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衆議院議員(
足立篤郎君) お答えいたしますが、最初
お話にあった、
ゴルフ用具の問題に非常にこだわっていらっしゃるので、私も重ねて申し上げますが、先ほど来申し上げている
通り、私
どもは
ゴルフ用具を
減税するという趣旨で取り上げたものでは断じてございません。先ほど申し上げた
通り、
製造課税で五〇%であったものを
小売課税で二〇%にした、これは明らかに
減税ではないか、こういう
新聞論調でございますが、これは必ずしも、これで大幅な
減税になったと断定するのは早いと思うのであります。なぜかなれば、
ゴルフ用品というものは、
メーカーが作りまして、これに一定の信用のある商店のレッテルが張られて、これが小売にくる。そこで著しく増加価値を生ずるわけであります。売れ行きの足のおそいものでありますし、小売店や卸のマージンというものも相当な額になる。そこで、私
どもが調べたところによりますと、物によって違いますが、ケース・バイ・ケースで違うかもしれませんけれ
ども、
メーカー価格と
小売価格というものは二倍以上開く、これだけは事実のようであります。そうなりますと、かりに今までの五〇%の
製造課税を
小売課税に移すと、同じ税負担といたしますれば、これは二五%という
税率が一応普通に考えてみて出るわけであります。現在
小売課税の場合につきましては、
最高税率が二〇%になっていることは御
承知の
通りであります。これは宝石やダイヤモンドや貴金属類、こういったものがすべて
最高税率二〇%であるわけであります。そうなると、ここに
一つだけ
ゴルフを小売に移す場合に二五%とか何とかというように端数のある
税率を設けて、ダイヤモンドや貴金属よりも
ゴルフ用品の方が
税率が高いということが正しいかということになりますと、これは私
どもは必ずしも、
社会通念からいって、それほど懲罰的な税をかけることも正しいとは思わない、かように考えるわけでございます。
そこで、
ゴルフをなぜ小売に移したかという
理由は、先ほど詳しく申し上げましたので申し上げるまでもないわけであります。私
どもは、今までの
実態を調べてみて驚いたのであります。公々然とアメ屋横丁あたりで
やみ物が売られている。あるいはキャデーやコーチをする連中が適当に見立てて、適当にクラブなどに売りつけている。これは
物品税を全部
脱税しているわけであります。従って、これをどうしても取締りをするためには、
小売課税にする以外にない。そして税務署もいやでありましょうが、アメ屋横丁にでも堂々と立ち入って、
店頭で取締りができるような
法的根拠を設けなければ
脱税は防止できない、かように信じたからあえてやったのでございまして、決して
ゴルフ用具を
減税せんがために取り上げたものではないということを、ぜひ御了承いただきたいと思っている次第でございます。
今回は、その他のものにつきましても、こういった
脱税がもう公々然と行われているものにつきましては、相当思い切った処置をとっております。
たまたまこの
ゴルフが見残しになっておったので申し上げているわけでありまして、たとえば、
法案にあります
通り、ズルチン、サッカリンのごときは、従来
製造課税であったわけでありますが、これが原料からズルチン、サッカリンに製造されますのは、わずか一工程の簡単な工程でこれが製造されるので、朝鮮人部落あたりで盛んに密造されまして、
脱税品が出回って、まじめな製造
業者は立ちいかないような
状態になっておったわけであります。そこで今回は、これを原料にまでさかのぼって、ズルチン、サッカリンの原料にも
課税をすることにいたしておる法が出ていることは御
承知の
通りであります。こういった各
品目につきまして、税の公平な執行を期するために相当大幅な
改正を行おうとしているのが今回の
法案でございまして、
たまたま残ったのが、今思い切って
手直しをしようとするのが
ゴルフ等でございまして、決して
ゴルフだけを取り上げたというわけのものでは断じてございませんので、この点は
誤解のないようにお願いを申し上げたいと存ずる次第でございます。
なお、
書画骨董でございますが、これはおっしゃる
通り、転々流通する、いわゆる一回で
消費してしまうものではございませんので、
免税せよという
意見も実は強かったのであります。これも一応理屈があると私
どもは考えておるわけでございますが、ただ、現在の
物品税体系からいたしますと、こういう理論ですべてがすっきりと割り切られているとは私は申し上げられません。なぜかならば、たとえば宝石や貴金属類のごときものを考えてみますると、これも買い取って自分が使うことは間違いありませんが、ほかのものと違いまして、
消費をしてしまって、一ぺんで終ってしまうというものではないのであります。やはりこういった宝石や指輪というものは、転々として流通いたします。また、古い物は
店頭に出て参る。特にダイヤモンドなどは何回も、おそらく世界中の市場へ出ると申し上げてもよいと思うわけでございまして、しかるに、
書画骨董を
免税すれば、ダイヤモンドまで
免税しなければならぬということになりますと、なかなかふん切りがつかないということから、やむを得ずというと語弊がありますが、まあこの際流通税的な
性格も加味して、逓減
税率を適用して、そうして業界にも協力してもらって、
一つ委託な
どもみなし税にしてとるようにして
脱税を防ぎ、公平を期したい、こういう考え方で、実は思い切って踏み切ったような次第でございまして、
衆議院の
大蔵委員会におきましては、
社会党とも理事懇談会等やりまして、各
品目について
検討いたしました際に、
社会党の方からも、
書画骨董品についてはこの際三%にせよという御
意見もありましたので、この点につきましては、両党一致の
意見として
修正案を出したわけであります。もちろん、今回の
修正案は自民党
提案でございますが、この点については
意見が一致していることをお含み願いたいと思うわけであります。