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説明員(
昌谷孝君) 私ども、その点は、
テンサイが、冒頭に申し上げましたように、
北海道で急速に
伸びて参りました
一つのきっかけが現在のてん菜
振興臨時
措置法であったと申し上げましたように、生産者の手取り価格が保証されておりますことが何よりも強力なてこであろうと思っております。てん菜
振興臨時
措置法は三十七年三月末までの時限立法ではございますが、現に生きておるわけでございまして、毎年、農林大臣は生産者の原料の最低価格の告示をいたしております。現状では、千斤当り三千百五十円という価格を最低価格として農林大臣が定めております。製糖
工場から製品
テンサイ糖を
政府が買います場合は、その最低価格を上回って買った製品でなければ
政府は買い入れの対象にしないという
措置を講じております。
そういうことで、在来は、先ほど申しましたように、
消費税が二十八円かかったという
関係上、一番コストの低い
工場の製品にいたしましても、具体的に御
説明を申し上げますと、従来は標準の市価が、従来の税制で申せば七十一円、
消費税を引きますと四十三円であります。従いまして、
工場経費に販売経費を加えましたものが四十三円でとまりませんと、在来の税制のもとでは製糖
工場は操業が成り立たない。あるいは、しいてそのもとで操業を続ければ、先ほど申しました千斤当り三千百五十円という原料価格が、生産者支払いができないという状況が、従来はあったわけでございます。従いまして、
政府は三千百五十円をベースにした個別原価計算をやりまして、四十五円五十銭で三十三年産糖も買い入れを現に行なっておるわけであります。これに販売経費等を加えますれば、五十二円
程度が
一つのコストになる。それからまた、新しい
工場では五十四円
程度で
政府が買っておりますから、それに販売経費を加えれば六十一円
程度になる。それが、先ほど申しましたように、現税制下では四十三円でなければ太刀打ちができないということで、三千百五十円という最低価格を維持するためのやむを得ない手段として、
政府は製品の買い入れを全量やっておったわけでございます。
法律の建前は、御
承知のように、最低価格を維持することと、それのために特に必要があった場合には、農林大臣が買い入れをすることができるという
法律の建前になっておりますけれども、
消費税が二十八円もかかり、輸入糖の市価が七十一円
程度であるということになりますというと、全部の
砂糖を買わなければ三千百五十円の最低生産者価格が維持できなかったのが実情であります。今度の振りかえ
措置は、そういった状況を改めまして、何とか
テンサイ糖企業が
政府目当ての生産でなしに、自立できるものにならないだろうか。もちろん、その場合の前提として、農家からの買い上げ価格三千百五十円という最低生産者価格はもちろん維持をする前提での話でございます。
そこで、計算を御
説明申し上げますと、新しい税制では標準糖価が七十三円と
想定されます。先ほど御
議論のあったところであります。
消費税が十二円六十銭でありますから、輸入糖との競争
関係は、これを差し引きました六十円四十銭であれば、輸入糖との競争
関係は成立をいたすわけであります。それに対しまして、
国内の
テンサイ糖のコストはどうかと申しますと、先ほど来申しておりますが、特に安い
工場を別にいたしまして、戦後に新しく作りました
工場の標準コストは、私どもの計算では五十三円十四銭というふうに
想定をいたしておる。これは原料価格を三千百五十円と押え、今お話がありました一
工場当りの原料集荷規模を反当四千百斤、六千町歩、
工場の操業時間を百二十日ないし百三十日というふうに置いて計算をいたしたのが、戦後に新しく設けました
工場の場合で、
工場の標準コストが五十三円十四銭というふうに見ております。これに販売経費を七円ほど加えますと、六十円二十四銭ということになりますが、そこで初めて先ほどの六十円四十銭との
関係において競争
関係が成立をいたすわけであります。で、これらの標準コストで操業の予想されます
工場につきましては、今後、申し上げました標準糖価の水準なりその他が、私どもの
想定通り順調に推移をいたしますれば、生産者に対して三千百五十円を確保しつつ、自由販売が可能になるわけでございます。これはまだ多少不確定な要素も含んでおるということで、標準コストによる買い入れば、これらの戦後にできました
工場については、今後も引き続き残しておこうというのが私どもの現在の
考え方です。
お話の一年なり二年で買い入れをやめるというのは、おそらく、私どもが従来
工場別原価で買い入れをしておりました
工場別原価による買い入れをやるのは、非常にむずかしいことであります。また、企業の努力という点から申しましても、必ずしも
——そのことが、企業努力をすればするほど、
政府の買入れ価格が安くなるというおかしな現象も伴います。必ずしも育成
措置として適切でないと思います。ただ、操業初
年度、あるいはすでに
工場の建設に着手しております
工場については、従来の経緯もあり、また
工場操業の初
年度からいきなり標準原価で買うというのは、いろいろ
工場の設計上のミスもございましょうし、また加工上のふなれもございましょう、原料歩どまり等の
関係もそこがあろうかということで、従いまして、現に建設中の
工場については、二年間だけは個別原価計算で買います。それから、今後新しく
工場の建設に着手なさる方も、最初の一年間は
工場の個別計算コストで
政府が買います。それからあとになりますと、今申しました一応標準的な規模というものを
想定をいたしまして、標準コストによる買い入れの道を開いておく。もちろん、これは開いておくことでありまして、税制の切りかえによって、
政府に売らなくても自分で販路を求めて売っていっても、成立する可能性は十分持っておるわけでございます。一応
政府へ売り込む、
政府に売り渡す余地も残しておくというわけであります。そこで、先ほど申し上、げました日てんの旧三
工場は、この五十三円十四銭に見合いますものが四十五円五十銭ということになっているわけでありますから、あまりにも自立でき過ぎると申しますか、そういう形で日甜の製品が野放しになりますことは、製造が時期的に限定されております
テンサイ糖のことでもあり、むしろ不当に市場の撹乱あるいは販路の撹乱をやつたり、あるいは生産者から買い上げます三千百五十円というのは最低価格ではございますが、あまりにもその他の
工場との
条件が違いまして、かえって生産者を迷わすと申しますか、撹乱する要因も出てくるというのが、それらの特殊な
工場から
納付金を徴収をするということの
考え方の基礎であります。