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政府委員(
村上孝太郎君)
塩業整備臨時措置法案の補足
説明をいたします。お手元に差し上げてあります
法案と、それからただいま
政令の要綱を書きました
資料を配付いたしておりますが、それを要約して御
説明申し上げます。
最初に、本
法案の背景をなす事情について簡単に御
説明申し上げます。
御存じのごとく、戦時中及び戦後の極端な資材、労働力等の不足によって、製塩施設は荒廃するがままに放置され、ために国内塩の生産数量は、戦前において六十万トンを維持しておりましたものが、
昭和二十二年度においては十万トンまでに激減するに至りまして、当時の
国民生活に重大な脅威を与えることとなったのであります。かかる事態に対処するために、日本専売公社は塩業審議会の答申に基きまして国内塩業対策を決定し、
政府もこれを適当と認めまして、
昭和二十五年、食料用塩の全量自給による
国民生活の安定と、かねては外塩輸入量の減少化による外貨節約をねらう国内塩の増産態勢が確立されることとなったのであります。この基本方針に基きまして、逐年生産数量は増加の傾向をたどることとなったのでありまするが、
昭和二十八、九年に至り、新製塩技術でありまする流下式、枝条架方式の採用とともに、完全に国内自給の目鼻もつき、
昭和三十年に至りまして、久しく四十万トン台に停滞しておりました国内生産量は一躍六十万トンに近い
数字となり、その後も生産量の伸張は著しく、本年度においてはついに百万トンを突破する状況であります。
増産対策から急転して過剰生産対策へという過程ははなはだ唐突に見えるのでございまするが、その根本的な理由は、新製塩技術である流下式、枝条架方式の生産力がどこまで伸び得るかということを、当時正確に把握し得なかったということが大きな理由ではなかろうかと存ずるのでございます。すなわち、流下式塩田の生産力は、導入当時の予想といたしましては一ヘクタール当り百八十トンと
考えられたのでありますが、各種の実験値が現われるに至りまして、一ヘクタール当り二百五十トン、あるいは枝条架率の高いところでは優に三百トンをこえるものであることが認識されるに至ったのでございます。
もちろん、公社におきましても、各種データから新技術の生産力の把握に努めたのでございまするが、新技術の能率のもっぱら依存しておりまするのは、自然的なエネルギーであります風力であり、しかも、枝条架に働く風力はきわめて局部的かつ不規則な性格のものである
関係上、国内塩自給の責任を持たせられておりました当時の公社として、これを大きめに見るよりは、むしろ内輪に見ようとした傾向にあったことも無理からぬことであったと思う次第でございます。
とまれ、新技術の持つこうした予想外の生産力の増加につきましては、いまだ生産量が六十万トン台でありました
昭和三十一年末ごろから、公社及び業界でも問題とされるに至りまして、
昭和三十二年に入りますと、公社といたしましても過剰塩対策の樹立ということに具体的に踏み切らざるを得なかったのであります。すなわち、同年夏以来塩業者代表との
協議の結果、同年十二月十八日に至りまして、国内塩生産対策が樹立されるに至ったのでございます。これが今回御提案申し上げました
法案の直接の背景となるのでありまするが、その塩業者との
協議の末できました生産対策の骨子になるところをかいつまんで申し上げますると、第一は、国内塩業の合理化の促進及び経済基盤の強化のため、この際全国の製塩施設の
整理統合計画を策定する必要がある。第二に、右の整備計画確定までの間は、既許可のもの及びこれに準ずるものを除く製塩施設の新増設は行わないということであります。第三は、将来の塩の収納価格は食料用とソーダ工業用とに区分して、前者については一万円
程度、後者につきましては輸入価格を目標として順次引き下げる。これらの点が生産対策の重要な点であったわけでございます。
昭和三十三年になりますと、公社は右の対策に基きまして、塩需給の基本方策を塩業審議会に諮問いたしまして、昨年七月以来二十五回にわたって慎重審議の結果、本年一月十六日、その答申を得る運びとなった次第でございます。本答申の骨子となっておりまするのは、まず第一に、塩の年間需要は、食料用としておおむね百万トンと推定されるが、なおソーダ工業用の需要としては二百万トンないし二百五十万トン
程度のものが
考えられる。しかるに、国内塩の価格は国際価格に比べますと著しく割高になっておりまするので、ソーダ工業用塩を国内塩市場として見ることはできない。これに対して、こうした需要に対しまして国内塩の生産力は、どうかということになりますると、最近に至って急速に増大しておって、平年度においておおむね百三十万トンに達すると推定されますので、この著しい過剰生産の事態を是正することが必要である。
整理に際しては優秀なものを残して、国内塩の品質改善と原価の低減をはかるべきである。これが国内塩の将来における需給に対する塩業審議会の見通しでございます。
しからば、その
整理はどうすべきかということにつきまして、塩業審議会は、今後の価格
政策というものを中心に
整理を行うべきだ。すなわち、今後の価格
政策による長期的な
採算についての企業の自主的な
判断に基いて
整理を行うべきであろう。そのために適切な指導を行うこととするが、必要やむを得ない場合には強制
措置をも考慮すべきである。で、今後の価格
政策の具体的な
基準といたしましては、
昭和三十四年度以降、塩の収納価格を逐年段階的に引き下げて、
昭和三十七年度においては、白塩一トン当り一万円という
基準価格を
考えるべきである。さらに、この
整理に伴う経済的、社会的混乱を防止するため適切な補償を行うべきである。こういう
整理の方法についての答申をいたしておるのであります。
以上の塩業審議会の答申に盛られた構想を法文化いたしたものが、今回お手元に差し上げた
塩業整備臨時措置法案の内容をなしておるわけであります。
次に、
法案の内容を、
政令案に予定しておりますところを補足しながら、御
説明を申し上げます。
第一には、今回の整備の
目的でございます。これは
法案の第一条に
規定するところでありまするが、非能率な企業を
整理して、約三十万トンに及ぶ塩の過剰生産力を除去することによって国内塩業の基盤を強化するとともに、あわせて塩の需給の均衡と塩事業合計の収支の正常化をはかることにより、塩専売事業の健全な運営に資することである、こういうふうに書いてございます。なお、この際
整理に伴う経済的、社会的混乱を防止して
整理を円滑に実施するため、
整理の対象となる塩業者に対しては、合理的な
基準による塩業
整理交付金を交付する等の
措置を講ずることが必要である、これが第一条に
規定しておりまするこの
法案の大
目的でございます。
第二には、
整理の方法でございまするが、これにつきましては、本
法案の第二条、第六条、第十一条、第十二条等が詳細に
規定をしております。
まず第一に、先ほど申し上げましたように、
整理は、今後の塩の価格
政策というものを、塩業者各位がそれぞれの企業の内容からそろばんを置かれまして、その価格
政策のもとに家業を存続するかいなかの決定を自主的にいたすわけであります。もし、やめたいと思う場合には、自主的な
製造廃止の申請をいたすわけであります。第十一条第二項に
規定する
昭和三十七年度白塩トン当り一万円という
基準価格が、これが先ほど申し上げましたように、今後の塩業の価格
政策というものの
基準を明示する
規定でございまするが、塩業者各位がこの
基準価格を
考えまして、それぞれの長期
採算見込みに照らして
判断の上、この際交付金をもらって
製造を廃止したいと
考えます場合には、本法の第二条にございまするように、
昭和三十四年四月一日から
昭和三十五年三月三十一日までの一年の間に廃業の許可を申請すべきこととなっております。もちろん、かかる企業の長期
採算等の
判断と申しますものはなかなか困難なものでございまして、特に鹸水
製造業者と塩の
製造業者が企業的にもあるいはまた
資本的にも分離しておりますような場合には、他企業の能率診断にも
関係してくるような場合がございます。従って、公社といたしましても適切な指導によりまして塩業者の
判断に指導を行うことが必要であるのみならず、また必要とあれば、生産能率の著しく劣っていると認められるものに
製造廃止の勧告をすることもできるようになっております。
法案の第二条は、以上の自主的廃業に関する諸手続を
規定するのみならず、廃止業者に対しては、これから
あとで御
説明申し上げます第三条の
基準によって積算された塩業
整理交付金を交付することができる旨を明らかにいたしておるのでございます。
公社といたしましては、今回
考えておりまする約三十万トンの過剰生産力の除去が、ただいま御
説明申し上げました自主的廃止業者によって達成されることを希望いたしておるわけでございまするが、万一こうした自主的な廃止業者のみによっては三十万トンの過剰生産力の
整理ができないという場合には、その三十万トンに満たない不足分につきましては、第六条に
規定しておりまするところの
製造許可の取り消しをなし得るということになっております。
製造許可の取り消しにつきましては、第六条に
規定いたしてございまするが、
昭和四年の第二次塩田
整理に際しましても、
政府が特定区域について塩の
製造を禁止するという
法律構成をとって取り消し権の発動を
規定いたしておりまするが、今次の
法案におきましても、過剰生産力の残存する
限度におきまして、自主的
製造廃止の申し出
期限終了後である
昭和三十五年四月一日から同年十二月三十一日までの間に限り、その生産能率が著しく劣ると認められる塩の
製造者に対し、その
製造許可の取り消しをすることができることとしているのであります。もちろん、かつての塩田
整理が、
法律上は製塩禁止という形をとっておりましたけれ
ども、実質的には製塩業者に対する話し合いあるいは説得ということを十分に行いまして、事実上はこうした説得が
整理の背景となっておりましたように、今回の取り消し権の行使に当りましても、その前提としまして被
整理業者によく企業診断の結果を納得させて行うべきことはもちろんであります。
さらに、
法案は、この取り消し権の行使が慎重かつ民主的に行われるように、第十二条によって設置されることとなっておりまする臨時塩業整備審議会の意見を聞くとともに、第六条第二項には、あらかじめ被
整理業者またはその代理人の出頭を求めて、公社の
指定する職員に聴聞させるべき旨の
規定を置いているのでございます。許可の取り消しは塩の
製造者に対してなされるのでありまするが、取り消しを受けました塩の
製造者に対して鹹水を供給していた者も、また一般には当該取り消しによりまして鹹水の
製造を継続することが困難となるわけでございまするので、こうした場合、及び塩
製造者が災害等取り消し以外の事由によりまして塩の生産が廃止され、これにより同様に鹹水の
製造の継続が困難となるような場合の救済
規定といたしまして、第二条第二項には、特に自主的廃業の申請の期間を
昭和三十六年一月末日まで延期しておる次第でございます。鹹水
製造者の中には、鹹水供給先の塩の
製造者の取り消しにもかかわらず、大部分が自家せんごうのため鹹水の
製造を依然として継続することを希望する者もあると
考えられるのでありますが、かかる場合には、もちろんそのいずれを選択するかが許されることとなるわけでございます。
なお、
製造許可の取り消しを受けた者に対しましては、その取り消しによって通常生ずべき損失を補償するのみならず、自主的廃止業者の交付金と均衡を失しないよう、特別交付金を交付することができるようになっておりまする点は、
あとで第七条を御
説明いたしまする場合に詳細に御
説明いたします。
第三に、
整理に際して交付金等の交付の
措置が行われる、こういうことを先ほど申し上げましたが、今回の
整理を受ける廃止業者には、先ほど第一条で申し上げましたように、社会的経済的
整理による混乱を防止いたしまするために、塩業
整理交付金等が交付されることとなっております。これにつきましては、第三条ないし第五条の
規定、第七条及び第十二条等がおもに
規定をいたしております。
まず、塩業
整理交付金でありまするが、第四条によりますると、前述しました自主的廃止業者が廃止の日から二ヵ月以内に塩業
整理交付金請求書というものを
提出いたしまして、公社が審査の上交付すべきであると認めましたときは、次の
基準により積算されました交付金を交付することができることとなっております。交付金の積算
基準は第三条の
規定するところでございまして、製塩業者一般に適用されるものと、塩田製塩業者にのみ特殊なものとの二
通りが区別されるのであります。第三条の法文そのものはきわめて抽象的に表現されておりますが、お手元に差し上げました
政令案の要綱に具体的に書いてございまするので、それをあわせまして御
説明いたしますると、
まず第一に、一般的な積算
基準といたしましては、
製造の廃止の際に、
製造の用に供されている適正と認められている製塩施設についての
製造廃止による減価を埋めるための費用として、帳簿価額または帳簿価額のない場合にはその取得価額から、経過年数に応じた理論償却をした
あとの価額から、それぞれの処分見込価額を控除した額に相当する金額を積算することとなっております。非常に複雑な
規定でございまするけれ
ども、要するに、塩の
製造ができなくなったために持っております施設が価値が減ずるという、その減ずる部分の損失を交付金として積算するという意味でございます。今回の三十万トンの塩の
整理に要しまする経費総額は八十七億円でございまするが、この施設の減価に対して積算されるものとして約六十億円、五十九億九千万円余の金額が見積られておる次第でございます。
第二に、
製造の廃止に伴い退職することとなる従業員の退職金を支払うために必要とされる費用でございまするが、これにつきましては、勤続月数十カ年の従業員に対し、
昭和三十三年中に支払った平均
基準内月額給与にその後の昇給率五%を織り込んだものの十五ヵ月分を支払うことができることを目途といたしております。かいつまんで申しまするというと、十年勤続に対しては十五ヵ月の退職金を支払えるようなそういう経費を積算してあります。なお、この勤続年限十ヵ年に対して十五ヵ月という積算に対しまして、さらに勤続年数が非常に短かい者についての一種の最低保障的なものが
考えられております。すなわち、勤続年数が一年未満の者には、十年・十五ヵ月という割合から申しますと、一・五ヵ月になるわけでございますが、これに対しては二・七ヵ月、それから一年以上二年未満の者につきましては、比例的にいきますれば三ヵ月ということになるわけでございまするが、それが三・六ヵ月、それから二年以上三年未満の者には四・五ヵ月というふうに、それぞれ勤続年数の短かい者につきましては、三年以上四年未満の者まで一種の最低保障がつけられておる次第でございます。この退職金を支払うために必要であるとして積算されますところの交付金として、八十七億円の予算の中で五億六百万円
程度のものが見積られておるわけでございます。
なお、廃止業者が
法人でありまする場合には、その
法人の役員に支払う退職金に相当する費用につきましても積算することはもちろんであります。
第三番目には、廃止業者が
法人である場合には、その清算のために特に必要とする費用につきまして、
整理資金の二%を
限度として、公社が認めるものについて交付金に積算されるようになっております。
以上が一般的な積算
基準でございます。
次に、塩田製塩業者に特殊な積算
基準といたしまして、二つの事項が交付金の積算内容として
規定されてございます。その
一つは、
製造廃止の際に
製造の用に供せられている塩田を他の用途に転用するものとした場合に必要とされる費用の一部といたしまして、一ヘクタール当り八十六万七千円を交付するものといたしておりまして、先ほどの八十七億円の総額の中で約十二億円余りがこの分として見積られておる次第でございます。第二には、廃止業者の転業資金と申しますか、その
製造廃止時における塩の収納価格に、
昭和三十三年の実績に基く納付塩量を乗じた額の三割を積算して、この交付金の一部として廃止塩田製塩業者が次の生業を見出すまでのいろいろな資金として交付金の内容を
考えておるわけでございます。ただし、その実績納付塩量が一ヘクタール当り百五十トンに満たない場合には、百五十トンを最低
限度として保障することといたしております。この
関係で、約八億円の予算が先ほどの八十七億の総額の中で見積られておる次第でございます。
以上二つの積算事項は、特に塩田製塩業者が機械製塩業者の場合と異なりまして、
整理によって生業を失うことを考慮いたしまして交付するものでありますが、先ほど申し上げました二番目の廃止業者の転業資金につきましては、これとやや類似の製塩業者というものが塩田製塩業者以外にもございまするので、一部の温泉熱利用製塩業者にも同じような事項が交付金の内容として積算されるということになっております。
以上が一般的な積算
基準及び塩田製塩業者並びにこれに準ずる製塩業者に特殊な積算
基準でございます。
このほかに、一般的に早期の製塩廃止によりまして過剰塩が減少いたしますれば、それだけ国損も減少することになる点に着目いたしまして、
昭和三十四年度中に自主的廃業を申請した者に限りまして、前記の製塩施設の減価を埋めるための費用によって回収できない投下
資本部分につきましても、適正と認められるものにつきましてはこれを認めることといたしております。
次に、取り消しを受けました塩の
製造業者に対する損失補償でございまするが、第七条によりますると、
製造許可の取り消しによって生じました損失の補償金は、当該取り消しと相当因果
関係にある損失事項、
法案では「通常生ずべき損失」と書いてございますが、これについて補償することとなっております。第七条は、損失の補償に関する
規定でございまして、その決定に当っては臨時塩業整備審議会の意見を聞くべきものといたしております。ただ、前述いたしました塩業
整理交付金の積算
基準の中で、たとえば施設の減価を埋めるための費用の一部あるいは塩田の他用途転換の費用の一部として積算される金額等につきましては、「通常生ずべき損失」とはいいがたく、その結果、塩業
整理交付金との間に均衡を著しく失する結果となる心配もございますので、第七条には、
製造許可の取り消しを受けた
製造者が、塩業
整理交付金の交付を受けるとした場合のその額と、損失補償額とを比較して、損失補償額が下回るときには、その下回る額をこえない範囲で塩業
整理特別交付金を交付することができる旨を
規定いたしております。なお、交付金及び特別交付金の施設に関する減価相当額につきましては、分割交付を認められる
規定となっておりますが、これは実質的には金融機関への返済に照応するものであります。
次に、塩業
整理交付金及び補償金の決定に当っての製塩施設の残存価額等の評価につきましては、専門的知識を必要とするのでございまするので、第五条及び第七条はあらかじめ二人以上の鑑定人を委嘱して評価せしめることといたしております。
次は、塩業者が交付される交付金等につきましての課税上の特例の
規定でございます。今回の交付金等の交付の
目的を十分に達成させるためには、廃止業者が交付を受けた交付金につきまして課税の特例を設ける必要があろうかと思うのでございます。
法案の第十条がその
規定でございまするが、施設の減価に相当する交付金及び塩田を他の用途に転用するものとした場合に必要とされる費用に相当する交付金につきましては、圧縮記帳の方法を認めることといたしました。また、圧縮記帳されなかったところの部分に相当するものについての
所得税法の
規定の適用につきましては、これを一時
所得として課税するほか、塩業資金としての交付金については、廃止業者の選択によって累進
税率の適用を緩和するため、臨時
所得といたしまして、五分五薬方式の適用を認めることとする等、今回の塩業整備の実際に即した
措置を講ずることといたしております。
第四番目に、今回の整備資金の原資として残存業者から納付せしめる納付金の問題であります。従来、各種の企業整備の例、たとえば石炭鉱業の整備等の例に徹しましても、残存する業者はそれぞれ応分の納付金を
負担することとなっております。塩業審議会の答申の中にも、「
整理補償費の一部は、残存企業においても応分の
負担をすべきである。」ということを明示いたしておりまするので、第八条は、
昭和三十五年四月一日から
昭和三十九年三月三十一日までの間に公社に納付する塩一トンにつきまして二百円をこえない範囲内において、その収納代金の支払いを受けるつど、納付金を納付させることと
規定いたしております。これはお手元に差し上げました
政令案の要綱に書いてございますように、納付塩一トンについて五十円というふうに
政令に
規定いたしたいと思っております。
第五に、
異議の申し立てでございます。今回の塩業整備に関しましては、日本専売公社が行う処分、たとえば塩業
整理交付金の額の決定、これは第四条に
規定するところであります。あるいは
製造許可の取り消し、先ほど申し上げました第六条に
規定するところでございますが、あるいは損失補償額の決定、これは本
法案の第七条に
規定するところでございまするが、これらの処分について
異議のある者の救済
規定を設ける必要がございまするので、第九条はこれに関する
手続等について
規定をいたしております。
法案の第六番目の問題といたしましては、第十一条に
規定されておる事業合理化計画書でございます。今回の塩業整備は、前述いたしましたごとく、価格
政策を中心として実施するものであり、それは具体的には
昭和三十七年度において一万円の
基準価格を目標とするものでございます。また、残存を希望する塩業者は、この価格
政策のもとにありまして健全な経営をすることができるものであるべきはずのものでありまするが、公社は塩業者に対しまして事業合理化計画書を
提出さして、各個の企業の能力診断を行い、
整理に当っての指導勧告あるいは取り消しの
資料とするわけでございます。
最後に、臨時塩業整備審議会についてでありますが、第十二条に
規定いたしておるところでございまして、臨時塩業整備審議会というのは、公社の総裁の諮問機関といたしまして、
製造許可の取り消し対象の選定、補償金の額、その他今回の塩業整備に関する苦情処理等を調査審議するものであります。その機能が企業診断を中心とするものでありますので、七人の構成員もおもにこうした方面の学識経験者を総裁が委嘱することとなるはずでございます。
以上が本
法案のおもなる事項についての補足
説明でございます。