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1959-03-17 第31回国会 参議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十七日(火曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————   委員異動 三月十三日委員重政庸徳君、岡田宗司 君及び安部キミ子辞任につき、その 補欠として迫水久常君、椿繁夫君及び 小林孝平君を議長において指名した。 本日委員岡崎真一君、井上知治君、林 田正治君、梶原茂嘉君及び小林孝平辞任につき、その補欠として笹森順造 君、苫米地英俊君、鶴見祐輔君、中野 文門君及び小笠原二三男君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤 正人君    理事            土田國太郎君            山本 米治君            大矢  正君            天坊 裕彦君    委員            青木 一男君            迫水 久常君            笹森 順造君            塩見 俊二君            鶴見 祐輔君            苫米地英俊君            中野 文門君            西川甚五郎君           小笠原二三男君            小酒井義男君            椿  繁夫君   政府委員    大蔵政務次官  佐野  廣君    大蔵省主税局長 原  純夫君    大蔵省主計局法    規課長     小熊 孝次君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省主税局税    関部長     木村 秀弘君    大蔵省理財局資    金課長     鈴木 喜治君    食糧庁業務第二    部長      昌谷  孝君    日本専売公社副    総裁      石田 吉男君    日本専売公社生    産部長     駿河 義雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○賠償等特殊債務処理特別会計法の一  部を改正する法律案内閣送付、予  備審査) ○所得に対する租税に関する二重課税  の回避及び脱税防止のための日本  国とデンマーク王国との間の条約の  実施に伴う所得税法特例等に関す  る法律案内閣提出) ○関税法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○産業投資特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○関税定率法の一部を改正する法律の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○砂糖消費税法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○租税及び金融等に関する調査の件  (専売事業に関する件)   —————————————
  2. 加藤正人

    委員長加藤正人君) これから大蔵委員会を開会します。  委員異動を御報告いたします。三月十七日付をもって委員井上知治君、林田正治君、岡崎真一君、梶原茂嘉君が辞任されまして、その補欠として苫米地英俊君、鶴見祐輔君、笹森順造君、中野文門君がそれぞれ選任されました。   —————————————
  3. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 次に、賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案及び所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国デンマーク王国との間の条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律案、以上両案を一括議題といたし、順次、提案理由説明を聴取いたします。
  4. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) ただいま議題となりました賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  カンボディアは、昭和二十九年十一月二十七日、わが国に対し、カンボディア日本軍の占領に基因する賠償請求権を放棄する旨を通告してきましたので、政府は、今回、カンボディアの好意ある措置を考慮して、日本国カンボディアとの間の経済及び技術協力協定を締結し、無償経済及び技術援助を供与することといたしました。この協定につきましては、国会承認を経るため、別途、今国会に提出して御審議を受けているのでありますが、政府におきましては、この無償経済及び技術援助のための債務処理に関する経理を、ラオスの場合におけると同様、賠償等特殊債務処理特別会計において行うことが適当であると認め、この法律案を提出した次第であります。  以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその内容であります。  次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国デンマーク王国との間の条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律案について、提案理由及びその内容を申し上げます。  政府は、今回、デンマークとの間に所得税及び法人税に関する二重課税回避及び脱税防止のための条約を締結し、その批准について承認を求めるため、別途御審議を願っているのでありますが、この条約規定されている事項のうち、特に法律規定を要すると認められるものについて所要の立法措置を講ずるため、ここにこの法律案を提出することとした次第でございます。  以下この法律案内容について申し上げます。  まず第一に、利子所得等に対する所得税法特例を定めることといたしております。すなわち、今回の条約によりますと、わが国及びデンマーク両国とも、国内恒久的施設を有しない非居住者等に対して支払われる利子所得等につきましては、百分の十五をこえる税率課税をしてはならないことになっておりますが、わが国所得税法では、これら利子所得等に対する税率は百分の二十と相なっておりますので、条約適用のある場合には、所得税税率を百分の十五に軽減することにしおるのであります。  第二に、特許権等譲渡により生ずる所得に対する所得税法及び法人税法特例を定めることとしております。今回の条約によりますと、わが国及びデンマーク両国とも、国内恒久的施設を有しない非居住者特許権等譲渡による所得に対する租税は、収入金額の百分の十五をこえてはならないこととなっておりますが、わが国所得税法及び法人税法では、この種の所得につきましては、一般所得と同様に、個人については累進税率により、法人については一般法人税率により課税することとなっております。従って、条約適用のある場合で、これら所得に対するわが国税法による税負担収入金額の百分の十五をこえることとなるときは、その負担収入金額の百分の十五に軽減することとしておるのでございます。  最後に、今回の条約実施に関して必要な手続その他の事項は、条約規定趣旨に従い、大蔵省令でこれを定めることとしておるのであります。  以上がこの二法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成賜わりますようお願いいたします。
  5. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 両案に対する質疑は後日に譲ります。   —————————————
  6. 加藤正人

    委員長加藤正人君) これより関税法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。質疑のある方は、順次、御発言を願います。
  7. 大矢正

    大矢正君 この改正案によりますと、三十四年と三十五年の実績に基いて、もし条件に満たない場合には、開港が取り消されるわけでありますが、提案理由説明の中には、二年間継続して二つの基準の双方を満たさない場合には開港取り消しを受けるのだ、こう書いてあるわけだけれども、事実上もうすでに三月も過ぎて参りましたが、三十五年の十二月三十一日で切れるということになりますと、二年間じゃなくて、一年九ヵ月になるのじゃないかと思うのです。これはどういうことになりますか。
  8. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) 三十四年と三十五年の実績を見まして、そしてその二年とも、両方の年ともに今の基準を満たさない場合には、三十六年の一月一日で整理される。いわゆる三十五年からさかのぼって二ヵ年ということになります。
  9. 大矢正

    大矢正君 私の言っておるのは、あなたの言うことはわかるのだけれども、ここで二年間経過をしたら云々と提案理由で書いているけれども、二年間という日数はないのじゃないか、一年九ヵ月しかないのじゃないかということを聞いておる。そうでしょう。
  10. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) 正確にはそういうことになります。ただ、この統計の、入出港船舶なり貿易統計のとり方が一月一日から暦年で計算しておりますので、そういうことになります。
  11. 大矢正

    大矢正君 それじゃ、一〇〇%入出港をとらえるためには、三十五年、三十六年の二年間やって、三十七年の一月一日とした方が、一番これは順当に二年間の統計をとれるのじゃないですか、実績をつかむことができるのじゃないですか。
  12. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) まあそういうお考えも確かにございますけれども、しかし、三十三年の実績はすでに出ておりますし、まあ三十四年、三十五年、暦年で二ヵ年ということならば、大体の趨勢はそこでわかるのじゃないかという考えから、完全なまる二ヵ年ということでなく、暦年でもって足かけ二ヵ年ということに提案をいたしたわけでございます。
  13. 大矢正

    大矢正君 これはまあ政府提案とは違ってきたわけですね。ということは、前の国会では——前といっても、これは昨年の通常国会だと思うのですが、私から特に提案をして一年間延長してもらったわけなんですが、ここに出てきた形からいくと、一年間延長してもらったことがあまり効果が上っていないことになるのですね。なぜかというと、去年提案されたときの法律からいっても、いわば三十五年一ぱい開港取り消しがされることがないのだというように解釈されておったわけです。それからことしにかけて一年間たっておるわけですから、そうすると、三十六年一ぱい取り消しをされなくても済むのだというようになるのが妥当じゃないかと私は思っていたところが、今度出てきたのは昨年の通りのいわば内容でありまして、去年の修正提案趣旨というのは、やはりこれから貿易の拡大、特に日ソ日中貿易がある程度期待できるのじゃないか。そうすると、だいぶん貿易の高も違ってくるから、その面で開港を取り消されなければならないような事態が少くなるだろうというような見通しで、これから二年程度様子を見よう、そういうことになったわけですがね。それから本法の一年と、合計三年と、こういうことだったのですが、ところが、それが結果としては、一年間たったけれども、実質的に一つも延びていないのだから、どうも私はその点で不満があるのですがね、去年の当時の経緯から見て。
  14. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) これは必ずしも二年でなくちゃならぬとか、あるいは三年間見なくちゃならぬとか、あるいは、三年間じゃ多過ぎるとかという絶対的な議論は成り立ちませんので、おっしゃるような考え方もあると思います。ただ、この前の国会のときにこの委員会修正になりましたときのお考えから考えまして、大体昭和三十五年——三、四、五と三年間くらい見れば、大体の模様は固まるべきところは固まってくるのではないかというような御趣旨かと思いまして、一応この前修正をされましたあとの形で提案をしたわけでございまして、先ほど申し上げますように、これが三十六年であればはっきりした形が出るとか、あるいは三十五年じゃ出ないんだというような、絶対的な議論は成り立たないと思います。
  15. 大矢正

    大矢正君 これは、開港を取り消す場合の基準というのは法律の中に明らかになっているのだが、開港をする場合の基準というものは法律の中にはないじゃないですか。
  16. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) おっしゃる通り法律の中には開港に付する場合の基準はございません。ただ、一応のめどとしましては、開港閉鎖基準が書いてございますので、もちろん、この実績以上に上回った実績を持たなくては開港に指定するだけの資格には欠ける。しからば、この現在の閉鎖基準というものはそのまま開港基準でもあるのかということになりますと、これは将来の見通しとか、あるいは、これは最低限度基準でございますんで、ある程度これを上回っておる、将来もそういう傾向が続くであろうというような見通上に立ちまして、なお地元等の御希望なんかも考えて、そのつど法律でもって指定していくという形に相なっております。
  17. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終結したものと認めて差しつかえございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。関税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  20. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致を  もって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  22. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 次に、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のある方は御発言を願います。
  23. 大矢正

    大矢正君 この産投会計法それ自身は、五十億の経済基盤強化基金からこの会計組み入れるということだけでありますから、それ自身については別に問題はないと思うのです。ただ、これに関連して、どうも私は不可解だと思うのは、経済基盤強化のための法律ができて、二百二十一億のたな上げがなされた際に、まあこういう条件のもとにこの金を使うだという法律の規制がありますが、ところが、まあ事実予算書には確かに、道路整備とか、科学技術振興とか、そういう形で使われる、織り込んだ、こういう内容が出てはいるんですけれども、実際上それじゃ確実にその通り二百二十一億の金が、産投会計の五十億はかまわないけれども、それ以外の百七十一億という金が、金額通りのものが道路整備の方とか、あるいは港湾整備とか、科学技術振興とかいうところに使われたというような明確な根拠というものがないように思うのですね。そうすると、経済基盤強化基金それ自身の金のいわば出し方、一般会計組み入れ仕方自身に、どうも使途が明らかにされていないという点では、不明瞭なものがあると私は思うのですが、その点はどうなんですか。
  24. 小熊孝次

    政府委員小熊孝次君) 御承知のように、昨年度経済基盤強化資金として金二百二十一億三千万円ができたわけでございますが、本年度はこのうち道路に百億、港湾関係漁港を含めまして五十億、異常災害が十億、それからただいま御審議願っておりますところの産投特別会計の繰り入れが五十億、それから科学技術振興が残りの十一億三千万円、こういう割り振りで財源に使用しておるわけでございますが、その際、ただいま先生の御質問になりました何にどれだけ使われておるかということがどういうふうにしてわかるか、あるいはわかる根拠はどうが、こういうお尋ねでございます。  経済基盤強化資金法律におきましては、第七条に、資金は、ただいま申しましたような目的の「財源に充てる場合に限り、予算の定めるところにより、使用することができる。」、こういう規定でございます。で、これにつきまして、この予算によって一般会計に受け入れました資金は一応は一般財源になるわけでございます。それをただいま申しましたような五つの目的に使用するけじめはどういうふうにして考えるかということでございますが、これはやはり各歳出科目当該目的の示すところの歳出科目最小限度その受け入れた金額合計額が使用されておればよろしい、このようにわれわれとしては考えておるわけでございますが、ただ、御承知のように、実際問題としてはそういう取扱いはしておりませんで、道路につきましては、御承知のように、ガソリン税がございますが、ガソリン税のほかに一般財源としての百億というものを計上しておりまするし、それから港湾につきましても、漁港を含めまして五十億以上の増額をいたしておる。それから科学技術振興につきましても、十一億以上の増額をいたしております。それから異常災害につきましては、これは昨年度の異常の災害につきまして補正をいたしましたり、予備費を使用いたしました関係上、総額としては三十三年度と三十四年度とではバランスがくずれておりますが、補正前の姿から申しますと、当然に十億以上の増額になっておる、こういうことになっておりますので、そういうような比較の仕方をしていただきますれば、少くとも経済基盤強化資金というものは、前年度よりもふえて使われておるということがいえる、このように考えておる次第であります。
  25. 大矢正

    大矢正君 この産投会計の三十四年度予算の中身のうちに、特に運用利殖金収入というのが九十八億ありますね。この三十四年の三月末現在で産投会計資本構成というものが三千八百億をこえているわけですが、これと比較すると、運用利殖金というものが比較的少いわけなんですが、できましたら、運用利殖金というものの大ざっぱな説明を、この際一つしていただきたいと思います。
  26. 鈴木喜治

    説明員鈴木喜治君) 運用利殖金収入は三十四年度予算——産投会計予算では九十九億程度見込んでおるわけでございますが、これを大きく分けますと二色になりまして、一つ産投から過去に貸し付けました貸付金利子収入、もう一つは出資いたしました各機関の利益の納付金でございますが、その中心開銀納付金でございまして、利子合計が四十億になりまして、納付金が、本年度開銀からの納付金だけでございますが、五十八億になっております。非常に簡単でございますが……。
  27. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。産業投資特別会計法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  30. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 多数でございます。よって本案は、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたしました。   —————————————
  32. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 次に、関税定率法の一部を改正する法律案及び砂糖消費税法の一部を改正する法律案一括議題に供します。  御質疑のある方は御発言を願います。食糧庁業務第二部長が来られました。
  33. 大矢正

    大矢正君 それじゃ、始めます。今度の関税定率法砂糖消費税法改正によって関税の引き上げを行う反面、消費税の引き下げをはかることによって、国内テンサイ糖事業の育成をやろうという改正案が出されておるわけでありますが、聞くところによると、政府では甘味資源自給力強化のための相当長期にわたる総合的な対策が立てられているという話でありますけれども、この機会にその概要を一応説明していただきたいと思います。
  34. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 最近、てん菜生産振興臨時措置法ができましたことが一つの契機になったかと存じますが、北海道耐冷作物としてのテンサイ糖が非常に、農家の経営にふさわしいと申しますか、歓迎をされまして、ここ数年北海道におきますテンサイ栽培面積、従いましてテンサイ糖生産量が逐年上昇いたしておりますことは御承知通りであります。そこで、そういった態勢はひとり北海道だけでなしに、内地の府県におきましても、暖地ビートというような形で、テンサイの今後についてかなりの試験研究も行われ始めております。そのような情勢を反映いたしまして、従来政府がやっておりましたテンサイ奨励措置だけでは十分でございませんので、この機会に今後の日本甘味資源のあり方を整備をいたしまして、いろいろな施策をそれにそろえてやって参りたいという趣旨で、昨年来、農林省、主として食糧庁中心になりまして、今お話しのような甘味資源の総合的な考え方を案としてまとめてみたわけでございます。  で、その概要について御説明申し上げますと、まず、私どもが今後の砂糖の需給を想定いたします場合、現在は、御承知のように、ほとんど九割が輸入の原糖によってまかなわれてをるのが実情でございます。これを今後なるべく近い将来において、可能な限り、国内における自給度を向上いたしたいということで考えたわけでございまして、一応十年後の需要想定をいたしますと、約百五十万トン程度に相なろうかと思います。これは現在やっておりますと申しますか、現在の国民  一人当りの消費量が十三キロ強でございますが、これを所得伸びあるいは人口の伸び等をにらみまして想定いたしますと、一応百五十万トン程度というふうに見込まれるわけであります。その百五十万トンの需要に対しまして、なるべく自給度と申しますか、国内の充足をはかりたいという考え方で、かなりラフでございますが、国内での増産の期待可能性というようなものを想定をいたしてみたのでございます。そういたしますと、先ほど申しましたような機運もございますので、テンサイ糖大かた四十万トン程度。  この四十万トン程度と申します場合は、北海道でそのうちの大半、約三十万トンは依存をしなければならぬかと思います。北海道で三十万トン程度と申しますと、現在が約十二万トン弱でございますから、かなり急速に今後伸びていかなければもちろんならぬわけでございますが、最近の生産模様、また生産農民の意欲、それから製糖企業の熱意を考慮いたしますと、三十万トン、つまり工場数にいたしまして、現在規模の工場が十五工場程度稼働するという状態でございます。あながち無理な想定でもないように思います。と申しますのは、今後の土地改良その他の諸施策が進みますならば、四十五万町歩程度のものが北海道テンサイ作付可能面積として出て参ることも一応期待ができますし、まあ五年輪作——今は必ずしも五年輪作ではございませんが、五年輪作程度には地方の培養を伴って期待ができょうかというような前提で、約三十万トンを北海道テンサイ糖に依存することが可能ではないかというふうに考えております。  それから、内地テンサイ糖でございますが、これには御承知のように、現在はまだ試験段階でございまして、企業的に成立しておるものは一つもございません。ようやく最近に至りまして、ごく小規模の試験工場的なものを持とうかという程度の進捗でございますので、これは実を申しますと、海のものとも山のものとも、まだ現段階では断定できないものであります。各種の試験結果等を総合いたしますと、技術的には十分可能性があるということだけは確認をされておるのでありますが、問題は経営との結びつき、あるいは企業化といったような点で、北海道のような経営耕地面積なり、あるいは原料の集約的なと申しますか、集中的な原料生産基盤なり、そういったものがどの程度達成できるかというようなことが今後の研究課題であります。その意味で、まあ十万という数字は多過ぎるというふうにも考えられますが、うまく参れば、むしろ十万などという数字でないというふうにも考えられる。と申しますのは、内地の場合に、一般畑作物としてテンサイ考えられますほか、最近非常な速度で普及を見ました水稲の早期栽培がございますが、特に西南地方、九州地方、そういった水稲の早期栽培のあと作物としての適当な作物がなかなか確立されておりませんのが現状であります。テンサイはその早期栽培のあと作物としての可能性をかなり大きく期待できょうかというような角度で、ものを考えておるわけであります。  まあ、そういう多少希望的なと申しますか、予想が入りますが、一応私どもの想定作業といたしましては、そういった約四十万トンのテンサイ糖を、そういった十年後、まあかりに十年後と言っておりますが、近い将来に期待できるというふうに考えられます。  それから、いわゆるケイン・シュガー、カンショ糖でございますが、これは御承知のように、現在西南諸島で約三万トン弱、黒糖の形あるいは分密糖の形で出ております。それを、現在鹿児島県庁が中心になりましてその増産の計画が練られており、確立がされ、それの推進が行われておるわけでありますが、大体十年後にはそれが六万トン程度に増産されるというふうに計画されております。それから、沖縄の黒糖、分密糖でございます。これは現在税法上の扱いでは、御承知のように、内地と同様な扱いをしておりますので、私どもこの考え方のときには、一応国内産と同様のものとして供給に組み入れ期待をいたしておるわけであります。これも現在約六万トン程度生産されておったかと思いますが、沖繩の関係の方の御意見等をくみ入れまして、約十四万トン程度、つまりカンショ糖を現在からして十年後に約二十万トンにするというのを一つの可能の目標として掲げたわけであります。今、沖繩は六万トンと申しましたかと思いますが、現伏では遺憾ながらまだそこまで参っておりません。約四万トンでございます。  それからさらに、これはテンサイ糖あるいはカンショ糖でございますが、農林省といたしましては、昨年来と申しますか、昨年国内産のカンショ澱粉——バレイショ澱粉も含みますが、特にカンショ澱粉の今後の活用方法と申しますか、新しい販路の開拓ということに、これはまたカンショの生産農家あるいはカンショ作地帯の安定というような角度から検討を続け、澱粉調査会といったような調査会等をもちまして、各方面の御意見を伺って検討を続けておったわけであります。カンショ澱粉の新しい用途といたしまして、かなりの期待を持っておりますのは結晶ブドー糖でございます。現在はカンショ澱粉のうち約八割が水あめの形で、広い意味の甘味資源ということで消費はされておりますが、これが結晶ブドー糖という形にまで加工精度が進みますと、これはかなり、何と申し  ますか、砂糖の代替品と申しますか、あるいは総合的な甘味資源と申しますか、そういう意味で、現在は砂糖に依存しておる消費を切りかえて、結晶ブドー糖で補っていくということが可能になろうかと思います。その現状はたかだか一万トン足らずの生産がやっと試験的に始まった程度でございますが、昨年来農林漁業金融公庫の資金の融資のあっせんでありますとか、あるいは税法上の特典でありますとか、また政府が買い上げて持っております澱粉の売却の便宜でありますとか、そういったような一連の育成措置を講ずることによりまして、相当急速度にこれを砂糖とかわり得る商品として育てて参ろうというふうに私ども考えておりますが、十年後の目標といたしましては、全体の砂糖消費量が百五十万ト  ンでございますので、その大方一割程度の十五万トン程度は結晶ブドー糖で、現在の砂糖の消費、現在は砂糖で消費しております需要のうち一割程度は結晶ブドー糖に置きかえることが可能になるのじゃないかというふうに考えるわけであります。  そうこういたしますと、国内産のそういった甘味資源で、大かた百五十万トンの需要に対しまして半分、七十五万トン程度のものが、今後の育成のやり方によっては自給可能な状態に参るのではないか。そういうのが私どもの考えました今後の甘味資源の育成方針のあらましの骨子でございます。その骨子を実現するための方法として、たまたま関税消費税の切りかえというようなことも非常に有効な手段でございますので、お願いをいたしておるような次第でございます。
  35. 大矢正

    大矢正君 この関税を引き上げることによって、あわせてこの消費税を引き下げるという方法は、特に寒地農業をやっておる北海道なんかの農家の人人にとっては、一見したところ大へん、国内産業の保護という立場から、間接的にこれが農民に影響が与えられるというようなことで、これだけ考えると大へんいいように思うのです。話はちょっと別に入りますが、こういう法律的ないわば措置を行い、かつ十年の長期計画を立てて、甘味資源の自給力を強化する。さらにまた、聞くところによると、従来までのビートの買い入れというものが、年限を区切って打ち切られてしまうというようなことも行われているようでありますけれども、大体今度のこういう措置によって、砂糖の市場価格というのは一体下るのですか、上るのですか。聞くところによると、こういう改正案と、それからさらにこれに伴ってのテンサイ振興のための対策といったものとは逆に、砂糖の市中価格というものは上るというのが一般的にいわれているわけなんです。これはどういうことになるのですか。
  36. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 私どもが、先ほど御説明をいたしました百五十万トンの需要を測定をいたしましたり、その他申し上げましたような対策を講じました場合の前提に置いております砂糖の値段は、現在の税制下におきまして想定をいたしました砂糖の一斤当り、六百グラム当りの卸売価格は約七十一円でございます。で、今度の税制措置によりまして、輸入糖につきましては約二円弱の関税が上りますので、その結果、輸入糖が国内糖を支配するという現状の供給関係でございますから、市場価格は七十三円程度になるものであろうというふうに想定をいたした次第でございます。その基礎になりましたのは、現在のニューヨークの相場等から想定をいたしまして、そういうところが大体考え方の標準としてとるべき価格というふうに想定をいたしたわけでございます。その値段はもちろんいろいろの事情で変動いたしますので、実際に実現されます市場価格は必ずしもその通りにきちんとしたものになるわけではございません。一応の想定をいたしました前提は、そういう七十三円という糖価の水準を想定の基礎に置いております。  このことは、現在の税制下で申しまして、標準で申しますと約七十一円ということになります。これは過去の国内砂糖の価格の推移等から考えますと、輸入の外貨予算が十分に確保できなかった、こういう経過がございまして、過去の例から申しますと七十五円なり、あるいは二十八、九年ごろでありましたかは、たしか八十円をこえておったかと思います。それが最近、輸入の規模と申しますか、需要に見合って輸入ができるように、たとえば今年度で申しますれば、粗糖百十五万トンが輸入の規模でございます。この程度たっぷり輸入ができますれば、国際価格がそのままストレートに国内の市価に反映をする基礎条件ができてくるわけであります。そこで、その国際価格が直接に国内の価格をリードするという前提に立って考えまして、新税制下に七十三円という糖価水準を想定をして、テンサイ糖の買い入れの必要性なりその他を一応判断をいたしておる次第であります。
  37. 大矢正

    大矢正君 これはまあ、国内産業の育成ということは、ある面で見ればいたし方ないことでありますから、その点については異論はないけれども、結果として、その関税の引き上げによって国内のいわゆる消費者の価格が二円上るということは、これはまあ一般的の金額でいって二円というけれども、これは事実上、これからの市場の状況によっては、いわば輸入の精製糖を二円程度ということではとどまらないで、三円なり五円なりということも考えられると思うのですけれどもね。食糧庁としては、なぜ、たとえ関税の引き上げをすることによって輸入糖のいわばコストが上ったとしても、結論的にこれを調節をして、市場の価格というものが大幅に上昇をしないような手を打たないのか。なぜこういう手を打たないのか。どうも私どもは、しろうと考えだけれども、わからないのです。上ることそれ自身について、どうしてもまあ理解ができない。それは、あなたの言われる通り、アメリカの市場と比較をして議論をすれば、これは七十二円程度でも普通じゃないかという議論が出てくるかもしれないけれども、しかし、日本の消費者大衆としては、どうもそれでは納得がいかないのではないかと思うのですが、その点、どうでしょうか。
  38. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 先ほど申し上げました国内の澱粉なり、澱粉からできます新しい製品としての結晶ブドウ糖なり、こういったものの現在想定されますコストとの関連において、農林省の立場と申しますか、農業経営を総合的にうまくやって参るにふさわしい砂糖価格は、私どもが作業いたしました段階では、七十三円よりももうちょっと実は高い方がより好ましい、調和がとれるというふうに考えまして、一方消費者の側から見て、重要な消費物資でありますから、その辺の検討もいたしてみたわけでございます。  先ほど私、多少記憶で申し上げましたが、手元に資料がございますので、資料で御説明申し上げますと、三十三年度年度当初斤八十円程度の卸売価格でございましたのが、逐次輸入量が順調に入ったり国際価格が安定をいたしたというようなことで、途中までの平均でございますが、旧税制下において七十二円二十五銭という価格を形成いたしております。現在は、国際糖価の値下り等の事情もございまして、最近の卸売価格は七十円を若干切っております。つまり、百十五万トン程度現在の需給計画に基いての必要量の供給をいたしておりますれば、国際価格と乖離をしない国内価格の形成される一つ条件ができてくるわけであります。従いまして、食糧庁といたしましては、輸入量について非常に極端な抑制措置をとるような事態さえ防いで参りますれば、一ころありましたような八十円、八十五円というような卸売価格になる懸念は解消いたしたものというふうに考えております。  輸入量が窮屈でございました当時の実例を申しますと、昭和二十九年は年間を平均いたしますと八十二円四十二銭でございます。三十年が七十九円四十一銭、三十一年が七十三円八十九銭、三十三年はちょっと国際価格の点で異例な動きがございました結果でございますが、八十二円六十七銭というふうな推移をたどっております。今年になりましてからは、先ほど申し上げましたようなことで推移をたどっておりますので、私どもといたしましては、絶対額としての七十三円、あるいは私どもの希望的に申しますれば、七十五円という程度の卸売価格は、過去に実際上形成されました卸売価格等から見ましても、消費者の面で特に心配をしなければならぬというほどの価格水準というふうには私は考えておりません。そこで、むしろその程度で安定をいたしますことが、一つ国内の関連の農産物の増産という見地から申しましても、消費者の側から申しましても、その辺で安定をいたしますことが、一つ砂糖行政を進めていく上の適当な標準ではないかというふうに考えておるわけであります。  で、国際価格の変動自体の問題は、遺憾ながら、私ども直接的にはこれを制御する手段を持っておりませんけれども、御承知かと思いますが、主要な輸出入国が加盟をいたしまして国際砂糖協定というような協定を結び、供給量を予想し、需要量を予想いたしまして、需給のバランスをとりますように、在庫なり都市の自由市場に出回る砂糖の総供給量を一つの国際機関で制御をいたしております。出回り量の調整が主眼でございますので、非常に的確かつ直接的な効果は必ずしも期待できませんけれども、ほとんどの輸出国とほとんどの輸入国が加盟をいたしまして、三セント四十五ないし三セント二十五の線で国際砂糖の取引価格を安定しようという国際的な一つの機構が現に動いておりますし、今後もまた更新をされまして動くわけであります。そこで、私どもが輸入糖に依存しと申しますか、輸入糖の価格を国内価格に反映いたします場合に、そういった砂糖協定の目標といたしますところがやはり長期的には実現をすると申しますか、そういった線で、われわれもそのことを頭に置いて今後の砂糖の市場価格の推移を想定するということが、むしろ当然と申しますか、そういうふうになるべきではないかというふうに考えておるわけであります。
  39. 大矢正

    大矢正君 これはいつもよく言われることだけれども、製糖業者というのは非常に膨大な利益を上げているという話ですね。御存じのように、ごく最近の配当を見ても、やはり一番高いのは四割ですね、一番最低で二割五分以上の配当をしているのですね。そうやって膨大な配当を認めて、どういうわけでそれだけ高い配当ができるのかは、内容的に立ち入っておりませんからよくわからないのだけれども、いずれにしても、そういうように膨大な配当をするようにいいような状態を、食糧庁としてはいつまでもこれを見のがしていくわけですかね。
  40. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 先ほど御説明いたしましたように、過去数年間は必要な輸入量のかなり抑制が行われておったかと思います。従いまして、国際価格から、最近で申しますと何と申しますか、私どもが国際価格から算定をいたしまして、所要経費、適正経費を加えました国内糖価の水準が、先ほど申しましたように、現税制下では七十一円程度で、新税制下で七十三円程度であるならば、国際糖価を基準にしてさほど、何と申しますか、極端な利益が製糖事業にはない計算になっておりますが、過去の例は確かに、それが八十何円であったりいたした事例もございますので、そういった供給不足と申しますか、供給をかなり意識的にしぼらざるを得なかった時期におきましては、かなりの利潤と申しますか、資本の蓄積と申しますかが可能な状態があったかと思います。最近は、先ほど申し上げましたように、国際糖価の値下りに応じまして、国内糖価も相当下っておりまして、最近の東京の現実の相場は七十円を割って六十九円、あるいはそれ以下というような状態を現に実現をいたしております。私どもの判断では、ことしで、昭和三十三年度で申し上げれば、百十五万トン輸入したわけであります。この程度の供給量を国内に確保いたしておけば、御指摘のような非常な異常な利益が発生する余地というものはなくなっておるというふうに判断をいたしております。
  41. 大矢正

    大矢正君 これはあなたとやっても水かけ論で、そんな過当な利益はないと言ったって、現実に配当しているのだから、このいわば三月期決算だって明らかに、予想としては最低で二割五分以上、多いのは四割というのがちゃんと出ちゃっているのですから、事実上これは明らかにそれだけ利潤があるわけです。製糖工場というのは、御存じのように、機械の半分しか動いていない。一年間の半分は休んでいるのと同じです。逆論でいえば、もし二台あれば一台しか動かさないで、それだけでもって、しかも膨大な減価償却をして、それが結局どこに行くかといえば、あなたの理屈からいえば、国際的な砂糖のいわば市場価格というものと比べて日本はなにも高くはないという理屈は、それはあるかもしれないけれども、しかし、日本の国は砂糖のいわば市場の価格において必ずしも外国と同じでなければならないという理屈もないのですからね。だから、私は、もっともっと積極的にてこ入れをして、消費者価格が幾らかでも下るような努力をすべきだと思うのだけれども、逆に二円も上る、しかも上っても国際的にはなにも高くないからいいじゃないか、こういう議論にはとうてい私どもは納得がいかないのですが、それはあなたと私の水かけ論で、しょうがないと思うのです、これは関税局でなくて主税の方かと思いますが、かりに砂糖を倉庫から出した場合の徴税の猶予ですか、納税の時期ですか、これはどのくらいあるものですか。
  42. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 関税の方は、引き取りますとすぐに納めなければならぬわけです。それから消費税の方は、輸入糖を引き取ったという場合は、すぐに課税原因が発生する。しかし、それについては徴収猶予という制度がありまして、ただいま七十五日間の徴収猶予を与えております。それから、国内の製糖会社から引き取ります場合、移出します場合、この場合の砂糖消費税課税については、これは引き取りのつどでなくて、一ヵ月分の移出につきまして翌月末日までにその消費税を納める。しかし、徴収猶予の規定がありまして、これで一ヵ月だけ徴収を猶予するということにいたしております、もちろん担保は取りますが。そうしますと、一ヵ月分の移出についての全額を翌月末まで、それを一ヵ月延ばしますから二ヵ月ですね、先でよろしい。一ヵ月の平均を月の半ばととりますと、平均すると二ヵ月半の期間で、砂糖消費税国内移出の分も二ヵ月半で納められるということになっております。ですから、総体概略して、砂糖消費税は七十五日で入ってくるというようにいわれております。
  43. 大矢正

    大矢正君 土田さんがいるけれども、酒の場合は、たしか一ヵ月で納税しなければならぬはずだと思います。砂糖の場合に限って、私は九十日というふうに実は調べたつもりだが、七十五日でもいいのですが、とにかく七十五日も長期間税金をとらないで、いわば税金を貸しておくようなものだが、これはどういうわけですか。
  44. 原純夫

    政府委員(原純夫君) ただいま大へん私は間違いを申し上げました。国内の分は一ヵ月でとめております。ですから、平均四十五日になっております。税が、引き取りの分は一ヵ月の猶予になっております。大へん大きな間違いを申し上げて申しわけありません。で、お話の砂糖会社がもうかるからという点のことは、たびたびそういう何がありまして、前は、実はその上一ヵ月ぐらいの猶予を与えておったのです。これを、いつでございましたか、三年か四年前に猶予を切ったということになっております。  なお、つけ加えて申しますと、今回の消費税から関税への振りかえによりまして、関税は、今申した通り、猶予なくすぐ納めなければならぬ。で、相当多額を一時に納めなければならぬというふうに振りかえるわけです。そういうことがありますので、私どもは猶予の期間は実行上これを延ばしてやらなければならぬということを言っております。これは、お話の筋合いの砂糖会社がもうかっているという逆の苦しい——現在苦しいからというのでなくて、今消費税の方は三十日ないし四十五日の期間があるのに、それを振りかえまして関税になると、その分を先納しなければならぬということになりますと、相当大きな負担になりますので、それを延ばしてやりたいというような気持を持っております。先ほど申しましたのは、ちょっとガソリン税と混同しまして、大へん間違って申しわけありませんでした。
  45. 大矢正

    大矢正君 食糧庁にお尋ねしますけれども、てん菜振興協会で、いわば納付金をてん菜振興協会がとるわけではないのだけれども、おそらく国がとっててん菜振興協会にやることになるのですが、これはどういうわけで納付金をとって、それで振興協会の運営に充てるわけですかね。
  46. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 御指摘のあれは、現在農水委員会の方で御審議願っております日本てん菜振興会のことかと思いますが、二つの法律が出ておりますので、特別製糖業者からの納付金の徴収に関する法律と、それから日本てん菜振興会法と、二つ法律をお願いしておるわけでありますが、納付金関係は臨時てん菜糖製造業者納付金法というので、一定の条件のてん菜糖製造業者から今後五年にわたりまして納付金をとるわけです。まず、なぜそういった納付金をとる必要があるのかということでございますが、すでに御説明があったかと思いますが、今回の関税消費税の振りかえによりまして、従来二十八円の消費税負担しておりました国内テンサイ糖が、これはすべて斤建で、六百グラム建で申しておりますが、十二円六十銭の消費税負担で今後はやっていける。つまり、十五円四十銭だけ消費税負担国内糖について軽くなった。  そこで、従来は二十八円の消費税負担しております関係上、あらゆるテンサイ糖製造工場の製造いたしますテンサイ糖が、市中に出します場合は逆ざやになりまして、テンサイ糖工場としては、販売は、自力での販売は不可能であったのであります。で、大体その既存のテンサイ糖製造業者のうち、非常に償却が進んでおりまして、私どもがはじいております、在来食糧管理特別会計てん菜生産振興臨時措置法によって買い入れを行なっておりました対象工場のうち、本年度において申しますと、斤当りコストが四十五円五十銭というふうに想定される工場があるわけでございます。これらの工場も、先ほど申しましたように、在来は二十八円の消費税負担しておりました結果、輸入糖との競争関係で自由には売れない。政府が買って、損をして市中に売る以外に、商品化の道がなかったのであります。今後消費税が十二円六十銭ということになりました結果、これらの工場はもちろん新設工場といえども、もちろん、大体先ほど申しました平均市価が算定されます結果は、必ずしも政府に依存しなくても自立できるという環境ができたのでございますが、そのうち、今申し上げましたように、四十五円五十銭というコストで製造の可能な工場と、それから五十三円十四銭、五十三円強でやっと生産が見合います工場とあるわけでございます。で、税の振りかえをお願いをいたしましたときの基準といたしましては、この戦後に新しくできました標準コスト五十三円といっております、そこのところがほぼ自立すれすれに見合いますようなところを目標として、消費税の軽減を行なった。従いまして、それ以下のコストの中でも、著しくそれとコストの違っております、具体的に申しますれば、日本テンサイ糖の旧三工場はあまりにも段差ができ過ぎるのであります。  そこで、このことは、単なる関税消費税との振りかえという一つの行政措置と申しますか、制度的な変革の反射的な利益であって、これをすべて企業努力による利益で、当然その企業に属すべき利益というふうに見るには、あまりにも幅もあり過ぎますし、また、私どもも、そういうふうなコストの高い新しい工場を前提に置いて措置をしたわけでございます。そのコストの違い、またその結果の税制の切りかえによるコストの違いが今のような形で出て参ります分につきましては、むしろ、何と申しますか、まあ私どもの理解では、まあ何と申しますか、賦課消費税的なと申しますか、加徴金的なと申しますか、そういうものとして、特定の企業に属させない方が、今後の糖業政策なり、あるいは、それは原料収買面でも、また製品販売面でもそうでありますが、やはりある程度の追加的な負担をお願いして、企業の足なみをそろえていただく。そのことが制度の切りかえによって、単なる制度の切りかえによる反射的な利益を、放任しないということで、健全な企業の、全テンサイ糖企業あるいは砂糖企業の全体の調和を保持しながら発展をしていくということのために必要ではないかというのが、納付金法律趣旨でございます。  で、振興会法はそれとはまた違ったことでございまして、法律的には全く関係がないと申し上げてよろしいかとも思いますが、先ほど申し上げましたように、テンサイ糖を今後飛躍的に国内で増産をして参る。特に、従来の北海道だけでなしに、内地府県にもテンサイの栽培を可能にして参る。そういうことのためには、農家経営の面なり、栽培技術の面なり、品種の面なりで、今後行うべき試験研究の必要が非常に強いわけであります。これを従来の普通の方法の試験研究によってやっておりましたのでは、なかなか飛躍的に推進をする、型破りな重点的な試験研究を進めて参るということは、なかなか望めませんので、この機会に特殊法人を組織いたしまして、この日本てん菜振興会で主として試験研究なり品種の育成なりということをやって参るのが、テンサイの飛躍的な推進の一つの基盤になるのではないかということで、そういった、従来の例から申しますれば国の試験研究機関が担当すべき事柄を、あわせて特殊法人によって強力かつ弾力的に実行するようにということで、てん菜振興会というものを作ることにいたしたわけであります。  で、関連が形式的にはございませんが、実質上関連づけてお考えになりましたのは、納付金の今後五年間における徴収の見通しが、おおむね十六億程度予想されるわけであります。一方、それにほぼ見合います金額振興会に対する政府の出資または補助の形で出して参るというふうなもくろみを私ども持っておりますが、そういう意味で関連づけてお考えだと思いますが、そういうことで、たまたまそういうとるべき理由があってとります納付金を、国庫に納めると同時に、また、ぜひやりたいそういった試験研究を、ちょうどそういったことも見合いまして考えたわけであります。
  47. 大矢正

    大矢正君 寒地農業を確立させるという農林省の基本方針、まことにけっこうだと思うのですが、そういう意味においては、特に北海道のような冷害の多い地域では、ビートが一番妥当な作物だということで、特にこの面に対する奨励を最近やっておるわけですけれども、私はやはり、幾ら寒地に適した作物であっても、現状採算が見合うものでなければ、幾らかけ声をかけて、寒地農業確立のためにビートを栽培せいといっても、なかなかこれはいかぬと思うのですね。今、政府の方はある一定の基準を作って、それより上の部分は吸い上げるのだぞと、こういう形でいきますと、これが必然的に買い入れ価格に響いてくるんじゃないかと私は思うのですが、たとえば北海道の場合、今工場を建設するときには、反収大体四千斤を基準にして、六千町歩を一工場のビートの栽培面積と仮定して、現状では行なっておるわけですけれども、かりに将来北海道だけで三十万トンのビート糖を生産しなければならぬことになりますと、先ほどあなたの説明があったように、膨大な作付面積が必要になってくるわけですから、それだけ膨大な作付面積を急速度にこれから拡張しようとするからには、やはり生産者価格の面で相当保護を与えないとなかなか困難じゃないかと私は思うのでありますけれども、どうも政府は買い上げを行わない、既設の工場は一年間だけだと、それからまたこれから作る工場についても一年間だというような、そういう形で買い上げの面でも規制をし、しかもまた、金の面では利潤があればそれを吸い上げるということになると、北海道のいわば製糖業者というものは勢いそのしわ寄せを農村の人たちにかぶせるという危険性がどうしても必然的に生まれてくるわけです。そういう面に対する確たる見通しがなければ困るんじゃないかと思うのですが……。
  48. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 私ども、その点は、テンサイが、冒頭に申し上げましたように、北海道で急速に伸びて参りました一つのきっかけが現在のてん菜振興臨時措置法であったと申し上げましたように、生産者の手取り価格が保証されておりますことが何よりも強力なてこであろうと思っております。てん菜振興臨時措置法は三十七年三月末までの時限立法ではございますが、現に生きておるわけでございまして、毎年、農林大臣は生産者の原料の最低価格の告示をいたしております。現状では、千斤当り三千百五十円という価格を最低価格として農林大臣が定めております。製糖工場から製品テンサイ糖政府が買います場合は、その最低価格を上回って買った製品でなければ政府は買い入れの対象にしないという措置を講じております。  そういうことで、在来は、先ほど申しましたように、消費税が二十八円かかったという関係上、一番コストの低い工場の製品にいたしましても、具体的に御説明を申し上げますと、従来は標準の市価が、従来の税制で申せば七十一円、消費税を引きますと四十三円であります。従いまして、工場経費に販売経費を加えましたものが四十三円でとまりませんと、在来の税制のもとでは製糖工場は操業が成り立たない。あるいは、しいてそのもとで操業を続ければ、先ほど申しました千斤当り三千百五十円という原料価格が、生産者支払いができないという状況が、従来はあったわけでございます。従いまして、政府は三千百五十円をベースにした個別原価計算をやりまして、四十五円五十銭で三十三年産糖も買い入れを現に行なっておるわけであります。これに販売経費等を加えますれば、五十二円程度一つのコストになる。それからまた、新しい工場では五十四円程度政府が買っておりますから、それに販売経費を加えれば六十一円程度になる。それが、先ほど申しましたように、現税制下では四十三円でなければ太刀打ちができないということで、三千百五十円という最低価格を維持するためのやむを得ない手段として、政府は製品の買い入れを全量やっておったわけでございます。  法律の建前は、御承知のように、最低価格を維持することと、それのために特に必要があった場合には、農林大臣が買い入れをすることができるという法律の建前になっておりますけれども、消費税が二十八円もかかり、輸入糖の市価が七十一円程度であるということになりますというと、全部の砂糖を買わなければ三千百五十円の最低生産者価格が維持できなかったのが実情であります。今度の振りかえ措置は、そういった状況を改めまして、何とかテンサイ糖企業が政府目当ての生産でなしに、自立できるものにならないだろうか。もちろん、その場合の前提として、農家からの買い上げ価格三千百五十円という最低生産者価格はもちろん維持をする前提での話でございます。  そこで、計算を御説明申し上げますと、新しい税制では標準糖価が七十三円と想定されます。先ほど御議論のあったところであります。消費税が十二円六十銭でありますから、輸入糖との競争関係は、これを差し引きました六十円四十銭であれば、輸入糖との競争関係は成立をいたすわけであります。それに対しまして、国内テンサイ糖のコストはどうかと申しますと、先ほど来申しておりますが、特に安い工場を別にいたしまして、戦後に新しく作りました工場の標準コストは、私どもの計算では五十三円十四銭というふうに想定をいたしておる。これは原料価格を三千百五十円と押え、今お話がありました一工場当りの原料集荷規模を反当四千百斤、六千町歩、工場の操業時間を百二十日ないし百三十日というふうに置いて計算をいたしたのが、戦後に新しく設けました工場の場合で、工場の標準コストが五十三円十四銭というふうに見ております。これに販売経費を七円ほど加えますと、六十円二十四銭ということになりますが、そこで初めて先ほどの六十円四十銭との関係において競争関係が成立をいたすわけであります。で、これらの標準コストで操業の予想されます工場につきましては、今後、申し上げました標準糖価の水準なりその他が、私どもの想定通り順調に推移をいたしますれば、生産者に対して三千百五十円を確保しつつ、自由販売が可能になるわけでございます。これはまだ多少不確定な要素も含んでおるということで、標準コストによる買い入れば、これらの戦後にできました工場については、今後も引き続き残しておこうというのが私どもの現在の考え方です。  お話の一年なり二年で買い入れをやめるというのは、おそらく、私どもが従来工場別原価で買い入れをしておりました工場別原価による買い入れをやるのは、非常にむずかしいことであります。また、企業の努力という点から申しましても、必ずしも——そのことが、企業努力をすればするほど、政府の買入れ価格が安くなるというおかしな現象も伴います。必ずしも育成措置として適切でないと思います。ただ、操業初年度、あるいはすでに工場の建設に着手しております工場については、従来の経緯もあり、また工場操業の初年度からいきなり標準原価で買うというのは、いろいろ工場の設計上のミスもございましょうし、また加工上のふなれもございましょう、原料歩どまり等の関係もそこがあろうかということで、従いまして、現に建設中の工場については、二年間だけは個別原価計算で買います。それから、今後新しく工場の建設に着手なさる方も、最初の一年間は工場の個別計算コストで政府が買います。それからあとになりますと、今申しました一応標準的な規模というものを想定をいたしまして、標準コストによる買い入れの道を開いておく。もちろん、これは開いておくことでありまして、税制の切りかえによって、政府に売らなくても自分で販路を求めて売っていっても、成立する可能性は十分持っておるわけでございます。一応政府へ売り込む、政府に売り渡す余地も残しておくというわけであります。そこで、先ほど申し上、げました日てんの旧三工場は、この五十三円十四銭に見合いますものが四十五円五十銭ということになっているわけでありますから、あまりにも自立でき過ぎると申しますか、そういう形で日甜の製品が野放しになりますことは、製造が時期的に限定されておりますテンサイ糖のことでもあり、むしろ不当に市場の撹乱あるいは販路の撹乱をやつたり、あるいは生産者から買い上げます三千百五十円というのは最低価格ではございますが、あまりにもその他の工場との条件が違いまして、かえって生産者を迷わすと申しますか、撹乱する要因も出てくるというのが、それらの特殊な工場から納付金を徴収をするということの考え方の基礎であります。
  49. 山本米治

    ○山本米治君 一点だけ伺いますが、今度関税を引き上げ消費税を引き下げるという措置をやったわけですが、引き上げと引き下げとを全くとんとんにするということも、やればできたわけです。ところが、それをしないで、差し引きは一円九十七銭でしたか、約二円弱上ることになるわけであります。理論上糖価がそれだけ上ることになるわけですが、先ほどのお話では、これは需要供給の力関係によっては必ずしも理論通りには上らないかもしれないが、理論上は上る。そうすると、ここで消費者価格が従って二円くらい上ることになるわけですが、今の斤当り七十一円というのは、過去の推移に比べて必ずしも高くないということはその通りだと思いますが、消費者から見れば、一円でも安いほどよろしい。かつまた、お菓子屋さん等から、非常に今度は砂糖の値段が上るのだといって、そういうことをしないようにという陳情もあるわけですが、結局今申した通りに、理論上二円上る、実際上多分その見当上ると思うのですが、今度の措置は、端的に、率直にいって、そうすると二円砂糖の値段を上げようと、こういうことが目的で、つまりその裏にはむしろ国内テンサイ糖の保護政策ということがあるのでしょうが、二円上ることが目的だと、こう考えていいのでしょうか。
  50. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 私からお答え申し上げますが、それが目的だということではなくて、やはりテンサイの栽培ないしテンサイ糖の生産を、安定した見通しのよい条件で今後伸ばすようにしたいというのが主目的であります。そのために、やはり金が要るのを、一般財源も窮屈なときであるから、ただいまお話しの二円程度の値上りがあって消費者が負担することになるのだけれども、これはやむを得ない。つまり今申したような、主として北方でテンサイ糖を伸ばしていく、これは外貨の節約その他からいってもずいぶん大きな政策であるという判断もあるわけでありますが、そのためにはやむを得ないという考え方でございます。
  51. 山本米治

    ○山本米治君 上げるのが目的といってはちょっとおかしかったかもしれませんが、そうすると、国内産ビートの保護政策、保護することが目的である。その結果、二円上げなければそれは保護にならないのだ。もし、こういう関税引き上げと消費税引き下げとのかね合いにおいて理論上二円上げたが、実際の推移、力関係において、もし二円上らなかった、結局斤当り七十一円というような卸売価格を維持したとすれば、目的は達せられないのですね、だから、国内テンサイ糖等を保護するのが目的だということは、同時に、二円上げることが目的だと言いかえても間違いではないのじゃないですか。
  52. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 主税局長からお答えありました通りテンサイ糖を自立可能な産業に育て上げるということが私どもの念願であります。そのためには、消費税抜きの輸入糖の価格が六千円四十銭と、四十銭までこまかく申し上げる必要もないかもしれませんが、六十円強になりませんというと、現在の千斤当り三千百五十円という現状の価格を生産者に保証しながら、自立できる産業に育て上げることはなかなかむずかしいわけであります。それをやっていただくために、消費税を抜いたところの国内の糖価を六十円強というところにおさまるような税制が、私どもとしてぜひ必要であったわけなんであります。その結果が、輸入糖について税が二円ふえる結果になりますけれども、それは過去の相場の推移から見て、輸入量にさえ極端にしわ寄せなければ、むしろ過去に実現した価格から見まして、それほど高くないというようなことも、私どもがそういうふうに踏み切ってかまわない一つの要因ではないかというふうに考えたわけであります。  また、その約二円の値上りというものが家庭に及ぼします影響も、計算はしてみたわけでございます。現在の消費量が一人頭十三七キロでございます。これを計算いたしますと、この値上りによる家庭への影響は〇〇三%程度というような計数も出るわけでございまして、そういったことから見まして、国内の総合的な甘味資源テンサイ糖ばかりではなしに、一方ではテンサイ糖でありますが、南西諸島のサトウキビしかできない黒糖の生産者からいえば、これもまた非常に大きな問題でありまして、また現在過剰傾向で非常に困っておりますカンショ並びにカンショ澱粉の今後の消費ということから見ましても、非常に有効な手段である、そういうような見地から、結果においてそのような値上げになることもやむを得ないというふうに見たわけであります。
  53. 小酒井義男

    小酒井義男君 一人当り十三七キロですか、大したことにならぬとおっしゃるが、やはり国民全体の負担ということになりますと、二十五億前後のものが新しく税金としてかかってくるわけですね。そうなりませんか。
  54. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 輸入糖に対する関税消費税合計額は、斤当り一円九十七銭でございますか、上ると思います。しかし、国民に対する税負担という形からいけば、それは違っているように私は承知をいたしております。ただ、消費者の物価の関係から申しますれば、輸入糖が一円九十七銭上ることによって国内糖もそれだけつり上げられるから、確かに全体の砂糖が、これをやるとやらぬとでは、一円九十七銭違う理屈でございます。
  55. 小酒井義男

    小酒井義男君 私は、どうも比較にしていいかどうかわからぬ、いろいろ議論がありましょうが、前に例の調味料のみりんの問題が出たときに、まあ下ることならそう反対することないという考え方賛成をしたのですが、一方、砂糖なんかは非常に大衆の消費するものなんです。納税能力のない家庭であっても、砂糖の消費は子供でもあれば相当やっていくことになると思います。そういうものが、一方ではどちらにしても直接家庭に響くような値上げが出てくるということは、どうも納得できぬのですが、主税局長、何か私に納得させるような説明がありませんか。
  56. 原純夫

    政府委員(原純夫君) お話の通り、国民の砂糖についての負担は、二十何億とおっしゃいましたが、三十億前後ふえるということに遺憾ながらなるのであります。お話の筋合い、よくわかるのでありますが、私どもその点を考えまして、それはこういう振りかえをいたしませんでも、従来の形でテンサイ糖振興を相当規模に奨励いたしますと、御案内の通り、新しい工場は償却費が高いというようなことで、各工場別原価を見て、高い値段でできた砂糖を買い上げるということが始まっておるわけです。それでやりますと、相当赤が出るというような問題があります。その赤字をどうするかというような問題も出てくるわけですが、今回の振りかえをいたします場合、結局、やはり国内テンサイ糖を相当のスピードで伸ばそうということが前提で、その伸ばすためには、何らか実質上補助金に当るものが、農民に対する買い上げ価格あるいは砂糖の価格においてそういうものが必要であるという点は、どうしてもやむを得ないのじゃないか。  それでは、その三十億なら三十億前後の金を一般財源から出すことにし  て、振りかえによって上らぬようにするかどうかという点は考えたのでありますけれども、まあこういう大きな切りかえをする場合に、国内テンサイ糖を伸ばそうという、そのために必要な財源であるから、まあ端的にいいますと、砂糖を国民が消費する際にお互いに負担するという形も、一つ考えようではなかろうかと。これは非常に安易なことかもしれません。まあ先ほど来お話のありました、砂糖については相当総体として利潤も出ているというようなところも考えて、砂糖の製造、消費、その系列でこの三十億程度をこなしていただけぬものかというような考え方をして、振りかえについて三十億程度ははみ出してくることもやむを得ぬというような考え方で、お願いしておるわけでございます。
  57. 大矢正

    大矢正君 食糧庁の方に、ちょっとこれは、僕はあなたの答弁がおかしいと思うから、再度お尋ねしますけれども、さっき山本委員の質問に対して、二円いわば消費者の負担が加重になるということは、テンサイ糖を保護するから二円上るのだというような答弁をしているのだけれども、もしそうだとすると、ちょっと僕はあなたの言うことに納得がいかないのでね。
  58. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 私、お答えいたしましたのは、国内でできますテンサイ糖と輸入糖との関係が、かつかつ競争の可能なところまで持っていくのには、消費税負担がどのくらいであれば可能であろうかということ、それから関税がどのくらいであれば可能であろうかということ、それらを考えて、先ほど申しましたような計数の基礎から、その程度関税消費税の振りかえ、従って、結果において一円九十七銭税負担が輸入糖についてふえるという形が実現すれば、その恩恵によってテンサイ糖も自立可能な商品になれるということを目途としてお願いをいたしておるというふうに、御説明したわけであります。
  59. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連して。大蔵省の方へ尋ねますが、そういうふうに二円でも一般税収として、両方の税の関係からよけいとれるという措置に出たのは、納付金制度で利益の上る工場から吸い上げる金がひもつきでてん菜振興会の方に使われると、それだけではいかぬと、やはり一般歳入としてこの部分の消費の方から前年度以上にふえる方が望ましいという、何か政治的なと申しますか、大蔵省側の考え等があって、こういう二円増というような立て方になったのではないですか。全くそうでないとするなら、これはただ単にすりかえるだけで、まあ市場の問題はどう影響してくるかわかりませんが、ただ振りかえるというだけの影響で、私の勘ぐり方は非常に悪い勘ぐり方ですが、どうなんですか。
  60. 原純夫

    政府委員(原純夫君) それは、一般財源をここで得ようというつもりはないわけであります。
  61. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 全然ない。
  62. 原純夫

    政府委員(原純夫君) ないのです。こういうふうなことであります。国内テンサイ糖を助けるために、砂糖消費税を一斤十六円五十銭下げるというのが、まず計算の最初の前提なんですね。砂糖消費税を下げますと、その下る分は、輸入糖百十五万トンなら百十五万トン、それに国内テンサイ糖十万トン、合計百二十五万トン分について十六円五十銭下るわけです。ところが、振りかえで関税を上げますといって、一斤十六円五十銭上げると、その分は、百十五万トンの砂糖にしか関税はかからぬわけですから、そういう同額の振りかえをやりますと、むしろマイナスが出るわけであります。マイナスが出るのでは、ちょっと一般財源の苦しい折柄、一般財源からの持ち出しはできないと。そのマイナス分だけは全体の砂糖でかぶってもらいたい。その今の百二十五万トン全体にかぶせますと、それが二円ということになるのであります。その二円が、砂糖消費税を下げるのをゆるめるといいますか、下げ方をちょっと小さくしたということでありますから、振りかえでとんとんという格好なんです。とんとんが、一斤当りの砂糖にすればやはりそういうことで二円上るということでございますから、一般財源をこれで新たに得ようということではなくて、振りかえのためには、数量ベースが全体の砂糖を輸入糖では一割ばかり違うというところに、その問題の発端があるわけでございます。
  63. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 しかし、単に振りかえるだけではなくて、その歳入欠陥になる分を二円ずつ全数量にかけたのだという説明なら、これはやはり歳入確保ということが前提であったということは間違いない。それが結果としてよけい歳入が確保されたという方法しかとれないのかどうかというところに、問題があるのですね。同じかぶせるにしても、二円までかぶせないにしても、それなら三十億の増というものを見ない形でかぶせていくということになったら、どの程度かぶせたらいいのかと、こういう議論になってくるのではないですか。三十億よけいとりたいなんという考えはさらさらない、しかし、前年同様の歳入だけは確保したい。それなら、二円を全部に突っ込みでぶっかぶせる必要はないじゃないですか。まあしろうと論ですがね。
  64. 原純夫

    政府委員(原純夫君) それは、一般財源にいわばカスリをとるといったようなことは全然ないのでございます。砂糖消費税を十六円五十銭下げると、同額を関税で上げるとすれば、同額の振りかえになりますから、砂糖の値段は上らぬで済むわけでありますが、そういうふうにしますと、下げる砂糖消費税のトン数よりも上げる関係のトン数が一割方少いものですから、マイナスが出ると。マイナスが出るのはどうもかなわぬから——かなわぬからというような言葉は何ですが、一般財源が苦しいから、そのマイナスをこの砂糖全体でしょってもらおうと。そうすると、砂糖消費税にして一斤当り一円九十六銭か七銭かということになったと。マイナスを全体の砂糖の量で割ったわけです。それで負担していただくということでありますから、それでこの振りかえによる税収は全然とんとんと、砂糖消費税の減収と関税の増収がとんとんになるという計算をいたしております。
  65. 小酒井義男

    小酒井義男君 今の話の関税ですが、たとえば、今の現状ではそういう格好になる。しかし、一年々々輸入原糖の数量が減っていってテンサイ糖がふえていくことになりますと、その年次ごとに砂糖の価格が上っていきますね。そうなりますか。
  66. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 上っては参らないで、実は国内産糖の割合がふえればふえるほど、減収が出てくるわけです。今年は百二十五万トンのうち、十万トン分をみんなで何すればよかったが、だんだん十万トンが十五万トンとなり、二十万トンになっていけば、関税のとれない砂糖がふえるから、砂糖の税収は減るということになります。  渋いことをいえば、そこでも何とかという議論は立ちますけれども、私どもはそこまで考えておりませんから、御安心を願って、砂糖の値段はこれ以上上ってくることはございません。
  67. 大矢正

    大矢正君 政務次官、さっきから私が言っておる通りに、輸入製糖業者のいわば現状の利益をこれからも守ってやろうという立場が、この法律の中に貫かれておるということ、それはさっきから私が言っておるように、事実上の問題として、製糖業者というものはまだまだもうかっているから、そこでやはりここで輸入製糖を取り扱っている業者の立場を保護しなければならないという理由がないということが一つと、それからもう一つは、かりに税法上の措置によって、テンサイの栽培の振興計画というものが徐々に立てられたり、何とかして寒地農業に適した農家の経営がそれじゃ積極的に行われるかといえば、たとえば最低価格の保証という問題なんかにおいても、そういう点については明瞭でないわけですね。従来までは三千百五十円以上で買い上げたものは政府が全量買い付けするというなら、従ってそこである程度の価格の維持というものがあったのですけれども、実際問題として、これから価格の維持というものが果して可能であるかどうかということについて大きな疑点があるし、それから三千百五十円といったって、これはいわば最低買い入れ価格で、これだけでなくて、まだまだ運搬費だとか、あるいはその他維持費というものは、さらに三百五十円くらいついているはずです。これ以外にそういうものが将来ともにかぶせられるかといえば、その見通しもあまりない。農家にとっても、必ずしも振興計画と法律措置というものは妥当なものではないという結論が出て参りまするし、それからさらに、かてて加えて、政府がこの利益金を吸い上げて、そうして政府自身の問題で本来はやらなければならない振興計画や研究機関を、これをやろうというのでありますから、私はそういうような負担や、そういうような過当な利益を、この際もし処分をするというならば、これはむしろ消費者の価格の引き下げのためにそういう一切を使うべきであって、消費者の価格はむしろ、理論上からいえば二回も上るような結果を作っておいて、そうして最終的にはこのような措置を残す。しかも納付金を納めさせるといっても、北海道では日甜だけ納付金の対象になるだけで、ほかはならぬのです。一つ工場からだけとっておいて、ほかはほうり投げておく、こういう行き方は自由な資本主義経済のあり方の原則からも反するように思うし、あらゆる意味で、どうもこの方針と税の改正というものは一貫していないと思うのだが、政務次官の考え方はどうですか。
  68. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) 今回のこの措置は、御承知のように、テンサイ糖の業者のテンサイ糖奨励と保護、こういうことに尽きておることは申すまでもありません。今のおっしゃるような輸入業者等の保護とか、こういうふうな点につきまして、今特別な考慮を払っておるというわけでも毛頭ございませんし、あくまでも国内テンサイ糖の保護ということ以外にはないわけでございまして、この点につきましては農林省の方にもいろいろ御意見があるでありましょうが、大蔵省としましては、今お話しのような点につきまして、特別な、お説のようなことを考えておるわけではございませんので、そしてま  た、価格の問題にいたしましても、今主税局長の申しましたように、これを特に今回の措置によって穴のあくというようなことをやっては差しむき困りますし、また、これはちょっと苦しい答弁にもなると思いますが、審議の過程におきましては、国内ブドウ糖の保護育成になる点もあるし、かれこれ考え出しまして、今のような価格を算定いたした経過もございましたので、お説のような点につきましては十分警戒もいたしますし、留意もいたして参りたいと、かように考えます。
  69. 小酒井義男

    小酒井義男君 今のお話を聞いておると、結論を言うのは早いですが、テンサイ糖の生産を奨励する意味においてこういう結果が出てくる。製糖業者は別にこれによって何も利益を受けませんね。そうすると、この結果が消費者だけに影響がかかってくる。こういうことは、製糖業者が一方で相当利潤を上げておるじゃないか、ところが、それにもかかわらず、負担だけは一般国民に対してかかるということはおかしいじゃないかというのが、私は大矢委員の質問の意味じゃないかというふうに聞いておったのですが、製糖業者はこのために何ら影響ないのですね。
  70. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 先ほど来御説明申し上げましたように、輸入糖につきましては納税額が一斤当り一円九十七銭ふえるだけで、この措置によって何ら従来以上の恩典などはないわけです。むしろテンサイ糖の競争が表面化する、テンサイ糖による牽制が次第にふえていくという以外には、制度上何ら変りはございません。
  71. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だんだん聞くというと、どうしても計算上不都合なことが生じて、結果は税収が従来よりは上回る、そういう形になる。それはテンサイ栽培並びにテンサイ糖の生産を伸ばすという意味から、こういう施策をとる一方、工場別には旧工場、新工場で利益その他アンバランスになる。従って、益金の一部一キロ六円を五年間吸い取る、多分十六億七千五百万か予定されておるようですが、そういうことまでもして業者の利益がバランスがとれる形をとろうとし、また流通の面でも結果は二円糖価が高くなる。そして一方食管の会計の赤字分の方は買い上げていく。こういうことを、今後十年間で、百五十二万トンの国内需要のうちテンサイ糖を四十万トンまで伸ばしていこうという計画を持った当初において、こういうことをやるというなら、まずもって納付金なんていうものを——これはひもがついていない雑収入として納付金が国庫には入るのだが、結果としては振興会の方にひもつきで流れるという形になっておる。こういう形で食管に入れるときは、食管の赤字を、砂糖のために赤を食管の会計が国民の一般的な税金の中から補てんをしていく、そうならば、益の上った関係業者から吸い上げた金も食管に入れて、赤字を始末する金の一部に充てる、そうしてまた買い上げるなら買い上げる方もやり流通の方も一つの安定度を持たせる、関税障壁で保護政策をとり、消費税収入というものも一定のものを吸い上げる、こんなことをごちゃごちゃと何本かの柱を考えるというと、砂糖というのは専売制がいいという考え方になるのですね。専売制がいい。いわゆる関税障壁を設けてまでも、国内テンサイ糖の生産の増強を計画としてやっていこうというのですから、従って消費者の砂糖消費を伸ばしていく、また一面消費価格を押えてこれを引き下げていく、生産者の方のテンサイそのものの買い入れも保証していくと、こういうことであれば、中間における業者のマージンというものをどこまでもなくしていく、押えていく。もしも上ったら、これは専売益金という形でこれを国庫に入れる、こういう形が私は正しいのではないかと思うのですが、この点についての意見を承わりたい。  塩の専売については、今日の需給関係からいえばこれを維持する必要がないのではないかとさえ言う人もある。その反面、国民の需要、また食生活の向上という部面からいうと、普遍的な甘味資源である砂糖について専売制をとるということが、私は国策としても正しいように思われる。で、今それをやれないとしましても、こういう諸般施策を、国内砂糖生産ということに国が力を注いでやろうというなら、このときにおいてこそ抜本的に砂糖の専売制というものを検討すべき時期ではないか。大綱や方向も見定めて、この税関係整備もやり、また生産関係も伸ばしていくというやり方が、一貫した考え方となるべきではないかという感じを持つのですね。  どうなんでしょう、政務次官、これは政務次官から……。局長は有能な人ですけれども、やはり事務屋なんだから、政策を聞いているのだから。
  72. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) 小笠原先生のきわめて御含蓄のある御意見を拝聴いたしましたが、今とっさに、どうもこれを今専売制にするというようなところまで飛躍した意見を取りまとめておりませんので、十分御意見を拝聴いたしましたから、研究いたしますが、ただいまそういうところまで飛躍しておりませんことを申し上げたいと思います。
  73. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあいいかげんな話ではなく、少しそういう点を考えるべきですよ。それをわざわざ回りくどく、納付金制度なんというか、一つのクッションを置いて、そうして農林省自体としてはなるべく金は使いたい。従って、食管会計にこれを入れたのでは、米のやなんかみなプールになってごっちゃになってしまう。無意味だ。それよりは、やはりきちっと使えるひもつきの金がほしい。それで、分け取りされた金が振興会へ行く、納付金の金は……。そうして一方大蔵省の方も、今度は一般財源の方が歳入会計になるから、消費税の方でとってやりましょうかいなといって、三十億分よけいにとる。率直にいったら、いいつらの皮は消費者である。税負担をする国民です。税の負担なり、あるいは消費者価格の値上りに伴う負担は、これは国民大衆です。そうしたらば、一般にこの甘味資源に関する政策、行政として、私はやはり専売制を考えるが、次善の策をとるならば、食管が無制限買い上げをして、希望買い上げをして、それによって市場をコントロールする。その辺まで行って、消費者価格というものを押えていく、このくらいのことは考えるべきだと思う。今意見としてだけ申し上げて、御答弁の必要はないから、けっこうです。きょうは時間がないから、この次やりますから、そのつもりで。
  74. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 残余の質疑は次回に譲ります。   —————————————
  75. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 次に、専売事業に関する件を議題といたします。  御意見のある方は御発言願います。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  76. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 速記をつけて。
  77. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 よほど前ですが、タバコ耕作組合の設立に関して、岩手県東磐井郡における問題が昨年七月以降紛糾しておることについて、二、三回当委員会で私から質問もし、公社側のこの処理方針について伺ったわけですが、経過としては、昨年十二月——十一月の下旬からだったと思いますが、副総裁が中心になられて、収納時期が近い、春肥の手当等の諸問題、金融上の問題等もあるので、早晩組合設立もしなくちゃならない段階になっておるから、岩手県知事に紛糾している両当事者の間をあっせんすることを依頼せられた。公社側が依頼せられたのですが、その際われわれも見聞きして確認していることは、公社側としまして知事に白紙で一任するという形であったのですが、知事としては、実際自分が一任されるものかどうかも確かめた上で種々検討されて、一つの折衷案、すなわち、一方の当事者は郡全体を一組合としたい、他の関係者は新町村ごとに六つの組合を持ちたい、この間をあっせんして、地域を二分して二つの組合で進むという案を練られて、これも公社側にこれでいくかどうかということでお尋ねになり、公社側も協議した結果、それでよろしいと、従ってその線で円満解決するようあっせんせられたいということであったということも事実であります。  知事は現地に、盛岡に帰られて、両関係者を呼んでそのあっせん案を示されたのですが、まあ各委員はその事情がおわかりにならぬので、敷衍して申し上げますと、その際に、私も関係した一人としまして、いわゆる町村派といわれる諸君を極力知事案に近づけるように説得をして、半日かかって、まあ夕刻に知事に、知事案を承諾するという返事を与え、他の一組合支持者は、帰って相談の結果返答したいということで別れたのですが、その後一組合案の方々は、知事案に同じがたいということで、これを拒否した。そこで、知事は十二月に入ってから、公社側に、一本主張の組合の方も何とか説得をしてほしいという要請を公社にしたはでありますが、公社はそれを受けて、現地にまで行って、それぞれの方が指導されたようであります。  大体の経過はそういうことになってきておって、知事あっせんの帰趨というものが、困難な中にも見守られておるという段階で本年を迎えたというのが、私、経過だと思っておりますが、私の記憶しておるこの経過に違う点がありますか。
  78. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 大体お話の通りだと私も考えております。
  79. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ところが、仄聞するという、一月の十四日ですが、駿河生産部長は、岩手県の農協中央会長佐藤君に対して、どうしても一本化の説得に応じない——いや、この二本組合の説得に応じないから、一本化の方と町村派の方の合併による一本化を進めてほしいという依頼をしたというふうに聞いておるが、それは事実であるか。これは生産部長にお尋ねいたします。時間がないから、私はきょうはけんかしようと思っていないのだから、端的に言って下さい。
  80. 駿河義雄

    説明員(駿河義雄君) 今、小笠原先生の御質問は、日が違うのでございますが、一月の十二日に佐藤岩手県の農協中央会長に電話をいたしまして、非常に知事案の推進は困難になっておるのだが、お互いが、新市町村の単位を支持する耕作者と、郡一円を支持する耕作者とが角突き合っておるのでは、なかなかこの話はまとまらぬと思うので、両者が虚心たんかいに話し合うというような機会は作られないものであろうかということを、佐藤さんに相談いたしました。
  81. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その後、そのことを公社の責任者である総裁が知っておるかどうかということについては、つい最近大蔵政府委員室で、政務次官と私とあなたとの会同の際、あなたに尋ねましたら、総裁のあずかり知らざることである、こういう答弁があったのでありますが、そのことからすれば、公社のそれは公式な方針ではなかったというふうに私は思うのですが、副総裁はその相談にあずかり、公社の方針としてそういうふうにやったのかどうか、お尋ねします。
  82. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) その前にちょっといきさつがございまして、一月の十二日だと思いますが、知事と今お話の出た佐藤氏と、両方公社へ見えまして、総裁も私もそのとき列席しておりましたが、そのときの知事のお話は、どうも二本案というのはなかなかうまく進まない、そこで自分は二本案という案を提示したけれども、その二本案を出した立場にはこだわらないから、自分の提出した案にこだわらずに、一つ佐藤さんの案を聞いてくれというお話がございまして、そのときの佐藤さんのお話では、もともと知事が二本案を提示した最初においては、これは結局年内——というのは、ことし一ぱいくらいのことだと思いますが、年内には結局一本ということにはなるのだけれども、そこまでいく便法として二つの組合を作ったらどうかというのが、最初の知事の出されました案でございまして、佐藤さんもそのことはよく御存じで、結局一本になるのだから、そこで一つ別の考え方をしたらどうかということを、佐藤さんがおっしゃっておられたわけでございます。  私の方の立場としますと、現地の耕作者の方々が一致した案であれば、どういう案でもけっこうでございますということを知事に申し上げておりますし、当初知事にお願いしましたときは、まあ白紙委任というふうな言葉でいわれております。何にも条件をつけませんで、知事のお作りになった案を支持いたしますということを申し上げておりますので、従いまして、生産部長が佐藤氏に電話をしたということは、これは総裁が電話をしろと言ったわけでもないんですけれども、佐藤さんがそういう案をお持ちで、よくそのお話を伺っておくようにということで、総裁も私も十分承知の上で生産部長にそういう指示をいたしております。
  83. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今のお話を聞くと、生産部長は一月十二日に電話をもって依頼をし、同日、一月十二日に知事並びに佐藤当事者が公社を訪問してそういうことを言っておる。そんなことが事実行為としてできますか。
  84. 駿河義雄

    説明員(駿河義雄君) 知事と佐藤会長が公社を訪れたのは一月の十二日でございます。私が電話をかけましたのは、二月十二日に電話をかけたのでございます。
  85. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで、副総裁にお尋ねしますが、こだわらないということだから、じゃ、公社は方針を変えられて、二本ということで説得をするという段階をやめて、また一本にまとまるように説得をするということを委任したということですか。
  86. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 知事がお見えになる前に、副知事からお話がございまして、私の方の千厩という支局がございますが、そこの支局員を使いまして、いわゆる一本派と称する人たちの間を相当説得して回ったわけであります。その結果、なかなか一本派の人たちが従来の主張を変えないということで、知事がその情勢を看取されまして、わざわざ公社までそのあとでおいでになりまして、二本案というものはなかなかむずかしそうだ、しかし自分はしいてその自分の出した案にこだわるものでないということを、そのことを言いにわざわざ公社においでになったわけであります。私の方では、せっかく知事にごあっせんをお願いしましたので、どうぞ案の内容のいかんを問わず、ぜひ知事のごあっせんで現地の意向がまとまるようにしていただきたいということを、そのとき申し上げたわけであります。
  87. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 知事あっせん案は、年内に一本になるのだ。その前提として二本案だというような、そういうことはどこにも書いてない。また、そういう経過はない。これは私もあっせん案を出されるときには立ち会い、その前後には知事の真意もただしておりますが、それは将来組合の運営が二本で進められて、二本でいくも一本でいくも同じじゃないかという合意に達して、一本になるということもあるのである。だから、当座、妥協案のなたで切ったようなあっせん案で進まれて、そしてお互いが融和した上で、一本になろうが二本で進めようが、内容的には運営上何ら差異がなくなるのだという説得は、知事は両者に対してしておる。そのことはわかるけれども、年内に云々というそういうことは一言もどこにもない。公式論としてそういうものをこじつけて、だから、もう時期的にこれはだめだから、本然の一本のものに進められるということ、それがなければいいことですよ。なればいいことですが、ところが二本がならぬという情勢は、裏を返せば、一本がならぬという情勢なんだ。そのことがわかりつつも、知事あっせん案がまだ消えていないのです。いかようにでもといっても、受諾した耕作者側は、あっせん案を取り下げたという、そういう意思表示もない。で、知事に対して、私も公式に尋ねた際に、知事は公社に対しては確かにそう言うた、やれるならそれはおやりになればいい、いかようにでも円満にまとまるならば、何ら知事はとやこう言うことはない。しかし、その二本案を知事は下げて、三本がいいとか一本がいいとか、こういう意思表示は知事としてはしていない。しかも、耕作者に対しては、この自分の最初出したあっせん案は、取り下げておらないという言明をしている。それはその通りだと思う。取り下げておらぬ。従って、公社側は、そういうことを受けた場合に、何らかの措置を佐藤君におまかせになる、依頼になるということであるならば、それはあくまでも非公式なことだ。私は、公式にそれは、これは右がいかぬから今度は左の手でという、そういう依頼の仕方でなかったというふうに思うのです。  もしもそうだとすれば、一月の十二日の話なんですから、われわれ社会党が全幹部をあげて公社をお訪ねして、そうしてこの問題を聞いた際にはですね、それは一月のたしか二十二日ごろかと思います。われわれが公社を訪問して、ある考えを申し上げて、総裁の意見をお尋ねしたのは、一月の二十二日かと思う。いいですか。
  88. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 私の言った日が違っています。
  89. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じゃ、その違っている方から訂正して下さい。
  90. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 先ほど私の申し上げた日にちが違っておりまして、一月の十二日に知事と佐藤さんがお見えになったときは、まだ二本案でいきますからというのでお見えになったわけであります。それで、私の方も、それでけっこうでございますから、ぜひお願いをいたしますということを申し上げた。それから小笠原先生がお見えになりましたのは、一月の二十一日でございます。このときに、知事のあっせん案でけっこうだと思います。従って、これを推進するように私どもも努力いたします。それから、間もなくその設立認可の自然発効の日が参りますので、質問書を出して、これを延ばしますということを申し上げてあります  それから、先ほど私が申し上げましたのは、二月七日でございまして、七日に知事がお見えになって、どうも二本案はむずかしいというお話があったわけであります。  それから、先ほど生産部長が佐藤さんと連絡をとったというそのころに、いわゆる佐藤案というものが出て参りまして、その後佐藤さんのお話で、知事も了解しているので、これをその知事案と考えてよろしいのだという話がございました。従いまして、むしろ私の方では、知事の二本案というものがいつのまにか佐藤さんの一本案に変ってしまったというふうに承知しておりますが、それで正式に佐藤さんからお話がありまして、一体どうするつもりかというお話がございましたのが、ごく最近でございます。それまで佐藤さんが、自分の方で一つやってみるからというお話がございまして、私の方も、知事の御了解を得るならばそれでけっこうでございますということを申し上げてあったわけであります。従いまして、現在では、先般知事にも連絡をいたしまして、佐藤さんの一本案を知事の案と心得てよろしゅうございますかと申し上げましたところが、知事も、それで差しつかえないというお話でございますので、私どもとしては、現在の知事案というものが佐藤案と一緒になって、それが知事のあっせん案であるというふうに了解しておるわけであります。
  91. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは、知事に電話かなんかして、それは知事案だという言明を受けたのはいつですか。あとで言い直さないで……。それは大事なことなんですよ。
  92. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 三月十二日でございます。知事に電話をいたしまして、連絡をいたしました。
  93. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それがかりに知事案なら、前回の案を当事者に対して撤回を申し入れ、第二に、これが知事案であるという公式表明があってしかるべきですね。ところが、当事者には何らそういう措置に出ておられない。しかも、三月の十二日だと言いますが、私も、あれは三月の九日の日に、東北開発の審議会かあった日に、知事会でお会いして、その真意を尋ねた際に、佐藤君があまりしつこく言うから、じゃ君がやることでまとまるならそれもよかろうと言っただけのことであって、知事案は撤回していない。撤回しているとすれば、当事者である耕作者関係に撤回の通知を僕はするよ、という言明を私にしておる。公式の知事案というふうには私はとらない。それは佐藤さんは知事の顧問であり、その方の経緯をよく承知している関係者の一人として、その者がやって円満にそれがまとまるなら、それは知事案として自分の責任でまとめてもいいという腹がまえはあったかもしれないとそんたくをいたしますが、右左と案がそういうふうにも変り、しかも、やみの中に消え去ったり、新しいものが生まれてきたり、そういうようなことはないのですし、当事者にこれは知事の第二次案であるということを差し示すことはしておらぬのですから、佐藤君も……。ですから、その点については皆さんの方で、それが公式の知事案であるというふうに受け取った。従って、公社はその立場に今返っているのだということを言い切っていいかどうかということは、私は問題が残ると思います。これは私は親切と申しますか、こんなことでごたごたしたくないから、あなたにわざわざ質問しておるわけですよ。言い直しがあったら注意して下さい。
  94. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 私の方も、耕作者に対しては、知事の二本案で説得して以来は、この一本の案が知事案ですということをまだはっきり申しておりません。  それから、その佐藤さんのお話というのは、これは当初私どもが耳にいたしておりましたのは、初め佐藤さんが町村長をお集めになって、そこで相談をして、町村長の案だということで持ち出して、それを知事の案だということにして、話がまとまったところで知事に乗り出していただいてまとめたい、こういうふうに伺っております。私の方も、そういうことでまとまるなら、はなはだけっこうでございますということを申し上げましたが、いつだったか、私は日にちははっきり覚えておりませんが、その後、佐藤さんからのお話として、その町村の方は自分の方で何とかまとめてみたいと思う、ついては、従来の一本派の方を新しい佐藤案というものでまとめるように公社も協力してくれないかというお話がございましたので、そういう場合にはもちろん協力いたしますということをお答えしたことはございます。従いまして、まあ、何と申しますか、私どもはただいまそういうふうに、いつの間にか知事の二本案というものが、知事もそれでけっこうだといって佐藤案を支持しておられますし、電話で確かめたところによりますと、やはり知事もそれで御賛成で、それでやってくれ、こういうお話でございますので、これが知事案だというふうに了解いたしておりますが、私どもの方から、知事の二本案が一本案に変ったとか何とかいうことを天下に声明したりというふうな措置は、まだとっておらないのでございます。
  95. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今までの事実関係はそれでわかったから、その点はそれだけにしておきましょう。そこで、じゃ、われわれ社会党で申し入れをして御返事になられたことが、内容的にそういうふうに事態が変ったならば、なぜわれわれにこういう方向でいきますからという念のためにお話がないのですか。総裁の言明なんですからね。
  96. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) その点につきましては、私どもの方もまだ、佐藤さんから町村長を集めていろいろお話しになるという段階のときに、もうしばらく待ってくれ、ほかへ連絡するのは待ってくれ、こういうお話がございまして、まあ、いろいろ向うの方の御都合もあろうかと思いまして、御連絡のあるまで待っていたわけであります。ごく最近佐藤さんが東京へ出てこられまして、ちょうど生産部長と連絡をとった日でございますが、ちょうどそのころから、小笠原先生から政務次官の方にも話があったというふうなことで、まあ、自然にそこでそういう内容のことが小笠原先生の方にも伝わっていった。私どもの方にも、佐藤さんと、それから知事の御意向もはっきりしたというふうなことで、ほとんど時期を同じゅうして問題が非常にはっきりして参った、こういうふうな経過と思います。
  97. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そこで、副総裁にお尋ねするのだが、何を公社は考えているのですか。何を……。
  98. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 公社自体はとにかく、いつまでも現地の耕作者がもめているということは、非常に耕作者同士にとっても不幸なことでありますし、私どももいろいろな仕事をお願いするにしましても不便なことが多いのでございまして、何らかの形で早くまとまっていただきたいということでございます。別に一本でなければいかぬとか、二本でなければいかぬとか、そういう中身のことよりも、むしろ現地の耕作者の方々の早く意向がまとまって、一致した意見ができてほしいという考えが基本的な考えでございます。
  99. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ところが、今日の段階では、率直にいうと、二本化は町村派で一本化は一本派でという形であるように、公社側が見ているのじゃないですか。そういうことがそもそも意思のそごを来たしており、町村派というのは町村段階の組合設立が主目的で、二本案ではないのです。片方、それをその当時の事情といきさつがあって、私もそれはこういう公式のところでは言えないところですけれども、知事案が通った以上、それによることを私が説得して、聞き得る範囲では説得これつとめて、大幅に寄せたのです。そうしたら、片方も妥協して、あげて一応こういうことでスタートする、またそのことが望ましいとして、公社も推進してきたはずなんです。  ただ、その際に、欠陥は、これを白紙委任した段階において公社側の欠陥として残るものは、批判されるものは、二本が公社の公式見解ということであるなら、一本の認可申請を却下してしまっておる。それから地域指定の力は、大蔵省に対して特別区、二本の特別区設定の申請を公社がしていた。そうしてもう地域指定を、特別区の設定を認めることを明らかにしてしまえは、この知事の二本案というものでいかざるを得ない、現地の状況は。そこでまとまったはずです。また、まとまる可能性がそこへ出てきたはずです。ここに一つの欠陥があるのです。あることは、それはあなた方も率直に認めなくちゃならぬ。それは、認可申請書は、下げることは行政訴訟を受けたときどうこう、地域指定の方は、これはきまっていることだからどうこう、そしてなお現地の説得によって円満に二本二本。ここに二つになれと言っていながら、根っ子のところでは一本でいくと、時間的にそれが成立するのだという姿勢を、すきを見せたところに、この問題の解決がじんぜん日を費してきたという欠点があったと思うのです、率直に。  ところが、最近においてですよ、最近になって一本化の人たちの話というものは、今度は知事は任期が切れて改選だ、従って一切は消滅する。従って、この専売局の地域は一つなんだから、一つの組合認可にますますこれは踏み切るべきであるということで、公社側が説得するのではなくて、逆に要請されているんじゃないかと思う。私のこれは想像ですがね。こういうことになったら、昨年十一月からその二本化あっせんで事を進めてきたこの経緯というものは、結局、町村派なら町村派というものが屈伏せられる、そういう形にペテンをもって追い込んできたというふうな邪推をされるかもしらぬ。二本で途中までは来たところが、二本はだめなようだから、それはまたもとの一本だ。しかも、知事あっせんは消滅する。だから、これは自動認可になる、こういう結果になるなら、事態はますます私は紛糾すると思う。そういう点からいうて、はなはだ失礼な言い分ですけれども、公社側に首尾一貫した姿勢というものがあるのかないのか、私は疑わしいと思う。もう少しきぜんとした態度があったら、なぜ、二本化のそれに公社側として公式な同意を与えたなら、ほかの問題とは別個である特別区の設定について、大蔵省に対してあなたたちはそういう手続をなぜとらないのか。権限があり、責任をもってそういう一任をしておるなら、その条件を整えることが、耕作者の意思いかんにかかわらず、これは地域指定を、あなた方の権限なんです、大蔵省に対してやる措置は。なぜそういうことをやらないか。
  100. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 知事が二本案をお出しになりましたときに、私どもも、知事の依頼もございまして、一本派がなかなか強硬に反対しておりましたのを、いろいろ手分けをしてその説得に歩いたわけであります。そこで、私どもの態度としますと、知事に白紙委任をいたしました関係上、知事の案をもとにして動くという態度であったわけでございますが、その後、先ほど申し上げましたように、知事がわざわざ二度もお話がありまして、私は自分の立場にこだわらぬのだ、自分の立場ということを考えて、その知事の案だからということで、二本案だというようなことをあまり進めないようにというお話がございまして、知事がそういう態度に出られますと、私どももよりどころがなくなってしまいますので、むしろ二本案の推進に努めるということをやっておりましたのですけれども、その手を抜いたわけであります。  それで、大体一番当初からのお話でございまして、これは小笠原先生からも、公社が圧力を加えていかぬじゃないかというお話が、そもそものスタートでございます。以来、私どもはそういうことのないようにというふうに非常に気を使っておりましたのですが、たまたま知事の二本案の場合は、これは小笠原先生からもお話がございまして、それの推進に努めたわけでございますけれども、一本化の方がなかなか強硬で、私どもの言うことを聞きません。そこへ今申し上げたようなことで、知事が必ずしも二本案に固執しないと、こういことをお話しになりますと、私どももそれを、知事がおれの立場に固執するなということを言われているのに、私どもだけでから回りするわけにも参りませんものですから、その間にじんぜん日が過ぎたのであります。  なお、地区指定の問題でございますが、これは大蔵省が地区指定をするわけでございますが、結局、ただ無理無理地区指定をいたしましても、現地の耕作者の方々の意向が十分まとまっておりませんと、それだけでは問題の解決になりませんので、大体二本でいこうというふうな現地の空気がまとまったところで、かりに二つなら二つに指定をするということであれば、これはうまくいくと思いますが、単に強圧的に地区指定だけやって、これについてこいといっても、だいぶ長いいきさつもございまして、今申し上げましたような事情もあり、なかなかそういうふうにはいきかねるのではないか、かように判断いたしまして、単に地区指定だけでもって、その知事の支持がなくなってしまいました二本案を強行するということはいかがかと思いまして、結局、知事なり佐藤さんなりの御意向に従って、その案でまとまってほしいというふうに考えておるのであります。
  101. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私の尋ね方で、前段のような尋ね方をすると、皆さんは現地の円満な意思の統一が望ましいという答弁をしておる。そんなら、一本化というものは、これはできなかったことになるのですから、それを佐藤さんに一本で進まれるという案を示されて、じゃ、それでやって下さいと乗り込んでおる。このことを、もうあなた方の今までの私に対する答弁からいえば、実現不可能なことを、それだけは一生懸命お願いをするという立場なんだね、客観的に見ると。  それは、三月の五日から十日間の猶予をくれ。十五日というのは日曜日でしょう。まとまりましたか。まとまらぬでしょう。まとまらぬのです。はっきりしているのです。だから、そういう意味で、この二本というのは、強圧的にやるとかやらぬとかいう問題じゃないです。一本と六本の間の二本なんです。だから、さきに私はお尋ねしておるのです。二本案というのは町村派の案ではないのですよ。六本なんですよ。開き直って今でも、主張し合うのは一本と六本なんです。そこを寄ってきたのです。そういうことに対する公社の理解というものが、事がそこまで来たということに対する理解というものが、私にはできておるのかどうかわからなぬのです。いいですか。一本の方に片寄せるとか、六本の方に片寄せるとかいうこでなしに、これ以外には両者を歩み寄らせる道がないんだということで出てきた、この案なら少しは摩擦があっても、そういうことで一応はまとめられて、そして組合を発足したあとに一本に進まれるなら進まれる。でも、いろいろな、それは知事やその他の指導や助言があってやることにつきましては、とやかくわれわれ言っているのではない。まとめたいための話をしているのです。だから、その段階であれば、少くともあの一本の認可申請なり六本の認可申請なりというものは、却下すべきものなんです。そうして却下するだけの傷はあるのです。実際上組合員にもなっていない架空の組合員をもって事業計画を立てたりなどしている傷はあるのですから、再提出させるまででも、書類不備ということでこれを下げ渡すということはできるわけです。そういうこともしない。そうして何とか円満解決、円満解決と言うていることが、私たちから見ると、非常に奥歯にものがはさまったような感じがする。  で、あなたがそう答弁しているのだから、私はその通りに聞いておくが、そうだとすれば、やはり現地における両者の意思の統一がない限りは、これはいかようにも認可設立はできないということになるのだという結論だと思うのです、すなおにいうて。良心的に皆さんが考えれば考えるほど、そうならざるを得ないのだということになる。そうですが。
  102. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 一つだけを申し上げさしていただきたいのです。先ほどの、公社は一対、一本だから飛びついだのだろう、こういうお話でございますが、これはさようではございませんので、その佐藤さんのお話では、従来の一本とは全然違うのだ、それで新しく大同団結して、たとえば組合の役員その他も、従来反対派と称せられる人たちも、みんな一緒になってもう一ぺん作り直すのだ、そういうことがこれが一番いい案だと自分たちは思うし、それでまとまる見込みがあるのだということで申し上げたのでありまして、かりに何本ということは非常にまたいろいろ誤解を招くので申し上げたくないのでありますが、知事ないし知事を含めての佐藤案ということで、あっせん者の案でありますれば、私どもは何本ということにこだわりません。どうしても一本でなければいかぬということは全然考えておりませんので、そういうことにはこだわらないで、要するに白紙であっせんをお願いした方々の案だから、それでけっこうです、それでお願いしますというふうに申し上げているわけであります。  それから、ただいまお話のございました現地の耕作者の意向がきまらなければいずれも認可はしないのだろう、かようなお話でございます。これは私どももそういうふうに考えておりまして、結局今のような形で無理にどちらか一方認可するということになりますと、現在の方でもいつまでもやはり感情的にしこりも残るし、うまくいかないと思いますので、そういう場合にはいずれの方も認可いたさない、かように考えております。
  103. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あなたはりっぱな口をきかれたから、私はもう黙っておろうかと思ったんだが、町村長と佐藤さんと相談の上で一つの案をもって両者を説得しようということですが、その町村長というのは六人しかいない。六人の中の四人は一本組合の設立発起人なんです。ようございますか。そういう者が公正な仲介者ですか。しかも、その中の一人は、旧タバコ連合会の会長であり、長年この批判のあるタバコ耕作の運営をやってきた御大将ですよ。そういう人との協議の上でだね、そういう過去の組合運営に対して批判を持っておる片方の者を説得するということが公正にできますか。また、感情の上でもできると思いますか。そういう人をこそ排除しなくちゃいかぬ。そうして第三者の公正な人に、あるいは集団にこの種のことは依頼すべきだ。公社として軽卒ですよ、その点は。  しかも、現地の千厩でそれぞれの方が寄って協議をするということは、事が発覚した際に直ちに反撃を受けるから、他地域に会合しようということで、全然離れた水沢市というところに関係者が集まり、そこに中井生産部長、経理課長なりが行って種々協議しているじゃないですか。しかも、聞くところによると、その料亭における会計支払いは公社側でやっている。私は説得のために現地に入って大いにやりなさいということは、フェアにやれということを言っている。何で今度の場合だけ一部特定の人だけを集めて、秘密裏にそういう会合を持ち、しかもそういう中に公社幹部が行って参画をしておる。行き過ぎていませんか。
  104. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 中井生産部長が出席したことにつきましては、生産部長もこの席に参加してくれという話が佐藤さんの方からあって参加したということは聞いております。その報告は受けておりますが、これは別に公社の方からそういう会合を招集したと、そういうことではございません。
  105. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 委員長、速記をとめて下さい。
  106. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  107. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 速記をつけて。
  108. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは、もう時間がありませんから……。公社の態度はよくわかりましたが、私は重ね重ね申し上げる。このあらゆる設立認可の申請書は差し戻さなければなりません。特別区の設定についても、公社側としてある種の意思を示さなくちゃ、じんぜん現地の円満解決ということで、今、副総裁の御答弁になった形においてなら、いつまでもこの状態が続くでしょう。私は、今後また公式に、非公式に、公社側の喜処を期待してやまない。  ところで、監督官庁である大蔵省にお尋ねしたい。長々と今までやったのは、経緯を知らない政務次官に聞いてもらう、判断してもらおうと思ってやったのです。十分この質疑の過程はお聞きになったと思います。また、従来の、最近の経過も、あなたは両当事者の陳情を受けられて、お聞き及びになっておるところと思う。今の段階でどういう解決の仕方が望ましいというふうにお考えになるのですか。
  109. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) この問題は、昨年の暮ごろでございましたかから、当委員会でしばしば問題になりました問題でございまして、地域等のことを考えますと、必ずしも大きい問題ではありませんが、しかし、未端におきまして、この私どもの関係いたします耕作組合等に、いつまでも話のまとまっていないというふうなことがありますことは、きわめて遺憾に存じまして、しばしば各方面からの御意見も拝聴いたしております。監督官庁という立場から意見を申し述べよということでございますが、飛躍的に私が公社の方へこうしたらどうだと言うことが、必ずしも適当であるかどうかと思いますが、私どもといたしましては、現地の耕作者の意向が正しくまとまるということ、これをひたすら念願をいたすのでございます。  しかし、いろいろ現地におきましては事情もあることでございましょうから、私どもといたしましては、なかなか、こうこじれた問題でございますから、だれがどう出ましても、公社の方もなかなかてこずっておらたるようでありますし、現地も一本化という指導方針が立てられたのに従っての動きもあり、また二十三組合が六組合ということに申請をされたといういきさつもございます。かれこれ勘案いたしますと、社会通念に従いまして、公社の方も知事にあっせん方を依頼されたという事実はきわめて重大であり、当を得たことだと思います。そこで、私どもといたしましては、知事の裁定ということ、これを尊重して、その線でまとめていただくということ以外には解決の方法はないじゃないかと、かように考えております。先般大臣がそういうふうなことを発言したということも聞きましたが、全くそういう意味におきまして、公平なる現地の事情をよく御存じの知事裁定ということを尊重するという建前で、大蔵省としては臨みたいのでございまして、この線に沿って公社の方も御善処願いたい、耕作者の方もこれに、いろいろな御意見も、御不満もありましょうが、従ってやっていただきたい。これが私ども大蔵省における基本的な方針であり態度でございます。
  110. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 過般、大蔵大臣の言明として、事実かどうかわからぬが、新聞記事になったこともあります。それで念のためにお尋ねしたわけですが、重ねてこれ以上お尋ねするつもりはないのですが、大臣としましても、知事あっせん、すなわち二組合で現地が円満解決することが望ましいという考え方で、あなたもその意を体して御発言になっておるのでありますかどうか、この点だけ。
  111. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) この点につきましては、さいぜん申し上げましたように、知事裁定の案を尊重するという建前において、そう大臣とも話し合いをいたしております。
  112. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから、繰り返して申しますがね、誤解があってはいけませんから。公社側は、知事案が二転三転したやの、これはだんだん言い回しが注意されましたが、あったものですから、誤解があってはいけませんから、知事が公式に両当事者に示しているあっせん案を、あなたは今の言明では知事案と言うておられるものと、私了解しますが、そうですが。
  113. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) その言明の方式等は、どうも私もその点になりますと不正確な点もありますが、しかし、少くとも皆さん方が通念的に知事の公式あっせん案ということに各方面御了承の案を、私どもは全面的に御支持申し上げた方がいいと、かように考えております。
  114. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 公社側におかれても、いろいろ苦慮されておる点があるのですから、これ以上私はこの段階では申し上げませんが、皆さんの方も十分な研究を遂げられて、二転三転などというような今後における態度を再びとることのないように、十分御研究になることが望ましいということをつけ加えて、善処方を要望しておきます。すみやかに皆さんが知事案を支持せられて、大蔵省も監督官庁として支持せられておる方向にまとまるような努力をしていただきたい。  以上でございます。
  115. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 本件につきましてはこの程度といたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十九分散会