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政府委員(
佐々木義武君)
原子炉等の
規制で
許可をいたします際には、非常に厳重な
許可の
基準がございます。安全性の問題に関しましては、大体三つの範疇で問題を取り上げて考えるべきでありまして、
一つは
原子炉そのものが
装置として安全なりやいなや、これは非常に大きい問題になって参ります。第二点は、従業員が安全であるような措置がとられているかどうかという点が第二点に考えるべき問題であります。第三点は、
第三者、いわゆる周辺の住民等に対する安全をどのくらい確保しているか。これは立地の問題でございますけれ
ども、この三つの面から検査をいたしまして、そして査定の仕方も、単にその三つのファクターを静止状態として考慮するのではなしに、運転する際の管理する管理者、そういう者が一体どれほど能力があるかという点に関しましては、別の
法律で国家試験を受けた者のみ、それは扱える、取扱い主任者と申しておりますが、あるいはヘルス等に関する、健康管理の問題等に関しましては、放射線の障害防止法というのがございまして、これがやはり国家試験を受けました有資格者のみが取り扱えるというふうなことにいたしまして、静止状態の場合の考慮のみならず、実際運転する際の運転の能力といったような点も、これを考え、実際にまた
許可をした
建設をする際には、さらに綿密な実地検査をしまして、その上で
許可を与えるというふうに、二重にも三重にも考慮を加えまして、実は
許可をするなら
許可をするというふうな
状況にしておるわけでございます。従いまして、一番その中で問題になります、たとえば炉そのものが安全かどうかという点に関しましては、ただいま
阿部先生から御指摘になりましたように、コールダー・ホールの炉に関しましては、初め
地震の面に関して非常に危惧の念を持ったのでありますけれ
ども、これは
英国側の設計、これは随時打ち合せをして参ったわけでありますが、設計に関しましても十分満足すべきような設計になっております。
それから実際の試験に関しましても、わざわざ三千万円の金を投じまして、建築試験所でございますか、ここで
日本ではいまだかつてなかった振動試験の
装置を作りまして、そうしてあらゆる角度から実地にそういう模型を乗せまして、それがどういうふうな影響を受けるかという点を検査しておりますが、今まで出しました理論的なデータと、実際に
実験いたしましたデータとは、完全に一致しておるようでございます。二番目に問題になりましたいわゆる正の温度系数、これが先ほど
お話のございましたジュネーブ会議で非常に問題になった点でございまして、これはいわゆる普通の
原子炉と申しますか、濃縮
ウラン系統の
原子炉でありますと、温度が上昇して参りますと、
核分裂の率が減少する、従って、そのものとして温度をあまり高めないような安全性を持っておるわけですが、
英国の炉は、負の温度系数になる、温度が上りますと連鎖反応が低まらずに高まるというふうな現象も起る可能性があるという点で、非常に議論が沸騰いたしまして、いろいろ詰めました結果、原因は、平時運転の際には毛頭そういうことはございませんが、何かの機会、たとえば
燃料の取りかえといったような場合に、そういうことが起きた場合に、どうするかという点で、いろいろ
研究しました結果、ただいまでは、もしそういうことが起きましても、大体温度が正にダブって起きていくというふうなときにかかるのには、時間的にみまして大体数分、四、五分というふうな
状況のようでございます。それを制御するのにいろいろな安全を見まして、何
段階にも制御の
方法を考えているわけでございますけれ
ども、大体数秒で完全に制御できるというふうになっておりますので、その点もこの際において完全に管理として、これは征服できるという
見通しをもって進めております。従いまして、炉自体の安全性の問題に関しまして、まだいろいろありますけれ
ども、非常に入念に検討いたしまして、この点はただいまの
段階ではまずまず御心配ないのじゃなかろうか。
第二の従業者に対する安全の問題でありますけれ
ども、これに関しましては、御
承知のようにあらゆる
設備あるいは健康診断等加えまして、決して従業員には、いわゆる放射線に基く災害というものは起り得ないような措置を講じ、一方起きた場合にはどうするかというふうな手段も保安規程等で十分考えてございます。
立地の問題に関しましては、これは一番重要な問題かと思いますけれ
ども、先ほど御説明いたしましたような風の問題、人口密度の問題、あるいは海流等の問題、あるいは
地震の問題等考慮いたしてやっておりますので、この点に関しましても、ただいまの
段階では非常にこれがまずいというようなものはないような
状況でございます。