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1959-04-08 第31回国会 参議院 商工委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年四月八日(水曜日)    午後二時五十二分開会   —————————————   委員の異動 本日委員大野木秀次郎君、迫水久常君 及び高橋衛君辞任につき、その補欠と して小沢久太郎君、木島虎藏君及び三 木與吉郎君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            上原 正吉君            小幡 治和君            島   清君            大竹平八郎君    委員            小沢久太郎君            近藤 鶴代君            鈴木 万平君            高橋進太郎君            堀本 宜実君            三木與吉郎君            阿具根 登君            阿部 竹松君            栗山 良夫君   国務大臣    通商産業大臣  高碕達之助君   政府委員    経済企画庁調整    局長      大堀  弘君    経済企画庁総合    計画局長    大來佐武郎君    通商産業大臣官    房長      齋藤 正年君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君    通商産業省石炭    局長      樋詰 誠明君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を  改正する法律案内閣提出、衆議院  送付) ○石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を  改正する法律案(阿具根登君外八名  発議)   —————————————
  2. 島清

    理事島清君) これより、商工委員会を開会いたします。  まず、委員変更について御報告いたします。  本日、迫水久常君、高橋衛君、大野木秀次郎君が辞任され、木島虎藏君、三木與吉郎君、小沢久太郎君が選任されました。
  3. 島清

    理事島清君) 本日は、まず石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出及び阿具根登君外八名の発議の両案を一括して議題といたします。  これより質疑を行います。順次御発言を願います。
  4. 阿具根登

    ○阿具根登君 きょうの新聞で、合理化臨時措置法によって通産省大臣の命によって三十二年度実績の八〇%に本年度出炭を押える、こういう指示をされた、こういうことがついておりましたが、それは三十二年の実績をどれだけとふんでおられて、八〇%が何千万トンになるのか、これは局長の方からお答え願います。
  5. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 御承知のように、今回、制限したいと思いますのは一般炭についてだけでございまして、原料炭と、それから無煙煽石については制限外といたしておりますが、一応基準に考えております三十二年度一般炭出炭実績は、四千二百八万九千トンということでございます。  それから、ただいま八〇%というお話がございましたが、大体、われわれといたしましては三十四年度出炭の総数、原料炭を全部入れまして四千八百万、それから一般炭につきましては三千六百七十万トン出させようということで、今指示方法考えておりますので、大体、これは八二、三%程度になると思います。
  6. 阿具根登

    ○阿具根登君 一般炭を含めて四千八百万トンというのは、すでに一月前に業者間の中で決定されておるものだと私は考えておる。  そうすると、一体、通産省石炭業界指示によって、逆に動いておるように私は考えるわけなんです。通産省自体が、総合エネルギー対策と現実の問題とを見比べて、これだけの出炭でなければできないのだという指示をされたのならば私わかるけれども、そうじゃなくて、逆に業者から指示されて、そうしてそれをしぶしぶ認められておる、こういうふうに考えておるわけですが、その点、どうですか。
  7. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) そういうことはございませんで、われわれの方では、来年度の総出炭額は四千八百万トン程度ということに押えるということでなければ、来年度一ぱいかかって、現在の過剰貯炭分を解消するのが、非常にむずかしい。従って業界の方も四千八百万トン程度に押えるように、一つ、どういうふうにすれば、最もスムーズに、そういう生産制限ができるかということについて検討をするというようにという、いわゆる内面指導をしてきたのであります。  それに基きまして、一応大手の十八社で形成しております石炭協会の方は、いち早くいろいろ作業をして、独自の案を出した。それがたまたま八二・五%というふうなことになったということでございますが、あと中小の方の見方は、どうするかといったようなこともございますので、先ほど申し上げましたように、われわれの大体の計算が八三%になるのじゃないかと思っております、中小を入れまして。従いまして、大手が、そういうことをやった。あるいは中小の方でも、生産制限をやろうとして、いろいろ話し合いをしていると申しますのは、われわれの方で生産制限指示をいたしましたならば、できるだけすみやかに、その通り生産制限の実効が上るようにということを期待いたしまして、今まで内面指導をしておった、その指導に基いて業界が、大体計算をしておるということでございまして、業界の方から出てきて、役所の方が追認したというものではございません。
  8. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、去年は五千四百万トン、ことしは五千六百万トンが総合燃料対策政府のきめたワクだと私は思っておるのですが、そうすると三十五年度は、幾らになっておったか。また今度四千八百万トンにすれば、来年の三月、年度末では平常貯炭になる、こういうことを言われておる。  そうすると三十五年度は、総合燃料対策のきめられた通り石炭需給がとれていくのかどうか、この点を一つ……。
  9. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 御承知のように石炭長期計画では、四十二年度に六千九百万トンということを長期計画の目標としてやっておるわけでございます。三十三年度は五千六百万トンというのが、年度の始る前に、一応そういう数字があったわけでございますが、先生承知のように、正式には、石炭鉱業審議会で五千三百五十万トンというのが、三十三年度の一応の実施計画だったわけでございます。それが不幸にして、異常豊水とか、あるいは鉱工業の伸びが、ことにエネルギー消費産業において不十分であったというようなことから、今のような非常に異常な貯炭を生じましたために、今年度実績といたしまして四千八百万トン、まだ三月の集計ができていませんが、大体四千八百五十万程度数字に結局落ちつくのじゃないかというようなことで、これは五百万トンばか計画より減ったわけでございます。  ただ、出炭能力として幾らあるかということにつきましては、現在でも、大体需要があれば五千五百万トン程度は、一応掘り得る能力があるというふうに、われわれは考えておりますし、それから、長期的に見ました場合には、開発銀行の金、あるいはその他民間金融機関からの融資、あるいは償却による自己投資というようなもので、大体、四十二年の六千九百万トンというものを想定いたしました際に考えておりました縦坑の開さくその他坑内構造合理化、若返りといったような基本的な計画につきましては、それは、石炭不況のために、残念ながら一割程度、工事がスロー・ダウンをしておくれておる点はございますけれども、しかし、大もとにおいては、ただ、長期計画で定めておりました体質改善工事的なものについては、これは若干おくれておるわけでございますが、着々として実施されているということでございまして、また今後も、三十四年度につきましても、これは既定の方針に従ってやっていきたい、こう考えておりますので、幸いにして、三十五年度過剰貯炭が解消し、そうして石炭消費が、われわれは三十四年度におきまして、大体五千百万トン程度消費考えておりますが、三十五年度は、まだ計算いたしておりませんが、三十三年が四千六百、三十四年が五千百というようなことでいきますと、やはりまあ五千五百程度のあるいは消費が出るのじゃないか、こう思われますが、その程度消費がありましても、需要がありましても、生産態勢には支障ないというだけの投資その他の坑内構造合理化ということは進めておるんでございまして、特に、今年度不況が深刻だったために、今後のエネルギー需給計画等に悪影響をきたすというようなことは、現在の段階ではないというふうに考慮いたしております。
  10. 阿具根登

    ○阿具根登君 業者間では、石炭が一千万トン下った場合には、七万人の整理をしなければならない。七万人の整理をすれば石炭に関連しておる人の整理はその十一倍、七十六万人の人が職を失う、そういうことをいわれておるわけです。  そういたしますと、通常であったならば、三十四年度は五千六百万トンの石炭を出すようにされておるわけです。それだけの整備ができておるわけです。それを四千八百万トン、八百万トン削る。そうして、それは来年の三月になれば、貯炭はそれで一応片づく。そうすると今度は、三十五年度は予定通りいくとすれば、そのときには、また人間をふやさなければならない。だから、政府企画に沿うて合理化なり、機械化なりされて、そうして、それだけの出炭準備をしておって、その石炭需要によって、そのクッションになるのは労働者である。労働者を減らしてみたり、あるいは多くしてみたり、そういうことに、結果としてなるわけなんです。  そういうところが、どこにあるか、たとえば官庁その他は、いかに赤字があっても、税金の上にあぐらをかいているから、そういうことあらへん、こういうことは、政府企画でやっていって、石炭が余るようになってくれば、人間を減らすし、多く要るようになれば人間を入れる。だから、一つも安定しない。大臣この問題について、どういうふうにお考えでしょうか。八百万トン減らすということになれば、おそらく、最近も首切り問題が出ておりましたが、業者としては、人をやめてもらわなければ、コストは下りません、採算取れません、こういうことを言うに違いないと思う。そうしてその時期々々によって、人をふやしてみたり、減らしてやってみたり、今までやってきたごとを今後も繰り返していくならば、労使間の迂格というものは、より以上私は険しいものになってくるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、どういうふうにお考えですか。
  11. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私はせんじ詰めると、石炭問題の解決は、やはりそういう点に帰着するだろうと思いますが、政府といたしましても、できるだけ計画を正確において、その正確な計画によって、急にふやすことも、また減らすこともない、その計画を実行に移すように、政府業者間で、よく打ち合せをして、そうしてその数量をきめなければならぬ、こう思うわけであります。  そういたしましても、現に昨年のごとき、ああいったような非常な大きな貯炭が起るということは、これは政府もその責任の一部を負担いたしますが、業者自身にも、やはりこういうことは事業を経営する上においては、心に置いていかなきゃならぬ、石炭業界全体において考えていかなければならぬと思いますから、その全体において、このしわ寄せだけを、全部百万トン切れば、ここに七千人の失業者が出る。それだけを全部業者にもっていくということはできないことでありますけれども、初めから、かりに減炭をしたところで、それだけの人を切るということは考えないでいこうじゃないか。こういう方針で進んできておるわけなんでございますが、しかし、実際問題といたしましては、そういう問題は、すぐに起ってくる問題でありますから、そこで、できるだけこの一方におきましては、計画変更をされたことを、どういうふうに調節するかということのために、あるいは輸入エネルギーをある程度において切るとか、あるいは貯炭消費者によってしてもらうとかいうことにして、できるだけこの出炭の増減をしないように一方で考えていきますと同時に、これによって起ってきたところの失業者というものは、業者自身において配置転換なり、あるいは坑内整備等について、これを収容してもらい、その上に、かつ起ったものにつきましては、これは石炭だけで解決すべき問題じゃないから、政府全体といたしまして、あるいは建設省、あるいは農林省、あるいはむろん通産省もですが、政府全体として、この失業者は、どういうふうに吸収するかという方針をもって進んでいきたいと存じておりますが、いずれにいたしましても、石炭鉱業が、他の産業と違って、一ぺんに急に生産をふやすということもできない、また急に生産を落すといえば、そういう結果になるのでありますから、どうしても、今後の計画というものは、何としても正確さを期すということは、これは何としても絶対今後の計画出炭計画を正確に近いものを出すということが絶対の問題だと、こう存じておるわけなんでございますが、同時に、この計画を、出炭に対しては、できるだけ能率を増進して、平時必要なる従業員の数を、そうたくさんでなくて能率をあげていくということの方針も講じていくというふうな方法をもっていきたいと存じておるわけなんでありまして、そうすれば、当然この出炭量が非常な大きな数にならない限りにおいては、現在石炭鉱業に従事しておる人たちが、当然、過剰になるということになりますので、その問題も取り上げて、一緒に、この石炭の根本問題として解決していく必要があると、こう存じておるのであります。  要するに、私が考えておりますことは、今日の石炭産業というものを冷静に観察いたしますというと、いかに労務対策を講じるかということが、私は石炭鉱業の一番重大なところだと存じておる次第でございます。
  12. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は、基本をどこに置くかという問題なんです。どこに根を置いてやっていかれるかという問題だと私は思うのです。  総合エネルギー対策のこれを見てみますと、これだけのエネルギーを使って、消費しております、これだけのエネルギーをですね、そうした場合に、国内産業重点を置いていくならば、国内産業石炭出炭量を押えるということよりも、外国から入ってくるものを規制していく方が、これは、私は政治のあり方だと思うのです。ところがそれをやっていない。実際、それは石油産業が発達したと言われるから、燃料だけに重油を使っておりませんと言われるかもしれませんけれども、昭和三十一年度は八百万トンですよ、重油石炭に直して八百万トン入っておりますよ。それが、昭和三十二年度は千二百万トンですよ。四百万トンたくさん入っているわけです。昭和三十三年度も四百万トン、千二百三十一万二千トンと、ちょうど貯炭が、それだけできてくるほど、外国重油が入ってきているのです、石炭にかわるやつが。これを国内産業を守っていく、総合燃料は同じであるならば、国内産業重点にしていくというなら、これを削れば、国内でこういう問題が起らないわけですよ。そうすると政府政策国内産業を逆に縮めておる、こういうことになるわけなんです。この前のやつを見てみても同じです。  これは、予算委員会でも申し上げましたけれども、三年置きに、こういうことがあるわけです。二十七年、三十年、三十三年、その三年前の三十年のときが、約七百万トンの貯炭です。それに対して、これではいかぬからといって、合理化法案ができて、重油ボイラーの一部規制が出たわけなんです。ところが、それから三年たてば、今度はまた、はるかにそれに四百万トンも大きいような重油を入れておるわけです。また外炭にしても、その通りです。外国石炭が入ってきておるのは、これは三十年は四百万トンぐらい。ところが三十二年、三年は六百万トンぐらい入っているわけです。これも、三十一年に鉄鋼ブームだといって、入れろ入れろといって、外貨を切られた。そのしわ寄せが、石炭は入ってきたが、鉄は下ってきた。こういうことで、またしわ寄せ石炭にきた。これは、業者が悪いとか、あるいはその他が悪いということよりも、政府政策が悪い。悪いということよりも、政府政策が、わざとそうしたんだと私は思うのですが、これは、大臣どうですか。
  13. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私は、政府政策が、わざとそうしたんでなくて、政府政策といたしますれば、石炭にかわる外国エネルギーというものにつきましては、これは規制するという、この方針は変えないわけでございます。  従いまして、ボイラーに対する規制もするとか、あるいは一方におきまして、昨年のごときも、実際において油の消費量は四十万キロリットルを切る。本年も今度は八十万キロリットルを切ろうか、こういうことを考えておるわけであります。この石油消費というものは、非常にふえてきておるということは、石炭にかわるエネルギーとしてのこの原油というものにつきましては、これはある程度切れるわけでありますけれども、そのほかの目的として、あるいは、硫黄の非常に少い油とか、あるいは漁船用の油とか、あるいは自動車用とか、そういうふうなもののためには、どうしても、やっぱりどんどん石油消費がふえてくるということも一つございまして、それをそのまま入れて、そうして、石炭に対する圧迫を加えるというふうな考えは全然いたしておりませんで、石炭に代用するような原油は、切れるだけは切っていきたい。この方針は、曲げないつもりで、またやりつつあるわけであります。  また一方、原料炭の問題につきましては、これは国内原料炭は、今これをかりに生産制限をいたしましても、石炭の中では、原料炭生産制限をしないでやる必要があると同時に、外国石炭におきましても、年々非常にふえておると、こうおっしゃいますけれども、あるいは三十年は多かったかもしれません。それから三十一年、二年は、鉄鋼が悪かったものですから、原料炭輸入も減っておるわけなんで、そういうわけで、国内において生産されるつまり燃料用炭といたしましての、これに対しては、外国から入る原油を、あるいは重油規制するという方針は曲げないつもりでございまして、決して、わざと輸入をふやすというようなことは断じて考えていないわけであります。
  14. 阿具根登

    ○阿具根登君 私も、通産大臣のただいまの御答弁を信頼したいのでございますが、皮肉にも数字は、そうなっておるわけなんです。二十七年度までは三百万トンの重油輸入です。そうしてあの二十七年度問題になって、それから一挙に、七百万トンぐらいになったわけです。だから三十年は、にっちもさっちもいかなくなった。その七百万トン台が、ずっと二十八、二十九、三十、三十一年まで続いているわけです。三十二年になってから、一千二百万トンにばかっと上った。三十三年度も一千二百万トン。こういう周期的に何百万トンというものが——四百万トン平均ですが、四百万トンも、一年間に上る理由が私わからない。これが徐々に上っていくなら、それも一応あるでしょう。ところが、ずっと三年も四年も、同じようなふうに徐々に上ってきているものが、二十七年から二十八年には四百万トン、三百万トンが七百万トン台になっている。七百万トン台が三十一年でま続いて、三十二年になってから一千二百万トンになった。どうも、これが私にはわからない。そのつど、こういう問題が起ってきている。  どうして、こんなにそれではピークがあるのか。そういうときに、ばかっと倍も入れたり、あるいは四百万トンもふやしたり……。そこの説明を局長の方からお願いしましょう。
  15. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 二十七年当時に比べて、非常に重油がふえているじゃないか、こういうお話でございますが、御承知のようにこの前の二十八年、二十九年の石炭不況、あのときに起りまして、政府といたしましては、ボイラー規制法を作ったわけでございます。それまでは、これは必ずしもいわゆるエネルギー政策といったようなものについて、石炭石油、あるいはその他の水力といったようなものをどうするかというようなことについて、必ずしもはっきりした方針といったようなものが立っておらなかったわけでございますが、三十年、少くともボイラー法ができましてから、これは一応国内でできる石炭でまかなえる限りは、まず最優先に、それをやらせるのだということできているのは、御承知通りでございます。  で、ただいま先生の、いろいろお話になりましたのは、石炭換算数量で、いろいろおっしゃっておると思うのでございますが、これを私の手元に、たまたま重油が、そのもの数字でございますので、それで申し上げますと、三十二年、これが初めて重油ボイラー規制法ができたあとの第一年度でございますが、そのときは、七百三十一万二千キロ、重油国内で使っております。それから三十二年は八百九十四万八千、それから三十三年が九百十七万、こういうことになっておりますが、しかし、これをさらに、いわゆる石炭と競合いたしますボイラー関係を見て参りますと、これは三十一年が二百三十二万、それから三十二年が三百二十四万六千、それから三十三年が三百二十七万五千、大体、こういうことになっておるわけでございます。  これを見ますと、大体三十一年と三十三年との間では、約百万キロばか重油がふえておるわけでございますが、このうちの約半分は、公益事業関係で、新鋭火力関係公益事業がふえておる。それ以外は、各産業が非常に小さな量ずつ、ぼつぼつと全産業で五十万キロばかりふえておるという格好でございまして、特に、この中には農林関係もございますし、運輸業その他一般民生といったようなものも含んでおるわけでございまして、これは、ボイラー規制法ボイラーの新設ということを、これは一応禁止いたしておるわけでございますが、しかしボイラー石炭石油と併用できるといったようなボイラーにつきましては、そのときの価格関係で、石炭の方が非常に割高であるというときには、どうしても、割安な石油の方に移りがちだというようなことから、これは設備そのものは、できるだけ押えてもおりますし、それからまた、重油量そのものも、これは全体としては押えておるわけでございますが、そういう全体を押えましても、需給関係等で、われわれが特殊の炉用考えておったといったようなものを、非常に高い値段でボイラーに引っ張ってきたというような場合には、これは取り締りの方法がないということで、われわれといたしましては、現在の法規等をもってしては、取り締り得る最大限度の取り締りをして、ボイラー用の油は押えるという方針をとって参りましたし、また今度も、とってきておりますが、今まで程度ふえ方ということは、これは、現行の法規のもとではやむを得ないと、こう考えた次第でございます。  なお、三十四年度につきましては、これはまた、公益事業関係新鋭火力等がございますので、相当大幅にふえておりますが、鉱工業関係では、今までの実績程度の、一年間に三十万キロ程度は、これはふえるのじゃないかということで、鉱工業関係では、二百三十万キロ程度石油をたくということで、外貨の編成をいたしております。
  16. 阿具根登

    ○阿具根登君 そこで、大臣にお尋ねしますが、重油石炭と競合すると、これが競争するならば、これは、当然重油が勝つことはわかっておるのです。特に今、世界的に重油石炭の競合が行われておる。そうすれば、そのしわ寄せ日本に来ることはわかっておるのです。しかも資本主義国家あり方として、市場を獲得するために、おそらく運賃等も相当安くなるでしょうし、現在船腹が相当余っておるから、安い運賃重油が入ってくると思うのです。  そうすると、今の局長お話では、安いものに食いつくから、今の法律では、どうにもならないというなら、日本産業はつぶれてしまう。しかも市場は、それで獲得してしまったならば、重油を使うような施設にしてしまったならば、今度は、運賃が高くなろうが、あるいは重油をストップされようが、石炭に、おいそれと切りかえることができない。また石炭も、そうなったからおいそれと出してくれと、そんなことはできないことは御承知通りでございます。  そうするなら、何かで、ここにちゃんと、その対策を立てておかなければできない。いわゆる日本の商品が、外国に行く場合に、安いから安いからといって、アメリカや英国から、相当叩かれておる。多額の関税をかけられている、日本に対しては。これに対して為替だけで調整しようとされておるから、それは相当情実があるかもしれません。現実は知りませんけれども、私はあると思う。また、あるいは安いからということで、外貨を切られることもあるようであります。そういたしますと、とても、じゃないが、国内産業というものは、立っていかない。——ならば、なぜ関税や何かの処置をお考えにならないのか。こういうことが、一応考えられると思いますが、これに対して、どういうふうにお考えですか。
  17. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 御承知のごとく、三十一年度に急速に油がふえたということは、これは国際的な油の価格が安くなった上に運賃が安くなったということも、もちろんその理由でございまして、消費者の側からいえば、石炭の産地はともかくも、名古屋、東京等においては、油一カロリーが九十八銭だというなれば、石炭が、元来はこれは、もっと安くなければならぬと、こういうわけでありますから、石炭も、やはり九十八銭くらいだということになれば、油を使えば、メリットがあるわけでありますから、一割なり二割なり安く上るわけでありますから、自然と、これは油に食われていくと、こういうことは、これはもう当然だと思います。  従いまして、油の原価を、もっと高くして石炭を保護する、言葉をかえて申せば、関税によって押えるということの御意見のようにも拝承いたしますが、これは一方、国際競争を持っていきます上におきましては、これまた、そう単純に、これを実行できない点もありまして、その点は、よほど全面的にやり直して考えなければならぬ。  その意味から申しまして、どうしても、やはり問題は、石炭の原価をどうして下げるかということが、今日石炭業界に課せられたる一番重要な問題だと思いまして、これを、できるだけ下げていくという方針を一方でとると同時に、それにしても、どうしても立っていかないものだというなれば、これはまた、さらに石炭鉱業をどうして助けるかということの意味におきまして、外国から参りますエネルギー資源についての対策を一応考えていきたいと存じておりますが、ただ、今現在におきまして、政府のとっております方針は、ボイラー規制法に基いて、できるだけ重油は使わせないという方針をとっておるので、この方針は変えないつもりでございますが、一歩進んで、そこまで進むかということは、今後、油の成り行きがどうなるかという問題であります。  で、私は、ある見方につきまして、今日の運賃が、このままであるか、あるいは原油が、どういう程度であるかということはわかりませんが、現在のヨーロッパの形勢、アメリカの形勢等から見ましても、これはやはり重油石炭という問題は、今後非常な残されたる大きな問題として、今後、値段をどうやるかということは、大きな問題だと存じまして、この点は、よくにらみ合わせて、国際的の競争に打ち勝つためには、どういうふうにするかと、その対策等を考慮して、今後、政策を立てていきたいと存じております。
  18. 阿具根登

    ○阿具根登君 ボイラー規制法といっておられますけれども、ボイラー規制法は、ほとんど死文にひとしいのです。どんどん重油燃焼のボイラーができておるのは事実です。だから石炭が、どんどん重油にかわってきているのも、私どもはよく承知をしております。だから、ボイラー規制法というのは、もう死文化している。その通りです。死文化している。どこで規制されて、どういうことをやられたか、例をあげていただけば、私は反駁いたしますが、これは、ほとんど適用されておらない。  それから、一番私が心配いたしますのは、日本に、重油源があるならば、それは日本国内産業だから、いいと私は思うのですよ。ところが、今は、確かに安い。しかし、これは世界の経済によって、自由に、高くもなり低くもなることなんです。そうした場合に、基礎産業である、経済の基盤である燃料が、外国の経済によって、日本が左右されるというならば、日本の経済というものは、成りたたないと私は思うのですよ。だから、まずこの世界の経済にそれは左右されるのは、当然だけれども、それによって、すべてが牛耳られるということになってくるならば、これは、日本国内産業なんというものは、考えられもしませんし、今、重油が安いからといっておっても、二年先、一年先に、あるいはヨーロッパで、どういう動乱が起るかもわかりません。アメリカが、どういう政策をとるかもわからない。それによって、自由に日本産業が動かされると、こういうことがあるならば、やはり大所高所から眺めてみて、外国に依存する度合いというものは、きわめて少くしておかなければならない。これが第一だと思うのですよ。それが第一。そのためには、じゃどうするのかという考え一つ持ってもらわなければならぬ。  それから、もう一つは、石炭が商い。これは、確かにわかる。確かに石炭は、重油と比べた場合に、同じカロリー当り九十八銭とすれば、それは、重油を使った方が場所も要らないし、人手も要らないし、それは確かに、いいことはわかるのです。  しかし、そうするならば、これはまた、国内産業という面かち非常に悪い。じゃ、それでは、石炭の炭価を政府考えられておるように、急に下げることができるかということになってくると、これは、非常に困難な問題であろうと、かように思うわけなんです。そうしますと、置かれておる石炭業というものを考えてみる場合に、これは、私の持論になりますが、私企業としての、こういう原始的な産業は、限界に達しておるのじゃないか、いつまでも政府が野放しにして、これを私企業にまかしておるから、だから、こういう問題が、いつまでも続くのだ、諸外国石炭事情を調べてごらんになれば、何かの形で、ほとんど政府規制がされておる。それは、英国においては、これは国管です。フランスにおいても、それに実に似ておる。またドイツにおいても、これは、私企業じゃあるけれども、非常な政治的な力を加えられておる。最近も聞いたところでは、ドイツでも、無給休暇を与えなければならないほど石炭が余ってきた。ところが、組合と労働大臣と経済大臣と話し合って、そうして国内産業が大切だということで、アメリカから取りよりしておった石炭を切ってしまった。そうして、政府が違約金を払ったと、そうして国内産業を守ったと、こういうことがいわれておる。日本はその逆で、きょう発表になりました石炭指示でも、それは、休暇をふやす、残業を削る、配置転換をする、こういうことがはっきり出てきておる。そうすると、外国のやり方と日本のやり方というものは、全く反対をいっておる。日本は、逆コースだ、こういうふうに考えるわけです。  特に、日本では労働力が余っておる。ドイツでは余っておらないから、わざわざ日本から百六十人もの人が、石炭産業に従事しておる。そういうところからさえ、外国から来ておる人たちでさえ、給料が安くならないように、生活が圧迫されないように、外国に対しては、不義理するけれども、国内産業は守っておる。日本は、あり余った労働力を持ちながら、その労働力を切ろうとしておる。これは、やはり野放しにされておる私は原始的な産業あり方に対して、もっと政府考え方を変えなければならない時期が来ておるのじゃないか。こう思いますが、これは、どうですか。
  19. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 終局的に、どうしてもやらなければならぬ場合は、そこに持っていくべきだと思いますが、現在の日本石炭鉱業が、ドイツやフランスと同様にいっておるか、こういう、いわば現在の鉱区においても、相当、将来において発展性のある鉱区が、そのまま捨てられておる。そうして、掘り尽してしまった不良炭鉱にかじりついておるというところに、日本石炭鉱業一つの大きなギャップがある、こう私は思うのでございまして、その前に、まず、一応日本が、鉱区というものを整理して、これを、もっと合理的に経営していく必要がある。私は、よく存じませんが、フランスの出炭量は、日本出炭量とほぼ同様でございますが、鉱区の数は、百五十ぐらいしかないということも聞いておるわけでございます。そういう点から考えますれば、日本全体からしては、この石炭業は、もう少し国内合理化していく必要があるというふうに存ずるわけであります。
  20. 阿具根登

    ○阿具根登君 鉱区の整理ということは、大臣が今言われたのに対して、私は賛成ですが、いつも、局長からもその話を聞きますが、一応、いつごろの目標を定めておるか。埋蔵量は二百十一億八千三百万トン日本にはございますから、今のままでいけば、四百年間十分掘れる石炭日本にはございますから、それを、ほとんど一尺ぐらいの石炭を掘っておる、四千カロリーぐらいの石炭を掘っておるというのが現状ですから、だからやはりフランスのように、そういう小さいのはやめてもらって、有望な大きいのを掘るのだということはわかりますね。  ただ、これはかけ声だけでは、いつになるかわかりませんので、いつごろこれをやろう、いわゆる鉱業法を変えようと思っておられるか、一つお答えを願いたい。
  21. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私は、昨年通産大臣に就任いたしまして、第一に考えたのは、どうも鉱区の整理が必要だ。これは、いろいろ起ります災害事件等をかんがみまして、こういうものは、古いものをなぜやっておるのかということを考えまして、この鉱業法の改正こそ、一日も早くやらなければならぬというので、昨年さっそく、これに従事いたしまして、調査機関を作っておるわけでありますが、何しろ、政府のやることは、きわめてのろのろしておりますので、この点だけは、一日も早く実行に移して、来年の議会までは、必ず出して実行に移したい、こう存じておるのでございまする
  22. 阿具根登

    ○阿具根登君 それでは局長に、合理化法案の一部改正について、お尋ねいたしますが、これでは百万トンをさらに買い上げて、現在まで三百三十万トンであったのを四百三十万トンにする。三十五年を六年まで延ばす、こういうことですが、一方に不良炭鉱を買い上げておいて、すぐその隣には、ちゃんと穴をあけて掘っておられるというのが現状です。そうすると、業者は不良炭鉱になったのを政府に、事業団に買い上げてもらって、それで借金整理をして、そしてすがすがした気持で、隣にはまた小さい炭鉱に穴をあけておられる。何年かたてば、またお買い上げを願います、また穴を掘っておられる、これじゃ、何のための合理化法案かわかりませんが、それに対して、どういうお考えですか。
  23. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 今、新規坑区の開設のお話があったわけでございますが、これにつきましては、大体現在の能率は、御承知のように約十四トン台でございます。それを二十七トン以上の能率というものが発揮できる非常に高能率のものに限って、新鉱の開設を認めることにいたしておるわけでございます。  これは、御承知のように石炭は、掘っていけばだんだんなくなっていく一回限りのもので、次々に新しいところを手をつけなければならぬ、そういうことでございますので、今買い上げておりますのは、平均いたしまして、大体十トン以下の能率、非常に非能率炭鉱でございます。これを、できるだけ買いつぶすということで早く消滅させると同時に、新鉱につきましては、現在の平均の能率の倍程度の高能率のものだけ認めるということによって、将来の石炭業全体が、非常に能率化されて、コストの安くなるものに限って認めるということにしておりますので、たまたま、場所的には近いところがあるかもしれませんが、御承知のように新規に開かれるものは、買上げは九州に多くて、新規にできるのはむしろ北海道に多いということが大勢になっておりまして、われわれ、現在認めておりますのは、将来の石炭を、もっとも能率化された石炭企業の構成にふさわしいという資格のあるものだけやりたい、こう思っております。  ただ、そうかといって、直ぐ今出炭されて、そうして、間もなく終掘するといったようなあぶくのようなあれで、たまたま、能率は非常に上るけれども、こういったものについては、これは、今先生御指摘のように、この石炭不況の際に、そういうところに出炭させるのは、必ずしも望ましくないということは御指摘の通りでありますので、これにつきましては、われわれ、それぞれの通産局に連絡いたしまして、できるだけそういう炭鉱は出てきても許可しないように、一つ、こういう際だからとにかく遠慮してくれと言って、お引き取り願うようにという指導をいたしております。
  24. 阿具根登

    ○阿具根登君 北海道の方はわかりますが、九州で買い上げになった炭鉱の業種は、さらに申請をされて許可になっておるところがあったならば、お知らせ願いたいし、それが何トン出ているか、お知らせ願いたいと思います。
  25. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) はなはだ申しわけございませんが、手元の資料に、どの程度のものがあったかということを持ち合わしておりませんので、後ほど、資料で差し上げたいと思っておりますが、若干はあったということのようでございますが、しかし、その数字というものは、ごく微々たるもので、ほとんど大した数字じゃないということでございます。詳細は、あとから書類で差し上げます。
  26. 阿具根登

    ○阿具根登君 衆議院の方で付帯決議がついておりますが、恐らく付帯決議の趣旨を尊重するということが、大臣から言われておると私は思うのです。  そういたしますと、需給調整機構を確立せよということがありますが、これに対して、どういう計画をお持ちになっておるか、それから石炭鉱業離職者対策協議会を設置せよ、こういうことになっておりますが、これに対する構想を、どう考えておられるか、まあ、一応、この二つであります。
  27. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 第一のお話需給調整機構の確立、これにつきましては、われわれ、先ほど大臣お話にございました鉱区の総合、調整というようなこととあわせて、地下資源であって、非常に弾力性の乏しい石炭については、何らかのプール機関を設ける必要があるのじゃないかということは、これは、われわれもかねがね痛感いたしておるところでございますので、この点につきましては、できるだけすみやかに、こういう付帯決議の線に沿ったような機構ができるようにということで、目下せっかく勉強いたしております。  ただ、これにつきましては、いろいろこういう需給調整機関で、たとえば貯炭を買い上げるというようなことと、それから生産制限との関係でありますとか、あるいはそこへ買い上げるといったような場合の資金の問題でありますとかといったようなことにつきまして、技術的にもいろいろ問題がございますので、それらの技術的の点につきまして、目下できるだけ早く、解明するものは解明し、解決していきたいということで、努力いたしておりますので、いましばらく時間をかしていただきたいと、こう思っております。  それから、第二点の、中央並びに地方に、石炭鉱業離職者対策協議会を設置せよということにつきましては、これは、現在内閣に、雇用審議会というのがございまして、ここで、大体雇用計画全般を、いろいろ審議いたしておりますが、そのほかに各省で——やはり内閣にあるわけでございますが、労務対策連絡協議会という、各省の関係者からなる協議会がございます。実は昨日も、駐留軍関係離職者といったようなものを中心にいたしまして話し合ったわけでございますが、中央につきましては、この現在ございます内閣の審議室並びに企画庁が中心で、各省を集めて主催しております二つの審議会並びに連絡協議会、これを活用することが、一番手つとり早いのじゃないかということで、今後とも、この機関で、特に、この前の閣議了解になりましたときに、北九州あたりの石炭問題が、決して、ただの不況問題ではない、むしろ構造的な問題であるので、これは、今後雇用審議会の最も重点的な議題として取り上げるべきだということが、この法案を出します際の閣議了解で確認されておりますので、われわれといたしましては、この雇用審議会と労対連、この二つを活用するということで、できるだけ総合的な石炭離職者対策が確立されるようにやっていきたいと考えております。  なお、地方につきましては、これは、関係官庁の出先並びに地方庁というものが協同して、地方の石炭鉱業離職者対策協議会というものを作るということになっておりまして、たとえば福岡県等につきましても、とりあえず福岡県庁に幹事役をさせるということにして、関係各省全部、出先機関がそれに協力するという格好で、具体的な問題を処理していこうじゃないかということになっておりまして、近々この法律が、ここで通過さしていただきまして、施行になりましたならば、間もなく、そういう協議会が正式に発足する運びになるという格好になっております。
  28. 阿具根登

    ○阿具根登君 三十年に合理化法のできたときに、ちょうどそういう御説明をお聞きいたしました。また、そのために、わざわざ鉄道を敷いて、その鉄道に使用する労務者は、炭鉱の失業者を使うのだということまではっきり西田大臣から、ここで御説明をいただきましたけれども、事実は、一つも使っていただかなかった。ほとんど、学校に行くにしても、義務教育の学校にさえ行けない、弁当さえ持って行けないというのが、この失業者の現実でございました。そういう内閣の雇用審議会等で、これを片づけ得るのだったら、五十何万人もあった失業者は、とうに片づいておるはずなんだ。そういうなまぬるいことでは、とても、私はこの出てくる失業者に対する対策というものは立たないと、かように思うわけです。  特に、駐留軍の問題も出ましたが、駐留軍にも、あれだけのことを考えておられましても、まだ駐留軍の離職者の半数にも満たない人が、やっと職安局の窓口を通っておるというような現状でございますので、もっと重点的に一つやっていただきたい、かように思います。  それから、離職労務者の退職金について、これも三十年に、私質問申し上げたと思っておるのですが、今ここに、そのときの議事録を持っておりませんから、どうだということは言えないのですが、そのときに、たしか私の記憶に残っておりますのは、退職金の定めのある人は、もちろんのことであるが、退職金の定めのない人もあるから、だから三十日分の離職手当を出すのだと、こういうようなお話を承わっておったのですが、法律には、そうなっておらないし、これは、法律の面からでなくて、そういうことについては、十分御勘案願うものと思っておりました。ところが、法律通りで、いわゆる賃金の未払いに対しては、代位弁済をやっていただいておるようでございますが、退職金については、その適用が全くなされておらない。そういたしますと、一部の炭鉱には、未払い賃金はないけれども、退職金の協定はなされておる。しかし、そういうところには、これが合理化法によって買い上げられる場合に、その退職金をもらうことができない、こういうことになるわけなんですが、これに対して、どういうようなお考えをお持ちになっているか、局長にお尋ねいたします。
  29. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 未払い賃金につきましては、御承知通り、民法自体にも、雇人の給料の先取特権は、最後の六カ月間の給料について存在するということがありまして、賃金についてだけは、先取特権が民法に規定されておるわけでございます。一般的に会社が破産したといったような場合には、国税徴収法とか、あるいは民法等におきまして、大体、どういう順序で債務を弁済していくかということがきまっておるわけでございます。  そこで、普通の順序から申しますと、一般の未払い賃金というのは、担保権等に比べて、相当おくれた取扱いを受けざるを得ないのでございますが、これでは、その炭鉱が整備にかかって買い上げられて、しかも未払い賃金があるというような方は気の毒だということから、現行法は、一応関係各省の了解を得まして、そうして炭鉱が、もしそのままつぶれたとすれば、このくらいにしか売れなかったであろうというもの、それは一応一般の原則通りでやると、ところが、たまたまこの際、普通ならば、だれも買ってくれないような炭鉱を事業団が買い上げるということのために、いろいろ、普通なら無価値のものまで評価してくれる、それによって出てくる差額というもの、これについては、この法律がなければ、国にしても、あるいは地方にしても、租税公課の未払い分を先に取るのだといっても、つぶれたのでは取れない、たまたま事業団が買うから、こういうことになったのだということで、そういう分につきましては、関係各省の了解を得た上で、未払い賃金六カ月分までは、一つ先取りするぞ、そうして、その残りをその他の債権でお分けなさいというようにやっておる。これは、先生、御指摘の通りでございます。  ただ、そのときに、退職金まで、それと同じようにやるかどうかということでございますが、現行の規定では、今御指摘のように、退職金は同じ取扱いを受けないということになっております。  ただ、われわれといたしましては、衆議院でも、この点について、いろいろ御議論がございまして、衆議院の付帯決議でも、離職労務者の退職金については、未払い賃金に準じ、事業団の炭鉱買収財源から弁済を受けられるように措置するようにというような付帯決議をいただいておりますので、われわれといたしましては、この退職金につきましては、法律の建前からは、一般債権者との、一般法規との関係等もございますので、表にはっきり出すということは、これは、なかなか現在の法制の建前でむずかしい点がございますが、実際問題といたしましては、これは、もう関係各省にお話をいたしまして、そうして今お話のような、未払い賃金はないけれども、退職金は、ちゃんと約束がある、ところが、退職金は、この規定にひっかからないために、一番あと回しで、もらえないかもしらぬというようなことでは、これはお気の毒だということから、退職金と、未払い賃金が、もしあったとすれば未払い賃金、その合計が、六カ月以内といったような場合であるならば、これは大体、未払い賃金と同じように扱って、できるだけ優先的に支払いを受け得るようにやりたいということで、現在、大蔵省初め、その他のいわゆる債権を持っているような関係各省に対してこういうことをやりたいから、一つ了承してもらいたいということについて、説得をいたしておる最中でございまして、できるだけ、今先生お話のありましたような方向でやっていきたいと思っておりますが、なお、これにつきましては、どれだけの未払い賃金があるか、退職金をもらうことになっておるかといったようなことにつきましては、所轄労働基準監督署あたりの協力を得て、最も公平に実施していく、こういうふうにやっていきたいと考えております。
  30. 阿具根登

    ○阿具根登君 退職金については、法律にはないけれども、そのときの趣旨でも、おそらく、私が質問いたしましたのに対して、賃金と同じような取扱いをするのだと、こういう御答弁もあったと思います。ただいま局長も、御答弁下さいましたように、これが賃金に準ずるような処置を至急とっていただきたいと、かように思います。  それから、大臣にお尋ねいたしますが、本日ここで議題になっておりますのは、政府がお出しになりました一部改正法案と、私どもが出しました一部改正法律案、二つについて審議をしておるわけでございます。そういたしますと、私どもの考えといたしましては、政府の百万トン買い上げということも、これは現在の貯炭状況から見てわかりますけれども、これはあくまでも不良炭鉱の整理というのが主体でございます。そうしますと、貯炭とは直接の関係はないわけですね、間接にはもちろんございますけれども。そういたしますと、これだけの一千二百万トン近くの貯炭をかかえて、しかも、資材、人員をかかえた炭鉱が、政府指示によって八百万トン近くも削減せねばならない、こういう事態に立ち至っておるとするならば、これは政府としても、これに対する処置を講じなければならぬのではないか。そうするならば、これは多ければ多いほどいいけれども、そうまでいかないので、一応私どもの考えといたしましては、二百万トンくらいの石炭を、今この整備事業団の性格を変えて、不良炭鉱も買い上げるというだけでなく、これだけ残っている貯炭の一部をこれも買い上げて、そうしてこの貯炭なり売りさばきは、大臣指示によってやるべきである、こういう考えが起きてくるわけなんです。一時この貯炭をどうするかという場合に、そうしてその二百万トンというものは業者の勝手にするものではない、新しい新昭和株式会社というのができまして、百万トン買い上げると言っているけれども、これは業者が勝手に買い上げて凍結するのであって、これは石炭の値段のつり上げに十分利用できる価値のものでございます。そういたしますと、これはかえって危険があるではないか。そういうことよりも、そういうことのできないように、業者が勝手に石炭を買い上げておって、少し石炭が不足する場合には、これを握りしめておく、あるいはだぶついた場合には凍結さしておく。そうして炭価のつり上げにこれを使うということも十分できるわけです。そういうことではなくて、政府自体がそういうことのできないようなものにする必要があるのではなかろうか、こういう考え方から二百万トンくらい買い上げてはどうかというのが一つ。しかし、その金をどうするかという問題になってきますので、資金運用部資金から九十億くらいの金を一応借りて、低利の政府の金を借りて、政府の金といえば、税金の金ではございませんから、これは厚生年金、その他の積み立ての金でございますから、だから、それを一応使わしていただいて、そうして昭和四十二年度まで、現在、今合理化法案でとっておられるトン当り二十円以下の金額を延ばしてもらって、それでこれを返済していく、こういうことにすれば、直接国民の税金を消費するのじゃなく、しかもその金額に対しては業者の責任にある、またその販売に対しては政府がそれに指示を与えることができる、こういうことになってくれば、私は一挙両得だと、こういうように思うわけです。そういう点について、どういうふうにお考え下さるか、御答弁願います。
  31. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私はこの衆議院の付帯決議されました中の、つまり需給調整機関を作る、これはやはりどうしても考えていかなければならぬと思うわけなんですが、需給調整機関としてこの事業団を活用するということになれば、今阿具根委員のおっしゃったようなことも一案だと、こう思うのでありますが、しからば、政府はそこまで思い切って、それだけ政府事業として二百万トンの石炭政府の責任において持っていくかということまでは、今日まだ踏み切れない状態でございます、はっきり申し上げて。しかし、また一方において、新昭和石炭というものが業者の中で百万トン買い上げるということになっておりますから、これは不幸にして大手炭鉱会社だけしか入っていないというところに、そこに多少欠陥があるようでありますけれども、この機関をどういうふうにして活用していったらいいか、これを一つ調整機関を持っていく、どういうふうにして政府は金融なりの措置を講ずるかということは、せっかく検討しろということを、ついこの間うち石炭局長に命じて、今その検討をしている最中でございまして、どうしてもやはり需給調整機関というものの考え方から、一応そういうふうな点は十分考慮して検討いたしたいと存じております。
  32. 阿具根登

    ○阿具根登君 需給調整機関を業者に手放しにさせる場合には、私は価格の調整機関になってしまうと思います。だから、こういう業者にそういうことをさせるならば、たとえば中小炭鉱を買いたたく、そうして自分たちが時期をみて高く売るでしょう。業者というものは損をして業をやる者はおらない。それで利益が伴うから業をやるわけです。そうすれば、これは需給調整機関ではなくて、価格の調整機関になってしまうのですよ。だから、私はこれは逆コースだというのですよ。そういうことでは、政府が、通産省石炭の価格を引き下げるために努力されても、逆にこれはつり上げの道具にしか使われない。そんなことよりも、政府が直接腹をいためるわけではないから、資金運用部資金から一部の金を貸していただいて、それによって政府が凍結しておく、そういうことならば、私はだれからも批判を受けるところはなくて、ほんとうに石炭というものを考える場合には、これは進んで政府がやるべきものじゃなかろうか、こう思うのですが、局長いかがですか。
  33. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 今の大臣からの、石炭局長に検討を命じたというお話でございますが、実は今の新昭和のような石炭会社だけのあれでなしに、できれば鉄鋼、ガス、電力、あるいはセメントといったような、需要者も全部これに協力するという格好の一つ需給調整機関を作る。そうすると、今の先生お話のような、必ずしも石炭会社だけの言分のことはできない。それは当然産業全体の見地から、並びに石炭業界の見地から、両方の見地からしかるべき値段というようなものも当然きめられるべきだし、それこそほんとうに国民経済全体にプラスになるのじゃないか。従って、取りあえず通産省として、新昭和石炭ができて百万トン凍結するというのであれば、これは大手だけの問題であり、部分的ではあるけれども、とにかく百万トンのものを一応市場から隔離することになれば、それだけ環境を圧迫する材料がなくなるということにおいてはメリットがあるので、これはこれで一応応援することにして、しっかり育成しようじゃないか。しかし、これだけでは不十分であるから、今申し上げたようなことを大臣から御指示いただきまして、そういう点について、少し省内で考えてみたらどうだというようなことを、私は御指示いただいたわけでございまして、それからこの前、先生からここで御説明いただきました社会党案としてお出しになっておられます、事業団を中心にやる、そして通産大臣の直接の指示に基いて買い入れ、あるいは売り渡しをやるといったような案というようなことも全部総合いたしまして、どういうふうにやれば、最も非弾力的なる石炭鉱業が、ほかの産業にも迷惑かけず、また自分自身の力もむしろ強めるという意味で、活用できる機関になり得るかということを今検討しておるわけでございまして、ただ、その際に一番問題になりますのは、せっかくこれを作っても、これが貯炭政府なり、あるいはそういう機関で買い上げてやっただけ、みんなが安心して増産されたのでは意味がない、従って、これは社会党の提案理由にありますように、片方で、どうやって生産制限をしっかり守らせるかということについての具体的方法ということの検討も当然しなければいかぬ。それからまた実際問題として、石炭不況等になって困る、貯炭をもてあます会社は大体きまっておるわけです。いい会社はほとんど手助けなしにどんなことでもやっている。そういうことで、貯炭ができて困るところは大体きまっている。そういうところの炭を買う場合には、これは必ずここまで買ってやるというワクまで設けると、逆にそこまでの増産を認めたことになるし、といって、買わなければそこはつぶれることになるかもしれないし、そこのかね合いをどうするかというような技術的な問題もございますし、さらに先ほど御指摘のございました資金運用部から取りあえず金を借りてやったらどうかというお話につきましても、今の当面の問題では、これは三億とか五億とかいう程度の金なら、確かに現在の資金運用部からでも取りあえず一つ貸してくれということも、これはできるだろうと、こう思いますが、しかし、これが五十億、百億といった金になりますと、大体ことしの資金運用部の運用計画というのはほとんど新年度早々で今きまったばかりというようなことでもございまして、なかなかこれだけの膨大な金が出る余裕は今のところすぐはみつからないといったような点もございますので、そういう取りあえずの財源と申しますか、借りてくる借り先をどうやって選定して、どこの金をどう使うかといったような問題等につきましても、あわせて検討する必要があるのじゃないかということから、それらのいろいろな技術的な面、資金源という面、あるいはその性格の面というような、あらゆる方面から総合的に検討いたしまして、できるだけ早く結論を出すようにしたいというふうに現在考えておるわけでございます。
  34. 阿具根登

    ○阿具根登君 予算がきまった現在九十億の金が右から左に出るということは私もそれは考えられない。しかし考え方なんです。石炭に対してはどういうお考えをお持ちですか、われわれの考え方はこうだと、ところが資金源がどうだこうだとおっしゃるけれども、石炭とは違いますけれども、それじゃ化繊品が出てきて、生糸がこれだけ余ったならばどうするかという場合には、三百数十億の金が出ておるわけです。そして政府としてはちゃんとそれだけのことはやっておられるわけです。石炭に対して生糸のようにして下さいといっているわけじゃないのですよ。これは資金運用部資金から借りて、しかも昭和四十二年までには返しますよというやつもできないと、そういう考えでは石炭に対する対策は何も持っておらないと、こう言わざるを得ないのですね。それは生糸で農民の方々が非常に困る。一番困るのは仲買人の方々でしょう。それにこれも政府の施策によって生糸を作らしたんだから、繭を作らしたんだから、それだけのことをやっておられるならば、石炭に対して、事情は違うだろうけれども、政府指示によって、そうして出してこれだけ余ってきた、その一部をしかもこれは利子をつけて返す金を借りて、そうしてこうしてやれということに対して、それがはっきり踏み切れないというのは、私どもには考えられない。これに対してこういう考えが出ておる、いわゆる資金運用部資金から金を借りてくれば、安い利子だから、これはありがたいのだという考え方が一つ。それは統制の第一歩ではないかという考え業者の中に出ておる。とすると、これは業者考えは、新昭和石炭株式会社というのは、私が言うように、これは値段のつり上げの調整になってしまうのだ、それじゃそんなものは要らなくなって、皆さんがおっしゃるように、来年の三月には貯炭は正常になるのです。一年の間にそうする必要はない。これはこれでできた以上一年でつぶれないと思うのですよ。つぶれないということは、これは石炭の価格調整にこれは残っていくのだ、かえって危険きわまりないものだと私は思うわけなんです。そういうものを野放しにするよりも、政府がここで手をぬらしてこういう石炭対策を立てなければ、石炭の値段を下げる下げるとおっしゃっても、決して下げることはない。おそらく業者の方がこわいのは、大臣指示によってこの価格をきめられるのと、それから出炭をもっと規制されるのが一番こわいのじゃないかと、こう思うのですよ。しかしそうすることは石炭業界を助けることであって、今の貯炭をかかえておる今日、こういう政策をとらなければ、私は大臣考えておられるようにはならないと思うのです。  それからもう一つこの中で私どもが出しておりますのは石炭燃料だけに、そのままの燃料で使うのは、これは長い目で見た場合非常にむだなことではなかろうか、こういうように考えるわけです。そういたしますと、これは何にまず化学的に使うかということになってきて、一番早いのは、これは完全ガス化したならば、わざわざ高い運賃をかけて灰になるその灰までまぜたやつを持ってくるよりも、ガス化した方がいいのではないか、これはだれでも考えて、相当会社でも研究しておるようでありますが、採算に合わないからほんとうの研究になっておらない。ドイツの例を見ますと、都市にガス会社の大きなパイプが通っておる。その付近の炭鉱がこれをガス化して、パイプに入れる場合にガスとして売っておる。こういう実際よそでできておって日本にできない理由はないじゃないか。しかし恒久的なことを考える場合には、個人の能力、財力ではなかなかうまくいかないだろうから、そういうところまで一つ研究してやったらどうだ、こういう考え方で、これは出しておるわけなんです。大臣は経済問題は専門家ですから、こういう考え方が悪いかどうか、いいとするならば、一つ今の間に合わないけれども、よしやりましょうと、こういうお考えがあるかどうかお伺いしたい。
  35. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私は、現在の事業団の組織をさらにかえて、これを事業調整機関に持っていくということは、これは一つの十分検討を要するいい案だと私は思っておるわけなんです。今の新昭和石炭につきましては、これは今阿具根さんのおっしゃるごとく、値段をつり上げる機関になってしまってあるいは危険だ、こういうようなことも考えておりますが、あるいは場合によっては、その中に大きな消費者も入れる、中小炭鉱も入れるということを考えてくれば、これはそれを防ぐことができると思うが、何かそういった団体をある程度利用していって、それに対して政府は相当の発言力を持ち、それに価格のつり上げを防止するとともに、極端に下った石炭の価格を維持する、こういうように持っていかなければならない。あるいは一部分の業者はそれを喜ばないかもしれませんが、これは喜ぶ、喜ばないにかかわらず、石炭価格を安定するためには、そこまで政府が入っていくべきだと信じております。その方法につきましては十分検討を加えたいと思います。  さらに石炭の高度化利用ということにつきましては、私どものしろうと考えでいつも言っておりましたことは、石炭をそのまま燃料にするというふうなことはまずいじゃないか。これは五年も十年もさきから私ども言っておったのでありますが、これをどの程度実現するかということにつきましては、これは幹部初め力を合せてその問題については十分検討を加えて、そうして外国の例等を調べてやっていく必要があると存じます。
  36. 阿具根登

    ○阿具根登君 新昭和石炭株式会社に中小炭鉱を入れるとか、鉄鋼業者を入れるとか、電力業者を入れるとか、これはできないです。これは新昭和石炭株式会社というのができて、そうして市中銀行から金を借りて自己資金でやるということになってくるのに、浪費者をそこに入れるとか、中小炭鉱から入れろということは、それはできっこないです。そういうことをするということになれば、何か政府が金の世話をするか、あるいは政府がその機構を作ってやるかしなければできないわけです。それが私の言っておるこの案なんですよ。だからこの合理化法案整備事業団がちゃんとできておるのだから、これはみんなが認めた事業団であるから、この事業団にやらせるならば、これは業者の意見も入っておりましょうし、消費者の意見も入っておろうし、中小炭鉱業者の意見も入っておるわけなんですね。そうすると、別にそういう機関を作ってやる必要もないし、作ってやるとすれば私は金融の一つなどでもしてやらなければ、これはどうしても言うはやすくてできやしない。自分たちが金を心配してやる会社によそから人間を入れてだれが受け入れるものですか。だからそういうものを勘案して、この事業団にさしたならば、もうすでにできておるのだから、権限を少し拡大してやるだけだ。人員を増してやるだけであって、一番私は可能性のある近道だとこう思うのですよ。だからこれをなんとか一つ実現さしてもらいたい、こう考えるのですがね。
  37. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 確かにただいまの阿具根さんの御意見は一番近道だと思います。これをどういうふうに運営するか、どういうふうに政府が入るかということは検討を要する点だと存じますけれども、新昭和石炭よりもその方が早いと私は確かに今日は思っております。
  38. 阿具根登

    ○阿具根登君 それでは新昭和石炭株式会社の危険性もあるいは遠道ももう十分おわかり下さっておるということでございますから、こういう不況期にあって、労使間が毎年々々こういう闘争を続けておる今日でございますから、政府としても一つ思い切って早急にこの案に踏み切っていただくように、あるいはこの案でまだ不満なところがあるならば、政府においてこういう抜本的な案を示していただきますように、特に御要望を申し上げまして私の質問を終ります。
  39. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御意見で、私はこの石炭の基本的問題として十分検討を要する、また検討をいたしたいと思っております。
  40. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 今まで阿具根委員の質問に対して大臣からそれぞれ答弁がありましたが、実は両三年、石炭が調子がよくなるときは国会で問題にならぬで、調子が悪くなると今のような論争を繰り返し繰り返しやっておる。そのつど、そのつど考えましょうということで、じんぜんとして今日に至って、昨年あたりまでは自民党さんが神武景気を謳歌しておるものですから、それこれやれこれ炭鉱経営者のしりをたたいて、五千二百万トンしか掘れないというのを、いやいやことしは五千四百万トン必要だということで、大いに掘らせて、今度石炭が余ったからといって、けさの新聞を見ると二〇%のとにかく出炭制限をやらなけばならぬ、ほんとうかうそかわからぬけれども、二〇%の出炭制限をやるということがもし事実だとすれば、石炭コストが二〇%高くなるのですから、これは天下の一大問題であって、高碕さんは石炭価格が二〇%上るというようなべらぼうなことは僕はやらせまいと信じておるのですが、たまたまことしの一月、本年の出炭の状況から、あるいは昨年度の景気を考えて、経済企画庁にいろいろお尋ねをしておきましたが、企画庁の局長さん方お見えになっておって、企画庁としては燃料対策委員会を作って、この対策に当るということでございましたが、その経過についてお尋ねをまずしたいと思います。
  41. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 多分ただいまの阿部先生の御質問はエネルギー部会の問題かと存じますが、経済審議会の中にエネルギー部会を設けてこの石炭石油、その他エネルギーの総合的な問題を検討しようという話は前の三木長官のときから出ております。その後現在の世耕長官のもとでも同様なお考えでございまして、事務当局もその具体化をやるようにというふうに指示を受けておりまして、実は先日来いろいろ関係方面に当りまして、ほぼ部会発足の段取りがつきまして、明日、四月九日に経済審議会を開催いたしますので、その席上部会設置の了承を得まして、まあ部会長としては興銀の川北さんを部会長にお願いするということを一応内定しておるのでございますが、その審議会の承認を得ました上で、できるだけ早い機会に第一回の会合を開きたい、その審議の内容といたしましては、このエネルギー、実は一昨年の経済計画、新長期経済計画がございますが、大きな経済指標の動きとしては、現在の実績計画とはかなりよく合っておるわけでございますが、エネルギーの面についてはかなり問題がある、率直に申しまして相当問題もございますので、まあ第一に、その後の実績計画考えていた線とを検討して見る、第一にまず最近の石炭事情その他エネルギー事情が景気変動によるものであるかどうか、かなり、欧米等を見ましても、石炭過剰ということが世界中時を同じゅうして出ておりますが、一体どの程度が景気変動によるものか、つまり景気が上昇に向えば解消し得る問題なのかどうか、第二にその施策によってカバーできる面がどの程度あるのか、第三に長期のエネルギー計画自体にある程度問題があるのかどうか、そういった立場から検討してみようということになっておるわけでございます。それからもう一つはそういうような検討に基きまして、この総合的なエネルギーの問題のあり方といいますか、大きな方向というものを検討して、大体一年間ぐらいの期間に一応の答申を出していただく、大体現在までの進行状況は以上の通りでございます。
  42. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 あなたにそういう御答弁を聞くためにおいで願ったのじゃないのですよ。少くとも半年前にそういう話をあなたともしましたし、長官も来ておったし、官房長も来ておったはずなんです。当時は今から六カ月前から始まって、八百万トンぐらいの貯炭のあるときから、やがて一千万トンになりますよと話をしましたところが、ある局長はせせら笑っておりまして、そういうことはありませんと、僕はあなたがせせら笑ったとは言いませんけれども、僕ははっきり記憶があるのです。ところが僕の予言が当って一千万トンをオーバーして今日に至っておる。六カ月前、世界的な状況がどうとかいうことはあのときすでにわかっておったはずですよ。そこで一体これをどうしますかとお尋ねしたところが、こうこういうわけで総合的エネルギー対策燃料部会を持ってやりますと、その部会は一体大臣を網羅してやるものか、それともあなたの方の庁の中に設けるものかと、それは検討して直ちに委員会にお知らせしますと、そういうことになって、それから六カ月たちますよ。とにかくおもやに火がついているので、ひさしに火がついているくらいじゃないんですよ。六カ月たっているのに、あすから発足する。何といっても片方の通商産業省の方では二〇%の出炭制限をやるといって、けさの新聞に出ておる。ほんとか、うそかわかりませんけれども、それはこれから大臣にお尋ねしますが、子供が死んでから注射をしたってどうにもならぬ。何の病気だろうかと診断を十分やるのもけっこうですが、それからじゃ手おくれじゃありませんか。何のために今まであなた方と論争しておったかわからぬ。まあ経済企画庁は手放しの楽観者ばかりですから、あてにする僕らが悪いかもしらぬけれども、それじゃあまり無責任ですよ、そういうことになりませんか。確かにあなたと六カ月前、あるいは三カ月前両三度にわたって話をしたはずなんです。今日に至ってまだこれから検討してやりますなんということは、無責任もはなはだしいと思う。
  43. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 事務的にはいろいろ準備いたしておりましたんですが、だんだんとその開設が実は国会中でもございましたので、スタートがおくれました。私どもの立場といたしましては、長期的な観点から問題を検討する、で、短期的な現在の行政的な問題はエネルギーの担当官庁であります通産省が直接当られるということでございますので、実はこのエネルギー部会を設けましても、すぐ直ちに現在の問題に対して結論が出るということにはいきかねるかと思うのでございます。その設立が延び延びになりましたことについては申しわけないわけでございますが、とにかく明日から審議会にかける段取りまでは参りておりますので、その点御了承を願いたいと存ずるわけでございます。
  44. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 まあ幾らあなたを責めても、長官がきょう近畿地方へ出張なさっているそうですから、僕はあなたに責任があるとは思わぬから声を大にして言いませんけれども、僕は全く無責任きわまると思うんですよ。だめならだめだ、是なら是、非なら非という結論を、六カ月にもなるんですから、当然委員会に報告するというお約束だったのですから、今日この段階にならぬうちに当然お話があってしかるべきだと思うんですが、しかしそれはわれわれに連絡がなくても、その実施庁である通商産業省の石炭局で今度二〇%の出炭制限をやるという、こういう事態は御承知でしょうね。
  45. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 私どもの方はまあ長期計画の立場でございますので、目前の措置についてはまだ直接打ち合せはいたしておりません。
  46. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 あなたの方では五カ年計画というものがあって、そうしてこういう答弁を長官がしたことがある。一カ年くらい、あるいは二カ年くらい、とにかくある場合においてはマイナスになっても、五カ年あるいは十カ年計画でやるんだから、その一つ一つの過渡的段階はこれはやむを得ない場合もある、こういうような答弁を長官がしたことがあるんです。これはもっともだと僕も思う。しかしそのとき僕はこう言った。その一年も二年も計画を立てることのできないような経済企画庁が、五年先、十年先がわかるということはおこがましい、これは悪い言葉ですが、そういう話をしたことがあるんですが、今日のこういう段階は、貯炭がふえて、とにかく東京湾へでも行って投げなければならぬという段階は、これは当然なことなんですが、これは過渡的な現象としてしからしむる現象ということになるんですが、経済企画庁のお見通しとしては。
  47. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 長期計画の中にも、実は石炭鉱業というものがかなり景気変動に対して弱いといいますか、そういう従来の実績から見ましても、景気変動に対して石炭需給の変動がかなり大幅であるので、まあできるだけ安定をはかる措置を講ずることが、この計画達成の上の重要な条件であるということを実は計画の中にうたっておるわけでございます。それが現在のような幅に出てきておりますことは、長期計画の面からみて参りますと、必ずしも満足すべきことではないというふうに思うわけでありますが、先ほど申しましたように、やはり現在の情勢というものは景気変動によるのか、あるいは対策でカバーし得る範囲であるのか、あるいは計画自体にある程度無理があったのか、やはりこれは謙虚に振りかえって検討してみなければならない事情にある、そういうふうに考えておるわけでございます。
  48. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それで結論はどうなんですか、今までのことはやむを得ないとして……。それから今日この現状から脱却するにはとにかく岸内閣のですね、経済計画企画立案をするあなたの庁としては、これをどうなさるおつもりですか、この状態を脱却するために……。だまってこれは実施するのが通商産業省だからやむを得ませんという結論ですか。
  49. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 現在の対策につきましては、私どもも仕事を分担しておりますが、私どもの方は長期計画作成ということになっておりますので、大堀調整局長の方から答弁申し上げます。
  50. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 石炭の問題につきましては、先ほど来、計画局長から申し述べましたように、長期的な基本的な問題と当面の問題、これはむろん関係はございますが、二つの問題がございまして、私ども当面の問題といたしましては、昨年来、私ども通産省、特に石炭局と十分協議いたしまして、これに関連して操短の問題なり、あるいは貯炭の問題、資金の問題、これらにつきましてわれわれといたしましては、いろいろ金融機関でございますとか、関係の機関に対して、できるだけ協力を得ますように、企画庁としては通産省政策を支持すべくやって参ったのでありますが、御承知のように非常に貯炭がたまりました。一昨年以来、生産が非常に調整を欠きまして予想外に貯炭がたまったのでございます。また電力の事情等もございまして、石炭にとって非常に遺憾な事態になっておるわけでございます。当面の対策としては、この際貯炭金融その他の方策についてできるだけの手を打つ。それから操短をできるだけやっていただいて押えよう、こうして調整していく。長期の問題につきましては、私ども多少この際根本的に考えてみなければならぬ点があるのじゃないか、かように考えまして、エネルギー部会の方でこの問題と取り組んでいく、こういう考え方でおるわけであります。
  51. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 大堀局長、そういう抽象的なことでなしに、現実の問題をどうするか、そのものずばりでお尋ねしたいわけです。そういう抽象的なことなんか、本を読むようなことを聞いたって始らない。あなたと何回もここでやったのだけれども、さっぱり実にならない。現実のことをどうするかということをお尋ねしたいわけであります。たとえばここで阿具根委員大臣とあの石炭整備事業団をして何百万トンを買い上げるという話し合いも盛んに応酬されておったが、これも一つの対策でしよう。しかし幾つかの対策があるでしょう。今余っているやつをどうするか、それは電灯会社で使うでしょう、しかしことしなんかは雨が順調に降っているから、そんなに膨大な火力電力に使うということはあまり期待できない。一体どうするか、それを具体的に一つ経済企画庁はどう考えておられるかということを聞きたい。私の方は経済企画庁のやりっぱなしですよという答弁でも仕方がない。
  52. 阿具根登

    ○阿具根登君 ちょっと関連して。今の企画庁に私はちょっと関連してお尋ねしたいのですけれども、昭和四十年度になったら一億八千百十三万トンの総合エネルギーということになっているわけですね、そうすると、三十三年度は幾らであったのか。そして全部企画庁で考えられた通りに入っておるのかどうか、石炭だけが余ったのか、雨だけがうんと降ったのか、重油計画通り入ったのか、重油はどのくらい入ったのか、一つ数字をはっきり知らせて下さい。
  53. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 当面の問題といたしましては、やはり貯炭の問題、それに対して資金の裏づけをするという問題、これが同時にやはり出炭制限をこの際やむを得ないがやっていただくということになったのでありますが、具体的な点は通産省の方でいろいろとやっておられますが、私どもの方としましては、大きな点としてはかように考えておるわけでございます。なお数字の点につきましては計画局長の方から……。
  54. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 長期計画の三十三年度はまだ実は実績ができておりませんものですから、長期計画との検討はまだやる段階になっておりませんので、事務的にはことしの夏ごろ三十三年度実績が全部出ましたところで、長期計画の線と照し合せていくという予定にしております。実は一応のエネルギーの、三十三年度推定を含めた試算は先般やりましたのですが、実は至急に社会労働委員会から呼び出されまして、資料を手元に持っておりませんのですが、後日でよろしければ概略の数字を提出いたしますから……。
  55. 阿具根登

    ○阿具根登君 今数字がなければけっこうですが、それでは数字の完全にある三十一年度一つ知らせていただきます。今ここでなかったらばあとでいいですから。私は計画を持っておりますから、実績を知らせていただきたい。それについて私の調査しているのと違うかどうかを私は見たいのだから。
  56. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 三十一年度は実は長期計画自体に数字をあげておるわけでございますが、三十一年度実績と三十一年度計画をあげておりますので、お持ちになっておるのは実績ではございませんでしょうか。
  57. 阿具根登

    ○阿具根登君 一億八百六十四万トンですよ。
  58. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) それは実績でございます。三十一年度実績でございます。
  59. 阿具根登

    ○阿具根登君 それじゃ三十二年度を、あとでいいですから三十二年度を……。
  60. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それで、大堀局長さんのおっしゃること、もやもやとしてわからなかったのですが、資金をどうするとおっしゃるのですか。それから生産制限ということはどういうことを意味するわけですか。
  61. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) やはり需要が低下いたしておりまする一方において、生産の方は必ずしも計画通りといいますか、操短といいますとなかなか困難な状況でございますから、生産の方は相当その間に生産も上って参りまして、需要が伸びて参りますけれども、しかしどうしても貯炭というものがたまってくる、そこで問題はやはりその間その貯炭のために金融をつけてやることについて、結局石炭業界として相当な努力をしているわけでございますが、できるだけ貯炭金融をつけてやる、これは昨年、一昨年来、私らも相当通産省に協力いたしまして、日銀その他の金融機関にも協力を得て、その間の資金のつなぎ資金をできるだけつけるように要請して参ったのであります。
  62. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 僕はあまり枝葉末端のことを、あなたの方は通産省石炭局じゃないのだから……。しかしあなたの方で計画する責任であろうかと思うのです。あなたの方の責任が完全に果されているかどうかということなんですよ。しかしあなたの方の経済計画に基いて通商産業省が相談の上やっておるのが失敗したのだから、そうしたら、そのあと始末は当然あなたの方と相談してやられるというふうに判断した場合に、一体この現実をどうするかということをお尋ねしているのでしてね、小さい枝葉末端のことを聞いているわけではない。具体的にこういう現状をどうするかということをお聞きしているわけです。しかし、具体的に現在私の方は全然案がございませんということであれば、これは何をかいわんや、やむを得ないことでございますがね。
  63. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) これは先ほど計画局長からも申し上げましたように、まあ計画自身が、目標が大きすぎて、これが一般産業界をして高い目標を立てた結果、逆に、その場合に一般の鉱工業生産が落ちて需要が減退したために貯炭がふえた、その目標自身を誤まったのではないかという点につきましては、私ども大いに反省しなければならんというふうに考えておるわけでありますが、現実にそういう事態に当りまして、やはり貯炭が出るが、一方において生産制限が十分にできないという段階におきましては、やはり金融面でめんどうを見て、この間混乱を起さないように資金面に裏づけをして、やがてまあ経済が上ってきて、需要が伸びてくれば、貯炭がだんだんさばけていくわけでありますから、その間を繋いでいくということは、当面の対策としてはやはり一つの中心になるのではないかと、かように考えておるわけです。
  64. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 まあ経済企画庁としては言いにくいことであるけれども、あまり成功しなかったわけですな、計画通りいかなかったわけですね。そこでそういうことであれば、今の御答弁に関連するわけでもないけれども、出炭制限、需要が伸びるということでありますが、石炭局の発表かどうかわかりませんけれども、けさの新聞で二〇%の出炭制限というものが出ておりますね。二〇%出炭制限やれば、石炭の価格が、石炭局長承知通り、二割コストが高くなりますよ。局長の言うように需要の拡大なんか思いもよらない話、逆の方向になっていく、出炭制限をやると。だから考え方はそういう方向に進んでも、現実の問題として逆になってくるのではないか。出炭制限をやると石炭の価格が高くなる。昭和石炭会社で百万トン買うというのですが、これは完全な独禁法違反なんですよ。あなた方、法的にどう解釈しておられるか知らんけれども、独禁法違反ですよ。長沼委員長連れて来て聞いてみるとわかりますけれども、独禁法違反だ。百万トン買っても、二割出炭制限やって二割コストが高くなって、これは需要の拡大なんというのはおこがましいと思うのですよ。新聞報道をたてにとって質問するのは失礼かもしれませんけれども、正鵠を得てなかったら、それは間違いだとおっしゃって下さい。帰休制度とか何とかいうことがありますね、休みをふやすとか帰休制度なんというのは金を出さなければならない。そういう金をどこから持ってくるか知らんけれども、そういう金があったら、さいぜん阿具根委員の発言のように、原炭を買収して石炭需給のバランスをはかったらいいと思うのだけれども、あなた方のやっているのは、てんでんばらで、非常に筋が通っていないような気がする。そのつどそのつど、ここでだけの答弁だけで、きょう一日過ぎれば、きょう一日だけの答弁で、その辺どうも、一つ言いにくいわけですが、懇切丁寧に御答弁を願いたいと思います。
  65. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 新聞に二〇%カットと出ておったということでございますが、これは役所では別に発表したわけではございません。これは役所では来週早々にでも正式に生産制限指示はいたしたいとは思っておりますが、今まで出ておりますのは、これは全部観測記事でございます。それからなお二割というのは、これは大体新聞によってはあるいは八割と書き、あるいは八二%と書き、いろいろな数字が出ておりますが、大体その程度に、それに近いようなところに生産制限指示をしたいというふうには考えておりますが、ここで一つ御了解願いたいと思いますのは、この生産制限指示、一体何に対して八二・五%とか八割とかあるいは八五%とか言っているかということでございます。これはたまたま神武景気のあとで、石炭が非常に需要が伸びたというふうに考えられております。昭和三十二年度実績として五千二百二十五万トン掘っておるわけでございます。その三十二年度にストライキも何もなかったというふうな正常な状態を仮定したら、幾ら掘れただろうかという数字を想定いたしますと、これは五千四百万トン越すわけでございますが、それに対して幾らということを言っておるわけでございまして、この八割とか八割五分だといいますと、いかにも今から生産制限をしても、コストを上げるというふうな印象をお受けになるかもわかりませんが、実数では昭和三十三年度生産実績がこれは大体四千八百万トン程度だと思いますが、それと同程度の四千八百万トン程度に押えなさいというふうな指示をやろうということでございます。ただこれを過去の一定のときの生産実績に対してというのでなければ、計画だ何だというのは、これは各社それぞれ持っているわけでございませんので、過去の実績に対して幾ら、しかも実績というのはストライキも何もしなくて、もう無条件で出たらこのまま出たであろうと思われるものに対してというような計算方式をとらざるを得ないために、まあこういう八割だ、何だということになったわけでございまして、かりにこれが三十三年度実績がわかっておれば、三十三年度のあれから見れば、九九・五%とかあるいは一〇一%に押えなさいということになったかもわからないのでございます。従いましてコストといたしましては、われわれといたしましては、この生産制限指示をしたから、今よりコストが上るというふうには考えておりません。コストは大体同じであろう、こういうふうに考えております。先生の御指摘の、二割生産制限すればコストが上るのじゃないかというのは、大体われわれが計算いたしまして、ほぼその程度のものは上るはずでございますから、生産制限石炭界にとっては一番最後の手段で、これはできるだけ避けるべき問題である。こういうふうには考えておりますが、しかし今の石炭業界にとって一番大切なのは、当面の過剰貯炭という問題、この圧迫をどうするかというのが一番の問題じゃないか、この過剰貯炭をいつまでも置いておきますと、それこそどこかでダンピングでも始めて、一波万波式で、一波万波を呼んでがたがたと値くずれをする、そうなったのでは石炭業界の混乱ということになると思うのでございますので、それを避けるためには非常手段でございますが、とりあえず六カ月間くらいということで、われわれは指示したいと思っております。とにかく今よりコストが上るわけでございませんので、大体今程度にとにかく生産を押えなさいということをやらして、そしてできるだけ早く過剰貯炭じゃなくて、普通の正常操業に戻すということが、結局石炭業界にとって一番、残されている道としては、やむを得ないけれども、最善の道じゃなかろうか、こういうふうに判断しましたので、来週早々にでも三十二年度生産実績に対して、一定割合の生産制限をするようにという指示をしたいと、こういうふうに考えたわけでございます。くどいようでございますが、大体現在程度生産から今年はあまり伸ばさないように、がまんしてもらうということでございます。
  66. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そのあれですよ。あなたの答弁は実に詭弁ですよ。僕はそんなことは言いたくないけれども、五千四百万トンの石炭を掘るだけの設備を持っておって、四千八百万トンでは結局六百万トンの差ができる、五千四百万トンから四千八百万トンだから……も新聞が出さんでもそれは計算してみれば何%になるかわかるじゃないですか。  それからもう一つ、何回前かの委員会で、出炭制限の問題をわれわれ話し合いをやったことがあるんです。そうしたらあなたは、今度は大臣命令でやられるとか、そう答弁をしたのでしょう。一体何十条の何でやるのだと言ったところが、石炭合理化法案の六十三条だか六十四条をたてにとって、これで出炭制限をやりますと言ったじゃないですか、明確に言ったんですよ。何%かといったら、過去の例をとってはっきりわかります——速記録を持ってきてあなたに読んで聞かせてもいい。そういうことを明確に言っておいて、今さら新聞社が何か勝手に言ったとか何とか、とんでもない話ですよ。ちゃんとあなたの方で指令を出してやったのじゃないですか、そうしたら五千四百万トンの採掘能力がある現場で、四千八百万トンしかこれは掘らせなければ、これは切羽、機械設備を維持しなければならない、当然コストがかかるのじゃないですか。そうしたら現行維持だといって、それは全部放棄してしまえばいいでしょうけれども、放棄したところで事業場には金利がかかりますよ。現行のコストでいきますというのは、とてもそういうことは僕は中学校の生徒でもわかる勘定になると思いますが、どういう勘定をすれば現行のコストで二割高くならぬでいくのですか。それを参考のために一応承わりましょう。
  67. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) 昭和三十三年度出炭実績が四千八百万トンでございます。これで大体平均いたしまして四千七百円弱の……
  68. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 委員長、答弁中ですが、山形から電話がきたのでちょっと……。
  69. 島清

    理事島清君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  70. 島清

    理事島清君) 速記を起して。  質疑を続行いたします。  御発言もございませんようで、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案と、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、前者は、内閣提出、衆議院送付、後者は、阿具根登君外八名提出の議案でございますが、それを一括して審議して参りましたが、内閣提出、衆議院送付につきましては、質疑を終了することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 島清

    理事島清君) 御異議ないと認めます。  それではこれより内閣提出、衆議院送付案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  72. 阿具根登

    ○阿具根登君 日本社会党を代表いたしまして、基本的には非常に賛成しかねるのでございますが、貯炭を豊富にかかえた現実から考えてみます場合に、先ほど私どもの御質問の中で明らかになりましたように、本改正法律案によって、この危機を打開するということにはならないけれども、私どもが懸念いたして改正案を提出いたしておりますのに対しまして、近いうちに、政府は異常なる熱意をもって実施のための研究をすることを、大臣の答弁からも十分明らかにされましたので、私どもは政府案の一部改正の本法案に対して賛成をいたすものでございます。
  73. 島清

    理事島清君) 他に御発言もなければ、これをもって討論は終局したものと認め、これより本案採決を行います。本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  74. 島清

    理事島清君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願います。   —————————————
  75. 島清

    理事島清君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  76. 島清

    理事島清君) 速記を起して。  次に、先ほど委員長、理事打合せにおきまして、次回は来たる四月二十七日月曜日午前十時より委員会を開き、特定物資輸入臨時措置法の一部を改正する法律案を審議し、そして各党とも、この日は御協力を願うということにして、本日はこれをもって散会したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 島清

    理事島清君) 御異議がなければ、本日はこれにて委員会は散会いたします。    午後五時散会