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説明員(
塩崎潤君) 先般、大矢
委員から御要求がありました資料、私が承わりました分十一、ここに御提出申し上げております。その一つ一つにつきまして概略御説明申し上げたいと思います。
まず第一は、基礎
控除及び
扶養控除に関する資料でございます。この資料の御要求の
趣旨は、
扶養控除引き上げの根拠という意味で御要求になったものだと思いますが、その参考資料といたしまして、こういうような資料を作り上げたわけであります。
まず第一は、一ページ目でございますが、「(イ)
昭和二十五年以降の基礎
控除額及び
扶養控除額の
改正の推移」でございます。
昭和二十五年というのは、御承知の通り、シャウプ勧告に基きまして
改正の行われました年度でございますが、それ以後の基礎
控除と
扶養控除のうちで、一人目、二人目、三人目、四人目以降のものを、
改正の年を全部入れまして並べましたものでございます。
基礎
控除は、
昭和二十五年に二万五千円であったわけであります。現在、
改正案におきましても九万円。これを一〇〇といたしまして、各年におきます基礎
控除と
扶養控除の割合をカッコ書きで表わしておりますが、その二十五年なら一人目までは基礎
控除に対しまして四八%、当時は一人目、二人目、三人目、全部区分がございませんので、二万五千円に対して一万二千円であったわけであります。これが
改正案におきましては九万円、七万円、二人目以降全部三万、こういうふうになっております。今回の最も大きく
控除の引き上げが行われましたのは、四人目以降の
扶養控除の額でございますが、これは
昭和二十六年に一万五千円に引き上げられました後、ずっとそのままでございます。
昭和三十三年まで一万五千円。従いまして、三十三年におきましては、一〇〇に対しまして一六・六%、こういうふうになっておったわけでございますが、先ほど来
改正の
趣旨で申し上げましたように、この一万五千円が二十六年以降から据え置きでございますので、いろいろな生計費の理屈、あるいは
法人、個人、あるいは
青色申告、白色
申告等の
バランスをも考えまして、これを一万五千円から三万円に上げた。
その次には、大事な資料といたしまして、一人目が一万二千円が今度七万円に上っております。だんだんと割合が、二十五年には四八%であったわけでありますが、
改正案におきましては一〇〇に対しまして七七・八%、配偶者という点も相当重点を置かれますが、先ほど来申し上げております。生計費
関係、このあたりも考えまして、あとで出て参りますが、この程度の金額が妥当であるという
考え方で作ったわけでございます。配偶者は単に
扶養控除という
考え方ではいけないのだ、むしろ基礎
控除と同額、あるいは
扶養控除という考えがいけないのだというような
考え方もありますが、一応生計費の面を重視いたしまして、
昭和二十五年は一万二千円、今まで五万円でございましたのを、七万円に上げた、こういうことであります。二人目、三人目以降は、二万五千円を今度三万円にいたしました。今までは
扶養控除につきましては三段階
制度でございましたが、簡素化もいわれますし、先ほど来の
改正の
趣旨から申し上げまして、これも三万程度がよかろう、こういうので、若干税制が簡素化されたわけでございます。
第二点は、これも大矢
委員の御要求でございましたが、(ロ)の「基礎
控除と
扶養控除との
関係」で、戦前と外国との比較をしてくれ、こういう御要求でございました。米国、英国、西独と比較いたしておりますが、その上の欄の
昭和十年、
昭和十五年、
現行、
改正案は、日本の過去との比較でございます。
まず、
昭和十年は
御存じの通り、よく当時の基礎
控除は——基礎
控除と申しますか、基礎
控除は千二百円であった。今直せば約三十六万円になるといわれますが、千二百円でございまして、これに対しましては、当時
扶養控除というのは税額
控除であったわけでございます。そういたしますと、
最低税率で換算いたしますと、当時の税額
控除で百円、それを
所得金額に直しますと三万二千六百二十円、
現行のそれは金額でございますが、これはインフレをいたしておりますので、四十万三千四百四十円が千二百円に該当いたします。今三十六万円と申しましたが、四十万三千四百四十円、こういうふうにお考えになっていただきまして、これに対しましては、当時の税額
控除百円というものは、税額
所得——失礼いたしました。
所得でございます。三万三千六百二十円になります。そういたしますと八・三%。当時は人による区別はございません。一〇〇に対しまして八・三%。これが直りまして、十五年では分類
所得税をとられました。事業と給与におきまして、基礎
控除と
扶養控除の額が違っております。それにいたしましても、基礎
控除の額がずっと大きくて、
扶養控除の割合は少いわけでございます。おのおの
扶養控除は基礎
控除に対しまして、事業も勤労も二八%ずつでございます。
現行になりまして、九万円に対しまして五万円、二万五千円、二万五千円、一万五千円と並んでおりますが、今度の
改正案ではこんなような基礎
控除と
扶養控除の割合になります。
アメリカにおきましては一律全部六百ドルでございますので、基礎
控除と
扶養控除との開きはございません。日本におきましては、過去におきましては、
扶養控除の地位は税制上では低かったわけでございますが、だんだんこういうふうに上ってきたということがいえます。米国は全く同額でございます。英国は若干の開きがございまして、七一%が基礎
控除に対します
扶養控除の割合でございます。西独はこれは多子家庭奨励と申しますか、配偶者につきましては基礎
控除と同額でございます。千六百八十マルク、
ところが一人目の子供になりますと五四%に減りますが、二人目の
扶養控除となりますと、三人目と書いてありますが、子供でいいますと二人目といった方がいいかと思いますが、これが一〇〇%に上ります。三人目以降の子供、扶養親族の数では四人目となりますが、これは多子家庭の奨励で、基礎
控除より大きなものになります。こういう趨勢でございます。日本の全体の趨勢は、まだ
扶養控除のウエートは、基礎
控除に比べて、外国に比べて少いではないかと、こういう
ところでございます。
その次は、
扶養控除引き上げの一つの根拠といたしまして、(ハ)でございますが、「生計費からみた
現行及び
改正案の
課税最低限の検討」でございます。これは家計費調査、例のCPSといわれておるものでございますが、家計費調査に基く給与
所得者消費支出金額と
課税最低限とを比較したものでございます。この備考にもございますが、一人世帯の調査というものはございませんので、二人世帯から、あるいは三人世帯から最小自乗法による趨勢線によりまして一人目を推定いたしたわけでございます。で、消費支出金額がそこに上っておりますが、これとまず
課税最低限を比較いたしますと、
課税最低限の方が低目でございますが、これをどういうふうに考えますか。まだ往々にいたしまして、消費支出金額に比べまして
課税最低限はそこまで行っていないじゃないかというお話がございますが、消費支出金額が必ずしも最低
生活費と考えるのがいいかどうか、そのあたり疑問でございます。私どもはこれを八掛にいたしまして、これと
課税最低限を比較するということをやっておりますが、最近の状況では相当ゆとりも見られるような消費支出金額でございますので、私どもはこれとの
バランスだけで見ていただくのがいいんではないかと思う。基礎
控除と
扶養控除あるいは
課税最低限全体との
バランスで見ていただくのがいいんではないかと思うわけでございますが、消費支出金額の
ところを見ていただきますと、一人世帯の場合に世帯員が一人ふえるためにふえる金額、そのうちの消費支出金額でございますが、割合だけ見ていただきますと、一人世帯では十三万六千四百九十八円、これを一〇〇といたしますと、一人ふえますと、それがふえた分についての
生活費というものは六一・五、三人世帯は三五・四、四人世帯、二一・八、五人世帯は二〇・四となります。
現行では、ここにございますように、
現行の
課税最低限、税法上の基礎
控除、
扶養控除の額はどうかと見ますと、一〇〇、五五・五、二七・三、二七・六、一六・六と、こういうふうになっております。一人目が少し足りない。二人目も三五・四と二七・三、これも足りない。
ところが、三人目は二一・八に対して二七・六と、これは若干上回っておる。五人世帯になりますと、二〇・四と一六・六、これはまた足りない。こんなふうになりますが、先ほど来申し上げましたような
改正の
趣旨で直しました後の
改正案では、割合は一〇〇、七七・三と、これは若干オーバーして参りますが、先ほど来申し上げました配偶者に対する
考え方を入れるか入れないかという点もあわせて考える。三人世帯の
ところでは若干オーバーする、四人世帯もオーバーする、五人世帯もオーバーする。といたしますと、この世帯は、四人目の
ところの五人世帯というのは、
扶養控除を判断する一つの材料になるわけでございますが、四人世帯と五人世帯の
ところの消費支出金額の割合は二一・八と二〇・四でございますので、
現行四人目以降の
扶養控除が一万五千円、三人目の
ところが二万五千円、そこだけ、これだけの開きはないということは、CPSの数字からうかがえる。そういう意味で、一万五千円を三万円に上げるということも、この面から至当ではないかという数字になるかと思います。
その次は、大矢
委員の御要求のございました
所得階級別表と申します、
所得階級層を表わします
ところの数字でございますが、
現行最も新しい数字は
昭和三十二年分の
所得税の納税者の
所得階級別表でございます。これを給与
所得者と
申告納税の
所得者に分けまして掲げましたのがこの数字でございます。二十万円以下から五百万円超というふうに分れておりますが、給与
所得者では八百九十九万八千人、
申告納税者では二百十八万四千人、これを百分比に、人員の百分比と
所得の百分比で出しましたのがこの数字でございます。
その次は、大矢
委員の御要求でございました
配当と利子との
所得階層分布と申しますか、私ども例の階級別表と言っておりますが、まず
配当でございますが、これを表わしましたのが第三の表でございます。先ほど申し上げました人員の百分比、
配当所得の百分比で表わしましたものでございます。
配当所得をもちまして
申告課税を受けます
ところの人間の数は十七万三千人でございまして、総合されまして
申告されました
ところの
配当所得金額は三百十七億七千九百万円でございます。これをおのおの百分比で表わしてございます。
その次は、預金利子の階級別表と御要求がございましたが、その際にも申し上げましたように、私どもは、預金利子につきましては
租税特別措置で長らく
分離課税をやっておりまして、資料も出ておりませんので、
所得層別には数字はないと申し上げたわけでございますが、何らかそういう御要望にこたえます意味で出しましたのがこの資料でございますが、これは税制上の、私どもの税の
関係でとっておる資料ではございません。備考一にございます「
昭和三十三年九月末の預金者別預金統計調査(日銀調)」によりまして、個人と
法人に分けました
ところの、預金の一口当りの金額で分けました
ところの預金階級別表でございます。一旦五万円未満のものが、口数といたしまして、たとえば短期預金では千八百四十六万三千口あって、長期預金ではそれが千三百二十五万七千口ある、こういった数字でございます。これは少額の五万円以下のものが相当多いということがいえるわけでございます。口数にいたしまして、預金合計では四千三百二十一万口ございます。これを口数別の百分比、金額別の百分比、一口当りの金額に表わしましたのがこの表でございます。
その次の表は、個人分と
法人分との計でございます。その間の割り振り、なかなかむずかしいようでございますが、毎年々々こんなような数字を出しておりますので、私どもはそれを拝借さしていただきまして、大矢
委員の御要求にこたえたかどうかわかりませんが、提出さしていただいたわけでございます。
その次は、
退職所得に対します
ところの今回の
改正がどういうふうになるかということを表わす資料でございます。
まず第一は、総体的な観察といたしまして、「
改正案による
退職所得の
所得税負担額調」を出したわけでございます。先ほど御説明申し上げましたように、勤務年数によって
特別控除ができ、しかもまた、退職時の勤務年数期間に入ってきます年令によって違うことを申し上げたわけでございますが、従いまして、
勤続年数何年でやめたということを一応想定いたしまして出した資料でございます。
勤続年数十年の者が、二十才就職の者、三十才就職の者というふうに分けまして選んだわけでございますが、定年退職者の
退職金を優遇しろということでございますが、定年退職者、大体三十年勤続、二十五才から勤めまして五十五才ということが普通だといたしますと、一番下の欄を見ていただきますれば、今回の
改正によりましてどの程度負担が減るかということがわかると思います。
現行におきましては、七十万円におきましても、これはもう退職した人たちの年令に
関係ございませんが、一万二千五百円かける。百万円では二万七千三百円、二百万円では十五万円かけておったわけでございますが、今回の
改正によりまして、二十才就職の者も、二十五才就職の者も、三十才就職の方も、七十万、百万円までは、最高百万円と申しましたが、かからない。二百万円の方は
現行では十五万円でございますが、今回の
改正におきましては全部八万四千六百円となるということでございます。退職時の年令によって税負担が違っておる。
勤続年数二十五年の
ところをとって見ていただきますと、年とってやめた方の方が負担は安くなるということが現われております。
そこで、その次の、同じ
退職所得に関する資料でございますが、
制度を読んでもなかなか計算例がわからないというようなお話がございまして、どういうふうに計算するかというのを示しましたのが(ロ)の表でございます。一番簡単な例ですが、
勤続年数二十五年で
退職金二百万円もらった場合、どういうふうな計算例になるかということを示しましたのがこれであります。
現行法でございますと、
退職金を二百万円もらいますと、
特別控除が五十万円。と申しますのに、一年につきまして二万円でございますから、合計五十万となる。それを引きますと、いきなりここでは二万円かける二十五で五十万と出しておりますが、五十万円を二百万から引きまして百五十万と(C)欄で出て参ります
ところが、
退職金課税は、御承知の通り、こういう
特例がある。こういう
特別控除を引いた後を半分にいたしまして、
現行の
所得税率を適用する。この前に
源泉徴収でございますので、簡易税額表がございますが、それを適用いたすことになるわけでございますが、(D)の欄に、二分の一にいたしまして七十五万円、これに今申し上げました
現行所得税法の
税率をもとといたしました簡易税額を適用いたしますと、十五万円、かようになります。
改正案はどうなるかということでございますが、複雑な方をとりまして、三十才で就職した場合をとりますと、
退職金も同じ二百万円になります。
特別控除額は九十五万円。九十五万円の根拠はどういうふうになるかと申しますと、「
特別控除額の計算」の
ところに示されておりますが、三十才から四十才までの十年間につきましては、一年当り三万円でございますので、三万円かける十の三十万。四十才から五十才まで、もちろん勤めております、この間の十年につきましては、一年当り四万円でございますから四十万。定年退職でございますので、五十才から五十五才まで、一年当り五万円で二十五万。合計九十五万とこういうふうになりまして、二百万円から九十五万円引きまして百五万円が
特別控除後の金額になる。で、
特別控除後の金額を例によりまして二分の一にいたしますと、これに対しまして簡易税額を計算適用いたしますと、九万五百円。これは平年度で計算いたしております。これに応じましてオプション・ワンの
ところの地方税は、
退職金につきまして、同様にこの負担の
軽減の割合に応じて減って参る、こういう
ところでございます。
その次は、毎年国会に出しております資料の御要求がありましたわけでございますが、最近の
法人の資本金階級別
所得金額、あるいは
所得階級別
法人数、
所得金額、これを一つ出してくれ、こういう御要求でございました。
昭和三十二年度の普通
法人につきましては、私どもがサンプル調査から作り上げた資料でございますが、それを示したわけでございます。
第一は、資本金階級別表でございます。これを五十万円未満、五十万円以上、百万円以上というふうに分け、一番多いのは一億円以上といたしております。
法人数は四十二万四千五百七十七ございまして、資本金は一兆八千七百二十二億円でございます。
所得金額は八千六百十二億円になっております。それから、一億円以上の方が一番
所得金額として大きな割合を占めておりまして、四千七百八十七億、大体五割以上を占めておるわけでございます。五十万以上百万円あたりの
ところのウエートは非常に少いのでございますが、この
所得階級別表で見ていただきますと、この点も同様な傾向が見られるわけでございます。
所得金額は五十万以下を最低といたしまして十億円以上を最高といたします。
法人は三十一万七千七百六十七。この
法人数が上の欄と違いますのは、備考にでございますように、利益会社のみを掲げ、欠損会社は含まないことにいたしております。欠損会社は相当小さい資本金の方方には給与でほとんどとりますので、相当多いわけでございまして、四十二万と三十一万との差十一万ばかりの欠損
法人があることを示すわけでございますが、
所得総額は八千六百十二億で、十億円以上の方の
法人の
所得金額が最もウエートが強い。三割以上を占めておるわけでございます。十億円以上の
所得階級別の
所得金額が二千六百二十七億、
法人数にいたしますと、十億円以上の
法人数は百二十でございます。
その次は、同じく
法人の負担に関連いたしまして、これはもちろんときどき私ども出しておる資料でございますが、
法人と個人との負担比較をしてもらいたい。一般的には
所得金額が大きくなると
法人の方が得であることはわかるけれども、なおこまく一つ出していただきたい、こういう御要求でございました。そこで、一つの仮設例でございますが、利益金が、
個人企業でありましても、三十万円、五十万円、百万円、二百万円、五百万円というものをとりまして、
法人と個人との場合の負担比較をいたしたわけでございます。その算出の根拠となります
現行法及び
改正案につきましては、その次のページに、
法人ならば
法人率は幾らか、
法人事業ならば幾らで計算したということが、その次にあります。個人も同様に、個人事業税、住民税、詳しく書いてございます。
最も、個人、
法人の負担に影響いたしますのは、代表者、あるいは同族
関係者と申しますか、代表者の親族で、家業と申しますか、その事業に従事いたしますものの給与の見方によるわけでございますが、三十万円の利益の場合には、たとえば代表者の給与は十五万円、妻の給与は七万円、長男の給与は六万円というような仮設例を掲げまして、おのおの給与の金額を一応の仮定のもとに計算してございます。そういたしますと、結果を一番簡単に見ていただくには、
現行法の負担率のB/Aという
ところを見ていただきますと、
現行法のみならず、
改正法の負担率、ここを見ていただくといいわけでございますが、
法人と個人とは大体におきまして、五百万円をこしますと、
現行法におきましても
改正法におきましても、個人の方が高い。それ以外は、この仮設例だといたしますと
法人の方が高めである。こういうことがいえるかと思います。かりに
現行法だけで比較いたしますと、三十万円の
ところでは、四・七三%という
ところが、個人だと一・二六%、
改正案によりますと、
法人ならば四・七%、
ところが
改正案の個人になりますと〇・二三%、うんと違って参ります。百万円では、
改正案で比較いたしますと、一九・六九が
法人の負担でございますが、個人だと一八・三四という割合が出ているわけでございます。もちろん、仮設例で、しかもこれは、カッコ書きにございますが、利益の半額を
配当するもの、こういう仮設例でいたしておりますので、仮設例の取り方では、負担の取り方が違ってくる場合が出てくる場合があります。
次は、
法人、個人の負担に関連いたしまして、
法人成りの割合を表わす資料を一つ出していただきたい、こういう要求でございましたが、八に、この御要求には私どもの資料では不十分でございますが、必ずしも完全に、
個人企業から
法人企業になったというものの調査が
昭和二十八年までございまして、その後は詳しくとっておりません。しかしながら、税務当局によりまして、
法人の営業状況を調べております。それでもって、大部分は
個人企業から
法人企業に転換したものが多いかと思いますので、割合を見ていただく意味におきまして、
昭和二十八年以降の
法人設立件数調べを出してみたわけでございます。二十八年に八万七千の新設の
法人はありましたが、そのうちの六万三千は、
個人企業から
法人企業へ転換したものである。こういう数字を内書として入れております。二十九年以降は新設
法人の数でございます。最近は五万台の数をずっと継続しておるような状況でございます。
次は、
交際費の資料を出していただきたい、こういう御要求がございました。
交際費も、全体じゃなくて業種別に出していただきたい。そのときにも私お断わり申し上げたわけでございますが、業種別全体について私どもは資料はない。ただし、私どもは常に、
交際費の今度の
改正案を提案いたしました場合にも、研究いたしましたサンプル調査がございます。これは業種といっても、その業種の中の、各業種に属するすべての企業の
法人の
交際費の金額をとっていないので、必ずしも完全とはいえませんが、私どもの参考になる意味でとりました
ところの業種別の業種を少しピックアップしまして出しましたのが、この資料でございます。
これは、見ていただきますと、貿易業、卸売小売業、銀行から化学工業と、十業種ばかりの業種をとってみたわけでございます。一番税制上の
交際費の否認
規定と関連ありますのは、損金不算入額、これと会社が計上いたしました
ところの
交際費額と、これとの
関係が問題になる。A分のBでございますが、これを見ていただきますと、今言えますことは、業種によって否認割合が相当違う。ともかくも
交際費は、御承知の通り、業種によって相当使い方が違うのは当然でございますが、税制上にこういう否認
規定を設けます以上、何らか、一つ画一的な、できるならば業種の実態に応ずるような
基準が適当でございまするので、一つの要請も加わりますこともございますし、また税制上で限度がございますので、一定の業種に応ずる率と、それから二十八年の六割という
実績基準と、両方でできる限り実情に即した
措置がとられておりますけれども、相当否認の割合が違うということがわかるわけでございます。医薬品業の四一・七%、会社が損金に計上いたしました
交際費額は、十一億、そのうち否認を受けましたものが四億六千というようなことになりまして、四一・七%。その次に高めになりますのが、卸売小売業二十一億のうち六億三千というようなことになりまして、二九・三%。今回の
改正の
趣旨が、私どもといたしましては、二十八年の
基準で果していいかどうかもう一ぺん見直す意味におきまして、三十二年十二月までの
基準をとったのは、税金を払いながらこういう
交際費を使っていくことをどういうふうに見ていくかということの判断をある程度下し、またその実情に応ずるような
改正をいたしたつもりでございます。
その次は、これも毎年出しております
ところの
租税特別措置による減収額試算でございますが、項目別に分類いたしまして、貯蓄の奨励、内部留保の充実、技術の振興及び設備の近代化、産業の助成、その他として、数といたしましては二十七、うち増収になります分は
交際費課税の
特例、これも税制上から見ますと
特別措置だと思いますので、掲げました。六十億でございますが、それを相殺した九百九十億円が
改正後の平年度の
租税特別措置による減収額でございます。なお、必ずしも
租税特別措置法に
規定のあります
ところの金額だけではなくて、
所得税法に掲げてございますような
特別措置も掲げてございます。たとえば貯蓄の奨励の中の3生命保険料
控除、これを百五十億掲げてございますが、これももう種種の見方がございますけれども、貯蓄に対するやはり奨励
措置であろうというふうな
趣旨で
特別措置の中に入れてございます。
その次は、物品税の資料の中で、主要物品の消費支出弾力性というものを出していただきたい、こういう御要求でごさいましたので、税制懇談会で作成されました
ところの消費弾力性、
昭和三十二年分の家計費調査から求められました数字をここに参考までに出した次第でございます。
以上簡単でございますが、資料の説明を終ります。