○
政府委員(岩武照彦君) それでは、両
法案の
内容につきまして、詳細な御
説明をいたしたいと思います。
最初に、
中小企業信用保険公庫法中
改正法律案の点であります。
この保険公庫は、昨年の七月に政府出資の八十五億円、それからもとの
中小企業信用保険特別会計からの承継資産の約二十六億五千万円、合計百十一億五千万円をもって発足したわけであります。業務といたしましては、各地にありまする信用保証
協会の業務に必要な資金の貸付と、それからその保証に対しまする保険という三つの
仕事をやっております。
この公庫に対しましては、発足当時二十億円の出資をいたして、この保証業務の方の基金といたし、なお六十五億円の出資を行いまして、これは保険基金といたしたわけでございますが、今回さらに十億円の出資をいたしまして、これを保証基金にいたしたのでありまして、各地の保証
協会に貸付しまして、保証のワクの拡大、保証料率の引き下げということに資したいということで、その
関係で本
改正法案を提案した次第でございます。
なお、今回の十億円は、この産業投資特別会計から出資したわけでありまするから、同特別会計からの出資の
趣旨に従いまして、国庫納付金という問題が起ります。前年までのは、これは一般会計からでございますから、その規定もなかったわけでございますが、今回のは、産業投資特別会計でございますので、一般公庫と同様に、政府に国庫納付金をするという
筋合いに相なりまして、従いまして、その国庫納付金に関する規定も、今回の
改正案に入れております。ただし、通常の公庫の場合には、利益があったら、その金額というふうに規定されておりまするが、この保険公庫は、他の公庫と違いまして、保険事故の発生、あるいはそれに対しまする代位弁済、あるいはその回収等が、かなりおくれて出て参りまするから、当該年度だけの損益で、これを処理しますことは不適当と思われますので、国庫納付金の額も、特に百分の五十というふうにきめてあるわけであります。
大体以上の二点が、この
中小企業信用保険公庫法の一部
改正法案の
内容でございます。なお、現在までのいろんな保険公庫の業務等につきましては、御
質問に応じて
お答えしたいと考えております。おります。
それから次に、
商工組合中央金庫法の一部
改正の
法案でございますが、この商工組合中央金庫は、御
承知のごとく、昭和十一年に、
中小企業金融対策の一環として発足しておりまして、当時、半官半民で政府と民間との出資おのおの二分の一ということで発足いたしまして、主としてねらいは運転資金、あるいは短期長期の運転資金等を組合——当時ありました商工組合、あるいは
工業組合等の組合に貸す、あるいは組合員に貸す、そうして、いわゆる系統金融の疎通をはかるということが、この中央金庫の
趣旨でございました。戦後、政府も累次出資いたしまして、また、それに応じまして、民間の出資もふえておりまして、現存におきましては、政府出資が二十六億円、民間出資が約二十一億円になっております。
それにつきましては、今回さらにこの金庫に対しまして、政府出資十三億円増額いたしまして、目下最も望まれておりまする貸出金利の引き下げに資したいということで、その
趣旨の予算も組まれておりまするし、また、この
法案の
改正をお願いしたわけでございます。
十三億円出資いたしまして、これと中央金庫
自体の各種の自己努力とを合わせまして、大体、目標としましては、平均貸出金利におきまして二厘三毛から三厘近くという辺の金利引き下げを行いたいということで、目下具体的な措置は検討中でございます。
なお、この出資の増加の際に、従来から行なっておりまする業務につきまして、いろいろ付帯的な面で、さらに整備いたしました方が、この中金の運用上も適当かと思われることもございまするから、その点につきまして、三、四の
改正をいたしたいと考えたわけでございます。
その第一は、預金の受入先を追加いたしたことでございます。現在まで商工中金に預金を受け入れることのできる範囲は、
中小企業者を構成員としておりまする団体、つまりまあ組合とその構成員、それから公共団体、あるいはその他営利を目的としない法人並びに主務
大臣の認可を受けた銀行、その他の金融機関、こういうふうになっておりまするが、この中金の方の業務の主体が、貸出業務あるいは債券発行業務ということが中心になっておりまする
関係上、そういう業務に付帯しまして、預金の受入先を増加いたしました方が、これらの業務が円滑にいくということもございまするので、若干の追加をいたしたわけでございます。
その第一点としましては、現在、中金は余裕金の短期貸付を行なっておりまするが、それからの預金の受け入れば、現在はできません。これはやはり、貸付、預金というふうな関連した業務でございまするから、その
関係で、こういう
取引先から、預金を受け入れられるようにしたいということが、この第一点でございます。
その第二点は、これはいろいろ人的、物的の保証、あるいは手形の振り出しというようなことで、中金がいろいろ貸付を行なっておりまする債権に
関係しまして、そういう付帯的といいますか、従属的な債務を負っておる人からの預金を受け入れるようにしたらよかろうということを考えたわけでございます。これは結局、そういう際に、そういう人からの担保、あるいは保証の提供等が、いろいろな経済の変動で十分にいかない場合がございます。そういうときに、預金があれば、それで満足な保証となるということもございまするし、また
中小企業者が、組合員である
中小企業者が手形割引を依頼されましたときに、
中小企業者だけの信用ですと、なかなか手形が割りにくい場合もございまするが、そういう場合に、振出人の方の預金があれば、手形が割りやすいということもございますので、もっぱらそういうふうな、業務の円滑を考えて、この特定の債務者からの預金を受け入れるようにするということでございます。
それから、その第三点は、これは商工債券の発行を円滑にいたしまするために、債券の応募者あるいはまた買い入れしようとするものからの預金を受け入れられるようにしたらどうか。これは、結局この預金で振りかえて債券取得者となりまするので、債券の取得、発行を円滑ならしめるということでございます。
それから第三として、業務の範囲を広げました第二点は、商工債券の保護預り先の拡張の問題。これは、現在は、所属団体あるいはその構成員となっておりまするのを、若干広げまして、普通の金融債の発行機関と同様に、債券所有者のために保護預りができる、こういうふうにしたらどうかということでございます。これは、もっぱらサービス業務かと思っております。
それから第四でありまするが、これは、現在出資金あるいは株式払込金の受け入れ、配当受け入れ、あるいは配当金の支払い等につきまして、所属団体の組合の分の取扱いは認められておりまするが、組合員の分は、現在の
法律では認められておりませんので、そこは、組合員に対する実際の
仕事の便宜上、そこまで広げたらどうかということでございます。
それから第五は、これは業務の範囲の問題でございませんで、現在、商工組合中央金庫に対しまする出資の品数の最高限度が一万品に制限されております。これは、特定の出資者がたくさんの品数を持たないようにという配慮からかと思われまするが、いろいろ政府出資がふえますにつきまして、民間出資もふやして参らなければならぬわけでございまするし、そういうふうに全体の出資がふえて参りますると、この口数の制限は、むしろ出資の増加の円滑に行われないようなおそれもございます。それから、いろいろ能力のあるところが引き受けてもらえなくって、小規模の組合に出資を無理に頼むということになっても、まずいようなこともございまするから、これはこの際、全体の出資の増加に伴いまして、一万口というのを五万口まで上げたらどうか、こういうふうに考えたわけでございます。ちなみに、一口の金額は百円でございます。
それから小さい
改正でございますが、この出資の持ち分の自己収得が、特殊の場合にはやはり必要になってくるわけでございまして、たとえば組合の整理、解散の場合、あるいはその他債権保全というような見地から、どうも自己収得ということが禁止されておる現行法のもとですと、なかなかその組合と商工中金との
取引があります場合なんかには困ったことになることがありますので、これは、いわば自己取得を認めまして、そうして経済的な相殺ということにしたらどうかというふうに考えております。
それから、これは条文の整備でございますが、環境衛生同業組合が、先般
法律として成立したわけでありますが、その際、この商工中金法も
改正になりましたが、ほかの組合、たとえば塩業組合あるいは酒造組合等につきましては、
中小企業者が、大半を占めておる組合というふうに限定がついておりましたが、環境衛生同業組合の
改正のときに、それをどうしたわけですか、ついておりませんでしたので、今回、ほかの組合の例と歩調を合せまして、
中小企業者を主とする環境衛生同業組合というふうに資格の範囲を限定したということでございます。
大体、以上が概要でございます。