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政府委員(福井政男君) ただいまの栗山先生の御質問につきまして私から、天然ガスの所轄を鉱山局がいたしておりますので、まず私から御
説明申し上げます。
新潟の天然ガスの開発
状況でございますが、御
承知のように天然ガスは、燃料用として従来使われておりましたのが、最近化学工業の原料といたしまして、非常に利用されて参っておるわけでございまして、この
関係から、特に終戦後新潟
地区を初めといたしまして秋田、この両
地区が、最も大きい
地区でございますが、そのほかに、千葉がございます。そういったところで、非常に化学工業の原料として使うということで、化学工業が非常に発達して参ったわけであります。そういうことで、全国の生産量も急激に伸びて参りまして、
昭和二十五年の生産量は六千九百万立米でございましたものが、二十八年には一億一千万立米になり、二十九年には一億四千万立米となりまして、さらに三十年には一億五千五百万立米と上昇して参っております。これが特に三十一年、三十二年に急激に生産量がふえまして、三十二年では二億四千三百万立米、さらに三十三年には三億六千七百万立米というふうに上昇して参っております。まだ、私
どもこの天然ガスの利用は、世界各国の最近の情勢から見まして、大いに全国的に開発して参らなければならない、かように考えて、いろいろ施策を研究いたしておりました矢先に、新潟
地区の天然ガスと申しますか、地盤沈下問題が、大きく問題になって参りました。かようなことに相なっております。
全国の生産量の中で占めております新潟県の生産比率を申し上げますと、大体、六割から七割という生産
状況になっておりまして、三十年についてみますと、約七〇%でございまして、一億七百万立米でございます。三十一年は七三%になっておりまして、三十二年も同じく七三%でございます。そういうようなことで、大体六、七割のところでございます。
さような
状況になっておりまして、現在、地盤沈下問題が非常に激しくなりまして、現地で、いろいろガス業者が生産をとめまして、この原因究明に協力をしておるわけでありますが、原因究明の方につきましては、御
承知のように科学技術庁が所管をいたしておりまして、科学技術庁の資源
調査会に、この新潟
地区の地盤沈下の原因究明の特別
委員会が設置されておるわけであります。同時に、現地の被害
状況を、ともあれ応急的に復旧する必要がございますので、
経済企画庁の方に応急対策
委員会が設置されまして、ここで各省の復旧
予算を総括的にとりまとめるとか、そういった応急対策の
関係のとりまとめをいたしております。現地の方で現在試験をいたしておりますのは、運輸省の所管いたしております観測井が一本、従来からございまして、ここで
資料をとっております。ただ、問題がやかましくなって参りまして、一カ所の井戸だけで観測して参りまして、そのデータで、全体を
判断することは、全く新しいケースでありますだけに、世界的にも初めてのケースでございますだけに不十分ではないかということで、昨年、三十三
年度の予備費で、さらに井戸を掘るような措置をしたようなわけでございまして、これは、通産省が所管いたしまして、現在井戸を三本、別の地点に掘っております。この井戸も、今月一ばいから来月にかけまして、大体完成をいたしまして、観測し得るような
事態になる手はずでございます。
現地のガス業者の方は、どういう
状況であるかと申しますと、非常に問題がうるさくなりまして、特に
企業者の方では、
事業をやっております
工場会社等で、これは新潟鉄工でございますとか、あるいは
昭和石油でございますとか、北越製紙でございますとかいう会社でございますが、これは
一つの被害者の連盟を作っておりますし、それから住民も、それぞれグループに分れまして、現在四つばかりの被害者の団体ができております。この被害者の団体が、市民大会をやるとか、あるいはまた
政府当局に対して、原因と思われるようなものは、即時に全部とめてほしい。これは天然ガスの採掘も、そういうふうに嫌疑を受けておるようだが、あるいはまた港の浚渫も、そのようだしということで、毎日の沈下に対して原因と思われるようなものは、すべて排除するような措置をしてほしいというような要請を出しております。天然ガスの業界といたしましては、そういったような
事態が非常に騒がしくなっておりますので、沈下
状況の非常に激しい
地区につきまして、昨年の十一月に、コスモス
計画と申しまして一定の
地域を
限定いたしまして、その
地域内の井戸を逐次ずっと自発的にとめまして、
政府の原因究明の研究に対応して協力して参りましたわけでありますが、それだけでは不十分だということで、今月になりまして、最も沈下の激しい
地区でございますが、井戸の数にしまして、約六十本でございます。
これだけを全部、もう採掘をとめてしまうという決定をいたしました。
これは、先ほど先生の御質問に、自発的であるかどうかという御質問がございました第二点になるわけでございますが、業界の全く自発的な措置として六十本の井戸をとめることになっております。これは生産量にいたしまして十三万五千立米、新潟の生産量に対して約二割
程度になるわけでございますが、これだけの井戸をとめるということで発表いたしたのでありますが、ただ、この中には、とめる会社としましては、帝国石油その他、生
産業者としては四社があるわけでございますが、使う方の、
需要者が、相当数多くございまして、
工場としましては、被害者でありますと同時に、天然ガスを使っておるわけでありまして、これが御
承知のようにエネルギーとしましても、石炭なり重油と比べましても、非常にコストが安くつくということで利用されておるわけでございますが、そのほかタウン・ガスにも使われておりますし、バスにも使われておりまして、新潟の交通
機関は、全部この天然ガスでまかなわれておるというような
事情でもございます。
これをとめますと、この六十木につながっております
工場のエネルギーの供給として、直ちにとめるというと、あとの対策の手当がつかずに困るというような面もございまして、消費者側の、つまり
工場側と生産者側と、円滑にその切りかえのできるように打ち合せて実施する段階になっておりますので、現在では、約四十本
程度の井戸が
現実に停止され、あとの二十本
程度のものが、逐次
工場側と打ち合せが完了次第とめられていく、こういう
状況になっております。この措置は全く天然ガス業者の自発的なものでございます。
それから、天然ガスとの
関係が明白であるかどうかという問題でございますが、このことは、先ほど来申し上げておりますように科学技術庁の資源
調査会に特別
委員会を作りまして、ここで、わが国のこういった
方面の最高権威者が御検討されているわけでありまして、この方は、科学技術庁の資源
局長から、あとで御
説明があると思います。従いまして私の方としましては、直接結びつくというような、天然ガスの開発と地盤沈下というようなものが、どういうふうな
関係にあるかというようなことは、通産省としましては、科学技術庁の御検討の結果を待っている、かような段階でございます。