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1959-03-11 第31回国会 参議院 商工委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十一日(水曜日)    午前十時五十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     田畑 金光君    理事            上原 正吉君            小幡 治和君            島   清君    委員            小沢久太郎君            木島 虎藏君            鈴木 万平君            高橋進太郎君            高橋  衛君            堀本 宜実君            阿具根 登君            阿部 竹松君            海野 三朗君            栗山 良夫君            岸  良一君            豊田 雅孝君   国務大臣    大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君    通商産業大臣  高碕達之助君   国 務 大 臣 山口喜久一郎君   政府委員    法制局長官総務    室主幹     吉國 一郎君    人事院総裁   淺井  清君    人事院事務総局    監理局長    木村 又雄君    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君    行政管理庁行政    管理局長    岡部 史郎君    行政管理庁行政    監察局長    犬丸  實君    通商産業政務次    官       中川 俊思君    通商産業大臣官    房長      齋藤 正年君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君    通商産業省重工    業局長     小出 榮一君    特許庁長官   井上 尚一君    特許庁総務部長 伊藤 繁樹君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    特許庁総務部工    業所有権制度改   正調査審議室長  荒玉 義人君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○航空機工業振興法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○プラント類輸出促進臨時措置法案  (内閣提出衆議院送付) ○輸出品デザイン法案内閣送付、予  備審査) ○特許法案内閣提出) ○特許法施行法案内閣提出) ○実用新案法案内閣提出) ○実用新案法施行法案内閣提出) ○意匠法案内閣提出) ○意匠法施行法案内閣提出) ○特許法等の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○商標法案内閣提出) ○商標法施行法案内閣提出) ○特許法等施行に伴う関係法令の整  理に関する法律案内閣提出)   —————————————
  2. 田畑金光

    委員長田畑金光君) これより商工委員会を開会いたします。  本日は、まず航空機工業振興法の一部を改正する法律案及びプラント類輸出促進臨時措置法案を一括して議題といたします。  これより両案の内容説明を願います。
  3. 小出榮一

    政府委員小出榮一君) それでは航空機工業振興法の一部を改正する法律案内容につきまして、概略説明を申し上げたいと思います。航空機工業振興法は、御承知通り昭和三十三年法律第百五十号として施行されたものでございまして、この法律終局目的はその総則の第一条にもございますように、要するに日本におきまする航空機工業国産化推進し、国産航空機工業の確立をはかるということがねらいでございまして、それに必要な各種振興措置をやって参るということでございます。  そこで、この航空機工業の全般的な現況をまず申し上げますると、御承知通り日本航空機工業は、戦争中におきましては、戦時目的のために相当の発達を示し、世界最高水準にまで技術的にも能力の面におきまして達したのでございますけれども、敗戦後はほとんど壊滅状態になりました。その生産は全然禁止されておったのであります。それが昭和二十七年にこれが再開せられまして、昨年の十二月末までの商の航空機関係生産実績、これは修理あるいは部品生産面を含めまして、総額累計四百十億円という生産実積を示しております。昨年一年間だけで百八十八億円というような生産状況でございます。その航空機製造機数は六百四十六機、そのうち昨年たけで二百機以上を作っておりまして、ジェット機がそのうちの半分を占めております。エンジン関係につきましては、これはまだ試作段階で、御承知通り日本ジェットエンジン株式会社というものがございまして、ここで防衛庁練習機用の小型のエンジンを作っておるという段階でございます。  こういうような漸次主として米軍の特需あるいは防衛庁関係等のものを中心にいたしまして、航空機製造修理か行われておるのでありまして、一方これらの航空機につきましては、航空機製造事業法という別の法律がございまして、その航空機製造事業法によって製造修理許可をいたしておるのでありまして、その許可事業者が現在十八社になっておるわけでございます。こういうようなことで、この関連工場等に含めまするというと、おそらく全国で六百社というような数に産するものと思われます。こういうふうにいたしまして航空機は、工業的に申しまして、産業の総合的な工業といたしまして非常に重要な地位を今後ますます占めるだろう、こういうふうに考えるわけであります。ところがこれらの生産修理につきましては、現在までのところ純粋の国産化ということは、ほとんどその緒についたばかりでございまして、現在まで、これらにつきましては、航空機関係は主として機体なり部品につきまして輸入をしなきゃならぬという状況でございます。それらの輸入の外貨の実績は、昨年末までに累計一億一千二百万ドルというような状況でございます。また一方この製造修理のための外国会社との技術提携ということも行われておりまして、必要があるものでありまして、これにつきましては、四十七件の技術提携が行われておるというような状況でございます。しかしこういうような状況で、いつまでもこの航空機工業生産修理実態というものを、そういった外国に依存しなきゃならぬということでは、国産化推進にならないわけでありまして、そこでまずこの航空機工業国産化ということをどうしても推進し、かつて国産技術として非常に世界的に優秀な技術を持っておりました経験を生かしまして、総合工業としての航空機工業日本国内において確立したい、こういうような意味におきまして航空機工業振興法というものができたわけでございます。そこでこの航空機工業振興法に基きまして、まず、国産航空機、これの設計というところから入っていかなくちゃならぬということになりまして、そこで現在までのところ、財団法人輸送機設計研究協会というものを設立いたしまして、これが昭和三十二年の五月に航空機工業界全般のあげての協力によりまして設立されました。この財団法人輸送機設計研究協会中心として、国産としての最も適当な形の輸送機設計するという問題から着手いたしたのであります。で、この輸送機設計研究協会に対しましては三十二年、三十三年、それぞれ毎年度補助金を交付いたしまして、設計研究に当らせまして、御承知通り昨年末に実物大木型設計を完了するというような段階にまで進んで参ったのであります。そこでこれに対しましてさらに一歩を進めまして、いよいよこの設計段階から、さらに精密な設計、そして進んで試作段階、そして試作機ができました場合におきましては、これの試験を行うということによって、最後は本格的な国産機量産態勢に入ろうというのがいよいよ現在の段階でありまして、設計から試作開発段階に入るということが、当面の緊急を要する問題になったわけであります。  そこで今回新たにこういった航空機工業設計試作製造、そういったようなことをいたしまする特殊会社を設立いたしまして、この特殊会社中心といたしまして日本航空機国産化推進しよう、こういう趣旨法律改正をいたしたい、これが航空機工業振興法改正の要点でございます。  従いまして法律内容といたしましては航空機工業振興法の中に一章を設けまして、日本航空機製造株式会社という名前特殊会社を設立するということに関する規定を第十三条からあとに入れたのでありまして、これが、この振興法改正の一口に申しまして内容でございます。  そこでその具体的な構想につきまして申し上げますると、こういったまず特殊会社をなぜ設立しなければならないかということでございまするが、これは申すまでもなく、航空機製造というのは、非常に多額設備投資を必要とし、また各方面の技術能力を集結しなくちゃならぬ。戦後相当の期間の空白がございまして、これをうめまして、各国との国際競争の場に立ち向かうということになりますと、どうしても業界の総力をあげなくちゃならぬということになりまして、これにつきましては、現在航空機製造事業許可を受けておりまする各社のどの一社だけでも単独でできない仕事でございます。従いましてそれぞれの各会社が、その責任分野を分担いたしまして、その総力をあげまして、ここに政府相当出資を要求し、これに民間出資を合せました特殊会社によって製造態勢をやっていく、こういうのがこの特殊会社を作る必要性でございます。  そこでこの特殊会社内容でございまするが、とりあえず資本金といたしましては約三十八億円という資本金予定いたしておりまして、その初年度におきまして、つまり三十四年度におきましては、政府出資三億円、民間出資二億円、五億円ということで発足することになっております。政府出資経済援助資金特別会計から出資をする、こういう建前になっております。従いまして五分の三は政府出資ということでスタートするわけであります。従って将来におきましても、相当多額政府出資を継続して行なっていく、こういう予定でございます。この資本金は、試験機を二機作り、それから試作機を二機製作する、それから治工具製作費用、こういうものに充てる予定でございます。この三十四年度以降、試作の第二号機が完成するまでの全体の総経費は約三十九億五千万円でございまして、この三十九億、五千万円のうち、資本金の三十八億円を、差し引きました残りの約一億五千万円、これが補助金といたしまして計上する予定でございます。この補助金は要するに精密設計、それから各種部分強度試験、こういうものに要する経費に充当する予定でございます。初年度といたしましては、さっき申しました財政資金といたしまして、政府出資三億のほかに、今中しました補助金の部といたしまして五千万円、合計三億六千万円の財政資金の手当をいたしておるわけでございます。こういうようなことで、現在すでに発足いたしておりまする設計研究を、木型製作というところまで一応三十三年度においては終了し、さらにそれの精密な手直しというものを引き続き今後三十五年の半ばぐらいまで続けるわけです。精密な設計は、大体三十五年度末に完了すると。その間、三十四年度、三十五年度におきまして、治工具設計製作をいたしまして、それから三十四年度から三十五年度の半ばぐらいまでに、各種部分強度試験を行いまして、そうして、いよいよこの強度試験機製作試験に入りまするのが三十六年度の半ばぐらいまでの間にやると。それから、疲労試験機製作試験が三十六年度の半ばから三十八年度の半ばぐらいまでの間にそういった試験機を作ると、これをまあかりにゼロ一号機、ゼロ二号機というふうに申しております。そういたしまして、いよいよ試作の第一号機にかかりまするのが、三十五年度の半ばから三十八年度にかけて行い、試作の第二号機は三十六年度から三十八年度にかけまして行う、こういう予定でございまして、結局昭和三十八年度までの間に、そういった試作開発段階を終了いたしまして、いよいよ三十八年度からあと量産態勢に入る、こういうふうな計画で一応予定をいたしておるのであります。  で、こういうような事業を行いまする中核体といたしまして、日本航空機製造株式会社というものを設立するのでありまして、その会社目的につきましては、先ほど申しました通りでございまして、これが第十三条に書いてございます。第十四条におきまして、政府予算範囲内で会社に対して出資することができるということが第十四条の第二項に書いてございまするが、この出資関連いたしまして、附則の第三条におきまして、「政府は、会社最初に行う輸送用航空機設計試作及び試験が完了した年度の翌年度以降は、会社に対して新たな出資を行わないものとする。」と、こういう帆走が置いてあるわけであります。これは先ほど申しましたように、昭和三十八年度までで一応試作開発段階が終りますが、その試作開発段階が終るまでの間は政府出資をいたそうと、こういう趣旨でございまして、従って、試作開発段階が終ったあとにおいては、新たな出資をつけ加えることはしないと、こういう趣旨のことが附則の第三条に書いてあるわけであります。これはまあ、量産段階に入りますれば、相当のまあ収入も入ってくるということで、あとは特に出資ということによって政府が特別なめんどうを見る必要も大体なくなってくるのではないかということで、一応そういう規定が置いてあるわけでございます。  それから、この会社役員でございますが、これはまあこういった特殊会社通例に従いまして、取締役七人以内、監査役二人以内というようなことで、この役員については、兼職の制限であるとかというような一般の例に従った規定が置いてございます。  それから、会社の行います事業範囲は第十九条に書いてございますが、要するに、輸送用航空機設計試作試験ということでございまして、そうしてそれらの航空機なり機体構造部品なりの製造販売をする、そのほかに、さらに関連の必要な事業をやる、こういうようなことでございます。  会社はやはり政府出資特殊会社でございまするので、事業計画等につきましては、符に政府転業計画資金計画、あるいは収支予算等について、特別の監督を受ける、通産大臣認可を受けるというような規定が赴いてございます。財産譲渡等につきましても、そういう点において制限が加えられております。それから、社債借入金等につきましても、社債募集等については通産大臣認可が必要であるというような規定が、二十条から二十二条にかけましてございます。  それから、第二十三条におきましては、社債発行限度特例、これは商法の二百九十七条の規定によりますというと、資本及び準備金総額または最終の貸借対照表により会社に現存する純財産額というような限度がございますが、それに対しまして、その限度の二倍まで社債発行限度を拡張いたしておりまして、これらの点について、会社に対しまして特別の助成的な指揮をとっているということでございます。それから第二十四条におきましても、同じように設計費用等繰り延べ特別規定を設けておりまして、この会社が、先ほど申しましたように、できましてから五年間というものは大体試作開発でありまして、普通の営業運転に入りませんので、従って、それまでの間は、そういう設計とか試作とか試験に要しました要用を貸借対照表の資産の部に計上することを認めました。そうして、五年たちまして、さらにあと七年間、結局成立後十二年というような間におきまして償却を行うというふうな特別の繰り延べ規定を設けまして、会社に対する助成措置をとっておるわけであります。反面におきましては、また当然五年間というものは利益もございませんので、利益配当はこれを禁止しております。その他定款の変更とか、あるいは一般的な監督規定とかいうようなことは、通常の例に従って書いてあるわけでございます。  それから三十一条になりまして、航空機製造事業法の適用という規定がございますが、これはこの会社製造販売という製造事業をやる会社ではございますけれども、その実態は、いわば中央において中核体としての運用をするわけでありまして、実際の具体的な製造というものは、それぞれ設備を持っておりまする既存の各会社責任の分担をいたしましてやらせておるわけでございます。従いまして、本来ならば、航空機製造事業法規定をそのまま適用いたしますというと、いろいろ設備の面の制約等のむずかしい規定がございますが、そういう規定をそのまま適用いたしませんで、航空機製造事業法の全部の要件を備えなくても、航空機製造事業者とみなすというような意味規定を置いておるわけであります。  そういうような大体規定でございまして、それといろいろ関連いたしましたこまかい手続等規定もございます。あるいは登録税の免除につきましては、附則の方にも書いてあるわけでございまするが、こういうようなことで、要するに、日本航空機製造株式会社という特殊会社を設立し、これを中心にして航空機国産化推進をはかっていく。で、その国産化をいたしまするにつきましての予定されておりまする最初飛行機と申しまするのは、いわゆる中型輸送機でございまして、これは実物大木型が、昨年末公開いたして、今横浜の追浜に置いてありますが、これをごらん願いますとわかりまするように、今までの各種の諸外国のいろいろの実態、現に飛んでおります飛行機をあらゆる点を総合いたしまして、非常に日本人に適した飛行機を作り上げるということで、約六十人乗りの中型旅客輸送目的といたしました輸送機設計した。ただエンジンにつきましては、これはまだ、いずれはこれを国産化しなくちやならぬのだし、早急には国産化は望めません。研究は継続いたしますけれども、とりあえずはロールス・ロイスのエンジン輸入いたしまして取りつける、こういうことでございます。双発のプロペラ機でございますが、これらの性能等につきましては、現存世界各国で飛んでおりまするこういった同じような目的飛行機といたしましては、DC3、DC4等がございますが、これらはいずれもそういったタイプのものでございます。しかもそれらはすでにアメリカにおいては生産を中止しておる。従って五年くらい先になりますと、世界のそういった輸送機が全面的に後退の時期がくると思われます。従ってそれに間に合わせるようにいたしまするためには、今から着手する必要がございます。そういたしまして、日本国産化がスムーズに進みました場合におきましては、そういった諸外国輸送機等と代替をいたします、リプレースをいたしますところに、日本国産機が登場していくということになりますれば、日本としては輸送機輸入をしなくても済みますし、さらに進んでは東南アジア、その他にも輸出をするということも考えておりまして、それらの国内需要あるいは輸出という需要を想定いたしまして、しかもこの国産機は、そのコストの面におきましても、十分国際競争力を持ったものを作り得るという確信を持ちましたので、こういうふうな具体的な計画を立てたわけでございます。  以上大へん簡単でございますけれども、航空機工業振興法の一部を改正する法律案内容でございます。  それでは引き続きまして、プラント類輸出促進臨時措置法案内容につきまして概略お話を申し上げたいと思います。  プラント類輸出促進臨時措置法という法律目的でございますが、これはこの法律名前通り、いわゆるプラント輸出促進するということが終局のねらいでありまして、そのための措置をやるということでございます。で、御承知通り、この日本貿易構造から申しまして、将来は輸出品のウエートが、ますます機械を初めといたしました重化学工業品重点が移りつつありまするし、またそこに重点を置かなければ、日本輸出は今後伸びないという実情でございます。で、それらの重化学工業品の中でも、特にいわゆるプラント類輸出というものは、その契約金額も非常に巨大でありまして、またこれに関連いたしまして、いろいろ日本技術あるいは建設技術というようなものを海外にますます広めてゆくという意味におきましても、非常に重要な貿易拡大のための手段といたしまして、最も重要性を今後ますます高めてゆくものの一つでございます。  ところが実際の実情を見ますというと、日本プラント輸出というものはアメリカその他の先進国に比べまして、まだまだきわめて低調でございまして、何かもっと強力な手を打ちませんというと、このままではプラント輸出というものは、そう急速に伸びるということは期待できないという事情にあるのでございます。で、もちろん政府といたしましては、プラント輸出振興のために、あるいは日本輸出入銀行によりまする協調融資比率を高める、あるいは輸出保険制度運用をはかる、あるいは租税特別措置法によりまして輸出所得の控除に対して特例を設ける、あるいはプラント輸出につきものでありまする延べ払いという問題につきましては、できるだけ延べ払い条件を緩和するというような、いろいろな優遇措置は講じて参ったのであります。その結果、大きなものといたしましては、ブラジルのミナス製鉄所でありますとか、あるいはインドルールケラー鉄鉱石の鉱山の開発というような計画もありまするし、あるいはパキスタンの尿素の工場建設計画インドのレーヨン・パルプの工場建設計画、そういった工場の全体としての建設の評価というものが相当に進促されております。しかしまだ日本プラント輸出が全体に占めまする比率というものは、米英あるいは西独というものに比べますというと、まことに微々たるものである現状でございます。その原因はどこにあるかということでございますが、いろいろな原因はありましょうけれども、特に重要な問題といたしましては、こういったプラント輸出をいたしまする際には、まず、そういった工場建設等現地でいたしまするにつきましては、その現地のいろいろな立地的な条件、自然的、経済的な条件調査というような段階から、さらに進んでは、その工場設計等につきまして、いわゆるコンサルティングというものの体制が非常に弱体であります。で、米国を初め、先進国におきましては、すべて国内工場建設においても同様でございまするが、まず、有力なるコンサルタントというものが非常な資本力信用力を持ったものがございまして、そこにまず委託をいたしまして、全体の設計をやってもらいまして、工場を運転するばかりになって、これを引き渡すというのが、通例でございます。で、日本はそういうような強力なコンサルタントというものが、現在のところ、率直に申しまして、全体として弱体でございまして、従ってどうしてもそういったコンサルティングという体制が弱体であり、また日本技術に対する国際的な信用力が低いという面もございまして、プラント輸出契約をするに当りましては、相手国から非常に過大な保証を、ギャランティを求められる場合が多いのであります。従ってその保証条件が、ギャランティを求められる条件が非常に過大でありまするために、どうしても輸出契約を引き受けまする企業者といたしましては、そのリスク自分で背負うだけの自信がないために契約をまずちゅうちょするという例もございまするし、かりに契約をすることに踏み切る場合におきましても、それらのコンサルティングに伴いまするリスクというものを自分自身費用リスクにおいて負担しなければならないために、そのリスク輸出価格コストの中に加算いたしまして契約に応じなければならぬ、従ってどうしても応札価格が高くなるということによって、国際競争の面において非常に不利な条件をやむを得ず押しつけられておる、こういうようなのが実態でございまして、そこでこの面を何とか打開いたしませんというと、プラント輸出促進がむずかしいというのが現状でございます。  従ってこれを打開いたしますためには、まず第一には強力なコンサルタントを育成するという問題が一つございます。で、現在社団法人日本プラント協会という代表的なコンサルティング体制がございますけれども、これとてもまだ相当強力な育成をはからなければならぬ状態でございまして、まず、コンサルティング体制を強化するということと、それからもう一つは、今のコンサルティングに伴いまする保証リスク、これを何らかの方法によって政府がそのリスクをある程度補償してやる、カバーしてやるという制度ができますれば、業者といたしましては、ある程度そのリスク政府によって負担してもらうということによって、安心して輸出契約に応じられると、こういうことになるわけでございまするので、その面におきましてこのプラント類輸出に伴う保証損失、ギャランティに対する損失を政府が補償すると、こういう制度を確立したいというのがこの法律の一口に申しまして骨子でございまして、そこでこのプラント類輸出促進臨時措置法案におきましては、そういった面に関する規定を置いてあるわけでございまして、まず第一条におきましては、そういう趣旨において、目的は今申し上げた通りでございますが、第二条におきまして、プラントというような言葉、並びにコンサルティングというような言葉、非常に耳新しい、法律用語としては新しいものでございますので、これらに対する定義を書いたのでございますが、一口に申しますれば、プラントというのは、各種の鉱工業生産設備、あるいは通信施設、研究施設、灌漑施設といふうな施設、設備であって、しかもそれが全体としてまとまった機能を憎むように配置され組み合わされた総合体という、工作物、機械設備の総合体という観念でございます。従って、一つの単体の機械としてたとえば船舶というような、非常に大きな契約金額のものでございましても、そういう総合体と見られないものにつきましては、この中に入らない。こういうことでございます。  それからコンサルティングというのは、要するにそういったプラントを外国建設いたしまする場合の調査計画設計というようなことをコンサルティングと言っているわけでございます。  で、こういうような定義のもとにおきまして、ここに書いておりますリスクの補償ということはどういうことであるかと申しますと、プラント類輸出いたします場合に、そのプラントの生産能力、あるいは性能とかというものにつきまして相手方と契約をして、こういった生産能力、こういった性能のものを、工場建設するということを約束して、設計をし、建設にかかるわけでございます。ところが、できましてから、これを運転してみるというと、初めに約束いたしました、その性能なり、能力と違った結果が出たという場合におきましては、その点につきまして違約金を払わなければならぬというような違約金の支払い義務を書いてある規定も、この保証条項の中に相当あるのが通例でございます。そこでそういうような違約金を払わなければならぬというような保証条項のついたプラント輸出契約をいたしました場合におきまして、そうして現実にそういった違約金を払わなれけばならぬというような事態が起った場合、あるいは違約金を現実には払わないけれども、そういった違約金を払わなければならぬような事態が起る前に、そのおそれが生じました場合においては、前もって機械なり、装置をリプレースする、取りかえるというような場合が相当一般にあります。そういった場合においては、それらによって受けました費用の損失というものを政府がある程度補償してやろう、こういうことでございます。で、この補償をするにつきまして、これを——まあ補償という言葉は非常にわかりにくいのでございますが、損失補償契約というものを政府が締結するわけでございますが、それはプラント類輸出契約をいたしまする人が、政府に対して——申し出ました場合におきましてこれは、申し出るか申し出ないかは自由でございますが、そういった補償契約を締結したいという申し出がありました場合には、その内容を審査いたしまして、これらに対しまして一定の条件によって補償契約を締結できる。こういうことがございます。  そこでその補償契約内容でございまするが、まず第四条におきまして、補償価額、その補償契約目的になっておりまする価額、これを補償価額と名づけておりまするが、この補償価額は、結局最高限度をやはり設ける必要がある。無制限に補償価額を設けることは不適当でございまするので、結局そのプラント類輸出契約総額の二〇%、百分の二十ということを最高限度といたしておるのであります。言いかえれば、百億円のプラント輸出をするという場合におきましては、二十億円というものがこの補償目的の価額になるのであります。  そういたしまして、その補償価額の中のさらに実際の補償金額はどこまで補償するかという、これも限度を設けてあるのであります。その補償金額の限度は第五条に書いてありまするように、今の補償価額に対する百分の七十、七〇%、言いかえますれば、百億円の輸出契約の場合においては二十億円の補償価額、そのさらに七〇%でありまするので、十四億円まで政府が補償をする。こういうことになるのでございます。  この補償契約の制度というものは、従いまして毎事業年度政府がこの補償契約の対象として補償契約を締結し得る金額の総額というものを、会計年度ごとに予算総則にこれを計上する必要があるのであります。従ってそのことは第六条に書いてございまするが、これを受けまして、昭和三十四年度予算総則におきましては、三十四年度中に政府が補償契約を締結し得る限度というものを六十億円というふうに一応計上いたしておるのでございます。この六十億円ということは、これは大体まあ経済企画庁の五ヵ年計画に織り込んでありますが、このプラント輸出の対象の契約金額を約四百億円というふうに想定いたしまして、それに見合う金額を一応計上したわけでございます。  それから次は、この制度はまあいわば相互保険的な運営をいたすわけでございまするので、プラント類輸出者から一定の補償料を取るわけでございます。その補償料に関する規定は第七条に書いてございます。この補償料のきめ方は、具体的には政令できめるわけでございまするが、この問題はどのくらい損失が発生するだろうか、契約の件数に対しまして、事故が発生する割合、いわゆる事故率というものを何パーセントに見るかということによって非常に変ってくるわけであります。これにつきましては、初年度昭和三十四年度におきましては、事故率を一応一〇%というふうに定めまして、その一〇%ということによって計算をいたしました補償料をこれに払うということにいたしました。言いかえれば、補償料の率というものは、先ほど申しました補償価額、補償金額の限度、それから事故率というものを掛け合せまするというと、一・四%という補償料を国庫に納付する、こういうことになると思います。しかしこれは政令でございまするので、初年度以降の経験を積むに従いまして、漸次むしろ補償料は下げていくという方向で考えていきたいということに大体の了解ができております。  こういうようなことがこの制度の骨子でございまして、これによってこの補償契約を締結し、一定の条件に合致いたします場合には、審査をいたしました結果、補償契約を締結し、さらに事故が発生した場合には、一定の条件に従って補償金額を支払うわけであります。これらの業務は、実際には非常に技術的な問題でございまして、政府の役人だけではとうてい処理し切れない問題が非常に多いのであります。従いまして、先ほど来申し述べましたような、一般的な基準なり運用の基本的な線につきましては、十分これはまず関係省と相談の上決定いたしまするが、具体的な個々の補償契約の締結等に関する業務は、これは特定の機関に委託することができるという規定を置きまして、これは第十六条でございまして、こういった業務は政府の業務でございまするけれども、そういった非常に技術的な面がございまするので、それに必要かつ適切な組織と能力を持った公益法人にこれを委託することができるという規定を置きました。この公益法人はさしあたりの具体的に考えておりまするのは社団法人日本プラント協会でございますが、これに扱わせるということでございます。しかし、これは委託でございまして、委任ではございませんので、最終の決定権はあくまでも政府自分で持っておる、こういうことでございます。  あとはこういうような委託機関として指定しました場合には、これを指定機関と称しておりまするが、この指定機関になりました、言いかえますれば、今の社団法人日本プラント協会が指定機関になりました場合には、この業務に関する限りは、政府の業務でございまするので、あるいは秘密の保持であるとか、その役員に対する特定の監督とかいう特別の監督規定を第十七条以下に規定をいたし、必要な罰則をこれにつけておる、こういうような状況でございます。  最後に、この法律は付則の第三項に書いてございまするように、この法律昭和三十八年三月三十一日限り、その効力を失うということになっております。言いかえますれば、昭和三十七年度までの一応の限時法ということになっておりまして、その意味におきまして臨時的なものでございまするが、その趣旨は、昭和三十七年度というのは企画庁の経済五ヵ年計画での最終年度でもございまするし、そのころまでにこのプラント輸出体制というものを早急に確立したいということでこれを促進する意味におきまして、一応はそこに期限を切った、こういうような趣旨でございます。  大体プラント類輸出促進臨時措置法案内容概略はそういうことであります。一応説明を終ります。
  4. 田畑金光

    委員長田畑金光君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  5. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 速記を起して。  暫時休憩します。    午前十一時四十七分休憩    —————・—————    午後二時四十二分開会
  6. 田畑金光

    委員長田畑金光君) これより委員会を再開いたします。  輸出品デザイン法案を議題といたします。本案は、本日衆議院の商工委員会において可決されたものであります。  これより提案理由の説明を願います。
  7. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) ただいま議題となりました輸出品デザイン法案につきまして、その提案の理由及び、要旨を御説明いたします。  わが国の輸出品がしばしば外国デザインの模倣を行うため、海外からこれに対する苦情の申し入れがひんぴんとありますことは、すでに皆様御承知通りでありますが、このような事態が続きますことは、輸出貿易におけるわが国の国際的信用を著しくそこなうこととなり、ひいては、これに籍口した仕向国の関税引き上げ、輸入制限等を招来するおそれなしといたしません。またデザインの模倣は国内輸出業者相互の間にも行われております。すなわち、ある業者がせっかく努力をしてよいデザインの商品を創作し、輸出しても、直ちに他の業者がこれを模倣し、しかも安価で輸出するため、お互いに値崩しをすることになり、かえって海外のわが国輸出品に対する信用を害するという、いわゆる過当競争の状態を引き起しているわけであります。  このような事態に処する対策といたしましては、現在法制的には、意匠法等工業所有権関係の諸法令、不正競争防止法、輸出入取引法等がありますが、これらは、あるいは私権の保護という見地からの当事者相互間の損害賠償の問題を規制し、あるいはまた不公正な輸出取引に対する制裁を規制しているものであり、いずれもすでに行われてしまったデザインの盗用に対する事後的規制にとどまっております。  一方、業界の自主的規制策といたしましては、輸出入取引法に基く輸出組合の意匠協定によって、繊維、陶磁器及び雑貨の三郎につき、デザインの模倣を輸出にあたり事前にチェックしようとする方法が実施されております。すなわち、輸出組合品員が、協定で定めた特定の貨物を一輸出しようとするときは、協定によって設立した意匠センターにより、その貨物が他人のデザインを盗用したものでない旨の認証を受けなければならない、ということになっているのであります。本来デザインの盗用防止というような問題は、このような業者の自主的規制に待つのが最善の策と考えられますが、かかる自主的な協定の締結を行うことが相当困難である業界も存するのであります。  以上のような現行法上の欠陥と、世界の自主的規制の困難さとをあわせ考えまして、特定の機関による輸出品のデザインの事前認定を行うことを主眼とする本法案を提案いたす次第であります。  次に、この法案の要旨を御説明いたします。  まず第一に、輸出貿易上デザインの模倣を防止することが特に必要である貨物であって、輸出入取引法に基く業者の協定により自主的規制が行われていないもの、または協定はあってもその目的達成が困難であるものにつきましてはこれを政令によって特定貨物に指定いたします。なお、この指定にあたりましては、事の重要性にかんがみ、事前に輸出入取引審議会に諮問することといたします。  第二に、特定貨物を輸出しようとするものは、あらかじめ、次に御説明いたします認定機関の認定を受けなければならないことといたします。なお、この認定を円滑、迅速に行い得るようにするため、希望するものにはデザインの登録が受けられることといたしますが、これはあくまでも認定のための便宜的な手段でありまして、権利の設定を意味するものではありません。  第三に、以上の認定の業務を行う認定機関は、その申請を待って、通商産業大臣が一定の指定基準に適合すると認めたものにつき指定することとし、業務の運営その他につき十分な監督を行うことといたします。以上簡単でございますが、この法律案提出の理由及びその要旨の概要につき御説明いたしました。何とぞ慎重御審議の上御賛同賜わらんことをお願い申し上げます。
  8. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
  9. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 次に、特許法案外九件を一括して議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。質疑のある方、順次御発言を願います。
  10. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 この際、私は通産大臣にちょっと御所見を伺いたいと思います。  それはもう相当になりますが、この法案を審議いたしました最初段階におきまして、通産大臣に、私が、私の所感を述べて、ぜひ一度特許庁を見ていただきたいということを申し上げました。われわれも見まして、現状ではいけないという感じがいたしましたので、責任の衝にあられる大臣に親しく一ぺん見ていただいて感想を伺いたい、こういう心組みであったのであります。実際にすぐごらんをいただいて、その鶴様を伺っておりますが、実際にどういう工合にお感じになりましたか、その点を伺いたいと思う。
  11. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 栗山委員の御忠告がありましたものですから、私はごく短時間ではございましたけれども、さっそく特許庁の中に人ってみたのでありますが、なるほど特許庁は表は実にりっぱでありますが、中に入ってみると、表と裏はだいぶ違っているということを感じたのであります。特に中に入りますと、きわめて狭いところに多数の人が、そうして不完全な設備の中で作業しておるということは、まことに同情に値する点があると思いますとともに、庁員がいかにも熱心に昼夜を分たずやっておる。そうしてあの複雑なる書類が完全に保管されておるということにつきましては、私は、庁員自身が非常に熱心にやっておるということに打たれたのでありますが、それにもかかわらず、内容を聞いてみますというと、特許及びその他の取扱いにつきましては、予想外に決定までには長い時間を要しておるというふうなことでございまして、調べてみるというと、件数も非常に多いのでありますけれども、特許、実用新案のごときは、二年八ヵ月を要しておる。それから意匠のごときは、一年五ヵ月を要しておる。それから、商標のごときも、十一ヵ月を要しておる。これははなはだ国民の期待に沿わないことだと存じまして、できるだけそれを早く短縮するようにしていかなければならぬ。従いまして、この特許庁の人員等も、予算の許す範囲におきまして、十分増加してもらってやっていきたい、こういうふうな感じを強くいたした次第であります。  以上、簡単でございますが、御質問にお答え申し上げます。
  12. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 大体よくごらんをいただいたと思いますが、その中で、私は大体四点を指摘することができると思います。  その第一は、最近各官庁とも、環境設備の改善には、非常な努力を払っておられます。外務省あるいは大蔵省その他役所の新築の進んでおるところもあるわけであります。徹底的な環境の改善をされたところもあります。そういう役所は、それぞれに能率が上っておると思いまして、私は決して悪いことではない、公務員の職務能率を高めるためには、ぜひ必要なことであると思いますが、今日、特許庁のあの複雑な、しかも相当綿密な、科学的な仕事を進めなければならぬ役所といたしましては、きわめて貧弱である。これは何ものをおいても緊急に環境改善を必要とする、私はそういうふうに見て参ったのでありますが、この点について、通商産業大臣はどういう工合にお考えになりまし、占うか。
  13. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 私も、その点につきましては全く同感でございまして、できるだけ早い機会に、この設備等につきましても、能率を増進するために改善を加える必要があると存じております。
  14. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私が特許庁から提出を求めました資料によりますと、一応の環境改善に要する経費というものが明らかになりまして、もちろんこれには冷房関係の装置は入っておりませんが、それを除いて一億二千二百万円ばかりの数字が計上せられております。この所要経費は、そう大して大きな負担となっておるわけではありませんが、こういうものを早期に実現するように、通商産業大臣として御努力をされるということはいかがでございましょうか。
  15. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 今回の三十四年度予算には、これは計上するに至らなかったことは、まことに残念でございますが、できるだけ早い機会に、これは次の国会には予算をぜひ成立させたいと思うわけでございます。
  16. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これは、あまりこまかいことになりますが、私がおもんぱかっておりますのは、あの建物の中には、特許庁以外の部局が、たくさん入っております。その部局は、近くそれぞれ適当な所に転出をされるということも聞いております。それは本年秋ごろだろうということも伺っております。従いまして、若干、あの建物の中の部屋があくときに、全体の計画の一部分として、環境の改善をしていきませんというと、狭い、きたない、あいたところへ、どさどさと移ってしまうということになりますれば、決して合理的な改善はできないと思うのです。従って、来年度予算という工合におっしゃったのですが、本来ならば、何らかの方途を講じて、直ちに総合的な環境、設備に対する計画を具体化されて、そうして、その一部分は、そういう部屋があいたときにすぐに養子をする、こういうようなことでないとりっぱにはでき上らないのじゃないかと考えますが、いかがですか。
  17. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) これは通商産業省といたしまして、現在、至るところに各局が分れております。私どもは、やはり実務をとります上におきまして、相当の期間でなければ、局長はやってこられないと思う。現にもう、特許庁の中に、軽工業局と、それから公益事業局が入っておるわけでありますから、ああいったものは一つにまとめていかなければならぬ。こういうふうなもののために、今度、防衛庁が、例の場所を変えるということになっておるわけでありますから、それとにらみ合して、全体に通商産業省としての場所を定めていきたい、こういうことで今、せっかく折衝中でありますが、その際には、現在の軽工業局であるとか、公益事業局とか、あの中におるものをほかへ持っていけば、これは、私はきわめて簡単に目的は達するだろうと思いますから、それは総合的に考えて、そういうふうに、実行していきたいと存じます。
  18. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 次に、特許庁の方は、私の資料要求について、これは遠慮されたのかもしれませんが、あるいは、満ち足りているのかどうかもまたわかりませんが、特許のいろいろな行政を行う上において、ただいま持っておりまする文献その他の資料というものが不十分であるという声を私は聞いておるのです。で、その金額は、もし外国の文献等を手に入れるということでありますれば、相当経費を要するであろう、こういうことでありますが、こういうものの調達についても、積極的な努力をせられるかどうか。これは、特許庁の長官は、そういう資料の整備について、現状のままでいいとお考えになっておるのか。私の伺っているところでは、やはり相当な量であり、相当経費を投入しなければ、諸外国に劣らないような資料の整備はできないということを聞いておるのでありまするが、その点はいかがでございますか。これは大臣と長官と両方に……。
  19. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 仰せの通りに、特許庁としましての審査審判能力の強化という目的達成上、人員の増加と並行しまして、いろいろ設備の改善、近代化ということと同時に、資料の整備充実ということはきわめて緊要でございますことをわれわれもその点は同感でございまして、従来も努力を続けて参りましたが、今後一そう外国資料の整備について、できる限りの力を尽して参りたいと考えております。一例として申しますれば、たとえば、英国の特許の公報は、相当長きにわたって欠号分がございますので、この欠号分の入手に要する費用だけでも、四千万円くらいの金額にはなろうかと考えております。
  20. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういう資料を、今、一例を挙げられましたが、要するに特許庁としてこの程度までやれば、まずまず行政を推進する上において事欠かないと思われる程度の資料請求をするのには、大体どの程度の金額が必要であるかというようなことは御計画になったことございますか。
  21. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) これは毎年予算の交渉町におきまして、文献の整備につきましては、計画を作り、これに基きまして大蔵当局の方とも交渉を続けておる次第でございます。
  22. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それから、その次には、この前の委員会でありましたか、行政管理庁、人事院並びに特許庁の政府委員にはお尋ねをいたしましたが、特許庁の人員充足の問題について人事院総裁もお見えになっておりますし、通産大臣も直接お話を聞いておられると思いますので、どういうお気持でいられるかを伺いたいと思います。  大ざっぱに申しますと、問題点が二つあるわけであります。一つは、最近おびただしい出願件数があるので、何度も私繰り返して申し上げておるので、どうも恐縮でありますが、特許庁から提出された資料にも明確になっておりますが、昭和十年ごろの出願件数に比較いたしまして、ただいまはその件数が大体倍になっておるわけであります。にもかかわらず、特許庁の人員というものはその当時とただいまと同じであります、従って、今、町で非難ごうごうとなっておる審査事務の停滞が当然として出てくるわけであります。従って、もし少くとも国民が満足する程度の特許行政の促進化をはかるということであれば、相当な人員を今ここでふやさなければならぬ。特許庁の一応提出されました資料によりますというと、所要人員は審査関係、審判関係その他書記等を入れまして三百七十五名になっております。これでもなおかつ定員と実在人員との関係上、うまくまだ計画通り、よほど努力をしないといかないということを聞いております。従ってそういう人員の充足を急速にするという問題が一つ。  それから、ただそういう方針が決定しましても、ただいまの国家公務員の採用の基準と、あるいは給与の基準等からして、かりにそういう方針が決定しても技術官であるこれらの諸君の新規採用ということはきわめて困難である。こういうことをわれわれ伺っておるのであります。人事院総裁はどうお考えですか。
  23. 淺井清

    政府委員(淺井清君) ただいまの定員の問題でございますが、これは行管庁の問題でございますから、行管長官から御答弁あると思います。  給与の問題でございますが、これは率直に結論を申しますれば、技術者全体の問題でございまして、特許関係の技術者だけの給与を上げるということはちょっと困難だろうと思っております。ただいまのところ、御承知のように、この特許関係の特許の審査に当っておる技術者の給与は、行政職俸給表でやっております。これは建設省の技術者も同様でございます。これは技術者金仏の俸給に関することでもございまするし、また同じ国家公務員でございまするから、やはり一般事務の職員とのバランスの問題もございますから、これはどういうふうにすればいいか、これはわれわれも非常に悩んでおるところでございます。なお、よく研究いたしたいと思いますが、今日それじゃどうすればいいかという点については、ちょっとお答えをいたしかねると思います。
  24. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 人事院総裁の一番重要なお仕事は、国家公務員に対して十分に安心して働けるような身分関係、あるいは給与の諸条件、そういうものを定められるということにあると私は承知いたしますが、しかしそれの前提をなしておるものは、やはり国家機関が必要とする適所に適材を配置するということが、一番私は大きな目的だと思う。にもかかわらず、今あなたのお話を承わっているというと、一番重要な国家機関に、適所に適材を配置することはちっともお触れにならないで、そうして給与の公平だとか、そういうことで困難だというようなことをおっしゃっておるが、本末転倒ではないでしょうか。
  25. 淺井清

    政府委員(淺井清君) ごもっともでございます。私どもも決してそうでないと申し上げておる次第ではないのでございます。しかし同じ国家公務員のことでございまするから、やはりその間に均衡は考えなくちゃいかぬ。ただし現在におきまして、職種によって俸給表を漸次分けておるのでございます。たとえば医療職であるとか教員であるとか、研究職であるとか分けておるのでございます。ただ特許関係の技術者は行政職の俸給表でやっておりまするから、そこでただいまお示しのような問題が起るのであろうかと考えております。
  26. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今にわかにそういう問題が提起されても答える余裕がないとおっしゃったのですが、これは重要な問題ですから、あるいはそうかもしれません。人事院総裁としてはそうかもしれない。しかし私が人事院からいただいた資料によりますと、アメリカでももう現に悩み抜いて、そうして適当なちゃんと措置をとっているのですね。現にここに資料がありますが、私は内容を読み上げません。あなたも十分御承知だと思いますが、とにかく適当な措置とられている。そうしてアメリカの国家機関における技術職員の充足ということについては、困難をしておるようでありますが、一応これで充足されておるようです。それからイギリスも非常に困っている。イギリスも困っておるが、別の方途を講じて、きちんととにかく国家機関に技術要員が充足されないという弊を除くように、懸命の努力をしておるというレポートが、あなたのところからきているのですね。従ってここで今問題になったからというので、そういうお答えでなくて、もう少し人事院総裁としては、この状態はここ数年来急速に解決される問題ではないと思いますが、これは日本の教育行政の欠陥がこういうところにきておるのですからね、文科偏重の傾向がこういうところにきておるのですから、私は改まらないと思う。それをそのまま放置しておけば、今日においてすら、一特許庁を考えても、技術員の不足で審査がおくれておる。しかも現職の医家公務員の中で、あきたらないで、民間にどんどん流れる人が出ないと保証はだれもしないわけです。ますます審査は渋滞してくる。そういうことになる。従って急速にやはりこれは人事院総裁として精密な調査とそうして研究の結果、具体案をお立てになる義務がありはしませんか。
  27. 淺井清

    政府委員(淺井清君) ごもっともでございます。ただいまお示しの資料は、われわれもよく存じておりますし、われわれも従来から、最近この科学振興ということにかんがみまして、この技術者の優遇の国会の委員会の決議等もございまして、十分研究はいたしております。ただ今日それじゃどうすればいいかという結論に達していないと申し上げたのでございまして、決して研究を怠っておるものではございません。
  28. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは私は、今戦後のことが問題になっておりますが、戦前でも民間の会社では普通の事務と技術とでは給与にちゃんと差があるのですよ。私自身も経験しておりますが、大体事務屋さんと比較すると、五、六十円の給料のところで、十円高かった。そういうことは、民間では今でもやっているのです。そのかわり技術屋というのは先がとまっちゃって、皆さんどんどん昇進していくけれども、研究ということが中心になって、同じいすでいつまでも努力する、要するに工場における熟練工と同じような格好で努力する、こういうことになる。従ってそういうことを十分に考えられれば、何らむずかしいことはない。なぜ民間へ技術者が流れていくかということは、給与がいいから流れていくのです。ですから人事院総裁は、非常に困ったことだということはお認めになった。何かしなければならぬということもお認めになりました。従って具体的にそういうことについて、国会に、われわれが要求したものを報告されるような、そういう近い時期における見通しというものはお持ちでございますか。
  29. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 今ここではっきりとそれは申し上げることはできませんが、問題点は十分承知をいたしておると申し上げてよろしいと思います。
  30. 島清

    ○島清君 関連して。淺井さん、ここは本会議じゃないのです。委員会です。委員会というのは、きめをこまかにして掘り下げて質疑討論をするところなんです。そこで、栗山委員が先般来、あなたにおいでいただきたいというので、大がい質問の要旨も承知しておられると思うのです。だが、栗山委員の質問に対するあなたの答弁はなっていません。と申し上げるのは、技術者全体の問題だとおっしゃいましたけれども、それから十分研究もしているけれども結論に到達していない、こういう御答弁でございましたが、昨年ですね機械関係で、特許庁の審査審判の者を、技術的に試験しまして、三十一名の方が内定をいたしまして、一人しかお入りになってないのですね。そういうことはどういうことであるかといいまするというと、部分的にまあなたが抽象的にお答えになった部分もありますが、今ほんとうに研究しておられれば、栗山委員の質問に対してお答えにならなければならない問題がたくさんあるのです。といいますことは、戦前は特許庁の審査審判の業務に三年間従事をしますと、弁理士という肩書きがもらえたのです、高等官制度というものがありますときはですね。ところが二十五年来、形式の上ではこれが廃止されたわけでもございませんし、さらに三十年ごろまでは、二年間従事をすると弁理士になれるということが募集要綱の中にもあったのですが、実質的には二十五年来、これがなくなっているのですね。こういう問題に対しても、一体どうするのかというようなことが当然研究されて、それで御答弁にならなければいけないと思うのです。ところがあなたの御答弁は抽象的で、こういう問題に触れてないのですね。これはどうされますか。
  31. 淺井清

    政府委員(淺井清君) これはもっと掘り下げて申し上げますれば、公務員全体の給与が民間より低いのでございます。これは決して技術者だけが低いわけじゃないので、一般の事務の職員も低いのでございます。でございまするから、ただいま特許審判関係だけをおっしゃいましたけれども、ほかの方でもやはり合格いたしまして民間へ逃げる者も相当あるように思っておるのでございます。それから第二点としまして、この特許審判関係は、一般の行政職の俸給表で現在扱っております。この行政職の中でやっておるものでございますかり、研究職とか医療職とか教員とかというような俸給表とは、これは違っておるのでございます。そういう点に問題があるんじゃないかと思っております。
  32. 島清

    ○島清君 ですから三十五年以前は、一年間審査審判の業務に従事をしておれば、弁理士という資格がもらえたんです。これはどういうふうにお考えでございますか。
  33. 淺井清

    政府委員(淺井清君) その点はどうも所管事項でございませんので、これは所管の方の方からお答えを願うより仕方がないと思います。
  34. 島清

    ○島清君 そういうふうに人員の充足ができないことは、そういうところにも原因があって、人事院としてはしかるべき官庁の方にあるいは折衝しておるとか、頼み込んでおるとかというふうに答弁にならないと、委員会の答弁になりゃしませんよ。
  35. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 私からお答えできることは主として給与の問題でございまして、資格とかあるいは定員とかの方面から、どういうふうに充実していくかということは、これは所管の方からお答え願います。
  36. 島清

    ○島清君 給与の問題を言っているんではないです。人員の充足の方法について、方途についてどういうふうに考えておられるかということを、栗山委員は質問しておられるのです。
  37. 淺井清

    政府委員(淺井清君) これは公務員全体として考えるよりいたし方ないのです。これは公務員全体の給与が民間よりどうも低い、そこでただいま問題になりました特許審判の充足が困難であるというなら、そこだけ給与をよくするのか、こういう問題が私の方の所管としては帰着するのでございます。
  38. 島清

    ○島清君 予算委員会ではありませんから、そういう全般的な問題を聞いているのではなくて、特許庁が現に人員の充足に困っておる、そこで仕事の量は数十万件もたまって、特許を出願しても五、六年かかる。これを打開するのに、あなたの責任範囲においてどうされるということの質問を申し上げているのです。そこで私が研究しただけでも、だから三十五年までは、二年間業務に従事をすると、弁理士という資格がもらえたんです、無条件に。今はそれがなくなっておる。今はそれがなくなっておるから、従ってその特許庁にこられる人々は少くなっておるということです。こういうことは、当然に各官庁の必要とするところの適材を適所に充足せしめるというところの責任感をあなたがお感じになっておるならば従来はあったものだから、これはなくなっておることは不合理である、これはなくなしよう。それならもとのように特許庁の力に志望してこられる人々も多いかもしれない、またこれも充足はしやすいということが考えられるのです。あなたは考えておられぬし、研究していない。
  39. 淺井清

    政府委員(淺井清君) ただいまお答え申しましたように、弁理士の問題でございますが、この資格を与えるかどうかということは、人事院の所感事項ではないのでございます。これはどうも、私にどうすればよいかとお尋ねになりましても、人事院としては所管外でございますから、これはお答えしにくいと思います。
  40. 田畑金光

    委員長田畑金光君) ちょっと委員長から申し上げておきますが、大蔵大臣が出席されておるわけです。決算委員会に出席する時間の関係もございまして、本委員会におる大臣の時間も限られておりますので大蔵大臣に対する質問者は、まず大蔵大臣の方に質問をお願いしたいと思います。
  41. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私、大蔵大臣に伺いますが、私がけさ伺ったところによると、二時から三時まで一時間出る、こういうお話しであります。先ほど連絡がきて二時半から三時半まで出るというお話しです。あなたのおいでになったのは三時十五分です。そしてあと二十分しかいないということでありますが、あなたの時間の観念はどういうことですか。
  42. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 大へん連絡が不十分で申しわけがございません。私外人と一緒に会い、その時間が大体過ぎた、そのあとは鳩山先生のお葬式に参りまして、意外にそれに時間がかかりまして、今走って参ったわけでございます。お許し願います。これは私の方の内部の連絡の不十分から、さような間違ったことを申したのでございます。
  43. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 去年でしたか、大蔵省の内部の連絡が不十分で、大蔵大臣ちっともお出でにならないで、私が大蔵委員をやっていた当時、ずいぶん問題にしたことがありますが、そういう連絡のうまくいかないような人は、よくいくような人にかえてもらいたい。  時間がないそうですから、いろいろくだくだと前提になるお話は申し上げません。通産大臣からも、おそらくだいぶ熱心になっておられるから、予算要求のお話をしていただいたことと思うので申し上げませんが、要するにわれわれは今特許法その他工業所有権に関する法律の根本的な改正案について審議しているわけです。ところがわれわれがこれを冷静に見た場合に、特許改正四法をいかに条文の上で整備いたしましても、日本の特許行政というものは改善されんという結論にわれわれは今達しつつあるのです。だから、法案を改正することに別に不賛成ではありませんが、それと同等あるいはそれ以上の努力をもって、特許庁の行政能力を飛躍的に増大させるということが必要である、こういう結論に達した。そこで問題になるのは、戦前の一番基準になる年次における特許等の出願件数に比較して、今日は倍である。人員はその当時と同じである。従ってただいま世論がごうごうとしておるように、特許のごときは五年たってもまだ結論が出ないという状況にあるわけです。毎年々々審決をする件数よりも、審決をしない件数の方が累増しておる。こういうことでは、出願料を取っておる政府の仕事としては怠慢きわまるものではないか、こういう結論になるわけです。私は言うのだが、ほかの行政の役所とは違うのですよ。ここは出願料を取って、そして仕事をやっておるのだから、普通の研究所と違いまして、汽車でいえば切符を売っておるわけだ。買ったお客さんは乗って目的地まで運んでもらわなければならない。それを運ばないということですね、これではいけないので、特許庁としては行政能力を飛躍的に拡大いたさなければならん。その一つの方便として、ただいまの特許庁の環境設備が恐ろしく悪い。中小企業の町工場の設一室みたいなものだ。外務省をりっぱにお作りになることもけっこうだし、防衛庁をりっぱにお作りになることもけっこうだが、こういう役所の環境設備の改善を根本的に緊急におやりになるということが必要ではないか、こういうことを私は申し上げる。それで特許庁から資料の提出を願っておりますが、私はまだこれでもみみっちいと思います。思いますが、一応一億二千二百万円ばかりかかるわけだ。これを大蔵大臣の責任において緊急に措置せられて、日本の特許行政の拡充の一助たらしめる御用意があるかどうか、これを伺いたい。
  44. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) ことしの予算編成に当りまして、いろいろ通産省からも強く要望され、ただいま栗山委員が御指摘になりますように、事務室も非常に古いといいますか、見かけは相当だけれども、中は近代的な特許審査をするのに不適当だ、こういうお話を伺っております。また先ほど来お話のありましたように、定員も少ない。件数も非常にふえておる。これを早く処理しなければいけない、こういうお話でございます。しごくごもっともだと思いまして、いろいろやりくり算段をいたしまして、ようやく本年の予算を作ったような次第でございます。おそらくきわめて少数ではございますが、人員も少しはふやした。しかしながらなお処置しなければならない点もあることは、私どもの方にもいろいろ各方面から御要望がございますし、零情を十分つまびらかにしておるつもりではございますが、ことしの予算に間に合わなかったことは何とも申しわけございません。ことに事柄の性質が、御指摘になりますように、まことに重大な問題でございますし、こういう事柄がおくれて処理されるということは、これは申しわけのないことでございますので、今後十分予算編成に当りましては気をつけて参りたい、かように考えております。
  45. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私がきょうお尋ねしているのは、普通の予算をよくつけてやれという、そういう意味の質問ではないのです。問題は、この法案の中に、出願料その他の諸料金の値上げが入っておるわけです。これにいきなり関連をしているのですが、こまかいことは申し上げませんが、これは特別会計の役所ではありません、御承知通り。また現業庁でもないわけでありますが、しかし特別会計でもない、現業庁でもない特許庁の歳出と歳入との予算を見ると、歳入の方が多いのですね。これは黒字になっておるわけです。黒字になっておる、こういう国家公務員の給料までも諸料金でまかなっておるという役所はどこにありますか。これで何の発明奨励になる。そういう極端な言い方からすれば、現行でも、もっと国家は発明奨励に意を尽すというならば、サービスをすべきである。料金を上げなくても、今日の停滞しているやつを直す義務がある、こう思います。少くとも政府機関の職員の給料くらいは持ってもよさそうだが、そういうこともない。しかも今度は倍額に上げて、四月一日から上って、年間四億の収入が九億ばかりになる、それだけのちゃんと原資が……。これはあなたに質問しても、特別会計でないから違うのだとおっしゃるが、それはもう言いのがれであって、現実にそれを考えた場合に、そういう答弁は私はいけません。特別会計でないから知らぬとおっしゃってもだめです。そういうことでなくて、現実に五億ばかり出る、そういう金を投入すれば、投入して特許庁の行政能力を大いに引き上げるということであれば、料金の引き上げについても、国民はある程度納得するかもしたません。国鉄の料金の引き上げは、国鉄のサービス改善ということが、あれがモットーになっている、キャッチフレーズになっておる。私鉄の料金もそうである。今度引き上げたところが、改善しないということでは国民は納得しません。そういう意味において、これはわれわれこの法案を通すか通さないか、料金の引き上げを認めるか、認めないかということは、一にかかって大蔵大臣の鶴の一声にあると思う。環境設備の改善に即刻応じよう、人員の充足には応じよう、こういう一声があれば、すらすらといく。これにいんねんをつければ、なかなかすらすらといかない、こういうことです。行政管理庁がおいでになるから、それを勧告されたので、その御所信を承わりたいと思っているが、人事院総裁の先ほどの答弁はきわめて不満足である。これは大蔵大臣が去られてから、もう少しお尋ねをいたしますが、大蔵大臣の鶴の一声頼みます。
  46. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) もう栗山委員は何もかも事情を御承知でございますので、くどくど申し上げることはございません。ただいま大蔵省が引き受ければと、こういうお話でございますが、通産大臣からも、大蔵大臣もぜひ出てきて引き受けてくれないと法案が難航しておる、こういうことでございましたから。ただいま栗山委員の御指摘の通りでございます。御承知のように、問題は特許料なり、登録料というものが、これはもう百も御承知のように、これは特別会計ではございませんし、ですから、一般歳入の財源として、それを使うことは、これはお許しをいただけるだろうと思います。しかしただいま御指摘になりますように、金額はふえておる今日、もう少し特許庁の人員の定員あるいは事務室等について思いやりがあってしかるべきではないか、この御注意はしごくごもっともだと思います。私ども今回の予算で、ほとんど各庁とも定員を増加いたしませんので、各省からやかましく言われておりますが、わずかに二十名にしろふやしたというのも、その一つの現われにほかならないのでありますし、ただいま御指摘になりますような事務室が非常に狭隘であり、旧式であるということ、ことに特許事務を扱っておる部内の職員の声もさることですが、部外から利用される人も非常な不便を感じておられるようでございますが、そういう事情もよくわかっておりますので、次の予算編成に当りましては十分理解と熱意をもって処理したい、かように考えております。
  47. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 人員充足の問題ですが、この問題はこまかくお話できないので、いずれ通産当局からよく説明を聞かれたいと思いますが、二十人とかそういうものでないのです。戦争前の状態に審査速度を戻すために、三百七十人くらいの定員増が必要であるということが数字的に出ているわけです。その、百七十人伸ばしてもなおかつ、今の技術営の国家公務員としての待遇では、定員は認めたって、きてがないというわけです。こういう根本的な問題も人事院総裁にこれからもお尋ねをするわけですが、そういうことも人事院総裁が方針をきめた場合にはレジスタンスをしないようにしてもらいたい。  最後にもう一つだめ押しをしておきますが、来年度予算のときに考慮すると言われますが、料金はもし原案が通れば四月の一日から上るのです。本年中には特別の措置で何とかならないのですか。
  48. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) これも大蔵大臣より栗山委員はよく御承知でございますが、本年は予算もぜひ成立させて、さらに補正ということを直ちにこの点で考えるということは、他の各省とのバランスもございますし、私どもそこまで踏み切るわけにはいかないと思います。しかしながら特許庁の建物なりまた審査費をふやすとか、あるいは審査員の給与についても、いろいろこれは人事院総裁の方から建前を御説明になると思いますが、なかなかむずかしい議論がございまして、技術員だからというだけではなかなかその給与が上るわけではないのでございます。しかし私どもも特許の審査という特殊技能について、何か工夫の余地はないかということを申しておりますから、人事院総裁の方からお話がございますれば、これまた御指摘になりましたように十分相談をしまして処置したい、かように考えております。御了承願います。
  49. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 本年度はまだ本予算が成立しておりませんから、そういう時期にお尋ねするのは大へん恐縮ですが、実行に入ったあとで、補正予算等をもしお出しになるときがあれば、そのときに本年度の仕事として補正をせられるということは不可能であるか、そういうお気持がないかどうか、これが一つ。それから第二は、たくさんやらなければならぬことがありますが、私は環境改善のことを今言っているわけです。補正予算としておやりになる御田意はないか。それからその他のいろんなことについで、明年度予算編成には、通産省との折衝において、大蔵省としては自分にこれを尊重して予算措置をせられるかどうか、この二点。
  50. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 補正予算に組むか組まないかというお話、これは今日、本予算成立を第一に願っておる際でございますし、その点についても緊急性その他の問題もございますから、その方はしばらく預らしていただきたいと思います。第二の問題につきましては、先ほど来申しますように誠意と熱意をもってこの問題の解決に当りたい、かように考えております。
  51. 島清

    ○島清君 現在工業所有権を譲渡したり、実施権の収入を得たりする場合、法人においてはその利益はそのまま課税されてしまうのです。個人の場合は若干の特例はありますけれども、原則としては他の課税とあまり区別されてない。そこで二、三点お伺いしたいのですが、法人がかりに技術輸出した場合は、現在も輸出所得の特別控除が幾らかは認められておりますけれども、その限度は売上高の三%に制限されております。御承知通り現在日本技術提携によるロイアリティの海外への支払額が受取額よりもはるかに上回っている。この面では極端な片貿易になっている。技術輸出振興するために、所得の金額を輸出所得として控除するとか、あるいは思い切った税制上の優遇の処置というものが必要なような気がするのですが、その点については、どのようにお考えですか。
  52. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 島委員の御質問、御意見しごくごもっともでございます。技術輸出も大いに奨励すべきことと考えておりますので、今回の改正に当りまして、三%から技術輸出所得についてはその収入金の五〇%控除という今までにない特例を設けることにいたしております。これでもなお不十分で、ただいま御指摘のように金額というお話でございまするが、税制上の特別措置というものは、他の振り合いということもやはり考えないと、なかなかうまく参らないので、大体五〇%控除という特例で今回は処理したい、かように考えております。
  53. 島清

    ○島清君 これは今三%から五〇%に引き上げようとしているが、種々の制限がついておりまして、業界からはかなり不満が表明されているようですが、それはそれとしまして、私はもっとやはり積極的にこの技術輸出をはからなければならぬのじゃないか、それについては格段の一つ御留意を願いたいのです。それは海外に対しての技術輸出の場合ですが、国内でも各企業間の技術交流が盛んになればなるほど、同じような研究を幾つもの会社がやるというような、競合して行うということのむだが省かれると思います。国内で特許権の譲渡、実施権の収入を得たものは、これを技術開発所得として、たとえば三分の一は非課税にするというような処置を講じてしかるべきじゃないか、私はそう思うのですが、それについて大蔵大臣はどのように考えるのですか。
  54. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 特許権自身が非常に専属の権利になっておりますので、この特許権を実施さす上において、さらに特別な工夫をしろ、こういう質問ですが、この点についてはもう少し研究させていただかないと、まだ私どもは結論は出ません。
  55. 島清

    ○島清君 大いに研究願いたいと思います。
  56. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 順序としてまず山口行政管理庁長官から伺います。過日あなたのところの政府委員においで願って問題点をお話を申し上げました。また大臣にもお伝え願うように頼んで置きましたので、大体お聞き及びだと思いますが、問題は過日特許庁の行政を監査せられて勧告をお出しになられました。その勧告が私どもがこの法案をちょうど熱心に審議しておる最中にお出しになった。その勧告を読みまするというと、はなはだ不得要領の、まあ失礼ですけれども、そういう印象を受けるわけです一番問題は審査官がよけいな仕事をやっているからやめたらよかろう、まあいろいろなことがありましたが、問題は、根本的には行政能力拡充の一番大きなエレメントはやはり人的補充である、こういうことに帰納されるようです。ですから、この点をなぜおはずしになったか、またその後、もしそこまで目が届かなかったということでありますれば、本委員会の審議に協力せられて研究の結果必要性をお認めになっておるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  57. 山口喜久一郎

    ○国務大臣(山口喜久一郎君) 本委員会の様子は十分私ども承わっておりまして、その後、行政管理庁においても、いろいろこの問題の打開策について、下僚とも相談をいたしておるようなわけで、先ほど来御指摘の通り昭和十七年には千名をこした定員であったのが戦争によってほとんどこの業務が潰滅して四面数十名になり、それが二十四年はたしか五百四十五名、それが二十八年に七百、去年も増し、この三十四年度にも増して九百六十四名ということになっておるようですが、しかし審査件数は現在停滞しておるのだけでも二十万件ある、こういうようなことから勘案いたしますと、先ほど御議論がありましたような環境設備の改善と相待って、定員を増加するということはやむを得ないではないかと思っております。ただ私の方からいろいろ勧告した中におきましても、非常にむだな出願が多いというような点ですね、こんな点についてやはり多少のPRもして、異議の申し立てなども六〇%から七〇%は通っていないというような実情でありますので、出願者に対するこれらの抑制の方途も考えなければなりませんが、一応行政管理庁としては、千名を目標としておりますが、しかしそれもなかなかこの停滞する件数を消化することは困難ではなかろうか、こういう点、私も十分その実情を把握して、これが対策に善処したい、こういうふうに考えております。
  58. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 長官よくお聞きいただいたようでありますが、出願をコントロールするという問題は、これは出願ということが国民に与えられた全く自由な権利でありまするから、これは法律でどうこうするわけにいかないのです。あくまでこれはPR以外にない。特許庁が組織を整備して迅速に弁理士なり、あるいは発明者個人に対してすでに与えられた権利なり具体的な証拠を教えて、そして指導していくという以外にないでしょう。そういうことすらもまだ行われていないのですね。だから国民である発明者を責めるまだ何ものも私はないと思うのです。そこでこれはもう一ぺん繰り返しますが、笑い話ですが、淺井人事院総裁もよく聞いておいてもらいたい。この「科学読売」というのにおもしろい数字が出ておった。これは委員会で言うのは三べん目です特許件数が日本が今最高ですね。日本の特許出願件数が九万七千百七十、それからドイツが九万六千六百七十二件、ちょっと少い。それからアメリカが七万五千二百十一、それからイギリスが三万九千七百三十、こういう一九五七年の統計があるわけです。それに対して特許庁の建物の面積がどうかといいますと、これは平米で見ますと、日本が一万三千二百平米、ドイツは六万平米ある。ものすごく大きな建物、それからアメリカが四万平米、イギリスが二万四千八百平米、約二万五千平米ですね。イギリスは日本より特許件数が半分ぐらいで建物が倍以上、こういうことです。これは床面積です。それから職員はどうかと申しますと、日本は九百三十二人、ドイツは千八百人いるのです。ドイツは出願件数が日本より少くて千八百人おります。アメリカは二千三百人、イギリスは九百三十八人、これは日本とほとんど同じですが、そのかわり出願件数が少い、約半分ですね、こういう具合でして、幾ら日本人が頭がよくても今あげましたイギリスやアメリカ人やドイツ人より格段にすぐれているということはないだろうから、その英米すらこれだけの人員を擁して特許の審査に当っている。また現地を調べてきた人の報告によりますと、きわめて科学的な処理をされて、アメリカのごときは、それでもなおかつ行政能力改善のために七カ年一画でもってあらゆる科学的な処理ができるように努力されておるようです。ところが日本の特許庁はそういうものは全然ありません。先ほど申しました町工場設計室のようです。そこで科学技術振興ということが岸内閣の一つのうたい文句でもある以上は、やはりこういうことを真剣になって取り組んでいかれる必要があることを私は意見として申し上げたい。
  59. 山口喜久一郎

    ○国務大臣(山口喜久一郎君) これは御答弁というよりも御相談でありますが、この特許庁のお話を聞くにつけても、私の方の行政管理庁のごときも、非常なまじめな仕事をしているのに、床面積が少い、環境設備は不行届きであるというような点を痛感させられるのでありまして、将来この点についても御配慮願いたいと思っております。(笑声)ただいまお話しの通り、出願件数が非常に多いのでありますが、中には公知のものであるということを知らないで出願する人が、私の方の調査の結果、多いようでありますが、こういうことはPRをやって、そうして特許庁の公報の頒布ですね、こんなものも大蔵省に一つ大いに要求していただきまして、戦前よりも公報の頒布状況が悪いようでありますので、こんな点及び弁理士諸君にもさらに御協力を願って、そうして能率をあげてもらう、大体弁理士の手元において、これはもう許可にならないというようなものを無理に出さないというようなことも必要でありましょうし、両々相待って一つの検討の必要があると思いますが、何としても今の床面積の問題と、それから人員の定員の問題ということは重大でありますから、もし通産当局においてこれだけ必要であるというお話があれば、私は行政管理庁としては、この特許庁に関する限り、協力することにやぶさかではありません。  よろしゅうございますか。
  60. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それを忘れないように……。  そうすると、あと人事院総裁ですね。先ほどだいぶ問題をぼやかされちゃって核心にふれておりませんがね。私は国家公務員の給与等を扱われる役所として、責任庁としてやっぱり給与の公平化ということも、これはやっぱり勤務能率に非常に関係のあることですから、私は否定をいたしません。いたしませんが、それ以上に適所に適材を配置するということの方がよけい重要ではないか。国家機能を完遂していくためには、私はそれの方が重要だと思います。そうお考えになりませんか。公平化を、もし適所に適材を配置することができないということであれは、その障害を除くために着手給与において公平理論というものがくずれてもやむを得ないと、現に民間はやっているのですからやむを得ないと、そうお考えになられませんですか。
  61. 淺井清

    政府委員(淺井清君) これは両方ともやはり筋だろうと思っております。公平というものも筋だろうと思うし、ただいま仰せられた適材を適所に持っていけるということも筋だと思っております。現にただいまの俸給表におきましても、職種によって俸給表を分けている、別個の体系にしているということは、やはり適材を適所に持っていく方向に向いているのだろうと思っております。
  62. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういうふうにお認めになるとすると、先ほど文官と技術官との問題であるとか、技術官全体の問題であるとおっしゃいましたが、私は、あるいは怒られるかもしれませんが、技術官全体の問題でもありましょう。ありましょうが、国家機関にいる技術官の仕事を見てみますと、たとえば国鉄のごとき、職階制でずっと技術官の登龍門があって、行政官と同じような昇進の道が開けているところがあります。郵政省もそうです。それから自衛隊もそうですね。こういう工合に、ずっと文官と並んで甲乙なしに登龍門の開けておる役所があります。またそこにとられているのですから、仕事の内容も、従って、技術とは言いながら、相当行政的な色合いの強い技術というものが毎日処理されていくわけです。私はそういうところはそう大して今ほど深刻な問題ではないと思います。しかし、一たび目を転じて、工業技術院であるとか、電気試験所であるとか、あるいは測候所であるとか、あるいは今言った特許庁であるとか、こういうところをごらんなさい。これは一たびそこに職を得れば、ますます円熟してエキスパートになっていくわけです。二十年でも三十年でも、この役所におる限り、そのいすを守って、その仕事に専念していくエキスパートなんです。職階の上において、やれ課長になり、局長になり、次官になろうなどという、そういう欲望は持ってもいないし、また現実の場合、そういう工合であれば、役所の機能はとまってしまうわけですから、そういうことは許されないわけですね。そういう役所にいる技術官というものは、これはやはり特別な私は措置を必要とするのではないか。イギリスがこれをやっているわけです。たとえばある課長がAという給与をもらっている。その下にいる円熟した権威ある技術官というものはAプラス・アルファの給与をもらっている。それで一向差しつかえないのだ。こういうシステムというものは当然考えられなきゃならない。それがなければ、私はこの問題は解決しないと思いますが、そういう点についてお考えになりませんか。特に特許庁は、先ほど私が繰り返して申し上げておりますように、日切りの仕事をしているわけです。東京駅で国鉄が切符を売れば、そのお客様が大阪までの切符を買えば、大阪まで所定の時間に連れていかなければならない。この義務がある。特許庁も同じことですよ。窓口で出願料をとって受け付けた以上は、一定の期限内に、これを結論を出さなければならない。そういう義務がある役所が、係官がないために、ずるずる延びたということになれば、これはどういうことになるか。だからあまり一般的な問題だ、一般的な問題だとおっしゃらぬで、物事をもう少し深刻に考えて見られることが必要だと私は思いますが、いかがでございますか。
  63. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 御同感だと申し上げるよりほか仕方がない、その通りでございます。
  64. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 その通りであれば、それを具体化されるような方法というものいかん、具体化される御用意いかん。
  65. 淺井清

    政府委員(淺井清君) それはよく研究してみたいと思っております。どうすればよいか、現にただいまのような職階制によらずして給与が上る方法は、第一、俸給表の等級の号俸がオーバー・ラップされてあるということ自体、それから研究職のようなものは現にその特別研究員という形式でもってそのような方法をとっております。ただお示しのごとく、問題になっております特許審益の職員、これは行政職(一)の中でやっておるものですから、そこでそういう問題が起るのだと思っております。
  66. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 研究するところまでは大体了承されたようだが、おおよそのめどをつけて、いつごろまでに成案を得るように努力すると、また成案を得るために研究するのには、どういうふりな組織が必要なら必要である、そういうものを考える、そういうやはり方針というものを総裁としてお述べになって、そうしてこの特許行政の完全な遂行にやはり人事院総裁として協力される、こういう意思表示がなければ答弁になりませんよ、それでは。
  67. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 私はそのつもりで答弁しておるつもりでございますが、ただ、いつまでということを申し上げることはできない。また研究する組織なんて別に要らぬと思います。人事院にはその所管の局もございますから、そこで研究すればよろしいと思って、おります。
  68. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 しかし非常に緊急性があるということを考えられたら、大体半年で、一ぺんおよその結論を出すように努力してみましょうとか、三月で努力してみましょうとか、そういうやはりお約束というものはあってしかるべきじゃないですか。研究はするが、いつのことだかわからぬというのでは、それは行政担当の最高責任者の答弁としては少しあいまい過ぎますよ。
  69. 淺井清

    政府委員(淺井清君) ちょっと今いつまでに成案を得るか申し上げかねると思うのです。これは実際問題といたしまして、ほかの技術者の問題もあわせて研究しなければならぬ、また具体的にどうすればいいかという方法も考えなきゃいかぬと思います。
  70. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 じゃ今ここで総裁に即答を求めることは淺井総裁はお人柄ですから私は書意に解釈をしなければいかぬと思うが、そういう意味で即答を求めるのは無理かもしれません。そこでこの法案を審議している間に、一ぺん部局においてよく相談をされて、そうして本法案の討論の面前くらいには、一応相談した結果、こういう方針だと、若干それは動いてもかまいません。かまいませんが、今のようなことでは困るから、大体の方針というものを一ぺん部局でよく練られて、そうしてあらためて一つ御答弁を願いたいと思います。
  71. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいまの総裁が言われた通りなんでありまして、これは現にわれわれは研究職並びに行政部内における技術関係の職員、これはただいま問題になっておりまするのは特許審査の審査官でございまするけれどもそれを同程度にやはり人を得ることがむずかしいという問題がございまして、あわせてわれわれの方で研究いたしておるわけでございます。で、この法案が御審議になりますのが、これはもう非常に差し迫っておる問題だと思うのでありますが、それまでに結論が出るかと申されますと、これはわれわれとしましては、それまでにこういたしますということはなかなか言いにくいと思うのです。ただこれは官庁部内における技術職員の確保並びに先ほど総裁が申しました科学技術振興の線に沿いまして、こういう職員を確保し、能率を上げるために、やはり人事院として協力し得ることはどういうことである、これを給与上どう処理したらいいというのは、われわれは前々から研究いたしておるのでありまして、現に来年度予算要求に際しましても、われわれは人事院として非常に予算要求の努力もいたしたのであります。しかしこれは、不幸にして実らなかったのでございますけれども、今後におきましても、これは喫緊の課題としまして、われわれは研究して参るつもりであります。もちろん研究しっぱなしということではないので、これはある時期に、やはり結論を得たい。たとえば、人事院としましては、勧告あるいは報告ということがあるわけでございますので、そういう時期が、一つの問題の結論を出す時期になろうかと思いまするし、また等級別定数というものを設定いたすということを毎年やるわけでございますが、そういう場合が、一つの時期になろうかと思うのであります。いずれにいたしましても、これは喫緊な問題として、われわれは研究したいと考えております。
  72. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 いや、私がお願いしているのは、決してコンクリートになった成案というものを求めているわけではないのです。必要性をお認めになった以上は、緊急に成案を努めて努力されて、しかも今の人事院で持っておいでになる機関の能力からして、大よそこれくらいのところで、いろいろな案があるでしょうが、そういう案をまとめて、具体化への一歩前進をし得るであろう、そういう目標を示していただきたい、こういうことを申し上げております。  それでなければ、先ほど島君からもお話がありましたが、本年度のごとき三十一名機械学科の学生の採用を内定しておいて、いよいよおいでなさいといったら、一名しかこなかった。これでは特許庁の機械部門の審査は、非常に将来大きな支障が生ずるでしょう。こういう現実には、待ったなしの問題がある。それだから、総裁なり、局長のいわれるような、のんきなことをいっていられない。ですから、大体の目標というものを今相談されて、これくらいならば、これくらいの研究で成案を得られそうだという、その見込みを——案を見せていただきたいというのじゃないんですよ。そういう見込みを、この特許法を審査しておる最終ごろまでにお聞かせ願えないか、こういうふうに二段でいっているわけなんです。これが無理ですかね。
  73. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいまも申し上げたのでございまするが、この特許法の御審査になりまする期間というのは、これは非常に差し迫っている問題だと思いますので、先ほども申し上げましたように、われわれの研究は、その間にほぼ目途を立てて、こういうふうにやるのだというわけにはなかなかいかないと思います。  しかしながら、これは先ほども申しましたように、人事院としましては、やはりこの問題だけを切り離してやるというわけには参りませんので、全体的に考えるわけでありますから、そういう心期に、この問題は一緒にあわせて考えたい。それまでは研究をして考えたい。まあ先ほども申し上げましたように、たとえば人事院は、おおむね毎年七月の中旬に、報告——現在の公務員の給与が、これでどういうふうになっておるというような報告をいたすわけでありますが、必要があれば、そのときに勧告をいたすわけでありますが、そのときが一つの時期であろうと思いますし、また年々等級別定数、これは予算定員の範囲内におきまして等級別定数の策定をいたすわけでありますが、こういうのが一つの時期になろう。  そういうことで急いで研究いたしたいと思います。
  74. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういたしますと、大へん繰り返して失礼ですが、山口行政管理庁長官は、十人とか、二十人とかということでなくて、三百七十何人の特許庁は人員補充として必要とされた、原案に対しては全面的に協力をするということをおっしゃったですよ、あなたが聞いておられた通り。だからこれで、大蔵大臣も努力をするということだから、通産大臣に異議があるわけではないから、ここで意見がまとまる。そうなった場合に、あなたのところに課せられた任務としては、それだけのワクがきたときに、実際の人員を充足し得るような、やはり労働諸条件というものを整えなければならない義務がある。  そういう意味で努力をされる御用意があるかどうかということを最後に承わっておきます。
  75. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 御趣旨に従って研究するということを、さいぜんから申しておるわけであります。  ただこれは、率直に申し上げますけれども、大蔵大臣は、人事院から話があればと、簡単に、げたを預けられるのでございますけれども、財布のひもは、なかなかいつも固いのでございます。大蔵省の方にどうぞ一つ十分におっしゃっていただきたい。
  76. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今大蔵大臣は、ツルの一声だという、だめ押しで、彼は、そういう答弁をされたのだから、それは御心配は要りませんよ。あなたの方は、そういうよそに気がねをしないで、ちゃんと、いつまでも研究々々なんて言っていないで、もう少し前進の答弁をして下さいよ。私は長い間あなたの仕事のなされ振りを知っているから、これ以上くどく口をきわめて申し上げませんが、とにかく誠意ある措置をとってもらいたい。  総裁の言葉は、それで私了承するのだけれども、局長は、もう少しはっきりしないといけませんよ。局長が総裁みたいな答弁をしておってはだめですよ。もう少し具体的に、先ほど、ある時期があるということを、おおよそ二つの場合をにおわせられましたが、大体その時期とみていいですか、その時期までに、本案を一歩前進せしめるような研究をされる、それでいいですか、給与の等級の問題を勧告するとき、それからもう一つ、この二つのとき……。
  77. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) それを目途として研究いたす所存でございます。
  78. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それでは通産大臣に、この問題のしめくくりをしておきます。  今は、環境設備の拡充の問題と、行政能力の強化のうちで人員補充の問題、この二つを大蔵大臣、山口行政管理庁長官、人事院総裁にお尋ねをして、ほぼ目標を得ることができました。そこでもう一つ、問題は、これだけでなくて通産省として若干の予算措置も必要でしょうが、おやりにならなければならぬ仕事がまだほかにあります。たとえば今、山口長官が繰返して言われたように、特許庁の組織というものを、もう少し整備をして発明者のPRをしなければならぬということをおっしやいました。  これは本委員会の大竹委員も特許センターを作って、情報センターなんかを作って、もう少し特許庁の窓口を国民に開放して、資料の提供なり相談によくのれるようにしろ、こういうことをおやりにならなければならないという、これらのことを含めて、責任大臣である通産大臣は、特許庁の行政能力の根本的な拡充のために、考えを新たにして努力せられる御決意があるかどうか、これを一つ伺いたいと思います。
  79. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) PR運動につきましては、これは発明協会をもう少し強化いたしまして、それに十分の働きをやらせたいと存じておるわけでございます。  なお通産大臣の力がいかにも弱くて、本日は皆さんの御意見として、大蔵大臣なり、人事院総裁なり、行政企画庁長官から、あれだけの言質を得られたことは、まことに感謝にたえない次第でありますが、十分この点を肝に銘じまして、特許庁の設備の改号、あるいは人事の増員をはかりますとともに、今まで停滞いたしております審査等、なるべく早く完成するように期したいと存じます。
  80. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それから次へ移りますが、今度は、工業所有権関係の法案に全面的な改正が行われ、改正案を提出されたのですが、ただ一つ抜けているのは、弁理士法の改正が出ておりませんね。この弁理士法の改正案というのは、国会へ近くお出しになる御用意があるのか。あるいはこのままで、ずっとさらに進まれるのか、その御方針を承わりたい。
  81. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 御指摘の弁理士法は、どうしても、これはもっと完成する必要があるということを特許庁、良好も痛感しておるわけでございまして、これは今研究中でございまして、この国会に提出することができなかったことは非常に残念でございますが、次の国会までには、十分これを検討いたしまして提出いたしたいという所存でございます。
  82. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私は、この弁理士法の内容は、全般的にはあまりよく読んでおりませんが、従って総括的にお尋ねいたしますが、今度の四法案の改正に伴って、この中には旧特許法、現行の特許法以下いろいろな運用の文章がたくさん入っております。字句が入っております。そういうものが弁理士法を改正しなくても、運用上困られないかどうか、行政上支障がないかどうか、これを伺いたい。
  83. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 今般、特許法等施行に伴う関係法令の整理に関する法律案というのを同時に提出いたしまして、御審議を願っておるわけでございますが、この法律案中に、弁理士法の改正を必要とする事項が規定されているわけでございます。もっともその点は、今度の法律改正によりまして、条文の数字が変るとか、あるいは当然実体が、制度の改正の結果として必然的に改正を要するという事項だけ、言いかえれば、今度の法律改正の結果としましての必要最小限度改正を、この特許法等施行に伴う関係法令の整理に関する法律案において、弁理士法について行なったわけでございますが、これ以外については、御指摘の通り弁理士法も非常に古い法律でございます。いろいろ再検討を要すべき点が多いわけでございます。そういった点につきましては、今後至急研究を続けまして、なるべく早く成案を得たいと思っております。
  84. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 その中でですね、第三条に、弁理士の資格の特例という条文があります。これを読んでみますと非常に奇怪に思うことは、たとえば「高等官」なんという字が入っております。これは、終戦後ないはずですね。こういうものを特別措置で、お外しになりましたか。あるいはこれには触れておいでになりませんか。
  85. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 今回の、この関係法令の整理に関する法律案中には、このことには全然触れていないわけでございまして、この点は、非常に重要な問題でございますので、今後の研究に待ちたいと思っております。
  86. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 先ほど技術官の、特に特許庁の登用についての一つのキャッチ・フレーズとして、高等官在職二年以上の者には弁理士の資格を与えるということがあったと思います。ところが、現に高等官というものがないですから、これは判定のしようがないですよ。私は、非常にここで不合理を見つけるのは、高等官という制度が廃止される以前に、二年以上この業務に従事しておった人は、今日やめても弁理士の資格を与えられるのでしょう、どうです、今日でも。
  87. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) そうなると思います。
  88. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうでしょう。ところが、それと全く学力その他が同等あるいはその程度以上の人でも、高等官の制度が廃止された以後に特許庁に入った人は、これは、もう全然資格が与えられないのですね。そうでしょう。
  89. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 御指摘の通りでございまして、高等官という制度が、昭和二十五年五月十五日まで続いていたというわけでございます。もう少し正確に申しますれば、二級官制度というふうに名前が変りまして、事実上、もとの高等官という制度が二級官という名称において、昭和二十五年の五月十五日まで続いていたわけでございまして、この以前に二級官であった者は、この条項に従って弁理士といたしましての特例の恩典を受けるわけでございます。今日は、この第三条三号という規定は申さば空文と申しますが、そういう形になっているわけでございますので、今後の弁理士法改正の機会には、大体この制度に準ずるような扱い方ができますように、そういう規定を設けることにつきまして、できるだけ努力したいと考えております。
  90. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 いや、それは方針としてけっこうだと思いますが、それでは、この高等官制度がなくなってからですよ、そのあなたが述べられた方針による新しい身分の保護というのか、特別な権利を与えるというのかしりませんか、そこまでの間の、このフランクの状態にあった人の救済は、そのとき可能ですか。  たとえば、もっと具体的に申しますと、当然この高等官で在職二年と、これに相当するような人柄の人が、二十五年以後に入って、そうしてもう現にやめておる。そういう人に対して、今は弁理士の権利は与えられない。しかし弁理士法を改正して、今、長官のおっしゃったように何らかの新しい便法を講じた、そのときには、さかのぼって救済をし得るかどうか。この点はいかがですか。
  91. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) この制度を現行法のこの第三条第三号という規定にありまする制度につきまして、この空白になっておる期間の分について、さかのぼって前の高等官ないしは二級官に準ずるような扱い方が可能かどうか。この点につきましては、なかなか立法上むずかしい問題が残るだろうと考えております。その点につきましては、われわれとしましても、今後の研究に待つほかないわけでございますけれども、この規定そのままでなくっても、大体これと同様な特典と申しますか、利益が与えられるような方法が、やはり可能ではないか、そういう方法についても、並行して十分研究したいと考えております。
  92. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 人事院総裁は、今お聞き及びのような状態になっているわけですがね、これを、不合理とお考えになりませんか。特にですね、特許庁の技官が、今採用難に陥っておるときに、こういうことを掲げてですよ、募集してきておる。ところが現実には、これは効力がないということがわかってきて、これもしり込みの一つの材料だと思うのですが、これについて、総裁の御所感はどうですか。
  93. 淺井清

    政府委員(淺井清君) これは、せっかくのお尋ねでございますけれども、私どもの所管外でございますから、これは通産省の方で、しかるべく御考慮願うより仕方がないと思います。私から、これはちょっと所管外のことになるので申し上げられません。
  94. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 その御答弁は、先ほど伺いましたが、少くとも国家公務員の人事に関するいろいろなことをおやりになっているあなたに参考人として、どういう工合にお考えになるかということをお聞きしているのです。その職権があるから、あなた答弁していただきたいと、こう申しているわけじゃないのです。参考人として、どういう御所感をお持ちですかと、こう言っているのです。
  95. 淺井清

    政府委員(淺井清君) お尋ねでございますけれども、やはり政府委員として答弁を許されているのは、所管事項だけのことでございますから、それは、どうも私から何とも申し上げかねると思います。
  96. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 わかりました。それでは、通商産業大臣の全責任だそうですが、通商産業大臣は、どうお考えになりますか。
  97. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 私は、この法律を見て、二十五年に、これは失効したというときに、すぐにこれは考えていかなければならぬ問題だったと、こう存ずるわけでありますから、合から考えても、おそくないと思いますが、こういうことをやらなければ、これは集まりませんよ、入ってくる人はだれもいませんよ。なるべく早く実行するように研究いたします。
  98. 島清

    ○島清君 先ほどから、人員補充の問題について、淺井さんを中心にして栗山委員質問しておられるのですが、しかし、今もって研究段階を越えないのですね。ところが私は、人員を直ちに増員をしないと、この特許庁の出願件数というものは累増するばかりで、日本の特許事務を扱いまする能力というものが、世界的に非常に信用を失墜すると私は思うのです。だから、これは私は火急の問題だと思うのですね。そこで私なんかの、この法案を審議するに当りまして、疑問として政府の方に質問しておりますることは、今特許庁の停滞をしておりまする出願件数を処理することが、一番最大な特許庁に課せられた、通産省に課せられた、政府に課せられた責任ではないか。この法案を通したからといって、何も未処理の件数が、直ちに解決できるとは保証がどこにもないじゃないか、こういうことを言ったわけです。われわれは——われわればかりでなくて、国民の念願が、提出をいたしました出願件数が、あるいは登録されようと、あるいは却下されようと、すみやかに国家の権威において、これが確認をされるということが念願でなければならない、そう思うのですね。  ところが人員が足りないので、未処理件数は累増するばかりだと、いつこれが処理されるかわからないというような状態なんですね。逐年に増加しつつあるのですから。ところが肝心かなめの増員をしなければならないという、そしてその責任者であるあなたもおいでいただいて、質問をしてみても、研究段階だというのですね。それでまあ栗山委員は業を煮やして、それで各省、相談をしてきなさい、もっと研究——コンクリートされたものでなくても、もう少し色のいい答弁をしてもらいたい、私はこういうことだと思うのですがね。それじゃ私たちがこの法案を何のために審議をしているか、審議しておりまするところの意義というものが、ほとんど大半失われてしまうと思うのです。  そこで私は、あなたにお願いしたいことは、あなたの関与される面が、どの程度あるかわかりません。それから行政管理庁と、どの程度相談をされなければならないか、それとも通産省と、どの程度御相談なさらなければならないか知りませんけれども、私は、あなたのおそれておりますところの、きんちゃくのひもを持っておりまする大蔵大臣は、ああいう色よい答弁をして帰ってしまったけれども、しかし大蔵省が帰ってしまっても、とても石部金吉で固いのだ、こういうお話でしたが、それならばそれで、たとえば通産省と、それから行政管理庁長官と三者が話し合いをされて、そうして大蔵省にも、何がしかの保証をとられて、そこでこの委員会の方で、かくかくしかじかのあれで、すみやかに一つ補充するようなふうにする成案を得たのだというような御答弁を私としては願わしいのですが、そういったような見通しについてはどうなんでございますか。
  99. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 私の方は、定員の問題は所管外でございますから、これは何も申し上げることはないのでございます。これは通産省と行管庁とで、御相談になればよろしいのでございます。  私の方の問題は、さいぜん栗山委員からのお話の給与の問題に関して申し上げた、それに、大体人事院の考えは、申し上げたつもりでおるのでございます。
  100. 島清

    ○島清君 私は、席をはずしておりましたので、あまり給与の問題は聞いておりませんが、それはあとで、速記録を拝見することにいたしましょう。  それで、給与の面でも補充するに隘路がある、困難である。それから、今も栗山委員から指摘がありました通り、私も先刻指摘をしました通り、与えられた既得権益といいましょうか、権利といいましょうか、これがいつの間にかなくなっちゃったのだということが、あるいは入っていくという魅力を失ったかもしれません。いろいろの諸条件が悪い、悪条件が重なって、そしてそういったような補充の困難性というものを、ますますふやさしておるのかもしれません。そこで給与の面だけでは、なかなか打開は困難でございましょう。ですからこれを人事院総裁として給与の面だけでは、技術官を補充することが困難であるとするなれば、ただ給与の面ばかりに隘路の打開の道を求めるのではなくて、それを打開するためには、所管大臣でありまする通産大臣あるいは行管大臣ですね、こういったような方々が、衆知を集めて、そうして大蔵省に、一人で当る場合は弱いけれども、しかし三人で当れば強いでしょう。毛利元就の話じゃないですけれどもね。だからここであなたが弱音をはかれずに、大蔵大臣も、あんないいことをおっしゃったけれども、帰ってしまえば強いのだから、あなたたち三人が力を合せて、そうして大蔵省をねじ伏せて、そうしてわれわれの質問の意図が、どこにあるかということは、すでに御承知のはずだから、だから近いうちに、そういったような三者で話し合って、あるいは三省でもようございましょう、話し合って、そこで大蔵省に折衝をされて、しかるのちに委員会の委員の質問に対して答弁されるというだけの誠意があるかどうかということを私は聞いているわけなんです。
  101. 淺井清

    政府委員(淺井清君) この問題は、やはり所管庁たる大蔵省が指導性をとってやるべき問題だと私は考えております。
  102. 島清

    ○島清君 じゃ、通産大臣は単独の力で、これを補充されようとされるのですか。それともまた、補充はなかなか困難ではあるが、その困難性を、あるいは人事院ともあるいは行政管理庁とも相談をされて、そうして大蔵省の方にあなたの意図されることを了解させて、そうしてすみやかに補充していく、こういうような道を講ずるには、ただ、今淺井さんがおっしゃるように、あなただけの責任だからというて、あなた単独で独走されて、それを実現されるという御確信がおありでございますか。
  103. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) これは、もちろん人事院なり、それから行政管理庁の御尽力を得なければならないと思うのでございますが、特に技術者の待遇問題等につきましては、これは人事院なり、また人員をふやすという問題につきましては、行政管理庁のお力を借りまして、力を合せつつ大蔵省と折衝したいと考えております。
  104. 島清

    ○島清君 それは特許庁の人員補充の問題でありまするから、当然、大臣が主にならなければいけないということは、これは常識上考えても、私たちは了解できるわけなんですが、すみやかにそういったような処置をおとりになりまして、なるべく早い機会にやっぱりもっと一歩進んだ、通産大臣を通じて私は御答弁を願いたいと、こういうふうに考えます。  それから人員増加の問題と関連をして、御提出をいただきましたこの書類に基いて、私はお尋ねをしたいのでございますけれども、職員増員計画というお出しになりました資料があるのですが、それによりますと、歴年、三十四、三十五、三十六、三十七、三十八と、お示しをいただいて、それで出願件類十七万六千、それから処理件数十四万一千、こういうふうに逐年別にお示しいただいているのですが、三十七年に十八万二千出願件数がありまして、それで十八万六千有余の処理がなされることになっているのですね。それで三十八年、三十九年、四十年、四十一年と参りまして、やはり出願件数は十八万四千ですか、処理件数は二十二万五千ですか、こういうことになっている。ところが、この審判処理の計画で見ますると、三十四年も三十五年も三十六年も三十七年も四十一年も、請求件数が四千件ですね。  ところが、これは出願件数がふえていまして、それから審判の請求件数がふえていないということは、一体それはどういうことでしょうね。出願の件数がふえておれば、それに対する不服の申し立てが審判請求になってくるわけですから、これも当然出願件数に比例をしてふえなきゃならないと思うのですが、これは横ばいさせているのですね。これは何か数字的に合わないような気がするのですが、これはどうですか。
  105. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 御指摘の点きわめてごもっともでございますが、われわれこういう審査審判につきましての処理計画を作ります場合に、結局一番困難を感じますのは、今後の審査につきましては、出願件数をどう見通すか、審判につきましては、どう審判の請求件数の見通しを作るかという、非常にわかりにくいと申しますか、浮動、はっきりしない数字であるわけでございます。  今、審査の処理計画については数字が年々変っているが、審判処理計画については、変っていないのは、どういう理由かという点についての御質問でございますが、これは一応三十五年以降は、審判につきましては横ばいと考えたわけでございますが、これはわれわれの気持としましては、審査の質が悪いといいますか、疎漏であればあるだけ、審判の請求件数がそれだけふえるわけでございますので、言いかえれば、今後の人員の増加によりまして、審査の質がだんだんよくなる。その結果としまして審判請求件数は、必ずしも審査の処理件数の増加に伴って、審判請求件数は増加しないと、そういう希望的な要素がこれに加えられまして、一応審判につきましては、横ばいという前提で計画を組んでみたわけでございます。
  106. 島清

    ○島清君 きのう私が、これと関連をして質問申し上げたときに、第一審の審決が、第二審でくつがえったというような事例はどうであるかというようなことをお尋ねいたしましたときに、それが一〇%でございましたですかね、三年間平均いたしまして一〇%だったと思うのですが、それから割り出しましても、非常に第一審で人員を補充いたしまして充実いたしまして審査をしたとしても、きのう御答弁のございましたその比率と、それからあなたが想定をされておりまするところのこの数字とは、ややそこに食い違いがあるような気がするのですが、どうなんでございますか。
  107. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 審判につきましては、この審判処理計画にございますように、審判に抗告審判と二段階になっております。  この抗告審判と申します制度は、審判に対する第二審としての性質を持っている抗告審判と、それからもう一つ査定、すなわち審査の場合の拒絶査定がありまして、これは第一審としましての審判に参りませんで、この審査の拒絶査定に対するいわゆる不服の審判、これは抗告審判と申しております。  ですからこの抗告審判の方へ、審査による拒絶査定に対する不服は、現行の制度におきましては、審判へ行くのでなくて、抗告審判へ回ります。そういうわけで抗告審判の方が件数としましては、この計画でごらんのように、圧倒的にこれは多いわけでございます。  ですから、抗告審判という件数のこの中には、第一審としましての審判を経由してきましたものと、それから査定系と、われわれ称しておりますが、審査の結果の拒絶査定に対する不服の抗告審判、そのルートが二本になっているわけでございまて、そして、繰り返しになって恐縮ですが、件数から言いますれば、審査の結果の拒絶査定に対する抗告審判の方が、はるかに数が多い。きのう申し上げましたが、第一審の審判の審決に対しては、これが第二審へ参りまして、そして抗告審判でひっくり返ったという率、これはきのう、この数字について申し上げましたが、この第一審としての審判から、第二審としての抗告審判へいきますのは、いわゆる当事者系と申しますか、無効審判でございますか、そういうようなものが、第一審を通じて第二審としての抗告審判へいくというふうに、抗告審判というものが、その内容が二様になっている関係上、非常に御理解がいかなかったのではないかと存じますが、私の方からの申し上げようも、きわめて不備な点があったかと存じます。そういうことでございます。
  108. 島清

    ○島清君 この請求件数が横ばいであるということは、審査をいたしまするときに疎漏がなくて、おそらくそれに不服というものが起らないであろうと、少くなるであろうということですね。  それは、厳密な誤りのないところの審査をするから、それに対する不服としての請求というものは、そんなに出願件数に比例してふえないであろうということは裏を返せば、今の審査というのは、粗雑であるということを特許庁長官みずから、裏から承認をされるという結果になっているわけですね。それで粗雑であり、疎漏であるということは、人手が足りないから、そうなるんだと、こういうことでしょうね、三段論法でいけば。人手が足りないからそうなるんだ。  ところが人手が足りないというけれども、それじゃ、人手を補充する方法いかんということになると、そこで栗山君の大蔵大臣を呼んでみたり、それから淺井人事院総裁を呼んでみたり、人員補充の面について、非常に涙ぐましいほどの積極的な協力ぶりを発揮されているわけなんですがね。ところが、しかし人員の補充というものの見通しがつかないのですがね。ですからこれはおそらく、人員は補充がありましょうけれども、長官の期待されるような優秀な連中が、どしどし入ってくるかもそれはしりません。しかしながら、今その処理能力が欠けていまして、非常に未処理の件数が多いんですね。なおかつ、その非常に停滞をしているにかかわらず、それが人員不足の理由になっているんですね。一つの理由になっている。さらに、もう一つその審査の方面でも、これが疎漏であるというようなことを、まあ長官の口から御答弁になるということになりますというと、これはどうも日本工業権出願の審査状況というものは、これは大へんなもんだ、あるいは実際はそうかもしれませんがね。そういうふうに、世間に公表したことになると思うんですがね。どうも僕は、そういうふうにしか解釈できないんですがね。少し解釈の思い過ごしですかな。
  109. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 疎漏というような言葉の使い方は、きわめて不適当であったかと存じますが、われわれとしましては、審査の質というものをよりよくしていきたい、そういう気持でございまして、現在の、審査のやり方、その実質というものは十分なものとは考えていないというわけでございまして、そういう意味で、今日より以上に質としていい審査ができるように持って参りたいという気持でございますので、どうぞ御了承を願いたいと思います。
  110. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私、昨日ちょっと出席できなかったので、あるいは重複する点があるかもしれませんが、重複する点については、さようおっしゃっていただけばけっこうでございます。二、三池のことについてお尋ねをいたしておきたいと思います。  まず第一にお尋ねしたいのは、特許料の値上げのことが、なかなか外部で問題になっておりますが、先ほどちょうだいした資料ですね、出願料その他各種料金が、ずっとございましたが、あれの書類というものは、いろいろたくさんな関係書類が要るわけでしょうが、そういうものを弁理士の人が、いろいろ相談にあずかって作っていくわけだと思います。発明者が、自分で発明をして、そして弁理士に相談をして特許庁の窓口まで一応体裁をととのえて持ってくるまでに、一体どれほどの費用がかかるものか、特許丘で、もしおわかりになっておれば、先ほどいただいたあの一覧表ですか、あれの中で、代表的なやつを一つ取り出して御説明をいただけませんか。
  111. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 弁理士の取扱い手数料につきましては、弁理士会の会則できめられているわけでございますが、特許、実用新案、意匠商標、それぞれ、いろいろ料金が違っているわけでございます。私、ここで関係の資料を持ち合せがございませんが、特許につきましては、手数料が、たしか一件八千円であったかと記憶しております。
  112. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 八千円——そのほかわかりませんか。
  113. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) ちょっとここでは私、正確に記憶しておりません。
  114. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 この料金との関係があるので、この手数料の方の資料が戦前、昭和二十一年、二十三年、二十六年、現行と、こういうふうに分れておりますね。区分して書いてございます。  ですから、今言われたその特許出願料、出願の弁理士の手数料とか、実用新案あるいは意匠、商標とか、いろいろあるでしょうが、そういうものについて、これに対応するような弁理士会できめているものの、過去の値上げをずっとしてきていると思いますが、その例がありましたら、至急に一つ出してもらいたい。
  115. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 承知いたしました。
  116. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 よろしゅうございますか。じゃ、そのときにいたします。  それから、この審議会の答申吉の中を見ますというと、サービス商標のことが、若干うたわれておりますが、これを今度取り上げられなかった理由は、どういうことですか。それからまた将来取り上げられる御用意があるのか、そういう点についてちょっと伺っておきたい。
  117. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 工業所有権制度改正審議会におきましては、御指摘の通りに、サービス・マークという制度を採用するかどうかにつきまして、審議をいたしたいわけでありますが、世論調査をいたしました結果、まだ経済界の要望というものは十分熟していないということでございましたので、将来の再検討を期するということになったわけでございますが、たまたま昨年十月に、リスボンで工業所有権保護同盟条約会議がございました場合に、サービス・マークの問題が議題に上りまして、これは特許、実用新案、意匠、商標と並んで条約の中にサービス・マークというものを加えることになりました。そうしてサービス・マークを各国が保護することを約束するというような規定も挿入になった次第でございます。  その結果、われわれとしましては、このサービス・マークというものについて、今後至急研究を進めなければならないことになったわけでございますけれども、条約上の義務という見地から申しますれば、今日、日本では不正競争防止法があり、商法中に商号に関する規定もあり、ある程度、その条約の義務は果し得るという体制になっているわけでございます。で、今回の法律改正には、これを取り上げなかった次第でございますが、だんだん第三部門中、特にサービス業が占める重要性、地位というものは大きくなって参りました。銀行、保険あるいは通信、運輸、そういうものにつきまして、サービス・マークというものを、法的に保護する必要性、そういう問題に対する経済界の今後の現実の要求というものを勘案をしまして、どういう方法でサービス・マークに関する保護を立法化するか、言いかえれば、商標法中にこれを加えるかどうか、あるいは商標法とは別個に、そういう立法を設けるかどうか、そういうような点等をも含めまして、今後の課題として、われわれとしては十分研究を続けて参りたいと考えております。
  118. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私、この前、無効確認審判のときの政令に、もし委ねるようなことがあれば、その政案を一つ出してもらいたいということを言ってありましたが、これはもう出ましたか。
  119. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) お配りしたはずでございます。
  120. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今の資料まだ来ておりませんから、出てきておりましたら、ちょっと……。  それから、今のサービス商標のことはわかりましたが、その次に、米国には、植物特許というのがございますね、日本もなかなか園芸その他盛んな国ですが、植物特許というものの必要をお認めになりませんか。また日本には、米国に必要としておるような、そういう意味の品種改良とかその他は現在ございませんか、その点について。
  121. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 植物特許につきましては、ある優良な品種が、偶然的に生まれて、そしてこの技術を反復継続して、その方法を適用して、同じ品種を作るということができます場合には、これは、特許発明といたしまして、特許権の対象になるというふうに考えておりますが、偶然の結果だけであって、反復継続して、それと同一の効果を期することができないという場合には、特許の要件には該当しないわけでございます。  で、言いかえますれば、これの栽培方法等につきまして、優秀な新規な技術としまして、反復継続的に、それの利用が可能であるという場合には、その方法が、特許の対象になるわけでございまするし、また将来の問題としましては、その方法の適用、利用によりまして得られた植物自体も、特許の対象には、理論的にはなり得るかと存じますが、今日の段階におきましては、まだそこまではいっていないようにわれわれとしては考えております。
  122. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今の、特許の対象になるとおっしゃったのは、工業所有権関係の法規で、現在でもできるという意味ですか。ただ一般的に、法的措置を講ずればできると、こういう意味ですか。
  123. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) ある一定の品種の栽培、それの確保を可能にするような技術的方法でございますね、そういう方法の発明が、もしございますれば、これは特許の対象になり得ると思います。
  124. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 わかりました。  それから、特許法の四十七条に、審査官のことが少し出ておりますが、私は、審査官や審判官の資格を法定するということが必要ではないかと思いますが、原案には、それが出ておりません。で、その間の事情をちょっとお伺いいたしたいと思います。  審査官とか審判官というものは、工業所有権制度の中心でありまして、非常に重要な地位だと思います。審査官なり審判官その人の判断いかんによって、強力な独占権というものが設定をされる、あるいは喪失をする、こういうことになります。そういうわけでありますから、伺いますというと、ドイツあたりでは、法律でもって資格に関して厳密に規定をしておるようです。しかるに、今回の法案には、そういうものが見当りません。あるいは、何らかの規定をするお考えがおありかもしれませんが、とにかく原案を拝見しただけでは、そういうことが出ておりません。  そこで、やはり審査官なり審判官というものの格づけを明確にしておく必要があると私は考えますが、この間の取りなしは、どういう工合になさって、こういうことになったのか、また、実際に、そういう必要がないとお認めでございますか。その点を明らかにしておいていただきたい。
  125. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 審査官、審判官の職務及びその地位の重要性という点にかんがみまして、工業所有権関係法令中に、この資格に関する規定を設けるということは、きわめて必要かつ適当であろうと存じまして、その点につきましては、われわれ全く同感でございます。  で、今回の提出法案中に入ってないのは、どういう理由かという御質問でございますが、この点は、われわれのそういう条項を加えたいという気持は、以前からあったわけでございますが、ただ関係官庁とのいろいろ協議に時日を要しまして、そういう単なる事務的な理由でもって、この原案に加えるということができなかったことを大へん残念に考えております。
  126. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 必要を認めていればですね、何らか、その方法を考えられておりますか。その審査官なり審判官なりの格づけというものを必要だと一応考えておられるとすれば、いろんな手続の問題で抜けたのだ、が、実際は必要だという工合にお考えになっておるように聞いたのですが、私の聞き間違いですかね。  もしそういう工合にお考えになっておるとすれば、何らかの方法をお考えになっておりますか。
  127. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 事実上は、これまででも特許庁の中におきまして、審査官試験というようなことをやって参ったわけでございますが、そういう事実上の運用の問題とは別に、法律中に、何らかの規定を設けることが適当であろうと存じます。で、これは、具体的なことは、政令に規定をするということで十分であろうというふうにわれわれ考えますが、審査官の資格については、政令でこれを定めるというような趣旨規定が設けられるということが望ましいと存じます。
  128. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 よくわかったような、わからないようなことだが、要するに、四十七条あたりに、もし委員会で、入れたければ入れろということですか。そういうことですか。
  129. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) その通りでございます。
  130. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 入れる、入れぬは別と恥して、委員会の意思決定ですが、入れるとすれば、大体、僕らが案を作るわけにはいかないのだけれども、その案は、どんな、案がありますか。あれば、ちょっと出していただきたい。
  131. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) ただいま申しましたように、審査官の資格については、政令で、これを定めるというような規定を四十七条の二項に……。
  132. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それはいいんですよ。それは、こちらで考えます。
  133. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 政令案ですか。
  134. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 その案を知らなければ、入れるわけにいかない。
  135. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 政令室につきましては……。
  136. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それを見せてもらって、それでいいか悪いか判断しなければならない。
  137. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 一応の試案程度のものは出しておきます。
  138. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それでは、それをこの次に。  それから最後に、現存出願しておるものについて滞貨が累増しておるわけですが、その滞貨をあなたの力の計画によって、三百七十先人まで、四ヵ年か、五ヵ年で人間をふやしていって、そして最終年度において計画通り人員がふえていま、訓練ができれば戦争前の状態に戻す、こういうのですが、私はそういうことは、なかなか処理ができない。滞貨というものを何とか一掃する必要がありはしないか、便法を講じて。会社でも、なんですね、倒産会社は、第二会社を作って負債をたな上げして整理しますね、まあ引例は悪いか、こういう工合に、何か便法を講じないと、特許庁の係官もしょっちゅう何物をしょってやっているようなことで、よくないのですが、そういうお考えはお持ちになりませんか。私は、なぜそういう御質問を申し上げるかというと、昨年の八月一日に、特許審査に関する要望書というのが、エレクトロニックス協議会で、ここで非常に興味深いいろいろの案をまとめられて、私どもの手元にもいただいておるのですよ。ですから、これを拝見すると、一々ごもっとものことが述べられておりますが、これはお読みになったことがあるか。もしお読みになったごとがあるとすれば、これについてなぜ賛意をされなかったか、そういう点を考えていただきたい。
  139. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 御指摘の要望書は、私は拝見いたしましたし、そしてその協議会関係者と懇談の機会を持ちまして、かなり突っ込んで検討したつもりでございます。  実は、この問題につきましては、相当真剣にわれわれ部内におきましても、外部の声、要望にかんがみまして、相当研究をいたしたわけでございますが、実はいろいろ問題があるわけでございます。すなわちやればいいではないかという気持は、確かにあるわけでございまして、すなわち特許庁の審査官が、良心的に判断しまして研究を加えて、なおかつ、わからない、拒絶したものでも、その根拠文献がないというような場合には、公告いたしまして異議申し立て期間二ヵ月という、俗に申しまする公衆審査制度もあるわけでございますから、関係団体とも緊密に連絡しまして、そしてその関係団体において公告しました内容の発明、考案について、鋭意検討してもらう。そして必要な権利として成立することが適当でないと思われる資料、すなわち言いかえれば公知資料がある場合には、異議申し立てによって、それをつぶすということによって、適正な権利の設定ができるのではないかということでございまして、われわれとしましても、できれば全部の部門というわけには参りませんが、エレクトロニックス関係でございますとか、あるいはその他特定の、特にその技術の進歩が早くて、そして内容がむずかしい。そして停滞件数も多い。そういう部門を限りまして、一応審査官で審査をして、目を通しましたものを、良心的に考えますればまだ幾らか問題が残っている場合でも、それを公告して、関係の学界、業界の異議申し立てをまつというようなことを考えてみたわけでございますが、実は内部で、その停滞になっております原因を、いろいろしさいに検討してみまするというと、今申しましたように審査会の能力の不十分であるということによって、審査が停滞しているというものは、割に少なくて、むしろ外国人からの出願が非常に多く、しかもその翻訳がきわめてまずくて、一読して内容を理解することができない、そういうものが非常に多いことがわかったわけでございます。  そうなりますというと、公告と言いまする技術の公開を代償として、新規の発明には特許が与えられるわけでございますが、その公告をいたしましても、技術を公開したということにならないのではないか、そうしてまたその学界、業界の方がごらんになっても翻訳文が悪ければ、その内容を理解することができない。そうなりますと、やはり審査官の方から直接その出願人に対しまして、しょっちゅう連絡を取って、まずいところは直させるとか、そういうようなことで、たんねんにその出願の内容、文章自体を相当手を加えていくのでなければ、にわかに公告することもできないのではないかというような問題がございましたので、われわれとしましては、いまだ結論に達しませんので、そういう非常的な措置を講ずることの結論を得ないでいるわけでございますが、御指摘の点は、業界、学界としましては、公告になりますれば、その発明の内容がわかるということだけでも、相当大きなプラスになる、こういう点からの期待が大きいわけでございますので、今後、そういう方法を講ずることがいいかどうかにつきましては、一そう、われわれとしまして研究を続けて参りたいと考えております。
  140. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 ものの運び方ですが、大臣、今のこれだけ二十万件を超える滞貨を、そのまま背負ったままで、そうしてやれ行政能力の増進だとか審査機関の態勢だとか言ってみたところで、なかなかその気分が出てこぬと思うのですが、こういうものは、やはり一応たな上げという言葉は適当であるかどうか知りませんが、それは別途の解決方法を講じて、そうして進んでいくというような、そういう構想は必要ではないかと思いますが、どうお考えでございますか。
  141. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) これはたな上げして別途にして、それを早く解決するというめどがつくならば、私はその方がいいと思いますが、しかし、そのたな上げしたものが、本当のたな上げになってしまって、新しいものから手をつけるということになれば、これは前の人が困るわけですから、その点は、十分検討を加えて、やはり順番にこれを解決していくべきものだと存じますが、そういう順序を狂わさない範囲において、何かできるならばしたいと思います。  先ほど栗山委員の御質問のエレクトロニックスの問題でございますが、実は私、こっちへ参ります前に、あすこの会長をしておりました。実は、それは本当に感じたわけです。早くやってもらいたい。そういうことから見るというと、どうも特許庁の審査能力がないというふうに、あの当時考えたわけでありますが、やってみると、必ずしもそうでないわけでございますが、いろいろ今、特許長官が申しましたように翻訳の問題で、大分手こずっているようでございますが、それにいたしましても、やはり新しい技術がだんだん進むのでありますから、大学の教授あたりの方と、これは専門でなくて兼任で、できるだけ特許庁を助けてもらうとか、あるいは電々公社のごとく、公けの機関の人たちも援助してもらうということにして衆知を集めて、特許庁の方で進めていきたい、こういうふうに存ずる次第でございます。
  142. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 たな上げという言葉を使ったので、誤解をまねいたので修正しておきますが、たな上げという意味は、今のような四角四面の審査をずっと続けているということはなかなか大へんだろうから、何か簡略な便法を講じて、もっと簡単に早く公告をしてしまって、そうして一応さらっとできないか、こういう意味のことなんです。一口に申し上げますれば、それをたな上げと、こういう表現を使ったわけですがね。趣旨は、やっぱり常識的に御異論ないようですから、特許庁の方で、真剣にこの方法を考えてもらいたい、特別に臨時立法をする必要があれば、やはり法的措置を講ぜられた方がいいと思うのです。役所の中で、くよくよされておっても解決しませんよ。やっぱり必要があれば、国会で法律として議決すれば、これはやはり権威をもって行うことができるわけですからね。そういう工合に私はされることが必要だ、こう思います。
  143. 上原正吉

    ○上原正吉君 ちょっと少々伺いたいのですが、条文について伺いたいのです。商標法案の五十条をごらんいただきたい。五十条の二行目に「各指定商品」と、この二行目には「各」がついている。その文章とそっくり同じなんですが、第二項の二行目の「指定商品」には、「各」という字がない。その前の「継続して三年以上」云々の文章は全部同じである。そうすると「各」という字は、いかなることを意味して、おのおのという字があるとないのでは、どのように解釈が違うのか、それを一つ。
  144. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) これは、むしろ指定商品についてのというくらいの意味に御理解願った方がわかりやすいのではないかと存じます。きのうでしたか申しましたように、例といたしまして、化学品、薬剤、医療補助材という場合に、このおのおのが各指定商品、そういうふうに指定して参りますれば、そのおのおのについてということでございますし、あるいはまた、化学品の中を分けた商品としましての塩酸、硫酸、硝酸というふうに指定しました場合には、この指定になった備品のおのおのということでございます。
  145. 上原正吉

    ○上原正吉君 第二項の方の指定商品については、「各」という字がついていないのはどこが違うのか。
  146. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) これは、今申しましたように、同趣旨に御理解願ってけっこうだと思います。
  147. 上原正吉

    ○上原正吉君 そうすると、同じ条文の中に、一つはおのおのがつき、一方には、おのおのがつかないというのはおかしいでないですか。何かあるだろうと思うのです。
  148. 荒玉義人

    説明員荒玉義人君) 五十条の一項の方でありますと、今、問題になりましたように、指定商品が、第一類といたしまして化学品、薬剤、医療補助品、こういうふうに指定がありますと、たとえば塩酸だけに使っておる、あと、薬剤その他には使わない、こういった場合には、化塩酸を使っておりますから、化学品だけは取り消しを受けない。ところが薬剤と医療補助金というものは、これは使っていないから取り消される。そういう意味では、各指定商品といいますのが、化学品、薬剤、医療補助品というのが、各指定席品であるという意味を表わすのが一項の「各」を入れた趣旨だと思います。  二項の方ですと、これはいわば連合商標という場合におきまして、一つを使えば、ほかの連合商標は取り消しを受けないという意味を表わすのが二項だと思うのです。かりに先ほどの例でいいますと、化学品の中で、初めに塩酸なら塩酸というものについて商標をとる。硫酸について連合商標をとるといった場合においては、とにかく塩酸だけに使っておれば、硫酸の連合商標は取り消しを受けないというだけのことを二項で言っておるわけであります。要するに指定されたものの何か一つに使っておれば、連合商標の場合には取り消しを受けないというだけの意味を二項で言っておりますので、二項の方では、「各」でないというふうに考えまして、入れていません。
  149. 上原正吉

    ○上原正吉君 私も、たぶんそういうことだろうと思ったのですが、この条文を読んでみると、そうはっきり理解できないといううらみがあるのですし、それから法律は、一片の法律になってしまいますると、委員会の質問に対する答弁や、あるいは立案者の意見とは独立して、法律として解釈されるような、その条文によって、独立して解釈されるのが、今までの例のようでございましたけれども、そういう意味ならば、それが、はっきりわかるように書いておくのがいいのではないかと思うのでございます。  そこでこのもとになるものは、第七条ですが、第七条には「自己の登録商漂着しくはこれに類似する商標であってその登録商標に係る指定商品に類似する商品について使用をするものについては、連合商品の商標登録出願をした場合を除き、商標登録を受けることができない。」とあります。ここに「登録商標に係る指定商品に類似する商品」と、はっきりうたってあるわけなんです。こういうふうに、この2の方の明らかにうたった方が、誤解がないの、ではないかと思うのですが、この点はどうですか。
  150. 荒玉義人

    説明員荒玉義人君) 二項の方の関係の「指定商品」と申しますのは、第七条のいわば連合商標の登録要件を受けて参りまして、要するに類似の商品について出願することができるわけでございます。従いまして、それは指定されるのは、結局連合商標になっておる以上は、類似の商品ということが当然出て参るかと存じまして、むしろ連合商標の場合の指定府品といえば、当然それは類似の商品もありますので、指定席品の中に類似商品がありますことは、当然七条の方から導き出されるというふうに考えますし、またそうしても立法上、まあ誤解も、そうないのじゃないかというふうにも考えられるわけでございます。
  151. 上原正吉

    ○上原正吉君 そうでないと思うのですが、第七条は、「商標権者は、自己の登録商標に類似する商標であってその登録商標に係る指定商品について使用をするもの」これも、連合商標が受けられる。つまり同一商品に付する商標に類似する商標を連合商標として登録を受けることができる。それからまた、自己の登録商標にかかる指定商品に類似する商品についても、類似する商標を連合商標として貫録を受けることができる。こうあるわけです。その両方の場合があるわけですから、第五十条の二項の場合も、一方だけを指すとは思えない。両方指していると思わねばならない。当然一つの商品について連合商標を三つ持っておる。その三つの中の一つを使っておれば、あとの二つは取り消されないというのは当然の成り行きですから、同一商品について、連合商標を三つ持っておって、そのうちの一つを使っておれば、あとの二つは取り消されない、これは当然です。それから類似の商品について連合登録商標を持っている、そうすると類似の商品の中のどの商品かの一つについて使っていれば、あとの使わない類似の商品についての連合商標を取り消さない、こうきめるのが当然だと思うのですが、そうきめるにしては、ちょっと文章が足りないように思うのですがどうですか。
  152. 荒玉義人

    説明員荒玉義人君) 私が先ほどから五十条の二項の場合におきまして、指定商品といえば類似が含まれるのではないかと申しましたのは、もっと正確に申しますと、要するに指定商品の中には、もとの商標権の商品と類似である商品は、もちろん指定されるわけです。それからもとの商標と指定商品が同じの場合におきましても、それぞれ指定商品の中には類似する商品を含んでおるという場合も含めて、指定商品の中には類似するものが指定されておるという意味におきまして、指定商品の中には類似する商品というものが含まれておるというふうに申し上げたわけでございます。  従いまして、五十条の二項の方には、そういう意味では、指定商品の中には、いろいろ商品が、それには類似する商品が含まれている、それをとにかく一つ使えば、ほかの連合商は、取り消さない趣旨でございますから、指定商品と書けば、とにかく指定されたうちの何か使えば、不使用取り消しを受けないという趣旨が出てくるのではないかというふうな意味で申し上げたわけであります。
  153. 上原正吉

    ○上原正吉君 どうも、ふに落ちませんね。  もう一ぺん申し上げますと、第七条では、同一の商品について三つも四つもの連合商標を認めておる、またそれでなければ、連合商標は意味をなさない、石けんなら石けんというものに、ミツワ石けんなら、ミツワ石けんという登録商標があったとする、そうするとフタツワ石けんというのも、連合商標で石けんについて取っておる、それからミツワ石けんというのも取っておる、これが実際に自分の商標を防護するために取られる手段です。ですから石けんの、ミツワ石けん、フタツワ石けんというふうに幾つも防護標章を取っておる、そのうち一つを取っておれば、ほかの連合商標は取り消されない、これは当然の考え方です。ですから、五十条の二項の指定商品についてというのは、違った類似の備品を指すということには、私は、こう砕いただけではならぬと思う。
  154. 荒玉義人

    説明員荒玉義人君) 類似という場合におきまして、先ほど設例を申し上げましたのは、かりに、もとの商標、甲なら甲という商標がございまして、それは塩酸なら塩酸というものを指定商品として甲の商標をとっておる、それから乙の商標を硫酸、硝酸というものを指定商品といたしまして、連合商標を取れるわけです。その場合におきまして、あとの力の乙について申し上げますと、指定商品は、硫酸、硝酸でございますから、硫酸に使いましても硝酸に使いましても、とにかく前の甲という商標は——塩酸の甲という商標は、取り消しを受けないというふうな趣旨でございます。  従いまして、硫酸と硝酸は、類似商品でございますが、硫酸も硝酸も、指定席品という中に入るわけでございます。そうしますと、指定商品は、それぞれ二つあるわけでございます。どちらか使っても、とにかく甲の塩酸の商標は取り消しを受けないという趣旨は、今の、指定備品と書きましても読めるのではないかというふうにお答えしたわけです。
  155. 上原正吉

    ○上原正吉君 それは、得心できませんが、連合商標は、単独の登録商標として出願したものを連合商標に変えることができる、出願中であればかえることができると、この案には書いてあるわけです。ただし、一たん登録すべきものと決定した後はだめだというのですから、現に登録されておるものは、もう連合商標にならぬと思うわけです。現行法で、登録商標になっているものは、相互に類似しておる商品におのおの登録商標としてとられておっても、これは連合商標にはならぬと思うのです。  そうすると、現存、広く登録商標として権利を設定されているもの、たとえば第一類全部について登録商標として登録されておる商標は、その第応酬の中の何かに使っておれば、全部取り消されることがないことになる。現在受けている、つまり言葉をかえて言えば、現在持っている広範な登録範囲ですね、これは、新法になっても、保護されるのかどうか、これが、どこかに規定がないかと思って見たのですが、見つからなかったのですが、これはどうなんですか。  もっと詳しく言えば、たとえば、第一類の商標は、硫酸についてだけ出願して登録されることもできるし、今では第一類全般について登録を出願して、登録されるのもある。そういう場合、第一類の全部について登録されておる商標を硫酸だけに使っておったら……。今度は、硫酸と同一商標のものを出願して、今度は硫酸には使ってないのだから、不使用だということになるのかどうか、こういうことです。
  156. 荒玉義人

    説明員荒玉義人君) 現行法で商標といいます場合に、たとえば一類の出願をいたします場合に、現在は一類は、御承知のように化学品、薬剤、医療補助品というふうに指定して取るのが普通の商標の出願だろうと思います。もちろん塩酸だけにしか使うというふうな場合もありまして、それは塩酸だけ指定して取る場合もありますが、大部分の場合は、先ほどのような指定の仕方をして商標登録を受けるはずだと思います。その場合に、旧法でそういうふうな指定の仕方をした場合に、新法の商標権とみなされるわけでございますが、その場合、われわれが一応五十条の各指定商品の意味をどう考えておるかと申しますと、昨日申しましたように、その場合には、指定商品としては、化学品と、薬剤、医療、補助品という三つの指定商品を指定して商標出願をされ、権利を持っているというふうに考えておりますので、たとえば塩酸だけにしか使っていないという場合におきましても、それは化学品としては一応使ったということにいたしましょう。しかし薬剤、医療補助品につきましては、これは使っていないということになりまして、そういう大部分の場合におきましては塩酸だけに使えば、化学品は生きるけれども、ほかのものは取消しを受けるというふうな実体に、新法のもとでは、なるのではないかというふうに、一応考えております。
  157. 上原正吉

    ○上原正吉君 そうすると、現在登録を受けている商標を類似の商品に対する連合商標として出願して、連合商標としての登録を受けるか、あるいは防護標章としての登録を出願して登録を受けるか、いずれかにしなければ、基本の登録商標を保護できない、こういうことになってくるわけなんですが、その場合には、そういう手続が経過規定として許されるのかどうか。これは条文を拝見したが、見つからないのですが、これはどうですか。
  158. 荒玉義人

    説明員荒玉義人君) ただいま上原委員の御質問ですと、第一類にかりに指定した場合に、現行法でいいますと、先ほどの例でいいますと塩酸なら塩酸だけ使っておりましても、化学品はもちろんのこと、薬剤、医療補助品についても登録は取り消しを受けないということに、現行法はなっておるわけなんでございますが、その点新法におきましては、塩酸だけにしか使わないと、化学品は取り消しを受けないが、その他は取り消しを受けるということになるかと思いますので、その場合におきましては、権利者の方々の考え方は、まず薬剤、医療補助品ということに使うというのですと、何も、現在と同じようにお考え願えればいいのではございますが、ただ、医療補助品には、とても自分のマークは使わないというふうな場合におきましては、あるいは防護標章というものを同時にとっておきますと、その防護標章は、使わなくても取り消しを受けないということになるわけでございますので、安全に自分の商標権が守れるということになるんじゃないかと思います。
  159. 上原正吉

    ○上原正吉君 ちょっともう一点、大事なことですから……。  この、薬剤と塩酸とは、非常に類似しているものなんです。塩酸は薬剤だと思っている人が多いと思うのです。ですから、塩酸で登録商標を使っているものが、薬剤で同じ登録商標を使われたら非常に迷惑するし、出所の混同も起る、メーカーの混同も起る。ですから、登録商標で保護されなければ防護標章で……。この案によると、連合商標が、類似の商品として出願できるようであります。ですから、現在持っておる登録商標を連合商標に変更することを許さなければ、大へん不都合だと思いますが、この点はどうですか。
  160. 荒玉義人

    説明員荒玉義人君) 先ほど塩酸と薬剤というのは、類似か非類似かという問題が、実体的に、そこらあたりの問題があると思いますが、まあこれは商品の類似という点につきましては、この前、当委員会で説明があったかと思いますが、ケース・バイ・ケースで相当変っていく問題だと思いますが、薬剤として使われる塩酸と、工業用その他の塩酸というふうに、まあ塩酸と申しましても、いろいろあるかと思いますが、薬剤としての塩酸と普通の塩酸とでは場合によりましては、製造部面、販売部面その他の面で相当差はあるというふうにも考えられますので、一応、非類似商品ということに考えておるわけでございます。  従いまして、そういう前提に立ちますと、ただいまのような場合におきましては、塩酸のもとの商標権者は、薬につきましては非類似商品といたしますと、連合商標というものによって救済できるということにはならないんじゃないかと思います。従いまして、かりに新しく塩酸なら塩酸について、自分の商標を保護しようという商標権者でありますれば、やはり防護標章ということでいくことになるのではないかと思います。
  161. 島清

    ○島清君 御提示をいただきました資料ですね、特許庁の施設整備等に要する経費、いろいろと施設をされるので経費がかかるということですが、この中に何か機械設備というようなものが、非常に薄いような気がするのです。何かテーブルをふやしてみたり、あるいは螢光灯をふやしてみたり、それからリノリウムを敷いてみたり、それから壁を塗ってみたり……。これは、能率にも影響はいたしましょうけれども、しかし何か肝心かなめの機械類というようなものを、何かお忘れになっておるような気がするのですが、これはあれですか、庁内におけるところの審査審判事務に携わっております職員の意見等も十分に反映をした資料なんでございますか。
  162. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 機械関係の経費が少いではないかという御指摘でございますが、今の特許庁施設整備等に要する経費という一番最初のページの中ほどから少し下の方に、能率向上関係器具備品というのがございまして、このあと五枚目ぐらいに内訳がここにございますが、複写機でございますとか、計算機でありますとか、印刷機でありますとか、そういうようなものを、ここにわれわれとしては考えておるわけでございます。  今日のわれわれとしましての設備の近代化といいますか、そういう点からまず第一歩としましては、能率向上関係の機械器具の整備とカード化を徹底さしていくということから、まず出発すべきではないかと思うわけでございまして、あるいは島委員の御質問のお気持の中には、コンベア・システムでございますとか、そういうような非常に大きな機械的なものをというお気持があろうかとも存じますが、われわれとしまして、特許庁の現在の建物、そういうような現在の建築を前提といたしまして、その中で、人員増加と並行いたしまして、できるだけ審査、審判の能率増進に寄与するような改善、そういう観点でカード化ということと、今申し上げました能率的な機械器具の最小限度の採用ということを、ここに一応考えてみたわけでございます。
  163. 島清

    ○島清君 そういたしますというと、何か、先ほどは栗山委員の質問に対しまして、大臣が防衛庁あとを通産省がもらって、そうして特許庁もそこに移りたいと、こういうような御趣旨でございましたが、そうすると、大臣の御答弁の趣旨と長官の御答弁の趣旨とは、いささかどうも食い違うと言えば語弊があるといたしまするならば、考え方に隔たりがあるような気がするのですが、それはどうなんですか。
  164. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 大臣が先ほど申されましたのは、防衛庁があきました場合に、通産省がそこに引越す予定である。その場合には、今の特許庁の建物の中にいる公益事業局、軽工業局、そういうのが通産省と一緒にそちらに移ることになるので、今使用しております特許庁の建物全部が、大体特許庁としてこれを使用することができる、そういう前提で、特許庁の今の建築物の中におきまするいろいろの設備の改善ということをわれわれとしては考えていたわけでございます。
  165. 島清

    ○島清君 私はこちらの委員会の方に出て参りますときに、あなたのところの特許庁技術懇話会という方の人から、この資料を出されたのでありますけれども、それを拝見しますと、能率を増進するためには、あの庁舎では非常に狭い。だから人員の増員計画を立てても、庁舎が狭隘では、必ずしも目的の能率を発揮することができないじゃないかというようなことで、かなり明細な坪数等も出して、ここに要望書といいますか、懇談会の職員の考え方が、ここに表明されているのですが、おそらく私の手元へ参っております書類でありまするから、長官のところにも参っておると思いますが、それで、私は先ほどこの計画の中には、そういったような実務に携わる技術職員の意見というものが反映をしておるかということをお尋ねしたわけなんですが、それによりますというと、ずいぶんそういったような計画をされましても、収容する能力がないし、またおそらく集まらぬだろうというようなことを言っておるわけなんですが、現在のような状態では、特許庁が委員会の方に発表しておられまするような人員は、おそらく集まらないだろうと、こういうことは言っておりますけれども、今、これだけの人員を増加されまして、そして今の庁舎で、十分に仕事をやって能力を発揮することができるという前提にお立ちなんでございますか。
  166. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 先般特許庁としましてお配りしました資料は、われわれとしましては部内で審査関係各部とも協議の上、これはもちろん作りました資料でございます。それで、お手元に技術懇話会という方からの資料が届いているようでございますけれども、これは特許庁の中の技術関係職員の団体でございますが、私どもの考えといたしましては、もちろん技術懇話会、今御指摘の資料の方では、たとえば新庁舎建築費として十六億円とかいうような、いろいろな資料がここに出ておるわけでございます。私どもとしましても、理想から申しますれば、そういうふうに将来は新しい庁舎を作るというようなこと、あるいは少くとも現在の庁舎を大増築するというようなことも、理想としてはもちろん、われわれとしては思わないわけではございませんけれども、一挙に、直ちにそこまでいきますよりは、われわれとしましては、国民の方からの強い要請でございますが、今たまっている審査、審判の停滞件数というものを、できるだけこれを迅速に解消していく。そういう審判の実務の改善という、もう少し地道なところから、できるだけ、われわれとしては改善の手をつけて参りたいということで、この案を作ったわけでございまして、もちろんいろいろ今後の大きな理想と申しますか、将来の目標としましては、われわれとしましても、もっともっと機械化する、あるいは現在のスペースを画期的に増大するということも、だんだん考えていきたいと思いますけれども、今日のさしあたりの問題としましては、実現の可能性の濃厚な、そういう限度におきまして、案を作りますことが、むしろわれわれの誠意を示すゆえんであり、この委員会において、十分われわれ御理解と同情をもって御審議願えますゆえんであろう、かように考えた次第でございます。
  167. 島清

    ○島清君 こういうことを言っているんですね。「現在の特許庁の建坪数は約四千坪で、その中で他局が同居しているが、これを全部使用するとして」、「上記」というのがあるわけですが、「二千六百十名の人員を収容するとすれば一人わずか一・五坪(実効一坪)である」云々と書いて、それで「この種頭脳的執務環境として一人最低主ないし四坪確保することが必要である」云々というて、かなり数字を示して書いているわけなんですね。井上長官どういうふうにお考えですか。  かりに、そういった技術職員の諸君が、そういう考え方を持って身動きができないで能力が発揮できないということであるならば、長官のお考えのようには参らぬことになると思うのですが、そういたしますというと、せっかくの増員計画を立てられましても、庁舎が狭隘であるというので、能力が思うように発揮できなかったと、そうしますると結果としては、その累積をする滞貨ははけない、こういうことになって、循環論法みたいになるわけですが、この点はどうなんですかね。もしこういうことを委員会の方にお出しいただく場合には、実際に執務に携わる場合、長官が必ずしも執務に携わっておらないというわけではありませんが、ほんとうに審査審判をやります諸君の意見を十分に反映をして、そうして十分に、その能力が発揮できるような環境に必要なものを確保して、そうしてやはり財政上それが必要であるものならば、予算を獲得するというふうに努力をされるべきだと思うのですが、その点についてはいかがですか。
  168. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 今回の資料作成につきましては、先ほど申しましたように、審査各部の部長及び関係の課長には、もちろん十分相談の上作ったものでありまして、これには、もちろん担当の技術部長、技術課長も入っておるわけでございます。われわれとしましては、先刻申しましたような大体ねらいといいますか、気持を持ってこの案を作ったわけでございまして、三百七十五名の増員の計画ということでございますが、これはもちろん、申すまでもなく年次別に、三十五年には八十名、三十六年には七十名というふうに、年度を追うて増員して参ることでございますので、われわれとしましては、その全体のスペースの点につきましては、十分考えておるわけでございますが、この点につきまして、今後必要に応じまして、その辺の必要なるスペースの確保という点につきましては、現在の面積におきまする、これを必ずしも拡大することなくして利用度を向上するということに工夫をこらす余地が、そこにあるのではないかと思うわけでございます。  そういった点につきましては、先刻も申し上げましたように、理想的な案は理想的な案としまして、われわれの今後の長い目をもっての目標としては、これを参考にいたして参りますけれども、現実的な改善を進めて参るにつきましては、拡張よりは、スペースの利用度の向上というふうに、物事は、そういうふうな順を追うて考えていきたいと思うわけでございます。
  169. 島清

    ○島清君 能力の増進の問題に関連してですが、それを高めていくために増員をしなければならぬということは、よくわかりますが、今の実数は、定員との関係においては、その人数はどうなっておるのですか、定員数に達しているのですか。
  170. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 達しております。
  171. 島清

    ○島清君 そうですか。定員数に達しておるけれども、なおかつ補充が必要だと、こういうことなんですね。
  172. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) さようでございます。
  173. 島清

    ○島清君 わかりました。  それから何か弁護士会の方から、審判の実務というのは独立したような職務内容を持っておるので、もう少し審査、審判に独立性を持たしたらどうか、こういったような意見があるやに仄聞をしておりまするし、さらにあなたのところに、何かそういったような要望書といいますか、請願書といいますか、それが参っておるように仄聞をしておりますが、そういうことについては、どのようにお考えでございますか。
  174. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) それは外部からの要望書でございますか。
  175. 島清

    ○島清君 ええ。
  176. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 弁護士会とお伺いしましたが、弁護士会、あるいは弁理士会、そういう外部の団体からは、私どもは、そういう審査官、審判官の独立性ということにつきましての要望というものは聞いておりません。
  177. 島清

    ○島清君 それで、私は聞き違いであるのかもしれませんが、私も、その話を聞かされたときに、それはそうだな、なるほどそういえば、その一件一件の事項に、審査審判をしていくのであるから、それは、なるほど一件一件をこう眺めていくと独立性を持っておる、それはなるほど、たとえば海事審判みたいな、そういったような性格を持っておるしするから、もう少し、やはり独立性を持たしてもよろしいのではないかと、こういう感じを受けて、その話を聞いていたのですが、そういうことについては、どのようにお考えでございますか。
  178. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 私の考えとしましては、審査と審判の段階におきましては、相当性格が違うと思うわけでございます。申すまでもなく、審判は審判官といたしまして、合議体でもって審理をいたすことになっておるわけでございまして、その性質上、司法官的な性質を非常に帯びておるわけでございます。そういうわけで、特許庁としましても、従来から審判官につきましては、その独立性ということをかなり重く見まして、重んじてきたつもりでございます。  が、審査ということにつきましては、これはただいま申しましたように、審判とは性質がだいぶ違うわけでございますので出願審査官と審判官とを同一に扱うということは、適当ではないと考えております。今申しましたように、少くとも審判官につきましては、その独立性という気持は、十分もち、またそういうふうに従来運用して参ったつもりでございます。
  179. 島清

    ○島清君 この改正法案を創案をされまする過程において、そういったような審判職員の独立性というものをもっと法文の中に表現しようという努力をされたことがあるのですか、またされようとした気持がおありでございましたですか。
  180. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) これまでの特許庁としましての運用、そうして関係者の認識というものが、審判官については、独立的な性質をかなり持っているという、そういうことを当然考えていたわけでございますので、今度のこの改正の機会に、従来のわれわれの考え方を一歩進めまして、これを法文の上で、さらに、そいつを一そうはっきりした明文を設けるということにつきましては、特別考えるということはなかったわけでございますが、しかし法文上、明文を設けるかどうかのいかんには関係なく、今申しましたように特許庁としましての運用、扱い方というものは、従前通り、将来も、そういうふうに運用を続けて参りたいと考えております。
  181. 島清

    ○島清君 かりに、政府の方からお出しをいただいておりますこの法案については、若干修正をして参りたいし、した方がよろしいような部分、それに政府といたしましても、必ずしも修正に反対でないという部分が、質疑応答の中に、はっきりして参りましたが、こういう点について修正の要望等があって、法文の中に明文化したいという場合には、長官としてはどのようにお考えでございますか。
  182. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 私としましては、先ほど申しましたように、従来長年の特許庁の伝統的空気といたしまして、そうして関係者全部の認識といたしまして、そういう審判官につきましては、そういう性質のものであるというふうに考えて参っておりますわけでございますので、この際、特に法文上、そういう規定を設ける必要は、私としてはないのだと考えております。
  183. 島清

    ○島清君 商標についてお尋ねをします。きのうお尋ねをしようと思いましたが、時間の関係で、ちょっと漏れておりますので、その商標の競願関係について一つお尋ねをしたいと思います。  それは、現行法第四条では、同日の出願があるとき、出願者同士の協議によって登録することにしてあるわけですね。協議が整わないときはどうするか、そのときは、ともに登録はしない、こういうふうになっているわけですが、しかし改正法案では、協議が成立しないときは公正な方法による、くじによって登録することになっているわけですね。特許でも、実用新案でも意匠でも、協議が成立しなかったときは、許可がされない、こういうことになっている。また現在提出されておりまする輸出デザイン法第五条によりますというと、商標法案と同様、くじによってきめることになっているわけですね。これらの異なった方式をことさらに採用しておられるのは、それぞれ理由があってのことだと思うのですが、その理由について推測するに、どうも十分理解するだけの推知力を持っておりませんので、それぞれの理由について御説明を願いたい、こう思います。
  184. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) 特許につきまして、同日の出願、二以上の出願が同日にございました場合には、ただいま御指摘の通り協議が成立しない場合には、ともに特許しないということになっておるわけでございますが、この理由は、御承知通り甲、乙いずれかに、もし特許いたしますと、どちらかは権利者になりますけれども、その他方は、その技術を使うことができないという結果に相なるわけでございます。で、これは、あまりにも違いすぎると申しますか、そういう結果を来たすわけでございますが、ともに特許しないということになりますると、どちらもその発明にかかる技術を使用することはできるわけでございます。ですから、特許権が独占権としましての性質上、これが同日の出願というわけで、今申しましたように競合しました場合には、特許の場合につきましては、いずれかに特許しますよりは、むしろいずれにも特許しないという方が、事柄の性質上、妥当であるというふうに考えたわけでございます。  ところが商標法につきましては、現行法では、特許と同様に、どちらも登録しないという扱いになっておるのを、今度は、くじでもってきめるということに改めたわけでございますが、この理由は、どういう理由かと申しますと、この甲乙、同日に出願をいたしまして、この場合におきまして、もし特許と同様に両方とも拒絶をする、認めないということになりました場合に、どちらかその拒絶理由通知を早く受け取った方が、もう一度出願を出し直して参りますというと、これが商標の場合には、登録になるわけでございます。で、この点が、特許と商標と違う点でございますが、商標の場合には、いずれも登録しないということになりました場合には、たとえば甲は東京に住んでいる。乙は大阪である。特許庁から拒絶理由通知が参りました場合に、早く受け取った方が、すぐまたそれをオウム返しに特許庁に出願して参りますというと、これの方が、登録になるという非常にまずい結果になりますので、むしろそういうふうに出願人が、いる所在地の遠近によって、不公平な結果が生じますので、かえって抽せんでもって、公正なるくじという方法でもって、権利者をきめる方がむしろ適当ではないかというふうに考えましたので、従来の規定は、こういうふうに改正した次第でございます。
  185. 島清

    ○島清君 それから、これは第四条に規定されておるのですが、四条の第一項ですかに、「商標登録を受けることができない。」第一号に「国旗、菊花紋章軍勲章、功労章」と、こういうふうに登録が受けられないことに明記されているのですね。ところが今、現在わが国には、功労章というようなものはないように記憶をいたしておるのですが、それは私の失念かもしれません。あるいはまた今国会に、何かそれに類似したような法案が出されておりまするので、それが成立するということを前提にして、これをお入れになったのかもしれませんが、そのいずれにいたしましても、現在ないものをここに明記されたということについて、ちょっと理、解できない点があるので、御説明をわずらわしたいと思うのですが。
  186. 井上尚一

    政府委員(井上尚一君) まさに御指摘の通りでございまして、実は、この商標法案を立案しました当時、今国会に、他方で栄典法案が提出になる予定であるというふうに、われわれ承知しておった次第でございます。で、御指摘のように、現在では法律上の根拠のある功労章というものはございませんので、今度の栄典法中に功労章というものは予定されていたわけでございますが、栄典法案が、いまだ国会に提出にならない今日の段階といたしましては、むしろこの「功労章」というものは、ここから削除願った方がけっこうであると思っております。もし今後栄典法案が提出になるような事態になりました場合には、その栄典法案中に今回の商標法案第四条第一項第一号と同趣旨規定が、そちらの方に加えられることが適当であろうと、かように考えております。
  187. 田畑金光

    委員長田畑金光君) ちょっと速記をとめて。    午後六時五分速記中止    —————・—————    午後六時三十分速記開始
  188. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 速記を起して。  本日の委員会は、これで散会いたします。    午後六時三十一分散会