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1958-12-18 第31回国会 参議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十二月十八日(木曜日)    午前十時五十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     前田 久吉君    理事            西川甚五郎君            山本 米治君            平林  剛君    委員            木内 四郎君            郡  祐一君            木暮武太夫君            迫水 久常君            塩見 俊二君            廣瀬 久忠君            小酒井義男君            椿  繁夫君            杉山 昌作君            野坂 参三君   国務大臣    大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君   政府委員    大蔵省理財局長 正示啓次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    日本専売公社副    総裁      石田 吉男君    日本専売公社塩    脳部長     小林  章君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○賠償等特殊債務処理特別会計法の一  部を改正する法律案内閣送付、予  備審査) ○産業投資特別会計貸付財源に充  てるための外貨債発行に関する法  律案内閣送付予備審査) ○租税及び金融等に関する調査の件  (塩業政策に関する件)   —————————————
  2. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ただいまから委員会を開きます。  賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案及び産業投資特別会計貸付財源に充てるための外貨債発行に関する法律案を、一括して議題といたします。  御質疑のある方は御発言願います。
  3. 平林剛

    平林剛君 外貨債発行の問題が検討され始めましたのは、政府説明によりましても、一萬田大蔵大臣時代でありました。そのときのねらいは、一部新聞紙におきましても報道されたように、東南アジア日本借款を与えて市場の確保をはかろうとする場合、国際収支の上に現われるマイナスを補おうとするものである、こう見られておったのであります。従って、その額も、一説には五億ドルというような大幅な額を期待しておったようでありますけれども、今回政府から提案をされましたものは、昭和三十三年度において三千万ドル、百八億円、しかも、その目的電源開発事業等推進をはかるためと、かなり性格が異なっておるように感ぜられるのであります。  そこで、大蔵大臣に、従来政府としての構想として伝えられた外貨債発行政策と今度の外貨債発行政策との性格においては、何か違いがあるのかどうか、その関連についてどうなっているか、これを御説明いただきたいと思います。
  4. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。今回三千万ドルの外貨債発行する、これは、提案理由並びに前国会におきましてもお尋ねお答えいたしましたように、電源開発の工事を推進するための所要資金を調達する、こういうことで、これは非常にこの三千万ドルに関する限りはっきりいたしておるのでございます。で、もともと、電源開発につきましては、この世銀からの融資というようなことも計画をしておりまして、すでに民間電力会社等に対しましては、世銀等融資を受けて、もう過去においてそういうものがそれぞれ事業として進んでおる。これはもうすでに御承知通りでございます。世銀自身日本政府との交渉におきましては、相当の期間中に世銀日本産業に対して融資する金額を一応予定しておるのであります。その金額があるいは三億ドルであるとか、あるいは三億五千万ドルであるとか、六千万ドルであるとかというようなことが、しばしば新聞等に出ておりますが、そういうように長期融資計画を実は持っておる。  最近の情勢から見ますと、国内産業、ことに基幹産業に対する資金需要は非常に旺盛でございます。わが国経済推進していく上におきましては、この旺盛な需要にこたえるために、国の内外資金調達によりましてまあ基幹産業推進していく、こういう考え方をいたしておるのでございますが、この観点に立ってみますと、在来の世銀融資ワクというか、長期計画だけでは、今日旺盛なこの需要にこたえるには、やや不十分である。そういうところから、世銀といろいろ交渉を持ち折衝をして、まあ世銀としても、わが国産業、特に基幹産業の完成なりあるいは発展のために協力することについては、もちろん従前の方針に変りはないが、さらに比較的好感を寄せられておるこの外貨債発行ということも、一案ではないか、政府自身もさようなものを考えてはどうか、こういうことでございますので、本来の予定されておる世銀からの融資長期計画そのものに変更を来たさない。いな、それにプラスになるという観点に立ちまして、今回の三千万ドルの外債発行ということを実は決意をして、ただいま御審議をいただいておるのでございます。  そこで、お尋ねになりましたように、過去においても外債発行の話がしばしば出てきておる、一体この外債発行とどういう関係があるのかというお尋ねだと思います。まあ過去におきまして、政府の責任のある者から、外債発行についての内容等お話ししたことはないと思いますが、しかし、それぞれ関心を寄せられておる人たちから、外債発行についてのお話があり、それが過去においてしばしば新聞等に発表されていたと思います。政府自身におきましては、過去において、今一萬田蔵相お話が出ました。あるいはそれ以前に、池田元蔵相ども、非公式の席上におきましてはおそらく外債と取り組む、こういうような決意をしばしば示したものではないかと思います。しかし、いわゆる外貨債発行というところまではいかないで、当時におきましては、世銀からの融資ということで一応問題を解決してきた、こういうように私は理解をいたしておるのであります。具体的な問題として取りかかられたのが、ただいま御指摘になりました一萬田蔵相の際ではないかと思います。一萬田蔵相の際におきましては、いろいろ国際収支の面におきましても外貨不足しておるとか、あるいはまた、さような情勢のもとにおいても、なおかつ、わが国産業発展のために、東南アジア等開発をも積極的に進めなければならぬとか、いろいろ基本的な問題があったと思うのであります。これらの問題も、直接関係はないにしろ、大局に立ってみますと、国内円資金並びにドル資金、これを調達するという意味においては、総合的には一つの力をかす、こういうようなことで、いろいろ外貨債発行についても努力をいたされたと思うのであります。  しかし、当方でいろいろの意見を持ちましても、相手方の方でいろいろの事情もあることでございますので、今日まで機が熟さないでいた。しかし、今回ようやくその機が熟しまして、皆様方の御賛成を得、御審議が議決をみることになりますれば、私どももこの三千万ドル外貨債発行ということに最善の努力をいたしたいと、実はかように考えておる次第でございます。
  5. 平林剛

    平林剛君 私がお尋ねした一萬田蔵相時代構想と今回の政府考えとの関係について、ただいまお答えをいただきましたが、まだはっきりしないのであります。それで、角度を変えてお尋ねをいたしますが、今回の提案は、今お話しのように、電源開発事業等推進をはかるために三千万ドルの外債発行を行うというこの法律案になっております。表題は産業投資特別会計貸付財源に充てるための外貨債発行に関する法律案と、こうなっておりますが、ずばり言えば、電源開発事業推進をはかるための外貨債の発つ行に関する法律案、こう書き改めた方がわかりやすいと思われるのであります。しかるに、表書きは、産業投資特別会計の第一条の目的に使われるかのごとき提案の形をとっておるわけであります。これは技術的にもいろいろな検討があったと思いますけれども、こういう提案をおとりになった理由。それから、私はただいまの説明でまだ捕捉しがたかったのは、単に、今度の法律案提案をしたのは、これだけにとどまらず、今後も政府の将来の経済発展に対する一つの気がまえというか、方向というものがあって、その前提に立ってかかる提案をしたものだと、こう見ておるのでありますが、将来に対する外貨債政策、そういうような方面についてお考えがあったら、この際お聞かせを願いたいのであります。
  6. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お尋ねのありました二つの点、第一点の方につきましては、だいぶ手続上の問題であり、これは後ほど正示局長にお答えをさすことをお許しいただきたいと思います。  後者の問題でございますが、後者の問題につきまして、一体平林さんの基本的なお尋ねにもなるのではないかと思うので、こういうこともお考えじゃないかと思いますので、つけ加えさせていただきますが、大体外貨債発行する場合、非常にわかりいいことはドル資金不足だ、だから借金するのだと、これなら非常にはっきりするじゃないか、しかし最近はドル資金は非常にいいじゃないか、そうするとその必要はないのじゃないか、あるいはまた円資金不足している、そういう意味外貨債を必要とするのじゃないかとか、こういうような非常にティピカルな、典型的な理由が今回はないのじゃないか、こういうようなお気持お尋ね根本にあるのではないかと思うのでございますが、私ども考え方といたしまして、今日の情勢から申しますならば、国の資金を、国の産業発展さすという場合におきまして、やはり内外資金にとらわれることなく、というと言葉が言い過ぎでございますが、よくその国の経済力というものを勘案して、そうしてその経済力範囲において内外資金の導入ができて、そうして産業開発に役立たしていくという、これが実は望ましいのじゃないか。よく国内の問題ではインフレを防止するということを申しておりますが、一面、いわゆる財政資金民間資金との協力的な弾力的運用によって産業発展を期するということを申すのでございます。経済基盤を強化していくとか、経済を安定、向上方向へ持っていく、こういういわゆる国内における財政資金民間資金との一体的運用、こういうような気持も一部分あっていいのじゃないか。もちろん、外国との決済の問題もございますから、そう簡単に割り切るわけにはいきませんが、まあ基本的に非常に端的な表現をすれば、実はそういうことがいえるのではないかと思うのであります。  そこで、電源開発等につきまして、まあ過去において、世銀からの融資を予定し、それももうすでに六億ドルに近いものが借り入れられておると思いますが、そういうような状況で、日本経済発展していく、そういう場合に、世銀からの融資、それが社債その他の形であるという場合もあるでしょうし、もう一つは、外貨債の形においてそういう方法をとっていくということも考えられる。その点は非常に窮屈に考えない方がよろしいのではないか。  そこで、問題になりますのは、これを窮屈に考えないとしたら、今端的にお尋ねにあったように、将来外貨債というものに対して非常な期待をかけ、その条件いかんにかかわらず外貨債発行を次々に行うのじゃないか、非常に膨大な計画でも持っておるのではないだろうか、こういうような疑念を抱かれるのではないかと思います。しかし、基本的に申しますようて、もちろん、その国の経済力範囲でこういうことは考えて参りませんと、それはまことに不利益な外貨債発行をするようにもなりますし、また国民の負担等をも考えて参りますと、これは容易なことではないのでございます。従いまして、今回三千万ドルの外貨債発行したから、これによって今後どんどん外貨債発行するとか、こういうような考え方は毛頭持っておりません。いな、私どもは、今回の外貨債発行におきましても、前国会大蔵委員会を通じてお話を申し上げておりますように、条件が大へん過当であるというような場合においては、私どもはかような条件のもとにおいてまで外貨債発行しなければならないとは実は考えておらないのでございますということを申し上げて参りましたが、その点には実は変りはないのでございます。で、今日のアメリカの市場等状況等を見まして、私は、外貨債発行して、相当安堵できる条件のもとで問題が妥結するのではないか、こういうことを実は強く期待いたしておるのであります。従いまして、今後どんどん外貨債発行できるとかするとかというような状況ではない。ただ、望ましいことは、日本経済信用が高まり、現実に力を持ち、そうして日本が非常に好条件のもとにおいて、必要があるならばいつでも金を借り得るような経済状態であることが望ましいのであり、そういう意味においての基本的な経済政策は、私ども政治力で、政治の力で進めていくべきじゃないかと、実はかように考えておるのでございます。  で、今回の問題で、借金をすることをとにかく防いできた、それにもかかわらず今回借金を始めた。そうすると、一度に、土手が切れるならば、これからはもう土手が切れたように大へんなことになるのじゃないだろうか。そういう点については疑念や不安を抱かれないように、十分決心をして、実は今回御審議を願っておる次第でございまして、どうか誤解のないようにお願いをしたい、かように思います。
  7. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいまの平林委員の御質問の第一点につきまして、大臣からお話しのように、私からお答えをお許し願いたいのでありますが、端的に申し上げますと、産業投資特別会計貸付財源に充てるための外貨債発行に関する法律案というこのやり方は、いわば財政法第四条の規定からいたしまして、政府外貨債発行を行う権限を得るために必要にして十分なる法律的な手続を定める、こういう趣旨でございます。すなわち、これを申しかえますならば、法律的な意味におきましては、ここに書きました通りに、産業投資特別会計貸付財源に充てるための外貨債発行ということに相なるわけでございます。しかしながら、これを経済的と申しますか、実質的な意味におきまして、産業投資特別会計がどういう部面に貸付をいたすのかという御説明を申し上げますならば、産業投資特別会計貸付の対象といたしましては、電源開発会社考えておる、こういうふうに御説明をいたしたわけであります。この点は、提案理由説明におきましても、従来電源開発事業等推進をはかるために、大臣からもお話しのように、世界銀行の借款等をいたして参りましたが、さらにこれにつけ加えて、産業投資特別会計貸付財源に充てるために外貨債発行したい。しかも、その実質的な内容は、従来と同じように、電源開発事業に必要な資金を調達する、こういうことで御説明申し上げた次第でございまするので、御了承願いたいと思います。
  8. 平林剛

    平林剛君 結局、わが国経済政策といいますか、経済基盤を強化し、経済発展させるために、従来は世銀借款方法が唯一の方法であったが、今回は一つ外貨債発行によってそれを生かすことによって、さらに一そうの発展をはかろう、こういう考え政府が踏み切った。これが今度の法律案であると私は理解するのであります。現に、国際通貨基金理事会渡辺理事の報告が最近新聞に伝えられておりましたが、これによれば、わが国としてはこの出資金増資を認めてもらいたい、この出資額増額されれば、さらに借り入れ限度がふえて、その活用日本経済の安定と成長のために工合がよろしい、こういうことの工作が政府において行われておるようであります。しかして、一方においては、大蔵大臣説明のように、国際通貨基金からの借り入れ限度額、それもただいまのような措置をせなければ一定の限度があるという御趣旨があって、踏み切った、こうおっしゃる。さらに、一方には九州電力とか、原子力発電とか、国鉄東海道新線とか、いろいろ一般民間産業においても世銀借款要望がある、こう伝えられた。  いろいろ総合してみますと、今度出資額の増加が認められた場合は、多少幅がふえるかもしれませんが、それにしても、やはり日本だけがこれを利用するというわけにはいかないから、限度がある。こういう場合に、これはこれからの予算編成にも関係をしてくる。今回は電源開発事業推進をはかるためだけれども、次に、予想される将来においては、世銀借款でだめならば、再び外債発行考える、こういうことになってくるのじゃないかと私は思うのです。今後も引き続き、こういう情勢発展次第によっては外債発行計画が作られるのかどうか、これを聞かしていただきたい。
  9. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま平林委員から世銀クォータ増額お話が出ております。これは一部の点だけを御指摘になっての御批判でございますが、世銀は、御承知のように、過去において一度各国持ち分等をきめ、また出資もそれでやっておったのでございますが、世銀融資も非常に進んで参りまして、最近の情勢では、どうしても増資しなければ世銀としての十分の機能を果すことができない、こういう状況になって参ったのであります。そこで、この前、私どもインドへ参りました際に、世銀増資ということが問題になり、まあ倍額増資を一応検討し、それを目標にして、ただいま世銀自身機能の拡大をはかっている。まあそういう場合に、日本日本クォータ一つ増額して、世銀活動協力しようというのが、実は本来の趣旨でございます。なるほど、御指摘のように、日本クォータ増額すれば、もちろん日本に対する融資額もふえてくることは御指摘通りでございますが、たくさん借りたいからどうこうという意味じゃなしに、世銀機能の万全を期するというか、その活動に資するという意味で、私ども協力して参ったのでございます。  そこで、これはただいま御指摘になったような効用といいますか、効果はございますが、同時にまた、わが国経済が持つ力というものを各国も了承してくれた、そういう意味でやはりこのクォータ増額においても異議を差しはさまないで賛成してくれるのでございます。世銀なり、あるいはIMF等におきましても、その国の経済力というものを十分調査いたしておりますから、当方で幾ら持ちたいと申しましても、なかなか賛成はしてくれない。しかし、まあ皆さん方の御協力の結果と申しますか、御努力の結果と申しますか、日本経済は、もう一流のところに伍してもあまり遜色のないような状況にまでとにかく回復してきた。そういう事実が承認されまして、ただいまの世銀IMFクォータ増額というようなことに、とにかく賛成を得るようになったのでございます。  そこで、先ほどお尋ね外貨債発行の問題でございますが、先ほど私が非常にティピカルな例として申しましたような、日本外貨不足で金を借りるというような場合でございましたら、必ず条件が非常に悪い。悪い条件のもとにおいても、なおかつ借り入れをしなければ国債決済ができないということに実はなるのであります。しかし、わが国の実情におきましては、世銀IMF増資において各国が示してくれているように、日本経済というものに対しては信用を十分いただいておりますので、ただいま引例をいたしましたような、外貨不足の場合に発行する外貨債というようなことはないんだ。ここに私どもが、外貨債発行しても別に経済的に支障を来たさないのじゃないかということを、実は感ずるのであります。これが、先ほど来申しますように、わが国経済力ワクだというのは、そういう意味でございます。非常に必要で、どんな条件、どんな悪条件でも金を借りなければならない。ちょうど国内民間においても、コマーシャル・ベースで金を借りるのでなしに、いわゆる先は困ることはわかり切っていて、高利の金も借りなければならないということがしばしばございますが、こういうような状態外国に対して外債発行するというようなことは考えるべきではないし、またそういう状態では絶対にないのだということを、先ほど来集は申し上げておるのでございます。従いまして、わが国の今後の外貨債の扱いというものについては、いろいろの御懸念や御不安がおありだろうと思いますが、それはどこまでも日本経済の、安定向上に資する、その健全性を害しないという一つの大ワクがあること、これは私どもよく理解ができるのでございます。そういう意味で、今回発行をしたからといって、それが大水が堤を切った、こういう状況のものではない。この点を重ねてお答えをいたします。
  10. 平林剛

    平林剛君 今のことを繰り返すようですけれども、結局、国鉄東海道新線とか今伝えられている、原子力発電とかの世銀借款要望がありますね、これは政府としては、日本の持っている経済力判断し、そうしてただいま述べられたような理由でいいと判断をすれば、世銀でだめなら外債発行でもやる、こういうような気持でおられるかどうか、そこを一つ端的に聞かしてもらいたい。
  11. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今御指摘になりましたような事業、あるいは鉄道幹線であるとか、あるいは原子力発電所であるとか、こういうものを設置いたします場合に、非常に多額の資金を要することは御指摘通りであります。そういう場合に、やはり国内資金並びに外国資金協力を得るといいますか、一体的な活用をはかるということは、これは私は望ましいことだと思います。そこで今回も、今年も、インドにおける会議の後でございますが、世銀等から担当官が参りまして、鉄道当局ともいろいろ折衝し、また実際的な調査等もはかっております。  従いまして、今すぐ外貨債発行方向に踏み切るのかという端的なお尋ねでございますが、そういう段階ではございませんが、できますならば、世銀融資、これがまず第一段でございましょう。そうしてまず世銀融資するということは、何と申しましてもその事業に対する信用裏づけでもございますから、世銀資金繰りと合せて十分世銀と御連絡の上、場合によりましたら外債発行ということも考えてもいいのではないか、かようにも考えております。しかし、そういう意図があるという状況ではございませんが、また新線建設問題自身にいたしましても、一応政府はこれを取り上げる意向ではございますが、国会における御審議等も十分に仰がなければならないことだと思いますし、これを実行に移すに当りましては、いろいろの問題があるだろうと思います。これをやるとして資金的に支障を来たさない事前の調査は十分いたしておりまして、ただいま万全を期してこの問題と取り組んでおる、こういう考え方でございます。  重ねて申しますが、端的に申しまして、やはり世銀からの融資という、こういうものが根本というか、基本であろうということだけは申し上げ得る。そうしてこの世銀融資裏づけというもとにおいて外貨債発行されますならば、それは当方にとりまして好条件のもとに外貨債発行することができるだろう。これだけつけ加えて申し上げておきます。
  12. 平林剛

    平林剛君 なお、お尋ねしたいことがあるのですけれども、結局、問題は、今回外債発行政策に踏み切ったということは、日本経済力に対する判断を、政府としては相当自信を持って、大丈夫だ、こういうふうに踏み切り、かつ、その目的としては、経済の安定と経済基盤の強化をはかる一つの助けになる、まあこういう判断をとられたと思うのであります。しかし、自由民主党の政調会長である福田さん、今でもそうでしょう……。これが九月二十日、予算編成大綱を、関西の財界と懇談のために西下したときに、記者団と会ってその構想を明らかにしたのでありますけれども、そのときは三十四年度の予算編成大綱として、政府は、予算全体を通じて、平年度に七百億円の減税など自民党の公約を実現するという一本の柱と、日本経済基盤を強化するため積極的な施策をはかり、特に財政投融資ワクを拡大し、基幹産業を振興するという点、これを二大支柱とするという構想を発表した。そのときに、政府は、これらの公約を盛り込む一般会計財源は、税収や剰余金など普通の税収に求めて、公債の発行はこの際どんな形でもとらない、こう言うている。九月二十日からきょうまで、あまりたっておらないし、このときの自由民主党の気がまえとしては、今後は政策先議という建前を通して、まず自民党がその大綱を示し、政府がこれにならう、こういう気がまえで、この新聞記者発表をやられたと見る。そのときには、どんな形でも公債を発行することはしない、こう言われておりながら、突然今度外貨債発行に踏み切った。ここいらの情況が私にはちっともわからないのであります。何か重大なる変化があったと見なければならない。これはいかなるわけか。
  13. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 福田政調会長の話は、おそらく、今の新聞記者に言われたこととはやや趣きを異にするのではないかと私は理解をいたします。しかし、ただいま記事が正しいとか、福田君の考え方が間違っておるとか、こう言うわけではございませんが、おそらく、福田君が申しておりましたのは、国内におけるいわゆる赤字公債発行ということを絶対にしないということを申したのではないかと思うのでございます。特に、来年度の予算編成に当りましては、資金がなかなか十分でございません。そういう意味から、この事業の遂行に非常に熱意を示すあまり、どんな方法をしてでも資金調達をせよというような意見が一部におそらくあるのではないかと思う。それに対する党政調会長としての慎重なる発言ではないかと、実は思うのでございまして、また、私自身が伺っている感じも、そういうように実は理解をいたしております。これは別に、記事が間違いだとか、福田君の言った通りを記載しなかったのだろうとかという意味ではなしに、私の理解しておることは、ただいま申し上げたような点でございます。
  14. 平林剛

    平林剛君 この問題は別な機会に議論をするときがありますけれども、こういうような予算構想を発表しておきながら、突然変異が起きまして、政府外貨債発行政策に踏み切った。そこには何かあるのじゃないかという疑いは、いろいろ各方面から憶測をされているわけであります。  もう一つは、政府がこの戦後の外資導入の方法として、外貨債発行に画期的の転換をはかった直接の動機は、佐藤大蔵大臣がニューデリーの国際通貨基金総会に出かけていった。そこで何らかの変化が起きた。政党としての自民党は初めは外債発行はいかなる形でもしないと言ったやつが、とにかく佐藤大蔵大臣が向うに出かけて何かの事情があったのだ。私は筋をたどってみると、こう見られるのである。伝えられるところによると、インドに行ったときも長距離電話を大蔵省にかけている。急いで外債発行の準備をせよというような電話をかけたとかいう話も聞いておるのであります。大蔵大臣は参議院の大蔵委員会でも、インドに行くときだけは説明をしました。かねて借款を申し込んでいる世銀最高首脳といろいろ協議をして、未解決の懸案問題について十分見通しをつけたいというお話をして、行かれました。帰ってから、こっちは別にごあいさつはなかったのですけれども、衆議院の大蔵委員会では、この会議を通じてわが国経済状態の十分な認識を得て、かねて懸案であったIMF世銀増資等の大体の結論をつかむことができたと、こう報告しているわけです。それで、あなたはニューデリーで世銀のブラック総裁やあるいはオーバービー等の各氏にお会いになって、いろいろお話をされて、そうして何かそこで言われたのじゃないか。まあ懸案の借款を申し込んでいる問題に確約を取りつけるためには、この際一つ、自由民主党はいかなる形でも外債をとらないときめてあるけれども、それじゃどうも困る、至急にこの方針を変えて、そうしてさしあたり小規模の発行でも外貨債発行したという形にしないというと困るぞ、至急その準備をしろ、というような電話をかけたのじゃなかろうか、こう推測をされるわけです。これは、外貨債発行に踏み切ることが今後の日本経済に重大な問題があるだけに、かぎを握るのはあなただけだし、これはどんな話があったのかということを、この際国民の前に明らかにする責任があるのじゃないか。一つ、一問一答までいかなくても、ある程度国民に明らかにして、少くとも誤解を受けないようにしてもらう、こういうことが必要である。一つ機会を与えますから、ごあいさつをお願いしたい。そのときの話をしてもらいたい。
  15. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) インドへ参ります際に、ただいまお話がありましたように、皆様に特にお許しを得まして出かけました。なおその際には、一言にしていえば、懸案事項を解決するというような問題、そういう懸案事項の大きいものは、資金調達の問題と、もう一つは役員改選の問題等があるということを私は申したと思います。帰りまして、お目にかかって、ごあいさつを、一度、帰りましたということだけはいたしましたが、内容的にどういう経過であったとは実は申し上げなかった。全然ごあいさつしないわけではございませんから、その点は御了承願いたいと思います。  そこで、何かあったのではないかというお尋ねでございますが、まあ何かあったのではないか、何かあるのではないかと言われると、その何かという言葉が非常に広い意味を持ちますので、むしろお尋ねの方にいろいろ誤解を受けやしないか、こういうふうに思いますが、別に何かあるのではないかという、悪い意味にとることもないだろうと思いますが、何だかお尋ねの言葉がちょっと気になります。けれども、何にもあったわけじゃございません。これだけは申し上げ得ることでございまして、この点は誤解のないように願いたいと思います。  もともと、私が出かけます前に、外貨債の問題は、一萬田君が大蔵大臣でありました時分に相当手がけておりまして、そうしてアメリカのマーケットと打診を実は続けておった。それが政変によりまして私にかわったということでございますので、出かけます際には、一萬田君から、過去の経過等は十分伺って出かけたのであります。幸いにニューデリーに参りますれば、関係人たちも来ておりますので、そこで話をすることが一番手っとり早く話がつく、こういうことでございますので、このニューデリーで話を詰めた。だから、何かあったのではなくて、もうすでに芽ばえて、ようやく土を押し上げている、その最後の土をちょっと小指の先で取り除いた役が実は私の役だ、こう申しますれば非常に適当かもわかりません。  そこで、最後の判断といたしまして、今のアメリカの金融マーケットの状況ならば、今決断することが非常に望ましいということが一点、同時に、私どもが一番気にいたしておりますことは、過去世銀からの融資計画はあるが、外貨債発行することによってこの世銀融資計画が縮小される、その範囲だけ縮小される、こういうことがあるならば、本来の考え方とだいぶ違う。だから、この三千万ドルを発行することが、在来の世銀ワクをそのまま存置し、プラス三千万ドルということになるかどうか、この点が実はポイントであったのでございます。この二点を、大蔵大臣としてやはり決断しなければならない。幸いにして臨時国会が開かれている、臨時国会に間に合わすためには早急に決断することが望ましい、こういうことで、実は電話をかけて準備を非常に急がせた、こういうことに実はなっているのでございます。別に何もあるわけではない。普通のビジネスとしてその仕事が取り運ばれた、こういうことでございます。  そこで、一番問題になりますことは、外貨債発行の場合の条件をいかにするかということでございますが、もちろん、今日まで具体的の折衝を持つ段階になっておりません。これは当方といたしましても非常に慎重にしなければならないことであります。権限のない者がそこまで深入りもできないし、また、相手万としましても、いわゆる商売のあり方としてそこに多分にかけ引きもあることでございましょう。向うもなかなか慎重を期しているというわけでございますので、今日具体的の問題はございません。ただ、言い得ることは、この三千万ドルを発行するとしても、これは従来計画されている世銀融資ワク・プラスということ、これだけははっきり確認できた。もう一つは、アメリカのマーケット自身が十二月は、これはもう日本も同様でございます、向うはクリスマスの月としてやはり非常に繁忙をきわめている。しかし、一月、二月の両月は金融が比較的閑散だ。こういう時期を目当にして外債発行することが有利だという点を十分打診することができる。打診より以上に、信用の置ける状況として実は見通しを立って、その決断をした。実はただこれだけのことでございます。別に何にもない。何かあったのではないかと言われますと、どうもこの言葉の持つ意味が非常に広いので、誤解を受けやすいように思われますが、端的に、率直に、ありのままに皆さん方に御披露いたしまして、御了解を得たいと思います。
  16. 平林剛

    平林剛君 私はすなおな人間なので、決して悪い意味で、何かあったんだろう、こう言っているのではないのですから、そう長く弁解なさる必要はない。ただ、一番大事なことは、九月二十日ごろの、自由民主党の政調会長新聞記者を集めて発表するのだから、相当党の中でもいろいろ議論されて、来年度の予算編成大綱を示したが、私は、公党である以上、党として相当責任のある発表だと見ておる。そのときにですね、今後の経済基盤強化やその安定をはかるための予算をやるが、しかし、それはいかなる形でも公債の発行はせない、こういうふうに説明をしておいて、大蔵大臣がニューデリーに行かれたときに急に電話をかけなければならなくなった事情があったのではないか、こういうふうに見られるのですよ。  こういうことは、今回提案をした産業投資特別会計貸付財源に充てるための外債発行、この趣旨は、あなたが先ほどから説明したように、日本経済をいろいろ判断をして、この際その安定と成長をはかるためには外債活用するという方法考えてもいいじゃないか、その程度日本経済は力があるんだ、こうして自主的に判断をされて、提案をされてきた法律案なのか、それとも、このニューデリーの会議において、かねて懸案の問題、すなわち世銀借款について従来一萬田蔵相時代から話をしていた話の確約をするためには、やむを得ない条件として外債発行をせざるを得なくなった。すなわち、世銀の規約によると、世銀借款を受けるという場合には、みずからの力で資本を調達するその力がなくなったとき初めて借款ができる、こういう規約もあるわけです。あなたの方は、自分でそういうことをしなければ、今せっかくニューデリーまで臨時国会をよそにして飛んでこられても、私の方はあなたのその気がまえがなければ認められませんよ、いわばまあ半強制的な、あなたにこういうことをやりなさい、そうでなきゃ、あんた、せっかく確約を取りつけるために来たけれども、手ぶらで帰しますよと、こんなことになって、あなたは仕方なく電話をかけて、今度の国会にはこの法律案を出したのじゃないか。これは私ども判断の重要な基礎になるわけです。従って、何かあったのじゃないかというのはそのことを言うのであって、つまりブラック総裁でも、あるいはオーバービー氏でも、だれでもいい、だれかから、世銀だけにたよるのでなく、自分でも外国で資本を調達するよう努力を払え、そのことができたならば今回懸案になった問題については何とかしよう、そういう約束があったのじゃないか、そういうやりとりがあったのじゃないかということを、私は聞いておる。
  17. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 大へん率直なお尋ねでございます。率直に私も先ほどお答えしておりますが、先ほどの私のお答えのうちに少し不十分だった点がございます。いかにも大蔵大臣が一人の権限で断を下したかのような印象を与えたのじゃないかと思いますので、その点は誤解を解きたいから、重ねて申しますが、一萬田君から過去の事情を詳細に聞いて参りました。同時にまた、党の総裁なり三役等とも話をしまして、今度インドへ出かければあの結末をつけたいと思う。で、もちろん条件がいいというか、まあ先ほど来懸念しておるような、世銀からの融資ワクに影響のあるようなことなら、あえて外債発行する必要もないが、これがプラスになるということなら、この際いいことのように思うから、そういうことで進めたいということで、私は出かけたのでございます。事前に各方面は一通りは打診もし、そして連絡をとって出かけて、そうして最後の実は判断を下したということでございます。  まあ一部におきましては、今平林委員が言われるように、世銀自身は、自分の方の融資だけにたよっているのはよくないじゃないか、日本政府自身もみずからの力で努力したらどうだ、こういう話があったのじゃないかということでございますが、そういう話は過去においてあったと伺っております。しかし、そのことはです、ただいま申し上げる、私が懸念するというか、特に念を押した点、いわゆる融資ワクを縮小してこの起債に賛成するということであれば、向うの方が相当威力を用いたということにもなるかもわかりません。しかしながら、この点は、先ほど来申し上げますように、融資ワク計画には変更はなし、外貨債はプラス三千万ドル、こういう結果になったんだ。これで、一部で言われていたような悪意のある考え方ではない、むしろ非常に好意のあるサゼッションだということが言えるように思うのでございます。この点は誤解を解いていただきたいと思います。  同時にまた、私が非常に急ぎましたのは、今回のこの今御審議をいただいておりますものは、本年度内の処置であります。本年度内の処置でありまして、前国会で御審議を得て成立を見ました補正予算のうちに取り入れておる。そういう事案である。これも一つ考えを願いまして、私が特に急いだことはそういう意味なんだ、こういうようにそのまま一つ御了承をいただきたい。重ねてお願いいたします。
  18. 平林剛

    平林剛君 私は、まだほかにも、専売公社の質問も残っておりますから、大体この辺で大臣に対する質問は終りますが、最後に一つだけ聞きたいことは、大蔵省としては、この法律案の成立を待って、直ちに折衝団をアメリカに送り、まあアメリカ側の発行の引き受け会社やあるいは関係先に事務折衝を始めるという予定のように聞いておるわけでありますけれども、具体的にはどうなんですか。まだ審議中にそういう話は少し早いかもしれませんが……。
  19. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今お話し通り、まあ審議中に先走った話をすることは、これは不適当だと思いますが、まあその点は一つお許しを得たいと思います。事柄は非常に急いでおりますので、準備に万全を期したいと思っております。そこでです、まあ幸いにしてこの年内にと申しますか、二十日までに本法案の成立ができますならば、直ちに関係者をアメリカに派遣させたいと思っております。ニューデリーの会議の後に、アメリカの財界方面の諸君も参りまして、いわゆる予備的な準備は進めておりますが、まだ大事な金利なり等の問題が実はそのままになっておるのでございます。この点は重ねてお尋ねもあるだろうと思いますが、まだ、ただいまのところ、どうするかということの最終的な案を持っておりません。ただ、最近オーストラリア等がアメリカで外債発行いたしておりますので、日本外貨債発行の場合の有力な、非常に近い資料として、参考資料としてそういうものも取り上げ得るのではないかと思います。そこで、そういう条件をとにかく詰めていかなければならない。  これも少し余談になるかわかりませんが、さきに、池田国務大臣がアメリカに参りまして、アメリカ財界方面の打診等もしてくれております。この点では非常に協力を得ておりますが、その判断等から見ましても、日本経済に対する信用が非常に強いから、高まっているから、この際にこの外債発行をやはり本ぎめすべきだ。同時にまた、事前に条件などあまり軽卒な扱い方はしないように、というような注意まで受けております。従いまして、これから御審議を得て、いよいよこれが決定を見れば、次の段階になるのでございます。  そこで、大体の予定として、最初、さきの臨時国会において成立することができれば、まあ一月の中旬には調印の段取りになるのではないか、こういうような気持が多分にあったのであります。そういう点が一部の新聞に誤まり伝えられまして、大蔵大臣自身がその調印に出かけるのではないか、こういうような予測記事が出ております。大臣自身が、ただいまのところ、出かける気持はございません。大体交渉の進行度合いから見ますと、非常に早ければ一月の下旬だろうと予測できるし、下旬を中心にして最終的な段階になると思う。今のところで見れば、どんなに早くても二十日以前になることはちょっと考えられないという状況でございますから、やはり国を代表する人を正式にきめなければならないという段階でございます。すでに向うにおります者は、当方のスタッフになる人は、りっぱな、アメリカ財界でも信用のある人たちがおりますから、事前にどうこうすることは、する必要はないように思います。問題は、この法案が成立いたしましたら、直ちにそういう準備に取り運びたいと、こういう考え方をいたしております。まだ具体的な人選等を経ておるわけではございません。スタッフ等については、重ねて申しますが、アメリカ大使館を中心にして十分のスタッフが、アメリカ駐在日本大使館ですが、それを中心にして十分のスタッフを持っておる、かように考えております。ただ、形式の問題に、最後のところで政府を代表して調印の式に臨むような適当な人を得られるかどうか、それだけが残っておるという状況でございます。
  20. 平林剛

    平林剛君 私は、時間の短縮をはかって、なるべく自分の意見を述べないで質問してきましたが、大臣に対する質問はこの程度にし、残りはあとに一つ保留しておきます。
  21. 山本米治

    ○山本米治君 今回の法案が通りまして、三千万ドル借款することになると、これは産業投資特別会計の所属ですから、外国から借り入れ外貨はおそらく産業投資特別会計の所有となるだろうと思うのですが、これを電源開発に使おうとするのには、外貨そのものでは国内ではどうにもならないのですが、何とかして円資金にかえなければならないのですが、それは日銀に売って円資金にするのか、外為特別会計を通じて円資金にするのか、その手続はどうなるんでしょう。
  22. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 私から手続的な問題につきましてお答えを申し上げますが、これはもう、もとより、世銀借款と同じように、外為特別会計が外貨を取得いたしまして、円資金産業投資特別会計が取得することに相なります。
  23. 山本米治

    ○山本米治君 もしこの三千万ドルの外貨借款にかえて、国内で公募債を発行した場合と比較しますと、どういう差異が出てくるのですか。
  24. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは円資金に関する限りにおきましては、産業投資特別会計が、百八億でありますが、その歳入を取るという限りにおきましては、同じかと思いますが、一方におきましては、外為会計、つまり日本全体といたしまして三千万ドルの外貨を取得する、こういう意味において、まず違っておると存じます。  なお、これに関連いたしまして、先ほど平林委員からも御質問ございましたが、国内で国債を発行するのと、外債発行する場合におきましては、国内におきましてはいろいろの方法があると存じますが、一応これは円の調達ということに限るわけでございまして、従って、円資金は確保できる限り公債は発行できるわけでございます。この点は大臣からるるお述べの通り外国におきましての外債発行ということになりますると、日本信用度、その他各般の条件によって制約いたされますので、これはなかなか同列をもって論じがたいと、こういうふうに考えております。
  25. 山本米治

    ○山本米治君 大臣からお答えをいただきたいのですが、経済的効果がどう違いますか。三千万ドルの外貨債発行した場合と、国内で百八億の公債を発行した場合と、経済的効果はどう違いますか、お伺いいたしたい。
  26. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 国内で公債を発行した場合と、外貨債借り入れた場合と、経済的効果はどうか。ただいま事業遂行という面から申せば、これはもう同じことでございますので、ただ、国内円資金は比較的に民間資金財政資金との一体的運用ということをはかって、そうして通貨の安定を特に留意していかなければならない、こういう意味で、非常に民間資金の方にもこれはやはり限度があるのでございまして、そういう意味で、外貨債発行することによりまして私ども資金がより豊富になると、こういう実は感じを持つのでございます。
  27. 山本米治

    ○山本米治君 国内で公債を発行する場合でも、これはいろいろやり方によって違うわけでございます。民間応募によって民間資金を使う場合は、その調達した資金の使用者が違うというだけで、民間が使うか、政府民間から借りて使うか、こういうことだけです。ところが、日銀に引き受けさせて、日銀引き受け発行の場合は、新たに通貨というか、購買力が造出されるわけですから、インフレ的になるわけでございます。それから、民間でやる場合でもその効果が違うので、従って、私は外貨債三千万ドル、これを国内でどう調達するか、これを円資金に直す場合にどういう経路を経るかということが、今国内で公債を発行する場合にいろいろな方法によって違うと同じような差異があると思うのです。そこで、今外貨でやったやつは、先ほど正示局長のお話によれば、外為会計で円に直すというお話でしたが、国内でそういう方法はないのですか。国内で、つまりインフレになる。今の方法はインフレにならないものかどうですか、伺いたい。
  28. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今、山本委員からお尋ね通りの点が、私どもはいろいろ心配でございますから、先はど平林委員お尋ねの公債発行論というものも、私は特に説明を加えて、赤字公債は困りますよというお話を実はいたしたと思います。問題はそこにあるのでございます。今日も公社債等はすでに民間資金の、一体的運用という意味で、御協力を願っておるのでございます。こういう意味においては、いわゆる通貨の安定には支障がないという感じを持っております。この外貨債の場合におきましても、外国で金を借りてくる。現に日本国内におきましては、それ自身がすでにドル資金としてあるわけでございますから、これを円にかえた場合におきましても、ただいまいわゆる端的な赤字発行の場合とはおよそ事が違うということが一点。  もう一つは、やはり日本の保有しているドル資金が非常に不足しておる場合の借り入れであれば、これは赤字公債発行とあまり変らないというような議論も首肯ができるかと思いますが、ドル資金を十分持っておる際でございますと、その懸念はまず解消していくのではないか、いわゆる公社債発行に準ずるような考え方でよろしいのではないか、かように私は期待しております。
  29. 山本米治

    ○山本米治君 私は、外国から得た三千万ドルを外為会計が円資金に直す。そうしますと、外為会計というのはその円資金をどう調達するかというと、これはやはり外為証券を発行して、その外為証券はおもに日銀が買っておるわけです。結局、日銀の信用造出ということになりはしないかと考えるのですが、この点はどうですか。
  30. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま申し上げましたように、これは円にする場合は、山本さんが御承知通り、外為において証券発行してこれを円にかえるということでございますが、その場合にはっきりしたドル資金を持っておるということ、そこに強みがあるということでございまして、いわゆる端的な赤字公債の場合とはやや違ってくると。公社債に準ずるというのはそういう意味でございます。
  31. 山本米治

    ○山本米治君 私はやはり、一般論としては、国債というものは発行しない方が賛成なんです。これは先ほど平林委員からのお話も出ましたが、公債というものがなかなか、一ぺん始めると、やはりあとがどうも続きやすいということであります。この点は、大蔵大臣、すでに、あとは続かせない、これは一ぺん発行したら、どんどん発行することはないのだとおっしゃるが、それは歴史を調べれば、いつでもそうなっているのであります。通貨当局は常にそう言っているのでありますが、発行を続けるという場合があるのであります。  もう一つは、今、私は、相当大きな金額で、建設に使う数億ドルというような金を借りるというのなら、これは一つ意味があると思うのでありますが、今、日本外貨をある程度持っておりますし、ことし国際収支は黒字が五億ドルにも上ろうとしておるときに、三千万ドルという小金を借り入れするというのは、ポケット・マネーみたいなものであります。こういうさらに黒字がたまろうとしている際に、三千万ドルというような小金を借りるのは、あまり意味がないのじゃないか。いっそ三億ドルとか五億ドル借りるのならば意味があるけれども、非常に小金であります。三千万ドルの小金を借りるということは意味がない。しかも、手持ちの外貨があるのに、そんな小金を借りるというのは意味がないというふうに考えるのですが、この点はどうでしょうか。
  32. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 資金が潤沢にという意味におきましては、もちろん、多額な資金の調達ができれば非常にけっこうだと思いますが、同時に、先ほどお答えをいたしましたように、わが国経済力が、これはもちろん三千万ドルの外債にたえないような弱いもんだとは思いませんが、その五億ドルだとか、あるいは十億ドルだとかいうような話になると、これはなかなか日本経済力から見ましても容易にきまることではないでありましょうし、同時にまた、私の方がほしいと幾ら申しましても、相手方にもいろいろの都合があって、そう一時に多額のものを出せないというようなこともございましょう。その辺がいわゆるコマーシャル・べースだということでございます。それから、こちらが借りたいといっても、相手方はなかなかそこまでは貸せない、こういうこともあるだろうと思います。で、相手方から見ると、昭和六年以来ですか、初めての実は外債発行だと思いますので、そういうことを考えますと、最初から非常に多額のものが借り入れられるというか、そこまで相手方を納得させることはなかなかむずかしい。ことに、まあ山本さんなどは金融の御経験のある方だから、当方で借りたいといっても、なかなか相手方がそれを了承するもんじゃない。それは外債の場合においても、やはり同様なことが言えるのじゃないかと思います。このわが国外貨債発行という問題について、過去においてしばしばうわさされたものが、たとえば世銀からの借り入れにしても、三億五千万ドル、すでに実績は五億七千万ドルになっておる。六億ドル近い状況になっておる。これはもう、知らず知らずのうちに、外国からの借入金はふえて参ります。そういう点は、もちろん、わが国経済力がこれを消化してきている、こういう点から見、さらにわが国経済を飛躍的に拡大さすという意味に立って、いろいろ構想があるだろうと思う。外貨についても非常に多額のものを借りたらどうかと、借りるのなら思い切ってなぜやらないのか、こういうことも考えられるだろうと。わが国経済をどういう方向に持っていくかの一つ構想は、そんなことは大へんですから、説明を省略さしていただきますが、とにかくこの金を借りるという場合には、当方の都合もあるが相手方の都合もあると、この点を一つ御了承いただいて、ただいまの基本的な構想についての意見は、一つ発表を差し控えさしていただきたいと思います。
  33. 山本米治

    ○山本米治君 私は、どうせ借りるなら、三億ドル、五億ドル借りた方がいいというのです。ところが、借りるにはむろん相手方のこちらに対する信用もあるのですから、こちらが借りたくても貸してくれないかもしれない。私はむしろ、三千万ドルなんていう小金は借りなくてもいいのじゃないか、むしろ外貨はあるし、金もたまる情勢で、借りなくてもいいのじゃないかということを申し上げたのです。それは、借りるという場合に、こちらが借りたくても向うが貸してくれない場合も十分あるのです。  そこで、さっき大蔵大臣は、クォータの増加のことを、何か世銀クォータをすると言っておられた。私はIMF、国際通価基金ではないかと思うのですが、違っておられたようですが、それはともかくとして、世銀から電源開発その他のために今までいろいろ借りてこられましたが、世銀としては、世銀からの貸し出しはそうできないから、一つ自由市場、ニューヨークの市場というようなもので借りたらどうかという、まあアドヴァイスがあったらしいのですが、そうすると、政府が今投資しようとしておる、金を使う側ですね、たとえば電源開発、そこでじかにニューヨーク市場外債を起すことはできないかどうか。もし信用という点があるならば、政府がそれを保証したらどうか。そうすれば、政府が保証すれば、政府借款も似たようなものであるけれども政府がじかに外債を起すより、保証した方がまだ軽いのじゃないか。果してそれらの事業体がニューヨークの金融市場でじかに借りれば、私はなおいいと思うが、それが借りられない場合には、政府の保証によって借りられるというような方法考えられたことがないかどうか。なるべく政府借金はしない方がいいという意味で、私はこういうことを申し上げたのですが、その点をちょっとお伺いしたい。
  34. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほどクォータについてのお話が出ましたが、IMF出資世銀増資と、こういうことなのでございますから、これは誤解のないように訂正させていただきます。  それから、ただいまのお話でございますが、いろいろ、外債発行するという場合におきまして、今御指摘になりましたように、直接借りる方法はないか、あるいは同時にそれが政府保証ではどうかと。こういうような点も勘案いたしまして、最終的に、ただいまの政府外貨債発行が一番現状において望ましい形だという、実は結論になったのでございます。詳しいことは正示君から説明をいたさせます。法律的な不備その他いろいろな問題がございまして、そういうことに最後にはいたしたのでございます。で、お気持の、在来から世銀融資の形でこの資金調達をやっておりました関係から申しますならば、ああいう形を続ける方が望ましいのじゃないかということも、確かに一方法である。まあ今回もそういう点も考慮に入れて、結論は外貨債発行ということにしたのでございます。
  35. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 簡単に補足を申し上げますが、御承知のように、戦後のニューヨークの金融市場でございますが、山本先生非常にお詳しいようでございますが、非常に狭隘になっております。と申しますのは、国際的な世界銀行、あるいは輸出入銀行、あるいはIMFというような新しい機構ができまして、これが国際金融の分野におきまして非常に大きな役割を演じておることは御承知通りでございます。そこで、従来ニューヨークの金融市場におきまして消化されました債券は、ほとんど国債ということになっております。これはもうきわめて金額は、戦前に比較いたしますと、りょうりょうたるものでございます。そういたしまして、先ほど来御議論のように、大部分というものは世界銀行その他の国際金融機関において調達をいたしておるのでございます。  そこで、まず第一に、日本の今まで必要といたしました外資、これが累計して約五億七千万トルになっておりますが、その大部分というものが、日本政府が保証いたしまして世界銀行から借り入れたのでございます。そこで、山本先生が今御指摘のように、国際金融市場におきまして、直接たとえば電源開発借款をするということになりますと、二つの困難に直面いたします。一つは、先ほど申し上げたように、一般に、金融市場が狭隘で、そういう民間のコーポレーションが入っていく余地がないという点が第一であります。それから、第二の点といたしましては、それに対しまして、どうしても実質的には国がバツク・アップをしなければならない。もう少しはっきり申しますと、保証する以外に道はないという点だと思うのであります。そうしますと、どうしてもこれは国の債務ということになるわけでございます。間接的の違いはありましても、そうなるわけでございます。しかも、国がそれをギャランティいたしましてどれだけの信用力がつくかといいますと、これが大へん、EPDCと英語で申しておりますが、このようなEPDCとはどこの何ものだということになりまして、さすがに日本政府といいますと非常にポピュラーでございますが、日本電源開発、英語でいいますとEPDCは何ものだということになりまして、これをエデュケートするというか、一般の消化先に知らしていくということは大へんなことであります。そういうようなハンディキャップになりますので、先ほど大臣が簡単に要約されましたように、いろいろ考えてみた結果、結論として、最初にデビューするのはやはり日本政府がみずからこれをひっかぶっていくより法がない、こういうことに実は技術的にもなっておりますので、御了承願いたいと思います。
  36. 山本米治

    ○山本米治君 もう一つお話のような点は確かにあると思うのです。これは大体世銀というものを作ったのが、アメリカが自分がじかに世界各国へ金を貸すということをやめて、ああいう一つ世銀というトンネルを作ってある意味では自分の債権を確保しよう、確かなものにしようという意図があるわけで、昔ならニューヨーク市場ならニューヨーク市場でじかに起債をしたものが、世銀を通すことになっておる。従って、ニューヨーク市場で金を調達するなら、世銀自身が調達してそれを貸すという形であり、従って、ニューヨーク市場の金融余力というものはそれだけ少くなるわけですけれども、それにしても、三千万ドルなんていうのはまことに小金で、このくらいなら一つの小さな銀行でも貸せる金です。たから、第一の点は、金融市場が狭いといったって大したことはないし、時期の点からいってもすでにおそい。今借りようというなら、御承知通り、去年の五月ごろからニューヨーク市場というのはだいぶ梗塞化の方に向いまして、短期金利なんていうのはどんどん上っておる。長期金利はそれほどでもないかもしれませんが、短期金利は上っておる。これは今後の基準にもなるので、借り入れについては十分その点もすでに話をしておられると思うのですが、第二の点のEPDCなんだが、ニューヨーク市場に出してみましても、どこの馬の骨かわからぬということですが、これは政府が保証すれば、そう違うかどうか。まあ今のあげられた二点とも百パーセント納得はいきませんが、まあそういうことを十分研究された結果なら、これもやむを得ないと思う。  ともかく、三千万ドルなんていうのはまことに小金で、これは一つのテスト・ケースとして、今後やるときには一億ドル、その次は二億ドルということで借りる。それを前提として借りる。今後ずらずらとこれをきっかけにして外債発行することはないと言われたこととは、矛盾しておると思う。もしこれが一回限りとすれば、三千万ドルなんていうのはまことにポケット・マネーにも類するもので、問題にならぬ。これをテスト・ケースとして金利も加えて、今後これを前例として次々と発行していくということで初めて意味があるので、そういう点で、私はどうもあまりすつきり納得はできないわけです。
  37. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 簡単にお願いします。
  38. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 金利はなるほど、山本委員指摘のように、十月ごろまで、公定歩合の引き上げというようなこともございまして、短期金利を中心にやや引き締ってきておる傾向にあるかと思います。しかし、まだ、過去と比較いたしますと、過去におきましては公定歩合が確かに三分五厘くらいまで行ったことがありますが、今は二分五厘くらいですか、いわゆるアップターン・トレンドにあることは確かにそうでございますが、しかし、それが非常に上ってピークに来ておるわけでもございませんので、今はタイミングとしてもいいのじゃないか。  それから、三千万ドルは非常に小金だというお話でありますが、一つは、今大臣もたびたび申されましたように、相手が理不尽な条件を持ち出せば、何もこっちはそれに屈服して聞く必要はない。ボロアース・ポジションといいますか、借り手が強い。これがチャンスじゃないかと思いますが、これが非常にふところが窮屈になっておりまして、貸し手が強い立場において交渉するのと、非常にその点違うし、三千万ドルという金はある意味において非常に小さな金でございましょうが、そういう場合の主張の一つの土俵としては手ごろじゃないか。こういう意味でも、今後どんどん借りるという意味じゃございませんが、いずれにしても、最初に借りるものとしては、われわれとしては十分ここで有利な条件をかち取りたいというねらいを持っておりますので、百パーセント御納得いかないにしても、どうか一つ御支援願いたいと思います。   —————————————
  39. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 引き続き、塩業政策に関する件を議題といたします。  御質疑のある方は御発言願います。
  40. 平林剛

    平林剛君 副総裁お一人で、どうもお気の毒ですけれども、公社の最高責任者でありますから、この際、最近の塩業政策に関してお尋ねをいたしたいと思います。  専売公社の諮問機関である塩業、審議会が、この夏以来、国内塩の生産量増加に伴う余剰塩の問題や、塩会計における赤字増大などがからみまして、塩業政策全般に検討を加え、その結論、明年度には相当の塩田整理を行うべきだという見解で、その準備対策を進めておられると聞いておるのであります。この問題は製塩業者の死活問題だけでなくて、日本塩業のあり方から見ましても、重大な転機となりまして、国家財政の上におきましても、整理に伴う補償額は巨大な費用が必要となってくると思うのであります。ひいては、来年度の予算の編成にも大きな影響を与える。そこで、この審議会の最終的結論は一体いつあるか、これが第一の質問であります。    〔委員長退席、理事西川甚五郎君着席〕  それから、予想される結論は、またその構想はどういうものであるか、この際これを明らかにしてもらいたい。これが第二であります。
  41. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 最初に一言お断わり申し上げておきますが、ただいま塩業審議会を整備をするための審議会だというふうなお話でございましたが、実はさようでございませんので、塩業審議会に審議をお願いいたしましたのは、日本の塩業というものについて国民経済的な観点から検討していただきまして、長期的な塩の需給方策というものを基本的に考えていただきたい、かような趣旨審議をお願いしておるわけでございます。ただ、御承知のように、国内塩が相当過剰になっておりますので、その中に塩業の整備をはかるということが当然問題として起ってくる、こういうことになっております。  そこで、第一点の、いつ結論が出るかというお話でございますが、これは私ども予算を組む関係等もございまして、できれば十一月一ぱいまでにその結論を出していただきたいということでお願いをしておりましたが、問題がかなり複雑なものでございますから、今年の夏以来すでに二十回に及んで審議をいただいてやっております。だんだん延びて参りまして、まあいろいろな関係がございますので、私どもといたしますと、年内にはぜひ結論を出していただきたい、かようにお願いをしております。いろいろな議論も今週から来週ぐらいにかけてかなり集まって、結論的なものが大体はっきりしてくるのではないかと、かように考えております。従いまして、御質問の第二点であります予想される結論というものは、まだ出てきておらない状況でございますので、ここ一、二週間お待ち願いましたら、大体どういう方向にまとまっていくかということが判明して参ると思います。
  42. 平林剛

    平林剛君 副総裁、大へん慎重なかまえをとりまして、予想される結論をまだどんなものであるかお示しにならないようでありますけれども、すでに公社としては、来年度の予算編成を前にして、大蔵省との間に具体的な話が進められているはずであります。私は、その具体的な話を進めていく前提として、今塩業審議会が落ち着く結論というものは大体出ているんじゃないか。はっきりした結論を私は求めているわけではなくて、大体こうなるだろう、こういうことを聞かしてもらいたいのであります。一般新聞にも、すでに一部報道されているのであります。私は、この委員会に対してもあらかじめその方向についてはお話をされるのが至当だと思まいすから、重ねてお答えを願いたい。現在塩業審議会でいろいろ検討しているのは細部的な問題で、大綱というのは大体きまっていると見ているのですが、間違いであるかどうか、一つ私としても判断をいたしたいと思いますから、もう一度率直に意見を述べてもらいたい。
  43. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) この審議会の御審議の仕方と申しますのは、公社側から原案を出してそれを審議していただく、そういうふうな経過をたどっておりませんので、たとえば、日本の塩の需給の見通しというものをどういうふうにつかまえたらいいか、あるいは今日の流下式製塩の生産力というものが非常に問題になるのですが、現在の塩田の生産力というものをどういうふうに見たらいいか、その他いろいろな数字的なものを資料として提供いたしまして、その資料に基いていろいろ議論をしていただいているというふうなやり方でございますので、現在まだ、私はほんとうに正直申し上げまして、審議会の塩業政策大綱というものもできておりません。各委員の方方、それぞれ違った御意見でございまして、いろいろな御意見出ておりますが、どの方向にまとまっていくかということについても、全然現在の状態においてはまだ見通しがつかない状態でございます。  それから、新聞に出ておりましたものは、これは審議過程におきまして、こういう場合にはこうなる、こうなる場合にはこうなるという、一応の試算をしたものを中心にして現在の問題点を説明したことがございますが、それがいろいろな形で報道されているのでございます。従いまして、あれも結論のもとになる数字というふうにはまだなっておらないような状況でございます。  なお、予算関係につきましては、問題がかなり複雑でございますので、事前に大蔵省にもいろいろ理解を深めていただくという意味お話し合いはしておりますが、どういう予算にするかということも、これもまだ全然きまっておりませんので、別に私の方で隠しているわけではございませんから、その点は御了承いただきたいと思います。
  44. 平林剛

    平林剛君 しかし、昨年来専売公社が検討をいたしておりました塩業政策から考えまして、必然的に塩田の整理が必要だ、こういった方向にならざるを得ないのじゃないですか。
  45. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) その点は、ただいまも申し上げましたように、塩の生産設備が過剰であるということから、何らかの整備をしなければいかぬ、これは明瞭なのであります。しからば、どういう基準で、どういうふうな考え方で整備をしたらいいかということが問題になるわけであります。それから予算の方も、そういう整備をする場合にどのくらいの金を必要とするかということが、予算の中心点になるわけであります。そういうもとの考えがきまらないと、予算も正式の予算要求というものはできないというのが、現在の状態でございます。
  46. 平林剛

    平林剛君 それでは、私は、あなたの直接の諮問機関である塩業審議会のことを聞くのでなくて、専売公社の責任者として、現在の塩生産については法律をもって一切おまかせしておるわけであります。その立場でお尋ねいたします。  公社は塩業審議会に、こうしたい、ああしたいという自分の案を出していない、こういうお話でありますが、公社自身として案を持たず、塩業審議会に、あれですか、いろいろな資料を提供して、そこで判断をしてもらうという考えで、主体的な考えは専売公社には何らない、こういうことですか。同時に、この夏以来塩生産の状況等を専門的に検討すれば、この次何かの手を打たなければならぬ、こういうにとは大体予測されるにもかかわらず、あなたはそのことについても委員会に対して御説明がない、さっきの私の質問が塩業審議会の結論ということだから言わなかったのかもしれませんが、専売公社の責任者として大体どういうことが必要であるのかというお考えはなければならない。あると思いますから、それを一つ話していただきたい。
  47. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 昨年の暮に、一応塩業についての考え方というものはございまして、そのときの考え方では、やはり塩業の整備をはからなければならぬということが一つのポイントになっているわけでございます。あわせて、塩価を合理的なところまで下げていかなければならぬということが、もう一つのポイントでございます。ただ、問題が非常に広範にわたりますし、それから地方の産業その他に影響するところが非常に大きい。なお、消費面におきましても、国民経済に及ぼす影響が非常に大きいということで、公社独自の考えで進めるよりも、やはり学識経験者の方々の御意見を十分に伺って、その御意見に基いて政策をきめた方がいいのではないかというふうなことから、塩業審議会に審議をお願いしたわけであります。従いまして、審議会の結論が出ましたならば、十分にそれを尊重いたしまして、公社としては実行面に移りたい、かように考えておるわけであります。
  48. 平林剛

    平林剛君 専売公社としての当面の塩業政策というものは、お持ちでないのですか。私はそれを持っていると思うから、それをお聞きしているわけであります。
  49. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 塩業政策の基本的な問題について審議をお願いしておりますので、そういう段階におきましては、公社の塩業政策はこれだというふうなことを、今その審議の経過において申し上げるということは、必ずしも審議会をやっていきます上において適当でない、そういうことで、これから実行いたします政策としては、審議会の結論を待っているという状況でございます。
  50. 平林剛

    平林剛君 副総裁は、しばしばこの委員会に来て、ふだんの円満な常識に反した答弁をなさる。一体審議会と大蔵委員会とどっちを重要に考えていますか。私の言うのは、国民の代表としてこの大蔵委員会で、専売公社はどういう塩業政策を持っているかということを聞いているわけです。塩業審議会で検討しているから言えないなんということは、大蔵委員会に対して言える義理じゃないでしょう。私はそういう考え方根本的に誤まりがあると思う。私の聞いているのは、それなら塩業審議会に示した専売公社としての考えを話してもらいたい、こう言っておるのです。それを大蔵委員会には話せない。これは審議会と大蔵委員会をはかりにかけて、間違った方向におもりをかけていることになりはしませんか。
  51. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) ただいま申し上げましたように、審議会に対しましては、公社の考えはこうだとかというふうなことを申し上げてきておりません。塩業審議会の結論を待ってわれわれの政策をきめたい、こういうふうに申し上げたのでございます。先ほど申し上げましたように、何か公社が一つ考えを持って、それを塩業審議会に出して、審議会の方々がそれを検討しておられるというふうにお考えのようでございますが、さようではございませんで、いろいろな数字的な資料は出しますけれども、公社としてはこういうふうに考えているというふうな言い方で審議をお願いしておるのではないのでございますから、その点は御了承を得たいと思います。
  52. 平林剛

    平林剛君 これは私は、専売公社として、今日の塩業政策が重大な転機に立っているにかかわらず、その一切の取りまとめの責任を塩業審議会にお願いをしているということでは、一体今日まで専売公社の首脳部というものは何をやってきたか。重要な国家の財政上の機関でありながら、このような重要な問題について積極的に公社としてはこう考えるというお考えがないなどということは、まことにあきれたことだと思います。将来、塩業審議会がかりに相当程度の塩田整理を行わざるを得ないという結論を出したり、その補償のために九十億円にしても、百億円にしても、かなりの税負担が国民にかかるということにかりになったといたしましたら、そういうことをみずからの判断としてなし得なかった専売公社というのが残るのですよ。専門的に専売事業の運営に当っておりながら、今日、大蔵委員会がこれに対して公社はどういう考えを持っているかということでも、説明を拒否する、理由をつけて拒否をしているという態度は、許せないと私は思うのですよ。副総裁は全然門外漢というわけではありません。私は、この説明がない限りは、もうあなたはそのまま帰ってもらうわけにいかない。やはり委員会に対して、専売公社は一体どういうふうな考えを持っているということは、その今日まであなた方におまかせしてきた責任からいっても、説明をする義務がある、こう思います。
  53. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) もちろん、塩業の政策を実行するということは公社の責任でございまして、ただ、ただいまも申し上げますように、もう一、二週間お待ち願いたい、かように申し上げているわけでございます。それから、説明を拒否する、こういうふうにお考えでございますが、別に拒否しているわけじゃございませんので、審議会の結論を待って、それを実行にわれわれ移すわけでございますが、もう一、二週間の間でございますので、しばらくお待ちを願いたい、かように申し上げておる次第でございます。
  54. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  55. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) 速記をとって。
  56. 平林剛

    平林剛君 それじゃ、私、少し具体的に聞きますけれども、現在、専売公社は、塩の生産量が増加して、国内需要から見ても相当量の余剰が出る、このまま放置すれば、塩事業会計には赤字が出るし、そうかといって、これを工業塩に回すには、価格の問題にひっかかってくる、こういうことから、塩田の整理を検討しなきゃならない、こういう立場にあるんじゃないか。あなた、説明しないから、想定をしてお尋ねをいたします。そういう立場にありはしないか。そしてそれを検討する場合には、国内の塩の需給を今後どういう程度に見るのか、ここにかかってくる。専売公社にはそれについての判断がないとは私は言わせないわけです。従って、今後国内需要というものはどの程度であるか、それを基礎に考えればどの程度の塩田整理が必要になってくるか、こういう判断というものはなけりゃならぬと思います。そうすれば、その幾つかの判断に基いていけば、必然的に塩田の整理に向わざるを得ない。そしてその補償を、従来もこれは塩田整理の場合に例がなかったわけではなくて、それらを参考にしたり、また諸般の事情を考慮すれば、大体こういう案とこういう案とこういう案があるという程度のことは、今日は一般新聞でも報道せられておりますし、衆議院でもこれについての説明が質疑に答えて行われている。こういう段階でありますから、そういうこともひっくるめて、現在専売公社はどういうような程度のことを考えているかということを、この委員会に明らかにすべきだ。それを一つ説明してもらいたい。
  57. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) ただいま、平林委員からお話のありましたように、塩の生産が過剰である。そこで、これをどういうふうに整理したらいいかという問題を審議するにつきましては、ただいまお話のありましたような、やはり日本の塩の需給の見通しというものをどういうふうにつかまえたらいいか、それから外塩の輸入というものをどの程度に考え、あるいはどの程度の見通しをつけたらいいか、それから国内の生産の面では、流下式製塩、この生産量、それから、機械製塩がございますが、こういう機械製塩の生産量というものをどういうふうに見たらいいかというふうな問題、なお、最近製塩技術につきまして新しい問題が起っておりますが、そういうものをどういうふうに見たらいいかというふうな問題、なお、これは御承知のように、塩田の製塩というものは数百年来続いてきております仕事でございまして、その地方産業に及ぼす影響、あるいは地方経済との関連、そういう問題、まあかなり広範な問題があるわけでございます。従いまして、どの程度の整備をやるかということにつきましては、それらの問題をいろいろ検討をして、それぞれある程度の考え方をまとめた上でないと、どの程度の整理をやるかという考え方が出てこないわけでございまして、なお、現実に整理をする場合には、その補償の問題が起って参りますが、その補償というものをどういうふうに考えたらいいかというのが具体的な問題としてもあるわけでございます。で、こういう問題全部につきまして塩業審議会が逐次検討を重ねておるわけでございまして、そのうちの一部分だけ先にきまるという性質のものではないのであります。従いまして、そういうこと全部の結論をまとめて出すというのが、これが審議会の塩業政策をきめるもとになると思うのでありますが、それらにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、まあ年内にはぜひまとめていただきたい、かようにお願いをしている次第でございます。  それから、特に御質問のありましたこの整理の規模、補償等の問題につきましては、規模等につきましては、ただいま申し上げましたような関連がありまして、まだどの程度の整理の規模にするかということが結論が出ておりません。ただ、補償の問題につきましては、かつて塩田整理をやったこともございます。当時の例等もいろいろ調べまして、現在の事態と引き合せてみますと、かなり塩田の事情も変っております。従って、当時の例だけによるわけにいかないというので、専門の方々にお願いをいたしまして、どういう考え方で補償するかということを検討していただいているのでございます。その場合に、大体専門の方々の御意見としてまとまって参りましたところは、現在あります設備についてまず補償を考えるようにということ、それから塩業者の生業を全然やめてしまうわけでありますから、その生活補償といいますか、そういう面で考えたらどうだろうかということ、もう一つは、塩田の製塩労務者でございますが、これに対しまして退職金といいますか、離職補償といいますか、そういうふうな線で考えたらどうかというようなところまで、話が進んできておる程度でございます。
  58. 平林剛

    平林剛君 今お話しのように、設備の補償とか塩業者に対する生活補償、塩田労務者に対する転業資金、こういうことを検討をするというのは、まあ相当の財政資金を必要とする。結局、私は、この基礎になるのは、今後の塩生産の見通しということと、それから国内塩の確保の基準量を一体どこに置くか、この二つの大筋でかなり違ってくるんじゃないだろうか、こう思っておるわけであります。今お話しのように、工業塩の価格の違い、外塩との関係と、いろいろございますけれども、一番基礎になるのは、やはり国内塩の確保の基準量をどういうところに置くか、こういうところに重点が置かれるのじゃないか、こういうふうに思うのであります。そうしてこれを今後の生産量の方向から見て、年間八十万トン程度に置くか、九十万トン程度に置くか、それとも百万トン程度に置くか、それとも大幅に百十万トン程度に置くかということによって、塩田整理の幅というものにかなり違いが出てくる。具体的にいえば、国民の税負担というものの額もそれによっておのずからきまる。そればかりではないけれども、それが大もとになってきまる、こう判断できるわけであります。しかし、伝えられるところによりますというと、この国内塩確保の基準量の考え方が、塩業審議会はどうか知りませんけれども、専売公社と大蔵省との現在の予算折衝の間ではかなり違っていると承知いたしているのでありますが、専売公社としてはいろいろの総合的なことを考えて、今後国内塩はどの程度確保したらいいかという目安をお持ちになっておりますか。
  59. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 今度の整理の問題につきましての一つの基本的な考え方といたしましては、食料用塩は全量国内で自給したい、こういう一つ考え方を基本にいたしております。で、その場合に食料用塩の国内需要というものをどのくらいに見たらいいかということが一つの問題でありますが、これはまあ従来の実績、それから今後の見通し等を入れますと、まあ百万トン前後というふうなことになろうかと思います。そこで、その場合に生産力はどのくらいあるかということが非常に問題でございまして、現在やっております流下式塩田の生産力というものが、技術的に推定がなかなか単純にいかない。それで、それの推定を技術的に見てどういうふうにしたらいいかということも、いろいろ資料を出しまして専門の方々に御判断を願っております。そこで、先ほど来申し上げておりますように、その需要量の見通し、それから生産量の見通し、それから生産力、かようなものが塩業審議会の最後の結論のときに一応の基準の考え方として出てくるわけでございまして、それをもとにして、お話通りに、整理規模というものをきめる、こういう段取りになるわけでありますが、その点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、年内に結論が出て参ると思いますので、それをもとにして具体的な計画を立てたいと、かように考えている次第でございます。
  60. 平林剛

    平林剛君 あなたは、塩業審議会、塩業審議会と言って、その方に何でもかんでも持っていくけれども、生産量の見通しなんてのは塩業審議会が立てるのじゃないのじゃないですか。少くとも専売公社が、現在の塩田の合理化や、その他施設の完備の進展状況その他から見て公社が生産量の見通しを立てるべき唯一の機関であり、最高の機関である、こう見ているのですが、今のお話でも、まことになるべくこまかいことは話さないようにして、すべて塩業審議会の方に話を持っていこうとしておられるけれども、私は少し専門的に知っているのだから、そういうことでは委員会に対する態度としては適当じゃないと思う。今、私のこういう質問に対して、やっとはっきりさしたのは、国内塩の確保の基準量は、大体今の需要状況から見ると、百万トン程度の線に見込むのが妥当だくらいの結論は出たのですけれども、生産量の見通しというものは専売公社がつけるべきである。これを幾らに見ているのでありますか。
  61. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 生産力の見通しにつきましては、技術的にかなり判断をしかねる部分がございますので、審議会の方の専門の委員にお願いいたしまして、それからの判断もあわせて検討していただいているわけでございます。平林委員は、私でもできると、かようにおっしゃいますけれども、公社としますと、かなり将来を見通した責任のある判断を下さないといけませんので、それらの専門の方々の御意見を十分承わって一応のめどをつけたい、かような段階でございまして、現在まだその数字を申し上げる段階に至っておらないのでございます。
  62. 平林剛

    平林剛君 あげ足を取るわけじゃありませんが、これから専売公社に仕事をやってもらうときに、塩生産量の見通しを委員会が質問をしたら、これは、たとえば今回は塩業審議会ですか、こういう機関の学識経験者の検討を待たなければ答えられない。それほどあなたの方は、いかに技術的な問題であったとしても、答弁ができないというような自信のない機構なんですか。私の承知する限り、専売公社には相当の技術陣があって、そして現在の行政上の全般的検討から見れば、どの程度の生産量があるというくらいは見通されていなきゃならぬかと思うのです。私の承知しているだけでも、昭和三十六、七年には大体百四十万トンくらいになるであろうというように、しろうと目だって大幅の数字はつかんでいるのですよ。専売公社は、塩業審議会の方の学識経験者その他の方で検討してもらわなければ、委員会に大体のお見通しもお話しすることができない、こう言われるのですか。
  63. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 私の申し上げておりますのは、平林委員が御要求になっておられるような見通しというのは、今度整理対象をきめるときの基礎になる見通しと、かように了解をするのであります。従来の実績その他単純なる見通し、これはもちろん技術的にもすぐ推定できるわけでありますが、その整理対象をきめる場合、あるいは整理規模をきめる場合の基準になる生産力の見通しということをどう見るか、これはかなり将来のことにもかかわりますので、塩業審議会に審議をお願いしている、かように申し上げたのでございます。
  64. 平林剛

    平林剛君 単純なる見通しはどういうことです、どういうことになります。
  65. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 委員長、私きょう資料を持ってきておりませんので、ちょっとお答え申し上げかねます。
  66. 平林剛

    平林剛君 塩脳部長が見えられたようでありますから、それに専門的にお話を伺います。
  67. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  68. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) それじゃ、速記をとって。
  69. 平林剛

    平林剛君 塩脳部長が来られたですから、先ほどの私の質問に専門的に答えて下さい。
  70. 小林章

    説明員(小林章君) ことしの実績はまだわかっておりませんけれども、ただいまの見込みとしましては、大体百十万トンから百十五万トンくらいになるのではなかろうかという見込みです。なお、このままいきますと、来年度は百二十五万トンくらいになるのではなかろうか、かように考えております。
  71. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) 塩脳部長、もう一ぺん一つ説明願います。
  72. 小林章

    説明員(小林章君) 本年度の実績は——御趣旨がよくわかりませんが、ただいまの見込みでは百十万トンから百十五万トンくらいの間になるのではなかろうか。このままいきますと、来年度の見込みとしましては、大体百二十五万トンぐらいになるのではなかろうか、かように考えております。
  73. 平林剛

    平林剛君 来年までわかりましたけれども、もう少し長期の生産見通しというのは立てておらないのですか。たとえば、今年を基準にして五ヵ年先がどの程度になるかという見通しはないのでありますか。
  74. 小林章

    説明員(小林章君) ただいまのお話でございますが、生産設備をいじらなければ、ほうっておくと、大体それで横ばいにいくのではなかろうかというように考えておりますが、それで、現在塩業政策をどうするかということを塩業審議会に御審議願って、今後の方針を立てたい、かような状態でございます。
  75. 平林剛

    平林剛君 今年の夏、専売公社の塩業政策について当委員会は、こまかく、それこそ微にわたり細にわたり説明を受けたのです。そのときのお話でありますと、昭和三十六年あるいは七年までに約百四十万トンという具体的数字をあげて、われわれに説明をいたしております。今のあなたのお答えは、前提が生産設備をそのままいじらなければということが入っておりましたけれども、多分いじることになるのではないか。各塩田業者も、それぞれの生産量を上げるために、企業の合理化を専売公社から指導を受けておりますが、生産設備をいじらないどころか、ある程度の進展は示すものと、そういう状況、つまり、普通の状況ですね、今のようにあまりふやさないような前提、心がまえのもとの数字でなくて、このままの状態でいけば百四十万トン、あるいは百四十五万トン程度になるのではなかろうかと私は推定しておるのですけれども、公社はやはり、生産設備はいじらないという前提のもとに立って、横ばいが続けられるという見込みを強く持っておられるのですか。
  76. 小林章

    説明員(小林章君) その点は、前提をどう取るかの違いだと思うのでありますが、そこで、野放しで作り出すと百四十万トンというような数字も出てきましょうが、いずれにしましても、百四十万トンにしろ、百四十五万とんにしろ、過剰生産ということになりますので、ストックが残る、赤字がふえるという問題になって参りますので、現在今後の塩業政策をどうするかということで御審議を願っておるのでありまして、その政策が確立しましたならば、おそらくその数字はもっと下回ってくることになるのではなかろうか、かように考えております。
  77. 平林剛

    平林剛君 塩業審議会も塩業政策を立てるためにいろいろ検討をされておられると思いますが、私ども委員会において、今後の日本塩業政策はいかにあるべきかということを審議中なんです。同じような一つ説明をしてもらいたい。先ほど副総裁にも言いましたが、塩業審議会と大蔵委員会とどっちを重要に考えておるか、あまり軽く見てもらいたくない、こういうことを申し上げましたけれども、そういう意味であなたも一つ専門的な説明を答えてもらいたい。  そこで、私は今までのやつは真剣に答えているものと判断いたしまして、今後の国家の塩業政策を立てる重要な資料として今までの答弁を聞きますよ。おさらいをしますけれども、年間国内塩の需要量の見込みは百万トン程度である、こういうお答えがあった。現在は、生産設備をいじらないという前提のもとでは、昭和三十七年ごろまで百二十五万トンが横ばいになる、こういう見込みを公社は基本として持っておる。野放しにすれば百四十万トンだと、こう言われましたけれども、まさか野放しにするということは考えられませんから、公社としての現在考えておる今後の生産見込みは百二十五万トンであると、こう見てよろしゅうございますか。私は、今後の日本国内塩業のあり方を審議するために重要な資料といたしたい、こう思いますから、そのつもりで答えてもらいたい。
  78. 小林章

    説明員(小林章君) たびたび申しますが、一応われわれの事務当局として見通しを立てておりますのは、現在の設備をそのままにして、そのままで動かしていけば、百二十五万トンというところがまあ妥当な数字じゃなかろうかと、かように考えているわけであります。
  79. 平林剛

    平林剛君 くどいようですが、設備をそのままにしておくつもりですか。それとも、今のお話の数字のように、押えるための政策考えなければならぬと真剣にお考えになっておりますか。
  80. 小林章

    説明員(小林章君) もちろん、その百二十五万トンにしろ、過剰生産と相なりますので、この塩業政策をどうするか、慎重に考えなければならないということで、塩業審議会という諮問機関にも諮りまして、今後の政策考え方を立てたい、かように考えております。
  81. 平林剛

    平林剛君 そうすると、私は、塩業審議会も日本塩業政策を立てるために権威のある機関であると一応考えましても、専売公社も今日まで塩業政策を実際に担当しておる機関として、相当権威のあるものだと思います。御説明によると、昭和三十七年まで大体現在の生産設備を維持していけば百二十五万トンである、一方国内需要というものは百万トンである、当面二十五万トンの余剰をいかにするかということに今後の施策の中心が置かれていく。ここから出発してもし必要とあれば塩田整理が行われる、こう判断して間違いございませんか。
  82. 小林章

    説明員(小林章君) 私もさように考えます。
  83. 平林剛

    平林剛君 さように考えるとすれば、これで塩田を整理するといたしまして、今日は、先ほどお話になったように、設備の補償、この塩業者に対する補償、塩田労務者に対する転業資金等を考えますと、大体どのくらいの財政措置を必要とすると見込んでおられますか。
  84. 小林章

    説明員(小林章君) ただいま御質問の点が、今回の塩業政策を立てる上におきましての非常に重大なむずかしい問題でありますので、そういう問題を含めまして、ただいま塩菜審議会に御審議をお願いいたしておりまして、その答申を待ちまして公社としても案を立て、また大蔵省その他関係方面と相談して、国会に御審議をお願いしたい、かように考えておる次第でございます。
  85. 平林剛

    平林剛君 今度の専売公社が塩業政策を諮問するという以上、やはり基本になる考え方はあると思うのですが、それにも、基準の立て方によって幾通りにも違うものが、百も二百ももるというわけではない。A案とか、B案とか、C案とかということに限られると思うのでありますが、今日のあなたが専門的に考えた見通しでは、どの程度結局必要になってくるだろうか。A案によればこうだ、B案によればこうだ、C案によればこうだというようなことは、この委員会には御説明できないのですか。
  86. 小林章

    説明員(小林章君) その点は方々で御指摘を受けるのでありますが、何分今回の塩業整理と申しますか、これは大問題でありますので、白紙で今後の塩業政策の基本方策について一つ審議、答申をお願いしたいということで、塩業審議会に塩業政策一般についての御審議をお願いいたしておるような状態でございまして、事務局案などというものは現在ございませんので、ここではっきり申し上げさせていただきます。
  87. 平林剛

    平林剛君 私は、今日日本塩業政策を担当する機関として専売公社はまことに不適格である、こういう機関に日本塩業政策の重点をまかしておいたことが国民としても失敗であったという印象を受けざるを得ません。この重大な転換期におきまして、塩業審議会の学識経験者の専門的な検討を得なければ国民に対しても報告できないし、そういう混迷状態を続けておる、こう判断できるのであります。そして、もしかりに——塩業審議会の結論は年内に出るというお話でありますが、かりにここで相当の塩田を整理し、そしてこの塩田を整理するための補償措置などで国民に相当巨額の税負担等をしょい込ませるという結論が出たときは、専売公社の責任というものはきわめて重大だ。そうは思いませんか。私は、少くとも、今回日本塩業政策が転換をせざるを得ない原因が一体どこにあるかということを考えてみますと、今日までの専売公社が、ただいままでも、塩業審議会がいろいろなことをやらなければ自分自身のはっきりしたことを述べることができないというところに、最大の理由があったのではないか、こう思うのであります。この際、その責任を痛感をせられて、一体こういう事態は他の方策によって避けることができなかったかどうか。小林塩脳部長は新任早々でありますから、あなたにその責任を全部負わせるという意味ではありませんけれども、専売公社副総裁、首脳部としては、これは前からおやりになっておられて、その責任の衝にあったわけでありますから、一体こういう事態になることは避けることができなかったかどうか。結論はまだだと、こう言っておりますけれども、大体の結論は、私、予測できる。そういう立場から、公社として一つ弁明をしていただきたい。
  88. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) きょういろいろなお話を申し上げないということで、非常に御不満のようでございますけれども先ほども申し上げましたように、塩業をどういうふうに持っていくかという具体的な方策につきましては、いずれ所要のものをそろえまして御審議をお願いするわけであります。従いまして、もうしばらく御猶予願いたいということを申し上げておるわけでございまして、せっかく審議会の方も着々その審議が進んでおりますので、もうしばらくのことでございます。別に、所要の措置を講ずるようになりますれば、はっきりいろいろと御説明も申し上げ得る段階に来るかと思います。  なお、塩業自体の仕事につきましては、公社に責任のあることもちろんでございまして、ただ、現在のような事態が倒来しましたことにつきましてどうであるか、かような御質問の御趣旨かと思いますが、これにつきましては、御承知のように、日本は専売制始まって以来と申しますか、とにかく国内で食料塩が足らないということで、閣議決定もやり法律も作り、あらゆる努力を、政府側も民間側も一緒になりまして、何とかして増産をしたいという一本やりで五十年来進んできたわけであります。たまたま、そういういろいろな技術の革新が起りまして、それによって従来のような見積り方では塩が余ってくるという事態が明瞭になってきましたので、それで、今回もう一度ここで塩業政策を再検討しなければならないということで、その審議をお願いをしておるというふうな事態でございますので、まあ、もちろん、塩は専売になって、専売公社がその責任を負っておるわけでございますから、そういう意味合いにおいて、過剰塩が出てきたということについての責任はあるわけでございますけれども、従来長い間の政策というものはそういう方向に進んできておりました。そこに新しい技術が入ってき、新しい考え方が入ってきた。その実績の検討というものが、大体こういう実績をめどにして検討することができるというふうに気がついて、そこで全体の政策の再検討をしているというふうな次第でございます。従いまして、今後の塩業政策につきましても、もちろん当面の責任は専売公社でございますが、なお、関連しております方々の御協力も得て、できるだけ円満なやり方をしていきたいと、かように考えている次第でございます。
  89. 平林剛

    平林剛君 私は、いずれ塩業審議会の結論が出て、またそれが予算の編成にどういう影響を与えるか、そのいかんによっては、あらためて専売公社の責任ということを考えてもらいたいということを主張するつもりでありますけれども、このような今日の事態に陥らなくても済んだのではないか、他の万策で避けられなかったかどうかということを、今考えますと、そういう機会はあったように思う。これは死んだ子の年を数えるわけではありませんが、少くとも戦後、昭和二十五年の閣議決定で塩生産の確保という大方針が立てられて、専売公社はその方針に従っておやりになったことは認め、またその目標に達した努力ということは大いに多とするのでありますが、しかし、昭和二十七年ごろから枝条架の生産設備が促進されて、これが三十年あたりになると五〇%流下式に転換し、またその総額も五十万トンくらいになった。その前後において、また従来の入浜式塩田の製法に比較すると相当量の増産があるから、これが流下式に百パーセント転換したときの生産量はどの程度あるかという見通しはできてよかったのではないか、こういうふうに考えるのです。前のことはあとで批判すればだれでもできるということはありますけれども、専門的に検討されている専売公社としては、その程度の見通しが立てられなかったというのはうそだ。  それで、まことに不可解なのは、そういう見通しができた時期において三井塩業とか、崎戸製塩とか、井華塩業とかいう会社が、昭和三十年の四月、五月、六月に陸続として設立され、また、昭和三十一年度においては北陸製塩、佐世保塩業、東北製塩、こういうところに製造許可を与えた。こういうことを考えてみますと、今後かりに塩田整理がせられ、それによって多額の国費が費されるということになりますと、さかのぼってこの責任は大へん重いものがあるということを指摘せざるを得ないのであります。これについて何か副総裁は御見解はありますか。
  90. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 私どもも過去において直接その衝に当っていなかったので、具体的な事情を一々申し上げるという知識はないのでございますが、ただいまお話のありました機械製塩につきましては、当時、総理府の資源調査会で勧告がございまして、その当時の状況にかんがみて、塩田の収量がなかなか思うように上ってこない、従って流下式に改造することと同時に、加圧式製塩の育成をはかれ、かような資源調査会の勧誘もございまして、おそらくそういう考え方に立って許可が行われたのではないかと思います。現実にその許可を与えられた当時におきましては、まだやはり国内の食料塩の全量を自給するには足りないという時代でございましたので、ただいまお話にもありましたように、当時の情勢としてその考え方がやはり正しかったのだというふうな見方ができるのではないかと思いますが、最近流下式の塩田の生産力が非常に上って参りまして、全体的に考えると、むしろそういうものは許可しなかった方がよかったのじゃないか、今から考えるとそういう考え方も立ち得ると思いますけれども、当時の事情としては、やはり当時も相当慎重を期していろいろな機関の御意見を伺って処置をしたと、かように考えるのでございます。
  91. 平林剛

    平林剛君 私は、今後の専売公社の経営あるいは現在の運営の仕方等から考えて、一番公社に大事なにとは、少くとも経営者と目される首脳部に責任感と、それに伴う制度ということが必要だということを考えておるのであります。ただいまのお話のように、私の指摘した不可解な工場設立は、確かに内閣の資源調査会からの勧告があっての措置かもしれません。しかし、先ほども述べたように、今日までわれわれは一切の塩の行政は専売公社におまかせしておる。そういう立場から、やはりどういう勧告があろうとも、独自の立場から諸般の検討をして、ゆるぎのない政策というものを積極的に発言をしていかなければならぬ立場にあったのじゃないか。同時に、今述べた不可解なる製塩工場の設立が続いたということだけでなく、昭和三十一年の五月二十一日も、当時の専売公社総裁は国内塩業対策について声明を発しておる。もうすでに塩の生産量は五十九万五千トンにもなった、戦後最高の数字であるから、今後は新規の製塩は許可しない、しがたい現状だと。そうして製塩の合理化と増産の振興に伴って、塩の買い上げ価格も逐次下げていく、あるいは輸入塩、その他粉砕塩を使用する事業についても、これを国内塩に置きかえていくという意味の方針を明らかにしまして、塩の余剰のために将来塩業政策が混乱に陥らない措置とも見られるべき態度を示した。しかし、その前には、一応やるだけの仕事をやってしまってある。重要な三井とかその油井華塩業等の設立が終ったあとで、こういうことをしゃべる。それだけでなく、昭和三十二年の一月十八日には、岡山県の錦海湾に新規の塩田の起工式が行われる段取りを認めてしまっておる。一方では国内の塩生産が明らかに余り過ぎるという見通しをつけて声明を発しながら、一方では岡山県には、どういう理由かわかりませんが、錦海湾に新規の塩田の設備を認める。こういうことは、顧みてまことに不可解の輪をかけるものとなるわけであります。  いずれあらためてこのことについてお尋ねする機会もあると思いますけれども、春秋の筆法をもってすれば、今後、国民に百億円近い財政上の負担を増大させたのは、これは専売公社の経営者だ。当時の総裁はおらなくなりましても、やっぱり何らかの形において国民に対して、これはおわびをせにやならぬ、こういうことが言えると思うのであります。国鉄の総裁は、列車で何百人かの人が事故で死ぬ。脱線事故、転覆事故がある。総裁自身の責任でなかったかもしれない。しかしその責めを感じて引責辞職される。こういうような考え方があってこそ、私は、国民は安心して専売公社の首脳部に今後の経営をまかせることができるのじゃないか。いろいろ理由はあったかもしれないけれども、今日相当の犠牲を国民にかけるという段階においては、やっぱり公社もこれについてはいろいろ考えるべきことがなけりゃならぬ、こう思うのであります。  なぜ、こんなことまで言うかというと、最近専売公社は、その労働問題において、わずか一人の職員が、職場大会をやったとかやらないとかいうようなことを理由にして、解雇までする、あるいは戒告をする、停職をする。すなわち弱い一人の職員に対しては、労働者にとっては死刑にも相当すべき解雇をもって責任をとらせる。ところが、数十億円、百億円に近い塩業政策の失敗があっても、その責任者は一向にその責めを感じない。こういうことであってはまことに片手落ちもはなはだしい。私はそういうことを考えますので、公社としても今後の成り行きいかんによっては相当の考えを持って国民に接すべきだ、かように思うのであります。現在、労働政策についても少しお尋ねしたいと思いますけれども、この際、副総裁も一応私の見解についてもう一度お考えをいただきたい。
  92. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 公社の経営につきましては、経営の最高責任を負う者として、国民に対してはもちろん、公社の事業全体に関連のある方々に対しては、十分責任を感じておる次第でございます。ただ、口だけではだめじゃないかというふうにおっしゃるのだと思いますが、私どもも、口だけでなしに、全力を尽して各関係の方々及び国民の皆様に御満足のいただけるような仕事をしていきたい、かように考えております。
  93. 平林剛

    平林剛君 この点はあらためて、今後の推移によって私は再度申し上げたいと思いますが、いずれにしても、今後ある程度の塩田整理が必要であるという見通しに立ちますと、その財源はどこから求められるつもりでありますか。
  94. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) まだ具体的な予算措置まで参っておりませんので、そういうことにつきましてもお答えできない段階にございますことを、御了承いただきたいと思います。
  95. 平林剛

    平林剛君 私は、大体、これは幾つも方法があるわけじゃないと思います。一つは、国家財政上の余裕から見て、一般会計の中からこれを充てる、あるいはもう一つ方法は、今後の専売益金の増加ということをはかって、その増加分の中から今回の塩業政策転換に必要な財源を求める、大体この二通りである。そのほかに、専売公社が借入金その他をするという方法があるかもしれませんが、そう幾つもないと思うのであります。そして一番見やすい方法としては、専売益金の増加をはかる、そしてその中から今回の所要の財源を求めるということが予想せられる、こう見ておるのでありますが、どうもしろうと判断ではいかぬ。副総裁としてどういう御見解をお持ちか。
  96. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 予算関係の問題でございますが、これは予算技術の上からもいろいろな考え方があり得ると思います。まだ予算規模等もきまっておらない段階でございますので、公社としてどう考えるべきかということも、今の段階ではまだ申し上げかねる次第でございます。
  97. 平林剛

    平林剛君 ここら辺に来ると、まことに公社が自分の、何というか、自主的な判断、立場、考え方を持っておらない。持っておるのだろうけれども、それを積極的に御発言にならない。これはまあ推測するのでありますが、自信がないのか、あるいは委員会になるべく多くしゃべらない方がいいだろうという態度か、どっちか、こういうふうに判断をせられます。しかし、私は大体この財源をどこに求めるかといえば、やはり専売益金を確保することによってそこから求めるというのが、今後国民負担に直接影響を与えるか、目に見えないことで消化していくかがございますから、一番適当な方法だと考えておる。しかし、ただ、心配なのは、そういう方向に行くにしては、専売公社はどうもこの専売益金の確保という点について懸念をされる政策を行いつつあるように思われる。たとえば、その一つが専売公社における労使の紛争です。将来必要な財源を求める方法を労資の紛争によって、結局一そう困難な状態に落し込んでいくのではないか、かく判断をされるのでありますけれども、従来から専売公社の中にありました紛争は、なるべく早く解決してもらいたいと、私もたびたび直接副総裁にもお話をいたしました。これはもうすでに円満に話がついて、将来財源確保の面においても心配のない方向に進みつつありますか。
  98. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 専売公社の労使関係につきましては、私ども従来から、いろいろな紛争を早く片づけてお互いに気持よく仕事をして参りたいと、かように考えていたのでございますが、実はここ数日来かなり話し合う余地が出てきたように見えまして、昨日、一昨日と、その努力をお互いに重ねております。もう数日の間に何とか早く円満な解決をつけたい、かように考えております。できるだけその線で早くまとめるように私ども力を尽したいと、かように考えております。
  99. 平林剛

    平林剛君 私の希望は、これは、専売公社の労使の紛争は、一日もすみやかに解決するという積極的な態度を専売公社がとられることが必要だということを申し上げておきます。こまかいことについては、労働問題についてまた公社のお考えを聞かなければならぬ機会もあるかと思いますけれども、ただ、ただいまのお答えにかかわらず、私の承知しておる状況では、ここ一日、二日の間に双方円満な解決の段階が来ているにかかわらず、専売公社はそれと反対の方向に行くという気配があると聞いておるのであります。仄聞するところによると、いろいろな人が入ってあっせんをしておる。労使の紛争は労働委員会等が行うことになっておるようですが、その関係者がいろいろなあっせん案を出しても、どうも公社がそれを拒否するのじゃないかというような観測が強く行われておりますが、そういう態度は、私どもしばしば要望していたことと、またあなたが私どもに答えたことと違うのであります。間違った観測だと思いますけれども、公社としては、先ほどお話のように、円満な解決のために積極的努力を示す、伝えられたあっせん案等につきましてもこれを受けて解決の方向にやるというような気持で臨まれておりますか。
  100. 石田吉男

    説明員(石田吉男君) 公労委のあっせんを受諾しましたのは、私の方も組合の方もお話通りでございます。平林委員の印象は私どもの印象といささか違っておりまして、あまりこまかいことを申し上げることもどうかと思いますが、むしろ、ここに数日間の交渉の経緯では、あっせん者と組合の方々とのお話し合いで時間がかなり経過しているという状況でございまして、私どもといたしますれば、一日も早くお言葉のように早く解決に持っていきたい、かように切望をいたしておる次第でございます。
  101. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 私はちょっと委員長にお願いがありますが、先ほどから平林委員がいろいろお話しになっておりました、専売益金が予算通りに入るのかどうかという心配が一つありますし、それから、最近非常にたばこの需給を満たすのに不円滑を方々で来たしておることを聞きます。それから、若干調べますと、平時の在庫量をはるかに割っておる。これは一体どういうところに原因があるのだろうかということを、私は私なりに心配をしております。ちょうどこれは年末にもなりますし、正月休みというふうなことも控えておるわけですから、この現在の状態で生産が一向上らないとすると、年末から年始にかけてのこのたばこの需給の状態ということに対して、非常に心配を私持っておるのです。そういうことについてお聞きしたいと思いますので、次回の委員会の冒頭に、総裁、それから営業関係の責任者、生産の責任者、それから労働関係を担当されておられる責任者の方、それぞれ御出席を求めたいのです。委員長においてそういう点、一つお取り計らいをいただくように、特に希望して、質疑を留保いたしたいと思います。お取り計らいを願います。
  102. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) これは理事と相談しまして……。
  103. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 次回の冒頭に——できるだけ近い機会に、次回の冒頭ということを申し上げておきます。
  104. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) 本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十九分散会