○
政府委員(
小出榮一君) それでは軽
機械の
輸出の
振興に関する
法律案につきまして、先般
提案理由の御
説明は申し上げたわけでございまするが、さらにその
内容につきまして、やや詳細に御
説明を申し上げたいと思います。
この
法律案は、要するに、いわゆる軽
機械の
輸出の
振興をはかるということがその終局の
目的でございます。そこで、いわゆる軽
機械というものの範囲でございまするが、これにつきましては、いろいろな定義があろうかと思いますけれども、普通、
機械を重
機械、軽
機械というふうに分かちました場合におきましては、一般的に軽
機械といわれておりますものは、小型であり、かつ、軽量の
機械でございまして、たとえばカメラとか双眼鏡、ミシン、時計、トランジスター・ラジオというふうに、その種類はきわめてたくさんあるわけでございます。そこで、これらのいわゆる軽
機械というものの
輸出振興を、この際強力に
促進しなければならないという一般的な情勢につきましてまず御認識をお願いしたいと思うのでありまするが、御
承知のように、
日本の
輸出貿易の構造から申しまして、漸次
日本の対外
輸出の
重点は、過去の、特に戦前等においては繊維
中心でございましたけれども、漸次
重化学工業品にその
重点が置かれつつあります。鉄鋼あるいは鉄鋼製品、
機械関係というようなところに
重点が移りつつありまして、将来の経済第二次五カ年計画の目標等におきましても、将来は
機械の
輸出ということに相当の
重点を置かなければならないという情勢になってきておるわけであります。そこで、この
機械の
輸出の中におきまして、特にこの怪
機械類というものは、御
承知の
通り、現在非常に
輸出品といたしまして重要でありますると同時に、またその
輸出のホープといたしまして、現在その
輸出の実績というものは着々上りつつあるのであります。たとえば資料として差し上げてあるかと思うのでありますが、ミシンにいたしましても、カメラにいたしましても、あるいは双眼鏡その他ラジオというふうな軽
機械の
輸出額は、
昭和三十二年におきまして、ミシンが四千七百万ドル、望遠鏡が一千三百万ドルというような状況でございましていわゆる軽
機械輸出額全般を合計いたしますと、一億ドルに達するのでありまして、
機械輸出全体の中で、船舶の占める額は、これはもちろん一件当りの金額が大きいわけでございまするので、巨額でございまするが、その船舶を除きました全
機械輸出の三割、三〇%というものは軽
機械の
輸出に依存しておる、こういうような状況であり、しかもそれが年々ますます増大する傾向にあります。しかも
輸出をいたしまする
相手国、仕向国が、その
重点が主としてアメリカを
中心といたしまする先進国、ドル地域が多いのでございまして、従って外貨収支の面におきましても、ドルの獲得という点におきまして、軽
機械の果しておりまする役割は、きわめて重要でございます。その軽
機械の中で、ミシンと双眼鏡につきまして申し上げますれば、アメリカに対しまするミシン、アメリカの方からみましての輸入でございまするが、これは
日本から輸入するのが一番多いのでございまして、第一位が
日本の千三百万ドル、第二位がドイツでございますが、ドイツは約その半分の六百万ドルというふうな状況でございまして、断然
日本のミシンの進出が優位を示しておるわけでございます。双眼鏡につきましても、従来
日本と競争相手でございました西ドイツ、これをついに凌駕いたしまして、アメリカにおきまする輸入の九〇%以上が
日本からの輸入である、こういうふうな状況になってきておるのであります。で、こういうふうに軽
機械の
輸出そのものは、実績といたしましては非常に
伸長を示しておるのでございまするが、こういうふうに軽
機械の
輸出が非常に伸びております原因というのは、一つにはこの軽
機械の
製造というものが
日本人にきわめて適した、いわゆる
中小企業、手工業、手を用いまして組み立てをいたすアッセンブル形態であるというなことでございまして、従いまして、非常にその点におきまして、手先の器用な
日本人といたしましては、対外競争力の面におきまして、本質的に非常に
日本人に適した製品である。従って、その面から申しましても、本来非常に強い
国際競争力を持っておるわけでございます。
従いまして、そういうふうな、本来その品質の面におきましても、またコストの面におきましても、非常に強い競争力を持っておりまする関係上、軽
機械の
輸出というものは、本来放っておいても非常に伸びるわけでございます。ところが、その実態を見ますといえと、確かに
輸出額は相当に伸びており、
輸出量も相当に
伸長をいたしてはおりまするけれども、実際に伸びておりまする
輸出に比べまして、その
輸出金額の面におきましては、総体的に漸次不利な状況になりつつあるのであります。と申しまするのは、結局
輸出価格の面におきまして、もっと高い
輸出価格でもって
輸出ができるべきものであるにもかかわらず、その中間におけるバイヤーその他の面に利潤を吸収されるとか、あるいは価格を買いたたかれるというような結果、漸次
輸出価格が低下しつつあるのでありまして、従って
日本から
輸出いたしました価格、それが相当の利潤によってアメリカ国内において小売価格として売り出されておる実態を見ましても、これが西ドイツの同じ品質同士の製品に比べますというと、非常に安い価格で売られておる。従いまして、
国際競争の面におきまして、たとえば競争相手である西ドイツその他の製品と同等の品質の製品を同じくらいの価格まで持っていくには、まだ相当高く売っても十分売れる、こういうふうな余地があるわけでございます。その実態を申し上げますると、たとえば
昭和二十三年ごろには、双眼鏡が、標準的な双眼鏡の例で申し上げますれば、アメリカに対しまして二十三ドルで売れておった。それが二十七年には十四ドルになり、三十一年には九ドルになり、最近では八ドルというふうな、きわめて安い価格で買い取られておる、こういうふうな実態でございます。
〔
委員長退席、理事島清君着席〕
ミシンの場合といたしましても、
昭和二十三年には二十二ドル半で
輸出いたしておりましたものが、最近では十四ドルあるいはそれ以下というふうな状況でございまして、
わが国のこういった
輸出軽
機械のFOB価格と外国市場価格との開きは、二倍ないし五倍といわれておりまして、いたずらに国内における過当競争の結果、中間のバイヤーその他の利潤のみが増大しておる、こういうふうな状況であり、ミシンの場合で申しますれば、十四ドルで
輸出されましたものが、アメリカの小売価格では五十ドル、双眼鏡の場合は、八ドルで
輸出されたものが二十ドルで売られておる。しかもそれだけの小売価格であっても、なおかつ競争相手である
西独等のものに比べれば、非常に安い、こういうふうな状況であります。
それでは、なぜこういうふうに、本来ならばもっともっとドルをかせぐことができるはずである軽
機械がもっと得べかりしドルを逆に失っている、こういうふうな結果になっておりますが、こういうふうな実態になっておりまするその原因でございます。原因はどういうところにあるかということを見ますると、結局は国内におけるその
製造業あるいは
輸出商社の実態というものからくるわけでございまして、シンとか双眼鏡というふうな業界におきましては、主として
中小企業による非常に経営基盤の弱体な、家族労働を
中心とする
企業でございます。従ってこれらの小
企業、零細
企業におきましては、海外における市場の実態、実際に自分のところで作った品物がどういう方面に売れるのかというふうな、そういう海外のマーケットの実態を把握することはほとんど不可能であり、また海外に対して
日本の製品それ自体を十分に宣伝するところの道も開かれていないという状況でございます。従いまして結局中間におけるバイヤー等の買いたたきによりましていわゆるめくら貿易という結果になっておることがその根本的な原因でございます。そこでこういうふうな同じく軽
機械と申しましても、先ほど最初に申し上げましたようにカメラあるいはラジオその他いろいろございまするが、それらの中で特にそういうふうな弊害を痛感せられまするものがミシンと双眼鏡と、この二つの業界でございます。従いまして今回御
提案申し上げました
法律におきましては、その別表におきましてただいまこの家庭用、シンと双眼鏡という二つの品目を
法律において指定をいたしまして、この
法律の別表において指定をいたしました品目につきまして特に今回の
輸出振興措置をとりたい、こういうことが終局のねらいであります。そういうような実態を背景といたしましてここに新たに特別の
輸出振興措置をとろうというのがこの
法律の
内容でございます。
そこで以下それではどういうふうな
内容によりましてこの
輸出振興措置をとるかという点でございまするが、これは要するに大きく分けまして二つの点にねらいがあるのでございまして、第一は
登録制度、
製造業者の
登録制度を採用するということであり、第二は
輸出振興措置を行いまするために
輸出振興事業協会という特別の法人を設立する、この二つが要するにこの
法律の主眼でございます。
そこでまず第一にその第一の主眼でございまする
登録制度につきましては、第二章の第三条以下の「
登録」という項に書いてございます。これは要するに軽
機械または軽
機械部品の
製造事業を行おうとする者はその
製造事業場ごとに通産大臣の
登録を受けることができる、こういう
趣旨の
規定で、
登録制度をしこうということでございます。それではなぜこの軽
機械の
製造業につきまして
登録制度が必要であるかということでございますが、品質の
向上ということがその第一のねらいでございます。もちろん先ほども申し上げましたように、
日本の商品は、
日本人のこの
技術的な特性から申しまして、品質的にはきわめて優秀ではございまするけれども、しかし将来ますます
国際競争が激化いたしまする中におきまして
輸出を
振興いたしまするためには、いやが上にも品質の
向上を常に怠らずにやる必要があるのでございまして、結局先ほど申しましたように中間のバイヤー等の買いたたきによりましてたたかれますと、結局安かろう悪かろうということに、品質を低下しなければコストを割るというぎりぎりまで追いつめられるおそれがあるのであります。従いましてどうしても品質の
向上のためには不断の
努力を払う必要があるのであります。もちろん品質の
向上のためには
輸出品の検査
制度というものがございますけれどもしかしこれは要するに不良品を排除し得るという
程度の消極的な一つの手段でございまして積極的に品質を
向上するということのためには、やはり一定の品質の基準というものを設定いたしまして、その基準に合致するような
製造をなし得るものをもって
登録業者とし、そしてその基準を漸次高めて品質の
向上に資していく、こういうふうにやっていくことが必要であろうと思うのであります。そういうような意味におきまして、最小
限度の要件を一応定めまして、その
登録基準に定められた、これは通産省令で定める
予定でございますが、業界の
実情に即するように十分配意をしながらその基準を設けまして、その基準に合うような業者を育成していくという
趣旨が第一点でございます。
それからこういった品質
向上のねらいが
登録制度の第一のねらいでございますが、第二のねらいはこの
登録制度によって業界の安定をはかろうということでございます。
中小企業であると同時に、こういった軽
機械数はいわゆるアセンブル、組立業でございまして、部品はそれぞれ別に専門メーカーが
製造いた、しましてこれを組立てるということが主眼でございまするので、従ってほとんど
設備らしい
設備は必要としない。極端な場合におきましては、ドライバー一木あれば開業できるという簡単なものでございまするだけに、従って非常に業者が乱立するおそれがございます。すでにまたそういう実績を持っておるわけでございまして、当然に過当競争ということになるのであります。この過当競争を排除いたしますためには、もちろんすでに既存の
制度といたしまして
中小企業団体法というような
法律がございましてこれの
運用によって相当
程度にその
効果をあげ得るのでございますが、ただ最終的に
新規の開業を抑制する、そして業界の安定をはかるという手段といたしましては、御
承知のように
中小企業団作法におきましては、
設備制限命令という方法はございまするけれども、先ほど申し上げましたように、こういうセンブル業界におきましては
設備を
制限することは全然無意味でございまして、
設備そのものといたしましてはほとんど
設備らしいものはございません。従って中核になるような
設備を押え得ない。従ってこれにかわるべき
措置といたしましては、やはり
登録制度の
運用によりまして、非常に業界の乱立、過当競争が極端な
事態に立ち至りました場合におきましては、場合によりましては
登録の停止という方法によりまして一時的にそういった
新規開業を抑制するというような
措置をとり得る道を開いておこうというのがこの
登録制度の第二のねらいでありまして、これがやはり業界の安定ということを終局の目標といたしておりまする
登録制度の第二のねらいでございます。
以上のことがこの第二章の
登録に関する問題でございまして、具体的な
登録基準その他の手続き等につきましては通産省令その他において定めるということがそれぞれの各条に書いてあるわけであります。あとは
登録簿であるとか、
登録証の交付だとか、あるいは
変更届出というような手続的な
規定がそれぞれ条文に書いてあるわけであります。
そこで次に、この軽
機械輸出振興法案の第三の骨子でございまする
輸出振興事業協会の問題でございます。これは第三章、二十四条以下にその
規定が掲げてあるわけであります。これは
輸出振興事業協会という一つの法人をそれぞれの業種ごとにと申しますのは、ミシンでありますればミシン協会を全国に一つ、それから双眼鏡でございますれば双眼鏡の
輸出振興事業協会というのを一つ、そういう法人をそれぞれの業種別に設立をし事業を行うということがねらいでございます。そこでそれではその
輸出振興事業協会というのはいかなる
目的で何をするために作るかということでございまするが、これは先ほど来申し上げておりまするように
輸出振興、
輸出は確かに
振興はいたしておりまするけれども、その実態を見まするというと、結局は零細
企業の海外に対するPRあるいは海外に対する市場の調査、実態把握というような点においてその手段がございません。従いましてそういった
輸出振興の
目的に即応するための中核機関といたしまして新たにこういう協会を設立し、そして業界が全部平等の負担のもとに、全体が一緒になりましてメーカー自身の製品の
輸出の
振興への対外的なつながりを持とうというのがこの協会の
目的でございます。従ってその協会の行います事業といたしましてはそれぞれの製品に関しまする海外市場調査、宣伝あるいはアフターサービス、品質
向上に関しまする試験、
研究、指導、そういうような事業でございます。そこでこの海外市場の調査、宣伝、アフターサービス
業務というような問題は、要するに海外市場における需要の動向、価格の状況を正確にかつ迅速に把握する。そうして
日本の品物の実態を海外市場にほんとうの意味において認識せしめるということと同時に、
輸出を済ませました商品につきましてそのアフター・サービスを十分徹底してやるということでありまして、これらはもちろん
輸出業者といたしましても、そういう活動を当然やるべきでございますけれども、しかし
輸出業者の行いまする活動というものは、むしろ
相手国の輸入商社というものを
対象といたしまして、これに対するマーケッティングに主力を注がれております。ところが最近の貿易の実態というものは軽
機械に限らずすべて製品の最終の需要者アメリカにおいて実際に消費いたしまする最終のユーザーというものの動向を把握しなければ、需要分野の開拓なりその需要にマッチした製品というものはできないということでありまして、そういう意味においてマーケッティング活動をやってもらうということでございます。ところがそれにはやはり
製造業者自体がそういうマーケッティング活動をしなければ、商社まかせではできないというのが実態でございまするが、ところが、シンなり双眼鏡の業界というのは、先ほど来申し上げておりますように、非常に零細でありかつ非常に多数の
中小企業でありまして、自分自身のところでマーケッティングをするということは、これは不可能でございます。そこでこれにかわりまして一つの中核機関として業界全体が共同して一つの法人を設立し、それが業界にかわりましてそういった活動を行う、スイスにおける時計
会議所というふうな
運営をしていきたいということでございます。その
業務につきましてはもちろん御
承知の
通りの
日本貿易
振興会1ジェトロというようなもの、あるいは
輸出組合というようなものと十分協力し、特定の事業についてはジェトロに委託してこれを行なっていこうということでございます。
それからこの協会の第二の事業でございまする試験
研究あるいは指導
業務ということは今申しました海外に対するいろいろのPRの基礎といたしまして、それにマッチするような品質のいいものを絶えず
研究し、指導をしていくというための必要な
研究機関を整備し、またそれに必要な
資金の確保等のあっせんをするということでございます。こういうような事業が主眼でございまして、そのほかに当面考えられまするものとしましては意匠、商標の保護であるとかあるいは外国の意匠、商標の盗用の防止であるとかいうような弊害を矯正するような事柄、それから場合によりましては、工業組合が現在できておりますが、その工業組合が協定によって特定の買い取り機関を経由して
輸出をするというようなことを定めました場合には、その買い取り機関としての機能をこの協会が果すというようなこともやり得るということを考えておるわけであります。
こういうような
目的をもちまして
輸出振興事業協会を設立するわけでありますが、協会にはそれだけの活動をするための
資金が必要でございまするが、これにつきましては負担金の徴収という
制度を置いておるのであります。この負担金の徴収に関する
規定は第四十九条にあるのでございまするが、これは要するに今申しましたような海外のマーケッティング、品質の
向上ということは、業界全体の共同の
利益になることであり、また業界全体として要望されておることでございまするので、しかもそれが全然不公平でない、公正に、いな平等な負担のもとに
資金を集めていくという態勢ができることが最も望ましいことでございますが、そのための負担金の徴収ということを一定の基準によって行うということであります。これに対してはさらに
政府からもある
程度、協会に対する補助金も
予算的に
措置いたしておりまして、来年度の
予算要求の中に、ジェトロの
予算の中に特別のワクを設けまして、ミシン、双眼鏡の
輸出振興事業協会のための補助金をそれぞれ一千万円計上しているわけでございます。
こういうようなことによりまして、協会の事業を行うわけでありますが、問題は協会の組織、
運営の問題がさらにあるわけでございます。そこで協会の組織といたしましては、これは工業組合あるいは
輸出組合というふうないわゆる団体ではございませんで、一つの事業機能を営みます単独の法人でございまして、従ってそういうような意味におきまして一種の特殊法人として設立をいたしました。それは負担金の徴収を
登録業者全部から取るというようなこと、場合によっては一手買い取りという機能を営むというような意味におきまして、普通の団体あるいは従来の機関と異なった機能を持つ特殊の機能法人という形をとりました。
運営につきましてはさらにできるだけ民主的な
運営をはかっていくということで、
運営の
中心は、役員と総代会と評議員会、この三つが中核になっておりますが、総代会は軽
機械の組み立て業者から選挙で選びまして、そして負担金の使途の決定というふうなことを民主的に行う。評議員は会長指名の相談役という意味で広く
学識経験者の中からこれを選ぶ、役員は
実施機関になります。こういうふうな形をとっているのでございます。
こういうふうな
内容によりまして
輸出振興事業協会を設立し、そして別表に定めてあります品目につきましては、
輸出振興事業協会の活動によってあるいは
登録制度の
実施によって軽
機械の
輸出振興をはかろうということでございまして、とりあえず家庭用ミシンあるいは双眼鏡ということでございますが、もし同じような必要を生じました業態につきましては、さらに品目を追加することができるわけでございます。あるいは品目を削ることもできるわけでございます。しかしこれはすべて
法律改正をしなければできない、行政官庁で勝手にこれを政令の
改正等によってできないように、この
法律において別表に特に
規定したわけでございます。
以上がこの
法律案の
内容でございますが、この際あわせて
衆議院におきまして修正せられました点につきまして、便宜私から御報告をさせていただきたいと思います。
衆議院におきまして修正と
付帯決議がございました。修正は実態的には付則の点でございまして、付則の条文の整理の点は別といたしまして、付則の第二条に「廃止」という
規定がありまして、「この
法律は、
施行の日から五年以内に廃止するものとする。」こういう修正が行われました。
それからこれに関連いたしまして
付帯決議がつけられました。その全文を読み上げます。
政府は、本法の立法の
趣旨にかんがみその
運営を民主的に行うとともに特に左の点に留意すべきである。
一、
輸出振興事業協会に対し、その
目的達成に必要な財政上、金融上特別の
措置を講ずること。
二、
登録の基準を定めるに際しては、関係者の
意見を充分尊重して決定すること。
三、本法の
施行により、関係車業の従業員の整理、労働の強化と賃金の低下を来さないよう、厳重に指導監督すること。
こういう
付帯決議がつきました。この
衆議院における修正と
付帯決議が行われましたその経緯及びその
理由、
内容等につきまして簡単に御報告申し上げまするが、
衆議院におきまする
審議の経過は、
速記録等におきまして、十分御
承知いただけると思うのでございまするが、このミシン、双眼鏡の業界の中で、双眼鏡につきまして業界の一部にこの
法案に対する反対運動が昨年の暮れあたりから突然表一面に出て参りました。それらの関係もございまして、業界の実態を十分に把握し、かつその業界の
実情に合うような
趣旨においていろいろ議論がかわされたのでありますが、その論議の最終的な結論としまして、主として指摘されました点は、軽
機械の
輸出振興のために現在このミシン、双眼鏡は業界におきましても
中小企業団体法による工業組合あるいは
輸出組合等があって、それぞれその
法律に基く
調整活動を行なっております。数量の
調整であるとか、あるいは価格の
調整であるとか、あるいは販売方法の
制限というふうなそういう一種のコントロール的な組合活動が行われておりますけれども、経済中業はまだ見るべきものは行なっておりません。ところが
中小企業団体法が、
中小企業安体法から団体法に
改正になって、経済事業も
調整事業とあわせて行うという組織ができており、しかも
輸出振興裏業協会が行う事業は大体工業組合の経済事業とも言えるのじゃないか、従ってそういう経済事業をまず工業組合にやらせてみて、その上でどうしてもうまくいかないならば
輸出振興事業協会というふうな特殊法人もやむを得ないのではないかという議論が、主としてそういう御
意見が出たのでございます。しかしながらその間におきまして、いろいろ業界の
実情その他等も各
委員におかれまして御検討いただきました結果、結論といたしまして、業界の実態等から見まして、またその行いまする経済事業の
内容等から見まして、既存の工業組合を十分に、そういうふうな意味におきまして育成訓練するには相当に時間を要する、従いまして、とりあえずまずこの
輸出振興というのは非常に焦眉の急を要するものであり、先ほど最初に申し上げましたような対外
輸出の実態というものは今日手を打たなければほとんど手おくれになるというような
事態にまで差し迫っておりまして、ミシン等におきましては、すでにアメリカ等におきまして関税等のいろいろな問題も起っております。従いまして早く手を打つ必要もあり、またその事業の性質等から見まして、まずこういった特殊法人を組織するということもやむを得ないだろう、しかしその間に既存の工業組合の育成指導を十分に行なって、それがほんとうの意味において民主的に訓練され、業界がほんとうに安定するような形になりました場合には、この方向に切りかえるようなことを含みといたしまして、とりあえず
法律は五年以内に廃止する、こういうふうなことに
意見が一致をみたわけでございます。これが修正の
趣旨でございます。
それから
付帯決議の
趣旨は、申すまでもなく
輸出振興事業協会というものを作る以上は、これに十分
政府としても財政、金融上の援助をしたければならぬ、とれ自体も育成しなければならぬということであります。それから第二は、
登録制度については、一方的なことにならないように、十分業界の実態に即した形で
登録基準を定めるということ、それから第三は、こういう
法律を
施行するために、いろいろ事業の整理とか、あるいは労務者へのしわ寄せということの起らないように十分指導監督するということでございます。いずれもその御
趣旨におきましてはごもっともなことでございます。その
趣旨におきまして、
政府といたしましてもお答えを申し上げたような次第でございます。
大へん急いで申し上げましておわかりにくかったと思いますが、一応
法案の
内容と、
衆議院における修正、
付帯決議について申し上げました。