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1959-03-20 第31回国会 参議院 大蔵委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十日(金曜日)    午後二時二十六分開会   —————————————   委員異動 本日委員吉江勝保君、小山邦太郎君、 宮澤喜一君、木内四郎君、梶原茂嘉 君、岡崎真一君及び西川甚五郎君辞任 につき、その補欠として江藤智君、山 本利寿君、大谷藤之介君、重宗雄三 君、高野一夫君、後藤義隆君及び田中 茂穂君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤 正人君    理事            土田國太郎君            山本 米治君            大矢  正君            天坊 裕彦君    委員            江藤  智君            大谷藤之介君            川村 松助君            後藤 義隆君            迫水 久常君            塩見 俊二君            重宗 雄三君            下條 康麿君            田中 茂穂君            高野 一夫君            椿  繁夫君   政府委員    大蔵政務次官  佐野  廣君    大蔵省主計局法    規課長     小熊 孝次君    大蔵省主税局長 原  純夫君    運輸省港湾局長 中道 峰夫君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省主税局税    制第二課長   吉国 二郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国際通貨基金及び国際復興開発銀行  への加盟に伴う措置に関する法律の  一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○特定港湾施設工事特別会計法案(内  閣提出、衆議院送付) ○国税徴収法案内閣提出、衆議院送  付) ○国税徴収法の施行に伴う関係法律の  整理等に関する法律案内閣提出、  衆議院送付)   —————————————
  2. 加藤正人

    委員長加藤正人君) ただいまから委員会を開会いたします。  委員異動について御報告申し上げます。本日付をもって委員吉江勝保君、小山邦太郎君、宮澤喜一君、木内四郎君、梶原茂嘉君、岡崎真一君が辞任されました。その補欠として江藤智君、山本利壽君、大谷藤之介君、重宗雄三君、高野一夫君、後藤義隆君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  提案理由趣旨説明を聴取することにいたします。
  4. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) ただいま議題となりました国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  昭和二十七年八月、わが国国際通貨基金及び国際復興開発銀行加盟して以来、この二つの国際機関わが国経済発展に著しく寄与したのでありますが、ひとりわが国に対してのみならず、戦後世界経済復興発展のためにこれら両機関が果しましたその役割は、まことに偉大なるものがあります。  しかしながら、最近の世界経済及び国際貿易の急速な発展に比し、これら両機関資金量は十分とはいいがたく、わが国を初めとして加盟国の一部はここ数年来、これら両機関資金充実必要性を提唱してきましたが、昨秋ニューデリーにおける第十三次年次総会において、全加盟国の総意に基きこれら両機関資本増加の方針が打ち出され、昨年十二月の両機関理事会において、それぞれ、資本増加に関する決議の草案が作成されました。この草案によれば、全加盟国について国際通貨基金においては一律五割、国際復興開発銀行においては一律十割の増資のほか、特に戦後において顕著な経済発展を遂げました日本ドイツ連邦共和国、カナダの三国について特別の増資を認めることとなっているのであります。この草案に対し本年二月二日までを期限として加盟国総務賛成投票が行われたのでありますが、この賛成投票は、ワシントン時の一月三十日に至り、国際通貨基金協定及び国際復興開発銀行協定規定に基く多数、すなわち、国際通貨基金については五分の四、国際復興開発銀行については四分の三にそれぞれ達したことが確認されました。ここにおいてわが国といたしましては、国際通貨基金においては二億五千万ドル、国際復興開発銀行においては四億一千六百万ドルの追加出資を行うことを要する事由を生ずるに至ったものであります。この結果、これら両機関に対する出資総額は、それぞれ五億ドル及び六億六千六百万ドルとなることになった次第であります。  従いまして、この法律案により追加出資についての規定を設けるとともに、これに伴いまして、この追加出資額払い込みの財源に充てるため、日本銀行所有金地金のうち、大蔵大臣の指定するものにつき、日本銀行にこれを再評価させ、これによって生じた再評価益全額国庫に収納することにいたしました。  次に、これに関連いたしまして、昭和二十七年の加盟時における出資に当り、政府日本銀行から帳簿価額で買い上げた際の金地金買い上げ価額とその金地金を当時の金管理法規定に基く価格により評価した場合の価額との差額についての処理を行うことといたしました。  また、政府国際通貨基金から外貨買い入れの取引を行うに当りまして国際通貨基金に対し、円現金を支払うかわりに無利子の交付国債によってこれを行うことができることとし、これに伴いましてこの国債の発行、買い戻し、償還等に関する所要の規定を設けることといたしました。  以上が本法律案提案理由及びそのおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたす次第であります。
  5. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。   —————————————
  6. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 次に、特定港湾施設工事特別会計法案議題といたします。  昨日に引き続き、質疑を行います。質疑のある方は御発言願います。
  7. 椿繁夫

    椿繁夫君 私、ちょっと勉強不足で、同じことをお尋ねするかもわかりませんが、それは一つお許しをいただきたいと思います。  この法案趣旨、これは輸出などが将来相当伸びるだろうということを予想して、港湾施設整備をはかる、ことに鉄鋼とか石炭石油等埠頭関係整備特別会計を設けて推進しようという御趣旨のようでありますから、これそのものは私どもも賛成なんでありますが、よく議案を見るとわかるんでしょうが、教えていただきたいのは、この工事費負担割合ですね、国、管理者、それから受益者と、こう三本建で経費負担を考えておるように伺いますが、この負担割合、それから、このようにしてできた港湾施設というものは、これは国の所有となるのか、管理者所有となるのか、そういうことから一つ説明をいただきたいと思うのです。
  8. 中道峰夫

    政府委員中道峰夫君) この特別会計によりまする特定港湾施設整備事業に関しまする工事は、この措置法提案しておりますように、国の直轄工事で行う建前になっております。それで、港湾公共事業直轄で行います場合の港湾法負担割合でございますが、それを申し上げたいと思います。  この今回の特別措置法によりまする施設は、港湾法原則に従ってやる建前になっております。これは内地北海道とございますが、内地重要港湾において行います直轄港湾工事につきましては、その施設に、水域施設、これは航路、泊地等施設でございます、それから外郭施設、これは防波堤等施設でございます、それから係留施設、これは岸壁等施設でございます、または臨港交通施設、これは道路、鉄道等でございます、これにつきましては国が工事費の十分の五、つまり五割でございます。それから港湾管理者が十分の五、五割、五割の負担をいたすわけでございます。それから、特定重要港湾のただいま申しました水域施設または外郭施設でございますが、これにつきましては国が十分の十以下、十分の五以上ということになっております。それから港湾管理者が十分の五以下ということになっております。それから、特定重要港湾係留施設でございますが、これにつきましては国が十分の七・五以下、十分の五以上ということになっております。港湾管理者は十分の二・五以上、十分の五以下ということになっております。それから、特定重要港湾臨港交通施設でございますが、これは国が十分の七・五、港湾管理者が十分の二・五という負担割合になっております。次に、北海道港湾におきましては、北海道開発のために行う直轄港湾工事といたしまして、水域施設または外郭施設につきましては、国が十分の十、港湾管理者が従ってゼロでございます。それから係留施設臨港交通施設または港湾施設用地につきましては、国が十分の七・五、港湾管理者が十分の二・五ということになっております。これが港湾法でうたっておりまする原則でございます。  そこで、今回のこの特別措置によりまして、負担割合特例規定をいたしているわけでございますが、これを御説明申し上げます。  この本法が対象といたしております工事を、民間資金の活用の面から分類をいたして御説明申し上げたいと思いますが、第一は、全然受益者負担金その他の民間資金財源に見込まない部類でございまして、いわゆる輸出港湾貿易輸出を主として扱います港湾の大部分がこれに該当をいたすわけでございます。第二の部類といたしましては、企業合理化促進法という法律がございます。これに基きまして、各利益を受けまする受益事業者から申請があった場合に行うものでございまして、受益者負担金として、国が直接事業者から事前に五割の相当額徴収することを前提といたしております。第三の部類といたしましては、石炭港湾、及び輸出港湾の中で大阪鋼材埠頭門司セメント埠頭、下関の肥料埠頭の三ヵ所でありまして、事業費の二割、これは北海道につきましては一割でございますが、二割相当特別利用料徴収することを前提といたしております。ただ、この場合に、特別利用料は、港湾管理者が一応は立てかえて工事を行いまして、施設完了後、取扱い貨物に対しまして、トン当り使用料の形で施設利用者から港湾管理者が回収をするという考え方になっておるわけでございます。  なお、さらに、各項の御説明を申し上げますと、第一項につきましては、ただいま申しました第二の部類、すなわち石油港湾及び鉄鋼港湾におきまして、企業合理化促進法によって事業費の五割相当受益者負担金徴収する場合の負担割合特例を定めておるわけでございまして、この場合は受益者負担金を差し引きました残額につきましてその五割、すなわち全体の二割五分を港湾管理者負担するということになっておるわけでございます。第二項及び第三項は第三の部類でございますが、すなわち石炭等港湾等でただいま申しました特別利用料として事業費の二割相当額徴収するものについての特例をきめておるわけでございます。これらの工事は、この特別利用料徴収分相当額を一応港湾管理者立てかえて、事後回収するという考え方になっております。二割相当分港湾管理者負担分に算入されまする筋合いの計算になっておりまして、この点が港湾法原則に対しまして例外になっておるという次第でございます。  以上が、国、管理者、あるいは受益者、つまり民間資金負担割合の点についての御説明を申し上げた次第であります。  次に、この施設完了いたしました後の処理でございますが、これは港湾法によりまして、できた施設港湾管理者管理譲渡をするという建前になっております。つまり、あくまで港湾法によりまして処理をするという建前になっております。
  9. 椿繁夫

    椿繁夫君 ただいまの施設完了後の処理港湾法に基いて管理者所有に移すということであります。そのように了解いたしましたが、多くの港湾は、大体地方公共団体管理者となっておる。それから、たとえば名古屋のように、県、市と組合管理をやっておるような所もある。その場合、いずれでありましても、この法律によると、この事業完了後はその管理者所有に帰する。従って国有財産とはならない、こういうことでありますか。
  10. 中道峰夫

    政府委員中道峰夫君) ただいま申しましたように、港湾法によって処理いたすのでございまして、港湾法によりますと、完了後の施設港湾管理者管理委託をするということになっておりまして、所有権は国でございます。管理委託をするという建前になっております。
  11. 椿繁夫

    椿繁夫君 管理委託港湾管理者であって、その事業完了後の施設とか何とかというものの所有は、国の財産となるということですか。
  12. 中道峰夫

    政府委員中道峰夫君) その通りでございます。
  13. 椿繁夫

    椿繁夫君 そういたしますと、これは今たくさん種類のあることを伺いましたが、事業費の、大ざっぱにいうて、国が五〇%のものもありますが、管理者が四割、受益者が大体二割というふうな御説明でありましたが、しかも、その事業費受益者負担すべき二割の立てかえまで何か港湾管理者が行うというふうなことになっておりますが、そういうことなんですか。
  14. 中道峰夫

    政府委員中道峰夫君) やはり管理委託をするということになっております、港湾法によりまして。
  15. 椿繁夫

    椿繁夫君 私がお聞きしているのは、管理委託でありますから、でき上った施設国有財産となり、その管理管理者委託をする、それはわかった。わかったのでありますが、事業費受益者負担分まで管理者である公共団体立てかえ払いをしなければならぬというふうなきめがあるかのごとく、御説明でもありますし、資料によってもそういうふうになっておるのであります。そういうことになっておるのですか。
  16. 中道峰夫

    政府委員中道峰夫君) そういうふうになっております。これは、港湾法によりましてなっておるわけでございます。
  17. 椿繁夫

    椿繁夫君 そうしますと、鉄鋼港湾事業費一つ例をとってみますと、六割相当額管理者負担をして、これが地方財政に対して非常な重荷となり、圧迫を加えることは明らかです。これは大蔵省、よく聞いておきなさいよ。そういうふうにして、受益者負担すべきものまで立てかえさすということになると、事業費の六割をほとんど管理者負担しなければならぬ。その結果、地方財政に及ぼす影響圧迫というものは、これはもう相当のものです。こういうことを大蔵省は、港湾法にきまっておるのか知りませんが、ほんとうにやっぱりそういうふうにしてやっていくつもりですか。そのようにしてでき上った施設が、これは国のものだ、管理だけお前にまかす、こういうことで港湾行政の推進ということになりますかね。
  18. 小熊孝次

    政府委員小熊孝次君) お答えいたします。問題は、大きく分けますと二点あると思いますが、工事をやったあとの問題、それから工事をやるに際しての取りきめといいますか、負担割合の問題、こういうことに分けられると思いますが、まず負担割合の問題でございますが、これは、先ほど港湾局長からお話がございましたように、今回の特別措置法では各種の形態があるわけです。鉄鋼石油というようなものにつきましては、先ほどお話がありましたように、業者の方が受益者負担金といたしまして半分は持つということになります。その半分を持った分につきましては、これは受益者特別会計の方に半分の金をその工事実施中に入れるわけでございます。あと残りの分が国と地方と半々になるわけであります。すなわち、二割五分ずつになるわけであります。国はその二割五分相当額一般会計から現ナマを直ちに入れるわけであります。それから、港湾管理負担分の二割五分につきましては、これは御承知のように、交付公債でございます。直ちに金を出すわけではございませんで、交付公債によりまして、事業の終った翌年の四月一日におきまして——四月一日といいますか、翌年度におきまして国に納付する、こういうことになっております。で、その交付公債条件は、これは一般的には三年据え置きの十年になっておりますが、この特定港湾関係港湾管理者負担分につきましての交付公債条件としては、これは三年据え置きの十二年、普通の交付公債よりも二年間延ばす、こういうような地方財政負担軽減見地から、そういう措置を講ずる予定でございます。そういうような面におきまして地方財政関係は配慮しておるわけでございます。  そうしてその間、それは石油鉄鋼というような場合でございますが、それから石炭の場合でございますが、これは先ほどお話がありましたように、事業費のうちの四割を国が現ナマで出します。六割につきましては、これは先ほどと同じように、交付公債で出していく。これもやはり据え置き期間を含めて十五年、それで分割償還をしていただくわけでございます。  その場合に六割というのはおかしいじゃないかという御疑問があると思いますが、これは一つの技術的な見地から、石炭というようなものにつきましては、これは特に石油鉄鋼というようなものと違いまして、ある程度特定性はございます。特別利用料という形で徴収しなければならない。そういたしますと、これは港湾管理者に、でき上った工事というものは港湾管理者管理委託するわけでございますが、その港湾施設につきましての管理権限というものは港湾管理者が持っているわけであります。従いまして、その業者負担として二割を、特別利用料としてとるものは、現にこの特別利用料以外に、港湾管理者としては、施設利用につきまして、いろいろな名目で手数料的なものとか、使用料的なものとか、そういうものをとっているわけでございます。そういうものと合せて特別利用料をとるということが、実際上の事業費の二割を回収するという見地からいって、非常に実際的である、そういうような見地から、建前としては二割が事業者負担、それからあと残りの半分ずつ、四割、四割は国と港湾管理者負担するという実態があるわけでございますが、そのやり方の見地からいいますと、技術的には国が四割、港湾管理者は六割、しかしその二割分につきましては特別利用料としてとる、こういう形にするのが適当じゃないか、こういうような見地でやっておるわけでございまして、もちろん、先ほどお話しいたしましたように、六割という形になりまして、その六割分については交付公債で、今の予定では十五年で償還できるように予定しているわけでございます。その二割分につきましては、それに見合うような特別利用料を定めまして、そうして徴収していくことができます。こういうことになっております。
  19. 椿繁夫

    椿繁夫君 それはわかるのですがね。工事費受益者負担すべき二割についてまで、管理者立てかえ支払い義務を課している。そうすると、管理者である地方公共団体は、事実上これは六割を、あと受益者から二割は徴収するにしても、負担をしなければならぬということになる。それからさらに、今の、たとえば港湾の浚渫でありますとか、上屋、野天の置場ですね、あるいは荷揚げ機械とかというふうなものを施設することによって、利用者に対して使用料をとっているわけであります。その上に、今回は輸出港湾あるいは石炭港湾におきましては、工事費の二割に相当するものを利用者の方が負担義務づけられるわけでありますから、何という経費になりますかね、港湾利用するための経費が著しく高くなる。現在でさえももっと下げてほしいというのが業者の声なんです。それを、今までの使用料のほかに、新たに特別利用料というものを二割課するということになると、業者負担は重くなりまするし、ひいてはそれがやはり産業経済の上に大きくこう私はかぶさってきて、結局、この利用者から事実上の徴収ができなくなって、管理者である地方公共団体は、この法律の命ずるところに従って、六割を自発的に、使用者から徴収をしないで、自発的に国の方へは六割を納めなければならぬ、こういう結果になることを予想しなかったか。港湾当局者はそういう点について、港湾利用者に対して大した影響はなかろうというふうにお考えになって、こういう案を出されたのですか。港湾当局の意見を聞きます。
  20. 中道峰夫

    政府委員中道峰夫君) ただいまのお話の二割の負担でございますが、この法律では特別利用料と称しているわけでございます。これにつきましては、お話のように、港湾管理者に特別な負担になるのではないかという点につきまして、いろいろ実は検討をいたしまして、また港湾管理者ともよく協議をいたしたわけでございます。実際問題といたしまして、この二割を徴収いたします港は、大阪鋼材門司セメントのほかに、大部分石炭関係施設でございます。  それで、場所によって多少の相違がございますが、石炭施設等におきましては、現在の施設がすでにもう一ぱいになっているわけでございます。今後増産等によりまして、相当大幅の貨物港湾に集中することが予想されますので、この計画立てているわけでございますが、このまま放置いたしますというと、それらの貨物はどうしても沖荷役等の非常に不経済な荷役をやらざるを得ないというふうな事態になってくるわけでございます。また、今度やります新しい施設と、現在行われております施設との間には、今度の施設相当近代化した、かつ優秀な荷役、能率的な荷役が行われるような施設となる計画をいたしておりますので、沖荷役等の非常に不経済な荷役になりますと、相当現在よりも荷役料金がかさむわけでございます。それらを考えますというと、二割程度工事費をまかなう程度財源をそれから徴収することは、全体の港湾の運営なりあるいは荷役料金の全体に対しまして、それほど大きな影響を与えるものではないというふうに考えまして、先ほど申しましたように、港湾管理者とも協議をいたしまして、それからこの法律にも書いてございますように、港湾管理者協議をいたしまして、その協議の上で実施の段階に移すということにいたしておるわけでございます。
  21. 椿繁夫

    椿繁夫君 私は日本重要港湾といわれる多くの港を存じませんけれども、私の知っておりますたとえば大阪港のごときは、今局長お話のような石炭でありますとか鉄鋼でありましても、沖の荷役をしなくとも接岸荷役ができるようになっておりますし、さらに十ヵ年計画も、二十三年でしたか、立てまして、以後修築計画もだいぶ進んでおりますので、なるほど局長お話のように、沖の荷役をやって、はしけに積んで、それから陸揚げするというような港湾を考えて、そうして今度の輸出港湾石炭港湾事業が進んでいくと、機械化もするし、港湾施設そのものが近代化してくるから、能率も上る、管理者の収入も多くなる。だから、そう、沖の荷役をやっておることを思えば、利用者に二割の工事費負担さしても重くないだろうと言われるのですが、そういう港ばかりではございませんね。それにもかかわらず、利用者に対して工事費の二割を負担させ、しかも、工事の進捗に従って納めなければならないものは管理者立てかえ払いをしなければならないというような義務を課することは、地方財政をこれ以上圧迫することにもなるし、なお、現に利用料をとっているわけです。  いろいろ、政務次官、あなたも御存じのように、いろいろ港湾利用料というものを管理者はとっているわけです。その上にこれがかぶさるわけです。その結果は、何といいますか、輸送費というか運賃というか、その方に大きくこういうものがはね返ってきて、一般産業経済にも私はやっぱり影響が大きいのじゃないか、こう思うので、今お話を聞くと、管理者は得心しておるということでありますけれども、おそらくこれは皆さんのところに呼びつけられて、どうだろう、こういうふうにしなければ大蔵省聞かぬのだからということを中心にしてお話しになると、いろいろのことでめんどうを見てもらっておるから、地方団体はしぶしぶ聞いておるかもしれませんけれども、最近の税制、それから中央と地方との財政状態から考えますというと、地方財政には非常なこれは負担ですよ。しかも、業者の方はもっと現在の港湾利用料の引き下げをも要望しておる。それにこいつをこうかぶせるということになりますと、利用者の方から徴収することが困難になって、ついには地方団体地方公共団体である管理者がそれこそ六〇%の代払いをしなければならぬというふうなことになってくる。そのことを港湾管理者は心配しなかったか。大蔵省は、これ以上負担を軽減して、物価と産業に対する影響などを考えて、もう少し国の負担分を多くして実際の管理者利用者負担を軽くするということを考えなかったか。そのことをもう一度、大蔵省港湾当局者から御返事を求めたいと思います。
  22. 小熊孝次

    政府委員小熊孝次君) お答えいたします。地方財政の問題とそれから業界負担の問題、こういう二点に分けられるわけでございますが、まあ先ほど来申し上げておりまするように、この特定港湾施設工事実施するに当りましては、港湾管理者とよく協議をいたしまして、そうして具体的な計画を考えた上で実施する、もちろん港湾管理者の方からの申し出がありまして、それでお互いに話し合ってやる、納得ずくでやるというのがこの法律建前でございまして、その場合におきまして、先ほど申しましたように、港湾管理者負担分特別利用料をも含めまして六割ということになっておりますが、それを十五ヵ年間の交付公債で納めればよろしいということになります。そういたしますると、大体港湾の、当該港湾におきまする取扱い数量というものを想定いたしましてそうしてその十五ヵ年の範囲内でなるべく安全をとりながら確実に回収できるというような点を十分検討いたしまして、そうしてそういう具体的な計画を考えた上で工事に着手するわけでございますから、万々そういうことはない、地方財政にしわが寄るということはないと思います。それで、現実には特別利用料をとって、それで大体国の方に納めます。ただ、三年据え置き十二年の分割納付ができるだけの財源的な措置は十分可能であると考えております。  ただ、これは相当長期の将来にわたる問題でございますから、客観的な情勢を見まして、取扱い量が、取扱いのトン数が滅ってくる、あるいはそういうようなことも全然考えられないことはないわけでございます。そういうような場合にはどうするかという問題でございますが、これにつきましては、われわれ政府の内部におきましても、そういう場合にはそのときの状況に応じて対処していく、こういうような話し合いはしておるわけでございます。  それから、業界負担の問題でございますが、国で特別会計をこしらえまして、国が直轄でこういう事業をやっていくと、相当の近代化、合理化が行われるわけでございますので、今までの、何といいますか、非近代的な港湾利用の形態というものに比較いたしますと、たとい二割程度工事費を実質的に分担いたしましても、総体としては相当合理化される、このようにわれわれとしては考えておる次第でございます。
  23. 中道峰夫

    政府委員中道峰夫君) この二割の利用料徴収の問題につきましては、従来港湾法にございません新しい特例を作ったわけでございます。特に石炭等の荷揚げにつきましては、不特定の多数の利用者からそれらの特別利用料徴収するというふうなことになって参りますので、これの運用につきましては、十分間違いのないように、遺漏のないようにいたしたいと思っておりますが、この管理者に対する負担増という問題は、ただいま大蔵省の方から御説明がございましたように、それの徴収の実績等も十分考えまして、もしその徴収の事態が非常に困難、あるいは相当これを延期しなければならぬというふうな場合には、関係の省で相談をしようというふうな話し合いもしておるわけでございます。  何にいたしましても、新しい制度でございますので、港湾管理者ともよく協議をいたしまして、慎重に進めていきたい。また、今後港湾管理者負担軽減につきましても十分検討いたしまして、できるだけ負担を軽減したいというふうに、努力いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  24. 椿繁夫

    椿繁夫君 そこで、別のことで港湾局に伺いますが、行政審議会の港湾委員会ですか、あそこから答申があって、七大港の直営論とも見らるべき答申がなされておる。で、こういう審議会などの答申でありますから、これは同調するという立場に立って政府はおられるのだろうと思いますが、港湾行政の単純化といいますか、一元化といいますかが進んでいく、そういうことによって利用者の便宜をはかるということについて、港湾当局は答申に対し、なお港湾利用者の便宜をはかるための行政機関の一元化とか単純化ということについて、どういうお考えを持っておるか、伺います。
  25. 中道峰夫

    政府委員中道峰夫君) この港湾行政の統一あるいは改善の問題につきましては、現在行政管理庁等におきまして種々検討が加えられておるわけでございますが、港湾当局といたしましては、終戦後混乱をいたしておりました港湾行政を統一し改善をするために最善の方法を見出すということで、相当の長時日にわたりまして現行の港湾法を制定をいたしたわけでございます。私たちといたしましては、現行の港湾法が最も進歩した港湾行政のあり方であるというふうに考えておるわけでございます。  今回の行政審議会の答申に対しましては、昨日実は参議院の運輸委員会で、運輸大臣から御答弁を申し上げたのでございますが、運輸大臣は、港湾管理者の現在の機構についてはこれを変えることはいたしません、現在の港湾管理者のまま、そのままこれを存置していくというふうに、はっきり申されておるわけであります。  なお、港湾の行政の改善につきましては、そのほか、私どもといたしましては、窓口行政の改善、つまり実際の港湾利用する各業者の方々が最も便利であるということが主眼でございますので、それをいたしますのには、どうしても合同庁舎等の方法によって港湾で行われておりまする業務を一ヵ所で処理できるようにするのが、現在の実情を改善する最も最善、最も大事な方法であるというふうに考えるわけであります。  で、お説のように、港湾の行政と申しましても、港湾管理者が行なっておりますいわゆる営造物行政、それから国が行なっておりまする税関、あるいは動植物、入国管理、検疫等の業務がございます。それで、先ほど申しましたように、港湾管理者の営造物管理行政は、現在の機構を変革するものではございません。もちろん、機構は変革いたしませんでも、これをさらに育成強化するということは当然考えられると思います。それで、その他のいわゆる国が行なっております業務については、終戦後以来、動植物その他入国管理、検疫等につきまして、指定されております港湾の数も少うございますし、それからそれらの業務を行う役所が、港湾地帯でいろいろな関係上、散在をしておるわけであります。従って、この利用者に対して非常な不便を与えておる。それから、いろいろな手続事務につきましても、いろいろな役所がございますので、それらに提出する書類がまちまちであり、また提出する場所も違うというふうなことでございますが、それらの様式等もできるだけ単一化し、同一のものは同じ形式にして、簡便にこれが済むようにしたいというふうに考えておるわけであります。で、ただ、それらの業務は、いずれもいわゆる縦割りの業務でございまして、横に直接関係はないわけでございます。従って、一番大事なことは、あちこちに書類を回したり足を運んだりする必要はないということで、現実の問題として一番不便を痛感されておるわけでございますので、どうしてもこれは合同庁舎のようなものを作りまして、その中にそれらの業務をまとめまして、そこへ行けば、一定の様式に従い、各種のそれらの業務が全部果せるというふうにいたすことが一番大事なことじゃないかというふうに考えるわけでございます。  なお、戦前は、それらの業務は、港湾管理者もございませんし、海運局等の出先もございません。税関において委任を受けて一括してやっておるというのが戦前の状況でございます。しかし、戦後は、港湾管理者もでき、港湾法も制定されまして、いわゆる港湾の営造物行政、そういったものが現在確立いたしておるわけでございますので、その線に沿うて、港湾の統一なり改善を考えていくべきものだというふうに考えておるわけであります。
  26. 椿繁夫

    椿繁夫君 委員長、ちょっとお願いしますが、委員会開会のときには定数がそろって、それから何か採決をするというときにもまた急にふえて、質問しているときにはこの状態ですが、ちょっとそろえてくれませんか。
  27. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 今、予算委員会が始まるので……。こちらも大切ですが、向うも大切で、一応予算委員会を発足させるために行ったのですから、ほどなく帰って来ます。
  28. 椿繁夫

    椿繁夫君 それじゃ、帰って来てもらって下さい。成立していない委員会で質問をするのは、私はいやです。しばらく質問を留保しますから、その間に一つそろえて下さい。お願いいたします。
  29. 加藤正人

    委員長加藤正人君) それでは、速記をとめて。    〔速記中止〕
  30. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 速記をつけて下さい。
  31. 椿繁夫

    椿繁夫君 その港湾局長の御説明で、きのう運輸委員会で大臣が、この答申案に対する考え方、それから港湾行政の改善ということについて、御方針を述べられたことをただいま伺いまして、私も安心をいたしました。で、ここで再確認をしたいのですが、港湾法に基いて現行の港湾管理者というのがあるのだから、この機構の変革は行わない。答申案でいう港湾機能の改善ということについては、その政府関係機関の一元化といいますか、まあ二元化になるかわからぬが、政府関係機関の合同庁舎のごときものを考えて、そして港湾利用者の便を促進する、こういうふうに、港湾委員会の答申を将来考えていく。決して現在の、歴史もあり伝統もある港湾管理者の地位を変更したり、あるいは機構の変革を考えたりはしない、という御見解と方針でありますか。   —————————————
  32. 加藤正人

    委員長加藤正人君) ただいま委員異動がありましたから、報告いたします。ただいま西川甚五郎君が辞任をされ、その補欠として田中茂穂君が委員に選任されました。   —————————————
  33. 中道峰夫

    政府委員中道峰夫君) お話の点は、ただいま申し上げましたように、昨日運輸大臣が申しました通りでございます。機構改善につきましては、港湾当局といたしましてそういう線を出しておるわけでございます。これはなお、現在、行政管理庁等で審議されておる現段階だと存じております。
  34. 椿繁夫

    椿繁夫君 港湾特別会計ができてそうして政府から若干港湾施設整備に金を直接こう出すことになる。そこで、大蔵省が金を出すのだから、この際にそのものを入れるところを一つ拡大しようというので、大蔵省が、行政審議会の港湾委員会などの答申もあるので、この機会に一つ地方港湾管理者管理運営の権限まで政府機関で握るようにしなけりゃいかぬと、何のために金を出すのだということで、大蔵省はえらい張り切っておるという話を聞いて、港湾管理者の方では大へん心配をしておりますが、政務次官、ちょっと御方針を聞きたい。
  35. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) いや、大蔵省といたしましては、別にそういう趣旨において大それたことを考えては毛頭おりません。先ほどお話がございましたように、あくまでも利用せられます方々の利便、こういうことが第一番でございます。国内的にいたしましても、外国船の出入りにいたしましても、これが第一番でございます。従いまして、行政管理庁に対する答申でございますか、行政審議会の答申、こういうものはもちろん尊重いたさねばなりませんし、その線に沿いまして、なお研究を要する点がたくさんあるようでございます。今の機構の問題にいたしましても、あなたの御心配の向きは、あるいはそれぞれの出生機関を一本にして大蔵省が握ろうというような考えを持つのではないかというようなお考えが御心配の筋かと思いますが、そういうことは、特にこれを一元化して握っていこうと、こういうようなことを考えてはおりません。先ほど申し上げましたように、あくまでも利用せられます方々の利便、これが第一であります。同時にまた、この業務の簡素化、こういうことも必要でございますから、いろいろ検討はいたされるでございましょう、将来におきまして。しかし、そういう意味におきましての、今運輸省の方で申しました合同庁舎、こういうようなことも一つの案だと思います。私見につきましては、私も意見がございますが、そういうことも一つの考えられる大切な問題だと思いますが、あくまでも行政審議会の答申をもとにしまして、なおこれから検討を要する点が非常に多いのでございまして、大蔵省がその権限をふるうというような意味において、これをやっていこうというようなことは、もちろん考えておるわけではございませんし、結論がまだ明確に、具体的に出ておるという段階でもございませんが、あくまでも簡素化、利用者の利便、こういうようなところに沿ってやる考えでございます。
  36. 椿繁夫

    椿繁夫君 私は、ただいまの政務次官並びに運輸当局の御答弁を信頼して、いかに行政審議会から、この七大港湾の国の直営論というようなものともいわるべきものが答申として出されましても、ただいまお考えのように、どこまでも利用者の利便ということを中心に、そのためには数多い政府関係機関の動向、ひいては合同庁舎のごときものもお考えになるというようなことは、非常にけっこうであります。同時に、この港湾管理者の地位を変えたり、その機構の改革を考えたりするようなことのないことを、強く希望しておきます。  で、お尋ねをいたしますが、衆議院の運輸委員会、それから参議院の運輸委員会におきまして、ただいま私ども審議中のこの特別会計法案の基礎ともなるべき特定港湾施設整備特別措置法ですか、この法案の可決に当って、たまたま同じ付帯決議がつけられております。私は、先ほど心配いたしましたように、設備費の二割を利用者負担せしめ、そのことは結局港湾使用料の増高を来たすことであるから、港湾管理者利用者負担分まで徴収をし、また困難になればそれさえも立てかえ払いをしなければならぬ。このことの地方財政に及ぼす影響の重大さを考えて、「港湾管理者の財政負担の軽減を図ること。」ということが、いずれも両院の運輸委員会で付帯決議に付されておるわけでありますが、ただいま御説明のありましたこの法案を、今回これで通すとしましても、この付帯決議にこたえるために、たとえば来年度どういうふうにするとか何とかというふうなお考えがあれば、この際一つ大蔵省港湾当局から、聞いておきたいと思います。  重ねて申し上げますが、衆議院の運輸委員会では、「港湾管理者の財政負担の軽減を図ること。」といい、参議院、本院の運輸委員会では、「特別利用料徴収に関して再検討を為すこと」ということを付帯決議にして、それぞれ政府はこれに善処する旨答えられたと聞いております。そこで、これについて一体どういう考えをお持ちなのか、大蔵当局、それから港湾当局の、両方から一つ……。
  37. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) 今、椿委員のお読み上げになりました衆議院の付帯決議案は、私まだ拝見いたしておりませんので、はなはだ恐縮でございますが、衆議院におきまして多分大臣か政務次官が答弁したと思いますが、付帯決議案につきましては、当然尊重しまして、できるだけ御趣旨に沿うようにいたさねばならぬ、かように考えております。
  38. 中道峰夫

    政府委員中道峰夫君) 衆議院並びに参議院の運輸委員会におきまして付帯決議がされたわけでございまして、運輸省といたしましても、この御趣旨に沿いまして、できるだけ善処したいというふうに考えておるわけでございます。
  39. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) ただいま椿委員の方から衆議院の付帯決議のことを大へん繰り返し御力説になりましたが、参議院の方におきましても、実体法において付帯決議案ができているようでございますので、これはあわせての答弁と御了承願いたいと思います。
  40. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて差しつかえございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  42. 椿繁夫

    椿繁夫君 消極的に賛成の意見を申し述べます。  内容は、先ほどから指摘いたしますように、輸出港湾石炭港湾等の事業建設費を、国が四、港湾管理者四、利用者二というふうにいたしまして、現在の港湾使用料の上にこの特別使用料というものを課することになっておりますが、これは現在以上に運賃を高くすることになりまするし、それがひいては産業なり物価等への影響を与えるであろうことを私は思いますので、この種のものは、もう少し国の負担分というものを多くすることによって、管理者なり港湾利用者負担の軽減をはかる必要があると思うのです。ただいま政府からそういう趣旨に沿って善処をしたい、こういう言明がありますので、これを信頼して、ただいまの御説明が具体化するように特段の配慮を望みまして、私は本案に賛成をいたします。
  43. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 他に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。特定港湾施設工事特別会計法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  45. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例によりまして、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。   —————————————
  47. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 次に、国税徴収法案国税徴収法の施行に伴う関係法律整理等に関する法律案、以上両案を一括して議題といたします。  御質疑のある方は、順次、御発言を願います。
  48. 大矢正

    ○大矢正君 この法律は、明治時代の法律を新しく現在の情勢にマッチをするように考えられた法律でありまして、そういう点では、私どもも、明治時代の法律が今日なお多少の修正は加えられても残っているということは当を得たことではありませんので、修正をすることについては、これはもちろん賛意を表する次第でありますし、それからもう一つは、たとえば国税の優先権というような問題があって、私債権の持ち主であっても、一年間の間は国税が優先をするために、非常に心配をしなければならないというようなことがこの法律の改正によってなくなることは、国民のいわば一般的な権利というものを伸ばす意味において、非常にこの点についてはこれまた私どもは賛成をするわけであります。特に、この法律は二百九条かに上る膨大な法律でございまして、これだけの膨大な法律であると同時に、あわせて国民の権利や私法に関係する問題もありますから、十二分に論議をしなければならないことはもちろんでありますけれども、ただ、特にこの法律の中で、付則の中には、この法律が公布をされてから施行されるまでの間の数ヵ月間の特例というものも載せられておりまするし、そういう意味では、一日も早くこの法律が通らなければならないというようなことも十二分に私どもも考えますので、できる限り質問も簡単にしてこの法律賛成したいと思うのでありますが、  そこで、まず第一に、私お尋ねをしたいのは、具体的な数字の問題でございますが、調査室の方から私お願いをして作ってもらった資料によりますと、最も近い年度の滞納の状況でございますが、三十二年度においては九千八百億強の徴収決定済額に対して八百八十六億の滞納額というものが発生しているということになっておるのでありますが、これはもちろん平均してであります。そこで、この金額は、滞納発生額は三月十五日の一般的な申告の時期の時点において判断をされた数字であるのか、修正決定、更正決定を含んだ以降における数字なのか、この点、まず聞いてみたいと思います。
  49. 吉国二郎

    説明員(吉国二郎君) 滞納発生額は、その年度の初めから申告がございまして、三月十五日に所得税でございますと申告がございますが、これが納期限までに納められないと、それで滞納発生になるわけです。そうしてそれが翌年度に繰り越されて参りまして、それにその滞納発生額と書いてございますものは、その年度中に発生をして、もちろんその中でだんだん納まって消えていくものもございますが、発生した額の累計でございますので、申告に対する発生額、さらに更正決定がございまして、それに対して納期限までに納めなかったもの、それぞれ入っておるわけでございます。
  50. 大矢正

    ○大矢正君 この滞納の一番多いのは、申告所得税の四〇%というのが三十二年度の数字に現われていますけれども、この四〇%の滞納が申告時においてあるということは、裏を返すと、六〇%程度しかその時期においては収納されていないということになると思うのですが、残された四〇%というものは、もちろん究極には滞納の処分をしなければなりませんが、その処分をする以前に、差し押えあるいは換価処分の以前において、どの程度の期間にどの程度の収納が現実には行われるのか、この点、年々違うでしょうけれども、平均どの程度か、お答えいただきたい。
  51. 吉国二郎

    説明員(吉国二郎君) ただいまのお尋ねの点でございますが、最近まで漸次収納歩合は——納期内に収納される歩合が高まって参っておりますが、それは年次別に申し上げますと、第三期分で申し上げた方がいいかと思いますので、三期分で申し上げますと、二十九年には納期内に徴収決定額に対しまして、徴収猶予の分を除きまして、六一・四%、二十九年でございます。それから三十年になりますと六七・七%、三十一年になりまして六九・五%、三十三年度は七三・六%まで納期内に収納しております。それが納期限後一ヵ月現在で調べてみますると、二十九年では納期内では六一・四%であったものが七九%に上っております。それから三十年には八一・三%、三十一年が八一・八%、三十二年になりますと一ヵ月後で八四・六%まで入っております。それから、さらに二ヵ月後を見ますると、二十九年では八四・四%でございましたが、八九・二%まで収納しております。こうして見ますると、申告所得税もだいぶ前は収納が悪かったわけでございまするが、このごろは督励その他を、なるたけ滞納をしないように期前に慫慂して回るというような制度を徹底して参りましたので、滞納処分をしなくても自主的に納税するという方向に事務を切りかえてやっております関係で、三ヵ月後で九〇%まで入るという実績まで参っております。もちろん、この一ヵ月、二ヵ月の分は、一応発生額に入るわけでございますが、それがそれだけすぐ落ちて参ります。
  52. 大矢正

    ○大矢正君 滞納のいわば性格や件数の中でも、やはりほんとうに事業の内容や経理の状況や資産の内容が悪くて滞納をする場合ですね、それから何といいますか、作為的にとは言わぬけれども、悪質な滞納というものもあると思うのですが、そういった極端な悪質な滞納というのは、大体パーセンテージにするとどのくらいあるものですか、年々。
  53. 吉国二郎

    説明員(吉国二郎君) この滞納原因の調査というものは非常にむずかしいのでございますが、実は昭和三十年ごろから滞納処分の執行の仕方をずっと改善いたして参りまして、原因別に滞納者を分類いたしました。その原因に従って、徴収猶予を与えたり、あるいは場合によっては強制処分をやるというやり方で進んで参りました。その関係で、現在ここにそういうやり方をするにつきまして、予備的に、全国で滞納者の一定のものにつきまして滞納原因調査というものをやったわけでございますが、そのときの実績で申し上げますと、滞納原因の大きな分類で申し上げますと、事業の拡張または通常生活水準を越える資金の使途に充てたものというものが約四八・五%ございます。ですから、これはまあ税よりも事業の拡張を先にしてしまったというたぐいのものでございます。それから医療費の支出でございますとか、緊急やむを得ない支出に充てたために滞納になったというものが二一・二%くらい、それから営業上の損失が生じたために滞納してしまったというものが八・三%、その他の使途によるものが二二%。こうやって見てみますると、どうも滞納の一番大きな原因は、事業の拡張のため、あるいは生活を派手にし過ぎたためというのが、実に四八・五%あるという数字が出ておりますが、これはその後もまたずっと変って参っておると思います。
  54. 大矢正

    ○大矢正君 租税徴収制度調査会の答申という厚い本の中で、特に一つ問題点があることは、税法というものが、とにかく今日の段階では、あらゆる法律に同じようなことを書いている場合が多いのじゃないか。従って、これはまあ、たとえばアメリカやドイツの税法のように、共通規定というものが、国税徴収法としてももっと抜本的に整理をする必要性があるのだと思う、通則法として。しかし、当面はどういう理由か知らぬけれども、なかなか無理だろうから、まあ今の段階では、現行法律の特に改正を行なって、いわば私債権と国税との関係等を明確にするだけで国税徴収法というものが作られているようになっておるし、それから調査会答申もそうなっておるわけですが、これから大蔵省としてはそういう通則法的なものを作る考え方があるのかどうか、この点について一つ局長政務次官から御答弁願いたいと思います。
  55. 原純夫

    政府委員(原純夫君) なかなか大事業なんでありますけれども、やはりその必要はあると思っております。今回の改正にも、当初取りかかりましたときは、そこまでやり切ろうと思っておったのです。ところが、何分、答申書をごらんになってもおわかりのように、私債権に対する租税の優先の関係一つでも非常に問題の多いところで、かつ、その他いろんな滞納処分、差し押え、換価の制度を合理化するという場合に、すべてこの私法上の差し押え、強制執行の系列の法律関係と、かなり照合しながらやらなければならぬということで、ずいぶん回数を重ねたことはこの報告書の中にも出ておりますが、毎回みんなが非常に考え込んで活発に議論してやったので、まあ私どもとしては、結局今回できなかったのは、力そこまで及ばなかったというよりほかないので、やはり意図は捨てておりません。  ただ、今後通則法の問題としましては、いろんな租税債権の発生から消滅に至りますまでのいろんな関係、あるいは加算税、利子税その他の付帯税の関係、あるいは訴訟手続の関係、あるいは罰則の関係、いろいろございます。それらはまた同様に、一般私法との関係もありますので、相当手数はかかるだろうと思います。具体的にどういう格好でやるか、今回は新しい税制調査会を設けますが、それに乗ってやり切れるかどうか、もう少し具体的にこの計画立ててみたいと思いますけれども、やる気持は持っております。
  56. 大矢正

    ○大矢正君 大体、大蔵大臣も前回答弁しておったのですが、今年から抜本的に今の税制を改正したいというような意思表示もされていますね。直税、間税の関係、その他一切を含んでやりたい。また地方税も関係してくると思うんですが、そうすると、これによって大体もう安定した、シャウプ税制以降の日本の現状に合った税制というものが私は確立されるのじゃないかと思います。どういう調子になってくるか別ですけれども、そうなってくると、その新しく出てくる、いわば日本の国情に適した、アメリカから持ってこられた税制じゃなく、ほんとうに日本みずからの税制というものができるとすると、この時期に合せて、今の税制に対する通則法的なものも整備する、今の国税徴収法を再度改めて、集約すべきものは集約するという方向で同時にいくべきじゃないかと私は思うんですが、その点はどうですか。
  57. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 私、気持としてはやりたいなという気持を強く持っております。ただ、安受け合いに終ってはいけませんので、私果して二年やっているかどうかわかりませんが、三年の間のスケジュールというものを、今読める限り読んで、具体的スケジュールを立てましてやりたい。気持としては、そうですという気持でおります。
  58. 大矢正

    ○大矢正君 質権、抵当権というものは、従来の明治時代の法律からいくと、いわば一年前までは効力がある、こういうことになるわけですね、逆算すると。今度はいわばそれが、優先が同調した格好になるわけですね。劣後はしないけれども、同調するという格好になると思うんですけれども、ところが、実際的にはその方がいいのだという意味で私は言うのじゃないけれども、たとえば一つの企業がかりにつぶれかかってきた、しかし、その場合につぶれてしまえば税金もとれないし、ほかの私債権も取り立てることもできないというようなことから、更生法その他の手続もあると思うんですけれども、とにもかくにも、そういう滞納処分による差し押え、換価、その他そういう処置を講じないで、結局ある猶予期間を設けて、計画立てさせて滞納税を払わせるという方向に進むと思うですがね。その場合には、現実的には、これは租税というものとそれから私債権というものが同調するのじゃなくて、むしろ現状の問題として劣後するという結果が出てくるのじゃないかという気がするんですよ。その方がいいのだという意味じゃなくて、あるいは悪いのだという先入感に立って言うのじゃないが、現実的にはそういう事態になるのじゃないか。そうすれば、質権、抵当権という問題について、かりに優先はしない、同調程度考え方であっても、最終的には現状に照らしてみれば劣後するという結果になりはせぬか。そういう点の心配はないものですか。
  59. 吉国二郎

    説明員(吉国二郎君) 現在でも、破産法の場合でございますとか会社更生法の場合の租税債権がどういう地位にあるかと申しますと、租税債権の中でも一定のものは会社更生の場合共益債権になりますけれども、あとは更生債権になる、こういうようなことでございまして、更生計画の中で場合によっては租税の徴収猶予もいたしますし、同時に債権の切り捨て額の中に入る場合もあるということでは、税自体が総体の会社更生計画の遂行のために譲るという事態が起っておるわけでございます。同じような手続はほかにも、和議手続とかあるいは会社の整理というような手続がございます。こういう会社を立て直していこうという場合にまで、税があくまでも優先するといってがんばっていいかどうかということは、実は調査会でも非常に問題になったわけです。ただし、現在の和議手続や会社の整理手続におきましては、担保権者というものは絶対に強い立場で、絶対に譲らないということになっておる。そんな点から、税だけが譲ってしまうと、今おっしゃいましたように税が譲るという結果になると、やはりこういう制度も、将来会社立て直しのためにはいろいろな優先権のある債権を一体にして考えてみて、そうして会社の更生なりあるいは個人の更生のための債権の相互の譲り合いという問題を明確に規定すべきであるならば、その場合には税も、その整理なり更生のための手続で、他の債権と同様な考え方で、その再建に努力するために一部を譲るということも考えていいんじゃなかろうか。  ただ、現状では、他の債権も、また担保権も、あまりに強過ぎるということでございます、現在では。そこで、担保権と税とをさらに調整をして、こういう更生手続を完全にしていくべきだろう。現状では今のままでやむを得ないが、将来の問題としてはそうあるべきだろうというような答申が、実はこの四十四ページ以下に出ております。で、そういういわば会社の死ぬか生きるかという非常事態に、総債権者が一緒になって立て直しをはかるという場合に、税がやはりただ優先権だけを主張しないで、それに協力をするという事態が将来やはり出て参るのではなかろうかという感じはいたしております。現在では、会社更生法の場合にそういうことが一部出て参っておる程度でございます。
  60. 大矢正

    ○大矢正君 質権や抵当権という問題は、ある程度譲ってきておりますから、この点は、国民としても、あるいは私債権の問題としても、いいわけですけれども、今度は前の法律になった、結局穴ふさぎですね、譲渡担保の問題とか、あるいは仮登記はだめであるとかいう問題ですが、私は、これはなかなか、この逆な意味でいうと、あなた方から言わせると、こういう穴があったので国税の徴収ができなかったんじゃないか、滞納処分ができなかったんじゃないかという理屈はあるかもしらぬけれども、やはりとられる側にしてみれば、その穴をふさがれるということは、出口がないんですから、この点では非常に僕はやはり問題点が出てくるんじゃないかという気がするんですよ。  そこで、実際的に、たとえば売り渡し証明をつけて、そうしてもう譲渡担保にしてしまうということによって租税の滞納処分を免れるというような形ですね。具体的な実例ですよ。これは設例ではなくて、実例が事実どういうのがあるか、一つでもいいから、この際例をあげてもらいたいし、それからまた、もう一つは、そういうものがどの程度一年間にあるものかですね。
  61. 吉国二郎

    説明員(吉国二郎君) この実例の問題でございますが、御承知のように、従来は譲渡担保につきましては、手はつけられないものですから、すべて滞納処分しておりません。そのために実績が出て参りませんので、しょっちゅう困る困るという声はございますが、なかなかその実例を探すのはむずかしいものでございますから、実際に徴収職員で出合ったケースは、国程庁でずっと収集してみたことがあります。でございますから、これは期間とかあるいは範囲等から申しますと不正確でございますが、そこで出てきた事例では、短期間に集めた事例でも、譲渡担保のために差し押えができずに徴収債権を失ってしまったという事例が、百六十五件ほど譲渡担保で出ております。その総税額が二億数千万円だったと覚えております。  中には、極端な事例でございますと、これは長野であった事例でございますが、ある銀行がカメラの会社に金を貸しておりました。その契約書で、その会社が買い上げた原材料はその場で直ちに所有権の移転をなす。それから、その原材料を用いて作った半製品、製品は、できたつど、これはすべて所有権を移転する、こういう契約になっておりますので、差し押えに参りましたところが、全部の資産が銀行の資産だったという状況でございます。しかし、こういうのが果して譲渡担保にしていいのかどうか問題がございますが、一応譲渡担保でございます。もっとも、その具体例は、そういたしますと、御承知の物品税の関係で、物品税の六条四項の規定で、銀行が納税義務者になるはずだということで、銀行の方で辞退をしたということで片づいておりますが、そういう事例がかなりございます。  それから、大きな例は、あるかなり公益事業的なものでございますが、これが源泉所得税を八千万円滞納しております。生命保険会社から融資を受けており、この関係の機械、施設、その他建物はすべて抵当に入っております。その他の機械器具すべて譲渡担保に入れてしまって、新しく入るのも追加して、どんどん譲渡担保に入れるものですから、結局、行ってみると、中にその会社固有の資産というものはほとんどない。しかも会社はそのまま動いているという事例で、これは約四千万ほどのものが徴収不足になっております。その会社はどこかへ今清算して合併して、まだりっぱにやっておりますが、そういう事例がございます。  この譲渡担保では、目立った大きなものが割合に最近出て参りまして、大型機械等を譲渡担保にするという関係から、徴収不足を生じた事例がかなり多く出ております。
  62. 大矢正

    ○大矢正君 この財政経済広報というのを見ると、国税徴収法の改正と私債権ということについて対談しているのですが、この中に留置権の問題にからんで、自動車のいわば修理に関係してちょっと出ているのですがね。そこで言われているのは、実際問題として、留置権というものは、かりに自動車を持ち込んだあと、いつの時期に権利が発生をするのかというようなことで、ちょっと疑惑もあるのです。私も考えてみると、かりに持ってきた場合、持ってきただけで修理は全然していないという場合ならまた別ですけれども、かりに一割でも二割でも修理を進められたとか、また五割とかあるいは八割とか、また完成したというような場合は、それはそれぞれ違ってくるのじゃないかという気がするのですが、こういう場合にはどういう判断で行われているのですか。
  63. 吉国二郎

    説明員(吉国二郎君) 留置権につきましては、現在の民法の規定では「他人ノ物ノ占有者カ其物ニ関シテ生シタル債権ヲ有スルトキハ其債権ノ弁済ヲ受クルマテ其物ヲ留置スルコトヲ得但其債権カ弁済期ニ在ラサルトキハ此限ニ在ラス」ということになっておりますので、自動車の修繕の場合は一種の請負業務になっております。従いまして、請負である修繕を完了いたしまして、普通はすぐ支払いということになると思いますが、支払い期限があればその支払い期限を経過したときに、留置権が発生すると考えられるべきものだと思います。
  64. 大矢正

    ○大矢正君 議論のあるところですが、お待ちかねの方も多数ありますから、反論はいたしませんけれども、三月十五日の納期限が来て、その後かりに仮登記をした、その後修正申告ももちろん納税者はしない、最終的には、非常に申告が少かったから、大幅にかりに更正決定が来た、こういう場合ですね。特に仮登記というのは、おそらく税金が過重にかかってくるから、この際仮登記をしておけというような意思じゃなくて、結果としてはそういうふうになったというような場合に、更正決定が非常に膨大であったというようなことから、その更正決定がさかのぼって納期限の三月十五日に来て、そのために私債権の持ち主がこれは劣後するというのは、非常にかわいそうじゃないかという気がするんです。法律的には、それはいろいろあなたの方でも言い分はあるでしょう。あるでしょうけれども、どうも感情的に考えてみて、私はそれは気の毒じゃないかという気がするんですが、これは私の考え方が間違いかどうか。
  65. 吉国二郎

    説明員(吉国二郎君) 更正決定の税額でございますと……。更正決定の税額が非常に多かったという場合には、その更正決定の通知を出したとき以前に仮登記をしておれば、これはその税額に対して仮登記の方が効力を持ちますから、その場合は問題ないと思います。仮登記と譲渡担保につきましては、そういう意味で、今度新しくやるという関係で、納期前に設定したものはもうじゃまをしない。納期後に設定したもの、あるいは納期後に仮登記をしたものは、いずれも税というものを意識してやっておりますから、その分は覚悟しておるであろう、合後は覚悟するであろうということで、その分だけを手をつけることにしております。この点で、質権、抵当権よりは、これらの権利の方がまだ若干強めになっておる。まあそれは最初のことでございますが、その点で配慮しております。
  66. 大矢正

    ○大矢正君 時間もだいぶたちましたから、最後に一つだけお尋ねしておきたいのは、衆議院では何か付帯決議をこの法律につけて、特に賃金債権とそれから中小企業の下請代金については、もちろん、この法律において云々ということもこれは不可能に近いことでありましょうけれども、やはり税務当局としても、一般私法との関連においてこれから十二分に考慮して、でき得る限りこういうものを優先するようにすべきではないかというような、そういうふうに私は解釈しておるんですが、付帯決議がついておるようでありますが、私はこのことはもう当然のことだと思いまするし、やはり少くともそこに働いておる者が賃金債権を持っておる場合に、働いている者の理由で、結局企業が租税を納めることができなくて滞納処分その他が来ると私は思われないので、おそらく経営者の能力その他によって、このような結果が出てくるであろうと思うのであります。それからまた、もう一つは、中小企業の下請代金の場合でも、国税の場合は、これは一本でありますから、それで済みますけれども、下請代金というものが劣後した場合には、当然連鎖反応が起きることは明らかですね。その下請代金を結局もらうことができなかった企業に関係をしておる企業はみんな影響してきて、みんな連鎖反応的に多くの企業がつぶれるとか、それに近いようなことが考えられるわけですね。従って、こういう点では、やはり賃金債権や特に中小企業の下請代金については、十二分にこれから一般私法の上においても、もちろん考慮を払わなければならないと同時に、対国税の関係においても、国税徴収関係におきましても、私は検討しなければならない内容のものがあると思うんですね。  それで、これは一つ原さんにお答えをいただきたいと思うのですが、どうか一つ特段の考慮を——ここで付帯決議をつけませんけれども、私どもも、衆議院がつけておる付帯決議のような考え方は、心配として、疑念として税法改正以前から持っておることでありまして、たまたま税法改正がなされるから特にそのことを強調するわけですが、どうか一つそういう点については、今後私は大蔵省の誠意を信じますから、善処をいただきたいと、こう思います。
  67. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 衆議院でつきました付帯決議は、滞納者に対して、国の税金のほか、賃金債権を持っておる労働者が、あるいは下請の中小企業がその滞納者である親企業に対して下請代金債権を持っている、そういうものについて、この保護をはかれというお話であります。私ども今回御提案申し上げております法案の中でも、滞納者自体が持っている賃金債権については、相当合理化をはかったわけであります。従いまして、この滞納者の払うべき賃金債権についても精神は同じじゃないかという点は、私ども全然同感で、この調査会の答申においてもそういう趣旨を言っておられるのです。たた、あえてそこまでいきませんでしたのは、調査会の答申も、その問題は一般私法の法体系全般にまたがる問題であるから、そういう角度を入れた視野で十分検討をすることが望ましいと言われたわけであります。ですから、私ども方向としてはよくわかるわけであります。で、関係の法務省の方にも御連絡して、将来私どもは同じ気持で御協力申し上げましょうと申し上げたわけであります。  なお、滞納者が負っている中小企業者の下請代金、滞納者に対して中小企業が下請代金として債権を持っているというその債権を、この税金に優先させるかどうかという問題は、これはこの話の沿革としては、下請代金債権の中から下請の労働者が賃金を持ってくるのだという気持が入っているのですけれども、下請代金債権になりますと、ごくまあ通常の品物を売った代金である、あるいは請負行為としてやった代金であるということになりますから、これはもうごく一般私法秩序における通常の債権。ただし、債権者は弱いといえば弱いというものになりますから、先ほどの給与債権よりはなかなかこなしが簡単にはいかないと思います。しかし、お気持のほどはわかりますから、担当の法務省にも御連絡して、十分検討するようにいたしますというふうに申し上げたわけでありまして、ここでも私はそういう気持であるということを申し上げます。
  68. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 他に御発言もなければ、これにて両案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。両案に対し御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。国税徴収法案国税徴収法の施行に伴う関係法律整理等に関する法律案を問題に供します。両案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  71. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 全会一致でございます。よって両案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、慣例により、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、本日は散会いたします。    午後四時十七分散会