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政府委員(今井
善衞君) 要点につきまして簡単に御
説明いたします。
まず第一は、繊維
産業の今後のあり方でございますが、要するに今まではある程度の統制がしみわたっているわけでございます。ところで、今後の方向を統制的な方向にいくのか、それとも自由な方向にいくのかという点でございますが、これにつきましては、とにかく秩序を持ちながらできるだけ自由な競争をしようじゃないかというのが考え方でございまして、秩序を持ちながらと申しますのは、結局設備につきましてはほっぽっておけば隣が作れば自分のところも作りたくなるというふうなことで非常に乱設の傾向がございますので、従いまして、設備につきましてはやはりこれは苦しくても
登録制その他によりまして、とにかく増設も押え、あるいは計画的に持っていこう、秩序というのはこれは設備の
関係で持っていこう。
それから取引の
関係は、これは将来あるいはAA制になるかもしれない、現在は為替の
事情でもってAA制はとれないかもしれないけれども、とにかく自由な方向にいくに違いない。従って取引の
関係については自由な方向にできるだけ持っていきたいというのが、これが根本的な精神であろうと思います。
そこで設備につきましては、これは御承知のように現在
法律がございまして、
法律によりますると、紡績段階とそれから染色段階は
措置法自体で増設を押えております。それから織機段階につきましては、これは中小
企業団体法によりまして増設を押えているのでございます。ところが御承知のように人絹あるいはスフ綿、合繊綿、これにつきましては現在何らの
措置がございません。その結果、ここ二、三年来スフ綿なり人絹なりは非常に増設になりまして、繊維不況の根源にもなったということでございますので、従いまして現在
法律の
対象になっておりませんところの化学繊維は、これはやはり
法律の
対象にする。その際、スフなり人絹につきましては、これは今後の増設を押えていくけれども、合繊につきましては、これは非常に将来性のある繊維でございます。従ってこれは伸ばしていくけれども、計画に従って伸ばしていきたい、計画的に育成していきたいということが一つございます。
それから過剰設備の処理をどうするかということにつきましては、織機の段階につきましては、御承知のように今年並びに来年度におきまして約五万二千台の織機を急速に買い上げていく、これはまあすでに予算的
措置もございまして、現在
審議中になっておるわけでございます。
次に、紡績段階につきましては、これは各業種によりまして違うわけでございますが、現在相当の過剰設備を抱えておりまして、現在これが全部動くと非常な供給過剰になるということは、御承知のように封緘という形で操短をやっておるわけでございます。ところが操短という形がこれは非常に短期的な、三カ月ごとに切りかえていくという
制度でございますので、したがって糸価の安定という面から申しましても、あるいは
企業の操業なり、経営という面からいたしましても、非常にやっぱりロスが多い。そこで過剰部分の相当部分をこの際たな上げしたらどうかということになりまして、そのたな上げの
方法といたしまして、大体各紡績部門おおむね三〇%でもって格納をしたい。これは原則として一年以上格納したい。これは
措置法の
法律に基きまして役所が共同行為の指示をいたしまして、そうして格納していったらどうかという線が一つ出ておるわけでございます。それからただいま申しましたように、長期的に過剰の部分は格納するのでございますが、それでは短期的に
生産調整をどうするかという問題がございまして、たとえば現在の市況からいいますと、三割は操短しなければいかぬという場合に、そのうち三分の二に相当します二割というものは長期的に格納して、あとの三分の一につきましては、従来の短期的な
生産調節を行なっていったらどうかということでございます。
それからそのほか中小
企業と大
企業の
関係とか、あるいは繊維製品の輸出をどういうふうにやって振興したらいいかというふうな問題につきましてやはり
答申が出ておるわけでございますが、中心は何と申しましてもやはり設備規制の問題ではないかと思います。
それからもう一つの問題としまして、原料の割当の問題でございますが、これは現在綿花にいたしましても、非常にこの通貨別に仕入国を細分いたしまして、この割当を行なっておりますけれども、今度のいろいろの通貨の交換性回復によりまして、できるだけ包括的にやったらよかろう。で、会社の空気といたしましては、この際、AAを実施した方が結局その
企業の責任体制と申しますか、
企業の創意工夫が生かせるようになるのじゃないか。従って一挙にやったらどうかという
意見もございましたけれども、大勢といたしましては現在まだ早い。もう少し模様を見ようじゃないか、様子を見ようじゃないかということになりまして、ただ安くどの地域からも原綿なり何なりが買えるように、この外貨予算の編成はグローバル・クォーターと申しますか、どの地域からでも自分のほしい綿花が自由に買えるというふうな態勢を原則としてとったらどうか。それから、これにつきましては、生
産業者に対しまして割当をする。そのほか今後の問題といたしまして、バーター
制度だとかあるいは通商協定によって特定の国から綿花なりを買わなければならぬという場合におきましては、これは設備割当にしておきますと、なかなか高い綿花を生
産業者に押しつけるということには無理がございますので、従ってさような中小紡績の
対象になるというような綿花につきましては、むしろ商社割当を原則とするような注意をしたらどうか、大体そういうことでございまして、できるだけそういう原綿のワクなんかをも通じまして、できるだけ態勢は自由に持っていこう、こういうことでございます。