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1959-06-16 第31回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年六月十六日(火曜日)    午前十時三十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事            大沢 雄一君            占部 秀男君    委員            郡  祐一君            吉江 勝保君            白木義一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    説明員警察庁長    官       柏村 信雄君    警察庁刑事局長 中川 董治君    自治庁選挙局長 松村 清之君    自治庁財政局理    財課長     山野 幸吉君    自治庁財政局財    政再建課長   松島 五郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査の件  (公職選挙法実施状況に関する  件)  (赤字団体に対する起債の許可方針  等に関する件)   —————————————
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) これから委員会を開きます。  本日は、地方行政改革に関する調査として、公職選挙法実施状況に関する件を議題といたします。  まず、自治庁当局から、選挙管理の面から見た今次の地方統一選挙並び参議院議員選挙実情と、その結果についての説明を聴取いたします。
  3. 松村清之

    説明員松村清之君) 去る四月二十三日に都道府県五大市選挙が、続いて四月三十日に市町村東京都の特別区の選挙が、越えて六月二日に参議院議員通常選挙が行われたのでございます。このように、地方選挙参議院議員通常選挙がときを同じゅうして行われますのは十二年に一回でございまして、戦後の二十二年以来のことであったのでございます。これら二つ選挙に関しまする詳細な資料は、お手元に差し上げてございますので、それによって御了承願いたいと思いますが、若干この二つ選挙について説明をさせていただきたいと思うのでございますが、まず第一は、投票率のことでございます。  まず、この地方選挙につきましては、お手元資料にございますように、都道府県関係選挙は大体八〇%を少し切れる。知事が七八%、都道府県議会議員が七九%、こういうふうに、まあ八〇%を少し切る程度投票率、それから五大市関係東京都の特別区と、こういった大都市関係選挙は大体六五%程度、横浜、大阪の市長選挙は少し投票率がよくて、六七%でございましたが、大体六五%程度、それから一般の市の関係市長市会議員の……。
  4. 吉江勝保

    吉江勝保君 何ページ。
  5. 松村清之

    説明員松村清之君) これは、いろいろにわたって書いてございます。「統一地方選挙結果調」という書類の中のこれは七ページからずっとありまして、十七ページにわたって数字が載っております。簡単にかいつまんで今申し上げておるわけでございますが、一般の市の選挙は八五%、それから町村選挙は九〇%以上、こういうような状況になっております。  これらの地方選挙の各種の選挙投票率を見てみますると、町村長選挙前回昭和三十年の四月の選挙投票率に比べて一%落ちた以外は、すべて前回よりも上昇を見ておるのでございます。中でも婦人投票率は、特に男子に比べて投票率の伸張が上回っておりまして、今回の地方選挙におきましては、都道府県関係選挙を除きまして、知事都道府県議会議員選挙を除きまして、他のすべての地方選挙におきましては、婦人投票率男子投票率を上回るような状況になってきておるのが注目すべきであろうと思うのでございます。  それからもう一つは、大都市投票率、これは、絶対的な投票率におきましては、なるほど低うございますけれども前回と比べました場合には、他の地域における伸びよりも大都市投票率というものが伸びている。これも一つ特徴であろうかと思うのでございます。  これが地方選挙投票率でございますが、六月二日に行われました参議院議員選挙投票率につきましては、これもお手元の「参議院議員通常選挙結果調」、この中に、五ページから八ページにわたりまして、全国区と地方区に分けて投票率があげてございますが、この参議院議員選挙投票率は五八・七%でございまして、前回の、三年前の参議院議員通常選挙が六二%でありましたのに比較しまして、三四%ばかり今回は落ちておるのでございます。元来参議院選挙投票率というものは、ほかの選挙に比べて非常に過去においても低率であったのでございますが、今回はその中でも一番低く、最低の率であったのでございます。この理由といたしましては、今回の選挙が、選挙投票日が非常に関東以北が悪天候に見舞われたということ、そして地域によりましては農繁期にかかっておった、こういうことが原因をいたしておるのではなかろうかと、そういうふうに考えるのでございます。それから参議院につきましては、いつも無効票というものが多いのでございます。お手元にお配りした表の一番最後の二十八ページに無効票の調べがございますが、この無効票につきましては、今回は前回に比較しまして少くなっておるのでございます。お手元の表にありますように、前国区につきましては、前回の三十一年が八・一五%あったのが、今回は六。四%、地方区は四・七四%が四・一六%、こういうふうに、若干でございますが、下っておるのでございます。しかし、全国区のごときは、なお今回の無効投票が一〇%をこえる——これは全国区でございますが、こういう県が未だに三県もあるような状況でございます。これが投票状況でございます。  あと立候補状況党派別当選状況党派別の得票数等は、お手元資料によってごらん願いたいと思うのでございますが、次に、選挙管理執行の面からながめてみますると、地域的には若干の問題のあった所もございますが、たとえば、地方選挙におきまして、投票用紙を紛失したとか、盗難にかかった、あるいはかえ玉投票が行われた、あるいは開票場が一時混乱いたしまして、長時間開票事務を遅延せざるを得なかった。そういうふうに、若干地域によりましては問題のあった所もございますが、これらにつきましては、大体善後処置もうまく行われまして、総体的には、地方選挙も無事に平穏に行われたことと考えられるのでございます。参議院選挙につきましては、これは、地方選挙以上に選挙管理執行の面はうまくいったのではないかと思うのでございます。ただ二、三の地域で、ごく少数でございますが、選挙公報に、特定の人にしるしをつけて配った、こういうような事例がございましたけれども、これらにつきましても、すぐ回収をいたして、新しいのを配ったというような措置をとりまして、無事に済んでおるように思うのでございます。  なお、参議院全国区につきましては、今回二つのことを新しく行なったのでございますが、一つは、全国区の公報につきまして写真公報を採用したということでございます。この写真公報につきましては、初めてでございますので、事前十分候補者お話を申し上げ、大体うまくいったと思いますけれども、中には若干の批判がなかったわけではございませんが、その批判は、結局紙面が非常に狭いためから来る問題でございまして、これは写真に限らず、もとのような活字においても同様の問題で、将来は、これは予算が伴いますので、非常に実現が困難性を伴いますけれども、スペースを広げていけば、この写真公報というのは将来持続していっていい事柄だと思います。  それから第二は、これは報道機関に対する速報の問題でございますが、ことしは一千万円の国庫予算の成立を見まして、参議院全国区に関する当選状況は、すべて中央選挙管理会において各報道機関に一元的にすぐに流す。それによって各報道機関から一般選挙民に流す、こういうことで、報道陣からは非常に感謝を受けておるのでございます。これが目新しいことだろうと思うのでございます。  最後に、これは、後ほど警察の方からもお話があるかと思いますが、今回の選挙、特に地方選挙におきましては、残念なことに、違反事例が非常にたくさんあったのでございます。これらの点からして、今日選挙制度あるいは選挙法規についていろいろ問題が投げかけられておるのでございます。私どもといたしましては、これら各方面問題点を今集めております。その集めた結果によりまして、これにつきまして何らかの対策を講じたいと思っておるような次第でございます。  はなはだ簡単でございますが、以上をもって私の説明を終ります。
  6. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは次に、警察庁当局から、両選挙取締りの面から見た実情について御説明を願いたいと思います。
  7. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 公明な選挙が行われますことは、国民のだれもが願うところであると存ずるのであります。選挙違反取締りの職責を有しまする警察といたしましては、公明選挙の具現ということにつきまして、犯罪を厳正公平に摘発するという面からこれを担保することがなくてはならないというように考えまして、違反を厳正に摘発するという方針で努力をいたしておるわけでございます。  今回行われました地方選挙違反検挙状況でございますが、期日後三十日現在の調査によりますと、検挙件数が二万五千百七十八件、検挙人員四万四千七百三十八名でございまして、昭和三十年四月に行われました前回地方選挙の同時期における違反状況に比較いたしまして、約四割方増加いたしておるのであります。この違反のうちでは、買収及び利害誘導が一番多く、二万一千六件、三万八千五百八十名の検挙を見ております。次に多いのが戸別訪問でありまして、千六百六十九件、二千六百六十三名の検挙、その次に文書図画制限違反でありまして、千三百二十二件、千七百四十四名という検挙数を見ておりまして、これらが検挙の多いものでございます。  次に、今回の参議院議員通常選挙におきましては、違反検挙数は、六月十一日現在の調査によりますと、検挙件数二千二百二十一件、検挙人員三千百二十六名でありまして、昭和三十一年七月に行われました前回参議院議員通常選挙の同時期における違反検挙状況に比較いたしまして、約二割方減少となっておるのであります。この違反のうちでは、文書図画制限違反が一番多く、千七十九件、千四百三十四名の検挙を見ております。次が買収及び利害誘導でありまして、五百九十二件、千六十七名の検挙、次が戸別訪問の三百八十四件、四百三十名の検挙、これらが検挙数の多いものであります。買収犯は、従来の検挙におきましては、検挙数として最も多いものでありますが、今回の参議院議員通常選挙におきましては、現在までのところでは、特に文書図画制限違反検挙数が多いということが目立っておるわけであります。  今回の地方選挙及び参議院議員通常選挙違反事件特徴考えてみますと、文書による運動が非常に激しかったという点から、文書図画制限違反が特に多かったように認められる点であります。特に地方選挙におきましては、誹謗文書頒布掲示事犯が多くありまして、しかも、大量の誹謗文書を夜間に自動車でばらまくというような悪質なものも現われておるのであります。同じ文書制限違反にいたしましても、政見によって選挙運動をするというようなことよりも、ただ相手候補をたたくといった卑劣な運動が目立っていたということは、注目すべき傾向ではないかと思うのであります。また、今回の両選挙を通じまして、文書頒布部数がけたはずれに多くなったということも特徴一つであろうと思います。文書事犯の最も多かった昭和三十一年七月の参議院選挙におきましても、文書の多数頒布事件というのは、四十万枚程度のものが一件、そのほか五万枚ないし一万枚というのが三件程度であったのでありますが、今回は、二百万枚印刷されたといわれまする機関紙号外を初めといたしまして、数十万枚の事犯相当数に上っておる状況であります。さらに、参議院議員選挙におきましては、室内用と称する無検印ポスターが多数頒布され、掲示された事犯がございます。また、選挙事務所開設通知状がむやみに郵送頒布されるとか、あるいは後援会入会感謝状入会もしない人に対して郵送頒布された事犯が目立っておるのであります。買収事犯につきましては、県会議員選挙におきまして、一事件について五百三十八万円もの多額買収金がばらまかれた事犯を初めといたしまして、数百万円を買収金に使用した事犯検挙になっておるわけであります。また、一面におきまして、部落じゅうの有権者を少額の金品で買収するというような事犯も発生いたしておるわけであります。今回の地方選挙に引き続いて、さらに参議院議員通常選挙が行われたというような事情がございまして、取締りが重複して行われる結果になったわけでありまして、第一線警察としても、非常に取締りに苦労をいたしておる状況でございますが、取締りの効果的な運営に意を用いまして、違反摘発はおおむね順調に進んでいる状況であると考えておる次第でございます。
  8. 館哲二

    委員長館哲二君) ただいまの御説明につきまして、何か御質疑がありましたら。
  9. 吉江勝保

    吉江勝保君 違反の中で、特徴というような点のおもなものをおあげになったんですが、今度の選挙で、選挙運動そのものを、何といいますか、今まで現われなかった形で阻害、妨害するというような新しい傾向が出てきておる、そういう違反が生じつつあるということについてはお触れにならなかったようですが、ほかの方におきましてのいわゆる暴力とか実力行使というようなものは、もちろんこれも排除すべきものでありまするが、選挙運動に対してそういうような行為が現われておったか。あるいはそういう行為に対してどういうような処置をおとりになっておったか、こういうような点について、何か材料をお持ちでありましたら、少し説明をしていただきたいと思います。
  10. 中川董治

    説明員中川董治君) 選挙運動に際しまして、暴力行為でいろいろ選挙妨害的なことがある、こういう点につきましては、今回の選挙におきましてもございました。暴力行為という概念の問題になるわけですが、たとえば、合法的に掲示されておりますところの正当な政治活動文書とか、ないしは選挙運動文書、こういうものを深夜ひそかにナイフなんかで切って回るというふうな事件もございました。それからいろいろ、選挙でございますので、その点は、あるいは正当な政治活動をやる、あるいは選挙関係者選挙運動をやる、こういう行為につきまして、これは違反だからやめてくれというようなことで、多数の力でこれを抑制していこうという民間の活動と申しますか、そういう部面の活動、こういう点も現われておるのであります。かかる行為に対しましては、それぞれ法条に照らしまして、警察としては処置をしております。この傾向が特に顕著であったかどうかという問題でありますが、過去の選挙におきましてもそういう傾向があったのでございますが、今回の選挙においてもそういう傾向があった、こういう状況でございます。
  11. 吉江勝保

    吉江勝保君 今ちょっとお触れになっておったようですが、民主的な選挙をやるということに一番支障になる点というものは多々あるでございましょう。今の選挙違反に触れるものはみなそうでありましょうが、一番やはり問題になってくるのは、選挙運動そのもの実力といいますか、暴力といいますか、そういう実力阻害、阻止するというような行動が出てきますと、将来はあるいは、今は応援をする運動員に対する、選挙運動に対する阻害行為でありまするが、候補者そのものに対してこういうことが起ってくれば、これは非常に民主政治の崩壊というようなことにまで考えられるのでございますが、選挙運動そのもの違反であれば、違反として摘発をして、峻厳な取締りをやるというようにルールを持っていかないと、直接行動でもって、選挙違反だからこれは実力で阻止をするとか、これは違反だからはいでしまうとかいうようなことを直接やるような芽ばえというものは、今、非常に軽く見て答弁をされているようでありますが、私どもはそうは見ないのであります。少くとも、こういう行為全国的に幾つあったか、そういう行為の思想にはどういうものがあるかということを十分調べられる必要があるのじゃないか、こういうふうに見ております。もう一度御所見を伺います。
  12. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) ただいまのお話、まことにごもっともでございまして、違反があれば、これを摘発する機関によって摘発する、また、それを促すために告訴、告発等行為がなされるということは、当然のことであろうと思いますが、実力暴力によって選挙運動を妨害するというようなことは、民主政治の根本を破壊する悪質な犯罪であるというふうに考えるわけでございます。ただいま刑事局長からも申し上げましたように、そういう事犯を、先ほど多い数を申し上げましたのですが、お手元に差し上げた中でも、いわゆる自由妨害の数を差し上げてございますが、統一地方選挙におきまして、件数にして三百四十四件、人員にして四百六十四人、参議院議員選挙におきまして、件数五十件、人員六十二人という検挙を見ておるわけでありますが、こういうものにつきましては、ただいまお話しのように、警察といたしましても、特に力を入れて取締りを励行して参りたいと考えておる次第であります。
  13. 吉江勝保

    吉江勝保君 一応長官の御答弁で了承いたしまするが、これは非常に重大な問題でありまするから、この処置につきましては、重ねて承わる機会もあろうかと思いますが、一つ処置につきましては万全の処置をおとりいただきたいと思います。
  14. 大沢雄一

    大沢雄一君 今回の違反の特質として、誹謗文書配付が目立っております。また無検印ポスター室内用と称する無検印ポスターの張り出し、いろいろなお話は承わりましたが、ことにこの誹謗文書配付等は、選挙の前日とか、あるいは当日の朝とか、原状回復ができない状態において違反が行われる。なお、違反するものについては、われわれの耳にするところでは、犠牲者をすでに作っておいてそうしてやるという、非常に悪質なものが私非常に多くなっているんじゃないかと思う。やり直しのできない選挙等についてこういうことが、もう犠牲者を出すことを覚悟して始められるということは、今もお話がありましたが、これはゆゆしい問題じゃないかと思う。それで、むろん厳罰主義で、検挙を厳重にやってもらうことはむろん必要でありまするが、同時に、こういうことが行われないような事前の保障といいまするか、対策といいまするか、そういうことが私は最も必要じゃないかと思うのですが、それにつきまして、警察の方なり、あるいはまた選挙管理委員会なり、そういう方面で何か研究をお進めになっているか。あるいは今後お進めになるお考えがあるのか。私は、ぜひそういうふうにしてもらわなければこれはだめだ、こう思うのですが、それにつきまして一つ考えを承わりたいと思います。
  15. 中川董治

    説明員中川董治君) 大沢委員の御発言、まことにごもっともに存ずるのであります。お話のように、犠牲者を覚悟といいますか、また、犠牲者がめっかっても、ある特定の人間がやったということに仕組んでやるという傾向は顕著でございます。起りました犯罪は、それぞれ警察として一生懸命探して検挙しておると、こういう実情でございますが、そういうことが行われないような仕組みというような点についての御質問でございますが、これは、われわれも常に考えるのでございますけれども、非常にむずかしいのでございまして、人権上の問題に関連して参りますので、たとえば、郵便官署を通じて送ると、こういう場合におきましても、郵便官署の通信の秘密の関係もございまして、なかなかできない。それから、公職選挙法では、頒布行為というものを違反にしておるのですが、その頒布の未遂というものは違反にしてない、こういうような関係で、警察の立場から申して、なかなか事前規制ということに困難を来たすのであります。それで、非常にぎりぎりのことをやっておりますのは、頒布というのは、若干頒布されること、たとえば一千枚作った場合に、そのうち五枚頒布される。この五枚の場合に頒布罪検挙されるというように、こういう工夫をしてやるわけでございますが、それにしても、こういう場合は手ぎわよくいった場合ですが、そう手ぎわよく行きませんで、全部一千枚頒布された後において検挙される、こういう事例が少くないのであります。今、大沢委員の御指摘の点は、われわれも考えるのでございますけれども現行法規限界犯罪捜査活動についての限界というものにしばられまして、ことに検閲は禁止されておりますので、そういう点については、現行法研究はいたしますけれども、相当な困難がありますので、検閲を禁止されておる現行制度において、名案が浮ばないというのが現状でございます。率直に申し上げましてそういうことでございますので、御了承願いたいと思います。
  16. 松村清之

    説明員松村清之君) 自治庁の方といたしましても、今回のそういった誹謗文書等頒布については、まことに遺憾に存じて、何かいい対策はないものかというふうにも考えておるわけですが、現在のところ、警察の方からもお話がありましたように、いい案が浮ばないのでございますが、なお今後とも研究はいたしていきたいと思っておる次第であります。
  17. 大沢雄一

    大沢雄一君 ポスター検印ですね。あれについて、何といいますか、偽造ですかね。これは、やろうと思えばわけなくできる。しかし、それほどまでやってはどうかと、犠牲者を作ってやろうと思ったけれども、やらなかったという話を実は聞いているわけですね。そうすると、ポスター検印というのは、あれは簡単に模造できるものではないかということを、私何も知りませんが、考えたわけです。自治庁ではどういうふうに見ておるのですか。また、それは果してできるものか、どういうものであるか。
  18. 松村清之

    説明員松村清之君) お説のように、そういうふうに点は考えられますが、まあ私どもの方といたしましては、今度の選挙ポスターにどういう検印をするかというようなことは、まあその選挙で、ポスター検印を最初にする日に初めてどういう検印をするかがわかる、その前にはわからぬ、こういうことをまずやっておりますが、しかし、一たんポスター検印をやり始めますと、どういう検印をしてあるかということがすぐわかりますので、中には、あるいはそれをまねて検印をする向きもあるのではなかろうか、まあそういうふうには推測いたしております。
  19. 大沢雄一

    大沢雄一君 そうすると、そのポスター検印は、そのたびごとにいろいろ工夫して違えてくるわけですね。
  20. 松村清之

    説明員松村清之君) そういうふうにいたしております。
  21. 大沢雄一

    大沢雄一君 ああそうですか。それからなお、今回のポスターで、姓と名とを別のポスターに刷って、それを合せて張って、そして大きなものを作るということが行われましたが、私は、これは疑問があるのではないかと思うのですがね。あれをいいということに解釈なさった結果じゃないかと思うのですが、あれは、四枚でも八枚でもさらに大きなものができると、こういうことになるので、私は非常にあれには疑問があると思うのですが、それについてどうお考えになっておりますか。
  22. 松村清之

    説明員松村清之君) あのポスターにつきましては、タブロイド型というふうにポスターはきまっておるわけですが、このタブロイド型のポスターに、何と申しますか、独立した意味を持つ字を書く。たとえば姓名のうち姓だけを書く、あるいは名前だけを書く、これは差しつかえないと思います。それだけで何の候補者であるかということが明瞭でございますから。そこで問題は、姓だけを書いたポスター名前だけを書いたポスターを張り合せるという問題になるわけでございますが、これは、実は私どもも、どういったもんだろうかと、こういうふうに、いろいろ内部でも相談をいたしたのでございますが、結局まあ二枚続けて張る、これは確かに脱法的な行為だとは思われますけれども、黙認しておる状況になっておるのでございます。ただ、お話のように、何枚も張り合すというようなことは、今申しましたように、四字の名前を一字ずつ書くということは、一つの字でもって特別の独立した意味を持つわけでございませんから、これは、その一字だけ書いたポスター自体、まあそういうものには検印をしない、こういう建前をとっておりますから、せいぜい姓と名前との二枚張ると、こういうことが限界ではなかろうかと思います。
  23. 大沢雄一

    大沢雄一君 私は、そういうふうな脱法的なものを便宜的に許すことが、今の検印をごまかして、ポスターの数を二枚ずっ張り合せておりながら、従って半分になるわけですわね、その数をごまかしたポスターで多くするということを誘発するんじゃないか。もう少し厳格に考えて、脱法的なことということは私は明らかだと思うのです。やはり選挙関係のああいう文書の規制というものは、もっとシリアスに考えていただきたい。どうもあの考え方は間違っているんじゃないかと思いますが、これは意見になりますから、後に論ずる機会もあると思いますが……。
  24. 松村清之

    説明員松村清之君) 実は私どもも、それについては何とか今後措置を講じなければなるまい、それで、今度何か法律を改正するような時期が来ましたら、一つどういうことにするか、すっきりした考え方に立って措置したい、こういうふうに思っております。
  25. 郡祐一

    ○郡祐一君 私は姓、名だけを書いたポスターの、実はこれは、今ちょっと選挙局長のお話を伺っていますと、私も正確なことを知りませんけれども、今までの扱いを少し広げておられるのじゃないかという気がするんです。それは私の記憶で、記憶違いかもしれませんが、名前だけのポスターというのは、ある女の候補の人が、自分は名前だけで通っているのだからということで、相当当局はちゅうちょなさったが、なるほどこの人は名前だけ通っているということで、名前だけのポスターを認めた例がありますが、もちろん、あなたの言うように、姓、名ばらばらにしたような、そんなクイズみたいなものはポスターであるはずはないので、姓名の姓だけの場合はいいでしょうが、名だけのを、今のように名だけを書いたポスター、あるいは姓をちょびっと小さく書いたのは、名だけのものに踏み切っちまっていいかどうか、これは一つ自治庁警察の方でもう一ぺん御検討願いたい。それは、上に写真だけを置きまして、姓だけを書いていいということになりますと、ほとんどタブロイドという制限をはずすかどうかのことを御研究になった方がいいんで、それで枚数が減って、そういうのを並べたのはいいということは、少し私はきついのじゃないかという、すでにそういう今御説明のような解釈で今度はお扱いになったとすれば、少し先例をお広げになり過ぎておるのじゃなかろうかと思いますから、これは、それ以外のいろいろな御検討もあると思いますから、これは一つ御検討願いたいと思います。
  26. 吉江勝保

    吉江勝保君 今のポスターのことについて伺うのですが、ポスターの、何といいますかね、選挙区内に張られるのを見ていると、非常にたくさん張ってあるポスター、これは、選挙をやる者は非常に関心を持つんですね。全県下に張るのですから、ある地域に集中的に張ってあることもあるでしょうから一概には言えないのですが、どこへ行ってもポスターが非常によけい張ってあるというのと、案外目立たないというものとは、選挙をやる者にとっては、事務をやってる人の感じないような深刻な感じを受けるものです。張られるのはどこに張ってもいいんですが、そこで、ごまかして枚数もふやして張るとか、目立つような張り方を工夫するとか、まあポスターについての違反の張り方がいろいろ考えられてくるので、自治庁の方では、ポスターについての将来改正をなさるときに、やはり公営選挙というような考え方も入れて、ポスターが張られるなら、候補に立っている人たちのポスターは、都市、農村、表通り、裏通り、大体まんべんなく、ポスターが一様に公平に張られていくというようなことも考えられると、一枚だけがどこやら張ってあるとか、別々にまたたくさん張ってあるというようなことは、自然何も検印しなくても気がっくようなことになってくるのであります。考えておられると思いますけれども、一応そういうことも考えておられるかどうかということをお聞きしたい。
  27. 松村清之

    説明員松村清之君) 私どもといたしましては、最近ポスターの張り場所がない、特に電柱等は厳重に断わられているわけでございますが、そういうような点から、将来は、これは予算を伴いますので、その点がむずかしい点でございますが、公営でもってポスターの掲示場というものを要所々々に作って、そこに張るようにしたらどうかというふうに考えております。今度の選挙におきましても、都におきましては、都会議員ポスターの張り場所として、そういう掲示場を作ったのでございますが、これを参考にして、将来はそういったことを広げていったらどうか、こういうふうに考えております。
  28. 吉江勝保

    吉江勝保君 私の大体考えているような点に考えをもっておっていただいているようで、そういうふうに考えますと、市内でも町内会に、町会の掲示場というようなものが、都市によりますけれども、大体できているんですね。だから、選挙期間中はまあできるだけあれを活用して、遊んでいるようなああいう掲示板を活用して、各候補のやつをまとめて張られるというと、有権者が見るのに、非常に公平に見られるのじゃないか。こういうことも参考にしていただきたい。  次に、先ほど大沢委員が質問されておりました文書ポスター配付ですね。配付について、もうちょっと突っ込んだことをお聞きしてみたいのですが、頒布してしまうと違反になる、頒布前は、これはそういう行為違反に問いにくいのだというお話でしたが、警察が普通の交通取締りのような形でやっていますときに、大量の配付する選挙用の印刷物を積んで通っているのが引っかかって発見したというようなときには、一体どういう処置をおとりになるのか、とれるのか、現在はとっているか、その点を一つ伺いたい。
  29. 中川董治

    説明員中川董治君) 現在とっておりますことは、違反文書頒布するということがあるので、率直に申しますと、先ほど大沢委員が御指摘になりましたように、投票があるきのうの晩あたりからそういうことがございますので、警察官は、そういうふうな頒布しそうな所に張り込んだりして、頒布現行犯をつかまえるということについてはやります。ただ、こっちのやることを向うも裏をかく、警察官のいない所にさっと行ってまかれる、こういうようなことで、いたちごっこをしているというのが現状であります。
  30. 吉江勝保

    吉江勝保君 私の言っていることをあなたは聞いておらぬのだ。そういう問題じゃないのです。
  31. 中川董治

    説明員中川董治君) わかりました。不審尋問の問題でありますが、不審尋問の問題で、何かトラックがあって、違反文書を持っているということを疑うに足る事情があれば尋問をする、これはやっておりますが、その関係が見つかるというケースは非常に少いのでございます。現在は、それで違反文書を持っているという、たとえば、選管の検印がない文書を持っているという人がいると、その持っている行為だけは合法だが、それをだれかに頒布すると違反として調べるということになるのでございます。
  32. 吉江勝保

    吉江勝保君 少いというように言うておられますが、実際は、これは相当起っているのですね、地方で。つかまって、それが警察に持って行かれている、また、その元も捜索を受けているという事例は相当にあるのでございますね。だから、それは私は悪いという意味で言うているのじゃなくて、大沢君の質問からさらに突っ込んで、頒布してしまわないと犯罪にならないだろうとおっしゃいましたが、現に第一線では、そうではなくて、取締当局に引っかかると、途中で運んでいる印刷物も押えられているし、あるいはその印刷物がどこで刷られたか、あるいはその印刷物がどこに保存されているかということも調べて、全部持って行っているという事例が起っている。だから、警察がそういうことをやり得る根拠を作るか、あるいはなくても運用でやっておられるか、そういうところをもう少し率直に御答弁願いたいと思います。
  33. 中川董治

    説明員中川董治君) よくわかりました。大沢先生に申し上げたことと今申し上げたことと関連して申し上げますが、結局だれかがすでに違反文書を作って、その作ったものをまた別の人に渡して運んでいる、そういうものが見つかるという場合、見つかったやつをずっとたぐっていって、最初作ったものを突き止めるということはやっております。大沢先生のお話は、そこまでいかないで、自分かだれかが書いている、それをどこか郵便局に投函した場合に、それを防ぐ方法はないか、こういうときの困った事例を私は申し上げたのでありまして、大沢先生が申された点においては、主として郵便官署の問題が多いのですが、郵便局に投函したが、まだどこにも頒布されていない、こういう場合は、まことに現行法上困る事例であるということを申し上げたのでありまして、その郵便官署以外において、だれが特定の甲なら甲という人物が違反文書を作成して、作成したものをだれかに渡してどこかに運ばれる、その運ばれたものを見つけて、それを作ったやつを探すということは、現行法上もやっております。
  34. 吉江勝保

    吉江勝保君 それは今の法律というか、規則の上からいうと、頒布したということが違反になるときには、運搬中のやつも差し押えると、あるいは運搬をしておるやつのさらにもとに、どこかの家にそれがたくさんあるというところを突きとめて、それも押えてしまうという行為まで乗り出してやれるというのは、現行法の解釈上、どういう法律の解釈でそれはやれるのですか。
  35. 中川董治

    説明員中川董治君) 条文から申しますと、御案内と思いますが、現行公職選挙法では、百四十二条という条文と、百四十三条という条文があるのですが、百四十二条は、頒布することができない、一口に申しますと、違反文書頒布することができない、こういう条文なんですが、頒布というのは、だれかが作成いたしまして、その有権者に向けて配ると、こういう行為でございますので、たとえば、私が作成して、配ってくれと言うて、私が特定候補者の地盤と思われるところの人間に渡すと、こういう行為頒布でありますので、頒布の規制になるから、これは犯罪として、その人間を調べることはもちろんでありますが、その文書を差し押えられる、こういうことでございます。頒布というのは、作った者から別の人間に渡される行為が大体頒布でありますので、やはり運んでいる場合においては、だれかが作ってだれかに渡した行為がおおむね行われておると、こう推定できますので、頒布に当ると、こう考えられるのであります。
  36. 吉江勝保

    吉江勝保君 それで先ほどのどこかでその文書頒布されて、同じ文書をよそへさらに運んでおるやつを押える場合は、なるほどそれはわかる。ところが、まだ全県下どこにも頒布していないというようなものが初めてひっかかったときには、その条文でいくのですか。
  37. 中川董治

    説明員中川董治君) ある文書が初めてひっかかった場合はやはりこの条文、作った者からだれかに行っていると、こういう場合は頒布であります。
  38. 吉江勝保

    吉江勝保君 頒布というのは、有権者の手に渡らなくても、作成した者が頒布の目的で、その過——程有権者の手に渡るまでの間の行為頒布という概念の中に含まれておると、こういう解釈ですか。
  39. 中川董治

    説明員中川董治君) 頒布というのは、有権者というか、有権者になるわけですが、その有権者の場合が、全く選挙運動に従事しない場合ももちろん含みますが、選挙運動に従事する運動関係者の場合もこれはいいと、こういう考え方であります。
  40. 吉江勝保

    吉江勝保君 一応その解釈をお聞きいたしておきます。  それから、さらにもっとさかのぼって、そういうような選挙違反の悪質な誹謗するような文書がたまたまどこかの印刷所で刷られておるというのを今度は見つけたときには、どういう処置がとれるのですか。それを押えてしまうということは、これはできるのですか。あるいはやっておられるのですか。
  41. 中川董治

    説明員中川董治君) どこかで刷られておるというだけではまだ、いろいろな内偵とか何かはもちろんやりますが、強制上の処分はできません。
  42. 吉江勝保

    吉江勝保君 そうしますと、先ほどの話と結びつけますと、どこかで刷られてしまって、それがまあ頒布の目的といいますか、それは十分にはっきりしないかもわからぬですが、できて、その印刷所から運び出されたという瞬間からが警察取締りの対象になっていくのですか。
  43. 中川董治

    説明員中川董治君) 正確に申しますと、運び出される態様によるわけですが、これは調べてみなければわかりませんが、そういったようなことを調べるのは事実でありますが、調べた結果、その運び出すためにだれかの手に渡されていると、こういうことを確認する行為が出てきまして、だれかの手に渡されているということが発覚いたします場合においては強制処分の対象になると、こういうことであります。
  44. 吉江勝保

    吉江勝保君 先ほど大沢委員が、悪質な選挙妨害になるような文書が今度の選挙においても相当多く、これはもう長官の説明にあったのですが、行われたというのでありまするから、まかれてしまってから取り締ってみてもこれは仕方ない。警察も御苦労でしょうが、今私が追及していったような点にまで、これは非常にむずかしいことでありましょうが、取締りの手が行き届いてきますれば、あるいは効果的に防げるのではないか。しかも、それをやるのにも、ただ解釈だけでは少し無理だというような点があるならば、公正な選挙をやるという意味から、ある程度の法の改正なりなさっていく必要があるのじゃないか。そういう点について、長官何か御意見ございますか。現行法でよろしいというふうにお考えですか。
  45. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) ただいまお話の点は、私も非常に技術的にむずかしい問題が多々あるのではないかと思いますが、よく研究をいたしていきたいと存じます。今直ちにここで、現行法で十分だということは申し上げかねますし、さりとて、これは必ずどういう方法で改正するという自信も現在ございませんので、十分に研究をいたしていきたいと考えております。
  46. 吉江勝保

    吉江勝保君 少くも国会に、今度の選挙特徴というようなものを特にあげてお話しになるときには、こういうような特徴というか、犯罪があったということをおっしゃるときには、私は、その裏には、将来はこういうように直していきたいという、まあ質問を受けなくても、気持があったのじゃないか。で、私はその気持を少しここで開陳してもらいたい、こういう意味でお尋ねをしてみたんでありますが、ぜひとも、こういうような特徴が今度の選挙に現われている以上は、これに対処する警察処置もあわせてお考えをいただきたいと思います。終ります。
  47. 白木義一郎

    白木義一郎君 ポスターお話が出たので、ついでにお伺いしたいのですが、今度、はがきの違反があったように新聞で伺っているんですが、そういう方面はどうでしょう。はがきの転売あるいは横流しというような点。
  48. 中川董治

    説明員中川董治君) 今回の選挙におきまして、この前もあったかと思いますが、特定候補者選挙管理機関からはがきの交付を受ける、それをだれかに、また別の候補者に譲渡する、こういう事犯はございます。これは犯罪でございますので、警察調査しております。
  49. 白木義一郎

    白木義一郎君 そこで、私は直接具体的な実例を見たわけじゃないのですが、あのはがきを使用するに当って、そういうことがやすやすと行われるような現状になっているわけですね。ですから、はがきをもらってきて、選挙用のはがきであるというスタンプを押しただけで、何を書こうと、何を刷ろうが、自由であるというような内容になっているわけですから、その点をもう少し工夫して、特定候補者に与えられた官製はがきである以上は、それ以外に使用できないような工夫をなさればいいのじゃないか。この点いかがですか。
  50. 松村清之

    説明員松村清之君) 私どもも、はがきの転売のおそれがあるということは、前々から非常に懸念しておりまして、今お話のように、今回もあったようでございますが、これについてどういうふうにしたらいいかということを考えているわけでございますが、何しろたくさんの候補者にたくさんのはがきを供給するわけでございますので、まあこれに、特定候補者にはこういうしるしのものと、こういうふうにしるしをつけていけばいいかと思うのでございますが、なかなか技術的に困難な面もありますので、この点をどういうふうにいたすべきかということにつきましては、かねてからいろい苦心研究をいたしているところでございますが、現在のところ、実現の可能な名案というものをまだ持ち合せていないような状況でございます。
  51. 白木義一郎

    白木義一郎君 そこで、私がちょっと考えた案ですけれども、相当の枚数に上ると思うのですね。これについて透かしを入れるとか、あるいはナンバーを入れて、そして犯罪を防ぐというような方法もあるんじゃないかと思うので、これは御参考までに申し上げる次第でございます。  そこで、長官にお聞きしたいのですが、取締り当局としての方針として、厳罰主義でいくのか、あるいは取締り主義でいくのかという点について、ちょっとお伺いしたいと思うのですか……。
  52. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 取締り方針を一がいに厳罰主義とか、あるいは取締りといいますか、一応警告というようなことで片づけていくというようなことでいくかというのは、これは、やはりその違反の態様によって違うのではないかと思います。まず公明選挙が具現されるためには、われわれ取締りの職責を持つ警察としましては、あくまでも違反について取締りを厳正に行なっていく、軽微なものについて警告をして、自後こういうことが起らないようにする、しからざるものについては、これを摘発していくというような、いろいろの手段はあるかと思いますが、ただ、こうした公明選挙というものが、取締りの面のみで違反を十分に防止し得るかということについては、やはり限界があるんではなかろうか。やはり選挙運動者も選挙民も、高い自覚に立って、公明選挙を行うという方向においてみんなが協力し合うということでなければ、単に取締りということだけによってこれを確保するということは非常に困難ではないか。従って、いろいろ法規的に改正すべき問題もございましょう。そういうものについては、今後とも十分研究をいたしますが、そういう個々の法規の改正によってどの程度公明選挙具現の成果をもたらし得るかということについては、必ずしも多きを期待することはできないんではないかというふうに考えます。最初お尋ねの点につきましては、やはり悪質なものについては、厳重にこれを摘発していく。まあ不用意に行われたような軽微なものについては、今後そういうことのないように、自覚に待つという意味において、とりあえず警告等の措置によって、犯罪の多発しないように努めるというような方法を考えております。
  53. 白木義一郎

    白木義一郎君 そこで、われわれ取り締られる方の側としまして、いろいろな感じでございますが、何だか取締り当局の方は、何といいますか、勤務評定みたいな立場で、非常に犯罪をたくさん生ましめた警察官が勤務評定がいいというような感じをどうしても事件に当って感じるわけです。今、長官のおっしゃった通りに、不用意に行なった違反、そういうことについては、あくまでも説諭し、説得して済ませるという御趣旨であればまことにけっこうなんですが、また数多い中には、そういうような処置を講ずる警官も若干はあります。大半が、取調べを受けて帰ってきた連中の気持としては、非常に警察官に対して恐怖感を抱いている。一時、昔、もしもしベンチでささやくおまわりさんというような歌が流行したころには、われわれ非常に明るい希望を警察当局に対して持ったわけです。しかし、依然として罪人を作るのが警察官の使命であるというような考え方をしている警官が多いように見受けられる。と同時に、われわれがこれは取調べを受ける、罰せられる方ですが、今度は部内に対しての取調べ、そういうようなことについて、長官どういうふうにお考えでしょうか。
  54. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) いろいろ数多い警察官の中には、あるいははたから見て厳し過ぎるというような感じを持たれるような者もないとは申せないと思いますが、基本の方針としましては、先ほど私申し上げたような方向で、悪質なものは、これを厳重に摘発していくという方針と同時に、きわめて軽微なものにつきましては、再びあやまちを起さないように注意をしていく、そしていわゆる選挙運動者、選挙民とともどもに、公明な選挙の具現に努めるという態度をとっておるわけでございます。ただいまお話の、部内のあれというのはどういうことですか。ちょっと……。
  55. 白木義一郎

    白木義一郎君 いわゆる警察官の違反ですね、実は、ゆうべ大阪でタクシーに乗ったわけですが、タクシーの運ちゃんが、この聞こういうことがあった。実はバスの停留所に夜中に停車した。そこへ警察官が来てとがめられた。そこで今度は、円タクの運ちゃんが、これは違法じゃないじゃないかと言って、非常に頑張ったわけですね。そこで、とうとう警察官の方が、これは私が日が浅かったから知らなかったんだ。よく気をつけるということで終ったというような話をゆうべ聞いたばかりですが、これがもし取り締られる方の一般の市民の、あるいは国民の場合であると、まずちょっと来い、そしていろいろと、あらゆる角度から調べる方の側としては取調べるでしょうけれども、調べられる方では、すぐブタ箱というものがあとに控えておるということをちらちらにおわせられながら調べられるというようなことがあるわけです。そこで、部内の行き過ぎあるいは違反に対して、長官はどういうふうな態度で臨んでいらっしゃるか。もちろん長官のような方が末端の巡査であれば、非常に明るい、また親しめる警官として、大いに国民も協力して、望む方向へ推進をしていくというふうなことになることは、これは問違いないと思うのですが、残念ながら末端の方では、長官の意思がそのように反映していない事例が多いような気がするのですが、この点について所見を伺いたい。
  56. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) ただいまお話の部内の問題でございますが、これにつきましては、まずそういう行き過ぎが警察官に行われないようにという事前の配意が必要であろうと思います。そういうことで、私ども警察官の民衆処遇に対する教養ということについては、特に力を入れておるわけでございます。私が申し上げると非常にどうかと思いますが、年々世論調査というものを公正な機関に依頼して、警察官の態度等についての調査をいたしておるのも、そういう教養の面に資するためにやっておるわけでございますが、これによりますと、徐々にではございますが、年々警察官の態度について、民衆が親しみやすいとか、あるいは信頼感を持つというのが統計的にはふえてきて、悪い面が減ってきておるというような状況でございますが、これで十分満足すべき状況とは考えておりません。ただいま御指摘のような、いろいろ行き過ぎというものも起り得ると思いますが、まずわれわれとしては、そういうことの起らないように、末端まで警察官の教養に十分意を尽すということをまず第一に考えております。不幸にして行き過ぎがあったという場合におきましては、そういうここについて警察としてうわさを聞くとか、あるいは何らかの方法で上司が知るというような場合におきましては、これについて部内監察の手段によってその非違の程度等について十分に検討をいたし、これも説諭すべきものは説諭、さらに懲戒処分に当るべきものは懲戒処分というように、部内としてはそういう方法をとっておる次第でございます。
  57. 白木義一郎

    白木義一郎君 そこで部内と部外に対する考え方ですね、おそらく部内で起きた問題であれば、長官あるいは上司の立場で情状酌量というような気持が強く出るのが人情だろうと思うのです。ところが部外に対しては、何か犯罪を構成して上司へ報告することが勤勉な、任務に忠実な警察官であるというような考え方を持っている警察官が多いように思うんです。そういう点一つ、部内の教養を高めるというような抽象的なお話にならざるを得ないと思いますけど、もう少し末端の警官の実質をよくごらんになって、そして長官の意思が全部へ浸透していくように一つ十分お考えになっていただきたいと思います。
  58. 館哲二

    委員長館哲二君) 公職選挙法実施状況に関する件の質疑は、この程度で打ち切りたいと思います。   —————————————
  59. 館哲二

    委員長館哲二君) 占部君から自治庁に対して質疑があるようでありますから、この際発言を許可いたします。
  60. 占部秀男

    ○占部秀男君 二つの点についてお伺いをしたいのですが、一つは自主再建団体の給与の扱い方について自治庁方針を伺いたいということと、それからもう一つは、赤字団体に対する起債の問題についてお伺いしたいと思うのです。  そこで第一に自主再建団体の給与の問題なんですが、最近自主再建の状態も相当よくなってきておるというので、たとえば具体的にいうと、三重県であるとか、和歌山県であるとか、こういうようなところで定期昇給がストップされておるのを回復しようと、定期昇給ですよ、あれじゃなくて定期昇給のストップを回復しよう、こういうような動きが県と組合側との話し合いでいろいろあるわけですが、その場合に両方でそうしようじゃないかということにきまっても、何か自治庁の方の行政指導でそういうことをしちゃいかぬというような指導が行われておる、そのためになかなかそれがデッド・ロックに乗り上げてしまってできないと、こういうようなことを聞くのですけれども、そういうような事実がありますですか。
  61. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) ただいまお尋ねの三重県、和歌山県等を例にとられましたのは、自主再建団体についての定期昇給の問題でございますが、三重県、和歌山県は現在いわゆる自主再建団体という形を、形式上の形を必ずしもとっておりません。もちろんこの両県は現在赤字がございますので、県内では赤字解消のために具体的なことをやっておるかもわかりませんが、表向きのいわゆる自主再建団体というような形式をとっておりません。従いまして、私どものところに定期昇給の停止を解除するとかしないとかという御相談も私承わっておりませんし、また私どもからそれに対して是非を論じ、あるいは申し上げたことはございません。
  62. 占部秀男

    ○占部秀男君 今課長からのお話できわめて明確なんですが、まあ私もそうなくちゃならぬと思っておるのですが、ところが実際まあ自主再建の計画ですか、そういうような問題じゃないかもしれませんが、県財政の一般的な問題に関連して、そういうような何といいますか、定昇問題について何か取扱いをしたことがございますか。
  63. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 私どもの再建課といたしましては、三重県や和歌山県から昇給問題等につきまして御相談を受けたこともございませんし、また私どもから申し上げたこともございません。
  64. 占部秀男

    ○占部秀男君 そうすると、そういう問題は、まあ再建課以外の問題——普通のところの財務関係ですか。再建問題を、赤字問題を別にして一般の理財関係の方ではそういうような話は受けたことはございませんですか。
  65. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 今回国家公務員につきまして、御承知の通り給与法の一部改正が行われましたので、それに関連をいたしまして、地方団体でも給与条例をいかに改正すべきかということが問題になっているわけでございますが、その給与改定につきましての考え方として、あるいは現在の給料表が他の団体あるいは国に比べまして非常に前進しているようなところは、今回国が改正をいたしましたよりもさらに前進している。その前進の仕方も他肖に例を見ないような前進の仕方をしているところは、まあ今回は足踏みをしてもいいのじゃなかろうかというようなことは、私どもの中でも今度の給与改定の取扱いに関連しまして、一般的には問題になっております。が、しかしながら、それが特定の県に対する指示としてそういうことが行われたかどうかは私ども承知いたしておりませんし、もしもかりにそういう具体的な御相談が県からあったとすれば、あるいは公務員課あたりに御相談になったかもしれませんが、私どもといたしましては何らこの件に関しては承知いたしておりません。
  66. 占部秀男

    ○占部秀男君 今私が具体的な事例としてあげたというわけじゃなかったのですが、言った三重や和歌山の場合は、これはまあここで言ったところでしょうがないのですが、給与改定の問題は一般的な水準からはるかに出ているというような県ではないわけです、率直に言って。これはもう御存じの通りだと思うのです。東京、大阪とかいうような場合は別ですが、そういうようなところでそういうことがあるということなので私どもも心配したわけなのですけれども、今のようなお話の中からはっきりわかりましたから、現地の方を調べてみたいと思いますから、その点は打ち切っておきたいと思います。  それから次の問題で、赤字団体の起債に関する問題なんですが、三月の三十一日に自治庁の方で出した、「昭和三十四年度地方財政の運営について」という一つ方針があるわけでございますね。あれの中に、赤字団体についての問題が相当あるわけですが、たしかあの七項だと思いましたけれども、今照応したのですが、「現に地方財政再建促進特別措置法の適用又は準用を受けていない赤字団体で赤字の解消に相当の期間を要すると認められるものにあっては、同法第二十二条第二項の規定に基き、同法の準用の指定をうけ、財政再建計画を定めることにより、できるだけすみやかに赤字の解消を図るようつとめること。」と、こういうような運営の方針が出ているのですが、あの運営についての方針の中で「適用又は準用を言受けていない赤字団体」というのは、これは自主再建ということになるわけですか、その点一つ……。
  67. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) いわゆる自主再建団体と申しましても、これは法律内の問題でございますので、その団体では、自分のところは自主再建をやっておりますと、こう申しましても、自主再建とはその団体においていかなる計画を自主再建としてきめているかという保証は何もないわけでございます。ただ現在までのいわゆる自主再建団体と自治庁が言っておりますのは、法律の適用を受けないものを計画なり何なりを作って一々やはり相談を受けているようなものを自主再建団体と言っておりますけれども赤字団体の中にはそういうやり方をやっておるのもございますし、聞かれれば私どものところも再建をやっておりますという程度でやっておるところもございますので、まあここで今お尋ねの自主再建団体とはそのいずれを指すかによって、多少再建の仕方の内容が違ってくるのじゃないかというふうに考えます。
  68. 占部秀男

    ○占部秀男君 それからその次に、そうした団体で赤字の解消に相当の期間を要すると認められるものにあっては、まあなるべく準用の方向にいけ、こういうような方針だと思うんですが、その相当の期間を要するというのは、これはどういうふうな内容的な考え方になりますか。
  69. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 大体従来の経緯からいたしまして、私どもが赤字の額を解消していきますのに五年以上を要するような団体は、相当長期にわたる団体と、こういうふうに考えております。
  70. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、そうした団体に対する扱いに関連して、「なお、このことに関連して次の事項も留意すること。」として、(イ)としては、「地方財政再建促進特別措置法による再建団体」、これはもちろん準用団体も含んでおると書いてあるのですが、「再建団体として財政再建計画を定めない前記の赤字団体に対しては、原則として一般事業のための地方債を許可しない方針であること。」、こういうふうに書いてある。(ロ)としては、「財政再建計画を定め、その計画を実施する赤字団体に対しては、政府資金による一時借入金のあっせん、その利子額に対する特別の財政援助等を行う方針であること。」、こういうふうに書いてあるのですが、この中で、(イ)の項で、「財政再建計画を定めない前記の赤字団体」というのは、今言った七に書いてあるその団体をさして言っておるわけですか。そういうことですね。そこで、原則として一般事業債を許可しない方針であるということなんですけれども、「一般事業のための」という、この「一般事業」というのはどういう概念になりますか。例の財政法の中に起債の制限のあれがありましたね。五条か六条でしたか、あれの中のどれに当るか、具体的に一つ
  71. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 一般事業債とは、適債事業のうち、災害債と公営企業債を除いた起債、こういう意味であります。
  72. 占部秀男

    ○占部秀男君 災害と公営企業を除いたあとの二号、三号というのがありますね。あれは一般的に当るわけですな。
  73. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) そうです。
  74. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで今度は(ロ)の項に入って、「政府資金による」云々というのですが、これは結局最初の七の方のいわゆる準用団体になった場合には、こういうような援助といいますか、取扱いをするんだと、こういう意味なんですか。
  75. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) その通りでございます。
  76. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、この中の「政府資金による一時借入金のあっせん、その利子額に対する特別の財政援助」とあるんですが、これは具体的にはどういうことになりますか。たとえば六分五厘の利子を五分にするとか、そういうふうないろいろな内容があると思うのですが、その点を一つ
  77. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 政府資金のあっせんの問題でございますが、ただいま問題になっております多額の赤字をかかえております団体は、資金繰りに非常に困難を来たしまして、さきに例があったのですが、一年間に四十七回でしたか、借りかえをしなければならない。一週間に一ぺんずつ借りかえをしていかなければつないでいけないというような、資金繰りに困っている団体もあるわけでございます。しかもその資金たるや、借りられるところからはどこからでも借りているというような状態でございますので、利息等も高い低いを問わずに借りているような状態でございます。こういうような状態では、たとい再建をやっていこうと思いましても、一時借入金の利子自体のために再建が非常に困難であるという問題もあるわけでございまして、従いまして私どもといたしましては、こういう団体が財政を建て直そうという限りは、できるだけの援助を何らかの形で与えていくべきではないかと考えまして、政府資金は現在市中金融に比べますと、何といっても低利でございますので、政府資金をできるだけあっせんをいたしまして、そのほかに、さらに政府資金に対しまして、利子補給的な考え方で、現在再建団体に対しましては、法律の定むるところによりまして利子補給をいたしておりますが、その利子補給に準ずるような何らかの援助措置を、たとえば特別交付税というようなもので考慮していきたい、かように考えておるわけでございます。
  78. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、この問題について、さらに四月の十六日に、例の地方債の許可方針ですね、これが出ておるわけですが、この許可方針の内容を見ると、やはり原則として一般事業債を許可しないというものの対象になっている赤字団体ですね、これが出ておるんですが、そうすると、今のような五年なら五年以上かかるというような著しく赤字を生じている団体で、準用団体にならない場合には、もう原則として一般事業債を許可しない、こういう考え方ですか、この内容は。
  79. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 従来赤字を生じておる団体については、起債の制限を毎年度行なってきたのでございますが、最近の赤字の地方団体の一部に、地方団体の赤字の増高の状況にもかんがみまして、特に再建のために五年以上長期にわたって再建をする必要がある、そういう程度の赤字をかかえている団体に限っては一般事業債を認めないようにしたいという趣旨で、原則として認めないということにしたわけでございます。
  80. 占部秀男

    ○占部秀男君 この点なんですが、私も全国的なある部分はいろいろな調査でもって見ておるんですが、特にひどいところは確かにあります。ありますけれども、何かこういうような一般的な方針といいますか、こういうものを出すということ自体に、私は少し疑問があるんじゃないかと思うんです。というのは、これは地方債を制限するというような場合に、これは財政法にも地方債の制限の条項もございますし、それからまた赤字再建特別措置法の中の二十三条にもあるわけですけれども、しかしそれとはまた質的に私は違った扱い方ではないか。言うならば、どうも法的な根拠がないような形でこの方針書が出されておるということと、地方団体の方から考えれば、一、二の非常に悪いところがあるために、一般的な方針としてそういうことをやられてしまったために非常な迷惑な、特にこの団体は市町村団体が多いと思いますが、そういうようなところが続出するんじゃないかというような感じを持っているんですが、そういう点についての検討はされたわけですか。
  81. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) この地方債、主として一般会計の問題でございますが、一般会計における地方債の許可の方針は、地方財政法にもございますように、制限的な書き方をしておるわけでございます。できるなら当該団体の一般財源で事業をやって、どうしても不足する場合に、こういう事業に限って地方債を認める。それからまた最近再建法が判定される前後以来、地方団体の公債費増高の状況にかんがみまして、一般会計債は漸次縮減して参りまして、一般財源に振りかえて参ったのでございますが、そこで、そのような方針に即応しまして、地方債の許可方針の方でも、この赤字の一定額以上のものについては、ある程度の制限率を、累進的に制限率を作る。それから減債高の多いものについては、その減債高の率によってまた累進的に地方債を制限していく。この両方によって長期的な当該団体の財政運営が可能であるような方向へ持っていこうという方針で参ったのでありまして、今度この赤字解消のために五ヵ年以上を要するというような団体は、まあ一般財源の五割以上の赤字の額をかかえておる団体で、しかもそういう団体の赤字を拾ってみますと、正規の手続を経ない多額の借金をかかえていたり、あるいは特定の事業のために非常に大きな赤字を出しておるというような団体が多いわけでございまして、このまま漫然と地方債を認めていきましたら、将来公債償還費はもちろんのこと、団体の財政運営は全く不可能になるというような、いわば重症患者でございまして、従来の減債額制限なり、赤字制限を用いても起債の制限率がもうほとんど一〇〇%に近くなるような団体が多いわけでございます。従って私どもはそういう団体に対してはできるだけ正規の再建計画を作って、そして政府の援助も受けて、できるだけ正常な健全な財政運営に帰らしたいという建前から、この地方債の面でもこのような方針をとったわけでございます。
  82. 占部秀男

    ○占部秀男君 今の課長のお話は、一部は私わかるのですが、方針としてこういうようなことを一般的に出される点についてはどうも納得できないのです。というのは、一般的にいって、地方債以外の財源からまかなっていかなければならぬということは、これは別に事新しい問題じゃなくて一般的な問題です。それこそほんとうの一般的な問題で、これはもう地方債を出さずに済めばこれに越したことはないのですが、従ってこの地方財政法の五条の地方債の制限の場合、それを基礎にして考えられたのでは私は困ると思うのですよ。たとえばこの場合に地方債の制限をしておるということ自体は、やはり地方債なら地方債というものは、今の経済状態の上から、今の税収その他の財源関係の上から、これは地方の方としては事業をやっていく場合に必要であるという建前に立っておるわけです。そしてこの制限規定が必要であるけれども、しかし乱発ですか、そういうことの起らないようにという形で制限が行われておるのであって、最初の謀長が言われたような意味合いとはちょっと私は違うと思うのですよ、一般的にはそうですけれども。同時に制限率の問題も言われましたが、確かに制限率は私も知っておりますが、これは許可をしないということじゃなくて、許可をする場合にその程度の問題ですね、程度の問題が主であると私は考えておる。今度は一般的に、原則的に一般事業については許可をしないとしてある。許可をしないということになると、これは許可をしないようなやはり何か法的な根拠がなければ、こういうような方針というものは打ち出せるものじゃないと私は考えておるのですが、そういう点はいかがなものでございますか。
  83. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 私の今申し上げ方が悪かったのですが、地方財政法の五条を根拠にしてそういうことをやったという意味ではございません。まあ法律上考え方がこうなっておるということをただ指摘しただけでございます。まあ地方債の面から申しますと、これはもちろん御案内のように年間の資金とは違いまして、地方団体が将来の住民に負担をかけつつ長期的に仕事をやる場合には、将来の住民がそれを償還できるという確たる見通しがない以上は、私は許可しちゃいかぬものだと思っております。従いまして、赤字が出たから何でもかんでも許可しないというんじゃなくて、赤字団体のうちでも特別な赤字をかかえていて、団体の長期的な財政運営を全く混乱さすというような重症患者の場合に限って、むしろ将来の地方債の償還の能力がないという立場から地方債を許可しない、こういう工合に考えております。
  84. 占部秀男

    ○占部秀男君 私も今のお話の前段のところは全く賛成なんです。特に重症患者の場合にはこれはやはり地方債の起債問題についても、将来の財政見通しとも関連して私は制限があってもいい場合があると思うのです。ところがこれは何か準用団体に……、何といいますか、いわゆる再建団体、準用団体以外のところでは、何か全部準用団体にならなければならないような感じをこれは与えているのです、一般的な方針として。私はそこに問題があると思うのです。一般的な方針としてこういうような与え方はどうかと思う。許可をしない、これは制限でこうやるというならともかく、あるいはある特殊な市なら市が特に悪いから、これについてはやはり財政上考えて、こういうような許可をしない方針だ、こういうのならば、私はまたこれはとりようがあると思うのです。ここのところでは何か準用団体にならなければ——一般的にどうも原則として著しく赤字を生じておる団体についてこういうことになって、その内容がここには書いてないけれども、今言われた話じゃ五年以上、こういうことなんですがね。そういうことになると、何かこれに引っかけられて準用団体にならなければやっぱり困るのだ、一般事業債を許可してもらえないのだ、どうも今まで自主財源というか、それでやってきた連中も、いやいや準用団体に入っていかざるを得ないような行政的な感じを私はこれは与えていると思うのですがね。そういう点でこういうような方針については、私は行政措置としては行き過ぎじゃないかという感じを……、これは一般的な考え方ですよ、特殊なものについてのあり方はこれは別ですよ。こういう方針自体が私行き過ぎじゃないかという感じを持つのですが、そういう点はいかがなものですか。
  85. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 地方債の面からいきますと、法的にはこういう場合に限って地方債を起すことができるとありますけれども、あくまでその当該団体の財政力でその償還が可能でない場合に、行政指導として、当然行政措置としても許可しない場合があってもいいわけでございまして、これはむしろ許可しないのが私は建前じゃないかと思います。そういう償還能力が全くない場合ですね。そこで私どもはその当該団体の赤字が一般財源の五割以上を占めまして、長期の再建を要するという場合には、これはあくまで当該団体の一般財源の範囲内で仕事をしていただいて、その公債の償還を累増さすような方法を避けたいという意味で、この一般事業債を許可しない、こういう方針を出したわけであります。たまたま地方団体の全体を通じまして、一部の団体に非常に赤字が累増してきていると非常に懸念される事態があったために、そういう団体にできる限り計画的な、しかも保証のある再建計画を立てさしまして、そうして一刻も早く健全な財政運営に復帰させたいというような措置の一環として、政府の援助措置もあわせてさような方針がきめられたわけでございます。
  86. 占部秀男

    ○占部秀男君 すると、そういうような何というか、著しく相当長期の再建、赤字解消に相当な長期を要するというような点についてのその基準ですね。基準が今のお話だと五年以上というようなお話でしたね。それはそうすると一般財源に比べて実質赤字が五〇%以上ですか、何か今言われましたが、そういうような基準でやっておるのですか、その点をちょっと明確にしていただきたい。
  87. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) どの程度をもって非常に重症の赤字団体であるというかどうかの問題は、なかなか困難な問題でございますが、一応私どもが判定の基準といたしましては、再建に五年以上を要するもの、具体的な基準といたしまして、一般財源の一割をもって、毎年赤字を一割で解消していっても五年以上かかるものというふうに考えますと、結局一般財源の五割以上を占めるような赤字を持っておる団体はまあ五年ぐらいはかかるであろう、こういうような考え方をとっておるわけでございます。
  88. 占部秀男

    ○占部秀男君 それで、私はいまさっき言ったように、特殊な扱いの場合にはいろいろ制限もされるだろうし、事実許可をしないという面も出てくるだろうと思うのですがね。ただ方針として一般的にそういうような基準を自治庁だけで考えられて、そしてその一般事業債は許可をしない、こういうようなことは、僕は地方財政法や再建促進特別措置法のこの法の建前からいって少し僕は行き過ぎじゃないかと、率直に言えば思うのですけれどもね。たとえば個々の起債についての個々の指導の面で、そういう場合はあり得ても、どういうふうな法的根拠からこういうような方針を出されたのか、その点を一つ明確にしてもらいたいと思います。
  89. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 地方債の許可の問題につきましては、運用上従来も赤字の著しい団体については地方債を制限するか、または許可しないと、こういう方針はずっととってきた方針でございます。そこで今回それをただ明瞭に、特に著しい赤字の場合は不許可にする、原則として不許可にする、こういう工合にいたしまして、その基準を大体一般財源の五割以上の赤字で、再建に五年以上を要すると認められる団体と、こういう工合に規定したのでございまして、従来の考え方からも大きく変ったという考え方は私どもは持っておりません。従来とってきた制限をはっきりさせたというだけの措置だと考えております。
  90. 占部秀男

    ○占部秀男君 これは私の言うのは形式論じゃないのですけれどもね。従来とってきたそういうような従来の点はあまり私はよく知らぬのですが、許可をしなかった場合、それから程度を落した場合、こういう場合は自治体の個々別々の行政指導という形で行われてきたんじゃないですか。
  91. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 従来も制限率はちゃんと地方債の許す方針の実施の細目に明瞭に書いてございます。それから不許可の場合につきましても、おおむね今とっております大体の基準を限度として不許可の方針をとってきたわけです。それは明瞭に文書にはなっておりませんでしたけれども、従来もそのような考え方をとってきたわけでございます。それをただ明瞭に許可方針の中へうたったというだけのことでございます。
  92. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこに問題があるんですよ、僕の言うのは。つまり従来のように具体的な行政指導の場合と、一般の地方債の許可方針という形で打ち出された場合とでは、地方団体の受けるつまり圧力という言葉はおかしいけれども、何といいますか、受ける感じが違うわけですね。率直に言って。特にこの場合に、たとえば五〇%なら五〇%、五年以上なら五年以上というこの基準ですね。基準に入って市町村が全体として迷惑をしないという場合ならこれはまた話はわかると思うのですがね。だいぶこの問題についてはすでに市長会等でも異論があるようですね。そういうようなときに、何か引く以上はやはりはっきりした法的根挺からやってもらわぬと、何か再建特別措置法の範囲を、自治庁の指導方針の中で範囲を広げたような感じを僕は持つわけなんですけれどもね。そういう点はいかがなものですか。たとえば地方債の問題は、地方財政法の規定が五条にありますね。さらにまた再建措置法の二十三条の御存じのような規定がありますけれども、確立された年度についての政令はまだ出ていないわけですね。そういうような点をやはりはっきりさせて、そして一般方針というような、文書的な形でやられるならこれはわれわれは納得するのです。どうもそうじゃなくて、このいわゆる個々具体的な行政指導のらち外から、何といってもこの一般方針という形で打ち出されれば、やはりこれは法に基く何か強制力といいますか、効力といいますか、そういうものを実体的に市町村側は受けるわけですから、従ってそこにどうも問題があるように思えるわけです。
  93. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 地方債の許可の権限が自治庁長官にありまして、そうしてその許可権に基いて許可をしあるいは許可をしないという、行政上の個々の措置の問題になるわけです。従いまして、その許可をしない基準を、行政措置としてきめることは可能であろうと思うのですね。ところがその許可をしない場合は常識的に考えても、地方団体の実情からいってもおかしいという基準であれば、行政措置としては適切でないといわれると思うのです。そこで私どもはおそらくこれは、再建法のお話が出ましたから申し上げますけれども、再建法の二十三条に、政令で指定する年度以降は、政令で定める団体はこうだと、こう書いてございますね。その場合には、おそらく赤字がある程度出たら、皆これにひっかかるようなつもりで書いたのかもしれません。たとえば再建に少くとも二年か三年かかるものは、皆これだというつもりであったかもしれません。しかし私どもはあくまで地方債の性格の面から考えまして、将来団体として、その償還能力がないと認められるような団体というものの基準は、どこだろうということを検討しまして、大体一般財源の五割以上の赤字を持って、しかも正常に復するには五、六年もかかるという団体に、その不許可の基準を設けたということでございますから、私は十分法的根拠は、地方債の面からはあると思うのでございます。
  94. 占部秀男

    ○占部秀男君 地方債の許可をするいわゆる許可権というものがあるということは、それはもう仰せまでもないところなんですね。しかしそれは地方債の許可をするかどうかということを、具体的にAならAという市、BならBという市、CならCという県ですね、この県の財政状態とにらみ合せて、許可をするかどうかというところはあると思いますね、そういう具体的な場合には。ところが今度のものは、これは一般方針という形でこれは打ち出されているのですね。そうすると、それはつまり自治庁長官の許可をする権利というものは、あくまで法に基いた僕は許可権であると思うのです。一般的な形としては、ここにあるような地方財政法の問題と、それから特別措置法の中の二十三条の問題と、こういうところでまあ制限の規定がされているわけなんですから、それが従って個々のケースに対する行政指導といいますか、法に基くところの許可権というものは、一般的なこの地方財政法やこういう特別措置法の何かその制限規定というものをオーバーするような感じを私はこれについては持つわけなんですがね。そういう点が私はまあ問題であると、こういうふうに感じているのですがね。
  95. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) おっしゃることはよくわかるのでございますが、まあ法的な立場としては、これはあくまで財政再違法でありましょうと、財政法でありましょうと、当該団体の起債能力の能力規定でございますね。それで一方では地方債の許可の行政行為の問題でございます。従いまして私どもは、その能力までも奪うというのじゃなくて、従来不許可の場合をきめていたのを、一定の段階を区切って、こういう団体については許可をしないのだと、そういうことを明確にしたものでございまして、私どもは地方債の許可の方針としては、そのきめられた基準が妥当なものであるとするならば、そういうことは当然できるのじゃないかという工合に考えているわけでございます。
  96. 占部秀男

    ○占部秀男君 この点は私はさらに保留しておきますがね。内容の基準の妥当、不妥当という問題と、今言った法的な扱いの問題とあるわけなんですが、さらに内容の点でもう一つだけ念のために私は聞いておきたいのですが、内容の基準の問題ですね。これは今自治庁の方の立場は、こういう立場から、こういう条件からこうだという基準を作られたのですが、市長会の方では、かりにこういう実情があるのだから、これは無理ではないかというような場合には、この実際の実情に合わしてこの基準というものを動かすだけの考え方があるかどうかということ。
  97. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 私どももこの基準をきめますには、相当ある程度期間をかけまして、地方財政の実情と、それから地方債の運用の過去の経緯等を検討しました結果作りました基準でございまして、あるいは当該団体が災害をこうむりましたとか、特別な事例がある場合は、これはもちろんその例外ということを考えておりますが、このほかは大体この基準で参りたいと考えております。
  98. 占部秀男

    ○占部秀男君 それじゃきょうはこれで打ち切っておきます。
  99. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) なお今市長会で問題になっておるというお話でございますが、実際にこういう制限が出ましたといたしました場合に、該当する団体がどのくらいあるかという問題を御参考のために申し上げておきたいと思います。現在再建団体になっていない団体で、赤字が一般財源の五割以上を占めておりまする団体は、三十三年度の決算見込みで、まだこれは決算が調査をとりましたときに済んでおりませんので、一応の見込みでございますけれども、見込みで大体七十四ないし五ぐらいになると思いますが、大体その程度でございます。そのうちこの中のまあ準用団体になりたいというようなところもぼちぼち出ておりますので、そういう団体には将来の償還計画が、見通しが立てば許可になるわけでございますから、ほんとうに制限を受けるという団体の数というのはそんなに多くないのじゃなかろうか。またその団体、ことに市町村では毎年々々起債が必ずあるというわけでは必ずしもないわけでございますから、実際には該当する団体がどのくらいになるのかということは、さらにこれより少くなるのじゃないかと思います。御参考のために……。
  100. 館哲二

    委員長館哲二君) では、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十二分散会