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1959-04-07 第31回国会 参議院 商工委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年四月七日(火曜日)    午前十一時十六分開会   —————————————   委員の異動 四月二日委員堀本宜実君及び松澤兼人辞任につき、その補欠として大谷藤 之助君及び藤田進君を議長において指 名した。 四月六日委員大谷藤之助君、最上英子 君及び高野一夫辞任につき、その補 欠として堀本宜実君、森田豊壽君及び 小沢久太郎君を議長において指名し た。 本日委員森田豊壽君、小沢久太郎君及 び木島虎藏辞任につき、その補欠と して近藤鶴代君、大野木秀次郎君及び 迫水久常君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     田畑 金光君    理事            上原 正吉君            小幡 治和君            島   清君            大竹平八郎君    委員           大野木秀次郎君            近藤 鶴代君            迫水 久常君            佐野  廣君            鈴木 万平君            高橋進太郎君            堀本 宜実君            阿部 竹松君            栗山 良夫君            奥 むめお君            豊田 雅孝君   衆議院議員            小平 久雄君            松平 忠久君   国務大臣    通商産業大臣  高碕達之助君   政府委員    通商産業政務次    官       中川 俊思君    通商産業政務次    官       大島 秀一君    通商産業大臣官    房長      齋藤 正年君    通商産業省重工    業局長     小出 榮一君    通商産業省繊維    局長      今井 善衞君    中小企業庁長官 岩武 照彦君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    厚生省社会局生    活課長     中村 一成君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○軽機械輸出振興に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○小売商業特別措置法案内閣提出、  衆議院送付) ○繊維工業設備臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送  付)   —————————————
  2. 田畑金光

    委員長田畑金光君) これより商工委員会を開会いたします。  まず、委員の変更について御報告いたします。  去る二日松澤兼人君、堀本宜実君が辞任され、藤田進君、大谷藤之助君が選任されました。また六日、最上英子君、高野一夫君、大谷藤之助君が辞任され、森田豊壽君、小沢久太郎君、堀本宜実君が選任されました。本日、森田豊壽君、小沢久太郎君が辞任され、近藤鶴代君、大野木秀次郎君が選任されました。   —————————————
  3. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 速記をとめて。    〔速記中止
  4. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 速記を起して。  軽機械輸出振興に関する法律案を議題といたします。  これより、前回に引き続き質疑を行います。質疑のある方は御発言を願います。
  5. 島清

    島清君 先般は登録の問題、それから輸出振興事業協会問題等についてお尋ねをいたしましたが、本法案のねらいとするところは、貿易の健全な発達を期して、それから品質向上をはかる、こういうことになっているわけですが、一部この法案に反対をしております業者の声を聞いてみますというと、今のような品質であったればこそ、アメリカ市場九二%を支配することができた。その証拠には、品質をあまりよくすると、アメリカ市場において今占めているところの地位を確保することも必ずしも保証はしがたいのではないか、その証拠には、何か品質のいいものが、今アメリカ市場を支配しておりまする品質のものより以上のものが同じ日本から、たとえば日本第二十六号光学双眼鏡であるとか、こういうものが出ているようですが、しかしこの品質のいいものは、アメリカの方の市場ではほとんど微々たる輸出しかされていない。ですから必ずしも品質向上輸出振興になるとは限らない。こういうことを言っておるわけですが、何か品質向上することによって輸出振興がさらに拡大されるというような見通しと、それからそういったような保証がありますならば、そのことについて御説明を願いたい、こう思います。
  6. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 双眼鏡の問題に関しまして品質向上についてのお尋ねでございますが、御指摘通り従来双眼鏡輸出が非常にアメリカ市場に対してふえてきております。その原因日本の品物の品質と価格がアメリカの大衆に非常にマッチしたということが主たる原因であることは申すまでもないのであります。しかしながら、それでは品質向上を今後ははかる必要がないかという点になりますと、これはすでに先般米国市場につきまして、消費者方面についていろいろアンケートを出して調査をした資料もございますが、米国の一般の消費者は、やはり日本品につきまして、さらに一そう品質向上要求しておるデータが出ておるのでございます。これはジェトロがアメリカ消費者に対して、どういうふうな双眼鏡を使っておるか、それから日本製品の欠点と思われる点はどういう点かと、アメリカの百十二の小売商対象としてマーケッティングの調査をいたしました。その結果、品質の悪いということを指摘しました者が百十二のうち十七件で一番数が多いのであります。それに関連しまして、これは安いとか、長持ちしないとかあるいは製造技術が劣っておるとか、ボディーの仕上げが粗雑であるとか、やはり品質に関連した苦情がかなりある。従いまして、不必要なまでに品質向上させる必要はございませんけれども、やはり不断品質向上ということをはかりませんというと、結局は今確保しております日本アメリカ市場における地位というものも、漸次、西独その他の競争国に食われてくるというおそれは十分にあるわけであります。従ってやはり品質向上ということは、その消費者要求から考えましても、また競争国製品との関係から考えましても不断に努力しなければならない、かように考えております。
  7. 島清

    島清君 品質向上を期するためには、登録基準を設けていきたい、さらにその登録基準というのは順次その基準を高めていきたい、こういうお考えのようですが、私は先般双眼鏡のアッセンブル・メーカー諸君事業場を見て参ったのでありますが、何か基準といっても、どこに基準の線を引くか、はなはだ引きにくいのではないか、こういうふうに感じて参りましたが、それは部品製造メーカーであるとかあるいは一貫メーカーであれば、基準の引き方も容易でございましょうが、組み立てをやっておるところでは、その基準といってもあってないようなもので、またどこに線を引くか、非常に引きにくいのではないか、こういう感じを受けたのでありますが、そういうような組み立て業者に対しまして、基準として考えておられるのはどんなことを考えておられるか、その点について御説明を願いたいと思います。
  8. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 双眼鏡組立業者に関しまする登録基準につきましては、御指摘部品などを製造しておりますもの、設備を持って製造するメーカーと違いまして、基準設定方法は確かに非常にむずかしい問題があるわけでございます。そこで先般もお話申し上げましたように、やはり最初の登録基準といたしましては、最低限度基準から出発するわけでございますが、業界の意向も十分に尊重しなければならないという意味におきまして、業界の方から一つ案を出してもらうということを依頼いたしまして、業界におかれましても非常に内部でいろいろ検討された結果、一応の案が出ております。その案を基準にいたしまして、今後法律が成立いたしました暁におきましては、われわれの方も一緒に検討を重ねていきたいと考えておりますが、ただいま一応考えております双眼鏡組立業者の場合における基準の例といたしまして、たとえば月産四百台以下というような組立業者の場合につきましては、設備面におきましては、これを製造設備検査設備、特に最後の組み立て仕上げでございますので、検査設備の面にかなり重点があろうかと思います。製造設備につきましては、これはむしろ場所と申しますか、組み立て調整をいたします場、これに関する基準程度でございます。たとえば四百台以下のものについて見ますと、百台について大体一坪くらいの面積の調整場を必要とするというふうな程度基準でございます。それから検査設備につきましては、ダイヤメーター、ノギス、視界測定器、視度望遠鏡光軸平行度測定器分解力測定装置、像の倒れ検査装置震動試験機、こういうような各種の検査設備のそれぞれ一つ、少くとも一つはこういった検査設備が必要であるというような要求をしたいと思っております。この検査設備を今申し上げましたが、全部おのおの一つずつをそろえましても、金額にしてみれば四万五千円程度のものに過ぎない、かように考えます。これが大体設備的な面でございますが、そのほかに取り扱います技術者に関する条件といたしましては、取扱い調整数量大体四カ月分とみまして三百台、調整数量三百台について大体一人くらいの基準技術者を必要とする。次に生産技術条件でございますが、これについては検査方法の問題がございます。あるいは品質管理方法問題等について、生産技術条件に関する一定の基準を設けたい。これについては、まだ具体的にその内容をどうするかということがきまっておりませんが、なお、検討を続けております。大体こういうようなことで非常にむずかしい基準ではございませんけれども、やはり最低限度基準は設けることができますし、また設けることが必要である、かように考えます。
  9. 島清

    島清君 基準設定については、何か内容省令にゆだねられるわけですが、その省令は、先般も豊田委員から、これはまかり間違えば戦争中の企業整備令にもひとしいような内容を持っているので、その省令内容検討してみたいというような意味資料提出があったように記憶いたしておりますが、この省令の作業はどの程度まで進んでいるのですか、今求められたら直ちに成文化されて私たちにお知らせ願えるところまでいっているのでございますか。
  10. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) この省令内容は、今御指摘登録基準に関するものでございまして、登録基準については、双眼鏡については、今私がお説明申し上げました程度内容のものを大体用意したいと思っております。それからミシンにつきましても、やはり同じように製造設備検査設備技術者あるいは生産技術条件、それぞれについての具体的な内容を持った基準の案もすでに一応できております。従いまして御要求がありますれば、今私が御説明申し上げました程度の、これはまだ条文の形にはなっておりませんけれども、要綱という形において資料提出することは可能でございます。
  11. 島清

    島清君 それから、先般もお尋ね申し上げました輸出振興事業協会ですが、このことが人的な面においても、もっと業者の声が反映するような民主的な運営をされる形になっていないのではないかということを私は申し上げたのでございますけれども、何か非常に仄聞するところによりまするというと、今の双眼鏡輸出振興株式会社がもう業務的には行き詰まって、それの救済的な形で輸出振興事業協会というものが考えられたのではないかと、こういう工合に憶測するものもないでもないわけなんですが、この日本双眼鏡輸出振興株式会社輸出振興事業協会ができても、そのままに存続するわけなんでございましょうか、また事業的にあるいは人的にこの会社の何ものかを、この事業協会が受け継ぐというようなことがあるわけなんでございますか。その関連についてちょっと御説明を願いたいと思います。
  12. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 輸出振興事業協会の設立の目的は、別段今お話がございましたような、双眼鏡輸出振興株式会社運営が行き詰まったから、これを救済するために、そういうふうに切りかえるという趣旨のものではございませんで、先般来申し上げましたように、輸出振興の海外に対するPRなり調査というような面につきまして輸出振興業務を担当するための協会でございます。ただ、それがある段階になりまして、輸出振興事業の発展に伴いまして、必要であれば、輸出振興事業協会においても一手買い取り販売というところまで具体的にいき得るという法律建前になっております。従いまして、輸出振興事業協会一手買い取り販売というところまで、そういう業務を始めました際には、双眼鏡輸出振興株式会社は、これはもともと一手買い取り機関として出発した会社でございまするので、これは解消いたしまして、その業務輸出振興事業協会に引き継がれる、こういう関係になっております。ただし、振興株式会社の人事とか、機構とかというような問題と、輸出振興事業協会との関係においては、別段そういった関係は特に関係づけて考えておるわけではございません。業務的には発展的に一手買い取り販売という段階になりました場合には、発展的に協会の方に継承する、こういうふうな建前になっております。
  13. 島清

    島清君 事業引き継ぎというのがなかなか内容的には批判があると思う一のですが、事業そのものは発展的に、同一のような内容の仕事を部分的にはするわけですから、その同一内容を持っておる部分的なものは引き継がれるといいますか、それがあってもよろしいと思うのですが、しかしながら、この引き継ぎをいたしまする場合に、たとえば財産的なこういったような引き継ぎ方というようなものは、私は世間にやはり疑惑を持たせる非常な懸念すべき問題だと思うのです。ですから、双眼鏡株式会社というものは、その事業振興事業協会のいかんにかかわらずに、株式会社でございまするから、株式会社という建前から、営利会社としての建前から、それは存続が可能でなければ解散するのもよろしいだろうけれども、しかしながら、さりとてこれが採算上存続できないからといって、にわかに財産的なものも新しい事業協会が引き継ぐということは、世間疑惑を与えることになると思うのですが、その点についての考えはどういうふうに考えておられますか。
  14. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) 双眼鏡輸出振興株式会社業務それ自体は、経理的にも別段行き詰まっておるわけではございませんで、まあ会社の決算といたしましてはプラスになっておりまして、今期はあるいは配当も可能というような段階になっております。そこで先ほど申し上げました輸出振興事業協会一手買い取り販売をやります場合に引き継ぐというのは、その一手買い取り販売という業務を引き継ぐだけでございまして、株式会社はその際には解散をいたします。解散をして清算に入るわけでございますが、その清算に入りました場合におきましては、その財務財産は当然その輸出振興株式会社の出資しております株主に分配される、こういう格好になるわけでございます。従いまして、輸出振興事業協会としましては、その構成組織も全然違いまするし、法人としての性格も違いまするので、財産はそのまま引き継ぐということはございません。ただ、実態的な一手買い取り販売という業務を引き継ぐ、こういうだけのことにお考えを願いたいと思います。
  15. 島清

    島清君 それは有償的なものでないと理解してよろしいわけなんでございますね。
  16. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) その通りでございます。
  17. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 他に御質疑はございませんか。——ないようでございまするから質疑は終局し、討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、付帯決議案討論中にお述べを願います。  ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  18. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 速記を起して。
  19. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は今案件になっておりまする軽機械輸出振興に関する法律案につきまして一応賛成をいたしたいと思います。  しかしこの法案にはいろいろ問題がございまして、すでに質疑過程においても明らかにせられておりますが、これを一言で表現するならば、政府提出の原案に対して衆議院全会一致で五カ年の時限立法にしたということにつきておると思います。この衆議院において五カ年間の時限法に修正をせられたということが、この法案の持っておる性格を表わし、またその運用について政府に求めておるものを明瞭にしておると思います。そういう意味で、政府は、もしこの法案可決成立をいたしましたときには、運営に当って万全の措置をとられなければならぬと思います。私は後刻付帯決議の案を提案いたしまして、同僚議員諸君の御賛成を得て本案に付帯させることにいたしたいと思っておりまするが、その考えもまた今申し上げましたところから出ておるわけであります。大体岸政府としましては、自由主義経済を標傍しておられるのでありまするから、従ってそういう観点からするならば、この法案の持っておる性格というものは、非常に性格的に重要なわけであります。私はしばしばわが国経済をほんとうに国民の期待するように振興させていくためには、産業全体、経済全体をもう少し国の力による管理と申しますか、統制と申しますか、そういう方法によって進めなければならぬということを固く信じております。従いましてそういう一つ考え方のもとに、岸内閣がいろいろな法案国会経済法として提出される点においては、われわれもまたその気で十分慎重に審議する用意を持っております。ところが今日ごらんのように、こういう軽少な問題でなくて、わが国産業経済の基本に触れるような問題については、何ら解決策が根本的にとられておりません。たとえばわが国基幹産業である鉄鋼、石炭あるいは電力、セメント、硫安、その他まだあげればきりのないほど重要な産業について、ここまで割り切った施策というものは一つもとられていないのであります。従ってそういうような態度をとりながら、たまたまこういう問題について国家権力を使ってこれを行おうというのでありますが、この点にわれわれの十分に理解し得ない点があるわけであります。もしこういうことであるならば、輸出取引法なり、あるいは中小企業だけを限定いたしますならば、中小企業団体法国会提案のときにも、すでに問題にしたことでありまして、この法案に踏み切られたような考え方を全般に及ぼすといたしますならば、貿易全体についてやはりこういう思想で一貫されていくということであるならば、また考え方は別であります。従って一口に申しますならば、まさにこういうものは政府産業経済政策に対する根本的な考え方を転換し、そしていうならば牛刀をもって鶏を裂くというようなものである、こういう工合に私は言って間違いないと思うのであります。従って通商産業大臣におかれても、将来産業政策を進められる上においては、こういう小手細工の小間切れ的なもので当面を糊塗するという考え方でなく、やはりこういうような現象がミシン双眼鏡等に現われてくるということについては、産業全体についてやはり総括的に考えなければならぬ問題が日本産業界にあるということを立証しておるのでありますから、根本的な解決策について、イデオロギーにとらわれないで、自民党考えられておるイデオロギーにとらわれないで策を進めてもらいたい、こういう考え方を持つものであります。  付したいと考えまする付帯決議案を朗読いたします。    軽機械輸出振興に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府本法を施行するに当り、左の点に留意して、軽機械輸出振興のため積極的な指導努むべきである。  一、登録制度運用に当っては、関係者意見を尊重し、特に零細業者及び新規業者に対し、不公正、不利益取扱いをせざること。  二、輸出振興事業協会運営については、厳に官僚統制の弊を避け業界の総意を充分反映し得るよう配慮するとともに、他方、積極的な輸出拡大を図り得る民間の自主的体制整備に努めること。  三、ミシン双眼鏡と類似した事情にあるトランジスターラジオその他の軽機械についても手遅れにならぬよう本法対象とすること。  で、ただいま申し上げましたうちの一番の問題につきましては、これはとにかく政府登録制度によりまして国家権力を発動することになるわけでありまするから、それで一つ間違えば、すでに質疑過程において問題になりましたように、考えようによっては企業整備業者を追い込んでいく、零細業者がきわめて不利益な立場に追い込まれる、あるいは営業自由の権利に制約を加えまして新規開業が不可能になる、こういうことに陥るのであります。従って自民党の持っておるただいまの考え方からすれば、そういう点はわが日本社会党でも同様でありますが、許されないことでありますから、従って十全の措置をとられなければならないということであります。  それから第二番の問題につきましても、政府が一貫して一つ考え方のもとに産業なり経済なりのコントロールをせられるということであれば、そこに体系というものがございまして、さまで混乱を起さない。国民の中に十分意見調整をし、納得を願うことが下きると思います。しかしこういう問題だけを取り出して、そして輸出振興事業協会運営がもし誤まるというようなことがあれば、しばしば言われる官僚統制弊害の面だけがクローズ・アップされて、業界に不信を招き、ひいては輸出振興に阻害をきたすというようなことになりかねないのでありまするから、こういう点については特に配慮を願いたいと思います。  あと三番の問題につきましては、もう説明を要しません。読んでいただいた通りでありまするが、どうかただいま申し上げましたことは、言葉は非常に簡単で足りませんが、しかしながら問題そのものは重要なことでありまするから、十分によく理解をせられて善処せられるように強く要望いたします。皆さんの付帯決議案について御賛成をいただくように特にお願いいたしまして討論を終ります。
  20. 上原正吉

    上原正吉君 私は自由民主党を代表いたしまして、本案並びに栗山委員提出付帯決議案賛成するものでございます。  わが国輸出産業におきまして過当競争を演ずるということが、しばしばわが国の国益に非常な損害を与えておりますことは、ひとり大企業もその例外でなく、しばしば演ぜられるところでございます。ことに中小企業におきましては、あらゆる分野にわたって非常な過当競争が行われておる。そしてこのことのために歴代の政府が種々な政策をとって、また国会においても種々これを論議し方策をとって参りましたけれども、これがきめ手だという方法は、いまだ一つも発見されていない、これが実情であろうと思うのでございます。そこで政府といたしましても、われわれといたしましても、できる限りのことをやってみる、これが現段階の真実の姿だと思うのでございます。そこで軽機械輸出振興に関する法律にいたしましても、この改正にいたしましても、まずやってみる、こういうことであろうと思うのでございまして、衆議院におきまして全会一致で五年間の限時立法となったというのも、その精神の現われだと思うのでございます。そこでこの法律の施行に当りましては、政府に十分な御配慮をわずらわしておきたい、これを念じてやまない次第でございます。ことに栗山委員提出決議案にもございますように、これが官僚統制に陥るというおそれも十分あるのでございます。さらに私は官僚統制と結びついて業界ボスが発生する、そうしてそのボスが勢いをたくましゅうして、結果として、零細業者を圧迫する、こういう結果になりがちであることは、あらゆる業界に今までしばしば現われた事象でございまするので、この法律運用に当りましては、そういうことの万々発生することのないように一そう深甚な行政指導上の御配慮を心からお願いいたさなければならないのでございます。そして、もしそのような弊害が発生して参りましたら、これをまたためて是正するにもやぶさかでない、こういう態度で行政に当られますることを心からお願いいたします。とにもかくにもこの法案の実施の結果を拝見する、われわれもまたこれをよく見きわめる、こういう意味でこの法律案賛成する次第でございます。
  21. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 他に御意見もなければ、これをもって討論を終り、採決をいたします。  本案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  22. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 全会一致と認めます。よって本案全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、付帯決議案について採決を行います。  付帯決議案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  23. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 全会一致でございます。よって付帯決議案委員会の決議とすることに決しました。  なお、議長提出する報告書の作成等につきましては委員長に一任願います。
  24. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 先般来審議中の軽機械輸出振興に関する法律案につきましては、連日御多忙のところ御審議を願いまして、本日全会一致をもって可決されましたことはまことにありがたくお礼を申し上げます。  なお、付帯決議等につきましては、その運営に当りましては、十分政府といたしましては注意いたしまして、今後その弊害に陥らないよう努力いたしたいと思います。まことにありがとうございました。
  25. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 暫時休憩いたします。    午後零時七分休憩    —————・—————    午後一時五十四分開会
  26. 島清

    ○理事(島清君) これより委員会を開会いたします。  小売商業特別措置法案を議題といたします。前回に引き続き質疑を行います。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  27. 堀本宜実

    堀本宜実君 この法案は、小売商業の事業活動の機会を確保して、中小企業団体法等との関係法律の円滑な運営ができまして、小売商業の経営の安定、向上に寄与するということを目的としておると思うのでありますが、この法案の十五条をおきめになるときに、農業協同組合、あるいは漁業協同組合、あるいは山林森林の協同組合等に対しまする原案の作成のときに、すでにそういう協同組合というものを対象とするということをお考えになってお作りになったかどうか、お伺いしたいと思います。
  28. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 十五条を立案いたしますときには、メーカー、問屋のほかに今おあけになりました農業関係の協同組合の問題も考えていたわけでございます。また前回御説明いたしましたように、第三号はそういうふうな非営利的な小売を行いまする団体のほかに、営利的な小売業者中小企業でないものを当然考えたのであります。いわゆるいろいろやかましいスーパー・マーケットのうちで、中小規模でないものはこの第三号に入るというふうに両方の問題を考えたわけでございます。
  29. 堀本宜実

    堀本宜実君 農山漁業協同組合というものの性格については、私が申し上げるまでもないのでありますが、これら協同組合は、単位協同組合並びに連合組合等を通じて協同組合法の中にもありまするように、第十条第六項だと思いますが、販売、加工、運搬等を業務として行うということに法によって規定をされておるのであります。従いまして購買と販売とに分れておりまして、購買というのは、農業外に製造業者が製造したものを組合員に売りまする行為でございます。販売の方は、みずからが作った生産物を共同で販売しようとする、すなわち一元集荷多元販売という一つの機構に基いて共同販売をいたしている行為なのであります。この第十五条第三号の中の農業あるいは漁業あるいは森林等の協同組合が当てはまるということでありまするならば、これらの販売というものと購買というものとを混同されておるようなふうに考えられるのでありますが、これらが行うところの販売につきましては、どういうふうなお考えを持っておられますか。
  30. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) この農協等の共同組織のまあ小売り行為といいますか、販売行為は、御指摘のようにいわゆる購買事業的なものと販売事業的なものとがあることは御指摘通りであります。この立案をいたしますときに、ここに書いてありまするように、「一般消費者に対する物品の販売事業」と、こうなっております。    〔理事島清君退席、委員長着席〕 といいますのは、組合員に対する物品の販売事業ということでありますれば、これは一般消費者に対します販売事業ではないだろう、こういうふうに考えられまするし、従って購買事業の面はこの規定の対象になることが少いだろうと考えております。おまけに農協でありますれば、二割程度の員外販売を認められておりまするから比較的少いかと思います。いわゆる販売事業関係になりますると、まあ多くの場合は、これは系統組織を通じまして販売されるし、また商業関係の流通機構の、何といいますか、持ち込まれるのが多いようでございますが、いろいろな商品、いろいろな場合によりましては、直接一般消費者相手に販売事業を行われるということもあり得ることと考えております。また現に若干そういうのがあるようでございます。で、その点につきまして、営利事業と非営利事業とをなぜ一緒にするかという御質問かと思いますが、われわれこの法案を立案いたしました気持は、小売商業者に著しい影響を与えるということで紛争が起きますると、その相手方といいますか、原因をなしましたものが、営利事業であるスーパー・マーケットと、非営利事業である農協と全然別ものということでは、この小売商保護という見地からしまして遺憾な点があるのではないか、それでいろいろな行き過ぎその他の場合には、やはりそのあっせんとか調停とかということで、両方の間を取り持って妥当な解決をお願いするということが、こういうふうな問題を処理しますにつきまして、一番適当な方法ではないかという、ふうに考えまして、こういうふうな非営利事業の販売事業もこれに含まれるというふうに考えたわけでございます。
  31. 堀本宜実

    堀本宜実君 ただいまそれについてお答えがございましたが、先般農林水産委員会は、当商工委員会へ、農林水産委員会における決議をいたしまして申し入れをいたしたのであります。その趣旨といたしておりまする点は三つございます。その第一は、農林水産関係物資の流通の合理化の問題でございます。これは自分で作った品物を、最も合理的に販売しようとするこの組合共販体制の根本になりまする流通の合理化を対象としておる問題であるということがうたわれております。第二の問題は、農林水産協同組合の本質という、先ほど申し上げました一元集荷、多元販売、ことにこの完全競争の上に立っておりまする生産物を、非常に零細な農漁家あるいは林産業者が共同して販売をしようということなのでございます。第三番目に、現在までさして問題が起らなかったことが、この法案によってあっせん、調停をするんだということ自体が決定されますることは、いたずらな紛争を誘発するおそれがないか、そういう心配なのであります。すでに協同組合法によって、ワクがはめられて販売が行えるということに規定がされてある。そしてまたそれらを指導いたしまするために、長い間それらの一元集荷あるいは多元販売という一つの行為を長年要請してきておるのであります。それが大して問題になっておらないところへ、こういうことをきめるということは、私は少しくこの本質というものを見誤まっておるのではなかろうか、かように考えられまするし、なお、この第十五条の一の問題は、「製造業者」となっておりまするし、また第二は「卸売業者」ということになっておりますが、卸売業者、製造業者と、その覊絆を一にして取扱いをするというところに、しかもこれら協同組合というものは、営利を目的としておるものではございません。そういうような建前から考えますと、当然これは除外して当初考えるべきではなかったか、こういうふうに考えるのであります。その点はどういうふうにお考えになりますか。
  32. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) お話の趣旨はよくわれわれもわかるのでございますが、また小売商といいましても、何でもかんでも小売商だけで小売はやるんだということでは、またいろいろな消費者側に対する影響もあるかと思います。ある程度のことは、やはり質の違う小売行為があって、初めて小売商消費者のサービスに遺憾なきを期するということもできますので、ある程度はこれは刺激にもなりましょうし、いいことだと思っております。また農協等の直接の小売におきましても、いろいろな事情もあるだろうと思います。一がいに全部が悪いということは、とてもいえるものでないと思います。ただわれわれ心配いたしますのは、不必要に、何といいますか、誇大な宣伝をするとか、あるいは飛び離れた廉価で売られるとか、あるいは消費市場のまん中にりっぱな販売組織を設けられるということになりますると、これはまた小売商に対する影響も、いろいろ看過できないものがあるだろうと思います。そういうことでございまするので、そういうふうな、何といいますか、不必要なという言葉は、あるいは不適当かもしれませんが、いわば行き過ぎたそういうふうな直接の販売行為は、これは一つ小売商の立場もお考え願って、両方の歩み寄り、調整ということが必要じゃないだろうかと考えられますので、幸いにしまして衆議院の御修正も、原案よりちょっと変りまして、「物品の流通秩序の適正を期する」となっております。やはりまあ両方行き過ぎを是正する、両方が何とか両立するように歩み寄りをはかるという意味におきまして、あっせん、調停ということが、やはり個々の問題を解決するには適当な手段かと思っております。
  33. 堀本宜実

    堀本宜実君 私は、ただいまの御説明で不十分だとは思いますが、二十六国会以来、これが問題になった案件でありまするし、また団体組織に関しまする法律の裏打ちとしてこの小売商業の特別措置というものが必要なことはよくわかるのでありますが、これら協同組合の行いまする行為というものが、すでに協同組合法によって決定され、ワクがはめられている。それを、今後さして問題もないものを、やれ誇大な広告をするとか、あるいは行き過ぎたものがあるかもしれぬというようなことの懸念を持ちまして、これに調停、あっせんの項を設けますることは、そういう条文ができましたことは、紛争を誘発するおそれがありはしないかということを実は心配するものであります。ことにこれらの第一次産業関係を持ちまする人たちは、所得税を納めておりまする者は一割程度の人たちでありまして、まことに零細企業でございます。そういうことから考えますと、私はこの条文で規制するわけではありますまいが、あっせん、調停をするということを規制する意思はなくても、そういう条文を設けるということは、私は少し行き過ぎではなかろうか、こういうふうに考えられるのであります。そこで、ただいまいろいろお話がございましたが、そのうちで、小売商業等の行き過ぎがあるかもしれぬというお話がございました。行き過ぎというものの限界というものはどういうふうにお考えになりますか。抽象的なことでは将来非常に困ると思うんです。私は一応それを先に伺いたいと思います。そういう限度といいますか、行き過ぎがあるという限度をいずれにおいて行き過ぎがあるかもしれない、この程度ならかまわないというのか、そのことのお考えを伺いたいと思います。
  34. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) その問題になりますると、まあ商品の特性あるいはその市場におきまするいろいろな情勢等もございますので、一言では言えませんが、先ほど私があげましたような例は、これはおそらく大多数の場合において行き過ぎというふうに考えられるんじゃないかと思っております。ただまあいろいろな販売方法の点がございまするから、今申し上げましたようなことまでいかぬでも、あるいは行き過ぎというふうに見られることもあるかもしれませんし、また逆に、この商品、この場所ならいいじゃないかということもございましょうし、これは農協の方のいろいろ販売されるときの事情、あるいはその商品の動きよくお話を聞きまするが、たとえば果物等が風その他の関係で急に落ちて、一挙に出回るとかいうようなことがあれば、ある程度のこれは行き過ぎとも考えられないかと思います。いろいろな事情もあるだろうと思いますが、私が先ほど申し上げましたようなことは、一応多くの場合に行き過ぎというふうに考えられるんじゃないだろうかと思っております。
  35. 堀本宜実

    堀本宜実君 木炭でありますとか、あるいは畜産製品、ことに十円牛乳等も出回っておりますし、その他いろいろな野菜の問題等たくさんあると思うんですが、これは消費者の立場から考えましても、新鮮にして安い品物を提供するということが、私は合理的な方法だと思う。また、それが品物の流通秩序を正しく守るという点からも、当然なことではないかと私は思うのであります。そういう意味合いから考えまして、ここにただいまお話しになりましたけれども、その限度というものも、どうもはっきりいたしません。鮮明ではありません。そこで私は、これは衆議院の方たちか、あるいは長官か、どちらでもけっこうでございますが、第十五条の中に、当初の条文と変更されたところが若干あるのじゃないかと思うのであります。それは、「中小小売商事業活動の機会を確保するため必要があると認めるときは、」という条文が、「物品の流通秩序の適正を期するため必要があると認めるときは、」こういうふうに変ったのであろうと存じます。そこで、今申し上げましたような、今後起り得る等のこと、あるいは、その限度が一体どの辺にあるのかというようなことも考えなければならぬと思いまするので、「物品の流通秩序の適正を期する」ということの詳細について、お考えを伺いたいと思うのであります。
  36. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 今お尋ねの点に直接お答えをいたします前に、われわれが今御指摘の点を修正いたしました趣旨を若干申し上げたいと思います。  原案におきましては、「中小小売商事業活動の機会を確保するため必要があると認めるときは、」云々とこうなっておりまして実はこの点につきましては、農林関係の諸団体等の御意見を拝聴いたしました際におきましても、これでは問題の取り上げ方があまりに一方的になるんじゃないか。要するに「中小小売商事業活動の機会を確保するため」と申しましても、従来の範囲を確保するということも考えられるし、あるいは広義に解釈しますというと、従来以上に小売商が進出しよう、たとえば、従来何の問題もなく農協等がやっておった販売活動の分野にまで小売商が進出して、その機会を確保しよう、こういうときにまでも、この申し出があれば、あっせん、調停に都道府県知事として乗り出さなければならぬ、そういうふうにすら解し得る。それではあまりに一方的に過ぎるんではないかという御意見も、われわれ拝聴いたしたのであります。従って、われわれの考えからいたしましても、それでは問題の取り上げ方があまりに確かに片寄り過ぎるであろう、従って、事は紛争の解決にあるのですから、取り上げる前提というものも、きわめて公平な立場で取り上げてしかるべきである、そういう見地から、修正案のように、「流通秩序の適正を期するため必要があると認めるとき」に、初めてこの問題を都道府県知事は取り上げて、あっせん、調停に乗り出す、こういうことでありまするならば、単に小売商のためとか、あるいは反対の場合もございましょうが、いずれにしても、片寄った立場ではなくして、もっぱら流通秩序の適正を期するという、そういった立場から取り上げることになって、一番妥当であろう、そういう趣旨でこのように修正をいたしたのであります。  そこで、御指摘のように、しからば、適正を期するというが、適正ということの限度は、一体、それぞれどういうことになるのかという具体的な問題が起ると思いますが、しかし、この点は、ただいま企業庁長官からも話がありましたが、私どもといたしましても、一般的に、この限度はかくかくであると言うことは、なかなかこれは実際問題としてもむずかしいのではないか、今申しましたような趣旨で問題を取り上げる限りにおきましては、その問題の起りまする地域により、あるいは、物品と申しますか、商品と申しますか、それの性質等によりましても違いましょうし、あるいは、さらに大きく申せば、世の中の移り変りに従って、だんだん、従来は適正であったことが、新しい事態におきましては必ずしも適正でないということも将来起りましょうし、そういうような場合もありますので、具体的にかくかくの場合は適正である、かくかくの場合は適正でないと、こういうことを抽象的に今申し上げることは、私どもはどうにもこれは困難だというふうに考えておるわけでございます。
  37. 堀本宜実

    堀本宜実君 ただいま御答弁をいただきましたが、流通秩序の適正というまことに漠然としたものが、条文になっている、これがそういうような場合には、調停、あっせんの申請をすることができる、知事はこれを調停、あっせんをする、こういうことになるわけであります。そこで、これの解明については、泥仕合みたいなものでしょうから、とにかく常識でやるということで、まあそれはやむを得ませんが、しかし調停、あっせんというものの限度といいますか、可能、不可能という問題が起ってきます。条文が、こういうわけで非常に漠然としておるということの結果からくる……。これは果して行き過ぎであるのかどうかということが、時代の移り変りあるいはその他の環境、地域的な現状等によっても違いましょうけれども、しかしこれを判定し、調停しようとする場合に、そういう疑問が必ず、こういうふうに非常に抽象的と申しますか、すぽっと大きい柱が通っていないというようなことから、さような疑問が私には起るのでありますが、行政指導の立場にあられる長官に、このあっせん、調停というものの可能、不可能といいますか、その限度といいますか、あるいはその効力といいますか、そういうものについて一つ考えを伺いたいと思います。
  38. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 御質問の趣旨が、ちょっと私ものみ込みかねまするが、限度と申しまするよりも、そういう申請があった場合に、これをあっせん、調停のいわば事案として受理するかどうかというふうな意味考えますれば、これはいろいろ小売商側あるいは反対の側から申請がありましても、そういうふうな事案はこれはこの法律に該当しない、あるいはするというふうなこと、これはいろいろ事案によってあるだろうと思います。いたずらに事をかまえて今まで平地であったところに波乱を起すということは、これはこの法律の本質ではございませんので、まあ今までやっていたことはいいじゃないかというふうなことで、あっせんまたは、調停の申請を受け付けない場合もあると思います。同時にまたこれはなるほどもっともだ、この法律の趣旨から見ても、このあっせん、調停に乗り出すのが適当だということであれば、これはこの申請を受理してあっせん、調停に乗り出す、こういうふうなことになるかと思います。それからこのあっせんまたは調停の効果といいますか、その実行性の問題でございますが、御承知のように、あっせんと申しますのは両方の言い分を取り次いで解決するように努力するわけでございますので、これはおのずから話のでき上ることもございましょうし、でき上らないこともあろうと思います。あっせん不調という場合もいろいろあるかと思います。それから調停の場合でございますが、これは調停自体にはこのほかの商事調停あるいは民事調停みたいな裁判上その他の法律上の効果はこれにはございません。ただ専門の調停員に委嘱しまして、事案を個別的に慎重に検討して解決案を提示いたしまするので、この解決案は比較的合理的なものだろうと思います。これをもし受諾されない場合等には、これは強制力はもちろんございませんが、第十六条の四項等におきまして公表して、まあいわば世論に訴えるということになるだろうと思います。これ自身としては、別段調停に従わないから云々とか、あるいは仲裁裁定みたいにそれに法規上の効力を持たせるということはございません。
  39. 堀本宜実

    堀本宜実君 時間もないようでありますから、私は以上をもちまして質問を終りたいと思いますが、私の質問の中に申し上げましたように、この農林水産関係物資の流通の合理化と、農林産業協同組合の本質というものを十分に御認識を願いまして、今後このいたずらな紛争が巻き起るようなことのないように十分に行政上の立場からも一つ考えを願いまするように要望を申し上げておきたいと思います。
  40. 奥むめお

    ○奥むめお君 ただいまの堀本さんの御質問に関連して一つ長官に伺いたい。今農業協同組合がみずから生産したものを皆で出荷して、そしてこれを売りますときに、非常に安過ぎたりすることが小売商業の活動を阻害するおそれのあるというようなお話がありましたが、それじゃそういう小売商業の事業活動が高過ぎた場合はどういうふうになさるのですか。高過ぎるということがありますね。そして、これだけの法律の保護をなさっても、自分がこういうふうに高過ぎる売り方をするからお客さんがつかない。やはりよそへ流れてしまうということは、これは水が低きにつくようなものです。そういう場合は、この法律には含まれていないけれども、あなたのお考えはどうなんですか。
  41. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) まあ生鮮食料品関係の流通機構は私もつまびらかにいたしませんので、あるいは間違っているかもしれませんが、まあ大部分の場合は、やはりそういうものは、中央卸売市場等を通じて集団的に配給機構に乗っておるというのが、多くの場合私たち消費地におきます実情だろうと思うのです。そういうふうなことで中央卸売市場を通じまして公正な価格等が決定されるというようなのが現在の大きな生鮮食料品の流通機構の実情だろうかと思っております。ただ御指摘のようにいろいろこういう商品は、局部的ないろいろな流通上の差異が出てくるわけでございます。御指摘のように、小売商側がかりにそういうふうに高い値段でいつまでも維持していくということになりますれば、やはり生産者側からのいろいろな直売行為を誘発するということは、これはあり得ることだし、またそういうことが小売商側の営業にとっての一つの刺戟になり、消費者に利便を与えるということは、これはもう見逃せないところであります。私先ほど申し上げましたように、小売商で何でも独占して供給するということは、これはもうとうていできることではありませんので、そういうふうな自分と違った小売業種が出てくるということは、これはもう当然やむを得ないところだろうと思っております。
  42. 奥むめお

    ○奥むめお君 どうもまことにあいまいな御答弁で、私どもからそういうことを伺ったわけじゃないけれども、とにかく要するにこの法律の精神というものは、小売商にお客がつけばいいのでございましょう。そうではございませんか。いかがなんですか。
  43. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) この法律は第一条の目的にございまするように小売商を特に振興しようということよりも、小売商に仕事の機会を与えよう、そしてこの小売商の正常な秩序を阻害する要因を除去しようという、いわば抽象的なものであります。小売商業者がどういうふうにしたら自分の店の発展をはかれるか、あるいはお客にサービスができるかということは、直接この法律は目的としておりません。いわば自分と質の違った競争者の間の問題を調整しようというのがこの法律でございます。
  44. 奥むめお

    ○奥むめお君 しかしそれを調整するというその精神は、小売商事業が発展して拡大して客がたくさんつくよりほかに発展の道はないのじゃないですか。
  45. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) その前に、自分が今までの商売をしているのを、それを奪われるという問題をこの法律で解決しようというわけでございます。
  46. 奥むめお

    ○奥むめお君 この法律の文句はそうですよ。精神はどうですか。精神はそうじゃないのですか。よそにとられているのをとられないようにして小売商の方に来さえすればいいのです。
  47. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 積極的によその異質の小売り行為を行なっているもののお客までとってこようというまでにはいっておりません。そういうことはそういうふうに考えるのじゃなくて、むしろ小売商自身が自分の業界の発展なり、積極的なあるいはお客の誘引、あるいはサービスの提供等を通じて成果を上げると思っております。またわれわれの指導方針も、あるいは商業組合あるいは個々の商店業組合あるいは個々の店舗の改造とか、あるいは金融の調整というような形で、その発展をはかるわけでございます。この法律はただそういうふうな途上におきまする何と申しますか、今までの地盤、今奪われようというようなものに対する調整考えているわけであります。
  48. 奥むめお

    ○奥むめお君 前回の委員会の質問におきまして、生活協同組合の員外販売を委員から非常にきびしく指摘されております。厚生省の社会局の方だれか来ておりませんか。
  49. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 中村生活課長説明員としてきております。
  50. 奥むめお

    ○奥むめお君 どれくらい員外販売があるのですか、あなたの方の調査で。
  51. 中村一成

    説明員(中村一成君) ただいま消費生活協同組合法の規定に基きまして員外利用が認められておりまするものが百二十四組合でございます。これは昭和三十一年の調査であります。
  52. 奥むめお

    ○奥むめお君 それでおよそあなたの方の分で大体どのくらい員外販売があると思っていらっしゃるか、そういうことはお調べでないのですね。
  53. 中村一成

    説明員(中村一成君) 員外利用の利用高で申し上げますというと、員外利用を許可されてやっておるものが〇・五%でございます。
  54. 奥むめお

    ○奥むめお君 長官に伺いますが、中小企業庁としてはどれくらいに踏んでいらっしゃいますか、生活協同組合の員外販売というのは。
  55. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 全体を通じてのそういうふうな統計は持っておりません。ただ個々の組合におきまして、員外利用あるいは廉価販売、あるいは販売店の位置等によりまして、地元の小売商とトラブルを起しておるケースはいろいろ報告が参っております。
  56. 奥むめお

    ○奥むめお君 どの程度にあなた方の調査はなっておるのですか。
  57. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) どの程度といって数字的に申し上げるような比率じゃございません。むしろこの県ではこういう組合はこういうふうな問題を起しておる、あの県ではあの組合ではこういうふうな問題を起しているということをわれわれは調べております。
  58. 奥むめお

    ○奥むめお君 私は中小企業庁の方へそういう資料要求しております。ところが私の方に来ました資料というものにはそういうことを書いてありませんですね。今の御答弁によりますと、これだけ員外販売が問題になっていて、そんな不的確なつかまえどころのない資料で、員外販売を云々するということはできるのでしょうか。
  59. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 員外販売の問題は数字で私は議論すべきものではないと思っております。個々の組合によりまして非常に事情が違いまするし、またそのやり方によりましてもいろいろあると思います。またその土地の小売の販売高、ほかから見ますると、消費購買力の関係がございまするので、奥委員はどういう資料を御要求になったか知りませんけれども、具体的な組合の問題としてわれわれ各地から報告をとっております。
  60. 奥むめお

    ○奥むめお君 これは私ども非常に関心を寄せますから、あなたの方にある生協の員外利用についての資料をなるたけ全部見せていただきたい。これは私の勉強のためにも必要であるし、いかがですか。
  61. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 後刻必要がございますればごらんに入れます。
  62. 奥むめお

    ○奥むめお君 それからこの前の委員会のときに、生協は非常に政府から優待されているように、特別に税金関係その他で保護を受けておるように発言がありましたのですが、長官もそのようにお考えでございますか、あのときおいでになったと思いますが。
  63. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 私はこれについては法律上はっきりしておりますので、そのことを衆議院で申し上げました。
  64. 奥むめお

    ○奥むめお君 ちょっとそのことを説明していただきたい、あなたのお知りになっていることを。
  65. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 税制上の問題でございまするが、まず法人税でございます。これは御承知のように、一般法人では課税所得二百万円までは三三%の税率、二百万円を越えます分につきましては三八%となっておりますが、生協は特別法人扱いとして二八%になっております。
  66. 奥むめお

    ○奥むめお君 それは生協だけですか。
  67. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 特別法人と申し上げましたのはその意味でございます。生協以外に特別法人として法人税法に列挙されているこういうような団体でございます。  それから事業税でございますが、一般法人は、これは課税所得でございますが、五十万円以下八%、五十万円をこえて百万円以下までが一〇%、百万円以上が一二%、これは今度の国会で何らか軽減措置がとられておりますようなので、あるいはその税率は若干軽減していると思います。生協は八%となっております。これのこまかいことは存じませんが、課税標準について特例があるようでございます。それから事業所得についての課税でございます。法人税は出資総額の四分の一までは非課税になっている。それから印紙税でございますが、これは生協の発行している出資証書、預金通帳、貯金通帳、積金通帳につきましては免税です。それから登録税でございますが、これは生協法に基きましてなす登記につきましては免税にされている。それから固定資産税、不動産取得税、これは生活協同組合が経営いたします病院、診療所の用に供する固定資産、不動産、これは若干の範囲について課税の特例があります。それから都道府県民税、市町村民税につきましては、生協のうち政令の定めるものにつきましては免税になっております。これは何か事業開始年度の特例のようであります。  大体以上が税制関係で、消費生活協同組合の一般の小売商と違うところの扱いかと思います。
  68. 奥むめお

    ○奥むめお君 それでは最後の修正をお作りになった方にお伺いしたいのですが、付則の第十二条に「厚生大臣及び通産大臣は、必要があると認めるときは、」とありますけれども、これは通産大臣がどうして加わらなければならないとお考えになりましたか。
  69. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) 実は原案の十五条にあっせん、調停の規定がございます。それからさらにあっせん、調停のできなかった場合におきましては、十八条に大臣の勧告というのがございます。そこでこの法律の大体の目的とするところが、そういう紛争をなるべくうまく解決していこうということに政府原案の十五条から十八条まで規定されているわけでございます。その中で厚生大臣と通産大臣と協議をしなければならない規定が原案に入っているわけでございます。ところで私どもいろいろ実際の状態というものを見て参りますと、紛争というものが起るということは結局小売商と生協との間に、いわゆる員外利用というものにからんで起るわけであって、その紛争の形態というものは小売商の方から出される、こういうふうに類推できるわけであります。そういたしますと、その点においてつまり小売商の立場を守るものは通産大臣であるということでありますから、そのための紛争自体も通産大臣がそれに若干関与をするということは当然ではなかろうか。従って政府原案十八条の、通産大臣と厚生大臣は勧告する場合には、おのおの協議をしていかなければならないということは、その紛争の本質そのものからいえば当然ではなかろうか。こういうふうに考えておったわけであります。従いましてこの修正案の付則の中の生協組合法の十二条の三項以下に、六項といたしまして掲げましたこの修正案の内容にいたしましても、以上申し上げましたように員外利用ということから起る紛争があるのだというわけで、第五項以下のつまり組合員以外の者に物品を供給する場合には、その掲示なりなんなりをさせろとか、あるいは組合員証の証明書を持たせるというようなことも、結局そういう紛争を避けるために持たせるということにも相なります。従ってその意味においては若干小売商の立場というものも考慮をしなければならぬのじゃなかろうか。こういうふうに考えまして、厚生大臣及び通産大臣は、というのは厚生大臣と通産大臣がおのおの協議をしていく、そうして両大臣の連名で都道府県知事に対して、必要があると認めるときは第五項の措置をとれということを指示することができる、こういうふうに規定したわけであります。結論的に申し上げまして、小売商の保護ということを考える場合には、やはりこの程度の通産大臣の関与権と申しますか、それも厚生大臣と協議をしながらの関与権というものは、小売商の立場からも必要ではなかろうかと、こういうことで以上のような修正案になったわけであります。
  70. 奥むめお

    ○奥むめお君 生活協同組合には厚生省が管轄権を持っております、母法は、厚生省の母法でございます。厚生省の生活協同組合法には厳然として員外利用を禁止しているわけなんですね。私どもから言えば、ほかの農協や漁協や、中小企業の協同組合に員外利用を認めながら、生協だけに員外利用を認めていないという、この片手落ちを非常に問題にしているわけなんですがね。これを生協法の改正によってぜひ、少くとも同等に員外利用を認めたい、認めるべきだと思うのですが、そういうことはあなた方の改正案をお作りになるときには議論になりませんでしたか。またあなた自身はどうお考えになりますか。
  71. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) この員外利用を認めないということに関しましては、まあ御承知のように厚生省の通達で昭和二十九年に、その限度というものが各都道府県知事に示されているわけでございます。しかしこの母法自体には実は今まで員外利用というものに対する基準というものがなかった。基準がなかったがためにいわば地域的に若干のトラブルというものがあったのではなかろうか。この基準というものは今申しました通達によって基準ができているのであって、法律自体には員外利用の限度とか基準というものはございません。そこで今回は政府原案の第三条にありますように、それを母法に移したわけでありますが、修正案の付則の第三項の次に第四項というものを入れまして、そうして著しい影響を与えてはならないということにいたしたわけであります。それが一種の基準と申しますかそういうことになるのじゃなかろうか、こういうふうに私どもは考えておるわけであります。そういうことで員外利用は実は原則としては認めてはならない、というのが消費生活協同組合法の規定であったわけであって、例外的に員外利用を認める、しかしその例外的というのは、今申しました、従来は通達で出ておったが、今度はこういう一つ基準のようなものができた。そこでなおはっきりするのじゃなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。
  72. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 伺いたいます一点は、政令で指定する市、それから政令で定める物品、これは明らかになっておるのでありましょうか、その点ちょっとお尋ねしたい。
  73. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) 何条の場合でしょうか。
  74. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 第三条。
  75. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 政令で定める市と申しますのは、現在考えておりまするところは五大市が一応確定的でございますが、そのほかに札幌市をどうするかというような問題、あるいは五大市周辺の市をどうするかという問題、この辺もあわせて検討したいと思っております。  商品の方は、これはまあ小売市場と申しますものは、生鮮食料品というものを売っておりまする集団店舗の意味でございまするから、従って生鮮食料品の中で要するに魚と肉と野菜、この辺を大体指定する考えであります。
  76. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 そうすると雑貨などは考えておらぬわけですか。
  77. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 雑貨がなければ小売市場という概念に当らないというふうには考えておりません。
  78. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 やはりこの小売市場の形態からいうと、雑貨も入れるのが私は適当だと思いますが、しかしここでは議論はいたしませんが、政務次官にこの際希望を申しておきたいと思うのでありますが、将来法律案を作られるときには、政令で定める事項はもう初めから当然明らかにして、それを資料として同時にお配りになるように、この点は審議の実体に影響いたしますし、今後通産省として厳にそれを励行していただきたいと思うのです。これについて御意見はいかがでありましょうか。
  79. 大島秀一

    政府委員(大島秀一君) まことにごもっともな御指摘でございまするので、十分その御趣旨に沿うように今後努力いたす覚悟でございますから、御了承願いたいと思います。
  80. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 次にお尋ねいたしたいと思いますのは、第五条第一項第一号で「小売市場が開設されることにより」云々という規定がありますが、それからさらに第十五条の第四号には小売市場開設者という文字も使用されておるのであります。こういう点から考えると、小売市場の開設者という意味を許可制に引っかけていくということが、直截簡明でいいだろうと思うのでありますが、こういういき方をせられなかった理由はどこにあるのでありますか、その点をお伺いいたします。
  81. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 御趣旨が実はよくわからなかったのでありますが、この趣旨は、要するに建物を作りまして、それからそれを分譲する場合及び貸付をする場合、しかもそれが先ほど御質問のありました指定の商品のうちのどれかを含む、しかも十店舗以上でありますが、そういうふうにするために分譲しあるいは貸し付ける、こういう場合に許可が要ると、こういう建前をとったわけであります。
  82. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 私の質問の意味は、建物を作ってからそれを貸し付けるとかあるいは譲渡をする場合に、許可があるものでなければいかぬというふうになっておるのでありますけれども、しかし第五条の第一項の第一号の中には、小売市場を開設することによって中小小売業者に影響を与えるという言葉を使っておる建前からいいますと、この開設ということ自体に一つの重点を置いておったのでありますから、その開設を許可制にしたのでいいじゃないか、何も建物を作ってから譲渡とかあるいは貸し付けるということ自体を許可制にするのでなくて、小売市場の開設自体を端的、率直に許可制にすることの方が、中小小売商関係からいうと明白じゃないか。それから第十五条第四号に小売市場開設者という文句をはっきり使っておるのですから、そういう点からいうと、開設の定義というものが不明確になるということはないのじゃないか、ないからこそ開設者という言葉を使い、また開設によって中小小売商に影響を与える云云ということになっておるのでありますから、開設それ自体の行為を許可制にひっかけることの方が、中小小売商を保護しようというような建前からいうと、もっと簡単明白でいいんじゃないかというふうに思うのでありますが、それを特に避けられたという理由はどこにあるのかと、こういう意味であります。
  83. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) これは修正部分でございますので、衆議院の方から御説明願うのがほんとうでございますが、若干これらの点につきまして政府原案におきましてもいろいろ立法上の苦心を重ねた点もございますから、御参考までに私の方から実施上の問題として御答弁したいと思います。  この小売市場の開設といいますと、いわば事実行為に近い段階で、つまり中に小売商が入って店を開く、いわば開店デーみたいなことになるのじゃないかというふうに思われます。そういたしますと、小売市場の規制という趣旨から見ますとかなり段階がおくれておる。すでに契約をして店を買い取っても、そこで不許可になれば実は店も仕事ができないということでは、少しこの法規の何といいますか、技術的な面から見ましてまずいかと思われまするので、もう少し前の段階、つまりその中の個々の店舗を小売商に貸す、あるいは譲渡する段階で押える方が、中に入りまするたな子にとっても、いわば親切な措置あるいは有効な措置じゃないかというふうに考えました。一番最初から、この建築自体を押えればいいじゃないかという議論も実はあるようでございますが、これは建築基準法の関係もございまする上に、ああいうふうな建物でございまするから、一定の形と大きさをもっておりまする建物で、これが果して最終的に小売市場になるかどうかということは、これまた予測を許しません。法律の技術としましても、そこまでいわゆる前の段階から規制するというのも、やや行き過ぎの感もございまするので、結局規制としてはいわば法律行為でありまする貸付、譲渡の段階で押える。それから五条の方は、これはそういう許可が与えられたとして現実に小売市場が開かれたときになって、どういう影響が与えられるだろうかということを考えて、行政庁は処分をしろということでございまするが、まあこの辺は実際の法規のいわば技術的の問題というふうに御了承願いたいと思います。
  84. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 そうしますと、お尋ねしますが、小売商に貸し付けたりあるいは譲渡したりするのではなくて当該建物を直営で全く小売市場同様な行き方で経営するという場合には、どういう方法で規制しようということになるのですか。
  85. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) それが百貨店法に触れる面積でありませなんだ場合は、これは規制の方法はございません。
  86. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 これはどうも実体が全く同じであるにかかわらず、一方は貸付を受けておるとかあるいは譲渡という、そこに形式的なことがあれば規制を受ける、それからそういうことがなくて直営で、もうすっかり同様なことをやるというものには、何ら規制が及ばぬというのは非常に実質的にアンバランスであり、手落ちじゃないかと思う。従って、私は何びとといえども、小売市場形態のものを開設しようというときには、開設という事実を許可制に引っかけていくべきじゃないかという主張なんでありますが、これに対してのお考えはいかがでございますか。
  87. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 実はその点も衆議院段階におきましても論議されたのでありますが、現在問題になっております市場を見ますると、大体問題の所在というのが、不当に高く譲渡をいたしましたりあるいは不当な賃貸料をとって貸付をいたしましたり、またそういうことが原因になって、そこに開かれる小売商がまた不当な競争をやるというような実例が大体大部分を占めておる。みずから直営でやっておる市場というものはあまりないようにわれわれは聞いたわけであります。そういう点も考慮いたしまして、ただいま御指摘のようないわば抜け穴的なことのあることは、われわれも実は承知をいたしておるのでありますが、かりにそういう直営の場合に問題が起きたといたしますならば、この十五条の方のあっせんまたは調停、この方である程度いけるのじゃなかろうか、こういうことで直営の場合は御指摘通り市場そのものを真正面から規制するという点は抜けておると、さようになっておるわけであります。
  88. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 不満ではありますが、第十五条のあっせん、調停によって、これをカバーし、その適正なる結論を出していくと言われることでありますから、一応その点については質問を終りますが、同様な立場にあるスーパー・マーケットについても、これは第十五条のあっせん、調停の対象にして、行き過ぎのものについては適当に処置をするというふうにお考えでありましょうが、その点をお尋ねいたします。
  89. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 御指摘通り、スーパー・マーケットの場合には、第十五条であっせんないし調停でやるわけであります。いわゆるスーパー・マーケットが、政令で定める先ほどの指定の商品を大体売っておらぬ、こういう建前でありますので、市場の概念でなく十五条の方のあっせん、調停と、こういう意味であります。
  90. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 次には第十五条の修正点の問題でありますが、さきもすでに同僚委員から触れられたのでありますけれども、「中小小売商事業活動の機会を確保する」というのを「物品の流通秩序の適正を期する」というふうに改められたわけでありますが、観念はなかなか不明確により一そうなったのじゃないかという私は感じを持つのであります。そこで第一条を見ますと、この法律は「小売商事業活動の機会を適正に確保し」という文句を使用して、この点には修正をしておられぬのであります。この文句それ自身そのまま取り入れられて、中小小売商事業活動の機会を適正に確保するというふうに改められたら、問題はなかったのじゃないかというふうに思うのでありますが、そこの相違をどういうふうに判断せられ、「物品の流通秩序の適正」というようなことにせられたのでありましょうか。この点をお尋ねしておきたいと思います。
  91. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) お説ごもっともと思うのでありますが、先ほどもちょっと申しましたように、要するにこの点は問題の取り上げ方と申しますか、どういう場合に問題を取り上げるかという基準を示しておると思うのでありますが、「小売商事業活動の機会を適正に確保し」というふうに第一条にはうたってございますが、いずれにいたしましても十五条の場合には小売商小売商以外のものとの紛争、先ほど来農協の話がございましたが、農協法自体の建前から、あるいは農協の本質から申して適正である場合においても、また逆に小売商との関係においては紛争を起すという場合もあろうかと思うのであります。そういう非常に何と申しましょうか、いわば違った経営体の接触点のようなものでありますので、そこを調整するということでありますので、小売商の機会を確保する、たとえば適正にという文字を入れるにいたしましても、そうするということによってあまり取り上げるときから小売商のためだと、こういう印象をどうも与えることはいかがかと、そこで、はなはだばく然として抽象的とわれわれ自身も考えるのでありますが、いずれの立場よりも重しとするということじゃなくして、お互いに紛争のある当事者にとって公平な立場から取り上げると、こういう立場をより重く見まして、このような表現にいたしたわけであります。
  92. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 考え方の出発点は了解いたしましたが、考え方の始まりはそれかもしれませんが、最後の結論としては中小小売商のせめて正常な秩序を維持確保するというために、あっせん、調停をするのだろうというふうになるべきだと思うのでありますが、さように了解してよろしいでありましょうか、その点をお尋ねしておきたいと思います。
  93. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 大体は御指摘のようになると思うのでありますが、先ほども申しましたように、中小の小売商の立場からいって、適正な活動分野というものと、農協なら農協というもののまた適正な分野というものとが場合によりますとかみ合う、こういう場合もあるいはあるかもわからぬと思うのでありますが、従ってそういう両者とも適正な事業活動をやりながらかみ合うというような場合は、それがやはりあっせんなり調停なりによって、ケース、ケースに従った常識上妥当な案を出してもらわなければならぬだろうと思いますので、中小小売商の適正な活動分野ということにあまり……決してあっせん、調停ということにもならぬかと思いますので、その辺はケース、ケースによって判断願うよりいたし方がないのじゃないかと思います。
  94. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 お話を聞いておりますと、だんだんはっきりしなくなってくるのであります。大いにこの際まだ追及したいと思いますが、時間の都合がありますので、追及はこの程度にいたしますが、そのかわり私の方で質問しておる意味、それからまたこの立法の趣旨は十分おわかりだと思いますので、仏作って魂の入らぬような運用にならないように、その点は立法趣旨にかんがみて十分適正なる運用をせられるようにしてもらいたいと思うのであります。この点について御所見を通産大臣に願いたいと思いますが、どなたからでもお答え願いたいと思います。
  95. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 先ほど来、堀本委員の御質問に対しましてもお答えした通りでございますが、十分法律の趣旨に照して運営したいと思っております。ただ私先ほどお話を承わっておって疑問に思いましたのは、小売商を排除するのが物資の流通秩序を適正にする、というふうには考えておりません。やはり小売商はそれだけの社会機能を持っておりますし、いわんや日本では多数の人口がこれに従事されておりますので、やはり小売商には小売商としての立場を認めるべきだ、こういうお話でございますが、ただこれが自分の立場をあまり主張し過ぎて消費者に迷惑をかけることのないようにすることは、当然考えなければならぬことだと思います。また生産、卸売業者としましても小売商の立場も十分に考えられまして、不必要な摩擦は起していただきたくない、こういうふうに思っております。
  96. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 先ほどの私の御答弁のうちちょっと補充したいと思うのですが、私どものこういうふうに修正した場合の感じから申しますると、同じ第十五条でも、第一号の製造業者との場合とか、第二号の卸売業者との場合と、それから第三号であります農協等の場合、これでは問題の取り上げ方、つまり「物品の流通秩序の適正を期する」こういうふうにはうたってありますが、私どもの趣旨としましては、第一号あるいは第二号等の場合には、先ほど豊田先生の御指摘のような小売商の適正な機会とすると、こういう色合いが第三号の農協の場合と比べますならば、より濃厚に当然これは運用上は私は出てしかるべきだ、かように私ども考えております。
  97. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 もう一点通産大臣に一つお尋ねしたいのでありますが、政務次官にこの際あわせて承わっておきたいのでありますが、百貨店の月賦販売自粛勧告を通産省はせられておりますが、龍頭蛇尾で一向結末がはっきりしておらぬようであります。これについてはどういうお考えを持っておられるか。結局今後の見通しがこの法案自体に実質的な関係が非常にあると思いますので、お尋ねをしておきたいと思うのです。
  98. 大島秀一

    政府委員(大島秀一君) 割賦販売の問題につきましては、いろいろな角度から研究もされまた討議されておるのであります。趣旨はやはり小売業者を擁護しなければならない、百貨店のあまりに大きな進出を防止しなければならないという大きなワクは政府も十分感じておりますし、またその線に進まなければならぬと考えておるのでありますが、ただそれを利用する大衆側の辺場がまた一面ございまするので、その辺の両方の点を勘案いたしまして、最も適切な方法によって解決をみたいと、目下これは両方の面で研究が進められておる過程でありますが、実は私しばらく病気で休んでおりましたので、その後どのように変化いたしましたか、その点は当局から御説明申し上げたいと思いますが、大きなワクでいけばそのような考え方で進んでおるというようにお答え申し上げておきます。
  99. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 百貨店が現物を店舗に並べて、そうしてだれにでも不特定多数の者に販売する、そのかわり現金取引というのが世界各国のデパート経営の根本原則なんですね。そういう点からいうとあのはなはだしい割賦販売をやるということ自身が百貨店経営の行き過ぎで、それは是正するのが当然だと私は思うのであります。そういう点から一つ結論を早くお出しになりまするように、段平を振り上げられたけれども一向その結末が出ておらぬと、全く通産省の威厳に関することじゃないかと私は思いますが、次回に適当なる際にその結末及び将来の対策について明らかにしていただきたいと思います。このことを強く要望いたして質問を終ります。
  100. 奥むめお

    ○奥むめお君 ただいまの政務次官の御答弁について私も承わりたいことがございます。それは百貨店の月賦販売について、一方で利用者の立場を考えなければならないからいろいろ慎重にしている。こういう法律、これも同じだと思うのですね。買手の方からいいましたら買手は小売商がよくなればもうそれで一番言うことはないのです。小売商がよくなることが買手の喜ぶことなんですね。私たちそれだけしか願っておりません。だからそれをことさらにこの法律によって、買手の意思は全然無視されている。小売商を今ある姿でとにかくそのほかの機関で物を買わせないようにする法律考えですね。買手にとってはまことに不便きわまる法律なんですね。いかがでございますか、これについて御意見
  101. 大島秀一

    政府委員(大島秀一君) 買手のことにはそうかまわないでというように受け取れるのですが、しかしやはり買手の方のことも十分考慮して、そしてその中から小売というものが健全な経営が成り立つようにすることが、やはりこれが政治だろうと私どもは考えておるわけなんでありまして、むろんなかなかむずかしい問題ではありますけれども、小売商の健全な経営を考えながら一面にやはり消費者の立場を十分考慮いたしまして、経済上大へんな迷惑のこうむらないように措置を講じていくということが、私どもの基本的な考え方であります。御趣旨違いかもわかりませんが……。
  102. 奥むめお

    ○奥むめお君 ではこの法案の中のどこに消費者の立場を考えてありますか、どうぞ教えて下さい。この法案の中のどこに消費者の立場を考えてありますか。
  103. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) ただいま政務次官か申し上げました意味は、先ほど来私が申し上げたと大体同じことでございまして、消費者を積極的に保護するということではございませんが、たとえばこれで問題にしておりまするのは購買会、消費生協のこれは員外利用のものであります。消費生協等におきましては組合員に対しまする供給あるいは組合員をふやすことにつきましては、これはこの法律関係したことではございません。いろいろ消費者といたしましても自分の選択ということによりまして、あるいは組合員となってその消費生活協同組合の施設を利用するなり、あるいはまた小売商の方の物を買うなり、そこはいろいろあるわけでございまして、決してわれわれはそういうふうな消費者側の選択ということを抑えているわけではございません。農協その他のあれについても同様でございます。スーパー・マーケットの問題も同様でございます。要するにこれは行き過ぎを押えようということでございます。百貨店の問題も同様でございます。これはやはり小売商から申せば非常に大資本のあれで困った競争相手でありますけれども、さりとて消費者の立場がございますから、両方が伺とか調整できるようにというのが一連の立法考え方でございます。
  104. 奥むめお

    ○奥むめお君 私今政務次官のおっしゃったこと、先ほどの御答弁を伺っていて、高碕大臣もおそらく同じようなことをおっしゃっただろうと思うのです。それはこの間の委員会が済んで、私途中でお目にかかりましてそういう話をしたのです。だからやはり消費者の立場も守らなければならぬという時代の動きというものを、時代を知っている人ならばきっとわかって下さるのですよ。だから政務次官もわかっていらっしゃるからああいう御答弁をして下すったと思います。私らからいいますと、実際だんだんこう世の中が忙しくなって合理化してきますと、たとえば生活協同組合から物を買うのでも、ちゃんとしたしるしを見せなければいけないとか何とかいうめんどうくさいことは、もうスーパー・マーケットにさえも切りかえようとしているときに、わざわざそういうめんどうくさい法律を今さら作って消費者を圧迫するのですよ、この法律は。こういうことは小売商を保護するという名前はよろしいのですけれども、小売商というのはもともと買い物をする人とは裏と表なんですよ。それをうんとつければいいのです。つくようにするのによそへ行くのはなぜかということを考えなければならないのですね。私はこういう問題を前にも申し上げておるのでございますけれどもね。いかがでございますか、通産省として。これは通産省は商業活動、工業活動の保護育成に当る役所でありましょうね、設置法を読んでみますと。しかし、日本の今の行政面からいいまして、一番大事なもので一番これから考えなければならない、物を買う消費者の立場というものを、やはりこれは業者を立てていくためには、作る人も売る人も立てていくためには、やはり買う人とこれは一体にしなければならないのですよ。だから買う人の方をまた育成保護する、別な協同組合から買うとか、購買会から買うとか申しませんですよ、何でも一番いいところから買いたいというのが、買う一般のお客さんの心なんですから、だからその人たちの気持を汲む、あるいはそれを育てていくというふうな一つ措置をおとりになる意思を私は持ってほしいと思うのですが、おとりになる計画をお持ちいただきたいと思うのです。これは日本だけがそういう消費者の問題を教育したり指導したり、あるいはその声を大いに伸ばそうとするような措置をとらない。日本だけですね、私の少い勉強の何でございますけれども。もうそろそろ通産省もそういう問題をお考え下さるべきだと思いますが、いかがでございましょう。
  105. 大島秀一

    政府委員(大島秀一君) 答弁のしょうがないみたいな点もあるのでありますが、消費者を擁護するとかあるいはこれを育成するとかいうような要領は、なかなかこれは実際問題としてむずかしい問題だと思うのです、自由自在なんですから。ただなぜ小売商をある程度……。
  106. 奥むめお

    ○奥むめお君 その問題はもうこれでよろしゅうございます。その買い物をする方の利益を守るということですね、商業者も含めて、農協も含めて、すべての販売事業を含めて、生協も購買会も含めるし、農協も含めて、そういう観点から政策を進めていくという必要をお感じになりませんかというのです。
  107. 大島秀一

    政府委員(大島秀一君) 必要を感じないかと言われますと感じると思います。ただやはり小売商を健全にし生産者を健全に育成することが、やがてはやはり購買者が安いものを便利に買うことのでき得る結果となると思うのです、実際問題といたしまして。でありますので、今ここでどのようなことをして消費者を擁護したらよろしいかということにつきまして、まあ正直の話私は今のところ思いつきませんので、いずれかの機会に一つ奥先生からお教えを願って改善さしていただきたいと思います。
  108. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 二、三お尋ねいたしますが、衆議院からおいでになった小平先生と松平先生にお尋ねいたします。衆議院では、本法案は相当慎重に長い時間をかけられて御論議願って、私は全文を読ましていただきましたので、衆議院にしてはめずらしい、いつも法案ですとバナナのたたき売りみたいに上げるのだが、本法案衆議院にとってもめずらしいほど真剣にやったことについては深く感謝をするわけです。その内容等についてはもう十分わかりましたのでお尋ねいたしませんけれども、ただ御承知の通り、社会党から商業調整法案というのを出しておりまして、あなた方の方で本法案委員会にかかったときに、参考人を呼んでお尋ねしたはずです。その参考人の多数の者はやはり商業調整法案がよろしいというような参考意見もありました。私が各地を歩いたりあるいはこちらで、政府が今回出された小売商業特別措置法案と社会党の商業調整法案とどちらがよろしいか、という話をしたところが、それは社会党の商業調整法案の方がよろしいという人が、社会党とか自民党とか抜きにして非常に多かったわけです。しかし今回のこの案には、修正の場合に入れられておらないとは断言できぬでしょうけれども、社会党の商業調整法案が入っていない。そうしますると、世論はやはり相当商業調整法案に魅力を持ち支持していただいたのですが、どうして全然無視されたかということを私は非常に残念に思うわけです。従ってそういう点、これはまあ小委員会で御論議されたので、ここで御解明ができなければやむを得ませんけれども、もしできれば両先生からお尋ねをまずいたしたいというふうに考えます。
  109. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 衆議院段階での慎重な審議で大へんおほめのようなお言葉をちょうだいして恐縮でありますが、実は小委員会は大部分が懇談形式でやりましたので速記録に載っていない部分の方が実は多いのであります。しかしそれらの点は、松平君もいらっしゃいますから松平君等から詳細御報告があるだろうと思います。そこでこの商業調整法案との関連のお話でありますが、衆議院段階でも御指摘通り参考人に来ていただきまして意見を聞きました。その際のお話でありますが、今御指摘のように、まあ必ずしも全部の方が調整法案の方がよろしいと、こう言われたわけでもないのであります。ただ内容によって、あるいはお述べになる参考人の立場によってやはりそれぞれ御主張は違ったようであります。ただ概括的に申しますと、特にこの小売商の方々の意見等からいたしますならば、生協あるいは購買会の規制、こういう関係はむしろ政府案の方がよろしいと、これは小売商の立場からのことを今申しておるのでありますが、購買会ないしは生協関係政府案の方がよろしいと、それから市場の規制の問題は、どうも政府の原案というものはあまり回りくどい規制であって、また譲渡の場合等は抜けておりましたし、そういう関係でどうもこれは徹底を欠くということ。それからメーカーないしは卸売業者の小売兼業、これはまあ社会党の方は許可制になっておりまして、そういう点は確かにこれは調整法案の方がよろしいというような御意見が、小売商の側からはありました。これらを大体そういった御意見のようにわれわれは拝聴いたしたのでございますが、あるいはまた逆に、生協の側の方、あるいは消費者代表と称せらるる方々等は、もちろんこの生協の規制などにつきましては御異論もありましたし、それからそういう点では社会党案の方がよろしいと、こういう逆のお説があったことも、これも事実であります。しかし、それらのいろいろな説がありましたが、われわれとしましては、ここに松平君がいらっしゃいますが、社会党の諸君自民党諸君とが前後九回小委員会を開きまして、先ほど申します通り、大部分は懇談の形式によっておりますが、それらいろいろな御意見を十分参考にすることはもちろんのこと、さらに根本的には社会党の調整法案及び政府の特別措置法案、これらを基礎にしまして何とか両党で話し合いをいたして、また特に現在のこの情勢に照らしましてこの法案をこの国会でぜひ上げたい、特にまあ長くかかっている法案でもありますからして、両者の主張をできるだけ妥協、というと語弊があるかもわかりませんが、折衷と申しますか、いいところをお互い取りながら修正案を作ることに努力いたしたのでありまして、私どもとしましては社会党の調整法案のいいところも十分——十分とはあるいは言えないかもしれませんが、できるだけ取り入れたつもりでわれわれはいるわけなんであります。
  110. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) ただいま阿部委員の御質問に対しまして、若干私ども共同修正した一人といたしまして御説明を申し上げたいと存じます。まず、この両案を比べてどちらかということについてのただいま阿部委員のお話がありましたが、われわれといたしましては、小売商と他の小売行為を行なっている方々との間の調整をどういうふうにするかということに主眼点をおいて、われわれは法案を作ったわけであり、また今回の修正の方向といたしましても、そういうような方向に沿って修正をしろ、こういうふうに考えたのであります。ところで小売商は現在非常な過当競争が行われております。昭和二十三年以来の統計によりましても、大体三倍ぐらいに人口がふえてしまっておる、今や農村の潜在失業者というよりも、小売商の潜在失業者というものが非常にふえてしまったという現象があるわけであります。そこで約一千万人の家族を含めての小売商というものが、やはり日本の政治の対象といたしまして、これをどういうふうにしていけばいいかということのとりあえずの措置としては、何かはかとの圧迫といいますか、そういうものとの調整考える必要がある。その場合に上からの圧迫と横の圧迫ということがあるわけであります。私どもとしてはなるべくこの上からくる圧迫というものを、小売商段階においては防いでいかなきゃならぬじゃないか、こういうことに重きを置いておったわけでありますが、政府案は上からの圧迫というものに対しては、これを規制しないという原案であります。そこで強くメーカー並びに小売商、卸売業者等が乱売をやっております。たとえば薬屋のごときは非常な問屋の乱売で困っておるわけであります。大阪、東京でも神田付近がその中心地であるようでありますが、ある特定の業種により、ある特定の地域においてはかなりそういう現象が行われておるというようなことで、メーカー並びに卸売業者の小売への進出に対する規制ということを強く主張したのであります。ところが当時の小委員会等におきましての議論は、メーカー並びに卸売業者がどの程度、どの範囲で乱売行為を行なっておるのか、政府自体にも実際的確な資料がない。そこでどの業種をどの地域で政令によって許可制をしくかということに対しても、準備期関が必要である。そのためにはまず実態を調査しなければならない、実態を調査するには、とりあえずやはりこれらのメーカー並びに卸売業者の小売への進出という場合においては、特定の地域、特定の品目について届出制をして、そしてそれによって実態を把握することから考えていかなければならぬというような主張が、小委員会等において自民党の方々から繰り返して申されました。それでこの点においては、しからば実態を調査して将来は、やはり小売商が上からの圧迫を受けるという実態が著しいという場合においては、これを許可制をしくという含みを私どもとしては残しまして、第一段階としてこれは届出制をする、こういうことになったわけであります。  それからもう一つの点は政府原案十五条以下十八条までの、いわゆる紛争に関するあっせん、調停または勧告の手段でありますけれども、これはわれわれの考えとしては、商業調整法案にもありましたが、審議会制度というものを常設していく必要があるのみならず、審議会というものは、消費者の代表をも加えて消費者意見をここへやはり反映させる、そういういき方が必要ではなかろうか、こういう考えで審議会にはそれぞれの分野に応じまして委員を選定する。しかしそれはただ単に調停、あっせんというようなことだけではなくて、やはり意見具申をしていく必要があるのではなかろうか。ちょうどこの農業方面には農業委員会というような制度がありますし、労働関係には労働委員会というような制度もある。そこでそういうような意味も含めて、商業活動というものに対しては、それを適正化していく。しかもその場合には消費者にとっても適正化していくという機関を設ける必要があるということを、強く主張しておったわけであります。ところが政府原案にはそれがなかった。ところがこの審議会を設けると言っても、都道府県に主として設けるわけでありますから、都道府県に対しては予算的措置をしなければ設けられない。そこで自治庁長官の方の意見として、通産省が予算的措置があるならばいいけれども、さもなければそんなものは困るというような意見が自治庁からはあったやに、私どもは聞いているわけであります。実際また自治庁の方に来てもらいまして聞いても、そういう意見を申しているのであります。そこで政府自体としては、予算的関係でどうしてもそれはできないのだ、趣旨はわかる、こういうことでありましたので、この審議会の常設ということは、修正案の中から私どもはこれをおろしたわけでありますが、まあ衆議院段階では付帯決議ということを考えましたが、それを実際は別に意味がなかったのですが、付帯決議を付さなかった。しかし、ただし先ほど申したように、この審議会の設置ということは、通産省、政府自体も全然気のないことはない、予算がありさえすればやりたいという意見がありましたので実はそのままにしたと、こういういきさつがあったわけであります。なおそのほかの点はただいま小平委員が御説明申し上げた通りでありまして、以上若干補足を申し上げます。
  111. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 小平先生のお話を承わると、両方のいいところを使って一本にしたということですからこれにこしたことはないわけなんですが、しかしそれは小平先生の自画自讃と言ったら大へん失礼でしょうけれども、どうもそういうような気がなきにしもあらずで、どうもこれは小平先生が昨年も商工委員長をやっておられて、ここへ来て団体法であなたと大いに論争して、またきょうここであなたとやるのは本意じゃないのですが、しかし去年も団体法のときに、この法律さえでき上れば、日本国中の中小企業が助かるとまではあなたはおっしゃらなかったけれども、相当あなたは宣伝これ努めたはずですよ。しかしその三カ月もたたぬうちに、この法律はどうもさっぱり骨もないし肉もない、何とか条文を変えてくれという意見は聞いたけれども、この法律をもってありがたかったという人はあまりなかったような気がする。なぜならば一番一生けんめいになってやった時の通商産業政務次官の白浜さんにしたって、小笠公認さんにしたって皆落選してしまっている。これはいい例ですよ。従ってあれと同じで、今度のこの法案も最前豊田先生が仏作って魂入れずという例を引いておっしゃられたけれども、どうもそのような気がするのですね。この法律を作って、とにかく日本国中の小売業者が寄ってたかって、そうして集まってそこヘワクをはめて、そこへ小売業者よりまだ弱い消費者が、一人五十円出すか百円出すかは別として何がしかの株を買って、生活協同組合を作って、他から物を仕入れてきて皆で分け合って生活しようじゃないか、そういうところとけんかさせるという方式になっておって、松平先生のおっしゃったように、上からくる大メーカー、大製造業者、大企業の圧迫を押えようなんていうことは、どこにも書いてないでしょう。あったら参考のために承わりたいが、小売業者のほんとうに振興力を助けるということになれば、やはり上の方からくる縦の圧迫をどこで押えるかということが必要だと思う。単なるお互い十人なら十人で、一升ますに十人入れてお前一合ずつ販売せいということで、上からどんどん仕入れ先を、本家本元を押えなければ、これは問題にならぬ気がするのですが、それはどこかにありますか。
  112. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 御指摘の後段から御答弁申し上げますが、先ほどもちょっと申しましたが、製造業者あるいは卸売業者小売商の兼業の問題でありますが、これにつきましては松平君からも先ほどお話がございました。衆議院のこの小委員会での論議の際にも、この点は十分論議をされたのであります。ただこの兼業は許可制にする、こういうことで許可制にするという意味は、なるべく兼業はさせない方向での許可制という御意味だろうと思うのですが、ところがこの問題も初めから消費者の立場ということが非常に強調された御趣旨の御質問もございましたが、この兼業が消費者の立場からいけばむしろ好ましい場合も、これは御承知の通りございます。  それから兼業しているから必ずそこにトラブルがあるとも限りません。メーカー等がある意味においては、新製品等の宣伝等を目的として小売もやるという場合が御承知の通りあるわけです。そういうことは、むしろ小売商自体としてはできないようなことを、メーカーなり卸売がやるという場合もあるわけなんです。もちろん逆に、メーカーなり卸売業者なりが小売を兼ねることによって、小売業者を非常に圧迫する、こういう場合もございましょう。そういうことやら、あるいはこの地域的の関係等においても、これが一律にいい悪いとこう割り切って言いかねる場合もございます。そういういろいろの事情を勘案いたしまして、どうも直ちにこれを許可制に持っていくということはどうか。要するに兼業というものがいいか悪いかはどうも所と時期とによる、また商品によりこれもきわめて千差万別であります。そういう点から考えまして一挙に許可制にいくよりも、むしろそういう事態の実体をとらえるということの方が、むしろ今の段階としては適切ではなかろうか。もしそこに何らかのトラブルが起るならば、十五条によるあっせん、調停ということでケース・バイ・ケースに解決をいたしていく、これがむしろ実際問題として適当であろう、こういうところに、両党での話し合いの結果そこに結論がいきまして、このような修正に相なったわけでございます。  それから団体法のお話もございました。私は阿部先生御指摘通り、あの当時からむしろ団体法ができれば、中小企業がすぐにも繁盛でもするがごとく一部の人が宣伝したり、あるいは中小企業者自体がかように解釈しているやに考えられたことについて、それは違うということを私はむしろ率先して言っておつた一人なんでありまして、決して団体法ができればすぐ中小企業者がよくなるというようなことを私自身は決して申した覚えはないのであります。ただいうまでもなく、あれはいわゆる不況要件でも非常に厳しく縛られておりますので、ただ万一不況になった場合には、確かにこの団体法というものに一つの救いの場があるということは事実なんであります。この施行がだいぶおくれておるということは私どもは承知しております。これはわれわれも当局に向ってなるべく不況要件というものをゆるやかに判断をして、なるべく多く商工組合というものの設立を認めていく方針でやるべきだということを、たえず主張いたしておる私も一人なんであります。大体以上申した通りであります。
  113. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 小平、松平両先生には修正された点だけお尋ねすればいいわけですが、法案の中身にあまりいいところがないものですから、参議院に回ってくる前に修正されたのですから、もう少しうまく修正していただきたかったという私の欲望で申し上げたのですから、気にとめないでいただきたい。(笑声)  その次に大島政務次官にお尋ねいたしますが、これによりますると生活協同組合とか何かちょっと引っかかってきますね。生活協同組合は御承知の通りあなたの方でなく厚生省管轄ですね。何のためにあなたの方で横から手を入れてやらなければならぬか。あなたの方で知ったことじゃないわけでしょう。自分の方の領域を侵犯されるからそれで押える、こういうことですか。それならそのような御答弁をいただきたいのと、それからもう一つは、岸さんの政策の一環としてやるのでしょうが、厚生省は厚生省で独自に歩いてもよろしい、通商産業省は通商産業省でやるということにならぬと思います。従ってとにかく岸内閣のこの種の業者に対する方針として、一体将来この小売業者なんかどうするのか、それから生活協同組合のようなものはどうするのか。それから会社にそれぞれございますね、購買会。こういうものを将来どうするかというやはり一つの構想があろうかと思うのです。出たとこ勝負でぼつんぽつんと、こっちが出たからぽつん、こっちが出たからぽつんと、法律製造株式会社じゃないのだから、一つ政策に従ってやはり作っておられると思うので、そこらあたりの確たる、これはこれでよろしい、しからばこれに従ってどうすべきかという御方針を承わりたいと思います。
  114. 大島秀一

    政府委員(大島秀一君) 実は私しばらく休んでおりましたので、(笑声)間違った答弁をしてもまた大へん相済まぬと思いまするので、これは重要でありまするので、中小企業庁長官が参っておりまするので、これに答弁をさせていただきたいと思いますので、さよう御了承願いたいと思うのであります。
  115. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 消費生協の問題につきまして、通産省が横あいから云々というような御質問がございましたが、これはそういうことじゃございませんで、消費生協が組合員に対する各種の供給あるいは利用事業を行われる分には、これは通産省として云々ということを申し上げる筋合いではないと思っております。ただ員外利用の問題につきまして、いろいろと小売商の問題と摩擦が起るということになりますると、これは小売商関係のめんどうを見ておりますのは中小企業庁でございまするが、そういう点から両方の調整をはかろうというふうに法案の仕組みはできております。  なお、御質問がございしまた購買会あるいは消費生協その他の異質の小売行為を行う者について、どういうふうな指導方針をとるかという御質問でございます。これはまあいろいろ閣僚からお答えするのがほんとうだと思いますが、事務的にわれわれ考えておりますところを御参考までに申し上げますれば、購買会は、これは従業員に対しまする福利厚生事業として、いわば自然発生的にできておるものでございまして、現在法的規制は受けておりませんが、これが運用をつかさどるにつきましてはいろいろ問題もございまするので、できますればこれは職域の消費生協に切りかえることが好ましいかと思います。ただいろいろな関係で、端的に短日月のうちには、そういうふうななかなかむずかしい事情もございますれば、むしろ現在のように従業員、建物、あるいは運賃、金利等を会社側が負担するというふうなことで廉価販売されまするのは、これはあまり員外利用を誘発もいたしまするので、これはむしろ独立採算的に、その分だけはやはり商品の原価にかけて供給するというふうにできないものかと思っております。  それから消費生協の指導方針につきましては、これは厚生省の係官も来ておりまするが、まあわれわれの方からこの問題を眺めますれば、やはり健全な消費生協は、これはいろいろ利用者にとりまして便益の面もございまするから、その健全な発達をこいねがうものでございまするが、できますれば、小売商との摩擦があまり起らないような運営ができないものか、こういうふうに考えております。その一端を申し上げますれば、もちろん員外利用は、われわれとしましても特定の場合以外はこれは好ましくないと考えておりまするが、そのほかにたとえば現在行われておりまするような、廉価販売等がこれはやはり大体は市価にのっとって販売していただいて、その利益を組合員に還元するという本来の運用の姿に帰れないものか、あるいは店舗等の位置もできるだけ従業員の利用の中心地に置かれることが望ましいので、繁華街の中心等に置かれるケースも二、三あるようでございますが、これは一つ何とか今要望申し上げましたような地域にお願いできないかというように考えております。農協の問題につきましては先ほど申し上げました通りでございます。これは以上申し上げましたようなことは各種の問題に対しまする中小企業庁のこれは事務的な考え方でございまして、まあそれぞれ主管の官庁もございまするので、あるいは若干違った方法考えておるかもしれませんが、やはり何と申しましても先ほど来申し上げましたように、小売商と申しますのは一定の社会的機能も営みまするし、またそれに従っておりまする人口の数もおびただしい量でございまするし、いろいろと経済力の弱い社会層でございまするから、やはりほかとの不必要な摩擦は起らないように何とかお互いが協調してうまくいけないかと、こういうふうに考えておったわけでございます。
  116. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 長官から答弁いただきましたがね。そうすると同じ通商産業省内でも、各庁によって方針が違うのですか。たとえばあなたのところに、あなたが一長官であるからこれはやはりどうしても次官に答弁を求めなければならぬけれども、たとえば石炭局とかあるいは鉱山局とかあるね。こういうところはある現地々々へ行って仕事をするのに商店もなければ何もない。従ってそこで原価販売なり購買会を設けて、安いものを販売してやるからといって人を集めていくわけです。それをあなたのところの石炭局だってそういうことをやっているのだ。そういうことをやりなさいと、鉱山局だってしかりですよ、樋詰さんと福井さんと呼んで聞いてごらんなさい。あなたの方は小売商の方には許可するといってあれするし、片方の方ではそうでない。これは通産省一省でも一つのルートに乗った方針はないじゃないですか。それはでたらめきわまると僕は思うのですね。  もう一つ小売業者に影響があるといっても、一番影響は小売業者や購買会じゃなくて、とにかく日本の国は十四世帯に一戸の小売業者があり、また七所帯に一戸の商店と称するものがあるのですから、そういうものをどうするかという指導調整をやらぬで、枝葉末節のものを押えてそれが中小企業庁の仕事なんというのはこれは大間違いですよ。そう思いませんかね。それは枝葉末節の問題は第二の問題です。
  117. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 最初の問題、省内調整の問題につきましてはこれはわれわれも十分力を入れてやりたいと思います。各主管の、原局の局長もわれわれの意とするところを了としてもらおうと思っております。  それからあとの方の問題、これは御指摘あるまでもなく、われわれも日常頭を痛めておる問題でございますが、小売業のみならずサービス業の面におきましても、これはもう非常に過剰施設かつ過当競争をやっております。では一体これらのものをどういうふうに調整したらよいかということになりますると、これはもう基本的な人口問題、あるいは雇用政策等も関係いたします。またかりにある種の制約を考えましても、これまた現在の社会情勢あるいは制度等から、なかなか実現するすべがないだろうと思いますが、まあできますところはわれわれといたしましては、ある分野をきめまして、これにはこういうものは入るべからずということになりますと、なかなかむずかしいだろうと思っております。つまりたとえばこれ以上小売商の数をふやさないようにすべきかどうか、それについてはどうしたらいいかということがすぐ問題になるわけでございます。これもたとえば許可制にいたしまして、新規開業は特別のもの以外まかりならぬといたしましても、それでは一体あぶれたものはどうなるのだということになりますと、やはり隣りに飲食店を開くとかあるいは旅館を開くということになりましょうし、向うはもちろんもう過剰でありますので、そういうふうに垣根を作ってみましても結局は物事の解決にならぬかと思っております。いわば中小企業の内部の相互間のたらい回しになるようなことがございますので、これにつきましてはわれわれとしては実に頭を痛めておるわけであります。さりとてこういう方面の職業規制を行いますれば、これはまた失業者あるいは潜在失業者をふやすばかりになります。そこらあたりもう少し、どういうふうに言いますか、経済の規模拡大によってそういうものがある程度吸収できれば過剰人口の圧力もある程度減って参るだろう、こういうふうに考えております。はなはだきめ手のないだらしのないことかもしれませんが、現実は実はそういうふうにするしか、われわれとしましては手がないわけでございます。
  118. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 委員各位に申し上げておきますが、衆議院から見えておられるお二人の方は大体四時までという約束で御出席願っておりますので、その点を含んで一つ御質問を願いたいと思います。
  119. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 手がないと言われればもうそれは何をか言わんやで、もうそれならあなたにやめてもらう以外にないわけです。しかし手がないと言ってもあなたは中小企業庁におる限りはやってもらわなければならぬ。大体ここに紛争ということが書いてありますが、この紛争ということは枝葉末端の方で紛争が起きて、ほんとうにおさめなければならない大メーカーと小売業者との間に紛争は起りません。去年団体法が通ろうとしたときに団体法の十九条だったか二十九条だったか、組合交渉というのがあって、その組合交渉が国会を通ったら大へんだというので、お前のところが団体交渉するのだったら品物を売りませんとか、下売りをさせませんというような一札をとった大メーカーがたくさんおるのですよ。ですから今度紛争と言ったって末端のところの紛争だけで、ほんとうに上から押えようとする大企業でなければ紛争は絶対起らない。あくまでこれはワクの中に入ってごちゃごちゃやっているので、私の言わんとするところはたとえば百貨店法は底抜け法案だからやむを得ないとしても、方々デパートがたくさんありますよ。これは東京だけの例をとってみても、高円寺でもあるいは杉並に行ってもあるいは上富士に行っても、駕篭町に行っても、デパートが今度は何平方キロメートルということになったものだから、何々ストア、何々マーケットと言ってどんどん新設してその辺の中小企業をなで斬りにしているのですよ。これを長官整理せぬでこんな法律を作って中小企業を助けますというようなことは、僕はどうしても了解できないのですね。こういう点は何か講ずる方法はないのですか。大企業はどんどん繁殖していますよ。その辺の中小企業はなで斬りですよ。
  120. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 今お話がありました点は、これはいわゆるスーパー・マーケットのうちで大資本のものが行なっているもののお話かと思います。これは現在の百貨店法ではひっかかりませんので、この法律の先ほどお話のありました十五条のあっせん、調停によりましてその営業上の行為につきまして適切な措置を講じて参りたい、こう思っております。
  121. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 お二人の方がお帰りになるそうですから、実は御承知かもしれませんけれども、当田畑委員長の名あてで、農林水産の参議院の秋山さんという委員長さんから、十五条の第三号の規定の適用を除外するようにという要請文が来ているわけです。今ここでお二人に除くか除かんかという御質問はしませんけれども、こういうことが問題になったらどうかということ、これはもうお二人の個人的感覚になるのでしょうけれども、その御見解があればお伺いしておきたいと思います。
  122. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) ただいま御指摘の点は衆議院段階でも話がもちろん出ました。しかしてそれに対してわれわれがどういう考えをもってこのような一部修正と申しますか、要するに問題の取り扱い方を修正したわけですが、その点につきましては先日来本日も先ほど来詳しく御答弁を申し上げたところでありまして、これを全然除外するというよりも、公正な立場でとにかく紛争をあっせんなり調停なり、やはりしてもらう方が、むしろ紛争を長引かしてごたごたするよりよろしかろう、こういうわれわれは考えでやっております。
  123. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) その点は、私どもも衆議院段階で、農林委員の方からお話がありまして、そこでいろいろ考えてみたわけですが、まあ現在の段階においては非常に大きなトラブルというものはないのではなかろうか、実際問題として。ただリンゴのふり売りというようなことが局地的に起ります。それから農協については系統機関がありまして、大体市場にくるとか、あるいは組合にくるとかということで、小売への直接の進出というのはないのではないか。ただ、ふり売り程度はまあ局地的に、しかも時期的にトラブルが起る程度だから、その程度だったら現地解決ということで、都道府県知事が適当に勧告なり調停なりあっせんをするということでやる必要がある。ただ、しかし、その場合に問題を公正な立場で、やはりこの点については買う者の方の立場もありますので、流通秩序の適正化をはかるというような公正な立場で取り上げていくということで、その辺は納得してもらうというようなことでこのような修正になったわけであります。
  124. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、まあ衆議院段階においては農林部会の自社両党の方々は御了解しておると、こういうふうに認識してよろしゅうございますか。
  125. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) その通りであります。
  126. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) そうであります。
  127. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 わかりました。
  128. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は、もう時間がないそうでありますから、簡単に一、二点伺っておきたいと思います。  先ほど阿部委員からも意見として質問のときに述べられましたが、私はほんとうに中小企業振興ということを実効があるように考えるとすれば、こういう法律を幾つか作ることも、全然効力がないとは私は申しませんが、それよりも、もっとほかにやるべきことがあるのではないか。たとえばこの法案では小売商と生協であるとか、あるいはその他の団体との過当競争等を若干セーブしょうということが目的になっておりますが、今、中小商工業者がほんとうに悩んでおるのは、大資本を持って前進しておる大産業、あるいはそれの系列下にある企業と、資本力を持たない中小商工業との間に激甚な死活をかけての競争が行われておる。これを何とかするということが小売商業を守るほんとうの私は道ではないかと思います。そこでわが党は、しばしば産業分野の規制に関する何らかの法的措置を講じなければいけないのではないか。これをやらないというと、資本力の非常に脆弱な中小商工業はやっていかれなくなるのではないか。現にアメリカのようにどんどんと中小商工業が少くなってしまって、系列産業だけが大きくクローズ・アップされる、こういうことになるのではないかということをしばしば述べておるのでありますが、政府、あるいは本修正案を提出された衆議院の各党の方々におかれては、そういうことについてどういう御認識を持っておられるか、それを近く実現の運びにするような御努力をなさる御意思はないのか、そういう点についてお伺いいたします。
  129. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 御指摘のごとく、大資本が系列化によって小売商業を圧迫するというふうなことが将来相当あり得るだろうと思います。これに対する対策でございますが、このことにつきましてそういうふうな問題が起らないためにこの法律一つお出しいただきたい、こういうわけでございまして、必ずしもこの法律によってそれは万全を期せられるかといったら、そうは言えない。また考慮すべき点、またこの実施に当りましても、行政指導によってこれをやっていく点が多々あるだろうと思いますが、今の御指摘のようなことがないように、大資本に対して対抗し得るような方針をもって進んでいきたいと思っております。
  130. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 栗山先生の御指摘の点はごもっともとわれわれ考えるのであります。小売商の積極的な振興という見地からいたしますと、確かにこの法案内容は相当なまぬるいものがあると、われわれもさように実は考えております。もっと実体的な振興の施策というものがもちろん同時に行われなければなりませんし、特に御指摘の大企業との関係ということでございますが、それにつきましても、ここには、この法案から申しますと、単に紛争があった場合のあっせん、調停というだけ、さらにまた、そういう場合をある意味では予想して、一応兼業の届出制ということしかうたってないわけであります。ただもう、申し上げるまでもなく、小売商が何と申しましても消費者と直接つながっておる、こういう関係もありまして、小売商振興ということが、これは振興の仕方にもよりましょうが、それが場合によっては消費者に何と申しますか、高い品物を売るような結果になる場合も考えられますので、その辺の調整ということはなかなかむずかしかろうと思います。要するに国民経済全体として考えまして、はなはだ抽象的でありますが、メーカーメーカーとして、あるいは卸商は卸商、小売商小売商として、また生協なり購買会なり、そういった存在は、それぞれにやはり使命があるわけですから、それぞれのやはり所を得て適正に経済全体が振興されるように指導して参るということが一番肝要じゃないかと、私は個人的に考えておるわけであります。
  131. 松平忠久

    衆議院議員(松平忠久君) ただいまの栗山さんの御質問でありますが、若干個人的の見解ということにもなるわけですが、実はこの法案の審議並びに修正案の作成過程に当りましても、当初から問題になっておったのは、この法案自体は小売商振興というようなことは何もないのだ。ところがやはり大企業の圧迫ということになりますと、それに対して、はねのけていくだけの組織力と申しますか、力というものを持たせなければならぬじゃないか。こういうことが議論の的の一つになったわけであります。そこで実は中小企業安定審議会の答申案を拝見いたしますと、中小企業の助成法というものを作ってくれという意見が出ておるわけであります。私どももやはりこの大企業に対抗するがためには、ただ単にそれを防いでいくということ、しかもそれも非常になまぬるいような防ぎ方ではなくて、小売商なら小売商段階におきましても一つの組織力と、それに対する金融、財政的な措置というものを講じて、それによって対抗していく、こういう助成的な措置というものがとられなければならないのじゃないか。その一端を審議会が実は答申をいたしておるわけであります。従ってこの法案と同時に、同時並行的に助成的な措置というものをとっていかなければならない。そういう必要のあることを私どもも痛感をいたして、この審議の当初からそれらも議題として質疑応答というものがあったわけであります。まあ、われわれの立場からいたしましても、小売商の団体の方々とよく話し合いをいたしまして、そうして団体からも、一体ただ単に外部からの圧迫を防ぐというようなことだけに終始するのではなくて、自分たち自身が消費者の立場も考えて、どうしたならば自分たちの立場をよくし、守っていけるかということを、みずから発案もし、そうしてそれを法制化していくような考え方を持たなければならぬのじゃないかということで、小売商団体の諸君とも話をしておるわけであります。  この法案自体にいたしましても、実は三十二年の二月に社会党は提案をいたしました。政府案の提案は五月になっております。そういうところから見まして、私どもも私どもの立場におきまして、これと相呼応するような助成的と申しますか、さらに積極的な活動ができるような助成政策を織り込んだものを次には出していかなければならないのじゃないかと、かように感じております。
  132. 栗山良夫

    栗山良夫君 それから法案内容について一点伺いますが、第五条ですか、新らしく第三条ですか、七ページのところに、都道府県知事は小売市場の許可に関する処分をするときには市長に協議をしなければならないということが新らしく修正されております。この「協議」という意味はどういう工合にわれわれは理解したらよろしいのか、これをちょっと立案者の方へお尋ねをいたしておきたいと思います。
  133. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) この点は先般もちょっとお答えしたのでありましたが、政府原案は、御承知の通り、単に都道府県知事が許可をするということになっておりましたが、だんだん調べてみますというと、建築関係であるとか、あるいは衛生関係であるとか、そういうものの行政は大体、特に五大市等においては市長がこれをやっている。こういう関係もございまして、そういう関係等から考えましても、市長を素通りにして、単に知事だけが許可権を持っているということは、従来のそういった取扱いの仕方から不適当であろうと、特に市場の開設等は市民の生活にも大きな影響があるわけでありますから、市長の意向というものも十分これはそんたくをすべきである。そこで文字の上ではここに「協議」ということになっております。「協議」と書いてあるから単に協議するだけでよいものか、同意がなかったならばどうするのだというような御指摘もございました。われわれの気持といたしましては、協議というのは何も一回限りに限ったこともございません。相なるべくならば、市長の積極的な同意なり、あるいは時には消極的なこともあるかもしれませんが、いずれにいたしましても、市長の実質的には同意を得る程度にまでよくお話をして、また同意に近い程度で円満に許可を知事がするようにわれわれとしては希望いたしておるわけでございます。
  134. 栗山良夫

    栗山良夫君 その協議即同意を希望すると言われるのですがね。それはきわめて調子のいいときの結果であって、大体こういううたい方をしなければならないということは、現実になかなかその協議即同意に至らないような場合があるのではないか、そういう想定も若干あるわけですね。従ってこういう協議規定というものは、これは大ていの場合には協議がととのわないときにはどうするということが入っているのが通例でしてね。それが入っていないというと、ほんとうの効果は上らないわけですな、実際問題として。気安めにすぎないと思うのです。協議して、ととのわないときは知事専管にするということになれば、これはもううたい文句ですよ。そこで、この点は法案を今この段階に至ってさらにどうするというわけにもいかないいろいろな事情もわれわれ承知はしておりますが、やはり立案者の気持としては、協議がととのわなかったときにはどうすると、ととのわなかったときですよ、同意に達したときは問題ありません。ととのわなかったときは、普通の行政処分のやり方とすれば、所管大臣の裁定を仰ぐとか、いろいろなやり方がありましょう。そういうようなことまでも考えておかなければいけないのではないかと思います。これは立案者にも重ねて伺いますが、特にこの法案が成立したときの行政の責任者である政府側の答弁もはっきり伺っておきたい。
  135. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) この点も先般ちょっと申し上げたんでございましたが、かりに協議がととのわないという場合が起りましたならば、法文上はその際どうせよということはうたっておりませんが、この法律全体の主管大臣は言うまでもなく通産大臣でありますから、都道府県知事におきましては、特に設置個所の市長が同意せぬという場合でありますからして、それもかまわずに、ただ単に知事だけの一存でやってしまうというようなことでなくして、主管大臣たる通産大臣に、事実問題といたしましては内面的な指図を仰ぐと申しますか、少くとも通産大臣に指示を内々仰いだ上で、一つ公正な処置をとるというふうにわれわれとしては取り計らっていただきたいと考えております。
  136. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) この条項によりまする都道府県知事の権限といいますのは、これは法律的に申しますと、実は都道府県知事にいわば国の機関として委任した事務であります。本来国の事務を都道府県知事に委任した、都道府県固有の事務ではないというふうな法律上の解釈でございまするので、お話ございましたような場合におきましては、やはり通産大臣の指示を仰ぐというふうなことにしたいと思います。実はあとの方の規定によりますると、異議の申し立てもできるようになっておりますけれども、処分したあとで市から異議を申し立てることは、はなはだまずいことでございますから、事前にどうしても市との話がつかなければ、通産大臣の方に指示を仰ぐというふうな実際上の指導をしたいというふうに考えております。
  137. 栗山良夫

    栗山良夫君 それで解釈上というか、当面上実施に移しても、どうにかこうにか運用できるような気がするのですが、その点はやはり運用に当られる政府側の、これははっきりした腹がそういうふうにきまっていませんと、いたずらに混乱を招くと思います。その点は、ただいまの御答弁をしかと胸において運用されるように、切に希望しておきます。
  138. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 時間がありませんから、私一点だけ岩武長官にお尋ねしたいと思います。  しばしば本委員会なり、本会議のかつての岸総理の施政演説のときの私は質問の中にも申し上げていたのであります。この種の中小企業対策法案という問題を、われわれがしさいに検討いたしていますというと、何かこう統制がさらにまた統制を生むというような傾向が最近非常に多いのであります。先ほど阿部委員から指摘をいたしました団体法自体におきましてもそうなんでありますが、団体法をわれわれは万能薬とは思っておりませんが、当時の政府の少くとも一部の答弁におきましては、これを万能薬というような答弁が間々あったわけであります。しかるにもかかわらず、本日採決を見ました軽機械の問題であるとか、あるいは輸取の問題であるとかいうように、統制味を持った法案というものが非常に多く次から次に出てくるのであります。これらの問題は、いずれ時期を改めまして、通産行政の中小企業対策案といたしまして根本的にわれわれは検討いたしたいと思うのでありますが、本案に関連をいたしましてさらにお尋ねをいたしたいのは、私どもは、団体法案を出すときに岸総理にも申し上げたのでありますが、日本では中小企業と一般に言っておりますが、かつては中小企業という言葉は言わなかった。戦前ですらも、中商工業者と小商工業者と言って、明らかにこれを分解いたして対策を立てていたわけであります。ことに、東京都の小売商業に対する対策等は、そういう一つの重要なデータを中心にいたしまして対策を購じてきていたわけであります。そういう意味からいって、私どもは、たしか三十二年度か三十一年度と記憶いたしておりますが、四千万円の中小企業の実態調査費というものが計上されていた。その調査を終ってからでもこの団体法案を出すのにおそくはないじゃないかということを岸総理並びに本委員会でもしばしば申し上げ、また川上長官にもその発表をいつごろできるかということを聞いたのでありますが、それはいついつという言明はしておりますけれども、いまだに本委員会にその資料というものが提案されたことはないのであります。あるいは長官はまだ就任早々でありますので、これも私は長官に私的に申し上げたと思うのでありますが、この小売商業対策法案なども、そういう意味でそういったデータというものを基本にいたしてこれが法案を練られるというと、私は相当な満足のいくものができるのじゃないかと、こう考えておるのでありますが、事ここに至ってこの問題をとかく言うのではありませんが、中小企業調査という問題は一体どうなっておるのか、あるいはまた、いつごろ完成をするものであるのかということを、私、一点、この法案に関連をしてお尋ねいたしたい。
  139. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) お尋ねございました中小企業基本調査のことでございますが、これは去る三十二年の十二月末日現在をもって調査を行いました。その調査のやり方から内容調査表の設計等につきましては、中小企業専門の統計の方々の御配慮を得まして、かなり精密な設計をいたしたのであります。その結果は、かなり複雑な調査でございまするので、調査表の不備を再調査いたしまして補ったり、あるいはいろいろな集計上のやりくりを講じまして、去る二月の何日でございましたか、あるいは三月の上旬でございましたか、第一回分の繊維工業の分を公刊いたしました。国会の商工委員の方々にお配りするようにと私指令をいたしておきましたが、あるいはまとまりましてからお配りいたすことになっておりますか。自来、現在までに四冊できておりまして、全部完結は八冊の予定でございます。この五月の下旬までには大体完結するかと思っております。かなり中小企業対策上参考となる結果を示しておるのであります。われわれといたしましても、この結果を十分に分析、利用いたしたいと考えております。なお、これは、御案内のように、中小工業関係調査でございます。商業につきましては、今年度、これは金額が少うございますが、若干の予算も得ましたので、引き続きまして卸売並びに小売業、特に小売業に重点を置きまして一部の基本調査を実施いたしたいと、このように考えております。
  140. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 さいぜんに引き続いてお尋ねいたしますが、衆議院の修正で生活協同組合と購買会に対する規制が若干変っておりまするけれども、これは高碕通産大臣にお尋ねいたしますが、実は生活協同組合は、御承知の通り、一般生協と職場の生活協同組合と両方ございまして、職場の生活協同組合のほとんどの職場は、通商産業大臣管下の鉱山でありあるいは大工場だと思うんです。そうしたら、そういう施設があることによって賃金ベースが安いということも、これはまた御承知の通りなんですね。そうすると、これがだんだん規制されて、運用の妙をいかに発揮してもだめだということになった場合には、当然その賃金を上げてもらわなければ労働者は生活できないということに相なるわけです、堂々めぐりで。そういうことになったら、これはどういうことに相なりますかね、通産大臣。
  141. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 生活協同組合は協同組合自体として立っていくべき方針をもって進んでいかなきゃならぬ。これは初めからきまったことでありまして、それはほかの小売商を圧迫するということになれば困るわけですから、これは今度取り締らなきゃならぬと存じておりますが、元来はやっぱり生活協同組合自身は協同組合自身の仕事によって立っていく、この方針で進んでいくべきものが本来の使命であります。
  142. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それは大臣のおっしゃる通りですが、そう端的に言ってしまったら、もう実も花もないんですね。大臣は現場の実態を知らぬから、そういうまるで算術のようなことで、二に二を足して四になるというお答えしか出てこないけれども、会社の購買会でも、工場を建てる場合に、その辺に商店も何もない、日用品も生活必需品も手に入れることができないから、仕方がない会社下購買会を作って従業員に配給してやる。生活協同組合にしろ、五十円か百円かあるいは五百円の金を出して、職場の人が賃金ベースが安いから、皆でお金を出し合って品物を仕入れて、そこの軒先でも借りて、お互いに供給し合って安いものを買って生活をしようじゃないかというのがたくさんあるんですよ。しかし、そこに、必ず、その組合員でなくても、組夫もおれば臨時夫もおる。二月や三月で、生活協同組合、購買会の会員でもない。この法律でいくと、びしびしやればそういうやつは全部おさえることができることになっておる。びしびしと法に照らして仮借なくやれば。ここに厚生省のどなたかお見えになっておるそうですが、そういうことにして全然影響はないかどうか、お見えになっておればお尋ねをしたいわけですがね。大臣のおっしゃる通りいけばこれは簡単ですけれども、この法律を見るとそう簡単にいかない。
  143. 中村一成

    説明員(中村一成君) ただいまの御質問の御趣旨は、今回の法律改正によりまして生協の組合員が影響を受けるかどうかという問題であろうかと思います。今回の法律改正の目的といたしますことは、これは生活協同組合の員外利用の問題でございますので、現在、員外利用を原則として禁じておりますところの消費生活協同組合が、大体通常の場合におきましてこの法案によりまして特に影響を受けることはなかろうと思います。
  144. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 員外利用の適用を受けるといったって、そこの現場に生活協同組合なり講買会なりしかなければ、そこで買わなければ三里も遠くへ行って買うのですか。
  145. 中村一成

    説明員(中村一成君) お質問の趣旨をあるいは取り違えたかと思いますが、そういう生協の供給事業を行いますところの近所におるところの組合員以外の者はどうなるかという御質問。先ほどお話し申しましたように、そういうような場合におきましては、これはその付近に小売商業を営むところの店がない場合が大部分であろうかと思います。そういう場合におきましては、行政庁の認可によりまして員外利用を許可することができるように指導いたしておりますので、大体の場合におきまして許可を得られまして、そうしてそういう方々が正式に利用を認められる、こういうことになろうかと思います。
  146. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、そういう特殊な場所は員外利用の許可を必要だというのですね、その許可は厚生省でやられるというわけですか。
  147. 中村一成

    説明員(中村一成君) 消費生活協同組合法の第十二条第三項ただし書きの規定によって行政庁がいたしますが、都道府県知事でございます。
  148. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますると、三条、四条はこういうように書いてあるけれども、現実に即して今おっしゃったようなことでやるのであるから、そういう点は心配無用だと、こういう結論になりますね。
  149. 中村一成

    説明員(中村一成君) ただいま御説明のような場合におきましては、組合員以外の方も御不便はないかと考えます。
  150. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますとあれですね。そういう点は中小企業庁の方でも十分理解しておるわけですね。
  151. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 法律案にございまするように、小売商業者があまりおらないようなところは、山間僻地等におきましては、員外利用を許可していくのが適当だと思っております。
  152. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 距離の問題はどうなるか。その隣りが生活協同組合であって、向うまで行かなければならぬとか、そういうのは大体あれですね、判断によってやってもよろしい、こういうことになって、距離とか何かその他はそういうことですか。
  153. 中村一成

    説明員(中村一成君) さようでございます。
  154. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その次に、さいぜん長官にお尋ねしたのですが、今まで全くそうではないということで終ったわけですが、大臣、将来こういう生活協同組合とか、この購買会ですね、こういうのもまだまだ問題になってくるかもわからぬ。しかしこういうのはやはり従業員の福祉、厚生施設の一環であったり、低賃金の額によって生活しておる勤労者が、やはり集団的に物を仕入れて、そうしてやはり安い物品によって生活しようとするのを、これはもう小売商業のとにかく保護法にひっかかるぞとか、また小売商がつぶれるとかいって、そういう安い賃金のその一般消費者がそういう行為をとろうとするときに問題が起きてきたらこれは困る。従って、将来どうするかという大臣の方針を一つ承わっておきたいと思うのです。
  155. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 組合員が、かりにそこに小売商があっても、組合員の利益のために組合員が組合を結成するという場合は、これは当然認むべきものだと思います。
  156. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その組合員でない場合でも、たとえば深川ならば深川において、十軒ならば十軒の人が千円ずつ金を出して、一万円の元金で生活協同組合を——まあ千円ではできませんでしょうが、千円なら千円ずつ出して十軒で一万円にして生活協同組合を作って、そうしてお互いに安いものを分け合う、分ち合う。しかしそこに一人か二人金がなくて、千円の株を持って仲間に入れぬという貧しい人がおれば、これは当然厚生省としてそこに入ってやりなさいといって指導すると思うのです。ところが、あなたの方は商売だから、そういうことをやったら小売商がつぶれてしまうという議論にならぬとも限らぬのですね。そういうことになるでしょう。厚生省の方は貧乏人を助けるのだから、岸さんが三悪追放だといって大いに叫んでいるのですから、岸さんの方針に従って、貧乏人は貧乏人同士力を合せてやるというのは賛成だけれども、あなたの方は商売人をかかえておるから、中小企業小売商店は大企業とけんかできないから、その辺におる弱い者とけんかするわけです。そのときにあなたたちはどういう態度をとるのですか。
  157. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 今御指摘のような場合等におきましては、やはり組合員になっていただきたいと思います。ただ、いろいろ一ぺんに組合の出資を払えないと、いろんな問題がございましょうから、これはやはり、たとえばそれを貸してやるとか、分割払いを認めるとかいうことで、できるだけ組合を利用されるということであれば組合員になってもらいたいというふうに考えております。
  158. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 もちろん、それは理想であるし、そうあらねばならぬということは理解ができる。しかし、現実問題として、こういうことをやられる人は金を持っている人はやらないのですから、そういうところにやはり生活の指導として、政府はどう考えておるかということをお尋ねしておるわけですよ。厚生省、どうですか。
  159. 中村一成

    説明員(中村一成君) 厚生省といたしましては、消費生活協同組合というのが国民生活の向上のために役立つものだという考えのもとに指導いたしております。従って、できるだけ多数の国民の方がこれに入ってもらうように指導いたしておりますので、従って、出資金が、今おっしゃいましたように非常に高くて入れないといったようなことのないように指導いたしております。従って、大体普通の場合におきまして、出資金のために組合に加入できないというケースは非常に少いのではないかと、こういうふうに考えております。
  160. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 だけど、そういうことが望ましいことであるけれども、必ずしもそうでない場合も百のうちに十か十五か生じてきた場合には、あなた方の方では寛大な処置をおとりになり、そうして、やはりそれを上手に御指導願えるかどうかということをお尋ねしているわけですよ。単にこの法律をもって、これは金を取るのですか何ですかわかりませんけれども、この法の適用を受けてしばしばやるということなしに、厚生省の方では御指導なさるのかどうかということをお尋ねしているわけです。
  161. 中村一成

    説明員(中村一成君) どうしても出資金が払えない方々の員外利用の問題につきましては、きわめて数も少いということでございましょうし、おそらく現実の場におきまして、組合利用につきまして小売商と問題が起るというようなことはないのじゃないだろうかと、こういうふうに考えております。
  162. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その次にお尋ねいたしますが、本法成立に当って、これは法制局でだいぶ、これは生活協同組合の方ではない、市場の方ですが、問題があったと、これは厚生省側のおいでになっている人は局長さんか課長さんかわからぬけれども、からだを見ると大物ですから局長さんかもしれませんが、(笑声)とにかく御答弁しにくいかしらぬけれども、厚生省の意見も聞かぬで一方的に、とにかく通商産業省は押し切ったというやに僕は仄聞しておるのですが、そのあたりの点はどうですか。
  163. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 立案過程におきましては、これは私の前任者の時代及び私の時代を通じまして、厚生省の事務当局としましてはいろいろ御意見があったわけです。これはまた事務当局としては当然なことだと思っておりますが、いろいろお話しし合いました結果、大体におきまして御了解を得まして、この法律案は厚生大臣並びに通産大臣の共同の閣議請議でございます。最終的には意見は一致しております。別段無理に押し切ったとかなんとかいうことじゃございません。
  164. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 法制局どうなんだ。法制局の問題があったでしょう。法制局との関連もお尋ねしたはずです。
  165. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 法制局でこまかい点につきましてどういう点があったのか、私詳細なことを承知しておりませんので、今ちょっと御答弁できませんが、いろいろ法律の技術的な問題におきましては、法制局の事務当局にも若干の御意見はあったかと思いますけれども、これはまあいろいろ両方で歩み寄りました結果、ここで意見が一致したわけでございます。
  166. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと岩武さん、結論としてですね、去年団体法が提案されたときに、あなたは重工業局長だったからよく記憶ないかもしれませんけれども、団体法が国会に出たときに、さいぜんも若干小平先生と話し合ったのですが、団体法ができれば、これは中小企業は救われるという意見と、これはだめだという意見と二つに分れて相当激しい論戦をやったわけです。しかし結果は、両方の主張がさっぱり当らぬで、あれ、あまり日の目を見るような法律になっておらぬ。この小売商業特別措置法も、僕らあまり法的に詳しくないものですから、これを見られると、市場の問題やら、生協やら、あるいはまた購買会やら、これは困ったことじゃということになるわけですけれども、あなたの御答弁を聞いてみると、まずまず大体現行通りでそう大して心配したものではないと、こう理解してもいいわけですね。
  167. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 現行通りということでございますと、ちょっと立法意味がないわけでございますが、いろいろな小売商業者のこの問題についての歩み寄り、調整考えておるというのがこの法案でございます。このいろいろな問題点につきまして立法技術上の問題、あるいは衆議院におきまする御意見等もございまして、かなり内容は当初の原案よりも変っております。われわれとしましては、この修正案によりまして、大体今起っておりまするおもな問題につきまして一応これをさばき、なだめて参る手当ができておる、手がかりがある、こういう考えでございます。  先ほど来、松平委員がおっしゃいましたように、これは積極的に小売商業の振興をはかる法案ではございませんが、いわば消極的と申しまするか、受動的と申しまするか、外からの圧迫に対してその間の調整をはかって参るという点におきまして、そういう調整の手がかりを与えるもの、こういうふうに考えております。
  168. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 私の言ったのはそうでなくして、なるほど、建物をどうするとか、屋根をどうする、柱をどうするという、建設委員会に出るような法律ですが、そういう個所でなくして、今いろいろとお尋ねした疑義あった点は一々解明していただいたわけですが、それを承わっていると、そういうお尋ねした点については、今までとそう大した変りがなくて、そう心配したものでなかろうというように理解してもよろしいでしょうか、こういうことです。
  169. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) まあその点は、いろいろこれに対しまする評価の問題がございますので、御意見のようなこともあるかと思っております。私たち事務当局としましては、先ほど来申しましたように、この法案によりまして、ある程度、まあ現状でどうにも手のつかない問題があるはずでございます。それに対してこういう方法で、こういう角度で物事を解決して参るという手がかりができておるのであります。たとえて申しますと、あまりいい例でないかと思いますが、大阪の南の方で問屋とおぼしきものが非常に派手な乱売をやりまして、かなり大阪府庁でも問題にしておりました。何とかいい手がかりはないかと言っておりましたけれども、いかんせん、この法案がないと、府庁としましても自分の権限として乗り出して調整する方法がないということでございました。まあ、しばらく、この法案ができるまで待ってくれというふうに申したことがございます。現状に対してある程度打開の解決の手がかりを与えてやる、こういうふうに一つ御了解願いたいと思います。
  170. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 他に御質疑はございませんか。——ないようでございますから、質疑を終局し、討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、付帯決議案討論中でお述べを願います。
  171. 小幡治和

    ○小幡治和君 私は、自民党を代表いたしまして、本法案賛成いたすものであります。  本委員会においてずいぶん詳細に論議が尽されましたごとく、この小売商の問題につきましては、団体法が審議のときからずっと今日まで相当衆議院においても、また参議院においても論議されたところであります。何と言いましても、日本の今日の小売商の現状というものは、人口が多い、そこへもってきてほかの産業はそれぞれ合理化されていく。農村は農地改革によって二、三男対策というものも処置し切れない状態にある。そういうような面で、すべての人口というものが小売商にしわ寄せされてきておる。それで日本における小売商の数というものは実に膨大な数に上ってきておりまして、今日全く共食いの状況にあります。この小売商というものをどうして救っていくかということは非常に重大な問題であります。  その反面において、各団体、会社、いろいろな方面においては購買会の思想がだんだんびまんして非常に多くなる。あるいは生活協同組合がどんどん結成されていく、あるいは百貨店はどんどんその資本をもって進出してくるというふうな状況下におきまして、小売商はますます窮地に入ってきておりますので、何とかこれを安定せしめていかなくちゃならぬということは、朝野ひとしく考慮いたしておったわけであります。  今回のこの法案を見てみますると、しからば、この法案によって小売商がほんとうに安定されていくかというと、私はこの法案は、小売商の人たちから見て非常に物足りないという気持が相当強いと思います。しかしまた反面、消費者といたしましては、安い、いいものがどんどん買えるならばけっこうなんでありまして、今日のほんとうに中流以下の消費者の人たちは、安いものでいいものをということに血眼になっておる今日の現状でありまして、そういう面から見ますると、この小売商消費者との間をどう調整いたしていくかということは、これは政府においても非常に重要な問題になってくることでありますし、また、これからはなかなか、これは一つの社会問題としても相当考究しなけりゃならぬ重要な問題だと思っております。今この法案で一挙にそれが解決するとは思いませんけれども、しかしこの法案によって、とにかく一歩前進し得ることは確かであるというふうに存ずる次第であります。  その間いろいろ本委員会における論議もありましたが、とにかく中小商業者の安定を目ざして一歩前進するという意味において、私はこの法案賛成いたす次第であります。しかしその運用に当りましては、先ほど申し上げました通り非常にむずかしい問題でありまして、法案内容を見ましても、すべてが運用にかかってきているというわけで、ただ、言うはやすく行うはかたしで、非常にこの法案の施行の面においてむずかしい問題が、知事の面においても政府の面においても出てくると思いますが、それらの点につきましては、本委員会の各委員からいろいろ注意がありました通り、慎重に政府においてお考え願いたいと思います。  ただ一つ私は付帯決議をつけたいと思うのでありますが、その点は、要するに本委員会で相当論議もありました通り、農協及び水産及び林業、そういう協同組合の本来の性質にかんがみまして、この法律に基く第十五条の知事の調停、あっせんというふうな問題が、今までは無難にいっておったにもかかわらず、この法律ができたために何かそこに紛争を誘発して、そうして不当にいろいろ農協がやっていることについて紛擾の種がかえって酬醸されてくるというふうなことでは、せっかく健全に発達してきた、またこれからも健全に発達さしていかなければならない農協等の前途にも悪影響を及ぼしますので、そういう点について慎重に一つ政府において配慮していただきたい。単に私は、農協は絶対のものだ、だから農協がいかなることをやろうとも、これは全然この法律の外なんだということまでは申し上げませんけれども、農協及び農協等のそういう健全なる発達に対して、ただ小売商としての利害関係というだけで、一々その法律によって文句を食うというふうなことであっては、農協等の健全な発達もできないという意味において、私は付帯決議をつけたいと思います。付帯決議を朗読いたします。    小売商業特別措置法案に対する付帯決議案   政府本法を施行するに当り、農林水産業協同組合及び同連合会の販売事業に対し、従来通りこれが育成の基本的方針を堅持するとともに、その事業本法によって制約を受けることなきよう慎重に配慮し以つてその健全なる発達を図るべきである。  この付帯決議の趣旨は、今申し上げましたような趣旨であります。私は自民党を代表いたしまして、本法案賛成し、あわせてこの付帯決議を皆さんの御考慮に基いて御決議あらんことを心からお願い申し上げまして、私の賛成討論を終ります。
  172. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は、ただいま案件になっておりまする小売商業特別措置法案並びにただいま小幡君から提出をされました付帯決議案賛成をいたしたいと思います。  先ほどから討論をやってくれというので、私断っておったのでありますが、どうも本気で討論する気にはならないのです。なぜかと申しますと、私、日ごろ国会の外でいろいろ中小商工業者の方の経営問題等について相談を受けておりますが、今日の中小商工業の実態は、二十万円、三十万円の運転資金にすら困って、高利貸しからの高金利の金融を受け、そして働けど働けど、なおしまいには運転資金すらも食い込んでいく、そういう実情が非常に多いのであります。私みずから国民金融公庫等へ足を運んで金融のお願いをするのでありますが、何しろ帳簿一つ備えるにしても、あまりにも自家労働を一二%も一五〇%も使い果して、そこまで経営の勉強をする余裕がないというのが実態であります。従いまして、そういうわが国中小企業、特に小企業、零細企業等の振興を口にする場合には、政治が責任を持つわけでありまするから、少くとも国会で法的措置を講じたときには、それが直ちに効果を現わして、そしてそれらの人々を振興させるということでなければ、私は勇気を持って討論する気持にはなれないのであります。  今まで中小企業に関するいろいろな税制の問題であるとか、金融の問題であるとか、あるいはまたこういう工合に具体的な組織化の問題であるとか、いろいろな法案が出ましたが、いずれも靴下の上からかくようなものでありまして、どれもこれも中小企業諸君が、なるほどありがたい法律であったというので心底から喜んでくれるような法律はあまりなかったと思います。なぜそういうような状態になっておるかと申しますというと、わが国産業経済構造の中における中小企業の立場といい、中小企業の力というものは、そういう一片の切り売り的な法律の集積では問題を解決することができないような深刻な根本的な問題があるということであります。従って、そういう根本的な問題を取り上げてこれを政治的に解決するという大きな柱があって、そしてその応急の措置としてこういうものをやられるということであるならば、また考え方も別にございます。ところが、ぬか喜びをさせるような、そういう意味法案というものについては、やはり政治に信頼を求めていく上においても心していかなければならぬと私は思うのであります。  先ほどちょっと質疑応答のときに申し上げましたが、今日わが国産業界はだんだんと戦前の状態に復帰しつつあります。巨大独占資本がずっと末端の組織にまで系列化を強化し、そしてどんどん戦前の状態に復しつつあるのであります。しかも戦争前の日本わが国の人口が六千万、七千万といった時代と違いまして、すでに一億になろうとしておりますから、従って必然的に徹底的な産業合理化の上に立つ大資本の職場というものが狭められておりまするから、結局産業の二重構造の底にある中小企業に多くの者が生活を求めて走っておるわけでありますから、従って何らかの手を打たない限りはますます過当競争は激しくなり、そして最底線の生活をここで守るということにならざるを得ないと思います。  私は、さような意味でありますから、どうか通商産業大臣も外へ出かけられまして、いろいろと政治的なPRをなさると思いますが、事、中小企業に関する限りは、あなたが通商産業省の役所の組織を変えて、中小企業庁を今の通商産業省の半分くらいの大きさにされるくらいのお気持があればおっしゃってもよろしいと思いますが、こういう法案ができたら中小商工業は救えるんだと、そういう意味の宣伝はぜひとも慎んでいただきたい、こう私は切に望んでやみません。どうかなるべく早い機会にそういう中小企業の本質に触れた問題を分析せられ、それに結論づけて、与党として責任を持って国会に問われるような機会がくることを切望してやまぬ次第であります。  特に、これはよけいなことでありますが、私はただいま付帯決議案として出されておりまする農林水産の関係について大へん憂慮をいたしておりますので、これはしろうとである私が口を開きますことは大へん僭越でありますけれども、しろうとの勘もまた当らぬわけではありませんのでお聞き及びを願いたいと思います。  私は全国をずっと回っておりますと、日本の農業が非常におくれておりますることは申すまでもありませんが、その一つの副業的な、しかも現金収入を得る一つ方法として柑橘類の栽培が全国的に今行われております。苗の植えつけを見ますると、どこもここもすばらしいのであります。もし今植えられつつある苗が無計画に植えられ、数年たって花が咲き、実るときになりましたときは、ミカンといわず、リンゴといわず、ナシといわず、桃といわず、すべてのものが供給過剰になる。そして投げ売りをしなければとうてい消費しきれない時代がくるのではないかということを私は考えておるのであります。従って、農林水産協同組合を守るためにこの付帯決議をつけることは私は反対いたしませんけれども、しかし問題は、数年先にそういう事態がくることを考えましたときには、農林水産行政としてもう少し根本的な対策をぜひ政府として立てるべきではないか。特にわが国は柑橘類はとにかく世界的にうまい良質のものがとれるのでありますから、政府輸出のきくようなそういうものを重点的に栽培し、苗を植え、そしてそれに対して輸出のあっせんをするというようなそういう一つ方法づけをして、そして農民の行政指導をせられるならばよろしいけれども、今日漫然として農民がなすがままに放置しておいて、数年先にそういう事態が起きたときには、政府はどういう責任をとるかということが問題であろうと思います。この点については、大へん口幅つたいことを申しますが、最近国内を施行してみてそういう感を私は深くいたしますので、一つの忠告的な意見として申し述べておきたいと思うのであります。  大へん簡単でありますが、これをもって討論を終ります。
  173. 奥むめお

    ○奥むめお君 私は今度の法案が流通機構の適正化を期するというところにしぼられていると思うのですけれども、審議の過程を通じまして、流通機構というのはどうも生産と販売、小売商までにとどまっている流通機構ということで、生産、販売、消費までこれを流通機構というわけですから、そうしますと消費の面が非常に欠けている、大事な面が欠けている、こう思いますので、この法案は非常に未熟であるし、不完全であるし、残念ながら反対せざるを得ない。  売る者と買う者が一体であって、共存共栄ということが売る者と買う者の一番のこれは原則になっていると思うのです。私どもが小売商を立てていきたい、何とか繁栄してもらいたいという気持にはだれよりも熱意を持っている。今日の委員会でも私はそのことを一番しみじみ感じました。やはり男の議員さんにはわからないんだなあと思いました。その点を私はここで強調したいと思うのです。  政治の貧困のしわ寄せを今は中小商業者、工業者が一番多く食っております。これはいろいろな商業対策の法案が出まして、たとえば中小企業団体法あるいは環境衛生法、そのほかの問題でも、もうまるで中小企業者は自分が救いの水を求めるようにあわてて殺到しますけれども、私はそれらが一つの精神のこもったものでない、ほんとうに具的体に救うものじゃないのに、どうしてこうみんなが期待をこんなに寄せるのかしらと、むしろ私どもこそほんとうに考えていると言いたいところなんです。今日の中小商業者の問題というものは、いろいろ規模が違います。仕入れ関係だって決して一つでありません。非常なさまざまな規模があり、また人的構成からいいましても、経営の規模からいいましても、また資金繰りからいいましても、そこに働くその賃金からいいましても、これくらいさまざまに、気の毒な者もあり、すぐれた者もあり、これをただ十把一からげに商業者といわれてこの法律が何を救うつもりであろうかというふうに考えさせられます。  私どもから言いますと、ほんとうに流通機構の適正化ということは、国民生活安定の上で一番必要なことで、一番急がなければならない問題だろうと思うのですけれども、それを考えますのには、やはり政府、通産省が真剣に抜本策を考えるのでなかったら、こういうふうな表面的な法案一つ作ることによって、資金を出すわけでもないし、それから店の設備をよくするわけでもないし、あるいはその働いている人がもっと勤労意欲が高まるようにいろいろ考えるわけじゃないし、余っている人をどこへ使ってやろうとするわけでもないし、また、あわのような表面に現われた現象だけをとらえて、そして中小商業者を助けるのだと、こんなおこがましいことがあるかしらと思うのです。それが私の政治的にこれを反対する一つの理由。  また、これは特に政府考えてもらいたいのでございますけれども、今日生活協同組合はまことにわずかな量しか扱っておりません。これは私どもとしては、目ざめた消費者がわざわざ資金を出し合って、そして共同購入をしようとしている。私ども十円牛乳を売っておりますけれども、これがこの法律によれば、おそらく触れるでありましょうけれども、それでは、消費者が安くていい牛乳をお互いの奉仕の中で飲もうとする生活協同組合に対して、今まで農林省は私たちの努力にもかかわらず、牛乳の手当を全然してくれない。私どものできる範囲の牛乳は一日一万六千本にすぎない。そうすると牛乳は余っているのに、なぜこれを売らないか。多くの商業者の中には、少し働いて少しの苦労でたくさんの利益を確保しようとする大へん悪い考え方が、また商業のそういうしきたりがある。そのために、余っている牛乳を庭へ捨てても、これを大衆に売るという道を閉ざしてしまう。これが、くだものが一貫目二十円で山元から売られても、町へ出てくれば一個二十円だ、二十五円という値段で売られているじゃないかと、地方から出てくる人たちは東京のくだもの屋の店を見て歎息して言うことなんです。こういういろいろ流通過程にある間違い、不合理というものをどうして是正しないか。消費者の家庭にほんとうに正しい値段で物が入るようにする、その道を考えるということが、私は通産省の一つの責任ではないかと考えておるものでございます。そういう意味におきまして、今日のどこの婦人のグループにも比べて、生活協同組合の中の婦人が一番自分の家計費を使います、買いものをすることに対して真剣に、物の値段を考えたり、あるいは自分たちの使い方を考えたり、家計簿活動を私どものグループでみんなで全国的にしておりますけれども、この仕事はもうこれからはほんとうに誇るに足る仕事であるし、全国的に推進されるものと思っております。  経済規模の拡大ということを軽くいわれますけれども、経済規模の拡大は、単に金の面で広がって大きくなるだけじゃだめなんで、その金が有効に使われる道をみんなが考えなければならぬ。有効に使われる道を、各家庭々々が国民所得の八割を使っているというその有効な使い方を今せっせと家計簿中心に進めておるのです。実質賃金をほんとうに有効に使うということも、単に賃金が上ればいいのじゃなくて、その上った賃金あるいは上らない賃金を有効に使うということは、これは家計簿活動のほかには考えられない。政府はこういう面には全然手を出さない、指導もしない、予算もくれない。しかし目ざめた消費者の中からこういう運動が非常に盛んに行われてきている。これは国家の富を大事にすることからいいましても、物を生かして使うことからいいましても、政府としては一番この点に心を注がなければならぬ問題だと、私はいつも思っているわけです。それにもかかわらず、まだ日本の生協が微力だからといって、その微力な生協を真綿で首を締めるようにして、商業者保護の名のもとに、これの仕事をしにくくなるようにしている。これは日本の実際生活から考えましても、まことに実態を知らないにもほどがあると私は言いたい。そういう点で、まず生活協同組合をこの法律によって規制する、仕事がしにくくなる、消費者が買いものをしにくくさせられるということに対して、この法案の持っている趣旨というものは、私は反対せざるを得ないのでございます。  また、三番目に、私はこの法案の審議を通して、今の政府は、おそらく商業者保護の名目をもって近い将来に商人の新しい開店を登録制にして、あるいは許可制にでもしなければしょうがなくなるということを不安に思っております。これだけ人口が多く、そのはけ口を考えないでいて、そうしてこういう法律でお茶を濁している以上は、そこにいくよりほかにないと思います。また、あり余っている人口に、どうして勤労意欲を満足させるように働いていかせるかということが政治でございまして、単なるこういう法律だけでそれが救われるものでないのでございますから、そういう点からいいましても、中小企業の方が、ことに商業のこの法律に希望をかけていらっしゃる人たちが、この法案のその裏にひそむ意図を考え、そして自分たちを救うものは結局自分たちよりほかないのだ。自分たちの協同の力によって自分たちが助け合う道を見出さなければならないのだということを私は考えてもらわなければならないということをあえて言いたいと思うのでございます。  この気持から、この法案に対して反対せざるを得ないことを、奥むめお個人として申し上げます。私、緑風会でございますけれども、豊田先生は非常にこれを推進していらっしゃいますが、いつも豊田先生と私とは意見が違うのでございます。
  174. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 四つの島におきまして、今後九千万の人口が生きていきまするためには、私は、まず大企業が自粛をし、また一面におきまして生産者は生産者らしく、そうして勤労者は勤労者の分を守り、そうして商業者は商業者らしくいく。協同組合につきましても、生産者の協同組合は、生産者らしいいき方におのずからの分を持つ。そうして勤労者の協同組合は、勤労者、消費者としてのその協同組合の範疇を越えないように努める。そうして商業者は商業者らしいいき方をする、そういう面におきましてお互いに助け合うといういき方をいたさなかったならば。私は、日本は人口問題の処理あるいは完全雇用対策の点から大きな行き詰まりを来たしましてこれはひとり中小企業界の問題だけではなく、大企業自身が大きな困難に当面することに相なるでありましょうし、さらにまた消費者も、また農村も、あるいはその二、三男対策におきまして、非常な困難に直面すると思うのでございます。  そういう点におきまして、私は、あたかも交通につきまして交通整理が今日完備しておりまするごとく、人道あり、また車道あり、車道には緩行車用があり、急行車用があるがごとく、産業活動におきましても、産業交通整理法的なものが、ぜひこの日本の過剰人口を基盤といたしまする特殊事情からいきまするというと絶対、法制その他のものにおきまして必要になってくると考えるのでございます。そういう点におきまして、産業交通整理法的な考え方からいたしまして、過去におきましては百貨店法を作り、また今日、小売商業特別措置法が生まれようといたしておるのでありまするが、これは私は産業交通整理法的ないき方の一つの氷山の一角であろうというふうに考えるのであります。  そういう見地から考えますると、これははなはだ不十分である。また先ほどの付帯決議につきましても多分の疑義を抱くものであります。しかしながら、修正をこの際するということになりまするならば、とうてい今回の国会の会期から申しまして間に合わない。また流産になることになるでありましょうし、さような点からこの程度の不十分なる法案にせよ、あるはなきにまさるという立場からいたしまして、本法案賛成し、また付帯決議にも、ただいま申しまする通り多大の疑義は持っておりまするけれども、これに賛成をする次第でありますが、今後通産大臣は、この法案立法の趣旨にかんがみられまして、そうして遺憾なき運用を十分にせられまするように、さらにまた、ただいまも申しまする産業交通整理法的な立場に立たれまして、今後足らざるところをどんどん補なっていかれまするように、この機会に強く要望いたしまして、私の討論を終ります。
  175. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 他に御意見もなければ、これをもって討論を終り、採決を行います。  本案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  176. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、付帯決議案について採決を行います。付帯決議案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  177. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 全会一致でございます。よって本決議案委員会の決議とすることに決定しました。  なお、議長提出する報告書の作成等につきましては委員長に御一任願います。
  178. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 今回提案されました小売商業特別措置法案につきましては、連日熱心に委員各位の御検討をいただきまして、本日決議していただきましたことは、まことにありがたく存じます。なお、これに対する付帯決議につきましては、御趣旨をよく尊重いたしまして、今後の運営につきまして、政府は万全を期していきたいと存じます。ありがとうございました。
  179. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 次に、繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  速記とめて。    〔速記中止
  180. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 速記起して。  これより質疑に入ります。
  181. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は、ただいま審議に入りました繊維工業設備臨時措置法の問題につきまして、若干の点についてきわめて簡潔に政府当局にお尋ねをいたす次第であります。  まず第一は、高碕通産大臣の御見解をわずらわしたいのであります。    〔委員長退席、理事島清君着席〕 というのは、本法案が公取におきまして独禁法の違反のおそれがあると、こういうような空気が出ておることでございます。従来の不況対策といたしまして、公取はもとよりこれを黙認をしてきているのでございますが、二カ年間も続いて今日までこの統制的な法案というものが続いておるという点が、勢いこの独禁法の違反を免れないのではないか、こういう点について問題があるように伺っておるのでございますが、この点につきまして公取の意向なり、それからこれに対する高碕通産大臣の御見解をまず伺いたいと思うのであります。
  182. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) ただいま大竹さんの御質問のこの独禁法違反のことにつきましては、現在までのところ、まだ何ら問題が起っていないのでございます。なお将来の問題といたしまして、操短の問題その他につきましては、折衝を要する点があると存じておりますが、詳細な点は局長から御説明申し上げます。
  183. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) 今大臣の御答弁の通りでございまして、この法律自体につきまして、公取から何らの異論的な問題はかつてございません。たとえば、また今回行います格納にいたしましても、公取から何らの反対的な意見はございません。ただ御承知のように、この行政勧告によりまして生産調整をやっておりますが、その点につきまして、今のところ、公取から何らの反対的な申し入れはございませんけれども、行政勧告による操短自体は、元来短期的な生産調整でございますので、従いまして、将来非常にこの繊維工業がよくなって、しかもかつ行政勧告による操短を続けなければならぬという場合においては、あるいはそういう問題が将来において起り得ることもございますけれども、先ほど申しましたように、公取からはいかなる意味におきましても何らの反対的な意見はございません。
  184. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 これは、本年三月十一日の日刊工業新聞に出ておる記事でございますが、上村公取調査課長の談話といたしまして、「通産省の行政指導による操短が、恒久化する動きが最近みられるが、独禁法の精神からいって困ったものだと思う。もっとも公取としても、今すぐに操短を撤廃すべきだときめてかかっているのではないい。こんご十分調査して、実態を掌握し、行政指導による操短のあり方を整理して具体的な例に対処する方針である。」こういうことが、日刊工業新聞に載っておるのでありますが、この点について、今井局長は御存じであれば、この点一つ、御釈明願いたいと思います。
  185. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) 新聞にそういう記事が出ておりましたことを私は承知しております。はっきり申しますると、新聞記者の憶測的な記事とも称すべきものでございまして、この四—六の操短を継続あるいは一部緩和いたしておりますが、その際に、私は公取委員会に行きまして、委員長初め委員各位に詳しく説明いたしまして、はっきり了解は得ております。  これは、先ほど申しましたように、むしろ事実を誇張して、曲げて書いてあるというふうに、私は承知しております。
  186. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そういたしますと、高碕通産大臣並びに今井局長のお話を総合いたしまして、私の指摘した本問題が、現在公取の中には、全く行われていない、こう解釈してよろしゅうございますね。
  187. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) この四—六の操短につきまして、公取委員会から、はっきり了解を得ておりますが、ただ、今後繊維工業の推移と申しますか、それについては、十分なる関心を持って調査はする、こういうことはございます。  従いまして、公取として全く無関心じゃございませんけれども、反対的な意見はないということを申し上げる次第でございます。
  188. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 通産大臣は、これは仮定のことでございますが、そういう場合に、本問題に対処いたしまして、いかなる御態度をおとりになられますか、承わりたいと思います。
  189. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 行政勧告を、いつまでもやって、それによって生産を調整する、その結果、この公正取引委員会に触れる、独禁法に触れるということになれば、当然、これは行政勧告を中止すべきものだと、こう存じております。
  190. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 質疑内容に入りますが、繊維総合対策審議会というものが、従来あるのでありますが、これは紡績、加工、需給、それから機械、各部会、これはむろん登録せられたものが中心だと考えるのでありますが、そういう従来からございまする対策審議会に対しまして、先般できました繊維総合対策懇談会、この関連の問題についてお尋ねいたしたいのであります。ということは、本法案にも、説明の中に指摘をいたされております通り、多分にこの総合対策懇談会の意見というものが中心に盛られておるように、私ども承わっておるのでありますが、この両者の関連について、一つお尋ねいたしたいと思います。  これは今井局長でけっこうでございます。
  191. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) 御指摘のように、この法律の審議機関といたしまして、繊維工業設備審議会というのがございまして、紡機の新設あるいは廃棄という場合には、通産大臣から、この審議会に諮問しております。  ところで、この審議会は、非常に構成メンバーがたくさんおられまして、全体といたしまして百五十人をこすような会議でございます。従いまして、そこで総合的かつ長期的な問題を、何回も何回も審議をするということは、これは事実上むずかしいわけでございますので、従いまして、審議会の構成メンバーのうちから、各業界を代表されるようなごく少数の方と、それから学識経験者、それをもちまして、昨年の十月に、この委員会の御意見もございまして、総合対策懇談会を開いた次第でありまして、そこでもって総合対策を答申されまして、その答申を審議会にかけて可決をみた、こういうことになっております。  従いまして、懇談会は、いわば総合対策を検討いたします一時的な機関でございまして、この法律に基く運営は、今後は審議会を中心としていく、こういうことになるわけでございます。
  192. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 両団体とも、私どもの調べたところによりますと、大体、同一業者あるいは同一人物が多いのでありますが、将来、これを統合をしていくというようなことについての御見解はいかがでありましょうか。
  193. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) 不況対策を講ずるにつきましての総合的、長期的な話し合い、その場というのが、この懇談会でございますが、そういう意味合いからいたしますと、懇談会の使命は、一応済んだわけでございますが、ただ、この懇談会の委員各位の希望によりまして、    〔理事島清君退席、委員長着席〕 形式的には存続する、また、必要であれば随時開いて、そうして何と申しますか、ざっくばらんに話し合う、こういうことになっているわけでございまして、従いまして、審議会で議論しますのは、これは、私どもの運用方針にも関係しますけれども、非常に形式的な運用になりやすい、懇談会の形になりますと、非常にざっくばらんに意見が出るというふうなことがございますので、従いまして、懇談会の使命は、一応終了しましたけれども、また非常に大きな問題が起るというふうな場合には、やはり随時、懇談会という形を残しておくことがいいのじゃないかというふうに考えております。
  194. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから先般の本委員会のときに、私はお尋ねをいたしまして、繊維総合対策懇談会の結論を承わったのでありますが、そのときには、多分格納を綿が二〇%、それから化繊が四〇%というように聞いていたのでありますが、最近の情勢を聞きますというと、綿紡が一五%の格納で、化繊はその綿紡に従うというようなことを聞いているのでありますが、この根拠は、最近の景気というものが上昇してきた結果によって、こういう結論を生み出したのかどうか、この点を伺いたいと思うのであります。
  195. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) 御指摘の懇談会の結論といたしましては、紡績機械につきましては、綿紡、スフ紡、それから毛紡、合繊紡、これはおおむね一律に二〇%格納するという答申になっているのでございますが、その後、業界のそれぞれ内部におきまして検討しました結果、ただいまのところ、結論といたしましては、綿紡、スフ紡、それから毛紡につきましては一五%格納、それから合繊紡につきましては一〇%格納、いずれも五月一日から実施するということになったのでございます。これはまあ、その後におきまして、多少景気の芽が出て参りましたので、従いまして、実際問題といたしますと二〇%格納ということは、これはもちろんいいのでございますけれども、ただ、業界といたしましては、二〇%よりも、一五%にしてほしいという話がございまして、大体一五%にきめた次第でございます。
  196. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 今局長の答弁の中にもありました通り、景気が多少上昇してきておると、これはまあ、事実なんでありますが、そういう意味において、この従来の同じ一五%でありましても、ただ操短的なやり方で、格納でなくやっていくということはできないのですか。どうしても、あくまでもやはりこれは格納として、そして切ってしまうという、そういう根拠というものは、やはり不正業者というものはたくさんある、通産省の言うことを聞かないのは、小紡績なんかにたくさんあると、そういうような多少懲罰的な意味を含めて、あくまでも、やはりこれは格納でいかなければならないのか。たとえばつい先日この二〇%という問題が、それが一五%になったというのは、日にちとしては、わずかなんだけれども、それだけ一応景気というものが上昇してきておるのだ、これからまた、どんな景気に出てくるかわからぬというような場合に、従来のようなやり方の操短と、それから一たん格納したものを戻すということのやり方というものは、これは私はテクニックの面において、非常に大きな相違があると思うのですがね。  この操短と格納のやり方と、それから私の今申し上げた意見について、局長はどうお考えになっておるか、一つ御答弁を願いたいと思います。
  197. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) この封緘を続けていけばいいのじゃないか、わざわざ格納というような措置をとらなくてもいいのじゃないかということでございますが、これは封緘と格納の性格的な相違と申しますか、封緘は、御承知のように元来生産調整の手段でございまして、従いまして、従来三カ月ごとにやっておりますけれども、短期的に、生産をある程度縮減いたしまして、それによりまして、在庫を正常在庫に戻そうと、こういう手段でございます。従いまして封緘は、これは決して長く続けるべきものではございませんで、早期に効果を上げるという筋合いのものでございます。  ところで御承知のように、この封緘による生産調整というものは、業種によって違いますけれども、長いものにつきましては二年近くもやって、やっと正常在庫に近づきつつあるということでございます。ところで、元来過剰設備が、その業界にない場合におきましては、一時的な封緘ということでもって、生産調整だけでもって、問題は解決するかと思いますが、しかしながら、この紡績業界につきましては、三十五年度の、このあるべき需給の姿を見ましても、おおむね二割近くの過剰の機械を持っておるわけでございます。従いまして、かりに将来、ある程度繊維工業が、正常な姿に戻り、正常な在庫に戻るという場合におきまして、この封緘という姿も除き、他に何らの方法も講じないという場合におきましては、元来、過剰設備をかかえているわけでございますので、従って、その段階におきまして、非常な生産過剰になりまして、それによって、また糸価が不安定になり、不況が深刻になるということは当然予想されるわけでございます。  従いまして、この法律の過剰設備の処理という一つ方法といたしまして、格納という方法がございますが、格納によりまして、相当長期間動き得ない設備をたな上げしょうというのが、今回の格納でございまして、従いまして、格納ということになりますと、一応、独禁法とは全然無関係で、先ほど申されましたように、封緘というのは本来生産調整の手段でございますので、従いまして、相当好景気になりまして、なおかつその生産調整を続けるということは、これは独禁法の建前にも、将来触れるおそれがあるという問題はあるわけでございまして、従いまして、そういう独禁法の法域とは、全然無関係で、元来、設備が過剰でございますので、しかも長期間動き得ないという部分は、たな上げしようというのが格納でございます。  その効果といたしまして、どういうことになるかと申しますと、結局、長期間経済的に動かすことのむずかしい設備を格納するということになりますので、従いまして、市場が、あるべき姿に安定するということが一つ言えるわけでございまして、その結果は、中間需要も起きましょうし、あるいは値段が安定すれば、海外から買ってくるという輸出価格の安定という意味から申しまして、輸出に対しましても、好ましい影響が起るということもございます。それからまた、過剰設備を長期的に格納するということになりますれば、その範囲内で企業といたしましては、比較的長い間の経営方針が立ち、従って企業としても、合理的な運営ができる、そういうふうな利点もあるわけでございます。
  198. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 局長の御説明は、よくわかるのでありますが、しかし、あなたが提出をせられた資料に基いてお考えになることと、それから市場の実際というものは、相当相違があるのです。  これは、もう御存じだと思うのでありますが、そういう意味で、私は格納の問題を特に申し上げたのでありますが、ことに繊維関係などは、これは、どこの産業に比較しても、一番自主調整がとれているところなんです。  それでもやっぱし、まあきたない言葉で言うならば、もぐりというのがたくさんあるのでありまして、最近、あなたお聞きになっておるかどうかしりませんが、いわゆる自由糸というやつがございます。スフ九〇%でそれから綿一〇%ですか、これは、自由にひけるのだそうでありますが、これなんか、大阪あたりは相当な活況を呈しておる。この事実を何か資料に基いて、あなた御存じであるかどうか、一つお聞きしたい。
  199. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) 自由糸のお話が出ましたが、これはお話のように、綿が一〇%以下、スフが九〇%以上というものでございまして、これは、この法律の規制の対象になってはおりません。従いまして、形式的に申しますと、作っても法律に触れぬということになるわけでございますが、ただ何といたしましても、ほかのこの法律対象になっている糸を引く者から見ますと、正直者がばかを見るということでもって好ましいことだとは考えておりません。  で、さようなうわさもございますので、実は通産局を通じまして、ただいまその実態を調査中でございまして、実態がわかりました後におきましては、何らかの行政措置を講じたい、かように考えておる次第でございます。
  200. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は、この間大阪に、たまたま参りましたので、そのデータも持っておるのですが、きょうは時間がありませんから御披露いたしませんが、とにかくその事実があるのです。  そうすると、今あなたのおっしゃる通り、正直者はばかを見る。正直者はばかを見るということは、この繊維行政の上において、あなたの前の小室君が繊維局長の時分に、かけ込み増錘は認めないぞ、ああいうふうに局長通牒もやっておるのに、かけ込み増錘が行われた。そうして今日、こういうかけ込み増錘をやって、かけ込み増錘が百二十万錘のうちに、その原綿の割当のないものが、わずかに三十二万五千錘だ、あとは、ほとんどもう既定の事実になってしまったというようなことで、一面において、局長通牒を守ってかけ込み増錘をしなかった者は、あなたの言う通り、まさしく正直者がばかを見た、こういう前例もあるわけなんです。  そこで、私が今申し上げましたこの自由系というものを中心に、最近行われておる大阪方面の動きというものは、これはそういう点において、またわれわれは正直者はばかを見なければならぬというようなことを再度繰り返したくないという私は立場に立って、あなたに御質問申し上げたのだが、これは一つあなたも、今の答弁の中に、はっきりしておる通り、これはそういうことでぜひ一つ正直者がばかをみないように、行政指導というものを願いたい。それは、その程度にしておきます。  その次に、全紡機は、御承知の通り九百二万錘もあるわけであります。そのうちの三十二万五千、ただいま私が申し上げましたものが、これが原綿の割当が、今はついていないわけなんでありますが、これらは登録のときには、どうなるのでしょうか。
  201. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) このかけ込み増設のうちでもって、未だに割当の対象になっておりません三十二万錘、これは法律の上におきましては、もちろん登録はされておるわけです。従いまして、その紡機をもちまして、綿糸をつむいでもいいわけでありますが、ただ綿の割当の際に、それ以外の紡機、本来のかけ込み以外の紡機につきましては、綿の割当対象になっていたわけでございますが、三十二万錘につきましては、今まで割当対象にはしていなかった。従いましてほかの、たとえば綿花の輸入商あたりから、綿花を買いまして、そうして設備を動かしておった。割当対象にはなっておりませんけれども、登録は受けて、もちろん動き得る状態にあるわけです。
  202. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そうすると、三十二万五千錘も格納の中に入る、こう解釈してよろしいのか。
  203. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) 今回の格納に当りましては、三十二万錘も、それから、そのほかのものも、同一考え対象にするわけであります。
  204. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから、今回の登録対象になるものは、たとえばスフ綿の製造とか、何か幾つかあるのですが、これは、もし局長でわからなければ、課長でもだれでもいいんですが、何と何があるのか、それを一つ説明願いたい。
  205. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) 格納の対象になりますのは、紡績機械でございまして、従いまして紡績機械と申しますと、綿糸紡績機械、それからスフ糸紡績機械、それから毛糸紡績機械、これは梳毛糸紡毛糸、両方ありますが、それから合成糸、これだけの紡績機械であります。それからスフ綿の製造機械とかなんとかは、これは化学繊維設備でございまするので、これは格納の対象にはいたしません。
  206. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 少しく方面をかえて伺いたいのでありますが、過去におきまして——これは先般も、私化繊の問題につきまして、いろいろお尋ねをいたしまして、私自身も大いに啓発されたところが多かったのですが、過去におきまして、合成繊維も、この合成繊維は、最近こそ悪いのですが、過去においては、非常に輸出貿易に大きな貢献をせられていたのでありますが、これの今後の育成といいますか、育成措置といいますか、育成指導といいますか、そういうことにつきまして特に通産省の方針を一つ、この際明らかにしていただきたいと思います。
  207. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) 合成繊維につきましては、従来から育成措置を講じておるわけでございまして、その育成措置の大きなものといたしましては、租税特別措置法の免税物産に指定するとか、あるいは合成繊維用の機械につきまして、関税を軽減するとか、あるいは場合によりまして、開銀から融資をするとかいうふうなことを講じて参ったわけでございまして、今後におきましてもこれらの育成措置というのは、これは、原則として継続したいのでございます。  ただ最近の情勢といたしまして、何と申しますか、羊毛代用のアクリル系という繊維がございまして、これは、具体的の名前は省略させていただきますけれども、現に四社が、すでに工業化を始めまして、さらに数社が場合によりましては、工業化を進めたいということになっておるわけでございます。ところで、合成繊維設備と申しますと、非常に多額の投資を要しまして、一トンの設備を作りますのに、大体まあ四億程度の投資が要る。ところで、そういう産業でございますので、よほど大きな設備にいたしませんと収支とんとんにならない。大体、二十トンないし三十トン程度設備で、ようやく収支とんとんになるというふうな状態でございます。従いまして一つの同じ繊維に対しまして、非常に多くの企業が生産に乗り出すということになりますと、羊毛の大部分というものにとってかわるというふうな格好になるわけでございまして、実際は、この需要が、とてもそこまではついていけないというふうな状態になるわけでございます。  従いまして私ども、合成繊維をこの法律に追加するというのは、この合成繊維の育成は、もちろん続けていくわけでございますが、ただ需要にマッチしないような形でもって、無計画に乱設が行われるというものにつきましては、これは、ある程度行政指導その他によりまして、計画的に秩序ある状態でもって育成できるようにしたい、かような趣旨でございます。
  208. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そういたしますと、合成繊維が、かりに採算点に達する時期、これは非常にむつかしいのですが、これは非常に世界景気の影響とか、それから内需の状況とか、そういう点、いろいろあると思うのですが、今、おやりになっておられるああした操短、あるいは今度の格納措置というようなもの等を考えまして、今あなた方が、おとりになられる措置で、大体今の日本のこの合成繊維というものが、採算線上にとにかく達し得るか、この点は、どうなんですか、非常にむつかしい問題ですが……。
  209. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) これは、すでに過去におきまして、たとえばナイロンあるいはビニロン、これらの合成繊維がスタートをしまして、現在は相当の利益をあげるような状態になっておるわけでございます。  ところで、合成繊維と申しましても、この法律にございますように、いろいろの種類がございまして、その合成繊維の種類によりまして、たとえば羊毛分野をねらうとか、あるいは綿の分野をねらうとか、いろいろねらうところが違うわけでございます。従いまして何と申しますか、その一つの合成繊維に非常にたくさんの生産設備ができて、そして共倒れになる程度の安売りをするというふうなことになりますれば、これは企業としては、非常にむつかしい状態になりますけれども、秩序ある状態でもって、需要のある限り設備を伸ばしていくということにいたしますれば、これは、大体ある程度の規模に達すれば、採算線上には上るというふうに考えております。
  210. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから、たとえば精紡機の問題を一つとり上げて申し上げれば、今般のあれで、一五%格納をするという場合に、すでに東洋紡、鐘紡などは、もうやっておると思うのでありますが、全般的に見て、この操業の集中策といいますか、そういった方針が、一体どのようなことを大体とっていかれるか、それから同時に、これに関連いたしまして、あの当該の従業員が、その影響というものは、どんなものか、また東洋紡あたりは、従業員には、この操業を集中をしても、首切りは一人も出さぬということを言明しておる。これはしかし、東洋紡は、今代表的な会社でもあるので、これが前例に全部なるとは思わないのですが、この点いかがでしょうか。
  211. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) まず第一点といたしまして、格納の仕方でございますが、これは、企業の自由に任せるわけでございまして、私どもといたしまして、それによりまして、たとえば平均的に格納しろとか、あるいはそうじゃない格納の方法をしろとかいうような、別に行政指導考えておりませんで、個々の企業の判断によって、格納するところで、格納の仕方によりまして、労務に対する影響が異なってくるわけでございます。現在御承知のように、相当強度の生産調整——生調をやっておりますので、従いまして、その生産に見合う程度の労務者、昔の非常にフルに操業していたときに比べまして、たとえば自然的な退職だとか、あるいは新規採用を減ずるとかいうふうなことによりまして、ある程度労務者というのは、生調に見合う程度に減っておるわけでございます。  従いまして、今の封緘の設備の中で、約半数を格納すると申しましても、それによりまして、この労務者に影響が及ばないというのが原則的な考え方、これは当然、普通の状態で言いますれば、労務者は、これによりまして労務者の解雇その他が起るはずもないわけでございます。ただ、この企業に対しまして、格納の方法というものは自由に任しておりますので、従いまして、企業といたしまして、非常に立地条件の悪い、しかも、この工場が非常に悪い設備でもって、能率が上らないという場合におきましては、その工場の一部を格納するということじゃなくて、場合によりまして、その工場を相当、格納するとか、あるいはその工場を一時休止しまして、近くの最寄りの工場に労務者を移すというふうな問題が当然出てくるわけでございます。従いまして、この格納によりまして現実に起り得る問題は、労務者の配置転換が場合によりまして起り得るということでございます。  この労務の問題は、これは非常に大事な問題でございますので、従いまして、この総合対策懇談会の答申におきましても、あるいはこの法律に基きまする設備審議会のこの答申におきましても、格納によりまして、労務の問題といたしまして、たとえば解雇なりあるいは労働条件の切り下げというふうなことはしないように、それから配置転換につきましても、これは労働者側と従業員側と十分協議して行うようにということになっておりまして、従いまして、労務の問題につきましては、われわれとしましては、しわ寄せしないように行政指導したいというふうに考えておるわけでございます。
  212. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから例の総合対策懇談会の結論の中に、業界では、AA制の採用が、国際収支上から直ちに実行が困難の場合は、可及的に自由に割安な原料を入手し得るよう改善することを望んでおるのでありますが、これについて政府は、何か具体的な案をお持ちでございますか。
  213. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) 将来におきまして、AA制の採用というのは望ましいのでございますけれども、さしあたりの外貨事情その他からいいますと、一挙にAA制を採用するということは、時期尚早であると、ところで、このAA制の長所と申しますのは、とにかく安い、自分のほしい綿を自分のほしいときに買えるということでございますので、従いまして、この外貨予算の編成におきましても、この通商協定上、特に支障のあります地域を除きまして、ドル綿にいたしましても、あるいはポンドで買います綿花にいたしましても、グローバル予算ということにいたしまして、できるだけ取捨選択がきくように、そういうふうな予算の立て方をしまして、安い綿が買えるようにするつもりでおります。
  214. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから、これは法案のうちの第何条何項にあったか、私記憶しておりませんが、化繊に関する試験的な製造について云々という言葉があるのですが、これについては政令の内容、この点を、一つ伺いたい。たしか、法令の中にあるはずです。説明員でもけっこうです。
  215. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) 第二条の三項に「ただし、通商産業省令で定めるところにより試験的に製造の用に供する場合は、この限りでない。」ということで、その場合には、登録をしないでも化学繊維を作れるという形にしておるわけでございますが、この趣旨は、先ほど申しましたように、合成繊維は、もちろん将来育成していかなければならないわけでございますが、ただ、あまりにも無計画に乱設されるという場合があってはならないということで、この法律登録制を採用したわけでございます。  ところで、その合成繊維につきましては、新しい技術が次から次へと出てくるわけでございますので、新しい技術の芽をつんではならないという意味合いからいたしまして、一定の規模に達するまでは——といいますのは、大体、試験的の範囲と見られる段階におきましては、登録をしないでやっていくことを認めよう、この合成繊維につきましては、ものによって違いますけれども、合成繊維の種類を分けまして、大体、一トンないし3トン程度の範囲内でもって、政令で基準をきめまして、その段階までは、これは試験的にやってよろしいというふうにするつもりでございます。
  216. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 時間がありませんから、いま一点、お伺いいたしますが、これは、もうすでに、市場でも大きな問題になり、また今後、いよいよますます問題になると思うのでありますが、合成繊維工業と石炭化学工業との関係でございますが、これについては、まあ、よほど繊維局あたりが、しっかりしてもらわないと、非常なトラブルが将来は起ると思うのですが、問題は非常に大きいのでありますが、これについて、何かもし大臣から所信を御披瀝になればけっこうですが、石炭化学工業から、いろいろ繊維ができるわけでありますが、これらの関係について、一つ……。
  217. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) 合成繊維の原料は、これは種々雑多でございまして、石油化学系統、あるいは天然ガスを原料にしたもの、あるいはビニロンのようにアセチレンを原料にいたしましたもの、あるいはナイロンのように石炭酸を原料にしたもの、いろいろあるわけでございますが、大きくみますと、むしろ石油化学とつながっている面が非常に多いのでございまして、石炭酸につきましては、ある意味で、石炭とつながるということもいえると思いますけれども、大部分は、むしろ石油化学なり天然ガスとつながる面が多いと思います。
  218. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 最後に、高碕通産大臣に特に要望をいたしたいのでありますが、はっきり申し上げまして、これは冒頭にも申し上げました通り、本法案が、決して独禁法の問題にも今なっておらぬと、こう言っても、とにかく相当研究をせられておる、そうして多分に、統制的な意味もかなりあるということは、これは、もうはっきりしておると思うのでありますが、こういう法案というものが、長く続いておるということは、私どもこの民主主義の建前からいっても、決して賛成するものではないのでありますが、これに対する一つ大臣の御見解を伺いまして、私の質問を終りたいと思います。
  219. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 私も同感でございまして、これが、ただいまさしあたり、この独禁法には触れておりませんが、勧告操短をやれば、これは当然独禁法にも触れることでございますから、この勧告操短につきましては、あまり長くやるものでない、こう思っております。またかたがた、この法律案は、時限法でございますから、そう長くいつまでやっていくということはないと思います。結局、やはり自由に発展すべきもの、こう存じております。
  220. 島清

    島清君 お尋ねしようと思っておりました数カ所の点につきましては、大竹委員から詳しい質問がございましたので、重複にわたりまする部分は省略をいたしまして、大竹委員がお触れにならなかった問題の三、四点について、御説明を願いたいと思います。  本法の、改正案のねらいとしておるところは、提案の理由にもございます通り、四点挙げられているようでございまして、それに化学繊維製造設備登録制の実施が第一番目に挙げられておるようでございますが、現行法におきまして、綿紡が登録制度を実施いたしましたときにも、業者は、いち早くかけ込み増錘をいたしまして、それに通産省といたしましても、その自後の処理と行政指導に対して、非常に苦慮されたように見受けられるのですが、今度また、この登録制度というものが実施されましても、もはや、増設の競争化が激烈に行われておる、こういう実情下において、さらに綿紡の二の舞を踏むようなことがあるのではないか、こういうふうに、私たちは懸念をするわけでございますが、これに対しまして、通産当局は、どのような行政的な処置をおとりになり、さらに行政指導をしていかれようとするか、その具体的なことについて、御説明を願いたい、こう思います。
  221. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) 確かに、お話のように、三年前に、この法律を施行いたしましたときにも、綿紡機、毛紡機等につきましては、かけ込みは多かったのでございます。  今回は、前回と非常に違う要素があるというふうに第一点として考えられるのでございます。と申しますのは、今度対象になりますスフ製造設備、それから人絹製造設備、合成繊維の製造設備、これらにつきましては、そのうちの、スフ、人絹につきましては、現在非常に繰短下にあるわけでございます。前回におきましては、当時、ちょうど神武景気の上り坂のときでございまして、従いまして業界といたしましては、少しでも設備をふやそうという気がまえがあったのでございますが、人絹設備、スフ設備につきましては、ともに四割程度の操短を現在やっておるわけでございまして、従いまして、そういう意味合いからいたしまして、この際、新たに設備を増設しようという機運がほとんどない、全くないと言っていい状態に近いのでございます。のみならず業界といたしましても、スフなり人絹につきましては、今の状態を考えて、非常に反省しておりまして、従いましてお互いに、かけ込みはやめたいということで、ただいまのところ、人絹なりスフにつきましては、かけ込んでおるという事実は、全然ないと申しましても過言でないと思います。  それから、合成繊維になりますと、これは若干事情が異なるわけでございまして、この法律に、合成繊維が対象になるということでもって、今まで隠れておりました計画が表面に出てきたということがあるのでございます。これは、合成繊維の製造設備につきましては、非常にまあ長期の研究が要るわけでございまして、従いまして各社とも、相当長期的な設備計画をそれぞれ持っておるわけでございます。今までは、お互いにそれを秘密にしていたわけでございますが、今後、この法律対象になるということでもって、表面化して参りましたので、それがいかにもかけ込み的に見えますけれども、私ども、必ずしもそうじゃないというふうに考えております。  と申しますのは、先ほども、ちょっと申しましたように、合成繊維の設備というのは、これは非常に金のかかる設備でございまして、繊維の段階ですら、一トン当り大体四億なり五億なりの金がかかる。しかも繊維の段階だけじゃなくて、原料段階、たとえば石油化学であるとか、ガス化学であるとか、そういうところの段階の準備もなければ、合成繊維ができないわけでございますので、従いまして、ここ短期間に、かけ込みということは、業種としましては非常にむずかしいことになっておりまして、従いまして、御懸念になるようなかけ込みという事実は、かりに若干あるといたしましても、前の綿紡なんかとは全然違って、ほとんど心配する必要はないという程度考えております。
  222. 島清

    島清君 合成繊維の採算点といいましょうか、それは、現在小量生産のために採算に乗らない、こういうふうに言われているわけなんですが、ある程度、従って増設も必要ではないか、こういうふうにもまた言われておるわけでございまして、各社の増設競争も、せっかくの局長の御答弁にもかかわらず、これはなされるものと私たちは見るわけなんですが、この合成繊維の採算点のとれる一体、平均的な可能な線といいますか、そういうものは、一体どういうように見ておられるのでございますか。
  223. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) これは、大体におきまして、三十トンになりますると、ある程度の、配当ができる程度の利益が出る、それから二十トンでございますと、ほとんどその収支がとんとん、それだけでは、配当はできないという程度に一般的にいわれておるわけでございます。それは主として固定費の関係でございまして、この償却なり金利の非常に大きな産業でございますので、従いまして、ある程度の規模に達しないと、ペイしないという状態になるわけでございます。
  224. 島清

    島清君 いまの今井局長から御説明のありました配当をなし得るような、三十トン以上の設備を持つ工場と、それから二十トン以下ですかの設備しか持ち得ないというような会社との比率は、どうなんでございますか、それともまた、二十トン前後の設備しか有しないという会社というものは、幾つくらいあるのでございますか。
  225. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) これは、合成繊維の種類によって違いまして、御承知のように、ナイロン、ビニロン、これらの合成繊維は七、八年前から、すでに企業化されておりまして、従いまして、現在すべて三十トン以上の適正規模になっておるわけでございます。  ところで、最近になりまして、企業化されつつありますところの、たとえばテトロンだとか、あるいはアクリル系のいろいろの繊維につきましては、まだ、いずれも十トンとかあるいは十五トン程度でございまして、従いまして、今後、どうしてもある程度増設をして参りませんと、採算点に達しない、一ころでいいますと、要するに相当期間たちますと、その間、需要を開拓し、従いまして設備も増設してペイする段階になりますけれども、まだ業を始めましてから一、二年という段階におきましては、決して採算点まで達しないというような状態であります。
  226. 島清

    島清君 それで、今御説明のございました開業日の浅いというような、採算点に達しないような、この種の企業に対しましては、この法律があると、一応のこの法律のねらいとするところは、増設をさせないということなんでしょうが、ところが、増設をしなければ、今御説明のございましたように、採算点に達しないということの矛盾が起ってくるわけなんですが、これに対しては、どのような具体的な指導をおとりになるおつもりでございますか。
  227. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) 合成繊維につきましては、増設を認めないということではございませんで、計画的に増設を認めていくという趣旨でございます。  従いまして、ただいま、たとえば五トンとか十トンとか、この経済単位に達しないものにつきまして、経済単位に達するまで、優先的に増設を認めていきまして、それから、また新たに起業をしたいというものがこれはございますけれども、それは、試験を十分やっておいていただきまして、この二、三年の後の合成繊維の需給関係を見まして、しばらくは足踏みをしてもらうけれども、その繊維が、非常にいいということになりますると、それはまた工業化を進めていく。増設を認めないということでなくて、要するに計画的に認めていくという、こういう趣旨でございます。
  228. 島清

    島清君 まあ、何ですか、二割を——いわれております二割格納というのが、この法律のねらいであるように、非常に喧伝をされておるわけなんですが、実際には、格納というのは、どういうような形において行われるのですか。それともまた、設備の大小にかかわらずそれは行われるものであるかどうか。  それから格納によって、従来の、何といいますか、生産の仕方というものが、集中的な方式を取るものと予想されるのですね、まあそういうようなことについて、あなたたちが予想されまする生産集中方式を、一つこの際、伺っておきたい、こう思うのです。
  229. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) 格納につきましては、この現行法におきましても、二十四条の規定がございまして、修正をしないでも、格納自体はできるのでございます。  ただ、今回の法律の改正によりまして、格納設備につきましては、この他の業種でもって、設備が足りない他の業種で、増設を認めたいという場合には、格納設備を、優先的に転換させるということを今回の改正法律でもってうたっておるわけでございまして、格納自体は、現行法でも実はできるわけでございます。  ところで、格納の仕方でございますが、これは、繊維工業につきましては、昔から格納というやり方はあったのでございますが、その際、たとえば設備を分解しまして、倉庫の中に、箱に詰めて、倉庫に入れるというやり方もあったこともございますけれども、この格納と申しますのは、何も、そんな金のかかる、時間のかかる格納を考えておるわけじゃございませんで、とにかく格納設備を動かそうとしても、——なかなか原状回復するよりか……、ひまがかかるという程度の状態にするということでございまして、ただいまのところ、この紡績機械につきまして行うわけでありますが、ギヤーエンドをはずすとか、それに連なるところのモーターをはずすとかという程度考えておるわけでございまして、従いまして、現場から設備を撤去して、どこかにしまい込むというふうなことは、必ずしも必要じゃないわけでございます。  それから、これによりまして、格納につきましては、たとえば一工場きり持っていない企業につきましては、所要の一五%だけ、それの設備を格納するわけでございますが、数工場持っております企業におきましては、たとえばある工場が、非常に機械が古い、しかも立地条件が悪い、どうもそこでは、コストがかかるというふうな場合に、それらの比較的生産条件の悪いところに格納率を集中すると申しますか、そこで、よけいに格納して、条件のいいところをよけいに動かすというふうなことは、もちろんあるわけでございまして、それは、企業にまかせるわけでございます。
  230. 島清

    島清君 もう一点ですね、格納によって、各社はどのような生産集中方式をとられるであろうというような、二割格納しますと、やっぱり生産を上げたいということは、企業者の常でございますから、どうしても、やっぱり集中的な生産方式がとられると思うのですが、その予想できることについて、御説明を願いたい。どういったような方式で、大体集中生産がなされるのかというようなことに対しての予想されることについて御説明を願いたい、こういうことなんです。
  231. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) 今のところ、的確には予想できないのでございますが、すでに私どもの知っておる範囲から申しますと、約四企業ほどが、ある程度の集中生産と申しますか、ある程度の配置転換を考えるということでございまして、その際、たとえばこの鐘紡につきましては、綿紡工場として、三工場閉鎖したいという会社側の考え方をしていたのでございますが、そのうち二工場につきましては、いかにも立地条件が悪いということでもって、労務者側の方も、それの閉鎖を了承しておるわけでございまして、ただ一工場につきましては、労務者側と話し合いがつかない。話し合いがつかない限りにおきましては、閉鎖はできないというふうな形になっておるわけでございます。  それから、そのほかの紡績につきましても、そういう計画があるところはございますが、大体、たとえば地方で申しますと、この地方に、二つの工場がありまして、同じ府県に二つの工場があって、一つは非常に古い工場である。一つは非常に新しい工場であるという場合に、一つの工場に格納を集中いたしまして、そうして新しい工場を興す。それからその場合、労務者は配置転換する。配置転換すると申しましても、近くでございまするので、ほとんどまあ、問題が起らないというケースが大部分だと思います。
  232. 島清

    島清君 その製造計画の二割格納に関連をいたしまして、それで共同行為の指示がなされる。そうしましたところが、従業員と、それに関連をする事業者であるとか、あるいはその従業員に対して、非常に強い影響を与えるわけなんですね。  それにつきまして私は、かねがねからこの点については、修正をしなければならぬというので、修正案なるものを用意して参ったのでございますけれども、時間等の関係並びに与党側の理事の諸君の御了解を十分に得ることができなかったので、それで修正案の提案を見合わしたわけなんでございますけれども、それで、私は労働者の保護ということについて、十分に配慮をしなければならないと思うのです。  そのことについて、具体的にどういったような処置をおとりになるおつもりであるのか、この点について、一つ具体的に御説明を願いたい、こう思います。
  233. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 今回の、この問題につきましては、繊維工業の問題につきましては、非常にその点は慎重に、政府としまして考慮しまして、総合対策懇談会におきまして、特に労働代表の方々に入っていただきまして、十分に検討いたしまして、その結果、この合理化のため休止あるいは閉鎖をするといった場合には、労働者の雇用条件等が悪くならぬ、また条件を切り下げねばならぬというようなことをしないということが絶対条件になっているわけなんでございます。  また配置転換につきましても、これは一方的に配置転換をすれば、各方面に影響するところが多いということで、それぞれの関係者の間と、よく話し合いのついたものだけは配置転換する、こういうふうなことが条件になっているわけでございます。詳細のことにつきましては繊維局長から、御説明を申し上げます。
  234. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) この共同行為の指示につきましては、法律の第二十四条によりまして、通産大臣が告示でもってすることになっております。その告示の中に、ただいま大臣の申されましたような趣旨を織り込みたいと私ども考えております。つまり、この指示に基いて、精紡機の格納に当りましては、これを理由といたしまして、従業員を解雇したりあるいは労働条件を著しく低下さしたり、あるいは労働組合との協議を経ないで、その勤務地を変更してはならないという趣旨のことをまず告示でうたいたいと思います。  それから、それを受けますところの企業主側が共同行為をするのでございますが、この共同行為の内容におきましても、同様の趣旨を挿入させまして、そうしてこの法律の第二十七条の規定によりまして、通産大臣に届け出ることになっておりますが、届出の中に、そういう字句も挿入させまして、経営者側に約束させたい、かように考えているわけであります。
  235. 島清

    島清君 化学繊維の紡糸機の登録制ですね。第二条ですか、三項の末尾に適用除外を受けて、試験的な製造に関しては、通商産業省令で使用を認めることになっているわけなんですね。この問題は、特に合成繊維の育成上から、重要な措置でもあると思えるのですが、この省令内容としては、どの程度が試験的なものであると見なすか、その点、伺っておきたいと、こう思います。
  236. 今井善衞

    政府委員(今井善衞君) これは、合成繊維につきまして、特に適用があるのでございますが、合成繊維は、これは新しい技術のものが、次から次へと出ますので、従って、研究の芽をつんじゃいかぬという趣旨でございまして、これは合成繊維の種類によって違いますけれども、大体、種類によって、一トンないし三トンということでもって、範囲をきめたい。大体、たとえば一トンにいたしましても、三トンにいたしましても、研究としては、りっぱに成果が上ると思うけれども、市販したのでは、コストがとても高くて合わないというふうな程度できめたいというふうに考えております。
  237. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 委員変更について御報告いたします。  本日、木島虎藏君が辞任され、その補欠として迫水久常君が選任されました。   ━━━━━━━━━━━━━
  238. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 他に、御質疑もないようでございますから、質疑を終局し、討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。付帯決議案も、討論中にお述べを願います。
  239. 島清

    島清君 私は、本改正案に対しましては、原則的には賛成でございますが、しかしながら本法の実施に当りましては、ただいま質問を申し上げた諸点によっても明らかな通り、私は、法の運営に当りましては、若干危惧される面が、従業員、労働者側においてはあるわけでございます。法の目的とするところは、十分に理解できるといたしましても、その実施されることによりまして、いささかも労働者の生活権を脅かすことがあってはならないと、これは厳に戒めなければならない、こういうふうに考えられるわけでございます。  従いまして、通産当局におかれましては、本法の実施に際しましては、大臣以下、特に従業員の立場につきましては、遺憾のないよう、十二分の保護施策を進めていただきたい、このように考えるわけでございます。  さらに繊維製品というのは、日本貿易の花形の座を今でも失っておりませんので、貿易振興と、さらに繊維産業振興とが不可分にあるわけでございますが、しかしながら輸出振興をはかろうとするのには、やっぱり輸入によりまする原料の、より安価なものを入れるということが先決でなければならないと思います。この点につきましては、AA制の採用が強く要望されておりながら、なおかつ、国際収支の関係におきまして、にわかにこの制度を全面的に採用することが困難の事情にあるようでございますけれども、こういったような面につきましても、可及的すみやかな時期におきまして、安い原料が、どこの地域からも入って来るというような処置をすみやかにおとりになりませんと、せっかくの法の目的とするところも瓦礫に帰するのではないか、こういうふうに考えられますので、深甚なる配慮をわずらわしておきたいと、このように思うわけでございます。  私は、付帯決議案を用意いたしまして、自民党の同僚議員の諸君並びに他の同僚議員諸君の御賛成を得たいと思うわけでございますが、今、その付帯決議の案を朗読いたしまして、皆様方の御賛成をいただきたいと、こう思うわけでございます。     繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案  政府は、本法の施行に当り、事業の従業員に及ぼすべき影響を考慮し左の措置を強力に実施すべきである。法第二十四条の共同行為の指示を受けた事業者が、共同行為の実施に際し、従業員を解雇し、労働条件を著るしく低下させ、又は不当なる配置転換を行うことを防止するため充分なる措置を講ずること。  以上でございますが、この付帯決議に対しましての各議員諸君の御賛成を願いたいと、かように存ずる次第でございまして、私の賛成討論を終ることにいたします。
  240. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 他に御発言もなければ、討論を終り、採決を行います。  本案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  241. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 全会一致と認めます。  よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、付帯決議案について採決を行います。  本決議案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  242. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 全会一致と認めます。よって本付帯決議案は、委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、議長提出する報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願います。
  243. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律案につきましては、御審議の結果、御可決願いましたことを厚くお礼申し上げます。  なお、これに付帯いたします繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律案に対する付帯決議、これにつきましては、政府は十分御意思のあるところを尊重いたしまして、これが実現を期することにいたしたいと存じます。ありがとうございました。
  244. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 速記とめて。    〔速記中止
  245. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 速記起して。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時三十八分散会