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1959-02-12 第31回国会 参議院 大蔵委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月十二日(木曜日)    午後一時四十五分開会   —————————————   委員の異動 二月九日委員仲原善一辞任につき、 その補欠として井上知治君を議長にお いて指名した。 二月十日委員迫水久常辞任につき、 その補欠として森田義衞君を議長にお いて指名した。 本日委員森田義衞君、林田正治君、廣 瀬久忠君及び塩見俊二辞任につき、 その補欠として迫水久常君、高橋進太 郎君、高橋衛君及び前田佳都男君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤 正人君    理事            土田國太郎君            山本 米治君            平林  剛君            天坊 裕彦君    委員            岡崎 真一君            木暮武太夫君            高橋  衛君            前田佳都男君            宮澤 喜一君            小酒井義男君            椿  繁夫君            鮎川 義介君   政府委員    大蔵政務次官  佐野  廣君    大蔵省主税局長 原  純夫君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省理財局経    済課長     庭山慶一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十三年分の所得税確定申告  書の提出期限等特例に関する法律  案(内閣提出) ○企業資本充実のための資産評価等  の特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○株式会社の再評価積立金資本組入  に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○砂糖消費税法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○入場税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○関税定率法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○関税定率法の一部を改正する法律の  一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○関税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○特定港湾施設工事特別会計法案(内  閣送付、予備審査)   —————————————
  2. 加藤正人

    委員長加藤正人君) ただいまから委員会を開きます。  まず、委員の変更について報告いたします。  本日付をもちまして塩見俊二君、廣瀬久忠君及び林田正治君が辞任されましてその補欠として前田佳都男君と高橋衛君及び高橋進太郎君がそれぞれ委員に選任されました。   —————————————
  3. 加藤正人

    委員長加藤正人君) これから、昭和三十三年分の所得税確定申告書提出期限等特例に関する法律案議題とし、これより質疑に入ります。  御質疑のある方は、順次、御発言を願います。
  4. 平林剛

    平林剛君 ただいま議題になった法律と直接関連はありませんけれども、この機会にお尋ねをいたしておきたいと思います。先般、私と土田國太郎議員の両名が、大分県、宮崎県の経済事情視察に参りましてその際に特に税務関係当局から要望された事項で、この法律にも若干関係したことがございますから、お尋ねをいたしたいと思います。  その一つは、租税特別措置法の第三十条の山林所得概算についてでありますが、その経費率適用する場合に確定申告書にその旨を記載することになっておりますが、期限後の申告書に記載をしても、経費率適用することができるようになっておる。これはどうも適当でないから、経費率適用提出期限までに来たものだけにしたらどうかという意見が出されたのであります。これについては、いろいろと税務行政全般について御検討なさっている中に含まれているかもしれませんが、政府当局でどういうお考えをお持ちであるか。  それから第二は、同じく租税特別措置法第三十条によって、山林所得概算経費控除適用する場合の経費率は、毎年大蔵省令で定められることになっておる模様でありますが、この経費率決定は、その年の十二月中旬までに決定をしてもらいたい。現在は毎年二月上旬に決定をされているので、山林所得計算事務に相当困難を生じておる。従って、十二月中旬までには決定してもらいたいものだ。まことに妥当な要望でございましたので、私も政府において善処してもらいたいと考えておるのであります。  この二つについてお考えお尋ねいたします。
  5. 原純夫

    政府委員原純夫君) お答え申し上げます。最初の、概算経費率適用をただいま申告にかからしていないというのをかからせるという要望につきましては、概して、申告要件とするというのを、はずすといいますか、申告要件としないような、期限前の申告要件としないような方向に、大体こういう場合の扱いを、扱う場合のかまえをとつております。お話のようにいたしますと、納税者にはそれだけ不利になるというようなことになりますので、なお、その要望の出ました趣旨をよく検討した上で、慎重に措置をしたいというふうに思います。  それから、概算経費率を十二月中旬までにという要望は、まことにもっともな要望だと思います。まあ、そう申しながら、今回のも、つい先月きめまして、先月中には通達が出たかと思いますが、これは御案内でもあろうと思いますが、なかなか実際に調べました結果が、この財産税の調査時期における価格を延ばす、それがだんだんその額が減るというような関係があってかなりそこに率をどうするかというあたりに問題がありました。それらを相当慎重に検討して、まあ今回は、昨年の通り三二%という結論にいたしたわけでありますが、それは単純な計算だけでなくて、やはりそこに態度をどうするというような問題、つまり、相当、山林所得についていろいろ御要望がある向きを織り込んで考えたいというようなことで検討いたしたものでありますから、おくれましたのはまことに申しわけないと思います。今後はなるべく早くやるように、これはまた、要望趣旨に沿ってやつて参りたいと思います。
  6. 平林剛

    平林剛君 もう一つ山林所得課税につきまして、公平な課税をするという見地から、課税資料収集をしなければならぬことになっておるようであります。たとえば、伐採許可申請届であるとか、造林補助資金資料などがありますと、山林所得に公平な課税をする的確な判断ができる。しかるに、山林関係の諸機関である県の林務部森林組合等協力が不十分であるため、課税資料収集が困難で、支障を来たしておる模様であります。これはそれぞれ出先機関においてかけ合うのでありますけれども、上部からの許可がないというとそれを出すわけにいかないとか、あるいはその他の事情から、どうしても資料提出を渋る、連絡をるという所がございましてこれについては、ぜひ上の方で、つまり林野庁と協議をして、あるいはその他の措置を講じて、行政支障のないような配慮をすべきだという意見がございました。私、これはまことにもっともであると考えましたので、一体どうしてこんな支障があるのか。政府当局において十分話し合いをして、それぞれ出先でこのような混乱が起きないようにすべきではないか。現在、一体どうなっておるか。また、こうしたことについて、これから配意をすべきだと思いますが、そのことについての御見解を承わりたい。
  7. 原純夫

    政府委員原純夫君) まことにごもっともなお話だと思います。私、具体的に、どういう事情林野庁の方面その他協力が十分できないか、特別の事情があるのか、どうかというあたり、私、承知いたしておりませんが、さっそく、お話趣旨は、税務をやつております方に伝えまして、できる限りお話のような方向に私として努力をしてもらうように頼みたいと思います。
  8. 平林剛

    平林剛君 私の指摘した個所は宮崎県でありますから、お答えの通りに善処されるように要望いたします。  次に、もう一点お尋ねをいたしますが、贈与税資産評価税譲渡山林所得申告期限の問題であります。ただいま議題となっておる法律案も、同じように、その申告期限を、三月十五日となっておるのを十六日と改める法案提出をせられておりますが、私が申し上げる点についても同様で、これは逆に、もっと早くしてもらいたい。つまり、二月末日までに繰り上げてもらいたいという希望なのであります。なぜ、贈与税資産評価税申告期限を二月末日に切り上げてもらいたいかというと、これは、一般の申告所得税申告期限が三月十五日となっておるので、どうしても現行法では、所得税申告期限と同一になって、事務的にそれらの資料が、申告所得税申告期限である三月十五日以後になりやすいので、非常に納税者に不利益を与えておる。修正申告または期限申告等を徴して、追徴金とか加算税決定することになってしまうから、どうか二月末日までに繰り上げてもらいたいという希望があるのであります。この法律とも若干関係があるようなところでありますが、これらの希望については、政府当局はどういう御判断をなさつておるのですか。
  9. 原純夫

    政府委員原純夫君) 再評価税は、御案内通り所得税に関連する再評価は、譲渡所得計算上、再評価適用あるものにつきまして再評価をするわけであります。その譲渡所得についての申告期限は三月十五日であるということになりますと、やはり再評価関係も一緒にさせることにしておかないと、かえって、また納税者にとっては困るときがありゃせぬか。やはりそういう点は、おそらく、どうしたらいいかというようなことを聞きに来られるでしょう。聞きに来られて申告をする、両方申告をするわけですが、両方やはり三月十五日まででよろしい。申告するときに一体としてできるのじゃないか。なお、贈与税の方は、ただいま申告期限が二月末日になっております。これは別段、所得税とはちょっと別な何でございますから、手続所得税ほどめんどうでないという考えがいたしております。
  10. 土田國太郎

    土田國太郎君 ちょっと、局長にお伺いしたいのですが、めんどうなことじゃないのですが、今の宮崎県の山林伐採申告が十五日以後でもいいという、このことだね。大体、ほかの軽減税率特別措置ですね、これは日限が切れて以後の届出はだめだということの取扱いが多いように大体私は拝見しているのだが、山林だけ特別に以後でもかまわないということは、その事情がもしわかればお教え願いたい。  それから、今、平林委員のおっしゃったように、これはもう十五日でないと税務署ではやりきれないというのですが、あまりあと長引いているので、その点もよく一つお含み願いたい。
  11. 原純夫

    政府委員原純夫君) 税務署の立場といいますか、なるべくこの期限内申告の際に、いろいろそういう、たとえば各種の控除でありますとか、経費についての特別な規定ですね、こういうものを期限内の申告の際に出さなきゃいけませんよというふうになっているのも、もちろんありますけれども、しかし、たとえば扶養控除もかつては申告にかけてあったのですが、申告にかけてありましたのを、まあ申告しなかった、あと決定されるというような場合に、これを、申告しなかったから扶養控除を認めないのはどうだろうかというようなことを考えまして、その後、これは必ずしも申告にかけないというふうに直したようなこともあります。従いまして、こういう特別な措置——期限内申告にかけるということは、期限内申告を促進し事務を早く整理するという意味ではいいのですけれども、事柄によりまして期限内に申告しないでもやはりその利益は与うべきだというようなものについては、条件としないということで、この場合に、あるいはそれが甘過ぎるという御判断かもしれませんけれども、まあ私どもとして、山林所得計算というものは、御案内通り、なかなかめんどうなものでございます。こういう便法で経費をはじくということを、期限におくれたからということでやっていいのかどうか、その辺は相当慎重に考えなければいけないのではないかと考えております。
  12. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 他に御質疑はございませんか。——他に御質疑もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにして、お述べを願います。——別に御意見がございませんければ、これにて討論を終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。昭和三十三年分の所得税確定申告書提出期限等特例に関する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに御賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  15. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 全会一致と認めます。よって本案は原案通り可決すべきものと決しました。  なお、諸般の手続につきましては、先例によりこれを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 御異議ないと認めまして、さように決定いたします。   —————————————
  17. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 次に、企業資本充実のための資産評価等特別措置法の一部を改正する法律案及び株式会社の再評価積立金資本組入に関する法律の一部を改正する法律案一括議題とし、これより補足説明を聴取することにいたします。
  18. 庭山慶一郎

    説明員庭山慶一郎君) 企業資本充実のための資産評価等特別措置法の一部を改正する法律案株式会社の再評価積立金資本組入に関する法律の一部を改正する法律案二つにつきまして補足説明をいたします。  御承知のように、資産の再評価は、昭和二十五年に第一次を行いまして、昭和二十六年に第二次を行なったわけであります。その後、物価の騰貴によりまして、帳簿価額の再評価もまだ不十分であるということになりましたので、昭和二十八年、二十九年の両年にわたりまして第三次再評価を行いました。なお、中小企業につきましては、昭和三十二年に中小企業の再評価法という法律を国会で御審議いただきまして、中小企業だけについて補足的に再評価をやったわけでございます。  で、これらの再評価によりまして法人の持っております固定資産を再評価いたしました結果、再評価積立金というものが生じたわけでございます。この再評価積立金は、インフレによる帳簿価額が下落しましたことに伴いましてこれを修正したものでございますので、本来、資本金に準ずる勘定であるという考え方から、なるべくこれを早く資本組み入れたいということになりまして、昭和二十九年に通称企業資本充実法と申しております今お手元にございます法律を作りまして再評価積立金の三割以上を資本組み入れなければ一割五分をこえる配当をすることができないという制度にいたしたわけでございます。これによりまして、間接的に配当制限という手段を用いますことによって、再評価積立金資本組み入れを促進して参つたわけでありますが、この制度がこの秋に終るわけでございます。  御承知のように、日本の大会社は三、九月決算会社がたくさんございますので、便宜二「九月決算会社について申し上げますと、現在の制度がこの九月決算——昭和三十四年九月決算で終了いたします。でありますから、三十五年の三月決算以後どういう措置を講ずるかということを、この際きめていく必要があるわけでございます。そのために今回の法律案提出いたした次第でありますが、この法案考えております要点を申し上げますと、昭和三十五年の三月決算から昭和三十六年九月決算までは、つまり二年間は現在の配当制限措置を若干強化して継続してやっていこうというわけでございます。  具体的に申し上げますと、今後一割五分をこえる配当をする場合には、再評価積立金の五割以上を資本組み入れなければならない。それから、もう一つは、一割二分をこえる配当をする場合には、再評価積立金の三割以上を資本組み入れなければならないということにしたわけでございます。でありますから、現在再評価積立金を三割以上五割未満組み入れを行なっておりまして一割五分をこえる配当をしております会社は、来年の三月決算以後は、これは組入率を五割以上にふやして、そうして一割五分をこえる配当を維持するか、それとも、この再評価積立金がそれだけ組み入れることができない場合には、配当率を一割五分以下に下げるということにしなければならない。それから、現在三割以上五割未満組み入れが行われないで、一割二分をこえ一割五分までの配当をしている会社は、配当率を維持しようと思います場合には、三割以上の組み入れをしなければならない。その組み入れのできない場合には配当率を一割二分以下に落すと。このどちらかを採用しなければならないということになるわけでございます。  今、一割五分をこえるとか、あるいは一割二分をこえるというふうに申しましたが、これは法律の用語でございまして、常識的には、一割五分をこえると申しますのは一割六分以上ということでございます。一割二分をこえるということは一割三分以上ということでございます。  なお、現在、増資をいたしましてあるいは無償組み入れを終ったり、有償増資をしたりしまして、その結果、再評価積立金の現在高が資本の額に対して四分の一以下である場合には、配当制限措置適用しないことにしておるのでありますが、この様式は今後も続けたいと思っております。  なお、昭和三十六年九月決算前のことを今申し上げたのでありますが、それ以後どうするかということにつきましては、再評価積立金の性質にかんがみまして、さらに、そのときに資本組み入れを一そう促進するという考え方から、追って法律を定めてきめるということをこの法律に書くことにいたしております。  以上が今度の改正の実質的な内容の第一点でございます。  それから、第二点といたしましては、手続上の改正をいたしました。その手続改正の第一は、再評価積立金資本組み入れます場合には、現在株主総会特別決議を要したわけでございます。しかし、それを改めまして今後は取締役会決議だけで資本組み入れることができる。また、それによって株式を発行することができるということに改めようと考えております。再評価積立金資本組み入れるということは、これは株主利益のために行われることでありますので、わざわざそのために株主総会特別決議をやらなくても、取締役会決議で十分であるというように考えました結果でございます。なお、商法で準備金資本組み入れ取締役会決議で足ることになっておりますので、その趣旨も同時に勘案いたしましてさようにきめたわけでございます。現在は、有償増資の場合には、つまり無償を組み合せません有償増資一本の場合には、取締役会決議だけでできるのでありますが、わずかに無償を抱き合せて増資をいたそうとする場合には、そのためにわざわざ株主総会特別決議を必要といたしますので、手続上非常に煩瑣である。なるべく早くこの組み入れを促進したいという考え方によりまして、そのように改めたわけでございます。これによって相当の手続上の簡素化が行われると私どもは思っております。  それから、手続上の改正の第二点は、会社欠損を出しました場合に、その欠損を埋めるために再評価積立金を取りくずすという場合がございます。この場合には、現在は株主総会普通決議——そのために特別に議案を出しませんでも、つまり利益処分を伴う財務承認の一項目として入れてやればいいことになっておったわけでございますが、欠損を出しました場合に、安易な手続で再評価積立金を落しますことは、先ほど御説明いたしましたように、再評価積立金資本であるという考え方からいたしますと、あまり適切でない。だから、欠損補てんのために再評価積立金を取りくずす場合には、厳重な手続で、株主総会特別決議でやることにしたい。つまり減資に準じた手続によってやる。資本でも減少ということがあるわけでありますから、再評価積立金減少というものもあっていい。しかし、ある場合には、厳重な手続に準じた手続によりまして、債権者にも伺いを立て、すべての株主に承わって、丁重な手続でやっていただきたい。そうすることが資本を維持し充実をはかる見地から好ましいと考えましたので、過去においてはその点で、簡単に再評価積立金を取りくずしましていろいろ問題のあった事例もございますので、そういうふうに改正しようといたしておるわけでございます。  そのほか、そういう実体面改正手続面改正によりまして、それに関連いたします報告制度だとか、公示の制度だとかというようなものを改正することになっておりますが、これは全くこまかい問題に属しますので、一応説明は省略させていただきます。  なお、お手元資料のようなものを差し上げておきましたのでございますが、ちょっとそれについて御説明申し上げますと、この表の左の上の方でございますが、今までに発生いたしまして積み立てられました再評価積立金は一兆三千四百三十五億でありましたのですが、その中から二千百十七億を資本組み入れ、それから千九億を取りくずしまして、再評価積立金の現在高は一兆三百九億ということになっております。現在までの組入率は一七%でございます。で、これは全法人でございますから、まあ何十万という法人全体について調べますと、こういうことになるわけでございます。  で、どういうことで取りくずしましたかという内訳は、そこにも書いてございますが、いろいろ原因がございまして、再評価税を納める場合に取りくずすのが、これが一番多いわけでありますが、あと、先ほど申しました欠損填補のために取りくずしたり、再評価資本を譲渡した場合に、再評価額価格で売れなかった場合に譲渡損失が出ます。それから、その後評価減をいたしましたような場合にそれを取りくずすことになっておりますので、そういう関係で千億余りの取りくずし額があるわけでございます。  再評価税は、今まで五百億ほど徴収したことになっております。未納額二十七億と申しますのは、これは電力会社関係で若干残つておりますが、これはあと一年くらいの間にほとんどなくなる予定でございます。  で、年度別にどの程度組み入れましたかということを申し上げますと、そこのこの紙の右側の方でございますが、これは全体の法人について調べますにはちょっと資料が正確でございませんでしたので、東証上場会社だけについて調べますと、そこに書いておりますようなことになっております。大体毎年その組み入れが行われている。三十一年ごろは非常に、これは増資免税等関係もございまして、たくさん入れたのでございますが、大体最近は二百億ないし三百億の組み入れがあり、三十三年末の組み入れ状況を東証上場会社について見ますと、そこに表がございますが、大体同じようなことでございますから、説明を省略させていただきます。  今度の措置によりまして配当制限が強化されることになりますが、この場合に一番考えましたことは、そういう再評価積立金資本組み入れるということは、これは理論上はその通りであるけれども、しかし、あまりこれを急激にやりますことは、会社の経理なり株式市場に悪い影響を与えるのであるから、これをなるべく漸進的にやりたいというのをモットーとして考えたわけでございます。で、この法案を現実に適用いたしますと、東京証券取引所上場会社について申し上げますと、大体のことなんでございますが、約六百社あるわけでございます。東京証券取引所株式を上場している会社は大体六百社ございますが、そのうち配当率が一二%以下の会社は、これは全然今度の措置関係ないわけでございます。でありますから、まあ常識的に申しまして、電力会社とか鉄鋼会社ガス会社とかあるいは地方鉄道業というようなものは、もちろん一割二分をこえる配当をしているところもございますけれども、大体基礎産業的なものは配当率が低うございますから、適用対象にならない会社が多うございます。そういうものが、一二%以下の配当をしております会社が、六百社のうちで大体三百七十社ほどでございますので、一三%以上の配当をし、一応今回の対象になるかもしれないと考えられますものが二百三十社程度ございます。しかし、この二百三十社程度の中でも、もうすでに今度の改正案に規定している要件を満たしておる会社もたくさんありますので、そういうものを差し引きますと、大体九十社ぐらいがこの改正法律案の一応の対象になるわけでございます。再評価積立金の額にいたしますと、大体三百億ぐらいの額でございます。しかし、御承知のように、最近は一般の金利の低下の傾向もございますし、それから有償増資をいたします場合には、それに応じて配当率を引き下げていくということが常識になっておりますので、この法律が実際に働く昭和三十五年三月決算、九月決算会社について申しますと、昭和三十五年三月決算ごろには、これがなくても配当率が下る、あるいは組み入れが行われるということになりますから、実際に適用になる会社の数なり再評価積立金の額は、それよりなお減るだろうというふうに考えております。  この再評価積立金資本組み入れますねらいでございますが、これは会社の経理を正常化したいということが第一点でございます。現在では、たとえで申し上げますと、資本金十億の会社がある、同時に再評価積立金が十億あるというような場合には、現在ではその十億の資本金に対してたとえば二割の配当をしているということになる場合に、実質的に考えてみますと、それは再評価積立金を入れれば二十億でありますから、二十億については一割の配当しかないということであります。これは再評価積立金というものが発生しました場合に、即座に全額資本金組み入れることが適切であるという意見も当時あったのでありますけれども、当時、何分日本の企業は十分まだその収益をあげておりませんでしたので、一度に組み入れるということは無理だということがありまして、だんだん収益が上るに従ってこれを組み入れていこうという考えで来たわけでありますが、もう現在のいろいろ経済情勢を考えますと、今度、先ほど御説明申し上げましたような程度の組み入れを行いますことは、企業の経理を正常化し、金利が低下する傾向にもちょうど適合していると考えましたわけで、こういうことを考えたわけであります。でありますから、再評価積立金資本組み入れば、単にただ形式上そういう勘定科目を修正するというだけではなくて、そうすることによってやはり企業の経理の正常化も行われ、企業資本充実なり企業の体質改善に役立つと考えたわけであります。このこと自体が直ちにそういうことにはならないけれども、そういうふうに正常な経理をだんだんやっていくということが、直接間接いろいろな方面で好影響を与えることが多いというふうに考えた結果でございまして、またそれが一つのねらいであります。  なお、現在は株式市場が非常にオーバー・ヒートしているわけでございますが、この原因はまあいろいろございましょう。それは将来の企業収益の向上なり経済の発展というものをはかっていくことも、もちろん原因でありましょうが、株式の数と申しますか、株が少いということが相当大きな原因の一つになっておる。でありますから、株式をふやしていくことによって、株式の需給関係のバランスがとれる、少くとも株式が少いことによる取引の不円滑ということが是正されると考えておるわけでございまして、いろいろな方法で何とか株式をふやしたい、その考え方にこの組み入れば合致する。この組み入れによりまして株式を発行することになりますから、合致する。それから、こういう措置を講じますと、これに乗って、また会社有償増資、抱き合せ増資をやっていくということで、株式市場正常化という考え方にも適合しているのではないか。そういうふうにもしたい。これだけで株がふえ、株式取引が円滑になるとは考えておりませんが、これも一つの原因といたしたいということでございます。  大体、法案の要点と、これを実施した場合にどの程度の影響があるか、そのねらい等につきまして、御説明申し上げました。
  19. 加藤正人

    委員長加藤正人君) これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次、御発言を願います。
  20. 平林剛

    平林剛君 きょうは、今の説明の中でもう少し補足してもらいたいことだけお尋ねして、他の質問は他日に留保しておきます。  一つは、この法律で一体だれが一番利益を得るか、へんな質問ですけれども、そういう点がわかるような説明してもらいたい。もう一つは、ただいまの説明の中に、企業の体質改善に役立つとか、株式市場の適正化に影響があるとか、いろいろお話がありましたが、それで大体尽きているとは思いますが、経済に与える影響は一体どういうところをねらっておるか。繰り返しの説明になるかもしれませんが、私の質問の立場に立ってお答えを願いたい。もう一つ、第三は、実際にこの法律適用は、上場会社六百のうち、しぼられてくると、大体九十社程度になるというお話であります。名前をあげることは別に差しつかえないと思いますが、大体どういう会社に一番響いてくるかということを、予備知識として説明をしてもらいたい。以上、三点について伺います。
  21. 庭山慶一郎

    説明員庭山慶一郎君) お答え申し上げます。まず第一点でございますが、だれが一番利益になるかということであります。これは非常にむずかしい御質問でございますが、御質問の第二点と同時に御説明申し上げた方がいいと思いますので、さようにお話し申し上げたいと思いますが、この考え方は、やはり株主から提供を受けた資本というものは配当の対象にならなければいけない。配当しなくてもいい資本金というものは、これはあり得ないわけであります。ところが、再評価積立金は実質的に資本なんでありますが、形式的に資本としなかった原因は、先ほど申しましたように、当時まだ会社の収益力が足らなかったから、直ちに資本組み入れますと、組み入れるために配当ができなくなるということはございませんが、配当が非常に低率になって株価が額面を割る。そういうことになりますと、その会社増資するということにもまた支障を来たしますので、だんだん経済の状況によってやっていきたいということでありましたので、現在この法律を施行いたしますと、この程度の漸進的な案では、まず収益状況のいい会社が、収益条件がよく株価も高い、従って表面配当率も高いという会社は、配当率を下げられると思います。しかし、単に、たとえば再評価積立金が十億あった、その十億を組み入れて、配当率を二割を一割に落したのでは、何にもならない。何にもならないというのはちょっと語弊がございますが、ただ形だけが違つてきただけで、株主の手取りは変らぬ。だから、そうはしないで、やはりその場合に少しでも配当額そのものがふえるように、やはり企業家の方は努力をなさるのじゃないかと思うわけであります。そういうふうにやつていただくことは株主に好影響を与えるから、一般の企業がそういうふうに考えて経営なり配当政策を考えていただくことが、企業の自己資本充実に役立ち、企業の自己資本に役立ちますことは、よくいわれております体質改善になって今後日本の経済に残された一番多きい問題はそこでありますから、そういうふうに考えて経営をし、配当をしていただいて、自己資本の構成の一助にしたい。そういうふうに考えますと、これは、直接はまず株主利益を与えることになります。  しかし、これは、現在は国民の貯蓄いたしましたものは、株式の形かあるいは銀行預金の形になって、そうしていずれにしても、銀行預金を通じましても、やはり企業に流れていくわけでございますから、現在はそういう銀行を通ずる投資の方向というものが、まだ戦後の特殊事態も残っておりましてこれは少し多い。これは正常な状態になれば、やはり直接投資というものに向いていかなければなりません。そのためには、正常な株主利益というものも保護されなければいけないだろうというような考え方に立っておりますので、そういうふうにやることが、一応は直接株主には利益になりますが、国民経済全体にいい影響を与える。ということは、株主のみならず経営者にもいいし、またそこで働いている従業員にもいい結果になる。たとえば、従業員にいたしましても、そういうふうな政策が行われますと、その従業員が、自分の勤務先の会社の株を進んで買うようになるということも考えられる。そういう効果をねらっておるわけでございます。  以上を一点と二点に対する答弁とさせていただきたいと思います。  第三点でありますが、九十社のうち、大体どんなのがあるかということでありますが、具体的な会社の名前を申し上げるのもどうかと思いますが、私どもこういう案を作ります場合には、単に抽象的な机上論では非常に危険でありますので、六百社につきましてシラミつぶしに全部当ってみたのであります。もちろん、一二%以下の会社は当りませんが、大体の傾向といたしまして、先ほど申しましたように、非常に現在の収益力が高い収益力が高いと申しますのは、現在の資本金に対して収益力が高い。つまり会社の活動のボリュームに対して比較的資本金が小さい。過小資本会社である。だから現在の資本金に対しては収益力が高い。だから、株も高いという会社が多うございます。でありますから、若干語弊があるかもしれませんが、通称優良株というふうな概念で呼ばれているような会社、こういうものにこの対象になる会社が多いと思います。でありますから、この制度をやりました場合に、先ほど申しましたようなそのような会社が、再評価積立金をこの法律によりまして資本組み入れても、そのために配当率を非常に下げなければいかぬとか、その結果株式の値段が下って額面を割るとか、あるいは額面すれすれになって、その後の増資に困るというようなことは全然ないというふうに私ども考えております。
  22. 平林剛

    平林剛君 先ほどの御説明で、昭和二十五年以降、第一次、第二次、第三次と再評価積立金資本組み入れが行われてきたということでありましたが、その組入率は今日一七%である。法律趣旨にかかわらず、大へん低いという理由はどういうところにあるか、それも説明をしておいていただきたい。
  23. 庭山慶一郎

    説明員庭山慶一郎君) この組入率が一七%で、非常に低いわけでありますが、この中には若干、分けて申し上げますと、電力会社が現在非常にたくさんのまだ再評価積立金を持っているわけであります。で、その表の右の一番下の方をごらんになりますとわかりますように、東証上場会社につきまして、全体では一七・九%でございますが、電力会社を除きますと二六・五%、四分の一以上にもなっておるわけでございます。で、電力会社は現在でもまだ資本金に対して三倍近くの再評価積立金がございますので、電力会社だけは一応除外して検討してみた方が、事柄の正確な理解には役立つと思います。  で、現在、この程度の組入率しかございませんのは、まあいろいろ原因があると思いますが、現在まで金利が非常に高かった、そのために配当率を、理論的に合うように、再評価積立金をたくさん資本組み入れまして、配当率を下げるということにいたしますと、それはほんとうはいいことなのでございますが、金利も高いというふうなこともございまして、株価の維持に困るというふうなこともあったので、各企業が慎重にやられたというふうなことと、それからもう一つには、やはり同業の会社について見ますと、他の会社配当率というもの、株価というものと、自分の会社配当率、株価というものとは、やはりなるべく似たようなものにしておきたいというふうな考え方もありまして、政府が、法律できめていただきまして低率配当がいいのだ、資本を大きくして低率配当をすることがいいのだという線を打ち出しますことによりまして、だんだんこの組み入れが促進されていくのではないかというふうに考えております。
  24. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 他に御質問はございませんか。
  25. 小酒井義男

    小酒井義男君 今、説明をされた中で、資本金と同額の組み入れをやつて、そうして従来の配当がその半分になったのでは、目的を達せられない、ただ企業努力によって配当を引き上げるようなことは考えられるだろう、というふうに私は聞いたのですが、そういう国民の企業努力というものが、どこに、どういうような点で努力をして引き上げる余地があるのかというような点を、少し承わりたいと思います。組み入れることによって、たとえば借入金が少くなっていって、そういうところからこの利子の支払いが減っていくことが、企業の経理を改善していって、配当の率を引き上げるようなことにまで役立つことになるのかどうか。逆に、こういう努力をしなければならぬというような問題で、ほかの面に無理がされてくるというようなことになると、少し問題があるのではないかというような気がするのですが、一番、努力の目標といいますか、そういうことのでき得る条件というものの重点はどこにあるのか。
  26. 庭山慶一郎

    説明員庭山慶一郎君) お答え申し上げます。この法律の目的は、今、御質問がございました例を申し上げますと、十億の資本金で、再評価積立金が十億あるという場合に、かりに、この法律で全部入れるというわけではございませんが、全部入れたとします。そうすると、今まで十億に対して二割配当していたものは、二十億に対して一割配当になってしまう。それだけでは意味がないというふうに私は断定して申し上げたつもりはないのでございまして、そういうふうに資本金を二十億にして配当率を一割にするということ自体も、相当の意味を持っておるわけであります。一つは、どういう意味かと申しますと、それによって株がふえて、株の取引が円滑になるということがありますし、それから、何と申しますか、言葉はあまり適切でないかもしれませんが、いかにもその会社が二割配当しているということは、非常にもうかったような格好になります。二割配当するためには、税金の関係もございますから、どうしても四割もうけた格好になっていなければならぬ。が、実際は、二割しかもうかっていなくて一割しか配当できない、そういうことが実態でありますから、実態を明らかにいたしますことは、それによって他の会社なり他の業種の企業との企業比較というものができる。そこで、投資家が、どの会社がどういうふうな実際の収益力であるから、どの会社の株に投資するのがいいのか悪いのか、そういう判断をするのに役立つというふうなこともありますから、それが再評価積立金組み入れの直接の目的でございますから、そういうことをされるのは何も役に立たぬことではない。かたがた、配当率も、一般の金利もだんだん下つてきておりますから、それに合せてやれば、たとえば、その次に会社増資をするときに、今度は一割の配当率でよくなる。あるいは今二割をそのまま続けていきますと、その次の増資をするときには、どうしても二割に近い配当率にしたい。これを一ぺんに八分に下げることはできません。これを一割にしておきますと、この次にまた八分に下げる余地がある。そういうふうになって、実際の増資が容易になるということもありましょう。  それから、企業努力はいろいろな方面で行われるでしょう。この問題のみならず、いろいろ設備の合理化その他の問題もありましょうが、そういうふうに投資家が企業比較ができやすいような態勢にしておきますことは、これは企業努力のやはり一つの根源ではないかというふうに考えておるわけであります。
  27. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 一点、私から願いたいのですが、今の日本の企業が戦前から見ると非常に不健全であるということは、一般論であります。しかし、それはそういうことではあるが、現実の問題で、企業は仕事をする上において自己資本を多くして借り入れを減らすということは、今言ったような議論で、それは好ましいことではあるが、しかし、今不健全な経営といわれているような方法をとって、借入金に依存する向きが多いということは、実際問題として、借り入れの場合、十億円の資本を借り入れによってまかなう場合には、金利を一割とすれば一億の利益があればいいのでありますが、しかも金利は損金に算入されるというのであるにかかわらず、一方、資本組み入れて自己資本にすることによって、一割の配当を行うためには二億の利益が必要になる。しかも、うち五割は税金にとられてしまう。これは理想的にいえば、資本の構成を健全にしたいということはだれも思うのでありますが、現実の経営の面に従事する者は、こういう点からやむを得ずその方途を選ぶということ、この点は当面した実際問題として、こういう法律がけっこうだ、けっこうだと言われるが、一方において多少の異議があるというのは、こういう点にあるのではないか。この点についての御説明を願いたいと思います。
  28. 庭山慶一郎

    説明員庭山慶一郎君) ちょっと聞き落したのですが、一方において異議があるとおっしゃったのは……。
  29. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 異議があるというか、あまり好ましくないという人があるということです。
  30. 庭山慶一郎

    説明員庭山慶一郎君) 現在の企業が、自己資本でやるのがいいことがわかっておりながら、やはり借入金にどうしてもたよりたがるということは、これはまあ税制の問題なんかにも関連がございましてなかなかむずかしい問題でございます。私から申し上げるのが適切であるかどうかわかりませんが、もう少し税制を合理化して、企業が自己資本により得るようにしたい、そういう方法はないものだろうかということで、いろいろ検討もしておりますし、また近いうちに企業課税については税制調査会でいろいろ御議論があると思うのですが、現在の企業は、これはもちろん独立した企業でありますけれども、たくさんの株主の要するに出資によってなっている企業でございますから、個人のふところの計算と企業のふところというものとを別々に考えることは、やはり無理なので、そういう考え方から、現在企業の面では、たとえば配当いたします場合には、利益を出して、そうしてそれを配当するということになっております。そこで、法人税を納めておりますので、個人の段階で所得税を納める場合に、配当控除という制度がございまして、これによってバランスがとれることになっておるわけでございます。企業の経営というのは、戦前は財閥が持っており、戦後は大衆が持つことになったのでありますが、中間に大衆は金がなかったので、金融機関がそれの実質的の代理をしていた。しかし、今度は大衆が持つというふうなことにならざるを得ない。その場合には、やはり株主の財布の勘定と会社の財布の勘定というものを一つ考えていかなければ、やはり無理があるのじゃないか。その辺の問題を今後検討しなければならないのですが、そう申しましても、実際はやはり企業は企業自身としてお考えになるいろいろ問題が多いと思います。その辺につきましては、税制調査会あたりで今後至急に検討して、適切な方向考えていかなければならない。  この法律を出しますに伴いまして、これに直結して何か税制上優遇措置はないかというふうなことをいろいろ御質問受けることがあるのでございますが、このことに直接関連いたしましては別に何も考えておりませんが、そういう大きな見地からの再検討をわれわれとしては宿題として持っておるわけであります。とりあえず、これは非常にわずかなことでありますが、今度税制改正案の中に、増資をいたしました場合に登録税を若干軽減する。現在は千分の七でありますけれども、それを千分の五にするということで、こういうことをいたしましたならば、有償増資もふえるだろう。その場合に、有償増資についての登録税を軽減するという措置をとつているわけでございます。なお、無償組み入れにつきましては、無償組み入れ増資分につきましては、従来から千分の七の登録税を千分の一・五にいたしておりまして、その促進をはかっている次第でございます。
  31. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 今お話しになったように、あまり魅力がない。しかも、千分の七を千分の一にする程度では、これは政府の目的はいいけれども、まだ私は準備が十分でないと思うのです。まだアペタイトが出ないのに、食え食えと言われているようなものです。もう少し食欲をつけるようたお膳立てをしてからならいいけれども、今がつがつ食う者はないと思う。
  32. 庭山慶一郎

    説明員庭山慶一郎君) ちょっと申し足りませんでしたので、申し添えておきますが、一番初め申し上げましたように、現在の制度がこの三十四年の九月決算で切れるわけでございますので、それ以後をどうするかということは、どうしてもこの国会できめていただかなければならないということが、この法律を提案いたしました一番の理由でございます。たとえば、この次の国会でこれを提案いたしますというと、その間にブランクができる。三十五年の三月決算だと申しましたが、それはつまり三十五年の三月三十一日現在でそういう形になっておらなければいかぬわけでございますから、そのためには、どうしても会社はその準備をこの秋ごろからしなければならない。やはり会社増資とか配当率をどうするかという問題は、長期の、一両年の見通しがなければできないことでございますので、どうしても時間的に間に合わないので、企業課税の問題を同時に解決して出せば、非常にすっきりしたものができると思ったのでございますが、これは結局、四月から政府といたしましても大勉強いたしまして、いろいろ検討いたしたい。とりあえずこれだけはお願いしたいという趣旨でございますから、ちょっと補足説明いたしました。
  33. 加藤正人

    委員長加藤正人君) これはよくわかっております。これを出される前に税制など研究されて、準備が終つてから出されるとスムーズにいくのですが、まだ問題が、疑問が残ったまま、この期限が来るからのめというようなことになっております。大体そんなことです。  ほかに御質疑はありませんか——。それでは、両案に対する質疑がもしありますれば、後日に譲ります。   —————————————
  34. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 次に、砂糖消費税法の一部を改正する法律案外五件に関して、順次、趣旨説明をお願いいたします。
  35. 佐野廣

    政府委員(佐野廣君) ただいま議題となりました砂糖消費税法の一部を改正する法律案外五法律案につきしまて、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。  まず、砂糖消費税法の一部を改正する法律案について、その概要を申し上げます。  この法律案は、国内産糖に対する保護育成をはかるため、別途に御審議をお願いすることとしております関税定率法の一部改正と相待って、砂糖消費税の一部を関税に振りかえようとするものであります。  第一に、国内産テンサイ糖につきましては、従来から政府買い上げの措置によってその育成をはかって参りましたが、テンサイ及びテンサイ糖の生産を奨励するためには、それが生産者の自主的な採算によって、生産されるような体制に置くことが望ましいことは言うまでもないのでありまして、この際、砂糖に対する関税率を引き上げる反面、これによる増収額に見合って砂糖消費税を引き下げて、テンサイ糖の生産体制を自由化する方向への条件を整えることとしたのであります。なお、この措置によりまして、従来輸入糖に対しコストが割高であるため、その発展がはばまれていた沖縄産分みつ糖に対しても、十分な保護育成措置となる次第であります。  以上のような理由で、第二種の砂糖(分みつ糖)に対する一キログラム当り四十六円六十七銭の現行税率を二十一円に引き下げ、その他の砂糖類につきましても、これに準じてそれぞれその税率を引き下げることとしております。  第二に、国内産及び沖縄産のたる入れ黒糖に対し一そうの助成措置を講じようとするものであります。すなわち、これらのたる入れ黒糖に対しましては、従来からも特別軽減税率適用してきたのでありますが、今回はさらに、容器の制限を撤廃するとともに糖度を現行の八十六度から九十度に引き上げてその品質の向上をはかり、また、その税率も一キログラム当り現行の六円六十七銭を五円に引き下げることとしております。  第三に、砂糖消費税につきましても、他の消費税と同様の証紙制度を設けて、課税の適正を期するほか、計量単位をメートル法による単位に切りかえる等、所要の規定の整備をはかることといたしております。  なお、旧関税率による関税のみが納付され、砂糖消費税が未納である砂糖類が、昭和三十四年四月一日現在に所持されている場合には、砂糖消費税の旧税率と新税率との差額を徴収する等経過的な措置をとることといたしております。  次に、入場税法の一部を改正する法律案につきまして、その概要を申し上げます。  この法律案は、一昨年以来続けて参りました間接税の根本的再検討の一環として、入場税負担の合理化をはかるため、映画、演芸等に対する入場税の税率の過度の累進性を緩和するとともに、低額料金による入場者の税負担の軽減及び税務執行の簡素化に資するため、臨時施設等における臨時興行について免税点を設け、あわせて所要の規定の整備をはかるため、入場税法の一部を改正しようとするものであります。  まず第一に、税率改正について申しますと、昭和二十九年の改正の際、低額入場料金についてその税負担を大幅に軽減することとしたため、現在第一種の催しもの(映画等)の基本税率は、五十円以下一割から百五十円をこえるもの五割に至る急激な累進税率となっており、他の消費税の税率等との権衡から見ますと、二割の税率を中心に、例外的な一割の軽減税率及び三割の加重税率を加味することが適当と考えられます。従って、これを五十円以下一割、百円以下二割及び百円をこえるもの三割の税率に改めることといたしました。同時に、演芸、音楽及び見せものについては、従来から軽減税率適用していた催しものとの区分について問題が多かったので、これらの税率を、演劇と同じく五十円以下一割、三百円以下二割及び三百円をこえるもの三割に軽減することといたしました。  第二に、第一種の場所で行われる催しもの(映画、演芸等)のうち、仮設小屋とか小中学校の講堂等で行われる臨時の催しものについて新たに三十円の免税点を設けるとともに、第二種の場所(展覧会場等)への入場についても、現行の免税点の二十円を三十円に引き上げることといたしております。  第三に、入場税課税の適正を期するため、入場券に関する規定を改正する等、所要の規定の整備をはかることといたしました。  なお、この法律案は本年五月一日から施行することといたしておりますが、経過的な取扱いといたしまして五月一日以後に入場する入場券を四月一日以降に前売りする場合には、新税率を適用できるようにいたしておりますとともに、五月一日以降六月間に限り税込料金が減税相当額だけ引き下げられない場合には、原則として旧税率を適用することといたしております。  以上申し上げました軽減措置による入場税の減収額は、昭和三十四年度において約十九億円、平年度において約二十三億円と見込まれます。  次に、議題となりました関税定率法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  この法律案は、国内産テンサイ糖及び沖縄産糖の保護育成をはかるために砂糖の関税率を引き上げるとともに、インド蛇木根、マグネシウム及び鉛の関税率について、それぞれ所要の改正を行おうとするものであります。  以下、改正の内容を簡単に御説明申し上げます。  まず、砂糖につきましては、昭和二十八年に施行されたテンサイ生産振興臨時措置法によって政府買い入れ等の措置がとられ、国産テンサイ糖の生産は着々増加しておりますが、なおその生産費は輸入糖に比べて相当割高になっております。また、沖縄産糖は、本邦へ輸入される際に関税を免除されておりますが、生産費が高いため、その他の地域からの輸入糖の関税込み価格と比較してもなお相当割高となっております。従ってこれら国産糖及び沖縄産糖の生産の保護育成に資するため、原料糖の関税を一キログラムにつき現行の十四円から四十一円五十銭に引き上げ、あわせて関連品目の関税率について所要の調整を行うこととしております。なお、別途、砂糖消費税法の一部改正により、ほぼ関税率引き上げに見合う砂糖消費税率の引き下げが行われることになっております。  次に、インド蛇木根についてでありますが、これは、高血圧の治療に不可欠な医薬品の原料となるものであり、しかも、現在その全部を輸入に仰いでおりますので、その関税率を現行の一割から無税として、国民保健の向上に資することといたしております。  次に、マグネシウム及び鉛につきましては、最近における需要増加に伴ってこれらの国内生産が増加し、現在では、国内需要の大部分を国内生産で充足できるようになってきておりますが、その価格は外国産品に対してなお若干割高となっております。従ってこれら国産を保護するため、マグネシウム地金及び鉛地金の関税率をそれぞれ現行の五分から一割に引き上げるとともに、関連品目の関税率について所要の調整を行うことにしております。  次に、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、最近の経済状況等にかんがみ、昭和二十九年に制定されました関税定率法の一部を改正する法律の付則を改正し、本年三月三十一日で期限が到来する関税の暫定的減免制度について、その期間をさらに一年間延長し、あわせて電子計算機及び触媒等の一部を免税品目に追加するとともに、一部品目の整理及び軽減税率の調整をしようとするものであります。  以下、改正の内容を簡単に御説明申し上げます。  まず、従来、暫定的に関税の減免を認めている重要機械類、学童給食用乾燥脱脂ミルク、原子力研究用物品及び小麦、A重油、四エチル鉛、航空機等の課税免除物品並びに原油、B・C重油、揮発油、ピグメントレジンカラーベース等の軽減税率適用物品につきましては、諸般の事情を考慮してなお一年間その減免の期限を延長することとしております。  次に、事務管理の向上並びに企業合理化に資するため、電子計算機及び石油化学工業用の触媒等を新たに課税免除品目に追加し、また皮革産業の発展に資するため、合成なめし剤について現行の軽減税率をさらに引き下げ、あわせて繊維製品の染色用として使用されるピグメントレジンカラーべースについて、国産保護の見地から、現行の軽減税率を若干引き上げることとするとともに、国産保護の見地から、カーボンブラックを減税品目から削除することとしております。  次に、関税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、最近における外国貿易の実情に顧みまして、姫路港及び佐賀関港を開港に、伊丹空港を税関空港にそれぞれ追加するとともに、開港が開港でなくなる基準を合理化しようとするものであります。  以下、改正の内容について簡単に御説明申し上げます。  まず、姫路港及び佐賀関港につきましては、ともに貿易実績も多く、港湾設備及びその将来性についても他の開港に比して遜色がないので、両港を開港に追加し、伊丹空港につきましては、昨年三月に接収を解除され、外国貿易に使用されることとなったので、これを税関空港に追加し、これに伴う税関管轄区域の整備を行うこととしようとするものであります。  また、開港を閉鎖する場合の基準につきましては、現在は、輸出入額の基準と入出港船舶隻数の基準との二基準のうち、いずれか一方を満足すれば開港として存続することとなっておりますが、これを、二基準のうち隻数の基準を半分にゆるめた上で、二年継続してその二基準の双方を満たすことができなかったときは、開港でなくなることに改めようとしております。なお、これにつきましては、現在実績の少い開港の事情をも考慮いたしまして、改正規定の適用を一年間猶予し、来年末までの実績を見ることとしております。  次に、特定港湾施設工事特別会計法案について申し上げます。  政府は、新長期経済計画に即応して特に伸長を予想される輸出物資、石油、石炭及び鉄鋼原材料を取り扱う港湾の整備の重点的な推進をはかるため、今国会に、別途特定港湾施設整備特別措置法案を提案して御審議を願つているのでありますが、同法案に規定する特定港湾施設工事にかかる港湾管理者の負担金相当額を資金運用部から借り入れることによる事業規模の拡大と、この工事にかかる受益者負担金の経理の明確化の見地から、同法案に規定する特定港湾施設工事及びこれに密接な関連のある工事で国が委託に基いて施行するものに関する経理につきましては、これを一般会計と区分して行うことが適当であると考えられますので、新たに特定港湾施設工事特別会計を設置することといたしましてこの法律案を提案いたしました次第であります。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、この会計におきましては、一般会計からの繰入金、港湾管理者の負担金、地方公共団体の負担金の納付の特例に関する法律の規定により納付された地方債証券の償還金及び利子、企業合理化促進法第八条第四項後段の規定による事業者の負担金、受託工事にかかる納付金、借入金並びに付属雑収入をその歳入とし、特定港湾施設工事に要する費用、受託工事に要する費用、事務取扱費、借入金の償還金及び利子、一般会計への繰入金並びに付属諸費を歳出として経理することといたしております。  第二に、この会計におきましては、この会計の設置の趣旨にかんがみましてその歳入、歳出及び資産、負債の整理並びに予算の配賦等を工事別等の区分に従って行うことといたしております。  第三に、この会計におきましては、特定港湾施設工事に関する費用で国が負担することとなる金額は、一般会計からこの会計に繰り入れることとし、また、受託工事にかかる納付金のうち当該工事について一般会計が支弁した経費に相当する金額は、この会計から一般会計に繰り入れることといたしております。  第四に、この会計におきましては、特定港湾施設工事に関する費用のうち港湾管理者の負担金の額に相当するものの財源に充てるため必要があるときは、国会の議決を経た金額を限度として、この会計の負担で工事別等の区分に従って、借入金をすることができることといたしておりますとともに、その借入金のうちその年度内に借入をしなかった金額があるときは、その額を限度として、かつ、歳出予算の繰越額の財源として必要な金額の範囲内で、翌年度において借入金をすることができることといたしております。  以上申し述べましたほか、この会計の予算及び決算の作成及び提出、予備費の使用、剰余金の処理、余裕金の預託等この会計の経理に関しまして必要な事項を規定いたしております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその概要であります。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
  36. 加藤正人

    委員長加藤正人君) 本日はこの程度で散会いたしたいと思います。    午後三時八分散会