごくちっぽけな市の一部分だけに下水を設けるというだけで四億という莫大な金額がかかる。こういうことが出てきております。従って、これを全国的に市街地に及ぼしますならば、おそらくは一兆円を上回る費用が要るのじゃなかろうかと推算されるわけでございます。もちろん終戦直後におきましては、私たちが六三制の実施のためにずいぶん悩まされたのでありますが、この六三制の実施に伴う必要経費と申しますれば、これは数千億にすぎなかったと思うのでございます。おそらく下水処理だけを完全にいたすのにはそれの十倍か、一けた上回った莫大な経費が要るのじゃなかろうかと心配をいたしておるのであります。しかもこれが、十年を待たずしてもう行き詰まりになりはしないかというふうにも心配されるわけであります。一例をあげましても、そういうような大きな仕事市町村は現在しょい込んでおるわけでございます。それに対し国の方でなかなか財政的な御考慮を払っていただけない。もちろん建設省におきましても、厚生省におきましても、それぞれ御配慮をしていただいておることでございますが、なかなかそれが私たちの思う通り金額にはならない。少くとも人口増に伴う屎尿の増量と申しますか、屎尿を集めたものが年々ふえますけれども、そのふえたものだけでも処理をいたしたいと思っても、現在の状況ではそれだけでも処理ができないような状況になっているわけでございます。今後この方面におきましての格段の御配慮をいただきませんと、市町村が行き詰まるのじゃなかろうかと心配をいたしているわけでございます。  まあこういうふうな一例をあげましても、いろいろと解決の困難な問題がございます。なお経常費等におきましても、年々地方公務員の給与も引き上げられることでございます。消費的経費をいかに節約いたそうといたしましても、年々私の方の小さな市の経験によりましても、五%ぐらいはどんなことをしても経費がかさんで参ります。そうなりますというと、これでいえば義務的経費でございますが、その義務的経費をまかなうだけの税収伸びがあればいいのでございますが、なかなかそれが期待する方には参らない。ことに政府におきましては減税の政策をおとりになっていらっしゃる。これはもちろんけっこうなことでございます。国民税負担が軽くなるということは、こぞって歓迎するところでございますけれども、それがすぐに地方財政の方に大きな影響を及ぼしてくる、こういうことになりますと、先ほど申しました通りに、やらなければならない仕事がたくさんあるし、また義務的な経費も相当かさんで参りますのに、それを補うだけの税収伸びがないということに相なって、私たちとしてまことにその点について心配をいたしているわけでございます。今回の税法所得税法改正によりまして、今年度は幸いにいたしまして地方税には、住民税にはあまり大きな影響はございませんけれども、来年度すでに百数十億の減収が見込まれるわけでございまして、従ってこれに対しましては、ぜひその補てんの策を講じていただきたい。今年度の税法改正附帯決議としてでも、ぜひこれの問題を解決していただきたいとお願い申し上げる次第でございます。もちろんそれをどのような形で補てんするかということは、委員会の御研究に待つ次第でございますけれども、私たちといたしますれば、たばこ消費税等によってこれを補てんをしていただきたい。大体逆算をいたしますと、たばこ消費税税率を四・五%ぐらいの引き上げお願いいたしたいと考えているわけでございます。なおそのほかにいろいろ私の方の市長会でも検討を加えまして、当面の地方財政計画についての問題、あるいはまたそれに関連いたします地方税法改正についてのお願いの筋やら、あるいは交付税改正についてのお願い個条等を列挙いたしまして、皆様方のお手元に御配付申し上げているような点があるわけでございます。十分そこのところについて御検討をいただければありがたいと考えるわけであります。で、これについて一つ一つ私ここでお願い申し上げますのも時間がかかることでございますので、このうち特に私たちとしてお願い申し上げたいと思うことを二、三述べさしていただきたいと存じます。  財政計画の中で、地方公共事業の増加に伴う地方負担がふえるということは先ほど申し上げました通りでございます。なおこのほかに私たちといたしますと、財政運営が非常に苦しいものでございますから、当然市町村において負担をしなければならないような費目までも住民割当寄付なり、そういったようなことでお願いしている経費が相当たくさんございます。これはもちろん私たち財源が相当ございますれば、ぜひそういったようなことはいたしたくないのでございますが、何といたしましても財源が乏しいものでございますから、住民税外負担お願いしているのでございます。たとえて申しますと、PTA費用等につきましても、ところによりますと、市町村でもっております教育費の倍額くらいをPTAお願いしているというようなところもあるやに承わっております。こういったようなことを私たちは決して好んでやりたくはないのでございますけれども、繰り返して申し上げるようでございますが、財政の不如意なためにそういうような措置もとってしまう、あるいはまた道路を作るんだ、あるいは街灯を設置するんだというようなときにも、いつも住民税外負担お願いするとか、あるいは消防施設拡充等につきましても、地元の負担お願いするとか、まことに心苦しい個条が多いのでございます。ぜひできますならば、減税する以前にこういった問題を処理をいたしたい。ぜひ私たちの方で年々二百数十億の税外負担国民お願いしておりますことをまず第一に整理して、しかる後に減税措置をとっていただくようにお願い申し上げたいと存ずる次第でございます。  なおまたそれに関連いたしますが、実は私の方で、市町村におきましては県なりその他の団体から強制的と申しますか、割当寄付を相当多額なものを受けておるわけでございます。こういったようなことのないように、またもちろん、地方財政法等におきましてそういったようなことは禁止されておるはずでございますが、なかなかどうも実行ができないで弱っているわけであります。この点につきましても、格段の御配慮をいただけたらありがたいと考えるわけでございます。  なおまた、国の方から委任されております事務につきましても、なかなか必要経費が国の方から流れて参りません。その点いつもたよるところは結局地方行政委員会皆様方よりないものでございますから、繰り返してこの点についてもお願いしておるわけでございますが、今後とも国の委任事務についての経費等も十分御算定をいただきたくお願い申し上げる次第でございます。  なおその他地方公務員定年につきまする立法措置を講じていただきたいとか、あるいは地方債の運用についてもっと合理的にやっていただきたいとか、新市町村の建設の促進のための経費を持っていただきたい。あるいはまた事務改善、最近どこの市町村におきましても住民へのサービスをよくするために事務改善を相当計画して、活発な動きを見せておるわけでございますが、これに対する助成策といたしましても、ぜひ何らかの御援助をいただきたくお願い申し上げる次第でございます。一体に、これはもう私などから申し上げるまでもないことでございますが、市町村行政と申しますと、まことに十年一日のごとく古いやり方でやっておりますので、最近の事業会社におきますような事務合理化ということが非常におくれておりますので、これをいっときも早く改善いたし、住民へのサービスをよくするとともに、経費の節減をはかっていきたいと考えておるわけでございます。なかなか市町村の貧弱な財政では思うにまかせませんので、国の方で格段のこの点についての御配慮をいただきたくお願い申し上げる次第でございます。そういうようないろいろ財政需要がございますので、今後の地方税法改正に当りましては、ぜひ今までのようなこの部分々々の改正ということでなしに、できるだけ早い機会国税地方税を通ずる抜本的な改正お願い申し上げ、そうして、その機会地方財政ワクをできるだけ広げていただきたい。住民日常生活に直結しております市町村行政をより以上活発に運営のできますような、格段の御配慮をいただきたくお願い申し上げる次第でございます。  先ほど所得税減税に伴う補てんについてお願い申し上げましたが、なおそのほか固定資産税制限税率引下げに伴います減収等につきましても、ぜひ格段の御配慮をいただきたくお願いいたしたいのでございます。実はこの問題につきましては、私など最初、そういったようなもの必要ないじゃないか、固定資産税税率引下げになったら、評価額を上げさえすれば十分補てんができることだから、そういったようなこと必要ないだろうというようにも実は考えておったのでございましたが、市長会の方でいろいろ調べてみますと、なかなかそういうようなわけでない。北海道とか東北とかにおきまして、すでに固定資産評価がかなり他の地方よりも上回っているところが多いというのであります。これは一つ炭鉱等評価でございますが、北海道と同じぐらいの規模炭鉱を、北海道炭鉱九州炭鉱と調べてみると、九州の方よりも三倍ぐらい多額の評価をしているところがある。そういう実例さえもあるわけでございまして、すべてがすべてそうだとは申しきれないと思うのでございますが、評価を上げて税額を確保するということも困難な実情にある。こういうふうにも考えられますので、ぜひこの点についても格段の御配慮をいただきたいとお願い申し上げる次第でございます。  なお、地方税法減免規定が相当各方面にわたってございます。これは一年々々ふえるばかりでございますので、ぜひこれを一応整理をしていただきたいというふうにもお願い申し上げたいのでございます。あるいはまた地方道路醸与税の一部をぜひ市町村の方にも分けていただきたい。市町村道の荒廃が非常に激しゅうございます。ことに市街地等におきましては、一般の県道よりもむしろ交通量の多いところも多々あることでございますので、ぜひ道路譲与税の一部を市町村の方にも分けていただきたい。あるいはまた、これはすでに何回もお願いしてあるところでございますが、消防施設に要する課税をぜひ創設していただいて、貧弱な市町村消防施設いっときも早く完備いたしたいというふうにもお願い申し上げる次第でございます。  なお、交付税につきましては、来年度の所得税減税に伴う交付税の減額が予想されますので、これに対します補てん策も十分講じていただきたいのでございます。交付税の配分の基準と申しますか、これについての格段一つ配慮をいただきたくお願いを申し上げる次第であります。なお、市町村のやる仕事と申しますと、結局は住民福祉の増進に役立つ投資的経費をふやすことが最も肝要と考えているわけでございますが、それにつきましても、交付税算定に当って、投資的経費算定に当って十分一つ配慮をいただければありがたい。私たちも喜こんで進んで住民福祉のためのいろいろな事業を起し得るように御配慮をいただけたらありがたいと考えるわけでございます。なお新市町村につきまして地方交付税算定の特例の期間がございますが、時限法でございますけれども、これに対しまして、もう少しごめんどうを見ていただけないものかと思う次第でございます。と申しますのは、どうも市町村を新しく合併いたしまして、市なり町村なりを作りましても、なかなかその作るときには、合併することによって消費的経費節約をはかっていきたい、こういうことがねらいの一つであったわけでございますが、なかなかその節約が意のままにいかない。人件費節約等につきましても、定年法等についての立法措置が延び延になっておりますので、なかなか人員整理等もできませんし、従ってせっかく合併をいたしましても、消費的経費節約が意のごとく進まないものでございますから、そういったものの片づくまで、交付税算定につきましても、格段の御配慮お願い申し上げたいと存じ上げる次第でございます。  非常に雑駁なことを次から次へとお願いを申し上げましたけれども市町村の現在の財政事情をとくと御勘考いただきまして、今後の財源確保について格段の御配慮をいただけたらありがたいと存ずる次第でございます。よろしくお願いを申し上げます。
  5. 館哲二

    委員長館哲二君) ありがとうございました。  それでは次に主婦連合会会長春野鶴子さんにお願いをいたします。春野さんには主として税負担者立場からの御意見を伺いたいと思います。
  6. 春野鶴子

    参考人春野鶴子君) いろいろむずかしい専門的なことはわかりませんので、おっしゃいました通り住民として、平生どんなふうなことを感じているかということを率直に述べさしていただきます。  昨年からことしにかけまして、大きく減税ということを言われておりますけれども、一方ではその減税喜びを見ないうちに、いろいろの物価値上げがどんどん政府で許可されたり、便乗値上げがされたりいたしまして、ことしは値上げの年ではなかろうか、もうすでに計算いたしますと、減税喜びよりも諸物価値上りで、家計に赤が出るということを私ども計算いたしまして戦々きょうきょうといたしておりすます。しかしまあこちらで、とにかく七百億減税のそのワク内で具体的に地方税減税がなされるということは、まあ何によらず大へんうれしいことでございます。いずれ個々の家計の上ではこれだけ大きな減税があったのか、そういう期待はできないと思いますが、減税はありがたいことでございます。ところがその埋め合わせ一つで、ガソリン税の増収を見込んでおられます。これは今衆議院の御意見を拝見しますと、四千円の値上りを幾らか安く押えていただいたようでございますが、今日非常に野菜、魚、家具類、そういうトラック輸送といいましょうか、そういうものが非常にふえておりまして、その運賃の値上りから野菜、魚、そういう日常物資値上りに転嫁される、そういうおそれがございますので、いささかこの埋め合わせとはいうものの、ガソリン税引き上げということはあまりうれしくないことです。それから入場税を安くするということで、地方の方に入るお金が減るという点がございますが、この点もすでに町の映画館人たちは、これぐらいの値下げをされても入場料を安くするわけにはいかぬというふうな、まことに何といいますか、なめた意見を平気で言われております。そうすると、ちょっとややこしくはなりますが、せっかく入場税が下る、地方の方では収入が減ってお困りでしょうけれども消費者立場からしますと、ちっとも減税喜びというものが表面には現われない、こういうふうなちぐはぐがあります。  総括して、減税が片方でなされて、そのかわり今も前の参考人がお述べになりましたように、いろいろ一方ではたくさん仕事をしなければいけない。ですからあれこれ交付税の率をふやしたり、地方債を大きくさせたり、ガソリン税をそういうふうに引き上げたりというふうなことで結局埋め合せをされて、結局財政規模はどういうふうになるかというと、大きくいって一千億円ばかりふくらんでいきます。それではその一千億円ほどふくらんだお金でどんなお仕事を各地方ではやっていただくか。すでに示されておりますように、いろいろ大事な、なるほどと思われるようなことをなさるその項目が並んでおります。それはもう地方住民のための福祉を増進するために大いに仕事をしていただきたいのです。年々考えますと、三十二年、三十三年、三十四年という計算で、地方団体全体の支出、そういうものをしろうとですからすらっと拝見してみて、年々ふくらんで参っておりまして、国の予算が年々ふくらんでいきますごとくに地方支出もふくらんでおります。この財政がふくらんでいくということは、何だか私らには非常に薄気味が悪いのであります。それだけ自分たち税負担というものが、国の税金に対しても地方税金に対しても、うんうんうなりながら税金をしょっていく、税額の多さということに一種のおびえを感じます。しかし必要なことであり、経済の様子も終戦直後と違いまして、次第々々によくなっておりますから、あれもしないでもいい、これもしないでもいいということは私どもは申しません。いい仕事をりっぱに、必要なものを大いにやっていただきたい。ですから、それに必要な地方税国税負担税金滞納どころではなくて、税金を納めるために前もって貯金をするくらいの意気込みで気ばっております。ところが最近示されておりますように、地方の方の税金は五千八百五十九円、国の方は一万三千七百二十二円、前年度は国民一人当りが一万八千六百円というものが、三十四年度では一万九千六百八十一円というようなふうに、これも減税心々と言われながら、やはり国民負担はふえているわけであります。で、ふえるのはやむを得ません。それをしょって参りましょうけれども、どうぞ一つよい仕事をむだなくまじめにやっていただきたい。これはもう国も地方も同様だと思います。私どもの目につきますことは、とかく、ほんとうにああいう仕事を急いでやらなければならぬことだったろうか。一方台所につながる切実な、ささやかなことですけれども、この仕事をと、こう要望いたしますと予算がございませんということで、中央でも地方でも突っぱねられることが非常に多うございます。概してそのほか新聞なんかに盛んに報道されますように汚職、収賄、そういうふうなこともまことに年中行事のようにあるということは大へん残念に思っております。  で、だんだん終戦直後のあの荒れはてたものから、今日あの時代を想像するにも想像できないというほど表通りなりあるいはビル街なり、県庁の建物一つ見ましても、どの地方へ行きましても大へんな復興ぶりで、東京の町だか地方の都市だかわからないというようなふうに一通りの表玄関の家並みはそろっております。それで文化都市になった、あるいはきれいに復興したというふうに概して言われるのですけれども、中身一つあけて見ますと、これを支えている国民の暮し向きの楽さかげんというものは、ちっともこれに並行していない。つまり中身は、地方財政でもほんとうの力がないのに、それ以上の背伸びをした仕事計画で、しかもその仕事の内容というものがしみじみと住民福祉をじみなところでふやすという面にはあんまり考慮されないで、片方の区長さんが在任中に、そうまで急いでお建てにならなくてもいいんではなかろうかと思われるような公会堂をお建てになる。そうすると、隣の区でもあわてて議会で大騒ぎをして、杉並の方でもまた日比谷公会堂よりもりっぱだというふうな公会堂をお建てになる。まるっきり昨年、一昨年にかけては県庁もりっぱになったし、公会堂も図書館も体育館も、次から次に表向きはどうやら近代的なような建物をせっせとお作りになる。そういうことの作り競争みたいなふうに見えるのです。それはまあできますと利用もいたしますし、大へん文化、教養というふうなことに役立つことは当然でございますけれども、分に応じて、そのときのその市町村の力に応じて何から先に重点的にやっていくべきか。競争意識とか自分の名誉欲とか、功績をあせるというふうなことでお作りになった事柄が割と多いんじゃなかろうか。その結果、東京でも地方でも、表面ははなやかな繁栄ぶりを見せているようですが、中身はさて赤字であり、地方支出の約半分というものは、一にも二にも国からもらいたい、国の補助金、国が出してくれないからこうだ、三分の一出すそうだからといっては、無理しても隣の県に負けないようなこういうふうなことをやろうというふうなことが、割合行われているんじゃないかと、まあ邪推いたします。それで最近これはもう各地でよく聞くことでございますが、よく地方の婦人団体なんかに参りますと、非常にりっぱな学校ができていたり、図書館ができていたりいたします。そこでその地方の婦人団体の方々のお話を聞きますと、その建物の半分は私どもが卵貯金や何かかんか零細な婦人会の寄付を集めて、この建物の半分は建てたんだというようなことを、あるときは誇らしげに、あるときはそれだけの強制的な寄付を割り当てられたということを大へん訴えられます。同様なことは至るところにございまして、足元の東京でもごく最近でございますが、世田谷の区の方で体育館をお建てになる。そうすると当然これは地方の公費ですが、そういうことで予算をお立てになってなさるべきことなんでしょうけれども、その土地の方々の、税金を上中下納めになっているその納税額の額割に比例して強制寄付の割当があった。これは今私どもの仲間でも大へんけしからんというので、ぷんぷんに怒りまして、いろいろかけ合っているようでございます。自発的になされる寄付はけっこうでございましょうけれども、とにかく六、七年間の間はもう仕方がないんだ、出すべきことになっている。割当がくると出さないと隣近所妙な工合だ。あるいは指導者の方、役員の方、そういう方々が御自分の面子で一千万円かかるなら四百万円はわれわれの方で担当しましょうというふうなことで、みずから担当なさって、しかもそれを皆さんの合議制でなくて、その会員の方々にそれぞれ強制的に割当をされて、そして調達される。それを何やら名前の入ったピアノやら書だな、あるいは建物の一部にそういうことがやられる。また理事者の方もそれを当て込んで、そして三分の一あるいは二分の一は当然PTAあるいは婦人会あるいは町内会、そういったところが持ってくれるんだというような習慣が非常に根強くついて、そしてそれで表面の復興といいますか、そういうようなことが行われていっている。そういたしますと、税外負担ということは、これは非常にどうかいたしますと、当然負担すべき税金の二倍にもなるようなこともあります。それほどでないこともありますけれども、とにかくそれが子供につながったり、毎日の暮しにつながったり、隣近所につながったりしておりますと、税金ならば税務署に行ってよくお話すれば、近ごろ待ってもらったり延ばしてもらったりという話し合いもつくのですけれども、どうもこういうふうな意味の税外負担、寄付ということは、なかなかどうもややこしいのです。大へんいやらしいことなんです。これは一つの例でございますが、目黒の区内の当然義務教育である中学校へ、私は一人の両親のない子供を預かっておりまして、せめて中学校を無事に出してあげたいということで行っております。ことし卒業いたしますが、その子の毎月納めるものを見てみますと、きちんと学校図書館の建設のためにというふうな費目で、二十円でしたか三十円でしたか、毎月割当がある。これは月謝と同様に子供のことですからきちんきちんと持っていく。これもそういう父兄に対す強制割当的で税金以上の重みを持つ割当でございます。それから杉並のある未亡人家庭で、現在収入はございません。これは多少家があるわけですが、昭和三十二年四月から二十三年の二月、この間に固定資産税一万三千百七十円、都市計画税千八百八十円、総額一万五千五十円、次の年度に一万五千四百七十円、こういったふうな納め方をしております。このほかに町内会費四十円、それからお子さんを都立の区内の学校に通わしております。これの学校の建設資金にきちんと毎月百円割当があります。このほかに警察審議会という町内などにできました民間的審議会のようでございますが、これの会員、これは会員制になっております。そしてこれが年に百二十円、杉並区社会福祉協議会という名目で年に二百円、町内の敬老会などというようなことで年に二百円、昨年は同じく区立の某中学校の十周年記念で図書館を建てましょうということに相なって寄付を求められた。これは相当大きい額を彼女は割り当てられたようですが、お話し合いの結果月賦で納めていきます、こういうふうなことです。そのほかに緑の羽根だの、白い羽根だの、赤い羽根だのというふうなことで、これもまた同様に割当で出すわけです。日赤の寄付も回って参ります。ああいうふうにつらい終戦の状態を迎えたわけですから、何もかも税金で、地方あるいは中央の政治の力でやってほしいという甘いことは申しませんが、全国的に一兆円をこえる膨大な地方支出、それだけのお仕事をなされる、そのお仕事の半分を国からの補助金、もう一にも二にも中央にかけつけて行って、そして割当をふやしてほしいというふうな何といいましょうか、これは私どものひがみであってほしいと思うのですけれども衆議院、参議院の先生方はどうかいたしますと、地方の予算なり、交付金なり、補助金なり、そういうものを一生懸命地方のためにぶんどっていただく、地方の方々もそれを非常に期待なさる、期待されれば一そう何とかしてわが県にはこれはおみやげに持っていきたい、こんなふうなやりとりがいつしか中央の政治的勢力といいましょうか、そういうふうなことが地方の人をやたらにぺこぺこさせ、自主性がいつの間にかなくなっていく。私の友人の一人で、北海道のはずれで村長さんをやっておる人がおりますけれども、半分以上は東京に出てきて陳情申し上げないと事が進まない、金がもらえないということを非常に嘆いておりました。あるいは地方の議員さんたちも、もっぱら中央に陳情するのだという、いわゆる中央依存度というものがますます激しくなっているんじゃないか。そして獲得された基礎づけられたお金で、ほんとうに身にしみるような、細々としたことでけっこうでございますから、手元足元の道路のこと、あるいはどぶのこと、あるいは暗い道に明るい電灯がついた、そしていたずらする少年やら変な犯罪も次第になくなったという逆コースがまだまだ地方にあるわけです。ちっぽけなことですけれども、私どももよく町内の付近でどぶ掃除をいたします。蚊やハエの清掃運動もあってどぶ掃除をいたします。そうしますと、ほんとうはまあ区がやってくれる仕事なんでしょうけれども、自発的にやるのです。どぶから引き上げましたどぶのかすを道ばたに当然置きます。それは都の仕事だそうでして、取りにこないのです。一週間ぐらいむんむんと蚊やハエがたまって、それを区役所に掛け合いますと、それは都の方だ、どぶをやる方は区であって、せっかく引き上げたどぶかすは都の方だから都が動き出すまで土手をなしている。そういうようなことがよくあったものです。  それからまた東京都なんかでは、いよいよオリンピックだ、いや皇太子の御成婚だということで、あわてて道路を修理されたり、あるいは外人もたくさん見える、観光客のためにもこうもしたい、ああもしたいということをいろいろおっしゃっておる。ところが先ほどもお話が出たように、糞尿の処理の問題とか、それから日にち毎日台所から吐き出されます山のようなごみがございます。これらをちょうど今ごろの時刻でございます。もう午前中の一番空気のいい、太陽がさんさんと降り注ぐ都大路のまん中に、隅々から集めましたものが山のように積みまして、一度道路に置いて、そしてそこにまた大きい車なりトラックがやってきてその積みかえをやる。この四、五十分あるいは一時間にわたる前後のきたなさかげんというものは、至るところに毎日展開されている。これを中共の例でもございませんが、ああいう不潔だった中国さんすら解決しつついるわけです。これは夜の間に午後八時ごろすっかり事が終ります。そういうことでも一つ身を入れて、こういうことを是が非でもやりたいというふうに真剣にお考え下さらぬかということを数年前から頼んでおりますけれども、予算がございません、それをやったら二倍の人夫賃を出さなければいけない、あるいは労働組合がやかましいというふうなことで軽く一蹴されてしもう。だんだん東京も観光都市というふうに盛んに外人を呼びたいといいながら、そうして銀座通りにはビルもたくさん建ちながら、一方裏通りへ行きますと、そういうおそるべき不潔なことが大東京の名において継続されているというふうなことは大へん残念でございます。財政のふくらみも税負担も、それはときにより経済力の発展に従って、だれもこれをいやがるものではないと思いますが、何とぞ一つ国と地方とのお金のやりとり、それらの複雑さ、あるいはそれにからまる政治的な何やらあやしげな勢力分布、そんなこと、それからいたずらに地方の人が中央に行って、陳情々々で頭を下げればいい、下げてももらって来さえすればいい、そんなつまらぬことはやめていただきたいと思います。地方議員の議員の数だとか、あるいは昨今も盛んに問題になっておりますように、同じお金をお使い下さるのに、議長さんの交際費が何に使われたかわからない、あるいはお手盛り歳費で盛んに住民から騒がれる、あるいはある学校の建設がきまって、そうしてその敷地を区なり地方が買おうとされる前に、それを知っている議員さんたちが坪一千円くらいで農地をお買いになって、そうして今度はあらためて区の学校の敷地として売り込まれるときには、一万円とか一万五千円のお値段にはね上る、そういうつまらぬ——つまらぬというか、実に腹が立つような正しくない使い方、ふまじめな使い方、そういうことが目につくのでございまして、願わくは住民として、善んで負担——ということはいえませんでしょうが、税金が安く、よい仕事がなされて、国も繁栄していくということにこしたことはございませんが、何はともあれ、税金負担して参ります。同時に筋の通った同じ予算でもまじめな、また背伸びをしない着実な仕事の進め方で、苦しいときは一緒に住民も苦しみましょうし、ようやく幾らかの余裕が出てきたら、次第に福祉方面のお仕事を着実に伸ばしていく、そういうふうなことをよくわからせて下されば、また地方のお仕事というものは市長さんのみ、あるいは議員さんのみのプランでさっとなさればいいというものではなくて、住民がほんとうに必要としておるもの、願うものをやっていただきたいのであります。こういう方面を一そう中央、地方ともに住民にわからせることに、あるいはまた住民と一緒に考えて下さることに御努力願いたいと思います。  毎年のことですけれども、毎年会計検査院などから指摘される事柄に、実に乱費の項目で食糧費あるいは旅費、そういうようなことで議員さん一人でお菓子を五十分も食べるような食糧費が計上されたり、職員数をふくらませるだけふくらませて、今度整理するときに全く手がつけられない、あるいは民主的はけっこうですけれども、やたらに機構ばかり、あるいは出先機関がふえたり、またぞろポストをふやさなければいけないということになったり、それから区長さんや知事さんたちが、その区の貧しさにふさわしくないほどりっぱな外国製の自動車を乗り回されたり、これはだいぶ最近少くなりましたけれども、そんなふうなさか立ちがどうぞ一つ次第に消されていきますように、これは、この税法改正のこちらの場で訴えることでもなし、場違いであったかもしれませんけれども、願っておりますことは、減税は歓迎をいたしますが、なお、それでもなおふくらんでいく地方財政規模のふくらみに、やたらなむだなふくらみがありませんように、まじめなよい仕事住民たちを喜ばして下さいますようにということをお願いするわけでございます。
  7. 館哲二

    委員長館哲二君) ありがとうございました。  これでお二人の参考人の御意見の開陳が終りましたので、御質疑をお願いしたいと思います。御発言がありましたらどうぞ。
  8. 郡祐一

    ○郡祐一君 春野さんにちょっと伺いますけれども、御指摘の税外負担という問題、これは私は、確かに今の地方財政全体の上から大きい問題だと思います。税の方は、こうやって国会でも審議し、地方議会でも審議をいたす。しかし、御指摘のような、非能率それから浪費ということがあるのももちろんだと思いますけれども税外負担になりますと、御指摘のような、一部のものが強制割当されやすいというようなことが事実あるだろうと思います。それで、これについて、どの程度のものが一体税外負担として、まあ学校の経費のあるものは、どうしても税の形でまかなえない部分というのはあるのかもしれません。しかし、そうした場合に、これで御質問申し上げるのですが、婦人なり親としての立場で、PTAとか婦人会とか町内会とか、こうしたものの機能で、働きで、何かこの税外負担をアジャストしていくと申しますか、まあまあ納得のできるような形に持っていく方法はありますかね。これは、税外負担というのは、どうも財政全体から見ても困る。まあこれはすっかりなくしてしもうて、税の体系に入れれば一番いいのですが、そうもいかない。そうすると、これを何か軌道に乗せていくという作用がどこでできるのかと思いましてね。何かお考えありませんでしょうか。
  9. 春野鶴子

    参考人春野鶴子君) むずかしいですね。何か、私も調べてみますと、地方公共団体が当然公費でまかなってなさるべきお仕事の場合、寄付を仰ぐということは、一々その許可を受けなければいけないというふうな、何か取締りみたいな規則はあるようですけれども、今は、もうほとんどそれらは無視されて、当りまえというふうな、理事者側もそういうふうな態度でおいでになるし、それから受ける側も、私はいやですということが言いにくい事柄が割合に多いのです。たとえば、警察の云々というのも、じゃその警察を応援する会に、私自身が会員に入らなければいいじゃないか、そうしてそういう会費とか寄付とかいうものを断われはいいじゃないか、警察は警察の、国家公務員として必要なだけは、そちらの方でやっていただけばいい。理屈はそういうことなんですけれども、隣近所がみな入っておられますと、私のうちだけやめると、今度それがまあ非常におかしげなことになるのですね。感情が妙にからむ。PTAの場合でも、母と子供と先生と、という関係でございますから、またそこへ、子供が無邪気に、学校でこう言われた、きょうは持っていくのだというふうに持ちかけられますと、またそれを親としては、無理しても、子供が教室で先生にお金を出すときに、うちの子供だけ出さないという、非常にデリケートな感情がからむ種類のものが多いんですわね。それで、何か名案がと言われるのですが、願わくは、私はやはり、学校の方も、それから父兄の方ももう少し、ここら辺で一応両方がそういうあり方に対しての再検討を加えまして、そうして逐次それを減らしていきたいとか、あるいは、これは受けるべき筋合いのものではないか、あるいは父兄の方がそれに乗り出していただいても、それは学校の方では、あるいは教師としては、受けられないというふうな、何かこうけじめをつけるような話し合いをしていけば、やかましい規則が、いや、文部省から通達が出たなんというふうに騒ぎ立てなくともいいのではなかろうかと思うのです。それは、PTAの構成メンバーとしても、責任がないではないと思うのです。もう会費は出しっぱなし、寄付は出しっぱなし、それがどう運営されて、どういうふうに、学校のどの経費に計上されたか知らないずくでいるということは、一時大問題になったことではありますけれども、そういうことであれば、役員の人たちのお人柄によっては、ずいぶん悪用もされるし、また、しなくてもいいことまで巨額の寄付を校長先生に対して自分の顔を作るために引き受ける、よけいなことをおっしゃるというふうに、そうしてまた、向うも、運動会をやるときに幾ら幾ら、図書館を作るときにはPTAは幾らというような、当りまえの習慣のようなことになっているところに、私はおそろしいものがあると思うのですが、これは、規則でそういうふうになったのではないのですから、これは、お互いがいつしかここまで来てしまったわけですから、気づいた者が、これじゃいけなかったのだということで、あらためて新しい方向に向って話し合いをするというところから始めてみたら、存外足元に解決点があるのではなかろうかと思うのです。
  10. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 ちょっと関連して。市長さんの方に、今のいわゆる税外負担の問題ですね。実情はどうなんでございましょう。
  11. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) 今、いろいろと御意見を承わっておりまして、非常に私、ごもっともだと思う御意見が多かったように思います。ただ、今の税外負担の問題につきましては、私といたしますれば、比較的割り切った考えがあるのでございます。これは結局、市町村なり国なりの経費の中に当然盛らなければならないものは盛り込むべきだ、そう思います。たとえば、一番早い例が、警察の費用などにいたしましても、駐在の費用というのは、これは当然国が警察費で支弁すべきだと思うのでございます。駐在所の建築にいたしましても、修繕にいたしましても、畳がえにいたしましても、あるいは、巡査が乗って歩く自転車にいたしましても、みんなこれは部落負担でございます。私なんかの方ではそうでございます。これは明らかに、国の警察費の方でそれを支弁していただくより仕方がない。そう思います。学校の方のPTA費用などにいたしましても、実は私の方は、恥を申し上げるようなことになりますけれども、昨年の予算を審議いたしますときに、PTAの予算を全部取り寄せまして、そうしてこれは当然市で負担すべき筋合いのものだ、あるいは、これはPTA自体の費用として、PTA自体の運営のための費用であるというふうに分けまして、じゃ、どのくらいの経費が市の方で、負担すべきものかということで計算をいたしまして、それは全部肩がわりいたしまして、そうして去年は百円ずつちょうだいしたのを、ことしからは、一つ小学校の分は八十円だけ下げてもらいたい。それだけの費用は市の方で負担いたしましたから、これはもうPTAの予算の中から削ってもらいたい。従って、費用は八十円、二十円だけ下げてもらいたいということをお願いしてきたこともございますが、当然市で負担しなければならない経費は、市の財政需要の中に加算していただくよりほか道がないのであります。ところが、現在の教育費算定等につきましても、その財政基準、財政需要として算定される金額がなかなかそこまで参りません。つい財政が苦しいものでございますから、市民の皆様方にお骨折りをかけるようなことになってしまって、まことにこの点、心苦しいのであります。市の方でも、御指摘の通りに、法律の悪いような運営の仕方でなしに、できるだけ効率のいい財政運営を立てて、そうして住民福祉増進に役立つように努力いたしたいものだと考えている次第でございます。
  12. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 今のお話のPTA関係の寄付金についての減額、私は、非常にあなたのおやりになったことはけっこうなことと思いますし、どうも町村では、そういうふうな積極的なやっぱり手を打たないと、いつか習慣みたいになってしまって、お互いが一向改善されないままに残されていくのじゃないかと思うのですが、そういう意味におきまして、市長さんのおとりになったそういう措置というものは、非常にけっこうだと思うのですが、もう一つ、そういう問題なりあるいは消防、警察等いろいろあると思うのですが、そういうので、どのくらいのいわゆる税外負担を市民の方々がやっておられるのかというようなことについて、何か御検討なされたことはございますか。
  13. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) 税外負担の総額が、一応市長会の方でも調査をいたしましたが……
  14. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 いや、あなたの方の市の場合でございます。
  15. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) 私の方でございますか。私の方は、多少他の方とは事情が違うと思うのですが市で負担すべきものは、今ほとんど全部市で負担いたしおります。PTAの方につきましては、先ほど申し上げた通りでございます。それから警察の方は、私の関係ではなくなりましたけれども消防の方につきましても、消防後援会というのがございますが、これは、まあ私の方でめんどうを見切れないものとは考えておりません。私の方に関する限りは、それがなくなってきたのであります。しかし、どこもここも同じような事情であろうとは私も考えておりません。いっときも早く是正すべきものだと思うので、それについては、くどいようでございますが財政需要の見方をもう少し改善していただきたいとお願い申し上げる次第であります。
  16. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 国がそういうことに対する財政需要の面等において措置をしなければならぬことにつきまして、私ども同感ですが、今申しましたように、あなたの方で、PTAの例をとってお話しになりましたが、そういうふうな積極的な措置を講じておる、しかし、なおかつ何がしかのいわゆる住民負担というものがあるとすれば、どのくらいのものであろうかと、こういう意味でお聞きしたわけなんでございますが……。
  17. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 先ほども、市長さんのお話の中にありましたけれども、県とかその他の団体からの割当寄付ですね。これはやっぱりお調べになったものがあるわけですか。
  18. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) 最近の調査はございませんが、何年か前にやりましたときに、私が全国町村会におりましたときの記憶では、三百億ぐらいというふうに出ておったと思っておりますので、最近のデータは私存じません。
  19. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 お宅の場合なんかは、予算に計上される場合ですね。何件、どのくらいの金額というようなことは、おわかりにならぬでしょうか。
  20. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) 今、私の方で背負っておりますのは、大部分が県のものと、それから実は鉄道——国鉄の負担でございます。駅を作るというので、五百万ばかり持っておるのでございますがね。あとは、県道の拡幅に伴う経費だとか、そのほかの、県道の修復に伴うものでございます。
  21. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 県立の高校は……。
  22. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) 県立の高校は、私の方にはございません。ただ、県で作ってくれないものですから、市立の高等学校を作っておりまするが、この経費が莫大でございます。
  23. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そうすると、お宅には県立の高等学校はないにしても、やっぱり県立の高等学校へ通っておられる方がたくさんあるわけですな。そういう場合には、習志野市でない、よその高等学校の改築とかいうことに対しは、割当が来るのですか。
  24. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) 私の方には参りません。
  25. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それは、市立の高等学校を持っていらっしゃるから、たとえそこからよその県立の高等学校へ通っておられる生徒がいても、割当はないわけですか。
  26. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) はい。市立の高等学校を持っているためかどうかは存じませんが、今のところはございません。
  27. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そうすると、習志野市では、もちろん警察署があるわけですな。
  28. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) ございます。
  29. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それに対して、やはり防犯協会とか何とかいうものの強制寄付はあるわけですか。
  30. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) 最近道場を作るのだというので、相当な寄付金が参ってきております。そのほか、駐在を作るとか何とかというような話がございます。
  31. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 駐在所の畳だとか、電灯代だとかいうものをみんな市の方で持っていらっしゃるのですか。
  32. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) それは、中ではございませんで、むしろその部落の負担になっております。駐在所の維持、修理につきましては、その部落の負担になっております。
  33. 館哲二

    委員長館哲二君) 他に御質疑もなければ、午前はこの程度にしておさます。  参考人の方々に一言お礼を申し上げておきます。  本日は、大へん貴重な御意見を拝聴させていただきまして、ありがとうございました。お礼を申し上げます。本委員会は、今後審査をする上に、御意見のほどをよく取り入れまして、慎重な審査を行なっていきたいと思っております。委員にかわりまして、お礼を申し上げておきます。  では、午前中はこの程度で休憩いたします。    午前十一時三十七分休憩    —————・—————    午後一時四十九分開会
  34. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは委員会を再開いたします。  委員異動がありましたので御報告申し上げます。廣瀬久忠君が辞任されまして、吉江勝保君が後任として選任されましたので、御了承いただきます。   —————————————
  35. 館哲二

    委員長館哲二君) 午前中に引き続きまして、地方交付税法の一部を改正する法律案外二件について、参考人の御意見を伺いますが、その前に、御出席いただきましたお二方にちょっとごあいさつを申し上げておきたいと思います。  本日は大へん御多用のところ、本委員会のために御出席いただきまして、まことにありがとうございます。委員一同にかわりまして御礼を申し上げます。これから御意見を伺います三件の法律案は、すでに御存じのように、先般衆議院を通過して、本院でその審査をいたしておるところでありますが、当委員会といたしましては、改正内容の重要性にかんがみまして、来年度の地方財政計画とも関連を持たせながら、目下鋭意その審査を進めて参っておるところであります。  本日は、この問題につきまして御造詣の深いお二方から十分の御意見を拝聴いたしまして、十二分の審査を尽したいと考えておるのであります。どうか今次の改正案だけではなく、広く当面します地方財政全般の諸問題につきましても、忌憚のない御意見をお聞かせ願えれば幸いだと思います。  なお、議事の進め方としましては、まず最初に、お一人大体二十分程度で順次御発言を願いまして、そのあとで委員の方からいろいろ御質問を申し上げたいと思いますので、その点、御了承いただきます。  それではこれから御意見を伺いますが、まず府県側代表としまして、千葉県知事柴田等君に御発言を願います。
  36. 柴田等

    参考人(柴田等君) ただいま館委員長から御紹介いただきました千葉県知事の柴田でございます。本日は交付税あるいは地方税法改正等の問題につきまして、私ども意見を聞いていただきますつる機会を与えていただきまして、厚く御礼を申し上げます。  特にこの際、私は参議院の皆様に感謝申し上げたいことは、先般、先年来の地方財政状態の非常な苦境に対しまして、参議院の各位にいろいろ御心配を賜わりまして、ここ数年来、交付税税率引き上げなり、あるいは譲与税の増加なり、たばこ消費税の増加等、いろいろ地方財政強化のために御尽力を賜わりまして、私どもまことに心から感謝を申し上げますとともに、これにこたえまして、地方財政運営合理化なりあるいは健全化なり、効率化なり等の面につきまして、必ずこれにおこたえを申し上げまして、地方の堅実なる発展を期したいと、かように考えておるわけでありますが、いろいろ過去御配慮賜わりましたことを、厚く御礼申し上げる次第であります。  さて、本日の問題になっておりまするまず第一点は、地方税法改正によりまして、これは国の政策といたしまして、国民負担の軽減のために、国税地方税を通じまして昭和三十四年度から減税の処置がとられようといたしておるわけでありまするが、この点に関しまして、私ども地方立場を申し上げまして御理解をいただきたいと思います。  国民負担の軽減をはかることは、われわれも全く必要であると思いますので、その点は国の政策にもちろん共鳴いたすものでありますが、この地方財政と国家財政におきまする租税収入の関係がいろいろ違っておりまして、端的に申し上げますと、お手元に資料を配付してございますが、地方財政の歳入におきまして税の占める割合は大体四〇%でございます。あと六〇%というものは交付税なり補助金なり起債なりあるいは雑収入その他のもので補っておるわけであります。租税収入の割合は大体四〇%、国の方は同じく一兆四千億の大体財政規模は同じでございますが、これに対しまする租税の割合は、たばこ益金を租税の中に入れて考えました場合に、ここにございますが、八七・五でございまするし、かりにたばこ益金を別にいたしましても大体七八、九%の租税収入の割合になっておるわけでございます。従いまして、私どもといたしましては、それだけ地方財政が自主財源——国のパーセントからいいまして半分以下でございます。非常に苦しい状態でありますので、これを減税せられることは非常につらい面があるわけでございまするが、特に今般の改正の内容を見てみますと、個人事業税におきまして免税点を二十万円にしていただくことは、われわれもその必要があると思っておったのでありますが、この基礎控除はどうしても十五万円にしていただかないと非常に影響するところが多いということで、いろいろ御陳情申し上げましたが、この点は政府の当初の案の通り二十万円の基礎控除ということに大体なっておりまするし、さらに法人事業税につきましては減免をなるべくしていただきたくないということを申し上げておったのでありますが、これも下の方の、収入の少い方が減免になります。そうしますと、その影響が、個人事業税なりあるいは法人事業税の小さい法人の方々というものは主として中小府県に集中いたしております。この減税影響は、中小の県に対しましては非常に鋭く現われておるわけでありまして、ここに書いてございます個人事業税につきましては五割以上減になる県が鳥取その他五県ございます。四割以上減になる県が二十四県ございます。こういう重要なる税につきまして、一挙に四割ぐらい減るということは、非常にこれはまあ悪影響といいますか、ことにこれが中小の弱小の府県に多いわけでございますから、これらの点を——これは一応方針としてきまったのでございますからわれわれこれ自身には今さら反対とかいうことはございませんが、これの調整につきまして、交付税の配分なりあるいは地方譲与税のいろいろなやり方等につきまして、これらの中小の非常に悪影響を多く受けたというこれらの県につきまして、御考慮をぜひお願いしたいということが第一点でございます。  第二点といたしましては、先ほど申し上げましたように、国税地方税との関係を見てみますと、非常にこのウエートが国税は大きなウエートを持っておりますし、地方税は非常に低いウエートをしか持っておりませんので、それだけいわゆる地方財政の自主性というものがないわけでございますが、今後におきまして、これをさらに地方税を減免されるということになりますと、われわれは最低限度の税収の割合が、歳入総額の五割は最低の線と思っているのでありますが、現在四割でございます。それをさらに下げられますことは、非常にこの地方財政がますます自主性がなくなるわけでございますので、その点は、今後地方税の減につきましては大体五割程度が標準であるが、現在四割程度になっているのであるからして、それをさらに減税するようなことはないように一つ配慮を願いたいということが一つ。それからこれは少し言い過ぎかもしれませんが、今度行われようといたしておりまするこの減税につきまして、国税地方税との関係を見てみますと、租税特別措置法との関係がございまして、減になる分と増になる分がございますが、私の差し上げた一ページの裏にございますが、最終的にはどうなるかといいますと、まあ平年度について見ますと、国税におきましては結局総額で七十一億減で、その割合は国税総額の〇・六三%、そうしますと、地方税におきましては平年度において百九十四億円の減になりまして、そのパーセントは地方税総額の三・五五%ですから、はるかに大きい。国税におきましてのパーセントが差別減税額が〇・六三%であって、地方税の方は少い税収のうちから三・五五%減収になる、こういうことでございます。これは自治庁で調べました本年度のこの三月出ました資料から私ども引き出したものでございますが、非常にまあ地方に酷になっているように私どもは考えますので、今後これらの点につきましていろいろ地方のために御配慮を願いたいと存ずるわけでございます。  それから今回国税徴収法が改正されます。これは私の債権の立場をある程度尊重してやるということが中心で、ほかに手続的な問題はございますが、これは地方税の徴収につきまして国税徴収法の例によることになっておりますので、われわれに直接関係はございますことでございまするが、私どもはこの点につきましては異議なく国税徴収法の改正につきまして賛成申し上げるわけでございます。別に意見がございません。  それから地方交付税改正でございまするが、冒頭に申し上げましたように、地方財政の困難な状態からいたしまして、最近しばしば交付税税率を上げていただきまして、まことに感謝申し上げるわけでございまするが、私どもも本年度上げていただきました二七・五%ということで、少くとも当分これで何とかやっていきたいと思っておったのでございまするが、今回の地方税減税措置に伴いまして、相当額、ことにこの交付税額におきまして所得税が減額されるはね返りで、大体交付税で百五億程度、初年度において。平年度におきましては百十億程度交付税が減ります。ですからその交付税が、三税が減るためにそれだけ減りますので、その分を補給していただきたいということで一・五%の引き上げを最後の御要求に申し上げたわけでございまするが、いろいろな事情で一%の今度は税率の上昇をしていただくことになりまして、この点、厚く御礼申し上げる次第でございます。ただ問題はこの配分方法でございまして、昭和三十三年度——本年度におきましては、自治庁が配分方法を変えられまして、私ども弱小県からいたしますと、やや後進県に対する補正が減らされまして、後進県が非常に苦境な立場に立ったような感じを持つわけでございます。従いまして、これが配分方法につきましては、要するに地方財政の力が非常にアンバランスでございまして、強い所、弱い所の差額が非常に大きいのでございますので、できる限り態容補正を適正にやっていただきますとともに、ことに本年度は公共事業等が相当伸びておりますので、公共事業関係のいろいろな算定係数、あるいは算定種目というようなものにつきましてお考えをいただきまして、弱小府県をできるだけ補なってやるという点と、それから公共事業遂行につきまして、やはり相当ウエートを置いていただきまして改正お願いしたいと、はなはだ抽象的でございますが、そういうことをお願い申し上げたいと存じます。  なお、こまかい点はこの私の意見要旨にプリントしてございますからごらん願いたいと思います。  それから地方財政全般についての問題でございまするが、昭和二十六、七年ごろから非常に地方財政が悪くなりまして、収拾すべからざる状況で、一時は地方団体全体の赤字額が八百五十億というような額にまで達したのでございますが、その後、政府の御当局のいろいろな措置がございまして、相当これが改善されて参りました。昭和三十二年度においては非常な程度におきまして改善され、昭和三十三年、四年と相当この勢いでやるつもりでございましたが、三十三年は、何と申しまするか、経済状況が停頓状態でございまして、私どもが予想したようにいろいろな点が改善されなかったわけでございます。  そこで、来年度の地方財政状況をいろいろ考えまして、まず自治庁のお作りになりました地方財政計画、これは一兆三千三百四十一億、国の予算に比しまして大体一千億程度少いと思いますが、この程度になっておりますが、これは計算的には一応バランスが合っておるわけでございます。ところが実際われわれが見ましてこの点は実質にそぐわないものが相当あると思いますので、その点をちょっと申し上げてみたいと思います。国の算定された地方財政計画の分については、私の方の「地方財政全般について」という第一ページ、第二ページにございますが、その点でどこに問題があるかと申しますと、私どもの考えておりますることは、まず給与費の増を四百七十二億自治庁は確かに見てらおれますけれども、私どもの計算では給与費においてこの計算は、これは知事会で相当詳細なデータを持っておりますが、五十五億円足りない。ですからこれは五百二十七億ぐらいにしなきゃならないので、五十五億ほどどうしても足りない。それから旅費、物件費の節約を三%見まして、大体約四十億でございましたか、見てございますが、私どももずっと旅費、物件費の節約をいたしておりまして、御承知のようにこまかい例でございますが、超過勤務手当というようなものは、国家公務員では大体給与費の七%ぐらい計上しておりますが、大体普通の県は三%ないし四%しか計上いたしておりません。それから日宿直というようなものも、国家公務員は一日三百六十円に見ておりますが、私どもは二百円、そういうように非常な節約をいたしておりますので、この上三%の減は非常に困難である。それで、これは一%の程度だけに考えますと、そこに二十五億円ほど、先ほどの給与費の五十五億不足のほかに、旅費、物件費の節約不可能額が二十五億であります。  それからことしの地方財政計画で非常にきわだって私どもが不満に思いますことは、三十二年度から三十三年度に移行します際には、県単独事業、これは公共事業でおやりいただくこと以外に、道路の改修でありますとか、橋梁の問題でございますとか、あるいは港湾でございますとか、あるいは県でいえば高等学校の古くなった校舎、これらの点は戦争当時から戦後にかけましてほとんど放任状態でございまして、集中的にこれが現在直さなければならぬ時期にきておりますが、これは公共事業ではとてもやれませんので、相当県単事業をふやさなければならない。その県単事業のふやし方につきまして、三十二年度から三十三年度に移行する国の財政計画は、大体前年度に比べて二百億増ということになっておりますが、ことしはこれが七十五億増にしかなっておりません。これは、まあしいて私どもから端的に申し上げれば、バランスが合わないから少く見たのであって、実際はそういうことはどうしてもいかないわけでありまして、私も県下の土木出張所長を集めまして話したのでありますが、昨年の秋から最近にかけまして非常に長雨がございまして困っていると、そこで不通個所が非常に苦情が言われておりますが、どのくらいあるかと申しますと、大体国県を通じまして、不通個所が大体八十個所ございます。現在国県道で東京から来る人たちに、もうことごとに小言を言われまして、お前の県は何をしているかと言われておりますが、これは千葉県だけじゃなくて、非常にこういう不通個所がたくさんできておりまして、これが最近のトラックの増、それからオーバー・ロードといいまして四トン車道なら四トン車道に六トンも、七トンも積んで走るやつが非常に道路をいためます。最近雨の関係が非常にございまして、昨年秋からとても各県とも道路が悪くなっております。これは公共事業ではやれませんので、こういうもののためにも、どうしてもやらなければなりません。またいろいろなことを申し上げて恐縮ですが、私どもに橋梁が千百六十八ございます。そのうち約四割余に当ります四百五十八橋は木橋でございます。これは各県とも半分は木橋でございますが、それが古くなっておりまして、いずれも荷重制限をしておる。こういうものを公共事業だけでやっていきますと、私の県で大体今後二十年かからなければ公共事業でまかなえない。あるいは二十五年かかる。私どもは県単でこういうことをしなければなりませんし、また先ほど道路の問題を申し上げましたが、私どもの方の土木部では、少くとも砂利道をある程度維持するためには十六万トン砂利が要るというのに対して、私どもの方の予算関係からいいますれば、大体その半分七万トンから八万トンの砂利しか県単ではやれないというような状況でございますので、どうしても県単事業というものをもう少し増していただかなければならない。こそで三十二年度から三十三年に移行するときに二百億でございましたから、今回も二百億くらいこれを増してもらうということになりますと百二十五億円、七十五億円しか計上してございませんから、増を。こういうものを全部入れますと相当な額になるわけでございます、  でございますから、私は地方財政計画は、形式的には一応でき上っているが、内容的にはいろいろまだ不備な点があって、しいて言えば、つじつまを合わせた形があるので、ぜひともこのことに関連いたしまして、ある程度処置をしていただきたい。その処置と申しますことは、私の方の陣述書の最後に書いてございますが、地方財政再建等のための公共事業に係る国庫負担等の特例に関する法律、いわゆる特例法というのがありますが、これは時限法で、三十三年で時間切れとなりますので、これにつきまして、これはぜひ今後三年間延長させていただきたいということ。それから公共事業費が大体二割五分程度昨年度よりもふえておりまして、県負担が大体三百数十億ふえることになると思うのでございますが、これに対しまして、これは私ども本質的には起債をふやすべきじゃないと思いますが、急にどうというとこもでまませんので、起債のある程度の増をお願いいたしたい。最低限五十億くらいお願いいたしたいということでございます。  第三点は、先ほどちょっと申し上げましたが、財政力の貧弱な県、これが先ほど申し上げましたように、事業税の減免につきまして特に影響を強く受けている点がございますので、また今回公共事業を大きく施行しなければならぬ点もございますので、地方交付税の配分なり、あるいは地方譲与税の配分等につきまして、できるだけ財政力の小さい県に対しまして、何か補正の道をお考え願いたいということでございます。そこで、今回の公共事業の増額をいたしまして国土建設を全面的に広げる、大きくするということ。私も非常に賛成でございまして、ぜひこれをわれわれも実行したいと思っておりますが、現在の財政事情からいたしますと、知事会等も何回も開いておりますが、全部の県ということではございませんが、中小の県におきましては、大体二十五県か三十五県ぐらいに達するかと思いますが、大体七割程度しか受け入れられないのではないかという懸念がございます。そうしますと、この先進県の方に公共事業はよけいいきまして、後進県はますます少いということでございまして、これらのことも御勘案賜わりまして、中小県の方もお考えをぜひお願い申し上げたいと思います。  はなはだ前後通じませんが、以上申し上げまして、私の意見陳述といたします。
  37. 館哲二

    委員長館哲二君) どうもありがとうございました。  それでは引き続きまして、地方財政審議会会長児玉政介君にお願いいたします。
  38. 児玉政介

    参考人(児玉政介君) にわかに参考人のお呼び出しをいただいたのでありますが、ちょっと自分の用事の都合もあって、十分な勉強もできなかったので、御参考になるかどうか大へんに懸念をいたしますが、せっかくのお呼び出しでありますから、参考に若干の意見を申し上げてみたいと思います。  地方財政の確立措置につきましては、政府予算の編成の過程におきまして、財政審議会としても意見を提出しておりますのですが、時間の制約もありますから、これをまあ繰り返すのも御迷惑かと思うので、一応省略をいたしますが、今申し上げたように、これは政府部内の折衝あるいは政府与党の調整というようなまっ最中に、編成前に意見を出さなければいけないという考えから出したものでありまして、今日においてはちょっと情勢が変っておりますから、今それをあらためて申し上げるのもどうかと思いますが、ともあれ、その後政府部内におきましても、あるいはまた政府与党においても、非常に折衝、検討を重ねられまして、一応のつじつまの合った財政計画を策定をされまして、これに関連した減税法案あるいは地方交付税改正法案あるいは徴税強化の法案というようなものが提出されましたので、今日の段階においては、これらの法案の趣旨は了解をいたすのでありますけれども、まだ完全につじつまが合っているのかどうかという疑問のある点もございまするし、また、こういう財政計画で今後まかなっていくについては、将来の財政計画の確立上に留意すべき点があると思いますので、その二、三の点について意見を申し上げてみたいと思うのであります。  ただし、私審議会の会長というので、今も御指名があったのでございますが、今申し上げることは、別にこれは審議会で諮ったものでもございませんし、私一個の考えでございまして、この点だけはお断わり申し上げておきますが、なお、実は全国知事会でも過去三年間、いつも夏ごろの府県の行財政の実態調査というのをやりまして、各方面の、知事会でいえば、公正な第三者を委員に委嘱をして、ありのままの実態を一つ批判をしてもらおうということを、三年続けてやってきておりますが、私もたまたまその一人に加えられておりまして、特に昨年の夏の調査は、その委員の顔ぶれも非常に変った広い委員の顔ぶれで、報告書もずいぶん大部の報告書を出しておりますが、こまかい問題になりますれば、これらの報告書の抜粋のようなことを申し上げてみるのも御参考になるかと思うのでありますが、何しろ時間のワクもあるようでありますから、これはこの際は省略をいたしまして、前置きを別にしまして、端的に一つ若干の項目について意見を申し上げてみたいと思うのであります。  そのつじつまが果して合っているのだろうかどうだろうかという疑問の一つは、今度の国税所得税減収が、影響する住民税減収になる、その補てん措置が明らかでないということであります。明年度に予定をされます国税所得税は約四百億円の減税になりますので、自然これがいろいろな影響を持つわけでありますが、地方交付税影響を持つその減収については、地方交付税の繰り入れの率を一%引き上げることによって措置をされたのでありますが、まだ約百億、百十八億くらいになりますか、住民税減収に対する補てんについては、別段に措置もされておりませんし、その方針も示されておらないということのようであります。先ほど千葉の知事さんからのお話もありましたが、三十一年度、二年度あたりの財界の好況また政府の非常な好意のある措置によりまして、ようやく府県の財政が安定化の方向に向っておるのでありますが、そういう際に、このような大幅な減収に伴う減税というものが、国の一方的な措置で行われるということでありますから、その補てん措置については、必ず政府がこれを処置しなければならないのみならず、今日においてどういう措置をするかということを地方団体に明示する必要があるのではないか、こう考えるのであります。この点がどうもはっきりしておらない。百億円をこえる影響というものがどういうことになるのかわからないということ、それが一つであります。  それから第二点は、ただいま千葉の知事さんからのお話もあったのでありますが、公共事業というものが来年度においては非常にふくらんでおる。その国家予算の増加に伴いまして、地方負担もふえるのが当然でありますが、前年度に比べると、約三百億円の増加が見込まれておる、こういう地方負担の大きな増加というものは、近年例を見ないのではないかと思うのでありまするが、これはいろいろ道路の拡充であるとか、いろいろの施策をやられるのでありまするからけっこうなわけでありますが、しかるに、この大きな地方負担というものは、これは当然地方財政を非常に圧迫をする、その圧迫をする一つの要因には、今までめんどうを見てきました地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫負担等の臨時特例に関する法律千葉の知事さんの言われた臨特法とよく言っておるものと同じでありますが、これが来年から廃止をされるということで、それだけ、約九十億くらいといいますが、こういう大きなものがごっそりと地方負担になってきておるということをも、これは地方負担が激増した、仕事の量をふやしたというだけではなくて、地方負担が激増したという大きな原因になっておると考えられるのでありますが、従って、もしこれがこのままでいきますと、地方財政計画の上では一応つじつまが合っても、これは府県市町村を通じた、一本に組んだものでありますが、実際の末端にこれを流していったときに、果してこれがどういう影響を持つかということは、一つ一つの県、市町村を見なければわからないのでありますが、さっき千葉の知事さんは七割ぐらいしか消化できないのではないかというお話もありましたが、これはまさにその個々の団体を拾いますれば、私は完全に消化できるのかどうかという一つの懸念を持たざるを得ないのであります。これが第二点で、こういうものについては、財政上必要な措置を講じて、この急増した公共事業の円滑な遂行を確保すべきである、こういうことを考えざるを得ないであります。  なお、やはりこれに関連するのでありますが、衆議院で、軽油引取税の今度の増税に対して修正が行われたようでありますが、まだ本会議は通ってきていないようでありますが、委員会は通ってきておるようですが……。
  39. 館哲二

    委員長館哲二君) 通っています。
  40. 児玉政介

    参考人(児玉政介君) この修正によって、十七億円の減になるのではないか。これをどう措置するかということも何かわからないものの一つであります。一面、固定資産税の制限、税率を下げたということのために、二・一%以上取っておる府県がこれをちょん切らなければならない。そのちょん切りが約六万円であるという、金額としては小さいのですが、これに対しては、来年度は起債を認めて、そうして元利償還は皆見てやる。こういうことをいっておるが、これも差しあたり来年のことで、それから先のことはどうかわからないが少くともこれについてはこういう措置が講じられておる。軽油引取税の増税に対する修正の措置はわかりませんが、このまま放っておけば、結局財政計画というか、政府のあの公共事業をやろうとするある一部分は、これだけそごを来たしてくるのじゃないかと思います。さっき申し上げましたように、地方団体によっては、すでに今までのものでも臨特法の廃止等のために、その他の面もあると思いますが、増加ができるかどうかという懸念があると申したのでありますが、軽油引取税の増税に対する修正というもののいかんによっては、これも影響を持つのではないかというふうなことが考えられるのであります。これらの点が不明である。これははっきりと一つの態度を示さなければいかぬのではないか、こういうようなことを考えざるを得ません。  それから第三点は、公共事業を大幅に増額をしてやるものについて、そのうちの国の直轄の部分については、地方負担金をかけるわけでありまるが、これは昭和二十八年度から、とてもそれを現金で納めることができないというので、過去の分、また引き続いてその後の分というものを交付公債で政府に借金をしておるというようなことでやっておるので、一時しのぎにはなったわけでありますが、しかし、ただこれを繰り返しておるということは、将来大へんな負担の増加になる。そこで、このままほっておきますと、交付公債というものが来年度三十四年度でも、前年度に比べて七十八億円の増加で二百十億円に上ってくる、だんだんこれがふえていくわけでありまするから、これは大へんなことになる。しかるに、どうも私ども見ておりましても、地方団体自身が、公債の負担というようなものはまあ一時しのぎにはなる関係で、仕事がしたいという仕事上、直轄事業の施行に甘んじておるというふうな傾向がある。国も、また地方団体が差しあたりの資金の必要もないことから、比較的安易な直轄事業を拡大をしていくというような傾向があるようにも思うのでありますが、そのまま進んでいくと大へんなことになるのじゃないか、明年度の地方財政計画におきましては、公債費は全体的に見ると、本年度の横ばいというか、苦干幾らか減だ。しかし三十五年度から大へんにふえるということを説明もしているようでありますが、明年度においても、これまたさっき申し上げましたように、全体の問題であって、地方団体によっては非常に増加している所もあると思います。その貧弱県に行きますと、税収で償還費を現在でも取るぐらいの所があると思いますが、そこら辺は税収で償還ができないというようなものもあるのではないか、こう思われるのでありますが、そういう際に、安易に交付公債を発行して持っていくということは、よほどこれは考えなければならない、こういうことでありまして、今から交付公債をどう処置をするかということについては、有効適切な処置を講ずる必要がある、こういうことを考えざるを得ないのであります。  それからその次は、税外負担の解消の問題でありますが、地方団体が自分の財源の不足を補うというようなことのために、住民に課していますいわゆる税外負担というものは、昭和三十二年度で割当寄付あるいは部落会であるとか、消防後援会あるいはPTAというようなものの負担を寄せ集めますと、二百五十四億という大きな額に上っておりますが、ひっきょう税外負担というものは、地方財政の窮乏に起因をして取られてきたものと見られるのであります。中には当然受益者に負担をさしてもいいのじゃないかというものもあるかと思いますが、また、あるものは当然これはその団体支出すべきものであるというものもあるので、そういう公費負担に切りかえるべきものについては、国において財源措置を講ぜよというようなことで、住民の公費負担の現状におけるひずみを直していく、正常化をはかる、こういうようにすべきだと考えるのであります。これらの処置が何にも講ぜられておらない、こういうことは懸念される問題の一つであります。  おもなことはそんなことでありますが、さらに交付税の問題について、一つ問題があると思うのでありますが、これは、結局財政計画を立てる上において十分な補てん財源がないということから、地方負担を調整をしていこうという一つの考え方がある、そのために、今までのような交付税の配分をするのについて、基準の収入額というものを七割ないし八割に見ている。これを一つ引き上げたらどうだという一つの問題が提唱もされたことがあると考えておりますが、この問題はよほど慎重に検討をしなければならぬ問題じゃないか、こう思うのであります。その理由は、もし余裕財源というものを持たずに収入を全額見て、そして配付をしていくということになるならば、地方団体の行う行政というものを、ほとんどすべて画一的に算定をすることになってくるということであります。従って、地方財政の弾力性もなくなる。地方団体行政の自主性というものがない、もう標準予算式にどこもかしこも同じ画一的のこれだけの仕事をやるのだということになって、自分の所で自主的に工夫をするという余地はなくなる、こういうことで、いわゆる自治尊重の見地から、これは一つ問題がある。  第二には、地方税がかりに増収になれば、すぐ地方交付税の減額に結びついて、それが百パーセント見るというならば、もうその減額に直接結びつく度合いというものは非常に高くなるわけであとまして、そうなってくると、地方団体が税源を育成しようとかあるいは徴収を確保しようという意欲は非常に阻害をされるというおそれがあるのではないかと思うのであります。  次には、さっき申し上げたように、基準財政需要額の算定に当って、地方団体の行う行政というものを、ほとんどすべて算入しなければならないことになるが、さて地方団体行政の実態を十分に把握をして、それを適確に財政需要額に算入するということは、これはなかなか技術的に困難があるのではなかろうかということが考えられることであります。そういうような問題があることでもありますし、交付税による地方財政の調整については、算定される基準財政需要額の均衡化を前進させる、今よりももっと一つ工夫を加えて前進することによっても、解決することが不可能ではないということも考えて、一つこの点は十分に慎重に検討を加えないと、一〇〇%あるいは九〇%簡単に見てしまうと、これは最近起ったような交付税の配分問題以上にめんどうな混乱を生じないとも限らないということから、慎重にこれは考えていかなければならない、こう思うのであります。  それから次には、たばこ消費税を譲与税にして、府県の財政の調整をはかろうというようなことも問題に上ったことがあるようでありますが、まあ一つの考え方なんでありますが、たばこ消費税は、地方団体の中における売上げ金額、いかえれば、住民の消費によって税収入が得られる一つ地方の独立財源であります。その税収はたばこの消費を通じて、住民の生活と密接に関連をして住民の生活向上による財政需要の増大をまかなう、税収の増大をもたらすものであります。現在でも、先ほどもちょっとお話がありましたように、地方自治を建前とする地方税財政の制度におきまして、地方税収入の歳入のうちに占める割合が非常に少いということが問題にされているにもかかわりませず、せっかく地方の独立税になっておるそのたばこ消費税を、地方住民の生活から切り離して地方譲与税にするということは、地方税制の基本的な考え方というものとよく考え合わせぬと、逆行することになるのじゃないか。どうも譲与税をやたらにふやしていく、独立の税がないということは、極端に申せば、地方税を全部国が取って、全部まかなったらこれは一番いいのじゃないかというところまで、極端にいえば考えられるのですが、現在の国民負担として取っております国税地方税の割合は、国が七〇%、地方が三〇%、しかし国の取った税を今度は交付税であるとか補助金であるとか、譲与税であるとかいうことで地方に流していく関係で、実際これを使う部面からいうと逆になっている。六五%くらいは地方で使っておるということでありますが、これを一体、この六五%をどういう分で取ればいいか、地方税で取る、あるいは譲与税として国が取って地方へ流すか、あるいは補助金で流していくか。まあこんなことで地方が使うわけでありますが、今のところ地方税で取るのが非常に少いということ、これはまあ地方財政の自主性を失い、地方自治の本質に反するということも考えなければならぬことからいたしまして、あまり譲与税に持っていって独立税を失なっていくということは、十分に一つ考えなければならぬ、こう思うのであります。  それから最後に一つ、昨年大へんに問題になりました特別態容補正という、交付税の配付の一つの方法でありますが、補正の方法でありますが、これが大へん昨年問題になりまして、これに関連をして論ずる人の中には、特別態容補正を大いに一つやって、そして貧弱県を潤したらいいというような意見もあったりするのでありますが、これを恒久的な補正の制度とすることはどうも適当でない、こういうことを考えざるを得ない。これは御承知でもありましょうが、昭和三十一年度において、地方債の総額が非常に圧縮されることになりましたときに、これを府県別に配分するに当って、財政力の弱い団体が特にひどく減額をされた。その地方債の減少による財源不足を補うために、いわば暫定的な措置としてとられたものであります。従って、もうその成り行きから見ても、一般的に投資的経費が充実される、これが正面切ってこうすべきものなのであって、投資的経費を逐次充実さしていけば、こういう暫定的な措置というものは廃止されるべきであるということは、最初からそういうつもりで進んでおるものであります。のみならず、特別態容補正というものは、交付税の理論の上から見ると、ちょっとこれはおかしな問題があると思うのであります。すなわち特別態容補正というものは、総合指数というものと、大へんやっかいなものですが、個別指数というものをあわせ用いることによって行われているのであります。実際上大きな意味を持つのは、貧弱県の実態を現わす一つの方法として総合指数というものを用いている。これが一番肝心な点なのであります。総合指数を用いるということは、結局人口一人当りの県税収入額が比較的少い道府県の投資的経費を、割り増しをしようということなのでありますが、どうも県税収入が少いから、投資的経費財政需要がよけいにかかるという理屈は、どうもちょっとそういう理屈は出てこないのではないかというふうに考えられるのであります。従って、こういうものを恒久的の制度とするべきものではないので、交付税制度の趣旨にもかんがみて、今申したような理論的にも納得される合理的な他の方法によることを検討しなければいけない、来年度の政府が提出をされました地方交付税法改正法においては、今度その他の行政費というところへ持っていって、一般的の部面でありますが、そこに、面積によってある額を配分しようというそういうものを加えて、府県あたりではこれは大へんにいいと言うておるようでありますが、この成果も見る必要がありましょうが、何かそういう特殊な方法で、ほんとうに投資的経費の割合を十分に貧弱県に見てやる新しい方法を考えて、そういう一つの便法であったものは、これは将来廃止する方向に向うべきではないか、こういうようなことを私は考えるのであります。  時間も御指定の時間を過ぎたようでありますから、これで一応私の方から申し上げる意見は終りにいたしますが、最後に、今までの経過をずっと見ておりますと、減税というものが毎年のように行われておる、そのつど補てんの紛議というものが繰り返されて、どうも地方財政が毎年何か不安定な状態に置かれておるという感じであります。地方の当局者に聞いてみましても、どうも予算の編成とかあるいは事業計画とかいうものを戸惑いさせられる、さっき申しました交付税の配分について、昨年まあ大へんに苦情のあったことも、どう言ったらいいでしょうか、もう少し政府が趣旨を早く徹底させたらよかったのではないかという気もいたしますが、地方は一向どうものほほんとして、今まで通りのある期待を持って予算を組んでおる、予算は組んだが、いよいよきてみたら大へんに少なかった、前年よりも少なかった所は一県よりかないのでありますが、地方が期待していたよりも非常に少なかったということなんでこれは早く安定をしていればそういうことはないのでありますが、どうも戸惑いを生ずるというようなこともありまして、税制にしても交付税にしても、あるいは地方財政計画そのものにしても、何か毎年不安定な状況で予算編成期に臨むということでありまして、できる限り一つこれは安定をさせるということが望ましい、このようなことを考えますので、これをつけ加えて私の意見の開陳を終りたいと思います。
  41. 館哲二

    委員長館哲二君) どうもありがとうございました。  それではお二人の参考人の御意見の御開陳が終りましたので、御質疑がありましたら……。
  42. 占部秀男

    ○占部秀男君 柴田さんにお伺いしたいのですが、今度の財政計画を見て、総括的に言って、われわれは知事さんと意見が同じような形になるわけですが、ここでお伺いしたいことは、今の各県市会で予算を組んでおって、これは通った所もあるし、まだ通らぬ所もあるかもしれませんが、とにかく今度の実際の予算を組んでみた経験からして、私の考えとしては、今度の財政計画を指針としてやった場合には、必ずと言っていいほど第一には県単事業がまるっきり何かだめな、だめなというのはおかしいですが、少い、ひどくなくなるか、あるいはそれをカバーしようとすれば、結局また赤字を出さなければならないように決算期に追い込まれる、それでなければ、二つを一つ下げようとするなら、公共事業の一部をやむなく返上しなければならぬと、こういうような私は形に結局はなってくるんじゃないかと思うのですが、そうした点について、予算を組んだ経験からしてお教えいただけるような点はないものでしょうか。
  43. 柴田等

    参考人(柴田等君) 今おっしゃいました点でございますが、私の方も三十四年度予算を組みまして、そのやり方といたしましては、私は先ほど自分の県のことはあまりこまかいことは申し上げなかったのでありますが、一応全体的には私の方で大体不足額が三億二千万円ほどになる見込みでございますが、三十三年度——本年度若干繰り越しが出る見込みでございますので、一億三千万くらい繰り越しを出したい。それを来年度の費用に使いたい。これは私ども再建団体でございますから、自治庁の方と相談がありますが、それを加えましても二億足りないというようなことでございまして、府県財政におきましては二億というものは事業実体にしますと非常に大きな額になりまして、そこで、今までたとえば昨年度におきまして県単事業は大体建設的なもので十億近く、これはいろいろな事情がございまして少し多い方でございますが、十億近くやったんでございますが、当初予算は五億程度にとどめております。それから公共事業が大体私どものあれでは二十八、九億の公共事業がくるんじゃないかと思っておりますが、今組んでおるのは十四億ですか、十五億程度しか組んでおりませんので、ちょっと私どもの予想しておる分よりも約十五億くらい少く組んでおるのでございます。そういう事情で、県単事業でこれは非常に圧縮するような形になるか、今おっしゃいました公共事業を相当詰めるとか、そういう形にどうしてもなってくるわけでございますので、先ほど申し上げましたように、何とか特例法なり、起債のワクの増額をぜひお願いして、完全に仕事をやりたいというわけでございまして、何回も申し上げますが、ちょうど終戦当時から今日まで放置されました道路なり橋染なり学校なりを、今集中して何とかしければならない、県単事業が非常に強く要請されているこういう時期でもございますので、その点をぜひお考え願いたいと思います。
  44. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、個々の点を二、三お伺いしたいのですが、今度の軽油取引税の問題ですけれども、けさも実は予算委員会が大蔵大臣とそれから自治庁の青木さんに質問したんですが、結局十五、六億の穴といいますか、穴があくわけです。そうすると、それはやはり県単の方を減らしてもらうよりほかは手はないという答弁なんですけれども、われわれはこれを何とか財源措置をすべきじゃないか、財政計画に組んでおるんだから、県知事として予算もやっておるし、困るじゃないかということで話をしたのですが、そういうような情勢なんです。ところが、今度の財政計画そのままというわけではないのですけれども財政計画における県単関係道路関係のやつは、たしか二十五億前後しか組んでなかったと思うんですが、七十五億の中に。ほとんど県単事業はできなくなるんじゃないかというふうなことで言ったんですが、あの軽油引取税の穴の問題ですね、これはどういう形でどうすべきだというような御意見は、今すぐというと無理かもしれませんけれども、ございませんでしょうか。
  45. 柴田等

    参考人(柴田等君) 私の方で軽油引取税が五割が三割になることによって、約三千万円違うわけです。先ほど申し上げました分がまたそれだけ増額するわけで、三億をこえることになりますが、国全体から見ると、私どもの計算では、十六億八千万でございますか、減るわけでございますので、非常に困っておる際でありますから、われわれは当然それを予想してやったわけでありますから、これは何か国の方でぜひお考えをお願いしたい。これは先ほど私はそれを言うことを忘れましたが、ぜひお願いしたいと思います。
  46. 占部秀男

    ○占部秀男君 児玉先生にちょっとお伺いしたいんですが、私も今度の問題で当面としては臨特の問題と交付公債の問題は最低限度処理してもらわなければだめじゃないかという感じを持っておるんですが、そこで交付公債の性格の点についてちょっとお伺いしたいんですけれども、結局交付公債の問題は、あの交付公債の制度ができる当時、これは財源措置をすべきであったやつをせずに、ああいう形に切りかえる、こういうことを私はしたんじゃないかと思うんですが、大蔵大臣の方の話によると、これはもう現金払いするのが当然なんだけれども、まあまあがまんしてやって分割払いをさせてやっているんだから、利子は当然なんだ、こういうことなんですが、こういう点は、先生としてはどういうふうに性格の点はお考えになっているんですか。
  47. 児玉政介

    参考人(児玉政介君) まあそのときに何だということを言われたわけでもなかろうと思いますが、経過はさっき申し上げたように、地方債が非常に減らされたというその財源の穴埋めということであったようでありますが、しかし、これをどういう性質のものと考えるかということ、これは人それぞれの考え方ですが、ある見方からいえば、私は何でも借金をさせてやらせるということは本筋でないのであって、財源を交付すべきものである、それが極端になったのが……もう一般会計の給与費までを借金させた時代があって、これはもう政府が当然あと始末をすべきだということが後に起ったことがあるんですが、交付公債の問題も、まあある考え方からすれば、私はそういう考え方も出てくるんじゃないかとすら考えておりますけれども、それはどういうものであったかということは、もう少し当時の経過をよくたどって堀り下げてみないと、こうであったんだと、こういう考え方がいいんだということを、今断言して申し上げるだけの知識もありませんけれども一つの私はそういう考え方もできるんじゃないかというような気持もするんです。
  48. 占部秀男

    ○占部秀男君 それから柴田さんにお伺いしたいんですけれども、どうも先ほど言ったように、公共事業関係からして、私も十五、六の県の予算——今度当初予算のあれこれを拝見したんですが、やっぱり六、七十、少いところになると五〇%ぐらいのところもありますね、しかしあとの肉づけの関係もあるんでしょうから、それはそのままということはないだろうと思いますけれども、ことしはちょっと条件が違うと思っているんですね。たとえば臨特、交付公債関係でも元利の償還、あれも入っておりますし、いろいろ今言った財源も考え、公共事業の一部の返上ということは、知事会のいわゆる何というか、落し穴じゃなくて……ほんとうに私は出てくるんじゃないかということを心配しておるわけですね。そこで、そういうことに関連をして、この臨時特例法の問題、臨特ですね、これをもう少し今までの臨特というような概念じゃなくて、実際の公共事業を行うために臨特が必要なんで、こういうような考え方といいますか、建前でもって、もっと知事会としては、積極的に政府に対して、公共事業を返上するというような消極的な態度でなくて、公共事業は行らんだというような積極的な態度で、違った意味の臨特関係を、何というか、運動というか、要求といいますか、そういうことをすべきじゃないかと思うんですが、どうも知事会の態度がそういう点が弱過ぎるというふうに感じるんですが、そういう点はどうなんですか。
  49. 柴田等

    参考人(柴田等君) 今占部さんのおっしゃる通りです。知事会では臨特だけではどうしても九十億違いますから、これはやってもらわなければならないということであります、直轄を含めてですね。しかし、これをあまりやりますと、予算全体の成立がおくれはしないかということで、端的に申し上げますと、ある程度予算のめどがついてからやるべきであるということで、先般来何回もこれをやりまして、陳情いたしておりますが、一つそういうあれで、怠慢であるというのじゃなくて、予算の成立があまりごちゃごちゃしてはいかぬということで、そういうことをやったのでございますから、今、建設事業と非常に関係のある建設常任委員会、あるいは農林常任委員会、運輸常任委員会等に御連絡しまして、行政部会だけではなくて、その方面からも運動していただくように、今一生懸命やっているわけでございますので、どうぞ一つよろしくお願いします。  それから直轄工事の負担金の問題は、先ほど児玉さんからおっしゃいましたが、私の県が再建団体になった一つの理由は、直轄工事負担金が全国的に非常に多いのであります。一番多いときは年間に五億くらいある。それでことしは、たとえば公共事業の起債は二億でございます。しかし直轄工事は、特例法がなくなりますと約四億くらいになるのじゃないか。それだけ公債がふえるわけでございますから、これは知事会から前からお話してございますが、せめて政府資金だから利子だけはないようにお願いしたいと、こういう最低限の希望でございます。
  50. 館哲二

    委員長館哲二君) 御質疑はありませんか。——他に御質疑はないようでありますから、この程度にとどめておきます。  終りに、参考人の方にお礼を申し上げます。大へん御多忙のところお繰り合せ、おいでいただきまして、貴重な御意見を拝聴さしていただきまして、ありがとうございました。これから各法案審議の際には御意見をよくしんしゃくいたしまして、十分やりたいと存じております。重ねて、委員一同を代表しまして、ありがたくお礼を申し上げておきます。  なお、次回は来週の火曜日の二十四日、午前十時から開会し、三法案の審議を続行したいと思います。  本日は、この程度で散会いたします。    午後三時三分散会