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国務大臣(
佐藤榮作君)
インドへ参ります際に、ただいま
お話がありましたように、皆様に特にお許しを得まして出かけました。なおその際には、一言にしていえば、懸案事項を解決するというような問題、そういう懸案事項の大きいものは、
資金調達の問題と、もう
一つは役員改選の問題等があるということを私は申したと思います。帰りまして、お目にかかって、ごあいさつを、一度、帰りましたということだけはいたしましたが、
内容的にどういう経過であったとは実は申し上げなかった。全然ごあいさつしないわけではございませんから、その点は御了承願いたいと思います。
そこで、何かあったのではないかという
お尋ねでございますが、まあ何かあったのではないか、何かあるのではないかと言われると、その何かという言葉が非常に広い
意味を持ちますので、むしろ
お尋ねの方にいろいろ誤解を受けやしないか、こういうふうに思いますが、別に何かあるのではないかという、悪い
意味にとることもないだろうと思いますが、何だか
お尋ねの言葉がちょっと気になります。けれ
ども、何にもあったわけじゃございません。これだけは申し上げ得ることでございまして、この点は誤解のないように願いたいと思います。
もともと、私が出かけます前に、
外貨債の問題は、一
萬田君が
大蔵大臣でありました時分に相当手がけておりまして、そうしてアメリカのマーケットと打診を実は続けておった。それが政変によりまして私にかわったということでございますので、出かけます際には、一
萬田君から、過去の経過等は十分伺って出かけたのであります。幸いにニューデリーに参りますれば、
関係の
人たちも来ておりますので、そこで話をすることが一番手っとり早く話がつく、こういうことでございますので、このニューデリーで話を詰めた。だから、何かあったのではなくて、もうすでに芽ばえて、ようやく土を押し上げている、その最後の土をちょっと小指の先で取り除いた役が実は私の役だ、こう申しますれば非常に適当かもわかりません。
そこで、最後の
判断といたしまして、今のアメリカの金融マーケットの
状況ならば、今決断することが非常に望ましいということが一点、同時に、私
どもが一番気にいたしておりますことは、過去
世銀からの
融資計画はあるが、
外貨債を
発行することによってこの
世銀の
融資計画が縮小される、その
範囲だけ縮小される、こういうことがあるならば、本来の
考え方とだいぶ違う。だから、この三千万ドルを
発行することが、在来の
世銀の
ワクをそのまま存置し、プラス三千万ドルということになるかどうか、この点が実はポイントであったのでございます。この二点を、
大蔵大臣としてやはり決断しなければならない。幸いにして臨時
国会が開かれている、臨時
国会に間に合わすためには早急に決断することが望ましい、こういうことで、実は電話をかけて準備を非常に急がせた、こういうことに実はなっているのでございます。別に何もあるわけではない。普通のビジネスとしてその仕事が取り運ばれた、こういうことでございます。
そこで、一番問題になりますことは、
外貨債の
発行の場合の
条件をいかにするかということでございますが、もちろん、今日まで具体的の折衝を持つ段階になっておりません。これは
当方といたしましても非常に慎重にしなければならないことであります。権限のない者がそこまで深入りもできないし、また、相手万としましても、いわゆる商売のあり方としてそこに多分にかけ引きもあることでございましょう。向うもなかなか慎重を期しているというわけでございますので、今日具体的の問題はございません。ただ、言い得ることは、この三千万ドルを
発行するとしても、これは従来
計画されている
世銀の
融資ワク・プラスということ、これだけははっきり確認できた。もう
一つは、アメリカのマーケット自身が十二月は、これはもう
日本も同様でございます、向うはクリスマスの月としてやはり非常に繁忙をきわめている。しかし、一月、二月の両月は金融が比較的閑散だ。こういう時期を目当にして
外債を
発行することが有利だという点を十分打診することができる。打診より以上に、
信用の置ける
状況として実は見通しを立って、その決断をした。実はただこれだけのことでございます。別に何にもない。何かあったのではないかと言われますと、どうもこの言葉の持つ
意味が非常に広いので、誤解を受けやすいように思われますが、端的に、率直に、ありのままに
皆さん方に御披露いたしまして、御了解を得たいと思います。