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国務大臣(
佐藤榮作君) 私はちょうど昨年インドから、インドのIMFの総会の帰りに
沖縄に寄りまして、わずかな時間ではございましたが、あそこの琉球
政府並びに弁務官ですか、そういう人
たちと話をする機会がございました。その以前からも
沖縄の方が東京に見えますと、何かと
大蔵大臣以前から
お話も伺っておりました。昨年帰りに寄りましたことが非常に記憶に新たに残っておるのであります。その際に、先ほど
お話しいたしましたように、
パインあるいは
砂糖、同時に
バナナはできないというような話で、それなど詳細に伺い、ことに
パイナップルの
カン詰については非常に力を入れておるという話も聞いておりますし、また昨年の暮でしたか、わざわざ東京に見えられた方からも、こういう点についてもいろいろ
お話を伺っておるのであります。
御承知のようにただいま
沖縄そのものは潜在主権は持っておりましても、
日本政府として手を出せないような状況になっております。従いまして何かひっかかりのある
関係においては、
沖縄県民というか、
沖縄の
政府とも十分連係をとって参るという
考え方で全般的の問題を見ておるわけであります。そういう
意味で、ことしの三十四
年度の
予算な
ども南方事務局そのものの
予算もきわめて少額ではありますが、
予算的にも少しめんどうを見る、あるいは那覇市における南方事務局の整備等についてもこれから
考えて参りたい、実はかように思っておるのであります。
そこで比較的
産業の面については
貿易という形において処理ができるのでございますし、在来からの
関係から申しましても、
日本に依存している度合いは非常に強いのであります。また
沖縄県であった時分に、特にあの
地域の
産業開発なりあるいは文化開発なり、
日本政府自身が力を入れて参っておるのでございますから、その基本的な
考え方には変りはございません。その基本的な
考え方のもとに、ただいま行われる通商を双方に有利なようにということをいろいろ工夫いたしておるのであります。従いまして、先ほど来、島さんから御
指摘になります琉球の
パイナップルカン詰の
輸入ということについて一そうの力をいたし、琉球
政府の
計画等につきましても十分事前に話し合いをする必要がある、こう思います。ただいま
農林大臣も申しておりますように、八重山を中心にしてのただいまの状況が、さらに
沖縄本土においても
栽培されておる状況でございますから、数量的には私は相当ふえていくだろうと思います。そういうようなことを
考えますと、将来の
計画としても一そう提携を緊密にしていかなければならぬ、これはもう申すまでもないのであります。
砂糖の問題も、今回関税措置をとるようにいたしましたが、琉球につきましては、そういう面では幸いするというふうにも伺っておりますが、もしそういう点でなお十分でないということなら、私
どもも特別な考慮をすべきじゃないかと思います。また琉球として
考えられますものが
パインと黒糖が主体でございます。そういう
意味では特にこれには力を入れて参るつもりでおります。ただ施政権そのものを持たない
日本のことでございますので、これに対する
扱い方というものはなかなか微妙なものがあるように思いますが、しかしアメリカ
政府自身につきましても、
日本と琉球との特殊
関係、これは無視できるものではございませんし、また無視さすべきでもないと思いますし、こういう点においては、われわれの方で十分今後とも留意をいたしまして、御
指摘になりますような点をあらゆる機会に取り上げていく。それで必要があれば外交交渉の問題になってもけっこうですし、また、そうしてでもやはり解決の方向へ進めるべきだ、かように思います。
今のところは通商
関係としての処置、
貿易関係としての処置、これは比較的琉球側の意向をも取り入れ得るのでございますから、
台湾との
関係等もございますが、それは本来の、性質的にはよほど変っております。先ほど来御議論がありますようによほど筋が変っておりますから、日台
貿易、日台通商協定を改定するような場合におきましても、わが方の主張は十分
台湾に理解、納得さすような方法でやはりこの問題に取り組んでいくべき問題だろうと思います。また島さんも御承知のように、ただいま琉球
政府と
関係の最も深いものは教育でございますが、教育の面等においても教科書を通ずるばかりでなく、教員等も、十分交換というわけではないのですが、向うで教育に当っておられます人
たちが
日本内地において、また内地の事情も十分知悉して帰っていくというような方法をとって、できるだけ機会をつかんで緊密な
関係をつないでいくべきじゃないか。これが私
どもの今日努力するという、またなし得る唯一の方法じゃないか、かように
考えておる次第でございます。
従いまして、大へんくどい話をいたすようでございますが、通商
関係なり
産業関係等において、今北海道、東北開発というような機関を設けるというわけにはいかないでございましょうが、しかし、通商の
関係において十分琉球
政府の意向なり、琉球、
沖縄島民の
考え方を理解し、これに協力、またそれを
育成していくような処置は具体的にとり得るのではないか、そういうことをあらゆる機会に努力して参る、こういうような
考え方でおるのでございます。なお、いろいろ御要望がおありだろうと思いますが、私はひとり国会を通じてばかりでなく、私
どもの気持が、島さんが御
指摘になりますような気持と同じことでございますし、琉球
政府の方々にしても、また島民の方々にしても、いわゆる俗ぽく申せば、親元へ訴えるような気持が多分にあるだろうと思いますので、これはもう平素からその心がけで十分
お話を聞き、平素から十分お世話のできることはするようにこの上とも努力して参るつもりでございます。幸いにして島さんなど非常に
関係の深い立場にあられるように伺っておりますので、そういう
意味では今後とも一そう私
どもを鞭撻していただきたい、かようにお願いをいたしておきます。