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1959-03-31 第31回国会 参議院 商工委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月三十一日(火曜日)    午前十一時二分開会   —————————————   委員異動 三月二十六日委員鈴木万平辞任につ き、その補欠として白井勇君を議長に おいて指名した。 三月二十七日委員白井勇君、上林忠次 君、上原正吉君及び西岡ハル辞任に つき、その補欠として梶原茂嘉君、小 沢久太郎君、木内四郎君及び森田豊壽 君を議長において指名した。 三月二十八日委員木内四郎辞任につ き、その補欠として上原正吉君を議長 において指名した。 三月三十日委員梶原茂嘉辞任につ き、その補欠として鈴木万平君を議長 において指名した。 本日委員森田豊壽辞任につき、その 補欠として最上英子君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     田畑 金光君    理事            上原 正吉君            小幡 治和君            島   清君    委員            小沢久太郎君            木島 虎藏君            鈴木 万平君            高橋進太郎君            高橋  衛君            堀本 宜実君            最上 英子君            阿具根 登君            阿部 竹松君            栗山 良夫君            藤田  進君            豊田 雅孝君   衆議院議員            小平 久雄君   国務大臣    通商産業大臣  高碕達之助君   政府委員    通商産業政務次    官       中川 俊思君    通商産業省重工    業局長     小出 榮一君    通商産業省繊維    局長      今井 善衞君    通商産業省石炭    局長      樋詰 誠明君    中小企業庁長官 岩武 照彦君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   参考人    日本石炭鉱業連    合会常任理事  原口 秀雄君    北海道炭礦汽船   株式会社副社長  藤江  信君    三菱鉱業株式会    社常務取締役  大槻 文平君    常盤炭礦株式会    社取締役会社  大貫 経次君    日本炭鉱労働組   合副執行委員長  藤岡 三男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院  送付) ○小売商業特別措置法案内閣提出、  衆議院送付) ○軽機械の輸出の振興に関する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 田畑金光

    委員長田畑金光君) これより商工委員会を開会いたします。  まず、委員変更について御報告いたします。去る二十七日上原正吉君が辞任され、大内四郎君が選任されました。また、二十八日本内四郎君が辞任され、上原正吉君が選任されました。本日森田豊壽君が辞任し、最上英子君が選任されました。   —————————————
  3. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 次に、理事補欠互選についてお諮りいたします。  ただいま報告いたしました通り上原君の委員異動によって理事が一名欠員となりましたので、この際、補欠互選を行います。互選は先例により委員長において指名することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 御異議ないと認め、理事上原正吉君を指名いたします。   —————————————
  5. 田畑金光

    委員長田畑金光君) それでは、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案及び小売商業特別措置法案を便宜一括して議題といたします。  まず、両案の提案説明を求めます。
  6. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 今回提出いたしました石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び法律案要旨について御説明申し上げます。  石炭鉱業合理化臨時措置法は、昭和二十八年以来の深刻な石炭不況を背景として昭和三十年八月に制定されたものでありまして、同法は、石炭鉱業合理化をはかり、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的として、石炭鉱業合理化計画に基いて石炭鉱業整備、坑口の開設制限及び未開発炭田開発等を行うことを主たる内容とするものであることは御承知通りであります。  このうち石炭鉱業整備は、石炭鉱業体質を改善し、あわせて石炭コストの引下げをはかるため、石炭鉱業整備事業団年間生産能力三百二十万トンを目標にして非能率炭鉱買い上げ実施しているものであります。  今回の改正法案は、本年一月二十八日開催しました石炭鉱業審議会において、石炭鉱業整備事業団による非能率炭鉱買収ワクをさらに百万トン増加する旨の答申がありましたので、この実施に必要な費用に充てるため、石炭の掘採を目的とする採掘権者及び租鉱権者納付金納付期間をさらに一年間延長して昭和三十六年八月末までにしようとするものであります。  御承知のように、最近におきましては、鉱工業生産もようやく上昇の傾向にありますが、千百万トンをこえる膨大な貯炭に直面している石炭鉱業におきましては、予想される石炭需要の回復が直ちに現在の不況解消をもたらすと期待することは困難でありまして、むしろ、事態推移いかんによりましては、再び昭和二十八年二十九年当時の混乱状態に立ち至ることも懸念されております。このため、政府といたしましては、本年度以上の生産調節の指導、貯炭資金の確保、輸入エネルギーの節減、石炭需要喚起等の諸施策の実施により不況の打開に努める方針でありますが、このたびの法律改正は、不況対策の一環として非能率炭鉱買い上げワク増加して、不況時において予想される非能率炭鉱倒産に伴う各種の弊害を除去しようとするものであります。  以上がこの法律案提案理由及び要旨でございますが、今回の買い上げ増加に伴い離職する鉱山労務者は、職業紹介の強化その他公共事業及び失業対策事業等により極力これを吸収するよう十分の措置を講ずる考えであります。  何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことを切に希望する次第であります。  引き続きまして、小売商業特別措置法案について提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  まず、提案理由について御説明いたします。  小売商業国民経済上きわめて重要な分野を占めていることはあらためて申すまでもありませんが、全国百数十万の小売商業者の大部分はいわゆる零細小売商であり、その数は年々増加する傾向を示し、同業者間の競争はいよいよ激甚となり、加うるに購買会等小売商以外の者の小売面への進出により経営の不振と不安定とに悩んでいるのであります。  政府は、かかる点に思いをいたし、小売商業について特別な措置をとり得るよう、第二十六国会において小売商業特別措置法案提案いたしたのでありますが、第二十八国会において審議未了となりましたので、あらためて十分再検討を加えた上、前国会に本法案提案したのでありますが再び審議未了となりましたのでこのたびあらためて提案するに至った次第でありますが、衆議院におきまして、一部修正をみております。  政府提案いたしました原案について申し上げますと、  第一に、都道府県知事は、いわゆる購買会事業活動中小小売商利益を著しく害すると認めるとき、その員外利用を禁止し、さらに必要があれば、その禁止を確保するため必要な命令を出し得ることとしたのであります。  第二に、消費生活協同組合は、消費生活協同組合法において行政庁許可を受けた場合に員外利用を認めているのでありますが、この員外利用許可申請があった場合におきましても、当該行政庁中小小売商利益を著しく里中するおそれがあると認める場合には、許可を与えてはならないこととし、また員外利用を未然に防止するため必要な命令を発し得ることとしたのであります。  第三に、いわゆる小売市場につきましては、近年大阪神戸名古屋等の都市においてその乱立による過当競争が激化し、しばしば不公正な取引方法が用いられているのでありますが、かかる小売市場乱立の根源をなしている市場業者による過大な家賃等徴収を防止するため、まず特定の市においては、市場業者貸付契約について都道府県知事許可を要することといたし、また市場内小売商の不公正取引について、都道府県知事及び公正取引委員会が必要な措置をとるための規定を設けることといたしたのであります。  第四に、生産業者直売行為卸売商小売行為等中小小売商事業活動にかかる紛争につきましては、あっせん又は調停を行うことといたしますとともに、必要があれば都道府県知事又は主務大臣紛争の当事者に対して勧告できることといたしまして紛争解決に万善を期したのであります。  以上述べました通り、本法案は、小売商事業活動機会を確保し、小売商業の正常な秩序を阻害する要因を除去するためのものでありまして、中小企業団体の組織に関する法律の円滑なる運用と相まって中小小売商経営の安定と向上とを期待するとともに、ひいては国民経済の健全な発展に寄与することを目的としているのであります。  以上が政府提案いたしました小売商業特別措置法案趣旨でございますが、衆議院におきまして、御審議の結果一部修正をみております。何とぞ御審議の上可決せられますようお願いいたします。
  7. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 次に、小売商業特別措置法案は、衆議院において修正の上、送付されたものであります。この際、修正案提出者より修正部分について説明を聴取いたします。
  8. 小平久雄

    衆議院議員小平久雄君) ただいま議題となっております小売商業特別措置法案衆議院において修正議決いたしましたが、修正点概要を私から御説明申し上げます。  第一は、法律の題名を小売商業調整特別措置法としたことであります。  第二は、消費生活協同組合に対する員外利用許可及び措置命令に関する規定、すなわち原案の第三条及び第四条については、これと同趣旨のものを消費生活協同組合法において規定することとし、かつ措置命令について若干の修正を加えた点であります。  なお、これに伴いまして購買会に対する措置命令についても所要の修正を行いました。  第三は、小売市場許可について貸付のみならず、譲渡についても許可を要することにいたしますとともに、許可基準につき過当競争のおそれがない限り許可するという趣旨を明らかにした規定を設けたことであります。  第四は、指定区域内で指定商品小売業を兼業する製造業者または卸売業者は、都道府県知事に届け出なければならないという規定を設けたことであります。  第五は、あっせん調停等物品流通秩序の適正を期するという観点に立って行うことといたしますとともに、字句修正を行なったことであります。  以上修正の骨子を申し上げましたが、細部にわたる点につきましては、御質問に応じお答え申し上げたいと存じます。
  9. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 次に、両案の内容説明を求めます。
  10. 樋詰誠明

    政府委員樋詰誠明君) それでは簡単に申し上げます。  先ほど大臣から提案理由説明で要点は申し上げましたので、それを補足するような意味で若干申し上げますが、御承知のように現在合理化法に基きまして、先ほども申し上げましたように、三百三十万トンの非能率炭鉱買い上げるということで石炭鉱業整備事業団において業務を進めております。ところが昨年の八月末までに三百三十万トンのワクに対しまして三百八十五万トンの申し込みがございまして、ワクを五十五万トン以上オーバーしておるわけでございます。これらの炭鉱はいずれもそのうちに買い上げワク増加するであろうということを期待しながら、今日までどうにか操業を継続しておるという格好でございまして、今までに、それから半年ばかりたっておるわけでございますが、このままで買い上げをしないというようなことになりました場合には、遅かれ早かれ今の石炭不況の下においては倒産のやむなきに至り、従ってそこに働いている従業員というものは賃金未払いのままに路頭に放り出されるおそれが相当濃厚なわけでございまして、今回ここに御審議をお願いいたしております改正案は、石炭鉱業整備事業団が現在の非能率炭鉱買い上げワク三百三十万トンに加えるに、さらに百万トンとし、合計四百二十万トンの非能率炭鉱買い上げよう、こういうものでございますが、そのうちの六割近いものはすでに昨年の夏から事業団に申し込んで買ってくれということを言っているもので、残りの四割程度が今後新しく申し込まれるということになるのでございます。大体この結果、この法律を制定していただきました当時、非能率炭鉱というふうにわれわれが考えておりましたものが約六百万トンあったわけでございますが、そのうちの七割程度が買い取られることになりまして、残りの三割程度のものの中で、努力して非能率炭鉱からもう少し上のランクにはい上って、自力で自活できるというふうになりつつあるものもございますし、あるいは今までに買い上げの対象にすらならないというもので、はずれたものもあるわけでございますが、われわれといたしましては、今の段階においては法的措置を講じて買い上げてやるというのは、大体この七割程度すれば、石炭業界体質改善ということについて、一応の目的を達し得るのではないか、そういうふうに考えているわけでございます。  この石炭鉱業合理化法改正に当りまして、一番の問題は申し上げるまでもなく、一応未払い賃金等事業団がかわって払ってくれるので、大体問題は解決するのでございますが、しかし職場を失って離職するという問題が生じます。その離職者の取り扱いをどうするかということが一番の問題でございます。大体すでにきまっております三百三十万トンの非能率炭鉱について約二万三千人の従業員が離職するという予定でございますが、今回さらにそれに百万トン買い上げるということによって、全国で七千五百人程度新しく職場と離れることになる、そういうふうに考えております。この中の三分の二の約五千人が九州で発生するのでありまして、その残りの三分の一は北海道、常磐、あるいは宇部等で発生いたしますが、今までの経験から申しますと、これらの三地区については、あまり大きな、失業問題のために非常に社会的な不安を起すというところまでは至っておりません。問題は九州が圧倒的に内容が非常にむずかしい要素をはらんでいるわけでございますが、これにつきましては、関係各省  労働省、建設省、運輸省等関係各省協力を得まして、三十四年度の公共事業費あるいは失業対策費といったようなものを重点的に北九州地方に投入するということから、われわれといたしましては、一応今回百万トンについて発生いたします失業者等については、三十四年度における予算の増加分で十分に賄い得るという自信をもってここに国会法案を提出し、御審議をお願いしたわけでございます。  御承知のように石炭につきましては、炭主油従政策というものをとっておりますがこれは申すまでもない、できるだけ早い機会石炭が石油に対して競争的な価格で競争できるようになるということを前提といたしまして、それまでの間、若干割高でも石炭を使っていただきたいというふうに、各方面に御協力を要請しているわけでございますが、その炭主油従政策を遂行いたします際にも、できるだけ石炭業界体質改善をはかって、能率的な健全な企業が操業できるという格好にもっていくということが不可欠の第一歩でございますので、われわれといたしましては、炭主油従政策の裏づけとしても、ぜひこの際、非能率炭鉱買い上げを促進するということによりまして、大きな目的に邁進いたしたい、かように存じている次第でございます。  以上簡単でございますが、先ほどの大臣提案理由に補足して、今回出しました改正案内容説明させていただいたわけでございます。
  11. 田畑金光

  12. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) それでは衆議院から送付されて参りました小売商業調整特別措置法案内容を御説明申し上げます。  政府原案小売商業特別措置法案というのが、法案の名前が変りまして、調整という字句が入りまして、小売商業調整特別措置法案、これは先ほど申し上げた通りであります。  第一条は、本法の目的を書いたのでございまして内容といたしますところは、小売商業事業活動のチャンスを確保するということと、小売商業の正常な秩序を維持する、秩序を阻害する要因を除去するということが目的でございます。  それから第二条でございますが、これは購買会事業に関する規定でございます。購買会事業と申しますのは、御承知のように、現在各事業で行われておりまする経営者側福利厚生事業労働者に対しまする一定商品あるいはサービスの提供というふうな事業に関する規定でございまして、この事業の根本につきましては、別段触れておりませんが、従業員以外の者に対して購買会事業利用さすということが、小売商業者、特に中小のものに影響を与えまする点にかんがみまして、その中小小売商業者事業活動影響を及ぼしまして、その利益を著しく害すると認めるときに、その購買会事業を行う者に対しまして、従業員以外に利用させてはいけないということを命令することができるという建前にしておりまして、なおかつ、いわゆる員外利用命令趣旨を徹底させまするために、必要がありまするときには、この従業員以外の者が、この事業利用してはいけないということを掲示させる、あるいは従業員であるかどうか不明瞭なものがあるわけでございますが、そういうときには、この従業員であることを示す証明書を提示させるというふうな、そういうふうな措置をすべきことを都道府県知事購買会事業者に対して命令し得る、いわゆる措置命令に関する規定でございます。  それから消費生活協同組合等事業利用につきましての規定でございます。これは先ほど御説明がありましたように、消費生活協同組合法改正になりましたので、その点はあとで御説明いたします。  それから第三条以下は、いわゆる小売市場に関する規定でございます。小売市場と申しますのは、俗にマーケットというふうなことで言われておりまする集団店舗日用品ことに生鮮食料品の販売を含んでおりまする集団店舗意味でございまして、横浜市、あるいは名古屋市、大阪市、京都市、神戸市等でたくさんできておりまして、それが非常に乱立いたしまして、かえって経営の基礎を危うくし、中に入っておりまする小売商経営が不安定になるという問題がございまするので、これに対しまして一定の規制を加えようという趣旨規定でございます。  第三条におきましては、政令特定の市を指定いたしまして、その市内におきまして、小売市場に供するために建物の全部または一部をその小売商に貸し付け、あるいは譲渡してはならない。譲渡といいますのは、部分的な建て売りを禁止している意味であります。それから小売市場という定義がかなりむずかしい問題でございまするが、一応十以上の小売店舗を中に擁しているということに考えております。また、その店舗におきまして、先ほど申しましたように、生鮮食料品を売っているということを要件にするわけでございます。そうしてこの小売市場の用に供する店舗貸付譲渡については、都道府県知事許可が要るということが第三条の趣旨でございます。  それから第四条は、その許可申請の手続でございます。  第五条でございますが、これは申請があった場合の許可基準でありまして、第一号におきましては、小売市場ができました結果、中に入っておる小売商付近小売市場の中の小売商との競争がひどくなり、あるいは付近小売商との競争がひどくなって、小売商経営が不安定になるというおそれのないときには許可しなければならぬということになっておりまして、つまり小売市場乱設、あるいはその結果、付近小売商に与える影響を考えて許可し得る、こういうふうになったわけでございます。  第二号は、これはこの中の店舗貸付条件あるいは譲渡条件基準に合致しなければいけない。つまりは不当な条件ではいけないということでございます。  第三号以下は、やや事務的な規定でございますが、申請者が前科がないこととか、あるいは法人の場合もそういうことがないこととか、あるいはその場合に許可の取り消しを受けまするが、その日から一年以内の者というふうな場合には許可してはならない、こういうふうになっております。  第六条は、経過規定でございまして、これも先ほど申しましたように、これは地域を指定いたしまするので、その地域内で現に法律施行当時、小売市場を営んでいるものについての扱い方、これは許可を受けたものとみなすというふうになっておりまして、現状についてはそのまま認めようというわけであります。  第七条は、これは許可を受けた小売市場、あるいは許可を受けたものとみなされている小売市場につきまして、床面積増加の場合には新しく許可が要る。あるいは貸付条件、または譲渡条件変更の際には許可が要るということであります。要するに必要な条件変更の場合に許可が要るということでございます。  第八条は、これは要するに、今の建前は、一定貸付あるいは譲渡条件申請書に記載して許可を受けるわけでございまするから、その条件通り履行されるかどうかということを、いわば確保する意味規定で、申請書記載通り条件で、現実の貸付契約、あるいは譲渡契約をしなければいけないこういう趣旨規定でございます。  第九条は、これは許可を受けた者の承継の規定でございます。  第十条は、これは許可を受けた者が正当な理由がなくて小売市場を開設しない、一年以上開設しないという場合は許可を取り消し得る、こういうことでございます。  第十一条は、これは施行上の政令であります。  第十二条は、これはいわゆる不公正取引に関する規定であります。小売市場の中に入っております小売商が不公正な方法取引をいたしまする場合に、都道府県知事公取委員会の発動を求める、こういうふうな趣旨規定でございます。  第十四条でございますが、これは今度新しく修正せられました規定でありまして、製造業者あるいは卸売業者指定地域において指定物品を販売している者は都道府県知事に届出をしなければいけない、こういう趣旨規定であります。要するに、そういう地域におけるそういう商品小売状況の実態を把握しよう、こういう趣旨規定であります。  第十五条以下でございますが、これは小売商業者とその他の者との紛争が起りました際における解決方法等規定しているものでございまして、十五条から二十条まで及んでおります。それで、趣旨といたしましては、中小小売業者とその他の者との小売行為に関する紛争でございます。製造業者との場合、あるいは卸売業者小売業者との場合、あるいはその他の者と小売商との間に紛争が起った場合には、都道府県知事申請に基きまして、あっせんあるいは調停を行い得る、こういうことが書いてございまして、なお四号といたしまして、小売市場関係におきまして紛争が起った場合も、これに準じて行える、こういうふうにしてございます。  あっせんは特別な規定はございませんけれども、調停におきましては第十六条にございますが、やや専門的知識を要し、かつ公平を旨としなければいけませんので、一事件ごと都道府県知事調停員を委嘱いたしまして、これによって事件解決をはかる、こういうふうにしております。  それからなお、あっせんあるいは調停が行われ得ない場合に勧告をして、そうして事態解決をはかるという趣旨規定も十七条あるいは十八条に入れております。  十九条、これは普通の法律にございまする報告徴収及び立ち入り検査等規定であります。  二十条は、異議の申し立ての規定でございます。  それから二十一条は省令に委任されておるその省令に関する規定であります。  二十二条以下、罰則でございますが、付則におきまして、先ほど冒頭に申し上げましたように、消費生活協同組合員外利用関係におきまして、消費生活協同組合法改正を行なっております。付則の第三項以下でございます。これは御案内のように、消費生活協同組合法では、物品の供給は組合員に対してのみ行えるというふうになっておりまして、「但し、」といたしまして、行政庁許可があった場合にはこの限りにあらず、こういうふうになっておりますが、そのただし書きによりまするいわゆる員外利用許可を与えまする際に、中小小売商業者事業活動影響を及ぼして、その利益を著しく害するおそれがあるときには、この員外利用許可をしてはならないというのが第四項の規定でありまして、第五項におきまして、その員外利用を行わないように確保するために、先ほど購買会事業で申し上げましたと同じ趣旨措置命令を出し得る規定を入れております。なお、第六項におきまして、厚生大臣及び通産大臣が必要あると認めますときには、監督官庁である都道府県知事に対しまして、この員外利用に関する措置命令を出すように指示し得るというふうに定められております。それから第七項におきましては、必要がある場合には、通産大臣都道府県知事から消費生協の員外利用の状況について報告を求め得る、こういうふうに規定されております。それからなお、先ほど申しました措置命令に関しまする消費生協の違反に対しまする罰則を第百条の二というところに定めておりまして、これは大体この範囲のことが消費生活協同組合法改正になるわけであります。  大体内容の御説明はこの程度にしておきます。
  13. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 石炭鉱業合理化法案につきましては、本日午後一時から審査を行います。また、小売商業特別措置法案につきましては明日質疑に入ります。   ━━━━━━━━━━━━━
  14. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 次に、軽機械の輸出の振興に関する法律案議題といたします。これより質疑を行います。  ちょっと速記とめて。    〔速記中止]
  15. 田畑金光

    委員長田畑金光君) じゃ速記起して。  御質疑のある方は順次発言願います。
  16. 藤田進

    ○藤田進君 大胆の出席はいかがになっておりますか。
  17. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 大臣は予算委員会で矢嶋委員から科学技術庁長官としての出席を求められておりますので、これが済んだらこちらに帰って参ります。
  18. 藤田進

    ○藤田進君 それじゃお待ちいたしましょう。
  19. 島清

    ○島清君 本法のねらいとするところは、登録制度を設けてそして輸出振興事業協会を作ると、この二つのねらいがあるようですが、登録の問題については私が先般の委員会で、国をあげて大騒ぎをした団体組織法ではそれはできないのか、その他関係法律を活用してはできないのかというような御質問を申し上げて一応の御答弁をいただいたわけでしたが、私は輸出振興事業協会については確かにまだお尋ねをしてないように思うのです。きょうは事業協会についてお尋ねをしたいのですが、今でも何か株式会社みたようなものを作って双眼鏡の一手買い上げといいますかな、そういうようなことをやっているわけなんですね。そこで私などが非常に懸念をいたしますことは、輸出振興事業協会というものには、この法案によりますと、業者の意見が反映できるような建前をとってないのですね。通産大臣が非常な力を持ちまして運営をするという建前になっているのですが、しからばこの本法案のねらいである海外市場の開拓、貿易の振興ということについては、実際の業務を扱うものはこの協会ではなくして貿易振興会にやらせると、こういうことなんですね。そうすると何のことはない、この事業協会というのは業者の上に君臨をして、そうして単なるトンネル口銭をとるような団体に終つちまうんじゃないかと、こういうような憂いを深くするわけであります。片一方においては登録制を設けて、そして生殺与奪の権を役人さんが握っておって、そうして作られた生産部門においてはこういうふうに握られておって、そうしますと、その作った製品については、これは輸出品でありまするから、輸出振興事業協会の方で、おそらく業者とは無関係とまでは言いませんけれども、業者の意思とは別個な形において運営をできるような団体がある。生産の面では締めつけられて、そうして輸出の面でも締めつけられる。それじゃこの事業協会というものが実際の輸出振興をはかるならばこれはまた別でありますけれども、それはまた、ジェトロの方にやらせるということになりますと、両面から業者は締めつけられるという形になると思うのです。そこで私は、これが全くの新しい構想であればこういう懸念はないと思うのですが、今でも何か双眼鏡に関しては株式会社ですかがありまして、そうして手数料か何か取っているのですね。それが行き詰まってしまったので、こういう形で一種の救済機関を作って何かやるのではないかというような懸念がないでもないのですね。そこで私のこういう懸念というものが杞憂であれば非常に幸いでありますけれども、今のこの株式会社ですか、これの運営についてもう少し実態を門外漢でもわかるように一つ御説明を願いたい。それは手数料は幾らとっているか。それからその会社ができたことによって、双眼鏡の業者が若干救済された事案があるかどうか。その会社というものが貿易の面でどういう役割を果してきたか。そして、その会社のいわゆる運営の衝に当る重役陣というか幹部の諸君は、どういう経歴を持った諸君によって構成をされているか。そうしてその諸君の俸給といいますか、そういったような給付面はどういうふうになっているか。  この五点について御説明を願いたいと思います。
  20. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) ただいま輸出振興事業協会の問題に関連いたしまして、現在双眼鏡の業界にできております双眼鏡輸出振興株式会社の内容あるいはその運営の実態についてのお尋ねがあったのであります。お話の通り輸出振興事業協会の組織は、従来にない新しい形態といたしまして、特別な法人を設立してやるわけでございまするが、既存の双眼鏡等におきまする輸出振興株式会社というようなものの存在は、輸出振興事業協会ができますると、これに対して発展的に解消する、こういうふうな建前になろうかと思うのであります。  そこで、既存のそういった輸出振興株式会社というものが、どういうふうな背景で出てきたかということでございまするが、この会社ができまするまでの業界の背景と申しまするか、これは御承知通り双眼鏡の業界におきましては非常に過当競争が極端に行われておりまして、その結果非常に取引内容が不安定でありまするし、生産は増加しておりますにもかかわりませず価格が下落し、あるいはメーカーの倒産がひんぴんとして起り、その反面において次々と新規開業が行われるというような実態でございました。そのために、品質のよい製品と安定した価格によって、信用のある取引のもとに継続的に供給する、こういうことがやはりどうしても必要でございまして、そのことは単にメーカーあるいはサプライヤーの過当競争を数量協定だけで排除する、ということによってやることも一つの方法でございまするが、その間にこういった一手買取販売会社というものを介在させまして、そういたしまして弱小な資本のメーカーとサプライヤーとの間の不良な取引関係というものを、一手買取販売機関によって遮断いたしまして、そうして取引内容を健全化する、こういうことが一つのねらいであったわけでございます。  この会社ができまする経緯は、昭和三十一年の九月に日本輸出双眼鏡調整組合というものが、調整規定におきまして、一手買取機関といたしましてのこういった日本双眼鏡輸出振興株式会社というものに対しまして、すべての調整の対象になっておりまする調整貨物を全部この会社に販売するということを定めました。それから昭和三十二年の三月に、中小企業団体法の第二十九条の規定に基きましてアウトサイダー規制命令を出しまして、それによりまして一手買取販売会社としての特殊的地位をこの法律によって与えられる。さらに昨年の五月から中小企業団体法の第五十六条の命令によりまして、この会社が一手買い取り販売機関ということに指定されて現在までに至っております。  成立の経緯はそういうことでございますが、それではこの会社の運営の状況はどうであるかということでございますが、これは普通の株式会社でございまするので、運営の実態は株主総会、取締役会、それから社長の諮問機関といたしまして運営委員会というものがございまして、大体これらの機関によって運営されております。ところが、この会社の運営の実態は、率直に申し上げまするというと、会社の構成がメーカーとサプライヤー、こういうもともとある意味においては利害の相反する両業界の代表によって構成されております。従って、率直に申し上げまして、この会社の運営は円滑にいっているとは申し上げにくい次第でございます。メーカーの内部におきましても、また比較的中小企業以上の企業と零細企業との対立、というような問題もございまして、どうも会社の運営は不安定な状況になっておりまして、ことに一手買い取り販売を始めるということになりました場合においては、いろいろ買い取り業務に不なれであるとかいうことによりまして、いろいろメーカーの面におきましても、またサプライヤーの方におきましても、会社に対する不満というものが出て参りまして、運営は必ずしも円滑にいっていなかったのであります。それは、そういった輸出業者なりあるいはメーカーの間の利害の不一致というものもございまするし、あるいはまた半面において資金的なバックが非常に不備であるというような面もございまして、そういう効果が十分に上っておりませんでした。従って、約三年くらい前に一手買い取り販売機関として発足いたしましたにかかわりませず、実態としては、率直に申し上げまして、昨年の八月ごろまでは、この会社としてはほんとうに一手買い取り販売機関としての態勢を整備するに至っていなかったわけでございます。そこで昨年の八月ごろになりまして、ようやくこの間の問題がやや調整がつきまして、ほぼ態勢が整備した。その態勢が整備いたしましたのは、これは先般もお尋ねがございました、五億円ほどの買い取り資金、これを金融機関によって融資を受けるという準備ができたのでありまして、そういうような準備態勢、買い取り資金の導入態勢ができたということを背景といたしまして、初めて昨年の八月ごろから態勢が整備し、そこで買い取り価格もやはり一ドルの価格上昇をもたらしたのでありまして、そういった実質的な効果も上って参りました。非常に安値の注文でありましたならば、この会社において適正な価格で買い取ってもらえる。こういうような背景ができることによりまして、輸出業者が非常に不当に安値のオファーがありました場合においてもこれを拒否できる、そういう態勢が実はできたのでございます。  こういうような実態でございまして、先ほどお尋ねの会社の具体的な内容といたしまして、まず手数料でございまするが、これはこの手数料は主として会社の運営の維持費に充てられるということになるのでありますが、平均いたしまして一本当り十四円という線で手数料をとっております。それからそのほかに振興費という名目がございまして、これは結局現物の一定買い取り販売態勢をとるという建前のもとにおきまして、保管料のような意味をもちまして、振興費というものが平均一本五十三円という形においてとられております。これらの経費は近い将来において大体その三分の二くらいまでに切り下げる、こういう予定にすでになっておるのでございます。  役員でございまするが、常勤者といたしましては、社長は前の日本光学の社長をしておられました波多野さんという方でございます。それから専務は水谷さんという方で、これは企画協会という団体がございましてそこの前役員をしておられた。それから常務は富士フィルムから一人、それから元工業組合の理事長をしておられた方が一人、この四人の方が常勤でございます。そのほかに役員としましては非常勤の役員が十六名ございまして、内訳としましては、大企業の代表者が三名、中小企業のメーカーが八名、それから商社関係の方が五名と、大体こういうような構成になっております。  そこで先ほど社長の諮問機関として運営委員会というものがあるということを申し上げましたが、重要事項は全部この運営委員会で定められております。定員は、運営委員会といたしましては、メーカー代表、中小の代表六名、大企業の代表が五名、それからそのほかに商社関係が十名、金融機関関係から一名、こういうような構成でございます。  それから株主でございますが、株主は中小の持株が約六割、大メーカーが二五%、残りの一五%がサプライヤーと、大体こういうふうな関係になっております。振興会社の実態はそういうようなふうでございまするが、それではこういった振興会社をどうして振興事業協会に切りかえるかという問題でございまするが、これにつきましては、やはりこういった先ほど来申しておりますように、振興株式会社の実態というものは、こういう構成面におきましてもそれぞれのメーカーとサプライヤーとのある程度利害の一致しない面に、構成上のそういう基本的な問題を含んでおりまするし、積極的に海外に対しまして、輸出振興のためのPRなりあるいは調査活動をするということのためには、やはりそういったマーケッティングに関する専門の知識を持った優秀な人材に、じっくり腰を落ちつけてやっていただけるような特殊な態勢が必要ではないかということにおきまして、単なる株式会社ではなくて、そういった意味の独立の機関の方が、より振興のためには適切である、こういう趣旨におきまして、協会を作るということにしたわけでございます。  その協会の実態につきましては、先ほど御指摘の通り、それはジェトロが全部やるのではないか、こういうようなことでございますけれども、海外における具体的な活動事務につきましては、ジェトロに委託をするわけでございまするけれども、しかし振興事業協会といたしましての事業はそれだけで終るわけではございません。そのジェトロに委託しますに至りまする間におきまして、まず国内におきまして、こういった海外に対する振興事業活動をいたしまするための計画あるいは調査、そういったようなことにつきまして、十分国内的な態勢を整えて、それと海外とのつながりを計画的に立てまして、そうしてその上でジェトロに対して具体的な活動を委託をする、こういう形になるわけでありまして、従いまして振興事業協会としての活動分野というのは、十分にそこに残っているわけでございます。そういうふうな形で運営して参りたい、さように考えております。
  21. 島清

    ○島清君 今四人の常勤常務の社長以下お話があったのですが、社長は日本光学の社長が当っておられるということですが、専務水谷さん以下この四人の方の中に、かつて通産省の役人であった人が、かつてですよ、何人ぐらい入っているのですか。
  22. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) 社長は元の日本光学の社長でございます。もちろん現在は日本光学の社長ではございません。それから今の御質問の元通産省の役人であったという方は、専務の水谷さん一人でございます。
  23. 島清

    ○島清君 元じゃなくして、かつて通産省の役人だった人も、水谷さん一人でございますか。
  24. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) その通りでございます。
  25. 島清

    ○島清君 今その会社は、局長がおっしゃったような安い手数料じゃないですね。ここにいわゆる標準品と言われておるんだそうである品物を見ると、六十一円の保管料というものをとっているんですね。それから手数料が十六円ですか商社の手数料、製造会社の手数料おのおの十六円ずつ、保管料六十一円というふうになっておりますね。これが、保管も何もしないけれども、ただ伝票だけで保管料というものをとって、この会社自体というものの維持が困難になってきたのではないですか。
  26. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) 双眼鏡輸出振興会社の手数料、保管料の関係でございまするが、先ほど私が申し上げました一本当り十四円というのは、これは標準品と普通考えられておりまするZIF、これは価格が大体三千百円くらい、十四円というのは、商社からも十四円、メーカーからも十四円ということになっております。それから、そのほかに保管料といたしまして、三千百円の場合におきましては、五十三円というふうな形になっております。これらの手数料なり保管料のきめ方が果して適当であるかどうかというような点につきましては、これは先ほども申し上げましたように、運営委員会等におきまして、それぞれの系列の各商社なりメーカーなり関係者の十分意見を調整いたしました上で決定されたものであると考えます。会社といたしましては、別段これによって現在の運営が非常に苦しくなっているということもございませんし、またこの会社が不当にこれによってむだなよけいなものをとっておるというふうにも必ずしも考えておりません。ただこの振興会社の運営につきましては、先ほど来申し上げましたように、過去においては必ずしもうまくいっていなかったということの実態は、これはやはり主として基本的には業界内部におけるメーカーとサプライヤーの利害関係、またメーカーの中における各企業の規模なり業態による利害関係というものが、非常に調整が困難であったというようなことが一つの原因ではないか。従って、ほんとうに会社の態勢がやや軌道に乗っておりますのは昨年の夏ごろからであると、こういうふうな実態でございます。
  27. 島清

    ○島清君 今おっしゃいました標準品に例をとってみても、五十三円という保管料は保管した場合に保管料をとるということなんですか。それとも保管をしなくても、一木に対して保管料という名目でこれだけのものをとるということなんですか。
  28. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) この保管料という形になっておりますが、これはまあ実際上の扱いといたしましては、振興費というふうな名目で金利なり、倉敷なり、そういったものを一応計算いたしましてとるわけでございます。しかし、これは御指摘の通り、現物の買い取り、あるいはノミナルなただ買い取りという格好の実態でありまする場合におきましては、現物買い取りではございませんので、実際の現物の保管料という形にはならないわけであります。しかし、その預かっておりまする名義はすべてこの振興費保管料という形において、払いましたメーカーの名義で預かっております。従って、これは将来において、当然実際の現物買い取りをしたのかしなかったのかという実態に合せましてあとで清算をすると、こういう建前になっております。
  29. 島清

    ○島清君 そうすると、やはり伝票だけの操作で、振興費とかあるいは保管料という形において五十三円なり六十一円というのがとられておると、こういう工合に理解してもいいわけなんですね。
  30. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) 現物買い取りを現実にはまだやっていないということは事実でございます。しかしながら、現物買い取りをやり得るという態勢を整えておるわけでございまして、従いまして、昨年の八月ごろからやや価格も安定してきたと、一ドルの価格上昇ができたというようなことは、やはり先ほど申し上げました現物買取資金としての五億円というふうな金融的な背景も整い、また現物保管もできるための振興費というものもこれを徴取しておると、こういうふうな態勢を整えておると、こういう意味でございまして実態といたしましては、御指摘の通り、現物買い取りでなくて、名義上の買い取りという形になっていることは事実でございます。
  31. 島清

    ○島清君 これは、局長説明によりますと、保管料というものの実際は振興費、しかしながらこれは会社の整備に非常に役立っていると、こういう御説明のようですが、これが五十三円とかあるいは六十一円になったというのは昨年の八月あたりからのことでございますか、それとも会社設立以来からの料金価格でございますか。
  32. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) 昨年の八月からでございます。
  33. 島清

    ○島清君 その五億という金の手当でございますね、それは現実に貿易振興、業界安定のために使われたんですか。
  34. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) この五億の買取資金と申しまするのは、昨年の八月に、ほんとうの意味において現物買い取りをやり得る、という態勢を整えまするための買取資金の用意ということでございまして、主として商工組合中央金庫においてこの資金手当をする用意ができたということでございますが、現実には現物買い取りをやっておりませんからして、現実には金は出ておりません。
  35. 島清

    ○島清君 この会社が何か一手買い取りを一ぺんやったことがありますね。しかしながら一手買い取りをやりましたところが、結局はストックはストックであって、デッド・ストックになって非常に損をした過去の何があるのですね。その失敗にかんがみて、一手買い取りばしないけれどもその形で手数料をとると、こういうふうになつて、それで会社の維持だけをはかるために不必要なこういったような手数料名義のものがとられていると、こういうふうに見られているのですが、この点はどうなんですか。
  36. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) 今御指摘がございました一手買い取りをやったことは、過去において一度あるわけでありますが、それはこの会社の方において積極的に買い取ったというよりも、むしろ持ち込まれまして買い取ったというふうな形になっているように承わっております。それで、先ほど来申しておりまするように、昨年の八月ころまでは、率直に申しましてこの会社の運営は円滑には、いっていなかったということが実態でございます。従ってこの一手買取り販売機関として、三年足らず前に発足したにもかかわらず、実際は一手買取り販売機関としての機能を十分に果していなかったということも、私どもも十分に承知いたしております。ただ現在のこの手数料なり保管料というものは、ただ会社を作った以上は、これを何とか維持しなければならぬというような意味において、やや無理のある形において買い取りをしているというような実態にはなっていない。かように私は考えております。
  37. 島清

    ○島清君 一ぺんは買い取ったことがあるのじゃないですか。
  38. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) 先ほど来申しておりまするように、現物買い取りということを現実にはやっておりませんけれども、しかし名義的な一手買い取り販売はいつでもできる。また持ち込まれればこれを買い取っておる、こういう態勢には現在なっておるわけでございます。
  39. 島清

    ○島清君 いや、一回は現物を買い取ったことがあって、それで結果はそれがデッド・ストックになって非常に安く市場に出さざるを得なくなって、それにこりて一手買い取りというのをしなくなったのじゃないのでございますか。
  40. 小出榮一

    政府委員(小出榮一君) 過去におきまして約二万本の買い取りをいたしまして、現在におきましては現物買い取りをいつでもやれるという態勢になっておりまするけれども、実際にやっておりませんのは、現物の買い取りの持ち込みがないということからきておる結果でございます。過去におきましてはある程度、今、島先生が御指摘になりましたような事実があったことは私どもも承知いたしております。
  41. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 暫時休憩いたします。    午後零時二十三分休憩    —————・—————    午後一時四十三分開会
  42. 田畑金光

    委員長田畑金光君) これより委員会を再開いたします。  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  ただいまより本案並びに最近における石炭事情について参考人の方々より御意見を拝聴いたします。本日御出席を願った参考人は、お手元に印刷配付いたしております通り六人の方々でありますが、全国石炭鉱業労働組合中央執行委員長重枝琢己君が都合により欠席する旨の連絡がありましたので、御了承願います。  参考人の方々には御多忙のところ、わざわざ本委員会のため御出席下さいまして、まことにありがとうございます。御意見の発表に当りましては、何とぞ忌揮なくお述べ願いたいと存じます。なお、発言時間は一人十五分以内でお述べ願い、全部の参考人の発言の終ったあと、委員の方々より質疑がある場合には、委員長許可を得て御答弁願います。  それでは順次御意見の発表を願います。最初に、日本石炭鉱業連合会常任理事原口秀雄君にお願いいたします。
  43. 原口秀雄

    参考人(原口秀雄君) 私は、日本石炭鉱業連合会常任理事並びに原口鉱業株式会社社長原口秀雄と申す者でございます。今日、本委員会で石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案の御審議に当り、私に公述の機会をお許し得ましたことは、まことに感激にたえないところでございます。私の公述は、最もひどいと称せられております九州中小炭鉱の様相を重点的に、しかも率直に申し述べて御参考に供したいと存ずるものでございます。もって本法律案のすみやかに成立することを心から念願いたしておるものでございます。  思いまするに、石炭鉱業の消長は、貯炭量の増減に左右されるものでございまして、本年一月末現在、貯炭高は一千一百七十一万トンという神武以来未曾有の量を示し、さらに累増の傾向があるのでございます。従いまして、そのこうむる影響は、われわれ弱小炭鉱には甚大で、深刻なる様相は言語を絶するものがあり、まことに殺人的であると申しても過言でないと信ずるものでございます。何ゆえに、今日他の産業が景気回復を伝えているやさきに、国の基盤産業であります石炭界がかくのごとき大量の貯炭をかかえて苦しむのか。その原因たるや種々あるでございましょうが、ここにその二、三をあげてみますれば、まず第一に、国内産業の不振の結果、石炭の需要量の減退による需給の不均衡を生じたことであります。この件につきましては、政府当局は、昭和三十三年度の石炭生産計画五千六百万トンを五千三百五十万と訂正をいたされ、業者はみずからの意思によって出炭抑制を実行したのでございます。  第二には、重油燃料使用量増大の圧迫でございます。昭和二十五年の使用量が百十一万一千キロリッターでございまするが、これをかりに石炭に換算いたしますとすれば、約二百二十二万トンとなるのでございます。昭和三十三年度の重油使用量は、実に九百十七万キロリッターの見込みと称されておりまするが、これをまた石炭に換算いたしますれば、一千八百三十万トンに相当する量でございます。まさに約九倍にはね上っているのでありまして、この数字より見まして、石炭に対して重油の圧力がいかに大であるかということを御了解願えるものと存じております。私どもは乏しきを憂えるものではありません。ひとしからざるを悲しむものであります。この点、諸先生の特に御考慮をこいねがいたいところでございます。  さらにその三は、渇水期における異常豊水による電力用炭量の四百万トンに及ぶ減少等々でございます。御承知のごとく、中小炭鉱は、鉱区の条件がまことに不良でございまして、これに加うるに資金量もまた乏しく、金融信用度も貧弱で、売炭のルートにおきましても、大部分が商社売りでございます。また、スポット炭に依存しておるのが中小炭鉱の状態でございますために、少しの不況にでもなれば、販路をなくしたり、また炭価等をたたかれたりするような宿命的な立場にあるのが中小炭鉱でございます。  今試みに、この不況影響九州中小炭鉱がどう受けたかを立証するために、まず九州中小炭鉱数の推移を見まするに、昭和三十二年十二月現在四百五十鉱のものが、同じく三十四年二月現在には百十五鉱の休廃止鉱が出ておるのでございます。これを全国的に調査いたしますとするならば、三十三年三月末には八百六十四鉱のうち、三十四年一月末には実に休廃止が百十五鉱となっておるのでございます。この数字より見まして、九州中小炭鉱がいかに甚大なる影響を受けておるかが御了解を得られるものと存じます。  さらに休廃止炭鉱事業閉鎖の理由を調査分類いたしますと、経営困難によりましてつぶれたものが五十六鉱、整備事業団に売却せるものが二十八鉱、租鉱権消滅その他の理由によるものが三十一鉱でございまして、これを合計いたしますと百十五鉱となるのでございます。  この休廃止により離職した労務者の数は九千三百八名、また出炭量におきましては、八千九万七千七百二十四トンでございます。昭和三十三年十二月現在、労務者に対する未払い賃金の件数におきましては約六十件、人員で九千三百名、未払い賃金額は七千六百万円でございますが、さらに三カ月を経過いたしました今日では相当額の増加が予想されるのでございます。  かくのごとく、長期にわたる不況は、加速度的に炭鉱の休廃止の続出、従って離職者及び完全失業者の数の増大に伴い、社会不安は刻一刻と深刻化しつつあるのでございます。福岡県下炭鉱地帯では、三十三年十月末、生活保護適用者数は三万一千三百余人でございましたが、さらに本年の三月、年度ぎりぎりには四万人に及ぶであろうと想像せられておるのでございます。また、炭鉱失業保険受給者数は、昭和三十三年一月現在、福岡、佐賀、長崎の三県で六千三百六十人でございましたが、同年八月末には一万五千六百六十人にはね上っておるのでございまして、全産業失業保険受給者数の三〇%に当っておるのでございます。かような状態でありますので、社会問題が起ってくるのも当然であろうと存ずるのでございます。  昨年十一月、飯塚における親子三人のダイナマイト心中事件のごとき、さらに嘉穂郡頴田町小峠の某炭鉱では、七月からの賃金遅配が続いたために、従業員やその家族が生活に窮し、百二十名中七十四名の生活保護集団申請をなしたという事実があります。ゆえに子供の給食費等を支払う能力はなく、ランニングシャツ一枚で寒さにふるえ、しかも栄養失調の状態に陥っているというような哀れな子供の姿が見られたと新聞は報じております。同郡の二瀬町内には、児童数が五千三百人でございますが、このうち七割が山の子供でございまして、特にひどいのは相田地区で、六百七十人中三百人が扶助対象児でございまして、二百人が学校長欠または不就学児童であるといい、また、さらに佐賀県の多久付近の某炭鉱では、倒産の結果、賃金、解雇手当等四百六十万円の未払金ができたのでありまするが、生活に窮した従業員が、そこに設備してある巻上機であるとかレールその他、金目の物をみな売り食いしてしまったという事実もございます。最近、炭鉱地帯におきましては青少年の凶悪犯罪が特に多くなっており、社会不安にますます拍車をかけつつある状態で、かような悲惨な報道は目を追うてますます深刻となり、件数の増加は目立っておる状態でございます。  九州全体の中小炭鉱の未払金総額は、昭和三十年度において、資材、公租公課、諸請負工事費その他で約二十億と見られたのでありまするが、昭和三十三年末の推算では、資材が二十億、公租公課三億、諸請負工事費二億、その他五億、計三十億となったようでございます。その他、電力料金未払いのため電力会社より警告を受けた炭鉱数が、三十三年六月現在において七十一件、その金額九千百七十五万円となっておるのでございます。最近、私の知っておるBクラスの炭鉱が、料金未払いのために送電の停止処分を受けたのでございまするが、この影響で一番困ったのは炭住生活者でございまして、簡易水道はとまり、夜、電灯がつかないというような悲惨な事態が起ったのでございまするが、後に話がついて、ただいまでは保安電力を送っておるというようなことになっておるそうでございます。  以上、時間の関係できわめて簡単に申し述べましたが、涙なくして見られないのが、九州における中小炭鉱の大部分の現状でございます。  しからば、現在または今後累積するであろう未払金をどう処理するかという問題でございますが、これをこのまま放置するとすれば、労使双方がのたれ死にをする以外に方法はないと考えるものであります。さような事態が発生するならば、さらに重大なる社会問題も起り得ることは、常識的に考えられるのでございます。いずれいつの目かは、大手の谷間にあえぐ中小炭鉱のたどるであろう宿命的な道かもしれませんが、現実はあまりにも悲惨ではないでしょうか。一切の解決のためには、父祖伝来の事業を売却しようと願っておるわれわれ業者の心情をお察し願いたいと存ずるものでございます。しこうして、今はわれわれ業者も、もうその覚悟はすでにできておるのであります。しかし、ここに哀れなのは、労務者ではございませんでしょうか。大手の永年勤続者は、退職に際し相当高額なる退職金を受け取るものでございます。中小の労務者は、以上数々申しました通り、退職金どころか、賃金さえも払われぬありさまで、残念ながら無一文で家族とともにほうり出される運命にあるように考えられます。ゆえに、われわれ業者といたしましても、せめて彼らたちには未払い賃金、退職金、さらに、できますならば離職金を渡して解散したいのが、偽わりのないわれわれ業者の気持でございます。従いまして、私ども業者が一刻も早く本法律案の成立をこいねがっておるのも以上の理由によるものでございます。もちろん、業者といたしましても、ただただ政府の援助政策のみにたよるものではありません。石炭競争燃料でありますところの重油との格差をなくするためには、非能率の炭鉱を整理して、優秀炭鉱へ生産を集中するような方法も講じておるものでございます。さらに、来年度におきましては生産の制限もやむを得ないだろうと考えておるのであります。この問題はコスト引き下げということには反するのでございますが、現段階においてはいたし方のない一つの方法であろうと思います。また大手十八社による百万トン貯炭会社の設立等がございます。石炭鉱業の急速なる立ち直りには、政府の強力なる施策をお願いする以外に方法はないと存ずるのでございます。  ここに私の考えております方策の大要を述べさしていただくならば、重油の輸入制限、もしくは関税をかけて自然的に重油の規制をしていただくような方策を講じていただきたい。ボイラー等の重油の使用を規制する法はできておりますが、これを完全に活用していただくようにお願いしたい。さらにお願い申し上げたいことは、非常な困難ではありまするが、電力会社の石炭との混燃用重油の使用を当分の間規制ができればさらに仕合せだと思います。政府においても、また業者に資金を貸し付けいただきまして、三百万相当量の非常貯炭をするというような方策も講じてもらいたいと思います。また、先ほど申しましたように、資金的にきわめて貧弱な中小炭鉱の融資のあっせん等もお願い申し上げたいと存ずるものでございます。  重ねてさらにお願い申し上げたいことは、整備事業団の急速なる炭鉱買いつぶしの断行、これを現在においては七カ月くらい要しておるようでありますが、一、ニカ月の間にこれを断行していただくならば、これもまた直接生産制限に力が加わるものと存ずるものでございます。  以上をもちまして私の公述を終らしていただきますが、御清聴を深く感謝いたします。
  44. 田畑金光

    委員長田畑金光君) ありがとうございました。  次に、北海道炭鉱汽船株式会社副社長藤江信君にお願いをいたします。
  45. 藤江信

    参考人(藤江信君) 藤江でございますが、ただいま石炭鉱業連合の理事の方から、中小を主体とした石炭界の不況につきましてるるお話がありましたので、すでに私からそう詳しく御説明申し上げることも要らないと思いますが、御承知のように、現在石炭鉱業が非常な不況のどん底に陥りました原因につきましては、まず第一に、政府が先年提出されました長期エネルギー対策がございます。昭和五十年度には日本全国の出炭が七千二百万トンを確保してもらいたい。従って、三十一年、二年、三年と、こうだんだんしり上りになるのですが、それによりますと、三十三年は五千六百万トン、三十四年は五千八百万トン、これでだんだんと七千二百万トンにいこう、こういう計画を実施してくれということで、私たちはその線に沿いまして、三十年ごろから長期対策、各会社におきまして長期出炭計画を立てまして、苦しい中でも、開発銀行の金を借りたり、あるいは市中銀行の金を借りまして、着々増産に邁進して参ったのは先刻御承知通りでございますが、不幸にして世界経済の不況の波がわが国の産業にも及び、従って石炭鉱業にもその波が非常に深刻になりまして、昨年ごろからだんだんと石炭不況の坂を下るようになったんであります。  それで、この不況をいかにして切り抜けるかということにつきまして、われわれ石炭業界は日夜頭を悩ませまして、いろいろ協議したのでございますが、結局は重油とか、あるいは外国炭とか、外国炭よりもむしろ重油、先ほどお話のありました通り、重油との対抗でございますが、御承知通り、外国から物を持ってくるには運賃の問題がございますが、昭和三十二年ごろには運賃も相当に、米国から日本へのフレートが大体高いときで十八ドルから十九ドルくらいになりました。現在は七ドルになりました。約半分以下に落ちたような次第であります。そのフレートの相当高いときには、むしろ外国炭よりも日本の国産炭の方が安かった。また重油の点におきましても、メリットを換算しても石炭の方が安い時代が相当あったのでございますが、現在は非常にこの船舶の船腹の余っておる、かような時代でございまして、フレートが非常に安い。特別に安いのだと思います。七ドルくらいでございますが、これが平常の、たとえば十五ドルくらいになりますと、そう外国炭や重油とも負けないで競合ができるわけです。現在、カロリー当りで重油と比較しますと、大体重油の方が、安い重油とこちらの一般炭の比較で申しますと、一カロリーあたり十銭くらい違うのです。これは先ほど話しましたフレートの関係でございますが、これが平常の状態に復すれば、決して重油と負けないのじゃないかと思われる。我田引水でございますが、思っておるのでございます。結局、重油と将来対抗しなければならないという非常に宿命を持たされておるのでございますが、しかし、これに対しましては、いろいろ石油界との話し合いもあるし、また政府においてもいろいろ問題がございまして、われわれ重油の削減を毎年々々政府にお願いしておりまするが、なかなか思う通りになりません。昨日の外貨の御発表を見ますと、大体重油は八十万キロリットルですか、今度は削減するというようなお話がありましたので、非常にわれわれ喜んでおる次第でございますが、少くとも昨年以上に重油を輸入されないように懇願する次第であります。  なお、われわれの業界の立場として考えなければならないことはいろいろございまするが、まず第一に、出炭の過剰を押えるために生産制限の強化を大手十八社で検討いたしまして、この出炭制限は、製鉄、ガス用の原料炭は制限外にいたしまして、一般炭、電力その他の一般炭は非常なシビアな制限率を断行しなくちゃいかぬ状態に相なったのでございます。それは三十二年度の下期の八二%減らさなくちゃならぬというような状態に立ち至ったのでございますが、それによってもなおかつ三十五年度、来年度の三月末の貯炭は五百万トンを突破するような状態であります。それで、これではいかぬというので、また大手十八社で新昭和石炭株式会社というものを設立し、本日がその設立総会でございますが、設立しまして、大手の炭を約百万トン自分の力で買い上げて、それを凍結するというのが一つの出炭制限、新昭和石炭によって百万トンの買い上げ、それからあとは、きょうの問題になっております石炭鉱業整備事業団による百万トンの買い上げをぜひ行なっていただきたいのでございます。これは従来ずっとやっておったのでございますが、われわれとして希望することは、ただ買い上げ、買いつぶしと申しましても、この炭鉱を査定する場合には非常に厳格な考えをもってやっていただきたいと思います。今までの実績を見ますというと、すでに崩壊寸前と申しますか、もう崩壊しているようなほとんど力のないようなものを買い上げている。ほんのただその炭鉱主の救済というような名ばかりのようなところもなきにしもあらず、これは私の想像でございますが、今回は一つ厳密に査定を下さいまして、一つ買い上げをやっていただきたい。  それからもう一つは、私は北海道でございますが、九州炭鉱を買いつぶされました会社が、その資金をもちまして北海道に新鉱開発をやる。ですから九州では出炭が減っても北海道でそれだけ石炭がふえる。それは増産時代にはいいのでございますけれども、現在のような出炭制限下におきましては、今後は新鉱の開発の着手につきましても、石炭局の方におきましても一つ厳密に御査定を願いたいと思うのでございます。  まだ、いろいろお話がございますが、またほかの参考人もございますので、ほかに譲りたいと思います。はなはだ簡単でございますが……。
  46. 田畑金光

    委員長田畑金光君) ありがとうございました。  次に、三菱鉱業株式会社常務取締役大槻文平君にお願いをいたします。
  47. 大槻文平

    参考人(大槻文平君) 私、大槻でございます。  問題はきわめて簡単でございますので、陳述するほどのこともないのじゃないかと思っておるのでございますが、ただいま二人の方から、石炭業界の未曾有の不況の状態についてお話があったのでございますが、大手十八社といたしましては、来年度の三月末に、現在あります四百七十万トンの貯炭を三百万トン程度に減らしたいという考えで、それぞれ出炭制限の方途も講じておるのであります。その中の一つといたしまして、ただいま問題になっておりますこの法律改正によって百万トンの非能率の炭鉱買い上げるということが、われわれとしましては既成の事実のごとく取り扱いまして計算をいたしておりますので、ぜひとも本案は通していただきたいというふうにお願い申し上げる次第でございます。  それでもう陳述は終ったわけでございますけれども、せっかくの機会でございますので、参議院商工委員会の先生各位に対しまして、私の考えております石炭政策に対する考えをちょっと申し述べさせていただきたいと思うのであります。  現在、日本の石炭が一千百万トン以上の貯炭を持って、倒産寸前の状態に置かれていることは御承知通りでございます。で、その最も有力なる石炭競争相手は、何といっても重油でございます。この重油をもしかりに手放し状態に置いておきますならば、わが国の石炭鉱業の、石炭を産出しております炭鉱の約半分は壊滅する。半分程度ぐらいしか現在のままでは競争力がないという状態でございます。従いまして、非常に大ぜいの人間を雇用しておりますところの石炭というものに対しまして、国家として何らかの政策を強力に打ち出していただかねばならないという段階ではないかというふうに考えるのであります。  御承知のように石炭不況は、単に日本だけの独特の現象ではございませんで、欧州におきましてもきわめて貯炭増加いたしまして、非常に困っております。先日、日本にも参りましたエアハルトは、自国に帰るやいなや、直ちに外国炭の関税の引き上げ、重油に対する税金の引き上げというような適切なる保護政策を打ち出しておることは、皆さんも御承知通りでございます。また最近におきましては、アメリカ合衆国におきましてさえも、石炭業者並びに電力業者等からなります一連のエネルギー関係の者が、この重油、天然ガスの投げ売りに対して、これを阻止するような強力なる運動を進めておるということをわれわれは聞いておるのであります。で、かように基幹産業でありますところの石炭に対しましては、何らかの保護の手が伸べられなければ、私は自立していくということは非常に困難ではないかというふうに考えるのであります。  そこで私の考えますことは、国としましてこの石炭、電力、ガスというようなエネルギーというものを総合調整し、調査し、コントロールするという、動力省というようなものを設置されまして、そうして今よりもさらに強く調査、統制を行うということを考えていただけないだろうかということを考えるのであります。また、非常に石炭を要する電力等は、非常に天候というような自然現象によって大きな影響を受けるのであります。たとえば本年約一千三百五十万トンの石炭を引き受けようという電力会社が、異常な豊水のために一千万トン程度しか引き取れない。従ってその三百五十万トンという石炭は、これは全部石炭を産出する炭鉱の方にしわ寄せとなるという状態なのであります。石炭は、御承知通り年々約一〇%ぐらいの増産計画を持ちながら進んでいかなければコスト・ダウンすることができないという特殊な穴掘り稼業でございます。従って一つの工場を作れば、その工場のもとに十年間、しかもコストを下げながらやるというのでなしに、毎日々々働く現場が変っていくという特殊な状態、しかもそれが簡単に掘れるところからだんだんむずかしくなるというのが、石炭鉱業の特質であります。こういうような特質を持っている炭鉱、言いかえますならば、簡単に増産し、簡単に減産することのできない産業であります。石炭鉱業はやはり安定操業をさしていただくということが最も大切なのであります。にもかかわらず、今申しましたように、電力のごとく自然現象の気候ということによりまして非常に大きなしわ寄せをするということは、炭鉱経営に大きな蹉跌を与えることになる。そこで、そういうことのないようにするために、やはり国の肝いりでもって共同の貯炭場というようなものを作っていただいて、そうして炭鉱は安定した操業をし、その石炭は、需給の緩急に応じてそこに貯炭するような方法を考えていただく必要があるのじゃないかというふうに思うのであります。いずれにいたしましても、そういうような施策を講ずるにしましても、やはり国といたしまして大きな動力省というようなものを作って、より強い、より徹底した対策を講じていただくことが急務ではなかろうかというふうに考える次第であります。終り。
  48. 田畑金光

    委員長田畑金光君) ありがとうございました。  次に、常盤炭礎株式会社取締役会長大貫経次君にお願いいたします。
  49. 大貫経次

    参考人(大貫経次君) ただいま御指名いただきました常盤炭礪の大貫でございます。  きょうは意見を求める事項というのが、一部を改正する法律案についてということでございますが、これについては全般的に賛成でありまして、できるだけ早く通過成立することをお願いいたします。意見を求めるという事項はそれだけでございますから、あとは何もございませんが、ただいま諸先輩がいろいろお話し下さいまして、私が申し上げようとすることの大部分は、もう微に入り細にわたってお話し申し上げてあるのでございまして、あらためてこの点はどうだ、あの点はどうだということについては、議員の諸先生方も、すでにいろいろの場合においていろいろの数字、そういうことは御承知のことと思いまして、くどくど申し上げるのを御遠慮申し上げます。  なお、いろいろの点でお気づきの点がありまして、こういうことはどうだというような御質問があれば、そのときにわかるだけのことはお答え申し上げますが、今あらためて私の積極的の意見をここで申し上げるということは、もうすでに大部分済んでおるようなわけでございますから、質問のときにお答えするようにいたしたいと思っております。  簡単でありますが……。
  50. 田畑金光

    委員長田畑金光君) ありがとうございました。  次に、日本炭鉱労働組合副執行委員長藤岡三男君にお願いいたします。
  51. 藤岡三男

    参考人(藤岡三男君) 藤岡でございます。  政府は、昭和二十八、九年に石炭産業が不況にさらされたとき、中小炭鉱の買いつぶしによって切り抜けるべく、三十年八月、石炭合理化法を制定いたしました。しかし、その後経済が好転するや、石炭産業は一転して増産態勢をしき、三十二年十一月、経済審議会エネルギー部会は、長期エネルギー計画として、昭和五十年度の出炭規模を七千二百万トンとし、第一次の五カ年計画の最終年度である昭和三十七年度の出炭目標を六千四百万トンと決定いたしました。これに基いて政府石炭協会は、その初年度である昭和三十三年度の出炭目標を五千六百万トンと決定したわけであります。  しかるに経済状態は再び不況に突入し、石炭産業は生産制限することをきめ、目標を五千三百五十万トンに変更いたしました。これに対応して政府は、合理化法の一部を改正して、未開発炭田開発の規定を加え、同法の有効期間を四十二年度まで延長し、四十二年度の出炭規模を六千九百万トンという基本計画を立てました。それが不況の深化とともにこの計画を変更して、百万トンの買い上げワクを広げることによってこれを切り抜けようとしています。  このように見てくると、政府石炭政策は、常にその時々の経済情勢に対応し、一貫性を欠いていることはもちろんでありますが、むしろ、労働者側から見た場合、反国民的な大企業追随の政策であるということを指摘することができると思います。聞くところによれば、本日、社会党から法案が上程される予定であるそうでありますから、私どもはこの法案を心から支持するものでありますが、若干炭労の見解を述べてみたいと思います。  まず第一に、政府発表の長期計画と大手十八社の設備投資との関連について見ますと、長期計画は、三十二年度末の労働者数二十九万七千人を四十二年度には二十二万三千人に減らし、能率は一四・六トンを二二・八トンに引き上げ、新規開発と合せて六千九百万トンの出炭をしようというものであります。これは言いかえると、一人当りの能率を倍近く引き上げるために、現在の炭鉱労働者の四分の一を首切り、そのうちの三分の一足らずを新坑に吸収しようというものであります。一方、大手十八社の設備投資について見ますと、前回の不況時には、二十八年下期の八十九億だったのが、三十年下期には四十五億円と半減しました。その後は毎期増加し、現在の不況下においてもますます増大を続けております。三十三年上期の設備投資総額は百四十四億円と、前回好況時のピークに比べて倍近くになっており、三十四年度計画はこれをさらに上回って、年間三百三十二億円という膨大な額に上っております。この計画は二百八十億に切り下げたと伝えられておりますが、依然として高額を示しております。経営者は二十九年不況時に投資を半減したのは、政府の長期エネルギー政策が明確でなかったからで、長期計画が示されている現在は、不況であっても、これに基いて計画、投資は推進し、コストの引き下げや体質の改善をはからなければならないと言っております。  そこで、コストについて見たいと思います。能率は、二十五年上期一人一カ月当り八・八トンであったのが、一貫して上昇を示し、三十二年上期には十五・五トンと一・八倍弱に達しているにもかかわらず、公表資料によると、コストは能率とは関係なく、炭価に合せて作られております。長期計画はこのような操作されたコストを基礎にして作成されたことが指摘されます。この長期計画と、昨年発表された同じ資本主義国であるフランスの炭鉱試験協会、ソフレミンの勧告によりますと、現在の雇用量で年に五%程度賃金引き上げを前提としてもできるという勧告とでは、雲泥の差があると思うわけであります。  私どもは、このような生産水準と投資計画の青写真で、独占資本本位の膨張政策であり、資本蓄積の規模と速度のみをきめ、十カ年間に七万人の首を切るという反国民的な見取図である長期計画に賛成することはできません。  第二に、政府石炭経営者も体質の改善をはかると言っておりますが、炭鉱が立ちおくれている根本原因を追及しないで、どうして体質改善ができるのかと言わざるを得ません。以下この点について指摘してみたいと思います。  まず、第一点として、石炭鉱業は、明治以来国家財政と結びついて、戦前はそこから上った巨大な利潤を炭鉱以外の財閥系企業の近代的再編成に奉仕してきました。戦後は復金融資や見返り資金に依存して発展をしてきました。これらの金が何に使われたかは、石炭疑獄がよく説明していると思います。  第二点は、豊富低廉な労働力、つまり戦前は囚人、戦時中は植民地、捕虜労働者、戦後は都市、農村の失業労働者等に依存して、好況期には労働力を無制限に投入し、不況期には首切りということを経営の基本方針としてきているわけであります。  第三点は、財閥系炭鉱だけで豊饒な鉱区を独占し、差額地代を取得し、独占価格を維持している点であります。すなわち、炭鉱独占は産業資本として、労働者を搾取し、山地主として中小鉱や租鉱炭鉱から地代を受け取り、商業資本として市場を支配し、独占価格を維持してきたため、炭鉱独占は炭鉱の近代化を怠り、これが生産性の回復をおくらせている点であります。さらに最近の傾向として指摘しなければならないのは、大手の租鉱炭鉱の設置と中小炭鉱の系列化であります。現在これらの炭鉱の出炭の二五%は大手の価格で販売されておりますが、これは安い生産費で掘った石炭を大手並みの価格で売りさばき、ぬれ手でアワの超過利潤を保証するものであります。  以上述べたように、炭鉱独占は国家は依存し、鉱区の独占と低賃金に寄生しているのでありますが、政府は、この根本問題に手を触れないで、もっぱら小手先細工の合理化計画を立て、独占資本を守るために、中小炭鉱を国民の税金で買いつぶそうとしております。事実、合理化法制定以来、好況期においては坑口の開設を認め、さらには坑口開設を伴わない中小炭鉱の発生を黙認しておいて、一たん不況の段階に至れば、買い上げワクをふやすというのは、これまでの好況期には雨後のタケノコのように中小炭鉱がふえ、不況のときはばたばたつぶれるという状態と何ら変りがなく、根本的な対策というわけには参りません。これではコスト低下や体質改善目的とする長期計画は永遠に達成されないだろうと言わざるを得ないのであります。  第三に、生産制限と投資計画の関連について見ますと、現在一千一百万トンの貯炭を前にして、政府炭鉱独占は生産制限に大わらわです。このため古い山をつぶし、新しい山を作るという、スクラップ・アンド・ビルドの採用、首切り、帰休制あるいはまた操業短縮、配転、時間外抑制等を企図しているが、他方では長期計画に基く投資を続けようとしています。これは現在でさえ過剰能力であるのに、さらに追加投資をするのですから、矛盾の解決どころか、一そう激化するだけであります。この点を百も承知で、莫大な投資を続けようとするのは、一切の犠牲を中小炭鉱炭鉱労働者あるいは国民に押しつけて、市場の安定をはかり、独占競争の中で優位を占めようとする資本本位の盲目的衝動にほかなりません。  次に、政府は、輸入エネルギーの節減、石炭需要喚起等によって不況の打開に努めると言っております。国内資源の利用に重点を置かなければならないことは当然のことでありますが、戦後、日本資本主義の産業構成は、鉄鋼、電力、機械、合成化学等、重化学工業化しており、石炭の増産は独占資本の方から強く要請されているのが実情であるにもかかわらず、みずからこの対策貧困をたな上げにして、不況になると生産制限や貯炭融資、また重油、外炭の抑制等、一時しのぎの対策をもって乗り切ろうとされることは理解できないところであります。  現在、炭鉱地帯における状態は、さいぜん、もう原口さんからるる述べられましたので、ここで申し上げませんけれども、筑豊地方では十万人に上る炭鉱労働者が失業のちまたにほうり出され、朝日新聞も報じているように、電灯もない暗い長屋で、野草か塩を副食に一日を過ごし、子供たちは学校へも行けずにいるのを放置していながら、さらに追い打ちをかけるように労働者を首切ろうというのであるから、厚生白書が認めるように、失業者が充満し、破壊的状態を呈することは火を見るよりも明らかであります。現に失業している労働者の救済対策も講じられていないのに、離職者に対しては職業紹介その他の方法を講ずる考えだと言っておられますが、口先で言うことが解決策だと政府は考えているのでしょうか。  以上、私は合理化法及びそれに基く長期計画、さらに提案されている百万トン買い上げワクを広げることにわたって反対理由を申し述べて参りました。このことは、資本主義社会における当然の現象として起り得るものとして見のがすことはできません。なぜなれば、政府あるいは経営者の政策いかんによっては、この改善ができると思うからであります。私どもは、石炭鉱業は国家の基幹産業であり、当然、国有国営にすべきだと主張するのでありますが、それかといって、一挙に私たちは今やれということも無理であることも知っております。しかし、それでも当面、いかに炭鉱を近代化するかという観点に立って、以下、炭労の見解を述べてみたいと思います。  まず、第一に、体質の改善は、鉱区の解放にあると思います。戦後、炭鉱の若返り工事が叫ばれ、その根本的な手段として、縦坑の開さくが計画されましたが、工事は一向に進捗しないし、また、たとえ縦坑を掘っても、それが経済的効果を発揮しないのは、先に述べたように、鉱区の独占が逆に生産力の発展を阻害しているからであります。たとえば三井、三菱の鉱区が隣接し、そこに二本の縦坑を建てるより、鉱区を統合して一本建てることがずっと効果を発揮することができるからであります。また、不況のたびに高炭価と中小鉱の問題が社会的に浮び上ってくるのも、鉱区との関連で問題にされない限り解決の道はないと思います。昨年、合理化法改正して、未開発炭田の急速かつ計画的な開発を促進することを織り込みましたが、政府はこのことには手をつけず、中小炭鉱の切り捨てのみに狂奔しているのは本末転倒と言わざるを得ないと思います。  第二に、租鉱権の設定を禁止すきべだと考えます。大手は中小鉱や租鉱炭鉱を系列化していることを指摘しましたが、現在の租鉱炭鉱は次のような例が多いのであります。大手で定年になった会社幹部が、租鉱権を設定して、大手炭鉱に働く労働者の子弟の優先採用等によって経営しているのでありますが、もともと、同じ経営であるにもかかわらず、租鉱炭鉱ということで低賃金を合法化して経営しているのであります。これでは再三指摘したように、鉱区の独占と低賃金に依存して近代化を怠るだけであります。  第三に、中小炭鉱の協同化を促進し、融資、販売の安定を増大させるべきだと考えます。中小炭鉱は、独占資本によって景気変動のクッションとして利用されており、不安定な状態に置かれております。そのために中小炭鉱の協同化を促進し、政府の行政措置として、一定の市場を設定させ、その基礎に立って必要な金融措置あるいはその他の助成策を確保しなければならないと考えます。  次に、石炭の電力化あるいはガス化等を含めて、総合的なエネルギー対策について政府の強力な政策が必要だと思います。それとあわせて炭鉱労働者の労働対策が必要になってくることは論を待たないところであります。こうした面をもっと計画的に具体的に立てて、石炭産業の安定をはかるとともに、国民生活の安定に向って進むべきものではないでしょうか。その場合、絶対必要なのは労使関係の問題であると思います。これは炭鉱の労使のみに限らず、一般的に言えることでありますが、労働者の低賃金をどうして解決するかということであります。このことは国内的にも問題でありますけれども、当面の問題として、いや、将来の問題としても、これは国際的にも絶対必要なことであります。すなわち、ここに最低賃金制の制定の必要が私は生まれてくると思います。特にこの場合、炭鉱労働者賃金は、他の民間重要産業に比較して最下位であります。最も低い賃金であります。このような状態は、社会制度の相違にかかわらず、世界いかなる国を回って見てもありません。どの国を見ても、炭鉱労働者賃金は一番上の賃金をもらっております。他国のこうした状態を見詰めながら、真剣に労使問題を解決する考え方に立って、経営者が処理することはもちろんでありますけれども、政府としても、経営者が処理されるような政策が必要ではないでしょうか。  以上、非常に簡単でございますけれども、以上をもって炭労の見解といたしたいと思います。なお、質問があれば、あとで質問に応じたく思います。
  52. 田畑金光

    委員長田畑金光君) ありがとうございました。  以上をもって参考人の御発言は終りました。  御質疑のある方は順次御発言願います。
  53. 島清

    ○島清君 御質問申し上げる前に、さっきから大臣は予算委員室のようですが、次官もお見えにならないのですがね。見えておられなければ、せっかく参考人においでいただいて参考意見を開陳していただいても、政府の方が取り上げてくれなかったら困りますか……。
  54. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  55. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 速記を起して。
  56. 阿具根登

    ○阿具根登君 参考人の方に一、二御質問申し上げますが、先ほど参考人の方も言われましたように、非常に重要な時期でもございまして、御多忙だということも、よく私ども承知しておりますので、なるべく簡単に、要点のみを御質問申し上げたいと思います。  まず、大槻さんに御質問申し上げますが、先ほどの御意見の中で、政府は動力省というものでも作って、エネルギー対策を抜本的にやるべきである。しかもその御意見の中には、たとえば重油に対する規制とか、それから関税とかというようなことも、ずいぶん含まれておったと思います。私も、よその国の課税その他も調べておりますので、よく承知しているつもりでございますが、それにいたしましても、重油や、あるいは外炭に対する規制をする、いわゆる関税をかける、そういうことに━━もちろん、それもそうでございましょうが、ひとり業者だけが、何の規制も受けないんだ、こういうことでいいだろうかと。やはり、これだけの基礎産業をやっておられまして、政府の相当な援助も受けておられるということになってくれば、石炭業界自体も、やはり政府の何らかの規制を受けなければ、私はやっていけないのじゃないか、こういうふうに考えますが、その点はどういうふうにお考えでしょうか。
  57. 大槻文平

    参考人(大槻文平君) 助成政策のいかんということに関連すると思いますけれども、その程度に応じまして、最小限度のコントロールを受けるということは、やむを得ないものじゃないかと、たとえば価格政策というような問題につきましても、石炭鉱業を安定させるという上から、適正、妥当な賃金がスティックされるというようなことも考えなければいけないんじゃないかというふうに考えております。
  58. 阿具根登

    ○阿具根登君 先ほど藤岡参考人から、政府の政策が場当りである、そのときそのときに、こういう計画をするんだという御指摘を受けましたが、私ども、その通りに考えておりますが、一応、今までの石炭産業の状態を、協会の方から出されております書類を見てみますと、実に私らが考えましても、業者の方にも、そういう場当りが非常に多いのではないかとこういうように考えるわけです。  能率は、一応昭和三十年から見てみますと、ほとんど上昇をずうっとたどっておりますが、そのつどそのつど、従業員の数というものが非常に差があるわけなんですね。このグラフで見てみますと、少し景気がいいんだというようになると非常にたくさんの従業員を使っておられる、少し石炭が余ってくるというようになると、従業員が急に減っている。ということは石炭の好況、不況のしわ寄せを全部労働者によってバランスをとっておられる。こういうように、このグラフを見てみると考えられるわけなんですよ。  そういう点はどういうふうにお考えになっておるか。業者の方にも、非常に見通しがなくて、そうして少し━━まあ、たとえば朝鮮事変なら朝鮮事変のときにとってみますと、一番よくわかりますが、非常にたくさんの雇用をやっておる。それが済んで、少し不況になりますと、がたっとこれが非常に落ちている、差がひどい、こういうようになってくる。この状態を見てみますと、計画性がないのは、政府ばかりでなくて、業者の方にも、少し計画性がないのじゃないか、こういうふうに考えますが、その点は、どういうふうなものでしょう。大槻さん、どうぞ。
  59. 大槻文平

    参考人(大槻文平君) ただいまの問題は、御指摘のような傾向はなきにしもあらずだと思いますけれども、おそらくは大手の炭鉱というよりも、むしろ中小の、簡単に着手できて、そして簡単にやめ得るというようなところが、そういうようなことを誘致しているのじゃなかろうかというふうに考えられます。というのは、私の炭鉱のことを申し上げますというと、私の会社のことを申し上げますというと、漸次、景気、不景気にかかわらず、人が、多少ともずっと減っているような状態であります。
  60. 阿具根登

    ○阿具根登君 中小炭鉱の原口さんにお尋ねいたしますが、私どもが、この合理化法案が最初出ました昭和三十年に、これを審議いたしましたときに、こういう公式な、速記をつけた場所ではございませんでしたが、賛成される側の方から、炭鉱というものは、五年に一回好況がくればいいのだ、一ぺん好況がくれば、業者は直ちにりっぱな、普通の人が、想像もできないようなりっぱな家ができる、直ちに自動車ができる、直ちに二号さんができる、直ちに競馬馬ができる、こういうことでは、とてもじゃないが、やっていけんじゃないか、こういうのが、非常に反対の意見の中に、一つあったわけなんです、賛成側の方からでも。  そうしますと、そういうときには、それでは非常に従業員は優遇されておったかというと、そうでもない。こういうことで、非常にまあ、今はないと思うのですが、そういうことが、この合理化法案を審議するさなかに出ましたことを覚えておりましたので、そういう点に対して、やはり中小炭鉱業者の方でも、十分考えてもらわねばならぬところもあるのじゃなかろうか、かように思うのですが、どうでしょうか。
  61. 原口秀雄

    参考人(原口秀雄君) 今、阿具根先生の質問の中に1質問の要旨に答えたいと思いますが、過去におきましては、さようなこともあったと思うのです。それは全部ではなくてただ特定炭鉱であった。たとえば三井鉱山さんの一部分の、非常に掘りよいところをもらった。しかも、そこは深部を三井が掘っておる。あるいは通風においても、扇風機をかけて回しておる。ちょっとそこに穴があけば、もう扇風機の必要もない、排水の必要もないというような特殊な炭鉱が二、三はあったと考えておりますが、現在においては、さようなことはないと考えております。  それから、非常に景気がよくなると、労働者がふえて、悪くなると減る、これは当然過ぎるほど当然であります。で、これは、非常に弱小炭鉱に、まだタヌキ掘りというのがございます、中小炭鉱にも。こういうものは、ほとんど今度の買い上げの対象にはならぬと思いますけれども、これは、まあ金の五十万も出せば着手ができる。また簡単に━━五人か、十人でやるのですから、また解散も簡単にできる。そういうような数字が積み重なっていきますと、やはりさようなことも表面現われて参りますが、おおよそ常識で中小の部類に入るという炭鉱は、現在においては、さようなことはない、かように考えております。
  62. 阿具根登

    ○阿具根登君 それから、もう一つ原口さんにお尋ねいたしますが、先ほどの藤岡さんのお話の中にもありましたが、租鉱権というものは、これを考え直さなければならない。これは、私らのところでも、保安問題から、たとえば租鉱権を一年とか、二年とかいうような権利を設定しても、保安の設備なんかというものは、これは私ども考えても、できるものじゃない。で、非常に保安上の危険もあるので、これは再検討しなければならないということが出ておったのですが、そのほかに賃金等の問題でも、ただいま参考人のお言葉にもあったように、非常に租鉱権というものが、現在は、何か特別な用途のために、利潤をよりよく合理的に、合法的に利潤を上げられる手段が使われておる、こういうことをお聞きしたわけなんですがそういうことになりますと、私どもといたしましては、そういう賃金の面から考えましても、あるいは保安上の面から考えても、租鉱権というものに対しては、考え方を変えなければならない。  こういうふうに思うのですが、そういう点はどういうお考えでしょうか。
  63. 原口秀雄

    参考人(原口秀雄君) お答えいたします。  まず、この租鉱権の問題でございますが、まあ過去におきましては、たとえば朝鮮ブームが湧いた、いわゆるこれだけの石炭が必要である、あるいはこうしなければ、渇水期で電力が大へんな不足になるということで、お役所等からの指図がある場合が過去において相当ございました。これに即応するために、やはり租鉱権を簡単に許したり何かしておりましたが、最近の保安問題については、非常なやかましい取締りを受けまして、ほとんど中小炭鉱におきましても、その監督のきびしさに、そういうものは一掃せられておる、こう考えます。  それから大手が、租鉱権を許して相当の利潤を得るという話は、九州ではほとんどないと思いますが、北海道方面にはあるというようなことを聞いております。今、藤岡さんからお話のございましたように、ああいうようなことに承わっておりますが、これは、実は実際に調べたのではなくて聞いたのでございますから、その点さように御了解願います。
  64. 阿具根登

    ○阿具根登君 保安問題について、もう一点だけ御質問申し上げたいのですが、たしか、きょうの新聞か何かと思ったのですが、今、ちょっと見当らぬですが、炭鉱の保安状態が非常によくなった。しかしよくなったのは、大手筋であって、中小は悪いのだと、グラフを見てみますと、逆にクロスされておる。大手はずっと下っているけれども、中小の方は上っておる、こういうグラフが出ておったと私は思うのです。  そういたしますと、今の原口さんの、非常に保安がやかましくなったから、非常に不安は減ったとおっしゃるのと逆になるような気がするわけなんですね。それは、中小が減り方が少くて、大手の減り方が多かったから、そうなるのだというならば別ですけれども、中小の方は、逆にふえていっている、大手の方は下っている、こういうのが通産省から、たしか出ておったと私は記憶に残っておるのですが、そういう傾向はございませんか。
  65. 原口秀雄

    参考人(原口秀雄君) お答えいたします。  この保安問題について、中小が最近多い、大手が少いということは考えられる問題であります。中小は、さっき申し上げましたようにピンからキリまでございまして、しかも最近のごとく、かつてないような未曾有の不景気に遭遇しておりますので、いろいろ、たとえば坑木であるとか、あるいはその他の面におきましても、非常に不自由をしておりますので、そういうものが、やはり作用して、さような傾向になっておるかもしれませんけれども、私どもの現在見ておるところでは、さっき申しましたタヌキ掘りを除きましたほかのものは、かなりよくなっておると、かように考えております。  それからまたこうした災害は、突発的に起るものでありまして、大手あたりでは、ほとんど起り得ないだろうと常識的に考えられないと思います。1これは資本関係でも、ございましょうが、━━ここでもときどき起り得る。だからその季節季節、そのときどきに運の悪い場合には、そういう問題が中小に起って、それによって指摘されるという場合もありましょうが、必ずしも、中小が悪いということは私は考えておりません。
  66. 阿具根登

    ○阿具根登君 御迷惑ですが、もう一点お願いいたしたいのですが、私どもの審議の中で、たとえば中小で、確かに中小が苦しんでおられる、それに対する対策を非常に苦心して立てておるのでございますが、実際は、たとえば仕事を始められる景気のいいときには、たくさんの人を雇用されるけれども、一たん悪くなると、全然賃金も払えないし、御本人も行方不明になったり、あるいは御本人は、そうでもないというような、いろいろな問題もございますので、炭鉱というものを今のように野放しに、一応の合理化法案で、なにはできておりますけれども、実際、そういうものを炭鉱として許可していいのだろうか、やはり炭鉱として許可するならば、相当な設備と資金と、それから人命に対する責任ある一つ処置を持っておられるところでなければ、炭鉱というものを許可するのが間違っておるのではなかろうか。やはり許可すれば、一応職業の権利は、だれにもございますからそうなるのではなかろうかと、こういうような考えまであるわけなんです。これは原口さんにお答え願いたいのです。  それと同時に、藤江さんにお伺いしたいのですが、先ほどちょっと出ておりましたが、業界から出ておるこれを見ましても、日本の石炭の埋蔵量は二百十一億トンある。そうして北海道に百億トン、九州に八十五億トン、その他ということになっておるのですが、これだけの石炭、これはもちろん可採炭量ではないでしょう、埋蔵量でしょう。しかし、これから先の技術の進歩を考えるならば、相当数、このうちの大部分は、これは可採炭量であろう、こういうように考えてくる場合、今のように年間五千万トンや六千万トンでいくなら三百五十年から四百年分くらい、まだ石炭があるわけなんです。ところが手もつけないで、そういうやつを、何十年後に手をつけるのか、あるいはいつどうされるのかわからないりっぱな鉱区を、ちゃんと大きな会社は独占されておる、そうすると、ただいま原口さんに御質問申し上げましたように、小さい炭鉱では、まるで採算の合わないような低品位の炭を景気がよくなれば、そこら辺りの失業している人を集めてきて、そうして保安の完備も何もしない所で、じゃんじゃん掘っていく、今度は、少し景気が悪くなれば、全部そういう人たちは首だ、こういう悪循環を繰り返しているのは、あまりにも鉱区が、一方に片寄り過ぎている、こういう鉱区を開放して、もっと全部の人が大がかりな、しかも能率の上るような方法をやらなければ、これは非常にあまり片寄り過ぎて、そういう悲惨な問題を起しておる、片一方には、あり余るいい鉱区を持っておるということになるのではなかろうか。  この鉱区開放について、どういうふうにお考えでしょうか、お尋ねをいたします。
  67. 藤江信

    参考人(藤江信君) ただいま阿具根先生から、埋蔵炭量の話がありましたのですが、二百億なんというのは、推定された炭量でありまして、実際確保できる炭量は、四割くらいじゃないかと思います。ですから、北海道で約百億と申しますと、大体四十億くらいの程度だと思います。  それで、北海道は、九州に比較しまして開発の時期もおそかった関係、まだ、未開発鉱区が相当あるのでありますが、私のところでは、━━北炭でございますが、━━北炭にも、まだ未開発のところが一カ所ございます。しかし、これは将来の昭和五十年度七千二百万トンという長期出炭計画に即応しまして、何年度はここを採掘し、何年度はここを採掘するという計画ができております。現在は、ほかの会社はよく知りませんが、私のところに残っている鉱区は、非常に深いものでございまして、ちょっと小資本ではできない所が多いのです。縦坑にしても八百メートルくらいです。それから露頭近くである所がございますが、それは、ただいま問題になっております租鉱区にしたり、あるいは二、三カ所の鉱区を昨年譲渡いたしております。開放するような計画は、現在、今持っておりません。深い所がありますから、それは、昭和何十年先に開発するか……。さしあたりのところは、毎年の計画に入っております。ほかの会社はよくわかりません。
  68. 阿具根登

    ○阿具根登君 失礼しました。北炭さんと言ったから、お宅のことばかり……。確かにきょうは、そういう立場でお見えになっているから、これは私の質問が違っていたかもしれませんが、私は北炭とか三井、三菱、そういう考えじゃなくて、先ほど炭労から言われましたように、たとえば鉱区境にあって、そこに縦坑掘るわけにいかないのです、やはり自分のところの一番いいところに掘る。ところが、鉱区境等には、縦坑一本掘れば十分掘れるのに━━非常に都合のいいところが、たくさんあると思うのです、ところが、当分、そこに縦坑を掘るような計画も何もないのに、片一方では小さい炭鉱が、非常な苦しい立場に追い込まれておる。こういうことになってくれば、やはり私は、そういうところの鉱区の統合といいますか、そういうことにならねばならないのじゃなかろうか、こう思うわけです。これは私の意見でございますが……。  それから常磐の大貫さんにお尋ねいたしますが、私は、今から何十年たつか知りませんが、何十年かの後の人が石炭の今のあり方を見るならば、なんとまあ前の先輩諸君は、大事な石炭を燃やしてしまったのだろうかというように感ずる時代がくるのじゃなかろうか。石炭をただ、今のような燃料で、しかも重油と太刀打ちする、これは世界的な石炭の圧迫を十分に受けているわけでございますが、燃料で重油と太刀打ちをしていくということは、そう長く続くものじゃない、またそれよりも、この石炭をそのまま燃料でたくというのが、これが実際いいのだろうか、現実問題としては仕方がないとしても、少くとももう化学的の方面に、もっと頭を突っ込まねばならない。いわゆるこれを完全ガス化するとか、あるいは液体化するとか、非常にこれは、いわゆる生産面の問題で、そんなこといっても一トンで六千円も七千円もする石炭を、それからまた化学的な、そういうことをするならば、莫大の金になって、とても企業としては合わない、こういうお叱りを受けるかもしれないけれども、だれかそういうものを考えてやっていかなければならないと思うのです。  そういたしますと、ただ燃料政策だけで、こういうことを考えておくというよりも、幸い貯炭が、これだけあるならば、こういう時期において完全ガス化なら完全ガス化の研究を大いに国でもやるべきであるし、業者の方々にも、大いに一つ協力をしてもらわなければならないのじゃなかろうか、こう思うのですが、常磐は東京に非常に近いところで、そういうことになれば、一番最初に研究することになっておったと聞いておりますが、一つお教えを願いたい、かように思います。
  69. 大貫経次

    参考人(大貫経次君) 今のお話の石炭を、燃料として以外のことに使うということは、これは最近に始つたことでなく、もう昔から叫ばれておることでございまして、われわれも、できるだけその線に沿うべく研究したり、努力しておりますが、燃料以外の点、いわゆる石油化学、石炭化学、今、現在の乾溜化学、ガス、実際は、それから離れたものになるわけでございますが、これはなかなか実際問題としては、それによって石炭鉱業を育成、育てて、苦しまずにやっていけるという段階にいくには、これは、私らはよくわかりませんが、きわめてほど遠い問題じゃないかと思います。理論的に、あるいは化学的には、十分に考えられ、また大いに希望を持てるように思われますが、実際問題としては、石炭を燃料以外のことに使うことによって、どれまで発展できるかということは、考えてはいかなければならぬが、むずかしいことであるというふうに考えます。  たとえば今お話の完全ガス化というような問題も、これは、大部分が燃料の問題としての問題でございまして、いわゆる石炭化学。今叫ばれている新しいいわゆる石炭化学ですね、こういう問題については、できるだけ勉強はしなくちゃならぬが、当面の問題の貯炭解決とか、あるいは出炭の解決とか、現在及び近い将来においては、非常にむずかしい問題じゃないかと思うのですが、ただ、部分的に企業として成り立つか成り立たぬかということは、これは成り立つと思われます、だけれども、実際の大きな数量を動かして、石炭政策が、それによって反対になるということはむずかしいのじゃないかと、こういうことを申し上げます。われわれのところでも、ガス化の問題については、数年前から、いろいろやっておりましたが、これはコマーシャルベーシスに立ってとうてい成り立たぬということで、そのままにはなっております。  大体、以上申し上げます。
  70. 阿具根登

    ○阿具根登君 現実の問題で、大槻さんに、それでは一つお尋ねいたしますが、今度約一千万トン縮小して、四千八百万トンの石炭を出される、こういうことを業界でおきめになっておると聞いておりますが、今一千百数十万トンの貯炭をかかえて、こういう対策を立てられたとするならば、今、この貯炭が正常貯炭に帰るのは、いつの目標でございますか。いつ正常貯炭になるために、これだけの減産をするのだ、こういうお考え方で、お立てになっておると思われますので、その点を一つ、お教え願いたい。
  71. 大槻文平

    参考人(大槻文平君) これは、先ほども申し上げましたように、来年の三月末に三百万トン━━業者の手持ちです、三百万トンの貯炭というものを目標にして対策を講じております。
  72. 阿具根登

    ○阿具根登君 これは、政府に私が質問いたしましたのと同じことでございまして、同じ御答弁でございますので、まあ政府業者の皆さんと、十分石炭対策をお立てになって、こういうことをやられておるということがわかりまして、質問を続けるわけなんですが、そういたしますと、来年の三月ないし四月には、正常貯炭になるのですな。そうすると、その以後は、政府の計画した通りにいくものと考えてみれば、相当な今後は石炭というものが必要になってくる、こういうことになってくると思うのです。  そういたしますと、今から来年の三月まで、ちょうど一年間、その間に貯炭をさばく。そのために労使間の問題は、ここで触れるべき問題でございませんから触れませんが、私らが考えてみる場合に、やはり今の労使間の状態を見てみます場合に、何が原因だろうかと見てみますと、やはり一番危険な、一番いやな作業をしておる石炭労働者の生活が、満足する生活になっておらない。藤岡さんは、外国と比較して、外国は石炭が一番いいと言っておられましたが、石炭、あるいは鉱山でも、そうですが、地下で作業しておる人は、一般労働者よりも優位にあっても下位にあってはならない、これは生命の危険から、あるいは環境から考えてみまして、これは言えると思うのです。  そういたしますと、この一年間で、石炭は正常になるならば、会社としては、今度は非常によくなるわけなんですね。その間に、非常にしわ寄せされて、責任を負わされていくのは労働者である、極端にいいますと、政府が何千万トン出せと言ったと、皆さんがお出しになったと、たとえば五千四百万トンという、ほんとうに政府が言った通りに出しておられるならば、これは千七百万トンの石炭が余るようになってきた。貯炭になってきたわけですが、幸い四千九百万トンしか出なかったから、千二百万トンで助かったわけです。そうすると、政府は出してくれと、業者は出すための準備をする、労働者は働いて出した、ところが、それが余った。余れば会社は売れないからというところで、首を切るなりストップされたりする。政府は出せと言っておって、何も責任を負わない。そうすると、一緒になってやった三者の中で、一番みじめなのは労働者になってくる。これでは労使間は、うまくいかぬのじゃなかろうか、こういう考えをするわけです。何も業者だけの責任と言っておるのじゃないのです。政府の責任は、うんとまた別な場所でつつきますから、政府が勝手に出せ出せといって号令をかけておいて、これだけ年間で使うのだ、四十二年度は六千四百万トンの石炭を使うのだといって号令をかける。五十年度は七千二百万トンだ。だから今、藤江さんが言われたように、ちゃんとそれだけの準備をされておる。だけれども、今でさえも、わずか四千九亘万トン出したのに、一千二百万トン近くの石炭が余ってきた、業者が苦しいから、しょうがない、賃金を下げるなり、あるいは労働者にやめてもらうなり、こういう政策が出てくるけれども、そういうことは、夢にも知らずに働いておったこの労働者というのは、非常にみじめなものだ、こういうことを考えてみますと、炭鉱労働者の実態、それから会社のいわれておるいわゆるコスト・ダウン、コストを下げなければできないというようなことから種々考えてみて、特にいい会社は別ですよ、日本の炭鉱全部を見た場合に、企業としての石炭業の限度にきておるのではなかろうか、私企業では限界にきておるのではなかろうか、私は、こういうように考えておるのです。  労働者が、今のままの賃金、今のままの生活でよろしゅうございますといって働く場合は別として、ほかの産業よりも、私たちはもっと苦しい仕事をしておるし、危険な仕事をしておるから、もっとわれわれを優遇してくれ、これは当然の声だろうと思いますし、お使いになっている業者の方は、他産業よりも苦しい生活をしているから上げてやるのが、当りまえだ、しかし上げられないのだというのが業者の考え方だと思う。そういたしますと、日本の炭鉱のあり方からいって、これは全般的に一応眺めてみれば、私企業としては、一応の限界にきておるのではなかろうか。炭鉱の労使間の紛争というものは、今のままでやったならば、何年たっても、毎年々々お互いに血みどろになって闘争を繰り返さなければならないのではなかろうか、こういうふうに考えるわけですが、間違っておったら御指摘を願いたいと思います。
  73. 大槻文平

    参考人(大槻文平君) 先ほどから、炭鉱賃金が非常に低いということが言われておるのでありますけれども、それは、実際に数字を知らない人が言っておるのであって、詳細に、各業種と比較検討した場合には、炭鉱賃金は、決して現在日本の賃金としては低くないのであります。もちろんそれはドイツ、あるいはアメリカはもちろん問題になりませんけれども、ドイツあたりに比べまして、二分の一くらいの賃金であります。しかしながらドイツの能事は、日本の倍以上になっております。倍以上の能率であるがゆえに倍の賃金を払うということは、これは当然のことじゃないか、賃金は、結局能率というものとミートするということが大切なことだと私は思うのであります。  現在、炭鉱に行ってごらんいただけば、特に大手あたりの炭鉱に行っていただけばおわかりでありますけれども、鉱員の住宅にも、テレビのアンテナが林立しているという状態でありまして、これは決して現在の炭鉱の労働賃金が安いということを証明している事実ではなくて、むしろ相当余裕のある賃金であるということを証明しているのではないかと思います。  また、われわれの会社で申し上げますならば、会社が預っておりますところの労働者の貯金というものは、一人当り七万円見当であります。こういうものは、やはり炭鉱賃金に相当余裕があるということを示しておるのではないかというふうに私は考えるのであります。  もちろん、今お話がございましたように、坑内で働く者に、その国の一番高いレベルの賃金を払えということについては、私は同感であります。しかしながら現在炭労が示しておりますように、生産性向上に反対するという組合の態度に対しまして、生産性を向上しないで、何がゆえに高い賃金が払えるかということをわれわれは申し上げたいので、こういう点は、かりに社会主義の世の中になっても、共産主義の世の中になろうとも、国営になろうとも、国管になろうとも、生産性の向上に反対する建前において企業というものは成り立つわけはない、この大旆をおろして、お互いに協力することによって、私は炭鉱の私企業としての存在はまだ続くものであるというふうに考えております。
  74. 阿具根登

    ○阿具根登君 生産性の向上の問題につきましては、私は、私なりの意見を持っておりますが、きょうはそんな場合でもありませんので、幸い今度は、組合側の代表が来ておられますので、炭鉱労働者が、そういう高い賃金で、テレビが林立しているというのは、私は不幸にして全国炭鉱を見ておりますが、そこまで、私は考えておりません。あるところでは一、二それは見ております。あるところもあります。炭鉱以外に林立しているということは知っております。しかし日本全国炭鉱が、おしなべてそういう優遇されておるということは、私は不幸にして知りませんが、幸い労働者の代表も来ておられますから、藤岡さんに、そこまで炭鉱労働者が優遇されておるのかということを、一つお聞かせ願いたいと思います。
  75. 藤岡三男

    参考人(藤岡三男君) ただいま大槻さんの方から、炭鉱賃金は、他産業に比較して低くないというお説でありますが、賃金を比較する場合に、総賃金と時間割賃金とあると思います。  で、大まかに申し上げまして、まず、坑内と坑外と分けてみて、坑外労働者は、一般産業労働者と匹敵しますので、それを見てみますと、おそらく一般産業労働者に比較して、六割ないし七割程度である。これは大槻さんも御承知と思います。では、平均はどうなっているかと申しますと、今申し上げましたように、炭鉱労働者賃金の中には、坑内にあっても、相当残業が多くあります。だからこの産業は、もちろん基準的な賃金として、われわれは算定するわけに参らないと思います。これはやはり基準外として、取っている賃金でありますから、賃金の比較については、やはり一時間当りの賃金が幾らになるかというのが正しい賃金の比較であると考えます。  そうなって参りますと、今から申し上げますが、炭鉱賃金を、坑外を一〇〇と考えてみましても、電気機械器具が一〇一、それから機械製造が一二一、それから非鉄金属が一二〇、それから鉄鋼が一四六、化学工業が一〇九、印刷工業が一四九、紙、パルプが一五四、それから繊維、これは特殊的な産業でありまして、ほとんど、女性が相当おりますので、これが相当低くなっております。大体全般的に眺めてみますと、繊維産業を除いた産業よりも低いということが、はっきり毎勤の統計から出ておりますので、これを読んでいただけばおわかりかと思います。  それからもう一つは、生産性向上運動の問題が出ましたが、私どもは、何も生産性向上に反対しているわけではありません。と申しますのは、われわれを、労働者を犠牲にする生産性向上運動には反対するのだということであります。だから、あくまでも犠牲にしない生産性であるならば、われわれは決してこれを拒否しておりません。  たとえば現在行なっておりまする中におきましても、たとえば機械を入れたい、ホーベルを入れたい、その場合にどうするか。ホーベルが入って参りますと、当然生産性が向上して参ります。そうなって参りますと、これは機械を入れた、つまり経営者のみの責任、あるいは利潤ではないから、当然この場合には、労働者の分け前というものが必要であるので、この場合には、幾らのトン数になるか。どのくらい上昇するか。それでは上昇した場合に、われわれに幾らやるのか、こういう相談をいたして、そこでこれだけ上昇するから、この機械を入れるために、生産がこれだけ上るので、これだけ賃金がふえてくる。だからその賃金がふえ、あるいは労働条件が低下せずに賃金がふえていくということになったら、機械を入れてよろしい、こういう交渉をやって、現在ホーベルも入れておりますし、あるいはまたその他の機械も入れておるわけであります。  だから、われわれとしては、先ほど申し上げましたように、われわれを犠牲にする生産性向上運動には反対しているのだ。だから、あくまでもやはり生産性の向上そのものについて僕等は反対しているわけではない。と申しますのは、そういう考えであるからこそ、今まで機械が入っても、決して機械を入れてはいかぬ、あるいは縦坑を掘ってはいかぬ、こういうことをやった覚えはありません。だからその場合は、われわれに、そのはね返りというものは当然きている。こなければならない、こういう考え方に立っておりますから、そういう交渉をやってきたし、またそのことが実現されたからこそ、数字として今能率が上っているということがはっきり言えるわけでありますから、生産性向上運動に反対する者に賃金をやる必要はない、そういう意味のことを言われましたので、その点の誤解がありますから、はっきり僕らの見解を表明しておきたいと思います。
  76. 阿具根登

    ○阿具根登君 私の質問が悪くて、双方の方々の立場を、ここで表明してもらって、かえって御迷惑かけたかと思いますから、もう一ぺん、当面の問題に逆戻りしたいと思います。  これは、どなたでもけっこうなんですが、この合理化法案に御賛成して下さっておる方々にお尋ね申し上げるのですが、たとえばこれが三十六年まで延びて、そうして百万トン買い上げた。その百万トンで万々歳だ、これで炭鉱が立ち直った、こういうことは、私どもは考えられないと思うのです。また大手の方では、新昭和石炭株式会社をお作りになりまして、ここでも百万トン買い上げるのだ、こういうことが出ておるようでございますが、これも法的には、私は少し疑義を持っております。しかし当面の問題として、これだけの貯炭をどうするかという問題になってくれば、百万トンの石炭にしても、百万トンぐらいというようなことは言えない、かように思うわけなんです。  そういう点から考えまして、私どもはこれでは、まだ足らない、まだなまぬるい、少くとも多いに越したことはございませんが、もう二百万トンぐらいは何とか買い上げしなければならない、そして業者に、あまり負担をかけないようにしなければならない、こういうような考えを持っておりまして、そのために、たとえば中小炭鉱の方々は資金を下して、そして中小炭鉱貯炭を、その余った炭を買い集めるようにしてくれ、こういう御意見があるようですし、大炭鉱の方は大炭鉱の方で、そういう共同貯炭場でも作れ、こういうことでございますが、それはすべておっしゃるのは国民の税金である、国から金を出して、そして自分たちの石炭を守る、こういうことを言っておられると思うのです。  私どもは、そうではなくて、もちろん考え方は、そうでございますけれども、国が金を下したならば、それだけ国がその貯炭に対し、業者に対してやはり一応の規制をしますよ。金を出して野放しに、業者の方が石炭が足らなくなったらば、自由にそれから出していく、あるいは石炭が余った場合には、自由にそこに集める、そういうことではなくて、国がその責任を負うべきではなかろうか。国が出資をして二百万トンなら二百万トンの石炭を買い集めておいて、そしてその価格なり、あるいは販売時期なり、数量なりというものは、国が指定をして、そして一応の政策を考えるべきではなかろうか、当面のこの問題に対して。だから、いわゆる合理化法案でも、まだあきたらない、これでは非常に経営の悪い非能率の炭鉱買い上げるだけであって、非能率の施設をつぶすだけであって、実際の石炭の余っておる、貯炭に対する対策にはなっておらない。だから、これに対しては、国が金を出して買い上げる、金を貸して。しかし、それに対しては国が権限を持ちますぞ、こういうような考え方を持っておるのですが、そういう点に対しては、どういうようにお考えでしょうかこれはどなたからでもけっこうですが、一つお教え願いたいと思います。
  77. 大槻文平

    参考人(大槻文平君) ただいまのお話は、これは業界でどうだこうだということは申し上げられません。これは、いろいろその人によって違った意見をお持ちだろうと思いますが、私の考えといたしましては、先ほどから、炭鉱は盛んに国に頼るじゃないか、国にばかり力を貸せと言って、自分は何もやらぬじゃないか、というようなお話も出ておりましたけれども、たとえばこれは性質が違いますけれども、塩田の体質改善とか、あるいは繊維工業の体質改善のために、やはり国が相当金を出して整理をしているという事実をわれわれ聞いております。  従って、基幹産業でありますところの石炭に対しましても、私は、この繊維産業に示された程度の国庫負担はあってしかるべきではないか。しかも現在問題になっておりますこの百万トンの買い上げにしましても、われわれがトン当り二十円ずつの金を出して整理をするのでありまして、法律は作っていただきますけれども、国家のお世話になっているのではない、こういうふうに私は思いますので、国が、やはりある程度の力をこの石炭鉱業の育成のために貸していただくということはあっていいのではないか。  そういう意味から申しまして、ただいまお話のありましたような国家の金でもって貯炭をさらに買い上げるというようなことは、現在の時期におきましては、最も適切なる処置ではないかというふうに考えられます。
  78. 阿具根登

    ○阿具根登君 最後に━━皆さんお急ぎですから、これでやめますが、最後にもう一つ、先ほど申しました、まあガス化の問題について、大槻さんからは、それは遠い将来のことであって、現実の問題ではないのだ、こういうことでございましたが、しかし、それは遠い将来の問題であるということにしておれば、だれも手をつける者はおりません。そういうのに手をつけるのには、今が一番いい時期ではなかろうか。これだけの貯炭をかかえており、先ほど大槻さんも御賛成下さいましたが、たとえば国が二百万トンなら二百万トンの石炭買い上げ、そしてその一部分を、そういう方面に使って研究をするのだ、こういうようなことだったならば、これはたとい遠い将来のことであっても、石炭の全部をそういうガス化なり、あるいはその他の化学方面に使うということは、これは今の時期としては、それは考えられませんけれども、その一部でも、そういうことに使って、実際採算に合うのだというようなことになってくれば、石炭業界としても、非常にこれは明るいことになるのではなかろうか、こういうような考え方から現実の問題としては、何とかして国に買い上げてもらいたい。しかもその権限は、もちろん国が持つのだ。またその中において、個々の会社ではやられたようでございますけれども、結論が出てない。こういう問題についても、相当の研究をすべきではなかろうか、こういう考えを持っておりますが、これはおそらく反対はされまいと思うのですが、そういう考え方からして、当面の問題として、将来の石炭というものに対する考え方を一つ考えて、そして基礎産業をどうするかという問題にいかねば、今のままでは、重油を石炭を比べると、石炭はコストが高いから、労賃が高いから、いや安いからということで、みな責任は、よそに押しつけたような格好になってしまって来ているのではなかろうか、こういうふうに感ずるわけです。  だからその責任の一番あるのは、私は政府ではなかろうかと思うのです。政府が計画通り石炭をさばいてくれれば、こんな問題が、今時分起らない。政府は出せ出せといって出させて、もう重油を入れてみたり、あるいは外炭を入れてみたりしている。ちょうどこの計算でみるならば、政府の入れただけの石炭が余っているのです。これは、政府に質問する場合に私は申し上げますが、石炭の通常貯炭よりもふくれたその貯炭は、その分だけ、ちょうど外国から入れているわけです。そういう責任は、国にあるのでありますから、いやしくも国の施策としては、そういうことをやってもらわなければ私はいかぬと思うのですが、大槻さん、その辺について御賛成下さるでしょうか。
  79. 大槻文平

    参考人(大槻文平君) どうも突然の話でございまして、貯炭を使ってガス化の研究をするという問題ですが、いわゆる方向としては望ましいことではないかというふうに私個人としては考えます。しかし、これは先ほど申し上げましたようにめいめい個人に、いろいろな考えを持っている人があるでしょうから、石炭界全体の意見というふうにとられては非常に困りますけれども、私としては、貯炭の一部を使って、そして将来発展すべき方向に新分野を開いて研究をするというようなことは、意味のあることであるというふうに考えるわけであります。
  80. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 参考人の方々には、まことに長時間にわたり、いろいろ貴重な御意見を承わり、ありがとうございました。委員会を代表して、厚く御礼申し上げます。  本委員会といたしましては、皆さん方の御意見を参考といたしまして、本案の審査を進めていきたいと存じます。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  81. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 速記を起して。  暫時休憩いたします。    午後三時四十四分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕