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政府委員(佐野廣君) ただいま
議題となりました
砂糖消費税法の一部を
改正する
法律案外五
法律案につきしまて、提案の理由及びその概要を御
説明申し上げます。
まず、
砂糖消費税法の一部を
改正する
法律案について、その概要を申し上げます。
この
法律案は、国内産糖に対する保護育成をはかるため、別途に御審議をお願いすることとしております
関税定率法の一部
改正と相待って、砂糖消費税の一部を関税に振りかえようとするものであります。
第一に、国内産テンサイ糖につきましては、従来から
政府買い上げの
措置によってその育成をはかって参りましたが、テンサイ及びテンサイ糖の生産を奨励するためには、それが生産者の自主的な採算によって、生産されるような体制に置くことが望ましいことは言うまでもないのでありまして、この際、砂糖に対する関税率を引き上げる反面、これによる増収額に見合って砂糖消費税を引き下げて、テンサイ糖の生産体制を自由化する
方向への条件を整えることとしたのであります。なお、この
措置によりまして、従来輸入糖に対しコストが割高であるため、その発展がはばまれていた沖縄産分みつ糖に対しても、十分な保護育成
措置となる次第であります。
以上のような理由で、第二種の砂糖(分みつ糖)に対する一キログラム当り四十六円六十七銭の現行税率を二十一円に引き下げ、その他の砂糖類につきましても、これに準じてそれぞれその税率を引き下げることとしております。
第二に、国内産及び沖縄産のたる入れ黒糖に対し一そうの助成
措置を講じようとするものであります。すなわち、これらのたる入れ黒糖に対しましては、従来からも特別
軽減税率を
適用してきたのでありますが、今回はさらに、容器の制限を撤廃するとともに糖度を現行の八十六度から九十度に引き上げてその品質の向上をはかり、また、その税率も一キログラム当り現行の六円六十七銭を五円に引き下げることとしております。
第三に、砂糖消費税につきましても、他の消費税と同様の証紙
制度を設けて、
課税の適正を期するほか、計量単位をメートル法による単位に切りかえる等、所要の規定の整備をはかることといたしております。
なお、旧関税率による関税のみが納付され、砂糖消費税が未納である砂糖類が、
昭和三十四年四月一日現在に所持されている場合には、砂糖消費税の旧税率と新税率との差額を徴収する等経過的な
措置をとることといたしております。
次に、
入場税法の一部を
改正する
法律案につきまして、その概要を申し上げます。
この
法律案は、一昨年以来続けて参りました間接税の根本的再検討の一環として、入場税負担の合理化をはかるため、映画、演芸等に対する入場税の税率の過度の累進性を緩和するとともに、低額料金による入場者の税負担の軽減及び
税務執行の
簡素化に資するため、臨時施設等における臨時興行について免税点を設け、あわせて所要の規定の整備をはかるため、
入場税法の一部を
改正しようとするものであります。
まず第一に、税率
改正について申しますと、
昭和二十九年の
改正の際、低額入場料金についてその税負担を大幅に軽減することとしたため、現在第一種の催しもの(映画等)の基本税率は、五十円以下一割から百五十円をこえるもの五割に至る急激な累進税率となっており、他の消費税の税率等との権衡から見ますと、二割の税率を中心に、例外的な一割の
軽減税率及び三割の加重税率を加味することが適当と
考えられます。従って、これを五十円以下一割、百円以下二割及び百円をこえるもの三割の税率に改めることといたしました。同時に、演芸、音楽及び見せものについては、従来から
軽減税率を
適用していた催しものとの区分について問題が多かったので、これらの税率を、演劇と同じく五十円以下一割、三百円以下二割及び三百円をこえるもの三割に軽減することといたしました。
第二に、第一種の場所で行われる催しもの(映画、演芸等)のうち、仮設小屋とか小中学校の講堂等で行われる臨時の催しものについて新たに三十円の免税点を設けるとともに、第二種の場所(展覧会場等)への入場についても、現行の免税点の二十円を三十円に引き上げることといたしております。
第三に、入場税
課税の適正を期するため、入場券に関する規定を
改正する等、所要の規定の整備をはかることといたしました。
なお、この
法律案は本年五月一日から施行することといたしておりますが、経過的な取扱いといたしまして五月一日以後に入場する入場券を四月一日以降に前売りする場合には、新税率を
適用できるようにいたしておりますとともに、五月一日以降六月間に限り税込料金が減税相当額だけ引き下げられない場合には、原則として旧税率を
適用することといたしております。
以上申し上げました軽減
措置による入場税の減収額は、
昭和三十四年度において約十九億円、平年度において約二十三億円と見込まれます。
次に、
議題となりました
関税定率法の一部を
改正する
法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御
説明申し上げます。
この
法律案は、国内産テンサイ糖及び沖縄産糖の保護育成をはかるために砂糖の関税率を引き上げるとともに、インド蛇木根、マグネシウム及び鉛の関税率について、それぞれ所要の
改正を行おうとするものであります。
以下、
改正の内容を簡単に御
説明申し上げます。
まず、砂糖につきましては、
昭和二十八年に施行されたテンサイ生産振興臨時
措置法によって
政府買い入れ等の
措置がとられ、国産テンサイ糖の生産は着々増加しておりますが、なおその生産費は輸入糖に比べて相当割高になっております。また、沖縄産糖は、本邦へ輸入される際に関税を免除されておりますが、生産費が高いため、その他の地域からの輸入糖の関税込み
価格と比較してもなお相当割高となっております。従ってこれら国産糖及び沖縄産糖の生産の保護育成に資するため、原料糖の関税を一キログラムにつき現行の十四円から四十一円五十銭に引き上げ、あわせて関連品目の関税率について所要の調整を行うこととしております。なお、別途、
砂糖消費税法の一部
改正により、ほぼ関税率引き上げに見合う砂糖消費税率の引き下げが行われることになっております。
次に、インド蛇木根についてでありますが、これは、高血圧の治療に不可欠な医薬品の原料となるものであり、しかも、現在その全部を輸入に仰いでおりますので、その関税率を現行の一割から無税として、国民保健の向上に資することといたしております。
次に、マグネシウム及び鉛につきましては、最近における需要増加に伴ってこれらの国内生産が増加し、現在では、国内需要の大部分を国内生産で充足できるようになってきておりますが、その
価格は外国産品に対してなお若干割高となっております。従ってこれら国産を保護するため、マグネシウム地金及び鉛地金の関税率をそれぞれ現行の五分から一割に引き上げるとともに、関連品目の関税率について所要の調整を行うことにしております。
次に、
関税定率法の一部を
改正する
法律の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
この
法律案は、最近の経済状況等にかんがみ、
昭和二十九年に制定されました
関税定率法の一部を
改正する
法律の付則を
改正し、本年三月三十一日で
期限が到来する関税の暫定的減免
制度について、その期間をさらに一年間延長し、あわせて電子
計算機及び触媒等の一部を免税品目に追加するとともに、一部品目の整理及び
軽減税率の調整をしようとするものであります。
以下、
改正の内容を簡単に御
説明申し上げます。
まず、従来、暫定的に関税の減免を認めている重要機械類、学童給食用乾燥脱脂ミルク、原子力研究用物品及び小麦、A重油、四エチル鉛、航空機等の
課税免除物品並びに原油、B・C重油、揮発油、ピグメントレジンカラーベース等の
軽減税率適用物品につきましては、諸般の
事情を考慮してなお一年間その減免の
期限を延長することとしております。
次に、
事務管理の向上並びに企業合理化に資するため、電子
計算機及び石油化学工業用の触媒等を新たに
課税免除品目に追加し、また皮革産業の発展に資するため、合成なめし剤について現行の
軽減税率をさらに引き下げ、あわせて繊維製品の染色用として使用されるピグメントレジンカラーべースについて、国産保護の
見地から、現行の
軽減税率を若干引き上げることとするとともに、国産保護の
見地から、カーボンブラックを減税品目から削除することとしております。
次に、
関税法の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
この
法律案は、最近における外国貿易の実情に顧みまして、姫路港及び佐賀関港を開港に、伊丹空港を税関空港にそれぞれ追加するとともに、開港が開港でなくなる基準を合理化しようとするものであります。
以下、
改正の内容について簡単に御
説明申し上げます。
まず、姫路港及び佐賀関港につきましては、ともに貿易実績も多く、港湾設備及びその将来性についても他の開港に比して遜色がないので、両港を開港に追加し、伊丹空港につきましては、昨年三月に接収を解除され、外国貿易に使用されることとなったので、これを税関空港に追加し、これに伴う税関管轄区域の整備を行うこととしようとするものであります。
また、開港を閉鎖する場合の基準につきましては、現在は、輸出入額の基準と入出港船舶隻数の基準との二基準のうち、いずれか一方を満足すれば開港として存続することとなっておりますが、これを、二基準のうち隻数の基準を半分にゆるめた上で、二年継続してその二基準の双方を満たすことができなかったときは、開港でなくなることに改めようとしております。なお、これにつきましては、現在実績の少い開港の
事情をも考慮いたしまして、
改正規定の
適用を一年間猶予し、来年末までの実績を見ることとしております。
次に、
特定港湾施設工事特別会計法案について申し上げます。
政府は、新長期経済計画に即応して特に伸長を予想される輸出物資、石油、石炭及び鉄鋼原材料を取り扱う港湾の整備の重点的な推進をはかるため、今国会に、別途特定港湾施設整備
特別措置法案を提案して御審議を願つているのでありますが、同
法案に規定する特定港湾施設工事にかかる港湾管理者の負担金相当額を資金運用部から借り入れることによる事業規模の拡大と、この工事にかかる受益者負担金の経理の明確化の
見地から、同
法案に規定する特定港湾施設工事及びこれに密接な関連のある工事で国が委託に基いて施行するものに関する経理につきましては、これを一般会計と区分して行うことが適当であると
考えられますので、新たに特定港湾施設工事特別会計を設置することといたしましてこの
法律案を提案いたしました次第であります。
次に、この
法律案の概要につきまして御
説明申し上げます。
第一に、この会計におきましては、一般会計からの繰入金、港湾管理者の負担金、地方公共団体の負担金の納付の
特例に関する
法律の規定により納付された地方債証券の償還金及び利子、企業合理化促進法第八条第四項後段の規定による事業者の負担金、受託工事にかかる納付金、借入金並びに付属雑収入をその歳入とし、特定港湾施設工事に要する費用、受託工事に要する費用、
事務取扱費、借入金の償還金及び利子、一般会計への繰入金並びに付属諸費を歳出として経理することといたしております。
第二に、この会計におきましては、この会計の設置の
趣旨にかんがみましてその歳入、歳出及び
資産、負債の整理並びに予算の配賦等を工事別等の区分に従って行うことといたしております。
第三に、この会計におきましては、特定港湾施設工事に関する費用で国が負担することとなる金額は、一般会計からこの会計に繰り入れることとし、また、受託工事にかかる納付金のうち当該工事について一般会計が支弁した
経費に相当する金額は、この会計から一般会計に繰り入れることといたしております。
第四に、この会計におきましては、特定港湾施設工事に関する費用のうち港湾管理者の負担金の額に相当するものの財源に充てるため必要があるときは、国会の議決を経た金額を限度として、この会計の負担で工事別等の区分に従って、借入金をすることができることといたしておりますとともに、その借入金のうちその年度内に借入をしなかった金額があるときは、その額を限度として、かつ、歳出予算の繰越額の財源として必要な金額の範囲内で、翌年度において借入金をすることができることといたしております。
以上申し述べましたほか、この会計の予算及び
決算の作成及び
提出、予備費の使用、剰余金の処理、余裕金の預託等この会計の経理に関しまして必要な事項を規定いたしております。
以上が、この
法律案の提案の理由及びその概要であります。
何とぞ、御審議の上、すみやかに御
賛成下さいますようお願い申し上げます。